(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-25
(54)【発明の名称】結晶性ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルを得るための方法
(51)【国際特許分類】
C07C 209/84 20060101AFI20240118BHJP
A61K 8/41 20060101ALI20240118BHJP
A61K 8/49 20060101ALI20240118BHJP
A61Q 17/04 20060101ALI20240118BHJP
C07C 229/52 20060101ALI20240118BHJP
【FI】
C07C209/84
A61K8/41
A61K8/49
A61Q17/04
C07C229/52
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023536902
(86)(22)【出願日】2021-12-16
(85)【翻訳文提出日】2023-06-16
(86)【国際出願番号】 EP2021086103
(87)【国際公開番号】W WO2022129284
(87)【国際公開日】2022-06-23
(32)【優先日】2020-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521037411
【氏名又は名称】ベーアーエスエフ・エスエー
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100133086
【氏名又は名称】堀江 健太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100163522
【氏名又は名称】黒田 晋平
(72)【発明者】
【氏名】クローネマイヤー,ヘルムート
(72)【発明者】
【氏名】ウロッチ,セバスチャン
(72)【発明者】
【氏名】メルツァー,アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】ブランショ,マチュー
(72)【発明者】
【氏名】シェイン-アルブレヒト,カリン
(72)【発明者】
【氏名】カウフホルト,デニス
(72)【発明者】
【氏名】エーリス,トーマス
【テーマコード(参考)】
4C083
4H006
【Fターム(参考)】
4C083AC371
4C083AC551
4C083AC841
4C083BB46
4C083CC19
4C083EE17
4H006AA02
4H006AA03
4H006AB12
4H006AD15
4H006AD17
4H006BB14
4H006BC10
4H006BC19
4H006BJ50
4H006BN30
4H006BR60
4H006BT32
4H006BU46
(57)【要約】
特許請求される本発明は、結晶性ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルを得るための方法に関する。更に、特許請求される本発明は、当該方法によって得られる結晶性ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルと、結晶性ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルを含む化粧品組成物とに関する。特許請求される本発明の方法によって得られる結晶性ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルは、1~250ppmの範囲のフタル酸ジヘキシルエステル(PSDHE)含有量を有する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
結晶性ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(I)を得るための方法であって、工程(a)~(d)、
(a)ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(I)及び少なくとも1つの結晶化溶媒を含む供給物を提供し、前記供給物を加熱して溶液を得る工程であって、
ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(I)が、
i)5000~30000ppmの範囲のフタル酸ジヘキシルエステル(PSDHE)(II)含有量、
ii)500~10000ppmの範囲のローダミン(III)含有量、及び
iii)500~10000ppmの範囲のローダミンヘキシルエステル(IV)含有量、を有し、各含有量が、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(I)の重量に基づいており、
前記供給物におけるジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(I)の量が、前記供給物の総重量に基づいて15.0~65.0重量%の範囲である、溶液を得る工程と、
(b)溶解したジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(I)の濃度c対ある温度でのジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(I)の平衡溶解度c*のc:c*の比が、1.1:1.0~9.0:1.0の範囲であるように、工程(a)の溶液を前記ある温度まで冷却して、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(I)の過飽和溶液を得る工程と、
(c)工程(b)で得られた前記過飽和溶液に、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(I)の種結晶を播種し、続いて、種結晶を含む前記過飽和溶液を1~8時間撹拌する工程であって、
前記種結晶の量が、前記溶液中のジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(I)の重量に基づいて、0.1~15.0重量%の範囲である、撹拌する工程と、
(d)工程(c)で得られた前記溶液を、-10~15℃の範囲の温度に冷却して、結晶性ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(I)を含む溶液を得て、続いて、結晶性ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(I)を分離する工程と、
(e)任意選択的に、工程(d)で得られた前記ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(I)を、工程(a)で使用された前記少なくとも1つの結晶化溶媒と混合して供給物を得ること、前記供給物を加熱して溶液を得ること、及び前記方法工程(b)~(d)を使用すること、を含む、工程(d)で得られた前記ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(I)を再結晶化させる工程と、を含む、方法。
【請求項2】
結晶性ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(I)を得るための方法であって、工程(a)~(d)、
(a)ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(I)及び少なくとも1つの結晶化溶媒を含む供給物を提供し、前記供給物を加熱して溶液を得る工程であって、
前記ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(I)が、
i)5000~30000ppmの範囲のフタル酸ジヘキシルエステル(PSDHE)(II)含有量、
ii)500~10000ppmの範囲のローダミン(III)含有量、及び
iii)500~10000ppmの範囲のローダミンヘキシルエステル(IV)含有量、を有し、各含有量が、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(I)の重量に基づいており、
前記供給物におけるジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(I)の量が、前記供給物の総重量に基づいて15.0~65.0重量%の範囲である、溶液を得る工程と、
(b)工程(a)で得られた前記溶液を冷却して、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(I)の過飽和溶液を得る工程と、
(c)工程(b)で得られた前記過飽和溶液に、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(I)の種結晶を播種し、続いて、種結晶を含む前記過飽和溶液を1~8時間撹拌する工程であって、
前記種結晶の量が、前記溶液中のジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(I)の重量に基づいて、0.1~15.0重量%の範囲である、撹拌する工程と、
(d)工程(c)で得られた前記溶液を、-10~15℃の範囲の温度に冷却して、結晶性ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(I)を含む溶液を得て、続いて、結晶性ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(I)を分離する工程と、
(e)任意選択的に、工程(d)で得られた前記ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(I)を、工程(a)で使用された前記少なくとも1つの結晶化溶媒と混合して供給物を得ること、前記供給物を加熱して溶液を得ること、及び前記方法工程(b)~(d)を使用すること、を含む、工程(d)で得られた前記ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(I)を再結晶化させる工程と、を含む、方法。
【請求項3】
前記結晶化溶媒が、C
4~C
8アルコールからなる群から選択される少なくとも1つである、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記結晶化溶媒が、1-ヘキサノールである、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
工程(a)において、前記供給物が、25~80℃の範囲の温度に加熱される、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
工程(a)において、前記供給物が、35~80℃の範囲の温度に加熱される、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
工程(b)において、前記溶液が、20~35℃の範囲の温度に冷却される、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
工程(c)において、前記播種が、20~35℃の範囲の温度で行われる、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(I)の前記種結晶が、固体結晶塊及び溶媒中の懸濁液から選択される少なくとも1つの形態で、工程(c)において使用される、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
工程(d)において、前記溶液が、1~15℃/時の冷却速度で冷却される、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
