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特表2024-503286紫外線C放出消毒デバイス及びその使用方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-25
(54)【発明の名称】紫外線C放出消毒デバイス及びその使用方法
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/22 20060101AFI20240118BHJP
   G02B 5/28 20060101ALI20240118BHJP
   A61L 2/10 20060101ALI20240118BHJP
【FI】
G02B5/22
G02B5/28
A61L2/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023539945
(86)(22)【出願日】2021-11-23
(85)【翻訳文提出日】2023-06-29
(86)【国際出願番号】 IB2021060889
(87)【国際公開番号】W WO2022144625
(87)【国際公開日】2022-07-07
(31)【優先権主張番号】63/132,830
(32)【優先日】2020-12-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505005049
【氏名又は名称】スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100130339
【弁理士】
【氏名又は名称】藤井 憲
(74)【代理人】
【識別番号】100135909
【弁理士】
【氏名又は名称】野村 和歌子
(74)【代理人】
【識別番号】100133042
【弁理士】
【氏名又は名称】佃 誠玄
(74)【代理人】
【識別番号】100171701
【弁理士】
【氏名又は名称】浅村 敬一
(72)【発明者】
【氏名】ヘブリンク,ティモシー ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ウィートリー,ジョン エー.
(72)【発明者】
【氏名】アチャリャ,バラト アール.
(72)【発明者】
【氏名】リュー,タオ
(72)【発明者】
【氏名】マキ,スティーブン ピー.
(72)【発明者】
【氏名】ブノワ,ジル ジェイ.ビー.
(72)【発明者】
【氏名】スウィートナム,ショーン エム.
【テーマコード(参考)】
2H148
4C058
【Fターム(参考)】
2H148CA01
2H148CA13
2H148CA17
2H148CA18
2H148CA23
2H148CA27
2H148GA01
2H148GA03
2H148GA04
2H148GA05
2H148GA07
2H148GA12
2H148GA24
2H148GA33
2H148GA51
2H148GA61
2H148GA66
4C058AA01
4C058BB06
4C058KK02
4C058KK22
4C058KK28
(57)【要約】
280nm~400nmの波長を有する紫外放射線に対して実質的に不透過性であるハウジングと、ハウジング内に画定されている少なくとも1つの窓であって、少なくとも100nm~280nm未満の波長のUV-C放射線を集合的に透過して、280nm~400nmの波長の、UV-A放射線及びUV-B放射線を透過しない、多数の交互配置された第1の光学層と第2の光学層とを有する、UV-C放射線バンドパスミラーフィルムを含む、窓と、ハウジング内部に位置決めされている紫外放射線源であって、100nm~400nmの1つ以上の波長の紫外放射線を放出することが可能な、紫外放射線源とを含む、デバイス。このデバイスは、任意選択的に、紫外放射線源によって放出された紫外放射線を反射するようにハウジング内部に位置決めされている、紫外線ミラーフィルムを更に含む。材料を消毒する方法もまた開示される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
デバイスであって、
280nm~400nmの波長を有する紫外放射線に対して実質的に不透過性であるハウジングと、前記ハウジング内に画定されている少なくとも1つの窓であって、少なくとも100nm、125nm、150nm、160nm、170nm、180nm、又は190nmから、280nm、270nm、260nm、250nm、240nm、又は230nm未満までの波長のUV-C放射線を集合的に透過して、280nm~400nmの波長の、UV-A放射線及びUV-B放射線を実質的に透過しない、複数の交互配置された第1の光学層と第2の光学層とで構成されている、UV-C放射線バンドパスミラーフィルムを含む、窓と、
前記ハウジング内部に位置決めされている紫外放射線源であって、100nm~400nmの1つ以上の波長の紫外放射線を放出することが可能な、紫外放射線源と、を備え、前記デバイスが、任意選択的に、
前記紫外放射線源によって放出された紫外放射線を反射するように前記ハウジング内部に位置決めされている、紫外線ミラーフィルムであって、少なくとも100nm、125nm、150nm、160nm、170nm、180nm、190nm、又は200nmから、400nm、300nm、280nm、270nm、260nm、250nm、240nm、又は230nmまでの波長範囲の入射UV-C紫外放射線の、少なくとも50、60、70、80、90、又は95パーセントを集合的に反射して、230ナノメートル超、235nm超、又は240nm超から、400ナノメートルまでの波長範囲の入射紫外放射線の、少なくとも50、60、70、80、90、又は95パーセントを集合的に透過する、少なくとも複数の交互配置された第1の光学層と第2の光学層とで構成されている、紫外線ミラーフィルムを更に備え、前記紫外線ミラーフィルムを通って透過される、少なくとも230ナノメートル~400ナノメートルの波長を有する紫外放射線の、少なくとも50、60、70、80、90、又は95パーセントが、前記ハウジングによって吸収される、デバイス。
【請求項2】
前記ハウジングが、中空の非平面形状を有し、更には、前記紫外放射線源が、前記ハウジングによって実質的に取り囲まれている、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記紫外放射線源が、低圧水銀ランプ、中圧水銀ランプ、重水素アークランプ、キセノンアークランプ、殺菌ランプ、又はエキシマランプである、請求項1又は2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記UV-C放射線バンドパスミラーフィルムが、酸窒化ジルコニウム、ハフニア、アルミナ、酸化マグネシウム、酸化イットリウム、フッ化ランタン、又はフッ化ネオジムのうちの少なくとも1つを含む、少なくとも第1の光学層と、シリカ、フッ化アルミニウム、フッ化マグネシウム、フッ化カルシウム、シリカアルミナ酸化物、又はアルミナドープシリカのうちの少なくとも1つを含む、少なくとも第2の光学層とを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項5】
前記少なくとも第1の光学層が、フッ化ポリビニリデン又はポリエチレンテトラフルオロエチレンのうちの少なくとも一方を含み、前記少なくとも第2の光学層が、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)、あるいは、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、及びフッ化ビニリデンのコポリマーを含む、請求項4に記載のデバイス。
【請求項6】
前記任意選択的な紫外線ミラーフィルムが、前記ハウジング内部に位置決めされている、請求項1~5のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項7】
前記紫外線ミラーフィルムが、空隙によって前記紫外放射線源から隔てられている、請求項6に記載のデバイス。
【請求項8】
前記紫外線ミラーフィルムが、
フルオロポリマーで構成されている基材と、
前記基材の主表面上に配置されている多層光学フィルムであって、少なくとも100ナノメートル~400ナノメートルの波長範囲における、又は任意選択的に少なくとも180nm~280nm未満の波長範囲における、少なくとも30ナノメートルの波長反射帯域幅にわたって、入射紫外放射線を集合的に反射する、少なくとも複数の交互配置された第1の光学層と第2の光学層とで構成されている、多層光学フィルムと、任意選択的に、前記紫外線ミラーフィルムの主表面上に配置されている接着剤層と、を含む、請求項6又は7に記載のデバイス。
【請求項9】
前記フルオロポリマーが、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、フッ化ビニリデン、ペルフルオロアルコキシアルカン、又はこれらの組み合わせを含む、(コ)ポリマーである、請求項8に記載のデバイス。
【請求項10】
前記多層光学フィルムの前記少なくとも第1の光学層が、少なくとも1種のポリエチレン(コ)ポリマーを含み、前記第2の光学層が、テトラフルオロエチレン(コ)ポリマー、ヘキサフルオロプロピレン(コ)ポリマー、フッ化ビニリデン(コ)ポリマー、ヘキサフルオロプロピレン(コ)ポリマー、ペルフルオロアルコキシアルカン(コ)ポリマー、又はこれらの組み合わせから選択される、少なくとも1種のフルオロポリマーを含み、任意選択的に、前記少なくとも1種のフルオロポリマーは架橋されている、請求項8又は9に記載のデバイス。
【請求項11】
前記多層光学フィルムの前記少なくとも第1の光学層が、酸窒化ジルコニウム、ハフニア、アルミナ、酸化マグネシウム、酸化イットリウム、フッ化ランタン、又はフッ化ネオジムのうちの少なくとも1つを含み、前記第2の光学層が、シリカ、フッ化アルミニウム、フッ化マグネシウム、フッ化カルシウム、シリカアルミナ酸化物、又はアルミナドープシリカのうちの少なくとも1つを含む、請求項8~10のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項12】
前記多層光学フィルムの前記少なくとも第1の光学層が、フッ化ポリビニリデン又はポリエチレンテトラフルオロエテンのうちの少なくとも一方を含み、前記第2の光学層が、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、及びフッ化ビニリデンのコポリマーを含む、請求項8~11のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項13】
前記接着剤層が存在して、前記ハウジングに隣接して位置決めされており、更には、前記接着剤層が(コ)ポリマーを含む、請求項8~12のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項14】
前記接着剤層が、ベンゾトリアゾール化合物、ベンゾフェノン化合物、トリアジン化合物、又はこれらの組み合わせから選択される、紫外放射線吸収剤を更に含む、請求項13に記載のデバイス。
【請求項15】
少なくとも1つの材料を消毒する方法であって、
請求項1~14のいずれか一項に記載のデバイスを供給することと、
前記紫外放射線源によって放出された紫外放射線を、前記UV-Cバンドパスミラーフィルムを介して方向付けることと、
前記少なくとも1つの材料を、前記少なくとも1つの材料の所望の消毒の程度に達するために十分な時間にわたって、前記UV-Cバンドパスミラーフィルムを通過する前記紫外放射線に曝露することであって、前記UV-Cバンドパスミラーフィルムを通過する前記紫外放射線が、少なくとも100nm、125nm、150nm、160nm、170nm、180nm、又は190nmから、280nm、270nm、260nm、250nm、240nm、又は230nm未満までの波長範囲であり、280nm~400nmの波長の、UV-A放射線及びUV-B放射線を実質的に含まず、任意選択的に、前記少なくとも1つの材料を、前記UV-Cバンドパスミラーフィルムを通過する前記紫外放射線に曝露することが、前記UV-Cバンドパスミラーフィルムを通過する前記紫外放射線に前記少なくとも1つの材料を曝露する前に存在していた、少なくとも1種の微生物の量と比較して、前記少なくとも1つの材料上又は材料内に存在する前記少なくとも1種の微生物の量の、log2、log3、log4、又はそれ以上の減少が達成されるまで実行される、曝露することと、を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
紫外(UV)光又は紫外放射線は、例えば、コーティング、接着剤、及び様々な(コ)ポリマー材料の製造において使用される、フリーラジカル化学反応を開始する際に有用である。紫外放射線はまた、例えば、包帯、メンブレン、及び濾過媒体などの表面を消毒する際にも、並びに、空気及び液体(例えば、水)の消毒のためにも有用であり得る。空気及び水の消毒は、人間の健康及び感染症の予防にとって、最も重要である。病原体は、突然変異して抗生物質耐性を発現するものであるため、特に、リスクの高い環境及び集団においては、病気の感染及び蔓延を防止することが、ますます重要になってきている。
【0002】
病院は、現在のところ、不快な臭気と健康への望ましくない影響とを有し得る刺激の強い化学物質を使用して、病室、手術室、及び病院の表面を消毒している。公衆トイレもまた、病気を媒介すると共に細菌を伝播させる、周知の表面を有しており、一般的には、化学的消毒方法を使用して消毒されている。病室及び公衆トイレに加えて、バス、列車、及び飛行機などの公共交通機関、並びに、公立学校、レストラン、食料品店、及び小売店を含めた、他の公共区域も全て、病気の蔓延を防止するために、定期的な消毒を必要とする。世界的規模の人間移動の利用可能性及び速度により、定期的に消毒されていない表面上で病気が急速に拡散するリスクが高まっており、このことは、病気の流行、又は更にパンデミックを引き起こす恐れがある。
【0003】
UV-C放射線(すなわち、100ナノメートル~280ナノメートルの範囲の1つ以上の波長における電磁放射線放出)を使用することにより、細菌、ウイルス、胞子、真菌、及びカビを含めた、原核微生物及び真核微生物を同様に効果的に不活性化若しくは死滅させることができる。1種以上の抗生物質に対する耐性を発現している細菌株であっても、依然としてUV-C放射線曝露の影響を受けやすい。UV-C照射消毒の適用に関して、特に対象となる病原体のうちのいくつかの例としては、院内感染(例えば、C.diff、E.coli、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌[Methicillin Resistant Staphylococcus Aureus;MRSA]、クレブシエラ、インフルエンザ、マイコバクテリア、及び腸内細菌)、水系感染及び土壌感染(例えば、ジアルジア、レジオネラ、及びカンピロバクター)、並びに空気感染(例えば、インフルエンザ、肺炎、及び結核)が挙げられる。
【発明の概要】
【0004】
一部の特定の波長で放出されるUV放射線は、程度の差こそあれ、人々及び動物に害を及ぼす可能性がある。残念ながら、消毒を達成する際に有用なUV-C放射線を放出することが可能な、多くの市販の紫外放射線源は、UV-A放射線(すなわち、315ナノメートル~400ナノメートルの範囲の1つ以上の波長における電磁放射線放出)、及び/又はUV-B放射線(すなわち、280ナノメートル~315ナノメートルの範囲の1つ以上の波長における電磁放射線放出)もまた放出する。UV-A放射線とUV-B放射線とは、それらが皮膚にどのように影響を及ぼすかの点では異なるが、それらはいずれも害を及ぼす可能性がある。UV-A放射線及びUV-B放射線に対する無防備な長時間の曝露は、人間の皮膚細胞中のDNAに損傷を与えることにより、早期老化、しわ、また更には皮膚癌、並びに、眼の損傷、例えば白内障及び眼瞼癌をもたらし得る、遺伝子異常又は突然変異を生じさせる恐れがある。
【0005】
したがって、本開示は、低コストの市販の広帯域UV光源を組み込む消毒デバイスではあるが、消毒に有用な実質的な量のUV-C放射線を透過して、健康への望ましくない影響を有し得る実質的に全てのUV-A放射線及びUV-B放射線を反射することが可能な、バンドパスフィルタとして機能する1つ以上の多層UV-Cミラーフィルムを組み込む、消毒デバイスに関する。そのようなデバイスは、携帯型又は手持ち式の消毒用途において特に有用であるが、これは、その消毒デバイスによって放出されるUV-C放射線が、人間及び動物の存在下で、健康への重大な悪影響を引き起こすことなく使用することができるためである。
【0006】
それゆえ、一態様では、本開示は、280nm~400nmの波長を有する紫外放射線に対して実質的に不透過性であるハウジングと、ハウジング内に画定されている少なくとも1つの窓と、ハウジング内部に位置決めされている紫外放射線源とを含む、デバイスを説明する。紫外放射線源は、100nm~400nmの1つ以上の波長の紫外放射線を放出することが可能である。窓は、少なくとも100nm、125nm、150nm、160nm、170nm、180nm、又は190nmから、280nm、270nm、260nm、250nm、240nm、又は230nm未満までの波長のUV-C放射線を集合的に透過する、多数の交互配置された第1の光学層と第2の光学層とを含む、UV-C放射線バンドパスミラーフィルムを含む。UV-C放射線バンドパスミラーフィルムは、280nm~400nmの波長の、UV-A放射線及びUV-B放射線を実質的に透過しない。
【0007】
本開示はまた、表面の消毒に有用な実質的な量のUV-C放射線の放出を可能にする一方で、健康への望ましくない影響を有し得る実質的に全てのUV-A放射線及びUV-B放射線をハウジング内に反射して戻すための、バンドパスフィルタとして機能する多層UV-Cミラーフィルムで覆われている、消毒デバイス内の窓に、広帯域UV光源からのUV-C放射線を反射するために、消毒デバイスのUV放射線不透過性ハウジング内部で使用することが可能な、多層UV-Cミラーフィルムも説明する。
【0008】
それゆえ、いくつかの特に有利な実施形態では、本デバイスは、紫外放射線源によって放出された紫外放射線を反射するようにハウジング内部に位置決めされている、紫外線ミラーフィルムを更に含む。紫外線ミラーフィルムは、少なくとも100nm、125nm、150nm、160nm、170nm、180nm、190nm、又は200nmから、400nm、300nm、280nm、270nm、260nm、250nm、240nm、又は230nmまでの波長範囲の入射UV-C紫外放射線の、少なくとも50、60、70、80、90、又は95パーセントを集合的に反射して、230ナノメートル超、235nm超、又は240nm超から、400ナノメートルまでの波長範囲の入射紫外放射線の、少なくとも50、60、70、80、90、又は95パーセントを集合的に透過する、多数の交互配置された第1の光学層と第2の光学層とを含む。紫外線ミラーを通って透過される、少なくとも230ナノメートル~400ナノメートルの波長を有する紫外放射線の、少なくとも50、60、70、80、90、又は95パーセントは、紫外線ミラーフィルムによって吸収される。
【0009】
更には、紫外放射線で消毒されている一部の表面(例えば、(コ)ポリマー表面)は、UV-C紫外光からさえも保護されることを必要とする場合があるため、本開示はまた、UV-Cミラー保護フィルムにも関するものであり、このUV-Cミラー保護フィルムは、UV-C放射線と、任意選択的にUV-A放射線及びUV-B放射線のうちの1つ以上とを反射することにより、そのUVミラー保護フィルムが適用されている、下にある表面を、UV照射曝露の影響による損傷から保護することができる。
