(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-25
(54)【発明の名称】センシングアプリケーション並びにジョイントセンシング及び通信アプリケーションのための適応フレーム選択
(51)【国際特許分類】
H04W 28/06 20090101AFI20240118BHJP
H04W 4/38 20180101ALI20240118BHJP
H04W 84/20 20090101ALI20240118BHJP
H04W 72/0453 20230101ALI20240118BHJP
【FI】
H04W28/06 110
H04W4/38
H04W84/20
H04W72/0453
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023541759
(86)(22)【出願日】2021-12-23
(85)【翻訳文提出日】2023-08-02
(86)【国際出願番号】 EP2021087600
(87)【国際公開番号】W WO2022156997
(87)【国際公開日】2022-07-28
(32)【優先日】2021-01-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】519061251
【氏名又は名称】ヴェステル・エレクトロニキ・サナイ・ヴェ・ティジャレット・ア・セ
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】トルクメン, ハリス
(72)【発明者】
【氏名】アイギュル, メフメット アリ
(72)【発明者】
【氏名】アルスラン, フセイン
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA21
5K067BB27
5K067DD23
5K067DD24
5K067EE02
5K067EE10
(57)【要約】
一部の実施形態は、少なくとも部分的に重なる帯域幅における通信アプリケーション及びセンシングアプリケーションの共存を容易にする。特に、センシングデバイス、ジョイントセンシング及び通信デバイスは、送信リソースの要求を、通信規格に準拠した通信フォーマットでスケジューリングデバイスに送信する。要求が通信アプリケーションのためのものであれば、通信デバイスが動作する通信規格に準拠したフレームフォーマットに対応するリソースが割り当てられる。一方、要求がセンシングアプリケーションのためのものであれば、通信規格に準拠したフレームフォーマット又はセンシングアプリケーションに適したフレームフォーマットに対応するリソースが割り当てられる。フレームフォーマットの選択は、センシングアプリケーションの優先度、アプリケーション、環境、チャネルなどの特徴に応じて決まってもよい。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線信号の送信をスケジュールするための方法であって、
通信規格の第1のフレームフォーマットに従うフレームにおいて、無線デバイスによる信号の送信をスケジュールする要求を受信するステップであって、前記要求が、前記信号が通信信号であるかセンシング信号であるかの表示を含む、当該受信するステップと、
前記送信される信号が通信信号である場合、前記信号の送信のためのリソースを通信規格の第2のフレームフォーマットに割り当てるステップと、
前記送信される信号がセンシング信号である場合、前記信号の送信のためのリソースを、前記第2のフレームフォーマットとは異なる第3のフレームフォーマット又は前記第2のフレームフォーマットに割り当てるステップと、
を含み、
センシング信号の帯域幅が、前記通信規格の動作帯域幅に少なくとも部分的に重なる、
方法。
【請求項2】
前記センシング信号が連続レーダ信号又は周期レーダ信号である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記センシング信号が、無線センシング、無線ローカルエリアセンシング、非侵襲的医療センシングからセンシングアプリケーションによって発生した信号である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記センシング信号を送信するための前記リソースが、前記第3のフレームフォーマットに割り当てられるか前記第2のフレームフォーマットに割り当てられるかは、前記センシング信号の優先度、前記帯域幅のトラフィック負荷、前記帯域幅のチャネル品質、及び、スペクトル占有率、のうちの少なくとも1つに応じて決まる、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記第3のフレームフォーマットが、前記センシング信号の優先度、前記帯域幅のトラフィック負荷、前記帯域幅のチャネル品質、及び、スペクトル占有率、のうちの少なくとも1つに基づいて、予め定義された複数のフレームフォーマットから決定される、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記方法は、
前記センシング信号を発生させたセンシングアプリケーションの優先度に対応するように、前記センシング信号の優先度を決定するステップ、
をさらに含み、
前記優先度を決定するステップは、
前記センシングアプリケーションが実行されるデバイスのアイデンティティ、
前記センシングアプリケーションのアイデンティティ、
前記センシングアプリケーションのサービス品質要件、
のうちの1つ又は複数に基づいて、前記センシングアプリケーションの前記優先度を得るステップ、
を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記優先度を決定するステップは、機械学習に基づいてトレーニングされたモジュールによって実行される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記方法は、
前記無線デバイスからフィードバックを受信するステップ、
をさらに含み、
前記フィードバックは、サービス品質要件、優先度、必要なリソース、及び/又は、チャネル品質に関連する、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記センシング信号を送信するための前記リソースが、前記第3のフレームフォーマットに割り当てられるか、それとも、前記第2のフレームフォーマットに割り当てられるかという点、
及び/又は、
前記第3のフレームフォーマットは、
前記受信したフィードバックに基づいて決定される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記方法は、
前記受信したフィードバックに基づいて、前記信号の前記送信のための1つ又は複数の送信パラメータを決定するステップ、
をさらに含み、
前記送信パラメータは、
送信レート若しくは繰返し率、
キャリア周波数、
チャネル割当て、
センシングシーケンス若しくは波形、
環境の特性、
帯域幅、
パケット長さ若しくは信号持続時間、
ビームフォーミングパラメータ、
ヌメロロジー、
サイクリックプレフィックス持続時間、及び、
フィルタリングパラメータ若しくはウィンドウパラメータ、
のうちの1つ又は複数を含む、請求項8又は9に記載の方法。
【請求項11】
前記送信パラメータが、前記環境の前記特性を含み、
前記環境の前記特性が、前記無線デバイスにおいて、
前記環境の画像を取り込み、機械学習に基づいてトレーニングされたモジュールを用いて前記画像を解析すること、並びに、
湿度、温度、及び/又は圧力センサによって前記環境をセンシングすること、
のうちの1つ又は複数によって得られる、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記割り当てるステップは、前記センシング信号を使用して、センシングアプリケーションの要件に従って実行され、
前記要件は、帯域幅、ビーム幅、センシングレート、及び、送信電力、のうちの少なくとも1つに関連する、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記方法は、
センシングセッションの開始時、及び/又は、前記センシングセッションの一部である測定セッション中に、前記無線デバイスにより提供された情報に基づいて又は前記無線デバイスから、前記要件を得るステップ、
をさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
無線信号を送信するための方法であって、
通信規格の第1のフレームフォーマットに従うフレームにおいて、信号の送信をスケジュールする要求をスケジューリングデバイスに送信するステップであって、前記要求が、前記信号が通信信号であるかセンシング信号であるかの表示を含む、当該送信するステップと、
前記送信される信号が通信信号である場合、前記信号の送信のためのリソースを通信規格の第2のフレームフォーマットに割り当て、前記送信される信号がセンシング信号である場合、前記信号の送信のためのリソースを、前記第2のフレームフォーマットとは異なる第3のフレームフォーマット又は前記第2のフレームフォーマットに割り当てる、リソースの割当てを受信するステップと、
前記通信規格の動作帯域幅がセンシングの動作帯域幅に少なくとも部分的に重なる帯域幅内で、前記受信した割当てに従って前記信号を送信するステップと、
を含む方法。
【請求項15】
前記方法は、
フィードバックをスケジューリングデバイスに送信するステップ、
をさらに含み、
前記フィードバックは、サービス品質要件、優先度、必要なリソース、及び/又はチャネル品質、に関連する、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
無線信号の送信をスケジュールするためのスケジューリングデバイスであって、
通信規格の第1のフレームフォーマットに従うフレームにおいて、無線デバイスによる信号の送信をスケジュールする要求を受信する受信機であって、前記要求が、前記信号が通信信号であるかセンシング信号であるかの表示を含む、当該受信機と、
前記送信される信号が通信信号である場合、前記信号の送信のためのリソースを通信規格の第2のフレームフォーマットに割り当て、前記送信される信号がセンシング信号である場合、前記信号の送信のためのリソースを、前記第2のフレームフォーマットとは異なる第3のフレームフォーマット又は前記第2のフレームフォーマットに割り当てる、ように構成されている制御回路と、
を備え、
センシング帯域幅は、前記通信規格の動作帯域幅に少なくとも部分的に重なる、
スケジューリングデバイス。
【請求項17】
無線信号を送信するための無線デバイスであって、
通信規格の第1のフレームフォーマットに従うフレームにおいて、信号の送信をスケジュールする要求をスケジューリングデバイスに送信する送信機であって、前記要求が、前記信号が通信信号であるかセンシング信号であるかの表示を含む、当該送信機と、
前記送信される信号が通信信号である場合、前記信号の送信のためのリソースを通信規格の第2のフレームフォーマットに割り当て、前記送信される信号がセンシング信号である場合、前記信号の送信のためのリソースを、前記第2のフレームフォーマットとは異なる第3のフレームフォーマット又は前記第2のフレームフォーマットに割り当てるといった、リソースの割当て情報を受信する受信機と、
前記通信規格の動作帯域幅がセンシングの動作帯域幅に少なくとも部分的に重なる帯域幅内で、前記受信した前記割当て情報に従って、前記信号を送信するように前記送信機を制御する制御回路と、
を備える、無線デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、無線センシングアプリケーション並びにジョイントセンシング及び通信アプリケーションの共存に関する。特に、本開示は、そのような無線アプリケーションのための方法及び装置を提供する。
【背景技術】
【0002】
無線通信は、この数十年にわたって進歩している。有名な標準化団体の例として、第3世代パートナーシップブロジェクト(3GPP)及び一般にWi-Fiと呼ばれるIEEE802.11がある。
【0003】
無線通信システムが始まって以来、柔軟性及び適応性が所望されている。例えば、リンク適応技術(適応変調及び符号化、並びに電力制御)による柔軟なシグナリングは、無線セルラシステムの第2世代(2G)標準化における目標である。それ以外に、セルサイズに応じたロングタームエボリューション(LTE)アドバンスト(LTE-A)では、直交周波数分割多重(OFDM)シンボルが、ノーマルサイクリックプレフィックス(CP)又は拡張CPを用いて設計されている。また、多種多様な通信アプリケーションをサポートするために、新無線(NR)の第5世代(5G)標準化では、波形の柔軟性が、サブキャリア間隔などの追加のパラメータの柔軟性に拡張されている。5G標準化では、必要とされるチャネル条件及び通信サービス(高速大容量(eMBB)、大規模マシンタイプ通信(mMTC)、超高信頼低遅延通信(URLLC))に応じて、最適なヌメロロジーが選択される。同様に、無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)規格は、無線環境ネットワークを認識するために無線環境マップを組み込んでおり、コグニティブ無線(CR)用の802.22及び欧州電気通信標準化機構(ETSI)の再構成可能な無線システム(RRS)などの規格を発展させている。これらの規格はいずれも、WLANシステムに柔軟性及び適応性をもたらし、動的な条件における通信パフォーマンスを向上させる。
【発明の概要】
【0004】
少なくとも部分的に重なる帯域幅におけるジョイントセンシング及び通信アプリケーション並びにセンシングアプリケーションの共存を容易にする、方法、技術、及び対応するデバイスが記載される。
【0005】
本発明は、独立請求項によって定義される。一部の例示的な実装形態は、従属請求項によって提供される。
【0006】
一部の例示的な実装形態において、無線信号の送信をスケジュールするための方法であって、通信規格の第1のフレームフォーマットに従うフレームにおいて、無線デバイスによる信号の送信をスケジュールする要求を受信するステップであって、要求が、信号が通信信号であるかセンシング信号であるかの表示を含む、受信するステップと、送信される信号が通信信号である場合、信号の送信のためのリソースを通信規格の第2のフレームフォーマットに割り当てるステップと、送信される信号がセンシング信号である場合、信号の送信のためのリソースを、第2のフレームフォーマットとは異なる第3のフレームフォーマット又は第2のフレームフォーマットに割り当てるステップとを含み、センシング信号の帯域幅が、通信規格の動作帯域幅に少なくとも部分的に重なる、方法が提供される。
【0007】
ここに開示された主題のこれら及びその他の特徴及び特性、構造体の関連要素の操作方法及び機能、部品の組合せ、並びに製造の経済性は、すべてが本明細書の一部を形成する添付図面を参照しながら、以下の説明及び添付の特許請求の範囲を考慮すれば、より明らかになるだろう。しかしながら、図面は、図示及び説明のためのものに過ぎず、開示された主題の限界を定義することは意図されていないことを明白に理解されたい。本明細書及び特許請求の範囲で使用されるとき、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈が明らかにそうでないことを示していない限り、複数の指示対象を含む。
【0008】
以下の図面を参照することにより、様々な実施形態の性質及び利点を理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】基本的な通信システムを示すブロック図である。
