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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-26
(54)【発明の名称】スペクトル整形された光源
(51)【国際特許分類】
   G02B 26/00 20060101AFI20240119BHJP
   G02F 1/01 20060101ALI20240119BHJP
   G02B 27/09 20060101ALI20240119BHJP
【FI】
G02B26/00
G02F1/01 D
G02B27/09
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023528085
(86)(22)【出願日】2022-01-17
(85)【翻訳文提出日】2023-05-10
(86)【国際出願番号】 US2022012676
(87)【国際公開番号】W WO2022159352
(87)【国際公開日】2022-07-28
(31)【優先権主張番号】63/140,145
(32)【優先日】2021-01-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】000236436
【氏名又は名称】浜松ホトニクス株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】507005768
【氏名又は名称】エナジェティック・テクノロジー・インコーポレーテッド
【住所又は居所原語表記】205 Lowell Street, Wilmington, MA 01887 UNITED STATES OF AMERICA
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140442
【弁理士】
【氏名又は名称】柴山 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100177910
【弁理士】
【氏名又は名称】木津 正晴
(72)【発明者】
【氏名】ワン, チンソン
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 公佑
(72)【発明者】
【氏名】カトラー, アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】マレー, ジョナサン ピー.
(72)【発明者】
【氏名】マクダニエル, ドナルド エル.
(72)【発明者】
【氏名】ジュ, ホイリン
【テーマコード(参考)】
2H141
2K102
【Fターム(参考)】
2H141MA24
2H141MB24
2H141ME06
2H141ME09
2H141ME17
2H141ME25
2K102AA21
2K102BA05
2K102BB03
2K102BC04
2K102DC09
2K102DD02
2K102EA21
2K102EB06
2K102EB08
2K102EB10
2K102EB16
2K102EB20
2K102EB22
(57)【要約】
スペクトル整形された光源は、円形のビームを発生させる光源を含む。光学要素は円形のビームを矩形のビームに変換する。結像分散デバイスは、波長を角度的に分散させ、矩形ビームを変調面に結像する。ピクセル型SLMは、照射されるピクセルの各カラムが異なる波長で照射されるように、矩形ビームの分散した波長によって照射される。トロイダル光学系は、SLMから向けられた光を出力面に投射し、光ビームの選択された部分がSLMによってトロイダル光学系に向かって反射されるように、ビームの角度分散された波長を集光する。制御装置は、所望のスペクトル形状を形成するために、光ビームの一部をトロイダル光学系に向かって選択的に反射させ、ビームの別の部分をトロイダル光学系から離れるように選択的に反射させるように、ピクセル型SLMに指示する。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
円形形状を有する光ビームを発生させる光源と、
前記光ビームの経路に配置された光学要素であって、前記光ビームの前記円形形状を矩形形状に変換する光学要素と、
前記光学要素の後の前記光ビームの前記経路に配置された結像分散デバイスであって、前記光ビームの波長を分散方向に角度分散させ、前記光ビームの前記矩形形状を変調面で結像する結像分散デバイスと、
前記変調面に配置されたピクセル型空間光変調器であって、前記ピクセル型空間光変調器は、ピクセルのアレイにおける照射されたピクセルの各カラムが光の異なるスペクトルセグメントによって照射されるように、前記結像分散デバイスによって結像された前記矩形光ビームの前記角度分散した波長によって照射される前記ピクセルのアレイを備えるピクセル型空間光変調器と、
前記ピクセル型空間光変調器の後の前記光路に配置され、前記光ビームの前記矩形形状を集めて出力面に集光し、前記光ビームの前記角度分散した波長が前記出力面で重なるように集光するように構成されたトロイダル光学系であって、出力に出力光照射を生成するために、前記ピクセル型空間光変調器によって前記トロイダル光学系に向けて反射された前記光ビームの選択された部分を投影するトロイダル光学系と、
前記ピクセル型空間光変調器の制御入力に電気的に接続された出力を有するコントローラであって、前記出力光照射の所望のスペクトル形状を形成するように、前記光ビームの前記選択された部分を前記トロイダル光学系に向けて反射し、前記光ビームの別の部分を前記トロイダル光学系から離れるように反射するように前記ピクセル型空間光変調器に指示するように構成されたコントローラと
を備えるスペクトル整形された光源。
【請求項2】
前記光源がレーザー励起光源を備える、請求項1に記載のスペクトル整形された光源。
【請求項3】
前記光源がスーパーコンティニュームファイバーレーザーを備える、請求項1に記載のスペクトル整形された光源。
【請求項4】
前記結像分散デバイスが単一の光学要素を備える、請求項1に記載のスペクトル整形された光源。
【請求項5】
前記トロイダル光学系が単一の光学要素を備える、請求項1に記載のスペクトル整形された光源。
【請求項6】
前記光学要素が、円形形状の入力束断面と矩形形状の出力束断面とを有するマルチストランドファイバー束を備える、請求項1に記載のスペクトル整形された光源。
【請求項7】
前記結像分散デバイスが、前記スペクトル整形された光源の収差補正を行うように構成されている、請求項1に記載のスペクトル整形された光源。
【請求項8】
前記ピクセル型空間光変調器がデジタルマイクロミラーデバイスを備える、請求項1に記載のスペクトル整形された光源。
【請求項9】
前記ピクセル型空間光変調器が液晶デバイスを備える、請求項1に記載のスペクトル整形された光源。
【請求項10】
前記コントローラが、少なくとも1つのプリロードされたスペクトルファイルを使用して、前記光ビームの前記選択された部分を前記トロイダル光学系に向けて反射するように選択されるピクセルの数を決定するようにさらに構成されている、請求項1に記載のスペクトル整形された光源。
【請求項11】
前記コントローラが、ピクセルの前記アレイにおけるピクセルの少なくとも2つのカラムが同じ高さで照射されるように、前記光ビームの前記選択された部分を前記トロイダル光学系に向けて反射するように、前記ピクセル型空間光変調器に指示するようにさらに構成されている、請求項1に記載のスペクトル整形された光源。
【請求項12】
前記コントローラが、前記出力に前記出力光照射の所望のスペクトル形状が形成されるように、前記光ビームの前記選択された部分を前記トロイダル光学系に向けて反射するように前記ピクセル型空間光変調器に指示するようにさらに構成されている、請求項1に記載のスペクトル整形された光源。
【請求項13】
前記スペクトル整形された光源の前記出力に光学的に結合された液体ライトガイドをさらに備える、請求項1に記載のスペクトル整形された光源。
【請求項14】
所望のスペクトルの光を発生させるスペクトル拡張光源と、前記所望のスペクトルの前記発生させられた光を前記スペクトル整形された光源の前記出力に結合する光結合器とをさらに備える請求項1に記載のスペクトル整形された光源。