【0010】
それゆえ、別の態様では、本開示は、フルオロポリマーで構成されている基材と、基材の主表面上に配置されている多層光学フィルムであって、0°、30°、45°、60°、又は75°のうちの少なくとも1つの入射光角度において、少なくとも100ナノメートル~280ナノメートルの波長範囲における、又は任意選択的に少なくとも240nm~400nmの波長範囲における、少なくとも30ナノメートルの波長反射帯域幅にわたって、入射紫外放射線の少なくとも30パーセントを集合的に反射する、少なくとも複数の交互配置された第1の光学層と第2の光学層とで構成されている、多層光学フィルムと、基材とは反対側の、多層光学フィルムの主表面上に配置されている、ヒートシール可能な接着剤層とを含む、UV-Cミラーフィルムを説明する。
【0011】
前述の実施形態のいずれかでは、フルオロポリマーは、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、フッ化ビニリデン、ペルフルオロアルコキシアルカン、又はこれらの組み合わせを含む、(コ)ポリマーである。いくつかのそのような実施形態では、ヒートシール可能な接着剤層は、(コ)ポリマーを含む。前述の実施形態のいずれかでは、(コ)ポリマーは、オレフィン(コ)ポリマー、(メタ)アクリレート(コ)ポリマー、ウレタン(コ)ポリマー、フルオロポリマー、シリコーン(コ)ポリマー、又はこれらの組み合わせから選択される。特定のそのような実施形態では、(コ)ポリマーは、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン酢酸ビニル、ポリエチレンメチルアクリレート、ポリエチレンオクテン、ポリエチレンプロピレン、ポリエチレンブテン、ポリエチレン無水マレイン酸、ポリメチルペンテン、ポリイソブテン、ポリイソブチレン、ポリエチレンプロピレンジエン、環状オレフィンコポリマー、及びこれらのブレンドから選択される、オレフィン(コ)ポリマーである。
【0012】
前述の実施形態のいくつかでは、(コ)ポリマーは、110C~190Cの範囲の融解温度を有する。他の例示的実施形態では、(コ)ポリマーは、150℃未満の融解温度を有する。特定のそのような実施形態では、(コ)ポリマーは、架橋されている。いくつかのそのような実施形態では、(コ)ポリマーは、紫外放射線吸収剤、ヒンダードアミン光安定剤、酸化防止剤、又はこれらの組み合わせを更に含む。更なるそのような実施形態では、紫外放射線吸収剤は、ベンゾトリアゾール化合物、ベンゾフェノン化合物、トリアジン化合物、又はこれらの組み合わせから選択される。
【0013】
前述のUV-Cミラーフィルムの実施形態のいずれかでは、少なくとも第1の光学層は、少なくとも1種のポリエチレン(コ)ポリマーを含み、第2の光学層は、テトラフルオロエチレン(コ)ポリマー、ヘキサフルオロプロピレン(コ)ポリマー、フッ化ビニリデン(コ)ポリマー、ヘキサフルオロプロピレン(コ)ポリマー、ペルフルオロアルコキシアルカン(コ)ポリマー、又はこれらの組み合わせから選択される、少なくとも1種のフルオロポリマーを含む。いくつかのそのような実施形態では、少なくとも1種のフルオロポリマーは、架橋されている。
【0014】
前述の実施形態のいずれかでは、少なくとも第1の光学層は、酸窒化ジルコニウム、ハフニア、アルミナ、酸化マグネシウム、酸化イットリウム、フッ化ランタン、又はフッ化ネオジムのうちの少なくとも1つを含み、第2の光学層は、シリカ、フッ化アルミニウム、フッ化マグネシウム、フッ化カルシウム、シリカアルミナ酸化物、又はアルミナドープシリカのうちの少なくとも1つを含む。
【0015】
別の態様では、本開示は、所望の消毒の程度まで表面を消毒するために、前述のデバイス実施形態のいずれかによる消毒デバイスを使用する方法であって、消毒デバイスを供給することと、紫外放射線源によって放出された紫外放射線を、UV-Cバンドパスミラーフィルムを介して方向付けることと、少なくとも1つの材料を、その少なくとも1つの材料の所望の消毒の程度に達するために十分な時間にわたって、UV-Cバンドパスミラーフィルムを通過する紫外放射線に曝露することとを含む、方法を説明する。UV-Cバンドパスミラーフィルムを通過する紫外放射線は、少なくとも100nm、125nm、150nm、160nm、170nm、180nm、又は190nmから、280nm、270nm、260nm、250nm、240nm、又は230nm未満までの波長範囲である。UV-Cバンドパスフィルタを通過する紫外光は、280nm~400nmの波長の、UV-A放射線及びUV-B放射線を実質的に含まない。
【0016】
いくつかの現在好ましい実施形態では、少なくとも1つの材料を、その少なくとも1つの材料の所望の消毒の程度に達するために十分な時間にわたって、UV-Cバンドパスミラーフィルムを通過する紫外放射線に曝露することにより、UV-Cバンドパスミラーフィルムを通過する紫外放射線に少なくとも1つの材料を曝露する前に存在していた、少なくとも1種の微生物の量と比較して、その少なくとも1つの材料上又は材料内に存在する少なくとも1種の微生物の量の、log2、log3、log4、又はそれ以上の減少が達成される。
【0017】
様々な予期せぬ結果及び利点が、本開示の様々な例示的実施形態で得られており、それら例示的実施形態の部分的なリストを以下に示す。
【0018】
例示的実施形態のリスト
実施形態A:デバイスであって、
280nm~400nmの波長を有する紫外放射線に対して実質的に不透過性であるハウジングと、ハウジング内に画定されている少なくとも1つの窓であって、少なくとも100nm、125nm、150nm、160nm、170nm、180nm、又は190nmから、280nm、270nm、260nm、250nm、240nm、又は230nm未満までの波長のUV-C放射線を集合的に透過して、280nm~400nmの波長の、UV-A放射線及びUV-B放射線を実質的に透過しない、複数の交互配置された第1の光学層と第2の光学層とで構成されている、UV-C放射線バンドパスミラーフィルムを含む、窓と、
ハウジング内部に位置決めされている紫外放射線源であって、100nm~400nmの1つ以上の波長の紫外放射線を放出することが可能な、紫外放射線源とを備え、デバイスが、任意選択的に、
紫外放射線源によって放出された紫外放射線を反射するようにハウジング内部に位置決めされている、紫外線ミラーフィルムであって、少なくとも100nm、125nm、150nm、160nm、170nm、180nm、190nm、又は200nmから、400nm、300nm、280nm、270nm、260nm、250nm、240nm、又は230nmまでの波長範囲の入射UV-C紫外放射線の、少なくとも50、60、70、80、90、又は95パーセントを集合的に反射して、230ナノメートル超、235nm超、又は240nm超から、400ナノメートルまでの波長範囲の入射紫外放射線の、少なくとも50、60、70、80、90、又は95パーセントを集合的に透過する、少なくとも複数の交互配置された第1の光学層と第2の光学層とで構成されている、紫外線ミラーフィルムを更に備え、紫外線ミラーを通って透過される、少なくとも230ナノメートル~400ナノメートルの波長を有する紫外放射線の、少なくとも50、60、70、80、90、又は95パーセントが、チャンバ内に吸収される、デバイス。
【0019】
実施形態B:ハウジングが、中空の非平面形状を有し、更には、紫外放射線源が、ハウジングによって実質的に取り囲まれている、実施形態Aのデバイス。
【0020】
実施形態C:紫外放射線源が、殺菌ランプ又はエキシマランプである、いずれかの先行の実施形態のデバイス。
【0021】
実施形態D:UV-C放射線バンドパスミラーフィルムが、酸窒化ジルコニウム、ハフニア、アルミナ、酸化マグネシウム、酸化イットリウム、フッ化ランタン、又はフッ化ネオジムのうちの少なくとも1つを含む、少なくとも第1の光学層と、シリカ、フッ化アルミニウム、フッ化マグネシウム、フッ化カルシウム、シリカアルミナ酸化物、又はアルミナドープシリカのうちの少なくとも1つを含む、少なくとも第2の光学層とを含む、いずれかの先行の実施形態のデバイス。
【0022】
実施形態E:少なくとも第1の光学層が、フッ化ポリビニリデン又はポリエチレンテトラフルオロエチレンのうちの少なくとも一方を含み、少なくとも第2の光学層が、フッ素化エチレンプロピレン(fluorinated ethylene propylene;FEP)、あるいは、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、及びフッ化ビニリデンのコポリマーを含む、実施形態Dのデバイス。
【0023】
実施形態F:紫外線ミラーフィルムが、ハウジング内部に位置決めされている、いずれかの先行の実施形態のデバイス。
【0024】
実施形態G:紫外線ミラーフィルムが、空隙によって紫外放射線源から隔てられている、実施形態Fのデバイス。
【0025】
実施形態H:紫外線ミラーフィルムが、
フルオロポリマーで構成されている基材と、
基材の主表面上に配置されている多層光学フィルムであって、少なくとも100ナノメートル~400ナノメートルの波長範囲における、又は任意選択的に少なくとも180nm~280nm未満の波長範囲における、少なくとも30ナノメートルの波長反射帯域幅にわたって、入射紫外放射線を集合的に反射する、少なくとも複数の交互配置された第1の光学層と第2の光学層とで構成されている、多層光学フィルムと、任意選択的に、紫外線ミラーフィルムの主表面上に配置されている接着剤層と、を含む、実施形態F又は実施形態Gのデバイス。
【0026】
実施形態I:フルオロポリマーが、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、フッ化ビニリデン、ペルフルオロアルコキシアルカン、又はこれらの組み合わせを含む、(コ)ポリマーである、実施形態Hのデバイス。
【0027】
実施形態J:多層光学フィルムの少なくとも第1の光学層が、少なくとも1種のポリエチレン(コ)ポリマーを含み、第2の光学層が、テトラフルオロエチレン(コ)ポリマー、ヘキサフルオロプロピレン(コ)ポリマー、フッ化ビニリデン(コ)ポリマー、ヘキサフルオロプロピレン(コ)ポリマー、ペルフルオロアルコキシアルカン(コ)ポリマー、又はこれらの組み合わせから選択される、少なくとも1種のフルオロポリマーを含み、任意選択的に、少なくとも1種のフルオロポリマーは架橋されている、実施形態H又は実施形態Iのデバイス。
【0028】
実施形態K:多層光学フィルムの少なくとも第1の光学層が、酸窒化ジルコニウム、ハフニア、アルミナ、酸化マグネシウム、酸化イットリウム、フッ化ランタン、又はフッ化ネオジムのうちの少なくとも1つを含み、第2の光学層が、シリカ、フッ化アルミニウム、フッ化マグネシウム、フッ化カルシウム、シリカアルミナ酸化物、又はアルミナドープシリカのうちの少なくとも1つを含む、実施形態H、I、又は実施形態Jのデバイス。
【0029】
実施形態L:多層光学フィルムの少なくとも第1の光学層が、フッ化ポリビニリデン又はポリエチレンテトラフルオロエテンのうちの少なくとも一方を含み、第2の光学層が、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、及びフッ化ビニリデンのコポリマーを含む、実施形態H、I、J、又は実施形態Kのデバイス。
【0030】
実施形態M:接着剤層が存在して、ハウジングに隣接して位置決めされており、更には、接着剤層が(コ)ポリマーを含む、実施形態H、I、J、K、又は実施形態Lのデバイス。
【0031】
実施形態N:接着剤層が、ベンゾトリアゾール化合物、ベンゾフェノン化合物、トリアジン化合物、又はこれらの組み合わせから選択される、紫外放射線吸収剤を更に含む、実施形態Mのデバイス。
【0032】
実施形態O:少なくとも1つの材料を消毒する方法であって、
実施形態A、B、C、D、E、F、G、H、I、J、K、L、M、又は実施形態Nのいずれかのデバイスを供給することと、
紫外放射線源によって放出された紫外放射線を、UV-Cバンドパスミラーフィルムを介して方向付けることと、
少なくとも1つの材料を、その少なくとも1つの材料の所望の消毒の程度に達するために十分な時間にわたって、UV-Cバンドパスミラーフィルムを通過する紫外放射線に曝露することであって、UV-Cバンドパスミラーフィルムを通過する紫外放射線が、少なくとも100nm、125nm、150nm、160nm、170nm、180nm、又は190nmから、280nm、270nm、260nm、250nm、240nm、又は230nm未満までの波長範囲であり、280nm~400nmの波長の、UV-A放射線及びUV-B放射線を実質的に含まず、任意選択的に、少なくとも1つの材料を、UV-Cバンドパスミラーフィルムを通過する紫外放射線に曝露することが、UV-Cバンドパスミラーフィルムを通過する紫外放射線に少なくとも1つの材料を曝露する前に存在していた、少なくとも1種の微生物の量と比較して、その少なくとも1つの材料上又は材料内に存在する少なくとも1種の微生物の量の、log2、log3、log4、又はそれ以上の減少が達成されるまで実行される、曝露することとを含む、方法。
【0033】
本開示の例示的実施形態の様々な態様及び利点が要約されてきた。上記の「発明の概要」は、本開示の特定の例示的実施形態の、図示されている各実施形態又は全ての実装形態を説明することを意図するものではない。以下の図面及び「発明を実施するための形態」は、本明細書で開示される原理を使用する特定の好ましい実施形態を、より詳細に例示するものである。
【図面の簡単な説明】
【0034】
本開示は、添付の図に関連して、本開示の様々な実施形態の以下の詳細な説明を検討することで、より完全に理解することができる。
図1】本明細書で説明される例示的なアセンブリ内で使用される、例示的な多層光学フィルムの概略断面図である。
図2A】本明細書で説明される比較実施例1のコーティングされたフィルムに関する、時間の関数としての測定吸光度対波長のスペクトルグラフである。
図2B】本明細書で説明される比較実施例2のコーティングされたフィルムに関する、時間の関数としての測定吸光度対波長のスペクトルグラフである。
図3A】本明細書で説明される基材フィルム実施例1のUV-C保護フィルムに関する、時間の関数としての測定吸光度対波長のスペクトルグラフである。
図3B】本明細書で説明される基材フィルム実施例1のUV-C保護フィルムに関する、時間の関数としての測定吸光度対波長の別のスペクトルグラフである。
図3C】本明細書で説明される基材フィルム実施例2のUV-C保護フィルムに関する、時間の関数としての測定吸光度対波長のスペクトルグラフである。
図4】本明細書で説明される実施例1のUV-C保護ミラーフィルムに関する、測定光反射率対波長のグラフである。
図5】本明細書で説明される想定実施例IのUV-C保護ミラーフィルムに関する、モデル化された光反射率対波長のグラフである。
図6】本明細書で説明される想定実施例IIのUV-C保護ミラーフィルムに関する、モデル化された光反射率対波長のグラフである。
図7】本明細書で説明される実施例3の広帯域UV-C保護ミラーフィルムに関する、測定光反射率対波長のグラフである。
図8】本明細書で説明される実施例4の広帯域UV-C保護ミラーフィルムに関する、測定光反射率対波長のグラフである。
図9】本開示の例示的実施形態による、UV-C消毒デバイスの概略側面図である。
図10】本開示の例示的実施形態による、別のUV-C消毒デバイスの概略斜視図である。
図11】本開示の別の例示的実施形態による、コリメートされる広帯域UV光源を使用する、更なるUV-C消毒デバイスの概略側面図である。
図12】表面を消毒するためにUV-C消毒デバイスを使用する例示的方法を示す、フローチャートである。
【0035】
図面では、同様の参照番号は、同様の要素を示す。正確な縮尺で描かれていない場合もある、上記で特定されている図面は、本開示の様々な実施形態を記載するものであるが、「発明を実施するための形態」において指摘されるように、他の実施形態もまた想到される。全ての場合において、本開示は、本明細書で開示される開示内容を、明示的な限定によってではなく、例示的実施形態を表現することによって説明している。本開示の範囲及び趣旨に含まれる、数多くの他の修正形態及び実施形態を、当業者によって考案することができる点を理解されたい。
【発明を実施するための形態】
【0036】
定義されている用語についての以下の用語解説に関しては、これらの定義は、特許請求の範囲又は本明細書の他の箇所において異なる定義が明確に提示されない限り、本出願全体に対して適用されるものとする。
【0037】
用語解説
用語「(コ)ポリマー」は、ホモポリマー及びコポリマー、並びに、例えば共押出によって、又は、例えばエステル交換を含む反応によって、混和性ブレンドにおいて形成することが可能なホモポリマー又はコポリマーを含む。用語「コポリマー」は、ランダムコポリマー、ブロックコポリマー、及び星形(例えば、樹枝状)コポリマーを含む。
【0038】
モノマー、オリゴマーに関する用語「(メタ)アクリル」又は「(メタ)アクリレート」は、アルコールとアクリル酸又はメタクリル酸との反応生成物として形成される、ビニル官能性アルキルエステルを意味する。
【0039】
用語「フルオロポリマー」とは、フッ素を含む任意の有機(コ)ポリマーを指す。
【0040】
用語「SPOX」は、シリコーンポロキサミン(poloxamide)(コ)ポリマーを意味する。
【0041】
光に関する用語「入射」とは、光が材料上に降り注ぐこと、又は材料に当たることを指す。
【0042】
用語「放射線」とは、別段の指定がない限り、電磁放射線を指す。
【0043】
用語「吸収」とは、材料が光放射線のエネルギーを内部エネルギーに変換することを指す。
【0044】
光の波長に関する用語「吸収する」は、最終的に散乱光もまた吸収されるため、吸収及び散乱の双方を包含する。
【0045】
光の波長に関する用語「散乱」とは、光を直線的な経路から逸脱させて、種々の方向に種々の強度で進行させることを指す。
【0046】
用語「反射率」とは、垂直入射で表面に当たる光又は他の放射線の、その表面から反射される割合の尺度である。反射能は、典型的には波長によって変化し、表面から反射される入射光の百分率(0パーセント-反射光なし、100-全ての光が反射される)として報告される。反射能と反射率とは、本明細書では互換的に使用される。
【0047】
用語「反射性」及び「反射能」とは、光又は放射線を反射する特性、特に、材料の厚さとは無関係に測定される反射率を指す。
【0048】
用語「平均反射率」とは、指定の波長範囲にわたって平均化された反射率を指す。
【0049】
定量測定に関する用語「吸光度」とは、材料を通って透過された放射パワーに対する入射放射パワーの比率の、底を10とする対数を指す。この比率は、材料によって受け取られた放射束を、材料によって透過された放射束で除算した値として説明することができる。吸光度(A)は、透過率(T)に基づいて、以下の式1に従って算出することができる:
A=-log10T (1)
吸光度は、ASTM E903-12「Standard Test Method for Solar Absorptance,Reflectance,and Transmittance of Materials Using Integrating Spheres」で説明されている方法で測定することができる。本明細書で説明される吸光度測定は、前述のような透過率測定を実施して、次いで式(1)を使用して吸光度を算出することによって実施するものとした。放射率は、ASTM E1933-14(2018)「Standard Practice for Measuring and Compensating for Emissibity Using Infrared Imaging Radiometers」で説明されている方法で、赤外線撮像放射計を使用して測定することができる。
