(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-25
(54)【発明の名称】脱水素に有用な触媒系
(51)【国際特許分類】
B01J 23/62 20060101AFI20240118BHJP
C10G 35/09 20060101ALI20240118BHJP
【FI】
B01J23/62 Z
C10G35/09
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023537015
(86)(22)【出願日】2021-12-15
(85)【翻訳文提出日】2023-06-16
(86)【国際出願番号】 US2021063481
(87)【国際公開番号】W WO2022132877
(87)【国際公開日】2022-06-23
(32)【優先日】2020-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100128484
【氏名又は名称】井口 司
(72)【発明者】
【氏名】ルオ、リン
(72)【発明者】
【氏名】ヤン、ヤン
(72)【発明者】
【氏名】コーケン、アドリアヌス
(72)【発明者】
【氏名】ステアーズ、ブライエン
(72)【発明者】
【氏名】ボルマン、ルイス
(72)【発明者】
【氏名】マレク、アンジェイ
(72)【発明者】
【氏名】グッドフェロー、ブライアン ダブリュ.
【テーマコード(参考)】
4G169
4H129
【Fターム(参考)】
4G169AA03
4G169BA01A
4G169BA01B
4G169BA02A
4G169BA04A
4G169BA05A
4G169BA06A
4G169BB02A
4G169BB02B
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4G169BC75B
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4G169DA08
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4G169EE09
4H129AA01
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4H129CA04
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4H129KA03
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4H129KB10
4H129KC03X
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4H129KD31X
4H129KD31Y
4H129KD44X
4H129KD44Y
4H129LA10
4H129NA14
4H129NA37
(57)【要約】
本開示の1つ以上の実施形態によれば、脱水素に有用な触媒系は、98体積%~99.95体積%の触媒及び0.05体積%~2体積%の燃焼添加剤を含む。触媒は、1ppmw~150ppmwの白金、ガリウム、及び担体材料を含むことができる。燃焼添加剤は、150ppmw~1,000ppmwの白金、ガリウム、及び担体材料を含むことができる。燃焼添加剤は、触媒よりも少なくとも1.1倍多い白金を含むことができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
脱水素に有用な触媒系であって、
98体積パーセント~99.95体積パーセントの触媒であって、1重量百万分率~150重量百万分率の白金、ガリウム、及び担体材料を含む、触媒と、
0.05体積パーセント~2体積パーセントの燃焼添加剤であって、150重量百万分率~1,000重量百万分率の白金、ガリウム、及び担体材料を含む、燃焼添加剤と、を含み、
前記燃焼添加剤が、前記触媒よりも少なくとも1.1倍多い白金を含む、触媒系。
【請求項2】
前記触媒が、0.1重量パーセント~10.0重量パーセントのガリウムを含む、請求項1に記載の触媒系。
【請求項3】
前記触媒の前記担体材料が、アルミナ、シリカ、酸化チタン、又はジルコニウムを含む、請求項1又は2に記載の触媒系。
【請求項4】
前記触媒が、5重量パーセント以下のアルカリ金属又はアルカリ土類金属を更に含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の触媒系。
【請求項5】
前記燃焼添加剤が、0.1重量パーセント~10.0重量パーセントのガリウムを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の触媒系。
【請求項6】
前記燃焼添加剤の前記担体材料が、アルミナ、シリカ、酸化チタン、又はジルコニウムを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の触媒系。
【請求項7】
前記燃焼添加剤が、5重量パーセント以下のアルカリ金属又はアルカリ土類金属を更に含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の触媒系。
【請求項8】
前記触媒が、15重量百万分率~150重量百万分率の白金を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の触媒系。
【請求項9】
前記燃焼添加剤が、150重量百万分率~500重量百万分率の白金を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の触媒系。
【請求項10】
前記触媒が、0.5重量パーセント~5.0重量パーセントのガリウムを含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の触媒系。
【請求項11】
