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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-25
(54)【発明の名称】超音波手術用メスヘッド
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/32 20060101AFI20240118BHJP
【FI】
A61B17/32 510
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023544061
(86)(22)【出願日】2022-04-28
(85)【翻訳文提出日】2023-07-20
(86)【国際出願番号】 CN2022089894
(87)【国際公開番号】W WO2022188897
(87)【国際公開日】2022-09-15
(31)【優先権主張番号】202110249743.2
(32)【優先日】2021-03-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521549246
【氏名又は名称】以諾康医療科技(蘇州)有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲顔▼ 忠余
(72)【発明者】
【氏名】王 磊
(72)【発明者】
【氏名】▲劉▼ 振中
(72)【発明者】
【氏名】▲駱▼ 威
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160FF05
(57)【要約】
超音波手術用メスヘッド(100)において、当該メスヘッド(100)の剪断面への投影は、バナナ形状の湾曲状であり、メスヘッド(100)の厚さは、近位端から遠位端にかけて厚から薄へ変化し、再度厚くなってから薄くなる。剪断面に垂直な投影は、果物ナイフ形状であり、メスヘッド(100)の高さは、高から低へ変化し、さらに少しずつ減らし、中間位置に円弧状の切込みを有する。これにより、当該メスヘッド(100)の湾曲方向の振動振幅及び有効動作長さが増加し、最遠位端ノードとメスヘッド(100)先端との間に船型(123)又は円弧型(124)のバランス切込みを有することで、超音波振動の安定性が高まることができる。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
近位端に位置する基端部(101)と、遠位端に位置する先端部(102)と、を含み、前記メスヘッドと超音波手術用メスの回転体との接合面が剪断面である超音波手術用メスヘッドにおいて、
前記超音波手術用メスヘッドの前記剪断面への投影は、バナナ形状の湾曲状であり、前記基端部(101)から前記先端部(102)にかけての厚さがT1、T2、T3、T4のように変化し、T1>T3>T2>T4であり、且つT1=T2+T3+T4であり、その誤差は、±10%であることを特徴とする超音波手術用メスヘッド。
【請求項2】
近位端に位置する基端部(101)と、遠位端に位置する先端部(102)と、を含み、前記メスヘッドと超音波手術用メスの回転体との接合面が剪断面である超音波手術用メスヘッドにおいて、
前記超音波手術用メスヘッドの前記剪断面への投影は、バナナ形状の湾曲状であり、前方凹面と後方凸面とを含み、前記前方凹面は、長さ(114)がL1であり、弧度半径(113)がR2であり、前記後方凸面は、長さ(117)がL2であり、前記基端部(101)に近接した第1の凸面と、前記先端部(102)に近接した第2の凸面と、を含み、両者は、滑らかに遷移しており、前記第1の凸面は、半径(118)がR4であり、前記第2の凸面は、半径(116)がR3であり、前記基端部(101)は、厚さがT1であり、前記先端部(102)は、厚さがT4であり、前記先端部における中心線と水平線とによる角度(119)は、αであり、以下の式を満たし、
【数1】

その誤差は、±10%であることを特徴とする超音波手術用メスヘッド。
【請求項3】
前記前方凹面の長さ(114)L1は、15mm~19mmであることを特徴とする請求項2に記載の超音波手術用メスヘッド。
【請求項4】
前記前方凹面の弧度半径(113)R2は、19mm~25mmであることを特徴とする請求項2に記載の超音波手術用メスヘッド。
【請求項5】
前記後方凸面の長さ(117)L2は、13mm~17mmであることを特徴とする請求項2に記載の超音波手術用メスヘッド。
【請求項6】
