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特表2024-503388高分子陰イオン伝導性化合物、その調製、および電気化学におけるその使用
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  • 特表-高分子陰イオン伝導性化合物、その調製、および電気化学におけるその使用 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-25
(54)【発明の名称】高分子陰イオン伝導性化合物、その調製、および電気化学におけるその使用
(51)【国際特許分類】
   C08G 65/48 20060101AFI20240118BHJP
   C07D 211/10 20060101ALI20240118BHJP
   C07D 471/10 20060101ALI20240118BHJP
【FI】
C08G65/48
C07D211/10
C07D471/10 101
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023541740
(86)(22)【出願日】2022-01-10
(85)【翻訳文提出日】2023-07-31
(86)【国際出願番号】 EP2022050298
(87)【国際公開番号】W WO2022157019
(87)【国際公開日】2022-07-28
(31)【優先権主張番号】21152487.1
(32)【優先日】2021-01-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519414848
【氏名又は名称】エボニック オペレーションズ ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】Evonik Operations GmbH
【住所又は居所原語表記】Rellinghauser Strasse 1-11, 45128 Essen, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110002538
【氏名又は名称】弁理士法人あしたば国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アルトジョム マルジュスキ
(72)【発明者】
【氏名】オリバー コンラディ
(72)【発明者】
【氏名】ハラルド ログル
【テーマコード(参考)】
4C065
4J005
【Fターム(参考)】
4C065AA13
4C065BB09
4C065CC01
4C065DD01
4C065EE02
4C065HH02
4C065JJ01
4C065KK01
4C065LL01
4C065PP03
4J005AA24
4J005BA00
4J005BB01
4J005BB02
4J005BD00
(57)【要約】
本発明は、(高分子)化合物およびその調製方法を提供するものである。用途は、電気化学の分野である。開示されている化合物の陰イオン伝導特性により、本材料は、陰イオン伝導性膜の製造に適している。本発明の目的は、適切な陰イオン伝導特性と制御された膨潤性を有する、製造が容易な材料を提供することである。合成には、安価な前駆体を使用するものとする。本課題は、式(I):
【化1】
(式中、
Xは、正電荷を持つ少なくとも1個の窒素原子であり、CおよびCに結合し、かつ2個の結合を介して1~12個の炭素原子を有する1個または2個の炭化水素基に結合している窒素原子を含む構成要素であり、
Zは、CおよびCに結合している炭素原子と、酸素原子のうちの1つに直接結合している少なくとも1つの芳香族6員環と、を含む構造要素であり、
前記芳香族6員環は、3位および5位において、1~4個の炭素原子を有する同一のまたは異なるアルキル基で置換されている。)
の少なくとも1つの単位を特徴とする化合物を提供することにより解決されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】
(式中、
Xは、正電荷を持つ少なくとも1個の窒素原子であり、CおよびCに結合し、かつ2個の結合を介して1~12個、好ましくは1~6個、より好ましくは1~5個の炭素原子を有する1個または2個の炭化水素基に結合している窒素原子を含む構成要素であり、
Zは、CおよびCに結合している炭素原子と、酸素原子のうちの1つに直接結合している少なくとも1つの芳香族6員環と、を含む構造要素であり、
前記芳香族6員環は、3位および5位において、1~4個の炭素原子を有する同一のまたは異なるアルキル基、好ましくはメチル基、イソプロピル基またはtert-ブチル基、より好ましくはメチル基で置換されている。)
の単位を少なくとも1つ含む化合物。
【請求項2】
式(Ia):
【化2】
または式(Ib):
【化3】
