(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-25
(54)【発明の名称】ポンプアセンブリ用閉塞センサ
(51)【国際特許分類】
A61M 5/168 20060101AFI20240118BHJP
A61M 5/142 20060101ALI20240118BHJP
【FI】
A61M5/168 520
A61M5/142 522
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023543345
(86)(22)【出願日】2021-12-30
(85)【翻訳文提出日】2023-09-19
(86)【国際出願番号】 US2021065699
(87)【国際公開番号】W WO2022159242
(87)【国際公開日】2022-07-28
(32)【優先日】2021-01-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】595117091
【氏名又は名称】ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】BECTON, DICKINSON AND COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジョン テューイ
【テーマコード(参考)】
4C066
【Fターム(参考)】
4C066AA07
4C066BB01
4C066CC01
4C066DD11
4C066EE01
4C066FF04
4C066QQ46
4C066QQ53
4C066QQ78
4C066QQ84
(57)【要約】
薬物を運ぶリザーバ(4)と、薬剤送達のために薬物をリザーバ(4)から引き出す、リザーバ(4)に接続されたポンプ(3)と、閉塞が存在するかどうかを感知する、リザーバ(4)に接続された閉塞センサ(600)と、を含み、閉塞センサ(600)は、リザーバ(4)の外面に固定され、閉塞センサ(600)は、抵抗出力(630)を制御電子機器(8)に提供し、制御電子機器(8)は、抵抗出力(630)に基づいて、閉塞が存在するかどうかを判定する、閉塞を判定するための薬物送達システム(1)および方法。閉塞センサ(600)は、可撓性リザーバ(4)の外面の中央部分に接合されて感度の高いひずみ読取を提供する、ひずみゲージであり得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬物送達システムであって
薬物を運ぶリザーバと、
薬物送達のために前記薬物を前記リザーバから引き出す、前記リザーバに接続されたポンプと、
閉塞が存在するかどうかを感知する、前記リザーバに接続された閉塞センサと、
を含むことを特徴とする薬物送達システム。
【請求項2】
前記リザーバは、可撓性リザーバを含むことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記閉塞センサは、ひずみゲージを含むことを特徴とする請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記閉塞センサは、前記薬物に接触しないことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記閉塞センサは、圧力を検出しないことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記閉塞センサは、電流ドローを検出しないことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記閉塞センサは、制御電子機器に抵抗を出力することを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
閉塞がないときに前記薬物が前記リザーバを出ると、前記抵抗が減衰することを特徴とする請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
指定されたパターンに従って前記抵抗が減衰しないときに、前記閉塞が検出されることを特徴とする請求項7に記載のシステム。
【請求項10】
薬物が前記リザーバを出ると、前記リザーバの表面が圧縮され、前記閉塞センサが前記リザーバを横切る力の変化を感知することを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記薬物が前記リザーバを出ると、前記リザーバの表面での張力が低下することを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記張力は、前記リザーバを横切って軸方向に測定されることを特徴とする請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記閉塞センサは、前記リザーバを横切る横方向の力に無感受性であることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
前記閉塞は、前記薬物が前記リザーバから出ることを防止することを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項15】
前記閉塞センサは、前記リザーバの外面の中央部分に結合されることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項16】
薬物送達システムにおける閉塞を判定する方法であって、
閉塞センサを可撓性リザーバの外面に固定することと、
薬剤送達のために前記薬物送達システムを操作することと、
前記可撓性リザーバの前記外面における抵抗を測定することと、
前記閉塞センサからの抵抗出力を制御電子機器に提供することと、
前記抵抗出力に基づいて、閉塞が存在するかどうかを判定することと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項17】