【
図2】様々なタイプの複数の無線デバイスと共にスケジューリングデバイスを示すブロック図である。
【
図3】複数の通信デバイス、センシングデバイス、並びにジョイントセンシング及び通信デバイスがアクティブであり得る環境を示す概略図である。
【
図4】IEEE802.11pの例示的なフレームフォーマットを示す概略図である。
【
図5】IEEE802.11adの例示的なフレームフォーマットを示す概略図である。
【
図6】IEEE802.11bfについて提案された例示的なプリアンブルフォーマットの概略図である。
【
図7】パルスレーダの例示的なパルス形フォーマットを示す概略図である。
【
図8A】スケジューリングデバイス又は無線デバイスの例示的な構造を示すブロック図である。
【
図8B】プログラムメモリのスケジューリングデバイスの例示的な構造を示すブロック図である。
【
図9】スケジューリングデバイス及び無線デバイスの例示的な動作を示すフロー図である。
【
図10】例示的な適応フレーム選択基準を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下の説明の目的で、「端部」、「上部」、「下部」、「右」、「左」、「垂直」、「水平」、「上」、「下」、「横方向」、「長手方向」という用語及びそれらの派生語は、図面で向きを定められている通りに、開示された主題に関連する。しかしながら、開示された主題は、そうでないことが明記されていない限り、様々な代替の変形形態及びステップ順序を想定できることを理解されたい。添付図面に示され、以下の説明に記載される特定のデバイス及びプロセスは、開示された主題の例示的な実施形態又は態様に過ぎないことも理解されたい。したがって、本明細書で開示される実施形態又は態様に関する特定の寸法その他の物理的特徴は、そうでないことが示されない限り、限定するものと考えるべきではない。
【0011】
本明細書で使用される態様、構成要素、要素、構造、行為、ステップ、機能、命令などはいずれも、そのように明示的に説明されない限り、重要又は必須と解釈されるべきではない。また、本明細書で使用されるとき、冠詞「a」及び「an」は、1つ又は複数のものを含むことが意図され、「1つ又は複数の」及び「少なくとも1つの」と同義で使用され得る。さらに、本明細書で使用されるとき、「セット」という用語は、1つ又は複数のもの(例えば、関連するもの、無関係なもの、関連するものと無関係なものとの組合せなど)を含むことが意図され、「1つ又は複数の」及び「少なくとも1つの」と同義で使用され得る。1つのもののみが意図される場合は、「1つの」又は類似の語が使用される。また、本明細書で使用されるとき、「has」、「have」、「having」(有する)などの用語は、制限のない用語であることが意図される。さらに、「~に基づく」という語句は、そうでないことが明示的に示されない限り、「少なくとも部分的に~に基づく」を意味することが意図される。
【0012】
図1は、Txが無線信号の送信機を表し、Rxが受信機を表す、例示的な無線システムWiSを示す。送信機Txは、受信機Rx若しくは受信機のグループに信号を送信することができ、又はインターフェースIfを介して信号をブロードキャストすることができる。インターフェースは、任意の無線インターフェースであってもよい。インターフェースは、送信機Txによる送信及び受信機Rxによる受信に使用可能なリソースによって特定され得る。そのようなリソースは、時間領域、周波数領域、コード領域、及び空間領域のうちの1つ又は複数(又はすべて)において定義され得る。一般に、「送信機」及び「受信機」は、いずれも同じデバイスに組み込まれていてもよいことに留意されたい。言い換えると、
図1のデバイスTx、Rxは、Rx及びTxの機能もそれぞれ含むことができる。
【0013】
本開示は、特定の送信機Tx、受信機Rx、及び/又はインターフェースIfの実装形態に限定されない。しかしながら、本開示を、いくつかの既存の通信システム及びそのようなシステムの拡張機能、又は新しい通信システムに容易に適用することができる。既存の通信システムの例は、例えば、現在又は将来のリリースの5G新無線(NR)、及び/又は、最近研究されているIEEE802.11beなどのIEEE802.11ベースのシステムであってもよい。無線信号は、人の通信又は機械通信を必ずしも実行しないという意味で、必ずしも通信信号ではない。無線信号は、レーダ信号又はサウンディング信号などのセンシング信号であっても、他の種類の無線信号であってもよい。
【0014】
一般にWi-Fiと呼ばれるIEEE802.11は、30年存在しており、世界中の無線トラフィックの半分以上をサポートする数十億のデバイスにより最も普及している無線通信規格の1つになっていることはほぼ間違いない。スループット、容量、レイテンシ、スペクトル、及び電力効率に関するユーザの需要の高まりにより、それに対処すべく規格を更新又は修正する必要がある。したがって、Wi-Fiは、一般に、5年毎にそれ自体の特性的特徴に関して新しい修正を有する。前の世代では、より高いデータレートが主に重視されていたが、デバイスの密度が増加し続けることに伴い、面積効率がWi-Fiネットワークの主な問題になっている。この問題により、最新の修正(802.11ax)及び今後の修正(802.11be)は、効率の問題をより重視している。
【0015】
将来、多種多様なセンシングアプリケーションが存在する可能性があり、各アプリケーションは、最適なフレーム設計及び送信機構を有することになる。加えて、これらのセンシングアプリケーションは、ワイヤレスフィデリティ(Wi-Fi)又はNRなどの通信フレームワークに組み込まれることになる。現在、これらのセンシングアプリケーションをサポートするため又はジョイントセンシング及び通信(JSC)アプリケーションをサポートするための標準化されたフレーム設計又は送信機構はない。異なるセンシングアプリケーション及びJSCアプリケーションの要件のすべてに対応する1つの設計を有することは、実現可能ではないと思われる。異なるセンシングアプリケーションは、異なるパフォーマンス及びサービス品質メトリックを必要とすることがある。同様に、異なるJSCフレーム設計及び送信機構は、レンジ分解能、精度、又はスループットなどの異なるサービス品質メトリックを満たすことができる。チャネル条件及び環境条件を変化させることも、センシングのパフォーマンスに大きな影響を及ぼす。したがって、異なるフレーム設計及び送信機構を含む単一のフレームワークと、適切なフレーム設計及び送信機構の選択とが望ましいとされ得る。このようなフレームワークは、柔軟性及び適応性のある送信設計及びフレーム構造を含むべきである。将来の無線ネットワークは、無線センシングを、唯一の機能として行う、又は通信関連パフォーマンスを向上させるため若しくは通信関連アプリケーションを強化するために通信と共に行う、多数のデバイスを含む可能性がある。
【0016】
言い換えると、無線センシングは、将来の無線ネットワークにおいて多数のアプリケーションを有する可能性がある。これらのアプリケーションは、無線通信パフォーマンスの向上、完全没入型拡張現実などのアプリケーションの有効化、スマート環境の有効化による生活の質の向上、非侵襲的検査及びバイタルサインのモニタリングによる健康関連アプリケーションの改良などの領域にわたる。したがって、将来の環境は、多種多様な無線センシングデバイス及びそれらのアプリケーションをホストすることが予想される。これらのデバイスは、現在の無線通信デバイスと共存し、現在の無線通信デバイスのセンシングパフォーマンスを維持しなければならない。各通信サービス(eMBB、mMTC、URLLC)が異なるリソース要件を有し、異なるサービス品質(QoS)メトリックを満たす5Gと同様に、センシングアプリケーションも、異なるパフォーマンス要件を有し、したがって、異なるリソース要件を有することになる。これらの要件はまた、環境及びスペクトルの変化に伴って変化し得る。デバイス/技術のアクセシビリティにより、無線センシングはWLANデバイスを使用して研究されている。802.11bfタスクグループスタディグループは、Wi-Fi7の修正であり、Wi-Fi7のリリースに間に合うように完成されると予想される。加えて、5Gは前の世代よりもWi-Fiスペクトルを便宜的に使用するため、5GとWi-Fiとは重要な連携協力を有する。これは、前述した第6世代(6G)の構想と組み合わせて、無線センシングが同様に将来のセルラ規格の一部となることを示す。
【0017】
実施形態によれば、無線信号の送信をスケジュールするための方法が提供される。スケジューリングは、
図2に示すようなスケジューリングデバイス20によって行うことができる。
【0018】
方法は、スケジューリングデバイス20の側で、無線デバイスによる信号の送信をスケジュールする要求を受信するステップを含む。無線デバイスは、通信デバイス、センシングデバイス、又はJSCデバイスであってもよい。
図2は、スケジューリングデバイス20からの信号送信のためのリソースを要求する複数の様々なデバイスを示す。特に、複数のデバイスは、通信デバイスCD1、CD2、JSCデバイスJSC1、JSC2、及びセンシングデバイスSD1を含む。一般に、通信デバイスは、無線規格による通信などの無線通信を利用するアプリケーションを実行するように構成されているデバイスである。
【0019】
センシングデバイスは、無線センシング機能を有する。センシングデバイスは、センシングアプリケーションを実行するように構成されている。これらのデバイスは、感知された測定値を送信する無線通信を行うように構成可能であり又は構成されてもよく、このような測定値は、一般的に、通常の通信アプリケーション又はデバイスによって送信されるデータ量と比べて少量のデータである。センシングの際に、測定値がパラメータ(特徴)として取られ、これは、受信した無線信号から、直接又は何らかの処理後に取り出すことができる。測定されるパラメータのいくつかの非限定的な例は、受信信号強度指標(RSSI)、チャネル状態情報(CSI)、レンジ、速度などを含む。
【0020】
JSCデバイスは、(1つ又は複数の)通信アプリケーション又は(1つ又は複数の)センシングアプリケーションの両方を実行するように構成されている。例えば、JSCデバイスの主な機能は通信であってもよく、これは、JSCデバイスが、送信する大量のデータを有することができるが、通信パフォーマンスを向上させるため、又はナビゲーションなどのユーザアプリケーションのために、無線センシングも行うことができることを意味する。
【0021】
センシングデバイスのいくつかの非限定的な例は、スマートバンド、心拍数モニタ、体格モニタなどの非侵襲的医療用センサを含む。JSCデバイスによりサポート(実装)されるアプリケーションの非限定的な例は、ビーム管理のための物体追跡及び/又はユーザ追跡、物理的ユーザ(人)識別による物理層セキュリティなどを含む。非限定的なデバイスの例は、携帯電話、ラップトップ、タブレット、アクセスポイント(AP)などを含む。
【0022】
図2において、スケジューリングデバイス20は、複数のデバイスCD1、CD2、JSC1、JSC2、SD1からリソース要求(スケジューリング要求とも表記する)を受信した。要求は、送信される信号が通信信号であるかセンシング信号であるかの表示を含む。このような表示は、1つ又は複数のパラメータから明白であり、又は導き出すことができる。例えば、センシングデバイス又はデバイスのセンシングアプリケーションからの要求を、センシング信号を送信する要求と解釈することができる。同様に、通信デバイスの通信アプリケーション若しくはデバイスからの要求を、通信信号を送信する要求と解釈することができる。
【0023】
例示的な実装形態において、リソース要求は、通信規格の第1のフレームフォーマットに従うフレームにおいて送信される。このような通信規格は、Wi-Fi規格又は3GPP規格などのグローバル通信規格のような無線通信規格のうちの1つであってもよい。しかしながら、通信規格は、異なる規格をサポートするデバイスの通信及び/又はリソース管理又はスケジューリングを容易にするように、特別に設計された規格であってもよい。第1のフレームフォーマットが、すべての種類のデバイス(通信、センシング、JSC)及び任意の種類のアプリケーション(センシング、通信)によってサポートされると有利であり得る。
【0024】
次いで、スケジューリングデバイス20は、受信した要求について、どのフレームフォーマット、及び場合によっては、どの送信パラメータに、要求している無線デバイスがリソースをそれに応じて適用し割り当てるかを決定する。スケジューラによる決定を、任意の既知のスケジューリング方策に従って行うことができる。例えば、スケジューリングデバイス20は、制御しているリソースの現在の占有率、セル(管理領域)のトラフィック負荷、送信を要求しているデバイスの数、チャネル品質、環境、デバイスのタイプ、アプリケーションのタイプ、スケジュールしたアプリケーション及びスケジュールされるアプリケーションの優先度などを考慮に入れることができる。
【0025】
例えば、送信される(スケジュールされる)信号が通信信号である場合、スケジューリングデバイス20は、信号の送信のためのリソースを通信規格の第2のフレームフォーマットに割り当てる。第2のフレームフォーマットは、第1のフレームフォーマットと同じであってもよい。しかしながら、これらのフォーマットは異なっていてもよい。特に、第1のフレームフォーマットを送信するために使用される通信システムと第2のフレームフォーマットを送信するために使用される通信システムとは、異なっていてもよい。しかしながら、これらは同じであってもよい。
【0026】
送信される(スケジュールされる)信号がセンシング信号である場合、スケジューリングデバイス20は、信号の送信のためのリソースを、第2のフレームフォーマットとは異なる第3のフレームフォーマット又は第2のフレームフォーマットに割り当てる。したがって、センシング信号を、通信フレーム内、又はセンシングアプリケーションにより適したフレーム、例えばセンシングフレーム内にスケジュールすることができる。センシングフレームは、センシング規格のフレームフォーマット(第3のフレームフォーマット)に従うことができ、又は、追加の信号構造なしで、センシング信号によって単に直接構成することができる。
【0027】
フレームのスケジューリングのための適応フレームフォーマット選択は、センシング信号の帯域幅が通信規格の動作帯域幅に少なくとも部分的に重なるときに、より効率的な共存を容易にすることができる。
【0028】
一部の実施形態において、センシング信号は、連続レーダ信号又は周期レーダ信号である。一部の実施形態において、センシング信号は、無線センシング、無線ローカルエリアセンシング、及び/又は非侵襲的医療センシングをサポートするセンシングアプリケーションによって発生した信号である。
【0029】
一般に、無線センシングは、受信信号のいくつかの特徴を測定することによって行われる。他方、通信は、送信機において、符号化された情報を受信信号から検出することによって行われる。通信では、受信信号のいくつかの特徴を使用して、検出(復調及び復号など)を行う。
【0030】
無線センシング及びJSCに使用されている多数のフレーム設計、波形、及び送信方式がある。これらの使用は、使用されている無線センシングの方法に応じて決まる。例えば、無線センシングは、以下の方法のうちの1つで行うことができる。
【0031】
