(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-25
(54)【発明の名称】外科用開創器
(51)【国際特許分類】
A61B 17/02 20060101AFI20240118BHJP
【FI】
A61B17/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023540553
(86)(22)【出願日】2022-01-03
(85)【翻訳文提出日】2023-08-28
(86)【国際出願番号】 US2022011044
(87)【国際公開番号】W WO2022147505
(87)【国際公開日】2022-07-07
(32)【優先日】2021-01-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521328412
【氏名又は名称】アドバンスト サージカル レトラクタ システムズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Advanced Surgical Retractor Systems, Inc.
【住所又は居所原語表記】204 Cliffside Dr. Shavano Park TX 78231 United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ジルアード、マイケル アール.
(72)【発明者】
【氏名】メイフィールド、アリス ストーバー
(72)【発明者】
【氏名】コーサイス、シェーン ジェリド
(72)【発明者】
【氏名】ハンチャク、マーク アンドリュー
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160AA02
4C160AA14
4C160MM32
(57)【要約】
外科的処置を支援するための外科用開創器アセンブリ及び関連するアタッチメントが提供される。外科用開創器は、組み立ての柔軟性を増大させ、組み立てを容易にする。外科用開創器は、例えば、コネクタを用いて共に結合されるように構成された2つのフレームセグメントを備え、コネクタは、1つのフレームセグメントが、第2のフレームセグメントの垂直方向上方に配置され、第2のフレームセグメントの上面がコネクタチャネル内に受容されるように第2のフレームセグメント上に下降されることを可能にする。したがって、これらのフレームセグメントが共に結合されて調節可能なフレームを形成し得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外科用開創器アセンブリであって、
第1の端部と第2の端部との間に配置された中央部分を備える第1のフレームセグメントと、
中間部分と中間部分の同じ側から突出する一対の端部部分とを備える第2のフレームセグメントであって、一対の端部部分は互いに対してほぼ平行な向きを維持し、一対の端部部分の各々は上面及び下面を備える、第2のフレームセグメントと、
第1のフレームセグメントを第2のフレームセグメントに結合するように構成されている一対のコネクタと、
を備え、一対のコネクタの各々は、
一対のコネクタのうちの一方を第1のフレームセグメントの端部のうちの一方に接続するためのラチェットハウジングと、
ラチェットハウジング内に形成されたチャネルであって、第2のフレームセグメントの端部部分のうちの一方の上面又は下面を受容するように形状である、チャネルと、
第2のフレームセグメントの端部部分のうちの一方を前記チャネル内に保持するように構成されているラチェットファスナと、
を備える、外科用開創器アセンブリ。
【請求項2】
前記一対のコネクタの各々は、前記チャネルへのアクセスを提供するとともに前記第2のフレームセグメントの端部部分のうちの前記一方が前記チャネル内に受容され得るように前記ラチェットファスナを作動させるために使用者によって操作可能なロックをさらに備え、前記ラチェットファスナは、前記ロックが前記使用者によって係合されない場合、前記端部部分を前記チャネル内に自動的に保持するように構成されている、請求項1に記載の外科用開創器アセンブリ。
【請求項3】
前記ロックは、スライドロックを備える、請求項2に記載の外科用開創器アセンブリ。
【請求項4】
前記チャネルは、前記第2のフレームセグメントの端部部分のうちの一方の前記上面又は前記下面のいずれか一方のみを受容するように構成されている、請求項1に記載の外科用開創器アセンブリ。
【請求項5】
前記ラチェットハウジングは、前記ラチェットハウジングに形成された1つ以上の溝又は隆起部を備え、前記1つ以上の溝又は隆起部は、前記チャネル内に配置され、
前記第2のフレームセグメントの端部部分のうちの前記一方は、前記1つ以上の溝又は隆起部に対して相補的な特徴部を含む、請求項1に記載の外科用開創器アセンブリ。
【請求項6】
前記1つ以上の溝又は隆起部と前記相補的な特徴部との間の相互作用により、前記上面又は前記下面のうちのいずれか意図したものが前記チャネル内に受容されたときには、使用者が前記第2のフレームセグメントの端部部分のうちの前記一方を前記チャネル内に適切に設置することが可能となるが、前記上面又は前記下面のうちのいずれか意図しないものが前記チャネルに配置されたときには、前記使用者が前記第2のフレームセグメントの端部部分のうちの前記一方を前記チャネル内に設置することが防止される、請求項5に記載の外科用開創器アセンブリ。
【請求項7】
前記一対のコネクタが、開創器フレームを形成するために、前記第2のフレームセグメントの前記一対の端部部分の上部に垂直方向に重ね合わせられ、前記上部に結合され得るように、前記一対のコネクタの各々のチャネルは、前記第2のフレームセグメントの端部部分のうちの一方の上面を受容するように形作られている、請求項5又は6に記載の外科用開創器アセンブリ。
【請求項8】
前記第1のフレームセグメントは、第2のフレームセグメントの幅の約75%以下である幅を有する、請求項7に記載の外科用開創器アセンブリ。
【請求項9】
前記第1のフレームセグメントは、約25cm以下の幅を有する、請求項7に記載の外科用開創器アセンブリ。
【請求項10】
前記第2のフレームセグメントは、少なくとも約30cmである幅を有する、請求項9に記載の外科用開創器アセンブリ。
【請求項11】
前記第1のセグメントは、前記第2のフレームセグメントの幅の約75%以下である幅を有する、請求項1に記載の外科用開創器アセンブリ。
【請求項12】
前記第1のフレームセグメントの第1の端部は、ほぼ直線状に延びた第1の端部部分の一部であり、前記第1のフレームセグメントの第2の端部は、ほぼ直線状に延びた第2の端部部分の一部であり、
前記第1のフレームセグメントの第1の端部部分及び前記第1のフレームセグメントの第2の端部部分は、前記第1のフレームセグメントの前記中央部分の同じ側から延び、互いに対してほぼ平行な向きを維持する、請求項1に記載の外科用開創器アセンブリ。
【請求項13】
前記第1のフレームセグメントの前記中央部分は、ほぼ直線状のセグメントを含み、一対の湾曲部分を介して前記第1の端部及び前記第2の端部に接続されている、請求項1に記載の外科用開創器アセンブリ。
【請求項14】
前記一対のコネクタは、前記第1のフレームセグメントの第1の端部に固定的に接続された第1のコネクタと、前記第1のフレームセグメントの第2の端部に固定的に取り付けられた第2のコネクタとを含む、請求項13に記載の外科用開創器アセンブリ。
【請求項15】
前記一対のコネクタは、前記第1のフレームセグメントの第1の端部に固定的に接続された第1のコネクタと、前記第1のフレームセグメントの第2の端部に固定的に接続された第2のコネクタとを含む、請求項1に記載の外科用開創器アセンブリ。
【請求項16】
前記一対のコネクタのうちの少なくとも一方は、ウィングを備えるか、又はウィングが前記コネクタに可逆的に取り付けられ得るように構成されている、請求項1に記載の外科用開創器アセンブリ。
【請求項17】
前記一対のコネクタのうちの少なくとも一方に隣接して配置されたウィングをさらに備え、前記ウィングは、1つ以上のフレームアタッチメントを前記ウィングに取り付けるように構成されている、請求項1に記載の外科用開創器アセンブリ。
【請求項18】
前記ウィングは、前記第1のフレームセグメントを前記第2のフレームセグメントに結合することで形成される開創器フレームから垂直方向に離間されており、前記ウィングは、ブックウォルター式アタッチメントが取り付けられるように配置されており、前記ブックウォルター式アタッチメント上に配置された調節レバーへのアクセスを提供する、請求項17に記載の外科用開創器アセンブリ。
【請求項19】
前記ウィングは、前記第1のフレームセグメントを前記第2のフレームセグメントに結合することで形成される開創器フレームから垂直方向に離間されており、前記ウィングは、第1のアタッチメントが取り付けられるように配置されている、請求項17に記載の外科用開創器アセンブリ。
【請求項20】
前記ウィングは、前記第1のアタッチメントの真下に第2のアタッチメントが配置され得るようにさらに配置されている、請求項19に記載の外科用開創器アセンブリ。
【請求項21】
前記第1のフレームセグメントを前記第2のフレームセグメントに結合することを用いて調節可能な開創器フレームを形成することと、
前方ブレード面を含むブレードを備え、前記前方ブレード面は、創部又は切開部の組織壁に隣接して配置されるように構成されている、少なくとも1つのブレードアセンブリと、
前記少なくとも1つのブレードアセンブリを前記開創器フレームに取り付けるように構成された少なくとも1つのブレードブロックであって、前記前方ブレード面を前記組織壁の方向に選択的に向けるように構成されている、ブレードブロックと、
を含む、請求項1に記載の外科用開創器アセンブリ。
【請求項22】
前記少なくとも1つのブレードブロックは、ブレードポストを受容するような寸法に形成された開口部を含むブレードブロックハウジングを備え、前記開口部は、前記ブレードポストが、前記前方ブレード面を前記組織壁と係合する方向に導く向きで前記開口部内に挿入され得るように形作られており、前記開口部は、前記ブレードアセンブリが、前記前方ブレード面を前記組織壁から離反する方向に導く向きで挿入されるのを防止するように形作られている、請求項21に記載の外科用開創器アセンブリ。
【請求項23】
前記ブレードブロックハウジングは、前記ブレードポストが、前記前方ブレード面を前記組織壁の方向に導く向きであるときに、前記ブレードポストが通過できるように形作られたスロットを備える、請求項22に記載の外科用開創器アセンブリ。
【請求項24】
前記ブレードポストは、前記前方ブレード面を前記組織と係合するように導く向きに前記ブレードポストを導くために、前記ブレードポストが前記スロットを通過し得る向きを制限するような寸法に形成されたピンを備える、請求項23に記載の外科用開創器アセンブリ。
【請求項25】
前記少なくとも1つのブレードブロックは、ブレードポストを受容するような寸法に形成された開口部を含むブレードブロックハウジングを備え、前記開口部は前記ブレードポストの制限された回転を可能にするように形作られている、請求項21に記載の外科用開創器アセンブリ。
【請求項26】
前記ブレードポストは、片側が平坦になった円柱として形作られ、前記ポストの平坦な側面は、前記ブレードポストの回転を制限するために前記ブレードブロックの開口部の内部にあるリブに接触するように構成されている、請求項25に記載の外科用開創器アセンブリ。
【請求項27】
前記ブレードポストは、約60度~約120度の角度にわたって回転可能である、請求項25又は26に記載の外科用開創器アセンブリ。
【請求項28】
前記少なくとも1つのブレードアセンブリはブレードポストを含み、前記ブレードポストは、前記ブレードポストが選択した垂直位置でブレードブロック内に配置されたという視覚表示又は触覚表示を提供するように1つ以上の溝又はマークを備える、請求項21に記載の外科用開創器アセンブリ。
【請求項29】
前記1つ以上の溝又はマークは、前記フレームの対向する辺同士の間の高低差に合った段階的変化単位で設定されている、請求項28に記載の外科用開創器アセンブリ。
【請求項30】
前記第1のフレームセグメントの第1の端部は、ほぼ直線状に延びた第1の端部部分の一部であり、前記第1のフレームセグメントの第2の端部は、ほぼ直線状に延びた第2の端部部分の一部であり、
前記第1の端部部分及び前記第2の端部部分は、前記第1のフレームセグメントと前記第2のフレームセグメントとを共に結合することで形成されるフレームを拡張するときにラッキングの危険性を低減するのに適した角度で互いから離れるように外側に傾斜している、請求項1に記載の外科用開創器アセンブリ。
【請求項31】
前記角度は、約0.01°~約1.30°である、請求項30に記載の外科用開創器アセンブリ。
【請求項32】
前記ラチェットハウジングは、前記第1のフレームセグメントの端部のうちの前記一方に溶接されている、請求項1に記載の外科用開創器アセンブリ。
【請求項33】
前記ラチェットハウジングは、前記第1のフレームセグメントに手動で取り外し可能に接続される、請求項1に記載の外科用開創器アセンブリ。
【請求項34】
前記チャネルは、前記一対のコネクタのうちの前記一方を第2のフレームセグメントの上部に垂直方向に重ね合わせ、前記第2のフレームセグメントの端部部分の上面を前記チャネル内に受容するように下降させたときに、前記上面を受容するように構成されている、請求項1に記載の外科用開創器アセンブリ。
【請求項35】
外科用開創器アセンブリであって、
第1の端部と第2の端部との間に配置された中央部分を備える第1のフレームセグメントと、
中間部分と中間部分の同じ側から突出する一対の端部部分とを備える第2のフレームセグメントであって、一対の端部部分は互いに対してほぼ平行な向きを維持し、一対の端部部分の各々は上面及び下面を備える、第2のフレームセグメントと、
開創器フレームを形成するために、第1のフレームセグメントを第2のフレームセグメントに結合するように構成されている一対のコネクタと、
少なくとも1つのブレードアセンブリであって、前方ブレード面を含むブレードを備え、前方ブレード面は、創部又は切開部の組織壁に隣接して配置されるように構成されている、少なくとも1つのブレードアセンブリと、
