(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-26
(54)【発明の名称】光沢性および持続性を有するメークアップ組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/898 20060101AFI20240119BHJP
A61Q 1/04 20060101ALI20240119BHJP
A61K 8/31 20060101ALI20240119BHJP
A61K 8/891 20060101ALI20240119BHJP
【FI】
A61K8/898
A61Q1/04
A61K8/31
A61K8/891
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023538693
(86)(22)【出願日】2021-12-23
(85)【翻訳文提出日】2023-08-18
(86)【国際出願番号】 FR2021052442
(87)【国際公開番号】W WO2022136809
(87)【国際公開日】2022-06-30
(32)【優先日】2020-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500078211
【氏名又は名称】エル・ヴェ・エム・アッシュ ルシェルシュ
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100156144
【氏名又は名称】落合 康
(74)【代理人】
【識別番号】100103230
【氏名又は名称】高山 裕貢
(72)【発明者】
【氏名】シャンプルドンド,エロディー
(72)【発明者】
【氏名】ブシャール ドゥ ラ ポトゥリー,ヴァレリー
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA111
4C083AA122
4C083AB171
4C083AB172
4C083AB441
4C083AB442
4C083AC011
4C083AC012
4C083AC021
4C083AC372
4C083AC662
4C083AC842
4C083AD091
4C083AD151
4C083AD152
4C083AD161
4C083AD162
4C083AD172
4C083AD261
4C083AD642
4C083AD662
4C083BB12
4C083BB21
4C083CC13
4C083DD01
4C083DD11
4C083DD23
4C083DD30
4C083EE07
(57)【要約】
本発明は、ケラチン物質、特に唇にメークアップを適用するための均質な化粧品組成物であって、生理学的に許容できる媒体中に、少なくとも:-一つまたはそれ以上の直鎖状または分枝鎖状C8-C19アルカン;-25℃での屈折率が1.45を超え、好ましくは1.47またはそれ以上である、一つまたはそれ以上のフェニルシリコーン油;-シリコーン-ポリウレタンポリマー;および、任意にさらに、少なくとも一つの顔料、を含む化粧品組成物に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケラチン物質、特に唇にメークアップするための均質な化粧品組成物であって、生理学的に許容できる媒体中に、少なくとも:
・一つまたはそれ以上の直鎖状または分枝鎖状C8-C19アルカン;
・25℃での屈折率が1.45を超え、好ましくは1.47またはそれ以上である、一つまたはそれ以上のフェニルシリコーン油;
・シリコーン-ポリウレタンポリマー;
および、任意にさらに少なくとも一つの顔料、
を含む化粧品組成物。
【請求項2】
液状の無水組成物であることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
シリコーン-ポリウレタンポリマーが、組成物中に該組成物の総重量に対して14重量%~25重量%、好ましくは16重量%~20重量%の活性材料含有量で存在することを特徴とする、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
親油性ゲル化剤、特に鉱物ゲル化剤、好ましくはベントンをさらに含むことを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
分枝鎖状C8-C19アルカンがイソドデカン、イソデカン、イソヘキサデカン、ヘミ-スクワランおよびこれらの混合物からなる群から選択され、好ましくは、イソドデカンであり、そして、直鎖状C8-C19アルカンがn-ドデカン、n-ウンデカン、n-トリデカン、n-テトラデカン、n-ペンタデカンおよびこれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
25℃での屈折率が1.45を超え、好ましくは1.47またはそれ以上である、少なくとも一つのフェニル基を含むシリコーン油が、INCI名:フェニルプロピルジメチルシロキシシリケート、ジフェニルジメチコン、ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン、トリメチルペンタフェニルトリシロキサン、フェニルトリメチコン、トリメチルシロキシフェニルジメチコンの油およびこれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