工程(d)において、前記溶液が、線形的に冷却される、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
工程(d)において、前記溶液が、区分的線形冷却プロファイルで冷却される、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
工程(d)において、前記溶液が、冷却速度を増加させながら、放物線冷却プロファイルで冷却される、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
工程(d)において、前記溶液が、前記結晶化装置において、相対的に一定の過飽和を維持するために動的冷却プロファイルで冷却される、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
工程(d)において、前記溶液が、真空冷却法で冷却される、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
工程(d)において、前記結晶の分離が、工程(d)において前記溶液が冷却される温度の±5℃以内に前記溶液の温度を維持しながら、濾過によって行われる、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
工程(d)が、前記分離された結晶性ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(I)を洗浄溶媒を用いて洗浄する工程を更に含む、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記分離された結晶性ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(I)の前記洗浄が、工程(d)において前記溶液が冷却される温度の±5℃以内の温度を有する洗浄溶媒を用いて行われる、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記洗浄溶媒が、工程(a)で使用される前記結晶化溶媒、前記供給物、及び工程(a)で使用される前記結晶化溶媒中の(I)の飽和溶液から選択される少なくとも1つである、請求項17又は18に記載の方法。
【請求項20】
以下の工程、
i.工程(d)又は工程(e)で得られた前記結晶性ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(I)を、トルエン及びシクロヘキサンから選択される精製溶媒中に溶解させる工程と、
ii.工程(i)で得られた前記溶液を、シリカ及び木炭から選択される吸着剤と接触させる工程と、
iii.工程(ii)で得られた前記溶液から溶媒を除去して、結晶性ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(I)を得る工程と、を更に含む、請求項1~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記結晶化が、バッフル付き撹拌容器、強制循環結晶化装置、ドラフトチューブ結晶化装置、ドラフトチューブバッフル付き結晶化装置、及びオスロ型結晶化装置から選択される結晶化装置において行われる、請求項1~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記結晶性ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(I)が、
i)1~250ppmの範囲のフタル酸ジヘキシルエステル(PSDHE)(II)含有量、
ii)1~100ppmの範囲のローダミン(III)含有量、及び
iii)1~120ppmの範囲のローダミンヘキシルエステル(IV)含有量、を有し、
各含有量が、前記結晶性ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(I)の重量に基づいている、請求項1~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
請求項1~22のいずれか一項に記載の方法によって得られる結晶性ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(I)であって、前記結晶性ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(I)の重量に基づいて、1~250ppmの範囲のフタル酸ジヘキシルエステル(PSDHE)含有量を有する、結晶性ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル。
【請求項24】
請求項1~22のいずれか一項に記載の方法によって得られる結晶性ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(I)であって、
i)1~250ppmの範囲のフタル酸ジヘキシルエステル(PSDHE)(II)含有量、
ii)1~100ppmの範囲のローダミン(III)含有量、及び
iii)1~120ppmの範囲のローダミンヘキシルエステル(IV)含有量、を有し、
各含有量が、前記結晶性ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(I)の重量に基づいている、結晶性ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(I)。
【請求項25】
結晶性ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(I)と担体とを含む化粧品組成物であって、前記結晶性ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(I)が、
i)1~250ppmの範囲のフタル酸ジヘキシルエステル(PSDHE)(II)含有量、
ii)1~100ppmの範囲のローダミン(III)含有量、及び
iii)1~120ppmの範囲のローダミンヘキシルエステル(IV)含有量、を有し、
各含有量が、結晶性ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(I)の重量に基づいている、化粧品組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
特許請求される本発明は、結晶性ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルを得るための方法に関する。更に、特許請求される本発明は、当該方法によって得られる結晶性ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルと、結晶性ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルを含む化粧品組成物とに関する。
【背景技術】
【0002】
紫外線は、日焼け、光毒性、及び光アレルギー反応、皮膚老化の加速、並びに皮膚がんのリスクの増加など、ヒトの皮膚に有害な影響をもたらす。ヒトの皮膚を紫外線から保護するために、UVフィルター(UV吸収剤とも呼ばれる)を含む日焼け止め又は化粧品組成物が使用される。
【0003】
一般に、UV光は、UV-A放射(320~400nm)とUV-B放射(280~320nm)とに分けることができる。2006年以来、EU委員会は、すべての日焼け止め又は化粧品組成物が、表示されている日焼け防止指数(SPF)の少なくとも3分の1であるUV-A保護指数を有するべきであることを推奨しており、日焼け防止指数とは、主にUV-B保護を指している。
【0004】
2-(4’-ジエチルアミノ-2’-ヒドロキシベンゾイル)安息香酸ヘキシルエステルは、効果的なUV-Aフィルターである。それは式(I)で表される。
【化1】
【0005】
2-(4’-ジエチルアミノ-2’-ヒドロキシベンゾイル)安息香酸ヘキシルエステル(I)の調製は、例えば、DE10011317、EP2155660、及びWO2003/097578から知られる。
【0006】
しかしながら、既知のプロセスから得られる製品には、いくつかの欠点がある。
【0007】
通常は、2-(4’-ジエチルアミノ-2’-ヒドロキシベンゾイル)安息香酸ヘキシルエステル(I)は、合成プロセスの終了後に溶融物として得られ、そのままの形態で保存される。結晶成長は、室温で約6週間後に溶融物中で起る。使用時に、使用者はパック全体を(I)の融点を超える温度に加熱して、貯蔵容器から生成物を取り出すことができるようにする必要がある。
【0008】
生成物は、不純物としてフタル酸ジヘキシルエステル(II)(phthalic acid dihexyl ester、PSDHE、フタル酸ジヘキシルとしても知られている)を含有している。この物質は有毒であり、受胎能力を損なう可能性があり、胎児に有害な影響を与え得るため、PSDHEの含有量はできる限り低くするべきである。統一された分類及び表示(ATP05)によると、最終生成物中のPSDHE(II)の許容量は最大150ppmである。
【化2】
【0009】
更に、既知のプロセスによって得られる生成物は、ローダミンB型色素(例えば、[9-(2-カルボキシフェニル)-6-ジエチルアミノ-3-キサンテニリデン]-ジエチルアンモニウム塩)(III)及び対応するエステル(IV)を不純物として含有し、それらは最終製品に望ましくない変色をもたらす。
【化3】
【0010】
これらの課題により、結晶性2-(4’-ジエチルアミノ-2’-ヒドロキシベンゾイル)安息香酸ヘキシルエステル(I)を得るための迅速かつ効率的な方法、並びに(II)の量が少なく、(III)及び(IV)の量が少ない結晶(I)を得ることが、常に求められている。
【発明の概要】
【0011】
したがって、本発明の目的は、結晶性2-(4’-ジエチルアミノ-2’-ヒドロキシベンゾイル)安息香酸ヘキシルエステル(I)を得るための方法を提供することにある。更に、フタル酸ジヘキシルエステル(II)の量が少ない結晶性2-(4’-ジエチルアミノ-2’-ヒドロキシベンゾイル)安息香酸ヘキシルエステル(I)を得る方法を提供することが目的である。更に、当該方法は、ローダミン系不純物(III)及び(IV)の量が少ない結晶性2-(4’-ジエチルアミノ-2’-ヒドロキシベンゾイル)安息香酸ヘキシルエステルを提供することが望ましい。
【0012】
驚くべきことに、上記の目的のうちの少なくとも1つが、特許請求される本発明による方法によって達成されることが見出される。特許請求される本発明の方法は、PSDHE(II)の含有量が少ない(1~250ppmの範囲)、ローダミン(III)の含有量が少ない(1~100ppmの範囲)、及びローダミンヘキシルエステル(IV)の含有量が少ない(1~120ppmの範囲)を有する結晶性2-(4’-ジエチルアミノ-2’-ヒドロキシベンゾイル)安息香酸ヘキシルエステル(I)を提供する。
【0013】
したがって、特許請求される本発明の態様は、結晶性ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(I)を得るための方法に関し、当該方法は、工程(a)~(d)、
(a)ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(I)及び少なくとも1つの結晶化溶媒を含む供給物を提供し、その供給物を加熱して溶液を得る工程であって、
ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(I)が、
i)5000~30000ppmの範囲のフタル酸ジヘキシルエステル(PSDHE)(II)含有量、
ii)500~10000ppmの範囲のローダミン(III)含有量、及び
iii)500~10000ppmの範囲のローダミンヘキシルエステル(IV)含有量、を有し、各含有量が、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(I)の重量に基づいており、
