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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-25
(54)【発明の名称】回し工具
(51)【国際特許分類】
   B25B 13/18 20060101AFI20240118BHJP
   B25B 13/02 20060101ALI20240118BHJP
【FI】
B25B13/18
B25B13/02 M
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023537504
(86)(22)【出願日】2022-01-24
(85)【翻訳文提出日】2023-06-20
(86)【国際出願番号】 EP2022051484
(87)【国際公開番号】W WO2022157355
(87)【国際公開日】2022-07-28
(31)【優先権主張番号】102021101503.0
(32)【優先日】2021-01-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518236823
【氏名又は名称】ヴェラ ヴェルクツォイゲ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100095267
【弁理士】
【氏名又は名称】小島 高城郎
(74)【代理人】
【識別番号】100124176
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 典子
(74)【代理人】
【識別番号】100224269
【弁理士】
【氏名又は名称】小島 佑太
(72)【発明者】
【氏名】シュトラウヒ、マルティン
(57)【要約】
本発明は、固定顎(4)と可動顎(3)とをもつヘッドを有する回し工具に関し、ヘッドは、2つの顎(3,4)の小さい離隔位置から2つの顎(3,4)の大きい離隔位置へと復元力に抗して旋回軸(20)を中心に旋回可能にハンドル(1)に固定されている。この種の回し工具で電圧印加部品に触れることができるように、ハンドルが絶縁シース(11)を有し、ハンドル(1)に対して変位可能である作動要素(5)が設けられ、その作動要素が変位すると、作動要素はヘッド(2)を小さい離隔位置から大きい離隔位置へと移動させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定顎(4)と可動顎(3)とを具備するヘッド(2)を有する回し工具であって、前記ヘッド(2)が、復元力に抗して2つの前記顎(3,4)の小さい離隔位置から2つの前記顎(3,4)の大きい離隔位置まで旋回軸(20)を中心に旋回可能にハンドル(1)に固定されている、前記回し工具において、
前記ハンドル(1)に対して変位可能な作動要素(5)を有し、前記作動要素(5)が変位するとき、前記ヘッド(2)を前記小さい離隔位置から前記大きい離隔位置まで移動させることを特徴とする回し工具。
【請求項2】
前記作動要素(5)が、前記ハンドル(1)に対してスライド可能な作動スライダであることを特徴とする請求項1に記載の回し工具。
【請求項3】
前記作動要素(5)が、前記ヘッド(7)の突き当て面(7)に係合する突き当て肩部(6)を有することを特徴とする前出請求項のいずれか1つに記載の回し工具。
【請求項4】
前記作動要素(5)が、細長い形状と前記ハンドル長手方向に延在する細長い側面(21)とを有し、かつ、1つの端面により前記突き当て肩部(6)を形成することを特徴とする前出請求項のいずれか1つに記載の回し工具。
【請求項5】
前記ヘッド(2)が、前記可動顎(3)に空間的に割り当てられた第1の脚部と前記固定顎(4)に空間的に割り当てられた第2の脚部とを有し、かつ、前記作動要素(5)が、前記第1の脚部に係合することを特徴とする前出請求項のいずれか1つに記載の回し工具。
【請求項6】
前記ハンドル(1)が、2つの互いに反対向きの広い側面(9)と2つの互いに反対向きの狭い側面(10)とを有し、前記作動要素(5)が前記狭い側面(10)上に配置されていることを特徴とする前出請求項のいずれか1つに記載の回し工具。
