(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-25
(54)【発明の名称】三環式化合物、及びその調製方法、及びその医薬的使用
(51)【国際特許分類】
C07C 215/68 20060101AFI20240118BHJP
C07D 491/056 20060101ALI20240118BHJP
C07D 319/24 20060101ALI20240118BHJP
C07D 471/04 20060101ALI20240118BHJP
C07D 491/048 20060101ALI20240118BHJP
C07D 209/88 20060101ALI20240118BHJP
C07D 265/38 20060101ALI20240118BHJP
C07D 307/91 20060101ALI20240118BHJP
C07D 311/82 20060101ALI20240118BHJP
A61K 31/436 20060101ALI20240118BHJP
A61K 31/4355 20060101ALI20240118BHJP
A61K 31/437 20060101ALI20240118BHJP
A61K 31/4985 20060101ALI20240118BHJP
A61K 31/538 20060101ALI20240118BHJP
A61K 31/357 20060101ALI20240118BHJP
A61P 1/00 20060101ALI20240118BHJP
A61P 3/04 20060101ALI20240118BHJP
A61P 9/00 20060101ALI20240118BHJP
A61P 11/00 20060101ALI20240118BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20240118BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20240118BHJP
A61P 27/02 20060101ALI20240118BHJP
A61P 27/14 20060101ALI20240118BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20240118BHJP
A61P 37/02 20060101ALI20240118BHJP
A61K 31/404 20060101ALI20240118BHJP
C07C 213/06 20060101ALI20240118BHJP
C07C 217/76 20060101ALI20240118BHJP
【FI】
C07C215/68
C07D491/056 CSP
C07D319/24
C07D471/04 104Z
C07D491/048
C07D209/88
C07D265/38
C07D307/91
C07D311/82
A61K31/436
A61K31/4355
A61K31/437
A61K31/4985
A61K31/538
A61K31/357
A61P1/00
A61P3/04
A61P9/00
A61P11/00
A61P17/00
A61P25/00
A61P27/02
A61P27/14
A61P35/00
A61P37/02
A61K31/404
C07C213/06
C07C217/76
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023540171
(86)(22)【出願日】2021-12-27
(85)【翻訳文提出日】2023-08-28
(86)【国際出願番号】 CN2021141502
(87)【国際公開番号】W WO2022143489
(87)【国際公開日】2022-07-07
(31)【優先権主張番号】202011591150.6
(32)【優先日】2020-12-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508010385
【氏名又は名称】中国医▲薬▼研究▲開▼▲発▼中心有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】殷 惠▲軍▼
(72)【発明者】
【氏名】▲ヤン▼ 旭
(72)【発明者】
【氏名】▲劉▼ 国▲標▼
(72)【発明者】
【氏名】史 建新
(72)【発明者】
【氏名】▲陳▼ 士柱
【テーマコード(参考)】
4C050
4C065
4C086
4H006
【Fターム(参考)】
4C050AA01
4C050AA07
4C050BB07
4C050BB08
4C050CC16
4C050CC18
4C050EE01
4C050EE02
4C050FF01
4C050FF02
4C050GG01
4C050GG04
4C050HH01
4C065AA04
4C065AA18
4C065BB06
4C065CC09
4C065DD02
4C065EE02
4C065HH04
4C065JJ07
4C065KK09
4C065LL00
4C065QQ02
4C065QQ05
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086AA04
4C086BA13
4C086BA15
4C086BC05
4C086BC12
4C086BC13
4C086BC74
4C086CB05
4C086CB22
4C086MA01
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4C086NA14
4C086ZA02
4C086ZA33
4C086ZA36
4C086ZA59
4C086ZA66
4C086ZA70
4C086ZA89
4C086ZB07
4C086ZB26
4H006AA01
4H006AA02
4H006AA03
4H006AB20
4H006AC52
4H006BM20
4H006BM71
4H006BN10
4H006BP20
4H006BU48
(57)【要約】
一般式(I)により表される構造を有する三環式化合物、その医薬組成物、その調製方法、並びに毒性アルデヒドによって引き起こされる多彩な疾患の防止及び処置におけるその使用。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】
(式中、
A
1は、N及びCR
1からなる群から選択され、
A
2は、N及びCR
2からなる群から選択され、
L
1及びL
2はそれぞれ、単結合、CR
cR
d、NR
c、O及びS(O)
mからなる群から独立して選択され、L
1及びL
2が、同時に単結合ではなく、
環Aは、芳香族環、ヘテロ芳香族環及びヘテロ環からなる群から選択され、芳香族環、ヘテロ芳香族環及びヘテロ環がそれぞれ、任意選択で、ハロゲン、アミノ、ニトロ、シアノ、オキソ、ヒドロキシ、チオール、カルボキシ、エステル基、アルキル、アルコキシ、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、-C(O)R
a、-O(O)CR
a、-C(O)OR
a、-C(O)NR
aR
b、-NHC(O)R
a、-S(O)
mR
a、-S(O)
mNR
aR
b及び-NHS(O)
mR
aからなる群から選択される1個又は複数の置換基により更に置換されており、
R
1及びR
2はそれぞれ、水素、ハロゲン、アミノ、ニトロ、シアノ、ヒドロキシ、チオール、オキソ、アルキル、アルコキシ、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、-C(O)R
a、-O(O)CR
a、-C(O)OR
a、-C(O)NR
aR
b、-NHC(O)R
a、-S(O)
mR
a、-S(O)
mNR
aR
b及び-NHS(O)
mR
aからなる群から独立して選択され、
R
c及びR
dはそれぞれ、水素、ハロゲン、アミノ、ニトロ、シアノ、オキソ、ヒドロキシ、チオール、カルボキシ、エステル基、アルキル、アルコキシ、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、-C(O)R
a、-O(O)CR
a、-C(O)OR
a、-C(O)NR
aR
b、-NHC(O)R
a、-S(O)
mR
a、-S(O)
mNR
aR
b及び-NHS(O)
mR
aからなる群から独立して選択され、アルキル、アルコキシ、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール及びヘテロアリールがそれぞれ、任意選択で、ハロゲン、アミノ、ニトロ、シアノ、ヒドロキシ、チオール、オキソ、アルキル、アルコキシ、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール及びヘテロアリールからなる群から選択される1個又は複数の置換基により更に置換されており、
R
5及びR
6はそれぞれ、水素、ハロゲン、アミノ、シアノ、ヒドロキシ、チオール、アルキル、アルコキシ、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール及びヘテロアリールからなる群から独立して選択され、アルキル、アルコキシ、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール及びヘテロアリールがそれぞれ、任意選択で、ハロゲン、アミノ、ニトロ、シアノ、ヒドロキシ、チオール、カルボキシ、エステル基、オキソ、アルキル、アルコキシ、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール及びヘテロアリールからなる群から選択される1個若しくは複数の置換基により更に置換されており、
又は、R
5及びR
6が、これらに付着した炭素原子と一緒に、シクロアルキル若しくはヘテロシクリルを形成し、シクロアルキル若しくはヘテロシクリルが、任意選択で、ハロゲン、アミノ、ニトロ、シアノ、ヒドロキシ、チオール、カルボキシ、エステル基、オキソ、アルキル、アルコキシ、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール及びヘテロアリールからなる群から選択される1個若しくは複数の置換基により更に置換されており、
R
a及びR
bはがそれぞれ、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール及びヘテロアリールからなる群から独立して選択され、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール及びヘテロアリールがそれぞれ、任意選択で、ハロゲン、アミノ、ニトロ、シアノ、ヒドロキシ、チオール、カルボキシ、エステル基、オキソ、アルキル、アルコキシ、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール及びヘテロアリールからなる群から選択される1個若しくは複数の置換基により更に置換されており、
又は、R
a及びR
bが、これらに付着した窒素原子と一緒に、窒素含有ヘテロシクリルを形成し、窒素含有ヘテロシクリルは、任意選択で、ハロゲン、アミノ、ニトロ、シアノ、オキソ、ヒドロキシ、チオール、カルボキシ、エステル基、アルキル、アルコキシ、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール及びヘテロアリールからなる群から選択される1個若しくは複数の置換基により更に置換されており、
mは、0から2の整数である)の化合物、又はそのメソマー、ラセミ化合物、鏡像異性体、ジアステレオ異性体、又はそれらの混合物、又はそれらのプロドラッグ、又は医薬として許容できるそれらの塩。
【請求項2】
環Aが、芳香族環及びヘテロ芳香族環、好ましくは6-員環芳香族環又は5-から6-員環ヘテロ芳香族環、より好ましくはベンゼン環又はピリジン環からなる群から選択され、芳香族環及びヘテロ芳香族環がそれぞれ、任意選択で、ハロゲン、アミノ、ニトロ、シアノ、オキソ、ヒドロキシ、チオール、カルボキシ、エステル基、アルキル、アルコキシ、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、-C(O)R
a、-O(O)CR
a、-C(O)OR
a、-C(O)NR
aR
b、-NHC(O)R
a、-S(O)
mR
a、-S(O)
mNR
aR
b及び-NHS(O)
mR
aからなる群から選択される1個又は複数の置換基により更に置換されており、好ましくはハロゲンにより置換されており、
R
a及びR
bがそれぞれ、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール及びヘテロアリールからなる群から独立して選択され、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール及びヘテロアリールがそれぞれ、任意選択で、ハロゲン、アミノ、ニトロ、シアノ、ヒドロキシ、チオール、カルボキシ、エステル基、オキソ、アルキル、アルコキシ、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール及びヘテロアリールからなる群から選択される1個若しくは複数の置換基により更に置換されており、
又は、R
a及びR
bが、これらに付着した窒素原子と一緒に、窒素含有ヘテロシクリルを形成し、窒素含有ヘテロシクリルが、任意選択で、ハロゲン、アミノ、ニトロ、シアノ、オキソ、ヒドロキシ、チオール、カルボキシ、エステル基、アルキル、アルコキシ、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール及びヘテロアリールからなる群から選択される1個若しくは複数の置換基により更に置換されており、
mが、0から2の整数である、請求項1に記載の式(I)の化合物。
【請求項3】
A
1が、CR
1から選択され、
A
2が、N及びCR
2からなる群から選択され、
R
1及びR
2がそれぞれ、水素、ハロゲン、アミノ、ニトロ、シアノ、ヒドロキシ、チオール、オキソ、アルキル、アルコキシ、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、-C(O)R
a、-O(O)CR
a、-C(O)OR
a、-C(O)NR
aR
b、-NHC(O)R
a、-S(O)
mR
a、-S(O)
mNR
aR
b及び-NHS(O)
mR
aからなる群から独立して選択され、
R
a、R
b及びmが、請求項1に規定されている通りである、請求項1又は2に記載の式(I)の化合物。
【請求項4】
式(II)
【化2】
(式中、
A
2が、N又はCHであり、
A
3が、N又はCHであり、
A
4が、N又はCHであり、
L
1及びL
2がそれぞれ、単結合、CR
cR
d、NR
c、O及びS(O)
mからなる群から独立して選択され、L
1及びL
2が、同時に単結合ではなく、
各R
7は、水素、ハロゲン、アミノ、ニトロ、シアノ、オキソ、ヒドロキシ、チオール、カルボキシ、エステル基、アルキル、アルコキシ、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、-C(O)R
a、-O(O)CR
a、-C(O)OR
a、-C(O)NR
aR
b、-NHC(O)R
a、-S(O)
mR
a、-S(O)
mNR
aR
b及び-NHS(O)
mR
aからなる群から独立して選択され、
nは、0、1、2又は3であり、
R
5、R
6、R
a、R
b、R
c、R
d及びmが、請求項1に規定されている通りである)の化合物である、請求項1から3のいずれか一項に記載の式(I)の化合物。
【請求項5】
L
1が、単結合、CR
cR
d、NR
c及びOからなる群から選択され、
L
2が、単結合、NR
c及びOからなる群から選択され、
R
c及びR
dがそれぞれ、水素、ハロゲン、C
1~C
6アルキル、C
1~C
6アルコキシ、-O(O)CR
a及びベンジルからなる群から独立して選択され、R
aは、C
1~C
6アルキルから選択される、請求項1から4のいずれか一項に記載の式(I)の化合物。
【請求項6】
R
5及びR
6がそれぞれ、水素、ハロゲン、アミノ、C
1~C
6アルキル及びC
3~C
6シクロアルキルからなる群から独立して選択され、C
1~C
6アルキルが、任意選択で、ハロゲンから選択される1個若しくは複数の置換基により更に置換されており、
又は、R
5及びR
6が、これらに付着した炭素原子と一緒に、C
3~C
6シクロアルキル若しくは5-から7-員環ヘテロシクリルを形成し、シクロアルキル若しくはヘテロシクリルが、任意選択で、ハロゲン、アミノ、ニトロ、シアノ、ヒドロキシ、チオール、カルボキシ、エステル基、オキソ、アルキル、アルコキシ、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール及びヘテロアリールからなる群から選択される1個若しくは複数の置換基により更に置換されており、
好ましくは、R
5及びR
6が、C
1~C
6アルキルである、請求項1から5のいずれか一項に記載の式(I)の化合物。
【請求項7】
化合物が、
【化3】
からなる群から選択される、請求項1から6のいずれか一項に記載の式(I)の化合物。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載の式(I)の化合物を調製するための方法であって、以下の
【化4】
(式中、A
1、A
2、環A、L
1、L
2、R
5及びR
6は、請求項1に規定されている通りである)
化合物IgとアルキルGrignard試薬を反応させて、式(I)の化合物を得、アルキルGrignard試薬が、好ましくは塩化メチルマグネシウム又は臭化メチルマグネシウムである工程を含む、方法。
【請求項9】
請求項1から7のいずれか一項に記載の式(I)の化合物、及び医薬として許容できる担体を含む医薬組成物。
【請求項10】
請求項1から7のいずれか一項に記載の式(I)の化合物、又は請求項9に記載の医薬組成物の、毒性アルデヒド捕捉剤の調製における使用。
【請求項11】
請求項1から7のいずれか一項に記載の式(I)の化合物、又は請求項9に記載の医薬組成物の、活性カルボニル化合物に関連した疾患を防止及び/又は処置するための医薬の調製における使用であって、疾患が、好ましくは眼疾患、皮膚疾患、自己免疫性疾患、消化器系疾患、心血管疾患、呼吸器系疾患、神経変性疾患、肥満、癌及び加齢性疾患であり、眼疾患が、好ましくは非感染性ブドウ膜炎、アレルギー性結膜炎及びドライアイである、使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、新規な三環式化合物、同化合物を含む医薬組成物、それらを調製するための方法、並びに毒性アルデヒドによって引き起こされる様々な疾患の防止及び処置におけるそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
活性カルボニル含有化合物、例えばアルデヒドは一般的に、1個又は複数のカルボニル基を含有する、任意の高度に活性な求電子性化合物を指す。これらは、幅広い供給源から生じ、様々な生活行動及び生理学的活性に加わる。アルデヒドは、空気、水及び土壌から食品、日用品及び室内居住空間まで環境の至る所にある(Koren及びBisesi、CRC press、2002年)。アルデヒドの天然供給源は、植物、動物、微生物及び自然の生命現象(O'Brienら、Critical reviews in toxicology、2005年、35(7):609~662頁)を含む。それらのうち、植物はアルデヒドの主な供給源であり、例えばバニリン、シンナムアルデヒド、ベンズアルデヒド、シトラール及びクロトンアルデヒドは、通常植物に由来するアルデヒドである(Koren及びBisesi、CRC press、2002年;Feronら、Mutation Research/Genetic Toxicology、1991年、259(3~4):363~385頁)。人工供給源は、自動車排気、物質燃焼、タバコの喫煙、一部の食品の焼き過ぎ、産業排出等を主に含み、これらの供給源から生じたアルデヒドは、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド、プロピオンアルデヒド、アクロレイン、グリオキサール、グルタルアルデヒド、クロトンアルデヒド、m-トルアルデヒド、2,5-ジメチルベンズアルデヒド、3-ヒドロキシベンズアルデヒド等を含む(Koren及びBisesi、CRC press、2002年;O'Brienら、Critical reviews in toxicology、2005年、35(7):609~662頁;Marnettら、Health Effects Institute. National Academy、1988年)。これらの供給源に加えて、アルデヒドは、様々な生理学的プロセスを通して体においても生成され、例えば、アルデヒドは、内因性経路、例えば脂質過酸化、薬物及び食品の生体内変化、生合成及び異化経路における中間体、並びに酵素反応の最終生成物で生成される(Feronら、Mutation Research/Genetic Toxicology、1991年、259(3~4):363~385頁;O'Brienら、Critical reviews in toxicology、2005年、35(7):609~662頁)。一般的に、これらの代謝経路を通して生成されたアルデヒドは、4-ヒドロキシ-2-ノネナール、ノネナール、アセトアルデヒド、アクロレイン、グルタミン酸γ-セミアルデヒド、マロンジアルデヒド、グリオキサール、メチルグリオキサール、グリコールアルデヒド、グリセルアルデヒド、ラクトアルデヒド等を含む(Esterbauerら、Free radical Biology and medicine、1991年、11(1):81~128頁;Voulgaridouら、Mutation Research/Fundamental and Molecular Mechanisms of Mutagenesis、2011年、711(1~2):13~27頁;Nelsonら、Current opinion in pharmacology、2017年、33:56~63頁;Barreraら、Antioxidants & redox signaling、2015年、22(18):1681~1702頁)。
【0003】
大半の活性カルボニル化合物は、高い反応性を有し、求電子剤として作用して求核剤との付加反応を受け得る。この求電子性-求核性反応、及び生じた付加体が、アルデヒドの生理学的機能及び毒性の主な理由である。過剰発現及び排泄障害は、ミトコンドリア攪乱、膜損傷、小胞体ストレス、炎症伝達物質活性化、免疫機能不全等に関与するが、それらに限定されない(Mogheら、Toxicological Sciences、2015年、143(2):242~255頁)。例えば、脂質過酸化中に生成された4-ヒドロキシ-2-ノネナール及びノネナールは、生理系において低分子量化合物又は高分子(例えばタンパク質及びDNA)と容易に反応し得、付加体-関連疾患は、癌、神経変性疾患、慢性炎症性疾患、自己免疫性疾患等を含むことを実証する報告が存在する(Barreraら、Antioxidants & redox signaling、2015年、22(18):1681~1702頁)。アルデヒドは、通常の生理系において平衡状態であり、この平衡が乱された場合、アルデヒドとタンパク質、核酸及びリン脂質の付加体の生成、並びに高度脂質酸化最終生成物(ALE)及び高度糖化最終生成物(AGE)が生成及び蓄積が発生する(Singhら、The Korean Journal of Physiology & Pharmacology、2014年、18(1):1~14頁)。例えば、グルコース代謝の副生成物であるメチルグリオキサールは、タンパク質においてアルギニン(Arg)及びリジン(Lys)と付加させて、イミダゾリジノン及びカルボキシエチルリジンを形成できることができ、炭水化物及びアスコルビン酸塩の自動酸化の生成物であるグリオキサールは、Lysとカルボキシメチルリジンを形成し得る。ジカルボニル基は、タンパク質の機能部位に位置する可能性がきわめて高いArg残基と直接的かつ特異的に反応し得る。したがって、Arg修飾により、側鎖グアニジノ基及び重要な機能Arg残基が失われる。通常条件下で、タンパク質カルボニル化レベルは、通常1から5%であるが、加齢及び疾患によりレベルは上昇する。メチルグリオキサール及びグリオキサールにより修飾されたタンパク質は、体にミスフォールディングタンパク質として認識され、プロテアソームによって直接分解される(Thornalleyら、Nucleic acids research、2010年、38(16):5432~5442頁)。
【0004】
反応性カルボニル化合物によって引き起こされるカルボニルストレスは、タンパク質及び遺伝物質の非特異的修飾を引き起こし得、これが細胞毒性を生じる。カルボニルストレスは、ミトコンドリアタンパク質の機能不全を媒介し得、反応性酸素種形成(Yao及びBrownlee、Diabetes、2010年、59(1):249~255頁)、結晶性及び炎症性タンパク質の発現(Yao及びBrownlee、Diabetes、2010年、59(1):249~255頁;Ahmedら、Diabetologia、2005年、48(8):1590~1603頁)、脂質に関連するリポタンパク質異常(Rabbaniら、Diabetologia. 233 SPRING ST、NEW YORK、NY 10013 USA:SPRINGER、2009年、52:S498~S499頁)、ミトコンドリアアポトーシス経路の活性化(Chanら、Journal of cellular biochemistry、2007年、100(4):1056~1069頁)並びに細胞外マトリックスからの細胞剥離及びアポトーシス(Doblerら、Diabetes、2006年、55(7):1961~1969頁)を増加させる。カルボニルストレスに加えて、反応性カルボニル種によって引き起こされるタンパク質損傷は、反応性酸素種の生成により形成される酸化ストレスが亢進することにより、特定のタンパク質のアミノ酸側鎖残基も修飾され得、これがタンパク質のカルボニル化、並びにタンパク質活性及び機能における変化を生じる。タンパク質のカルボニル化は、ポリペプチド鎖の空間的立体配座を可逆的又は不可逆的に変化させ、かつタンパク質活性を部分的又は完全に阻害し、それにより細胞の機能不全及び組織損傷を引き起こす。
【0005】
更に、高度反応性カルボニル化合物は、酵素構造の修飾を通した酵素活性の低下も引き起こし得る。例えば、肝臓ミトコンドリアシトクロムCの還元酵素活性は、タンパク質のカルボニル化とマイナスに相関しており、これは、タンパク質の酸化は、酵素活性を著しく低下させ得ることを指し示す(Brunoら、Journal of proteome research、2009年、8(4):2070~2078頁)。活性カルボニル種は、重要な細胞酵素、例えばグルタチオン還元酵素及び過酸化酵素を阻害することによりタンパク質の酸化及びカルボニル化を増進させる(Shangariら、Biochemical pharmacology、2006年、71(11):1610~1618頁)。ヒト及びマウスにおける、脂肪細胞の脂肪酸-結合タンパク質-4及び表皮の脂肪酸-結合タンパク質-5のカルボニル化により、脂肪酸に結合する能力が低下し、脂肪分解及び肥満を低下させる。脂肪酸輸送体は、カルボニル化にも感受性がある2つのシステイン(Cys)残基を含む(Febbraioら、Cellular Lipid Binding Proteins. Springer、Boston、MA、2002年:193~197頁)。脂肪酸-結合タンパク質は、酸化された反応性長鎖脂肪酸に結合又は架橋することにより長鎖脂肪酸の脂肪毒性を防止し、肝臓の脂肪酸-結合タンパク質欠乏は、非アルコール性脂肪肝を非アルコール性脂肪性肝炎に変換する(Charltonら、Hepatology、2009年、49(4):1375~1384頁)。
【0006】
反応性酸素種と比較して、脂質及び炭水化物に由来する反応性カルボニル種は、より安定しており、細胞分解に組み込まれることがあり、又は回避さえすることがあり、形成されると標的を攻撃する。したがって、これらの可溶性の活性伝達物質及びAGE前駆体は、細胞毒性であるだけではなく、酸化ストレス及び組織損傷の伝達物質及びコミュニケーターとしても作用し、体中の様々な疾患の危険因子である「細胞毒性のセカンドメッセンジャー」の役割を果たす。研究により、活性カルボニル種に関連するヒト疾患は、心血管疾患、例えばアテローム性動脈硬化、高血圧、心肺機能不全;呼吸器系疾患、例えば気道神経炎症、慢性閉塞性肺疾患、呼吸器アレルギー、喘息;神経変性疾患、例えばアルツハイマー病;糖尿病及びその合併症;眼疾患、例えばドライアイ、白内障、網膜症、円錐角膜、Fuchs'内皮ジストロフィー、網膜色素変性症、緑内障、アレルギー性結膜炎、ブドウ膜炎;皮膚疾患、例えば乾癬、接触性皮膚炎、アトピー性皮膚炎、座瘡、Sjogren's症候群;自己免疫性疾患、例えば紅斑性狼瘡;神経疾患、例えば自閉症、中枢神経系毒性、筋萎縮性側索硬化症;消化器系疾患、例えばニューロヘパタイティス(neurohepatitis)、アルコール性肝疾患、非アルコール性脂肪性肝疾患、潰瘍性結腸炎;並びに肥満、癌及び加齢性疾患を含むことが報告されている。したがって、活性カルボニル種の減少又は排泄は、これらの病理学的症状を改善又は緩和し得る。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Koren及びBisesi、CRC press、2002年
【非特許文献2】O'Brienら、Critical reviews in toxicology、2005年、35(7):609~662頁
【非特許文献3】Feronら、Mutation Research/Genetic Toxicology、1991年、259(3~4):363~385頁
【非特許文献4】Marnettら、Health Effects Institute. National Academy、1988年
【非特許文献5】Esterbauerら、Free radical Biology and medicine、1991年、11(1):81~128頁
【非特許文献6】Voulgaridouら、Mutation Research/Fundamental and Molecular Mechanisms of Mutagenesis、2011年、711(1~2):13~27頁
【非特許文献7】Nelsonら、Current opinion in pharmacology、2017年、33:56~63頁
【非特許文献8】Barreraら、Antioxidants & redox signaling、2015年、22(18):1681~1702頁
【非特許文献9】Mogheら、Toxicological Sciences、2015年、143(2):242~255頁
【非特許文献10】Singhら、The Korean Journal of Physiology & Pharmacology、2014年、18(1):1~14頁
【非特許文献11】Thornalleyら、Nucleic acids research、2010年、38(16):5432~5442頁
【非特許文献12】Yao及びBrownlee、Diabetes、2010年、59(1):249~255頁
【非特許文献13】Ahmedら、Diabetologia、2005年、48(8):1590~1603頁
【非特許文献14】Rabbaniら、Diabetologia. 233 SPRING ST、NEW YORK、NY 10013 USA:SPRINGER、2009年、52:S498~S499頁
【非特許文献15】Chanら、Journal of cellular biochemistry、2007年、100(4):1056~1069頁
【非特許文献16】Doblerら、Diabetes、2006年、55(7):1961~1969頁
【非特許文献17】Brunoら、Journal of proteome research、2009年、8(4):2070~2078頁
【非特許文献18】Shangariら、Biochemical pharmacology、2006年、71(11):1610~1618頁
【非特許文献19】Febbraioら、Cellular Lipid Binding Proteins. Springer、Boston、MA、2002年:193~197頁
【非特許文献20】Charltonら、Hepatology、2009年、49(4):1375~1384頁
【非特許文献21】T. W. Greene及びG. M. Wuts「Protective Groups in Organic Synthesis」(第3版、Wiley、New York、1999年及び書籍内の引用)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
反応性カルボニル種の捕捉剤として作用する小分子治療薬(例えばマロンジアルデヒド、4-ヒドロキシノネナール)を投与することによる反応性カルボニル種に関連した様々な状態の処置が、当業界では提案されていない。したがって、活性カルボニル毒性が病因に関与し、かつ/又はそのような疾患又は状態の危険性を低下させる疾患又は状態を処置、防止する必要性がある。本発明は、そのような必要性に対処する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
詳しい調査の後で、本発明者らは、活性カルボニル化合物に関連した疾患を防止及び処置するために使用できる一連の三環式化合物を設計し、合成した。
【0010】
したがって、本発明の目的は、式(I)
【0011】
【0012】
(式中、
A1は、N及びCR1からなる群から選択され、
A2は、N及びCR2からなる群から選択され、
L1及びL2はそれぞれ、単結合、CRcRd、NRc、O及びS(O)mからなる群から独立して選択され、L1及びL2は、同時に単結合ではなく、
