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特表2024-503324腫瘍治療場を生成するためにトランスデューサ位置を決定するための方法および装置
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  • 特表-腫瘍治療場を生成するためにトランスデューサ位置を決定するための方法および装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-25
(54)【発明の名称】腫瘍治療場を生成するためにトランスデューサ位置を決定するための方法および装置
(51)【国際特許分類】
   A61N 1/40 20060101AFI20240118BHJP
   A61N 1/32 20060101ALI20240118BHJP
【FI】
A61N1/40
A61N1/32
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023540170
(86)(22)【出願日】2021-12-20
(85)【翻訳文提出日】2023-08-28
(86)【国際出願番号】 IB2021062054
(87)【国際公開番号】W WO2022144686
(87)【国際公開日】2022-07-07
(31)【優先権主張番号】63/132,348
(32)【優先日】2020-12-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/132,361
(32)【優先日】2020-12-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/555,026
(32)【優先日】2021-12-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519275847
【氏名又は名称】ノボキュア ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】タル・マルチャーノ
【テーマコード(参考)】
4C053
【Fターム(参考)】
4C053JJ02
4C053JJ04
4C053JJ13
4C053JJ21
4C053JJ40
4C053LL20
(57)【要約】
腫瘍治療場を印加するために、対象の身体上のトランスデューサの位置を決定するコンピュータ実装方法であって、方法が、対象の身体上の複数対の位置を選択するステップであって、位置の各対が、第1のトランスデューサを配置するための第1の位置と、第2のトランスデューサを配置するための第2の位置とを有する、ステップと、位置の各対について、第1のトランスデューサと第2のトランスデューサとの間に誘導される電場の電圧測定値と電流測定値とを取得するステップであって、誘導される電場が対象の身体の腫瘍を通過する、ステップと、位置の各対について、電圧測定値と電流測定値とに基づいて、抵抗率を計算するステップと、計算された抵抗率に基づいて、1つまたは複数の推奨される位置の対を選択および出力するステップとを含む、コンピュータ実装方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
腫瘍治療場を印加するために、対象の身体上のトランスデューサの位置を決定するコンピュータ実装方法であって、前記方法が、
前記対象の身体上の複数対の位置を選択するステップであって、位置の各対が、第1のトランスデューサを配置するための第1の位置と、第2のトランスデューサを配置するための第2の位置とを有する、ステップと、
位置の各対について、前記第1のトランスデューサと前記第2のトランスデューサとの間に誘導される電場の電圧測定値と電流測定値とを取得するステップであって、前記誘導される電場が前記対象の身体の腫瘍を通過する、ステップと、
位置の各対について、前記電圧測定値と前記電流測定値とに基づいて、抵抗率を計算するステップと、
前記計算された抵抗率に基づいて、1つまたは複数の推奨される位置の対を選択および出力するステップと
を含む、コンピュータ実装方法。
【請求項2】
前記計算された抵抗率に基づいて、前記複数対の位置をランク付けするステップ
をさらに含み、前記1つまたは複数の推奨される位置の対が、前記ランク付けに基づいて選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
1つまたは複数の推奨される位置の対を選択および出力するステップが、
計算された最低の抵抗率を有する第1の位置の対を選択するステップと、
前記第1の位置の対に基づいて、第2の位置の対を選択するステップと、
前記第1の位置の対と前記第2の位置の対とを出力するステップと
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の位置の対によって定義される第1の線と前記第2の位置の対によって定義される第2の線との間の角度が、約90度±20度である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
1つまたは複数の推奨される位置の対を選択および出力するステップが、
前記計算された抵抗率に基づいて、第1の位置の対を選択するステップと、
残りの位置の1つまたは複数の対から第2の位置の対を選択するステップであって、前記第2の位置の対が、前記第1の位置の対に対する抵抗率の差の最低の絶対値を有する、ステップと、
前記第1の位置の対と前記第2の位置の対とを出力するステップと
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
1つまたは複数の推奨される位置の対を選択および出力するステップが、
2対の位置の複数の組合せについて、前記2対の位置間の抵抗率の差の絶対値を計算するステップと、
前記計算された前記抵抗率の差の絶対値に基づいて、前記2対の位置のうちの少なくとも1つを選択するステップと、
前記選択された2対の位置を出力するステップと
を含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記計算された抵抗率に基づいて、前記複数対の位置をランク付けするステップと、
位置の各対について、電力密度を計算するステップと
をさらに含み、
1つまたは複数の推奨される位置の対を選択および出力するステップが、
前記ランク付けに基づき、前記電力密度に基づいて、第1の位置の対と第2の位置の対とを選択するステップであって、前記第1の位置の対および前記第2の位置の対が、最高の局所最小電力密度(LMiPD)を有する、ステップと、
前記選択された第1の位置の対と前記選択された第2の位置の対とを出力するステップと
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
対象の身体に腫瘍治療場を印加するシステムであって、前記システムが、
前記対象の身体上の複数対の位置において配置されるように適合された複数のトランスデューサであって、位置の各対が、前記対象の身体上の第1のトランスデューサを配置するための第1の位置と、前記対象の身体上の第2のトランスデューサを配置するための第2の位置とを有する、複数のトランスデューサと、
前記トランスデューサのうちの少なくとも2つに結合されるように適合され、前記結合されたトランスデューサを使用して前記対象の身体内の腫瘍を治療するために電場を誘導することができる電圧発生器と、
電圧発生器に結合されたコントローラと
を備え、前記コントローラが、1つまたは複数のプロセッサと、前記1つまたは複数のプロセッサによってアクセス可能なメモリとを備え、前記メモリが、前記1つまたは複数のプロセッサによって実行されると、前記コントローラに、
前記対象の身体内の前記腫瘍を治療するために電場を誘導するための電圧を生成するように前記電圧発生器に指示することであって、各誘導される電場が、前記対象の身体上の前記トランスデューサの位置に対応する、指示することと、
前記誘導される電場の電圧と電流とを取得することと、
前記誘導される電場の前記電圧と前記電流とを前記メモリ内に記憶することと、
前記記録された電圧と前記記録された電流とに基づいて、抵抗率を計算することと、
前記計算された抵抗率を前記メモリ内に記憶することと
を行わせる命令を記憶する、システム。
【請求項9】
前記複数のトランスデューサを有し、前記対象の身体に接して前記複数のトランスデューサを配置するように適合されたヘルメットまたは衣服をさらに備え、
前記位置の対が、前記ヘルメットまたは前記衣服上の位置に対応し、
前記誘導される電場が、前記ヘルメットまたは前記衣服上の位置に対応する、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
