(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-25
(54)【発明の名称】パーソナルケア組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/9789 20170101AFI20240118BHJP
A61K 8/67 20060101ALI20240118BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20240118BHJP
A61P 1/02 20060101ALI20240118BHJP
A61P 17/10 20060101ALI20240118BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20240118BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240118BHJP
A61K 36/185 20060101ALI20240118BHJP
A61K 31/455 20060101ALI20240118BHJP
【FI】
A61K8/9789
A61K8/67
A61Q19/00
A61P1/02
A61P17/10
A61P29/00
A61P43/00 121
A61K36/185
A61K31/455
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023538851
(86)(22)【出願日】2021-12-06
(85)【翻訳文提出日】2023-08-14
(86)【国際出願番号】 EP2021084301
(87)【国際公開番号】W WO2022135883
(87)【国際公開日】2022-06-30
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2020/139518
(32)【優先日】2020-12-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(32)【優先日】2021-01-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521042714
【氏名又は名称】ユニリーバー・アイピー・ホールディングス・ベスローテン・ヴェンノーツハップ
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100172683
【氏名又は名称】綾 聡平
(74)【代理人】
【識別番号】100219265
【氏名又は名称】鈴木 崇大
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】グ,シュエラン
(72)【発明者】
【氏名】ミ,ティンヤン
【テーマコード(参考)】
4C083
4C086
4C088
【Fターム(参考)】
4C083AA111
4C083AA112
4C083AA121
4C083AA122
4C083AC851
4C083AC852
4C083AD631
4C083AD632
4C083CC41
4C083EE14
4C083EE23
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4C086AA01
4C086AA02
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4C086ZA67
4C086ZA89
4C086ZA92
4C086ZB11
4C086ZC75
4C088AB12
4C088AC04
4C088BA08
4C088CA03
4C088MA08
4C088MA63
4C088NA05
4C088ZA67
4C088ZA89
4C088ZA92
4C088ZB11
4C088ZC75
(57)【要約】
モリンガの抽出物;カカオ属の植物の抽出物;及び組成物の0.00001~0.08重量%のビタミンB3化合物を含むパーソナルケア組成物が開示される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)モリンガの抽出物;
(b)カカオ属の植物の抽出物;及び
(c)組成物の0.00001~0.08重量%のビタミンB3化合物
を含むパーソナルケア組成物。
【請求項2】
