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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-25
(54)【発明の名称】大口径の四重光学レンズ
(51)【国際特許分類】
   G02B 13/00 20060101AFI20240118BHJP
   G02B 13/18 20060101ALI20240118BHJP
【FI】
G02B13/00
G02B13/18
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023541894
(86)(22)【出願日】2021-11-24
(85)【翻訳文提出日】2023-07-20
(86)【国際出願番号】 CN2021132691
(87)【国際公開番号】W WO2022151838
(87)【国際公開日】2022-07-21
(31)【優先権主張番号】202110064542.5
(32)【優先日】2021-01-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523261780
【氏名又は名称】広東▲イェ▼嘉光電科技股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】YEJIA OPTICAL TECHNOLOGY (GUANGDONG) CORPORATION
【住所又は居所原語表記】UNIT 1, 1F, BLOCK C, NO.2, LONGPU ROAD, LONGBEILING VILLAGE, TANGXIA TOWN, DONGGUAN, GUANGDONG, 523000, CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】弁理士法人ATEN
(72)【発明者】
【氏名】江 程
(72)【発明者】
【氏名】▲シェァ▼ 俊
(72)【発明者】
【氏名】南 基学
【テーマコード(参考)】
2H087
【Fターム(参考)】
2H087KA01
2H087KA29
2H087LA01
2H087NA02
2H087PA04
2H087PA17
2H087PB04
2H087QA02
2H087QA06
2H087QA13
2H087QA22
2H087QA25
2H087QA32
2H087QA41
2H087QA46
2H087RA04
2H087RA05
2H087RA12
2H087RA13
2H087RA32
2H087RA34
2H087UA01
(57)【要約】
本発明は大口径の四重光学レンズを提供する。当該レンズは、順番に配置されている正の屈折力を有する第1レンズと負の屈折力を有する第2レンズと正の屈折力を有する第3レンズと正の焦点を有する第4レンズとを備え、S7面から離れたS8面の片側にはS9面が設けられ、S1面の片側又はS2面とS3面との間には口径絞りが設けられ、S7面には開口絞りが設けられ、|ST-Fobj|<0.7f0、 di>0.9dj, i<j、|r4|<|r3|,|r7|<|r8|の関係があり、第4レンズの相当焦点距離は、第3レンズの相当焦点距離よりも大きくなり、第4レンズの相当焦点距離は、第1レンズの相当焦点距離よりも大きくなり、G67<G23の関係がある。本発明の各レンズは、軸方向公差に対する感度が低く、組立の難しさが低い。本発明は、開口数を増やしてエネルギー利用効率を高めることで配光輝度を有効的に高められ、且つ優れた画像解像度を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