前記燃焼添加剤が、0.5重量パーセント~5.0重量パーセントのガリウムを含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の触媒系。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2020年12月18日出願の米国特許仮出願第63/127,452号に対する優先権を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、概して、化学処理に関し、より具体的には、触媒系及びそれを使用してオレフィンを生成するための方法に関する。
【背景技術】
【0003】
エチレンなどの軽質オレフィンは、ポリエチレン、塩化ビニル、及び酸化エチレンなどの多くの異なる材料を生成するためのベース材料として使用することができ、これらの材料は、製品包装、建築、及び布地に使用することができる。この実用性の結果として、軽質オレフィンに対する世界的な需要が増加している。軽質オレフィンを生成するための好適なプロセスは、一般に、所与の化学供給原料に依存し、例えば、流動触媒脱水素(fluidized catalytic dehydrogenation、FCDh)プロセスを含む。
【発明の概要】
【0004】
一般に、FCDhプロセスでは、炭化水素含有供給原料及び流動触媒がFCDhシステムの反応器部分に導入され、炭化水素含有供給原料が触媒と接触し、得られた混合物が反応器部分を通って流れて、脱水素を介してオレフィン含有流出物を生成する。触媒は、オレフィン含有流出物から分離され、FCDhシステムの触媒処理部分に送られ得る。典型的には、FCDhプロセスにおける脱水素に必要な熱は、主に、触媒処理部分における、触媒上に堆積したコークス及び/又は補助燃料などの燃焼燃料の燃焼によって提供される。具体的には、触媒処理部分における燃焼燃料の燃焼によって加熱された触媒は、反応器部分に熱を伝達する。合理的な温度で燃焼燃料を燃焼させるために、触媒は、燃焼活性を提供することに依拠する。しかしながら、触媒の燃焼活性は、典型的には、触媒がFCDhシステムを通して循環されるにつれて、脱水素活性を超える速度で低下する。結果として、触媒処理部分において十分な燃焼活性を維持するために、反応器部分において十分な脱水素活性を維持するのに必要な速度を超える速度で新鮮な触媒をFCDhシステムに添加しなければならず、これはFCDhプロセスの経済的コストを大幅に増加させる。しかしながら、本開示のオレフィンを生成するための触媒系及び方法は、経済的コストを著しく増加させることなく、FCDhシステムの触媒処理部分において十分な燃焼活性を効率的に維持することができる。これは、少なくとも部分的に、触媒及び燃焼添加剤の両方の利用によって実現される。
【0005】
本開示の1つ以上の実施形態によれば、脱水素に有用な触媒系は、98体積パーセント(体積%)~99.95体積%の触媒及び0.05体積%~2体積%の燃焼添加剤を含む。触媒は、1重量百万分率(parts per million by weight、ppmw)~150ppmwの白金、ガリウム、及び担体材料を含むことができる。燃焼添加剤は、150ppmw~1,000ppmwの白金、ガリウム、及び担体材料を含むことができる。燃焼添加剤は、触媒よりも少なくとも1.1倍多い白金を含むことができる。
【0006】
上記の全般的な説明及び下記の詳細な説明の両方は、様々な実施形態を説明し、特許請求される主題の性質及び特徴を理解するための概要又は枠組みの提供を意図していることを理解されたい。実施形態の追加の特徴及び利点は、詳細な説明に記載され、一部は添付図面及び特許請求の範囲を含む、その説明から当業者に容易に明らかになるか、又は説明された実施形態を実施することによって認識される。図面は、実施形態の更なる理解を提供するために含まれ、詳細な説明とともに、特許請求される主題の原理及び動作を説明する働きをする。しかしながら、図面に示される実施形態は、本質的に例解的かつ例示的なものであり、特許請求される主題を限定することを意図するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0007】
以下の詳細な説明は、以下の図面と併読するとより良く理解することができる。
【
図1】本開示の1つ以上の実施形態による、反応器システムを概略的に示す。
【0008】
図1の単純化された概略図を説明するとき、使用することができ、かつ当業者によく知られている数多くのバルブ、温度センサ、電子コントローラなどは含まれていない。更に、そのような反応器システム内に含まれることが多い付随する構成要素、例えば、空気供給器、熱交換器、サージタンクなども含まれない。しかしながら、これらの構成要素は、本開示の範囲内であることが理解されるべきである。
【0009】
ここで、様々な実施形態をより詳細に参照し、これらのいくつかが添付図面に例解される。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示は、触媒系及びそれを使用してオレフィンを生成するための方法を対象とする。より具体的には、本開示は、脱水素に有用な触媒系及びそれを使用してFCDhプロセスを介してオレフィンを生成するための方法を対象とする。前に考察されたように、FCDhプロセスにおける脱水素に必要な熱は、主に、FCDhシステムの触媒処理部分における、触媒上に堆積したコークス及び/又は補助燃料などの燃焼燃料の燃焼によって提供される。合理的な温度で燃焼燃料を燃焼させるために、触媒は、燃焼活性を提供することに依拠する。しかしながら、触媒の燃焼活性は、典型的には、触媒がFCDhシステムを通して循環されるにつれて、脱水素活性を超える速度で低下する。結果として、触媒処理部分において十分な燃焼活性を維持するために、反応器部分において十分な脱水素活性を維持するのに必要な速度を超える速度で新鮮な触媒をFCDhシステムに添加しなければならず、これはFCDhプロセスの経済的コストを大幅に増加させる。しかしながら、本開示のオレフィンを生成するための触媒系及び方法は、経済的コストを著しく増加させることなく、FCDhシステムの触媒処理部分において十分な燃焼活性を効率的に維持することができる。これは、少なくとも部分的に、触媒及び燃焼添加剤の両方の利用によって実現される。
【0011】
