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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-25
(54)【発明の名称】回転可能ノブインタフェース
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/0362 20130101AFI20240118BHJP
   G06F 3/041 20060101ALI20240118BHJP
【FI】
G06F3/0362 461
G06F3/041 560
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023539815
(86)(22)【出願日】2022-01-06
(85)【翻訳文提出日】2023-07-25
(86)【国際出願番号】 US2022011379
(87)【国際公開番号】W WO2022150432
(87)【国際公開日】2022-07-14
(31)【優先権主張番号】17/142,667
(32)【優先日】2021-01-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502161508
【氏名又は名称】シナプティクス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100205350
【弁理士】
【氏名又は名称】狩野 芳正
(74)【代理人】
【識別番号】100117617
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 圭策
(72)【発明者】
【氏名】フォン、ケルヴィン
【テーマコード(参考)】
5B087
【Fターム(参考)】
5B087AD01
5B087BC12
5B087BC13
5B087BC34
(57)【要約】
回転可能インタフェースのズレを検出する方法が開示される。該回転可能インタフェースは、底面に導電性領域を有する固定基部を有しており、固定基部が入力装置の表示画面に取り付けられる。当該方法は、第1期間に、それぞれ導電性領域に容量カップリングされた入力装置の第1セット及び第2セットの電極に基準信号を提供することを含む。該方法は、更に、第2期間に、電極の前記第1セットに基準信号を供給し、電極の前記第2セットに検知信号を供給し、電極の前記第2セットで結果信号を受信することを含む。該方法は、更に、前記入力装置の前記表示画面に対する前記回転可能インタフェースの平行移動を、前記第2期間における前記結果信号の値に少なくとも部分的に基づいて判定することを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
センサ電極を備える表示パネルと、
前記センサ電極に結合された処理システムと、
前記表示パネルの上方に配置された電子デバイスと、
を備え、
前記処理システムが、
第1期間に、前記センサ電極の第1サブセットを、基準信号で前記第1サブセットを駆動することによって入力検知用に作動させ、
前記第1期間に、前記センサ電極の第2サブセットを、前記基準信号で前記第2サブセットを駆動することによって入力検知用に作動させ、
第2期間に、検知信号で前記センサ電極の前記第1サブセットを駆動し、前記センサ電極の前記第1サブセットから結果信号を受信することによって前記センサ電極の前記第1サブセットをズレ検知用に作動させ、
前記第2期間に、前記基準信号で前記検知電極の前記第2サブセットを駆動する、
するように構成され、
前記電子デバイスが、
前記センサ電極の前記第1サブセット及び前記センサ電極の前記第2サブセットのそれぞれに結合するように構成された導電性領域を備えており、
前記第2期間に前記センサ電極の前記第1サブセットから受信された前記結果信号は、前記表示パネルに対する前記導電性領域の位置に基づく影響を受け、
前記処理システムが、更に、前記結果信号に基づいて前記表示パネルに対する前記電子装置のズレを判定するように構成されている、
検知システム。
【請求項2】
前記処理システムが、更に、前記第2期間に受信した前記結果信号を、前記センサ電極の前記第2サブセットについて受信した結果信号の以前のセットと比較するように構成されている
請求項1に記載の検知システム。
【請求項3】
前記結果信号の前記以前のセットは、前記処理システムによる前回の第2期間の動作中に受信されている
請求項2に記載の検知システム。
【請求項4】
前記結果信号の前記以前のセットは、前記電子デバイスを前記表示パネルに取り付けたときか、前記電子デバイスを前記表示パネルに取り付けた後かのどちらかで取得されている
請求項2に記載の検知システム。
【請求項5】
前記処理システムが、更に、前記表示パネルに対する前記電子装置のズレの距離及び方向を判定するように構成されている
請求項2に記載の検知システム。
【請求項6】
前記電子デバイスが、回転可能ノブインタフェースの固定基部である
請求項1に記載の検知システム。
【請求項7】
前記固定基部が、前記表示パネルに取り付けられている
請求項6に記載の検知システム。
【請求項8】
前記固定基部が、前記表示パネルに、導電性接着剤を少なくとも部分的に用いて取り付けられている
請求項6に記載の検知システム。
【請求項9】
前記センサ電極の前記第1サブセットが、前記表示パネル上で前記センサ電極の前記第2サブセットに隣接している
請求項1に記載の検知システム。
【請求項10】
前記電子デバイスが、前記表示パネル上に、前記センサ電極の前記第1サブセットと前記センサ電極の前記第2サブセットとの両方を含む前記表示パネルの領域の上方に設けられている
請求項9に記載の検知システム。
【請求項11】
前記処理システムが、更に、前記第1期間に、前記センサ電極の第3サブセット及び第4サブセットを、前記センサ電極の前記第3サブセット及び前記第4サブセットを検知信号で駆動し、前記センサ電極の前記第3サブセット及び前記第4サブセットからそれぞれの結果信号を受信することによって、入力検知用に作動させるように構成されている
請求項1に記載の検知システム。
【請求項12】
前記電子装置が、更に、第1結合電極と第2結合電極とを備え、
前記第1結合電極及び前記第2結合電極が、前記第1期間に、前記センサ電極の前記第3サブセット及び前記第4サブセットとそれぞれ結合し、前記センサ電極の前記第3サブセットおよび前記第4サブセットから前記それぞれの結果信号を受信するように構成されている
請求項11に記載の検知システム。
【請求項13】
センサ電極を備える表示パネルと、
前記センサ電極と結合された処理システムと、
前記表示パネルの上方に配置された電子デバイスと、
を備え、
前記処理システムが、
所定の期間に、前記センサ電極の第1サブセットを、前記センサ電極の前記第1サブセットを検知信号で駆動し、前記検知電極の前記第1サブセットから結果信号を受信することによって、ズレ検知用に作動させ、
前記所定の期間に、前記センサ電極の第2サブセットを、基準信号で前記第2サブセットを駆動することによって、入力検知用に作動させるように構成され、
前記電子デバイスが、前記センサ電極の前記第1サブセット及び前記センサ電極の前記第2サブセットのそれぞれと結合するように構成された導電性領域を備えており、
前記所定の期間に前記センサ電極の前記第1サブセットから受信された前記結果信号は、前記表示パネルに対する前記導電性領域の位置に基づく影響を受けており、
前記処理システムは、更に、前記所定の期間に前記センサ電極の前記第1サブセットから受信した前記結果信号を、前記センサ電極の前記第1サブセットについての結果信号の以前のセットと比較して前記表示パネルの表面に対する前記電子デバイスの平行移動を検出するように構成されている
検知システム。
【請求項14】
前記結果信号の前記以前のセットは、以前の繰り返しの前記所定の期間か、前記電子装置を前記表示パネルに取り付けたときか、前記電子装置を前記表示パネルに取り付けた後かのいずれかで取得される
請求項13に記載の検知システム。
【請求項15】
前記電子デバイスが、回転可能ノブインタフェースの固定基部である
請求項13に記載の検知システム。
【請求項16】
前記電子デバイスが、前記表示パネル上に、前記センサ電極の前記第1サブセットと、前記センサ電極の前記第2サブセットとの両方を含む前記表示パネルの領域の上方に設けられており、
前記センサ電極の前記第1サブセットにおける電極の数が、前記第2サブセットにおける電極の数の、ある割合に等しく、前記割合が0と1の間である
請求項13に記載の検知システム。
【請求項17】
入力装置に対する回転可能インタフェースのズレを検知する方法であって、
前記回転可能インタフェースが、固定基部を含み、
前記固定基部が、下面に導電性領域を有し、
前記固定基部が、前記入力装置の表示画面に取り付けられており、
前記方法が、
第1期間に、前記入力装置の電極の、前記導電性領域にそれぞれが容量的に結合されている第1セット及び第2セットに基準信号を供給することと、
第2期間に、前記電極の前記第1セットに基準信号を供給し、前記電極の前記第2セットに検知信号を供給することと、
前記第2期間に、前記電極の前記第2セットで結果信号を受信することと、
前記入力装置の前記表示画面に対する前記回転可能インタフェースの平行移動を、前記第2期間における前記結果信号の値に少なくとも部分的に基づいて判定することと、
を含む方法。
【請求項18】
前記入力装置の前記表示画面に対する前記回転可能インタフェースの平行移動を、前記回転可能インタフェースの以前のベースライン状態に基づいて判定することを更に含む
請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記回転可能インタフェースの前記以前のベースライン状態は、以前に格納された前記結果信号の値か、以前の第2期間に取得された結果信号の値かのどちらかである
請求項18に記載の方法。
【請求項20】
第3期間に、前記電極の前記第1セット及び前記第2セットに基準信号を供給することと、
第4期間に、前記電極の前記第1セットに前記基準信号を供給し、前記電極の前記第2セットに検知信号を供給することと、
前記第4期間に、前記電極の前記第2セットで結果信号を受信することと、
前記入力装置の前記表示画面に対する前記回転可能インタフェースの平行移動を、前記第2期間及び前記第4期間のそれぞれにおいて受信された前記結果信号の値の比較に少なくとも部分的に基づいて判定することと、
を更に含む
請求項17に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は、回転可能ノブインタフェースに関する。
【背景技術】
【0002】
近接検知装置を備える入力装置は、様々な電子システムで使用され得る。近接検知装置は、面によって画定された検知領域を含むことがあり、近接検知装置は、この検知領域における一以上の入力物体の存在、位置、力及び/又は動きを判定する。近接検知装置は、電子システム用のインタフェースを提供するために使用され得る。例えば、近接検知装置は、ノートブックコンピュータ若しくはデスクトップコンピュータに組み込まれた、又はそれらの周辺機器としてのタッチパッドなどの、より大型のコンピューティングシステム用の入力装置として使用され得る。近接検知装置は、しばしば、携帯電話に組み込まれたタッチ画面などの、より小型のコンピューティングシステムでも使用され得る。また、近接検知装置は、マルチメディアエンタテインメントシステム又は自動車の一部として実装されてもよい。このような場合、近接検知装置にノブを接続すると便利である。
【発明の概要】
【0003】
本概要は、以下の詳細な説明でさらに説明される一連の概念を、簡略化した形式で紹介するために提供される。本概要は、特許請求の範囲の主題の主要な特徴又は本質的な特徴を特定することを意図したものではなく、また、特許請求の範囲の主題の技術的範囲を限定することを意図したものでもない。
【0004】