(式中、Yは、同一のまたは異なるハロゲン、好ましくはフッ素であり、Mは、1~1,000の整数、好ましくは5~500の整数である。)
で表される、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
前記構成要素Xが、式(IIa):
【化4】
【化5】
または式(IIc):
【化6】
(式中、R、RおよびRは、1~6個の炭素原子を有する同一のまたは異なるアルキル基であり、2つの窒素原子は、1~6個の炭素原子(n=1~6)で形成された脂肪族鎖で結合しており、R、RおよびRは、それぞれ好ましくはメチル基である。)
の単位を示す、請求項1または請求項2記載の化合物。
【請求項4】
前記化合物中に存在する前記構成要素Xは、前記式(IIa)、前記式(IIb)または前記式(IIc)の単位の出現率が5%を超え、好ましくは50%を超え、最も好ましくは90%を超える、請求項1~請求項3のいずれか一項記載の化合物。
【請求項5】
前記構成要素Zが、式(III):
【化7】
(式中、R、R、RおよびRは、1~4個の炭素原子を有する同一のまたは異なるアルキル基であり、R、R、RおよびRは、それぞれ好ましくは、メチル基、イソプロピル基またはtert-ブチル基であり、より好ましくはメチル基である。)
の単位を示す、請求項1~請求項4のいずれか一項記載の化合物。
【請求項6】
式(IVa):
【化8】
、式(IVb):
【化9】
、式(IVc):
【化10】
、式(IVd):
【化11】
、式(IVe):
【化12】
、式(IVf):
【化13】
(式中、M、M、Mは、それぞれ1~1,000の整数であり、好ましくは、M、M、Mは、それぞれ5~500の整数である。)
の少なくとも1つにより表される、請求項1~請求項5のいずれか一項記載の化合物。
【請求項7】
式(Va):
【化14】
、式(Vb):
【化15】
、式(Vc):
【化16】
、式(Vd):
【化17】
(式中、少なくとも2つの重合体鎖が、1~10個の炭素原子(m=1~9)を有する脂肪族鎖で結合し、Ma、MbおよびMcは、それぞれ1~1,000の整数であり、好ましくはMa、MbおよびMcは、それぞれ5~500の整数であり、XおよびZは、それぞれ0.01~0.5であり、好ましくはXおよびZは、それぞれ0.01~0.25である。)
の少なくとも1つにより表される、請求項1~請求項6のいずれか一項記載の化合物。
【請求項8】
酸素原子のうちの1つに直接結合し、3位および5位において、1~4個の炭素原子を有する同一のまたは異なるアルキル基で置換されている前記芳香族6員環が、1つまたは複数のハロゲン、および/または1つまたは複数のC~C-アルキル基でさらに置換されている、請求項1~請求項7のいずれか一項記載の化合物。
【請求項9】
酸素原子のうちの1つに直接結合し、3位および5位において、1~4個の炭素原子を有する同一のまたは異なるアルキル基で置換されている前記芳香族6員環が、1つまたは複数のハロゲン、および/または1つまたは複数のC~C-アルキル基でさらに置換されていない、請求項1~請求項7のいずれか一項記載の化合物。
【請求項10】
式(VI):
【化18】
(式中、Yは、同一のまたは異なるハロゲン、好ましくはフッ素である。)
の化合物を、式(VIIa):
【化19】
および/または式(VIIb):
【化20】
(式中、芳香環は、1つまたは複数のハロゲン、および/または1つまたは複数のC~C-アルキル基でさらに置換されていてもよい。)
から選択される1つまたは両方の化合物と反応させる工程を含む、請求項1~請求項9のいずれか一項記載の化合物の調製方法。
【請求項11】
アルキル化試薬、好ましくはメチル化試薬を使用する工程を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記式(VI)、(VIIa)および(VIIb)の前記化合物中の前記芳香環は、1つまたは複数のハロゲン、または1つまたは複数のC~C-アルキル基でのさらなる置換はされていない、請求項10または請求項11記載の方法。
【請求項13】
陰イオン伝導性膜として、または陰イオン伝導性膜製造用の、請求項1~請求項9のいずれか一項記載の化合物の使用。
【請求項14】
請求項1~請求項9のいずれか一項記載の化合物を少なくとも1つ含む陰イオン伝導性膜を有する電気化学セル。
【請求項15】
電解槽または燃料電池またはレドックス・フロー電池の部品である、請求項14記載の電気化学セル。
【請求項16】
請求項14記載の電気化学セルを用いた電気化学プロセスの実施。
【請求項17】
電気分解または電気透析または燃料電池の動作中に起こる電気化学プロセスまたはレドックス・フロー電池の動作中に起こる電気化学プロセスである、請求項16記載の電気化学プロセスの実施。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化合物、特に高分子化合物、その調製方法、およびこれらの化合物の使用を提供する。用途は、電気化学の分野である。開示されている化合物の陰イオン伝導特性により、本材料は、陰イオン伝導性膜の製造に適している。