少なくとも一つのトリメチルペンタフェニルトリシロキサンおよび、任意にさらにジフェニルシロキシフェニルトリメチコンを含むことを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
シリコーン-ポリウレタンポリマーが、
-ヒドロキシル基によって官能基化されたオルガノポリシロキサン(polyorganopolysiloxane)であって、特に、式(I):
【化1】
[式中、
nは、0~5000の整数、好ましくは1~200の整数、より好ましくは10~100の整数、さらにより好ましくは10~50の整数である]
で示される構造に相当する、ヒドロキシル基によって官能基化されたオルガノポリシロキサン(polyorganopolysiloxane)と、
-ジイソシアネート化合物、特に、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン-4,4'-ジイソシアネート、イソフォロンジイソシアネートおよびこれらの組み合わせからなる群から選択されるジイソシアネート化合物との、
反応産物であることを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の組成物。
。
【請求項9】
カルボキシレート基およびポリジメチルシロキサン基を含むコポリマーをさらに含むことを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
-イソドデカンであって、好ましくは、該組成物の総重量に対して25重量%~45重量%の範囲の含有量のイソドデカン;
-トリメチルペンタフェニルトリシロキサンおよび、任意にさらに、ジフェニルシロキシフェニルトリメチコンであって、好ましくは、それぞれ該組成物の総重量に対して5重量%~15重量%および5重量%~15重量%の含有量のトリメチルペンタフェニルトリシロキサンおよび、任意にさらに、ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン、および
式Ib:
【化2】
[式中、nは、定義されている通りである]
で示される構造に相当する、ヒドロキシル基によって官能基化されたポリオルガノシロキサンと、メチレンジフェニルジイソシアネート、特に、該組成物の総重量に対して乾燥材料の含有量が16重量%~25重量%のメチレンジフェニルジイソシアネートとの反応産物であるシリコーン-ポリウレタンポリマー、
を含むことを特徴とする、
有利には、カルボキシレート基およびポリジメチルシロキサン基を含むコポリマーをさらに含むことを特徴とする、請求項1~9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
ワックス、増量剤、着色剤およびこれらの混合物から選択される成分をさらに含むことを特徴とする、請求項1~10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
増量剤が、シリカ粉末、セルロース粉末、綿粉末およびこれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
ケラチン物質、特に唇をケアおよび/またはメークアップするための化粧方法であって、請求項1~12のいずれか一項に記載の組成物をケラチン物質、特に唇に適用することを含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧品分野に関し、特に、ラチン物質、特に唇をメークアップするための化粧品組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
現在の唇メークアップ製品は、色の持続性の良い製品または光沢のある製品に分類されることが多い。色の持続性と光沢の二重効果を得るためには、製品は通常、第一の基礎配合物質を唇に適用することで色と持続性を提供し(「基礎塗り」とも称される)、第二の基礎配合物質を第一の基礎配合物質の上に適用することで、通常は無色で光沢のある皮膜(フィルム)を提供する(「上塗り」とも称される)といった、望ましい特性を有する皮膜を得るための二段階の操作を必要とする配合物質の組み合わせの形態である。
【0003】
しかし、シングルステップで適用でき、色の持続性と光沢性の両方を備えた均質な(均質な色)製品を開発する必要性が依然として残っている。使用の簡単さに加えて、シングルステップで適用できるため、より薄い皮膜を得ることができる(唇に対して単層なので、堆積する材料が少なくなる)。
【0004】
本願の出願人は、シリコーン-ポリウレタンポリマー、一つまたはそれ以上の直鎖状または分枝鎖状C8-C19アルカンおよび一つまたはそれ以上のフェニルシリコーン油を組み合わせることによって、上記の期待に応えることを可能にする均質なシングルステップ組成物を正確に開発した。
