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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-26
(54)【発明の名称】亜鉛強化茶組成物
(51)【国際特許分類】
   A23F 3/14 20060101AFI20240119BHJP
   A23L 33/16 20160101ALI20240119BHJP
   A23L 29/00 20160101ALI20240119BHJP
   A23L 5/00 20160101ALI20240119BHJP
【FI】
A23F3/14
A23L33/16
A23L29/00
A23L5/00 F
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023536158
(86)(22)【出願日】2021-10-04
(85)【翻訳文提出日】2023-08-10
(86)【国際出願番号】 EP2021077312
(87)【国際公開番号】W WO2022128193
(87)【国際公開日】2022-06-23
(31)【優先権主張番号】202021054640
(32)【優先日】2020-12-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522414316
【氏名又は名称】エカテラ・リサーチ・アンド・デベロップメント・ユーケー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ヴェトリ・クマラン
(72)【発明者】
【氏名】ディーパック・ラーマチャンドラ・マサヴェード
(72)【発明者】
【氏名】スワティー・パラギリ
(72)【発明者】
【氏名】バラムルガン・ヴェルサミー
【テーマコード(参考)】
4B018
4B027
4B035
【Fターム(参考)】
4B018LB08
4B018LB10
4B018MD05
4B018MD36
4B018MD37
4B018MD59
4B018ME14
4B018MF02
4B018MF04
4B018MF06
4B018MF07
4B018MF14
4B027FB01
4B027FB08
4B027FB10
4B027FC06
4B027FK01
4B027FK04
4B027FP55
4B027FP90
4B035LC06
4B035LG01
4B035LG17
4B035LG28
4B035LG31
4B035LK14
4B035LP01
4B035LP21
4B035LP24
(57)【要約】
本発明は、茶組成物に関する。特に、本発明は、亜鉛強化茶組成物に関する。したがって、本発明は、a)微粉化亜鉛化合物;b)第1の、マルトデキストリンを含む多糖;c)第2の、アラビアゴムを含む多糖;及びd)葉茶製品を含む茶組成物を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)微粉化亜鉛化合物;
b)第1の、マルトデキストリンを含む多糖;
c)第2の、アラビアゴムを含む多糖;及び
d)葉茶製品
を含む茶組成物。
【請求項2】
前記亜鉛化合物の粒径が、0.1~50μmの範囲にある、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記亜鉛化合物の粒径が、0.1~10μmの範囲にある、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記亜鉛化合物の25℃の水への溶解度が、0.001g/mL未満である、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記亜鉛化合物が、酸化亜鉛、炭酸亜鉛、及びそれらの組合せから選択される、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項6】
前記亜鉛化合物が、酸化亜鉛である、請求項1から5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記マルトデキストリンの量が、前記組成物の0.5~5質量%の範囲にある、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記アラビアゴムの量が、0.05~6質量%の範囲にある、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
前記葉茶製品が、紅茶製品、緑茶製品、ウーロン茶製品、白茶製品、又はそれらのブレンドから選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
前記葉茶製品が、紅茶製品である、請求項8に記載の組成物。
【請求項11】