少なくとも1つのブレードアセンブリを開創器フレームに取り付けるように構成された少なくとも1つのブレードブロックであって、ブレードブロックは、前方ブレード面を組織壁の方向に選択的に向けるように構成されている、ブレードブロックと、
を備える、外科用開創器アセンブリ。
【請求項36】
前記少なくとも1つのブレードブロックは、ブレードポストを受容するような寸法に形成された開口部を含むブレードブロックハウジングを備え、前記開口部は、前記ブレードポストが、前記前方ブレード面を前記組織壁と係合する方向に導く向きで前記開口部内に挿入され得るように形作られており、前記開口部は、前記ブレードアセンブリが、前記前方ブレード面を前記組織壁から離反する方向に導く向きで挿入されるのを防止するように形作られている、請求項35に記載の外科用開創器アセンブリ。
【請求項37】
前記ブレードブロックハウジングは、前記ブレードポストが、前記前方ブレード面を前記組織壁の方向に導く向きであるときに、前記ブレードポストが通過できるように形作られたスロットを備える、請求項36に記載の外科用開創器アセンブリ。
【請求項38】
前記ブレードポストは、前記前方ブレード面を前記組織と係合するように導く向きに前記ブレードポストを導くために、前記ブレードポストが前記スロットを通過し得る向きを制限するような寸法に形成されたピンを備える、請求項37に記載の外科用開創器アセンブリ。
【請求項39】
前記少なくとも1つのブレードブロックは、ブレードポストを受容するような寸法に形成された開口部を含むブレードブロックハウジングを備え、前記開口部は前記ブレードポストの制限された回転を可能にするように形作られている、請求項35に記載の外科用開創器アセンブリ。
【請求項40】
前記ブレードポストは、片側が平坦になった円柱として形作られ、前記ポストの平坦な側面は、前記ブレードポストの回転を制限するために前記ブレードブロックの開口部の内部にあるリブに接触するように構成されている、請求項39に記載の外科用開創器アセンブリ。
【請求項41】
前記ブレードポストは、約60度~約120度の角度にわたって回転可能である、請求項36又は37に記載の外科用開創器アセンブリ。
【請求項42】
前記少なくとも1つのブレードブロックは、ブレードポストを受容するような寸法に形成された開口部を含むブレードブロックハウジングを備え、前記開口部は、前記創部又は切開部に関する前記開創器フレームの不用意な移動を防止するために、前記ブレードポストの制限された回転を可能にするように形作られている、請求項35に記載の外科用開創器アセンブリ。
【請求項43】
前記外科用開創器フレームは、組み立て形態においてほぼ矩形形状を有し、
前記外科用開創器アセンブリは、4つのブレードアセンブリを備え、前記ブレードアセンブリの各々は、前記開創器フレームの角に隣接した位置で使用されるように構成され、
前記ブレードアセンブリの各々は、前方ブレードベースが前記組織壁と係合するように角度をなした向きを自動的にとるように構成されている、請求項42に記載の外科用開創器アセンブリ。
【請求項44】
前記4つのブレードアセンブリはすべて同一ではない、請求項43に記載の外科用開創器アセンブリ。
【請求項45】
前記少なくとも1つのブレードアセンブリはブレードポストを含み、前記ブレードポストは、前記ブレードポストが選択した垂直位置でブレードブロック内に配置されたという視覚表示又は触覚表示を提供するように1つ以上の溝又はマークを備える、請求項35に記載の外科用開創器アセンブリ。
【請求項46】
前記1つ以上の溝又はマークは、前記フレームの対向する辺同士の間の高低差に合った段階的変化単位で設定されている、請求項45に記載の外科用開創器アセンブリ。
【請求項47】
前記一対のコネクタのうちの少なくとも一方に隣接して配置されたウィングをさらに備え、前記ウィングは、1つ以上のフレームアタッチメントを前記ウィングに取り付けるように構成されている、請求項35に記載の外科用開創器アセンブリ。
【請求項48】
前記ウィングを、前記第1のフレームセグメントと前記第2のフレームセグメントとを共に結合することで形成される開創器フレームから垂直方向に離間させることができ、前記ウィングは、ブックウォルター式アタッチメントが取り付けられるように配置されており、前記ブックウォルター式アタッチメント上に配置された調節レバーへのアクセスを提供する、請求項47に記載の外科用開創器アセンブリ。
【請求項49】
前記ウィングを、前記第1のフレームセグメントと前記第2のフレームセグメントとを共に結合することで形成される開創器フレームから垂直方向に離間させることができ、前記ウィングは、第1のアタッチメントが取り付けられるように配置されている、請求項35に記載の外科用開創器アセンブリ。
【請求項50】
前記ウィングは、前記第1のアタッチメントの真下に第2のアタッチメントが配置され得るようにさらに配置されている、請求項49に記載の外科用開創器アセンブリ。
【請求項51】
前記第1のフレームセグメントの第1の端部は、ほぼ直線状に延びた第1の端部部分の一部であり、前記第1のフレームセグメントの第2の端部は、ほぼ直線状に延びた第2の端部部分の一部であり、
前記第1のフレームセグメントの第1の端部部分及び前記第1のフレームセグメントの第2の端部部分は、前記中央部分の同じ側から延び、前記第1の端部部分及び前記第2の端部部分は、前記開創器フレームを拡張するときにラッキングの危険性を低減するのに適した角度で各々から離れるように外側に傾斜している、請求項35に記載の外科用開創器アセンブリ。
【請求項52】
前記角度は、約0.01°~約1.30°である、請求項51に記載の外科用開創器アセンブリ。
【請求項53】
前記第1のセグメントは、前記第2のフレームセグメントの幅の約75%以下である幅を有する、請求項35に記載の外科用開創器アセンブリ。
【請求項54】
前記第1のフレームセグメントは、約25cm以下の幅を有する、請求項35に記載の外科用開創器アセンブリ。
【請求項55】
前記第2のフレームセグメントは、少なくとも約30cmである幅を有する、請求項54に記載の外科用開創器アセンブリ。
【請求項56】
外科用開創器アセンブリであって、
第1の端部と第2の端部との間に配置された中央部分を備える第1のフレームセグメントと、
中間部分と中間部分の同じ側から突出する一対の端部部分とを備える第2のフレームセグメントであって、一対の端部部分は互いに対してほぼ平行な向きを維持し、一対の端部部分の各々は上面及び下面を備える、第2のフレームセグメントと、
開創器フレームを形成するために、第1のフレームセグメントを第2のフレームセグメントに結合するように構成されている一対のコネクタと、
第1のフレームセグメントの第1の端部は、ほぼ直線状に延びた第1の端部部分の一部であり、第1のフレームセグメントの第2の端部は、ほぼ直線状に延びた第2の端部部分の一部であることと、
第1のフレームセグメントの第1の端部部分及び第1のフレームセグメントの第2の端部部分は、中央部分の同じ側から延び、第1の端部部分及び第2の端部部分は、開創器フレームを拡張するときにラッキングの危険性を低減するのに適した角度で互いから離れるように外側に傾斜していることと、
を備える、外科用開創器アセンブリ。
【請求項57】
前記角度は、約0.01°~約1.30°である、請求項56に記載の外科用開創器アセンブリ。
【請求項58】
前記角度は、約0.10°~約1.00°である、請求項56に記載の外科用開創器アセンブリ。
【請求項59】
前記角度は、約0.20°~約0.76°である、請求項56に記載の外科用開創器アセンブリ。
【請求項60】
外科用開創器アセンブリであって、
第1の端部と第2の端部との間に配置された中央部分を備える第1のフレームセグメントと、
中間部分と前記中間部分の同じ側から突出する一対の端部部分とを備える第2のフレームセグメントであって、前記一対の端部部分は互いに対してほぼ平行な向きを維持し、前記一対の端部部分の各々は上面及び下面を備える、第2のフレームセグメントと、
開創器フレームを形成するために、前記第1のフレームセグメントを前記第2のフレームセグメントに結合するように構成されている、一対のコネクタと、
を備え、前記一対のコネクタの各々は、
前記第1のフレームセグメントにラチェットハウジングを接続するように構成されたラチェットハウジングと、
前記ラチェットハウジング内に形成されたチャネルであって、前記第2のフレームセグメントの端部部分のうちの一方の上面又は下面を受容するように形作られている、チャネルと、
前記チャネルは、前記開創器フレームが拡張されるときにラッキングの危険性を低減するのに適した角度で、前記ラチェットハウジング内に配置されていることと、
前記第2のフレームセグメントの端部部分のうちの前記一方を前記チャネル内に保持するように構成されたラチェットファスナと、
を含む、外科用開創器アセンブリ。
【請求項61】
外科用開創器アセンブリであって、 第1の端部と第2の端部との間に配置された中央部分を備える第1のフレームセグメントと、
中間部分と前記中間部分の同じ側から突出する一対の端部部分とを備える第2のフレームセグメントであって、前記一対の端部部分は互いに対してほぼ平行な向きを維持し、前記一対の端部部分の各々は上面及び下面を備える、第2のフレームセグメントと、
開創器フレームを形成するために、前記第1のフレームセグメントを前記第2のフレームセグメントに結合するように構成されている一対のコネクタと
を備え、前記一対のコネクタの各々は、
前記第1のフレームセグメントにラチェットハウジングを接続するように構成されたラチェットハウジングと、
前記ラチェットハウジング内に形成されたチャネルであって、前記第2のフレームセグメントの端部部分のうちの一方の上面又は下面を受容するように形作られている、チャネルと、
前記チャネルは、前記開創器フレームが拡張されるときにラッキングの危険性を低減するために、前記チャネルに受容される前記端部部分のうちの前記一方に対して一定角度で配置されていることと、
前記第2のフレームセグメントの前記一対の端部部分の端部部分のうちの前記一方を前記チャネル内に保持するように構成されたラチェットファスナと、
を含む、外科用開創器アセンブリ。
【請求項62】
前記チャネルは、前記ラチェットハウジング内で角度をなしている、請求項61に記載の外科用開創器アセンブリ。
【請求項63】
前記第1のフレームセグメントの第1の端部は、ほぼ直線状に延びた第1の端部部分の一部であり、前記第1のフレームセグメントの第2の端部は、ほぼ直線状に延びた第2の端部部分の一部であり、
前記第1のフレームセグメントの第1の端部部分及び前記第1のフレームセグメントの第2の端部部分は、前記中間部分の同じ側から延び、前記第1の端部部分及び前記第2の端部部分は、ラッキングを低減するのに適した前記角度で前記チャネルを配置するために、互いから離れるように外側に傾斜している、請求項61に記載の外科用開創器アセンブリ。
【請求項64】
前記角度は、約0.20°~約0.76°である、請求項61~63のいずれか一項に記載の外科用開創器アセンブリ。
【請求項65】
前記第1のフレームセグメントを前記第2のフレームセグメントに結合することで形成されるフレームを備える調節可能な外科用開創器のためのコネクタであって、前記第1のフレームセグメントは、第1の端部と第2の端部との間に配置された中央部分を含み、前記第2のフレームセグメントは、中間部分と前記中間部分の同じ側から突出する一対の端部部分とを含み、前記一対の端部部分は互いに対してほぼ平行な向きを維持し、前記一対の端部部分の各々は上面及び下面を備え、前記コネクタは、
ラチェットハウジングと、
前記ラチェットハウジング内に形成されたチャネルであって、前記第2のフレームセグメントの前記一対の端部部分の端部部分のうちの一方の上面又は下面を受容するように形作られている、チャネルと、
前記第2のフレームセグメントの前記一対の端部部分の端部部分のうちの前記一方を前記チャネル内に保持するように構成されたラチェットファスナと、
を備える、コネクタ。
【請求項66】
前記チャネルへのアクセスを提供するとともに前記第2のフレームセグメントの端部部分のうちの前記一方が前記チャネル内に受容され得るように前記ラチェットファスナを作動させるために使用者によって操作可能なロックをさらに備え、前記ラチェットファスナは、前記ロックが前記使用者によって係合されない場合、前記端部部分を前記チャネル内に自動的に保持するように構成されている、請求項65に記載のコネクタ。
【請求項67】
前記ロックは、スライドロックを備える、請求項66に記載の外科用開創器アセンブリ。
【請求項68】
前記チャネルは、前記第2のフレームセグメントの端部部分のうちの一方の前記上面又は前記下面のいずれか一方のみを受容するように構成されている、請求項65に記載の外科用開創器アセンブリ。
【請求項69】
前記ラチェットハウジングは、前記ラチェットハウジングに形成された1つ以上の溝又は隆起部を備え、前記1つ以上の溝又は隆起部は、前記チャネル内に配置され、
前記第2のフレームセグメントの端部部分のうちの前記一方は、前記1つ以上の溝又は隆起部に対して相補的な特徴部を含む、請求項65に記載の外科用開創器アセンブリ。
【請求項70】
前記1つ以上の溝又は隆起部と前記相補的な特徴部との間の相互作用により、前記上面又は前記下面のうちのいずれか意図したものが前記チャネル内に受容されたときには、使用者が前記第2のフレームセグメントの端部部分のうちの前記一方を前記チャネル内に適切に設置することが可能となるが、前記上面又は前記下面のうちのいずれか意図しないものが前記チャネルに配置されたときには、前記使用者が前記第2のフレームセグメントの端部部分のうちの前記一方を前記チャネル内に設置することが防止される、請求項69に記載の外科用開創器アセンブリ。
【請求項71】
請求項1~70のいずれか一項に記載の第1のフレームセグメント。
【請求項72】
請求項1~70のいずれか一項に記載の第2のフレームセグメント。
【請求項73】
請求項1~70のいずれか一項に記載の外科用開創器ブレードアセンブリ。
【請求項74】
