(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-25
(54)【発明の名称】調節可能フィルタ
(51)【国際特許分類】
A24D 3/04 20060101AFI20240118BHJP
A24F 40/20 20200101ALI20240118BHJP
【FI】
A24D3/04
A24F40/20
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023541942
(86)(22)【出願日】2022-01-11
(85)【翻訳文提出日】2023-07-11
(86)【国際出願番号】 EP2022050441
(87)【国際公開番号】W WO2022152696
(87)【国際公開日】2022-07-21
(32)【優先日】2021-01-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516004949
【氏名又は名称】ジェイティー インターナショナル エスエイ
【住所又は居所原語表記】8,rue Kazem Radjavi,1202 Geneva,SWITZERLAND
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100210398
【氏名又は名称】横尾 太郎
(72)【発明者】
【氏名】ライト,アレック
(72)【発明者】
【氏名】ローガン,アンドリュー・ロバート・ジョン
【テーマコード(参考)】
4B045
4B162
【Fターム(参考)】
4B045AA11
4B045AA21
4B045AB16
4B045BC12
4B045BC34
4B045BC37
4B162AA03
4B162AA22
4B162AB12
4B162AC08
4B162AC41
4B162AC42
4B162AD27
(57)【要約】
蒸気発生物品であって、第1の端部及び第1の端部に対向する第2の端部を有する本体であって、蒸気発生材料を収容するように配置される本体、マウスピース部分として配置される第1の端部と、本体の第1の端部への取り付けのために配置される、第1の端部に対向する第2の端部とを有するフィルタ、フィルタの第2の端部に位置する空気入口部分であって、周囲空気がフィルタに入ることを可能にするための少なくとも1つのアパーチャを含む空気入口部分を含み、フィルタは、アパーチャの断面積を調節して、アパーチャを通る空気流を変化させるために、空気入口部分に対して移動するように構成されるアジャスタを含み、フィルタの第2の端部は、本体の第1の端部に解放可能に取り付け可能である、蒸気発生物品。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の端部及び前記第1の端部に対向する第2の端部を有する本体であって、蒸気発生材料を収容するように配置される本体と、
マウスピース部分として配置される第1の端部と、前記本体の前記第1の端部への取り 付けのために配置される、前記第1の端部に対向する第2の端部とを有するフィルタと、
前記フィルタの前記第2の端部に位置する空気入口部分であって、周囲空気が前記フィルタに入ることを可能にするための少なくとも1つのアパーチャを含む空気入口部分と
を含み、
前記フィルタは、前記アパーチャの断面積を調節して、前記アパーチャを通る空気流を変化させるために、空気入口部分に対して移動するように構成されるアジャスタを含み、
前記フィルタの前記第2の端部は、前記本体の前記第1の端部に解放可能に取り付け可能である、
蒸気発生物品。
【請求項2】
前記アジャスタは、少なくとも1つのアパーチャを含み、
前記空気入口部分アパーチャに対する前記アジャスタアパーチャの移動は、前記アパーチャの前記断面積を調節する、
請求項1に記載の蒸気発生物品。
【請求項3】
前記アジャスタは、前記空気入口部分アパーチャの前記断面積を、周囲空気が前記空気入口部分アパーチャを介して前記空気入口に流入することができる開構成に調節するように構成される、
請求項1または2に記載の蒸気発生物品。
【請求項4】
前記アジャスタは、前記空気入口アパーチャの前記断面積を、周囲空気が前記空気入口部分に流入することができない閉構成に調節するように構成される、
請求項1~3のいずれか一項に記載の蒸気発生物品。
