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特表2024-503564アブレーションカテーテルおよびその操作方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-26
(54)【発明の名称】アブレーションカテーテルおよびその操作方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 18/14 20060101AFI20240119BHJP
【FI】
A61B18/14
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023526489
(86)(22)【出願日】2022-01-21
(85)【翻訳文提出日】2023-06-29
(86)【国際出願番号】 US2022013245
(87)【国際公開番号】W WO2022159659
(87)【国際公開日】2022-07-28
(31)【優先権主張番号】63/140,390
(32)【優先日】2021-01-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】21172336.6
(32)【優先日】2021-05-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521448271
【氏名又は名称】シーアールシー イーピー、インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】パネスク、ドーリン
(72)【発明者】
【氏名】ハタ、ケアリー
(72)【発明者】
【氏名】デ ラ ラーマ、アラン
(72)【発明者】
【氏名】イーバート、ヘニング
(72)【発明者】
【氏名】ホルツィンガー、ステフェン
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160KK03
4C160KK17
4C160KK24
4C160KK28
4C160KK38
4C160KK57
(57)【要約】
本発明は、患者の組織を治療するため、例えば患者の心臓に対するPVI処置のためのアブレーションカテーテル(1、2、3)であって、細長いカテーテルシャフト(20、30、40)と、カテーテルシャフトの遠位端に配置されたアブレーション部分(12、22、32)であって、複数の電極(120、220、320)がアブレーション部分に沿って収容される、アブレーション部分(12、22、32)とを備え、アブレーション部分は、三次元螺旋を形成する少なくとも2つのループセクション(121、122、221、222、321、322)を備える、アブレーションカテーテル(1、2、3)に関するものである。アブレーション治療の安全性を高め、隣接する組織(例えば、神経、血管、食道)を傷つけず、アブレーション時間を短縮するために、2つの隣接するループセクションのピッチまたはクリアランス(s1、s2)は、遠位部分の周囲の媒体(例えば、血液または電気分解によって生じたガス)のイオン化閾値よりも大きい。本発明はさらに、そのようなアブレーションカテーテルの操作方法に関するものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高電圧パルスの送出によって患者の組織を治療するためのアブレーションカテーテル(1、2、3)であって、
カテーテルシャフト(20、30、40)と、
前記カテーテルシャフトの遠位端に配置されたアブレーション部分(12、22、32)であって、複数の電極(120、220、320)が前記アブレーション部分に沿って収容される、アブレーション部分(12、22、32)と、
を備え、
前記アブレーション部分は、三次元螺旋を形成する少なくとも2つのループセクション(121、122、221、222、321、322)を備え、
2つの隣接するループセクションのピッチおよび/またはクリアランス(s1、s2)は、それぞれの電極の周りの媒体のイオン化閾値よりも大きい、アブレーションカテーテル(1、2、3)。
【請求項2】
2つの隣接するループセクション(121、122、221、222、321、322)のピッチおよび/またはクリアランスは、それぞれの組織の治療閾値よりもさらに小さい、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項3】
2つの隣接するループセクション(221、222)の直径が、アブレーション部分(22)の遠位端の方向に増加するか、または2つの隣接するループセクション(121、122、321、322)の直径(D1、D2、D3)が、前記アブレーション部分(12、32)の遠位端の方向に減少する、請求項1または2に記載のカテーテル。
【請求項4】
前記アブレーション部分における前記複数の電極(120、220、320)のうちの少なくとも2つは、高電圧の単極もしくは双極のパルスフィールド、または単極と双極の高電圧フィールドの組み合わせを送出するように適合されている、請求項1~3のいずれか一項に記載のカテーテル。
【請求項5】
前記電極(120、220、320)のうちの少なくとも2つは、電子制御ユニット(70)によって制御され、前記電子制御ユニットは、前記複数の電極(120、220、320)のうちの少なくとも2つを高電圧パルス発生器(50)と接続し、これらの少なくとも2つの電極を所定の方法でペアにするように適合されている、請求項1~4のいずれか一項に記載のカテーテル。
【請求項6】
前記カテーテルシャフト(10、20、30)は、高電圧パルスに耐えるのに必要な閾値よりも大きい絶縁耐力を有する材料によって分離された少なくとも2つの管腔を備える、請求項1~5のいずれか一項に記載のカテーテル。
【請求項7】
少なくとも2つの管腔のうちの第1の管腔は、同じ第1の極性を提供する電極に接続された少なくとも2つの電極リード線を保持するように構成され、前記少なくとも2つの管腔のうちの前記第1の管腔とは異なる第2の管腔は、前記第1の極性とは異なる同じ第2の極性を提供する電極に接続された少なくとも2つの電極リード線を保持するように構成される、請求項1~6のいずれか一項に記載のカテーテル。
【請求項8】
前記アブレーション部分(32)は、前記アブレーション部分の遠位先端部に接続された内側支持構造および/または中心ワイヤー(31)を備える、請求項1~7のいずれか一項に記載のカテーテル。
【請求項9】
前記電極は、最遠位電極と最近位電極との間の角度分離が、少なくとも2×360°、または少なくとも720°となるように、前記少なくとも2つのループに沿って分布している、請求項1~8のいずれか一項に記載のカテーテル。
【請求項10】
例えば患者の心臓に対するPVI処置など、患者の組織を治療するためのアブレーションカテーテル(1、2、3)を操作する方法であって、
細長いカテーテルシャフト(20、30、40)と、
前記カテーテルシャフトの遠位端に配置されたアブレーション部分(12、22、32)であって、複数の電極(120、220、320)が前記アブレーション部分に沿って収容される、アブレーション部分(12、22、32)と、
を備え、
前記アブレーション部分は、三次元螺旋を形成する少なくとも2つのループセクション(121、122、221、222、321、322)を備え、
前記複数の電極は、単極配置、双極配置、または単極配置と双極配置の組み合わせで送出される高電圧電荷平衡化パルス電場で通電される、方法。
【請求項11】
ループセクション(121、122、221、222、321、322)に沿った2つの隣接する電極(120、220、320)、または異なるループセクションの2つの隣接する電極が、前記パルス電場で双極配置に通電される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記カテーテル電極に送出されるパルスの電圧振幅は、1kVより大きい、好ましくは2.5kVより大きい、より好ましくは2.5kV~3.5kVである、請求項10または11に記載の方法。
【請求項13】
パルス幅は、0.5μsより大きい、好ましくは0.5μs~30μsである、請求項10~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記複数の電極の周囲の媒体のインピーダンスが、前記複数の電極からの電極を使用して測定される、請求項10~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記複数の電極を使用して、周波数範囲にわたってインピーダンスの値が測定される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記アブレーション部分上に位置する少なくとも2つのマッピング電極、またはマッピングモードで使用されるアブレーション用の前記複数の電極(120、220、320)を使用して、生体電位が周囲の組織から取得される、請求項10~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
請求項1~9のいずれか一項に記載のアブレーションカテーテルを操作する、請求項10~16のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パルスフィールドアブレーション(PFA)に適したアブレーションカテーテルの実施形態に関するものである。特に、本発明は、肺静脈隔離(PVI)、持続性心房細動アブレーション、心室頻拍アブレーションなどが挙げられるが、これらに限定されない心臓アブレーション処置を安全に行うために使用することができるPFAカテーテルの実施形態に関するものである。カテーテルは、複数の電極を備え、パルスフィールドエネルギーを送出して心臓組織の不可逆的なエレクトロポレーションを実現する。
【背景技術】
【0002】
心房細動(AF)患者の治療におけるPVI処置にアブレーションカテーテルを使用することが知られている。このような処置では、肺静脈口(PVO)の周囲または肺静脈洞の周囲に連続した周囲のアブレーション損傷を作り出すことにより、肺静脈(PV)が左心房から電気的に隔離される。したがって、不規則な心房収縮は、PV内で生成される望ましくない摂動電気信号が左心房に伝播するのを妨げることによって回避できる。アブレーションカテーテルは、心室、右心房、左心房本体などや、これらに限定されない他の組織に治療を届けるために使用することができる。また、肺、肝臓、腎臓などの他の臓器もカテーテルを介して治療され得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