【0005】
この組み合わせにより、市販の製品と同等以上の即時光沢、時間の経過とともに改善された光沢持続を有し、1回の操作で適用される肉眼的に均質な製品が可能になる。
【0006】
この組成物は、ケラチン物質、特に唇のためのメークアップ組成物として有利である。
【発明の概要】
【0007】
したがって、本発明の第一の態様は、ケラチン物質、特に唇をケアおよび/またはメークアップするための均質な化粧品組成物であって、生理学的に許容できる媒体中に、少なくとも:
・一つまたはそれ以上の直鎖状または分枝鎖状C8-C19アルカン;
・油25℃であの屈折率が1.45を超え、好ましくは1.47またはそれ以上である、一つまたはそれ以上のフェニルシリコーン;
・シリコーン-ポリウレタンポリマー;
・および、任意にさらに、少なくとも一つの顔料、
を含む化粧品組成物である。
【0008】
「ケラチン物質」とは、特に、皮膚および/または唇、毛髪、まつ毛および爪を意味すると理解されている。特定の実施態様によれば、本発明の組成物は唇に適用される。
【0009】
本発明はまた、ケラチン物質、特に唇をケアおよび/またはメークアップするための化粧方法であって、本発明による組成物をケラチン物質、特に唇に適用することを含む方法に関する。
【0010】
本発明の詳細な説明
したがって、本発明の第一の態様は、ケラチン物質、特に唇をケアおよび/またはメークアップするための均質な化粧品組成物であって、生理学的に許容できる媒体中に、少なくとも:
・一つまたはそれ以上の直鎖状または分枝鎖状C8-C19アルカン;
・25℃での屈折率が1.45を超え、好ましくは1.47またはそれ以上である、一つまたはそれ以上のフェニルシリコーン油;
・シリコーン-ポリウレタンポリマー;
・および、任意にさらに、少なくとも一つの顔料、
を含む化粧品組成物である。
【0011】
「均質な」とは、本発明の組成物が視覚的に均質な外観を有すること、すなわち、単一相のみから構成されているように見える組成物において、肉眼では各相を個別に識別することができないことを意味すると理解される。
【0012】
特定の実施形態によれば、シリコーン-ポリウレタンポリマーが可溶化された油相は、アルカン油の総含有量およびフェニルシリコーン油の総含有量を含み、シリコーン-ポリウレタンポリマーの混合および取り込み後の油性溶液が半透明または透明であるようにする。参照として、「半透明または透明な油性溶液を形成できる、アルカン/フェニルシリコーン油/シリコーン-ポリウレタンポリマーの混合物」または「透明なまたは半透明の三成分の混合物」が挙げられる。
【0013】
「半透明または透明な油性溶液」または「半透明または透明な三成分混合物」とは、溶液または混合物が濁ったり不透明ではなく、光が通過し、その背後にある物体がはっきりと見えることを意味すると理解されている。
【0014】
特定の実施態様によれば、前記の混合物は、イソドデカン(分枝鎖状アルカン)、トリメチルペンタフェニルトリシロキサン(および、任意に、ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン)およびシリコーン-ポリウレタンポリマーを、組成物の他の成分を添加した後に均質な組成物の生成につながるような、半透明または透明な油状溶液を得るために規定された割合で含む。
【0015】
したがって、化粧品分野の当業者であれば、各化合物に特有の特性(特に、溶解度、分子量)およびアルカン/フェニルシリコーン油の二成分混合物としてのその挙動、そして、半透明または透明の油状溶液を得るような三成分のアルカン/フェニルシリコーン油/ポリマーに関する知識に従って、三成分混合物の各化合物の最適含有量を定義できるであろう。
【0016】
特定の好ましい実施態様によれば、本発明の組成物は無水組成物である。
【0017】
「無水」は、特に、水が好ましくは組成物に添加されないが、組成物中に使用される様々な化合物中に微量存在してもよいことを意味すると理解される。特に、本発明による組成物は、該組成物の総重量に対して4重量%未満、好ましくは3重量%未満、好ましくは2重量%未満、より好ましくは1重量%未満、さらにより好ましくは0.5重量%未満の水を含むか、または水を完全に含まない。
【0018】
特定の好ましい実施態様によれば、本発明の組成物は液状の無水組成物である。
【0019】
本発明の組成物は光沢のある組成物である。
【0020】
特に、化粧品組成物の堆積物の光沢値は、光沢計を使用して測定され、光沢単位(GU)で表される。組成物の光沢値、または皮膚もしくは唇上の堆積物の光沢値についても同様に参考できる。組成物の光沢値は、特に、以下のプロトコルに従って測定することができる。
【0021】
試験する製品の光沢を測定するには、一定の強度の光ビームを所定の角度で試験する製品の表面に当て、同じ角度で反射される光の量を測定する。この鏡面反射は光沢計を使用して測定される。光沢レベルに応じて、異なる反射角度が使用される。光沢の測定は、研磨されたガラス基準標準と比較した表面から反射される光の量に基づいており、光沢単位(GU)で表される。
【0022】
