(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-25
(54)【発明の名称】ニオブ酸リチウムのドライエッチング方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/3065 20060101AFI20240118BHJP
【FI】
H01L21/302 105A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023544098
(86)(22)【出願日】2021-12-09
(85)【翻訳文提出日】2023-07-20
(86)【国際出願番号】 CN2021136779
(87)【国際公開番号】W WO2022267373
(87)【国際公開日】2022-12-29
(31)【優先権主張番号】202110697917.1
(32)【優先日】2021-06-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519453825
【氏名又は名称】江蘇魯▲もん▼儀器股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】JIANGSU LEUVEN INSTRUMENTS CO. LTD
【住所又は居所原語表記】Liaohe West Road 8, Pizhou Economic Development Zone Xuzhou, Jiangsu 221300, China
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】馮 英雄
(72)【発明者】
【氏名】戴 海成
(72)【発明者】
【氏名】劉 建
(72)【発明者】
【氏名】車 東晨
(72)【発明者】
【氏名】彭 泰彦
(72)【発明者】
【氏名】許 開東
【テーマコード(参考)】
5F004
【Fターム(参考)】
5F004AA05
5F004BA20
5F004BB25
5F004BB26
5F004CA03
5F004CA04
5F004DA04
5F004DA22
5F004DA23
5F004DA24
5F004DB12
5F004EA05
5F004EA06
5F004EA07
5F004EA13
5F004EA37
(57)【要約】
ニオブ酸リチウムのドライエッチング方法であって、半導体加工の分野に属する。ニオブ酸リチウムをドライエッチングするエッチングステップは、パターン化されたニオブ酸リチウムをエッチング機に投入するステップと、エッチングガスCl
2、H
2及び不活性ガスを混合したものをエッチング機のエッチングキャビティ内に導入し、エッチング機をRFで点火して起動させ、エッチングを開始するステップと、エッチング時間に達すると、エッチングを終了するステップと、を含む。ニオブ酸リチウムをドライエッチングするガスとしてCl
2/H
2を用い、従来のニオブ酸リチウムのフッ素系エッチング系とは異なり、誘電体材料やフォトレジストをマスクとして使用し、生産プロセスを最適化し、生産能力を大幅に向上させ、コストを節約することができる。ニオブ酸リチウムのドライエッチングは、従来のフォトレジストマスクやSiO、SiN、Siなどの誘電体材料をハードマスクとして使用することができ、良好な選択比と良好な形態を得ることができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ニオブ酸リチウムのドライエッチング方法であって、
パターン化されたニオブ酸リチウムをエッチング機に投入するステップ1と、
エッチングガスCl
2、H
2及び不活性ガスを混合したものを前記エッチング機のエッチングキャビティ内に導入し、前記エッチング機をRFで点火して起動させ、エッチングを開始するステップ2と、
エッチング時間に達すると、エッチングを終了するステップ3と、を含む、方法。
【請求項2】
前記ステップ1の前記ニオブ酸リチウムはニオブ酸リチウムウエハであり、前記ニオブ酸リチウムウエハはエッチング対象材料とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ステップ1の前記ニオブ酸リチウムは、基板の上方に成長させた、エッチング対象材料とするニオブ酸リチウム薄膜で製造されたウエハである、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記ニオブ酸リチウムウエハ又は前記ニオブ酸リチウム薄膜含有ウエハは、ドライエッチングにおけるパターン化が完了したマスク材料としてSiO薄膜、SiN薄膜又はSi薄膜を使用し、前記SiO薄膜、前記SiN薄膜又は前記Si薄膜はハードマスクである、請求項2又は3に記載の方法。
