(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-25
(54)【発明の名称】眼感染症の処置
(51)【国際特許分類】
A61F 9/007 20060101AFI20240118BHJP
【FI】
A61F9/007 180
A61F9/007 170
A61F9/007 200C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023536916
(86)(22)【出願日】2021-12-17
(85)【翻訳文提出日】2023-08-14
(86)【国際出願番号】 US2021064165
(87)【国際公開番号】W WO2022133293
(87)【国際公開日】2022-06-23
(32)【優先日】2021-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-12-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510017365
【氏名又は名称】アヴェドロ・インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】AVEDRO,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】弁理士法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】アドラー,デスモンド・シー
(72)【発明者】
【氏名】ヒル,ジェイソン
(72)【発明者】
【氏名】アッシャー,デイビッド
(72)【発明者】
【氏名】スミルノフ,ミハイル
(72)【発明者】
【氏名】ヴィスワナータン,アハリヤー
(57)【要約】
例示的な抗菌処置システムは、角膜に適用された感光剤を活性化する照明を送達するように構成された照明システムを含む。システムはまた、照明システムを制御するように構成されたコントローラを含む。コントローラは、角膜上の潰瘍性領域を検出し、照明システムに照明を送達させて、潰瘍性領域を処置するためのパラメータのセットに従って、潰瘍性領域に適用された感光剤を活性化させる。照明は潰瘍性領域に制限され、潰瘍性領域における感光剤の活性化は抗菌効果を生じる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
抗菌処置のための方法であって、
角膜上の潰瘍性領域を検出することと、
前記角膜に感光剤を適用することと、
照明システムを用いて、前記潰瘍性領域を処置するためのパラメータのセットに従って前記潰瘍性領域に適用された前記感光剤を活性化する照明を送達することであって、前記照明が前記潰瘍性領域に制限され、前記潰瘍性領域における前記感光剤の活性化が抗菌効果を生成する、ことと、
を含む、抗菌処置のための方法。
【請求項2】
前記潰瘍性領域の外側の前記角膜上の少なくとも1つの追加の処置ゾーンを特定することと、
前記照明システムを用いて、前記少なくとも1つの追加の処置ゾーンを処置するためのパラメータのセットに従って、前記少なくとも1つの追加の処置ゾーンに適用された前記感光剤を活性化する追加の照明を送達することであって、前記少なくとも1つの追加の処置ゾーンを処置するための前記パラメータのセットが、前記潰瘍性領域を処置するための前記パラメータのセットとは異なり、前記追加の照明が、前記少なくとも1つの追加の処置ゾーンに制限される、ことと、
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記少なくとも1つの追加の処置ゾーンが、前記潰瘍性領域の境界によって画定される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記少なくとも1つの追加の処置ゾーンが、前記潰瘍性領域の境界を越えた周辺領域によって画定される、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記少なくとも1つの追加の処置ゾーンにおける前記感光剤の活性化が、架橋活性を生成する、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記抗菌効果が、(i)酸素枯渇、(ii)一重項酸素の生成、又は(iii)過酸化水素の生成のうちの少なくとも1つと関連している、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
(i)前記酸素枯渇、(ii)前記一重項酸素の生成、又は(iii)前記過酸化水素の生成の少なくとも1つを増加させるために、前記潰瘍性領域を処置するためのパラメータのセットを決定することを更に含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記潰瘍性領域を処置するための前記パラメータのセットが、前記感光剤の濃度、前記角膜に適用される周囲酸素のレベル、前記照明の放射照度、又は前記感光剤を前記角膜に適用するか若しくは前記照明を送達する時間のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
酸素源から、周囲酸素の濃度を前記角膜に適用することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
角膜上の潰瘍性領域を検出することが、
ユーザインターフェースのディスプレイ上に前記角膜の画像を提供することと、
前記ユーザインターフェースを介して、前記画像に示される前記潰瘍性領域内の点を特定する入力を受信することと、
前記潰瘍性領域の境界を特定するために、前記画像を処理することと、
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
角膜上の潰瘍性領域を検出することが、
ユーザインターフェースのディスプレイ上に前記角膜の画像を提供することと、
前記ユーザインターフェースを介して、前記潰瘍性領域の境界を特定する入力を受信することと、
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記照明システムに対する前記潰瘍性領域の位置の変化を追跡することを更に含み、
前記照明が、前記位置の変化に基づいて前記潰瘍性領域に送達される、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記感光剤がリボフラビンであり、前記照明が紫外線(UV)光である、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
抗菌処置システムであって、
角膜に適用された感光剤を活性化する照明を送達するように構成された照明システムと、
前記照明システムを制御するように構成されたコントローラと、を含み、
前記コントローラは、1つ以上のプロセッサと、1つ以上のコンピュータ可読媒体とを含み、前記1つ以上のプロセッサは、前記コンピュータ可読媒体からの命令を実行して、前記コントローラに、
角膜上の潰瘍性領域を検出させ、
前記照明システムに、前記照明を送達させて、前記潰瘍性領域を処置するためのパラメータのセットに従って前記潰瘍性領域に適用された前記感光剤を活性化させ、前記照明は前記潰瘍性領域に制限され、前記潰瘍性領域における前記感光剤の活性化は抗菌効果を発生させる、
ように構成される、抗菌処置システム。
【請求項15】
前記1つ以上のプロセッサが、前記コンピュータ可読媒体からの命令を実行して、更に、前記コントローラに、
前記潰瘍性領域の外側の角膜上の少なくとも1つの追加の処置ゾーンを特定させ、
前記照明システムに、追加の照明を送達させて、前記少なくとも1つの追加の処置ゾーンを処置するためのパラメータのセットに従って、前記少なくとも1つの追加の処置ゾーンに適用された前記感光剤を活性化させ、前記少なくとも1つの追加の処置ゾーンを処置するための前記パラメータのセットは、前記潰瘍性領域を処置するための前記パラメータのセットとは異なり、前記追加の照明は、前記少なくとも1つの追加の処置ゾーンに制限される、
ように構成される、請求項14に記載の抗菌処置システム。
【請求項16】
前記少なくとも1つの追加の処置ゾーンが、前記潰瘍性領域の境界によって画定される、請求項15に記載の抗菌処置システム。
【請求項17】
前記少なくとも1つの追加の処置ゾーンが、前記潰瘍性領域の境界を越えた周辺領域によって画定される、請求項15に記載の抗菌処置システム。
【請求項18】
前記少なくとも1つの追加の処置ゾーンにおける前記感光剤の活性化が架橋活性を生成する、請求項15に記載の抗菌処置システム。
【請求項19】
前記抗菌効果が、(i)酸素枯渇、(ii)一重項酸素の生成、又は(iii)過酸化水素の生成のうちの少なくとも1つに関連している、請求項14に記載の抗菌処置システム。
【請求項20】
前記1つ以上のプロセッサが、前記コンピュータ可読媒体からの命令を実行して、前記コントローラに更に、前記潰瘍性領域を処置するための前記パラメータのセットを決定させて、(i)前記酸素枯渇、(ii)前記一重項酸素の生成、又は(iii)前記過酸化水素の生成の少なくとも1つを増加させるように構成される、請求項19に記載の抗菌処置システム。
【請求項21】
前記潰瘍性領域を処置するための前記パラメータのセットが、前記感光剤の濃度、前記角膜に適用される周囲酸素のレベル、前記照明の放射照度、又は前記感光剤を前記角膜に適用するか若しくは前記照明を送達する時間のうちの少なくとも1つを含む、請求項14に記載の抗菌処置システム。
【請求項22】
前記角膜に周囲酸素の濃度を提供するように構成された酸素源を更に含む、請求項14に記載の抗菌処置システム。
【請求項23】
前記コントローラが、ディスプレイとのユーザインターフェースを含み、前記1つ以上のプロセッサが、前記コンピュータ可読媒体からの命令を実行して、更に、前記コントローラに、
前記ユーザインターフェースの前記ディスプレイ上に前記角膜の画像を提供させ、
