IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ サビック・イノベーティブ・プラスチックス・アイピー・ベスローテン・フェンノートシャップの特許一覧

<>
  • 特表-1-ヘキセンの精製方法 図1
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-25
(54)【発明の名称】1-ヘキセンの精製方法
(51)【国際特許分類】
   C07C 7/148 20060101AFI20240118BHJP
   C07C 11/107 20060101ALI20240118BHJP
【FI】
C07C7/148
C07C11/107
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023540022
(86)(22)【出願日】2021-12-20
(85)【翻訳文提出日】2023-08-23
(86)【国際出願番号】 EP2021086813
(87)【国際公開番号】W WO2022144208
(87)【国際公開日】2022-07-07
(31)【優先権主張番号】20217807.5
(32)【優先日】2020-12-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508171804
【氏名又は名称】サビック グローバル テクノロジーズ ベスローテン フェンノートシャップ
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アザム,シャヒド
(72)【発明者】
【氏名】アル-ハムダン,アブドゥルマジード・モハメド
(72)【発明者】
【氏名】アル-アナジ,モハメド・ファハード
(72)【発明者】
【氏名】バワレス,バンデル
(72)【発明者】
【氏名】ゴーシュ,アシム・クマル
(72)【発明者】
【氏名】チャクラボルティー,デバシス
(72)【発明者】
【氏名】ポール,ソマック
(72)【発明者】
【氏名】デシュムク,ラジャン・ブイ
(72)【発明者】
【氏名】エイッサ,アハメド・フセイン
(72)【発明者】
【氏名】マルガラニ,オマル・エイ
(72)【発明者】
【氏名】リッチュッリ,セバスティアーノ
【テーマコード(参考)】
4H006
【Fターム(参考)】
4H006AA02
4H006AB46
4H006AC27
4H006AD30
4H006BA71
4H006BC51
4H006BC52
4H006DA12
4H006DA15
(57)【要約】
1-ヘキセンを精製する方法が開示される。この方法は、1-ヘキセン及び2-エチル-1-ブテンを含有する第1の流れを、アルミナ、シリカ-アルミナ、ゼオライト、若しくはイオン交換樹脂、又はそれらの任意の組み合わせを含む異性化触媒と、2-エチル-1-ブテンの少なくとも一部を3-メチル-2-ペンテンに選択的に異性化し、1-ヘキセン及び3-メチル-2-ペンテンを含有する第2の流れを形成するのに充分な条件下で接触させ、第2の流れを、1-ヘキセンを含有する第3の流れと3-メチル-2-ペンテンを含有する第4の流れとに分離することを含むことができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1-ヘキセンの精製方法であって、以下、すなわち、
1-ヘキセン及び2-エチル-1-ブテンを含む第1の流れを、改質アルミナ、シリカ-アルミナ、ゼオライト、又はそれらの任意の組み合わせを含む異性化触媒と、2-エチル-1-ブテンの少なくとも一部を3-メチル-2-ペンテンに選択的に異性化し、1-ヘキセン及び3-メチル-2-ペンテンを含む第2の流れを形成するのに充分な条件下で接触させること、及び
第2の流れを1-ヘキセンを含む第3の流れと3-メチル-2-ペンテンを含む第4の流れとに分離することを含み、
ここで、異性化反応のための2-エチル-1-ブテンの転化率は70%超であり、異性化反応のための1-ヘキセンの転化率は10%未満であり、
ここで、異性化条件は、40℃~100℃の温度、1バール~10バールの圧力、又は0.5hr-1~10hr-1の毎時液空間速度、又はそれらの任意の組み合わせを含み、
ここで、ゼオライトは、ZSM-23、ZSM-11、ZSM-5、ゼオライトY、ゼオライトベータ、フェリエライト、又は任意の組み合わせを含み、及び
ここで、第2の流れは、55℃~75℃の温度及び/又は0~3バールの圧力での蒸留によって分離される、方法。
【請求項2】
前記異性化条件が、40℃~60℃の温度を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第3の流れが、少なくとも99.5重量%の1-ヘキセン、例えば、99.5重量%~99.8重量%の1-ヘキセンを含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の流れが、直鎖状アルファオレフィンプロセスから得られ、及び/又は前記第1の流れが、ヘキサン及び1-ヘキセンの1種以上の他の異性体をさらに含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の流れが、90重量%~99.5重量%の1-ヘキセン、0.3重量%~1.5重量%の2-エチル-1-ブテン、任意に0.05重量%~1重量%のヘキサン、及び任意に0.1重量%~1.5重量%の1-ヘキセンの1種以上の他の異性体を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記第2の流れが、90重量%~99.5重量%の1-ヘキセン、0.05重量%~0.5重量%の2-エチル-1-ブテン、0.3重量%~1.5重量%の3-メチル-2-ペンテン、任意に0.05重量%~1重量%のヘキサン、及び任意に0.1重量%~1.5重量%の1-ヘキセンの1種以上の他の異性体を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記異性化反応が、80%~99.9%の2-エチル-1-ブテンの転化率、5%未満、好ましくは2%未満の1-ヘキセンの転化率、及び/又は50%~100%の全3-メチル-2-ペンテンの選択率を有する、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記改質アルミナが、ガンマアルミナ及び/又は改質剤を含有する混合相である、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記ゼオライトが、ZSM-5若しくはゼオライトY、又はそれらの任意の組み合わせである、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記ゼオライトが、2~1000、好ましくは45~280のSiO/Alモル比を有し、及び/又は前記ゼオライトがH形態である、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