供給物中にジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(I)の量が、供給物の総重量に基づいて15.0~65.0重量%の範囲である、溶液を得る工程と、
(b)溶解したジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(I)の濃度c対ある温度でのジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(I)の平衡溶解度c*のc:c*の比が、1.1:1.0~9.0:1.0の範囲であるように、工程(a)の溶液をある温度まで冷却して、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(I)の過飽和溶液を得る工程と、
(c)工程(b)で得られた過飽和溶液に、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(I)の種結晶を播種し、続いて、種結晶を含む過飽和溶液を1~8時間撹拌する工程であって、
種結晶の量が、溶液中のジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(I)の重量に基づいて、0.1~15.0重量%の範囲にある、撹拌する工程と、
(d)工程(c)で得られた溶液を、-10~15℃の範囲の温度に冷却して、結晶性ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(I)を含む溶液を得て、続いて、結晶性ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(I)を分離する工程と、
(e)任意選択的に、工程(d)で得られたジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(I)を、工程(a)で使用された少なくとも1つの結晶化溶媒と混合して供給物を得ること、その供給物を加熱して溶液を得ること、続いて、方法工程(b)~(d)を使用すること、を含む、工程(d)で得られたジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(I)を再結晶化させる工程と、を含む。
【0014】
好ましい実施形態では、結晶性ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(I)を得るための方法は、工程(a)~(d)、
(a)ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(I)及び少なくとも1つの結晶化溶媒を含む供給物を提供し、その供給物を加熱して溶液を得る工程であって、
ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(I)が、
i)5000~30000ppmの範囲のフタル酸ジヘキシルエステル(PSDHE)(II)含有量、
ii)500~10000ppmの範囲のローダミン(III)含有量、及び
iii)500~10000ppmの範囲のローダミンヘキシルエステル(IV)含有量、を有し、各含有量が、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(I)の重量に基づいており、
供給物におけるジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(I)の量が、供給物の総重量に基づいて15.0~65.0重量%の範囲である、溶液を得る工程と、
(b)工程(a)で得られた溶液を冷却して、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(I)の過飽和溶液を得る工程と、
(c)工程(b)で得られた過飽和溶液に、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(I)の種結晶を播種し、続いて、種結晶を含む過飽和溶液を1~8時間撹拌する工程であって、
種結晶の量が、溶液中のジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(I)の重量に基づいて、0.1~15.0重量%の範囲にある、撹拌する工程と、
(d)工程(c)で得られた溶液を、-10~15℃の範囲の温度に冷却して、結晶性ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(I)を含む溶液を得て、続いて、結晶性ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(I)を分離する工程と、
(e)任意選択的に、工程(d)で得られたジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(I)を、工程(a)で使用された少なくとも1つの結晶化溶媒と混合して供給物を得ること、その供給物を加熱して溶液を得ること、続いて、方法工程(b)~(d)を使用すること、を含む、工程(d)で得られたジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(I)を再結晶化させる工程と、を含む。
【0015】
特許請求される本発明の別の態様は、上記の方法によって得られる結晶性ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(I)に関する。
【0016】
特許請求される本発明の別の態様は、結晶性ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(I)の重量に基づいて、1~250ppm範囲のフタル酸ジヘキシルエステル(PSDHE)含有量を有する、本請求項に係る発明の方法によって得られる結晶性ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(I)に関する。
【0017】
結晶性ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(I)は、
i)1~250ppmの範囲のフタル酸ジヘキシルエステル(PSDHE)含有量、
ii)1~100ppmの範囲のローダミン含有量、及び
iii)1~120ppmの範囲のローダミンヘキシルエステル含有量、を有し、
各含有量は、結晶性ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(I)の重量に基づいている。
【図面の簡単な説明】
【0018】
本明細書に記載される開示は、添付の図において、限定としてではなく、例として図示される。
【0019】
【
図1】異なる温度での1-ヘキサノールにおける(I)の平衡溶解度に関するグラフである。
【
図2】比較例1のプロセスによって得られた結晶(I)の高解像度写真である。
【
図3】本発明のプロセスによって得られた結晶(I)の高解像度写真である(実施例1)。
【発明を実施するための形態】
【0020】
特許請求される本発明の本組成物及び配合物を説明する前に、本発明は、このような組成物及び配合物が、当然のことながら、変化し得るため、記載された特定の組成物及び配合物に限定されないことを理解されたい。また、本明細書で使用される専門用語は、特許請求される本発明の範囲が添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるため、限定を意図するものではないことも理解されたい。
【0021】
以下、グループが少なくとも特定の数の実施形態を含むと定義される場合、これは、好ましくはこれらの実施形態のみからなるグループも包含することを意味する。さらに、説明及び特許請求の範囲における「第1の」、「第2の」、「第3の」、又は「a」、「b」、「c」などの用語及び同様のものは、類似の要素間で区別するために使用され、必ずしも連続的又は時系列の順序を説明するものではない。そのように使用される用語は、適切な状況下で交換可能であり、本明細書に記載される特許請求される本発明の実施形態は、本明細書に記載又は図示されている以外の順序で動作可能であることを理解されたい。方法又は使用又は分析の工程に関連する、「第1の」、「第2の」、「第3の」、又は「(A)」、「(B)」、及び「(C)」、若しくは「(a)」、「(b)」、「(c)」、「(d)」、「i」、「ii」などの用語の場合、工程間に時間又は時間間隔の一貫性がなく、つまり、工程は同時に実行されるか、又は本明細書の上記若しくは下記に記載されているように用途内で特に指示されていない限り、かかる工程の間には、秒、分、時間、日、週、月、又は年の時間間隔があり得る。
【0022】
更に、明細書全体で定義されている範囲は、最終値も含み、すなわち、1~10の範囲は、1及び10の両方が、範囲に含まれることを意味する。誤解を避けるために付言すると、出願人は、適用法に従って、任意の等価物を受け取る権利を有するものとする。
【0023】
以下の節では、特許請求される本発明の様々な態様が、より詳細に定義される。そのように定義された各側面は、反対のことが明確に示されない限り、任意の他の態様又は複数の態様と組み合わせられてもよい。特に、好ましい又は有利であるとして示された任意の特徴は、好ましい又は有利であるとして示された任意の他の特徴又は複数の特徴と組み合わされてもよい。
【0024】
本明細書全体を通して「一実施形態(one embodiment)」、又は「一実施形態(an embodiment)」への参照は、実施形態に関連して説明される特定の特徴、構造、又は特性が、現在特許請求されている本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体を通して様々な箇所での「一実施形態では」又は「実施形態では」といった表現は、必ずしも全てが同じ実施形態を指しているわけではない。
【0025】
更に、1つ以上の実施形態では、本開示から当業者には明らかであるように、特定の特徴、構造、又は特性は、任意の好適な方式で組み合わせられ得る。更には、本明細書に記載のいくつかの実施形態はいくつかの特徴を含むが、他の実施形態に含まれる他の特徴を含まないとしても、異なる実施形態の特徴の組み合わせは、現在特許請求されている発明の範囲内であることを意図し、当業者によって理解されるように、異なる実施形態を形成する。例えば、添付の特許請求の範囲では、特許請求された実施形態のいずれかを、任意の組み合わせで使用することができる。
【0026】
驚くべきことに、特許請求される本発明による方法は、低PSDHE(II)含有量並びに低含有量のローダミン系不純物(III)及び(IV)を有する結晶性2-(4’-ジエチルアミノ-2’-ヒドロキシベンゾイル)安息香酸ヘキシルエステル(I)を提供する。特許請求される本発明の方法は、迅速かつ効率的である。
【0027】
特許請求される本発明の方法は、結晶化溶媒、過飽和度、(I)の種結晶の量、播種の温度、及び各プロセス工程の温度並びに時間などの適切な結晶化プロセスパラメータを選択することによって、結晶(I)の品質及び純度を改善し、結晶化に必要な時間を短縮する。
【0028】
したがって、特許請求される本発明の態様は、結晶性ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(I)を得るための方法に関し、工程(a)~(d)、
(a)ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(I)及び少なくとも1つの結晶化溶媒を含む供給物を提供し、その供給物を加熱して溶液を得る工程であって、
ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(I)は、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(I)の重量に各々基づいて、