環Aは、芳香族環、ヘテロ芳香族環及びヘテロ環(heterlcyclic)からなる群から選択され、芳香族環、ヘテロ芳香族環及びヘテロ環はそれぞれ、任意選択で、ハロゲン、アミノ、ニトロ、シアノ、オキソ、ヒドロキシ、チオール、カルボキシ、エステル基、アルキル、アルコキシ、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、-C(O)Ra、-O(O)CRa、-C(O)ORa、-C(O)NRaRb、-NHC(O)Ra、-S(O)mRa、-S(O)mNRaRb及び-NHS(O)mRaからなる群から選択される1個又は複数の置換基により更に置換されており、
R1及びR2はそれぞれ、水素、ハロゲン、アミノ、ニトロ、シアノ、ヒドロキシ、チオール、オキソ、アルキル、アルコキシ、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、-C(O)Ra、-O(O)CRa、-C(O)ORa、-C(O)NRaRb、-NHC(O)Ra、-S(O)mRa、-S(O)mNRaRb及び-NHS(O)mRaからなる群から独立して選択され、
Rc及びRdはそれぞれ、水素、ハロゲン、アミノ、ニトロ、シアノ、オキソ、ヒドロキシ、チオール、カルボキシ、エステル基、アルキル、アルコキシ、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、-C(O)Ra、-O(O)CRa、-C(O)ORa、-C(O)NRaRb、-NHC(O)Ra、-S(O)mRa、-S(O)mNRaRb及び-NHS(O)mRaからなる群から独立して選択され、アルキル、アルコキシ、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール及びヘテロアリールはそれぞれ、任意選択で、ハロゲン、アミノ、ニトロ、シアノ、ヒドロキシ、チオール、オキソ、アルキル、アルコキシ、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール及びヘテロアリールからなる群から選択される1個又は複数の置換基により更に置換されており、
R5及びR6はそれぞれ、水素、ハロゲン、アミノ、シアノ、ヒドロキシ、チオール、アルキル、アルコキシ、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール及びヘテロアリールからなる群から独立して選択され、アルキル、アルコキシ、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール及びヘテロアリールはそれぞれ、任意選択で、ハロゲン、アミノ、ニトロ、シアノ、ヒドロキシ、チオール、カルボキシ、エステル基、オキソ、アルキル、アルコキシ、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール及びヘテロアリールからなる群から選択される1個若しくは複数の置換基により更に置換されており、
又は、R5及びR6は、これらに付着した炭素原子と一緒に、シクロアルキル若しくはヘテロシクリルを形成し、シクロアルキル若しくはヘテロシクリルは、任意選択で、ハロゲン、アミノ、ニトロ、シアノ、ヒドロキシ、チオール、カルボキシ、エステル基、オキソ、アルキル、アルコキシ、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール及びヘテロアリールからなる群から選択される1個若しくは複数の置換基により更に置換されており、
Ra及びRbはそれぞれ、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール及びヘテロアリールからなる群から独立して選択され、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール及びヘテロアリールはそれぞれ、任意選択で、ハロゲン、アミノ、ニトロ、シアノ、ヒドロキシ、チオール、カルボキシ、エステル基、オキソ、アルキル、アルコキシ、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール及びヘテロアリールからなる群から選択される1個若しくは複数の置換基により更に置換されており、
又は、Ra及びRbは、これらに付着した窒素原子と一緒に、窒素含有ヘテロシクリルを形成し、窒素含有ヘテロシクリルは、任意選択で、ハロゲン、アミノ、ニトロ、シアノ、オキソ、ヒドロキシ、チオール、カルボキシ、エステル基、アルキル、アルコキシ、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール及びヘテロアリールからなる群から選択される1個若しくは複数の置換基により更に置換されており、
mは、0から2の整数である)の化合物、又はそのメソマー、ラセミ化合物、鏡像異性体、ジアステレオ異性体、又はそれらの混合物、又はそれらのプロドラッグ、又は医薬として許容できるそれらの塩を提供することである。
【0013】
好ましい実施形態では、本発明による式(I)の化合物、又はそのメソマー、ラセミ化合物、鏡像異性体、ジアステレオ異性体、又はそれらの混合物、又はそれらのプロドラッグ、又は医薬として許容できるそれらの塩において、
環Aは、芳香族環及びヘテロ芳香族環、好ましくは6-員環芳香族環又は5-から6-員環ヘテロ芳香族環、より好ましくはベンゼン環又はピリジン環からなる群から選択され、芳香族環及びヘテロ芳香族環はそれぞれ、任意選択で、ハロゲン、アミノ、ニトロ、シアノ、オキソ、ヒドロキシ、チオール、カルボキシ、エステル基、アルキル、アルコキシ、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、-C(O)Ra、-O(O)CRa、-C(O)ORa、-C(O)NRaRb、-NHC(O)Ra、-S(O)mRa、-S(O)mNRaRb及び-NHS(O)mRaからなる群から選択される1個又は複数の置換基により更に置換されており、好ましくはハロゲンにより置換されており、
Ra及びRbはそれぞれ、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール及びヘテロアリールからなる群から独立して選択され、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール及びヘテロアリールはそれぞれ、任意選択で、ハロゲン、アミノ、ニトロ、シアノ、ヒドロキシ、チオール、カルボキシ、エステル基、オキソ、アルキル、アルコキシ、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール及びヘテロアリールからなる群から選択される1個若しくは複数の置換基により更に置換されており、
又は、Ra及びRbは、これらに付着した窒素原子と一緒に、窒素含有ヘテロシクリルを形成し、窒素含有ヘテロシクリルは、任意選択で、ハロゲン、アミノ、ニトロ、シアノ、オキソ、ヒドロキシ、チオール、カルボキシ、エステル基、アルキル、アルコキシ、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール及びヘテロアリールからなる群から選択される1個若しくは複数の置換基により更に置換されており、
mは、0から2の整数である。
【0014】
別の好ましい実施形態では、本発明による式(I)の化合物、又はそのメソマー、ラセミ化合物、鏡像異性体、ジアステレオ異性体、又はそれらの混合物、又はそれらのプロドラッグ、又は医薬として許容できるそれらの塩において、環Aは、ベンゼン環又はピリジン環であり、ベンゼン環又はピリジン環は、任意選択で、ハロゲン、C1~C6アルキル及びC1~C6アルコキシからなる群から選択される1個又は複数の置換基により置換されており、好ましくは任意選択でハロゲンにより置換されている。
【0015】
別の好ましい実施形態では、本発明による式(I)の化合物、又はそのメソマー、ラセミ化合物、鏡像異性体、ジアステレオ異性体、又はそれらの混合物、又はそれらのプロドラッグ、又は医薬として許容できるそれらの塩において、
A1は、CR1から選択され、
A2は、N及びCR2からなる群から選択され、
R1及びR2はそれぞれ、水素、ハロゲン、アミノ、ニトロ、シアノ、ヒドロキシ、チオール、オキソ、アルキル、アルコキシ、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、-C(O)Ra、-O(O)CRa、-C(O)ORa、-C(O)NRaRb、-NHC(O)Ra、-S(O)mRa、-S(O)mNRaRb及び-NHS(O)mRaからなる群から独立して選択され、
Ra、Rb及びmは、式(I)で定義されている通りである。
【0016】
別の好ましい実施形態では、本発明による式(I)の化合物、又はそのメソマー、ラセミ化合物、鏡像異性体、ジアステレオ異性体、又はそれらの混合物、又はそれらのプロドラッグ、又は医薬として許容できるそれらの塩において、A1は、CHから選択され、A2は、N及びCHからなる群から選択される。
【0017】
好ましい実施形態では、本発明による式(I)の化合物、又はそのメソマー、ラセミ化合物、鏡像異性体、ジアステレオ異性体、又はそれらの混合物、又はそれらのプロドラッグ、又は医薬として許容できるそれらの塩は、式(II)
【0018】
【0019】
(式中、
A2は、N又はCHであり、
A3は、N又はCHであり、
A4は、N又はCHであり、
L1及びL2はそれぞれ、単結合、CRcRd、NRc、O及びS(O)mからなる群から独立して選択され、L1及びL2は、同時に単結合ではなく、
各R7は、水素、ハロゲン、アミノ、ニトロ、シアノ、オキソ、ヒドロキシ、チオール、カルボキシ、エステル基、アルキル、アルコキシ、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、-C(O)Ra、-O(O)CRa、-C(O)ORa、-C(O)NRaRb、-NHC(O)Ra、-S(O)mRa、-S(O)mNRaRb及び-NHS(O)mRaからなる群から独立して選択され、
nは、0、1、2又は3であり、
R5、R6、Ra、Rb、Rc、Rd及びmは、式(I)で定義されている通りである)の化合物、又はそのメソマー、ラセミ化合物、鏡像異性体、ジアステレオ異性体、又はそれらの混合物、又はそれらのプロドラッグ、又は医薬として許容できるそれらの塩である。
【0020】
好ましい実施形態では、本発明による式(II)の化合物、又はそのメソマー、ラセミ化合物、鏡像異性体、ジアステレオ異性体、又はそれらの混合物、又はそれらのプロドラッグ、又は医薬として許容できるそれらの塩において、A2はCHである。
【0021】
別の好ましい実施形態では、本発明による式(II)の化合物、又はそのメソマー、ラセミ化合物、鏡像異性体、ジアステレオ異性体、又はそれらの混合物、又はそれらのプロドラッグ、又は医薬として許容できるそれらの塩において、A2はNである。
【0022】
別の好ましい実施形態では、本発明による式(II)の化合物、又はそのメソマー、ラセミ化合物、鏡像異性体、ジアステレオ異性体、又はそれらの混合物、又はそれらのプロドラッグ、又は医薬として許容できるそれらの塩において、A3はCHである。
【0023】
別の好ましい実施形態では、本発明による式(II)の化合物、又はそのメソマー、ラセミ化合物、鏡像異性体、ジアステレオ異性体、又はそれらの混合物、又はそれらのプロドラッグ、又は医薬として許容できるそれらの塩において、A3はNである。
【0024】
別の好ましい実施形態では、本発明による式(II)の化合物、又はそのメソマー、ラセミ化合物、鏡像異性体、ジアステレオ異性体、又はそれらの混合物、又はそれらのプロドラッグ、又は医薬として許容できるそれらの塩において、A4はCHである。
【0025】
別の好ましい実施形態では、本発明による式(II)の化合物、又はそのメソマー、ラセミ化合物、鏡像異性体、ジアステレオ異性体、又はそれらの混合物、又はそれらのプロドラッグ、又は医薬として許容できるそれらの塩において、A4はNである。
【0026】
別の好ましい実施形態では、本発明による式(II)の化合物、又はそのメソマー、ラセミ化合物、鏡像異性体、ジアステレオ異性体、又はそれらの混合物、又はそれらのプロドラッグ、又は医薬として許容できるそれらの塩において、A2はNであり、A3はCHであり、A4はCHである。
【0027】
別の好ましい実施形態では、本発明による式(II)の化合物、又はそのメソマー、ラセミ化合物、鏡像異性体、ジアステレオ異性体、又はそれらの混合物、又はそれらのプロドラッグ、又は医薬として許容できるそれらの塩において、A2はCHであり、A3はCHであり、A4はCHである。
【0028】
別の好ましい実施形態では、本発明による式(II)の化合物、又はそのメソマー、ラセミ化合物、鏡像異性体、ジアステレオ異性体、又はそれらの混合物、又はそれらのプロドラッグ、又は医薬として許容できるそれらの塩において、A2はCHであり、A3はCHであり、A4はNである。
【0029】
別の好ましい実施形態では、本発明による式(II)の化合物、又はそのメソマー、ラセミ化合物、鏡像異性体、ジアステレオ異性体、又はそれらの混合物、又はそれらのプロドラッグ、又は医薬として許容できるそれらの塩において、A2はCHであり、A3はNであり、A4はCHである。
【0030】
別の好ましい実施形態では、本発明による式(II)の化合物、又はそのメソマー、ラセミ化合物、鏡像異性体、ジアステレオ異性体、又はそれらの混合物、又はそれらのプロドラッグ、又は医薬として許容できるそれらの塩において、A2はCHであり、A3はNであり、A4はNである。
【0031】
別の好ましい実施形態では、本発明による式(II)の化合物、又はそのメソマー、ラセミ化合物、鏡像異性体、ジアステレオ異性体、又はそれらの混合物、又はそれらのプロドラッグ、又は医薬として許容できるそれらの塩において、R7は、水素及びハロゲンからなる群から独立して選択され、nは、0又は1である。
【0032】
好ましい実施形態では、本発明による式(I)若しくは式(II)の化合物、又はそのメソマー、ラセミ化合物、鏡像異性体、ジアステレオ異性体、又はそれらの混合物、又はそれらのプロドラッグ、又は医薬として許容できるそれらの塩において、
L1は、単結合、CRcRd、NRc及びOからなる群から選択され、
L2は、単結合、NRc及びOからなる群から選択され、
Rc及びRdはそれぞれ、水素及びC1~C6アルキルからなる群から独立して選択される。
【0033】
別の好ましい実施形態では、本発明による式(I)若しくは式(II)の化合物、又はそのメソマー、ラセミ化合物、鏡像異性体、ジアステレオ異性体、又はそれらの混合物、又はそれらのプロドラッグ、又は医薬として許容できるそれらの塩において、
L1は、単結合、CRcRd、NRc及びOからなる群から選択され、
L2は、単結合、NRc及びOからなる群から選択され、
Rc及びRdはそれぞれ、水素、ハロゲン、C1~C6アルキル、C1~C6アルコキシ、-C(O)ORa及びベンジルからなる群から独立して選択され、Raは、C1~C6アルキルから選択される。
【0034】
別の好ましい実施形態では、本発明による式(I)若しくは式(II)の化合物、又はそのメソマー、ラセミ化合物、鏡像異性体、ジアステレオ異性体、又はそれらの混合物、又はそれらのプロドラッグ、又は医薬として許容できるそれらの塩において、
L1は、単結合、NRc及びOからなる群から選択され、
L2は、NRc及びOからなる群から選択され、
Rcは、水素、C1~C6アルキル、-C(O)ORa及びベンジルからなる群から選択され、Raは、C1~C6アルキルから選択される。
【0035】
別の好ましい実施形態では、本発明による式(I)若しくは式(II)の化合物、又はそのメソマー、ラセミ化合物、鏡像異性体、ジアステレオ異性体、又はそれらの混合物、又はそれらのプロドラッグ、又は医薬として許容できるそれらの塩において、
L1は、単結合、NRc及びOからなる群から選択され、
L2は、Oから選択され、
Rcは、水素、C1~C6アルキル、-C(O)ORa及びベンジル、好ましくはC1~C6アルキル、-C(O)ORa及びベンジルからなる群から選択され、Raは、C1~C6アルキルから選択される。
【0036】
別の好ましい実施形態では、本発明による式(I)若しくは式(II)の化合物、又はそのメソマー、ラセミ化合物、鏡像異性体、ジアステレオ異性体、又はそれらの混合物、又はそれらのプロドラッグ、又は医薬として許容できるそれらの塩において、
L1は、単結合及びOからなる群から選択され、
L2は、NRcから選択され、
Rcは、水素、C1~C6アルキル、-C(O)ORa及びベンジル、好ましくはC1~C6アルキル、-C(O)ORa及びベンジルからなる群から選択され、Raは、C1~C6アルキルから選択される。
【0037】
別の好ましい実施形態では、本発明による式(I)若しくは式(II)の化合物、又はそのメソマー、ラセミ化合物、鏡像異性体、ジアステレオ異性体、又はそれらの混合物、又はそれらのプロドラッグ、又は医薬として許容できるそれらの塩において、
L1は、単結合及びOからなる群から選択され、
L2は、NRcから選択され、
Rcは、水素及びC1~C6アルキル、好ましくはC1~C6アルキルからなる群から選択される。
【0038】
別の好ましい実施形態では、本発明による式(I)若しくは式(II)の化合物、又はそのメソマー、ラセミ化合物、鏡像異性体、ジアステレオ異性体、又はそれらの混合物、又はそれらのプロドラッグ、又は医薬として許容できるそれらの塩において、
L1は、NRc及びOからなる群から選択され、
L2は、単結合から選択され、
Rcは、水素、C1~C6アルキル、-C(O)ORa及びベンジル、好ましくはC1~C6アルキル、-C(O)ORa及びベンジルからなる群から選択され、Raは、C1~C6アルキルから選択される。
【0039】
別の好ましい実施形態では、本発明による式(I)若しくは式(II)の化合物、又はそのメソマー、ラセミ化合物、鏡像異性体、ジアステレオ異性体、又はそれらの混合物、又はそれらのプロドラッグ、又は医薬として許容できるそれらの塩において、
L1は、NRc及びOからなる群から選択され、
L2は、単結合から選択され、
Rcは、水素及びC1~C6アルキル、好ましくはC1~C6アルキルからなる群から選択される。
【0040】
別の好ましい実施形態では、本発明による式(I)若しくは式(II)の化合物、又はそのメソマー、ラセミ化合物、鏡像異性体、ジアステレオ異性体、又はそれらの混合物、又はそれらのプロドラッグ、又は医薬として許容できるそれらの塩において、
L1は、CRcRdから選択され、
L2は、単結合及びOからなる群から選択され、
Rc及びRdはそれぞれ、水素、ハロゲン、C1~C6アルキル及びC1~C6アルコキシ、好ましくはハロゲン、C1~C6アルキル及びC1~C6アルコキシからなる群から独立して選択される。
【0041】
別の好ましい実施形態では、本発明による式(I)若しくは式(II)の化合物、又はそのメソマー、ラセミ化合物、鏡像異性体、ジアステレオ異性体、又はそれらの混合物、又はそれらのプロドラッグ、又は医薬として許容できるそれらの塩において、
L1は、単結合及びOからなる群から選択され、
L2は、CRcRdから選択され、
Rc及びRdはそれぞれ、水素、ハロゲン、C1~C6アルキル及びC1~C6アルコキシ、好ましくはハロゲン、C1~C6アルキル及びC1~C6アルコキシからなる群から独立して選択される。
【0042】
別の好ましい実施形態では、本発明による式(I)若しくは式(II)の化合物、又はそのメソマー、ラセミ化合物、鏡像異性体、ジアステレオ異性体、又はそれらの混合物、又はそれらのプロドラッグ、又は医薬として許容できるそれらの塩において、
L1は、NRcから選択され、
L2は、CRcRdから選択され、
Rcは、水素、ハロゲン及びC1~C6アルキル、好ましくはハロゲン及びC1~C6アルキルからなる群から選択され、
Rdは、水素、ハロゲン、C1~C6アルキル及びC1~C6アルコキシからなる群から選択される。
【0043】
別の好ましい実施形態では、本発明による式(I)若しくは式(II)の化合物、又はそのメソマー、ラセミ化合物、鏡像異性体、ジアステレオ異性体、又はそれらの混合物、又はそれらのプロドラッグ、又は医薬として許容できるそれらの塩において、
L1は、CRcRdから選択され、
L2は、NRcから選択され、
Rcは、水素、ハロゲン及びC1~C6アルキル、好ましくはハロゲン及びC1~C6アルキルからなる群から選択され、
Rdは、水素、ハロゲン、C1~C6アルキル及びC1~C6アルコキシからなる群から選択される。
【0044】
別の好ましい実施形態では、本発明による式(I)若しくは式(II)の化合物、又はそのメソマー、ラセミ化合物、鏡像異性体、ジアステレオ異性体、又はそれらの混合物、又はそれらのプロドラッグ、又は医薬として許容できるそれらの塩において、
R5及びR6はそれぞれ、水素、ハロゲン、アミノ、C1~C6アルキル及びC3~C6シクロアルキルからなる群から独立して選択され、C1~C6アルキルは、任意選択で、ハロゲンから選択される1個若しくは複数の置換基により更に置換されており、
又は、R5及びR6は、これらに付着した炭素原子と一緒に、C3~C6シクロアルキル若しくは5-から7-員環ヘテロシクリルを形成し、シクロアルキル若しくはヘテロシクリルは、任意選択で、ハロゲン、アミノ、ニトロ、シアノ、ヒドロキシ、チオール、カルボキシ、エステル基、オキソ、アルキル、アルコキシ、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール及びヘテロアリールからなる群から選択される1個若しくは複数の置換基により更に置換されている。
【0045】
別の好ましい実施形態では、本発明による式(I)若しくは式(II)の化合物、又はそのメソマー、ラセミ化合物、鏡像異性体、ジアステレオ異性体、又はそれらの混合物、又はそれらのプロドラッグ、又は医薬として許容できるそれらの塩において、R5及びR6はそれぞれ、C1~C6アルキルから独立して選択される。
【0046】
典型的な本発明の化合物は、
【0047】
【0048】
【0049】
【0050】
【0051】
又はそのメソマー、ラセミ化合物、鏡像異性体、ジアステレオ異性体、又はそれらの混合物、又はそれらのプロドラッグ、又は医薬として許容できるそれらの塩を含むが、それらに限定されない。
【0052】
本発明は、本発明による式(I)の化合物、又はそのメソマー、ラセミ化合物、鏡像異性体、ジアステレオ異性体、又はそれらの混合物、又はそれらのプロドラッグ、又は医薬として許容できるそれらの塩を調製するための方法であって、以下の
【0053】
【0054】
(式中、A1、A2、環A、L1、L2、R5及びR6は、式(I)で定義されている通りである)
化合物IgとアルキルGrignard試薬を反応させて、式(I)の化合物を得、アルキルGrignard試薬は、好ましくは塩化メチルマグネシウム又は臭化メチルマグネシウムであり、反応は、好ましくは溶媒中で実行し、溶媒は、好ましくは無水テトラヒドロフランである工程を含む、方法を更に提供する。
【0055】
本発明は、本発明による式(II)の化合物、又はそのメソマー、ラセミ化合物、鏡像異性体、ジアステレオ異性体、又はそれらの混合物、又はそれらのプロドラッグ、又は医薬として許容できるそれらの塩を調製するための方法であって、以下の
【0056】
【0057】
化合物IIgとアルキルGrignard試薬を反応させて、式(II)の化合物を得、アルキルGrignard試薬は、好ましくは塩化メチルマグネシウム又は臭化メチルマグネシウムであり、反応は、好ましくは溶媒中で実行し、溶媒は、好ましくは無水テトラヒドロフランであり、
A2、A3、A4、L1、L2、R5、R6、R7及びnは、式(II)で定義されている通りである工程を含む、方法を更に提供する。
【0058】
本発明は、本発明による式(I)の化合物、又はそのメソマー、ラセミ化合物、鏡像異性体、ジアステレオ異性体、又はそれらの混合物、又はそれらのプロドラッグ、又は医薬として許容できるそれらの塩、及び医薬として許容できる担体を含む医薬組成物を更に提供する。
【0059】
本発明は、式(I)の化合物、又はそのメソマー、ラセミ化合物、鏡像異性体、ジアステレオ異性体、又はそれらの混合物、又はそれらのプロドラッグ、又は医薬として許容できるそれらの塩、又は本発明によるそれらを含む医薬組成物の、毒性アルデヒド捕捉剤の調製における使用を更に提供する。
【0060】
本発明は、式(I)の化合物、又はそのメソマー、ラセミ化合物、鏡像異性体、ジアステレオ異性体、又はそれらの混合物、又はそれらのプロドラッグ、又は医薬として許容できるそれらの塩、又は本発明によるそれらを含む医薬組成物の、活性カルボニル化合物に関連した疾患を防止及び/又は処置するための医薬の調製における使用であって、疾患は、好ましくは眼疾患、皮膚疾患、自己免疫性疾患、消化器系疾患、心血管疾患、呼吸器系疾患、神経変性疾患、肥満、癌及び加齢性疾患であり、眼疾患は、好ましくは非感染性ブドウ膜炎、アレルギー性結膜炎及びドライアイである、使用を更に提供する。
【0061】
別の態様では、本発明は、毒性アルデヒド捕捉剤として使用するための、式(I)の化合物、又はそのメソマー、ラセミ化合物、鏡像異性体、ジアステレオ異性体、又はそれらの混合物、又はそれらのプロドラッグ、又は医薬として許容できるそれらの塩、又は本発明によるそれらを含む医薬組成物を提供する。
【0062】
別の態様では、本発明は、医薬として使用するための、式(I)の化合物、又はそのメソマー、ラセミ化合物、鏡像異性体、ジアステレオ異性体、又はそれらの混合物、又はそれらのプロドラッグ、又は医薬として許容できるそれらの塩、又は本発明によるそれらを含む医薬組成物を提供し、好ましくは、医薬は、活性カルボニル化合物に関連した疾患の防止及び/又は処置に使用され、疾患は、好ましくは眼疾患、皮膚疾患、自己免疫性疾患、消化器系疾患、心血管疾患、呼吸器系疾患、神経変性疾患、肥満、癌及び加齢性疾患であり、具体的には、医薬は、眼疾患、例えば非感染性ブドウ膜炎、アレルギー性結膜炎及びドライアイの防止及び/又は処置に使用される。
【0063】
別の態様では、本発明は、疾患の防止及び/又は処置における使用のための式(I)の化合物、又はそのメソマー、ラセミ化合物、鏡像異性体、ジアステレオ異性体、又はそれらの混合物、又はそれらのプロドラッグ、又は医薬として許容できるそれらの塩、又は本発明によるそれらを含む医薬組成物を提供し、疾患は、眼疾患、皮膚疾患、自己免疫性疾患、消化器系疾患、心血管疾患、呼吸器系疾患、神経変性疾患、肥満、癌及び加齢性疾患からなる群から選択され、眼疾患は、好ましくは非感染性ブドウ膜炎、アレルギー性結膜炎及びドライアイである。
【0064】
活性カルボニル化合物に関連した疾患を防止及び/又は処置するための方法であって、防止的又は治療的有効量の式(I)の化合物、又はそのメソマー、ラセミ化合物、鏡像異性体、ジアステレオ異性体、又はそれらの混合物、又はそれらのプロドラッグ、又は医薬として許容できるそれらの塩、又は本発明によるそれらを含む医薬組成物を、それを必要とする患者への投与を含み、疾患は、眼疾患、皮膚疾患、自己免疫性疾患、消化器系疾患、心血管疾患、呼吸器系疾患、神経変性疾患、肥満、癌及び加齢性疾患からなる群から選択され、眼疾患は、好ましくは非感染性ブドウ膜炎、アレルギー性結膜炎及びドライアイである、方法。
【0065】
本発明のプロドラッグは、式(I)の化合物の誘導体であり、これは、活性自体を弱く有することがある、又は有さないことさえあるが、投与されると生理学的条件下で対応する生物学的活性型に変換され得る(例えば代謝、加溶媒分解又は他の手段により)。
【0066】
活性成分を含有する医薬組成物は、経口投与に好適な形態、例えば、錠剤、トローチ剤、ロゼンジ剤、水性若しくは油性懸濁液剤、分散性散剤若しくは粒剤、エマルション剤、ハード若しくはソフトカプセル剤、シロップ剤又はエリキシル剤であり得る。経口組成物は、医薬組成物を調製するための、当業界で公知の任意の方法に従って調製され得る。そのような組成物は、心地よく、かつ口当たりのよい医薬製剤を得るために、甘味料、香味剤、着色剤及び防腐剤からなる群から選択される1つ又は複数の原料を含有し得る。錠剤は、錠剤の調製に好適な非毒性の医薬として許容できる賦形剤と混和した活性成分を含有する。これらの賦形剤は、不活性賦形剤、例えば炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、ラクトース、リン酸カルシウム又はリン酸ナトリウム;造粒剤及び崩壊剤、例えば微結晶セルロース、架橋ナトリウムカルボキシルメチルセルロース、トウモロコシデンプン又はアルギン酸;結合剤、例えばデンプン、ゼラチン、ポリビニルピロリドン又はアカシア;並びに滑沢剤、例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸又は滑石であり得る。錠剤は、薬物の味をマスキングし、又は胃腸管における活性成分の崩壊及び吸収を遅延し、それにより長期間にわたり持続放出させることができる公知の技術によってコーティングされていなくてよく、又はコーティングされていてもよい。例えば、水溶性の味マスキング材料、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース若しくはヒドロキシプロピルセルロースを使用でき、又は延長放出材料、例えばエチルセルロース、酢酸酪酸セルロースを使用できる。
【0067】
経口製剤は、活性成分が不活性固体希釈剤、例えば炭酸カルシウム、リン酸カルシウム若しくはカオリンと混合されているハードゼラチンカプセル剤として、或いは、活性成分が水溶性担体、例えばポリエチレングリコール又は油媒体、例えば落花生油、流動パラフィン若しくはオリーブ油と混合されているソフトゼラチンカプセル剤としても提供できる。
【0068】
水性懸濁液剤は、水性懸濁液剤の調製に好適な賦形剤と混和した活性成分を含有する。そのような賦形剤は、懸濁剤、例えばナトリウムカルボキシルメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン及びアカシア;天然に存在するホスファチド、例えばレシチン、又はアルキレンオキシドと脂肪酸の縮合生成物、例えばステアリン酸ポリオキシエチレン、又はエチレンオキシドと長鎖脂肪族アルコールの縮合生成物、例えばヘプタデカエチレンオキシセタノール、又はエチレンオキシドと脂肪酸及びヘキシトールに由来する部分エステルの縮合生成物、例えばポリオキシエチレンソルビトールモノオレエート、又はエチレンオキシドと脂肪酸及びヘキシトール無水物に由来する部分的エステルの縮合生成物、例えばポリオキシエチレンソルビタンモノオレエートであり得る分散剤又は湿潤剤である。水性懸濁液剤は、1つ又は複数の防腐剤、例えばエチルパラベン又はn-プロピルパラベン、1つ又は複数の着色剤、1つ又は複数の香味剤及び1つ又は複数の甘味料、例えばスクロース、サッカリン又はアスパルテームも含有し得る。
【0069】
油懸濁液剤は、活性成分を植物油、例えば落花生油、オリーブ油、ゴマ油若しくはヤシ油中、又はミネラル油、例えば流動パラフィン中で懸濁することにより製剤化され得る。油懸濁液剤は、増粘剤、例えばビーズワックス、固形パラフィン又はセチルアルコールを含有し得る。上の甘味料及び香味剤は、口当たりのよい製剤を得るために添加され得る。これらの組成物は、抗酸化剤、例えばブチル化ヒドロキシアニソール又はα-トコフェロールを添加することにより保存され得る。
【0070】
水性懸濁液の調製に好適な分散性散剤又は粒剤は、水及び分散剤若しくは湿潤剤、懸濁剤又は1つ若しくは複数の防腐剤を添加することにより活性成分を備えることができる。好適な分散剤、湿潤剤及び懸濁剤は、上記の通りである。追加の賦形剤、例えば甘味剤、香味剤及び着色剤も添加してよい。これらの組成物は、抗酸化剤、例えばアスコルビン酸を添加することにより保存される。
【0071】
本発明の医薬組成物は、水中油エマルションの形態でもあり得る。油相は、植物油、例えばオリーブ油若しくは落花生油、又はミネラル油、例えば流動パラフィン、又はそれらの混合物であり得る。好適な乳化剤は、天然に存在するホスファチド、例えばダイズレシチン及びエステル、又は脂肪酸及びヘキシトール無水物に由来する部分的エステル、例えばソルビタンモノオレエート、並びに前記部分的エステルとエチレンオキシドの縮合生成物、例えばポリオキシエチレンソルビトールモノオレエートであり得る。エマルションは、甘味料、香味剤、防腐剤及び抗酸化剤も含有し得る。シロップ剤及びエリキシル剤は、甘味料、例えばグリセロール、プロピレングリコール、ソルビトール又はスクロースで製剤化され得る。そのような製剤は、減速材、防腐剤、着色剤及び抗酸化剤も含有し得る。
【0072】
本発明の医薬組成物は、無菌注射可能な水溶液剤の形態であり得る。使用され得る、許容できる媒体又は溶媒は、水、リンガー液及び等張塩化ナトリウム溶液を含む。無菌注射可能な製剤は、活性成分が油相に溶解している無菌注射可能な水中油マイクロエマルション剤であり得る。例えば、活性成分は、ダイズ油及びレシチンの混合物に最初に溶解され得、油剤は、次いで水及びグリセロールの混合物中に導入され、マイクロエマルション剤を形成するように加工される。注射可能な液剤又はマイクロエマルション剤は、局所ボーラス注射により患者の血流に導入され得る。或いは、これは、本発明の化合物の一定の循環濃度を維持するように液剤又はマイクロエマルション剤を投与するのに有利になり得る。そのような一定の濃度を維持するために、連続静脈内送達デバイスを利用してよい。
【0073】
本発明の医薬組成物は、筋肉内及び皮下投与のための無菌注射可能な水性又は油性懸濁液剤の形態であり得る。そのような懸濁液剤は、公知の技術に従って上記の好適な分散剤又は湿潤剤及び懸濁剤で製剤化され得る。無菌注射可能な製剤は、非毒性の非経口的に許容できる希釈剤又は溶媒中で調製した無菌注射可能な液剤又は懸濁液剤、例えば1,3-ブタンジオール中で調製した液剤でもあり得る。更に、無菌不揮発性油は、溶媒又は懸濁剤媒体として容易に使用され得る。この目的のために、合成モノ-又はジ-グリセリドを含む不揮発性油の任意のブレンドを用いてよい。更に、注射の調製において脂肪酸、例えばオレイン酸も用いてよい。