【請求項7】
前記ハンドル(1)が電気絶縁材料からなるシース(11)を有し、かつ、前記作動要素(5)が電気絶縁材料からなるか又は電気絶縁材料で被覆されていることを特徴とする前出請求項のいずれか1つに記載の回し工具。
【請求項8】
ハンドル長手方向に対して垂直に前記ハンドル(1)から突出するカラー(12)を有し、前記カラー(12)はガイド孔(13)を有し、前記ガイド孔(13)内で前記作動要素(5)が変位可能に案内されることを特徴とする前出請求項のいずれか1つに記載の回し工具。
【請求項9】
前記作動要素(5)が、前記ハンドルのシース(11)上で直線状に変位可能に取り付けられていることを特徴とする前出請求項のいずれか1つに記載の回し工具。
【請求項10】
前記ヘッド(2)に配置されたばね要素(8)が前記固定顎(4)を前記可動顎(3)に対して付勢し、かつ、前記ヘッド(2)を、2つの前記顎(3,4)の小さい離隔位置に対応する第1の旋回位置に付勢することを特徴とする前出請求項のいずれか1つに記載の回し工具。
【請求項11】
前記作動要素(5)が、段部(24)を形成するガイド凹部(22)内に挿入されており、前記作動要素(5)における前記突き当て肩部(6)とは反対側の端部が前記段部(24)上に載置可能であることを特徴とする前出請求項のいずれか1つに記載の回し工具。
【請求項12】
前出請求項のいずれかの特徴的な特徴の1つ以上により特徴付けられる回し工具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固定顎と可動顎とを具備するヘッドを有する回し工具に関し、そのヘッドは、復元力に抗して2つの顎の小さい離隔位置から2つの顎の大きい離隔位置まで旋回軸を中心にハンドル上で旋回可能である。
【背景技術】
【0002】
この種の回し工具は、例えば特許文献1から公知である。
【0003】
一般的な回し工具では、細長いハンドルがヘッドを担持しており、ヘッドが旋回するに伴って2つの顎の把持面の間の距離が変化するように、ヘッドは旋回軸を中心に旋回可能にハンドル上にヒンジ式に結合されている。2つの把持面が、ハンドルに印加されるトルクによって互いに向かって力を及ぼすように、ヘッドがギアを介してハンドルと接続されている。それによって、回し工具を用いて、スパナ寸法の異なる六角形のボルト頭又はナットを緩めたり締めたりすることができる。
可動顎は、ばね要素によって固定顎の方向にばね力を印加されている。その結果、ヘッドは、ばね要素によって、2つの顎の小さい離隔位置に対応する第1の旋回位置へと旋回する。2つの顎の大きい離隔位置にてナット又はボルト頭を把持するために、ヘッドを第1の旋回位置から、それらの顎の両方の把持面が互いに離隔している第2の旋回位置へと移動させる必要がある。
【0004】
先行技術ではさらに、いわゆる"モンキーレンチ(Englander)"が公知であり、その場合、2つの顎の把持面は、作動要素によって異なる離隔位置に移動させることができる。
【0005】
先行技術では、電気絶縁シースを具備するハンドルを有するさらなる回し工具が公知であり、その回し工具を用いて、電圧を印加されたボルトやナットを回すことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】独国特許出願公開第10 2018 113478 号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、汎用的な回し工具を、有利な使用態様という点でさらに向上させることである。特に、本発明のさらなる目的は、電圧を印加されたボルトやナットを使用可能とするように、汎用的な回し工具を構築することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的は、請求の範囲に記載された本発明により解決される。従属項は、独立項に記載された本発明の有利なさらなる発展であるのみならず、目的の独立した解決手段でもある。