【背景技術】
【0002】
電気化学プロセスの重要な例の1つは、水を電気分解して分子状水素と分子状酸素を得ることである。このようなプロセスを実行するために使用される電気化学集合体は、電解槽と呼ばれる。このような電解槽は、通常、多数の電気化学セルを備えている。各電気化学セルは、2つのコンパートメントを備え、各コンパートメントには、1つのガス発生電極と、両コンパートメントを隔てる膜と、が装備されている。水の電解分解を可能にするには、膜がイオン(陽イオンまたは陰イオン)に対して伝導性でありながら、水素ガスおよび酸素ガスに対してはほとんど不透過性である必要がある。本明細書で議論される化合物は、そのような膜を構成することを意図している。
【0003】
電解槽の膜は水と接触するため、高分子構造内での多量の水分吸収によって引き起こされる過度の膨潤または変形(しわ)に対して安定である必要がある。過度の膨潤は、膜の機械的損傷を引き起こし、ガス透過性の上昇をもたらす可能性がある。安全のために、ガス透過性は制限されなければならない。さもなければ、酸水素爆発の危険がある。
【0004】
しかしながら、膨潤に対する安定性を高める手段は、材料の陰イオン伝導性を損なうものであってはならない。なぜなら、プロセス効率の低下を招くためである。
【0005】
同様の要件は、水性/含水環境で他の電気化学プロセスを実行する電気化学セルで使用される膜にも関係する。例としては、燃料電池、レドックス・フロー電池、および電気透析に使用される電池などがある。
【0006】
電解槽で使用されるべき膜を調製するのに適した高分子陰イオン伝導性材料は、国際公開第2019/076860号パンフレットから知られている。この材料は、少なくとも1つのイミダゾールおよび/またはイミダゾリウム単位を特徴としている。
【0007】
中国特許出願公開第104829814A号は、四級化ピペリジン基を含む重合体を開示している。この重合体は、陰イオン交換膜の製造にも使用される。
【0008】
第三級アミン型ポリアリールエーテルスルホン(ケトン)重合体樹脂の調製方法は、中国特許出願公開第110294845A号から知られている。この重合体は、陰イオン交換膜の調製に使用される。
【0009】
水電気分解用の陰イオン交換膜がいくつか市販されている。市場の概要は Henkensmeierらによってまとめられている:
Henkensmeier、DirkおよびNajibah、MalikahおよびHarms、CorinnaおよびZitka、JanおよびHnat、JaromirおよびBouzek、Karel(2020年)概要:陰イオン交換膜水電気分解用の最先端の市販膜。電気化学エネルギーの変換と貯蔵のジャーナル、18(2)、024001。アメリカ機械学会(ASME)。DOI:10.1115/1.4047963 ISSN 2381-6872
【0010】
市販の陰イオン交換膜の一例は、FUMATECH BWT GmbH社(ドイツ ビーティッヒハイム=ビッシンゲン74321)によって製造されているfumasep(登録商標)FAA-3-50と呼ばれる製品である。Henkensmeierらによれば、この膜は、主鎖にエーテル結合を有しかつ主鎖に結合する第四級アンモニウム基を有する多芳香族重合体をベースとしている。
【0011】
これらの既知材料の欠点は、大量の水分吸収、過度の膨潤、希少で高価な前駆体、有毒で腐食性の高い溶媒、工業規模での生産が困難な複雑な調製条件である。したがって、これらの既知材料は、製造コストが高い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】国際公開第2019/076860号パンフレット
【特許文献2】中国特許出願公開第104829814A号
【特許文献3】中国特許出願公開第110294845A号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
したがって、本発明の目的は、特に水性環境における適切な陰イオン伝導特性と制御された膨潤性とを備えた調製容易な材料を提供することである。化合物の合成に必要な前駆体は安価であり、合成プロセスは工業生産に適しているものとする。
【0014】
現在未公開の国際特許出願PCT/EP2020/070153号は、式 (0):
【0015】
【化1】
【0016】
(式中、
Xは、正電荷を持つ窒素原子であり、CおよびCに結合し、かつ2個の結合を介して1~12個、好ましくは1~6個、より好ましくは1又は5個の炭素原子を有する1個または2個の炭化水素基に結合している窒素原子を含む構成要素であり、
Zは、CおよびCに結合している炭素原子と、酸素原子のうちの1つに直接結合している少なくとも1つの芳香族6員環と、を含む構造要素であり、
