(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-25
(54)【発明の名称】外科手術切削ツール
(51)【国際特許分類】
A61B 17/32 20060101AFI20240118BHJP
A61B 17/16 20060101ALI20240118BHJP
【FI】
A61B17/32
A61B17/16
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023542570
(86)(22)【出願日】2022-01-06
(85)【翻訳文提出日】2023-08-23
(86)【国際出願番号】 US2022011467
(87)【国際公開番号】W WO2022155049
(87)【国際公開日】2022-07-21
(32)【優先日】2021-01-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514290052
【氏名又は名称】アースレックス インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】ARTHREX, INC.
【住所又は居所原語表記】1370 Creekside Blvd, Naples, FL 34108, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100105131
【氏名又は名称】井上 満
(74)【代理人】
【識別番号】100105795
【氏名又は名称】名塚 聡
(72)【発明者】
【氏名】ケラー,ライアン エー.
(72)【発明者】
【氏名】バレラ,ジェレル
(72)【発明者】
【氏名】カカール,サンジ-ブ
(72)【発明者】
【氏名】ダゲット,マシュー
(72)【発明者】
【氏名】レイダー,クロディーヌ
(72)【発明者】
【氏名】ウェーバー,ボブ
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160FF23
4C160GG38
4C160LL24
4C160LL28
4C160MM32
4C160NN03
4C160NN09
4C160NN11
(57)【要約】
近位端および遠位端を有する本体と、本体の遠位端から回転可能に延在するカニューレであって、カニューレが近位端および遠位端を有する、カニューレと、カニューレの遠位端に取り外し可能に結合された切削ヘッドであって、切削ヘッドが遠位チップおよび切削ウィンドウを有する、切削ヘッドと、カニューレ内に移動可能に位置する中空シャフトであって、中空シャフトがブレードを有する、中空シャフトと、中空シャフトと流体連通する吸引コネクタであって、吸引コネクタが吸引源への接続のために構成されている、吸引コネクタと、吸引コネクタから中空シャフトへの吸引を変更するように構成された吸引コントロールと、中空シャフトのブレードを、切削ヘッドの切削ウィンドウに対して移動させるための、中空シャフトに結合されたアクチュエータと、を有する外科手術切削ツール。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外科手術切削ツールであって、
近位端および遠位端をさらに備える本体と、
前記本体の前記遠位端から回転可能に延在するカニューレであって、前記カニューレが近位端および遠位端をさらに備える、カニューレと、
前記カニューレの前記遠位端に取り外し可能に結合された切削ヘッドであって、前記切削ヘッドが遠位チップおよび切削ウィンドウをさらに備える、切削ヘッドと、
前記カニューレ内に移動可能に位置する中空シャフトであって、前記中空シャフトがブレードをさらに備える中空シャフトと、
前記中空シャフトと流体連通する吸引コネクタであって、前記吸引コネクタが吸引源への接続のために構成されている、吸引コネクタと、
前記吸引コネクタから前記中空シャフトへの吸引を変更するように構成された吸引コントロールと、
前記中空シャフトの前記ブレードを、前記切削ヘッドの前記切削ウィンドウに対して移動させるための、前記中空シャフトに結合されたアクチュエータと、を備える、外科手術切削ツール。