【請求項5】
前記開構成において、前記空気入口部分アパーチャは、前記空気入口部分アパーチャ及び前記アジャスタアパーチャが互いに略重なっているように、前記アジャスタアパーチャと略同軸に整列されるように配置される、
請求項3に記載の蒸気発生物品。
【請求項6】
前記閉構成において、前記空気入口部分アパーチャは、前記空気入口部分アパーチャ及び前記アジャスタアパーチャが互いに重ならないように、前記アジャスタアパーチャからオフセットされる、
請求項4または5に記載の蒸気発生物品。
【請求項7】
前記アジャスタは、前記空気入口アパーチャの前記断面積を、前記空気入口部分アパーチャが前記アジャスタアパーチャと部分的に重なって配置される部分的開構成に調節するように構成される、
請求項1~6のいずれか一項に記載の蒸気発生物品。
【請求項8】
前記アジャスタは、前記空気入口部分に対して回転するように構成される回転可能要素を含み、
前記回転可能要素の回転は、前記アパーチャの前記断面積を調節する、
請求項1~7のいずれか一項に記載の蒸気発生物品。
【請求項9】
前記アジャスタは、前記フィルタを受け入れ、且つ前記空気入口部分を囲むように配置され、及び前記フィルタに対して回転するように更に配置される、
請求項1~8のいずれか一項に記載の蒸気発生物品。
【請求項10】
前記空気入口部分における前記少なくとも1つのアパーチャは、略円形の形状を有する、前記アジャスタにおける前記少なくとも1つのアパーチャの大きさ及び/又は形状と略同じ大きさ及び/又は形状を有する、
請求項1~9のいずれか一項に記載の蒸気発生物品。
【請求項11】
前記アジャスタは、前記空気入口部分における前記少なくとも1つのアパーチャの大きさ及び/又は形状と異なる大きさ及び/又は形状を有する、少なくとも1つのアパーチャを含む、
請求項2~9のいずれか一項に記載の蒸気発生物品。
【請求項12】
前記空気入口部分における前記アパーチャは、前記フィルタの側壁に位置する、
請求項1~11のいずれか一項に記載の蒸気発生物品。
【請求項13】
前記空気入口部分は、前記フィルタの側壁の周囲に間隔を置いて配置される複数のアパーチャを含み、
前記アジャスタは、複数のアパーチャを含む、
請求項2~12のいずれか一項に記載の蒸気発生物品。
【請求項14】
各空気入口部分アパーチャは、対応するアジャスタアパーチャを有する、
請求項13に記載の蒸気発生物品。
【請求項15】
請求項1~14のいずれか一項に記載の蒸気発生物品と、
前記蒸気発生物品を受け入れ、且つ前記蒸気発生材料から蒸気を発生させるように構成される蒸気発生デバイスと
を含む、
蒸気発生システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、エアロゾルを形成するためにエアロゾル発生基材が加熱されるエアロゾル発生システムで使用するためのエアロゾル発生物品に関する。本開示は、詳細には、自己完結型且つ低温であり得る携帯型エアロゾル発生デバイスに適用可能である。かかるデバイスは、たばこ又は他の好適なエアロゾル基材材料を、燃焼させるのではなく、伝導、対流及び/又は放射によって加熱して、吸入のためのエアロゾルを発生させ得る。
【背景技術】
【0002】
(気化器としても知られる)リスク低減装置又はリスク修正装置の人気及び使用は、紙巻きたばこ、葉巻、シガリロ及びローリングたばこ等の従来のたばこ製品の喫煙を止めることを望む常習的喫煙者を支援するための補助としてここ数年で急速に成長している。従来のたばこ製品においてたばこを燃焼させるのとは対照的に、エアロゾル化可能物質を加熱又は加温する様々なデバイス及びシステムが利用可能である。
【0003】
一般的に入手可能なリスク低減デバイス又はリスク修正デバイスは、基材加熱式エアロゾル発生デバイス又は非燃焼型加熱式デバイスである。この種類のデバイスは、湿った葉タバコ又は他の好適なエアロゾル化可能材料を典型的に含むエアロゾル基材を典型的には150℃~350℃の範囲の温度に加熱することにより、エアロゾル又は蒸気を発生させる。エアロゾル基材を、燃焼させるか又は燃やすのではなく、加熱することにより、ユーザが求める成分を含むが、燃焼及び燃やすことによる副生成物を含まないエアロゾルが放出される。
【0004】
かかる装置において、エアロゾル基材は、典型的には、加熱チャンバ内に保持されてヒータにより加熱される消耗品に含まれる。消耗品は、ある量のエアロゾル発生基材を含み、ある量のエアロゾルを発生させることができる。
