IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ カー.ヴェー.ハー. シクロスポーツ フェルトリーブス ゲーエムベーハーの特許一覧

特表2024-503258車両の速度を特定するためのデータを求めるための装置、評価装置、およびその方法
<>
  • 特表-車両の速度を特定するためのデータを求めるための装置、評価装置、およびその方法 図1
  • 特表-車両の速度を特定するためのデータを求めるための装置、評価装置、およびその方法 図2
  • 特表-車両の速度を特定するためのデータを求めるための装置、評価装置、およびその方法 図3
  • 特表-車両の速度を特定するためのデータを求めるための装置、評価装置、およびその方法 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-25
(54)【発明の名称】車両の速度を特定するためのデータを求めるための装置、評価装置、およびその方法
(51)【国際特許分類】
   G01P 3/487 20060101AFI20240118BHJP
【FI】
G01P3/487 F
G01P3/487 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023538710
(86)(22)【出願日】2021-12-10
(85)【翻訳文提出日】2023-07-31
(86)【国際出願番号】 EP2021085231
(87)【国際公開番号】W WO2022135978
(87)【国際公開日】2022-06-30
(31)【優先権主張番号】20216895.1
(32)【優先日】2020-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520399981
【氏名又は名称】カー.ヴェー.ハー. シクロスポーツ フェルトリーブス ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】K.W.H. Ciclosport Vertriebs GmbH
【住所又は居所原語表記】Lohenstr. 11, 82166 Graefelfing, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100090398
【弁理士】
【氏名又は名称】大渕 美千栄
(74)【代理人】
【識別番号】100090387
【弁理士】
【氏名又は名称】布施 行夫
(72)【発明者】
【氏名】ゲオルク ヤーネン
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン ベッカー
(57)【要約】
本発明は、磁石を有する車両の速度を特定するためのデータを求める装置に関し、磁石は、車輪に取付け可能であり、車輪の回転時に円運動を行う。さらに、磁石の円運動による信号を記録するためのセンサーユニットが設けられている。 センサーユニットは、定量的な磁場強度変化を測定するための少なくとも1つのセンサーを有する。 この場合、センサーは、少なくとも200Hzのサンプリング周波数で磁場強度変化をサンプリングするように構成されている。さらに、本発明は、車両の速度を特定するためのデータを求める方法に関する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両、特に自転車の速度を特定するためのデータを求めるための装置であって、
車輪(20)に取り付け可能であり、前記車輪(20)の回転時に円運動を行う磁石(26)を有し、
前記磁石の前記円運動によって生じる信号を記録するためのセンサーユニット(10)を有し、前記センサーユニット(10)は、前記磁石(26)が前記車輪(20)に固定された状態で通過する前記車両の部品に固定可能であり、
前記センサーユニット(10)は、定量的な磁場強度変化を測定するための少なくとも1つのセンサー(12,13,14)を有し、
前記センサー(12,13,14)は、少なくとも200Hzのサンプリング周波数で前記磁場強度変化をサンプリングするように構成され、
定量的な磁場強度変化を測定するために少なくとも2つのセンサー(12,13,14)が設けられ、
定量的な磁場強度変化を測定するための前記少なくとも2つのセンサー(12,13,14)は、前記磁石(26)が前記車輪(20)に取り付けられた場合に、前記磁石(26)の前記円運動(22)の方向に並ぶことを特徴とする、装置。
【請求項2】
定量的な磁場強度変化を測定するための前記1つまたは複数のセンサー(12,13,14)は、ホールセンサーであることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の装置によって、車両、特に自転車の速度を特定するための評価装置であって、