記ゼオライトが、10重量%~90重量%の結合剤を含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記異性化触媒は、ゼオライト及び改質アルミナを10:1~1:10の重量比で含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記ゼオライトが、5~1000のSiO/Alモル比を有する、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記ゼオライトが、20~1000のSiO/Alモル比を有する、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記ゼオライトが、45~280のSiO/Alモル比を有する、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2020年12月30日に出願された欧州特許出願20217807.5号による優先権を主張するものであり、その全体が参照により本明細書に援用される。
【0002】
本発明は、一般に1-ヘキセンを精製するためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
1-ヘキセンは、需要が継続的に増加しているα-オレフィン化合物である。例えば、1-ヘキセンは、高密度ポリエチレン(HDPE)及び直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)などの様々な高価値化学物質を調製するために使用することができる。HDPE及びLLDPEは、複数の工業用途を有する。
【0004】
1-ヘキセンは、典型的には、エチレンの三量化によるアルファオレフィンプロセスによって生成される。しかし、特定の純度レベルまで、例えば、99.5重量%未満の1-ヘキセンしか、従来のアルファオレフィンプロセスによって調製され得ない。例えば、US20120310025A1は、エチレンの三量化によって1-ヘキセンを製造する方法を開示している。97.2重量%までの1-ヘキセン純度が、開示された方法によって得られる。
【0005】
1-ヘキセンを製造するために他の試みがなされている(例えば、US8084659B2、CN104549351B、US4236037A、RU2206557C1、US7355087B2、US4104321A、US5057638Aを参照)。しばしば、これらのプロセスは、触媒組成、加工条件、及び/又は1-ヘキセンの低い精製結果に関連する、コストの上昇、及び/又は操作の非効率性という欠点を抱える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許出願公開第2012/0310025号明細書
【特許文献2】米国特許第8084659号明細書
【特許文献3】中国特許第104549351号明細書
【特許文献4】米国特許第4236037号明細書
【特許文献5】ロシア国特許発明第2206557号明細書
【特許文献6】米国特許第7355087号明細書
【特許文献7】米国特許第4104321号明細書
【特許文献8】米国特許第5057638号明細書
【発明の概要】
【0007】
高純度1-ヘキセンを得ることに関連する少なくとも1つ以上の問題に対する解決策を提供する発見がなされた。αオレフィン製造プロセスにおけるエチレンの三量化は、1-ヘキセンと共に、2-エチル-1-ブテンを副生成物として生成する可能性がある。2-エチル-1-ブテンは、1-ヘキセンと同様の沸点を有し、このことは、従来の蒸留プロセスによって2-エチル-1-ブテンを1-ヘキセンから分離することを困難にし得る。したがって、エチレンの三量化からの生成物を精製するために使用される従来の分離方法は、特定のパーセンテージまでの1-ヘキセン純度しかもたらさない可能性がある。本発明の一態様では、1-ヘキセンの存在下で2-エチル-1-ブテンを選択的に異性化するために使用することができる、活性アルミナ、シリカ、シリカ-アルミナ、ゼオライト、及び/又はイオン交換樹脂を含有する触媒が発見された。2-エチル-1-ブテンは、cis及びtrans 3-メチル-2-ペンテンに異性化することができる。cis及びtrans 3-メチル-2-ペンテンは、1-ヘキセンとは充分に異なる沸点を有し、このことは1-ヘキセンから該異性体を分離するのに役立ち得、より精製された1-ヘキセンの生成物流を生成し得る。いくつかの態様において、1-ヘキセンの生成物流は、99.5重量%以上の1-ヘキセンの純度を有し得る。本発明の触媒及びプロセスは、1-ヘキセンの全体的な収率の低下を制限して、又は低下させずに使用することができる。
【0008】
本発明の一態様では、1-ヘキセンを精製する方法が記載される。この方法は、i)1-ヘキセン及び2-エチル-1-ブテンを含有する第1の流れを、2-エチル-1-ブテンの少なくとも一部を3-メチル-2-ペンテンに選択的に異性化し、1-ヘキセン及び3-メチル-2-ペンテンを含有する第2の流れを形成するのに充分な条件下で異性化触媒と接触させること、及びii)第2の流れを1-ヘキセンを含有する第3の流れと3-メチル-2-ペンテンを含有する第4の流れとに分離することを含むことができる。他に言及しない限り、3-メチル-2-ペンテンはcis及びtrans 3-メチル-2-ペンテンを指す。1-ヘキセン及び2-エチル-1-ブテンの沸点はそれぞれ63.4℃及び64.5℃であるが、cis及びtrans 3-メチル-2-ペンテンはそれぞれ67.6℃及び70.4℃の沸点を有し得る。3-メチル-2-ペンテン及び1-ヘキセン間の沸点のこれらの差は、1-ヘキセン生成物から3-メチル-2-ペンテンを分離するのを助けることができる。いくつかの態様において、第1の流れは、40℃~100℃、好ましくは40℃~60℃の温度、1バール~10バールの圧力、又は0.5hr-1~10hr-1の毎時液空間速度(LHSV)、又はそれらの任意の組み合わせで異性化触媒と接触させることができる。第2の流れは、蒸留によって第3の流れと第4の流れとに分離することができる。いくつかの態様では、第2の流れは、温度55℃~75℃及び/又は圧力0~3バールで蒸留することができる。
【0009】