前記ユーザインターフェースを介して、前記画像に示される前記潰瘍性領域内の点を特定する入力を受信させ、
前記潰瘍性領域の境界を特定するために、前記画像を処理する、
ように構成される、請求項14に記載の抗菌処置システム。
【請求項24】
前記コントローラが、ディスプレイとのユーザインターフェースを含み、前記1つ以上のプロセッサが、前記コンピュータ可読媒体からの命令を実行して、更に、前記コントローラに、
前記ユーザインターフェースの前記ディスプレイ上に前記角膜の画像を提供させ、
前記ユーザインターフェースを介して、前記潰瘍性領域の境界を特定する入力を受信させる、
ように構成される、請求項14に記載の抗菌処置システム。
【請求項25】
前記1つ以上のプロセッサが、前記コンピュータ可読媒体からの命令を実行して、更に、前記コントローラに、
照明システムに対する潰瘍性領域の位置の変化を更に追跡させるように構成され、
前記照明が、前記位置の変化に基づいて前記潰瘍性領域に送達される、
請求項14に記載の抗菌処置システム。
【請求項26】
前記感光剤がリボフラビンであり、前記照明が紫外線(UV)光である、請求項14に記載の抗菌処置システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年12月17日に出願された米国仮特許出願第63/126,648号及び2021年8月31日に出願された米国仮特許出願第63/239,155号の優先権及び利益を主張し、これらの出願の内容は参照により全体として本明細書に組み入れられる。
【0002】
本開示は、眼を処置するための製剤、システム、及び方法に関し、より詳細には、例えば潰瘍性角膜炎又は眼瞼炎に関連する感染症の抗菌及び/又は抗寄生虫処置のための製剤、システム、及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
様々な眼の状態は、細菌及び他の寄生虫によって引き起こされる感染症、炎症、及び他の機能障害を特徴とする。このような状態を処置するために、抗菌薬及び/又は抗寄生虫薬がしばしば使用される。
【0004】
例えば、細菌性角膜炎は、黄色ブドウ球菌(staphylococcus aureus)及び緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)等の細菌によって引き起こされる角膜の感染症である。アメーバ性角膜炎は、アカントアメーバ(Acanthamoeba)等のアメーバによって引き起こされる角膜の感染症である。真菌性角膜炎は、真菌によって引き起こされる角膜の感染症である。このような眼感染症は、痛み、視力低下、光感受性、及び流涙又は分泌物を引き起こす可能性がある。表層角膜炎は、一般に角膜の最上層に限定される感染症であり、治癒後、通常は角膜に瘢痕を残さない。一方、潰瘍性角膜炎は、上皮破壊、間質浸透、及び潰瘍形成の状態に進行した感染症を特徴とする。処置せずに放置すると、潰瘍性角膜炎は失明を引き起こし得る。従来の抗菌性医薬品は、潰瘍性角膜炎の処置において有効性が低いことが多い。したがって、潰瘍性角膜炎の処置は、最終的には、高い費用及び罹患率に関連する角膜移植を必要とし得る。
【0005】
別の例では、眼瞼炎は、しばしばマイボーム腺機能不全及び眼表面の重度の乾燥と同時に起こる、眼瞼の炎症を特徴とする慢性的な眼の状態である。マイボーム腺は、眼瞼の縁を裏打ちし、眼の表面を被覆し、涙の水成分の蒸発を防ぐ油を分泌する腺である。眼瞼炎は、多くの場合、ダニとともに広がるバチルス・オレロニウス(Bacillus oleronius)による感染に加えて、睫毛毛包及びマイボーム腺に存在するニキビダニの過剰増殖によって引き起こされると考えられている。現在の眼瞼炎処置には、抗寄生虫効果及び/又は抗菌効果を有する医薬品の全身又は局所適用が含まれ、これは効果的であり得るが、全身又は局所毒性を誘発し、慢性投与を必要とし得る。
【発明の概要】
【0006】
製剤、システム及び方法は、例えば潰瘍性角膜炎に関連する感染症の抗菌及び/又は抗寄生虫処置を提供する。例えば、抗菌処置のための方法は、角膜上の潰瘍性領域を検出することと、角膜に感光剤を適用することと、照明システムを用いて、潰瘍性領域を処置するためのパラメータのセットに従って潰瘍性領域に適用された感光剤を活性化する照明を送達することと、を含む。照明は潰瘍性領域に制限され、潰瘍性領域における感光剤の活性化は抗菌効果を生じる。
【0007】
例えば、抗菌処置システムは、角膜に適用された感光剤を活性化する照明を送達するように構成された照明システムを含む。システムはまた、照明システムを制御するように構成されたコントローラを含む。コントローラは、1つ以上のプロセッサと、1つ以上のコンピュータ可読媒体とを含む。1つ以上のプロセッサは、コンピュータ可読媒体からの命令を実行して、コントローラに角膜上の潰瘍性領域を検出させ、照明システムに照明を送達させて、潰瘍性領域を処置するためのパラメータのセットに従って、潰瘍性領域に適用された感光剤を活性化させるように構成される。照明は潰瘍性領域に制限され、潰瘍性領域における感光剤の活性化は抗菌効果を生じる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】感光剤を含む製剤と、感光剤を活性化して抗菌効果をもたらす照明を送達するように構成された照明システムとを含む例示的な処置システムを示す図である。
【
図2】潰瘍性領域を有する角膜を示す図であり、紫外線(UV)光が、角膜のほぼ全体にわたって延在する処置ゾーンに広く均一なビームとして適用される。
【
図3】潰瘍性領域を有する角膜を示す図であり、UV光が異なるパラメータに従って複数の処置ゾーンに適用されて、それぞれ異なる処置効果をもたらす。
【
図4】感光剤を含む製剤と、感光剤を活性化して抗菌効果をもたらす照明を送達するように構成された照明システムと、角膜上の潰瘍性領域を検出するために使用することができるユーザインターフェース及び撮像システムを有するコントローラと、を含む例示的な処置システムを示す図である。
【
図5A】ユーザインターフェースのディスプレイ上に示された潰瘍性領域を有する角膜の例示的な画像を示す図であり、ユーザインターフェースは、潰瘍性領域内の点を特定するために使用される。
【
図5B】ユーザインターフェースのディスプレイ上に示された潰瘍性領域を有する角膜の例示的な画像を示す図であり、ユーザインターフェースは、潰瘍性領域の境界を特定するトレースを生成するために使用される。
【
図6A】2.5mW/cm
2、10mW/cm
2、40mW/cm
2、及び160mW/cm
2の放射照度を有するUV光で0.125%のリボフラビン濃度を活性化する角膜処置中に角膜が21%の周囲O
2の濃度に曝露された時の角膜内の酸素(O
2)の平均濃度を時間の関数として示す図である・
【
図6B】2.5mW/cm
2、10mW/cm
2、40mW/cm
2、及び160mW/cm
2の放射照度を有するUV光で0.25%のリボフラビン濃度を活性化する角膜処置中に角膜が21%の周囲O
2の濃度に曝露された時の角膜内のO
2の平均濃度を時間の関数として示す図である・
【
図6C】2.5mW/cm
2、10mW/cm
2、40mW/cm
2、及び160mW/cm
2の放射照度を有するUV光で0.5%のリボフラビン濃度を活性化する角膜処置中に角膜が21%の周囲O
2の濃度に曝露された時の角膜内のO
2の平均濃度を時間の関数として示す図である・
【
図6D】2.5mW/cm
2、10mW/cm
2、40mW/cm
2、及び160mW/cm
2の放射照度を有するUV光で1%のリボフラビン濃度を活性化する角膜処置中に角膜が21%の周囲O
2の濃度に曝露された時の角膜内のO
2の平均濃度を時間の関数として示す図である・
【
図7A】2.5mW/cm
2、10mW/cm
2、40mW/cm
2、及び160mW/cm
2の放射照度を有するUV光で0.125%のリボフラビン濃度を活性化する角膜処置中に角膜が90%の周囲O
2の濃度に曝露された時の角膜内のO
2の平均濃度を時間の関数として示す図である・
【
図7B】2.5mW/cm
2、10mW/cm
2、40mW/cm
2、及び160mW/cm
2の放射照度を有するUV光で0.25%のリボフラビン濃度を活性化する角膜処置中に角膜が90%の周囲O
2の濃度に曝露された時の角膜内のO
2の平均濃度を時間の関数として示す図である・
【
図7C】2.5mW/cm
2、10mW/cm
2、40mW/cm
2、及び160mW/cm
2の放射照度を有するUV光で0.5%のリボフラビン濃度を活性化する角膜処置中に角膜が90%の周囲O
2の濃度に曝露された時の角膜内のO
2の平均濃度を時間の関数として示す図である・
【
図7D】2.5mW/cm
2、10mW/cm
2、40mW/cm
2、及び160mW/cm
2の放射照度を有するUV光で1%のリボフラビン濃度を活性化する角膜処置中に角膜が90%の周囲O
2の濃度に曝露された時の角膜内のO
2の平均濃度を時間の関数として示す図である・
【
図8A】2.5mW/cm
2、10mW/cm
2、40mW/cm
2、及び160mW/cm
2の放射照度を有するUV光で0.125%のリボフラビン濃度を活性化する角膜処置中に角膜が21%の周囲O
2の濃度に曝露された時の角膜内の一重項酸素(O
1)の平均濃度を時間の関数として示す図である・
【
図8B】2.5mW/cm
2、10mW/cm
2、40mW/cm
2、及び160mW/cm
2の放射照度を有するUV光で0.25%のリボフラビン濃度を活性化する角膜処置中に角膜が21%の周囲O
2の濃度に曝露された時の角膜内のO
1の平均濃度を時間の関数として示す図である・
【
図8C】2.5mW/cm
2、10mW/cm
2、40mW/cm
2、及び160mW/cm
2の放射照度を有するUV光で0.5%のリボフラビン濃度を活性化する角膜処置中に角膜が21%の周囲O
2の濃度に曝露された時の角膜内のO
1の平均濃度を時間の関数として示す図である・
【
図8D】2.5mW/cm
2、10mW/cm
2、40mW/cm