単一点先端電極カテーテル、円形多電極ループカテーテル、および様々なエネルギー源を使用するバルーンベースのアブレーションカテーテルなど、いくつかのタイプのアブレーションカテーテルが利用可能である。これらはすべて、カテーテルの再配置、回転、移動をさらに行うことなく、「ワンショット」方式で不整脈誘発因子を心腔の残りの部分から安全に電気的に絶縁する、必要なアブレーションを生み出す能力を欠いている。
【0004】
電気的絶縁の「堀」を1回のショットで安全に達成するカテーテルとシステムを提供することにより、アブレーション治療をさらに改善することが望ましい。電気的絶縁の堀の概念は、不整脈の引き金を取り囲み、心腔の残りの部分への伝播を防ぐ心臓組織の領域として定義される。例えば、これに限定されないが、不整脈誘発因子が肺静脈内部に存在する状況を参照すると、静脈口または静脈洞に位置する組織を完全に生存不能にし、貫壁性を確保するアブレーション領域は、前記電気的絶縁の堀を表すことになる。堀内の組織が生存不可能であるとすると、対応する肺静脈内のトリガーから生じる興奮は、左心房の残りの部分には伝導されない。このような不整脈原性の興奮は、堀によって遮断され、左心房本体を捕らえることはできない。心房細動の場合、前記伝導遮断堀が達成されたとき、誘発機構は排除されるか、または発生頻度が減少することになる。現在利用可能な技術は、点ごと(つまり、カテーテルの位置を連続的なステップで再配置する)、回転(つまり、カテーテルのアクティブ要素を回転させて堀を完成させる)、または再配置(つまり、カテーテルのアクティブな要素を隣接する場所に再配置させて堀を完成させる)によって、伝導遮断または電気的絶縁の前記堀を達成する。換言すれば、従来技術は、「複数のショット」を使用することによって、前記伝導遮断堀を達成する。標的組織に過度の電力を供給することにより、前記伝導遮断堀を1回のショットで達成することは可能かもしれないが、そうすることにより、側副器官(例えば、食道、肺、横隔膜など)が不可逆的な損傷を受けることになる。場合によっては、これらの有害事象は患者に重大な危険をもたらす可能性がある。例えば、従来技術により、左心房の構造に過度の電力を供給すると、心房食道瘻を引き起こす可能性がある。発見が遅すぎると、瘻孔は致命的になる可能性がある。パルスフィールドアブレーションは、適切に設計されていれば、これらの伝導遮断/電気的絶縁堀を1回のショットで安全に、付随的な組織損傷なし、または最小限で作り出すことができるという利点を有し得る。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題は、請求項1の構成を有するアブレーションカテーテル、および請求項9の構成を有するそのようなアブレーションカテーテルの操作方法によって解決される。
【0006】
特に、患者の組織を治療するための(例えば、患者の心臓組織または静脈組織におけるPVI処置のための)アブレーションカテーテルの一実施形態は、細長いカテーテルシャフトと、カテーテルシャフトの遠位端に配置されたアブレーション部分であって、複数の電極がアブレーション部分に沿って収容される、アブレーション部分とを備え、アブレーション部分は、三次元螺旋を形成する少なくとも2つのループセクションを備え、2つの隣接するループセクションのピッチおよび/またはクリアランスは、イオン化閾値よりも大きい。ループセクションまたはループセグメントを使用するカテーテルには、連続または隣接する螺旋を備えたカテーテルが含まれるが、これに限定されない。パルスフィールドアブレーションでは、高強度の電場が使用される。カテーテルが適切に設計されていない場合、電場強度が十分に高くなり、電極間の媒体がイオン化する可能性がある。このような状況では、アーク放電が発生する。アーク放電は、意図しない組織損傷を引き起こすため、患者にとって危険レベルが高まる。さらに、アークの高温によりカテーテルの材料が溶け、患者の血流中に異物が残る可能性がある。したがって、イオン化が起こらないように設計されたカテーテルを使用することが重要である。これは、イオン化を引き起こすことがわかっている、または予想される量(つまり、イオン化閾値)よりも大きな距離にカテーテル電極を保つ設計要素によって実現できる。
【0007】
本出願の枠組み内では、「イオン化閾値」という表現は、アーク放電が発生するように電極間の媒体をイオン化するのに十分な電場強度として理解される。
【0008】
本出願の枠組み内では、「三次元螺旋を形成する少なくとも2つのループセクション」という表現は、三次元螺旋が形成されるように配置された少なくとも2つのループセクションを含む構造として理解される。少なくとも2つのループセクションは、連続または不連続の螺旋として配置され得る。各々のループセクションの始まりと終わりは、三次元螺旋の中心軸線に関して同じ平面内または異なる平面内のいずれかに配置され得る。また、少なくとも2つのループセクション自体は、三次元螺旋の中心軸線に関して同じ平面内または異なる平面内のいずれかに配置され得る。連続螺旋を形成する少なくとも2つのループセクションの一例が図1に示されており、それにより、各々のループセクションの始まりと終わりは、三次元軸線の中心軸に関して異なる平面内に配置されており、それにより、少なくとも2つのループは、三次元軸線に関して異なる平面内に配置される。
【0009】
この出願の枠組み内では、2つの隣接するループセクション(または連続ループ/螺旋の場合はループ/螺旋アーム)のピッチは、2つの隣接するループセクションの各々のループセクションの対向する外面の距離として定義され、距離は、間で距離が測定されるそれぞれのセクションに局所的な接線の方向に対して垂直に測定される。ピッチは、カテーテル段で決定され、少なくとも2つのループセクションを含むアブレーション部分の三次元形状はいかなる外力によっても制限されない。
【0010】
本出願の枠組み内では、2つの隣接するループセクションのクリアランスは、カテーテル段で測定されるピッチと同じ方法で定義され、少なくとも2つのループセクションを含むアブレーション部分の三次元形状は、例えば、図18Bに示されるように、カテーテルが組織に対して圧縮されたとき、外力によって平坦になるか、または略平坦になる。アブレーション部分が外力によって平坦にされた場合、少なくとも2つのループセクションは、三次元螺旋の中心軸線に関して同一平面内にある。
【0011】
一実施形態によれば、アブレーションカテーテルは、アブレーション電極を介してパルスフィールドアブレーション(PFA)エネルギーを心房または心室組織に送出するように構成される。換言すれば、アブレーションカテーテルは、PFAを実行するように構成され得る。特に、アブレーションカテーテルは、AFを含む様々な心臓不整脈を治療するための心臓カテーテルアブレーションを提供するために使用することができる。例えば、アブレーションカテーテルは、PFエネルギーを送出するように構成されたマルチチャネルPFエネルギー発生器に接続されるように構成することができる。前記PFエネルギー発生器の波形は、カテーテルループ設計と併せて、イオン化の可能性を最小限に抑えるか、または低減させながら、意図した治療効果を達成するように考えられている。本発明のカテーテルは、異なるタイプの組織(例えば、静脈、肺、肝臓、腎臓)にも使用することができる。それは、肺静脈隔離(PVI)、持続性心房細動アブレーション、心室頻拍アブレーション、その他のアブレーション処置に使用してもよい。
【0012】
カテーテルシャフトは、その近位端にハンドルを備えていてもよい。アブレーション部分の各々の電極は、1つの電極リード線を介して電源およびカテーテルシャフトの近位端に設けられたパルス発生器に電気的に接続される。さらに、カテーテルは、アブレーション手順を制御し、および/または測定データを処理するための電子制御ユニット(ECU)を備えることができる。別の一実施形態では、カテーテルシャフトの近位端および中間セクションに2つの電極リード線が設けられる。カテーテルシャフトの直径を小さくするために、近位端で、第1の電極リード線が第1の電極群に接続され、第2の電極リード線が第2の電極群に接続される。電極は、それぞれのループセクションに沿った長さが1mm~10mm、好ましくは3mm~5mmとすることができる。カテーテルのシャフトのサイズは、内径7F~14Fのシース、好ましくは内径8.5Fのシースと互換性があり得る。それぞれのループセクションに沿った隣接する電極間の幅は、患者の組織に連続したアブレーション領域を提供するために、1mm~10mm、好ましくは3~6mmで選択できる。
【0013】
一実施形態では、2つの隣接するループセクションのピッチは、それぞれの組織の治療閾値よりもさらに小さい。それぞれの組織の治療閾値は、連続的な堀を達成することがわかっているか、または予想される距離として理解される。
【0014】
2つの隣接するループセクションの第1のセットのピッチおよび/またはクリアランスは、2つの隣接するループセクションの第2のセットのピッチおよび/またはクリアランスと異なるかまたは等しくてもよい。再度、説明および開示は、連続または隣接するループまたは螺旋構造を採用するカテーテル設計に等しく当てはまる。
【0015】
PFAを使用する本発明のアブレーションカテーテルは、不可逆的エレクトロポレーション(IRE)によって組織を生存不能にすることを意図している。IRE中、隣接するループセクションに収容された電極によって提供される電場により、心臓の細胞膜に細孔が形成される。細孔の数とそのサイズが十分に大きい場合、IREが発生し、細胞自体が死ぬようにプログラムされる。そのため、アブレーション部分の隣接するループセクションは、いわゆるアブレーション領域を形成する。アブレーション領域内にIREを引き起こす適切な治療を提供するには、イオン化とそれによる瘢痕化を避けるために、2つの隣接するループセクションのピッチおよび/またはクリアランスが、イオン化閾値よりも大きい必要がある。さらに、ピッチおよび/またはクリアランスが治療閾値未満に選択されると、生成された電場により確実に細孔が形成される。ループセクションのピッチを上述の閾値に適合させることの追加の利点は、PFA治療の安全性が向上し、隣接する組織(例えば、神経、血管、食道)が損なわれないため、心臓の通常のポンプ性能が影響を受けないことである。ループセクションまたは螺旋アームが標的領域に展開するのに適切なサイズであれば、伝導遮断堀を1回のショットで達成できる。その結果、アブレーション時間が短縮される。
