(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-25
(54)【発明の名称】超音波乳化吸引手術用の液体貯留箱
(51)【国際特許分類】
A61F 9/007 20060101AFI20240118BHJP
【FI】
A61F9/007 130B
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023544082
(86)(22)【出願日】2022-05-19
(85)【翻訳文提出日】2023-07-20
(86)【国際出願番号】 CN2022093803
(87)【国際公開番号】W WO2022247720
(87)【国際公開日】2022-12-01
(31)【優先権主張番号】202110579673.7
(32)【優先日】2021-05-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521549246
【氏名又は名称】以諾康医療科技(蘇州)有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】袁 小▲鶴▼
(72)【発明者】
【氏名】▲駱▼ 威
(72)【発明者】
【氏名】▲顔▼ 忠余
(72)【発明者】
【氏名】▲劉▼ 振中
(57)【要約】
本発明は、超音波乳化吸引手術用の液体貯留箱を開示し、前側板、本体、及び後側板が共に構成する箱体を含み、前記箱体には、廃液バッグが連通され、前記本体には、独立して設置される灌流通路及び吸引通路を有し、前記灌流通路は、蓋体及び前記本体が共に限定する密封流通室であり、前記流通室は、前記本体における第1の接続口及び第2の接続口と連通して灌流し、前記蓋体と前記本体との間に間隙が存在し、前記蓋体を押圧することにより前記灌流通路の開閉を制御し、前記吸引通路は、第3の接続口と前記廃液バッグを連通し、蠕動ポンプにより吸引する管路であり、前記吸引通路には、その内部の圧力を調整するように、負圧調整回路がさらに連通される。本発明は、灌流通路と吸引通路を独立して設置することにより、両者を互いに干渉せず、独立して動作するようにするとともに、灌流通路内部の圧力の安定性を保証し、眼内圧の変化を低減させ、使用の安全性を向上させる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波乳化吸引手術用の液体貯留箱であって、前側板(1)、本体(2)、及び後側板(3)共同で構成する箱体を含み、前記箱体には、廃液バッグ(4)が連通され、前記本体(2)には、独立して設置される灌流通路及び吸引通路を有し、前記灌流通路は、蓋体(5)及び前記本体(2)共同で限定する密封流通室(100)であり、前記流通室(100)は、前記本体(2)における第1の接続口(201)及び第2の接続口(202)と連通して灌流し、前記蓋体(5)と前記本体(2)との間に間隙が存在し、前記蓋体(5)を押圧することにより前記灌流通路の開閉を制御し、前記吸引通路は、第3の接続口(203)と前記廃液バッグ(4)を連通し、蠕動ポンプにより吸引を行う管路であり、前記吸引通路には、その内部の圧力を調整するように、負圧調整回路がさらに連通される、ことを特徴とする超音波乳化吸引手術用の液体貯留箱。
【請求項2】
前記蓋体(5)の裏面には、その縁に沿って下向きに延在する凸リブ(501)が設置され、前記本体(2)には、前記凸リブ(501)とマッチする凹溝(204)が設置され、前記凸リブ(501)と前記凹溝(204)は締まり嵌め、且両者の間に間隙が存在し、前記流通室(100)の室壁は、前記蓋体(5)の裏面及び前記本体(2)の表面が共に限定し、前記流通室(100)の灌流出水口(101)及び灌流給水口(102)は、いずれも前記本体(2)に位置し、且前記灌流出水口(101)は、前記第1の接続口(201)と連通し、前記灌流給水口(102)は、前記第2の接続口(202)と連通する、ことを特徴とする請求項1に記載の超音波乳化吸引手術用の液体貯留箱。
【請求項3】