無線フィンガプリント:異なる動作を行っている間に、異なる位置で又は固定センサを用いて測定値を取る。これらの測定値を処理し、それぞれの位置/動作と共にルックアップテーブルに予め格納することができる。これらの測定値は、RSSI、CSI、SNRなどのうちの1つ又は組合せであってもよい。無線フィンガプリントのパフォーマンスに影響を及ぼし得る環境要因は、(マルチパス及び小規模フェーディングに直接関連する)環境の複雑度(マルチルーム、LOS、NLOS、クラッタ、障害物など)、モビリティなどである。無線フィンガプリントのパフォーマンスに影響を及ぼし得るスペクトル条件は、干渉である。
【0032】
レーダベースのセンシング:センシング信号を、ある一定のレート及びデューティサイクルで送信し、これらの信号の反射を処理して、物体のレンジ、サイズ、相対速度、材料などの物体についての情報を学習する。レーダアプリケーションでは、高い送信電力及び非常に低い受信電力による、高い自己相関特性及び低いピーク対平均電力比(PAPR)を有する波形又はフレーム設計が好ましい。一般的な波形は、パルス波形又は周波数変調連続波形である。レーダパフォーマンスに影響を及ぼし得るフレーム設計及び送信機構ベースの要因は、送信電力、デューティサイクル、パルス繰返し周波数、周波数変調、キャリア周波数、自己相関特性、帯域幅、信号周期、発射角、ビーム幅、ビーム掃引速度などである。レーダパフォーマンスに影響を及ぼし得る環境要因は、クラッタの量、物体の物理的特性(サイズ、材料など)、物体の位置、大気条件(例えば、湿度)などである。レーダパフォーマンスに影響を及ぼし得るスペクトル条件は、占有率、ユーザの数、干渉、チャネル条件(時間/周波数選択)などである。
【0033】
パターンベースのセンシング:これは、測定値をルックアップテーブルに予め格納するのではなく、検出すべき動作/物体を表すパターンを測定値から取り出し、このパターンを使用して、将来の測定において動作/物体を検出することを除いて、無線フィンガプリントと同様である。フレーム設計及び波形の例は、Wi-Fiの物理プロトコルデータユニット(PPDU)パケット、OFDM波形、及び直交時間周波数空間(OTFS)波形である。センシングのパフォーマンスに影響を及ぼし得る、フレーム設計及び送信機構に関連する要因は、センシング/トレーニング/パイロットシーケンス、これらのシーケンスの配置(どのサブキャリアか)、帯域幅、キャリア周波数、パケット長さ、パケット繰返し周波数、発射角、ビーム幅、ビーム掃引速度、RF障害などである。センシングパフォーマンスに影響を及ぼし得る環境関連要因は、領域のいくつかの移動体(環境静止性)、検出すべきいくつかのユーザ/物体、検出すべき運動/動作/活動の性質(大きい/小さい変位、低速/高速移動など)、大気条件、検出すべき物体/ユーザの物理的特性などである。レーダパフォーマンスに影響を及ぼし得るスペクトル条件は、占有率、ユーザの数、干渉、チャネル条件(時間/周波数選択)などである。
【0034】
一般に、本開示は、前述の3つのタイプのセンシングに限定されない。
【0035】
無線センシングによって測定される受信信号の特徴は、限定されないが、飛行時間、RSSI、CSIなどを含むことができる。無線センシングのパフォーマンスに影響を及ぼす送信信号パラメータは、限定されないが、送信周波数、帯域幅、波形、電力、トレーニングシーケンス又はセンシングシーケンス、自己相関能力、パイロット、ビーム角及びビーム幅(ビームフォーミングが行われている場合)、デューティサイクル、送信レートなどである。
【0036】
いくつかの例示的で非限定的な無線センシングパフォーマンスメトリックは、最大/最小レンジ、レンジ分解能、レンジ精度、最大/最小速度、速度分解能、速度精度、分離可能な物体の数(レンジ及び速度において分離可能)、最小の検出可能な物体の分離、到来角精度などを含む。ネットワークパフォーマンスについて、センシングに起因して受ける追加のネットワーク負荷も、重要なメトリックである。
【0037】
無線センシングは、2.5ギガヘルツ(GHz)、5GHz、及び60GHz超などのWi-Fi帯域において広く研究されている。したがって、他のWi-Fiデバイス、及び便宜的なセルラデバイスに対する干渉があり得る。無線通信は、様々なレベルのセキュリティ、スループット、及びレイテンシを必要とし得る。しかしながら、センシングデバイスから起こり得る干渉は、無線通信パフォーマンスを低下させることがある。これを軽減するために、JSC信号又は波形を使用することができる。その結果、フレーム設計、波形、及び送信機構のいくつかの組合せがあり得、これを使用して、通信及びセンシングの両方を満足させることができる。
【0038】
スペクトル使用、電力などに関して最大効率を有し、スループット、信頼性、センシング精度などに関してセンシング及び通信パフォーマンスを有する、同じ(又は少なくとも部分的に重なる)周波数帯域において、無線センシングデバイス、通信デバイス、及びJSCデバイスが、平穏に動作/共存することが望ましい。これは、単一の固定されたフレーム設計及び送信機構を用いては、効果的に実現可能でないことがある。すべての設計及び機構は、それ自体の利点と欠点とを有する。同時に、センシング要件、通信要件、又はJSC要件は、アプリケーションパフォーマンスのフィードバックに基づいて、非常に動的であり得る。したがって、適応性及び柔軟性のあるフレーム設計及び送信機構選択フレームワークが有利であり得る。
【0039】
本開示の一部の実施形態は、(1つ又は複数の)ジョイントセンシング及び通信システムのそのような適応フレーム設計及び送信機構選択に関する。将来の無線ネットワークは、通信と共に、共同で又は唯一の機能として無線センシングを行う多数のデバイスを含む可能性がある。無線センシング能力は、一般的に、信号設計及び送信機構に依拠する。送信信号は、デバイスの通信の必要がある場合に、それを満たすこともできなければならない。センシング及び通信要件は、異なるデバイス及びアプリケーションについて異なる。単一の固定フレーム、信号、又は機構設計は、デバイス/アプリケーションの異なる要件を満たすには不十分であり得る。したがって、単一のフレームワークに組み込まれた異なる様々な設計が望ましい。
【0040】
本開示の一部の実施形態によれば、適切なフレーム構造及び送信機構は、センシング要件、ジョイントセンシング及び通信要件に基づいて、並びに/又は、変化する環境条件に基づいて信号に割り当てられる。フレーム及び送信機構設計は、センシング機能又は通信機能の優先度、及び場合によっては、センシングアプリケーション要件、環境条件、ネットワークトラフィック、スペクトル占有率などの他の基準に応じて変化する。
【0041】
上記で例示したように、スケジューリングは、無線(センシング又は通信)信号を無線デバイスからスケジューリングデバイス又は他のデバイスに送信するために行うことができる。例えば、スケジューリングは、アップリングの通信信号又は2つ以上の無線デバイス間の送信のために行うことができる。センシング信号のスケジューリングは、センシング自体(例えばレーダ信号)のために行うことができる。或いは又は加えて、センシング信号(アプリケーション)のスケジューリングは、センシング結果を別の無線デバイス又はスケジューリングデバイスに通信するために行うことができる。スケジューリングは、ブロードキャスト/マルチキャストによって、センシング結果を複数のデバイスに通信するためであってもよい。
【0042】
一般に、本明細書でセンシング信号に言及するとき、これはセンシングアプリケーションによって発生した信号を意味する。これは、センシング信号自体(レーダインパルス若しくは連続信号など)、センシング結果(環境条件、医療パラメータ状態など)をレポートするセンシングアプリケーションの信号、又は(同じく)センシングに使用する通信信号であってもよい。同様に、通信信号は、通信ペイロード及び/又は制御データを含み得る信号を指す。
【0043】
例示的な実装形態において、センシング信号を送信するためのリソースが第3のフレームフォーマットに割り当てられるか第2のフレームフォーマットに割り当てられるかは、センシング信号の優先度、帯域幅のトラフィック負荷、帯域幅のチャネル品質、スペクトル占有率のうちの少なくとも1つに応じて決まる。加えて又は或いは、第3のフレームフォーマットは、センシング信号の優先度、帯域幅のトラフィック負荷、帯域幅のチャネル品質、及びスペクトル占有率のうちの少なくとも1つに基づいて、複数の予め定義されたフレームフォーマットから決定される。一般に、センシング信号(センシングアプリケーション)のフレームフォーマットが、アプリケーションのタイプ(センシングアプリケーション又は通信アプリケーション)と、場合によってはそれに加えて、優先度若しくはチャネル条件などの送信される信号についてのさらなる知識とを考慮に入れて選択されることが有利である。
【0044】
例示的な実装形態によれば、スケジューリング方法は、センシング信号を発生させたセンシングアプリケーションの優先度に対応するように、センシング信号の優先度を決定するステップをさらに含む。特に、決定するステップは、センシングアプリケーションが実行されるデバイスのアイデンティティ、センシングアプリケーションのアイデンティティ、及びセンシングアプリケーションのサービス品質要件のうちの1つ又は複数に基づいて、センシングアプリケーションの優先度を得るステップを含む。優先度は、例えばアプリケーションのデプロイメントに従って、単一のアプリケーションについて区別可能であってもよい。例えば、監視アプリケーションは、監視される物体に応じて異なる優先度を有することができる。このような優先度は、設定(構成)を行うための何らかのインターフェース(ユーザインターフェースなど)を提供し得るセンシングアプリケーションに設定されてもよい。無線デバイスにより優先度をスケジューリングデバイスに通信して、センシングを行ってもよい。
【0045】
例示的な実施形態において、優先度は、機械学習に基づいてトレーニングされたモジュールによって決定される。例えば、スケジューリングデバイスは、このようなトレーニングされたモジュールを含む。トレーニングされたモジュールは、任意の機械学習モジュール又は深層学習モジュールであってもよい。トレーニングされたモジュールの入力がパラメータのセットであってもよく、出力が優先度であってもよい。例えば、パラメータのセットは、デバイスのアイデンティティ及び/又はデバイスのタイプ、サービス品質要件(レイテンシ及び/又はエラー率など)、アプリケーションのデプロイメント、デバイスの位置などの前述したパラメータを含むことができる。モジュールは、そのような入力パラメータに対して適切な優先度を出力するように特にトレーニングされてもよい。ここで、適切とは、送信される異なる信号の相対的重要性に合う優先度レベルの適合性を指す。例示的で非限定的な実装形態において、2つの無線センシングアプリケーションデバイスが設けられ、一方が心拍数をモニタし、他方が睡眠をモニタする。これら2つのみのアプリケーションの場合、心拍モニタリングアプリケーションが優先される。しかしながら、様々な異なるアプリケーションを有する複数の無線デバイスがある場合、優先度の決定はより困難になり得る。そのような場合、前述したパラメータのセットを使用して、機械をトレーニングし、優先度を決定することができる。
【0046】
一般に、通信は、無線デバイスの最も重要な機能のうちの1つとなる可能性がある。他方、人の健康及び安全に関連する無線センサの進歩に伴って、センシング機能も重要になっている。したがって、共存を可能にする方法が、通信アプリケーション及びセンシングアプリケーションの両方にいくつかの利点をもたらすことができる。平穏な共存が不可能な状況では、一方が他方に優先することがある。例えば、802.11e規格において、一部の通信タイプを他の通信タイプよりも優先させることがあり、これは、より短いバックオフ期間及びより長い送信期間を可能にすることによって、音声通信及びビデオ通信などのリアルタイムのアプリケーションに、他の種類の通信よりも高い優先度を割り当てる。これは、リアルタイムの音声通信又はビデオ通信中に発生し得るレイテンシを低減させることを目的とする。他方では、センシングが通信よりも優先し得るシナリオがあり得る。このようなシナリオでは、より良好なリソースがセンシングに割り当てられるべきである。例えば、一部のシナリオにおいては、無線センサを使用する健康モニタリングを停止することができず、したがって、少なくともいくつかのレイテンシ耐性通信サービスよりも優先すべきである。したがって、本開示の一部の実施形態におけるフレーム設計及び送信機構パラメータは、アプリケーションが、センシングのみ、通信のみ、又は通信機能及びセンシング機能の両方を有するフレーム及び送信機構を採用しているかどうかに応じて、適応的に設計され選択される。
【0047】
図3は、様々な異なる無線デバイスを含む住居環境である例示的な環境を示す。この例で、アパートの異なる部屋における2つのアクセスポイントAPと、WLANを介して通信するデバイスSTA1、STA2、STA3を含む複数の無線デバイスとがある。これらは、例えば、スマートフォン、ラップトップ、タブレット、又は他のデバイスであってもよい。複数のデバイスは、無線センサWSをさらに含み、これは、単に信号を送信するセンサ、信号を受信するセンサ、又は信号の送信及び受信の両方を行うセンサであってもよい。これに対応して、このようなデバイスのいずれかが信号を送信(及び/又は受信)するように、スケジューリングを行うことができる。無線デバイスの位置及びレンジに応じて、チャネル品質は変化し得る。また、チャネル品質は、信号を同時に送信/受信(しようと)することができるデバイスによって生じる干渉に伴って変化し得る。
【0048】
通信機能及びセンシング機能の両方を有するフレームフォーマット及び送信機構の場合、(前述した優先度又はパラメータのセットにより反映され得る)要件に応じて、以下のうちの1つを選択することができる。
・通信アプリケーション及びセンシングアプリケーションの両方を提供して、それぞれのパフォーマンス/品質要件を満たす設計
・より良好なパフォーマンス(サービス品質)のセンシングと、わずかに低いパフォーマンス(例えば、より低いサービス品質)の通信とを提供する設計
・より良好なパフォーマンス(例えば、より高いデータレート)の通信と、わずかに低いパフォーマンスのセンシング(ただし、許容される精度及び誤警報率内でセンシングアプリケーションを提供するのにまだ十分である)とを提供する設計
ここでの例は、通信が、例えば、病院の遠隔操作ロボットのための通信のような重要なサービスであり、トレードオフなしで、必要なすべてのリソースを有するべき場合であり得る。センシングアプリケーションを含む他のアプリケーションは、リソース限界が問題になる場合に、わずかに低いサービス品質でも動作し得る。
【0049】
図10は、スケジューリングデバイスの例示的な適応フレーム選択を示す。異なる優先度のデータ送信及びセンシング送信があるシナリオが示されている。送信キュー1010は、優先度クラスごとの待機中の送信の量を示す。通信クラスは、いくつかの規格から既知であるものに対応し、この例では、音声サービス、ビデオサービス、バックグラウンドサービス、及びベストエフォートサービスを含むことができる。これらのクラスは、レイテンシ、データレート、パケット損失、セキュリティなどのパフォーマンスに関する要件が異なる。センシングアプリケーションは、ここでは、実施形態による様々なクラスも有する。これらのクラスは、健康重視、安全性重視、及びその他のサービス(アプリケーション)を含む。これらのクラスは、分解能、パケット損失、セキュリティなどのパフォーマンスに関する要件が異なる。センシング送信の送信機構/フレーム設計は、スケジューラ1050により、キュー(スケジュールすべきデータ量及びその優先度)、パフォーマンス要件(通信アプリケーション及びセンシングアプリケーションについて前述したものなど)、優先度及び使用可能なリソースに基づいて選択される。例えば、フレーム設計/送信機構を選択すると、音声通信又はビデオ通信を延期することはできないが、ベストエフォート通信又はバックグラウンド通信を延期することはできる。同様に、健康重視センシング送信及び安全性重視センシング送信を遅延又は延期することはできないが、他のセンシングアプリケーションを遅延又は延期することはできる。ここでは、ジョイント通信及びセンシング方式を選択して、時間重視通信サービス及び時間重視センシングサービス(アプリケーション)の両方をスケジュールできるようにしてもよい。
