(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-25
(54)【発明の名称】2種以上の異なる組成物を含有する薬剤学的に安定な軟質カプセル剤
(51)【国際特許分類】
A61K 9/48 20060101AFI20240118BHJP
A61K 47/34 20170101ALI20240118BHJP
A61K 47/10 20170101ALI20240118BHJP
A61K 47/32 20060101ALI20240118BHJP
A61K 47/14 20170101ALI20240118BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20240118BHJP
A61K 47/38 20060101ALI20240118BHJP
A61K 47/22 20060101ALI20240118BHJP
A61K 47/44 20170101ALI20240118BHJP
A61K 47/06 20060101ALI20240118BHJP
A61K 47/36 20060101ALI20240118BHJP
A61K 31/167 20060101ALI20240118BHJP
A61K 31/085 20060101ALI20240118BHJP
A61K 31/137 20060101ALI20240118BHJP
A61K 31/4439 20060101ALI20240118BHJP
A61K 31/375 20060101ALI20240118BHJP
A61K 31/525 20060101ALI20240118BHJP
A61K 31/51 20060101ALI20240118BHJP
【FI】
A61K9/48
A61K47/34
A61K47/10
A61K47/32
A61K47/14
A61K47/26
A61K47/38
A61K47/22
A61K47/44
A61K47/06
A61K47/36
A61K31/167
A61K31/085
A61K31/137
A61K31/4439
A61K31/375
A61K31/525
A61K31/51
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023537548
(86)(22)【出願日】2021-12-20
(85)【翻訳文提出日】2023-08-14
(86)【国際出願番号】 KR2021019367
(87)【国際公開番号】W WO2022131880
(87)【国際公開日】2022-06-23
(31)【優先権主張番号】10-2020-0178666
(32)【優先日】2020-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523227074
【氏名又は名称】コスマックファーマ カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】COSMAXPHARMA CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】168-23, Osongsaengmyeong 4-ro, Osong-eup, Heungdeok-gu Cheongju-si Chungcheongbuk-do 28158 (KR)
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】パク、ミョンフン
(72)【発明者】
【氏名】ユン、ソヒ
(72)【発明者】
【氏名】ホン、スボン
(72)【発明者】
【氏名】チェ、ジヘ
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
4C206
【Fターム(参考)】
4C076AA56
4C076BB01
4C076DD34A
4C076DD38
4C076DD38A
4C076DD38G
4C076DD46A
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4C076DD66A
4C076EE06A
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4C076EE42
4C076EE53A
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4C076GG01
4C086AA01
4C086AA02
4C086BA18
4C086BC17
4C086BC83
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4C086GA07
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4C086MA37
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4C086NA10
4C206AA01
4C206AA02
4C206CA34
4C206FA10
4C206GA02
4C206GA31
4C206MA03
4C206MA04
4C206MA57
4C206MA72
4C206NA10
(57)【要約】
2種以上の異なる組成物を含有する薬剤学的に安定な軟質カプセル剤に関し、それぞれの単一製剤を複合剤形に製剤化することができ、2種以上の異なる組成物間の反応を最小化して安定性が向上した製剤を提供することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の薬学的活性成分が溶解または分散された基剤を含む第1の液相または第1の懸濁液の連続的な第1の相と、
第2の薬学的活性成分が溶解または分散された基剤を含む第2の液相または第2の懸濁液の連続的な第2の相と、を含む、カプセル剤。
【請求項2】
前記第1の相と前記第2の相とは、互いに分離された相で存在するものである、請求項1に記載のカプセル剤。
【請求項3】
下記の場合からなる群から選ばれるものである、請求項1に記載のカプセル剤:
(1)前記第1の液相または第1の懸濁液は、水溶性基剤を含み、前記第2の液相または第2の懸濁液は、脂溶性基剤を含む、またはその反対である;
(2)前記第1の液相または第1の懸濁液は、脂溶性基剤を含み、前記第2の液相または第2の懸濁液は、脂溶性基剤を含む;及び
(3)前記第1の懸濁液は、水溶性基剤を含み、前記第2の懸濁液は、水溶性基剤を含む。
【請求項4】
前記第1の相及び前記第2の相は、連続的な相で存在し、互いの相の存在領域と重ならないものである、請求項1に記載のカプセル剤。
【請求項5】
前記連続的な第1の相または前記連続的な第2の相のいずれか一つは、残りの相によって互いに分離された二つまたは複数個の連続的な相で存在するものである、請求項1に記載のカプセル剤。
【請求項6】
前記第1の液相または懸濁液及び前記第2の液相または懸濁液は、カプセル成形装置の二つの独立した収容チャンバーから二つの吐出孔を介して吐出され、同時にカプセル剤に充填されて一つのカプセル内で製剤化されるものである、請求項1に記載のカプセル剤。
【請求項7】
前記カプセル剤は、更なる界面活性剤または物理的層の存在なしに前記連続的な第1の相及び第2の相が互いに分離された相で存在するものである、請求項1に記載のカプセル剤。
【請求項8】
前記第1の液相または第1の懸濁液の基剤と、前記第2の液相または第2の懸濁液の基剤とは、成分が互いに異なっており、前記第1の液相または第1の懸濁液と、前記第2の液相または第2の懸濁液とは、互いに異なる物理的特性を持つので混和されないものである、請求項1に記載のカプセル剤。
【請求項9】
前記水溶性基剤は、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリメチルアクリレート、ポリエチレンオキシド、飽和ポリグリコール化グリセリド、モノステアリン酸グリセロール、炭水化物類、セルロース類、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、プロピレンカーボネート、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(トランスキトール)、トリアセチン、濃グリセリン、モノ(カプリル/カプリン酸)グリセリン、テトラグリコール及びこれらの組み合わせからなる群から選ばれたいずれか一つである、請求項1に記載のカプセル剤。
【請求項10】
前記脂溶性基剤は、豆油、ヤシ油、トウモロコシ油、ひまわり種子油、ブドウ種子油、ぬか油、ごま油、エゴマ油、パーム油、オリーブ油、ひまし油、ポリオキシル水素化ひまし油のような植物油、スクワラン、精製漁油などのような動物油、ワセリン、流動パラフィン、パラフィン、オゾセライト、セレシン、マイクロクリスタリンワックスなどのような鉱物油、中鎖脂肪酸グリセリドからなる群から選ばれたものである、請求項1に記載のカプセル剤。
【請求項11】
前記第1の薬学的活性成分は、非ステロイド性消炎鎮痛活性成分(NSAID)、風邪薬成分、スタチン系薬物からなる群から選ばれたものである、請求項1に記載のカプセル剤。
