(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-25
(54)【発明の名称】ミネラル素材を用いた有効成分の安定化方法
(51)【国際特許分類】
B01J 13/20 20060101AFI20240118BHJP
B01J 13/16 20060101ALI20240118BHJP
C11D 3/50 20060101ALI20240118BHJP
【FI】
B01J13/20 ZBP
B01J13/16 ZNM
C11D3/50
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023540196
(86)(22)【出願日】2021-12-28
(85)【翻訳文提出日】2023-06-29
(86)【国際出願番号】 KR2021095141
(87)【国際公開番号】W WO2022146114
(87)【国際公開日】2022-07-07
(31)【優先権主張番号】10-2020-0186127
(32)【優先日】2020-12-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2021-0084969
(32)【優先日】2021-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514112488
【氏名又は名称】エルジー ハウスホールド アンド ヘルスケア リミテッド
(71)【出願人】
【識別番号】507107394
【氏名又は名称】アイユーシーエフ-エイチワイユー(インダストリー-ユニバーシティー コーオペレイション ファウンデーション ハンヤン ユニバーシティー)
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】ジュン・ソク・ヨム
(72)【発明者】
【氏名】ウン・チョル・チョ
(72)【発明者】
【氏名】ジ・ウォン・リム
(72)【発明者】
【氏名】ヒョ・ジン・ボン
(72)【発明者】
【氏名】ソン・ア・ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ノ・ジン・パク
(72)【発明者】
【氏名】ウ・スン・シム
【テーマコード(参考)】
4G005
4H003
【Fターム(参考)】
4G005AA01
4G005AB27
4G005BA02
4G005BB06
4G005DC58Y
4G005DD46Z
4G005DE05W
4G005EA05
4G005EA07
4H003AE05
4H003BA12
4H003CA18
4H003DA01
4H003EB25
4H003ED02
4H003FA26
(57)【要約】
本発明は、ミネラル素材を用いた有効成分の安定化に関する。本発明では、ミネラル素材を用いて有効成分を安定的に担持でき、本発明による製造方法により製造されたマイクロカプセルは、カプセル化成分が土壌成分と同じであるため、自然に排出されたときに環境問題がなく、マイクロプラスチック問題から逃れられる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
乳化剤を含む連続相とカプセル化成分及び有効成分を含む分散相を混合してエマルジョンを製造する段階、及び
前記エマルジョンをカプセル化反応させる段階を含み、
前記乳化剤は、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤及びノニオン性界面活性剤からなる群から選ばれる少なくとも1つを含み、
前記カプセル化成分は、シリカ前駆体、酸化チタン前駆体及び酸化ジルコニウム前駆体からなる群から選ばれる少なくとも1つを含む、マイクロカプセルの製造方法。
【請求項2】
乳化剤は、カチオン性界面活性剤である、請求項1に記載のマイクロカプセルの製造方法。
【請求項3】
乳化剤は、セチルトリメチルアンモニウムブロミド(CTAB)またはセチルトリメチルアンモニウムクロリド(CTAC)である、請求項1に記載のマイクロカプセルの製造方法。
【請求項4】
乳化剤の含量は、エマルジョンの全重量に対して0.00001~10重量部である、請求項1に記載のマイクロカプセルの製造方法。
【請求項5】
カプセル化成分は、下記化1~4で表される化合物からなる群から選ばれる少なくとも1つを含む、請求項1に記載のマイクロカプセルの製造方法。
【化1】
【化2】
【化3】
【化4】
前記化1~4において、Aはシリコーン、チタンまたはジルコニウムであり、R
1~R
4はそれぞれ独立して水素または末端に官能基が置換または非置換の炭素数1~8のアルキル基であり、前記官能基は、アミン、ヒドロキシ、アミド、カルボキシ、ビニル、エポキシ、フェニルまたはメルカプトを含む。
【請求項6】
シリカ前駆体は、テトラメチルオルトシリケート、テトラエチルオルトシリケート、テトラプロピルオルトシリケート、テトラブチルオルトシリケート、メチルトリメトキシシリケート、トリメチルエトキシシリケート、ブチルトリメトキシシリケート、N-プロピルトリメトキシシラン、N-オクチルトリメトキシシラン、アミノプロピルトリメトキシシリケート、フェニルトリメトキシシラン及び3-メルカプトプロピルトリメトキシシランからなる群から選ばれる少なくとも1つを含み、
酸化チタン前駆体は、チタンメトキシド、チタンエトキシド及びチタンブトキシドからなる群から選ばれる少なくとも1つを含み、
酸化ジルコニウム前駆体は、ジルコニウムメトキシド、ジルコニウムエトキシド及びジルコニウムブトキサイドからなる群から選ばれる少なくとも1つを含む、請求項1に記載のマイクロカプセルの製造方法。
【請求項7】