【0050】
優先度は、センシング及び通信アプリケーション、並びにこれらのアプリケーションが誤動作した場合に生じる副次的な影響を考慮して割り当てることができる。この場合、国の安全又は人の健康に関するアプリケーションは、他よりも優先することができる。同じ優先度のアプリケーション間では、ユースケース又は環境条件を考慮することができる。例えば、可能な実装形態において、ホームセキュリティの無線モニタリング(監視)システムは、銀行などのより貴重な物体を含む場所の無線モニタリングシステムよりも優先度が低くなる。したがって、後者のアプリケーションユースケース(デプロイメント)は、より高い精度及びより低い誤警報率を有する(例えば、より高いQoS要件を満たす)ことが有利である。
【0051】
したがって、単一のフレーム構造及び送信機構設計は、同一のアプリケーションについても効率的でないことがある。より低い優先度のアプリケーション及びアプリケーションユースケース(デプロイメント)の場合、準最適なフレーム及び機構設計を使用することが許容され得るが、より高い優先度のアプリケーションは、最適なフレーム及び機構設計を使用すべきであることが好ましい。ここでは、最適という用語は、使用可能な(予め定義された)フレームフォーマット及び/又は送信機構のセットのうちの最良のものを指す。最適性又は最適化の程度は、費用関数に基づいて決定され得る。このような費用関数は、サービス品質又は他の要件を満たすことに対するスペクトル効率の制約を含み得る。
【0052】
簡単に前述したように、優先度は、(例えば、スケジューリングデバイスの、又は外部の、場合によってはスケジューリングデバイスと通信する)コントローラを使用して、又は人のユーザにより割り当てることができる。一部の例示的な実装形態において、コントローラは、人工知能(AI)技術を採用し、又は統計的特徴に基づいて、どの優先度をアプリケーションに割り当てるかを決定する。
【0053】
センシング機能及び通信機能の優先度、並びにこれらの機能のアプリケーションの優先度を、以下のパラメータ/基準から決定することができる。
【0054】
デバイスアイデンティティ(ID):国の安全に関する又は人の生活に直接影響を及ぼす(例えば、遠隔手術)非常に重要なタスクを有するデバイスは、通信アプリケーション又はセンシングアプリケーションのすべてに優先するIDを有することができる。
【0055】
アプリケーション:デバイスのメインアプリケーションは、優先度基準であってもよい。例えば、セキュリティデバイスは、レジャー用通信デバイスよりも優先すべきである。1つのシナリオにおいて、環境をモニタする無線センサセキュリティデバイスは、無線ストリーミングデバイス/アプリケーションよりも優先すべきであるが、音声通信アプリケーションより優先すべきではない。これは、危険な状況の場合に、音声通信アプリケーションが当局への呼出しになり得るからである。
【0056】
QoSメトリック:一部のアプリケーションは厳密なQoSメトリックを有する。これらのアプリケーションは、他よりも優先すべきである。例えば、前の2つの基準の後で、低レイテンシ通信アプリケーションが、重要でないセンシングアプリケーションに優先すべきである。
【0057】
例示的な実装形態において、次に、フレーム及び送信機構の適応が以下のように(1つ又は複数の以下の可能性により)行われる。
【0058】
アプリケーションデバイス(無線センサ、携帯電話、ラップトップ、及び他の無線可能デバイス)は、(アプリケーションの)優先度に基づいて、アプリケーションにペナルティ及びリワード値を割り当てていてもよい。
【0059】
デバイス(UE、STA、センサデバイス、又は一般に無線デバイス)は、グローバルフレーム(例えば、前述の第1のフレームフォーマットを有する)と、制御デバイス(例えば、スケジューリングデバイス)及び規格で定義されたものにより決定された機構設計とを使用して、送信を開始することができる。
【0060】
無線デバイス(UE、STA、センサデバイスなど)は、一部の実施形態において、フィードバックを制御デバイスに送信し、フィードバックに基づいて、制御デバイスは、フレーム及び/又は送信機構設計のパラメータを適応的に変化させる。
【0061】
言い換えると、実施形態(前述の実施形態及び例のいずれかと組合せ可能)によれば、方法は、無線デバイスからフィードバックを受信するステップをさらに含む。フィードバックは、サービス品質要件、優先度、必要なリソース、及び/又はチャネル品質に関連することができる。
【0062】
システムの効率及び適応能力(適応性)を向上させるために、方法において、センシング信号を送信するリソースが、第3のフレームフォーマットに割り当てられるか第2のフレームフォーマットに割り当てられるかは、受信したフィードバックに基づいて決定される。加えて又は或いは、第3のフレームフォーマットは、受信したフィードバックに基づいて決定される。例えば、第3のフレームフォーマットは、センシング信号(センシングアプリケーション)に適した、予め定義された複数の可能なフォーマットから選択される。
【0063】
方法は、受信したフィードバックに基づいて、信号の送信のための1つ又は複数の送信パラメータを決定するステップをさらに含むことができる。例えば、送信パラメータは、送信レート若しくは繰返し率、キャリア周波数、チャネル割当て、センシングシーケンス若しくは波形、環境の特性、帯域幅、パケット長さ又は信号持続時間、ビームフォーミングパラメータ、ヌメロロジー、サイクリックプレフィックス持続時間、及びフィルタリングパラメータ若しくはウィンドウパラメータなどのうちの1つ又は複数を含む。
【0064】
特定の例示的な実施形態において、1つ又は複数の送信パラメータは、環境の特性を含む。環境特性は、チャネル品質、及び、特にミリメートル波などの低波長の帯域幅のカバレッジに影響を及ぼすことがある。例えば、環境の特性は、無線デバイスにおいて、
環境の画像を取り込み、機械学習に基づいてトレーニングされたモジュールを用いてその画像を解析すること、
湿度、温度、及び/又は圧力センサによって環境をセンシングすること、
のうちの1つ又は複数によって得られる。
【0065】
言い換えると、環境条件は、環境センシングアプリケーションなどのセンシングアプリケーションによって得ることができる。例えば、環境の特性は、初期の/粗いセンシング送信から得ることができる。加えて又は或いは、前述したようなカメラ(人の視覚スペクトル用の通常のカメラ及び/又は赤外線などを含み得る)を、何らかの画像処理と共に採用することができる。一般に、環境(チャネル特性に影響を及ぼし得る環境の湿度、温度、圧力、物体など)に関連するものを感知する任意の種類のセンシングデバイス、又は環境についての情報を推測するために使用可能な任意のセンサを、カメラに加えて又はその代わりに使用することができる。
【0066】
前述したように、送信パラメータを、フィードバックに基づいて適応的に変化させることができる。以下で、そのようなパラメータのいくつかの例を示す。
【0067】
パケット送信レート又はパルス繰返し周波数
パケット送信レート又は繰返し周波数は、センシングアプリケーション又は通信アプリケーションの動作中に増減し得る。特にセンシングアプリケーションは、センシングデータをレポートするための周期的センシング信号及び/又は周期的信号に対応する何らかの周期的トラフィックを有することができる。これは、時間間隔ごとに行われる測定の数に関連する。一部のアプリケーションは、所与の期間にわたる測定結果に対する小さい変化のみを生じさせる/検出する。このような場合、余分な測定は冗長になり、スペクトルの消耗を生じさせ得るため、センシング信号(センシング結果を感知するために使用される信号又はセンシング結果をレポートするために使用される信号)の送信レート又は繰返し周波数を低下させることがある。逆に、一部のアプリケーションは、測定された値の非常に動的な変化を生じさせることがある。このようなアプリケーションには、測定不良があり得、これは、検出/認識/識別の能力に影響を及ぼす。このようなシナリオでは、送信レート又は繰返し周波数を高めて、スペクトル効率を犠牲にして精度要件を満たすべきである。ここでは、パケット送信レートに言及するとき、これは、測定レポート又は測定信号(サウンディング信号、又はレーダ信号のような、センシングが行われる信号など)を伝えるパケットの周波数を意味する。パルス繰返し周波数は、例えば、レーダアプリケーションにおいて、レーダパルス信号の周波数であってもよい。
【0068】
異なるアプリケーションの可変パケット送信レート又は繰返し周波数の例は、ジェスチャ識別及び睡眠時の姿勢モニタリングにおけるパターンベースのセンシングのためのものであり得る。ジェスチャ識別では、毎秒100パケット(pkts/s)の割合で信号を送信することができる。他方、睡眠モニタリング(姿勢及び呼吸数)には5~20pkts/sを使用することができる。いくつかの研究によれば、睡眠プロセスがより長い時間スケールにわたって変化するため、20pkts/s~5pkts/sのパケット送信レートの変化は、睡眠モニタリングの精度をごくわずかしか低下させることがない。
【0069】
当業者に知られているように、さらなる例が可能である。例えば、環境(天候)センシングでは、さらに小さいパケットレートを使用することができる。自律ロボット/走行車ナビゲーションの場合、レーダセンシングは、安全性を高めるために、より高い信号/パケット送信レートを必要とし得る。したがって、一部の実施形態では、アプリケーションに応じて、異なるパケット送信レートが適切であり、(スケジューリングデバイスによって)適応的に変化させることができる。
【0070】
キャリア周波数
位置の変化を検出するためのアプリケーションは、その波長により、ミリメートル波(ミリ波)でより良好に実行される。したがって、センシングを、より高い周波数で行うことができると有利である。しかしながら、物体が大きい又は運動量が多い場合、このような周波数のセンシングにより、多くのピーク(又は検出)が生じる。したがって、これらのアプリケーションセンシングは、2.4GHz又は5GHzなどの低周波数帯域であることが望ましいとされ得る。言い換えると、アプリケーション及び/又はそのデプロイメントに応じて、キャリア周波数を、(スケジューリングデバイスによって)センシング(信号)のために選択することができる。
【0071】
チャネル及びサブキャリア
周波数帯域及びチャネルの選択後、一部のサブキャリアは、(場合によっては異なる周波数の信号の異なる伝搬特性による)一部の運動/物体/動作に対してより敏感又は予測可能であり得ることがわかっている。これは、CSI又はRSSI測定による低周波数パターンベースのセンシングアプリケーションで特に重要であり得、この場合、一部のサブキャリアが、検出すべき動作/運動/物体に対して応答せず、他のサブキャリアが、毎回、同じ(類似ではない)応答をすることがある。このような場合、センシングシーケンスを一部のサブキャリアに配置すると、失敗が生じ得る。したがって、一部の例示的な実装形態において、適切な(例えば最適な)サブキャリアが見つかるまで、センシングシーケンスサブキャリアを変化させることができる。同様に、通信アプリケーション又はセンシングアプリケーションにおいて最適なサブキャリアを見つけるように、チャネルを変化させることができる。一般に、センシング信号及び/又は通信信号の送信に使用されるサブキャリアを、(スケジューリングデバイスにより)それらのサブキャリアのチャネル品質フィードバックに従って適応させることができる。
【0072】
センシングシーケンス及び波形
一部のセンシングシーケンスは、他のセンシングシーケンスよりも良好な自己相関特性を有する。レーダベースのセンシングアプリケーションの場合、これらの特性を使用して、タイムラグ及び周波数オフセットを同期させて検出し、次いで、これらを使用して、レンジ及び速度を計算する。フィンガプリント法又はパターンベースのセンシングでは、自己相関も使用して、デバイスの識別に使用可能な、周波数オフセット、位相オフセット、IQ不均衡などの障害を見つける。同様に、異なるレーダ波形は、異なる利点及び欠点を有する。例えば、パルスレーダ波形は、より多くのスペクトル及び電力効率を有するが、速度を直接測定することはできない。通信技術における異なる波形にも同じことが当てはまる。例えば、直交周波数分割多重(OFDM)は、より高いPAPRを有することがあり、これにより、レーダアプリケーションの使用が困難になり得る。OTFSは、より良好な自己相関特性を有することができるが、受信機に複雑性を加える。したがって、一部の例示的な実装形態において、センシングシーケンス及び/又は信号波形は、受信機の要件及び能力、変化する環境条件、及び変化する目標条件に基づいて変化する。加えて、前述したように、JSC波形が使用されている場合、センシングパフォーマンス及び通信パフォーマンスを一緒に考慮することもできる。一般に、スケジューリングデバイスは、感知すべき物体に基づいて、例えばセンシングアプリケーションのデプロイメントに基づいて、疑似ランダムシーケンスなどのセンシングシーケンス又はパルス形(一般に波形)を適応させる(制御する、構成する)ことができる。JSC波形の場合、通信及びセンシングの両方について同じ(共通)であり、且つ予め定義された波形のセットの間で最良のパフォーマンスを有する波形を選択ことが有利であり得る。
【0073】
帯域幅
帯域幅は、レーダベースのセンシングの速度及びレンジ分解能を高める。帯域幅は、使用(測定)可能なサブキャリアの増加によるパターンベースのセンシングに関連していてもよく、このサブキャリアの増加は測定される情報も増加させる。無線顔認識、セルラ撮像、及び他の医用撮像技術などの正確な無線撮像には、高い分解能が望ましいとされ得る。すべてのデバイスが、高帯域幅のアプリケーションをサポートできるわけではなく、帯域幅の増加はスペクトル効率を低下させる。したがって、一部の例示的な実装形態において、スケジューリングデバイスは、通信及び/又はセンシングアプリケーションの要件に基づいて、且つ負荷、チャネル品質、所望のQoS、優先度などの他のパラメータに基づいて、通信アプリケーション及び/又はセンシングアプリケーションに帯域幅を適応させる。
【0074】
パケット長さ/信号持続時間
このパラメータは、時間内の連続する測定の数を決定する。長いパケット長さ/信号持続時間は、スペクトル効率及び電力効率、場合によっては公正性を低下させる。しかしながら、センシング信号のパケット長さ/持続時間が短すぎると、測定が所望の動作/運動/物体を検出するのに十分ではないことがある。したがって、一部の例示的な実装形態におけるスケジューラは、センシングアプリケーション及び/又はデプロイメントに応じて、センシング信号のパケット長さ又はセンシング信号の持続時間を構成する。
【0075】
ビームフォーミングパラメータ
