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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-25
(54)【発明の名称】シーラント組成物
(51)【国際特許分類】
   C08L 83/06 20060101AFI20240118BHJP
   C08K 3/013 20180101ALI20240118BHJP
   C08K 5/29 20060101ALI20240118BHJP
   C08K 5/17 20060101ALI20240118BHJP
   C08K 5/57 20060101ALI20240118BHJP
   C08K 9/06 20060101ALI20240118BHJP
   C09K 3/10 20060101ALI20240118BHJP
【FI】
C08L83/06
C08K3/013
C08K5/29
C08K5/17
C08K5/57
C08K9/06
C09K3/10 G
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023537017
(86)(22)【出願日】2021-12-20
(85)【翻訳文提出日】2023-06-16
(86)【国際出願番号】 US2021064261
(87)【国際公開番号】W WO2022140217
(87)【国際公開日】2022-06-30
(31)【優先権主張番号】63/129,072
(32)【優先日】2020-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590001418
【氏名又は名称】ダウ シリコーンズ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(72)【発明者】
【氏名】ディミトロヴァ、タチアナ
(72)【発明者】
【氏名】ヴァン スティップハウト、アン-マリー
【テーマコード(参考)】
4H017
4J002
【Fターム(参考)】
4H017AA03
4H017AA27
4H017AB15
4H017AD03
4H017AE03
4J002CP051
4J002DJ016
4J002EN029
4J002EN039
4J002ER029
4J002EU119
4J002EU139
4J002EX017
4J002EX037
4J002EX077
4J002EZ048
4J002FB096
4J002FB116
4J002FD010
4J002FD016
4J002FD090
4J002FD147
4J002FD158
4J002FD159
4J002FD180
4J002GJ02
4J002GL00
4J002GN00
(57)【要約】
本開示は、一液型室温加硫性(RTV)シリコーン組成物に関し、その一液型室温加硫性(RTV)シリコーン組成物は、1分子当たり少なくとも2個の加水分解性基を含むポリオルガノシロキサンポリマーと、スズ(iv)系触媒と、アミジン、グアニジン並びに他のアルキルアミン及びアルキルポリアミンから選択される1種又は複数の低分子量直鎖又は分岐窒素含有化合物とを組成物の0.1~1.00重量%の量で含む。組成物は、0℃~25℃の範囲内の温度(T℃)で、少なくとも6ヶ月間保存可能であるように設計される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一液型縮合硬化性室温加硫性(RTV)シリコーン組成物であって、
(a)前記組成物の35~90重量%の量の、1分子当たり少なくとも2つのヒドロキシル基又は加水分解性基を有し、次の式のオルガノポリシロキサンポリマーであって、
3-nSi-(Z)-(O)-(R SiO(4-y)/2-(SiR 2-Z)-Si--R3-n (1)
(式中、各Xは、独立して、ヒドロキシル基又は加水分解性基であり、各Rは、アルキル、アルケニル、又はアリール基であり、各Rは、X基、アルキル基、アルケニル基、又はアリール基であり、Zは、二価有機基であり;
dは、0又は1であり、qは、0又は1であり、d+q=1であり;nは、0、1、2、又は3であり、yは、0、1、又は2でありかつ優先的に2であり、zは、前記オルガノポリシロキサンポリマーが、25℃で、30,000~150,000mPa・s、あるいは25℃で、40,000~140,000mPa・sの粘度を有するような整数である)オルガノポリシロキサンポリマーと、
(b)1種以上の本質的に無水の補強充填剤と、
(c)1分子当たり少なくとも2つ、あるいは少なくとも3つの加水分解性基を有するケイ素含有化合物の形態の1つ以上の架橋剤と、
(d)前記組成物の0.0.01~0.1重量%の量のスズ(iv)系縮合触媒と、
(e)前記組成物の0.1~3.5重量%の量の、アミジン、グアニジン及び他のアルキルアミン及びアルキルポリアミンから選択される1種以上の低分子量直鎖又は分岐窒素含有化合物と、を含む一液型縮合硬化性室温加硫性(RTV)シリコーン組成物。
【請求項2】
オルガノポリシロキサンポリマー(a)が、次の構造:
3-nSi-(Z)-(R SiO(4-y)/2-(SiR 2-Z)-Si-R3-n
(式中、nは0又は1であり、各Xはアルコキシ基である)のものである、請求項1に記載の一液型室温加硫性(RTV)シリコーン組成物。
【請求項3】
前記補強充填剤(b)が、疎水化処理された本質的に無水の、少なくとも50.0m/g(ISO9277:2010に従ってBET法を用いて測定)の表面積を有する、ヒュームドシリカ及び/又は沈降シリカを含む、請求項1又は2に記載の一液型室温加硫性(RTV)シリコーン組成物。
【請求項4】
前記組成物及び得られる硬化材料が、半透明及び/又は透明である、請求項1~3のいずれか一項に記載の一液型室温加硫性(RTV)シリコーン組成物。
【請求項5】
前記スズ(iv)触媒が、1つ以上のスズトリフレート、ジアルキルスズ化合物から選択され、ジメチルスズジ-2-エチルヘキサノエート、ジメチルスズジラウレート、ジ-n-ブチルスズジアセテート、ジ-n-ブチルスズジ-2-エチルヘキサノエート、ジメチルスズジネオデカノエート(DMTDN)、ジ-n-ブチルスズジカプリレート、ジ-n-ブチルスズジ-2,2-ジメチルオクタノエート、ジ-n-ブチルスズオクタノエート、ジ-n-ブチルスズジラウレート(DBTDL)、ジ-n-ブチルスズジステアレート、ジ-n-ブチルスズジマレエート、ジ-n-ブチルスズジオレエート、ジ-n-オクチルスズジ-2-エチルヘキサノエート、ジ-n-オクチルスズジ-2,2-ジメチルオクタノエート、ジ-n-オクチルスズジマレエート、ジ-n-オクチルスズジラウレート、ジ-n-ブチルスズオキシド、カルボメトキシフェニルスズトリスベレート、スズブチレート、ブチルスズトリ-2-エチルヘキソエートスズナフテネート、イソブチルスズトリセロエート、スズオクトエート、トリエチルスズタルトレート及びジ-n-オクチルスズオキシドから選択される、請求項1~4のいずれか1項に記載の一液型室温加硫性(RTV)シリコーン組成物。
【請求項6】
成分(e)が、以下に示す基(1)~(4):
【化1】

(式中、各R、R、R、R、及びRは、同じであっても異なっていてもよく、水素、アルキル基、シクロアルキル基、フェニル基、アラルキル基から選択されてもよい)の1つ以上を含有する直鎖又は分岐有機分子を含み得る、請求項1~5のいずれか一項に記載の一液型室温加硫性(RTV)シリコーン組成物。
【請求項7】
成分(e)が、グアニジン、構造(CHN-C=NH(N(CHを有する1,1,3,3-テトラメチルグアニジン(TMG)などのテトラメチルグアニジン、ジブチルアミン、エチレンジアミン、トリエチレンテトラミン、及びジエチレントリアミンのうちの1つ以上を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の一液型室温加硫性(RTV)シリコーン組成物。
【請求項8】
2つの隣接する基材表面間の接合部にペーストとして塗布されることができ、硬化の前に、前記隣接する基材表面に接着するエラストマーボディに硬化するまで、その割り当てられた位置に残る平滑な表面質量を提供するように用いられ得る、請求項1~7のいずれか一項に記載の一液型室温加硫性(RTV)シリコーン組成物。
【請求項9】
ポリ塩化ビニル基材に接着可能である、請求項1~8のいずれか一項に記載の一液型室温加硫性(RTV)シリコーン組成物。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項に記載の一液型室温加硫性(RTV)シリコーン組成物を硬化させることによって得られた反応生成物である、シリコーンエラストマー。
【請求項11】
透明及び/若しくは半透明、並びに/又は非染色性である、請求項10に記載のシリコーンエラストマー。
【請求項12】
全ての成分を一緒に混合することによって、請求項1~8のいずれか一項に記載の一液型室温加硫性(RTV)シリコーン組成物を作製する、方法。
【請求項13】
ファサード、絶縁ガラス、窓建設、自動車、ソーラー、及び建設分野におけるシーラントとしての、請求項1~9のいずれか一項に記載の組成物の、使用。
【請求項14】
良好な接着プロファイルを有するシーラントとしての、請求項1~9のいずれか一項に記載の組成物の使用。
【請求項15】
2つの基材の間にシールを作製するようにそれらの間の空間を充填するための方法であって、
a)請求項1~9のいずれか一項に記載の一液型室温加硫性(RTV)シリコーン組成物を提供することと、
b)前記シリコーン組成物を第1の基材に塗布し、第2の基材を、前記第1の基材に塗布された前記シリコーン組成物と接触させること、又は
c)第1の基材及び第2の基材の配置によって形成された空間を前記シリコーン組成物で充填して、前記シリコーン組成物を硬化させることのいずれかを含む、方法。
【請求項16】
請求項15に記載の2つの基材間の空間を充填するための方法であって、前記空間が、押出の手段によるか、又はシーラントガンを通して、前記シーラント組成物を導入することによって充填され、かつ/又は前記基材のうちの1つがポリ塩化ビニル(PVC)である、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1分子当たり少なくとも2個の加水分解性基を含むポリオルガノシロキサンポリマーと、スズ(iv)系触媒と、1種以上の低分子量直鎖又は分岐窒素含有化合物とを含む、一液型室温加硫性(RTV)シリコーン組成物に関する。組成物は、0℃~25℃の範囲の温度で少なくとも6ヶ月間保存可能であるように設計される。
【背景技術】
【0002】
室温加硫性(RTV)シリコーンゴム組成物(以下、「RTV組成物」と称される)は、周知である。一般に、このような組成物は、末端ケイ素原子間にアルキレン結合を有していてもよい、-OH末端封鎖ジオルガノポリシロキサンポリマー又はアルコキシ末端封鎖ポリジオルガノシロキサンを含む。それらは、通常、縮合硬化性であり、したがって、1種以上の適切な架橋剤も含有し、この架橋材は、-OH基及び/又はアルコキシ基と反応し、それによって組成物を架橋して、例えばエラストマーシーラント製品を形成するように設計され、このエラストマーシーラント製品は、絶対的に常にというわけではないが、通常、1種以上の縮合硬化触媒と組み合わされる。1つ以上の追加の材料、例えば、補強充填剤、非補強充填剤、接着促進剤、希釈剤(例えば、可塑剤及び/又は増量剤)、鎖延長剤、難燃剤、耐溶剤性添加剤、殺生物剤などもまた、しばしば必要に応じてこれらの組成物に組み込まれる。それらは、一液型組成物又は多液型組成物、例えば二液型組成物であり得る。
【0003】