前記閉塞センサを前記可撓性リザーバの前記外面の中央部分に固定することをさらに含むことを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記可撓性リザーバの前記外面における軸方向張力および軸方向圧縮を測定して抵抗を判定することをさらに含むことを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記抵抗出力の減衰に基づいて前記閉塞が存在するかどうかを判定することをさらに含むことを特徴とする請求項16に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年1月20日に出願された米国仮出願第63/139,664号に対する35U.C.119(e)に基づく優先権を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、システム内の閉塞を検出するためのポンプアセンブリを備えるシステム内の閉塞センサに関する。
【背景技術】
【0003】
糖尿病は、必要とされるときに糖尿病患者が適正レベルのインスリン産生を維持できない結果として生じる高レベルの血糖によって特徴付けられる疾病群である。糖尿病は、治療されない場合、罹患した患者にとって危険である可能性があり、深刻な健康の合併症および早死に繋がる可能性がある。しかしながら、そのような合併症は、糖尿病の制御および合併症のリスクの軽減に役立つ1つまたは複数の治療オプションを利用することによって最小限に抑えられ得る。
【0004】
糖尿病患者の治療オプションは、特別な食事療法、経口薬、および/またはインスリン療法を含む。糖尿病治療の主な目的は、糖尿病患者の血糖値または糖値を制御することである。しかしながら、糖尿病患者の活動とバランスを取らなければならないため、適切な糖尿病管理を維持することは複雑な場合がある。1型糖尿病(T1D)患者は、彼らの体は一般にインスリンを産生することができないため、血流からグルコースを移動させるためにインスリン(例えば、注射または注入を介して)を服用する必要がある。2型糖尿病(T2D)患者は、一般にインスリンを産生することができるが、彼らの体は、インスリンを適切に使用して血糖値を医学的に許容される範囲内に維持することができない。T1Dを有する人々とは対照的に、T2Dを有する人々の大部分は、通常、生存するために1日用量のインスリンを必要としない。多くの人は、健康的な食事、身体活動の増加、または経口薬を通じて自分の状態を管理することができる。しかしながら、彼らが血糖値を調節できない場合は、彼らはインスリンを処方される。例えば、24時間基礎インスリンと、血糖管理制御のために食事時間に服用される短時間作用型急速インスリンとからなる1日複数回注射(MDI)を服用している推定620万人の2型糖尿病患者(例えば、米国、西ヨーロッパ、およびカナダ)が存在する。
【0005】
1型糖尿病(T1D)および時には2型糖尿病(T2D)の治療のために、毎日のインスリン療法の2つの主な方法がある。第1の方法では、糖尿病患者は、必要に応じて、シリンジまたはインスリンペンを使用してインスリンを自己注射する。この方法は、各注射のために針刺しを必要とし、糖尿病患者は、1日に3~4回の注射を必要とする場合がある。インスリンを注射するために使用されるシリンジおよびインスリンペンは、比較的簡単に使用でき、費用対効果が高い。
【0006】
インスリン療法および糖尿病の管理のための別の効果的な方法は、インスリンポンプが使用される注入療法または注入ポンプ療法である。インスリンポンプは、糖尿病患者に対して、必要なインスリンを産生する非糖尿病患者の適切に作動している膵臓の機能および挙動により密接に合致する様々な速度でインスリンの持続注入を提供可能であり、インスリンポンプは、糖尿病患者が血糖値を糖尿病患者の個々のニーズに基づいて目標範囲内に維持するのに役立ち得る。注入ポンプ療法は、糖尿病患者の皮膚を貫通しそれを通してインスリンの注入が行われる、典型的には注入針または可撓性カテーテルの形態の、注入カニューレを必要とする。注入ポンプ療法は、インスリンの継続的な注入、正確な投薬、およびプログラム可能な送達スケジュールの利点を提供する。
【0007】
注入療法において、インスリン用量は、典型的には、基礎速度で、およびボーラス用量(bolus dose)で投与される。インスリンが基礎速度で投与されるとき、インスリンは、24時間にわたって継続的に送達されて、糖尿病患者の血糖値を、食事と休息との間の一貫した範囲、典型的には夜間に維持する。インスリンポンプはまた、インスリンの基礎速度をプログラミングして、昼夜の異なる時間に応じて変化させることができ得る。対照的に、ボーラス用量は、典型的には、糖尿病患者が食事を摂取するときに投与され、一般に、摂取した炭水化物のバランスを取るために単一の追加のインスリン注射を提供する。インスリンポンプは、糖尿病患者が、糖尿病患者によって消費される食事のサイズまたは種類に応じて、ボーラス用量の体積をプログラムすることを可能にするように構成され得る。加えて、インスリンポンプはまた、糖尿病患者が消費される特定の食事のためのボーラス用量を計算しているときに、低い血糖値を補償するために、糖尿病患者が矯正または補足ボーラス用量のインスリンを注入することを可能にするように構成され得る。
【0008】
インスリンポンプは、有利には、単回注射よりも経時的にインスリンを送達し、典型的には、推奨される血糖範囲内の変動が少ない。加えて、インスリンポンプは、糖尿病患者が耐えなければならない針刺しの数を減らし、糖尿病患者の生活の質を向上させるために糖尿病管理を改善し得る。例えば、インスリン療法を受けているT2D患者の多くは、改善された管理の臨床的ニーズが満たされていないため、注射から注入療法に移行することが予想され得る。すなわち、多回毎日注射(MDI)を行うT2D患者のかなりの数が、目標血糖コントロールができていない、あるいは処方されたインスリン療法を十分に遵守していない。