あるシナリオ、例えば、非常にクラッタの多いシナリオでは、センシング信号の無指向性送信により、多すぎる反射及びマルチパスが生じ、これを正しく処理できないことがある。このようなシナリオで、一部のデバイスはビームフォーミングを使用し、ビームフォーミングでは、信号が狭ビームで送信されて、マルチパス及び反射の数を減少させる。このような場合、ビームパラメータを適応的に変化させる必要があり得る。ビーム幅が狭すぎると、信号が物体に当たらないことがあり、又は当たるが結果として得られる測定値が物体の真の性質を反映しないことがある。逆に、ビーム幅が大きすぎると、他のアプリケーションに干渉する、又はマルチパスを増加させることがある。同様に、発射角は、物体を追跡することができなければならず、掃引速度は、測定値を受信及び処理する十分な時間があるような速度でなければならない。
【0076】
ヌメロロジー
5Gセルラ規格では、構成可能な異なる通信サービス及びチャネル条件のための異なるサブキャリア間隔がある。チャネル条件は、通常、物理的環境をある程度反映するため、一部のセンシングアプリケーションでは、これらのチャネル条件を検出及び追跡することが興味深いことがある。したがって、サブキャリアが最大のチャネル変化を受けることができるサブキャリア間隔が、センシングアプリケーションに好ましいことがある。しかしながら、これらのチャネル変化は、通信アプリケーションには好ましくないことがある。したがって、選択されるヌメロロジーが考慮され得る。特に、アプリケーションのヌメロロジーを、(1つ又は複数の)無線信号を送信する無線デバイスがJSCであるかどうか、及び/又は無線デバイスが通信及びセンシングの両方を行うアクティブなアプリケーションを有するかどうかに応じて選択することができ(例えば、スケジューリングデバイスによって構成することができ)、したがって、センシングと通信との間におけるヌメロロジーの切替えを避けることができる。
【0077】
前述した送信パラメータ以外に、時間及び周波数のフィルタ位置確認、CP持続時間、フィルタリング/ウィンドウ、及びフィルタ長さ又は他のパラメータを、センシングアプリケーションのために適応的に選択することができる。
【0078】
前述したような送信パラメータは、ナルデータパケット(NDP)サウンディングに使用されることがあり、したがって、センシング動作パラメータに対応し得る。チャネルの測定は、通常NDPによって行われるため、センシングアプリケーションのパフォーマンス要件を満たすために、NDPの送信パラメータをネゴシエートすることが重要であり得る。
【0079】
環境において、固有のセンシングアプリケーションに属する複数のセンシングセッションを同時に行うことができる。重複する信号カバレッジを有するいくつかのデバイスの存在により、様々な構成があり得る。いくつかの例示的な構成の選択肢は、
a)主にそれ自体のセンサによって環境を感知する、自律走行車などのスタンドアロンデバイス、
b)AP-非AP STA、非AP STA-非AP STA(ポイントツーポイント、P2P)センシング、及び/又はジョイントセンシング及び通信、並びに、
c)AP-複数の非AP STA、非AP STA-複数の非AP STA(ポイントツーマルチポイント、P2M)センシング、及び/又はジョイントセンシング及び通信である。
【0080】
前述したように、一部の例示的なタイプのセンシング(測定に基づく)は、
前述したレーダベースのセンシング(遅延測定又は遅延及びドップラシフト測定に基づいていてもよい)、
CSIベースのセンシング、
RSSIベースのセンシング、及び、
SNRベースのセンシング(例えば、センシングビームSNR)、
を含むことができる。
【0081】
トリガベースのセンシングの場合、センシングセッションセットアップ中に、センシング動作パラメータをネゴシエートすることができる。これは、セッション中にパラメータが1度だけ送信されるという利点をもたらすことができる。他方、パラメータを、セッション中に要件を変化させることに適応させることはできない。そうするためには、セッションを終了させる又は再びネゴシエートする必要がある。
【0082】
別の選択肢は、測定セットアップ中のセンシング動作パラメータのネゴシエーションである。このようなネゴシエーションにより、センシング動作パラメータを必要に応じて頻繁に送信することができる。他方、応答STA(RSTA)は、これらのパラメータをサポートできなくてもよい。
【0083】
STA又はAPなどのセンシングデバイスの有利な実装形態において、動作パラメータのネゴシエートは、センシングセッションセットアップ、及び任意選択で測定セットアップ時に強制的に行われる。動作パラメータが測定セットアップ時に(再び)定義されない場合、動作パラメータは、センシングセッションセットアップ時にネゴシエートされた動作パラメータと比較して、変化しないままであると想定される。したがって、例示的なSTA又はAPは、セッション開始時にセンシング動作パラメータをネゴシエートするように構成され、測定セットアップの間に動作パラメータをネゴシエートするようにさらに構成され得る。例えば、チャネル状態に基づく条件があり得、それに従って、センシングデバイスは、最初にネゴシエートされたセンシング動作パラメータを(再び)ネゴシエートするか否かを決定する。
【0084】
前述した動作パラメータのうち、センシングの品質及びレート(場合によっては、計算複雑性も)に、より大きく影響を及ぼす可能性のあるパラメータは、
要求されるセンシングレート(どのくらい頻繁にセンシングを行うかを特定し、例えば、送信デバイスにより送信される1秒当たりの最小フレーム数により示され得る)、
帯域幅又はチャネル幅(例えば、絶え間ない(周波数領域が連続する)送信の帯域幅を特定する)、
ビーム幅(例えば、相対ビーム幅(例えば、60GHz超の帯域について、粗、中間、細の3つのレベルなどのレベルによって示される))、
送信出力電力(例えば、送信の許容される最小送信出力電力及び最大送信出力電力を特定する)、
である。
【0085】
以下で、これらのセンシング動作パラメータ及びその影響についてより詳細に説明する。
【0086】
要求されるセンシングレートは、NDPの周波数によって表すことができ、対応する測定が、測定の時間領域分解能を決定する。異なるセンシングアプリケーションは、時間分解能の異なる要件を有することができる。例えば、前述したように、ジェスチャ認識は、睡眠モニタリング(毎秒5フレームでも十分に行われる)よりも頻繁な測定(例えば、毎秒100フレーム)が必要である。NDP及び対応する測定が少なすぎると、測定値が古くなることがあり、これはNDP繰返し期間内のチャネル条件の変化によって生じ得る。他方、NDP及び対応する測定が多すぎると、ネットワークトラフィックが不必要に増加することがある。時間当たりの一定の測定数を超える測定は、センシングパフォーマンスの著しい向上にさらに寄与することはない。NDPを厳密な(固定の)レートで送信することは、装置の欠点、その時に空きチャネルがないこと、及び/又は起こり得る衝突若しくはさらなる要因により、適切ではない場合があることに留意されたい。同様の理由で、連続する送信間の時間間隔は、常に正確に実施可能ではない場合がある。したがって、要求されるセンシングレートを特定する有意な動作パラメータは、送信デバイスによって送信される1秒当たりの最小フレーム数であり得る。或いは又は加えて、1秒当たりの平均フレーム数を特定することができる。
【0087】
帯域幅は、レーダセンシングのレンジ分解能に影響を及ぼす。帯域幅が広いほど、分解能が高くなる。自律走行車及びV2Vのシナリオについて、802.11p PPDUを使用するレーダが研究され、許容される10MHzの帯域幅は、一般的に所望されるレンジ分解能(したがって目標分離可能性)には十分ではないが、約100MHzは十分であり得ることを見出した。したがって、帯域幅がネゴシエート可能である場合、IEEE802.11bfの修正をそのようなアプリケーションで使用することができる。帯域幅は、CSIベースのセンシングの場合、フレーム当たりの測定数も増加させ、したがって、圧縮されたCSIメトリックがレポートされていても、より多くの情報を取り込む。
【0088】
ビーム幅の定量値を決定又は標準化することは、ハードウェアに大きく依存してもよい。したがって、送信デバイスの能力を反映する相対的用語又は定性的用語を決定することが有利である。例えば、前述したように、60GHz超の帯域幅における送信のビーム幅は、デバイス能力に対するNDPのビーム幅である。そのような相対値は、例えば、粗、中間、細ビームであってもよい。しかしながら、本開示は、これらに限定されず、一般に、2つのレベルのみ(例えば、広及び狭)又は4つ以上の値であってもよい。一般に、上記の相対値ではなくビーム幅に直接言及することによって、本開示の実施形態を実施してもよいことにも留意されたい。
【0089】
レーダベースのセンシングでは、送信電力が、測定可能なレンジ又は距離に直接関連する。送信機のある一定の範囲内の物体のみに関与する、いくつかのアプリケーションがあり得る。出力電力を動作パラメータとして送信したことにより、不要な反射及び計算を防いで、これらの反射を除去し、電力を保存し、干渉を低減させ、スペクトルの再利用を向上させるなどを行う。帯域幅の場合と同様に、NDPは、信号化にTx電力を含むことができる。しかしながら、センシング送信機がセンシング受信機と同じではない場合に、送信電力をネゴシエートする必要が依然としてあり得る。送信出力電力の固定値を決定することは、規格又は干渉軽減技術により定義される他の制限により、常に可能であるわけではない。動作パラメータを提供するために、送信電力を、信号の要求される最小送信出力電力及び最大送信出力電力としてネゴシエート(したがって、定義)して、センシングパフォーマンスを実現することができる。
【0090】
一般に、本開示の実施形態(共存無線センシング並びにジョイントセンシング及び通信アプリケーションに関する前述の実施形態と組み合わせてもよい)により、動作パラメータのネゴシエートが、センシングセッションセットアップで行われる。加えて、動作パラメータのネゴシエートを、測定セットアップで行うことができる。例えば、NDP送信及び/又は受信デバイスは、大きく変化するチャネル条件の測定などの何らかの事象に基づいて、測定セットアップでネゴシエーションを開始することができる。このような事象が発生するか否かは、チャネル状態の変化又は受信電力などについてのある一定の閾値を超えるような条件に基づいて、決定することができる。
【0091】
動作パラメータが測定セットアップで定義されない場合、動作パラメータは変化しないと想定される。
【0092】
以下のパラメータのうちの1つ又は複数(又はすべて)は、センシングセッションセットアップ段階でネゴシエートされ、任意選択で測定セットアップ段階においてネゴシエートされ得ることが有利である。
・要求されるセンシングレート
・帯域幅又はチャネル幅
・ビーム幅
・送信出力電力
【0093】
本開示はさらなるパラメータの追加を除外しないことに留意されたい。例えば、送受信アンテナの数は、ビーム幅に加えて、使用可能なハードウェアについてのさらなる情報を提供することができる。
【0094】
特定の例示的な実装形態によれば、要求されるセンシングレートは、送信デバイスにより送信される1秒当たりの最小センシングフレーム数である。帯域幅は、センシング送信の連続する帯域幅である。60GHz超の帯域幅における送信のビーム幅は、デバイス能力に対するNDPのビーム幅である。区別(ネゴシエート)できる値を示す3つの可能な幅があってもよい。送信出力電力は、センシングパフォーマンスを実現するための、要求される信号の最小送信出力電力及び最大送信出力電力であってもよい。
【0095】
以下の表において、異なる値がセンシング又は通信のパフォーマンスにどのように影響を及ぼし得るかを示す、既知の例示的なユースケースが示されている。
【0096】
特に、表1は、要求されるセンシングレートに関する。ここでは、他の送信に対するセンシング送信の割合が、いくつかのアプリケーションについて示される。例えば、存在検出の場合、センシング送信は最高2%のネットワーク負荷になる。これは、周期性、したがって要求されるセンシングレートに関連する。
【表1】
【0097】
以下の表2は、連続する帯域幅又はチャネル幅に関する。特に、帯域幅Bは、(分離可能性が関連する)レンジ分解能ΔR、ΔR=c/(2B)、及び最高速度、v_max=λB/2に対して以下の影響を及ぼし、ここでλは信号波長である。
【表2】
【0098】
さらに、表3は、ビーム幅が角度分離可能性(分解能)、したがって様々なアプリケーションに及ぼす影響を示す。60GHz(以上の)帯域幅について、角度分解能Δθは、
【数1】
で示され、ここでθはビーム幅、Rはスラントレンジである。
【表3】
【0099】
表4は、ある一定のアプリケーションに必要な最大レンジを示す。最大レンジは、送信電力に比例する。
【表4】
【0100】
上記の例示的なセンシングアプリケーション要件からわかるように、センシングアプリケーション要件は、場合によってはフレームフォーマットの選択を含む、リソースの割当ての決定に使用される表示であってもよい。言い換えると、信号の送信のための前記リソースの割当ては、前記センシング信号を使用するセンシングアプリケーションの要件に従って行うことができ、要件は、帯域幅、ビーム幅、センシングレート、及び送信電力のうちの少なくとも1つに関連する。要件は、所望のアプリケーションに関して与えられてもよい。このような要求において、対応する関連要件は、アプリケーションに基づいて、例えば何らかの予め定められた関連付け(例えば、表1~表4に示す)に基づいて、決定することができる。
【0101】
要件は、スケジューリングデバイスと無線デバイスとのネゴシエーションにおいて得られる。例えば、要件は、センシングセッションの開始時、及び/又は前記センシングセッションの一部である測定セッション中に、前記無線デバイスから得られ(受信され)、又は前記無線デバイスにより提供された情報に基づいて決定され得る。
【0102】
一部の実施形態によれば、無線デバイスは、センシング又は通信を行うように要求できるいくつかのアプリケーションにリソースを要求する。スケジューリングデバイスは、送信される信号が、(センシングのために生成された、又はセンシングのレポートとしての)センシング信号であるか通信信号であるかを考慮し、それに応じてフレームフォーマットを構成する(構成されたフレームフォーマットに対応してリソースを割り当てる)及び/又は送信パラメータを構成する。
【0103】
フレームフォーマット及び/又は送信パラメータの適応を、周期的に又は何らかのペナルティ閾値に基づいてさらに行って、変化する環境条件及びユーザ(UE)の追加/除去のためにJSCパフォーマンスを適応的に向上させることができる。適応は、環境センシング又はチャネルセンシングなどの、スケジューリングデバイスにレポートされる何らかのセンシングの結果に基づいていてもよい。
【0104】
しかしながら、一部の実施形態において、同様のプロセスを、フィードバックなしで、例えば優先度選択を行った後に行うことができる。例えば、センシング受信機又はセンシング送信機は、AIベースの技術によって環境を認識することができ、そのフレーム設計を、このタスクのために特にトレーニングされた人工知能(AI)に従って選択することができる。例えば、環境の写真をカメラで撮影することができる。次いで、この画像を入力として使用することができ、出力は最適なフレーム設計となる。十分なデータセットを集めた後、入力データ及び出力データに従ってAIマシンをトレーニングすることができる。データセットの量は、特定のシナリオにおける損失関数に従って決定することができる。試験段階で、再びカメラにより環境の写真を撮影し、トレーニングされた機械学習アルゴリズムに基づいて最良のフレーム設計を決定することができる。これを、スケジューリングデバイスによって実施することができる。或いは、外部デバイスが環境を感知し、データを評価し、そのデータを、感知された環境に基づいて、適切なフレームフォーマットを選択するようにトレーニングされたモジュールを含み得るスケジューリングデバイスに提供することができる。フレームの決定は、スケジューリングデバイスと通信する別個のデバイスによって行われると考えられる。或いは又は加えて、異なるセンシングアプリケーション(優先度及びパフォーマンス要件が異なる)を考慮することができる。環境、セキュリティ、デバイス能力を入力として使用することができ、出力は可能なフレーム設計/送信機構である。この設定によれば、マシンは、使用可能な/既知のデータに基づいてトレーニングされてよく、試験段階で、前述した要件に基づいて、フレーム設計/送信機構を決定することができる。他のデバイスによる検出を防ぐための周波数ホッピング又は信号の拡散などの、セキュリティ向上のためのいくつかのフレーム設計の選択肢がある。これらの選択肢は、セキュリティ要件が高い場合に採用することができる。このような機構は、セキュリティ要件が低い場合には適用する必要はない。