一液型縮合硬化性シリコーン組成物は、一般に、スキン又は拡散硬化シリコーンエラストマーを生成するために利用される。アルコキシチタン化合物、及び/又はアルコキシジルコニウム化合物、すなわちアルキルチタネートが、そのような一成分型水分硬化性シリコーンを硬化させるための好適な触媒であることは、当業者に周知である(参考文献:Noll,W.;Chemistry and Technology of Silicones,Academic Press Inc.,New York,1968,p.399,Michael A.Brook,silicon in organic,organometallic and polymer chemistry,John Wiley&sons,Inc.(2000),p.285)。一液型縮合硬化性シリコーン組成物は、一般に、組成物中に水/水分をできる限り含有しないように設計されており、すなわち、それらは一般に、使用前の貯蔵中の早期硬化を防止するために、実質的に無水形態で貯蔵される。上記のような一液型縮合硬化性シリコーン組成物は、典型的には、15mmよりも薄い層に適用される。15mmよりも厚い層に適用された場合に、上記の組成物は、材料の深部において未硬化材料を生じることが知られているが、これは、非常に深い部分では水分の拡散が非常に遅いためである。スキン又は拡散硬化(例えば、湿気/縮合)は、シーラント/封入材が基材表面上に塗布された後、組成物/空気界面での硬化スキンの形成によって起こる。表面スキンの生成の後、硬化速度は、シーラント/封入材と空気との界面からの塗布されたシリコーン組成物の層の内部(又はコア)への水分の拡散速度、並びに、材料の内部(又はコア)から外部(又は表面)への縮合反応副生成物/排出物の拡散、及び外部/表面から内部/コアへの時間の経過による硬化スキンの漸進的増粘によって変動する。これらの組成物における湿気の、唯一ではないにしても主な供給源は、無機充填剤、例えば、存在する場合にはシリカである。当該充填剤は、他の成分と混合する前に無水にされ得るか、又は混合プロセス中に混合物から水/湿気が抽出されて、得られたシーラント組成物が実質的に無水であることを確実にし得る。
【0004】
少なくとも1つのSi-アルコキシ結合、例えば、末端反応性シリル基中のSi-メトキシ結合を有し、ポリジオルガノシロキサンポリマー主鎖を有するシリコーンシーラント組成物は、それらが良好な接着性及び耐候性等を有するため、建設産業におけるシーラントに広く使用されている。建設産業はまた、塗布前に成分を混合する必要性が不要になる一成分型組成物及び優れた作業性を有する組成物も好む。
【0005】
例えばシリコーンシーラント層のバルクにおける縮合硬化を活性化するように設計された多成分組成物は、一般に、他の触媒、例えばスズ又は亜鉛系触媒(例えばジブチルスズジラウレート、スズオクトエート及び/又は亜鉛オクトエートなど)などの使用に依存する(Noll,W.Chemistry and Technology of Silicones,Academic Press Inc.,New York,1968,p.397)。使用前に2つ以上の部に保存されるシリコーン組成物において、1つの部は、充填剤を含有しており、この充填剤は、典型的には、生成物のバルクでの縮合硬化を活性化させるために必要な水分を含有する。前述の拡散硬化一液型系とは異なり、二液型縮合硬化系は、一緒に混合すると、深さが15mmより深い部分においてであってもバルク硬化を可能にする。この場合、組成物は、(混合後に)材料バルク全体にわたって硬化する。スキンが形成される場合、それは適用後の最初の数分のみである。その後すぐに、生成物は全体が固形となる。
【0006】
本開示は、一液型室温加硫性(RTV)シリコーン組成物に関し、この組成物は、通常のチタン又はジルコニウム系触媒に代わるものとして、第一級又は第二級有機アミンと組み合わせた低濃度のスズ(iv)系触媒に依存し、この組成物は、0℃以上25C以下の範囲の温度で、少なくとも6ヶ月間貯蔵可能であり、かつこの組成物は硬化すると、透明又は半透明のシーラントを提供する。
【発明の概要】
【0007】
本明細書において提供されるのは、一液型縮合硬化性室温加硫性(RTV)シリコーン組成物であって、その一液型縮合硬化性室温加硫性(RTV)シリコーン組成物は、
(a)組成物の35~90重量%の量の、1分子当たり少なくとも2つのヒドロキシル基又は加水分解性基を有するオルガノポリシロキサンポリマーであって、次の式:
3-nSi-(Z)-(O)-(R SiO(4-y)/2-(SiR 2-Z)-Si-R3-n (1)
(式中、各Xは、独立して、ヒドロキシル基又は加水分解性基であり、各Rは、アルキル、アルケニル、又はアリール基であり、各Rは、X基、アルキル基、アルケニル基、又はアリール基であり、Zは、二価有機基であり;
dは、0又は1であり、qは、0又は1であり、d+q=1であり;nは、0、1、2、又は3であり、yは、0、1、又は2でありかつ優先的に2であり、zは、当該オルガノポリシロキサンポリマーが、25℃で、30,000~150,000mPa・s、あるいは25℃で、40,000~140,000mPa・sの粘度を有するような整数である)のオルガノポリシロキサンポリマーと、
(b)1種以上の本質的に無水の補強充填剤と、
(c)1分子当たり少なくとも2つ、あるいは少なくとも3つの加水分解性基を有するケイ素含有化合物の形態の1つ以上の架橋剤と、
(d)組成物の0.001~0.1重量パーセント(重量%)の量のスズ(iv)系縮合触媒と、
(e)組成物の0.1~3.5重量パーセント(重量%)の量の、アミジン、グアニジン、並びに他のアルキルアミン及びアルキルポリアミンから選択される1種以上の低分子量直鎖又は分岐窒素含有化合物と、を含む。
【0008】
本組成物は、0℃以上25℃以下の範囲の温度で少なくとも6ヶ月間、防湿容器、例えばカートリッジ及び/又はバケツで保存可能である。防湿容器とは、湿気の侵入を防止する容器を意味する。得られる組成物は、透明及び/又は半透明の外観を有する。誤解を避けるために、組成物の重量パーセント及び重量%という用語は、同じ意味を有することが意図され、全体を通して互換的に使用される。
【0009】
このタイプの組成物は、以下の場合に貯蔵安定的であると考えられる:
1.指触乾燥時間(SOT)及び不粘着時間(TFT)は、密閉カートリッジに保管されている間、配合時に決定された初期値と比較して3倍を超えて増加しない場合;及び
2.得られた硬化材料が、配合時に決定された初期値と比較して、引張強さ(Hバー又はダンベルで測定された引張強度によって表される)の少なくとも75%を保持しており、硬化材料の硬度(ショアAとして表される)も保持されているはずという場合。
【0010】
本明細書では、全ての成分を一緒に混合することによって、上記組成物を作製する方法も提供される。
【0011】
本明細書ではまた、本明細書で先に記載された組成物の硬化生成物であるエラストマーシーラント材料も提供される。
【0012】
ファサード、絶縁ガラス、窓建設、自動車、ソーラー、及び建設分野におけるシーラントとしての、上記組成物の使用も提供される。
【0013】
2つの基材の間にシールを形成するように2つの基材の間の空間を充填する方法も提供され、その方法は:
a)先に記載されたようなシリコーン組成物を用意することと、
b)上記のシリコーン組成物を第1の基材に塗布し、第2の基材を、第1の基材に塗布されたシリコーン組成物と接触させること、又は
c)第1の基材及び第2の基材の配置によって形成された空間を上記のシリコーン組成物で充填することのいずれかと、
d)上記のシリコーン組成物を硬化させることと、を含む。
【0014】
本明細書で使用する場合、「含む(comprising)」の観念は、その最も広い意味で使用され、「含む(include)」、及び「~からなる(consist of)」という概念を意味し、これを包含する。
【0015】
本出願の目的で、「置換された」とは、炭化水素基中の1個以上の水素原子が別の置換基で置き換えられていることを意味する。このような置換基の例としては、塩素、フッ素、臭素、及びヨウ素などの、ハロゲン原子;クロロメチル基、ペルフルオロブチル基、トリフルオロエチル基、及びノナフルオロヘキシル基などの、ハロゲン原子含有基;酸素原子;(メタ)アクリル基及びカルボキシル基などの、酸素原子含有基;窒素原子;アミノ官能基、アミド官能基、及びシアノ官能基などの、窒素原子含有基;硫黄原子;並びにメルカプト基などの、硫黄原子含有基が挙げられるが、これらに限定されない。
【0016】
本組成物は、好ましくは、加熱することなく室温で硬化するという点で、室温硬化可能な組成物ではあるが、適切と考えられる場合には、加熱により硬化を促進することができる。
【0017】
1分子当たり少なくとも2つのヒドロキシル基又は加水分解性基を有するオルガノポリシロキサンポリマー(a)は、次の式:
3-nSi-(Z)-(O)-(R SiO(4-y)/2-(SiR 2-Z)-Si-R3-n (1)
(式中、各Xは、独立して、ヒドロキシル基又は加水分解性基であり、各Rは、アルキル基、アルケニル基、又はアリール基であり、各Rは、X基、アルキル基、アルケニル基、又はアリール基であり、Zは、二価有機基であり;
dは、0又は1であり、qは、0又は1であり、d+q=1であり;nは、0、1、2、又は3であり、yは、0、1、又は2であり、zは、当該オルガノポリシロキサンポリマー(a)が、社内の試験方法CTM0050(一般的に利用可能であり、ASTMのD1084-16の方法Bに準拠している方法)によって、スピンドル52を用いたコーン及びプレート幾何配置を装備する、ブルックフィールドHBDV-IIIウルトラレオメータを使用して測定した場合に、25℃で、30,000~150,000mPa・s、あるいは25℃で、40,000~140,000mPa・sの粘度を有するような整数である)を有する。全ての粘度測定値は、本明細書においては、特に明示されない限り、25℃で取得する。あるいは、粘度は、Anton Paar GmbH(Graz,Austria)製の、Modular Compact Rheometer(MCR)302レオメーターを使用して、関係する粘度に最も適した設定及びプレートで測定することができる。例えば、30,000~160,000MPa.sの範囲の粘度は、直径40mmのコーンプレートを有するMCR302レオメーターと、1s-1のせん断速度とを使用して測定することができ;2000~30,000MPa.sの範囲の粘度は、直径50mmのコーンプレートを有するMCR302レオメーターと、1s-1のせん断速度を使用して測定することができ;10~2000MPa.sの範囲の粘度は、直径75mmのコーンプレートを有するMCR302レオメーターと、1s-1のせん断速度とを使用して測定することができる。
【0018】
オルガノポリシロキサンポリマー(a)の各X基は、同じであっても異なっていてもよく、ヒドロキシル基、又は縮合性若しくは加水分解性基であり得る。用語「加水分解性基」は、室温で水によって加水分解されるケイ素に結合した任意の基を意味する。加水分解性基Xは、式-OTの基を含み、式中、Tは、メチル基、エチル基、イソプロピル基、オクタデシル基などのアルキル基、アリル基、ヘキセニル基などのアルケニル基、シクロヘキシル基、フェニル基、ベンジル基、β-フェニルエチル基などの環状基;2-メトキシエチル基、2-エトキシイソプロピル基、2-ブトキシイソブチル基、p-メトキシフェニル基、又は-(CHCHO)CHなどの炭化水素エーテル基である。
【0019】
最も好ましいX基は、ヒドロキシル基又はアルコキシ基である。例示的なアルコキシ基は、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、n-ブトキシ基、t-ブトキシ基、イソブトキシ基、ペントキシ基、ヘキソキシ基、オクタデシルオキシ基、及び2-エチルヘキソキシ基;メトキシメトキシ基又はエトキシメトキシ基などのジアルコキシ基、エトキシフェノキシ基などのアルコキシアリールオキシ基である。最も好ましいアルコキシ基は、メトキシ基あるいはエトキシ基である。d=1の場合、nは、典型的には0又は1であり、各Xは、アルコキシ基、あるいは1~3個の炭素を有するアルコキシ基、あるいはメトキシ基又はエトキシ基である。そのような場合、オルガノポリシロキサンポリマー(a)は、以下の構造:
3-nSi-(Z)-(R SiO(4-y)/2-(SiR 2-Z)-Si-R3-n
(式中、R、R、Z、y、及びzは、既に上で特定されたものと同じであり、nは、0又は1であり、各Xは、アルコキシ基である)を有する。