【請求項5】
前記ニオブ酸リチウムウエハ又は前記ニオブ酸リチウム薄膜含有ウエハは、ドライエッチングにおけるパターン化が完了したマスク材料としてフォトレジストを使用する、請求項2又は3に記載の方法。
【請求項6】
前記ステップ2の前記エッチングガス中、ガス全流量に占める前記H
2の割合が20%~80%である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記ステップ2の前記エッチングガス中、ガス全流量に占める前記Cl
2の割合が5%~60%である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記エッチング機は、前記エッチング中の上部RFの電力範囲が200w~1200wであり、下部RFの電力範囲が30w~600wである、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記エッチング機は、前記エッチング中のキャビティ圧が20mT未満である、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記エッチング機は、前記エッチング中の冷却液の温度範囲が0℃~80℃である、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、半導体加工の分野に関し、特にニオブ酸リチウムのドライエッチング方法に関する。
【0002】
本願は、2021年6月23日に中国特許庁に提出された、出願番号202110697917.1、出願名「ニオブ酸リチウムのドライエッチング方法」の中国特許出願の優先権を主張するものであり、その全内容は参照することにより本願に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
ニオブ酸リチウム(LN:Lithium niobate)結晶は、酸素八面体構造を持つ強誘電体である。圧電、電気光学、音響光学、非線形光学性能やフォトリフラクティブなどの効果を一体化し、光変調、光増幅、光スイッチ、光貯蔵や光導波路などの多くの分野で広範に使用されており、今まで発見された、光学性能が最も多く、総合指標が最も良い人工結晶の1つである。集積光学の発展に伴い、デバイスの性能、集積度に対する要件は絶えず高まり、LNのエッチングプロセスに対しても更に多くの要件が求められている。
【0004】
ドライエッチングは、プラズマ状態の原子、分子と材料表面との作用を利用して、揮発性物質を形成する、又は試料表面に直接衝突してそれをエッチングするプロセスであり、異方性エッチングを実現することができ、即ち、縦方向のエッチング速度を横方向のエッチング速度よりはるかに速くすることで、微細なパターンの転写後の忠実度を確保する。ドライエッチングにおける誘導結合プラズマ(ICP)エッチング技術は、制御精度が高く、大面積エッチングの均一性に優れ、汚染が少ないなどの利点から、半導体デバイスの製造においてますます多く応用されている。
【0005】
しかし、LNはエッチングが非常に難しい材料である。従来のICPによるLNエッチングでは、フッ素系ガス(例えば、CF4、CHF3、SF6)と不活性ガス(例えば、Ar)との組み合わせを選択して使用するのが一般的である。ドライエッチングでよく使用されるCl2などの塩素系ガスに関しては、LNをエッチングすることに用いることが文献や特許ではまれに報告されている。LN中のNb元素がFイオンと化学反応を起こし、揮発しやすいNBF3、NBF4、NBF5を生成し、ニオブ酸リチウム中のLiがFイオンと反応して、揮発しにくいLiFが生成されてエッチング面に堆積され、エッチング速度が低下し、エッチング面の粗さが増大する。Arガスのイオン衝撃によりLiF堆積物が除去され、エッチング反応における物理的作用が増大し、エッチング速度が向上し、エッチング表面の平滑性が向上することができる。
【0006】