当該芳香族環は、1つまたは複数のハロゲンおよび/または1つまたは複数のC~C-アルキル基で置換されていてよい。)
の単位を少なくとも1つ含む化合物から作製される高分子陰イオン伝導膜に関するものである。この材料は、すでに前述の要件を満たしている。しかしながら、本発明者らは、驚くべきことに、この課題も、以下に記載されかつ特許請求の範囲にも記載されている本発明の化合物により解決できることを見出した。
【0017】
したがって、本発明は、特許請求の範囲に定義され、かつ以下に記載されている化合物を提供するものである。
【0018】
本発明の化合物は、少なくとも1つの式(I)の単位を特徴とする。
【0019】
【化2】
【0020】
(式中、
Xは、正電荷を持つ少なくとも1個の窒素原子であり、CおよびCに結合し、かつ2個の結合を介して1~12個、好ましくは1~6個、より好ましくは1又は5個の炭素原子を有する1個または2個の炭化水素基に結合している窒素原子を含む構成要素であり、
Zは、CおよびCに結合している炭素原子と、酸素原子のうちの1つに直接結合している少なくとも1つの芳香族6員環と、を含む構造要素であり、
当該芳香族6員環は、3位および5位において、1~4個の炭素原子を有する同一のまたは異なるアルキル基、好ましくはメチル基、イソプロピル基またはtert-ブチル基、より好ましくはメチル基で置換されている。)
【0021】
したがって、本発明の化合物は、少なくともスルホン酸基の点で、式(0)の化合物とは異なる。
【0022】
本発明は同様に、そのような化合物の調製方法と、電気化学セル内の陰イオン伝導性膜として当該化合物の使用方法を提供する。
【0023】
本発明に係る重合体は、簡単な方法で調製できるという利点がある。前駆体は同じように安価である。したがって、調製の費用効率が高い。
【0024】
それから製造した膜は、非常に高い機械的安定性と、高い寸法安定性に伴う低い膨潤特性と、を有するという利点がある。さらに、膜は非常に高い陰イオン伝導性を示す。したがって、本発明の化合物は、水性/含水環境で電気化学プロセスを実行する電気化学セルに使用される膜からなる分離活物質によく適している。
【0025】
好ましい実施形態において、本発明の化合物は、式(Ia)または式(Ib)により表される。
【0026】
【化3】
【0027】
(式中、Yは、同一のまたは異なるハロゲン、好ましくはフッ素であり、Mは、1~1,000の整数、好ましくは5~500の整数である。)
【0028】
本発明の好ましい実施形態によれば、構成要素Xは、式(IIa)、式(IIb)または式(IIc)の単位を表す。
【0029】
【化4】
【0030】
(式中、R、RおよびRは、1~6個の炭素原子を有する同一のまたは異なるアルキル基であり、2つの窒素原子は、1~6個の炭素原子(n=1~6)を有する脂肪族鎖で結合しており、R、RおよびRは、それぞれ好ましくはメチル基である。)
【0031】
最も好ましくは、存在する構成要素Xは、式(IIa)、式(IIb)または式(IIc)の単位の出現率が5%を超え、好ましくは50%を超え、最も好ましくは90%を超える。この出現率は、例えば、溶媒としてのDMSO-d6中、室温で01/2005:20233(欧州薬局方5.0.2.2.33.核磁気共鳴分光法)に準拠して実施される古典的なH-NMRにより測定することができる。出現率は、対応するシグナルの面積の積分と、対応するシグナル(ピーク)の正規化面積と目標単位内の対応するプロトン数との比較と、により計算できる。例えば、式(IIa)の単位には、6個の水素原子が含まれており、図2に示すように、対応するシグナル(5と表示してあるもの)の正規化面積は、6.003に等しい。これは、分析した実験例3の重合体での式(IIa)の単位の出現率が100%に等しいことを示している(6.003/6*100%=100%として計算)。
【0032】
本発明のさらに好ましい実施形態によれば、化合物の構成要素Zは、式(III)の単位を表す。
【0033】
【化5】
【0034】
(式中、R、R、RおよびRは、1~4個の炭素原子を有する同一のまたは異なるアルキル基であり、R、R、RおよびRは、それぞれ好ましくは、メチル基、イソプロピル基またはtert-ブチル基であり、より好ましくはメチル基である。)
【0035】
本発明の化合物の6つの好ましい実施形態は、式(IVa)~式(IVf)の少なくとも1つにより表される。
【0036】
【化6】
【0037】
(式中、M、MおよびMは、それぞれ1~1,000の整数であり、好ましくは、M、MおよびMは、それぞれ5~500の整数である。)
【0038】
さらにいっそう好ましい化合物は、式(Va)~式(Vd)の少なくとも1つにより表される架橋化合物である。
【0039】
【化7-1】
【0040】
【化7-2】
【0041】
【化7-3】