【0009】
先ず、そして実質的に、ハンドル上で変位可能な作動要素が配置され、それを用いてヘッドを小さい離隔位置から大きい離隔位置へと移動させ得ることが提案される。その作動要素は、ハンドルに対して変位可能な作動スライダとすることができる。ハンドルは、作動スライダが挿入されたガイド凹部を有し得る。作動要素がヘッドの突き当て面に係合する突き当て肩部を有するように、設けることができる。
【0010】
ヘッドは2つの脚部を有し得る。それらの2つの脚部は、ヘッドにおいてフォーク状の形状を付与し得る。2つの脚部のうち一方は可動顎により形成され、他方の脚部は固定顎により形成されている。固定顎には、ハンドルに対して旋回可能にヒンジ式に結合された顎担持部を設け得る。このために、ボルト形状の軸が、ハンドル及び/又はヘッドの、又は顎担持部のベアリング孔内に係合し得る。顎担持部は、ハンドルの端部が入り込むシャフトを形成することができる。そのシャフトをそのボルトが交差し得る。可動顎のスライド部は、顎担持部に対して変位可能であってもよい。このために、そのスライド部は、ハンドルの歯が入り込む歯間隙を有し得る。可動の顎担持部は、2つの顎を互いに押し付けるばね要素による作用を受けることができる。
【0011】
作動要素は、細長い形状を有し、ハンドル長手方向に延在する細長い側面を有することができ、その細長い側面を用いて作動要素が変位可能である。作動要素の細長い側面は、ハンドルを把持する手の親指が係合する把持凹部又は縦溝を有することができ、それによって、親指の操作により作動要素が変位可能である。作動要素は、ヘッドにおいて空間的に可動顎に割り当てられた脚部に係合することが好ましい。ハンドルは、第1の広い側面とそれとは反対向きの第2の広い側面とを有する細長い平坦な部品とすることができる。2つの広い側面の間には、互いに反対向きの狭い側面が延在している。作動要素は、2つの狭い側面のうちの一方に設けられることが好ましい。その狭い側面は、あるいは変形形態においては広い側面のうちの一方も、ガイド凹部を形成することができ、好ましくは作動スライダである作動要素がその中に挿入され、そしてその中で第1の位置から第2の位置へと変位することができる。そのガイド凹部は、アンダーカットされた溝とすることができ、その溝内に例えばありつぎ形状の断面を有する作動要素のリブが装着され、すなわち挿入され又は挟み込まれることによって、作動要素が、ハンドル上で直線状に変位可能に取り付けられる。
【0012】
後退位置であり得る第1の位置では、作動要素の端部がガイド凹部の段部上に載置される。作動位置であり得る第2の位置では、作動要素がヘッドを第1の旋回位置から第2の旋回位置に移動させており、その位置では2つの顎の2つの把持面の間の距離が大きくなっている。
【0013】
作動要素が、ヘッドの突き当て面と相互作用する突き当て肩部を有することが有利である。ヘッドの突き当て面は、固定顎に一体的に形成されているが、ヘッドにおける可動顎が位置するヘッドの側面に空間的に割り当ててもよい。作動要素が第1の位置から変位すると、突き当て肩部が突き当て面に接触するまで接近することができる。作動要素がさらに変位すると、ばね要素の復元力に抗してヘッドが旋回することになる。これは、2つの顎を互いに向かって移動させようとするものと同じばね要素である。
【0014】
本発明の例示的実施形態では、ハンドルがシースを有することを提供する。ハンドルは特に電気絶縁シースを有し、それは、プラスチック製のオーバーモールドによって形成することができる。このシースの結果、電圧印加される部品上で工具を用いることができる。作動要素が電気的に絶縁する場合、又は、電気的に絶縁するシースを有する場合に有利である。作動要素は、ハンドルの電気絶縁シースされた領域に亘るほとんどの部分に延在している。それは、その突き当て肩部により電気絶縁シースを超えてヘッドの方に突き出ることができる。しかしながら、作動要素は、突き当て肩部とは反対側に向いた作動要素の端部に配置された、例えば親指凹部である作動部で操作される。本発明の回し工具は、ヘッドに向いたその端部に突き当て肩部を具備しかつヘッドとは反対側に向いたその端部に作動部を具備する作動スライダを有することができる。