【0020】
各Rは、アルキル基、あるいは1~10個の炭素原子、あるいは1~6個の炭素原子、あるいは1~4個の炭素原子を有するアルキル基、あるいはメチル又はエチル基;アルケニル基、あるいは2~10個の炭素原子、あるいは2~6個の炭素原子を有するアルケニル基、例えば、ビニル基、アリル基、及びヘキセニル基;芳香族基、あるいは6~20個の炭素原子を有する芳香族基、3,3,3-トリフルオロプロピル基などの置換脂肪族有機基、アミノアルキル基、ポリアミノアルキル基、及び/又はエポキシアルキル基、から個別に選択される。
【0021】
各Rは、X又はRからなる群から個別に選択されるが、但し、1分子当たり累積で少なくとも2つのX基及び/又はR基は、ヒドロキシル基又は加水分解性基である。いくつかのR基は、ポリマー主鎖からの、シロキサン分岐であってよいが、その分岐は、先に記載されたような末端基を有し得るということが可能である。最も好ましいRは、メチル基である。
【0022】
各Zは、独立して、1~10個の炭素原子を有するアルキレン基から選択される。一代替例では、各Zは、独立して、2~6個の炭素原子を有するアルキレン基から選択され;更なる代替例では、各Zは、独立して、2~4個の炭素原子を有するアルキレン基から選択される。各アルキレン基は、例えば、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、及び/又はヘキシレン基から個別に選択され得る。
【0023】
加えて、nは、0、1、2、又は3であり、dは、0又は1であり、qは、0又は1であり、d+q=1である。一代替例では、qが1である場合、nは、1又は2であり、各Xは、OH基又はアルコキシ基である。別の一代替例では、dが1である場合、nは、0又は1であり、各Xは、アルコキシ基である。
【0024】
オルガノポリシロキサンポリマー(a)は、上記の方法の1つを用いて測定された粘度として、25℃で30,000~150,000MPa・s、あるいは25℃で40,000~140,000MPa.sの粘度を有し;したがって、zは、そのような粘度を可能にする整数であるか、あるいはzは、300~5000の整数である。yは、0、1、又は2であるが、実質的にy=2であり、例えば、R SiO(4-y)/2基の少なくとも90%、あるいは95%が、y=2で特徴付けられる。
【0025】
オルガノポリシロキサンポリマー(a)は、式(1)によって表される単一のシロキサンであり得るか、又は上記式によって表されるオルガノポリシロキサンポリマーの混合物であり得る。したがって、オルガノポリシロキサンポリマー(a)に関する「シロキサンポリマー混合物」という用語は、任意の個々のオルガノポリシロキサンポリマー(a)又はオルガノポリシロキサンポリマー(a)の混合物を含むことを意味する。
【0026】
重合度(Degree of Polymerization、DP)(すなわち、実質的に上記式におけるz)は、通常、シリコーンの巨大分子若しくはポリマー又はオリゴマー分子中のモノマー単位の数として定義される。合成ポリマーは、異なる重合度を有する巨大分子種、したがって異なる分子量を有する巨大分子種の混合物から本質的になる。異なるタイプの平均ポリマー分子量が存在し、それらは異なる実験で測定することができる。2つの最重要のものは、数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)である。シリコーンポリマーのMn及びMwは、ゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)によって、ポリスチレン標準を用いて、約10~15%の精度で測定することができる。
この技術は標準的であり、Mw、Mn、及び多分散指数(PI)が得られる。重合度(DP)=Mn/Muであり、式中、MnはGPC測定からの数平均分子量であり、Muはモノマー単位の分子量である。PI=Mw/Mnである。DPは、Mwによりポリマーの粘度に関連し、DPが高くなるほど粘度が高くなる。本開示において、本明細書における成分(a)の数平均分子量及び重量平均分子量の値は、例えば、真空脱気装置を備えたWaters 2695 Separations Module、及びWaters 2414屈折率検出器(Waters Corporation(米国マサチューセッツ州)製)を使用して決定され得る。次いで、溶離液として1.0mL/分で流れる認定グレードのトルエンを使用して分析を行うことができる。データの収集と分析は、Waters Empower GPCソフトウェアを使用して行ってもよい。
オルガノポリシロキサンポリマー(a)は、組成物の35~90重量%、あるいは40~90重量%、あるいは45~90重量%の量で、組成物中に存在する。
【0027】
補強充填剤(b)は、本質的に無水のヒュームドシリカ及び/又は沈降シリカによって例示されてもよく、それぞれの場合において、好ましくは微細に分割された形態である。「本質的に無水」とは、フィラーが100%無水であることはほとんど不可能であるので、フィラー中に少量の水分が残っていてもよいが、フィラーはできるだけ実質的に無水であることが好ましいということを意味する。
【0028】
沈降性シリカ、ヒュームドシリカ及び/又はコロイダルシリカが、一般的に少なくとも50m/g(ISO9277:2010に従ったBET法)というそれらの比較的高い表面積から特に好ましい。一般的には、50~450m/g(ISO9277:2010に従ったBET法)、あるいは50~400m/g(ISO9277:2010に従ったBET法)の表面積を有する充填剤を使用する。これらの種類のシリカは全て市販されている。
【0029】
典型的には、そのような補強充填剤は、本来親水性であり(例えば、未処理シリカ充填剤)、したがって、通常、それらを疎水性にするためには、処理剤で処理される。これらの表面改質された補強充填剤は凝集せず、表面処理により充填剤が成分(a)によって容易に湿潤することから、成分(a)のポリジオルガノシロキサンに、均質に組み込むことができる。
【0030】
補強充填剤(b)は、当該技術分野で開示されている任意の低分子量有機ケイ素化合物で表面処理されてもよく、これは、充填剤を取り扱いやすくし、他の成分との均質な混合物を得て、処理中のオルガノシロキサン組成物のクレーピングを防止するために適用可能である。例えば、充填剤を疎水性にして、ひいては取り扱いをより容易にし、他の原料との均質な混合物を得るようにする、オルガノシラン、ポリジオルガノシロキサン、又はオルガノシラザン、例えば、ヘキサアルキルジシラザン、短鎖シロキサンジオールである。具体例としては、シラノール末端トリフルオロプロピルメチルシロキサン、シラノール末端ビニルメチル(ViMe)シロキサン、シラノール末端メチルフェニル(MePh)シロキサン、各分子中に平均2~20個のジオルガノシロキサンの繰り返し単位を含有する液体ヒドロキシルジメチル末端ポリジオルガノシロキサン、ヒドロキシルジメチル末端フェニルメチルシロキサン、ヘキサメチルジシロキサンなどのヘキサオルガノジシロキサン、ジビニルテトラメチルジシロキサン;ヘキサメチルジシラザン(HMDZ)、ジビニルテトラメチルジシラザン、及びテトラメチルジ(トリフルオロプロピル)ジシラザンなどの、ヘキサオルガノジシラザン;ヒドロキシルジメチル末端ポリジメチルメチルビニルシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、並びに限定されないが、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、クロロトリメチルシラン、ジクロロジメチルシラン、トリクロロメチルシランを含むシランが挙げられる。
【0031】
少量の水を、加工助剤としてシリカ処理剤と一緒に添加することができる。
【0032】
表面処理は、充填剤を組成物中に導入する前に行ってもよく、あるいは、通常はポリオルガノシロキサン成分(a)及び当該充填剤を実質的に含む基材の調製中に、その場で行ってもよい。
【0033】
表面処理は、充填剤を組成物中に導入する前に行ってもよく、あるいは、通常はポリオルガノシロキサン成分(a)及び当該充填剤(b)を実質的に含む基材の調製中に、その場で行ってもよい。
【0034】
補強充填剤は、組成物の2.5~40重量パーセント(重量%)、あるいは組成物の5.0~35重量%、あるいは組成物の5~20重量%、あるいは組成物の7.0~15重量%、あるいは組成物の7~12重量%、あるいは組成物の7~11重量%の量で存在する。
【0035】
成分(c)は、1分子当たり少なくとも2個、あるいは少なくとも3個のヒドロキシル基及び/又は加水分解性基を有するケイ素含有化合物を含む、1種以上の架橋剤である。
成分(c)は、架橋剤として有効に機能し、したがって、1分子当たり最低2個、好ましくは3個以上の加水分解性基を必要とする。成分(a)が1分子当たり3個以上のヒドロキシル基又は加水分解性基を有する場合、成分(c)は2個の加水分解性基を有してもよい。したがって、成分(c)は、成分(a)中のシラノール基に対して反応性であるケイ素結合縮合性基(好ましくはヒドロキシル基及び/又は加水分解性基)を、1分子当たり2個有し得るが、代替的に3個以上有する。
【0036】
典型的には、成分(c)は、
-1分子団(molecule group)当たり少なくとも2個の加水分解性基、あるいは少なくとも3個の加水分解性基を有する1つ以上のシラン;及び/又は
-少なくとも2個のシリル基を有する、1つ以上のシリル官能性分子であって、各シリル基が少なくとも1個の加水分解性基を含有する、シリル官能性分子であり得る。
【0037】
本明細書の開示のためには、ジシリル官能性分子は、2個のケイ素原子を含み、その分子のそれぞれが、少なくとも1個の加水分解性基を有し、これらのケイ素原子は、上では説明していない有機鎖又はシロキサン鎖によって分離されている。典型的には、ジシリル官能性分子上の各シリル基は、末端基であってもよい。スペーサーは、ポリマー鎖であってもよい。
【0038】
シリル基上の加水分解性基は、アシルオキシ基(例えば、アセトキシ基、オクタノイルオキシ基、及びベンゾイルオキシ基);ケトキシミノ基(例えば、ジメチルケトキシモ(dimethyl ketoximo)基及びイソブチルケトキシミノ(isobutylketoximino)基);アルコキシ基(例えばメトキシ基、エトキシ基、及びプロポキシ基)、並びにアルケニルオキシ基(例えば、イソプロペニルオキシ基及び1-エチル-2-メチルビニルオキシ基)から選択され得る。場合によっては、加水分解性基はヒドロキシル基を含んでもよい。あるいは、シリル基上の当該加水分解性基は、アシルオキシ基;アルコキシ基、及びアルケニルオキシ基から選択される。
【0039】
成分(c)がシランである場合、当該シランは、アルコキシ官能性シラン、オキシモシラン、アセトキシシラン、アセトンオキシムシラン、及び/又はエノキシシランを含んでもよい。好ましくは、成分(c)がシランである場合、そのシランとしては、アルコキシ官能性シラン、アセトキシシラン、アセトンオキシムシラン、及び/又はエノキシシランを挙げることができ、アルコキシ官能性シランが最も好ましい。
【0040】
成分(c)がシランであり、シランが1分子当たり3個のケイ素結合加水分解性基のみを有する場合、第4の基は、好適には、非加水分解性のケイ素結合有機基である。これらのケイ素結合有機基は、好適には、フッ素及び塩素などのハロゲンによって任意選択的に置換されたヒドロカルビル基である。このような第4の基の例としては、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、及びブチル基);シクロアルキル基(例えば、シクロペンチル基及びシクロヘキシル基);アルケニル基(例えば、ビニル基及びアリル基);アリール基(例えば、フェニル基及びトリル基);アラルキル基(例えば、2-フェニルエチル基);並びに前述の有機基中の水素の全部又は一部をハロゲンで置き換えることにより得られた基などが挙げられる。第4のケイ素結合有機基は、メチル基であってもよい。
【0041】
典型的なシランは、式(8):
R’’4-rSi(OR (8)
