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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-25
(54)【発明の名称】極低温封じ込めシステム
(51)【国際特許分類】
   F25J 1/00 20060101AFI20240118BHJP
   F17C 13/00 20060101ALI20240118BHJP
【FI】
F25J1/00 C
F17C13/00 302A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023537340
(86)(22)【出願日】2021-11-18
(85)【翻訳文提出日】2023-07-05
(86)【国際出願番号】 US2021059886
(87)【国際公開番号】W WO2022139992
(87)【国際公開日】2022-06-30
(31)【優先権主張番号】63/129,541
(32)【優先日】2020-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/153,648
(32)【優先日】2021-01-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391020193
【氏名又は名称】キャタピラー インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】CATERPILLAR INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】モンゴメリー、デイビッド
(72)【発明者】
【氏名】ギンター、デイビッド エム.
【テーマコード(参考)】
3E172
4D047
【Fターム(参考)】
3E172AA03
3E172AA06
3E172AB01
3E172BA06
3E172BB12
3E172BB17
3E172HA04
3E172HA12
3E172HA14
3E172KA03
4D047AA02
4D047AB07
4D047BA09
4D047CA16
4D047EA00
(57)【要約】
極低温流体封じ込めシステムが開示されている。システムは、水素などの流体を極低温および極低温圧力で貯蔵することができる。流体が自然に温められると、流体は、流体上で冷却技術を実施するように構成される液化システムの一部分に向けられてもよい。冷却技術は、ジュールトムソン冷却技術であってもよい。液化システムは、非ジュールトムソン冷却技術およびジュールトムソン冷却技術の両方を実施するように装備されてもよい。システムは、流体を液化システムの適切な部分に向けるように構成され、これは、流体のジュールトムソン係数に少なくとも部分的に基づいてもよい。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
システムであって、
極低温水素を二相混合で貯蔵するように構成された貯蔵タンクと、
外部源から水素を受け取るように構成された液化システムであって、前記液化システムが、ジュールトムソン冷却段階および前記ジュールトムソン冷却段階に流体接続された非ジュールトムソン冷却段階を含み、前記液化システムが、
前記非ジュールトムソン冷却段階で前記水素を受け取り、
前記非ジュールトムソン冷却段階で、温度閾値を下回る第一の温度に前記水素を冷却し、
前記第一の温度で、前記非ジュールトムソン冷却段階から前記ジュールトムソン冷却段階に前記水素を移送し、
前記ジュールトムソン冷却段階で、前記水素を前記第一の温度よりも低い第二の温度に冷却し、
前記第二の温度で前記水素を前記ジュールトムソン冷却段階から前記貯蔵タンクに移送するようにさらに構成される、液化システムと、
前記液化システムの前記ジュールトムソン冷却段階であって、前記ジュールトムソン冷却段階が、
前記ボイルオフ水素を第三の温度に冷却し、
前記冷却されたボイルオフ水素を、前記第三の温度で、前記貯蔵タンクに移送するように構成される、前記ジュールトムソン冷却段階に前記貯蔵タンクからボイルオフ水素を移送するように構成されたボイルオフループと、を備える、システム。
【請求項2】
前記ボイルオフループが、前記ボイルオフ水素の圧力を、前記ジュールトムソン冷却段階に関連付けられた圧力閾値を超える第一の圧力に上昇させるように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
一つまたは複数の流体制御装置に動作可能に接続されたコントローラをさらに備え、前記コントローラが、
前記貯蔵タンクと関連付けられた温度センサおよび前記貯蔵タンクと関連付けられた圧力センサのうちの少なくとも一方から、前記貯蔵タンク内に配置された水素の温度および前記貯蔵タンク内に配置された水素の圧力のうちの少なくとも一方を受信し、
温度閾値を超える前記貯蔵タンク内に配置された前記水素の前記温度、および
圧力閾値を超える前記貯蔵タンク内に配置された前記水素の前記圧力のうちの少なくとも一方を決定し、
少なくとも前記決定に基づいて、前記一つまたは複数の流体制御装置に、前記ボイルオフ水素を前記ボイルオフループに移送させるように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記液化システムが第三の段階をさらに備え、前記コントローラが、前記一つまたは複数の流体制御装置に、前記ボイルオフ水素を前記非ジュールトムソン冷却段階、前記ジュールトムソン冷却段階、または前記第三の段階のうちの一つまたは複数に移送させるように構成される、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記ボイルオフループに流体接続された流れ制御装置に、前記ボイルオフ水素を前記非ジュールトムソン冷却段階に向けさせ、
前記非ジュールトムソン冷却段階に、前記非ジュールトムソン冷却段階から前記ジュールトムソン冷却段階に延在する流体通路を介して、前記ボイルオフ水素を前記ジュールトムソン冷却段階に向けさせるように構成されるコントローラをさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記ジュールトムソン冷却段階が、前記ボイルオフ水素から気化の潜熱を除去し、液化水素を前記貯蔵タンクに戻すように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
システムであって、
流体を極低温状態で、極低温閾値未満かつ極低温圧力閾値未満に貯蔵するように構成された貯蔵タンクと、
第一の段階と、前記第一の段階に流体接続された第二の段階とを有する液化システムであって、前記液化システムが、
前記第一の段階で前記流体を受け取り、
前記流体の温度を、前記極低温閾値を下回る貯蔵温度まで低減させ、
前記流体を、前記貯蔵温度で、第一の流体通路を介して、前記第二の段階から前記貯蔵タンクに移送させるように構成される、液化システムと、
前記貯蔵タンクを前記第二の段階と流体接続する第二の流体通路と、
前記液化システムおよび一つまたは複数の流体制御装置に動作可能に接続されたコントローラであって、前記コントローラが、
前記一つまたは複数の流体制御装置に、前記貯蔵タンクから前記液化システムの前記第二の段階に、ボイルオフ流体を移送させ、
前記液化システムの前記第二の段階に、前記ボイルオフ流体を液化させ、
前記一つまたは複数の流れ制御装置に、前記液化ボイルオフ流体を前記液化システムの前記第二の段階から前記貯蔵タンクに移送させるように構成される、コントローラと、を備える、システム。
【請求項8】
前記第一の段階が非ジュールトムソン冷却段階を備え、前記第二の段階がジュールトムソン冷却段階を備える、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記流体が水素を含み、前記極低温閾値が、水素の反転温度を含み、ジュールトムソン冷却技術に関連付けられる、請求項7に記載のシステム。
【請求項10】
前記一つまたは複数の流体制御装置が、前記コントローラに動作可能に接続され、前記貯蔵タンクから前記液化システムの前記第二の段階への前記ボイルオフ流体の移送を制御するように構成される弁を備える、請求項7に記載のシステム。
【請求項11】
前記一つまたは複数の流体制御装置が、前記コントローラに動作可能に接続され、かつ
前記ボイルオフ流体を前記貯蔵タンクから前記液化システムの前記第二の段階に移送する、および
前記液化ボイルオフ流体を、前記液化システムの前記第二の段階から前記貯蔵タンクに移送する、のうちの少なくとも一方を行うように構成されたポンプをさらに備える、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記ポンプが、第一の圧力から前記液化システムの前記第二の段階と関連付けられ、かつ前記第一の圧力よりも大きい、第二の圧力まで前記ボイルオフ流体の圧力を上昇させるようにさらに構成される、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記液化システムが、前記第二の段階に流体接続される第三の段階をさらに備え、前記第三の段階が、非ジュールトムソン冷却技術を利用して、前記ボイルオフ流体を前記液化システムの前記第二の段階に関連付けられた流入温度まで冷却するように構成される、請求項7に記載のシステム。
【請求項14】
前記第三の段階が、前記流体が前記第一の段階および前記第二の段階によって冷却され、前記ボイルオフ流体が前記第三の段階および前記第二の段階によって冷却されるように、前記第一の段階と並列に実装される、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
方法であって、
貯蔵タンクに関連付けられた第一のセンサを用いて、前記貯蔵タンク内に貯蔵された水素の温度を決定することと、
前記貯蔵タンクに関連付けられた第二のセンサを用いて、前記水素の圧力を決定することと、
前記第一のセンサおよび前記第二のセンサに動作可能に接続されたコントローラを用いて、
温度閾値を超える前記水素の前記温度、および
圧力閾値を超える前記水素の前記圧力のうちの少なくとも一方を決定することと、
前記コントローラを用いて、前記温度閾値を超える前記水素の前記温度、および前記圧力閾値を超える前記水素の前記圧力の少なくとも一方を決定することに、少なくとも部分的に基づいて、前記コントローラに動作可能に接続された第一の流れ制御装置に、前記貯蔵タンクから前記貯蔵タンクに流体接続された液化システムであって、前記液化システムが、