LNのエッチング速度が遅いので、比較的深いエッチング深さを得るために、多くの場合、マスクはF系ガス下でエッチングに耐える金属膜層、例えば金属Cr、Cu、Alを選択する。しかし、金属薄膜の製造には専用設備が必要で、製造プロセスが煩雑で、コストが高く、エッチング後に除去することが難しく、金属は、リフトオフプロセスによりパターンを形成する過程において、LNウエハに損傷を与え、その結果として、ウエハに割れが発生し、後続のプロセスに悪影響を与える恐れがあり、金属マスクはパターンが形成されると、側壁に垂直方向の縞が存在することが多く、ドライエッチングはこのような縞をエッチング後のLN側壁に転写し、エッチング後のLN側壁の平滑度の不足を招く。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本願の様々な例示的な実施例は、ニオブ酸リチウムのドライエッチング方法を提供する。
【0008】
本願の一実施例は、ニオブ酸リチウムのドライエッチング方法を提供し、該方法は、パターン化されたニオブ酸リチウムをエッチング機に投入するステップ1と、エッチングガスCl2、H2、及びArガスやHeガスなどを用いる不活性ガスを混合したものを前記エッチング機のエッチングキャビティ内に導入し、エッチング機をRFで点火して起動させ、エッチングを開始するステップ2と、エッチング時間に達すると、エッチングを終了するステップ3と、を含む。
【0009】
一実施例では、前記ステップ1の前記ニオブ酸リチウムはニオブ酸リチウムウエハであってもよく、その分割方向は限定されず、該ウエハはエッチング対象材料である。
【0010】
一実施例では、前記ステップ1の前記ニオブ酸リチウム試料は、基板の上方に成長させた、ニオブ酸リチウム薄膜で製造されたウエハであるため、その分割方向は限定されず、前記ニオブ酸リチウム薄膜含有ウエハはエッチング対象材料とする。該基板はシリコン基板または他の基板であり、基板上にシリカなどの薄膜材料が存在してもよい。
【0011】
一実施例では、ステップ1の前記ニオブ酸リチウム試料は、ドライエッチングにおけるマスク材料としてSiO薄膜、SiN薄膜又はSi薄膜などのハードマスクを使用してもよく、エッチング前に該試料はパターン化を完了しなければならない。
【0012】
一実施例では、前記ステップ1の試料は、ドライエッチングにおけるマスク材料としてフォトレジストを使用し、エッチング前に該試料はパターン化を完了しなければならず、本願に記載のニオブ酸リチウムのドライエッチング方法では、前記ステップ2の前記エッチングガス中、ガス全流量に占める前記H2の割合が20%~80%である。
【0013】
一実施例では、前記ステップ2の前記エッチングガス中、ガス全流量に占める前記Cl2の割合が5%~60%である。
【0014】
一実施例では、前記エッチング機は、前記エッチング中の上部RFの電力範囲が200w~1200wであり、下部RFの電力範囲が30w~600wである。
【0015】
一実施例では、前記エッチング機は、前記エッチング中のキャビティ圧が20mT未満である。
【0016】
一実施例では、前記エッチング機は、前記エッチング中の冷却液の温度範囲が0℃~80℃である。
【発明の効果】
【0017】
本願で採用されているニオブ酸リチウムのドライエッチング方法は、従来のニオブ酸リチウムのフッ素系エッチング系とは異なり、Cl2/H2ガスを用いてニオブ酸リチウムのエッチングを行う。本願は、誘電体材料やフォトレジストをマスクとして使用することができ、これにより、生産ラインに適用した場合、生産プロセスを最適化するだけでなく、生産能力を大幅に向上させ、コストを節約することができる。
【0018】
本願で採用されているニオブ酸リチウムのドライエッチング方法によれば、ニオブ酸リチウムのドライエッチングには、従来のフォトレジストマスクやSiO、SiN、Siなどの誘電体材料をハードマスクとして使用することができ、良好な選択比と良好な形態を得ることができる。
【0019】
本願で採用されているニオブ酸リチウムのドライエッチング方法によれば、ニオブ酸リチウムのマスクに対する選択比が高いので、誘電体マスク又はフォトレジストマスクの厚さをより薄くすることができ、マスクのパターン化プロセス及び除去プロセスを簡略化する。
【0020】
従来の生産ラインでは、ニオブ酸リチウムのエッチングには、Cr、Al、Cuなどの金属マスクを使用することが多かった。金属マスクを用いたLNエッチングには多くの弊害がある。
【0021】