検知システムが、センサ電極を備える表示パネルと、センサ電極に結合された処理システムとを含む。処理システムは、センサ電極の第1サブセットを、基準信号で第1サブセットを駆動することによって第1期間において入力検知用に作動させ、センサ電極の第2サブセットを、基準信号で第2サブセットを駆動することによって、第1期間において入力検知用に動作させるように構成されている。処理システムは、更に、検知信号でセンサ電極の第1サブセットを駆動し、センサ電極の第1サブセットから結果信号を受信することによって、第2期間においてセンサ電極の第1サブセットをズレ検知用に作動させ、第2期間において基準信号でセンサ電極の第2サブセットを駆動するように構成されている。検知システムは、更に、表示パネルの上に配置された電子デバイスを含む。電子デバイスは、センサ電極の第1サブセット及びセンサ電極の第2サブセットのそれぞれと結合するように構成された導電性領域を含む。第2期間にセンサ電極の第1サブセットから受け取った結果信号は、表示パネルに対する導電性領域の位置に基づく影響を受けている。処理システムは、更に、結果信号に基づいて、表示パネルに対する電子デバイスのズレを判定するように構成されている。
【図面の簡単な説明】
【0005】
本開示の上述した特徴を詳細に理解できるように、上記で簡単に要約した本開示のより具体的な説明については、その一部が添付図面に示されている実施形態を参照されたい。ただし、添付図面は本開示の一部の実施形態だけを示しており、本開示は他の同様に効果的な実施形態を許容し得えるのであるから、したがって、その範囲を限定すると考えるべきではないことに留意されたい。
【0006】
図1図1は、一以上の実施形態による、回転可能ノブインタフェースを有する例示的な入力装置を図示している。
【0007】
図2図2は、一以上の実施形態による、例示的な回転可能ノブインタフェースの断面側面図を図示している。
【0008】
図3図3は、図2の例示的な回転可能ノブインタフェースの分解図を図示している。
【0009】
図4A図4Aは、一以上の実施形態による、図3に示した例示的な回転可能ノブインタフェースの、基準電極の第1セットと、結合電極の2つのセットとを有する固定基部の下面図を図示している。
【0010】
図4B図4Bは、一以上の実施形態による、センサ電極のグリッドを図示する入力装置の例示的な部分を図示しており、センサ電極のグリッドは、センサ電極の2つのセットとして構成されている。
【0011】
図4C図4Cは、一以上の実施形態による、図4Aの例示的な回転可能ノブインタフェースの、図4Bのセンサ電極の例示的なグリッドの上方に配置された、固定基部を図示している。
【0012】
図5図5は、一以上の実施形態による、図3及び図4A図4Cの例示的な固定基部の、斜視上面図、下面図及び上面図を図示している。
【0013】
図6A図6Aは、図3に図示した、例示的な固定基部と例示的な樹脂軸受との、分解図及び折り畳み図を図示している。
【0014】
図6B図6Bは、例示的な平型リング形状軸受の上に設けた図3の例示的な回転ホイールを追加した、図6Aに示した分解図及び折り畳み図のそれぞれを図示している。
【0015】
図7A図7Aは、一以上の実施形態による、図3の回転ホイールの詳細な下面図を図示している。
【0016】
図7B図7Bは、一以上の実施形態による、図7Aの回転ホイールの詳細な上面図を図示している。
【0017】
図8図8は、一以上の実施形態による、図5及び図7Aにそれぞれ示した、例示的な固定基部の上面図と、例示的な回転ホイールの下面図と、これらの間の容量カップリングとを示す。
【0018】
図9A図9Aは、一以上の実施形態による、代替的な固定基部の下側を示す。
【0019】
図9B図9Bは、一以上の実施形態による、図11Aの代替的な固定基部の上面図を示す。
【0020】
図10図10は、一以上の実施形態による、導電性接着剤で取り付けられる領域の輪郭線を追加した、例示的な固定基部の下面図を図示している。
【0021】
図11図11は、一以上の実施形態による、回転ホイール及び薄型軸受の代わりに使用され得る例示的な導電性構造体を示す。
【0022】
図12A図12Aは、一以上の実施形態による、固定基部の底部の下側の導電性領域の下方に設けられ完全に接地された接地パッドのセットを、表示パネルの下方から見て図示している。
【0023】
図12B図12Bは、一以上の実施形態による、ノブのズレ検知方法によって所定の期間に検知波形で駆動される、図15Aに示した導電性領域の下の画素の半分を図示している。
【0024】
図13図13は、一以上の実施形態による、代替的なノブのズレ検知方法の例による、回転可能ノブ基部の底部の導電性領域の下方に設けられた画素のサブセットが検知波形で駆動される、図12Bの装置を図示している。
【0025】
図14図14は、一以上の実施形態による、回転可能ノブインタフェースを例示的な入力装置に実装するための方法の例を図示している。
【0026】
理解を容易にするために、図面で共通する同一の要素を示すために、可能であれば、同一の参照符号が使用されている。ある実施形態で開示された要素は、特段の言及がなくとも、別の実施形態でも有益に利用され得ることが予期されている。図面は、特に明記されない限り、寸法通りで描かれているものと理解されるべきではない。また、表現及び説明を明確にするために、図面は簡略化され得るし、詳細又は構成要素は省略され得る。図面及び文章は、以下に論じる原理の説明に役立ち、ここで同様の参照符号は同様の要素を表す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下の説明では、上/下、中/外、上方/下方などの、視点に基づく説明を使用する場合がある。このような説明は、単に議論を容易にするために使用されるものであって、本願で説明する実施形態の適用を特定の方向に限定することを意図するものではない。
【0028】
以下の説明では、「一実施形態において」、「一以上の実施形態において」又は「いくつかの実施形態において」という語句が使用される場合があり、これらのそれぞれは一以上の同じ又は異なる実施形態を指し得る。更に、本開示の実施形態で使用される「備える」、「含む」、「有する」などの用語は、同義である。
【0029】
請求項を含む本願において、「と結合された」という用語及びその派生語と、「に接続された」という用語及びその派生語とが使用され得る。「結合された」又は「接続された」は、以下のうちの1つ又は複数の意味を有し得る。「結合された」又は「接続された」は、二以上の要素が直接、物理的に又は電気的に接していることを意味する場合がある。ただし、「結合された」又は「接続された」は、二以上の要素が互いに間接的に接しているが、それでも互いに協働したり相互作用したりすることを意味する場合もある。また、互いに結合又は接続されたといわれる要素との間に、一以上の他の要素が結合又は接続されていることを意味する場合もある。「直接的に結合された」又は「直接的に接続された」という用語は、二以上の要素が直接接触していることを意味する場合がある。
【0030】
請求項を含む本願で用いられる「回路」という用語は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit:特定用途向け集積回路)、電子回路、一以上のソフトウェア又はファームウェアのプログラムを実行する(共有、専用、又はグループの)プロセッサ及び/又は(共有、専用、又はグループの)メモリ、組み合わせ論理回路、及び/又はその他の、説明される機能を提供する適切な構成要素をいう場合があり、その一部である場合があり、又はこれらを含む場合がある。
【0031】
図1は、本開示の実施形態による例示的な電子デバイス100(例えば、入力装置又はシステム)のブロック図である。電子デバイス100は、電子システム(図示せず)に入力を提供し、及び/又は、一以上のデバイスを更新するように構成され得る。本文書で使用される「電子システム」(又は「電子デバイス」)という用語は、情報を電子的に処理可能な任意のシステムを広く指している。電子システムの非限定的な例としては、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、ネットブックコンピュータ、タブレット、ウェブブラウザ、電子ブックリーダー及び携帯情報端末(PDA)等、あらゆるサイズ及び形状のパーソナルコンピュータが挙げられる。追加の電子システムの例としては、電子デバイス100と、別個のジョイスティック又はキースイッチとを備える物理キーボードのような複合入力装置が挙げられる。更なる電子システムの例としては、データ入力装置(リモコン及びマウスを含む)及びデータ出力装置(表示スクリーン及びプリンタを含む)等の周辺機器が挙げられる。その他の例としては、リモート端末、キオスク端末、及び、テレビゲーム機(例えば、テレビゲームコンソール、携帯ゲーム機を含む)が含まれる。その他の例としては、通信装置(スマートフォン等の携帯電話を含む)及びメディア機器(レコーダ、エディタ、テレビ、セットトップボックス、音楽プレーヤ、デジタルフォトフレーム等のプレーヤ、デジタルカメラを含む)が挙げられる。加えて、電子システムは、入力装置に対してホスト又はスレーブであってもよい。他の実施形態では、電子システムが自動車の一部であってもよく、電子デバイス100は、自動車の一以上の検知装置を表している。例えば、電子デバイス100は自動車のマルチメディアエンタテインメントシステムの一部である。一実施形態において、自動車は複数の電子デバイス100を含んでもよく、それぞれの電子デバイス100は互いに異なる構成であってもよい。
【0032】
電子デバイス100は、電子システムの物理部分として実装されてもよく、又は、電子システムから物理的に離れていることも可能である。電子デバイス100は、必要に応じて、バス、ネットワーク及びその他の有線又は無線による相互接続手段のうちの一以上を用いて、電子システムの一部と通信してもよい。通信プロトコルの例としては、I2C(Inter-Integrated Circuit)、SPI(Serial Peripheral Interface)、PS/2(Personal System/2)、USB(Universal Serial Bus)、Bluetooth(登録商標)、RF(Radio Frequency)及びIrDA(Infrared Data Association)の通信プロトコルが挙げられる。
【0033】
電子デバイス100は、ユーザ入力を検出するためにセンサコンポーネント及び検知技術の任意の組み合わせを利用し得る。例えば、図1に示すように、電子デバイス100は、物体を検出し、及び/又は、一以上のデバイスを更新するように駆動されることがある一以上のセンサ電極125を備えている。センサ電極125は、容量性検知装置の一部であり得る。他の実施形態では、センサ電極125が、とりわけ、画像検知装置、レーダ検知装置、または超音波検知装置の一部であってもよい。一実施形態では、センサ電極125が別個のセンサ電極である。
【0034】
一実施形態では、電子デバイス100が表示パネル120を備えている。このような実施形態では、センサ電極125が、表示パネル120の表示電極で構成される。例えば、センサ電極125が、表示パネル120の共通電圧電極、データ線、又は、ゲート線で構成される。このような実施形態では、センサ電極125が、入力検知、及び、表示パネル120の表示の更新のために作動される。例えば、センサ電極125は、表示パネル120の基準電圧電極として機能する。
【0035】
本願で説明される例の一部には、マトリックスセンサ入力装置が含まれる。このような例では、図1に示すように、センサ電極125が行及び列の二次元アレイに配置される。更に、以下で詳細に説明するように、電子デバイス100は、センサ電極125の一以上と相互作用する回転可能ノブインタフェース150を含む。
【0036】