カプセル化成分の含量は、エマルジョンの全重量に対して0.001~30重量部である、請求項1に記載のマイクロカプセルの製造方法。
【請求項8】
有効成分は、香料、日焼け止め剤、染料、触媒、抗酸化剤及び薬物からなる群から選ばれる少なくとも1つを含む、請求項1に記載のマイクロカプセルの製造方法。
【請求項9】
カプセル化成分の含量は、有効成分に対して0.5~3倍である、請求項1に記載のマイクロカプセルの製造方法。
【請求項10】
カプセル化成分及び有効成分の含量は、エマルジョンの全重量に対して35重量部以下である、請求項1に記載のマイクロカプセルの製造方法。
【請求項11】
カプセル化反応は、pH2~5で行われるものである、請求項1に記載のマイクロカプセルの製造方法。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか一項に記載のマイクロカプセルの製造方法により製造され、
粒径は、0.1~1,000μmである、マイクロカプセル。
【請求項13】
請求項12に記載のマイクロカプセルを含む、洗濯製品。
【請求項14】
洗濯製品を製造するための、請求項1~11のいずれか一項に記載のマイクロカプセルの製造方法によって製造され、
粒径は、0.1~1,000μmである、マイクロカプセルの用途。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ミネラル素材を用いた有効成分の安定化方法に関する。より詳細には、本発明は、マイクロプラスチック問題から逃れられる有効成分の安定化技術に関し、マイクロプラスチックではないミネラル素材を用いて有効成分を安定的に担持できる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
カプセル化とは、有効成分の効果的な伝達のために有効成分を外壁に該当する物質に捕集する形態を総称する。このようなカプセルは、有効成分の少ない用量の使用でも目的に合った正確な伝達を行い、副作用を低減し、有効成分の安定性を維持し、コストに関する問題を低減しうる。これにより、カプセルは医学/薬学分野において薬物の標的伝達、衛生用品において香料の安定性の維持とユーザーが望む時点での発香、化粧品分野において効能物質の光、熱などの外部刺激からの安定性の維持と皮膚伝達、及び農業分野と食品分野において殺虫剤および栄養成分などの安定性の維持と吸収効率の強化など産業分野で多様な形態と目的に応用されている。
【0003】
しかし、国際機関では、自然界で分解せずに蓄積し深刻な環境汚染を引き起こすことができるマイクロプラスチック(直径5mm以下の小さなプラスチック片)汚染の原因の一つとしてマイクロカプセルを指摘している。ECHA報告書(2019年)によると、マイクロプラスチック問題から逃れられる物質として無機物や生分解高分子物質をそのまま使用する場合、readily biodegradableという即時分解可能に設計された物質が選定された。しかし、マイクロプラスチックの範疇ではない物質であるシリカなどの無機素材で製造したカプセルは、乾燥時に発生する張力や衝撃に弱く、割れやすいという問題点がある。天然高分子でカプセルを製造すると、物質固有の微多孔性によりカプセル内の有効成分が溶出してカプセルの安定性が維持されないという問題点がある。また、微多孔性を減らして安定性を高めるために架橋結合を用いると、分解性が低くなり、生分解性を帯びないという問題点がある。また、容易に分解するようにエステル結合が導入された物質を使用すると、剤形が過酷な条件(pH変化、温度変化)に耐えられず、使用前に分解されるという問題点があり、現在までも解決策が知られていないか、または全くない状態である。
【0004】
無機素材であるシリカは、生体に影響を及ぼさないため安全な物質で、製薬、化粧品及び生活用品などに多様に使用される材料である。前記シリカは、大地を構成する物質である土壌成分の大部分を占めており、微生物である珪藻類の場合、細胞壁を構成する物質であるため、安全な物質である。したがって、シリカを用いた有効成分のカプセル化に対する研究が脚光を浴びているが、前述したようにシリカは高分子とは異なり、乾燥時に発生する張力によって容易に割れるため、これを補完する研究が必要であるのが実状である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】:ANNEX XV RESTRICTION REPORT,PROPOSAL FOR A RESTRICTION;SUBSTANCE NAME(S):intentionally added microplastics,DATE:22 August 2019
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明者らは、無機素材であるミネラル素材を用いたマイクロカプセルを開発しようと研究した結果、乳化剤を含む連続相とカプセル化成分及び有効成分を含む分散相を混合した後、前記カプセル化成分の硬化反応を通じて有効成分が含まれたマイクロカプセルを製造する場合、前記カプセル化成分は、土壌成分と同じであるため、自然に排出されたときに環境問題がないことを確認し、本発明を完成した。
【0007】
したがって、本発明の目的は、高い汎用性、自然親和性及び安定性を有するマイクロカプセルの製造方法、それによって製造されたマイクロカプセル及び前記マイクロカプセルを含む洗濯製品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、乳化剤を含む連続相とカプセル化成分及び有効成分を含む分散相を混合してエマルジョンを製造する段階、及び
前記エマルジョンをカプセル化反応させる段階を含み、