対象の身体内に腫瘍治療場を誘導するための前記対象の身体上のトランスデューサの配置を決定するコンピュータ実装方法であって、
前記対象の身体の第1の位置において配置された第1のトランスデューサの少なくとも一部と前記対象の身体の第2の位置において配置された第2のトランスデューサの少なくとも一部との間に誘導された腫瘍治療場に関連する電流測定値と電圧測定値とを受信するステップと、
前記電流測定値と前記電圧測定値とに基づいて、前記第1のトランスデューサを配置する前記対象の身体の更新された第1の位置と、前記第2のトランスデューサを配置する前記対象の身体の更新された第2の位置とを選択するステップと
を含む、コンピュータ実装方法。
【請求項11】
前記電流測定値と前記電圧測定値とに基づいて、前記第1のトランスデューサと前記第2のトランスデューサとの間の前記腫瘍治療場の経路に沿った前記対象の身体の抵抗率を計算するステップをさらに含み、前記更新された第1の位置および前記更新された第2の位置が、前記計算された抵抗率に基づいて選択される、請求項10に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項12】
前記対象の身体の一部における誘導される電場のシミュレーションに基づいて、または
前記対象の身体の画像上の1つまたは複数の交差する線分対に基づいて、
前記対象の身体の前記第1の位置と、前記対象の身体の前記第2の位置とを選択するステップをさらに含む、請求項10に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項13】
前記電流測定値と前記電圧測定値とに基づいて、前記対象の身体の一部における誘導される電場の少なくとも1つのシミュレーションを実行するステップ
をさらに含み、
前記更新された第1の位置および前記更新された第2の位置が、前記少なくとも1つのシミュレーションに基づいて選択される、請求項10に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項14】
前記更新された第1の位置および前記更新された第2の位置が、前記対象の身体の画像上の1つまたは複数の交差する線分対と、前記電流測定値と前記電圧測定値とに基づいて計算された1つまたは複数の抵抗率とに基づいて選択される、請求項10に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項15】
前記対象の身体の前記更新された第1の位置において配置された前記第1のトランスデューサと前記対象の身体の前記更新された第2の位置において配置された前記第2のトランスデューサとの間に誘導された第2の腫瘍治療場に関連する電流測定値と電圧測定値とを受信するステップと、
前記腫瘍治療電場に関連する前記電流測定値と前記電圧測定値とに基づいて、前記対象の身体を通る第1の経路に沿った第1の抵抗率を計算するステップと、
前記第2の腫瘍治療電場に関連する前記電流測定値と前記電圧測定値とに基づいて、前記対象の身体を通る第2の経路に沿った第2の抵抗率を計算するステップと、
前記第1の抵抗率と前記第2の抵抗率との間の比較に基づいて、前記第1のトランスデューサを配置する前記対象の身体上の第2の更新された第1の位置と、前記第2のトランスデューサを配置する前記対象の身体上の第2の更新された第2の位置とを選択するステップと、
を含む、請求項10に記載のコンピュータ実装方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、腫瘍治療場を生成するために使用されるトランスデューサの位置を決定することに関する。
【0002】
関連出願の相互参照
本出願は、参照により本明細書に組み込まれる、2021年12月17日に出願した米国特許出願第17/555,026号、2020年12月30日に出願した米国特許出願第63/132,348号、および2020年12月30日に出願した米国特許出願第63/132,361号の優先権を主張するものである。
【背景技術】
【0003】
腫瘍治療場(TTField)は、米国特許第7,565,205号に記載されているように、腫瘍を治療するために使用され得る、中間周波数範囲内の低強度の交番電場である。TTFieldは、患者の身体上に配置されたトランスデューサ間にAC電圧を印加することによって、関心領域に非侵襲的に誘導される。従来は、トランスデューサの第1の対およびトランスデューサの第2の対が対象の身体上に配置される。一般に前後方向に走る力線を有する電場を生成するために、第1の時間間隔の間、トランスデューサの第1の対間にAC電圧が印加される。次いで、一般に左右方向に走る力線を有する電場を生成するために、第2の時間間隔の間、トランスデューサの第2の対間にAC電圧が印加され、システムは、このシーケンスを繰り返す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第7,565,205号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様は、TTFieldを印加するために対象の身体上のトランスデューサの位置を決定するコンピュータ実装方法に向けられている。方法は、対象の身体上の複数対の位置を選択するステップであって、各対が、第1のトランスデューサを配置するための第1の位置と、第2のトランスデューサを配置するための第2の位置とを有する、ステップと、位置の各対について、第1のトランスデューサと第2のトランスデューサとの間に誘導される電場の電圧測定値および電流測定値を取得するステップであって、誘導される電場が、対象の身体の腫瘍を通過する、ステップと、位置の各対について、電圧測定値と電流測定値とに基づいて、抵抗率を計算するステップと、計算された抵抗率に基づいて、1つまたは複数の推奨される位置の対を選択および出力するステップとを含む。
【0006】
本発明のこの態様は、例示的であり、本発明の他の態様および変形例が、以下の実施形態の詳細な説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】トランスデューサ位置を決定することの一例を説明するフローチャートである。
図2】TTFieldを対象の身体に印加することの一例を示すフローチャートである。
図3A】対象の身体上のトランスデューサ位置を決定することの一例を示す図である。
図3B】対象の身体上のトランスデューサ位置を決定することの一例を示す図である。
図3C】対象の身体上のトランスデューサ位置を決定することの一例を示す図である。
図4】対象の身体上のトランスデューサ位置を決定することの一例を示す図である。
図5】トランスデューサの対の例示的な構成を示す図である。
図6】トランスデューサ位置を決定するための例示的な装置を示す図である。
図7】更新されたトランスデューサレイアウトを決定することの一例を示すフローチャートである。
図8】第2の更新されたトランスデューサレイアウトを決定することの一例を示す図である。
図9】対象の身体上に配置されるべき2対のトランスデューサのための更新されたレイアウトを決定することの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
対象に効果的なTTField治療を提供するために、例えば、対象の身体内の癌のタイプ、サイズ、および/または位置に基づいて、対象の身体上にトランスデューサを配置する正確な位置が生成されなければならない。しかしながら、これらの位置を決定することは、しばしば、時間集約的かつリソース集約的なコンピュータシミュレーションに依存する。それに加えて、既存の方法は、時間の経過とともに方向の変化をもたらす可能性がある対象の身体における生理学的変化を考慮することができない。本発明者は、これらの問題を認識し、対象の身体上に配置されたトランスデューサ間に誘導されるTTFieldの実際の電流測定値と電圧測定値とを取り入れることによって、対象の身体上にトランスデューサを配置する位置を決定する手法を発見しており、この手法は、TTField治療の精度と効率とを改善する。
【0009】
図1は、TTFieldを適用するために対象の身体上のトランスデューサの位置を決定するための例示的な方法100を示す。方法100(および以下の他の方法)の特定のステップは、コンピュータ実装ステップである。コンピュータは、1つまたは複数のプロセッサと、プロセッサによってアクセス可能なメモリとを有する任意のデバイスであり得、メモリは、プロセッサによって実行されると、コンピュータに方法の関連ステップを実行させる命令を記憶する。
【0010】
方法100は、ステップS102において、対象の身体上の複数対の位置を選択することで開始し得、各対は、第1のトランスデューサを配置する第1の位置と、第2のトランスデューサを配置する第2の位置とを有する。S104において、方法100は、各対について、第1のトランスデューサを第1の位置において配置し、第2のトランスデューサを第2の位置において配置するステップを含み得る。
