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特表2024-503244ピリミジンシクロヘキシルグルココルチコイド受容体調節因子を調製する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-25
(54)【発明の名称】ピリミジンシクロヘキシルグルココルチコイド受容体調節因子を調製する方法
(51)【国際特許分類】
   C07D 239/54 20060101AFI20240118BHJP
   A61K 31/513 20060101ALI20240118BHJP
   C07D 239/47 20060101ALI20240118BHJP
   C07C 69/738 20060101ALI20240118BHJP
   C07C 69/716 20060101ALI20240118BHJP
   A61P 43/00 20060101ALN20240118BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20240118BHJP
【FI】
C07D239/54 CSP
A61K31/513
C07D239/47
C07C69/738 Z
C07C69/716 Z
A61P43/00 111
C07B61/00 300
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023537543
(86)(22)【出願日】2021-12-20
(85)【翻訳文提出日】2023-07-26
(86)【国際出願番号】 US2021064428
(87)【国際公開番号】W WO2022140293
(87)【国際公開日】2022-06-30
(31)【優先権主張番号】63/128,539
(32)【優先日】2020-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503345477
【氏名又は名称】コーセプト セラピューティクス, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100138210
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 達則
(72)【発明者】
【氏名】ジェフリー マーク ディナー
(72)【発明者】
【氏名】ハゼル ジョアン ハント
(72)【発明者】
【氏名】ニコラス デイビッド ティレル
【テーマコード(参考)】
4C086
4H006
4H039
【Fターム(参考)】
4C086AA04
4C086BC42
4C086NA05
4C086ZC41
4H006AA01
4H006AB84
4H006AC23
4H006AC44
4H006AC48
4H006BB14
4H006BJ20
4H006BJ50
4H006BM10
4H006BM30
4H006BM71
4H006BM72
4H006BR30
4H006KA31
4H006KF10
4H039CA10
4H039CB10
(57)【要約】
本発明は、2-アミノ-6-((1r,4r)-4-フェニルシクロヘキシル)-5-(3-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピリミジン-4(3H)-オン、および2-アミノ-6-((1r,4r)-4-フェニルシクロヘキシル)-5-(3-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピリミジン-4(3H)-オン一水和物、ならびに新規中間体化合物を調製する方法を提供する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の式Iの化合物を調製する方法であって、
【化1】
前記方法が、
(a)酸化剤および以下の式IIの化合物またはその水和物を含む第一の反応混合物を、
【化2】
前記式Iの化合物を調製するのに好適な条件下で、形成することを含むものである、方法。
【請求項2】
前記酸化剤は、亜硝酸ナトリウム(NaNO)、亜硝酸カリウム(KNO)、亜硝酸テトラブチルアンモニウム[(n-CNO ]、ニトロシル硫酸、[HOSO-O-N=O]、亜硝酸メチル(CHO-N=O)、亜硝酸エチル(CHCHO-N=O)、n-亜硝酸プロピル(CHCHCHO-N=O)、亜硝酸イソプロピル[(CHCHO-N=O]、亜硝酸n-ブチル[CH(CHO-N=O]、亜硝酸イソブチル[(CHCH(CHO-N=O]、亜硝酸イソペンチル[(CHCH(CHO-N=O]、または亜硝酸フェニル(CO-N=O)のうちの少なくとも一つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記酸化剤が、亜硝酸ナトリウムを含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記第一の反応混合物は、塩酸、硫酸、ギ酸、酢酸、プロパン酸、ブタン酸、ヘキサン酸、オクタン酸、トリフルオロ酢酸、テトラフルオロホウ酸(HBF)、またはそれらの混合物を含む第一の酸をさらに含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記第一の酸が、酢酸を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記第一の反応混合物は、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)、イソプロパノール、2-メチルテトラヒドロフラン(2-MeTHF)、テトラヒドロフラン、水、またはそれらの混合物を含む第一の溶媒をさらに含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記式IIの化合物が、以下の一水和物形態である、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【化3】
【請求項8】
前記第一の反応混合物は、酢酸、亜硝酸ナトリウム、および前記式IIの化合物の一水和物形態を含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
(a1)約15%(v/v)の量のメタノールと約85%(v/v)の量のジクロロメタンとを含む溶媒混合物中に前記式Iの化合物を溶解させることと、
(a2)前記溶媒混合物を加熱してジクロロメタンを除去し、この溶媒混合物にメタノールを加えて、除去されたジクロロメタンと置き換え、それによってメタノール溶媒混合物を調製することと、
(a3)前記メタノール溶媒混合物を冷却して、それによって式Iの結晶を形成することと、をさらに含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記式IIの化合物またはその水和物は、
(b)グアニジンおよびその塩、ならびに以下の式IIIの化合物を含む第二の反応混合物を、
【化4】
前記式IIの化合物またはその水和物を調製するのに好適な条件下で、形成することを含む方法によって調製され、
式中、RはC1~6アルキルである、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記グアニジンは、前記グアニジン遊離塩基である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
は、メチル、エチル、またはn-プロピルである、請求項10または11に記載の方法。
【請求項13】
前記式IIIの化合物は、以下の式IIIaの化合物である、請求項10から12のいずれか一項に記載の方法。
【化5】
【請求項14】
第二の反応混合物は、エタノール、イソプロパノール、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)、2-メチルテトラヒドロフラン(2-MeTHF)、テトラヒドロフラン(THF)、水、またはそれらの混合物を含む第二の溶媒をさらに含む、請求項10から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記第二の溶媒は、酢酸エチルを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記第二の反応混合物は、酢酸エチル、グアニジン遊離塩基、および前記式IIIaの化合物を、以下の式IIの化合物の一水和物形態を調製するのに好適な条件下で、含むものである、請求項10から15のいずれか一項に記載の方法:
【化6】
【請求項17】
前記方法は、ステップ(b)の前に、
(b1)グアニジン塩および塩基を含む第三の反応混合物を形成して、グアニジン遊離塩基を調製することをさらに含む、請求項11から16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記塩基は、炭酸カリウム、リチウムメトキシド、カリウムメトキシド、ナトリウムメトキシド、カリウムエトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウムイソプロポキシド、カリウムイソプロポキシド、カリウムtert-ブトキシド、またはナトリウムtert-ブトキシドを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記塩基は、ナトリウムエトキシドを含む、請求項17または18に記載の方法。
【請求項20】
前記第三の反応混合物は、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソ-プロパノール、水、またはそれらの混合物を含む第三の溶媒をさらに含む、請求項17から19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記第三の溶媒は、エタノールを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記第三の反応混合物は、水捕捉剤(water scavenger)をさらに含む、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記方法は、ステップ(b)の前に、
(b1)エタノール、グアニジン塩酸塩、およびナトリウムエトキシドを含む第三の反応物を形成して、前記グアニジン遊離塩基を調製することをさらに含む、請求項17から22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記方法は、ステップ(b)の後に、
(b2)第二の反応物に水を加えて、それによって前記式IIの化合物またはその水和物を結晶化することをさらに含む、請求項17から23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記式Iの化合物は、
(b1)エタノール、グアニジン塩酸塩、およびナトリウムエトキシドを含む前記第三の反応混合物を形成して、グアニジン遊離塩基を調製することと、
(b)酢酸エチル、グアニジン遊離塩基、および前記式IIIaの化合物を含む第二の反応混合物を、以下の式IIの化合物の一水和物形態を調製するのに好適な条件下で、形成することと、
【化7】
(a)酢酸、亜硝酸ナトリウム、および前記式IIの化合物の一水和物形態を含む前記第一の反応混合物を、前記式Iの化合物を調製するのに好適な条件下で、形成することと、によって、調製される、請求項10から23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記式IIIの化合物は、
(c)還元剤および以下の式IVの化合物を含む第四の反応混合物を、
【化8】
前記式IIIの化合物を調製するのに好適な条件下で、形成することによって調製される、請求項10から25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記還元剤は、水素化触媒、トリエチルシラン/塩化鉄(III)六水和物(EtSiH/FeCl3・6HO)、ピリジン中の水素化ホウ素ナトリウム[(NaBH)/ピリジン]、トリ-n-ブチルすず水素化物[(nBuSnH)]、トリ-(トリメチシリル)シラン[(MeSi)SiH]、ボラン(BH)、およびカテコールボラン[(o-C)BH]、ヒドラジン(HNNH)、ギ酸、ギ酸アンモニウム、シクロヘキセン、または1,4-シクロヘキサジエンを含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記還元剤は、パラジウム-炭素(Pd-C)、パラジウム-二酸化ケイ素、パラジウム-炭酸カルシウム、白金-炭素、水酸化パラジウム、水酸化白金、塩化パラジウム(II)、ラネーニッケル、ロジウム-アルミナ、塩化ロジウム(III)三水和物/Aliquat 336(N-メチル N-トリオクチルアンモニウムクロリド)、Ru(BINAP)]*NEt、またはホウ化ニッケル(NiB)を含む水素化触媒である、請求項26または27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記水素化触媒は、パラジウム-炭素(Pd-C)を含む、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記第四の反応混合物は、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソ-プロパノール、n-ブタノール、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸n-ブチル、ギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、水、またはそれらの混合物を含む第四の溶媒を含む、請求項26から29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記第四の溶媒は、エタノールを含む、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記式IVの化合物は、以下の式IVaの化合物である、請求項26~31のいずれか一項に記載の方法。
【化9】
【請求項33】
前記第四の反応混合物は、エタノール、5%Pd-C、水素、酢酸ナトリウムを含み、また式IVの化合物は、以下の式IVaの化合物であり、