いくつかの態様では、第1の流れは、直鎖状アルファオレフィンプロセスから得ることができる。直鎖状アルファオレフィンプロセスは、直鎖状アルファオレフィンフルレンジ及び/又はオンパーパス(on-purpose)1-ヘキセンプロセスであり得る。直鎖状アルファオレフィンプロセスは、1-ヘキセンを生成するためのエチレンの三量化を含むことができる。いくつかの態様において、エチレンの三量化からの反応生成物は、第1の流れを得るために1つ以上の工程を通して精製することができる。第1の流れは、1-ヘキセン、2-エチル-1-ブテン、任意にヘキサン、及び任意に1-ヘキセンの1種以上の他の異性体を含有することができる。いくつかの態様では、第1の流れは、90重量%~99.5重量%の1-ヘキセン、0.3重量%~1.5重量%の2-エチル-1-ブテン、任意に0.05重量%~1重量%のヘキサン、及び任意に0.1重量%~1.5重量%の1-ヘキセンの1種以上の他の異性体を含有することができる。いくつかの態様において、第2の流れは、90重量%~99.5重量%の1-ヘキセン、0.05重量%~0.5重量%の2-エチル-1-ブテン、0.3重量%~1.5重量%の3-メチル-2-ペンテン、任意に0.05重量%~1重量%のヘキサン及び任意に0.1重量%~1.5重量%の1-ヘキセンの1種以上の他の異性体を含有することができる。第2の流れ中の3-メチル-2-ペンテンは、2-エチル-1-ブテンの異性化によって得ることができる。
【0010】
第3の流れは、少なくとも99.5重量%、例えば、99.5重量%~99.9重量%、又は99.5重量%~99.8重量%の1-ヘキセンを含有することができる。第3の流れ中の非-1-ヘキセン不純物は、0.5重量%未満、例えば、0~0.3重量%の2-エチル-1-ブテン、0~0.3重量%の3-メチル-2-ペンテン、0~0.3重量%の他の異性体、及び0~0.1重量%のヘキサンであり得る。いくつかの態様では、1-ヘキセンの任意の1種以上の他の異性体は、cis-2-ヘキセン、trans-2-ヘキセン、cis-3-ヘキセン及び/又はtrans-3-ヘキセンを含有することができる。
【0011】
異性化触媒は、アルミナ、シリカ、シリカ-アルミナ、ゼオライト、及び/又はイオン交換樹脂を含むことができる。いくつかの態様において、異性化触媒は、異性化反応器、例えば、異性化反応が行われる反応器に、アルミナ、シリカ、シリカ-アルミナ、ゼオライト、及び/又はイオン交換樹脂の様々な重量比の組み合わせで、層状床として装填することができる。特定の態様において、異性化触媒はアルミナを含有することができる。使用されるアルミナは、様々な形状であり得、非限定的な形状としては、ビーズ、押出物などが挙げられる。いくつかの態様において、アルミナは、平均粒径1mm~8mmの成形アルミナ(例えば、ビーズ及び/又は押出物)であり得る。いくつかの態様において、アルミナは活性アルミナであり得る。いくつかの態様において、アルミナ、例えば、活性アルミナは改質剤を含有することができる。いくつかの態様において、アルミナ、例えば、活性アルミナは、200m/g~550m/gの表面積を有することができる。いくつかの態様において、アルミナは非晶質アルミナを含有することができる。いくつかの態様において、アルミナは非晶質ガンマアルミナを含有することができる。ある特定の態様では、アルミナは、ガンマアルミナ及び/又は改質剤を含有する混合相アルミナを含有することができる。使用されるアルミナ改質剤は、アルミナの物理的及び化学的性質を変化させ、吸着剤及び触媒としての性質を変化させることができる。いくつかの態様では、改質剤は、ゼオライト材料などの酸性の性質の材料を含有することができる。アルミナは、本明細書に記載のアルミナ特性の少なくとも1つ、又は任意の組み合わせ、又は全てを有することができる。
【0012】
ある特定の態様では、異性化触媒はゼオライトを含有することができる。いくつかの態様において、ゼオライトは、10又は12員環細孔を有する構造を有することができる。いくつかの態様において、ゼオライトは、フェリエライト、ZSM-23、ZSM-11、ZSM-5、ゼオライトY、ゼオライトベータ、又はそれらの任意の組み合わせであり得る。いくつかの態様において、ゼオライトは、2~1000、好ましくは5~1000、より好ましくは20~1000、さらにより好ましくは150~1000、また好ましくは45~280のSiO/Alモル比を有することができ、その間の全ての範囲及び全ての端点の間の範囲、例えば、2~5、又は5~20、又は45~1000の範囲などを含む。いくつかの態様において、ゼオライトは、H型、例えば、酸型ゼオライトであり得る。いくつかの態様において、ゼオライトは成形体、例えば、押出物に形成することができる。いくつかの態様において、ゼオライトは結合剤を含むことができる。いくつかの特定の態様では、成形ゼオライトなどのゼオライトは、10重量%~90重量%の結合剤を含有することができる。結合剤は、アルミナ、シリカ-アルミナ、粘土、又はそれらの任意の組み合わせであり得る。いくつかの特定の態様では、結合剤はアルミナであり得る。ゼオライトは、本明細書に記載のゼオライト特性の少なくとも1つ、又はこれらの任意の組み合わせ、又は全てを有することができる。いくつかの態様において、異性化触媒は、ゼオライト触媒及びアルミナ触媒を含有することができる。ゼオライト触媒は、本明細書に記載のゼオライトを含有することができる。アルミナ触媒は、本明細書に記載のアルミナを含有することができる。いくつかの特定の態様では、異性化触媒は、ゼオライト触媒とアルミナ触媒とを重量%比10:1~1:10で含有する混合物を含有することができる。ある特定の態様において、異性化触媒は、イオン交換樹脂を含有することができる。イオン交換樹脂は、酸性スルホン酸基を含有することができる。いくつかの特定の態様では、イオン交換樹脂は、酸性スルホン酸基を含有するポリスチレン系イオン交換樹脂であり得る。いくつかの特定の態様では、イオン交換樹脂は、マクロ多孔性ポリスチレンマトリックス及びスルホン酸官能基を有する酸性カチオン性イオン交換樹脂であり得る。いくつかの特定の態様では、イオン交換樹脂は、マクロ多孔性スチレン-ジビニル(venyl)ベンゼンマトリックス及びスルホン酸官能基を有する酸性カチオン性イオン交換樹脂であり得る。いくつかの態様において、イオン交換樹脂は水素形態であり得る。ある特定の態様は、本明細書に記載の異性化触媒を対象とする。
【0013】
本発明の他の実施形態は、本願を通して論じられる。本発明の一態様に関して論じられる任意の実施形態は、本発明の他の態様にも適用され、逆もまた同様である。本明細書に記載される各実施形態は、本発明の他の態様に適用可能である本発明の実施形態であると理解される。本明細書で論じられる任意の実施形態は、本発明の任意の方法又は組成物に関して実施することができ、逆もまた同様であることが企図される。さらに、本発明の組成物及び系を使用して、本発明の方法を達成することができる。
【0014】
以下は、本明細書にわたって使用される様々な用語及び語句の定義を含む。
【0015】
用語「約」又は「およそ」は、当業者によって理解されるものに近いものとして定義される。1つの非限定的な実施形態において、これらの用語は、10%以内、好ましくは5%以内、より好ましくは1%以内、最も好ましくは0.5%以内であると定義される。
【0016】
用語「重量%」、「体積%」、又は「モル%」は、それぞれ、成分を含む総重量、材料の総体積、又は総モルに基づく、成分の重量パーセント、成分の体積パーセント、又は成分のモルパーセントを指す。非限定的な例において、100グラムの材料中の10グラムの成分は、10重量%の成分である。