【0042】
【化7-4】
【0043】
(式中、少なくとも2つの重合体鎖が、1~10個の炭素原子(m=1~9)を有する脂肪族鎖で結合し、M、MおよびMは、それぞれ1~1,000の整数であり、好ましくはM、MおよびMは、それぞれ5~500の整数であり、XおよびZは、それぞれ0.01~0.5であり、好ましくはXおよびZは、それぞれ0.01~0.25である。)
【0044】
式(I)、式(Ia)、式(Ib)、式(IVa)~式(IVf)および式(Va)~式(Vd)、ならびに関連する定義から導出されるように、本発明の化合物はすべて、酸素原子のうちの1つに直接結合している芳香族6員環を有し、当該芳香族6員環は、3位および5位において、1~4個の炭素原子を有する同一のまたは異なるアルキル基で置換されている。
【0045】
本発明の第1の変形例によれば、上記の芳香族6員環は、1つまたは複数のハロゲン、および/または1つまたは複数のC~C-アルキル基でさらに置換されている。
【0046】
本発明の第2の好ましい変形例によれば、上記の芳香族6員環は、1つまたは複数のハロゲン、および/または1つまたは複数のC~C-アルキル基でのさらなる置換はされていない。このような化合物を調製するための前駆体材料は、安価である。したがって、調製および最終化合物のコストがそれほどかからない。
【0047】
本発明のさらに別の目的は、本発明の化合物の調製方法を提供することである。
【0048】
この目的は、式(VI)(式中、Yは、同一のまたは異なるハロゲン、好ましくはフッ素である。)の化合物を、式(VIIa)および/または(VIIb)から選択される1つまたは両方の化合物と反応させる工程を含む方法により解決される。
【0049】
【化8】
【0050】
(式VI、式VIIaおよび式VIIb中、芳香環は、1つまたは複数のハロゲン、および/または1つまたは複数のC~C-アルキル基でさらに置換されていてよい。)
化合物(VIIa)を使用する場合は、追加の工程(窒素原子の四級化)が必要であり、アルキル化試薬を使用すれば簡単に実行できる。
【0051】
このようなプロセスは非常に簡単に実行でき、所望の化合物を得られる。
【0052】
好ましくは、この反応工程は、100℃~300℃の反応温度、より好ましくは125℃~175℃の反応温度で実施される。最も好ましくは、この反応工程は、反応混合物が沸騰している温度で、好ましくは撹拌しながら実施される。この反応工程は、最も好ましくは、不活性ガス雰囲気下、好ましくは窒素雰囲気下で実施される。反応容器の上部で、生成されたすべての水を取り除くことが好ましい。
【0053】
この反応工程は、好ましくは、KOH、NaOH、KCOまたはNaCOのような塩基の存在下で実施される。好ましい塩基は、KCOである。
【0054】
この反応工程は、有機溶媒の存在下で実施される。好ましい溶媒は、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、およびN,N-ジメチルアセトアミド(DMAC)からなるリストから選択される。好ましくは、N,N-ジメチルアセトアミドを溶媒として使用する。
【0055】
好ましくは、本発明に係る方法は、アルキル化試薬、好ましくはメチル化試薬を使用する工程を含む。使用する好ましいメチル化剤は、ヨードメタンである。
【0056】
本発明の好ましい調製方法によれば、式(VI)、式(VIIa)および式(VIIb)の化合物中の芳香環は、1つまたは複数のハロゲン、または1つまたは複数のC~C-アルキル基によるさらなる置換はされていない。
【0057】
本発明の化合物は、異なる目的に使用されてもよい。好ましくは、本発明の化合物は、重合体であり、陰イオン伝導性膜として、または陰イオン伝導性膜の製造に使用される。このような使用は、本発明のさらなる目的である。
【0058】
このような膜内では、本発明の化合物は、その優れたアニオン伝導特性により分離活物質として機能する一方で、非常に気密性が高い。本発明の化合物に加えて、前述の膜は、さらなる材料、例えば多孔質支持体(例:布地材料または不織布材料)を含んでいてもよい。
【0059】
本明細書に開示される構成要素の設計された特性のおかげで、そのような材料からなる陰イオン伝導性膜を電気化学セルに使用することができる。したがって、本発明の別の実施形態は、本発明の化合物からなる陰イオン伝導性膜を有する電気化学セルである。
【0060】
本化合物の優れた水安定性により、この材料は、電解槽または燃料電池またはレドックス・フロー電池での使用に適している。したがって、本発明の電気化学セルの好ましい実施形態はそれぞれ、電解槽、燃料電池、またはレドックス・フロー電池である。
【0061】
本発明の電気化学セルを用いた電気化学プロセスの実施は、本発明の別の実施形態である。
【0062】
好ましくは、上記の電気化学プロセスは、燃料電池の動作中に起こる電気分解もしくは電気透析もしくは電気化学プロセス、またはレドックス・フロー電池の動作中に起こる電気化学プロセスである。