【化10】
それによって、前記以下の式IIIaの化合物が調製される、請求項26から32のいずれか一項に記載の方法。
【化11】
【請求項34】
前記式Iの化合物は、
(c)エタノール、5%Pd-C、水素、酢酸ナトリウム、および以下の式IVaの化合物を含む第四の反応物を形成し、
【化12】
それによって、以下の式IIIaの化合物が調製されることと、
【化13】
(b1)エタノール、グアニジン塩酸塩、およびナトリウムエトキシドを含む前記第三の反応混合物を形成して、グアニジン遊離塩基を調製することと、
(b)酢酸エチル、グアニジン遊離塩基、および前記式IIIaの化合物を含む第二の反応混合物を、以下の式IIの化合物の一水和物形態を調製するのに好適な条件下で、形成することと、
【化14】
(a)酢酸、亜硝酸ナトリウム、および前記式IIの化合物の一水和物形態を含む前記第一の反応混合物を、前記式Iの化合物を調製するのに好適な条件下で、形成することと、によって、調製される、請求項26から33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記式IVの化合物は、
(d)第一のアミン塩基、第二の酸、3-トリフルオロメチルベンズアルデヒド、および以下の式Vの化合物を含む第五の反応混合物を、
【化15】
前記式IVの化合物を調製するのに好適な条件下で、形成することによって調製される、請求項26から33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
前記第一のアミン塩基は、トリエチルアミン、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)、N,N-ジメチルイソプロピルアミン(DIMPA)、ピペリジン、1-エチルピペリジン、N-メチルモルホリン、N-メチルピロリジン、N,N-ジメチルアミン、ピペラジン、N-メチルピペラジン、トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミン[(HOCHCNH]、ベンジルアミン、ピリジン、N,N-ジメチルアニリン、N,N-ジエチルアニリン、2,6-ルチジン、2,4,6-コリジン、4-ジメチルアミノピリジン(DMAP)、キヌクリジン、4-ピロリジノピリジン、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)、またはそれらの混合物を含む、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記第一のアミン塩基はピペリジンを含む、請求項35または36に記載の方法。
【請求項38】
前記式Vの化合物は、以下の式Vaの化合物である、請求項35から37のいずれか一項に記載の方法。
【化16】
【請求項39】
前記第五の反応混合物は、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソ-プロパノール、アセトニトリル、ジクロロメタン、ジエチルエーテル、2-メチルテトラヒドロフラン(2-MeTHF)、シクロプロピルメチルエーテル(CPME)、テトラヒドロフラン、2,2,2-トリフルオロエタノール、トルエン、キシレン、メシチレン、またはそれらの混合物を含む第五の溶媒をさらに含む、請求項35から38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
前記第五の溶媒は、エタノールを含む、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記第五の反応混合物は、エタノール、ピペリジン、酢酸、3-トリフルオロメチルベンズアルデヒドを含み、また前記式Vの化合物は、以下の式Vaの化合物であり、
【化17】
それによって、以下の式IVaの化合物が調製される、請求項35から40のいずれか一項に記載の方法。
【化18】
【請求項42】
前記式Iの化合物は、
(d)エタノール、ピペリジン、酢酸、3-トリフルオロメチルベンズアルデヒド、および以下の式Vaの化合物を含む第五の反応物を形成し、
【化19】
それによって、以下の式IVaの化合物が調製されることと、
【化20】
(c)エタノール、5%Pd-C、水素、酢酸ナトリウム、および以下の式IVaの化合物を含む第四の反応物を形成し、それによって以下の式IIIaの化合物を調製することと、
【化21】
(b1)エタノール、グアニジン塩酸塩、およびナトリウムエトキシドを含む前記第三の反応混合物を形成して、グアニジン遊離塩基を調製することと、
(b)酢酸エチル、グアニジン遊離塩基、および前記式IIIaの化合物を含む第二の反応混合物を、以下の式IIの化合物の一水和物形態を調製するのに好適な条件下で、形成することと、
【化22】
(a)酢酸、亜硝酸ナトリウム、および前記式IIの化合物の一水和物形態を含む前記第一の反応混合物を、式Iの化合物を調製するのに好適な条件下で、形成することと、によって、調製される、請求項35から41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
(d1)第五の反応混合物に、前記式IVの化合物の結晶種を加えて、結晶形態の式IVの化合物を調製することをさらに含む、請求項35から42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
前記式Vの化合物は、
(e1)マロン酸イソプロピリデン、カルボキシルカップリング剤、第二のアミン塩基、および以下の式VIの化合物を含む第七の反応混合物を、
【化23】
中間体混合物を調製するのに好適な条件下で、形成することと、
(e2)前記中間体混合物を含む第六の反応混合物を加熱し、それによって前記式Vの化合物を調製することと、によって調製される、請求項35から43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
前記カルボキシル活性化剤は、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、N,N’-ジイソプロピルカルボジイミド(DIC)、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドHCl(EDAC)、ビス[[4-(2,2-ジメチル-1,3-ジオキソリル(dioxolyl))]メチル]カルボジイミド(BDDC)、N-シクロヘキシル-N’-(2-モルホリノエチル)カルボジイミド メチル-p-トルエンスルホン酸塩、1-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]-3-エチルカルボジイミドメチオジド、塩化チオニル、塩化オキサリル、2-エトキシ-1-エトキシカルボニル-1,2-ジヒドロキノリン(EEDQ)、カルボニルジイミダゾール、ビス(1,2,4-トリアゾリル)メタノン、n-プロパンホスホン酸無水物、エチルメチルホスホン酸無水物(EMPA)、塩化シアヌル、2-クロロ-4,6-ジメトキシ-1,3,5-トリアジン(CDMT)、4-(4,6-ジメトキシ-1,3,5-トリアジン-2-イル)-4-メチルモルホニウムクロリド(DMTMM)、グアニジニウム塩、ウロニウム塩、ベンゾトリアゾールテトラメチルウロニウムヘキサフルオロリン酸塩(HBTU)、アザベンゾトリアゾールテトラメチルウロニウムヘキサフルオロリン酸塩(HATU)、2-(1H-ベンゾトリアゾール-1-イル)-1,1,3,3-テトラメチルアミニウムテトラフルオロボラート(TBTU)、O-(2-オキソ-1(2H)ピリジル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムテトラフルオロボラート(TPTU)、またはN-[[[(1-シアノ-2-エトキシ-2-オキソエチリデン)アミノ]オキシ](ジメチルアミノ)メチレン]-N-メチル-メタンアミニウムテトラフルオロボラート(TOTU)である、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記カルボキシル活性化剤は、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドHCl(EDAC)である、請求項44または45に記載の方法。
【請求項47】
第二のアミン塩基は、トリエチルアミン、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)、N,N-ジメチルイソプロピルアミン(DIMPA)、1-エチルピペリジン、N-メチルモルホリン、N-メチルピロリジン、ピリジン、N,N-ジメチルアニリン、N,N-ジエチルアニリン、2,6-ルチジン、2,4,6-コリジン、4-ジメチルアミノピリジン(DMAP)、キヌクリジン、4-ピロリジノピリジン、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)、またはそれらの混合物を含む、請求項44から46のいずれか一項に記載の方法。
【請求項48】
前記第二のアミン塩基は、4-ジメチルアミノピリジン(DMAP)を含む、請求項44から47のいずれか一項に記載の方法。
【請求項49】
前記第七の反応混合物は、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、ジクロロメタン、クロロホルム、トルエン、またはそれらの混合物を含む第七の溶媒をさらに含む、請求項44から48のいずれか一項に記載の方法。
【請求項50】
前記第七の溶媒は、ジクロロメタンを含む、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記第七の反応混合物は、ジクロロメタン、マロン酸イソプロピリデン、EDAC、ジメチルアミノピリジン(DMAP)、および前記式VIの化合物を含む、請求項44から50のいずれか一項に記載の方法。
【請求項52】
前記第六の反応混合物は、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソ-プロパノール、n-ブタノール、t-ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、またはそれらの混合物を含む第六の溶媒をさらに含む、請求項44から51のいずれか一項に記載の方法。
【請求項53】
前記第六の溶媒は、エタノールを含む、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
(e3)前記第六の反応混合物にヘプタンを添加して、前記式Vの化合物を結晶化するステップをさらに含む、請求項44から53のいずれか一項に記載の方法。
【請求項55】
以下の式Iの化合物を調製する方法であって、
【化24】
前記方法が、
(e1)ジクロロメタン、マロン酸イソプロピリデン、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドHCl(EDAC)、ジメチルアミノピリジン(DMAP)、および以下の式VIの化合物を含む第七の反応混合物を、
【化25】
中間体混合物を調製するのに好適な条件下で、形成することと、
(e2)前記中間体混合物およびエタノールを含む第六の反応混合物を加熱し、それによって以下の式Vaの化合物を調製することと、
【化26】
(e3)前記第六の反応混合物にヘプタンを添加して、前記式Vaの化合物を結晶化することと、
(d)エタノール、ピペリジン、酢酸、3-トリフルオロメチルベンズアルデヒド、および前記式Vaの化合物を含む第五の反応混合物を、以下の式IVaの化合物を調製するのに好適な条件下で、形成することと、
【化27】
(d1)前記第五の反応混合物に、前記式IVaの化合物の結晶種を加えて、結晶形態の式IVaの化合物を調製することと、
(c)エタノール、5%Pd-C、水素、酢酸ナトリウム、および式IVaの化合物を含む第四の反応混合物を、以下の式IIIaの化合物を調製するのに好適な条件下で、形成することと、
【化28】
(b1)エタノール、グアニジン塩酸塩、およびナトリウムエトキシドを含む第三の反応混合物を形成して、グアニジン遊離塩基を調製することと、
(b)酢酸エチル、グアニジン遊離塩基、および前記式IIIaの化合物を含む第二の反応混合物を、以下の式IIの化合物の一水和物形態を調製するのに好適な条件下で、形成することと、
【化29】
(a)酢酸、亜硝酸ナトリウム、および前記式IIの化合物の一水和物形態を含む第一の反応混合物を、前記式Iの化合物を調製するのに好適な条件下で、形成することと、を含む、方法。
【請求項56】
(a1)約15%(v/v)の量のメタノールと約85%(v/v)の量のジクロロメタンとを含む溶媒混合物中に前記式Iの化合物を溶解させることと、
(a2)前記溶媒混合物を加熱してジクロロメタンを除去し、この溶媒混合物にメタノールを加えて、除去されたジクロロメタンと置き換え、それによってメタノール溶媒混合物を調製することと、
(a3)前記メタノール溶媒混合物を冷却し、それによって式Iの結晶を形成することと、をさらに含む、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
以下の式IIの化合物またはその水和物を調製する方法であって、
【化30】
前記方法が、
(b)グアニジンおよびその塩、ならびに以下の式IIIの化合物を含む第二の反応混合物を、
【化31】
前記式IIの化合物またはその水和物を調製するのに好適な条件下で、形成することを含み、
式中、RはC1~6アルキルである、方法。
【請求項58】
以下の式IIの化合物、またはその水和物。
【化32】
【請求項59】
前記式IIの化合物は、以下の構造を有する、請求項58に記載の化合物。
【化33】
【請求項60】
式IIの一水和物化合物は、実質的に図1に示されるような粉末X線回折(XRPD)によって特徴付けられる、請求項59に記載の化合物。
【請求項61】
以下の式IVaの化合物。
【化34】
【請求項62】
前記式IVaの化合物は、実質的に図6に示されるような粉末X線回折(XRPD)によって特徴付けられる、請求項61に記載の化合物。
【請求項63】
以下の式Vaの化合物。