【請求項12】
前記第2の薬学的活性成分は、オメガ3脂肪酸またはそのアルキルエステル、制酸剤、ビタミンからなる群から選ばれたものである、請求項1に記載のカプセル剤。
【請求項13】
前記第1の薬学的又は第2の薬学的活性成分は、アセトアミノフェン、トラマドール塩酸塩、アセクロフェナク、ナプロキセン、エソメプラゾールマグネシウム三水和物、セチリジン塩酸塩、プソイドエフェドリン塩酸塩、エバスチン、シロスタゾール、グリメピリド、メトホルミン塩酸塩、シタグリプチンリン酸塩水和物、ガランタミン臭化水素酸塩、サキサグリプチン一水和物、アムロジピンベシル酸塩、バルサルタン、テルミサルタン、ヒドロクロロチアジド、オルメサルタンメドキソミル、ロスバスタチンカルシウム、ナプロキセンナトリウム、スマトリプタン、プラミペキソールジヒドロクロリド一水和物、クロニジン塩酸塩、ニカルジピン塩酸塩、ドキサゾシンメシル酸塩、インダパミド、フェロジピン、トルテロジンL-酒石酸塩、リトドリン塩酸塩、タムスロシン塩酸塩、ニフェジピン、一硝酸イソソルビド、ニソルジピン、ベンラファキシン塩酸塩、トラゾドン塩酸塩、パロキセチン塩酸塩水和物、ロキサチジン酢酸エステル塩酸塩、メトクロプラミド塩酸塩水和物、サルブタモール硫酸塩、オルフェナドリンクエン酸塩、クロルマジノン酢酸エステル、オキシブチニン塩酸塩からなる群から選ばれたものである、請求項1に記載のカプセル剤。
【請求項14】
前記カプセル剤は、薬剤学的または食品学的に軟質カプセルの皮膜基剤を含む、請求項1に記載のカプセル剤。
【請求項15】
前記軟質カプセルの皮膜基剤は、澱粉、アラビアガム、トラガカントガム、カラヤガム、ガティガム、グァーガム、ローカストビーンガム、タラガム、コンニャクガム、アルギン、寒天、カラギーナン、プルラン、ペクチン、ジェラン、マンナン、ゼラチン及びキサンタンガム、並びにこれらの混合物からなる群から選ばれた1種以上の成分を含み、前記軟質カプセルの可塑剤は、グリセリン、フタル酸エチル、クエン酸トリエチル、セバシン酸ジブチル、ポリエチレングリコール、トリアセチン、クエン酸トリブチル、プロピレングリコール及びこれらの混合物からなる群から選ばれた1種以上の成分を含むものである、請求項14に記載のカプセル剤。
【請求項16】
第1の薬学的活性成分が溶解または分散された基剤を含む第1の液相または第1の懸濁液を収容する第1の収容チャンバーと、
第2の薬学的活性成分が溶解または分散された基剤を含む第2の液相または第2の懸濁液を収容する第2の収容チャンバーと、
皮膜基剤溶液をシート化するシート形成ユニットと、
前記シート形成ユニットに隣接するように配置されて前記シート形成ユニットで形成されたシートが供給されて、前記シートをカプセル化する一対のダイロ-ルを具備するカプセル成形ユニットと、
前記一対のダイロ-ルの外周部に隣接するように配置され、前記第1の収容チャンバー及び前記第2の収容チャンバーから供給された前記第1の液相または第1の懸濁液と前記第2の液相または第2の懸濁液を、前記カプセル化されたシートに注入するインジェクションセグメントを具備する注入ユニットと、を含み、
前記第1の液相または第1の懸濁液と前記第2の液相または第2の懸濁液とは、互いに分離された連続的な相でカプセル剤内に存在し、
前記インジェクションセグメントは、前記第1の収容チャンバーと連結される第1の注入孔及び前記第2の収容チャンバーと連結される第2の注入孔と、前記第1の注入孔と連通する第1の吐出孔及び前記第2の注入孔と連通する第2の吐出孔とが形成されている、カプセル成形装置。
【請求項17】
少なくとも一つの収容チャンバーをさらに含むものである、請求項16に記載のカプセル成形装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
2種以上の異なる組成物を含有する薬剤学的に安定な軟質カプセル剤に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の軟質カプセルは、油相の原料、薬剤及び活性成分を溶解させた液相、液体内に固体または乾燥固体を分散させて懸濁液相に作って充填するものと知られている。軟質カプセルは、空気及び光からの完全な遮断を要する物質だけではなく、有効成分それ自体が油相である精製漁油やトコフェロールなどに対して特別な長所を持つ剤形である。
【0003】
このような軟質カプセルは、数十年間広く知られて、健康機能食品と医薬品及び化粧品などにも用いられて来た。軟質カプセルは、一般に、ゼラチン、可塑剤、及び水からなる外部皮膜と、カプセルの内部に含有される充填内容物と、を含む。充填内容物は、皮膜との反応性がない両立可能な種々の物質の中で選ばれることができる。軟質カプセルは、円形、楕円形、チューブ形などの多様な大きさで用いられることができ、皮膜を調剤する際に色素を添加することで多様な色相で作われることができる。一方、最近、固形剤の服用の便宜性を高めるために、徐放型製剤や複合剤などの開発が盛んになることにつれ、多様な徐放性製剤及び多層錠などの製品が流通しつつあり、軟質カプセルの場合にも、既存の短所を補完するために、軟質カプセル内に錠剤やカプセルなどを含有することができる技術が現われている。しかし、2種以上の異なる2種以上の組成物を別途の顆粒物を製造しないで、一つの軟質カプセル内に充填した軟質カプセル剤の開発が必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一態様は、第1の薬学的活性成分を含む第1の組成物と、第2の薬学的活性成分を含む第2の組成物とが、互いに分離された相で存在するカプセル剤を提供することである。
【0005】
他の態様は、第1の薬学的活性成分が溶解または分散された基剤を含む第1の液相または第1の懸濁液の連続的な第1の相と、第2の薬学的活性成分が溶解または分散された基剤を含む第2の液相または第2の懸濁液の連続的な第2の相と、を含む、カプセル剤を提供することである。
【0006】
第1の薬学的活性成分が溶解または分散された基剤を含む第1の液相または第1の懸濁液を収容する第1の収容チャンバーと、第2の薬学的活性成分が溶解または分散された基剤を含む第2の液相または第2の懸濁液を収容する第2の収容チャンバーと、皮膜基剤溶液をシート化するシート形成ユニットと、前記シート形成ユニットに隣接するように配置され、前記シート形成ユニットで形成されたシートが供給されて前記シートをカプセル化する一対のダイロ-ルを具備するカプセル成形ユニットと、前記一対のダイロ-ルの外周部に隣接するように配置され、前記第1の収容チャンバー及び前記第2の収容チャンバーから供給された前記第1の液相または第1の懸濁液及び前記第2の液相または第2の懸濁液を、前記カプセル化されたシートに注入するインジェクションセグメントを具備する注入ユニットと、を含み、前記第1の液相または第1の懸濁液と前記第2の液相または第2の懸濁液とは互いに分離された連続的な相でカプセル剤内に存在し、前記インジェクションセグメントは、前記第1の収容チャンバーと連結される第1の注入孔及び前記第2の収容チャンバーと連結される第2の注入孔と、前記第1の注入孔と連通する第1の吐出孔と前記第2の注入孔と連通する第2の吐出孔とが形成されている、カプセル成形装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一態様は、2種以上の異なる組成物を含有する薬剤学的に安定な軟質カプセル剤を提供する。
【0008】
一具体例において、前記軟質カプセル剤は、第1の薬学的活性成分が溶解または分散された基剤を含む第1の液相または第1の懸濁液の連続的な第1の相と、第2の薬学的活性成分が溶解または分散された基剤を含む第2の液相または第2の懸濁液の連続的な第2の相と、を含むカプセル剤であってもよい。
【0009】
一具体例において、前記カプセル剤は、下記の場合からなる群から選ばれたものであることができる:
【0010】
(1)前記第1の液相または第1の懸濁液は、水溶性基剤を含み、前記第2の液相または第2の懸濁液は、脂溶性基剤を含む、またはその反対である;
(2)前記第1の液相または第1の懸濁液は、脂溶性基剤を含み、前記第2の液相または第2の懸濁液は、脂溶性基剤を含む;及び
(3)前記第1の懸濁液は、水溶性基剤を含み、前記第2の懸濁液は、水溶性基剤を含む。
【0011】
一具体例において、前記第1の相と前記第2の相とは、互いに分離された相で存在するものであることができる。一具体例によるカプセル剤は、第1の薬学的活性成分が担持された連続的な第1の相と、第2の薬学的活性成分が担持された連続的な第2の相とで構成され、前記連続的な第1の相と、前記連続的な第2の相とは、別途の界面活性剤または物理的な層の存在なしに分離されているものであってもよい。このような相分離は、一般的な油中水型、または水中油型のように、一つの相中に他の不連続的な相が分散されているものと区分されるものであって、二つの相が互いの領域と重なることなく(若しくは一つの相が他の相の領域を侵犯することなく、または一つの相が他の相の領域と重なることなく)分離されていることを意味する。
【0012】
したがって、一具体例によるカプセル剤の前記第1の相及び前記第2の相は、連続的な相で存在し、互いの相の存在領域と重ならないものであることができる。
