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特表2024-503411少なくとも1つの軸系の不整合を補正するための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-25
(54)【発明の名称】少なくとも1つの軸系の不整合を補正するための方法
(51)【国際特許分類】
   G01L 3/22 20060101AFI20240118BHJP
【FI】
G01L3/22 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023541985
(86)(22)【出願日】2022-01-14
(85)【翻訳文提出日】2023-09-01
(86)【国際出願番号】 AT2022060010
(87)【国際公開番号】W WO2022150864
(87)【国際公開日】2022-07-21
(31)【優先権主張番号】A50011/2021
(32)【優先日】2021-01-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513131176
【氏名又は名称】アーファオエル・リスト・ゲーエムベーハー
(71)【出願人】
【識別番号】519223125
【氏名又は名称】ピエゾクリスト・アドバンスト・センソリクス・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンダー・シュリッカー
(72)【発明者】
【氏名】ヤーコプ・モーダー
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス・ノイバウアー
(72)【発明者】
【氏名】エルヴィン・ライジンガー
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル・メスナー
(57)【要約】
本発明は、テストベンチ(1)上のパワートレイン(3)の少なくとも1つの軸系(5、5a、5b)の不整合を補正するための方法(100)であって、力流が軸系(5;5a、5b)を介したパワーの伝達中にテストベンチ(1)の負荷ユニット(14;14a、14b)とパワートレイン(3)またはテストベンチ(1)の駆動ユニット(2)との間でそれを介して伝達され得る力の経路中に、少なくとも1つの圧電力センサ(4a、4b、4c、4d)が配置され、以下の作業ステップ、すなわち、少なくとも1つの平面(A、B;F)において、および/または軸系(5;5a、5b)の回転軸(D)によって交差され、好ましくは、回転軸(D)に対して少なくとも実質的に垂直である、少なくとも1つの平面(A、B;F)に対して垂直に力測定を実施するステップ(101)と、軸系(5;5a、5b)の不整合を検出するために、力測定の測定値または測定値推移を分析するステップ(102)と、不整合を最小限に抑えるために、負荷ユニット(14;14a、14b)または駆動ユニット(2)の位置補正のための目標値を決定するステップ(103)と、目標値を出力するステップ(105)とを備える、方法(100)に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
テストベンチ(1)上のパワートレイン(3)の少なくとも1つの軸系(5、5a、5b)の不整合を補正するための方法(100)であって、
力流が前記軸系(5;5a、5b)を介したパワーの伝達中に前記テストベンチ(1)の負荷ユニット(14;14a、14b)とパワートレイン(3)または前記テストベンチ(1)の駆動ユニット(2)との間でそれを介して伝達され得る力の経路中に、少なくとも1つの圧電力センサ(4a、4b、4c、4d)が配置され、以下の作業ステップ、すなわち、
少なくとも1つの平面(A、B;F)において、および/または前記軸系(5;5a、5b)の回転軸(D)によって交差され、好ましくは、前記回転軸(D)に対して少なくとも実質的に垂直である前記少なくとも1つの平面(A、B;F)に対して垂直に、力測定を実施するステップ(101)と、
前記軸系(5;5a、5b)の不整合を検出するために、前記力測定の測定値または測定値推移を分析するステップ(102)と、
前記不整合を最小限に抑えるために、前記負荷ユニット(14;14a、14b)または前記駆動ユニット(2)の位置補正のための目標値を決定するステップ(103)と、
前記目標値を出力するステップ(105)と
を備える、方法(100)。
【請求項2】
以下の追加の作業ステップ、すなわち、
前記力測定の前記測定値または測定値推移に基づいて、前記軸系(5;5a、5b)に関する曲げモーメントまたは曲げモーメント曲線を決定するステップ(103-1)と、
前記決定された曲げモーメントまたは曲げモーメント曲線に基づいて、前記軸系(5;5a、5b)の曲げ線を決定するステップ(103-2)であって、前記目標値が、前記曲げ線を通じて決定される、ステップ(103-2)と
が前記目標値(103)の前記決定において実施される、請求項1に記載の方法(100)。
【請求項3】
以下の作業ステップ、すなわち、
前記軸系(5;5a、5b)に関する曲げモーメントまたは曲げモーメント曲線が、しきい値を超えたかどうかをチェックするステップ(104)と、
前記しきい値を超えた場合には、前記方法(100)を反復的に繰り返すか、または前記しきい値を超えない場合には、前記方法(100)を終了するステップ(109)と
をさらに備える、請求項1または2に記載の方法(100)。
【請求項4】
以下の作業ステップ、すなわち、
前記負荷ユニット(14)と前記駆動ユニット(2)との間の摩擦接続を、特に前記軸系(5;5a、5b)のカップリングを開くことによって、分離するステップ(106)
をさらに備える、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法(100)。
【請求項5】
以下の作業ステップ、すなわち、
前記出力された目標値に基づいて、前記テストベンチ上の前記負荷ユニット(14)および/または前記駆動ユニット(2)の位置を変化させるステップ(107)
をさらに備える、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法(100)。
【請求項6】
以下の作業ステップ、すなわち、
前記負荷ユニット(14)と前記駆動ユニット(2)との間の摩擦接続を確立するステップ(108)
をさらに備える、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法(100)。
【請求項7】
前記軸系(5;5a、5b)の定数、とりわけ弾性の係数と耐性の係数との積が、前記駆動ユニット(2)または前記負荷ユニット(14)のそれぞれ異なる位置について2つの力測定を通じて前記曲げ線を計算するために決定される、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法(100)。
【請求項8】