前記モリンガの抽出物がモリンガ・オレイフェラ・ラム(Moringa oleifera Lam.)及びモリンガ・プテリゴスペルマ(Moringa pterygosperma)の種子の抽出物から選択され、好ましくは前記モリンガの抽出物がモリンガ・プテリゴスペルマ(Moringa Pterygosperma)種子抽出物、モリンガ・オレイフェラ(Moringa oleifera)種子油又はそれらの組み合わせのINCI名を有する抽出物から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
モリンガの抽出物が前記組成物の0.000001~2重量%の量で存在する、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
前記カカオ属の植物の抽出物が、テオブロマ・カカオ(Theobroma cacao)(ココア)殻抽出物、テオブロマ・カカオ(Theobroma cacao)(ココア)種子抽出物又はそれらの混合物から選択される、前記請求項のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項5】
前記カカオ属の植物の抽出物が、前記組成物の0.000001~1重量%、好ましくは0.00001~0.005重量%の量で存在する、前記請求項のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項6】
前記ビタミンB3化合物がナイアシン及びナイアシンアミドから選択される、前記請求項のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項7】
前記ビタミンB3化合物が、前記組成物の0.0001重量%~0.06重量%、好ましくは0.002重量%~0.03重量%の量で存在する、前記請求項のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項8】
前記カカオ属の植物の抽出物と前記ナイアシンアミドとの比率が好ましくは1:1~30000:1の範囲である、前記請求項のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか1項に記載のパーソナルケア組成物を適用する段階を含む、炎症、歯肉炎、歯周炎、フケ及びにきびから選択される少なくとも一つの症状を緩和、抑制及び/又は軽減する方法。
【請求項10】
請求項1~8のいずれか1項に記載のパーソナルケア組成物を適用する段階を含む、少なくとも一つの炎症性サイトカインの放出を阻害する方法。
【請求項11】
炎症、歯肉炎、歯周炎、フケ及びにきびから選択される少なくとも一つの症状を緩和、抑制及び/又は軽減するための、請求項1~8のいずれか1項に記載のパーソナルケア組成物の使用。
【請求項12】
少なくとも一つの炎症性サイトカインの放出を阻害するための、請求項1~8項のいずれか1項に記載のパーソナルケア組成物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モリンガの抽出物;カカオ属の植物の抽出物;及び組成物の0.00001~0.08重量%のビタミンB3化合物を含むパーソナルケア組成物に関する。特に、そのような組成物は、皮膚と汚染物質との接触により生成される炎症性サイトカインの放出を阻害することができる。
【背景技術】
【0002】
大気汚染は、特に一部の発展途上国において大きな問題である。粒子状物質(PM)は、大気の質に影響を与える重要な物質の一つであり、硫酸塩、硝酸塩、アンモニア、塩化ナトリウム、黒色炭素、鉱物粉塵及び水で構成される吸入可能な粒子である。2.5ミクロン未満の微粒子(PM2.5)を含む直径10ミクロン未満の粒子(PM10)は、肺や血流に侵入し得るため、健康に極めて大きいリスクをもたらす。さらに、PMは人間の皮膚に対して汚染による有害効果をもたらす可能性がある。これらの有害効果には、早期老化、小じわやしわの発生、シミ、色素沈着過剰、発疹及び炎症などがある。
【0003】
PMは、活性酸素種の生成やTNF-α、IL-1α及びIL-8などの炎症性サイトカインの分泌を介して酸化ストレスを誘発する。さらに、PM曝露によるスーパーオキシドやヒドロキシルラジカルなどのROSの生成増加により、MMP-1、MMP-2及びMMP-9などのMMPが増加し、コラーゲンの分解が生じる。これらのプロセスは、炎症性皮膚疾患の増加と皮膚の老化につながる。全体として、PMレベルの増加は、酸化ストレスや炎症性サイトカインの制御を介した各種皮膚疾患の発症に関連している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、本発明者らは、大気汚染物質の有害な効果から皮膚を保護できるパーソナルケア組成物を開発する必要があることを認識した。本発明者らは、驚くべきことに、モリンガの抽出物、カカオ属の植物の抽出物、及び少量のビタミンB3化合物の組み合わせが、改善された炎症性サイトカイン放出阻害効果を示すことを見出した。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の態様では、本発明は、モリンガの抽出物;カカオ属の植物の抽出物;及び組成物の0.00001~0.08重量%のビタミンB3化合物を含むパーソナルケア組成物に関する。