【0013】
他の具体例において、前記連続的な第1の相または前記連続的な第2の相のいずれか一つは、残りの相によって互いに分離された二つまたは複数個の連続的な相で存在するものであることができる。
【0014】
前記カプセル剤は、前記第1の液相または懸濁液及び前記第2の液相または懸濁液は、カプセル成形装置の二つの独立した収容チャンバーから二つの吐出孔を介して吐出され、同時にカプセル剤に充填されて一つのカプセル内で製剤化されるものであってもよい。また、前記第1の液相または第1の懸濁液の基剤と、前記第2の液相または第2の懸濁液の基剤とは、成分が互いに異なっており、前記第1の液相または第1の懸濁液と、前記第2の液相または第2の懸濁液とは、互いに異なる物理的特性を持つので混和されないものであることができる。これにより、前記カプセル剤は、更なる界面活性剤または物理的層の存在なしに前記連続的な第1の相及び第2の相が互いに分離された相で存在するものであることができる。
【0015】
本明細書において、「カプセル剤」は、健康機能食品、医薬品または薬物をカプセルに充填するか、またはカプセルで被包成形して製造したものであることができる。よって、一具体例によるカプセル剤は、薬剤学的または食品学的に軟質カプセルの皮膜層(皮膜基剤)をさらに含むことができる。前記カプセル剤は、皮膜層に健康機能食品、医薬品または薬物が充填された形態の製剤であることができ、前記皮膜層は、例えば、澱粉、アラビアガム、トラガカントガム、カラヤガム、ガティガム、グァーガム、ローカストビーンガム、タラガム、コンニャクガム、アルギン、寒天、カラギーナン、プルラン、ペクチン、ジェラン、マンナン、ゼラチン及びキサンタンガム、並びにこれらの混合物からなる群から選ばれた1種以上の成分を含む物質からなるものであることができる。前記カプセル剤は、コーティングに用いるのに好適な可塑剤をさらに含むことができる。前記可塑剤は、グリセリン、フタル酸エチル、クエン酸トリエチル、セバシン酸ジブチル、ポリエチレングリコール、トリアセチン、クエン酸トリブチル、プロピレングリコール及びこれらの混合物からなる群から選ばれた1種以上の成分を含むものであることができる。
【0016】
また、前記皮膜層の製造において、軟質カプセルの性状安定性、崩壊速度、製剤均質性を害しない範囲内であれば、その他添加剤が含まれることができる。例えば、皮膜層は、軟質カプセル基剤であるゼラチンに、グリセリン、糖アルコール及び/または精製水を添加して製造されることができ、軟質カプセルの性状を良くするために、着色剤、着香剤、保存剤またはコーティング基剤などをさらに含むことができる。
【0017】
前記カプセル剤は、更なる界面活性剤または物理的層の存在なしに第1の液相または第1の懸濁液と、第2の液相または第2の懸濁液とが互いに分離された相で存在するものであることができる。一般に、軟質カプセル剤形の複合製剤である場合、第1の薬物が含有されたカプセル剤の内部に、更なるコーティング層を含む第2の薬物が混入されているか、または第1の薬物に液相の内容物を含み、第2の薬物は錠剤などでカプセルの内部に包含させることで、第1の薬物と第2の薬物との間の不適切な反応を防止する。しかし、一態様によるカプセル剤は、第1の液相または第1の懸濁液の内部に第2の液相または第2の懸濁液が混入されるか、または第2の液相または第2の懸濁液の内部に第2の液相または第1の懸濁液が混入されている状態で存在しないにもかかわらず、相分離(phase separation)によって活性成分間の反応性を最小化することができる。一実施の形態において、有効性または同一薬物の放出特性が異なる、2以上の互いに異なる活性成分を含有するカプセル剤を用いて、長期間の保管期間の間カプセル剤内の活性成分の含量が変わらないことにより、カプセル剤が優れた安定性を示すことを確認した。よって、一態様によるカプセル剤は、適切な時間範囲内で溶出されることで、生体利用率が高く、薬物の薬効を極大化させることができる。
【0018】
前記水溶性基剤は、ポリエチレングリコール(Polyethylene glycol)、プロピレングリコール(propylene glycol)、ポリメチルアクリレート(polymethyl acrylate)、ポリエチレンオキシド(polyethylene oxide)、飽和ポリグリコール化グリセリド(saturated polyglycorized glyceride、Gelucire)、モノステアリン酸グリセロール(Glycerol monostearate)、炭水化物類(carbohydrate)、セルロース類(cellulose)、ポリビニルアルコール(polyvinyl alcohol)、ポリアクリル酸(polyacrylic acid)、プロピレンカーボネート、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(トランスキトール)、トリアセチン(Triacetin)、濃グリセリン(concentrated glycerin)、モノ(カプリル/カプリン酸)グリセリン(glycerol monocaprylocaprate)、テトラグリコール(tetraglycol)及びこれらの組み合わせからなる群から選ばれたいずれか一つであることができる。
【0019】
前記脂溶性基剤は、豆油、ヤシ油、ひまわり種子油、ごま油、エゴマ油、パーム油、オリーブ油、ひまし油、ポリオキシル水素化ひまし油のような植物油、スクワラン、精製漁油などのような動物油、ワセリン、流動パラフィン、パラフィン、オゾセライト、セレシン、マイクロクリスタリンワックスなどのような鉱物油、中鎖脂肪酸グリセリドなどであることができる。
【0020】
本明細書における用語「薬学的活性成分」は、生理活性物質であって、個体の疾病状態または非正常な状態又はこれに関連する症状の改善、予防、治療の目的で投与される物質を意味することができ、医薬、食品、健康機能食品、化粧品、美容品、医薬外品、医療機器などに含まれることができる成分を含む。また、前記第1の薬学的活性成分と第2の薬学的活性成分は、互いに同一であっても異なっていてもよい。
【0021】
前記第1の薬学的活性成分は、非ステロイド性消炎鎮痛活性成分(NSAID)、風邪薬成分、スタチン系薬物からなる群から選ばれたものであることができる。本明細書における「消炎鎮痛活性成分(NSAID)」は、ステロイド構造を持たないでCOXを阻害する物質を通称するもので、次のような活性成分を含有する。活性成分のそれ自体での遊離酸またはその塩であることができ、その異性体の遊離酸またはその塩であることができる。
【0022】
サリシレート類:アスピリン(Aspirin)、ジフルニサル(diflunisal)、サリチル酸(salicylic acid)またはその誘導体、サルサラート(Salsalate)など
プロピオン酸誘導体類:イブプロフェン(ibuprofen)、フェノプロフェン、フルルビプロフェン(flurbiprofen)、ベノキサプロフェン(benoxaprofen)、フェノプロフェン(fenoprofen)、フェンブフェン(fenbufen)、デクスイブプロフェン(dexibuprofen)、ケトプロフェン(ketoprofen)、オキサプロジン(oxaprozin)、ナプロキセン(Naproxen)、デクスケトプロフェン(dexketoprofen)、ロキソプロフェン(loxoprofen)、インドプロフェン(indoprofen)、ピルプロフェン(pirprofen)、カプロフェン(carprofen)、オキサプロジン(oxaprozin)、プラノプロフェン(pranoprofen)、ミロプロフェン(miroprofen)、チオキサプロフェン(tioxaprofen)、スプロフェン(suprofen)、アルミノプロフェン(alminoprofen)
【0023】
酢酸誘導体類:インドメタシン(Indomethacin)、スリンダク(Sulindac)、ケトロラク(Ketorolac)、アセクロフェナク(Aceclofenac)、トメチン(Tometin)、エトドラク(Etodolac)、ジクロフェナク(Diclofenac)、ナブメトン(Nabumetone)
オキシカム誘導体類:ピロキシカム(piroxicam)、テノキシカム(Tenoxicam)、ロルノキシカム(Lornoxicam)、フェニルブタゾン(Phenylbutazone)、メロキシカム(Meloxicam)、ドロキシカム(Droxicam)、イソキシカム(Isoxicam)
アントラニル酸誘導体類:メフェナム酸(Mefenamic acid)、メクロフェナム酸(Meclofenamic acid)、フルフェナム酸(Flufenamic acid)、トルフェナム酸(Tolfenamic acid)
【0024】
ニメスリド(Nimesulide)、セレコキシブ(Celecoxib)、ロフェコキシブ(Rofecoxib)、バルデコキシブ(Valdecoxib)、ルミラコキシブ(Lumiracoxib)。