i)5000~30000ppmの範囲のフタル酸ジヘキシルエステル(PSDHE)(II)含有量、
ii)500~10000ppmの範囲のローダミン(III)含有量、及び
iii)500~10000ppmの範囲のローダミンヘキシルエステル(IV)含有量、を有し、
供給物におけるジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(I)の量が、供給物の総重量に基づいて15.0~65.0重量%の範囲である、溶液を得る工程と、
(b)溶解したジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(I)の濃度c対ある温度でのジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(I)の平衡溶解度c*のc:c*の比が、1.1:1.0~9.0:1.0の範囲であるように、工程(a)の溶液をある温度まで冷却して、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(I)の過飽和溶液を得る工程と、
(c)工程(b)で得られた過飽和溶液に、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(I)の種結晶を播種し、続いて、種結晶を含む過飽和溶液を1~8時間撹拌する工程であって、
種結晶の量が、溶液中のジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(I)の重量に基づいて、0.1~15.0重量%の範囲にある、撹拌する工程と、
(d)工程(c)で得られた溶液を、-10~15℃の範囲の温度に冷却して、結晶性ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(I)を含む溶液を得て、続いて、結晶性ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(I)を分離する工程と、
(e)任意選択的に、工程(d)で得られたジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(I)を、工程(a)で使用された少なくとも1つの結晶化溶媒と混合して供給物を得ること、その供給物を加熱して溶液を得ること、続いて、方法工程(b)~(d)を使用すること、を含む、工程(d)で得られたジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(I)を再結晶化させる工程と、を含む。
【0029】
本明細書で使用される「紫外線フィルター」又は「UVフィルター」という用語は、太陽光によって引き起こされるUV放射を吸収及び/又は反射することができる有機又は無機化合物を指す。UVフィルターは、UV保護曲線に基づいて、UV-A、UV-B、又は広帯域フィルターに分類することができる。本出願の文脈では、広帯域フィルターは、UV-A保護も提供することから、UV-Aフィルターとして挙げることができる。換言すれば、好ましいUV-Aフィルターには広帯域フィルターも含まれる。
【0030】
「広帯域」保護(広域スペクトル又は広域保護とも呼ばれる)の定義は、「臨界波長」に基づいている。広帯域をカバーするには、UV-B及びUV-A保護を提供する必要がある。米国の要件によると、広域スペクトル保護を実現するには、少なくとも370nmの臨界波長が必要である。更に、欧州委員会は、全ての日焼け止め又は化粧品組成物が、表示されている日焼け防止指数(SPF)の少なくとも3分の1であるUVA保護指数を有するべきであることを推奨しており、例えば、日焼け止め組成物が30のSPFを有する場合、UVA保護指数は少なくとも10でなければならない。
【0031】
「日焼け止め組成物」又は「日焼け止め」又は「スキンケア製品」という用語は、UV放射の特定の部分を反射及び/又は吸収する任意の局所製品を指す。したがって、「日焼け止め組成物」という用語は、日焼け止め組成物だけでなく、UV保護を提供する任意の化粧品組成物も含むと理解されるべきである。「局所製品」という用語は、皮膚に適用される製品を指し、例えば、スプレー、ローション、クリーム、オイル、フォーム、粉末、又はゲルを指す場合がある。本発明によれば、日焼け止め組成物は、1つ以上の活性剤、例えば有機UVフィルター、並びに他の配合成分又は添加剤、例えば乳化剤、皮膚軟化剤、粘度調節剤、安定剤、防腐剤、又は芳香剤を含み得る。
【0032】
好ましい実施形態では、結晶性ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(I)を得るための方法は、工程(a)~(d)、
(a)ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(I)及び少なくとも1つの結晶化溶媒を含む供給物を提供し、その供給物を加熱して溶液を得る工程であって、
ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(I)は、
i)5000~30000ppmの範囲のフタル酸ジヘキシルエステル(PSDHE)(II)含有量、
ii)500~10000ppmの範囲のローダミン(III)含有量、及び
iii)500~10000ppmの範囲のローダミンヘキシルエステル(IV)含有量、を有し、各含有量が、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(I)の重量に基づいており、
供給物におけるジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(I)の量が、供給物の総重量に基づいて15.0~65.0重量%の範囲である、溶液を得る工程と、
(b)工程(a)で得られた溶液を冷却して、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(I)の過飽和溶液を得る工程と、
(c)工程(b)で得られた過飽和溶液に、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(I)の種結晶を播種し、続いて、種結晶を含む過飽和溶液を1~8時間撹拌する工程であって、
種結晶の量が、溶液中のジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(I)の重量に基づいて、0.1~15.0重量%の範囲にある、撹拌する工程と、
(d)工程(c)で得られた溶液を、-10~15℃の範囲の温度に冷却して、結晶性ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(I)を含む溶液を得て、続いて、結晶性ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(I)を分離する工程と、
(e)任意選択的に、工程(d)で得られたジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(I)を、工程(a)で使用された少なくとも1つの結晶化溶媒と混合して供給物を得ること、その供給物を加熱して溶液を得ること、続いて、方法工程(b)~(d)を使用すること、を含む、工程(d)で得られたジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(I)を再結晶化させる工程と、を含む。
【0033】
好ましい実施形態では、結晶性ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(I)を得るための方法は、再結晶工程を含む。したがって、当該プロセスは、工程(a)~(e)、
(a)ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(I)及び少なくとも1つの結晶化溶媒を含む供給物を提供し、その供給物を加熱して溶液を得る工程であって、
ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(I)は、
i)5000~30000ppmの範囲のフタル酸ジヘキシルエステル(PSDHE)(II)含有量、
ii)500~10000ppmの範囲のローダミン含有量(III)、及び
iii)500~10000ppmの範囲のローダミンヘキシルエステル(IV)含有量、を有し、各含有量が、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(I)の重量に基づいており、
供給物におけるジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(I)の量が、供給物の総重量に基づいて15.0~65.0重量%の範囲である、溶液を得る工程と、
(b)溶解したジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(I)の濃度c対ある温度でのジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(I)の平衡溶解度c*のc:c*の比が、1.1:1.0~9.0:1.0の範囲であるように、工程(a)の溶液をある温度まで冷却して、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(I)の過飽和溶液を得る工程と、
(c)工程(b)で得られた過飽和溶液に、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(I)の種結晶を播種し、続いて、種結晶を含む過飽和溶液を1~8時間撹拌する工程であって、
種結晶の量が、溶液中のジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(I)の重量に基づいて、0.1~15.0重量%の範囲にある、撹拌する工程と、
(d)工程(c)で得られた溶液を、-10~15℃の範囲の温度に冷却して、結晶性ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(I)を含む溶液を得て、続いて、結晶性ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(I)を分離する工程と、
(e)任意選択的に、工程(d)で得られたジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(I)を、工程(a)で使用された少なくとも1つの結晶化溶媒と混合して供給物を得ること、その供給物を加熱して溶液を得ること、続いて、方法工程(b)~(d)を使用すること、を含む、工程(d)で得られたジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(I)を再結晶化させる工程と、を含む。
【0034】
好ましい実施形態では、結晶化溶媒は、C4~C8アルコールからなる群から選択される少なくとも1つである。
【0035】
好ましい実施形態では、結晶化溶媒は1-ヘキサノールである。
【0036】
一般に、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(I)の合成の最後の工程は、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸を1-ヘキサノールでエステル化することである。エステル化工程から得られる生成物は、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(I)と1-ヘキサノールとの混合物を含む。
【0037】
好ましい実施形態では、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(I)及び1-ヘキサノールを含むエステル化から得られる生成物は、結晶化のための供給物として直接使用される。