非ジュールトムソン冷却技術を実行するように構成された第一の段階と、
前記第一の段階に流体接続された第二の段階であって、前記第二の段階が、ジュールトムソン冷却技術を実行するように構成される、第二の段階と、を含む液化システムにボイルオフ水素を向けるようにさせることと、
前記コントローラを用いて、前記コントローラに動作可能に接続された第二の流れ制御装置に、前記液化システムの前記第二の段階から前記貯蔵タンクに液体水素を移送させることと、を含む、方法。
【請求項16】
前記コントローラを用いて、前記水素の前記温度が係数温度閾値よりも大きいと判定することと、
前記コントローラを用いて、前記水素の前記温度が前記係数温度閾値よりも大きいと判定することに少なくとも基づいて、前記第一の流体制御装置に前記ボイルオフ水素を前記液化システムの前記第一の段階に移送させることと、をさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記コントローラを用いて、前記水素の前記温度が係数温度閾値よりも小さいと判定することと、
前記コントローラを用いて、前記水素の前記温度が前記係数温度閾値よりも小さいと判定することに少なくとも基づいて、前記第一の流体制御装置に、前記ボイルオフ水素を前記液化システムの前記第二の段階に移送させることと、をさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記液化システムが、ジュールトムソン冷却技術を実行するように構成された第三の段階を備え、前記第一の段階を前記第二の段階と流体接続し、前記方法が、前記水素の前記温度および前記水素の前記圧力に少なくとも基づいて、前記ボイルオフ水素の少なくとも一部分を前記第三の段階に向けることをさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記液化システムが、ジュールトムソン冷却技術を実行するように構成された第三の段階を備え、前記第一の段階を前記貯蔵タンクと流体接続し、前記方法が、前記水素の前記温度および前記水素の前記圧力に少なくとも基づいて、前記ボイルオフ水素の少なくとも一部分を前記第二の段階および前記第三の段階に向けることをさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
前記コントローラを用いて、前記水素を前記液化システムの前記第一の段階または前記第二の段階に向けるように、遠隔源から命令を受信することと、
前記コントローラを用いて、前記命令に少なくとも部分的に基づいて、前記第一の流体制御装置に、前記貯蔵タンクから前記液化システムの前記第一の段階または前記第二の段階に前記ボイルオフ水素を移送させることと、をさらに含む、請求項15に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、極低温および極低温圧力で流体を取り扱うためのシステムおよび方法に関する。より詳細には、本開示は、ボイルオフ廃棄物を低減または除去するためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
データセンタなどの大規模な施設では、大量のエネルギーが消費され、電力喪失時に必要不可欠な作業を完了させるのに十分な電力を確保するためにバックアップ機器が必要となる。従来は、ディーゼル発電機セットまたは「発電セット」は、大規模な施設にバックアップ電力を供給するために使用される。水素燃料電池およびエンジンは、この目的のためにますます検討されているが、それら自体の課題を提示する。このようなエンジンの燃料は、バックアップ電源が必要になるまで極低温および極低温圧力で貯蔵される。極低温流体は、典型的には、貯蔵された流体を極低温で受動的に維持するタンクに貯蔵される。ほとんどの場合、こうした受動的な貯蔵タンク内に貯蔵された流体を積極的に冷却することは非効率であると考えられ、その結果、他のシステムを使用して、これらの流体をタンクに入れる前に冷却することが多い。受動的貯蔵タンクは、もちろん不完全であり、このようなタンク内に貯蔵された極低温流体は、時間の経過とともに徐々に温められ、圧力が上昇する。こうした加熱が起こると、貯蔵された水素の少なくとも一部は、タンク内の安全な圧力を維持するために、「ボイルオフ」として放出される必要がある。ボイルオフとは、貯蔵タンク内の温度が上昇するにつれて、極低温流体の量が液相から気相に変化する自然プロセスを指すことに留意されたい。一部の従来的なシステムでは、液体からガスへの相変化を経験する極低温流体の量は、気化の潜熱がシステム内の熱エネルギーを吸収するにつれて、極低温流体の受動的冷却を提供する。これが起こると、ボイルオフを介して生成されたガスを大気中に放出して、安全な貯蔵圧力を維持することができる。一部のシステムでは、水素は、一日あたり最大1%またはそれ以上蒸発しうる。こうしたシステムでは、ボイルオフを捕捉し、少なくとも部分的に再利用するためのプロセスが採用されていない場合、水素はおよそ100日ごとに完全に交換される必要がある。
【0003】
極低温流体のボイルオフストリームを変換するための一つのシステムは、米国特許第6,672,104号(以下、「‘104参照」と呼ぶ)に開示されている。‘104参照は、ボイルオフストリームを加圧し、加圧されたボイルオフストリームを冷却し、次いでボイルストリームを拡張することを開示する。‘104参照で説明したように、ボイルオフストリームをさらに拡張すると、さらに冷たくなり、少なくとも部分的にボイルオフストリームが液化される。‘104参照は、貯蔵された極低温流体の蒸気圧よりも大きい蒸気圧を有する一つまたは複数の構成要素の第一の所定量を、ボイルオフストリームから除去することによって得られる、結果として生じる加圧液体の予め選択されたバブル点温度を開示する。予め選択されたバブル点温度を得るために、’104参照は、貯蔵された極低温流体の分子量よりも重い分子量を有し、貯蔵された流体の蒸気圧力よりも低い蒸気圧力を有する、第二の所定量の一つまたは複数の添加剤を、ボイルオフストリームに添加することも記述する。
【0004】
‘104参照に記載されるシステムは、貯蔵された極低温流体のボイルオフストリームを制御可能に変換するよう構成されてもよいが、システムは、貯蔵された流体の加圧、冷却、および拡張に特化した複数の構成要素の使用を必要とする。このようなコンポーネントは、システムのコストと複雑さを増大させる。さらに、このような構成要素は、経時的に故障しやすい。したがって、’104参照に記載されるシステム、および他の類似のシステムは、典型的には、こうした構成要素の修理および/または交換に関連する高いメンテナンスコストを被り、また対応するメンテナンスダウンタイムに関連する非効率性に悩まされる。
【0005】
本開示の例は、上述の欠陥の一つまたは複数を克服することに向けられる。
【発明の概要】
【0006】
本開示の例は、二相混合で極低温水素を貯蔵するように構成された貯蔵タンク、液化システム、およびボイルオフループを含むシステムを対象とする。具体的には、液化システムは、ジュールトムソン冷却段階と、ジュールトムソン冷却段階に流体接続された非ジュールトムソン冷却段階とを含み得る。さらに、液化システムが、外部ソースから水素を受け取り、非ジュールトムソン冷却段階で水素を受け取り、水素を非ジュールトムソン冷却段階で温度閾値を下回る第一の温度まで冷却し、第一の温度で、非ジュールトムソン冷却段階からジュールトムソン冷却段階へ水素を移送し、水素をジュールトムソン冷却段階で第一の温度よりも低い第二の温度に冷却し、第二の温度で、ジュールトムソン冷却段階から貯蔵タンクに水素を移送するように構成され得る。さらに、ボイルオフループは、貯蔵タンクから液化システムのジュールトムソン冷却段階に、ボイルオフ水素を移送するように構成され得る。したがって、ジュールトムソン冷却段階は、ボイルオフ水素を第三の温度に冷却し、冷却されたボイルオフ水素を第三の温度で貯蔵タンクに移送するように構成され得る。
【0007】
本開示のさらなる例は、貯蔵タンク、液化システム、およびコントローラを含むシステムを対象とする。具体的には、貯蔵タンクは、流体を、極低温閾値未満かつ極低温圧力閾値未満の、極低温状態で貯蔵するように構成され得る。さらに、液化システムは、第一の段階および第一の段階に流体接続された第二の段階を含み得る。さらに、液化システムは、第一の段階で流体を受け取り、流体の温度を極低温閾値未満の貯蔵温度に低下させ、第二の段階から貯蔵タンクへ、貯蔵温度で、および第一の流体通路を介して、流体を移送するように構成され得る。一部の例では、第二の流体通路は、貯蔵タンクを第二の段階と流体接続することができる。さらに、コントローラが、液化システムおよび一つまたは複数の流体制御装置に動作可能に接続されてもよく、コントローラが、一つまたは複数の流れ制御装置に、貯蔵タンクから液化システムの第二の段階に、ボイルオフ流体を移動させ、液化システムの第二の段階に、ボイルオフ流体を液化させ、一つまたは複数の流れ制御装置を、液化システムの第二の段階から貯蔵タンクに液化ボイルオフ流体を移送させるように構成される。
【0008】
本開示のさらにさらなる例は、貯蔵タンクに関連付けられた第一のセンサを用いて、貯蔵タンク内に貯蔵された水素の温度を決定することと、貯蔵タンクに関連付けられた第二のセンサを用いて水素の圧力を決定することを含む方法を対象とする。さらに、方法は、第一のセンサおよび第二のセンサに動作可能に接続されたコントローラを用いて、水素の温度が温度閾値を超えること、および水素の圧力が圧力閾値を超えることのうちの少なくとも一方を判定することを含み得る。さらに、本方法は、コントローラを用いて、および少なくとも部分的に、水素の温度が温度閾値を超えること、および水素の圧力が圧力閾値を超えることのうちの少なくとも一方を判定することに基づいて、コントローラに動作可能に接続された第一の流れ制御装置に、貯蔵タンクから貯蔵タンクに流体接続される液化システムにボイルオフ水素を向けさせることを含み得る。液化システムは、非ジュールトムソン冷却技術を実行するように構成された第一の段階と、第一の段階に流体接続される第二の段階とを含んでもよく、第二の段階は、ジュールトムソン冷却技術を実行するように構成される。したがって、本方法は、コントローラを用いて、コントローラに動作可能に接続された第二の流れ制御装置に液体水素を液化システムの第二の段階から貯蔵タンクに移送させることを含み得る。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本開示の例による、大規模施設用の電力システムの概略図である。