本明細書における「風邪薬成分」は、風邪による発熱、歯痛、神経痛、筋肉痛などの軽減効果を有するのみならず、鎮痛効果、抗炎効果、抗発熱性効果及び鎮咳去痰、鼻充血除去剤として用いられる成分であることができる。前記風邪薬成分は、例えば、サリチル酸コリン(Choline salicylate)、サリチルアミド(Salicylamide)、アスピリン(Aspirin)、エテンザミド(Ethenzamide)、アセトアミノフェン(Acetaminophen)、イブプロフェン(ibuprofen)、デキストロメトルファン臭化水素酸塩(Dextromethorphan hydrobromide)、ノスカピン塩酸塩(Noscapine HCl)、塩酸トリメトキノール(Trimethoquinol HCl)、グアイフェネシン(Guaifenesin)、d-クロルフェニラミンマレイン酸塩(d-Chlorpheniramine maleate)、クエン酸カルベタペンタン(Carbetapentane citrate)、チペピジンクエン酸塩(Tipepidine citrate)、クロペラスチン塩酸塩(Cloperastine HCl)、フェンジゾ酸クロペラスチン(Cloperastine fendizoate)、チペピジンヒベンズ酸塩(Tipepidine hibenzate)、dl-メチルエフェドリン塩酸塩(DL-Methylephedrine HCl)、エフェドリン塩酸塩(Ephedrine HCl)、フェニレフリン塩酸塩(Phenylephrine HCl)、プソイドエフェドリン塩酸塩(Pseudoephedrine HCl)、フェニルプロパノールアミン(Phenylpropanolamine)、ジフェキサミド(diphexamide)、フェニルアミノプロパノール塩酸塩(phenylaminopropanol HCl)、オキシメタゾリン(oxymetazoline)、キシロメタゾリン(xylometazoline)、トリペレナミン塩酸塩(Tripelenamine hydrochloride)、トリプロリジン塩酸塩(Triprolidine hydrochloride)、ジフェンヒドラミン塩酸塩(Diphenhydramine hydrochloride)、アリメマジン酒石酸塩(Alimemazine tartrate)、ジフェニルピラリン塩酸塩(Diphenylpyraline hydrochloride)、マレイン酸ブロムフェニルアミン(Brompheniramine Maleate)、コハク酸ドキシラミン(Doxylamine succinate)、フェニラミンマレイン酸塩(Pheniramine maleate)、マレイン酸メピラミン(Mepyramine maleate)、タンニン酸ジフェンヒドラミン(Diphenhydramine tannate)、ジフェンヒドラミンクエン酸塩(Diphenhydramine Citrate)、アロクラミド塩酸塩(Alloclamide HCl)、ノスカピン塩酸塩(Noscapine hydrochloride)、ノスカピン(Noscapine)、フェニレフリン塩酸塩(Phenylephrine HCl)、グアヤコールスルホン酸カリウム(Potassium guaiacolsulfonate)、セラチオペプチダーゼ(Serratiopeptidase)、セミアルカリプロテアーゼ(Semi-alkaline Protease)、カフェイン(Caffeine)、安息香酸ナトリウムカフェイン(Caffeine and Sodium Benzoate)などが挙げられる。
【0025】
また、前記第1の薬学的活性成分は、HMG-CoA還元酵素阻害剤を含むことができ、具体的に、スタチン系薬物であることができる。本明細書における「スタチン系薬物」は、体内のコレステロール生産率を調節するHMG-CoA還元酵素を阻害することで、コレステロールの生産を遅延させるか、または、既に血液に存在するLDLコレステロールを除去する肝の能力を増大させることによりコレステロールを減少させることができる。前記スタチン系薬物は、例えば、アトルバスタチン(Atorvastatin)、ロスバスタチン(Rosuvastatin)、ロバスタチン(Lovastatin)、シンバスタチン(Simvastatin)、プラバスタチン(Pravastatin)、フルバスタチン(Fluvastatin)、セリバスタチン(Cerivastatin)、ピタバスタチン(Pitavastatin)及びその薬剤学的に許容可能な塩を含むことができる。
【0026】
前記第2の薬学的活性成分は、液相であることができ、具体的に、油相であることができる。例えば、前記第2の薬学的活性成分は、オメガ3脂肪酸またはそのアルキルエステル、制酸剤、ビタミンからなる群から選ばれたものであることができる。前記オメガ3脂肪酸またはそのアルキルエステルは、人体に副作用がほとんどないながらも血清トリグリセライド(TG;中性脂肪)の水準を低くし、収縮期及び拡張期の血圧及び脈拍数を下げ、血液凝固因子VIIリン脂質複合体の活性を低減する役割が果たすことができる。本明細書における「オメガ3脂肪酸」は、オメガ3不飽和脂肪酸(ω-3 unsaturated fatty acid)、オメガ3高度不飽和脂肪酸(ω-3 highly unsaturated fatty acid)、多価不飽和脂肪酸(polyunsaturated fatty acid、PUFA)と指称されるものをいずれも含み、ドコサヘキサエン酸(Docosahexaenoic acid、DHA)、エイコサペンタエン酸(Eicosapentaenoic acid、EPA)、アラキドン酸(Arachidonic acid、ARA)、ドコサペンタエン酸(Docosapentaenoic aicd)、α-リノレン酸(α-linolenic acid)、及びこれらの混合物などを含む。一具体例において、オメガ3脂肪酸アルキルエステルは、C1~C3のアルキルエステルであることができ、エチルエステルであることができる。例えば、DHAのエチルエステル、EPAのエチルエステルであることができる。
【0027】
本明細書における「制酸剤」は、酸過多分泌の典型的な胃荒れ(または胸やけ)を軽減させることができる化合物であって、胃酸過多及び胃食道逆流症、すなわち胃粘膜のpHを緩衝させることで、いずれも直接的に作用するか、腹部からの酸分泌を抑制させることで間接的に作用する。前記制酸剤は、例えば、マガルドレート(Magaldrate)、スクラルファート(Sucralfate);クエン酸塩(Citrate)、例えばクエン酸ナトリウム(Sodium citrate)またはクエン酸カリウム(Potassium Citrate);酸化マグネシウム(Magnesium oxide);水酸化マグネシウム(Magnesium hydroxide);炭酸マグネシウム(Magnesium carbonate);ケイ酸マグネシウム(Magnesium silicate)、例えば三ケイ酸マグネシウム(Magnesium trisilicate);ジヒドロキシアルミニウムアミノアセテート(Dihydroxyaluminum Aminoacetate);水和された酸化アルミニウム(Aluminium Oxide);水酸化アルミニウム(Aluminium hydroxide);重炭酸塩、例えば重炭酸ナトリウム(Sodium bicarbonate);炭酸塩(carbonate)、例えば炭酸カルシウム(Calcium carbonate);アルギン酸(Alginic acid);アルギン酸ナトリウム(Sodium alginate);リン酸カルシウム(Calcium phosphate);ヒドロタルサイト(hydrotalcite);グリシン酸アルミニウム(aluminum glycinate);硫酸ガラクタン(Galactan sulfate);ミルテカイン(myrtecaine)などであることができる。
【0028】
本明細書における「ビタミン」は、我々の体が正しく作用するように助ける、健康に必須な役割をする物質であって、身体反応に関連する役割を果たす。前記ビタミンは、吸水性及び貯蔵方式に応じて、水溶性または脂溶性ビタミンに分けられる。一具体例において、前記ビタミンは、脂溶性ビタミンまたは水溶性ビタミンのものであることができる。前記脂溶性ビタミンは、例えば、ビタミンD2またはD3、ビタミンEまたはビタミンEアセテート、ビタミンA、ビタミンK1、K2またはビタミンK1、K2のプロビタミン、プロドラッグであってもよい。また、前記水溶性ビタミンは、例えば、ビタミンB1、B2、B6、B12、C、葉酸、ビオチン、ニコチン酸アミドなどが挙げられる。
【0029】