センサ電極125は、同様のサイズ及び形状を有していてもよい。例えば、図1に示すように、センサ電極125のそれぞれは、実質的に矩形の形状である。他の実施形態では、少なくとも1つのセンサ電極125が、別の少なくとも1つのセンサ電極125と異なる形状及び/又は大きさを有している。例えば、センサ電極125は、ダイヤモンド形、円形であってもよく、電界結合を増大させるために交互嵌合フィンガを有していてもよく、及び/又は、近くの導電体への浮遊容量を低減するために内部に浮遊カットアウトを有していてもよい。また、センサ電極125の向きは、図1に示されるものと異なっていてもよい。
【0037】
センサ電極125は、共通の層に配置されてもよい。例えば、センサ電極125は基板の共通の側に配置される。センサ電極125は、表示パネル120のレンズ又は封止層上に配置されてもよく、又は、表示パネル120に取り付けられた基板上に配置されてもよい。他の実施形態では、センサ電極125のうちの一以上の第1センサ電極が第1層に配置され、センサ電極125のうちの一以上の第2センサ電極が第2層に配置される。例えば、センサ電極125のうちの一以上の第1センサ電極が第1基板の第1面に配置され、センサ電極125のうちの一以上の第2センサ電極が第1基板の第2面に配置される。他の実施形態では、センサ電極125のうちの一以上の第1センサ電極が第1基板上に配置され、センサ電極125のうちの一以上の第2センサ電極が第2基板上に配置される。
【0038】
容量性実装のなかには、センサ電極と一以上の入力物体との間の容量カップリングの変化に基づく「自己容量」(又は「絶対容量」)検知法を利用するものがある。様々な実施形態において、例えば、入力物体145(例えば、指又はスタイラス)等の、センサ電極の近くの入力物体は、センサ電極125の近くの電界を変化させ、従って、測定される容量カップリングを変化させる。一の実装では、絶対静電容量検知法は、基準電圧(例えば、システム接地)に対してセンサ電極125を変調し、センサ電極と入力物体との間の容量カップリングを検出することによって作動する。例えば、変調された一又は複数のセンサ電極125から結果信号が受信される。基準電圧に対してセンサ電極125を変調することは、検知信号でセンサ電極125を駆動することを含む。絶対容量検知のためにセンサ電極125を作動させるとき、検知信号は絶対容量検知信号と呼ばれる。このような実施形態では、結果信号は、絶対容量検知信号及び/又は一以上の環境干渉源(例えば、他の電磁信号)に相当する効果を含む。絶対容量検出信号の電圧は変化する。更に、絶対容量検知信号は周期的又は非周期的な信号である。絶対容量検知信号は、中でも、矩形波形、台形波形、正弦波形又は鋸歯状波形を有する。
【0039】
容量性実装のなかには、二以上のセンサ電極125の間の容量カップリングの変化に基づく「相互容量」(又は「トランス容量」)検知法を利用するものがある。センサ電極125の近くの入力物体(例えば、入力物体145)は、センサ電極間で電界を変化させ、従って、測定される容量カップリングを変化させる。一の実装では、トランス容量検知法は、一以上のトランスミッタセンサ電極(「トランスミッタ電極」又は「トランスミッタ」とも呼ばれる)と一以上のレシーバセンサ電極(「レシーバ電極」又は「レシーバ」とも呼ばれる)との間の容量カップリングを検出することによって作動する。トランスミッタセンサ電極は、トランスミッタ信号を送信するために、基準電圧(例えば、システム接地)に対して変調されることがある。例えば、トランスミッタセンサ電極は検知信号で駆動される。このような実施形態では、検知信号は、トランス容量検知信号と呼ばれる。トランス容量検知信号の電圧は変化する。更に、トランス容量検知信号は、周期的信号または非周期的信号である。トランス容量検知信号は、中でも、矩形波形、台形波形、正弦波波形、又は、鋸歯状波形を有している。
【0040】
レシーバセンサ電極は、基準電圧に対して実質的に一定に保持されるか、結果信号の受信を容易にするためにトランスミッタセンサ電極を基準にして変調されることがある。結果信号は、一以上のトランス容量検知信号及び/又は一以上の環境干渉源(例えば、他の電磁信号)に対応する効果を含み得る。センサ電極は、専用のトランスミッタ又はレシーバであってもよく、送信と受信の両方を行うように構成されてもよい。
【0041】
容量性検知装置は、入力装置の入力検知領域に近接する、及び/又は入力検知領域に接触する入力物体(例えば、入力物体145)の存在及び/又は位置を検出するために使用され得る。更に、容量性検知装置は、指紋等の入力物体の特徴を検知するために使用され得る。更に、図1の例のように、一以上の実施形態では、容量性検知装置が、センサ電極125に電気的に結合された回転可能ノブインタフェース150を備えている。センサ電極125は、回転可能ノブインタフェース150の回転位置を検知するように構成され得る。例えば、回転可能ノブインタフェース150は、ホーム位置及び押下位置を有することがあり、センサ電極125は、一以上のセンサ電極125の回転可能ノブインタフェース150の一以上の結合電極との間の容量カップリングの変化に基づいて、回転可能ノブインタフェース150が、何時、ホーム位置又は押下位置にあるかを判定するために使用され得る。
【0042】
引き続き図1を参照すると、処理システム110が電子デバイス100の一部として示されている。処理システム110は、電子デバイス100のハードウェアを作動させるように構成されている。
【0043】
処理システム110は、ファームウェアコード、ソフトウェアコード及び/又はそれらに類するもの等の電子的に読み取り可能な命令も備えていることがある。処理システム110を構成するコンポーネントは、例えばセンサ電極125の近く等に纏めて配置されてもよい。処理システム110のコンポーネントは、センサ電極125に近接する一以上のコンポーネント、又は他の場所にある一以上のコンポーネントから物理的に離れていてもよい。例えば、電子デバイス100がデスクトップコンピュータに結合された周辺機器であってもよく、処理システム110が、デスクトップコンピュータの中央処理装置(CPU)と、(場合によっては関連するファームウェアを使用して)CPUとは別の一以上の複数の集積回路(IC)上で動作するように構成されたソフトウェアを備えてもよい。別の例として、電子デバイス100が物理的に電話に集積化されていてもよく、処理システム110が、該電話のメインプロセッサの一部である回路及びファームウェアを備えていてもよい。更に、処理システム110が自動車内に実装されてもよく、処理システム110が、該自動車の電子制御ユニット(ECU)のうちの一以上の電子制御ユニットの一部である回路及びファームウェアを備えていてもよい。処理システム110は、電子デバイス100の実装専用である。処理システム110は、表示画面の操作、触覚アクチュエータの駆動等の他の機能も実行してもよい。
【0044】
図1に図示されているように、処理システム110は、センサドライバ140を備えている。センサドライバ140は、検知信号を生成し、検知信号を用いてセンサ電極125を駆動する。更に、センサドライバ140は、センサ電極125から結果信号を受信するように構成されてもよい。処理システム110は、一以上の集積回路(IC)及び/又は他の回路コンポーネントの一部または全部を備えている。センサドライバ140は、検知信号を生成し、検知信号でセンサ電極を駆動し、及び/又は、センサ電極125から結果信号を受信するように構成された回路を備えている。例えば、センサドライバ140は、発振器、一以上の電流コンベア、及び/又は、デジタル信号発生器回路を備えている。更に、センサドライバ140は、検知信号でセンサ電極125を駆動するように構成された一以上の増幅器を備えるドライバ回路部を備えている。センサドライバ140は、結果信号を受信して処理するための、一以上のアナログフロントエンド、フィルタ及び復調器を備えるレシーバ回路部を備えている。
【0045】
一実施形態では、センサドライバ140が、異なる結果信号がセンサ電極のそれぞれから同時に受信されるか、又は2つ以上のセンサ電極から共通の結果信号が受信されるように、絶対容量検知のために2つ以上のセンサ電極125を同時に作動させることがある。他の実施形態では、センサ電極125の一部の電極が第1期間に絶対容量検知用に作動され、センサ電極125の他の電極が第1期間と重ならない第2期間に絶対容量検知用に作動される。
【0046】
図1に示すように、処理システム110は判定モジュール141を含む。判定モジュール141は、回路、ファームウェア、ソフトウェア、又はそれらの組み合わせを備えている。以下でより詳細に説明するように、判定モジュール141は、センサドライバ140によって受信された結果信号を処理して、センサ電極125の容量カップリングの変化を判定する。例えば、判定モジュール141は、変調された各センサ電極と入力物体145のような入力物体との間の容量カップリングの変化を結果信号から判定するように構成されている。
【0047】
様々な実施形態において、ドライバとモジュールの異なる組み合わせが使用されてもよい。例えば、処理システム110は、表示画面等のハードウェアを操作する一以上のドライバを備えることがある。更に、処理システム110は、センサ信号や位置情報のようなデータを処理するためのデータ処理モジュール、及び/又は、情報を報告するための報告モジュールを備えることがある。
【0048】
処理システム110は、集積回路(IC)チップとして実装されてもよく、一以上のICチップとして実装されてもよい。いくつかの実施形態では、処理システム110が、電子デバイス100のコントローラ又はコントローラの一部を備えてもよい。
【0049】
処理システム110は、表示パネル120の表示を更新するように構成された表示ドライバ(図示せず)を備えていてもよい。このような例では、処理システム110が、タッチ及び表示ドライバ統合(TDDI)技術を含むと称されることがある。このような実施形態では、処理システム110は、TDDI ICチップ、又は、TDDI ICチップの一部として実装されることがある。
【0050】
いくつかの実施形態では、処理システム110が、一以上のアクションを起こすことによって、ユーザ入力(又はユーザ入力の欠如)に直接に応答する。アクションの例としては、操作モードの変更の他、カーソルの移動、選択、メニューナビゲーション及びその他の機能のようなグラフィックユーザーインターフェイス(GUI)アクションが挙げられる。いくつかの実施形態では、処理システム110が、入力(又は入力の欠如)に関する情報を電子デバイス100のある部分に(例えば、もし、そのような別個の中央処理システムが存在するのであれば、処理システム110とは別個の電子システムの中央処理システムに)提供する。いくつかの実施形態では、電子システムのある部分が、モード変更アクション及びGUIアクションを含む全範囲のアクションを容易にする等、ユーザ入力に作用するために処理システム110から受信した情報を処理する。更に、いくつかの実施形態では、処理システム110が、一以上の入力物体145を識別する、及び/又は、電子デバイス100の検知領域における入力物体145の位置を識別するように構成される。いくつかの実施形態では、処理システム110が、ノブインタフェース150の一以上の回転変化又はノブインタフェース150の状態の一以上の変化、又はその両方を識別し、それらの変化を入力アクションにマッピングするように構成される。
【0051】
処理システム110は、電子デバイス100の検知領域における入力(又は入力の欠如)を示す電気信号(結果信号)を生成するようにセンサ電極125を作動させる。処理システム110は、電子システムに提供される情報を生成する際に、電気信号に対して任意の適切な量の処理を実行することがある。例えば、処理システム110のセンサドライバ140は、センサ電極125から得られるアナログ電気信号をデジタル化する。他の例として、処理システム110のセンサドライバ140は、フィルタリング、又は他の信号調整を実行する。更に、処理システム110の判定モジュール141は、該情報が電気信号とベースラインとの間の差を反映するように、ベースラインを減算するか、さもなければ補償する。更に、処理システム110の判定モジュール141は、とりわけ、位置情報を決定し、コマンドとしての入力を認識し、手書きを認識し、指紋情報を認識し、及び/又は、対象物体までの距離を認識する。