【0005】
しかしながら、かかるデバイスにおいて周知の問題は、ユーザ体験が紙巻たばこのものを完全に模倣するわけではないことである。特に、HNBデバイスは、紙巻たばこ等の従来のたばこ製品により提供される吸入経験と異なる吸入経験を提供することが知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
消費者がHNBデバイスの圧力低下及び温度を調節して、消費者自身の味覚及び喫煙特性に適合させることを可能にすることが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の態様によれば、蒸気発生物品であって、第1の端部及び第1の端部に対向する第2の端部を有する本体であって、蒸気発生材料を収容するように配置される本体、マウスピース部分として配置される第1の端部と、本体の第1の端部への取り付けのために配置される、第1の端部に対向する第2の端部とを有するフィルタ、本体の第1の端部に位置する空気入口部分であって、周囲空気が本体に入ることを可能にするための少なくとも1つのアパーチャを含む空気入口部分を含み、フィルタは、アパーチャの断面積を調節して、アパーチャを通る空気流を変化させるために、空気入口部分に対して移動するように構成されるアジャスタを含み、フィルタの第2の端部は、本体の第1の端部に解放可能に取り付け可能である、蒸気発生物品が提供される。
【0008】
アジャスタは、空気入口アパーチャの断面積の大きさを調節する(例えば、増加又は減少させる)ことにより、蒸気発生物品の圧力低下を必要に応じて調節することを可能にして、より多い又はより少ない体積の空気がフィルタ本体に入ることを可能にする。フィルタ本体に入ることができる空気の体積を変化させることは、ユーザによって吸入される前に周囲空気が混合する蒸気の温度も調節する。特に、アパーチャの断面積は、連続的な範囲にわたって調節され得る。これは、圧力低下が通常固定されている公知の装置の欠点を回避する。従って、物品のエアロゾル発生特性の制御に関して、より大きい柔軟性がもたらされ、圧力低下は、エアロゾル発生セッション中に調節されて、紙巻たばこ等の従来のたばこ製品の挙動をより厳密に模倣することができる。
【0009】
有利には、蒸気発生物品のアジャスタは、消費者が蒸気発生物品の圧力低下を増加させて、自らの味覚及び喫煙特性に適合させることを可能にする。蒸気発生物品の一部のユーザは、フィルタセクションを噛むか又は絞ることによってフィルタセクションを収縮させて、圧力低下を増加させることが知られているが、他のユーザは、圧力低下の修正が必要でないことを見出している。
【0010】
一定の圧力低下を有する単一の標準的な構成を製造することは、従って、一部の消費者には適さないであろう。しかし、それぞれが僅かな割合の消費者によって好まれる異なる圧力低下を有する多くの異なるバリエーションを製造することは、実用的ではない。アジャスタの提供は、従って、フィルタを通る空気流路の大きさを調節するためにフィルタを収縮させる手段を提供することにより、各消費者が蒸気発生物品自体の圧力低下及び温度を修正し、ユーザのベイピング体験を向上させることを可能にする。
【0011】
フィルタの第2の端部は、蒸気発生物品の本体に解放可能に取り付け可能である。フィルタは、従って、ユーザが物品の使用を望む場合に蒸気発生物品に取り付けられ、ユーザが物品内の基材を消費した場合に物品から取り外され得る。このように、フィルタは、再利用可能なフィルタであり、複数の蒸気発生物品と共に用いることができる。
【0012】
通常、蒸気発生デバイスは、基材を収容する消耗品と、消耗品に取り付けられたフィルタとを含む。基材がユーザによって消費されると、消耗品は、もはや使用できないため、蒸気発生デバイスは、廃棄される。フィルタは、消耗品に取り付けられているため、フィルタも同時に廃棄される。その結果、フィルタは、通常、廃棄するのに費用がかからない単純な技術を含む。
【0013】
蒸気発生物品(消耗品とも称する)に解放可能に取り付けることができるフィルタを提供することにより、フィルタは、毎回廃棄される代わりに、その後の蒸気発生物品と共に再利用することができる。例えば、フィルタは、20~100回使用することが可能であり得、従って、フィルタは、フィルタを交換し、廃棄する必要がある前に、20~100の異なる蒸気発生物品と共に用いることができる。