前記蓋体(5)には、前記灌流出水口(101)に対向する外凸部(502)と、前記灌流給水口(102)に対向する弾性部(503)とを有し、第1の状態において、前記外凸部(502)と前記灌流出水口(101)との間には間隙が存在して前記流通室(100)内に液体の流れを維持させ、第2の状態において、前記外凸部(502)を押圧し、前記外凸部(502)が前記灌流出水口(101)に密着して、前記流通室(100)内の液体の流れを遮断し、前記弾性部(503)は、灌流時に変形可能であり、前記弾性部(503)には、生じた変形により前記流通室(100)内の灌流圧を検出するセンサーが設置される、ことを特徴とする請求項2に記載の超音波乳化吸引手術用の液体貯留箱。
【請求項4】
前記吸引通路は、前記本体(2)における第1の連通口(205)と第2の連通口(206)とを含み、前記第3の接続口(203)は、前記第1の連通口(205)と連通し、前記廃液バッグ(4)は、前記第2の連通口(206)と連通し、前記第1の連通口(205)と第2の連通口(206)との間には、前記蠕動ポンプのポンプチューブ(10)が連通され、前記ポンプチューブ(10)は、前記本体(2)における位置限定機構に設置され、前記位置限定機構は、前記本体(2)に固設される位置限定溝(7)と、前記位置限定溝(7)の両端に係設される2つの固定ブロック(701)とを含み、前記固定ブロック(701)の各々は、いずれも前記ポンプチューブ(10)と固着され、且前記ポンプチューブ(10)の延在方向の両側には、ストッパー(702)が設置される、ことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の超音波乳化吸引手術用の液体貯留箱。
【請求項5】
前記吸引通路は、前記本体(2)の裏面に設置される収容室(9)を含み、前記収容室(9)は、前記本体(2)、後側板(3)及びシールリング(8)共同で構成する密封チャンバーであり、前記収容室(9)の給液口(901)は、前記第2の連通口(206)と連通し、且前記収容室(9)は、連通部材を介して前記廃液バッグ(4)と連通する、ことを特徴とする請求項4に記載の超音波乳化吸引手術用の液体貯留箱。
【請求項6】
前記収容室(9)内には、仕切板(902)が立設され、前記仕切板(902)により第1のチャンバー(903)と第2のチャンバー(904)に仕切られ、前記給液口(901)は、前記第1のチャンバー(903)と連通し、前記仕切板(902)の頂部は、切り欠き(9021)を有し、前記第1のチャンバー(903)内の液体は、前記切り欠き(9021)を介して前記第2のチャンバー(904)に入る、ことを特徴とする請求項5に記載の超音波乳化吸引手術用の液体貯留箱。
【請求項7】
前記連通部材は、同じで且前記後側板(3)の内側面に立設される2つの接続管(301)であり、2つの前記接続管(301)は、前記第1のチャンバー(903)と第2のチャンバー(904)内にそれぞれ設置され、前記接続管(301)は、入口(3011)がその頂部に位置し、出口(3012)が前記後側板(3)に接続されるその側面の底部に位置し、前記出口(3012)は、前記廃液バッグ(4)における貫通孔(401)に対向して設置されて連通する、ことを特徴とする請求項6に記載の超音波乳化吸引手術用の液体貯留箱。
【請求項8】
前記負圧調整回路は、前記本体(2)の表面に設置され、還流給水口(601)、還流出水口(602)及び密封通路(603)により構成され、前記還流給水口(601)は、前記第2のチャンバー(904)と連通し、前記還流出水口(602)は、前記第3の接続口(203)と連通し、前記密封通路(603)の室壁は、密閉蓋(6)と前記本体(2)の表面が共に限定し、前記吸引通路が塞がれると検出した場合、前記還流給水口(601)が開き、前記吸引通路が塞がれていない場合、前記還流給水口(601)が閉じる、ことを特徴とする請求項7に記載の超音波乳化吸引手術用の液体貯留箱。
【請求項9】
前記吸引通路内の負圧値は、前記本体(2)の表面に設置される負圧センサーにより検出され、前記負圧センサーは、変形可能な金属シート(11)と前記本体(2)の表面が共に構成する密封キャビティ(200)であり、前記密封キャビティ(200)は、それぞれ前記第3の接続口(203)と第1の連通口(205)と連通する、ことを特徴とする請求項8に記載の超音波乳化吸引手術用の液体貯留箱。
【請求項10】