【0074】
本発明の医薬組成物は、局所投与のための形態、例えば、クリーム剤、懸濁液剤、エマルション剤、軟膏剤、ゲル剤、ドロップ剤、油剤、ローション剤、フィルム剤、パッチ剤、テープ剤、吸入剤、スプレー剤であり得る。眼内投与のための形態は、結膜下カプセル剤、筋膜下カプセル剤、眼球後又は硝子体内注射剤、デポー注射剤又はインプラントであり得る。これらの経路により投与される化合物は、液剤又は懸濁液剤の形態であり得る。デポー注射剤により投与される化合物は、医薬として許容できる担体又は賦形剤を含有し得る。これらの医薬として許容できる担体又は賦形剤は、天然又は合成、生分解性又は非生分解性であり得、制御された手段で薬物放出を促進し得る。化合物を制御放出するためのインプラントは、天然又は合成、生分解性又は非生分解性材料で構成され得る。担体は、組成物の他の成分と適合し、患者に有害ではないので許容できる。担体のいくつかの例は、糖、例えばラクトース、デキストロース及びスクロース;デンプン、例えばトウモロコシデンプン及びジャガイモデンプン;セルロース;並びにシクロデキストリンを含む。
【0075】
薬物の投与量は、以下の要因:特定の化合物の活性、患者の年齢、患者の体重、患者の全般的健康、患者の挙動、患者の食事、投与時間、投与経路、排泄速度、薬物組合せ等を含むが、それらに限定されない多彩な要因によって決まることは当業者に周知である。更に、理想的な処置、例えば処置様式、本発明の化合物の一日用量又は医薬として許容できるその塩のタイプは、昔からの治療レジメンに従って検証され得る。
【0076】
本発明は、式(I)の化合物、又は医薬として許容できる塩、水和物又は溶媒和物を活性成分として、及び、臨床的に許容できる製剤に製剤化される医薬として許容できる担体又は賦形剤を含む組成物を含有し得る。本発明の誘導体は、他の活性成分と、これらが他の有害作用、例えばアレルギー反応を引き起こさない限り組み合わせて使用され得る。本発明の化合物は、単独の活性成分として使用され得、他の治療剤と組み合わせても使用され得る。併用療法は、個々の治療成分を同時に、別々に又は連続して投与することにより達成される。
【0077】
定義
特に定めのない限り、本明細書及び特許請求の範囲で使用される用語は、以下に記載されている意味を有する。
【0078】
本発明の基及び化合物に関与する炭素、水素、酸素、硫黄、窒素及びハロゲンは、それらの同位体をすべて含む。つまり、本発明の基及び化合物に関与する炭素、水素、酸素、硫黄、窒素及びハロゲンは、任意選択で、それらの対応する同位体の1つ又は複数により更に置換されている。炭素の同位体は、12C、13C及び14Cを含み;水素の同位体は、プロチウム(H)、ジュウテリウム(D、重水素としても公知)、トリチウム(T、超重水素(superheavy hydrogen)としても公知)を含み;酸素の同位体は、16O、17O及び18Oを含み;硫黄の同位体は、32S、33S、34S及び36Sを含み;窒素の同位体は、14N及び15Nを含み;フッ素の同位体は19Fを含み;塩素の同位体は、35Cl及び37Clを含み;臭素の同位体は、79Br及び81Brを含む。
【0079】
「アルキル」という用語は、1から20個の炭素原子を含む直鎖又は分岐鎖基である、飽和脂肪族炭化水素基、好ましくは1から12個の炭素原子を有するアルキル、より好ましくは1から6個の炭素原子を有するアルキルを指す。非限定的な例は、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、sec-ブチル、n-ペンチル、1,1-ジメチルプロピル、1,2-ジメチルプロピル、2,2-ジメチルプロピル、1-エチルプロピル、2-メチルブチル、3-メチルブチル、n-ヘキシル、1-エチル-2-メチルプロピル、1,1,2-トリメチルプロピル、1,1-ジメチルブチル、1,2-ジメチルブチル、2,2-ジメチルブチル、1,3-ジメチルブチル、2-エチルブチル、2-メチルペンチル、3-メチルペンチル、4-メチルペンチル、2,3-ジメチルブチル、n-ヘプチル、2-メチルヘキシル、3-メチルヘキシル、4-メチルヘキシル、5-メチルヘキシル、2,3-ジメチルペンチル、2,4-ジメチルペンチル、2,2-ジメチルペンチル、3,3-ジメチルペンチル、2-エチルペンチル、3-エチルペンチル、n-オクチル、2,3-ジメチルヘキシル、2,4-ジメチルヘキシル、2,5-ジメチルヘキシル、2,2-ジメチルヘキシル、3,3-ジメチルヘキシル、4,4-ジメチルヘキシル、2-エチルヘキシル、3-エチルヘキシル、4-エチルヘキシル、2-メチル-2-エチルペンチル、2-メチル-3-エチルペンチル、n-ノニル、2-メチル-2-エチルヘキシル、2-メチル-3-エチルヘキシル、2,2-ジエチルペンチル、n-デシル、3,3-ジエチルヘキシル、2,2-ジエチルヘキシル、及びそれらの様々な分岐異性体を含む。より好ましくは、アルキル基は、1から6個の炭素原子を有する低級アルキルであり、非限定的な例は、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、sec-ブチル、n-ペンチル、1,1-ジメチルプロピル、1,2-ジメチルプロピル、2,2-ジメチルプロピル、1-エチルプロピル、2-メチルブチル、3-メチルブチル、n-ヘキシル、1-エチル-2-メチルプロピル、1,1,2-トリメチルプロピル、1,1-ジメチルブチル、1,2-ジメチルブチル、2,2-ジメチルブチル、1,3-ジメチルブチル、2-エチルブチル、2-メチルペンチル、3-メチルペンチル、4-メチルペンチル、2,3-ジメチルブチル等を含む。アルキル基は、置換されていてもよく、又は非置換であってもよい。置換されている場合、置換基は、任意の利用できる接続点において置換されていてよい。置換基は、好ましくは、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルアミノ、ハロゲン、チオール、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルコキシ、ヘテロシクロアルコキシ、シクロアルキルチオ、ヘテロシクリルチオ、オキソ、カルボキシル及びエステル基からなる群から独立して選択される1個又は複数の基である。
【0080】
「アルキレン」という用語は、-(CH2)v-(vは1から10の整数であり、好ましくは1から6の整数である)を含む、直鎖又は分岐二価飽和炭化水素基を指す。アルキレンの例は、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン等を含むが、それらに限定されない。アルキレン基は、置換されていてもよく、又は非置換であってもよい。置換されている場合、置換基は、任意の利用できる接続点において置換されていてよい。置換基は、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルアミノ、ハロゲン、チオール、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルコキシ、ヘテロシクロアルコキシ、シクロアルキルチオ、ヘテロシクリルチオ、オキソ、カルボキシル及びエステル基からなる群から独立して選択される好ましくは1個又は複数の基である。アルキレンにおける置換基の数が2以上である場合、置換基は一緒に縮合して、環状構造を形成し得る。
【0081】
「アルケニル」という用語は、少なくとも2個の炭素原子及び少なくとも1つの炭素-炭素二重結合からなる、上で定義されているアルキル基、例えばエテニル、1-プロペニル、2-プロペニル、1-、2-又は3-ブテニル等を指す。アルケニル基は、置換されていてもよく、又は非置換であってもよい。置換されている場合、置換基は、好ましくは、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルアミノ、ハロゲン、チオール、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルコキシ、ヘテロシクロアルコキシ、シクロアルキルチオ及びヘテロシクリルチオからなる群から独立して選択される1個又は複数の基である。
【0082】
「アルケニレン」という用語は、アルケニルが上で定義されている通りである、直鎖又は分岐鎖二価アルケニル基を指す。
【0083】
「アルキニル」という用語は、少なくとも2個の炭素原子及び少なくとも1つの炭素-炭素三重結合からなる、上で定義されているアルキル基、例えばエチニル、プロピニル、ブチニル等を指す。アルキニル基は、置換されていてもよく、又は非置換であってもよい。置換されている場合、置換基は、好ましくは、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルアミノ、ハロゲン、チオール、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルコキシ、ヘテロシクロアルコキシ、シクロアルキルチオ及びヘテロシクリルチオからなる群から独立して選択される1個又は複数の基である。
【0084】
「アルキニレン」という用語は、アルキニルが上で定義されている通りである、直鎖又は分岐鎖二価アルキニル基を指す。
【0085】
「シクロアルキル」という用語は、3から20個の炭素原子、好ましくは3から10個の炭素原子、より好ましくは3から7個の炭素原子を有する飽和又は部分的不飽和単環式又は多環式炭化水素置換基を指す。単環式シクロアルキルの非限定的な例は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロペンテニル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、シクロヘキサジエニル、シクロヘプチル、シクロヘプタトリエニル、シクロオクチル等を含む。多環式シクロアルキルは、スピロ環、縮合環又は橋かけ環を有するシクロアルキルを含む。
【0086】
「スピロシクロアルキル」という用語は、1個の共通の炭素原子(スピロ原子と呼ばれる)を通して接続する個々の環を有し、1つ又は複数の環が、1つ又は複数の二重結合を含有し得るが、環のうち、完全共役π-電子系を有するものがない、5から20員環多環式基を指す。スピロシクロアルキルは、好ましくは5から12員環スピロシクロアルキル、より好ましくは7から10員環スピロシクロアルキルである。環の間で共有されるスピロ原子の数に従って、スピロシクロアルキルは、モノ-スピロシクロアルキル、ジ-スピロシクロアルキル又はポリ-スピロシクロアルキルに分けられ得、スピロシクロアルキルは、好ましくはモノ-スピロシクロアルキル又はジ-スピロシクロアルキル、より好ましくは4-員環/4-員環、4-員環/5-員環、4-員環/6-員環、5-員環/5-員環又は5-員環/6-員環モノ-スピロシクロアルキルである。スピロシクロアルキルの非限定的な例は:
【0087】
【0088】
を含む。
【0089】
「縮合シクロアルキル」という用語は、系における各環が、隣接した炭素原子の対を別の環と共有し、1つ又は複数の環が、1つ又は複数の二重結合を含有し得るが、環のうち、完全共役π-電子系を有するものがない、5から20員環の全炭素多環式基を指す。縮合シクロアルキルは、好ましくは6から14員環縮合シクロアルキル、より好ましくは7から10員環縮合シクロアルキルである。環員数に従って、縮合シクロアルキルは、二環式、三環式、四環式又は多環式縮合シクロアルキルに分けられ得、縮合シクロアルキルは、好ましくは二環式又は三環式縮合シクロアルキル、より好ましくは5-員環/5-員環、又は5-員環/6-員環二環式縮合シクロアルキルである。縮合シクロアルキルの非限定的な例は:
【0090】
【0091】
を含む。
【0092】
「橋かけシクロアルキル」という用語は、系における任意の2つの環が、2個の隔てられた炭素原子を共有し、1つ又は複数の環が、1つ又は複数の二重結合を有し得るが、環のうち、完全共役π-電子系を有するものがない、5から20員環の全炭素多環式基を指す。橋かけシクロアルキルは、好ましくは6から12員環橋かけシクロアルキル、より好ましくは7から10員環橋かけシクロアルキルである。環員数に従って、橋かけシクロアルキルは、二環式、三環式、四環式又は多環式橋かけシクロアルキルに分けられ得、橋かけシクロアルキルは、好ましくは二環式、三環式又は四環式橋かけシクロアルキル、より好ましくは二環式又は三環式橋かけシクロアルキルである。橋かけシクロアルキルの非限定的な例は:
【0093】
【0094】
を含む。
【0095】
シクロアルキル環は、アリール、ヘテロアリール又はヘテロシクリルの環に縮合し得、親構造に連結した環がシクロアルキルである。非限定的な例は、インダニル、テトラヒドロナフチル、ベンゾシクロヘプチル等を含む。シクロアルキルは、任意選択で、置換されていてもよく、又は非置換であってもよい。置換されている場合、置換基は、好ましくは、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルアミノ、ハロゲン、チオール、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルコキシ、ヘテロシクロアルコキシ、シクロアルキルチオ、ヘテロシクリルチオ、オキソ、カルボキシル及びエステル基からなる群から独立して選択される1個又は複数の基である。
【0096】
「ヘテロシクリル」又は「ヘテロ環」という用語は、1個又は複数の環原子が、N、O及びS(O)m(式中、mは0から2の整数である)からなる群から選択されるヘテロ原子であるが、環における-O-O-、-O-S-又は-S-S-を除き、残りの環原子が炭素原子である、3から20員環飽和又は部分的不飽和単環式又は多環式炭化水素基を指す。好ましくは、ヘテロシクリルは、1から4個の原子がヘテロ原子である3から10個の環原子;より好ましくは、1から3個の原子がヘテロ原子である3から8個の環原子;及び、最も好ましくは1から2個又は1から3個の原子がヘテロ原子である5から7個の環原子を有する。単環式ヘテロシクリルの非限定的な例は、ピロリジニル、イミダゾリル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチエニル、ジヒドロイミダゾリル、ジヒドロフラニル、ジヒドロピラゾリル、ジヒドロピロリル、ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、ホモピペラジニル、ピラニル等、好ましくは、1,2,5-オキサジアゾリル、ピラニル又はモルホリニルを含む。多環式ヘテロシクリルは、スピロ環、縮合環又は橋かけ環を有するヘテロシクリルを含む。
【0097】
「スピロヘテロシクリル」という用語は、個々の環が、1個の共通の原子(スピロ原子と呼ばれる)を通して接続し、1個又は複数の環原子が、N、O及びS(O)m(式中、mは0から2の整数である)からなる群から選択されるヘテロ原子であり、残りの環原子が炭素原子であり、環が、1つ又は複数の二重結合を含有し得るが、環のうち、完全共役π-電子系を有するものがない、5から20員環多環式ヘテロシクリル基を指す。スピロヘテロシクリルは、好ましくは5から12員環スピロヘテロシクリル、より好ましくは7から10員環スピロヘテロシクリルである。環の間で共有されるスピロ原子の数に従って、スピロヘテロシクリルは、モノ-スピロヘテロシクリル、ジ-スピロヘテロシクリル又はポリ-スピロヘテロシクリルに分けられ得、スピロヘテロシクリルは、好ましくはモノ-スピロヘテロシクリル又はジ-スピロヘテロシクリル、より好ましくは4-員環/4-員環、4-員環/5-員環、4-員環/6-員環、5-員環/5-員環又は5-員環/6-員環モノ-スピロヘテロシクリルである。スピロヘテロシクリルの非限定的な例は:
【0098】
【0099】
を含む。
【0100】
「縮合ヘテロシクリル」という用語は、系における各環が、隣接した原子の対を別の環と共有し、1つ又は複数の環は、1つ又は複数の二重結合を含有し得るが、環のうち、完全共役π-電子系を有するものがなく、1個又は複数の環原子が、N、O及びS(O)m(式中、mは0から2の整数である)からなる群から選択されるヘテロ原子であり、残りの環原子が炭素原子である、5から20員環多環式ヘテロシクリル基を指す。縮合ヘテロシクリルは、好ましくは6から14員環縮合ヘテロシクリル、より好ましくは7から10員環縮合ヘテロシクリルである。環員数に従って、縮合ヘテロシクリルは、二環式、三環式、四環式又は多環式縮合ヘテロシクリル、好ましくは二環式又は三環式縮合ヘテロシクリル、より好ましくは5-員環/5-員環又は5-員環/6-員環二環式縮合ヘテロシクリルに分けられ得る。縮合ヘテロシクリルの非限定的な例は:
【0101】
【0102】
を含む。
【0103】
「橋かけヘテロシクリル」という用語は、系における任意の2つの環が、2個の隔てられた原子を共有し、1つ又は複数の環が、1つ又は複数の二重結合を有し得るが、環のうち、完全共役π-電子系を有するものがなく、1個又は複数の環原子が、N、O及びS(O)m(式中、mは、0から2の整数である)からなる群から選択されるヘテロ原子であり、残りの環原子が炭素原子である、5から14員環多環式ヘテロシクリル基を指す。橋かけヘテロシクリルは、好ましくは5から12員環橋かけヘテロシクリル、より好ましくは7から10員環橋かけヘテロシクリルである。環員数に従って、橋かけヘテロシクリルは、二環式、三環式、四環式又は多環式橋かけヘテロシクリルに分けられ得、橋かけヘテロシクリルは、好ましくは二環式、三環式又は四環式橋かけヘテロシクリル、より好ましくは二環式又は三環式橋かけヘテロシクリルである。橋かけヘテロシクリルの非限定的な例は:
【0104】
【0105】
を含む。
【0106】
ヘテロシクリル環は、アリール、ヘテロアリール又はシクロアルキルの環に縮合し得、親構造に結合した環がヘテロシクリルである。その非限定的な例は:
【0107】
【0108】
等を含む。
【0109】
ヘテロシクリルは、任意選択で、置換されていてもよく、又は非置換であってもよい。置換されている場合、置換基は、好ましくは、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルアミノ、ハロゲン、チオール、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルコキシ、ヘテロシクロアルコキシ、シクロアルキルチオ、ヘテロシクリルチオ、オキソ、カルボキシル及びエステル基からなる群から独立して選択される1個又は複数の基である。
【0110】
「アリール」又は「芳香族環」という用語は、共役π-電子系を有する6から14員環全炭素単環式環又は多環式縮合環(すなわち系における各環が、隣接した炭素原子の対を系における別の環と共有する)、好ましくは6から10員環アリール、例えばフェニル及びナフチルを指す。アリールは、より好ましくはフェニルである。アリール環は、ヘテロアリール、ヘテロシクリル又はシクロアルキルの環に縮合し得、親構造に結合した環がアリール環である。その非限定的な例は:
【0111】
【0112】
を含む。
【0113】
アリールは、置換されていてもよく、又は非置換であってもよい。置換されている場合、置換基は、好ましくは、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルアミノ、ハロゲン、チオール、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルコキシ、ヘテロシクロアルコキシ、シクロアルキルチオ、ヘテロシクリルチオ、カルボキシル及びエステル基からなる群から独立して選択される1個又は複数の基である。
【0114】
「ヘテロアリール」又は「ヘテロ芳香族環」という用語は、O、S及びNからなる群から選択される1から4個のヘテロ原子を有する5から14員環ヘテロ芳香族系を指す。ヘテロアリールは、好ましくは1から3個のヘテロ原子を有する5から10員環ヘテロアリール、より好ましくは1から2個のヘテロ原子を有する5又は6員環ヘテロアリール、例えばイミダゾリル、フリル、チエニル、チアゾリル、ピラゾリル、オキサゾリル、ピロリル、テトラゾリル、ピリジル、ピリミジニル、チアジアゾリル、ピラジニル等、好ましくはイミダゾリル、チアゾリル、ピラゾリル、ピリミジニル又はチアゾリル、より好ましくはピラゾリル又はチアゾリルである。ヘテロアリール環は、アリール、ヘテロシクリル又はシクロアルキルの環に縮合し得、親構造に結合した環がヘテロアリール環である。その非限定的な例は:
【0115】
【0116】
を含む。
【0117】
ヘテロアリールは、任意選択で、置換されていてもよく、又は非置換であってもよい。置換されている場合、置換基は、好ましくは、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルアミノ、ハロゲン、チオール、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルコキシ、ヘテロシクロアルコキシ、シクロアルキルチオ、ヘテロシクリルチオ、カルボキシル及びエステル基からなる群から独立して選択される1個又は複数の基である。
【0118】
「アルコキシ」という用語は、アルキル及びシクロアルキルが上で定義されている通りである、-O-(アルキル)又は-O-(シクロアルキル)基を指す。アルコキシの非限定的な例は、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、シクロプロピルオキシ、シクロブチルオキシ、シクロペンチルオキシ、シクロヘキシルオキシを含む。アルコキシは、任意選択で、置換されていてもよく、又は非置換であってもよい。置換されている場合、置換基は、好ましくは、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルアミノ、ハロゲン、チオール、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルコキシ、ヘテロシクロアルコキシ、シクロアルキルチオ、ヘテロシクリルチオ、カルボキシル及びエステル基からなる群から独立して選択される1個又は複数の基である。
【0119】
「ハロアルキル」という用語は、アルキルが上で定義されている通りである、1個又は複数のハロゲンにより置換されているアルキル基を指す。
【0120】
「ハロアルコキシ」という用語は、アルコキシが上で定義されている通りである、1個又は複数のハロゲンにより置換されているアルコキシ基を指す。
【0121】
「ヒドロキシ」という用語は、-OH基を指す。
【0122】
「ハロゲン」という用語は、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素を指す。
【0123】
「アミノ」という用語は、-NH2基を指す。
【0124】
「シアノ」という用語は、-CN基を指す。
【0125】
「ニトロ」という用語は、-NO2基を指す。
【0126】
「オキソ」という用語は、=O基を指す。
【0127】
「カルボキシ」という用語は、-C(O)OH基を指す。
【0128】
「チオール」という用語は、-SH基を指す。
【0129】
「エステル基」という用語は、アルキル及びシクロアルキルが上で定義されている通りである、-C(O)O(アルキル)又は-C(O)O(シクロアルキル)基を指す。
【0130】
「アシル」という用語は、Rが、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール又はヘテロアリールである、-C(O)R基を含む化合物を指す。
【0131】
「任意選択の」又は「任意選択で」は、記載されている事象又は状況が続いて発生し得るが、必ずしもではなく、そのような説明が、事象又は状況は発生する、又は発生しない状況を含むことを意味する。例えば、「任意選択でアルキルにより置換されているヘテロシクリル」は、アルキル基が存在し得るが、必ずしもではなく、そのような説明が、ヘテロシクリルがアルキルにより置換されている状況、及びヘテロシクリルがアルキルにより置換されていない状況を含むことを意味する。
【0132】
「置換されている」は、基における1個又は複数の水素原子、好ましくは基における5個まで、より好ましくは1から3個の水素原子が、対応する数の置換基により独立して置換されていることを指す。置換基が、その考えられる化学的位置にのみ存在することはいうまでもない。当業者は、置換が可能か又は不可能かを実験又は理論により、過剰な努力を払わずに判定できる。例えば、遊離水素を有するアミノ又はヒドロキシ、及び不飽和結合を有する炭素原子(例えばオレフィン性)の組合せは、不安定であり得る。
【0133】
「医薬組成物」は、本発明による化合物、又は生理学的に/医薬として許容できるその塩若しくはプロドラッグの1つ又は複数と、他の化学的成分、並びに他の成分、例えば生理学的に/医薬として許容できる担体及び賦形剤の混合物を指す。医薬組成物の目的は、生物学的活性を発揮するように活性成分の吸収を促す化合物の生物への投与を促進することである。
【0134】
「医薬として許容できる塩」は、哺乳動物において安全かつ有効な、また望ましい生物学的活性を有する、本発明の化合物の塩を指す。
【0135】
「担体」は、生物に対してさほど刺激性ではなく、かつ化合物の生物学的活性及び性質を低下させない担体又は希釈剤を指す。
【0136】
「プロドラッグ」は、生理学的条件下で、又は加溶媒分解により、生物学的活性を有する本発明の化合物に変換され得る化合物を指す。本発明のプロドラッグは、本発明の化合物の官能基を修飾することにより調製され、そのような修飾は、従来のプロセス又はin vivoにより除いて、親化合物を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0137】
【
図1】本発明の実施例の化合物の、ノネナールに対する捕捉反応の時間変動ダイヤグラムである。
【
図2】C48/80で誘導されるWistar系ラットのアレルギー性結膜炎動物モデルにおける、本発明の実施例4の化合物の処置スコアの結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0138】
本発明の化合物及びその調製物は、以下の実施例への言及で更に例証される。これらの実施例は、前記化合物を調製又は使用するためのいくつかの方法を例証する。しかし、これらの実施例は、本発明の範囲を限定するように意図されていないことは理解されるべきである。今般公知である、又は更に展開される本発明の変形は、本明細書に記載され、かつ請求されている本発明の範囲内にあると考えられる。
【0139】
本発明の化合物は、都合のよい出発材料及び一般的な調製手順を使用することにより調製される。本発明は、典型的又は優先的な反応条件、例えば反応温度、持続時間、溶媒、圧力及び反応物のモル比を示す。しかし、特に指定がない限り、他の反応条件も採用してよい。理想的な条件は、特定の反応物又は溶媒の使用によって異なり得るが、通常の状況下で、反応を最適化する工程及び条件が決定され得る。
【0140】
更に、いくつかの保護基を本発明において使用して、ある官能基を不要な反応から保護できる。様々な官能基及びそれらの保護又は脱保護条件に好適な保護基は、当業者に周知である。例えば、T. W. Greene及びG. M. Wuts「Protective Groups in Organic Synthesis」(第3版、Wiley、New York、1999年及び書籍内の引用)は、多数の保護基の保護又は脱保護について詳細に記載している。
【0141】
化合物及び中間体の分離及び精製は、特定の必要性、例えば濾過、抽出、蒸留、結晶化、カラムクロマトグラフィー、分取薄層クロマトグラフィー、分取高速液体クロマトグラフィー又は以上の方法の組合せに従って、適切な方法及び工程により実行される。本発明に記載されている実施例は、特定の使用方法に関して言及され得る。もちろん、他の同様の分離及び精製方法も使用してよい。これらは、従来の方法(物理定数及びスペクトルデータを含む)を使用して特徴付けられ得る。
【0142】
化合物の構造は、核磁気共鳴(NMR)及び/又は質量分析(MS)により特定される。NMRシフト(δ)は10-6(ppm)で示される。NMRは、Brukerdps300という機械により判定される。判定のための溶媒は、重水素化-ジメチルスルホキシド(DMSO-d6)、重水素化-クロロホルム(CDCl3)及び重水素化-メタノール(CD3OD)であり、内部標準は、テトラメチルシラン(TMS)である。
【0143】
MSは、LC(Waters社2695)/MS(Quattro Premier xE)質量分析器(製造者:Waters社)(フォトダイオードアレイ検出器)により判定される。
【0144】
分取液体クロマトグラフィーは、lc6000高性能液体クロマトグラフ(製造者:Beijing Chuangxintongheng science and Technology Co., Ltd.社)で実施される。
【0145】
Qingdao Haiyang Chemical社GF254シリカゲルプレートを、薄層シリカゲルクロマトグラフィー(TLC)に使用する。TLCに使用されるシリカゲルプレートの寸法は、0.20mmから0.25mmであり、生成物の精製(Prep-TLC)に使用されるシリカゲルプレートの寸法は0.5mmである。
【0146】
Qingdao Haiyang Chemical社100から200メッシュ、200から300メッシュ及び300から400メッシュシリカゲルを、一般的に担体としてカラムクロマトグラフィーに使用する。
【0147】
本発明の公知の出発材料は、当業界で公知の方法により調製してよく、又はWanghua Mall社、Beijing Ouhe Technology社、Sigma社、J&K Scientific社、Yishiming社、Shanghai Shuya Chemical社、Innochem Science & Technology社、Energy Chemical社、Shanghai Bide Pharmatech社等から購入してよい。
【0148】
特に定めのない限り、反応は、窒素雰囲気下で実行される。
【0149】
アルゴン雰囲気又は窒素雰囲気は、反応フラスコが、アルゴン又は窒素バルーン(約1L)を備えていることを意味する。
【0150】
反応溶媒、有機溶媒又は不活化溶媒はそれぞれ、記載されている反応条件下で反応に加わらない、使用される溶媒として表現され、これは、例えば、ベンゼン、トルエン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン(THF)、ジメチルホルムアミド(DMF)、クロロホルム、ジクロロメタン、エーテル、メタノール、N-メチルピロリドン(NMP)、ピリジン等を含む。実施例において特に指定がない限り、溶液は、水溶液を意味する。
【0151】
本発明に記載されている化学反応は一般的に、通常の圧力下で実行される。反応温度は、-78℃から200℃である。反応持続時間及び条件は、例えば、1気圧下で-78℃から200℃であり、約1から24時間以内に完了する。反応が終夜実施される場合、次いで反応持続時間は一般的に16時間である。実施例に特に指定がない限り、反応温度は、20℃から30℃の室温である。
【0152】
実施例における反応の進展は、薄層クロマトグラフィー(TLC)によりモニターされる。反応において使用される展開系は、A:ジクロロメタン及びメタノール系、B:石油エーテル及び酢酸エチル系、C:アセトンを含む。溶媒の体積比は、化合物の極性に応じて調整される。
【0153】
カラムクロマトグラフィーの溶離液系、及び化合物を精製するためのTLCの展開系は、A:ジクロロメタン及びメタノール系、B:石油エーテル及び酢酸エチル系を含む。溶媒の体積比は、化合物の極性に応じて調整され、少量のアルカリ性又は酸性試薬、例えばトリエチルアミン又はトリフルオロ酢酸を調整のために添加してよい。
【0154】
特に定義がない限り、本明細書で使用されるすべての専門及び科学用語は、当業者によく知られているものと同じ意味を有する。更に、本明細書に記載されている内容と同様又は等しい任意の方法及び材料を、本発明の方法に適用できる。
【0155】
略語
NMR=核磁気共鳴
Boc=tert-ブトキシカルボニル
BPD=ベンゼンホスホラスジクロリド
DCM=ジクロロメタン
DIPEA=ジイソプロピルエチルアミン
DMA=N,N-ジメチルアニリン
DMAP=4-ジメチルアミノピリジン
DMF=N,N-ジメチルホルムアミド
DMSO=ジメチルスルホキシド
EA=酢酸エチル
HPLC=高速液体クロマトグラフィー
LC-MS=液体クロマトグラフィー-質量分析
NBS=n-ブロモスクシンイミド
PE=石油エーテル
tol.=トルエン
TBSCl=tert-ブチルジメチルシリルクロリド
TEA=トリエチルアミン
THF=テトラヒドロフラン
TMEDA=N,N,N',N'-テトラメチルエチレンジアミン。
【実施例1】
【0156】
2-(3-アミノベンゾフロ[2,3-b]ピリジン-2-イル)プロパン-2-オール(1)の調製
【0157】
【0158】
工程1:2-クロロベンゾフラン-3-カルバルデヒド(1a)の調製
DMF(10.0g、123mmol)を室温にてクロロホルム(40mL)に溶解した。溶液を0℃に冷却し、続いてオキシ塩化リン(15.5g、101mmol)をゆっくり添加し、窒素雰囲気下で0~5℃にて10分間撹拌した。クロロホルム(40mL)中のベンゾフラン-2(3H)-ケトン(5.50g、41.0mmol)の溶液を0℃にてゆっくり滴下添加し、次いで反応系を18時間還流させた。反応溶液を減圧下で濃縮し、続いて水を添加した。pH値を酢酸カリウムで5に調整し、次いでpH値を水酸化ナトリウム水溶液(2N)で7に調整した。反応溶液をジクロロメタンで抽出し、有機相を無水硫酸ナトリウムで脱水し、濾過した。濾液を減圧下で濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(移動相:PE/EA=1:1)により精製して、3.20gの表題化合物を白色固体として得た、収率:43.3%。
LC-MS: m/z 181.0 [M + H]+.