請求項1~70のいずれか一項に記載の外科用開創器ブレードブロック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、概して、外科用開創器、並びに関連するアタッチメント及びコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
本項は、特許請求の範囲に列挙される本発明の背景又は状況を説明することを意図している。本明細書の説明は、追求され得るが、必ずしも以前に想到又は追求されたことがあるものとは限らない概念を含み得る。したがって、本明細書において別段の指示がない限り、本項に記載されるものは、本出願の説明及び特許請求の範囲に対する従来技術ではなく、本項に含まれることによって従来技術であると認められるものではない。
【0003】
緊急手術及び待機手術の双方の状況における腹部手術は、外科医が損傷又は疾患の領域を適切に可視化するために、腹部内容物の十分な露出を必要とする。これは、典型的には、静的な金属開創器の使用によって行われる。現在使用されている最も一般的な開創器機構のうちの2つは、バルフォア(Balfour)開創器及びブックウォルター(Bookwalter)開創器である。これらの開創器の各々は、その設計及び使用において長所と短所を示す。バルフォア開創器は、金属ブレードがラチェットシステム上に組み込まれたフレームからなり、これは、係合時に、腹壁を側方方向に牽引し、それにより腹部内容物を露出させ、外科医が手術できるようにする。ブックウォルター機構は、手術台に取り付けられる支持フレームからなり、支持フレーム上には剛性のある調節不可の金属リングが取り付けられ、次にこの金属リングに開創器ブレードが個々に取り付けられる。
【0004】
バルフォア開創器は、その単純な設計、使いやすさ、及び腹部の迅速な露出により、特に時間が重要である外傷及び緊急手術の状況において、恐らく最も一般的に利用される腹部開創器である。バルフォア開創器は、ブックウォルター開創器のように、金属フレームを手術室のベッドに取り付けることを必要としないので、貴重な時間が浪費されず、腹部切開部を形成した後、直ちに開創器を挿入することができる。
【0005】
バルフォア開創器の手術室での普及や利用し易さにもかかわらず、その使用にはいくつかの制限がある。例えば、バルフォア開創器は、大柄な又は肥満した患者では不十分な腹部の露出をもたらす。より大柄な又は肥満した患者では、標準的なバルフォア開創器の現在の設計は、多くの場合、十分に腹部を露出させるために十分な牽引を提供しない。開創器ブレードが延在するフレームは、典型的には、より大柄な又は肥満した患者には短過ぎるため、準最適な露出を生じ、しばしば別の開創器システムへの変更を要する。バルフォア開創器の本質的に制限された設計のため、外科的切開部は1つの軸線(横方向)のみに沿って牽引され、創部の全般的な露出が制限される。オプショナルの付加的な開創器ブレード(膀胱ブレード)を取り付けることができるが、これは下方向の牽引を加えるだけであり、典型的には、別の開創器システムへの変更を必要とする準最適な露出を生じる。
【0006】
標準的なバルフォア開創器は、単一の膀胱ブレードを除いて、付加的な開創器ブレードを取り付けるための付加的なフレームを提供しない。これは、他の開創器機構と比較して、付加的な切開部又は腹部の内容物を牽引するための能力を著しく制限し、それにより外科的露出を制限する。加えて、バルフォア開創器システムは、一般に、手術創の縁に沿った開創器ブレードの意図しない動作及び移動により、その使用中に重大な問題をもたらす。創縁(又は腹部手術中の腹壁)において側方牽引を提供する2つの開創器ブレードは、しばしば意図せずに創部の上部又は下部のいずれかに移動し、開創器機構全体の回転や創縁の牽引の喪失を生じ、時間のかかる開創器の再配置、又は別の種類の開創器システムへの変更のいずれかを必要とする。これは、特に、大柄な又は肥満した患者においてや、バルフォア開創器システムがより大きな創部又は外科的開口部での使用のために大きく拡張される状況において一般的である。簡単に言うと、システムがより大きな創部に合わせて調整されると、バルフォア開創器システムの不備が増大される。
【0007】
ブックウォルター開創器は、典型的には、バルフォア開創器システムが不十分であるか、又は有効ではないと考えられる場合に用いられる開創器システムである。ブックウォルター開創器は、患者に麻酔をかけた後、手術室の非滅菌者によって手術台上のサイドレールに取り付けられる支持金属ロッドからなる(手術台上のレールは滅菌手術野の一部とは見なされない)。次に第2の金属アームがこの支持ロッドに取り付けられ、次に剛性のある円形又は楕円形の金属リングが第2の金属アームに取り付けられる。これが適所に位置したら、次に、支持するために剛性のあるリングを用いて、個々の開創器ブレードを取り付けることができる。
【0008】
ブックウォルター開創器の人気にもかかわらず、これもいくつかの制限を示す。ブックウォルター開創器機構は、手術室の非滅菌者による取付けを必要とする手術台への固定を伴う。外科医が開創器アームを支援し適切に配置するために滅菌バリアの下に手を置く必要があり得るため、時折、これは滅菌野の維持における懸念をもたらし得る。加えて、外科的な牽引が得られる前にセットアップを必要とする複数のアームにより、器械のセットアップにかなりの時間が要求され、このシステムは時間が重要である緊急の状況又は手術には不十分なものとなる。ブックウォルターシステムに使用される周方向リングは、拡張可能ではなく、しばしば長手方向軸線及び横方向軸線の双方における付加的な開創器の配置を制限する。加えて、リングの固定された寸法により、各患者の個々の物理的特性並びに創部又は切開の様々な種類及び寸法に応じて牽引を調節することができない。ブックウォルターシステムはまた、その使用中に外科チームによる頻繁な再配置を必要とする。ブックウォルターシステムがセットアップされ、ベッドフレームに取り付けられた後、それによりリングシステムが適所に固定され、付加的な開創器が取り付けられる。しかしながら、手術が進行し、外科的露出要件が変化するにつれて、システムは、静的な非拡張可能リングを正確な位置に配置するために再配置される必要がある。これは、手術の中断、開創器ブレードの除去、リングの再配置、及び開創器ブレードの再取り付けを必要とし、再びかなりの時間を必要とする。付加的な開創器システムに対する既存の要望がある。
【発明の概要】
【0009】
いくつかの実施形態において、外科用開創器アセンブリは、第1の端部と第2の端部との間に配置された中央部分を備える第1のフレームセグメントを具備し得る。外科用開創器アセンブリは、中間部分と中間部分の同じ側から突出する一対の端部部分とを備える第2のフレームセグメントをさらに具備することができ、一対の端部部分は互いに対してほぼ平行な向きを維持し、一対の端部部分の各々は上面及び下面を備える。外科用開創器アセンブリは、一対のコネクタをさらに具備することができ、一対のコネクタは、第1のフレームセグメントを第2のフレームセグメントに結合するように構成されている。一対のコネクタの各々は、一対のコネクタのうちの一方を第1のフレームセグメントの端部のうちの一方に接続するためのラチェットハウジングを備え得る。ラチェットハウジング内にはチャネルが形成されており、チャネルは、第2のフレームセグメントの端部部分のうちの一方の上面又は下面を受容するように形作られている。ラチェットファスナは、第2のフレームセグメントの端部部分のうちの一方を前記チャネル内に保持するように構成されている。したがって、例えば、外科用開創器アセンブリは、互いに垂直方向に重ね合わせられ、共に結合され得るフレームセグメントを備え得る。共に結合されると、フレームセグメントは、患者の創部又は切開部を可視化するのを助けるように拡張又は収縮され得る調節可能なフレームを画定し得る。例えば、1つの好ましい実施形態において、一対のコネクタのチャネルは、一対のコネクタを、第2のフレームセグメントの上部に垂直方向に重ね合わせ、第2のフレームセグメントの端部部分がチャネル内に受容されるように下降させるときに、第2のフレームセグメントの端部部分の上面を受容するように構成され得る。とりわけ、これにより、第1のフレームセグメントが医療処置に既に使用されている特定の状況において、外科医が手術台から後ずさりしたり、のけぞったりする必要なく、フレームセグメントを共に結合させることが可能となる。
【0010】
いくつかの実施形態において、外科用開創器アセンブリは、第1の端部と第2の端部との間に配置された中央部分を備える第1のフレームセグメントと、中間部分と中間部分の同じ側から突出する一対の端部部分とを備える第2のフレームセグメントとを具備することができ、一対の端部部分は互いに対してほぼ平行な向きを維持し、一対の端部部分の各々は上面及び下面を備える。外科用開創器アセンブリは、一対のコネクタであって、一対のコネクタは、開創器フレームを形成するために、第1のフレームセグメントを第2のフレームセグメントに結合するように構成されている、一対のコネクタと、少なくとも1つのブレードアセンブリとをさらに具備し得る。少なくとも1つのブレードアセンブリは、前方ブレード面を含むブレードを備えることができ、前方ブレード面は、創部又は切開部の組織壁に隣接して配置されるように構成されている。外科用開創器アセンブリは、少なくとも1つのブレードアセンブリを開創器フレームに取り付けるように構成された少なくとも1つのブレードブロックをさらに具備することができ、ブレードブロックは、前方ブレード面を組織壁の方向に選択的に向けるように構成されている。よって、外科用開創器アセンブリは、ブレードが誤って組織壁から離れて配置された場合に患者の組織に対する不用意な損傷を回避するとともに、緊急時により容易にフレームに形成することができる。
【0011】
いくつかの実施形態において、外科用開創器アセンブリは、第1の端部と第2の端部との間に配置された中央部分を備える第1のフレームセグメントを具備し得る。外科用開創器アセンブリは、中間部分と中間部分の同じ側から突出する一対の端部部分とを備える第2のフレームセグメントをさらに具備することができ、一対の端部部分は互いに対してほぼ平行な向きを維持し、一対の端部部分の各々は上面及び下面を備える。外科用開創器アセンブリは、一対のコネクタをさらに具備することができ、一対のコネクタは、開創器フレームを形成するために、第1のフレームセグメントを第2のフレームセグメントに結合するように構成されている。第1のフレームセグメントの第1の端部は、ほぼ直線状に延びた第1の端部部分の一部であり得、第1のフレームセグメントの第2の端部は、ほぼ直線状に延びた第2の端部部分の一部である。第1のフレームセグメントの第1の端部部分及び第1のフレームセグメントの第2の端部部分は、中央部分の同じ側から延び、第1の端部部分及び第2の端部部分は、開創器フレームを拡張するときにラッキングの危険性を低減するのに適した角度で互いから離れるように外側に傾斜している。
【0012】
いくつかの実施形態において、外科用開創器アセンブリは、第1のフレームセグメントと、第2のフレームセグメントと、開創器フレームの組み立て中に第1のフレームセグメントを第2のフレームセグメントに接続するための一対のコネクタとを具備することができ、外科用開創器アセンブリは、前記第1のフレームセグメントであって、第1のフレームセグメントは、中間部分、第1の端部部分、及び第2の端部部分を備え、中間部分は第1の端部部分と第2の端部部分との間に配置され、第1の端部部分及び第2の端部部分は第1の中間部分の同じ側から突出する、前記第1のフレームセグメントと、前記第2のフレームセグメントであって、第2のフレームセグメントは、中間部分、第1の端部部分、及び第2の端部部分を備え、中間部分は第1の端部部分と第2の端部部分との間に配置され、第1の端部部分及び第2の端部部分は第1の中間部分の同じ側から突出する、前記第2のフレームセグメントと、第1のフレームセグメントの第1の端部部分に結合するように構成された第1のコネクタ及び第1のフレームセグメントの第2の端部部分に結合するように構成された第2のコネクタを含む前記一対のコネクタとを具備し、一対のコネクタの各々はチャネルを備え、チャネルは、端部部分とチャネルとが互いにほぼ平行に整列され、垂直方向に重ね合わせられたときに、第2のフレームセグメントの端部部分を受容するように構成されている。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】拡張形態で組み立てられ示された外科用開創器の実施形態の斜視図。
【
図2】拡張形態で組み立てられ示された
図1の外科用開創器の平面図。
【
図3】拡張形態で組み立てられ示された
図1の外科用開創器の下面図。
【
図4】縮小形態で組み立てられた
図1の外科用開創器の斜視図。
【
図5】外科用開創器のセグメント及びそれに取り付けられた一対のコネクタの実施形態の平面図。
【
図6】外科用開創器のセグメント及びそれに取り付けられた一対のコネクタの実施形態の下面図。
【
図7】外科用開創器のセグメント及びそれに取り付けられた一対のコネクタの実施形態の斜視図。
【
図8A】外科用開創器のフレームセグメントの実施形態を示し、セグメントとコネクタ又はラチェッティングサブアセンブリとの間の接続を示す図。
【
図8B】
図8Aに示したフレームセグメントの端部を示し、セグメントとコネクタ又はラチェッティングサブアセンブリとの間の堅固な接続を示す図。
【
図9】外科用開創器のフレームセグメントの実施形態の平面図。
【
図10】
図9に示したフレームセグメントの下面図。
【
図11】
図9に示したフレームセグメントの斜視図。
【
図13A】左右のラチェットサブアセンブリの実施形態を示す図。
【
図13C】ラチェットサブアセンブリの上側を見るのに適した第1の視野と、ラチェットサブアセンブリの下側を見るのに適した第2の視野とを含む、
図13Aに示した左側ラチェットサブアセンブリの斜視図。
【
図14】2つのフレームセグメントを共に連結する実施形態の図解。
【
図15】2つのフレームセグメントが共に連結される前の、
図14に示した2つのフレームセグメントの端部の拡大図。
【
図16】2つのフレームセグメントが共に連結された後の、
図14に示した2つのフレームセグメントの端部の拡大図。
【
図17】ブレードブロックを構成するために用いられる構成要素の実施形態を示す図。
【
図18】ブレードブロックの上側面を示すように向けられたブレードブロックの斜視図。
