IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ オナー デバイス カンパニー リミテッドの特許一覧

特表2024-503527大規模点群指向の2次元正則化平面投影並びに符号化及び復号化方法
<>
  • 特表-大規模点群指向の2次元正則化平面投影並びに符号化及び復号化方法 図1
  • 特表-大規模点群指向の2次元正則化平面投影並びに符号化及び復号化方法 図2
  • 特表-大規模点群指向の2次元正則化平面投影並びに符号化及び復号化方法 図3
  • 特表-大規模点群指向の2次元正則化平面投影並びに符号化及び復号化方法 図4
  • 特表-大規模点群指向の2次元正則化平面投影並びに符号化及び復号化方法 図5
  • 特表-大規模点群指向の2次元正則化平面投影並びに符号化及び復号化方法 図6
  • 特表-大規模点群指向の2次元正則化平面投影並びに符号化及び復号化方法 図7
  • 特表-大規模点群指向の2次元正則化平面投影並びに符号化及び復号化方法 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-25
(54)【発明の名称】大規模点群指向の2次元正則化平面投影並びに符号化及び復号化方法
(51)【国際特許分類】
   G06T 9/00 20060101AFI20240118BHJP
   H04N 19/597 20140101ALI20240118BHJP
   H04N 19/85 20140101ALI20240118BHJP
【FI】
G06T9/00
H04N19/597
H04N19/85
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023544076
(86)(22)【出願日】2022-02-07
(85)【翻訳文提出日】2023-07-20
(86)【国際出願番号】 CN2022075395
(87)【国際公開番号】W WO2022166961
(87)【国際公開日】2022-08-11
(31)【優先権主張番号】202110172053.1
(32)【優先日】2021-02-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521218881
【氏名又は名称】オナー デバイス カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】ヤーン,フゥジュヨン
(72)【発明者】
【氏名】ジャーン,ウエイ
【テーマコード(参考)】
5C159
【Fターム(参考)】
5C159LA00
5C159PP03
(57)【要約】
大規模点群指向の2次元正則化平面投影方法並びに符号化及び復号化方法が開示される。2次元正則化平面投影方法は、オリジナル点群データを取得することと、点群の2次元投影平面構造を初期化することと、点群に対応する2次元正則化投影平面構造を取得するようオリジナル点群データと2次元投影平面構造との間のマッピング関係を決定することとを含む。符号化及び復号化方法は、符号化対象データを取得するよう点群の2次元正則化投影平面構造に基づき予測することと、符号化対象データを第1タイプの符号化対象データ及び第2タイプの符号化対象データに分割することと、前もってセットされた符号化方法で第1タイプの符号化対象データ内の異なるデータを別々に符号化し、相応して第2タイプの符号化対象データを符号化して、幾何情報ビットストリームを取得することとを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
オリジナル点群データを取得することと、
正則化パラメータを使用することによって点群の2次元投影平面構造を初期化することと、
前記点群の2次元正則化投影平面構造を取得するよう前記オリジナル点群データと前記2次元投影平面構造との間のマッピング関係を決定することと
を有する大規模点群指向の2次元正則化平面投影方法。
【請求項2】
前記正則化パラメータは、最適化推定又はデータフィッティングにより取得されたパラメータ又はLiDARのキャリブレーションパラメータを含む、
請求項1に記載の大規模点群指向の2次元正則化平面投影方法。
【請求項3】
前記した、正則化パラメータを使用することによって点群の2次元投影平面構造を初期化することは、
前記正則化パラメータ内のレーザスキャナの数、水平アジマスにおけるサンプリング角分解能Δφ、又は前記レーザスキャナのサンプリングポイントの数を使用することによって、前記点群の前記2次元投影平面構造を初期化することを有し、
M=laserNum、及び
N=360°/Δφ又はN=pointNumPerLaser
であり、M及びNは夫々、前記2次元投影平面構造内の垂直方向の分解能及び水平方向の分解能を表し、laserNumは、前記レーザスキャナの数であり、Δφは、前記水平アジマスにおける前記レーザスキャナの前記サンプリング角分解能を表し、pointNumPerLaserは、前記レーザスキャナの前記サンプリングポイントの数を表す、
請求項1に記載の大規模点群指向の2次元正則化平面投影方法。
【請求項4】
前記した、前記オリジナル点群データと前記2次元投影平面構造との間のマッピング関係を決定することは、
前記オリジナル点群データと前記2次元投影平面構造との間の前記マッピング関係を決定するために計算により前記2次元投影平面構造における前記オリジナル点群データの点の対応する位置を取得するよう前記正則化パラメータ及びキャリブレーション式により解を求めることを有し、
前記キャリブレーション式は、
【数7】
と表現され、(x,y,z)は、前記オリジナル点群データの前記点の直交座標を表し、rは、前記点とLiDARの座標原点との間の距離を表す前記点の円筒座標成分であり、laserNumは、レーザスキャナの数を表し、Δφは、水平アジマスにおける前記レーザスキャナのサンプリング角分解能を表し、θ及びφは、前記2次元投影平面構造内の前記点の対応するピクセルのピッチ角及びアジマスであり、(i,j)は、前記2次元投影平面構造内の前記点の前記対応するピクセルの位置を表し、θ、V、H及びαは、前記正則化パラメータである、
請求項1に記載の大規模点群指向の2次元正則化平面投影方法。
【請求項5】
前記した、前記オリジナル点群データと前記2次元投影平面構造との間のマッピング関係を決定することは、
前記オリジナル点群データの現在の点の円筒座標成分を決定することと、
前記2次元投影平面構造において前記現在の点の探索領域を決定することと、
前記探索領域内のピクセルをトラバースし、直交座標系での現在のピクセルの位置を計算し、前記位置と前記現在の点との間の空間距離を計算することと、
最短空間距離を持ったピクセルを、前記2次元投影平面構造内の前記現在の点の対応するピクセルとして選択することと、
前記2次元投影平面構造内の対応するピクセルが前記オリジナル点群データの全ての点について見つけられるまで上記のステップを繰り返すことと
を更に有する、
請求項1に記載の大規模点群指向の2次元正則化平面投影方法。
【請求項6】
前記した、前記2次元投影平面構造において前記現在の点の探索領域を決定することは、