順番に配置されている正の屈折力を有する第1レンズ(10)と負の屈折力を有する第2レンズ(20)と正の屈折力を有する第3レンズ(30)と正の焦点を有する第4レンズ(40)とを備え、前記第1レンズ(10)の両面は、それぞれS1面(11)とS2面(12)であり、前記第2レンズ(20)の両面は、それぞれS3面(21)とS4面(22)であり、前記第3レンズ(30)の両面は、それぞれS5面(31)及びS6面(32)であり、前記第4レンズ(40)の両面は、それぞれS7面(41)とS8面(42)であり、前記S1面(11)、前記S2面(12)、前記S3面(21)、前記S4面(22)、前記S5面(31)、前記S6面(32)、前記S7面(41)及び前記S8面(42)は順番に配置され、前記S7面(41)から離れた前記S8面(42)の片側にはS9面(50)が設けられ、前記S1面(11)の片側又は前記S2面(12)と前記S3面(21)との間には口径絞り(60)が設けられ、前記S7面(41)には開口絞り(70)が設けられ、前記S1面(11)、前記S2面(12)、前記S5面(31)、前記S6面(32)及び前記S7面(41)はすべて凸面であり、前記S4面(22)は凹面であり、
前記口径絞り(60)とレンズの物体焦点との距離は|ST-Fobj|で算出され、且つ|ST-Fobj|<0.7f0を満たし、ここでf0はレンズの相当焦点距離を表し、
前記S1面(11)~前記S8面(42)の口径dは、di>0.9dj並びにi<j という関係を満たし、ここでiは1~7の整数を表し、jは2~8の整数を表し、
前記S3面(21)の曲率半径はr3であり、前記S4面(22)の曲率半径はr4であり、両者は|r4|<|r3|を満たし、前記S7面(41)の曲率半径はr7であり、前記S8面(42)の曲率半径はr8であり、両者は|r7|<|r8|を満たし、前記第4レンズ(40)の相当焦点距離は、前記第3レンズ(30)の相当焦点距離よりも大きくなり、前記第4レンズ(40)の相当焦点距離は、前記第1レンズ(10)の相当焦点距離よりも大きくなり、
前記S6面(32)と前記S7面(41)との中心間隔はG67であり、前記S2面(12)と前記S3面(21)との中心間隔はG23であり、両者はG67<G23を満たすことを特徴とする大口径の四重光学レンズ。
【請求項2】
レンズの背面焦点距離は2mmを超えることを特徴とする請求項1に記載の大口径の四重光学レンズ。
【請求項3】
前記S8面(42)は平面又は凹面であることを特徴とする請求項1に記載の大口径の四重光学レンズ。
【請求項4】
前記S1面(11)、前記S2面(12)、前記S3面(21)、前記S4面(22)、前記S5面(31)、前記S6面(32)、前記S7面(41)及び前記S8面(42)は球面又は非球面であることを特徴とする請求項1に記載の大口径の四重光学レンズ。
【請求項5】
前記第1レンズ(10)、前記第2レンズ(20)、前記第3レンズ(30)及び前記第4レンズ(40)は、単レンズ又は接着レンズであることを特徴とする請求項1に記載の大口径の四重光学レンズ。
【請求項6】
前記第1レンズ(10)、前記第2レンズ(20)、前記第3レンズ(30)及び前記第4レンズ(40)は、ガラスレンズ又はプラスチックレンズであることを特徴とする請求項1に記載の大口径の四重光学レンズ。
【請求項7】
前記第1レンズ(10)のアッベ数はVd1であり、前記第2レンズ(20)のアッベ数はVd2であり、前記第3レンズ(30)のアッベ数はVd3であり、前記第4レンズ(40)のアッベ数はVd4であり、それらは、Vd1-Vd2>25、Vd3-Vd2>25及びVd4-Vd2>25を満たすことを特徴とする請求項1に記載の大口径の四重光学レンズ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学レンズに関し、特に大口径の四重光学レンズを開示する。
【背景技術】
【0002】
従来の技術では、投影原理による車両の前照灯レンズは、光源、光エネルギー収集部品、明暗遮断構造及び凸レンズで構成される。
【0003】
現在、行列式前照灯としても知られる新開発の画素配列の前照灯は、灯光のデジタル映写技術を応用するため、照明機能を備えるだけでなく、地面に図案を投影できる。例えば、これらの図案は、気象条件、道路運行指示、又は車両外の人々によって見分けられるその他の記号を含む。画素配列の前照灯の光学系は、主に発光の画像素子(例えば、mini LED、microLED、LCD液晶表示板、LCOS、又は点灯されていたDMDデジタルマイクロミラー等)及び投影用光学レンズを含む。投影図案をはっきりと可視化するためには、レンズは、優れた光学性能を達成し、且つ非点収差、視野曲率及び色収差等の光学収差が消去する必要がある。