【0009】
典型的には、糖尿病患者が多回直接注射(multiple direct injections)(MDI)またはポンプを使用しているかどうかにかかわらず、糖尿病患者は、睡眠から目覚めたときに空腹時血糖薬物治療(fasting blood glucose medication)(FBGM)を行い、さらに毎食時または毎食後に血中グルコースに関する試験を行って、補正用量(correction dose)が必要かどうかを判定する。加えて、糖尿病患者は、睡眠前に血中グルコースに関する試験を行って、例えば、軽食を食べた後、睡眠前に、補正用量が必要とされるかどうかを判定し得る。
【0010】
注入療法を容易にするために、一般に、2種類のインスリンポンプ、すなわち、従来型ポンプおよびパッチポンプがある。従来型ポンプは、典型的には注入セット、チューブセット(tubing set)またはポンプセットと呼ばれる使い捨てコンポーネントを使用し、これは、インスリンをポンプ内のリザーバからユーザの皮膚内に運ぶ。注入セットは、ポンプコネクタ、ある長さのチューブ(a length of tubing)、および中空金属注入針または可撓性プラスチックカテーテルの形態のカニューレがそこから延びるハブまたはベースを含む。ベースは、典型的には、使用中にベースを皮膚表面上に保持する接着剤を有する。カニューレは、手動で、または手動または自動挿入デバイスを用いて皮膚に挿入され得る。挿入デバイスは、ユーザによって使用される別個のユニットであってもよい。
【0011】
別のタイプのインスリンポンプは、パッチポンプである。従来型注入ポンプおよび注入セットの組み合わせとは異なり、パッチポンプは、流体成分の大部分またはすべてを単一のハウジングに組み合わせる統合されたデバイスである。一般に、ハウジングは、患者の皮膚上の注入部位に接着して取り付けられており、別の注入またはチューブセットの使用を必要としない。インスリンを含むパッチポンプは、皮膚に付着し、統合された皮下カニューレを介して一定期間インスリンを送達する。一部のパッチポンプは、(インスレット社(Insulet Corporation)によってOmniPod(登録商標)というブランド名で販売されている1つのデバイス内のように)別個のコントローラ装置と無線で通信していてもよく、一方、他のものは、完全に自己完結している。そのようなパッチポンプは、3日ごと、またはインスリンリザーバが枯渇したときなど、頻繁に交換される。そうでなければ、カニューレまたは注入部位の制限などの合併症が生じ得る。
【0012】
パッチポンプは、患者によって装着される自己完結型ユニットであるように設計されるので、好ましくは、パッチポンプは、ユーザの活動を妨げないように小さい。現行のパッチポンプの設計において、プラスチックチューブのようなチューブは、1つの内部構成要素から別のものへ流体流を道筋付ける流体経路として提供される。例えば、チューブは、薬物リザーバを送達針と接続し得る。典型的には、薬物は、真空を介して薬物リザーバから引き出される。しかしながら、パッチポンプの囲まれた姿(enclosed nature)のために、閉塞が存在するかどうかを判定することは困難であり得る。さらに、ノイズ、流体接触および他の要因は、影響を与え、閉塞の存在を確認することを困難にする可能性がある。したがって、薬物送達の前または最中にシステム内の閉塞を判定するための改善されたシステムおよび方法の必要性が存在する。
【発明の概要】
【0013】
本発明の一態様は、そのようなパッチポンプのようなシステムにおける閉塞検出を提供することである。ひずみゲージは、感度の高いひずみ読取を提供するために、可撓性リザーバの外面の中央部分に接合(bonded)される。接合面(bonding surface)は、薬物の一貫性および可撓性リザーバから出る薬物の流れの速度に関係なく、強く、反復可能な接着面である。したがって、閉塞は、有利には、薬物が薬剤送達(medication delivery)のためにカニューレに移動するときに、可撓性リザーバから直接検出され、下流の位置では検出されない。閉塞検出は、有利には、他のタイプの閉塞センサを使用して一般的に経験される、薬物への接触または他のノイズ要因に依存しない。したがって、パッチポンプ内のひずみゲージは、閉塞が存在するかどうかを判定するための簡単で費用対効果が高く効果的な手段を提供する。
【0014】
本発明の前述および/または他の態様は、薬物を運ぶリザーバと、薬剤送達のために薬物をリザーバから引き出すリザーバに接続されたポンプと、閉塞が存在するかどうかを感知するリザーバに接続された閉塞センサとを含む薬物送達システムを提供することによって達成され得る。
【0015】
本発明の前述および/または他の態様は、薬物送達システムにおける閉塞を判定するための方法を提供することによってさらに達成され得、この方法は、閉塞センサを可撓性リザーバの外面に固定することと、薬剤送達のために薬物送達システムを操作することと、可撓性リザーバの外面における抵抗(resistance)を測定することと、閉塞センサからの抵抗出力を提供して電子機器を制御することと、抵抗出力に基づいて閉塞が存在するかどうかを判定することとを含む。
【0016】
本発明の前述および/または他の態様はまた、リザーバが可撓性リザーバを含む薬物送達システムを提供することによって達成され得る。
【0017】
本発明の前述のおよび/または他の態様は、閉塞センサがひずみゲージを含み、閉塞センサが薬物に接触せず、閉塞センサが圧力を検出せず、閉塞センサが電流ドロー(current draw)を検出せず、閉塞センサが制御電子機器(control electronics)に抵抗を出力する薬物送達システムを提供することによってさらに達成され得る。
【0018】