【0052】
本願で使用される「位置情報」は、絶対位置、相対位置、速度、加速度、及び、他の種類の空間的情報を広く包含する。「0次元」位置情報の例としては、近い/遠い、又は、接触/非接触の情報が挙げられる。「一次元」位置情報の例としては、軸に沿った位置が挙げられる。「二次元」位置情報の例としては、平面内の動きが挙げられる。「三次元」位置情報の例としては、空間内の瞬間速度又は平均速度が挙げられる。更なる例としては、空間情報の他の表現が挙げられる。例えば、経時的に位置、動き又は瞬間速度を追跡する履歴データを含む、一以上の種類の位置情報に関する履歴データも、判定及び/又は格納されてもよい。
【0053】
本開示の多くの実施形態は、完全に機能する装置の文脈で説明されているが、本開示の機構は、様々な形式のプログラム製品(例えば、ソフトウェア)として配布可能であると理解されるべきである。例えば、本開示のメカニズムは、電子プロセッサによって読み取り可能な情報担持媒体(例えば、処理システム110によって読み取り可能な非一時的コンピュータ読み取り可能及び/又は記録可能/書き込み可能な情報担持媒体)上のソフトウェアプログラムとして実装され、配布され得る。加えて、本開示の実施形態は、配布を実行するために使用される特定の種類の媒体に関係なく、同様に適用される。非一時的電子的読み取り可能媒体の例としては、様々なディスク、メモリスティック、メモリカード、メモリモジュール等が挙げられる。電子的読み取り可能媒体は、フラッシュ、光学、磁気、ホログラフィック、又は任意の他のストレージ技術に基づいていてもよい。
【0054】
センサ電極125が表示更新及び容量性検知用に構成される実施形態では、処理システム110が、表示パネル120の表示が更新される表示更新期間にセンサ電極125を駆動するための電圧信号と、入力検知期間にセンサ電極125を駆動するための検知信号をそれぞれ生成するように構成されてもよい。このような実施形態では、表示更新期間にセンサ電極125を駆動するために生成される電圧信号が、実質的に一定の又は固定の電圧であってもよい。入力検知期間にセンサ電極125を駆動するために生成される検知信号は、可変電圧を有していてもよい。表示更新期間にセンサ電極125を駆動するための電圧信号の値は、予め決定されていてもよい。例えば、電圧値は、電子デバイス100及び/又はセンサ電極125の製造業者によって提供されてもよく、電子デバイス100についてデバイス固有であってもよい。処理システム110は、クロック信号、発振器の出力及び/又は該電圧信号の対応する値に基づいて電圧信号を生成する回路を備えていてもよい。
【0055】
表示パネル120の表示は、表示フレーム中に更新される。各表示フレーム中に、該表示の一以上の表示ラインが更新されることがある。複数の表示更新期間及び非表示更新期間が、複数の表示フレームの各表示フレーム中に設けられてもよい。表示更新期間の間、表示パネル120の表示電極のうちの一以上が、表示パネル120の表示を更新するように駆動されてもよい。非表示更新期間の間、表示パネル120の表示電極のうちの一以上が、表示パネル120の表示を更新するように駆動されなくてもよい。非表示更新期間は、表示フレームの表示更新期間の対の間、表示フレームの開始時、及び/又は、表示フレームの終了時に設けられ得る。
【0056】
表示パネル120は、1つ以上の表示ラインを備えている。各表示ラインは、表示パネル120のサブピクセルの一以上のサブセットに対応している。該一以上のサブセットは、表示パネル120の共通のゲート線に接続されることがある。更に、該サブピクセルが、共通の期間に更新されてもよい。各表示更新期間に表示パネル120の一以上の表示ラインが更新され得る。表示フレームは、表示フレームレートで生じてもよい。表示フレームレートは、特に、30Hz、60Hz、120Hz又は240Hzであり得る。センサドライバ140又は処理システム110の別のドライバが、表示パネル120の表示電極を駆動して表示パネルの表示を更新してもよい。
【0057】
センサドライバ140は、入力検知期間に容量性検知用にセンサ電極125を作動させる。入力検知期間は、非表示更新期間及び/又は表示更新期間に設けられ得る。例えば、入力検知期間のうちの一以上が、表示フレームの2つの表示更新期間の間に設けられる非表示更新期間に設けられてもよい。一実施形態では、少なくとも一の入力検知期間が、表示更新期間と同じ長さである。一実施形態では、少なくとも一の入力検知期間が表示更新期間よりも長い。更に別の実施形態では、少なくとも一の入力検知期間が表示更新期間と同じである。
【0058】
連続する入力検知期間に渡って結果信号を取得することにより、回転可能ノブインタフェース150の回転と共に、回転可能ノブインタフェース150がホーム状態にあるか押下状態にあるかを追跡することができる。
【0059】
上述したように、一以上の実施形態では、追加の入力装置、例えば回転可能ノブインタフェース150等が、電子デバイス100の表示パネル120の上に設けられてもよく、その近く又は下に位置するセンサ電極125の一部又は全てに電気的に結合されることがある。一以上の実施形態では、該追加の入力装置が、入力装置145を用いて表示パネル120の表示画面に触れ、又は、その近くでホバリングしたりする以外でユーザが電子デバイス100に入力を提供するための代替的な方法を提供することがある。図1の図示の例では、回転可能ノブインタフェース150が表示パネル120上に搭載されており、表示パネル120に(図1に示すように)完全に、又は、部分的に重なることがある。上述したように、一以上の実施形態では、回転可能ノブインタフェース150が、検知信号が提供される一以上のセットのセンサ電極125、及び、基準信号が提供される一以上のセットの電極等のような、センサ電極125の各セットと結合するように構成された様々な結合電極のセットが設けられている固定基部(図1の上面図では見えない)を有してもよい。一の実施形態では、固定基部が、結合電極の対応するセットにそれぞれに接続された異なる導電領域を備えることがある。
【0060】
回転可能ノブインタフェース150は、また、固定基部の上方に位置し、固定基部に対して回転する回転ホイールも備えることがある。回転ホイールの下面は、例えば、固定基部の導電性領域と位置整合するように構成されることがある、様々な導電性領域及び非導電性領域でパターン形成されることがある。従って、固定基部の導電性領域と、回転ホイールの様々な導電性領域及び非導電性領域との間には、様々な電気的結合が存在する。これらの構成要素は、更に、回転ホイールが回転されるとこれらの電気結合が変化するように構成されることがある。表示パネル上で受信された結果信号を処理することによって電気的結合の変化の効果を検出することによって、処理システム110は、回転可能ノブインタフェース150の回転量、又は、回転の変化量を判定する。一実施形態では、導電性領域及び非導電性領域が、周辺領域152内に設けられる。他の実施形態では、該様々な導電性領域及び非導電性領域が、回転ホイールの一以上のリングの一部であり得る。第1のリングは、外側リングと呼ばれることがあり、回転可能ノブインタフェース150のラフな(又は粗い)調整用に構成されることがある。第2のリングは、内側リングと呼ばれることがあり、回転可能ノブインタフェース150の微調整用に構成されることがある。第1のリングは、第2のリングの外側に配置される。
【0061】
周辺領域152には、導電性領域と非導電性領域の多数の可能な配置例が有り得る。更に、回転ホイールが回転する際に、回転ホイールと固定基部とを電気的に相互作用させる様々な方法が考えられる。従って、固定基部の導電性領域と回転ホイールの導電性領域と非導電性領域の配置の両方について他の構成及び相対配置が可能であり、これらは全て本開示の範囲内である。
【0062】
ユーザによって回転可能ノブインタフェース150に与えられた回転は、相対的又は絶対的な意味で、電子デバイス100によって検出されることがある。一以上の実施形態では、回転可能ノブインタフェース150は、ユーザによって下方に押されることもあり、従って、ホーム、即ち「非押下」位置と、「押下」位置との2つの位置を有することがある。押下位置は、例えば、1つ以上の付勢ばねに抗して回転可能ノブインタフェース150を押し下げることによって維持されることがある。一以上の実施形態では、回転可能ノブインタフェース150がカバーを有することがある。他の実施形態では、回転可能ノブインタフェース150が、複数の位置で静止するように下方に押されることがあり、従って、「非押下」位置と「完全押下」位置との間に複数の状態を有することがある。ホーム位置では、カバーが、押下位置における距離よりも回転ホイールから遠い距離にある。
【0063】
回転ホイールには、回転ホイールとカバーとの間に複数のスイッチが設けられることがある。これらのスイッチは、付勢バネを備えていることがある。回転可能ノブインタフェース150には、該入力装置の、同じく検知信号で駆動される一以上のセンサ電極125に結合するように構成された一以上の結合電極156が設けられることがある。図1の例では、結合電極157が、固定基部に設けられた内側リングに接続されており、回転ホイールに設けられた同様の形状の内側リング153と位置整合している。ユーザが回転可能ノブインタフェースのカバーを押し下げて、回転可能ノブインタフェース150が「押下」位置になると、スイッチが閉じる。例えば、スイッチを閉じることは、回転ホイールの内側リング153を周辺領域152に設けられた導電性領域の1つ以上と接続することと定義してもよい。これにより、固定基部の結合電極157を固定基部の結合電極156に電気的に結合することができる。結合電極156は、基準信号で駆動される1つ以上のセンサ電極125と結合される。しかしながら、ユーザがカバーを押し下げるのを止めると、ノブインタフェースの結合電極156は、単に電気的にフローティングになる。様々な実施形態において、回転の方向及び程度は、ユーザが回転可能ノブインタフェース150を押下すること又は押下をやめることと共に、例えば、判定モジュール141などの処理システム110によって解釈され、様々なユーザ入力アクション、信号又は指令にマッピングされ得る。
【0064】
回転可能ノブインタフェース150は、様々な方法で回転することができる。例えば、回転可能ノブインタフェースの外側ハウジングを掴んで回したり、回転可能ノブインタフェースの上部を掴んで回したり、回転可能ノブインタフェースの側面から突出しているフランジを掴んで回したりしてもよい。更に、1つ以上の指先を回転可能ノブインタフェース150の上面にある凹型チャンネルに置いてもよい。回転可能ノブインタフェース150の回転については、以下でより詳細に説明する。
【0065】
上述したように、図1の電子デバイス100は、自動車に搭載されてもよい。例えば、表示パネル120は、自動車のダッシュボードやセンターコンソール内で垂直又は水平に向けられることがある。
【0066】
図1に示されているように、一以上のセンサ電極125は、回転可能ノブインタフェース150によって物理的にブロックされていない。容量性検知を行っている間、境界155(後述する)によって画定された領域の内側にあるセンサ電極125も、外側にあるセンサ電極125も、どちらもアクティブな状態のままになり得る。従って、このような実施形態では、回転可能ノブインタフェース150から離れているタッチと回転可能ノブインタフェース150の回転の両方が、処理システム110によって同時に検出され、報告される。
【0067】