【
図19】ブレードブロックの下側面を示すように向けられたブレードブロックの斜視図。
【
図21】ブレードアセンブリを構成するために用いられる構成要素の実施形態を示す図。
【
図22】ブレードアセンブリを第1の向きで示す図。
【
図23】ブレードアセンブリを第2の向きで示す図。
【
図24A】構成要素を連結する前のブレードブロック及びブレードアセンブリを示す図。
【
図24B】ブレードブロックに取り付けられたブレードアセンブリを示す図。
【
図25】ブレードブロックに取り付けられたブレードアセンブリの上から見た図であって、ブレードブロック内におけるブレードアセンブリの回転を選択的に制限する実施形態を示し、関連部分で注釈を付けられたブレードブロックに取り付けられたブレードアセンブリの拡大図。
【
図26A】ブレードブロックに取り付けられ、第1の向きに回転されたブレードアセンブリを示す図。
【
図26B】ブレードブロックに取り付けられ、第2の向きに回転されたブレードアセンブリを示す図。
【
図27A】フレーム又はフレームセグメントに取り付けるために配置されたブレードブロックを示す図。
【
図27B】ブレードブロックをフレーム又はフレームセグメントに取り付ける際の中間段階中におけるブレードブロックを示す図。
【
図27C】フレーム又はフレームセグメントに取り付けられたブレードブロックを示す図。
【
図28A】第1の位置においてフレームセグメントに取り付けられたブレードブロックを示す図。
【
図29A】完全縮小形態で組み立てられたフレームの平面図及び斜視図。
【
図29B】中間拡張形態で組み立てられたフレームの平面図及び斜視図。
【
図29C】完全拡張形態で組み立てられたフレームの平面図及び斜視図。
【
図30A】中間拡張形態で組み立てられたフレーム、及びフレームを縮小させるのに適した位置にあるラチェットボタンの平面図及び斜視図。
【
図30B】完全縮小形態で組み立てられたフレーム、及びロック位置にあるラチェットボタンの平面図及び斜視図。
【
図31】外科用開創器のフレームセグメントの代替実施形態を示す図。
【
図32】外科用開創器のフレームセグメントの別の代替実施形態を示す図。
【
図33】外科用開創器を組み立てる方法の実施形態を示す図。
【
図34A】フレームセグメントの端部部分が傾いている若しくは傾斜しているか、又はコネクタがコネクタハウジングに対して角度をなしたチャネルを備える、フレームセグメントの実施形態を示す図。
【
図34B】フレームセグメントの端部部分が傾いている若しくは傾斜しているか、又はコネクタがコネクタハウジングに対して角度をなしたチャネルを備える、フレームセグメントの実施形態を示す図。
【
図34C】フレームセグメントの端部部分が傾いている若しくは傾斜しているか、又はコネクタがコネクタハウジングに対して角度をなしたチャネルを備える、フレームセグメントの実施形態を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本明細書で用いられる以下の用語は、文脈上別段の解釈が必要でない限り、示した意味を有すると理解されるものとする。
項目が「a」又は「an」によって導かれる場合、その項目の1つ又は複数を意味するものと理解されたい。
【0015】
「備える(comprises)」は、含むが、それらに限定されないことを意味する。
「備えている(comprising)」は、含んでいるが、それらに限定されないことを意味する。
【0016】
「有している(having)」は、含んでいるが、それらに限定されないことを意味する。
「右」及び「左」の言及は、仰臥して患者の腹腔を露出させるように向けられた患者の視点からのものである。
【0017】
本開示は、医療用開創器、開創器フレームの関連するセグメント又はアーム、医療用開創器とともに用いられるアタッチメント、及び関連する医療用開創器の作製方法及び使用方法に関する。本明細書に記載する開創器の手術台又は他の支持体への取り付けは必須ではないが、いくつかの実施形態に対する選択肢とすることができ、したがって、開創器の使用により、手術チームの任意の非滅菌メンバーの関与が必要とされない、又は開創器が外科的開口部又は創部を取り囲む滅菌野の外側に延在する任意の支持構造と接触することがない。したがって、開創器は、開創器のセットアップ及び使用の間に汚染され難く、無菌状態を保ちやすい。開創器を支持する、必須の邪魔な固定金属フレームがないことにより、手術中に外科医の機動性が増し、患者の両側における配置が可能となる。さらに、邪魔な金属フレームを有することなく使用され得る他のいくつかの開創器とは対照的に、本明細書に記載の開創器は、外科的創部の縁に沿った開創器ブレードの意図しない動作及び移動の危険性を最小限にし、よって従来技術における他の開創器に関する重要な問題を解決する。
【0018】
本明細書に記載の開創器は、これらの開創器を緊急時や時間的制約のある状況に適用できるように、簡単且つ迅速に留置されるようにさらに構成される。例えば、いくつかの状況において、開創器は、一対のフレームセグメントのうちの一方のフレームセグメントを使用し(例えば、外科的開口部を露出させるように組織を牽引し)、進行中の外科的行為を中断することなく、もう一方のフレームセグメントを使用中のフレームセグメントに結合することなどによって、多忙な医療処置中に導入され得る。使用されるコネクタの種類、フレームセグメントの相対的な寸法及び形状、並びに関連するブレードブロックの形態を含むが、これらに限定されない開創器の特定の特徴は、このように開創器の使用を容易にするのを助け得る。
【0019】
例えば、開創器は、一対のフレームセグメントを用いて、一方のフレームセグメントの両端部を別のフレームセグメントの両端部の上方に、2つのフレームセグメントの端部が互いとほぼ平行に、しかし異なる垂直平面にずれて整列されるように配置し、次に、例えばスナップフィットコネクタなどの1つ以上のコネクタを用いてセグメントを共に係合させるために、一方のフレームセグメントをもう一方のフレームセグメント上に下降させることによって、組み立てられ得る。これにより、フレームセグメントのうちの一方を外科医の片腕又は両腕の下に配置する必要があり得る状況においてさえ、進行中の外科的行為を妨げることなく、フレームの組み立てが簡単になる。例えば、1つのフレームセグメントには、外科医から離れて位置する側から(例えば外科医が立っている手術台の反対側で)創部又は切開部の自由端を把持するために用いられ得るように配置された1つ以上のブレードが取り付けられ得る。1つ以上のブレードは、例えば、外科医が創部又は切開部に到達するのを支援するように組織を後退させて、外科医が出血を防止するのを助けるために動脈をクランプするなどの医療行為を実施できるようにするために用いられ得る。次に、一対のフレームセグメントのうちの他方のフレームセグメントを、外科医の邪魔をすることなく、外科医の片腕又は両腕の下に配置することができ、2つのフレームセグメントは作業フレームを形成するように係合される。
【0020】
この設計では、
図14~
図16に関連してまた説明するように、外科医の片腕又は両腕の下に配置されるフレームセグメントは、他のいくつかの従来技術の開創器の場合と同様に係合のために端と端を接した方式で他方のフレームセグメントに隣接して(つまり、各フレームセグメントの端部をコネクタの1つ以上の穴又はルーメンに通すことができるように、各フレームセグメントの末端部がほぼ同じ垂直平面上に整列した状態で)配置される必要はないことを理解されたい。とりわけ、このような開創器の組み立てにより、この代替の端と端を接した方式の取り付けを行うよりも、外科医の伸ばした腕の下に要求される空間が少なくなる。いくつかの実施形態において、フレームセグメントのうちの少なくとも1つの幅は、開創器の組み立てをさらに支援するようにさらに選択され得る。例えば、いくつかの実施形態において、外科医の腕の下に延在させるフレームセグメントは、他方のフレームセグメントよりも小さな幅を特徴とし得る。これらのフレームセグメントがフレームを形成するように接続されると、フレームは調節され得る。例えば、フレームの調節は、ラチェッティング機構又は他の機構を用いて、2つのフレームの端部部分が、これらの端部部分が互いに対してほぼ平行な関係で整列した状態で、互いに移動するように行われ得る。
【0021】
本明細書に記載の開創器ブレードは、フレームセグメントのいずれか又は双方に予め導入される場合もある。すなわち、開創器ブレードは、フレームセグメントが共に連結される前にフレームセグメントに取り付けられる場合がある。例えば、フレームセグメントが1つ以上の開創器ブレードを受容することができるように、1つ以上のブレードブロック又は他のアタッチメントがフレームセグメントに結合され得る。有利には、開創器ブレードは、開創器ブレードが、創部又は切開部位の壁を保持するのに適切な張力を与えて可視化を支援するために所望される角度などの適切な角度で切開部又は創部の壁を把持するように回転可能に調節され得るような方法で、1つ以上のブレードブロック内に保持され得る。しかしながら、ブレードは、ブレードが開創器の組み立て中に少なくとも概して適切な向きに自動的に向けられ、それにより装置の迅速な使用を容易にするように、回転を選択的に制限され得る。例えば、
図25に関連してより詳細にさらに記載するように、ブレードブロックは、ブレードブロック穴内における開創器ブレードポストの回転を選択的に制限するためにリブ又は他の特徴部(例えば機械的停止部)を備え得る。停止部は、ブレードの前側面が係合するように意図された組織壁にブレードの前側面が適切に対面しなくなるようにブレードが回転するのを防止するように、ブレードを自動的に向けることができる。よって、外科医又は外科スタッフは、開創器の組み立て中にブレードの位置又は向きを手動で調節するのに時間を費やす必要がない。ブレードが挿入中に誤って回転されると起こる場合があるような創部又は切開部位の近くの隣接組織に対する不用意な損傷も回避され得る。さらに、いくつかの実施形態において、機械的停止部又はリブは、創部のまわりでの開創器の不用意な移動を伴い得るブレードの角度の変化を防止するのを助けることができる。したがって、リブ又は停止部は、開創器の初期のセットアップ又は組み立て中に組織に対する損傷の危険性を最小限に抑えるように形作られるか、外科的処置中に創部の縁のまわりにおける開創器の不用意な移動を防止するのを助けるように形作られるか、又はこれらの双方であり得る。
【0022】
本明細書に記載の開創器は、フレームを拡張又は収縮させるときを含む開創器の組み立て中におけるラッキング(racking)又は引っ掛かり(jamming)の危険性を実質的に排除するために特定の変更をさらに含む。例えば、いくつかの実施形態において、コネクタが、フレームを形成するために用いられる一対のフレームセグメントのうちの一方の部材に堅固に取り付けられ得る。コネクタは、フレームセグメントのうちの一方に、コネクタとそのフレームセグメントとの間の任意の移動を実質的に排除するように、例えば溶接されるか、又は他の方法で固定され得る。この安定化は、フレームを拡張又は収縮させるときにフレームセグメント間の誤整列を低減するのを助け得る。いくつかの実施形態において、フレームセグメントは、コネクタのチャネル内に受容され得る。チャネル及びフレームセグメントは、チャネル内へのフレームセグメントの設置を案内するのを助け、ラッキングの危険性を実質的に排除するためにこれらの間の摺動動作を案内するように形状が相補的な1つ以上の特徴部を備え得る。例えば、チャネルは、チャネルに形成された溝を含むことができ、フレームセグメントは、溝内に位置するように形作られた隆起部を含むことができ、又はその逆であってもよい。いくつかの実施形態において、このチャネルは、チャネルとチャネルに受容されたフレームセグメントとの間の接触表面積を増大させるように幅を広げられ得る。さらに、いくつかの実施形態において、フレームセグメントは、ラッキングの危険性を実質的に排除するのをさらに助けるために、外向きの勾配又は傾斜を有して形作られ得る。
【0023】
いくつかの実施形態において、開創器は、滅菌野内で活動する人員、例えば外科医及び手術室技術者による取扱いを容易にするために軽量であるが頑丈な材料で作製され得る。とりわけ、材料が軽量であるほど、開創器が患者の創部又は外科的開口部の中に不用意に下方に沈み込むのを防ぐのを助けるように、開創器の重量を打ち消すために切開部に加えなければならない張力は小さくなる。いくつかの実施形態において、本明細書の開創器は、チタン、炭素繊維、炭素繊維強化熱可塑性プラスチック、又は熱可塑性プラスチックを含有するか、又はこれらから作製され得る。例えば、本明細書に記載の開創器のいくつかの実施形態に適した熱可塑性プラスチック材料としては、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリエチレンが挙げられる。いくつかの実施形態において、1つ以上の開口部、穴、又は凹みがフレームセグメント内に構成され得る。開口部又は穴は、セグメントに特有な形状を与え得る。開口部、穴、又は凹みはさらに、フレームセグメントを作製するのに使用される材料の量を減らし、フレームセグメントの重量を低減し得る。本明細書の様々な実施形態のうちのいくつかに含まれ得るこれら及び他の有利な特徴について以下にさらに記載する。
【0024】
例えば、開創器10の様々な実施形態は
図1~
図4に関連して記載され、これらの図は、患者の切開部又は創部を可視化するために使用される場合でのように組み立てられた外科用開創器10を、拡張された状態(
図1~
図3)及び縮小された状態(
図4)で示している。開創器10は、少なくとも2つのフレームセグメント12,14を含むフレームを備え得る。例えば、第1のフレームセグメント12は、第1の端部部分16及び第2の端部部分18の各々を備えることができ、2つの端部部分16,18は、中央又は中間部分20及び湾曲部分15,17を介して接続されている。第2のフレームセグメント14は、中央又は中間部分26及び湾曲部分23,25を介して接続された第1の端部部分22及び第2の端部部分24の各々を備え得る。開創器10が組み立てられた形態にあるとき、第1のフレームセグメント12は、調節可能なフレームを画定するように第2のフレームセグメント14に結合され得る。フレームを組み立てる際、第1のコネクタ28は、第1のセグメント12の端部部分16を第2のセグメント14の端部部分22と連結するために用いられ得る。同様に、第2のコネクタ30は、第1のセグメント12の端部部分18を第2のフレームセグメント14の端部部分24と連結するために用いられ得る。