前記乳化剤は、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤及びノニオン性界面活性剤からなる群から選ばれる少なくとも1つを含み、
前記カプセル化成分は、シリカ前駆体、酸化チタン前駆体及び酸化ジルコニウム前駆体からなる群から選ばれる少なくとも1つを含む、マイクロカプセルの製造方法を提供する。
【0009】
また、本発明は、前記マイクロカプセルの製造方法によって製造され、粒径は0.1~1,000μmのマイクロカプセルを提供する。
【0010】
また、本発明は、前述したマイクロカプセルを含む洗濯製品を提供する。
【0011】
また、本発明は、洗濯製品を製造するための、前述したマイクロカプセルの製造方法によって製造され、粒径は、0.1~1,000μmのマイクロカプセルの用途を提供する。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、ミネラル素材を用いた有効成分の安定化方法を提供する。
【0013】
本発明では、ミネラル素材を用いて有効成分を安定的に担持でき、本発明による製造方法により製造されたマイクロカプセルは、カプセル化成分が土壌成分と同じであるため、自然に排出されたときに環境問題がなく、マイクロプラスチック問題から逃れられる。また、本発明による製造方法により製造されたマイクロカプセルは、緻密(dense)な構造のカプセルの外壁を有するので、有効成分の溶出を防止しうる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明によるマイクロカプセルの製造方法を図式化したものである。
【
図2】本発明の実施例で製造されたマイクロカプセルを走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscopy(SEM))を用いて形態を確認した結果を示す。具体的には、Aは実施例8のSEM写真、Bは実施例8の拡大写真、Cは実施例8の破断面写真、及びDは実施例40の破断面写真を示す。
【
図3】本発明の実施例8で製造されたマイクロカプセルをMastersizer3000を用いて粒度を確認した結果を示す。
【
図4】本発明の実施例8及び40で製造されたマイクロカプセルについて、乳化剤の存在下、50℃の環境で時間に応じたカプセル内の香りの保存量を確認した結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明は、乳化剤を含む連続相とカプセル化成分及び有効成分を含む分散相を混合してエマルジョンを製造する段階、及び
前記エマルジョンをカプセル化反応させる段階を含み、
前記乳化剤は、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤及びノニオン性界面活性剤からなる群から選ばれる少なくとも1つを含み、
前記カプセル化成分は、シリカ前駆体、酸化チタン前駆体及び酸化ジルコニウム前駆体からなる群から選ばれる少なくとも1つを含む、マイクロカプセルの製造方法に関する。
【0016】
以下、本発明の構成を具体的に説明する。
【0017】
本発明においてマイクロカプセルとは、液相、固相またはペーストの有効成分を取り囲む微小粒子を意味し、0.1~1,000μmの粒径を有してもよい。前記マイクロカプセルは、有効成分を外部環境から物理的、化学的に保護し得、また有効成分の放出を調節しうる。
【0018】
本発明において、マイクロカプセルは、乳化剤を含む連続相とカプセル化成分及び有効成分を含む分散相を混合してエマルジョンを製造する段階(以下、エマルジョン製造段階)、及び
前記エマルジョンをカプセル化反応させる段階(以下、カプセル化反応段階)により製造されてもよい。
【0019】
本発明においてエマルジョン製造段階は、連続相と分散相を混合してエマルジョンを製造する段階であってもよい。
【0020】
本発明において連続相は、水相として乳化剤を含んでもよい。
【0021】
一具体例において、連続相の溶媒として当業界で通常使用される溶媒をすべて使用してもよく、具体的には、蒸留水を使用してもよい。
【0022】
一具体例において、乳化剤は、後述するカプセル化成分がカプセルの外壁に変換できるように骨組みとして使用される物質である。このような乳化剤として当業界で通常使用される乳化剤を使用してもよく、具体的には、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤及びノニオン性界面活性剤からなる群から選ばれる少なくとも1つを使用してもよい。
【0023】
前記カチオン性界面活性剤としてトリメチルアルキルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩及びアルキルベンジルメチルアンモニウム塩などからなる群から選ばれる少なくとも1つを使用してもよく、アニオン性界面活性剤として脂肪酸ナトリウム、モノアルキル硫酸塩、アルキルポリオキシエチレン硫酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩及びモノアルキルリン酸塩などからなる群から選ばれる少なくとも1つを使用してもよく、両性界面活性剤としてアルキルスルホベタイン及びアルキルカルボキシベタインなどからなる群から選ばれる少なくとも1つを使用してもよく、ノニオン性界面活性剤として脂肪アルコール、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、脂肪酸ソルビタンエステル、脂肪酸ジエタノールアミン及びアルキルモノグリセリルエーテルなどからなる群から選ばれる少なくとも1つを使用してもよい。
【0024】