【0004】
従来の技術における光学レンズは、収差を除去するために複数の正負のレンズを適切に組み合わせる必要がある。所用光学レンズの具体的な数は、光学レンズのパラメータ及び性能指標、所用光学材料及び光学プロセスに関連しており、若干複雑な光学レンズのレンズ数は10以上に達する可能性がある。現在、携帯電話中の所用光学レンズのレンズ数は、6を超えており、高コストにつながる。
【0005】
従来の技術におけるクック三重レンズの画像品質は要件を満たすのが難しい。図1に示されたのは、クック三重レンズから進化した典型的な四重テッサルレンズであり、即ち最後のグループの単凸レンズは一枚の二重接着レンズに代わる。テッサルレンズは、鮮明な画像が備わり、様々な収差に対して優れた補正を備えるが、元の設計における開口数は小さくなり、通常約0.125となり、0.2を超えない。これは、光エネルギー利用効率が非常に低くなるうえに、レンズの組立及び使用時、非常に精密な調整、小さな許容率及び高い使用要件を必要とすることを意味する。四重ダブルスガウスレンズにも同じ問題がある。
【0006】
画素配列の前照灯は、照明と結像の機能を兼ねる。一方では、必要とされるエネルギー利用効率はより高くなり、必要とされる輝度はより高くなり、他方では、投影の結像は特定の画質要件が備わり、特に低い収差を必要とする。その上、自動車用途の特異性により、光学レンズは、より高い熱信頼性、より良い振動信頼性及び軽量化を備える必要があるうえに、市場競争力をさらに向上させるようにより低いコストを必要とする。
【0007】
既存の技術の光学レンズは、高いエネルギー利用効率、高画質、簡単な安定した構造及び低コストの性能要件を同時に満たすことができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、既存の技術問題に対して、高いエネルギー利用効率、高画質、簡単な安定した構造及び低コストを備える大口径の四重光学レンズを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、既存の技術的問題を解決するために大口径の四重光学レンズを開示する。大口径の四重光学レンズは、順番に配置されている正の屈折力を有する第1レンズと負の屈折力を有する第2レンズと正の屈折力を有する第3レンズと正の焦点を有する第4レンズとを備える。前記第1レンズの両面は、それぞれS1面とS2面であり、前記第2レンズの両面は、それぞれS3面とS4面であり、前記第3レンズの両面は、それぞれS5面及びS6面であり、前記第4レンズの両面は、それぞれS7面とS8面である。前記S1面、前記S2面、前記S3面、前記S4面、前記S5面、前記S6面、前記S7面及び前記S8面は順番に配置される。前記S7面から離れた前記S8面の片側には前記S9面が設けられ、前記S1面の片側又は前記S2面と前記S3面との間には口径絞りが設けられる。前記S7面には開口絞りが設けられる。前記S1面、前記S2面、前記S5面、前記S6面及び前記S7面はすべて凸面である。前記S4面は凹面である。
【0010】
口径絞りとレンズの物体焦点との距離は|ST-Fobj|で算出され、且つ|ST-Fobj|<0.7f0を満たし、ここで f0はレンズの相当焦点距離を表す。
【0011】
前記S1面~前記S8面の口径dは、di>0.9dj並びにi<j という関係を満たし、ここでiは1~7の整数を表し,jは2~8の整数を表す。
【0012】
前記S3面の曲率半径はr3であり、前記S4面の曲率半径はr4であり、両者は|r4|<|r3|を満たし、前記S7面の曲率半径はr7であり、前記S8面の曲率半径はr8であり、両者は|r7|<|r8|を満たし、前記第4レンズの相当焦点距離は、前記第3レンズの相当焦点距離よりも大きくなり、前記第4レンズの相当焦点距離は、前記第1レンズの相当焦点距離よりも大きくなる。
【0013】
前記S6面と前記S7面との中心間隔はG67であり、前記S2面と前記S3面との中心間隔はG23であり、両者はG67<G23を満たす。
【0014】
更に、レンズの背面焦点距離は2mmを超えていてもよい。
【0015】