2、及び160mW/cm
2の放射照度を有するUV光で1%のリボフラビン濃度を活性化する角膜処置中に角膜が21%の周囲O
2の濃度に曝露された時の角膜内のO
1の平均濃度を時間の関数として示す図である・
【
図9A】2.5mW/cm
2、10mW/cm
2、40mW/cm
2、及び160mW/cm
2の放射照度を有するUV光で0.125%のリボフラビン濃度を活性化する角膜処置中に角膜が90%の周囲O
2の濃度に曝露された時の角膜内のO
1の平均濃度を時間の関数として示す図である。
【
図9B】2.5mW/cm
2、10mW/cm
2、40mW/cm
2、及び160mW/cm
2の放射照度を有するUV光で0.25%のリボフラビン濃度を活性化する角膜処置中に角膜が90%の周囲O
2の濃度に曝露された時の角膜内のO
1の平均濃度を時間の関数として示す図である。
【
図9C】2.5mW/cm
2、10mW/cm
2、40mW/cm
2、及び160mW/cm
2の放射照度を有するUV光で0.5%のリボフラビン濃度を活性化する角膜処置中に角膜が90%の周囲O
2の濃度に曝露された時の角膜内のO
1の平均濃度を時間の関数として示す図である。
【
図9D】2.5mW/cm
2、10mW/cm
2、40mW/cm
2、及び160mW/cm
2の放射照度を有するUV光で1%のリボフラビン濃度を活性化する角膜処置中に角膜が90%の周囲O
2の濃度に曝露された時の角膜内のO
1の平均濃度を時間の関数として示す図である。
【
図10A】2.5mW/cm
2、10mW/cm
2、40mW/cm
2、及び160mW/cm
2の放射照度を有するUV光で0.125%のリボフラビン濃度を活性化する角膜処置中に角膜が21%の周囲O
2の濃度に曝露された時の角膜内の過酸化水素(H
2O
2)の平均濃度を時間の関数として示す図である。
【
図10B】2.5mW/cm
2、10mW/cm
2、40mW/cm
2、及び160mW/cm
2の放射照度を有するUV光で0.25%のリボフラビン濃度を活性化する角膜処置中に角膜が21%の周囲O
2の濃度に曝露された時の角膜内のH
2O
2の平均濃度を時間の関数として示す図である。
【
図10C】2.5mW/cm
2、10mW/cm
2、40mW/cm
2、及び160mW/cm
2の放射照度を有するUV光で0.5%のリボフラビン濃度を活性化する角膜処置中に角膜が21%の周囲O
2の濃度に曝露された時の角膜内のH
2O
2の平均濃度を時間の関数として示す図である。
【
図10D】2.5mW/cm
2、10mW/cm
2、40mW/cm
2、及び160mW/cm
2の放射照度を有するUV光で1%のリボフラビン濃度を活性化する角膜処置中に角膜が21%の周囲O
2の濃度に曝露された時の角膜内のH
2O
2の平均濃度を時間の関数として示す図である。
【
図11A】2.5mW/cm
2、10mW/cm
2、40mW/cm
2、及び160mW/cm
2の放射照度を有するUV光で0.125%のリボフラビン濃度を活性化する角膜処置中に角膜が90%の周囲O
2の濃度に曝露された時の角膜内のH
2O
2の平均濃度を時間の関数として示す図である。
【
図11B】2.5mW/cm
2、10mW/cm
2、40mW/cm
2、及び160mW/cm
2の放射照度を有するUV光で0.25%のリボフラビン濃度を活性化する角膜処置中に角膜が90%の周囲O
2の濃度に曝露された時の角膜内のH
2O
2の平均濃度を時間の関数として示す図である。
【
図11C】2.5mW/cm
2、10mW/cm
2、40mW/cm
2、及び160mW/cm
2の放射照度を有するUV光で0.5%のリボフラビン濃度を活性化する角膜処置中に角膜が90%の周囲O
2の濃度に曝露された時の角膜内のH
2O
2の平均濃度を時間の関数として示す図である。
【
図11D】2.5mW/cm
2、10mW/cm
2、40mW/cm
2、及び160mW/cm
2の放射照度を有するUV光で1%のリボフラビン濃度を活性化する角膜処置中に角膜が90%の周囲O
2の濃度に曝露された時の角膜内のH
2O
2の平均濃度を時間の関数として示す図である。
【
図12A】例えばプロトコルA~DのH
2O
2及び活性酸素種(ROS)(すなわち、スーパーオキシド、一重項酸素及びヒドロキシルラジカル(OH))の予測された生成のグラフである。
【
図13】角膜炎処置のインビトロ試験のための例示的なシステムを示す図である。
【
図14A】角膜炎処置のインビトロ試験のための例示的なサンプルを示す図である。
【
図14B】試験のための
図14Aのサンプルの選択された象限へのレーザビームの例示的な送達を示す図である。
【
図14C】
図14Bのサンプルの象限を試験のための異なる条件に曝露した後の結果を示す図である。
【
図15】眼、上眼瞼、下眼瞼、各眼瞼上のマイボーム腺、及び対応する毛包を有する各眼瞼から伸びる睫毛を示す図である。
【
図16A】眼瞼炎の処置として光線力学的療法(PDT)を適用するための例示的なシステムを示す図である。
【
図16B】眼瞼炎の処置としてのPDTの適用例を示す図である。
【
図16C】眼瞼炎の処置のためにマイボーム腺を検出することができる例示的な画像を示す図である。
【
図17】眼瞼炎の処置としての凍結療法の適用例を示す図である。
【
図18】眼瞼炎の処置としてのラジオ波(RF)療法の適用例を示す図である。
【
図19】眼瞼炎の処置としての直接温熱療法の適用例を示す図である。
【
図20】眼瞼炎の処置としてのレーザ適用による直接温熱療法の適用例を示す図である。
【
図21】眼瞼炎の処置としての超音波療法の適用例を示す図である。
【
図22A】緑膿菌に対する正常酸素条件下でのリボフラビン/UVAレーザ処置の効果を試験するための例示的な手順を示す図である。
【
図22B】緑膿菌に対する高酸素条件下でのリボフラビン/UVAレーザ処置の効果を試験するための例示的な手順を示す図である。
【
図22C】緑膿菌に対する正常酸素条件下でのリボフラビン/UVA発光ダイオード(LED)処置の効果を試験するための例示的な手順を示す図である。
【
図23】正常酸素圧条件下での緑膿菌の細胞死に対する0.1%リボフラビン/UVAレーザ処置の効果を示すグラフである。
【
図24】正常酸素条件下での緑膿菌の細胞死に対する0.5%リボフラビン/UVAレーザ処置の効果を示すグラフである。
【
図25】高酸素条件下での緑膿菌の細胞死に対する0.1%リボフラビン/UVAレーザ処置の効果を示すグラフである。
【
図26】高酸素条件下での緑膿菌の細胞死に対する0.22%リボフラビン/UVAレーザ処置の効果を示すグラフである。
【
図27】高酸素条件下での緑膿菌の細胞死に対する0.2%リボフラビン/UVAレーザ処置の効果を示すグラフである。
【
図28】正常酸素条件下での緑膿菌の細胞死に対する0.1%リボフラビン/UVA LED処置の効果を示すグラフである。
【
図29】緑膿菌の平均細胞死とリボフラビン/UVAレーザ処置からのH
2O
2(μM)の生成とを比較するグラフを示す。
【
図30】リボフラビン/UVAレーザ処置におけるH
2O
2(μM)の生成vsリボフラビン濃度を比較するグラフを示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
活性酸素及び過酸化水素等の細胞毒性化学種は、リボフラビン等の感光剤が角膜に適用され、紫外線(UV)光等の活性化照明に曝露されると生成される。これらの化学種は細菌、真菌、及び/又はアメーバに対して非常に毒性であるので、潰瘍性角膜炎に関連する感染症は、角膜に適用された感光剤を活性化することによって処置され得る。このような処置は光線力学的療法(PDT)として公知である。感光剤による角膜の活動性感染の効果的な処置を達成することにより、角膜移植の必要性が有意に減少する。
【0010】
図1に示す例示的な処置システム100aの実装形態によれば、感光剤112を含む製剤110を角膜10に(例えば、点眼剤として)適用し、照明システム120を動作させて感光剤112を活性化する照明(放射線)122を送達する。照明システム120は、発光ダイオード(LED)又はレーザ源を使用して照明122を送達することができる。処置システム100aはまた、特定の処置パラメータを制御するためのコントローラ130を含み得る。例えば、コントローラ130を照明システム120に結合して、瞬間出力、平均放射照度、総線量、及びパルス特性等の照明122に関するパラメータを制御することができ、これらのパラメータのいずれか及び全ては、感染の位置及びサイズに応じて空間的に変化させることができる。更に、酸素源140からの酸素を角膜10に送達して、処置のための周囲酸素のレベルを決定することができ、その効果は本明細書で更に説明される。
【0011】
本開示の態様は、有効な抗菌処置のために角膜組織の感染領域を滅菌するように具体的に最適化された製剤及び/又は照明システムを提供する。例えば、例示的な製剤は、活性化照明が角膜に送達される前に角膜が感光剤に曝露されるのに必要な時間(浸漬時間としても公知である)を短縮するように最適化することができる。例示的な製剤は、角膜炎に関連する感染負荷を軽減するために、潰瘍性領域内の抗菌効果を最大化するように最適化することができる。感光剤の活性化はまた、角膜架橋をもたらし得るので、例示的な照明システムは、潰瘍性領域の外側で架橋活性を生じさせて、潰瘍性領域の酵素消化及び成長に対する耐性を高めるように最適化することができる。例示的な照明システムは、各患者に固有の潰瘍性領域のサイズ及び位置に対応するカスタム処置ゾーンに照明を適用するように最適化することができる。
【0012】
今日まで、感光剤の活性化を含む処置は、円錐角膜等の異所性障害を処置するための架橋活性を生成するのにより適している。そのような架橋処置は、一般に、約10~30分の浸漬時間で約0.1%~0.2%の濃度のリボフラビンを有する製剤を角膜に適用する。更に、そのような処置は、抗菌効果ではなく架橋活性を生成するために最適化された照明パラメータで、直径約9mmの直径を有する広い均一なUV光ビームを適用する照明システムを用いて製剤を活性化する。潰瘍性角膜炎を処置するために適用される場合、この広い均一なビームは、潰瘍性領域のサイズ又は位置にかかわらず、ほぼ角膜表面全体を同じ量の最適化されていない照明に曝露する。