円筒座標系での前記現在の点のピッチ角θ及びアジマスφにより前記2次元投影平面構造において前記現在の点の前記探索領域を決定すること、又は
前記正則化パラメータ及びキャリブレーション式により前記2次元投影平面構造において前記現在の点の前記探索領域を決定すること、又は
アプリオリ情報に従って前記現在の点の前記探索領域を決定すること
を有する、
請求項5に記載の大規模点群指向の2次元正則化平面投影方法。
【請求項7】
前記直交座標系での前記現在のピクセルの前記位置を求める計算式は
【数8】
であり、(i,j)は、前記2次元投影平面構造内の前記現在のピクセルの位置を表し、前記現在のピクセルに対応するピッチ角及びアジマスは、θ及びφであり、Δφは、水平アジマスにおけるレーザスキャナのサンプリング角分解能を表し、x及びyは、前記オリジナル点群データの前記現在の点の直交座標成分であり、rは、前記オリジナル点群データの前記現在の点の円筒座標成分であり、(xl,yl,zl)は、前記直交座標系での前記現在のピクセルの前記位置を表し、θ、V、H及びαは、前記正則化パラメータである、
請求項5に記載の大規模点群指向の2次元正則化平面投影方法。
【請求項8】
オリジナル点群データを取得し、2次元正則化平面投影を実行して、点群の2次元正則化投影平面構造を取得することであり、前記2次元正則化平面投影は、請求項1乃至7のうちいずれか一項に記載の方法を使用することによって実施される、ことと、
符号化対象データを取得するよう前記点群の前記2次元正則化投影平面構造に基づき予測することと、
前記符号化対象データを第1タイプの符号化対象データ及び第2タイプの符号化対象データに分割することであり、前記第1タイプの符号化対象データは2次元正則化投影平面構造データであり、前記第2タイプの符号化対象データは、前記2次元正則化投影平面構造データ以外の残りの符号化対象データである、ことと、
前もってセットされた符号化方法で前記第1タイプの符号化対象データ内の異なるデータを別々に符号化し、前記第2タイプの符号化対象データを符号化して、幾何情報ビットストリームを取得することと
を有する大規模点群指向の符号化方法。
【請求項9】
前記した、符号化対象データを取得するよう前記点群の前記2次元正則化投影平面構造に基づき予測することは、
前記点群の前記2次元正則化投影平面構造に従って異なるデータごとに異なる予測モードをセットし、前記符号化対象データを取得するよう対応する予測モードに従って予測することを有する、
請求項8に記載の大規模点群指向の符号化方法。
【請求項10】
幾何情報ビットストリームを取得することと
パースされたデータを取得するよう前記幾何情報ビットストリームを復号することと、
前記パースされたデータに従って2次元正則化投影平面構造を再構成することと、
再構成された点群を取得するよう前記再構成された2次元正則化投影平面構造に従って幾何再構成を実行することと
を有する大規模点群指向の復号化方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、点群データ処理技術の分野に、特に、大規模点群指向の2次元正則化平面投影並びに符号化及び復号化方法に関係がある。
【背景技術】
【0002】
ハードウェア処理能力の向上及びコンピュータビジョンの急速な発展に伴って、3次元点群は、オーディオ、イメージ、及びビデオの後に続く新世代の没入型マルチメディアとなり、仮想現実、拡張現実、自動運転、環境モデリング、などで広く使用されている。しかし、ノイズ、デバイスジッタ、デバイスキャリブレーション、などにより、大規模点群データは不均一に分布しているため、関連するデータ処理を困難にし、符号化効率の更なる向上を制限することが報告されている。更に、大規模点群は、一般に、データ容量が比較的に大きいため、点群データの伝送及び記憶には非常に不向きである。
【0003】
既存の幾何ベース点群圧縮(G-PCC,Geometry-based Point Cloud Compression)フレームワークでは、点群の幾何情報及び属性情報は別々に符号化される。現在、G-PCCの幾何符号化及び復号化は、八分木ベース幾何符号化及び復号化と、予測木ベース幾何符号化及び復号化とに分類され得る。
【0004】
八分木ベース幾何符号化の場合に、最初に、点群の幾何情報が前処理され、この前処理には、点群の座標変換及びボクセル化が含まれる。次いで、幅優先トラバース順序に従って、点群が位置しているバウンディングボックスに対して、木分割(八分木/四分木/二分木)が連続的に実行される。最後に、各ノードのプレースホルダ及び各リーフノードに含まれる点の数が、バイナリビットストリームを生成するよう符号化される。
【0005】
予測木ベース幾何符号化の場合に、最初に、オリジナル点群データがソートされる。次いで、予測木構造が確立される。各ノードをノードが属するレーザスキャナに分類することによって、予測木構造は異なるレーザスキャナに従って確立される。次に、予測木の各ノードがトラバースされ、ノードの幾何情報は、予測残差を取得するよう異なる予測モードを選択することによって予測され、予測残差は、量子化パラメータを使用することによって量子化される。最後に、予測木構造、量子化パラメータ、ノードの幾何情報の予測残差、などが、バイナリビットストリームを生成するよう符号化される。
【0006】
しかし、点群は比較的に強い空間スパース性を持っているので、八分木構造を使用した点群符号化技術の場合、八分木構造は、分割により得られる空きノードの割合が比較的に高くなり、点群の空間相関は十分に表現され得ないため、点群の予測及びエントロピコーディングには不向きである。予測木ベース点群符号化及び復号化技術は、木構造を確立するためにLiDARデバイスのパラメータの一部を使用する。これに基づき、予測符号化は、木構造を使用することによって実行される。しかし、木構造は、点群の空間相関を十分に表さないので、点群の予測及びエントロピコーディングには不向きである。従って、上記の2つの点群符号化及び復号化技術はいずれも、符号化効率が十分に高くないという問題を抱えている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
先行技術に存在する上記の問題を解決するために、本発明は、大規模点群指向の2次元正則化平面投影並びに符号化及び復号化方法を提供する。本発明によって解決されるべき技術的課題は、以下の技術的解決法によって対処される。
【課題を解決するための手段】
【0008】
大規模点群指向の2次元正則化平面投影方法は、
オリジナル点群データを取得することと、
正則化パラメータを使用することによって点群の2次元投影平面構造を初期化することと、
点群の2次元正則化投影平面構造を取得するようオリジナル点群データと2次元投影平面構造との間のマッピング関係を決定することと
を含む。
【0009】
本発明の実施形態で、正則化パラメータは、最適化推定又はデータフィッティングにより取得されたパラメータ又はLiDARのキャリブレーションパラメータを含む。
【0010】
本発明の実施形態で、正則化パラメータを使用することによって点群の2次元投影平面構造を初期化することは、
正則化パラメータ内のレーザスキャナの数、水平アジマスにおけるサンプリング角分解能、又はレーザスキャナのサンプリングポイントの数を使用することによって、点群の2次元投影平面構造を初期化することを含み、