【0063】
本発明のさらなる詳細は、実験例および添付の図面から導出できる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
図1】単量体(VIIa)のH-NMRスペクトル
図2】実験例3の四級化ピペリジン含有重合体のH-NMRスペクトル
図3】単量体(VIIb)のH-NMRスペクトル
図4】実験例6のスピロ含有重合体のH-NMRスペクトル
図5】実験例8の(2-ブロモエチル)-トリメチルアンモニウムブロミドで四級化されたピペリジン含有重合体のH?NMRスペクトル
【実施例
【0065】
実験例1:ピペリジン含有重合体(VIIa)の合成
内部温度計と加熱およびマグネチックスターラーと還流冷却器とを備えた500mL三口フラスコに、150gの酢酸と、17g(0.15モル)のN-メチルピペリドンと、49g(0.40モル)の2,6-ジメチルフェノールと、30gの濃塩酸と、を供給した。続いて、この溶液を撹拌しながら90℃まで加熱した。反応時間の経過とともに、生成物のかなりの部分が沈殿した。40時間後、反応塊を室温まで冷却した。結晶化した沈殿物を濾別し、少量の酢酸で3回洗浄し、250gの水と400gのエタノールとの混合物に懸濁させた。続いて、この懸濁液を80℃まで加熱し、懸濁固体を溶解させた。アンモニア溶液を添加することにより、4,4-ビス-(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチル-フェニル)-1-メチル-ピペリジン単量体(VIIa)を沈殿させた。室温に冷却した後、これを濾別し、濾過ケーキを水で3回洗浄し、真空中40℃で一晩乾燥させた。単量体(VIIa)の化学構造は、H-NMR によって確認した。H-NMRスペクトルを図1に示す。溶媒としてDMSO-d6を使用した。
【0066】
実験例2:ピペリジン含有重合体の合成
油浴とメカニカルスターラーと調整可能な戻り率および凝縮液除去を備えた蒸留ヘッドクーラーを有する充填カラムとを備えた500mL三口フラスコで合成を実施した。合成開始時に、16.98g(0.05モル)の実験例1のピペリジン含有単量体(VIIa)と、12.72g(0.05モル)の4,4’-ジフルオロジフェニルスルホンと、180mLのN,N?ジメチルアセトアミドと、15.21g(0.011モル)の細かく粉砕したKCOと、を窒素雰囲気下、室温で1時間かけて混合した。その後、その反応混合物の温度を120℃まで上昇させ、生成された水をカラムを用いて4時間かけて除去した。4時間後、追加の18mLのN,N-ジメチルアセトアミドを反応混合物に添加し、反応混合物の温度を165℃に上昇させた。20時間後、油浴の加熱を止め、粘稠な反応生成物を冷却し、冷水に入れた。沈殿した生成物をお湯で3回洗浄し、真空下、40℃で48時間かけて乾燥させた。収量は、25.53g(92.2%)であった。
【0067】
実験例3:実験例2のピペリジン含有重合体の四級化
実験例2の重合体10gを、60℃で撹拌しながら1時間かけて40mLのN,N-ジメチルアセトアミドに溶解させた。その重合体溶液を30℃まで冷却し、その後、2.8mLのヨードメタンをその重合体溶液に滴下し、その重合体溶液を30℃で24時間撹拌し、重合体を四級化させた。実験例3の四級化ピペリジン含有重合体の化学構造をH-NMRにより確認した。H-NMRスペクトルを図2に示す。溶媒としてDMSO-d6を使用した。
【0068】
実験例4:実験例3のピペリジン含有重合体の膜キャスティング
実験例3の四級化重合体の溶液を膜の調製に直接使用した。必要量の重合体溶液をシリンジで採取し、1μmのPTFEフィルターを通して、40℃に予熱したガラス板上に直接塗布した。ガラス板の被覆のために、ドクターブレード付アプリケーターを5mm/秒の速度でガラス板上を自動で移動させた。塗布後の湿潤層をN雰囲気下室温で24時間予備乾燥させ、その後、真空下60℃で6時間最終乾燥させた。
【0069】
実験例5:スピロ含有単量体(VIIb)の合成
マグネチックスターラーと温度制御装置と冷却器とを備えた2L三口フラスコ中で、36g(0.26モル)のKCOを、150mLのEtOHに溶解させた。次いで、57.3g(0.40モル)の1,4-ジオキサ-8-アザスピロ[4,5]デカンを、800mLのEtOHに溶解させ、三口フラスコに移した。その後、温度を35℃に調節した。続いて、150mLのEtOHに92g(0.40モル)の1,5-ジブロムペンタンが溶けた溶液を、12時間かけて滴下した。70時間後、反応生成物を室温まで冷却し、沈殿したKBrを濾別し、その溶液を回転蒸発装置で濃縮した。濃縮工程中、添加量のKBrが結晶化したので、濾別した。その濾液は、80℃未満の温度で固化したので、濾過し、さらに精製することなくスピロ含有単量体(VIIb)の合成用の抽出物の1つとして使用した。