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 10.20 (s, 1H), 8.18-8.14 (m, 1H), 7.53-7.49 (m, 1H), 7.44-7.39 (m, 2H).
【0159】
工程2:2-アジドベンゾフラン-3-カルバルデヒド(1b)の調製
2-クロロベンゾフラン-3-カルバルデヒド(1a)(1.50g、8.33mmol)をDMSO(25mL)に溶解し、続いてアジ化ナトリウム(1.05g、16.7mmol)を添加した。反応溶液を20℃にて1時間撹拌した。LCMSモニタリングにより、反応が完了した後で、水(30mL)を添加し、反応溶液を酢酸エチル(50mL)で抽出し、無水硫酸ナトリウムで脱水し、濾過した。濾液を減圧下で濃縮して、1.40gの表題化合物を黄褐色固体として得た、収率:89.9%。
LC-MS:m/z 188.0[M+H]+。
【0160】
工程3:2-アミノベンゾフラン-3-カルバルデヒド(1c)の調製
2-アジドベンゾフラン-3-カルバルデヒド(1b)(500mg、2.67mmol)及びパラジウム炭素(150mg、30% wt)を、室温にてメタノール(20mL)に溶解した。反応系を水素で3回パージし、次いで水素雰囲気下で6時間撹拌した。LCMSモニタリングにより、反応が完了した後で、反応溶液を減圧下で濃縮して、460mgの粗表題化合物を黄褐色固体として得、これを、精製なしで次の工程で直接使用した。
LC-MS:m/z 162.1[M+H]+。
【0161】
工程4:1-(3-エトキシ-2,3-ジオキソプロピル)ピリジン-1-イウムブロミド(1d)の調製
ピリジン(246mg、3.11mmol)を室温にて無水エタノール(8mL)に溶解し、続いて無水エタノール(8mL)中のエチル3-ブロモ-2-オキソプロピオネート(574mg、2.96mmol)の溶液をゆっくり滴下添加した。反応溶液を次いで65℃に加熱し、1時間撹拌し、次の工程に直接使用した。
【0162】
工程5:エチル3-アミノベンゾフロ[2,3-b]ピリジン-2-カルボキシレート(1e)の調製
工程4の反応溶液を室温に冷却し、続いて2-アミノベンゾフラン-3-カルバルデヒド(1c)(417mg、2.59mmol)、ピリジン(492mg、6.22mmol)及び無水エタノール(10mL)を添加した。反応溶液を85℃に加熱し、5時間撹拌した。ピロリジン(461mg、6.48mmol)を次いで添加し、反応溶液を85℃にて3時間撹拌した。LCMSモニタリングにより、反応が完了した後で、反応溶液を冷却し、減圧下で濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(移動相:PE/EA=1:1)により精製して、110mgの表題化合物を赤褐色固体として得た、収率:16.6%。
LC-MS:m/z 257.1[M+H]+。
【0163】
工程6:2-(3-アミノベンゾフロ[2,3-b]ピリジン-2-イル)プロパン-2-オール(1)の調製
臭化メチルマグネシウム(1.3mL、Et2O中3M、3.91mmol)を、室温にてテトラヒドロフラン(10mL)に溶解した。溶液を-5℃に冷却し、続いてテトラヒドロフラン(10mL)中のエチル3-アミノベンゾフロ[2,3-b]ピリジン-2-カルボキシレート(100mg、0.391mmol)の溶液をゆっくり滴下添加し、-5℃にて2時間撹拌した。LCMSモニタリングにより、反応が完了した後で、塩化アンモニウムの飽和水溶液(20mL)を添加し、反応溶液を酢酸エチル(50mL)で抽出した。有機相を無水硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、濾液を減圧下で濃縮した。残渣を分離し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(移動相:DCM/EA=3:1)により精製して、7.4mgの表題化合物を白色固体として得た、収率:7.83%。
LC-MS: m/z 224.9[M-OH]+.
1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ 7.93-7.91 (m, 1H), 7.70 (s, 1H), 7.55-7.53 (m, 1H), 7.50-7.45 (m, 1H), 7.35-7.30 (m, 1H), 1.69 (s, 6H).
【実施例2】
【0164】
2-(3-アミノ-9-メチル-9H-ピリド[2,3-b]インドール-2-イル)プロパン-2-オール(2)の調製
【0165】
【0166】
工程1:2-クロロ-1H-インドール-3-カルバルデヒド(2a)の調製
インドリン-2-オン(12.0g、90.2mmol)をDMF(60mL)に溶解し、続いて0℃にてオキシ塩化リン(60mL)をゆっくり滴下添加した。反応溶液を、窒素雰囲気下で室温にて24時間撹拌し、次いで1.2Lの氷水中に注ぎ、24時間撹拌し、濾過した。濾過ケーキを精製水で洗浄し、乾燥させて、12.8gの粗表題化合物を黄色固体として得、これを、精製なしで次の工程で直接使用した。
LC-MS:m/z 180.0[M+H]+。
【0167】
工程2:2-クロロ-1-メチル-1H-インドール-3-カルバルデヒド(2b)の調製
2-クロロ-1H-インドール-3-カルバルデヒド(2a)(5.00g、27.9mmol)及びヨウ化メチル(4.76g、33.5mmol)を0℃にてDMF(10mL)に溶解し、続いてナトリウム水素(1.23g、30.7mmol、ミネラル油中)を添加し、反応溶液を20℃にて4時間撹拌した。反応が完了した後で、水(30mL)を添加し、反応溶液を酢酸エチル(50mL)で抽出し、無水硫酸ナトリウムで脱水し、濾過した。濾液を減圧下で濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(移動相:PE/EA=1:1)により精製して、2.60gの表題化合物を黄色固体として得た、収率:48.2%。
LC-MS:m/z 194.1[M+H]+。
【0168】
工程3:2-アジド-1-メチル-1H-インドール-3-カルバルデヒド(2c)の調製
2-クロロ-1-メチル-1H-インドール-3-カルバルデヒド(2b)(4.10g、21.2mmol)及びアジ化ナトリウム(2.68g、42.4mmol)を室温にてDMSO(40mL)に溶解し、溶液を24時間撹拌した。反応が完了した後で、水(30mL)を添加し、反応溶液を酢酸エチル(50mL)で抽出し、無水硫酸ナトリウムで脱水し、濾過した。濾液を減圧下で濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(移動相:PE/EA=1:1)により精製して、2.90gの表題化合物を黄色固体として得た、収率:68.2%。
LC-MS:m/z 201.1[M+H]+。
【0169】
工程4:2-アミノ-1-メチル-1H-インドール-3-カルバルデヒド(2d)の調製
2-アジド-1-メチル-1H-インドール-3-カルバルデヒド(2c)(1.00g、4.99mmol)及びパラジウム炭素(150mg、15.0% wt)を、室温にてメタノール(30mL)に溶解した。反応系を水素で3回パージし、次いで水素雰囲気下で5時間撹拌した。LCMSモニタリングにより、反応が完了した後で、反応溶液を減圧下で濃縮して、700mgの粗表題化合物を黄褐色固体として得、これを、精製なしで次の工程で直接使用した。
LC-MS:m/z 175.2[M+H]+。
【0170】
工程5:1-(3-エトキシ-2,3-ジオキソプロピル)ピリジン-1-イウムブロミド(1d)の調製
ピリジン(245mg、3.10mmol)を室温にて無水エタノール(8mL)に溶解し、続いて無水エタノール(10mL)中のエチル3-ブロモ-2-オキソプロピオネート(530mg、2.73mmol)の溶液を、ゆっくり滴下添加した。反応溶液を次いで65℃に加熱し、1時間撹拌し、次の工程に直接使用した。
【0171】
工程6:エチル3-アミノ-9-メチル-9H-ピリド[2,3-b]インドール-2-カルボキシレート(2e)の調製
工程5の反応溶液を室温に冷却し、続いて2-アミノ-1-メチル-1H-インドール-3-カルバルデヒド(2d)(450mg、2.59mmol)、ピリジン(490mg、6.21mmol)及び無水エタノール(10mL)を添加し、85℃に5時間加熱した。ピロリジン(460mg、6.47mmol)を次いで添加し、反応溶液を85℃にて3時間撹拌した。LCMSモニタリングにより、反応が完了した後で、反応溶液を冷却し、減圧下で濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(移動相:PE/EA=1:1)により精製して、300mgの表題化合物を赤褐色固体として得た、収率:43.1%。
LC-MS:m/z 270.1[M+H]+。
【0172】
工程7:2-(3-アミノ-9-メチル-9H-ピリド[2,3-b]インドール-2-イル)プロパン-2-オール(2)の調製
臭化メチルマグネシウム(2.61mL、THF中3M、7.84mmol)を、室温にてテトラヒドロフラン(10mL)に溶解した。溶液を-5℃に冷却し、続いてテトラヒドロフラン(10mL)中のエチル3-アミノ-9-メチル-9H-ピリド[2,3-b]インドール-2-カルボキシレート(2e)(300mg、1.12mmol)の溶液をゆっくり滴下添加し、-5℃にて15分間撹拌し、次いで室温にて5時間撹拌した。LCMSモニタリングにより、反応が完了した後で、塩化アンモニウム(20mL)の飽和水溶液を添加し、反応溶液を酢酸エチル(50mL)で抽出した。有機相を無水硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、濾液を減圧下で濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(移動相:PE/EA=1:1)により精製して、36.6mgの表題化合物を白色固体として得た、収率:12.9%。
LC-MS: m/z 256.1 [M + H]+.
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 7.98 (d, J = 7.6 Hz, 1H), 7.75 (s, 1H), 7.49 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 7.43 (t, J = 7.6 Hz, 1H), 7.15 (t, J = 7.6 Hz, 1H), 3.79 (s, 3H), 1.63 (s, 6H).
【実施例3】
【0173】
2-(3-アミノ-9-メチル-9H-カルバゾール-2-イル)プロパン-2-オール(3)の調製
【0174】
【0175】
工程1:メチル2-アセトアミド-4-ブロモベンゾエート(3a)の調製
メチル2-アミノ-4-ブロモベンゾエート(10.0g、44.0mmol)を、室温にて1,4-ジオキサン(100mL)に溶解し、続いて無水酢酸(60mL)をゆっくり添加した。反応溶液を50℃に加熱し、継続的に8時間撹拌した。反応溶液を室温に冷却し、減圧下で濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(移動相:PE/EA=2:1)により精製して、9.10gの表題化合物を灰白色固体として得た、収率:76.4%。
LC-MS:m/z 271.8[M+H]+。
【0176】
工程2:メチル2-アセトアミド-4-ブロモ-5-ニトロベンゾエート(3b)の調製
メチル2-アセトアミド-4-ブロモベンゾエート(3a)(9.00g、33.2mmol)を、室温にて濃硫酸(30mL)に溶解し、続いて氷浴中で濃硝酸(6mL)をゆっくり滴下添加した。反応溶液を室温に自然に上昇させ、継続的に2時間撹拌した。LCMSモニタリングにより、反応が完了した後で、反応溶液をゆっくり氷水(50mL)中に注ぎ、次いで酢酸エチル(20mL)で3回抽出し、無水硫酸ナトリウムで脱水し、濾過した。濾液を減圧下で濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(移動相:PE/EA=2:1)により精製して、3.60gの表題化合物を黄色固体として得た、収率:34.6%。
LC-MS:m/z 317.0[M+H]+。
【0177】
工程3:メチル5-アセトアミド-2-ニトロ-[1,1'-ビフェニル]-4-カルボキシレート(3c)の調製
メチル2-アセトアミド-4-ブロモ-5-ニトロベンゾエート(3b)(3.50g、11.1mmol)、フェニルボロン酸(4.03g、33.0mmol)、炭酸カリウム(3.04g、22.0mmol)及びテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(636mg、0.550mmol)を、室温にて1,4-ジオキサン(100mL)及び水(5mL)に溶解した。反応系を窒素で3回パージし、次いで100℃に加熱し、窒素雰囲気下で8時間撹拌した。LCMSモニタリングにより、反応が完了した後で、反応溶液を室温に冷却し、酢酸エチルで抽出し、無水硫酸ナトリウムで脱水し、濾過した。濾液を減圧下で濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(移動相:PE/EA=5:1)により精製して、1.20gの表題化合物を黄色固体として得た、収率:34.8%。
LC-MS:m/z 315.1[M+H]+。
【0178】
工程4:メチル3-アセトアミド-9H-カルバゾール-2-カルボキシレート(3d)の調製
メチル5-アセトアミド-2-ニトロ-[1,1'-ビフェニル]-4-カルボキシレート(3c)(1.00g、3.20mmol)を、室温にて亜リン酸トリエチル(15mL)に溶解し、次いで溶液を、140℃に加熱し、8時間撹拌した。反応溶液を室温に冷却し、続いて水(20mL)及び酢酸エチル(20mL)を添加して、3回抽出し、無水硫酸ナトリウムで脱水し、濾過した。濾液を減圧下で濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(移動相:PE/EA=5:1)により精製して、700mgの表題化合物を薄黄色固体として得た、収率:77.6%。
【0179】
工程5:メチル3-アセトアミド-9-メチル-9H-カルバゾール-2-カルボキシレート(3e)の調製
メチル3-アセトアミド-9H-カルバゾール-2-カルボキシレート(3d)(500mg、1.80mmol)、炭酸カリウム(497mg、3.60mmol)及びヨウ化メチル(310mg、2.20mmol)を、室温にてアセトン(10mL)に溶解した。反応系を40℃に加熱し、4時間撹拌した。LCMSモニタリングにより反応が完了した後で、反応溶液を室温に冷却し、濾過した。濾液を減圧下で濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(移動相:PE/EA=5:1)により精製して、300mg、表題化合物を黄色固体として得た、収率:57.1%。
LC-MS:m/z 296.9[M+H]+。
【0180】
工程6:メチル3-アミノ-9-メチル-9H-カルバゾール-2-カルボキシレート(3f)の調製
メチル3-アセトアミド-9-メチル-9H-カルバゾール-2-カルボキシレート(300mg、1.01mmol)を、室温にて無水メタノール(10mL)に溶解し、続いて濃硫酸(1mL)をゆっくり滴下添加した。反応溶液を室温にて4時間撹拌した。LCMSモニタリングにより、反応が完了した後で、反応溶液を濃縮して、メタノールを除去し、続いて水酸化ナトリウム溶液(1N)を添加して、pHを8~10に調整し、次いで酢酸エチルで抽出し、無水硫酸ナトリウムで脱水し、濾過した。濾液を減圧下で濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(移動相:PE/EA=2:1)により精製して、160mgの表題化合物を薄黄色固体として得た、収率:62.9%。
LC-MS:m/z 254.9[M+H]+。
【0181】
工程7:2-(3-アミノ-9-メチル-9H-カルバゾール-2-イル)プロパン-2-オール(3)の調製
臭化メチルマグネシウム(0.8mL、Et2O中3M、2.40mmol)を、室温にてテトラヒドロフラン(10mL)に溶解した。溶液を0℃に冷却し、続いてテトラヒドロフラン(5mL)中のメチル3-アミノ-9-メチル-9H-カルバゾール-2-カルボキシレート(3f)(100mg、0.390mmol)の溶液をゆっくり滴下添加し、次いで0℃にて2時間撹拌した。LCMSモニタリングにより、反応が完了した後で、塩化アンモニウムの飽和水溶液(20mL)を添加し、反応溶液を酢酸エチル(50mL)で抽出した。有機相を無水硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、濾液を減圧下で濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(移動相:DCM/EA=1:1)により精製し、次いで分取液体クロマトグラフィー(カラムモデル:Xbridge 150×19mm、C18、5μm、100A、移動相:アセトニトリル/水、勾配:20%~60%)により精製して、7.3mgの表題化合物をオフホワイト固体として得た、収率:7.31%。
LC-MS: m/z 237.0 [(M-H2O) + H]+.
1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ 7.96 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 7.50 (s, 1H), 7.39 (d, J = 4.4 Hz, 2H), 7.33 (s, 1H), 7.13-7.09 (m, 1H), 3.82 (s, 3H). 1.79 (s, 6H).
【実施例4】
【0182】
2-(3-アミノジベンゾ[b,e][1,4]ジオキシン-2-イル)プロパン-2-オール(4)の調製
【0183】
【0184】
工程1:メチル3-ニトロジベンゾ[b,e][1,4]ジオキシン-2-カルボキシレート(4a)の調製
カテコール(1.00g、4.60mmol)、メチル4,5-ジフルオロ-2-ニトロベンゾエート(510mg、4.60mmol)及び炭酸カリウム(1.27g、9.20mmol)を、室温にてトルエン(100mL)及びDMF(50mL)に溶解した。反応溶液を130℃に加熱し、18時間還流させながら撹拌した。有機相を、100mLの酢酸エチル及び100mLの水で抽出し、水性相を20mLの酢酸エチルで再度抽出した。有機相を合わせ、100mLの水で再度洗浄し、減圧下で濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(移動相:PE/EA=10:1~7:1)により精製して、500mgの表題化合物を黄色固体として得た、収率:37.8%。
LC-MS:m/z 287.04[M+H]+。
【0185】
工程2:メチル3-アミノジベンゾ[b,e][1,4]ジオキシン-2-カルボキシレート(4b)の調製
鉄粉(480mg、8.60mmol)及び塩化アンモニウム(59mg、1.10mmol)を、室温にてエタノール(10mL)及び水(1mL)の混合溶媒(エタノール:水=10:1)中に溶解し、続いてメチル3-ニトロジベンゾ[b,e][1,4]ジオキシン-2-カルボキシレート(4a)(450mg、1.57mmol)を添加した。反応溶液を79℃に加熱し、18時間還流させながら撹拌した。反応溶液を減圧下で直接濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(移動相:PE/EA=10:1~4:1)により精製して、280mgの表題化合物を灰白色固体として得た、収率:69.4%。
LC-MS:m/z 257.07[M+H]+。
【0186】
工程3:2-(3-アミノジベンゾ[b,e][1,4]ジオキシン-2-イル)プロパン-2-オール(4)の調製
塩化メチルマグネシウム(2.43mL、7.35mmol)を、0℃にてテトラヒドロフラン(5mL)に溶解し、続いて、窒素雰囲気下でテトラヒドロフラン(5mL)中のメチル3-アミノジベンゾ[b,e][1,4]ジオキシン-2-カルボキシレート(4b)の溶液をゆっくり滴下添加した。反応溶液を室温にて18時間撹拌し、塩化アンモニウム(5mL)の飽和溶液でクエンチした。反応が完了した後で、反応溶液を、水(100mL)及び酢酸エチル(50mL)で抽出し、水性相を50mLの酢酸エチルで再度抽出した。有機相を合わせ、減圧下で濃縮した。残渣を分取液体クロマトグラフィー(カラムモデル:Daisogei 30mm×250mm、C18、10μm、100Å、移動相:アセトニトリル/水、勾配:2~22~29min、20~60~95%、目標時間:24.6min)により精製して、120mgの表題化合物を白色固体として得た、収率:44.5%。
LC-MS: m/z 258.5 [M + H]+.
1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ 6.90-6.86 (s, 4H), 6.60 (s, 1H), 6.23 (s, 1H), 5.31 (s, 2H), 5.20 (s, 1H), 1.43 (s, 6H).