従来技術で採用されている金属マスクは、製造プロセスが煩雑で、コストが高く、金属マスクの堆積には専用の設備が必要であり、金属マスクのパターン化には、まずフォトリソグラフィを行い、次に、複雑なプロセスを用いてパターンを金属膜層に転写する必要がある。一方、本願で採用されているニオブ酸リチウムのドライエッチング方法では、採用したフォトレジストマスクはフォトリソグラフィープロセスだけでパターンを形成し、誘電体マスクの堆積コストが低く、パターン化が容易であり、さらには、パターン化はドライエッチングステップと同一のエッチキャビティ内で完了することもできる。
【0022】
従来技術で採用されている金属マスクは、エッチング後に除去することが困難であり、除去コストが高い。一方、本願で採用されているニオブ酸リチウムのドライエッチング方法では、採用した誘電体やフォトレジストは、ドライエッチング後に容易に除去され、除去コストが安く、方法が成熟しており、さらには、エッチング後に真空を破壊しないままでマスク除去プロセスを行うことも可能となる。
【0023】
ニオブ酸リチウムウエハに対して、金属マスクの堆積とパターン化過程において、関連プロセスはニオブ酸リチウム結晶を損傷しやすく、結晶の割れを引き起こす。本願で採用されているニオブ酸リチウムのドライエッチング方法は、誘電体マスクやフォトレジストマスクを用いることにより、割れの発生を回避することができる。
【0024】
本願で採用されているニオブ酸リチウムのドライエッチング方法は、ニオブ酸リチウムデバイスのプロセスにとって、コストを削減し、プロセスを簡略化するのに有効な手段であり、生産ラインにおける新たなプロセス経路となり、生産コストを大幅に節約し、生産能力を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本願の一実施例に係るSiOマスクを用いたLNウエハのエッチング結果1の概略図である。
【
図2】
図1に示す実施例のSiOマスクを用いたLNウエハのエッチング結果2の概略図である。
【
図3】本願一実施例に係るPRマスクを用いたLNウエハのエッチング結果1の概略図である。
【
図4】
図3に示す実施例のPRマスクを用いたLNウエハのエッチング結果2の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本願の実施例の目的及び技術的解決手段をより明確にするために、以下、本願の実施例の図面を参照して、本願の実施例の技術的解決手段を明確かつ完全に説明する。説明される実施例は、本願の実施例の全てではなく、一部であることは明らかである。創造的な努力をせずに本願の説明された実施例に基づいて当業者によって得られる全ての他の実施例は、本願の保護範囲内にあるものとする。
【0027】
本願に記載のニオブ酸リチウムのドライエッチング方法の基本原理は以下のとおりである。
【0028】
ニオブ酸リチウムのドライエッチングでは、生成物が真空条件下でガス状に存在し、ポンプで引き抜かれ得ることが非常に重要であり、Nbの化合物は一般的に沸点が低く、高真空条件下でガス状に存在して引き抜かれやすく、エッチングの進行に影響を及ぼさず、一方、Liの化合物は一般的に沸点が高く、高真空条件下でも揮発しにくい堆積物が形成されやすく、エッチングの進行を妨げ、側壁の急勾配を低下させ、側壁の粗さを引き起こす。
【0029】
従来のフッ素系ガスがニオブ酸リチウムをエッチングする際に生成するLiFは、常温での沸点が1717℃である。本願では、H2、Cl2及びLi2NbO3が化学反応を起こし、LIの化合物はLiHとLiClを含み、LiHは常温常圧で沸点が950℃、LiClは常温常圧で沸点が1383℃であった。LiHとLiClは、LiFと比較して沸点がより低く、より揮発しやすく、堆積による側壁の傾斜や粗さを少なくし、急勾配のエッチング形態や平滑なエッチング面を得るのに有利である。従来のフッ素系LNエッチング系では、得られた側壁の急峻さが一般的に約60°~75°であり、一方、本系でLNをエッチングすると、80°以上の側壁の急勾配を得ることができた。
【0030】
本願は、従来のPRマスクやSiO、SiN、Siなどの誘電体をハードマスクとして使用してLNをエッチングすることができ、良好な選択比と良好な形態を得ることができ、LNプロセスにとって、コストを低減し、プロセスを簡略化するのに有効な手段であり、金属マスクを使用してLNをエッチングすることによる弊害、例えば、製造プロセスが煩雑で、コストが高く、除去が困難であり、リフトオフプロセスがLN結晶を損傷しやすく、LNの側壁が粗くなりやすいといった弊害を回避する。また、SiO及びPRマスクは側壁を平滑にしやすいので、エッチング後に平滑なLN側壁を得るのに有利である。
【0031】