【0038】
好ましい実施形態では、供給物中の(I)の量は、供給物の総重量に基づいて、15.0~65.0重量%の範囲、より好ましくは25.0~60.0重量%の範囲、更により好ましくは35.0~50.0重量%の範囲、最も好ましくは、40.0~50.0重量%の範囲、及び特に好ましくは45.0~49.0重量%の範囲である。
【0039】
好ましい実施形態では、供給物中の1-ヘキサノールの量は、供給物の総重量に基づいて、35.0~85.0重量%の範囲、より好ましくは40.0~75.0重量%の範囲、最も好ましくは50.0~65.0%の範囲、及び特に好ましくは50.0~60.0重量%の範囲である。
【0040】
供給物には不純物も含有されている。
【0041】
好ましい実施形態では、供給物中のフタル酸ジヘキシルエステル(PSDHE)(II)の量は、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(I)の重量に基づいて、8000~20000ppmの範囲であり、より好ましくは12000~18000ppmの範囲である。
【0042】
好ましい実施形態では、供給物中のローダミン(III)の量は、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(I)の重量に基づいて、500~6000ppmの範囲であり、より好ましくは1000~4000ppmの範囲である。
【0043】
好ましい実施形態では、ローダミンヘキシルエステル(IV)の量は、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(I)の重量に基づいて、1000~10000ppmの範囲であり、より好ましくは5000~10000ppmの範囲である。
【0044】
好ましい実施形態では、追加の量の1-ヘキサノールを、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(I)及び1-ヘキサノールを含むエステル化から得られる生成物と混合して、供給物を得る。必要とされる1-ヘキサノールの量は、工程(a)の供給物中で達成される(I)の濃度に依存する。
【0045】
好ましい実施形態では、工程(a)において、供給物は25~80℃の範囲の温度に加熱される。より好ましい実施形態では、工程(a)において、供給物は、35~80℃の範囲、最も好ましくは35~60℃の範囲、及び特に好ましくは38~60℃の範囲の温度に加熱される。
【0046】
好ましい実施形態では、工程(a)において、供給物は48℃に加熱される。
【0047】
好ましい実施形態では、工程(a)において、供給物は49℃に加熱される。
【0048】
好ましい実施形態では、工程(b)において、溶液は、18~35℃の範囲、より好ましくは18~30℃の範囲、及び最も好ましくは18~28℃の範囲の温度に冷却される。
【0049】
好ましい実施形態では、工程(b)において、溶液は25℃に冷却される。
【0050】
好ましい実施形態では、工程(b)において、溶液は26℃に冷却される。
【0051】
過飽和度
過飽和度(c:c*)は、特許請求される本発明の結晶化プロセスの重要な態様である。
【0052】
好ましい実施形態では、c:c*の比は、1.1:1.0~9.0:1.0の範囲、より好ましくは1.5:1.0~7.0:1.0の範囲、及び最も好ましくは2.0:1.0~6.0:1.0の範囲である。
【0053】
好ましい実施形態では、c:c*の比は3.8:1.0である。
【0054】
好ましい実施形態では、c:c*の比は4.0:1.0である。
【0055】
好ましい実施形態では、c:c*の比は4.1:1.0である。
【0056】
播種
(I)それ自体の結晶化は、液体(I)の準安定性が高いため、非常に遅い。過飽和溶液の播種は、特許請求される本発明の結晶化中の重要な工程である。播種によって、種結晶がない場合に比べて結晶化が早期に始まる。したがって、特許請求される本発明の全体的なプロセスは、播種の工程を含まないプロセスと比較して、より早く結晶(I)を提供する。
【0057】
他のプロセスパラメータに加えて、適当な温度で播種を行い、適当な量の(I)の結晶を使用し、続いて播種温度で撹拌することは、特許請求される本発明の成功にとって重要である。
【0058】
結晶化中に得られる結晶(I)の品質は、種結晶の量だけでなく、播種が行われる温度にも依存する。
【0059】
好ましい実施形態では、工程(c)において、播種は、18~35℃の範囲、より好ましくは18~30℃の範囲、及び最も好ましくは18~28℃の範囲の温度で行われる。
【0060】
好ましい実施形態では、工程(c)において、播種は25℃で行われる。
【0061】
好ましい実施形態では、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(I)の種結晶は、固体結晶塊及び溶媒中の懸濁液から選択される少なくとも1つの形態で、工程(c)において用いられる。
【0062】
好ましい実施形態では、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(I)の種結晶は、工程(a)の結晶化溶媒中の懸濁液の形態で、工程(c)において用いられる。
【0063】
より好ましい実施形態では、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(I)の種結晶は、1-ヘキサノール中の懸濁液の形態で、工程(c)において用いられる。
【0064】
好ましい実施形態では、種結晶の量は、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(I)の重量に基づいて、0.1~15.0重量%の範囲、より好ましくは0.5~10.0重量%の範囲、更により好ましくは1.0~5.0重量%の範囲、及び最も好ましくは1.5~4.5重量%の範囲である。
【0065】
好ましい実施形態では、種結晶の量は、溶液中のジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(I)の重量に基づいて、1.5重量%である。
【0066】
好ましい実施形態では、種結晶の量は、溶液中のジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(I)の重量に基づいて、3.6重量%である。
【0067】
好ましい実施形態では、播種後、種結晶を含む過飽和溶液は、1~8時間、より好ましくは2~6時間、及び最も好ましくは3~4時間、撹拌される。
【0068】
好ましい実施形態では、工程(d)は、工程(c)で得られた溶液を、-10~15℃、より好ましくは-5~10℃、及び最も好ましくは0~5℃に冷却することを含む。
【0069】
好ましい実施形態では、工程(d)において、溶液は0℃に冷却される。
【0070】
好ましい実施形態では、工程(d)は、工程(c)で得られた溶液を、1~15℃/時、より好ましくは3~10℃/時、及び最も好ましくは3~8℃/時の冷却速度で冷却することを含む。
【0071】
好ましい実施形態では、工程(d)において、溶液は5℃/時の冷却速度で冷却される。
【0072】
好ましい実施形態では、工程(d)において、溶液は線形的に冷却される。
【0073】
好ましい実施形態では、工程(d)において、溶液は、区分的線形冷却プロファイルで冷却される。
【0074】
好ましい実施形態では、工程(d)において、溶液は、冷却速度を増加させながら放物線冷却プロファイルで冷却される。
【0075】
好ましい実施形態では、工程(d)において、結晶化装置内で相対的に一定の過飽和を維持するために、動的冷却プロファイルで溶液は冷却される。
【0076】
好ましい実施形態では、工程(d)において、溶液は真空冷却法で冷却される。
【0077】
好ましい実施形態では、工程(d)において、結晶の分離は、工程(d)において溶液が冷却される温度の±5℃以内に溶液の温度を維持しながら、濾過によって行われる。
【0078】
好ましい実施形態では、工程(d)は、分離された結晶性ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(I)を洗浄溶媒で洗浄する工程を更に含む。
【0079】
好ましい実施形態では、分離された結晶性ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(I)の洗浄は、工程(d)で溶液が冷却される温度の±5℃以内の温度を有する洗浄溶媒を用いて行われる。
【0080】
好ましい実施形態では、洗浄溶媒は、工程(a)で使用される結晶化溶媒、供給物、及び工程(a)で使用される溶媒中の飽和溶液(I)から選択される少なくとも1つである。
【0081】
好ましい実施形態では、洗浄溶媒は、工程(a)で使用される結晶化溶媒である。
【0082】
好ましい実施形態では、洗浄溶媒は、-5~5℃の範囲の温度に冷却される。
【0083】
好ましい実施形態では、特許請求される本発明の方法は、以下の工程、すなわち、
i.工程(d)又は工程(e)で得られた結晶性ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(I)を、トルエン及びシクロヘキサンから選択される精製溶媒に溶解する工程と、
ii.工程(i)で得られた溶液を、シリカ及び木炭から選択される吸着剤と接触させる工程と、
iii.工程(ii)で得られた溶液から溶媒を除去して、結晶性ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(I)を得る工程と、を更に含む。
【0084】
好ましい実施形態では、結晶化は、バッフル付き撹拌容器、強制循環結晶化装置、ドラフトチューブ結晶化装置、ドラフトチューブバッフル付き結晶化装置、及びオスロ型結晶化装置から選択される結晶化装置において行われる。
【0085】
特許請求される本発明の方法は、結晶性ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(I)を、供給物中の(I)の合計に基づいて、85.0~99.5%、より好ましくは90.0~99.0%の収率で提供する。
【0086】
特許請求される本発明の方法によって得られる結晶性ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(I)は、結晶性ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(I)の重量に基づいて、1~250ppmの範囲、好ましくは1~200ppmの範囲、より好ましくは1~150ppmの範囲、更により好ましくは1~100ppmの範囲、更により好ましくは1~50ppmの範囲、最も好ましくは1~25ppmの範囲、特に好ましくは1~10ppmの範囲の、フタル酸ジヘキシルエステル(PSDHE)(II)含有量を有する。
【0087】
特許請求される本発明の方法は、
i)1~250ppmの範囲のフタル酸ジヘキシルエステル(PSDHE)(II)含有量、
ii)1~100ppmの範囲のローダミン(III)含有量、及び
iii)1~120ppmの範囲のローダミンヘキシルエステル(IV)含有量、を有する結晶性ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルを提供し、
各含有量は、結晶性ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(I)の重量に基づいている。
【0088】