本開示で使用されるとき、「流動化反応器システム」という用語は、1つ以上の反応物が、システムの異なる部分において、気泡レジーム、スラグ流レジーム、乱流レジーム、高速流動化レジーム、空気搬送レジーム、又はこれらの組み合わせなどの流動化レジームで触媒と接触する反応器システムを指す。例えば、流動反応器システムでは、1つ以上の反応物を含有する化学供給原料を、操作温度で流通触媒と接触させて、連続反応を行い、流出物を生成することができる。
【0012】
本開示で使用されるとき、「不活性化触媒」という用語は、コークスの蓄積及び/又は触媒活性部位の喪失から生じる触媒活性の低下を有する触媒を指す。「触媒活性(catalytic activity)」及び「触媒活性catalyst activity」という用語は、触媒が、反応器システム内で行われる反応を触媒化することができる程度を指す。
【0013】
本開示で使用されるとき、「触媒再活性化」及び「触媒を再活性化する」という用語は、不活性化触媒を処理して、触媒活性の少なくとも一部分を回復させ、再活性化触媒を生成することを指す。不活性化された触媒は、限定されないが、触媒酸性度を回復させること、触媒を酸化させること、他の再活性化プロセス、又はそれらの組み合わせによって再活性化され得る。
【0014】
ここで、触媒系、及び本開示のオレフィンを生成するための方法は、例示的なFCDhシステムの文脈で説明されるであろう。
図1の概略図は、単なる例示的なシステムであり、他のFCDhシステムが同様に企図されており、説明される概念は、そのような代替システムで利用することができることが理解されるべきである。例えば、説明される概念は、非流動状態下で操作されるもの、又はライザーではなくダウナーであるものなどの、代替の反応器単位及び再生単位を備えた他のシステムに等しく適用することができる。追加的に、他の脱水素システム(例えば、異なる化学供給原料を利用する)が企図されるため、本明細書で説明される触媒系、及びオレフィンを生成するための方法は、
図1に関して説明される反応器システムなどの、FCDhプロセスを通して軽質オレフィンを生成するように設計された反応器システムについての実施形態のみに限定されるべきではない。
【0015】
ここで
図1を参照して、例示的な反応器システム102が概略的に示されている。反応器システム102は、一般に、反応器部分200及び触媒処理部分300を含む。
図1の文脈において本明細書で使用されるとき、反応器部200は、主要なプロセス反応が行われる反応器システム102の一部分を指す。例えば、反応器システム102は、反応器システム102の反応器部分200において、脱水素触媒の存在下で炭化水素含有供給原料が脱水素されるFCDhシステムであり得る。反応器部分200は、一般に、反応器202を含み、これは、下流にある反応器セクション250、上流にある反応器セクション230、及び反応器202内で生成された流出物から触媒を分離する働きをする触媒分離セクション210を含むことができる。
【0016】
同様に、
図1の文脈において使用されるとき、触媒処理部分300は、触媒が、コークス堆積物の除去、加熱、再活性化、又はこれらの組み合わせなどの何らかの方式で処理される反応器システム102の一部分を指す。触媒処理部分300は、一般に、燃焼器350、ライザー330、触媒分離セクション310、及び酸素処理ゾーン370を含む。燃焼器350は、ライザー330と流体連通することができる。燃焼器350はまた、配水塔426を介して触媒分離セクション210と流体連通することができ、配水塔426は、触媒処理(例えば、コークス除去、加熱、再活性化など)のために反応器部分200から触媒処理部分300に不活性化された触媒を送給することができる。酸素処理ゾーン370は、上流にある反応器セクション250と流体連通することができ(例えば、配水塔424及び移送ライザー430を介して)、反応器セクション250は、処理された触媒を触媒処理部分300から反応器部分200に戻すように送給することができる。燃焼器350は、空気流入口428を燃焼器350に接続する1つ以上の下部燃焼器流入ポート352を含むことができる。空気流入口428は、空気及び/又は酸素含有ガスなどの他の反応性ガスを燃焼器350に送給することができる。燃焼器350はまた、炭化水素ストリームなどの燃料を燃焼器350に送給することができる燃料流入口354を含むことができる。酸素処理ゾーン370は、触媒の酸素処理のために酸素含有ガスを酸素処理ゾーン370に送給することができる酸素含有ガス流入口372を含むことができる。
【0017】
なお
図1を参照して、通常の操作条件下で脱水素反応を行うための反応器システム102の一般操作について説明する。反応器システム102の反応器部分200の動作中、炭化水素含有供給原料は、供給原料流入口434を介して反応器部分200に入り、移送ライザー430を介して反応器部分200に導入された流動触媒と接触することができ、オレフィン含有流出物は、パイプ420を介して反応器部分200を出ることができる。1つ以上の実施形態では、炭化水素含有供給原料及び流動触媒は、上流にある反応器セクション250に導入され、炭化水素含有供給原料は、上流にある反応器セクション250において触媒と接触し、得られた混合物は、下流にある反応器セクション230に及び反応器セクション230を通って上向きに流れて、オレフィン含有流出物を生成する。
【0018】