図2図2は、本開示の例による、図1の電力システムに関連付けられた極低温封じ込めシステムの概略図である。
図3図3は、本開示のさらなる例による、図1の電力システムに関連付けられた極低温封じ込めシステムの概略図である。
図4図4は、本開示のさらなる例による多段階液化システムの概略図である。
図5図5は、本開示の例による方法を示すブロック図である。
図6図6は、単一の液化段階が、ボイルオフ目的に使用される、本開示のさらなる実施例による方法を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、本開示の実施形態による極低温流体ボイルオフ軽減システム100の概略図である。極低温流体ボイルオフ軽減システム100は、任意の相または相の組み合わせで、各場合の要求に応じて流体および流体の種類の特定の用途に応じて、様々な温度および圧力で、任意の流体と共に使用することができる。水素は、極低温流体ボイルオフ軽減システム100によって貯蔵および維持され得る一つのそのような流体である。当然のことながら、他の流体も、本開示による極低温流体ボイルオフ軽減システム100と共に使用されてもよく、水素に対する任意の特定の参照は、本開示の範囲を任意の流体の種類に限定しない。例えば、極低温流体は、メタン、二酸化炭素、窒素ヘリウム、希ガス、および他の要素/化合物を含み得る。
【0011】
水素は、貯蔵に関して特定の課題を提起しうる。例えば、水素は揮発性であり、液化温度は低い(約33ケルビン)。そのため、水素を燃料としてまたは他の用途で使用できるように、安全、効率的な方法で水素を維持することは困難であり得る。当然のことながら、いかなる貯蔵システムにおいても、水素が温まり、さらには蒸発する傾向がある。これが起こると、タンクの内部圧力が上昇し、チェックしないままであれば、封じ込め手段を超えることになる。したがって、内部圧力により、タンクが破裂し、周囲施設、機器、人員、および/または資産への損傷につながる可能性がある。一部の事例では、気化水素は、圧力レベルを維持するように大気に放出することができる。別の方法として、または追加的に、極低温流体ボイルオフ軽減システム100は、貯蔵された水素(または極低温流体)を大気に放出することに関連する損失を軽減し、またタンク内の圧力上昇の問題にも対処することができる。
【0012】
極低温流体ボイルオフ軽減システム100は、水素源104に結合される、またはそうでなければ水素源104から水素を提供される、吸気機構102を介して水素を受け取ることができる。さらに、極低温流体ボイルオフ軽減システムは、極低温流体ボイルオフ軽減システム100内の水素源104からの水素の分配を制御するように構成された分流弁106、段階間導管114によって接続される二つ以上の冷却段階(例えば、冷却段階1 110および冷却段階2 112)で構成される液化システム108、および貯蔵タンク116を含み得る。上述のように、液化システム108は、各々、一つまたは複数の冷却システムを含んでもよい、冷却段階1 110および冷却段階2 112などの複数の冷却段階を含んでもよい。さらに、分流弁106および/または極低温流体ボイルオフ軽減システム100のその他の構成要素は、水素源104から入ってくる水素を調節し、入ってくる水素を一つまたは複数の目的地に経路指定する、吸気コントローラ118によって制御され得る。以下でより詳細に説明するように、こうした目的地は、経路Aに沿った冷却段階1 110、経路Bに沿った冷却段階2 および/または経路Cに沿った貯蔵タンク116を含むことができる。同様に、タンクコントローラ120は、貯蔵タンク116からボイルオフの抽出を調節し、経路Dに沿った冷却段階1 110にボイルオフを向けるように構成されてもよい。一部の例では、タンクコントローラ120はまた、経路Eに沿った冷却段階2 112にボイルオフを向けるように構成されている。したがって、施設システム124に関連付けられた電力需要が一次電力システム126によって満たされない場合、バックアップ電力システム122によって利用するために、水素(または別の極低温流体)を貯蔵することができ、本明細書に記載の極低温流体ボイルオフ軽減システム100の様々な構成は、ボイルオフによって引き起こされる水素の損失を回避するのを助けることができる。
【0013】
吸気機構102は、水素(または別の極低温流体)が、極低温流体ボイルオフ軽減システム100に注入され、および/または極低温流体ボイルオフ軽減システム100によって受け取られ得る、任意の適切な機構であってもよい。一部の例では、水素源104は、送達トラック、送達パイプライン、または外部の水素源からの任意の他の適切な送達手段を含み得る。さらに、吸気機構102は、極低温流体ボイルオフ軽減システム100を水素源104に流体接続することを可能にする、弁、フランジ、コネクタ、カップリング、およびその他の締結手段を含み得る。さらに、吸気機構は、温度センサ(例えば、熱電対、温度計など)、圧力センサ(例えば、絶対圧力、ゲージ圧力、差圧など)、フローセンサ(例えば、速度流れ、質量流れなど)、および/または入ってくる水素の特性を識別するように構成された他のセンサを含み得る。同様に、吸気機構は、極低温流体ボイルオフ軽減システム100への水素の圧力および流れを制御するため、ポンプ(例えば、流体の流れを引き起こし、圧力差を生成し、さもなくば、流体に作業を充当するように構成された機構)、制御弁(例えば、受信した信号および/または付与された力に応答して流体流れを許容するように開き、流体流れを制限するように閉じるように構成される弁)、絞り弁(例えば、流体流量およびシステム圧力を制御するために利用される弁)、ならびにその他の圧力制御および流量制御システムなどの調節システムを含み得る。一部の追加の例では、水素源104から受け取られる水素は、混合相溶液中、ガス状態、または液体状態であってもよい。したがって、吸気機構102は、異なる相状態に関連付けられた流入流体を処理し、気相を液相から分離し、異なる相状態を極低温流体ボイルオフ軽減システム100の適切な部分へ向けるように構成され得る。一部のさらなる例では、水素源104は、加水分解システム(例えば、化学プロセスにおいて少なくとも水素を生成するために、水と物質と反応するように構成されたシステム)、電気分解システム(例えば、水を水素および酸素に分割する電流を提供するように構成されたシステム)、および/または他の水素生成システムであってもよい。一部の加水分解反応では、物質および水は、加水分解の標的分子(または親分子)が水素イオンを得るように反応することができる。さらに、水素は、化学反応によって生成され、吸気機構102に供給されることができる。吸気機構102は、任意の形態の水素を受け取り、極低温流体ボイルオフ軽減システム100への流入を容易にすることができることに留意されたい。
【0014】
分流弁106は、遠隔的に電子入力を介して、またはサーボ/モータを介して直接、吸気コントローラ118によって制御され得る。分流弁は、流入コネクタ(例えば、パイプ、ホース、チューブなど)と一つまたは複数の排出コネクタとの間で流れる流体を制御するように構成され得る。上述のように、一つまたは複数のセンサ(例えば、吸気機構102の構成要素である温度センサ、圧力センサ、およびフローセンサは、水素源104から受け取った水素の物理的特性に関連付けられた一つまたは複数の信号を生成することができる。一つまたは複数の信号は、吸気コントローラ118に送信され、水素の調節および経路決定のために利用され得る。別の方法として、または追加的に、吸気機構102は、既知の圧力および既知の温度で水素を提供する水素のベンダーなどの送達サービスを伴いうる。一部の例では、吸気コントローラ118は、水素の反転温度に対する水素の温度を監視するように構成され得る。反転温度は、水素(または他の極低温流体)のジュールトムソン係数が符号を変える(例えば、ジュールトムソン係数は、反転温度よりも高い温度で負であり、膨張すると流体を加熱させ、ジュールトムソン係数は、反転温度より低い温度で正であり、膨張すると流体を冷却させる)温度であることに注意すべきである。したがって、吸気コントローラ118が、水素の流入温度が反転温度を上回っていると判定する場合、吸気コントローラ118によって、分流弁106に、水素を経路Aに沿って冷却段階1 110に向けさせる。同様に、吸気コントローラ118が、水素の流入温度が反転温度を下回っていると判定する場合、吸気コントローラ118によって、分流弁106に、水素を、経路Bに沿って冷却段階2 112に向けさせる。いくつかの追加の例では、吸気コントローラが、水素が反転温度よりも低い別の閾値温度を下回っていると判定する場合があり、経路Cに沿ってタンク116に直接向きを変えられてもよい(例えば、水素が、水素の圧力に対する凝縮点を下回り、液体である)。少なくとも一つの例では、追加の閾値温度は、貯蔵温度と呼んでもよく、貯蔵温度は、貯蔵タンク116内の温度または圧力を上昇させることなく、水素が貯蔵タンク116内に安全に導入され得る温度を示す。
【0015】
一部のさらなる例では、吸気コントローラ118は、分流弁106に、少なくとも、一つまたは複数の温度閾値、一つまたは複数の圧力閾値、一つまたは複数の流れ閾値、または様々な閾値の組み合わせに基づいて、水素源104から受け取った水素を、経路A、経路B、および経路Cに沿って調節および経路指定させることができる。具体的には、水素源から受け取った水素に関連する温度および圧力は、水素に関連付けられた熱エネルギーおよび/または水素を水素源104の温度および圧力から貯蔵タンク116の温度および圧力まで冷却するために必要な仕事量を決定するために利用することができる。したがって、吸気コントローラ118は、水素源104から受け取った水素を、水素の初期冷却のために冷却段階1 110に、ならびに追加の冷却および/または液化のために冷却段階2 112に向けさせることができる。
【0016】