M=laserNum、及び
N=360°/Δφ又はN=pointNumPerLaser
であり、M及びNは夫々、2次元投影平面構造内の垂直方向の分解能及び水平方向の分解能を表し、laserNumは、レーザスキャナの数であり、Δφは、水平アジマスにおけるレーザスキャナのサンプリング角分解能を表し、pointNumPerLaserは、レーザスキャナのサンプリングポイントの数を表す。
【0011】
本発明の実施形態で、オリジナル点群データと2次元投影平面構造との間のマッピング関係を決定することは、
オリジナル点群データと2次元投影平面構造との間のマッピング関係を決定するために計算により2次元投影平面構造におけるオリジナル点群データの点の対応する位置を取得するよう正則化パラメータ及びキャリブレーション式により解を求めることを含み、
キャリブレーション式は、
【数1】
と表現され、(x,y,z)は、オリジナル点群データの点の直交座標を表し、rは、点とLiDARの座標原点との間の距離を表す前記点の円筒座標成分であり、laserNumは、レーザスキャナの数を表し、Δφは、水平アジマスにおけるレーザスキャナのサンプリング角分解能を表し、θ及びφは、2次元投影平面構造内の点の対応するピクセルのピッチ角及びアジマスであり、(i,j)は、2次元投影平面構造内の点の対応するピクセルの位置を表し、θ、V、H及びαは、正則化パラメータである。
【0012】
本発明の実施形態で、オリジナル点群データと2次元投影平面構造との間のマッピング関係を決定することは、
オリジナル点群データの現在の点の円筒座標成分を決定することと、
2次元投影平面構造において現在の点の探索領域を決定することと、
探索領域内のピクセルをトラバースし、直交座標系での現在のピクセルの位置を計算し、その位置と現在の点との間の空間距離を計算することと、
最短空間距離を持ったピクセルを、2次元投影平面構造内の現在の点の対応するピクセルとして選択することと、
2次元投影平面構造内の対応するピクセルがオリジナル点群データの全ての点について見つけられるまで上記のステップを繰り返すことと
を更に含む。
【0013】
本発明の実施形態で、2次元投影平面構造において現在の点の探索領域を決定することは、
円筒座標系での現在の点のピッチ角θ及びアジマスφにより2次元投影平面構造において現在の点の探索領域を決定すること、又は
正則化パラメータ及びキャリブレーション式により2次元投影平面構造において現在の点の探索領域を決定すること、又は
アプリオリ情報に従って現在の点の探索領域を決定すること
を含む。
【0014】
本発明の実施形態で、直交座標系での現在のピクセルの位置を求める計算式は
【数2】
であり、(i,j)は、2次元投影平面構造内の現在のピクセルの位置を表し、現在のピクセルに対応するピッチ角及びアジマスは、θ及びφであり、Δφは、水平アジマスにおけるレーザスキャナのサンプリング角分解能を表し、x及びyは、オリジナル点群データの現在の点の直交座標成分であり、rは、オリジナル点群データの現在の点の円筒座標成分であり、(xl,yl,zl)は、直交座標系での現在のピクセルの位置を表し、θ、V、H及びαは、正則化パラメータである。
【0015】
本発明の他の実施形態は、大規模点群指向の符号化方法であって、
オリジナル点群データを取得し、2次元正則化平面投影を実行して、点群の2次元正則化投影平面構造を取得することであり、2次元正則化平面投影は、請求項1乃至7のうちいずれか一項に記載の方法を使用することによって実施される、ことと、
符号化対象データを取得するよう点群の2次元正則化投影平面構造に基づき予測することと、
符号化対象データを第1タイプの符号化対象データ及び第2タイプの符号化対象データに分割することであり、第1タイプの符号化対象データは2次元正則化投影平面構造データであり、第2タイプの符号化対象データは、2次元正則化投影平面構造データ以外の残りの符号化対象データである、ことと、
前もってセットされた符号化方法で第1タイプの符号化対象データ内の異なるデータを別々に符号化し、第2タイプの符号化対象データを符号化して、幾何情報ビットストリームを取得することと
を含む方法を提供する。
【0016】
本発明の実施形態で、符号化対象データを取得するよう点群の2次元正則化投影平面構造に基づき予測することは、
点群の2次元正則化投影平面構造に従って異なるデータごとに異なる予測モードをセットし、符号化対象データを取得するよう対応する予測モードに従って予測することを含む。
【0017】
本発明の更なる他の実施形態は、大規模点群指向の復号化方法であって、
幾何情報ビットストリームを取得することと
パースされたデータを取得するよう幾何情報ビットストリームを復号することと、
パースされたデータに従って2次元正則化投影平面構造を再構成することと、
再構成された点群を取得するよう、再構成された2次元正則化投影平面構造に従って幾何再構成を実行することと
を含む方法を提供する。
【発明の効果】
【0018】
1.本発明では、3次元空間における点群を対応する2次元正則化投影平面構造に投影することによって、正則化補正が、垂直方向及び水平方向で点群に対して実行され、2次元投影平面構造上の点群の強い相関表現が取得され、それによって、3次元表現構造に存在するスパース性は回避され、点群の空間相関はより良く反映され、点群のアプリケーションのためのデータ処理を容易にする表現形式は提供される。
【0019】
2.本発明では、符号化は、点群の2次元正則化投影平面構造に基づき実行され、これは、点群の空間相関を大いに活用し、空間冗長性を低減することができるので、追加のビットストリームを使用して他の補助情報を圧縮する必要がなく、ビットストリームを低減し、符号化効率を向上させる。
【0020】
以下は更に、添付の図面及び実施形態を参照して本発明について詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の実施形態に係る大規模点群指向の2次元正則化平面投影方法の模式図である。
図2】本発明の実施形態に係る、2次元投影平面構造における点及びピクセルの円筒座標間の対応の模式図である。
図3】本発明の実施形態に係る、オリジナル点群と2次元投影平面構造との間のマッピング関係を決定するフローチャートである。
図4】本発明の実施形態に係る点群の2次元投影平面構造の模式図である。
図5】本発明の実施形態に係る大規模点群指向の符号化のブロック図である。
図6】本発明の実施形態に係る3つの予測モードの略構造図である。
図7】本発明の実施形態に係る5つの予測モードの略構造図である。
図8】本発明の実施形態に係る大規模点群指向の復号化のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明は更に、具体的な実施形態を参照して以下で詳細に記載されるが、本発明の実施はそれらに限られない。
【実施例1】
【0023】
図1を参照すると、図1は、本発明の実施形態に係る大規模点群指向の2次元正則化平面投影方法の模式図である。
【0024】
方法は、ステップ1.オリジナル点群データを取得することを含む。
【0025】