定量的な磁場強度変化のデータ(k,k,k)に基づいて、前記車両の前記速度を特定するための評価ユニットを有することを特徴とする、評価装置。
【請求項4】
前記評価ユニットは、磁場強度変化の継続時間Δ4、特に閾値(h)を上回る存在の継続時間を分析して、前記速度を特定するように設計されていることを特徴とする、請求項3に記載の評価装置。
【請求項5】
前記評価ユニットは、2つの隣接するセンサーのデータΔ1,Δ2の時間間隔を分析して、定量的な磁場強度変化を測定し、前記車両の前記速度を特定するように設計されていることを特徴する、請求項3または4に記載の評価装置。
【請求項6】
前記評価ユニットは、前記磁場強度変化の時間的反復率を評価して、前記車両の前記速度を特定するように設計されていることを特徴とする、請求項3ないし5のいずれか1項に記載の評価装置。
【請求項7】
前記評価ユニットは、前記磁場強度変化のプロファイル(k,k,k)を所定の目標プロファイルと比較するように構成されていることを特徴とする、請求項3ないし6のいずれか1項に記載の評価装置。
【請求項8】
前記データを求めるための前記装置と前記評価装置との間のデータ転送が保護されるように、特に暗号化されるように設計されていること、および/または、
前記評価装置は、安全に、特に暗号化方式で、下流の処理ユニットへのデータ転送を行うように構成されていることを特徴とする、請求項3ないし7のいずれか1項に記載の評価装置。
【請求項9】
車両、特に自転車の速度を特定するためのデータを求める方法であって、
磁石(26)は、車輪(20)に取り付けられて、前記車輪(20)の回転中に円運動
(22)を行い、
前記磁石(26)の前記円運動(22)によって生じる信号を記録するためのセンサーユニット(10)は、前記磁石(26)が通過する前記車両の部品に固定され、
前記センサーユニット(10)によって、磁場強度変化の定量的測定が行われ、
前記測定は、少なくとも200Hzのサンプリング周波数で行われ、
センサーユニット(10)として、定量的な磁場強度変化を測定するための少なくとも2つのセンサー(12,13,14)を含むセンサーユニット(10)が選択され、
定量的な磁場強度変化を測定するための前記少なくとも2つのセンサー(12,13,14)は、前記磁石(26)が前記車輪(20)に取り付けられた場合に、前記磁石(26)の前記円運動(22)の方向に並ぶ、方法。
【請求項10】
前記車両の前記速度を特定するために、磁場強度変化の継続時間、特に、閾値(h)を上回る存在の継続時間Δ4が評価されることを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記センサーユニット(10)は、前記磁石(26)の前記円運動(22)の方向に並ぶ隣接した位置で前記磁場強度変化の少なくとも2つの定量的測定を行い、
前記車両の前記速度を特定するために、前記磁場強度変化の前記少なくとも2つの定量的測定の時間間隔Δ1,Δ2が評価されることを特徴とする、請求項9または10に記載の方法。
【請求項12】
前記速度を特定するために、前記磁場強度変化の時間的な繰り返し率が評価されることを特徴とする、請求項9ないし11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記磁場強度変化のプロファイルは、改ざんを認識するために分析されることを特徴とする、請求項9ないし12のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両、例えば自転車の速度を特定するためのデータを求める(ascertaining(Ermitteln))装置に関する。この目的のために、磁石が設けられており、磁石は、車両の車輪に取り付け可能であり、車輪の回転中に円運動を行う。 さらに、装置は、磁石の円運動によって生じる信号を記録するためのセンサーユニットを有する。このセンサーユニットは、磁石が車輪に固定されて車輪が回転される場合に、磁石が通過する車両の部品に固定されることができる。
【0002】
さらに、本発明は、車両の速度を特定するための評価装置およびその方法に関する。
【背景技術】
【0003】
一般的な装置は、特に、自転車用の速度センサーに関連して使用される装置であり得る。この目的のために、磁石は、自転車の車輪に取り付けられる。これは、特にスポークの1つへの取付けによって行われる。さらに、自転車のフレームに固定されたセンサーユニットが設けられている。この場合、磁石が車輪の回転中に通過する位置が選択される。従来のセンサーユニットは、通常、リード接点を有する。車輪の回転中、磁石は、リード接点を通過して案内され、それによってリード接点が閉じ、これにより、電気回路が短時間閉じられる。このようにして、電気パルスが生成される。パルス間の時間間隔を測定することによって、車輪の1回転当たりの単位時間Δtを求めることができる。車輪の円周Uも知られていれば、これらのデータに基づいて速度を計算することができる。