前記組成物中の前記葉茶製品の量が、前記組成物の85~98.5質量%の範囲にある、請求項1から10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
さらなる栄養素を含んでもよい、請求項1から11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
亜鉛強化茶組成物を提供する方法であって、
a)25℃の水への溶解度が0.001g/mL未満の亜鉛化合物を用意する工程と;
b)前記亜鉛化合物を微粉化して、0.1~10μmの範囲の粒径を生成する工程と;
c)第1の、マルトデキストリンを含む多糖及び第2の、アラビアゴムを含む多糖を、前記微粉化亜鉛化合物に添加する工程と;
d)工程(c)の材料を混合して、コーティング混合物を得る工程と;及び
e)工程dで得られた前記コーティング混合物で葉茶製品をコーティングする工程と
を含む方法。
【請求項14】
工程(d)で水が添加される、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記水の温度が、25℃~75℃の範囲にある、請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、茶組成物に関する。特に、本発明は、亜鉛強化茶組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
茶は、世界で最も人気のある飲料の1つである。茶を摂取すると心がリフレッシュされると考えられている。また、茶に含まれるポリフェノールが、人の健康に良いと考えられている。市販されている様々な茶には、例えば、紅茶、緑茶、ウーロン茶、白茶等がある。紅茶は、一般に、萎凋、浸漬、発酵、及び乾燥(firing/drying)の工程を含む方法によって製造される。一方、緑茶の製造方法は、発酵の工程を含まない。したがって、緑茶の特性プロファイルは、紅茶とは異なる。
【0003】
アジア諸国のほとんどの人は、少なくとも1日に2回又はそれ以上茶を飲む。したがって、茶は、栄養素及び必須元素を供給する方法の1つになる可能性がある。
【0004】
現在、亜鉛は、食品産業において非常に重要性が増している。亜鉛は、免疫を高める性質があると考えられている。亜鉛を定期的に摂取すると、人体の免疫に長期的な効果があると考えられている。現代では、COVID 19のパンデミックのために、人々は自分の内側の健康の免疫応答を強化することを非常に切望している。したがって、亜鉛は、非常に人気となった。
【0005】
亜鉛サプリメントが市販されている。
【0006】
本発明者らは、亜鉛を茶の形態に含ませると、エンドカップ(end cup)において十分な量の亜鉛を供給するという点で特に問題があることを発見した。亜鉛を葉茶製品に添加するだけでは、得られる飲料に十分な量の亜鉛を供給することにはならない。また、各カップに亜鉛が十分な量で供給される必要がある。より重要なことに、亜鉛の供給量は、加工中に茶葉に添加される亜鉛の量に比例しているべきである。
【0007】
したがって、エンドカップの飲料に多量の亜鉛を供給する亜鉛強化茶組成物が依然として望まれている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記を考慮して、本発明の一目的は、亜鉛強化茶組成物を提供することである。
【0009】
本発明の別の一目的は、各カップの飲料において十分な量の亜鉛が供給される亜鉛強化茶組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、驚くべきことに、いくつかの選択された微粉化形態の亜鉛塩を、特定の選択された2種の多糖と一緒に含ませることにより、各カップの飲料において十分な量の亜鉛が供給され、それによって上記目的の1つ又は複数を満足させる亜鉛強化茶組成物が提供されることを見出した。
【0011】
第1の態様において、本発明は、
a)微粉化亜鉛化合物;
b)第1の、マルトデキストリンを含む多糖;
c)第2の、アラビアゴムを含む多糖;及び
d)葉茶製品
を含む茶組成物を提供する。
【0012】
この及び他の態様、特徴、及び利点は、以下の詳細な説明を読むことにより当業者には明らかになるであろう。疑念を排除するために記すと、本発明の一態様の任意の特徴は、本発明の任意の他の態様において利用することができる。「含む(comprising)」という語は、「含む(including)」という意味を意図しているが、必ずしも「からなる(consisting of)」又は「で構成される(composed of)」を意味するものではない。言い換えると、列挙した工程又は選択肢は網羅的である必要はない。以下の説明で示す実施例は、本発明を明確にすることを意図しており、本発明をこれらの実施例自体に限定することを意図するものではないことに留意されたい。同様に、すべての百分率は、別段の指示がない限り、質量/質量百分率である。