【化35】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本願は、2020年12月21日に出願された米国仮特許出願第63/128,539号の優先権を主張するものであり、その全体がすべての目的に対して本明細書に組み込まれる。
【0002】
ヒトを含むほとんどの種では、生理的グルココルチコイドはコルチゾール(ヒドロコルチゾン)である。グルココルチコイドは、ACTH(コルチコトロピン)に応答して分泌されるものであり、このACTH(コルチコトロピン)は、ストレスおよび食物に応答して概日リズムの変化および上昇の両方を示す。コルチゾルレベルは、外傷、手術、運動、不安、および抑うつを含む、多くの身体的および心理的ストレスに対して数分以内に応答する。コルチゾルはステロイドであり、また細胞内のグルココルチコイド受容体(GR)に結合することによって作用する。ヒトでは、グルココルチコイド受容体は、777のアミノ酸のリガンド結合GR-アルファ、および50のカルボキシ末端残基を欠くGR-ベータアイソフォームという二形態で存在する。これらはリガンド結合ドメインを含むため、GR-ベータはリガンドを結合できず、核内に恒常的に局在し、また転写的に不活性である。GRは、GR-IIとしても知られる。
【0003】
高コルチゾル血症によって引き起こされるものを含む、コルチゾルの生物学的効果を、アゴニスト、部分アゴニストおよびアンタゴニストなどである受容体調節因子を使用して、GRレベルで調節することができる。いくつかの様々なクラスの薬剤は、GR-アゴニスト結合の生理学的効果を阻害することができる。これらアンタゴニストは、GRに結合することにより、GRに効果的に結合および/またはGRを活性化するというアゴニストがもつ能力を阻害する組成物を含む。そのような既知のGRアンタゴニストのひとつであるミフェプリストンは、ヒトにおける有効な抗グルココルチコイド剤であることが見出されている(Bertagna(1984)J.Clin.Endocrinol.Metab.59:25)。ミフェプリストンは、高い親和性でGRに結合し、解離定数(Kd)は10~9Mである(Cadepond(1997)Annu.Rev.Med.48:129)。
【0004】
コルチゾルに加えて、他のステロイドの生物学的効果を、アゴニスト、部分アゴニストおよびアンタゴニストなどである受容体調節因子を使用して、GRレベルで調節することができる。ステロイドは、それを必要とする対象に投与されると、例えばグルココルチコイド受容体の転写抑制を刺激することによって、意図される治療効果と、例えば慢性的なグルココルチコイド受容体の転写活性化による、負の副作用との両方をもたらし得る。ミリコリラント(CORT-118335)は、このような別のグルココルチコイド受容体調節因子化合物であり、そしてこれまでにPCT公開公報である国際公開第2012/129074号、および米国特許第8,685,973号に記載されている。当技術分野で必要とされるのは、不純物含有量がより少ないRelacorilantを調製するための新規方法である。驚くべきことに、本発明は、これらおよび他のニーズを満たす。当技術分野では、GR受容体を調節するための化合物を調製するための新規方法が要望されている。驚くべきことに、本発明は、これらおよび他のニーズを満たす。
【発明の概要】
【0005】
一実施形態においては、本発明は、以下の式Iの化合物を調製する方法であって、
【化1】
(a)酸化剤および以下の式IIの化合物またはその水和物を含む第一の反応混合物を、
【化2】
式Iの化合物を調製するのに好適な条件下で、形成することを含む方法を提供する。
【0006】
別の実施形態においては、本発明は、以下の式Iの化合物を調製する方法であって、
【化3】
方法が、
(e1)ジクロロメタン、マロン酸イソプロピリデン、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドHCl(EDAC)、ジメチルアミノピリジン(DMAP)、および以下の式VIの化合物を含む第七の反応混合物を、
【化4】
中間体混合物を調製するのに好適な条件下で、形成することと、
(e2)中間体混合物およびエタノールを含む第六の反応混合物を加熱し、それによって以下の式Vaの化合物を調製することと、
【化5】
(e3)第六の反応混合物にヘプタンを添加して、式Vaの化合物を結晶化することと、
(d)エタノール、ピペリジン、酢酸、3-トリフルオロメチルベンズアルデヒド、および式Vaの化合物を含む第五の反応混合物を、以下の式IVaの化合物を調製するのに好適な条件下で、形成することと、
【化6】
(d1)第五の反応混合物に、式IVaの化合物の結晶種を加えて、結晶形態の式IVaの化合物を調製することと、
(c)エタノール、5%Pd-C、水素、酢酸ナトリウム、および式IVaの化合物を含む第四の反応混合物を、以下の式IIIaの化合物を調製するのに好適な条件下で、形成することと、
【化7】
(b1)エタノール、グアニジン塩酸塩、およびナトリウムエトキシドを含む第三の反応混合物を形成して、グアニジン遊離塩基を調製することと、
(b)酢酸エチル、グアニジン遊離塩基、および式IIIaの化合物を含む第二の反応混合物を、以下の式IIの化合物の一水和物形態を調製するのに好適な条件下で、形成することと、
【化8】
(a)酢酸、亜硝酸ナトリウム、および式IIの化合物の一水和物形態を含む第一の反応混合物を、式Iの化合物を調製するのに好適な条件下で、形成することと、を含む、方法を提供する。
【0007】
別の実施形態においては、本発明は、以下の式IIの化合物またはその水和物を調製する方法であって、
【化9】
該方法が、(b)グアニジンおよびその塩、ならびに以下の式IIIの化合物を含む第二の反応混合物を、
【化10】
式IIの化合物またはその水和物を調製するのに好適な条件下で、形成することを含み、式中RはC1~6アルキルである、方法を提供する。
【0008】
別の実施形態においては、本発明は、以下の式IIの化合物またはその水和物を提供する。
【化11】
【0009】
別の実施形態においては、本発明は、以下の式IVaの化合物を提供する。
【化12】
【0010】
別の実施形態においては、本発明は、以下の式Vaの化合物を提供する。
【化13】
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、式IIの化合物、2-アミノ-6-((1r,4r)-4-フェニルシクロヘキシル)-5-(3-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピリミジン-4(3H)-オンのX線パターン回折(XRPD)を示す。
図2図2は、式IIの化合物の示差走査熱量測定を示す。
図3図3は、式IIの化合物の熱重量分析を示す。
図4図4は、式IVaの化合物、(Z)-2-((1r,4r)-4-(4-クロロフェニル)シクロヘキサン-1-カルボニル)-3-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)アクリル酸エチルの形態IのX線パターン回折(XRPD)を示す。
図5図5は、式IVaの化合物、形態Iの示差走査熱量測定を示す。
図6図6は、式IVaの化合物、(Z)-2-((1r,4r)-4-(4-クロロフェニル)シクロヘキサン-1-カルボニル)-3-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)アクリル酸エチルの形態IIのX線パターン回折(XRPD)を示す。
図7図7は、式IVaの化合物、形態IIの示差走査熱量測定を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
I.全般
本開示は、式IIの化合物の酸化を介して、米国特許第8,685,973号の実施例6である、6-((1r,4r)-4-フェニルシクロヘキシル)-5-(3-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン(式I)を調製する方法を記載する。本開示はまた、グアニジンまたはその塩を用いて、米国特許第8,685,973号の化合物11などである式IIIの反応によって2-アミノ-6-((1r,4r)-4-フェニルシクロヘキシル)-5-(3-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピリミジン-4(3H)-オン一水和物(式II)を調製する方法も記載する。本開示はまた、2-アミノ-6-((1r,4r)-4-フェニルシクロヘキシル)-5-(3-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピリミジン-4(3H)-オン一水和物(式II)、(Z)-2-((1r,4r)-4-(4-クロロフェニル)シクロヘキサン-1-カルボニル)-3-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)アクリル酸エチル(式IVa)、および3-((1r,4r)-4-(4-クロロフェニル)シクロヘキシル)-3-オキソプロパン酸エチル(式Va)をはじめとする、新規中間体も記載する。
【0013】
II.定義
【0014】
値に言及する場合の「約(About)」は、記載された値±記載された値の10%を含む。例えば、約50%は、45%~55%の範囲を含み、一方約10当量は、9~11当量の範囲を含む。したがって、ある範囲に言及する場合、「約」は、その範囲の上限下限のそれぞれの記載の値のそれぞれ±該記載の値の10%を指す。例えば、約1~約10(w/w)の比は、0.9~11の範囲を含む。
【0015】
「反応混合物を形成すること」とは、それらが一緒に混合されて反応することができるように、少なくとも二つの別個の種を接触させようにする工程を指す。しかしながら、得られる反応生成物は、添加された試薬間の反応から直接、または反応混合物中で生成され得る添加された試薬のうちの一以上からの中間体から直接生成され得るということが理解されるであろう。
【0016】
「分配混合物」とは、所望の物質を単離するために、溶媒-溶媒抽出で使用される有機溶媒層と水溶液の水層との不混和性混合物を指す。適切な有機溶媒としては、ヘキサン、ジエチルエーテル、酢酸エチル、およびジクロロメタンが挙げられるが、これに限定されない。適切な水溶液の水層としては、水と様々な水溶性塩溶液が挙げられ、例えば20%塩化ナトリウム溶液であるが、これに限定されない。
【0017】
「溶解させる」、「溶解させること」、または「溶解」は、固体材料が実質的に可溶であるような溶媒系に固体材料を入れる工程を指す。例えば固体材料は、溶媒中に90%超で可溶、または溶媒中に91、92、93、94、95、96、97、98、または99%超で可溶であり得る。
【0018】
「冷却させること」は、反応混合物に冷却手段を適用して、反応混合物の温度を少なくとも摂氏1度減少させることを指す。例えば冷却させることは、反応混合物の温度を室温未満に低下させることを含み得るが、これに限定されない。
【0019】
「加熱すること」は、反応混合物に熱を適用して、反応混合物の温度を少なくとも摂氏1度上昇させることを指す。例えば、加熱することは、反応混合物の温度を、反応混合物の還流温度もしくは沸点まで上昇させること、または反応混合物の室温と還流温度もしくは沸点との間の温度まで上昇させることを含み得るが、これに限定されない。
【0020】
「室温」は、ヒトの居住に適していると通常考えられている気温の範囲、すなわち摂氏約15度(華氏59度)~摂氏25度(華氏77度)の間である。
【0021】
「酸」は、プロトン(ブレンステッド-ローリーの酸)を供与することができるか、または電子対(ルイス酸)を受容することができる化合物を指す。代表的な酸としては、塩酸、硫酸、ギ酸、酢酸、プロパン酸、ブタン酸、ヘキサン酸、オクタン酸、トリフルオロ酢酸、テトラフルオロホウ酸(HBF)などが挙げられるが、これに限定されない。
【0022】
「塩基」は、プロトン(ブレンステッド-ローリーの塩基)を受容することができるか、または電子対(ルイス塩基)を供与することができる化合物を指す。代表的な塩基としては、無機塩基、有機塩基、酸性塩、非求核塩基(non-nucleophlic base)、およびアミン塩基が挙げられるが、これに限定されない。例えば塩基は、水酸化ナトリウム、酢酸ナトリウム、またはそれらの混合物であり得る。
【0023】
「アミン塩基」または「非求核アミン塩基」は、中程度から強塩基であるが同時に求核性が乏しい窒素含有塩基を指す。代表的なアミン塩基としては、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、N,N-ジエチルアニリン、ピリジン、2,6-ルチジン、2,4,6-コリジン、4-ジメチルアミノピリジン、およびキヌクリジンなどである塩基が挙げられる。
【0024】
「酸化剤」または「酸化性物質」は、別の化合物から電子対を受容し、それによって化合物を酸化することができる試薬を指す。代表的な酸化剤としては、酸素、過酸化水素、亜硝酸塩、硝酸、硫酸などが挙げられるが、これに限定されない。
【0025】
「還元剤」は、電子を別の化合物に供与し、それによって化合物を還元させることができる試薬を指す。代表的な還元剤としては、水素化触媒、例えば水素化アルミニウムリチウム(LiAlH)または水素化ホウ素ナトリウム(NaBH)などである水素化物試薬、ナトリウム、ギ酸などが挙げられるが、これに限定されない。水素化触媒は、アルケンまたは他の二重結合の水素化を促進する触媒である。代表的な水素化触媒としては、Pd/C、Pt、ラネーニッケル、Ru錯体、Ir錯体などが挙げられるが、これに限定されない。
【0026】
「結晶種」は、調製しようとする目標の結晶形態のシード結晶を指す。
【0027】
「カルボキシルカップリング剤」は、カルボニル炭素における炭素-炭素結合の形成を促進するためにカルボン酸から活性化エステルを形成することができる試薬を指す。代表的なカルボキシルカップリング剤としては、塩化チオニル、カルボジイミド試薬、およびその他が挙げられる。
【0028】