【請求項2】
複数の交換可能な切削ヘッドをさらに備える、請求項1に記載の外科手術切削ツール。
【請求項3】
前記複数の交換可能な切削ヘッドのうちの少なくとも一つが、丸みを帯びた遠位端をさらに備える、請求項2に記載の外科手術切削ツール。
【請求項4】
前記複数の交換可能な切削ヘッドのうちの少なくとも一つが、丸みを帯びた遠位端と、前記丸みを帯びた遠位端から離れた方を指す角度に向けられた切削ウィンドウとをさらに備える、請求項3に記載の外科手術切削ツール。
【請求項5】
前記複数の交換可能な切削ヘッドのうちの少なくとも一つが、角度の付いた遠位端をさらに備える、請求項3に記載の外科手術切削ツール。
【請求項6】
前記複数の交換可能な切削ヘッドの少なくとも一つが、角度の付いた遠位端と、前記角度の付いた遠位端の方を指す角度に向けられた切削ウィンドウとをさらに備える、請求項3に記載の外科手術切削ツール。
【請求項7】
前記複数の交換可能な切削ヘッドのうちの少なくとも一つが、平坦な遠位端と、前記平坦な遠位端の近位に位置する切削ウィンドウとをさらに備える、請求項3に記載の外科手術切削ツール。
【請求項8】
前記複数の交換可能な切削ヘッドの少なくとも一つが、前記カニューレの直径を超えて延在する角度の付いた遠位端と、前記角度の付いた遠位端の近位に位置付けられる切削ウィンドウとをさらに備える、請求項3に記載の外科手術切削ツール。
【請求項9】
前記吸引コントロールが前記本体に結合され、前記中空シャフトおよび前記切削ウィンドウを通した吸引を減少させるための開位置と、前記中空シャフトおよび前記切削ウィンドウを通した吸引を増加させるための閉位置との間で移動可能である、請求項1に記載の外科手術切削ツール。
【請求項10】
前記吸引コントロールが、刻み目のある表面を有する、請求項9に記載の外科手術切削ツール。
【請求項11】
前記本体が、サムループを有するハンドルをさらに備え、前記アクチュエータが、フィンガーループをさらに備える、請求項1に記載の外科手術切削ツール。
【請求項12】
外科手術切削ツールであって、
本体であって、
遠位端と、
前記遠位端の近位に位置するハンドルと、
吸引コネクタであって、前記吸引コネクタが吸引源への接続のために構成されている吸引コネクタと、
前記吸引コネクタから前記本体の少なくとも一部分を通して延在する吸引経路と、
前記吸引経路と流体連通する制御経路と、をさらに備える本体と、
前記本体の前記遠位端から回転可能に延在するカニューレであって、前記カニューレが近位端および遠位端を有する、カニューレと、
前記カニューレの前記遠位端に取り外し可能に結合された切削ヘッドであって、前記切削ヘッドが遠位チップおよび切削ウィンドウをさらに備える、切削ヘッドと、
前記カニューレ内に移動可能に位置する中空シャフトであって、前記中空シャフトがブレードをさらに備える中空シャフトと、
前記本体に摺動可能に結合されており、前記制御経路を調節可能に開放して、前記吸引コネクタから前記中空シャフトへの吸引を変更するように構成されている、吸引コントロールと、
前記本体に回転可能に結合され、前記切削ヘッドの前記切削ウィンドウに対して前記中空シャフトの前記ブレードを移動させるために前記中空シャフトに結合されるアクチュエータと、を備える、外科手術切削ツール。
【請求項13】
前記ハンドルがサムループをさらに備え、前記アクチュエータがフィンガーループをさらに備え、前記ハンドルおよびアクチュエータがはさみとして操作されて前記シャフトを移動させる、請求項12に記載の外科手術切削ツール。
【請求項14】
複数の交換可能な切削ヘッドをさらに備える、請求項12に記載の外科手術切削ツール。
【請求項15】
前記複数の交換可能な切削ヘッドのうちの少なくとも一つが、丸みを帯びた遠位端をさらに備える、請求項14に記載の外科手術切削ツール。
【請求項16】
前記複数の交換可能な切削ヘッドのうちの少なくとも一つが、丸みを帯びた遠位端と、前記丸みを帯びた遠位端から離れた方を指す角度に向けられた切削ウィンドウとをさらに備える、請求項3に記載の外科手術切削ツール。
【請求項17】
前記複数の交換可能な切削ヘッドのうちの少なくとも一つが、角度の付いた遠位端をさらに備える、請求項3に記載の外科手術切削ツール。