【請求項15】
前記スペクトル拡張光源が1つ又は複数のNIR LEDを備える、請求項14に記載のスペクトル整形された光源。
【請求項16】
前記結像分散デバイスと前記ピクセル型空間光変調器との間に配置された2次除去フィルタをさらに備える、請求項1に記載のスペクトル整形された光源。
【請求項17】
前記2次除去フィルタが、短波長のスペクトル成分を遮断し、長波長のスペクトル成分を通過させるように構成されている、請求項16に記載のスペクトル整形された光源。
【請求項18】
前記ピクセル型空間光変調器が、オーダーソーティングフィルタをさらに含む、請求項1に記載のスペクトル整形された光源。
【請求項19】
円形形状を有する光ビームを発生させるステップと、
前記光ビームの前記円形形状を矩形形状に変換するステップと、
前記光ビームの波長を分散方向に角度分散させて光の複数のスペクトルセグメントを発生させ、前記光ビームの前記矩形形状を変調面に結像させるステップと、
ピクセル型空間光変調器を使用して、分散して結像した前記光ビームを空間変調するステップであって、前記ピクセル型空間光変調器は、前記ピクセル型空間光変調器が前記光ビームの所望の選択された部分をトロイダル光学系に向けて反射するように、ピクセルのアレイ内のピクセルのカラムが前記光の複数のスペクトルセグメントのうちの1つによって照射されるように、前記ピクセルのアレイを備える、ステップと、
前記トロイダル光学系で前記光ビームの前記選択された部分を出力に投影するステップと
を含むスペクトル整形を行う方法。
【請求項20】
前記空間変調するステップが、予め定められた制御情報を使用してコントローラで実行される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記空間変調するステップは、ピクセルの前記アレイの少なくとも2つのカラムが同じ高さで照射されるように、前記光ビームの前記所望の選択された部分を前記トロイダル光学系に向けて反射するように実行される、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記空間変調するステップは、前記出力光照射の所望のスペクトル形状が形成されるように実行される、請求項19に記載の方法。
【請求項23】
所望のスペクトルを有するスペクトル拡張光源からの光を前記出力に結合するステップをさらに含む、請求項19に記載の方法。
【請求項24】
前記所望のスペクトルが、スペクトルの近赤外領域にある、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記分散して結像した光ビームをフィルタリングするステップをさらに含む、請求項19に記載の方法。
【請求項26】
前記フィルタリングするステップが、短波長スペクトル成分をブロックし、長波長スペクトル成分を通過させることを含む、請求項25に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
[関連出願の相互参照]
[0001]本出願は、2021年1月21日に出願された「Spectrally Shaped Light Source」と題する米国特許仮出願第63/140,145号の非仮出願である。米国特許仮出願第63/140,145号の全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
[序論]
[0002]数多くの商業用途及び学術用途では、広い波長範囲にわたる高輝度の光が必要とされる。例えば、高い信頼性及び長寿命をもつ、極端紫外から可視光、赤外までのスペクトル領域にわたって高輝度をもたらすレーザー励起光源が利用可能である。様々なタイプのこのような高輝度光源が、マサチューセッツ州ウィルミントン所在の浜松ホトニクスの系列会社であるEnergetiq Technology, Inc.から入手可能である。
【0003】
[0003]高輝度光源が広く利用可能になり、高輝度光を使用する応用例が増えていることが加わって、高輝度光源の光出力のスペクトルを整形するシステムのニーズが高まっている。例えば、特有の波長分布を生成することができるスペクトル整形システムが必要とされている。このスペクトル整形システムは、紫外(UV:Ultraviolet)から赤外までほぼ任意の形状の出力スペクトルを形成することができ、出力時の光の波長スペクトルをプログラムして制御することも可能になるシステムを含んでいる。
【発明の概要】
【0004】
[0004]本教示は、高輝度広帯域光源によって発生した光のスペクトルを整形して、所望のスペクトルをもつ高輝度出力光照射を行うスペクトル整形された光源に関する。より詳細には、本教示は、入力光学要素によって矩形形状光ビームに変換される円形光ビームを生成する高輝度広帯域光源の様々な実施形態に関する。結像分散光学要素(imaging dispersive optical element)は、矩形光ビームの波長を1次元に角度分散させ、矩形光ビームを結像させて、ピクセル型空間光変調器(SLM:Spatial Light Modulator)を照射するようにする。分散結像された光ビームによって照らされたピクセル型空間光変調器の選択的反射は、トロイダルミラーに向かう特定の反射される方向にスペクトル出力の様々な所望の強度を実現する。
【0005】
[0005]本教示による装置のいくつかの実施形態では、ピクセル型空間光変調器のピクセルのアレイの各カラムは、光ビームの異なる波長に対して同じ高さで照射される。空間光変調器アレイのピクセルのアレイの照射される各カラムは、各カラムを照射する光の所望の部分をトロイダルミラーに選択的に反射するように制御される。トロイダルミラーは、分散方向に集光する役割と矩形形状光ビームを出力面に結像させる役割とを同時に担う。トロイダル光学系のこの作用により、トロイダル光学系に向けて反射された分散波長の選択された部分が、スペクトル整形された光源の出力ポートで矩形形状の像に重ねられ、所望のスペクトルを含む光照射を出力ポートに行う。
【0006】
[0006]本教示のスペクトル整形された光源の1つの特徴は、本教示のスペクトル整形された光源が非常に高い光学効率を示し、組み立てが容易で物理的にコンパクトになるように構築され得ることである。加えて、スペクトル整形された光源は、高解像度並びに高精度及び高正確度を有する所望の出力スペクトルを生成する。より詳細には、本教示の変換された矩形形状光ビームの使用は、既知のシステムにとって少なくとも3つの重要な利点を有する。第1に、本教示の変換された矩形形状光ビームを使用することにより、分光計の分解能を向上させるためにスリットを用いるのと同じように、スペクトル整形器のスペクトル選択性の分解能が上がる。第2に、変調器は、分散デバイスによって波長で分離された入力ビームの矩形形状の像によって照射されるので、その矩形形状がピクセル型空間光変調器の作動を単純にする。したがって、与えられた波長の光ビームの反射される部分の所望の強度を実現するためには、アレイの照射されるカラムの高さのみが決定されればよい。第3に、スペクトルの特定の波長の各反射される部分は他の反射される部分から独立しているので、矩形形状により、得られるスペクトルプロファイルの完全性が向上する。様々な実施形態において、光照射を反射するように選択されたピクセルカラムの選択された部分について様々な長さ及び位置が使用される。
【0007】
[0007]本教示のスペクトル整形された光源は、コンパクト設計、組み立て容易性、スペクトル出力の高解像度、高精度、及び高正確度などの様々な特徴のために、空間光変調器の平面と同様に、様々な入力面及び出力面の向き及び位置を適切に支持するように配置された光学要素を含む。1つ又は複数のカラムの様々な形状及び数のピクセルは、出力照射のスペクトルの調整を行うために、トロイダル光学系に対して光ビームの一部を反射するように制御することができる。さらに、スペクトル拡張光源がスペクトル整形された光源の出力に任意選択で結合され、光信号の出力スペクトル波長域を拡張することができる。スペクトル拡張光源は、発光ダイオード(LED:light emitting diode)とすることができる。スペクトル拡張光源は、NIR(near infrared)LEDでもよい。加えて、光ビーム形状を変換するためにファイバー束が用いられて、低損失で高正確度のビーム形状を形成することができる。加えて、光学要素は、トロイダル光学系の構成が、DLP(Digital Light Processing)マイクロミラーの実施形態のための「軸外し」ミラー、すなわち45度軸に適応するように配置される。さらに、迷光抑制を行うために様々な技術を採用することができる。