好ましくは、乳化剤はカチオン性界面活性剤であってもよく、具体的には、セチルトリメチルアンモニウムブロミド(CTAB)またはセチルトリメチルアンモニウムクロリド(CTAC)を使用してもよい。前記CTABまたはCTACは、乳化による効果だけでなく、構造内に存在するアミン基によって界面での加水分解及び反応が促進されるので、より均一な反応を誘導し得、緻密なマイクロカプセルを製造しうる。
【0025】
一具体例において、乳化剤の含量は特に制限されず、エマルジョンの全重量(100重量部)に対して0.00001~10重量部、0.0001~10重量部、0.0002~5重量部、0.0005~2重量部または0.002~1.2重量部で含まれてもよい。前記乳化剤の含量が0.00001重量部未満であれば、乳化されないという問題点があり、10重量部を超えると、乳化剤の成分が多すぎて、カプセル内の有効成分が溶出するおそれがある。
【0026】
本発明において分散相は、油相としてカプセル化成分及び有効成分を含む。
【0027】
一具体例において、分散相の溶媒は、連続相と混合して混ざり合わない溶媒であれば特に制限されるものではない。連続相の溶媒として蒸留水を使用する場合、分散相の溶媒として炭化水素(Hydrocarbon)系溶媒、エーテル基(Ether group)を含む溶媒、エステル基(Ester group)を含む溶媒、ケトン基(Ketone group)を含む溶媒、ベンゼン(Benzene)を含む溶媒、ハロアルカン(Haloalkane)系溶媒、及びシリコーン(Silicone)系溶媒からなる群から選ばれる少なくとも1つを使用してもよい。
【0028】
前記炭化水素(Hydrocarbon)系溶媒は、ペンタン(Pentane)、ヘキサン(Hexane)、シクロヘキサン(Cyclohexane)、ヘプタン(Heptane)、オクタン(Octane)、イソドデカン(Isododecane)及びドデカン(Dodecane)などの線形または非線形構造の化合物から選ばれてもよく、エーテル基(Ether group)を含む溶媒は、エチルエーテル(Ethyl ether)、ブチルエーテル(Butyl ether)及びメチル-t-ブチルエーテル(Methyl-t-butyl ether)の中から選ばれてもよく、エステル基(Ester group)を含む溶媒は、酢酸エチル(Ethyl acetate)、酢酸ブチル(Butyl acetate)及びエチルブチレート(Ethyl butyrate)から選ばれてもよい。また、ケトン基(Ketone group)を含む溶媒は、メチルエチルケトン(Methyl ethyl ketone)であってもよく、ベンゼン(Benzene)を含む溶媒は、ベンゼン(Benzene)、トルエン(Toluene)及びキシレン(Xylene)の中から選ばれてもよく、ハロアルカン(Haloalkane)系溶媒は、ジクロロメタン(Dichrolomethane)、ジクロロエタン(Dichroloethane)、クロロホルム(Chloroform)及び四塩化炭素(Carbon tetrachloride)から選ばれてもよく、シリコーン(Silicone)系溶媒は、ジメチコン(Dimethicone)及びシクロメチコン(Cyclomethicone)の中から選ばれてもよい。
【0029】
本発明においてカプセル化成分は、カプセルの外壁を構成する成分であり、カプセル化の反応時にミネラル素材に変換されてもよい。前記カプセル化反応は、加水分解反応であってもよい。
【0030】
一具体例において、カプセル化成分としてミネラル素材前駆体を使用してもよく、前記ミネラル素材前駆体は、シリカ前駆体、酸化チタン前駆体及び酸化ジルコニウム前駆体からなる群から選ばれる少なくとも1つであってもよい。
【0031】
一具体例において、ミネラル素材前駆体は、下記化1~4で表される化合物からなる群から選ばれる少なくとも1つの化合物を含んでもよい。
【0032】
【0033】
【0034】
【0035】
【0036】
前記化1~4において、Aはシリコーン、チタンまたはジルコニウムであってもよく、R1~R4はそれぞれ独立して水素または末端に官能基が置換または非置換の炭素数1~8のアルキル基であってもよく、前記官能基は、アミン、ヒドロキシ、アミド、カルボキシ、ビニル、エポキシ、フェニルまたはメルカプトなどを含んでもよい。
【0037】
一具体例において、シリカ前駆体は、テトラメチルオルトシリケート、テトラエチルオルトシリケート、テトラプロピルオルトシリケート、テトラブチルオルトシリケート、メチルトリメトキシシリケート、ジメチルジメトキシシリケート、トリメチルメトキシシリケート、トリメチルエトキシシリケート、ブチルトリメトキシシリケート、N-プロピルトリメトキシシラン、N-オクチルトリメトキシシラン、アミノプロピルトリメトキシシリケート、フェニルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン及びメチルジメトキシシランからなる群から選ばれる少なくとも1つを含んでもよく、酸化チタン前駆体は、チタンメトキシド、チタンエトキシド及びチタンブトキシドからなる群から選ばれる少なくとも1つを含んでもよく、酸化ジルコニウム前駆体は、ジルコニウムメトキシド、ジルコニウムエトキシド及びジルコニウムブトキサイドからなる群から選ばれる少なくとも1つを含んでもよい。
【0038】
一具体例において、カプセル化成分の含量は、特に制限されず、エマルジョンの全重量(100重量部)に対して0.001~30重量部、0.01~25重量部または0.1~20重量部であってもよい。前記カプセル化成分の含量が0.001重量部未満であれば、カプセル化反応が起こってもカプセルの外壁が維持されないほど薄く形成されるという問題が発生するおそれがあり、30重量部を超えると、分散相と連続相の区分が曖昧になり、カプセルが形成されないという問題が発生するおそれがある。