測定値は内部標準に対して正規化され、100のうちの値に減算される。この標準では、測定値は100光沢単位(目盛り)に設定される。測定値が100に近いほど、試料の光沢が高くなる。
【0023】
表面で反射される光の量は、入射角と表面自体の性質によって異なる。
【0024】
光沢レベルは、艶消し(光沢値、10GU未満)、半光沢(光沢値、10~70GU)、または高光沢(光沢値、70GU超)といった三つのカテゴリに分類される。適切な測定角度を決定するには、入射角60°の光沢計を使用する。
【0025】
本発明の文脈において、組成物の光沢値は、一般に70GUを超え、特に75GUまたはそれ以上、または80GUまたはそれ以上である。
【0026】
さらに、本発明の組成物は、有利には、色、輝きおよび持続性を提供するためのシングルステップ組成物である。
【0027】
本発明の組成物は、以下に定義するシリコーン-ポリウレタンポリマーも含む。特定の実施態様によれば、本発明の組成物は、シリコーン-ポリウレタンポリマーを、該組成物の総重量に対して14重量%~25重量%、好ましくは16重量%~20重量%の範囲の活性材料含有量(乾燥材料)で含む。
【0028】
シリコーン-ポリウレタンポリマー
本発明による「シリコーン-ポリウレタンポリマー」は、オルガノシロキサン単位およびウレタン結合を含む任意のポリマーを意味すると理解される。
【0029】
特定の実施態様によれば、本発明によるシリコーン-ポリウレタンポリマーは、好ましくは、少なくとも二つのヒドロキシル基を含む、ヒドロキシル基によって官能基化されたポリオルガノシロキサンと、ジイソシアネート化合物との反応産物である。
【0030】
ヒドロキシル基によって官能基化されたそのようなポリオルガノシロキサンは、式(1):
【化1】
[式中、Rは、出現するごとに独立して、水素原子、ヒドロキシル基、および1~10個の炭素原子を含む場合により置換されていてよい炭化水素基特に、置換または非置換アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリール-アルキルまたはアルキル-アリールから選択され;好ましくは、Rは、場合により置換されていてよい直鎖状、環状または分枝鎖状C1-C6アルキルまたはアルケニル基(メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t-ブチル、アミル、ヘキシル、シクロヘキシル、ビニル、C1-C8アリルまたはアリールを含むがこれらに限定されない)、アリール-アルキルまたはアルキル-アリール(フェニル、ベンジル、トリル、キシリルを含むがこれらに限定されない)から選択され;
ここで、上記のR基は、それぞれ場合により一つまたはそれ以上のヘテロ原子(酸素、窒素、リンおよびハロゲン、特にフッ素を含む)によって置換されていてよく、フルオロアルキル(ペルフルオロアルキル)基、例えばモノ-、ジ-およびトリ-フルオロメチル、ペルフルオロフェニル、およびC1-C6-置換アルキルアミノ基(式-(CH
2)
1-6-NR
N
2および-(CH
2)
1-6-NR
N-(CH
2)
1-6-NR
N
2[式中、RNは、一般に水素であるが、またメチル、エチル、プロピル基などであってもよい]を含む);ポリエーテル基(式-(CH
2CH
2O)
n-を有するポリエチレンオキシド基、式-(CH(CH
3)CH
2O)
n-を有するプロピレンオキシド基およびこれらの組み合わせを含むがこれらに限定されない);およびアミンオキシド、15ホスフェート、ヒドロキシル、エステルおよび/またはカルボキシレート官能基、などとして例示され;または
ここで、Rは、追加の-L-OH基を含んでいてもよく;
ここで、Lは、結合または結合基を示し;好ましくは、Lは、1~10個の炭素原子を有する二価の炭化水素(二価のアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルキル-アリールまたはアリール-アルキル基、例えば、C1-C10アルキル(式-(CH
2)
1-10-、好ましくは-(CH
2)
1-6-の二価基を含むがこれらに限定されない)を含むがこれらに限定されない)から選択される結合基であり、より好ましくは、Lは-CH
2CH
2CH
2-であり;
nは、0~5000、好ましくは1~200、より優先的には10~100、さらにより優先的には10~50の整数である]に相当する。
【0031】
好ましくは、Rは、少なくとも一つまたはそれ以上のメチル基の出現を示し、より優先的には、Rは、すべてまたは実質的にすべての出現でメチル基を示し、これは、Rが、出現の90%を超える、特に95%を超える、または98%を超える出現でメチル基を示すことを意味する。
【0032】
本発明の一実施態様によれば、ヒドロキシル基によって官能基化されたポリオルガノシロキサンは、例えば、式Ia:
【化2】
[式中、Lおよびnは先に定義されている通りである]の構造に相当するポリメチルシロキサンを含む。
【0033】
本発明の好ましい実施態様によれば、ヒドロキシル基によって官能基化されたポリオルガノシロキサンは、例えば、式Ib:
【化3】