【0006】
第2の態様では、本発明は、本発明のパーソナルケア組成物を適用する段階を含む、炎症、歯肉炎、歯周炎、フケ、及びにきびから選択される少なくとも一つの症状を緩和、抑制、及び/又は軽減する方法に関する。
【0007】
第3の態様では、本発明は、炎症、歯肉炎、歯周炎、フケ及びにきびから選択される少なくとも一つの症状を緩和、抑制及び/又は軽減するための本発明のパーソナルケア組成物の使用に関する。
【0008】
本発明の他のすべての態様は、以下の詳細な説明及び実施例を考慮することにより、より容易に明らかになるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施例を除いて、又は他に明示的に示された場合を除き、材料の量又は反応の条件、材料の物理的特性、及び/又は使用を示す本記載におけるすべての数字は、任意に、「約」という単語によって修飾されているものとして理解することができる。
【0010】
別断の断りがない限り、すべての量は組成物の重量基準である。
【0011】
留意すべき点として、値の範囲について言及する場合、特定の上限値は特定の下限値と関連付けられていることができる。
【0012】
誤解を避けるために、「含む(comprising)」という言葉は、「含む(including)」を意味することを意図しているが、必ずしも「からなる(consisting of)」又は「から構成されている(composed of)」を意味するとは限らない。言い換えれば、列記された段階又は選択肢は網羅的である必要はない。
【0013】
請求項は複数の従属又は重複なしで見つかり得るという事実にかかわらず、本明細書中に見られる本発明の開示は、互いに多項従属した請求項中に見出される全ての実施形態をカバーするものと考えるべきである。
【0014】
本発明の特定の態様(例えば、本発明の組成物)に関して、ある特徴が開示される場合、そのような開示はまた、必要な変更を加えて本発明のいずれか他の態様(例えば、本発明に関連する方法)に適用されると見なされるべきである。
【0015】
本発明の組成物は、モリンガの抽出物を含む。代表的には、モリンガの抽出物は、モリンガの種子、果実、葉及び/又は樹皮の抽出物であり、好ましくはモリンガの種子及び/又は果実の抽出物であり、より好ましくはモリンガの種子の抽出物である。好ましくは、モリンガは、モリンガ・オレイフェラ・ラム(Moringa oleifera Lam.)、モリンガ・プテリゴスペルマ(Moringa pterygosperma)、モリンガ・ペレグリナ(Moringa peregrina)、モリンガ・コンカネンシス(Moringa concanensis)及びモリンガ・ドルーハルディ(Moringa drouhardii)から選択される。より好ましくは、モリンガの抽出物は、モリンガ・オレイフェラ・ラム(Moringa oleifera Lam.)及びモリンガ・プテリゴスペルマ(Moringa pterygosperma)の種子の抽出物から選択される。最も好ましくは、モリンガの抽出物は、モリンガ・プテリゴスペルマ(Moringa Pterygosperma)種子抽出物、モリンガ・オレイフェラ(Moringa oleifera)種子油又はそれらの組み合わせのINCI名を有する抽出物から選択される。好ましくは、モリンガ・プテリゴスペルマ(Moringa Pterygosperma)種子抽出物は、モリンガ・オレイフェラ(Moringa oleifera)の種子から抽出されたタンパク質である。
【0016】
好ましくは、モリンガの抽出物は、水性モリンガ抽出物である。水性抽出物とは、抽出物が、水又は残りの溶媒と混合した水を用いることで得られることを指す。前記残りの溶媒は、エタノール、アセトン、酢酸エチル、グリセリン、ブチレングリコール、又はそれらの混合物から選択することができる。好ましくは、水性抽出物は、水及び/又はグリセリンを用いることで得られる抽出物である。
【0017】