【0105】
フレーム及び送信機構の適応は、環境及びスペクトル条件の変化により有利であり得る。例えば、より多くの物体がセンシング領域(
図3に示すものなど)に入ると、ビーム幅を小さくする必要があり得る。これは、干渉を低減させるために行うことができる。また、1日のうちの時間による変化を考慮することができる。例えば、日中は、多数のアクティブなデバイスにより無線リソースが不足することがあり、最適ではないフレーム設計及び送信機構を選択する必要があり得る。しかしながら、夜間は、より多くの使用可能なリソースがある。したがって、効率的又はさらには最適なフレーム設計及び送信機構を選択することができる。同様に、夜間は、通常、より静止した環境を示し、したがって、目標でない物体によって加えられる可動性の追加的作用なしで、より広いビーム幅、より広い帯域幅、及び異なるチャネル/サブキャリアを使用することができる。スケジューリングデバイスは、日及び/又は日時を決定し、それに応じて送信パラメータのうちの1つ又は複数を適応させるように構成されてもよい。
【0106】
例えば、
図3の異なる部屋に示されている2つの異なるシナリオがあり得る。図中の無線可能デバイス(AP、STA、WS)はすべて、同じ又は少なくとも部分的に重なる周波数帯域で動作する。図では、STAは、何らかのレベルのセンシング能力を有する無線通信デバイス(TV、ラップトップ、コンピュータ、携帯電話など)であり、最も基本的なのは、受信信号のいくつかの特徴を測定し、この情報を処理して環境認識を得ることである。無線センサ(WS)デバイスは、唯一の機能が無線センシングの実行であるセンシングデバイス又はデバイスシステムである、APは、無線アクセスポイントである(ネットワークコントローラ、エッジノード、拡張ノード、ベースステーションなどであってもよい)。
【0107】
シナリオ1では、スタンドアロンセンシングデバイスがある。このシナリオは、
図3において無線センサWSを含むバスルームに示されている。センシングデバイス又はシステムは、受信機及び/若しくはトランシーバである単一のデバイスから、又は1つ若しくは複数が送信機であり1つ若しくは複数が受信機である複数のデバイスから構成されていてもよい。センシングデバイス又はシステムは、他のネットワーク又はデバイスと通信する手段又は方法を有していない。ここでは、システムが他の無線信号から分離されている場合、システムが好むどの信号を、その構成要素間で又はセンシングのために使用してもよい。しかしながら、検出すべき動作/物体の特徴の変化に応じて、フレーム設計及び送信機構を変化させることも有利であり得る。システムが分離されない場合には、センシングデバイス/システムは他のデバイス/ネットワークと共存することができる。一部のシナリオでは、センシングデバイス/システムは他のデバイスと通信することができないので、場合によっては、送信を調整する方法がない。そのため、フレーム設計及び送信機構パラメータを、変化するスペクトル条件に合わせて適応的に変化させることができる。加えて、1つのセンシングデバイス又はシステムは、複数のセンシングアプリケーションを提供することができる。この場合、最適なフレーム設計及び送信機構があれば、それを選択することができる。そのようなフレーム設計及び送信機構が存在しない場合、フレームワークは、最も類似したアプリケーションをグループ化し、2つ以上のフレーム設計及び送信機構を選択して、選択の数が最小になるようにすべきである。選択されたフレーム設計及び送信機構は、互いに対立又は干渉すべきではない。
【0108】
シナリオ2は、センシング及び通信デバイスを有するWi-Fiネットワークである。このシナリオは、例えば
図3のベッドルームに示されている。ここでは、1つ又は多くのSTA、AP、及びセンシングデバイスがある。前述したように、センシングデバイスの唯一の目的は、動作/物体/人などを検出することである。しかしながら、このシナリオでは、センシングデバイスは、ネットワークの一部であり、制御デバイス(AP/ベースステーションなど)による何らかのレベルの調整を有する。このシナリオでは、制御デバイス(スケジューリングデバイス)は、フレーム設計及び送信機構パラメータを適応的に変化させて、最も多くの数及びタイプのデバイスがセンシング並びに/又はジョイントセンシング及び通信のための信号を使用できるようになっている。これは、新しいデバイスをネットワークに対してサポートし、ネットワークを離れるデバイスによる冗長性を除去するために適応的に行わなければならない。
【0109】
複数のセンシングアプリケーションを提供する例は、以下の通りである。前述したジェスチャ識別センシングアプリケーション及び睡眠モニタリングセンシングアプリケーションのためのパケット送信レートを思い起こされたい。同じフレーム設計が両方に適している場合には、受信機センサは、必要な最小レートで送信する送信機に同期することができる。この例について、ジェスチャ識別の場合、最小レートは100pkts/sである。他のデバイスは、必要に応じて(5~20pkts/s)パケットをサンプリングする。したがって、1つのフレーム設計及び送信機構(及び1回の送信)で、両方のアプリケーションをサポートすることができ、追加の送信は必要ない。言い換えると、送信される無線信号は、1つ又は複数のセンシングアプリケーションからのセンシングレポートの組合せを含む信号であってもよい。このようなレポートの組合せの特定のフレームフィールドフォーマットがあってもよい。
【0110】
要約すると、異なるフレーム構造、ヌメロロジー、及び波形を、異なるユーザ要件及び異なるセンシングアプリケーションに使用することができる。異なる送信機構を、異なるユーザ要件及び異なるセンシングアプリケーションに使用することができる。Wi-Fi制御信号化で使用されるPPDU及びレーダアプリケーションで一般に使用されるチャープ波形のような、規格により受け入れられ文献に存在するフレーム設計及びその変形を、センシングシーケンスタイプ及び配置などの前述のパラメータを変化させることにより変更して、品質のいくつかを利用し、センシングアプリケーション要件を満たすことができる。
【0111】
変化は、同じ又は異なるデバイス(センサ)及び変化する環境条件におけるいくつかの異なるアプリケーションをサポートするように適応的に行うことができる(適応フレーム設計)。1つのセンサ又はSTAを異なるセンシングアプリケーションに使用することができる。適応フレーム設計を使用して、これらのアプリケーションを一緒に又は別個にサポートすることができる。Wi-Fi信号を使用する代わりに、セルラ及び任意の他の通信信号を使用することができる。より良好なフレーム構造をもたらすために、フィードバック情報を用いて、センシングアプリケーション要件、環境条件、ネットワークトラフィック、スペクトル占有率情報などを考慮する動的適応方法及びスケジューリングを調査することができる。追加の基準は、精度、分解能、レンジなどのセンシングアプリケーション要件、クラッタの量、検出すべき物体/動作の性質などの環境条件、ネットワークトラフィック、スペクトル占有率などである。
【0112】
フレーム設計パラメータは、限定されないが、帯域幅、波形、センシングシーケンス、センシングシーケンス配置、デューティサイクル、信号持続時間、発射角(AoD)、ビーム幅、ビーム掃引速度などである。送信機構パラメータは、限定されないが、信号繰返し率、送信電力などである。適応は、時間領域、周波数領域、空間領域、又はコード領域などのいくつかの領域で行うことができる。
【0113】
本開示の前述した実施形態及び一部の例示的な実施形態は、以下の利点のうちの1つ又は複数を提供することができる。本開示は、無線センシング、並びにジョイント(組合せ)通信及びセンシングのための、より柔軟性及び適応性がある動的な構造を提供することができる。異なるフレーム設計及び送信機構は、異なる特性、利点、及び欠点を有する。一部の実施形態及び例は、これらの利点及び欠点を利用して、ネットワークパフォーマンスの最小限の低下でセンシングアプリケーション要件を満たすことができる。例えば、一部の実施形態は、センシングアプリケーションを類似の要件でグループ化し、選択された最適なフレーム設計及び送信機構に基づいて、センシングアプリケーションに単一の送信を提供することによって、最小限のリソースで複数のセンシングアプリケーションをサポートすることを可能にすることができる。このようにして、優先度に基づいてフレーム設計及び送信パラメータを選択することによって、センシングアプリケーションの改良された又は最適なパフォーマンスにアプローチすることができ、高い優先度のアプリケーションが最適なリソースで動作できることを保証する。これらの利点のすべてが、複数のセンシングデバイス並びにジョイントセンシング及び通信デバイスを現在及び次世代の無線ネットワークに組み込むことを容易にするのに役立ち得る。
【0114】
フレームフォーマットとは、必ずしもフレームのフィールド構造を変化させることを指すわけではないことに留意されたい。異なるフレーム設計及び/又は異なる波形を使用して、より良好なセンシング及びシステム全体のパフォーマンスを得ることができる。例えば、単にセンシングの線形周波数変調連続波(FMCW)レーダ信号の場合、送信フレームのフィールド構造はない。これは、線形FMCW信号が、一般的に、フィールドベースのフレーム構造が通常使用されるデータにより変調されないからである。したがって、このようなFMCW信号は情報を含まない。しかしながら、適切なフレーム設計があり得る。例えば、フレームの1つのフィールドは、データにより変調され、別のフィールドは、変調されるのではなく、センシング波形のみを含む。このようにして、1つの帯域幅内におけるセンシング信号と通信信号との共存を実現することができる。或いは、データ変調されたレーダ波形を使用することができ、又は他のジョイントレーダ通信波形を使用することができ、又は通信のために符号化され得るレーダ波形の辞書を使用することができる。前述したように、スケジューラは、アプリケーション及びさらなる条件に基づいて、これらの選択肢のうちのどれを選択するかを決定することができる。
【0115】
スケジューラは、いくつかのセンシングアプリケーションをサポートするためのフレーム、ヌメロロジー、又は波形の異なるパラメータ化のうちの1つ又は複数を決定することがきる。これらのパラメータを、環境条件及びセンシングアプリケーション要件に基づいて適応的に調節することができる。
【0116】
センシングアプリケーション及び/又は環境条件に基づいて、波形を選択することができる。例えば、センシングアプリケーション及び環境条件に関して、OFDM、FBMC、又はFMWCを使用することができる。それ以外に、これらの波形のパラメータを適応的に変化させることができる。これらのパラメータの一部は、CPレート、ウィンドウ/フィルタリング、サブキャリア間隔、サブキャリアの数、フィルタ長さ、時間/周波数におけるフィルタ位置確認である。これらのパラメータのすべては、何らかの特性を有する。例えば、CP長さが増加すると、より高いロバスト性が得られ、チャネル推定及び同期品質が向上する。しかしながら、スペクトル効率は低下する。他方、ウィンドウを使用して、OOB漏れを抑制する。また、ウィンドウは、隣り合うチャネルによって生じる干渉を低減させる。しかしながら、ウィンドウは、スペクトル効率を低下させ、レイテンシを増加させる。これらのパラメータのすべてを、環境特性及びセンシングアプリケーションに基づいて最適な方法で選択すべきである。
【0117】
すべての波形がそれ自体の利点及び欠点を有する(トレードオフ)ため、センシングアプリケーションのすべてを1つの波形でサポートすることは非効率的であり得る。したがって、複数のヌメロロジーの共存をサポートする必要がある。それ以外に、ヌメロロジーのパラメータは柔軟であってもよい。これは、センシングアプリケーションが異なるヌメロロジーを同時に必要とする場合に特に当てはまる。柔軟性は、多種多様なセンシングアプリケーションをサポートするために望ましい。この柔軟性は、波形、ヌメロロジー、及びフレームについて提供されるべきである。また、異なる送信電力を、システムレベルでの柔軟性と考えることができる。
【0118】
柔軟な波形及びヌメロロジー設計に加えて、複数の波形技術に基づく複数のヌメロロジーを含むハイブリッドフレームを使用して、多種多様なセンシングアプリケーションをサポートすることができる。
【0119】
例えば、Wi-Fiチャネルは、通常10Mhz又は20Mhz幅である。しかしながら、より新しい規格では、より高いデータレートのアプリケーションをサポートするために、隣り合うチャネルをつなぎ合わせて、40Mhz、80Mhz、最高320MHz幅のチャネルを形成する。一部のセンシングアプリケーションの場合、20MHzで提供されるレンジ分解能又は測定分解能で十分であるが、他のセンシングアプリケーションの場合、より良好なレンジ分解能/測定分解能を得るために、チャネルを組み合わせる(すなわち帯域幅を増加させる)必要がある。例えば、CSIベースのジェスチャ認識では、20MHzのチャネルを使用することができる。他方、20MHzでは不十分で、少なくとも100MHzの帯域幅が必要とされ得る自動車用レーダには、Wi-Fi(802.11p)を使用することができる。
【0120】
前述したように、送信機構又は送信パラメータは、限定されないが、センシング信号の周期性又はレート及びチャネルアクセス方法を含む。別の送信パラメータは、サブキャリア間隔(及び場合によっては、時間間隔/シンボル持続時間も)を定義する1つ又は複数のヌメロロジーであってもよい。これは、各サブキャリアのチャネル応答が変化し得、したがって、特定のサブキャリア選択が重要であり得るCSIベースのセンシングアプリケーションでは重要であり得るが、本開示の全範囲をカバーしているわけではない。例えば、FMCWなどの他の波形は、複数のヌメロロジーをサポートしていない(する必要がない)。
【0121】
通信では、フレーム/送信の繰返しは、センシングとは異なる。再送信されるパケットの数は、一般的に少なく、通常、確認応答が受信されるまではバースト送信である。これは、スループット及び信頼性メトリックに関連する。また、繰返し信号間の非送信間隔に、特定のレート、デューティサイクル、又は厳しい制約がない。センシングでは、繰返し(周期性)がより長期である(時間/日にわたって続くことがある)。これは、既知の/特定の(予め定められた)時間に測定を行う必要があるため、デューティサイクル又は送信間の時間に厳しい要件がある。
【0122】