【0025】
例えばいくつかの実施形態において、コネクタ28,30は、チャネル82をそれぞれ含むことができ(
図13Cに図示)、チャネルは、チャネル82が端部部分の長手方向軸線(A
L)とほぼ平行に整列されたときに端部部分22,24のうちの一方を受容するような寸法に形成されている。例えば、
図2及び
図3に最もよく示されるように、端部部分24の長手方向軸線(A
L)は、チャネル82と整列して示されている(チャネルは
図3の視野からは隠れているが、関連する矢印によって示されるように概して配置されている)。チャネル82は、例えば、コネクタ28,30のハウジング内に少なくとも部分的に形成され(例えば
図13Cに最良に図示)、フレームセグメント14の端部部分24の上面21aを受容するように形作られ得る。使用者は、例えば、端部部分22,24がチャネル内に挿入されて入れ子状になることができるようにチャネルへのアクセスを提供するために、コネクタ28,30上の1つ以上のボタン又はロックを作動させることができる。チャネル内に端部部分22,24を受容する際、コネクタは、適所にスナップ式に嵌るか、又は他の方法で接続の可聴表示又は触覚表示を提供する場合もある。したがって、本明細書のコネクタは、セグメント12,14を共にスナップ嵌合させることができる。接続の可聴表示又は触覚表示は、例えば、外科医が既に外科的処置に従事している状況で、外科チームのメンバーが1つのフレームセグメントを別のセグメントと係合させる作業を任されている状況において特に有用であり得る。
【0026】
とりわけ、これは、コネクタ28,30(例えば第1のフレームセグメント12に既に結合され得るコネクタ)が、上面21a,21bを受容するように第2のセグメント14の端部部分22,24上に垂直方向に重ね合わせられ、セグメント12,14が共にスナップ嵌合されるときに行われ得る。この手順は、例えば、アームの末端部がコネクタの別個の穴又はルーメンに通されることを必要とし得るもの(例えば、フレームセグメントの係合のために端と端を接した方式)などの他の手順とは対照的であり得る。そのような係合の端と端を接した方式は、外科医が既に医療処置に従事しているときに利用可能であり得るよりも多くの空間を必要とし得る。例えば、この係合の方式は、フレームセグメントの末端部をコネクタの開口部と整列させることができるようにフレームセグメントを配置するために空間が利用可能となるように、担当外科医がフレームの組み立て中に手術台から離れたり、又はのけぞったりすることを必要とし得る。いくつかの実施形態において、フレームセグメントのうちの少なくとも1つの幅は、フレームの組み立てをさらに支援するためにさらに選択され得る。コネクタ28,30は、共に結合されると、フレームの調節中に端部部分22,24にわたって摺動可能に移動することができ、ラチェッティング機構を用いて選択した形態に保持され得る。通常、コネクタ28,30は、端部部分22,24のほぼ全長に沿った任意の場所で端部部分22,24に係合することができ、そのため、セグメントの係合はさらに簡単になり、迅速に行われ得る。したがって、コネクタ28,30は、フレームセグメント12,14を共に迅速に接続することに特に適応することができ、セグメント12,14の幅(例えば、フレームセグメント14の端部部分22,24の長さが相対的に延長され、フレームセグメント12の端部部分16,18が短くなるように具体化される場合もある)は、フレームの組み立ての際に使用者をさらに支援するように構成される。
【0027】
開創器10は、セグメント12,14が共に結合されると2つのフレームセグメント12,14を備えるフレームを画定することを特徴とし得る。フレームは、創部又は切開部位へのアクセスを提供するように構成された包囲領域を画定し得る。フレームは、所与の手術に適し得るようにフレームの寸法を調整するために調節され得る周囲を有するものとして記載され得る。例えば、
図1~
図4に示すフレームは、調節可能な軸線と固定軸線とを備えるほぼ矩形形状を画定し得る。フレームが調節可能な軸線と固定軸線とを備える場合、フレームの長さ及び幅に言及することができる。フレームの長さは、固定軸線に沿った距離として特徴付けられ得る。フレームの幅は、調節可能な軸線に沿った距離として特徴付けられ得る。したがって、この特徴付けにおいて、フレームの幅は、例えばフレームが縮小された状態であるか、又は拡張された状態であるかによって、フレームの長さよりも範囲が大きい場合もあるし、又は範囲が小さい場合もある。本明細書で用いられる場合、ほぼ矩形形状のフレームは、フレームの角における湾曲した縁を排除するものではない。
【0028】
第1のフレームセグメント12及び第2のフレームセグメント14の各々は、1つ以上の縁に沿った歯、及び/又は1つ以上の面に沿った隆起部若しくは溝を有し得る。例えば、
図2及び
図3を参照すると、第1のフレームセグメント12は、その外縁上に歯32を有し得る。同様に、第2のフレームセグメント14の外縁上には歯34が設けられ得る。いくつかの実施形態では、歯32,34がフレームセグメント12,14の内縁上に設けられてもよく、又は隆起部若しくは溝がフレームセグメント12,14の1つ以上の面上に備えられてもよい。1つ以上のブレードブロック36又は他のアタッチメントは、フレームセグメント12,14に沿って調節可能に配置され得る。例えば、ブレードブロック36は、ラチェッティング機構の歯32,34に沿って移動するように構成され得るか、又はブレードブロック36は、ブレードブロック32がフレームに沿って摺動できるように、歯32,34から係合を解除され得る。他の実施形態では、歯32,34上で移動するのとは対照的に、ブレードブロックは、調節可能な配置を可能にするように、溝、隆起部、又は別の適当な構造にわたって移動し得る。
【0029】
フレームセグメント12,14は、コネクタ28,30を用いて、互いに接続することができる。例えば、コネクタ28,30は、ラチェット歯38と相互に作用して、フレームセグメント12,14を選択した位置に調節可能に固定し、フレームの拡張及び縮小を可能にするラチェット機構を備え得る。いくつかの実施形態において、方向性ラチェット(directional ratchet)は、フレームの一部がフレームの拡張を生じる一方向に移動できるようにすることができ、反対方向の移動、すなわちフレームの縮小又は収縮、に抵抗するか、又はそのような移動を許容しない。いくつかの実施形態において、コネクタ28,30の1つ以上は、開創器ブレード又は他のアタッチメントをコネクタ28,30上又は隣接するウィング部分上に配置できるように構成され得る。例えば、コネクタ28はウィング40を備えることができ、ウィング40は、標準的なブックウォルター式アタッチメント又は他のアタッチメントを受け入れるように適当に形作られている。例えば、
図34A~
図34B(左側コネクタ30及び関連するウィング42を図示)に示すように、ブックウォルター式アタッチメント35はウィング42に配置され得る。ウィング42は、フレームコネクタ30の上部に関するウィング42の垂直高さにより、アタッチメント35がコネクタ30と「向かい合って」隣接して配置される場合でも、使用者がアタッチメント35上の1つ以上のブックウォルター調節レバー31にアクセスすることが可能となるように形作られ得る。よって、ブックウォルター式ブレード33又は他のアタッチメントは、例えば、フレームの調節可能な辺を含むフレームの任意の辺の中間点を含むフレームのまわりに柔軟に配置され得る。とりわけ、アタッチメントをフレームの辺の中間点位置に配置できることは、この位置を用いて特に大柄な又は肥満した患者で実施される手術に有用であり得るより大きな切開部において内部組織の十分な可視化を提供するのを助けることができるため、特に有用であり得る。
【0030】
注目すべきは、いくつかの拡張の状態にあるいくつかのフレームについて、コネクタ28,30がフレームの中間点の近く又は中間点に配置され得ることである。ウィング40,42を備える本明細書のいくつかの実施形態は、ウィング40,42に沿って又は
図34Aに示す別の位置A,Bなどのフレーム上のいくつかの他の位置においてのいずれかでアタッチメントを接続する柔軟性を提供することによって、使用者が依然としてブレード又は他のアタッチメントをフレームのほぼ中間点に配置できるようにし得る。つまり、必要とされるフレームの拡張のレベルに応じて、使用者は、ブレードが常にフレームのほぼ中間点に配置され得るように、ブレードを位置A又は位置Bのいずれかに移動させることができる。
【0031】
いくつかの実施形態において、ウィング40は、アタッチメントをウィング40上に配置することができ、別個のブレードブロック36又は他のアタッチメントをフレームセグメント14の下側部分22上においてウィング40の近く又は下に取り付けることができるように、形作られ得る。いくつかの実施形態において、ウィングアタッチメントの近く又はさらにウィングアタッチメントの真下における1つのアタッチメントの配置に適応するために、ウィング40は、端部部分22から垂直方向にずらされ得る。例えば、ウィング40の少なくとも一部は、ウィング40を下側部分22の上方に配置するように角度をなしてもよいし、又はウィング40は、下側部分22からずれた高さでコネクタ28から延びていてもよい。この構成は、適切に組織を可視化する、組織を照明する、又はいくつか他の機能を実施するために複数のアタッチメントが必要である可能性がある複雑な外科的処置に特に有利であり得る。同様に、コネクタ30は、アタッチメントに係合するように構成された同様のウィング42を備え得る。いくつかの実施形態において、コネクタ28,30は、ウィングを含まないフレームを用いてフレームセグメント12に接続されてもよい。いくつかの実施形態において、歯32,34は、ほぼフレームの全長のまわりに延在してもよく、フレーム(fame)は、ほぼフレームの長さ全体にわたって1つ以上のアタッチメントを取り付けることができるように構成され得る。複数のブレードブロック36又は他のアタッチメントがフレームの所与の辺に配置され得る実施形態は、大柄な又は肥満した人に使用するために開創器10の寸法を調整する際に特に有用であり得る。
【0032】
いくつかの実施形態において、フレームセグメント12,14のいずれか又は双方は、1つ以上の拡張停止部又は収縮停止部を有し得る。停止部は、コネクタ28,30に接触又は係合してコネクタ28,30を通るフレームセグメントの移動を停止させることができる、例えば、隆起部、溝、ねじ、ピン、穴、又は盛り上がった材料の形態であり得る。よって、開創器の不用意な分解が防止され得る。例えば、第2のフレームセグメント14は、拡張停止部46,50を備え得る。第2のフレームセグメントは、収縮停止部44,48をさらに備え得る。
【0033】
第1のセグメント12の様々な実施形態は、
図5~
図7に関連してさらに記載され、これらの図は、第1のセグメント12と、第1のセグメント12に取り付けられ、ウィング40,42を備えた一対のコネクタ28,30とを示している。
図5に示すように、第1のセグメント12は、2つの端部部分16,18の間に中間部分20が配置された、概して「C」形であり得る。2つの端部部分16,18は、中間部分20の同じ側から突出し、2つの端部部分16,18が互いとほぼ平行となるように延在する。いくつかの実施形態において、2つの端部部分16,18は、約1.5度未満の角度などで、互いから離れるように若干傾いていてもよい。本明細書で用いられる「ほぼ平行」という用語は、本明細書にさらに記載するように開創器フレームを拡張又は収縮させるときにラッキングの危険性を低減するために用いられる場合もある、このような小さな角度で端部部分が意図的に互いから離れるように傾斜していることを排除するものではない。例えば、この小さな角度を有しても、フレームセグメント12,14の各々の端部部分は、フレームを拡張又は収縮させるときに、互いに対して移動し、且つ互いに対してほぼ平行な関係を維持するように依然として設計されている。
【0034】
第1のセグメント12は、ブレードブロック36の推奨配置のための1つ以上のマーク又は視覚インジケータ52を備え得る。例えば、視覚インジケータ52は、推奨距離だけ離間されて、視覚インジケータ52に結合されたブレードブロック36が第2のフレームセグメント14上の対応するブレードブロック36と協働できるようにすることができ、その結果、外科的創部は外科的創部の縁に沿った開創器ブレードの意図しない動作及び移動を防止するような方法で安定させられる。しかしながら、開創器10は、使用者がブレードブロック36をフレームセグメント12に沿った他の位置に配置することを可能にし得る。例えば、いくつかの実施形態において、中央溝54を第1のセグメント12の上側に設けることができ、溝54はブレードブロック36の配置及び移動を支援する。視覚インジケータ(indictors)52及び/又は溝54は、フレームセグメント12の適切な向きを識別するのをさらに支援し得る。これは、使用者が不用意にフレームを不正確な向きに組み立てようとするのを防止し得る。第1のフレームセグメント12は、第1の端部部分16及び第2の端部部分18の各々を備えることができ、2つの端部部分16,18は、中央又は中間部分20及び湾曲部分15,17を介して接続されている。湾曲部分15,17は、中間部分20から端部部分16,18に移行するのに適した湾曲の程度又はレベルによって画定され得る。湾曲の程度は、セグメント上における鋭い角の存在を最小限に抑え、また湾曲部分でのアタッチメントの取り付けに適応するように選択され得る。例えば、いくつかの実施形態において、湾曲部分15,17は、ブレードブロック36を湾曲部分15,17に接続できるように湾曲を有し得る。例えば、いくつかの実施形態において、使用者は、フレームセグメント12からブレードブロック36の係合を解除することなく、ブレードブロック36を中間部分20から湾曲部分15,17に摺動させることができる。
【0035】