【0011】
別の例において、方法100は、ステップS103において、複数のトランスデューサが対象の身体上の複数の位置において配置されて開始し得る。ステップS105において、方法100は、対象の身体の複数の位置において配置された複数対のトランスデューサを選択するステップを含み得、トランスデューサの各対は、複数のトランスデューサから選択された1つの第1のトランスデューサと1つの第2のトランスデューサとを有する。
【0012】
ステップS102/S104またはステップS103/S105の後、方法100は、ステップS106に進み得、ここで、各位置/トランスデューサ対について、電場(TTField)がトランスデューサの対間に誘導され、対象の身体内の腫瘍を通過する。TTFieldは、第1のトランスデューサの少なくとも一部と第2のトランスデューサの少なくとも一部とにAC電圧を印加することによって生成される。ステップS108において、各位置/トランスデューサ対について、方法100は、誘導されたTTFieldに関連する電圧測定と電流測定値とを取得するステップを含む。ステップS108は、取得および/または記録された電流測定値および電圧測定値が処理構成要素において受信されるコンピュータ実装ステップである。電流測定値は、第1のトランスデューサと第2のトランスデューサとの間の対象の身体の一部を通過するTTFieldの電流を示し、トランスデューサ内の1つまたは複数の電極における電流の測定値を含み得る。電圧測定値は、トランスデューサの対に印加される電圧を示す。
【0013】
電流測定値および電圧測定値は、TTFieldのリアルタイム治療の前の所望の時間期間中、第1のトランスデューサおよび第2のトランスデューサに適用されるTTFieldについて生成および/または収集され得る。電流測定値と電圧測定値とを収集するための所望の時間期間は、例えば、秒、分、時、または日単位であり得る。AC発生器は、第1のトランスデューサおよび第2のトランスデューサに印加されるAC電圧の電流と電圧とを監視し、電流測定値と電圧測定値とを記録し得る。別の例において、TTFieldの電流と電圧とを検出し、記録するための電流測定値と電圧測定値とを生成するために、AC発生器とは別個の1つまたは複数のセンサが使用され得る。
【0014】
電流測定値および電圧測定値は、TTFieldがトランスデューサ間で印加される治療時間期間中(例えば、対象の身体への1つまたは複数のTTFieldの生体内印加中)、リアルタイムまたはほぼリアルタイムで生成および収集され得る。TTFieldの電流測定値および電圧測定値は、ログファイル内に記録され得る。電圧測定値および電流測定値は、TTField治療全体を通じて定期的に取得され得る。
【0015】
電流測定値と電圧測定値とを受信または取得することは、測定値がタイムスタンプとともに記憶されるログファイルを受信またはアクセスすることを含み得る。このログファイルのアクセスは、TTField治療が完了した後に発生し得る。別の例において、測定値を受信することは、電流および/または電圧を検出するセンサと、処理構成要素(対象の隣、対象の近く、対象に近接して、または対象の遠くにあり得る)との間の通信インターフェース(有線またはワイヤレス)を介して、リアルタイムまたはほぼリアルタイムで信号を受信することを含み得る。
【0016】
ステップS110(コンピュータ実装ステップ)において、各位置/トランスデューサ対について、方法100は、受信された電流測定値および電圧測定値に基づいて、TTFieldの経路に沿った対象の身体の抵抗率を計算することを含み得る。TTFieldの経路に沿った対象の身体の抵抗率は、以下の式、
ρ=E/J 式1
によって計算され得る。ここで、ρは、オームメートル(Ωm)単位の抵抗率であり、Eは、ボルト/メートル(V/m)単位の電場の大きさであり、Jは、アンペア/平方メートル(A/m2)単位のTTFieldの電流密度の大きさである。計算された抵抗率は、例えば、対象の身体の生理学的変化(例えば、発汗、発毛など)、概日リズムに基づく対象の身体の変化、および/または(例えば、導電性ゲルの広がり、衣服の移動などによる)トランスデューサの配置もしくは取り付けの変化の結果として、TTField治療中に時間の経過とともに変化し得る。
【0017】
ステップS110において、方法100は、受信された電流測定値と電圧測定値とに基づいて、第1のトランスデューサと第2のトランスデューサとの間のTTFieldの電力密度を計算するステップをさらに含み得る。TTFieldの電力密度は、腫瘍に送達されるTTField線量を表すために使用され得る。第1のトランスデューサと第2のトランスデューサとの間で印加されるTTFieldの電力密度は、以下の式、
P=1/2σE2 式2
に従って計算され得る。ここで、Pは、TTFieldに適用されるワット/体積(例えば、mW/cm3)単位の電力密度であり、Eは、印加されるTTFieldの電場の大きさであり、σは、組織の導電率であり、
σ=1/ρ 式3
である。
【0018】
ステップS112において、方法100は、ステップS110において位置の各対について計算された抵抗率に基づいて、1つまたは複数の推奨される位置の対を選択するステップを含む。ステップS114において、方法100は、S112において選択された推奨される対に基づいて、1つまたは複数の推奨される位置の対を出力するステップを含む。ステップS112およびS114は、コンピュータによって実装される。
【0019】
一実施形態において、ステップS112は、複数対の位置について計算された抵抗率を比較するステップと、計算された抵抗率に基づいて、複数対の位置をランク付けするステップと、ランク付けに基づいて、第1の位置の対を選択するステップとを含み得る。一例において、第1の位置の対は、複数対の位置の中で計算された最低の抵抗率を有し得る。ステップS112において、例えば、第1の位置の対の選択に基づいて、残りの1つまたは複数対の位置から第2の位置の対を選択するステップをさらに含み得る。
【0020】
第2の位置の対の選択は、第1の位置の対に対する第2の位置の対の交差角度に基づき得る。位置の各対は、2つの位置間の距離を表す線分に対応し得、例えば、第1の位置上の点から第2の位置上の点、第1の位置との交点および第2の位置との交点、画像のピクセル、ならびに/または画像のボクセルによって定義され得る。第1の位置の対の第1の線分と第2の位置の対の第2の線分との間の交差角度は、例えば、90°、約90°、実質的に90°、90°の数度以内、対象の身体の物理的形状に基づく角度、または使用されるべきトランスデューサのタイプに基づく角度であり得る。場合によっては、対象の身体および腫瘍の位置により、90°の交差角度が可能ではない場合があり、この場合、90°±20°以内または90°±15°以内の交差角度が使用され得る。交差する線分対の交差角度は、腫瘍の位置により、および/またはその上のトランスデューサの配置を不可能にする回避領域(例えば、目、耳、口、乳首、手術痕、病変、化学療法ポートなど)により、90°または90°近くで交差しない場合がある。
【0021】
第2の位置の対の選択は、第2の位置の対の計算された抵抗率に基づき得る。一例において、第2の位置の対は、複数対の位置の中で2番目に低い抵抗率を有する。別の例において、第2の位置の対は、第1の位置の対に対する抵抗率の差の最低の絶対値を有する。第1の位置の対と第2の位置の対との間の抵抗率の差の絶対値(ρ1-2)は、以下の式
ρ1-2=|ρ12| 式4
によって計算され得る。ここで、ρ1およびρ2は、それぞれ第1の位置の対および第2の位置の対の計算された抵抗率である。
【0022】
ステップS112は、複数の位置内の2対の位置の組合せについて、抵抗率の差を計算するステップをさらに含み得る。複数対の位置内の任意の所与の2対の位置間、例えば、位置の対Aと位置の対Bとの間の抵抗率の差(ρA-B)は、以下の式、
ρA-B=|ρAB| 式5
に従って計算され得る。ここで、ρAは、位置の対Aの計算された抵抗率であり、ρBは、位置の対Bの計算された抵抗率である。したがって、ステップS112は、複数の位置内の任意の所与の2対の位置間の抵抗率の差の絶対値を比較するステップと、位置の対間の抵抗率の差の計算された絶対値に基づいて、2対の位置の推奨される組合せを選択するステップ(例えば、抵抗率の差の最低の絶対値を有する2対の位置を選択するステップ)とを含み得る。
【0023】