【請求項18】
前記複数の交換可能な切削ヘッドの少なくとも一つが、角度の付いた遠位端と、前記角度の付いた遠位端の方を指す角度に向けられた切削ウィンドウとをさらに備える、請求項3に記載の外科手術切削ツール。
【請求項19】
前記複数の交換可能な切削ヘッドのうちの少なくとも一つが、平坦な遠位端と、前記平坦な遠位端の近位に位置する切削ウィンドウとをさらに備える、請求項3に記載の外科手術切削ツール。
【請求項20】
前記複数の交換可能な切削ヘッドの少なくとも一つが、前記カニューレの直径を超えて延在する角度の付いた遠位端と、前記角度の付いた遠位端の近位に位置付けられる切削ウィンドウとをさらに備える、請求項3に記載の外科手術切削ツール。
【請求項21】
外科手術切削ツールを使用する方法であって、前記外科手術切削ツールが、近位端および遠位端をさらに備える本体と、前記本体の前記遠位端から回転可能に延在するカニューレであって、前記カニューレが近位端および遠位端を有する、カニューレと、前記カニューレの前記遠位端に取り外し可能に結合された切削ヘッドであって、前記切削ヘッドが遠位チップおよび切削ウィンドウをさらに備える、切削ヘッドと、前記カニューレ内に移動可能に位置する中空シャフトであって、前記中空シャフトがブレードをさらに備える中空シャフトと、前記本体と流体連通する吸引コネクタであって、前記吸引コネクタが吸引源への接続のために構成されている、吸引コネクタと、前記吸引コネクタから前記中空シャフトへの吸引を変更するように構成された吸引コントロールと、前記中空シャフトの前記ブレードを、前記切削ヘッドの前記切削ウィンドウに対して移動させるための、前記中空シャフトに結合されたアクチュエータと、を備え、前記方法が、
前記カニューレを患者内部に所望の外科手術部位に挿入することと、
前記切削ウィンドウを切断される組織に向けることと、
前記アクチュエータを操作して、前記切削ウィンドウを横切って前記シャフトブレードを移動させて、前記切削ウィンドウ内へ延在する組織を隔てることと、
前記カニューレを患者から抜去することと、を含む、外科手術切削ツールを使用する方法。
【請求項22】
前記カニューレを挿入する工程が、前記吸引コントロールを開位置に移動させて、前記中空シャフトおよび前記切削ウィンドウを通した吸引を減少させることをさらに含む、請求項21に記載の外科手術切削ツールを使用する方法。
【請求項23】
前記カニューレを患者に挿入した後、前記方法が、前記吸引コントロールを閉位置に移動させて、前記中空シャフトおよび前記切削ウィンドウを通した吸引を増加させて、前記切削ウィンドウ内に組織を引き込む工程をさらに含む、請求項22に記載の外科手術切削ツールを使用する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
背景
本開示は、内視鏡手術で使用される装置に関し、より具体的には、吸引を伴う組織切削ツールに関する。
【背景技術】
【0002】
先行技術の外科手術切削ツールの欠点を是正する、外科手術切削ツールの必要性がある。
【発明の概要】
【0003】
概要
本開示は、改善された組織切削ツールに関する。外科手術切削ツールは、一つの実施によれば、近位端および遠位端を有する本体と、本体の遠位端から回転可能に延在するカニューレであって、カニューレが近位端および遠位端を有する、カニューレと、カニューレの遠位端に取り外し可能に結合された切削ヘッドであって、切削ヘッドが遠位チップおよび切削ウィンドウを有する、切削ヘッドと、カニューレ内に移動可能に位置する中空シャフトであって、中空シャフトがブレードを有する、中空シャフトと、中空シャフトと流体連通する吸引コネクタであって、吸引コネクタが吸引源への接続のために構成されている、吸引コネクタと、吸引コネクタから中空シャフトへの吸引を変更するように構成された吸引コントロールと、中空シャフトのブレードを、切削ヘッドの切削ウィンドウに対して移動させるための、中空シャフトに結合されたアクチュエータと、を有する。
【0004】