本発明の前述のおよび/または他の態様は、閉塞がないときに薬物がリザーバを出ると抵抗が減衰し、指定されたパターンに従って抵抗が減衰しないときに閉塞が検出され、薬物がリザーバを出ると、リザーバの表面が圧縮され、閉塞センサがリザーバを横切る力の変化を感知する薬物送達システムを提供することによってさらに達成され得る。
【0019】
本発明の前述のおよび/または他の態様はまた、薬物がリザーバを出ると、リザーバの表面での張力が低下し、リザーバを横切って軸方向に張力が測定される薬物送達システムを提供することによって達成され得る。
【0020】
本発明の前述のおよび/または他の態様は、閉塞センサが、リザーバを横切る横方向の力(lateral forces)に感受性がなく、閉塞が、薬物がリザーバから出るのを防ぎ、閉塞センサが、リザーバの外面の中央部分に結合される薬剤送達システムを提供することによってさらに達成され得る。
【0021】
最後に、本発明の前述のおよび/または他の態様はまた、閉塞センサを可撓性リザーバの外面の中央部分に固定し、可撓性リザーバの外面における軸方向張力および軸方向圧縮を測定して抵抗を判定し、抵抗出力の減衰に基づいて閉塞が存在するかどうかを判定する方法を提供することによって達成され得る。
【0022】
本発明の追加のおよび/または他の態様および利点は、以下の説明に記載されることになるか、または、説明から明らかとなるか、または、本発明の実施によって知られることとなるであろう。本発明は、上記の態様のうちの1つまたは複数、および/またはその特徴および組み合わせのうちの1つまたは複数を有する、送達デバイスおよびその形成および動作方法を含んでいてもよい。本発明は、例えば、添付の特許請求の範囲に記載されている上記の態様の1つまたは複数の特徴、および/または、組み合わせを含んでいてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0023】
本発明の実施形態の上記および/または他の態様および利点は、添付の図面と併せて以下の詳細な説明からより容易に理解されるであろう。
【0024】
【
図1】例示的なパッチポンプの流体アーキテクチャ(fluidic architecture)および計量サブシステム(metering subsystem)図の透視図である。
【
図2】本発明の例示的な実施形態による、例えばパッチポンプのような薬剤送達デバイスの動作を制御するための無線リモートコントローラを図示する図である。
【
図3】本発明の例示的な実施形態によるパッチポンプの斜視図である。
【
図4】
図3の線7-7に沿って取った断面図である。
【
図5】本発明の例示的な実施形態による、パッチポンプ内のリザーバに接続されたリザーバチューブの斜視図である。
【
図6】本発明の例示的な実施形態による、パッチポンプ内の充填部材(filling member)に接続されたリザーバの斜視図である。
【
図7】本発明の例示的な実施形態による、パッチポンプ内の充填部材に接続するために使用されるリザーバおよびレセプタクルの斜視図である。
【
図8】本発明の例示的な実施形態による、パッチポンプ内のレセプタクルのない
図7のリザーバの斜視図である。
【
図9】本発明の例示的な実施形態による、ひずみゲージの上面斜視図である。
【
図10】
図9のひずみゲージと係合するように構成されたパッチポンプの上面斜視図である。
【
図11】
図9のひずみゲージと係合するように構成されたパッチポンプの右側の簡略化された断面図である。
【
図12】
図9のひずみゲージと係合するように構成されたパッチポンプ内の可撓性リザーバの上面図である。
【
図13】
図9のひずみゲージの動作を説明する概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
次に、添付図面内に示される本発明の実施形態への参照が詳細になされ、ここで、同様の参照番号は、全体を通して同様の要素に言及する。本明細書で説明される実施形態は、図面を参照することによって、本発明を例示するものであるが、これに限定するものではない。
【0026】
本開示が、以下で説明にされるまたは図面に図示される、構造の詳細および構成要素の配置に、その適用が限定されないことは当業者によって理解されることとなるであろう。本明細書に記載される発明は、他の実施形態が可能であり、様々な方法で実行または実施され得る。また、本明細書にて使用される表現、および用語は、説明を目的とするものであり、限定するものとみなすべきではないことが理解されよう。本明細書における「含む(including)」、「備える(comprising)」、または「有する(having)」、およびそれらの変形例の使用は、その後に列挙される項目およびその等価物に加えて追加のアイテムを包含することを意味する。特に限定されない限り、本明細書における「接続された(connected)」、「結合された(coupled)」、および「取り付けられた(mounted)」という用語、およびそれらの変形例は、広範囲に用いられ、直接的および間接的な接続、結合、および取り付けを包含する。さらに、「接続された」および「結合された」という用語、およびそれらの変形例は、物理的または機械的な接続または結合に限定されない。さらに、上(up)、下(down)、底面(bottom)、および上面(top)のような用語は、相対的であって、図解を補助するために使用されるものではあるが、限定するものではない。
【0027】
例示的な実施形態は、インスリン療法を使用した糖尿病管理を参照して説明される。しかしながら、これらの例示的な実施形態は、インスリン以外の薬剤を使用して糖尿病以外の他の生理学的状態を治療するために、異なる薬物療法(drug therapies)およびレジメンと共に使用され得ることを理解されたい。
【0028】
図1から