前記第1の薬学的又は第2の薬学的活性成分は、アセトアミノフェン(Acetaminophen)、トラマドール塩酸塩(Tramadol hydrochloride)、アセクロフェナク(Aceclofenac)、ナプロキセン(Naproxen)、エソメプラゾールマグネシウム三水和物(Esomeprazole Magnesium Trihydrate)、セチリジン塩酸塩(Cetirizine hydrochloride)、プソイドエフェドリン塩酸塩(Pseudoephedrine hydrochloride)、エバスチン(Ebastine)、シロスタゾール(Cilostazol)、グリメピリド(Glimepiride)、メトホルミン塩酸塩(Metformin hydrochloride)、シタグリプチンリン酸塩水和物(Sitagliptin phosphate hydrate)、ガランタミン臭化水素酸塩(Galantamine hydrobromide)、サキサグリプチン一水和物(Saxagliptin monohydrate)、アムロジピンベシル酸塩(Amlodipine besylate)、バルサルタン(Valsartan)、テルミサルタン(Telmisartan)、ヒドロクロロチアジド(Hydrochlorothiazide)、オルメサルタンメドキソミル(Olmesartan Medoxomil)、ロスバスタチンカルシウム(Rosuvastatin calcium)、ナプロキセンナトリウム(Naproxen sodium)、スマトリプタン(Sumatriptan)、プラミペキソールジヒドロクロリド一水和物(Pramipexole dihydrochloride monohydrate)、クロニジン塩酸塩(Clonidine HCl)、ニカルジピン塩酸塩(Nicardipine HCl)、ドキサゾシンメシル酸塩(Doxazosin mesylate)、インダパミド(Indapamide)、フェロジピン(Felodipine)、トルテロジンL-酒石酸塩(Tolterodine l-tartrate)、リトドリン塩酸塩(Ritodrine HCl)、タムスロシン塩酸塩(Tamsurosin HCl)、ニフェジピン(Nifedipine)、一硝酸イソソルビド(Isosorbide mononitrateと、Isosorbide dinitrate)、ニソルジピン(Nisoldipine)、ベンラファキシン塩酸塩(Venlafaxine HCl)、トラゾドン塩酸塩(Trazodone HCl)、パロキセチン塩酸塩水和物(Paroxetine Hydrochloride Hydrate)、ロキサチジン酢酸エステル塩酸塩(Roxatidine acetate HCI)、メトクロプラミド塩酸塩水和物(Metoclopramide Hydrochloride Hydrate)、サルブタモール硫酸塩(Salbutamol sulphate)、オルフェナドリンクエン酸塩(Orphenadrine citrate)、クロルマジノン酢酸エステル(Chlormadinone acetate)、オキシブチニン塩酸塩(Oxybutynin hydrochloride)などが挙げられる。
【0030】
一具体例において、前記カプセル剤は、消炎鎮痛活性成分と制酸剤とが混合されたものであることができる。前記消炎鎮痛活性成分と制酸剤とを混合することで消炎鎮痛剤の服用時に発生し得る胃腸関連不便さを減少させることができる。
【0031】
他の具体例において、前記カプセル剤は、風邪薬成分とビタミンとが混合されたものであることができる。前記風邪薬成分とビタミンとを混合することで風邪症状の回復に効果的であることができる。
【0032】
また他の具体例において、前記カプセル剤は、スタチン系薬物とオメガ3脂肪酸またはそのアルキルエステルとが混合されたものであることができる。前記スタチン系薬物とオメガ3脂肪酸またはそのアルキルエステルとが混合されることにより、スタチン系薬物及びオメガ3のシナジー効果を期待することができるだけではなく、2つの薬を取りまとめなければならない患者の不便さを解消することができるので、服薬順応度を上昇させることができる。
【0033】
前述したように、一態様によるカプセル剤は、それぞれの単一製剤を複合剤形に製剤化することができ、更なる界面活性剤または物理的層の存在なしに相分離(phase separation)によって活性成分間の反応性を最小化することができるところ、活性成分の損失なしに所望する部位に独立して2種以上の活性成分をそれぞれ伝達することができる。
【0034】
他の態様は、カプセル成形装置を提供する。
【0035】
一具体例によるMulti(Double)-Fill成形装置は、
第1の薬学的活性成分が溶解または分散された基剤を含む第1の液相または第1の懸濁液を収容する第1の収容チャンバーと、
第2の薬学的活性成分が溶解または分散された基剤を含む第2の液相または第2の懸濁液を収容する第2の収容チャンバーと、
皮膜基剤溶液をシート化するシート形成ユニットと、
前記シート形成ユニットに隣接するように配置されて前記シート形成ユニットで形成されたシートが供給されて、前記シートをカプセル化する一対のダイロ-ルを具備するカプセル成形ユニットと、
前記一対のダイロ-ルの外周部に隣接するように配置され、前記第1の収容チャンバー及び前記第2の収容チャンバーから供給された前記第1の液相または第1の懸濁液と前記第2の液相または第2の懸濁液を、前記カプセル化されたシートに注入するインジェクションセグメントを具備する注入ユニットと、を含み、
前記第1の液相または第1の懸濁液と前記第2の液相または第2の懸濁液とは、互いに分離された連続的な相でカプセル剤内に存在し、
前記インジェクションセグメントは、前記第1の収容チャンバーと連結される第1の注入孔及び前記第2の収容チャンバーと連結される第2の注入孔と、前記第1の注入孔と連通する第1の吐出孔及び前記第2の注入孔と連通する第2の吐出孔とが形成されているものであることができる。このようにすることで、二つの相が互いに混和されず、一つのカプセル内で製剤化されることができるという効果がある。
【0036】
一具体例において、前記カプセル成形装置は、少なくとも一つ(例えば、1つ、2つ、または3つ)の収容チャンバーをさらに含むものであることができる。前記追加で含まれた収容チャンバーも、前記第1の収容チャンバーまたは第2の収容チャンバーと同様にカプセル成形装置で作動して少なくとも3つ、4つ、5つの相を有するカプセルを製剤化することができる。
【0037】
一具体例において、前記カプセル剤は、前記カプセル成形装置を用いて製造されたものであることができる。
【発明の効果】
【0038】
一態様によるカプセル剤は、それぞれの単一製剤を複合剤形に製剤化することができ、2種以上の異なる組成物間の反応を最小化して安定性が向上した製剤を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【
図1】
図1は、一具体例による実施例1の軟質カプセルの写真である。
【
図2】
図2は、一具体例による実施例2の軟質カプセルの写真である。
【
図3】
図3は、一具体例による実施例2の他の具現例の軟質カプセルの写真である。
【
図4】
図4は、一具体例による実施例3の軟質カプセルの写真である。
【
図5】
図5は、一具体例による実施例4の軟質カプセルの写真である。
【
図6】
図6は、実施例1、比較例3及びPhenssac-Col軟質カプセルの活性成分(アセトアミノフェン)の平均溶出率を比較したグラフである。
【
図7】
図7は、実施例1、比較例3及びPhenssac-Col軟質カプセルの活性成分(グアイフェネシン)の平均溶出率を比較したグラフである。
【
図8】
図8は、実施例1、比較例3及びPhenssac-Col軟質カプセルの活性成分(プソイドエフェドリン塩酸塩)の平均溶出率を比較したグラフである。
【
図9】
図9は、実施例1、比較例3及びPhenssac-Col軟質カプセルの活性成分(dl-メチルエフェドリン塩酸塩)の平均溶出率を比較したグラフである。
【
図10】
図10は、実施例1、比較例3及びPhenssac-Col軟質カプセルの活性成分(トリプロリジン塩酸塩)の平均溶出率を比較したグラフである。
【
図11】
図11は、実施例2、比較例4及び6の活性成分(イブプロフェン)の平均溶出率を比較したグラフである。
【
図12】
図12は、実施例2、比較例4及び6の活性成分(パマブロム)の平均溶出率を比較したグラフである。
【
図13】
図13は、実施例3及びRosumega軟質カプセルの活性成分(ロスバスタチンカルシウム)の平均溶出率を比較したグラフである。
【
図14】
図14は、本発明の一実施例によるカプセル成形装置の中で一部を概略的に示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下、本発明の理解を助けるために望ましい実施例を提示する。しかし、下記実施例は本発明をより容易に理解するために提供されるものに過ぎず、下記実施例によって本発明の内容が限定されるものではない。
【0041】
図2、
図4、及び
図5は、それぞれ一具体例による実施例2、3、及び4の軟質カプセルの写真である。
図2、4、及び5に示したように、一具体例による軟質カプセルは、第1の薬学的活性成分が担持された連続的な第1の相及び第2の薬学的活性成分が担持された連続的な第2の相で構成され、前記連続的な第1の相及び連続的な第2の相は、別途の界面活性剤や物理的な層の存在なしに分離されている。このような相分離は、一般的な油中水型、または水中油型でのように、一つの相内に他の不連続的な相が分散されているものと区分されるもので、二つの相が互いの領域と重なることなく(もしくは一つの相が他の相の領域を侵犯することなく、あるいは一つの相が他の相の領域と重なることなく)分離されていることを意味する。