更に、前記S8面は平面又は凹面であってもよい。
【0016】
更に、前記S1面、前記S2面、前記S3面、前記S4面、前記S5面、前記S6面、前記S7面及び前記S8面は球面又は非球面であってもよい。
【0017】
更に、前記第1レンズ、前記第2レンズ、前記第3レンズ及び前記第4レンズは、単レンズ又は接着レンズであってもよい。
【0018】
更に、前記第1レンズ、前記第2レンズ、前記第3レンズ及び前記第4レンズは、ガラスレンズ又はプラスチックレンズであってもよい。
【0019】
更に、前記第1レンズのアッベ数はVd1であり、前記第2レンズのアッベ数はVd2であり、前記第3レンズのアッベ数はVd3であり、前記第4レンズのアッベ数はVd4であり、それらは、Vd1-Vd2>25、Vd3-Vd2>25及びVd4-Vd2>25を満たしていてもよい。
【発明の効果】
【0020】
本発明の有益な効果は、次の通りである。本発明は、大口径の四重光学レンズを開示し、4つのレンズしか使われず、低い製造コスト、簡単な安定した構造、優れた耐震性能及び軽い重量を備え、各レンズは、組み立てられた時に軸方向公差に対する感度が低く、許容誤差が大きく、組立の難しさが低く、組立のコストが低い。本発明は、開口数を増やしてエネルギー利用効率を高めることで、投影結像系に応用する時に配光輝度を有効的に向上させることができる。その上、当該光学レンズは、良い分散性能及び優れた画像解像度、つまり高画質を備える。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1はテッサルレンズ系の構造概略図である。
図2図2は本発明の実施例1の構造概略図である。
図3図3は本発明の実施例1の非点収差、視野曲率曲線及び歪曲曲線を示す。
図4図4は本発明の実施例1の軸上の色収差曲線を示す。
図5図5は本発明の実施例1のMTF曲線を示す。
図6図6は本発明の実施例2の構造概略図である。
図7図7は本発明の実施例2の非点収差、視野曲率曲線及び歪曲曲線を示す。
図8図8は本発明の実施例2の軸上の色収差曲線を示す。
図9図9は本発明の実施例2のMTF曲線を示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明は、技術的特徴及び手段、並びに達成された具体的な目的及び機能を更に理解するように、更に添付の図面及び具体的な実施形態と相まって詳細に説明される。
【0023】
次に図1~9を参照する。
【0024】
本発明の基本的な実施例は、大口径の四重光学レンズを開示する。大口径の四重光学レンズは、順番に配置されている正の屈折力を有する第1レンズ10と負の屈折力を有する第2レンズ20と正の屈折力を有する第3レンズ30と正の焦点を有する第4レンズ40とを備える。第1レンズ10の両面は、それぞれS1面11とS2面12であり、第2レンズ20の両面は、それぞれS3面21とS4面22であり、第3レンズ30の両面は、それぞれS5面31及びS6面32であり、第4レンズ40の両面は、それぞれS7面41とS8面42である。S1面11、S2面12、S3面21、S4面22、S5面31、S6面32、S7面41及びS8面42は順番に配置される。S7面41から離れたS8面42の片側にはS9面50が設けられ、S9面50は結像面であり、即ちS9面50は光学レンズ全体の像焦点に位置する。S1面11の片側又はS2面12とS3面21との間には口径絞り60が設けられる。所望状態で、口径絞り60は、S2面12から離れたS1面11の片側に位置し、前照灯レンズに適用する場合は、モデリング設計の必要性を考慮して、口径絞り60をS2面12とS3面21との間に配置する可能性があり、そして口径絞り60の構造はレンズの内部に隠され、前照灯レンズの外側では口径絞り60の構造を観察できない。S7面41には開口絞り70が設けられ、開口絞り70は、一般的にレンズ枠である。S1面11、S2面12、S5面31、S6面32及びS7面41はすべて凸面であり、S4面22は凹面である。
【0025】