【0050】
用語又は接頭語「マイクロ」とは、構造体又は形状が1マイクロメートル~1ミリメートルの範囲であることを定義する、少なくとも1つの寸法を指す。例えば、マイクロ構造体は、1マイクロメートル~1ミリメートルの範囲の高さ又は幅を有し得る。
【0051】
用語又は接頭語「ナノ」とは、構造体又は形状が1マイクロメートル未満であることを定義する、少なくとも1つの寸法を指す。例えば、ナノ構造体は、1マイクロメートル未満の高さ又は幅のうちの少なくとも一方を有し得る。
【0052】
特定の層に関する用語「近接している」とは、2つの層が互いに隣り合い(すなわち、隣接し)かつ直接接触している位置で、別の層と接合しているか又は別の層に取り付けられているか、あるいは、互いに連続しているが、直接接触してはいない(すなわち、これらの層の間に1つ以上の追加層が介在している)ことを意味する。
【0053】
開示されるコーティングされた物品における様々な要素の場所に関する、「~の上に(atop)」、「~上に(on)」、「~の上方に(over)」、「~を覆う(covering)」、「最上部の(uppermost)」、「~の下にある(underlying)」などの向きについての用語を使用することによって、水平に配置されている上向きの基材に対する、要素の相対位置が言及される。
【0054】
しかしながら、別段の指示がない限り、基材又は物品が、製造中若しくは製造後に、空間内でいずれかの特定の向きを有するべきであるということを意図するものではない。
【0055】
本開示の物品の基材又は他の要素に対する、層の位置を説明するために、用語「オーバーコートされている」を使用することによって、その層は、基材又は他の要素の上に存在しているが、その基材又は他の要素のいずれかに必ずしも連続してはいないことが言及される。
【0056】
他の層に対する層の位置を説明するために、用語「~によって隔てられている」を使用することによって、その層は、2つの他の層の間に位置決めされているが、いずれかの層に必ずしも連続又は隣接してはいないことが言及される。
【0057】
数値又は形状に関する用語「約」又は「近似的に」は、その数値又は特性又は特徴の+/-5パーセントを意味するが、その厳密な数値も明示的に含む。例えば、「約」1Pa-secの粘度は、0.95~1.05Pa-secの粘度を指すが、また明示的に、厳密に1Pa-secの粘度も含む。同様に、「近似的に正方形」である外周とは、4つの側縁部を有し、各側縁部が、他のいずれかの側縁部の長さの99%~101%の長さを有する、幾何学形状を説明することを意図するものであるが、これはまた、各側縁部が厳密に同じ長さを有する幾何学形状も含む。
【0058】
特性又は特徴に関する用語「実質的に」は、その特性又は特徴が、その特性又は特徴とは反対のものが示される程度よりも高い程度で示されることを意味する。例えば、「実質的に」透明である基材は、透過することができない(例えば、吸収及び反射する)放射線よりも多くの放射線(例えば、可視光)を透過する、基材を指す。それゆえ、基材の表面上に入射する可視光の50%超を透過する基材は、実質的に透明であるが、基材の表面上に入射する可視光の50%以下を透過する基材は、実質的に透明ではない。
【0059】
本明細書及び添付の実施形態で使用されるとき、単数形「a」、「an」、及び「the」は、内容が明確にそうではないことを規定しない限り、複数の指示対象を含む。それゆえ、例えば「化合物(a compound)」を含有している微細繊維への言及は、2種以上の化合物の混合物を含む。本明細書及び添付の実施形態で使用されるとき、用語「又は」は、内容が明確にそうではないことを規定しない限り、一般に「及び/又は」を含む、その意味で用いられている。
【0060】
本明細書で使用されるとき、端点による数値範囲の記述は、その範囲内に包含されている全ての数を含む(例えば、1~5は、1、1.5、2、2.75、3、3.8、4、及び5を含む)。
【0061】
別段の指示がない限り、本明細書及び実施形態で使用される、量又は成分、特性の測定値などを表す全ての数は、全ての場合において、用語「約」によって修飾されているものとして理解されるべきである。したがって、反対の指示がない限り、前述の明細書及び添付の実施形態のリストに記載されている数値パラメータは、本開示の教示を利用して当業者が得ようとする、所望の特性に応じて変化し得る。少なくとも、各数値パラメータは、報告される有効桁数を考慮し、通常の四捨五入を適用することによって少なくとも解釈されるべきであるが、このことは、特許請求される実施形態の範囲への均等論の適用を制限しようとするものではない。
【0062】
定義上、組成物中の全ての成分の総重量パーセントは、100重量パーセントに等しい。
【0063】
次に、本開示の様々な例示的実施形態が説明される。本開示の例示的実施形態には、本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、様々な修正及び変更を施すことができる。したがって、本開示の実施形態は、以下で説明される例示的実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載されている制限、及びそれらの任意の等価物によって規制されるものである点を理解するべきである。
【0064】
紫外線C放出消毒デバイス
ここで図面を参照すると、図9は、デバイス、より具体的には、本開示の例示的実施形態によるUV-C消毒デバイス900の、概略側面図を示す。デバイス900は、280nm~400nmの波長を有する紫外放射線に対して実質的に不透過性であるハウジング902と、ハウジング内に画定されている少なくとも1つの窓908と、ハウジング内部に位置決めされている紫外放射線源904とを備える。紫外放射線源904は、100nm~400nmの1つ以上の波長の紫外放射線910を放出することが可能である。
【0065】
窓908は、少なくとも100nm、125nm、150nm、160nm、170nm、180nm、又は190nmから、280nm、270nm、260nm、250nm、240nm、又は230nm未満までの波長のUV-C放射線914を集合的に透過する、多数の交互配置された第1の光学層と第2の光学層とを含む、UV-C放射線バンドパスミラーフィルムを含む。UV-C放射線バンドパスミラーフィルムは、280nm~400nmの波長の、UV-A放射線及びUV-B放射線を実質的に透過しない。デバイスから放出されるUV-C放射線は、所望の消毒のレベルまで消毒されることになる材料916に、方向付けることができる。
【0066】
いくつかの特に有利な実施形態では、デバイス900は、紫外放射線源904によって放出された紫外放射線910を反射する(912)ようにハウジング902内部に位置決めされている、紫外線ミラーフィルム906を更に含む。紫外線ミラーフィルム906(図1を参照)は、少なくとも100nm、125nm、150nm、160nm、170nm、180nm、190nm、又は200nmから、400nm、300nm、280nm、270nm、260nm、250nm、240nm、又は230nmまでの波長範囲の入射UV-C紫外放射線の、少なくとも50、60、70、80、90、又は95パーセントを集合的に反射して、230ナノメートル超、235nm超、又は240nm超から、400ナノメートルまでの波長範囲の入射紫外放射線の、少なくとも50、60、70、80、90、又は95パーセントを集合的に透過する、多数の交互配置された第1の光学層と第2の光学層とを含む。紫外線ミラーを通って透過される、少なくとも230ナノメートル~400ナノメートルの波長を有する紫外放射線の、少なくとも50、60、70、80、90、又は95パーセントは、紫外線ミラーフィルムによって吸収される。
【0067】
図10は、本開示の例示的実施形態による、別のUV-C消毒デバイス1000の概略斜視図である。デバイス1000は、280nm~400nmの波長を有する紫外放射線に対して実質的に不透過性であるハウジング1002と、ハウジング内に画定されている少なくとも1つの窓1008と、ハウジング内部に位置決めされている紫外放射線源1004とを備える。紫外放射線源1004は、100nm~400nmの1つ以上の波長の、紫外放射線1010を放出することが可能である
【0068】
窓1008は、少なくとも100nm、125nm、150nm、160nm、170nm、180nm、又は190nmから、280nm、270nm、260nm、250nm、240nm、又は230nm未満までの波長のUV-C放射線1014を集合的に透過する、多数の交互配置された第1の光学層と第2の光学層とを含む、UV-C放射線バンドパスミラーフィルムを含む。UV-C放射線バンドパスミラーフィルムは、280nm~400nmの波長の、UV-A放射線及びUV-B放射線を実質的に透過しない。このデバイスから放出されるUV-C放射線1014は、所望の消毒のレベルまで消毒されることになる材料(図示せず)に、方向付けることができる。
【0069】
いくつかの特に有利な実施形態では、デバイス1000は、紫外放射線源1004によって放出された紫外放射線1010を反射するようにハウジング1002内部に位置決めされている、紫外線ミラーフィルム1006を更に含む。紫外線ミラーフィルム1006(図1を参照)は、少なくとも100nm、125nm、150nm、160nm、170nm、180nm、190nm、又は200nmから、400nm、300nm、280nm、270nm、260nm、250nm、240nm、又は230nmまでの波長範囲の入射UV-C紫外放射線の、少なくとも50、60、70、80、90、又は95パーセントを集合的に反射して、230ナノメートル超、235nm超、又は240nm超から、400ナノメートルまでの波長範囲の入射紫外放射線の、少なくとも50、60、70、80、90、又は95パーセントを集合的に透過する、多数の交互配置された第1の光学層と第2の光学層とを含む。紫外線ミラーを通って透過される、少なくとも230ナノメートル~400ナノメートルの波長を有する紫外放射線の、少なくとも50、60、70、80、90、又は95パーセントは、紫外線ミラーフィルムによって吸収される。
【0070】
図10に示される特定の実施形態に関しては、窓1006は、放出されるUV-C放射線1014の運動方向を、特定の方向でより整合させるための(すなわち、平行光線を有する、コリメートされた光を生成するための)、任意選択的なコリメータを含む。好適なコリメータは、当業者には既知であり、例えば、米国特許出願公開第2015/0114912(A1)号及び同第2018/0201521(A1)号で説明されているものが挙げられる。
【0071】
図11は、本開示の別の例示的実施形態による、コリメートされる広帯域UV光源を使用する、更なるUV-C消毒デバイス1100の概略側面図である。デバイス1100は、280nm~400nmの波長を有する紫外放射線に対して実質的に不透過性であるハウジング1102と、ハウジング内に画定されている少なくとも1つの窓1108と、ハウジング内部に位置決めされている紫外放射線源1104とを備える。紫外放射線源1104は、100nm~400nmの1つ以上の波長の紫外放射線1110を放出することが可能である。
【0072】
窓1108は、少なくとも100nm、125nm、150nm、160nm、170nm、180nm、又は190nmから、280nm、270nm、260nm、250nm、240nm、又は230nm未満までの波長のUV-C放射線1114を集合的に透過する、多数の交互配置された第1の光学層と第2の光学層とを含む、UV-C放射線バンドパスミラーフィルムを含む。UV-C放射線バンドパスミラーフィルムは、280nm~400nmの波長の、UV-A放射線及びUV-B放射線を実質的に透過しない。このデバイスから放出されるUV-C放射線1114は、所望の消毒のレベルまで消毒されることになる材料(図示せず)に、方向付けることができる。
【0073】
いくつかの特に有利な実施形態では、デバイス1100は、紫外放射線源1104によって放出された紫外放射線1110を反射するようにハウジング1102内部に位置決めされている、紫外線ミラーフィルム1106を更に含む。紫外線ミラーフィルム1106(図1を参照)は、少なくとも100nm、125nm、150nm、160nm、170nm、180nm、190nm、又は200nmから、400nm、300nm、280nm、270nm、260nm、250nm、240nm、又は230nmまでの波長範囲の入射UV-C紫外放射線の、少なくとも50、60、70、80、90、又は95パーセントを集合的に反射して、230ナノメートル超、235nm超、又は240nm超から、400ナノメートルまでの波長範囲の入射紫外放射線の、少なくとも50、60、70、80、90、又は95パーセントを集合的に透過する、多数の交互配置された第1の光学層と第2の光学層とを含む。紫外線ミラーを通って透過される、少なくとも230ナノメートル~400ナノメートルの波長を有する紫外放射線の、少なくとも50、60、70、80、90、又は95パーセントは、紫外線ミラーフィルムによって吸収される。
【0074】
図11に示される特定の実施形態に関しては、ハウジング1102は、放出されるUV-C放射線1014の運動方向を、特定の方向でより整合させるための(すなわち、平行光線を有する、コリメートされた光を生成するための)、放物面コリメータの形状に形成されている。好適な放物面コリメータは、当業者には既知であり、例えば、米国特許第8,921,813(B2)号で説明されているものが挙げられる。
【0075】
光コリメータは、放物面(楕円形)反射光学素子を使用してコリメート(集束)させることが可能な、点光源からの光をコリメートするように設計することができる。主な要件は、光源が、光学素子の焦点付近に位置していることと、光源が、光学素子のサイズと比較して相対的に小さいこととである。集光器は、楕円の一方の焦点に光源があり他方の焦点に標的がある、楕円の一区画から生成される、回転面を利用して設計することができる。一方の焦点にある光源は、楕円の最も近い頂点に向けて発光する。回転面を生成するために使用される楕円の区画は、光源における通径と、光源に最も近い頂点とによって画定されている区画である。通径は、光源からの光の大部分を集光器が収集することができるように、光源よりも大きくなければならない。光源及び標的が点である場合には、光源からの全ての光が、標的において集光されることになる。
【0076】
点光源からの光は、放物面(楕円形)反射光学素子を使用してコリメート(集束)させることができ、本システムに関する1つの好適なコリメータは、放物面コリメータを含む。主な要件は、光源が、光学素子の焦点付近に位置していることと、光源が、光学素子のサイズと比較して相対的に小さいこととである。殆どの用途において、光学素子は、光源のサイズ、及び光学素子の許容される空間量などの、実施上の検討事項に配慮して設計されなければならない。光源の直径Ds(1Dにおける幅)と、高さHv及び直径Dv(1Dにおける幅)からなる設計容積とを所与として、ほぼ最適な放物面反射器の形状に関する、以下の式を導出することが可能である:
y=a(x+b)+オフセット
式中、a=Hv/((Dv/2)-(Ds/2))、b=-Dv/2、及び、オフセット=-a(Ds/2)であり、
[x=Dv/2、y=0]で放物面の焦点が光源の場所と一致するように、Hv及び/又はDvを更に選択する必要があり、これは、以下を選択することによって達成される:
Hv=((Dv/2)-(Ds/2))/Ds
【0077】
得られる光学素子は、本システムの物理的制約を考慮すると、ほぼ最適である。エテンデュ保存の原理に従って、コリメーションの量は、(Dv/Ds)に比例し、設計容積が大きいほど、多大なコリメーションがもたらされる。この光学素子のカットオフ角度は、次式によって与えられる:
Θ=+/-arctan((Dv/2+Ds/2)/Hv)
【0078】
UV-C消毒デバイスを使用する方法
図12は、材料を消毒するためにUV-C消毒デバイスを使用する例示的方法1200を示すフローチャートである。方法1200は、本明細書で開示される実施形態のいずれかで説明されるような消毒デバイスを供給すること(1202)と、紫外放射線源によって放出された紫外放射線を、UV-Cバンドパスミラーフィルムを介して方向付けること(1204)と、少なくとも1つの材料を、その少なくとも1つの材料の所望の消毒の程度に達するために十分な時間にわたって、UV-Cバンドパスミラーフィルムを通過する紫外放射線に曝露すること(1206)とを含む。
【0079】
UV-Cバンドパスミラーフィルムを通過する紫外放射線は、少なくとも100nm、125nm、150nm、160nm、170nm、180nm、又は190nmから、280nm、270nm、260nm、250nm、240nm、又は230nm未満までの波長範囲であり、280nm~400nmの波長の、UV-A放射線及びUV-B放射線を実質的に含まない。好ましくは、UV-Cバンドパスミラーフィルムを通過する紫外放射線は、図12に示されるように、190nm~230nmの波長範囲である。
【0080】
いくつかの例示的実施形態では、消毒デバイスは、人間が存在することになる部屋において用いることができる。特定の例示的実施形態では、少なくとも1つの材料を、UV-Cバンドパスミラーフィルムを通過する紫外放射線に曝露することは、UV-Cバンドパスミラーフィルムを通過する紫外放射線に少なくとも1つの材料を曝露する前に存在していた、少なくとも1種の微生物の量と比較して、その少なくとも1つの材料上又は材料内に存在する少なくとも1種の微生物の量の、log2、log3、log4、又はそれ以上の減少が達成されるまで実行される。
【0081】
本明細書で使用するとき、用語「微生物」とは、分析又は検出に関して好適な遺伝物質を有する、任意の細胞又は粒子(例えば、細菌、酵母、ウイルス、及び細菌内生胞子を含むもの)を指す。対数減少値(Log reduction value;LRV)は、例示的方法を介した消毒の前に、材料上又は材料内に存在している微生物のコロニーの数を測定し、その方法を使用して材料を消毒し、消毒の後に材料上又は材料内に存在しているコロニーの数を測定し、次いで、得られたコロニー計数に基づいてLRVを算出することによって、決定することができる。材料上又は材料内のコロニー形成単位(colony forming unit;cfu)の数を測定する方法は、具体的な材料の形態に基づいて異なるものとなる。
【0082】
例えば、固体は拭き取り採取することができ、液体又は気体は、容積測定式に採取する(及び、必要に応じて濃縮する)ことができる。cfuは、例えば、培養ベースの方法、撮像検出方法、蛍光ベースの検出方法、比色検出方法、免疫学的検出方法、遺伝子検出方法、又は生物発光ベースの検出方法を使用して測定することができる。次いで、以下の式を使用して、LRVが算出される:
LRV=((消毒前の材料のcfu/面積又は体積)の対数)-((消毒済みの材料のcfu/面積又は体積)の対数)
【0083】
一般に、少なくとも1つの材料は、固体、液体、又は気体のうちの少なくとも1つを含む。本方法においてデバイスが使用される場合、少なくとも1つの材料は、典型的には、UV-C放射線に対する曝露時に、デバイスのハウジング内部に配置される。上述のように、場合によっては、190nm以上、195nm、又は200nm以上から、230nm、235nm、又は240nmまでの波長を有する紫外放射線に、材料を曝露することが好ましい。
【0084】