ステップS112は、複数の位置内の2対の位置の組合せについて、局所最小電力密度(LMiPD)を計算するステップをさらに含み得る。LMiPDは、TTFieldによって2対のトランスデューサを介して腫瘍に送達される2つの電極密度のうちの低い方を表す。TTFieldを送達するための複数の位置に関する電力密度は、例えば、上記の式2および式3を使用して計算され得る。他の潜在的なレイアウトに対してLMiPDが最大化されるとき、理想的なトランスデューサレイアウトが取得され得る。ステップS112は、2対の位置のLMiPDに基づいて、2対の位置の1つまたは複数の推奨される組合せを選択するステップ(例えば、最高のLMiPDを有する2対の位置を選択するステップ)を含み得る。
【0024】
2対の位置の1つまたは複数の推奨される組合せの選択は、上記で論じた2つ以上の条件を満たし得る。すなわち、選択は、交差角度、計算された抵抗率、抵抗率の差の絶対値、および/またはLMiPDの任意の所望の組合せに基づき得る。
【0025】
図2は、図1におけるステップS114の後に続き得るTTFieldを印加するための方法200を示す。ステップS202において、第1のトランスデューサと第2のトランスデューサとを配置するための第1の位置の対が(S112に基づいて、例えば、位置の対のランク付けに基づいて)選択される。ステップS204において、第3のトランスデューサと第4のトランスデューサとを配置するための第2の位置の対が同様に(S112に基づいて)選択される。ステップS206およびS208において、第1、第2、第3、および第4のトランスデューサが、それぞれ第1、第2、第3、および第4の位置において配置される。ステップS210において、第1の時間期間(例えば、1秒)の間、第1のトランスデューサと第2のトランスデューサとの間に第1の電場が生成される。ステップS212において、第1の電場の電流および電圧が測定および記録され、第1のトランスデューサと第2のトランスデューサとの間の抵抗率が、電流測定値と電圧測定値とに基づいて計算される。ステップS214において、第1の時間期間の後、第1の電場の生成が停止される。ステップS216において、第2の時間期間(例えば、第1の時間期間と同じまたは異なる)の間、第3のトランスデューサと第4のトランスデューサとの間に第2の電場が生成される。ステップS218において、第2の電場の電流および電圧が測定および記録され、第3のトランスデューサと第4のトランスデューサとの間の抵抗率が測定値に基づいて計算される。ステップS220において、第2の時間期間の後、第2の電場の生成が停止される。ステップS222において、方法は、トランスデューサがいつ交換されるべきかを決定するための第3の時間期間が経過したかどうかをチェックするステップを含む。第3の時間期間が終了した場合、フローは、ステップS224に進み、トランスデューサが(例えば、S202/S204に基づいて)対象の身体上の新しい位置に移動される。そうでない場合、プロセスは、ステップS210~S220を繰り返す。
【0026】
図3A図3Cは、対象の身体上にトランスデューサ対を配置するためのトランスデューサの例示的な位置を示す。複数の位置(301A~C、302A~C、303A~C、304A~C、305A~C、306A~C、307A~C、308A~C)が、対象の身体の頭部上(図3A)、対象の身体の頭部および頸部上(図3B)、対象の身体の胴体(胸部、大腿部など)の上または下(図3C)において選択される。複数の位置は、互いに重なり合わない場合があり(図3Aおよび図3B)、位置のうちの2つ以上が部分的に重なり合う場合があり(例えば、305C/306Cおよび307C/308C)、または2つの位置の対の各々について第1の位置が同じである場合がある。図示のように、位置301A~C/305A~Cが第1の位置の対を形成し、位置303A~C/307A~Cが第2の位置の対を形成する。
【0027】
図4は、対象の身体上のトランスデューサの位置を決定するための例示的なシステムを示す。図4において、複数の電極要素が1つのトランスデューサアレイ405に統合される。トランスデューサアレイ405は、ヘルメットまたは衣服(例えば、帽子、シャツ、またはパンツ)に統合され得る。複数対のトランスデューサがトランスデューサアレイ内で選択され得、トランスデューサの各対は、1つの第1のトランスデューサと1つの第2のトランスデューサとを含む。各トランスデューサ(例えば、トランスデューサ401、402、403、404)は、トランスデューサアレイ405内の複数の電極要素から選択された複数の電極要素を含み得る。トランスデューサ401/403は、トランスデューサの第1の対を形成し得、トランスデューサ402/404は、トランスデューサの第2の対を形成し得る。
【0028】
図5は、トランスデューサ501および502の1つの対の例示的な構成を示す。両方のトランスデューサ501/502は、基板504/506上に配置され、導電性配線509/510を介して電気的および機械的に接続された実質的に平坦な電極要素503/505を含み得る。基板504/506は、布、発泡体、可撓性プラスチック、および/または導電性医療用ゲルを含み得る。別の例において、1つまたは複数のトランスデューサは、基板なしで電気的および機械的に接続された電極要素を含み得る。トランスデューサは、対象の身体に貼り付けられ得、または対象の身体を覆う衣服(例えば、対象によって着用されるカバー)に取り付けられ得る/組み込まれ得る。
【0029】
トランスデューサ501および502は、AC電圧発生器507およびコントローラ508に接続され得、コントローラ508は、1つまたは複数のプロセッサ513とメモリ514とを有するコンピュータを含み得る。メモリ514は、1つまたは複数のプロセッサによって実行されると、トランスデューサ501とトランスデューサ502との間に電場を誘導するようにAC電圧発生器507を制御し、および/またはコンピュータに本明細書で開示する1つもしくは複数の方法を実行させる命令を記憶し得る。コントローラ508は、電圧発生器507によって実行される動作を(例えば、プロセッサ513を介して)監視し、電流値と電圧値とをメモリ514内に記憶し得る。他のタイプの情報(例えば、動作状態、温度値など)も同様に収集され得る。電流値、電圧値、および他のタイプの情報は、メモリ514内のログファイル内に記憶され得る。
【0030】
図6は、本明細書における様々な実施形態による、TTFieldを印加するためのトランスデューサの位置を決定する例示的な装置600を示す。装置600は、1つまたは複数のプロセッサ602と、メモリ603と、1つまたは複数の出力デバイス605とを含み得る。装置600は、コンピュータであり得る。装置600は、図5のコントローラ508に組み込まれ得、またはコントローラ508とは別個であり、コントローラ508に通信可能に結合され得る。メモリ603は、1つまたは複数のプロセッサ602によってアクセス可能であり、メモリ603は、プロセッサ602によって実行されると、装置600に本明細書で開示する1つまたは複数の方法を実行させる命令を記憶し得る。入力601として受信された電流/電圧測定フィードバックに基づいて、プロセッサ602は、トランスデューサの複数の位置を生成および/またはランク付けし得、1つまたは複数の位置推奨を出力デバイス605上でユーザに出力し得る。
【0031】
図7は、TTFieldを対象の身体に印加するための更新されたトランスデューサレイアウトを決定するコンピュータ実装方法700を示す。方法700は、対象の身体の画像データ702を受信することで開始する。
【0032】
方法700は、ステップS704において、画像データ702に基づいて、対象の身体の一部における誘導される電場のシミュレーションを生成するステップを含み得る。ステップS704は、画像データ702から異なるタイプの組織を識別するステップと、異なるタイプの組織に導電率を割り当てるステップと、対象の身体の対応する位置の対において配置されたトランスデューサの対から腫瘍に送達されるべき電力の予想される量を計算するステップとを含み得る。画像データ702と予想される電圧出力とに基づいて、ステップS704において生成されたシミュレーションは、対象の身体の第1および第2の位置において配置されたトランスデューサの対を介して腫瘍に送達されるべき電力の予想される量を出力し得る。
【0033】
方法700は、ステップS706において、画像データ702に基づいて、対象の身体の画像上の1つまたは複数の交差する線分対を選択するステップを含み得る。ステップS706は、(図1のステップS112を参照して論じたように)対象の身体の画像内の腫瘍に対応する領域内で交差する交差線分対を選択するステップを含み得る。
【0034】
ステップS708において、方法700は、トランスデューサの対を配置する対象の身体の第1の位置と第2の位置とを選択するステップを含み得る。この選択(S708)は、生体内で、すなわち、TTFieldを印加する前に収集された画像データ702を使用して実行され得る。
【0035】