【0039】
本発明において有効成分は、生成されたカプセルによってその活性が維持されることを望む物質であり、前記有効成分は、追ってカプセルの外壁が破壊されることにより、その活性が発現できる。有効成分が常温で液体の場合は、溶媒である分散相に置き換えてもよい。このような有効成分として、香料、紫外線遮断剤、染料、触媒、抗酸化剤及び薬物からなる群から選ばれる少なくとも1つを使用してもよい。
【0040】
一具体例において、有効成分が香料の場合、本発明はマイクロカプセルを含む発香製品を提供しうる。前記発香製品としては、香りスプレー、芳香液状製品、洗浄剤、洗顔剤、ボディ用品、ヘア用品または洗濯製品を含んでもよい。前記洗濯製品とは、衣類に処理される製品を意味し、洗濯洗剤、繊維柔軟剤、香添加剤、衣類消臭剤、ドライクリーニング剤、染み抜き剤、漂白剤などを含んでもよく、これに限定されるものではない。
【0041】
有効成分が紫外線遮断剤の場合、本発明は、マイクロカプセルを含む紫外線遮断用化粧料組成物を提供しうる。前記紫外線遮断剤の成分としては、二酸化チタン(TiO2)、酸化亜鉛(ZnO)、ケイ酸塩またはタルクなどの無機紫外線遮断剤、またはイソアミル-p-メトキシシンナメート、オクチルメトキシシンナメート、エチルヘキシルトリアゾン、オキシベンゾン、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイルヘキシルベンゾエート、オクトクリレンオクチルサリシレート、ブチルメトキシジベンゾイルメタン、オクチルサリシレート、ベンゾフェノン、アントラニレートなどの有機紫外線遮断剤を使用してもよい。
【0042】
また、有効成分が機能性物質または難溶性物質の場合、機能性物質または難溶性物質の安定性の改善のための担持体として本発明のマイクロカプセルを提供しうる。前記機能性物質または難溶性物質としては、レチノールまたはレスベラトロールなどの抗酸化剤、またはコレステロールまたはセラミドなどの難溶性物質、及びメントール、バニリルブチルエーテルなどの温冷感覚刺激物質を含んでもよい。
【0043】
一具体例において、有効成分の含量は特に制限されず、エマルジョンの全重量(100重量部)に対して0.001~20重量部、0.01~15重量部または1~10重量部であってもよい。
【0044】
一具体例において、カプセル化成分の含量は、有効成分の含量に対して0.5~3倍であってもよい。前記カプセル化成分の含量が有効成分に対して3倍超過であれば、粒子間の凝集現象が発生してゲル化が起こる問題が発生するおそれがあり、0.5倍未満であれば、相分離が起こるおそれがあるので、前記含量比率を0.5~3倍に維持することが好ましい。
【0045】
また、一具体例において、カプセル化成分及び有効成分の含量は、エマルジョンの全重量(100重量部)に対して35重量部以下であってもよく、具体的には、10~35重量部、11~35重量部または15~30重量部であってもよい。カプセル化成分及び有効成分の含量が35重量部を超えると、有効成分が安定化しにくく、むしろ粒子間の凝集現象が発生してゲル化が起こる問題が発生するおそれがある。また、カプセル化成分及び有効成分の含量が10重量部未満であれば、相分離が起こるおそれがある。
【0046】
本発明のエマルジョン製造段階では、前述した連続相及び分散相を混合してエマルジョンを製造してもよい。
【0047】
一具体例において、分散相の含量は、分散相及び連続相の混合重量(100重量部)を基準にして35重量部以下、10~35重量部、11~35重量部または15~30重量部であってもよい。
【0048】
一具体例において、エマルジョン製造段階は、連続相に分散相を添加して行われてもよく、撹拌下で行われてもよい。
【0049】
一具体例において、撹拌は、20~30℃、または常温で1~16,000RPM、5~13,000RPM、または10~10,000RPMで行われてもよい。また、撹拌時間は、製造されるエマルジョンの体積に応じて異なってもよい。
【0050】
本発明においてカプセル化反応段階は、前述したエマルジョン製造段階で製造されたエマルジョンをカプセル化反応してマイクロカプセルを製造する段階である。
【0051】
図1に示すように、カプセル化成分の硬化反応(または固形化反応)を通じて有効成分が含まれる安定したマイクロカプセルを製造してもよい。具体的には、カプセル化成分は、アルコキシを含むため、初期にはコア物質である分散相に混ざっている状態であるが、エマルジョン界面で加水分解が起こると、前記カプセル化成分は親水性に変化し、界面で積層されることになる。その過程で固形化反応が起こり、固体外壁が形成される。
【0052】
一具体例において、エマルジョン製造段階とカプセル化反応段階との間の時間間隔は、1時間~14日であってもよい。
【0053】
一具体例において、カプセル化反応段階は、弱酸性条件で行われてもよい。前記弱酸性条件は、pH2~5またはpH2~4であってもよい。前記弱酸性条件で緻密な構造のカプセルの外壁を製造してもよい。pHが前記範囲を外れる場合、所望のマイクロサイズの粒子(カプセル)が形成されないことがあり、また粒子が形成されても外壁の厚さが薄いか、または多孔性の粒子が形成されて有効成分がカプセル内に安定的に担持されず、容易に溶出するおそれがある。
【0054】
一具体例において、マイクロカプセルの製造のためのカプセル化反応は、20~30℃または常温で10分~48時間行われてもよい。反応を促進するために温度を上げる場合、マイクロサイズの粒子(カプセル)が形成されず、粒子が形成されても外壁の厚みが薄くなるか、または多孔性の粒子が形成されるおそれがあるので、反応温度及び時間を前記のように調節することが好ましい。