前記軸系(5;5a、5b)の前記回転軸(D)は、前記力測定が実施される前記軸系(5;5a、5b)の軸の回転軸である、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法(100)。
【請求項9】
前記力測定が、前記軸系(5;5a、5b)の静止状態または準静止状態において行われる、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法(100)。
【請求項10】
前記力測定は、前記1つまたは複数の測定値が、臨界軸系(5;5a、5b)負荷を示すしきい値と比較されるという点で監視され、前記しきい値を超えると、前記軸系(5;5a、5b)の回転は停止されるか、または回転は行われない、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法(100)。
【請求項11】
複数の力センサ(4、11)が、力の前記経路中に提供され、前記力センサ(4、11)の各力測定が、監視される、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法(100)。
【請求項12】
前記軸系(5;5a、5b)の平行オフセットおよび/または角度オフセットの間の区別が、前記不整合に関して分析中に行われる、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法(100)。
【請求項13】
コンピュータによって実行されたとき、前記コンピュータに、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法のステップを実行するように促す命令を含んでいる、コンピュータプログラム。
【請求項14】
請求項13に記載のコンピュータプログラムが記憶された、コンピュータ可読媒体。
【請求項15】
パワートレインテストベンチ(1)であって、
テスト対象の軸系(5;5a、5b)に接続可能な負荷ユニット(14a、14b)と、
力流が前記軸系(5;5a、5b)を介したパワーの伝達中に前記テストベンチ(1)の前記負荷ユニット(14a、14b)からそれを介して伝達される力の経路中に配置され、平面(A、B;F)において、および/または前記軸系(5;5a、5b)の回転軸(D)によって交差され、好ましくは、前記回転軸(D)に対して少なくとも実質的に垂直である、前記平面(A、B;F)に対して垂直に力測定を実施するように構成された、少なくとも1つの圧電力センサ(4a、4b、4c、4d)と、
- 前記軸系(5;5a、5b)の不整合を検出するために、前記力測定の測定値または測定値推移を分析するように構成された手段(8)と、
- 前記不整合を最小限に抑えるために、前記負荷ユニットまたは前記駆動ユニットの位置補正のための目標値を決定するための手段(9)と、
- 前記目標値を出力するための手段(10)、とりわけインターフェースと
を有する信号処理デバイス(7)と
を備える、パワートレインテストベンチ(1)。
【請求項16】
前記パワートレインテストベンチ(1)が、前記負荷ユニット(14a、14b)または前記駆動ユニット(2)の位置を並進的におよび/または回転的に変化させるように構成された調整デバイス(12a、12b、12c)を追加として備え、
前記パワートレインテストベンチ(1)、とりわけ前記信号処理デバイス(7)が、
- 前記出力された目標値に基づいて、前記調整デバイス(12)を制御するように構成された手段(15)
をさらに備える、
請求項15に記載のパワートレインテストベンチ(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テストベンチ上のパワートレインの少なくとも1つの軸系(shafting)の不整合(misalignment)を補正するための方法であって、力流(force flow)が軸系を介したパワーの伝達(transmission of power)中にテストベンチの負荷ユニットとパワートレインまたはテストベンチの駆動ユニットとの間でそれを介して伝達され得る力の経路中に、少なくとも1つの圧電力センサが配置される、方法に関する。本発明は、本方法が実装され得るテストベンチにさらに関する。
【背景技術】
【0002】
不整合は、組立および製造不正確さ、沈下現象、および熱膨張によって生じ、回転体の変位をもたらす。そのような変位は、回転体の機能および動作寿命に対して有害な影響を有する。不整合は、回転体およびそれの軸受に対する歪力(distorting force)、とりわけ、曲げモーメントおよび圧縮力を生じさせる。
【0003】
特許文献1は、圧電力センサ(piezoelectric force sensor)を使用してテストベンチ上の不整合を検出するための様々なテストベンチおよび測定配置を開示している。この出願の内容も、参照によって本出願の内容に組み込まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】WO/2021/011982
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明のタスクは、テストベンチならびに対応するパワートレインテストベンチ上の動作中のパワートレインの軸系の不均衡および/または不整合の検出および/または補正のための方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このタスクは、独立請求項によって解決される。有利な実施形態は、従属請求項において請求される。
【0007】
本発明の第1の態様は、テストベンチ上のパワートレインの少なくとも1つの軸系の不整合を補正するための方法であって、力流が軸系を介したパワーの伝達中にテストベンチの負荷ユニットとパワートレインまたはテストベンチの駆動ユニットとの間でそれを介して伝達され得る力の経路中に、少なくとも1つの圧電力センサが配置され、以下の作業ステップ、すなわち、
少なくとも1つの平面において、および/または軸系の回転軸によって交差され、好ましくは、回転軸に対して少なくとも実質的に垂直である、少なくとも1つの平面に対して垂直に力測定を実施するステップと、
軸系の不整合を検出するために、力測定の測定値または測定値推移(measured value progression)を分析するステップと、
不整合を最小限に抑えるために、負荷ユニットまたは駆動ユニットの位置補正のための目標値を決定するステップと、
目標値を出力するステップと
を備える、方法に関する。
【0008】
本発明の第2の態様は、
テスト対象の軸系に接続可能な負荷ユニットと、
力流が軸系によるパワーの伝達中にテストベンチの負荷ユニットからそれを介して伝達される力の経路中に配置され、平面において、および/または軸系の回転軸によって交差され、好ましくは、回転軸に対して少なくとも実質的に垂直である、平面に対して垂直に力測定を実施するように構成された、少なくとも1つの圧電力センサと、
力測定を実施するように構成された手段と、
軸系の不整合を検出するために、力測定の測定値または測定値推移を分析するように構成された手段と、
不整合を最小限に抑えるために、負荷ユニットまたは駆動ユニットの位置補正のための目標値を決定するための手段と、