ステップS708は、例えば、トランスデューサが配置され得る複数対の位置を選択することによって、以前のシミュレーションに基づいて第1および第2の位置を選択するステップと、位置の各対について、同じ電流/電圧入力を使用して、シミュレーションを生成するステップ(ステップS704)と、結果として生じる、腫瘍に送達されるべき予想される電力の量を決定するステップとを含み得る。ステップS708は、腫瘍に送達されるべき予想される電力の量に従って、複数対の位置をランク付けするステップと、予想される最高の電力の量に対応する位置の対を選択するステップとを含み得る。
【0036】
別の例において、ステップS708は、例えば、対象の身体の画像上の複数の異なる交差線分対を選択するステップ(S706)によって、1つまたは複数の交差線分対に基づいて、第1および第2の位置を選択するステップ(S706)と、各線分対について、(LMiPDに相関する)ジオメトリベースの「セグメント対値」を決定するステップとを含み得る。セグメント対値を決定するステップは、第1の線分のエンドポイント間の距離と第2の線分のエンドポイント間の距離との間の差の絶対値を計算するステップ、または第1の線分のエンドポイント間の距離と第2の線分のエンドポイント間の距離との合計を計算するステップを含み得る。各線分によって横断される組織タイプに基づいて、セグメント対値計算において重み付け係数が適用され得る。線分対は、セグメント対値に従ってランク付けされ得、最高の電力の量(例えば、最高のLMiPD)に対応するセグメント対値を有する線分対が選択され得る。別の例において、ステップS708は、ステップS704/S706の組合せに基づいて、第1および第2の位置を選択するステップを含み得る。
【0037】
ステップS710およびS712において、方法700は、対象の身体に対して第1および第2のトランスデューサをどこに配置するかをユーザに指示する(例えば、出力デバイスに指示を出力する)ステップを含み得る。ステップS714において、方法700は、第1のトランスデューサの少なくとも一部と第2のトランスデューサの少なくとも一部との間にTTFieldを誘導するステップを含み得る。ステップS716において、方法700は、(例えば、上記で説明した図1のステップS108におけるように)誘導されたTTFieldに関連する電流測定値と電圧測定値とを受信するステップを含む。ステップS718において、方法は、(例えば、上記で説明した図1のステップS110におけるように)受信された電流測定値と電圧測定値とに基づいて、第1のトランスデューサの少なくとも一部と第2のトランスデューサの少なくとも一部との間のTTFieldの経路に沿った対象の身体の抵抗率を計算するステップを含み得る。
【0038】
ステップS720において、方法700は、電流測定値と電圧測定値とに基づいて、対象の身体の一部における誘導される電場の少なくとも1つのシミュレーションを実行するステップを含み得る。計算された抵抗率は、シミュレーションに入力され得、または電流測定値および電圧測定値は、シミュレーションに直接入力され得る。シミュレーションが以前に実行されていない場合、ステップS720は、画像データ702から組織のタイプを識別するステップと、電流測定値と電圧測定値とに基づいて、組織のタイプに導電率を割り当てるステップと、対応する位置におけるトランスデューサの対から腫瘍に送達されるべき予想される電力の量を計算するステップとを含み得る。シミュレーション(S704)が以前に実行された場合、ステップS720は、以前のシミュレーションの予測におけるエラーを識別および修正するために、電流/電圧測定値および/または抵抗率に基づいて、以前のシミュレーションを更新するステップを含み得る。例えば、組織のタイプへの導電率の以前の割り当ては、抵抗率フィードバックに基づいて更新され得る。別の例として、S716の受信された電流/電圧測定値は、S704において使用される予想される電圧発生器出力の代わりになり得る。抵抗率における増加した変動は、結果として生じるTTFieldの安定性に影響を与え得るので、時間に対する対象の身体の抵抗率の変動も、シミュレーションを調整するために同様に使用され得る。対象の身体の抵抗率の平均値、最小値、または最大値など、時間の経過に伴う抵抗率の統計量が、シミュレーションを調整するために使用され得る。
【0039】
ステップS722において、方法は、1つまたは複数の交差線分対を選択するステップを含み得る(S706と同様であるが、計算において電流/電圧測定値を組み込む)。
【0040】
ステップS724において、方法700は、第1のトランスデューサを配置する対象の身体の更新された第1の位置と、第2のトランスデューサを配置する対象の身体の更新された第2の位置とを選択するステップを含む。更新された位置(S724)のうちの一方または両方は、以前の位置(S708)と同じまたは異なり得る。更新された第1および第2の位置は、TTFieldの対象への生体内印加中に収集された電流/電圧測定値のフィードバックに基づいて、ステップS724において選択される。
【0041】
ステップS724における選択は、S720の少なくとも1つのシミュレーションに基づき得る。例えば、ステップS724は、トランスデューサが配置され得る複数対の位置を選択するステップと、各位置の対について、電流入力と電圧入力とを使用して、シミュレーションを生成する(または更新する)ステップ(S720)と、シミュレーションに基づいて、腫瘍に送達されるべき結果として生じる予想される電力の量(すなわち、腫瘍における電場強度分布値)を決定するステップとを含み得る。ステップ724は、腫瘍に送達されるべき予想される電力の量に従って、複数対の位置をランク付けするステップと、最高の電力の量(すなわち、腫瘍における最大の電場強度分布値)を有する位置を選択するステップとを含み得る。
【0042】
別の例において、ステップS724は、対象の身体の画像上の交差線分対に基づいて、更新された第1および第2の位置を選択するステップ(S722)を含み得る。方法は、対象の身体の画像上の複数の異なる交差線分対を選択するステップ(S722)と、電流測定値と電圧測定値とを介して計算された1つまたは複数の抵抗率に少なくとも部分的に基づいて計算されるように、対応する線分対から腫瘍に送達される最高のLMiPDを結果として生じる更新された第1および第2のトランスデューサ位置を選択するステップ(S724)とを含み得る。
【0043】
ステップS724の後、プロセスは、繰り返す。プロセスは、印加されたTTFieldと、電流/電圧測定値とに基づいて、シミュレーション(S704およびS720)または交差線分対(S706およびS722)を反復的に更新し得る。TTFieldが印加されると、新しい電流/電圧データが、各々の更新されたシミュレーションに統合され(S720)、または交差線分対に対する新しく計算されたLMiPDとして統合される(S722)。この反復プロセスは、電流/電圧値および/または画像データにおいて識別された組織の導電率の仮定を使用するシミュレーションよりも正確な推奨を提供し得る。それに加えて、生体内データに基づく更新は、画像データから容易に認識できない生理学的不規則性を説明し得る。
【0044】
方法700は、ステップS724において選択された更新されたトランスデューサ位置の対が、変化するのを停止するか、もしくは空間的一貫性もしくは安定性のしきい値レベルに達するまで、および/またはS718の計算された抵抗率値がしきい値に達するまで、繰り返し得る。別の例において、方法700は、設定された回数繰り返し得、その後、対象について最低の抵抗率値(S718)をもたらす更新されたトランスデューサ位置の対が、さらなる治療のために使用され得る。
【0045】
図8は、図7のステップS724の後に開始し得る、更新されたトランスデューサレイアウトを決定するコンピュータ実装方法800を示す。ステップS802において、方法800は、更新された第1の位置において配置された第1のトランスデューサの少なくとも一部と更新された第2の位置において配置された第2のトランスデューサの少なくとも一部との間に誘導される第2のTTFieldに関連する電流/電圧測定値を受信するステップを含み得る。ステップS804において、更新された第1の位置から更新された第2の位置まで延在する経路に沿った第2の抵抗率が、測定値(S802)に基づいて計算される。ステップS806において、第1の抵抗率(S718)および第2の抵抗率(S804)が比較される。ステップS808において、方法800は、第1の抵抗率と第2の抵抗率との間の比較(ステップS806)に基づいて、第1のトランスデューサを配置する対象の身体上の第2の更新された第1の位置と、第2のトランスデューサを配置する対象の身体上の第2の更新された第2の位置とを選択するステップを含み得る。第2の更新されたトランスデューサ位置の対は、最低の抵抗率(S718またはS804)に対応するトランスデューサ位置の対として選択され得る。第2の更新された位置(S808)のうちの一方または両方は、更新された位置(S724)と同じまたは異なり得る。