図4は、パッチポンプ1を含む薬物送達デバイスの例示的な実施形態を示す。パッチポンプ1の様々な構成要素は、インスリンまたは他の液体薬物を格納するためのリザーバ4と、リザーバ4からインスリンをポンプで送出するためのポンプ3と、1つまたは複数の電池の形態の電源5と、カテーテルを備えた挿入針(inserter needle)をユーザの皮膚に挿入するための挿入機構7と、スマートフォンを含むリモートコントローラおよびコンピュータのような外部デバイスへの任意選択的な通信機能(communications capabilities)を有する回路基板の形態の制御電子機器8と、基礎および/またはボーラス用量を含むインスリン投与を作動させるためのカバー2上の一対の用量ボタン6と、上記の様々な構成要素がファスナ91を介して取り付けられ得るベース9と、を含んでいてもよい。パッチポンプ1はまた、リザーバ4から汲み出されたインスリンを注入部位に移送する様々な流体コネクタラインを含む。
【0029】
図3および
図4を参照して、パッチポンプ1は、可撓性リザーバ4がパッチポンプ1内の空隙を埋めることができるので、パッチポンプ1の外形寸法を減少させることができる可撓性リザーバ4を有することができる。パッチポンプ1は、典型的には、ユーザの皮膚の表面において90度未満の鋭角でカニューレを挿入するカニューレ挿入デバイス7を備えて図示される。パッチポンプ1は、電池の形態の電源5と、インスリンの体積を監視し、低体積検出能力(low volume detecting ability)を含む計量サブシステム41と、デバイスの構成要素を制御するための制御電子機器8と、リザーバ4を充填するための充填シリンジを受容するためのリザーバ充填ポート43と、をさらに備える。
【0030】
図1は、パッチポンプ1のための流体アーキテクチャおよび計量サブシステム図である。パッチポンプ1のための電力貯蔵サブシステムは、電池5を含む。パッチポンプ1の制御電子機器8は、パッチポンプ1の作動を制御する、マイクロコントローラ81、感知電子機器82、ポンプおよびバルブコントローラ83、感知電子機器85、および展開(deployment)電子機器87を含んでいてもよい。パッチポンプ1は、リザーバ4、リザーバ4のための体積センサ(volume sensor)48、リザーバ4を充填するために充填シリンジ45を受け入れるためのリザーバ充填ポート43を含み得る流体工学(fluidics)サブシステムを含む。流体工学サブシステムは、ポンプおよびバルブアクチュエータ411ならびに統合された(integrated)ポンプおよびバルブ機構413を含む計量システム(metering system)を含んでいてもよい。流体工学サブシステムは、閉塞センサ49、展開アクチュエータ7、ならびにユーザの皮膚上の注入部位に挿入するためのカニューレ47をさらに含んでいてもよい。
【0031】
図2を参照して、着用可能な医療送達(medical delivery)デバイス(例えば、パッチポンプ1のようなインスリン送達デバイス(IDD))は、任意選択的に、ポンプ1と好ましくは無線通信し以下、無線コントローラ(WC)500と称されるリモートコントローラと組み合わせて動作可能である。WCは、数ある表示操作の中でも、例えば、構成設定、パッチポンプへの無線接続が成功したときの表示、および用量が送達されているときの視覚的表示のような、パッチポンプ1の動作に関するユーザの視覚的情報を提供するためのグラフィカルユーザインタフェース(GUI)ディスプレイ502を含むことができる。GUIディスプレイ502は、数ある他のユーザインターフェイス操作の中でも、ユーザが、ロックを解除するためのスワイプ、ボーラスを送達するための要求を確認するためのスワイプ、および確認または設定ボタンの選択のようなタッチ入力を提供することを可能にするようにプログラムされたタッチスクリーンディスプレイを含むことができる。
【0032】
WC500は、いくつかの通信インターフェース504のうちの任意の1つまたは複数を使用して、送達デバイス(例えば、パッチポンプ1)と通信することができる。例えば、起動時のペアリングを容易にするために、WCおよびパッチポンプ1のタイミングを同期させるための近接場放射インターフェース(near field radiation interface)が提供される。別のインターフェースは、標準のBlueTooth(登録商標)低エネルギー(BLE)層、ならびにトランスポート層およびアプリケーション層を採用するWCとパッチポンプ1との間の無線通信のために提供され得る。アプリケーション層コマンドの非限定的な例は、プライミング、ベース用量の送達、ボーラス用量の送達、インスリン送達のキャンセル、パッチポンプ1の状態(status)の確認、パッチポンプの無効化(deactivating)、およびパッチポンプ1の状態または情報応答を含む。
【0033】
図3は、本発明の例示的な実施形態によるパッチポンプ1の斜視図である。パッチポンプ1は、ハウジング10を有し、これは、ベース9に対して液封(liquid sealed)されているか好ましくは密封(hermetically sealed)されているメインカバー2を含む。ベース9は、以下に詳細に説明されるように、様々な構成要素を運ぶ(carries)。密封シールは、流体の侵入を防ぎ、他の粒子がシールを通過するのを防ぐ。パッチポンプ1の実施形態はまた、圧力均等化を提供するために、本明細書に記載のシール(sealing)方法と共に、ベントまたはベント膜を含む。
【0034】
シールの実施形態は、例えば、液密シール(liquid-tight seal)、Oリングシールまたは別の機械的シール、ガスケット、エラストマー、ヒートシール、超音波溶接シール(welded seal)、レーザー溶接(Laser welding)、化学接合(chemical joining)、接着剤、溶剤溶接(solvent weld)、または接着剤溶接を含む。レーザー溶接が適切に行われると、シームレスな完全密閉シール(fully hermetic seal)が形成されるため、レーザー溶接は好ましいシール方法である。ベントまたはベント膜は、内部圧力を均等化し無菌環境(sterile environment)を提供する機能目的を有し続ける。当業者は、本発明の範囲から逸脱することなく、他のシールが使用され得ることを理解するであろう。