目標値を出力するための手段、とりわけインターフェースと
を有する信号処理デバイスと
を備える、パワートレインテストベンチに関する。
【0009】
本発明のさらなる態様は、コンピュータプログラムおよびコンピュータ可読媒体に関する。それゆえに、本発明の第1の態様による方法は、コンピュータ実装され得る。
【0010】
本発明の意味内での目標値は、好ましくは、位置合わせ対象の構成要素がシフトおよび/または回転されるべきである方向および量を指定する。その上、目標値はまた、位置合わせ対象の構成要素が、シフトおよび/または回転されるべきである方向および位置の絶対値を指し示すことができる。
【0011】
本発明の意味内での軸系は、1つまたは複数の回転可能に接続された軸を備える。
【0012】
本発明の意味内での「伝達可能な」は、好ましくは、「伝達され得る」または「伝達されている」を意味する。
【0013】
本発明の意味内での力流は、好ましくは、印加のポイント、特に導入のポイントから、力および/またはトルクが反力および/または反力モーメントによって収容(accommodate)される1つまたは複数のポイントまでの機械的システムにおける力および/またはトルクの経路である。好ましくは、力流は、力、とりわけ軸の回転方向に対する横力と、トルク、とりわけ回転軸を中心とするトルクとから構成される。
【0014】
本発明の意味内でのパワー流(power flow)は、好ましくは、導入のポイントから、パワーが取り出されるポイントまたは複数のポイントまでの機械的システムにおけるパワー伝達(power transmission)の経路である。
【0015】
本発明の意味内での圧電測定要素は、好ましくは、それぞれ、圧電結晶ならびに電荷散逸(charge dissipation)または電気接続を備える。
【0016】
本発明の意味内での機械ユニットは、エネルギー、好ましくは運動エネルギー、とりわけ回転を電気エネルギーに変換するように、またはその逆に変換するように、または化学エネルギーを運動エネルギーに変換するように構成される。本発明の意味内での機械ユニットは、好ましくは、ハウジングを備える。
【0017】
本発明の意味内でのサポート装置は、好ましくは、要素を、前記要素に作用する力および/または前記要素に作用するトルクに反してサポートするための装置である。サポート装置は、好ましくは、それぞれ、いわゆる反力または軸受反力を提供するように構成される。本発明の意味内でのサポート装置は、好ましくは、軸受装置をサポートするように働く。好ましくは、サポート装置は、ベルハウジング、パワートレインのハウジング、またはさらにはベースプレートである。
【0018】
本発明の意味内での検出は、好ましくは、決定および/または定量化および/または局在化および/または分析である。
【0019】
本発明の意味内での手段は、好ましくはメモリもしくはバスシステムにデータ接続もしくは信号接続され、かつ/または1つもしくは複数のプログラムもしくはプログラムモジュールを有する、ハードウェアおよび/またはソフトウェア、とりわけ処理ユニット、特にデジタル処理ユニット、とりわけマイクロプロセッサユニット(CPU)として設計され得る。CPUは、メモリシステムに記憶されたプログラムとして実装された指令を処理し、データバスからの入力信号をキャプチャし、かつ/または出力信号をデータバスに送るように構成され得る。メモリシステムは、1つまたは複数の、とりわけ異なる記憶媒体、特に光磁気ソリッドステートおよび/または他の不揮発性媒体を備えることができる。プログラムは、本明細書で説明される方法を、CPUが、そのような方法のステップを実行することができ、したがって、とりわけ不均衡および/または不整合を検出することができるように、具現するようにまたは実施することが可能であるように設計され得る。
【0020】
本発明の意味内でのインクリメンタルエンコーダは、好ましくは、個々の角度セグメントおよび/または全回転(full revolution)を決定することができる。とりわけ、インクリメンタルエンコーダは、回転ごとに少なくとも1つのパルスを与える。
【0021】
本発明は、とりわけ、力センサ、とりわけテストベンチ上でのテスト動作においてトルクを決定するために提供された力センサによってテストベンチ上のパワートレイン軸系の不整合を調整する手法に基づく。本発明を使用することは、さらなる測定方法または測定計装(measuring instrumentation)、特に従来技術において通常使用される光学的方法の必要性を排除する。
【0022】
とりわけ、軸系は、外部的に、換言すれば、テストベンチから離れて別々に位置合わせされる必要がない。代わりに、不整合の検出は、負荷ユニット、いわゆるダイノ(dyno)と駆動ユニットとの間の摩擦接続の確立を通してテストベンチ上で直接的に行われる。本発明は、したがって、不等なねじ重量、位置合わせ誤差、嵌め合い許容差、および偏心、非対称性、密度誤差などの製造誤差など、すべての組立不正確さを伴う組み立て状態における軸系の位置合わせを可能にする。
【0023】
補正要求力測定(correction-required force measurement)の場合、本発明は、好ましくは、特により信頼できる測定を可能にし、それらの剛性により、パワートレインの振動システムに軽微な弾性のみを追加する、圧電測定要素を利用する。圧電測定要素は、好ましくは、テストベンチに永続的に据え付けられ、それによって、物理的に不純物が入っていない測定信号が、その場合、記録されることが可能である。とりわけ、測定要素は、中間プレートまたはベースプレートによってサポートされ得る。
【0024】
物理的「力」変数が、直接的にキャプチャされるので、機械的構成要素に対する有害な影響に関する結論が引き出され得る。機械ユニットのコンディションを評価する経験的手法は、必要ではない。位置合わせ誤差の本発明の決定に基づいて、機械安全性のための新しい規格が、それゆえ、開発され得る。重力に加えて、不整合は、他の空間的に固定された力またはトルク、換言すれば、回転速度で回転しないものを生じる。本発明は、追加の振動分析なしに不整合を決定することを可能にする。
【0025】
軸系の位置合わせが、動作中に変化するならば、本発明は、テストベンチ上ですでにこれを検出することと、パワートレインまたはさらにはテストベンチの永続的な損傷を防ぐために、対策、たとえば、それぞれ非常停止または負荷低減が始められることとを可能にする。
【0026】
その上、不整合を補正するための目標値は、発明的に決定される。負荷ユニットおよび/または駆動ユニットのとりわけ自動化された位置補正が、これらの目標値に基づいて行われ得る。不整合は、それにより、テストベンチ上で直接的に最小限に抑えられるか、またはさらには解消され得る。目標値決定は、これまで概して光学的方法を使用して手動で実施されてきた、測定配置の構成または較正を大幅に簡略化する。とりわけ、それに必要とされる時間は、桁違いに低減され得る。自動化の可能性は、これらのタスクのための非常に適格とされる人員の使用を不要にすることをも可能にする。
【0027】
本方法の1つの有利な実施形態では、以下の追加の作業ステップ、すなわち、