【0042】
図1及び
図3は、それぞれ一具体例による実施例1及び2の軟質カプセルの写真である。
図1及び
図3に示したように、連続的な第1の相または連続的な第2の相のいずれか一つは、残りの相を通じて互いに分離された二つまたは複数個の相で存在することができる。すなわち、連続的な第2の相は、連続的な第1の相を通じて互いに分離された二つまたは複数個の相で存在する(またはその反対も可能)ことができる。このような相分離も複数個の相が互いの領域と重なることなく(または一つの相が他の相の領域を侵犯することなく、または一つの相が他の相の領域と重なることなく)分離されていることを意味する。
【実施例】
【0043】
<実施例1>水溶性液及び脂溶性懸濁液を含有する軟質カプセル
下記表1の成分及び含量で水溶性液及び脂溶性懸濁液を含有する軟質カプセルを製造した。本明細書で異なるように言及されない限り、含量は重量%である。具体的に、精製水に水溶性基剤であるポリエチレングリコール400と溶解補助剤であるプロピレングリコールを添加した後、150rpmで10分間混合した。その後、溶解補助剤であるポビドンを投入して約60℃で400rpmの速度で混合した後、完全に溶解して水溶性基剤(第1の基剤)を製造した。前記製造された基剤に、第1の活性成分を一品目ずつ投入して60℃で投入された有効成分が完全に溶解されるまで約400rpmの速度で混合し続けながら溶解した。その後、200メッシュ網でろ過して冷却した後、気泡を除去して水溶性軟質カプセル充填用組成物(第1の組成物)を製造した。
【0044】
脂溶性基剤である豆油に懸濁化剤である硬質脂肪及び蜜蝋を入れて、約55℃で投入された成分が完全に溶解されるまで600rpmの速度で混合して脂溶性基剤(第2の基剤)を製造した。前記製造された基剤に、湿潤剤であるレシチン、抗酸化剤としてトコフェロールアセテート及び第2の活性成分を投入した後、同一の速度で均質に混和されるまで約15分間混合した。その後、コルロイドミルを用いてミリングして、80メッシュ網でろ過して冷却した後、気泡を除去して脂溶性軟質カプセル充填用組成物(第2の組成物)を製造した。
前記のように製造された2種の軟質カプセル充填組成物と、軟質カプセルの皮膜基剤としてゼラチンと、可塑剤としてソルビトール・ソルビタン液と水を混合して形成したゲル塊(Gel mass)を薄くて広いリボン形態に作った軟質カプセル皮膜をMulti(Double)-Fill成形装置を用いて軟質カプセルを製造した。
【0045】
【0046】
<実施例2>水溶性液及び脂溶性懸濁液を含有する軟質カプセル
下記表2の成分及び含量で水溶性液及び脂溶性懸濁液を含有する軟質カプセルを製造した。具体的に、ステンレス容器に精製水、水酸化カリウムを投入して溶解した。ポリエチレングリコール600、ブチルヒドロキシトルエン、ポビドンを別途の薬注タンクに投入して65℃に加温して溶解して水溶性基剤(第1の基剤)を製造した。その後、加温を中断して第1の活性成分であるイブプロフェン、水酸化カリウム水溶液を薬注タンクに投入して溶解した後、薬注タンクの温度を65℃に設定したうえで、内容物の温度が65℃に到逹すると、パマブロムを投入して溶解した。その後、ろ過及び脱泡工程を経て水溶性軟質カプセル充填組成物(第1の組成物)を製造した。
【0047】
豆油、ヤシ硬化油、白蝋を薬注タンクに投入して55℃に加温して溶解した後、脂溶性基剤(第2の基剤)を製造した。その後、第2の活性成分である酸化マグネシウム、カフェイン無水物を薬注タンクに投入して攪拌した後、ミリング、ろ過及び脱泡工程を経て脂溶性軟質カプセル充填組成物(第2の組成物)を製造した。その後、軟質カプセル皮膜製造機を用いてゼラチン及びソルビトール・ソルビタン液を利用して軟質カプセル外皮を製造した後、Multi(Double)-Fill軟質カプセル成形装置を用いて前記二つの内容物を注入した後に密封した。
【0048】
【0049】
<実施例3>水溶性液及び脂溶性液を含有する軟質カプセル
下記表3の成分及び含量で水溶性液及び脂溶性液を含有する軟質カプセルを製造した。具体的に、水溶性基剤であるポリエチレングリコールと溶解補助剤であるプロピレングリコールとを混合した後、150rpmで10分間混合した。その後、37℃でロスバスタチンカルシウムを徐々に投入して完全に溶解されるまで約400rpmの速度で混合し続けながら溶解した。次いで、200メッシュ網でろ過して冷却した後、気泡を除去して水溶性軟質カプセル充填用組成物(第1の組成物)を製造した。
【0050】
オメガ-3-酸エチルエステル90は、別途の容器に窒素ガスを気流させた後、200メッシュ網でろ過して窒素ガス注入後、密封して脂溶性軟質カプセル充填組成物(第2の組成物)を製造した。
【0051】
前記のように製造された2種の軟質カプセル充填用組成物と、軟質カプセル基剤としてゼラチンと、可塑剤としてソルビトール・ソルビタン液と、水とを混合して形成したゲル塊(Gel mass)を薄くかつ広いリボン形態に作った軟質カプセル皮膜をもって、本発明によるMulti(Double)-Fill成形装置を用いて軟質カプセルを製造した。
【0052】
【0053】
<実施例4>水溶性液及び脂溶性液を含有する軟質カプセル
下記表4の成分及び含量で水溶性液及び脂溶性液を含有する軟質カプセルを製造した。具体的に、容器に精製水、水酸化カリウムを投入して溶解した。ポリエチレングリコール600、ブチルヒドロキシトルエン、ポビドンを別途の薬注タンクに投入して65℃に加温して溶解して水溶性基剤(第1の基剤)を製造した。その後、加温を中断して第1の活性成分の中でビオチン、葉酸を水酸化カリウム水溶液とともに薬注タンクに投入して溶解した後、薬注タンクの温度を65℃に設定したうえで、内容物の温度が65℃に到逹すると、その他の第1の活性成分を一品目ずつ順次投入して溶解した。その後、ろ過及び脱泡工程を経て水溶性軟質カプセル充填組成物(第1の組成物)を製造した。
【0054】
薬注タンクに、液相の第2の活性成分を薬注タンクに別途投入して攪拌した後、ろ過及び脱泡工程を経て脂溶性軟質カプセル充填組成物(第2の組成物)を製造した。その後、軟質カプセル皮膜製造機を用いてゼラチン及びソルビトール・ソルビタン液を利用して軟質カプセル外皮を製造した後、Multi(Double)-Fill軟質カプセル成形装置を用いて前記二つの内容物を注入した後に密封した。
【0055】
【0056】
その結果、実施例4のカプセル剤は、更なる界面活性剤または物理的層の存在なしに各基剤の水溶性または脂溶性特性によって、第1の液相と第2の液相とがカプセル内で互いに混ぜ合わせられることなく、分離された相で存在することを確認した。
【0057】
<実施例5>脂溶性懸濁液及び脂溶性懸濁液を含有する軟質カプセル
下記表5の成分及び含量で脂溶性懸濁液及び脂溶性懸濁液を含有する軟質カプセルを製造した。具体的に、賦形剤である豆油に懸濁化剤である蜜蝋を入れて、約55℃で投入された成分が完全に溶解されるまで600rpmの速度で混合し、湿潤剤であるレシチン及び第1の活性成分を投入した後、同速度で均質に混和されるまで約15分間混合した。その次のコルロイドミルを用いてミリングし、80メッシュ網でろ過して冷却した後、気泡を除去して脂溶性懸濁液(第1の組成物)を製造した。前記と同様な方式で第2の活性成分を投入して脂溶性懸濁液(第2の組成物)を製造し、前記実施例1と同様な方法によりMulti(Double)-Fill軟質カプセル成形装置を用いて前記二つの内容物を注入した後に密封した。
【0058】
【0059】
[比較例]
<比較例1>水溶性液及び脂溶性懸濁液を含有する軟質カプセル
【0060】
前記表1の成分及び含量で水溶性液及び脂溶性懸濁液を含有する軟質カプセルを製造した。具体的に、水溶性軟質カプセル充填組成物及び脂溶性軟質カプセル充填組成物をホモジナイザーにより約10分間150rpmで混合した後、成形装置(YUILPHARM TECH社製)を使用したことを除き、前記実施例1と同様な方法で軟質カプセルを製造した。
【0061】
<比較例2>水溶性懸濁液を含有する軟質カプセル
下記表6の成分及び含量で水溶性懸濁液を含有する軟質カプセルを製造した。具体的に、ポリエチレングリコール400及び濃グリセリンを薬注タンクに投入して混合した後、ポリエチレングリコール4000及びブチルヒドロキシトルエンを60℃に加温して順次に溶解してから、第1の活性成分及び第2の活性成分を投入して混合した後、ろ過及び脱泡工程を経て水溶性懸濁液を製造した。
【0062】
その後、軟質カプセル皮膜製造機を用いてゼラチン及びソルビトール・ソルビタン液を利用して軟質カプセル外皮を製造した後、通常の軟質カプセル成形装置(YUILPHARM TECH社製)を用いて内容物を注入した後に密封した。
【0063】
【0064】
<比較例3>脂溶性懸濁液を含有する軟質カプセル
下記表7の成分及び含量を使用して賦形剤である豆油に懸濁化剤である蜜蝋及び硬質脂肪を入れて、約55℃で投入された成分が完全に溶解されるまで、600rpmの速度で混合し、湿潤剤であるレシチン及び第1の及び第2の活性成分を投入した後、同速度で均質に混和されるまで約15分間混合した。次いで、コルロイドミルを用いてミリングし、80メッシュ網でろ過して冷却した後、気泡を除去して脂溶性懸濁液(第1の組成物)を製造した。その後、軟質カプセル皮膜製造機を用いてゼラチン、濃グリセリン及び非晶性ソルビトール液を利用して軟質カプセル外皮を製造した後、通常の軟質カプセル成形装置(YUILPHARM TECH社製)を用いて内容物を注入した後に密封した。