前記後方凸面の第1の凸面の半径(118)R4は、3mm~7mmであり、好ましくは5mmであり、前記第2の凸面の半径(116)R3は、12mm~16mmであることを特徴とする請求項2に記載の超音波手術用メスヘッド。
【請求項7】
前記近位端に位置する基端部(101)は、近位端へ延びる円筒段(111)を有することを特徴とする請求項2に記載の超音波手術用メスヘッド。
【請求項8】
前記剪断面への投影において、前記先端部(102)の最高点(115)は、前記円筒段(111)の最高点よりも高く、前記第2の凸面(116)の最低点は、前記円筒段(111)の最低点よりも低いことを特徴とする請求項7に記載の超音波手術用メスヘッド。
【請求項9】
近位端に位置する基端部(101)と、遠位端に位置する先端部(102)と、を含み
、前記メスヘッドと超音波手術用メスの回転体との接合面が剪断面である超音波手術用メスヘッドにおいて、
前記超音波手術用メスヘッドの前記剪断面への投影は、バナナ形状の湾曲状であり、前記剪断面に垂直な投影は、果物ナイフ形状であり、前記基端部(101)から前記先端部(102)にかけての高さが漸次低くなり、前記基端部(101)に近接した箇所に円弧状の切込み(112)が設けられていることを特徴とする超音波手術用メスヘッド。
【請求項10】
前記メスヘッドは、上端に弧状の切断面(120)が設けられており、下端にV字状の切込み(121)が設けられていることを特徴とする請求項9に記載の超音波手術用メスヘッド。
【請求項11】
前記超音波手術用メスヘッドは、前記剪断面に垂直な方向において遠位端の幅が近位端の直径の半分であることを特徴とする請求項9に記載の超音波手術用メスヘッド。
【請求項12】
近位端に位置する基端部(101)と、遠位端に位置する先端部(102)と、を含み、前記メスヘッドと超音波手術用メスの回転体との接合面が剪断面である超音波手術用メスヘッドにおいて、
前記超音波手術用メスヘッドの前記剪断面への投影は、バナナ形状の湾曲状であり、前記基端部(101)と超音波手術用メスの第1の接続点(122)との間には、少なくとも1つのバランス溝が設けられていることを特徴とする超音波手術用メスヘッド。
【請求項13】
前記バランス溝の前記剪断面への投影は、船形構造(123)、又は、円弧構造(124)、又は、船形構造と円弧構造との組み合わせであることを特徴とする請求項12に記載の超音波手術用メスヘッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療器具の分野に関し、特に、超音波手術用メスのメスヘッドに関するものである。
【背景技術】
【0002】
超音波手術用メス(超音波メスと略称する)とは、圧電変換器(エネルギー発生器により電気エネルギーを圧電変換器に伝達し、圧電変換器により電気エネルギーを超音波機械エネルギーに変換するもの)により得られた超音波振動をさらに増幅し、増幅された超音波振動を手術用メスのヘッド部により軟組織の切断及び凝固に用いる器具である。このような器具を臨床で使用すると、比較的低い温度と比較的少ない出血の場合に用いれば、より低温での出血量の少ない病巣切除が可能になり、組織への側方熱損傷を最小限に抑えることができる。低侵襲外科手術の普及に伴い、超音波手術用メスは、通常の手術用器具となった。
【0003】
現在、超音波手術用メスは、一般にクランプ長さ(及び動作長さ)が短く、1回の切断長さが13mm程度のものがほとんどであるため、術中の組織分離操作の頻度が高すぎ、手術時間が長くなる。挟持長さが比較的短いと、血管の直径が3mm超である場合に閉合信頼性も大幅低下され、特に、直径が5mm超の血管に対しては、より無力である。そして、振動幅が比較的小さいため、手術時間も長くなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記従来技術の問題を解決するために、止血効果を向上させ、有効動作長さを増加させることができる超音波手術用メスヘッドを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記技術的問題を解決するために、本発明の技術的構成は、以下のとおりである。
【0006】
近位端に位置する基端部と、遠位端に位置する先端部と、を含み、前記メスヘッドと超音波手術用メスの回転体との接合面が剪断面である超音波手術用メスヘッドにおいて、前記超音波手術用メスヘッドの前記剪断面への投影は、バナナ形状の湾曲状であり、基端部と先端部にかけての厚さがT1、T2、T3、T4のように変化し、T1>T3>T2>T4であり、且つT1=T2+T3+T4であり、その誤差は、±10%である。