力測定の測定値または測定値推移に基づいて、軸系に関する曲げモーメント曲線を決定するステップと、
決定された曲げモーメント曲線に基づいて、特に境界および接続コンディションを考慮して、軸系の曲げ線(bending line)を決定するステップであって、目標値が、曲げ線を通じて決定される、ステップと
が目標値の決定において実施される。
【0028】
さらなる有利な実施形態では、本方法は、以下の作業ステップ、すなわち、
軸系に関する曲げモーメントまたは曲げモーメント曲線が、しきい値を超えたかどうかをチェックするステップと、
しきい値が超えられたときに、本方法を反復的に繰り返すか、またはしきい値が超えられなかったとき、本方法を終了するステップと
をさらに備える。
【0029】
決定された曲げモーメントまたは曲げモーメント曲線に基づいて軸系の位置合わせを最適化するための反復的プロセスは、目標値の特に精密な決定を可能にする。
【0030】
さらなる有利な実施形態では、本方法は、以下の作業ステップ、すなわち、
負荷ユニットと駆動ユニットとの間の摩擦接続を、特に軸系のカップリングを開くことによって、分離するステップ
をさらに備える。
【0031】
摩擦接続を分離することは、負荷ユニットおよび/または駆動ユニットの位置を変化させることを特に容易にする。
【0032】
さらなる有利な実施形態では、本方法は、以下の作業ステップ、すなわち、
出力された目標値に基づいて、テストベンチ上の負荷ユニットおよび/または駆動ユニットの位置を変化させるステップ
をさらに備える。
【0033】
好ましくは、この位置変化は、自動化される。さらに好ましくは、テストベンチは、その目的で調整デバイスを備え、調整デバイスは、負荷ユニットまたは駆動ユニットの位置を並進的におよび/または回転的に変化させるように構成される。
【0034】
さらなる有利な実施形態では、本方法は、以下の作業ステップ、すなわち、
負荷ユニットと駆動ユニットとの間の摩擦接続を確立するステップ
をさらに備える。
【0035】
好ましくは、摩擦接続は、負荷ユニットおよび/または駆動ユニットの位置変化に続いて復元される。
【0036】
本方法のさらなる有利な実施形態では、テストベンチに固有の軸系の定数、とりわけ弾性の係数と耐性の係数との積は、駆動ユニットまたは負荷ユニットのそれぞれ異なる位置における2つの力測定を通じて曲げ線を計算するために決定される。
【0037】
これは、それにより、軸系の材料特性、とりわけそれの剛性が知られることなしに測定配置が較正されることを可能にする。
【0038】
本方法のさらなる有利な実施形態では、軸系の回転軸は、力測定が実施される軸系の軸の回転軸である。
【0039】
好ましくは、力測定が実施される平面は、力センサがその上でサポートされる、機械ユニット上の軸系のベアリングポイントによって定義される。さらに好ましくは、平面は、力センサが配置されるポイントによって定義される。
【0040】
本方法のさらなる有利な実施形態では、力測定は、軸系が静止状態または準静止状態にあるとき、行われる。
【0041】
本発明の意味内での軸系の静止状態は、好ましくは、軸系が回転していないとき、存在する。
【0042】
本発明の意味内での軸系の準静止状態は、好ましくは、力センサの応答時間が軸系の回転位置の変化率に関して比較的短くなる角速度で軸系が回転するとき、存在する。とりわけ、力は、動力学によって影響を受けないように測定され得る。好ましくは、角速度の大きさは非常に小さく、それの慣性質量はほとんど影響を有しないかまたはまったく影響を有せず、特にそれにより、停止するために、軸系は、約90°、好ましくは約70°、なお一層好ましくは約15°、なお一層好ましくは約10°、および最も好ましくは約5°未満の回転角度範囲を必要とする。好ましくは、準静止状態において軸系の振動はない。
【0043】
その結果、不整合検出は、軸系の静止または準静止状態において続いて行われることもある。これは、テストベンチ上での実際のテスト動作の前でさえ不整合を決定することを可能にする。そうすることは、テスト対象の駆動ユニットまたはテストベンチの損傷を防ぐことを可能にする。
【0044】
本方法のさらなる有利な実施形態では、力測定は、1つまたは複数の測定値が、臨界軸系負荷を示すしきい値と比較されるという点で監視され、しきい値が超えられたとき、軸系の回転は停止されるか、または回転はまったく行われない。
【0045】
これは、テスト対象の駆動ユニットまたはテストベンチの損傷を防ぐこともできる。
【0046】
方法のさらなる有利な実施形態では、複数の圧電センサが力の経路中に提供され、圧電センサの各力測定は監視される。
【0047】
本方法のさらなる有利な実施形態では、軸系の平行オフセット(parallel offset)および/または角度オフセット(angular offset)の間の区別が、不整合に関して分析中に行われる。
【0048】
本発明の第1の態様に関して以下で説明される特徴および利点は、対応して本発明のさらなる態様に適用され、その逆も同様である。
【0049】
1つの有利な実施形態では、パワートレインテストベンチは、負荷ユニットの位置を並進的におよび/または回転的に変化させるように構成された調整デバイスを追加として備え、
パワートレインテストベンチ、とりわけ信号処理デバイスが、
出力された目標値に基づいて、調整デバイスを制御するように構成された手段
をさらに備える。
【0050】
さらなる利点および特徴が、図を参照する好ましい例示的な実施形態の以下の説明から明らかになる。図は、少なくとも部分的に概略的に示す。
【図面の簡単な説明】
【0051】
図1a】負荷ユニットの軸がそこにおいて突出する、負荷ユニットの端面の上面図である。
図1b図1aに記載の負荷ユニットの側面図である。
図1c】不整合を補正するための方法がそれによって実現され得る、パワートレインテストベンチならびに図1aおよび図1bに記載の負荷ユニットの第1の例示的な実施形態を有する測定配置の2つの上面図である。
図2】不整合を補正するための方法の例示的な実施形態である。
図3】テストベンチ上の軸系の、力、曲げモーメント、角度不整合(angular misalignment)についての曲げ線、および平行不整合(parallel misalignment)についての曲げ線を描写する4つのダイヤグラムである。
図4】軸系の軸方向における、平行不整合についての曲げ線、および角度不整合についての曲げ線を伴うダイヤグラムである。
図5】パワートレインテストベンチの第2の例示的な実施形態を有する測定配置の上面図である。
図6】パワートレインテストベンチの第3の例示的な実施形態を有する測定配置の上面図である。
図7】パワートレインテストベンチの第4の例示的な実施形態の上面図である。
図8図1図5図6および図7に記載のパワートレインテストベンチの詳細の図である。
【発明を実施するための形態】
【0052】
図1a、図1bおよび図1cは、パワートレインテストベンチ1の第1の例示的な実施形態の3つの異なるビュー(view)を示す。図1aのビューと図1bのビューの両方は、パワートレインテストベンチ1のただ1つの負荷ユニット14を示し、図1cは、図1aおよび図1bに記載の負荷ユニット14のうちの1つと、テスト対象の1つの駆動ユニット2とを有する測定配置の2つのビューを示す。