前記後側板(3)の裏面に手持ち可能な環状部材(12)が設置される、ことを特徴とする請求項9に記載の超音波乳化吸引手術用の液体貯留箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療機器の技術分野に関し、具体的には、超音波乳化吸引手術用の液体貯留箱に関するものである。
【背景技術】
【0002】
加齢とともに、水晶体の濁りや白内障がかなり頻繁に見られる。白内障は、濁った水晶体を人工の水晶体に置き換えることにより治療することができ、眼科の超音波乳化吸引手術は、現在の先進的な白内障治療技術であり、超音波乳化システムは一般的に超音波エネルギーを使用して水晶体を砕き、袋から水晶体を吸引する。
【0003】
白内障手術及び眼の他の治療過程において、眼内の液体の体積及び眼内圧を正確に制御することは非常に重要である。超音波エネルギーにより白内障を砕き、吸引機能を有する治療用プローブに吸引させることが可能であるが、眼内の流体の総体積が過度に変化しないように、対応するすすぎ液を眼内に導入する必要がある。この過程において、眼内の液体の総体積が小さくなること(小さすぎる圧力)が可能となる場合、眼は、陥凹し、顕著な組織損傷を引き起こす可能性がある。同様に、眼内の大きすぎる圧力は、眼の組織を引っ張って損傷させる可能性がある。
【0004】
手術中に、針先における白内障が突然吸引されると、常にサージの現象が発生し、サージにより眼内圧が迅速に変化し、眼に損傷を与えやすい。
【0005】
従来の眼科手術システムでは、主機と協働可能な手術用箱を使用して灌流及び吸引機能を達成することが一般的であるが、従来技術は、一般的に、重力灌流の形態で灌流機能を達成し、灌流圧の大きさをリアルタイムに検出することはできなく、従来技術には、サージが発生する時に灌流通路から液体を吸引通路に流入させることが多く、この方式により灌流圧が不安定になり、眼内圧の変化が大きくなる。
【0006】
したがって、眼内の液体の体積と眼内圧とのバランスを取ることは、現在、眼科手術において急務の課題となっている。
【発明の概要】
【0007】
本発明は、従来技術の欠点を解消し、超音波乳化吸引手術用の液体貯留箱を提供することを目的とする。本発明の目的は、以下の技術的解決手段により達成される。
【0008】
超音波乳化吸引手術用の液体貯留箱は、前側板、本体、及び後側板が共に構成する箱体を含み、前記箱体には、廃液バッグが連通され、前記本体には、独立して設置される灌流通路及び吸引通路を有し、前記灌流通路は、蓋体及び前記本体が共に限定する密封流通室であり、前記流通室は、前記本体における第1の接続口及び第2の接続口と連通して灌流し、前記蓋体と前記本体との間に間隙が存在し、前記蓋体を押圧することにより前記灌流通路の開閉を制御し、前記吸引通路は、第3の接続口と前記廃液バッグを連通し、蠕動ポンプにより吸引する管路であり、前記吸引通路には、その内部の圧力を調整するように、負圧調整回路がさらに連通される。
【0009】
好ましくは、前記蓋体の裏面には、その縁に沿って下向きに延在する凸リブが設置され、前記本体には、前記凸リブとマッチする凹溝が設置され、前記凸リブと前記凹溝は締まり嵌め、且両者の間に間隙が存在し、前記流通室のチャンバー壁は、前記蓋体の裏面及び前記本体の表面が共に限定し、前記流通室の灌流出水口及び灌流給水口は、いずれも前記
本体に位置し、且前記灌流出水口は、前記第1の接続口と連通し、前記灌流給水口は、前記第2の接続口と連通する。
【0010】
好ましくは、前記蓋体には、前記灌流出水口に対向する外凸部と、前記灌流給水口に対向する弾性部とを有し、第1の状態において、前記外凸部と前記灌流出水口との間には間隙が存在して前記流通室内に液体の流れを維持させ、第2の状態において、前記外凸部が押圧され、前記外凸部が前記灌流出水口に密着して、前記流通室内の液体の流れを遮断し、前記弾性部は、灌流時に変形可能であり、前記弾性部には、センサーが設置されて、生じた変形により前記流通室内の灌流圧を検出する。
【0011】