【0055】
一具体例において、前記カプセル化反応は、撹拌せずにエマルジョンを静置した状態で行われてもよい。具体的には、本発明は、反応速度を上げないエマルジョンを静置した状態でカプセル化反応を行うことにより、緻密な構造のカプセルの外壁を形成してもよい。
【0056】
一具体例において、カプセル化反応は、1回以上、具体的には、2~3回行われてもよい。1次カプセル化反応が完了したエマルジョンにカプセル化成分を追加して反応させる方法で2次カプセル化反応を行ってもよい。前記2次カプセル化反応で使用されるカプセル化成分は、1次反応時に使用されるカプセル化成分と同じであってもよく、他の種類のカプセル化成分を使用してもよい。
【0057】
前記カプセル化反応を2回行う場合、二重壁を有するマイクロカプセルが製造されてもよく、二重壁で製造される場合、シリカの含量が多くなり、カプセルそのものが厚くなるため、厳しい環境でも有効成分を安定的に保存しうる。
【0058】
また、本発明は、前述したマイクロカプセルの製造方法によって製造されたマイクロカプセルに関する。
【0059】
本発明によるマイクロカプセルの平均粒径は、0.1~1,000μm、0.1~100μm、0.5~80μmまたは1~5μmであってもよい。前記マイクロカプセルの平均粒径が0.1μm未満の場合、カプセルに担持される有効成分の量が少なすぎてマイクロカプセルを適用しても少なすぎる量が発現されるため、その効果が現れないおそれがある。また、平均粒径が1,000μmを超える場合、ミネラル素材からなるカプセルが乾燥して発生する張力によりマイクロカプセルが容易に割れるという問題がある。
【0060】
また、カプセルの外壁の厚さは0.01~1μmであってもよい。
【0061】
また、本発明は、前述したマイクロカプセルを含む洗濯製品に関する。
【0062】
一具体例において、洗濯製品は、洗濯洗剤、繊維柔軟剤、香添加剤、衣類消臭剤、ドライクリーニング剤、染み抜き剤、漂白剤などを含んでもよい。
【0063】
一具体例において、洗濯製品においてマイクロカプセルの含量は、全重量に対して0.5~20重量部または1~10重量部であってもよい。
【0064】
また、本発明は、洗濯製品を製造するための、前述したマイクロカプセルの製造方法によって製造され、粒径は、0.1~1,000μmのマイクロカプセルの用途に関する。
【0065】
発明の実施のための形態
以下、本発明を実施例を通じて詳細に説明する。下記実施例は、本発明を例示するものであり、本発明の範囲が下記実施例に限定されるものではない。本実施例は、本発明の開示を完全にし、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者に発明の範疇を完全に知らせるために提供されるものであり、本発明は、請求項の範疇によって定義されるだけである。
【0066】
実施例
以下、実施例と比較例及び実験例に使用された原料は、商業的な化粧品原料業者または試薬業者から購入して使用した。
【0067】
実施例1~10.カプセル化成分を用いたマイクロカプセルの製造
下記表1の組成及び含量に応じてマイクロカプセルを製造した。まず、蒸留水に乳化剤(CTAB)を溶かして連続相を製造した。同時に、カプセル化成分と香料(perfume)をよく混合して分散相を製造した。前記連続相に分散相を添加し、8,000rpmで撹拌してエマルジョンを製造し、弱酸性条件でカプセル化反応を行った。
【0068】
一方、比較例1では、表1の組成及び含量に応じて香料を乳化させた乳化液を製造した。
【0069】
まず、蒸留水に乳化剤を溶かした連続相を製造した。次に、前記連続相に分散相の香りを添加し、8,000rpmで撹拌してエマルジョンを製造した。
【0070】
本発明は、実験例6を除いては、製造されたマイクロカプセルを30℃、湿度50%の恒温恒湿条件で24時間安定化した後に使用した。
【0071】
【0072】
実験例1.洗濯後の香りの強度評価
実施例1~10及び比較例1で製造したマイクロカプセルの残香強化性能を確認するために洗濯評価を行った。
【0073】
まず、試験用繊維として市販の綿タオル(30cm×20cm)(綿100%、ソンウォルタオル(株)4枚を使用した。前記綿タオルを一般洗濯洗剤の標準使用量を使用して洗濯機で5回繰り返し洗濯後、脱水した(1次洗濯)。
【0074】
全組成物100重量部を基準にして、5重量部のCTABを含む水溶液に実施例1~10及び比較例1で製造したマイクロカプセル5重量部を入れて綿タオルに直ちに処理した。具体的には、家庭用全自動洗濯機を用いて水量45L、すすぎ10分、脱水5分に設定して洗濯した(2次洗濯)。次に、綿タオルを湿度30%、温度25℃で12時間乾燥した。
【0075】
このとき、3つの時点(洗濯直後、乾燥後及び摩擦後)を設定し、20代~40代の20人の熟練したパネリストが官能評価を行って香りの強度を評価した。「洗濯直後」は、2次洗濯が完了した時点を、「乾燥後」は、恒温恒湿室で12時間乾燥した後の時点を意味し、「摩擦後」は、前記乾燥された綿タオルを横に2回4等分に折り、90度回した後、横を両手で握った後、綿タオルを手の間に位置させて柔らかく円を描くように擦って3回繰り返して摩擦させた後の時点を意味する。
【0076】
前記香りの強度は、マイクロカプセル無処理の綿タオルを0点として基準を定め、最低0点から最高5点まで付与し、これを3回以上繰り返して平均値を求めた。
【0077】
マイクロカプセルを含む組成物を製造した後、綿タオルに洗濯処理後に行った官能評価の結果を下記表2に示した。
【0078】
<評価基準>
0点:香りがほとんど残っていない。
5点:香りがたくさん残っている。