【0013】
例えば、
図2は、潰瘍性領域20を有する角膜10を示す。
図2に示す手法によれば、照明システム120は、照明122を広く均一なビームとして角膜10に送達して、角膜10のほぼ全体にわたって延在する単一の処置ゾーン12(破線で示す)を露出させる。しかしながら、潰瘍性領域20は、処置ゾーン12よりも小さい。このように、潰瘍性領域20の内側及び外側の異なる処置効果が望まれ得るとしても、潰瘍性領域20の内側及び外側の処置ゾーン12の全ての部分が同じ照明に曝露される。
【0014】
図3はまた、潰瘍性領域20を有する角膜10を示す。
図2に示す手法とは対照的に、
図3に示す手法は、角膜10を横切って延在する複数の処置ゾーン12a~cにおいて異なる処置効果をもたらす。第1の処置ゾーン12aは、潰瘍性領域20の内側の領域に対応する。第2の処置ゾーン12bは、潰瘍性領域20の境界に対応する。第3の処置ゾーン12cは、潰瘍性領域20の境界を越えた周辺領域に対応する。瞬間出力、平均放射照度、総線量、及びパルス特性等の照明システム120のパラメータは、処置ゾーン12a~12cに対して異なる処置効果を生成するためにコントローラ130を介して選択することができる。例えば、デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)、レーザ走査、又は他の正確な撮像技術を使用して、照明システム120は、(ほぼ角膜全体にわたって広がる広範な用途とは対照的に)特定の処置ゾーンに照明を正確に適用することができる。例えば、照明システム120は、潰瘍性領域20内の最大抗菌効果のために最適化されたパラメータに従って、照明122を第1の処置ゾーン12aに送達することができる。一方、照明システム120は、酵素消化を低減し、潰瘍性領域20の成長に抵抗するために、潰瘍性領域20の境界に沿って強い架橋活性を生成するように最適化されたパラメータに従って、照明122を第2の処置ゾーン12bに送達することができる。一方、照明システム120は、角膜10を安定化させるためのより適度な架橋活性を生成するように最適化されたパラメータに従って、照明122を第3の処置ゾーン12cに送達することができる。
【0015】
図4は、別の例示的な処置システム100bを示す。
図1に示す例示的な処置システム100aと同様に、例示的な処置システム100bの実装形態は、感光剤112を含む製剤110を角膜10に適用すること(例えば、点眼剤として)と、照明システム120を動作させて感光剤112を活性化する照明122を送達することと、を含む。更に、酸素源140からの酸素を角膜10に送達して、処置のための周囲酸素のレベルを決定することができる。
【0016】
処置システム100aと同様に、処置システム100bもまた、特定の処置パラメータを制御するためのコントローラ130を含む。
図4に示すように、コントローラ130はまた、ユーザインターフェース132及び撮像システム134を含む。ユーザインターフェース132は、コントローラ130によって実施される処置パラメータを制御するためのオペレータからの入力を受信することができる。そのような入力は、例えば、キーボード、コンピュータマウス、タッチスクリーン、スタイラス、ダイヤル、ボタン等を介して受け取ることができる。ユーザインターフェース132はまた、オペレータに処置情報を提供することができる。そのような処置情報は、例えば、ディスプレイ、点灯されたインジケータ、スピーカ等を介して視覚的及び/又は聴覚的に提供することができる。
【0017】
更に、コントローラ130は、ユーザインターフェース132のディスプレイを介して角膜10の画像をオペレータに提供することができるカメラを備えた撮像システム134を含む。特に、オペレータは、撮像システム134からの画像からの情報を使用して、ユーザインターフェース132を介して処置パラメータを制御することができる。例えば、画像は、角膜10上の潰瘍性領域20の位置、サイズ、及び形状を示すことができる。画像は、潰瘍性領域20の正確な特定を確実にするために、処置の直前に取得され得る。
【0018】
図5Aは、ユーザインターフェース132のディスプレイ132aに示されるような撮像システム134からの例示的な画像200を示す。画像200は、潰瘍性領域20を有する角膜10を示す。ユーザインターフェース132はまた、ディスプレイ132a上にも示され、例えばコンピュータマウスの操作によってオペレータによって画像200上で移動させることができるカーソル132bを提供する。
図5Aに示す例示的な手法によれば、オペレータは、画像200に示される潰瘍性領域20内の点の上にカーソル132bを移動させ、それに対応してコンピュータマウス上のボタンをクリックして、潰瘍性領域20内の点をコントローラ130で登録することができる(代替のユーザインターフェースツールも考えられる。例えば、ユーザインターフェース132は、オペレータがタップして画像200内の潰瘍性領域20内の点を特定することができるタッチスクリーンを提供することができる)。
【0019】
オペレータがユーザインターフェース132を介して画像200内の潰瘍性領域20内の点を特定すると、コントローラ130は、例えばエッジ検出技術を介して、画像200を処理して潰瘍性領域20の境界を更に特定することができる。潰瘍性領域20の不均一な視覚的外観のために、画像200内の潰瘍性領域20を特定するプロセスは、オペレータに潰瘍性領域20内の初期点を特定させることによって単純化され、より堅牢にされ、そこからコントローラ130はその後境界を探索することができる。
【0020】
図5Bはまた、ディスプレイ132aに示されるような例示的な画像200を示す。
図5Aと同様に、画像200は、潰瘍性領域20を有する角膜10を示し、ユーザインターフェース132は、ディスプレイ132a上にカーソル132bを提供する。
図5Bに示す代替手法によれば、オペレータは、カーソル132bを移動させて境界に続くトレース22(破線で示す)を生成することによって、より直接的に潰瘍性領域20の境界を特定することができる。コントローラ130が使用するトレース22を登録するために、オペレータは、コンピュータマウス上のボタンを繰り返しクリックするか、又はカーソル132bがトレース22を生成する時にボタンを連続的に押さなければならない(代替のユーザインターフェースツールも考えられる。例えば、ユーザインターフェース132は、オペレータが境界を追跡することを可能にするタッチパッドを提供することができ、又はユーザインターフェース132は、オペレータがタッチスクリーン(例えば、スタイラスを用いて)でトレース22を追跡することを可能にするタッチスクリーンを提供することができる)。
【0021】
図5A又は
図5Bの手法に従って潰瘍性領域20の境界が特定されると、コントローラ130は、照明システム120に対する角膜10の任意の動きによる潰瘍性領域20の位置の変化を追跡するために眼トラッキング技術を使用することができる。したがって、照明システム120は、所望のパラメータを有する照明122を、潰瘍性領域20及び潰瘍性領域20の周囲又は外側の他の処置ゾーンに正確に送達することができる。眼追跡技術は、撮像システム134によって捕捉された一連の時間経過画像を使用して、潰瘍性領域20の位置の変化を判定することができる。
【0022】
リボフラビン等の感光剤とUV光等の活性化照明との相互作用は、抗菌効果をもたらし、角膜炎を処置するために使用することができる少なくとも3つの因子をもたらす。特に、第1の抗菌因子は酸素枯渇を伴い、第2の抗菌因子は一重項酸素の生成を伴い、第3の抗菌因子は過酸化水素の生成を伴う。例えば、薬物濃度、周囲酸素レベル、光源放射照度、及び/又は処置時間の様々な組合わせで、各因子のより最適なレベルを生成することができる。処置における各因子のレベルは、不可逆的アポトーシス及び細胞死を引き起こす各因子の閾値条件に依存し得る。光波長が感光剤の効率的な光吸収ゾーンに対応するように選択される限り、リボフラビン以外の感光剤及び紫外線以外の光波長も同様に使用され得る。
【0023】
感光剤としてリボフラビンを使用する処置では、角膜架橋(例えば、0.1%~0.25%)を用いて円錐角膜等の拡張性障害を処置するために典型的に使用されるものよりも高いリボフラビン濃度(例えば、0.5%又は1%)を使用することによって、所望の抗菌効果が達成され得る。より高いリボフラビン濃度並びに浸漬時間の短縮は、例えば、溶解性を高める賦形剤、ヒドロゲル等の代替送達ビヒクル、及び/又は薬物溶出性コンタクトレンズを使用することによって達成され得る。活性感染の存在は眼の感度を著しく増加させる可能性があるため、イオン性界面活性剤又は他の刺激性添加剤の使用を避けることも好ましい場合がある。
【0024】
図6A~
図6D、
図7A~
図7Dは、正常酸素及び高酸素条件下で角膜に適用された様々な濃度のリボフラビンを活性化するために様々な線量のUV光を送達する抗菌処置のための酸素(O
2)枯渇を考慮した試験の結果を示す。
図6A~
図6Dは、角膜が処置(正常酸素処置)中に21%の周囲O
2の濃度に曝露された場合の時間の関数としての角膜における300μmの深さでのO
2の平均濃度(mM)を示す。一方、
図7A~
図7Dは、角膜が処置(高酸素処置)中に90%の周囲O
2の濃度に曝露された場合の時間の関数としての角膜における300μmの深さでのO
2の平均濃度(mM)を示す。
図6A、7Aは、リボフラビン濃度0.125%の結果を示す。
図6B、7Bは、リボフラビン濃度0.25%の結果を示す。
図6C、7Cは、リボフラビン濃度0.5%の結果を示す。
図6D、7Dは、リボフラビン濃度1%の結果を示す。各リボフラビン濃度について、リボフラビンを活性化するために、2.5mW/cm
2、10mW/cm
2、40mW/cm
2、及び160mW/cm
2の各放射照度でUV光を送達した。