好ましくは、前記吸引通路は、前記本体における第1の連通口と第2の連通口とを含み、前記第3の接続口は、前記第1の連通口と連通し、前記廃液バッグは、前記第2の連通口と連通し、前記第1の連通口と第2の連通口との間には、前記蠕動ポンプのポンプチューブが連通され、前記ポンプチューブは、前記本体における位置限定機構に設置され、前記位置限定機構は、前記本体に固設される位置限定溝と、前記位置限定溝の両端に係設される2つの固定ブロックとを含み、前記固定ブロックの各々は、いずれも前記ポンプチューブと固着され、且前記ポンプチューブの延在方向の両側には、ストッパーが設置される。
【0012】
好ましくは、前記吸引通路は、前記本体の裏面に設置される収容室を含み、前記収容室は、前記本体、後側板及びシールリングが共に構成する密封チャンバーであり、前記収容室の給液口は、前記第2の連通口と連通し、且前記収容室は、連通部材を介して前記廃液バッグと連通する。
【0013】
好ましくは、前記収容室内には、仕切板が立設され、前記仕切板により第1のチャンバーと第2のチャンバーに仕切られ、前記給液口は、前記第1のチャンバーと連通し、前記仕切板の頂部には、切り欠きを有し、前記第1のチャンバー内の液体は、前記切り欠きを介して前記第2のチャンバーに入る。
【0014】
好ましくは、前記連通部材は、同じで且前記後側板の内側面に立設される2つの接続管であり、2つの前記接続管は、前記第1のチャンバーと第2のチャンバー内にそれぞれ設置され、前記接続管は、入口がその頂部に位置し、出口が前記後側板に接続されるその側面の底部に位置し、前記出口は、前記廃液バッグにおける貫通孔に対向して設置され連通する。
【0015】
好ましくは、前記負圧調整回路は、前記本体の表面に設置され、還流給水口、還流出水口及び密封通路により構成され、前記還流給水口は、前記第2のチャンバーと連通し、前記還流出水口は、前記第3の接続口と連通し、前記密封通路の室壁は、密閉蓋と前記本体の表面が共に限定し、前記吸引通路が塞がれると検出した場合、前記還流給水口が開き、前記吸引通路が塞がれていない場合、前記還流給水口が閉じる。
【0016】
好ましくは、前記吸引通路内の負圧値は、前記本体の表面に設置される負圧センサーにより検出され、前記負圧センサーは、変形可能な金属シートと前記本体の表面が共に構成する密封キャビティであり、前記密封キャビティは、それぞれ前記第3の接続口と第1の連通口と連通する。
【0017】
好ましくは、前記後側板の裏面に手持ち可能な環状部材が設置される。
【0018】
本発明の有益な効果は、主に以下に表現される。
1、灌流通路と吸引通路を独立して設置することにより、両者が互いに干渉せず、塞が
れる場合に吸引通路の収容室内の液体で眼内圧を調整するとともに、灌流通路内部の圧力の安定性を保証し、眼内圧の変化を低減させ、使用の安全性を向上させ、
2、灌流通路が有する蓋体が有する弾性部は、灌流時に変形して膨張し、その自身の弾性は、灌流液が入る時に生じる衝撃を緩和できる一方で、その変形の大きさにより、本体におけるセンサーと協働して、その灌流圧の大きさをリアルタイムに検出することができ、
3、灌流通路が有する外凸部は、灌流出水口の位置に対向して設置されることにより、押圧して灌流液を遮断する必要がある場合、迅速に位置決めできる一方で、それと灌流出水口との間の間隙を増大させ、灌流通路が十分な容量を有することを確保することができ、
4、吸引通路は、蠕動ポンプを用いて吸引機能を達成し、蠕動ポンプによる吸込みは、より優れた安定性及び安全性を有し、しかも、ポンプチューブの位置を固定するために位置限定機構が設置され、ポンプチューブが動作中に軸方向に移動し、ねじれることを効果的に防止することができ、
5、吸引通路には、負圧調整回路が連通されて、吸引通路に塞ぎが生じることにより内部負圧が大きすぎることを防止し、眼の陥凹と不要な組織損傷を避け、手術の安全性を確保し、リスクを低減させ、
6、吸引通路には、負圧センサーがさらに設置され、金属シートの変形可能な属性を利用して吸引通路内部の負圧をリアルタイムに反映し、その変形により負圧の大きさをリアルタイムにモニタリングし、検出した負圧により負圧調整回路の開閉を制御して、前記吸引通路内部の圧力に対する精確な制御を向上させることができ、
7、前記収容室内には、仕切板が立設され、仕切板を設置することにより、吸引管路の大粒子状物質を第1のチャンバー内に止めることができ、濾過作用を果たし、還流給水口を介して吸引管路に入ることを防止する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