【実施例5】
【0187】
2-(2-アミノ-10-メチル-10H-フェノキサジン-3-イル)プロパン-2-オール(5)の調製
【0188】
【0189】
工程1:メチル2-ニトロ-10H-フェノキサジン-3-カルボキシレート(5a)の調製
メチル4-ブロモ-5-フルオロ-2-ニトロベンゾエート(1.00g、3.61mmol)を、室温にてN,N-ジメチルホルムアミド(10mL)に溶解し、続いて2-アミノフェノール(393mg、3.61mmol)及び炭酸セシウム(2.35g、7.22mmol)を添加した。反応溶液を120℃に加熱し、窒素雰囲気下で24時間撹拌した。反応溶液を室温に冷却し、減圧下で濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(移動相:DCM)により精製して、530mgの表題化合物を赤色固体として得た、収率:51.3%。
LC-MS:m/z 287.1[M+H]+。
【0190】
工程2:メチル10-メチル-2-ニトロ-10H-フェノキサジン-3-カルボキシレート(5b)の調製
メチル2-ニトロ-10H-フェノキサジン-3-カルボキシレート(5a)(400mg、1.40mmol)を、0℃にて無水N,N-ジメチルホルムアミド(5mL)に溶解し、続いて水素化ナトリウム(67.0mg、2.79mmol)を添加した。反応溶液を0℃にて30分間撹拌し、続いてヨウ化メチル(992mg、6.99mmol)を添加し、0℃にて2時間撹拌した。反応溶液を水(3mL)でクエンチし、次いでジクロロメタンで抽出し、減圧下で濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(移動相:DCM)により精製して、380mgの表題化合物を赤色固体として得た、収率:90.6%。
LC-MS:m/z 300.8[M+H]+。
【0191】
工程3:メチル2-アミノ-10-メチル-10H-フェノキサジン-3-カルボキシレート(5c)の調製
塩化スズ(II)(208mg、0.925mmol)を室温にてエタノール(5mL)に溶解し、続いてメチル10-メチル-2-ニトロ-10H-フェノキサジン-3-カルボキシレート(5b)(50.0mg、0.185mmol)をゆっくり添加した。反応溶液を70℃に加熱し、窒素雰囲気下で5時間撹拌した。反応溶液を室温に冷却し、減圧下で濃縮した。残渣をPrep-TLC(展開剤:DCM)により精製して、20.0mgの表題化合物を緑色固体として得た、収率:40.0%。
【0192】
工程4:2-(2-アミノ-10-メチル-10H-フェノキサジン-3-イル)プロパン-2-オール(5)の調製
メチル2-アミノ-10-メチル-10H-フェノキサジン-3-カルボキシレート(5c)(100mg、0.369mmol)を、0℃にて無水テトラヒドロフラン(5mL)に溶解し、続いて0℃にて臭化メチルマグネシウム(7.38mL、7.38mmol)をゆっくり添加した。反応系を室温に上昇させ、2時間撹拌した。反応溶液を塩化アンモニウムの飽和溶液でクエンチし、次いで酢酸エチルで抽出し、減圧下で濃縮した。残渣をPrep-TLC(展開剤:EA/PE=1:2)により精製して、11.0mgの表題化合物を灰色固体として得た、収率:13.5%。
LC-MS: m/z 270.9 [M + H]+.
1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ 6.82-6.80 (m, 1H), 6.65-6.61 (m, 3H), 6.36 (s, 1H), 6.13 (s, 1H), 5.15 (s, 3H), 2.96 (s, 3H), 1.47 (s, 6H).
【実施例6】
【0193】
2-(3-アミノ-10-メチル-10H-フェノキサジン-2-イル)プロパン-2-オール(6)の調製
【0194】
【0195】
工程1:2-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)アニリン(6a)の調製
2-アミノフェノール(1.00g、9.16mmol)及びイミダゾール(0.624g、18.3mmol)を、室温にてテトラヒドロフラン(10mL)に添加した。混合物を0℃に冷却し、それにtert-ブチルジメチルクロロシラン(1.38mg、9.61mmol)を添加した。反応溶液を、窒素雰囲気下で16時間撹拌した。反応溶液をNaOHで洗浄した。有機相を、エチルエーテルで抽出し、減圧下で濃縮して、1.74gの表題化合物を赤色液体として得た、収率:85.0%。
【0196】
工程2:メチル4-ブロモ-5-((2-ヒドロキシフェニル)アミノ)-2-ニトロベンゾエート(6b)の調製
2-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)アニリン(6a)(200mg、0.896mmol)を室温にてN,N-ジメチルホルムアミド(10mL)に添加し、続いてメチル4-ブロモ-5-フルオロ-2-ニトロベンゾエート(249mg、0.896mmol)及び炭酸セシウム(584mg、1.79mmol)を添加した。反応溶液を120℃に加熱し、窒素雰囲気下で16時間撹拌した。反応溶液を室温に冷却し、水で洗浄し、次いで有機相を、酢酸エチルで抽出した。有機相を無水硫酸ナトリウムで脱水し、濾過した。濾液を減圧下で濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(移動相:EA/PE=1:1)により精製して、142mgの表題化合物を赤色固体として得た、収率:43.3%。
【0197】
工程3:メチル3-ニトロ-10H-フェノキサジン-2-カルボキシレート(6c)の調製
メチル4-ブロモ-5-((2-ヒドロキシフェニル)アミノ)-2-ニトロベンゾエート(6b)(50.0mg、0.136mmol)を、N,N-ジメチルホルムアミド(10mL)に添加し、続いて室温にて炭酸セシウム(89.0mg、0.272mmol)を添加した。反応溶液を140℃に加熱し、窒素雰囲気下で16時間撹拌した。反応溶液を室温に冷却し、水で洗浄し、次いで有機相を、酢酸エチルで抽出した。有機相を無水硫酸ナトリウムで脱水し、濾過した。濾液を減圧下で濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(移動相:EA/PE=1:3)により精製して、30.0mgの表題化合物を赤色固体として得た、収率:77.1%。
【0198】
工程4:メチル10-メチル-3-ニトロ-10H-フェノキサジン-2-カルボキシレート(6d)の調製
メチル3-ニトロ-10H-フェノキサジン-2-カルボキシレート(7c)(120mg、0.105mmol)を、無水N,N-ジメチルホルムアミド(5mL)に添加し、続いて0℃にて水素化ナトリウム(20.0mg、0.210mmol、ミネラル油中60%)を添加した。反応溶液を30分間撹拌し、続いてヨウ化メチル(180mg、0.315mmol)を添加した。反応系を0℃にて2時間撹拌し、水(3mL)でクエンチした。有機相をジクロロメタンで抽出し、減圧下で濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(移動相:EA/PE=1:3)により精製して、100mgの表題化合物を赤色固体として得た、収率:79.5%。
【0199】
工程5:メチル3-アミノ-10-メチル-10H-フェノキサジン-2-カルボキシレート(6e)の調製
塩化スズ(II)(316mg、1.67mmol)を室温にてエタノール(5mL)に添加し、続いてメチル10-メチル-3-ニトロ-10H-フェノキサジン-2-カルボキシレート(6d)(100mg、0.330mmol)をゆっくり添加した。反応溶液を70℃に加熱し、窒素雰囲気下で5時間撹拌した。反応溶液を室温に冷却し、減圧下で濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(移動相:MeOH/DCM=1:20)により精製して、82.0mgの表題化合物を緑色固体として得た、収率:91.9%。
【0200】
工程6:2-(3-アミノ-10-メチル-10H-フェノキサジン-2-イル)プロパン-2-オール(6)の調製
メチル3-アミノ-10-メチル-10H-フェノキサジン-2-カルボキシレート(6e)(50.0mg、0.111mmol)を、0℃にて三口ボトルに添加した。反応系を窒素でパージし、続いて無水テトラヒドロフラン(5mL)をゆっくり添加した。臭化メチルマグネシウム(66.0mg、0.333mmol)を、窒素雰囲気下で0℃にてゆっくり添加し、次いで反応系を室温にて3時間撹拌した。反応溶液を塩化アンモニウム水溶液でクエンチし、次いでジクロロメタンで抽出し、減圧下で濃縮した。残渣をPrep-TLC(展開剤:EA/PE=1:5)で精製して、表題化合物をオフホワイト固体として得た、33.0mg、収率:66.0%。
LC-MS: m/z 271.1[M + H]+.
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 6.83-6.81 (m, 1H), 6.67 (s, 2H), 6.50-6.47 (m, 2H), 6.31 (s, 1H), 6.14 (s, 1H), 3.50 (br, 3H), 3.01 (s, 3H), 1.64 (s, 6H).
【実施例7】
【0201】
3-(2-アミノ-10-メチル-10H-フェノキサジン-3-イル)ペンタン-3-オール(7)の調製
【0202】
【0203】
メチル2-アミノ-10-メチル-10H-フェノキサジン-3-カルボキシレート(6e)(500mg、1.85mmol)を、0℃にて三口ボトルに添加した。反応系を窒素でパージし、続いて無水テトラヒドロフラン(5mL)をゆっくり滴下添加した。チタン酸テトライソプロピル(370mg、1.30mmol)を、窒素雰囲気下で0℃にてゆっくり添加し、次いで反応系を室温にて2時間撹拌した。臭化エチルマグネシウム(740mg、5.55mmol)を0℃にてゆっくり添加し、次いで反応系を室温にて3時間撹拌した。反応溶液を水でクエンチし、次いで酢酸エチルで抽出し、減圧下で濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(移動相:PE/EA=1:5)により精製して、66.8mgの表題化合物を薄黄色固体として得た、収率:12.1%。
LC-MS: m/z 299.9 [M + H]+.
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 6.85-6.81 (m, 1H), 6.66-6.62 (m, 3H), 6.26 (s, 1H), 6.09 (s, 1H), 5.07 (s, 2H), 4.76 (s, 1H), 2.96 (s, 3H), 1.79-1.73 (m, 4H), 0.76-0.72 (m, 6H).
【実施例8】
【0204】
2-(2-アミノ-ジベンゾ[b,d]フラン-3-イル)プロパン-2-オール(8)の調製
【0205】
【0206】
工程1:4-ブロモ-5-フルオロ-2-ニトロ安息香酸(8a)の調製
4-ブロモ-3-フルオロ安息香酸(3.00g、11.3mmol)を0℃にて濃硫酸(20mL)に溶解し、続いて濃硝酸(4.20mL、33.9mmol)をゆっくり滴下添加した。反応溶液を室温にて18時間撹拌し、氷水(100mL)中に注ぎ、濾過した。濾過ケーキを50mLの水で洗浄し、減圧下で乾燥させて、表題化合物を薄黄色固体として得た、2.5g、収率:71.6%。
【0207】
工程2:メチル4-ブロモ-5-フルオロ-2-ニトロベンゾエート(8b)の調製
4-ブロモ-5-フルオロ-2-ニトロ安息香酸(8a)(2.00g、7.60mmol)及び炭酸カリウム(2.10g、15.2mmol)を、室温にてDMF(30mL)に溶解し、続いてヨウ化メチル(3.24g、22.8mmol)を添加した。反応溶液を室温にて18時間撹拌し、酢酸エチル(80mL)及び水(80mL)で抽出した。有機相を減圧下で濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(移動相:PE/EA=50:1~8:1)により精製して、表題化合物を暗黄色固体として得た、2.00g、収率:94.9%。
【0208】
工程3:メチル4-ブロモ-5-(2-ブロモフェノキシ)-2-ニトロベンゾエート(8c)の調製
メチル4-ブロモ-5-フルオロ-2-ニトロベンゾエート(8b)(1.00g、3.61mmol)、o-ブロモフェノール(749mg、4.33mmol)及び炭酸カリウム(996mg、7.22mmol)を、室温にてDMSO(20mL)に溶解した。反応溶液を80℃にて16時間撹拌し、酢酸エチル(80mL)及び水(80mL)で抽出した。有機相を減圧下で濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(移動相:PE/EA=5:1)により精製して、1.35gの表題化合物を黄色固体として得た、収率:87.2%。
【0209】
工程4:メチル2-ニトロ-ジベンゾ[b,d]フラン-3-カルボキシレート(8d)の調製
メチル4-ブロモ-5-(2-ブロモフェノキシ)-2-ニトロベンゾエート(8c)(600mg、1.40mmol)、酢酸カリウム(548mg、5.60mmol)、BPD(355mg、1.40mmol)及びPd(dppf)Cl2(102mg、0.140mmol)を、室温にてジオキサン(20mL)に添加した。反応溶液を、窒素雰囲気下で100℃にて16時間撹拌した。反応溶液を減圧下で濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(移動相:PE/EA=5:1)により精製して、150mgの表題化合物を白色固体として得た、収率:39.4%。
【0210】
工程5:メチル2-アミノ-ジベンゾ[b,d]フラン-3-カルボキシレート(8e)の調製
メチル2-ニトロ-ジベンゾ[b,d]フラン-3-カルボキシレート(8d)(300mg、1.11mmol)及びPd/C(45.0mg)を、室温にてメタノール(15mL)に添加した。反応溶液を、水素雰囲気下で室温にて16時間撹拌した。反応系を濾過し、濾液を減圧下で濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(移動相:PE/EA=5:1)により精製して、120mgの表題化合物を薄黄色固体として得た、収率:45.0%。
【0211】
工程6:2-(2-アミノ-ジベンゾ[b,d]フラン-3-イル)プロパン-2-オール(8)の調製
塩化メチルマグネシウム(3 N、0.72mL、2.17mmol)を、窒素雰囲気下で0℃にてTHF(5mL)に滴下添加し、続いてTHF(4mL)に溶解したメチル2-アミノ-ジベンゾ[b,d]フラン-3-カルボキシレート(8e)(40.0mg、0.166mmol)を添加した。反応溶液を6℃に加熱し、続いて塩化メチルマグネシウム(3N、1.08mL、3.27mmol)を滴下添加した。反応溶液を60℃にて3時間撹拌し、5mLの水でクエンチし、続いて15mLの水を添加した。反応溶液を20mLの酢酸エチルで抽出し、水性相を15mLの酢酸エチルで2回抽出した。有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムで脱水し、濾過した。濾液を減圧下で濃縮し、残渣を分取液体クロマトグラフィー(カラムモデル:Daisogei 30mm×250mm、C18、10μm、100A、移動相:アセトニトリル/水、勾配:10%~60%)により精製して、40.00mgの表題化合物を薄黄色固体として得た、収率:50.0%。
LC-MS: m/z 242.23 [M+H]+.
1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ 7.93(dd, J = 7.6 Hz, 1H), 7.56 (d, J = 7.6 Hz, 1H), 7.47-7.27 (m, 3H), 7.23(s, 1H), 5.45 (s, 2H), 5.39 (s, 1H), 1.59 (s, 6H).
【実施例9】
【0212】
2-(3-アミノベンゾ[5,6][1,4]ジオキシノ[2,3-b]ピリジン-2-イル)プロパン-2-オール(9)の調製
【0213】
【0214】
工程1:メチル3-アミノ-5-フルオロピコリネート(9a)の調製
2-ブロモ-5-フルオロピリジン-3-アミン(5.00g、26.2mmol)、TEA(4.23g、41.9mmol)及びPd(dppf)Cl2(1.92g、2.62mmol)を室温にてMeOH(50mL)に溶解し、反応溶液を、一酸化炭素雰囲気下で90℃にて終夜撹拌した。反応溶液を減圧下で濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(移動相:石油エーテル/酢酸エチル=1:1)により精製して、3.00gの表題化合物を黄色固体として得た、収率:67.4%。
【0215】
工程2:メチル3-アミノ-6-ブロモ-5-フルオロピコリネート(9b)の調製
メチル3-アミノ-5-フルオロピコリネート(9a)(2.00g、11.8mmol)を室温にてMeCN(100mL)に溶解し、続いて0℃にてNBS(2.09g、11.7mmol)を添加した。反応溶液を室温にて終夜撹拌し、続いて200mLの水を添加した。反応溶液を200mLの酢酸エチルで抽出し、水性相を200mLの酢酸エチルで再度抽出した。有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムで脱水し、濾過した。濾液を減圧下で濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(移動相:石油エーテル/酢酸エチル=5:1)により精製して、2.00gの表題化合物を黄色固体として得た、収率:68.5%。
【0216】
工程3:メチル3-アミノベンゾ[5,6][1,4]ジオキシノ[2,3-b]ピリジン-2-カルボキシレート(9c)の調製
メチル3-アミノ-6-ブロモ-5-フルオロピコリネート(9b)(2.00g、8.06mmol)、カテコール(887mg、8.06mmol)及び炭酸カリウム(2.23g、16.2mmol)を、室温にてトルエン(10mL)及びDMF(50mL)に溶解し、反応溶液を130℃にて終夜撹拌した。直接濾過した後で、濾過ケーキを減圧下で乾燥させて、1.30gの粗表題化合物を黄色固体として得た。
【0217】
工程4:メチル3-(ジベンジルアミノ)ベンゾ[5,6][1,4]ジオキシノ[2,3-b]ピリジン-2-カルボキシレート(9d)の調製
メチル3-アミノベンゾ[5,6][1,4]ジオキシン[2,3-b]ピリジン-2-カルボキシレート(9c)(1.30g、5.04mmol)、臭化ベンジル(2.58g、15.1mmol)及びDIPEA(1.95g、15.1mmol)を室温にてMeCN(100mL)に溶解し、反応溶液を、窒素雰囲気下で90℃にて終夜撹拌した。反応溶液を減圧下で濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(移動相:石油エーテル/酢酸エチル=5:1)により精製して、800mgの表題化合物を黄色固体として得た、収率:36.2%。
【0218】
工程5:2-(3-(ジベンジルアミノ)ベンゾ[5,6][1,4]ジオキシノ[2,3-b]ピリジン-2-イル)プロパン-2-オール(9e)の調製
メチル3-(ジベンジルアミノ)ベンゾ[5,6][1,4]ジオキシン[2,3-b]ピリジン-2-カルボキシレート(9d)(200mg、0.457mmol)を室温にてTHF(10mL)に溶解し、続いてCH3Li(1.6M、1mL)を、窒素雰囲気下で0℃にて滴下添加した。反応溶液を室温にて5時間撹拌し、続いて2mLのメタノールを添加した。反応溶液を、50mLの酢酸エチル及び50mLの水で抽出し、水性相を50mLの酢酸エチルで再度抽出した。有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムで脱水し、濾過した。濾液を減圧下で濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(移動相:石油エーテル/酢酸エチル=5:1)により精製して、表題化合物を黄色液体として得た、200mg、収率:50.0%。
【0219】
工程6:2-(3-アミノベンゾ[5,6][1,4]ジオキシノ[2,3-b]ピリジン-2-イル)プロパン-2-オール(9)の調製
2-(3-(ジベンジルアミノ)ベンゾ[5,6][1,4]ジオキシノ[2,3-b]ピリジン-2-イル)プロパン-2-オール(9e)(100mg、0.228mmol)を室温にてTHF(5mL)に溶解し、続いてPd/C(20.0 mg)を添加し、反応溶液を、水素雰囲気下で6時間撹拌した。反応溶液を、セライトを通して濾過し、濾液を減圧下で濃縮した。残渣を分取液体クロマトグラフィー(カラムモデル:Daisogei 30mm×250mm、C18、10μm、100A、移動相:アセトニトリル/水、勾配:25%~65%)により精製して、17.0mgの表題化合物を白色固体として得た、収率:28.9%。
LC-MS: m/z 259.19 [M + H]+.
1H NMR (300 MHz, DMSO) δ 6.98-6.97 (m, 4H), 6.69 (s, 1H), 5.45 (s, 2H), 5.40 (s, 1H), 1.42 (s, 6H).
【実施例10】
【0220】
2-(3-アミノベンゾフロ[3,2-b]ピリジン-2-イル)プロパン-2-オール(10)の調製
【0221】
【0222】
工程1:エチル3-アミノベンゾフラン-2-カルボキシレート(10a)の調製
2-ヒドロキシベンゾニトリル(4.00g、33.6mmol)及び炭酸カリウム(9.28g、67.2mmol)を室温にてDMF(60mL)に溶解し、溶液を80℃にて16時間撹拌し、続いて100mLの水を添加した。反応溶液を100mLの酢酸エチルで抽出し、水性相を100mLの酢酸エチルで2回抽出した。有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムで脱水し、濾過した。濾液を減圧下で濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(移動相:石油エーテル:酢酸エチル=8:1)により精製して、4.00gの表題化合物を白色固体として得た、収率:58.0%。
【0223】
工程2:エチル3-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)ベンゾフラン-2-カルボキシレート(10b)の調製
エチル3-アミノベンゾフラン-2-カルボキシレート(10a)(4.00g、19.5mmol)及びTEA(5.91g、58.5mmol)を0℃にてDCM(60mL)に添加し、次いで二炭酸ジ-tert-ブチル(6.38g、29.3mmol)をバッチに添加した。反応溶液を室温にて終夜撹拌し、100mLの水中に注いだ。有機相を分離し、水性相を100mLのジクロロメタンで2回抽出した。有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムで脱水し、濾過した。濾液を減圧下で濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(移動相:石油エーテル:酢酸エチル=4:1)により精製して、4.00gの表題化合物を白色固体として得た、収率:67.2%。
【0224】
工程3:tert-ブチル(2-(ヒドロキシメチル)ベンゾフラン-3-イル)カルバメート(10c)の調製
エチル3-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)ベンゾフラン-2-カルボキシレート(10b)(2.00g、6.56mmol)を0℃にてTHF(30mL)に溶解し、続いてリチウム四水素(lithium tetrahydrogen)(9.84mL、9.84mmol、1M)を滴下添加し、反応溶液を室温にて3時間撹拌した。10mLの水を滴下添加して、反応をクエンチし、続いて50mLの水を添加した。反応溶液を50mLのジクロロメタンで抽出し、水性相を50mLのジクロロメタンで2回抽出した。有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムで脱水し、濾過した。濾液を減圧下で濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(移動相:酢酸エチル)により精製して、1.50gの表題化合物を白色固体として得た、収率:87.0%。
【0225】
工程4:tert-ブチル(2-ホルミルベンゾフラン-3-イル)カルバメート(10d)の調製
tert-ブチル(2-(ヒドロキシメチル)ベンゾフラン-3-イル)カルバメート(10c)(3.80g、14.5mmol)を0℃にてDCM(100mL)に溶解し、続いて二酸化マンガン(25.1g、289mmol)を添加し、反応溶液を室温にて24時間撹拌した。反応溶液を、セライトを通して濾過し、濾液を減圧下で濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(移動相:石油エーテル/酢酸エチル=5:1)により精製して、2.5gの表題化合物を黄色固体として得た、収率:66.3%。
【0226】
工程5:3-アミノベンゾフラン-2-カルバルデヒド(10e)の調製
tert-ブチル(2-ホルミルベンゾフラン-3-イル)カルバメート(10d)(500mg、1.92mmol)を0℃にてDCM(30mL)に溶解し、続いて0℃にて臭化亜鉛(862mg、3.83mmol)を添加した。反応溶液を室温にて2.5時間撹拌し、続いて50mLの水を添加した。反応溶液を50mLのジクロロメタンで抽出し、水性相を50mLのジクロロメタンで2回抽出した。有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムで脱水し、濾過した。濾液を減圧下で濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(移動相:石油エーテル/酢酸エチル=2:1)により精製して、30mgの表題化合物を黄色固体として得た、収率:9.72%。
【0227】
工程6:1-(3-エトキシ-2,3-ジオキソプロピル)ピリジン-1-イウムブロミド(1d)の調製
ピリジン(108mg、1.36mmol)を室温にてEtOH(10mL)に溶解し、続いてエチル3-ブロモ-2-オキソプロピオネート(242mg、1.24mmol)を窒素雰囲気下で添加した。反応溶液を65℃にて2時間撹拌し、次の工程に直接使用した。
【0228】
工程7:1-(2-(エトキシカルボニル)ベンゾフロ[3,2-b]ピリジン-3-イル)ピリジン-1-イウムブロミド(10f)の調製
工程6の反応溶液を18~22℃に冷却し、続いて3-アミノベンゾフラン-2-カルバルデヒド(10e)(180mg、1.12mmol)及びピリジン(225mg、2.85mmol)を添加した。反応溶液を、窒素雰囲気下で80℃にて終夜撹拌し、次の工程に直接使用した。
【0229】
工程8:エチル3-アミノベンゾフロ[3,2-b]ピリジン-2-カルボキシレート(10g)の調製
工程7の反応溶液を70℃に冷却し、続いてモルホリン(270mg、3.10mmol)を添加した。反応溶液を80℃に加熱し、窒素雰囲気下で80℃にて18時間撹拌した。続いて50mLの水を添加した。反応溶液を50mLのジクロロメタンで抽出し、水性相を50mLのジクロロメタンで2回抽出した。有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムで脱水し、濾過した。濾液を減圧下で濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(移動相:ジクロロメタン/メタノール=20:1)により精製して、140mgの表題化合物を黄色固体として得た、収率:32.4%。
【0230】
工程9:2-(3-アミノベンゾフロ[3,2-b]ピリジン-2-イル)プロパン-2-オール(10)の調製
塩化メチルマグネシウム(3N、0.78mL、2.34mmol)を、窒素雰囲気下で0℃にてTHF(10mL)に添加し、続いてTHF(10mL)に溶解したエチル3-アミノベンゾフロ[3,2-b]ピリジン-2-カルボキシレート(15 g)(50.0mg、0.195mmol)を添加した。反応溶液を室温にて24時間撹拌し、続いて50mLの水を添加した。反応溶液を50mLのジクロロメタンで抽出し、水性相を50mLのジクロロメタンで2回抽出した。有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムで脱水し、濾過した。濾液を減圧下で濃縮し、残渣を分取液体クロマトグラフィー(カラムモデル:Daisogei 30mm×250mm、C18、10μm、220nm、100A、移動相:アセトニトリル/水、勾配:57%)により精製して、13mgの表題生成物を黄色固体として得た、収率:27.5%。
LC-MS: m/z 242.9 [M + H]+.
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 8.03 (d, J = 8.1 Hz,1 H), 7.97 (d, J = 8.1 Hz, 1H), 7.42-7.31(m, 2H), 7.26 (s, 1H), 7.05 (s, 1H), 4.73 (s, 2H), 3.25 (s, 1H), 1.77 (s, 6H).