【0053】
互いに対する個々の図1aのビュー、図1bのビューおよび図1cのビューの位置合わせが、基準系のそれぞれ描かれているx、y、c座標軸の結果として起こる。
【0054】
図1aは、負荷ユニット14の軸5bがそこにおいて突出する、負荷ユニット14の端面の上のz軸の反対方向における上面図を示す。図1bは、図1aに記載の負荷ユニットのx軸に沿った側面図を示す。負荷ユニット14は、力センサの測定要素4a、4b、4c、4dによってベースプレートまたは中間プレート10上にサポートされる。好ましくは、ベースプレートまたは中間プレート10は、水平方向にも測定要素4a、4b、4c、4dをサポートする。好ましくは、調整デバイス12a、12、12cが、ベースプレートまたは中間プレート10上に提供される。それは、好ましくは、x軸および/またはy軸の方向にベースプレートまたは中間プレート10の位置合わせをシフトし、したがって、負荷ユニット14の位置合わせをもシフトするために、x軸および/またはy軸まわりに枢動するために、第1のアクチュエータ12a、第2のアクチュエータ12bおよび第3のアクチュエータ12cを有する。
【0055】
図1cでは、駆動ユニット2および負荷ユニット14は、各々、トルク伝達様式で軸系に接続されるか、または接続可能である。前記軸系は、明快のためにこの図において完全には描写されていない。
【0056】
図1cの左側ビューは、不整合が、厳密に、x方向における負荷ユニット14の軸5bの回転軸Dと駆動ユニット2の軸5aの回転軸D’との平行不整合である、測定配置を示す。図1cの右側ビューは、不整合が、厳密に、y軸を中心とする負荷ユニット14の軸5bの回転軸Dと駆動ユニット2の軸5aの回転軸D’との角度不整合である、測定配置を示す。しかしながら、一般的に言って、不整合は、角度不整合および平行不整合の重畳として現れる。その上、駆動ユニット2はまた、追加または代替として、y方向においてシフトされ、かつ/またはx軸を中心として枢動され得る。その上、測定要素はまた、図5図6および図7を参照しながら以下でさらに説明されるように、駆動ユニット2上に、または軸系中に配置され得る。
【0057】
異なる平面A、B、F、G、Hが、追加として、図1c中にマークされている。平面Aは、負荷ユニット14の回転軸Dに対して垂直に位置合わせされ、負荷ユニット14の軸5bとは反対側の負荷ユニット14の下側端部に配置された2つの測定要素4a、4dがある、平面である。平面Bは、同じように、負荷ユニット14の回転軸Dに対して垂直に位置合わせされ、負荷ユニット14の軸5bに面する負荷ユニット14の下側端部に配置された2つの測定要素4b、4cがある、平面である。
【0058】
平面Gは、駆動ユニット2の回転軸D’に対して垂直に位置合わせされ、負荷ユニット14の軸5bに面する駆動ユニット2の端部上に配置された駆動ユニット2の軸5aの第1の軸受がある、平面である。平面Hは、同じように駆動ユニット2の回転軸D’に対して垂直に位置合わせされ、負荷ユニット14の軸5bとは反対側の駆動ユニット2の端部上に配置された駆動ユニット2の軸5aの第2の軸受がある、平面である。
【0059】
図1cの右側部分は、平面A、BおよびF中に描写されているそれぞれの不整合によって引き起こされた力を示す。平面AおよびBにおいて、ベクトルA、ベクトルBの力が、負荷ユニット14をサポートする測定要素4a、4b、4c、4dに作用する。平面Fにおいて、ベクトルFの力が、(描写されていない)軸系に作用する。
【0060】
本方法は、とりわけ同時に、xz平面ならびにyz平面の両方において不整合を検出し、次いで補正することを可能にする。
【0061】
その上、テストベンチ1は、好ましくは、(描写されていない)信号処理デバイス7を備える。これは、図8を参照しながら以下でさらに説明される。
【0062】
図2は、図1a~図1cに記載の測定配置において使用され得る、不整合を補正するための方法の例示的な実施形態を示す。
【0063】
測定配置のインストールの後に、好ましくは、最初に較正される。特にスケーリングファクタまたは定数、とりわけ軸系5;5a、5bの、弾性の係数および耐性の係数の積、好ましくは剛性定数が、その目的で決定される。このスケーリングファクタまたは材料定数は、好ましくは、図3を参照しながら以下でさらに解説されるように、曲げ線の計算において役に立つ。さらに好ましくは、スケーリングファクタまたは材料定数は、各々が駆動ユニット2および負荷ユニット14の互いに異なる相対位置における、2つの力測定によって決定される。
【0064】
方法100の第1の作業ステップ101において、力測定が、平面A、Bにおいて、および/または平面A、Bに対して垂直に行われる。平面A、Bは、負荷ユニット14の軸である、軸系5;5a、5bの軸5bの回転軸Dによって交差される。好ましくは、平面A、Bは、回転軸Dに対して少なくとも実質的に垂直に位置合わせされる。好ましくは、回転軸Dは、それにより、図1c中に描写されているように、力測定が実施される、換言すれば、力が測定される、軸系5;5a、5bの軸5bの回転軸である。
【0065】
さらに好ましくは、力測定は、軸系5;5a、5bの静止状態または準静止状態において続いて行われる。先に解説されたように、これは、それにより、測定配置の損傷を防ぐことを可能にする。
【0066】
さらに好ましくは、力測定は、連続的に監視される。とりわけ、直近に測定されたそれぞれの測定値は、それにより、臨界軸系5;5a、5b負荷を示すしきい値と比較される。このしきい値が超えられたならば、軸系5;5a、5bの回転は停止されるか、または回転は行われない。その上、方法100は、次いで、好ましくは終了される。好ましくは、図7中に描写されているように、力の経路中に複数の力センサ4、11があり、力センサ4、11の各力測定は、好ましくは、この場合監視される。
【0067】
何らかの一定の周方向の横力は、軸系における角度オフセットを指し示し、したがって、本発明の方法によって不整合と識別され得る。
【0068】
第2の作業ステップ102において、力測定の測定値または測定値推移が、軸系5;5a、5bの不整合を検出するために分析される。好ましくは、軸系5;5a、5bの平行オフセットおよび/または角度オフセットの間の区別が、それにより、不整合に関して行われる。
【0069】
第3の作業ステップ103において、負荷ユニット14または駆動ユニット2の位置補正のための目標値が、不整合を最小限に抑えるために決定される。その目的で、軸系5;5a、5bに関する曲げモーメントまたは曲げモーメント曲線が、好ましくは、力測定の測定値または測定値推移に基づいて、第1のサブステップ103-1において決定される。第2のサブステップ103-2において、好ましくは、軸系5;5a、5bの曲げ線が、次いで、境界コンディションを考慮して、決定された曲げモーメントまたは曲げモーメント曲線に基づいて決定される。位置補正の目標値が、次いで、好ましくはこの曲げ線を使用して決定される。好ましくは、不整合は、曲げ線w(z)が回転軸Dと一致するとき、最小である。