【0007】
近位端に位置する基端部と、遠位端に位置する先端部と、を含み、前記メスヘッドと超音波手術用メスの回転体との接合面は、剪断面である超音波手術用メスヘッドにおいて、前記超音波手術用メスヘッドの前記剪断面への投影は、バナナ形状の湾曲状であり、前方凹面と後方凸面と、を含み、前記前方凹面は、長さがL1であり、弧度半径がR2であり、前記後方凸面は、長さがL2であり、前記基端部に近接した第1の凸面と、前記先端部に近接した第2の凸面とを含み、両者は、滑らかに遷移しており、前記第1の凸面は、半径がR4であり、前記第2の凸面は、半径がR3であり、前記基端部は、厚さがT1であり、前記先端部は、厚さがT4であり、前記先端部における中心線と水平線とのなす角度は、αであり、以下の式を満たし、
【数1】
その誤差は、±10%である。
【0008】
好ましくは、前記前方凹面の長さL1は、15mm~19mmであり、好ましくは17.5mmである。
【0009】
好ましくは、前記前方凹面の弧度半径R2は、19mm~25mmであり、好ましくは22mmである。
【0010】
好ましくは、前記後方凸面の長さL2は、13mm~17mmであり、好ましくは14.5mmである。
【0011】
好ましくは、前記後方凸面の第1の凸面の半径R4は、3mm~7mmであり、好ましくは5mmであり、前記第2の凸面の半径R3は、12mm~16mmであり、好ましくは14mmである。
【0012】
好ましくは、前記近位端に配置された基端部101は、近位端へ延びる円筒段を有する。
【0013】
好ましくは、前記剪断面への投影において、前記先端部の最高点は、前記円筒段の最高点よりも高く、前記第2の凸面の最低点は、前記円筒段の最低点よりも低い。
【0014】
近位端に位置する基端部と、遠位端に位置する先端部と、を含み、前記メスヘッドと超音波手術用メスの回転体との接合面が剪断面である超音波手術用メスヘッドにおいて、前記超音波手術用メスヘッドの前記剪断面への投影は、バナナ形状の湾曲状であり、前記剪断面に垂直な投影は、果物ナイフ形状であり、前記基端部から前記先端部にかけての高さが漸次低くなり、前記基端部に近接した箇所に円弧状の切込みが設けられている。
【0015】
前記円弧状の切込みの半径は、R1であり、好ましくは7mmである。
【0016】
好ましくは、前記メスヘッドは、上端に弧状の切断面が設けられており、下端にV字状の切込みが設けられている。
【0017】
好ましくは、前記超音波手術用メスヘッドは、前記剪断面に垂直な方向において遠位端の幅が近位端の直径の半分である。
【0018】
近位端に位置する基端部と、遠位端に位置する先端部と、を含み、前記メスヘッドと超音波手術用メスの回転体との接合面が剪断面である超音波手術用メスヘッドにおいて、前記超音波手術用メスヘッドの前記剪断面への投影は、バナナ形状の湾曲状であり、前記基端部と超音波手術用メスの第1の接続点との間には、少なくとも1つのバランス溝が設けられている。
【0019】
好ましくは、前記バランス溝の前記剪断面への投影は、船形構造、又は、円弧構造、又は、船形構造と円弧構造との組み合わせである。
【発明の効果】
【0020】
本発明の有益な効果は、主に以下に表現される。
本発明の超音波手術用メスヘッドの剪断面への投影は、バナナ形状の湾曲状であり、メスヘッドの厚さは、近位端から遠位端にかけて厚から薄へ変化し、再度厚くなってから薄くなり、剪断面に垂直な投影は、果物ナイフ形状であり、メスヘッドの高さは、高から低へ変化し、さらに少しずつ減らし、中間位置に円弧状の切込みを有することで、メスヘッ
ドの湾曲方向の振動振幅及び有効動作長さが増加し、当該超音波手術用メスヘッドの最遠位端の接続点とメスヘッドの先端との間に船形又は円弧形のバランス切込みを有することで、超音波振動の安定性が高まる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明に係る超音波手術用メスヘッドが内視鏡手術用機器に用いられる概略図である。
図2】本発明に係る超音波手術用メスヘッドが内視鏡手術用機器に用いられる詳細な組立概略図である。
図3】本発明に係る超音波手術用メスヘッドの剪断面への投影概略図である。
図4】本発明に係る超音波手術用メスヘッドの剪断面への投影概略図である。
図5】本発明に係る超音波手術用メスヘッドの剪断面に垂直な投影概略図である。
図6】本発明に係る超音波手術用メスヘッドの先端部の構造概略図である。