実施例及び比較例を除き、又は別段の明確な指示がない場合を除き、本記載において、材料の量又は反応の条件、材料の物理的性質及び/又は使用を示すすべての数値は、「約(about)」という語に修飾されているものとして理解されたい。「xからyまで(from x to y)」という形式で表される数値範囲は、x及びyを含むと理解されたい。特定の特徴について複数の好ましい範囲が「xからyまで」の形式で記載されている場合、異なる端点を組み合わせたすべての範囲もまた企図されていると理解されたい。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本明細書に見られる本発明の開示は、請求項が多項従属性又は冗長性を有さないと判断され得る事実に関わらず、互いに多項従属である請求項において見られるすべての実施形態を網羅するとみなされる。
【0014】
特徴が本発明の特定の態様(例えば、本発明の組成物)に関して開示されている場合、そのような開示は、本発明の任意の他の態様(例えば、本発明の方法)にも準用して適用されるものとみなされる。
【0015】
本発明は、
a)微粉化亜鉛化合物;
b)第1の、マルトデキストリンを含む多糖;
c)第2の、アラビアゴムを含む多糖;及び
d)葉茶製品
を含む茶組成物を提供する。
【0016】
微粉化亜鉛化合物の粒径は、好ましくは0.1~50μmの範囲、より好ましくは0.1~30μmの範囲、更により好ましくは0.1~20μmの範囲、最も好ましくは0.1~10μmの範囲にある。
【0017】
亜鉛化合物をより大きなサイズで入手し、続いて、サイズを縮小するプロセスを施して、上述のような望ましいサイズの微粉化亜鉛化合物を得てもよい。
【0018】
代わりに、微粉化形態の亜鉛粒子を直接入手して、本発明に使用することもできる。
【0019】
亜鉛化合物の25℃の水への溶解度は、0.001g/mL未満であることが好ましく、より好ましくは0.0005g/mL未満である。最も好ましくは、亜鉛化合物は、水不溶性である。
【0020】
亜鉛化合物は、好ましくは、酸化亜鉛、炭酸亜鉛、及びそれらの組合せから選択されてもよい。最も好ましい亜鉛化合物は、酸化亜鉛である。
【0021】
亜鉛化合物の量は、組成物の質量に対して、好ましくは0.5~4%、より好ましくは1~3%、最も好ましくは1.5~2%の範囲にある。
【0022】
本発明の組成物はまた、2種の多糖を含む。第1の多糖はマルトデキストリンを含む。最も好ましい一態様では、第1の多糖は、マルトデキストリンである。
【0023】
マルトデキストリンは、非常によく知られた食品添加物である。これは風味のない物質である。これは一般に、植物デンプンから加水分解によって製造される。デンプンは、好ましくはトウモロコシ又はコムギである。これは一般に、風味食品(savouries)の口当たりを改善することが知られている。
【0024】
本発明の組成物に使用されるマルトデキストリンの量は、組成物の、好ましくは0.5~5質量%、より好ましくは1~4質量%、更に好ましくは2~4質量%、最も好ましくは2~3質量%の範囲にある。
【0025】
本発明の組成物はまた、第2の多糖を含む。第2の多糖はアラビアゴムである。これは一般に、アカシアガムとしても既知である。これは、安定剤及び/又は増粘剤として食品産業で広く使用されている食用の水溶性ガムである。
【0026】
本発明の組成物中のアラビアゴムの量は、好ましくは0.05~6質量%、より好ましくは0.1~4質量%、更に好ましくは0.1~3質量%、最も好ましくは0.5~2質量%の範囲にある。
【0027】
本発明の組成物は、葉茶製品を含む。葉茶製品は、好ましくは、葉茶の製造プロセスの後に得られ、且つ葉茶製品の質量に対して10%未満、好ましくは7%未満、最も好ましくは5%未満の水分を含む茶製品を意味する。
【0028】
葉茶製品は、好ましくは、紅茶製品、緑茶製品、ウーロン茶製品、白茶製品、又はそれらのブレンドから選択されてもよい。
【0029】
紅茶は、一般に、発酵茶を指し、新鮮な茶葉を加工することによって製造される。新鮮な茶葉とは、水分含有量が30質量%未満になるまで乾燥させたことのない茶葉、芽、及び/又は茎を指し、通常は60~90%の範囲の水分含有量を有する。紅茶は、緑茶とは異なる特徴を有する。紅茶は、緑茶よりも渋みがあり、苦みが少ない。また、紅茶液(liquor)の赤みは、緑茶よりもかなり強い。紅茶には、より高いレベルのテアフラビン類も含有されている。
【0030】
紅茶のプロセスにおいて、発酵とは、例えば、葉の浸漬による細胞の機械的破壊によってある種の内因性酵素及び基質を一緒にした場合に茶が受ける酸化及び加水分解のプロセスを指す。このプロセス中、葉に含まれる無色のカテキンは、黄色及びオレンジ色から暗褐色のポリフェノール物質の複雑な混合物に変換される。
【0031】