【0065】
【0066】
<比較例4>水溶性液充填組成物を含有する軟質カプセル
下記表8の成分及び含量にして前記実施例2の水溶性液と同様な方法で水溶性軟質カプセル充填組成物(第1の組成物)を製造した。その後、軟質カプセル皮膜製造機を用いてゼラチン及びソルビトール・ソルビタン液を利用して軟質カプセル外皮を製造した後、通常の成形装置を用いて内容物を注入した後に密封した。
【0067】
【0068】
<比較例5>水溶性懸濁液を含有する軟質カプセル
下記表9の成分及び含量にして前記比較例2と同様な方法で水溶性軟質カプセル充填組成物(第2の組成物)を製造した。
【0069】
【0070】
その結果、ポリエチレングリコール600と酸化マグネシウムとの反応のため、充填組成物として不向きなものと判断されて、軟質カプセルを製造しなかった。
【0071】
<比較例6>脂溶性懸濁液を含有する軟質カプセル
下記表10の成分及び含量にして前記比較例3と同様な方法で脂溶性軟質カプセル充填組成物を製造した。その後、軟質カプセル皮膜製造機を用いてゼラチン及びソルビトール・ソルビタン液を利用して軟質カプセル外皮を製造した後、通常の軟質カプセル成形装置(YUILPHARM TECH社製)を用いて内容物を注入した後に密封した。
【0072】
【0073】
<比較例7>脂溶性懸濁液を含有する軟質カプセル
下記表11の成分及び含量にして前記比較例3と同様な方法で脂溶性軟質カプセル充填組成物を製造した。
【0074】
その後、軟質カプセル皮膜製造機を用いてゼラチン及び濃グリセリンを利用して軟質カプセル外皮を製造した後、通常の軟質カプセル成形装置(YUILPHARM TECH社製)を用いて内容物を注入した後に密封した。
【0075】
【0076】
[実験例]
<実験例1>有効成分の含量の安定性の評価
【0077】
前記実施例1及び比較例2に対して経時による有効成分の含量の安定性を評価した。具体的に、前記実施例1及び比較例2の組成物をPVCフィルム及びA1箔でPTP包装して40℃、75RH%で1ヶ月の間、2週間の間隔で有効成分の含量を測定した。含量試験は、COSMAXPHARMA社で設定した各有効成分の含量試験方法によって、高速液体クロマトグラフィーを用いて実施したし、その結果を下記表12及び表13に示した。
【0078】
【0079】
【0080】
その結果、表12及び表13に示したように、比較例2に比べて実施例1の含量の安定性が著しく優れることを確認することができた。具体的に、比較例2の水溶性基剤に含有された水溶性有効成分、すなわち水溶性ビタミン類(アスコルビン酸、リボフラビン、チアミン硝酸塩)が皮膜に移行することで、初期含量が低く検出され、経時によって含量の安定性が大きく低下することを確認することができた。これに対し、実施例1の場合、相分離(phase separation)によって活性成分間の反応性を最小化して含量の安定性に優れていることを確認することができた。
【0081】
<実験例2>溶出率評価1
前記実施例1、比較例3及びPhenssac-Col軟質カプセル(第一薬品社製)の活性成分であるアセトアミノフェン、グアイフェネシン、プソイドエフェドリン塩酸塩、dl-メチルエフェドリン塩酸塩及びトリプロリジン塩酸塩に対してそれぞれの溶出率を評価した。具体的に、試験液として水900mLを利用して大韓民国薬典の試験第2の法により、50rpmで、溶出試験開始60分までそれぞれの活性成分に対して溶出率の成り行きを評価し、その結果を下記表14~表18に示した。
【0082】
【0083】
【0084】
【0085】
【0086】
【0087】
図6~
図10は、それぞれ実施例1、比較例3及びPhenssac-Col軟質カプセルのアセトアミノフェン、グアイフェネシン、プソイドエフェドリン塩酸塩、メチルエフェドリン塩酸塩及びトリプロリジン塩酸塩の平均溶出率を比較したグラフである。
【0088】
図6~
図10及び表14~表18に示したように、実施例1及び実施例1に類似した組成で構成されたPhenssac-Col軟質カプセルのすべての活性成分に対する平均溶出率が75%(30分)以上に到逹することを確認することができた。これに対し、比較例3の場合、実施例1及びPhenssac-Col軟質カプセルと比較して半分以下の水準の溶出率を示して、通常、当該活性成分を含有する製剤の溶出率判定基準に不向きであることを確認することができた。すなわち、一態様による軟質カプセルは、カプセル内に水溶性液と脂溶性懸濁液とが混合しているにもかかわらず、水溶性液剤と同一な溶出を示すことが分かる。よって、一態様による軟質カプセルの充填組成物は、基剤選択に制限なしに各活性成分の特性及び安定性に適した性質の基剤を基盤として処方設計を行うことができ、二つの異なる性質の組成物がカプセル内に共存しても二つの組成物同士間の反応性を最小化することで、薬剤学的に安定性が向上した軟質カプセル剤を製造することができる。
【0089】
<実験例3>溶出率評価2
前記実施例2、比較例4及び6の活性成分であるイブプロフェン及びパマブロムに対して前記実験例2と同様な方法で溶出率を評価し、その結果を下記表19及び20に示した。
【0090】
【0091】
【0092】
図11、
図12は、実施例2、比較例4及び6の活性成分(イブプロフェン、パマブロム)の平均溶出率を比較したグラフである。
【0093】
図11、
図12及び表19、表20に示したように、実施例2は、比較例4(既存の液相組成物)に類似した平均溶出率を示すことを確認することができた。これに対し、比較例6の場合、実施例2に比べて著しく低い平均溶出率を示すところ、溶出されないことが分かる。
【0094】
すなわち、一態様による軟質カプセルは、カプセル内に互いに異なる組成物を含有しているにもかかわらず、既存の液相組成物と同等な効果を奏することができる。
【0095】
<実験例4>加速安定性試験
4-1.含量試験
40±2℃及び75±5%RHの条件下で前記実施例2及び比較例4で製造した試料を保管した後、0、2及び4週間後に各試料別に主成分の含量を計算して下記表21及び22に示した。
【0096】
【0097】
【表22】
その結果、表21及び表22に示したように、実施例2及び比較例4のいずれも4週間の保管期間にも含量変化がほとんどなかった。よって、一態様による軟質カプセルは、剤形安定性に優れ、長期保管が可能であるという利点がある。
【0098】
4-2.溶出試験
実施例2及び比較例4を、前記4-1と同様な条件下で同一の期間の間保管した後、下記数学式1によって主成分の溶出を計算して下記表23及び表24に示した。
【0099】
【0100】
【0101】
【0102】
その結果、表23及び表24に示したように、実施例2及び比較例4のいずれも4週間の保管期間にも溶出変化がほとんどないことを確認することができた。
【0103】
4-3.柔軟物質試験
実施例2及び比較例4を前記4-1と同様な条件下で同一の期間の間保管した後、下記数学式2~4(イブプロフェン)及び5(パマブロム)によって主成分の柔軟物質を計算して下記表25及び26に示した。
【0104】
【0105】
【0106】
【0107】
【0108】
【0109】
【0110】
その結果、表25及び26に示したように、実施例2及び比較例4は、いずれも4週間の保管期間にも柔軟物質量の変化がほとんどないことを確認することができた。
【0111】
すなわち、一態様による軟質カプセル充填組成物は、活性成分間に反応が起こらなく別途のカプセルを製造しなくても一つの軟質カプセル内に充填可能であり、既存の軟質カプセルに類似した溶出率及び安定性を示すところ、多様な活性成分を含有する品目の開発が容易である。
【0112】
<実験例5>既存の軟質カプセルとの比較評価
5-1.含量の評価
前記実施例3及びRosumega軟質カプセル(KUNIL製薬(株)製))(以下、対照薬という)の含量を測定して水溶性軟質カプセル充填組成物及び脂溶性軟質カプセル充填組成物が各活性成分の含量に及ぼす影響を評価した。具体的に、ロスバスタチンカルシウム含量試験は、米国薬典のロスバスタチンカルシウム抗含量試験法に従って、高速液体クロマトグラフィーを用いて実施した。オメガ-3-酸エチルエステル90含量試験は、ヨーロッパ薬典のComposition of fatty acid in omega-3 acids(2.4.29)に基づいて、高速液体クロマトグラフィーを用いて実施したし、その結果を下記表27に示した。
【0113】
【0114】
その結果、表27に示したように、実施例3の場合、対照薬のオメガ-3-酸エチルエステル90の含量試験項目におけるEPAエチルエステル、DHAエチルエステル及びEPAとDHAの合計がいずれも類似値を示した。また、ロスバスタチンカルシウムの含量も98%を示し、含量基準に適する結果を示した。
【0115】
5-2.崩壊度の評価