好ましくは、モリンガ抽出物は、組成物の0.000001重量%~2重量%の量で、より好ましくは0.00001重量%~0.5重量%の量で、さらにより好ましくは0.0003重量%~0.2重量%の量で、最も好ましくは組成物の0.002重量%~0.1重量%の量で組成物中に存在する。
【0018】
本発明の組成物は、カカオ属の植物の抽出物を含む。代表的には、カカオ属の植物の抽出物は、カカオ属の植物の種子、果実、葉及び/又は樹皮の抽出物であり、好ましくはカカオ属の植物の種子及び/又は果実の抽出物を含み、より好ましくはカカオ属の植物の種子の抽出物を含む。好ましくは、カカオ属の植物はカカオ及び/又はクプアスであり、より好ましくはカカオ属の植物はカカオである。さらにより好ましくは、カカオ属の植物の抽出物は、テオブロマ・カカオ(Theobroma cacao)(ココア)殻抽出物、テオブロマ・カカオ(Theobroma cacao)(ココア)種子抽出物又はそれらの混合物から選択される。最も好ましくは、カカオ属の植物の抽出物は、テオブロマ・カカオ(Theobroma cacao)(ココア)種子抽出物である。
【0019】
好ましくは、モリンガの抽出物は、カカオ属の植物の水性抽出物である。水性抽出物とは、抽出物が、水又は残りの溶媒と混合した水を用いることで得られることを指す。前記残りの溶媒は、エタノール、アセトン、酢酸エチル、グリセリン、ブチレングリコール、又はそれらの混合物から選択することができる。好ましくは、水性抽出物は、水及び/又はブチレングリコールを用いることで得られる抽出物である。
【0020】
好ましくは、カカオ属の植物の抽出物は組成物の0.000001重量%~1重量%の量で、より好ましくは組成物の0.000004重量%~0.1重量%の量で、さらにより好ましくは0.00001重量%~0.005重量%の量で、最も好ましくは0.00002重量%~0.001重量%の量で組成物中に存在する。
【0021】
明確にするために、本発明における抽出物の重量は、代表的には、抽出溶媒の重量を除いた、植物から抽出されたすべての成分の重量を指す。
【0022】
改善された抗炎症効果及び/又は好適な感覚を達成するために、モリンガの抽出物のカカオ属の植物の抽出物との重量比は、好ましくは1:1~30000:1の範囲、より好ましくは7:1~5000:1、さらにより好ましくは40:1~1000:1の範囲である。好ましくは、モリンガの抽出物中のタンパク質のカカオ属の植物の抽出物との重量比は、好ましくは1:100~100:1、より好ましくは20:1~1:20、より好ましくは1:5~5:1の範囲である。
【0023】
本明細書で使用されるビタミンB3化合物は、ナイアシン、ナイアシンアミド、ニコチニルアルコール、及びこれらの化合物の誘導体及び塩も含む。ビタミンB3化合物の誘導体は、代表的には、ニコチン酸エステル、カルボン酸のニコチニルアルコールエステル、ナイアシンアミドN-オキシド、ニコチニルアミノ酸及びニコチン酸n-オキシドを含む。好ましいビタミンB3化合物はナイアシン及びナイアシンアミドから選択され、特に好ましいビタミンB3化合物はナイアシンアミドである。
【0024】
好ましくは、ビタミンB3化合物は、組成物の0.00001~0.08重量%の量で、より好ましくは組成物の0.0001~0.06重量%の量で、さらにより好ましくは0.0005~0.04重量%の量で、最も好ましくは0.002~0.03重量%の量で存在する。
【0025】
改善された抗炎症効果及び/又は好適な感覚を達成するために、モリンガの抽出物のナイアシンアミドとの重量比は、好ましくは1:100~300:1、好ましくは1:30~100:1、より好ましくは1:10~30:1の範囲である。
【0026】
当該組成物は、好ましくはクレンジング界面活性剤を含む。複数のクレンジング界面活性剤が組成物中に含まれていてもよい。クレンジング(cleaning)界面活性剤は、石鹸、非石鹸のアニオン性、カチオン性、ノニオン性、両性界面活性剤及びそれらの混合物から選択することができる。多くの適切な界面活性化合物が入手可能であり、文献、例えば、″Surface-Active Agents and Detergents″, Volumes I and II, by Schwartz, Perry and Berchに詳細に記載されている。使用できる好ましい界面活性化合物は、石鹸、非石鹸アニオン性、ノニオン性界面活性剤、両性界面活性剤、又はそれらの混合物である。
【0027】
好適な非石鹸アニオン性界面活性剤としては、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩、1級及び2級アルキル硫酸塩、特にC8~C151級アルキル硫酸塩;アルキルエーテル硫酸塩;オレフィンスルホン酸塩;アルキルキシレンスルホン酸塩;ジアルキルスルホコハク酸塩;脂肪酸エステルスルホン酸塩;又はそれらの混合物などがある。一般にナトリウム塩が好ましい。