【0017】
本明細書に開示される沸点は、標準大気圧(例えば、760mmHg)におけるそれぞれの化合物の沸点である。
【0018】
用語「実質的に」及びその変形は、10%以内、5%以内、1%以内、又は0.5%以内の範囲を含むように定義される。
【0019】
「阻害する」若しくは「低減する」若しくは「防止する」若しくは「回避する」という用語、又はこれらの用語の任意の変形は、特許請求の範囲及び/又は本明細書において使用される場合、所望の結果を達成するための任意の測定可能な減少又は完全な阻害を含む。
【0020】
用語「有効な」は、その用語が明細書及び/又は特許請求の範囲において使用される場合、所望の、予想される、又は意図される結果を達成するのに適切であることを意味する。
【0021】
用語「1つの(a)」又は「1つの(an)」の使用は、特許請求の範囲又は明細書における用語「備える(comprising)」、「含む(including)」、「含む(containing)」、又は「有する(having)」のいずれかと併せて使用される場合、「1つ」を意味し得るが、「1つ以上」、「少なくとも1つ」、及び「1つ又は2つ以上」の意味とも一致する。
【0022】
「及び/又は」という語句は、及び/又は を意味する。例示すると、A、B、及び/又はCは、以下、を含む。すなわち、A単独、B単独、C単独、A及びBの組み合わせ、A及びCの組み合わせ、B及びCの組み合わせ、又はA、B及びCの組み合わせを含む。換言すれば、「及び/又は」は、包含的離接として機能する。
【0023】
用語「備える(comprising)」(comprise及びcomprisesなど、comprisingのあらゆる形態を含む)、「有する(having)」(have及びhasなど、havingのあらゆる形態を含む)、「含む(including)」(includes及びincludeなど、includingのあらゆる形態を含む)又は「含む(containing)」(contains及びcontainなど、containingのあらゆる形態を含む)は、包括的又は変更可能なものであり、追加の記載されていない要素又は方法の工程を除外しない。
【0024】
本発明のプロセス及びシステムは、本明細書全体にわたって開示される特定の構成要素、成分、組成物、工程などを「含む」、「から本質的になる」、又は「からなる」ことができる。「から本質的になる」という移行句に関して、非限定的な一態様では、本発明のプロセス及びシステムの基本的かつ新規な特徴は、1-ヘキセンと同様の沸点を有する2-エチル-1-ブテンから1-ヘキセンを精製する能力である。
【0025】
本発明の関連において、少なくとも20個の実施形態が記載される。実施形態1は1-ヘキセンの精製方法である。この方法は、2-エチル-1-ブテンの少なくとも一部を3-メチル-2-ペンテンに選択的に異性化し、1-ヘキセン及び3-メチル-2-ペンテンを含む第2の流れを形成するのに充分な条件下で、1-ヘキセン及び2-エチル-1-ブテンを含む第1の流れを、改質アルミナ、シリカ-アルミナ、ゼオライト、若しくはイオン交換樹脂、又はそれらの任意の組み合わせを含む異性化触媒と接触させる工程、及び第2の流れを、1-ヘキセンを含む第3の流れと3-メチル-2-ペンテンを含む第4の流れとに分離する工程を含み、ここで、異性化反応のための2-エチル-1-ブテンの転化率は70%超であり、異性化反応のための1-ヘキセンの転化率は10%未満である。実施形態2は、異性化条件が40℃~60℃の温度を含む、実施形態1の実施形態である。実施形態3は、第2の流れが、55℃~75℃の温度及び0~3バールの圧力での蒸留によって分離される、実施形態1又は2のいずれか1つの方法である。実施形態4は、第3の流れが少なくとも99.5重量%の1-ヘキセン、例えば、99.5重量%~99.8重量%の1-ヘキセンを含有する、実施形態1~3のいずれかの方法である。実施形態5は、第1の流れが、直鎖状アルファオレフィンプロセスから得られ、及び/又は第1の流れが、ヘキサン及び1-ヘキセンの1種以上の他の異性体をさらに含有する、実施形態1~4のいずれか1つの方法である。実施形態6は、第1の流れが、90重量%~99.5重量%の1-ヘキセン、0.3重量%~1.5重量%の2-エチル-1-ブテン、任意に0.05重量%~1重量%のヘキサン、及び任意に0.1重量%~1.5重量%の1-ヘキセンの1種以上の他の異性体を含む、実施形態1~5のいずれか1つの方法である。実施形態7は、第2の流れが、90重量%~99.5重量%の1-ヘキセン、0.05重量%~0.5重量%の2-エチル-1-ブテン、0.3重量%~1.5重量%の3-メチル-2-ペンテン、任意に0.05重量%~1重量%のヘキサン、及び任意に0.1重量%~1.5重量%の1-ヘキセンの1種以上の他の異性体を含有する、実施形態1~6のいずれか1つの方法である。実施形態8は、異性化反応が、80%~99.9%の2-エチル-1-ブテンの転化率、5%未満、好ましくは2%未満の1-ヘキセンの転化率、及び/又は50%~100%の全3-メチル-2-ペンテン選択率を有する、実施形態1~7のいずれか1つの方法である。実施形態9は、改質アルミナがガンマアルミナ及び/又は改質剤を含有する混合相である、実施形態1~8のいずれか1つの方法である。実施形態10は、ゼオライトが、ZSM-23、ZSM-11、ZSM-5、ゼオライトY、ゼオライトベータ、フェリエライト、又はそれらの任意の組み合わせである、実施形態1~9のいずれか1つの方法である。実施形態11は、ゼオライトが2~1000のSiO/Alモル比を有し、及び/又はゼオライトがH形態である、実施形態1~10のいずれか1つの方法である。実施形態12は、ゼオライトが、10重量%~90重量%の結合剤を含む、実施形態1~11のいずれか1つの方法である。実施形態13は、イオン交換樹脂が酸性スルホン酸基を含有する、実施形態1~12のいずれか1つの方法である。実施形態14は、イオン交換樹脂が、酸性スルホン酸基を有するポリスチレン系イオン交換樹脂である、実施形態1~13のいずれか1つの方法である。実施形態15は、異性化触媒が、10:1~1:10の重量比でゼオライト及び改質アルミナを含む、実施形態1~14のいずれか1つの方法である。実施形態16は、ゼオライトが5~1000のSiO/Alモル比を有する、実施形態1~15のいずれかの方法である。実施形態17は、ゼオライトが20~1000のSiO/Alモル比を有する、実施形態1~16のいずれかの方法である。実施形態18は、ゼオライトが45~280のSiO/Alモル比を有する、実施形態1~17のいずれかの方法である。