【0004】
【数1】
【0005】
式中、vは、求められた速度であり、Uは、車輪の円周であり、Δtは、2つのパルス間の時間間隔である。
【0006】
リード接点は、通常、2線式回線を介して評価装置に接続され、評価装置は、この評価を行い、速度を例えば速度計に表示するか、または無線を介して信号を送信する。
【0007】
自転車用の速度測定の改ざん防止性(manipulation protection(manipulati- onsschutz))は、ますます一般的になっている電動自動車と併せて、ますます重要になっている。
【0008】
ドイツ道路交通法によれば、例えば、移動のモーター支援は、25km/hの速度までしか行うことができない。電動アシスト自転車が使用される場合、この支援は、最大45km/hまで提供され得る。
【0009】
これらの法的規制を回避するために、速度測定を改ざんするとができる様々な方法が知られている。1つの可能性は、リード接点から下流の回路に疑似パルスを送信することであり、これにより、2つのパルス間の時間間隔が増加するという点で、より低い速度をコントローラーに提案することができる。リード接点の信号は、完全に抑制される。
【0010】
さらに、リード接点の前に、したがって、センサーユニットにおいてリード接点と磁石
との間に、配置される他の装置も知られている。これらの装置は磁場を遮蔽するか、または、磁石は完全に除去される。磁場は、追加の装置を介して時間間隔をおいてリード接点に印加され、その結果、接点が閉じる。この結果、対応するパルスが生成され、下流の評価部で評価される。しかしながら、実際には、リード接点の閉成との関係は、もはや存在しないので、ここでは、速度を任意に設定することもできる。
【0011】
EP 3 435 094およびJP 2014 160009 Aは、センサーを用いて動作する一般的な速度計を記載している。パルス式で動作する他の速度計は、US 9 267 800 B2、US 4 967 153 A、およびEP 2 073 022 B1に記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
したがって、本発明の目的は、車両の速度を特定するためのデータを求めるための装置および方法であって、改ざんに対する安全性の高い装置および方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この目的は、本発明に係る請求項1の特徴を有する装置および請求項9の特徴を有する方法によって達成される。
【0014】
さらなる有利な実施形態は、従属請求項、明細書、ならびに図面およびその説明に記載されている。
【0015】
請求項1によれば、センサーユニットは、定量的な磁場強度変化を測定するための少なくとも1つのセンサーを有し、センサーは、少なくとも200Hzのサンプリング周波数で磁場強度変化をサンプリングするように構成されていることが提供される。
【0016】
本発明は、磁場の有無のみを示すリードセンサー以外のセンサーを提供するという基本的な概念に基づいている。本発明によれば、磁場またはその強さの量的な変化を求めて伝えることができる少なくとも1つのセンサーが設けられている。これにより、少なくとも200Hzのサンプリング周波数と共に、複数のサンプリング値は、車輪の回転時の磁石の1回の通過中に記録され得る。
【0017】
これは、磁場変化のプロファイルまたは経過もサンプリングされ記録されるという従来のシステムに対する利点を提供する。このプロファイルが評価されると、多数の上述した改ざんを検出することができ、したがって抑制することができる。
【0018】
さらに、定量的な磁場強度変化を測定するために、少なくとも2つのセンサーが設けられている。本発明によれば、これらは、磁石が車輪に取り付けられた場合、磁石の円運動の方向に並ぶ。換言すれば、センサーは、磁石が最初に一方のセンサーを通り過ぎて案内され、続いて他方のセンサーを通り過ぎて案内されるように並ぶ。 もちろん、これは、複数のセンサーを使用して行うこともできる。
【0019】
理想的には、センサーは、磁石の磁場が複数のセンサーによって同時に測定可能であるように互いに近接して並んでいる。この場合、センサーは、互いに独立して影響を受けることができず、それゆえ改ざんされることができない。