[nは、上記に定義されている通りである]に相当するポリメチルシロキサンを含む。
【0034】
ジイソシアネートは、特に、式:O=C=N-R
1-N=C=O[式中、R
1は、一つまたはそれ以上のヘテロ原子によって置換されている、1~20個の炭素原子、場合により20個の炭素原子を含む二価の炭化水素基であり、特に、R
1は、場合により置換されていてよい環状のアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルキル-アリールまたはアリールアルキル、直鎖状、環状もしくは分枝鎖状(
i.式:
【化4】
で示される基
ii.式:
【化5】
で示される基
iii.式:
【化6】
で示される基
iv.式:
【化7】
v.式:
【化8】
で示される基、
およびこれらの組み合わせを含むがこれらに限定されない)から選択され得る]
に相当し得る。
【0035】
本発明の文脈において適当であり得るジイソシアネートには、トルエンジイソシアネート;メチレンジフェニルジイソシアネート(2,2'-MDI、2,4'-MDIおよび4,4'-MDIを含む);1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート;イソフォロンジイソシアネート;ジシクロヘキシルメタン4,4'-ジイソシアネート;キシレンジイソシアネート;シクロヘキサンジイソシアネート;3,3'-ジメチル-4,4'-ジフェニルメタンジイソシアネート;p-フェニレンジイソシアネート;m-フェニレンジイソシアネート;4,4'-イソプロピリデンジシクロヘキシルイソシアネート;およびこれらの等価物が含まれるが、これらに限定されない。
【0036】
好ましい実施態様において、ジイソシアネートは、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン4,4'-ジイソシアネート、イソフォロンジイソシアネートおよびこれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0037】
一実施態様において、ジイソシアネートは、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネートを含むか、または実質的にそれからなる。
【0038】
別の実施態様において、ジイソシアネートは、イソフォロンジイソシアネートを含むか、または実質的にそれからなる。
【0039】
さらに別の実施態様において、ジイソシアネートは、ジシクロヘキシルメタン-4,4'-ジイソシアネートを含むか、または実質的にそれからなり、この実施態様は特に好ましい。
【0040】
このように、特定の実施態様によれば、シリコーン-ポリウレタンポリマーは、式(I)
【化9】
[式中、nは、0~5000、好ましくは1~200、より優先的には10~100、さらにより優先的には10~50の整数である]
で示される構造に相当する、ヒドロキシル基によって官能基化されたオルガノポリシロキサン(polyorganopolysiloxane);と
ジイソシアネート化合物であって、特に、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン4,4'-ジイソシアネート、イソフォロンジイソシアネート、およびこれらの組み合わせからなる群から選択されるジイソシアネート化合物との、
反応産物である。
【0041】
好ましい実施態様によれば、本発明によるシリコーン-ポリウレタンポリマーは、ヒドロキシル基によって官能基化されたポリオルガノシロキサンおよびジイソシアネート由来の反復単位を交互のABコポリマーの形態で含み、ここで、A単位は、式II:
【化10】
[式中、R、Lおよびnは、式I、Ia、IbおよびIeに関して上記に定義されている通りである]で示される構造を有し、B単位は、式III:
【化11】
[式中、R1は、上記に定義されている通りである]で示される構造を有し、
ここで、A単位およびB単位は、直鎖状、分枝鎖状または環状に、好ましくは直鎖状に配置されている。
【0042】
前記ポリマーはまた、式IまたはIIにおける一つまたはそれ以上のR基が、基IV、例えば
【化12】
[式中、Rは式Iについて定義されている通りであり、R*は、式IIIのB単位の側鎖にさらに結合する-L-O基を示していてもよく、これは、さらに式IIのA単位などに結合していてもよく;あるいは、R*は、L-OHを示していてもよく、R基は、前に定義されている基、または末端基を示していてもよい]であるポリオルガノシロキサンにおける分岐点または接合点を含む。
【0043】
ポリオルガノシロキサンがこのタイプの分岐点または接合点を含む場合、それらはT型またはQ型接合の形で存在していてもよく、ここで、Tは、上記で示したように、Si原子上の一つのR基のみがポリオルガノシロキサン鎖であることを示し、Qは、二つのR基がポリオルガノシロキサンであることを示す。
【0044】
これらのタイプのポリオルガノシロキサン化合物は、シリコーン-ポリウレタンポリマーと分岐状または接合T樹脂またはQ樹脂とのコポリマーと称される。
【0045】