他の実施形態では、回転可能ノブインタフェース150を介して受信されるもの以外のすべての他の形態のユーザ入力が、電子デバイス上で無効にされることがある。例えば、境界155の外側のセンサ電極125は、それらの容量性検知を実行するために検知期間に駆動されない。その結果、入力物体145がその近傍に移動したり、その近傍から遠ざかったりしても、結果信号は得られないか、得られても処理されない。この機能は、例えば、自動車の運転者が運転中に表示パネル120とやり取りするのを防ぐために、安全対策として、運転者が回転可能ノブインタフェース150を介してのみ電子デバイス100とやり取りできるようにすることで実施することができる。このような代替的な実施形態では、一以上のセンサ電極125の標準的な検知機能を、自動車の特定の活動中は無効にし、他の活動中は無効にしないことがある。例えば、センサ電極125のうちの一以上のセンサ電極の標準検知機能が、自動車が実際に動いている間に無効にされ得る。この例では、センサ電極125の一部、例えば、回転可能ノブインタフェース150から取得される信号との干渉を引き起こすように回転可能ノブインタフェース150に規定された近接範囲内にない電極は、上述したように、標準の検知を実行するために通常に作動させてもよい。いくつかの実施形態では、センサ電極125のうちの一以上のセンサ電極、例えば、回転可能ノブインタフェース150の近く又は下のものは、容量性検知を行うことを無効にされ、センサ電極125の残りは容量性検知を行うように作動される。このような実施形態では、無効にされるセンサ電極125は、回転可能ノブインタフェース150の結合電極に電気的に結合されたセンサ電極125から得られる結果信号に対して及ぼし得る干渉に基づいて選択され得る。図1に示されているように、境界155によって画定された領域(エリア)内のセンサ電極125は、“停電ゾーン”にあると称されることがある。境界155によって画定された領域の外側のセンサ電極125が容量性検知を行うように正常に作動されている期間の間、停電ゾーン内のセンサ電極125は、容量性検知を行うために作動されないことがある。以下により詳細に説明するように、停電ゾーン内にあり、回転可能ノブインタフェース150に電気的に結合されたセンサ電極125のうちの一以上は、回転可能ノブインタフェース150の回転、押下、及び/又は他の運動を捕捉するように駆動される。
【0068】
センサ電極125の全てについて標準的な検知が無効化されている実施形態では、例えば、回転可能ノブインタフェース150の予め定義された一連の回転及び/又は押下を使用して回転可能ノブインタフェース150を介して電子デバイス100に入力を提供するために、予め定義されたパラメータを使用してもよい。回転及び/又は押下によって修正された結果信号は、入力検知期間に処理システム110によって受信され、処理システム110は、その後、例えば判定モジュール141を用いて結果信号を解釈する。結果信号は、回転可能ノブインタフェース150の容量カップリングによって修正された後、センサドライバ140がセンサ電極125を駆動する検知信号と同じ信号である場合がある。
【0069】
一般に、停電ゾーン(例えば、境界155によって画定されるセンサ電極125の領域)内では、センサ電極125のうちの一以上が、回転可能ノブインタフェース150の固定基部の下面の各結合電極156~159に結合される。いくつかの実施形態では、結合電極156が基準信号で駆動され、結合電極157~159が検知信号で駆動される。従って、固定基部と回転可能ノブインタフェース150の回転ホイールの相対的な回転関係によって修正された結果信号が生成される。境界155によって特定される停電ゾーン内のセンサ電極は、常時、標準的な容量性検知が無効にされることがある。例えば、停電ゾーン内のセンサ電極は、回転可能ノブインタフェース150に特に関連する容量性検知を実行することがあり、停電ゾーン外のセンサ電極は、通常動作中に一以上の入力物体145を検出するために容量性検知を実行することがある。
【0070】
結合電極156~159は、回転可能ノブインタフェース150の固定基部によって塞がれているため、破線で図示されている。更に、回転可能ノブインタフェース150の固定基部に対する結合電極156~159の位置及び/又は向きは、図1に図示されたものとは異なる場合がある。例えば、図4A~4Cに関連して、回転可能ノブインタフェース150の結合電極の位置及び向きに関連する様々な実施形態を、より詳細に説明する。
【0071】
本願において、「無効化された電極」という用語は、全く駆動されない電極、ガード信号で駆動される電極、又は定電圧信号(例えば、直流(DC)電圧)で駆動される電極をいう場合がある。
【0072】
図1を引き続き参照すると、上述のように、複数セットのセンサ電極125が、回転可能ノブインタフェース150の結合電極156~159に電気的に結合されている。従って、入力検知期間の間、センサドライバ140によって基準信号が第1セットのセンサ電極125に供給され、検知信号が第2セット及び第3セットのセンサ電極125に供給される。一以上の実施形態において、基準信号は、処理システム110によって供給される設定可能なDC出力であってもよい。いくつかの実施形態では、該DC信号は、電子デバイス100の接地信号であってもよい。いくつかの実施形態では、第2及び第3セットのセンサ電極125のそれぞれから結果信号が得られ、結果信号は、回転可能ノブインタフェース150の回転状態及び/又は押下状態によって修正された検知信号である。
【0073】
結果信号は、回転可能ノブインタフェース150の回転を判定するために判定モジュール141によって解釈されることがある。一以上の実施形態において、回転は、前の位置からの差分角度変化のような相対的表現で判定されてもよく、又は、ホーム位置からの正又は負の角度変化のような絶対的表現で判定されてもよい。回転可能ノブが360°を超えて回転される実施形態では、全体の回転距離も測定されてもよい。このような実施形態では、1つ以上のユーザコマンドを絶対回転距離にマッピングしてもよい。ユーザコマンドは、入力装置のグラフィカルユーザインタフェイス(GUI)の制御に対応していることがある。例えば、ユーザコマンドは、GUIによって提示されたメニュー項目のリストをスクロールすることを含んでいてもよい。他の実施形態では、開始位置と終了位置の間の全体的な角度変化又は最終的な絶対角度位置の一方のみ又は両方が測定されてもよい。例えば、判定モジュール141は、入力装置のGUIによって提示されるメニュー項目に関連し得る最終的な絶対角度位置を判定する。
【0074】
図2は、例示的な回転可能ノブインタフェース(例えば、図1に示す回転可能ノブインタフェース150)の例示的な構成要素を示している。これを参照すると、当該例示的な装置の底部から始めると、固定基部231が図示されている。いくつかの実施形態では、固定基部231は、当該例示的なノブインタフェースが回転されても移動しない。例えば、固定基部231は、例えば接着剤によって、電子デバイス100の表示パネル120の表面、例えば、レンズ又は封止層に貼り付けられることがある。固定基部231は、一時的な方法、半永久的な方法、又は恒久的な方法で貼り付けられてもよく、電子デバイス100に設けられたセンサ電極125のグリッドと位置整合するようにその上に配置されてもよい。
【0075】
固定基部231の上方に回転ホイール230が設けられる。回転ホイール230は、回転可能ノブインタフェース150が回転されると、例えば、後述するように、カバーキャップ215が回転されることに応じて回転する。回転ホイール230の内側には、垂直リング軸受225が設けられている。垂直リング軸受225は非導電性であり、例えば、プラスチック又は他の非導電性材料で作製されてもよい。垂直リング軸受225の外側領域は、リングの形状を有していることがある。さらに、垂直リング軸受225の本体は、実質的に管状の形状を有していてもよい。一以上の実施形態によれば、図2には示されていないが、図3を参照して以下に説明する、回転ホイール230がその上に載せられる追加の実質的に水平なリング状の軸受が設けられる。両方の軸受を使用することで、固定基部231と回転ホイール230の間の摩擦力が低減され得る。
【0076】
引き続き図2を参照すると、回転ホイール230の上に一以上のスイッチ220が設けられる。例えば、スイッチ220は、ドームスイッチ、容量性スイッチ及び/又は他の適切なタイプのスイッチの組み合わせであってもよい。3つのスイッチ220が設けられてもよく、該スイッチが回転ホイール230の上面に等距離に配置されていてもよい。他の実施形態では、3つ未満又は3つより多いスイッチが使用されてもよい。以下により詳細に説明するように、一以上の実施形態では、スイッチ220が、回転可能ノブインタフェース150の2つ以上の状態、即ち、スイッチ220が閉じている押下状態と、スイッチ220が開いたままの非押下状態とを区別するために使用される。他の実施形態では、スイッチ220が、回転可能ノブインタフェース150の2つ以上の状態を区別するために使用されることがある。例えば、スイッチ220は、押下状態、非押下状態、及び一以上の部分的押下状態を区別するように使用されてもよい。このような実施形態では、部分的押下状態では、スイッチ220は開でも全閉でもない。部分的押下状態、押下状態及び開放状態は、結合電極(例えば、結合電極157)の移動によって引き起こされる測定された容量カップリングの対応する変化に基づいて判定されることがある。一実施形態では、開状態は、最低値に対応する容量カップリングの測定された変化に対応し、閉状態は、最高値に対応する測定された容量カップリングの変化に対応し、部分的押下状態は、最低値と最高値との間の値に対応する測定された容量カップリングの変化に対応する。複数の部分的な押下状態が使用されてもよい。部分的押下状態のそれぞれは、測定された容量カップリングの異なる変化に対応する。一実施形態では、判定モジュール141が、測定された容量カップリングの変化を各値と比較して、回転可能ノブインタフェース150の状態を判定する。回転可能ノブインタフェース150の押下状態は、その内部回転位置と独立である。従って、回転可能ノブインタフェース150は、押下状態、部分的押下状態、非押下状態(及び、回転可能ノブインタフェース150の状態の間の任意の位置)のいずれにある間でも回転され得るし、その回転が検知されて測定され得る。同様に、回転可能ノブインタフェース150が「ホーム」又は非押下状態にあること、押下状態にあること、又は、部分的押下状態にあることにそれぞれ対応するスイッチ220の状態は、回転可能ノブインタフェース150が回転的に静止しているか、または回転しているかに関わらず検出され得る。
【0077】
最後に、図2を引き続き参照すると、回転可能ノブインタフェース150は、図示のように、インナーキャップ210と、カバーキャップ215とを備えている。動作時には、ユーザは、例えば、カバーキャップ215を把持し、固定基部231に対して回転ホイール230を回転させることによって、又は、カバーキャップ215を押し下げてノブインタフェースを押下し、1つ以上のスイッチ220を閉じることによって、カバーキャップ215と物理的に相互作用する。図示されているように、インナーキャップ210は、突起211によって、垂直リング軸受225の内面に設けられたリップに取り付けられている。カバーキャップ215はインナーキャップ210に取り付けられており、アウターキャップ215を回すと回転ホイール230が回転するようになっている。他の実施形態では、回転ホイール230を回転させるために、カバーキャップ215及び/又はインナーキャップ210以外の機構を利用することができる。
【0078】
図3は、図2の回転可能ノブインタフェース150の一例の分解図であり、様々な構成要素の上側を図示している。図3を参照すると、図の下から始めると、固定基部231の上面が示されている。該上面には導電性の周辺リング235が設けられ、回転可能ノブインタフェース150が取り付けられる(例えば、電子デバイス100の処理システム110によって提供される)入力装置の基準信号に結合される。図示されているように、該上面には、2つの導電パッド237、238と共に内側導電リング232も図示されている。これら3つの導電性領域は、センサ電極125の一以上から検知信号を受け取るように構成されている。これらの領域、それらの機能、及び、それらが、回転可能ノブインタフェース150が置かれている入力装置(例えば、電子デバイス100)とどのように相互作用するかについての詳細は、以下で更に詳しく説明する。
【0079】