1つ以上の実施形態では、炭化水素含有供給原料は、エタン、プロパン、n-ブタン、i-ブタン、エチルベンゼン、又はこれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、炭化水素含有供給原料は、少なくとも50重量パーセント(重量%)、少なくとも60重量%、少なくとも70重量%、少なくとも80重量%、少なくとも90重量%、少なくとも95重量%、又は少なくとも99重量%のエタンを含む。いくつかの実施形態では、炭化水素含有供給原料は、少なくとも50重量%、少なくとも60重量%、少なくとも70重量%、少なくとも80重量%、少なくとも90重量%、少なくとも95重量%、又は少なくとも99重量%のプロパンを含む。いくつかの実施形態では、炭化水素含有供給原料は、少なくとも50重量%、少なくとも60重量%、少なくとも70重量%、少なくとも80重量%、少なくとも90重量%、少なくとも95重量%、又は少なくとも99重量%のn-ブタンを含む。いくつかの実施形態では、炭化水素含有供給原料は、少なくとも50重量%、少なくとも60重量%、少なくとも70重量%、少なくとも80重量%、少なくとも90重量%、少なくとも95重量%、又は少なくとも99重量%のi-ブタンを含む。いくつかの実施形態では、炭化水素含有供給原料は、少なくとも50重量%、少なくとも60重量%、少なくとも70重量%、少なくとも80重量%、少なくとも90重量%、少なくとも95重量%、又は少なくとも99重量%のエチルベンゼンを含む。いくつかの実施形態では、炭化水素含有供給原料は、少なくとも50重量%、少なくとも60重量%、少なくとも70重量%、少なくとも80重量%、少なくとも90重量%、少なくとも95重量%、又は少なくとも99重量%のエタン、プロパン、n-ブタン、i-ブタン、及びエチルベンゼンの合計を含む。
【0019】
1つ以上の実施形態では、オレフィン含有流出物は、軽質オレフィンを含む。本開示で使用されるとき、「軽質オレフィン」という用語は、エチレン、プロピレン、及びブテンのうちの1つ以上を指す。ブテンという用語は、α-ブチレン、シス-β-ブチレン、トランス-β-ブチレン、及びイソブチレンなどの、ブテンの任意の異性体を含む。いくつかの実施形態では、オレフィン含有流出物は、オレフィン含有流出物の総重量に基づいて、少なくとも25重量%の軽質オレフィンを含む。例えば、オレフィン含有流出物は、オレフィン含有流出物の総重量に基づいて、少なくとも35重量%の軽質オレフィン、少なくとも45重量%の軽質オレフィン、少なくとも55重量%の軽質オレフィン、少なくとも65重量%の軽質オレフィン、又は少なくとも75重量%の軽質オレフィンを含むことができる。
【0020】
1つ以上の実施形態では、触媒は、触媒的活性粒子を含む。いくつかの実施形態では、触媒は、ガリウム、白金、アルカリ金属、アルカリ土類金属、及び担体材料のうちの1つ以上を含む。
【0021】
1つ以上の実施形態では、触媒は、触媒の総重量に基づいて、1ppmw~150ppmwの白金を含む。例えば、触媒は、触媒の総重量に基づいて、1ppmw~100ppmw、1ppmw~50ppmw、1ppmw~25ppmw、1ppmw~15ppmw、1ppmw~5ppmw、5ppmw~150ppmw、5ppmw~100ppmw、5ppmw~50ppmw、5ppmw~25ppmw、5ppmw~15ppmw、15ppmw~150ppmw、15ppmw~100ppmw、15ppmw~50ppmw、15ppmw~25ppmw、25ppmw~150ppmw、25ppmw~100ppmw、25ppmw~50ppmw、50ppmw~150ppmw、50ppmw~100ppmw、又は100ppmw~150ppmwの白金を含むことができる。
【0022】
1つ以上の実施形態では、触媒は、触媒の総重量に基づいて、0.1重量%~10.0重量%のガリウムを含む。例えば、触媒は、触媒の総重量に基づいて、0.1重量%~7.5重量%、0.1重量%~5.0重量%、0.1重量%~2.5重量%、0.1重量%~0.5重量%、0.5重量%~10.0重量%、0.5重量%~7.5重量%、0.5重量%~5.0重量%、0.5重量%~2.5重量%、2.5重量%~10.0重量%、2.5重量%~7.5重量%、2.5重量%~5.0重量%、5.0重量%~10.0重量%、5.0重量%~7.5重量%、又は7.5重量%~10重量%のガリウムを含むことができる。
【0023】
1つ以上の実施形態では、触媒は、任意選択で、触媒の総重量に基づいて、5重量%未満のアルカリ金属又はアルカリ土類金属を含む。例えば、触媒は、触媒の総重量に基づいて、0重量%~5重量%、0重量%~4重量%、0重量%~3重量%、0重量%~2重量%、0重量%~1重量%、1重量%~5重量%、1重量%~4重量%、1重量%~3重量%、1重量%~2重量%、2重量%~5重量%、2重量%~4重量%、2重量%~3重量%、3重量%~5重量%、3重量%~4重量%、若しくは4重量%~5重量%のアルカリ金属又はアルカリ土類金属を含むことができる。
【0024】
1つ以上の実施形態では、触媒は、担体材料を含む。具体的には、触媒は、担体材料上に配置及び/若しくは分散されたガリウム、白金、アルカリ金属、並びに/又はアルカリ土類金属を含むことができる。いくつかの実施形態では、担体材料は、アルミナ、シリカ、酸化チタン、及びジルコニウムのうちの1つ以上を含む。例えば、担体材料は、アルミナ、シリカ含有アルミナ、酸化チタン含有アルミナ、及びジルコニウム含有アルミナのうちの1つ以上を含むことができる。
【0025】
なお
図1を参照して、オレフィン含有流出物及び触媒は、下流にある反応器セクション230から出て触媒分離セクション210内の分離デバイス220に送ることができる。触媒は、分離デバイス220内でオレフィン含有流出物から分離することができる。次いで、オレフィン含有流出物は、触媒分離セクション210から移送することができる。例えば、分離されたオレフィン含有流出物は、触媒分離セクション210のガス流出ポート216でパイプ420を介して反応器システム102から除去することができる。1つ以上の実施形態では、分離デバイス220は、粉末分離の2つ以上の段階を含むことができる粉末分離システムであってもよい。
【0026】
なお
図1を参照して、分離デバイス220におけるオレフィン含有流出物からの分離に続いて、触媒は、一般に、ストリッパー224を通って反応器触媒流出ポート222に移動することができ、そこで、触媒は、配水塔426を介して反応器部分200から出て触媒処理部分300の燃焼器350に転送することができる。任意選択で、触媒はまた、配水塔422を介して上流反応器セクション250に直接転送されて戻すこともできる。1つ以上の実施形態では、ストリッパー224からの再循環された触媒は、移送ライザー430内の触媒処理部分300からの処理された触媒と予備混合することができる。
【0027】