極低温流体ボイルオフ軽減システム100は、液化システム108を含み得る。具体的には、液化システム108は、異なる温度、圧力、および/または状態で液化システム108に提供される極低温流体の温度および/または圧力を減少させる様々な構成要素を含み得る。示される例では、液化システム108は、冷却段階1 110および冷却段階2 112を含む。冷却段階1 110は、非ジュールトムソン効果およびジュールトムソン冷却技術(ジュールトムソン係数が負である)を利用して、水素104の温度を冷却段階2 112の閾値温度および/または閾値圧力まで低減することができる。一部の例では、閾値温度(および閾値圧力)は、少なくとも、極低温流体(例えば、水素)の反転温度、貯蔵タンク116の貯蔵温度もしくは貯蔵圧力、貯蔵タンク116のボイルオフに関連付けられたボイルオフ温度およびボイルオフ圧力、または極低温流体ボイルオフ軽減システム100に関連付けられた他の決定された温度および圧力に基づいて決定され得る。さらに、冷却段階2 112は、ジュールトムソン冷却技術を利用して、極低温流体の温度(例えば、水素源104から受け取った水素)をさらに低減することができる。
【0017】
一部の例では、非ジュールトムソン冷却技術は、流体(例えば、ガス、液体など)の温度を低減することができる任意の冷凍サイクル、または非周期冷凍技術を含み得る。冷凍サイクルには、蒸気圧縮サイクル、吸収サイクル、吸着サイクル、およびシステムから熱エネルギーを除去するための作業を周期的に利用する(例えば、水素源104から受け取った水素を冷却する)他の冷凍技術が含まれ得る。別の方法として、または追加的に、非周期冷凍には、冷却後に分散または廃棄される作動流体の利用が含まれる(例えば、液体窒素は比較的安価であり、冷凍利用後に大気に放出され得る)。上述のように、冷却段階1 110は、非ジュールトムソン技術を利用して、水素源104から受け取った水素を冷却することができる。こうした技術は、熱を一方の流体から他方へと伝達するために、互いに熱接触させられる、様々な流れ経路に異なる流体を有する熱交換器を利用することができる(随意に、周期冷却システムまたは非周期冷却システムで)。熱交換器のいくつかの例示的な種類は、シェルアンドチューブ熱交換器、プレート熱交換器、プレートアンドシェル熱交換器、断熱ホイール熱交換器、ピロープレートヒア交換器、流体熱交換器、および動的かきとり式表面熱交換器である。
【0018】
冷却段階1 110のいくつかの例では、非ジュールトムソン冷却技術を利用して、水素、または別の低反転温度流体(例えば、ヘリウム、ネオンなど)を、反転温度まで冷却する。水素の温度を反転温度未満に下げることにより、ジュールトムソン効果を利用して水素(または他の極低温流体)を冷却することができる。水素および他のいくつかの材料は、気相において、反転温度が室温(約20°C)を下回るという、やや固有の特性を有することに留意されたい。したがって、液化システム108の冷却段階1 110は、冷却段階1 110ですべての極低温流体に対して非ジュールトムソン効果冷却を利用するように構成され得る。さらに、液化システム108の冷却段階1 110は、冷却段階1 110の動作温度を超える反転温度を有する極低温流体に対して、冷却段階1 110でジュールトムソン効果冷却を利用するように構成され得る。液化システム108は、段階間導管114が、ジュールトムソン効果冷却が水素104の温度をさらに低減するために実施される、段階1 110から段階2 112まで水素を通過することを含み得る。
【0019】
液化システム108の段階2 112は、ジュールトムソン冷却技術を用いて、水素源104から受け取った水素の温度をさらに低減することができる。一部の例では、ジュールトムソン冷却技術を利用して、冷却段階1 110によって処理された水素から液体水素を生成することができる。ジュールトムソン効果(ジュールケルビン効果またはケルビンジュール効果としても知られる)は、圧力がかけられたときに、熱が環境と交換されないように(例えば、極低温流体が断熱または実質的に断熱膨張を受ける)、実際のガスまたは液体(理想的なガスと区別される)が断熱されながら弁または多孔性プラグを通されるときの温度変化を説明する。この手順は、スロットリングプロセスまたはジュールトムソンプロセスと呼ばれる。室温で、ほとんどのガスは、ジュールトムソン技術によって膨張すると冷却される。しかしながら、上述のように、水素、ヘリウム、およびネオンなどの一部のガスは、ガスの温度が反転温度を下回るまで膨張時に加熱させる、室温を下回る反転温度を有する。したがって、反転温度より低く冷却されると、水素、ヘリウム、およびネオンに対してジュールトムソン技術を使用できる。ノズル、弁、または多孔性プラグを含む所望のジュールトムソン冷却を達成するには、多くの方法があり、冷却段階2 112は、任意の数のこれらの技術を含み得る。さらに、冷却段階2 112は、複数の冷却動作を含み得る。一部の実施形態では、複数の冷却動作は、温度を下げる段階であってもよい。一部の実施形態では、冷却段階2 112には複数の冗長冷却動作があり、冷却される水素の量に応じて、冷却段階2 112の一部分が、別の部分がアイドルの間、採用され得る。
【0020】
一部の例では、図1は、本開示の例による施設用の極低温流体ボイルオフ軽減システム100の図である。具体的には、極低温流体ボイルオフ軽減システム100は、バックアップ電力システム122によって燃料として利用され得る極低温流体を維持するように構成され得る。さらに、極低温流体ボイルオフ軽減システムは、ボイルオフを再液化することによって処理することによって、貯蔵タンク116からのボイルオフの放出が大気に放出されるのを防止するように構成され得る。さらに、極低温流体ボイルオフ軽減システムは、施設システム124の電力需要が一次電力システム126によって満たされない場合に、電力予備として極低温を維持するように構成され得る。一部の追加の例では、一次電力システム126は、地方自治体または別の標準一次電源からのグリッド電力であり得る。さらに、施設システム124は、少なくとも施設内の様々なシステムによって消費される電力に基づいて決定される電力需要と関連付けられ得る。したがって、電力需要は、任意の、およびすべての電力付きHVACシステム、照明、加熱システム、冷却システム、モータ、エンジン、ネットワーク、サーバ、他のコンピューティングデバイス、および施設内の電力を消費する実質的に任意の他の機構の電力要件を含み得る。
【0021】
さらに、極低温流体ボイルオフ軽減システム100は、停電、不足、または一次電力システム126によって満たされない施設システム124の電力需要をもたらす他の状況の場合に、バックアップ電源122に対する極低温流体を管理することができる。一部の例では、バックアップ電力システム126は、水素(または他の極低温燃料)を、施設システム124の電力需要を満たすのに十分なエネルギーに変換する、水素動力エンジンおよび/または燃料電池を含み得る。したがって、電力需要が一次電力システム126によって満たされていないと判定すると、施設および/またはバックアップ電力システム122は、水素を貯蔵タンク116から抽出し、消費して、施設システム124のための追加の電力を生成し得る。
【0022】
図2は、極低温流体ボイルオフ軽減システムのための潜在的な動作空間の図である。具体的には、図2は、二原子水素の相図の近似である。しかしながら、図2は近似であり、個々の相に対する様々な値および境界線は、実世界の値に正確にマッピングされない場合があることに留意されたい。図2は、液相202が気相204内に気化/蒸発し、気相204が液相202内に凝縮することができる温度および圧力の近似を含む。図2に示すように、例示的な気化曲線206は、極低温流体の液相202と気相204との間の境界を表すことができる。例えば、気化曲線206は、原子または極低温流体の分子が、気化の潜熱を吸収するか、または凝縮の潜熱を放射し、液相202と気相204との間の遷移ができる、現実世界の温度および圧力の組み合わせを表すことができる。同様に、例示的な気化曲線206は、極低温流体が物質の三つの状態(例えば、固体、液体、およびガス)の間の平衡に存在する圧力および温度を表す三重点208と、液相202および極低温流体の気相が超臨界流体となる時の圧力および温度を表す臨界点210との間に延伸し得る。図2は、水素の三重点208および臨界点210の近似を含むが、他の流体の三重点および臨界点は、他の温度および圧力の組み合わせで発生し得ることに留意されたい。さらに、図2は、第一の冷却動作(例えば、図1の冷却段階1 110によって実施される冷却動作)によって引き起こされる極低温流体に関連付けられた第一の温度変化および第一の圧力変化を表す第一の曲線セグメント212を含む。同様に、図2は、第二の冷却動作(例えば、図1の冷却段階2 112によって実施される冷却動作)によって引き起こされる極低温流体に関連付けられた第二の温度変化および第二の圧力変化を表す第二の曲線セグメント214を含む。
【0023】
図2内の三重点208および臨界点210の表示にもかかわらず、これらの現象は、それらに関連付けられた現実世界の温度および圧力を有することに留意されたい。具体的には、固相、液相202、および気相204が平衡中に存在する水素の三重点は、約13.84K/-259.31°Cおよび7.04kPa/.0704バールで発生する。同様に、液相202および気相204が共存を停止し、超臨界流体を形成する水素の臨界点は、約33.20K/-239.95°Cおよび1300kPa/12.97バールで発生する。したがって、気化曲線206は、液相202の水素が気相204に気化し、気相204の水素が液相202に凝縮し得る温度および圧力を表す。
【0024】
一部の例では、図1に関して上述した極低温流体ボイルオフ軽減システムは、図2に描写するように、極低温流体の気相204および液相202内で動作するよう構成することができる。具体的には、冷却段階1 110および冷却段階2 112は、水素源104から受け取った水素を、流入温度から冷却し、貯蔵タンク116に貯蔵するために水素を液化するように構成することができる。さらに、冷却段階1 110の第一の冷却動作は、第一の曲線セグメント212によって表されてもよく、水素の温度は、負の値から正の値へのジュールトムソン係数の変化に関連付けられた温度閾値216を下回る水素の流入温度から低減される。大気圧では、ジュールトムソン係数は、およそ200K/-73.15°Cで、負の値から正の値に変化するが、温度閾値216は、少なくとも部分的に水素の圧力に基づいて決定され得る。しかしながら、冷却段階1 110に関連付けられた第一の冷却動作は、気化曲線206よりも高い温度で任意の温度閾値未満に水素を低減させるように構成され得る。さらに、第一の冷却動作は、圧力の上昇(図2の第一の曲線セグメント212によって図示されるように)を、等圧環境で発生させてもよく、または冷却段階1 110によって利用される冷却方法の種類に少なくとも部分的に基づいて圧力の低下を引き起こすことができる。同様に、冷却段階2 112に関連付けられた第二の冷却動作は、第一の冷却動作の排出温度から、所与の圧力の凝縮温度を下回る貯蔵温度まで水素を低減させるように構成され得る(図2の第一の曲線セグメント212によって図示されるように)。