一つの実施では、外科手術切削ツールは、複数の交換可能な切削ヘッドを有する。任意選択で、複数の交換可能な切削ヘッドのうちの少なくとも一つは、丸みを帯びた遠位端を有する。複数の交換可能な切削ヘッドのうちの少なくとも一つは、丸みを帯びた遠位端と、丸みを帯びた遠位端から離れた方を指す角度に向けられた切削ウィンドウとを有してもよい。任意選択で、複数の交換可能な切削ヘッドのうちの少なくとも一つは、角度の付いた遠位端を有する。複数の交換可能な切削ヘッドのうちの少なくとも一つは、角度の付いた遠位端と、角度の付いた遠位端の方を指す角度に向けられた切削ウィンドウとを有してもよい。
【0005】
任意選択で、複数の交換可能な切削ヘッドのうちの少なくとも一つは、平坦な遠位端と、平坦な遠位端の近位に位置する切削ウィンドウとを有する。複数の交換可能な切削ヘッドのうちの少なくとも一つは、カニューレの直径を超えて延在する角度の付いた遠位端と、角度の付いた遠位端の近位に位置する切削ウィンドウとを有し得る。
【0006】
一つの実施では、吸引コントロールは本体に結合され、中空シャフトおよび切削ウィンドウを通した吸引を減少させるための開位置と、中空シャフトおよび切削ウィンドウを通した吸引を増加させるための閉位置との間で移動可能である。吸引コントロールは、刻み目のある表面を有してもよい。一つの実施では、本体はサムループを有するハンドルを有し、アクチュエータはフィンガーループを有する。
【0007】
追加的な実施では、外科手術切削ツールは、遠位端を有する本体と、遠位端の近位に位置するハンドルと、吸引コネクタであって、吸引コネクタが吸引源への接続のために構成されている吸引コネクタと、吸引コネクタから本体の少なくとも一部分を通して延在する吸引経路と、吸引経路と流体連通する制御経路と、を有する。カニューレは、本体の遠位端から回転可能に延在し、カニューレは近位端および遠位端を有する。切削ヘッドは、カニューレの遠位端に取り外し可能に結合され、切削ヘッドは遠位チップおよび切削ウィンドウを有する。中空シャフトは、カニューレ内に移動可能に位置し、中空シャフトはブレードを有する。吸引コントロールは、本体に摺動可能に結合されており、制御経路を調節可能に開放して、吸引コネクタから中空シャフトへの吸引を変更するように構成されている。アクチュエータは、本体に回転可能に結合され、切削ヘッドの切削ウィンドウに対して中空シャフトのブレードを移動させるために中空シャフトに結合される。一つの実施では、ハンドルはサムループを有し、アクチュエータはフィンガーループを有し、ハンドルおよびアクチュエータははさみとして操作されてシャフトを移動させる。
【0008】
一つの実施によれば、外科手術切削ツールは、カニューレを患者内部に所望の外科手術部位に挿入すること、切削ウィンドウを切断される組織に向けること、アクチュエータを操作して、切削ウィンドウを横切ってシャフトブレードを移動させて、切削ウィンドウ内へ延在する組織を隔てること、およびカニューレを患者から抜去すること、によって使用されてもよい。任意選択で、挿入前に、吸引コントロールを開位置に移動させて、中空シャフトおよび切削ウィンドウを通した吸引を減少させる。任意選択で、カニューレを患者に挿入した後、吸引コントロールを閉位置に移動させて、中空シャフトおよび切削ウィンドウを通した吸引を増加させて、組織を切削ウィンドウ内に引き込む。
【0009】
これらおよびその他の特徴を以下に記載する。
【0010】
本発明の特徴、態様および利点は、以下の説明、添付の特許請求の範囲および添付図面に関してよりよく理解されるようになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、一つの実施による外科手術切削ツールの側面図である。
【
図2】
図2は、
図1の外科手術切削ツールの分解側面断面図である。
【
図3】
図3は、ハウジングの一部分が半透明で示されている、一つの実施による外科手術切削ツールの斜視図である。
【
図4】
図4は、一つの実施による外科手術切削ツールの側面断面図である。
【
図5】
図5は、吸引コントロールが開位置にある一つの実施による外科手術切削ツールの上面図である。
【
図6】
図6は、吸引コントロールが閉位置にある一つの実施による外科手術切削ツールの上面図である。
