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特表2024-503430肥料用の施肥計画を決定及び提供する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-25
(54)【発明の名称】肥料用の施肥計画を決定及び提供する方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/02 20240101AFI20240118BHJP
【FI】
G06Q50/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023542532
(86)(22)【出願日】2022-01-13
(85)【翻訳文提出日】2023-08-16
(86)【国際出願番号】 EP2022050675
(87)【国際公開番号】W WO2022152809
(87)【国際公開日】2022-07-21
(31)【優先権主張番号】21151573.9
(32)【優先日】2021-01-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521508254
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ アグロ トレードマークス ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ホフマン,ホルガー
(72)【発明者】
【氏名】ホス-クーネ,モーリー ジョー
(72)【発明者】
【氏名】キーペ,ビョルン
(72)【発明者】
【氏名】イルバシ,ウミット バラン
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC01
(57)【要約】
肥料用の施肥計画を決定及び提供するためのコンピュータで実施される方法であって、以下のステップ、すなわち、
圃場に播種される又は播種が計画される農作物種に関する情報を含む農作物データを提供するステップ(S10)と、
圃場に肥料を施肥する少なくとも1つの計画された施肥時期に関する情報を含む施肥時期データを提供するステップ(S20)と、
圃場に存在する又は予想される少なくとも1つの栄養素指定子に関する情報を含む栄養素指定子データを提供するステップ(S30)と、
少なくとも、提供された農作物データ、提供された施肥時期データ、提供された栄養素指定子データに基づいて、肥料製品データベースにおいてデータベース検索を実施し、農作物及び施肥時期、及び栄養素指定子のうちの1つ、に合致する肥料製品を決定するステップ(S50)であって、肥料製品データベースは複数の肥料製品に関する情報を含み、肥料製品に関する情報は、少なくとも、各肥料製品の施肥領域、各肥料製品の有効成分、及び各肥料製品のための適切な施肥時期、に関する情報を含む、ステップ(S50)と、
生成された施肥計画をランク付けするステップ(S70)であって、異なる施肥計画(S60)は、少なくとも1つの栄養素指定子が定義済み閾値を上回る有効性で網羅されるように、決定された肥料製品を組み合わせることにより生成され、ランク付けするステップは、施肥計画ごとに、特定の統計値のうちの1つ以上に基づく、ステップと、
農業機器において使用される又は使用可能なように構成された制御データを生成するステップであって、制御データは、最高のランク付けがされた施肥計画、又はユーザにより選択された施肥計画に基づく、ステップと、を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
肥料用の施肥計画を決定及び提供するための、及び農業機器において使用されるように又は使用可能なように構成された制御データを生成するための、コンピュータで実施される方法であって、前記方法は、以下のステップ:
圃場に播種される又は播種が計画される農作物種に関する情報を含む農作物データを提供するステップ(S10)と、
前記圃場に肥料を施肥する少なくとも1つの計画された施肥時期に関する情報を含む施肥時期データを提供するステップ(S20)と、
前記圃場に存在する又は予想される少なくとも1つの栄養素指定子に関する情報を含む栄養素指定子データを提供するステップ(S30)と、
少なくとも、前記提供された農作物データ、前記提供された施肥時期データ、前記提供された栄養素指定子データに基づいて、肥料製品データベースにおいてデータベース検索を実施し、前記農作物、及び前記施肥時期、及び前記栄養素指定子のうちの1つ、に合致する肥料製品を決定するステップ(S50)であって、前記肥料製品データベースは複数の肥料製品に関する情報を含み、前記肥料製品に関する前記情報は、少なくとも、各肥料製品の施肥領域、各肥料製品の有効成分、及び各肥料製品のための適切な施肥時期、に関する情報を含む、ステップ(S50)と、
生成された施肥計画をランク付けするステップ(S70)であって、異なる施肥計画(S60)は、少なくとも1つの栄養素指定子が定義済み閾値を上回る有効性で網羅されるように、決定された前記肥料製品を組み合わせることにより生成され、
前記ランク付けする前記ステップは、施肥計画ごとに、以下の統計値、すなわち、
a)施肥計画ごとの肥料製品の数、
b)定義済み閾値を上回る有効性で網羅されている主要な又は優先される栄養素指定子の数であって、一実施例では、前記定義済み閾値は80%を超え、一実施例では、前記定義済み閾値は、施肥計画ごとに最大の重み付けを有する統計値を表す、数、
c)定義済み閾値を上回る有効性で網羅されている全ての栄養素指定子の数、
d)所与の肥料によって栄養素指定子の全体にわたって達成された最大有効性、
e)施肥の時点での既知の好ましい使用の前記施肥計画における肥料の割合、
f)主要な又は優先される栄養素指定子についての前記施肥計画における全ての肥料の達成された有効性の合計、
g)全ての栄養素についての前記施肥計画における全ての肥料の達成された前記有効性の合計、
h)適用可能な場合、土壌中の残余の前記有効性の期間、及び/又は
i)以前の施肥と比較して作用様式及び/又は有効成分を繰り返すためのインデックスアカウンティング、のうちの1つ以上に基づく、ステップと、
農業機器において使用される又は使用可能なように構成された制御データを生成するステップであって、前記制御データは、最高のランク付けがされた施肥計画、又は前記ランク付けされた施肥計画からユーザにより選択された施肥計画に基づく、ステップと、を含む、方法。
【請求項2】
施肥計画ごとに統計値を計算するステップを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
第1のステップにおいて、前記ランク付けは、定義済み閾値を上回る有効性で網羅されている全ての栄養素指定子の数と、所与の肥料によって、栄養素指定子全体にわたって達成された前記最大有効性に基づくものであり、第2のステップにおいて、前記ランク付けは、施肥計画ごとに、以下の統計値、すなわち、
a)施肥計画ごとの肥料製品の数、
b)所与の肥料によって栄養素指定子の全体にわたって達成された最大有効性、
c)施肥の時点での既知の好ましい使用の前記施肥計画における肥料の割合、
d)主要な又は優先される栄養素指定子についての前記施肥計画における全ての肥料の達成された有効性の合計、
e)全ての栄養素についての前記施肥計画における全ての肥料の達成された有効性の合計、
f)適用可能な場合、土壌中の残余の前記有効性の期間、及び/又は
g)以前の施肥と比較して作用様式及び/又は有効成分を繰り返すためのインデックスアカウンティング、のうちの1つ以上を鑑みて又はこれらのうちの1つ以上に基づいて、更に特定されることが好ましい、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記農作物データは、ユーザインターフェースを用いて又はデータ処理ユニットにより提供される、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記栄養素指定子は、ユーザインターフェースを用いて、及び/又はデータインターフェースを用いて、及び/又は前記圃場の遠隔又は近位土壌センシングを用いて、及び/又は前記圃場の土壌分析を用いて、及び/又は前記圃場の画像認識を用いて提供される、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
施肥計画は、肥料製品ごとの用量範囲と閾値とに関する情報を更に含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記方法は、圃場データと施肥計画とを組み合わせことによる施肥マップを提供するステップを更に含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記肥料製品情報は、特定の栄養素需要を満たすための前記肥料製品の有効性に関する情報を更に含み、
前記生成された施肥計画をランク付けする前記ステップは、特定の栄養素需要を満たすための前記肥料の前記有効性に更に基づく、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記肥料製品情報は、特定の肥料製品を混合する場合の有害な影響に関する情報を更に含み、
前記生成された施肥計画をランク付けする前記ステップは、特定の肥料製品を混合する場合の有害な影響に更に基づく、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記提供された農作物データは、作物生育段階及び播種日付に関する情報を更に含み、
前記肥料製品情報は、作物生育段階及び前記播種日付を鑑みた前記肥料製品の前記有効性に関する情報を更に含み、
前記生成された施肥計画をランク付けする前記ステップは、作物生育段階及び前記播種時期を鑑みた前記肥料製品の前記有効性に更に基づく、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記提供される農作物データは、前記圃場で生育された過去の農作物、及び/又は前記圃場で生育されることが計画されている次の農作物に関する情報を更に含み、
前記生成された施肥計画をランク付けする前記ステップは、前記圃場で生育された前記過去の農作物、及び/又は前記圃場で生育されることが計画されている前記次の農作物に関する情報に更に基づく、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記栄養素指定子データは、前記土壌の栄養素成分及び/又は作物生育段階に基づく作物栄養素需要に関する情報を更に含み、
前記肥料製品情報は、前記土壌の前記栄養素成分及び/又は作物生育段階に基づく前記作物栄養素需要を鑑みた前記有効性に関する情報を更に含み、
前記生成された施肥計画をランク付けする前記ステップは、前記土壌の前記栄養素成分及び/又は作物生育段階に基づく前記作物栄養素需要を鑑みた前記肥料製品の前記有効性に更に基づく、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記栄養素指定子データは、処置優先度に関する情報を更に含み、
前記生成された施肥計画をランク付けする前記ステップは、前記処置優先度に関する前記情報に更に基づく、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