【0015】
本発明の例示的実施形態は、カラーを含むことができる。これは、電気絶縁シースで形成された、ハンドルの周りに延在するカラーとすることができる。このカラーは、シースにおけるヘッドの方に向いた端部に隣接している。カラーは、作動要素が貫通するガイド孔を有することができる。好ましくは、ガイド凹部に挿入された作動要素は、ガイド孔により形成された窓を通してハンドル上で変位可能に取り付けられる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
本発明の例示的実施形態を、図面に基づいて以下に説明する。
図1図1は、本発明の例示的実施形態の広い側面上の平面図である。
図2図2は、例示的実施形態の狭い側面上の平面図である。
図3図3は、ハンドル1に対するヘッド2の第1の旋回位置における図2のラインIII-IIIに沿った断面図であり、ヘッド2の2つの顎3、4は小さい離隔位置をとっている。
図4図4は、ハンドル1に対するヘッドの第2の旋回位置における図3による表現であり、ヘッド2の2つの顎3、4が大きい離隔位置をとっており、作動要素5が突き当て肩部6によりヘッド2の突き当て面7に係合している。
図5図5は、ラインV-Vに沿った断面である。
図6図6は、例示的実施形態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図面に示す例示的実施形態は、多角形の頭部を有するねじや多角形の輪郭を有するナットを回すための回し工具である。回し工具を用いてスパナ幅の異なるナット又はボルトを回すことができるように、固定顎4に対する可動顎3の、2つの把持面14、15の間の距離Aが可変である。ハンドル1にトルクが印加されると2つの顎の把持面13、14がそれぞれナット又はボルトの多角形側面に対し押す力を及ぼすように、ヘッド2がヒンジピン20を中心にハンドル1上で旋回可能であるようにヒンジ式に結合されている。
【0018】
電気絶縁シース11及びそのシース11に沿って変位可能な作動要素5によって、そしてそれを用いて、顎3、4を担持するヘッド2が距離Aの変化と共に旋回可能であり、金属製のヘッド2は、電圧の印加された部品に同時に接触しつつ2つの顎3、4により形成された顎の開口幅を変えることができる。
【0019】
ハンドル1は、その細長く平たい金属本体からなりかつヒンジ端部を有し、そのヒンジ端部に、軸20を構成するピンを用いてヘッド2が旋回可能に取り付けられる。そのピンは、ヘッド2とハンドルのヒンジ端部の両方のベアリング孔を貫通している。ヘッド2はポケットを形成でき、その中に歯19を形成するヒンジ端部が挿入されている。ハンドル1は、ヘッド2のポケット内に係合する端部又はヒンジ端部を除いて、電気絶縁シース11により完全に覆われている。シースは、射出成形によって金属製基体に適用可能である。シースはプラスチック製とすることができる。シース11によりカラー12を形成することができ、カラー12は、ハンドルの長手方向に対して垂直にかつヒンジ端部に隣接して突出している。ハンドルは、ハンドル1を持つ手がハンドル表面を超えてヘッド2の方へ滑ることを防止するハンドガード又は機械的障壁を形成している。
【0020】
ヘッド2は、軸20を形成するピン20によりハンドル1にヒンジ式に取り付けられた固定顎4を形成している。固定顎4は、ナット等の多角形側面を把持するための把持面15を有する。可動顎3のスライド部17は、把持面15の面延在方向に対してほぼ垂直な方向に変位可能である。スライド部17は、一方では固定顎4の把持面15によって他方ではそれとは反対側に位置する可動顎3の把持面14によって形成される顎の底面16を形成する。
【0021】
スライド部17は、ハンドルのヒンジ端部の歯19が係合する歯間隙18を形成している。ハンドル1がヘッド2に対して旋回すると、歯間隙18に係合する歯19が、可動顎3の把持面14を固定顎4の把持面15に対して移動させる。
【0022】