「溶媒」は、溶質を溶解させることができる、例えば液体などである物質を指す。溶媒は、極性または非極性、プロトン性または非プロトン性であり得る。極性溶媒は、典型的には、約5より大きい誘電率、または約1.0を超える双極子モーメントを有し、また非極性溶媒は、約5未満の誘電率、または約1.0未満の双極子モーメントを有する。プロトン性溶媒は、例えばヒドロキシ基またはカルボキシ基を有するなど、除去に利用可能なプロトンを有することを特徴とする。非プロトン性溶媒は、このような基を欠いている。代表的な極性プロトン性溶媒としては、アルコール(メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノールなど)、酸(ギ酸、酢酸など)、および水が挙げられる。代表的な極性非プロトン性溶媒としては、ジクロロメタン、クロロホルム、1,4-ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、アセトン、酢酸エチル、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、アセトニトリル、およびジメチルスルホキシドが挙げられる。代表的な非極性溶媒としては、アルカン(ペンタン、ヘキサンなど)、シクロアルカン(シクロペンタン、シクロヘキサンなど)、ベンゼン、およびトルエンが挙げられる。本発明においては、他の溶媒は有用である。
【0029】
「水捕捉剤(water scavenger)」は、反応混合物中で水を捕捉して、全体的な含水量を低下させる化合物または物質を指す。代表的な水捕捉剤としては、アルカリアルミノケイ酸塩、オルトギ酸エステルなどが挙げられる。
【0030】
「アルキル」は、直鎖状または分枝の非環式炭化水素であって、ノルマル、第二級、または第三級の炭素原子を含有するものを指す。例えばアルキル基は、1~20の炭素原子(すなわち、C~C20アルキル)、1~10の炭素原子(すなわち、C~C10アルキル)、または1~6の炭素原子(すなわち、C~Cアルキル)を有し得る。アルキルは、例えばC1~2、C1~3、C1~4、C1~5、C1~6、C1~7、C1~8、C1~9、C1~10、C2~3、C2~4、C2~5、C2~6、C3~4、C3~5、C3~6、C4~5、C4~6およびC5~6などの任意の数の炭素を含み得る。好適なアルキル基の例としては、メチル(Me、-CH)、エチル(Et、-CHCH)、1-プロピル(-Pr、-プロピル、-CHCHCH)、2-プロピル(-Pr、-プロピル、-CH(CH)、1-ブチル(-Bu、-ブチル、-CHCHCHCH)、2-メチル-1-プロピル(-Bu、-ブチル、-CHCH(CH)、2-ブチル(-Bu、-ブチル、-CH(CH)CHCH)、2-メチル-2-プロピル(-Bu、‐ブチル、-C(CH)、1-ペンチル(-ペンチル、-CHCHCHCHCH)、2-ペンチル(-Pn、-ペンチル、-CH(CH)CHCHCH)、3-ペンチル(-CH(CHCH)、2-メチル-2-ブチル(-Pn、-ペンチル、-C(CHCHCH)、3-メチル-2-ブチル(neo-Pn、ネオペンチル、-CH(CH)CH(CH)、3-メチル-1-ブチル(-CHCHCH(CH)、2-メチル-1-ブチル(-CHCH(CH)CHCH)、1-ヘキシル(-CHCHCHCHCHCH)、2-ヘキシル(-CH(CH)CHCHCHCH)、3-ヘキシル(-CH(CHCH)(CHCHCH))、2-メチル-2-ペンチル(-C(CHCHCHCH)、3-メチル-2-ペンチル(-CH(CH)CH(CH)CHCH)、4-メチル-2-ペンチル(-CH(CH)CHCH(CH)、3-メチル-3-ペンチル(-C(CH)(CHCH)、2-メチル-3-ペンチル(-CH(CHCH)CH(CH)、2,3-ジメチル-2-ブチル(-C(CHCH(CH)、3,3-ジメチル-2-ブチル(-CH(CH)C(CH、およびオクチル(-(CHCH)が挙げられるが、これに限定されない。
【0031】
「グアニジン」は、以下の構造を有する化合物を指す。
【化14】
【0032】
「マロン酸イソプロピリデン」は、以下の構造を指す。
【化15】
【0033】
「互変異性体」は、平衡状態で存在し、一方の異性体形態からもう一方の異性体形態へと容易に変換される、二以上の構造異性体のうちの一つを指す。本願に関連する例としては、式IIの化合物のピリミジン環上の2-アミノ置換基に関与する二つの互変異性体があり、これはアミノ形態またはイミノ形態のいずれかで存在し得る。
【化16】
【0034】
III.式Iの調製方法
本発明は、以下の式Iの化合物、6-((1r,4r)-4-フェニルシクロヘキシル)-5-(3-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオンを調製する方法を提供する。
【化17】
【0035】
式Iの化合物は、元々、米国特許第8,685,973号において実施例6として開示された。
【0036】
A.式IIよりの式Iの調製
いくつかの実施形態においては、本発明は、以下の式Iの化合物を調製する方法であって:
【化18】
(a)酸化剤および以下の式IIの化合物またはその水和物を含む第一の反応混合物を、
【化19】
式Iの化合物を調製するのに好適な条件下で、形成することを含む方法を提供する。
【0037】
任意の好適な酸化剤を本発明の方法で使用することができる。いくつかの実施形態においては、酸化剤は、亜硝酸ナトリウム(NaNO)、亜硝酸カリウム(KNO)、亜硝酸テトラブチルアンモニウム[(n-CNO ]、ニトロシル硫酸、[HOSO-O-N=O]、亜硝酸メチル(CHO-N=O)、亜硝酸エチル(CHCHO-N=O)、n-亜硝酸プロピル(CHCHCHO-N=O)、亜硝酸イソプロピル[(CHCHO-N=O]、n-亜硝酸ブチル[CH(CHO-N=O]、亜硝酸イソブチル[(CHCH(CHO-N=O]、亜硝酸イソペンチル[(CHCH(CHO-N=O]、または亜硝酸フェニル(CO-N=O)のうちの少なくとも一つを含む。いくつかの実施形態においては、酸化剤は、亜硝酸ナトリウムを含む。
【0038】
酸化剤は、式IIの化合物またはその水和物に対する任意の好適な比で存在し得る。例えば酸化剤は、式IIの化合物に対して、0.1~10のモル比で、または0.1~5、0.5~5、1~2で、または式IIの化合物に対して1~1.5のモル比で、存在し得る。酸化剤は、式IIの化合物に対して、約0.5のモル比で、または0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9で、または式IIの化合物に対して約2.0のモル比で、存在し得る。いくつかの実施形態においては、酸化剤は、式IIの化合物に対して約1.2のモル比で存在する。
【0039】
第一の反応混合物は、様々な他の成分を含み得る。いくつかの実施形態においては、第一の反応混合物は、第一の酸を含み得る。代表的な酸としては、有機酸および無機酸が挙げられるが、これに限定されない。いくつかの実施形態においては、第一の反応混合物は、塩酸、硫酸、ギ酸、酢酸、プロパン酸、ブタン酸、ヘキサン酸、オクタン酸、トリフルオロ酢酸、テトラフルオロホウ酸(HBF)、またはそれらの混合物を含む第一の酸をさらに含む。いくつかの実施形態においては、第一の酸は、酢酸を含む。
【0040】
第一の酸は、任意の好適な量で存在し得る。
【0041】
第一の反応混合物はまた、溶媒を含み得る。代表的な溶媒としては、非極性非プロトン性溶媒、極性非プロトン性溶媒、および極性プロトン性溶媒が挙げられる。いくつかの実施形態においては、第一の反応混合物は、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)、イソプロパノール、2-メチルテトラヒドロフラン(2-MeTHF)、テトラヒドロフラン、水、またはそれらの混合物を含む第一の溶媒をさらに含む。
【0042】
式IIの化合物は、遊離塩基形態または水和物形態であり得る。いくつかの実施形態においては、式IIの化合物は、遊離塩基であり得る。いくつかの実施形態においては、式IIの化合物は、水和物であり得る。いくつかの実施形態においては、式IIの化合物は、以下の一水和物形態である。
【化20】
【0043】
いくつかの実施形態においては、第一の反応混合物は、酢酸、亜硝酸ナトリウム、および式IIの化合物の一水和物形態を含む。
【0044】
式Iの化合物は、様々な方法によって精製することができる。例えば、式Iの化合物は、結晶化させることができる。いくつかの実施形態においては、式Iの化合物を調製する方法はまた、(a1)約15%(v/v)の量のメタノールと約85%(v/v)の量のジクロロメタンとを含む溶媒混合物中に式Iの化合物を溶解させることと、(a2)該溶媒混合物を加熱してジクロロメタンを除去し、この溶媒混合物にメタノールを加えて、除去されたジクロロメタンと置き換え、それによってメタノール溶媒混合物を調製することと、(a3)該メタノール溶媒混合物を冷却して、それによって式Iの結晶を形成することとを含む。
【0045】
この溶媒混合物は、任意の好適な温度まで加熱され得る。例えば溶媒混合物を加熱して、大気圧での蒸留を介してジクロロメタンを除去することができる。
【0046】
B.式IIIよりの式IIの調製
以下の式IIの化合物またはその水和物を、様々な方法によって調製することができる。
【化21】
【0047】
いくつかの実施形態においては、式IIの化合物またはその水和物は、(b)グアニジンおよびその塩、ならびに以下の式IIIの化合物を含む第二の反応混合物を、
【化22】
式IIの化合物またはその水和物を調製するのに好適な条件下で、形成することを含む方法によって調製され得、
式中、RはC1~6アルキルである。
【0048】
式IIの化合物の調製のためのさらなる実施形態を、セクションIVにおいて以下に記載している。
【0049】
式Iの化合物を調製する方法は、式IIの化合物の結晶化も含み得る。いくつかの実施形態においては、当該方法は、ステップ(b)の後、(b2)第二の反応物に水を加えて、それによって式IIの化合物またはその水和物を結晶化することをさらに含む。
【0050】
いくつかの実施形態においては、式Iの化合物は、
(b1)エタノール、グアニジン塩酸塩、およびナトリウムエトキシドを含む第三の反応混合物を形成して、グアニジン遊離塩基を調製することと、
(b)酢酸エチル、グアニジン遊離塩基、および式IIIaの化合物を含む第二の反応混合物を、以下の式IIの化合物の一水和物形態を調製するのに好適な条件下で、形成することと、
【化23】
(a)酢酸、亜硝酸ナトリウム、および式IIの化合物の一水和物形態を含む第一の反応混合物を、式Iの化合物を調製するのに好適な条件下で、形成することと、によって、調製される。
【0051】
C.式IVよりの式IIIの調製
以下の式IIIの化合物は、米国特許第8,685,973号に記載のものなどである種々の方法によって調製され得、
【化24】
式中、RはC1~6アルキルである。
【0052】
いくつかの実施形態においては、式IIIの化合物は、(c)還元剤および以下の式IVの化合物を含む第四の反応混合物を、
【化25】
式IIIの化合物を調製するのに好適な条件下で、形成することによって調製される。
【0053】
還元剤は、任意の好適な還元剤であり得る。いくつかの実施形態においては、還元剤は、水素化触媒、トリエチルシラン/塩化鉄(III)六水和物(EtSiH/FeCl・6HO)、ピリジン中の水素化ホウ素ナトリウム[(NaBH)/ピリジン]、トリ-n-ブチルすず水素化物[(nBuSnH)]、トリ-(トリメチシリル)シラン[(MeSi)SiH]、ボラン(BH)、およびカテコールボラン[(o-C)BH]、ヒドラジン(HNNH)、ギ酸、ギ酸アンモニウム、シクロヘキセン、または1,4-シクロヘキサジエンを含む。還元剤が水素化触媒である場合、第四の反応混合物は水素をさらに含む。いくつかの実施形態においては、還元剤が水素化触媒であり、また第四の反応混合物は水素をさらに含む。
【0054】
いくつかの実施形態においては、還元剤は、パラジウム-炭素(Pd-C)、パラジウム-二酸化ケイ素、パラジウム-炭酸カルシウム、白金-炭素、水酸化パラジウム、水酸化白金、塩化パラジウム(II)、ラネーニッケル、ロジウム-アルミナ、塩化ロジウム(III)三水和物/Aliquat 336(N-メチル N-トリオクチルアンモニウムクロリド)、Ru(BINAP)]*NEt、またはホウ化ニッケル(NiB)を含む水素化触媒である。いくつかの実施形態においては、水素化触媒は、パラジウム-炭素(Pd-C)を含む。
【0055】
還元剤は、任意の好適な量で存在し得る。例えば還元剤は、式IIIの化合物に対して等モル量で、または触媒量で、存在し得る。触媒量は、式IIIの化合物に対して1未満のモル比、または式IIIの化合物に対して0.1未満のモル比であり得る。いくつかの実施形態においては、還元剤は、触媒量で存在する。
【0056】
第四の反応混合物は、例えば溶媒などである様々な他の成分を含み得る。いくつかの実施形態においては、第四の反応混合物は、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソ-プロパノール、n-ブタノール、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸n-ブチル、ギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、水、またはそれらの混合物を含む第四の溶媒を含む。いくつかの実施形態においては、第四の溶媒はエタノールを含む。
【0057】
第四の反応混合物はまた、例えば有機塩基または無機塩基などである塩基を含み得る。有機塩基は、カルボン酸、硫酸、リン酸、またはその他のモノ塩、ジ塩、またはトリ塩を含む酸性塩であり得る。代表的な塩基としては、酢酸カリウム、酢酸リチウム、プロピオン酸ナトリウム、酪酸ナトリウム、ヘキサン酸ナトリウム、2-エチルヘキサン酸ナトリウム、オクタン酸ナトリウム、2-エチルヘキサン酸カリウム、ギ酸ナトリウム、ギ酸カリウム、シュウ酸カリウム、シュウ酸ナトリウム、三塩基性クエン酸ナトリウム(sodium citrate tribasic)、三塩基性クエン酸カリウム(potassium citrate tribasic)、ニトリロ三酢酸三ナトリウム塩、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)二ナトリウム塩、またはEDTA四ナトリウム塩、が挙げられるが、これに限定されない。いくつかの実施形態においては、塩基は、酢酸ナトリウムを含む。
【0058】