以下、本発明の技術的解決手段を図面に合わせてさらに説明する。
【
図3】本発明における本体の一部の構造概略図である。
【
図7】本発明における後側板の裏面と廃液バッグの一部の概略図である。
【
図8】本発明における後側板の表面と廃液バッグの一部の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面に示された具体的な実施形態に合わせて本発明を詳細に記述する。しかし、これらの実施形態は、本発明を限定するものではなく、当業者がこれらの実施形態に基づいて行う構造、方法、又は機能上の変換は、いずれも本発明の保護範囲内に含まれる。
【0021】
解決手段の記述において、説明すべきものとして、用語の「中心」、「上」、「下」、「左」、「右」、「前」、「後」、「垂直」、「水平」、「内」、「外」などが指示する方位又は位置関係は、図面に示された方位又は位置関係に基づくものであり、記述を容易にし、記述を簡略化するためのものに過ぎず、指す装置又は素子は特定の方位を有し、特定の方位で構造及び操作されなければならないことを指示又は示唆するものではなく、したがって、本発明を限定するものとして理解できない。また、用語の「第1」、「第2」、「第3」は、記述のみを目的とし、相対的な重要性を指示又は示唆するものとして理解できない。そして、解決手段の記述において、操作者を基準として、操作者に近づく方向
を近端、操作者から遠ざかる方向を遠端とする。
【0022】
図1~
図9に示すように、本発明は、超音波乳化吸引手術用の液体貯留箱を開示し、それは前側板1、本体2、及び後側板3が共に構成する箱体を含み、前記箱体には、廃液バッグ4が連通され、前記本体2には、独立して設置される灌流通路及び吸引通路を有し、前記灌流通路は、蓋体5及び前記本体2が共に画定する密封流通室100であり、前記流通室100は、前記本体2における第1の接続口201及び第2の接続口202と連通して灌流し、前記蓋体5と前記本体2との間に間隙が存在し、前記蓋体5を押圧することにより前記灌流通路の開閉を制御し、前記吸引通路は、第3の接続口203と前記廃液バッグ4を連通し、蠕動ポンプにより吸引する管路であり、前記吸引通路には、その内部の圧力を調整するように、負圧調整回路がさらに連通される。前記灌流通路と吸引通路を独立して設置することにより、両者が互いに干渉せず、サージが発生する時に前記吸引通路を使用して眼内の液体を吸引して眼内圧を調整するとともに、前記灌流通路内部の圧力の安定性を保証し、眼内圧の変化を低減させ、使用の安全性を向上させる。
【0023】
具体的には、
図3及び
図4に示すように、前記蓋体5の裏面において、その縁に沿って下向きに延在する凸リブ501が設置され、前記本体2には、前記凸リブ501とマッチする凹溝204が設置され、前記凸リブ501と前記凹溝204は締まり嵌め、且両者の間に間隙が存在し、前記流通室100の室壁は、前記蓋体5の裏面及び前記本体2の表面が共に画定し、前記流通室100の灌流出水口101及び灌流給水口102は、いずれも前記本体2に位置し、且前記灌流出水口101は、前記第1の接続口201と連通し、前記灌流給水口102は、前記第2の接続口202と連通する。灌流を行う時、灌流液は、順次、前記第2の接続口202から前記灌流給水口102に入り、前記流通室100内に流入し、そして、前記灌流出水口101から第1の接続口201に流出する。
【0024】
さらに、前記蓋体5は、前記灌流出水口101に対向する外凸部502と、前記灌流給水口102に対向する弾性部503とを有し、第1の状態において、前記外凸部502と前記灌流出水口101との間には間隙が存在して前記流通室100内に液体の流れを維持させ、第2の状態において、前記外凸部502が押圧され、前記外凸部502が前記灌流出水口101に密着して、前記流通室100内の液体の流れを遮断する。前記外凸部502の外部には、押圧を行うために、例えば、ソレノイドバルブなどの直線運動部材が設置されてもよい。構造上、前記外凸部502は、灌流出水口101に対向して設置されることにより、灌流液を押圧して遮断する必要がある場合、迅速に位置決めできる一方で、それと灌流出水口101との間の間隙を増大させ、灌流通路が十分な容量を有することを確保することができる。