【実施例11】
【0231】
2-(3-アミノ-5-メチル-5H-ピリド[3,2-b]インドール-2-イル)プロパン-2-オール(11)の調製
【0232】
【0233】
工程1:2-(メチルアミノ)ベンゾニトリル(11a)の調製
2-アミノベンゾニトリル(5.00g、42.3mmol)、シュウ酸ジメチル(7.50g、63.6mmol)及びカリウムtert-ブトキシド(5.93g、53.0mmol)を、室温にてDMA(30mL)に溶解した。反応溶液を130℃にて18時間撹拌し、続いて100mLの水を添加した。反応溶液を100mLの酢酸エチルで抽出し、水性相を100mLの酢酸エチルで2回抽出した。有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムで脱水し、濾過した。濾液を減圧下で濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(移動相:石油エーテル:酢酸エチル=5:1)により精製して、4.00gの表題生成物を白色固体として得た、収率:71.5%。
【0234】
工程2:N-(2-シアノフェニル)-N-メチルグリシン(11b)の調製
2-(メチルアミノ)ベンゾニトリル(11a)(3.50g、26.5mmol)、炭酸カリウム(3.84g、27.8mmol)及びブロモ酢酸エチル(14.9g、89.6mmol)を、室温にてエタノール(35mL)及び水(35mL)に添加した。反応溶液を78℃にて48時間撹拌した、100mLの水中に注ぎ、続いて100mLのジクロロメタンを添加した。有機相を分離し、水性相を100mLのジクロロメタンで2回抽出した。有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムで脱水し、濾過した。濾液を減圧下で濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(移動相:酢酸エチル)により精製して、2.90gの表題生成物を黄色液体として得た、収率:57.6%。
【0235】
工程3:メチルN-(2-シアノフェニル)-N-メチルグリシネート(11c)の調製
N-(2-シアノフェニル)-N-メチルグリシン(11b)(1.00g、5.26mmol)、炭酸カリウム(1.45g、10.5mmol)及びヨウ化メチル(2.24g、15.8mmol)を、0℃にてDMF(30mL)に溶解した。反応溶液を室温にて3時間撹拌し、続いて50mLの水を添加した。反応溶液を50mLのジクロロメタンで抽出し、水性相を50mLのジクロロメタンで2回抽出した。有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムで脱水し、濾過した。濾液を減圧下で濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(移動相:石油エーテル:酢酸エチル=4:1)により精製して、表題生成物を白色固体として得た、0.90g、収率:83.8%。
【0236】
工程4:メチル3-アミノ-1-メチル-1H-インドール-2-カルボキシレート(11d)の調製
メチルN-(2-シアノフェニル)-N-メチルグリシネート(11c)(5.00g、22.9mmol)を0℃にてTHF(100mL)に溶解し、続いてカリウムtert-ブトキシド(2.82g、25.2mmol)を添加した。反応溶液を室温にて24時間撹拌し、セライトを通して濾過した。濾液を減圧下で濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(移動相:石油エーテル/酢酸エチル=2/1)により精製して、2.5gの表題生成物を黄色固体として得た、収率:50.0%。
【0237】
工程5:メチル3-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)-1-メチル-1H-インドール-2-カルボキシレート(11e)の調製
メチル3-アミノ-1-メチル-1H-インドール-2-カルボキシレート(11d)(3.00g、13.7mmol)、TEA(4.15g、41.1mmol)及びDMAP(1.67g、13.7mmol)を、0℃にてDCM(100mL)に溶解し、続いて0℃にてBoc無水物(4.48g、20.5mmol)を添加した。反応溶液を40℃にて16時間撹拌し、続いて50mLの水を添加した。反応溶液を50mLのジクロロメタンで抽出し、水性相を50mLのジクロロメタンで2回抽出した。有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムで脱水し、濾過した。濾液を減圧下で濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(移動相:石油エーテル/酢酸エチル=2/1)により精製して、1.50gの表題生成物を黄色固体として得た、収率:33.5%。
【0238】
工程6:tert-ブチル(2-(ヒドロキシメチル)-1-メチル-1H-インドール-3-イル)カルバメート(11f)の調製
メチル3-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)-1-メチル-1H-インドール-2-カルボキシレート(11e)(500mg、1.64mmol)を、0℃にてTHF(100mL)に溶解し、0℃にてリチウム四水素アルミニウム(93.8mg、2.47mmol)を添加した。反応溶液を室温にて2.5時間撹拌し、続いて50mLの水を添加した。反応溶液を50mLのジクロロメタンで抽出し、水性相を50mLのジクロロメタンで2回抽出した。有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムで脱水し、濾過した。濾液を減圧下で濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(移動相:石油エーテル/酢酸エチル=1/1)により精製して、250mgの表題生成物を黄色固体として得た、収率:55.1%。
【0239】
工程7:tert-ブチル(2-ホルミル-1-メチル-1H-インドール-3-イル)カルバメート(11g)の調製
tert-ブチル(2-(ヒドロキシメチル)-1-メチル-1H-インドール-3-イル)カルバメート(11f)(200g、0.760mmol)を、0℃にてDCM(100mL)に溶解し、続いて二酸化マンガン(2.51g、28.9mmol)を添加した。反応溶液を室温にて24時間撹拌し、セライトを通して濾過した。濾液を減圧下で濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(移動相:石油エーテル/酢酸エチル=5:1)により精製して、180mgの表題化合物を黄色固体として得た、収率:66.3%。
【0240】
工程8:3-アミノ-1-メチル-1H-インドール-2-カルバルデヒド(11h)の調製
tert-ブチル(2-ホルミル-1-メチル-1H-インドール-3-イル)カルバメート(11g)(500mg、1.81mmol)を0℃にてDCM(30mL)に溶解し、0℃にて臭化亜鉛(815mg、3.62mmol)を添加した。反応溶液を室温にて6時間撹拌し、続いて50mLの水を添加した。反応溶液を50mLのジクロロメタンで抽出し、水性相を50mLのジクロロメタンで2回抽出した。有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムで脱水し、濾過した。濾液を減圧下で濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(移動相:石油エーテル/酢酸エチル=2/1)により精製して、80mgの表題生成物を黄色固体として得た、収率:16.1%。
【0241】
工程9:1-(3-エトキシ-2,3-ジオキソプロピル)ピリジン-1-イウムブロミド(1d)の調製
ピリジン(108mg、1.36mmol)を室温にてEtOH(10mL)に溶解し、エチル3-ブロモ-2-オキソプロピオネート(242mg、1.24mmol)を窒素雰囲気下で添加した。反応溶液を65℃にて2時間撹拌し、次の工程に直接使用した。
【0242】
工程10:1-(2-(エトキシカルボニル)-5-メチル-5H-ピリド[3,2-b]インドール-3-イル)ピリジン-1-イウムブロミド(11i)の調製
工程9の反応溶液を18~22℃に冷却し、続いて3-アミノ-1-メチル-1H-インドール-2-カルバルデヒド(11h)(180mg、1.12mmol)及びピリジン(225mg、2.85mmol)を添加した。反応溶液を、窒素雰囲気下で80℃にて終夜撹拌し、次の工程に直接使用した。
【0243】
工程11:エチル3-アミノ-5-メチル-5H-ピリド[3,2-b]インドール-2-カルボキシレート(11i)の調製
工程10の反応溶液を70℃に冷却し、続いてモルホリン(270mg、3.10mmol)を添加した。反応溶液を80℃に加熱し、窒素雰囲気下で80℃にて18時間撹拌した。50mLの水を添加した。反応溶液を50mLのジクロロメタンで抽出し、水性相を50mLのジクロロメタンで2回抽出した。有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムで脱水し、濾過した。濾液を減圧下で濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(移動相:ジクロロメタン/メタノール=20:1)により精製して、140mgの表題化合物を黄色固体として得た、収率:32.4%。
【0244】
工程12:2-(3-アミノ-5-メチル-5H-ピリド[3,2-b]インドール-2-イル)プロパン-2-オール(11)の調製
塩化メチルマグネシウム(3N、0.78mL、2.34mmol)を、窒素雰囲気下で0℃にてTHF(10mL)に添加し、THF(10mL)に溶解したエチル3-アミノ-5-メチル-5H-ピリド[3,2-b]インドール-2-カルボキシレート(11i)(50.0mg、0.186mmol)を添加した。反応溶液を室温にて4時間撹拌し、続いて50mLの水を添加した。反応溶液を50mLのジクロロメタンで抽出し、水性相を50mLのジクロロメタンで2回抽出した。有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムで脱水し、濾過した。濾液を減圧下で濃縮し、残渣を分取液体クロマトグラフィー(カラムモデル:Daisogei 30mm×250mm、C18、10μm、220nm、100A、移動相:アセトニトリル/水、勾配:57%)により精製して、17mgの表題生成物を黄色固体として得た、収率:35.9%。
LC-MS: m/z 256.10 [M+H]+.
1H NMR (400 MHz, DMSO) δ 7.92 (d, J = 8.0 Hz,1 H), 7.50 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 7.34(t, J = 6.4 Hz,1 H), 7.14(t, J = 6.4 Hz,1 H), 7.03 (s, 1H), 5.80 (s, 1H), 5.51(s, 2H), 3.73(s, 3H), 1.63 (s, 6H).
【実施例12】
【0245】
2-(3-アミノ-7-クロロ-9-メチル-9H-ピリド[2,3-b]インドール-2-イル)プロパン-2-オール(12)の調製
【0246】
【0247】
工程1:2,6-ジクロロ-1H-インドール-3-カルバルデヒド(12a)の調製
N,N-ジメチルホルムアミド(13.1g、180mmol)を、室温にてクロロホルム(100mL)に溶解した。溶液を0℃に冷却し、オキシ塩化リン(22.6g、147mmol)を滴下添加した。反応を、窒素雰囲気下で0~5℃にて10分間撹拌した。クロロホルム(100mL)中の6-クロロインドリン-2-オン(10.0g、59.9mmol)の懸濁液を0℃にてゆっくり滴下添加し、次いで反応系を1時間還流させながら撹拌した。反応溶液を減圧下で濃縮し、続いて水を添加した。pH値を酢酸カリウムで5に調整し、次いでpH値を水酸化ナトリウム水溶液(2N)で7に調整した。反応溶液をジクロロメタンで抽出し、有機相を無水硫酸ナトリウムで脱水し、濾過した。濾液を減圧下で濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(移動相:PE/EA=1:1)により精製して、4.60gの表題化合物を白色固体として得た、収率:36.1%。
LCMS:m/z 213.8[M+H]+。
【0248】
工程2:2,6-ジクロロ-1-メチル-1H-インドール-3-カルバルデヒド(12b)の調製
2,6-ジクロロ-1H-インドール-3-カルバルデヒド(12a)(4.60g、21.6mmol)及びヨウ化メチル(3.68g、25.9mmol)を、室温にてN,N-ジメチルホルムアミド(60mL)に添加した。反応系を0℃に冷却し、水素化ナトリウム(950mg、23.8mmol)をバッチに添加した。反応溶液を室温に加熱し、4時間撹拌し、水でクエンチした。反応溶液を酢酸エチルで抽出した。有機相を飽和ブラインで3回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで脱水し、濾過した。濾液を減圧下で濃縮し、生じた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(移動相:EA/PE=1:1)により精製して、4.40gの表題化合物を褐色固体として得た、収率:87.8%。
LCMS:m/z 227.8[M+H]+。
【0249】
工程3:2-アジド-6-クロロ-1-メチル-1H-インドール-3-カルバルデヒド(12c)の調製
2,6-ジクロロ-1-メチル-1H-インドール-3-カルバルデヒド(12b)(4.40g、19.4mmol)を、室温にてジメチルスルホキシド(45mL)に添加し、続いてアジ化ナトリウム(2.44g、38.8mmol)を添加した。反応溶液を20℃にて7時間撹拌した。水(50mL)を添加し、混合物を、酢酸エチル(50mL)で抽出した。有機相を無水硫酸ナトリウムで脱水し、濾過した。濾液を減圧下で濃縮して、3.80gの粗表題化合物を褐色固体として得、これを次の工程に直接使用した。
LCMS:m/z 234.9[M+H]+。
【0250】
工程4:2-アミノ-6-クロロ-1-メチル-1H-インドール-3-カルバルデヒド(12d)の調製
2-アジド-6-クロロ-1-メチル-1H-インドール-3-カルバルデヒド(12c)(3.80g、16.0mmol)、パラジウム炭素(570mg、30% wt)及びメタノール(80mL)を室温にて混合した。反応系を水素で3回パージし、次いで水素雰囲気下で18時間撹拌した。LCMSモニタリングにより、反応が完了した後で、反応溶液を濾過し、濾液を減圧下で濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(移動相:EA/PE=1:1)により精製して、1.70gの表題化合物を黄褐色固体として得た、収率:50.3%。
LCMS:m/z 208.9[M+H]+。
【0251】
工程5:エチル3-アミノ-7-クロロ-9-メチル-9H-ピリド[2,3-b]インドール-2-カルボキシレート(12e)の調製
ピリジン(500mg、6.33mmol)を室温にて無水エタノール(10mL)に添加し、無水エタノール(10mL)中のエチル3-ブロモ-2-カルボニルプロパノエート(1.05g、5.39mmol)の溶液を滴下添加した。反応溶液を65℃に加熱し、1時間撹拌した。反応溶液を室温に冷却し、続いて化合物2-アミノ-6-クロロ-1-メチル-1H-インドール-3-カルバルデヒド(12d)(940mg、4.52mmol)、ピリジン(928mg、11.7mmol)及び無水エタノール(10mL)を添加した。反応溶液を85℃に加熱し、18時間撹拌した。ピロリジン(835mg、11.75mmol)を添加し、反応溶液を85℃にて3時間撹拌した。LCMSモニタリングにより、反応が完了した後で、反応溶液を冷却し、減圧下で濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(移動相:PE/EA=2:1)により精製して、620mgの表題化合物を赤褐色固体として得た、収率:45.3%。
LCMS:m/z 303.9[M+H]+。
【0252】
工程6:2-(3-アミノ-7-クロロ-9-メチル-9H-ピリド[2,3-b]インドール-2-イル)プロパン-2-オール(12)の調製
臭化メチルマグネシウム(3.33mL、Et2O中3M、10.0mmol)を室温にてテトラヒドロフラン(30mL)に溶解した。溶液を-5℃に冷却し、テトラヒドロフラン(30mL)中のエチル3-アミノ-7-クロロ-9-メチル-9H-ピリド[2,3-b]インドール-2-カルボキシレート(12e)(303mg、1.00mmol)の溶液を滴下添加した。反応を-5℃にて2時間撹拌した。LCMSモニタリングにより、反応が完了した後で、塩化アンモニウム(20mL)の飽和水溶液を添加し、反応溶液を酢酸エチル(50mL)で抽出した。有機相を無水硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、濾液を減圧下で濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(移動相:EA/PE=1:1)により精製して、147mgの表題化合物を白色固体として得た、収率:48.8%。
LCMS: m/z 289.9 [M + H]+.
1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ 7.92 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 7.74 (s, 1H), 7.46 (s, 1H), 7.13 (dd, J = 8.3 Hz, 1.8 Hz, 1H), 3.83 (s, 3H), 1.73 (s, 6H).
【実施例13】
【0253】
2-(3-アミノ-6-クロロ-9-メチル-9H-ピリド[2,3-b]インドール-2-イル)プロパン-2-オール(13)の調製
【0254】
【0255】
工程1:2,5-ジクロロ-1H-インドール-3-カルバルデヒド(13a)の調製
N,N-ジメチルホルムアミド(13.1g、180mmol)を、室温にてクロロホルム(100mL)に溶解した。溶液を0℃に冷却し、オキシ塩化リン(22.6g、147mmol)をゆっくり添加した。反応を、窒素雰囲気下で0~5℃にて10分間撹拌した。クロロホルム(100mL)中の5-クロロインドリン-2-オン(10.0g、59.9mmol)の懸濁液を0℃にてゆっくり滴下添加し、次いで反応系を1時間還流させた。反応溶液を減圧下で濃縮し、続いて水を添加した。pH値を炭酸カリウムで7に調整した。反応溶液を酢酸エチルで抽出し、有機相を無水硫酸ナトリウムで脱水し、濾過した。濾液を減圧下で濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(移動相:EA/PE=2:1)により精製して、4.10gの表題化合物を白色固体として得た、収率:32.1%。
LCMS:m/z 213.7[M+H]+。
【0256】
工程2:2,5-ジクロロ-1-メチル-1H-インドール-3-カルバルデヒド(13b)の調製
2,5-ジクロロ-1H-インドール-3-カルバルデヒド(2.00g、8.41mmol)及び無水炭酸カリウム(1.95g、14.1mmol)を、室温にてN,N-ジメチルホルムアミド(20mL)に溶解し、ヨウ化メタン(1.45g、10.3mmol)をゆっくり添加した。反応溶液を室温にて18時間撹拌し、水でクエンチした。反応溶液を酢酸エチルで抽出した。有機相を飽和ブラインで3回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで脱水し、濾過した。濾液を減圧下で濃縮し、生じた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(移動相:EA/PE=1:5)により精製して、1.70gの表題化合物を黄色固体として得た、収率:79.8%。
LCMS:m/z 227.8[M+H]+。
【0257】
工程3:2-アジド-5-クロロ-1-メチル-1H-インドール-3-カルバルデヒド(13c)の調製
2,5-ジクロロ-1-メチル-1H-インドール-3-カルバルデヒド(13b)(1.50g、6.61mmol)及びジメチルスルホキシド(20mL)を室温にて混合し、続いてアジ化ナトリウム(1.05g、16.7mmol)を添加した。反応溶液を20℃にて7時間撹拌し、続いて水(50mL)を添加し、酢酸エチル(50mL)で抽出した。有機相を無水硫酸ナトリウムで脱水し、濾過した。濾液を減圧下で濃縮して、1.30gの粗表題化合物を薄黄色固体として得(収率:83.8%)、これを次の工程に直接使用した。
LCMS:m/z 234.8[M+H]+。
【0258】
工程4:2-アミノ-5-クロロ-1-メチル-1H-インドール-3-カルバルデヒド(13d)の調製
2-アジド-5-クロロ-1-メチル-1H-インドール-3-カルバルデヒド(13c)(1.30g、5.56mmol)及びパラジウム炭素(400mg、30% wt)を、室温にてメタノール(15mL)に添加した。反応系を水素で3回パージし、次いで水素雰囲気下で4時間撹拌した。LCMSモニタリングにより、反応が完了した後で、反応溶液を濾過し、濾液を減圧下で濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(移動相:EA/PE=1:2)により精製して、表題化合物を黄褐色固体として得た、900mg、収率:77.8%。
LCMS:m/z 208.9[M+H]+。
【0259】
工程5:エチル 3-アミノ-6-クロロ-9-メチル-9H-ピリド[2,3-b]インドール-2-カルボキシレート(13e)の調製
ピリジン(500mg、6.33mmol)を室温にて無水エタノール(10mL)に添加し、無水エタノール(10mL)中のエチル3-ブロモ-2-カルボニルプロパノエート(1.05g、5.39mmol)の溶液を滴下添加した。反応溶液を65℃に加熱し、1時間撹拌した。反応溶液を室温に冷却し、続いて化合物2-アミノ-5-クロロ-1-メチル-1H-インドール-3-カルバルデヒド(13d)(940mg、4.52mmol)、ピリジン(928mg、11.7mmol)及び無水エタノール(10mL)を添加した。反応溶液を85℃に加熱し、18時間撹拌した。ピロリジン(835mg、11.75mmol)を添加し、反応溶液を85℃にて3時間撹拌した。LCMSモニタリングにより、反応が完了した後で、反応溶液を冷却し、減圧下で濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(移動相:EA/PE=2:1)により精製して、150mgの表題化合物を黄褐色固体として得た、収率:20.6%。
LCMS:m/z 303.9[M+H]+。
【0260】
工程6:2-(3-アミノ-6-クロロ-9-メチル-9H-ピリド[2,3-b]インドール-2-イル)プロパン-2-オール(13)の調製
臭化メチルマグネシウム(0.7mL、Et2O中3M、2.1mmol)を、0℃にてテトラヒドロフラン(10mL)に溶解した。溶液を-5℃に冷却し、テトラヒドロフラン(30mL)中のエチル3-アミノ-6-クロロ-9-メチル-9H-ピリド[2,3-b]インドール-2-カルボキシレート(13e)(303mg、1.00mmol)の溶液を滴下添加した。反応を-5℃にて3時間撹拌した。飽和塩化アンモニウム水溶液(20mL)を添加し、反応溶液を酢酸エチル(50mL)で抽出した。有機相を無水硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、濾液を減圧下で濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(移動相:EA/PE=1:1)により精製して、11.1mgの表題化合物を白色固体として得た、収率:19.2%。
LCMS: m/z 289.9 [M + H]+.
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 8.08 (d, J = 2.0Hz, 1H), 7.71 (s, 1H), 7.43 (s, 1H), 7.13 (dd, J = 8.8 Hz, 2.0 Hz, 1H), 5.56 (s, 1H), 5.35 (s, 1H), 3.80 (s, 3H), 1.63 (s, 6H).
【実施例14】
【0261】
2-(2-アミノ-9,9-ジメチル-9H-フルオレン-3-イル)プロパン-2-オール(14)の調製
【0262】
【0263】
工程1:3-ブロモ-9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2-アミン(14a)の調製
9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2-アミン(3.00g、14.4mmol)を、室温にてクロロホルム(30mL)に溶解し、続いてNBS(2.68g、15.1mmol)を添加した。反応溶液を、窒素雰囲気下で室温にて16時間撹拌し、50mLの水を添加した。反応溶液を100mLの酢酸エチルで抽出し、水性相を30mLの酢酸エチルで2回抽出した。有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムで脱水し、濾過した。濾液を減圧下で濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(移動相:PE/EA=4:1)により精製して、1.50gの表題生成物を橙色固体として得た、収率:36.3%。
【0264】
工程2:メチル2-アミノ-9,9-ジメチル-9H-フルオレン-3-カルボキシレート(14b)の調製
3-ブロモ-9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2-アミン(14a)(900mg、3.14mmol)を室温にてメタノール(17mL)に溶解し、続いてTEA(507mg、5.03mmol)及びPd(dppf)Cl2(230mg、0.314mmol)を添加した。反応溶液を、CO雰囲気下で90℃にて16時間撹拌した。反応溶液を30mLの酢酸エチルで抽出し、水性相を20mLの酢酸エチルで2回抽出した。有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムで脱水し、濾過した。濾液を減圧下で濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(移動相:PE/EA=5:1)により精製して、110mgの表題生成物を黄色油状物として得た、収率:13.1%。
【0265】
工程3:2-(2-アミノ-9,9-ジメチル-9H-フルオレン-3-イル)プロパン-2-オール(14)の調製
塩化メチルマグネシウム(3N、0.62mL、1.87mmol)を、窒素雰囲気下で0℃にてTHF(10mL)に滴下添加し、THF(10mL)に溶解したメチル2-アミノ-9,9-ジメチル-9H-フルオレン-3-カルボキシレート(14b)(50.0mg、0.187mmol)を添加した。反応溶液を室温にて4時間撹拌し、25mLの水でクエンチした。反応溶液を20mLの酢酸エチルで抽出し、水性相を10mLの酢酸エチルで再度抽出した。有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムで脱水し、濾過した。濾液を減圧下で濃縮し、残渣を分取液体クロマトグラフィー(カラムモデル:Daisogei 30mm×250mm、C18、10μm、100A、移動相:アセトニトリル/水、勾配:10%~50%)により精製して、16.0mgの表題生成物を白色固体として得た、収率:32.1%。
LC-MS: m/z 267.7 [M+H]+
1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ 7.56~7.54(m,1 H), 7.42~7.37 (m,1 H), 7.35 (s,1 H), 7.21~7.16 (m,1 H), 7.10~7.05 (m,1 H), 6.69 (s,1H), 5.58 (s,2H), 5.22 (s,1H), 1.54 (s, 6H), 1.31 (s, 6H).
【実施例15】
【0266】
2-(8-アミノベンゾ[5,6][1,4]ジオキシノ[2,3-b]ピリジン-7-イル)プロパン-2-オール(15)の調製
【0267】
【0268】
工程1:メチル8-ニトロベンゾ[5,6][1,4]ジオキシノ[2,3-b]ピリジン-7-カルボキシレート(15a)の調製
ピリジン-2,3-ジオール(1.00g、9.01mmol)を、室温にてトルエン(4mL)及びDMF(20mL)に溶解し、続いてメチル4,5-ジフルオロ-2-ニトロベンゾエート(1.95g、9.01mmol)及び炭酸カリウム(2.49g、18.0mmol)を添加した。反応溶液を120℃にて4時間撹拌した。反応溶液を40mLの酢酸エチルで抽出し、水性相を20mLの酢酸エチルで2回抽出した。有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムで脱水し、濾過した。濾液を減圧下で濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(移動相:DCM/EA=3:1)により精製して、1.10gの表題生成物を黄色固体として得た、収率:42.4%。
【0269】
工程2:メチル8-アミノベンゾ[5,6][1,4]ジオキシノ[2,3-b]ピリジン-7-カルボキシレート(15b)の調製
メチル8-ニトロ-ベンゾ[5,6][1,4]ジオキシノ[2,3-b]ピリジン-7-カルボキシレート(15a)(500mg、1.74mmol)を、室温にてエタノール(20mL)及び水(2mL)に溶解し、続いて鉄粉(535mg、9.55mmol)及び塩化アンモニウム(65.2mg、1.22mmol)を添加した。反応溶液を78℃にて16時間撹拌した。反応溶液を30mLの酢酸エチルで抽出し、水性相を20mLの酢酸エチルで2回抽出した。有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムで脱水し、濾過した。濾液を減圧下で濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(移動相:PE/EA= 1:1)により精製して、250mgの表題生成物を薄黄色固体として得た、収率:55.7%。
【0270】
工程3:2-(8-アミノベンゾ[5,6][1,4]ジオキシノ[2,3-b]ピリジン-7-イル)プロパン-2-オール(15)の調製
塩化メチルマグネシウム(3N、1.74mL、5.23mmol)を、窒素雰囲気下で0℃にてTHF(10mL)に滴下添加し、THF(10mL)に溶解したメチル8-アミノベンゾ[5,6][1,4]ジオキシノ[2,3-b]ピリジン-7-カルボキシレート(15b)(135mg、0.523mmol)を添加した。反応溶液を室温にて3時間撹拌し、25mLの水でクエンチした。反応溶液を20mLの酢酸エチルで抽出し、水性相を10mLの酢酸エチルで再度抽出した。有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムで脱水し、濾過した。濾液を減圧下で濃縮し、残渣を分取液体クロマトグラフィー(カラムモデル:Daisogei 30mm×250mm、C18、10μm、100A、移動相:アセトニトリル15%、230/297nm、60ml/min)により精製して、37.0mgの表題生成物を白色固体として得た、収率:27.4%。
LC-MS: m/z259.19 [M+H]+.
1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ 7.80~7.77(m,1 H), 7.40~7.37 (d,1 H), 7.04~7.00 (t,1 H), 6.71 (m,1 H), 6.28 (m,1 H), 5.41 (m,2H), 5.26 (m,1H), 1.46 (s, 6H).
【実施例16】
【0271】
2-(3-アミノジベンゾ[b,d]フラン-2-イル)プロパン-2-オール(16)の調製
【0272】
【0273】
工程1:ジベンゾ[b,d]フラン-3-アミン(16a)の調製
3-ニトロジベンゾ[b,d]フラン(1.00g、4.69mmol)、Fe粉末(2.63g、47.0mmol)、NH4Cl(251mg、4.69mmol)を、室温にてEtOH(20mL)及びH2O(2mL)に溶解した。反応溶液を78℃にて終夜撹拌した。反応溶液を濾過し、減圧下で濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(移動相:石油エーテル/酢酸エチル=5:1)により精製して、800mgの表題生成物を黄色固体として得た、収率:93.1%。
【0274】
工程2:2-ブロモ-ジベンゾ[b,d]フラン-3-アミン(16b)の調製
ジベンゾ[b,d]フラン-3-アミン(16a)(400mg、2.19mmol)を室温にてCHCl3(20mL)に溶解し、続いて0℃にてNBS(389mg、2.19mmol)を添加した。反応溶液を次いで室温にて終夜撹拌した。反応溶液を減圧下で濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(移動相:石油エーテル/酢酸エチル=10:1)により精製して、400mgの表題生成物を黄色固体として得た、収率:69.8%。
【0275】
工程3:メチル3-アミノ-ジベンゾ[b,d]フラン-2-カルボキシレート(16c)の調製
2-ブロモ-ジベンゾ[b,d]フラン-3-アミン(16b)(300mg、1.15mmol)、TEA(185mg、1.83mmol)及びPd(dppf)Cl2(83.8g、0.114mmol)を、室温にてMeOH(10mL)に溶解した。反応溶液をCO雰囲気下で90℃にて終夜撹拌した。反応溶液を減圧下で濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(移動相:石油エーテル/酢酸エチル=10:1)により精製して、100mgの粗表題生成物を黄色固体として得た、収率:27.2%。
【0276】
工程4:2-(3-アミノジベンゾ[b,d]フラン-2-イル)プロパン-2-オール(16)の調製
メチル3-アミノジベンゾ[b,d]フラン-2-カルボキシレート(16c)(100mg、0.415mmol)を、室温にてMeCN(100mL)に溶解し、CH3MgCl(3N、0.91mL)を0℃にて滴下添加した。反応溶液を次いで室温にて終夜撹拌し、50mLの水を添加した。反応溶液を50mLのジクロロメタンで抽出し、水性相を50mLのジクロロメタンで再度抽出した。有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムで脱水し、濾過した。濾液を減圧下で濃縮し、残渣を分取液体クロマトグラフィー(カラムモデル:Daisogei 30mm×250mm、C18、10μm、100A、移動相:アセトニトリル/水、勾配:25%~65%)により精製して、39.0mgの表題生成物を白色固体として得た、収率:39.0%。
LC-MS: m/z 224.10 [M-OH]+.
1H NMR (300 MHz, DMSO) δ 7.88-7.85 (m, 1H), 7.71 (s, 1H), 7.49-7.46 (m, 1H), 7.28-7.22 (m, 2H), 6.81 (s, 1H), 5.91 (s, 2H), 5.35 (s, 1H), 1.59 (s, 6H).