いくつかの実施形態において、端部部分16,18は、第1のフレームセグメント12の端部における一定長の相対的に直線状の部分によって画定され得る。換言すると、端部部分16,18は、湾曲が無視できるほどになるところから始まり、第1のフレームセグメント12の終点に延びるフレームの一部を含み得る。
【0036】
いくつかの実施形態において、端部部分16,18の長さは、全体として第1のフレームセグメント12の全幅を低減するように最小限に抑えられ得る。これは、フレームが組み立てられるときに第1のフレームセグメント12が第2のセグメント14の上部に配置される場合があるため、有利であり得る。また、場合によっては、この操作は、空間が制限された状況にある外科医の腕の下などで行われ得る。例えば、いくつかの実施形態において、端部部分16,18は、コネクタ28,30が結合され得る取り付け端面、領域、又はタブを備え得る。よって、コネクタ28,30は、湾曲部分15,17に直接隣接してフレームセグメント12に結合され得る。例えば、端部部分16,18は、単に、コネクタ28,30が結合され得る末端タブを備えてもよい。
【0037】
例えば、
図31は、第1のセグメントの代替実施形態220を示す。
図31に示すように、コネクタ28,30は、コネクタ28,30がセグメント220の湾曲部分に直接隣接して取り付けら得るように、末端タブを用いて、第1のセグメント220に(例えば、固定的に、又は手動で可逆的に取り付けられて)結合され得る。いくつかの実施形態において、コネクタ28,30は、間に湾曲部分を有さずに中間部分20に直接取り付けられるように変更され得る。例えば、
図32は、コネクタ28,30が中間部分20の両端部に直接取り付けられたセグメント320の代替実施形態を示す。
【0038】
いくつかの実施形態において、第1のフレームセグメント12,220,320は、長さ約20、25、30、35、40、45、50、60、65、70、75、又は80センチメートルの長さ、並びにこれらの間のすべての値及び範囲を含む長さを有し得る。いくつかの実施形態において、第1のフレームセグメント12,220,320の長さは、少なくとも2つのブレードブロック36を第1のフレームセグメント12,220,320に結合することができるようにされ得る。ブレードブロック36は、さらに一定距離だけ離間され得る。例えば、
図1に示すように、一対のブレードブロック36が、第1のフレームセグメント12に結合され、中間部分20の長さに沿って離間されて示されている。ブレードブロック36は、例えば、視覚インジケータ52の位置付近などで、フレームセグメント12,220,320上に配置することができ、その結果、ブレードブロック36は推奨距離に離間される。さらに
図1を参照すると、別の一対のブレードブロック36が、第2のフレームセグメント14に結合され得る。この付加的な一対のブレードブロック36もまた、推奨距離に離間され得る。このように、フレームは、ブレードブロック36がフレームの角の近くに配置された二対のブレードブロックを備え得る。フレームセグメント12,14の各々の上のブレードブロック36は、協働して、外科的創部の縁に沿った開創器ブレードの意図しない動作及び移動を防止するのを助け得る。
【0039】
いくつかの実施形態において、フレームセグメント12,220,320は、約5、7、10、15、20、又は25cmの幅、並びにこれらの間のすべての値及び範囲を含む幅を有し得る。例えば、フレームセグメント320では、セグメントの最小幅は、単にコネクタ28,30の幅によって制限され得る。例えば、この幅は、外科医が創部の組織を後退させるために既に第2のフレームセグメント14を使用し外科的処置に従事しているときに第1のフレームセグメント12,220,320を第2のフレームセグメント14とどのように係合させるかの問題を解決するために、最小限に抑えられ得る。
【0040】
いくつかの実施形態において、フレームセグメント12は、各端部部分16,18に固定的に接続され得る一対のコネクタ28,30を備える。例えば、
図8Aに示すように、コネクタ28,30(いくつかの実施形態では、ラチェッティングコネクタであり、ラチェットサブアセンブリと称され得る)は、フレームセグメント12(上側アームセグメントと称される場合もある)上に組み付けられ得る。コネクタ28,30は、コネクタ28,30が各端部部分16,18に確実に取り付けられるように、1つ以上の接合部に沿って溶接され得る(
図8Bに図示)。このような実施形態では、コネクタ28,30はフレームセグメント12の一部と見なされ得る。代わりに、コネクタ28,30は、フレームセグメント12に対して、これらの間に堅固で確実な接続を提供するように、エポキシ樹脂、接着剤、又はいくつかの他の適当な方法を用いるなどの他の方法で、固定的に取り付けられてもよい。したがって、いくつかの実施形態において、コネクタ28,30は、フレームセグメント12の端部には固定的に又は堅固に接続されることができ、コネクタ28,30は、第2のフレームセグメント14には手動で可逆的に接続されるように構成され得る。コネクタ28,30を一方のセグメントに固定すると、フレームを拡張又は縮小させるときにフレームセグメントの誤整列を防止するのを助けるのに特に有利であることが判明した。他のラチェットシステムに関する共通の問題であり得るこの状況は、「ラッキング」と称される場合もあり、ラチェッティングアセンブリを停止させたり、引っ掛からせたりして、フレームを調節することを困難にし得る。他の実施形態において、コネクタ28,30は、双方のフレームセグメント12,14から可逆的に取り付けられるように構成され得る、すなわち、コネクタは、双方のフレームセグメント12,14から手動で着脱され得る。これらの実施形態のうちのいくつかは、ラッキングの危険性を低減するのを助ける1つ以上の他の特徴を備えてもよい。
【0041】
第2のフレームセグメント14の様々な実施形態は、
図9~
図11に関連してさらに記載される。例えば、第1のフレームセグメント12について同様に記載したように、第2のフレームセグメント14は、ブレードブロック36の推奨配置のための位置を示す1つ以上の視覚インジケータ52を備え得る。セグメント12と同様に、セグメント14もまた、セグメント14上におけるブレードブロック36の調節可能な配置及び移動を可能にし得る。例えば、セグメント14は、中央溝53及び側部溝56,58を備え得る。溝53,56,58は、セグメント14に接続されたブレードブロック36又は他のアタッチメントの摺動調節を容易にし得る。複数の溝53,56,58の代わりとして、セグメント14は、例えば、端部部分22,24、中間部分26、及び湾曲部23,25の各々にわたって延在し得る、単一の溝(図示せず)を備えてもよい。よって、いくつかの実施形態において、開創器ブレード36は、第2のフレームセグメント14のほぼ全長に沿ってその単一の溝内を摺動可能に移動し得る。
図11に最も明確に示すように、端部部分22,24の各々は、1つ以上の縁に沿った歯38、及び/又は1つ以上の面に沿った隆起部若しくは溝を有し得る。例えば、歯38は、端部部分22,24の各々の内側面上に形成され得る。開創器10は、コネクタ28,30を歯38に沿って移動させることによりフレームセグメント12,14を互いに関して移動させることによって、寸法を調節することができる。他の実施形態では、歯38上で移動するのとは対照的に、コネクタ28,30は、フレームの調節可能な寸法調整を可能にするように、溝、隆起部、又は別の適当な構造にわたって移動し得る。
【0042】
いくつかの実施形態において、フレームセグメント14は、長さ約20、25、30、35、40、45、50、60、65、70、75、又は80センチメートルの長さ、並びにこれらの間のすべての値及び範囲を含む長さを備え得る。いくつかの実施形態において、フレームセグメントは、約15、20、25、30、35、40、45、又は50cmの幅、並びにこれらの間のすべての値及び範囲を含む幅を備え得る。とりわけ、この設計において、フレームセグメント12は、第2のフレームセグメントの幅とは著しく異なる幅を有し得る。例えば、組み立てられたフレームが、約60cm、約50cm、約40cm、約30cm、約25cmの幅、又は他の適当な幅などのかなりの全幅に拡張される場合、この幅の少なくとも大部分は第2のフレームセグメント14によって提供され得る。幅が小さいフレームセグメント12は開創器の組み立て中に外科医の腕の下に容易に通すことができるため、この幾何学的形状は、第2のフレームセグメント14が第1のフレームセグメント12の前に創部又は切開部位に取り付けられるいくつかの実施形態において、特に有利であり得る。例えば、いくつかの実施形態において、フレームセグメント12の幅は、第2のフレームセグメント14の幅の約75%以下、約60%以下、約50%以下、約40%以下、又は約30%以下であり得る。
【0043】
いくつかの実施形態において、例えば関連するブレード及びアタッチメントを含む外科用開創器の様々な構成要素は、外科用開創器キットの形で提供され得る。
図12は、外科用開創器アセンブリの一部であり得る構成要素の実施形態を示す。構成要素は、例えば、第1のセグメント12、第2のセグメント14、ブレードブロック36、及び開創器ブレードアセンブリ60を含むキットとして消費者に提供され得る。コネクタ28,30は、第1のセグメント12に一体的に接続された形で提供されてもよいし、又は第1のセグメント12に可逆的に結合するように構成された別個の構成要素として提供されてもよい。コネクタ28,30及びブレードブロック36などの、任意の数のアタッチメントが提供され得る。例えば、キットは4つの別個のブレードブロック36の群を含み得るが、別の数のブレードブロック36も提供され得る。
【0044】
コネクタ28,30の様々な実施形態は、
図13A~
図13Cに関連してさらに記載される。いくつかの実施形態において、コネクタ28,30は、ラチェッティング機構を用いて動作するように構成され得る。よって、コネクタ28,30は、代わりに左ラチェッティングサブアセンブリ及び右ラチェッティングサブアセンブリと称される場合もある。2つのサブアセンブリは、2つのサブアセンブリが対掌性のラチェットハウジングを備え得ること以外はほぼ同一であり得る左右のものを含み得る。これに関連して、「左」及び「右」という名称は、仰臥して腹腔を露出するように向けられた患者に関する基準座標系を示し、第1のセグメント12及び第2のセグメント14の各々は、患者を側方方向に横切って位置するように向けられる。この例示的な状況において、第1のセグメント12は、第2のセグメント14に対して、「患者の頭部により近い」上位方向に位置する場合がある。したがって、コネクタ28は、患者の身体の右側に配置され得、コネクタ30は患者の身体の左側に配置され得る。同様に、この例示的な方法で用いられる場合、第1のフレームセグメント12は上部セグメント又は上部アームと称され、第2のフレームセグメント14は下部セグメント又は下部アームと称され得る。しかしながら、開創器10は、例えば腹腔における切開部又は創部の向きや外科医の選択に応じて、異なって配置されてもよい。例えば、患者の身体上に右から左に側方方向に位置するのとは対照的に、第1のセグメントは、患者の頭部からつま先に向かう方向に沿う長手方向軸線に沿って位置してもよい。よって、フレームセグメント12,14は、上部アーム又は下部アームセグメントと称される場合がある。しかしながら、この用語は、セグメントを1つの特定の向きでの使用のみに適していると限定するように解釈されるべきでない。
【0045】
この基準座標系を用いて、「左」側コネクタ30の構成要素を
図13Bに示す。
図13Bに示すように、コネクタ30は、ラチェットアクチュエータ62、ばね64、ラチェット又はコネクタハウジング66、合せピン68、第1の圧縮ばね70、スライドロック72、第2の圧縮ばね74、ラチェットファスナ76、及び合せピン78を備え得る。ばね64は、例えば、ねじりばねや、板ばねであってもよいし、又はいくつかの他の適当なばね若しくは要素が用いられてもよい。ラチェットファスナ76は、例えば、クランプ、ブレース、又はクラスプを含み得る。「右」側ラチェットは、同様の構成要素を含み得る。
図13Cは、コネクタ30の上側と下側の双方を示すように向けられた「左」側コネクタ30の斜視図を示す。上側斜視図から分かるように、コネクタ30は、ブックウォルターアタッチメントなどの標準アタッチメントが取り付けられ得るウィング42を備え得る。下側斜視図に示すように、コネクタ30は、隆起部などの特徴部80を含むチャネル82を備えることができ、特徴部80は、フレームが組み立てられたとき及びラチェットが係合を解除されたときに、コネクタ30がフレームセグメント14に沿って摺動することができるように、溝58(フレームセグメント14の端部部分24に図示)と結合するのに適している。もちろん、「右」側コネクタ28は、ラチェットハウジング66が鏡像として形作られ得るという点を除いて、同様の構成要素を有し得る。いくつかの実施形態において、特徴部80及び溝58により、コネクタがフレームセグメントの適切な端部部分又は表面とのみ適切に結合することが可能となり得る。適切な端部部分とコネクタとが適切な向きで対になる、及び/又は結合されることを保証するのをさらに助けるために、1つ以上の表面マークが、コネクタ28,30及びフレームセグメント12,14のうちの1つ以上に備えられ得る。例えば、いくつかの実施形態において、コネクタ28,30及び端部部分22,24の各々は、開創器フレームを適切に組み立てられるように使用者を案内するのを助けるためにマークを付けられるか、又は色分けされる。上記の特徴は、隆起部としての特徴部80及び相補的な溝58で説明されているが、他の相補的構造が用いられてもよいことを理解されたい。例えば、特徴部80が溝であり、隆起部が端部部分22,24上の溝58の代わりとなる可能性もある。第1のフレームセグメント12を第2のフレームセグメント14に結合するためにコネクタ28,30を用いる機構は、例えば
図14~
図16に関連してさらに説明される。
【0046】
図14~