【
図7】
図7は、一つの実施によるカニューレ、シャフトおよび切削ヘッドの一部分の拡大図である。
【
図8A】
図8Aは、一つの実施による外科手術切削ツールのための切削ヘッドの側面図である。
【
図9A】
図9Aは、追加的な実施による外科手術切削ツールのための切削ヘッドの側面図である。
【
図10A】
図10Aは、追加的な実施による外科手術切削ツールのための切削ヘッドの側面図である。
【
図11A】
図11Aは、追加的な実施による外科手術切削ツールのための切削ヘッドの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
好ましい実施の以下の説明では、添付図面への参照を行い、これらの添付図面は、例示として、本発明が実施され得る特定の実施を示している。可能な限り、図面全体を通して同じ参照番号を使用して、同じまたは類似の部品を指す。当然のことながら、本開示の範囲から逸脱することなく、他の実施を利用し得、構造的および機能的変更を行い得る。
【0013】
図1~7を参照すると、一つの実施による外科手術切削ツール10は本体12を有する。本体12は、近位端14および遠位端16を有する。カニューレ18は、本体12の遠位端16に結合される。カニューレ18は、近位端20および遠位端22を有する。切削ヘッド24は、カニューレ18の遠位端22に結合される。カニューレ18の長さは、所望の用途に応じて変化してもよい。一つの実施では、カニューレ18は約50mm~約150mmの長さを有する。一つの実施では、カニューレ18は約70mmの長さを有する。一つの実施では、カニューレ18は約130mmの長さを有する。
【0014】
本体12は、ハンドル26を有する。一つの実施では、ハンドルは、親指などのユーザーの指の配置のためのループ28を有する。アクチュエータ30は、本体12に結合される。一つの実施では、アクチュエータ30は、人差し指などのユーザーの指の配置のためのループ32を有する。アクチュエータ30は、例えばピン34を使用することによって、ハウジングに回転可能に取り付けられる。ユーザーの親指はハンドルループ28に、および人差し指はアクチュエータループ32に配置されてもよく、ならびにハンドル26およびアクチュエータ30ははさみとして操作されてもよい。任意選択で、一つの実施では、ハンドル26とアクチュエータ30との間にばねが取り付けられ、ハンドルに対してアクチュエータを所定の位置に維持する。
【0015】
カニューレ18の近位端20は、回転ハブ36に結合される。一つの実施では、回転ハブ36は、カニューレ18の外側表面に溶接される。本体12は、回転ハブ36がハブ開口部の内側に嵌合するように、構成される。ピン38は、本体12を通って延在し、回転ハブ36の溝40内に留まって、ハブおよびカニューレ18の、軸方向移動を防止するが、回転を可能にする。溝40は、回転ハブ36の周り全体に延在して、ハブおよびカニューレ18の360度回転を可能にしうる。別の方法として、回転ハブおよびカニューレ18の回転を制限することが望ましい場合、溝40は、回転ハブ36の周り全体には延在しなくてもよい。
【0016】
以下でより詳細に説明するように切削ヘッド24の向きが変化することができるように、回転ハブ36は、カニューレ18が回転させられることを可能にする。一つの実施では、回転ハブ36は、カニューレ18を回転させる際にユーザーを助けるノブ42を有する。一つの実施では、ノブ42は、ユーザーがノブを見つけて回すのを助けるために、刻み目が付けられるか、またはその他の方法でテクスチャが付けられる。
【0017】
カニューレ18の内側に位置し、本体12内へ延在するのは、中空シャフト44である。中空シャフト44は、以下でさらに説明するように、切削ヘッド24と協働するブレード46を有する。シャフト44は、アクチュエータ30に結合される。一つの実施では、クロスピン48はシャフト44に結合される。クロスピン48は、シャフト44に溶接されてもよい。クロスピン48は、アクチュエータ30上の溝50内に留まる。アクチュエータ30が本体12に対して回転させられると、溝50はクロスピン48を移動させ、それと共にシャフト44を移動させる。シャフト44およびブレード46は、ステンレス鋼から作製されてもよく、ブレード46は、シャフトの残りの部分とは異なる材料で作製されてもよい。さらに、ブレード46は、シャフト44に取り外し可能に取り付けられてもよい。シャフト44は、カニューレ18内で直線的に移動して、以下でより詳細に説明するように、切削ヘッド24内に位置付けられた組織を切断する。