引き続き図3を参照すると、垂直リング軸受225と、垂直リング軸受225の上方でスライドするように構成された水平リング状軸受226も図示されている。一以上の実施形態では、固定基部231は回転ホイール230よりも内径が小さいため、固定基部231の内周部には、垂直リング軸受225が載置されることがあるレッジがある。従って、垂直リング軸受225は、水平リング軸受226の内径の内側に嵌り、固定基部231の内周部に置かれるように構成されている。従って、2つの軸受は、上述のように、固定基部231と回転ホイール230との間に物理的な界面を提供し、回転ホイール230が動かされる際の両者間の摩擦を低減する。
【0080】
更に図3を参照すると、回転ホイール230の上面の周囲に設けられた3つのスイッチ220も示されている。スイッチ220の上方にはインナーキャップ210が図示されており、このインナーキャップ210は、垂直リング軸受225の内側に嵌るように構成されており、3つの突起211によって垂直リング軸受225に固定されている。一以上の実施形態では、該3つの突起211も、垂直リング軸受225の内側垂直面の周囲に等距離で配置されている。図示されているように、インナーキャップ210は、実質的に水平な上部リングと、下部中空円筒形部分とを有している。従って、一以上の実施形態では、インナーキャップ210の下部円筒形部分の外径が、垂直リング軸受225の内径内に嵌合し、そして、インナーキャップ210がホーム位置又は非押下位置にあるときに垂直リング軸受225の底面の下にわずかに突出する突起211によって垂直リング軸受225の底面にクランプし得る。最後に、図3を参照すると、カバーキャップ215は、図示されているように、インナーキャップ210の上部リング部分に取り付けられている。
【0081】
次に説明する図4A図4Cは、固定基部231の下面に設けられ、固定基部231の上面の対応する導電領域にそれぞれ接続された結合電極と、センサ電極125との空間的な関係を図示している。
【0082】
図4Aは、一以上の実施形態による、センサ電極125のグリッド401の上に重ねられた、回転可能ノブインタフェース150の固定基部231の下側の図を図示している。グリッド401は、図1の境界155によって画定される停電ゾーンに対応していることがある。更に、他の実施形態では、グリッド401がセンサ電極125の他の構成に対応していることがある。これに関して、固定基部231の底面又は下面には、3セットの電極がある。網掛けで示された第1セットの電極430は、センサ電極125の一つ以上から基準信号を受信するように構成された連続したセットの電極である。残りの2セットにグループ分けされた3つの電極410、420、411は、センサ電極125の一以上から検知信号を受信するように構成されている。電極410と411を含む第2セットは、回転可能ノブインタフェース150の回転を検知するように構成されている。電極420を含む第3セットは、例えば回転可能ノブインタフェースが押下状態に設定されたときに、「クリック」又はスイッチ220が閉じられたことを検知するように構成されている。図示されているように、結合電極410、411、420のそれぞれは、グリッド401の1つ以上のセンサ電極125と少なくとも部分的に重なっている場合がある。一方、電極430のセットが、例示的な入力装置(例えば、電子デバイス100)の上面のグリッド401上の対応する基準センサ電極403(図4B参照)から信号を取得し、隣接するセンサ電極125からの寄生容量の如何なる影響も緩和されるように、電極430のセットは、各々、グリッド401の複数のセンサ電極125の少なくとも一部と重なってもよい。領域402のセンサ電極125は、領域403のセンサ電極125とは別のものである。例えば、領域402のセンサ電極125は、結合電極410、411及び420に近接して配置され、領域403のセンサ電極の外部に配置されたセンサ電極を含む。この分離は、図4Aにおいて、2つの特徴で示されている。第一に、結合(又は検知)電極410、411、420の右側にセンサ電極の空の列412があり、結合電極410、411、420と電極430のセットの間に隙間が設けられている。第二に、電極430のセット(実線網掛け)は、それぞれ基準電極403(図4Bにおける点線網掛け)に対して内側に凹んでいる。電極430のセットは、約1.5mmから約2mm凹んでいることがある。しかし、他の実施形態では、電極430のセットの凹みは、概ね1.5mm未満であり、又は、概ね2mmより大きい。この凹みは、電極430のセットが基準電極信号を検知するのを助け、センサ電極125上で近傍の検知信号の寄生結合を検知することを最小にすることがある。さらに、該凹部は、電子デバイス100に対する例示的な回転可能ノブインタフェース150の公差調整に役立つ可能性がある。他の実施形態では、上述のようにセンサ電極の空の列412を含むか又は電極430を凹ませることで、電極430のセットを十分に絶縁し、電極430のセットへの隣接するセンサ電極125からの寄生容量の影響を緩和する。
【0083】
図4Bは、1つ以上の実施形態による、2つのグループのセンサ電極125に分割されている図4Aのグリッド401の例を示す。センサ電極125の各グループは、異なる信号で駆動されることがある。例えば、領域403のセンサ電極125が検知信号で駆動される一方で、領域402のセンサ電極125が基準信号で駆動されることがある。一般に、センサ電極125の各々は、検知信号、又は、例えば接地その他の基準信号で選択的に駆動されることがある。一以上の実施形態では、図4Aに示すように、グリッド401のセンサ電極125を固定基部231の下面の電極と適合させるために、センサ電極125のグリッド401が図4Bに示すように配置される。従って、図4Bで網掛けされているグリッド401の領域403のセンサ電極125は基準信号で駆動され、領域403の外側のセンサ電極125は検知信号で駆動されることがある。従って、固定基部231の下面とグリッド401のセンサ電極125との間には、電気的なペアリング(例えば、電気的カップリング又は容量カップリング)が存在する。これは図4Cの重ね合わせ図に図示されている。
【0084】
図4Cは、一以上の実施形態による、図4Bのグリッド401のセンサ電極の上方に位置する図4Aの固定基部231の下側を示す。図示のように、回転可能ノブインタフェース150上での検知用に構成された結合(又は検知)電極410、411、420は、結合電極410、411、420と一以上のセンサ電極125との間の容量カップリングを介して検知信号で結合電極410、411、420が駆動されるように、センサ電極125の1つ以上と位置合わせされている。一実施形態では、これらは同じセンサ電極125で駆動される。同様に、処理システム110の基準信号に結合するように構成された電極430のセットは、処理システム110によって基準信号で駆動されるように、領域403の複数のセンサ電極125の上方にそれぞれ設けられる。一以上の実施形態では、固定基部231は固定されており、入力装置に対して位置が固定されているため、固定基部は、図示のように、まず入力装置のセンサ電極125に位置合わせされ、次に、一以上の実施形態では、電子デバイス100の表面に恒久的に取り付けられる。
【0085】
次に、図5を参照して、固定基部231の上面について説明する。これを参照して、一以上の実施形態による、固定基部231の上面に対する領域402及び403のセンサ電極125に対応する電極領域の位置を示す上面透視図510が図示されている。該上面透視図に示されるように、また、底面図520と上面図530とを比較することによっても分かるように、固定基部231の上面は、その底面とはいくぶん異なる構成となっている。上面及び下面の導電パッドの相対的な位置を十分に理解するために、底面図520も図示されており、湾曲した矢印521で示されているように、上面図530では、上面の対応する位置も示されている。この上面図530は、底面図520に示す固定基部231を、水平軸を中心に反転させた場合(固定基部231の右側と左側がそれぞれ図520と530で同じになるように)に見えるものである。引き続き図5を参照すると、上面図530は、4つの導電性領域、即ち、内側導電リング232(スイッチが開いているか閉じているかを検知するために使用)と、2つの導電パッド237及び238(回転を検知するために使用)と、周辺リング235とを図示している。一以上の実施形態において、これらの各々は、固定基部231の底面上の対応する導電性領域にビアによって電気的に接続される。特に、周辺リング235は、上述のように、対応する電極430のセットに電気的に接続され、基準信号で駆動されるセンサ電極125に結合される。2つの導電パッド237及び238は、それぞれ結合電極410及び411に接続され、内側導電リング232は、検出電極420に電気的に接続される。いくつかの実施形態では、上述のように、内側導電リング232と共に導電パッド237及び238の両方が、検知信号で駆動されるセンサ電極125と結合するように構成される。
【0086】
従って、図示の実施形態では、固定基部231の上部には、その外周部に、周辺リング235で囲まれた、互いに近接する2つの小さな導電パッド237、238が設けられる。周辺リング235は基準信号を受信し、2つのパッド237、238はそれぞれに検知信号を受信する。該2つのパッドは回転を検知するために使用される。第二に、周辺リング235の内側にある内側導電リング232は、スイッチが閉じているかどうかを検知するために検知信号も受信するように構成されている。スイッチが閉じることは、スイッチが閉まるときの音から「クリック」と呼ばれることもある。
【0087】
図6Aは、図3に図示されている例示的な固定基部231と例示的な垂直リング軸受225と水平リング軸受226(例えば、プラスチック軸受)の分解図601と折り畳み図603を図示している。これらの要素については前述したので、ここでは改めて説明しない。注目すべきことは、一以上の実施形態において、折り畳み図603に示されているように、水平リング軸受226が、その上に回転ホイール230が載ることができる滑らかな表面を有しており、垂直リング軸受225が、その周囲で回転ホイール230が回転することができる滑らかな外側円筒構造を有することである。
【0088】
図6Bは、図6Aに示された例示的な固定基部231及び軸受225、226のそれぞれの分解図610及び折り畳み図603を図示しており、例示的な平坦なリング状の軸受226の上に設けられた図3の例示的な回転ホイール230が追加されている。図示のように、垂直リング軸受225の高さは、回転ホイール230の高さよりも高く、垂直リング軸受225が回転ホイール230の上方に突出している。分解図610と折り畳み図603のそれぞれに見えるのは、該スイッチのセット(図示せず)に接続するために回転ホイール230の上面に設けられた3セットのパッド221である。これについては、回転ホイール230の底面の構成について説明した後に、以下で更に詳しく説明する。
【0089】
図7Aは、図3の回転ホイール230の詳細な底面図である。これを参照して、固定基部の上面の場合と同様に、基本的に2つのリング状の構造がある。一以上の実施形態によれば、交互に配置された第1導電性領域710と非導電性領域720とを備える外周リング701と、単一の接続された第2内側リング(例えば、導電性領域)730を備える内側リングである。更に、外周リング701と内側リング730との間に設けられたリング状領域702も非導電性である。一以上の実施形態において、第1導電性領域710は回転を検知するために使用され、内側リング730は“クリック”を検知するために使用される。
【0090】
図7Bは、図3の例示的な回転ホイールの詳細な上面図を図示している。図7Bの図は、それぞれがスイッチに接続する3セットのパッド221を図示する図6Bに示されている回転ホイール230の上面の図に対応する。図7Bの上面図は、各セットのパッド221がそれぞれ結合される下部の導電リングと共に、先に説明した固定基部231の底面及び上面の他の導電性領域を示すために、透過的に描かれている。これらには、ここでは透明体を介して図示され、図4Aに示されるように、固定基部231の下面に設けられている、結合電極410、420、411及び処理システム110の基準信号に結合される電極430のセットと、固定基部231の上面に設けられている、周辺リング235の一部及び導電パッド237、238とが含まれる。