【0046】
図9は、TTFieldを対象の身体に印加するための更新された4トランスデューサレイアウトを決定する例示的なコンピュータ実装方法900を示す。方法900のステップは、図2のステップS224においてトランスデューサを再配置する場所を決定するために使用され得る。ステップS902において、方法900は、第1のトランスデューサと第2のトランスデューサとの間の経路に沿った対象の身体の第1の抵抗率を計算するステップと、第3のトランスデューサと第4のトランスデューサとの間の経路に沿った第2の抵抗率を計算するステップとを含み得る。ステップS902は、治療中の異なる時間に対応する第1および第2のTTFieldの経路に沿った抵抗率を計算するステップを含み得る。
【0047】
ステップS904において、計算された第1の抵抗率と第2の抵抗率とを組み込むために、少なくとも1つのシミュレーションが実行または更新され得る。シミュレーションは、対象の身体の一部内に誘導される交互の第1の電場と第2の電場のものであり得る。計算された抵抗率は、以前のシミュレーションにおいて使用されたAC電圧発生器出力に関する予想される抵抗率の代わりになり得る。計算された第1および第2の抵抗率は、異なるチャネルを介して生成されるTTField間の方向差を補正するために使用され得る。
【0048】
ステップS906において、方法900は、計算された抵抗率に基づいて、第1および第2のトランスデューサのどの第1の位置の対と、第3および第4のトランスデューサのどの第2の位置の対とが、第1の対と第2の対との間の最低の抵抗率の差をもたらすかを決定するステップを含み得る。抵抗率間のより小さい差が、腫瘍におけるより大きいLMiPDに相関し得る。計算された抵抗率間の差を最小化すること、および/または2対のトランスデューサ間の経路を表す交差線分対の光路長間の差を最小化することが望ましい場合がある。
【0049】
ステップS908において、方法900は、S904および/またはS906に基づいて、トランスデューサの第1の対を配置する対象の身体上の更新された第1の位置および更新された第2の位置と、トランスデューサの第2の対を配置する対象の身体上の更新された第3の位置および対象の身体上の更新された第4の位置とを選択するステップを含む。
【0050】
本発明は、以下のような他の例示的な実施形態(「実施形態」)を含む。
【0051】
実施形態1:腫瘍治療場を印加するために、対象の身体上のトランスデューサの位置を決定するコンピュータ実装方法であって、方法が、対象の身体上の複数対の位置を選択するステップであって、位置の各対が、第1のトランスデューサを配置するための第1の位置と、第2のトランスデューサを配置するための第2の位置とを有する、ステップと、位置の各対について、第1のトランスデューサと第2のトランスデューサとの間に誘導される電場の電圧測定値と電流測定値とを取得するステップであって、誘導される電場が対象の身体の腫瘍を通過する、ステップと、位置の各対について、電圧測定値と電流測定値とに基づいて、抵抗率を計算するステップと、計算された抵抗率に基づいて、1つまたは複数の推奨される位置の対を選択および出力するステップとを含む、コンピュータ実装方法。
【0052】
実施形態2:計算された抵抗率に基づいて、複数対の位置をランク付けするステップをさらに含み、1つまたは複数の推奨される位置の対が、ランク付けに基づいて選択される、実施形態1の方法。
【0053】
実施形態3:1つまたは複数の推奨される位置の対を選択および出力するステップが、計算された最低の抵抗率を有する第1の位置の対を選択するステップと、第1の位置の対に基づいて、第2の位置の対を選択するステップと、第1の位置の対と第2の位置の対とを出力するステップとを含む、実施形態1の方法。
【0054】
実施形態4:第1の位置の対によって定義される第1の線と第2の位置の対によって定義される第2の線との間の角度が、約90度±20度である、実施形態3の方法。
【0055】
実施形態5:1つまたは複数の推奨される位置の対を選択および出力するステップが、計算された抵抗率に基づいて、第1の位置の対を選択するステップと、残りの位置の1つまたは複数の対から第2の位置の対を選択するステップであって、第2の位置の対が、第1の位置の対に対する抵抗率の差の最低の絶対値を有する、ステップと、第1の位置の対と第2の位置の対とを出力するステップとを含む、実施形態1の方法。
【0056】
実施形態6:計算された抵抗率に基づいて、第1の位置の対を選択するステップが、計算された最低の抵抗率を有する位置の対を、第1の場所の対として選択するステップを含む、実施形態5の方法。
【0057】
実施形態7:1つまたは複数の推奨される位置の対を選択および出力するステップが、2対の位置の複数の組合せについて、2対の位置間の抵抗率の差の絶対値を計算するステップと、計算された抵抗率の差の絶対値に基づいて、2対の位置のうちの少なくとも1つを選択するステップと、選択された2対の位置を出力するステップとを含む、実施形態1の方法。
【0058】
実施形態8:選択された2対の位置の対のうちの1つの位置の対が、計算された最低の抵抗率を有する、実施形態7の方法。
【0059】
実施形態9:計算された抵抗率に基づいて、複数対の位置をランク付けするステップと、位置の各対について、電力密度を計算するステップとをさらに含み、1つまたは複数の推奨される位置の対を選択および出力するステップが、ランク付けに基づき、電力密度に基づいて、第1の位置の対と第2の位置の対とを選択するステップであって、第1の位置の対および第2の位置の対が、最高の局所最小電力密度(LMiPD)を有する、ステップと、選択された第1の位置の対と選択された第2の位置の対とを出力するステップとを含む、実施形態1の方法。
【0060】
実施形態10:選択された第1の位置の対によって定義される第1の線と選択された第2の位置の対によって定義される第2の線との間の角度が、約90度±20度である、実施形態9の方法。
【0061】
実施形態11:位置の各対の第1の位置および第2の位置が、対象の身体の頭部上にある、実施形態1の方法。
【0062】
実施形態12:位置の各対の第1の位置が、対象の身体の頭部上にあり、位置の各対の第2の位置が、対象の身体の頸部上にある、実施形態1の方法。
【0063】
実施形態13:位置の各対の第1の位置および第2の位置が、対象の身体の胴体上にある、実施形態1の方法。
【0064】
実施形態14:位置の各対の第1の位置が、対象の身体の胴体上にあり、位置の各対の第2の位置が、対象の身体の胴体の下にある、実施形態1の方法。
【0065】
実施形態15:少なくとも2対の位置について、2対の位置の各々の第1の位置が、互いに重ならず、2対の位置の各々の第2の位置が、互いに重ならない、実施形態1の方法。
【0066】
実施形態16:少なくとも2対の位置について、2対の位置の各々の第1の位置が、少なくとも部分的に重なる、実施形態1の方法。
【0067】
実施形態17:少なくとも2対の位置について、2対の位置の各々の第1の位置が、同じ位置である、実施形態1の方法。
【0068】
実施形態18:第1のトランスデューサが、実質的に平坦な電極要素の第1のアレイを備え、第2のトランスデューサが、実質的に平坦な電極要素の第2のアレイを備える、実施形態1の方法。
【0069】
実施形態19:腫瘍治療場を印加するために、対象の身体上のトランスデューサの位置を決定するためのコンピュータ実装方法であって、方法が、対象の身体の複数の位置上に配置された複数のトランスデューサから複数対のトランスデューサを選択するステップであって、トランスデューサの各対が、複数のトランスデューサから選択された1つの第1のトランスデューサと1つの第2のトランスデューサとを有する、ステップと、トランスデューサの各対について、誘導される電場の電圧測定値と電流測定値とを受信するステップであって、誘導される電場が、対象の身体の腫瘍を通過する、ステップと、トランスデューサの各対について、電圧測定値と電流測定値とに基づいて、抵抗率を計算するステップと、計算された抵抗率に基づいて、1つまたは複数の推奨されるトランスデューサの対を選択および出力するステップとを含む、コンピュータ実装方法。
【0070】
実施形態20:1つまたは複数の推奨されるトランスデューサの対を選択するステップが、計算された最低の抵抗率を有するトランスデューサの第1の対を選択するステップを含む、実施形態19の方法。
【0071】
実施形態21:1つまたは複数の推奨されるトランスデューサの対を選択するステップが、抵抗率の差の最低の絶対値を有する2対のトランスデューサを選択するステップをさらに含む、実施形態19の方法。
【0072】
実施形態22:複数対のトランスデューサが、対象によって着用されるべきカバー内に設けられる、実施形態19の方法。