【0014】
これは、より複雑で高価な技術をフィルタ内で用いることができ、特に圧力低下及び温度を調節するより効率的でより効果的な手段をフィルタ内に採用することができるという効果を有する。一例として、20~100の蒸気発生物品毎に交換するのみでよい再利用可能なフィルタを用いることは、フィルタ内の技術が1回使用の使い捨てフィルタのコストの20~100倍になり得ることを意味する。従って、フィルタの第2の端部が蒸気発生物品に解放可能に取り付け可能であるフィルタを有することは、ユーザがベイピング体験を効率的且つ効果的に調節することを可能にするアジャスタを含む再利用可能なフィルタを提供する。
【0015】
アジャスタは、空気入口アパーチャの断面積を減少させてフィルタ内の空気流の圧力低下を増加させるように配置され得る。アジャスタは、空気入口アパーチャの断面積を増加させてフィルタ内の空気流の圧力低下を減少させるように配置され得る。好ましくは、アジャスタは、少なくとも1つのアパーチャを含み、空気入口部分アパーチャの移動に対するアジャスタアパーチャの移動は、アパーチャの断面積を調節する。
【0016】
アジャスタは、空気入口部分アパーチャの断面積を、周囲空気が空気入口部分アパーチャを介して空気入口に流入することができる開構成に調節するように構成され得る。これにより、蒸気の温度及び圧力低下が減少する。
【0017】
アジャスタは、空気入口アパーチャの断面積を、周囲空気が空気入口部分に流入することができない閉構成に調節するように構成され得る。これは、圧力低下を生じ、蒸気の温度を比較的高いままにする可能性がある。
【0018】
幾つかの実施例において、開構成にある場合、空気入口部分アパーチャは、空気入口部分アパーチャ及びアジャスタアパーチャが互いに略重なっているように、アジャスタアパーチャと略同軸に整列されるように配置され得る。このようにして、フィルタ内への空気流は、略制限されない。更に、2つのアパーチャが互いに略整列されるように2つのアパーチャを配置することにより、最大量の空気流が空気入口部分を通してフィルタに入り、圧力及び温度の最大の降下をもたらし得る。
【0019】
閉構成にある場合、空気入口部分アパーチャは、空気入口部分アパーチャ及びアジャスタアパーチャが互いに重ならないように、アジャスタアパーチャからオフセットされ得る。このようにして、空気が空気入口部分を介してフィルタに入ることを略完全に防止し得る。
【0020】
好ましくは、アジャスタは、空気入口アパーチャの断面積を、空気入口部分アパーチャがアジャスタアパーチャと部分的に重なって配置される部分的開構成に調節するように構成され得る。この場合、フィルタ内への空気流は、部分的に制限される。アジャスタを部分的開構成にすることを可能にすることにより、ユーザが温度及び圧力低下に対してより細かい調節を行うことを可能にし、ユーザの蒸気吸引体験をより特別にすることを可能にする。
【0021】
幾つかの実施例において、アジャスタは、空気入口部分に対して回転するように構成される回転可能要素を含み得、回転可能要素の回転は、アパーチャの断面積を調節する。回転要素は、空気入口アパーチャの断面積を調節するための、単純であるが、効果的な機構を提供する。蒸気発生物品は、従って、全てのユーザが容易に操作することができる比較的単純なコンポーネントで作製することができる。
【0022】
好ましくは、アジャスタは、フィルタを受け入れ、且つ空気入口部分を囲むように配置され得る。アジャスタは、スリーブ状又はカラー状の構成を有し得る。このようにして、アジャスタは、フィルタ本体上を摺動してフィルタの外面を囲むように配置され得る。
【0023】
アジャスタは、好ましくは、フィルタに対して回転するように配置され得る。これは、空気入口アパーチャの大きさを調節するために、アジャスタの回転を通して、アジャスタが空気入口アパーチャを覆う及び覆いを取ることを可能にし得る。
【0024】
幾つかの実施例において、空気入口部分における少なくとも1つのアパーチャは、略円形の形状を有し得る。幾つかの実施例において、アジャスタにおける少なくとも1つのアパーチャは、略円形の形状を有し得る。空気入口部分における少なくとも1つのアパーチャは、アジャスタにおける少なくとも1つのアパーチャの大きさ及び/又は形状と略同じ形状及び/又は大きさを有し得る。これは、2つのアパーチャが例えば開構成において互いにより正確に整列することを可能にし得る。