【0025】
これらの試験は、
図6A~
図6Dに示すように、正常酸素処置で最も深くかつ最も長い酸素枯渇が起こることを示す。特に、
図7A~
図7Dに示すように、高酸素処置ではより高いO
2濃度が生じる。正常酸素処置の中で、最も深い及び最も長い酸素枯渇は、
図6A、
図6Bにそれぞれ示すように、0.125%及び0.25%のリボフラビン濃度で起こる。一般に、試験は、酸素枯渇がリボフラビン濃度に弱い依存性を有することを示す。処置が終了すると、迅速な酸素補充が行われる。より大きい放射照度は、より深い酸素枯渇及びより速い酸素補充をもたらすが、その効果は正常酸素処置ではより小さい。放射照度を40mW/cm
2を超えて増加させても、酸素枯渇を正常酸素処置のために深くすることはない。
【0026】
図8A~
図8D、
図9A~
図9Dは、正常酸素及び高酸素条件下で角膜に適用された様々な濃度のリボフラビンを活性化するために様々な線量のUV光を送達する抗菌処置のための一重項酸素(O
1)の生成を考慮した試験の結果を示す。
図8A~
図8Dは、角膜が、処置(正常酸素処置)中に21%の周囲O
2の濃度に曝露された場合の時間の関数としての角膜における300μmの深さでのO
1の平均濃度(mM)を示す。一方、
図9A~
図9Dは、角膜が、処置(高酸素処置)中に90%の周囲O
2の濃度に曝露された場合の時間の関数としての角膜における300μmの深さでのO
1の平均濃度(mM)を示す。
図8A、9Aは、リボフラビン濃度0.125%の結果を示す。
図8B、9Bは、リボフラビン濃度0.25%の結果を示す。
図8C、9Cは、リボフラビン濃度0.5%の結果を示す。
図8D、9Dは、リボフラビン濃度1%の結果を示す。各リボフラビン濃度について、リボフラビンを活性化するために、2.5mW/cm
2、10mW/cm
2、40mW/cm
2、及び160mW/cm
2の各放射照度でUV光を送達した。
【0027】
これらの試験は、
図9A~
図9Dに示されるように、一重項酸素生成が高酸素処置において有意に高いことを示す。高酸素処置の中でも、一重項酸素の生成は、
図9Aに示すようにリボフラビン濃度0.125%で最も効率的である。試験はまた、一重項酸素の生成がリボフラビンの濃度に強い逆依存性を有することを示す。また、一重項酸素の生成率は、放射照度に強く依存することが示されている。放射照度を2.5mW/cm
2から160mW/cm
2に増加させると、一重項酸素の生成が急激に増加する。照明が適用されると、一重項酸素の濃度は、10mW/cm
2以上のより高い放射照度で時間の関数として直線的に増加する。2.5mW/cm
2のより低い放射照度では、一重項酸素の濃度は約100分後に安定する。一重項酸素は不安定な成分であるため、照明が終了すると一重項酸素の濃度は急速に低下する。一重項酸素の生成に基づく処置は、一重項酸素によるリボフラビンの破壊等、一重項酸素との更なる反応を考慮し得る。
【0028】
図10A~
図10D、
図11A~
図11Dは、正常酸素及び高酸素条件下で角膜に適用された様々な濃度のリボフラビンを活性化するために様々な線量のUV光を送達する抗菌処置のための過酸化水素(H
2O
2)の生成を考慮した試験の結果を示す。
図10A~
図10Dは、角膜が処置(正常酸素処置)中に21%の周囲O
2の濃度に曝露された場合の時間の関数としての角膜における300μmの深さでのH
2O
2の平均濃度(mM)を示す。一方、
図11A~
図11Dは、処置(高酸素処置)中に角膜が90%の周囲O
2の濃度に曝露された場合の時間の関数としての角膜における300μmの深さでのH
2O
2の平均濃度(mM)を示す。
図10A、11Aは、リボフラビン濃度0.125%の結果を示す。
図10B、11Bは、リボフラビン濃度0.25%の結果を示す。
図10C、11Cは、リボフラビン濃度0.5%の結果を示す。
図10D、11Dは、リボフラビン濃度1%の結果を示す。各リボフラビン濃度について、リボフラビンを活性化するために、2.5mW/cm
2、10mW/cm
2、40mW/cm
2、及び160mW/cm
2の各放射照度でUV光を送達した。
【0029】
これらの試験は、
図11A~
図11Dに示されるように、過酸化水素生成が高酸素処置において有意に高いことを示す。高酸素処置の中でも、過酸化水素の生成は、
図11Dに示すようにリボフラビン濃度1%で最も効率的である。試験はまた、UV光の送達時に、過酸化水素の濃度がピーク値まで増加し、減少することを示す。過酸化水素の最高ピーク濃度(実験計画(DOE)範囲内)は、
図10D、
図11Dに示すように、10mW/cm
2~40mW/cm
2の放射照度下で1%のリボフラビン濃度で生じる。放射照度が40mW/cm
2を超えて増加すると、過酸化水素のピーク濃度が低下する。過酸化水素の濃度は、処置が完了した後に急速に低下する。過酸化水素の生成に基づく処置は、照明が終了した後の過酸化水素の寿命を考慮することができる。
【0030】
酸素枯渇、一重項酸素の生成、及び過酸化水素の生成は、薬物濃度、周囲酸素レベル、活性化照明の放射照度、及び/又は処置時間等の様々な処置パラメータに基づいて最適化することができる抗菌因子である。上記の試験の結果を考慮すると、40mW/cm2の中程度の放射照度下で0.125%のより低いリボフラビン濃度を有する正常酸素処置(21%酸素濃度)で、酸素枯渇に基づくより大きな抗菌効果を達成することができる。一重項酸素の生成に基づくより大きな抗菌効果は、160mW/cm2のより高い放射照度下で0.125%のより低いリボフラビン濃度を有する高酸素処置(90%酸素濃度)で達成することができる。過酸化水素の生成に基づくより大きな抗菌効果は、10mW/cm2~40mW/cm2の中程度の放射照度下で1%のより高いリボフラビン濃度を有する高酸素処置(90%酸素濃度)で達成することができる。
【0031】
図12A、
図12Bは、リボフラビンを感光剤として使用する処置プロトコルA~Dの細菌死のモデリングを示す。プロトコルAは、眼を21%の酸素(O
2)濃度に曝露しながら、LEDから33.3分間、連続波(CW)UV光を適用する。プロトコルBは、眼を21%のO
2濃度に曝露しながら33.3分間UV光のレーザビームを適用する。プロトコルCは、眼を90%のO
2濃度に曝露しながら、LEDからCW UV光を33.3分間適用する。プロトコルDは、眼を90%のO
2濃度に曝露しながら33.3分間UV光のレーザビームを適用する。プロトコルA~Dは、約10mW/cm
2の平均放射照度で約20J/cm
2の線量を送達する。
図12Aのグラフは、各プロトコルについてのH2O
2及び活性酸素種(ROS)(すなわち、スーパーオキシド、一重項酸素及びヒドロキシルラジカル(OH))の予測された生成を示す。予測された生成は、角膜内への約200μmにわたる積算濃度として表される。一方、
図12Bのグラフは、角膜における約100μmの深さでの各プロトコルの細菌死率を示す。
【0032】
図12A、Bは、ROSよりも低い毒性にもかかわらず、H2O
2がより高い予測濃度のために細菌死において有意な役割を果たすことを示す。更に、
図12Bは、UV光のレーザビーム(プロトコルB及びD)が、LEDからのCW UV光(プロトコルA及びC)よりも約2~3倍大きい細菌死をもたらし、90%のO
2濃度(プロトコルC及びD)が、正常酸素条件(プロトコルA及びB)よりも約4~8倍大きい細菌死をもたらすことを示す。
【0033】
図13は、角膜炎処置のインビトロ試験のための例示的なシステム300を示す。システム300は、サンプルを含有するペトリ皿にわたって走査することができるレーザビームを放射する照明システム320を含む。システム300はまた、試験においてUV光を透過させるために選択的に使用することができるUV窓350を含む。更に、システム300は、ペトリ皿を保持するホルダ360を含む。ホルダ360は、試験中のいくつかのサンプルに、ある濃度のO
2を受容及び送達するための配管を含む。更に、システム300は、照明システム320に対する垂直軸(z軸)に沿ってホルダ360、したがってペトリ皿の位置を決定するためのマイクロメータ370を含む。
【0034】
図14Aは、システム300を使用する角膜炎処置のインビトロ試験のための例示的なサンプル30を有するペトリ皿を示す。サンプル30の調製は、緑膿菌(角膜炎を引き起こす)の接種及び約48時間のインキュベーションを含む。サンプル30における得られた細菌増殖は、
図14Aに見ることができる。サンプル30は、異なる条件に曝露される細菌増殖の領域をマークするために、4つの象限30a~dに分割される。特に、第1の象限30aはUV光のみを受け、第2の象限30b及び第3の象限30cは両方とも、リボフラビン組成物を受け、約4.5J/cm
2の線量及び約9mW/cm
2の放射照度でUV光を光活性化し、第4の象限30dはリボフラビンもUV光も受けない。
【0035】
図14Bは、照明システム320からサンプル30の選択された象限へのレーザビームの送達を示す。図示のように、レーザビームは第2の象限30bを走査している。
図14Cは、サンプル30の象限30a~dを異なる条件に曝露した約70時間後の結果を示す。細菌は、第2の象限30b及び第3の象限30cで効果的に除去されており、両方ともリボフラビン及び光活性化UV光を受けた。一方、細菌は、一般に、UV光のみを受ける第1の象限30a及びリボフラビンもUV光も受けない第4の象限30dに留まる。
【0036】
図14Bのサンプル30は、周囲空気(すなわち、O
2の濃度がない)中で処置される。しかしながら、試験の更なる態様は、異なる濃度のO
2並びに異なる照明システム(例えば、LED)、異なる照明パラメータ、異なる感光剤/薬物、及び/又は異なる用量の感光剤/薬物の考慮を含み得る。
【0037】
本発明者らの試験は、抗菌効果がUV線量及び出力に依存することを示している。このような試験はまた、リボフラビン溶液単独(光活性化なし)では細菌増殖を直接阻害しないことを示す。
【0038】
図22A~