【0070】
第4の作業ステップ104において、軸系5;5a、5bに関する曲げモーメントまたは曲げモーメント曲線がしきい値を超えたかどうかに関するチェックが、行われる。しきい値が超えられた場合、方法100は、継続し、繰り返す。目標値が、この目的で第5の作業ステップ105において出力される。好ましくは、出力は、データインターフェース10を介して次の作業ステップに対して行われる。代替または追加として、目標値は、ユーザインターフェース10を介してユーザに出力されてもよい。
【0071】
しきい値がもはや超えられないとき、方法100は、好ましくは、第9の最後の作業ステップ109において終了される。
【0072】
方法100が継続するときに、負荷ユニット14と駆動ユニット2との間の摩擦接続は、好ましくは、特に軸系5;5a、5bの(描写されていない)カップリングを開くことによって、第6の作業ステップ106において遮断される。2つの機械ユニット2、14の互いに対する相対位置は、それにより、力を相殺することなしに変化され得る。
【0073】
第7の作業ステップ107において、テストベンチ上の負荷ユニット14および/または駆動ユニット2の位置は、出力された目標値に基づいて変化される。これは、したがって、不整合を低減することをもたらす。
【0074】
第8の作業ステップ108において、負荷ユニット14と駆動ユニット2との間の摩擦接続は、次いで、好ましくは回復される。好ましくは、方法100は、その後に、第1の作業ステップ101において再び開始する。しかしながら、代替的に、方法100は、以前の作業ステップの後に、最初から再び開始することもできる。
【0075】
図3及び図4を参照して、平面AおよびBにおいて、または平面Fにおいて測定された力に基づく、目標値の例示的な計算を以下に説明する。
【0076】
固定して取り付けられた駆動ユニット2および負荷ユニット14が、軸系を介して機械的に接続されたとき、簡略化された曲げビームであると仮定され得る摩擦接続が、確立される(図1cおよび図3中に描写されているような固定された/浮動的な軸受シャフト配置を仮定する)。
【0077】
力流測定のロケーションに応じて、図示されている場合では、平面AおよびBにおいて、または平面Fにおいて、軸受力ベクトルAおよびベクトルBまたは不整合力ベクトルFが、合成モーメント平衡(resultant moment equilibrium)から計算され得る。
【0078】
不整合を決定するための、力成分FとFおよび力成分Fならびに瞬間成分MbxおよびMbyが、それぞれ、個々の測定要素4a、4b、4cまたはそれらの圧電要素の好ましい方向の特定の配置を介して、本質的に知られている様式で取得され得る。
【0079】
これらのパラメータを決定するための他の方法が、使用されてもよい。たとえば、測定信号から導出された、換言すれば、測定された個々の測定要素4a、4b、4cまたは力F、..、Fの測定信号の分解、とりわけ直交分解。
【0080】
たとえば、決定されるべきM、F、Fパラメータが、それにより、式のセットの解であり、それによって、以下のような式が、各測定信号に適用される。
S1=a11・M+a12・F+a13・F
S2=a21・M+a22・F+a23・F
S3=a31・M+a32・F+a33・F
SN=aN1・M
【0081】
S1、S2、…Si、…、SNは、それにより、個々の測定要素4a、4b、4c、…2、Nの測定信号である。各係数aは、たとえば、基準系における測定要素4a、4b、4c、…4i、4Nのそれぞれの位置とそれぞれの好ましい方向の向き、それぞれの測定要素4a、4b、4c、…、4i、…Nの感度、および固定手段を通る力分流器(force shunt)による起こり得る信号損失など、複数のファクタに依存する。
【0082】
トルクM、第1の横力成分Fおよび第2の横力成分Fのための式のそのようなセットを解くために、単一の平面にあるように位置合わせされた好ましい方向を有する少なくとも3つの測定要素4a、4b、4cからの測定信号が、必要とされる。その上、好ましい方向のうちの少なくとも2つは、平行にも逆平行にも位置合わせされる必要がない。
【0083】
N=3のこの説明される一般的なケース、換言すれば、3つの測定要素4a、4b、4cを伴うケースの場合、上記で描写された式セットの解は、明らかである。さらなる測定要素が、測定システム1に加えられたならば、式のセットは、決定されるべき3つのパラメータM、F、Fを用いて過剰決定(overdetermine)されるが、測定精度は、なお一層改善され得る。
【0084】
N=4の場合、式の4つの異なるセットF(S1、S2、S3)、F(S1、S2、S4)、F(S1、S3、S4)、F(S2、S3、S4)が、構築され得る。決定されるべき個々のパラメータM、F、Fのために決定された値は、その場合、合計および平均され、換言すれば、4つの測定要素4a、4b、4c、…、4i、…、4Nの場合には4で除算され得る。同様に、式F(S1、S2…、SN)の過剰決定セットが、最小化問題を介して解かれるように構築され得る。
【0085】
一般解が、式セットについて見つけられると、決定されるべきパラメータM、F、Fの計算は、行列乗算に低減され得る。これは、3つの行と、存在する測定信号S1、S2、S3、…SNと同数の列とを提供する。行列要素または係数は、それぞれ、決定されるべきパラメータM、F、Fに対する個々のセンサのそれぞれの寄与を描写する。
【0086】
【数1】
【0087】
曲げモーメントMbxおよびMbyは、その上、そのような分解を介して決定され得る。
【0088】
測定信号S1、S2、…Si、…、SNの、決定されるべきそれぞれのパラメータM、F、Fに寄与する成分への分解は、測定要素4a、4b、4c、…、4i、…、4Nの位置、および好ましい方向の向きを知っていることを必要とする。
【0089】
幾何学的パラメータは、パワートレインテストベンチ1の設計図から、および測定要素4a、4b、4c、…、2i、…、2Nの好ましい方向の知識から決定され得る。
【0090】
測定要素4a、4b、4c、…、4i、…、4Nの好ましい方向の向きは、しかしながら、較正測定を使用して好ましい方向を測定することによって決定されてもよい。好ましくは、力センサ4、11は、その目的で2つの平坦なプレートの間で締着される。後続のステップにおいて、知られている方向の外部横力が、適用される。測定要素4a、4b、4c、…、4i、…、4Nの好ましい方向によってスパンされる平面における測定要素4a、4b、4c、…、4i、…、4Nの好ましい方向は、導入された横力の大きさおよび方向に関して個々の測定信号S1、S2、…Si、…、SNの大きさから決定され得る。
【0091】
個々の測定要素4a、4b、4c、…、4i、…、4Nの好ましい方向が知られているとき、回転軸Dからの測定要素4a、4b、4c、…、4i、…、4Nの距離は、定義されたトルクMを適用することと、個々の測定信号S1、S2、…Si、…、SNを測定することとによって、そのような分解を介して決定され得る。
【0092】