【0025】
他の実施例において、アジャスタは、空気入口部分における少なくとも1つのアパーチャの大きさ及び/又は形状と異なる大きさ及び/又は形状を有する少なくとも1つのアパーチャを含み得る。これは、閉位置にある場合に空気の残留流がフィルタに入ることを可能にし得、ユーザが口を火傷しないように、発生した蒸気がユーザによって吸入される前に僅かに冷却されることを確実にすることを促進し得る。
【0026】
空気入口部分におけるアパーチャは、フィルタの側壁に位置し得る。空気入口部分は、フィルタの側壁の周囲に間隔を置いて配置される複数のアパーチャを含み得る。空気入口アパーチャは、フィルタの外面の周囲に円周方向に間隔を置いて配置され得る。幾つかの実施例において、複数のアパーチャは、フィルタの周囲に等間隔に配置され得る。他の実施例において、複数の空気入口アパーチャの少なくとも幾つかは、互いに対して不等間隔に配置され得る。
【0027】
アジャスタは、複数のアパーチャを含み得る。好ましくは、各空気入口部分アパーチャは、対応するアジャスタアパーチャを有する。これは、アジャスタが全ての空気入口アパーチャの断面積を略同時に調節することを可能にし得る。
【0028】
フィルタは、プラスチック製であり得る。プラスチックは、容易に入手可能な材料であり、そのため、プラスチックを用いることにより、製造コストを低減することに役立ち得る。更に、プラスチックは、比較的剛性の材料であり、そのため、プラスチックフィルタを用いることにより、より構造的に剛性のフィルタが提供される。
【0029】
幾つかの実施例において、蒸気発生物品のフィルタは、完全に使い捨てであり得る。フィルタは、紙製であり得る。フィルタは、消耗品を収容する蒸気発生物品の本体の一部を形成し得る。
【0030】
別の態様によれば、蒸気発生システムであって、蒸気発生物品と、蒸気発生物品を受け入れ、且つ蒸気発生材料から蒸気を発生させるように構成される蒸気発生デバイスとを含む蒸気発生システムが提供される。
【0031】
ここで、本発明の実施形態について、添付図面を参照して単なる例として説明する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【発明を実施するための形態】
【0033】
図1を参照すると、細長い消耗品1の形態の例示的なエアロゾル発生物品1が、エアロゾルを発生させるためにエアロゾル発生デバイス2内に位置して示されている。
【0034】
エアロゾル発生物品1は、ロッド状部分11とフィルタ14とを含む。
【0035】
ロッド状部分11は、ロッド状部分11の長さの一部にわたって延在するエアロゾル発生基材12を含む。エアロゾル発生基材12は、エアロゾル発生デバイス2の加熱チャンバ内にあり、加熱チャンバの開口部から最も遠いエアロゾル発生物品1の端部に配置される。エアロゾル発生基材12は、加熱時にエアロゾルを発生する材料である。エアロゾル発生基材12は、例えば、たばこ又はニコチンを含み得る。エアロゾルは、フィルタ14を通る空気流によってエアロゾル発生物品1から引き出される。
【0036】
エアロゾル発生デバイス2は、加熱チャンバ21とヒータ22とを含む。
【0037】
加熱チャンバ21は、エアロゾル発生物品1、即ちエアロゾル発生物品1のロッド状部分11が受け入れられ得る内部中空を有する管状構造である。具体的には、加熱チャンバは、第1の端部212と第2の端部213との間に延在する側壁を含む。第1の端部212は、ロッド状部分11の挿入を可能にするために開口しているか又は使用時に操作可能である。第2の端部213は、空気がエアロゾル発生物品を通して流れる空気入口を提供するために、
図1に示すように開口し得る。代替として、第2の端部213は、加熱チャンバ21の加熱効率を高めるために閉鎖され得る。
【0038】
加熱チャンバ21は、セラミック又は金属から形成され得る。例えば、加熱チャンバ21は、金属薄板を曲げ加工又はプレス加工することによって形成され得る。ヒータ22は、側壁を通して加熱チャンバ21の内部中空内に熱を伝えるのに好適な任意のヒータであり得る。例えば、ヒータは、電気によって駆動される抵抗トラックの形態であり得る。代替として、燃料燃焼等の化学反応によって熱が提供されるヒータ等の他の種類のヒータが用いられ得る。加熱チャンバは、真空管、断熱繊維及び/又はエアロゲル等の断熱材によって更に囲まれ得る。