【0020】
磁場強度変化を定量的に記録するためのセンサーの数の増加により、評価に供給され得る磁石移動に関する利用可能な情報は、増加する。これにより、一方では、様々なセンサ
ーから記録されたデータを、互いに比較することができるので、改ざんの認識が容易になる。センサーの測定領域が重複する場合、さらなる改ざんユニットが1つのセンサーに信号を与えるだけでなく、他のセンサーにも信号を与え、その結果、センサーからの信号の組合せは、互いに一致しなくなる。
【0021】
定量的な磁場強度変化を測定するために、原則として様々なセンサーを使用することができる。この目的のために、ホールセンサーが使用されることが好ましい。ホールセンサーは、半導体および/または集積回路に基づいて構成され得るので、非常にコンパクトであり、わずかな空間しか占有しない。これは、例えば、2つまたは4つのホールセンサーが、わずか数ミリメートルまたは数センチメートルのサイズであるセンサー筐体内に収容され得るという利点を提供する。しかしながら、原理的には、この目的のために、他のセンサーを使用することもでき、他のセンサーは、必要とされるサンプリング周波数で磁場変化の対応する定量的評価を可能にする。この目的のために、複数のサンプリング値が磁石の通過中に記録され得ることが不可欠であり、複数のサンプリング値は、磁場の変化を確証するために十分に正確な分解能を有する。この目的のために、磁場が存在するか否かを確証するだけでは十分ではなく、むしろそれぞれの磁場の増加および減少が確証されるべきである。
【0022】
本発明に係る装置は、車両、特に自転車の速度を特定するための評価装置において使用され得る。この目的のために、評価装置は、車両の速度を特定するための評価ユニットをさらに有する。
【0023】
評価ユニットは、車両の移動速度を示すことができるように、本発明に係る装置によって求められた定量的な磁場強度変化に関するデータを分析するために設けられている。
【0024】
この目的のために、評価ユニットは、例えば、速度を特定するために磁場強度変化の継続時間(duration(Dauer))を評価することができる。この目的のために、閾値を超える存在の継続時間が速度を特定するために使用されることが好ましい。換言すれば、磁石がセンサーの近傍を通過するのにどれだけの時間を要するかが求められる。通過とは、磁石が車輪の回転によってセンサーを通過して案内されることを意味すると理解されるべきである。磁石の回転速度は、かかる時間を介して特定することができる。そこから、車輪の既知の円周に関連して速度を求めることができる。
【0025】
磁石が、センサーに沿った磁路の経路Δuの時間Δt(測定された値に基づいて決定)の間、閾値を上回る測定値を生成する場合、速度vは、次のように計算され得る。
【0026】
【数2】
【0027】
式中、Uは、磁路の円周であり、Uは、車輪の円周である。これらの変数は、パラメーターとしてシステムに指定される。
【0028】
また、評価ユニットは、車両の速度を特定するために、磁場強度変化の時間的反復率(chronological repetition rate(zeitliche Wie- derholungsrate))を評価するように設計されることも可能である。このような評価は、回転速度がここで求められるので、リード接点に対する既知の評価と本質的に同等である。この場合、車輪の円周に関連してこれらのデータに基づいて車両の移動速度を求めることも可能である。
【0029】
1回転にかかる時間がTである場合、速度vは、次のように計算される。
【0030】
【数3】
【0031】
他の実施形態では、評価ユニットは、隣接するセンサーの信号である時間間隔tを求めるように設計されることができ、車両の速度を特定するために、定量的な磁場強度を測定する。この目的のために、また、磁場強度の設定される閾値に対するこの間隔を求めることが好ましい。2つのセンサーの相互間の空間的距離dの知識に基づいて、車輪の移動速度を求めることができる。速度の計算も、ここでは、既知の車輪のUおよび磁路のUの円周と関連して、可能である。
【0032】
【数4】
【0033】
式中、Uは、磁路の円周であり、Uは、車輪の円周である。これらの変数は、パラメーターとしてシステムに指定される。なお、符号tは、車輪の逆方向の回転も検出する。
【0034】
原理的には、上述した方法の組み合わせを評価ユニットに設けて、改ざんをさらに困難にすることもできる。
【0035】
改ざんを認識するためのさらなる可能性は、評価ユニットが、磁場変化のプロファイルを所定の目標プロファイルと比較するように設計される場合である。 第1近似では、目標プロファイルは、次の関数に対応する。
【0036】
【数5】
【0037】