【0016】
一実施形態では、特に体液(例えば、血液)、血管、および/または心房組織に関して、イオン化閾値は2mmである。さらなる一実施形態では、やはり特に血管および/または心房組織に関して、治療閾値は8mm、好ましくは4~6mmである。イオン化閾値と治療閾値は、異なる極性を有する2つの電極間の距離に直接関係している。この実施形態では、少なくとも2mmのピッチおよび/またはクリアランスにより、アーク放電および潜在的な傷跡が確実に回避される。治療閾値に関しても同じことが当てはまる。最大8mm、好ましくは4~6mmのピッチおよび/またはクリアランスにより、連続した堀が確実に達成される。
【0017】
一実施形態では、ピッチおよび/またはクリアランスは、イオン化閾値と治療閾値との間の中央値より大きくなるように選択される。アブレーション部分は、アブレーション中にわずかに圧縮される可能性があるため、イオン化閾値と治療閾値の間の半分より大きい領域内で選択されるピッチおよび/またはクリアランスは、わずかに圧縮された状態にあっても、アブレーション領域がIREに関して有利なサイズであることが確実に保証される。
【0018】
一実施形態では、2つの隣接するループセクションの直径は、プランジャー型アブレーションカテーテルを形成するアブレーション部分の遠位端の方向に増加する。プランジャー型アブレーションカテーテルは、心室または左心房後部の心房領域のアブレーションに使用できる。あるいはまた、2つの隣接するループセクションの直径は、コークスクリュー型のアブレーションカテーテルを形成するアブレーション部分の遠位端の方向に向かって減少する。コークスクリュー型アブレーションカテーテルは、PVの心房端の領域内のアブレーションに使用できる。ループセクションの直径は、例えば、10mm~40mmとすることができる。より具体的には、左心房内で使用される場合、最も幅の広いループセクションの直径は、20~35mm、好ましくは25~32mmとすることができる。最小直径は、12~22mm、好ましくは15~20mmとすることができる。直径は、反対側のループセクションの両方の内面から測定される。両方の領域について、アブレーション部分の形状は、アブレーションされるそれぞれの領域の特定の形状に適合される。
【0019】
アブレーション部分が複数の別個のマッピング電極を備え得ることも本発明の範囲内であり、マッピング電極は、血管または心房組織からの電気信号(例えば、電気または生体電位)を受信するように構成される。あるいはまた、アブレーションモードでアブレーションに使用される電極は、マッピングする(すなわち、血管または心房組織から生体電気信号を受信する(例えば、電気または生体電位を取得する))ために使用されてもよい。アブレーション中、これらの電極は、アブレーションモードになる。これにより、PVIに対する単一のアブレーションカテーテルによるマッピングとアブレーションが可能になるだけでなく、AF患者に対する一部の非PVトリガーのアブレーションも可能になり得る。
【0020】
例えば、一実施形態では、複数のループセクションのうちの追加のループセクションは、複数のマッピング電極を示し得る。追加的に、または代替的に、アブレーション電極に加えて、マッピング電極も、2つの隣接するループセクションの一方または両方に配置されてもよい。複数のマッピング電極はまた、複数のアブレーション電極の遠位に、または2つのアブレーション電極の内側に、例えば、2つのアブレーション電極の間に(それぞれのループセクションに沿って)組み込まれてもよい。さらに、第3のループセクションは、マッピング電極に加えて、またはマッピング電極の代わりにアブレーション電極を備えていてもよい。
【0021】
適切な材料として、アブレーション電極は、例えば、金および白金/イリジウム合金のうちの少なくとも1つを含んでもよい。
【0022】
(連続した損傷を作り出すことがより困難になる可能性がある)あまりにも多くのアブレーション電極を追加することなくこれを達成するために、比較的長いアブレーション電極が使用され得る。例えば、アブレーション電極の長さは、1~10mm、好ましくは3~5mmの範囲とすることができる。一実施形態では、アブレーション電極は、スリーブ状または管状とすることができる。例えば、そのようなスリーブ状または管状のアブレーション電極の直径は、2~2.5mmの範囲とすることができる。さらに、上述したように、スリーブ状または管状のアブレーション電極の長さは、1~10mm、好ましくは3~5mmの範囲とすることができる。あるいはまた、分割電極設計を使用してもよい。この実施形態では、間隙によって分離された半シェルの形態の2つの電極が、カテーテルの(体腔に面する)内側および(組織に面する)外側に配置される。間隙の幅は、0.2~1mm、好ましくは0.5mmとすることができる。このような一実施形態を図18Cに示す。あるいはまた、電極は、固体であるが、血液(体腔)に面する内側が絶縁材料でコーティングされていてもよい。パリレン、ポリイミド、またはテフロン(登録商標)は、適切なコーティングの例である。コーティング材料は、200kV/mmを超える高い絶縁耐力を備えた電気的絶縁体である必要がある。
【0023】
一実施形態では、アブレーション部分、特にループセクションは、形状記憶材料を含んでもよい。好ましくは、形状記憶材料は、超弾性材料(例えば、超弾性合金)であり、つまり、材料は高弾性であり、形状記憶特性を有する。例えば、ニチノールは、本目的に適した生体適合性超弾性合金である。一変形例では、アブレーション部分、特にループセクションは、形状記憶または超弾性特性を有する内部支持要素(例えば、内部支持ワイヤー)を備え得る。形状記憶支持ワイヤーは、異なるセクションで様々な剛性および断面形状を有することができる。内部支持構造は、アブレーション部分の構造および設計の完全性を維持し、アブレーション部分の少なくとも1つのセクションに沿って延在する。内部支持構造は、ニチノールワイヤー(例えば、可変断面または先細りの円形、矩形、正方形のワイヤー)として実現することができる。また、この支持構造は、ワイヤーの外面に、例えばパリレン、ポリイミド、テフロン(登録商標)などの材料で絶縁されたものを含む。さらに、アブレーション部分のワイヤーは、異なる剛性を提供するために、異なる直径または断面形状を有するセクションを有してもよい。
【0024】
一実施形態では、アブレーションカテーテルは、操縦可能な送出シースをさらに備えることができる。したがって、操作中、各々のアブレーション電極の接触が満足されるまで、アブレーション部分の位置を標的内臓組織で容易に調整することができる。
【0025】
一実施形態では、アブレーション部分の複数の電極のうちの2つの隣接する電極は、イオン化閾値よりも大きな距離に沿って交互に配置される。これは、電極がループの軸線内で螺旋を描くように交互に配置できることを意味する。したがって、一実施形態では、ループ軸線に対して垂直または傾斜した方向における2つの隣接するループセクションの、各々のループセクションの対向する外面の距離も、イオン化閾値よりも大きく選択することができる。その結果、心臓の解剖学的構造によりループが左右にずれた場合でも、電極が衝突する可能性が低くなる。また、衝突していない場合でも、電極の相対間隔がイオン化閾値を超えるため、電極はアーク放電を引き起こす可能性が低くなる。
【0026】
一実施形態では、電極の各々は、電子制御ユニット(ECU)に接続され、この接続は、所定の方法で、少なくとも2つの電極の各々2つをペアにするようにパルス発生器を介して提供される。3つ以上の電極(例えば、16個の電極)がある場合、例えば、ループセクションに沿って隣接して収容される各々2つの電極を対にすることもでき(ループセクションに沿ったモード)、または、2つの隣接するループセクションにまたがって隣接して収容される各々2つの電極(ループセクションにまたがるモード)を、双極配置で動作するようにペアにすることができる。したがって、両方のモードで16個の電極から8ペアを形成することができる。ペアリングは2つのモード間で切り替えることができる。さらに、ペアリングは、例えばループセクションに沿って、別の電極ペアに切り替えられてもよい。ペアリングのために、電極は、スイッチユニットに接続されてもよく、スイッチユニットは、電子制御ユニットに接続され、制御される。ECUは、さらに、各々の電極に対して、それぞれ上述のアブレーションモードおよびマッピングモードに切り替えるように適合されてもよい。スイッチユニットは、電子制御ユニットの制御信号に従って、ループセクションに沿ったペアリング、および、該当する場合にはモード間の切り替えを実現する。電子制御ユニットは、マイクロプロセッサまたはコンピュータなどを備えることができる。
【0027】
一実施形態では、カテーテルシャフトは、上記および後述のカテーテルと共に使用される高電圧PFパルス(例えば、1kVを超える、2.5kVを超える、または2.5kV~3.5kVの振幅を有する高電圧PFパルス)に耐えるのに適した誘電率閾値よりも大きい絶縁耐力をもつ材料によって分離された、少なくとも2つの管腔を含む。このような材料は、例えば、ポリマーフィルム、特にチューブの形態で提供されるポリイミドフィルム(例えば、Kapton(登録商標)フィルム)、または浸漬によって受け取られる層とすることができる。その絶縁耐力は、160kV/mmである。ポリマーフィルム(ポリイミド層)の厚さは、例えば0.012mm~0.125mmの範囲で選択することができる。この実施形態では、少なくとも2つの管腔のうちの第1の管腔は、同じ第1の極性を提供する電極に接続された少なくとも2つの電極リード線を保持するように構成され、少なくとも2つの管腔のうちの第1の管腔とは異なる第2の管腔は、第1の極性とは異なる同じ第2の極性を提供する電極に接続された少なくとも2つの電極リード線を保持するように構成される。この実施形態により、各々の電極リード線の絶縁が必要ないので、カテーテルシャフトの直径を小さくすることができ、同時に、フラッシュオーバーに関して必要な安全性を提供することができる。図18Cに示されるような電極の実施形態が使用される場合、管腔構造は、増加した数の接続ワイヤーを収容するように対応して適合される。同じ絶縁耐力の原則が当てはまる。