特許請求される本発明の方法によって得られる結晶性ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(I)は、結晶性ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(I)の重量に基づいて、1~250ppmの範囲、好ましくは1~200ppmの範囲、より好ましくは1~150ppmの範囲、更により好ましくは1~100ppmの範囲、更により好ましくは1~50ppmの範囲、最も好ましくは1~25ppmの範囲、特に好ましくは1~10ppmの範囲の、フタル酸ジヘキシルエステル(PSDHE)(II)含有量を有する。
【0089】
得られる結晶性ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(I)は、結晶性ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(I)の重量に基づいて、1~100ppmの範囲、より好ましくは1~80ppmの範囲、更により好ましくは1~50ppmの範囲、最も好ましくは1~25ppmの範囲、及び特に好ましくは1~10ppmの範囲のローダミン(III)含有量を有する。
【0090】
得られる結晶性ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(I)は、結晶性ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(I)の重量に基づいて、1~120ppmの範囲、より好ましくは1~100ppmの範囲、更により好ましくは1~80ppmの範囲、更により好ましくは1~50ppmの範囲、最も好ましくは1~25ppmの範囲、及び特に好ましくは1~10ppmの範囲のローダミンヘキシルエステル(IV)含有量を有する。
【0091】
特許請求される本発明のプロセスは、狭い粒度分布を有する結晶性材料を提供する。結晶は均一であり、得られた結晶塊は微粉の量が少ない。
【0092】
WO03097578のプロセスで得られた(I)の結晶塊の高解像度写真と、特許請求される本発明のプロセスによって得られたものの高解像度写真とを、それぞれ
図2と
図3に示す。特許請求される本発明のプロセスによって得られた結晶塊は、均一な結晶及び少量の微粉を示した。
【0093】
均一な結晶塊は、処方の容易さ、及び製品を含む化粧品組成物のより優れた性能などの様々な利点を提供するため、望ましい。
【0094】
微粉の量が少ないため、製造中のフィルターの目詰まりの発生率が低く、高い濾過速度で、母液から結晶(I)を分離することができる。
【0095】
有利なことに、播種による結晶化の早期開始、及び微粉の量が少ないことによるより速い濾過は、プロセスのためのバッチ時間の短縮をもたらす。そのようなバッチ時間の短縮は、当業において大きな経済的利点となる。
【0096】
特許請求される本発明の別の態様は、上記の方法によって得られる結晶性ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(I)に関し、
i)1~250ppmの範囲のフタル酸ジヘキシルエステル(PSDHE)(II)含有量、
ii)1~100ppmの範囲のローダミン(III)含有量、及び
iii)1~120ppmの範囲のローダミンヘキシルエステル(IV)含有量、を有し、
各含有量は、結晶性ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(I)の重量に基づいている。
【0097】
特許請求される本発明の別の態様は、結晶性ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(I)及び担体を含む化粧品組成物であって、結晶性ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(I)が、
i)1~250ppmの範囲のフタル酸ジヘキシルエステル(PSDHE)(II)含有量、
ii)1~100ppmの範囲のローダミン(III)含有量、及び
iii)1~120ppmの範囲のローダミンヘキシルエステル(IV)含有量、を有し、
各含有量が、結晶性ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(I)の重量に基づいている、化粧品組成物。
【0098】
好ましい実施形態では、化粧品組成物は、添加剤及びアジュバントを更に含む。
【0099】
好ましい実施形態では、化粧品組成物は、クリーム、ゲル、ローション、アルコール溶液及び水性/アルコール溶液、エマルジョン、ワックス/脂肪組成物、スティック製剤、粉末、又は軟膏の形態であることができる。
【0100】
好ましい実施形態では、化粧品組成物は、マイルドな界面活性剤、過脂肪剤、真珠光沢ワックス、粘稠度調整剤、増粘剤、ポリマー、シリコーン化合物、脂肪、ワックス、安定剤、生体活性配合成分、脱臭活性配合成分、フケ防止剤、皮膜形成剤、膨潤剤、酸化防止剤、懸濁薬、防腐剤、防虫剤、セルフタンニング剤、可溶化剤、香油、着色剤、細菌抑制剤などから選択されるアジュバント及び添加剤を更に含む。
【0101】
好ましい実施形態では、特許請求される本発明による化粧品組成物は、アジュバントとして、消泡剤、構造化剤、可溶化剤、乳白剤、錯化剤、噴射剤、カプラー、及び酸化染料前駆体として顕色剤成分、還元剤及び酸化剤を更に含み得る。
【0102】
好ましい実施形態では、化粧品組成物は、多種多様な化粧品製剤、特に以下の製剤、すなわち、
-スキンケア製剤、例えば、錠剤形態又は液体石鹸、合成洗剤又は洗浄ペーストの形態の皮膚洗浄及びクレンジング製剤、
-入浴製剤、例えば、液体(フォームバス、ミルク、シャワー製剤)又は固形の入浴製剤、例えば、バスキューブ及びバスソルト;
-スキンケア製剤、例えば、スキンエマルジョン、マルチエマルジョン、スキンオイル;
-コスメティックパーソナルケア製剤、例えば、デイクリーム又はパウダークリームの形態のフェイシャルメイクアップ、フェイスパウダー(ルース又はプレスされた)、ルージュ又はクリームメイクアップ、アイケア製剤、例えば、アイシャドウ製剤、マスカラ、アイライナー、アイクリーム又はアイフィックスクリーム;リップケア製剤、例えば、リップスティック、リップグロス、リップ輪郭ペンシル、ネイルケア製剤、例えば、マニキュア液、マニキュア除去剤、ネイルハードナー、又はキューティクル除去剤;
-フットケア製剤、例えば、フットバス、フットパウダー、フットクリーム、又はフットバルサム、特殊な脱臭剤、及び制汗剤、又はカルス除去製剤;
-光防護製剤、例えば、サンミルク、ローション、クリーム又はオイル、日焼け止め又はトロピカル、日焼け前製剤又は日焼け後製剤;
-皮膚日焼け用製剤、例えば、セルフタンニングクリーム;
-脱色製剤、例えば、皮膚を漂白するための製剤又は皮膚ライトニング製剤;
-防虫剤、例えば防虫油、ローション、スプレー又はスティック;
-デオドラント、例えば、デオドラントスプレー、ポンプ式スプレー、デオドラントゲル、スティック、又はロールオン;
-制汗剤、例えば、制汗剤スティック、クリーム又はロールオン;
-傷のある肌をクレンジング及びケアするための製剤、例えば、合成洗剤(固体又は液体)、ピーリング又はスクラブ製剤、又はピーリングマスク;
-化学形態の脱毛製剤(脱毛法)、例えば、脱毛粉末、液体脱毛製剤、クリーム又はペースト形態の脱毛製剤、ゲル形態又はエアゾールフォームの脱毛製剤;
-シェービング製剤、例えば、シェービングソープ、発泡性シェービングクリーム、非発泡性シェービングクリーム、フォーム及びゲル、ドライシェービング用のプレシェーブ製剤、アフターシェーブ又はアフターシェーブローション;
-芳香製剤、例えば、フレグランス(オーデコロン、オードトワレ、オードパルファム、パルファムドトワレ、香水)、香水油又は香水クリーム;
-化粧用ヘアトリートメント製剤、例えばシャンプー及びコンディショナーの形態の洗髪製剤、ヘアケア製剤、例えば、前処理製剤、ヘアトニック、スタイリングクリーム、スタイリングゲル、ポマード、ヘアリンス、トリートメントパック、集中ヘアトリートメント、整髪製剤、例えば、パーマネントウェーブのためのヘアウェーブ製剤(ホットウェーブ、マイルドウェーブ、コールドウェーブ)、縮毛矯正製剤、リキッド整髪製剤、ヘアフォーム、ヘアスプレー、ブリーチング製剤、例えば、過酸化水素水溶液、ライトニングシャンプー、ブリーチングクリーム、ブリーチングパウダー、ブリーチングペースト又はオイル、一時的、半永久的又は永久的なヘアカラー剤、自己酸化染料を含有する製剤、又は天然ヘアカラー剤、例えば、ヘナ若しくはカモミールの中に含有される。
【0103】
特許請求される本発明の更に別の態様は、化粧品組成物におけるUVフィルターとしての、特許請求される方法に従って得られた結晶性2-(4’-ジエチルアミノ-2’-ヒドロキシベンゾイル)安息香酸ヘキシルエステル(I)の使用に関する。
【0104】
特許請求される本発明は、以下の利点のうちの1つ以上を提供する。
1)特許請求される本発明の方法は、高純度で不純物(II)、(III)、及び(IV)の量が少ない結晶(I)を提供する。特許請求される本発明の方法は、150ppm(II)未満の結晶(I)を提供する。規制要件を考慮すると、(II)の量が少ないのは重要である。
2)特許請求される本発明の方法は速い。
3)特許請求される本発明の方法は、(I)の高収率を提供するので効率的であり、収率は、供給物中の(I)の合計に対して85~99%の範囲である。
4)特許請求される本発明のプロセスによって得られる結晶(I)は微粉の量が少ない。
【0105】
以下に、本開示を以下に列挙される特定の実施形態に限定することを意図することなく、本開示を更に例示するための実施形態の列挙が提供される。
【0106】
1.結晶性ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(I)を得るための方法であって、工程(a)~(d)、
(a)ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(I)及び少なくとも1つの結晶化溶媒を含む供給物を提供し、その供給物を加熱して溶液を得る工程であって、
ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(I)は、
i)5000~30000ppmの範囲のフタル酸ジヘキシルエステル(PSDHE)(II)含有量、
ii)500~10000ppmの範囲のローダミン(III)含有量、及び
iii)500~10000ppmの範囲のローダミンヘキシルエステル(IV)含有量、を有し、各含有量が、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(I)の重量に基づいており、
供給物におけるジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(I)の量が、供給物の総重量に基づいて15.0~65.0重量%の範囲である、溶液を得る工程と、
(b)溶解したジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(I)の濃度c対ある温度でのジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(I)の平衡溶解度c*のc:c*の比が、1.1:1.0~9.0:1.0の範囲であるように、工程(a)の溶液をある温度まで冷却して、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(I)の過飽和溶液を得る工程と、
(c)工程(b)で得られた過飽和溶液に、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(I)の種結晶を播種し、続いて、種結晶を含む過飽和溶液を1~8時間撹拌する工程であって、
種結晶の量が、溶液中のジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(I)の重量に基づいて、0.1~15.0重量%の範囲である、撹拌する工程と、