図22Cは、緑膿菌細菌に対するリボフラビン/UVA処置の効果を試験するための例示的な手順を示す。
図22Aに示す例示的な手順2210によれば、工程2210aで緑膿菌細菌の希釈係数を決定し、工程2210bで緑膿菌を細胞培養プレート(例えば、96ウェルプレート)のウェルにロードする。特定の処置パラメータによれば、ホウ酸緩衝生理食塩水(BBS)中のリボフラビンの濃度が、工程2210cにおいてウェルに適用され、工程2210dにおいて、正常酸素条件下(21%の周囲O
2の濃度)で、指定された放射照度及び線量でレーザビームを用いて紫外線光がウェルに適用される。特に、紫外線A(UVA)光のレーザビームは、8Hzで約6.5mmのサイズで適用することができる。ペトリ皿に工程2210eでウェルからの混合物を接種し、工程2210fで(例えば、一晩)インキュベートする。インキュベーション後、特定の処置パラメータの効果を、工程2210gでコロニー形成単位(CFU)をカウントすることによって評価する。
【0039】
例示的手順2210を使用する試験では、0.1%のリボフラビン濃度を適用し、正常酸素条件下で2.5mW/cm
2の放射照度及び2.5J/cm
2の線量(16分間、40秒間適用)でUVAレーザで光活性化した。更に、0.1%のリボフラビン濃度を適用し、あるいは正常酸素条件下で40mW/cm
2の放射照度及び40J/cm
2の線量(16分間、40秒間適用)でUVAレーザ光で光活性化した。表1は、3反復(n=3)の対照(リボフラビン及びUVA光の適用なしの緑膿菌の増殖)に対するこの試験の結果を示す。
図23は、放射照度2.5mW/cm
2、線量2.5J/cm
2が適用される時の平均細胞死率29.0%、並びに放射照度40mW/cm
2及び線量40J/cm
2が適用される時の平均細胞死率67.1%を示すグラフを示す。
【表1】
【0040】
例示的手順2210を使用する更なる試験では、0.5%のリボフラビン濃度を適用し、正常酸素条件下で2.5mW/cm
2の放射照度及び2.5J/cm
2の線量(16分間、40秒間適用)でUVAレーザで光活性化した。更に、0.5%のリボフラビン濃度を適用し、代替的に正常酸素条件下で40mW/cm
2の放射照度及び40J/cm
2の線量(16分間、40秒間適用)で光活性化した。表2は、3反復(n=3)の対照(リボフラビン及びUVA光の適用なしの緑膿菌の増殖)に対するこの試験の結果を示す。
図24は、放射照度2.5mW/cm
2、及び線量2.5J/cm
2が適用される時の平均細胞死率-55.4%、及び放射照度40mW/cm
2及び線量40J/cm
2が適用される時の平均細胞死率26.0%を示すグラフを示す。
【表2】
【0041】
図22Bに示す例示的な手順2220によれば、工程2220aで緑膿菌細菌の希釈係数を決定し、工程2220bで緑膿菌を細胞培養プレート(例えば、96ウェルプレート)のウェルにロードする。特定の処置パラメータによれば、BBS中のリボフラビンの濃度が、工程2220cにおいてウェルに適用され、工程2220dにおいて、高酸素条件下(90%以上の周囲O
2の濃度)で、指定された放射照度及び線量でレーザビームを用いて紫外線光がウェルに適用される。特に、UVA光のレーザビームは、8Hzで約6.5mmのサイズで適用することができる。ペトリ皿に工程2220eでウェルからの混合物を接種し、ペトリ皿を、工程2220fで(例えば、一晩)インキュベートする。インキュベーション後、処置パラメータの効果を、工程2220gでCPUをカウントすることによって評価する。
【0042】
例示的手順2220を使用する試験では、0.1%のリボフラビン濃度を適用し、高酸素条件下で2.5mW/cm
2の放射照度及び2.5J/cm
2の線量(16分間、40秒間適用)でUVAレーザで光活性化した。更に、0.1%のリボフラビン濃度を適用し、代替的に高酸素条件下で40mW/cm
2の放射照度及び40J/cm
2の線量(16分間、40秒間適用)でUVAレーザで光活性化した。表3は、3つの反復(n=3)についての対照(リボフラビン及びUVA光の適用なしの正常酸素条件下及び高酸素条件下での緑膿菌の増殖)に対するこの試験の結果を示す。
図25は、2.5mW/cm
2の放射照度及び2.5J/cm
2の線量が高酸素条件下で適用される時の平均細胞死率16.1%、並びに40mW/cm
2の放射照度及び40J/cm
2の線量が高酸素条件下で適用される時の平均細胞死率82.7%を示すグラフを示す。参考までに、
図25のグラフはまた、2.5mW/cm
2の放射照度及び2.5J/cm
2の線量が正常酸素条件下で適用される場合、並びに40mW/cm
2の放射照度及び40J/cm
2の線量が正常酸素条件下で適用される場合の上記の試験からの平均細胞死率を示す。
【表3】
【0043】
例示的手順2220を使用する更なる試験では、0.22%のリボフラビン濃度を適用し、高酸素条件下で2.5mW/cm
2の放射照度及び2.5J/cm
2の線量(16分間、40秒間適用)でUVAレーザで光活性化した。更に、0.22%のリボフラビン濃度を適用し、代替的に高酸素条件下で40mW/cm
2の放射照度及び40J/cm
2の線量(16分間、40秒間適用)でUVAレーザで光活性化した。表4は、3反復(n=3)の対照(リボフラビン及びUVA光の適用なしの正常酸素条件下の緑膿菌の増殖)に対するこの試験の結果を示す。
図26は、2.5mW/cm
2の放射照度及び2.5J/cm
2の線量が高酸素条件下で適用される時の平均細胞死率13.9%、並びに40mW/cm
2の放射照度及び40J/cm
2の線量が高酸素条件下で適用される時の平均細胞死率76.9%を示すグラフを示す。参考までに、
図26のグラフはまた、0.1%及び0.5%のリボフラビン濃度がそれぞれ適用され、(i)正常酸素条件下で2.5mW/cm
2の放射照度及び2.5J/cm
2の線量、及び(ii)正常酸素条件下で40mW/cm
2の放射照度及び40J/cm
2の線量で光活性化される場合、並びに0.1%のリボフラビン濃度が適用され、(iii)高酸素条件下で2.5mW/cm
2の放射照度及び2.5J/cm
2の線量、及び(iv)高酸素条件下で40mW/cm
2の放射照度及び40J/cm
2の線量で光活性化される場合の上記の試験からの平均細胞死を示す。
【表4】
【0044】
例示的手順2220を使用するなお更なる試験では、0.2%のリボフラビン濃度を適用し、高酸素条件下で20mW/cm
2の放射照度及び20J/cm
2の線量(16分間、40秒間適用)でUVAレーザで光活性化した。更に、0.2%のリボフラビン濃度を適用し、代替的に高酸素条件下で40mW/cm
2の放射照度及び20J/cm
2の線量(8分間、20秒間適用)でUVAレーザで光活性化した。表5は、3反復(n=3)の対照(リボフラビン及びUVA光の適用なしの正常酸素条件下の緑膿菌の増殖)に対するこの試験の結果を示す。
図27は、20mW/cm
2の放射照度及び20J/cm
2の線量が高酸素条件下で適用される時の平均細胞死率58.9%、並びに40mW/cm
2の放射照度及び20J/cm
2の線量が高酸素条件下で適用される時の平均細胞死率38.1%を示すグラフを示す。参考までに、
図27のグラフはまた、0.1%及び0.5%のリボフラビン濃度がそれぞれ適用され、(i)正常酸素条件下で2.5mW/cm
2の放射照度及び2.5J/cm
2の線量、及び(ii)正常酸素条件下で40mW/cm
2の放射照度及び40J/cm
2の線量で光活性化される場合、並びに0.1%及び0.22%のリボフラビン濃度が、(iii)高酸素条件下で2.5mW/cm
2の放射照度及び2.5J/cm
2の線量、及び(iv)高酸素条件下で40mW/cm
2の放射照度及び40J/cm
2の線量でそれぞれ適用される場合の上記の試験からの平均細胞死を示す。
【表5】
【0045】
図23Cに示す例示的な手順2230によれば、工程2230aで緑膿菌細菌の希釈係数を決定し、工程2230bで緑膿菌を細胞培養プレート(例えば、96ウェルプレート)のウェルにロードする。特定の処置パラメータによれば、工程2230cにおいて、BBS中のリボフラビンの濃度がウェルに適用され、工程2230dにおいて、正常酸素条件下で、指定された放射照度及び線量で紫外線光がLED光源によってウェルに適用される。例えば、LED光源は、約6.5mmのサイズのUVA光を発し得る。ペトリ皿に工程2230eでウェルからの混合物を接種し、ペトリ皿を、工程2230fで(例えば、一晩)インキュベートする。インキュベーション後、処置パラメータの効果を、工程2230gでCFUをカウントすることによって評価する。
【0046】
例示的手順2230を使用する試験では、0.1%のリボフラビン濃度を適用し、正常酸素条件下で8.6mW/cm
2の放射照度及び8.6J/cm
2の線量(16分間、40秒間適用)でUVA LED光で光活性化した。更に、0.1%のリボフラビン濃度を適用し、代替的に正常酸素条件下で75mW/cm
2の放射照度及び75J/cm
2の線量(16分間、40秒間適用)でUVA LED光で光活性化した。表6は、3反復(n=3)の対照(リボフラビン及びUVA光の適用なしの正常酸素条件下の緑膿菌の増殖)に対するこの試験の結果を示す。
図28は、放射照度8.6mW/cm
2、及び線量8.6J/cm
2が適用される時の平均細胞死率-9.3%、並びに放射照度75mW/cm
2及び線量75J/cm
2が適用される時の平均細胞死率73.6%を示すグラフを示す。
【表6】
【0047】
上記のように、リボフラビンとUV光との間の反応は、H2O
2及び活性酸素種(ROS)(すなわち、スーパーオキシド、一重項酸素及びヒドロキシルラジカル(OH))を生成する。
図29は、0.1%及び0.5%のリボフラビン濃度がそれぞれ、(i)正常酸素条件下で2.5mW/cm
2の放射照度及び2.5J/cm
2の線量、並びに(ii)正常酸素条件下で40mW/cm
2の放射照度及び40J/cm
2の線量で適用される、上記の試験からの緑膿菌の平均細胞死率及びH2O
2(μM)の生成を比較するグラフを示す。
図29のグラフは、H2O