施肥計画は、前記肥料製品の用量に関する混合物指示と、前記混合物への有用な又は必要な添加物に関する情報とを含む、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記肥料は、硝化阻害剤、脱窒素阻害剤、又はウレアーゼ阻害剤であるか又はこれらを含み、前記栄養素指定子は、圃場の又は圃場の一部の、硝化阻害剤需要、脱窒素阻害剤需要、又はウレアーゼ阻害剤需要などの、窒素管理需要であるか又はこれらを含む、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、肥料用の施肥計画を決定及び提供する方法と、農業機器を制御するための制御データを提供するための、そのような施肥計画の使用と、肥料用の施肥計画を決定及び提供する方法における肥料製品データベースの使用とに関する。
【背景技術】
【0002】
1回の施肥において複数の肥料製品を使用すること、すなわち2種以上の肥料製品をタンク内で混合することは、通常の手順であり、これにより、施肥の費用を減らすこと、特定の製品の活性度を高めること、及び単一の施肥における処置の範囲を広げることができる。
【0003】
しかしながら、実際には、ユーザは、どの肥料製品が、タンク内で混合できるか、及び単一の施肥で適用できるかを決める場合に、いくつかの不確かさに直面する。不確かさのうちの1つは、肥料製品ごとに、許容される/適用可能な施肥時期を考慮する必要があり得るという事実によって与えられる。更には、肥料製品を混合する場合、どの農作物に対して、対応する肥料製品が最も効率的に使用できるかも考慮する必要がある。この点で、目的は、栄養素スペクトラムに対して肥料製品又は製品混合物及び用量を、十分な有効性を有するが、環境的及び経済的影響が最低となるように選択することである。しかしながら、前述した要因は、季節全体にわたる所与の施肥時期での肥料製品の組合せを考慮すると、季節全体にわたる肥料製品の多数の予想される組合せにつながる。
【0004】
これを鑑みると、1回の施肥で、すなわち、1つのタンクの混合物で又は組合せとして使用する場合に、肥料製品のこのような選択を単純化する更なる必要性が存在することが見出された。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記を考慮して、ユーザが容易に適用することができ、対応する肥料混合物の推奨がユーザに提供される、肥料用の施肥計画を決定及び提供する方法を提供することが本発明の目的である。上記を考慮して、本発明の目的は、肥料についてのランク付けされた施肥計画に基づいて、現実世界に影響をもたらす、農業機器用の制御データを生成するための正確で使いやすい方法を提供することであり、施肥計画は、明確に定義され透明性を有する判定基準に従ってランク付けされる。これら及び他の目的は、以下の説明を読んだ上で明らかになり、独立請求項の主題により解決される。従属請求項は、本発明の好ましい実施形態を指す。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第1の態様によれば、肥料用の施肥計画を決定及び提供する方法が提供され、本方法は、少なくとも以下のステップ、すなわち、
・ 圃場に播種される又は播種が計画される農作物種に関する情報を含む農作物データを提供/受信するステップと、
・ 圃場に肥料を施肥する少なくとも1つの計画された施肥時期に関する情報を含む施肥時期データを提供/受信するステップと、
・ 圃場に存在する又は予想される少なくとも1つの栄養素指定子に関する情報を含む栄養素指定子データを提供するステップと、
・ 複数の肥料製品に関する情報を含む肥料製品データベースを提供/受信するステップであって、肥料製品に関する情報は、少なくとも、各肥料製品の施肥領域、各肥料製品の有効成分、及び各肥料製品のための適切な施肥時期、に関する情報を含む、ステップと、
・ 少なくとも、提供された農作物データ、提供された施肥時期データ、提供された栄養素指定子データに基づいて、肥料製品データベースにおいてデータベース検索を実施し、農作物及び施肥時期、並びに栄養素指定子のうちの少なくとも1つ、に合致する肥料製品を決定するステップと、
・ 少なくとも1つの栄養素指定子が定義済み閾値を上回る有効性で網羅されるように、決定された肥料製品を組み合わせることにより、異なる施肥計画を生成するステップと、
・ 生成された施肥計画を、少なくとも、施肥計画当たりの肥料製品の数に応じてランク付けするステップであって、生成された施肥計画は、更なるパラメータ/統計値/変数を鑑みてランク付けされる、ステップと、を含む。
【0007】
本開示の第2の態様によれば、肥料用の施肥計画を決定及び提供する方法であって、本方法は、以下のステップ、すなわち、
・ 圃場に播種される又は播種が計画される農作物種に関する情報を含む農作物データを提供するステップと、
・ 圃場に肥料を施肥する少なくとも1つの計画された施肥時期に関する情報を含む施肥時期データを提供するステップと、
・ 圃場に存在する又は予想される少なくとも1つの栄養素指定子に関する情報を含む栄養素指定子データを提供するステップと、
・ 少なくとも、提供された農作物データ、提供された施肥時期データ、提供された栄養素指定子データに基づいて、肥料製品データベースにおいてデータベース検索を実施し、農作物及び施肥時期、及び栄養素指定子のうちの1つ、に合致する肥料製品を決定するステップであって、肥料製品データベースは複数の肥料製品に関する情報を含み、肥料製品に関する情報は、少なくとも、各肥料製品の施肥領域、各肥料製品の有効成分、及び各肥料製品のための適切な施肥時期、に関する情報を含む、ステップと、
・ 生成された施肥計画をランク付けするステップであって、異なる施肥計画は、少なくとも1つの栄養素指定子が定義済み閾値を上回る有効性で網羅されるように、決定された肥料製品を組み合わせることにより生成され、
ランク付けするステップは、施肥計画ごとに、以下の統計値、すなわち、
a)施肥計画ごとの肥料製品の数、
b)定義済み閾値を上回る有効性で網羅されている主要な又は優先される栄養素指定子の数であって、一実施例では、定義済み閾値は80%を超え、一実施例では、この定義済み閾値は、施肥計画ごとに最大の重み付けを有する統計値を表す、数、
c)定義された閾値を上回る有効性で網羅されている全ての栄養素指定子の数、
d)所与の肥料によって栄養素指定子の全体にわたって達成された最大有効性、
e)施肥の時点での既知の好ましい使用の施肥計画における肥料の割合、
f)主要な又は優先される栄養素指定子についての施肥計画における全ての肥料の達成された有効性の合計、
g)全ての栄養素についての施肥計画における全ての肥料の達成された有効性の合計、
h)適用可能な場合、土壌中の残余の有効性期間、及び/又は
i)以前の施肥と比較して作用様式及び/又は有効成分を繰り返すためのインデックスアカウンティング、のうちの1つ以上に基づく、ステップと、を含む。
【0008】
本開示の第3の態様によれば、本発明は、肥料用の施肥計画を決定及び提供するための、及び農業機器において使用されるように又は使用可能なように構成された制御データを生成するための、コンピュータで実施される方法に関し、本方法は、以下のステップを含む:
圃場に播種される又は播種が計画される農作物種に関する情報を含む農作物データを提供するステップ(S10)と、
圃場に肥料を施肥する少なくとも1つの計画された施肥時期に関する情報を含む施肥時期データを提供するステップ(S20)と、
圃場に存在する又は予想される少なくとも1つの栄養素指定子に関する情報を含む栄養素指定子データを提供するステップ(S30)と、
少なくとも、提供された農作物データ、提供された施肥時期データ、提供された栄養素指定子データに基づいて、肥料製品データベースにおいてデータベース検索を実施し、農作物及び施肥時期、及び栄養素指定子のうちの1つ、に合致する肥料製品を決定するステップ(S50)であって、肥料製品データベースは複数の肥料製品に関する情報を含み、肥料製品に関する情報は、少なくとも、各肥料製品の施肥領域、各肥料製品の有効成分、及び各肥料製品のための適切な施肥時期、に関する情報を含む、ステップ(S50)と、
生成された施肥計画をランク付けするステップ(S70)であって、異なる施肥計画(S60)は、少なくとも1つの栄養素指定子が定義済み閾値を上回る有効性で網羅されるように、決定された肥料製品を組み合わせることにより生成され、
ランク付けするステップは、施肥計画ごとに、以下の統計値、すなわち、
a)施肥計画ごとの肥料製品の数、
b)定義済み閾値を上回る有効性で網羅されている主要な又は優先される栄養素指定子の数であって、一実施例では、定義済み閾値は80%を超え、一実施例では、この定義済み閾値は、施肥計画ごとに最大の重み付けを有する統計値を表す、数、
c)定義済み閾値を上回る有効性で網羅されている全ての栄養素指定子の数、
d)所与の肥料によって栄養素指定子の全体にわたって達成された最大有効性、
e)施肥の時点での既知の好ましい使用の施肥計画における肥料の割合、
f)主要な又は優先される栄養素指定子についての施肥計画における全ての肥料の達成された有効性の合計、
g)全ての栄養素についての施肥計画における全ての肥料の達成された有効性の合計、
h)適用可能な場合、土壌中の残余の有効性期間、及び/又は
i)以前の施肥と比較して作用様式及び/又は有効成分を繰り返すためのインデックスアカウンティング、のうちの1つ以上に基づく、ステップと、
農業機器において使用される又は使用可能なように構成された制御データを生成するステップであって、制御データは、最高のランク付けがされた施肥計画、又はランク付けされた施肥計画からユーザにより選択された施肥計画に基づく、ステップと、を含む、方法。
【0009】
一実施例では、施肥計画をランク付けするステップのために、施肥計画ごとに、上述した統計値の全てが使用される、施肥計画をランク付けするステップのために、好ましくは、上述した統計値の少なくとも2つが使用される、施肥計画をランク付けするステップのために、好ましくは、上述した統計値の少なくとも3つが使用される、施肥計画をランク付けするステップのために、好ましくは、上述した統計値の少なくとも4つが使用される、施肥計画をランク付けするステップのために、好ましくは、上述した統計値の少なくとも5つが使用される、施肥計画をランク付けするステップのために、好ましくは、上述した統計値の少なくとも6つが使用される、施肥計画をランク付けするステップのために、好ましくは、上述した統計値の少なくとも7つが使用される、及び/又は施肥計画をランク付けするステップのために、好ましくは、上述した統計値の少なくとも8つが使用される。
【0010】
一実施例では、本発明は、特に、各肥料製品の全ての詳細、例えば、各肥料製品の有効成分、それらの指標、及びそれらの許容される施肥時期を知る必要なく、最小限の必要な情報に基づいて施肥計画のランク付けを提供できるソリューションを提供する。そのような施肥計画は、組み合わせて施肥用の混合物にすることができる肥料製品のリストを含み、施肥計画を用いて、提供される施肥時期中に使用されることが許容される肥料製品だけを含む、提供される混合物により、全ての特定の栄養素が網羅される。
【0011】