【0028】
一実施形態では、カテーテルシャフトは、ハンドルからアブレーション部分の遠位先端まで1mを超える全長を有し得る。
【0029】
一実施形態では、アブレーション部分の複数の電極のうちの少なくとも2つは、後述するように、高電圧の単極PFエネルギーまたは双極PFエネルギー、または単極PFエネルギーと双極PFエネルギーの組み合わせを送出するように適合される。適用可能な波形のいくつかの例を、図15Aおよび図15Bに示す。このような波形は、上記のループ構造と組み合わせることで、伝導遮断堀を生み出すことができる治療効果を生成するのに十分高く、しかもアーク放電を回避できるように、イオン化閾値よりも低い電場を確実にワンショットで印加することが保証される。PFAパルスは、心周期のQRS群によってゲート制御されて送出され得る。あるいはまた、アブレーションが心室から離れた領域を標的とする場合、PFAパルスは、QRSゲート制御なしで非同期に送出され得る。電子制御ユニットは、単極PFエネルギー供給モードと双極PFエネルギー供給モードを切り替えるように適合される。
【0030】
別の一実施形態では、アブレーション部分の遠位先端は、カテーテルシャフトの近位端に設けられたハンドル要素から操作され得る操縦ワイヤーまたは中心ワイヤーに接続される。したがって、中心ワイヤーは、ハンドル要素内の作動機構に接続することができる。中心ワイヤーは、アブレーション部分に沿って、カテーテルシャフトの長手方向軸にほぼ沿って延在する。操縦プレート、操縦リング、または他の既知の操縦構造は、遠位螺旋または多重ループのアブレーションセクションに接続されるカテーテルシャフトの遠位端に配置することができる。中心ワイヤーは、前記操縦構造に接続される。中心ワイヤーは、治療上の必要性に応じて、アブレーション部分の長手方向の長さ(すなわち、三次元螺旋/多重ループ構造の長手方向軸線に沿ったその長さ)またはループセクションが、組織標的に向けて操縦され得るように操作することができる。
【0031】
一実施形態では、電極は、最遠位電極と最近位電極との間の角度分離が少なくとも360°となるように、少なくとも2つのループに沿って分布される。角度分離は、最遠位電極、カテーテルの軸線、および最近位の電極の間の角度によって決定される。
【0032】
一実施形態では、カテーテルは、治療部位に洗浄液を適用するように構成された少なくとも1つの洗浄管腔を備える。少なくとも1つの洗浄管腔は、アブレーションセクションにおける少なくとも1つの個別の洗浄開口部に接続することができる。一実施形態では、個々の電極に、電極間に、またはアブレーションセクションの最近位電極および最遠位電極の近位および/または遠位に、個別の洗浄開口部があってもよい。
【0033】
洗浄管腔は、カテーテルの近位端で洗浄液の供給源に接続することができる。洗浄液は、滅菌流体、好ましくは蒸留水、または低塩分(好ましくは、0.1%以下)の生理食塩水であってよい。蒸留水または塩分濃度の低い食塩水を使用すると、治療部位の塩分濃度が低下するため、アーク放電のリスクがさらに低くなる。
【0034】
本発明の別の一態様は、患者の組織を治療するための、例えば患者の心臓組織または静脈組織におけるPVI処置のためのアブレーションカテーテルの操作方法に関する。このような方法は、細長いカテーテルシャフトと、カテーテルシャフトの遠位端に配置されたアブレーション部分とを操作することを含む。アブレーション部分は、アブレーション部分に沿って収容された複数の電極を備える。それはまた、三次元螺旋を形成する少なくとも2つのループセクションを備え、複数の電極は、単極配置、双極配置、または単極配置と双極配置との組み合わせで送出されるパルス電場エネルギーで通電され、パルス電場エネルギーは、電荷平衡化方式で送出される。
【0035】
電荷平衡化機能には、(血液の電気分解の可能性を下げることによる)泡立ち、アーク放電、(運動神経を介した直接的または間接的)骨格筋刺激を最小限に抑えるという潜在的な利点がある。
【0036】
本出願の枠組み内では、電荷平衡化された方法でパルス電場エネルギーを送出することは、正および負のパルスピークおよび対応するパルス幅を有するパルスを使用して、合理的に可能な限り0μC近い正味の電荷が組織に送出される方法で電荷平衡化するものとして理解される。電荷平衡化されたパルス電場エネルギーを送出する1つの方法は、正と負のパルスセクションを含む二相パルスを使用することである。パルス幅は、正のセクション(または負のセクション)の幅である。正のセクションと負のセクションのピーク(振幅)と幅は、互いに平衡化されるように設計されている。その結果、二相パルス自体は、電荷平衡化される。電荷平衡化されたパルス電場エネルギーを送出する別の方法は、パルス列のうちのいくつかのパルスを使用し、これにより、パルス列の個々のパルスのピークと幅が互いに平衡化するように設計されることである。
【0037】
一実施形態では、ループセクションに沿った2つの隣接する電極、または異なるループセクションの2つの隣接する電極が、パルス電場エネルギーで双極配置で通電される。そうすることで、電場ベクトルを操作して、伝導遮断/電気的絶縁のより完全な堀を生成することができる。
【0038】
別の一実施形態では、パルス電場の電圧振幅は、1kVより大きいか、または2.5kVより大きいか、または2.5kV~3.5kVである。選択した電極構成に応じて、全体の電流振幅は、5~150Aの範囲内とすることができる。
【0039】
別の一実施形態では、パルス持続時間(正相または逆相のパルス幅)は、0.5μsより大きく、好ましくは30μsより小さい。好ましくは、パルスは、正のパルスピークを含む正のセクションと、負のパルスピークを含む負のセクションとを含む二相である。パルス幅は、正のセクション(または負のセクション)の幅である。必須ではないが、組織に送出される正味の電荷が合理的に可能な限り0μCに近づくように、正相と逆相の複合体は電荷平衡化されることが好ましい。あるいはまた、電荷平衡化機能は、パルス列の継続時間にわたって達成されてもよい。この場合、上記の列の正味の電荷は、合理的に可能な限り0μCに近くなる。電荷平衡化機能には、(血液の電気分解の可能性を下げることによる)泡立ち、(血液または電気分解から生じるガスのイオン化によって引き起こされる)アーク放電、および(運動神経を介した直接的または間接的)骨格筋刺激を最小限に抑えるという潜在的な利点がある。正または負のセクションで始まる二相パルスは、正または負(二相)パルスとして理解される。
【0040】
一実施形態によれば、正パルスと負パルスは、相間遅延によって分離される。本発明に係るパルス幅の利点は、電場が細胞に対して十分に長く作用するので、電場によって細孔が生成されることである。相間遅延は、逆相が正相の効果をすぐに打ち消しすぎず、且つ、相間遅延が長くなりすぎないように、1μs~100μsの範囲で選択できる。相間遅延が長すぎると、電荷平衡化が機能しなくなる。電荷平衡化パルス列が達成される限り、逆相と正相は同じ振幅または異なる振幅で提供されてもよい。
【0041】
二相パルスを使用する一実施形態では、相間遅延は、二相パルスの後に逆二相パルスが続く(例えば、正の二相パルスに続く負の二相パルス)、2つの連続する二相パルスの間で決定される。最初の二相パルスと次の逆二相パルスの開始との間の時間が相間遅延であり、同様に1μs~100μsの範囲内にある。
【0042】
さらなる一実施形態では、0.5μsより大きい(好ましくは、30μs未満の)パルス幅を有する少なくとも1つのパルスを含むパルス列(パルスシーケンス)が、5~100msの間の期間内に提供される。パルス間遅延は、例えば、0.1~100msとすることができる。好ましくは、パルス間遅延は、1msより長い。一実施形態では、振幅3kV、パルス幅10μs、パルス間遅延1msの10パルスのパルス列が使用される。別の一実施形態では、振幅1.625kV、パルス幅15μs、パルス間遅延5msの30パルスのパルス列が使用される。さらなる一実施形態では、1つのパルス列または複数のそのようなパルス列(例えば、最大500のパルス列)が、少なくとも10秒の期間内(好ましくは、2分未満の期間内)に提供される。この時間内では、細孔の回復には数秒かかるため、細孔は治癒せず、細胞自体が死滅するようにプログラムされ、IREが引き起こされる。
【0043】
一実施形態では、滅菌洗浄液が治療部位に適用されることにより、好ましくは蒸留水、または低塩分(好ましくは、0.1%以下)の生理食塩水を洗浄液として使用する。蒸留水または塩分濃度の低い食塩水を使用すると、治療部位の塩分濃度が低下するため、アーク放電のリスクがさらに低くなる。洗浄液は、アブレーションセクションの少なくとも1つの個別の洗浄開口部を介して適用することができる。一実施形態では、個々の電極に、電極間に、またはアブレーションセクションの最近位電極および最遠位電極の近位および/または遠位に、個別の洗浄開口部があってもよい。
【0044】
上記のように、電荷平衡を達成するという背景の中で、二相性パルスのパルス形状は、例えば、正弦波、矩形波、三角波、指数関数的減衰、または鋸歯状波とすることができる。単一パルス(正または負のパルス)は、好ましくは矩形パルスである。
【0045】
さらに、上記のマッピング電極は、周囲の血管または心房組織から、電気または生体電位を取得するために使用することができる。マッピング電極は、アブレーション電極と比較して同様の構造を有し得るが、より高い電気信号分解能を提供するために、アブレーション電極よりわずかに小さい寸法を有し得る。溶接を使用して、導線を一方の電極に取り付けることができる。一実施形態では、(例えば、1mmの長さを有する)より小さいマッピング電極を2つのアブレーション電極の間に配置することができる。検出された電圧信号は、それぞれの電極リード線を介して電子制御ユニットに送信される。追加的に、または代替的に、マッピング電極を使用して電流を取得してもよい。例えば、マッピング電極を使用して、局所組織インピーダンスを測定してもよい。これは、組織接触の程度またはPFA効果の進行を監視するのに役立ち得る。患者の治療中に、アブレーションの結果およびアブレーションの進行を観察するために、アブレーションの前と、1回のアブレーションステップの後、または複数回のアブレーションステップの後にマッピングを実施することができる。評価を容易にし、改善するために、マッピング電極、またはマッピングモードで動作する電極の受信されたマッピング信号(例えば、電位信号)は、標準のマッピングまたはナビゲーション技術を使用して視覚化され得る。これにより、周囲の組織の局所的な伝導特性をマッピングすることができる。