【0008】
[0008]好ましく且つ例示的な実施形態にしたがった本教示は、実施形態のさらなる利点とともに、添付の図面と関連して行われる以下の詳細な説明において、より詳細に説明される。当業者は、以下で説明する図面が例示のみを目的としていることを理解するであろう。図面は必ずしも縮尺通りではなく、全体として教示の原理を説明することに力点が置かれている。図面は、何ら本出願人の教示の範囲を限定することを意図していない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本教示によるスペクトル整形された光源の一実施形態のシステム図を示す図である。
図2A】本教示によるスペクトル整形された光源のための入力光学系及び光源の実施形態の概略を示す図である。
図2B】本教示によるスペクトル整形された光源のためのファイバー束の一実施形態の入力断面を示す図である。
図2C】本教示によるスペクトル整形された光源のためのファイバー束の一実施形態の出力断面を示す図である。
図3】本教示によるスペクトル整形された光源の入力ファイバー面、結像分散デバイス、及び空間光変調器面を含むスペクトル整形システムの一部の一実施形態の斜視図を示す図である。
図4図3のスペクトル整形された光源の入力ファイバー面、結像格子、及び空間光変調器面を含むスペクトル整形器システムの実施形態の別の斜視図を示す図である。
図5図3のスペクトル整形された光源の入力ファイバー面、結像格子、空間光変調器面、トロイダルミラー、及び出力光学系を含むスペクトル整形器システムの実施形態の別の斜視図を示す図である。
図6】入力を示す図3のスペクトル整形された光源の、入力ファイバー面、結像格子、空間光変調器面、トロイダルミラー及び出力光学系を含むスペクトル整形器システムの実施形態の別の斜視図を示す図である。
図7A】本教示による赤外拡張されたスペクトル整形された光源のためのスペクトル整形器システムの入力面、結像分散デバイス、及び空間光変調器面の一実施形態の斜視図を示す図である。
図7B図7Aの赤外拡張されたスペクトル整形された光源のためのスペクトル整形器システムの実施形態の別の斜視図を示す図である。
図7C図7Aの赤外拡張されたスペクトル整形された光源のためのスペクトル整形器システムの実施形態のさらに別の斜視図を示す図である。
図8A】本教示のスペクトル整形器の可視スペクトル及びNIRスペクトルからの光を示す変調器の照射を示す図である。
図8B図8Aのシステムの正対視点からの可視光及びNIR光の変調器領域の照射を示す図である。
図9A】本教示の空間整形器システムの一実施形態のスペクトルの近赤外領域における出力ビームスポットの空間分布のシミュレーションを示す図である。
図9B】本教示の空間整形器システムの一実施形態のスペクトルの可視領域における出力ビームスポットの空間分布のシミュレーションを示す図である。
図9C図9A及び図9Bの空間整形器システムの実施形態のスペクトルの近赤外及び可視領域における出力ビームスポットの合成空間分布のシミュレーションを示す図である。
図10A】本教示の近赤外拡張スペクトル整形器の一実施形態における変調器面のモデルの結果を示す図である。
図10B】本教示の近赤外拡張スペクトル整形器の実施形態の2つの測定のための変調器面の写真を示す図である。
図11A】「オン状態」に設定されたミラーの特定のロウをもつ、本教示のスペクトル整形器の一実施形態からのスペクトルのグラフであって、可視スペクトルとNIRスペクトルとの比較を示すグラフである。
図11B図11Aのスペクトル整形器システムの実施形態からのスペクトルのグラフを示し、可視スペクトル及び/又はNIRスペクトルについて、すべてのミラーを「オン状態」にしたときの出力を示す図である。
図12A】オン状態にある可視領域のミラーの特定のロウをもつ、本教示のスペクトル整形器システムの一実施形態からのスペクトルのグラフを示す図である。
図12B】オン状態にあるNIR領域のミラーの特定のロウをもつ、本教示のスペクトル整形器システムの一実施形態からのスペクトルのグラフを示す図である。
図12C図12A及び図12Bのスペクトルを共通軸で表したグラフを示す図である。
図13A】オン状態にあるNIR領域のミラーの5つのロウを使用して、NIR領域に5つのピークをもつ、本教示のスペクトル整形器システムの一実施形態からのスペクトルのグラフを示す図である。
図13B】計算されたFWHM情報を加えた図13Aのスペクトルのグラフを示す図である。
図14A】広帯域点光源から可視光及びNIR光を発生させる光源の正面図である。
図14B】可視光及びNIR光を発生させる図14Aの光源の上面図である。
図14C】可視光及びNIR光を発生させる図14Aの光源の側面上面図である。
図15】光学要素上の種々のフィルタ及び/又はミラーコーティングと、点光源照射を発生させるキセノンベースの高輝度プラズマとを使用する、本教示によるスペクトル整形器システム用の光源の様々な実施形態の出力のスペクトルのグラフを示す図である。
図16】本教示のスペクトル整形器システム用の光源のためのアラインメント及び特性評価システムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[様々な実施形態の説明]
[0039]次に、添付の図面に示すような本教示の例示的な実施形態を参照して、本教示をより詳細に説明する。本教示は、様々な実施形態や例と併せて説明しているが、本教示をそのような実施形態に限定することは意図していない。逆に、本教示は、当業者によって理解されるように、様々な代替物、改変及び均等物を包含している。本明細書の教示を利用できる当業者であれば、追加の実装形態、改変、及び実施形態、並びに他の使用分野を認識するであろうが、それらは本明細書に記載されているとおり、本開示の範囲内である。
【0011】
[0040]明細書において「1つの実施形態(one embodiment)」又は「一実施形態(an embodiment)」を参照するということは、その実施形態に関連して説明される特定の特徴、構造、又は特性が、本教示の少なくとも1つの実施形態に含まれていることを意味する。なお、本明細書の様々な箇所で「1つの実施形態において(in one embodiment)」という表現が現れるのは、必ずしもすべてが同じ実施形態を指しているわけではない。
【0012】
[0041]本教示の方法の個々のステップは、教示が実施可能であり続ける限り、任意の順序で、及び/又は同時に実行することができることを理解されたい。さらに、本教示の装置及び方法は、本教示が実施可能であり続ける限り、記載された実施形態のうちのいくつか又はすべてを含むことができることを理解されたい。
【0013】
[0042]図1は、本教示によるスペクトル整形された光源100の一実施形態のシステム図を示す。高輝度光源102は、高輝度光を出力に生成する。光源102は、例えば、高輝度プラズマによって供給される広帯域光を出力に供給する、レーザー励起キセノンランプなどの高輝度レーザー励起光源(LDLS:laser driven light source)とすることができる。光源102は、例えば、スーパーコンティニュームファイバーレーザー(super continuum fiber laser)とすることもできる。
【0014】
[0043]出力光は、入力光学系104によって集められ、結像格子106に向けられる。いくつかの実施形態における結像格子106は、結像分散デバイスである。入力光学系104は、例えば、バルク光学構成要素及び/又は光ファイバー構成要素を含む、様々な光学要素を含むことができる。入力光学系104は、光源102からの光の空間出力を、スペクトル整形器システム108の入力面における所望の空間プロファイルに変換することができる。結像格子は、入力からの光の波長を空間的に分離し、その光を空間光変調器110に向ける。