(式中、Rは、下記のとおりであり、rは、2、3、又は4の値を有する)によって記述することができる。典型的なシランは、R’’がメチル基、エチル基、若しくはビニル基、又はイソブチル基を表すものである。R’’は、直鎖状及び分岐状のアルキル基、アリル基、フェニル基、及び置換フェニル基、アセトキシ基、オキシム基から選択される、有機ラジカルである。場合によっては、Rは、メチル基又はエチル基を表し、rは、3である。
【0042】
成分(c)に好適なシランの別のタイプは、Si(OR[式中、Rは下記のとおり、あるいはプロピル基、エチル基、又はメチル基である]のタイプの分子である。Si(ORの部分縮合体も考えられ得る。
【0043】
更なる実施形態では、成分(c)は、各々が少なくとも1個で最大3個の加水分解性基を有するシリル基を、少なくとも2個有するか、あるいは各シリル基が少なくとも2個の加水分解性基を有する、シリル官能性分子である。
【0044】
成分(c)はジシリル官能性ポリマー、すなわち、各々が少なくとも1つの加水分解性基を有する2個のシリル基を含有するポリマーであってもよく、そのようなポリマーの例としては、下記の式(4):
(RO)(Y3-m-Si(CH-((NHCHCH-Q(CH-Si(OR(Y3-m (4)
(式中、RはC1~10アルキル基であり、Yは1~8個の炭素を含有するアルキル基であり、
Qは、孤立電子対を有するヘテロ原子を含有する化学基、例えば、アミン基、N-アルキルアミン基、又は尿素であり;各xは、1~6の整数であり、tは、0又は1であり;各mは、独立して1、2、又は3であり、sは、0又は1である)により記載されるものなどであってもよい。
【0045】
成分(c)がジシリル官能性ポリマーである場合、ポリマーは、有機ポリマー主鎖を有してもよい。シリル(例えば、ジシリル)官能性成分(c)のポリマー主鎖は、有機であってもよく、すなわち、成分(c)は、シリル末端基を有する有機系ポリマー、例えば、シリルポリエーテル、シリルアクリレート、及びシリル末端ポリイソブチレンを含んでもよい。シリルポリエーテルの場合、ポリマー鎖はポリオキシアルキレン系単位をベースとする。このようなポリオキシアルキレン単位は、好ましくは、平均式(-C2n-O-)[式中、nは2~4の整数であり、yは少なくとも4の整数である]により表される、繰り返しオキシアルキレン単位(-C2n-O-)から構成される、直鎖状の主としてオキシアルキレンのポリマーを構成する。同様に、粘度は、25℃ mPa.sで1000以下、あるいは25℃で250~1000mPa.s、あるいは25℃で250~750mPa.sであり、存在する各ポリオキシアルキレンポリマーブロックの好適な数平均分子量を有する。粘度は、任意の好適な手段、例えば、Anton Paar GmbH(Graz,Austria)製のModular Compact Rheometer(MCR)302を使用して、上述のような関係する粘度に最も好適な設定及びプレートを使用して測定することができる。更に、オキシアルキレン単位は、必ずしもポリオキシアルキレンモノマー全体にわたって同一でなく、単位ごとに異なっていてもよい。ポリオキシアルキレンブロック又はポリマーは、例えば、オキシエチレン単位(-C-O-);オキシプロピレン単位(-C-O-);若しくはオキシブチレン単位(-C-O-);又はこれらの混合物が挙げられる。
【0046】
他のポリオキシアルキレン単位としては、例えば、構造:
-[-R-O-(-R-O-)-Pn-CR -Pn-O-(-R-O-)-R]-
(式中、Pnは1,4-フェニレン基であり、各Rは同一であるか又は異なり、2~8個の炭素原子を有する二価の炭化水素基であり、各Rは同一であるか又は異なり、エチレン基又はプロピレン基であり、各Rは同一であるか又は異なり、水素原子又はメチル基であり、下付き文字w及びqの各々は3~30の範囲の正の整数である)の単位を挙げることができる。
【0047】
本出願の目的で、「置換」とは炭化水素基中の1個以上の水素原子が別の置換基で置換されていることを意味する。このような置換基の例としては、塩素、フッ素、臭素及びヨウ素などのハロゲン原子;クロロメチル基、ペルフルオロブチル基、トリフルオロエチル基、及びノナフルオロヘキシル基などのハロゲン原子含有基;酸素原子;(メタ)アクリル基及びカルボキシル基などの酸素原子含有基;窒素原子;アミノ官能基、アミド官能基、及びシアノ官能基などの窒素原子含有基;硫黄原子;並びにメルカプト基などの硫黄原子含有基が挙げられるが、これらに限定されない。
【0048】
このような有機系架橋剤の場合、分子構造は、直鎖状、分岐状、環状又は高分子、すなわちアルコキシ官能性末端基を有する有機ポリマー鎖であり得る。
【0049】
任意の好適な加水分解性基が利用され得るが、加水分解性基は、アルコキシ基であり、そのため、末端シリル基は、-RSi(OR、-Si(OR、-R SiOR又は-(RSi-R-SiR (OR3-p[式中、各Rは独立して、一価のヒドロカルビル基、例えば、アルキル基、特に1~8個の炭素原子を有するものを表し(好ましくはメチルであり);各R及びR基は、独立して最大6個の炭素原子を有するアルキル基であり;Rは、最大6個のケイ素原子を有する1個以上のシロキサンスペーサーにより介在され得る二価の炭化水素基であり;pは値0、1又は2である)などの式を有することが好ましい。典型的には、各末端シリル基は、2個又は3個のアルコキシ基を有する。
【0050】
したがって、成分(c)としては、メチルトリメトキシシラン(MTM)及びメチルトリエトキシシランなどのアルキルトリアルコキシシラン、テトラエトキシシラン、部分縮合テトラエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン及びビニルトリエトキシシランなどのアルケニルトリアルコキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン(iBTM)が挙げられる。その他の好適なシランとしては、エチルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、アルコキシトリオキシモシラン、アルケニルトリオキシモシラン、3,3,3-トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、メチルトリアセトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、エチルトリアセトキシシラン、ジ-ブトキシジアセトキシシラン、フェニル-トリプロピオノキシシラン、メチルトリス(メチルエチルケトキシモ)シラン、ビニル-トリス-メチルエチルケトキシモ)シラン、メチルトリス(メチルエチルケトキシイミノ)シラン、メチルトリス(イソプロペノキシ)シラン、ビニルトリス(イソプロペノキシ)シラン、エチルポリシリケート、n-プロピルオルトシリケート、エチルオルトシリケート、ジメチルテトラアセトキシジシロキサン、オキシモシラン、アセトキシシラン、アセトンオキシムシラン、エノキシシラン及びその他の3官能性アルコキシシランなど、並びにこれらの部分加水分解縮合生成物;1,6-ビス(トリメトキシシリル)ヘキサン(あるいは、ヘキサメトキシジシリルヘキサンとしても知られている)、ビス(トリアルコキシシリルアルキル)アミン、ビス(ジアルコキシアルキルシリルアルキル)アミン、ビス(トリアルコキシシリルアルキル)N-アルキルアミン、ビス(ジアルコキシアルキルシリルアルキル)N-アルキルアミン、ビス(トリアルコキシシリルアルキル)尿素、ビス(ジアルコキシアルキルシリルアルキル)尿素、ビス(3-トリメトキシシリルプロピル)アミン、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)アミン、ビス(4-トリメトキシシリルブチル)アミン、
ビス(4-トリエトキシシリルブチル)アミン、ビス(3-トリメトキシシリルプロピル)N-メチルアミン、
ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)N-メチルアミン、ビス(4-トリメトキシシリルブチル)N-メチルアミン、ビス(4-トリエトキシシリルブチル)N-メチルアミン、ビス(3-トリメトキシシリルプロピル)尿素、
ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)尿素、ビス(4-トリメトキシシリルブチル)尿素、ビス(4-トリエトキシシリルブチル)尿素、ビス(3-ジメトキシメチルシリルプロピル)アミン、ビス(3-ジエトキシメチルシリルプロピル)アミン、ビス(4-ジメトキシメチルシリルブチル)アミン、ビス(4-ジエトキシメチルシリルブチル)アミン、
ビス(3-ジメトキシメチルシリルプロピル)N-メチルアミン、
ビス(3-ジエトキシメチルシリルプロピル)N-メチルアミン、
ビス(4-ジメトキシメチルシリルブチル)N-メチルアミン、
ビス(4-ジエトキシメチルシリルブチル)N-メチルアミン、ビス(3-ジメトキシメチルシリルプロピル)尿素、ビス(3-ジエトキシメチルシリルプロピル)尿素、ビス(4-ジメトキシメチルシリルブチル)尿素、
ビス(4-ジエトキシメチルシリルブチル)尿素、ビス(3-ジメトキシエチルシリルプロピル)アミン、
ビス(3-ジエトキシエチルシリルプロピル)アミン、ビス(4-ジメトキシエチルシリルブチル)アミン、
ビス(4-ジエトキシエチルシリルブチル)アミン、ビス(3-ジメトキシエチルシリルプロピル)N-メチルアミン、ビス(3-ジエトキシエチルシリルプロピル)N-メチルアミン、ビス(4-ジメトキシエチルシリルブチル)N-メチルアミン、
ビス(4-ジエトキシエチルシリルブチル)N-メチルアミン、ビス(3-ジメトキシエチルシリルプロピル)尿素ビス(3-ジエトキシエチルシリルプロピル)尿素、ビス(4-ジメトキシエチルシリルブチル)尿素及び/又は
ビス(4-ジエトキシエチルシリルブチル)尿素;ビス(トリエトキシシリルプロピル)アミン、ビス(トリメトキシシリルプロピル)アミン、ビス(トリメトキシシリルプロピル)尿素、ビス(トリエトキシシリルプロピル)尿素、ビス(ジエトキシメチルシリルプロピル)N-メチルアミン;ジ又はトリアルコキシシリル末端ポリジアルキルシロキサン、ジ又はトリアルコキシシリル末端ポリアリールアルキルシロキサン、ジ又はトリアルコキシシリル末端ポリプロピレンオキシド、ポリウレタン、ポリアクリレート;ポリイソブチレン;ジ又はトリアセトキシシリル末端ポリジアルキル;ポリアリールアルキルシロキサン;ジ又はトリオキシイミノシリル末端ポリジアルキル;ポリアリールアルキルシロキサン;ジ又はトリアセトノキシ末端ポリジアルキル又はポリアリールアルキルが挙げられる。使用される成分(c)はまた、上記の2つ以上の任意の組み合わせを含んでもよい。
成分(c)が上記のような1個以上のシラン又はシリル官能性分子である場合、それらは、組成物の1~25重量パーセント(重量%)の量で組成物中に存在し得る。
【0051】
1分子当たり少なくとも3個のヒドロキシル基及び/又は加水分解性基を有する上記の1種以上のシラン架橋剤(c)が存在する場合、そのシラン架橋剤(c)は、以下の構造を有するシランから選択されてもよい:
Si(OR4-j
既に述べたように、上式中、各Rは同じであっても異なっていてもよく、水素であるか、少なくとも1個の炭素、あるいは1~20個の炭素、あるいは1~10個の炭素、あるいは炭素数が1~6個の炭素を含むアルキル基である。jの値は、0又は1である。各R基は同じであっても異なっていてもよいが、少なくとも2つのR基は同じであるか、あるいは少なくとも3つのR基は同じであること、あるいは、jが0である場合、全てのR基は同じであることが好ましい。したがって、jがゼロである場合、反応性シラン(c)の具体例としては、テトラエチルオルトシリケート、テトラプロピルオルトシリケート、テトラn-ブチルオルトシリケート、及びテトラt-ブチルオルトシリケートが挙げられる。
【0052】