2の生成がより大きな細胞死をもたらすことを示す。一方、
図30は、正常酸素条件下で40mW/cm
2の放射照度及び40J/cm
2の線量でUVAレーザを用いて適用及び光活性化された、H2O
2(μM)の生成vsリボフラビン濃度を示すグラフを示す。
図30のグラフは、H2O
2のより大きな生成及びより大きな細胞死を達成することができるリボフラビンの濃度範囲(例えば、約0.2%~0.4%)を示す。
【0048】
試験中、本発明者らは、リボフラビンが走査レーザで光活性化された場合、補充酸素が更なる架橋効果をもたらさないが、更なる細菌死を引き起こすことを決定した。これは、過剰なO2がその場でH2O2レベルを上昇させるためである可能性があり、これは架橋には有用ではないが抗菌効果には有用である。
【0049】
解剖学的特徴を示す
図15は、眼1010、上眼瞼1012a、下眼瞼1012b、それぞれの眼瞼1012a、b上のマイボーム腺1014a、b、及び対応する毛包1018a、bを有するそれぞれの眼瞼1012a、bから延びる睫毛1016a、bを示す。本開示の態様によれば、処置は、マイボーム腺1014a、帯/又は睫毛毛包1018a、bにおけるニキビダニ(demodex mite)及び関連するバチルス・オレロニウスによる感染症の負荷を軽減することができる。そのような処置は、眼瞼炎の症状及び根本原因に対処し、マイボーム腺機能を回復させる。そのような処置は、1回又は繰り返し、単独で、又は局所薬と組み合わせて適用され得る。そのような処置は、局所薬のみに依存する処置と比較して有効性までの時間を短縮し得る。
【0050】
眼瞼炎の例示的処置は、PDTを使用し得る。角膜炎のためのPDT処置は、上記のように角膜組織に具体的に向けられ得るが、本開示の態様はまた、PDTを介して、眼瞼炎に関連する感染を経験する解剖学的特徴を含むがこれらに限定されない、他の解剖学的特徴を滅菌するように最適化された製剤及び/又は照明システムを提供する。例えば、例示的な製剤は、活性化照明が送達される前に感染領域が感光剤に曝露される必要な時間(浸漬時間としても公知である)を短縮するように最適化され得る。例示的な製剤は、抗菌効果を最大化するように最適化され得る。例示的な照明システムは、滅菌効果をマイボーム腺1014a、b及び/又は睫毛毛包1018a、bに局在化させて、周囲組織の不必要な刺激を回避するように最適化され得る。
【0051】
図16Aは、PDTを適用するための例示的なシステム1100を示す。システム1100の態様は、上述のシステム100a、bと同様であってもよい。これに対応して、
図16Bは、眼瞼炎の処置としてのPDTの適用例を示す。システム1100の一実施態様では、感光剤1112を含む製剤1110が処置領域1020に適用される(例えば、点眼剤として)。処置領域1020は、例えば、眼瞼炎が発生し得る上眼瞼1012aの領域を含み得る。感光剤1112は、リボフラビン、5-アミノレブリン酸(5-ALA)等であってもよい。
【0052】
感光剤1112が処置領域1020を透過すると、照明システム1120は、感光剤1112を活性化する照明(放射線)1122を送達するように動作する。感光剤1112と照明1122との相互作用は、活性酸素種(例えば、スーパーオキシド、一重項酸素及びヒドロキシルラジカル(OH))等の細胞傷害性化学種を生成する。これらの化学種は非常に毒性が高いので、処置領域1020に適用された感光剤を活性化することは、眼瞼炎を処置するための殺菌効果をもたらす。
【0053】
照明1122は、感光剤1112の吸収ピークと一致する波長を有する。例えば、感光剤1112がリボフラビンである場合、照明1122は、約350nm~約390nmの波長を有する紫外線A(UVA)であってもよい。一方、感光剤1112が5-ALAである場合、照明1122は約600nmの波長を有し得る。しかしながら、マイボーム腺1014a及び睫毛毛包1018aを取り囲む皮膚は、光を散乱させる強い傾向を有し得るので、照明1122の効果の深さを改善するためにより長い波長を使用することが有利であり得る。したがって、感光剤1112として、リボフラビンの代わりに5-ALAを使用することが有利であり得る。あるいは、感光剤1112は、更なる利点を提供し得る近赤外(NIR)範囲に吸収ピークを有する他の化合物を使用してもよい。
【0054】
照明システム1120は、発光ダイオード(LED)又はレーザ源を使用して照明1122を送達することができる。レーザビームは約50μm~約2mmの直径を有し得るので、照明1122のためのレーザ源の使用は、個々のマイボーム腺1014a及び/又は睫毛毛包1018aのより正確な標的化を可能にし得る。そのような標的化は、活性酸素種の生成を感染の可能性が高い領域に限定することができる。したがって、
図16Bに示すように、照明1122は、マイボーム腺1014aでの感光剤1112の標的化された活性化1122a及び/又は睫毛毛包1018aでの感光剤1112の標的化された活性化1122bを提供することができる(ただし、感光剤1112はより広い処置領域1020に適用されてもよい)。いくつかの実施態様では、レーザビームは、腺から腺へ、又は毛包から毛包へ順次走査することができる。レーザビームは、各ゾーンが完全に処置された後に、1つのゾーン(個々の腺又は毛包)から別のゾーンに移行することができる。あるいは、レーザビームは、反復パターンでゾーン間を移行することができ、各ゾーンは照明1122の複数の分割線量を受け、線量間の時間は、後続の線量及び活性酸素種の更なる生成による光活性化剤1112の更なる活性化のためにゾーンの酸素が補充されることを可能にする。別の実施態様では、照明1122は、特に細菌感染がマイボーム腺1014a及び睫毛毛包1018aを超えて広がっている場合、より広いLED又はレーザパターンで、眼瞼1012aのより大きな(あまり標的化されていない)領域に適用されてもよい。
【0055】
システム1100はまた、特定の処置パラメータを制御するためのコントローラ1130を含み得る。例えば、コントローラ1130は、瞬間出力、平均放射照度、総線量、及びパルス特性等の照明1122に関するパラメータを制御するために照明システム1120に結合することができ、それらのいずれか及び全ては、処置領域1020の感染領域に応じて空間的に変化し得る。更に、酸素源1140からの酸素を処置領域1020に送達して、処置のための周囲酸素のレベルを決定することができる。活性酸素種の生成及び関連する殺菌効果は、薬物濃度、周囲酸素レベル、光源放射照度、及び/又は処置時間の様々な組合わせで制御することができる。
【0056】
コントローラ1130はまた、ユーザインターフェース1132を含み得る。ユーザインターフェース1132は、コントローラ1130によって実施される処置パラメータを制御するためのオペレータからの入力を受信することができる。そのような入力は、例えば、キーボード、コンピュータマウス、タッチスクリーン、スタイラス、ダイヤル、ボタン等を介して受け取ることができる。ユーザインターフェース1132はまた、オペレータに処置情報を提供することができる。そのような処置情報は、例えば、ディスプレイ、点灯されたインジケータ、スピーカ等を介して視覚的及び/又は聴覚的に提供することができる。
【0057】
更に、コントローラ1130はまた、処置領域1020の画像を提供することができるカメラを有する撮像システム1134を含み得る。特に、撮像システム1134からの画像をマシンビジョンアルゴリズムによって使用して、具体的にはマイボーム腺1014a及び/又は睫毛毛包1018aに照明1122を検出、追跡、及び送達することができる。コントローラ1130は、これらの解剖学的構造の特徴に基づいて、マイボーム腺1014a及び睫毛毛包1018aを自動的に検出することができる。あるいは、処置の前に、オペレータは、処置領域1020の画像を受信し、ユーザインターフェース1132を介して入力を提供して、コントローラ1130によって照明1122の標的とされる領域を特定することができる。
図16Cは、眼瞼炎の処置のためのマイボーム腺1014aがマシンビジョンアルゴリズムによって自動的に検出され得るか、又はオペレータのユーザインターフェース1132への入力によって特定され得る例示的な画像1150を示す。同様の検出/特定を、睫毛毛包1018aにも使用することができる。コントローラ1130は、照明1122がマイボーム腺又は睫毛毛包に関連する処置領域に限定されることを保証することができる。
【0058】
PDTを適用するために、保持装置を使用して、照明1122の直接送達を可能にする位置で眼瞼1012aをめくり返し、保持することができる。この保持装置は、機械的マウントに固定されるクリップを含み得る。更に、角膜表面又は非標的組織(処置が必要でない場所)を照明1122への望ましくない曝露から保護するために、遮光体が使用されてもよい。例えば、遮光体は、眼1010の上に配置された不透明コンタクトレンズを含み得る。
【0059】
PDTに加えて、眼瞼炎の他の処置は、所望の滅菌効果を達成するために、凍結療法、ラジオ波(RF)療法、直接温熱療法、及び/又は超音波療法を含み得る。有利には、これらの他の処置のための滅菌効果はまた、周辺組織の不必要な刺激を回避するために、マイボーム腺1014a、b及び/又は睫毛毛包1018a、bに局在化されてもよい。
【0060】
図17は、眼瞼炎の処置としての凍結療法の適用例を示す図である。凍結療法は、ニキビダニを死滅させるのに十分低い温度の局所適用を含む。
図17に示すように、例示的な凍結療法装置1300は、活性極低温チップ1310(例えば、ハンドピースに実装される)を含む。極低温チップ1310は、例えば約-140℃~約-90℃の低温を維持し、眼瞼1012aの処置領域1030と直接物理的に接触するように配置される。極低温チップ1310で低温を達成するために、液体窒素等の極低温流体1320は、凍結療法装置1300内で内部で循環し得る。特に眼1010上への超低温材料のガス放出は、そうでなければ望ましくない損傷を引き起こす可能性がある。極低温チップ1310は、凍結療法を少数のマイボーム腺1014a又は睫毛毛包1018aに一度に適用できるようなサイズにすることができる。代替的な実施態様では、極低温チップ(例えば、ハンドピース上)の代わりに、凍結療法装置1300は、上眼瞼又は下眼瞼1018b全体を一度に処置するためにより広いサイズの極低温パッドを含み得る。そのような極低温パッドは、眼瞼を覆ったり挟み込んだりすることができる「クラムシェル」構成を有し得、眼1010が外部の極低温状態から保護されたままで、内部部分の表面(複数可)を介して凍結療法が適用され得る。