この関数は、a=1およびv=1の場合の磁場強度で図4に示されている。
【0038】
この場合、aは、振幅を表し、vは、磁石速度を表す。パラメーターaおよびvは、測定値sとf(t)との間の平均平方距離Fが最小となるように決定される。これにより、平均平方距離Fの大きさに基づいて、例えば、磁石ではなく、電磁石によって磁気信号を能動的に生成する改ざんユニットが存在すると確証され得る。磁場強度変化のプロファイルの分析によって、磁石が通過して案内されたのではなく、磁場が別の方法で生成されたことを認識することができる。
【0039】
改ざんに対する安全性をさらに向上させるために、データを求めるための装置と評価装置との間のデータ転送を安全に、特に暗号化するように設計することができる。付加的にまたは選択的に、評価装置は、後続の処理ユニットへのデータ転送を安全に、特に暗号化方式で行うように構成され得る。そのような実施形態は、信号またはデータの転送中に、その後改ざんが行われ得ないことを確実にする。この目的のために、暗号化として、簡易
デジタル暗号化などが提案される。
【0040】
さらに、本発明は、車両、特に自転車の速度を特定するためのデータを求める方法であって、磁石が車両の車輪に取り付けられて、車輪の回転中に円運動を行う方法に関する。さらに、磁石の円運動によって生成される信号を記録するためのセンサーユニットは、磁石が通過する車両の部品の中または上に固定される。これは、車輪が回転する場合、磁石がセンサーユニットを通過して案内され、それゆえ、信号を生成するという結果を有する。ここで、センサーユニットは、磁場強度変化の定量的測定を行うように設計され、測定は、少なくとも200Hzのサンプリング周波数で行われる。
【0041】
この目的のためには、磁場の離散的な測定のみを行うことができる既知のホールセンサーからの逸脱があり、磁場強度変化の定量的な測定を行うことができるセンサーユニットが使用されることが不可欠である。
【0042】
本発明の範囲において、これは、特に、具体的に磁場の強度が求められることを意味すると理解され、強度の変化が求められれば、本発明にとって十分である。この目的のためには、単なる存在/不在だけでは、十分でない。この強度または変化を定量的に示すことが必要である。
【0043】
車両の速度を特定するために、磁場強度変化の継続時間、特に閾値を上回る存在の継続時間が評価され得る。換言すれば、磁場強度変化の振幅の幅が分析される。これにより、磁石の回転速度と、磁路の円周が分かっている場合には車輪の回転速度と、を求めることができる。これにより、この情報に基づいて、車輪の既知の円周と併せて速度を計算することができる。
【0044】
代替的にまたは追加的に、センサーユニットが、磁石の円運動の方向に並んだ少なくとも2つの隣接する位置で磁場強度変化の定量的測定を行う場合、これらの定量的測定の時間間隔を、評価のために使用することができる。この場合、車輪の周速度も求めることができ、この速度も円周に基づいて計算することができる。
【0045】
さらなる可能性は、速度を特定するために、磁場強度変化の時間的反復率を評価することである。このような計算は、リードセンサーを用いた速度測定中の既知の計算と同様に行われる。
【0046】
改ざんを認識するために、磁場強度変化のプロファイルをさらに分析することができる。この目的のために、例えば、目標プロファイルと比較して分析を行うことができる。磁場強度変化の勾配、その最大値、または磁場の最大値、およびその全体のプロファイル形状も分析することができる。例えば、鋭いエッジが存在する場合、信号は、回転磁石から発生したものではないと推定される。
【図面の簡単な説明】
【0047】
本発明は、例示的な実施形態および概略図に基づいて、以下により詳細に説明される。
これらの図面は、以下の通りである。
【0048】
図1図1は、基本的な機能原理の非常に概略的な図を示す。
図2図2は、磁場変化の例示的な信号プロファイルを示す。
図3図3は、本発明に係る装置のセンサーユニットの簡略化された構造を示す。
図4図4は、磁場強度の予想される曲線形状を示す。
【発明を実施するための形態】
【0049】
本発明に係る装置の基本的な機能原理は、図1を用いて以下に説明される。
【0050】
ここでは、磁石26が固定された車輪20が示されている。この車輪20は、方向22に移動する車両の一部である。
【0051】
方向22におけるこの運動は、磁石26が車輪20の中心点の周りで円運動27を行うという結果を有する。本発明によれば、例えば、3つのセンサー12,13,14が、この円運動27の経路上に並んでいる。この配列は、磁石26がその円運動22の間にセンサー12,13,14を順次通過するようになっている。磁石の磁場は、通過中に複数のセンサーにおいて同時に測定可能である。センサー12,13,14は、例えば、磁場強度または磁場の変化を確証することができるホールセンサーとすることができる。