【0035】
図4は、様々な内部構成要素を示すパッチポンプ1の断面図である。メインカバー2およびベース9は、パッチポンプ1の構成要素を収容する。一実施形態によれば、パッチポンプ1は、好ましくは、薬物(インスリンなど)を格納するためのリザーバ4と、薬物をポンプで送り出してリザーバ4から出て行かすためのポンプ3とを含む。パッチポンプ1はまた、好ましくは、パッチポンプ1をプログラミングおよび操作するための電子機器8、ならびに薬物を送達するためにカニューレ47を患者の皮膚に挿入するための挿入機構7を含む。電子機器8の例は、半導体チップ、コントローラ、ダイオード、アンテナ、コイル、電池、分離した(discrete)構成部品(例えば、抵抗器やコンデンサ)、ならびにパッチポンプ1を操作および制御し、WC500と共にポンプを操作するために用いられる回路基板を含む。
【0036】
リザーバ4は、可撓性リザーバまたは剛性(rigid)リザーバのいずれかであり得る。典型的には、剛性リザーバを有するデバイスは、ポンプを使用しない。むしろ、ピストンは、剛性リザーバ内で動作して、薬物をリザーバから、流路内に、およびデバイスの様々な構成要素を通って駆動し、薬物を患者に投与する。一方、可撓性リザーバを有するデバイスは、典型的には、デバイス内のポンプを使用する。薬物は、ポンプによってリザーバから引き出され、デバイスの様々な構成要素を通って押し出され、患者に投与される。好ましくは、パッチポンプ1は、リザーバ4がピストンを含まない可撓性リザーバ設計を組み込む。代わりに、薬物は、ポンプ3によってリザーバ4から引き出され、ポンプ3は、リザーバ4の外部にある。
【0037】
図5~
図8は、リザーバチューブ44Aをリザーバ4に接続するリザーバポートコネクタまたはジョイント44Bの代替の例示的な実施形態を示す。リザーバ4は、業界で一般的に使用されているものと比較して、コンパクトで小型である。リザーバ4は、0.002~0.015インチの間の厚さの範囲のフィルム材料から作られた可撓性の折りたたみ式(collapsible)リザーバを備える。厚さは、構造的完全性、可撓性(flexibility)、バリア特性(Barrier properties)、充填/排出動作挙動、および薬物タイプの必要性に応じて変化させることができる。例えば、材料タイプおよび厚さは、選択された圧力(例えば、どれだけの流体が送達されているかによっておよび流体特性によって影響される)に対応し、出荷(shipping)および取り扱い(handling)中にリザーバ4の完全性を維持し、リザーバポート44Bまたはチューブ44Aに適合するように所望の可撓性を達成し、リザーバ流体の漏れを防止し、および/または所望の充填速度および/または体積を達成するように選択することができる。
【0038】
バリア特性は、フィルム材料の選択において考慮されるノンブロッキング特性(non-blocking characteristics)を含み、そのため、中身を空にする間に(during emptying)崩壊し、インスリンの流れを遮断するときに、フィルムがそれ自体に付着しない。バリアの特徴(Barrier characteristic)の選択は、リザーバ4の内容物の汚染(例えば、室内空気のような外部ガスまたは結露(condensation)のような流体などによる)を防止する。リザーバ4の材料は、1つまたは複数の層からなることができる。例えば、3層材料は、チューブ44Aへのヒートシールを助長する特性を有する内層と、前述のバリア特性またはリザーバ4の内容物の汚染を防止する特徴および出荷、取り扱い、および使用中のリザーバ4の完全性の保護を有する1つまたは複数の外層を備えて使用され得る。
【0039】
フィルム周囲(perimeter)は、ヒートシール、高周波溶接、レーザー溶接、または2つのフィルム面を一緒に融解させる他の接合技術などの様々な方法に従って封止(sealed)される。リザーバ4の好ましい材料は、ヒートシールされたsealed Air(登録商標)M312Aフィルムである。この材料は、有利には、少なくとも3日間までの長期間にわたってインスリンに適合する(compatible)。さらに、リザーバ4は、保管中および動作前にリザーバ4を保護するために油膜で包装される。
【0040】
リザーバ4は、様々な方法で形成され得る。一実施形態によれば、リザーバ4は、リザーバチューブ44Aの周りを柔軟(flexibly)に回る上面および底面のそれぞれにおいて2つのフィルムシートを使用することによって形成される。そのような構成は、リザーバ4とリザーバチューブ44Aとの間の最適なシールを提供し得る。別の実施形態によれば、リザーバ4は、1つの縁部(edge)上で単一のフィルムを折り畳み、残りの縁部を封止(sealing)することによって形成される。別の実施形態では、リザーバ4は、管状フィルムを取り、2つの反対側の端部で封止することによって形成されてもよい。リザーバ4は、別の実施形態では、上面に剛性裏地を使用し、底面に可撓性フィルムを使用することによって形成される。周囲封止プロセス中に、リザーバ4は、任意の所望の形状で形成され得る。リザーバ4はまた、取り付け(mounting)目的のためのパッチポンプ1内の特定のアンカーポイントへの取り付け(attachment)を可能にする特徴を含むように形成され得る。リザーバ4は、業界の滅菌(sterilization)およびエージング要件、およびすべての操作負荷/条件を満たす。
【0041】
図5~