【実施例17】
【0277】
2-(6-アミノベンゾフロ[2,3-b]ピリジン-7-イル)プロパン-2-オール(17)の調製
【0278】
【0279】
工程1:4-ブロモ-5-フルオロ-2-ニトロ安息香酸(17a)の調製
4-ブロモ-3-フルオロ安息香酸(3.00g、13.7mmol)を、室温にて濃硫酸(20mL)に溶解し、濃硝酸(2.7mL、41.1mmol)を、氷浴中で反応フラスコ中に滴下添加した。添加を完了した後で、反応溶液を室温にて16時間撹拌した。反応溶液を氷水中に注いで、固体を沈殿させ、これを濾過し、乾燥させて、3.00gの表題化合物を白色固体として得た、収率:94.4%。
【0280】
工程2:メチル4-ブロモ-5-フルオロ-2-ニトロベンゾエート(17b)の調製
4-ブロモ-5-フルオロ-2-ニトロ安息香酸(17a)(3.00g、12.9mmol)を、室温にてDMF(20mL)に溶解し、ヨウ化メチル(5.51g、38.8mmol)及び炭酸カリウム(3.56g、25.8mmol)を反応フラスコに添加した。反応溶液を室温にて16時間撹拌した。反応溶液を、50mLのジクロロメタン及び50mLの水で抽出し、水性相を20mLのジクロロメタンで再度抽出した。有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムで脱水し、濾過した。濾液を減圧下で濃縮して、2.60gの表題化合物を黄色油状物として得た、収率:72.8%。
【0281】
工程3:(2-ヒドロキシピリジン-3-イル)ボロン酸(17c)の調製
3-ブロモピリジン-2-オール(1.00g、5.75mmol)を、室温にてTHF(15mL)に溶解した。次いで溶液を、窒素雰囲気下で-76℃に冷却し、続いてTMEDA(1.97g、17.0mmol)を添加した。反応溶液を15分間撹拌し、続いてn-BuLi(THF中1.6M、11mL、17.5mmol)を添加した。反応溶液を15分間撹拌し、次いで0℃に上昇させた。ホウ酸トリメチル(1.23g、11.8mmol)を添加し、反応を15分間撹拌した。その後、反応を室温にて16時間撹拌した。反応溶液を0℃に冷却し、少量の氷及び2M塩酸(36mL)を添加した。混合物を減圧下で濃縮し、30mLのジクロロメタンで2回洗浄した。水性相を飽和NaOH水溶液でpH=5に調整して、固体を沈殿させた。反応溶液を0℃に冷却し、10分間撹拌し、濾過した。濾過ケーキを乾燥させて、460mgの表題化合物を白色固体として得た、収率:57.6%。
【0282】
工程4:メチル5-フルオロ-4-(2-ヒドロキシピリジン-3-イル)-2-ニトロベンゾエート(17d)の調製
メチル4-ブロモ-5-フルオロ-2-ニトロベンゾエート(17b)(450mg、1.62mmol)、(2-ヒドロキシピリジン-3-イル)ボロン酸(17c)(338mg、2.43mmol)、炭酸ナトリウム(344mg、3.24mmol)及びPd(dppf)Cl2(59.3mg、0.0810mmol)を、室温にてジオキサン(25mL)及び水(1mL)に溶解した。反応溶液を、窒素雰囲気下で100℃にて16時間撹拌した。有機相を、30mLの酢酸エチル及び20mLの水で抽出し、水性相を20mLの酢酸エチルで再度抽出した。有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムで脱水し、濾過した。濾液を減圧下で濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(移動相:EA)により精製して、500mgの表題化合物を白色固体として得た、収率:70.5%。
【0283】
工程5:メチル6-ニトロベンゾフロ[2,3-b]ピリジン-7-カルボキシレート(17e)の調製
メチル5-フルオロ-4-(2-ヒドロキシピリジン-3-イル)-2-ニトロベンゾエート(17d)(500mg、1.71mmol)を室温にてDMSO(15mL)に溶解し、濃硝酸(2.7mL、41.1mmol)を、氷浴中で反応フラスコ中に滴下添加した。添加を完了した後で、反応溶液を90℃にて16時間撹拌した。有機相を、40mLの酢酸エチル及び30mLの水で抽出し、水性相を40mLの酢酸エチルで再度抽出した。有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムで脱水し、濾過した。濾液を減圧下で濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(移動相:PE/EA=1:1)により精製して、140mgの表題化合物を薄黄色固体として得た、収率:30.1%。
【0284】
工程6:メチル6-アミノベンゾフロ[2,3-b]ピリジン-7-カルボキシレート(17f)の調製
鉄粉(136mg、2.43mmol)及び塩化アンモニウム(16.5mg、0.309mmol)を、エタノール(15 ml)及び水(1.5mL)の混合溶媒に室温にて添加し、続いてメチル6-ニトロベンゾフロ[2,3-b]ピリジン-7-カルボキシレート(17e)(120mg、0.441mmol)を添加した。反応溶液を78℃に加熱し、還流させながら16時間撹拌した。有機相を、30mLの酢酸エチル及び20mLの水で抽出し、水性相を20mLの酢酸エチルで再度抽出した。有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムで脱水し、濾過した。濾液を減圧下で濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(移動相:PE/EA=10:1~1:1)により精製して、100mgの表題化合物を薄黄色固体として得た、収率:93.7%。
【0285】
工程7:2-(6-アミノベンゾフロ[2,3-b]ピリジン-7-イル)プロパン-2-オール(17)の調製
塩化メチルマグネシウム(0.88mL、2.65mmol)を、0℃にてテトラヒドロフラン(5mL)に溶解し、テトラヒドロフラン(10mL)中のメチル6-アミノベンゾフロ[2,3-b]ピリジン-7-カルボキシレート(24f)(80mg、0.331mmol)の溶液を、窒素雰囲気下で滴下添加した。添加を完了した後で、反応溶液を室温にて3時間撹拌した。反応が完了した後で、反応溶液を水(5mL)でクエンチし、水(20mL)及び酢酸エチル(30mL)で抽出し、水性相を20mLの酢酸エチルで再度抽出した。有機相を合わせ、減圧下で濃縮した。残渣を分取液体クロマトグラフィー(カラムモデル30mm×250mm、フィラータイプ:Daisogei C18、10μm、100Å、移動相:アセトニトリル/水、勾配:2~22min A15~65%、60mL/min)により精製して、23mgの表題化合物を白色固体として得た、収率:28.7%。
LC-MS: m/z 225.00 [M+H-18]+.
1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ 8.40-8.31 (t, 2H), 7.40-7.34 (s, 2H), 7.24 (s, 1H), 5.52-5.43 (d, 3H), 1.58 (s, 6H).
【実施例18】
【0286】
2-(3-アミノ-9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2-イル)プロパン-2-オール(18)の調製
【0287】
【0288】
工程1:N-(9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2-イル)アセトアミド(18a)の調製
9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2-アミン(6.00g、28.7mmol)を、室温にて酢酸(30mL)に溶解し、続いて無水酢酸(5.86g、57.4mmol)をゆっくり添加した。反応溶液を室温にて18時間撹拌し、次いで減圧下で濃縮した。氷水(100mL)を添加し、混合物を濾過して、4.50gの表題化合物を白色固体として得た、収率:74.9%。
【0289】
工程2:N-(9,9-ジメチル-3-ニトロ-9H-フルオレン-2-イル)アセトアミド(18b)の調製
N-(9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2-イル)アセトアミド(18a)(1.00g、3.98mmol)及び濃硫酸(0.2mL)を、室温にて酢酸(15mL)に添加し、続いて濃硝酸(0.6mL)を添加した。反応溶液を室温にて2時間撹拌し、室温に冷却し、15mLの氷水中に注いだ。混合物を濾過して、0.40gの表題化合物を黄色固体として得た、収率:34.7%。
【0290】
工程3:9,9-ジメチル-3-ニトロ-9H-フルオレン-2-アミン(18c)の調製
N-(9,9-ジメチル-3-ニトロ-9H-フルオレン-2-イル)アセトアミド(18b)(3.00g、10.3mmol)及び濃塩酸(10.2mL)を、室温にてエタノール(50mL)に溶解した。反応溶液を115℃にて3時間撹拌し、室温に冷却した。水(100mL)を添加し、混合物を、酢酸エチル(100mL)で抽出した。有機相を無水硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、濾液を減圧下で濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(移動相:EA/PE=5:1)により精製して、2.50gの表題化合物を黄色固体として得た、収率:97.1%。
【0291】
工程4:2-ヨード-9,9-ジメチル-3-ニトロ-9H-フルオレン(18d)の調製
9,9-ジメチル-3-ニトロ-9H-フルオレン-2-アミン(18c)(1.00g、3.94mmol)及び濃塩酸(0.5mL)を、室温にてDMSO(10mL)に溶解し、0℃にて亜硝酸ナトリウム(285mg、4.13mmol)を添加した。反応溶液を2.5時間撹拌し、ヨウ化カリウム(1.96g、11.8mmol)水溶液を添加した。反応溶液を18時間撹拌し、続いて水(100mL)を添加し、酢酸エチル(100mL)で抽出した。有機相を無水硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、濾液を減圧下で濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(移動相:EA/PE=5:1)により精製して、0.50gの表題化合物を黄色固体として得た、収率:34.8%。
【0292】
工程5:2-ヨード-9,9-ジメチル-9H-フルオレン-3-アミン(18e)の調製
2-ヨード-9,9-ジメチル-3-ニトロ-9H-フルオレン(18d)(1.00g、2.74mmol)、鉄粉(843mg、15.1mmol)及び塩化アンモニウム(104mg、1.92mmol)を、室温にてエタノール(50mL)及び水(5mL)に溶解した。反応溶液を78℃にて18時間撹拌し、室温に冷却し、続いて水(50mL)を添加した。混合物を、酢酸エチル(50mL)で抽出した。有機相を無水硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、濾液を減圧下で濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(移動相:EA/PE=3:1)により精製して、0.60gの表題化合物を黄色固体として得た、収率:65.3%。
【0293】
工程6:メチル3-アミノ-9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2-カルボキシレート(18f)の調製
2-ヨード-9,9-ジメチル-9H-フルオレン-3-アミン(18e)(300mg、0.895mmol)、TEA(181mg、1.79mmol)及びPd(dppf)Cl2(83.8g、0.114mmol)を、室温にてMeOH(10mL)に溶解した。反応溶液を、CO雰囲気下で90℃にて終夜撹拌した。反応溶液を減圧下で濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(移動相:石油エーテル/酢酸エチル=4:1)により精製して、100mgの粗表題生成物を黄色固体として得た、収率:41.8%。
【0294】
工程7:2-(3-アミノ-9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2-イル)プロパン-2-オール(18)の調製
臭化メチルマグネシウム(3.33mL、Et2O中3M、10.0mmol)を、室温にてテトラヒドロフラン(30mL)に溶解した。溶液を-5℃に冷却し、テトラヒドロフラン(30mL)中のメチル3-アミノ-9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2-カルボキシレート(18f)(303mg、1.16mmol)の溶液を滴下添加した。反応を-5℃にて2時間撹拌した。TLCモニタリングにより、反応が完了した後で、飽和塩化アンモニウム水溶液(20mL)を添加し、反応溶液を酢酸エチル(50mL)で抽出した。有機相を無水硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、濾液を減圧下で濃縮した。残渣を分取液体クロマトグラフィー(カラムモデル:Daisogei 30mm×250mm、C18、10μm、100A、移動相:アセトニトリル/水、勾配:10%~50%)により精製して、50.0mgの表題生成物を白色固体として得た、収率:16.5%。
LCMS: m/z 250.10 [M + H]+.
1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) 7.58~7.55(m, 1H), 7.46~7.43(m, 1H), 7.14~7.26(m, 2H), 7.15 (s, 1H), 6.98 (s, 1H), 5.43 (s, 2H), 5.25 (s, 1H), 1.54 (s, 6H), 1.35 (s, 6 H).
【実施例19】
【0295】
2-(7-アミノベンゾ[5,6][1,4]ジオキシノ[2,3-b]ピリジン-8-イル)プロパン-2-オール(19)の調製
【0296】
【0297】
工程1:メチル7-ニトロベンゾ[5,6][1,4]ジオキシノ[2,3-b]ピリジン-8-カルボキシレート(19a)の調製
ピリジン-2,3-ジオール(1.00g、9.01mmol)を、室温にてトルエン(4mL)及びDMF(20mL)に溶解し、続いてメチル4,5-ジフルオロ-2-ニトロベンゾエート(1.95g、9.01mmol)及び炭酸カリウム(2.49g、18.0mmol)を添加した。次いで反応溶液を120℃にて4時間撹拌した。反応溶液を40mLの酢酸エチルで抽出し、水性相を20mLの酢酸エチルで2回抽出した。有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムで脱水し、濾過した。濾液を減圧下で濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(移動相:DCM/EA=3:1)により精製して、1.10gの表題生成物を黄色固体として得た、収率:42.4%。
【0298】
工程2:メチル7-アミノベンゾ[5,6][1,4]ジオキシノ[2,3-b]ピリジン-8-カルボキシレート(19b)の調製
メチル7-ニトロベンゾ[5,6][1,4]ジオキシノ[2,3-b]ピリジン-8-カルボキシレート(19a)(500mg、1.74mmol)を、室温にてエタノール(20mL)及び水(2mL)に溶解し、鉄粉(535mg、9.55mmol)及び塩化アンモニウム(65.2mg、1.22mmol)を添加した。反応溶液を78℃にて16時間撹拌した。反応溶液を30mLの酢酸エチルで抽出し、水性相を20mLの酢酸エチルで2回抽出した。有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムで脱水し、濾過した。濾液を減圧下で濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(移動相:PE/EA=1:1)により精製して、250mgの表題生成物を薄黄色固体として得た、収率:55.7%。
【0299】
工程3:2-(7-アミノベンゾ[5,6][1,4]ジオキシノ[2,3-b]ピリジン-8-イル)プロパン-2-オール(19)の調製
塩化メチルマグネシウム(3N、1.74mL、5.23mmol)を、窒素雰囲気中で0℃にてTHF(10mL)に滴下添加し、THF(10mL)に溶解したメチル7-アミノベンゾ[5,6][1,4]ジオキシノ[2,3-b]ピリジン-8-カルボキシレート(19b)(135mg、0.523mmol)を添加した。反応溶液を室温にて3時間撹拌し、10mLの水でクエンチした。15mLの水を添加した。反応溶液を20mLの酢酸エチルで抽出し、水性相を10mLの酢酸エチルで再度抽出した。有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムで脱水し、濾過した。濾液を減圧下で濃縮し、残渣を分取液体クロマトグラフィー(カラムモデル:Daisogei 30mm×250mm、C18、10μm、100A、移動相:アセトニトリル15%、230/297nm、60ml/min)により精製して、56.0mgの表題生成物を白色固体として得た、収率:41.5%。
LC-MS: m/z259.25 [M+H]+.
1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ 7.78~7.76(m, 1H), 7.35~7.32 (d, 1H), 7.06~7.02 (t, 1H), 6.66 (m, 1H), 6.33 (m, 1H), 5.40 (m, 2H), 5.26 (m, 1H), 1.45 (s, 6H).
【実施例20】
【0300】
2-(3-アミノ-7-フルオロジベンゾ[b,e][1,4]ジオキシン-2-イル)プロパノール(20)の調製
【0301】
【0302】
工程1:メチル4-ブロモ-5-(4-フルオロ-2-メトキシフェノキシ)-2-ニトロベンゾエート(20a)の調製
メチル4-フルオロ-2-メトキシフェノール(2.05g、14.4mmol)及び4-ブロモ-5-フルオロ-2-ニトロベンゾエート及び炭酸カリウム(5.96g、43.2mmol)を、室温にてDMF(40mL)に溶解した。次いで反応溶液を80℃にて16時間撹拌した。反応溶液を100mLの酢酸エチルで2回抽出し、水性相を50mLの酢酸エチルで再度抽出した。有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムで脱水し、濾過した。濾液を減圧下で濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(移動相:PE/EA=10:1)により精製して、1.90gの表題化合物を黄色固体として得た、収率:92.6%。
【0303】
工程2:メチル4-ブロモ-5-(4-フルオロ-2-ヒドロキシフェノキシ)-2-ニトロベンゾエート(20b)の調製
メチル4-ブロモ-5-(4-フルオロ-2-メトキシフェノキシ)-2-ニトロベンゾエート(1.35g、3.38mmol)及び塩化アルミニウム(1.04g、7.83mmol)を、室温にてトルエン(80mL)に溶解した。反応溶液を、窒素雰囲気下で90℃にて16時間撹拌した。反応溶液を100mLの酢酸エチルで2回抽出し、水性相を50mLの酢酸エチルで再度抽出した。有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムで脱水し、濾過した。濾液を減圧下で濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(移動相:PE/EA=10:1)により精製して、400mgの表題化合物を黄色固体として得た、収率:29.6%。
【0304】
工程3:メチル7-フルオロ-3-ニトロジベンゾ[b,e][1,4]ジオキシン-2-カルボキシレート(20c)の調製
メチル4-ブロモ-5-(4-フルオロ-2-ヒドロキシフェノキシ)-2-ニトロベンゾエート(430mg、1.12mmol)及び炭酸カリウム(310mg、2.23mmol)を、室温にてDMF(40mL)に溶解し、少量のトルエンを滴下添加した。反応溶液を、窒素雰囲気下で90℃にて16時間撹拌した。反応溶液を50mLの酢酸エチルで2回抽出し、水性相を50mLの酢酸エチルで再度抽出した。有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムで脱水し、濾過した。濾液を減圧下で濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(移動相:PE/EA=10:1)により精製して、220mgの表題生成物を黄色固体として得た、収率:51.2%。
【0305】
工程4:メチル3-アミノ-7-フルオロジベンゾ[b,e][1,4]ジオキシン-2-カルボキシレート(20d)の調製
メチル7-フルオロ-3-ニトロジベンゾ[b,e][1,4]ジオキシン-2-カルボキシレート(250mg、0.820mmol)、及び塩化アンモニウム(69.0mg、1.31mmol)、及び鉄粉(460mg、8.20mmol)を、室温にてエタノール:水=5:1(30mL)に溶解した。反応溶液を80℃にて6時間撹拌した。反応溶液を50mLの酢酸エチルで2回抽出し、水性相を50mLの酢酸エチルで再度抽出した。有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムで脱水し、濾過した。濾液を減圧下で濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(移動相:PE/EA=10:1~4:1)により精製して、180mgの表題生成物を薄黄色固体として得た、収率:72%
【0306】
工程5:2-(3-アミノ-7-フルオロジベンゾ[b,e][1,4]ジオキシン-2-イル)プロパノール(20)の調製
塩化メチルマグネシウム(1.50mL、3mol/L)を室温にてテトラヒドロフラン(5mL)に溶解し、続いてテトラヒドロフラン(5mL)中のメチル3-アミノ-7-フルオロジベンゾ[b,e][1,4]ジオキシン-2-カルボキシレート(180mg、0.655mmol)の溶液を、0℃にてゆっくり滴下添加した。反応溶液を3時間撹拌し、50mLの酢酸エチルで2回抽出し、水性相を50mLの酢酸エチルで再度抽出した。有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムで脱水し、濾過した。濾液を減圧下で濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(移動相:PE/EA=10:1~4:1)により精製して、160mgの表題生成物を薄黄色固体として得た、収率:88.9%。
LC-MS: m/z 258 [M-17]+.
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 6.92(d, J=8.9 Hz, 2H), 6.82 6.75 (m, 1H), 6.63(s, 1H), 6.26 (s, 1H), 5.30(d, J =52.9 Hz, 3H), 1.45 (s, 7H).
【実施例21】
【0307】
2-(3-アミノ-8-フルオロジベンゾ[b,e][1,4]ジオキシン-2-イル)プロパノール(21)の調製
【0308】
【0309】
合成工程は、4-フルオロ-2-メトキシフェノールが5-フルオロ-2-メトキシフェノールで置き換えられていることを除いて実施例20として、10mgの表題生成物を薄黄色固体として得た、収率:22.4%。
LC-MS: m/z 258 [M-17]+.
1H NMR (400MHz, DMSO-d6) δ 6.91 (s, 2H), 6.82-6.75 (m, 1 H), 6.63 (s, 1 H), 6.26 (s, 1 H), 5.36 (s, 2 H), 5.25 (s, 1 H), 1.45 (s, 6 H).
【実施例22】
【0310】
2-(2-アミノ-9,9-ジフルオロ-9H-フルオレン-3-イル)プロパノール(22)の調製
【0311】
【0312】
工程1:9,9-ジフルオロ-2-ニトロ-9H-フルオレン(22a)の調製
2-ニトロ-9H-フルオレン(8.10g、384mmol)及びN-フルオロビスベンゼンスルホンアミド(36.3g、115mmol)を、室温にてDMF(200mL)に溶解した。溶液を、窒素雰囲気下で-78℃に冷却し、LiHMDS溶液(114mL、116mmol)を滴下添加した。反応溶液を室温に上昇させ、5時間撹拌した。反応を氷水でクエンチした。反応溶液を500mLの酢酸エチルで2回抽出し、水性相を200mLの酢酸エチルで再度抽出した。有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムで脱水し、濾過した。濾液を減圧下で濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(移動相:PE/EA=10:1)により精製して、5.90gの表題生成物を薄黄色固体として得た、収率:72.8%。
【0313】
工程2:9,9-ジフルオロ-9H-フルオレン-2-アミン(22b)の調製
9,9-ジフルオロ-2-ニトロ-9H-フルオレン(5.90g、23.9mmol)、鉄粉(13.4g、239mmol)及び塩化アンモニウム(2.03g、38.4mmol)を、室温にてエタノール:水=60ml:12mlの溶液に溶解した。反応溶液を80℃にて終夜撹拌し、濾過して、鉄粉を除去した。収集した液体を300mL 酢酸エチルで2回抽出し、水性相を100mLの酢酸エチルで再度抽出した。有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムで脱水し、濾過した。濾液を減圧下で濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(移動相:PE/EA=10:1)により精製して、4.50gの表題化合物を黄色固体として得た、収率:76.2%。
【0314】
工程3:3-ブロモ-9,9-ジフルオロ-9H-フルオレン-2-アミン(22c)の調製
9,9-ジフルオロ-9H-フルオレン-2-アミン(1.00g、4.60mmol)及びNBS(0.830g、4.60mmol)を、室温にてクロロホルム(10mL)に溶解した。反応溶液を16時間撹拌し、200mLの酢酸エチルで2回抽出し、水性相を100mLの酢酸エチルで再度抽出した。有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムで脱水し、濾過した。濾液を減圧下で濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(移動相:PE/EA=10:1)により精製して、600mgの表題化合物を黄色固体として得た、収率:60%。
【0315】
工程4:メチル2-アミノ-9,9-ジフルオロ-9H-フルオレン-3-カルボキシレート(22d)の調製
3-ブロモ-9,9-ジフルオロ-9H-フルオレン-2-アミン(500mg、1.70mmol)、pd(dppf)Cl2(124mg、1.70mmol)及びトリエチルアミン(308mg、3.05mmol)を、室温にてメタノール(8mL)に溶解した。反応溶液を、一酸化炭素雰囲気下で90℃にて終夜撹拌した。室温に冷却した後で、反応溶液を100mLの酢酸エチルで2回抽出し、水性相を50mLの酢酸エチルで再度抽出した。有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムで脱水し、濾過した。濾液を減圧下で濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(移動相:PE/EA=10:1)により精製して、220mgの表題生成物を黄色固体として得た、収率:44%。
【0316】
工程5:2-(2-アミノ-9,9-ジフルオロ-9H-フルオレン-3-イル)プロパノール(22)の調製
塩化メチルマグネシウム(1.86ml、0.560mmol)を、室温にてTHF 5mlに溶解した。溶液を、窒素雰囲気下で0℃に冷却し、メチル2-アミノ-9,9-ジフルオロ-9H-フルオレン-3-カルボキシレート(220mg、0.800mmol)をゆっくり添加した。反応溶液を3時間撹拌し、100mLの酢酸エチルで2回抽出し、水性相を50mLの酢酸エチルで再度抽出した。有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムで脱水し、濾過した。濾液を減圧下で濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(移動相:PE/EA=10:1~4:1)により精製して、88.0mgの表題生成物を薄黄色固体として得た、収率:40%。
LC-MS: m/z 258 [M-17]+.
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ7.62(d, J=7.6 Hz 1H), 7.53(d, J=7.4 Hz, 1H) 7.49-7.41 (m, 2H), 7.20(td, J=7.5, 1.0 Hz, 1H), 5.97 (s, 2H), 5.40(s, 1H), 1.56 (s, 6H).
【実施例23】
【0317】
2-(8-アミノベンゾ[5,6][1,4]ジオキシノ[2,3-b]ピラジン-7-イル)プロパン-2-オール(23)の調製
【0318】
【0319】
工程1:4,5-ジブロモベンゼン-1,2-ジオール(23a)の調製
三臭化ホウ素(100mL、100mmol)を、室温にてジクロロメタン(240mL)中の1,2-ジブロモ-4,5-ジメトキシベンゼン(10.0g、34.0mmol)の溶液に添加した。反応溶液を室温にて2時間撹拌し、水(150mL)でクエンチし、ジクロロメタン(150mL×3)で抽出した。有機相を合わせ、乾燥させ、減圧下で濃縮して、10.0gの粗表題化合物を褐色油状物として得た。
【0320】
工程2:7,8-ジブロモ-5a,9a-ジヒドロベンゾ[5,6][1,4]ジオキシノ[2,3-b]ピラジン(23b)の調製
2,3-ジクロロピラジン(4.48g、30.1mmol)を、室温にてDMF(50mL)中の4,5-ジブロモベンゼン-1,2-ジオール(10.0g、37.6mmol)及び炭酸カリウム(15.6g、173mmol)の溶液に添加し、反応溶液を室温にて終夜撹拌した。反応溶液を酢酸エチル(300mL)で希釈し、水(200mL×3)で洗浄した。有機相を乾燥させ、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(移動相:石油エーテル/酢酸エチル=4:l)により精製して、5.0gの表題化合物を白色固体として得た、収率:38.7%。
【0321】
工程3:N-(8-ブロモベンゾ[5,6][1,4]ジオキシノ[2,3-b]ピラジン-7-イル)-1,1-ジフェニルメタンイミン(23c)の調製
トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(399mg、0.436mmol)及び2,2'-ビス(ジフェニルホスフィノ)-1,1'-ビナフチル(379mg、0.654mmol)を、窒素雰囲気下で室温にてトルエン(50mL)中の7,8-ジブロモ-5a,9a-ジヒドロベンゾ[5,6][1,4]ジオキシノ[2,3-b]ピラジン(1.5g、4.36mmol)、ジベンジルアミン(868mg、4.80mmol)及びナトリウムtert-ブトキシド(628mg、6.54mmol)の溶液に添加した。反応溶液を85℃にて終夜撹拌し、冷却し、減圧下で濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(移動相:石油エーテル/酢酸エチル=10:l)により精製して、1.20gの表題化合物を黄色固体として得た、収率:62.2%。
【0322】
工程4:8-ブロモベンゾ[5,6][1,4]ジオキシノ[2,3-b]ピラジン-7-アミン(23d)の調製
希釈塩酸(10mL、1mol/L)を、室温にてテトラヒドロフラン(20mL)中のN-(8-ブロモベンゾ[5,6][1,4]ジオキシノ[2,3-b]ピラジン-7-イル)-1,1-ジフェニルメタンイミン(1.20g、2.71mmol)の溶液に添加した。反応溶液を室温にて30分間撹拌した。反応溶液は、飽和重炭酸ナトリウム水溶液でpHを8に調整し、酢酸エチル(100mL×2)で抽出した。有機相を合わせ、乾燥させ、減圧下で濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(移動相:石油エーテル/酢酸エチル=10:l)により精製して、400mgの表題生成物を白色固体として得た、収率:52.9%。
【0323】
工程5:メチル8-アミノベンゾ[5,6][1,4]ジオキシノ[2,3-b]ピラジン-7-カルボキシレート(23e)の調製
[1,1'-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)(105mg、0.143mmol)を、室温にてメタノール(20mL)中の8-ブロモベンゾ[5,6][1,4]ジオキシノ[2,3-b]ピラジン-7-アミン(400mg、1.43mmol)及びトリエチルアミン(290mg、2.87mmol)の溶液に添加した。系を90℃に加熱し、一酸化炭素雰囲気下で16時間撹拌した。反応溶液を室温に冷却し、セライトを通して濾過した。濾液を減圧下で濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(移動相:石油エーテル/酢酸エチル=5:l)により精製して、360mgの表題化合物を黄色固体として得た、収率:97.0%。
LC-MS:m/z=260[M+H]+。
【0324】
工程6:2-(8-アミノベンゾ[5,6][1,4]ジオキシノ[2,3-b]ピラジン-7-イル)プロパン-2-オール(23)の調製
メチル8-アミノベンゾ[5,6][1,4]ジオキシノ[2,3-b]ピラジン-7-カルボキシレート(60mg、0.232mmol)を、窒素雰囲気下で室温にて無水テトラヒドロフラン(10mL)中の臭化メチルマグネシウム(0.54mL、3mol/L)の溶液に添加した。反応溶液を、窒素雰囲気下で0℃にて3時間撹拌した。反応溶液を飽和塩化アンモニウム水溶液(10mL)でクエンチし、酢酸エチル(40mL×2)で抽出した。有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムで脱水し、濾過した。濾液を減圧下で濃縮し、残渣を分取液体クロマトグラフィー(カラムモデル:Daisogei 30mm×250mm、C18、10μm、100A、移動相:アセトニトリル/水、勾配:10%~50%)により精製して、28.0mgの表題生成物を白色固体として得た、収率:20.0%。
LC-MS: m/z = 260 [M+H]+.