シリコーン-ポリウレタンポリマーはまた、官能化されたイソシアネートプレポリマーから調製されてもよい。例えば、イソシアネートプレポリマーは、以下の式V:
【化13】
[式中、R、R
1およびLは、上記に定義されている通りであり、xは、0~5000、好ましくは1~200、より優先的には10~100、さらにより好ましくは10~50の整数である]
で示されるポリオルガノシロキサンジイソシアネートなどの二官能性または多官能性のポリオルガノシロキサンイソシアネートであってもよい。
【0046】
プレポリマーはまた、一つまたはそれ以上のR基を有する追加のイソシアネート基を導入することによって多官能化されていてもよい。官能化されたイソシアネートプレポリマーは、ヒドロキシルで官能化されたポリオルガノシロキサンと反応されて、式Iの化合物またはその多官能性アナログが得られる。
【0047】
式Vによるプレポリマーは、一般に、4000~約15,000ダルトンの範囲の分子量を有する。式I、IaおよびIbによるプレポリマーは部分的に、一般に250~約15,000ダルトンの範囲の分子量を有する。
【0048】
本発明の一実施態様において、シリコーン-ポリウレタンポリマーは、ポリアルキレングリコール亜単位、特にポリエチレングリコール(PEG)またはポリプロピレングリコール(PPG)を含まないか、または実質的に含まない。
【0049】
「実質的に含まない」とは、ポリマーが約1重量%未満、好ましくは約0.5重量%未満、より好ましくは約0.1重量%~20重量%未満のポリアルキレングリコール亜単位を含むことを意味すると理解される。
【0050】
好ましい実施態様において、本発明の化粧品組成物に使用されるシリコーン-ポリウレタンポリマーは、式Ibと、ジイソシアネートであって、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン4,4'-ジイソシアネート、イソフォロンジイソシアネート、およびこれらの組み合わせからなる群から選択されるジイソシアネートとの反応産物を含む直鎖状ポリマーである。
【0051】
このようなシリコーン-ポリウレタンポリマーとしては、例えば、Siltech CorporationからSILMER UR 5050という商品名の、イソドデカン中のプレミックスの形態のものを入手することができる。
【0052】
別の実施態様によれば、シリコーン-ポリウレタンポリマーは、ヘミ-スクワラン(hemi-squalane)中のプレミックスの形態で使用される。
【0053】
別の実施態様によれば、シリコーン-ポリウレタンポリマーは、直鎖状C9-C16アルカンまたは直鎖状C9-C16アルカンの混合物、好ましくはn-ノナンおよびn-ドデカンの混合物(C9-C12、VEGELIGHT SILK)またはn-ウンデカンおよびn-トリデカンの混合物(C11-C13、CETIOL ULTIMATE)中のプレミックスの形態で使用される。
【0054】
特定の実施態様によれば、本発明によるシリコーン-ポリウレタンポリマーは、本発明の組成物中に、該組成物の総重量に対して14重量%~25重量%の範囲のポリマーの活性材料(乾燥材料)、好ましくは、16重量%~20重量%のポリマー活性材料の含有量で存在する。
【0055】
油相
本発明の組成物の油相は、少なくとも一つまたはそれ以上の直鎖状または分枝鎖状C8-C19アルカンおよび一つまたはそれ以上のフェニルシリコーン油(屈折率が少なくとも1.45、好ましくは少なくとも1.47、特に、25℃での屈折率が1.45を超え、好ましくは1.47またはそれ以上)を含む。
【0056】
実施例に示すように、出願人は、均質な組成物を得るための、本発明の組成物の製剤における揮発性炭化水素油、特に直鎖状または分枝鎖状状C8-C19アルカンの役割、特に、ポリウレタンシリコーンポリマーの可溶化およびフェニルシリコーン油の取り込みを証明しました。
【0057】
シリコーン-ポリウレタンポリマーの活性材料含有量に対して規定された含有量で使用される、これらの直鎖状または分枝鎖状C8-C19アルカンは、前記シリコーン-ポリウレタンポリマーを良好に分散させることができ、組成物の他の成分、特に、屈折率が1.45を超えるフェニルシリコーン油との混合を容易にする。
【0058】
揮発性炭化水素油(直鎖状および分枝鎖状C8-C19アルカン)
「油」は、25℃、大気圧で液体である脂肪物質を意味すると理解される。
【0059】
「炭化水素を基礎とする油」は、主に炭素原子および水素原子を含み、任意に、ヒドロキシル、エステル、エーテルおよびカルボキシル官能基から選択される一つまたはそれ以上の官能基を含む油を意味すると理解される。これらの油は、特に-Si-O-基を含まない。
【0060】
本発明による「揮発性油」は、次のプロトコルに従って、15分でその質量の20質量%超、30分でその質量の40質量%超、および60分で70質量%超を失った油を意味すると理解される:
試験する油20mgを、マイクロピペットおよび精密秤を用いて5cm×5cm PMMAプレート上で秤量する。この材料を指でプレート全体に広げる。次にプレートを、25℃、50%湿度でサーモスタットで制御された換気された筐体内で堆積する。試験は、各材料について3回実行する。乾燥中の質量の損失は、15分、30分および60分後に測定する。損失質量は次の計算で示す:
【数1】
[m
txは、測定時間(t15min、t30minまたはt60min)で残っている質量に相当し、m
t0は、最初に適用された質量に相当する]
【0061】
揮発性炭化水素油は、好ましくは、8~19個の炭素原子を含む直鎖状または分枝鎖状アルカンおよびこれらの混合物から選択される。
【0062】
直鎖状または分枝鎖状C8-C19アルカンとして、特に、以下のものが挙げられる:
-C8-C16イソ-アルカン(イソパラフィンとしても知られている)、例えばイソドデカン、イソデカン、イソヘキサデカン、ヘミ-スクワラン(hemi-squalane)、例えば、商標名ISOPAR(登録商標)またはPERMETYL(登録商標)で販売されている油;
-直鎖状アルカン(それぞれ以下のものを有する)、
-C9-C17、C10-C14炭化水素鎖;例えば、ウンデカンおよびトリデカンの混合物(BASF Care CreationsよりCetiol(登録商標)Ultimateという名称で販売されている);
-C15-C19炭化水素鎖(SeppicよりEMOGREEN(登録商標)L15という名称で販売されている);
-C9-C12、C12-C14炭化水素鎖(BIOSYNTHISよりVEGELIGHT(登録商標)SILK(INCI名:C9-12アルカン)、VEGELIGHT(登録商標)1214LCという名称で販売されている);
-n-ドデカン(C12)およびn-テトラデカン(C14)(特にそれぞれ、SasolよりPARAFOL(登録商標)12-97およびPARAFOL(登録商標)14-97という名称で販売されている);
-およびこれらの混合物。
【0063】
このように、特定の実施態様によれば、分枝鎖状C8-C19アルカンは、イソドデカン、イソデカン、イソヘキサデカン、ヘミ-スクワラン(hemi-squalane)およびこれらの混合物からなる群から選択され、好ましくは、イソドデカン、ヘミ-スクワラン(hemi-squalane)であり、直鎖状C8-C19アルカンは、n-ドデカン、n-ウンデカン、n-トリデカン、n-テトラデカン、n-ペンタデカンおよびこれらの混合物からなる群から選択される。
【0064】
特定の実施態様によれば、組成物は、少なくとも、分枝鎖状C8-C19アルカンとしてのイソドデカンを含む。
【0065】
直鎖状または分枝鎖状アルカンの総含有量により、組成物のポリウレタンシリコーンポリマーおよびフェニルシリコーン油を溶解することができ、したがって、得られた均質な組成物により、持続性および光沢性という特に顕著な特性を有する唇に皮膜を適用することが可能となる。
【0066】
特定の一実施態様によれば、本発明の組成物中の直鎖状または分枝鎖状C8-C19アルカンの含有量は、該組成物の総重量に対して少なくとも20重量%である。特に、該組成物の総重量に対して20重量%~60重量%、特に25重量%~45重量%、より具体的には30重量%~40重量%の範囲である。
【0067】
フェニルシリコーン油
本発明による「シリコーン油」は、少なくとも一つのケイ素原子、特に少なくとも一つのSi-O基を含む油を意味すると理解される。
【0068】
本発明による「フェニルシリコーン油」は、少なくとも一つのフェニル基で置換されているポリオルガノシロキサンを意味すると理解される。
【0069】
本発明の組成物に使用され得る、屈折率が少なくとも1.45、特に、25℃での屈折率が1.45を超える、好ましくは1.47またはそれ以上であるフェニルシリコーン油として、特に、INCI名:フェニルプロピルジメチルシロキシシリケート、ジフェニルジメチコン、ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン、トリメチルペンタフェニルトリシロキサン、フェニルトリメチコン、トリメチルシロキシフェニルジメチコンおよびこれらの混合物の油が挙げられる。
【0070】
参照として、特に、以下のものが挙げられる:
【表1】
【0071】
本発明の特定の一実施態様によれば、組成物は、屈折率が1.50を超える、または1.55またはそれ以上である、少なくとも一つのフェニルシリコーン油を含む。
【0072】
このように、特定の実施態様によれば、本発明の組成物は、屈折率が1.46~1.50の範囲である一つまたはそれ以上のフェニルシリコーン油(例えば:ジフェニルジメチコン、ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン、トリメチルシロキシフェニルジメチコン)、および屈折率が1.50を超える、特に1.55を超える一つまたはそれ以上のフェニルシリコーン油(例えば:トリメチルペンタフェニルトリシロキサン)を含む。
【0073】
本発明の特定の実施態様によれば、組成物は、25℃での粘性が100mPa.sを超える少なくとも一つのフェニルシリコーン油を含む。特定の好ましい実施態様によれば、このフェニルシリコーン油は、特に、120mPa.s~1500mPa.s、好ましくは150mPa.s~1100mPa.sの範囲の粘性を有する。このような油は、光沢のある油と称することができる。