【0025】
一部の例では、第一の曲線セグメント212に関連付けられた第一の冷却動作と第二の曲線セグメント214に関連付けられた第二の冷却動作との間に、追加の冷却動作(図示せず)を含めることができる。具体的には、第一の冷却動作は、非ジュールトムソン冷却技術を利用して、水素源(例えば、水素タンク、水素ベンダー、加水分解システム、電気分解システムなど)の流入温度から、ジュールトムソン係数が負の値から正の値に変化する温度より低い第一の冷却動作排出温度まで、水素の温度を低減するように構成され得る。さらに、非ジュールトムソン冷却技術は、水素源104に関連付けられた流入圧力に対して、水素の圧力を上昇、一定、または減少させ得る。第一の冷却動作の後、加圧動作(例えば、ポンプ)は、第一の冷却動作の第一の排出圧力から、第二の冷却動作または追加の冷却動作に関連付けられた流入圧力まで圧力を上昇させ得る。したがって、追加の冷却動作および第二の冷却動作は、ジュールトムソン冷却技術を利用して水素を冷却し、水素を貯蔵のために液化することができる。さらに、追加の加圧動作は、システムの完全性、安全性、および動作パラメータを維持するために、追加の冷却動作、第二の冷却動作、および/または貯蔵タンクの間に含んでもよい。
【0026】
一部の追加の例では、第二の冷却動作、および、含まれる場合、追加の冷却動作は、第二の曲線セグメント214によって図示されるように、水素の温度および圧力の両方を低減する、一つまたは複数のジュールトムソン冷却動作(例えば、水素をスロットル弁、多孔性プラグ、または水素を冷却する他の減圧装置に通過させる)を含むように構成され得る。さらに、第二の冷却動作は、第二の冷却動作流入温度から貯蔵タンク温度まで水素の温度を低減するように構成されてもよく、第二の冷却動作流入温度は、第一の冷却動作排出温度または追加の冷却動作排出温度と関連付けられる(任意選択で、第一の冷却動作または追加の冷却動作による水素排出が加圧された後に)。さらに、第二の冷却動作は、貯蔵タンクのボイルオフ温度閾値および/またはボイルオフ圧力閾値とほぼ等しい温度および圧力で水素を受け取るようにさらに構成され得る。したがって、第二の冷却動作は、第二の冷却動作流入温度および第二の冷却動作流入圧力で水素を受け取り、水素の温度を貯蔵タンクの貯蔵温度まで低減するように構成され得る。
【0027】
極低温流体ボイルオフ軽減システム100(図1)は、第二の冷却動作(例えば、冷却段階2 112)が、以前の冷却段階(例えば、第一の曲線セグメント212によって表される第一の冷却動作、追加冷却動作、冷却段階1 110)、および/または第二の冷却動作による再液化のために貯蔵タンクからガス状水素を収集するボイルオフ水素源の両方から水素を受け取るように構成され得るように構成され得ることに留意されたい。さらに、サポートシステム(例えば、ポンプ、弁、圧力調節器、温度センサ、フローセンサ、圧力センサなど)は、水素源104から受け取った水素と、第二の冷却動作によって受け取った水素が、ジュールトムソン冷却技術を介して、第二の冷却動作流入温度から貯蔵タンクの貯蔵温度まで冷却を可能にする適切な圧力にあるように、ボイルオフ水素源から受け取った水素との両方と関連付けることができる。さらに、第二の冷却動作は、温度および/または圧力に関連付けられたボイルオフ閾値が満たされる十分な量のボイルオフが生成されることにより、ガス状水素を受け取ることによって、貯蔵タンクの受動的冷却(例えば、タンク内の液体水素からガス状水素への気化は、液体水素からの気化の潜熱を除去し、貯蔵タンク内の液体を効果的に冷却する)を支持するように構成され得る。したがって、ボイルオフ水素(例えば、ボイルオフによって生成されるガス状水素)は、ポンプ、またはタンクの内部圧力を利用してガス状水素を駆動するパイプによって収集され、気化の潜熱を除去し、貯蔵タンクへの導入のためにボイルオフ水素を液化するように構成され得る第二の冷却動作に移送され得る。
【0028】
図3は、本開示のさらなる例による極低温流体ボイルオフ軽減システム300の概略図である。極低温流体ボイルオフ軽減システム300は、図1および2を参照して上述した多くの特徴を含み得る。具体的には、極低温流体ボイルオフ軽減システム300は、水素源304から水素を受け取り、水素を液化システム306に向ける、吸気機構302を含み得る。液化システムは、液体水素を貯蔵タンク312に入れる前に水素を冷却し液化する、少なくとも段階1 308および段階2 310を含む、複数の冷却システムを含み得る。さらに、貯蔵タンク312は、少なくとも温度センサ316および圧力センサ318を介して、タンクコントローラ314によって監視され得る。少なくとも温度センサ316および/または圧力センサ318から受信した情報に基づいて、タンクコントローラ314は、貯蔵タンク内のボイルオフ水素をいつ冷却し、冷却システムの段階2 312によって液化するかを決定することができる。タンクコントローラ314は、ボイルオフ収集システム320に、ボイルオフ水素を収集し、ボイルオフ水素を段階2 312に輸送させるように構成されてもよく、一方、液体水素戻りシステム322は、段階2 312から液化水素を受け取り、液化水素を貯蔵タンク312に入れることができる。
【0029】
極低温流体ボイルオフ軽減システム300は、水素源が水素を調節しない水素源304から受け取られる水素を調節するために、吸気機構302を利用することができる。具体的には、吸気機構は、吸気コントローラによって、または極低温流体ボイルオフ軽減システム300に関連付けられたオペレータによって制御される水素源とのパイプ、ホース、および/またはその他の接続用のコネクタ弁を含み得る。コネクタ弁は、水素源304との永久的接続(例えば、加水分解または電気分解システムなどの内部水素源用、およびパイプラインを施設に提供する外部ベンダー用)、および/または水素源304との一時的な接続(例えば、水素源は、吸気機構に接続し、トラックおよび/またはレールによって施設にもたらされるタンクであり、一定量の水素を注入する)を含み得る。水素源304の性質に依存せず、吸気機構302と関連付けられた様々なセンサとの通信および吸気機構302の様々な構成要素に送信された信号(例えば、信号は、スロットル弁によって引き起こされる圧力減少量および/またはポンプによって引き起こされる加圧量を制御することができる)を介して、吸気機構が、流入圧力を調節し(例えば、スロットル弁を介して)、水素流量を調節し、流入圧力を監視し(例えば、圧力センサを介して)、流入温度を監視する(例えば、温度センサを介して)ことができる。したがって、水素の流入温度、流入圧力、流入流量、および/またはその他の水素の物理的特性を決定し、液化システム306に送信することができる。
【0030】
上述のように、段階1 308は、図1に関して記載した冷却段階1 110と実質的に類似および/または同一であってもよい。例えば、段階1 308は、様々な周期冷凍技術(例えば、逆カルノーサイクル、逆スターリングエンジン、蒸気圧縮サイクル、作動流体に関連付けられた熱交換など)および/または非周期冷凍技術(例えば、熱交換器を通過し、その後、大気に排出される液体窒素)を利用して、水素を閾値温度以下に冷却することができる。さらに、水素源304から受け取られた段階1 308による流入水素の初期冷却は、冷却段階1 110を参照して、図1に記載される例に従って進行することができる。さらに、段階2 310は、図1に関して上述した冷却段階2 112と実質的に類似および/または同一であってもよい。例えば、段階2 310は、ジュールトムソン冷却技術を利用して、水素源304から受け取った水素をさらに冷却および液化することができる(図1に記載される技術と類似)。したがって、水素源304から受け取った水素は、冷却され、液化され、貯蔵タンク312に入れられ得る。
【0031】
一部の例では、タンクコントローラ314は、貯蔵タンク312に関連付けられた少なくともタンク温度およびタンク圧力を監視するように構成され得る。具体的には、貯蔵タンク312は、極低温環境(例えば、-50°C未満の温度)内の、および任意に加圧された環境内の極低温液体を構成する極低温貯蔵タンクであってもよい(水素および他の可燃性極低温流体の貯蔵は、一般に、酸化剤を貯蔵タンク/極低温流体ボイルオフ軽減システム300に引き込む漏れを避けるために圧力下にあることに留意されたい)。したがって、貯蔵タンク312は、内部冷却システム(ただし、これらは一般に、内部冷却システムによって可能になる追加の熱エネルギー伝達によって無効化される)と、貯蔵された極低温流体を監視するための一つまたは複数のセンサと、貯蔵タンク312から貯蔵された極低温流体を抽出し、貯蔵タンク312に入れることを可能にする一つまたは複数のコネクタとを含みうる断熱貯蔵タンク(壁の間に高真空を含む二重壁容器であるデュワーフラスコなど)であってもよい。一部の追加の例では、貯蔵タンク312は、タンクコントローラ314によって動作可能に制御される流体制御装置320(例えば、弁、開口部など)を含み得る。流体制御装置320は、流れA’、B’、C’、A’’、およびB’’によって示されるボイルオフ処理ループに連結され得る。流体制御装置320は、貯蔵タンク312からボイルオフ水素を抽出し、任意選択的に、ボイルオフ水素を加圧し(しかし、貯蔵タンク312の内部圧力は、ボイルオフ水素を流れA’、B’、C’、A’’、および/またはB’’に沿って駆動するのに十分であり得る)、段階1 308および/または段階2 310に関連付けられた冷却システムにボイルオフ水素を提供するという説明された目的を達成する、弁およびポンプの任意の組み合わせを含み得る。第一の流体制御装置は、流れA’’およびB’’を通るボイルオフ水素の流れを調節するように位置付けられ、および構成されてもよく、水素源304から受け取った水素と類似した様式で、液化システム306にボイルオフ水素を処理させる。別の方法として、または追加的に、第二の流体制御装置および/または第三の流体制御装置は、段階2 310を通り、貯蔵タンク312内に戻る流体の流れを調節するように位置付けられ、構成され得る。流体制御装置320のそれぞれについて、流体流れを完全に調節するために伴われる任意の数の弁および/またはポンプが存在してもよく、また構成要素の位置は変化し得ることが理解されるべきである。
【0032】