【0015】
[0044]空間光変調器110は、空間的に分離された光の波長の光を独立して変調し、変調された光をトロイダル光学要素112に向ける。いくつかの実施形態では、空間光変調器はピクセル型空間光変調器である。いくつかの実施形態では、ピクセルは1次元アレイを形成している。いくつかの実施形態では、ピクセルは2次元アレイを形成している。いくつかの実施形態では、ピクセル型空間光変調器110は、デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)を備えている。いくつかの実施形態において、ピクセル型空間光変調器は、LCOS(Liquid Crystal on Silicon)デバイスを備えている。さらに、いくつかの実施形態では、ピクセル型空間光変調器110は、スペクトル純度を高めるオーダーソーティングフィルタを含んでいる。
【0016】
[0045]トロイダル光学要素112は、空間光変調器110によってそのトロイダル光学要素112に向かって反射された光を出力光学系114に向ける。トロイダル光学要素112は、空間光変調器110からの光を集めて集光する。トロイダル光学要素のいくつかの実施形態は、空間的に分離された光の波長を再結合させ、トロイダル光学系に向けられた変調器の表面からの光を出力面に結像する、トロイダル形状をもつ反射面を利用する。出力光学系114は、例えば、バルク光学構成要素及び/又は光ファイバー光学構成要素を含む様々な光学要素を含むことができ、例えば、結像した光を光ファイバー又は他のライトガイドに結合させるために使用することができる。
【0017】
[0046]コントローラ116は、高輝度光源及び/又は空間光変調器110に接続されて、出力光学系114の出力において所望の光スペクトルを生成するように光の変調を制御する。いくつかの実施形態では、コントローラ116はオープンループ構成で動作し、例えば、予めロードされたスペクトルファイルを使用して、どのように空間光変調器を制御するかを決定する。例えば、予めロードされたスペクトルファイルは、特定の波長に紐づいた変調器110のカラムの何個のピクセルがトロイダル光学要素112に向かって光を送っているかを含むことができる。これらの実施形態では、スペクトルプロファイルを合わせるために外部センサー及び/又は分光計は必要ではない。この特徴は、システム内の光ビームの正確な整形とスペクトル結像とによって可能になる。入力ビーム及び結像格子106は、変調器上に正確な形状と大きさの一領域を特定の所望の波長で照射するように構成されている。照射領域の大きさ及び形状が正確であるので、その領域の所望の波長で照射されるピクセルの数及び位置を決定することができる。「オン状態」のピクセルは光を反射し、「オフ状態」のピクセルは光を反射しない。そのため、その領域から反射される光の強度は、「オン状態」のピクセル数を制御することによって制御される。かくして、照射される領域の「オン状態」のピクセルの個数を制御することによってのみ、特定の波長の所望の強度を出力に生成することが可能になる。いくつかの実施形態では、像ビームの大きさ及び形状は、変調器のピクセルの2次元アレイのうちの1カラムを照射する矩形形状である。
【0018】
[0047]スペクトル整形器システム108の様々な実施形態は、特定の入力光学系104又は出力光学系114を、用途に応じて含んでも含まなくてもよい。スペクトル整形器システム108のいくつかの実施形態は、空間光変調器を制御するための制御アルゴリズムが予めロードされた内部コントローラを含んで、出力光の所望のスペクトル形状を形成することができる。
【0019】
[0048]本教示の1つの特徴は、スペクトル整形された光源100が、光源102からの高輝度光を空間的に整形する入力光学系104を含み、結像格子106による変換後に空間光変調器110の平面に所望の像を生成する空間プロファイルを整形器の入力面に形成することができることである。例えば、いくつかの実施形態では、整形器光学系108の入力面における光の空間プロファイルは、実質的に矩形形状を有することが望ましい。高輝度光源102から出射する光は、例えば、一般に円形形状であってもよい。したがって、いくつかの実施形態では、入力光学系104は、円形形状の入力から矩形形状の出力への変換を実行する。
【0020】
[0049]図2Aは、本教示によるスペクトル整形された光源の一実施形態のための入力光学系202及び光源204を含むいくつかの要素200の概略を示す。光源204は、光源204から発散する、高輝度プラズマ206からの光を発生させる。入力光学系202中の集光光学系208は、光源204からの発散光を集め、光ファイバー束210の入力に集光する。いくつかの実施形態では、ファイバー束210は、ファイバーの入力に結合される集光ビームの形状を所望の出力形状に変換するように構成されている。
【0021】
[0050]図2Bは、本教示によるスペクトル整形された光源用のファイバー束210の一実施形態の入力断面230を示す。束の個々のファイバー232は、入力に名目的に円形形状に配置されている。
【0022】
[0051]図2Cは、本教示によるスペクトル整形された光源用のファイバー束210の一実施形態の出力断面を示す図である。束の個々のファイバー232は、入力に名目的に矩形形状に配置されている。この実施形態では、束の個々のファイバー232の入力における形状は、24本のファイバーの単一のカラムで形成されている。他の実施形態では、矩形形状の高さと幅の異なるアスペクト比及び/又は異なる本数のファイバーを使用することができる。円形形状から矩形形状への変換は、所望の形状変換を実現するために束210の長さにわたってファイバー232の位置を再配置することによって達成される。当業者に理解されるように、多数の形状及び形状変換がファイバー束を使用して達成され得る。いくつかの実施形態では、ファイバー束の入力断面の形状は、光源204のプラズマ206又は他の光発生要素の像に厳密に一致するように形成されている。いくつかの実施形態では、ファイバー束210の出力断面の形状は、整形器システム内の空間光変調器におけるピクセル、又はピクセル群の形状に一致する矩形形状を有するものが与えられている。
【0023】
[0052]図3は、本教示によるスペクトル整形された光源用の入力ファイバー面302、結像分散デバイス304、及び空間光変調器面306を含むスペクトル整形システム300の一部の実施形態の斜視図を示す。長さのスケール310が示されている。この長さのスケール310は例示的なものであり、本教示の整形器システムは、当業者によって理解されるように、この大きさ又は形状に限定されない。
【0024】
[0053]白色光又は他の広帯域光とすることができる入力光は、特定の形状を有する光ビーム308として整形器に導入される。形状は、光ビーム308をファイバーアレイに通すことによって形成されてもよい。本明細書ではファイバーアレイを説明したが、他の入力光学系を使用して、入力面302に所望の形状をもつ入力光ビーム308を形成することができる。ファイバーアレイは、例えば、直線状のファイバーアレイ又は矩形形状のアレイ、又はその他の形状にすることができる。いくつかの実施形態では、ファイバーアレイは、円形の入力束断面と直線の出力端とをもつマルチストランドファイバー束から構築された直線ファイバーアレイである。いくつかの実施形態では、アレイからの光は、矩形光ビーム308の形状で形成される。
【0025】
[0054]アレイからの光ビーム308の光は、次に、整形された光ビームの光のスペクトルを空間的に分離されたビームに分離する結像分散デバイス304に向けられる。かくして、結像分散デバイス304は、光ビームの波長を分散方向に角度分散させ、変調面306に光ビームの形状を結像する。本教示によるいくつかの構成では、光ビームは矩形形状に形成される。いくつかの実施形態では、結像分散デバイス304は、凹型で、収差補正された結像格子である。入力光ビームを結像させるために湾曲した分散要素を使用することにより、結像を行うために整形器システムに必要とされたレンズなどの余分な光学要素の必要性を排除することができる。