いくつかの実施形態においては、RはC1~6アルキルである。いくつかの実施形態においては、RはC1~3アルキルである。いくつかの実施形態においては、Rは、メチル、エチル、またはn-プロピルである。いくつかの実施形態においては、Rはエチルである。いくつかの実施形態においては、式IVの化合物は、以下の式IVaの化合物である。
【化26】
【0059】
式IVaの化合物は、IUPAC名が(Z)-2-((1r,4r)-4-(4-クロロフェニル)シクロヘキサン-1-カルボニル)-3-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)アクリル酸エチルである。
【0060】
いくつかの実施形態においては、第四の反応混合物は、エタノール、5%Pd-C、水素、酢酸ナトリウムを含み、また式IVの化合物は、以下の式IVaの化合物であり、
【化27】
それによって、以下の式IIIaの化合物が調製される。
【化28】
【0061】
いくつかの実施形態においては、式Iの化合物は、
(c)エタノール、5%Pd-C、水素、酢酸ナトリウム、および以下の式IVaの化合物を含む第四の反応物を形成し、
【化29】
それによって、以下の式IIIaの化合物が調製されることと:
【化30】
(b1)エタノール、グアニジン塩酸塩、およびナトリウムエトキシドを含む第三の反応混合物を形成して、グアニジン遊離塩基を調製することと、
(b)酢酸エチル、グアニジン遊離塩基、および式IIIaの化合物を含む第二の反応混合物を、以下の式IIの化合物の一水和物形態を調製するのに好適な条件下で、形成することと、
【化31】
(a)酢酸、亜硝酸ナトリウム、および式IIの化合物の一水和物形態を含む第一の反応混合物を、式Iの化合物を調製するのに好適な条件下で、形成することと、によって、調製される。
【0062】
D.式Vよりの式IVの調製
以下の式IVの化合物は、様々な方法によって調製され得、
【化32】
式中、RはC1~6アルキルである。
【0063】
いくつかの実施形態においては、式IVの化合物は、(d)第一のアミン塩基、第二の酸、3-トリフルオロメチルベンズアルデヒド、および以下の式Vの化合物を含む第五の反応混合物を、
【化33】
式IVの化合物を調製するのに好適な条件下で、形成することによって調製される。
【0064】
第一のアミン塩基は、任意の好適なアミン塩基であり得る。いくつかの実施形態においては、第一のアミン塩基は、トリエチルアミン、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)、N,N-ジメチルイソプロピルアミン(DIMPA)、ピペリジン、1-エチルピペリジン、N-メチルモルホリン、N-メチルピロリジン、N,N-ジメチルアミン、ピペラジン、N-メチルピペラジン、トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミン[(HOCHCNH]、ベンジルアミン、ピリジン、N,N-ジメチルアニリン、N,N-ジエチルアニリン、2,6-ルチジン、2,4,6-コリジン、4-ジメチルアミノピリジン(DMAP)、キヌクリジン、4-ピロリジノピリジン、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)、またはそれらの混合物を含む。いくつかの実施形態においては、第一のアミン塩基は、ピペリジンを含む。
【0065】
第一のアミン塩基は、任意の好適な量で存在し得る。例えば第一のアミン塩基は、式IVの化合物に対して等モル量で、または触媒量で、存在し得る。触媒量は、式IVの化合物に対して1未満のモル比、または式IVの化合物に対して0.1未満のモル比であり得る。いくつかの実施形態においては、第一のアミン塩基は、触媒量で存在する。
【0066】
第二の酸は、任意の好適な酸であり得る。代表的な酸としては、有機酸および無機酸が挙げられるが、これに限定されない。いくつかの実施形態においては、第二の酸は、塩酸、硫酸、ギ酸、酢酸、プロパン酸、ブタン酸、ヘキサン酸、オクタン酸、トリフルオロ酢酸、テトラフルオロホウ酸(HBF)、またはそれらの混合物であり得る。いくつかの実施形態においては、第二の酸は、酢酸を含む。
【0067】
第二の酸は、任意の好適な量で存在し得る。例えば第二の酸は、式IVの化合物に対して等モル量で、または触媒量で、存在し得る。触媒量は、式IVの化合物に対して1未満のモル比、または式IVの化合物に対して0.1未満のモル比であり得る。いくつかの実施形態においては、第二の酸は、触媒量で存在する。
【0068】
ベンズアルデヒドは、式Vの化合物に対して任意の好適な比で存在し得る。例えばベンズアルデヒドは、式Vの化合物に対して0.1~10のモル比で、または0.1~5、0.5~5、1~3で、または式Vの化合物に対して1.5~3.5のモル比で存在し得る。ベンズアルデヒドは、式Vの化合物に対して約1.5のモル比で、または1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4で、または式Vの化合物に対して約2.5のモル比で存在し得る。いくつかの実施形態においては、ベンズアルデヒドは、式Vの化合物に対して約2.0のモル比で存在する。
【0069】
いくつかの実施形態においては、RはC1~6アルキルである。いくつかの実施形態においては、RはC1~3アルキルである。いくつかの実施形態においては、Rは、メチル、エチル、またはn-プロピルである。いくつかの実施形態においては、Rはエチルである。いくつかの実施形態においては、式Vの化合物は、以下の式Vaの化合物である。
【化34】
【0070】
式Vaの化合物は、IUPAC名が3-((1r,4r)-4-(4-クロロフェニル)シクロヘキシル)-3-オキソプロパン酸エチルである。
【0071】
第五の反応混合物はまた、溶媒を含み得る。いくつかの実施形態においては、第五の反応混合物は、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソ-プロパノール、アセトニトリル、ジクロロメタン、ジエチルエーテル、2-メチルテトラヒドロフラン(2-MeTHF)、シクロプロピルメチルエーテル(CPME)、テトラヒドロフラン、2,2,2-トリフルオロエタノール、トルエン、キシレン、メシチレン、またはそれらの混合物を含む第五の溶媒をさらに含む。いくつかの実施形態においては、第五の溶媒はエタノールを含む。
【0072】
いくつかの実施形態においては、第五の反応混合物は、エタノール、ピペリジン、酢酸、3-トリフルオロメチルベンズアルデヒドを含み、また式Vの化合物は、以下の式Vaの化合物であり、
【化35】
それによって、以下の式IVaの化合物が調製される。
【化36】
【0073】
いくつかの実施形態においては、式Iの化合物は、
(d)エタノール、ピペリジン、酢酸、3-トリフルオロメチルベンズアルデヒド、および以下の式Vaの化合物を含む第五の反応物を形成し、
【化37】
それによって、以下の式IVaの化合物が調製されることと、
【化38】
(c)エタノール、5%Pd-C、水素、酢酸ナトリウム、および以下の式IVaの化合物を含む第四の反応物を形成し、それによって以下の式IIIaの化合物を調製することと、
【化39】
(b1)エタノール、グアニジン塩酸塩、およびナトリウムエトキシドを含む第三の反応混合物を形成して、グアニジン遊離塩基を調製することと、
(b)酢酸エチル、グアニジン遊離塩基、および式IIIaの化合物を含む第二の反応混合物を、以下の式IIの化合物の一水和物形態を調製するのに好適な条件下で、形成することと、
【化40】
(a)酢酸、亜硝酸ナトリウム、および式IIの化合物の一水和物形態を含む第一の反応混合物を、式Iの化合物を調製するのに好適な条件下で、形成することと、によって、調製される。
【0074】
式IVの化合物は、様々な方法によって結晶化させることが可能である。いくつかの実施形態においては、式IVの化合物を調製する方法はまた、(d1)第五の反応混合物に、式IVの化合物の結晶種を加えて、結晶形態の式IVの化合物を調製することも含む。
【0075】
E.式VIよりの式Vの調製
以下の式Vの化合物は、様々な方法によって調製され得、
【化41】
式中、RはC1~6アルキルである。
【0076】
いくつかの実施形態においては、式Vの化合物は、
(e1)マロン酸イソプロピリデン、カルボキシルカップリング剤、第二のアミン塩基、および以下の式VIの化合物を含む第七の反応混合物を、
【化42】
中間体混合物を調製するのに好適な条件下で、形成することと、
(e2)中間体混合物を含む第六の反応混合物を加熱し、それによって式Vの化合物を調製することと、によって調製される。
【0077】
カルボキシルカップリング剤は、カルボン酸のカルボニル炭素において炭素-炭素結合を形成することができる任意の薬剤であり得る。例えば、カルボキシルカップリング剤は、活性化エステルを形成する薬剤であり得る。いくつかの実施形態においては、カルボキシル活性化剤は、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、N,N’-ジイソプロピルカルボジイミド(DIC)、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドHCl(EDAC)、ビス[[4-(2,2-ジメチル-1,3-ジオキソリル(dioxolyl))]メチル]カルボジイミド(BDDC)、N-シクロヘキシル-N’-(2-モルホリノエチル)カルボジイミド メチル-p-トルエンスルホン酸塩、1-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]-3-エチルカルボジイミドメチオジド、塩化チオニル、塩化オキサリル、2-エトキシ-1-エトキシカルボニル-1,2-ジヒドロキノリン(EEDQ)、カルボニルジイミダゾール、ビス(1,2,4-トリアゾリル)メタノン、n-プロパンホスホン酸無水物、エチルメチルホスホン酸無水物(EMPA)、塩化シアヌル、2-クロロ-4,6-ジメトキシ-1,3,5-トリアジン(CDMT)、4-(4,6-ジメトキシ-1,3,5-トリアジン-2-イル)-4-メチルモルホニウムクロリド(DMTMM)、グアニジニウム塩、ウロニウム塩、ベンゾトリアゾールテトラメチルウロニウムヘキサフルオロリン酸塩(HBTU)、アザベンゾトリアゾールテトラメチルウロニウムヘキサフルオロリン酸塩(HATU)、2-(1H-ベンゾトリアゾール-1-イル)-1,1,3,3-テトラメチルアミニウムテトラフルオロボラート(TBTU)、O-(2-オキソ-1(2H)ピリジル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムテトラフルオロボラート(TPTU)、またはN-[[[(1-シアノ-2-エトキシ-2-オキソエチリデン)アミノ]オキシ](ジメチルアミノ)メチレン]-N-メチル-メタンアミニウムテトラフルオロボラート(TOTU)である。いくつかの実施形態においては、カルボキシル活性化剤は、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドHCl(EDAC)である。
【0078】
カルボキシル活性化剤は、式VIの化合物に対する任意の好適な比で存在し得る。例えばカルボキシル活性化剤は、式VIの化合物に対して、0.1~10のモル比で、または0.1~5、0.5~5、1~2で、または式VIの化合物に対して1~1.5のモル比で、存在し得る。カルボキシル活性化剤は、式VIの化合物に対して、約0.5のモル比で、または0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9で、または式VIの化合物に対して約2.0のモル比で、存在し得る。いくつかの実施形態においては、カルボキシル活性化剤は、式VIの化合物に対して約1.2のモル比で存在する。
【0079】
第二のアミン塩基は、任意の好適なアミン塩基であり得る。いくつかの実施形態においては、第二のアミン塩基は、トリエチルアミン、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)、N,N-ジメチルイソプロピルアミン(DIMPA)、1-エチルピペリジン、N-メチルモルホリン、N-メチルピロリジン、ピリジン、N,N-ジメチルアニリン、N,N-ジエチルアニリン、2,6-ルチジン、2,4,6-コリジン、4-ジメチルアミノピリジン(DMAP)、キヌクリジン、4-ピロリジノピリジン、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)、またはそれらの混合物を含む。いくつかの実施形態においては、第二のアミン塩基は、4-ジメチルアミノピリジン(DMAP)を含む。
【0080】
第二のアミン塩基は、式VIの化合物に対して任意の好適な比で存在し得る。例えば第二のアミン塩基は、式VIの化合物に対して、0.1~10のモル比で、または0.1~5、0.5~5、1~2で、または式VIの化合物に対して1~1.5のモル比で、存在し得る。第二のアミン塩基は、式VIの化合物に対して、約0.5のモル比で、または0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9で、または式VIの化合物に対して約2.0のモル比で、存在し得る。いくつかの実施形態においては、第二のアミン塩基は、式VIの化合物に対して約1.1のモル比で存在する。
【0081】
マロン酸イソプロピリデンは、式VIの化合物に対して任意の好適な比で存在し得る。例えばマロン酸イソプロピリデンは、式VIの化合物に対して、0.1~10のモル比で、または0.1~5、0.5~5、1~2で、または式VIの化合物に対して1~1.5のモル比で、存在し得る。マロン酸イソプロピリデンは、式VIの化合物に対して、約0.5のモル比で、または0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9で、または式VIの化合物に対して約2.0のモル比で、存在し得る。いくつかの実施形態においては、マロン酸イソプロピリデンは、式VIの化合物に対して約1.1のモル比で存在する。
【0082】
第七の反応混合物は、例えば溶媒などであるさらなる成分を含み得る。いくつかの実施形態においては、第七の反応混合物は、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、ジクロロメタン、クロロホルム、トルエン、またはそれらの混合物を含む第七の溶媒をさらに含む。いくつかの実施形態においては、第七の溶媒はジクロロメタンを含む。