【0028】
最も好ましい非石鹸アニオン性界面活性剤は、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩、特にC8~C15のアルキル鎖長を有する直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩である。直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩の量が全組成物の0重量%~30重量%である場合が好ましく、より好ましくは1重量%~25重量%、最も好ましくは2重量%~15重量%である。
【0029】
使用できるノニオン性界面活性剤としては、1級及び2級アルコールエトキシレート、特にはアルコール1モル当たり平均1~20モルのエチレンオキサイドでエトキシル化されたC8~C20脂肪族アルコール、より特にはアルコール1モル当たり平均1~10モルのエチレンオキサイドでエトキシル化されたC10~C151級及び2級脂肪族アルコールなどがある。非エトキシル化ノニオン性界面活性剤には、アルキルポリグリコシド、グリセロールモノエーテル、及びポリヒドロキシアミド(グルカミド)などがある。ノニオン性界面活性剤のレベルが、本発明のマイクロカプセルを含む完全に製剤された組成物の0重量%~30重量%、好ましくは1重量%~25重量%、最も好ましくは2重量%~15重量%であることが好ましい。
【0030】
好適な両性界面活性剤は好ましくはベタイン界面活性剤である。好適な両性界面活性剤の例には、アルキルベタイン、アルキルアミドベタイン、アルキルスルホベタイン、アルキルスルタイン及びアルキルアミドスルタイン;好ましくは、アルキル基及びアシル基に8~約18個の炭素を有するものなどがあるが、これらに限定されるものではない。両性界面活性剤の量が、組成物の0~20重量%であることが好ましく、より好ましくは1~10重量%である。
【0031】
特定のモノアルキルカチオン性界面活性剤を含めることも可能である。使用され得るカチオン性界面活性剤には、一般式R1R2R3R4N+X-の四級アンモニウム塩[式中、R基は長鎖又は短鎖の炭化水素鎖、代表的にはアルキル、ヒドロキシアルキル又はエトキシル化アルキル基であり、Xは対イオンである(例えば、R1がC8-C22アルキル基、好ましくはC8-C10又はC12-C14アルキル基であり、R2がメチル基であり、同一若しくは異なっていても良いR3及びR4がメチル基若しくはヒドロキシエチル基である化合物)。];及びカチオン性エステル(例えば、コリンエステル)などがある。
【0032】
水不溶性の皮膚有益剤も、コンディショナー及び保湿剤として組成物に配合することができる。例としては、シリコーンオイル;流動パラフィン、ワセリン、微結晶ロウ及び鉱油等の炭化水素類;及びヒマワリ種油及び綿実油などの植物性トリグリセリドなどがある。
【0033】
一部の組成物は増粘剤を含むことができる。これらは、セルロース誘導体、天然ゴム及びアクリルポリマーから選択することができるが、この増粘剤の種類によって限定されない。セルロース誘導体には、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びそれらの組み合わせがある。適切なガムには、キサンタン、ペクチン、カラヤ、寒天、アルギン酸ガム及びそれらの組み合わせなどがある。アクリル系増粘剤の中には、Lubrizol Corporationから入手可能なCarbopol 1382、Carbopol 982、Ultrez、Aqua SF-1及びAqua SF-2などのカルボマー等のアクリル酸及びメタクリル酸のホモポリマー及びコポリマーがある。増粘剤の量は、組成物中の活性ポリマー(溶媒又は水を除く)の0.01~3重量%の範囲であることができる。
【0034】
潜在的に有害な微生物の増殖に対する保護を行うために、望ましくは防腐剤を本発明の組成物に組み込むことができる。本発明の組成物に適した従来の防腐剤は、パラ-ヒドロキシ安息香酸のアルキルエステルである。最近使用されるようになった他の防腐剤には、ヒダントイン誘導体、プロピオン酸塩、及び多様な四級アンモニウム化合物などがある。特に好ましい防腐剤は、フェノキシエタノール、メチルパラベン、プロピルパラベン、イミダゾリジニル尿素、デヒドロ酢酸ナトリウム及びベンジルアルコールである。防腐剤は、組成物の使用及び防腐剤と他の成分との間の起こり得る不適合性を考慮して選択されるべきである。防腐剤は、組成物の0.01重量%~2重量%の範囲の量で使用することが好ましい。