【0026】
[0055]結像分散デバイス304は、入力面302に出力されたファイバーアレイ308の像を、変調器面306に配置された空間光変調器(図示せず)の表面に生成する。分散デバイス304によって分離された様々な波長の光は、それぞれに異なる変調器領域に別個に結像される。本教示によるいくつかの構成では、入力光は矩形形状であり、変調器領域は変調器を形成するピクセルのアレイのカラムである。例えば、入力光の個々の波長に対して、分散要素は、入力光のビーム形状の像を変調器の特定のカラム上に形成する。
【0027】
[0056]広帯域光入力の場合、様々な波長での入力形状の像がピクセル型変調器のそれぞれに異なるカラム上に形成され、カラムを横切る虹を形成する。いくつかの実施形態では、変調器はDMD変調器であり、様々な波長像はそれぞれに異なるマイクロミラーピクセルカラムと一致する。本明細書の様々な説明では、アレイの対応する向きは当業者に理解されるように任意であるため、一般性を損なうことなく、アレイの1つの次元を表すものとしてピクセルの特定のロウ及び/又はカラムを参照する。
【0028】
[0057]いくつかの実施形態では、入力面302と変調器面306は異なる平面であり、入力面302の法線は、変調器面306の法線と同一直線上にない。この構成は、光学系のコンパクトな3次元パッケージを実現することを促進し、変調器面306における光入力形状の高品質な像を維持する。
【0029】
[0058]図4は、図3のスペクトル整形された光源のための入力ファイバー面302、結像分散デバイス304、及び空間光変調器面306を含むスペクトル整形システム400の実施形態の別の斜視図を示す。長さのスケール310も示されている。ファイバーアレイ308及び変調器312が示されている。この図は、アレイの3つの表面、すなわち入力面302における図と、個々の波長を空間に広げてそれぞれに異なる波長の像を形成する分散デバイス304の凹面における図と、変調器312への入力の面306における図とを示す。分散デバイス304から異なる角度で出現する各波長は、グレーティングによって行われる波長分離と分散デバイス304の曲率とに基づいて、変調器312の異なる領域に入力アレイ308の別の像を形成する。いくつかの実施形態では、分散デバイス304は、球面収差の補正も行う。
【0030】
[0059]いくつかの実施形態では、オーダーソーティングフィルタが、結像分散デバイス304と変調器312との間の経路中に配置される。オーダーソーティングフィルタは、結像分散デバイス304及び/又は変調器312上に配置され、或は結像分散デバイス304及び/又は変調器312に統合されることがある。オーダーソーティングフィルタは、2次の短波長光を1次光との混合から取り除くことによって、像面におけるスペクトルの純度を高める。1次と2次は2倍の波長差を有する。例えば、400nmの2次波長は取り除かれ、800nmの1次波長の光と重なることにはならない。
【0031】
[0060]図5は、図3のスペクトル整形された光源のための入力ファイバー面302、結像分散デバイス304、空間光変調器面306、トロイダルミラー314、及び出力光学系316を含むスペクトル整形器システム500の実施形態の別の斜視図を示す。長さのスケール310も示されている。本システムは、図4に示すファイバーアレイ308及び変調器312を含む。変調器312からトロイダルミラー314に向けられた光を整形器システム500の出力面318に投影するために、トロイダルミラー314と、本実施形態ではレンズである出力光学系316とが使用される。変調器312は、変調器312の一部の領域からの光をトロイダルミラー314に向け、変調器312の他の領域からの光はトロイダルミラー314から離れた方向に向けるように制御される。例えば、いくつかの実施形態では、DMDの1つ又は複数のピクセルからの光はミラー314に向けられ、他のピクセルからの光はミラー314から離れた方向に向けられる。
【0032】
[0061]いくつかの実施形態では、変調器312は、ピクセルのロウとカラムを有するピクセルの2次元アレイである。入力面312における矩形形状光ビームからの光は、変調器面306に結像する矩形の幅及び高さがピクセルのカラムの幅及び高さに対応するように結像させられる。分散デバイス304による波長の空間的分離により、様々な波長の光がそれぞれに異なるカラムのピクセルを照射する。コントローラ(図5に示さず)は、光をトロイダルミラー314に向けたり遠ざけたりするように、変調器312のピクセルの各々を設定するために使用される。
【0033】
[0062]分散デバイス304の構成は、変調器312のピクセルの各カラムに向けられる中心波長及びスペクトルセグメントと呼ばれることがある中心波長前後のスペクトル帯域幅を決定する。次いで、カラム内のピクセルのうち一定の割合は光をミラー314に向けるように制御され、残りのピクセルは光をミラー314から離れた方向に向けるように制御される。異なるカラムは、それぞれに異なる光のスペクトルセグメントに対応している。このようにして、ミラー314に向けられた特定のスペクトルセグメントにおける光の強度の制御された割合は、次いで、ミラー314によって出力へ反射され、以て、整形器出力におけるスペクトルセグメントの光の制御された強度を与える。異なるカラムに紐づいたそれぞれに異なるスペクトルセグメントは独立して制御されるので、この機能は、整形器システム出力の波長の関数としての強度の制御された形状を与える。
【0034】
[0063]説明したように、入力面302において光の形矩形状を用いることの1つの特徴は、非常に低い損失、又は高いスループット効率を実現することができることである。この非常に低い損失、又は高いスループット効率は、像が効率的に矩形の変調器312の表面を照射するので、ほぼすべての入力光がピクセルに入射し、変調器によってトロイダルミラー314に向けられたほぼすべての光が出力面318に現れるために起こる。また、ピクセルが均一に照らされるので、強度の高い正確度が実現される。様々な実施形態では、変調器312上の照射される領域の様々な形状に加えて、入力面302から変調器面306までの像も様々な形状が可能であることを理解されたい。
【0035】
[0064]本教示の1つの特徴は、矩形形状に整形された入力光ビームの、結像分散デバイス304によって結像された像が、変調器312のカラムのピクセルを均一の高さで照射することである。この場合、変調器312の表面からトロイダルミラー314に向かって光を反射するように制御される、特定の波長に紐づいたカラムのピクセルの高さは、出力に現れるその波長の照射の割合を決定する。変調器のピクセルのカラムの様々な高さを制御することにより、出力面318での照射について所望のスペクトル形状を形成する。
【0036】
[0065]さらに、空間光変調器312のカラムに紐づいた与えられた波長帯の、トロイダルミラーに向かって反射される光の量は、そのカラム中の、光をトロイダルミラー314に向けるように制御されたピクセルの数によって決定することができる。したがって、いくつかの実施形態では、結像分散デバイスによって結像される、矩形光ビームの角度分散した波長によって照射されるピクセルの少なくとも1つのカラムのピクセルの数は、出力面318における出力光照射の所望のスペクトル形状を形成するように選択される。
【0037】
[0066]トロイダルミラー314は、ミラー314の表面に向けられた空間光変調器312からの波長を空間的に再結合させ、空間的に再結合させられた光を出力光学系316に向ける形状の反射面で構成されている。出力光学系316は、空間的に再結合させられた光を、整形器システム500の出力面318に配置された所望の受光する光学系(図示せず)に結合する。いくつかの実施形態の出力光学系316は、トロイダルミラー314から向けられた出力光を液体ライトガイド(図示せず)に結合する出力レンズである。特定の用途に基づくことができるように、出力面318からの光ビームを受光する他の光学系も可能である。