【0061】
図18は、眼瞼炎の処置としてのRF療法の適用例を示す。RF療法は、ニキビダニ及び関連する細菌を死滅させるのに十分に高い温度の局所適用を含む。例えば、ニキビダニは、約56℃を超える温度で生存することができない。
図18に示すように、RFエネルギーシステム1400は、RFジェネレータに導電結合されたRFエミッタパッド1410及びRFグランドパッド1420を含む。RFエミッタパッド1410は、眼瞼1012aの一方の側(例えば、内面)に配置され、RFグランドパッド1420は、眼瞼1012aの反対側(例えば、外面)に配置される。RFエネルギーはRFエミッタパッド1410で生成され、RFグランドパッド1420はRFエネルギーのシンクとして機能し、RF場が処置領域1040に閉じ込められたままであることを保証する。眼瞼1012aを通過するRFエネルギーは、処置領域1040の温度を上昇させる。眼瞼1012aの組織、特に脂質が豊富なマイボーム腺1014aにおけるRFエネルギーの吸収は、局所的な温度上昇をもたらす。眼瞼1012aの薄い性質を考えると、数十又は数百ギガヘルツ(GHz)程度の周波数が、所望のエネルギー送達を達成するために効果的であり得る。あるいは、RF周波数及びRFパルスパラメータは、マイボーム腺1014aに見られる脂質のRF吸収プロファイルに基づいて選択されてもよい。
【0062】
図19は、眼瞼炎の処置としての導電性発熱体を介した直接温熱療法の適用例を示す。
図19に示すように、直接温熱療法システム1500は、ジェネレータに導電結合された第1の導電性発熱体1510及び第2の導電性発熱体1520を含む。第1の導電性発熱体1510は、眼瞼1012aの一方側(例えば、内面)に配置され、第2の導電性発熱体1520は、眼瞼1012aの反対側(例えば、外面)に配置されている。導電性発熱体1510、1520は、ニキビダニ及び関連する細菌を死滅させるのに十分に高い局所温度を処置領域1050に発生させる。
【0063】
図20は、眼瞼炎の処置としてのレーザ適用による直接温熱療法の適用例を示す。
図20に示すように、直接温熱療法システム1600は、標的レーザエネルギー1610をマイボーム腺1014aに対応する第1の処置領域1060aに導き、標的レーザエネルギー1620を睫毛毛包1018aに対応する第2の処置領域1060bに導く。レーザエネルギー1610、1620は、ニキビダニ及び関連する細菌を死滅させるのに十分に高い局所温度を処置領域1060a、bに発生させる。
【0064】
直接温熱療法システム1600は、上述のPDTシステム1100の照明システム1120及びコントローラ1130と同様の構成要素を含み得る。したがって、レーザエネルギー1610、1620は、処置領域1060a、bに正確に標的化され得る。例えば、ビーム集束を使用して、約10μm~約200μmの点サイズに従ってレーザエネルギーを適用することができる。更に、レーザエネルギー1610、1620は、ナノ秒又はピコ秒の持続時間を有するパルスで適用されて、処置領域1060a、b内に所望のエネルギー密度を生成することができる。一連のパルスを定義された期間にわたって適用して、ニキビダニの死滅を確実にするのに十分な期間にわたって高温が維持されることを可能にし得る。更に、直接温熱療法システム1600は、処置領域を検出及び追跡するために撮像及びマシンビジョンアルゴリズムを自動的に使用することができるコントローラを利用し得る。代替の実施態様では、コントローラは、処置領域を特定するためのオペレータの入力を受信することができる。
【0065】
しかしながら、PDTとは対照的に、レーザエネルギー1610、1620の波長は、処置領域1060a、b内の組織の光吸収スペクトルに対応する。例えば、レーザエネルギー1610の波長は、マイボーム腺1014a内の脂質の光吸収スペクトルに対応し得る。
【0066】
図21は、眼瞼炎の処置としての超音波療法の適用例を示す。超音波処置は、ニキビダニを死滅させるのに十分な衝撃波の局所適用を含む。
図21に示すように、超音波処置システム1700は、超音波ジェネレータ及び超音波シンクパッド1720に結合された超音波エミッタパッド1710を含む。超音波エミッタパッド1710は、眼瞼1012aの片側(例えば、内面)に配置され、超音波シンクパッド1720は、眼瞼1012aの反対側(例えば、外面)に配置される。眼瞼の薄い性質を考慮すると、超音波シンク1720は、眼瞼1012a内に部分的な定常波を生成することを可能にするために使用される。ラジオ波超音波は、超音波エミッタパッド1710で生成される。インピーダンス整合ゲルを眼瞼1012aの両側に適用して、超音波エミッタパッド1710からの効率的なエネルギー伝達を促進することができる。周囲組織内のラジオ波超音波に曝露されると、ニキビダニは機械的衝撃を受け、それらの音響インピーダンスと周囲組織との間の不一致により損傷又は破壊される。
【0067】
本明細書に記載の実施形態は、情報を処理し、例示的なシステムの態様を制御するためのコントローラ及び他のデバイスを使用することができる。例えば、
図1、
図4に示す例示的な処置システム100a、bはコントローラ130を含み、
図16Aに示すシステム1100はコントローラ1130を含む。一般に、コントローラは、1つ以上のプロセッサを含む。コントローラ又は他のデバイスのプロセッサ(複数可)は、ハードウェア要素とソフトウェア要素との組合わせとして実装されてもよい。ハードウェア要素は、マイクロプロセッサ、メモリ、信号フィルタ、電子/電気チップ/回路等を含む、動作可能に結合されたハードウェア構成要素の組合わせを含むことができる。プロセッサは、ソフトウェア要素、例えば、コンピュータ可読媒体に記憶されたコンピュータ実行可能コードによって指定された動作を実行するように構成され得る。プロセッサは、本開示による機能及び動作を提供するために、任意のデバイス、システム、又はサブシステムに実装されてもよい。プロセッサは、任意の数の物理デバイス/マシンに実装され得る。実際、例示的な実施形態の処理の一部は、より良好な性能、信頼性、コスト等のために、プロセッサの任意の組合わせにわたって分散され得る。
【0068】
物理デバイス/機械は、電気技術分野(複数可)の当業者によって理解されるように、集積回路の作製によって、又は従来の構成要素回路の適切なネットワークを相互接続することによって実装され得る。物理デバイス/機械は、例えば、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、特定用途向け集積回路(ASIC)、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)等を含み得る。
【0069】
適切なソフトウェアは、ソフトウェア技術の当業者によって理解されるように、例示的な実施形態の教示に基づいて当業者のプログラマーによって容易に作成され得る。したがって、例示的な実施形態は、ハードウェア回路及び/又はソフトウェアの任意の特定の組合わせに限定されない。1つのコンピュータ可読媒体又はコンピュータ可読媒体の組合わせに記憶されて、コンピューティングシステムは、例示的な実施形態のデバイス及びサブシステムを制御するため、例示的な実施形態のデバイス及びサブシステムを駆動するため、例示的な実施形態のデバイス及びサブシステムがヒトのユーザ(ユーザインターフェース、ディスプレイ、制御)と相互作用することを可能にするため等、1つ以上のプロセッサによって実行可能なソフトウェア又は命令を含み得る。そのようなソフトウェアは、デバイスドライバ、オペレーティングシステム、開発ツール、アプリケーションソフトウェア等を含み得るがこれらに限定されない。コンピュータ可読媒体は、例示的な実施形態によって実行される処理の全部又は一部を実行するための実行可能命令を含むコンピュータプログラム製品(複数可)を更に含むことができる。例示的な実施形態によって使用されるコンピュータプログラム製品は、完全な実行可能プログラム、解釈可能プログラム、スクリプト、ダイナミックリンクライブラリ(DLL)、アプレット等を含むがこれらに限定されない任意の適切な解釈可能又は実行可能コード機構を含むことができる。プロセッサは、コンピュータ可読媒体を含むか、又は他の方法でコンピュータ可読媒体と組み合わされ得る。コンピュータ可読媒体のいくつかの形態は、例えば、ハードディスク、任意の他の適切な磁気媒体、任意の適切な光学媒体、RAM、PROM、EPROM、フラッシュメモリ、任意の他の適切なメモリチップ又はカートリッジ、任意の他の適切な不揮発性メモリ、搬送波、又はコンピュータが読み取ることができる任意の他の適切な媒体を含み得る。
【0070】
コントローラ及び他のデバイスはまた、データを記憶するためのデータベースを含み得る。そのようなデータベースは、上述のコンピュータ可読媒体に記憶することができ、任意の適切な手法に従ってデータを編成することができる。例えば、データは、関係データベース、ナビゲーションデータベース、フラットファイル、ルックアップテーブル等に格納することができる。
【0071】
本開示の態様を1つ以上の特定の実施形態を参照して説明してきたが、当業者は、本開示の精神及び範囲から逸脱することなく、本開示に多くの変更がなされ得ることを認識するであろう。これらの実施形態及びその明白な変形例の各々は、本開示の精神及び範囲内に入ると企図される。本開示の態様による追加の実施形態は、本明細書に記載の実施形態のいずれかからの任意の数の特徴を組み合わせることができることも企図される。
【国際調査報告】