【0035】
多様な他の任意の材料を組成物に配合することができる。これらには、2-ヒドロキシ-4,2′,4′-トリクロロジフェニルエーテル(トリクロサン)、2,6-ジメチル-4-ヒドロキシクロロベンゼン及び3,4,4′-トリクロロカルバニリドなどの抗菌剤;ポリエチレン及びシリカ又はアルミナなどのスクラブ及び剥離粒子;メントールなどの清涼剤;アロエベラなどの皮膚鎮静剤;及び着色剤などがあり得る。
【0036】
さらに、本発明の組成物はさらに、0.5~10重量%のエチレンジアミン四酢酸四ナトリウム(EDTA)、EHDP又は混合物などの金属イオン封鎖剤;エチレングリコールジステアレート、二酸化チタン、又はLytron 621(スチレン/アクリレートコポリマー)などの乳白剤及びパール光沢剤を含むことができ、これらはすべて、製品の外観や特性を向上させるのに有用である。
【0037】
当該組成物は、組成物の10~95重量%、より好ましくは25~90重量%、さらにより好ましくは32~85重量%、最も好ましくは45~78重量%の量で水を含むことができる。
【0038】
好ましくは、当該組成物は、約20s-1の比較的高いせん断速度で20℃で測定した場合に、少なくとも10mPa・s、より好ましくは30~10000mPa・sの範囲、さらにより好ましくは50~5000mPa・s、最も好ましくは100~2000mPa・sの粘度を有する。好ましくは、当該組成物は、流体の形態である。
【0039】
好ましくは、当該パーソナルケア組成物はスキンケア組成物である。本明細書で使用される場合の「皮膚(スキン)」という用語は、顔、首、胸、腹部、背中、腕、脇の下、手、及び脚の皮膚を含む。好ましくは、「皮膚(スキン)」とは、顔及び脇の下の皮膚を意味し、より好ましくは、皮膚(スキン)とは、唇及びまぶた以外の顔の皮膚を意味する。
【0040】
いかなる特定の理論や説明にも束縛される意図はないが、有害な刺激に対する生理的宿主応答である炎症は、宿主が刺激を除去し、自己防衛のために治癒プロセスを開始する機序である。宿主の自然免疫系は、非特異的な方法で侵入する生物に対する防御の第一線である。炎症の調節不全は、歯肉炎/歯周炎(口腔内)、フケ(頭皮/髪上)、湿疹性にきび(皮膚)などの各種パーソナルケア上の問題を引き起こす可能性がある。炎症は、上記の状態の一つ又はすべてでヒト又は動物の体の局所表面に現れるプロセスである。
【0041】
したがって、本発明は、本発明のパーソナルケア組成物を適用する段階を含む、炎症、歯肉炎、歯周炎、フケ、及びにきびから選択される少なくとも一つの症状を緩和、抑制、及び/又は軽減する方法も提供する。好ましくは、この方法は、抗炎症効果を提供する方法、好ましくは、特に皮膚と汚染物質との接触による少なくとも一つの炎症性サイトカインの放出を阻害する方法である。
【0042】
さらに、本発明は、炎症、歯肉炎、歯周炎、フケ及びにきびから選択される少なくとも一つの症状を緩和、抑制及び/又は軽減するための本発明のパーソナルケア組成物の使用も提供する。好ましくは、その使用は、抗炎症効果を提供するためのものであり、より好ましくは、特に皮膚と汚染物質との接触による少なくとも一つの炎症性サイトカインの放出を阻害するためのものである。
【0043】
汚染物質は粒子状汚染物質であることが好ましい。より好ましくは、粒子状汚染物質は、過酸化スクアレン、PM2.5、又はPM10のうちの少なくとも一つである。好ましくは、その使用は非治療的である。好ましくは、その方法は非治療的である。非治療的という用語は、美容目的であり、治癒目的でも治療目的ではないことを意味する。より好ましくは、炎症性サイトカインは、TNF-α、IL-8、又はIL-1αである。
【0044】
本発明は、炎症、歯肉炎、歯周炎、フケ及びにきびから選択される少なくとも一つの症状の治療での使用のための、好ましくは抗炎症効果を提供するための、より好ましくは特に皮膚と汚染物質との接触による少なくとも一つの炎症性サイトカインの放出を阻害するための、モリンガの抽出物;カカオ属の植物の抽出物;及び組成物の0.00001~0.08重量%のビタミンB3化合物を含むパーソナルケア組成物も提供する。
【0045】
本発明は、炎症、歯肉炎、歯周炎、フケ及びにきびから選択される少なくとも一つの症状の治療のための、好ましくは抗炎症効果を提供するための、より好ましくは特に皮膚と汚染物質との接触による少なくとも一つの炎症性サイトカインの放出を阻害するための医薬の製造におけるモリンガの抽出物;カカオ属の植物の抽出物;及び0.00001~0.08重量%のビタミンB3化合物の使用も提供する。