【0070】
マグネチックスターラーと油浴とを備えた500mL丸底フラスコ中で、51.5g(0.177モル)の上記分子と、0.44モルの2,6-ジメチルフェノールと、20g(0.21モル)のメタンスルホン酸と、1gの水と、0.90g(0.005モル)の3-メルカプト-1-プロパンスルホン酸ナトリウムと、を100℃で70時間撹拌した。その混合物を室温まで冷却し、200gの水と3回混合させた。その後、1kPa(10ミリバール)の圧力でそれを蒸留し、揮発性物質を取り除いた。スピロ含有単量体(VIIb)は、部分的に固化したので、EtOHと水の25体積%混合物中で2回再結晶化させた。最後に、真空中40℃で一晩乾燥させた。単量体(VIIb)の化学構造をH-NMRにより確認した。H-NMRスペクトルを図3に示す。溶媒としてDMSO-d6を使用した。
【0071】
実験例6:スピロ含有重合体の合成
合成については、油浴とメカニカルスターラーと調整可能な戻り率および凝縮液除去を備えた蒸留ヘッドクーラーを有する充填カラムを備えた250mL 三口フラスコ内で実施した。合成の初めに、4.89g(0.01モル)の実験例5のスピロ含有単量体(VIIb)と、2.54g(0.01モル)の4,4’?ジフルオロジフェニルスルホンと、45mLのN,N-ジメチルホルムアミドと、3.03g(0.022モル)の微粉砕KCOと、を窒素雰囲気下、室温で1時間かけて混合した。その後、その反応混合物の温度を120℃まで上昇させ、生成水をカラムを使用して4時間かけて除去した。4時間後、さらに5mLのN,N-ジメチルホルムアミドをその反応混合物に添加し、反応混合物の温度を154℃まで上昇させた。20時間後、油浴の加熱を止め、粘稠な反応生成物を冷却し、冷水に注いだ。沈殿した生成物をお湯で3回洗浄し、真空下40℃で48時間かけて乾燥させた。収量は6.21g(88.3%)であった。実験例6のスピロ含有重合体の化学構造をH-NMRにより確認した。H-NMRスペクトルを図4に示す。溶媒としてDMSO-d6を使用した。
【0072】
実験例7:実験例6のスピロ含有重合体の膜キャスティング
実験例6の重合体5gを、60℃で撹拌しながら1時間かけて20mLのN,N-ジメチルホルムアミドに溶解させた。必要量の重合体溶液をシリンジで採取し、1μmのPTFEフィルターを通して、40℃に予熱したガラス板上に直接塗布した。ガラス板の被覆のために、ドクターブレード付アプリケーターを5mm/秒の速度でガラス板上を自動で移動させた。塗布後の湿潤層をN雰囲気下室温で24時間予備乾燥させ、その後、真空下60℃で6時間最終乾燥させた。
【0073】
実験例8:(2-ブロモエチル)-トリメチルアンモニウムブロミドを用いたピペリジン含有重合体の四級化
実験例2の重合体5gを、60℃で攪拌しながら1時間かけて20mLのN,N-ジメチルアセトアミドに溶解させ、同時に、4.46gの(2-ブロモエチル)-トリメチルアンモニウムブロミドを、10mLのN,N-ジメチルアセトアミド10に溶解させた。(2-ブロモエチル)-トリメチルアンモニウムブロミドの溶液を、重合体溶液に滴下し、その重合体溶液を100℃で48時間撹拌して重合体を四級化させた。(2-ブロモエチル)-トリメチルアンモニウムブロミドで四級化されたピペリジン含有重合体の化学構造をH-NMRにより確認した。H-NMRスペクトルを図5に示す。溶媒としてDMSO-d6を使用した。
【0074】
実験例9:実験例8のピペリジン含有重合体の膜キャスティング
実験例8の四級化重合体の溶液を膜の調製に直接使用した。必要量の重合体溶液をシリンジで採取し、1μmのPTFEフィルターを通して、40℃に予熱したガラス板上に直接塗布した。ガラス板の被覆のために、ドクターブレード付アプリケーターを5mm/秒の速度でガラス板上を自動で移動させた。塗布後の湿潤層をN雰囲気下室温で24時間予備乾燥させ、その後、真空下60℃で6時間最終乾燥させた。
【0075】
実験例10:実験例2のピペリジン含有重合体の部分四級化
実験例2の重合体5gを60℃で撹拌しながら1時間かけて20mLのN,N-ジメチルアセトアミドに溶解させ、同時に、0.25mLのヨードメタンを5mLのN,N-ジメチルアセトアミドに溶解させた。重合体溶液を30℃まで冷却した後、ヨードメタン溶液を重合体溶液に滴下し、重合体溶液を30℃で24時間撹拌して、重合体を部分的に四級化させた。
【0076】
実験例11:実験例10の重合体の架橋および膜キャスティング
0.15gの1,6-ジヨードヘキサンを5mLのN,N-ジメチルアセトアミドに溶解させ、実施例10の重合体溶液に滴下した。その重合体溶液をさらに10分間30℃で撹拌し、膜のキャスティングに直接使用した。必要量の重合体溶液をシリンジで採取し、1μmのPTFEフィルターを通して、40℃に予熱したガラス板上に直接塗布した。ガラス板の被覆のために、ドクターブレード付アプリケーターを5mm/秒の速度でガラス板を自動で移動させた。塗布後の湿潤層を金属カバーで覆い、溶媒の蒸発を遅らせた。被覆後のガラス板をオーブンで80℃で48時間加熱した。最後に、膜を金属カバーなしで真空下60℃で6時間乾燥させた。得られた膜は、DMSO-d6に不溶であった。