【0018】
本体12はまた、吸引源(図示せず)の接続のための吸引ポート52を有する。吸引ポートは、吸引源コネクタを保持するためのバーブ54またはねじ山を有してもよい。一つの実施では、吸引ポート52は本体12の近位端14上に位置する。
図4に示すように、吸引ポート52は、本体12を通るかつシャフト44への、吸引経路56と流体連通する。さらに、吸引ポート52は、制御経路58と流体連通している。吸引コントロール60は、本体上に移動可能に位置付けられる。
【0019】
一つの実施では、吸引コントロール60は、開位置と閉位置との間で、摺動可能に移動可能である。開位置では、空気は、切削ヘッド24およびシャフト44を通してではなく、制御経路58を通して本体12内に引き込まれてもよい。閉位置で、吸引は、切削ヘッド24およびシャフト44を通して空気を引き込む。ユーザーは、開位置と閉位置との間で吸引コントロール60を移動させて、切削ヘッド24での吸引量を変えてもよい。吸引コントロール60は、ユーザーが吸引コントロールの位置を特定し、操作するのを助けるために、刻み目が付けられてもよく、または別の方法でテクスチャが付けられてもよい。
【0020】
切削ヘッド24は、異なる用途に対して変化してもよい。一つの実施では、切削ヘッド24は、例えばねじ山の嵌合によって、カニューレ18の遠位端22に取り外し可能に結合される。別の方法として、外科手術切削ツール10は、特定の切削ヘッド24で構成されてもよい。
図7に示すように、切削ヘッド34は、切削端64を有する切削ウィンドウ62を有する。シャフト44がカニューレ18を通って前進すると、シャフトのブレード46は切削端64に沿って通過し、切削ウィンドウ62内へ延在する任意の組織を隔てる。一つの実施では、ブレード46は、切削ヘッド24および切削ウィンドウ62の向きに関係なくブレード46が組織を切断できるように、円形である。
【0021】
吸引は、組織を切削ウィンドウ62内に引き込むのに役立ちうる。さらに、吸引は、切断された組織をシャフト44を通して引き戻し、吸引経路56を通して、吸引ポート52を通して外に引き出すことによって、切断された組織を切削ウィンドウ62から除去するのを補助し得る。一つの実施では、組織捕捉容器は、吸引源と吸引ポート52との間に配置されて、切断された組織を捕捉する。追加的な実施では、液体または加圧ガスは、吸引ポート52内へ、および切削ウィンドウ62を通して外へ連通していてもよい。
【0022】
いくつかの実施による切削ヘッドを以下に記載する。実施は、例示的であり、制限的ではないことが、意図される。
図8Aおよび8Bに示すように、一つの実施による切削ヘッド24Aは、約3mmの直径を有してもよく、丸みを帯びた遠位端66で形成されてもよい。丸みを帯びた遠位端66は、組織を通して外科手術切削ツール10を押して外科手術部位に達するのに役立ち得る。遠位端66に対して近位に位置付けられるのは、切削ウィンドウ68である。切削ウィンドウ68は、遠位端66から離れた方を指す角度に向けられてもよい。切削ウィンドウは、平坦な中央部分によって分離された遠位壁および近位壁を有する。一つの実施では、遠位壁は、約40度~約70度、より好ましくは約55度の角度Aを有する。一つの実施では、近位壁は、約30度~約60度、より好ましくは約45度の角度Bを有する。一つの実施では、切削ウィンドウ68は、約0.03インチ~約0.09インチ、より好ましくは約0.06インチの奥行きCを有する。一つの実施では、切削ウィンドウ68は、約0.05インチ~約0.15インチ、より好ましくは約0.10インチの長さDを有する。
【0023】