図8はまた、レセプタクル93をより詳細に示す。特に、レセプタクル93は、単一の一体構造として、または圧入されるかまたはそうでなければレセプタクル93の凹部に固定される別個のチューブとして、可撓性リザーバチューブ44Aを含み得る。2つのフランジ95は、レセプタクル93の両側に配置されて表面積を増加させ、したがって、上述したようなレセプタクル93とリザーバ4との間の接合を強化する。さらに、2つのフランジ95は、ユーザがレセプタクル93を保持するための表面を提供するため、リザーバ4の組み立てを改善する。
【0042】
動作中、リザーバ4は、適切な充填ポートを提供することによって、使用前に、デバイスに予め充填されるか、またはパッチポンプ1に充填される。可撓性リザーバ4が充填されると、可撓性リザーバ4は、材料特性、サイズ、および形状に依存する最終的な充填形状に膨張する。リザーバ4が動作中にポンプ3に接続されると、流体が駆動され、リザーバ4から引き出される。リザーバ4は、一般に、直ちに、除去された流体の体積に等しい量だけ崩壊(自己崩壊)する。リザーバ4のフィルムの可撓性は、排出(emptying)(リザーバ崩壊)挙動を可能にする。リザーバ4の可撓性は、有利には、パッチポンプ1の内部体積の最適な使用を提供する。流体は、続いて、リザーバ4およびレセプタクル93を出ると、充填部材43に移動する。
【0043】
図9~
図13は、本発明の例示的な実施形態による、パッチポンプ1に固定されるように構成された閉塞センサ600を示す。パッチポンプ1のような、薬物送達システムにおける閉塞は、ポンプ3がアクティブであるが、リザーバ4からの流体を分配していないことを潜在的に意味し得る。したがって、投与(dosing)の不正確さを防ぐために、閉塞を迅速かつ正確に検出することが重要である。
【0044】
閉塞センサ600は、好ましくは、ひずみゲージを備える。閉塞センサ600は、リザーバ4に接続され、閉塞が存在するかどうかを感知する。閉塞センサ600はまた、パッチポンプ1の制御電子機器8に電気的に接続する配線605を含む。具体的には、制御電子機器8は、閉塞センサ600が動作するための電流を提供する。パッチポンプ1の動作中に閉塞センサ600によって受信された抵抗出力は、次いで、処理および閉塞判定(determination)のために制御電子機器8に通信される。閉塞センサ600は、電流ドローを検出しない。
【0045】
上記のような薬物を運ぶ可撓性リザーバ4のいずれも、この実施形態で使用され得る。薬物を備えて加圧されおよび封止される可撓性リザーバ4は、有利には、ひずみゲージ600と協働するように選択される。剛性リザーバ4は、以下に説明する理由により、ひずみゲージ600を備えて適切に機能しないであろう。
【0046】
図10~
図12は、充填状態(
図10および
図11)ならびに空の状態(empty state)(
図12)の可撓性リザーバ4を示す。上記の実施形態で説明されるように、ポンプ3は、可撓性リザーバ4に接続され、薬剤送達のために可撓性リザーバ4からカニューレ47に薬物を引き出す。
【0047】
ひずみゲージ600は、RS Pro社のWire Leadひずみゲージ3.5 mm、120Ω -30℃ +80℃、およびI.E.E.ひずみゲージ27.8mm、>1MΩ -30℃ +170℃のような、当業者によって理解されるような任意の様々なゲージを含む。ひずみゲージ600は、パッチポンプ1内の閉塞を測定するために、可撓性リザーバ4の外面に接合される。ひずみゲージ600は、可撓性リザーバ4の較正および充填の前のいずれか、または可撓性リザーバ4の充填の後であるが薬剤送達の前に、可撓性リザーバ4に接合され得る。接着剤の接合材料およびその適用は、当業者によって従来理解される。
【0048】
ひずみゲージ600の取り付けは、可撓性リザーバ4内の薬物の体積が、較正および動作中に変化するだけでなく、可撓性リザーバ4の結果として生じる形状が変化するため、困難である。具体的には、較正中に、可撓性リザーバ4は、薬物で充填され、バルーンのように膨張する。
図10および
図11は、比較的平坦な中央部分を有する湾曲した可撓性リザーバ4を示す。充填されると、パッチポンプ1のようなオンボディインジェクタ(OBI)内の可撓性リザーバ4は、約20psiの出力圧力を有し得る。その後、動作中に、薬物が可撓性リザーバ4をゆっくりと出て、可撓性リザーバ4を自然に収縮させる。
【0049】
いくつかの有利な理由のために、ひずみゲージ600は、その最も平坦な部分が配置されている可撓性リザーバ4の中央部分の外面に接合される。この位置は、可撓性リザーバ4が充填されたときに最も強いひずみを提供し、強く、反復可能な接着面(adhering surface)を提供し、したがって、ひずみゲージ600に対して最も感受性の高い(sensitive)測定を提供する。
【0050】
ひずみゲージ600は、理想的には、その上面の可撓性リザーバ4の中央部分または中心(central)にあるべきである。この構成は、有利には、ベース9の底部内面の近くに配置されたポンプ3を回避する。また、可撓性リザーバ4の中央部分または中心(center)は、最大のひずみに耐え、したがって、ひずみゲージ600が読み取るための最大の信号を提供する。
【0051】
ひずみゲージ600が可撓性リザーバ4の端部の1つにおいて接合されている場合、ひずみゲージ600は、正確なひずみ測定を得ることが困難となる。例えば、ひずみゲージ600がレセプタクル93の反対側の可撓性リザーバ4の端部に配置されている場合、薬物送達中の可撓性リザーバ4のその部分の圧縮はそれほど顕著ではなく、したがって、特に薬物送達の開始時および終了時に測定することは、より困難になる。ひずみゲージ600がレセプタクル93の近くに配置されている場合、可撓性リザーバ4のその部分は、薬物送達の終わり近くまで多くの圧縮を経験しない場合がある。
【0052】
さらに、ひずみゲージ600の可撓性リザーバ4への取り付けを維持することは、それが最も平坦である可撓性リザーバ4の中央部分で(例えば、リザーバ本体の中央部分において、そのそれぞれの端部または側部(sides)と比べて)最も強くなる。結果として、大量生産において、ひずみゲージ600を可撓性リザーバ4の中央部分に接着することは、一貫した取り付けおよび最適な信頼性を提供することとなる。