例示的実施形態では、圧縮ばねにより形成されたばね要素8によって可動顎3が固定顎4に対して付勢されることによって、把持面14、15が互いに近づこうとする。非作動状態では、2つの把持面14、15の間の距離Aは最小値である。
【0023】
ハンドル1の2つの狭い側面10の一方には、ガイド凹部22が配置されている。しかしながら図示しない例示的実施形態では、そのようなガイド凹部22を広い側面9上に配置してもよい。ガイド凹部22は、カラー12において窓を形成するガイド孔13を通って延びている。ガイド孔13は、作動スライダ5をガイド凹部22内に保持する。
【0024】
図5は、ガイド凹部22の断面を示している。ガイド凹部は、アンダーカットされた壁をもつ溝を有し得る。この溝内に、作動要素5のリブが係合することができる。そのリブは、ありつぎ形状の断面を有することができる。そのリブは、溝内に、特にアンダーカットされた溝内に装着することができる。特に、溝内に、特にアンダーカットされた溝内に挿入し又は挟み込むことができる。これは、作動要素5をハンドル上で直線的にのみ変位可能な方式で連結するために行われる。しかしながら、ガイド凹部は、アンダーカットの無い底面をもつ凹部のみを形成することもできる。
【0025】
図5はさらに、プラスチック材料でオーバーモールドされた金属コア26を示しており、これはハンドル1に機械的安定性を付与している。
【0026】
作動スライダ5は、ヘッド2をハンドル1に対して旋回可能とする作動要素を形成しており、それに伴って2つの把持面14、15間の距離Aを大きくする。これは、ばね要素8の復元力に抗して行われる。このためにヘッド2は、ヘッド2における可動顎3も載置されている側に配置された突き当て面7を形成している。作動要素5は、作動要素5が変位したときに突き当て面7に対して当接する突き当て肩部6を有し、それによってヘッド2を旋回させる
【0027】
作動要素5は、カラー12におけるヘッド2に向いた側で延在して突き当て肩部6を形成する部分を有する。作動要素5のさらなる部分は、カラー12における反対側に延在している。この部分は、例えば親指凹部又は縦溝の形態の作動部25を形成し、それによってハンドル1を掴む手の親指が作動部25に作用して作動要素5を変位させることができる。例示的実施形態では、作動部25は、作動要素5における突き当て肩部6とは反対側の端部に配置されている。突き当て肩部6とは反対側の端部は、作動要素5の基本位置において、ガイド凹部22の段部24上に載置可能な端部23を形成する。例示的実施形態では、作動部25は、作動要素5の段部又は窪みによって形成されている。
【0028】
距離Aが最小となる図3に示す基本位置では、ヘッド2が作動要素5の方に向かって案内される。ヘッド2が基本位置に比べてハンドル1に対して最大旋回位置をとる図4に示す位置では、ヘッド2が作動要素5から離れるように旋回させられる。図3に示す位置から図4に示す位置へのヘッド2の旋回中、突き当て肩部6は突き当て面7に沿ってスライドする。図4は、旋回終端位置において突き当て肩部6が突き当て面7のコーナー領域を支持することを示している。
【0029】
細長い作動要素5は、プラスチック製又はプラスチックで被覆された金属製部品で作製できる。特に、それは電気的に絶縁されている。
【0030】
回し工具の動作は、以下の通りである。
【0031】
可動顎3と固定顎4との間の距離Aが最小値でありかつヘッド2が作動要素5の方に傾いている図3に示す基本位置から出発して、作動要素5をヘッド2の方へ変位させることによって、ヘッド2が例えば図4に示すような位置に旋回させられる。この旋回位置において、可動顎3と固定顎4との間の距離Aはより大きい値をとる。電気絶縁された作動要素5の助けによって、電圧を印加された部品に金属製のヘッド2が接触したときであっても、把持面14、15により形成される顎の開口幅を大きくすることができる。
【0032】
上記の説明は、全体として本出願によって包含される発明を説明するためのものであり、それはまた、少なくとも以下の特徴の組み合わせによってそれぞれ先行技術を独立して進展させるものであり、これらの特徴の組み合わせのうちの2つ、いくつか又は全てを組み合わせることも可能である。