使用時に、切削ヘッド24Aはフックのように動作し、ユーザーは、切断される組織を通過して遠位端66を移動させ、次いで、切削ヘッドを後方に(吸引ありまたは吸引なしで)引き、組織を切削ウィンドウ68内に誘導する。次いで、アクチュエータ30は、切削ウィンドウ68を横切ってシャフトのブレード46が移動しながら、シャフト44を遠位に移動させて、切削ウィンドウ内にある任意の組織を切断するように、ユーザーによって操作される。切削ヘッド24Aは、手および手首、ENT(耳、鼻および喉)、脊椎ならびに他の関節鏡視下手術用途に有用でありうる。バックバイター遠位チップ設計により、外科医は、標準ポータルを使用し、TFCC(三角線維軟骨複合体)などの軟部組織を逆行性の遠位から近位方向に効率的に切除する能力を与えられる。
【0024】
図9Aおよび9Bに示すように、切削ヘッド24Bは、約3mmの直径Aおよび角度の付いた遠位端70を有してもよい。角度の付いた遠位端は、約0度~約15度、より好ましくは約6度の角度Bを有するアンダーカットエッジ71を有してもよい。角度の付いた遠位端70の残りの部分は、約20度~約50度、より好ましくは約35度の角度Cであってもよい。角度の付いた遠位端70は、組織の持ち上げ、または二つの密接に位置付けられた構造間の切削ヘッド34Bの操作に役立ちうる。
【0025】
遠位端70の近位約0.05インチ~約0.15インチ、より好ましくは約0.11インチに配置されているのは、切削ウィンドウ72である。切削ウィンドウ72は、遠位端70の方を指す角度に向けられてもよい。一つの実施では、切削ウィンドウは、約35度~約65度、より好ましくは約50度の角度Dに向けられる。切削ウィンドウ72は、平坦な中央部分によって分離された角度の付いた遠位および近位壁を有する。一つの実施では、平坦な中央部分は、約0.05インチ~約0.15インチ、より好ましくは約0.10インチの長さEを有する。一つの実施では、遠位壁および近位壁は、約0.04インチ~約0.12インチ、より好ましくは約0.08インチの距離Fで分離される。
【0026】
使用時に、切削ヘッド34Bは、スクープまたはソリのように動作し、ユーザーは、遠位端70を切断される組織へ移動させ、次いで、吸引ありまたは吸引なしで組織を切削ウィンドウ72内にすくい取る。次いで、アクチュエータ30は、切削ウィンドウ72を横切ってシャフトのブレード46が移動しながら、シャフト44を遠位に移動させて、切削ウィンドウ内にある任意の組織を切断するように、ユーザーによって操作される。切削ヘッド24Bは、膝手術用途に、例えば、半月板組織のエッジ、ならびに様々な関節鏡下および内視鏡外科用途における他の届きにくい平坦な組織の病変の切断および操作に、有用でありうる。
【0027】
図10Aおよび10Bに示すように、切削ヘッド24Cは、約3mmの直径で、平坦な遠位端74で形成されてもよい。平坦な遠位端74は、組織を切削ツールの経路から押し出し、切断のためのクリアなエッジを確立するのに役立ちうる。遠位端74の近位に位置付けられるのは、切削ウィンドウ76である。切削ウィンドウ76は、平坦な遠位壁に垂直な平坦な内側エッジ80に移行する、平坦な遠位壁78を有して向けられてもよい。平坦な内側エッジ80は、近位に角度の付いたエッジ82(エッジが近位に延びるにつれて外側に延在する)に移行してもよい。平坦な遠位壁78は、約0.05インチ~約0.15インチ、より好ましくは約0.10インチの高さAを有してもよい。平坦な内側エッジ80は、約0.03インチ~約0.10インチ、より好ましくは約0.06インチの長さBを有してもよい。近位に角度の付いたエッジ82は、約30度~約60度、より好ましくは約45度の角度Cで延在してもよい。
【0028】
使用時に、ユーザーは、切断される組織に対して近位の遠位端78を移動させ、次いで吸引を起動して組織を切削ウィンドウ76内に引き込む。次に、アクチュエータ30は、切削ウィンドウ76を横切ってシャフトのブレード46が移動しながら、シャフト44を遠位に移動させて、切削ウィンドウ内にある任意の組織を切断するように、ユーザーによって操作される。切削ヘッド24Cは、外科医に対して、例えば半月板切除ならびに軟部組織の壊死組織切除および除去などの、処置のためのより伝統的な切断方法を可能にする。
【0029】