特定の現在好ましい実施形態では、本方法の間に、1つ以上の材料は、広帯域UV-C源によって放出される、230ナノメートル、235nm、又は240nm超から、400ナノメートルまでの波長を有する紫外放射線の、10、8、6、5、4、3、2、又は1パーセント以下に曝露される。このことは、吸収層及び/又はハウジングによる、それらの波長の効果的な吸収によって達成され、それにより、230ナノメートル、235nm、又は240nm超から、400ナノメートルまでの波長を有する紫外放射線の90パーセント以上が、本方法の間に、材料に方向付けられる代わりに、かつ/又は材料に向けて反射される代わりに、吸収される。
【0085】
UV-C放出消毒デバイスの構成要素
ハウジング
ハウジング902を構成する材料は、特に限定されるものではなく、例えば、金属、プラスチック、セラミック(ガラスを含むもの)、コンクリート、又は木材を含み得る。特定の実施形態では、ハウジング902は、ハウジング902内部に配置されている広帯域UV-C放射線源からの特定の波長の光の吸収によって生成される熱に耐えることが可能な、耐熱材料又は熱伝導材料で形成されている。
【0086】
好ましくは、広帯域UV-C放射線源904からの光の放出に直接曝露される、ハウジング902内で使用されている、いずれの(コ)ポリマー材料も、任意選択的な紫外線ミラー906によって反射されていない波長の光に対する曝露による損傷を最小限に抑えるために、広帯域UV-C放射線源904から、少なくとも3センチメートル(cm)、3.25cm、3.5cm、3.75cm、又は少なくとも4cm離れて配置されている。
【0087】
典型的には、本開示による消毒デバイス内で、広帯域UV-C放射線源904は、任意選択的な紫外線ミラーフィルム906に光を方向付けるように構成されている。このことにより、紫外線ミラーフィルム906は、望ましい範囲(例えば、190nm~240nm)の波長の光を反射して戻す一方で、その範囲の最大値を超える(例えば、240nm超の)波長の光を、UV光不透過性ハウジング902へと透過する、かつ/又は吸収することが可能となる。
【0088】
広帯域UV-C放射線源
使用に関して好適な広帯域UV-C放射線源としては、低圧水銀ランプ、中圧水銀ランプ、キセノンアークランプ、又はエキシマランプのいずれかが挙げられる。好適な低圧水銀ランプとしてはHeraeus-Noblelight(Hanau,Germany)から市販されているものが挙げられ、低圧水銀アマルガムランプを含む。
【0089】
例えば、低圧水銀ランプは、約254nmにおけるピーク発光と、約245nm以下及び約260nm以上の波長における最小発光とを供給することができる。好適な中圧水銀ランプとしては、Helios Quartz Americas(Sylvania,OH)から市販されているものが挙げられる。214型の石英スリーブ又は合成石英スリーブを、中圧水銀ランプと共に用いることにより、200nmにおける発光の量を、それぞれ、51%又は89%まで増大させることができる。
【0090】
中圧水銀ランプのピーク発光は、約320nmであるが、中圧水銀ランプは多色性であり、また、約245nm~約300nm、例えば約265nmにおける、いくつかの顕著な発光ピーク、並びに、約210nm~約240nmの広い発光帯域も有する。
【0091】
好適なキセノンアークランプは、Atlas Material Testing Technology,Inc.(Chicago,IL)、Newport(Irvine,CA)、及びXenex(San Antonio,TX)から市販されている。キセノンアークランプは、約200nm~250nmのいずれかから始まり、約475nm及び約775nmにおけるいくつかの小さいピークを有して、800nmを超えて広がる、広域発光スペクトルを有する傾向がある。
【0092】
エキシマ紫外放射線源の例としては、Osram(Massachusetts,United States)、Heraeus-Noblelight(Hanau,Germany)、Ushio(Tokyo,Japan)から市販されているもの、及びKogelschatz,Applied Surface Science,54(1992),410~423で説明されているものなどのランプ、(N.V.Philipsに付与された)欧州特許出願第521,553号で説明されているものなどのグロー放電ランプ、Hamamatsu(Hamamatsu City,Japan)から入手可能な重水素ランプ、Kitamuraらの、Applied Surface Science,79/80(1994),507~513、及び(Fusion Systemsに付与された)独国公開特許第4302555(A1)号で説明されているものなどの、マイクロ波駆動型ランプ、並びに、Tech.Phys,39(10),1054(1994)で説明されているような、紫外線予備電離を伴う体積放電によって励起されるエキシマランプが挙げられる。エキシマ紫外放射線源は、多くの場合、臭化クリプトン又は塩化クリプトンを含む。例えば、重水素ランプは、典型的には、約200nm~約280nmの広いピーク帯域幅を示し、次いで、約280nm~約700nmで漸減する、発光スペクトルを有する。
【0093】
紫外線ミラー及び吸収層は、上記で詳細に説明された第1の態様の多層物品の、これらの部分の実施形態のいずれかによるものである。広帯域UV-C放射線源は、上記で詳細に説明された第2の態様の、広帯域UV-C放射線源の実施形態のいずれかによるものである。
【0094】
UV-Cミラーフィルム
本開示による消毒デバイスは、構成要素として、UV-C放射線を選択的に通過させることが可能なUV-Cバンドパスフィルタミラーフィルム、又は、UV-C(並びに、任意選択的にUV-A及びUV-B)反射保護ミラーフィルムのいずれかとして機能し得る、1つ以上のUV-Cミラーフィルムを含み得る。
【0095】
バンドパスフィルタUV-Cミラーフィルム
本明細書で説明される多層光学フィルムのいくつかの実施形態では、少なくとも第1の光学層は、無機材料(例えば、酸窒化ジルコニウム、ハフニア、アルミナ、酸化マグネシウム、酸化イットリウム、フッ化ランタン、又はフッ化ネオジムのうちの少なくとも1つ)を含み、第2の光学層は、無機材料(例えば、シリカ、フッ化アルミニウム、フッ化マグネシウム、フッ化カルシウム、シリカアルミナ酸化物、又はアルミナドープシリカのうちの少なくとも1つ)を含む。例示的な材料は、例えば、Materion Corporation(Mayfield Heights,OH)及びUmicore Corporation(Brussels,Belgium)から入手可能である。
【0096】
前述の実施形態のいずれかでは、少なくとも複数の交互配置された第1の光学層と第2の光学層とを通る入射可視光の透過率は、少なくとも400ナノメートル~750ナノメートルの波長範囲における少なくとも30ナノメートルの波長反射帯域幅にわたって、30パーセントを超える。
【0097】
前述の実施形態のいずれかでは、少なくとも第1の光学層は、チタニア、ジルコニア、ジルコニウム、窒酸化物、ハフニア、又はアルミナのうちの少なくとも1つを含み、第2の光学層は、シリカ、フッ化アルミニウム、又はフッ化マグネシウムのうちの少なくとも1つを含む。
【0098】
紫外放射線反射ミラーフィルム
本開示はまた、多層紫外放射線反射ミラーフィルムも説明しており、これは、表面の消毒に有用な実質的な量のUV-C放射線の放出を可能にするための、バンドパスフィルタとして機能する多層UV-Cミラーフィルムで覆われている、消毒デバイス内の窓に、広帯域UV光源からのUV放射線を反射するために、消毒デバイスのUV放射線不透過性ハウジング内部で使用することが可能である。
【0099】
いくつかの特に有利な実施形態では、本デバイスは、紫外放射線源によって放出された紫外放射線を反射するようにハウジング内部に位置決めされている、紫外線ミラーフィルムを更に含む。紫外線ミラーフィルムは、少なくとも100nm、125nm、150nm、160nm、170nm、180nm、190nm、又は200nmから、400nm、300nm、280nm、270nm、260nm、250nm、240nm、又は230nmまでの波長範囲の入射UV-C紫外放射線の、少なくとも50、60、70、80、90、又は95パーセントを集合的に反射して、230ナノメートル超、235nm超、又は240nm超から、400ナノメートルまでの波長範囲の入射紫外放射線の、少なくとも50、60、70、80、90、又は95パーセントを集合的に透過する、多数の交互配置された第1の光学層と第2の光学層とを含む。紫外線ミラーを通って透過される、少なくとも230ナノメートル~400ナノメートルの波長を有する紫外放射線の、少なくとも50、60、70、80、90、又は95パーセントは、紫外線ミラーフィルムによって吸収される。
【0100】
UV-C(並びに、任意選択的にUV-A及びUV-B)反射保護フィルム
更には、紫外放射線で消毒されている一部の表面(例えば、(コ)ポリマー表面)は、UV-C紫外光からさえも保護されることを必要とする場合があるため、本開示はまた、UV-Cミラー保護フィルムにも関するものであり、このUV-Cミラー保護フィルムは、UV-C放射線と、任意選択的にUV-A放射線及びUV-B放射線のうちの1つ以上とを反射することにより、そのUVミラー保護フィルムが適用されている、下にある表面を、UV照射曝露の影響による損傷から保護することができる。
【0101】
それゆえ、別の態様では、本開示は、フルオロポリマーで構成されている基材と、基材の主表面上に配置されている多層光学フィルムであって、0°、30°、45°、60°、又は75°のうちの少なくとも1つの入射光角度において、少なくとも100ナノメートル~280ナノメートルの波長範囲における、又は任意選択的に少なくとも240nm~400nmの波長範囲における、少なくとも30ナノメートルの波長反射帯域幅にわたって、入射紫外放射線の少なくとも30パーセントを集合的に反射する、少なくとも複数の交互配置された第1の光学層と第2の光学層とで構成されている、多層光学フィルムと、基材とは反対側の、多層光学フィルムの主表面上に配置されている、ヒートシール可能な接着剤層とを含む、UV-Cミラーフィルムを説明する。
【0102】
例示的一実施形態では、本開示は、フルオロポリマーで構成されている基材と、基材の主表面上に配置されている多層光学フィルムであって、0°、30°、45°、60°、又は75°のうちの少なくとも1つの入射光角度において、少なくとも100ナノメートル~280ナノメートルの波長範囲における、少なくとも30ナノメートルの波長反射帯域幅にわたって、入射紫外放射線の少なくとも30パーセントを集合的に反射する、少なくとも複数の交互配置された第1の光学層と第2の光学層とで構成されている、多層光学フィルムと、基材とは反対側の、多層光学フィルムの主表面上に配置されている、ヒートシール可能な接着剤層とを備える、UV-C反射ミラーフィルムを説明する。
【0103】
ここで図1を参照すると、例示的なUV-Cミラーフィルム10は、フルオロポリマー基材11と、基材の主表面上に配置されている多層光学フィルム20(例えば、UV-Cミラーフィルム)と、基材11とは反対側の、多層光学フィルム20の主表面上に配置されている、任意選択的な接着剤層14とを備える。多層光学フィルム20は、第1の光学層12A、12B、12Nと、第2の光学層13A、13B、13Nとで構成されている。いくつかの例示的実施形態では、好ましくはフルオロポリマー(コ)ポリマーで構成されている、任意選択的な保護フィルム15が、多層光学フィルム20とは反対側の、ヒートシール可能な接着剤層14の主表面上に配置されている。
【0104】
バンドパスフィルタとして使用される場合、UV-Cミラーフィルムの構成は、好ましくは、無機HIOと無機LIOとの少なくとも9つの交互層、又は、フルオロポリマー(PVDF又はETFE)HIOとフルオロポリマー(THV又はFEP)LIOとの少なくとも100層を含む、多層誘電体ミラーである。UV-C透明フルオロポリマー基材11は、図1に示されるように多層光学フィルム20の上方、又は、多層光学フィルム20の下方(図示せず)のいずれかで位置決めすることができる。UV-C透明フルオロポリマー基材11が、多層光学フィルム20の下方に位置決めされている場合には、任意選択的な接着剤層は、フルオロポリマー基材11とは反対側で、多層光学フィルム20に隣接して位置決めすることができ、又は、多層光学フィルム20とは反対側で、フルオロポリマー基材に隣接して位置決めすることもできる。
【0105】
いくつかのそのような実施形態では、任意選択的な接着剤層は、好ましくは150℃超の融点を有するフルオロポリマー(コ)ポリマー上にコーティングするか、そのようなフルオロポリマー(コ)ポリマーと共押出することにより、UV-C安定性はより低いが、より軽量かつ安価な、ポリオレフィンコポリマーなどの接着剤を保護することができる。シリコーン接着剤もまた、本発明の有用な実施形態として想到される。
【0106】
フルオロポリマー基材
前述の実施形態のいずれかでは、フルオロポリマー基材は、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、フッ化ビニリデン、ペルフルオロアルコキシアルカン、又はこれらの組み合わせを含む、(コ)ポリマーで構成されている。好適なフルオロポリマー基材は、Nowofol Kunststoffprodukte GmbH KG(Siegsdorf,Germany)から商品名「NOWOFLON」で入手可能であり、それらのうちでは、NOWOFLON THV815が、現在のところ好ましい。
【0107】
多層光学フィルム
一般に、本明細書で説明される多層光学フィルムは、少なくとも3つの層(典型的には、合計で3~2000以上の範囲の層)を含む。本明細書で説明される多層光学フィルムは、0°、30°、45°、60°、又は75°のうちの少なくとも1つの入射光角度において、少なくとも100~280(いくつかの実施形態では、少なくとも180~280、又は更に少なくとも200~280)nmの波長範囲における、少なくとも30ナノメートルの波長反射帯域幅にわたって、入射紫外(UV)光(すなわち、100から400nm未満までの範囲の波長を有する、あらゆる光)の少なくとも30(いくつかの実施形態では、少なくとも40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、又は更に少なくとも90)パーセントを集合的に反射する、少なくとも複数の交互配置された第1の光学層と第2の光学層とを含む。いくつかの実施形態では、多層光学フィルムは、222nm、254nm、265nm、又は275nmのうちの少なくとも1つにおいて、90%超の(いくつかの実施形態では、99%超の)UV反射能(反射率)を有する。
【0108】
いくつかの実施形態では、本明細書で説明される多層光学フィルムは、20ナノメートル未満(いくつかの実施形態では、15ナノメートル未満、又は更に10ナノメートル未満)にわたる、10~90パーセントの範囲の透過率のUV透過帯域端を有する。
【0109】
光学層
前述の実施形態のいずれかでは、少なくとも第1の光学層は、少なくとも1種のポリエチレン(コ)ポリマーを含み、第2の光学層は、テトラフルオロエチレン(コ)ポリマー、ヘキサフルオロプロピレン(コ)ポリマー、フッ化ビニリデン(コ)ポリマー、ヘキサフルオロプロピレン(コ)ポリマー、ペルフルオロアルコキシアルカン(コ)ポリマー、又はこれらの組み合わせから選択される、少なくとも1種のフルオロポリマーを含む。いくつかのそのような実施形態では、少なくとも1種のフルオロポリマーは、架橋されている。
【0110】
本明細書で説明される多層光学フィルムのいくつかの実施形態では、少なくとも第1の光学層12Aは、ポリマー材料(例えば、フッ化ポリビニリデン(PVDF)、エチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)のうちの少なくとも一方)を含み、第2の光学層13Aは、ポリマー材料(例えば、コポリマー(THV)、あるいは、テトラフルオロエチレン(TFE)、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、及びフッ化ビニリデン(VDF)由来のサブユニットを含むポリエチレンコポリマー、テトラフルオロエチレン(TFE)及びヘキサフルオロプロピレン(HFP)由来のサブユニットを含むコポリマー(FEP)、あるいはペルフルオロアルコキシアルカン(PFA)のうちの少なくとも1つ)を含む。
【0111】
青色光を反射する光学層(例えば、第1の光学層及び第2の光学層)を作製するための例示的な材料としては、ポリマー(例えば、ポリエステル、(コ)ポリエステル、及び変性(コ)ポリエステル)が挙げられる。本明細書の文脈では、用語「ポリマー」は、ホモポリマー及びコポリマー、並びに、例えば共押出によって、又はエステル交換を含む反応によって、混和性ブレンドにおいて形成することが可能なポリマー又はコポリマーを含むと理解される。用語「ポリマー」及び「コポリマー」は、ランダムコポリマー及びブロックコポリマーの双方を含む。
【0112】
本開示に従って構築される、いくつかの例示的な多層光学フィルムで使用するために好適なポリエステルは、一般に、ジカルボン酸エステル及びグリコールのサブユニットを含み、カルボン酸モノマー分子とグリコールモノマー分子との反応によって生成することができる。各ジカルボン酸エステルモノマー分子は、2つ以上のカルボン酸基又はエステル官能基を有し、各グリコールモノマー分子は、少なくとも2つのヒドロキシ官能基を有する。ジカルボン酸エステルモノマー分子は、全てが同じである場合もあれば、又は、2種以上の異なるタイプの分子が存在する場合もある。同じことが、グリコールモノマー分子にも当てはまる。用語「ポリエステル」にはまた、グリコールモノマー分子と炭酸エステルとの反応に由来するポリカーボネートも含まれる。
【0113】
ポリエステル層のカルボン酸サブユニットを形成する際に使用するための、好適なジカルボン酸モノマー分子の例としては、2,6-ナフタレンジカルボン酸及びその異性体、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、アゼライン酸、アジピン酸、セバシン酸、ノルボルネンジカルボン酸、ビシクロオクタンジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸及びその異性体、t-ブチルイソフタル酸、トリメリット酸、スルホン化イソフタル酸ナトリウム、4,4’-ビフェニルジカルボン酸及びその異性体、並びに、これらの酸の低級アルキルエステル、例えば、メチルエステル又はエチルエステルが挙げられる。用語「低級アルキル」とは、本明細書の文脈では、C~C10の直鎖アルキル基又は分岐アルキル基を指す。
【0114】
ポリエステル層のグリコールサブユニットを形成する際に使用するための、好適なグリコールモノマー分子の例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール及びその異性体、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ポリエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリシクロデカンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール及びその異性体、ノルボルネンジオール、ビシクロオクタンジオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、1,4-ベンゼンジメタノール及びその異性体、ビスフェノールA、1,8-ジヒドロキシビフェニル及びその異性体、並びに、1,3-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンが挙げられる。