【0046】
一実施形態では、隣接するループセクションが患者の組織に接触するときの隣接するループセクション間の相対距離を決定するために、2つの隣接するループセクションのアブレーション部分の複数の電極を使用してインピーダンスが測定される。特に、インピーダンスは、隣接するループセクションにわたる2つの電極間で測定される。測定されたインピーダンスが、所定のインピーダンス閾値よりも低い場合、隣接するループセクションが近すぎ、これは、隣接するセクションの電極の極性が異なる場合にアーク発生を防ぐために回避する必要がある。さらに、電極の均一な分布を証明し、それによってアブレーション部分がその外面全体に沿って患者の組織と接触していることを確認するために、単極または双極のインピーダンスを決定することができる。
【0047】
一実施形態では、2つの電極間のインピーダンスは、特定の周波数範囲にわたって測定され、好ましくは、周波数に応じたインピーダンス曲線が決定される。周波数範囲は、10kHz~500kHzとすることができる。低いインピーダンス値(例えば、最大300オーム)での平坦なインピーダンス曲線は、2つの電極間の接触または衝突を示している可能性がある。2つの電極が衝突するか、電気的に接触すると、双極インピーダンスの位相が増加し、大幅に正になる。これは、電極ワイヤーのインダクタンスが(電極衝突を考慮した)等価バイポーラ回路に誘導特性を与えるためである。より高い値(例えば、100オーム~500オーム)でのインピーダンス曲線の顕著な減衰は、2つの電極間の組織接触が良好であることを示している可能性がある。中程度のインピーダンス範囲での平坦なインピーダンス曲線は、2つの電極間の組織接触が不良であることを示している可能性がある。平坦なインピーダンス曲線は、周波数からのインピーダンスの依存性として理解されるべきであり、高い周波数で測定されたインピーダンス値は、低い周波数で測定されたインピーダンス値から20%未満、好ましくは10%未満だけ逸脱している。顕著なインピーダンス曲線は、周波数からのインピーダンスの依存性として理解されるべきであり、高い周波数で測定されたインピーダンス値は、低い周波数で測定されたインピーダンス値から20%以上逸脱している。
【0048】
本発明の一態様によれば、上に開示したような操作方法は、上に開示したようなアブレーションカテーテルを操作するために使用される。
【0049】
本発明の別の一態様は、人間または動物の組織内に心臓伝導遮断堀を実現するためのシステムであって、
1.カテーテルシャフトと、カテーテルシャフトの遠位端に配置され、アブレーション部分に沿って複数の電極が収容されたアブレーション部分とを備えるカテーテルと、
2.パルスピークとパルス幅を含む正および負の高電圧パルスを送出するように構成された高電圧発生器と、
を備え、
3.発生器に接続し、アブレーション部分に沿って収容された複数の電極にパルスを送出するようにカテーテルは適合されており、
4.発生器は、パルス電場エネルギーを電極に送出するように構成されており、それにより、パルスピークおよびパルス幅は、イオン化閾値と治療閾値との間のパルス電場エネルギーを生成するように構成される、システムに関する。
【0050】
電場強度が電極間の媒体をイオン化するのに十分な場合、アーク放電が発生する可能性がある。アーク放電は、意図しない組織損傷または気圧外傷を引き起こすため、患者にとって危険レベルが高まる。さらに、アークの高温によってカテーテルの材料が溶け、患者の血流中に異物が残る可能性がある。したがって、ある意味では、電極に生じるパルス電場エネルギーがイオン化閾値を下回るようにピークとパルス幅を設定することが重要である。一方、パルス電場エネルギーは、電場をワンショットで確実に印加するのに十分である必要がある。したがって、パルスピークとパルス幅は、治療閾値を超えるパルス電場エネルギーを生成して、伝導遮断堀を作り出すことができる治療効果を生み出すように構成される。本出願の枠組み内では、(パルス)ピークは、電圧振幅のピークとして理解される。
【0051】
このシステムは、上記のような任意のカテーテルを備えることができる。
【0052】
この発生器は、ある意味では、正味の電荷がゼロになるように、正および負のパルスピークおよび対応するパルス幅の電荷平衡を有する電荷平衡化パルスを提供するように構成される。一実施形態では、正および負のパルスセクションを含む二相パルスが生成される。パルス幅は、正のセクション(または負のセクション)の幅である。正と負のセクションのピーク(振幅)および幅は、互いに平衡になるように設計される。その結果、二相パルス自体は、電荷平衡化される。発生器は、正弦波、矩形波、三角波、指数関数的減衰、または鋸歯状波の形状の二相パルスを生成するように構成することができる。
【0053】
電荷平衡化パルス電場エネルギーを送出する別の方法は、パルス列のいくつかのパルスを使用し、これにより、パルス列の個々のパルスのピークと幅が互いに平衡になるように設計することである。
【0054】
発生器は、0.5μs~30μsのパルス幅をもつパルスを送出するように構成できる。個々のパルスは、0.1ms~100msのパルス間遅延によって分離できる。相間遅延は、1μs~100μsの範囲内とすることができる。
【0055】
発生器は、少なくとも1つのパルス、好ましくは少なくとも2つのパルスを含むパルス列を生成するように構成することもできる。パルス列は、二相パルスおよび/または単相パルスを含むことができる。このようなパルス列の長さは、5ms~100msとすることができる。発生器は、少なくとも1秒の時間フレーム内で最大500個のパルス列を送出するように構成され得る。好ましくは、パルス列は、2分未満で送出される。
【0056】
このシステムは、心電図を測定し、QRS周期、P波、および/またはT波の特徴的なピークを検出する装置をさらに備えることができる。心電図を測定する装置は、発生器に接続されるように、および/または、発生器と通信するように構成される。心電図を測定する装置は、QRS周期、P波、および/またはT波のうちの少なくとも1つの検出に対応するトリガー信号を提供するように構成される。発生器は、トリガー信号に関連して少なくとも1つのパルスまたはパルス列を開始するように構成される。
【0057】
代替の一実施形態では、測定された心電図が発生器によって分析され、QRS周期、P波、および/またはT波に関連して少なくとも1つのパルスまたはパルス列が開始される。
【0058】
上記の教示に照らして、説明した例および実施形態は、多くの修正および変形が可能であることが当業者には明らかであろう。開示された例および実施形態は、例示のみを目的として提示されている。他の代替実施形態は、本明細書に開示される構成の一部またはすべてを含むことができる。したがって、本発明の真の範囲内に含まれ得る、そのような修正および代替実施形態のすべてを網羅することが意図される。
【0059】
本発明の様々な構成および利点は、以下の詳細な説明および図面に示される実施形態を参照することにより、より容易に理解することができる。ここで概略的かつ例示的に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0060】
図1】アブレーションカテーテルの第1の実施形態の遠位端を側面斜視図で示す。
図2】アブレーションカテーテルが人間の心臓の肺静脈口に到達するまでの送出経路を示す。
図3図1の実施形態の遠位端を正面斜視図で示す。
図4図1の実施形態の遠位端を側面図で示す。
図5】アブレーションカテーテルの第2の実施形態の遠位端を側面図で示す。
図6】アブレーションカテーテルの第2の実施形態の遠位端を正面図で示す。
図7】アブレーションカテーテルの第2の実施形態の遠位端を正面斜視図で示す。
図8】アブレーションカテーテルの第3の実施形態の遠位端を側面図で示す。
図9】アブレーションカテーテルの第3の実施形態の遠位端を側面図で示す。
図10】アブレーションカテーテルの第3の実施形態の遠位端を側面図で示す。
図11】アブレーションカテーテルの第3の実施形態の遠位端を正面図で示す。
図12図1の実施形態の遠位端を、符号を付与したいくつかの寸法と共に側面斜視図で示す。
図13図1の実施形態用の電極リード線の電気制御の一部を示す。
図14】伝導遮断堀を達成するために電子的に操作された電場ベクトル分布を示す。
図15A】電荷平衡化された例示的な波形を示し、指数関数的減衰タイプの波形である。
図15B】電荷平衡化された例示的な波形を示し、矩形タイプの波形である。
図16A】QRSゲート制御の概念を示しており、数心拍にわたるQRS検出器信号(上部トレース)、PFAトリガー信号(中央トレース)、およびECG(下部トレース)を示す。
図16B】QRSゲートの概念を示しており、1つの心拍の詳細を示している。PFAトリガー信号(中央のトレース)は、心周期の不応期内にある。
図16C】QRSゲートの概念を示しており、前臨床研究中に記録されたPFAパルスアーチファクトを示す。
図17】右上肺静脈(RSPV)周囲の伝導遮断(または電気的絶縁)の堀を特定する実際の組織学スライドを示す。
図18A】螺旋状の遠位セクション上の可能な電極分布をさらに例示し、PVに面した本発明のカテーテルを示す。
図18B】螺旋状の遠位セクション上の可能な電極分布をさらに例示し、PV壁に押し付けられたときに展開された本発明のカテーテルを示す(螺旋状アーム間の隙間に留意されたい)。
図18C】螺旋状の遠位セクション上の可能な電極分布をさらに例示し、代替の分割先端電極構造を示す。
図19】2つの電極間の周波数にわたって測定された3つの概略的なインピーダンス曲線を示す。
図20A】周波数にわたって測定されたインピーダンスの例を示す。
図20B】周波数にわたって測定されたインピーダンスの例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0061】