図6~
図8に示されるように、可撓性リザーバ4の側部は平坦ではなく、その形状は、薬剤送達の過程において著しく変化する。したがって、可撓性リザーバ4の中央部分の外側で、ひずみゲージ600と可撓性リザーバ4との間の一貫した信頼できる取り付けを維持することは困難であろう。一方、可撓性リザーバ4の中央部分または中心部分は、その平坦な性質が大部分同じままであるため、それほど大きく変化しない場合がある。
【0053】
さらに、ひずみゲージ600を可撓性リザーバ4の中央部分に取り付けることはまた、有利には、可撓性リザーバ4からの薬物の一貫性のないまたは不均一な流体流および/または可変流体流量に関連する問題を回避する。これは、可撓性リザーバ4が加圧され、較正後に薬物を備えて封止されるためである。一貫性または流量に関係なく、可撓性リザーバ4から出る任意の形態の薬物流は、可撓性リザーバ4を収縮させ、ひずみゲージ600が測定しパッチポンプ1の制御電子機器8に出力するための抵抗に変化を引き起こす。
【0054】
図13は、パッチポンプ1の動作中に薬物が可撓性リザーバ4から出ているかどうかを判定するために、可撓性リザーバ4内の張力および/または圧縮615を測定するひずみゲージ600を示す。
図6~
図8、
図10および
図11は、張力/圧縮615が、レセプタクル93を可撓性リザーバ4の対向面(opposing surface)に接続する平面に平行な軸方向平面(axial plane)625上の2つの点の間で、軸方向に測定されることを示す。可撓性リザーバ4の横面(lateral plane)620は、上述したように、軸方向平面625に垂直な平面である。具体的には、横面620は、可撓性リザーバ4の対向面を接続する平面を含むが、レセプタクル93を可撓性リザーバ4の対向面に接続する平面に平行な平面を含まない。
【0055】
具体的には、
図13に示されるように、可撓性リザーバ4が薬物で満たされ、バルーンのように膨張したときに、可撓性リザーバ4の中央部分(middle portion)の外面で最大量の張力615が経験される。この構成では、ひずみゲージ600は、高抵抗または張力630を測定する。薬物が可撓性リザーバ4を出ると、可撓性リザーバ4の中央部分の外面は、圧縮しまたは張力615を低減する。結果として、ひずみゲージ600によって測定された抵抗630は、放物線的な方法または他の指定されたパターンで減衰または減少する。減衰率は、可撓性リザーバ4のサイズおよび形状、可撓性リザーバ4のフォームファクタ(form factor)、可撓性リザーバ4の材料の可撓性、および薬物の流量を含むがこれらに限定されない様々な要因に依存する。抵抗630は、ひずみゲージ600によって、配線605を介してパッチポンプ1の制御電子機器8に出力される。
【0056】
パッチポンプ1の動作中に、ひずみゲージ600の抵抗630が予想される速度に従って減衰または減少していない場合、制御電子機器8は、薬物が可撓性リザーバ4から出るのを妨げる閉塞が存在すると判定する。その後、ユーザは、アラートを受ける。ひずみゲージ600は、有利には、上述したように、横面620で経験される横方向の力610に無感受性である。可撓性リザーバ4の横面620内の薬物の移動は、判断を誤らせる可能性があり、可撓性リザーバ4から出る流体に対応しない。これは、横面620における薬物の移動が、可撓性リザーバ4のレセプタクル93を出るために必要とされる流れ方向に垂直であるためである。
【0057】
ひずみゲージ600は、当業者によって一般的に理解される典型的な圧力センサよりも、代替の、より便利で費用対効果の高い閉塞センサである。上述したように、ひずみゲージ600は、可撓性リザーバ4上でのみ独自に動作し、可撓性リザーバ4から直接フィードバックを受け取る。したがって、閉塞は、有利には、薬物が薬剤送達のためにカニューレに移動するときに、可撓性リザーバから直接検出され、下流の位置では検出されない。また、閉塞の検出は、有利には、例えば、薬物に接触する流体経路内の電流ドローまたは統合された圧力センサのような他のノイズ要因に依存しない。
【0058】
従来の閉塞センサは、典型的には、例えば、プランジャの作動ワイヤ(actuating wire)の動きの制限に基づいた視覚的インジケータ、またはパッチポンプ1の流体ライン内の薬物の圧力を測定する圧力センサによって識別される。具体的には、ほとんどのパッチポンプ1は、薬物を押し出すためのピストンを組み込んだ固体シリンダを含む剛性リザーバを有する。ピストンが動きを止める場合、閉塞は、明らかに存在する。可撓性リザーバ4が提供する課題は、閉塞が視覚的に明らかでないことである。したがって、可撓性リザーバ4のひずみ減衰は、薬物送達の成功の有益な指標であり得る。
【0059】
この実施形態によるひずみゲージ600は、圧力を測定するのではなく、むしろ、有利には、上記のように可撓性リザーバ4のひずみを測定して、閉塞が存在するかどうかを判定するための単純で費用対効果の高い、その上正確な手段を提供する。さらに、ひずみゲージ600は、有利には、薬物に接触しない。したがって、ひずみゲージ600は、取り付けおよびパッチポンプ1への組み込みが容易である。
【0060】
本発明のほんの少数の実施形態が示されおよび説明されてきたが、本発明は、説明された実施形態に限定されない。代わりに、本発明の原理と精神から逸脱することなく、これらの実施形態に変更が行われ得ることは、当業者によって理解されよう。特に、当業者は、上述されてきた様々な例示的な実施形態の様々な技術的態様および要素を多くの他の方法で容易に組み合わせることができ、これらのすべては、添付の特許請求の範囲およびそれらの等価物によって定義される本発明の範囲内であると見なされることに留意されたい。
【国際調査報告】