【0115】
反射層に関して有用な別の例示的な複屈折ポリマーは、例えばテレフタル酸ジカルボン酸とエチレングリコールとの反応によって作製することが可能な、ポリエチレンテレフタレート(PET)である。550nmの波長の偏光入射光に対する複屈折ポリマーの屈折率は、偏光面が延伸方向に平行である場合、約1.57から、約1.69の高さまで増大する。分子配向が増大すると、PETの複屈折が増大する。分子配向は、より大きい延伸比へと材料を延伸すると共に、他の延伸条件を固定して保持することによって、増大させることができる。その開示が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第6,744,561号(Condoら)及び同第6,449,093号(Hebrinkら)で説明されるものなどの、PETのコポリマー(CoPET)は、それらの比較的低温(典型的には、250℃未満)の加工能力が、熱安定性のより低い第2のポリマーとの共押出の適合性を高めるため、特に有用である。複屈折ポリマーとして好適な他の半結晶性ポリエステルとしては、その開示が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第6,449,093号(Hebrinkら)及び米国特許出願公開第2006/0084780号(Hebrinkら)で説明されるものなどの、ポリブチレンテレフタレート(PBT)及びそのコポリマーが挙げられる。別の有用な複屈折ポリマーは、シンジオタクチックポリスチレン(sPS)である。
【0116】
第1の光学層はまた、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリプロピレンのコポリマー、ポリエチレンのコポリマー、環状オレフィンコポリマー、環状オレフィンブロックコポリマー、ポリウレタン、ポリスチレン、アイソタクチックポリスチレン、アタクチックポリスチレン、ポリスチレンのコポリマー(例えば、スチレンとアクリレートとのコポリマー)、ポリカーボネート、ポリカーボネートのコポリマー、ポリカーボネートと(コ)ポリエステルとの混和性ブレンド、又はポリ(メチルメタクリレート)若しくはポリ(フッ化ビニリデン)の混和性ブレンドのうちの少なくとも1つを含む、等方性高屈折率層とすることもできる。
【0117】
第2の光学層はまた、フッ素化エチレンプロピレンコポリマー(FEP)、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、及びフッ化ビニリデン(THV)のコポリマー、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、又はエチレンのコポリマーのうちの少なくとも1つなどの、フッ素化コポリマー材料も含み得る。特に有用であるのは、テトラフルオロエチレンと、少なくとも2種又は更に少なくとも3種の追加的な異なるコモノマーとの、溶融加工可能なコポリマーである。
【0118】
上述のテトラフルオロエチレンと他のモノマーとの、例示的な溶融加工可能なコポリマーとしては、Dyneon LLC(Oakdale,MN)から商品名「DYNEON THV 221」、「DYNEON THV 230」、「DYNEON THV 2030」、「DYNEON THV 340GZ」、「DYNEON THV 500」、「DYNEON THV 610」、及び「DYNEON THV 815」で;Daikin Industries,Ltd.(Osaka,Japan)から商品名「NEOFLON EFEP」で;Asahi Glass Co.,Ltd.(Tokyo,Japan)から商品名「AFLAS」で、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、及びフッ化ビニリデンのコポリマーとして入手可能なもの;並びに、Dyneon LLC(Oakdale,MN)から商品名「DYNEON ET 6210A」及び「DYNEON ET 6235」で;E.I.duPont de Nemours and Co.(Wilmington,DE)から商品名「TEFZEL ETFE」で;及びAsahi Glass Co.,Ltd.(Tokyo,Japan)から商品名「FLUON ETFE」で入手可能な、エチレンとテトラフルオロエチレンとのコポリマーが挙げられる。
【0119】
更には、第2のポリマーは、ポリエステル、ポリカーボネート、フルオロポリマー、ポリアクリレート、及びポリジメチルシロキサンの、ホモポリマー及びコポリマー、並びにそれらのブレンドから形成することができる。
【0120】
光学層、特に第2の層で使用するための他の例示的なポリマーとしては、例えば、Ineos Acrylics,Inc.(Wilmington,DE)から商品名「CP71」及び「CP80」で入手可能なものなどの、ポリメチルメタクリレート(PMMA)のホモポリマー、並びに、PMMAよりも低いガラス転移温度を有するポリエチルメタクリレート(PEMA)のホモポリマーが挙げられる。更なる有用なポリマーとしては、PMMAのコポリマー(CoPMMA)、例えば75重量%のメタクリル酸メチル(MMA)モノマー及び25重量%のアクリル酸エチル(EA)モノマーから作製されているCoPMMAなど(例えば、Ineos Acrylics,Inc.(London,England)から商品名「PERSPEX CP63」で、又はArkema Corp.(Philadelphia,PA)から商品名「ATOGLAS 510」で入手可能なもの)、MMAコモノマーユニットとメタクリル酸n-ブチル(nBMA)コモノマーユニットとで形成されているCoPMMA、あるいは、PMMAとポリ(フッ化ビニリデン)(PVDF)とのブレンドが挙げられる。
【0121】
光学層に関して好適な更なるポリマーとしては、例えばDow Elastomers,Inc.(Midland,MI)から商品名「ENGAGE 8200」で入手可能な、ポリ(エチレン-co-オクテン)(PE-PO)などのポリオレフィンコポリマー、及び、例えば同じくDow Elastomers,Inc.(Midland,MI)から商品名「ELVALOY 1125」で入手可能な、ポリエチレンメチルアクリレート、例えばAtofina Petrochemicals,Inc.(Houston,TX)から商品名「Z9470」で入手可能な、ポリ(プロピレン-co-エチレン)(PPPE)、及び、アタクチックポリプロピレン(aPP)とアイソタクチックポリプロピレン(iPP)とのコポリマーが挙げられる。多層光学フィルムはまた、第2の層に、官能化ポリオレフィン(例えば、直鎖状低密度ポリエチレン-グラフト-無水マレイン酸(LLDPE-g-MA)であり、例えばE.I.duPont de Nemours&Co.,Inc.(Wilmington,DE)から商品名「BYNEL 4105」で入手可能なものなど)も含み得る。
【0122】
多層光学フィルムを作り出す際に使用される、ポリマーの組み合わせの選択は、例えば、反射されることになる所望の帯域幅に依存する。第1の光学層のポリマーと第2の光学層のポリマーとの、屈折率の差が大きいほど、より大きい光学的パワーが作り出され、それゆえ、より大きい反射帯域幅が可能となる。あるいは、より大きい光学的パワーをもたらすために、追加層を用いることもできる。複屈折層と第2のポリマー層との例示的な組み合わせとしては、例えば、以下のものが挙げられる:PET/THV、PET/SPOX、PET/CoPMMA、CoPEN/PMMA、CoPEN/SPOX、sPS/SPOX、sPS/THV、CoPEN/THV、PET/PVDFとPMMAとのブレンド、PET/フルオロポリマー、sPS/フルオロエラストマー、及びCoPEN/フルオロポリマー。
【0123】
UV光を反射する光学層(例えば、第1の光学層及び第2の光学層)を作製するための例示的な材料の組み合わせとしては、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)(例えば、第1の光学層)/THV(例えば、第2の光学層)、PMMA(例えば、第1の光学層)/PVDFとPMMAとのブレンド(例えば、第2の光学層)、PC(ポリカーボネート)(例えば、第1の光学層)/PMMA(例えば、第2の光学層)、PC(ポリカーボネート)(例えば、第1の光学層)/PMMAとPVDFとのブレンド(例えば、第2の光学層)、コポリエチレン(例えば、ポリエチレンメチルアクリレート)(例えば、第1の光学層)/THV(例えば、第2の光学層)、PMMA/PVDFのブレンド(例えば、第1の光学層)/PVDF/PMMAのブレンド(例えば、第2の光学層)、及びPET(例えば、第1の光学層)/CoPMMA(例えば、第2の光学層)が挙げられる。
【0124】
いくつかの実施形態では、第1の光学層はフルオロポリマーであり、第2の光学層はフルオロポリマーである。そのような実施形態に関して望ましい材料の例としては、ETFE/THV、PMMA/THV、PVDF/FEP、ETFE/FEP、PVDF/PFA、及びETFE/PFAが挙げられる。例示的一実施形態では、300~400nmを反射する多層UV-C反射ミラーに関しては、第2の光学層として、例えばDyneon LLC(Oakdale,MN)から商品名「DYNEON THV 221 GRADE」又は「DYNEON THV 2030 GRADE」又は「DYNEON THV 815 GRADE」で入手可能なTHVが、第1の光学層としてのPMMAと共に用いられる。別の例示的実施形態では、第2の光学層として、例えばDyneon LLC(Oakdale,MN)から商品名「DYNEON THV 221 GRADE」又は「DYNEON THV 2030 GRADE」又は「DYNEON THV 815 GRADE」で入手可能なTHVが、好ましくは、第1の光学層としての、Dow Elastomers,Inc.(Midland,MI)から入手可能な「ELVALOY 1125」と組み合わせて用いられる。
【0125】
UV光又は青色光を吸収する光学層を作製するための、例示的な材料としては、COC、EVA、TPU、PC、PMMA、CoPMMA、シロキサンポリマー、フルオロポリマー、THV、PET、PVDF、又は、PMMAとPVDFとのブレンドが挙げられる。
【0126】
UV吸収層(例えば、UV保護層)は、UV反射光学層積層体を通過し得るUV光(例えば、あらゆるUV光)を吸収することによって、可視/IR反射光学層積層体を、UV光に起因する損傷/経時的な劣化から保護するために役立つ。一般に、UV吸収層は、長期間にわたってUV光に耐えることが可能な、感圧接着剤組成物を含めた、任意のポリマー組成物(すなわち、ポリマー+添加剤)を含み得る。
【0127】
LED UV光、特に280~400nmの紫外放射線は、プラスチックの劣化を誘発する恐れがあり、その結果、変色並びに光学特性及び機械的特性の劣化をもたらす。光酸化劣化の抑制は、長期の耐久性が必須である屋外用途にとって重要である。ポリエチレンテレフタレートによるUV光の吸収は、例えば、約360nmにおいて開始して、320nm未満で著しく増大し、300nm未満においては極めて顕著である。ポリエチレンナフタレートは、310~370nmの範囲のUV光を激しく吸収し、吸収の終了は約410nmまで延び、吸収極大は、352nm及び337nmで生じる。鎖開裂は、酸素の存在下で発生し、主な光酸化生成物は、一酸化炭素、二酸化炭素、及びカルボン酸である。エステル基の直接的な光分解に加えて、酸化反応を考慮する必要があり、この酸化反応も同様に、過酸化物ラジカルを介して二酸化炭素を形成する。
【0128】
UV吸収層は、UV光の反射、UV光の吸収、UV光の散乱、又はそれらの組み合わせによって、多層光学フィルムを保護することができる。一般に、UV吸収層は、UV放射線を反射するか、散乱させるか、又は吸収すると同時に、長期間にわたってUV放射線に耐えることが可能な、任意のポリマー組成物を含み得る。そのようなポリマーの例としては、PMMA、CoPMMA、シリコーン熱可塑性樹脂、フルオロポリマー、及びそれらのコポリマー、並びにそれらのブレンドが挙げられる。例示的なUV吸収層は、PMMA/PVDFのブレンドを含む。
【0129】
任意選択的な接着剤層
前述の実施形態のいずれかでは、任意選択的な接着剤層は、(コ)ポリマーを含む。前述の実施形態のいずれかでは、(コ)ポリマーは、オレフィン(コ)ポリマー、(メタ)アクリレート(コ)ポリマー、ウレタン(コ)ポリマー、フルオロポリマー、シリコーン(コ)ポリマー、又はこれらの組み合わせから選択される。特定のそのような実施形態では、(コ)ポリマーは、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン酢酸ビニル、ポリエチレンメチルアクリレート、ポリエチレンオクテン、ポリエチレンプロピレン、ポリエチレンブテン、ポリエチレン無水マレイン酸、ポリメチルペンテン、ポリイソブテン、ポリイソブチレン、ポリエチレンプロピレンジエン、環状オレフィンコポリマー、及びこれらのブレンドから選択される、オレフィン(コ)ポリマーである。
【0130】
前述の実施形態のいくつかでは、(コ)ポリマーは、160℃未満の融解温度を有する。特定のそのような実施形態では、(コ)ポリマーは、架橋されている。いくつかのそのような実施形態では、(コ)ポリマーは、紫外放射線吸収剤、ヒンダードアミン光安定剤、酸化防止剤、又はこれらの組み合わせを更に含む。更なるそのような実施形態では、紫外放射線吸収剤は、ベンゾトリアゾール化合物、ベンゾフェノン化合物、トリアジン化合物、又はこれらの組み合わせから選択される。
【0131】
1つの例示的なヒートシール可能なフルオロポリマー接着剤材料は、Dyneon LLC(Oakdale,MN)からTHV221GZとして入手可能である。別の例示的なヒートシール可能なフルオロポリマー接着剤材料は、3M Dyneon LLC(Oakdale,MN)からTHV340GZとして入手可能である。光起電力モジュール用の他の例示的なヒートシール可能な接着剤もまた、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2013066459(A1)号(Rasalら)及び同第2013066460(A1)号(Rasalら)の特許出願において見出すことができる。
【0132】
任意選択的な接着剤層は、光起電力電池への貼り重ね中又は貼り重ね後に、光開始剤又は熱開始剤で架橋させることができる。例示的な光開始剤としては、ベンゾフォン、オルトメトキシベンゾフォン、パラエトキシベンゾフェノン、アセトフェノン、オルトメトキシアセトフェノン、ヘキサフェノン、ポリメチルビニルケトン、ポリビニルアリールケトン、オリゴ(2-ヒドロキシ-2-メチル-1-4(1-メチルビニル)プロパノン、及び、Arkema Sartomer(Exton,PA)から入手可能なEscacure KIP150などの2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オンが挙げられる。ヒートシール可能な接着剤層は、X線照射、ガンマ放射線、紫外電磁放射線、及び電子ビーム照射などを使用する、放射線を介した架橋により硬化させることができる。
【0133】
架橋はまた、過酸化物、アミン、シラン、及び硫黄含有化合物を含む、熱化学架橋剤によって促進させることもできる。例示的な有機過酸化物架橋剤としては、2,7-ジメチル-2,7-ジ(t-ブチルペルオキシ)オクタジイン-3,5、及び2,7-ジメチル-2,7-ジ(ペルオキシエチルカーボネート)オクタジイン-3,5が挙げられる。別の例示的な架橋剤は、Elf Atochem North America(St.Louis,MO)からLuperox 500Rとして入手可能なジクミルペルオキシドである。
【0134】
任意選択的な添加剤
例示的な接着剤層は、UV吸収剤、ヒンダードアミン光安定剤、及び酸化防止剤を含み得る。ベンゾトリアゾール、ベンゾフェノン、及びトリアジンUV吸収剤は、BASF U.S.A.(Florham Park,NJ)から、Tinuvin P、Tinuvin 326、Tinuvin 327、Tinuvin 360、Tinuvin 477、Tinuvin 479、Tinuvin 1577、及びTinuvin 1600などの、商品名Tinuvin及びChemisorbで入手可能である。好適なヒンダードアミン光安定剤もまた、BASFから、Tinuvin 123、Tinuvin 144、及びTinuvin 292として入手可能である。
【0135】
例示的な酸化防止剤もまた、BASF(Florham Park,NJ)から、商品名Irganox、Irgafos、及びIrgastabで入手可能である。ポリオレフィン用の例示的な酸化防止剤としては、Irganox 1010、Irganox 1076、及びIrgafos 168が挙げられる。更なるオレフィンポリマー安定剤は、Solvayから、CYASORB THT460、CYASORB UV3529、CYNERGY400、及びCYANOX2777などの、商品名CYTEC、CYASORB、CYANOX、及びCYNERGYで入手可能である。
【0136】
様々な任意選択的な添加剤を、光学層中に組み込むことにより、その光学層をUV吸収性にすることができる。そのような添加剤の例としては、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン光安定剤、又は酸化防止剤のうちの少なくとも1つが挙げられる。
【0137】
特に望ましいUV吸収剤は、180nm~400nmの波長領域におけるUV光の少なくとも70%(いくつかの実施形態では、少なくとも80%、又は更に90%超)を吸収する、赤方偏移UV吸収剤(RUV-A)である。典型的には、RUV-Aは、ポリマーに対する溶解性が高く、高光吸収性であり、光に対して耐久性があり、保護層を形成するための押出プロセスに関する200℃~300℃の温度範囲において熱安定性である場合に望ましい。RUV-Aはまた、UV硬化、ガンマ光線硬化、電子ビーム硬化、又は熱硬化プロセスによって、保護コーティング層を形成するために、モノマーと共重合させることができる場合にも、非常に好適であり得る。
【0138】
RUV-Aは、典型的には、長波UV領域において強化されたスペクトル有効範囲を有することにより、ポリエステルの黄変を引き起こし得る高波長UV光を遮断することが可能となる。典型的なUV保護層は、13マイクロメートル~380マイクロメートル(0.5mil~15mil)の範囲の厚さを有し、2~10重量%のRUV-A充填濃度を有する。最も効果的なRUV-Aのうちの1つは、ベンゾトリアゾール化合物の、5-トリフルオロメチル-2-(2-ヒドロキシ-3-α-クミル-5-tert-オクチルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール(BASF(Florham Park,NJ)から商品名「CGL-0139」で入手可能なもの)である。
【0139】
他の例示的なベンゾトリアゾールとしては、2-(2-ヒドロキシ-3,5-ジ-α-クミルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール、5-クロロ-2-(2-ヒドロキシ-3-tert-ブチル-5-メチルフェニル)-2H-ベンゾチアゾール、5-クロロ-2-(2-ヒドロキシ-3,5-ジ-tert-ブチルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-3,5-ジ-tert-アミルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-3-α-クミル-5-tert-オクチルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール、2-(3-tert-ブチル-2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)-5-クロロ-2H-ベンゾトリアゾールが挙げられる。更なる例示的なRUV-Aとしては、2(-4,6-ジフェニル-1-3,5-トリアジン-2-イル)-5-ヘキルオキシ-フェノールが挙げられる。