【0083】
いくつかの実施形態においては、第七の反応混合物は、ジクロロメタン、マロン酸イソプロピリデン、EDAC、ジメチルアミノピリジン(DMAP)、および式VIの化合物を含む。
【0084】
第六の反応混合物は、例えば溶媒などであるさらなる成分を含み得る。いくつかの実施形態においては、第六の反応混合物は、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソ-プロパノール、n-ブタノール、t-ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、またはそれらの混合物を含む第六の溶媒をさらに含む。いくつかの実施形態においては、第六の溶媒はエタノールを含む。
【0085】
式Vの化合物は、様々な方法によって結晶化させることが可能である。いくつかの実施形態においては、式Vの化合物を調製する方法はまた、(e3)第六の反応混合物にヘプタンを添加して、式Vの化合物を結晶化する工程も含む。
【0086】
いくつかの実施形態においては、本発明は、以下の式Iの化合物を調製する方法であって:
【化43】
当該方法が、
(e1)ジクロロメタン、マロン酸イソプロピリデン、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドHCl(EDAC)、ジメチルアミノピリジン(DMAP)、および以下の式VIの化合物を含む第七の反応混合物を、
【化44】
中間体混合物を調製するのに好適な条件下で、形成することと、
(e2)中間体混合物およびエタノールを含む第六の反応混合物を加熱し、それによって以下の式Vaの化合物を調製することと、
【化45】
(e3)第六の反応混合物にヘプタンを添加して、式Vaの化合物を結晶化することと、
(d)エタノール、ピペリジン、酢酸、3-トリフルオロメチルベンズアルデヒド、および式Vaの化合物を含む第五の反応混合物を、以下の式IVaの化合物を調製するのに好適な条件下で、形成することと、
【化46】
(d1)第五の反応混合物に、式IVaの化合物の結晶種を加えて、結晶形態の式IVaの化合物を調製することと、
(c)エタノール、5%Pd-C、水素、酢酸ナトリウム、および式IVaの化合物を含む第四の反応混合物を、以下の式IIIaの化合物を調製するのに好適な条件下で、形成することと、
【化47】
(b1)エタノール、グアニジン塩酸塩、およびナトリウムエトキシドを含む第三の反応混合物を形成して、グアニジン遊離塩基を調製することと、
(b)酢酸エチル、グアニジン遊離塩基、および式IIIaの化合物を含む第二の反応混合物を、以下の式IIの化合物の一水和物形態を調製するのに好適な条件下で、形成することと、
【化48】
(a)酢酸、亜硝酸ナトリウム、および式IIの化合物の一水和物形態を含む第一の反応混合物を、式Iの化合物を調製するのに好適な条件下で、形成することと、を含む、方法を提供する。
【0087】
式Iの化合物を調製する方法は、
(a1)約15%(v/v)の量のメタノールと約85%(v/v)の量のジクロロメタンとを含む溶媒混合物中に式Iの化合物を溶解させることと、
(a2)該溶媒混合物を加熱してジクロロメタンを除去し、この溶媒混合物にメタノールを加えて、除去されたジクロロメタンと置き換え、それによってメタノール溶媒混合物を調製することと、
(a3)該メタノール溶媒混合物を冷却して、それによって式Iの結晶を形成することと、を含み得る。
【0088】
IV.式IIの調製方法
本発明はまた、2-アミノ-6-((1r,4r)-4-フェニルシクロヘキシル)-5-(3-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピリミジン-4(3H)-オン一水和物を調製する方法も提供する。いくつかの実施形態においては、本発明は、以下の式IIの化合物またはその水和物を調製する方法を提供するものであって、
【化49】
該方法が、(b)グアニジンおよびその塩、ならびに以下の式IIIの化合物を含む第二の反応混合物を、
【化50】
式IIの化合物またはその水和物を調製するのに好適な条件下で、形成することを含み、式中、RはC1~6アルキルである。
【0089】
グアニジンは、遊離塩基またはその塩形態であり得る。グアニジンの代表的な塩形態としては、塩酸塩、スルホン酸塩、リン酸塩、および酢酸塩が挙げられるが、これに限定されない。いくつかの実施形態においては、グアニジンは、グアニジン遊離塩基である。いくつかの実施形態においては、グアニジンは、グアニジン塩である。いくつかの実施形態においては、グアニジンは、グアニジン塩酸塩である。
【0090】
グアニジンは、任意の好適な量で存在し得る。例えばグアニジンは、式IIIの化合物に対して、1~10のモル比で、または2~8、3~7、4~6で、または式IIIの化合物に対して4~5のモル比で、存在し得る。グアニジンは、式IIIの化合物に対して約4.0のモルで、または4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9で、または式IIIの化合物に対して約5.0のモル比で、存在し得る。いくつかの実施形態においては、グアニジンは、式IIIの化合物に対して約4.5のモル比で存在するグアニジン遊離塩基である。いくつかの実施形態においては、グアニジンは、式IIIの化合物に対して約5.0のモル比で存在するグアニジン塩酸塩である。
【0091】
いくつかの実施形態においては、RはC1~6アルキルである。いくつかの実施形態においては、RはC1~3アルキルである。いくつかの実施形態においては、Rは、メチル、エチル、またはn-プロピルである。いくつかの実施形態においては、Rはエチルである。いくつかの実施形態においては、式IIIの化合物は、以下の式IIIaの化合物である。
【化51】
【0092】
式IIIaの化合物は、IUPAC名が3-オキソ-3-((1r,4r)-4-フェニルシクロヘキシル)-2-(3-(トリフルオロメチル)ベンジル)プロパン酸エチルであり、これは米国特許第8,685,973号の化合物11に相当する。
【0093】
第二の反応混合物は、例えば溶媒などである様々なさらなる成分を含み得る。いくつかの実施形態においては、第二の反応混合物は、エタノール、イソプロパノール、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)、2-メチルテトラヒドロフラン(2-MeTHF)、テトラヒドロフラン(THF)、水、またはそれらの混合物を含む第二の溶媒をさらに含む。いくつかの実施形態においては、第二の溶媒は、酢酸エチルを含む。
【0094】
いくつかの実施形態においては、第二の反応混合物は、酢酸エチル、グアニジン遊離塩基、および式IIIaの化合物を、以下の式IIの化合物の一水和物形態を調製するのに好適な条件下で、含む。
【化52】
【0095】
グアニジン遊離塩基は、任意の好適な方法によって調製され得る。いくつかの実施形態においては、当該方法は、ステップ(b)の前に、(b1)グアニジン塩と塩基とを含む第三の反応混合物を形成して、グアニジン遊離塩基を調製することをさらに含む。
【0096】
いくつかの実施形態においては、グアニジン塩は、グアニジン塩酸塩である。
【0097】
任意の好適な塩基を、第三の反応混合物中で使用することができる。例えば塩基は、有機塩基または無機塩基とすることができる。いくつかの実施形態においては、塩基は、炭酸カリウム、リチウムメトキシド、カリウムメトキシド、ナトリウムメトキシド、カリウムエトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウムイソプロポキシド、カリウムイソプロポキシド、カリウムtert-ブトキシド、またはナトリウムtert-ブトキシドを含む。いくつかの実施形態においては、塩基は、ナトリウムエトキシドを含む。
【0098】
塩基は、任意の好適な量で存在し得る。例えば塩基は、式IIIの化合物に対して、1~10のモル比で、または2~8、3~7、4~6で、または式IIIの化合物に対して4~5のモル比で、存在し得る。塩基は、式IIIの化合物に対して約4.0のモルで、または4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9で、または式IIIの化合物に対して約5.0のモル比で存在し得る。いくつかの実施形態においては、塩基は、式IIIの化合物に対して約4.5のモル比で存在する。
【0099】
第三の反応混合物は、例えば溶媒などである様々な他の成分を含み得る。いくつかの実施形態においては、第三の反応混合物は、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソ-プロパノール、水、またはそれらの混合物を含む第三の溶媒をさらに含む。いくつかの実施形態においては、第三の溶媒はエタノールを含む。
【0100】
いくつかの実施形態においては、第三の反応混合物は、水捕捉剤(water scavenger)をさらに含む。代表的な水捕捉剤(water scavenger)としては、(a)水を吸収する無機固体、硫酸ナトリウム(NaSO)、硫酸マグネシウム(MgSO)、結晶性金属アルミノケイ酸塩(モレキュラーシーブス)、(b)水と化学的に反応する有機化合物、オルトギ酸メチル[(MeO)CH]、オルトギ酸エチル[(EtO)CH]、オルト酢酸メチル[(MeO)CMe]、オルト酢酸エチル[(EtO)CMe]、酢酸メチル(MeOCMe)、酢酸エチル(tthyl acetate)(EtOCMe)、トリフルオロ酢酸イソプロピル(i-PrOCCF)、(c)水と反応する金属アルコキシド:ホウ酸トリメチル[(MeO)B]、ホウ酸トリエチル[(EtO)B]、ホウ酸トリイソプロピル[(i-PrO)B]、ホウ酸トリス(2,2,2-トリフルオロエチル)[(CFCHO)B]、オルトケイ酸テトラエチル[(EtO)Si]、テトラキス(2,2,2-トリフルオロエトキシ)シラン[(CFCHO)Si]、テトラキス(1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-プロピルオキシ)シラン[[(CFCHO]Si]、ホウ酸フェニル[(PhO)B]、リン酸トリエチル[(EtO)P]、チタンイソプロポキシド[Ti(OPr-i)]、および(d)亜リン酸エステル:亜リン酸トリメチル[(MeO)P]、亜リン酸トリエチル[(EtO)P]、亜リン酸トリイソプロピル[(i-PrO)P]が挙げられるが、これに限定されない。
【0101】
いくつかの実施形態においては、当該方法は、ステップ(b)の前に、(b1)エタノール、グアニジン塩酸塩、およびナトリウムエトキシドを含む第三の反応物を形成して、グアニジン遊離塩基を調製することをさらに含む。
【0102】
いくつかの実施形態においては、式IIの化合物は、
(b1)エタノール、グアニジン塩酸塩、およびナトリウムエトキシドを含む第三の反応混合物を形成して、グアニジン遊離塩基を調製することと、
(b)酢酸エチル、グアニジン遊離塩基、および式IIIaの化合物を含む第二の反応混合物を、以下の式IIの化合物の一水和物形態を調製するのに好適な条件下で、形成することと、によって調製される。
【化53】
【0103】
式IIの化合物を調製する方法はまた、式IIの化合物の結晶化も含み得る。いくつかの実施形態においては、当該方法は、ステップ(b)の後、(b2)第二の反応物に水を加えて、それによって式IIの化合物またはその水和物を結晶化することをさらに含む。
【0104】
V.化合物
本発明はまた、式II、式IVa、および式Vaの化合物、ならびに関連の結晶形態も提供する。
【0105】
A.式II
いくつかの実施形態においては、本発明は、以下の式IIの化合物またはその水和物を提供する。
【化54】
【0106】
いくつかの実施形態においては、式IIの化合物は、式IIの化合物の一水和物形態である。いくつかの実施形態においては、式IIの化合物は、以下の構造を有する一水和物である。
【化55】
【0107】
式IIの一水和物化合物は、IUPAC命名法を使用すると、2-アミノ-6-((1r,4r)-4-フェニルシクロヘキシル)-5-(3-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピリミジン-4(3H)-オン一水和物と命名される。
【0108】
式IIの化合物は、非結晶または結晶形態などである様々な物理的形態を採用することができる。いくつかの実施形態においては、式IIの一水和物化合物は、結晶形態である。いくつかの実施形態においては、式IIの一水和物の結晶化合物は、20.1、21.6、19.7、11.8、21.3、17.9および23.1°の2θ±0.2°の2θにおいてピークを含むX線回折パターン(XRPD)によって特徴付けられる。いくつかの実施形態においては、式IIの一水和物の結晶化合物は、10.7、11.1、12.6、13.0、15.3、15.9、18.3、22.4、24.4、25.3、26.2、26.3、28.6、31.0、34.5、35.0°の2θ±0.2°の2θにおいてピークをさらに含むX線回折パターン(XRPD)によって特徴付けられる。いくつかの実施形態においては、式IIの一水和物の結晶化合物は、実質的に、図1に示すような粉末X線回折パターン(XRPD)によって特徴付けられる。
【0109】
B.式IVa
いくつかの実施形態においては、本発明は、以下の式IVaの化合物を提供する。
【化56】
【0110】
式IVaの化合物は、IUPAC命名法を用いて、(Z)-2-((1r,4r)-4-(4-クロロフェニル)シクロヘキサン-1-カルボニル)-3-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)アクリル酸エチルと命名される。
【0111】
式IVaの化合物は、非結晶または結晶形態などである様々な物理的形態を採用することができる。いくつかの実施形態においては、式IVaの化合物は、結晶形態である。いくつかの実施形態においては、式IVaの結晶化合物、形態Iは、5.9、16.3、18.0、18.6、22.2および25.9°の2θ±0.2°の2θにおいてピークを含むX線回折パターン(XRPD)によって特徴付けられる。いくつかの実施形態においては、式IVaの結晶化合物、形態Iは、12.3、15.8、16.1、18.2、18.9、19.2、19.6、19.9、21.5、22.4、23.5、24.4、25.1、26.8、および32.6°の2θ±0.2°の2θにおいてピークをさらに含む、X線回折パターン(XRPD)によって特徴付けられる。いくつかの実施形態においては、式IVaの結晶化合物、形態Iは、実質的に、図4に示すような粉末X線回折パターン(XRPD)によって特徴付けられる。