具体的に、オリジナル点群データは、一般に、3次元空間点のグループを含み、各空間点は、その幾何位置情報と、色、反射率、又は法線などの追加の属性情報とを記録している。一般に、点群の幾何位置情報は、直交座標系に基づき表現され、つまり、点のx、y、z座標によって表現される。オリジナル点群データは、LiDARのスキャニング、又は様々なプラットフォームによって提供される公開データセットにより、取得され得る。この実施形態では、取得されたオリジナル点群データの幾何位置情報は直交座標系に基づき表現される、と仮定する。オリジナル点群データの幾何位置情報を表現する方法は直交座標に制限されないことが留意されるべきである。
【0026】
ステップ2.正則化パラメータを使用することによって点群の2次元投影平面構造を初期化する。
【0027】
具体的に、この実施形態では、2次元正則化平面投影がオリジナル点群に対して実行される前に、座標変換、スケール制御、又はボクセル化などの前処理が、その後の符号化を容易にするためにオリジナル点群データに対して実行されてもよい。
【0028】
点群の2次元投影平面構造を初期化することは、正則化パラメータを使用することを必要とする。正則化パラメータは、最適化推定又はデータフィッティングにより取得されたパラメータ又はLiDARのキャリブレーションパラメータを含む。
【0029】
一般に、LiDARのキャリブレーションパラメータは、製造者によって精密に測定され、必須データの1つとして消費者に提供される。例えば、LiDARの収集範囲、水平アジマスにおけるサンプリング角分解能Δφ若しくはサンプリングポイントの数、各レーザスキャナの距離補正係数、水平方向及び垂直方向に沿ったレーザスキャナのオフセット情報V及びH、又はピッチ角及び水平アジマスに沿ったレーザスキャナのオフセット情報θ及びαである。
【0030】
正則化パラメータは、上で与えられているLiDARのこれらのキャリブレーションパラメータに制限されないことが留意されるべきである。LiDARのキャリブレーションパラメータが与えられない場合に、正則化パラメータは更に、最適化推定又はデータフィッティングなどの方法で取得されてもよい。
【0031】
点群の2次元正則化投影平面構造は、M行及びN列のピクセルを含むデータ構造である。投影された後、オリジナル点群の点は、データ構造のピクセルに対応する。更に、データ構造のピクセル(i,j)は、円筒座標成分(θ,φ)に関連付けられてよい。例えば、円筒座標(r,θ,φ)に対応するピクセル(i,j)は、次の式を使用することによって求められ得る。
【数3】
【0032】
具体的に、図2を参照すると、図2は、本発明の実施形態に係る、2次元投影平面構造における点及びピクセルの円筒座標間の対応の模式図である。
【0033】
ここでのピクセルの対応は、円筒座標に制限されないことが留意されるべきである。
【0034】
更に、2次元正則化投影平面の分解能は、正則化パラメータによって取得され得る。例えば、2次元正則化投影平面の分解能はM×Nであると仮定すると、正則化パラメータ内のレーザスキャナの数は、Mを初期化するために使用されてよく、水平アジマスにおけるサンプリング角分解能Δφ又はレーザスキャナのサンプリング点の数pointNumPerLaserは、Nを初期化するために使用されてよい。具体的な式は次の通りであり、最終的に、2次元投影平面構造の初期化が完了され得、M×N個のピクセルを含む平面構造が取得され得る。

M=laserNum、及び
N=360°/Δφ又はN=pointNumPerLaser
【0035】
ステップ3.点群の2次元正則化投影平面構造を取得するようオリジナル点群データと2次元投影平面構造との間のマッピング関係を決定する。
【0036】
この実施形態では、2次元投影平面構造におけるオリジナル点群の位置は点ごとに決定され、直交座標系でもともとランダムに分布していた点群は、一様に分布した2次元正則化投影平面構造上にマッピングされる。具体的に、オリジナル点群の点ごとに、対応するピクセルが2次元投影平面構造において決定される。例えば、2次元平面上の点の投影位置から最短空間距離を持ったピクセルが、その点の対応するピクセルとして選択されてもよい。
【0037】
この実施形態で、オリジナル点群データと2次元投影平面構造との間のマッピング関係を決定することは、
オリジナル点群データと2次元投影平面構造との間のマッピング関係を決定するために計算により2次元投影平面構造におけるオリジナル点群データの点の対応する位置を取得するよう正則化パラメータ及びキャリブレーション式により解を求めることを含み、
キャリブレーション式は、
【数4】
と表現され、(x,y,z)は、オリジナル点群データの点の直交座標を表し、rは、点とLiDARの座標原点との間の距離を表すその点の円筒座標成分であり、laserNumは、レーザスキャナの数を表し、Δφは、水平アジマスにおけるレーザスキャナのサンプリング角分解能を表し、θ及びφは、2次元投影平面構造内の点の対応するピクセルのピッチ角及びアジマスであり、(i,j)は、2次元投影平面構造内の点の対応するピクセルの位置を表し、θ、V、H及びαは、正則化パラメータである。
【0038】
本発明の他の実施形態では、オリジナル点群データと2次元投影平面構造との間のマッピング関係を決定するための他の方法が提供される。図3を参照すると、図3は、本発明の実施形態に係る、オリジナル点群と2次元投影平面構造との間のマッピング関係を決定するフローチャートである。
【0039】
フローチャートは、31)オリジナル点群データの現在の点の円筒座標成分を決定することを含む。
【0040】
具体的に、現在の点(x,y,z)の円筒座標成分rの計算は次の通りであり、rは、現在の点と座標原点との間のラジアル距離を表す:

r=√(x+y
【0041】
32)2次元投影平面構造において現在の点の探索領域を決定する。
【0042】
この実施形態では、探索領域は、2次元投影平面構造内の1つのピクセルを含んでよく、あるいは、2次元投影平面構造内の複数のピクセルを含んでもよい。
【0043】
2次元投影平面構造全体が探索領域として直接選択されてもよい。更に、計算量を減らすべく、2次元投影平面構造内の対応するピクセルの探索領域は、探索領域を小さくするために、現在の点の円筒座標成分のピッチ角θ及びアジマスφにより決定されてもよい。
【0044】
本発明の他の実施形態では、2次元投影平面構造における現在の点の候補となる対応位置は、正則化パラメータ及び上記のキャリブレーション式により決定されてもよく、探索領域は、候補となる対応位置を参照して決定され得る。更に、現在の点の探索領域は、アプリオリ情報に従って決定されてもよい。
【0045】
32)探索領域内のピクセルをトラバースし、直交座標系での現在のピクセルの位置を計算し、その位置と現在の点との間の空間距離を計算する。
【0046】
探索領域が決定された後、探索領域内の各ピクセル(i,j)について、LiDARのi番目のレーザスキャナの正則化パラメータ、つまりアプリオリなキャリブレーションパラメータθ、V、H及びαを使用することによって、直交座標系での現在のピクセルの位置(xl,yl,zl)が計算され、具体的な計算式は次の通りである:
【数5】
【0047】