触媒処理部分300に送られると、触媒は、触媒処理部分300において処理され得る。本開示で使用されるとき、「触媒処理」という用語は、反応器システムの反応器部分に再導入するための触媒を調製することを指す。1つ以上の実施形態では、触媒を処理することは、触媒からコークス堆積物を除去すること、燃焼燃料の燃焼を通して触媒の温度を上げること、触媒を再活性化すること、触媒から1つ以上の成分をストリッピングすること、又はこれらの組み合わせを含む。
【0028】
いくつかの実施形態では、触媒を処理することは、燃焼器350内で、触媒の存在下で燃焼燃料を燃焼させて、触媒上のコークス堆積物を除去し、かつ/又は触媒を加熱して、処理された触媒及び燃焼ガスを生成することを含む。本開示で使用されるとき、「処理された触媒」という用語は、反応器システム102の触媒処理部分300において処理された触媒を指す。処理された触媒は、触媒分離部分310において燃焼ガスから分離することができ、いくつかの実施形態では、次いで、加熱された触媒の酸素処理を行うことによって再活性化することができる。酸素処理は、触媒を、触媒を再活性化するのに十分な期間、酸素含有ガスと接触させることを含み得る。
【0029】
1つ以上の実施形態では、燃焼燃料は、反応器部分200において触媒上に堆積したコークス又は他の汚染物質を含む。触媒は、反応器部分200における反応に続いてコークス化することができ、コークスは、燃焼器350内での燃焼反応によって触媒から除去することができる。例えば、酸化剤(空気など)は、空気流入口428を介して燃焼器350に供給することができる。代替的に又は追加的に、コークスが触媒上に形成されないとき、又は触媒上に形成されたコークスの量が触媒を所望の温度まで加熱するために燃やすのに十分ではないときなどには、補助燃料を燃焼器350に注入することができ、これを燃やして、触媒を加熱することができる。好適な補助燃料としては、メタン、天然ガス、エタン、プロパン、水素、又は燃焼時にエネルギー価値を提供する任意のガスが挙げられ得る。
【0030】
処理された触媒は、燃焼器350から出て、ライザー330を通ってライザー終端分離器378に送ることができ、そこで、ライザー330からのガス及び固体構成成分が少なくとも部分的に分離され得る。蒸気及び残りの固体は、触媒分離セクション310内の二次分離デバイス320に移送することができ、そこで、残りの処理された触媒は、触媒処理からのガス(例えば、コークス堆積物及び補助燃料の燃焼によって放出されたガス)から分離される。いくつかの実施形態では、二次分離デバイス320は、1つ又は複数のサイクロン分離ユニットを含むことができ、サイクロン分離ユニットは、直列に又は多数のサイクロン対に配列することができる。触媒の処理中のコークス及び/若しくは補助燃料の燃焼からの燃焼ガス、又は触媒処理中に触媒に導入された他のガスは、燃焼ガスの流出口432を介して触媒処理部分300から除去することができる。
【0031】
前に考察されたように、反応器システム102の触媒-処理部分300において触媒を処理することは、触媒を再活性化することを含み得る。触媒を加熱するために触媒の存在下で補助燃料を燃焼させると、触媒を更に不活性化する場合がある。したがって、いくつかの実施形態では、酸素処理を通して触媒を調整することによって、触媒を再活性化することができる。触媒を再活性化するための酸素処理は、触媒を加熱するための補助燃料の燃焼後に行うことができる。いくつかの実施形態では、酸素処理は、処理された触媒を酸素含有ガスで処理することを含む。酸素含有ガスは、酸素含有ガスの総モル流量に基づいて、5モルパーセント(mol%)~100mol%の酸素含有量を含むことができる。いくつかの実施形態では、酸素処理は、処理された触媒を少なくとも摂氏660度(℃)の温度に維持しながら、処理された触媒を再活性化する(例えば、処理された触媒の触媒活性を増加させる)のに十分な期間、触媒を酸素含有ガスの流れに曝露することを含む。
【0032】
1つ以上の実施形態では、酸素含有ガスでの処理された触媒の処理は、酸素処理ゾーン370において行われる。いくつかの実施形態では、酸素処理ゾーン370は、処理された触媒が、酸素処理中に酸素含有ガスに曝露される前に燃焼ガスから分離されるように、触媒-処理部分300の触媒分離部分310の下流にある。いくつかの実施形態では、酸素処理ゾーン370は、流体固体接触デバイスを含む。流体固体接触デバイスは、処理された触媒の酸素含有ガスとの接触を容易にするためのバッフル又はグリッド構造を含むことができる。流体固体接触デバイスの例は、米国特許第9,827,543号及び同第9,815,040号に更に詳細に説明されている。
【0033】
1つ以上の実施形態では、反応器システム102の触媒処理部分300において触媒を処理することは、処理された触媒から、触媒粒子内又は触媒粒子間に捕捉された分子酸素及び少なくとも660℃の温度で脱着可能である物理吸着酸素をストリッピングすることを含む。ストリッピング工程は、処理された触媒を少なくとも660℃の温度に維持することと、処理された触媒を、粒子間から分子酸素及び少なくとも660℃の温度で脱着可能な物理吸着酸素を除去するのに十分な期間、分子酸素及び可燃性燃料を実質的に含まないストリッピングガスに曝露することと、を含み得る。これらの触媒再活性化プロセスの更なる説明は、米国特許第9,834,496号に開示されている。
【0034】
なお
図1を参照して、触媒の処理に続いて、処理された触媒は、触媒処理部分300から、配水塔424を介して反応器部分200に戻すように送ることができる。例えば、処理された触媒は、酸素処理ゾーン370から、配水塔424及び移送ライザー430を介して上流にある反応器セクション250に送ることができ、そこで、処理された触媒は、炭化水素含有供給原料の脱水素反応に更に利用することができる。したがって、動作中、触媒は、反応器部分200と触媒処理部分300との間を循環することができる。一般に、炭化水素含有供給原料及びオレフィン含有流出物を含む処理された化学ストリームはガス状であり得、また、触媒は流動微粒子固体であり得る。1つ以上の実施形態では、反応器システム102は、補助水素を反応器システム102に提供する水素流入口ストリーム480を含むことができる。