貯蔵タンク312内の水素は、液体水素(貯蔵タンク312内の水素の大部分)と、気相中の少量の水素とからなる混合相溶液とすることができる。水素が温まると、液体水素は液相から気相に変換する。タンクコントローラ314は、貯蔵タンク312内の水素の貯蔵温度および/または貯蔵圧力が、温度閾値および/またはボイルオフ水素が処理および液化されることを示す圧力閾値を満たす(例えば、超える)ときを検出するように構成され得る。したがって、ボイルオフ水素(例えば、気相中の水素)は、貯蔵タンク312から抽出され、ボイルオフ水素を冷却し、気化の潜熱をガス状水素から除去することができる、液化システム306の段階2 310に向けることができ、気相を液相に戻すよう変換し、次いで貯蔵タンク312に戻される。貯蔵タンク312内の流体の全体的な温度は、それに応じて低減されてもよく、かつボイルオフ廃棄物を最小化するか、または完全に除去することができる。
【0033】
上述のように、タンクコントローラ314は、貯蔵タンク312内の水素の貯蔵温度および貯蔵圧力を監視するように構成され得る。具体的には、タンクコントローラは、温度センサ316を介して貯蔵温度を監視し、圧力センサ318を介して貯蔵圧力を監視することができる。タンクコントローラ314は、一つまたは複数の貯蔵閾値に対して貯蔵温度および貯蔵圧力を監視するように構成され得る。これらの閾値は、安全閾値(例えば、貯蔵タンク312の内部圧力および/または温度は、貯蔵タンクの故障を防止するため閾値より低いままである)、効率閾値(例えば、貯蔵タンク312内の水素レベルを維持するためにエネルギー要件を最小化する)、および/または動作および/またはビジネスパラメータで決定される他の閾値とすることができる。例えば、圧力閾値は、貯蔵タンク312内の一定量の水素が気化し、貯蔵圧力が貯蔵タンク312の圧力限界に近づいていることを示す貯蔵圧力と関連付けられてもよい(これは安全要因を含み得る)。したがって、タンクコントローラ314は、圧力閾値が貯蔵圧力によって超過したことを検出し、流体制御装置320に、流れA’を介して貯蔵タンク312からボイルオフ水素(例えば、ガス状水素)を抽出させ、流れB’を介して段階2 310冷却システムにボイルオフ水素を向けさせ、流れC’を介して液化水素を貯蔵タンク312に戻させることができる。さらに、追加の圧力閾値は、圧力閾値よりも大きく、追加のボイルオフ軽減が実施されることを示す追加の貯蔵圧力と関連付けられてもよい。したがって、タンクコントローラ314は、追加の圧力閾値を超過したことを検出し、流体制御装置に、流れA’’を介してボイルオフ水素を抽出させ、流れB’’を介して段階1 308冷却システムにボイルオフ水素を向けさせ、液化水素を貯蔵タンク312に戻させることができる。タンクコントローラ314は、流体制御装置320を動作させて、ボイルオフ水素の流れを管理するように構成されてもよく、電子線および/または無線制御を介して流体制御装置320に接続されてもよい。さらに、タンクコントローラ314は、温度センサ316および圧力センサ318と通信して、電子線および/または無線制御を介して貯蔵タンクデータ322を受信することができる。
【0034】
タンクコントローラ314、温度センサ316、圧力センサ318、および流体制御装置320は、貯蔵タンク312に関連付けられたボイルオフ損失を軽減するために、協働して動作するように構成され得る。貯蔵タンク312内の二相混合が閾値温度より高く(例えば、約200Kの水素反転温度)、その時点で、非ジュールトムソン効果冷却が要求される場合、タンクコントローラ314によって、流体制御装置320に、ボイルオフ水素を段階1のボイルオフループ326に移動させることができ、その結果、液化システム306の段階1 308が、非ジュールトムソン効果冷却を使用して流体を冷却させ、次いで、ジュールトムソン効果冷却のために、流体を段階2 310に進ませ、最終的に貯蔵タンク312に戻すことができる。別の方法として、または追加的に、タンクコントローラ314は、水素の貯蔵圧力が、冷却量を示す閾値を超えるため、流体制御装置320に、段階1のボイルオフループ326を利用させ、段階2 310冷却システムの冷却能力を超えるボイルオフ水素を液化することができる。したがって、段階1 308、段階2 310の両方を通して、および任意選択で、液化システム306内の任意の追加の冷却段階を通して、ボイルオフ水素を方向付けることによって、段階1のボイルオフループ326は、水素の反転温度を超える、および/または段階2 310の容量を超える冷却量と関連付けられるボイルオフ水素を冷却するように構成することができる。
【0035】
さらに、タンクコントローラ314、温度センサ316、圧力センサ318、および流体制御装置320は、貯蔵タンク312に関連付けられたボイルオフ損失を軽減するために、協働して動作するように構成され得る。貯蔵タンク312内の二相混合が閾値温度(例えば、約200Kでの水素反転温度)未満かつ閾値圧力を超える場合、タンクコントローラ314は、流体制御装置320に、段階2のボイルオフ流入322内にボイルオフ水素を移動し、段階2のボイルオフ排出324を介して液体水素を貯蔵タンク312に戻すようにさせることができる。具体的には、液化システム306の段階2 310は、ジュールトムソン効果冷却を使用して流体を冷却し、次いで液体水素を貯蔵タンク312に戻すことができる。別の方法として、または追加的に、タンクコントローラ314は、冷却量を示す閾値を満たす水素の貯蔵温度のために、流体制御装置320に段階2のボイルオフ流入322を利用させ、段階2 310冷却システムの冷却能力によって供給されるボイルオフ水素を液化することができる。したがって、段階2のボイルオフ流入322は、水素の反転温度を下回る、および/または段階2 310によって提供され得る冷却量に関連付けられているボイルオフ水素を受け取るように構成され得る。
【0036】
一部の例では、段階2のボイルオフ流入322、段階2のボイルオフ排出324、および/または段階1のボイルオフループ326は、貯蔵タンク312および/または段階2 310の排出圧力から段階1 308、段階2 310、および/または貯蔵タンク312の流入圧力に流体の圧力を変更するように構成されたポンプ328(段階1のボイルオフループ326に関連して図示される)を含み得る。したがって、回転ポンプ、ピストンポンプ、ダイアフラムポンプ、ねじポンプ、遠心ポンプ、および他のポンプを利用して、極低温流体ボイルオフ軽減システム300の一つの構成要素の排出圧力および別の構成要素の流入圧力に基づいて、流体の圧力を変更することができる。
【0037】
所望の温度、圧力、および相に達した後、水素は、段階2のボイルオフ排出324および/または液化システム306の排出を通過して、貯蔵タンク312内に入ることができる。貯蔵タンク314は、水素がバックアップ電力を生成するために利用される時まで水素を保持することができ、その時点で水素を貯蔵タンク312から移動させることができる。一部の例では、貯蔵タンク312からのタンク出口導管水素が存在し得る。一部の追加の例では、タンクコントローラ314は、貯蔵タンク314から水素を抽出し、流体制御装置322に、水素をバックアップ電力システム(例えば、バックアップ電力システム122)に供給させることができる。
【0038】
本開示の例では、液化システム306を利用して、水素の長期貯蔵(例えば、一時間超、一日超、一週間超など)中に、極低温流体ボイルオフ軽減システム300内に水素を維持することができる。極低温流体ボイルオフ軽減システム300は、段階2 310で利用されるジュールトムソン冷却技術を介して、いくつかのガス状水素を貯蔵することができるが、実質的に液体として、貯蔵タンク内に水素を維持するように構成され得る。ジュールトムソン効果は、水素を(ポンプおよび/または貯蔵タンクによって提供される)源圧力から、断熱条件下(例えば、水素へのまたは水素からの熱伝達を防止するために絶縁されている絶縁されたスロットリング弁)で決定された圧力に降下させ、水素を冷却させる、弁またはノズルなどのスロットル装置を通して水素が膨張することを可能にすることによって冷却を達成する。したがって、タンクコントローラ314は、流れ制御装置322を介してプロセスのパラメータ(例えば、圧力、流量など)を操作して、所望の冷却を達成し、水素を所望の極低温に戻し、必要に応じて、ガス状水素を液化することができる。いくつかの例では、段階2 310冷却システムは、タンクコントローラ314または液化システム306に関連付けられた他のコントローラによって、水素から気化の潜熱を除去するように構成され得る。他の例では、段階2 310冷却システムは、水素から気化の潜熱および追加の熱を除去して、段階2のボイルオフ排出324を介して貯蔵タンク312に水素が入れられる所望の温度および/または圧力を達成するように構成され得る。少なくとも一つの実施形態では、気化の潜熱は、段階2 310によって消費されるエネルギーの95%超を占めることができる(例えば、水素をポンプを介して冷却および/または液化させる圧力を生成するために必要な作業)。
【0039】
図4は、本開示のさらなる例による、三つの段階を有する液化システム400の概略図である。図4に示す構成要素は、図1および3を参照して記載した対応する構成要素と類似および/または同一であり得ることに留意されたい。液化システム400は、段階1 402、段階2 404、および段階3 406を含み得る。液化システム400は、水素源(例えば、水素源104および/または水素源304)から受け取った水素を受け取るおよび処理するよう構成された吸気機構408および吸気導管410を含み得る。液化システム400は、段階1 402、段階2 404、段階3 406、および/または貯蔵タンク(図示せず)のそれぞれへ、および/またはそれぞれから水素を輸送するように構成される導管412を含み得る。流体制御装置414a~eは、液化システム400の周りに配置され、段階間の流体移動を制御する。流体制御装置414a~eは、液化システム400を通して流体を移動させるために、必要に応じて任意の数の弁および/またはポンプを含み得る。流体制御装置414aは、吸気導管410を制御し、水素源から液化システムによって受け取られる水素の量を調節するように構成され得る。流体制御装置414b~dは、それぞれ、段階1 402、段階2 404、および段階3 406への流体移動およびそれらからの流体移動を制御する。流体制御装置414eは、貯蔵タンク(図示せず)などへの液化システム400からの流体移動を制御する。コントローラ416は、流体制御装置414a~eと関連付けられてもよく、流体制御装置414a~e(例えば、前記流体制御装置は、電磁弁である)に対して信号を生成し、流体制御装置414a~e(例えば、流体制御装置が空気弁または油圧弁である)を作動させ、必要に応じて弁および/またはポンプを作動させて、水素を液化システム400に出入りさせ、必要に応じて、段階1 402、段階2 404、および段階3 406の間で弁および/またはポンプを作動させるように構成され得る。導管412は、吸気機構408、段階1 402、段階2 404、段階3 406、および貯蔵タンク(図示せず)を流体接続する複数の分岐および関連する弁を含み得る。したがって、導管412は、異なる構成要素からの水素を不必要に、流れを損なわずに、または水素を混合することなく、液化システム400の構成要素間で水素を選択的に移動させるのに十分な流体経路を提供するように構成され得る。さらに、導管412は、すべての構成要素間で共有されているものとして図示されているが、導管412は、液化システム400の二つの構成要素を流体接続する個々の導管に分割することができる。