【0038】
[0067]図6は、図3のスペクトル整形された光源の入力ファイバー面302、結像分散デバイス304、空間光変調器面306、トロイダルミラー314、及び出力光学系316を含むスペクトル整形器システム600の別の斜視図である。整形器システム600のこの図は、入力面302を通って分散デバイス304に至る光軸と、分散デバイス304が、入力面302を通って分散デバイス304に至る光軸と同一直線上にない法線をもつ変調器面306に、どのように光を向けるかとを示している。整形器システム600のこの図は、トロイダルミラー314が、そのミラー314に向けられた波長を空間的に再結合させるとともに再結合させられた光を出力面318に向ける3次元トロイダル表面形状を有していることも示している。
【0039】
[0068]図3図6に示したスペクトル整形システムの実施形態は、反射デバイスとして構成された分散デバイス、変調器、及びトロイダル光学要素を用いて図示している。分散デバイス、変調器、及びトロイダル光学要素のうちの1つ又は複数を、よく理解された改変を光学系に加えて透過型デバイスとして構成し、それでも本教示のスペクトル整形器システムと一致させることができることを理解されたい。
【0040】
[0069]本教示のスペクトル整形システムの1つの特徴は、関心のある複数の波長範囲に対応するように設計することができることである。例えば、システムの実施形態は、約380nm~約760nmの波長範囲にわたって動作する。この波長範囲は、スペクトルのUV領域及び可視領域と呼ばれることがある。本システムの実施形態は、約380nm~約1100nmの波長範囲にわたっても動作する。この拡張した波長域は、スペクトルの近赤外(NIR)領域、名目的には約760nm~約1100nmのスペクトル成分を含んでいる。
【0041】
[0070]本教示によるスペクトル整形器のいくつかの実施形態は、結像分散要素及び変調器は共有するが、UV及び/又は可視光用とNIR光用とで別々の入力構成を有する、スペクトルのNIR領域におけるスペクトル整形を行う。これらのNIR領域におけるスペクトル整形器の実施形態は、スペクトルのNIR領域の整形された光ビームを、結像分散デバイスの非点収差を生じさせる位置に配置し、次いでこの結像分散デバイスの非点収差が利用されて、空間光変調器表面の可視/UVスペクトルと異なる位置にNIRスペクトルを配置する。かくして、NIRのスペクトル成分と可視及び/又はUVの成分とは、別々のピクセルカラムを照射するので、独立して制御することができる。
【0042】
[0071]図7Aは、本教示による赤外線拡張スペクトル整形された光源の入力面702、704、結像分散デバイス706、及び空間光変調器面708を含むスペクトル整形器システム700の一実施形態の斜視図である。斜視図700に示す整形器システム700は、長さのスケール711を示されている。この長さのスケール710は例示的なものであり、本教示のNIR拡張整形器システムは、当業者に理解されるように、この大きさ又は形状に限定されない。
【0043】
[0072]可視及び/又は紫外の入力光は、可視光入力面702で矩形形状を有する光ビームとして、整形器システム700に導入される。いくつかの実施形態では、可視光はライン形状である。近赤外光は、NIR入力面704で入力される。いくつかの実施形態では、NIR光は点光源形状として入力される。可視光入力面702からの光及びNIR入力面704からの光は、結像分散デバイス706に向けられる。結像分散デバイス706は、NIR及び可視光入力面702、704からの整形された光ビームの光のスペクトルを空間的に分離されたビームに分離し、その空間的に分離されたビームを、NIRスペクトルが窓710のすぐ後ろに位置する変調器712上の可視スペクトルと平行になるように、空間光変調器面708に位置する空間光変調器窓710へ向ける。NIRサブシステムは、可視系と同じ光路を共有する。いくつかの実施形態では、可視光は、出力断面においてファイバーの線形アレイをもつファイバー束によって供給される。このファイバー束が線形状を生成する。いくつかの実施形態では、NIRシステムは、名目上、点光源である。この点光源は、例えば、単一の光ファイバー出力から供給することができる。
【0044】
[0073]NIRは、NIRが液体ライトガイドであってもよい出力光学デバイスに結合されるまで、この経路を共有する。可視スペクトルとNIRスペクトルの両方は、空間光変調器上に空間的な隙間とともに配置されているので、可視スペクトル及びNIRスペクトルは、空間光変調器712とコントローラ(図示せず)とによって独立して操作することができる。この実施形態では、NIRの入力が、収差が生じないであろう最適な入力位置からオフセットされている。オフセット位置は、結像分散デバイス706からの非点収差を導入し、これは、NIR入力光の点光源形状から空間光変調器712でNIR光のライン形状を生成するように働く。収差は、変調器712上の可視光とは異なる位置にNIRスペクトルを配置するようにも働く。一方、線光源形状である可視光入力は、無収差で結像される。
【0045】
[0074]図3に関連して説明した実施形態と同様に、図7Aの実施形態の結像分散デバイス706は、変調器面306(図3)に、可視光入力面702及びNIR入力面704における整形された光ビームの像を生成する。分散デバイス706によって分離された様々な波長の光は、それぞれに異なる変調器ピクセル領域に別々に結像される。いくつかの実施形態では、変調器はDMD変調器であり、異なる波長像はそれぞれに異なるDMDピクセルカラムと一致する。いくつかの実施形態では、入力面702、704と変調器面708とは異なる平面であり、光学系にコンパクトな3次元パッケージをもたらす。任意選択で、NIR光ビームを投影するために光学ウェッジ714を使用することができ、入力面702、704からの可視及び/又はUV光ビームを絞るために光学アパーチャ716を使用することができる。
【0046】
[0075]図7Bは、図7Aの赤外拡張されたスペクトル整形された光源のためのスペクトル整形器システムの別の斜視図730を示す。長さのスケール711が示されている。この図730は、可視光入力面702及びその可視光入力面702でシステムに入る可視光の線光源光ビームを示す。NIR光ビーム入力は、光学ウェッジ714を通過する、NIR入力面704における点光源である。NIR光はアパーチャ724を通過し、可視光もアパーチャ716を通過した後、両ビームは結像分散デバイス706に入射する。結像分散デバイス706は、可視光とNIR光の両方の光の波長を空間的に分離する。結像分散デバイス706は、窓710を通過した後、空間光変調器712に、NIR光からの光の様々な色の点と、可視光からの光の様々な色のラインとを結像する。
【0047】
[0076]コントローラ(図示せず)が使用されて空間光変調器712を制御し、各色からの所望の量の光が、波長を空間的に再結合させ各色から所望の量の光を収集レンズ720に向けるトロイダルミラー718に向けられるようにする。集光レンズは、出力光照射の所望のスペクトル形状をもつ光ビームを出力面722に与える。
【0048】
[0077]図7Cは、図7Aの赤外拡張されたスペクトル整形された光源のためのスペクトル整形器システム750のさらに別の斜視図の一部を示す。可視光入力面702、NIR入力面704、結像分散デバイス706、空間光変調器面708、空間光変調器窓710、空間光変調器712、トロイダル光学ミラー718、収集レンズ720、及び出力面722を示している。スケール711が示されている。スペクトル整形器システム750のこの図は、システムを通過する光ビームの複雑な3次元経路を示す。これが、分散デバイス706によって分散させられた波長を空間的に再結合させることと、出力面722で光を再結像することの両方にトロイダルミラー718が必要とされる理由である。
【0049】