前述したように、ビーム掃引は無線センシングに関連し、これを考慮してもよい。1つのセンシングアプリケーションのための柔軟な適応フレーム設計の選択、又は複数のセンシングアプリケーションを提供するための一般的なフレーム設計の選択が、共存する複数の無線技術に有利であり得る。特に、いくつかのセンシングアプリケーションをサポートするために、フレーム、ヌメロロジー、又は波形の異なるパラメータ化を使用することができる。これらのパラメータを、環境条件及びセンシングアプリケーション要件に基づいて、適応的に調節することができる。
【0123】
1つの例示的な実施形態において、センシングアプリケーション又は環境条件に基づいて、波形が選択される。例えば、センシングアプリケーション及び環境条件に関して、OFDM、フィルタバンクマルチキャリア変調(FBMC)、又はFMWCを使用することができる。例えば、OFDMは、提供するレンジ分解能及び速度分解能が他の車両を検出するのに十分であり得るため、自律走行車アプリケーションで使用することができる。ミリ波FMCWは、同じパラメータについてのOFDMよりも良好な自己相関特性を有するため、生物医学撮像などの医療モニタリングの例で使用することができる。したがって、(医用画像に存在し得る)微小なピークの検出を、より正確に(例えば、より少ない誤警報で)行うことができる。同様に、クラッタ環境においては、FMCWとは異なり、OFDMの自己相関は完全ではないため、(異なる物体からの反射による)ピークのすべてを容易に区別できるわけではない。しかしながら、FMCWでは、それらのピークはより顕著である。
【0124】
それ以外に、これらの波形のパラメータを適応的に変化させることができる。これらのパラメータの一部は、CPレート、ウィンドウ/フィルタリング、サブキャリア間隔、サブキャリアの数、フィルタ長さ、時間/周波数におけるフィルタ位置確認である。これらのパラメータのすべては、何らかの特性を有する。例えば、CP長さが増加すると、より高いロバスト性が得られ、チャネル推定及び同期品質が向上する。しかしながら、スペクトル効率は低下する。他方、ウィンドウを使用して、OOB漏れを抑制する。また、ウィンドウは、隣り合うチャネルによって生じる干渉を低減させる。しかしながら、ウィンドウは、スペクトル効率を低下させ、レイテンシを増加させる。これらのパラメータのすべてを、環境特性及びセンシングアプリケーションに基づいて最適な方法で選択すべきである。例えば、CSI/CFRベースのセンシングでは、異なる動作(又は感知されているもの)について区別可能なCSI測定値を有することが望ましいとされ得る。この場合、測定ごとに(より多くのサブキャリアに対応する)より多くのCSIデータを有していれば、区別可能なCSIデータを測定値から取り出すことがより容易になる。環境があまり複雑でなければ、サブキャリア間隔の増加に対応する、より少ない測定を帯域幅において実行することができる(逆も同様である)。
【0125】
複数のヌメロロジーの共存をサポートできると有利である。ヌメロロジーのパラメータは柔軟であってもよい。これは、センシングアプリケーションが異なるヌメロロジーを同時に必要とする場合に特に当てはまる。各センシングアプリケーションは、あるヌメロロジーが他のヌメロロジーよりも適切であり得る要件を有することができる。いくつかのセンシングアプリケーションを同時にサポートするために、異なるヌメロロジーの共存が望ましいとされ得る。柔軟な波形及びヌメロロジー設計に加えて、複数の波形技術に基づく複数のヌメロロジーを含むハイブリッドフレームを使用して、多種多様なセンシングアプリケーションをサポートすることができる。柔軟性は、多種多様なセンシングアプリケーションをサポートするために望ましいとされ得る。この柔軟性は、波形、ヌメロロジー、及びフレームについて提供されるべきである。また、異なる送信電力を、システムレベルでの柔軟性と考えることができる。
【0126】
1つの可能なフレーム設計及び波形は、
図4に示すような規格IEEE802.11pによって与えることができる。レーダセンシングに通信システムを再利用することは、特に自律走行車の進化を考慮して、車両間(V2V)通信のシナリオの場合に特に注目されている。レーダセンシングへのIEEE802.11p規格の使用は、最近研究され、開発されている。IEEE802.11p規格は、V2V物理層プロトコルである。これは、IEEE802.11a規格から、直交周波数分割多重(OFDM)を使用して、地理的に特有の専用狭域通信(DSRC)帯域においてデータを送信するように構成されている。フレームは、5.875~5.905GHzの周波数帯域において、10MHzのサブ帯域に分割可能な30MHzの帯域幅を有する。レーダセンシングに使用されるプリアンブルは、4つのOFDMシンボル(合計32マイクロ秒の長さ)から構成され、短いトレーニングシンボルt1~t10(時間同期に使用され得る)、2つの連続するガードインターバルGI2、及び長いトレーニングシンボルT1、T2(周波数同期及び/又はチャネル推定に使用され得る)を含む。次いで、ガードインターバル(GI)によって分離され、信号及びデータが、同じサイズ(6.4マイクロ秒)のチャンクで多重化される。前述のフィールドのうち、トレーニングフィールドはセンシングに使用されてもよい。(1つ又は複数の)データフィールドは、通信信号に使用されてもよく、使用されなくてもよい。(1つ又は複数の)信号フィールドは、パケット長さ、コードレート、変調などの通信関連信号に使用されてもよい。データフィールド又は信号フィールドは、センシング信号構成に関する信号を伝えることもできることが考えられる。
【0127】
例えば、センシングのためにWi-Fiパケットを使用する際に、受信機が送信信号のコピーを有していない場合、トレーニングシーケンスが規格から既知であるため、トレーニングシーケンスのみをセンシングに使用することができる。この例では、データ部分及び信号部分は使用されない。したがって、特定のフィールドはセンシングのために選択されない。しかしながら、一部の例示的な実施形態において、データ又は信号フィールドと同様の部分を、センシング信号に使用してもよい(例えば、フレームごとの定義又は信号フィールドは、どの部分がデータを伝えるか、及びどの部分がセンシングを伝えるかを示すことができる)。
【0128】
フレームフォーマットの適応に関し、例えば、ジェスチャ検出の場合、802.11adのフレームフォーマットが、小さい運動の検出に重要な、より良好なレンジ分解能及び速度分解能を有するため、スケジューラによって好まれることがある。しかしながら、802.11pのフレーム設計は、速度分解能及びレンジ分解能が低すぎるため使用されない。他方、802.11pフレーム構造は、車両のレーダに使用されている(ただし、大きい帯域幅で)。
【0129】
このようなフレーム構造により有効になるパフォーマンスは、5.3mのレンジ分解能及び4.3m/sの速度分解能を提供することができる。この構造のいくつかの欠点があり得る。例えば、センチメートルレベルのレンジ分解能及び速度分解能を実現することはできない。レンジ分解能は、帯域幅によって限定され、速度分解能はパケットのOFDMシンボルの数によって限定される。メートルレベルのレンジ分解能を提供するためには、100MHz超の帯域幅が適切であり得る。それにもかかわらず、一部のアプリケーションでは、このフレーム構造を引き続き使用することができる。
【0130】
IEEE802.11adは、
図5に示す異なるフレーム設計を提供する。動作周波数はミリ波帯であり、したがってビームフォーミングが使用される。それぞれ2GHz以下の帯域幅を有する4つのチャネルがある。フレームは、単一のキャリアフレームであり、プリアンブルの一部としての短いトレーニングフィールド(STF)とチャネル推定フィールド(CEF)とを含む。STFはゴレイ相補シーケンス(GCS)を有し、これは完全な自己相関を有し、したがってレーダセンシングに適している。CEFも、チャネル推定のためにいくつかのゴレイ相補シーケンスを使用する。
【0131】
このフレーム構造により、8.52cmのレンジ分解能及び0.59m/sの速度分解能が実現可能である。いくつかの欠点がある。すなわち、短いプリアンブル長さにより、速度推定精度が不十分になることがある。これは、プリアンブルを不均一に配置し、データレートの低下を犠牲にしてチャネルのニュアンスを取り込むことによって、軽減することができる。ビーム幅により、視野が狭くなり得る。これは、スループットの低下を犠牲にしてビームのサイドローブを使用することによって、軽減することができる。また、ミリ波装置は、同期が困難で、これらの周波数でサンプリングレートを実現することは困難であるため、高価である。
【0132】
別の例示的なフレームフォーマットは、可能なIEEE802.11bfフレームフォーマット(まだ標準化されておらず、標準化及び提案待ちである)であり、そのレガシープリアンブルが
図6に示されている。このレガシープリアンブルは、レガシーSTF(L-STF)、長いレガシートレーニング期間(L-LTF)、物理層信号を伝えるためのレガシー信号フィールド(L-SIG)を含む。フレームフォーマットは、20MHzの帯域幅を有する。(組合せチャネルによる)より広い帯域幅を有する、より最近定義されたOFDM PHY(HT/VHT/HE)の場合、レガシープリアンブルは、20MHzごとに重複されてもよく、全体的により大きい帯域幅と、より多くのチャネル周波数測定とを可能にする。ここでは、帯域幅の増加が可能であり、したがって、より良好なレンジ分解能が可能である。同時に、帯域幅の増加により周期性(プリアンブルの繰返し)が増加し、したがって、より良好な速度分解能が可能になり得る。
【0133】
別の例示的なフォーマットは、特定のフレーム構造に埋め込まれていないレーダアプリケーション信号である。使用可能な様々なレーダ波形がある。最も一般的なのは、パルスレーダ及び周波数変調連続波(FMCW)チャープレーダである。パルスレーダで、信号は、フレーム時間全体のうちの一部の時間に「オン」であり(又は送信されており)、残りの時間は「オフ」である(送信されていない)。信号が「オン」又は「オフ」である持続時間(デューティサイクル)は、レンジとレンジ分解能とのトレードオフをもたらす。「オン」の期間がより長い(パルス幅がより大きい)と、より良好なレンジを提供するが、分解能は低く、逆も同様である。パルスレーダの例は、図示の通りである。FMCWチャープは連続し(オフの時間がない)、相対速度を検出することもできる(パルスレーダは、何らかの修正なしでこれを行うことはできない)。
【0134】
例えば、Y.Zhang、Q.Li、L.Huang及びJ.Song、「Waveform design for joint radar-communication system with multi-user based on MIMO radar」、2017 IEEE Radar Conference(RadarConf)、Seattle、WA、2017、0415~0418ページ、doi:10.1109/RADAR.2017.7944238に示されるように、レーダベースの通信波形-線形周波数変調連続位相変調を採用することができる。使用されるパラメータを以下の表に示す。
【表5】
【0135】
図4~
図7を参照して上記で例示したように、センシング、レーダ及び通信の両方に使用できる多くのタイプの波形がある。802.11規格では、上記の対象はレーダであるが、当業者に明らかであるように、RSSI、CSI、CIR、及びCFRベースのセンシングも可能である。ここでは、上記の測定値が、ある期間にわたって取られ、環境の運動/物体に対応するパターンが取り出される。この場合、ミリ波周波数が、運動/物体によってより大きく影響を受け(伝搬特性により)、したがって、それらの測定値は、より多くのピークを有する傾向がある。これ及び経路損失により、ミリ波周波数は、通常、ビームフォーミングによって使用され、したがって、チャネルがより疎になり、測定値の所望のピークパターンを選出することができる。帯域幅及びキャリア周波数に対するレンジ分解能の変化があり、これを、フレームフォーマット及び送信信号の送信パラメータを構成するときに考慮することができる。
【0136】
Wi-Fiフレーム設計が使用されないシナリオの場合、データレート及びセンシング要件に応じて、ジョイントセンシング及び通信波形の変形例(例えば
図4~
図6)を使用できることに留意されたい。Wi-Fiフレーム設計が使用されているときに、送信されるデータがなく、センシング要件がセンチメートルレベルでなければ、レガシーOFDM PPDUを使用することができる。送信されるデータがないが、センシング要件がより多い場合には、802.11adフレーム設計、又はHT/VHT/HEフレーム設計を、データなしで使用することができる、などである。
【0137】
本開示の実施形態を、無線センシングに使用される任意の種類のデバイスで使用することができる。例えば、健康モニタリング、活動分類、ジェスチャ認識、壁センシングによる人の計数、感情認識、注目度モニタリング、キーストローク認識、空中の描画、撮像、歩数計数、速度推定、睡眠検出、交通モニタリング、喫煙検出、金属検出、手話認識、湿度推定、小麦の水分検出、果実成熟検出、くしゃみセンシングなどである。これらのアプリケーション以外に、本発明をJSC技術で使用することができる。本開示を、センシングアプリケーションに使用して、ビーム管理のための障害物追跡などの通信アプリケーションをサポートしてもよい。したがって、本発明を使用できるデバイスは、スマートホーム/オフィス/都市/工場などのデバイス、例えば、キッチン用家電製品、TVセット、スマートバス停、スマートオフィス機器(プリンタなど)、照明システム、WLAN及びWi-Fiデバイスなどであってもよい。他のデバイスは、心拍数モニタ、運動検出器、スマートウォッチなどのスタンドアロン無線センサであってもよい。本開示は、Wi-Fi技術の前述の態様に関連し、現在又は将来リリースの他の無線通信規格における前述の5G新無線(NR)を含む、3GPP(セルラ)ネットワークにも適用可能である。
【0138】
特に、選択可能であり得る(非限定的な)例示的な波形は、以下の通りである。
【0139】
前述したように、修正802.11bf-WLANセンシングは、WLANネットワークの無線センシングの標準化サポートで機能する。これは、Wi-Fi7規格を形成することになる802.11be-超高スループット(EHT)タスクグループより前に完成すると予想されている。
【0140】
5G新無線(NR)規格:無線センシングが将来のセルラ通信ネットワークの一部であると想定されるため、本開示を5G及びbeyond 5Gに適用することができる。これは、特にbeyond 5Gシステムに当てはまる。
【0141】
LTE/アンライセンスLTE(LTE-U)規格下の通信技術。LTE-UがWLAN動作帯域を便宜的に使用するためである。
【0142】
環境認識、したがって、無線センシングは、CRの重要な部分である。したがって、CRに関する規格は、本発明に関連する。IEEE802.22及びIEEE802.15規格は、CRをサポートする規格である。
【0143】
低電力広域ネットワーク(LPWAN)技術。冗長なセンシング送信の数を減らすことにより電力効率の向上を助ける。したがって、これは、Wize、ZigBee(登録商標)、狭帯域IoT、及びLoRaWANなどのLPWAN規格に関連する。
【0144】
本開示を高周波数で使用できることが有利である。高周波数により、高分解能無線撮像などの無線センシングアプリケーションにおいて、高い分解能及び感度が可能になる。
【0145】
選択された実施形態及び例