実施形態19は、1-ヘキセンの精製方法であって、1-ヘキセン及び2-エチル-1-ブテンを含む第1の流れを、改質アルミナ、シリカ-アルミナ、ゼオライト、若しくはイオン交換樹脂、又はそれらの任意の組み合わせを含む異性化触媒と、2-エチル-1-ブテンの少なくとも一部を3-メチル-2-ペンテンに選択的に異性化し、1-ヘキセン及び3-メチル-2-ペンテンを含む第2の流れを形成するのに充分な条件下で接触させる工程、及び第2の流れを、1-ヘキセンを含む第3の流れと3-メチル-2-ペンテンを含む第4の流れとに分離し、ここで、異性化反応のための2-エチル-1-ブテンの転化率は70%超であり、異性化反応のための1-ヘキセンの転化率は10%未満であり、ここで、異性化条件は、40℃~100℃の温度、1バール~10バールの圧力、又は0.5hr-1~10hr-1の毎時液空間速度、又はそれらの任意の組み合わせを含み、ここで、ゼオライトは、ZSM-23、ZSM-11、ZSM-5、ゼオライトY、ゼオライトベータ、フェリエライト、又は任意の組み合わせであり、ここで、第2の流れは、55℃~75℃の温度及び/又は0~3バールの圧力での蒸留によって分離される工程を含む方法である。実施形態20は、ゼオライトが、2~1000、好ましくは5~1000、又は好ましくは20~1000、又はより好ましくは2~5のSiO/Alモル比を有する、実施形態19の方法である。実施形態21は、ゼオライトが、ZSM-5若しくはゼオライトY、又はそれらの任意の組み合わせである、実施形態1~20のいずれかの方法である。
【0026】
本発明の他の目的、特徴及び利点は、以下の図面、詳細な説明及び実施例から明らかになる。しかし、これらの図面、詳細な説明、及び実施例は、本発明の特定の実施形態を示しているが、例示のみを目的として与えられており、限定を意味するものではないことを理解されたい。さらに、本発明の精神及び範囲内の変更及び修正が、この詳細な説明から当業者に明白となることが想定される。さらなる実施形態において、特定の実施形態からの特徴は、他の実施形態からの特徴と組み合わされてもよい。例えば、ある実施形態からの特徴は、他の実施形態のいずれかからの特徴と組み合わされてもよい。さらなる実施形態では、追加の特徴が、本明細書で説明される特定の実施形態に追加されてもよい。
【0027】
本発明の利点は、以下の詳細な説明の利益により、及び添付の図面を参照して、当業者に明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明の関連における1-ヘキセンの精製プロセスの一例の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明は、種々の修正及び代替形態を受け入れる余地があるが、その特定の実施形態が、例として図面に示される。図面は縮尺通りではない場合がある。
【0030】
高純度1-ヘキセンを得ることに関連する少なくとも1つ以上の問題に対する解決策を提供する発見がなされた。本発明の一態様では、この解決策は、1-ヘキセンと同様の沸点を有する2-エチル-1-ブテンを1-ヘキセンとは異なる沸点を有する1-ヘキセンの異性体(例えば、cis及びtrans 3-メチル-2-ペンテン)に選択的に異性化し、蒸留によって1-ヘキセンからcis及びtrans 3-メチル-2-ペンテンを分離するための方法を含むことができる。実施例において非限定的な様式で示されるように、本発明の1つの例による方法は、純度99.6重量%の1-ヘキセンを生成することができる。
【0031】
本発明のこれら及び他の非限定的な態様は、図面を参照して以下の段落でさらに詳細に論じられる。
【0032】
図1を参照して、1-ヘキセンを精製するための本発明のシステム及びプロセスの一例を説明する。システム100は、反応器110及び分離ユニット112を含むことができる。1-ヘキセン及び2-エチル-1-ブテンを含有する第1の流れ101を反応器110に供給することができる。反応器110において、第1の流れ101を異性化触媒(図示せず)と接触させて、1-ヘキセン及び3-メチル-2-ペンテンを含有する第2の流れ102を形成することができる。異性化触媒は、活性アルミナ、ゼオライト、及び/又はイオン交換樹脂を含むことができる。第2の流れ102は、反応器110を出ることができ、分離ユニット112に供給することができる。分離ユニット112において、第2の流れを分離して、1-ヘキセンを含有する第3の流れと3-メチル-2-ペンテンを含有する第4の流れとを形成することができる。
【0033】
異性化触媒は、1-ヘキセン(及び存在する場合、ヘキサン及び1-ヘキセンの他の異性体)の存在下で2-エチル-1-ブテンを選択的に異性化して3-メチル-2-ペンテンを形成することができる。反応器110は、固定床反応器、移動床反応器、トリクルベッド反応器、回転床反応器、スラリー反応器又は流動床反応器を含むが、これらに限定されない好適な反応器であり得る。ある特定の態様において、反応器110は、固定床反応器であり得、異性化触媒を含有する固定床を含むことができ、第1の流れ101はこの固定床の中及び/又は上を通過することができる。反応器110において、流れ101を異性化触媒と接触させて、第1の流れ中の2-エチル-1-ブテンを3-メチル-2-ペンテンに選択的に異性化することができる。いくつかの態様において、異性化反応(例えば、2-エチル-1-ブテンの異性化)中の触媒含有反応器床温度は、40℃~60℃、又は40、42、44、46、48、50、52、54、56、58及び60℃の少なくともいずれか1つ、いずれか1つに等しい、又はいずれか2つの間であり得る。いくつかの態様において、異性化反応中の反応器110の入口圧力は、0.5psig~3psig、又は0.5、1、1.5、2、2.5及び3psigの少なくともいずれか1つ、いずれか1つに等しい、又はいずれか2つの間であり得る。第1の流れは、i)40℃~100℃、若しくは40℃~60℃、又は40、42、44、46、48、50、52、54、56、58、60、65、70、75、80、85、90、95及び100℃の少なくともいずれか1つ、いずれか1つに等しい、又はいずれか2つの間の温度、ii)1バール~10バール、又は1、2、3、4、5、6、7、8、9及び10バールの少なくともいずれか1つ、いずれか1つに等しい、又はいずれか2つの間の圧力、及び/又はiii)0.5hr-1~10hr-1、又は0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、9及び10hr-1の少なくともいずれか1つ、いずれか1つに等しい、又はいずれか2つの間の毎時液空間速度(LHSV)、又はそれらの任意の組み合わせで異性化触媒と接触させることができる。異性化反応のための2-エチル-1-ブテンの転化率は、50%~100%、好ましくは70%~100%、より好ましくは80%~99.9%、又は50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、96、97、97.5、97.6、97.8、98、98.5、99、99.5、99.7、99.8、99.9及び100%の少なくともいずれか1つ、いずれか1つに等しい、又はいずれか2つの間であり得る。