図1図3図4、および図12は、第1の実施形態に係るアブレーションカテーテル1の遠位部分を概略的かつ例示的に示している。アブレーションカテーテルは、PFA発生器および付属品と共に使用することでPFA用に使用でき、心臓電気生理学的マッピング(刺激および記録)および高電圧パルスフィールド心臓アブレーションでの使用が示される。ピーク電圧は、例えば、最大30μsのパルス幅で±1kV~3kVであるが、これには限定されない。パルス持続時間がそれに応じて短ければ(例えば、0.5μs)、より高いピーク電圧(例えば、最大10kV)を使用することができる。カテーテル1は、細長い円形のカテーテルシャフト10を有し、このカテーテルシャフト10は、近位端に操縦機構を備えたハンドル(図示せず)に接続することができる。結果として、カテーテルは、アブレーション電極を支持する図示の遠位セクションの偏向を制御することができる。
【0062】
カテーテルシャフト10の図示された遠位端には、複数のループセクション121、122を備えるアブレーション部分12が配置されている。ループセクションの概念には、連続ループまたは螺旋構成を使用する実施形態が含まれる。カテーテルシャフトは、アブレーション部分12の遠位先端から約115cmの有効長さを有し得る。第1のループセクション121および隣接する第2のループセクション122の各々には、組織にエネルギーを送出するように構成されたアブレーション電極120(例えば、全部で14個の電極)が示される。図1には2つのループが示されているが、さらに多くのループを使用することもできる。結果として得られるアブレーションゾーン間に十分な重なりを提供するために、少なくとも部分的に第3のループが使用されることが好ましい。前記重なりは、損傷の連続性、隣接性、または貫壁性を低下させることなく伝導遮断堀を達成する可能性を高めるであろう。一例として、図14のカテーテルの図を参照されたい。遠位セクションは、第3のループセクションと前の2つのセクションとの少なくとも45度の重なりを含む。特に、アブレーションカテーテル1は、アブレーション電極120を介して電気的高電圧PFA信号を組織に送出するように構成することができる。例えば、アブレーション電極120は、金および/または白金/イリジウム合金からなるか、またはそれらを含むことができる。あるいはまた、異なるループセクションからの電極120は、同じ極性の電極が整列するように配置されてもよい。交互配置または極性ベースのアプローチのいずれかにより、螺旋カテーテルが圧縮されたときに反対極性の電極が衝突しないことが保証される。
【0063】
図1に示される例示的な実施形態では、第2のループセクション122のアブレーション電極120は、第1のループセクション121のアブレーション電極120に対して部分的に交互配置される。
【0064】
ループセクション121、122はさらに、組織から電気信号を受信するように構成された複数のマッピング電極が示されていてもよい。
【0065】
ループセクション121、122は、共に三次元螺旋を形成し、コークスクリュー状の形状を形成する。あるいはまた、それらは、図5図7に示されるように、プランジャー状の構成を形成してもよい。ループセクション121、122のそれぞれの直径は、第1の、より近位のループセクション121が、第2の、より遠位のループセクション122(内径D2、例えば24mm)よりも大きな内径D1(例えば、30mm、図12を参照)を有するようなものであることに留意すべきである。アブレーション部分12の最も遠い遠位先端では、内径D3はさらに小さい(例えば18mm)。一般的に、ループセクションの直径は、例えば、10mm~40mmとすることができる。より具体的には、左心房で使用される場合、最も幅の広いループセクションの直径は、20~35mm、好ましくは25~32mmとすることができる。最小直径は、12~22mm、好ましくは15~20mmとすることができる。
【0066】
ループセクション121、122は、例えば内部構造支持ワイヤー(図示せず)、例えば上記のようなニチノールワイヤーの形態の形状記憶材料を含み得る。特に、ループセクション121、122は、超弾性特性を有し得る。
【0067】
アブレーション部分12は、導入器シースとも呼ばれ得る(固定または操縦可能な)送出シース15によって人体の標的領域に送出する目的で、本質的に細長い形状に制約され得る。標的位置において、送出シース15の遠位端から出ると、アブレーション部分12は、その元の(付勢された)形状に反動することができる。
【0068】
それぞれのループセクション121、122に沿った各々の電極120の長さは、例えば4mmである。一般的に、電極の長さは、1~10mm、好ましくは3~5mmの範囲にある。カテーテルシャフト10のサイズは、内径8.5Fのシースとの互換性を有することができ、放射線不透過性の押出可能なポリマー(該当する場合には、ポリマー補強編組)からなることができる。一般的に、カテーテルシャフト10のサイズは、内径7F~14Fのシースとの互換性を有し得る。それぞれのループセクションに沿った隣接する電極間の幅は、患者の組織に連続したアブレーション領域を提供するために、1mm~10mm、好ましくは3~6mmで選択できる。
【0069】
図2は、人間の心臓の肺静脈口(PVO)に至るアブレーションカテーテル1のための送出経路を概略的かつ例示的に示している。方向としては、下大静脈(IVC)、右心房(RA)、右心室(RV)、左心房(LA)、左心室(LV)、ならびに各々がPVOを備えた肺静脈(PV)が示される。大きな黒い矢印は、IVC、RAを通過し、中隔壁(SW)を中隔横断してLAに至る送出経路を示している。最後に、適切な偏向手段を使用して、カテーテル1をPVO領域に誘導する。そこでは、コークスクリュー型アブレーションカテーテルが、PVOに近い肺静脈の心房端の領域のアブレーションに使用される。アブレーション部分12の形状は、標的とするPVOの寸法に適合するように構成される。あるいはまた、コークスクリュー型カテーテルを使用して、SVCで、または左または右心耳(LAAまたはRAA)などの付属器官でアブレーションを行うこともできる。
【0070】
図5図7に示されるアブレーションカテーテル2の第2の実施形態は、PVOを囲む、またはPVO間に位置する左心房LAの心房領域(例えば、LA後壁)におけるアブレーションの使用に適合される。あるいはまた、カテーテル2は、心室(RVまたはLV)壁、またはRA(例えば、自由RA壁、三尖弁輪など)のアブレーションに良好に適している可能性がある。アブレーション部分22は、第1の実施形態と同様に、複数のアブレーション電極220を(該当する場合、マッピング電極)も備えた2つのループセクション221および222を備える。しかしながら、アブレーション部分22は、プランジャーの形態を有する三次元螺旋のように形成されており、より近位の第1のループセクション221は、より遠位の第2のループセクション222よりも小さい直径を有する。
【0071】
第1の実施形態と同様に、図8図11に示される第3の実施形態がある。しかしながら、これらに限定されないが、この実施形態の要素(例えば、螺旋の拡張性または圧縮のための中心ワイヤー31)は、他のタイプの螺旋状カテーテルとともに使用されてもよい。第1の実施形態の構造に加えて、アブレーションカテーテル3の第3の実施形態は、遠位セクションの拡張性または圧縮を促進するために使用される中心ワイヤー31を備える。中心ワイヤー31は、アブレーション部分32の遠位端に接続されている。アブレーション部分32は、アブレーション電極320を備える。中心ワイヤー31は、アブレーション部分およびその2つのループセクション321、322によって形成される螺旋の長手方向軸にほぼ沿って延在している。中心ワイヤー31は、カテーテルシャフト30に入り、その内部を延在する。カテーテルの近位端では、中心ワイヤー31が、カテーテルハンドルに関連付けられた、またはカテーテルハンドルに組み込まれた作動要素に接続される。中心ワイヤー31は、アブレーション部分32の長手方向の長さ(すなわち、アブレーション部分32の三次元螺旋の長手方向軸線に沿った長さ)により、ループセクション321、322の直径を変更して、治療上のニーズおよび局所的な状況に適応できるように、操作され得る。図8の図面では、中心ワイヤーがアブレーション部分32の遠位先端を遠位方向に押すため、アブレーション部分の長手方向の長さは、図9および図10の図面と比較して最大である。したがって、ループセクション321、322の直径は、最小である。図10は、アブレーションカテーテル3のアブレーション部分32の、最短となる長手方向の長さを示す。これは、中心ワイヤー31を引っ張ることによって達成される。図9に示されるアブレーションカテーテル3は、図8図10のものの間となる、アブレーション部分32の公称長手方向長さを有している。したがって、ループセクション321、322の直径は、図10で最大であり、図8で最小である。
【0072】
全周に沿った信頼性の高い完全なアブレーションは、形状が適合されている心臓または静脈内のそれぞれの位置で第1および第2の実施形態によって達成される。それぞれのカテーテル1、2のアブレーション部分12、22は、アブレーション中に螺旋の長手方向軸の方向にわずかに圧縮することが可能であり得るが、ループセクション121、122または221、222の距離は、依然として治療閾値とイオン化閾値によって制限される領域内にある。
【0073】
IREを引き起こし、隣接する組織を傷つけず、アブレーション時間を短縮するために、上で詳細に説明したように、隣接するループセクションのピッチが、イオン化閾値と治療閾値との間で選択される。図12に示される第1の実施形態を参照すると、第1のループセクション121および第2のループセクション122の第1のピッチまたはクリアランスs1は、約5mmであり、第2のループセクション122およびアブレーション部分12の最も遠い遠位端の第2のピッチまたはクリアランスs2も同様に約5mmである。一般的に、ピッチまたはクリアランスは、イオン化閾値(2mm)と治療閾値(最大8mm)の間にある必要がある。上述したように、カテーテル#1、#2、または#3のいずれかの最遠位電極と最近位電極の間の角度オフセットは、2×360°+45°(すなわち、2つの完全なループ+第3のループの1/8)であることが好ましい。