【0039】
使用時、ヒータ22は、エアロゾル発生物品1を燃焼させることなくエアロゾル発生基材12にエアロゾルを放出させるのに十分な温度まで加熱チャンバ21を加熱するように配置される。特に、ヒータ22は、エアロゾル発生基材12を150℃~350℃の最高温度、より好ましくは200℃~350℃の温度に加熱するように構成される。
【0040】
ヒータ22は、
図1において加熱チャンバ21の外側に示されているが、ヒータ22は、幾つかの実施形態において、加熱チャンバ21の内側に配置され得る。
【0041】
エアロゾル発生物品1は、エアロゾル冷却領域15を更に含む。エアロゾル冷却領域15は、エアロゾル発生物品1の長さの一部にわたって延在し、エアロゾル発生物品1の中空管状部分を含む。この中空管状部分は、(エアロゾル発生基材12を加熱することにより発生させた)エアロゾルが、中空管状部分の側部から漏出せずに、エアロゾル発生物品1を通過することを可能にする。エアロゾル冷却領域15は、加熱領域と称され得るヒータ22によって加熱されるエアロゾル発生物品1の一部と重ならないため、エアロゾルは、エアロゾル冷却領域15内で加熱され続けない。
【0042】
前述のように、エアロゾル基材15は、加熱チャンバ21内にあり、開口部212から最も離れたエアロゾル発生物品1の端部に配置される。フィルタ14は、開口部212の最も近くにある他の端部に配置される。エアロゾル冷却領域15は、エアロゾル発生基材12とフィルタ14との間にエアロゾル発生物品1の長さに沿って延在する。これにより、使用時、発生したエアロゾルが、ユーザによる吸入前に冷却され得ることが確実になる。
【0043】
ここで、フィルタ14の更なる詳細を説明する。
【0044】
図2Bに見ることができるように、フィルタ14は、マウスピース部分として配置される第1の端部32と、ロッド状部分11への取り付けのために配置される、第1の端部に対向する第2の端部34とを有する。空気入口部分36は、
図3Bに示すように、フィルタの第2の端部に位置する。空気入口部分36は、空気が外部環境から空気入口部分36を通してフィルタ14内に流れることを可能にする。従って、空気入口部分36は、ユーザによって吸入される前にフィルタ14内で空気を輸送し、エアロゾル蒸気を換気する。
【0045】
フィルタ14は、空気入口部分36を通してフィルタ14内に至る空気の流れを制御するように構成されるアジャスタ38(即ち調節可能な開口部材)を含み。これは、アジャスタ38が、アパーチャを通る空気流を変化させるために、空気入口部分36のアパーチャの断面積を調節することができるように、空気入口部分36に対して移動可能なアジャスタ38によって達成される。
【0046】
例えば、空気入口アパーチャの大きさを第1の大きさから第2の大きさに増大させて、フィルタ14内への空気の流れを増加させ、それにより圧力低下を減少させ、蒸気の温度を低下させ得る。反対に、空気入口アパーチャの大きさを第2の大きさから第1の大きさに減少させて、フィルタ14内への空気の流れを減少させ、それにより圧力低下を増加し、蒸気の温度を上昇させ得る。当業者であれば、空気入口アパーチャの大きさを変化させることによって圧力低下及び温度を正確に制御することができるように、大きさの連続的な範囲にわたって変化するように空気入口アパーチャを制御し得ることを理解するであろう。
【0047】
図3Bに示す実施例において、空気入口部分36は円形であり、空気入口部分36の断面積は、空気入口部分36に入ることができる空気の量を変化させるために、アジャスタ38を用いて変えられる。しかし、アパーチャ16は、三角形、楕円形又は矩形等の代替形状で形成され得ることが理解されるであろう。
【0048】
空気入口アパーチャの第1の大きさ(
図3Bに示す)は、アジャスタ38が開位置にあり、空気入口アパーチャが略完全に開いている状態に対応し得る。空気入口アパーチャの第2の大きさ(