【0040】
一部の例では、液化システム400は、任意の所望の数の段階を有し得る。本明細書の極低温システムは、上で論じたように、負のジュールトムソン効果のやや固有の特性を有する水素を処理するために使用することができる。他の極低温流体は、効率的な冷却および液化ユニットを達成するために、異なる処理原理を適用できる、より多くの段階を必要とする場合がある他の特性を有する。したがって、各段階は、異なる処理機構とすることができる。他の例では、段階は、流体上の同じ液化機構を操作する、冗長であってもよい。液化システム400をより大きい数の段階に分離することは、より高い効率を達成することを可能にし得る。したがって、液化システム400は、全容量未満で使用することができる。液化システム400の一部分を使用する一つの用途は、気化の潜熱をボイルオフ水素から除去することである。次に、水素をタンクに戻すか、または使用のために別の場所に向けることができ、これは、液化システム400全体を必要とせずに達成される。
【0041】
図5は、本開示の例による方法500のブロック図である。方法500は、図1~4に関して上で図示し説明したように、極低温流体ボイルオフ軽減システムの一つまたは複数のプロセッサによって実行することができる。例えば、図5および図6に関して本明細書に記載された方法のいずれかは、全体的または部分的に、本明細書に記載された極低温流体ボイルオフ軽減システムに含まれる、タンクコントローラ120(図1)、タンクコントローラ314(図3)、コントローラ416(図4)、および/または他の制御装置のうちの一つまたは複数のプロセッサによって行われてもよい。別段の記載がない限り、こうしたプロセッサは、タンクコントローラ120、314、コントローラ416、および/または上述した他の制御装置を参照することなく、本開示の残りの部分について記載される。
【0042】
502で、プロセッサは、貯蔵タンクなどの望ましい低温かつ安定した環境で、水素などの低温流体の貯蔵および維持を管理できる。具体的には、プロセッサは、少なくとも貯蔵タンクに接続された一つまたは複数のセンサから、温度、圧力、および/または任意の他の望ましいパラメータを受信することができる。さらに、温度、圧力、および/または他の望ましいパラメータが、少なくとも、貯蔵タンク内の液相および/または気相から決定されるように、一つまたは複数のセンサを貯蔵タンクに接続することができる。
【0043】
504で、プロセッサは、貯蔵タンク内のボイルオフ水素が、一つまたは複数の圧力閾値および/または一つまたは複数の温度閾値を満たすかどうかを判定することができる。さらに、プロセッサは、ボイルオフ軽減動作が望ましいかどうかを判定することができる。ボイルオフ軽減動作の望ましさは、一つまたは複数の圧力閾値、一つまたは複数の温度閾値、スケジュールに基づいて、および/またはオペレータによる直接的な介入に応じてもよいことに留意されたい。504で、プロセッサが、少なくとも貯蔵タンクの温度および/または圧力に基づいて、極低温流体が貯蔵タンクの動作閾値内(例えば、貯蔵タンク内の一定量の極低温流体に対する安全な貯蔵環境を定義する温度範囲および/または圧力範囲内)にあると判定する場合(504~いいえ)、プロセッサは、502で貯蔵タンク内の極低温流体を監視することに戻ることができる。504でのチェックは、実質的に望ましい場合、または設定されたスケジュールごとに、何回でも実施することができる。例えば、504でのチェックは、実質的に連続的、定期的、および/または不定期に実施することができる。
【0044】
一方、504で、プロセッサが、少なくとも、貯蔵タンクの温度および/または圧力に基づいて、極低温流体が、貯蔵タンクに関連付けられた温度閾値および/または圧力閾値を超えると判定する場合(ステップ504~はい)、プロセッサは、ボイルオフ極低温流体が貯蔵タンクから抽出され、液化システムを介して再液化されると判定しうる。具体的には、温度閾値および/または圧力閾値は、極低温流体の最大安全貯蔵圧力(任意選択で安全係数を含む)、極低温流体の最大安全貯蔵温度(任意選択で追加の安全係数を含む)、タンク内に貯蔵される一定量のボイルオフ極低温流体、および/またはプロセッサにボイルオフ軽減を開始させる貯蔵タンクのその他の内部状態と関連付けられ得る。上述のように、プロセッサは、貯蔵タンクに接続された一つまたは複数のセンサを介して、貯蔵タンクの温度および/または圧力を監視し、貯蔵タンク内の圧力および/または温度の表示を生成することができる。
【0045】
506で、プロセッサは、第二のチェックを実施して、ボイルオフ軽減中に利用される冷却段階を判定し得る。少なくとも図1、3、および4に関して上述したように、液化システムは、本開示の所与の例において、一つ、二つ、またはそれ以上の段階を含み得る。したがって、プロセッサは、液化システムに、極低温流体源から受け取った極低温流体、および貯蔵タンクから抽出されたボイルオフ極低温流体を冷却させるように構成され得る。
【0046】
506で、プロセッサは、ボイルオフ極低温流体が温度閾値を超えると判定し、段階1が適切であると判定することができる。具体的には、および上述のように、水素を含む一部の極低温流体は、室温を下回る反転温度を有する。さらに、極低温流体に対する第一の冷却技術は、温度閾値を超える温度では効果がなく、温度閾値より低い追加温度では効果的であり得る。別の方法として、または追加的に、第二の冷却技術は、温度閾値を超える温度および温度閾値を下回る追加温度の両方で、極低温流体を冷却するのに効果的であり得る。したがって、段階1は、温度閾値を超える温度で有効な少なくとも第二の冷却技術と関連付けられ得る。さらに、506で、プロセッサは、ボイルオフ極低温流体が温度閾値を満たすと判定し、段階2が適切であると判定することができる。段階2は、温度閾値を下回る追加の温度で有効な少なくとも第一の冷却技術と関連付けられ得る。
【0047】
508で、および段階1が適切である場合(ステップ506-段階1)、プロセッサは、一つまたは複数の流体制御装置に、貯蔵タンクから、ボイルオフ極低温流体を抽出させ、一つまたは複数の流体制御装置に、段階1の冷却動作に、ボイルオフ極低温流体を提供するようにさせることができる。具体的には、プロセッサは、一つまたは複数のポンプ、弁、および/またはその他の流体制御装置に、貯蔵タンクからボイルオフ極低温流体を抽出させ、ボイルオフ極低温流体を段階1の冷却動作にパイプ、導管、ホース、および/または貯蔵タンクと段階1の冷却動作との間のその他の接続を介して、提供させ得る。一部の例では、ポンプ、弁、導管、接続、および貯蔵タンクと段階1の冷却動作との間のボイルオフ極低温流体を輸送するために利用される他の流体管理構成要素は、図3によって図示される段階1のボイルオフループ326の考察に従って構成され得る。さらに、510で、プロセッサは、段階1を実施することができる。具体的には、プロセッサは、段階1に、第一の温度から第二の温度にボイルオフ水素を低減させることができる。さらに、プロセッサは、ボイルオフ極低温流体を冷却するために利用される作業量を加減し、ボイルオフ極低温流体を冷却するために利用される冷却剤/冷凍剤の量を加減し、および/またはそうでなければ、段階1の冷却動作を制御して、第一の温度から第二の温度までボイルオフ極低温流体を冷却するように構成されてもよい。いくつかの例では、段階1および段階2は、段階1からの流体が段階2に進むことを意味する、連続的であり得る。他の例では、流体は、段階1に向けられ、その後、段階2に到達することなく、液化システムから排出され得る。他の例では、所望に応じて、段階1から段階2またはタンクに戻るいずれかに流体を向ける、一連の弁およびコントローラが存在し得る。
【0048】
512で、プロセッサは、流体制御装置に、ボイルオフ極低温流体を段階2に提供させ、514で、段階2の冷却動作に、極低温流体を、第二の温度から第三の温度に低減させることができ、ボイルオフ極低温流体を段階1(ステップ506~段階1)から受け取るか、または第一の温度から第三の温度に低減させることができ、ボイルオフ極低温流体を貯蔵タンクから受け取る(ステップ506~段階2)。一部の例では、上で論じたように、ボイルオフ極低温流体は、貯蔵タンクから直接、段階2に向けられてもよい。さらに、プロセッサは、段階2の冷却動作に、貯蔵タンクから抽出されたボイルオフ極低温流体に関連付けられた第一の温度から、ボイルオフ極低温流体が貯蔵タンクに入れら得る温度に関連付けられた第三の温度まで、ボイルオフ極低温流体を冷却させることができる。さらに、プロセッサは、段階2の冷却動作に、液体極低温流体が貯蔵タンクに入れられるように、ボイルオフ極低温流体を液化させることができる。いくつかの追加の例では、ボイルオフ極低温流体は、段階1の冷却動作が完了した後、段階2に向けることができる。したがって、プロセッサは、段階2の冷却動作に、段階1から受け取ったボイルオフ極低温流体を冷却および任意選択的に液化させ、ボイルオフ極低温流体を貯蔵タンクに入れることができる。段階2の冷却動作が完了した後、プロセッサは、流体制御装置に、現在の液体極低温流体である、ボイルオフ極低温流体を貯蔵タンクに戻し、502で貯蔵タンクおよび極低温流体の監視を継続させることができる。システム内に他の段階がある場合、それらは適切な順序に考慮され得る。段階は、ボイルオフ極低温流体の冷却にわたってより大きな制御を提供するために、連続的であってもよく(例えば、冷却段階をより低い温度範囲にわたって冷却することを可能にする)、より大きな容量制御を提供するように並列であってもよく(例えば、並列冷却動作は、最小の流れ要件を有し得るため、冷却段階をより大きな制御スループットにすることができる)、および/または連続冷却段階および並列冷却段階の任意の組み合わせであってもよい。