口径絞り60と光学レンズ全体の物体焦点の距離は|ST-Fobj|で算出され、STは、口径絞り60と光学レンズ全体の中心との距離を表し、Fobjは、光学レンズ全体の物体焦点と光学レンズ全体の中心との間の距離を表し、f0は光学レンズ全体の相当焦点距離を表す。実際的応用時、光学レンズ全体の物体焦点は、第1レンズ10の内部に位置する可能性があるため、口径絞り60は、光学レンズ全体の物体焦点の近傍に配置され、即ち|ST-Fobj|<0.7f0を満たす。
【0026】
S1面11~S8面42の口径d1~d8は、di>0.9dj並びにi<j という関係を満たし、ここでiは1~7の整数を表し,jは2~8の整数を表し、dは光学面に対応する口径を表す。S1面11~S8面42の口径変化は、光入射の方向に沿って基本的に漸減の傾向に合致する。
【0027】
S3面21の曲率半径はr3であり、S4面22の曲率半径はr4であり、両者は|r4|<|r3|を満たし、S7面41の曲率半径はr7であり、S8面42の曲率半径はr8であり、両者は|r7|<|r8|を満たし、第4レンズ40の相当焦点距離は、第3レンズ30の相当焦点距離よりも大きく、即ちf4>f3になり、第4レンズ40の相当焦点距離は、第1レンズ10の相当焦点距離よりも大きく、即ちf4>f1になる。
【0028】
S6面32とS7面41との中心間隔はG67であり、S2面12とS3面21との中心間隔はG23であり、両者はG67<G23を満たす。
【0029】
作業中、光線はS1面11、S2面12、S3面21、S4面22、S5面31、S6面32、S7面41、S8面42及びS9面50に順番に届く。本発明の光学レンズは、前照灯の分散性能を著しく向上させることができるうえに、組み立てられた時に軸方向公差に対する感度が低く、組立の許容誤差が大きく、組立の難しさが低い。
【0030】
図1に示されたように、典型的なクック三重レンズに基づく変体のテッサルレンズは、通常口径絞りを中央レンズに配置し、構造対称性により、非点収差、視野曲率及び色収差などの一般的な収差を軽減又は修正できる。しかしながら,一方で、この構造は、レンズ全体の光エネルギー利用効率を記述するための開口数が小さくなることにつながる。他方で、それは、また、結像面における大きな視野の主光線の入射角CRAが大きくなることにつながる。一般的な光源の光度は、ランバートの余弦則を満たし、即ち0度の位置における光度が最大になり、60度の位置における光度が0.5に減衰し、90度の位置における光度が0に減衰する。これは、入射角CRAが大きくなるため、このレンズ系が同じ立体角に対してより低いエネルギーを得るようになることを意味する。
【0031】
本発明は、光学レンズの物体焦点に口径絞り60を配置して物体テレセントリック光路を形成すると、各視野の主光線が平行となるようになり、即ち、結像面(S9面50)における各視野の主光線の入射角CRAが0となるようになる。これは、同じ立体角に対して本発明によるエネルギー利用効率が高くなることを意味する。実際的応用時、口径絞り60は光学レンズの物体焦点の近傍に配置されるが、結像面(S9面50)における各視野の主光線の入射角CRAが20°以下となるため、エネルギー利用効率が高くなる。
【0032】
本実施例で、光学レンズの背面焦点距離は2mmを超え、即ちS8面42とS9面50との間の距離が2mmを超える。作業中の光源は一定量の熱を発生するため、4枚のレンズを有する光学レンズは、熱による部品の変形などの問題を有効的に回避するように十分に大きい背面焦点距離を配置する。
【0033】
本実施例で、S8面42は平面又は凹面である。
【0034】
本実施例で、S1面11、S2面12、S3面21、S4面22、S5面31、S6面32、S7面41及びS8面42は球面又は非球面であり、即ちS1面11~S8面42は球面にされる可能性があるか、S1面11~S8面42は非球面にされる可能性があるか、S1面11~S8面42の一部は球面又は非球面にされる可能性があるが、非球面は合理的なデザインとする。
【0035】
本実施例で、第1レンズ10、第2レンズ20、第3レンズ30及び第4レンズ40は、単レンズ又は接着レンズであり、即ち第1レンズ10、第2レンズ20、第3レンズ30及び第4レンズ40は単レンズである可能性があるか、第1レンズ10、第2レンズ20、第3レンズ30及び第4レンズ40は接着レンズである可能性があるか、第1レンズ10、第2レンズ20、第3レンズ30及び第4レンズ40の一部は単レンズ又は接着レンズである可能性がある。色収差補正レンズとしても知られている接着レンズは、2つの単レンズを接着して形成され、且つ多色結像における性能は単レンズよりも非常に高くなる。