【0046】
以下の実施例は、本発明の理解を容易にするために提供される。当該実施例は特許請求の範囲を限定するものではない。
【実施例】
【0047】
【0048】
実施例1
EpiKutis(登録商標)生体皮膚等価物(LSE)は、Biocell(Xi′an、中国)によって供給される所定の無血清培地中の気液界面培養を通じた中国ヒトケラチノサイトを使用した3D再構築ヒト表皮モデルである。ストレスの代替指標であるスクアレンモノヒドロペルオキシド(SQOOH)は、増感剤の存在下でスクアレンに太陽光照射することにより社内で調製した。
【0049】
スクアレンを使用してSQOOHを希釈した。モリンガ油を100mMの濃度でDMSO(ジメチルスルホキシド)に溶かして原液を形成した。表1のサンプルは、さらなる実験に使用する前に、モリンガ油及び/又は原液を除く材料を表1に示す所望のレベルまでPBS(リン酸緩衝生理食塩水)で希釈することによって調製した。
【0050】
サンプルをLSEに局所的に塗布し、続いて1%SQOOH 3μLを塗布した。次いで、培地を24時間間隔で新しいものに交換した。72時間後、組織学検査及び生存率の程度を調べるために組織を採取した。IL-1α発現は、R&D Systemsからのヒトイムノアッセイキット(カタログDLA50)を使用して評価し、製造業者の説明書に従って調べた。
【0051】
【0052】
表1のデータは、モリンガ抽出物とテオブロマ・カカオ(Theobroma cacao)種子抽出物の組み合わせに非常に低レベルのナイアシンアミドを含めた場合、IL-1α発現が大幅に阻害されたことを示している。
【手続補正書】
【提出日】2022-12-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)モリンガの抽出物;
(b)カカオ属の植物の抽出物;及び
(c)組成物の
0.0001~0.06重量%のビタミンB3化合物
を含むパーソナルケア組成物
であって、
前記モリンガの抽出物が、モリンガ・プテリゴスペルマ(Moringa Pterygosperma)種子抽出物およびモリンガ・オレイフェラ(Moringa oleifera)種子油のINCI名を有する抽出物の組み合わせである、組成物。
【請求項2】
モリンガの抽出物が前記組成物の0.000001~2重量%の量で存在する、請求項
1に記載の組成物。
【請求項3】
前記カカオ属の植物の抽出物が、テオブロマ・カカオ(Theobroma cacao)(ココア)殻抽出物、テオブロマ・カカオ(Theobroma cacao)(ココア)種子抽出物又はそれらの混合物から選択される、
請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
前記カカオ属の植物の抽出物が、前記組成物の0.000001~1重量%、好ましくは0.00001~0.005重量%の量で存在する、前記請求項のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項5】
前記ビタミンB3化合物がナイアシン及びナイアシンアミドから選択される、前記請求項のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項6】
前記ビタミンB3化合物が、前記組成物
の0.002重量%~0.03重量%の量で存在する、前記請求項のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項7】
前記カカオ属の植物の抽出物と前記ナイアシンアミドとの比率が好ましくは1:1~30000:1の範囲である、前記請求項のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項8】
請求項1~
7のいずれか1項に記載のパーソナルケア組成物を適用する段階を含む、炎症、歯肉炎、歯周炎、フケ及びにきびから選択される少なくとも一つの症状を緩和、抑制及び/又は軽減する方法。
【請求項9】
請求項1~
7のいずれか1項に記載のパーソナルケア組成物を適用する段階を含む、少なくとも一つの炎症性サイトカインの放出を阻害する方法。
【請求項10】
炎症、歯肉炎、歯周炎、フケ及びにきびから選択される少なくとも一つの症状を緩和、抑制及び/又は軽減するための、請求項1~
7のいずれか1項に記載のパーソナルケア組成物の使用。
【請求項11】
少なくとも一つの炎症性サイトカインの放出を阻害するための、請求項1~
7のいずれか1項に記載のパーソナルケア組成物の使用。
【国際調査報告】