図11Aおよび11Bに示すように、カニューレ18の直径を超えて延在する遠位に角度の付いた遠位端84によって、切削ヘッド24Dを形成し得る。一つの実施では、遠位に角度の付いたエッジは、約65度~約95度、より好ましくは約80度の角度Aを有する。遠位に角度の付いたエッジは、約0.10インチ~約0.20インチ、より好ましくは約0.15インチの高さBを有してもよい。遠位に延在する傾斜した端部84は、組織の持ち上げ、または密接に位置付けられた構造間の切削ヘッドの操作に役立ちうる。
【0030】
傾斜した端部84の近位表面86は、切削ウィンドウ88の遠位壁を形成しうる。一つの実施では、近位表面86は、約30度~約60度、より好ましくは約45度の角度Cを有する。傾斜した端部84の近位表面86は、長手方向軸に平行な平坦な内側エッジ90に移行する。一つの実施では、平坦な内側エッジは、約0.02インチ~約0.10インチ、より好ましくは約0.06インチの長さDを有する。平坦な内側エッジ90は、近位に角度の付いたエッジ92(エッジが近位に延びるにつれて外側に延在する)に移行し得る。一つの実施では、内側エッジ90は、約55度~約85度、より好ましくは約70度の角度Eを有する。
【0031】
使用時に、ユーザーは、切断される部分を通過して傾斜した端部84を移動させ、次いで吸引を起動して組織を切削ウィンドウ88内に引き込む。次いで、アクチュエータ30は、切削ウィンドウ88を横切ってシャフトのブレード46が移動しながら、シャフト44を遠位に移動させて、切削ウィンドウ内にある任意の組織を切断するように、ユーザーによって操作される。この切削ヘッド24D設計は、例えば、脊柱管から器具を取り外す必要なく、脊椎内の椎間切除術などの骨および組織の安全かつ効率的な除去を可能にする。吸引ポートは、各切断後に外科医が組織および骨を手動で除去する必要性を排除する。
【0032】
実施による、カッターの使用についてこれから説明する。吸引コントロール58が閉位置にある場合、外科手術切削ツール10のカニューレ18は、患者に挿入される。挿入中、アクチュエータ30は、組織が切削ウィンドウに入るのを防ぐために、切削ウィンドウ72を覆うようにシャフト44を位置付けるのに使用されうる。望ましい位置に一旦着くと、カニューレ18の移動は停止する。必要に応じて、ユーザーは、ノブ42を使用してカニューレ18を回転させて、切削ヘッド24の向きを変更してもよい。必要に応じて、ユーザーはまた、吸引コントロール58を移動させて、切削ヘッド24の切削ウィンドウ62内に組織を可変に位置付けてもよい。切断される組織が切削ウィンドウ62内に位置付けられると、ユーザーはアクチュエータ30を操作して、シャフトブレード46を切削ウィンドウ62にわたって移動させて組織を切断しうる。組織が切断された後、ユーザーはアクチュエータ30をリリースし、プロセスを繰り返して、追加的な切断を実施するか、またはカニューレ18を患者から取り外すことができる。
【0033】
外科手術切削ツールは、例えば、従来的および小関節の関節鏡法および内視鏡法で使用されうる。外科手術切削ツールは、過熱の懸念なしに、乾式関節鏡下手術で使用されうる。さらに、外科手術切削ツールは、流入を伴う標準的な関節鏡法で使用されうる。可変吸引コントロールにより、外科手術切削ツールを幅広い外科手術手技で使用することが可能になる。交換可能な切削ヘッドは、外科手術切削ツールを、別個の器具を必要とせずに、幅広い外科手術手技で使用することを可能にする。さらに、シザーグリップおよび吸引コントロールにより、多用途の片手操作が可能になる。一つの実施では、ハンドル26、30および吸引コントロール60は、Radel製であり、残りの構成要素は、ステンレス鋼製である。
【0034】
先行技術に関連する不利な点を完全かつ効果的に克服する外科手術切削ツールおよび方法が、上記説明および図面に開示されている。しかしながら、本開示の実施の変形および修正が、本発明の原理から逸脱することなく行われてもよいことが明らかであろう。本明細書における実施の提示は、限定としてではなく、例示としてのみ提供され、本発明の真の範囲および精神は、以下の特許請求の範囲によって示される。
【国際調査報告】