【0074】
アブレーションカテーテル1、2、3のうちの1つを使用するアブレーション手順は、アブレーション部分12、22、または32が標的組織(例えば、PVO)に対して正しい位置となった後に開始することができる。アブレーション電極120、220、320は、単極または双極配置でパルス電気RFフィールドを提供する。ピーク電圧は、例えば、最大30μsのパルス幅で±1kV~3kVであるが、これには限定されない。パルス持続時間がそれに応じて短ければ(例えば、0.5μs)、より高いピーク電圧(例えば、最大10kV)を使用することができる。 パルス幅は、12μs(0.5~30μs)で、最大500パルス/列からなるパルス列を形成する。図15Aまたは図15Bに示される波形のいずれを使用してもよい。
【0075】
これには限定されないが、一例として、図15Aの波形は、PFA治療に適した二相性の指数関数的に減衰する電圧パルスを示している。複合波形全体にわたって、指数関数的な減衰により、泡立ち、アーク放電、または望ましくない組織刺激の可能性を最小限に抑えるために必要な電荷平衡化の目標が達成される。このような波形は、アブレーション電極120、220、または320にAC結合された高電圧出力段を使用することによって達成することができる。図15Aに示される2つの二相パルスはパルス列を形成し、これをN回繰り返すことができる。二相パルスは、正のセクションPPと負のセクションPNからなる。図15Aに示されるように、正の二相パルスの後に、逆負の二相パルスが続く。相間遅延Iは、最初の二相パルスの負のセクションPNの終わりと、次のパルスの正のセクションの開始の間の時間である。上記で定義したように、二相パルスが使用される場合、パルス幅Pは、正/負セクションPP/PNの長さに対応する。次のパルス列は、パルス間遅延Iの後に始まる。
【0076】
同様に、図15Bは、矩形の形状を有する適切なPFA波形の一例を示す。図15Bに示される矩形パルスは、電圧ピークVとパルス幅Pによって特徴付けられる。正の矩形パルスの後に、相間遅延I1の後に負の矩形パルスが続く。図15Bに示される2つのパルスは、N回繰り返されるパルス列を形成する。次のパルス列は、パルス間遅延Iの後に始まる。これらの波形も電荷平衡化されている。このような電荷平衡化された矩形波形は、正相と逆相の振幅と持続時間を合理的で正確に制御するDC結合高電圧出力段を使用することによって実現できる。その結果、正味の電荷(電流振幅×パルス幅)を制御して正味の平衡化を実現できる。
【0077】
図16A図16Cは、QRSゲート制御された出力波形を示している。典型的なリードIのECG波形1601aを図16Aに示す。QRS検出器の出力は、信号1602aとして示されている。PFA波形のトリガーは信号1603aとして示されている。図16Bは、図16Aの拡大図を提供する。ECG波形1601bは、1心周期にわたって表される。そのR波1604は、QRS検出器出力1602bによって検出される。プログラムされた遅延1605の後、PFA波形トリガー1603bがオンになる。この実施形態では、遅延1605は、約70msであることが示されている。遅延1605は、心拍数に応じて、20~150msとなり得る。PFAパルスが心臓の不応期内に適用されることを確認することが重要である。図16Bに示されるように、この特定の例では、パルス列は、T波1606が始まる前に終了する。図16Cは、標準的な心臓記録システムで記録されたPFAパルスアーチファクトの一例を示す。R波1604cの後には、PFAパルスの送出によって引き起こされるアーチファクト1607が続くことが見られる。アーチファクト1607は、T波1606cが始まる前に安全に終了する。上で説明したプロセスにより、1心周期内で1列のパルスが送出される。上記の例では、図15Aの波形1501を使用して、10パルス/列が送出された。当業者は、本発明の本質から逸脱することなく、他の既知のパラメータを使用して上記のアプローチを修正することができる。例えば、最大500個のパルス列を提供することができる。しかしながら、必須ではないが、PFA印可時間を、(細胞膜穿孔を可能にするため)1秒より大きいが、(長時間の手順を避けるため)2分未満に保つように列の数を選択することが望ましい。相間遅延は、1~100μsとすることができる。パルス間遅延は、0.1msまたは100msとすることができる。
【0078】
電場の生成(特に、電圧、電流、およびインピーダンス)は、電極120、220、320のリード線61に接続された電子制御ユニット(ECU)70によって監視され、また、波形発生器50によって生成される(図13を参照)。図14は、単極または双極電場の生成に使用できる接続性も示している。図13および図14のECUは、カテーテルループまたは螺旋間の組織空間の範囲が広くなるのを達成することを目的として、PFAフィールドの印可を制御することができる。図14は、ECU1403によって駆動される電極を備えた(図1図10の#1、#2、または#3などの)カテーテル1401を示す。ECU1403は、カテーテル1401の螺旋アーム/ループの間の組織ゾーンをカバーするフィールドベクトル1402を送出するように制御することができる。そうすることで、伝導遮断/電気的絶縁の堀が達成される可能性が高くなる。
【0079】
双極配置では、隣接する電極120、220、320は、ループセクション121、122、212、222、321、322に沿って、または2つの隣接するループセクション121と122、221と222、321と322にわたってペアになってもよい。さらに、電極120、220、320は、単極配置で使用されてもよい。この場合、接地パッド1404を患者の体の表面に設けることができる。あるいはまた、カテーテルシャフトに関連付けられた基準電極を使用してもよい。
【0080】
異なる双極配置の間、または単極と双極配置との間で切り替えるために、アブレーションカテーテル1、2、3は、ECU70に接続され、ECU70によって制御されるスイッチユニット60を備え得る。スイッチユニット60は、波形発生器50によって提供されるパルス電場のそれぞれの位相を、所定の電極リード線61によって所定の電極120、220、320に提供し、各々の電極リード線61は、アブレーション部分12、22、32で1つの特定の電極120、220、320に電気的に接続される。スイッチユニット60は、スイッチマトリクスを備え、例えば、ループセクションに沿った、またはループセクションを横切った2つの隣接する電極がペアになって、前述の均一な伝導遮断堀を達成するように、位相分布の任意の構成を実現することができる。任意の他の構成も可能である。スイッチング信号および構成情報は、ECU70によって提供される。ECU70はさらに、アブレーションカテーテル1、2、3の電極をマッピングすることによって取得された電気または生体電位データ、またはインピーダンスデータのデータ処理を提供し得る。上に示したように、アブレーション部分12、22、32に位置するマッピング電極は、アブレーション処置中の所定の時点でアブレーションの進行を観察するために、周囲の組織の電位を決定するためのマッピング電極を備え得る。あるいはまた、アブレーション電極120、220、320をマッピングモードに切り替えてからアブレーションモードに戻すこともできる。さらに、隣接する電極間、または2つの異なる隣接するループセグメントにわたるインピーダンスは、PFAエネルギーの送出前に決定することができる。これにより、隣接するループセグメント、したがって、これらのセグメントの電極がそれぞれ他のループセグメントまたは電極に対して十分な距離に位置するかどうか、インピーダンス(単極または双極)が監視される。インピーダンスを監視することによって、ECU70または1403は、任意の2つの電極が近づきすぎて、それぞれの電極間距離がイオン化閾値を下回る場合に、使用者に警告することができる。逆に、インピーダンス測定により電極間距離が治療閾値を超えていることが示された場合、使用者に警告を発することもできる。
【0081】
上に示したように、カテーテルシャフト10、20、30は、高電圧PFAパルスの絶縁閾値よりも高い絶縁耐力を備えている材料(例えば、Kapton(登録商標))によって分離された2つの管腔を備え得る。第1の管腔は、例えば、第1の極性を提供する7本の電極リード線61を保持することができ、第2の管腔は、例えば、第2の極性を提供する7本の電極リード線61を保持し、それによりカテーテルシャフトの全体の直径を減少させることができる。
【0082】
上で説明したアブレーションカテーテルの実施形態は、隣接する組織(例えば、神経、血管、食道)を傷つけないと信用できるように安全性を向上させて、かつアブレーション時間を短縮して、不整脈の原因となる電気信号が隣接する領域に広がるのを防ぐ(すなわち、伝導遮断を達成する)ためにIREを実現している。図17は、そのような伝導遮断または電気的絶縁の堀を示している。右上肺静脈1701が写真の中央に見られる。本発明に係るPFAパルスの印可後(合計累積PFA印可時間は約90秒/PV)、連続的かつ隣接した貫壁性損傷が達成された。損傷周囲1402が示されている。伝導遮断または電気的絶縁堀1403は、RSPV1401と損傷境界1402との間の心臓組織ゾーンを完全に覆う。電気解剖学的マッピングにより、肺静脈の慢性的分離が続いていることが確認された。
【0083】
図18Aは、肺静脈心房に面した本発明のカテーテルを示す。図18Bは、肺静脈壁に押し付けられたときに展開された本発明のカテーテルを示す。線c1およびc2によって示されるように、最遠位電極1802と最近位電極1801との間の角度分離は、2×360°、または720°を超える。図18Cは、血液に面する内側電極と組織に面する外側電極を備えた代替の分割先端電極構造を示す。
【0084】
図19は、2つの電極間で周波数にわたって測定された3つの概略的なインピーダンス曲線を示している。インピーダンスは、10kHzの低周波数flowから始まり500kHzの周波数fhighまで測定できた。Z~Zの範囲の最上部の曲線としての顕著なインピーダンス曲線は、2つの電極間の組織接触が良好であることを示している。Z~Zのより低い範囲にある平坦な最も低いインピーダンス曲線は、2つの電極間の接触を示している。Z~Zの範囲の中央の平坦なインピーダンス曲線は、2つの電極間の組織接触が不良であることを示している。例えば、これらに限定されることなく、次の閾値を使用できる。