【0112】
いくつかの実施形態においては、式IVaの結晶化合物、形態IIは、16.0、17.1、18.3、20.6、21.4、および22.9°の2θ±0.2°の2θにおいてピークを含む、X線回折パターン(XRPD)によって特徴付けられる。いくつかの実施形態においては、式IVaの結晶化合物、形態IIは、8.0、14.1、15.0、16.1、16.2、17.6、19.0、19.7、21.2、23.3、23.4、23.7、24.0、24.1、24.7、25.7、26.4、27.5、27.8、35.5°の2θ±0.2°の2θにおいてピークをさらに含む、X線回折パターン(XRPD)によって特徴付けられる。いくつかの実施形態においては、式IVaの結晶化合物、形態IIは、実質的に、図6に示すような粉末X線回折パターン(XRPD)によって特徴付けられる。
【0113】
C.式Va
いくつかの実施形態においては、本発明は、以下の式Vaの化合物を提供する。
【化57】
【0114】
式Vaの化合物は、IUPAC命名法を用いて、3-((1r,4r)-4-(4-クロロフェニル)シクロヘキシル)-3-オキソプロパン酸エチルと命名される。
【0115】
VI.実施例
以下の方法において、以下の略語を使用する。
【表1】
【0116】
粉末X線回折(XRPD).XRPD分析は、Cu X線管およびPixcel検出器システムを備えたPanalytical社Xpert Pro回折計を使用して実施した。試料は、透過法により周囲温度で分析し、PVCフィルムの間に保持した。Almacの既定のXRPDプログラムを使用した(式IIの化合物については、範囲3~40°の2θ、ステップサイズ0.013°、カウント時間99秒、約22分実行時間/カウント時間49秒、および式IVaの化合物の両形態については、約11分実行時間/カウント時間22秒)。試料は、データ収集中に60rpmでスピンさせた。HighScore Plus 2.2cソフトウェアを使用して、XRPDパターンを選別し、操作した。
【0117】
示差走査熱量測定(DSC).DSC分析を、Perkin Elmer社のJade示差走査熱量計で実施した。正確に計量した試料を金製の受け皿に入れ、蓋を固定した。各試料を、5℃/分の速度で窒素下で最大200または300℃に加熱した。
【0118】
熱重量・示差熱分析(TG-DTA).熱重量(TG)分析を、Mettler Toledo社TGA/DSC 1 STAR同時熱分析装置で実施した。試料をアルミニウム製の試料受け皿に入れ、TG炉に挿入し、正確に計量した。窒素流下で、熱流信号を10℃/分の速度で30℃で一分間安定化させてから、300℃に加熱した。
【0119】
プロトン核磁気共鳴分光法(H-NMR).プロトンNMR分析を、Prodigy BBO CryoProbeを取り付けたBruker社の500MHz AVANCE NEO機器で実施した。内部標準としてテトラメチルシラン(TMS)を含有し、99.5原子%以上のDである同位体純度を有する適切な重水素化NMR溶媒中に、試料を溶解させて、次いで試料溶液を5mmの未使用NMR管を使用して分析した。
【0120】
本発明の反応工程は、任意の好適な反応時間の間、実施することができる。例えば反応時間は、何分間、何時間、または何日間とすることができる。いくつかの実施形態においては、反応時間は、少なくとも8時間など、数時間であり得る。いくつかの実施形態においては、反応時間は、少なくとも終夜など、数時間であり得る。いくつかの実施形態においては、反応時間は、数日間とすることができる。いくつかの実施形態においては、反応時間は、少なくとも二時間であり得る。いくつかの実施形態においては、反応時間は、少なくとも八時間であり得る。いくつかの実施形態においては、反応時間は、少なくとも数日間とすることができる。いくつの実施形態においては、反応時間は、約2時間、または約4時間、または約6時間、または約8時間、または約10時間、または約12時間、または約14時間、または約16時間、または約18時間、または約20時間、または約22時間、または約24時間であり得る。いくつかの実施形態においては、反応時間は、約1日間、または約2日間、または約3日間、または約4日間、または約五日間、または約六日間、または約一週間、または約一週間以上の間であり得る。
【0121】
本発明の反応工程は、任意の好適な反応温度で、実施することができる。代表的な温度としては、室温未満、室温、または室温超が挙げられるが、これに限定されない。本発明の方法で有用な他の温度としては、約-40℃~約65℃、または約室温~約40℃、または約40℃~約65℃、または約40℃~約60℃が挙げられる。いくつかの実施形態においては、反応混合物は、約室温の温度、または約15℃、または約20℃、または約25℃、または約30℃、または約35℃、または約40℃、または約45℃、または約50℃、または約55℃、または約60℃、または約65℃の温度とすることができる。
【0122】
実施例1.3-((1r,4r)-4-(4-クロロフェニル)シクロヘキシル)-3-オキソプロパン酸エチル(式Va)の調製、
【化58】
【0123】
式Vaの化合物を、以下の手順により調製した。
1.ジクロロメタン(160mL、4.0体積)を、15~25℃で反応器に投入する。
2.トランス-4-(4-クロロフェニル)シクロヘキサンカルボン酸(式VI;40.00g、1.00当量)を15~25℃で投入する。これが流動性スラリーを形成する。
3.DMAP(22.52g 1.10当量)を15~25℃で投入する。スラリーは実質的に増粘する。
4.マロン酸イソプロピリデン(メルドラム酸)(28.98g、1.20当量)を、15~25℃で投入する。スラリーは大部分が溶解する。
5.EDC-HCl(38.50g、1.20当量)を、15~25℃で、約10~15分間隔で6等分で投入する。
6.温度を調節し、20~25℃で1~1.5時間攪拌する。
7.2MのHCl(100mL、2.5体積)を、バッチに15~25℃でゆっくりと投入し、少なくとも15分間攪拌する。15分間攪拌後、バッチをサンプリングし、pH試験紙を用いて上方の水溶液相を試験し、結果が>pH3であれば、さらに2MのHClで調節する。
8.少なくとも15分間攪拌し、少なくとも15分間静置し、それにより相を分離させる。
9.ジクロロメタン(40mL、1.0体積)を投入する。
10.少なくとも15分間攪拌し、少なくとも15分間静置し、それにより相を分離させる。
11.容器中で、両方の有機相を合わせる。
12.水(100mL、2.5体積)を投入し、少なくとも15分間攪拌し、次いで少なくとも15分間静置して相を分離させる。
13.有機相を戻して、水(100mL、2.5体積)を投入し、少なくとも15分間攪拌し、次いで少なくとも15分間静置して相を分離させる。
14.容器にDCM溶液を戻す。
15.エタノール(100mL、2.5体積)を投入し、その後大気圧(atm)圧力下で沸騰するまで加熱する(約40℃)。
16.このバッチの温度を約65℃に上昇させながら、留出物を回収する(約243mL、6体積)。これを達成するためにジャケット温度を75℃に上昇させて、その間にバッチの体積はおよそ2.5体積に低下する。
17.エタノール(100mL、2.5体積)を投入し、バッチの温度が75℃を超えるまで蒸留を続行する。留出物はおよそ0.5~1体積であることが期待される。
18.サンプリング前に、1時間から1.5時間、バッチを還流温度(75~78℃)で保持する。
19.混合物を40~50℃に冷却し、サンプリングする。
20.エタノール溶液を、真空下で約45℃で100mL(2.5体積)に減るまで蒸留させる。
21.温度を40~45℃に調節する。
22.n-ヘプタン(200mL、5体積)をエタノール溶液に投入し、温度を30℃より高く保つ。
23.このバッチを15~20℃に冷却する
24.表題化合物の種[40~50mg、トランス-4-(4-クロロフェニル)シクロヘキサンカルボン酸の投入量に対して(wrt)0.100~0.125重量%]を、ヘプタン(0.0100~0.0125体積)中のスラリーとしてバッチにシードする。結晶化が確立されるようになるまで、15~20℃で保持する。これが2時間以内に起こらない場合は、次のステップに進む。
25.バッチを10~15℃に冷却し、その後表題化合物の種(40~50mg、0.100~0.125重量%)をヘプタン(0.0100~0.0125体積)中のスラリーとして再びシードし、その後、結晶化が確立されるようになるまで10~15℃で保持する。
26.結晶化が十分に確立されたら、バッチを2.5~3.5時間かけて-10±2℃(-8~-12℃)に冷却し、次いで少なくとも8時間保持する。
27.バッチの加温を招くあらゆる遅延を最小限に抑えながら、スラリーをろ過する。
28.-5~0℃で、n-ヘプタン(60mL、1.5体積)を用いて二回にわけてろ過ケーキを洗浄する。
29.少なくとも1時間、ろ紙上で吸引乾燥し、
30.当該物質を真空下で40~45℃で少なくとも15時間乾燥させる。
【0124】
表題生成物の特性解析データは、米国特許第8,685,973号の実施例6のものと一致した。
【0125】
実施例2.(Z)-2-((1r,4r)-4-(4-クロロフェニル)シクロヘキサン-1-カルボニル)-3-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)アクリル酸エチル(式IVa)の調製
【化59】
【0126】
表題化合物を、以下の手順に従って調製した:
1.実施例1の生成物(240.0g、1当量)を反応器に投入する。
2.無水エタノールを分取し(480mL、2.0体積)、このうちの大部分を反応器に投入する。
3.10~25℃で攪拌を開始し、スラリーを得る。
4.3-(トリフルオロメチル)ベンズアルデヒド(271.0g、2.0当量)を10~25℃で投入し、残しておいたエタノールの一部ですすぐ。スラリーの大部分が溶解する(吸熱)。
5.酢酸(4.67g、0.1eg)を10~25℃で投入し、残しておいたエタノールの一部ですすぐ。
6.ピペリジン(6.62g、0.1eg)を10~25℃で投入し、残しておいたエタノールの最終分ですすぐ。
7.このバッチを20±2℃(18~22℃)に調節し、4~5時間攪拌し、その後バッチに、表題化合物の種(0.24g、実施例1の生成物に対して(wrt)0.1%)をエタノール(2.4mL、0.01体積)中のスラリーとしてシードする。
8.ここで、このバッチは、シード操作から2時間以内に結晶化しはじめるはずである。そうでない場合、エタノール(2.4mL、0.01体積)中のスラリーとしてとして表題化合物の種(0.24g、実施例1の生成物に対して(wrt)0.1%)でのシードを繰り返す。
9.結晶化が確立されたら、さらに18~24時間、18~22℃で反応を継続し、次いでサンプリングして反応完了を確立する。
10.このバッチを無水エタノール(240mL、1体積)で希釈する。
11.反応混合物を約1~2時間かけて0±2℃(-2~+2℃)に調節し、次いで、0±2℃(-2~+2℃)で少なくとも2時間保持する。
12.このバッチをろ過し、必要に応じて母液の一部を容器に戻して、完全に移動させるようにする。
13.ろ過ケーキを完全に脱液し、一方で容器内の無水エタノール洗液(240mL、1体積)を10℃未満に冷却する。
14.ろ過ケーキに洗液を加え、そして完全に脱液する。
15.容器を介して、冷却エタノール(240mL、1体積)での洗浄を繰り返す。ろ過ケーキを完全に脱液する
16.このバッチを、真空下、40~50℃で乾燥させる。
【0127】
H-NMR(500MHz;CDCl):δ7.77(s,1H),7.65(d,2H),7.60(d,2H),7.51(t,1H),7.22(dt,2H),7.06(dt,2H),4.33(q,2H),2.52-2.38(m,2H),1.94(dd,4H),1.52(qd,2H),1.36(t,3H),1.30(qd,2H).融点(DSC):98.5℃(ピーク;形態II)。
【表2-1】
【表2-2】
【表3-1】
【表3-2】
【0128】
実施例3.3-オキソ-3-((1r,4r)-4-フェニルシクロヘキシル)-2-(3-(トリフルオロメチル)ベンジル)プロパン酸エチル(式IIIa)の調製
【化60】
【0129】
式IIIaの化合物は、米国特許第8,685,973号の化合物11として記載のものなどである種々の方法によって調製され得る。
【0130】
あるいは、式IIIaの化合物は、以下の方法に従って調製することができる。
1.無水酢酸ナトリウム(52.9g、1.2当量)を水素化装置に投入する。
2.5%Pd-C触媒、394型、50%湿潤ペースト(4.375g、1.75重量%)を当該容器に投入する。
3.実施例2の生成物(250g、0.538mol、1.00当量)を容器に投入する。次いで、容器を窒素で不活性化させる。
4.容器にエタノール(1250mL、5体積)を投入し、容器を再び不活性化させ、200rpmで攪拌を開始する。
5.容器を水素で加圧およびパージし、次いで上部空間に3barg(4barA)の水素圧を加える。攪拌速度を上げ、容器内において良好な気液混合を達成させ、バッチを20~30℃で維持する。
6.水素取り込みがこれ以上見られなくなるまで、水素化を進行させる。
7.見かけの取り込みがゼロになった点から少なくとも1時間の間、水素化を継続し、その後分析のためにバッチをサンプリングする。IPC結果の保持期間中、水素雰囲気(3barg/4barA)を復帰させて、バッチを約30℃に上昇させる。
8.反応混合物を、ハイフロスーパーセル(Hyflo Supercel)パッド(37.5g、0.15重量)を通してろ過し、窒素雰囲気を全体的に維持する。
9.エタノール(250mL、1体積)を反応器に投入し、20~25℃で5~10分間攪拌し、ろ床洗浄として使用する。
10.エタノール(125mL、0.5体積)を反応器に投入し、20~25℃で5~10分間攪拌し、ろ床洗浄として使用する。