【0025】
前記弾性部503は、例えば、シリカゲル、ゴムなどの軟質シール材で構成されることが好ましく、前記弾性部503は、厚さ0.2~0.6mmのフィルムで、灌流時に変形可能であり、前記弾性部503には、生じた変形により前記流通室100内の灌流圧を検出し、灌流圧に基づいて、それとマッチする輸液ボトル(図示せず)の高さと水量を判断するセンサー(図示せず)が設置される。センサーが変形の程度を測定することにより圧力値の大きさを求めることは従来技術であり、本発明のポイントではないので、ここでは詳述しない。前記弾性部503自体の弾性は、灌流液が入る時に生じる衝撃を緩和することもできる。
【0026】
図3、
図5に示すように、前記吸引通路は、前記本体2における第1の連通口205と第2の連通口206とを含み、前記第3の接続口203は、前記第1の連通口205と連通し、前記廃液バッグ4は、前記第2の連通口206と連通し、前記第1の連通口205と第2の連通口206との間には、前記蠕動ポンプのポンプチューブ10が連通され、前記ポンプチューブ10は、前記本体2における位置限定機構に設置され、前記位置限定機
構は、前記本体2に固設される位置限定溝7と、前記位置限定溝7の両端に係設される2つの固定ブロック701とを含み、前記固定ブロック701の各々は、いずれも前記ポンプチューブ10と固着され、且前記ポンプチューブ10の延在方向の両側には、ストッパー702が設置される。このような構造は、前記ポンプチューブ10が動作中に軸方向に移動し、ねじれることを効果的に防止して、前記ポンプチューブ10の安定性を確保することができる。
【0027】
さらに、
図6に示すように、前記吸引通路は、前記本体2の裏面に設置される収容室9を含み、前記収容室9は、前記本体2、後側板3及びシールリング8が共に構成する密封チャンバーであり、他の実行可能な実施例において、前記後側板3の表面は、前記シールリング8とマッチする後蓋を設置して前記密封チャンバー9の密封性をさらに確保することができる。
【0028】
前記収容室9の給液口901は、前記第2の連通口206と連通し、且前記収容室9は、連通部材を介して前記廃液バッグ4と連通する。具体的には、前記収容室9内には、仕切板902が立設され、前記仕切板902により第1のチャンバー903と第2のチャンバー904に仕切られ、前記給液口901は、前記第1のチャンバー903と連通し、前記仕切板902の頂部には、切り欠き9021を有し、前記第1のチャンバー903内の液体は、前記切り欠き9021を介して前記第2のチャンバー904に入る。前記切り欠き9021を設置することにより、前記第1のチャンバー903内の液体は、前記第2のチャンバー904内に流入するために、一定の高さに達することが必要とされ、このような構造の設置により、前記仕切板902は前記第1のチャンバー903内の体積の大きい不純物を濾過でき、不純物が前記負圧調整回路に流入することを防止し、大粒の不純物が還流給水口601を介して吸引通路内に入ることを防止するという目的を達成し、前記吸引通路が塞がれることを低減する。好ましい本実施例では、前記仕切板902は、前記切り欠き9021を利用して濾過するが、他の実行可能な実施例では、前記仕切板902は、その頂部にいくつかの濾過孔を設置して濾過することもできる。図示の実施例において、前記切り欠き9021は、直線的な角切欠きであるが、他の実行可能な実施例において、前記切り欠き9021は、任意の適切な形状を有することができる。
【0029】
図7、
図8に示すように、前記連通部材は、同じで且前記後側板3の内側面に立設される2つの接続管301であり、2つの前記接続管301は、前記第1のチャンバー903と第2のチャンバー904内にそれぞれ設置され、前記接続管301は、入口3011がその頂部に位置し、出口3012が前記後側板3に接続されるその側面の底部に位置し、前記出口3012は、前記廃液バッグ4における貫通孔401に対向して設置されて連通する。前記接続管301は、前記第1のチャンバー903と第2のチャンバー904内の液体の高さが前記入口301を超える場合、前記第1のチャンバー903と第2のチャンバー904内の液体が前記接続管301内に入り、前記出口3012から前記廃液バッグ4内に入るように構成される。