本願のプロセスでは、主エッチングガスとしてCl2とH2が使用されるとともに、補助用として適量の不活性ガスが添加され、エッチングでは、パラメータが安定したME(Main Etch)ステップが使用される。上部RFの電力は200w~1200wであり、下部RFの電力は30w~600wであり、ガス全流量に占めるH2の割合は20%~80%であり、ガス全流量に占めるCl2の割合は5%~60%であり、キャビティ圧は20mT未満であり、プロセス時の冷却液の温度は0℃~80℃である。エッチング材料が結晶LN又は薄膜LNである場合、パターンは限定されず、適切なパラメータでは、エッチングプロセスは、理想的な形態、より速いエッチング速度、およびマスクに対する比較的高い選択比を得ることができる。
実施例1
【0032】
図1、
図2に示す本実施例では、エッチングプロセスで使用されるマシンは、モデルHAASRODE-E200の誘導結合プラズマ(ICP:Inductively Coupled Plasma)エッチング機とした。使用した試料は、サイズが1cm*1cm、膜層構造が2.1μmSiO/500umZ-cutLNSubであり、SiOハードマスクがすでにパターン化されたLNウエハとした。パターンはCDが約3μmの線である。
【0033】
エッチング機チャンバ内に試料を移送した。適切なエッチングパラメータを設定し、例えば、上部RFの電力600w、下部RFの電力100w、キャビティ圧力5mT、プロセス温度20℃、プロセスのME時間10minを設定し、Cl2、H2及びArを混合したものを導入し、RFで点火して起動させ、エッチングを開始した。
【0034】
エッチング機チャンバ内に試料を移送した。適切なエッチングパラメータを設定し、例えば、上部RFの電力600w、下部RFの電力100w、キャビティ圧力5mT、プロセス温度20℃、プロセスのME時間10minを設定した。Cl2、H2及びArを混合したものを導入し、RFで点火して起動させ、エッチングを開始した。エッチング過程に要する時間長であるエッチング時間に達すると、エッチングを終了した。エッチング終了後、試料を取り出し、SEMを用いて断面を撮影してエッチング形態を検査した。
【0035】
図1、
図2と併せて、エッチング後の実験結果によれば、ERは46.7nm/minであり、LN/SiO選択比は1.57であり、急勾配は約81°であり、側壁が平滑で、底部の粗さがエッチング前の値によることから、従来のLNフッ素系エッチング系では、得られた側壁の急勾配は一般的に約60°~75°であり、一方、本系でLNをエッチングすると、80°以上の側壁の急勾配を得ることができた。
実施例2
【0036】
図3、
図4に示す実施例2では、エッチングプロセスで使用されるマシンはモデルHAASRODE-E200の誘導結合プラズマエッチング機とした。使用した試料は、サイズが1cm*1cm、膜層構造が1.8μmPR/500umZ-cutLNSubであるLNウエハとし、パターンはCDが約2μmの溝である。
【0037】
エッチング機チャンバ内に試料を移送した。適切なエッチングパラメータを設定し、例えば、上部RFの電力600w、下部RFの電力80w、キャビティ圧5mT、プロセス温度20℃、プロセスのME時間10minを設定し、Cl2、H2及びArを混合したものを導入し、RFで点火して起動させ、エッチングを開始した。エッチング終了後、試料を取り出し、SEMを用いて断面を撮影して試料のエッチング形態を検査した。
【0038】
ERは53.7nm/minであり、LN/PR選択比は1.34であり、急勾配は約71°であり、側壁と底部が平滑であった。上記2つの実施例の実験結果によれば、エッチングにおける誘電体材料又はフォトレジストに対するニオブ酸リチウムの選択比は、いずれも約1:1であった。従来のニオブ酸リチウムのフッ素系エッチング系では、得られた側壁の急勾配は一般的に約60°~75°であり、一方、本系でニオブ酸リチウムをエッチングすると、80°以上の側壁の急勾配を得ることができた。また、SiOやPRマスクは側壁を平滑にしやすく、エッチング中の生成物は従来のプロセスより揮発しやすいため、側壁の堆積が少なくなり、エッチング後に平滑な側壁を得るのに有利である。
【0039】
以上は、あくまでも本発明の好ましい実施形態であるが、本願の保護範囲はこれに限定されず、当業者が本願に開示された技術範囲内で容易に想到できる任意の変更又は置換は、いずれも本願の保護範囲内に含まれるものとする。したがって、本願の保護範囲は、特許請求の範囲の保護範囲に従うべきである。
【国際調査報告】