圃場に肥料を適用する、提供される施肥時期は、日付又は時間窓、すなわち、特定の圃場に肥料を散布するように計画された日付又は時間窓、であり得る。好ましい実施形態では、圃場に肥料を適用する、提供される施肥時期は、2日~270日の範囲の時間窓、より好ましくは、3日~180日の範囲の時間窓、最も好ましくは、4日~120日の範囲の時間窓、特に好ましくは、5日~90日の範囲の時間窓、特に好ましくは、6日~60日の範囲の時間窓、特に、7日~30日の範囲の時間窓、例えば、8日~20日の範囲の時間窓であり得る。別の好ましい実施形態では、圃場に肥料を適用する、提供される施肥時期は、20日~180日の範囲の時間窓、より好ましくは、30日~120日の範囲の時間窓、最も好ましくは、60日~90日の範囲の時間窓であり得る。別の好ましい実施形態では、時間窓は、3つの季節段階、すなわち、植え付け前、インシーズン、及び収穫後、のうちの1つであり得る。圃場に播種される又は播種される計画のある農作物種は、作物の一般名又は学名により、又は他の任意の識別子、例えば製品シリアルナンバー等により提供され得る。圃場に存在する又は予想される栄養素指定子は、栄養素の一般名又は学名によって、又は任意の他の識別子、例えば識別番号等によっても提供され得る。この点で、そのような情報が肥料製品データベースにおけるデータベース検索のために直接的又は間接的に使用できることだけが重要である。最後に、用語「データベース検索を実施する」は、広く理解されるべきであり、肥料製品データベースにおけるデータベース検索問合わせの入力/提供を既に包含している。肥料製品データベースにおいて、肥料は、また、コード又はコード番号として列挙されていてもよい。本開示の更なる態様では、生成された施肥計画を統計値に応じてランク付けするステップは、ランク付けされた、生成された施肥計画を、施肥計画ごとの肥料製品の数に応じて、出力/提供/表示することで代替されてもよい。
【0012】
肥料製品データベースは、各肥料製品の有効成分、及び各肥料製品のための適切な施肥時期、及び各肥料製品の施肥領域に関する情報、例えば、特定の栄養素需要を満たすために、ある肥料製品が使用されるかどうか、及び/又は、その栄養素に対して、ある肥料製品が一般に使用されるかどうか、を含む。特定の栄養素需要は、作物ベース又は土壌ベースのいずれかであり得る。そのような肥料製品データベースは、一般的な肥料製品の全て又は大部分を網羅してもよく、又は特定の供給業者の肥料製品に限定されてもよい。更には、肥料製品データベースを、それぞれの管轄区域において許可される肥料製品に限定することも可能である。好ましくは、肥料製品データベースは、肥料適用に関する、特に肥料適用の時間、期間、場所、用量、施肥方法、及び他のパラメータに関する、圃場が位置する国又は行政地域の規制要件又は制約に関する情報を含む。肥料製品データベースは、第三者によって提供され得る。しかしながら、ユーザが、ユーザが使用するつもりである各肥料製品のラベルをスキャンすることにより、及び各肥料製品に関する対応する情報を供給元データベースから取得することにより、ユーザにより適宜調整された肥料製品データベースを構築することも可能である。後者を用いて、ユーザが、更なる肥料製品に関する情報を追加して、肥料製品データベースを補充することも可能でもある。とりわけ、本発明による用語「肥料」は、広く理解されるべきであり、任意の肥料薬剤、多量栄養素、微量栄養素、ライム、植物成長調整剤、硝化阻害剤、脱窒素阻害剤、ウレアーゼ阻害剤、生物学的作物保護製品(例えば、有用生物学的製品)、作物強化製品、栄養分(例えば、炭酸カルシウム、ライム)を含むか又は含まない作物強化剤、土壌質及び/又は植物健康及び/又は植物成長、土壌湿潤剤、等であってもよい。好ましくは、肥料は、肥料薬剤、多量栄養素、微量栄養素、硝化阻害剤、脱窒素阻害剤、ウレアーゼ阻害剤、等である。より好ましくは、肥料は肥料薬剤である。最も好ましくは、肥料は、以下からなる群から選択される:窒素含有肥料、アンモニウム含有肥料、硝酸塩含有肥料、尿素含有肥料、リン含有肥料(例えば、リン酸二アンモニウム、リン酸モノアンモニウム)、カリウム含有肥料、ホウ素含有肥料、硫黄含有肥料、硫酸塩含有肥料、カルシウム含有肥料、鉄含有肥料、及び塩化物含有肥料。肥料は、液体形態又は固体形態であり得る。更に、肥料は、土壌の中若しくは土壌の上、又は葉の上若しくは作物植物の他の部分の上のいずれかに適用され得る。更には、肥料は、その有効成分を直接放出すること又はその有効成分をゆっくりと放出すること(例えば、遅延放出性又は徐放性の肥料薬剤)のいずれかができる。他の好ましい実施形態では、肥料は、硝化阻害剤、脱窒素阻害剤、又はウレアーゼ阻害剤である。
【0013】
本発明により生成される施肥計画は、提供された農作物、及び施肥時期、及び少なくとも1つの栄養素指定子に合致する、決定された肥料製品の組合せを提供する、任意の視覚化された又は視覚化されていないデータ/情報とすることができ、決定された肥料製品は、全ての栄養素指定子が網羅されるように施肥計画において組み合わされている。施肥計画を生成するステップにおいて、肥料製品の各組合せによって全ての栄養素指定子が網羅されるように、決定された肥料製品を組み合わせることにより、全ての又は所定数の施肥計画が提供される。続いて、これらの生成された施肥計画は、特に、全ての栄養素指定子を網羅するために(特に定義済み閾値を上回る有効性で全ての栄養素指定子を網羅するために)必要な肥料製品の数を鑑みてランク付けされる。施肥計画のランク付け済みリストは、例えば、データ処理システムによって更に処理され得るデータセットを用いて、又はディスプレイを備えるデータ処理システムを用いて、視覚化された形態で及び/又は視覚化されていない形態で提供され得る。
【0014】
その結果、本発明は、提供された施肥時期に合致する全ての栄養素指定子を網羅する施肥計画のランク付けされた数をユーザが受け取るソリューションを提供する。したがって、本発明を適用することにより、簡略化され信頼性がより高い、肥料製品混合物の決定が提供される。
【0015】
農作物データは、ユーザインターフェースを用いて又はデータ処理ユニットにより提供されることが好ましい。例えば、対応するユーザインターフェースが、コンピュータ、スマートフォン、タブレット等のデータ処理システムにより提供でき、データ処理システムは、ユーザが対応する情報を提供する際に使用できる、対応する入力手段を備える。しかしながら、農作物データは、データ処理ユニットにより、例えば、圃場に農作物を播種するために使用される播種機械のデータ処理ユニットにより、又は農作物データが格納される任意の他のデータ処理ユニットにより、提供されることも可能である。
【0016】
好ましくは、栄養素指定子は、ユーザインターフェースを用いて、及び/又はデータインターフェースを用いて、及び/又は圃場の遠隔又は近位土壌センシングを用いて、及び/又は圃場の土壌分析を用いて、及び/又は圃場の画像認識を用いて提供される。ここでも、対応するユーザインターフェースが、コンピュータ、スマートフォン、タブレット等のデータ処理システムにより提供でき、データ処理システムは、ユーザが対応する情報を提供する際に使用できる、対応する入力手段を備える。しかしながら、圃場の遠隔又は近位土壌センシング、及び/又は圃場の土壌分析、及び/又は対応する圃場の画像認識、に由来するデータを使用して、ある程度の自動化されたプロセスを確立することも可能であり、これらデータは、対応する画像、例えば衛星画像又はドローン画像を分析する、又は土壌若しくは土壌サンプルを分析する第三者により提供され得る。別の好ましい実施形態では、栄養素指定子は、ユーザインターフェースを用いて提供される。別の好ましい実施形態では、栄養素指定子は、データインターフェースを用いて提供され、より好ましくは、栄養素指定子は、予測モデリングに基づき、及び/又は圃場における栄養素指定子に関する履歴データに基づき、及び/又は圃場における栄養素指定子に関する履歴データを少なくとも部分的に使用する機械学習に基づき計算された、計算された栄養素指定子を、データインターフェースが提供するように、データインターフェースを用いて提供される。別の好ましい実施形態では、栄養素指定子は、遠隔又は近位土壌センシングを用いて提供され、より好ましくは、栄養素指定子は、近位土壌センシングを用いて提供され、最も好ましくは、栄養素指定子は、近赤外線センサ、ガンマ線センサ、電気導電率センサ、温度計、光学カメラ、又は上記の任意の組合せに基づく近位土壌センシング、を用いて提供され、特に、栄養素指定子は、近赤外線センサに基づく近位土壌センシングを用いて提供される。別の好ましい実施形態では、栄養素指定子は、圃場の土壌分析により提供され、土壌分析は、より好ましくは、土壌サンプリング及び土壌特性の分析のステップを含み、土壌分析は、より好ましくは、化学的土壌分析(例えば、化学研究施設にて実施される)、生化学的土壌分析、物理的土壌分析、機械的土壌分析、又はそれらの組合せである。別の好ましい実施形態では、栄養素指定子は、圃場の画像認識を用いて提供される。栄養素指定子が、圃場の遠隔又は近位土壌センシングを用いて、及び/又は圃場の土壌分析を用いて、及び/又は圃場の画像認識を用いて提供される限り、栄養素指定子が、特定のデータ処理ステップを含み、そのステップにおいて、遠隔又は近位センシング、土壌分析、又は画像認識により得られた生データ(例えば画像、グラフィックス、図、スペクトル、テーブル、数、値、器具読取り値、等)が処理されて栄養素指定子になることが好ましい。
【0017】
用語「栄養素」は広く理解されるべきであり、任意の化学物質、任意の生物有機体、又は生育及び再生のために作物植物により使用される又は生育及び再生に関して作物植物にとって有益な任意の化学的状態であって、以下を指すが、これらに限定されない:
表層土層又は任意の他の土壌層などの化学的条件、例えば、特定のpH値、塩分、保水性、親水性、又は疎水性;
生物有機体、例えば、根粒菌、菌根菌、土壌細菌、放線菌類、原生動物、等;
化学物質、例えば、例えば有機炭素、土壌有機物、腐植土、フミン酸、ホウ素、リン、カリウム、窒素、含有量、硫黄、カルシウム、鉄、アルミニウム、塩素、モリブデン、マグネシウム、ニッケル、銅、亜鉛、マンガン、及び水。
【0018】
好ましい実施形態では、栄養素は、成長及び再生のために作物植物により使用される化学物質、又は成長及び再生に関して作物植物にとって有益な化学物質であり、以下からなる群から選択されるものである:有機炭素、土壌有機物、腐植土、フミン酸、ホウ素、リン、カリウム、窒素、含有量、硫黄、カルシウム、鉄、アルミニウム、塩素、モリブデン、マグネシウム、ニッケル、銅、亜鉛、マンガン。
【0019】
用語「栄養素指定子」は、広く理解されるべきであり、作物の、又は圃場の、又は圃場の一部の、栄養素需要又は窒素管理需要、例えば、硝化阻害剤需要、脱窒素阻害剤需要、又はウレアーゼ阻害剤需要、を特定する任意のデータを指す。この関連で、栄養素指定子は、好ましくは、土壌栄養素データ及び作物栄養素データを含み、土壌栄養素データは、特定の収穫物の残留物がミネラル化して栄養素になることができるという情報、及び/又は過去に圃場に供給された特定の栄養素が依然として利用可能であるという情報も含む。好ましい実施形態では、栄養素指定子は、厳密に1種の栄養素に関する栄養素需要を特定する。別の好ましい実施形態では、栄養素指定子は、複数の栄養素に関する、例えば少なくとも2種、3種、4種、5種、6種又は7種の栄養素に関する、組み合わされた栄養素需要を特定する。
【0020】
「栄養素指定子が網羅される」という用語は、広く理解されるべきであり、栄養素指定子として特定される栄養素需要が、一般に特定の又は定義済みの閾値を上回る有効性で達成又は満たされることを意味する。
【0021】