(d)工程(c)で得られた溶液を、-10~15℃の範囲の温度に冷却して、結晶性ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(I)を含む溶液を得て、続いて、結晶性ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(I)を分離する工程と、
(e)任意選択的に、工程(d)で得られたジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(I)を、工程(a)で使用された少なくとも1つの結晶化溶媒と混合して供給物を得ること、その供給物を加熱して溶液を得ること、続いて、方法工程(b)~(d)を用いること、を含む、工程(d)で得られたジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(I)を再結晶化させる工程と、を含む、方法。
【0107】
2.結晶性ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(I)を得るための方法であって、工程(a)~(d)、
(a)ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(I)及び少なくとも1つの結晶化溶媒を含む供給物を提供し、その供給物を加熱して溶液を得る工程であって、
ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(I)が、
i)5000~30000ppmの範囲のフタル酸ジヘキシルエステル(PSDHE)(II)含有量、
ii)500~10000ppmの範囲のローダミン(III)含有量、及び
iii)500~10000ppmの範囲のローダミンヘキシルエステル(IV)含有量、を有し、各含有量が、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(I)の重量に基づいており、
供給物におけるジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(I)の量が、供給物の総重量に基づいて15.0~65.0重量%の範囲である、溶液を得る工程と、
(b)工程(a)で得られた溶液を冷却して、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(I)の過飽和溶液を得る工程と、
(c)工程(b)で得られた過飽和溶液に、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(I)の種結晶を播種し、続いて、種結晶を含む過飽和溶液を1~8時間撹拌する工程であって、
種結晶の量が、溶液中のジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(I)の重量に基づいて、0.1~15.0重量%の範囲である、撹拌する工程と、
(d)工程(c)で得られた溶液を、-10~15℃の範囲の温度に冷却して、結晶性ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(I)を含む溶液を得て、続いて、結晶性ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(I)を分離する工程と、
(e)任意選択的に、工程(d)で得られたジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(I)を、工程(a)で使用された少なくとも1つの結晶化溶媒と混合して供給物を得ること、その供給物を加熱して溶液を得ること、続いて、方法工程(b)~(d)を用いること、を含む、工程(d)で得られたジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(I)を再結晶化させる工程と、を含む、方法。
【0108】
3.結晶化溶媒が、C4~C8アルコールからなる群から選択される少なくとも1つである、実施形態1又は2に記載の方法。
【0109】
4.結晶化溶媒が、1-ヘキサノールである、実施形態1~3のいずれか一つに記載の方法。
【0110】
5.工程(a)において、供給物が、25~80℃の範囲の温度に加熱される、実施形態1~4のいずれか一つに記載の方法。
【0111】
6.工程(a)において、供給物が、35~80℃の範囲の温度に加熱される、実施形態1~5のいずれか一つに記載の方法。
【0112】
7.工程(b)において、溶液が、20~35℃の範囲の温度に冷却される、実施形態1~6のいずれか一つに記載の方法。
【0113】
8.工程(c)において、播種が、20~35℃の範囲の温度で行われる、請求項1~7のいずれか一つに記載の方法。
【0114】
9.ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(I)の種結晶が、工程(c)において、固体結晶塊及び溶媒中の懸濁液から選択される少なくとも1つの形態で使用される、実施形態1~8のいずれか一つに記載の方法。
【0115】
10.工程(d)において、溶液が、1~15℃/時の冷却速度で冷却される、実施形態1~9のいずれか一つに記載の方法。
【0116】
11.工程(d)において、溶液が、線形的に冷却される、実施形態1~10のいずれか一つに記載の方法。
【0117】
12.工程(d)において、溶液が、区分的線形冷却プロファイルで冷却される、実施形態1~10のいずれか一つに記載の方法。
【0118】
13.工程(d)において、溶液が、冷却速度を増加させながら放物線冷却プロファイルで冷却される、実施形態1~10のいずれか一つに記載の方法。
【0119】
14.工程(d)において、溶液が、結晶化装置において、相対的に一定の過飽和を維持するために動的冷却プロファイルで冷却される、実施形態1~10のいずれか一つに記載の方法。
【0120】
15.工程(d)において、溶液が、真空冷却法で冷却される、実施形態1~10のいずれか一つに記載の方法。
【0121】
16.工程(d)において、結晶の分離が、工程(d)において溶液が冷却される温度の±5℃以内に溶液の温度を維持しながら、濾過によって行われる、実施形態1~15のいずれか一つに記載の方法。
【0122】
17.工程(d)が、分離された結晶性ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(I)を洗浄溶媒を用いて洗浄する工程を更に含む、実施形態1~16のいずれか一つに記載の方法。
【0123】
18.分離された結晶性ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(I)の洗浄が、工程(d)において溶液が冷却される温度の±5℃以内の温度を有する洗浄溶媒を用いて行われる、実施形態17に記載の方法。
【0124】
19.洗浄溶媒が、工程(a)で使用される結晶化溶媒、供給物、及び工程(a)で使用される結晶化溶媒中の(I)の飽和溶液から選択される少なくとも1つである、実施形態17又は18に記載の方法。
【0125】
20.以下の工程、
i.工程(d)又は工程(e)で得られた結晶性ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(I)を、トルエン及びシクロヘキサンから選択される精製溶媒中に溶解させる工程と、
ii.工程(i)で得られた溶液を、シリカ及び木炭から選択される吸着剤と接触させる工程と、
iii.工程(ii)で得られた溶液から溶媒を除去して、結晶性ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(I)を得る工程と、を更に含む、実施形態1~19のいずれか一つに記載の方法。
【0126】
21.結晶化が、バッフル付き撹拌容器、強制循環結晶化装置、ドラフトチューブ結晶化装置、ドラフトチューブバッフル付き結晶化装置、及びオスロ型結晶化装置から選択される結晶化装置において行われる、実施形態1~20のいずれか一つに記載の方法。
【0127】
22.結晶性ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(I)が、
i)1~250ppmの範囲のフタル酸ジヘキシルエステル(PSDHE)(III)含有量、
ii)1~100ppmの範囲のローダミン(III)含有量、及び
iii)1~120ppmの範囲のローダミンヘキシルエステル(IV)含有量、を有し、
各含有量が、結晶性ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(I)の重量に基づいている、実施形態1~21のいずれか一つに記載の方法。
【0128】
23.請求項1~22のいずれか一項に記載の方法によって得られる結晶性ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(I)であって、結晶性ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(I)の重量に基づいて、1~250ppmの範囲のフタル酸ジヘキシルエステル(PSDHE)(II)含有量を有する、結晶性ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(I)。
【0129】
24.実施形態1~22のいずれか一つに記載の方法によって得られる結晶性ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(I)であって、
i)1~250ppmの範囲のフタル酸ジヘキシルエステル(PSDHE)(II)含有量、
ii)1~100ppmの範囲のローダミン(III)含有量、及び
iii)1~120ppmの範囲のローダミンヘキシルエステル(IV)含有量、を有し、
各含有量が、結晶性ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(I)の重量に基づいている、結晶性ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(I)。
【0130】
25.結晶性ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(I)と担体とを含む化粧品組成物であって、結晶性ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(I)が、
i)1~250ppmの範囲のフタル酸ジヘキシルエステル(PSDHE)(II)含有量、
ii)1~100ppmの範囲のローダミン(III)含有量、及び
iii)1~120ppmの範囲のローダミンヘキシルエステル(IV)含有量、を有し、
各含有量が、結晶性ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(I)の重量に基づいている、化粧品組成物。
【0131】
特許請求される本発明がその特定の実施形態に関して記載されてきたが、特定の改変及び同等物は、当業者には明らかであり、特許請求される本発明の範囲内に含まれることが意図されている。
【実施例】
【0132】
現在特許請求されている発明は、以下の非制限的な実施例によって詳細に説明されている。より詳細には、以下に指定される試験方法は、本出願の一般的な開示の一部であり、特定の実施例に制限されない。
【0133】
概略
ヘキサノール中の2-(4’-ジエチルアミノ-2’-ヒドロキシベンゾイル)安息香酸ヘキシルエステル(I)は、US2005/0165099の実施例2に従って調製した。
【0134】
当該プロセスから得られた生成物を、実験で説明したように結晶化させた。
【0135】
方法
2-(4’-ジエチルアミノ-2’-ヒドロキシベンゾイル)安息香酸ヘキシルエステル(I)、フタル酸エステル(II)、並びにローダミン型化合物(III)及び(IV)の定量のためのHPLC法は、標準的な最先端の方法によって実行した。