【0035】
前に考察されたように、燃焼器350における燃焼反応(すなわち、燃焼燃料の燃焼)は、触媒によって促進することができる。つまり、触媒は、燃焼器350内で燃焼活性を提供することができる。しかしながら、触媒の燃焼活性は、触媒が反応器部分200と触媒処理部分300との間で循環されるにつれて経時的に低下する場合がある。結果として、反応器システム102の動作中、燃焼燃料は、燃焼器350における燃焼活性の十分な維持なしには、燃焼器350の典型的な動作温度及び圧力ではもはや燃焼しない場合がある。燃焼器305の典型的な動作温度は、600℃~850℃であり得、燃焼器350の典型的な動作圧力は、絶対平方インチ当たり15ポンド(pounds per square inch absolute、psia)~60psiaであり得る。
【0036】
1つ以上の実施形態では、燃焼器350内の燃焼活性は、反応器システム102に燃焼添加剤を導入することによって十分に維持することができる。いくつかの実施形態では、燃焼添加剤は、反応器部分200、触媒処理部分300、又はその両方を介して反応器システム102に導入される。例えば、燃焼添加剤は、移送ライザー430を介して反応器システム102に導入することができる。
【0037】
いくつかの実施形態では、燃焼添加剤は、触媒的活性粒子を含む。いくつかの実施形態では、燃焼添加剤は、ガリウム、白金、アルカリ金属、アルカリ土類金属、及び担体材料のうちの1つ以上を含む。いくつかの実施形態では、燃焼添加剤は、触媒と同様の材料及び/又は同じ材料を含むことができる。例えば、いくつかの実施形態では、触媒及び燃焼添加剤の両方が、アルミナ担体材料上に配置及び/又は分散されたガリウム並びに白金を含むことができる。
【0038】
1つ以上の実施形態では、燃焼添加剤は、触媒の総重量に基づいて、150ppmw~1,000ppmwの白金を含む。例えば、燃焼添加剤は、燃焼添加剤の総重量に基づいて、150ppmw~750ppmw、150ppmw~500ppmw、150ppmw~250ppmw、150ppmw~200ppmw、200ppmw~1,000ppmw、200ppmw~750ppmw、200ppmw~500ppmw、200ppmw~250ppmw、250ppmw~1,000ppmw、250ppmw~750ppmw、250ppmw~500ppmw、500ppmw~1,000ppmw、500ppmw~750ppmw、又は750ppmw~1,000ppmwの白金を含むことができる。
【0039】
1つ以上の実施形態では、燃焼添加剤は、触媒よりも少なくとも1.1倍多い白金を含む。例えば、燃焼添加剤は、触媒よりも少なくとも1.5倍、少なくとも2倍、少なくとも5倍、少なくとも10倍、少なくとも20倍、又は少なくとも50倍多い白金を含むことができる。いかなる特定の理論に束縛されるものではないが、触媒及び燃焼添加剤の燃焼活性は、主として、白金によって提供されると考えられる。触媒は、一般に、好適な燃焼活性を提供するのに十分な量の利用可能な白金を含むが、触媒の燃焼活性は、前に考察されたように徐々に低下する。追加的に、白金の量の増加は、燃焼活性の増加した保持力と相関しないと考えられる。結果として、FCDhプロセスの経済的コストを増加させ得る、触媒上の白金の量の増加は、脱水素活性、又は増加した期間にわたって好適な燃焼活性を維持する触媒の能力のいずれにも有意な増加を提供しない場合がある。
【0040】
1つ以上の実施形態では、燃焼添加剤は、燃焼添加剤の総重量に基づいて、0.1重量%~10.0重量%のガリウムを含む。例えば、燃焼添加剤は、燃焼添加剤の総重量に基づいて、0.1重量%~7.5重量%、0.1重量%~5.0重量%、0.1重量%~2.5重量%、0.1重量%~0.5重量%、0.5重量%~10.0重量%、0.5重量%~7.5重量%、0.5重量%~5.0重量%、0.5重量%~2.5重量%、2.5重量%~10.0重量%、2.5重量%~7.5重量%、2.5重量%~5.0重量%、5.0重量%~10.0重量%、5.0重量%~7.5重量%、又は7.5重量%~10重量%のガリウムを含むことができる。
【0041】
1つ以上の実施形態では、燃焼添加剤は、任意選択で、燃焼添加剤の総重量に基づいて、5重量%未満のアルカリ金属又はアルカリ土類金属を含む。例えば、燃焼添加剤は、燃焼添加剤の総重量に基づいて、0重量%~5重量%、0重量%~4重量%、0重量%~3重量%、0重量%~2重量%、0重量%~1重量%、1重量%~5重量%、1重量%~4重量%、1重量%~3重量%、1重量%~2重量%、2重量%~5重量%、2重量%~4重量%、2重量%~3重量%、3重量%~5重量%、3重量%~4重量%、若しくは4重量%~5重量%のアルカリ金属又はアルカリ土類金属を含むことができる。
【0042】
1つ以上の実施形態では、燃焼添加剤は、担体材料を含む。具体的には、燃焼添加剤は、担体材料上に配置及び/若しくは分散されたガリウム、白金、アルカリ金属、並びに/又はアルカリ土類金属を含むことができる。いくつかの実施形態では、担体材料は、アルミナ、シリカ、酸化チタン、及びジルコニウムのうちの1つ以上を含む。例えば、担体材料は、アルミナ、シリカ含有アルミナ、酸化チタン含有アルミナ、及びジルコニウム含有アルミナのうちの1つ以上を含むことができる。
【0043】