【0036】
本実施例で、第1レンズ10、第2レンズ10、第3レンズ10及び第4レンズ10は、ガラスレンズ又はプラスチックレンズであり、即ち第1レンズ10、第2レンズ20、第3レンズ30及び第4レンズ40はガラスレンズである可能性があるか、第1レンズ10、第2レンズ20、第3レンズ30及び第4レンズ40はプラスチックレンズである可能性があるか、第1レンズ10、第2レンズ20、第3レンズ30及び第4レンズ40の一部はガラスレンズ又はプラスチックレンズである可能性がある。
【0037】
本実施例で、第1レンズ10のアッベ数はVd1であり、第2レンズ20のアッベ数はVd2であり、第3レンズ30のアッベ数はVd3であり、第4レンズ40のアッベ数はVd4であり、それらは、Vd1-Vd2>25、Vd3-Vd2>25及びVd4-Vd2>25を満たす。
【0038】
実施例1、光学レンズの結構を図2に示し、下記の表1、表2、表3及び表4に従って光学レンズを配置する。
【0039】
表1 実施例1の各表面のパラメータ
【表1】
【0040】
非球面の表示式は次式(数1)のとおりである。
【数1】
【0041】
ここで、zは非球面上のr位置のベクトル高度であり、cは非球面の近軸曲率であり、rは曲率半径であり、両者はc=1/r を満たし、kは円錐係数であり、A~Jは高次項係数である。
【0042】
表2 実施例1の各非球面のパラメータ
【表2】
【0043】
表3 実施例1の光学レンズの設計パラメータ
【表3】
【0044】
表4 実施例1の制約関係
【表4】
【0045】
要約すると、実施例1の開口数は、0.74に達し、テッサルレンズの0.125よりも非常に大きくなり、エネルギー利用効率が大幅に向上することがわかる。実施例1の非点収差、視野曲率曲線及び歪曲曲線は図3に示され、軸上の色収差曲線は図4に示され、MTF(変調伝達関数)曲線は図5に示される。これらにより、この光学レンズは、投影結像に適用する場合に良好な画質を備えることが分かる。
【0046】
実施例2、光学レンズの結構を図6に示し、下記の表5、表6、表7及び表8に従って光学レンズを配置する。
【0047】
表5 実施例2の各表面のパラメータ
【表5】
【0048】
非球面の表示式は次式(数2)のとおりである。
【数2】
【0049】
ここで、zは非球面上のr位置のベクトル高度であり、cは非球面の近軸曲率であり、rは曲率半径であり、両者はc=1/r を満たし、kは円錐係数であり、A~Jは高次項係数である。
【0050】
表6 実施例2の各非球面のパラメータ
【表6】
【0051】
表7 実施例2の光学レンズの設計パラメータ
【表7】
【0052】
表8 実施例2の制約関係
【表8】
【0053】
要約すると、実施例2の開口数は、0.75に達し、テッサルレンズの0.125よりも非常に大きくなり、エネルギー利用効率が大幅に向上することがわかる。実施例2の非点収差、視野曲率曲線及び歪曲曲線は図7に示され、軸上の色収差曲線は図8に示され、MTF(変調伝達関数)曲線は図9に示される。これらにより、この光学レンズは、投影結像に適用する場合に良好な画質を備えることが分かる。
【0054】
上記の実施例は、本発明のいくつかの実施形態しか列挙しないで、それらはより具体的かつ詳細に説明されるが、本発明の請求範囲に対する限定として理解すべきではない。指摘すべきであるのは、当業者にとって本発明の構想から逸脱せずに幾つかの変形と改良も作られ、且つ本出願の請求範囲に含まれるべきである。
【符号の説明】
【0055】
10 第1レンズ
11 S1面
12 S2面
20 第2レンズ
21 S3面
22 S4面
30 第3レンズ
31 S5面
32 S6面
40 第4レンズ
41 S7面
42 S8面
50 S9面
60 口径絞り
70 開口絞り
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【国際調査報告】