本発明との関連で、用語「制御データ」又は「制御ファイル」は、機械又はデバイス、例えば農業処置デバイスを制御することに役立つ、任意のバイナリファイル、データ、信号、識別子、コード、画像、又は任意の他の機械可読要素若しくは機械検出可能要素であると理解される。
【0022】
施肥計画が、各肥料製品についての用量範囲及び閾値に関する情報を更に含むことが更に好ましく、閾値は予め定義されてもよく又は手動で入力されてもよく、予め定義された閾値はまた、ユーザが定義した可変閾値と組み合わされてもよく、閾値は、履歴データ及び/又は規制データなどの更なるデータに基づいて計算することもできる。この点で、肥料製品ごとの用量範囲に関する、提供される情報はまた、作物生育段階又は季節段階(例えば、植え付け前、インシーズン、及び収穫後)を鑑みて、肥料製品ごとに異なる用量範囲を有してもよい。更には、特に、施肥計画による混合物が第三者により提供される場合、施肥前又は施肥中に、実際の混合物を、使用された施肥計画と比較できるように、タンク混合物上に提供され対応する読取り手段によりスキャンできる、例えばバーコード、QRコード(登録商標)、RFID等によって、その混合物が検証されることが更に好ましい。
【0023】
好ましくは、本方法は、圃場データと施肥計画とを組み合わせることにより、施肥マップを提供するステップを更に含む。圃場データは、地理的詳細、例えば、圃場の境界及び特性、配置及び作物生育段階、及び/又は栄養素成分及び栄養素指定子の分布/位置、に関する情報を含んでもよい。そのような圃場データを提供し、それを施肥計画と組み合わせることにより、圃場のどこに、どの用量を散布すべきかに関する情報を含む、空間的分解能を有する施肥マップを提供することができる。とりわけ、圃場データは、ユーザインターフェースにより、又は対応する圃場の画像認識を用いて提供され得る。ここでも、対応する画像は、衛星システム又はドローンシステムにより提供され得る。加えて、圃場データは、第三者、例えば、対応する画像及び施肥計画を分析するサービスプロバイダにより提供され得る。
【0024】
好ましくは、肥料製品情報は、特定の栄養素需要を満たすための肥料製品の有効性に関する情報を更に含み、生成された施肥計画をランク付けするステップは、特定の栄養素需要を満たす肥料製品の有効性に更に基づく。それにより、生成された施肥計画をランク付けするために、全ての栄養素指定子を網羅するために(特に、定義済み閾値を上回る有効性で全ての栄養素指定子を網羅するために)必要とされる肥料製品の数だけでなく、肥料製品の有効性も使用され得る。有効性は、商用の又は一般に利用可能なデータベース、及び/又は専門家の改訂から引用することができ、専門家の改訂による有効性が手元にある場合、そのようなデータが好ましい。更には、有効性は、それぞれの施肥、例えば、窒素施肥、リン施肥、硫黄施肥、カリウム施肥、ウレアーゼ阻害、硝化阻害、又は脱窒素阻害、に応じて重み付けされ得る。この点で、有効性は、単一の有効性にわたって平均化されてもよく、施肥計画における肥料製品の数によって更に重み付けされてもよい。このようなランク付けにより、栄養素指定子ごとに、最も高い有効性を、場合によっては最小限の数の肥料製品で見つけることができる。より詳細には、ランク付けは、施肥計画ごとに、以下の統計値に基づいてもよい:
1. 施肥計画ごとの肥料製品の数、
2. 定義済み閾値を上回る有効性で網羅されている主要な又は優先される栄養素指定子の数であって、一実施例では、定義済み閾値は、80%を超える、数、
3. 定義された閾値を上回る有効性で網羅されている全ての栄養素指定子の数、
4. 所与の肥料によって栄養素指定子の全体にわたって達成された最大有効性、
5. 施肥の時点での既知の好ましい使用の施肥計画における肥料の割合、
6. 主要な又は優先される栄養素指定子についての施肥計画における全ての肥料の達成された有効性の合計、
7. 全ての栄養素についての施肥計画における全ての肥料の達成された有効性の合計、
8. 適用可能な場合、土壌中の残余の有効性期間、及び/又は
9. 以前の施肥と比較して作用様式及び/又は有効成分を繰り返すためのインデックスアカウンティング。
【0025】
これら統計値は、ランク付け値を計算するために使用することができ、それらは各施肥計画に起因する場合がある。このプロセスでは、施肥計画当たりの肥料製品の数が多いことに対してペナルティを課すために、施肥計画当たりの肥料製品の数(すなわち、上記では数1)が使用される。すなわち、低いランク付け値になる。同様に、以前の施肥と比較して作用様式及び/又は有効成分を繰り返すためのインデックスアカウンティングを使用して、以前の施肥と比較して作用様式及び/又は有効成分を繰り返すことを促進するか又はペナルティを課してもよく、この結果、より高い又はより低いランク付け値になる。対照的に、より高い有効性を有するそれら施肥計画を支持するように有効性に関連する統計値を使用し、その結果、より大きいランク付け値になる。統計値及び結果として生じるランク付け値を使用して、施肥計画をランク付けしてもよい。この目的のため、統計値及び結果として生じるランク付け値を使用して、決められた順序で段階的にランク付けしてもよい。実施例では、ランク付けは、最初に、定義済み閾値(すなわち、上記の番号2)を上回る有効性で網羅されている主要な又は優先される栄養素指定子の数に対して実施でき、その後、以前の施肥と比較して作用様式及び/又は有効成分を繰り返すためのインデックスアカウンティングに従って、同じランクの施肥計画がランク付けされ、その後、他の統計値又はランク付け値によりランク付けされる。
【0026】
更なる実施例では、第1のステップにおいて、数2(すなわち、定義済み閾値を上回る有効性で網羅されている主要な又は優先される栄養素指定子の数)として上述した統計値を鑑みて、最初の/粗いランク付けが実施されて、最初の/粗いランク付けが出力されてもよい。続いて、番号1(すなわち、施肥計画当たりの肥料製品の数)、及び番号3~9(すなわち、以前の施肥と比較して作用様式及び/又は有効成分を繰り返すためのインデックスアカウンティング)にて上述した1つ以上の統計値を鑑みて、この第1の/粗いランク付けのランキング/結果が、第2のステップにおいて、より正確にランク付けされる。
【0027】
更なる実施例では、第1のステップにおいて、番号3として上述した統計値(すなわち、定義済み閾値を上回る有効性で網羅されている全ての栄養素指定子の数)を鑑みて、最初の/粗いランク付けが実施されて、最初の/粗いランク付けが出力されてもよい。続いて、番号1(すなわち、施肥計画当たりの肥料製品の数)、及び番号2及び4~9(すなわち、以前の施肥と比較して作用様式及び/又は有効成分を繰り返すためのインデックスアカウンティング)にて上述した統計値のうちの1つ以上を鑑みて、この第1の/粗いランク付けのランキング/結果が、第2のステップにおいて、より正確にランク付けされる。
【0028】
なお更なる実施例では、第1のステップにおいて、番号1にて上述した統計値(すなわち、施肥計画当たりの肥料製品の数)を鑑みて、第1の/粗いランク付けが実施されて、第1の/粗いランク付けが出力されてもよい。続いて、番号2(すなわち、定義済み閾値を上回る有効性で網羅されている主要な又は優先される栄養素指定子の数)、及び番号9(すなわち、以前の施肥と比較して作用様式及び/又は有効成分を繰り返すためのインデックスアカウンティング)にて上述した1つ以上の統計値を鑑みて、この第1の/粗いランク付けのランキング/結果が、第2のステップにおいて、より正確にランク付けされる。
【0029】
とりわけ、上述した統計値は、生成された施肥計画をランク付けするために考慮/使用される好ましいパラメータ/統計値に関する。しかしながら、生成された施肥計画をランク付けするために、更なるパラメータ/統計値/情報が考慮/使用されてもよい。
【0030】
肥料製品情報が、特定の肥料製品を混合する場合の有害な影響に関する情報を更に含むこと、及び生成された施肥計画をランク付けするステップが、特定の肥料製品を混合する場合の有害な影響に更に基づくことが更に好ましい。これにより、意味のない肥料製品の組合せ、又は拮抗作用を有する肥料製品の組合せが、それぞれの拮抗作用に応じて、除去され得るか、又は生成される施肥計画の最後に列挙され得る。
【0031】
提供される農作物データが、実際に観察された又はモデル化された作物生育段階及び播種日付に関する情報を更に含むこと、肥料製品情報が、作物生育段階及び播種日付を鑑みた肥料製品の有効性に関する情報を更に含むこと、及び、生成された施肥計画をランク付けするステップが、作物生育段階及び播種日付を鑑みた肥料製品の有効性に関する情報に更に基づくことが好ましい。特に、各肥料製品の有効性は、実際の作物生育段階を鑑みて対応する有効性を考慮できるように、異なる作物生育段階、例えば、種子、初期、若年期、成熟期/開花期に対して提供される。
【0032】
好ましくは、提供される農作物データは、圃場で生育された過去の農作物、及び/又は圃場で生育されることが計画されている次の農作物に関する情報を更に含み、生成された施肥計画をランク付けするステップは、圃場で過去に生育された農作物、及び/又は圃場で生育されることが計画されている次の農作物に関する情報に更に基づく。これにより、生成された施肥計画をランク付けする場合に農作物の輪作を考慮することができ、同じ肥料製品又は同じ作用様式の繰り返し適用を優先させること又は回避することができる。したがって、同じ作用様式での肥料製品の繰り返し適用、及び/又は同じ肥料製品の繰り返し適用、を含む組合せを、より高く又はより低くランク付けすることができる。
【0033】
栄養素指定子データが、土壌中の栄養素成分、及び/又は作物生育段階に基づく作物栄養素需要、に関する情報を更に含むこと、及び、肥料製品情報が、土壌中の栄養素成分、及び/又は作物生育段階に基づく作物栄養素需要、を鑑みた有効性に関する情報を更に含むこと、及び、生成された施肥計画をランク付けするステップが、土壌中の栄養素成分及び/又は作物生育段階に基づく作物栄養素需要を鑑みた肥料製品の有効性に更に基づくこと、が好ましい。これにより、施肥計画を、圃場における実際の状況に合わせて更に個別化することが可能である。土壌の栄養素成分、及び/又は作物生育段階に基づく作物栄養素需要、に関する情報は、ユーザインターフェースにより、又は対応する圃場の画像認識を用いて提供され得る。ここでも、対応する画像は、衛星システム又はドローンシステムにより提供され得る。加えて、土壌の栄養素成分及び/又は作物生育段階に基づく作物栄養素需要に関する情報は、第三者、例えば対応する画像を分析するサービスプロバイダ、により提供され得る。
【0034】
施肥時期について、気象データが得られることが更に好ましく、肥料製品情報は、肥料製品を適用するための気象要件、及び/又は気象状況を鑑みた肥料製品の有効性、に関する情報を更に含み、生成された施肥計画をランク付けするステップは、肥料製品を適用するための気象要件、及び/又は気象データを鑑みた肥料製品の有効性に更に基づく。とりわけ、気象データは、第三者、例えばサービスプロバイダにより、又はオンサイドセンサにより提供され得る。
【0035】