【0140】
他の例示的なUV吸収剤としては、BASF(Florham Park,NJ)から、商品名「TINUVIN 1577」、「TINUVIN 900」、「TINUVIN 1600」、及び「TINUVIN 777」で入手可能なものが挙げられる。更なる例示的なUV吸収剤は、例えば、Sukano Polymers Corporation(Dunkin,SC)から商品名「TA07-07 MB」で、ポリエステルマスターバッチとして入手可能である。
【0141】
ポリメチルメタクリレート用の例示的なUV吸収剤は、例えば、Sukano Polymers Corporation(Dunkin,SC)から商品名「TA11-10 MBO1」で入手可能なマスターバッチである。
【0142】
ポリカーボネート用の例示的なUV吸収剤は、Sukano Polymers Corporation製の、商品名「TA28-09 MB01」のマスターバッチである。更には、UV吸収剤は、ヒンダードアミン光安定剤(HALS)及び酸化防止剤と組み合わせて使用することができる。例示的なHALSとしては、BASFから商品名「CHIMASSORB 944」及び「TINUVIN 123」で入手可能なものが挙げられる。例示的な酸化防止剤としては、同じくBASF(Florham Park,NJ)から入手可能な、商品名「IRGANOX 1010」及び「ULTRANOX 626」で入手されるものが挙げられる。
【0143】
他の添加剤を、UV吸収層(例えば、UV保護層)内に含めることができる。酸化亜鉛及び酸化チタンの非顔料小粒子もまた、UV吸収層内での遮断添加剤又は散乱添加剤として使用することができる。例えば、ナノスケール粒子を、ポリマー又はコーティング基材中に分散させることにより、UV放射線劣化を最小限に抑えることができる。ナノスケール粒子は、可視光に対して透明である一方で、有害なUV放射線を散乱させるか又は吸収することにより、熱可塑性樹脂に対する損傷を低減する。
【0144】
その開示全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5,504,134号(Palmerら)は、直径約0.001~約0.2マイクロメートル(いくつかの実施形態では、約0.01マイクロメートル~約0.15マイクロメートル)のサイズ範囲の金属酸化物粒子の使用による、紫外放射線に起因するポリマー基材劣化の軽減を説明している。
【0145】
その開示全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5,876,688号(Laundon)は、本発明で使用するために適している、塗料、コーティング、仕上げ材、プラスチック物品、化粧材などの中に、UV遮断剤及び/又はUV散乱剤として組み込まれた場合に透明となるほど十分に小さい、微粉化酸化亜鉛の製造方法を説明している。UV放射線を減衰させることが可能な、10nm~100nmの範囲の粒径を有する、酸化亜鉛及び酸化チタンなどのこれらの微細粒子は、例えばKobo Products,Inc.(South Plainfield,NJ)から入手可能である。難燃剤もまた、添加剤としてUV保護層内に組み込むことができる。
【0146】
UV吸収層に、UV吸収剤、HALS、ナノスケール粒子、難燃剤、抗菌剤、湿潤剤、及び酸化防止剤を添加することに加えて、多層光学フィルム、及び、いずれかの任意選択的な耐久性トップコート層に、UV吸収剤、HALS、ナノスケール粒子、難燃剤、及び酸化防止剤を添加することもできる。
【0147】
蛍光性分子及び蛍光増白剤もまた、UV吸収層、多層光学層、任意選択的なハードコート層、又はそれらの組み合わせに添加することができる。青色光吸収染料又は青色光吸収顔料が、例えば、Clariant Specialty Chemicals(Charlotte,NC)から商品名「PV FAST YELLOW」で入手可能であり、スキン層又はトップコートに添加することができる。例示的実施形態では、スキン層に抗菌剤及び湿潤剤を添加することができ、それらは、空気に曝される表面に移動する。凝縮による曇りを防止するために、湿潤剤が必要とされる場合がある。
【0148】
UV保護層の所望の厚さは、典型的には、ベールの法則によって算出されるような、特定の波長における光学濃度の目標に依存する。いくつかの実施形態では、UV保護層は、380nmにおいて3.5、3.8、又は4超、390nmにおいて1.7超、及び400nmにおいて0.5nm超の光学濃度を有する。当業者は、意図されている保護機能を提供するために、光学濃度が、典型的には、その物品の長い寿命にわたって実質的に一定に維持されるべきであることを認識している。
【0149】
任意選択的なUV保護層、及び、いずれかの任意選択的な添加剤は、UV保護などの所望の保護機能を実現するように選択することができる。当業者は、UV保護層の上記の目的を達成するための、多数の手段が存在することを認識している。例えば、特定のポリマーに対して極めて溶解性の高い添加剤を、組成物に添加することができる。
【0150】
特に重要であるのは、ポリマー中での添加剤の耐久性である。添加剤は、劣化したり、ポリマーの外に移動したりするべきではない。更には、所望の保護結果を達成するために、層の厚さを変更することができる。例えば、より厚いUV保護層は、より低い濃度のUV吸収剤で、同じUV吸光度レベルを可能にし、UV吸収剤を移動させる駆動力がより小さいことに起因して、より長いUV吸収剤の耐久性をもたらす。
【0151】
物理的特性の変化を検出するための1つのメカニズムは、ASTM G155-05a(2005年10月)で説明されている耐候試験サイクルと、反射モードで作動するD65光源とを使用することである。上記の試験において、UV保護層が物品に適用されている場合、物品は、顕著な亀裂、剥離、層間剥離、又はヘイズの発生の前に、CIE L空間を使用して得られるb値が、5以下、4以下、3以下、又は2以下増大するまで、340nmにおける少なくとも18,700kJ/mの曝露に耐えるべきである。
【0152】
例示的なUV-C保護層は、架橋フルオロポリマーである。フルオロポリマーは、電子ビーム照射により架橋させることができる。架橋フルオロポリマー層は、その第1の表面において高い架橋密度を有し、その第2の表面においてより低い架橋を有する、架橋密度勾配を有し得る。架橋密度勾配は、50kV~150kVの範囲の、低い電子ビーム電圧で実現することができる。
【0153】
別の例示的なUV-C保護層は、架橋シリコーンポリマーである。架橋シリコーンポリマーはまた、ナノシリカ粒子及びシルセスキオキサン(silsequioxane)粒子も含み得る。ナノシリカ粒子を含む例示的な架橋シリコーンポリマーコーティングは、Ulta-Tech International,Inc.(Jacksonville,FL)から商品名「GENTOO」で入手可能である。
【0154】
本明細書で説明される多層光学フィルムは、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第6,783,349号(Neavinら)で説明されているものなどの、一般的な加工技術を使用して作製することができる。
【0155】
本明細書で説明される例示的なUV-C多層光学フィルム及びUV-C遮蔽フィルムは、好ましくは可撓性である。可撓性のUV-C多層光学フィルム及びUV-Cシールドは、直径1m以下(いくつかの実施形態では、75cm、50cm、25cm、10cm、5cm以下、又は更に1cm以下)のロッドの周りに、視認可能な亀裂を伴うことなく巻き付けることができる。
【0156】
紫外線バンドパスフィルタ及び反射[保護]ミラーフィルムを作製する方法
更なる例示的実施形態では、本開示は、先行のUV-Cミラーフィルムの実施形態のいずれかによる、UV-Cミラーフィルムを作製する方法を説明する。本方法は、フルオロポリマーで構成されている基材を供給することと、基材の主表面上に配置される多層光学フィルムを供給することと、多層光学フィルムをヒートシール可能な接着剤層で基材にヒートシールすることとを含む。いくつかの現在好ましい実施形態では、多層光学フィルムは、多層共押出ダイを使用して製造される。
【0157】
制御されたスペクトルを有する多層光学フィルムを製造するための好適な方法は、
例えば、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第6,783,349号(Neavinら)で説明されているような、共押出されるポリマー層の層厚さの値を制御する軸ロッドヒータの使用と、原子間力顕微鏡(atomic force microscope;AFM)、透過電子顕微鏡、又は走査電子顕微鏡などの層厚さ測定ツールからの、製造中の時宜を得た層厚さプロファイルのフィードバックと、所望の層厚さプロファイルを生成するための光学モデリングと、測定された層プロファイルと所望の層プロファイルとの差異に基づく、軸ロッド調節の繰り返しとを含み得る。
【0158】
層厚さプロファイル制御に関する基本的なプロセスは、目標の層厚さプロファイルと測定された層プロファイルとの差異に基づく、軸ロッドのゾーン出力設定の調節を伴う。所与のフィードブロックゾーンにおける、層厚さの値を調節するために必要とされる、軸ロッド出力の増大は、最初に、そのヒータゾーンにおいて生成された層の、結果として生じたナノメートルの厚さ変化に従って、熱入力のワットの観点で較正することができる。例えば、275の層に対して24の軸ロッドゾーンを使用して、スペクトルの微調整が可能である。較正された時点で、目標のプロファイルと測定されたプロファイルとが与えられると、必要な出力調節を計算することができる。この手順は、2つのプロファイルが収束するまで繰り返される。
【0159】
指定の波長範囲にわたる入射UV光の少なくとも50パーセントを反射する、本明細書で説明される多層光学フィルムの層厚さプロファイル(層厚さの値)は、第1の(最も薄い)光学層が、100nmの光に対して約1/4波長の光学的厚さ(屈折率×物理的厚さ)を有するように調節され、280nmの光に対して約1/4波長の厚さの光学的厚さとなるように調節される最も厚い層へと進行する、ほぼ線形のプロファイルとなるように調節することができる。
【0160】
このことに関しては、屈折率のコントラストを有する交互配置された無機誘電体材料の薄層で構成されている、光学薄膜積層体設計を有する、誘電体ミラーが特に適している。ここ数十年来、誘電体ミラーは、UVスペクトル領域、可視スペクトル領域、NIRスペクトル領域、及びIRスペクトル領域における用途に関して使用されている。対象とするスペクトル領域に応じて、その領域に関して好適な、特定の材料が存在している。また、これらの材料をコーティングするために、2つの形態の物理蒸着(physical vapor deposition;PVD)のうちの一方、すなわち、蒸着又はスパッタリングが使用される。蒸着コーティングは、コーティング材料(蒸着物質)を、蒸発する温度まで加熱することに依存している。このことに続いて、その蒸気が、基材上で凝縮する。蒸着誘電体ミラーコーティングに関しては、電子ビーム蒸着プロセスが最も一般的に使用される。
【0161】
スパッタコーティングは、高速ガスイオンを使用し、材料(「ターゲット」)表面に衝突させて原子を放出させ、次いで、それらの原子が、近くの基材上で凝縮する。いずれのコーティング方法が使用されるか、及び、その方法に関して使用される設定に応じて、薄膜コーティングの速度、及び構造と特性との関係性は、強く影響を受けることになる。理想的には、コーティング速度は、許容可能なプロセススループットと、高密度、低応力、ボイドフリーの、非光学吸収性コーティング層として特徴付けられるフィルム性能とを可能にするように、十分に高速にするべきである。
【0162】
例示的実施形態は、双方のPVD方法によって、254nmにおいてピーク反射率を有するように設計することができる。例えば、高屈折率材料としてHfOを、低屈折率材料としてSiOを使用して、電子ビーム蒸着法によって個別の基材をコーティングする。ミラー設計は、「1/4波長の光学的厚さ」(quarter wave optical thickness;qwot)の各材料の交互層を有するものであり、それらの層は、例えば、13層の後の254nmにおける反射率が99%を超えるまで、一層ずつコーティングされる。この反射ピークの帯域幅は、約80nmである。4分の1波長の光学的厚さは、設計波長であり、ここでは254nmを4で除算したもの、すなわち63.5nmである。高屈折率層(HfO)の物理的厚さは、qwotを、254nmにおけるHfOの屈折率(2.41)で除算した商、すなわち30.00nmである。254nmにおいて1.41の屈折率を有する低屈折率層(MgF)の物理的厚さは、45.02nmである。次いで、HfOとSiOとの交互層で構成され、254nmにおいてピーク反射率を有するように設計されている薄膜積層体のコーティングを、層1のHfOを30.00nmでコーティングすることから開始する。
【0163】
電子ビーム蒸着では、4ハースの蒸着源が使用される。各ハースは円錐形状であり、体積17cmのHfO塊で充填される。磁気的に偏向した高電圧電子ビームを、予めプログラムされた方式で、ビームのフィラメント電流を着実に増大させつつ、材料表面にわたってラスタ走査する。
【0164】
予めプログラムされた工程が完了した時点で、HFO表面は、蒸発温度である約2500℃まで加熱されており、供給源シャッタが開放して、HfO蒸気流束が、供給源からコサイン状分布で噴出して、供給源の上方の基材材料上で凝縮する。コーティングの均一性を向上させるために、蒸着の間、基材ホルダが回転する。規定のコーティング厚さ(30.00nm)に達した時点で、フィラメント電流が遮断され、シャッタが閉鎖し、HfO材料が冷却される。
【0165】
層2に関しては、次いで蒸着源が、MgFの塊を含むハースに交替され、予めプログラムされた同様の加熱プロセスが開始する。この場合、MgFの表面温度は、供給源シャッタが開放するときに約950℃であり、規定のコーティング厚さ(45.02nm)に達した時点で、フィラメント電流が遮断され、シャッタが閉鎖し、HfO材料が冷却される。この段階的プロセスを、設計層の総数に達するまで、一層ずつ継続する。この光学設計の場合、層の総計が3から13に増大すると、結果として得られるピーク反射率は、それに応じて、3層における40%から、13層における99%超に増大する。
【0166】
別の例示的実施形態では、高屈折率材料としてZrONを、低屈折率材料としてSiOを使用して、連続的ロールツーロール(roll to roll;R2R)方式でUV透明フィルムをコーティングすることができる。光学設計は、2つの材料のqwot層が交互配置されている、同じタイプの薄膜積層体である。254nmにおいて2.25の屈折率を有するZrONに関しては、物理的厚さの目標を28.22nmとした。この場合はアルミニウムドープシリコンのスパッタターゲットからスパッタリングされる、1.49の屈折率を有するSiOに関しては、目標の厚さを42.62nmとした。
【0167】
層1のZrONは、アルゴン、酸素、及び窒素のガス混合物中で、純ジルコニウムのスパッタターゲットからDCスパッタリングされる。アルゴンが主要なスパッタリングガスである一方で、酸素及び窒素のレベルは、透明性、低吸収率、高屈折率を実現するように設定されている。フィルムロールの搬送は、最初に所定の速度で開始して、スパッタ源の出力が最大作動出力まで上昇した後に、続いて反応性ガスが導入されてから、定常状態条件に達する。コーティングするフィルムの長さに応じて、このプロセスは、全長に達するまで継続する。この場合、スパッタ源は、コーティングされているフィルムに直交しており、そのフィルムよりも幅広であるため、コーティング厚さの均一性は非常に高い。
【0168】
コーティングされたフィルムが所望の長さに達した時点で、反応性ガスをゼロに設定し、ターゲットを純Zrの表面状態へとスパッタリングする。次に、フィルムの方向を反転させ、スパッタターゲットの交替用の対をなす(アルミニウムドープ)シリコンに、アルゴンスパッタリング雰囲気中で、AC周波数(40kHz)の電力が印加される。定常状態に達した時点で、透明性及び低屈折率をもたらすために、酸素の反応性ガスが導入される。所定のプロセス設定及びライン速度で、第2の層を、層1に関してコーティングされた長さにわたってコーティングする。この場合もまた、これらのスパッタ源は、コーティングされているフィルムに直交しており、そのフィルムよりも幅広であるため、コーティング厚さの均一性は非常に高い。コーティングされたフィルムが所望の長さに達した後、反応性酸素を除去し、ターゲットを、アルゴン中で、純(アルミニウムドープ)シリコンの表面状態へとスパッタリングする。ピーク反射率の目標に応じて、この順序で、3層から、5層、又は7層、又は9層、又は11層、又は13層がコーティングされる。完了した時点で、後処理のためにフィルムロールを取り外す。
【0169】
これらの無機コーティングの製造に関しては、電子ビームプロセスが、個別の部品をコーティングするために最適である。いくつかのチャンバでは、R2Rフィルムコーティングを実施するものとしたが、一層ずつのコーティング順序が依然として必要となる。フィルムのR2Rスパッタリングに関しては、1つ又は場合により2つのコーティングドラムの周りに複数の供給源が配置されている、スパッタリングシステムを使用することが有利である。この場合、13層の光学積層体設計に関しては、交互配置される高屈折率層と低屈折率層とを順次にコーティングする、2回の、又は更には単回の、マシンパスプロセスが実現可能となる。何回のマシンパスが必要とされるかは、マシンの設計、コスト、13個の連続的供給源の実用性などによって左右されることになる。更には、コーティング速度を、単一のフィルムライン速度に一致させることが必要となる。
【0170】
本開示の運用を、以下の詳細な実施例に関して、更に説明する。これらの実施例は、様々な特定の好ましい実施形態及び技術を、更に例示するために提供されている。しかしながら、本開示の範囲内に留まりつつも、多くの変更及び修正を加えることができる点を理解されたい。
【0171】
本開示の幅広い範囲を記載している数値範囲及びパラメータは、近似値ではあるが、特定の実施例で記載されている数値は、可能な限り正確に報告されている。しかしながら、いずれの数値にも、それらの対応の試験測定値において見出される標準偏差から必然的に生じる、ある程度の誤差が本質的に含まれている。少なくとも、各数値パラメータは、報告される有効桁数を考慮し、通常の四捨五入を適用することによって少なくとも解釈されるべきであるが、このことは、特許請求される実施形態の範囲への均等論の適用を制限しようとするものではない。
【0172】
実施例
これらの実施例は、様々な特定の好ましい実施形態及び技術を、更に例示するために提供されている。しかしながら、本開示の範囲内に留まりつつも、多くの変更及び修正を加えることができる点を理解されたい。
【0173】
UV-C寿命試験