前に考察されたように、燃焼添加剤を反応器システム102に導入して、燃焼器350内で十分な燃焼活性を維持することができる。1つ以上の実施形態では、燃焼添加剤は、燃焼ガス(すなわち、燃焼器350において燃焼燃料を燃焼させることによって生成されたガス)が、触媒処理部分300の温度及び圧力で燃焼ガスの燃焼下限界(lower flammability limit、LFL)の5%を超える量の1つ以上の炭化水素(例えば、メタン、エタン、及び/又はプロパン)を含むときに、反応器システム102に導入され得る。例えば、燃焼ガスが、触媒処理部分300の温度及び圧力で燃焼ガスのLFLの10%を超える量の1つ以上の炭化水素を含むとき、燃焼添加剤は、反応器システム102に導入され得る。本開示で使用されるとき、「燃焼下限界」という用語は、空気中のガス又は蒸気の可燃性混合物が所与の温度及び圧力で点火され得る濃度範囲の下端を指す。燃焼ガスのLFLは、反応性化学試験によって、又はMichael G.Zabetakis,Flammability Characteristics of Combustible Gases and Vapors,627 BUREAU OF MINES 1(1965)によって説明されているように決定することができ、Coward et al.,Limits of Flammability of Gases and Vapors,503 BUREAU OF MINEs 1(1952)による圧力調節を有する。前に考察されたように、水素を好適な補助燃料として使用することができるが、典型的な水素源は、いくらかの量の1つ以上の炭化水素を含むことができることが理解されるべきである。したがって、水素が燃焼燃料として使用される実施形態であっても、燃焼ガスが触媒処理部分300の温度及び圧力で燃焼ガスのLFLの5%を超える量の1つ以上の炭化水素を含むとき、燃焼添加剤は、反応器システム102に導入され得る。
【0044】
1つ以上の実施形態では、反応器システム102に導入される燃焼添加剤の量は、触媒の体積及び燃焼添加剤の体積の合計の0.05体積パーセント(体積%)~2体積%である。例えば、反応器システム102に導入される燃焼添加剤の量は、触媒の体積及び燃焼添加剤の体積の合計の0.05体積%~1.5体積%、0.05体積%~1体積%、0.05体積%~0.5体積%、0.5体積%~2体積%、0.5体積%~1.5体積%、0.5体積%~1体積%、1体積%~2体積%、1体積%~1.5体積%、又は1.5体積%~2体積%であり得る。
【0045】
反応器システム102に導入されると、燃焼添加剤は、触媒と混合し、結果として、触媒に関して前に考察されたように、反応器システム102を通って循環することが理解されるべきである。言い換えれば、反応器システム102に燃焼添加剤を導入すると、触媒と燃焼添加剤との混合物である触媒系を生成することができる。追加的に、触媒系が反応器システム102での使用中に「劣化」し、及び/又は触媒的活性粒子が摩耗により自然に喪失するとき、燃焼添加剤及び触媒が互いに区別できなくなる場合がある。これに関連して、触媒系は、反応器システム102の動作中に元の触媒と機能的に同等になり得、新鮮な燃焼添加剤を反応器システム102に再び導入することができる。反応器システム102の動作中の触媒及び燃焼添加剤の特性の自然な変化に起因して、燃焼添加剤及び/又は触媒の特性並びに量は、反応器システム102への燃焼添加剤の導入時の燃焼添加剤及び/又は触媒の特性並びに量を指し得る。
【0046】
いくつかの実施形態では、触媒系は、0.05体積%~2体積%の燃焼添加剤を含むことができる。例えば、触媒系は、0.05体積%~1.5体積%、0.05体積%~1体積%、0.05体積%~0.5体積%、0.5体積%~2体積%、0.5体積%~1.5体積%、0.5体積%~1体積%、1体積%~2体積%、1体積%~1.5体積%、又は1.5体積%~2体積%の燃焼添加剤を含むことができる。いくつかの実施形態では、触媒系は、98体積%~99.95体積%の触媒を含むことができる。例えば、触媒系は、98体積%~99.5体積%、98体積%~99体積%、98体積%~98.5体積%、98.5体積%~99.95体積%、98.5体積%~99.5体積%、98.5体積%~99体積%、99体積%~99.95体積%、99体積%~99.5体積%、又は99.5体積%~99.95体積%の触媒を含むことができる。
【実施例】
【0047】
本開示の様々な実施形態は、以下の実施例によって更に明確化される。これらの実施例は、本質的に例解的なものであり、本出願の主題を限定するものとして理解されるべきではない。
【0048】
実施例1
実施例1では、触媒的活性粒子(すなわち、触媒及び/又は燃焼添加剤)の7つの異なる試料を調製した。実施例1の目的で、各試料のガリウム及びカリウム投入量は、それぞれ1.6重量%及び0.25重量%で一定であったが、各試料の白金投入量を変動させた。Marceau et al.,Impregnation and Drying,SYNTHESIS OF SOLID CATALYSTS 59(2008)で説明されているように、各試料を従来の初期湿潤含浸法を介してアルミナ担体材料に白金、ガリウム、及び任意選択で、ガリウムを投入することによって生成した。各試料の白金投入量を表1に報告する。
【0049】
【0050】
実施例2
実施例2では、触媒的活性粒子の白金投入量などの様々な特性が脱水素活性に及ぼす影響を調査した。大規模流動触媒脱水素システムにおける触媒的活性粒子の劣化をシミュレートするために、いくつかの試料を劣化プロトコルに供した。具体的には、試料A~Cを4回の高温処理-ジェット処理サイクル(「プロトコルI」とも称される)に供した。各サイクルは、750℃の空気下での10時間の処理、続いて300ft/秒のジェット速度を有する窒素ジェット下での48時間の処理を含んでいた。ジェット処理は、Cocco et al.,Jet Cup Attrition Testing,200 Powder Technology 224(2010)で説明されているように、パイロットジェットカップ摩耗設備内で行った。
【0051】
次に、いくつかの試料の新鮮なバージョン及び劣化したバージョンを脱水素活性について試験した。具体的には、脱水素試験を、実験室でシミュレートされた反応-再生サイクル下で固定床リグ内で実施した。各反応サイクルを、625℃で60秒間、8時間-1のWHSV及び95%プロパン/5%窒素の供給組成で行った。各再生サイクルを、空気下で、750℃で15分間行った。各実行についてのデータを、ストリーム上で15秒収集した。各実行のサイクル15からの結果を表2に報告する。全ての報告された指数は、試料Bの性能で正規化された性能に基づくことに留意されるべきである。
【0052】
【0053】