【0091】
図7Bの導電パッド237、238及び周辺リング235と共に図7Aの導電性領域710は、例えば、銅、銀、金、アルミニウム、酸化インジウムスズその他の導体、又は、例えば、それらのいずれかの相互の種々の合金、又は、異なる元素又は化合物との種々の合金のような公知の導体で作製され得る。一実施形態では、非導電性領域720が、金属が堆積されていないプリント回路ボード又は基板の領域であってもよく、従って、例えば、エポキシプラスチック及びガラス繊維で作製されてもよい。別の実施形態では、非導電性領域720が、例えば二酸化ケイ素(SiO)層などの絶縁層を堆積することによって形成されてもよい。
【0092】
図7Bに示すように、2つのリング状の導電性領域、即ち、外側リング領域(例えば、導電リング712)と内側リング領域732が、例えば、回転ホイール230の上面の表面のすぐ下に設けられている。外側リング領域(例えば、導電リング712)は、図7Aに示すように、ビア(図示されない)によって、回転ホイール230の下側の第1導電性領域710のそれぞれに電気的に接続されている。同様に、回転ホイール230の上側の内周部に設けられた内側リング領域732は、同じく図7Aに示す回転ホイール230の下側の第2導電性内側リング領域730に、ビア(図示されない)によって電気的に接続されている。加えて、図7Bの描写例では、3つのスイッチ220が接続されるべき3セットのパッド221の位置が示されているが、スイッチは示されていない。従って、スイッチ220がクリック音又は同等の他の兆しを発するまでユーザがカバーキャップ215(図2及び図3に示す)を押し下げることによってスイッチ220が閉じられると、各パッドの内側部分が各パッドの外側部分に電気的に接続され、これにより、導電リング712及び732に対応する領域が電気的に接続される。また、図7Aを参照すると、これにより、各第1導電性領域710が内側リング領域(例えば、第2導電性領域)732に接続され得る。他の実施形態では、スイッチと、それらが接続するスイッチパッドの対応するセットが、より多くても少なくてもよいことに留意されたい。パッド221はスイッチパッドと呼ばれることがあり、図示のように回転ホイール230の周囲に等距離に配置されることがある。いくつかの実施形態では、スイッチ220は2つ以上の状態を有することがあり、従って、「押下」又は「閉」と、「非押下」又は「開」以外の多くの位置を有することがある。このような実施形態では、スイッチ220は、「押下」と「非押下」との間に1つ以上の中間状態を有することがあり、ユーザは、カバーキャップ215を押し下げて、「非押下」又は全開状態、各中間状態及び全閉状態の間を移ることができる。このような実施形態では、スイッチ220の各位置は、例えば、スイッチの各状態における電気的結合の信号強度等によって検知され得る。
【0093】
固定基部231及び回転ホイール230それぞれの、各上面及び下面に関する上記の説明を考慮すると、図8の破線矢印801及び802は、固定基部231の上面と回転ホイール230の下面との間の電気的結合を図示している。回転ホイール230が固定基部231の上方にある場合、固定基部231の上面は、組み立てられた回転可能ノブインタフェース150において回転ホイール230の下面に面している。これを参照すると、破線矢印801は、固定基部231の上面の内側導電リング232と例示的な回転ホイール230の下面の内側リング730との間の電気的結合を示している。加えて、破線矢印802は、導電パッド237及び238を含む例示的な固定基部231の上面の周辺リング235と、例示的な回転ホイール230の下面の外周リング701の様々な導電性領域710との間の電気的結合を示している。上述したように、回転ホイール230の底面の外周リング701の領域720は非導電性である。更に、非導電性仕切りリング702は非導電性であり、外周リング701と内側リング730との間に設けられている。
【0094】
図8に示すように、回転ホイール230が固定基部231の上方にあるとき(両者の間に水平軸受が設けられている)、それぞれの外周リング領域間には様々な電気的結合が存在し得る。周辺リング235は、電極430のセットを介して処理システム110によって駆動される基準信号に結合される。更に、周辺リング235は、下側の回転ホイール230の導電性領域710の1つ以上と容量的に結合されている。導電パッド237、238の一方又は両方が回転ホイール230の下面の導電パッド710に結合されているかどうかは、回転ホイール230と固定基部231の相対的な回転位置に依存する。
【0095】
回転を検知するために、固定基部231の上面にある2つの導電パッド237、238は、処理システム110によって検知信号でそれぞれに駆動されるセンサ電極125に結合される。図4Aを参照して上述したように、固定基部231の上面に設けられた導電パッド237及び238は、それぞれ、固定基部231の下面に設けられた結合電極410及び411にビアによって電気的に接続されている。次に、結合電極410及び411は、例えば図4Cに示すように、検知信号で駆動される、対応するセンサ電極125に結合される。固定基部の結合電極410及び411にそれぞれに結合されたセンサ電極125を検知信号で駆動することにより、それらのセンサ電極によって受信される結果信号は、固定基部231の上面にある2つの導電パッド237及び238のそれぞれの、回転ホイール230の下面にある導電性領域710及び非導電性領域720のアレイとの容量カップリングの関数として変化する。
【0096】
以下に説明する図9A~14は、図1~8を参照して上述した回転可能ノブインタフェースの様々な拡張又は代替機能を図示している。一以上の実施形態において、拡張及び代替機能の一部又は多くを、任意の例示的装置において組み合わせることができることに留意されたい。
【0097】
図9Aおよび図9Bは、回転可能電子デバイスのクリック又は機械的応答機能を検知するための別のアプローチを図示している。このアプローチ例では、クリック検知が回転式電子デバイスの固定基部上で容易に行われ得る。これは、図2を参照して上述したアプローチとは対照的であり、回転ホイール230が、その上面に3つの例示的なスイッチ220を備えている。図2の例では、スイッチ220が閉じられると、図7Bに示すように、2つの導電リング領域712及び732が電気的に接続され、そして、これが処理システム110によって検知される。回転可能電子デバイスが固定基部において中央穴を含まない実施形態では、クリック検知を行うスイッチを回転ホイールに容量的に配線する必要はない。その結果、これらのスイッチが固定基部上に設けられ得る。図9Aは、クリック検知パッド920が設けられた代替的な固定基部932の下側を示している。代替的な固定基部932の上面図が描かれている図9Bは、接地領域933をクリック検知パッド920に接続するドームスイッチ950を示している。接地領域933は導電性であるため、入力装置の表面上の複数の電極がこれに結合されると、それらの電極は互いに電気的に結合される。この事実は、図12A、12B、13に関連して後述するシフト検出方法の例で活用される。ここで、代替的な固定基部932により、クリックを検知するための信号が増大し、回転ホイールへのクリック機能の配線の複雑さが軽減されることに留意されたい。図9A及び9Bは、固定基部932の両側にある2つの腎臓形開口939も示している。開口939は、以下のように、シグナルインテグリティを改善することがある。図9A及び図4Bに図示されているように、固定基部932は、検知信号で駆動される例示的な入力装置の上面にある一群のセンサ電極402の上方に設けられることがある。加えて、固定基部932の上方には、図7A及び7Bに図示されている回転ホイール230が設けられることがある。図7Aに更に図示されているように、回転ホイール230の下側には、導電性領域710が設けられることがある。従って、固定基部932は、入力装置の上面にあるセンサ電極402と、回転ホイール230の下面にある導電性領域710の間に「挟まれて」いる。固定基部932の開口939は、回転ホイール230の下面の導電性領域710と入力装置の電極402との間の寄生容量を低減し得る。容量は、2つの対象領域の重なり面積、2つの領域間の距離、及び、2つの領域間の誘電体に基づいて計算され得る。開口939は、誘電率1の空気を誘電体として検知電極402と導電性領域710の間に導入する。これは、例示的な固定基部932が作製される可能性のある材料である、プラスチックや、例えば、FR4(難燃性であるエポキシ樹脂バインダーを有する織ガラス繊維布で作られた複合材料)の代わりになるものである。プラスチックとFR4とは、それぞれ、空気よりもかなり高い誘電率を有するため、開口939によって提供されるエアギャップは、従って、回転ホイールの底面側の導電性領域710と検知電極402との間の寄生容量を低減することができる。
【0098】
代替例では、開口939は異なる形状を有していてもよく、あるいは全く使用されなくてもよい。
【0099】
図10は、例示的な固定基部1031の底面図である。例示的な固定基部1031は、図4Aの固定基部231に類似しているが、接地領域936が幾分大きく、異なる形状を有している。図10はまた、一以上の実施形態による、導電性接着剤で表示パネル(図示せず)に取り付けられる固定基部1031の下面の領域の周囲に描かれた輪郭線906を示している。非導電性接着剤を使用して固定基部を表示ネルに取り付ける代わりに、固定基部の検知パッド410、411、420、及び、固定基部の接地領域936の表示パネルのタッチ画素への結合をそれぞれ増加させることによって信号を改善するために、導電性接着剤を選択された領域に使用してもよい。固定基部1031の下面が取り付けられることがある表示パネルは、例えば、図1の表示パネル120であってもよい。図10を参照すると、一以上の実施形態において、輪郭線が描かれた領域906が導電性接着剤で表示パネルに取り付けられる一方で、他の領域が非導電性接着剤を用いて取り付けられてもよい。導電性接着剤は等方性でも異方性でもよく、適切な導電性接着剤であれば何でもよい。
【0100】
図11は、一以上の実施形態による、回転ホイール及び薄型軸受の代わりに使用され得る例示的な導電性構造体959を示す。図6Aにおいて説明されている薄い軸受226の代替として、例えば導電性PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)で作製された軸受のような導電性軸受が使用されてもよい。このような代替的な実施形態では、回転ホイールは必要ない場合があり、図11に図示されているように、その代わりに、組み合わせ軸受と回転可能要素959とが使用されてもよい。このような代替的な実施形態では、例えば厚さ1~2mmのオーダーで、はるかに厚い軸受を使用することができ、軸受の導電性が増大するため、より強力な信号を提供することができる。導電性PTFEは、導電性を高めるために、例えばPTFEにカーボンを注入することによって形成され得ることに留意されたい。従って、図6Aに示されるような薄い軸受226と、図7A及び図7Bに示されているような交互に設けられた導電性領域710と非導電性領域720を有する例示的な回転ホイール230の両方を使用する代わりに、図11に図示される導電性構造体959を使用してもよい。例示的な導電性構造体959は、図示のように、中央リング961を有し、そこからいくつかの周辺領域960が突出している。図示の例では、中央リング961の周りに90度間隔で配置された4つの周辺領域がある。他の例では、より大きい、又は、より少ない周辺領域が使用されてもよい。周辺領域960は、図示されているように、内側リングに対して接線方向である長い寸法を有し、固定基部932の上部に設けられた導電パッドの上方を交互に通過する。例えば、図9A及び9Bに図示されている代替的な固定基部932を使用してもよい。従って、導電性構造体959の周辺領域960は、固定基部932の上部の接地領域933と共に、検知領域925(図11には示されていないが、図9Bでは左上に示されている)及び926に交互に結合する。その結果、導電性構造体959が回転されると、検知領域925、926と接地領域933との間の容量カップリングに変化が生じる。構造体959はそれ自体が導電性であるため、この例のように固定基部932の上部と導電性構造体959との間に軸受が設けられていない場合、容量カップリングは電気的接続となる。周辺領域960の間隔を考慮すると、固定基部932の導電性領域963は常に導電性構造体959に結合又は接続されることにも留意されたい。しかしながら、導電性構造体959が回転すると、周辺領域960と検知領域925(図示せず)及び926との間の容量カップリングが変化する。一以上の実施形態において、これらの変化は、導電性構造体959の回転方位、ひいては回転ノブインタフェースの回転方位を判定するために使用され得る。前述のように、一以上の実施形態では、導電性構造体959も軸受として機能するが、今度は、例えば上述の薄い軸受226よりもかなり厚くてもよい。