直交座標系での現在のピクセルの位置(xl,yl,zl)が取得された後、その位置と現在の点(x,y,z)との間の空間距離が計算され、誤差Err、つまり:

Err=dist{(x,y,z),(xl,yl,zl)}

と見なされる。
【0048】
33)最短空間距離を持ったピクセルを、2次元投影平面構造内の現在の点の対応するピクセルとして選択する。
【0049】
具体的に、誤差Errが最小誤差minErrよりも大きい場合、上記の更新プロセスをスキップする。誤差Errが現在の最小誤差minErrよりも小さい場合、誤差Errは、最小誤差minErrを更新するために使用され、現在のピクセルに対応するi及びjは、現在の点の対応するピクセルのi及びjを更新するために使用され、そして、誤差Errが最小誤差minErrよりも大きい場合に、上記の更新プロセスをスキップする。
【0050】
探索領域内の全てのピクセルがトラバースされた後、2次元投影平面構造内の現在の点の対応するピクセル(i,j)、及び現在の点の円筒座標成分rは、決定され得る。
【0051】
34)2次元投影平面構造内の対応するピクセルがオリジナル点群データの全ての点について見つけられるまで上記のステップを繰り返す。
【0052】
オリジナル点群の全ての点が上記の動作を完了した後、点群の2次元正則化平面投影は完了する。具体的に、図4を参照すると、図4は、本発明の実施形態に係る点群の2次元投影平面構造の模式図であり、オリジナル点群データの全ての点は構造内の対応するピクセルにマッピングされている。
【0053】
点群の2次元正則化平面投影の間、点群の複数の点が2次元投影平面構造内の同じピクセルに対応する可能性があることが留意されるべきである。この状況を回避するために、投影の間にこれらの空間点を異なるピクセルに投影することが選択され得る。例えば、ある点が投影される場合に、当該点に対応するピクセルに対応する点が既にあるならば、当該点は、そのピクセルに隣接する空きピクセルに投影される。更に、点群の複数の点が2次元投影平面構造内の同じピクセルに既に投影されている場合には、符号化が2次元投影平面構造に基づいて実行されるときに、各ピクセルの対応する点の数が更に符号化されるべきであり、当該ピクセルにおける各対応する点の情報は、対応する点の数に従って符号化されるべきである。
【0054】
本発明では、3次元空間における点群を対応する2次元正則化投影平面構造に投影することによって、正則化補正が、垂直方向及び水平方向で点群に対して実行され、2次元投影平面構造上の点群の強い相関表現が取得され、それによって、3次元表現構造に存在するスパース性は回避され、点群の空間相関はより良く反映され、点群のアプリケーションのためのデータ処理を容易にする表現形式は提供される。
【実施例2】
【0055】
上記の実施例1に基づいて、この実施形態は、大規模点群指向の符号化方法を提供する。図5を参照すると、図5は、本発明の実施形態に係る大規模点群指向の符号化のブロック図である。
【0056】
方法は、ステップ1.オリジナル点群データを取得し、2次元正則化平面投影を実行して、点群の2次元正則化投影平面構造を取得することを含む。
【0057】
具体的に、この実施形態は、上記の実施例1の2次元正則化平面投影を使用してオリジナル点群を処理し、点群の2次元正則化投影平面構造を取得する。
【0058】
更に、座標変換、スケール制御、又はボクセル化などの前処理が最初にオリジナル点群に対して実行されてもよく、それから、2次元正則化平面投影が実行されてもよい。
【0059】
ステップ2.符号化対象データを取得するよう点群の2次元正則化投影平面構造に基づき予測する。
【0060】
一般に、予測符号化が大規模点群データに実行される場合に、ラジアル距離r、ピッチ角情報i、アジマスインターバルn、アジマス残差情報Δφ、点群の座標変換後の直交座標系での各点と対応する原点との間の残差(Δx,Δy,Δz)、繰り返し点情報、又は量子化パラメータなどの大規模点群データの情報は、特に符号化される必要がある。
【0061】
この実施形態で、予測符号化が点群の2次元正則化投影平面構造に基づき実行される場合に、2次元正則化投影平面構造内の各非空きピクセルの位置i及び位置j(代替的に、iはピッチ角方向での位置情報であり、jはアジマス方向での位置情報である)、対応する点のラジアル距離r、ピクセルの逆投影により得られた空間点と直交座標系での対応する点との間の残差(Δx,Δy,Δz)、繰り返し点情報、又は量子化パラメータなどの情報は、特に符号化される必要がある。投影残差と呼ばれる残差が、2次元正則化投影平面構造内の非空きピクセルの対応する位置とその非空きピクセルの対応する点の実際の投影位置との間に存在する可能性があることが留意されるべきである。実際の符号化中、投影残差も符号化されてよい。
【0062】
点群の2次元正則化投影平面構造はステップ1の後に取得される。平面構造は均一分布の特徴を示し、構造の利点は、従来の予測木符号化が使用される場合には強調することができない。
【0063】
これに基づいて、この実施形態は、より柔軟な方法、すなわち、点群の2次元正則化投影平面構造に従って異なるデータごとに異なる予測モードをセットし、対応する予測モードに従って予測を行って符号化対象データを取得することを提供し、それによって、予測の有効性を高め、予測で生成される残差を小さくする。以下で詳述される。
【0064】
1.アジマス方向での位置情報について:
この実施形態で、アジマス方向での位置パラメータjは、最小サンプリングインターバルを単位としてアジマス方向に沿ったインターバル情報を表す。点群の2次元正則化投影平面構造は、アジマス方向でも正則化された分布を示すので、従来のG-PCC予測木符号化での現在の圧縮されるべき点と基準点との間のインターバルがnである不均一分布と比較して、この実施形態におけるアジマス方向での位置jは一様に分布している。従って、現在の位置のjは、前の行の同じ位置のj成分により予測され得る。
【0065】
より具体的には、2次元正則化投影平面構造における現在の圧縮されるべき点の対応するピクセル位置が(i,j)であり、位置(i,j-1)が空いていない場合に、圧縮されるべきj成分は、現在の点のjから(j-1)行目の位置のj成分を減じることによって取得され得、位置(i,j-1)が空いている場合には、圧縮されるべきj成分は、現在の点のj成分を直接使用することができる。
【0066】
従来のG-PCC方法と比較して、j成分の圧縮は、2次元正則化投影平面構造における同じ列の情報を参照して実行されるので、効果的に値を小さくして、ビットストリームオーバーヘッドを削減する。
【0067】
2.アジマス方向φでの残差について:
点群の2次元正則化平面投影は、ピッチ角及びアジマスを含む2つの次元で補正され、点群の2次元正則化投影平面構造は、アジマス方向での均一分布の特徴を示す。従って、アジマスの誤差は非常に小さく、アジマス方向φでの残差を圧縮する必要がないので、残差計算を実行する必要がない。
【0068】
3.ピッチ角方向での位置情報について:
予測は、従来のG-PCC予測木での方法に従って実行されてよく、具体的なプロセスはここで再び説明されない。
【0069】
4.ラジアル距離rについて:
この実施形態での予測は、点群の2次元正則化投影平面構造に基づき実行され、2次元正則化投影平面構造は、2つの次元、つまりピッチ角及びアジマスの両方で、正則化された分布を示すので、予測は方向に従って実行されてよい。
【0070】
具体的に、以下のように全部で3つの予測モードが、左方向及び上方向に従って構築され得る:
モード0:直接モード,予測無しで直接圧縮する;
モード1:左を予測し、左側にあるピクセルの対応する点を基準点として使用する;及び
モード2:上方を予測し、上にあるピクセルの対応する点を基準点として使用する。
【0071】
具体的に、図6を参照すると、図6は、本発明の実施形態に係る3つの予測モードの略構造図であり、“●”は、符号化された点を表し、“○”は、符号化されていない点を表し、“★”は、現在の符号化されるべき位置を表し、ラジアル距離残差Δrに基づいてアジマス(モード1)方向及びピッチ角(モード2)方向に沿った予測を実行し、より小さいΔrを持った点を基準点として選択し得る。
【0072】
点群の2次元正則化投影平面構造は、上から下への順序及び左から右への順序を使用することによってトラバースされる。現在のピクセルの対応する点がトラバースされるべき最初の点であるかどうかは、トラバース中に最初に決定される。そうである場合、現在の点は第1ノードとしてセットされ、予測は実行されず、モード0が選択され、当該点のラジアル距離rは、直接符号化対象データとして見なされ、あるいは、そうでない場合、モード1及びモード2でセットされた予測方法に従って予測が実行され、モード1及びモード2により取得されたΔrが比較され、Δrが小さい方向モードが現在の点の予測モードとして選択され、現在のΔrが符号化対象データと見なされる。
【0073】
上記のプロセスは、2次元正則化投影平面構造内の全てのピクセルの対応する点、つまり点群の全ての点が予測を完了するまで、繰り返される。
【0074】
更に、本発明の他の実施形態では、次のように全部で5つの予測モードが、左方向、上方向、左上方向、及び右上方向に従って構築されてもよい:
モード0:直接モード,予測無しで直接圧縮する;
モード1:左を予測し、左側にあるピクセルの対応する点を基準点として使用する;
モード2:上方を予測し、上にあるピクセルの対応する点を基準点として使用する;
モード3:左上を予測し、左上ピクセルの対応する点を基準点として使用する;及び
モード4:右上を予測し、右上ピクセルの対応する点を基準点として使用する。
【0075】
具体的に、図7を参照すると、図7は、本発明の実施形態に係る5つの予測モードの略構造図であり、“●”は、符号化された点を表し、“○”は、符号化されていない点を表し、“★”は、現在の符号化されるべき位置を表し、ラジアル距離残差Δrに基づいてアジマス(モード1)方向及びピッチ角(モード2)方向に沿った予測を実行し、より小さいΔrを持った点を基準点として選択し得る。
【0076】
5.x、y及びzの残差について:
符号化エンドの繰り返しの数を減らすために、残差(Δx,Δy,Δz)の計算プロセスが、ラジアル距離rの残差を計算するための上記の予測プロセスに置かれ得る。逆投影が最初に、本明細書中の上記のキャリブレーション式を使用することによって、2次元正則化投影平面構造内のピクセルに対して実行され、逆投影中に、ピクセルの対応する点のラジアル距離rとピクセルの対応するピッチ角及び対応するアジマスとが組み合わされる必要があり、次いで、逆投影により取得された空間位置とオリジナル点群との間の残差(Δx,Δy,Δz)が計算される。
【0077】
この実施形態では、点群に対して2次元正則化平面投影を実行しているときに、ピッチ角及びアジマスを含む2つの次元での正則化パラメータが使用されるので、対応する残差値は、従来のG-PCC方法により得られる値よりも小さく、これにより、ビットストリームは更に低減され、符号化効率はある程度向上する。
【0078】
ステップ3.符号化対象データを第1タイプの符号化対象データ及び第2タイプの符号化対象データに分割し、このとき、第1タイプの符号化対象データは2次元正則化投影平面構造データであり、第2タイプの符号化対象データは、2次元正則化投影平面構造データ以外の残りの符号化対象データである。
【0079】
点群の2次元正則化投影平面構造は、オリジナル点群の幾何情報を最も直接的に運ぶものであり、データ量が比較的に多いので、この実施形態では、最後のステップで取得された符号化対象データは、点群の2次元正則化投影平面構造の特徴に従って2つのタイプに分けられ、このとき、第1タイプの符号化対象データは、ラジアル距離r、ピッチ角方向での位置情報i、及びアジマス方向での位置情報jを含む、点群の2次元正則化投影平面構造データである。第2タイプの符号化対象データは、点群の2次元正則化平面投影後の各点と直交座標系でのオリジナル点群との間の残差(Δx,Δy,Δz)、繰り返し点情報、又は量子化パラメータなどの情報を含む、2次元正則化投影平面構造データ以外の残りの符号化対象データである。
【0080】
ステップ4.前もってセットされた符号化方法で第1タイプの符号化対象データ内の異なるデータを別々に符号化し、同時に第2タイプの符号化対象データを符号化して、幾何情報ビットストリームを取得する。
【0081】
具体的に、ステップ2での解析に従って、第1タイプの符号化対象データ内のアジマス方向φでの残差は符号化されず、第1タイプの符号化対象データ内の他の情報は算術符号化方式で符号化され、第2タイプの符号化対象データは、幾何情報ビットストリームを取得し、大規模点群指向の符号化を完了するよう、符号化される。
【0082】
更に、本発明で提供される大規模点群指向の符号化方法では、2次元正則化平面投影が3次元空間における点群に対して実行され、点群に対応する2次元正則化投影平面構造が取得され、それから、予測符号化が構造に基づき実行されることが留意されるべきである。点群の2次元正則化投影平面構造は点群の情報を視覚化することができるので、2次元正則化平面投影後の点群は、ピクチャ/ビデオ圧縮方法、例えば、JPEG、JPEG2000、HEIF、H.264/AVC、H.265/HEVC、などで更に圧縮されてもよい。
【0083】
4本発明の有利な効果について更に説明するために、この実施形態では、点群分野で最も一般的なKITTIデータをテストデータとして使用することによって、本発明で提供される方法の可逆点群符号化効率と、キャンパス(kitti_campus)、住宅地(kitti_residential)、都市(kitti_city)、道路(kitti_road)を含む4つのシナリオの下での従来のMPEG G-PCC方法のそれとがテストされ、結果は次の表に示される通りである:
【表1】
【0084】
表から、本発明で提供される方法はより良い性能向上を示し、全体としての増加は5.51%であり、キャンパス又は住宅地などの歩行者が少ない場面については、8%よりも多い利得が得られることが分かる。
【実施例3】
【0085】
上記の実施例2に基づいて、この実施形態は、大規模点群指向の復号化方法を提供する。図8を参照すると、図8は、本発明の実施形態に係る大規模点群指向の復号化のブロック図である。
【0086】
方法は、S1.幾何情報ビットストリームを取得することを含む。
【0087】
S2.パースされたデータを取得するよう幾何情報ビットストリームを復号する。