緑茶は、実質的に発酵していない茶を指す。緑茶は、紅茶とは異なる特徴を有する。緑茶液は、紅茶とは異なって色が薄い。緑茶はまた、カテキンが豊富に含まれており、テアフラビン類は少量又はまったく含まれていない。
【0032】
ウーロン茶とは、半発酵茶を指す。
【0033】
本発明の目的に好ましい葉茶製品は、紅茶又は緑茶のいずれかであり、最も好ましいのは紅茶である。
【0034】
組成物中の葉茶製品の量は、組成物の、好ましくは85~98.5質量%、より好ましくは87~98.5質量%、更に好ましくは90~98.5質量%、最も好ましくは92~98.5質量%の範囲にある。
【0035】
本発明による組成物は、さらなる栄養素を含んでもよい。さらなる栄養素は、ビタミンC又は任意の他の適切な栄養素から選択することができる。
【0036】
本発明はまた、亜鉛強化茶組成物を提供する方法であって、
a)25℃の水への溶解度が0.001g/mL未満の亜鉛化合物を用意する工程と;
b)亜鉛化合物を微粉化して、0.1~10μmの範囲の粒径を生成する工程と;
c)第1の、マルトデキストリンを含む多糖及び第2の、アラビアゴムを含む多糖を、微粉化亜鉛化合物に添加する工程と;
d)工程(c)の材料を混合して、コーティング混合物を得る工程と;
e)工程dで得られたコーティング混合物で葉茶製品をコーティングする工程と
を含む方法を提供する。
【0037】
方法は、25℃の水への溶解度が0.001g/mL未満の亜鉛化合物を用意することから始まる。より好ましくは、溶解度は、0.0005g/mL未満である。最も好ましくは、亜鉛化合物は、水不溶性である。その後、亜鉛化合物は、微粉化(サイズ縮小)の工程を経る。微粉化亜鉛化合物の粒径は、好ましくは0.1~50μmの範囲、より好ましくは0.1~30μmの範囲、更により好ましくは0.1~20μmの範囲、最も好ましくは0.1~10μmの範囲にある。
【0038】
代わりに、前述の溶解度及び粒径を有する亜鉛化合物を、本発明の方法で直接使用することもできる。
【0039】
次の工程において、第1の、マルトデキストリンを含む多糖及び第2の、アラビアゴムを含む多糖を、微粉化亜鉛化合物に添加する。次いで、これらの材料を適切に混合して、コーティング混合物を得る。
【0040】
その後、このコーティング混合物を葉茶製品にコーティングする。葉茶製品は、好ましくは、紅茶製品、緑茶製品、ウーロン茶製品、白茶製品、又はそれらのブレンドから選択されてもよい。
【0041】
成分のより良好な混合を助けるため、コーティング溶液の調製中に水を添加することが好ましい。好ましくは、水の温度は、25℃~75℃、より好ましくは30℃~70℃、更により好ましくは35℃~65℃、最も好ましくは35℃~55℃の範囲にある。
【0042】
次に、本発明を以下の非限定的な実施例によって示す。実施例は例示するためだけのものであり、どのような形でも本発明の範囲を限定するものではない。
【実施例
【0043】
様々な亜鉛強化茶製品の調製
以下に記載する方法を使用して、様々な亜鉛強化茶製品を調製した。
【0044】
(実施例A)
硫酸亜鉛七水和物2.75g(溶解度:25℃で水100gあたり57.7g)、アカシアガム1g、及びマルトデキストリン3gを蒸留水43g(50℃)に溶解して、コーティング溶液を調製した。紅茶葉茶(ケニアから入手)93.25gをボウルに取り、コーティング溶液を葉茶に振りかけ、ホバートブレンダーで十分に混合した。次いで、この混合物をセラミックス板上に広げ、80℃の熱風オーブンで乾燥させた。
【0045】
次いで、上記で生成した乾燥葉茶1.6gを、通常の紅茶葉茶(ケニアから入手)0.4gとブレンドする。次いで、このブレンド物を使用して、茶浸出液を調製した。
【0046】
(実施例1)
酸化亜鉛(溶解度:25℃で水100gあたり0.0004g)2.5gを、ミル(分析用ミル、モデル:IKA A11ベーシック)を使用して微粉化した。粉砕後、粒径は、10μm(平均径)に減少した。アカシアガム1g及びマルトデキストリン3gを蒸留水(50℃)43gに溶解して、バインダー溶液を調製した。微粉化酸化亜鉛をバインダー溶液に添加して、コーティング溶液を調製した。紅茶葉茶(ケニアから入手)93.5gをボウルに取り、コーティング溶液を葉茶に振りかけ、ホバートブレンダーで十分に混合した。次いで、この混合物をセラミックス板上に広げ、80℃の熱風オーブンで乾燥させた。
【0047】
次いで、上記で生成した乾燥葉茶1.9gを、通常の紅茶葉茶(ケニアから入手)0.1gとブレンドした。次いで、このブレンド物を使用して、茶浸出液を調製した。
【0048】
上記の実施例では、硫酸亜鉛七水和物は、Merck社(カタログ番号1088830500)から入手し、アカシアガムもまた、Merck社(カタログ番号1042281000)から入手し、マルトデキストリンは、Sigma Aldrich社(カタログ番号419699-100G)から入手し、酸化亜鉛は、Merck社(カタログ番号1088490500)から入手した。