【0073】
実施形態23:対象の身体に腫瘍治療場を印加するシステムであって、システムが、対象の身体上の複数対の位置において配置されるように適合された複数のトランスデューサであって、位置の各対が、対象の身体上の第1のトランスデューサを配置するための第1の位置と、対象の身体上の第2のトランスデューサを配置するための第2の位置とを有する、複数のトランスデューサと、トランスデューサのうちの少なくとも2つに結合されるように適合され、結合されたトランスデューサを使用して対象の身体内の腫瘍を治療するために電場を誘導することができる電圧発生器と、電圧発生器に結合されたコントローラとを備え、コントローラが、1つまたは複数のプロセッサと、1つまたは複数のプロセッサによってアクセス可能なメモリとを備え、メモリが、1つまたは複数のプロセッサによって実行されると、コントローラに、対象の身体内の腫瘍を治療するために電場を誘導するための電圧を生成するように電圧発生器に指示することであって、各誘導される電場が、対象の身体上のトランスデューサの位置に対応する、指示することと、誘導される電場の電圧と電流とを取得することと、誘導される電場の電圧と電流とをメモリ内に記憶することと、記録された電圧と記録された電流とに基づいて、抵抗率を計算することと、計算された抵抗率をメモリ内に記憶することとを行わせる命令を記憶する、システム。
【0074】
実施形態24:複数のトランスデューサを有し、対象の身体に接して複数のトランスデューサを配置するように適合されたヘルメットまたは衣服をさらに備え、位置の対が、ヘルメットまたは衣服上の位置に対応し、誘導される電場が、ヘルメットまたは衣服上の位置に対応する、実施形態23のシステム。
【0075】
実施形態25:電圧、電流、および計算された抵抗率が、メモリ内のログファイル内に保存される、実施形態23のシステム。
【0076】
実施形態26:腫瘍治療場を印加するために対象の身体上のトランスデューサの位置を決定するための装置であって、装置が、1つまたは複数のプロセッサと、1つまたは複数のプロセッサによってアクセス可能なメモリとを備え、メモリが、1つまたは複数のプロセッサによって実行されると、装置に、対象の身体上の複数対の位置に対応する位置情報を受信することであって、位置の各対が、第1のトランスデューサを配置するための1つの第1の位置と、第2のトランスデューサを配置するための1つの第2の位置とを有する、受信することと、位置の各対について、第1のトランスデューサと第2のトランスデューサとの間に誘導される電場の電圧情報と電流情報とを受信することであって、誘導される電場が、対象の身体の腫瘍を通過する、受信することと、位置の各対について、電圧情報と電流情報とに基づいて、抵抗率を計算することと、計算された抵抗率に基づいて、1つまたは複数の推奨される位置の対を選択および出力することとを行わせる命令を記憶する、装置。
【0077】
実施形態27:対象の身体内に腫瘍治療場を誘導するための対象の身体上のトランスデューサの配置を決定するコンピュータ実装方法であって、対象の身体の第1の位置において配置された第1のトランスデューサの少なくとも一部と対象の身体の第2の位置において配置された第2のトランスデューサの少なくとも一部との間に誘導された腫瘍治療場に関連する電流測定値と電圧測定値とを受信するステップと、電流測定値と電圧測定値とに基づいて、第1のトランスデューサを配置する対象の身体の更新された第1の位置と、第2のトランスデューサを配置する対象の身体の更新された第2の位置とを選択するステップとを含む、コンピュータ実装方法。
【0078】
実施形態28:電流測定値と電圧測定値とに基づいて、第1のトランスデューサと第2のトランスデューサとの間の腫瘍治療場の経路に沿った対象の身体の抵抗率を計算するステップをさらに含み、更新された第1の位置および更新された第2の位置が、計算された抵抗率に基づいて選択される、実施形態27のコンピュータ実装方法。
【0079】
実施形態29:対象の身体の一部における誘導される電場のシミュレーションに基づいて、対象の身体の第1の位置と、対象の身体の第2の位置とを選択するステップをさらに含む、実施形態27のコンピュータ実装方法。
【0080】
実施形態30:対象の身体の画像上の1つまたは複数の交差する線分対に基づいて、対象の身体の第1の位置と、対象の身体の第2の位置とを選択するステップをさらに含む、実施形態27のコンピュータ実装方法。
【0081】
実施形態31:電流測定値と電圧測定値とに基づいて、対象の身体の一部における誘導される電場の少なくとも1つのシミュレーションを実行するステップをさらに含み、更新された第1の位置および更新された第2の位置が、少なくとも1つのシミュレーションに基づいて選択される、実施形態27のコンピュータ実装方法。
【0082】
実施形態32:少なくとも1つのシミュレーションを実行するステップが、対象の身体の一部における誘導される電場の複数のシミュレーションを実行するステップであって、複数のシミュレーションが、対象の身体の複数対の位置において配置されたトランスデューサ間に誘導される電場に対応する、ステップを含み、更新された第1の位置と更新された第2の位置とを選択するステップが、複数のシミュレーションに基づいて決定された対象の身体内の腫瘍部位における電場強度分布値に従って、複数対の位置をランク付けするステップと、腫瘍部位において最大の電場強度分布値をもたらす対象の身体上の位置の対を、更新された第1の位置および更新された第2の位置として選択するステップとを含む、実施形態31のコンピュータ実装方法。
【0083】
実施形態33:更新された第1の位置および更新された第2の位置が、対象の身体の画像上の1つまたは複数の交差する線分対と、電流測定値と電圧測定値とに基づいて計算された1つまたは複数の抵抗率とに基づいて選択される、実施形態27のコンピュータ実装方法。
【0084】
実施形態34:電流測定値および電圧測定値が、電流測定値と電圧測定値とを決定することができるデバイスに通信可能に結合されたコンピュータのログファイル内に記録される、実施形態27のコンピュータ実装方法。
【0085】
実施形態35:コンピュータが、少なくとも1つのシミュレーションを実行する、実施形態34のコンピュータ実装方法。
【0086】
実施形態36:電圧発生器を介して供給される電力を使用して、腫瘍治療場が、第1のトランスデューサと第2のトランスデューサとの間に誘導され、コンピュータが、電圧発生器の近傍に配置される、実施形態34のコンピュータ実装方法。
【0087】
実施形態37:対象の身体の更新された第1の位置において配置された第1のトランスデューサと対象の身体の更新された第2の位置において配置された第2のトランスデューサとの間に誘導された第2の腫瘍治療場に関連する電流測定値と電圧測定値とを受信するステップと、腫瘍治療場と第2の腫瘍治療場の両方に関連する電流測定値と電圧測定値とに基づいて、第1のトランスデューサを配置する対象の身体上の第2の更新された第1の位置と、第2のトランスデューサを配置する対象の身体上の第2の更新された第2の位置とを選択するステップとを含む、実施形態27のコンピュータ実装方法。
【0088】
実施形態38:腫瘍治療場に関連する電流測定値と電圧測定値とに基づいて、対象の身体を通る第1の経路に沿った第1の抵抗率を計算するステップと、第2の腫瘍治療場に関連する電流測定値と電圧測定値とに基づいて、対象の身体を通る第2の経路に沿った第2の抵抗率を計算するステップと、第1の抵抗率と第2の抵抗率との間の比較に基づいて、対象の身体上の第2の更新された第1の位置と、対象の身体上の第2の更新された第2の位置とを選択するステップとをさらに含む、実施形態37のコンピュータ実装方法。
【0089】
実施形態39:更新された第1の位置が、第1の位置と同じであり、更新された第2の位置が、第2の位置と同じであり、または更新された第1および第2の位置が、第1および第2の位置と同じである、実施形態27のコンピュータ実装方法。
【0090】
実施形態40:第1および第2のトランスデューサが、実質的に平坦な電極要素のアレイを備える、実施形態27のコンピュータ実装方法。
【0091】
実施形態41:第1のトランスデューサおよび第2のトランスデューサが、対象の身体に貼り付けられる、実施形態27のコンピュータ実装方法。
【0092】
実施形態42:第1のトランスデューサが、第1の場所をカバーする衣服に一体化され、第2のトランスデューサが、第2の場所をカバーする衣服に一体化される、実施形態27のコンピュータ実装方法。
【0093】
実施形態43:第1のトランスデューサの第1の位置および第2のトランスデューサの第2の位置が、対象の身体の頭部上にある、実施形態27のコンピュータ実装方法。
【0094】
実施形態44:第1のトランスデューサの第1の位置および第2のトランスデューサの第2の位置が、対象の身体の胴体上にある、実施形態27のコンピュータ実装方法。