表2によって示されるように、ガリウムを含まない試料(すなわち、試料H)は、限定された脱水素活性しか提供しなかった。対照的に、ガリウムを含み、白金を含まない試料(すなわち、試料G)は、好適な脱水素活性を提供した。更に、ガリウムを含む触媒的活性粒子への比較的少量の白金の添加は、試料A及びGの比較によって示されるように、触媒的活性粒子の脱水素活性を著しく強化した。しかしながら、表2は、試料A~Dの比較によって示されるように、白金の量の更なる増加によって、脱水素活性が更に増加しなかったことを示す。
【0054】
実施例3
実施例3では、触媒的活性粒子の白金投入量などの様々な特性が燃焼活性に及ぼす影響を調査した。大規模流動触媒脱水素システムにおける触媒的活性粒子の劣化をシミュレートするために、いくつかの試料を劣化プロトコルに供した。具体的には、試料B~F及びHを6回の高温処理-ジェット処理サイクル(「プロトコルII」とも称される)に供した。各サイクルを、実施例2で説明されるようなプロトコルIと同様に行ったが、熱処理を48時間行い、ジェット処理を150ft/秒のジェット速度で6時間行った。
【0055】
次に、いくつかの試料の新鮮なバージョン及び劣化したバージョンを燃焼活性について試験した。具体的には、燃焼試験を、固定床リグ内で、空気中に2mol%のメタン下で、750℃で100分間実施した。各実行の結果を表3に報告する。全ての報告された指数は、試料Bの性能で正規化された性能に基づくことに留意されるべきである。
【0056】
【0057】
表3によって示されるように、白金投入量を増加させた試料は、燃焼活性の増加を提供した。しかしながら、増加した白金投入量を有する試料はまた、不十分な活性保持率を有していた。つまり、表3は、触媒的活性粒子の白金投入量の増加が、触媒的活性粒子が好適な燃焼活性を維持する持続時間の対応する増加を必ずしももたらさないことを示している。より簡潔に言えば、表3は、白金投入量を50%増加させても、触媒的活性粒子が好適な燃焼活性を維持する持続時間を必ずしも50%増加させないことを示している。
【0058】
いくつかの態様が本明細書で開示される。一態様は、脱水素に有用な触媒系であって、98体積パーセント~99.95体積パーセントの触媒であって、1重量百万分率~150重量百万分率の白金、ガリウム、及び担体材料を含む、触媒と、0.05体積パーセント~2体積パーセントの燃焼添加剤であって、150重量百万分率~1,000重量百万分率の白金、ガリウム、及び担体材料を含む、燃焼添加剤と、を含み、燃焼添加剤が、触媒よりも少なくとも1.1倍多い白金を含む、触媒系である。
【0059】
別の態様は、触媒が、0.1重量パーセント~10.0重量パーセントのガリウムを含む、本明細書に開示される任意の他の態様である。
【0060】
別の態様は、触媒の担体材料が、アルミナ、シリカ、酸化チタン、又はジルコニウムを含む、本明細書に開示される任意の他の態様である。
【0061】
別の態様は、触媒が、5重量パーセント以下のアルカリ金属又はアルカリ土類金属を更に含む、本明細書に開示される任意の他の態様である。
【0062】
別の態様は、燃焼添加剤が、0.1重量パーセント~10.0重量パーセントのガリウムを含む、本明細書に開示される任意の他の態様である。
【0063】
別の態様は、燃焼添加剤の担体材料が、アルミナ、シリカ、酸化チタン、又はジルコニウムを含む、本明細書に開示される任意の他の態様である。
【0064】
別の態様は、燃焼添加剤が、5重量パーセント以下のアルカリ金属又はアルカリ土類金属を更に含む、本明細書に開示される任意の他の態様である。
【0065】
別の態様は、触媒が、15重量百万分率~150重量百万分率の白金を含む、本明細書に開示される任意の他の態様である。
【0066】
別の態様は、燃焼添加剤が、150重量百万分率~500重量百万分率の白金を含む、本明細書に開示される任意の他の態様である。
【0067】
別の態様は、触媒が、0.5重量パーセント~5.0重量パーセントのガリウムを含む、本明細書に開示される任意の他の態様である。
【0068】
別の態様は、燃焼添加剤が、0.5重量パーセント~5.0重量パーセントのガリウムを含む、本明細書に開示される任意の他の態様である。
【0069】
本明細書に開示される寸法及び値は、列挙されたまさにその数値に厳密に限定されると理解されるべきではない。代わりに、別段明記されない限り、そのような各寸法及び値は、列挙された値とその値を取り巻く機能的に同等な範囲との両方を意味することが意図される。例えば、「150ppmw」として開示される値は、「約150ppmw」を意味することが意図される。
【0070】
存在する場合、任意の相互参照された又は関連する特許若しくは特許出願、及び本出願がその優先権又は利益を主張する任意の特許若しくは特許出願も含めて、本開示で引用される文書は全て、明示的に除外又は別途制限されない限り、参照によりその全体が組み込まれる。いかなる文書の引用も、開示又は特許請求されるいかなる実施形態に関しても、それが先行技術であること、又はそれ単独若しくはいかなる他の単一若しくは複数の参照文献との組み合わせにおいても、いかなるそのような実施形態も教示、示唆、又は開示することを認めるものではない。更に、本文書における任意の用語の意味又は定義が、参照により組み込まれた文書における同じ用語の任意の意味又は定義と矛盾する場合は、本文書においてその用語に割り当てられた意味又は定義が適用される。
【0071】
以下の特許請求の範囲のうちの1つ以上は、「ここで」という用語を移行句として利用することに留意されたい。本開示の実施形態を定義する目的で、この用語は、実施形態の一連の特徴の列挙を導入するために使用される制限のない移行句として特許請求の範囲に導入され、より一般的に使用される制限のない「を含む」というプリアンブル用語と同様に解釈されるべきであることに留意されたい。
【0072】
本開示の範囲から逸脱することなく、本明細書に開示される実施形態に様々な修正及び変更を加え得ることが当業者には明らかであろう。本開示の範囲を組み込んでいる本明細書に開示される実施形態の修正、組み合わせ、副組み合わせ、及び変更は、当業者に思い付き得るため、本開示は、添付の特許請求の範囲及びそれらの均等物の範囲内の全てを含むと解釈されるべきである。
【国際調査報告】