【0052】
磁場についてセンサー12,13,14を介して求められたデータは、磁石26がセンサー12,13,14を通過して案内される場合に求められるので、図2に例として簡略化された形で示されている。
【0053】
この場合、それぞれの磁場強度は、縦座標にプロットされ、横座標は、時間曲線を表している。
【0054】
3つの曲線プロファイルk,k,k図2に示されており、これらは、それぞれセンサー12,13,14に由来する。 図から分かるように、本発明による高いサンプリング率に起因して、磁場の強度の正確なプロファイルおよびその変化も、各曲線k,k,kに示されている。
【0055】
本発明によれば、これらのデータは、回転速度を計算するために、したがって車輪20の既知の円周を介して車両の速度を計算するために、別に評価され得る。
【0056】
1つの可能性は、磁石の回転速度または周速度を求めるために、ある閾値hを超える曲線kの時間的長さΔ4を使用することである。この時間的長さΔ4は、磁石が対応するセンサー12を通過して案内される速度に伴って変化する。換言すれば、磁石26自体の速度を特定することができる。これを曲線kだけでなく、曲線k,kについても行えば、同じ評価に対してより多くのデータを用いることができるので、改ざんを最小限に抑えることができる。様々な閾値についてのデータも使用することができる。
【0057】
さらなる可能性は、曲線k,k,kの特定の点の時間間隔Δ1,Δ2を評価することである。車輪20上の磁石26の速度も、これを介して結論付けることができる。
【0058】
さらなる実施形態では、同じ曲線kの2つの最大値間の時間間隔Δ3を求めることが可能である。これにより、磁石が再び同じセンサー12を通過して案内されるのに必要な時間を特定することができる。この時間によって、車輪20の既知の円周に関連して速度を求めることも可能である。
【0059】
もちろん、ここで説明した評価の組合せを行うこともできる。これは、改ざん防止を強化するために好ましい。
【0060】
改ざんを確証するためのさらなる可能性は、曲線プロファイル自体も評価することである。この目的のために、例えば、曲線プロファイルの連続性、それぞれの傾き、様々な曲線k,k,kの傾きの互いの比較、または理想的な目標曲線値との比較を挙げることができる。
【0061】
このようにして、例えば、磁石26の代わりに電磁石を使用する多くの改ざん、または他の人工磁場を認識することができる。
【0062】
本発明に係るセンサーユニットの非常に簡略化された表現が、図3を参照して以下に説明される。
【0063】
ここに示されるセンサーユニット10は、2つのセンサー12および13を有する。2つのA/D変換器41および42を有するマイクロプロセッサー40は、センサーユニット10の中央に配置されている。これらの変換器は、ホールセンサーとして設計された2つのセンサー12,13からの信号をデジタル化するために使用される。さらに、マイクロプロセッサー40は、対応するインターフェース51に結合される入力および出力46を有する。インターフェース51は、2線式回線54に接続されており、この2線式回線54は、一方では電力供給のために使用され、他方ではセンサーユニット10の信号転送のためにも使用される。
【0064】
一方では、速度についての上述の評価は、マイクロプロセッサー40において行うことができる。しかしながら、他方では、データを単にデジタル化し、それらを特定の方法で処理し、それらを、インターフェース46,51を介し2線式回線54を介して下流の評価ユニットに転送することも可能である。
【0065】
このデータ転送をさらに安全にするために、2線式回線54を介したこの転送が、例えば、暗号化方式で、または別方式でコード化されて、行われ、その結果、信号が回線自体で交換されることがないようにすることができる。
【0066】
したがって、車両の速度を特定するためのデータを求めるための本発明に係る装置および本発明に係る方法を使用して、改ざんを実質的に排除することができるように、これらのデータを求めることが可能である。
図1
図2
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2022-10-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両、特に自転車は、車輪(20)と、速度を特定するためのデータを求めるための装置と、を有し、
前記装置は、
前記車輪(20)に取り付けられ、前記車輪(20)の回転時に円運動を行う磁石(26)と、