【0033】
ハンドル1に対して変位可能でありかつ変位したときにヘッド2を小さい離隔位置から大きい離隔位置へと移動させる作動要素5を有することを特徴とする回し工具。
【0034】
作動要素5が、ハンドル1に対してスライド可能な作動スライダであることを特徴とする回し工具。
【0035】
作動要素5が、ヘッド2の突き当て面7上に係合する突き当て肩部6を有することを特徴とする回し工具。
【0036】
作動要素5が、細長い形状とハンドル長手方向に延在する細長い側面21とを有し、かつ、1つの端面により突き当て肩部を形成することを特徴とする回し工具。
【0037】
ヘッド2が、可動顎3に空間的に割り当てられた第1の脚部と固定顎4に空間的に割り当てられた第2の脚部とを有し、かつ、作動要素5が第1の脚部に係合することを特徴とする回し工具。
【0038】
ハンドル1が、2つの互いに反対向きの広い側面9と2つの互いに反対向きの狭い側面10とを有し、作動要素5が狭い側面10上に配置されていることを特徴とする回し工具。
【0039】
ハンドル1が、電気絶縁材料からなるシース11を有し、かつ、作動要素5が電気絶縁材料から作製されるか又は被覆されていることを特徴とする回し工具。
【0040】
ハンドル長手方向に対して垂直にハンドル1から突出するカラー12を有し、カラー12はガイド孔13を有し、ガイド孔13内で作動要素5が変位可能に案内されること、及び/又は、作動要素5がハンドルのシース11上で直線状に変位可能に取り付けられていることを特徴とする回し工具。
【0041】
ヘッド2に配置されたばね要素8が固定顎4を可動顎3に対して付勢し、かつ、ヘッド2を、2つの顎3、4の小さい離隔位置に対応する第1の旋回位置に付勢すること、及び/又は、作動要素5が、段部24を形成するガイド凹部22内に挿入されており、作動要素5における突き当て肩部6とは反対側の端部23が段部24上に載置可能であることを特徴とする回し工具。
【0042】
開示された全ての特徴は、(それ自体のために、また互いに組み合わされて)本発明に不可欠である。ここでの出願の開示は、関連する/追加された優先権書類(先の出願の写し)の開示内容をその内容全体に含み、それはこれらの書類の特徴を本願の請求項に組み込む目的でもある。従属請求項は、特にこれらの請求項に基づいて分割出願を行うために、引用される請求項の特徴がなくても、先行技術の独立した発明性のあるさらなる発展を特徴とする。各請求項で特定された発明は、前述の説明で特定された、特に参照符号が付与された、及び/又は符号の説明で特定された、1つ以上の機能を追加で有することができる。本発明はまた、特に、それらがそれぞれの使用目的に明らかに不要であるか、または技術的に同じ効果を有する他の手段で置き換えることができる限り、前述の説明で述べた特徴の個々のものが実装されない実施形態に関する。
【符号の説明】
【0043】
1 ハンドル
2 ヘッド
3 可動顎
4 固定顎
5 作動要素、作動スライダ
6 突き当て肩部
7 突き当て面
8 ばね要素
9 広い側面
10 狭い側面
11 電気絶縁シース
12 カラー
13 ガイド孔
14 把持面
15 把持面
16 底面
17 スライド部
18 歯間隙
19 歯
20 軸
21 細長い側面、ハンドル面
22 ガイド凹部
23 端部
24 段部
25 作動部
26 コア
A 距離
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2023-07-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定顎(4)と可動顎(3)とを具備するヘッド(2)を有する回し工具であって、前記ヘッド(2)が、ハンドル(1)上で変位可能にガイド凹部(22)に装着された作動要素(5)の変位によって、復元力に抗して2つの前記顎(3,4)の小さい離隔位置から2つの前記顎(3,4)の大きい離隔位置まで旋回軸(20)を中心に旋回可能に前記ハンドル(1)に固定されている、前記回し工具において、