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 7.89-7.76 (m, 2H), 6.76 (s, 1H), 6.36 (s, 1H), 5.48 (s, 2H), 5.29 (s, 1H), 1.47 (s, 6H).
【実施例24】
【0325】
2-(2-アミノ-9,9-ジメチル-9H-キサンテン-3-イル)プロパン-2-オール(24)の調製
【0326】
【0327】
工程1:9,9-ジメチル-2-ニトロ-9H-キサンテン(24a)の調製
濃硝酸(5mL)を、0℃にて酢酸(100mL)及び濃硫酸(10mL)中の9,9-ジメチル-9H-キサンテン(10.0g、47.2mmol)の溶液にゆっくり滴下添加し、反応溶液を室温にて終夜撹拌した。反応溶液は、飽和重炭酸ナトリウム水溶液でpH値を8に調整し、酢酸エチル(300mL×3)で抽出した。有機相を合わせ、乾燥させ、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(移動相:石油エーテル/酢酸エチル=100:l)により精製して、11.0gの表題化合物を白色固体として得た、収率:91.7%。
【0328】
工程2:9,9-ジメチル-9H-キサンテン-2-アミン(24b)の調製
還元鉄粉(22g、392mmol)を、室温にてエタノール(200mL)及び水(40mL)中の9,9-ジメチル-2-ニトロ-9H-キサンテン(10.0g、39.2mmol)及び塩化アンモニウム(3.33g、62.7mmol)の溶液に添加し、反応溶液を80℃にて終夜撹拌した。反応溶液を濃縮し、濾過した。濾液を酢酸エチル(300mL)で希釈し、水(200mL×2)で洗浄した。有機相を乾燥させ、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(移動相:石油エーテル/酢酸エチル=1:l)により精製して、6.00gの表題化合物を黄色固体として得た、収率:69.1%。
LC-MS:m/z=226[M+H]+。
【0329】
工程3:3-ブロモ-9,9-ジメチル-9H-キサンテン-2-アミン(24c)の調製
NBS(2.40g、13.3mmol)を、室温にてクロロホルム(20mL)中の9,9-ジメチル-9H-キサンテン-2-アミン(3.00g、13.3mmol)の溶液に添加し、反応溶液を室温にて終夜撹拌した。反応溶液を酢酸エチル(50mL)で希釈し、水(50mL×2)で洗浄した。有機相を乾燥させ、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(移動相:石油エーテル/酢酸エチル=5:l)により精製して、1.60gの表題化合物を黄色固体として得た、収率:40.1%。
LC-MS:m/z=304[M+H]+。
【0330】
工程4:メチル2-アミノ-9,9-ジメチル-9H-キサンテン-3-カルボキシレート(24d)の調製
[1,1'-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)(145mg、0.198mmol)を、室温にてメタノール(10mL)中の3-ブロモ-9,9-ジメチル-9H-キサンテン-2-アミン(600mg、1.98mmol)及びトリエチルアミン(360mg、3.56mmol)の溶液に添加した。系を90℃に加熱し、一酸化炭素雰囲気下で18時間撹拌した。反応溶液を室温に冷却し、セライトを通して濾過した。濾液を減圧下で濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(移動相:石油エーテル/酢酸エチル=4:l)により精製して、280mgの表題化合物を黄色固体として得た、収率:50.0%。
LC-MS:m/z=284[M+H]+。
【0331】
工程5:2-(2-アミノ-9,9-ジメチル-9H-キサンテン-3-イル)プロパン-2-オール(24)の調製
メチル2-アミノ-9,9-ジメチル-9H-キサンテン-3-カルボキシレート(180mg、0.636mmol)を、窒素雰囲気下で室温にて無水テトラヒドロフラン(10mL)中の臭化メチルマグネシウム(1.48mL、4.45mmol)の溶液に添加した。反応溶液を窒素雰囲気下で0℃にて3時間撹拌した。反応溶液を飽和塩化アンモニウム水溶液(10mL)でクエンチし、酢酸エチル(40mL×2)で抽出した。有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムで脱水し、濾過した。濾液を減圧下で濃縮し、残渣を分取液体クロマトグラフィー(カラムモデル:Gemini-C18 150×21.2mm、5μm、移動相:アセトニトリル/水 0.05%ギ酸、勾配:2min-30%~22min-70%)により精製して、55.0mgの表題化合物を白色固体として得た、収率:30.6%。
LC-MS: m/z = 284 [M+H]+.
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 7.53-7.46 (m, 1H), 7.21-7.14 (m, 1H), 7.09-7.01 (m, 1H), 6.99-6.92 (m, 1H), 6.73 (d, J = 8.1 Hz, 2H), 5.22 (s, 1H), 5.15 (s, 2H), 1.52 (d, J = 10.8 Hz, 12H).
【実施例25】
【0332】
2-(3-アミノ-7-クロロジベンゾ[b,e][1,4]ジオキシン-2-イル)プロパノール(25)の調製
【0333】
【0334】
合成工程は、4-フルオロ-2-メトキシフェノールが4-クロロ-2-メトキシフェノールで置き換えられていることを除いて実施例20として、27mgの表題生成物を薄黄色固体として得た、収率:28.9%。
LC-MS: m/z 273.9 [M-17]+.
1H NMR (400 MHz, CHCl3-d) δ 6.87-6.80 (m, 2H), 6.72 (d, J = 9.2 Hz, 2H), 6.65 (s, 1H), 6.17 (s, 1H), 1.63 (s, 6H).
【実施例26】
【0335】
2-(3-アミノ-8-クロロジベンゾ[b,e][1,4]ジオキシン-2-イル)プロパノール(26)の調製
【0336】
【0337】
合成工程は、4-フルオロ-2-メトキシフェノールが5-クロロ-2-メトキシフェノールで置き換えられていることを除いて実施例20として、8.00mgの表題生成物を薄黄色固体として得た、収率:12.9%。
LC-MS: m/z 273.9 [M-17]+.
1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ 6.84-6.83 (m, 2H), 6.73 (d, J = 9.2 Hz, 2H), 6.66 (s, 1H), 6.19 (s, 1H), 1.63 (s, 6H).
【実施例27】
【0338】
2-(2-アミノ-10-ベンジル-10H-フェノキサジン-3-イル)プロパン-2-オール(27)の調製
【0339】
【0340】
工程1:メチル2-ニトロ-10H-フェノキサジン-3-カルボキシレート(27a)の調製
2-アミノフェノール(1.00g、9.17mmol)、炭酸セシウム(4.14g、18.3mmol)及びメチル4-ブロモ-5-フルオロ-2-ニトロベンゾエート(2.54g、9.17mmol)を、DMF(30mL)に溶解した。反応溶液を120℃にて終夜撹拌し、100mLの水を添加した。反応溶液を100mL酢酸エチルで抽出し、水性相を100mL酢酸エチルで2回抽出した。有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムで脱水し、濾過した。濾液を減圧下で濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(移動相:酢酸エチル)により精製して、460mgの表題生成物を赤色固体として得た、収率:17.5%。
【0341】
工程2:メチル10-ベンジル-2-ニトロ-10H-フェノキサジン-3-カルボキシレート(27b)の調製
メチル2-ニトロ-10H-フェノキサジン-3-カルボキシレート(460mg、1.61mmol)、炭酸セシウム(727mg、3.22mmol)及び臭化ベンジル(540mg、3.22mmol)を、室温にてアセトニトリル(10mL)に溶解し、反応溶液を60℃にて1時間撹拌した。反応溶液を、セライトを通して濾過し、濾液を減圧下で濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(移動相:メタノール)により精製して、440mgの表題生成物を褐色固体として得た、収率:72.7%。
【0342】
工程3:メチル2-アミノ-10-ベンジル-10H-フェノキサジン-3-カルボキシレート(27c)の調製
メチル10-ベンジル-2-ニトロ-10H-フェノキサジン-3-カルボキシレート(440mg、1.17mmol)、鉄粉(655mg、11.7mmol)及びNH4Cl(861mg、15.3mmol)を、室温にてエタノール(20mL)及び水(4mL)に溶解し、反応溶液を、還流させながら80℃にて4時間撹拌した。反応溶液を、セライトを通して濾過し、濾液を減圧下で濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(移動相:メタノール)により精製して、170mgの表題生成物を褐色固体として得た、収率:42.0%。
【0343】
工程4:2-(2-アミノ-10-ベンジル-10H-フェノキサジン-3-イル)プロパン-2-オール(27)の調製
塩化メチルマグネシウム(3N、0.8mL、2.40mmol)を、窒素雰囲気下で0℃にてTHF(5mL)に滴下添加し、THF(5mL)に溶解したメチル2-アミノ-10-ベンジル-10H-フェノキサジン-3-カルボキシレート(100mg、0.289mmol)を添加した。反応溶液を室温にて3時間撹拌し、50mLの水を添加した。反応溶液を50mLのジクロロメタンで抽出し、水性相を50mLのジクロロメタンで2回抽出した。有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムで脱水し、濾過した。濾液を減圧下で濃縮し、残渣を分取液体クロマトグラフィー(カラムモデル:Gemini-C18 150×21.2mm、5μm、移動相:アセトニトリル/水 0.05%ギ酸、勾配:2min-30%~22min-70%)により精製して、15.0gの表題化合物を白色固体として得た、収率:15.0%。
LC-MS: m/z 329.10 [M-17]+.
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.36-7.21 (m,5 H), 6.72 (td, J = 7.8,1.6 Hz, 1H), 6.66 (dd, J = 7.8,1.6 Hz, 1H), 6.58 (td, J = 7.6,1.4 Hz, 1H), 6.50 (dd, J = 7.8,1.6 Hz, 1H), 6.18 (s, 1H), 6.09 (s, 2H), 5.05 (d, J = 1.4 Hz, 3H), 4.78 (s, 2H), 1.27 (s, 6H).
【実施例28】
【0344】
2-(2-アミノ-9-メトキシ-9H-フルオレン-3-イル)プロパン-2-オール(28)の調製
【0345】
【0346】
工程1:2-アミノ-3-ブロモ-9H-フルオレン-9-オン(28a)の調製
2-アミノ-9H-フルオレン-9-オン(1.50g、7.68mmol)及びN-ブロモスクシンイミド(NBS)(1.39g、7.68mmol)を、窒素雰囲気下で室温にてクロロホルム(30mL)に溶解した。反応溶液を室温にて12時間撹拌し、続いて水(40mL)を添加した。反応溶液をジクロロメタン(30mL)で3回抽出した。有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムで脱水し、濾過した。濾液を減圧下で濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(移動相:石油エーテル/酢酸エチル=4/1)により精製して、1.30gの表題生成物を赤色固体として得た、収率:62.0%。
LC-MS:m/z=275.1[M+H]+。
【0347】
工程2:2-アミノ-3-ブロモ-9H-フルオレン-9-オール(28b)の調製
2-アミノ-3-ブロモ-9H-フルオレン-9-オン(1.30g、4.74mmol)を、窒素雰囲気下で0℃にて無水テトラヒドロフラン(30mL)に溶解し、続いて水素化ホウ素ナトリウム(358mg、9.48mmol)をゆっくり添加した。反応溶液を室温にゆっくり上昇させ、12時間撹拌した。反応溶液を氷水(40mL)でクエンチし、酢酸エチル(30mL)で3回抽出した。有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムで脱水し、濾過した。濾液を減圧下で濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(移動相:石油エーテル/酢酸エチル=4/1)により精製して、1.16gの表題化合物を赤色固体として得た、収率:89.4%。
LC-MS:m/z=277.1[M+H]+。
【0348】
工程3:3-ブロモ-9-メトキシ-9H-フルオレン-2-アミン(28c)の調製
2-アミノ-3-ブロモ-9H-フルオレン-9-オール(860mg、3.11mmol)及び炭酸カリウム(434mg、3.14mmol)を、窒素雰囲気下で室温にてN,N-ジメチルホルムアミド(15mL)に溶解し、続いてヨウ化メチル(446mg、3.14mmol)をゆっくり添加した。反応溶液を50℃にて12時間撹拌し、水(40mL)を添加した。反応を酢酸エチル(30mL)で3回抽出した。有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムで脱水し、濾過した。濾液を減圧下で濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(移動相:石油エーテル/酢酸エチル=4/1)により精製して、350mgの表題化合物を白色固体として得た、収率:38.6%。
LC-MS:m/z=291.2[M+H]+。
【0349】
工程4:メチル2-アミノ-9-メトキシ-9H-フルオレン-3-カルボキシレート(28d)の調製
3-ブロモ-9-メトキシ-9H-フルオレン-2-アミン(266mg、0.917mmol)、トリエチルアミン(148mg、1.47mmol)及び[1,1'-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)(67.1mg、0.0917mmol)を、室温にてメタノール(10mL)に溶解した。溶液をオートクレーブに入れ、一酸化炭素雰囲気下で90℃にて12時間撹拌した。溶液を減圧下で濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(移動相:石油エーテル/酢酸エチル=4/1)により精製して、225mgの表題化合物を黄色固体として得た、収率:92.2%。
LC-MS:m/z=270.3[M+H]+。
【0350】
工程5:2-(2-アミノ-9-メトキシ-9H-フルオレン-3-イル)プロパン-2-オール(28)の調製
メチル2-アミノ-9-メトキシ-9H-フルオレン-3-カルボキシレート(50.0mg、0.190mmol)を、窒素雰囲気下で0℃にて無水テトラヒドロフラン(6mL)に溶解し、テトラヒドロフラン中の塩化メチルマグネシウム(0.440mL、1.33mmol)の溶液を滴下添加した。反応溶液を室温にて12時間撹拌し、続いて水(40mL)を添加し、反応を、酢酸エチル(30mL)で3回抽出した。有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムで脱水し、濾過した。濾液を減圧下で濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(移動相:石油エーテル/酢酸エチル=4/1)により精製して、灰色固体を得た。灰色固体を、分取液体クロマトグラフィー(カラムモデル:C18-4、移動相:アセトニトリル、水、勾配:20%~55%)により精製して、10mgの表題化合物を白色固体として得た、収率:7.78%。
LC-MS: m/z = 270.1 [M+H]+.
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 7.54 (d, J = 7.5 Hz, 1H), 7.45 (d, J = 7.4 Hz, 2H), 7.25 (t, J = 7.3 Hz, 1H), 7.10 (t, J = 7.8 Hz, 1H), 6.79 (s, 1H), 6.64 (q, J = 4.9 Hz, 1H), 5.62 (d, J = 7.3 Hz, 1H), 5.44 (s, 1H), 5.33 (d, J = 7.2 Hz, 1H), 2.83 (d, J = 5.1 Hz, 3H), 1.58 (d, J = 4.2 Hz, 6H).
【実施例29】
【0351】
tert-ブチル2-アミノ-3-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)-10H-フェノキサジン-10-カルボキシレート(29)の調製
【0352】
【0353】
工程1:メチル2-ニトロ-10H-フェノキサジン-3-カルボキシレート(29a)の調製
2-アミノフェノール(1.00g、9.25mmol)、メチル4-ブロモ-5-フルオロ-2-ニトロベンゾエート(2.57g、9.25mmol)及び炭酸セシウム(6.02g、18.50mmol)を、窒素雰囲気下で室温にてN,N-ジメチルホルムアミド(50mL)に溶解した。反応溶液を100℃にて12時間撹拌し、続いて水(40mL)を添加し、反応を、酢酸エチル(40mL)で3回抽出した。有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムで脱水し、濾過した。濾液を減圧下で濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(移動相:石油エーテル/酢酸エチル=4/1)により精製して、1.07gの表題化合物を赤色固体として得た、収率:40.6%。
LC-MS:m/z=287.2[M+H]+。
【0354】
工程2:10-(tert-ブチル)3-メチル2-ニトロ-10H-フェノキサジン-3,10-ジカルボキシレート(29b)の調製
メチル2-ニトロ-10H-フェノキサジン-3-カルボキシレート(800mg、2.79mmol)、二炭酸ジ-tert-ブチル(1.10g、5.02mmol)、炭酸カリウム(965mg、6.98mmol)及び4-ジメチルアミノピリジン(34.1mg、0.279mmol)を、窒素雰囲気下で室温にてアセトニトリル(50mL)に溶解した。反応溶液を加熱し、撹拌下で12時間還流させ、続いて水(40mL)を添加し、反応を、酢酸エチル(30mL)で3回抽出した。有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムで脱水し、濾過した。濾液を減圧下で濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(移動相:石油エーテル/酢酸エチル=10/1)により精製して、723mgの表題化合物を黄色固体として得た、収率:67.0%。
【0355】
工程3:10-(tert-ブチル)3-メチル2-アミノ-10H-フェノキサジン-3,10-ジカルボキシレート(29c)の調製
10-(tert-ブチル)3-メチル2-ニトロ-10H-フェノキサジン-3,10-ジカルボキシレート(350mg、0.980mmol)及びパラジウム炭素(35.0mg、10%wt)を、窒素雰囲気下で室温にてメタノール(50mL)に添加した。反応溶液を、水素雰囲気下で12時間撹拌した。反応溶液を、セライトを通して濾過し、濾液を減圧下で濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(移動相:石油エーテル/酢酸エチル=10/1)により精製して、301mg、表題化合物を白色固体として得た、収率:86.2%。
LC-MS:m/z=357.3[M+H]+。
【0356】
工程4:tert-ブチル2-アミノ-3-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)-10H-フェノキサジン-10-カルボキシレート(29)の調製
塩化メチルマグネシウム(2.25mL、6.76mmol)を、窒素雰囲気下で0℃にて無水テトラヒドロフラン(10mL)に溶解し、テトラヒドロフラン中の10-(tert-ブチル)3-メチル2-アミノ-10H-フェノキサジン-3,10-ジカルボキシレート(301mg、0.845mmol)の溶液を滴下添加した。反応溶液を室温にて12時間撹拌し、続いて水(10mL)を添加し、反応を、酢酸エチル(40mL)で3回抽出した。有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムで脱水し、濾過した。濾液を減圧下で濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(移動相:石油エーテル/酢酸エチル=4/1)により精製して、灰色固体を得た。灰色固体を、分取液体クロマトグラフィー(カラムモデル:C18-4、移動相:アセトニトリル、水、勾配:20%~55%)により精製して、114mgの表題化合物を白色固体として得た、収率:37.9%。
LC-MS: m/z = 339.1 [M-17]+.
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 7.51 - 7.47 (m, 1H), 7.14 (d, J = 7.5 Hz, 2H), 7.08 (t, J = 6.8 Hz, 2H), 6.36 (s, 1H), 5.57 (s, 2H), 5.27 (s, 1H), 1.48 (d, J = 6.5 Hz, 15H).
【0357】
生物学的アッセイ
試験例1:アルデヒド捕捉率を判定する試験
本発明で開示されているアルデヒド捕捉試験では、安定な脂質代謝産物ノネナールを、実施例の化合物と反応させるモデルアルデヒドとして使用した。具体的なプロトコールは、以下の通りであった。
【0358】
0.05mMの本発明の実施例の化合物をそれぞれ正確に計量し、トリオレイン(Aladdin社、G105172-5g)及びリノール酸(Aladdin社、L100442-25g)の1.2mLの混合溶液(v/v=1:1)にそれぞれ溶解した。20%Captisol(登録商標)(Aladdin社、C125030-25g)を含有する2.5mLのPBS(Solarbio社、P1020)溶液を添加し、溶液を室温にて終夜撹拌した。実施例の化合物が完全に溶解してから、0.025mMノネナール(Sigma社、255653-5G)を添加し、溶液を室温にて激しく撹拌した。200μLの試料を、それぞれ0、45、90、180、225及び465分で800μLのアセトニトリル(Fisher社、A995)に添加した。溶液をボルテックスにより2分間激しく混合し、1000r/minの低速度で3分間遠心分離した。上澄みを注射バイアルに移した。反応混合物中のノネナールを高速液体クロマトグラフィーにより定量分析した。付加体を、本発明の実施例の化合物から得、ノネナールを高速液体クロマトグラフィー-質量分析により定性分析した。
液体クロマトグラフ:Waters社I Class;
カラム:ACQUITY UPLC HSS T3 1.8μm;
カラム温度:40℃;
液体クロマトグラフィー条件:移動相A:0.1%ギ酸含有アセトニトリル;B:0.1%ギ酸含有水;
流量:0.4mL/mL;
注射体積:0.5mL。
移動相の勾配:
【0359】
【0360】
展開された検出方法では、モデルアルデヒドであるノネナールの保持時間は、2.42分であった。
質量分析条件:
質量分析計:Waters社TQ-S micro
イオン源:ESI+
キャピラリー電圧:0.5kV
コーン電圧:10V
熱源温度:150℃
脱気温度:500℃、脱気流:1000L/Hr
SIMモード
m/z:225.24[(m実施例1-OH)+H]+、365.42[m付加体1+H]+
【0361】
本発明の実施例の化合物の、ノネナールに対する捕捉反応の時間変動ダイヤグラムは、
図1で示されている。本発明の実施例の化合物のアルデヒド消費挙動は、以下のTable 1(表3)に示されている。
【0362】
【0363】
本発明の実施例の化合物はアルデヒド捕捉能力を有することが、
図1及び上のTable 1(表3)からわかる。
【0364】
試験例2:ブドウ膜炎動物モデルにおける本発明の化合物の治療効果
雌lewisラットを、調査対象として使用した。Lewisラット(Vital River社)を無作為に群に分けた(群当たり動物4匹、合計8個の眼)。群は以下の通りである:正常対照群、モデル対照群、及び実施例投与群。正常対照群を除いて、これらの群において炎症モデルを確立した。
【0365】
点眼薬の製剤:
(1)薬物ビヒクルストック溶液の製剤:2090mgのNa2HPO4・12H2O(Xilong Scientific社、9009012-01-09)、19mgのNaH2PO4・2H2O(Xilong Scientific社、9009013-01-09)及び9500mgのβ-シクロデキストリン(Sigma社、E1930253)を正確に計量し、30mL注射用無菌水(Beijing CR Double-Crane社)に溶解し、続いて10mLのPEG-400(Solarbio社、222U011)を添加した。溶液を十分混合し、注射用水で50mLまでにした。
【0366】
(2)薬液の製剤:10mgの本発明の実施例2の化合物を計量し、1mLのビヒクルストック溶液に溶解し、生じた溶液を注射用水で2mLまでにした。各物質の含有量は、以下の通りである:Na2HPO4・12H2O 0.83%、NaH2PO4・2H2O 0.017%、β-シクロデキストリン9.5%、PEG-400 5.0%、活性化合物0.5%。
【0367】
(3)製剤化された薬液のpH値は、pH試験紙により判定した。pH値が7.3±0.05以内ではなかった場合、この範囲に1N HCl又は1N NaOHで調整した。溶液は、0.22μm無菌フィルター(Merck社、Millex)を通して濾過し、4℃にて保存した。
【0368】
動物モデルの取扱い:
動物モデルは、リポ多糖(大腸菌(Escherichia coli)055:B5由来、Sigma社、L2880-100MG、注射用量:2mg/kg)の腹腔内注射により確立した非感染性ブドウ膜炎の動物モデルであった。モデル化と同時に、上の群化状況に従って薬物投与を実行した。正常対照群は、通常の生理食塩水を投与し、モデル対照群は、ブランクビヒクルを投与し、実施例投与群は、上で製剤化された点眼薬を投与した。薬物は、各動物の両眼への点眼により投与し、点眼用量は20μL/眼であった。点眼の完了後、瞼を20秒間閉じさせて薬物の損失を防止した。投与はモデル化の3、6及び23時間後に繰り返した。病気が重度になった際(モデル化の24時間後)に、動物に3.5%抱水クロラールの腹腔内注射により麻酔をかけた。各群における動物の眼炎症は、スリットランプ顕微鏡(Jiangxi Jiangfeng社、LYL-S)で検査し、McDonald-Shadduckスコアリングシステム(GB/T 28538-2012)に従って評価した。
【0369】
動物を屠殺し、両側の眼球を摘出した。眼球に角膜穿刺を施した。各眼球の房水を、毛細管により収集し、1.5mL遠心管に入れ、1000r/minで遠心分離した。房水中の総タンパク質の定量分析を、BCAタンパク質定量キット(Beyotime社、P0010)により上澄みで行った。
【0370】
本発明の実施例2の化合物の、眼炎症モデルラットの眼炎症スコア及び房水中のタンパク質濃度に対する効果は、以下のTable 2(表4)に示されている。
【0371】
【0372】
上のTable 2(表4)から、眼炎症動物モデルにおいて、本発明の実施例2の化合物での処置は、眼炎症モデルスコアを効率的に低下させ、かつ房水中のタンパク質濃度を著しく低下させることができ、治療効果を示すとわかる。
【0373】
試験例3:本発明の化合物のアレルギー性結膜炎動物モデルに対する治療効果
C48/80は、N-メチル-p-メトキシフェネチルアミンとホルムアルデヒドの縮合により形成されるポリマーであり、Gタンパク質に直接作用し、肥満細胞の脱顆粒を誘導する。脱顆粒後、肥満細胞は、作用物質、例えばヒスタミン及びキニンを放出し、これが急性I型アレルギー反応、例えば毛細血管拡張症を引き起こし、かつ透過性を亢進させ得る。これが、眼の表面に局所的に適用された場合、アレルギー性結膜炎を引き起こし得る。
【0374】
雌Wistar系ラットを調査対象として使用した。Wistar系ラット(Vital River社)を無作為に群に分けた(群当たり動物5匹、合計10個の眼)。群は以下の通りである:正常対照群、モデル対照群、陽性薬物群及び実施例投与群。正常対照群を除いて、これらの群において炎症モデルを確立した。エメダスチンフマル酸塩点眼薬(Emadine(登録商標)、Alcon社、H20181192)を、陽性薬物として使用した。モデルの確立、投与及び評価プロセスは、以下の通りであった。
【0375】
動物に吸入麻酔(イソフルラン、Hebei Yipin pharmaceutical Co., Ltd.社、C002151205;麻酔パラメーター:流量:1.0L/min、酸素圧:0.1MPa、溶解度:4.5%、麻酔時間:5分)を施した。動物を片手で掴み、腹側を上にして保持した。10μLのC48/80溶液(Sigma社、C2313-100MG、200mg/mL、0.9%生理食塩水で製剤化した)を、動物の両眼の角膜表面に、10μLピペットにより滴下添加した。上及び下瞼を穏やかに10秒間閉じさせて、薬物の損失を防止した。
【0376】
刺激の10分後、異なる薬物処置を、群の設定に従って実行した。同一の動物の両眼に、同一の薬物処置(眼当たり10μL)を施した。瞼を同一の方法により10秒間閉じさせた。眼科検査を、ハンドヘルドスリットランプ顕微鏡(Jiangxi Jiangfeng社、LYL-S)により、投与の20分後に行った。臨床スコアは、McDonald-Shadduckスコアリングシステム(GB/T 28538-2012)に従って各動物の眼で個々に評価した。
【0377】
結果は
図2で示されている。McDonald-Shadduckスコアリングシステムの評価原理によれば、スコア値は、眼炎症の重症度に対してプラスに相関する。本発明の実施例4の化合物は、C48/80により誘導されたWistar系ラットにおけるアレルギー性結膜炎に対して良好な治療効果を有する。
【国際調査報告】