【0088】
具体的に、最初に、第1タイプの符号化対象データ及び第2タイプの符号化対象データが、幾何情報ビットストリームを復号することによって取得されてよく、このとき、第1タイプの符号化対象データは、ラジアル距離r、ピッチ角方向での位置情報i、及びアジマス方向での位置情報jを含む、点群の2次元正則化投影平面構造データである。第2タイプの符号化対象データは、点群の2次元正則化平面投影後の各点と直交座標系でのオリジナル点群との間の残差(Δx,Δy,Δz)、繰り返し点情報、又は量子化パラメータなどの情報を含む、2次元正則化投影平面構造データ以外の残りの符号化対象データである。
【0089】
S3.パースされたデータに従って2次元正則化投影平面構造を再構成する。
【0090】
具体的に、パースされたデータは、点のラジアル距離r、ピッチ角方向での位置情報i、及びアジマス方向での位置情報jを含むので、2次元正則化投影平面構造内の点の対応するピクセル、つまり、2次元正則化投影平面構造内のi行目及びj列目のピクセルは、i及びjを通じて決定され得る。更に、ピクセルの対応する点のラジアル距離rは、rにより知ることができる。従って、再構成された2次元投影平面構造は取得される
【0091】
S4.再構成された点群を取得するよう、再構成された2次元正則化投影平面構造に従って幾何再構成を実行する。
【0092】
再構成された2次元正則化投影平面構造内の各ピクセルについて、現在のピクセルが空いていない場合に、現在のピクセルに対応する空間点(x,y,z)は、現在のピクセル(i,j)の対応する点のラジアル距離r及びパースされた残差(Δx,Δy,Δz)に従って、次の方法で再構成されてよい。
【0093】
現在のピクセル(i,j)の対応する位置は、(φ,i)と表すことができ、ここで、

φ=-180°+j×Δφ

である。
【0094】
以下は、正則化パラメータと、現在ピクセルを直交座標系上に逆投影する次の式とを使用して、対応する直交座標(xl,yl,zl)を取得する:
【数6】
【0095】
最後に、現在のピクセルに対応する空間点(x,y,z)が、現在のピクセルの逆投影により取得された空間位置(xl,yl,zl)及び残差(Δx,Δy,Δz)に従って次の式を使用することによって再構成される:

x=xl+Δx
y=yl+Δy
z=zl+Δz
【0096】
上記の計算に従って、再構成された2次元正則化投影平面構造内の各非空きピクセルに対応する空間点は再構成され得、それによって、再構成された点群が取得され得る。
【0097】
以上の内容は、具体的な例示的実施形態を参照して詳細に本発明について更に記載しており、本明細書は、本発明の具体的な実施形態に対する制限と見なされるべきではない。当業者は、本発明の概念から逸脱せずに簡単な推論又は置換を更に行うことができ、そのような推論又は置換は全て、本発明保護範囲内にあるものと見なされるべきである。
【0098】
本願は、2021年2月8日付けで「LARGE-SCALE POINT CLOUD-ORIENTED TWO-DIMENSIONAL REGULARIZED PLANAR PROJECTION AND ENCODING AND DECODING METHOD」との発明の名称で中国国家知識産権局に出願された中国特許出願第202110172053.1号に対する優先権を主張するものであり、先の中国特許出願は、その全文を参照により本願に援用される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【手続補正書】
【提出日】2023-07-20
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
オリジナル点群データを取得することと、
正則化パラメータを使用することによって点群の2次元投影平面構造を初期化することと、
前記点群の2次元正則化投影平面構造を取得するよう前記オリジナル点群データと前記2次元投影平面構造との間のマッピング関係を決定することと
を有する大規模点群指向の2次元正則化平面投影方法。
【請求項2】
前記正則化パラメータは、最適化推定又はデータフィッティングにより取得されたパラメータ又はLiDARのキャリブレーションパラメータを含む、
請求項1に記載の大規模点群指向の2次元正則化平面投影方法。
【請求項3】
前記した、正則化パラメータを使用することによって点群の2次元投影平面構造を初期化することは、
前記正則化パラメータ内のレーザスキャナの数、水平アジマスにおけるサンプリング角分解能Δφ、又は前記レーザスキャナのサンプリングポイントの数を使用することによって、前記点群の前記2次元投影平面構造を初期化することを有し、
M=laserNum、及び
N=360°/Δφ又はN=pointNumPerLaser
であり、M及びNは夫々、前記2次元投影平面構造内の垂直方向の分解能及び水平方向の分解能を表し、laserNumは、前記レーザスキャナの数であり、Δφは、前記水平アジマスにおける前記レーザスキャナの前記サンプリング角分解能を表し、pointNumPerLaserは、前記レーザスキャナの前記サンプリングポイントの数を表す、
請求項1に記載の大規模点群指向の2次元正則化平面投影方法。
【請求項4】
前記した、前記オリジナル点群データと前記2次元投影平面構造との間のマッピング関係を決定することは、
前記オリジナル点群データと前記2次元投影平面構造との間の前記マッピング関係を決定するために計算により前記2次元投影平面構造における前記オリジナル点群データの点の対応する位置を取得するよう前記正則化パラメータ及びキャリブレーション式により解を求めることを有し、
前記キャリブレーション式は、
【数7】
と表現され、(x,y,z)は、前記オリジナル点群データの前記点の直交座標を表し、rは、前記点とLiDARの座標原点との間の距離を表す前記点の円筒座標成分であり、laserNumは、レーザスキャナの数を表し、Δφは、水平アジマスにおける前記レーザスキャナのサンプリング角分解能を表し、θ及びφは、前記2次元投影平面構造内の前記点の対応するピクセルのピッチ角及びアジマスであり、(i,j)は、前記2次元投影平面構造内の前記点の前記対応するピクセルの位置を表し、θ、V、H及びαは、前記正則化パラメータである、
請求項1に記載の大規模点群指向の2次元正則化平面投影方法。
【請求項5】
前記した、前記オリジナル点群データと前記2次元投影平面構造との間のマッピング関係を決定することは、
a)前記オリジナル点群データの現在の点の円筒座標成分を決定することと、
b)前記2次元投影平面構造において前記現在の点の探索領域を決定することと、
c)前記探索領域内のピクセルをトラバースし、直交座標系での現在のピクセルの位置を計算し、前記位置と前記現在の点との間の空間距離を計算することと、
d)最短空間距離を持ったピクセルを、前記2次元投影平面構造内の前記現在の点の対応するピクセルとして選択することと、
e)前記2次元投影平面構造内の対応するピクセルが前記オリジナル点群データの全ての点について見つけられるまで前記a)、b)、c)及びd)を繰り返すことと
を更に有する、
請求項1に記載の大規模点群指向の2次元正則化平面投影方法。
【請求項6】