好ましくは、栄養素指定子データは、処置優先度に関する情報を更に含み、生成された施肥計画をランク付けするステップは、処置優先度に関する情報に更に基づく。このような処置優先度情報により、農作物にとって、どの栄養素需要が非常に重要又は有益であり得るか、そして優先的に処置されるべきかを示すことができる。例えば、優先度情報は、ユーザインターフェースを用いて、及び/又はデータインターフェースを用いて、及び/又は圃場の遠隔又は近位土壌センシングを用いて、及び/又は圃場それぞれ場の土壌分析を用いて、及び/又は圃場の画像認識を用いて提供され得る。ここでも、対応する画像は、衛星システム又はドローンシステムにより提供され得る。加えて、処置優先度に関する情報は、第三者、例えば対応する画像又は土壌を分析するサービスプロバイダ、により提供され得る。
【0036】
データベース検索及び/又は施肥計画は、予め選択された肥料製品に限定され得る。例えば、ユーザは、既に利用可能な/格納されている肥料製品を予め選択して、これら肥料製品が主に使用され得るようにしてもよい。
【0037】
好ましくは、施肥計画は、肥料製品の用量、及び混合物への有用な又は必要な添加物、に関する情報を含む、混合物指示を含む。例えば、肥料薬剤及び添加物(例えば、ウレアーゼ阻害剤又は硝化阻害剤)についての最小、最大、及び推奨の用量割合(L/ha)を提供して、肥料薬剤及び添加物が両方の用量論理を有するようにすることができる。更には、特定の圃場についてのレシピとして、詳細なタンク混合物を提供することもできる(例えば、肥料1 x L、肥料2 x L、添加物1 z L、水3000L)。これにより、施肥計画に記載されている肥料製品の混合物を簡略化することができ、肥料製品を混合するときの失敗、例えば、間違った混合順序、あまりにも短い撹拌時間等を回避できる。
【0038】
最後に、方法は、農業機器において使用されるように構成された制御データを生成するステップを更に含むことが好ましく、制御データは、最高のランク付けがされた施肥計画又はランク付けされた施肥計画からユーザにより選択された施肥計画に基づく。例えば、ユーザは、ユーザ自身の考慮点又は優先度に応じて、データ処理ユニットの対応する入力手段、例えばコンピュータ、タブレット、スマートフォン等により、対応する施肥計画を選択することによって、施肥計画を選択してもよい。
【0039】
本発明は、農業機器を制御するための制御データを提供するための、上述したような肥料用の施肥計画を決定及び提供する方法、に従って受け取られた施肥計画の使用にも関する。この点で、農業機器という用語は広く理解されるべきであり、全ての機械、データ処理ユニット、車両、船舶、航空機、又は無人航空機、例えば、更に、肥料混合物を準備するための混合機械/システム、肥料混合物を圃場に又は圃場において輸送するための輸送及び噴霧機械、を指す。
【0040】
本発明はまた、上述したような、肥料用の施肥計画を決定及び提供するための方法における、肥料製品データベースの使用にも関し、肥料製品データベースは、複数の肥料製品に関する情報を含み、肥料製品に関する情報は、少なくとも、各肥料製品の施肥領域、各肥料製品の有効成分、及び各肥料製品のための適切な施肥時期に関する情報を含む。ここでも、施肥領域という用語は広く理解されるべきであり、肥料製品データベースの施肥情報に関するいかなる情報も含む。更に、全てのデータベースエントリが同じ形態で構成されることも必須ではない。
【0041】
更に、本発明は、肥料用の施肥計画を決定及び提供するシステムにも関し、システムは、ユーザが農作物データ、栄養素指定子、及び施肥時期データを入力することを可能にするように構成された少なくとも1つのユーザインターフェースと、複数の肥料製品に関する情報を含む肥料製品データベースを含む少なくとも1つのメモリユニットであって、肥料製品に関する情報は、少なくとも、各肥料製品の施肥領域、各肥料製品の有効成分、及び各肥料製品のための適切な施肥時期に関する情報を含む、少なくとも1つのメモリユニットと、少なくとも、提供された農作物データ、提供された施肥時期データ、提供された栄養素指定子データに基づいて、肥料製品データベースにおいてデータベース検索を実施するように構成され、農作物、及び施肥時期、並びに栄養素指定子のうちの1つ、に合致する肥料製品を決定する、少なくとも1つの処理ユニットと、少なくとも1つの栄養素指定子が定義済み閾値を上回る有効性で網羅されるように、決定された肥料製品を組み合わせることにより、異なる施肥計画を生成するように構成された、少なくともオン処理ユニットと、生成された施肥計画を、施肥計画当たりの肥料製品の数に応じてランク付けするように構成された少なくとも1つの処理ユニットと、を備える。肥料用の施肥計画を決定及び提供するシステムに関して、方法に関して上述した説明が参照され、それがシステムに関しても適用される。
【0042】
最後に、本発明はまた、上述した方法を、適切な装置又はシステム上で実行するように構成されたコンピュータプログラム又はコンピュータプログラム要素にも関する。
【0043】
したがって、コンピュータプログラム要素は、同様に一実施形態の一部であり得るコンピュータユニットに格納され得る。このコンピューティングユニットは、上述の方法のステップを行うように、又はその実施を誘導するように構成され得る。更には、コンピューティングユニットは、上述した装置及び/又はシステムの構成要素を動作させるように構成されていてもよい。コンピューティングユニットは、自動的に動作するように及び/又はユーザの命令を実行するように構成できる。コンピュータプログラムが、データプロセッサの作業メモリに読み込まれてもよい。したがって、データプロセッサは、前述した実施形態のうちの1つに従う方法を実施するための装備を有してもよい。
【0044】
本発明のこの例示的な実施形態は、最初から本発明を使用するコンピュータプログラム、及び更新により既存のプログラムを、本発明を使用するプログラムに変えるコンピュータプログラム、の両方を網羅する。
【0045】
更に、コンピュータプログラム要素は、上述した本方法の例示的な実施形態の手順を遂行するために必要な全てのステップを提供可能であり得る。
【0046】
本発明の更なる例示的な実施形態によれば、CD-ROM、USBスティック等のコンピュータ可読媒体が提示され、コンピュータ可読媒体は、先行するセクションに記載されるコンピュータプログラム要素を格納する。
【0047】
コンピュータプログラムは、他のハードウェアと一緒に又は他のハードウェアの一部として供給される光記憶媒体又はソリッドステート媒体などの適切な媒体に格納され得る、且つ/又はそのような適切な媒体で分配され得るが、インターネット又は他の有線若しくは無線電気通信システムを介するなど、他の形態で分配されてもよい。
【0048】
しかしながら、コンピュータプログラムはまた、ワールドワイドウェブのようなネットワークを経由して提示することもでき、そのようなネットワークからデータプロセッサの作業メモリにダウンロードすることができる。本発明の更なる例示的な実施形態によれば、コンピュータプログラム要素をダウンロードのために利用可能にする媒体が提供され、コンピュータプログラム要素は、本明細書の上述した実施形態のうちの1つによる方法を実施するように構成される。
【0049】
以下の実施形態1~21は、本発明の具体的な実施形態である。
【0050】
実施形態1:
肥料用の施肥計画を決定及び提供するためのコンピュータで実施される方法であって、以下のステップ、すなわち、
圃場に播種される又は播種が計画される農作物種に関する情報を含む農作物データを提供するステップ(S10)と、
圃場に肥料を施肥する少なくとも1つの計画された施肥時期に関する情報を含む施肥時期データを提供するステップ(S20)と、
圃場に存在する又は予想される少なくとも1つの栄養素指定子に関する情報を含む栄養素指定子データを提供するステップ(S30)と、
少なくとも、提供された農作物データ、提供された施肥時期データ、提供された栄養素指定子データに基づいて、肥料製品データベースにおいてデータベース検索を実施し、農作物及び施肥時期、及び栄養素指定子のうちの1つ、に合致する肥料製品を決定するステップ(S50)であって、肥料製品データベースは複数の肥料製品に関する情報を含み、肥料製品に関する情報は、少なくとも、各肥料製品の施肥領域、各肥料製品の有効成分、及び各肥料製品のための適切な施肥時期、に関する情報を含む、ステップ(S50)と、
生成された施肥計画をランク付けするステップ(S70)であって、異なる施肥計画(S60)は、少なくとも1つの栄養素指定子が定義済み閾値を上回る有効性で網羅されるように、決定された肥料製品を組み合わせることにより生成され、
ランク付けするステップは、施肥計画ごとに、以下の統計値、すなわち、
a)施肥計画ごとの肥料製品の数、
b)定義済み閾値を上回る有効性で網羅されている主要な又は優先される栄養素指定子の数であって、一実施例では、定義済み閾値は80%を超え、一実施例では、この定義済み閾値は、施肥計画ごとに最大の重み付けを有する統計値を表す、数、
c)定義された閾値を上回る有効性で網羅されている全ての栄養素指定子の数、
d)所与の肥料によって栄養素指定子の全体にわたって達成された最大有効性、
e)施肥の時点での既知の好ましい使用の施肥計画における肥料の割合、
f)主要な又は優先される栄養素指定子についての施肥計画における全ての肥料の達成された有効性の合計、
g)全ての栄養素についての施肥計画における全ての肥料の達成された有効性の合計、
h)適用可能な場合、土壌中の残余の有効性期間、及び/又は
i)以前の施肥と比較して作用様式及び/又は有効成分を繰り返すためのインデックスアカウンティング、のうちの1つ以上に基づく、ランク付けするステップと、を含む方法。
【0051】
実施形態2:
施肥計画ごとに統計値を計算するステップを更に含む、実施形態1に記載の方法。
【0052】
実施形態3:
第1のステップにおいて、ランク付けは、定義済み閾値を上回る有効性で網羅されている全ての栄養素指定子の数と、所与の肥料によって、栄養素指定子全体にわたって達成された最大有効性に基づくものであり、第2のステップにおいて、ランク付けは、施肥計画ごとに、以下の統計値、すなわち、
a)施肥計画ごとの肥料製品の数、
b)所与の肥料によって栄養素指定子の全体にわたって達成された最大有効性、
c)施肥の時点での既知の好ましい使用の施肥計画における肥料の割合、
d)主要な又は優先される栄養素指定子についての施肥計画における全ての肥料の達成された有効性の合計、
e)全ての栄養素についての施肥計画における全ての肥料の達成された有効性の合計、
f)適用可能な場合、土壌中の残余の有効性期間、及び/又は
g)以前の施肥と比較して作用様式及び/又は有効成分を繰り返すためのインデックスアカウンティング、のうちの1つ以上を鑑みて又はこれらのうちの1つ以上に基づいて更に特定されることが好ましい、実施形態1又は2に記載の方法。
【0053】
実施形態4:
農作物データは、ユーザインターフェースを用いて又はデータ処理ユニットにより提供される、実施形態1~3のいずれか1つに記載の方法。
【0054】
実施形態5:
栄養素指定子は、ユーザインターフェースを用いて、及び/又はデータインターフェースを用いて、及び/又は圃場の遠隔又は近位土壌センシングを用いて、及び/又は圃場の土壌分析を用いて、及び/又は圃場の画像認識を用いて提供される、実施形態1~4のいずれか1つに記載の方法。
【0055】
実施形態6:
施肥計画は、肥料製品ごとの用量範囲と、閾値とに関する情報を更に含む、実施形態1~5のいずれか1つに記載の方法。
【0056】
実施形態7:
方法は、圃場データと施肥計画とを組み合わせることによる施肥マップを提供するステップを更に含む、実施形態1~6のいずれか1つに記載の方法。
【0057】
実施形態8:
肥料製品情報は、特定の栄養素需要を満たすための肥料製品の有効性に関する情報を含み、
生成された施肥計画をランク付けするステップは、特定の栄養素需要を満たすための肥料の有効性に更に基づく、実施形態1~7のいずれか1つに記載の方法。
【0058】
実施形態9:
肥料製品情報は、特定の肥料製品を混合する場合の有害な影響に関する情報を更に含み、
生成された施肥計画をランク付けするステップは、特定の肥料製品を混合する場合の有害な影響に更に基づく、実施形態1~8のいずれか1つに記載の方法。
【0059】
実施形態10:
提供された農作物データは、作物生育段階及び播種日付に関する情報を更に含み、
肥料製品情報は、作物生育段階及び播種日付を鑑みた肥料製品の有効性に関する情報を更に含み、
生成された施肥計画をランク付けするステップは、作物生育段階及び播種時期を鑑みた肥料製品の有効性に基づく、実施形態1~9のいずれか1つに記載の方法。
【0060】
実施形態11:
提供される農作物データは、圃場で生育された過去の農作物、及び/又は圃場で生育されることが計画されている次の農作物に関する情報を更に含み、
生成された施肥計画をランク付けするステップは、圃場で生育された過去の農作物、及び/又は圃場で生育されることが計画されている次の農作物に関する情報に更に基づく、実施形態1~10のいずれか1つに記載の方法。
【0061】
実施形態12:
栄養素指定子データは、土壌の栄養素成分及び/又は作物生育段階に基づく作物栄養素需要に関する情報を更に含み、
肥料製品情報は、土壌の栄養素成分及び/又は作物生育段階に基づく作物栄養素需要を鑑みた有効性に関する情報を更に含み、
生成された施肥計画をランク付けするステップは、土壌の栄養素成分及び/又は作物生育段階に基づく作物栄養素需要を鑑みた肥料製品の有効性に更に基づく、実施形態1~11のいずれか1つに記載の方法。
【0062】
実施形態13:
栄養素指定子データは、処置優先度に関する情報を更に含み、
生成された施肥計画をランク付けするステップは、処置優先度に関する情報に更に基づく、実施形態1~12のいずれか1つに記載の方法。
【0063】
実施形態14:
データベース検索及び/又は施肥計画は、予め選択された肥料製品に限定される、実施形態1~13のいずれか1つに記載の方法。
【0064】
実施形態15:
施肥計画は、肥料製品の用量に関する混合物指示と、混合物への有用な又は必要な添加物に関する情報とを含む、実施形態1~14のいずれか1つに記載の方法。
【0065】
実施形態16:
方法は、農業機器において使用されるように構成された制御データを生成するステップを更に含み、制御データは、最高のランク付けがされた施肥計画、又はランク付けされた施肥計画からユーザにより選択された施肥計画に基づく、実施形態1~15のいずれか1つに記載の方法。
【0066】
実施形態17:
肥料は、硝化阻害剤、脱窒素阻害剤、又はウレアーゼ阻害剤であるか又はこれらを含み、栄養素指定子は、圃場の又は圃場の一部の、硝化阻害剤需要、脱窒素阻害剤需要、又はウレアーゼ阻害剤需要などの、窒素管理需要であるか又はこれらを含む、実施形態1~16のいずれか1つに記載の方法。
【0067】
実施形態18:
農業機器を制御するための制御データを提供するための、実施形態1~17のいずれか1つに従って受信された施肥計画の使用。
【0068】
実施形態19:
実施形態1~17のいずれか1つによる方法における肥料製品データベースの使用であって、肥料製品データベースは、複数の肥料製品に関する情報を含み、肥料製品に関する情報は、少なくとも、各肥料製品の施肥領域、各肥料製品の有効成分、及び各肥料製品のための適切な施肥時期に関する情報を含む、使用。
【0069】
実施形態20:
肥料用の施肥計画を決定及び提供するシステムであって、
農作物データ、栄養素指定子、及び施肥時期データを提供するための少なくとも1つのインターフェースと、
複数の肥料製品に関する情報を含む肥料製品データベースを含む少なくとも1つのメモリユニットであって、肥料製品に関する情報は、少なくとも、各肥料製品の施肥領域、各肥料製品の有効成分、及び各肥料製品のための適切な施肥時期、に関する情報を含む、少なくとも1つのメモリユニットと、
少なくとも、提供された農作物データ、提供された施肥時期データ、提供された栄養素指定子データに基づいて、肥料製品データベースにおいてデータベース検索を実施するように構成され、農作物及び施肥時期、並びに栄養素指定子のうちの1つ、に合致する肥料製品を決定する、少なくとも1つの処理ユニットと、
少なくとも1つの栄養素指定子が定義済み閾値を上回る有効性で網羅されるように、決定された肥料製品を組み合わせることにより、異なる施肥計画を生成するように構成された、少なくともオン処理ユニットと、
生成された施肥計画を、少なくとも、施肥計画当たりの肥料製品の数に応じてランク付けするように構成された少なくとも1つの処理ユニットと、を備えるシステム。
【0070】
実施形態21:
プロセッサにより実行されると、実施形態1~17のいずれか一項に記載の方法を実施するように構成された、コンピュータプログラム要素。
【0071】
定義
本発明との関連で、用語「含む(include)」は「備える(comprise)」を意味する。
【0072】
用語「有効性」は広く理解されるべきであり、肥料施肥により網羅される栄養素需要、特に作物栄養素需要のパーセンテージを指す。有効性は様々な要因に依存する場合があり、リン含有肥料の適用の有効性の場合には、有効性は、土壌のpH値、土の含有物、及び/又は有機物質含有量に依存し得る。
【0073】
肥料製品が、硝化阻害剤、脱窒素阻害剤、又はウレアーゼ阻害剤であるか又はそれらを含む場合、用語「有効性」は、広く理解されるべきであり、ある製品の、その意図される目的(硝化阻害、脱窒素阻害、又はウレアーゼ阻害)に関する効果を指す。
【0074】
本発明との関連で、用語「圃場」は、作物植物が生産、生育、播種される任意のエリア、及び/又は生産、生育、播種が計画されている任意のエリアとして理解される。用語「圃場」は、農業圃場、園芸圃場、及び林業圃場を含む。好ましくは、圃場は農業圃場である。
【0075】
本発明との関連で、用語「データベース」は、記憶されコンピュータシステムから電子的にアクセスすることができるデータの任意の編成された集合体として理解され、関係データベース、非関係データベース、グラフデータベース、ネットワークデータベース、クラウドデータベース、インメモリデータベース、アクティブデータベース、データウェアハウス、演繹データベース、分散データベース、組み込みデータベース、エンドユーザデータベース、ハイパーテキスト又はハイパーメディアデータベース、知識データベース、モバイルデータベース、オペレーショナルデータベース、並列データベース、確率データベース、リアルタイムデータベース、空間データベース、時間データベース、用語指向データベース、及びExcelデータベースを含むが、これらに限定されない。本発明の好ましい実施形態では、データベースは以下のデータベースのうちの少なくとも1つである:関係データベース、非関係データベース、グラフデータベース、ネットワークデータベース、クラウドデータベース、インメモリデータベース、アクティブデータベース、データウェアハウス、演繹データベース、分散データベース、組み込みデータベース、エンドユーザデータベース、ハイパーテキスト又はハイパーメディアデータベース、知識データベース、モバイルデータベース、オペレーショナルデータベース、並列データベース、確率データベース、リアルタイムデータベース、空間データベース、時間データベース、用語指向データベース、及びExcelデータベース。
【0076】
以下では、添付の図面を参照して本発明が例示的に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0077】
図1】本発明の好ましい実施形態による方法の概略図である。
図2】本発明のコンピュータで実施される方法のデータフローの実施形態の概略図である。
図3】処置管理システム500の概略図である。
図4】圃場の土壌センシングデータを取得しているロボット車両の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0078】
図1は、本発明の好ましい実施形態による方法の概略図である。以下では、本発明によるステップの例示的な順序が説明される。しかしながら、提供される順序は必須ではない。すなわち、全ての又はいくつかのステップが、異なる順序で又は同時に実施されてもよい。
【0079】
ステップS10において、圃場に播種される又は播種が計画される農作物種に関する情報を含む農作物データが提供される。例えば、この情報は、ユーザインターフェースを用いて提供することができ、ユーザは、ユーザインターフェースにより、作物の一般名若しくは学名、又は他の識別子、例えば製品シリアルナンバー等を提供できる。そのようなユーザインターフェースは、コンピュータ、スマートフォン、タブレット等のデータ処理システムにより提供できる。代わりに又は加えて、農作物データは、データ処理ユニットにより、例えば、圃場に農作物を播種するために使用される播種機械のデータ処理ユニットにより、又は農作物データが格納される任意の他のデータ処理ユニット(例えば、それぞれの農作物の順序付けのために使用される順序付けシステム)により提供されてもよい。この点で、本発明の目的のためには、農作物の品種及び/又は多様性が既知であることだけが必要である。しかしながら、好ましい実施形態では、作物生育段階及び/又は播種日付に関する追加情報、及び/又は圃場で生育された過去の農作物及び/又は圃場で生育されることが計画されている次の農作物に関する情報が提供される。なぜなら、そのような情報は、生成された施肥計画をランク付けするために、及び/又は施肥計画に更なる情報を提供するために、更に使用できるからである。
【0080】
ステップS20において、圃場に肥料を施肥する少なくとも1つの計画された施肥時期に関する情報を含む施肥時期データが提供される。各施肥時期は、日付又は時間窓として、すなわち、ユーザが特定の圃場に肥料を散布する計画がある日付又は時間窓として、提供され得る。この情報はまた、計画された施肥時期をユーザが入力し得るユーザインターフェースによって提供され得る。施肥時期について、気象データが取られることが更に好ましい。とりわけ、気象データは、第三者、例えばサービスプロバイダにより、又はオンサイドセンサにより提供され得る。更には、施肥時期までの残りの時間に応じて、後の時点において気象データを追加すること、及び/又は施肥時期の前に所定の時間間隔で気象データを含める/更新することが可能である。
【0081】
ステップS30において、圃場に存在する又は予想される栄養素指定子に関する情報を含む栄養素指定子データが提供される。栄養素指定子は、ユーザインターフェースを用いて又は圃場の画像認識を用いて提供され得る。ここでも、対応するユーザインターフェースが、コンピュータ、スマートフォン、タブレット等のデータ処理システムにより提供でき、データ処理システムは、ユーザが対応する情報を提供する際に使用できる、対応する入力手段を備える。圃場に存在する又は予想される栄養素指定子は、栄養素の一般名又は学名によって、又は任意の他の識別子、例えば識別番号等によっても提供され得る。この点で、そのような情報が肥料製品データベースにおけるデータベース検索のために直接的又は間接的に使用できることだけが重要である。しかしながら、それぞれの圃場の画像認識から導出されたデータを使用することにより、ある程度は自動化されたプロセスを確立することも可能であり、これらデータは、対応する画像、例えば衛星画像又はドローン画像を分析する第三者によっても提供され得る。好ましい実施形態では、処置優先度に関する、及び/又は土壌の栄養素成分に関する、及び/又は作物生育段階に基づく作物栄養素需要に関する、追加情報が提供される。なぜなら、そのような情報は、施肥計画をランク付けするために、及び/又は施肥計画に更なる情報を提供するために更に使用できるからである。