前記ハンドル(1)が電気絶縁材料からなるシース(11)を有し、かつ、前記作動要素(5)が電気絶縁材料からなるか又は電気絶縁材料で被覆されていること、及び、
前記作動要素(5)が、ハンドル長手方向に対して垂直に前記ハンドル(1)から突出するカラー(12)のガイド孔(13)内で変位可能に案内されることを特徴とする回し工具。
前記ハンドル(1)に対して変位可能な作動要素(5)を有し、前記作動要素(5)が変位するとき、前記ヘッド(2)を前記小さい離隔位置から前記大きい離隔位置まで移動させることを特徴とする回し工具。
【請求項2】
前記作動要素(5)が、前記ハンドル(1)に対してスライド可能な作動スライダであることを特徴とする請求項1に記載の回し工具。
【請求項3】
前記作動要素(5)が、前記ヘッド(7)の突き当て面(7)に係合する突き当て肩部(6)を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の回し工具。
【請求項4】
前記作動要素(5)が、細長い形状と前記ハンドル長手方向に延在する細長い側面(21)とを有し、かつ、1つの端面により前記突き当て肩部(6)を形成することを特徴とする請求項1~3のいずれか1つに記載の回し工具。
【請求項5】
前記ヘッド(2)が、前記可動顎(3)に空間的に割り当てられた第1の脚部と前記固定顎(4)に空間的に割り当てられた第2の脚部とを有し、かつ、前記作動要素(5)が、前記第1の脚部に係合することを特徴とする請求項1~4のいずれか1つに記載の回し工具。
【請求項6】
前記ハンドル(1)が、2つの互いに反対向きの広い側面(9)と2つの互いに反対向きの狭い側面(10)とを有し、前記作動要素(5)が前記狭い側面(10)上に配置されていることを特徴とする請求項1~5のいずれか1つに記載の回し工具。
【請求項7】
前記作動要素(5)が、前記ハンドルのシース(11)上で直線状に変位可能に取り付けられていることを特徴とする請求項1~6のいずれか1つに記載の回し工具。
【請求項8】
前記ヘッド(2)に配置されたばね要素(8)が前記可動顎()を前記固定顎()に対して付勢し、かつ、前記ヘッド(2)を、2つの前記顎(3,4)の小さい離隔位置に対応する第1の旋回位置に付勢することを特徴とする請求項1~7のいずれか1つに記載の回し工具。
【請求項9】
前記作動要素(5)が、段部(24)を形成するガイド凹部(22)内に挿入されており、前記作動要素(5)における前記突き当て肩部(6)とは反対側の端部が前記段部(24)上に載置可能であることを特徴とする請求項1~8のいずれか1つに記載の回し工具。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0017
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0017】
図面に示す例示的実施形態は、多角形の頭部を有するねじや多角形の輪郭を有するナットを回すための回し工具である。固定顎4に対する可動顎3の2つの把持面14、15の間の距離Aは、回し工具を用いて異なるスパナ幅をもつナット又はボルトを回すことができるように可変である。ハンドル1にトルクが印加されると2つの顎の把持面1、1がそれぞれナット又はボルトの多角形側面に対し押す力を及ぼすように、ヘッド2がヒンジピン20を中心にハンドル1上で旋回可能であるようにヒンジ式に結合されている。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0041
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0041】
ヘッド2に配置されたばね要素8が可動固定に対して付勢し、かつ、ヘッド2を、2つの顎3、4の小さい離隔位置に対応する第1の旋回位置に付勢すること、及び/又は、作動要素5が、段部24を形成するガイド凹部22内に挿入されており、作動要素5における突き当て肩部6とは反対側の端部23が段部24上に載置可能であることを特徴とする回し工具。
【国際調査報告】