【0136】
フタル酸エステル及び溶媒残留物の定量のためのGC法は、標準的な最先端の方法によって実行した。
【0137】
キャリブレーションのための分析標準は、標準的な最先端の方法によって実行した。
【0138】
1-ヘキサノール中の2-(4’-ジエチルアミノ-2’-ヒドロキシベンゾイル)安息香酸ヘキシルエステル(I)の溶解度曲線
異なる温度での1-ヘキサノール中の(I)の平衡溶解度は、二重ジャケット付き750mL結晶化装置を使用して測定した。結晶化装置中の(I)と1-ヘキサノールとの混合物を、目標温度まで加熱し、その温度で平衡状態が確立された。フィルターフリットを使用して、固体を含まない母液から試料を抽出した。試料を、(I)含有量について分析した。
【0139】
その結果は、表1に示してあり、
図1にプロットされている。
【表1】
【0140】
WO03097578による比較例
比較例C1:WO03097578による結晶化
2-(4’-ジエチルアミノ-2’-ヒドロキシベンゾイル)安息香酸ヘキシルエステル(上記参照)に基づいて計算された、14847ppmのジ-n-ヘキシルフタレート、2786ppmのローダミン、及び6397ppmのローダミンヘキシルエステルに相当する、0.74重量%のジ-n-ヘキシルフタレート、0.14重量%のローダミン、及び0.32重量%のローダミンヘキシルエステルを含有する、ヘキサノール中の49.0重量%の2-(4’-ジエチルアミノ-2’-ヒドロキシベンゾイル)安息香酸ヘキシルエステルを含む供給物664.3gを、1.6Lの反応器に入れた。
【0141】
その供給物を40℃で加熱して溶液を得た。溶液を1.3時間以内に20℃に冷却して、5.4のac:c*比を有する過飽和溶液を得た。
【0142】
20℃で4時間後、結晶化が始まった。その懸濁液を20℃で一晩(12時間)撹拌し、更に4時間以内に0℃に冷却し、0℃で攪拌した。生成物を、濾別し、183gの予冷した(0℃)1-ヘキサノールの一部で洗浄し、続いて200gの予冷した(0℃)1-ヘキサノールのもう一部で洗浄して、80.6重量%の2-(4’-ジエチルアミノ-2’-ヒドロキシベンゾイル)安息香酸ヘキシルエステルの含有量を有する371.5gのヘキサノール湿潤2-(4’-ジエチルアミノ-2’-ヒドロキシベンゾイル)安息香酸ヘキシルエステルを準備した。
【0143】
(I)に基づいて計算された副生成物含有量:110ppmのローダミン、131ppmのローダミンヘキシルエステル、及び271ppmのジ-n-ヘキシルフタレート
【0144】
比較例C2:WO03097578による結晶化
2-(4’-ジエチルアミノ-2’-ヒドロキシベンゾイル)安息香酸ヘキシルエステルに基づいて計算された、15546ppmのジ-n-ヘキシルフタレート、1298ppmのローダミン、及び7292ppmのローダミンヘキシルエステルに相当する、0.71重量%のジ-n-ヘキシルフタレート、0.06重量%のローダミン、及び0.33重量%のローダミンヘキシルエステルを含有する、ヘキサノール中の45.0重量%の2-(4’-ジエチルアミノ-2’-ヒドロキシベンゾイル)安息香酸ヘキシルエステルを含む供給物605.6gを、1.6Lの反応器に入れ、その供給物を40℃で加熱して溶液を得た。
【0145】
その溶液を1時間以内に20℃に冷却して、c:c*5.0のc:c*比を有する過飽和溶液を得た。
【0146】
20℃で3.5時間後に結晶化が始まった。その混合物を20℃で更に1時間撹拌し、続いて4時間以内に0℃に冷却し、0℃で撹拌した。生成物を、濾別し、169gの予冷した(0℃)1-ヘキサノールの第1の部分で洗浄し、続いて183gの予冷した(0℃)1-ヘキサノールの第2の部分で洗浄して、79.1重量%の2-(4’-ジエチルアミノ-2’-ヒドロキシベンゾイル)安息香酸ヘキシルエステルの含有量を有する310.9gのヘキサノール湿潤2-(4’-ジエチルアミノ-2’-ヒドロキシベンゾイル)安息香酸ヘキシルエステルを準備した。
【0147】
(I)に基づいて計算された副生成物含有量:73ppmのローダミン、187ppmのローダミンヘキシルエステル、及び344ppmのジ-n-ヘキシルフタレート
【0148】
比較例1及び2のプロセスパラメータ及び結果を、表2に要約する。
【0149】
本発明による結晶化
実施例P1:比較例1と同じ出発材料を使用する本発明による結晶化
2-(4’-ジエチルアミノ-2’-ヒドロキシベンゾイル)安息香酸ヘキシルエステル(上記参照)に基づいて計算された、14847ppmのジ-n-ヘキシルフタレート、2786ppmのローダミン、及び6397ppmのローダミンヘキシルエステルに相当する、0.74重量%のジ-n-ヘキシルフタレート、0.14重量%のローダミン、及び0.32重量%のローダミンヘキシルエステルを含有する、ヘキサノール中の49.0重量%の2-(4’-ジエチルアミノ-2’-ヒドロキシベンゾイル)安息香酸ヘキシルエステルを含む供給物589.0gを、1.6Lの反応器に入れ、その供給物を49℃で加熱して溶液を得た。
【0150】
その溶液を1.5時間以内に25℃に冷却して、4.1のc:c*比を有する過飽和溶液を得た。
【0151】
その過飽和溶液に12.3g(3.6重量%)の2-(4’-ジエチルアミノ-2’-ヒドロキシベンゾイル)安息香酸ヘキシルエステル(84.3重量%)を播種し、続いて25℃で3.4時間撹拌した。その懸濁液を、更に、5時間以内に0℃に冷却し、0℃で撹拌した。生成物を、濾別し、162gの予冷した1-ヘキサノール(0℃)の第1の部分で洗浄し、続いて177gの予冷した1-ヘキサノール(0℃)の第2の部分で洗浄して、80.2重量%の2-(4’-ジエチルアミノ-2’-ヒドロキシベンゾイル)安息香酸ヘキシルエステル(I)の含有量を有する338gのヘキサノール湿潤2-(4’-ジエチルアミノ-2’-ヒドロキシベンゾイル)安息香酸ヘキシルエステル(I)を準備した。
【0152】
(I)に基づいて計算された副生成物含有量:60ppmのローダミン、67ppmのローダミンヘキシルエステル、及び68ppmのジ-n-ヘキシルフタレート。
【0153】
実施例P2:比較例2と同じ出発材料を使用する本発明による結晶化
2-(4’-ジエチルアミノ-2’-ヒドロキシベンゾイル)安息香酸ヘキシルエステル(上記参照)に基づいて計算された、15546ppmのジ-n-ヘキシルフタレート、1298ppmのローダミン、及び7292ppmのローダミンヘキシルエステルに相当する、0.71重量%のジ-n-ヘキシルフタレート、0.06重量%のローダミン、及び0.33重量%のローダミンヘキシルエステルを含有する、ヘキサノール中の45.0重量%の2-(4’-ジエチルアミノ-2’-ヒドロキシベンゾイル)安息香酸ヘキシルエステルを含む供給物601.8gを、1.6Lの反応器に入れ、その供給物を60℃で加熱して溶液を得た。
【0154】
その溶液を1時間以内に25℃に冷却して、3.8のc:c*比を有する過飽和溶液を得た。
【0155】
その過飽和溶液に11g(3.5重量%)のヘキサノール湿潤2-(4’-ジエチルアミノ-2’-ヒドロキシベンゾイル)安息香酸ヘキシルエステル(86.7重量%)を播種し、続いて25℃で3.5時間撹拌した。その溶液を、5時間以内に0℃に冷却し、0℃で撹拌した。生成物を、濾別し、168gの予冷した(0℃)1-ヘキサノールの第1の部分で洗浄し、続いて182gの予冷した(0℃)1-ヘキサノールの第2の部分で洗浄して、82.1重量%の2-(4’-ジエチルアミノ-2’-ヒドロキシベンゾイル)安息香酸ヘキシルエステルの含有量を有する306.4gのヘキサノール湿潤2-(4’-ジエチルアミノ-2’-ヒドロキシベンゾイル)安息香酸ヘキシルエステルを準備した。
【0156】
(I)に基づいて計算された副生成物含有量:30ppmのローダミン、105ppmのローダミンヘキシルエステル、及び82ppmのジ-n-ヘキシルフタレート
特許請求される本発明のプロセスによって得られる結晶(I)中の不純物(II)、(III)、及び(IV)の量は、比較例によって得られるそれと比較して低いことが明らかである。
【0157】
実施例P3~P11
実施例P3~P11の結晶化に使用された方法は、特許請求される本発明による実施例P1のための結晶化に使用された方法と同様であった。
【0158】
実施例P1~P11のプロセスパラメータ及び結果を、表3に要約する。
【0159】
結晶化
実施例R1:C1から得られた結晶(I)の再結晶化
2-(4’-ジエチルアミノ-2’-ヒドロキシベンゾイル)安息香酸ヘキシルエステル(80.6重量%)と、120gのヘキサノールとを含む、C1から得られた180.0gのヘキサノール湿潤フィルターケーク(ヘキサノール中の48.4重量%の2-(4’-ジエチルアミノ-2’-ヒドロキシベンゾイル)安息香酸ヘキシルエステル)を、1.6Lの反応器に入れ、その供給物を40℃で加熱して溶液を得た。
【0160】
その溶液を1.5時間以内に25℃に冷却して、4.1のc:c*比を有する過飽和溶液を得た。
【0161】
その過飽和溶液に6.3g(3.7重量%)の2-(4’-ジエチルアミノ-2’-ヒドロキシベンゾイル)安息香酸ヘキシルエステル(84.3重量%)を播種し、続いて25℃で3.6時間撹拌した。その懸濁液を、更に、5時間以内に0℃に冷却し、0℃で撹拌した。その懸濁液を、濾過し、81gの予冷した(0℃)1-ヘキサノールの第1の部分及び89gの予冷した(0℃)1-ヘキサノールで洗浄して、79.0重量%の2-(4’-ジエチルアミノ-2’-ヒドロキシベンゾイル)安息香酸ヘキシルエステルの含有量を有する166.7gのヘキサノール湿潤2-(4’-ジエチルアミノ-2’-ヒドロキシベンゾイル)安息香酸ヘキシルエステルを準備した。
【0162】
(I)に基づいて計算された副生成物含有量:14ppmのローダミン、5ppmのローダミンヘキシルエステル、及び12ppmのジ-n-ヘキシルフタレート
実施例R2:再結晶化
2-(4’-ジエチルアミノ-2’-ヒドロキシベンゾイル)安息香酸ヘキシルエステル(上記参照)に基づいて計算された、44ppmのローダミン、121ppmのローダミンヘキシルエステル、及び165ppmのジ-n-ヘキシルフタレートを含有する2-(4’-ジエチルアミノ-2’-ヒドロキシベンゾイル)安息香酸ヘキシルエステル(88.9重量%)と、172gのヘキサノールとを含む201.5gのヘキサノール湿潤供給物(ヘキサノール中の48.0重量%の2-(4’-ジエチルアミノ-2’-ヒドロキシベンゾイル)安息香酸ヘキシルエステル)を、1.6Lの反応器に入れ、その供給物を49℃に加熱して溶液を得た。
【0163】
その溶液を1.5時間以内に25℃に冷却して、4.0のc:c*比を有する過飽和溶液を得た。
【0164】
その過飽和溶液に6.8g(3.2重量%)の2-(4’-ジエチルアミノ-2’-ヒドロキシベンゾイル)安息香酸ヘキシルエステル(84.3重量%)を播種し、続いて25℃で3.6時間撹拌した。その懸濁液を、更に、5時間以内に0℃に冷却し、0℃で撹拌した。その懸濁液を濾過し、その生成物を、105gの予冷した(0℃)1-ヘキサノールの第1の部分及び115gの予冷した(0℃)1-ヘキサノールの第2の部分で洗浄して、82.5重量%の2-(4’-ジエチルアミノ-2’-ヒドロキシベンゾイル)安息香酸ヘキシルエステルの含有量を有する、187gのヘキサノール湿潤2-(4’-ジエチルアミノ-2’-ヒドロキシベンゾイル)安息香酸ヘキシルエステルを準備した。
【0165】
100%の(I)に基づいて計算された副生成物含有量:4ppmのローダミン、4ppmのローダミンヘキシルエステル、及び4.5ppmのジ-n-ヘキシルフタレート。
【0166】
実施例R3及びR4
実施例R3及びR4の結晶化に使用された方法は、特許請求される本発明による実施例R2のための結晶化に使用された方法と同様であった。
【0167】
実施例R1~R4のプロセスパラメータ及び結果を、表4に要約する。
【表2】
【表3】
【表4】
【国際調査報告】