要約すると、本開示の一部の実施形態は、少なくとも部分的に重なる帯域幅の通信アプリケーションとセンシングアプリケーションとの共存を容易にすることに関する。特に、センシングデバイス、ジョイントセンシング及び通信デバイス、並びに/又は通信デバイスは、送信リソースの要求を、通信規格に準拠した通信フォーマットでスケジューリングデバイスに送信する。これに応えて、要求が通信アプリケーションのためのものであれば、スケジューリングデバイスは、通信デバイスが動作する通信規格に準拠したフレームフォーマットに対応するリソースを割り当てる。他方、要求がセンシングアプリケーションのためのものであれば、スケジューリングデバイスは、通信規格に準拠したフレームフォーマット又はセンシングアプリケーションに適したフレームフォーマットに対応するリソースを割り当てる。センシングアプリケーションについてのフレームフォーマットの選択は、センシングアプリケーションの優先度、又はアプリケーション、環境、若しくはチャネルなどのさらなる特徴に応じてさらに決まってもよい。割当てを受信する無線デバイスは、それに応じて信号送信をスケジュールし、適応フレームフォーマット選択のためにフィードバックをスケジューリングデバイスに提供することができる。
【0146】
図8Aは、本開示の一部の実施形態を実施可能な例示的なデバイス300を示す。例えば、デバイスは、スケジューリングデバイスであっても無線デバイスであってもよい。このようなデバイスは、メモリ300と、処理回路320と、無線トランシーバ340と、場合によってはユーザインターフェース330とを備えることができる。デバイスは、例えば、ベースステーション若しくは端末/STA(の一部)、又は前述した別のデバイスであってもよい。
【0147】
メモリ310は、上記及び下記の方法のいずれかのステップを実行するために処理回路320によって実行され得るプログラムを格納することができる。処理回路は、1つ又は複数のプロセッサ及び/又は他の専用若しくはプログラム可能ハードウェアを備えることができる。無線トランシーバ340は、無線信号(センシング、JSC、及び/又は通信)を受信及び/又は送信するように構成されていてもよい。トランシーバ340は、何らかの規格又は予め定義された規約に従って、データ又はセンシング信号を検出、復号、及び解釈することができるベースバンド処理も含むことができる。しかしながら、これは必要ではなく、センシングアプリケーションのみを有するデバイスが、1つ又は2つの下位プロトコル層のみを実施してもよい。例えば、トランシーバを使用して、測定を行い、ベースステーション及び/又は端末などの他のデバイスと通信することができる。デバイス300は、メッセージ又はデバイスの状態などを表示するため及び/又はユーザの入力を受信するためのユーザインターフェース330をさらに備えることができる。バス301は、メモリ、処理回路、無線トランシーバ、及びユーザインターフェースを相互接続する。
【0148】
図8Bは、スケジューリング要求を処理するためのモジュール360と、前述の通信フォーマット(又はJSCフォーマット)スケジューリングのためのモジュール370と、センシングフォーマットスケジューリングのためのモジュール380とを含むメモリ310の例を示す。3つのステップ360、370、380は、トランシーバ340を制御して、無線受信又は送信フレームフォーマットを、センシングアプリケーションに基づいたセンシング、通信、又はJSCに適応させることができる。これらのモジュール360~380を、メモリから取り出し、処理回路320によって実行することができる。
【0149】
上記の例は、本開示を限定するものではない。以下で簡単に説明するように、加えて又は代わりに使用できる多くの修正及び構成がある。
【0150】
実施形態によれば、無線信号の送信をスケジュールするためスケジューリングデバイス(例えば300)が提供され、スケジューリングデバイスは、通信規格の第1のフレームフォーマットに従うフレームにおいて、無線デバイスによる信号の送信をスケジュールする要求を受信する受信機340であって、要求が、信号が通信信号であるかセンシング信号であるかの表示を含む、受信機340と、送信される信号が通信信号である場合、信号の送信のためのリソースを通信規格の第2のフレームフォーマットに割り当て、送信される信号がセンシング信号である場合、信号の送信のためのリソースを、第2のフレームフォーマットとは異なる第3のフレームフォーマット又は第2のフレームフォーマットに割り当てるように、(例えば、メモリ310のプログラムにより)構成されている制御回路320とを備え、センシング帯域幅が、通信規格の動作帯域幅に少なくとも部分的に重なる。
【0151】
実施形態によれば、無線信号を送信するための無線デバイスが提供され、無線デバイスは、通信規格の第1のフレームフォーマットに従うフレームにおいて、信号の送信をスケジュールする要求をスケジューリングデバイスに送信する送信機であって、要求が、信号が通信信号であるかセンシング信号であるかの表示を含む、送信機と、送信される信号が通信信号である場合、信号の送信のためのリソースを通信規格の第2のフレームフォーマットに割り当て、送信される信号がセンシング信号である場合、信号の送信のためのリソースを、第2のフレームフォーマットとは異なる第3のフレームフォーマット又は第2のフレームフォーマットに割り当てる、リソースの割当てを受信する受信機と、通信規格の動作帯域幅がセンシングの動作帯域幅に少なくとも部分的に重なる帯域幅内で、受信した割当てに従って、信号を送信する送信機を制御する制御回路とを備える。
【0152】
前述したデバイスは、上記及び/又は以下で要約する方法のいずれかにより記載される機能を提供できることに留意されたい。これは、それに応じて処理回路を制御するソフトウェアを設けることにより、又は
図8A及び
図8Bを参照して前述したソフトウェアとハードウェアとの組合せにより、実現することができる。
【0153】
図9は、方法を示すフロー図である。特に、実施形態によれば、無線信号の送信をスケジュールするための方法は、通信規格の第1のフレームフォーマットに従うフレームにおいて、無線デバイスによる信号の送信をスケジュールする要求を受信するステップS910であって、要求が、信号が通信信号(又はジョイントセンシング及び通信信号)であるかセンシング信号であるかの表示を含む、受信するステップと、送信される信号が通信信号(又はJSC信号)である場合(S920で「はい」)、信号の送信のためのリソースを通信規格の第2のフレームフォーマットに割り当てるステップS930と、送信される信号がセンシング信号である場合(S920で「いいえ」)、信号の送信のためのリソースを、第2のフレームフォーマットとは異なる第3のフレームフォーマット又は第2のフレームフォーマットに割り当てるステップS940とを含み、センシング信号の帯域幅が、通信規格の動作帯域幅に少なくとも部分的に重なる。スケジューリングデバイスは、次いで、スケジューリング情報を送信するS950ことができる。アプリケーションに応じてセンシングアプリケーション及び/又はJSCアプリケーションのフレームフォーマットを適応的にスケジュールすることは、センシングアプリケーションと通信アプリケーションとが同じ帯域幅を共有するシステムにおいて、より良好なリソース使用を提供することができる。
【0154】
例えば、センシング信号は、連続レーダ信号又は周期レーダ信号である。
【0155】
一部の例示的な実装形態において、センシング信号は、無線センシング、無線ローカルエリアセンシング、非侵襲的医療センシングからセンシングアプリケーションによって発生した信号である。
【0156】
例えば、センシング信号を送信するためのリソースが、第3のフレームフォーマットに割り当てられるか第2のフレームフォーマットに割り当てられるかは、センシング信号の優先度、帯域幅のトラフィック負荷、帯域幅のチャネル品質、及びスペクトル占有率のうちの少なくとも1つに応じて決まる。
【0157】
一部の例示的な実装形態において、第3のフレームフォーマットは、センシング信号の優先度、帯域幅のトラフィック負荷、帯域幅のチャネル品質、及びスペクトル占有率のうちの少なくとも1つに基づいて、複数の予め定義されたフレームフォーマットから決定される。
【0158】
例示的な実装形態の方法は、センシング信号を発生させたセンシングアプリケーションの優先度に対応するように、センシング信号の優先度を決定するステップをさらに含み、決定するステップは、センシングアプリケーションが実行されるデバイスのアイデンティティ、センシングアプリケーションのアイデンティティ、及びセンシングアプリケーションのサービス品質要件のうちの1つ又は複数に基づいて、センシングアプリケーションの優先度を得るステップを含む。
【0159】
例えば、優先度を決定するステップは、機械学習に基づいてトレーニングされたモジュールによって実行される。
【0160】
一部の実装形態において、方法は、無線デバイスからフィードバックを受信するステップをさらに含み、フィードバックは、サービス品質要件、優先度、必要なリソース、及び/又はチャネル品質に関連する。
【0161】
例えば、センシング信号を送信するためのリソースが、第3のフレームフォーマットに割り当てられるか第2のフレームフォーマットに割り当てられるか、及び/又は、第3のフレームフォーマットは、受信したフィードバックに基づいて決定される。
【0162】
例えば、前述した方法は、受信したフィードバックに基づいて、信号の送信のための1つ又は複数の送信パラメータを決定するステップをさらに含み、送信パラメータは、送信レート若しくは繰返し率、キャリア周波数、チャネル割当て、センシングシーケンス若しくは波形、環境の特性、帯域幅、パケット長さ又は信号持続時間、ビームフォーミングパラメータ、ヌメロロジー、サイクリックプレフィックス持続時間、及びフィルタリングパラメータ若しくはウィンドウパラメータのうちの1つ又は複数を含む。
【0163】
例えば、1つ又は複数の送信パラメータは、環境の特性を含み、環境の特性は、無線デバイスにおいて、環境の画像を取り込み、機械学習に基づいてトレーニングされたモジュールを用いて画像を解析すること、湿度、温度、及び/又は圧力センサによって環境をセンシングすることのうちの1つ又は複数によって得られる。
【0164】
前述の実施形態及び例示的な実装形態のいずれかにおいて、前記信号の送信のためのリソースを割り当てるステップは、前記センシング信号を使用して、センシングアプリケーションの要件に従って実行されてもよい。要件は、帯域幅、ビーム幅、センシングレート、及び送信電力のうちの少なくとも1つに関連する。
【0165】
加えて、例えば、方法は、センシングセッションの開始時、及び/又は前記センシングセッションの一部である測定セッション中に、前記無線デバイスから、又は前記無線デバイスにより提供された情報に基づいて、前記要件を得るステップをさらに含むことができる。特に、そのような要件(動作パラメータ)のネゴシエーションは、センシングセッション開始時に強制的に行われてもよい。ネゴシエーションは、任意選択で(例えば、無線デバイスにより開始されて)センシングセッション中に行われてもよい。
【0166】
図9は、無線デバイス方法を右側に示す。無線デバイスは、チャネル901を介してスケジューリングデバイスと通信することができる。実施形態によれば、無線信号を送信するための方法が提供され、方法は、通信規格の第1のフレームフォーマットに従うフレームにおいて、信号の送信をスケジュールする要求をスケジューリングデバイスに送信するステップS960であって、要求が、信号が通信信号であるかセンシング信号であるかの表示を含む、送信するステップと、送信される信号が通信信号である場合、信号の送信のためのリソースを通信規格の第2のフレームフォーマットに割り当て、送信される信号がセンシング信号である場合、信号の送信のためのリソースを、第2のフレームフォーマットとは異なる第3のフレームフォーマット又は第2のフレームフォーマットに割り当てる、リソースの割当てを、スケジューリングデバイスから受信するステップS970と、通信規格の動作帯域幅がセンシングの動作帯域幅に少なくとも部分的に重なる帯域幅内で、受信した割当て(割当てにより構成された通りにリソースS980を設定することを含む)に従って信号を送信するステップS990とを含む。
【0167】
本開示は、外部スケジューリングデバイスに基づいてフレームフォーマットを選択する無線デバイスに限定されないことに留意されたい。代わりに、実行されるセンシングアプリケーションに基づいて、無線デバイスは、前述したように、フレーム構造を適応的に選択し構成することができる。そのような場合、スケジューリング要求は、外部スケジューリングデバイスに送信されない。代わりに、無線デバイスで実行されるアプリケーションが、スケジュールされるように要求することができる。デバイスに複数のセンシングアプリケーションがあってもよい。
【0168】
例示的な実装形態において、方法は、フィードバックをスケジューリングデバイスに送信するステップをさらに含み、フィードバックは、サービス品質要件、優先度、必要なリソース、及び/又はチャネル品質に関連する。
【0169】
実施形態によれば、無線信号の送信をスケジュールするためのスケジューリングデバイスが提供され、スケジューリングデバイスは、通信規格の第1のフレームフォーマットに従うフレームにおいて、無線デバイスによる信号の送信をスケジュールする要求を受信する受信機であって、要求が、信号が通信信号であるかセンシング信号であるかの表示を含む、受信機と、送信される信号が通信信号である場合、信号の送信のためのリソースを通信規格の第2のフレームフォーマットに割り当て、送信される信号がセンシング信号である場合、信号の送信のためのリソースを、第2のフレームフォーマットとは異なる第3のフレームフォーマット又は第2のフレームフォーマットに割り当てるように構成されている制御回路とを備え、センシング帯域幅が、通信規格の動作帯域幅に少なくとも部分的に重なる。
【0170】
実施形態によれば、無線信号を送信するための無線デバイスが提供され、無線デバイスは、通信規格の第1のフレームフォーマットに従うフレームにおいて、信号の送信をスケジュールする要求をスケジューリングデバイスに送信する送信機であって、要求が、信号が通信信号であるかセンシング信号であるかの表示を含む、送信機と、送信される信号が通信信号である場合、信号の送信のためのリソースを通信規格の第2のフレームフォーマットに割り当て、送信される信号がセンシング信号である場合、信号の送信のためのリソースを、第2のフレームフォーマットとは異なる第3のフレームフォーマット又は第2のフレームフォーマットに割り当てる、リソースの割当てを受信する受信機と、通信規格の動作帯域幅がセンシングの動作帯域幅に少なくとも部分的に重なる帯域幅内で、受信した割当てに従って、信号を送信するように送信機を制御する制御回路とを備える。
【0171】
さらに、前述の処理回路の実装形態のいずれかにより実行されるステップを含む対応する方法が提供される。
【0172】
さらに、非一過性の媒体に格納され、コンピュータ又は処理回路により実行されると、前述した方法のいずれかのステップを実行するコード命令を含む、コンピュータプログラムが提供される。
【0173】
一部の実施形態によれば、処理回路及び/又はトランシーバは、集積回路(IC)に埋め込まれている。
開示された主題を、最も実用的で好ましい実施形態であると現在考えられているものに基づいて、例示の目的で詳細に説明したが、このような詳細は例示のためのものに過ぎず、開示された主題は開示された実施形態に限定されるものではなく、それどころか、添付の特許請求の範囲の趣旨及び範囲に含まれる修正及び等価な装置を包含するものであることを理解されたい。例えば、ここに開示されている主題は、いずれかの実施形態の1つ又は複数の特徴を、可能な限り、いずれかの他の実施形態の1つ又は複数の特徴と組み合わせることができることを考慮していることを理解されたい。
【国際調査報告】