[0078]図8Aは、本教示のスペクトル整形器システムの可視スペクトル804及びNIRスペクトル806からの照射を示す変調器802の照射800を示す図である。長さのスケール801が与えられている。可視スペクトル804の光とNIRスペクトル806の光は、同じ変調器802を共有する。可視光804は変調器802の上半分に入射し、結像分散デバイスによる収差が小さいため、高い解像度を示す。NIR光806は変調器802の下半分に入射し、結像分散デバイスの収差のため、低い解像度を示す。このように、2つのスペクトル804,806は空間的に分離されており、波長域の重なりは最小でしかない。いくつかの実施形態では、帯域フィルタが使用される。
【0050】
[0079]図8Bは、図8Aのシステムの正対視点からの変調器領域852、856の照射850を示す図である。波長等級856が示されており、異なる波長の光は、領域852、854のシミュレーションにおいて、異なるシンボル及び異なるグレースケールレベルを有する。NIRスペクトル領域854では、波長毎に、スペクトル線860が傾いており、他の波長のスペクトル線と平行である。その結果、NIRの出力は、これらのラインがトロイダルミラーで再結合されると一ライン像になる。可視光858は解像度が高く、入力されたアレイの形状は、変調器802で結像され、及びトロイダルミラーで再結合させられた後に整形器システムの出力でも結像される。入力に設けられた光ファイバーの線形アレイからの個々の円形のアレイ要素は、3つの個別のスポットとして解像されているが、このようなパターンはライン形状又は矩形形状と呼ばれることがあることに留意されたい。一般に、本教示による装置に関連して、可視スペクトル804は約380nm~約750nmの範囲を包含し、NIRスペクトル806は約700nm~約1100nmの範囲を包含する。
【0051】
[0080]図9Aは、本教示のスペクトル整形器システムの一実施形態のスペクトルの近赤外領域における出力ビームスポットの空間分布900のシミュレーションを示す。格子状のマス目902は1ミリメートル角である。凡例904は、0.7マイクロメートル~1.1マイクロメートルの様々な波長を示している図のグレースケールを表す。空間分布900は、例えば、整形器システムに結合された出力の液体ライトガイド(図示せず)に対する入力表面におけるスポットサイズを表す。
【0052】
[0081]図9Bは、本教示の空間整形器システムの一実施形態のスペクトルの可視領域における出力ビームスポットの空間分布930のシミュレーションを示す。格子状のマス目932は1ミリメートル角である。凡例934は、0.38マイクロメートル~0.75マイクロメートルの様々な波長を表すグレースケールを表す。空間分布930は、例えば、整形器に結合された出力の液体ライトガイド(図示せず)に対する入力表面におけるスポットサイズを表す。
【0053】
[0082]図9Cは、図9A及び図9Bの空間整形器システムの実施形態のスペクトルの近赤外及び可視領域における出力ビームスポットの合成空間分布950のシミュレーションを示す。格子状のマス目952は1ミリメートル角である。凡例954は、0.38マイクロメートル~1.0マイクロメートルの様々な波長を示している図のグレースケールを表す。空間分布950は、例えば、整形器システムに結合された出力の液体ライトガイド(図示せず)に対する入力表面におけるスポットサイズを表す。この結果は、スペクトル整形器システムで同じ光学系を共有する可視とNIRとを用いて得られる。整形器システムの出力は、可視光とNIR光が小さな領域上に重なった光となる。その領域は約4ミリメートル×5.5ミリメートルの大きさを有する。スペクトル整形器の出力面における空間分布950のこの大きさと形状は、液体ライトガイドによって効率よく収集することができる。
【0054】
[0083]図10Aは、本教示の近赤外拡張スペクトル整形器システムの一実施形態における変調器面のZemax(商標)モデルシミュレータの出力1000の結果を示す。変調器のNIR領域1001は、NIR入力面における入力NIR点光源のオフセット配置のため、結像分散要素に何らかの収差が発生する結果として若干傾いたライン形状をもつ、5つの異なる個別のNIR波長に割り当てられた照射パターン1002、1004、1006、1008、1010を示す。変調器の可視領域1011は、収差補正をともなう結像分散要素によって結像された、可視光入力面で入力された3要素線形ファイバーアレイの高解像度の像をもつ、5つの異なる別個の可視波長に割り当てられた照射パターン1012、1014、1016、1018、1020を示している。モデル1000は、個々のNIRスペクトル像1002、1004、1006、1008、1010と、可視像1012、1014、1016、1018、1020との間の明確なギャップを示す。
【0055】
[0084]図10Bは、本教示の近赤外拡張スペクトル整形器システムの実施形態の2つの測定のための変調器面の写真1030、1050を示す。各写真1030、1050のための変調器のNIR領域1032、1052及び可視領域1034、1054が示されている。各写真は、スペクトルの可視部からNIR部にまで及ぶ、異なる入力照射で照射される。各測定のための照射のスペクトル全体を写真1030、1050に示す。測定されたスペクトル全体の照射は、同一の結像分散要素を共有し、分散要素によって分離された全スペクトル成分は同一の変調器要素上に落ちる。第1の写真1030の照射された領域1032、1034の間、及び第2の写真1050の照射された領域1052、1054の間にも、明確な空間的ギャップが容易に認められる。この空間的ギャップは、NIR領域1032、1052及び可視領域1034、1054の独立したスペクトル制御を行うために必要である。ピクセルの2次元アレイをもつピクセル型変調器である変調器の場合、NIR領域1032、1052のピクセルが可視領域1034、1054のピクセルと異なることは明らかである。可視域及び/又はNIR領域の個々のスペクトル成分が異なることも明らかであり、さらにピクセル型変調器のピクセルの別の領域を制御することによって独立して制御され得る。
【0056】
[0085]図11Aは、本教示のスペクトル整形器システムの一実施形態からのスペクトルのグラフ1100を示し、「オン状態」に設定されたミラーのロウを用いて可視スペクトルとNIRスペクトルとの比較を示している。これらの測定に使用したスペクトル整形器システムは、変調器面にピクセルとしてマイクロミラーをもつDMDを含めていた。これらの測定は、スペクトル整形器システムの出力に光学的に結合された液体ライトガイドの出力において行われた。この図11Aの測定では、各ロウが5ミラー幅をもつ、ミラーの8つのロウをオンに設定した。可視スペクトル1102を短い破線で示し、NIRスペクトル1104を長い破線で示している。足し合わされたスペクトル1106も実線で示されている。可視スペクトル1102に見られる8つのピークは、半値幅(FWHM:full width at half maximum)が小さい。NIRスペクトル1104の8つのピークのうち5つはカウントが低く、FWHMがわずかに広くなっている。グラフ1100におけるスペクトルの強度の多少のアンバランスは、出力光を集めた液体ライトガイドの透過率が730nm以上の波長に対して低く、その液体ライトガイド中の減衰に起因する。
【0057】
[0086]図11Bは、図11Aに関連して説明したスペクトル整形器システムからのスペクトルのグラフ1150を示し、可視スペクトル及び/又はNIRスペクトルについて、すべてのミラーを「オン状態」にしたときの出力を示している。変調器の可視領域においてすべてのミラーが「オン状態」にある可視スペクトル1152を短い破線で示し、NIR領域においてすべてのミラーが「オン状態」にあるNIRスペクトル1154を長い破線で示している。両領域のすべてのミラーが「オン状態」であるときの足し合わせたスペクトル1156も実線で示している。すべてのミラーを「オン状態」にすると、個々のスペクトル成分が区別されず、出力は高いカウントレートを示し、総波長範囲はグラフ1100のオン状態のロウよりも低くなる。
【0058】
[0087]図12Aは、可視領域において「オン状態」のミラーのロウをもつ、本教示のスペクトル整形器システムの一実施形態からのスペクトルのグラフ1200を示している。このグラフは、各ミラーが「オン状態」にある5つのミラーからなるロウを8つ用いた結果である。収差補正された結像によって実現された高い解像度は、小さなFWHMで示されている。