【0101】
前述のように、図11の固定基部932は、前述の図9A及び9Bの例示的な固定基部932と同じである。図9Aに示すように、クリック検知パッド920が固定基部932の下側に設けられている。このクリック検知パッド920は、固定基部932の上側にあるスイッチパッド951に接続されている。同様に、接地領域933は、固定基部932の上側のスイッチパッド952に接続されている。ドームスイッチ(図示せず)、例えば、図9Bに示すドームスイッチ950が、クリックを検知するために、スイッチパッド951と952の間に接続されてもよい。
【0102】
次に、図12A~13を参照して、入力装置の表面に対する回転可能ノブインタフェースのズレを検出するための2つの方法の例を説明する。ノブ基部のズレは、回転可能ノブインタフェースの故障を示すことがある。従って、このようなズレを検出することは、回転可能ノブインタフェースの故障を判定するために使用され得る。
【0103】
図12A及び12Bを参照して、ズレ検出の第1の例示的な方法を説明する。図12A及び12Bは、一以上の実施形態による、例示的な回転可能ノブインタフェースの固定基部1231の下側の接地領域936の下に設けられる例示的な表示パネルの電極403のセットを、入力装置の表示パネルの下にある視点から図示している。上述したように、接地領域936は、その上方に該接地領域936が設けられている表示パネルの電極が、入力検知期間の間、基準信号で駆動されるので、そのように呼ばれている。しかし、第1の例示的なズレ検出方法では、これが変更され、接地領域の下にある表示パネルのすべての電極が、規則的な入力検出期間の基準信号で駆動されるわけではない。図12Aに示されるように、第1の予め定義された期間において、接地領域936に結合する全ての電極403が、基準信号で駆動される。その後、図12Bに示されるように、第2の予め定義された期間の間に、第1サブセット領域404(図12Bにおいて破線の境界で囲まれる)内の電極403の第1サブセット、例えば電極403の半分が検知波形によって駆動され、該電極403のセットの残りの電極、例えば第2サブセット領域405内の電極が基準信号によって駆動されることがある。
【0104】
固定基部1231の接地領域936の下方にある電極403の全てが基準信号によって駆動される図12Aの設定は、上述したように、入力検知、例えば、回転可能ノブインタフェースの回転の検知中に使用される通常の方式である。しかしながら、図12Bの設定は、例えば、電極403の半分、第1サブセット領域404の電極が検知波形によって駆動される、通常の検知方式外の、例えば、標準の入力検知期間ではない特定の期間の間に発生する。接地領域936全体が電気的に接続されているため、第1サブセット領域404と第2サブセット領域405の両方が固定基部1231の接地領域936を介して接続されたままであるため、第2の予め決められた期間の間、第1サブセット領域404の電極も、検知信号によって駆動されるものの、接地される。一実施形態では、アナログ・デジタル変換器(ADC)が、検知信号で駆動される第1サブセット領域404の電極上の容量を検知するために使用され得る。このような実施形態では、第1サブセット領域404の所与の電極について、ADCの読み取り値はその接地負荷の関数として変化する。いくつかの実施形態では、接地負荷が大きいほど、ADCの信号は低くなる。従って、そのような実施形態において、回転可能ノブインタフェースがその正しい場所、第1サブセット領域404の上方にあるとき、第1サブセット領域404の電極は、接続されたADC上で、接地領域936を介して接地された負荷を反映する、ある値を発現する。しかし、回転可能ノブインタフェースが滑り、固定基部1231の接地領域936が第1サブセット領域404の1つ以上の電極の上方に、もはや存在しない場合、その電極に接続されたADC上で、より高い値が観察されるであろう。一実施形態では、この高いADC値が、固定基部1231、ひいては回転可能ノブインタフェースのスリップ、又は、平行移動を検出するために使用され得る。従って、一実施形態では、連続する第2の予め規定された期間の間で、第1サブセット領域の電極のADC値が、ズレを判定するために比較され得る。あるいは、第2の予め規定された期間における電極の所与の読み取り値が、固定基部がその意図された位置で表示パネルに取り付けられた後、固定基部1231がズレたかどうかを判定するために、製造時のその電極のADC値と比較されてもよい。前述のように、第2の予め規定された期間は、通常の入力検知の外で発生するため、入力検知スキーム内におけるズレ検知のために追加の時間を割り当てる必要があるかもしれない。
【0105】
他の実施形態では、電極403のセットが、第1サブセット領域404の電極の数が第2サブセット領域405の電極の数より少ない、等しくないサブセットに分割されてもよい。例えば、第1サブセット領域404の電極の数は、例えば1/3、1/4、又は1より小さい他の割合値など、電極403のセットの電極の総数の、ある割合であってもよい。
【0106】
ズレ検出の第2の例示的な方法(第1の例示的な方法の変形である)では、接地負荷の結果として接続されたADC値が変化するという同じ原理が、異なる方法で利用されることがある。第2の例示的な方法では、接地領域936の下にある第1サブセット領域の電極が、通常の入力検知中であっても検知信号で駆動されることがある。これが図13に図示されている。これを参照すると、図13は、表示パネルの電極125のグリッドの、電極の第1サブセット領域406を図示している。電極の第1サブセット領域406(図13において破線の境界で示される)は、固定基部1231の接地領域936の下に設けられる。一実施形態では、サブセット領域406内の電極で受信された結果信号の以前のベースライン状態を、現在取得された結果信号と比較して、固定基部のズレが生じたかどうかを判定してもよい。一以上の実施形態では、第1の例示的な方法の場合と同様に、結果信号が、電極に接続されたADCの値を使用して測定されることがあり、ADC値の変化を使用して、固定基部1231、ひいては回転可能ノブインタフェースのズレが検出されることがあり、第1サブセット領域406内の電極についての、接続されたADCの値の変化から判定され得る。
【0107】
一実施形態では、図13に図示される例示的な方法について、接地領域936に結合される電極403のセットが、等しくないサブセットに分割されることがある。入力検知期間の間に検知信号を受信する、第1サブセット領域406内の電極の数は、第2サブセット領域405内の電極の数よりも少ない。例えば、第1サブセット領域406内の電極の数は、該電極403のセット内の電極の総数の、1/2未満である、ある割合であってもよい。例えば、該電極403のセット内の電極の総数の1/10であってもよい。或いは、例えば、該電極403のセット内の電極の総数の20%、又は15%、又は0と1/2の間の任意の他の割合の値であってもよい。
【0108】
ズレ検出の第2の例示的な方法では、第1サブセット領域406内の電極が、規則的な入力検知期間に検知信号によって常に駆動されるため、比較は、2つの規則的な(例えば、連続する)入力検知期間の間で行われる場合があり、ズレ検出のために入力検知スキーマに追加の期間を追加する必要がない。
【0109】
図14は、例示的な電子デバイス上の電子インタフェース、例えば回転可能ノブインタフェースの固定基部のズレを検出するための方法1400を図示するプロセスフローチャートである。この方法には2つの段階があり、それぞれ、上で説明した図12A及び12Bに図示されている2つの例にそれぞれ対応する。前述したように、ノブのズレの検出は、故障のメカニズムの1つである。
【0110】
方法1400は、ブロック1410~1440を含む。他の実施形態では、方法1400が、より多くの、又は、より少ないブロックを有してもよい。方法1400は、ブロック1410で始まり、第1期間に、ノブインタフェースの固定基部の下側の単一の導電性領域に容量的に結合された入力装置の第1セットの電極及び第2セットの電極に基準信号が供給される。固定基部は、入力装置(例えば、電子デバイス100)の表面に設けられる。例えば、導電性領域は、図12A及び12Bに示される接地領域936であってもよい。
【0111】
方法1400は、ブロック1410からブロック1420に進み、第2期間に、検知信号が第1セットの電極に供給され、基準信号が第2セットの電極に供給される。例えば、第1セットの電極は、図12Bの領域404の電極であってもよく、第2セットの電極は、図12Bの領域405の電極であってもよく、それらのすべては固定基部1231上の導電性領域936に結合される。
【0112】
方法1400は、ブロック1420からブロック1430に進み、第2期間に、第1セットの電極で結果信号が受信される。上述したように、結果信号は、測定時に固定基部1231と入力装置の相対位置によって修正された可能性があることを除いて、第1セットの電極を駆動するために使用される信号と同じである。
【0113】
方法1400は、ブロック1430からブロック1440に進み、ここで、第2期間に取得された第1セットの電極上の結果信号の値と、第1セットの電極の以前のベースライン状態とに少なくとも部分的に基づいて、入力装置の表面上のノブインタフェースの平行移動が判定される。一以上の実施形態では、この判定が、入力装置のメモリに格納されたファームウェアによって実行されてもよい。方法1400は、ブロック1440で終了することがあり、又は、図14に示すように繰り返されることがあり、従って、方法1400は、ブロック1440からブロック1410に戻ることがある。一以上の実施形態では、ベースライン状態は、例えば製造時に事前に格納されてもよく、又は、例えば、方法1400の以前の過程の以前の第2期間に得られた結果信号の一組の値であってもよい。
【0114】
このように、本願に記載の実施形態及び実施例は、本技術及びその特定の応用による実施形態を最もよく説明し、それによって当業者が本開示を作製及び使用できるようにするために提示されたものである。しかしながら、当業者であれば、前述の説明および実施例は、説明及び例示のみを目的として提示されたものであることを認識するであろう。記載された説明は、網羅的であることを意図したものではなく、又は、本開示を、開示されたそのままの形態に限定することを意図したものでもない。
【0115】
上記を考慮すると、本開示の技術的範囲は、下記の特許請求の範囲によって決定される。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図5
図6A
図6B
図7A
図7B
図8
図9A
図9B
図10
図11
図12A
図12B
図13
図14
【国際調査報告】