jが1である場合、R基が存在する。Rは、炭素数が少なくとも1個の置換若しくは非置換の直鎖若しくは分岐状の一価炭化水素基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、又は前述のいずれか1つから選択されるケイ素結合有機基であって、炭素に結合した少なくとも1つの水素原子がハロゲン原子によって置換されたもの、又はエポキシ基、グリシジル基、アシル基、カルボキシル基、エステル基、アミノ基、アミド基、(メタ)アクリル基、メルカプト基、イソシアヌレート基、若しくはイソシアネート基を有する有機基である。Rとして好適な非置換一価炭化水素基としては、アルキル基、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、及び他のアルキル基、ビニル基などのアルケニル基を挙げることができ、シクロアルキル基としては、シクロペンタン基及びシクロヘキサン基を挙げることができる。R中の又はRとして好適な置換基の例としては、3-ヒドロキシプロピル基、3-(2-ヒドロキシエトキシ)アルキル基、ハロプロピル基、3-メルカプトプロピル基、トリフルオロアルキル基、例えば、3,3,3-トリフルオロプロピル基、2,3-エポキシプロピル基、3,4-エポキシブチル基、4,5-エポキシペンチル基、2-グリシドキシエチル基、3-グリシドキシプロピル基、4-グリシドキシブチル基、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチル基、3-(3,4-エポキシシクロヘキシル)アルキル基、アミノプロピル基、N-メチルアミノプロピル基、N-ブチルアミノプロピル基、N,N-ジブチルアミノプロピル基、3-(2-アミノエトキシ)プロピル基、メタクリルオキシアルキル基、アクリルオキシアルキル基、カルボキシアルキル基、例えば3-カルボキシプロピル基、10-カルボキシデシル基を挙げることができる。
【0053】
1分子当たり少なくとも3個のヒドロキシル基及び/又は加水分解性基を有する上記の1種以上の適切なシラン架橋剤(c)の具体例としては、ビニルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、メチルトリス(イソプロペノキシ)シラン又はビニルトリス(イソプロペノキシ)シラン、3-ヒドロキシプロピルトリエトキシシラン、3-ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、3-(2-ヒドロキシエトキシ)エチルトリエトキシシラン、3-(2-ヒドロキシエトキシ)エチルトリメトキシシラン、クロロプロピルトリエトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3,3,3-トリフルオロプロピルトリエトキシシラン、2,3-エポキシプロピルトリエトキシシラン、2,3-エポキシプロピルトリメトキシシラン、3,4-エポキシブチルトリエトキシシラン、3,4-エポキシブチルトリメトキシシラン、4,5-エポキシペンチルトリエトキシシラン、4,5-エポキシペンチルトリメトキシシラン、2-グリシドキシエチルトリエトキシシラン、2-グリシドキシエチルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、4-グリシドキシブチルトリエトキシシラン、4-グリシドキシブチルトリメトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、3-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、アミノプロピルトリエトキシシラン、アミノプロピルトリメトキシシラン、N-メチルアミノプロピルトリエトキシシラン、N-メチルアミノプロピルトリメトキシシラン、N-ブチルアミノプロピルトリメトキシシラン、N,N-ジブチルアミノプロピルトリエトキシシラン、3-(2-アミノエトキシ)プロピルトリエトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、トリス(3-トリエトキシシリルプロピル)イソシアヌレート、アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3-カルボキシプロピルトリエトキシシラン、及び10-カルボキシデシルトリエトキシシランが挙げられるが、これらに限定されない。
【0054】
1分子当たり少なくとも3個のヒドロキシル基及び/又は加水分解性基を有する1種以上の架橋剤(c)は、組成物の0.1~5重量%の量で存在し、組成物の0.5~4重量%の量で、あるいは組成物の1~3.5重量%の量で、あるいは組成物の1~3.5重量%の量で存在する。
【0055】
成分(d)であるスズ(iv)触媒は、任意の好適なスズ(iv)系縮合硬化触媒であってよい。好適なスズ(iv)系触媒の例としては、スズトリフレート、ジアルキルスズ化合物が挙げられ、ジメチルスズジ-2-エチルヘキサノエート、ジメチルスズジラウレート、ジ-n-ブチルスズジアセテート(DBTDA)、ジ-n-ブチルスズジ-2-エチルヘキサノエート、ジメチルスズジネオデカノエート(DMTDN)、ジオクチルスズジネオデカノエート(DOTDN)、ジ-n-ブチルスズジカプリレート、ジ-n-ブチルスズジ-2,2-ジメチルオクタノエート、ジ-n-ブチルスズオクタノエート、ジ-n-ブチルスズジラウレート(DBTDL)、ジ-n-ブチルスズジステアレート、ジ-n-ブチルスズジマレエート、ジ-n-ブチルスズジオレエート、ジ-n-オクチルスズジ-2-エチルヘキサノエート、ジ-n-オクチルスズジ-2,2-ジメチルオクタノエート、ジ-n-オクチルスズジマレエート、ジ-n-オクチルスズジラウレート(DOTDL)、ジ-n-ブチルスズオキシド、カルボメトキシフェニルスズトリスベレート、スズブチレート、ブチルスズトリ-2-エチルヘキソエート、スズナフテネート、イソブチルスズトリセロエート、スズオクトエート、トリエチルスズタルトレート及びジ-n-オクチルスズオキシドから選択される。当該スズ(iv)系縮合触媒は、組成物の0.001~0.1重量パーセント(重量%)の量である。
【0056】
成分(e)は、組成物の0.1~3.5重量パーセント(重量%)、あるいは組成物の0.1~1.5重量パーセント(重量%)、あるいは組成物の0.1~1.0重量パーセント(重量%)の量の、アミジン、グアニジン、並びに他のアルキルアミン、及びアルキルポリアミンから選択される、1種以上の低分子量直鎖又は分岐窒素含有化合物である。「低分子量」とは、1000g/mol以下の分子量を有することを意味する。成分(e)の窒素含有化合物は、直鎖又は分岐鎖として特定され、したがって、環状グアニジン及びアミジンなどの複素環化合物、例えばトリアザビシクロデセン(1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エン(TBD))、7-メチル-1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エン(mTBD)、1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ-5-エン(DBN)、及び/又は1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン(DBU)、並びに例えばイミダゾール及びベンズイミダゾールなどの複素環窒素基を含有する他の化合物は除外される。
【0057】
化学的には、成分(e)がどのように機能するかは確かではないが、その存在は、このような少量で存在する場合に成分(d)の触媒的性質を何らかの方法で「増強」し、それによってこのような少量のスズ(iv)含有硬化触媒がシリコーンシーラントなどの組成物を成功裏に硬化させることを可能にするようであり、一方、触媒増強がない場合、スズ(iv)触媒は上記の量では、十分に良好に機能しない可能性がある。成分(e)は、アミジン、グアニジン、並びに他のアルキルアミン及びアルキルポリアミン、又はそれらの混合物から選択される1種以上の直鎖又は分岐鎖分子であってもよい。
【0058】
アミジン基又はグアニジン基は、以下に示される基(1)~(4)のうちの1つ以上を含有する、直鎖又は分枝鎖有機分子を含んでもよい。
【0059】
【化1】

式中、各R、R、R、R及びRは、同じであっても異なっていてもよく、水素、アルキル基、シクロアルキル基、フェニル基、アラルキル基から選択されてもよい。
【0060】
あるいは、基(1)~(4)は、1~20個の炭素を含む直鎖若しくは分岐アルキル基に、又は脂肪族環式基に、直接又はアルキレン結合を介して結合していてもよく、例としては、グアニジン、テトラメチルグアニジン、例えば、構造(CHN-C=NH(N(CH)を有する1,1,3,3-テトラメチルグアニジン(TMG)が挙げられる。
【0061】
あるいは、分子量が1000g/mol以下である場合には、上記構造(1)~(4)のうちの1つは、アルキド樹脂、油変性アルキド樹脂、飽和又は不飽和ポリエステル、天然油、エポキシド、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリスチレン、エチレン-プロピレンコポリマー、(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド及びこれらの塩、フェノール樹脂、ポリオキシメチレンホモポリマー及びコポリマー、ポリウレタン、ポリスルホン、ポリスルフィドゴム、ニトロセルロース、ビニルブチレート、ビニルポリマー、エチルセルロース、セルロースアセテート及び/又はブチレート、レーヨン、シェラック、ワックス、エチレンコポリマー、有機ゴム、ポリシロキサン、ポリエーテルシロキサン、シリコーンオリゴマー、ポリエーテル、ポリエーテルエステル及び/又はポリエーテルカーボネートからなる群から選択されるポリマーラジカルに結合し得る。
【0062】
更なる一代替例において、成分(e)は、1つ以上のアルキルポリアミン(例えば、ジブチルアミン、エチレンジアミン、トリ-エチレン第三級アミン、ジエチレントリアミン、ヘキシルアミン、及びジヘキシルアミン、又はこれらの混合物)であり得る。
【0063】
必要に応じて任意選択の添加剤を使用してもよい。これらは、非補強性充填剤、顔料、レオロジー調整剤、硬化調整剤、及び防カビ剤、及び/又は殺生物剤などを含み得る。添加剤の一部は、複数の添加剤のリストに含まれ得るということが理解される。その場合、このような添加剤は言及されている全ての異なる用途で機能する能力を有する。
【0064】
単独で、又は上記に加えて使用することができる非補強性充填剤としては、アルミナイト、硫酸カルシウム(無水石膏)、石膏、ネフェリン、スベナイト(svenite)、石英、硫酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリンなどの粘土、粉砕炭酸カルシウム、三水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム(水滑石)、黒鉛、炭酸銅、例えばマラカイト、炭酸ニッケル、例えばザラカイト(zarachite)、炭酸バリウム、例えば毒重石、及び/又は炭酸ストロンチウム、例えばストロンチアナイトが挙げられる。
【0065】
酸化アルミニウム、かんらん石族;ざくろ石族;アルミノシリケート;環状シリケート;鎖状シリケート;及び層状シリケートからなる群からなる群からのシリケートが含まれる。かんらん石族は、ケイ酸塩鉱物、例えばフォルステライト及びMgSiOを含むが、これらに限定されない。ざくろ石族は、赤色ざくろ石;MgAlSi12;緑ざくろ石;及びCaAlSi12などの粉砕ケイ酸塩鉱物を含むが、これらに限定されない。アルミノケイ酸塩は、ケイ線石;AlSiO;ムライト;3Al.2SiO;カイヤナイト;及びAlSiOなどの粉砕ケイ酸塩鉱物を含むが、これらに限定されない。
【0066】
環状ケイ酸塩族は、コージェライト及びAl(Mg、Fe)[SiAlO18]などのケイ酸塩鉱物を含むが、これらに限定されない。鎖状ケイ酸塩族は、粉砕ケイ酸塩鉱物、例えば、珪灰石及びCa[SiO]を含むが、これらに限定されない。
【0067】