図2Bに示す)は、アジャスタ38が閉位置にあり、空気入口アパーチャが略完全に閉じている状態に対応し得る。ここでも、当業者であれば、空気入口アパーチャの第1及び第2の大きさは、限定的であることを意図せず、空気入口アパーチャの大きさは、第1及び第2の大きさ間で連続的に変化するように構成され得ることを理解するであろう。換言すれば、アジャスタ38は、空気入口部分アパーチャの大きさを連続的な範囲にわたって調節するように構成され、即ち、空気入口部分アパーチャは、アパーチャのちょうど2つの大きさ間で切り替わることに限定されない。空気入口部分の大きさを調節することにより、フィルタ14への体積流量は、空気入口部分アパーチャの大きさが増大するにつれて増加され得る。
【0049】
より詳細には、アジャスタ38は、
図2A及び3Aに示すように、アジャスタがフィルタ14を取り囲むようにフィルタ14を受け入れるように配置されるスリーブ又は細長いカラーの形態をとる。特に、アジャスタ28は、アジャスタ38が空気入口部分36を取り囲むようにフィルタ14の略全長を受け入れる。アジャスタ38は、次いで、フィルタ14及び空気入口部分36に対して且つロッド状部分11に対して回転することができる。このようにして、アジャスタ38は、回転可能要素の回転により空気入口アパーチャの断面積を調節するように、空気入口部分36に対して回転するように構成される回転可能要素を含むものとして考えることができる。
【0050】
空気が空気入口部分36を介してフィルタ14に入ることを可能にするために、アジャスタは、少なくとも1つのアパーチャを含む。アジャスタ38の移動は、従って、アジャスタアパーチャの移動を生じる原因となる。特に、空気入口部分アパーチャに対するアジャスタアパーチャの移動は、アパーチャの断面積を調節する。
【0051】
上で検討したように、アジャスタ38は、周囲空気が空気入口部分アパーチャを介して空気入口36に流入することができる(
図3Bに示すような)開位置と、周囲空気が空気入口部分36に流入することができない(
図2Bに示すような)閉位置との間で移動させることができる。開位置において、アジャスタアパーチャは、空気入口部分アパーチャと略同軸に整列される。この場合、空気入口部分アパーチャとアジャスタアパーチャとは、互いに略重なっていると考えることができる。閉位置において、アジャスタアパーチャは、空気入口部分アパーチャからオフセットされる。この場合、空気入口部分アパーチャとアジャスタアパーチャとは、互いに重ならない。
【0052】
アジャスタが開位置と閉位置との間の中間位置にある場合、アジャスタは、部分的に開いた構成にあると言うことができる。ここで、空気入口部分アパーチャは、アジャスタアパーチャと部分的に重なって配置される。
【0053】
図3Bに示す実施例において、アジャスタアパーチャ及び空気入口部分アパーチャの両方は、略円形である。更に、
図3Bの実施例において示すように、アジャスタアパーチャ及び空気入口部分アパーチャの大きさは、略同じである。しかし、図示していない他の実施例において、アジャスタは、空気入口部分における少なくとも1つのアパーチャの大きさ及び/又は形状と異なる大きさ及び/又は形状を有する少なくとも1つのアパーチャを含み得る。
【0054】
フィルタ14の第2の端部の側壁に位置する各空気入口部分アパーチャに対して、アジャスタ38の側壁に位置する対応するアジャスタアパーチャが存在する。従って、アジャスタ38をフィルタに対して回転させると、全ての空気入口部分アパーチャの断面積が略同時に調節される。
【0055】
要約すると、ユーザによって調節することができる空気入口アジャスタを有するフィルタを用いることにより、ユーザの口に到達する前に、発生された蒸気と混合する空気を変化させることができる。アジャスタ38をより大きく開くと、より多くの外気が、蒸気のバルク温度を低下させ、圧力低下を減少させる効果を有するより多くの蒸気と混合され、アジャスタ38が閉じられると逆も同様である。アジャスタ38は、バルブと同様の方法で機能する。アジャスタ38は、フィルタの外側部分の孔を覆うか又は覆わないかのいずれか一方であるフィルタの中央部分の回転可能要素を捩ることによって開閉される。
【0056】
フィルタ14は、第2の端部104において第1のエアロゾル発生物品1の1つのロッド状部分11から取り外し、次いで第2の端部104を介して第2のエアロゾル発生物品1の別のロッド状部分11に再度取り付けることができるため、再使用可能なフィルタ14である。特に、フィルタ14は、任意の適切な一時的取り付け機構を用いて、ロッド状部分11内又はその上に差し込まれ得る。フィルタ14は、従って、解放可能に取り付け可能であり、複数のエアロゾル発生物品と共に用いることができると考えることができる。換言すれば、フィルタ14は、半使い捨てであると言うことができる。