【0079】
【0080】
前記表2に示すように、本発明によるマイクロカプセルを使用する場合、比較例1に比べてマイクロカプセルの発香性が現れることが確認できる。特にカプセル化成分としてシリカ前駆体を使用した場合、摩擦後の香りの強度が3以上で発香性が高く現れることが確認できる。
【0081】
乾燥後、発香性に優れた理由は、一部の大きなマイクロカプセル粒子が乾燥過程中に割れて発香されるために現れた結果と判断される。
【0082】
実施例11~20.乳化剤の種類によるマイクロカプセルの製造
表3の組成及び含量に応じてマイクロカプセルを製造した。
【0083】
まず、蒸留水に乳化剤を溶かした連続相を製造した。同時にTEOS及び香料(perfume)をよく混合して分散相を製造した。次に、連続相に分散相を添加して8,000rpmで撹拌してエマルジョンを製造し、弱酸性条件でカプセル化反応を行った。
【0084】
【0085】
実験例2.洗濯後の香りの強度評価
実施例11~20で製造したマイクロカプセルの残香強化性能を確認するために洗濯評価を行った。
【0086】
このようなマイクロカプセルの残香強化性能は、実験例1の方法により行った。
【0087】
前記官能評価結果を下記表4に示した。
【0088】
<評価基準>
0点:香りがほとんど残っていない。
5点:香りがたくさん残っている。
【0089】
【0090】
前記表4に示すように、香油を含むマイクロカプセルを使用する場合、摩擦後の残香性に優れていることが確認できる。
【0091】
概してカチオン性乳化剤を使用して製造したマイクロカプセルの残香性が高く、ノニオン性、アニオン性乳化剤の順に残香性が低くなったことが確認できる。これはカチオン性乳化剤を使用して製造した場合、カプセル化反応が界面で均一に起こるので、香油保存力が高く、摩擦後に残香性が高く現れたことを意味する。
【0092】
実施例21~22.表面改質されたマイクロカプセルの製造
表5の組成及び含量に応じてマイクロカプセルを製造した。
【0093】
まず、蒸留水に乳化剤を溶かした連続相を製造した。同時にTEOSとシリカ前駆体及び香料をよく混合して分散相を製造した。次に、連続相に分散相を添加し、8,000rpmで撹拌してエマルジョンを製造し、弱酸性条件でカプセル化反応を行った。
【0094】
【0095】
実験例3.洗濯後の香りの強度評価
実施例21~22で製造したマイクロカプセルの残香強化性能を確認するために洗濯評価を行った。
【0096】
このようなマイクロカプセルの残香強化性能は、実験例1の方法で行った。
【0097】
前記官能評価結果を下記表6に示した。
【0098】
<評価基準>
0点:香りがほとんど残っていない。
5点:香りがたくさん残っている。
【0099】
【0100】
前記表6に示すように、マイクロカプセルの表面が官能基で改質された場合でも残香性が維持されることが確認できる。
【0101】
実施例23~32.乳化剤の含量に応じてサイズが調節されたマイクロカプセルの製造
表7の組成及び含量に応じてマイクロカプセルを製造した。
【0102】
まず、蒸留水に乳化剤を溶かした連続相を製造した。同時に、各TEOS及び香料をよく混合して分散相を製造した。次に、連続相に分散相を添加し、8,000rpmで撹拌してエマルジョンを製造し、弱酸性条件でカプセル化反応を行った。
【0103】
特に、実施例31及び32は、より小さいサイズのマイクロカプセルを製造するために、前記エマルジョン製造過程後、Tip sonicatorを5分間処理した後、弱酸性条件でカプセル化反応を行った。
【0104】
【0105】
実験例4.マイクロカプセルの粒径の測定
実施例23~32で製造したマイクロカプセルの粒径を測定した。
【0106】
粒径は、Matersizer 3000(Malvern,UK)を用いて測定した。
【0107】
乳化剤を0.0001%使用した場合(実施例23)、乳化せず相分離が起こったが、0.0005%以上使用した場合、乳化し始めてマイクロカプセルが製造されたことが確認できる。
【0108】
特に、
図3は、実施例8で製造されたマイクロカプセルの粒度測定結果で、マイクロカプセルが1.5μmの平均粒径を有することが確認できる。
【0109】
実験例5.洗濯後の香りの強度評価
実施例23~32で製造したマイクロカプセルの残香強化性能を確認するために洗濯評価を行った。
【0110】
このようなマイクロカプセルの残香強化性能は、実験例1の方法で行った。
【0111】
前記官能評価結果を下記表8に示した。
【0112】
<評価基準>
0点:香りがほとんど残っていない。
5点:香りがたくさん残っている。
【0113】
【0114】
前記表8に示すように、マイクロカプセルのサイズが小さくなるほど、残香性が大きくなることが確認できる。これは粒子が大きいほど、カプセルの表面に作用する張力にカプセルが耐えられず割れることで残香性を維持できなかったと判断される。また、乳化剤を0.1重量%以上使用する場合、粒子のサイズの変動がほとんどなく、残香性も同様に現れたことが確認できる。
【0115】
また、sonicator処理を通じて小サイズの粒子を製造する場合、0.5μmから残香性が減少し始めることが確認できる。
【0116】
実施例33~38及び比較例2~3.マイクロカプセルシェルの組成によるマイクロカプセルの製造
表9の組成及び含量に応じてマイクロカプセルを製造した。
【0117】
まず、蒸留水に乳化剤を溶かした連続相を製造した。同時にTEOS及び香料をよく混合して分散相を製造した。次に、連続相に分散相を添加し、8,000rpmで撹拌してエマルジョンを製造し、弱酸性条件でカプセル化反応を行った。
【0118】
【0119】