【0059】
[0088]図12Bは、オン状態にあるNIR領域のミラーのロウをもつ、本教示のスペクトル整形器の一実施形態からのスペクトルのグラフ1230を示している。NIRのピークはFWHMが広い。
【0060】
[0089]図12Cは、図12A及び図12Bの可視スペクトルとNIRスペクトルの両方の同一プロット上のグラフ1250を示している。比較すると、NIR光の方が、スループットが低く、FWHMが大きいことがわかる。この図12C測定に使用した液体ライトガイドは、NIR領域の透過率が低かったが、近赤外全域で70%を超える透過率の拡張透過型液体ライトガイドが利用可能である。スペクトル整形システムのスループットは、例えば、10%高いフラックスを得ることができる金コーティングされた反射面を使用することによって結像分散デバイスの反射率を高めることによって改善され得る。収差条件の変化により、NIRスペクトルの個々のラインの傾きが変化することもある。
【0061】
[0090]図13Aは、NIR領域の「オン状態」のミラーの5つのロウを使用して、NIR領域に5つのピークをもつ、本教示のスペクトル整形器システムの一実施形態からのスペクトルのグラフ1300を示す図である。試料のピークは、716nm、754nm、791nm、835nm、905nmにある。
【0062】
[0091]図13Bは、計算されたFWHM情報を加えた図13Aのスペクトルのグラフ1350を示す。716nmのピークのFWHMは13.72nmである。754nmのピークはFWHMが14.26nmである。791nmのピークはFWHMが14.46nmである。835nmのピークはFWHMが14.22nmである。905nmのピークはFWHMが13.21nmである。したがって、FWHMは13nm~14nmの範囲にある。
【0063】
[0092]本教示の1つの特徴は、NIR光源光と可視光源光の両方を、同一の光源によって発生させることが可能であることである。光源は、可視光源光がスペクトル整形器の可視光入力面と一致する平面で供給され、NIR光源光が本明細書に記載のスペクトル整形器のNIR入力面と一致する平面で供給されるように構築されている。本実施形態の1つの利点は、可視光と近赤外線の両方の照射に単一の光源を使用することによって、複雑さとコストの両方が削減されることである。この単一の光源を使用する設計により、スペクトル整形システムを用いたコンパクトなNIR拡張プログラマブル光源を提供することが可能になる。
【0064】
[0093]図14Aは、光の広帯域点光源1406から可視光1402とNIR光1404とを発生させる光源の正面図1400を示す。光の広帯域点光源1406は、例えば、レーザー励起光源の高輝度プラズマによって発生させられ得る。第1の楕円ミラー1408は、点光源1406からの光を反射し、可視出力面1412で所望の形状をもつ可視出力1410光ビームに集光する。ショートパスフィルタ1414は、第1の楕円ミラー1408から反射された光の経路に配置される。第2の楕円ミラー1416は、点光源1406からの光を反射し、NIR出力面1420で所望の形状をもつNIR出力1418光ビームに集光する。ロングパスフィルタ1422は、第2の楕円ミラー1416からの反射された光の経路に配置される。可視出力1410の形状及びNIR出力1418の形状は楕円形であり、スペクトル整形器に結合されると、整形器出力における可視部のスペクトルとNIR部のスペクトルとのバランスをとり、滑らかにするように働く。
【0065】
[0094]図14Bは、図14Aの可視光1402及びNIR光1404を発生させる光源の上面図1430を示す。可視出力面1412及びNIR出力面1420と同様に、第1の楕円ミラー1408、第2の楕円ミラー1416、ショートパスフィルタ1414及びロングパスフィルタ1422が示されている。
【0066】
[0095]図14Cは、可視光1402及びNIR光1404(図14A)を発生させる光源の側面上面図1450を示す。可視出力面1412及びNIR出力面1420と同様に、第1の楕円ミラー1408、第2の楕円ミラー1416、ショートパスフィルタ1414及びロングパスフィルタ1422が示されている。
【0067】
[0096]様々な実施形態において、可視光照射及びNIR光照射からの相対的フラックスは、光源に使用された様々な構成要素の反射率に基づいて実現することができる。例えば、可視光及び/又はNIR光の各チャンネルのフラックスレベルを名目上同じにすることが可能である。可視領域とNIR領域のどちらか一方でフラックスを高くすることも可能である。例えば、反射面に金コーティングを用いることは、赤外光の反射フラックスを増加させる。例えば、ロングパスフィルタは、キセノンのスペクトル応答を平坦化し、近赤外におけるキセノンのスペクトルのピークを抑えることができる。これらの2つの態様は、光源の出力光のスペクトルの特に可視部分と比較して、スペクトルのNIR部分のバランスを改善するのに役立ち得る。可視光路については、いくつかの実施形態は、強化アルミニウムコーティングを施した第1の楕円ミラー1408と、760nmでカットオフがあるショートパスフィルタ1414とを使用する。NIR光路については、いくつかの実施形態が、強化金コーティングを施した第2の楕円ミラー1416と、波長740nmでカットオフがあるロングパスフィルタ1422とを使用する。
【0068】
[0097]図15は、光学要素上の種々のフィルタ及び/又はミラーコーティングと、点光源照射を生成するキセノンベースの高輝度プラズマとを使用する、本教示のスペクトル整形器システム用の光源の様々な実施形態の出力のスペクトルのグラフ1500を示す。第1のスペクトル1502はキセノンプラズマの出力を示し、近赤外領域に高いピークをもつ。第2のスペクトル1504は、740nmのカットオフ波長があるロングパスキセノンスペクトル平坦化フィルタを用いたNIRピークの低減を示す。
【0069】
[0098]図16は、本教示のスペクトル整形器システム用の光源1602のためのアラインメント及び特性評価システム1600を示す。光点源1612は、可視出力面1606において可視光1604を、NIR出力面1610においてNIR光1608をその光点源1612から発生させる。本実施形態のための光点源1612は、レーザーで励起される高輝度キセノンプラズマである。可視出力面1606における可視光1604と、NIR出力面1610におけるNIR光1608は、名目的に楕円形形状を有する。可視光1604又はNIR光1608は、結像ファイバー束1616と、その束をカメラ1620上に結像させる1倍の拡大レンズペア1618とを含むアラインメントツール1614に結合される。カメラ上の可視光ビームとNIR光ビームのどちらか一方の位置が、それぞれの楕円ミラーを調整するために使用される。一例として、光点源1612が80~240マイクロメートルの間のプラズマサイズを有する場合、そのプラズマサイズは、3因子楕円面ミラー(three-factor ellipsoidal mirror)によって、出力面1606、1608において240~720マイクロメートルの間の大きさに結像される。挿入写真1622は、理想的な場合のアラインメントツール1614の動作を示すために、カメラに結像された、光ファイバーによって生成された点光源を示している。
【0070】
[均等物]
[0099]出願人の教示が様々な実施形態と関連して説明されているが、出願人の教示がこのような実施形態に限定されることは意図されていない。むしろ、本出願人の教示は、当業者によって理解されるように、教示の思想及び範囲から逸脱することなくそこでなされ得る種々の代替物、改変物、及び均等物を包含する。
図1
図2A
図2B
図2C
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図8A
図8B
図9A
図9B
図9C
図10A
図10B
図11A
図11B
図12A
図12B
図12C
図13A
図13B
図14A
図14B
図14C
図15
図16
【国際調査報告】