【0057】
フィルタは、ロッド状部分11と同じ種類のプラスチックであり得るプラスチックから作成される。プラスチックフィルタを用いることの利点は、複数のエアロゾル発生物品1においてユーザによって捩られ、再利用することができる剛性構造を可能にすることである。フィルタ14は、再利用可能であるため、フィルタに塑性体を用いることは、費用効果が高い。
【0058】
フィルタ14がロッド状部分11に取り付けられると、蒸気発生物品1が形成される。特に、蒸気発生物品1は、第1の端部及び第2の端部を含み、フィルタ14は、蒸気発生物品1の第2の端部に取り付けられる。蒸気発生物品1の第1の端部は、蒸気発生デバイス2と接続するために用いられ得る。この場合、蒸気発生システムは、蒸気発生物品1と、蒸気発生物品1を受け入れる蒸気発生デバイス2とを含んで形成される。
【0059】
エアロゾル発生デバイスは、「加熱式たばこ装置」、「加熱非燃焼式たばこ装置」、「たばこ製品気化用装置」等と等しく称することができる電子たばこであり、これらの効果を実現するのに好適な装置として解釈されることを理解すべきである。本明細書で開示する特徴は、任意のエアロゾル発生媒体を気化させるように設計される装置に等しく適用可能である。
【0060】
エアロゾル発生基材12は、たばこを、例えば乾燥又はキュアされた形態で含み得、場合により風味のための又はより滑らかな若しくはより満足感を与える体験をもたらすための追加の成分を有する。幾つかの実施例において、たばこ等のエアロゾル発生基材12は、気化剤で処理され得る。気化剤は、エアロゾル発生基材12からの蒸気の発生を改善し得る。気化剤は、例えば、グリセロール等のポリオール又はプロピレングリコール等のグリコールを含み得る。場合により、エアロゾル発生基材12は、たばこ又は更にニコチンを含まなくてもよく、代わりに風味、揮発性、滑らかさの改善及び/又は他の満足感を与える効果を提供するための天然成分又は人工由来の成分を含み得る。
【0061】
エアロゾル発生基材12は、細断された、ペレット状の、粉末状の、粒状の、ストリップ又はシート形態、任意選択的にこれらの組み合わせの固体又はペーストタイプの材料として提供され得る。同様に、エアロゾル発生基材12は、液体又はゲルであり得る。実際に、幾つかの実施例では、固体部分と液体/ゲル部分との両方が含まれる場合がある。実際に、幾つかの実施例では、固体部分と液体/ゲル部分との両方が含まれる場合がある。幾つかの実施例において、基材12は、中実ブロックであり得るか、又は包装体13内に詰められたばら材料であり得る。好ましくは、基材は、たばこ粉末とエアロゾル形成剤とを含むランダムに配向されたたばこストランドを含む。適切なエアロゾル形成剤は、ポリオール(ソルビトール、グリセロール及びプロピレングリコール又はトリエチレングリコール等のグリコール類等)、非ポリオール(一価アルコール、乳酸等の酸類、グリセロール誘導体並びにトリアセチン、トリエチレングリコールジアセテート、クエン酸トリエチル等のエステル、グリセリン又は植物性グリセリン等)を含む。幾つかの実施形態において、エアロゾル発生剤は、グリセロール、プロピレングリコール又はグリセロールとプロピレングリコールとの混合物であり得る。
【0062】
エアロゾル発生基材12は、通常、加熱されるとガス又はガス中の固体及び/若しくは液体浮遊物を発生するが、本明細書では、用語「蒸気」及び「エアロゾル」は交換可能に用いられ、一般に、エアロゾル発生基材12を加熱して、任意の大きさの粒子又は溶滴の浮遊物を生じる場合に発生する物質を指すことが理解されるであろう。
【0063】
本明細書で用いる場合、「流体」という用語は、液体、ペースト、ゲル、粉末等を含むが、これらに限定されない流動可能な種類の非固形材料を総称して説明するものとして解釈されるものとする。それに応じて、「流動化された材料」は、本質的に流体である材料又は流体として挙動するように改質された材料として解釈されるものとする。流動化は、粉末化、溶媒への溶解、ゲル化、増粘化、減粘化等を含み得るが、これらに限定されない。
【国際調査報告】