【0082】
任意選択のステップS40において、複数の肥料製品に関する情報を含む肥料製品データベースが提供され、肥料製品に関する情報は、少なくとも、各肥料製品の施肥領域、各肥料製品の有効成分、及び各肥料製品のための適切な施肥時期、に関する情報を含む。したがって、肥料製品データベースは、各肥料製品の有効成分、及び各肥料製品のための適切な施肥時期、及び各肥料製品の施肥領域に関する情報、例えば、特定の栄養素需要を満たすために、ある肥料製品が使用されるかどうか、及び/又は、その栄養素に対して、ある肥料製品が一般に使用されるかどうか、を含む。そのような肥料製品データベースは、一般的な肥料製品の全て又は大部分を網羅してもよく、又は特定の供給業者の製品に限定されてもよい。更には、肥料製品データベースを、それぞれの管轄区域において許容される肥料製品に限定することも可能である。肥料製品データベースは、第三者によって提供され得る。しかしながら、ユーザが、ユーザが使用するつもりである各肥料製品のラベルをスキャンすることにより、及び各肥料製品に関する対応する情報を供給元データベースから取得することにより、ユーザにより適宜調整された肥料製品データベースを構築することも可能である。後者を用いて、ユーザが、更なる肥料製品に関する情報を追加して、肥料製品データベースを補充することも可能でもある。とりわけ、本発明による肥料製品は、任意の肥料薬剤、多量栄養素、微量栄養素、ライム、植物成長調整剤、硝化阻害剤、脱窒素阻害剤、ウレアーゼ阻害剤、生物学的作物保護製品(例えば、有用生物学的製品)、作物強化製品、栄養素(例えば、炭酸カルシウム、ライム)を含むか又は含まない作物強化剤、土壌質及び/又は植物健康及び/又は植物成長、土壌湿潤剤、等、であり得る。すなわち、本発明は、特定の種類の肥料製品に限定されない。
【0083】
好ましい実施形態では、肥料製品データベースは、特定の栄養素需要を満たすための肥料製品の有効性、特定の肥料製品を混合するときの有害な効果、作物生育段階又は播種日付を鑑みた肥料製品の有効性、土壌の栄養素成分及び/又は作物生育段階に基づく作物栄養素需要を鑑みた有効性、肥料製品を適用するための気象要件、及び/又は気象条件を鑑みた肥料製品の有効性、に関する情報を更に含む。
【0084】
ステップS50において、少なくとも、提供された農作物データ、提供された施肥時期データ、提供された栄養素指定子データに基づいて、肥料データベースにおいてデータベース検索が実施され、農作物及び施肥時期、並びに栄養素指定子のうちの少なくとも1つ、に合致する肥料製品が決定される。したがって、ステップS50の出力は、農作物、及び施肥時期、及び栄養素指定子のうちの少なくとも1つ、に合致する全ての肥料製品である。
【0085】
ステップS60において、ステップS50において決定された肥料製品を組み合わせることであって、各組合せにおいて、すなわち生成された施肥計画のそれぞれにおいて、少なくとも1つの栄養素指定子が、組み合わされた肥料製品により、組み合わされた定義済み閾値を上回る有効性で網羅されるように、決定された肥料製品を組み合わせることにより、異なる施肥計画が生成される。とりわけ、生成される施肥計画の数は、限定され、所定数の施肥計画だけが生成され得る。この点で、生成された施肥計画は、肥料製品ごとの用量範囲と閾値とに関する情報を更に含み、閾値は予め定義されてもよく、予め定義された閾値はまた、ユーザが定義した可変閾値と組み合わされてもよい。肥料製品ごとの用量範囲に関する、提供された情報は、作物生育段階及び/又は害虫発生段階を鑑みた肥料製品ごとに異なる用量範囲を含み得る。この点で、施肥計画が、肥料製品の用量に関する混合物指示と、混合物への有用な又は必要な添加物に関する情報とを含むことが更に好ましい。これにより、施肥計画に記載されている肥料製品の混合物を簡略化することができ、肥料製品を混合するときの失敗、例えば、間違った混合順序、あまりにも短い撹拌時間等を回避できる。とりわけ、データベース検索及び/又は施肥計画は、予め選択された肥料製品に限定され得る。例えば、ユーザは、既に利用可能な/格納されている肥料製品を予め選択して、これら肥料製品が主に使用され得るようにしてもよい。
【0086】
ステップS70において、生成された施肥計画が、施肥計画当たりの肥料製品の数に応じてランク付けされる。すなわち、全ての栄養素を網羅するために、より少ない肥料製品を必要とする施肥計画が、より多くの肥料製品を必要とする施肥計画よりも高くランク付けされる。しかしながら、施肥計画のランク付けは、加えて、追加の情報/要件に基づくことができる。この点で、生成された施肥計画をランク付けするステップが、特定の栄養素需要を満たすための肥料製品の有効性、特定の肥料製品を混合するときの有害な効果、作物生育段階又は播種時期を鑑みた肥料製品の有効性、圃場で生育された過去の農作物及び/又は圃場で生育されることが計画されている次の農作物、土壌の栄養素成分及び/又は作物生育段階に基づく作物栄養素需要を鑑みた肥料製品の有効性、処置優先度、肥料製品を適用するための気象要件、及び/又は気象データを鑑みた肥料製品の有効性、に更に基づくことが好ましい。
【0087】
特定の栄養素需要を満たすための肥料製品の有効性に関する情報によって、生成された施肥計画をランク付けするために、全ての栄養素指定子を網羅するために(特に、定義済み閾値を上回る有効性で全ての栄養素指定子を網羅するために)必要とされる肥料製品の数だけでなく、肥料製品の有効性も使用され得る。有効性は、商用の又は一般に利用可能なデータベース、及び/又は専門家の改訂から引用することができ、専門家の改訂による有効性が手元にある場合、そのようなデータが好ましい。更に、有効性は、対応する施肥応じて、例えば、植え付け前に、植え付けの頃に、収穫前に、重み付けすることができる。この点で、有効性は、単一の有効性にわたって平均化されてもよく、施肥計画における肥料製品の数によって更に重み付けされてもよい。このようなランク付けにより、栄養素指定子ごとに、最も高い有効性を、場合によっては最小限の数の肥料製品で見つけることができる。
【0088】
特定の肥料製品を混合する場合に予想される有害な影響に関する情報によって、拮抗作用を有する肥料製品の組合せが除去されるか、又は生成される施肥計画の最後に列挙されるかのいずれかであり得る。
【0089】
作物生育段階又は播種時期を鑑みた肥料製品の有効性に関する情報によって、実際の作物生育段階、例えば、種子、初期、若年期、成熟期/開花期を鑑みて、それぞれの有効性が考慮され得る。
【0090】
圃場で生育された過去の農作物及び/又は圃場で生育されることが計画されている次の農作物に関する情報によって、生成された施肥計画をランク付けする場合に農作物の輪作を考慮することができ、同じ肥料製品又は同じ作用様式の繰り返し適用を優先させること又は回避することができる。したがって、同じ作用様式での肥料製品の繰り返し適用、及び/又は同じ肥料製品の繰り返し適用、を含む組合せを、より低くランク付けすることができ、そのとき、耐性を回避するために、同じ肥料製品の繰り返し適用が、作用様式の繰り返しよりも低くランク付けされる。
【0091】
土壌中の栄養素成分、及び/又は作物生育段階に基づく作物栄養素需要を鑑みた肥料製品の有効性に関する情報によって、施肥計画を、圃場における実際の状況に合わせて更に個別化することが可能である。土壌の栄養素成分、及び/又は作物生育段階に基づく作物栄養素需要、に関する情報は、ユーザインターフェースにより、又は対応する圃場の画像認識を用いて提供され得る。ここでも、対応する画像は、衛星システム又はドローンシステムにより提供され得る。加えて、土壌の栄養素成分及び/又は作物生育段階に基づく作物栄養素需要に関する情報は、第三者、例えば対応する画像を分析するサービスプロバイダ、により提供され得る。
【0092】
処置優先度に関する情報によって、農作物にとって、どの栄養素が非常に重要又は有益であり得るか、そして優先的に処置されるべきかを示すことができる。優先度情報は、ユーザインターフェースにより、又は対応する圃場の画像認識を用いて提供され得る。ここでも、対応する画像は、衛星システム又はドローンシステムにより提供され得る。加えて、処置優先度に関する情報は、第三者、例えば対応する画像を分析するサービスプロバイダ、により提供され得る。
【0093】
ステップS80において、施肥計画のランク付け済みリストが提供される。しかしながら、施肥計画のそのようなランク付け済みリストを出力することは、単に任意選択である。出力されたランク付けリストに基づいて、ユーザは、提供された施肥計画のうちの1つを選択でき、これが、更なる手続きのために、例えば、農業機器において使用されるように構成された制御データを準備するために、使用され得る。
【0094】
ステップS90において、農業機器において使用される又は使用可能なように構成された制御データが生成され、制御データは、最高のランク付けがされた施肥計画、又はランク付けされた施肥計画からユーザにより選択された施肥計画に基づく。例えば、ユーザは、ユーザ自身の考慮点又は優先度に応じて、データ処理ユニットの対応する入力手段、例えばコンピュータ、タブレット、スマートフォン等により、対応する施肥計画を選択することによって、施肥計画を選択してもよい。
【0095】
図2
図2は、本発明のコンピュータで実施される方法のデータフローの実施形態を示す。
【0096】
第1のデータフローセクションにおいて、データソース101が利用可能となり、データソースは、例えば、ユーザデバイス103、データベース105、及び/又はセンサ107であり得る。用語「ユーザ入力デバイス」は、コンピュータ、スマートフォン、タブレット、スマートウォッチ、モニタ、データ記憶デバイス、又は任意の他のデバイスであると理解され、それを介して、人間及びロボットを含むユーザが、圃場管理システム112にデータを入力する又は移動させることができる。用語「入力データベース」は、任意の組織化されたデータの集合体であると理解され、入力データベースは、記憶され、コンピュータシステムから電子的にアクセスでき、入力データベースからデータを圃場管理システム112に入力する又は移動させることができる。用語「センサ」は、現実世界情報を検出するか又は受信し、この現実世界情報を別のシステムに送信することが可能な任意の種類の物理的又は仮想的なデバイス、モジュール又は機械であると理解され、温度センサ、湿度センサ、水分センサ、pHセンサ、圧力センサ、土壌センサ、作物センサ、水センサ、及びカメラを含む。
【0097】
更なるデータフローセクションにおいて、データソース101のうちの1つから生じたデータが、任意選択でデータ前処理セクション110において前処理される。そのようなデータ前処理は、データ較正、(例えば異なるフォーマットへの)データ変換、データ修正、データ妥当性確認、及びデータ検証を含んでもよい。
【0098】