TEOS含量に応じて28日間常温での変化を確認した結果、TEOSを0.1重量%使用した場合、カプセルが適切に作製されず相分離が起こり、30重量%以上使用した場合ゲリングが開始されて、50重量%以上使用した場合ゲルが形成される問題点が発生したことが確認できる。
【0120】
実施例39~43.二重壁からなるマイクロカプセルの製造
表10の組成及び含量に応じてマイクロカプセルを製造した。
【0121】
まず、蒸留水に乳化剤を溶かした連続相を製造した。同時に各TEOS及び香料をよく混合して分散相を製造した。次に、連続相に分散相を添加し、8,000rpmで撹拌してエマルジョンを製造し、弱酸性条件でカプセル化反応を行った。次に、1~9%のTEOSを追加した後、400rpmで撹拌してさらなるカプセル化反応を行った。
【0122】
【0123】
実験例6.洗濯後の香りの強度評価
実施例39~43で製造したマイクロカプセルの残香強化性能を確認するために洗濯評価を行った。洗濯する前にマイクロカプセルを5%CTAB溶液に入れ、50℃で1ヶ月間保管した。
【0124】
このようなマイクロカプセルの残香強化性能は、実験例1の方法で行った。前記官能評価結果を下記表11に示した。
【0125】
<評価基準>
0点:香りがほとんど残っていない。
5点:香りがたくさん残っている。
【0126】
【0127】
前記表11に示すように、マイクロカプセルシェルに含まれたシリカの含量が多くなるほど、マイクロカプセルが過酷な環境(高温で高含量の界面活性剤を含む環境)でも香りを維持していることが確認できる。これはカプセルそのものが厚くなったために現れた結果であると判断される。
【0128】
図2Dは、実施例40で製造されたマイクロカプセルのSEM写真で、実施例8に該当する
図2Cに比べて表面が滑らかで、厚さも22nmから38nmに増加したことが確認できる。
【0129】
実験例7.マイクロカプセルの評価
マイクロカプセルの外壁(shell)が適切に製造されたことを確認するため、実施例8で製造されたマイクロカプセルをエタノールに入れ、十分な時間香りを抽出した後、centrifugeを用いて遠心分離した。次に、水を入れて分散させた後、凍結乾燥して微細なパウダー形態のシリカ粒子を得てScanning Electron Microscopyを用いてマイクロカプセルの形態を確認した。
【0130】
図2は、マイクロカプセルの形態を確認する結果を示す。
図2A及びBに示すように、マイクロカプセルの表面にミネラル素材の外壁が形成されていることが確認できる。
【0131】
一方、マイクロカプセルの安定性を確認するために全組成物100重量部を基準にして、5重量部のCTABを含む水溶液に実施例8と40で製造されたマイクロカプセルをそれぞれ5重量部入れた後、50℃のチャンバーに入れて4週間保管した。1日、2日、5日、7日、10日、14日、20日、28日にサンプルを採取し、0.45um syringe filterでマイクロカプセルをろ過した後、エタノールに入れてsonicatorを用いてマイクロカプセル内に残っている香りをUV-Vis spectrophotometerを用いて吸光度を測定し、実際の濃度を測定した。
【0132】
図4は、マイクロカプセルの安定性を確認した結果を示す。
【0133】
図4に示すように、実施例40の場合、50℃でも4週間香りを80%程度維持したことが確認できる。これにより界面活性剤が多く含まれた過酷な条件下でも、長期間マイクロカプセルが香りを維持できることを間接的に確認できる。
【0134】
実施例44~55.pHによるマイクロカプセルの製造
下記表12の組成及び含量に応じてマイクロカプセルを製造した。まず、蒸留水に乳化剤を溶かして連続相を製造した。同時にカプセル化成分と香料(perfume)をよく混合して分散相を製造した。前記連続相に分散相を添加し、8,000rpmで撹拌してエマルジョンを製造した。
【0135】
次に、1.0N HClと1.0N NaOHを使用してエマルジョンのpHを表12のように調整した後、カプセル化反応を行った。
【0136】
【0137】
マイクロカプセルの製造結果、pH2未満と6以上の場合、製造過程でマイクロカプセルで製造されず、相分離が起こった。pH2~5.5では、カプセル化反応が行われた後でも乳化状態が維持されることが確認された。
【0138】
実験例8.洗濯後の香りの強度評価
実施例46~52で製造したマイクロカプセルのpHによるカプセルの残香強化性能を確認するために洗濯評価を行った。洗濯する前にマイクロカプセルを5%CTAB溶液に入れ、50℃の温度で1ヶ月間保管した。
【0139】
このようなマイクロカプセルの残香強化性能は、実験例1の方法で行った。前記官能評価結果を下記表13に示した。
【0140】
<評価基準>
0点:香りがほとんど残っていない。
5点:香りがたくさん残っている。
【0141】
【0142】
前記表13に示すように、pH2~4で製造されたマイクロカプセルの香りの保存力が高いことが確認できる。
【0143】
これは、マイクロカプセルのdefectが少なく製造されるためには、適正なpH環境での製造が必要であることを意味し、pH2~4で製造されてこそ有効成分を長期間保存できるマイクロカプセルを製造できることを意味する。
【産業上の利用可能性】
【0144】
本発明では、ミネラル素材を用いて有効成分を安定的に担持でき、本発明による製造方法により製造されたマイクロカプセルは、カプセル化成分が土壌成分と同じであるため、自然に排出されたときに環境問題がなく、マイクロプラスチック問題から逃れられる。また、本発明による製造方法により製造されたマイクロカプセルは、緻密(dense)な構造のカプセルの外壁を有するので、有効成分の溶出を防止しうる。
【国際調査報告】