Atlantic Ultraviolet Corporation(Hauppauge,NY)によって製造された118V RRD-30-8S殺菌器具を有する、アルミニウム製の筐体を使用して、特定の例示的なUV-C保護ミラーフィルムに関してUV-C寿命を判定した。この器具は、8つの高出力瞬時始動254nm UV-Cランプを含む。ランプの長さ全体にわたって、圧縮空気を124kPa(18psi)の圧力で流すことにより、一定の温度を維持して、温度によるランプ出力強度の損失を最小限に抑えた。適切なサイズの窓を含むアルミニウムスライド上に試験サンプルを取り付けて、分光光度計(Shimadzu Instruments(Kyoto,Japan)から商品名「SHIMADZU 2550 UV-VIS」で入手)を使用して吸光度測定を実施した。
【0174】
離散した時間間隔にわたって連続露光を実施し、100時間ごとに吸光度測定のために取り出して、露光ハウジング内に戻した。実験の継続期間全体にわたって、サンプルは、ランプからの制御された高さ及びランプに沿って制御された距離で、試験チャンバ内部に配置された。UV放射計(OPSYTECH Corporation(Makati City,Philippines)から商品名「UVPAD」で入手)を、チャンバ内部に試験サンプルと並べて配置して、露光プロセス全体にわたって100時間ごとに、UV(及び、具体的にはUV-C)の照度及び線量データを収集した。
【0175】
比較実施例1
UV-Cを吸収するためのジルコニアナノ粒子を使用して、透明ウレタンコーティングを作製した。UV-Cに曝露されると、このコーティングは、図2Aに示されるように、222nmのUV-Cに対する168時間のみの曝露で、劣化して黄変しており、参照番号30は、ゼロ時間のUV-C曝露後の、曝露されていないコーティングの吸光度スペクトルを指し、参照番号31は、168時間の曝露後の、コーティングの吸光度スペクトルを指している。
【0176】
比較実施例2
USI Group(Taiwan)から入手可能な、商品名VIVIONで販売されているポリオレフィンコポリマーフィルムを、254nmのUV-C放射線に曝露した。図2Bに示されるように、254nmのUV-C放射線に対する168時間のみの曝露で、吸光度として示される光透過率の損失が顕著となり、フィルムが急速に劣化しており、参照番号32は、ゼロ時間のUV-C曝露後の、曝露されていないフィルムを指し、参照番号33は、168時間のUV-C曝露後のフィルムを指している。
【0177】
比較実施例3
フルオロポリマー(Dyneon LLC(Oakdale,MN)から商品名「THV815」及び「THV221」で入手可能なもの)を、21℃(70°F)に冷却されたフィルムキャスティングホイール上に、40mm二軸押出機及びフラットフィルム押出ダイを使用して共押出することにより、厚さ2mil(50マイクロメートル)の2層フルオロポリマーフィルムを形成した。厚さ100マイクロメートルのフルオロポリマー(「THV815」)フィルムである。このフィルムを、アルミニウムシートに、THV221フルオロポリマー側がアルミニウムシートに面している状態で、140℃でヒートシールした。2層フルオロポリマーフィルムは、アルミニウムシートから剥離することはできなかった。
【0178】
基材フィルム実施例1
Nowofol Kunststoffprodukte GmbH KG(Siegsdorf,Germany)から商品名「NOWOFLON THV815」で入手した厚さ4mil(100マイクロメートル)のTHV815フィルムを、UV-C寿命試験に従って、3264時間にわたって254nmのUV-C放射線に曝露した。吸光度スペクトルが図3Aに示されており、参照番号34は、ゼロ時間のUV-C曝露後の、曝露されていないフィルムを指し、参照番号35は、3264時間のUV-C曝露後のフィルムを指している。
【0179】
このフィルムの別のサンプルを、UV-C寿命試験に従って、672時間にわたって222nmのUV-C放射線に同様に曝露した。吸光度スペクトルが図3Bに示されており、参照番号36は、ゼロ時間のUV-C曝露後の、曝露されていないフィルムを指し、参照番号37は、672時間のUV-C曝露後のフィルムを指している。劣化又は光透過率の損失の兆候はない。THV815は、225℃の融点を有し、150℃に加熱された表面には付着しない。
【0180】
基材フィルム実施例2
3M Company(St.Paul,MN)製の厚さ12mil(300マイクロメートル)のTHV221フィルムを、UV-C寿命試験に従って、3264時間にわたって254nmのUV-C放射線に曝露した。吸光度スペクトルが図3Cに示されており、参照番号38は、ゼロ時間のUV-C曝露後の、曝露されていないフィルムを指し、参照番号39は、3264時間のUV-C曝露後のフィルムを指している。劣化又は光透過率の損失の兆候はない。THV221は、130℃の融点を有し、140℃でヒートシールすることができる。
【0181】
狭帯域バンドパスフィルタUV-Cミラーフィルム
狭帯域バンドパスフィルタUV-Cミラーフィルム実施例1
HfOを含む第1の光学層とSiOを含む第2の光学層とを有する、無機光学積層体を、厚さ100マイクロメートル(4mil)のフルオロポリマーフィルム基材(Nowofol Kunststoffprodukte GmbH KG(Siegsdorf,Germany)から商品名「NOWOFLON THV815」で入手)上に蒸気コーティングすることによって、多層UV-C保護ミラーフィルムを作製した。より具体的には、HfOとSiOとの13の交互層で構成され、254nmにおいてピーク反射率を有するように設計されている薄膜積層体を、以下の方法を使用して調製した。
【0182】
この方法は、層1の、HfOの30.00nmの層を、電子ビーム蒸着を使用してコーティングすることから開始した。電子ビーム蒸着では、4ハースの蒸着源を使用した。各ハースは円錐形状であり、体積17cmのHfO塊で充填した。磁気的に偏向した高電圧電子ビームを、予めプログラムされた方式で、ビームのフィラメント電流を着実に増大させつつ、材料表面にわたってラスタ走査した。
【0183】
予めプログラムされた工程が完了した時点で、HFO表面は、蒸発温度である約2500℃まで加熱されており、供給源シャッタが開放して、HfO蒸気流束が、供給源からコサイン状分布で噴出して、供給源の上方の基材材料上で凝縮した。コーティングの均一性を向上させるために、蒸着の間、基材ホルダを回転させた。規定のコーティング厚さ(30.00nm)に達した時点で、フィラメント電流を遮断して、シャッタを閉鎖し、HfO材料を冷却させた。
【0184】
次に、コーティング層2を、コーティング層1上に直接蒸着させた。コーティング層2に関しては、次いで蒸着源を、SiOの塊を含むハースに交替して、予めプログラムされた同様の加熱プロセスを開始した。この場合、SiOの表面温度は、供給源シャッタが開放したときに約950℃であり、規定のコーティング厚さ(45.02nm)に達した時点で、フィラメント電流を遮断して、シャッタを閉鎖し、HfO材料を冷却させた。
【0185】
この段階的な交互層プロセスを、13層(HfOの7つの層、及びSiOの6つの層)の総数に達するまで、一層ずつ継続した。この多層UV-C保護ミラーフィルムの反射率スペクトルを、分光光度計(Shimadzu(Kyoto,Japan)から商品名「Shimadzu 2550 UV-VIS」で入手)で測定した。結果として得られた反射率スペクトル50が、図4に示される。
【0186】
モデル化された想定実施例I
Journal of the Optical Society of America(Volume 62,Number 4,April 1972)及びJournal of Applied Physics(Volume 85,Number 6,March 1999)で説明されているBerreman法を使用して、垂直入射光角度(0°)において254nmの反射率中央値を目標とする、ZrONの高屈折率の第1の層とSiOの低屈折率の第2の層との、14の交互配置された光学層を有する多層光学フィルムに関する、図5に示される%反射率スペクトルを算出した。この仮想UV-C反射多層光学フィルムに関して、0°(スペクトル71)、10°(スペクトル72)、20°(スペクトル73)、30°(スペクトル74)、及び40°(スペクトル75)の入射光角度に対する、%反射率スペクトルを算出した。
【0187】
モデル化された想定実施例II
このUV-C放射線反射保護フィルムは、PVDF(フッ化ポリビニリデン)(Dyneon LLC(Oakdale,MN)から商品名「PVDF 6008」で入手可能なもの)で作製されている第1の光学層と、フルオロポリマー(Dyneon LLC(Oakdale,MN)から商品名「THV815GZ」で入手可能なもの)を含む第2の光学層とを含む、多層光学フィルムを含む。PVDF(「PVDF 6008」)とフルオロポリマー(「THV815GZ」)とを多層溶融マニホールドを介して共押出することにより、254層の光学積層体を形成することができる。
【0188】
このUV-C放射線反射保護フィルムの層厚さプロファイル(層厚さの値)は、0°の入射光角度(垂直の角度)において反射が測定される場合に、最も薄い層が、200nmの光に対して約1/4波長の光学的厚さ(屈折率×物理的厚さ)を有するように調節され、300nmの光に対して約1/4波長の光学的厚さとなるように調節された最も厚い層へと進行する、ほぼ線形のプロファイルとなるように調節することができる。
【0189】
Journal of the Optical Society of America(Volume 62,Number 4,April 1972)及びJournal of Applied Physics(Volume 85,Number 6,March 1999)で説明されているBerreman法を使用して、合計254層(各高屈折率層が低屈折率層と交互配置されている、127のPVDF高屈折率光学層及び127のTVH815低屈折率層)を有し、垂直入射光角度(0°)における250nmの反射率中央値の目標を示す多層光学フィルムに関して、図6に示される%反射率スペクトルを算出した。
【0190】
広帯域バンドパスフィルタUV-Cミラーフィルム
広帯域バンドパスフィルタUV-C(UV-B反射[保護]ミラーフィルム)実施例2-ZrO:SiAl
ZrOを含む第1の光学層とSiAlを含む第2の光学層とを有する、無機光学積層体を、厚さ4mil(100マイクロメートル)のフルオロポリマーフィルム(Nowofol Kunststoffprodukte GmbH&Co.KG Kunststoffprodukte GmbH&Co.KG(Siegsdorf,Germany)から商品名「NOWOFLON THV 815」で入手)上にスパッタコーティングすることによって、240~310nmの範囲にわたって反射する広帯域UV-C保護ミラーフィルムを作り出した。
【0191】
高屈折率材料としてZrOを、低屈折率材料としてSiAlを使用して、連続的ロールツーロール(R2R)方式でUV透明フィルムをコーティングした。光学設計は、それら2つの材料の、1/4波長の厚さの層が、層厚さの勾配を有して交互配置され、240nmにおいて反射を開始して、最終厚さにおいて310nmが反射されるように勾配が終了するべく、調整されるものとした。254nmにおいて2.25の屈折率を有するZrOに関しては、物理的厚さの目標を24.66nmとした。この場合はアルミニウムドープシリコンのスパッタターゲットからスパッタリングされる、1.49の屈折率を有するSiAlに関しては、目標の厚さを37.23nmとした。
【0192】
層1のZrOは、アルゴン、酸素、及び窒素のガス混合物中で、純ジルコニウムのスパッタターゲットからDCスパッタリングされた。アルゴンが主要なスパッタリングガスである一方で、酸素及び窒素のレベルは、透明性、低吸収率、高屈折率を実現するように設定された。フィルムロールの搬送は、最初に所定の速度で開始して、スパッタ源の出力が最大作動出力まで上昇した後に、続いて反応性ガスが導入されてから、定常状態条件に達するものとした。スパッタ源は、コーティングされているフィルムに直交しており、そのフィルムよりも幅広であった。コーティングされたフィルムが所望の長さに達した時点で、反応性ガスをゼロに設定し、ターゲットをスパッタリングして、純Zrの表面状態を得た。
【0193】
次に、フィルムの方向を反転させ、スパッタターゲットの交替用の対をなす(アルミニウムドープ)シリコンに、アルゴンスパッタリング雰囲気中で、AC周波数(40kHz)の電力を印加した。定常状態に達した時点で、透明性及び低屈折率をもたらすために、酸素の反応性ガスを導入した。所定のプロセス設定及びライン速度で、第2の層を、層1に関してコーティングされた長さにわたってコーティングした。スパッタ源は、コーティングされているフィルムに直交しており、そのフィルムよりも幅広であった。
【0194】
コーティングされたフィルムが所望の長さに達した後、反応性酸素を除去し、ターゲットをアルゴン中でスパッタリングして、純(アルミニウムドープ)シリコンの表面状態を得た。この段階的プロセスを、9層の総数に達するまで、一層ずつ継続した。結果として得られたピーク反射率は、分光光度計(Perkin Elmer Instruments(Waltham,MA)から商品名「LAMBDA 1050 UV-VIS」で入手)で測定した場合に、254nmにおいて95%であると測定され、このフィルムは、222nmのUV-C放射線の80%を透過した。
【0195】
広帯域UV-Cバンドパスフィルタ(UV-B+UV-A反射[保護]ミラーフィルム)実施例3(ZrO/SiAl
ZrOを含む第1の光学層とSiAlを含む第2の光学層とを有する、無機光学積層体を、厚さ4mil(100マイクロメートル)のフルオロポリマーフィルム(Nowofol Kunststoffprodukte GmbH KG(Siegsdorf,Germany)から商品名「NOWOFLON THV 815」で入手)上にスパッタコーティングすることによって、240~310nmの範囲にわたって反射する広帯域UV-C保護ミラーフィルムを作り出した。
【0196】
高屈折率材料としてZrOを、低屈折率材料としてSiAlを使用して、連続的ロールツーロール(R2R)方式でUV透明フィルムをコーティングした。光学設計は、それら2つの材料の、1/4波長の厚さの層が、層厚さの勾配を有して交互配置され、240nmにおいて反射を開始して、最終厚さにおいて310nmが反射されるように勾配が終了するべく、調整されるものとした。254nmにおいて2.25の屈折率を有するZrOに関しては、物理的厚さの目標を24.66nmとした。この場合はアルミニウムドープシリコンのスパッタターゲットからスパッタリングされる、1.49の屈折率を有するSiAlxOyに関しては、目標の厚さを37.23nmとした。
【0197】
層1のZrOは、アルゴン、酸素、及び窒素のガス混合物中で、純ジルコニウムのスパッタターゲットからDCスパッタリングされた。アルゴンが主要なスパッタリングガスである一方で、酸素及び窒素のレベルは、透明性、低吸収率、高屈折率を実現するように設定された。フィルムロールの搬送は、最初に所定の速度で開始して、スパッタ源の出力が最大作動出力まで上昇した後に、続いて反応性ガスが導入されてから、定常状態条件に達するものとした。スパッタ源は、コーティングされているフィルムに直交しており、そのフィルムよりも幅広であった。コーティングされたフィルムが所望の長さに達した時点で、反応性ガスをゼロに設定し、ターゲットをスパッタリングして、純Zrの表面状態を得た。
【0198】
次に、フィルムの方向を反転させ、スパッタターゲットの交替用の対をなす(アルミニウムドープ)シリコンに、アルゴンスパッタリング雰囲気中で、AC周波数(40kHz)の電力を印加した。定常状態に達した時点で、透明性及び低屈折率をもたらすために、酸素の反応性ガスを導入した。所定のプロセス設定及びライン速度で、第2の層を、層1に関してコーティングされた長さにわたってコーティングした。スパッタ源は、コーティングされているフィルムに直交しており、そのフィルムよりも幅広であった。コーティングされたフィルムが所望の長さに達した後、反応性酸素を除去し、ターゲットをアルゴン中でスパッタリングして、純(アルミニウムドープ)シリコンの表面状態を得た。
【0199】
この段階的プロセスを、9層の総数に達するまで、一層ずつ継続した。結果として得られたピーク反射率は、分光光度計(「LAMBDA 1050 UV-VIS」)で測定した場合に、254nmにおいて95%であると測定された。
【0200】
PMMA(Altuglas International,Arkema Inc.(Bristol,PA)から商品名「PLEXIGLAS V044」で入手)で作製されている第1の光学層を、フルオロポリマー2(Dyneon LLC(Oakdale,MN)から商品名DYNEON THV 221GZで入手)で作製されている第2の光学層と共押出することによって、310~360nmの範囲にわたって反射するUV-Bミラーフィルムを作製した。PMMAとフルオロポリマー2とを多層ポリマー溶融マニホールドを介して共押出することにより、合計275の光学層の積層体を形成した。
【0201】
このUV-Bミラーフィルムの層厚さプロファイル(層厚さの値)は、第1の(最も薄い)光学層が、310nmの光に対して約1/4波長の光学的厚さ(屈折率×物理的厚さ)を有するように調節され、360nmの光に対して約1/4波長の光学的厚さとなるように調節された最も厚い層へと進行する、ほぼ線形のプロファイルとなるように調節された。このフィルムの層厚さプロファイルは、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第6,783,349号(Neavinら)で教示された軸ロッド装置を使用して、原子間力顕微鏡技術で得られた層プロファイル情報と組み合わせて、改善されたスペクトル特性を提供するように調節された。
【0202】
更には、これらの光学層に対して、(それぞれが厚さ100マイクロメートルの)PMMAで作製されている非光学保護スキン層を、光学積層体の両側上に共押出した。この共押出された多層溶融流を、毎分5.4メートルで冷却ロール上にキャストすることにより、厚さ約400マイクロメートルの多層キャストウェブを作り出した。次いで、この多層キャストウェブを、120℃で約10秒間にわたって予熱し、機械(ダウンウェブ)方向及び横(クロスウェブ)方向のそれぞれで、3.0の延伸比で(フィルムを配向させるために)二軸延伸した。このUV-B反射多層フィルムを、分光光度計(Perkin Elmerの「LAMBDA 1050 UV-VIS」)で測定したところ、310nm~360nmの帯域幅にわたるUV-B放射線の95%を反射した。
【0203】
PMMA(Altuglas International,Arkema Inc.(Bristol,PA)から商品名「PLEXIGLAS V044」で入手)で作製されている第1の光学層を、フルオロポリマー2(Dyneon LLC(Oakdale,MN)から商品名「DYNEON THV 221GZ」で入手)で作製されている第2の光学層と共押出することによって、340~390nmの範囲にわたって反射するUV-Aミラーフィルムを作製した。PMMAとフルオロポリマー2とを多層ポリマー溶融マニホールドを介して共押出することにより、275の光学層の積層体を形成した。
【0204】
このUV-Bミラーフィルムの層厚さプロファイル(層厚さの値)は、第1の(最も薄い)光学層が、340nmの光に対して約1/4波長の光学的厚さ(屈折率×物理的厚さ)を有するように調節され、390nmの光に対して約1/4波長の光学的厚さとなるように調節された最も厚い層へと進行する、ほぼ線形のプロファイルとなるように調節された。このフィルムの層厚さプロファイルは、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第6,783,349号(Neavinら)で教示された軸ロッド装置を使用して、原子間力顕微鏡技術で得られた層プロファイル情報と組み合わせて、改善されたスペクトル特性を提供するように調節された。