【0095】
実施形態45:対象の身体内に腫瘍治療場を誘導するための対象の身体上のトランスデューサの配置を決定するコンピュータ実装方法であって、コンピュータが、1つまたは複数のプロセッサと、1つまたは複数のプロセッサによってアクセス可能なメモリとを備え、メモリが、1つまたは複数のプロセッサによって実行されると、コンピュータに方法を実行させる命令を記憶し、方法が、トランスデューサの対を配置する対象の身体上の第1の位置と対象の身体上の第2の位置とを選択するステップと、対象の身体上の選択された第1の位置において配置された第1のトランスデューサと対象の身体上の選択された第2の位置において配置された第2のトランスデューサとの間に誘導された電場に関連する実際の電流測定値と実際の電圧測定値とを受信するステップであって、誘導された電場が、トランスデューサの対間で印加され、対象の身体内の腫瘍を通過する、ステップと、実際の電流測定値と実際の電圧測定値とに基づいて、トランスデューサの対を配置する対象の身体上の更新された第1の位置と対象の身体上の更新された第2の位置とを選択するステップとを含む、コンピュータ実装方法。
【0096】
実施形態46:受信された実際の電流測定値と実際の電圧測定値とに基づいて、第1のトランスデューサと第2のトランスデューサとの間の経路に沿った対象の身体の抵抗率を計算するステップをさらに含み、更新された第1の位置および更新された第2の位置が、計算された抵抗率に基づいて選択される、実施形態45のコンピュータ実装方法。
【0097】
実施形態47:対象の身体の一部における誘導される電場の少なくとも1つのシミュレーションを生成するステップであって、誘導される電場が、トランスデューサの対間で印加され、対象の身体内の腫瘍を通過し、第1の位置および第2の位置が、少なくとも1つのシミュレーションに基づいて選択される、ステップと、実際の電流測定値と実際の電圧測定値とに基づいて、対象の身体の一部における誘導される電場の少なくとも1つのシミュレーションを更新するステップであって、更新された第1の位置および更新された第2の位置が、少なくとも1つの更新されたシミュレーションに基づいて選択される、ステップとをさらに含む、実施形態45のコンピュータ実装方法。
【0098】
実施形態48:少なくとも1つのシミュレーションを更新するステップが、実際の電流測定値と実際の電圧測定値とに基づいて、対象の身体の一部における誘導される電場の複数のシミュレーションを生成するステップであって、複数のシミュレーションが、対象の身体上の複数対の場所において配置されたトランスデューサ間に誘導される電場に対応する、ステップと、対象の身体上の複数対の位置の各々において配置されたトランスデューサについて、腫瘍における電場強度分布値を計算するステップとを含み、更新された第1の位置と更新された第2の位置とを選択するステップが、電場強度分布値に従って、複数対の位置をランク付けするステップと、腫瘍部位において最大の電場強度分布値をもたらす対象の身体上の位置の対を、更新された第1の位置および更新された第2の位置として選択するステップとを含む、実施形態47のコンピュータ実装方法。
【0099】
実施形態49:対象の身体の部分に対応する画像データの1つまたは複数のセットに基づいて、少なくとも1つのシミュレーションを生成するステップをさらに含む、実施形態47のコンピュータ実装方法。
【0100】
実施形態50:更新された第1の位置および第1の位置が、同じであり、更新された第2の位置および第2の位置が、同じであり、または更新された第1および第2の位置が、第1および第2の位置と同じである、実施形態47のコンピュータ実装方法。
【0101】
実施形態51:腫瘍治療場を誘導するために対象の身体にトランスデューサを配置する位置を識別するための命令を含む非一時的コンピュータ可読媒体であって、命令が、コンピュータによって実行されると、コンピュータに、トランスデューサの対を配置する対象の身体上の第1の位置と対象の身体上の第2の位置とを選択するステップと、対象の身体上の選択された第1の位置において配置された第1のトランスデューサと対象の身体上の選択された第2の位置において配置された第2のトランスデューサとの間に誘導される電場に関連する実際の電流測定値と実際の電圧測定値とを受信するステップであって、電場が、対象の身体内の腫瘍を通過する、ステップと、実際の電流測定値と実際の電圧測定値とに基づいて、トランスデューサを配置する対象の身体上の更新された第1の位置と対象の身体上の更新された第2の位置とを選択するステップと、対象の身体上のトランスデューサを配置する更新された第1の位置と更新された第2の位置とを出力するステップとを含む方法を実行させる、非一時的コンピュータ可読媒体。
【0102】
実施形態52:腫瘍治療場を誘導するために対象の身体上のトランスデューサの配置を決定するコンピュータ実装方法であって、コンピュータが、1つまたは複数のプロセッサと、1つまたは複数のプロセッサによってアクセス可能なメモリとを備え、メモリが、1つまたは複数のプロセッサによって実行されると、コンピュータに方法を実行させる命令を記憶し、方法が、トランスデューサの第1の対を配置する対象の身体上の第1の位置と第2の位置とを選択するステップと、トランスデューサの第2の対を配置する対象の身体上の第3の位置と第4の位置とを選択するステップと、対象の身体上の選択された第1および第2の位置において配置されたトランスデューサの第1の対間に誘導される第1の電場に関連する実際の電流測定値と実際の電圧測定値とを受信するステップであって、第1の電場がトランスデューサの第1の対間で印加され、対象の身体内の腫瘍を通過する、ステップと、対象の身体上の選択された第3および第4の位置において配置されたトランスデューサの第2の対間に誘導される第2の電場に関連する実際の電流測定値と実際の電圧測定値とを受信するステップであって、第2の電場がトランスデューサの第2の対間で印加され、対象の身体内の腫瘍を通過する、ステップと、第1の電場に関連する実際の電流測定値と実際の電圧測定値とに基づいて、第1のトランスデューサと第2のトランスデューサとの間の経路に沿った対象の身体の第1の抵抗率を計算するステップと、第2の電場に関連する実際の電流測定値と実際の電圧測定値とに基づいて、第3のトランスデューサと第4のトランスデューサとの間の経路に沿った対象の身体の第2の抵抗率を計算するステップと、計算された第1の抵抗率と第2の抵抗率とに基づいて、トランスデューサの第1の対を配置する対象の身体上の更新された第1の位置と対象の身体上の更新された第2の位置と、トランスデューサの第2の対を配置する対象の身体上の更新された第3の位置と対象の身体上の更新された第4の位置とを選択するステップとを含む、コンピュータ実装方法。
【0103】
実施形態53:対象の身体上の更新された第1、第2、第3、および第4の位置を選択するステップが、第1および第2のトランスデューサの位置の複数の第1の対のうちのどの第1の対と、第3および第4のトランスデューサの位置の複数の第2の対のうちのどの第2の対とが、第1の対と第2の対との間の最低の抵抗率の差をもたらすかを決定するステップを含む、実施形態52のコンピュータ実装方法。
【0104】
実施形態54:対象の身体の一部内に誘導される交互の第1の電場および第2の電場の少なくとも1つのシミュレーションを生成するステップであって、対象の身体上の第1、第2、第3、および第4の位置が、少なくとも1つのシミュレーションに基づいて選択される、ステップと、計算された第1の抵抗率と第2の抵抗率とを含むように、少なくとも1つのシミュレーションを更新するステップであって、更新された第1、第2、第3、および第4の位置が、少なくとも1つの更新されたシミュレーションに基づいて選択される、ステップとをさらに含む、実施形態52のコンピュータ実装方法。
【0105】
特許請求の範囲において定義された本発明の範囲から逸脱することなく、説明した実施形態に対する修正、改変、および変更が可能である。本発明は、特許請求の範囲の文言およびその均等物によって定義される全範囲を有する。
【符号の説明】
【0106】
401 トランスデューサ
402 トランスデューサ
403 トランスデューサ
404 トランスデューサ
405 トランスデューサアレイ
501 トランスデューサ
502 トランスデューサ
503 電極要素
504 基板
505 電極要素
506 基板
507 AC電圧発生器、電圧発生器
508 コントローラ
509 導電性配線
510 導電性配線
513 プロセッサ
514 メモリ
600 装置
601 入力
602 プロセッサ
603 メモリ
605 出力デバイス
702 画像データ
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【国際調査報告】