図7】本発明に係る超音波手術用メスヘッドのバランス溝の第1の実施例の概略図である。
図8】本発明に係る超音波手術用メスヘッドのバランス溝の第2の実施例の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面に示された具体的な実施形態に合わせて本発明を詳細に記述する。しかし、これらの実施形態は、本発明を限定するものではなく、当業者がこれらの実施形態に基づいて行う構造、方法、又は機能上の変換は、いずれも本発明の保護範囲内に含まれる。
【0023】
図1及び図2に示すように、本発明は、腹腔鏡手術用器具110又は開放性手術用器具に適用される超音波手術用メスヘッド100を開示する。前記超音波手術用メスヘッド100は、前記手術用器具の遠位端に設けられ、回転軸に設けられた回転体と協働して組織の切断及び/又は縫合を行う。
【0024】
図3図6に示すように、本発明の好ましい実施例の超音波手術用メスヘッド100は、近位端に位置する基端部101と、遠位端に位置する先端部102と、を含み、前記メスヘッドと超音波手術用メスの回転体との接合面は、剪断面である。
【0025】
前記超音波手術用メスヘッドの前記剪断面への投影は、バナナ形状の湾曲状であり、基端部101と先端部102にかけての厚さがT1、T2、T3、T4のように変化し、T1>T3>T2>T4であり、且つT1=T2+T3+T4であり、その誤差は±10%である。
【0026】
本発明の超音波手術用メスヘッドの近位端は、実際の使用において支持端となるので、全体の剛性及び安定性を維持するためには、その寸法を最大値にする必要がある。遠位端の先端は、より良好な分離及びより微細な操作を達成するために、その寸法を最小値にする必要がある。湾曲状のメスヘッドについて、メスヘッド自体に曲げ振動が発生し、それがハンドル本体の横振動となって、不規則な振動、異音や発熱などの異常の原因となる。そこで、本発明では、メスヘッドの各部位の寸法を制御することにより、全体的なバランスを確保する。
【0027】
具体的には、本発明の前記超音波手術用メスヘッドの前記剪断面への投影のバナナ形状の湾曲状は、前方凹面と後方凸面とを含み、前記前方凹面は、長さ114がL1であり、弧度半径113がR2であり、前記後方凸面は、長さ117がL2であり、前記基端部101に近接した第1の凸面と、前記先端部102に近接した第2の凸面と、を含み、両者は、滑らかに遷移しており、前記第1の凸面は、半径118がR4であり、前記第2の凸
面は、半径116がR3であり、前記基端部101の厚さは、T1であり、前記先端部102の厚さは、T4であり、前記先端部における中心線と水平線とによる角度119は、αであり、以下の式を満たし、
【数2】

誤差は、±10%である。
【0028】
前記近位端に位置する基端部101は、近位端へ延びる円筒段111を有する。前記剪断面への投影において、前記先端部102の最高点115は、前記円筒段111の最高点よりも高く、前記第2の凸面116の最低点は、前記円筒段111の最低点よりも低い。
【0029】
前方凹面と後方凸面との弧の長さの差は、後端支持段の直径T1と先端の厚さT4との両者により決定され、上記の式を満たすように設計されたハンドルは、湾曲したメスヘッドの形状の全体の設計重心がハンドル本体の中心線上に位置することを最大限に保証することができ、それにより振動形態の安定性を保証する。そして、メスヘッドの先端の最高点が円筒段111の最高点よりも高く、前記第2の凸面116の最低点が前記円筒段111の最低点よりも低いことを実現することができる。このような設計は、振動形態の安定を保証した上で、湾曲したメスヘッドの湾曲曲率を最大限に実現することができる。このように、湾曲方向に沿う振動振幅を顕著に増加することができ、蓄熱速度をより速くすることもでき、血管壁間の凝結をより強固にすることに役立ち、それによりさらに確実な血管閉鎖効果を実現することができる。
【0030】
この好ましい実施例において、前記前方凹面の長さL1は、15mm~19mmの範囲であり、好ましくは17.5mmである。この長さは、最終的な製品の剪断長さを決定し、長すぎると、共振周波数が低下し、加工難度が上昇し、共振応力が上昇してしまい、総合的に17.5mmを選択することが望ましいパラメータである。
【0031】
この好ましい実施例において、前記前方凹面の弧度半径R2は、19mm~25mmの範囲であり、好ましくは22mmである。
【0032】