図16を参照すると、コネクタ28,30は、フレームの組み立て中にセグメント12,14を共に結合するために用いられ得る。コネクタ28,30はまた、セグメント12,14の係合を解除するために用いられる場合もあり、例えば、開創器を創部又は切開部位から取り外すために用いられ得る。とりわけ、これは、フレームの除去前にフレームを縮小させることが実行可能な選択肢ではない状況においてさえ行うことができる。開創器の組み立て中、必要に応じて(例えば、コネクタがまだ第1のフレームセグメント12に固定的に又は他の方法で取り付けられていない場合)、使用者は、コネクタ28,30を第1のフレームセグメント12に取り付けることができる。使用者は次に、各コネクタのチャネル82がフレームセグメント14の適切な端部部分22,24と重ね合わせられるように、各コネクタ28,30を整列させることによって、セグメント12をセグメント14に接続することができる。例えば、右側コネクタ28は、フレームセグメント14の端部部分22がチャネル82の長軸線とほぼ平行になり、これらの構造物を重ね合わせることができるように、整列され得る。例えば、コネクタ28を端部部分22の上部に下降させると、これらの構造物は重ね合わせられ得る。もちろん、使用者は、代わりに、端部部分22がチャネル82内に設置されるようになるか、又は双方の構造物を共に移動させることができるようにフレームセグメント14を上昇させることによって、コネクタ28とフレームセグメント14とを重ね合わせてもよい。同様に、左側コネクタ30は、フレームセグメント14の端部部分24がコネクタ30上のチャネル82の長軸線とほぼ平行になり、これらの構造物を重ね合わせることができるように、整列され得る。重要なことには、2つのフレームセグメント12,14の係合は、フレームセグメント12,14の相対的な垂直位置を変更することによって行うことができ、各フレームセグメントの端部をコネクタ内の1つ以上の穴又はルーメンに通すことができるように2つのフレームセグメントが係合のために端と端を接した方式で(すなわち、各フレームセグメントの末端部を同一の垂直平面内で整列させて)連結されることを要求しない。
【0047】
コネクタ28,30が端部部分22,24に関して整列された状態で、使用者は、ラチェットファスナ76をロック解除するために、スライドロック72を摺動可能にロック解除することができる。例えば、ラチェットファスナ76は、端部部分22をチャネル82内に設置して端部部分22とコネクタ28とを連結することができるようにチャネル82を開放するために、
図14に示すように(例えばスライドロック72の摺動動作及びばねの作動によって)回転し得る。つまり、ラチェットファスナ76は、下部アーム「フレームセグメント14」がコネクタ28内に入れ子になることができるように回転され得る。同様に、コネクタ30は、左側コネクタ30(
図16に図示)のチャネル82内に設置されている端部部分24と連結され得る。下部アームすなわちフレームセグメント14の端部部分22,24がコネクタ28,30の各チャネル82内に設置されると、使用者はスライドロックを解放することができ、その結果、ラチェットファスナ76は、セグメント12,14を共にロックするように回転する。いくつかの実施形態において、ラチェットファスナ76は、端部部分22,24をチャネル82内にロックするのを助け、且つフレームセグメント12,14を共に保持するのを助けるためにリップ90又は他の適当な特徴部を備え得る。
【0048】
コネクタ28は、端部部分22に結合され得る。例えば、コネクタ28は、拡張停止部46に隣接した端部部分22の遠位端の近くで端部部分22に結合され得る。しかしながら、コネクタ28はまた、収縮停止部44に隣接した部分22の近位端で端部部分22に結合されてもよい。したがって、有利には、セグメント12,14は、完全拡張形態、完全縮小形態、又はいくつかの中間状態のいずれにおいても共に結合され得る。これは、特に、外科医が既に患者と関わっている可能性がある状況、及びフレームセグメント12を外科医の腕の下に挿入してからフレームセグメント14に結合しなければならない状況において、開創器の組み立てをより簡単にすることができる。例えば、外科チームのメンバーは、外科医を移動させるのとは対照的に、外科医の腕の位置に基づいて、フレームセグメント12,14が共に結合される位置を迅速に調節して、フレームセグメント12,14が必要とされる方法で共に結合され得るようにすることができる。
【0049】
図17~
図20は、ブレードブロック36及び関連する構成要素の実施形態を様々な向きで示す。
図17に示すように、ブレードブロック36は、限定されない例として、ピボットボタン92、ねじりばね94、ブレードブロックハウジング96、1つ以上の圧縮ばね98、押しボタン100、及び合せピン102,104を含むいくつかの構成要素を備え得る。ねじりばね94の代わりとして、板ばね又は他の適当な要素が用いられてもよい。
図18及び
図19は、
図18のブレードブロックの上側及びブレードブロック36の下側を示すような向きでブレードブロック36の斜視図を示す。開創器の組み立て又は使用の間、使用者は、フレームの周囲に沿ったブレードブロック36の調節を可能にするために、ブレードブロック36をロック位置から解放するように、ピボットボタン92を押圧することができる。例えば、ピボットボタン92が押圧されると、フレームセグメント12又はフレームセグメント14のいずれかの歯32又は歯34を対応する溝93(
図19に最良に示すようにブレードブロックハウジング96に形成され得る)に対して付勢する付勢力が取り除かれて、ブレードブロック36をフレームに沿って移動させることができるようになり得る。いくつかの実施形態において、ブレードブロックは、ブレードブロック36が、正確な向きでのみ、つまり隆起部120がフレームセグメント12の溝54又はフレームセグメント14の溝53,56,58のうちの1つ以上の中に設置されて、フレームに取り付けられ得るように適当に形作られた隆起部又は他の特徴部120を備え得る。
図20に示すように、ブレードブロック36は、フレームセグメント12,14のいずれかに沿ったブレードの適切な配置を支援するための視覚インジケータ122を備え得る。こぶ又は隆起部などの1つ以上の特徴部124は、
図25でより詳細に説明するように、ハウジング96内におけるブレードポストの自由回転を防止するように構成され得る。
【0050】
図17~
図20にさらに示すように、ブレードブロック36は、ブレードポスト110(例えば
図21~
図23に示すブレードポスト110)を受容するのに適した開口部106を含み得る。例えば、押しボタン100により、使用者が開創器ブレードを上昇及び下降させることが可能となり得る。
図24A及び
図24Bをさらに参照すると、ブレードアセンブリ60は、ブレードポスト110を開口部106内に挿入することによって、ブレードブロック36に取り付けられ得る。押しボタン100を作動させて、ブレードポスト110が開口部106を通って摺動できるようにすることができる。ブレード114が所望の高さに位置したら、使用者は、押しボタン100を解放してブレード114を適所にロックすることができる。いくつかの実施形態において、ブレードポスト110は、1つ以上の溝130を備え得る。ブレードブロックハウジング96内に設置するために、ブレードポスト110は、溝130のうちの少なくとも1つが開口部106内に適切に係合されるように、垂直方向に調節され得る。例えば、いくつかの実施形態において、選択した溝130が開口部106内に配置されると、使用者は、選択した溝130が設置されたという可聴クリックを与えられるか、又は触覚表示を受け取ることができる。代わりに、溝130は、ブレード114の垂直位置の視覚表示を提供してもよい。したがって、いくつかの実施形態において、1つ以上の隆起部130のうちのどれが選択されるかに基づいて、ブレード114の特定の垂直高さが選択され得る。ブレード114の特定の垂直高さを選択することができるため、フレーム上の異なる位置にあるブレードを同一の垂直高さ又は異なる高さに設定することができる。よって、創部又は切開部の壁に対する張力を、他の開創器におけるよりも、より正確に制御することができる。例えば、フレームの対向する辺上のブレードは、それらのブレードが同じ高さに位置するように、一定の垂直高さに設定され得る。いくつかの実施形態において、溝又は他のマークは、ブレードが取り付けられているフレームセグメントが異なる高さに位置している場合でも、使用者がフレームの対向する辺上のブレードを容易に同じ高さにすることができるように確立され得る。例えば、溝は、フレームの対向する辺同士の間の高低差に合った段階的変化単位(gradation units)で設定され得る。
【0051】
開創器ブレードアセンブリ60の様々な実施形態は、
図21~
図23に関連してさらに記載される。
図21に示するように、開創器ブレードアセンブリ60は、ブレード114、ブレードポスト110、及び合せピン112を備え得る。いくつかの実施形態において、合せピン112は、ブレードブロック36内へのブレードアセンブリ60の不正確な挿入を防止するための方向特徴として作用し得る。いくつかの実施形態において、ブレード114はブレードポスト110又はブレード114に溶接されてもよく、ブレードポスト110はいくつかの他の方法で結合されてもよい。いくつかの実施形態において、開創器ブレードアセンブリ60は、アセンブリ60がブレードブロック36に取り付けられたときに制御された角度にわたって回転し得るように構成され得る。例えば、
図23に示すように、ブレードポスト110は、ブレードの回転を、約90度の角度(
図25に示すように中心線から各方向に45度)などに、制限する表面を形成するように形作られた平坦部(flat potion)を備えてもよく、又はブレードの回転はいくつかの他の適当な角度に制限されてもよい。ブレード114は、例えば、ブレード114が開創器の組み立て中に少なくとも概して適切な向きに自動的に向けられ得るように回転を制限され、それにより開創器10の迅速な組み立てを容易にし得る。例えば、
図26A及び
図26Bに示すように、開創器ブレード114は、約90度の角度又はいくつかの他の適当な角度に回転を制限され得る。いくつかの実施形態において、開創器ブレード114は、約120度~約60度の範囲で回転を制限され得る。
【0052】
図27A~
図27Cは、ブレードブロック36がフレームセグメントに取り付けられ得る機構の実施形態を示す。例えば、
図27Aに示すように、ブレードブロック36は、所与のフレームセグメント12,14上に備えられた視覚インジケータ52のうちの1つ以上によって指示され得る推奨取り付け点の近くなどで、フレーム上に配置され得る。視覚インジケータ52,122(
図27Aに示した側面図からは見えない)は、ブレードブロック36を取り付けるためにどのように向けるかに関しての表示を提供し得る。例えば、視覚インジケータ122上の「T」がフレームの視覚インジケータ52上の対応する「T」と重なり合うように整列されるようにブレードブロック36が向いている場合、使用者は、ブレードブロックが取り付けのために適切に向いていると認識し得る。
図27Bに示すように、ブレードブロック36を、ブレードブロックが取り付けられるフレームセグメント12,14に対して斜めにすることができ、その結果、フレームセグメント12,14がブレードブロック36の内側棚部内に挿入される。次に、ブレードブロック36は適所に回転され得る。ピボットボタン92を作動させることなく(例えばピボットボタン92を解放すると)、ブレードブロック36はフレームの適所にスナップ式に嵌るであろう。
図27Cに示すように、適切に組み立てられると、ブレードブロック36上の隆起部120は、ブレードブロック36が取り付けられたフレームセグメント上の溝又はスロットに入れ子にされ得る。例えば、
図27A~
図27Cには、溝54が示されている。適切に組み立てられると、リップ122は、ブレードブロック36をフレーム上で保持するのを助け得る。とりわけ、ブレードブロック36が、前後逆に、上下逆さまに、又は不正確な位置に、誤って組み立てられた場合には、リップ122がフレームに適切に係合しないため、ブレードブロック36は適所にロックできない。
【0053】
いくつかの実施形態において、ブレードブロック36は、フレームのまわりに配置され得る。
図28A~
図28Cは、ブレードブロック36がフレーム又はフレームセグメント12,14上にどのように調節可能に配置され得るかについての実施形態を示す。
図28Aは、開創器フレーム又は個々のフレームセグメントに取り付けられた、1つの可能な初期位置におけるブレードブロック36を示す。例えば、
図28Aに示すように、ブレードブロック36は、フレームセグメント14に取り付けられて示されている。
図28Bに示すように、ピボットボタン92を作動させることができ、ブレードブロック36が対応する溝93から歯34の係合を解除するような方向に移動され得る(
図19により明確に図示)。これにより、ブレードブロック36がフレームに沿って所望位置まで摺動されるための隙間が提供され得る。とりわけ、この行為において、ブレードブロック36はフレームから除去される必要がない。
図28Cに示すように、ブレードブロック36が所望位置に移動されると、ピボット(pitot)ボタン92は、ブレードブロック36を適所にロックするために歯34を溝93と再係合させるように、解放され得る。
【0054】
有利には、外科用開創器10は、最初に、完全に縮小された状態、中間の拡張された状態、又は完全に拡張された状態のいずれかで、切開部上に配置され得る。フレームは次に、外科的処置中、必要に応じて、拡張及び縮小され得る。例えば、
図29A~
図29Cに示すように、開創器10は、
図29Aに示すようにほぼ完全に縮小された位置で組み立てられ得る。フレームを調節するために、使用者は、例えば、上部アーム及び下部アーム(すなわち第1のセグメント12及び第2のフレームセグメント14)を保持し、フレームを外方に拡張することができる。このアプローチにおいて、コネクタ28,30は、第1のフレームセグメント12の端部部分16,18に沿って配置されることができ、第2のフレームセグメント14の各端部部分22,24にさらに結合される。フレームを拡張するとき、コネクタ28,30は、ほぼ平行な第1の軸線及び第2の軸線に沿って位置する端部部分22,24の長さに沿って摺動し得る。この設計では、コネクタ28,30は、端部部分22,24に沿って共に移動し、互いの間の相対的な整列状態を維持する。開創器10は、フレームのラッキング(例えば、フレームが予期せずにある場所でロックし得る場合)を引き起こし得る任意の種類の誤整列を防止するのを助ける任意の数の設計特徴を備え得る。