前記した、前記2次元投影平面構造において前記現在の点の探索領域を決定することは、
円筒座標系での前記現在の点のピッチ角θ及びアジマスφにより前記2次元投影平面構造において前記現在の点の前記探索領域を決定すること、又は
前記正則化パラメータ及びキャリブレーション式により前記2次元投影平面構造において前記現在の点の前記探索領域を決定すること、又は
アプリオリ情報に従って前記現在の点の前記探索領域を決定すること
を有する、
請求項5に記載の大規模点群指向の2次元正則化平面投影方法。
【請求項7】
前記直交座標系での前記現在のピクセルの前記位置を求める計算式は
【数8】
であり、(i,j)は、前記2次元投影平面構造内の前記現在のピクセルの位置を表し、前記現在のピクセルに対応するピッチ角及びアジマスは、θ及びφであり、Δφは、水平アジマスにおけるレーザスキャナのサンプリング角分解能を表し、x及びyは、前記オリジナル点群データの前記現在の点の直交座標成分であり、rは、前記オリジナル点群データの前記現在の点の円筒座標成分であり、(xl,yl,zl)は、前記直交座標系での前記現在のピクセルの前記位置を表し、θ、V、H及びαは、前記正則化パラメータである、
請求項5に記載の大規模点群指向の2次元正則化平面投影方法。
【請求項8】
オリジナル点群データを取得し、2次元正則化平面投影を実行して、点群の2次元正則化投影平面構造を取得することであり、前記2次元正則化平面投影は、請求項1乃至7のうちいずれか一項に記載の方法を使用することによって実施される、ことと、
符号化対象データを取得するよう前記点群の前記2次元正則化投影平面構造に基づき予測することと、
前記符号化対象データを第1タイプの符号化対象データ及び第2タイプの符号化対象データに分割することであり、前記第1タイプの符号化対象データは2次元正則化投影平面構造データであり、前記第2タイプの符号化対象データは、前記2次元正則化投影平面構造データ以外の残りの符号化対象データである、ことと、
前もってセットされた符号化方法で前記第1タイプの符号化対象データ内の異なるデータを別々に符号化し、前記第2タイプの符号化対象データを符号化して、幾何情報ビットストリームを取得することと
を有する大規模点群指向の符号化方法。
【請求項9】
前記した、符号化対象データを取得するよう前記点群の前記2次元正則化投影平面構造に基づき予測することは、
前記点群の前記2次元正則化投影平面構造に従って異なるデータごとに異なる予測モードをセットし、前記符号化対象データを取得するよう対応する予測モードに従って予測することを有する、
請求項8に記載の大規模点群指向の符号化方法。
【請求項10】
幾何情報ビットストリームを取得することと
パースされたデータを取得するよう前記幾何情報ビットストリームを復号することと、
前記パースされたデータに従って2次元正則化投影平面構造を再構成することと、
再構成された点群を取得するよう前記再構成された2次元正則化投影平面構造に従って幾何再構成を実行することと
を有する大規模点群指向の復号化方法。
【請求項11】
プロセッサ及びメモリを有する電子デバイスであって、
前記メモリは、コンピュータ実行可能命令を記憶するよう構成され、
前記プロセッサは、前記メモリに記憶されている前記コンピュータ実行可能命令を実行して、前記電子デバイスに、請求項1乃至7のうちいずれか一項に記載の方法を実行させるよう構成される、
電子デバイス。
【請求項12】
プロセッサ及びメモリを有する電子デバイスであって、
前記メモリは、コンピュータ実行可能命令を記憶するよう構成され、
前記プロセッサは、前記メモリに記憶されている前記コンピュータ実行可能命令を実行して、前記電子デバイスに、請求項8又は9に記載の方法を実行させるよう構成される、
電子デバイス。
【請求項13】
プロセッサ及びメモリを有する電子デバイスであって、
前記メモリは、コンピュータ実行可能命令を記憶するよう構成され、
前記プロセッサは、前記メモリに記憶されている前記コンピュータ実行可能命令を実行して、前記電子デバイスに、請求項10に記載の方法を実行させるよう構成される、
電子デバイス。
【請求項14】
コンピュータプログラム又は命令を記憶し、
前記コンピュータプログラム又は前記命令は、実行されると、請求項1乃至7のうちいずれか一項に記載の方法を実施する、
コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項15】
コンピュータプログラム又は命令を記憶し、
前記コンピュータプログラム又は前記命令は、実行されると、請求項8又は9に記載の方法を実施する、
コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項16】
コンピュータプログラム又は命令を記憶し、
前記コンピュータプログラム又は前記命令は、実行されると、請求項10に記載の方法を実施する、
コンピュータ可読記憶媒体。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0015】
本発明の他の実施形態は、大規模点群指向の符号化方法であって、
オリジナル点群データを取得し、2次元正則化平面投影を実行して、点群の2次元正則化投影平面構造を取得することであり、2次元正則化平面投影は、上記の大規模点群指向の2次元正規化平面投影方法及びその実施形態のいずれか1つを使用することによって実施される、ことと、
符号化対象データを取得するよう点群の2次元正則化投影平面構造に基づき予測することと、
符号化対象データを第1タイプの符号化対象データ及び第2タイプの符号化対象データに分割することであり、第1タイプの符号化対象データは2次元正則化投影平面構造データであり、第2タイプの符号化対象データは、2次元正則化投影平面構造データ以外の残りの符号化対象データである、ことと、
前もってセットされた符号化方法で第1タイプの符号化対象データ内の異なるデータを別々に符号化し、第2タイプの符号化対象データを符号化して、幾何情報ビットストリームを取得することと
を含む方法を提供する。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0045
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0045】
33)探索領域内のピクセルをトラバースし、直交座標系での現在のピクセルの位置を計算し、その位置と現在の点との間の空間距離を計算する。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0048
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0048】
34)最短空間距離を持ったピクセルを、2次元投影平面構造内の現在の点の対応するピクセルとして選択する。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0051
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0051】
35)2次元投影平面構造内の対応するピクセルがオリジナル点群データの全ての点について見つけられるまで上記のステップを繰り返す。
【国際調査報告】