この好ましい実施例において、前記後方凸面の長さL2は、13mm~17mmの範囲であり、好ましくは14.5mmである。
【0033】
この好ましい実施例において、前記後方凸面の第1の凸面の半径R4は、3mm~7mmの範囲であり、好ましくは5mmである。
【0034】
この好ましい実施例において、前記第2の凸面の半径R3は、12mm~16mmの範囲であり、好ましくは14mmである。
【0035】
この好ましい実施例において、前記基端部の厚さT1は、2.2mm~2.8mmの範囲であり、好ましくは2.6mmである。
【0036】
この好ましい実施例において、前記先端部の厚さT4は、0.8mm~1.2mmの範囲であり、好ましくは0.9mmである。先端の厚さが厚すぎると、剪断面が広すぎて微細操作に不利になり、狭すぎると、強度が低下し、且つメスヘッドが変形しやすく、先端が鋭くなりすぎると、手術中に健康組織に対する誤傷の危険性が高まるため、この好ましい実施例において、好ましい0.9mmが望ましいパラメータである。
【0037】
この好ましい実施例において、前記先端部における中心線と水平線とのなす角度αは、約30°である。
【0038】
具体的には、図5に示すように、本発明において、前記超音波手術用メスヘッドの前記剪断面に垂直な投影は、果物ナイフ形状であり、前記基端部101から前記先端部102にかけての高さが漸次低くなり、前記基端部101に近接した箇所に円弧状の切込み112が設けられている。このような漸進的な形態のテーパ構造の設計は、有効動作長さの増加を実現することができる。より長い動作長さは、より大きな直径の血管のより良好な閉鎖を実現することができ、より速い組織分離速度を実現することができ、1回の手術時間及び操作の頻度を効果的に減少させ、医療従事者の疲労強度を低減させることができる。
【0039】
この好ましい実施例において、前記円弧状の切込み112の半径は、R1であり、好ましくは7mmである。最遠位端の幅T5は、近位端の直径T1の半分である。この寸法の設計は、メスヘッドの先端の最低点がちょうどハンドル本体の中心線上に位置することを保証することができ、前記円弧状の切込み112によって除去された空間体積は、遠位端の漸進的テーパ構造による不安定な振動をちょうど補償し、安定を保証する前提下で、漸進的テーパ構造による有効長さを最大限に実現することができる。
【0040】
具体的には、図6に示すように、メスヘッドの先端の中心軸の方向に沿った投影から見ると、前記メスヘッドは、上端に弧状の切断面120が設けられており、下端にV字形の切込み121が設けられている。前記V字形の切込み121の両側の斜面がなす角度は、100°であることが好ましい。前記弧状の切断面120は、回転体と協力して、軟組織に対する切断、血液凝固の効果を実現することができる。前記V字形の切込み121により形成される鋭利な刃先は、薄膜組織をよりよく分離させるに役立つ。
【0041】
図7及び図8に示すように、前記超音波手術用メスヘッドの前記基端部101と超音波手術用メスの第1の接続点122との間には、少なくとも1つのバランス溝が設けられている。前記バランス溝の前記剪断面への投影は、図7に示す船形構造123、又は、図8に示す円弧構造124、又は、船形構造と円弧構造との組み合わせであってもよい。このような構造は、超音波振動の安定性を高めるために用いられる。前述したように、前記メスヘッドの形状設計、湾曲した非対称的なメスヘッド構造設計は、メスヘッドの不安定的な動作をもたらしやすい。加工自体のばらつきや長尺のハンドルの湾曲などの実際の状況を考慮すると、最終的な製品に非常に大きな曲げ振動、捩じり振動、その他の形態の振動が発生する可能性がある。これは、システムの安定性を低下させ、異音を発生させ、超音波伝送効率を低下させ、異常発熱などの不利な結果を発生させることができる。これに鑑み、本発明は、1つ以上のバランス切込みを追加することを提案し、補償位置は、最遠位端の接続点とメスヘッドの中央位置との間に位置することが好ましい。
【0042】
以上は、本発明の好ましい実施形態に過ぎず、上記好ましい実施形態は、本発明を限定するのではなく、本発明の保護範囲は、特許請求の範囲により定義される範囲に準ずるべきである。当業者であれば、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、さらにいくつかの改良や修飾を行うことができ、これらの改良や修飾も本発明の保護範囲に属する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】