異性化反応のための3-メチル-2-ペンテンの全選択率は、50%~100%、又は50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、99及び100%の少なくともいずれか1つ、いずれか1つに等しい、又はいずれか2つの間であり得る。異性化反応のための1-ヘキセンの転化率は、10%未満、又は5%未満、又は3%未満、又は2.5%未満、又は2%未満、又は1.5%未満、又は1%未満、又は0.5%未満、例えば0.5%~10%、又は0.5、1、1.5、2、3、4、5、6、7、8、9及び10%未満のいずれか1つに等しい、又はいずれか2つの間であり得る。ある特定の態様では、i)異性化反応のための2-エチル-1-ブテンの転化率は、70%超であり得るか、80%超であり得るか、90%超であり得るか、95%超であり得るか、97%超であり得るか、97.6%超であり得るか、98%超であり得るか、又は99%超であり得、及びii)異性化反応のための1-ヘキセンの転化率は、10%未満、又は5%未満、又は3%未満、又は2.5%未満、又は2%未満、又は1.5%未満、又は1%未満、又は0.5%未満であり得る。
【0034】
異性化触媒は、アルミナ、シリカ、シリカ-アルミナ、ゼオライト、及び/又はイオン交換樹脂を含むことができる。異性化触媒は、アルミナ、シリカ、シリカ-アルミナ、ゼオライト、及びイオン交換樹脂の少なくとも1つ、任意の組み合わせ、又は全てを含有することができる。いくつかの特定の態様において、異性化触媒は、改質剤を有するアルミナ、シリカ、シリカ-アルミナ、H-形態又はプロトン(H)形態のゼオライト及び/又は酸性スルホン酸基含有イオン交換樹脂であり得る。いくつかの態様において、異性化触媒は、空気及び/又は不活性(例えば、N)雰囲気下及び/又は120℃~300℃の流れ下で乾燥させることができる。
【0035】
ある特定の態様において、異性化触媒はアルミナを含有することができる。ある特定の態様において、アルミナは、活性アルミナであり得る。いくつかの態様において、活性アルミナなどのアルミナは、i)200m/g~550m/g、又は200、210、220、230、240、250、260、270、280、290、300、310、320、330、340、350、360、370、380、390、400、410、420、430、440、450、460、470、480、490、500、510、520、530、540及び550m/gの少なくともいずれか1つ、いずれか1つに等しい、又はいずれか2つの間の表面積、ii)1mm~8mm、又は、1、2、3、4、5、6、7及び8mmの少なくともいずれか1つ、いずれか1つに等しいか、又はいずれか2つの間にある成形アルミナの平均粒径、又はiii)0.5~40kg、又は0.5、1、5、10、15、20、25、30、35及び40kgの少なくともいずれか1つ、いずれか1つに等しいか、又はいずれか2つの間にある平均破砕強度、又はそれらの任意の組み合わせを有することができる。いくつかの態様において、アルミナは非晶質アルミナを含むことができる。いくつかの態様において、アルミナは、非晶質カイ及び/又はガンマアルミナを含有することができる。いくつかの態様において、アルミナは、非晶質ガンマアルミナ及び/又は混合相アルミナを改質剤と共に含有することができる。市販の活性アルミナの非限定的な例としては、BASFから入手可能なSELEXSORB CD、BASFから入手可能なSELEXSORB CDL、及び/又はClariantから入手可能なACTISORB 100シリーズを挙げることができる。
【0036】
ある特定の態様では、異性化触媒はゼオライトを含有することができる。いくつかの態様において、ゼオライトは、ZSM-23、ZSM-11、ZSM-5、ゼオライトY、ゼオライトベータ、フェリエライト、又はそれらの任意の組み合わせであり得る。いくつかの態様において、ゼオライトは、H形態、例えば、酸性形態であり得る。いくつかの態様において、ゼオライトは、例えば、アルミナと結合して円柱形の押出物を与える成形触媒であり得る。いくつかの態様では、ゼオライトは、i)10員環又は12員環の細孔を有する2次元チャネル又は3次元チャネルを有する構造、ii)2~1000、5~1000、若しくは2~5、若しくは30~500、若しくは45~280、又は2、5、20、30、45、50、70、100、150、200、250、280、300、400、500、600、700、800、900及び1000の少なくともいずれか1つ、いずれか1つに等しい、又はいずれか2つの間(終点を含む)のSiO/Alモル比、iii)中及び/若しくは大サイズの細孔、並びに/又はiv)300m/g~900m/g、又は300、350、400、425、450、475、500、550、600、650、700、720、740、760、780、800、850及び900m/gの少なくともいずれか1つ、いずれか1つに等しい、若しくはいずれか2つの間の表面積を有する。いくつかの態様では、ゼオライトは、10重量%~90重量%、又は10重量%~80重量%、又は10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85及び90重量%の少なくともいずれか1つ、いずれか1つに等しい、又はいずれか2つの間のアルミナを、アルミナ、改質アルミナ、粘土、シリカ-アルミナ、金属酸化物、又はそれらの任意の組み合わせなどの結合剤として含有することができる。いくつかの特定の態様では、ゼオライトは、10重量%~90重量%、又は10重量%~80重量%の改質アルミナを結合剤として含有することができる。いくつかの特定の態様において、ゼオライトはZSM-5であり得る。いくつかの特定の態様では、ゼオライトは、45~280のSiO/Alモル比を有し、結合剤として15重量%~25重量%の改質アルミナを含有するH型ZSM-5押出物であり得る。使用することができる市販のゼオライトの非限定的な例としては、ZeolystからのCBV2314、ZeolystからのCBV5524G、ZeolystからのCBV8014、ZeolystからのCBV28014G、ZeolystからのCP914C、ZeolystからのCBV720、ZeolystからのCBV760、又はそれらの任意の組み合わせが挙げられる。
【0037】