【0055】
いくつかの実施形態において、ラッキングの危険性は、コネクタ28,30と端部部分22,24との間の結合の方法によって最小限に抑えられる。例えば、コネクタ28は、溝56に沿って移動する隆起部又は他の特徴部80を備え得る。同様に、コネクタ30は、溝58に沿って移動する隆起部又は他の特徴部80を備え得る。より一般的には、コネクタ28,30は、1つ以上の特徴部を含むチャネル82を備え、1つ以上の特徴部は、端部部分22,24をチャネル82内に拘束し、他の場合には不用意にフレームセグメント12,14を誤整列させる可能性があるフレーム上における任意の振動運動(jarring motion)に応答して端部部分22,24がねじれるのを防止するのを助けるために、端部部分22,24上の対応する特徴部に対して形状が相補的である。つまり、端部部分22,24は、そこに拘束されるチャネルに堅固に保持され、チャネル内の相補的な形状の溝内又は隆起部に保持され得る。チャネル82自体は、ラッキングを防止するのを助けるような寸法に形成され得る。例えば、いくつかの実施形態において、チャネル82は、コネクタと端部部分22,24との間に有意な接触領域を与えるために、少なくとも約2cm、4cm、6cm、8cm、又は約10cmの長さであり得る。チャネル内における接触面を広くすることにより、端部部分22,24及びコネクタ28,30を、ラッキングの危険性を最小限に抑えるために必要な整列状態に維持することが助けられる。
【0056】
いくつかの実施形態において、ラッキングの危険性は、コネクタ28,30をフレームセグメント12に固定的に接続することによって最小限に抑えられ得る。よって、コネクタ28,30とそれが取り付けられる端部16,18との間の相対運動は、大幅に低減され、ほぼ排除され得る。これらの実施形態のうちのいくつかにおいて、フレームセグメント12それ自体が剛性を有し、各コネクタ28,30はフレームセグメント12に溶接されるか、又は他の方法で堅固に固定され得るので、コネクタ28,30自体は固定的に接続され得る。この堅固な設計は、調節中にフレームの滑らかな摺動を促進するのを助け、ラッキングを引き起こし得るフレームの誤整列を防止するのを助けるように、フレームの反り及び/又は任意の湾曲の影響を最小限に抑えるのに役立ち得る。
【0057】
いくつかの実施形態において、フレームセグメント12,14のいずれか又は双方の端部部分のうちの1つ以上は、端部部分(16,18の及び/又は22,24)が互いに完全には平行にならないように傾いているか又は傾斜していてもよい。例えば、いくつかの実施形態において、端部部分16,18は、コネクタ28,30(端部部分16,18に取り付けられている)に互いから離れるように角度を付けるために、わずかに外側に傾斜して構成され得る。この角度は、フレームの拡張又は収縮を著しく妨げるほど大きいものではない。しかしながら、端部部分16,8の外側への傾斜は、フレームの誤整列及びラッキングの危険性を実質的に低減するように、コネクタ28,30と第2のフレームセグメント14の端部部分22,24との間に(これらの端部部分22,24がコネクタ28,30のチャネル82内に受容されたときに)力を生じさせる。例えば、端部部分22,24がコネクタ28,30内に設置されると、端部部分22,24とチャネル82との間に、他の場合にはフレームセグメント12,14を不用意に誤整列させる可能性がある種類のフレームにおける振動の力(jarring forces)を打ち消すように、付勢力が与えられ得る。代わりに、以下で説明するように、チャネル82とチャネル82に受容される端部部分22,24との間の角度により、ラッキングの深刻度を最小限に抑えるのを助けるように、フレームの誤整列によって生じる応力を軽減する傾向がある付勢力が与えられてもよい。例えば、この付勢力は、使用者がフレームを拡張又は収縮させるときにフレームセグメントを再整列させる傾向があり得る。
【0058】
例えば、
図34Aに示すように、端部部分16,18に対する外側への傾斜は角度A
1,A
2によって特徴付けられ得る。角度A
1は、フレームセグメント12の中間部分20に平行な軸線とコネクタ30との間の角度を示す。角度A
2は、フレームセグメント12の中間部分20に平行な軸線とコネクタ28との間の角度を示す。一般に、小さな正の角度A
1,A
2でさえ、ラッキングの危険性を大幅に低減するように作用し得る。例えば、いくつかの実施形態において、角度A
1,A
2は、ほぼ同一であり、それぞれ約90.05°~約90.65°に及ぶであろう。他の実施形態において、角度A
1,A
2は、それぞれ約90.10°~約90.60°、又は約90.15°~約90.55°、又は約90.18°~約90.38°に及ぶであろう。
図34Aに示す実施形態において、角度A
1,A
2はコネクタ全体に対して示されており、そのため、チャネル82(コネクタハウジングと概して平行である)は、中間部分に対して、コネクタハウジング全体が配置されるのと同じ角度で配置される。しかしながら、いくつかの実施形態では、コネクタは、コネクタに形成されたチャネル82がコネクタハウジングに対して角度をなすように構成されてもよい。この場合、チャネル82が外側への傾斜を有するようにチャネル82に角度を付けるだけで(それが取り付けられる端部部分に角度を付けなくても)、
図34Aに示す実施形態が得られるであろうものと同様の効果が得られるであろう。つまり、別の端部部分が、一定角度で外側に傾斜したチャネル82内に受容され、その結果、同様の力がチャネル82とチャネル82に受容された端部部分との間に生成されて、ラッキングによって生じる応力を軽減するのを助けるであろう。
【0059】
同様に、
図34Bにも示すように、角度Bは、コネクタ28,30の間の相対角度を示すために用いられ得る。いくつかの実施形態において、角度Bは、約0.01°~約1.30°に及ぶ。いくつかの実施形態において、角度Bは、約0.10°~約0.76°に及び得る。いくつかの実施形態において、角度Bは、約0.0°、0.1°、0.2°、0.3°、及び0.4°の最小角度を含む角度の範囲を有し得る。いくつかの実施形態において、角度Bは、約1.30°、1.00°又は約0.76°の最大角を含む角度の範囲を有し得る。ここでも、角度Bは
図34Bにおいてコネクタ全体に対して示されているが、コネクタハウジングに対して角度をなしたチャネルを備えたコネクタを作製することによって、同様の効果を得ることができる。例えば、
図34Cに示すように、コネクタ28のチャネル82は、チャネルがコネクタハウジング内において角度C
1で付勢されるように、一定角度(一点鎖線により図示)で傾いていてもよい。同様に、いくつかの実施形態において、コネクタ30は、コネクタハウジングに対して一定角度で同様に傾いていてもよい。いくつかの実施形態において、チャネル82は、コネクタハウジングに対してチャネル82に角度をつけること、コネクタが取り付けられる端部部分を傾斜させること、チャネル内に受容される端部部分に角度をつけること、又はこれらの任意の組み合わせの任意の組み合わせに基づいて、チャネル82に受容される端部部分に対して傾いているか、又は角度をなしていてもよい。
【0060】
一般に、ラッキングを排除するための上記戦略を任意の数だけ組み合わせることができる。例えば、いくつかの実施形態において、ラッキングをほぼ排除するために、上記戦略のすべてを組み合わせてもよい。さらに、2つのフレームセグメント12,14が若干誤整列されるようになるという稀な場合(フレームが意図的にねじられ、振動させられる場合など)でさえ、ラッキングに起因するフレームを拡張又は収縮させるために必要とされる力の増大が容易に軽減され得ることが分かった。例えば、第1のフレームセグメント12がわずかに外側に傾斜して構成された端部部分16,18を備える実施形態において、反対の力(例えば、ラチェットを解除し、フレームを縮小させるもの)を加えることにより、フレームを拡張するのに必要な力の増大が軽減されるであろう。
【0061】
図29A~
図29Cに示す実施形態において、コネクタ28,30は拡張中に押圧される必要がない。換言すると、フレームは、所望の距離(又は張力)になるまで、自由に拡張し得る。例えば、フレームが拡張されるにつれて、患者の切開部の壁は2つのフレームセグメント12,14の各々を圧迫し始め得る。使用者はフレームを解放することができ、システムは、切開部に対するブレードの張力により、適所に留まり得る。コネクタ28,30のラチェットアセンブリは、使用者によって慎重に解除されるまで、所望の張力を保持し得る。
【0062】
図30A~
図30Bに示すように、外科用開創器10は縮小され得る。例えば、完全に拡張した位置(
図29Cに図示)から、使用者は、双方のラチェットアクチュエータを同時に押圧してラチェットロックを解除し得る。ラチェットロックが解除されると、使用者(use)は、システムを中間拡張状態(
図30Aに図示)から
図30Bに示すような縮小された状態に案内することができる。
【0063】
外科用開創器10は、様々な方法で異なる外科的処置に用いられ得る。例えば、
図33は、外科用開創器の組み立て及び使用の方法150の実施形態を示す。ステップ152において、外科用開創器の1つのフレームセグメントを患者の切開部又は創部の片側に隣接して配置し得る。例えば、フレームセグメント14は、手術台の外科医又は執刀医が立っている側とは反対側に配置される場合もある。いくつかの実施形態において、ステップ152では同時に、上記フレームセグメントを用いて、患者の内部組織を可視化するのを助けるために、切開部又は創部の壁を少なくともある程度後退させることができる。例えば、フレームセグメント14は、フレームセグメント14に取り付けられた少なくとも1つのブレードアセンブリ60(例えば、一対のブレードアセンブリ)を有し得る。ブレードアセンブリ60は、ブレード114の前側面115が少なくとも概して創部又は切開部の壁に向かって配置されるように、ブレードブロック36内に保持され得る。ブレード114の前側面115は、例えば、創部又は切開部の壁への適切な接触を容易にするように角度をなすか、又は形作られることができ、その結果、ブレード114は上記壁を意図したように適切に後退させるか、又は他の場合には保持することができる。いくつかの実施形態において、ブレード114は、面115が係合するように意図された創部又は切開部の壁に向かって面115が正しく向かないように面115が回転するのを防止するために、ブレードアセンブリ60内において制限された回転範囲で回転を許容され得る。
【0064】
ステップ154では、次に、フレームを形成するためにフレームセグメント12をフレームセグメント14に結合することができるように、フレームセグメント12をフレームセグメント14に対して配置し得る。例えば、フレームセグメント12の端部部分16,18がフレームセグメント14の端部部分22,24とほぼ平行に整列するように、フレームセグメント12を配置し得る。いくつかの状況で、これは、医療処置を既に実施している外科医の伸ばした片腕又は両腕の下にフレームセグメント12を通すことを伴い得る。例えば、
図33Bに図示した通りである。
【0065】
ステップ156では、フレームセグメント12,14を共に連結させることができる。例えば、
図14にも関連して記載したように、使用者は、ラチェットファスナ76を回転させるためにスライドロック72を摺動させて、フレームセグメント14をラチェットハウジング66内のチャネル82に導くことができるようにし得る。フレームセグメント14がチャネル82に設置されると、使用者は、ファスナ76がフレームセグメント14に係合するように、スライドロック72を解放することができる。セグメント12は、使用者が、2つのセグメント12,14を迅速に共に結合するために双方のコネクタ28,30をほぼ同時に操作することができるように設計されている。とりわけ、フレームセグメント12は、フレームセグメント14と整列され、端部部分22,24の長さに沿った任意の場所を用いてフレームセグメント14に結合され得る。例えば、いくつかの状況では、フレームが縮小された状態で組み立てられるようにセグメント12,14を連結することが望ましいことがある。これにより、例えば、完全に分離していない可能性がある切開部の1つ以上の壁を把持し易くすることができる。しかしながら、代わりに、セグメント12,14は、いくつかの中間の拡張された状態又はさらに完全に拡張された状態のフレームを形成するように連結されてもよい。これは、例えば、外科医が既に医療処置において患者に関わり始めており、第1のセグメント12と第2のセグメント14とを外科医の腕にぶつかるのを避けるように連結させなければならない場合に必要であり得る。
【0066】
ステップ158に示したように、フレームは、患者の内部組織を効果的に可視化するために、必要に応じて、調節され得る。例えば、
図29にも関連して記載したように、フレームを調節するために、使用者は、上部アーム及び下部アーム(すなわち第1のセグメント12及び第2のフレームセグメント14)を保持し、フレームを外方に拡張することができる。所望される場合、他のアタッチメントを同様に取り付けて、開創器の組み立てを終了することができる。
【0067】
上記に詳細に記載したように、本出願は、腹部手術などの外科的処置に用いられ得る、外科用開創器、並びにフレームセグメント、ブレードブロック、及びラチェッティングコネクタなどの関連する構成要素に関する。当業者には、本明細書に記載の外科用開創器及び関連する構成要素が他の適当な外科的処置で利用され得ることが理解されるであろう。同様に、当業者には、ブレードブロック及びラチェッティングコネクタなどの本明細書の構成要素は、特定の外科用開創器とともに使用するために示され、記載され得ることが理解されるであろう。しかしながら、ブレードブロック及びラチェッティングコネクタは、本明細書に記載したものとは異なって形作られるか、又は異なる数のフレームセグメントを備え得るものを含む他の適当な外科用開創器と共に用いられてもよい。
【国際調査報告】