層状ケイ酸塩は、雲母;KAI14[SiAl20](OH);葉蝋石;Al[Si20](OH);タルク;Mg[Si20](OH);蛇絞石、例えばアスベスト;カオリナイト;Al[Si10](OH);及びバーミキュライトなどのケイ酸塩鉱物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0068】
更に、充填剤の表面処理は、例えば、ステアリン酸エステル、ステアリン酸、ステアリン酸の塩、ステアリン酸カルシウム、及びカルボキシレートポリブタジエンなどの脂肪酸又は脂肪酸エステルなどを用いて行うことができる。ケイ素含有材料ベースの処理剤としては、オルガノシラン、オルガノシロキサン、又はオルガノシラザンヘキサアルキルジシラザン若しくは短鎖シロキサンジオールを挙げることができ、それによって充填剤が疎水性になり、したがって容易に取扱うことができるようになり、他のシーラント成分との均質混合物が得られる。充填剤の表面処理は、シリコーンポリマーによって粉砕シリケート鉱物を容易に濡らす。これらの表面改質充填剤は、固まらず、シリコーンポリマー中に均質に組み込まれ得る。これにより、未硬化組成物の室温での機械的特性が改善される。更に、この表面処理充填剤により、未処理材料又は原料よりも低い伝導性が得られる。
【0069】
本発明の組成物はまた、シーラント組成物などの、ケイ素結合ヒドロキシル基又は加水分解性基に基づく水分硬化性組成物における使用について公知の他の成分を含んでもよい。
【0070】
顔料は必要に応じて利用され、組成物を着色する。組成物と適合性がある限り、任意の好適な顔料を用いることができる。存在する場合、カーボンブラックは、非補強性充填剤及び着色剤の両方として機能し、触媒パッケージ組成物の1~30重量%、あるいは触媒パッケージ組成物の1~20重量%;あるいは触媒パッケージ組成物の5~20重量%、あるいは触媒組成物の7.5~20重量%の範囲で存在する。
【0071】
本発明による水分硬化性組成物中に組み込むことができるレオロジー調整剤としては、シリコーン有機コポリマー、例えばポリエーテル又はポリエステルのポリオールに基づく欧州特許第0802233号に記載されているもの;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エトキシル化ヒマシ油、オレイン酸エトキシレート、アルキルフェノールエトキシレート、コポリマー若しくはエチレンオキサイド及びプロピレンオキサイド、及びシリコーンポリエーテルコポリマーからなる群から選択される非イオン性界面活性剤;並びにシリコーングリコールが挙げられる。いくつかの系について、これらのレオロジー調整剤、特に、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドとのコポリマー、及びシリコーンポリエーテルコポリマーにより、基材、特に可塑性基材に対する接着を増強することができる。
【0072】
必要な場合、殺生物剤を組成物中で更に使用することができる。用語「殺生物剤」は、殺菌剤、殺真菌剤、及び殺藻剤などを包含するものであることに留意されたい。本明細書に記載の組成物中で使用することができる、有用な殺生物剤の好適な例としては、例えば:
カルバメート、例えば、メチル-N-ベンゾイミダゾール-2-イルカルバメート(カルベンダジム)及び他の好適なカルバメートなど、10,10’-オキシビスフェノキサシン、2-(4-チアゾリル)-ベンゾイミダゾール、
N-(フルオロジクロロメチルチオ)フタルイミド、ジヨードメチルp-トリルスルホン、紫外線安定剤との組み合わせに適切な場合、2,6-ジ(tert-ブチル)-p-クレゾール、3-ヨード-2-プロピニルブチルカルバメート(IPBC)、亜鉛2-ピリジンチオール-1-オキサイド、トリアゾリル化合物及びイソチアゾリノン、例えば、4,5-ジクロロ-2-(n-オクチル)-4-イソチアゾリン-3-オン(DCOIT)、2-(n-オクチル)4-イソチアゾリン-3-オン(OIT)、及びn-ブチル-1,2-ベンゾイソチアゾリン-3-オン(BBIT)など、が挙げられる。他の殺生物剤としては、例えば、亜鉛ピリジンチオン、1-(4-クロロフェニル)-4,4-ジメチル-3-(1,2,4-トリアゾール-1-イルメチル)ペンタン-3-オール及び/又は1-[[2-(2,4-ジクロロフェニル)-4-プロピル-1,3-ジオキソラン-2-イル]メチル]-1H-1,2,4-トリアゾールを挙げることができる。
【0073】
好適には、殺真菌剤及び/又は殺生物剤は、組成物の0~0.3重量%の量で存在していてもよく、欧州特許第2106418号に記載されているとおり、要求される場合、カプセル化した形態で存在していてもよい。
【0074】
したがって、本明細書の一液型縮合硬化性室温加硫性(RTV)シリコーン組成物は、
(a)組成物の35~60重量%の量の、次の式の1分子当たり少なくとも2つのヒドロキシル基又は加水分解性基を有するオルガノポリシロキサンポリマーであって、
3-nSi-(Z)-(O)-(R SiO(4-y)/2-(SiR 2-Z)-Si--R3-n (1)
(式中、各Xは、独立して、ヒドロキシル基又は加水分解性基であり、各Rは、アルキル基、アルケニル基、又はアリール基であり、各Rは、X基、アルキル基、アルケニル基、又はアリール基であり、Zは、二価有機基であり;
dは、0又は1であり、qは、0又は1であり、d+q=1であり;nは、0、1、2、又は3であり、yは、0、1、又は2であり、かつ優先的に2であり、zは、当該オルガノポリシロキサンポリマーが、25℃で、30,000~150,000mPa・s、あるいは25℃で、25℃で、40,000~140,000mPa・sの粘度を有し、組成物の35~90重量%の量、あるいは40~90重量%の量、あるいは45~90重量%で存在するような整数である)オルガノポリシロキサンポリマーを含み得る。
また、(b)沈降性シリカを含み得るが、中でもヒュームドシリカ及び/又はコロイダルシリカが、一般的に少なくとも50m/g(ISO9277:2010に従ったBET法)というそれらの比較的高い表面積から、特に好ましい。50~450m/g(ISO9277:2010に従ったBET法)、あるいは50~400m/g(ISO9277:2010に従ったBET法による)の表面積を有する充填剤であって、
組成物の2.5~40重量%、あるいは組成物の5.0~重量%、あるいは組成物の5.0~20重量%、あるいは組成物の7.0~15重量%、あるいは組成物の7~12重量%、あるいは組成物の7~11重量%の量で存在する充填剤と、
(c)1分子当たり少なくとも3個のヒドロキシル基及び/又は加水分解性基を有し、組成物の0.1~5重量%の量で存在し、組成物の0.5~4重量%の量で、あるいは組成物の1~3.5重量%の量で、あるいは組成物の1~3.5重量%の量で存在する、1種以上の架橋剤と、
(d)組成物の0.001~0.1重量%の量の、上記のスズ(iv)系縮合触媒と、
(e)組成物の0.1~3.75重量%、あるいは0.1~1.5重量%、あるいは組成物の0.1~1.0重量パーセント(重量%)の量の、アミジン、グアニジン、並びに他の直鎖又は分岐鎖アルキルアミン及び直鎖又は分岐鎖アルキルポリアミンから選択される、1種以上の低分子量窒素含有化合物とが含まれ得る。本組成物は、0℃以上25℃以下の範囲の温度で少なくとも6ヶ月間、防湿容器、例えばカートリッジ及び/又はバケツで保存可能である。得られる組成物は、透明から半透明の外観を有する。
【0075】
成分(a)~(e)と組成物中に含まれる任意の他の任意成分とを合わせた全組成物が、その組成物の100重量%の値を有するという条件で、組成物は上記のものの任意の組み合わせを含んでもよい。
【0076】
本明細書では、全ての成分を一緒に混合することによって上記の一液型縮合硬化性室温加硫性(RTV)シリコーン組成物を製造する方法も提供される。好ましくは、一旦混合されると、すぐに使用されない限り、組成物は、1つ以上の防湿容器に密封され、0℃以上25℃以下の間の範囲内の温度で、その容器内に保存される。一実施形態では、充填剤(b)は、最初にポリマー(a)に混合され、必要に応じて、充填剤がポリマーへの混合中にその場で処理されるように、疎水性処理剤と組み合わせて混合される。充填剤がポリマー中に十分に混合されたら(かつ、必要に応じて疎水化処理されたら)、残りの成分を添加して完全な組成物を作製する。
【0077】
本明細書では、本明細書で前述した一液型縮合硬化性室温加硫性(RTV)シリコーン組成物の、硬化生成物であるエラストマーシーラント材料も提供される。
【0078】
ファサード、絶縁ガラス、窓建設、自動車、ソーラー、及び建設分野におけるシーラントとしての、上記一液型縮合硬化性室温加硫性(RTV)シリコーン組成物の使用も提供される。
【0079】
本明細書において上に説明した組成物は、貯蔵安定性を有するが、その理由は、
1.指触乾燥時間(SOT)及び不粘着時間(TFT)が、密閉カートリッジに保管されている間、配合時に決定された初期値と比較して3倍を超えて増加せず;かつ
2.得られた硬化材料が、配合時に決定された初期値と比較して、引張強さ(Hバー又はダンベルで測定された引張強度によって表される)の少なくとも75%を保持しており、硬化材料の硬度(ショアAとして表される)も保持されているはずであるからである。
【0080】
一実施形態において、本明細書の一液型縮合硬化性室温加硫性(RTV)シリコーン組成物は、低弾性率シーラント組成物を提供するように設計されてもよい。本発明の目的のために、「低弾性率」シーラントは、ISO11600、第2版2002-10-01、セクション4.3に従って定義される。低弾性率シリコーンシーラント組成物は、好ましくは「ガン塗布可能」であり、すなわち、ASTMのC1183-04で測定される場合、10ml/分の最小押出速度、あるいは10~1000mL/分、あるいは30~500mL/分の押出速度の、好適な押出能力を有する。
【0081】
このような場合、一液型縮合硬化性室温加硫性(RTV)シリコーン組成物は、硬化後のシーラント材料に移動能力を付与することができる。移動能力は、ASTMのC719-13によって測定される場合、25%より大きく、あるいは移動能力は25%~50%の範囲内である。
【0082】
上述したような一液型縮合硬化性室温加硫性(RTV)シリコーン組成物は、以下の用途に使用されるガン塗布可能なシーラント組成物であってもよい:
(i)空間/隙間充填用途;
(ii)建設メンブレンにおける重ね接合部の縁部を封止するなどの封止用途;又は
(iii)封止貫通用途、例えば、建設メンブレンにおけるベントを封止すること;
(iv)少なくとも2つの基材を一緒に接着すること;及び/若しくは
(v)第1の基材、シーラント製品、及び第2の基材の積層体を生成するため、2つの基材間の積層層用途。
上記(v)の場合、積層体における層として使用される場合、生成された積層構造体は、これらの3つの層に限定されない。硬化したシーラント及び基材の追加の層が、適用され得る。ラミネート中のガン塗布可能なシーラント組成物の層は、連続的又は不連続的であり得る。
【0083】
上述したような一液型縮合硬化性室温加硫性(RTV)シリコーン組成物は、任意の好適な基材上に塗布することができる。好適な基材としては、ガラス;コンクリート;煉瓦;化粧漆喰;アルミニウム、銅、金、ニッケル、ケイ素、銀、ステンレス鋼合金、及びチタンなどの金属;セラミック材料;エポキシ、ポリカーボネート、ポリ(ブチレンテレフタレート)樹脂、ポリアミド樹脂、ポリ塩化ビニル(PVC)及びそれらのブレンドなどのエンジニアリングプラスチックを含むプラスチック、例えばThe Dow Chemical Company(米国ミシガン州ミッドランド)から市販されるポリアミド樹脂のシンジオタクチオックポリスチレンとのブレンド、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン、スチレン修飾ポリ(フェニレンオキシド)、ポリ(フェニレンスルフィド)、ビニルエステル、ポリフタルアミド、及びポリイミドなど;紙、布、及び木材などのセルロース基材;並びにそれらの組み合わせが挙げられ得るが、これらに限定されない。2つ以上の基材が使用される場合、基材が同じ材料で作製される必要はない。例えば、プラスチック及び金属基材又は木材及びプラスチック基材のラミネートを形成することが、可能である。塗布及び硬化後、エラストマーシーラント製品は、花崗岩、石灰石、大理石、石積み、金属及び複合パネルのような多孔質基材に対して非汚染(清浄)である。以下の実施例で証明されるように、この組成物が硬化するとPVC基材に接着するという事実は、特に注目に値する。