【0205】
更には、これらの光学層に対して、(それぞれが厚さ100マイクロメートルの)PMMAで作製されている非光学保護スキン層を、光学積層体の両側上に共押出した。この共押出された多層溶融流を、毎分5.0メートルで冷却ロール上にキャストすることにより、厚さ約435マイクロメートルの多層キャストウェブを作り出した。次いで、この多層キャストウェブを、120℃で約10秒間にわたって予熱し、機械(ダウンウェブ)方向及び横(クロスウェブ)方向のそれぞれで、3.0の延伸比で(フィルムを配向させるために)二軸延伸した。このUV-A反射多層フィルムを、分光光度計(Perkin Elmerの「LAMBDA 1050 UV-VIS」)で測定したところ、340nm~390nmの帯域幅にわたるUV-A放射線の95%を反射した。
【0206】
これら240~310nmUV-Cミラーフィルム、310~360nmUV-Bミラーフィルム、及び340~390nmUV-Aミラーフィルムを、130℃のオーブン内で、5ポンド(2.27kg)の重量下で2時間にわたってヒートラミネート(laminate)した。このヒートラミネートされたUVミラーフィルム積層体の反射率スペクトルを、分光光度計(Perkin Elmerの「LAMBDA 1050 UV-VIS」)で測定した。ラミネートされた広帯域UV-C保護ミラーフィルムは、図7の反射率スペクトルによって示されるように、240nm~390nmの波長範囲にわたって85%の平均%反射率を示した。
【0207】
広帯域UV-Cバンドパスフィルタ(UV-B+UV-A反射[保護]ミラーフィルム)実施例4(HfO:SiO/ZrO:SiAl
HfOを含む第1の光学層とSiOを含む第2の光学層とを有する、無機光学積層体を、厚さ100マイクロメートル(4mil)のフルオロポリマーフィルム(Nowofol Kunststoffprodukte GmbH KG(Siegsdorf,Germany)から商品名「NOWOFLON THV 815」で入手)上に蒸気コーティングすることによって、215~280nmの範囲にわたって反射する広帯域UV-C保護ミラーフィルムを作製した。
【0208】
より具体的には、HfOとSiOとの交互層で構成され、254nmにおいてピーク反射率を有するように設計されている薄膜積層体を、層1のHfOを30.00nmでコーティングすることから開始した。電子ビーム蒸着では、4ハースの蒸着源を使用した。各ハースは円錐形状であり、体積17cmのHfO塊で充填した。磁気的に偏向した高電圧電子ビームを、予めプログラムされた方式で、ビームのフィラメント電流を着実に増大させつつ、材料表面にわたってラスタ走査した。
【0209】
予めプログラムされた工程が完了した時点で、HfO表面は、蒸発温度である約2500℃まで加熱されており、供給源シャッタが開放して、HfO蒸気流束が、供給源からコサイン状分布で噴出して、供給源の上方の基材材料上で凝縮した。コーティングの均一性を向上させるために、蒸着の間、基材ホルダを回転させた。規定のコーティング厚さ(30.00nm)に達した時点で、フィラメント電流が遮断されて、シャッタを閉鎖し、HfO材料を冷却させた。
【0210】
層2に関しては、次いで蒸着源を、SiOの塊を含むハースに交替して、予めプログラムされた同様の加熱プロセスを開始した。この場合、SiOの表面温度は、供給源シャッタが開放したときに約950℃であり、規定のコーティング厚さ(45.02nm)に達した時点で、フィラメント電流を遮断して、シャッタを閉鎖し、SiO材料を冷却させた。
【0211】
この段階的プロセスを、13層の総数に達するまで、一層ずつ継続した。結果として得られたピーク反射率は、分光光度計(Shimadzu Corp.(Kyoto,Japan)から商品名「SHIMADZU UV-2550 UV-VIS」で入手)で測定したところ、222nmにおいて95%であることが判明した。
【0212】
次いで、この215~280nmの範囲にわたって反射するUV-Cミラーフィルムを、130℃のオーブン内で、実施例3で説明されているヒートラミネートされたUVミラーフィルム積層体に、5ポンド(2.27kg)の重量下で2時間にわたってヒートラミネートした。ラミネートされた広帯域UV-C保護ミラーフィルムは、図8の反射率スペクトルによって示されるように、215nm~390nmの波長範囲にわたって85.6%の平均%反射率を示した。
【0213】
モデル化された想定実施例III
フルオロポリマー1(Dyneon LLC(Oakdale,MN)から商品名「DYNEON FLUOROPLASTIC PVDF 6008」で入手可能なもの)で作製されている第1の光学層を、フルオロポリマー2(Dyneon LLC(Oakdale,MN)から商品名「DYNEON THV 221GZ」で入手可能なもの)で作製されている第2の光学層と共押出することによって、260~390nmの範囲にわたって反射する広帯域UV-C保護ミラーフィルムを作製することが可能であった。
【0214】
フルオロポリマー1とフルオロポリマー2とを、多層ポリマー溶融マニホールドを介して共押出することにより、275の光学層の積層体を形成する。この広帯域UV-Cミラーフィルムの層厚さプロファイル(層厚さの値)は、第1の(最も薄い)光学層が、260nmの光に対して約1/4波長の光学的厚さ(屈折率×物理的厚さ)を有するように調節され、390nmの光に対して約1/4波長の光学的厚さとなるように調節された最も厚い層へと進行する、ほぼ線形のプロファイルとなるように調節される。
【0215】
このフィルムの層厚さプロファイルは、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第6,783,349号(Neavinら)で教示された軸ロッド装置を使用して、原子間力顕微鏡技術で得られる層プロファイル情報と組み合わせて、改善されたスペクトル特性を提供するように調節される。
【0216】
更には、これらの光学層に対して、(それぞれが厚さ100マイクロメートルの)フルオロポリマー1で作製されている非光学保護スキン層を、光学積層体の両側上に共押出するものとした。この共押出された多層溶融流を、毎分5.4メートルで冷却ロール上にキャストすることにより、厚さ約400マイクロメートルの多層キャストウェブを作り出す。
【0217】
次いで、この多層キャストウェブを、120℃で約10秒間にわたって予熱し、機械(ダウンウェブ)方向及び横(クロスウェブ)方向のそれぞれで、3.0の延伸比で(フィルムを配向させるために)二軸延伸する。このUV反射多層フィルムは、分光光度計(Perkin Elmerの「LAMBDA 1050 UV-VIS」)で測定される場合、260nm~390nmの帯域幅にわたるUV光の95%を反射すると予想される。
【0218】
210~270nmの範囲にわたって反射し、HfOを含む第1の光学層とSiOを含む第2の光学層とを有する無機光学積層体を有する、UV-Cフィルムを、上述の260~390nmフルオロポリマーUVミラーフィルム上に蒸気コーティングすることによって、広帯域UV-Cミラーフィルムが作製される。より具体的には、HfOとSiOとの交互層で構成され、240nmにおいてピーク反射率を有するように設計されている薄膜積層体が、層1のHfOを30.00nmでコーティングすることから開始されるものとした。電子ビーム蒸着では、4ハースの蒸着源が使用される。各ハースは円錐形状であり、体積17cmのHfO塊で充填するものとした。
【0219】
磁気的に偏向した高電圧電子ビームを、予めプログラムされた方式で、ビームのフィラメント電流を着実に増大させつつ、材料表面にわたってラスタ走査する。予めプログラムされた工程が完了した時点で、HfO表面は、蒸発温度である約2500℃まで加熱されており、供給源シャッタが開放して、HfO蒸気流束が、供給源からコサイン状分布で噴出して、供給源の上方の基材材料上で凝縮する。コーティングの均一性を向上させるために、蒸着の間、基材ホルダを回転させた。
【0220】
規定のコーティング厚さ(30.00nm)に達した時点で、フィラメント電流が遮断され、シャッタが閉鎖し、HfO材料が冷却される。層2に関しては、次いで蒸着源が、SiOの塊を含むハースに交替され、予めプログラムされた同様の加熱プロセスが開始する。この場合、SiOの表面温度は、供給源シャッタが開放するときに約950℃となり、規定のコーティング厚さ(45.02nm)に達した時点で、フィラメント電流が遮断され、シャッタが閉鎖し、SiO材料が冷却される。
【0221】
この段階的プロセスを、13層の総数に達するまで、一層ずつ継続する。結果として得られるピーク反射率は、分光光度計(Shimadzu Corp.(Kyoto,Japan)から商品名「SHIMADZU UV-2550 UV-VIS」で入手)で測定され、210nm~390nmの帯域幅にわたるUV光の、少なくとも90%を反射すると予想される。
【0222】
モデル化された想定実施例IV
フルオロポリマー1(Dyneon LLC(Oakdale,MN)から商品名「DYNEON FLUOROPOLYMER PVDF 6008」で入手可能なもの)で作製されている第1の光学層を、フルオロポリマー3(Dyneon LLC(Oakdale,MN)から商品名「DYNEON THV 815GZ」で入手可能なもの)で作製されている第2の光学層と共押出することによって、240~390nmの範囲にわたって反射する広帯域UV-C保護ミラーフィルムを作製することが可能であった。
【0223】
フルオロポリマー1とフルオロポリマー3とを、多層ポリマー溶融マニホールドを介して共押出することにより、550の光学層の積層体を形成する。このUV-Cミラーフィルムの層厚さプロファイル(層厚さの値)は、第1の(最も薄い)光学層が、240nmの光に対して約1/4波長の光学的厚さ(屈折率×物理的厚さ)を有するように調節され、390nmの光に対して約1/4波長の光学的厚さとなるように調節された最も厚い層へと進行する、ほぼ線形のプロファイルとなるように調節される。
【0224】
このフィルムの層厚さプロファイルは、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第6,783,349号(Neavinら)で教示された軸ロッド装置を使用して、原子間力顕微鏡技術で得られる層プロファイル情報と組み合わせて、改善されたスペクトル特性を提供するように調節される。
【0225】
更には、これらの光学層に対して、(それぞれが厚さ100マイクロメートルの)フルオロポリマー1で作製される非光学保護スキン層を、光学積層体の両側上に共押出する。この共押出された多層溶融流を、毎分5.4メートルで冷却ロール上にキャストすることにより、厚さ約400マイクロメートルの多層キャストウェブを作り出す。次いで、この多層キャストウェブを、120℃で約10秒間にわたって予熱し、機械(ダウンウェブ)方向及び横(クロスウェブ)方向のそれぞれで、3.0の延伸比で(フィルムを配向させるために)二軸延伸する。
【0226】
この広帯域UV-C反射多層フィルムは、分光光度計(Perkin Elmerの「LAMBDA 1050 UV-VIS」)で測定される場合、240nm~390nmの波長帯域幅にわたるUV光の99%を反射し、かつ215nm~230nmの波長帯域幅にわたるUV光の80%超を透過すると予想される。
【0227】
実施例5
ZrOを含む第1の光学層とSiAlを含む第2の光学層とを有する、無機光学積層体を、厚さ100mil(4マイクロメートル)のフルオロポリマーフィルム(Nowofol Kunststoffprodukte GmbH&Co.KG(Siegsdorf,Germany)から商品名「NOWOFLON THV 815」で入手)上にスパッタコーティングすることによって、240~310nmの範囲にわたって反射するUV-Cミラーフィルムを作り出した。高屈折率材料としてZrOを、低屈折率材料としてSiAlを使用して、連続的ロールツーロール(R2R)方式で可視光透明UV-Cミラーフィルムをコーティングした。
【0228】
光学設計は、それら2つの材料の、1/4波長の厚さの層が、層厚さの勾配を有して交互配置され、240nmにおいて反射を開始して、最終厚さにおいて310nmが反射されるように勾配が終了するべく、調整されるものとした。254nmにおいて2.25の屈折率を有するZrOに関しては、物理的厚さの目標を24.66nmとした。この場合はアルミニウムドープシリコンのスパッタターゲットからスパッタリングされる、1.49の屈折率を有するSiAlに関しては、目標の厚さを37.23nmとした。層1のZrOは、アルゴン、酸素、及び窒素のガス混合物中で、純ジルコニウムのスパッタターゲットからDCスパッタリングされた。アルゴンが主要なスパッタリングガスである一方で、酸素及び窒素のレベルは、透明性、低吸収率、高屈折率を実現するように設定された。
【0229】
フィルムロールの搬送は、最初に所定の速度で開始して、スパッタ源の出力が最大作動出力まで上昇した後に、続いて反応性ガスが導入されてから、定常状態条件に達するものとした。スパッタ源は、コーティングされているフィルムに直交しており、そのフィルムよりも幅広であった。コーティングされたフィルムが所望の長さに達した時点で、反応性ガスをゼロに設定し、ターゲットをスパッタリングして、純Zrの表面状態を得た。
【0230】
次に、フィルムの方向を反転させ、スパッタターゲットの交替用の対をなす(アルミニウムドープ)シリコンに、アルゴンスパッタリング雰囲気中で、AC周波数(40kHz)の電力を印加した。定常状態に達した時点で、透明性及び低屈折率をもたらすために、酸素の反応性ガスを導入した。所定のプロセス設定及びライン速度で、第2の層を、層1に関してコーティングされた長さにわたってコーティングした。スパッタ源は、コーティングされているフィルムに直交しており、そのフィルムよりも幅広であった。コーティングされたフィルムが所望の長さに達した後、反応性酸素を除去し、ターゲットをアルゴン中でスパッタリングして、純(アルミニウムドープ)シリコンの表面状態を得た。
【0231】
この段階的プロセスを、9層の総数に達するまで、一層ずつ継続した。結果として得られたピーク反射率は、分光光度計(Perkin Elmer Instruments(Waltham,MA)から商品名「LAMBDA 1050 UV-VIS」で入手)で測定した場合に、254nmにおいて95%であると測定され、このフィルムは、222nmのUV-C放射線の80%を透過した。
【0232】
比較実施例4
図1に示されるような、幅方向で2.5cm、及び長さ方向で5cmの間隔を空けて配置された、Crystal ISCから入手可能な6つの265nmUV-C LEDを有する、幅8cm×長さ16cmのプリント回路基板を製作した。幅8cm×長さ16cm×深さ1cmの内部寸法と、幅10cm×長さ18cm×深さ2cmの外部寸法とを有する、プロトタイプ「対照」ボックスを、ポスターフォームボード(Office Depot(Maplewood,MN)から入手可能)で製作した。ThorlabsのUV-C放射計によるUV-C強度測定のために、このプロトタイプボックスの底部に直径1.5cmの穴を2つ開けた。プロトタイプボックスの底部の穴のうちの一方は、UV-C LEDのうちの1つの真下に位置決めされ、他方の穴は、UV-C LED間の中心に配置された。
【0233】
LEDのそれぞれに40mAの電力が供給されている状態で、Thorlabsセンサは、UV-C LEDのうちの1つの直下で、265nmにおける119マイクロワットのUV-C強度を測定した。LEDのそれぞれに40mAの電力が供給されている状態で、Thorlabsセンサは、LED間の中心に配置された場合に、9.6マイクロワットを測定した。
【0234】
実施例6
比較実施例4と同様のプロトタイプボックスを製作して、実施例5で説明されたUV-Cミラーフィルムを、図2にされるように、光学的に透明な接着剤OCA8171(3M Companyから入手可能)で内表面に取り付けた。実施例5で説明されたUV-Cミラーフィルムを、OCA8171で、プリント回路基板上のUV-C LED間の平坦な空間にも取り付けた。
【0235】
LEDのそれぞれに40mAの電力が供給されている状態で、Thorlabsセンサは、UV-C LEDのうちの1つの直下で、265nmにおける118マイクロワットのUV-C強度を測定した。LEDのそれぞれに40mAの電力が供給されている状態で、Thorlabsセンサは、LED間の中心に配置された場合に、33マイクロワットを測定した。
【0236】
図中の要素に関する説明は、別段の指示がない限り、他の図中の対応する要素にも等しく適用されるものと理解されたい。本明細書において特定の実施形態が例示され説明されてきたが、図示及び説明されている特定の実施形態は、本開示の範囲を逸脱することなく、様々な代替的実装形態及び/又は等価の実装形態によって置き換えることができる点が、当業者には理解されるであろう。本出願は、本明細書で論じられた特定の実施形態のいずれの適応例又は変形例も包含することが意図されている。それゆえ、本開示は、特許請求の範囲及びその等価物によってのみ限定されることが意図されている。
【0237】
本明細書全体を通して、「一実施形態」、「特定の実施形態」、「1つ以上の実施形態」、又は「ある実施形態」に対する言及は、用語「実施形態」の前に、用語「例示的」が含まれているか否かに関わらず、その実施形態に関連して説明される具体的な特徴部、構造体、材料、又は特性が、本開示の特定の例示的実施形態のうちの、少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。
それゆえ、本明細書全体を通して、様々な箇所における「1つ以上の実施形態では」、「特定の実施形態では」、「一実施形態では」、又は「実施形態では」などの表現の出現は、必ずしも、本開示の特定の例示的実施形態のうちの、同じ実施形態に言及するものではない。更には、特定の特徴部、構造体、材料、又は特性は、1つ以上の実施形態において、任意の好適な方式で組み合わせることができる。
【0238】
本明細書は、特定の例示的実施形態を詳細に説明してきたが、前述の説明を理解した上で、これらの実施形態の修正、変形例、及び等価物を容易に想起することができる点が、当業者には理解されるであろう。
したがって、本開示は、上記の例示的実施形態に過度に限定されるものではない点を理解されたい。特に、本明細書で使用するとき、端点による数値範囲の列挙は、その範囲内に包含される全ての数を含む(例えば、1~5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、及び5を含む)ことが意図される。更には、本明細書で使用される全ての数は、用語「約」によって修飾されるものと想定される。
【0239】
更には、本明細書で参照される全ての刊行物及び特許は、個々の刊行物又は特許それぞれを参照により組み込むことが具体的かつ個別に指示されている場合と同程度に、それらの全体が参照により組み込まれる。
組み込まれている参照文献の諸部分と本出願との間に、不一致又は矛盾がある場合、前述の説明における情報が優先するものとする。
【0240】
様々な例示的実施形態が説明されてきた。これらの実施形態及び他の実施形態は、以下の特許請求の範囲内にある。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図3C
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【国際調査報告】