【0049】
上記の茶製品を調製した後、以下のプロトコルを使用して茶製品から浸出液を調製した。
【0050】
茶製品2gをマグカップに取り、そこに熱湯200mLを注いだ。2分間淹出した後、内容物をこし器を使用してろ過し、ろ過した茶をさらなる分析のために採取した。
【0051】
通常のICP-OES手順(誘導結合プラズマ-発光分光分析装置)に従って、最終的な茶飲料中の亜鉛の量を測定した。
【0052】
茶浸出液を濃硝酸(約65%)で酸性化し、マイクロ波ダイジェスタ(Anton Paar社製、モデル:Multiwave Go)で60分間温浸した。次いで、温浸した溶液をICP-OES(Agilent社)に注入し、発光スペクトル強度を213.8nmの波長で測定した。次いで、標準検量線を使用して、強度を亜鉛の濃度に変換した。
【0053】
結果を以下の表 1にまとめる。
【0054】
【表1】
【0055】
上記の実施例から、実施例1は浸出液中にはるかに多量の亜鉛を供給できるが、実施例Aの供給は実施例1に比べてはるかに少ないことが明らかである。更に、紅茶葉2gあたりに使用される亜鉛の量は、実施例1の方が実質的に少ないが、それにもかかわらず実質的により多量の亜鉛を供給する。
【0056】
したがって、本発明の説明から、今回、本発明によって、各カップの飲料において十分な量の亜鉛が供給される亜鉛強化茶組成物を提供することが可能になったことは明らかである。
【手続補正書】
【提出日】2022-10-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)微粉化亜鉛化合物;
b)第1の、マルトデキストリンを含む多糖;
c)第2の、アラビアゴムを含む多糖;及び
d)葉茶製品
を含む茶組成物であって、
-前記亜鉛化合物の粒径が、0.1~50μmの範囲にあり;
-前記マルトデキストリンの量が、前記組成物の0.5~5質量%の範囲にあり;及び
-前記アラビアゴムの量が、0.05~6質量%の範囲にある、組成物
【請求項2】
前記亜鉛化合物の粒径が、0.1~20μmの範囲にある、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記亜鉛化合物の粒径が、0.1~10μmの範囲にある、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記亜鉛化合物の25℃の水への溶解度が、0.001g/mL未満である、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記亜鉛化合物が、酸化亜鉛、炭酸亜鉛、及びそれらの組合せから選択される、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項6】
前記亜鉛化合物が、酸化亜鉛である、請求項1から5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記マルトデキストリンの量が、前記組成物の1~4質量%の範囲にある、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記アラビアゴムの量が、0.1~4質量%の範囲にある、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
前記葉茶製品が、紅茶製品、緑茶製品、ウーロン茶製品、白茶製品、又はそれらのブレンドから選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
前記葉茶製品が、紅茶製品である、請求項8に記載の組成物。
【請求項11】
前記組成物中の前記葉茶製品の量が、前記組成物の85~98.5質量%の範囲にある、請求項1から10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
さらなる栄養素を含んでもよい、請求項1から11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
亜鉛強化茶組成物を提供する方法であって、
a)25℃の水への溶解度が0.001g/mL未満の亜鉛化合物を用意する工程と;
b)前記亜鉛化合物を微粉化して、0.1~10μmの範囲の粒径を生成する工程と;
c)第1の、マルトデキストリンを含む多糖及び第2の、アラビアゴムを含む多糖を、前記微粉化亜鉛化合物に添加する工程と;
d)工程(c)の材料を混合して、コーティング混合物を得る工程と;及び
e)工程dで得られた前記コーティング混合物で葉茶製品をコーティングする工程と
を含む方法。
【請求項14】
工程(d)で水が添加される、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記水の温度が、25℃~75℃の範囲にある、請求項13に記載の方法。
【国際調査報告】