【0084】
先に記載されたような一液型縮合硬化性室温加硫性(RTV)シリコーン組成物の場合、2つの基材間に封止をもたらすようにそれらの間の空間を充填するための方法であって、その方法が:
a)本明細書において上述したような一液型縮合硬化性室温加硫性(RTV)シリコーン組成物を提供することと、
b)一液型縮合硬化性室温加硫性(RTV)シリコーン組成物を第1の基材に塗布し、第2の基材を、第1の基材に塗布されたシリコーン組成物と接触させること、又は
c)第1の基材及び第2の基材の配置によって形成された空間を、一液型縮合硬化性室温加硫性(RTV)シリコーン組成物で充填することのいずれかと、d)それを硬化させることと、を含む方法も提供される。
【0085】
したがって、前述の一液型縮合硬化性室温加硫性(RTV)シリコーン組成物は、高い移動能力を有する低弾性率タイプのものであり得るシリコーンシーラントを提供し得る。更に、本明細書の組成物は、透き通った、すなわち、透明及び/又は半透明のものであり、かつ建設のための耐汚染ウェザーシールシーラント材料として使用するための、花崗岩、石灰石、大理石、石積み、金属及び複合パネルなどの多孔質であってもなくてもよい建設基材に対して非汚染(清浄)である。
【0086】
本明細書に記載の、一液型縮合硬化性室温加硫性(RTV)シリコーン組成物の硬化時に生成されたシリコーンエラストマーが、低弾性率であるように設計された場合、その組成物の低弾性率の性質は、任意の理由による移動に曝され得る封止接合部でエラストマーを効果的にするが、これは、硬化したシーラントが、凝集破壊若しくは界面破損(接着破壊)することなくより大きな接合部移動に対応することを可能にするか、又は基材破壊を引き起こすことを可能にする、接合部の膨張又は収縮により、他の硬化シーラント(標準又は高弾性率を有する)と比較して、より低い力が、硬化したシーラント本体に生成され、基材/シーラント界面にシーラントによって伝達されるためである。
【実施例
【0087】
全ての粘度測定値は、特に明示されない限り、25℃で取得した。特に明示されない限り、実施例における全ての粘度は、Anton Paar GmbH(Graz,Austria)製のModular Compact Rheometer(MCR)302レオメーターを使用して測定した。径40mmのコーンプレート及び1s-1のせん断速度を用いて、30,000~160,000MPa.sの範囲の粘度を測定し;50mm直径のコーンプレート及び1s-1のせん断速度で、2000~30,000MPa.sの範囲の粘度を、測定し;75mm直径のコーンプレート及び1s-1のせん断速度で、10~2000MPa.sの範囲の粘度を測定した。
【0088】
以下の成分が実施例において言及される:
ポリマーA:50,000MPa.sの粘度を有するトリメトキシ末端ポリジメチルシロキサンポリマー;
ポリマーB:115,000MPa.sの粘度を有するトリエトキシ/トリメチル末端の、本質的に直鎖のポリジメチルシロキサンポリマーであって、トリエトキシ末端対トリメチル末端の比は、NMRによって決定され、85/15に相当した;
ポリマーB-1:123,000MPa.sの粘度を有する、トリメトキシ/トリメチル末端の、本質的に直鎖のポリジメチルシロキサンポリマーであって、トリメトキシ末端基対トリメチル末端基の比をNMRによって測定したところ、85/15に相当した;
ポリマーC:60,000MPa.sの粘度を有する、トリエトキシ末端の、本質的に直鎖のポリジメチルシロキサンポリマー;
ポリマーD:100MPa・sの粘度を有する、トリメチル末端の、本質的に直鎖のポリジメチルシロキサンポリマー;
ポリマーE:1000MPa・sの粘度を有する、トリメチル末端の、本質的に直鎖のポリジメチルシロキサンポリマー。
「本質的に直鎖のポリジメチルシロキサン」という句における「本質的に」という用語は、本発明者らが認識している限りにおいて、ポリマーがそれぞれの場合において直鎖であるが、製造中に少量の分岐が生じ得ることを、100%無視することはできないということを意味する。
Aerosil(登録商標)R972は、90~130m/g(供給元データ)の比表面積を有する、ジメチルジクロロシランで処理された後の、Evonik社製の疎水性ヒュームドシリカであり;
Aerosil(登録商標)R974は、150~190m/g(供給元データ)の比表面積を有する、親水性ヒュームドシリカをベースとする、ジメチルジクロロシランで処理された、Evonik社製の疎水性ヒュームドシリカであり;
MTMは、メチル-トリメトキシシランであり;DBTDLは、ジブチルスズジラウレートであり;DBTDNは、ジメチルスズジネオデカノエートであり;DBNは、1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ-5-エンであり;DBUは、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エンであり;TnBTは、テトラn-ブチルチタネートであり;HMDZはヘキサメチルジシラザンである。
【0089】
表1a及び表1bに示す組成物を使用して、比較組成物を調製した。
【0090】
【表1】
【0091】
【表2】
【0092】
真空能力を備えたDAC600.1vac-p Speed Mixerを使用して、一連の初期実験において、比較例(C1~C4)を調製した。最初にポリマー(複数可)をHMDZと混合し、次いで充填剤(シリカ)をポリマー(複数可)中に完全に取り込まれるまで徐々に添加した。続いて、架橋剤(複数可)、接着促進剤(複数可)、及び任意選択の添加剤を添加し、組成物に混合した。次いで、触媒及びブースターを添加し、更に混合した後、最終組成物を脱気して、プロセス中に遊離した揮発性物質を除去した。配合直後に、得られた生成物(シーラント)を防湿カートリッジに移した。1つのカートリッジを90℃で維持し、もう1つのカートリッジを室温(20~23℃)で維持した。
【0093】
実施例E10を除いて、比較例(C5~C13)を含む残りの実施例は、同じ混合プロセスを使用して調製したが、混合ブレード及び真空能力を備えた5Lバッチミキサー中で行った。C5~C13では、特に明記しない限り、比較例ごとに約3kgの材料を製造し、続いてこれを330mLのシーラントカートリッジに移して貯蔵し、これを、導入直後に密封して水分の侵入を防いだ。実施例E10は、異なるプロセスに従って作製した。再び5Lミキサーの二重壁ケトルで開始して、ポリマーを最初に添加し、次いで約75℃の温度に加熱した。次いで、トリメトキシシラン、DBTDL、TMG、及びアミノシランを添加し、得られた混合物を完全に混合し、脱気した。次いで、シリカをほぼ等量ずつ3回に分けて添加したが、完全に取り込まれるまで、添加どうしの間に混合した。これに、更なる脱気工程を続けた。最後に、HMDZを添加し、完全に取り込ませた。得られたシーラント組成物を脱気し、取り出した。
【0094】
異なる保存条件に供した後の組成物C1~C4について、指触乾燥時間(SOT)及び不粘着時間(TFT)を表2aに示す。
【0095】
SOT測定は、最初に、ポリエチレンシート又はクラフト紙上にキャストされた組成物の、1~2mm厚のスミアを塗布することによって行われる。これは、室温20~23℃及び相対湿度(RH)約50%で行われ、表面スキンが現れるのに必要な最小時間を決定することを目的とした、周期的に(例えば、1~2分毎に)繰り返される迅速な「指試験」である。
【0096】
TFT測定もまた、最初に、ポリエチレンシート又はクラフト紙上にキャストされた組成物の、1~2mm厚のスメアを塗布することによって行われる。小さな清浄なポリエチレン(PE)リボンを、設定時間後、例えば、1~2分毎に適用し、次いで、注意深く撤去する。試験は、スミアの異なる位置で適時に繰り返され、リボンがスミアの表面からきれいに(すなわち、「タックフリー」に)分離したときに、TFTが達成されたとみなされる。
【0097】
組成物を、室温20~23℃でのエージング効果を促進する実用的な手段として熱でエージングさせた。大部分の場合において、組成物が50℃で6週間のエージングに耐えることができる場合、それは室温(20~23℃)で9~12ヶ月の期間にわたって、適切に良好にエージングすると予想することができる。同様に、4週間、50℃での貯蔵は、室温(20~23℃)で約6ヶ月の期間のエージングの効果にほぼ等しい。とはいうものの、両方の方法で試験された試料の物理的結果は、エージング後に必ずしも同じ物理的特性をもたらさない。
熱によるエージングを行った試料に対する試験は、組成物を保持するカートリッジを、少なくとも4時間冷却した後にのみ実施した。硬化前に室温(RT)で6ヶ月間エージングさせた試料のSOT及びTFTも提供する。
【0098】
【表3】
【0099】
全ての可能性のある試験が、各々及び全ての製剤に対して行われるわけではない。略語NTは、「未試験」を表す。「ctg中で硬化」とは、「カートリッジ中で硬化した」、すなわち貯蔵中に硬化したことを表す。C1~C4の各々の場合、組成物は6ヶ月後にその機能を失う。C1組成物はカートリッジ内で硬化したが、C2及びC3は、実用的に有用なTFTを提供するには時間がかかりすぎた。
【0100】
実施例C4は、スズ系触媒単独では、適切に硬化するシーラントが得られないことを示す。高温での加速エージングは、シーラントの商業的実現可能性を予測せず、いずれの実施例も室温(20~23℃)での6ヶ月のエージングには、耐えることができないということが分かる。
【0101】
表3は、50℃での加速エージングを用いたC5~C13の硬化時間と、実験室貯蔵条件下で6、9及び12ヶ月(1年)時点で測定された、貯蔵寿命(貯蔵安定性)とを示す。
【0102】
【表4】
【0103】
上の表中の、「超」とつく値について、試験されている組成物は、示された期間後にSOT及び/又はTFTを有していたが、更なる測定は行わなかった。表3の「超」、例えば「195超」という用語法は、SOT又はTFTの値が195分より大きかったことを意味する。同様に、「60<90」という用語法は、SOT試験又はTFT試験が、60分後及び90分後に行われたこと、及びSOT又はTFTが2つの時点の間のどこかに存在したことを示す。
【0104】
これらはいずれも、9ヶ月の貯蔵安定性を特徴としないことが分かる。C5~C10は、50℃で4週間の加速エージングに耐えるように見えるが、それらの硬化は、6カ月のRT貯蔵では、実質的により遅くなり、エージングは、機械的特性及び接着性に影響を与える。
【0105】
表4は、比較例C5~C13の機械的特性を示す。
【0106】
上述の組成物のエージングは、シーラントのカートリッジを、指定の時間及び条件下で保管することからなっていた。指定されたエージング期間の後、組成物又は組成物の硬化から得られた硬化生成物材料を、必要なエージング期間の完了から48時間以内に試験した。初期特性は混合後48時間以内に測定した。
【0107】
機械的特性は、以下に示され説明されるように、Hバー試験片又はダンベル試験片のいずれかを使用して決定した。
【0108】
Hバー試験片については、12×12×50mmの寸法を有する組成物の試料を2つの基材の間に挟んだ。2つの基板は、ISO8339の第2版2005-06-15に規定されているように、12×75mmの寸法を有し、両方ともガラス製であるか、両方ともアルミニウム製であるか、又は一方はガラス製でありもう一方はアルミニウム製であった。別段の指示がない限り、本明細書の試験に使用される基材は、1枚のガラス基材及び1枚のアルミニウム基材であった。このような試験片は、業界では一般にHバー又はHピースと呼ばれ、この表記は略語(HP)と共に以下の実施例全体を通して使用される。各試験片を、室温(20~23℃)及び相対湿度(RH)約50%で、28日間硬化させる。