【0077】
実験例12:膜のイオン交換
実験例4、7、9および11でそれぞれ調製した膜をイオン交換させた。膜の試料を1MのKOH溶液の新鮮部に60℃で1時間ずつ3回置き、その後、1MのKOH溶液の新鮮部に60℃で24時間置いた。その後、その膜試料を脱イオン水でリンスし、脱イオン水の新鮮部に60℃で1時間ずつ3回置いた。続いて、膜試料を脱イオン水の新鮮部内で60℃で一晩保存し、最後に、室温で脱イオン水でリンスした。市販の陰イオン交換膜FAA-3-50も同様にイオン交換した。
【0078】
実験例13:イオン伝導率(IC)の測定
実験例12のイオン交換膜試料のイオン伝導率(IC)を、従来の四電極配置でのインピーダンススペクトロスコピー(EIS)により測定した。膜試料を市販のBT-112セル(Bekk Tech LLC社)に固定した。そのために、2本の外側Ptワイヤを試料の下に通し、2本の中間Ptワイヤを試料の上に通した。そのBT-112セルを2枚のPTFE板の間に固定し、脱イオン水で満たした。脱イオン水の温度を水浴で制御し、脱イオン水をセル内に常時ポンプで送った。膜抵抗(Rmembrane)の計算は、広く使用されているR(RC)Randles型等価回路を使用して、取得したEISスペクトルを置き換えることにより行った。
【0079】
膜試料のイオン伝導率(σ)は、式(1)により得られる。
σ=L/(Rmembrane*A) (1)
式中、Lは、Ptワイヤ間の距離(5mm)であり、Aは、2本の外側Pt ワイヤ間の膜試料の面積である。各膜当たり3個の試料に対して各測定を繰り返し、平均±標準偏差を計算した。市販の陰イオン交換膜FAA-3-50も同様の方法で試験した。測定結果を表1に示す。
【0080】
実験例14:吸水量(WU)の測定
実験例12のイオン交換膜試料(試験した各膜当たり3個の試料)を吸水量(WU)の測定に使用した。すべての試料を真空オーブン内で40℃、2.5kPa(25ミリバール)で24時間乾燥させ、その後、デシケーター内で室温まで冷却し、重さを量った。吸水量の測定のために、膜試料を25℃の脱イオン水中で24時間保存した。続いて、各試料の重量を再度測定した。この目的のために、付着水を濾紙を使って膜から除去した。各測定を3回繰り返し、平均±標準偏差を計算した。
吸水量(WU)は、式(2)から求められる。
WU=(mwet-mdry)/mdry*100% (2)
式中、mwetは、膨潤後の試料の質量であり、mdryは、乾燥後の試料の質量である。
市販の陰イオン交換膜FAA-3-50も同様の方法で試験した。測定結果を表1に示す。
【0081】
実験例15:寸法安定性(DS)の測定
実験例12のイオン交換膜試料(試験した各膜当たり3個の試料)を寸法安定性(DS)の測定に使用した。すべてのサンプルを真空オーブン内で40℃、2.5kPa(25ミリバール)で24時間乾燥させ、その後、デシケーター内で室温まで冷却した。試料の長さ、幅、厚さなどのパラメータを測定した。膨潤挙動を測定するために、膜試料を 25℃の脱イオン水中で24時間保存した。続いて、試料の長さ、幅、厚さを再度測定した。この目的のために、付着水を濾紙を使って膜から除去した。各測定を3回繰り返し、平均±標準偏差を計算した。
長さ(DSと呼ぶ)、幅(DSと呼ぶ)、および厚さ(DSと呼ぶ)の膨潤挙動を式(3)により計算した。
DSx=(xwet-xdry)/xdry*100% (3)
式中、xwetは膨潤後の試料の長さ、幅または厚さであり、xdryは乾燥後の試料の長さ、幅または厚さである。DS値は、(DS+DS+DS)/3として算出する。市販の陰イオン交換膜FAA-3-50も同様の方法で試験した。測定結果を表1に示す。
【0082】
【表1】
【0083】
表1:膜1として表示される実験例4の膜、膜2として表示される実験例7の膜、膜3として表示される実験例9の膜および膜4として表示される実験例11の膜、ならびにFAA-3-50として表示される市販の陰イオン交換膜FAA-3-50を用いた、実験例13~15に従って得られた実験データ。
【0084】
FAA-3-50は、FUMATECH BWT GmbH社(ドイツ ビーティッヒハイム=ビッシンゲン74321)から市販されている陰イオン交換膜である。
【0085】
表1から、本発明に係る膜は、市販の陰イオン伝導性膜FAA-3-50と比較して、少なくとも3倍良好な寸法安定性および最大で2倍少ない吸水量と相まって、最大で2倍高いイオン伝導性を示すことが分かる。
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】