前記実施例3及び対照薬に対して大韓民国薬典の一般試験法の崩壊試験法に基づいて、37℃の水で崩壊時間を測定し、その結果を下記表28に示した。
【0116】
【0117】
その結果、表28に示したように、実施例3は、対照薬に類似した崩壊時間を示した。よって、一態様による軟質カプセルの水溶性軟質カプセル充填組成物と脂溶性軟質カプセル充填組成物との間の転移を最小化して崩壊に影響を及ぼさないことが分かる。
【0118】
5-3.溶出率の評価
前記実施例3及び対照薬に対して前記実験例2と同様な方法で溶出率を確認したし、米国薬典のロスバスタチンカルシウム項溶出試験法のTEST1分析条件によって分析した。Rosumega軟質カプセルの平均溶出率が85%以上に到逹する時点まで進行したし、各時間帯別に溶出率の成り行きを評価し、その結果を下記表29に示した。
【0119】
【0120】
図13は、実施例3及びRosumega軟質カプセルの活性成分(ロスバスタチンカルシウム)の平均溶出率を比較したグラフである。
【0121】
図13及び表29に示したように、実施例3及び対照薬の平均溶出率が85%(30分)以上に到逹することを確認することができた。対照薬の場合、ロスバスタチンカルシウムがコーティングされていて初期溶出率が実施例3に比べて高いが、溶出率が徐々に上昇する態様を現わした。これに対し、実施例3の場合、ラグタイムが存在して初期溶出率は対照薬に比べて低いが、破裂(rupture)以後の溶出率が急激に上昇して15分に97.4%で、対照薬に比べて約10%高い最終溶出率を示した。すなわち、一態様による軟質カプセルは、既存の軟質カプセルの同等性を示すことが分かり、有効性及び放出特性などが異なる2種の組成物がカプセル内に共存しても、反応性を最小化して薬剤学的に安定性が向上した軟質カプセル剤を製造することができる。
【0122】
<実験例6>分離度試験
一態様によるカプセル剤の中で、同一の性質を持つ懸濁液(脂溶性-脂溶性、水溶性-水溶性)のカプセルを製造するためには、カプセル内のそれぞれの内容物が充填された後、混ぜ合わせられない分離された相で存在しなければならない。よって、同一の性質を持つ懸濁液の製剤検討のための条件を確認した。具体的に、同一の性質を持つ第1の脂溶性懸濁液(Rx1~4)及び第2の脂溶性懸濁液(Rx5~8)を製造した後、第1の脂溶性懸濁液及び第2の脂溶性懸濁液を24時間の間放置した後、層分離が起こったか否かを肉眼で確認した。その後、1,500rpmで5分間隔で状態を確認しながら総15分間遠心分離を行い、その結果を下記表30及び31に示した。
【0123】
【0124】
【0125】
その結果、表30及び表31に示したように、第1の脂溶性懸濁液及び第2の脂溶性懸濁液は、製造してから5分後に相分離が起こらなかったが、10分(Rx2、6)及び15分(Rx3、7)に相分離が起こったことを確認することができた。このような結果を基に、同一時間帯に層分離が起こった第1の脂溶性懸濁液及び第2の脂溶性懸濁液を、円形ペットボトルに比重を考慮して、上層/下層に入れて保管した後、40±2℃及び75±5%のRH条件で2週間放置した後、相分離の状態を確認して下記表32に示した。
【0126】
【0127】
その結果、表32に示したように、試料4の場合、二つの相が互いに混和されないことを確認することができた。一方、試料1~3の場合、二つの相が互いに混和されて懸濁液間の境界を明らかに確認することができなかった。よって、同一の性質を持つ懸濁液の製剤検討を行う場合、1,500rpmで15分間遠心分離を行った後、層分離が起こらない条件を満足する処方を選択しなければならない。
【0128】
<実験例7>有効成分の含量の安定性の評価
前記実施例5及び比較例7の組成物に対して経時による有効成分の含量の安定性を評価した。具体的に、前記実施例5の組成物1と2を、比重を考慮して上層/下層に入れて比較例7の組成物も円形のペットボトルに入れて40℃、75RH%で1ヶ月の間2週間の間隔で有効成分の含量を測定した。含量試験は、COSMAXPHARMA社で設定した各有効成分の含量試験方法によって高速液体クロマトグラフィーを用いて実施し、その結果を下記表33に示した。
【0129】
【0130】
その結果、表33に示したように、比較例7の場合、酸化マグネシウムが内容物のpHに直接に影響を及ぼして経時によって高くなり、加速4週次でベンフォチアミンの含量が82.1%で、大きく低下した。これに対し、実施例5では、酸化マグネシウムが含まれた組成物と、含まれない組成物とをそれぞれ調剤して、両内容物間の転移または反応性を最小化してpHの上昇を防止し、その結果、加速4週次でベンフォチアミンの含量が91.9%で、比較例7に比べて約10%より高く現れ、安定性が向上したことを確認することができた。このような結果は、一具体例による軟質カプセル剤は、相分離(phase separation)によって活性成分間の反応性を最小化して含量の安定性に優れることを意味する。
【0131】
図14は、本発明の一実施例によるカプセル成形装置の中で一部を概略的に示した図であり、
図15は、
図14の注入ユニットを説明するための図である。
【0132】
図14及び
図15を参照すれば、本発明の一実施例によるカプセル成形装置は、第1の収容チャンバー(不図示)、第2の収容チャンバー(不図示)、シート形成ユニット(不図示)、カプセル成形ユニット21、22、及び注入ユニット10を含む。
【0133】
第1の収容チャンバー(不図示)は、第1の薬学的活性成分が溶解または分散された基剤を含む第1の液相または第1の懸濁液を収容することができる。
【0134】
第2の収容チャンバー(不図示)は、第2の薬学的活性成分が溶解または分散された基剤を含む第2の液相または第2の懸濁液を収容することができる。ここで、第2の液相または第2の懸濁液は、第1の液相または第1の懸濁液と異なる成分を含むことができる。
【0135】
シート形成ユニット(不図示)は、皮膜基剤溶液をシート化することができる。
カプセル成形ユニット21、22は、シート形成ユニット(不図示)に隣接するように配置されて前記シート形成ユニット(不図示)で形成されたシートSが供給されて、シートSをカプセル化する一対のダイロ-ルを具備することができる。第1のダイロ-ル21は、第1の溝211が形成され、第2のダイロ-ル22は、前記第1の溝211と対応する第2の溝222を具備することができ、第1のダイロ-ル21及び第2のダイロ-ル22は、回転しながら対応する第1の溝211及び第2の溝222を介してカプセルMが形成される空間を確保することができる。
【0136】
注入ユニット10は、一対のダイロ-ル21、22の外周部に隣接するように配置され、第1の収容チャンバー(不図示)及び第2の収容チャンバー(不図示)から供給された第1の液相または第1の懸濁液及び第2の液相または第2の懸濁液を、カプセル化されたシートに注入するインジェクションセグメントを具備することができる。
【0137】
インジェクションセグメントは、
図15に示されているように、第1の収容チャンバー(不図示)と連結される第1の注入孔h1と、第2の収容チャンバー(不図示)と連結される第2の注入孔h2と、を具備することができる。また、インジェクションセグメントは、第1の注入孔h1と連通する第1の吐出孔h11、h12と、第2の注入孔h2と連通する第2の吐出孔h21、h22とが形成されることができる。
【0138】
つまり、インジェクションセグメントは、第1の吐出孔h11、h12を介して第1の液相または第1の懸濁液をカプセルMに注入し、第2の吐出孔h21、h22を介して第2の液相または第2の懸濁液をカプセルMに注入することができ、離間して配置される第1の吐出孔h11、h12及び第2の吐出孔h21、h22を介して、カプセルの定められた位置に、第1の液相または第1の懸濁液と第2の液相または第2の懸濁液とを分離して注入することができる。
【0139】
他の実施例として、カプセル成形装置は、第3の薬学的活性成分が溶解または分散された基剤を含む第3の液相または第3の懸濁液を収容する第3の収容チャンバー(不図示)をさらに含むことができる。この場合、インジェクションセグメントは、第3の収容チャンバー(不図示)と連結される第3の注入孔h3と、第3の注入孔h3と連通する第3の吐出孔h31、h33とがさらに形成されることができる。
【0140】
前記した構造を持つカプセル成形装置は、互いに異なる成分を含む第1の液相または第1の懸濁液と第2の液相または第2の懸濁液を同時に注入して一つの軟質カプセルを製造することができる。前記軟質カプセルは、
図1~
図5のように第1の薬学的活性成分が担持された連続的な第1の相及び第2の薬学的活性成分が担持された連続的な第2の相で構成され、前記連続的な第1の相と連続的な第2の相とは、別途の界面活性剤または物理的な層の存在なしに分離されている。
【0141】
前述した本発明の説明は、例示のためのものに過ぎず、本発明の属する技術分野における通常の知識を持つ者は、本発明の技術的思想や必須な特徴を変更することなく、他の具体的な形態で容易に変形可能であるということを理解することができる。したがって、以上で記述した実施例は、すべての面で例示的なものであり、限定的なものではないものと理解しなければならない。
【国際調査報告】