【0109】
硬化した試験片を、ISO8339に記載されている引張トラクション試験を使用して機械的に試験した。試験片を破断するのに必要な引張強さ及び破断点伸びを記録した。破壊を視覚的に観察し、凝集破壊(CF)に対応する表面のパーセンテージを定量化した。記録された破断パラメータ、例えば、引張強さ及び破断点伸びは、それぞれMPa及び%を単位として表される。
【0110】
凝集破壊(CF)は、硬化した材料が、それが接着している基材から分離することなく破断する場合に観察される。接着破壊(AF)は、硬化した材料が基材からきれいに引き離されている(すなわち、剥離している)状態を指す。場合によっては、AFとCFの混合がある混合破壊モードが観察されることがあり得る。そのような状況では、CF挙動を示す表面の割合(%CF)及びAF挙動を示す表面の割合(%AF)は、%CF+%AF=100%となるように決定される。以下の表4に列挙される値は、観察された%CFを指す。
【0111】
表4の各試験について、報告された値は、3回又は4回の独立した測定の算術平均を表す。28日間の硬化期間後に85%未満のCFを示す試料は、引張試験に不合格であるとみなされた。硬化した材料、例えばシーラントは、Hバーで測定した引張強さの75%がエージング後に保持される場合に安定であるとみなした。
【0112】
【表5】
【0113】
表4の比較例C5~C13から作製された比較硬化材料はいずれも、良好な機械的特性を有してはいない。C5、C6、C9、及びC10は、不適切な初期接着性を示すが、C7及びC8は、エージング時に接着性の完全な喪失を示す。比較例C11、C12、及びC13の場合には、適切な接着性が保持されたが、引張強さが著しく低下した、すなわち、結果が初期値の75%未満であり、不適切であるとみなされたということが判明した。
【0114】
表5は、ダンベル試験片を使用して測定された、選択された比較製剤の機械的特性を示す。2mm厚のシートを各試料について調製し、次いで室温(20~23℃)及び相対湿度約50%で、7日間硬化させた。次いで、標準ダンベル形試験片を、直ちに、又は好適なエージング期間後にシートから切り出し、これらの試験片の機械的特性を、ASTMのD412-06に従って試験した。ショアAは、ASTMのD2240に記載されているように試験した。報告値は、4つ又は5つの独立した測定値の平均値を表す。シーラントは、75%の引張強さ及び硬度(ショアA)がエージング後に保持された場合に安定であるとみなされた。
【0115】
【表6】
【0116】
C11、C12、及びC13は全て、硬度及び引張強さの著しい損失を示すことが分かる。
【0117】
【表7】
【0118】
表6は本発明の配合物の組成を示し、表7はSOT時間及びTFT時間を示し、表8及び表9は、それぞれダンベルで測定した機械的特性を示す。
【0119】
DBAブースター又はTMGブースターを含有する本発明の実施例E1、E2、E3、E4は、C7、C8、C9、C10の組成類似体であり、唯一の違いは、それぞれのブースター分子を含むことである。適切なブースターを選択することにより、適切な塗布特性のシーラントが得られるということが分かる。
【0120】
【表8】
【0121】
【表9】
【0122】
全ての材料が、室温(RT、20~23℃)での貯蔵の9ヶ月後及び1年後の両方で、許容可能な硬化時間を有することに留意されたい。
【0123】
【表10】

伸び最大、%は、破断点伸びを意味する。
【0124】
【表11】
【0125】
機械的特性並びに接着性(Hバーで測定)が良好に保持されていることが分かる。同じことが、ダンベルで測定された、硬度(ショアA)及び引張強さにも当てはまる。
【0126】
【表12】
【0127】
E1及びE2は、室温で1年間安定的であり、それらは両方とも、50℃で4週間の加速エージングでも満足な結果であったことが分かる。E3及びE4は、50℃で4週間の加速エージング後に、それらの機械的特性を保持した。E5及びE6は、室温で1年間安定的であり、50℃で4週間の加速エージング後にも、それらの機械的特性を保持した。
【0128】
更なる実施例E7~E10を調製した。実施例9及び10は、これが広がったシーラント組成物で機能することを示す。組成を表11に示し、結果を以下の表12及び表13に示す。
【0129】
【表13】
【0130】
【表14】
【0131】
表12から、E7、E8、E9、及びE10は全て、50℃で6週間の加速エージングでも、満足な結果を示したことが分かる。E7、E8、E9、及びE10を試験して、ポリ塩化ビニル(PVC)に対するそれらの接着性を決定した。15×7.5cmの寸法を有する白色PVC基材を、基材の長辺に沿ってシリコーンの「フィンガー」を押し出す前に、イソプロパノールで5~10分間洗浄することによって調製した。押出し直後に、フィンガーをスパチュラで穏やかに押して、幅約1cm、厚さ5~8mmの試験片を形成した。これらの試料を、室温及び相対湿度(RH)50%で貯蔵した。規則的な間隔で、PVC基材に近いアンダーカットを、シーラント「フィンガー」に垂直な方向に行った。次いで、得られたルーズエンドを、手で2、3cm引っ張った。結果は2回の試験の平均である。フィンガーを引っ張った結果、最初に被覆されたPVC表面の少なくとも50%が、基材から分離することなくシーラント内で破断した場合、シーラントはPVCに接着したとみなした。
【0132】
【表15】
【0133】
各例において、E7~E10は全て、商業的に利用可能な安定性と共に、100%の凝集破壊をもたらした。
【手続補正書】
【提出日】2023-06-30
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一液型縮合硬化性室温加硫性(RTV)シリコーン組成物であって、
(a)前記組成物の35~90重量%の量の、1分子当たり少なくとも2つのヒドロキシル基又は加水分解性基を有し、次の式のオルガノポリシロキサンポリマーであって、
3-nSi-(Z)-(O)-(R SiO(4-y)/2-(SiR 2-Z)-Si--R3-n (1)
(式中、各Xは、独立して、ヒドロキシル基又は加水分解性基であり、各Rは、アルキル、アルケニル、又はアリール基であり、各Rは、X基、アルキル基、アルケニル基、又はアリール基であり、Zは、二価有機基であり;
dは、0又は1であり、qは、0又は1であり、d+q=1であり;nは、0、1、2、又は3であり、yは、0、1、又は2でありかつ優先的に2であり、zは、前記オルガノポリシロキサンポリマーが、25℃で、30,000~150,000mPa・s、あるいは25℃で、40,000~140,000mPa・sの粘度を有するような整数である)オルガノポリシロキサンポリマーと、
(b)1種以上の本質的に無水の補強充填剤と、
(c)1分子当たり少なくとも2つ、あるいは少なくとも3つの加水分解性基を有するケイ素含有化合物の形態の1つ以上の架橋剤と、
(d)前記組成物の0.0.01~0.1重量%の量のスズ(iv)系縮合触媒と、
(e)前記組成物の0.1~3.5重量%の量の、アミジン、グアニジン及び他のアルキルアミン、及びアルキルポリアミンから選択される1種以上の低分子量直鎖又は分岐窒素含有化合物と、を含む一液型縮合硬化性室温加硫性(RTV)シリコーン組成物。
【請求項2】
オルガノポリシロキサンポリマー(a)が、次の構造:
3-nSi-(Z)-(R SiO(4-y)/2-(SiR 2-Z)-Si-R3-n
(式中、nは0又は1であり、各Xはアルコキシ基である)のものである、請求項1に記載の一液型室温加硫性(RTV)シリコーン組成物。
【請求項3】
前記補強充填剤(b)が、疎水化処理された本質的に無水の、少なくとも50.0m/g(ISO9277:2010に従ってBET法を用いて測定)の表面積を有する、ヒュームドシリカ及び/又は沈降シリカを含む、請求項1又は2に記載の一液型室温加硫性(RTV)シリコーン組成物。
【請求項4】
前記組成物及び得られる硬化材料が、半透明及び/又は透明である、請求項1又は2に記載の一液型室温加硫性(RTV)シリコーン組成物。
【請求項5】
前記スズ(iv)触媒が、1つ以上のスズトリフレート、ジアルキルスズ化合物から選択され、ジメチルスズジ-2-エチルヘキサノエート、ジメチルスズジラウレート、ジ-n-ブチルスズジアセテート、ジ-n-ブチルスズジ-2-エチルヘキサノエート、ジメチルスズジネオデカノエート(DMTDN)、ジ-n-ブチルスズジカプリレート、ジ-n-ブチルスズジ-2,2-ジメチルオクタノエート、ジ-n-ブチルスズオクタノエート、ジ-n-ブチルスズジラウレート(DBTDL)、ジ-n-ブチルスズジステアレート、ジ-n-ブチルスズジマレエート、ジ-n-ブチルスズジオレエート、ジ-n-オクチルスズジ-2-エチルヘキサノエート、ジ-n-オクチルスズジ-2,2-ジメチルオクタノエート、ジ-n-オクチルスズジマレエート、ジ-n-オクチルスズジラウレート、ジ-n-ブチルスズオキシド、カルボメトキシフェニルスズトリスベレート、スズブチレート、ブチルスズトリ-2-エチルヘキソエートスズナフテネート、イソブチルスズトリセロエート、スズオクトエート、トリエチルスズタルトレート及びジ-n-オクチルスズオキシドから選択される、請求項1又は2に記載の一液型室温加硫性(RTV)シリコーン組成物。
【請求項6】
成分(e)が、以下に示す基(1)~(4):
【化1】

(式中、各R、R、R、R及びRは、同じであっても異なっていてもよく、水素、アルキル基、シクロアルキル基、フェニル基、アラルキル基から選択されてもよい)の1つ以上を含有する直鎖又は分岐有機分子を含み得る、請求項1又は2に記載の一液型室温加硫性(RTV)シリコーン組成物。
【請求項7】
成分(e)が、グアニジン、構造(CHN-C=NH(N(CHを有する1,1,3,3-テトラメチルグアニジン(TMG)などのテトラメチルグアニジン、ジブチルアミン、エチレンジアミン、トリエチレンテトラミン、及びジエチレントリアミンのうちの1つ以上を含む、請求項1又は2に記載の一液型室温加硫性(RTV)シリコーン組成物。
【請求項8】
2つの隣接する基材表面間の接合部にペーストとして塗布されることができ、硬化の前に、前記隣接する基材表面に接着するエラストマーボディに硬化するまで、その割り当てられた位置に残る平滑な表面質量を提供するように用いられ得る、請求項1又は2に記載の一液型室温加硫性(RTV)シリコーン組成物。
【請求項9】
ポリ塩化ビニル基材に接着可能である、請求項1又は2に記載の一液型室温加硫性(RTV)シリコーン組成物。
【請求項10】
請求項1に記載の一液型室温加硫性(RTV)シリコーン組成物を硬化させることによって得られた反応生成物である、シリコーンエラストマー。
【請求項11】
透明及び/若しくは半透明、並びに/又は非染色性である、請求項10に記載のシリコーンエラストマー。
【請求項12】
全ての成分を一緒に混合することによって、請求項1又は2に記載の一液型室温加硫性(RTV)シリコーン組成物を作製する、方法。
【請求項13】
ファサード、絶縁ガラス、窓建設、自動車、ソーラー、及び建設分野におけるシーラントとしての、請求項1又は2に記載の組成物の、使用。
【請求項14】
良好な接着プロファイルを有するシーラントとしての、請求項1又は2に記載の組成物の使用。
【請求項15】
2つの基材の間にシールを作製するようにそれらの間の空間を充填するための方法であって、
a)請求項1に記載の一液型室温加硫性(RTV)シリコーン組成物を提供することと、
b)前記シリコーン組成物を第1の基材に塗布し、第2の基材を、前記第1の基材に塗布された前記シリコーン組成物と接触させること、又は
c)第1の基材及び第2の基材の配置によって形成された空間を前記シリコーン組成物で充填して、前記シリコーン組成物を硬化させることのいずれかを含む、方法。
【請求項16】
請求項15に記載の2つの基材間の空間を充填するための方法であって、前記空間が、押出の手段によるか、又はシーラントガンを通して、前記シーラント組成物を導入することによって充填され、かつ/又は前記基材のうちの1つがポリ塩化ビニル(PVC)である、方法。
【国際調査報告】