図3中に描写されているように、決定されたベクトルA、ベクトルB、ベクトルFの力に基づいて、曲げモーメントMby(z)は、負荷ユニット14の回転軸Dの方向における、すなわち、示されている基準系におけるz軸の方向におけるロケーションに応じて決定され得る。
【0093】
曲げ線w(z)と曲げモーメントMby(z)との間の関係は、それにより、以下の微分方程式、すなわち、
【数2】
に従い、それによって、Eは、弾性の係数であり、Jは、測定配置の耐性の係数である。両方は、ともに、特定の軸系または特定の測定配置について一定である、いわゆるスケーリングファクタを形成する。スケーリングファクタは、それぞれの軸系もしくは軸セクションまたはそれぞれの測定配置の剛性および材料定数を考慮に入れる。
【0094】
微分方程式は、各ケースにおいて、多項式関数w(z)によって解かれ得る。前記多項式関数w(z)は、曲げ線を指し示す。それぞれの接続コンディションを組み込む、対応する複数の多項式w(z)が、その場合、軸系の複数の軸セクション5a、5bについての結合された微分方程式セットw(z)”を解くとき、決定され得る。
【0095】
スケーリングファクタは、曲げ線w(z)のための境界コンディションを指定することによって、実験的に決定され得る。図1cおよび図3中に描写されているケースは、たとえば、w(0)=0およびw(a)=0の境界コンディションを示す。追加として、曲げ線についての角度不整合のための導関数は、いずれのケースでも、z=a+bのポイントにおいてゼロ、換言すれば、w’(a+b)=0である。スケーリングファクタは、その場合、駆動ユニット2および負荷ユニット14の互いに異なる相対的な位置合わせにおける2つの力測定を通じて計算され得る。しかしながら、代替的に、スケーリングファクタは、軸系または測定配置のFEMシミュレーションを介して推定されてもよい。
【0096】
図4は、描写された計算方法を介して決定された、図1cからの回転軸D、D’の純粋に角度の不整合(図4の上側部分)、および図1cからの回転軸D、D’の純粋に平行の不整合(図4の下側部分)についての2つの異なる曲げ線w(z)を示す。各ケースにおいて、点線は、破線よりも大きい角度不整合および平行不整合における曲げ線を指し示す。
【0097】
もちろん、曲げ線w(z)をもたらす別個のy方向における平行オフセットおよびx軸を中心とする回転による角度オフセットが、起こることもある。2次元曲げ線wxy(z)が、その場合、重ね合わせによって計算され得る。前記重ね合わせは、好ましくは、それらの向きによるベクトルである曲げ線の加算であり、したがって、ベクトル加算である。
【0098】
図5図7は、パワートレインテストベンチ1のさらなる例示的な実施形態を示す。これらの例示的な実施形態における1つまたは複数の力センサの配置が、図1の第1の例示的な実施形態に関して描写された配置からある程度まで著しく逸脱する場合でも、パワートレインの曲げモーメントおよび曲げ線の計算は、図3および図4を参照しながら上記で解説された計算方法に帰着(reduce)され得る。
【0099】
図5は、較正または印加試験に加えて不整合の検出が可能であるパワートレインテストベンチ1の第2の例示的な実施形態を示す。とりわけ、不整合は、テストベンチ動作とは無関係に検出され得る。
【0100】
数ある中で、パワートレインテストベンチ1は、図1中に示されているようにパワートレイン出力に回転可能に固定された様式で接続可能である負荷ユニット、すなわち、それぞれダイノ14a、14bを備える。
【0101】
パワートレインテストベンチ1は、好ましくは、軸系5a、5bの回転角を測定するように構成されたインクリメンタルエンコーダ6をさらに備える。インクリメンタルエンコーダ6の機能は、従来技術から知られており、とりわけ、それは、光電的に、磁気的におよび/または摺動接触によって、軸系5a、5bの回転角または回転角および/もしくは方向の変化を決定することができる。
【0102】
その上、パワートレイン1は、好ましくは、力センサ4を有し、力センサ4は、好ましくは、複数の圧電測定要素、すなわち、図1中の3つの圧電測定要素4a、4b、4cを備える。測定要素4a、4b、4cは、パワートレインテストベンチ1またはパワートレイン3の一部であり得る、図1に記載の例示的な実施形態における測定フランジ12上に配置される。さらに好ましくは、ひずみゲージも、測定要素4a、4b、4cとして使用され得る。
【0103】
測定フランジは、パワートレイン3の、第1の軸セクション5aを第2の軸セクション5bに接続する。軸系5a、5bは、破線/点線によって図5中に指し示されている回転軸Dを中心として回転する。
【0104】
駆動ユニット2は、パワートレイン3のどの構成要素が、パワートレインテストベンチ1上でテストされるべきであるかに応じて、パワートレインテストベンチ1の構成部分である、またはパワートレイン3の構成部分である、の両方であり得る。
【0105】
図5中に示されている例示的な実施形態では、パワートレイン3は、駆動ユニット2、軸系5a、5b、ディファレンシャル13ならびに軸セグメント(参照番号なし)を備える。パワーの流れは、駆動ユニット2から第1の軸セクション5a、測定フランジ12、第1の圧電力センサ、ディファレンシャル13および軸セグメントを介して負荷ユニット14a、14bに伝達され得る。
【0106】
テストベンチ1は、駆動テストベンチ全体、パワートレインテストベンチ1の個々の要素および/またはさらにはパワートレイン3がその上に取り付けられるサポート装置10をさらに備える。サポート装置10は、それにより、たとえば、テストベンチホールのフロア上に個々の要素をサポートするための機械的構造を備えることができる。さらに好ましくは、サポート装置10は、ベースプレートを備えるか、またはそのように設計され得る。
【0107】
図1中に示されている例示的な実施形態では、少なくとも駆動ユニット2および電力ユニット14a、14bが、サポート装置10によってサポートされる。
【0108】
好ましくは駆動ユニット2によって生成されるパワーの流れは、図1中に示されている例示的な実施形態では、サポート装置10から駆動ユニット2、パワートレイン3および負荷ユニット14a、14bを介してサポート装置10にわたる力の流れを誘起する。サポート装置10は、それにより、駆動ユニット2および負荷ユニット14a、14bをサポートするためのそれぞれの反力を提供する。
【0109】
測定要素4a、4b、4cは、好ましくは、F平面、換言すれば、描写されている基準系のxy平面に平行な平面において力を測定するように構成および設計される。第1の力センサ4は、好ましくは、圧電せん断効果を利用する圧電要素4a、4b、4cを備える。示されている例示的な実施形態では、測定フランジ12上の力またはそれぞれのトルクは、測定要素4a、4b、4cの端面を介して圧電要素4a、4b、4cに導入される。圧電要素4a、4b、4cの端面は、それにより好ましくは、測定フランジ12の表面に摩擦によって接続される。
【0110】
基準系のx方向および/またはy方向における測定フランジ12上の力があるとき、圧電測定要素4a、4b、4cは、したがって、圧電せん断効果を通じて、対応する測定信号を生成する。z方向に作用するトルクが、測定フランジ12に印加されたとき、同様のことが当てはまる。