記磁石(26)が通過する前記車両の部品に固定され、前記磁石の前記円運動によって生じる信号を記録するためのセンサーユニット(10)と、
を有し、
前記センサーユニット(10)は、磁場強度および/または磁場強度変化を測定するための少なくとも1つのセンサー(12,13,14)を有し、
前記センサー(12,13,14)は、少なくとも200Hzのサンプリング周波数で前記磁場強度変化をサンプリングするように構成され、
磁場強度および/または磁場強度変化を測定するために少なくとも2つのセンサー(12,13,14)が設けられ、
磁場強度および/または磁場強度変化を測定するための前記少なくとも2つのセンサー(12,13,14)は、前記磁石(26)の前記円運動(22)の方向に並ぶことを特徴とする、車両。
【請求項2】
磁場強度および/または磁場強度変化を測定するための前記1つまたは複数のセンサー(12,13,14)は、ホールセンサーであることを特徴とする、請求項1に記載の車両。
【請求項3】
さらに、前記装置によって前記両の速度を特定するための評価装置を含み、
磁場強度および/または磁場強度変化のデータ(k1,k2,k3)に基づいて、前記車両の前記速度を特定するための評価ユニットを有することを特徴とする、車両。
【請求項4】
前記評価ユニットは、磁場強度変化の継続時間Δ4、特に閾値(hs)を上回る存在の
継続時間を分析して、前記速度を特定するように設計されていることを特徴とする、請求項3に記載の車両。
【請求項5】
前記評価ユニットは、2つの隣接するセンサーのデータΔ1,Δ2の時間間隔を分析して、磁場強度および/または磁場強度変化を測定し、前記車両の前記速度を特定するように設計されていることを特徴する、請求項3または4に記載の車両。
【請求項6】
前記評価ユニットは、前記磁場強度変化の時間的反復率を評価して、前記車両の前記速度を特定するように設計されていることを特徴とする、請求項3ないし5のいずれか1項に記載の車両。
【請求項7】
前記評価ユニットは、改ざんを検出するために、前記磁場強度変化のプロファイル(k1,k2,k3)を所定の目標プロファイルと比較するように構成されていることを特徴とする、請求項3ないし6のいずれか1項に記載の車両。
【請求項8】
前記データを求めるための前記装置と前記評価装置との間のデータ転送が保護されるように、特に暗号化されるように設計されていること、および/または、
前記評価装置は、安全に、特に暗号化方式で、下流の処理ユニットへのデータ転送を行うように構成されていることを特徴とする、請求項3ないし7のいずれか1項に記載の車両。
【請求項9】
車両、特に自転車の速度を特定するためのデータを求める方法であって、
磁石(26)は、車輪(20)に取り付けられて、前記車輪(20)の回転中に円運動(22)を行い、
前記磁石(26)の前記円運動(22)によって生じる信号を記録するためのセンサーユニット(10)は、前記磁石(26)が通過する前記車両の部品に固定され、
前記センサーユニット(10)によって、磁場強度変化の定量的測定が行われ、
前記測定は、少なくとも200Hzのサンプリング周波数で行われ、
センサーユニット(10)として、磁場強度および/または磁場強度変化を測定するための少なくとも2つのセンサー(12,13,14)を含むセンサーユニット(10)が選択され、
磁場強度および/または磁場強度変化を測定するための前記少なくとも2つのセンサー(12,13,14)は、前記磁石(26)が前記車輪(20)に取り付けられた場合に、前記磁石(26)の前記円運動(22)の方向に並ぶ、方法。
【請求項10】
前記車両の前記速度を特定するために、磁場強度変化の継続時間、特に、閾値(hs)を上回る存在の継続時間Δ4が評価されることを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記センサーユニット(10)は、前記磁石(26)の前記円運動(22)の方向に並ぶ隣接した位置で前記磁場強度および/または前記磁場強度変化の少なくとも2つの測定を行い、
前記車両の前記速度を特定するために、前記磁場強度および/または前記磁場強度変化の前記少なくとも2つの測定の時間間隔Δ1,Δ2が評価されることを特徴とする、請求項9または10に記載の方法。
【請求項12】
前記速度を特定するために、前記磁場強度変化の時間的な繰り返し率が評価されることを特徴とする、請求項9ないし11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記磁場強度変化のプロファイルは、改ざんを認識するために分析されることを特徴とする、請求項9ないし12のいずれか1項に記載の方法。
【国際調査報告】