いくつかの態様において、イオン交換樹脂は、酸性スルホン酸基を含有することができる。いくつかの特定の態様において、イオン交換樹脂は、酸性スルホン酸基を含有するポリスチレン系イオン交換樹脂であり得る。いくつかの特定の態様では、イオン交換樹脂は、マクロ多孔性ポリスチレンマトリックス及びスルホン酸官能基を有する酸性カチオン性イオン交換樹脂であり得る。いくつかの特定の態様では、イオン交換樹脂は、マクロ多孔性スチレン-ジビニルベンゼンマトリックス及びスルホン酸官能基を有する酸性カチオン性イオン交換樹脂であり得る。いくつかの態様において、イオン交換樹脂は水素形態であり得る。いくつかの態様において、イオン交換樹脂は、i)10~100m/g、又は10、20、30、40、50、60、70、80、90及び100m/gの少なくともいずれか1つ、いずれか1つに等しい、又はいずれか2つの間の表面積、ii)200Å~500Å、又は200、250、300、350、400、450及び500Åの少なくともいずれか1つ、いずれか1つに等しい、又はいずれか2つの間の平均細孔径、又はiii)0.1ml/g~1ml/g、又は0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9及び1ml/gの少なくともいずれか1つ、いずれか1つに等しい、又はいずれか2つの間の平均細孔容積、又はそれらの任意の組み合わせを有することができる。表面積、平均細孔径、細孔容積は、窒素BETによって測定することができる。使用することができる市販のイオン交換樹脂の非限定的な例としては、DowDuPontから入手可能なDOW AMBERLYST 15、DowDuPontから入手可能なDOW AMBERLYST 35、DowDuPontから入手可能なDOW CSP-3、Puroliteから入手可能なPUROLITE CT-175、Puroliteから入手可能なPUROLITE CT-275、Lenntechから入手可能なLANXESS K-2620、Lenntechから入手可能なLANXESS K-2629、又はSino Catalyst Co Limitedから入手可能なSINOCATA S-600、又はそれらの任意の組み合わせが挙げられる。
【0038】
いくつかの態様において、異性化触媒は、ゼオライト触媒及びアルミナ触媒を含有することができる。ゼオライト触媒は、本明細書に記載のゼオライトを含有することができる。アルミナ触媒は、本明細書に記載のアルミナを含有することができる。いくつかの特定の態様において、異性化触媒は、ゼオライト触媒とアルミナ触媒とを10:1~1:10の重量%比で、又は10:1、9:2、8:3、7:4、6:5、5:5、5:6、4:7、8:3、9:2、及び10:1のいずれか1つ、いずれか1つに等しい、又はいずれか2つの間で含有する混合物を含むことができる。いくつかの特定の態様において、アルミナ触媒は、改質剤を含有するアルミナを含有することができる。いくつかの態様において、異性化触媒は、イオン交換樹脂触媒及びアルミナ触媒を含有することができる。イオン交換樹脂触媒は、本明細書に記載のイオン交換樹脂を含有することができる。いくつかの特定の態様において、異性化触媒は、イオン交換樹脂触媒とアルミナ触媒とを重量%比10:1~1:10で、又は10:1、9:2、8:3、7:4、6:5、5:5、5:6、4:7、8:3、9:2、及び10:1の少なくともいずれか1つ、いずれか1つに等しい、又はいずれか2つの間で含有する混合物を含有することができる。いくつかの特定の態様において、アルミナ触媒は、改質剤を含有するアルミナを含むことができる。いくつかの態様において、異性化触媒は、イオン交換樹脂触媒及びゼオライト触媒を含有することができる。いくつかの特定の態様において、異性化触媒は、イオン交換樹脂触媒とゼオライト触媒とを重量%比10:1~1:10で、又は10:1、9:2、8:3、7:4、6:5、5:5、5:6、4:7、8:3、9:2、及び10:1の少なくともいずれか1つ、いずれか1つに等しい、又はいずれか2つの間で含有する混合物を含むことができる。使用可能な触媒の非限定的なリストを表1に提供する。
【0039】
【表1】
【0040】
いくつかの態様では、触媒活性部位は、C種の沈着又は細孔の閉塞により反応物分子に接近できない場合があり、その結果、タイムオンストリーム(time-on-stream)で活性が低下する。また、反応器内の触媒は、使用済み触媒又は失活触媒として知られている。いくつかの態様において、使用済み異性化触媒は、150℃~500℃で窒素(N)又は希釈酸素(O)と接触させて触媒を再生することによって、使用済み触媒から再生することができる。ある特定の態様では、使用済み触媒を窒素(N)流と150℃~350℃、好ましくは270~290℃で15時間~30時間接触させることができる。再生条件は、触媒の種類(例えば、組成)に依存し得る。
【0041】
分離ユニット112は蒸留塔を含むことができる。第2の流れ102は、1-ヘキセンを含有する第3の流れ103及び3-メチル-2-ペンテンを含有する第4の流れ104を形成するために、蒸留塔における蒸留によって分離することができる。第2の流れ102の分離のための蒸留塔の操作条件は、i)50℃~100℃、若しくは55℃~75℃、又は50、55、60、65、70、75、80、85、90、95及び100℃の少なくともいずれか1つ、いずれか1つに等しい、又はいずれか2つの間の温度、ii)0バール~3バール、又は0、0.01、0.1、0.5、1、1.5、2、2.5及び3バールの少なくともいずれか1つ、いずれか1つに等しい、又はいずれか2つの間の圧力を含むことができる。cis及びtrans 3-メチル-2-ペンテンの沸点は1-ヘキセンとは充分に異なり、その結果、第2の流れの蒸留を通して、3-メチル-2-ペンテンを1-ヘキサンから分離することができる。いくつかの態様では、第3の流れ103は、蒸留塔の塔頂留出物として形成することができ、第4の流れ104は、蒸留塔の塔底留出物として形成することができる。
【0042】
第1の流れ101は、アルファオレフィンプロセスから得ることができる。アルファオレフィンプロセス直鎖状アルファオレフィンフルレンジ及び/又はオンパーパス1-ヘキセンプロセス。アルファオレフィンプロセスは、1-ヘキセンを形成するためのエチレンの三量化を含むことができる。エチレンは、当技術分野で知られた好適なプロセス及び触媒を使用して三量化することができる。いくつかの態様において、エチレンの三量化によって得られる1-ヘキセンは、第1の流れを得るために1つ以上の工程によって精製することができる。第1の流れは、i)90重量%~99.5重量%、若しくは95重量%~99.5重量%、又は90、90.5、91、91.5、92、92.5、93、93.5、94、94.5、95、95.5、96、96.5、97、97.5、98、98.5、99及び99.5重量%の少なくともいずれか1つ、いずれか1つと等しい、又はいずれか2つの間の1-ヘキセン、及び0.3重量%~1.5重量%、又は0.3、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.1、1.2、1.3、1.4及び1.5重量%の少なくともいずれか1つ、いずれか1つに等しい、又はいずれか2つの間の2-エチル-1-ブテンを含有することができる。第1の流れ101は、任意に、0.05重量%~1重量%のヘキサン及び0.1重量%~1.5重量%の1-ヘキセンの1種以上の他の異性体を含有することができる。いくつかの態様では、1-ヘキセンの1種以上の他の異性体はcis-2-ヘキセン、trans-2-ヘキセン、cis-3-ヘキセン及び/又はtrans-3-ヘキセンを含有することができる。第1の流れ101中の2-エチル-1-ブテン、ヘキサン及び他の異性体は、アルファオレフィンプロセスにおいて副生成物として形成することができる。