【0111】
代替または追加として、測定要素4a、4b、4cは、第1の面Fに対して垂直に力測定を実現することができる。その目的で、測定要素4a、4b、4cは、好ましくは、圧電縦効果または圧電横効果を利用する。力が、第1の面Fにおいて、ならびにそれに対して垂直に、の両方で測定されるとき、好ましくは、z方向の力を測定することが可能な測定要素、ならびにx平面またはxy平面において力を測定することが可能な測定要素、の両方がある。さらに好ましくは、測定要素4a、4b、4cの各々は、力流に関して直列に接続された少なくとも2つの圧電要素を備え、それによって、第1の圧電要素は、圧電せん断効果を利用し、第2の圧電要素は、圧電横または縦効果を利用する。
【0112】
図6は、軸系の不整合がテストベンチ動作中にそれを用いて検出され得る、テストベンチ1の第3の例示的な実施形態を示す。
【0113】
図6からの第3の例示的な実施形態のテストベンチ1と図5からの第2の例示的な実施形態のテストベンチ1との間の実質的な差異は、力センサ11が、駆動ユニット2と負荷ユニット14a、14bとの間のパワー流中に配置されず、そうではなく、サポート装置10と駆動ユニット2との間に配置されることである。
【0114】
この配置を通して、第1の力センサ4は、サポート装置10が、軸系5と駆動ユニット2との間のトルクを受けて駆動ユニット2上に作用させる反力を測定する。
【0115】
力センサ11は、それにより好ましくは、回転軸Dの軸方向に、図6中に描写されているように、サポートされ得る。しかしながら、駆動ユニット2も等しく、図1a、図1bまたは図7に記載の上面図中に示されているように、力センサ11によって側方に、下方にまたは上方にサポートされ得る。圧電測定要素11a、11b、11cが、駆動ユニット2とどのように係合するかに応じて、圧電せん断効果を有する要素、圧電縦もしくは横効果を有する要素、または図5を参照しながら上記で解説されたように2つの異なる効果を有する要素が、その場合、採用される。
【0116】
また、図6に記載の例示的な実施形態では、力は、好ましくは、平面C、Dにおいて、および/またはG、H平面に対して垂直に測定される。
【0117】
図5に記載の第2の例示的な実施形態を、図6に記載の第3の例示的な実施形態と組み合わせることも可能である。たとえば、第2の例示的な実施形態は、したがって、さらなる圧電力センサがその上に配置された測定フランジ12を有することもできる。この第2の圧電力センサは、その場合、力および/またはモーメントを測定するための第2の平面Fを定義することができる。
【0118】
その上、負荷ユニット14a、14b上の反力を測定するためのさらなる圧電力センサが存在し得、これらのさらなる圧電力センサも、好ましくは、サポート装置に対して、とりわけグランドまたはベースプレート10に対してそれぞれの負荷ユニット14a、14bをサポートすることができ、それにより、負荷ユニット14a、14bとサポート装置10との間の反力は、同様にこの場合にも測定され得る。
【0119】
軸系5中の力を直接的に測定することと比較して、図6に記載の反力の測定は、それぞれの力センサ4が、軸系5の慣性モーメントおよび運動量に対して影響を有しないという利点を有する。
【0120】
軸系の不整合がそれによって検出され得るパワートレインテストベンチの第4の例示的な実施形態が、図7中に示されている。
【0121】
パワートレイン3は、適用可能なとき、ただ1つの軸系5ならびに1つの駆動ユニット2を備える。図1に記載のテストベンチの第1の例示的な実施形態とは対照的に、サポート装置10に対する負荷ユニット14ならびに駆動ユニット2の両方の反力が、好ましくは、負荷ユニット14上の少なくとも1つの測定平面A、Bについて、および駆動ユニット2上の少なくとも1つの測定平面G、Hについて測定される。
【0122】
しかしながら、図5および図6に記載の例示的な実施形態の場合と同様に、第1の例示的な実施形態による、または第2の例示的な実施形態によるパワートレイン1も、さらなる要素、特に、ギア機構またはディファレンシャル、軸セグメントなどを備えることができる。
【0123】
しかしながら、それは、2つの異なる測定方向、とりわけ2つの互いに直交する測定方向が可能であるように、力流に関して直列に接続された2つの要素を備えるようにそれぞれの力センサ4、11がこの例示的な実施形態において提供されてもよい。とりわけ、これらの測定方向は、y方向およびx方向において位置合わせされ得る。z方向における力は、力センサ4、11の測定要素における第3の圧電要素を通じて測定されてもよい。
【0124】
図8は、図1図5図6または図7に記載のパワートレインテストベンチ1、またはパワートレインテストベンチ1を制御するように構成された別個の制御ユニットの詳細を示す。
【0125】
信号処理デバイス7は、軸系5;5a、5bの不整合の検出のための力測定の測定値または測定値プロファイルを分析するように構成された手段8と、不整合を最小限に抑えるために負荷ユニットまたは駆動ユニットの位置補正のための目標値を決定するための手段9と、目標値を出力するための手段10、とりわけインターフェースとを備える。さらに好ましくは、信号処理デバイス7は、出力された目標値に基づいて調整デバイス12a、12、12cを制御する手段15を備える。信号処理デバイス7は、力センサの測定要素4a、4b、4c、ならびに調整デバイス12a、12、12c、の両方に信号接続される。
【0126】
上記で説明された例示的な実施形態は、例にすぎず、決して保護、適用および構成の範囲を限定することを意図されない。そうではなく、上記の説明は、少なくとも1つの例示的な実施形態を実装するためのガイドラインを当業者に提供するものであり、それによって、様々な改変が、特に説明された構成要素の機能および配置に関して、それの、および特徴の等価な組合せの特許請求の範囲から生じた保護の範囲から逸脱することなく行われ得る。とりわけ、個々の例示的な実施形態は、とりわけパワートレインテストベンチまたは測定配置に関して、互いに組み合わせられ得る。したがって、とりわけ、図5図6および図7のパワートレインテストベンチの例示的な実施形態は、調整デバイス12a、12b、12cをも備えることができる。説明された方法100の一連の作業ステップは、描写されたものから逸脱することもできる。同じように、特に軸に関する力測定は、ひずみゲージに基づくセンサを通じて実現され得る。
【符号の説明】
【0127】
1 パワートレインテストベンチ
2 駆動ユニット
3 パワートレイン
4 第1の圧電力センサ
4a、4b、4c 圧電測定要素
5、5a、5b 軸系
6 インクリメンタルエンコーダ
7 信号処理デバイス
8、9、10、15 信号処理デバイスの手段
11 第2の圧電力センサ
12 測定フランジ
13 ディファレンシャル/ギア機構
14、14a、14b 負荷ユニット
図1a
図1b
図1c
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】