【0030】
図7、
図8に示すように、前記後側板3と前記本体2との間の緊密な接続を確保するために、前記後側板3の内側面は、1組の係止具302を有し、前記本体2には、前記係止具302とマッチする係止孔207を有し、前記係止具302は、前記係止孔2017内に係設可能であり、前記後側板3と前記本体2とを係着する。さらに、前記後側板3の縁には、前記本体2と係着する1組の係止爪304が設置され、前記本体2と後側板3には、マッチする位置決め孔208と位置決め柱303が係合して両者間の接続の安定性をさらに強化するようにさらに設置される。
【0031】
図7に示すように、取りやすいために、前記後側板3の裏面に手持ち可能な環状部材12が設置される。他の実行可能な実施例において、前記部材12は、環状でなくてもよく
、円形、四角形、楕円形などの任意の適切な形状であってもよい。
【0032】
図1、
図3、及び
図5に示すように、前記負圧調整回路は、前記本体2の表面に設置され、還流給水口601、還流出水口602及び密封通路603により構成され、前記還流給水口601は、前記第2のチャンバー904と連通し、前記還流出水口602は、前記第3の接続口203と連通し、前記密封通路603の室壁は、密閉蓋6と前記本体2の表面が共に画定し、前記吸引通路内の負圧が設定値に達した場合は、この時、前記吸引通路が塞がれたことを表し、前記還流給水口601が開き、前記吸引通路内の負圧が設定値よりも小さい場合は、すなわち、この時、前記吸引通路が塞がれておらず、前記還流給水口601が閉じる。前記吸引通路が塞がれ又はその他の緊急状況により前記吸引通路内部の負圧が過大になる場合、前記負圧調整回路を設置することにより、前記還流給水口601を迅速に開き、前記第2のチャンバー904内の液体を前記吸引通路に吸入して、前記吸引通路内部の負圧を迅速に調整するという目的を達成し、それにより眼内圧の迅速な変化を避け、眼内の陥凹又は顕著な組織損傷の発生を防止することができる。
【0033】
前記負圧調整回路は、常時の状態では、閉じ状態であり、前記吸引通路内の負圧が設定値に達した場合にのみ開き、前記負圧調整回路の開閉を制御するために、前記吸引通路に負圧センサーが設置されて、前記吸引通路内の負圧値をリアルタイムにモニタリングする。
図9に示すように、前記負圧センサーは、変形可能な金属シート11と前記本体2の表面が共に構成する密封キャビティ200であり、前記密封キャビティ200は、それぞれ前記第3の接続口203と第1の連通口205と連通する。前記金属シート11は、好ましくは、ステンレス材質であるため、良好な柔軟性を備え、前記金属シート11は、前記密封キャビティ200の密封性を確保するように、射出成形、接着などのプロセスにより前記本体110に固定されてよい。前記密封キャビティ200は、前記第3の接続口203と第1の連通口205との間に設置されることで、前記密封キャビティ200はその変形により前記吸引通路内の負圧の大きさをリアルタイムに反映することができ、前記本体2に設置される別の検出機構(図示せず)と協働して前記吸引通路内の負圧値を検出することにより、検出した負圧値に基づいて前記負圧調整回路の開閉を制御して、前記吸引通路内部の圧力の精確な制御を向上させることができる。前記検出機構は、圧力センサー、レーザ検出器などであってもよく、変形の程度を測定することにより圧力値の大きさを求めることは従来技術であり、本発明のポイントではないので、ここでは詳述しない。
【0034】
理解すべきものとして、本明細書は実施形態に基づいて記述されるが、各実施形態は1つの独立した技術的解決手段のみを含むものではなく、明細書のこのような説明方式は、明瞭化の目的に過ぎず、当業者は明細書を1つの全体とすべきであり、各実施形態における技術的解決手段を適切に組み合わせ、当業者が理解可能な他の実施形態を形成することもできる。
【0035】
上記列挙した一連の詳細な説明は、本発明の実行可能な実施形態に対する具体的な説明だけであり、それらは本発明の保護範囲を限定するものではなく、本発明の技術的思想から逸脱せずに行われる等価な実施形態又は変更は、いずれも本発明の保護範囲内に含まれるべきである。
【国際調査報告】