【0049】
したがって、図5の方法によって、図1~4に記載されるような極低温流体ボイルオフ軽減システムによって貯蔵される極低温流体に対するボイルオフ損失の軽減が可能となる。具体的には、貯蔵タンクの内部温度および圧力の不断の検出により、極低温流体ボイルオフ軽減システムのプロセッサが、生成されるボイルオフ極低温流体の量および大気と極低温流体との間で伝達される入射熱の量を追跡することが可能になる。さらに、内部温度および圧力の検出により、安全機能を実装して、無事故で極低温流体の継続的な段階を確実にすることができる。したがって、プロセッサは、そうでなければ大気に排出され、安全性および保守の理由のために失われる極低温流体を、貯蔵タンクから抽出し、液化し、および貯蔵タンクに再導入させることができる。さらに、ボイルオフ極低温流体の周期的抽出、液化、および再導入は、極低温流体の長期貯蔵を可能にし、外部源から貯蔵タンクに導入される極低温流体の量を減少させる。
【0050】
図6は、単一の段階がボイルオフの目的で使用される、本開示のさらなる例による方法600のブロック図である。方法600は、図1~4に関して上で図示し説明したように、極低温流体ボイルオフ軽減システムの一つまたは複数のプロセッサによって実行することができる。本開示の極低温流体ボイルオフ軽減システムは、一つまたは複数のプロセッサによって制御される液化システムを含み得る。液化システムはまた、上記の段階2として示される、専用のボイルオフ管理段階を含み得る。当然のことながら、ボイルオフ管理段階は、プロセスの段階2ではない場合がある。602で、プロセッサは、水素などの極低温流体を、極低温流体源から受け取り、液化システムによって冷却された後、貯蔵タンク内に貯蔵させることができる。極低温流体は、液相および気相の両方で存在する貯蔵タンク内の混合相溶液であってもよい。さらに、プロセッサは、一つまたは複数のセンサ(例えば、温度センサ、圧力センサなど)を介して、貯蔵タンクの内部温度および内部圧力を監視できる。したがって、プロセスは、極低温流体を貯蔵させ、貯蔵タンク内の極低温流体を監視することができる。
【0051】
604で、プロセッサは、ボイルオフ軽減動作が望ましいかどうかを判定することができる。例えば、この判定の一部として、プロセッサは、貯蔵タンク内のボイルオフ水素が、一つまたは複数の圧力閾値および/または一つまたは複数の温度閾値を満たすかを判定し得る。ステップ604で判定されるボイルオフ軽減動作の望ましさは、一つまたは複数の圧力閾値、一つまたは複数の温度閾値、スケジュールに基づいて、および/またはオペレータによる直接的な介入に応じて判定され得ることに留意されたい。
【0052】
604で、プロセッサが、少なくとも貯蔵タンク(602で保存された)の温度および/または圧力に基づいて、極低温流体が貯蔵タンクの動作閾値内(例えば、貯蔵タンク内の一定量の極低温流体に対する安全な貯蔵環境を定義する温度範囲内および/または圧力範囲内)にあると判定する場合(ステップ604~いいえ)、602でプロセッサは、貯蔵タンク内の極低温流体を監視することに戻ることができる。604でのチェックは、実質的に望ましい場合、または設定されたスケジュールごとに、何回でも実施することができる。例えば、604でのチェックは、実質的に連続的、定期的、および/または不定期に実施することができる。
【0053】
一方、604で、プロセッサが、少なくとも、貯蔵タンク(602で貯蔵された)の温度および/または圧力に基づいて、極低温流体が、貯蔵タンクに関連付けられた温度閾値および/または圧力閾値を超えると判定する場合(ステップ604~はい)、プロセッサは、ボイルオフ極低温流体が貯蔵タンクから抽出され、液化システムを介して再液化されると判定しうる。具体的には、温度閾値および/または圧力閾値は、極低温流体の最大安全貯蔵圧力(任意選択で安全係数を含む)、極低温流体の最大安全貯蔵温度(任意選択で追加の安全係数を含む)、タンク内に貯蔵される一定量のボイルオフ極低温流体、極低温流体の反転温度、および/またはプロセッサにボイルオフ軽減を開始させる貯蔵タンクのその他の内部状態と関連付けられ得る。少なくとも一つの実施形態では、反転温度よりも高い温度で貯蔵タンクから極低温流体を抽出することは、貯蔵タンク内の残りの極低温流体を加熱させるボイルオフ極低温流体の抽出によって引き起こされる圧力降下による安全問題を表しうる。したがって、温度閾値は、反転温度未満で、ボイルオフ極低温流体が貯蔵タンクから抽出されるように選択または決定されてもよく、ボイルオフ極低温流体の抽出は、貯蔵された極低温流体を冷却する。上述のように、プロセッサは、貯蔵タンクに接続された一つまたは複数のセンサを介して、貯蔵タンクの温度および/または圧力を監視し、貯蔵タンク内の圧力および/または温度の表示を生成することができる。
【0054】
606で、プロセッサにより、貯蔵タンクから極低温流体を抽出し、一つまたは複数の流体制御装置によって段階2に提供することができる。具体的には、プロセッサは、(例えば、電子信号、空気ポンプ、油圧ポンプなどを介して)弁(例えば、流体制御装置320)を動作させて、段階2の貯蔵タンクと冷却動作との間の流体接続を開くように構成され得る。さらに、プロセッサは、ポンプおよび/または貯蔵タンクの内部圧力に、貯蔵タンクから段階2の冷却動作に、ボイルオフ極低温流体を輸送させるように構成され得る。
【0055】
608で、プロセッサは、段階2の冷却動作によって提供される冷却量を決定することができる。具体的には、プロセッサは、段階2の冷却動作に、第一の温度から第二の温度に極低温流体を冷却させ、任意選択で、極低温流体を液化させることができる。さらに、プロセッサは、段階2に関連付けられた一つまたは複数の流体制御装置に、極低温流体をタンクに戻すか、またはそうでなければ、適切な圧力および温度で段階2から極低温流体を排出させることができる。注目すべきは、段階608は、プロセッサが、段階2の冷却動作(例えば、ジュールトムソン冷却動作)に第一の温度から第二の温度にボイルオフ極低温流体を冷却させ、ボイルオフ極低温流体を液化させ、液体極低温流体を貯蔵タンクに戻させるように、段階514と同様の様式で実行することができる。貯蔵タンクからの抽出と同様に、プロセッサは、一つまたは複数の流体制御装置(例えば、一つまたは複数の弁および一つまたは複数のポンプを操作する)に、段階2の排出と貯蔵タンクの流入との間で液体極低温流体を輸送させることができる。
【0056】
したがって、図6の方法によって、図1~4に記載されるような極低温流体ボイルオフ軽減システムによって貯蔵される極低温流体に対するボイルオフ損失の軽減が可能となる。具体的には、水素および他の極低温流体は、貯蔵タンクに貯蔵するため水素源からの流入水素を液化するために利用される液化システムの動作範囲内にある反転温度と関連付けられ得る。さらに、反転温度は、ジュールトムソン冷却技術が水素を冷却しないが、代わりに水素を加熱させる動作範囲を表すことができる。適切に管理されない場合、水素が圧力降下によって加熱される間に貯蔵タンクから水素を抽出すると、貯蔵水素をボイルオフ水素の抽出により加熱する潜在的に危険なサイクルを引き起こす可能性がある。したがって、極低温流体ボイルオフ軽減システムに関連付けられたプロセッサは、貯蔵された水素または極低温流体が反転温度を超えるのを防止し、貯蔵された水素の安全な貯蔵および維持を確保するために、ボイルオフ水素を冷却するように構成され得る。
【産業上の利用可能性】
【0057】
データセンタなどの大規模な施設では、水素を燃料として消費して施設に電力を供給する水素駆動のエンジン(または燃料電池)によって、バックアップ電力を提供することができる。水素駆動エンジン(または燃料電池)は、バックアップ電力として一般的に利用されるディーゼル発電セットと比較して、より低い炭素排出量、より清潔な緊急電力、および代替燃料源を提供することができる。液体水素は非常に極低温で貯蔵しなければならないため、水素の貯蔵には、貯蔵タンクの正確な制御スキームおよび保守(例えば、貯蔵温度および貯蔵圧力)を伴う場合がある。本開示のシステムおよび方法は、液化システムおよび、そうでなければ大気に排出されるボイルオフ水素を回収するために利用できるボイルオフループを提供する。例えば、本明細書に記載のシステムは、貯蔵された液体水素の比較的低電力のメンテナンスおよびそうでなければ失われるであろうボイルオフ水素の比較的低電力の再利用を可能にする、ジュールトムソン冷却段階を含む。低電力冷却段階(例えば、ジュールトムソン冷却段階)は、他のより電力集約的な冷却システムと連続的に維持することができるが、必要に応じて、ボイルオフ水素を冷却することを可能にする代替的な流入も提供する。
【0058】
本明細書に記載される技術の結果として、本開示の様々なシステムは、貯蔵タンクの自然昇温による水素損失を軽減または防止することができる。貯蔵タンクの自然昇温は、貯蔵された液体水素を、貯蔵タンクの内部圧力および温度を上昇させるガス状水素に蒸発させる。ガス状水素を排出する(定期的に水素を購入または生成する必要性が生じる)代わりに、ボイルオフ水素を収集し、液化装置の一部分によって処理することができる。水素を比較的低いエネルギー冷却システム(例えば、ジュールトムソン冷却システム)に通すことによって、水素を液化して貯蔵タンクに再導入することができる。したがって、記載したシステムは、外部源から取得された水素の量、内部源によって生成された水素の量、またはその他の方法でバックアップ電力システムに導入された水素の量を軽減することができる。さらに、記載されるシステムは、貯蔵タンクの内部温度および圧力を安全パラメータ内に維持するように構成され得る。結果として、開示されたシステムは、既知のシステムに関連する比較的高い構成要素コスト、複雑さ、汚染、および頻繁なメンテナンス停止を被ることなく、バックアップ電源を維持することができる。
【0059】
本開示の態様は、上記の実施形態を参照しながら特に示され、かつ記述されてきたが、開示された内容の趣旨および範囲から逸脱することなく、様々な追加の実施形態が、開示された機械、システムおよび方法の修正によって企図されうることが当業者には理解されるであろう。かかる実施形態は、特許請求の範囲およびその任意の均等物に基づき決定される本開示の範囲内に収まることが理解されるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】