【0043】
第2の流れ102は、i)90重量%~99.5重量%、若しくは95重量%~99.5重量%、又は90、90.5、91、91.5、92、92.5、93、93.5、94、94.5、95、95.5、96、96.5、97、97.5、98、98.5、99及び99.5重量%の少なくともいずれか1つ、いずれか1つに等しい、いずれか2つの間の1-ヘキセン、ii)0.05重量%~0.5重量%、又は0.05、0.1、0.15、0.2、0.25、0.3、0.35、0.4、0.45及び0.5重量%の少なくともいずれか1つ、いずれか1つに等しい、又はいずれか2つの間の2-エチル-1-ブテン、及びiii)0.3重量%~1.5重量%、又は0.3、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.1、1.2、1.3、1.4及び1.5重量%の少なくともいずれか1つ、いずれか1つに等しい、又はいずれか2つの間の3-メチル-2-ペンテンを含有することができる。第1の流れからの2-エチル-1-ブテンの少なくとも一部は、反応器110内で異性化されて、第2の流れ102中に3-メチル-2-ペンテンの少なくとも一部を形成することができる。第2の流れ102は、任意に、0.05重量%~1重量%のヘキサン及び0.1重量%~1.5重量%の1-ヘキセンの1種以上の他の異性体を含有することができる。
【0044】
第3の流れ103は、少なくとも99.5重量%、若しくは99.5重量%~99.9重量%、若しくは99.5重量%~99.8重量%、又は99.5、99.6、99.7、99.8及び99.9重量%の少なくともいずれか1つ、いずれか1つに等しい、又はいずれか2つの間の1-ヘキセンを含有することができる。第3の流れ103中の不純物は、0.5重量%未満、又は0.4重量%未満、又は0.3重量%未満、又は0.2重量%未満、又は0.1重量%未満、又は0~0.5重量%又は0.1重量%~0.5重量%であり得る。第3の流れ103中の不純物は、2-エチル-1-ブテン、ヘキサン、3-メチル-2-ペンテン及び1種以上の他の異性体を含むことができる。いくつかの態様において、第3の流れは、0~0.3重量%の2-エチル-1-ブテン、0~0.3重量%の3-メチル-2-ペンテン、0~0.3重量%の他の異性体、及び0~0.1重量%のヘキサンをさらに含有することができる。ある特定の態様では、第3の流れ103からの1-ヘキセンを使用して、HDPE及びLLDPEを生成することができる。
【0045】
第4の流れ104は、第2の流れ102からの他の異性体の少なくとも一部、及び存在する場合ヘキサンを含有することができる。いくつかの態様において、第4の流れ104はまた、第2の流れからの1-ヘキセンの一部を含むことができる。
【0046】
図1において、反応器、ユニット及び/又はゾーンは、反応混合物の反応温度及び圧力を制御するために使用することができる1つ以上の加熱及び/又は冷却デバイス(例えば、断熱材、電気ヒーター、壁のジャケット付き熱交換器)及び/又はコントローラー(例えば、コンピューター、フローバルブ、自動値など)を含むことができる。1つのユニット又はゾーンのみが示されているが、複数の反応器又はゾーンが1つのユニットに収容されてもよく、又は複数の反応器が1つの熱伝達ユニットに収容されてもよいことを理解するべきである。
【実施例
【0047】
以下、具体例により本発明をさらに詳細に説明する。以下の実施例は、例示のみを目的として提供され、決して本発明を限定することを意図しない。当業者は、本質的に同じ結果をもたらすように変更又は修正することができる様々な重要でないパラメータを容易に認識するであろう。
【0048】
[実施例1]
<1-ヘキセンの精製方法>
【0049】
アルファオレフィンプロセス(例えば、エチレンの三量化プロセス)から得られた1-ヘキセンを、本発明の1つの実施例に従って精製した。エチレンの三量化プロセスからの1-ヘキセン及び2-エチル-1-ブテンを含有する流れである流れ1を反応器に供給した。反応器は、SELEXSORB CD、H型ZSM-5(SiO/Al比50)、及びAMBERLYST 15を含有する異性化触媒を含んでいた。流れ1を60℃で反応器中で異性化触媒と接触させて、2-エチル-1-ブテンを選択的に異性化し、cis及びtrans 3-メチル-2-ペンテンを形成した。反応器から形成された1-ヘキセン及びcis及びtrans 3-メチル-2-ペンテンを含有する流れである流れ2を蒸留塔に供給した。流れ2を蒸留塔で蒸留した。高純度の1-ヘキセン99.6重量%を含有する流れである流れ3を蒸留塔から塔頂留出物として得た。cis及びtrans 3-メチル-2-ペンテンを含有する流れである流れ4を、蒸留塔から塔底留出物として得た。流れ1、2、3及び4の組成を表2に示す。
【0050】
【表2】
【0051】
[実施例2]
<2-エチル-1-ブテンの異性化>
【0052】
実施例2で使用した触媒を、ステンレス鋼管状流動反応器を使用して、2-エチル-1-ブテンを含有する1-ヘキセン供給物(表3の供給物組成を参照)を使用して試験した。各試験について、7.00mlの触媒(20~40メッシュのサイズ)を反応器に充填し、N流下で150℃で一晩乾燥させた。1-ヘキセン供給物を1.0ml/分で導入し、反応器流出物を分析して2-エチル-1-ブテン及び1-ヘキセンの転化率を決定した。約3時間のタイムオンストリーム後に得られた試験データを表3に示す。1-ヘキセン及び2-エチル-1-ブテンを含有する供給物流からの2-エチル-1-ブテンを、表3に記載の触媒を用いて異性化して、cis及びtrans 3-メチル-2-ペンテンを形成した。実験の反応条件及び結果を表3に記載する。表3から分かるように、ゼオライト触媒及びイオン交換樹脂触媒を使用して、97%を超える2-エチル-1-ブテンの転化率を得ることができる。さらに、アルミナ触媒(実験8)は、94.55%の2-エチル-1-ブテンの転化率をもたらすことができる。
【0053】
【表3】
【0054】
本願の実施形態及びそれらの利点を詳細に説明したが、添付の特許請求の範囲によって定義される実施形態の精神及び範囲から逸脱することなく、本明細書において様々な変更、置換、及び改変を行うことができることを理解すべきである。さらに、本願の範囲は、本明細書に記載されたプロセス、機械、製造、組成物、手段、方法及び工程の特定の実施形態に限定されることを意図するものではない。当業者であれば、上記の開示から容易に理解するように、本明細書に記載の対応する実施形態と実質的に同じ機能を実行するか、又は実質的に同じ結果を達成する、既存の又は後に開発されるプロセス、機械、製造、組成物、手段、方法、又は工程を利用することができる。したがって、添付の特許請求の範囲は、そのようなプロセス、機械、製造、組成物、手段、方法、又は工程をその範囲内に含むことが意図される。
図1
【国際調査報告】