本発明のコンピュータで実施される方法のステップ(S10)、(S20)、及び(S30)に対応する更なるデータフローセクションにおいて、データソース101のうちの1つに由来し、任意選択でデータ前処理セクション110において前処理された、データが、農作物データ122として、施肥時期データ124として、栄養素指定子データ126として、及び任意選択で気象データ128として、圃場管理システム112に入力、すなわち、提供される。
【0099】
本発明のコンピュータで実施される方法のステップ(S50)及び(S60)及び(S70)に対応する更なるデータフローセクションにおいて、上述したデータが、例えば、1つ以上の作物関連モデル142、1つ以上の施肥時期関連モデル144、1つ以上の肥料製品データベース検索モジュール146、1つ以上の施肥計画生成モデル148、1つ以上の施肥計画ランク付けモデル150を使用して、データ処理セクション120における圃場管理システムによって処理される。作物関連モデル142は、特定の入力データに基づいて、作物種、作物生物季節学、作物生育、作物開発、及び他の作物関連特性を決定、予測、及び/又はシミュレートすることが可能なアルゴリズムである。施肥時期関連モデル144は、特定の肥料製品についての許容される又は適用可能な施肥時期を決定することが可能なアルゴリズムである。肥料製品データベース検索モジュール146は、複数の肥料製品に関する情報を含むデータベースにおける検索を可能にするモジュールであり、肥料製品に関する情報は、少なくとも、各肥料製品の施肥領域、各肥料製品の有効成分、及び各肥料製品のための適切な施肥時期、に関する情報を含む。施肥計画生成モデル148は、少なくとも1つの栄養素指定子が、定義済み閾値を上回る有効性で網羅されるように、決定された肥料製品を組み合わせることが可能なアルゴリズムである。施肥計画ランク付けモデル150は、生成された施肥計画を、施肥計画ごとに、以下の統計値のうちの1つ以上に基づいてランク付けすることが可能なアルゴリズムである: a)施肥計画ごとの肥料製品の数、b)定義済み閾値を上回る有効性で網羅されている主要な又は優先される栄養素指定子の数、c)定義済み閾値を上回る有効性で網羅されている全ての栄養素指定子の数、d)所与の肥料によって栄養素指定子の全体にわたって達成された最大有効性、e)施肥の時点での既知の好ましい使用の施肥計画における肥料の割合、f)主要な又は優先される栄養素指定子についての施肥計画における全ての肥料の達成された有効性の合計、g)全ての栄養素についての施肥計画における全ての肥料の達成された有効性の合計、h)適用可能な場合、土壌中の残余の有効性期間、及び/又は、i)以前の施肥と比較した作用様式及び/又は有効成分を繰り返すためのインデックスアカウンティング。データ処理セクション120内で、上述したモデル又はモジュールのうちの1つのモデル又はモジュールの出力がまた、上述したモデル又はモジュールのうちの別のモデル又はモジュールの入力として直接使用されてもよい。
【0100】
本発明のコンピュータにより実施される方法のステップ(S80)及び(S90)に対応する更なるデータフローセクションでは、データ処理セクション120における上述したモデル及びモジュールの最終出力は、圃場管理システムからデータ出力レイヤ160に転送され、例えば、ユーザデバイス162上に、出力データベース164に、又は制御ファイル166として出力される。用語「ユーザ出力デバイス」は、コンピュータ、スマートフォン、タブレット、スマートウォッチ、モニタ、データ記憶デバイス、又は任意の他のデバイスであると理解され、それを介して、人間及びロボットを含むユーザが、圃場管理システム112からデータを受信することができる。用語「出力データベース」は、任意の組織化されたデータの集合体であると理解され、出力データベースは、記憶され、コンピュータシステムから電子的にアクセスでき、圃場管理システム112から出力又は転送されたデータを受信することができる。用語「制御ファイル」は、機械又はデバイス、例えば農業処置デバイスを制御することに役立つ、任意のバイナリファイル、データ、信号、識別子、コード、画像、又は任意の他の機械可読要素若しくは機械検出可能要素であると理解される。
【0101】
図3
図3は、処置管理システム500を概略的に示す。本発明のコンピュータで実施される方法により決定される処置パラメータは、処置管理システム500に組み込まれた農業機器のための制御信号として出力されるか又は更に処理されることになり、農業機器は、好ましく噴霧デバイスである。処置管理システム500は、移動可能農業機器510、データ管理システム520、圃場管理システム112、及びクライアントコンピュータ540を備えてもよい。例えば、移動可能農業機器510は、例えば、可変アプリケータを有する地上ロボット、又は製品(特に肥料製品)を圃場502に適用するための他の可変アプリケータであってもよい。
【0102】
図3の実施例では、移動可能農業機器510は、スマート農業機械として具体化されている。スマート農業機械510は、スマート噴霧器であってもよく、コネクティビティシステム512を含む。コネクティビティシステム512は、スマート農業機械510を分散コンピューティング環境に通信可能に結合させるように構成されてもよい。コネクティビティシステムは、スマート農業機械510で収集されたデータを、分散コンピューティング環境のデータ管理システム520、圃場管理システム112及び/又はクライアントコンピュータ540に提供するように構成されてもよい。
【0103】
データ管理システム520は、スマート農業機械510にデータを送信するように、又はスマート農業機械510からデータを受信するように構成されてもよい。例えば、圃場502への施肥中に記録されたデータを含む、検出されたマップ又は施肥されたマップが、スマート農業機械510からデータ管理システム520に送信されてもよい。例えば、データ管理システム520は、異なる圃場及び関連する処置マップの地理参照データを含んでもよい。
【0104】
圃場管理システム520は、スマート農業機械510に制御プロトコル、起動コード又は判定論理を提供するように、又はスマート農業機械510からデータを受信するように構成されてもよい。そのようなデータはまた、データ管理システム520を介して受信されてもよい。
【0105】
圃場コンピュータ540は、ユーザ入力を受信するように、並びに圃場識別子及び任意選択の処置指示子を圃場管理システム112に提供するように構成されてもよい。代わりに、圃場識別子は、移動可能農業機器510によって提供されてもよい。代わりに、任意選択の処置指定子は、例えば生育段階モデル、気象モデリング、近隣圃場発生率などを使用して決定されてもよい。圃場管理システム112は、圃場識別子及び任意選択の処置指定子に基づいて、データ管理システム520において、対応する農業圃場及び関連する処置マップを検索してもよい。圃場コンピュータ540は、圃場管理システム112及び/又はスマート農業機械510からクライアントデータを受信するように更に構成されてもよい。そのようなクライアントデータは、例えば、スマート農業機械510を用いて特定の圃場に実施される施肥スケジュール、又は特定の圃場の健康状態に対する洞察を提供する圃場分析データ、を含んでもよい。
【0106】
処置デバイス510、データ管理システム520、圃場管理システム112、及びクライアントコンピュータ540は、ネットワークに関連付けられていてもよい。例えば、ネットワークは、インターネットであり得る。代わりに、ネットワークは、任意の他の種類及び任意の他の数のネットワークであり得る。例えば、ネットワークは、ワイドエリアネットワークに接続されたいくつかのローカルエリアネットワークによって実施され得る。ネットワークは、有線ネットワーク、無線ネットワーク、広域ネットワーク、ローカルエリアネットワーク等の任意の組合せを含んでもよい。
【0107】
本発明のデータ処理システムは、圃場管理システム112として、又は圃場管理システム112内に、又は圃場管理システム112の一部として具体化されて、上述した方法を実施して、スマート農業機械510に制御データを提供してもよい。例えば、圃場管理システム112は、コネクティビティシステム512を介して移動可能農業機器510から噴霧デバイスコンフィギュレーションデータを受信してもよい。圃場管理システム112は、地理依存環境データ(例えば、温度、水分、湿度、及び/又は風速)を受信して、移動可能農業機器510にインストールされた1つ以上のセンサを形成して、環境データを監視してもよい。代わりに又は加えて、圃場管理システム112は、気象サービスから地理依存性の環境データを受信してもよい。
【0108】
図4
図4は、作物を含む圃場の上を飛んでいる無人航空機(UAV)、例えばドローンを示し、これは、栄養素指定子データを提供/取得するために使用できる。作物において、複数の異なる作物栄養素需要が存在する場合がある。ある作物が、その土壌のリン含有量が未知の理由に起因して非常に小さい場所に存在するため、他の作物よりも小さい。UAVは遠隔又は近位土壌センサカメラを有し、UAVは圃場の上を飛びながら、土壌センシングデータが取得される。UAVは、GPS及び慣性航法システムも有し、これが、UAVの位置を決定すること、及び遠隔又は近位土壌センサの向きを決定することの両方を可能にする。この情報から、特定の栄養素需要の指標又は徴候を、地球空間的座標の絶対値に対して位置特定することができる。土壌センサによって取得された土壌センシングデータは、好ましくは、UAVの外部にある処理ユニットに転送される。処理ユニットは、土壌センシングデータを処理して、栄養素需要が存在するかどうかを決定し、更に作物植物により必要とされる栄養素のタイプを決定する。
【0109】
本発明を、実施例でもある好ましい実施形態に関連させて説明してきた。しかしながら、図面、本開示、及び特許請求の範囲を検討することにより、他の変形形態が、当業者、及び特許請求の範囲に記載の発明を実施する者により、理解され遂行され得る。とりわけ、特にステップS10~S40は、任意の順序で実施できる。すなわち、本発明はこれらステップの特定の順序に限定されるものではない。更には、異なるステップが特定の場所又は1つの場所で実施されることも必須ではない。すなわち、ステップのそれぞれが、異なる機器/データ処理ユニットを使用して異なる場所で実施されてもよい。特許請求の範囲及び本明細書においては、「備える(comprising)」という語は、他の要素又はステップを除外するものではなく、不定冠詞「a」又は「an」は、複数を除外するものではない。単一の要素又は他のユニットが、特許請求の範囲に記載されたいくつかのエンティティ又は項目の機能を果たすことがある。ある手段が相互に異なる従属請求項に記載されているという事実だけでは、これらの手段の組合せを有利な実装形態において使用することができないことを示すものではない。
【符号の説明】
【0110】
S10 農作物データを提供する
S20 施肥時期データを提供する
S30 栄養素指定子データを提供する
S40 任意選択で肥料製品データベースを提供する
S50 肥料製品データベースにおいてデータベース検索を実施する
S60 異なる施肥計画を生成する
S70 生成された施肥計画にランク付けする
S80 施肥計画のランク付け済みリストを提供する
S90 農業機器において使用される又は使用可能なように構成された制御データを生成する
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】