1.良好な組織接触-fLOW(例えば、10kHz)で、電極のサイズと組織の特性に応じて、Zは、100~500オームの範囲にある。fHIGH(例えば、500kHz)では、Zは、Zより少なくとも20%低くなる(S字曲線)。
2.接触不良-fLOW(例えば、10kHz)で、電極のサイズと血液の特性に応じて、Zは、80~400オームの範囲にある。fHIGH(例えば、500kHz)では、Zは、Zより最大20%低く、通常は10%以下しか低くならない(平坦な曲線)。図20Aに示されるように、電気的接触状態が悪いと、双極インピーダンスは、10kHzでの約113オームから、500kHzでの約110オームまで減少する。位相はわずかだけ変化し、約-4°から2°まで増加する。
3.接触している電極-fLOW(例えば、10kHz)で、Zは、接触量、電極サイズ、血液特性に応じて0~300オームの範囲にある。fHIGH(例えば、500kHz)では、Zは、Zより最大20%低く、通常は10%以下しか低くならない(平坦な曲線)。図20Bに示されるように、電極が衝突して良好な電気的接触を形成すると、Z5は4~9オームと低くなり、位相は周波数と共に増加する。500kHzでは、位相は約66°であり、電極ワイヤーによって与えられる主に誘導性の電気特性を示す。
【0085】
前述のすべての開示を考慮すると、本発明は、以下の連続番号が付された実施形態も提供する。
(実施形態1)
高電圧パルスの送出によって患者の組織を治療するためのアブレーションカテーテル(1、2、3)であって、
カテーテルシャフト(20、30、40)と、
カテーテルシャフトの遠位端に配置されたアブレーション部分(12、22、32)であって、複数の電極(120、220、320)がアブレーション部分に沿って収容される、アブレーション部分(12、22、32)と、
を備え、
アブレーション部分は、三次元螺旋を形成する少なくとも2つのループセクション(121、122、221、222、321、322)を備え、
2つの隣接するループセクションのピッチおよび/またはクリアランス(s1、s2)は、電極の周りのそれぞれの媒体(例えば、血液または電気分解から生じるガス)のイオン化閾値よりも大きい、アブレーションカテーテル(1、2、3)。
(実施形態2)
2つの隣接するループセクション(121、122、221、222、321、322)のピッチおよび/またはクリアランスは、それぞれの組織の治療閾値よりもさらに小さい、実施形態1に記載のカテーテル。
(実施形態3)
2つの隣接するループセクション(221、222)の直径が、アブレーション部分(22)の遠位端の方向に増加するか、または2つの隣接するループセクション(121、122、321、322)の直径(D1、D2、D3)が、アブレーション部分(12、32)の遠位端の方向に減少する、実施形態1または2に記載のカテーテル。
(実施形態4)
アブレーション部分の複数の電極(120、220、320)のうちの少なくとも2つは、高電圧単極パルスフィールドアブレーション(PFA)エネルギーまたは双極PFAエネルギー、または単極および双極PFAエネルギーの組み合わせを組織に送出するように適合されている、実施形態1~3のいずれか一つに記載のカテーテル。
(実施形態5)
電極(120、220、320)のうちの少なくとも2つは、電子制御ユニット(70)によって制御され、電子制御ユニットは、複数の電極(120、220、320)のうちの少なくとも2つを高電圧パルス発生器(50)と接続し、これらの少なくとも2つの電極を所定の方法でペアにするように適合されている、実施形態1~4のいずれか一つに記載のカテーテル。
(実施形態6)
カテーテルシャフト(10、20、30)は、高電圧パルスに耐えるのに必要な閾値よりも大きい絶縁耐力を有する材料によって分離された少なくとも2つの管腔を備える、実施形態1~5のいずれか一つに記載のカテーテル。
(実施形態7)
少なくとも2つの管腔のうちの第1の管腔は、同じ第1の極性を提供する電極に接続された少なくとも2つの電極リード線を保持するように構成され、少なくとも2つの管腔のうちの第1の管腔とは異なる第2の管腔は、第1の極性とは異なる同じ第2の極性を提供する電極に接続された少なくとも2つの電極リード線を保持するように構成される、実施形態1~6のいずれか一つに記載のカテーテル。
(実施形態8)
アブレーション部分(32)は、アブレーション部分の遠位先端部に接続された内側支持構造および/または中心ワイヤー(31)を備える、実施形態1~7のいずれか一つに記載のカテーテル。
(実施形態9)
電極は、最遠位電極と最近位電極との間の角度分離が、少なくとも2×360°、または少なくとも720°となるように、少なくとも2つのループに沿って分布している、実施形態1~8のいずれか一つに記載のカテーテル。
(実施形態10)
例えば患者の心臓に対するPVI処置など、患者の組織を治療するためのアブレーションカテーテル(1、2、3)を操作する方法であって、アブレーションカテーテル(1、2、3)は、
細長いカテーテルシャフト(20、30、40)と、
カテーテルシャフトの遠位端に配置されたアブレーション部分(12、22、32)であって、複数の電極(120、220、320)がアブレーション部分に沿って収容される、アブレーション部分(12、22、32)と、
を備え、
アブレーション部分は、三次元螺旋を形成する少なくとも2つのループセクション(121、122、221、222、321、322)を備え、
複数の電極は、単極配置、双極配置、または単極配置と双極配置の組み合わせで送出される高電圧電荷平衡化パルス電場で通電される、方法。
(実施形態11)
ループセクション(121、122、221、222、321、322)に沿った2つの隣接する電極(120、220、320)、または異なるループセクションの2つの隣接する電極が、前記パルス電場で双極配置に通電される、実施形態10に記載の方法。
(実施形態12)
前記カテーテル電極に送出されるパルスの電圧振幅は、1kVより大きい、好ましくは2.5kVより大きい、より好ましくは2.5kV~3.5kVである、実施形態10または11に記載の方法。
(実施形態13)
パルス幅は、0.5μsより大きい、好ましくは0.5μs~30μsである、実施形態10~12のいずれか一つに記載の方法。
(実施形態14)
前記複数の電極の周囲の媒体のインピーダンスが、複数の電極からの電極を使用して測定される、実施形態10~13のいずれか一つに記載の方法。
(実施形態15)
アブレーション部分上に位置する少なくとも2つのマッピング電極、またはマッピングモードで使用されるアブレーション用の複数の電極(120、220、320)を使用して、生体電位が周囲の組織から取得される、実施形態10~14のいずれか一つに記載の方法。
(実施形態16)
前記複数の電極を使用して、周波数範囲にわたってインピーダンスの値が測定される、実施形態10~15のいずれか一つに記載の方法。
(実施形態17)
実施形態1~9のいずれか一つに記載のアブレーションカテーテルを操作するための実施形態10~16のいずれか一つに記載の方法。
(実施形態18)
人間または動物の組織内に心臓伝導遮断堀を実現するためのシステムであって、
カテーテルシャフトと、カテーテルシャフトの遠位端に配置され、アブレーション部分に沿って複数の電極が収容されたアブレーション部分とを備えるカテーテルと、
パルスピークとパルス幅を含む正および負の高電圧パルスを送出するように構成された高電圧発生器と、
を備え、
発生器に接続し、アブレーション部分に沿って収容された複数の電極にパルスを送出するように適合されており、それにより、パルスのピークおよびパルス幅は、イオン化閾値と治療閾値との間の電場強度を生成するように、カテーテルが構成される、システム。
(実施形態19)
発生器は、正および負のパルスピーク並びに対応するパルス幅を有する電荷平衡化パルスを提供するように構成される、実施形態18に記載のシステム。
(実施形態20)
発生器は、正弦波、矩形波、三角波、指数関数的減衰、または鋸歯状波の形状の二相パルスを提供するように構成される、実施形態19に記載のシステム。
(実施形態21)
前記発生器は、少なくとも1つのパルス、好ましくは少なくとも2つのパルスを含むパルス列を生成するように構成される、実施形態19または20に記載のシステム。
(実施形態22)
パルスは、0.5μs~30μsのパルス幅、0.1ms~100msのパルス間遅延、および1μs~100μsの範囲内の位相間遅延を有する、実施形態21に記載のシステム。
(実施形態23)
発生器は、少なくとも1つのパルス、好ましくは少なくとも2つのパルスを含むパルス列を生成するように構成され、パルス列は、二相パルスおよび/または単相パルスを含むことができ、パルス列の長さは、5ms~100msである、実施形態18~21のいずれか一つに記載のシステム。
(実施形態24)
発生器は、少なくとも1秒、好ましくは2分未満の時間フレーム内で最大500個のパルス列を送出するように構成される、実施形態23に記載のシステム。
(実施形態25)
心電図を測定し、QRS周期、P波、および/またはT波の特徴的なピークを検出する装置をさらに備える、実施形態18~24のいずれかの一つに記載のシステム。
(実施形態26)
装置は、発生器に接続される、および/または発生器と通信するように構成される、実施形態25に記載のシステム。
(実施形態27)
装置は、QRS周期、P波、および/またはT波のうちの少なくとも1つの検出に対応するトリガー信号を提供するように構成される、実施形態26に記載のシステム。
(実施形態28)
発生器は、トリガー信号に関連して少なくとも1つのパルスまたはパルス列を開始するように構成される、実施形態27に記載のシステム。
(実施形態29)
発生器は、心電図を分析し、QRS周期、P波、および/またはT波に関連して少なくとも1つのパルスまたはパルス列を開始するように構成される、実施形態26に記載のシステム。
(実施形態30)
実施形態1~9のいずれか一つに記載のカテーテルを含む、実施形態18~29のいずれか一つに記載のシステム。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15A
図15B
図16A
図16B
図16C
図17
図18A
図18B
図18C
図19
図20A
図20B
【国際調査報告】