11.エタノール(125mL、0.5体積)でろ過ケーキを最終洗浄する。
12.ろ液を移し、中間洗浄することなく水素化容器に戻して洗浄し、そして反応器の内容物を真空下で≦45℃で約1.5体積まで蒸留する。
13.容器に酢酸エチル(750mL、3体積)を投入する。
14.容器に脱イオン水(250mL、1体積)を投入する。
15.10%w/wの炭酸ナトリウム水溶液(0.52当量、270mLの溶液)を投入する。
16.攪拌して15~25℃に調節し、次いで30~45分間保持する。
17.このバッチを清潔な容器にポリッシングろ過する。
18.酢酸エチル(250mL、1体積)を第一の容器に投入し、ろ紙およびラインを通過させて洗浄する。
19.このバッチを15~25℃で攪拌し、次いでその後約10分後にバッチをサンプリングし、pHが>7(試験紙)であることを確認する。そうでない場合は、これが達成されるように炭酸ナトリウム(固体または溶液)をさらに加える。pHが>7に安定していることを確実にするため、最初の確認の少なくとも10分後に(攪拌しながら)、pHの二回目の確認を行う。
20.このバッチを少なくとも15分間静置し、次いで下方にある水相を分離する。
21.容器に脱イオン水(375mL、1.5体積)を投入し、15~25℃で少なくとも10分間攪拌する。
22.このバッチを少なくとも30分間静置し、次いで下方にある水相を分離する。
23.このバッチにエタノール(150mL、0.6体積)を投入する。
24.35~40℃付近の容器温度を目標として、真空下で容器から蒸留する(およそ250mbarの真空に相当)。バッチの体積を約2体積に減少させる。
25.容器に酢酸エチル(750mL、3体積)を投入し(バッチを合計約5体積にさせる)、真空下で蒸留して約2体積に減少させて戻す。
26.容器に酢酸エチル(750mL、3体積)を投入し(ここではバッチの体積が合計約5体積)、真空下で蒸留して約3体積に減少させて戻す。
27.容器に酢酸エチル(500mL、2体積)を投入し、次いで大気圧で蒸留して反応器レベルを3体積に減少させて戻す。
28.容器に酢酸エチル(500mL、2体積)を投入し、次いで大気圧で蒸留して反応器レベルを3体積に減少させて戻す。
【0131】
表題化合物の特性解析データは、米国特許第8,685,973号の化合物11について記載されたものと同一であった。
【0132】
実施例4.2-アミノ-6-((1r,4r)-4-フェニルシクロヘキシル)-5-(3-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピリミジン-4(3H)-オン一水和物(式II)の調製
【化61】
【0133】
式IIの化合物を調製する方法は、以下の通りに進めた。
1.容器に、室温でグアニジン塩酸塩(39.1g、5当量)を投入する。
2.容器にエタノール(0.36体積、12.9mL)を直接投入するが、攪拌は開始しない。
3.21%w/wのナトリウムエトキシド溶液(119.4g、4.5当量)を投入する。15~25℃で攪拌を開始する。
4.エタノール(0.56体積、20mL)を洗浄液として投入する。
5.エタノール(0.56体積、20mL)でのすすぎを繰り返す。
6.20~25℃で約30分間攪拌し、自由に流動する塊のないスラリーであることを確認する。そうでない場合は、さらに30分間攪拌する。
7.乾燥したラインを通して、実施例3の酢酸エチル溶液(88.5gの溶液、40%w/w=実施例3の生成物35.4g、1.00当量)を、20~30℃で投入する。
8.この投入物を、酢酸エチル(19.0g、およそ21.2mL、2.64当量)で洗浄する。
9.反応混合物を還流温度に加熱し、4~5時間、還流温度(約75~78℃が予想される)を維持する。
10.バッチの温度を47~53℃に調節し、その一方で50%w/wの酢酸水溶液(39.3g、4当量)を調製し、次いでバッチに少なくとも5~10分かけて加える。この添加により、非常に軽度に発熱する。このバッチは、以下の手順11~17の間47~53℃に保持する。
11.水(40mL、1.13体積)を、少なくとも15~20分間かけてゆっくりと加える。
12.このバッチに、エタノール(0.09mL、0.0025体積)および精製水(0.09mL、0.0025体積)の混合物中で予めスラリーとした表題化合物の種(18mg、0.05%w/w)を用いてシードする。
13.水(40mL、1.13体積)を、少なくとも15~20分間かけてゆっくりと加える。
14.このバッチに、エタノール(0.09mL、0.0025体積)および精製水(0.09mL、0.0025体積)の混合物中で予めスラリーとした表題化合物の種(18mg、0.05%w/w)を用いてシードする。
15.水(40mL、1.13体積)を、少なくとも15~20分間かけてゆっくりと加える。
16.水(40mL、1.13体積)を、少なくとも約15~20分間かけてゆっくりと加える。
17.このバッチを約1~2時間かけて10~20℃(目標15℃)に冷却し、少なくとも2時間保持する。
18.一方で、特定の比でEtOH、EtOAc、および水(約5体積)の混合物を調製する。各成分を別々に測定し、その後混合する。
19.バッチを15℃でろ過し、生成物を回収する。
20.上記ステップ19で調製した混合物(70mL、2体積)の一部をすすぎのために容器に投入し、10~20℃(目標:15℃)に冷却し、洗浄のためにろ紙に移し、ろ過ケーキに浸漬させてから真空にした。
21.上記ステップ19で調製した混合物(70mL、2体積)の第二の部分をすすぎのために容器に投入し、10~20℃(目標:15℃)に冷却し、洗浄のためにろ紙に移し、真空にする前にろ過ケーキに浸漬させる。
22.このバッチを完全に脱液する。
23.未精製の表題化合物を、約45±3℃(42~48℃)で窒素流出で少なくとも6時間、真空下で乾燥する。
24.固体が物理的に崩壊するまで十分に乾燥していると判断されたら、乾燥温度を60±3℃(57~63℃)に上昇させる。得られた固体は、乾燥時の損失に関する設定限界を満足するまで、その温度で維持される。
【0134】
H-NMR(500 MHz; DMSO-d):δ10.79(s,1H),7.58(s,1H),7.53-7.47(m,3H),7.27(t,2H),7.22(d,2H),7.16(t,1H),6.33(s,1H),3.83(s,2H),2.78-2.73(m,1H),2.46-2.41(m,1H),1.78-1.65(m,4H),1.51-1.39(m,4H)。融点(DSC):熱重量分析(TGA)に基づく付随する水の損失を伴う196.3℃での最大ピーク吸熱を有する最初のブロードな融解、それに続く275.1℃でのシャープな融解。
【表4-1】
【表4-2】
【0135】
実施例5.6-((1r,4r)-4-フェニルシクロヘキシル)-5-(3-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン(式I)の調製
【化62】
【0136】
式Iの化合物を調製する方法は、以下の通りに進めた:
1.清潔な乾燥容器中で、酢酸(720.0mL、9.0体積)に水(80.0mL、1.0体積)を加えて酢酸水溶液を調製する。
2.温度を15~25℃に調節する。
3.実施例4の生成物(80.0g、1.0当量)を投入する。
4.このバッチの温度を70±3℃(67~73℃)に調節する。
5.一方で、別個の容器中で、亜硝酸ナトリウム(24.8g、2.0当量)および水(46.8g、0.585wt)を投入し、溶解するまで18~25℃で攪拌する(0.75体積になる)。
6.ステップ5の亜硝酸ナトリウム溶液(合計約71.6g、0.898wt)は、反応温度を67~73℃に維持しながら、アクティブな添加の期間が少なくとも3時間であるように一定の速度で分割して添加する(以下のステップを参照)。温度制御を維持するために必要があれば添加を停止し、その後同じ速度で再開する。以下に規定するように、添加中にシード操作を行うために添加を停止する。
7.亜硝酸ナトリウムの投入量の40%(28.6g、23mL)を最低70分間かけて加える。
8.このバッチを、85%v/v酢酸水溶液(0.025体積、2mL)中の表題化合物の種(40mg、0.0005重量)のスラリーでシードし、8~10分間保持し、結晶化を確認し、その後次に進む。
9.亜硝酸ナトリウム溶液の5%(3.6g、約2.9mL)を、少なくとも10分間かけて加える。
10.85%v/v酢酸水溶液(0.025体積、2mL)中の表題化合物の種(40mg、0.0005重量)のスラリーを用いて、シード操作を繰り返す。8~10分間保持し、結晶化を確認し、その後次に進む。
11.亜硝酸ナトリウム溶液の5%(3.6g、約2.9mL)を、少なくとも10分間かけて加える。
12.85%v/v酢酸水溶液(0.025体積、2mL)中の表題化合物の種(40mg、0.0005重量)のスラリーを用いて、シード操作を繰り返す。8~10分間保持し、結晶化を確認し、その後次に進む。
13.亜硝酸ナトリウム溶液の残りの50%を少なくとも90分間かけて加える。
14.残りの亜硝酸ナトリウム溶液と水(4.0mL、0.05体積)ですすぐ。
15.反応混合物を67~73℃で45~75分間保持し、次いで反応完了のためにサンプリングする。
16.反応完了後、反応混合物を最低2時間かけて10~15℃に冷却し、次いで少なくとも一時間保持した。
17.このバッチをろ過し、必要に応じてろ過ケーキを平滑にし、そして効果的な脱液を達成するように圧縮する。
18.容器を介して、85%v/v酢酸水溶液(160mL、2体積)で冷却洗浄(10~15℃)する。ろ過ケーキに浸漬させてから真空にした。
19.容器を介して、85%v/v酢酸水溶液(160mL、2体積)で二回目の冷却洗浄(10~15℃)を行う。ろ過ケーキに浸漬させてから真空にした。ろ過ケーキを完全に脱液する。
20.冷却メタノール(10~15℃、160mL、2体積)で最終洗浄を行う。ろ過ケーキに浸漬させてから真空にした。ろ過ケーキを完全に脱液する。
21.未精製の表題化合物を、少なくとも6時間、約45±3℃(42~48℃)で真空下および窒素流出で乾燥させる。
22.固体が物理的に崩壊するまで十分に乾燥していると判断されたら、乾燥温度を60±3℃(57~63℃)に上昇させる。得られた固体は、乾燥時の損失に関する設定限界を満足するまで、その温度で維持される。
【0137】
式Iの化合物の結晶化は以下の通り進めた:
1.ジクロロメタンを投入する(420mL、未精製表題化合物に対して(wrt)8.4体積)
2.乾燥した未精製表題化合物(50.0g、1当量)(総重量ではない測定された含量)を投入する。
3.メタノール(85mL、1.7体積)を投入し、バッチを約30~35℃に加温して溶液を得る。
4.このバッチを清潔な容器にポリッシングろ過する。
5.原料の容器、フィルター、およびラインは、ジクロロメタン(130mL、2.6体積)およびメタノール(25mL、0.50体積)の混合物で、結晶化装置まで洗浄する。
6.このバッチを加熱して大気圧で沸騰させて(予測値38~40℃)、溶媒の蒸留を開始し、合計20体積を除去する。最初は、これは大部分がジクロロメタンである。蒸留中、回収された留出物の1体積ごとに1体積のMeOHを加えて、バッチの体積をおよそ13~14体積に維持するようにする。溶媒交換の過程で、バッチの温度が約65℃に上昇することとなるので、ジャケット温度は、適宜上昇させて、合理的な蒸留速度を維持することが可能である。蒸留中、以下のシード工程を実施する:
7.約「3体積」の溶媒交換で、メタノール(1.25mL、0.025体積)中の表題化合物の種(25mg、0.05wt%)のスラリーを反応器にポンプ注入することによって、バッチをシードする。このシード操作は、バッチが既に結晶化しはじめているように見えるか否かにかかわらず行い、約10分間保持し、バッチの外観のあらゆる変化に留意する。
8.約「4体積」の溶媒交換で、メタノール(1.25mL、0.025体積)中の表題化合物の種(25mg、0.05wt%)のスラリーを反応器にポンプ注入することによって、バッチをシードする。このシード操作は、バッチが既に結晶化しはじめているように見えるか否かにかかわらず行い、約10分間保持し、バッチの外観のあらゆる変化に留意する。
9.約「5体積」の溶媒交換で、メタノール(1.25mL、0.025体積)中の表題化合物の種(25mg、0.05wt%)のスラリーを反応器にポンプ注入することによって、バッチをシードする。約10分間保持し、結晶化が開始されたかどうかに留意する。このステップは、バッチが既に実質的に結晶化している場合には省略してもよい。
10.バッチの温度が有効に一定になったら、さらに「4体積」の溶媒(概算)を蒸留させて、バッチの体積を約10体積に減少させる。
11.バッチに対して、少なくとも2時間かけてバッチを約65℃から10±3℃(7~13℃、目標:10℃)にさせる定常冷却を開始し、次いでバッチを少なくとも2時間、この範囲に保持する。
12.このバッチをろ過する。必要に応じてろ過ケーキを平滑にして圧縮し、効果的な脱液を確実にするが、ろ過ケーキはろ紙上で乾燥させない。
13.容器にメタノール(100mL、2体積)を投入し、攪拌し、10~15℃に冷却する。
14.この洗液をろ紙に排出し、ろ過ケーキに浸漬させ、その後脱液する。
15.容器にメタノール(100mL、2体積)を投入し、攪拌し、また10~15℃に冷却する。
16.この洗液をろ紙に排出し、ケーキに浸漬させ、その後完全に脱液する。
17.窒素流出を使用して、最大約60℃(バッチの温度)で真空下で、式Iに対応する純粋な固体を少なくとも8時間乾燥させる。
【0138】
表題生成物の特性解析データは、米国特許第8,685,973号の実施例6のものと一致した。
【0139】
前述の発明は、理解の明確さの目的で、例示および例によっていくらか詳細に説明してきたが、当業者であれば、特定の変更および修正が添付の特許請求の範囲の範囲内で実施され得ることを理解するであろう。さらに、本明細書において提供される各参考文献は、各参考文献が参照により個別に組み込まれているのと同程度に、その全体が参照により組み込まれる。本願と本明細書で提供した参考文献との間に矛盾が存在する場合、本願に従うものとする。
図1
図2
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図5
図6
図7
【国際調査報告】