【0074】
特に、WACKERのBELSIL PDM 1000(フェニルシリコーン油)、例えば、INCI名:フェニルトリメチコンで定義されるもの、例えば、RHODIAから入手可能なMIRASIL PTMという商標名のシリコーンからなるもの;INCI名:フェニルプロピルジメチルシロキシシリケートで定義されるもの、例えば、GENERAL ELECTRICかっら入手可能なSILSHINE 151という商標名のシリコーンからなるもの;INCI名:トリメチルペンタフェニルトリシロキサンで定義されるもの、例えば、DOW CORNINGから入手可能なDC PH 1555 HRIという商標名のシリコーンからなるもの、およびこれらの混合物が挙げられる。したがって、組成物は、好ましくは、式(VI):
【化14】
[式中、Meはメチルを示し、Phはフェニルを示す]で示されるフェニルシリコーン油(トリメチルペンタフェニルトリシロキサンとも知られている)を含む。
【0075】
このようなフェニルシリコーンは、特に参照番号PH-1555 HRIまたはDow Corning 555 Cosmetic Fluid(化学名称:1,3,5-トリメチル 1,1,3,5,5-ペンタフェニルトリシロキサン、INCI名:トリメチルペンタフェニルトリシロキサン)の下でDow Corningによって製造されている。参照番号Dow Corning 554 Cosmetic Fluid も使用できる。 好ましい実施態様によれば、参照番号PH-1555 HRI(INCI名:トリメチルペンタフェニルトリシロキサン)が使用される。
【0076】
別の特定の実施態様によれば、本発明の組成物は、式(VII):
【化15】
[式中、
Meはメチルであり、Phはフェニルであり、OR'は-OSiMe
3群を示し;
yは、1~1000で変動し;そして
zは、1~1000で変動する]
で示される、少なくとも一つのフェニルシリコーン油を含む。
【0077】
WackerのBelsils PDM20、PDM100およびPDM1000を使用することができ、特に、WackerよりBELSIL PDM 1000という名称で販売されているトリメチルシロキシフェニルジメチコンを使用することができる。
【0078】
さらに別の特定の実施態様によれば、フェニルシリコーン油は、式(VIII):
【化16】
[式中、R基は、独立して、-SiO(CH
3)
3基、メチル基またはフェニル基を示し、フェニルの総数は、少なくとも2にに等しく、好ましくは3にに等しい]
で示される油である。
【0079】
特に、Shin EtsuのKF50、KF53、K54およびKF56という名称の油、好ましくは、式が、
【化17】
である、INCI名:ジフェニルシロキシフェニルトリメチコンのKF56を挙げられる。
【0080】
特定の好ましい実施態様によれば、本発明の組成物は、二つのフェニルシリコーン油を含む。
【0081】
したがって、特定の実施態様によれば、本発明の組成物は、少なくとも一つのトリメチルペンタフェニルトリシロキサン、および、任意にまたジフェニルシロキシフェニルトリメチコンを含む。
【0082】
特定の実施態様によれば、本発明の組成物中のフェニルシリコーン油の総含有量は、特に、該組成物の総重量に対して5重量%~50重量%、特に8重量%~30重量%の範囲である。
【0083】
当業者であれば、半透明または透明な三成分の混合物を得るために、前述の、直鎖状または分枝鎖状C8-C19アルカン/フェニルシリコーン油(屈折率が少なくとも1.45)/ポリウレタンシリコーンポリマーからなる三成分の混合物中のフェニルシリコーン油含有量を調整できるだろう。
【0084】
追加の化合物
特定の好ましい実施態様によれば、前記組成物はまた、組成物の光沢をさらに改善するような、カルボキシレート基およびポリジメチルシロキサン基を含むコポリマーを含む。
【0085】
本発明によれば、「カルボキシレート基およびポリジメチルシロキサン基を含むコポリマー」は、(a)一つまたはそれ以上のカルボキシのモノマー(酸またはエステル)と、(b)一つまたはそれ以上のポリジメチルシロキサン(PDMS)鎖との重合から得られる、少なくとも一つの重合性ラジカルを含むコポリマーを意味すると理解される。
【0086】
本発明の実施に適当な「カルボキシのモノマー」としては、カルボン酸モノマーおよびカルボン酸エステルモノマーが挙げられる。
【0087】
本発明の一実施態様によれば、エステルの形態のモノマーは、直鎖状または分枝鎖状アルキルアクリレートおよび/またはメタクリレート、好ましくはC1-C24、より好ましくはC1-C22アルキル(アルキル基は、メチル、エチル、ステアリル、ブチルおよび2-エチルヘキシル基およびこれらの混合物から選択される)から選択され得る。
【0088】
本発明の一実施態様によれば、前記コポリマーは、カルボキシレートとして、アクリル酸、メタクリル酸、メチル、エチル、ステアリル、ブチルおよび2-エチルヘキシルアクリレートまたはメタクリレート、およびこれらの混合物から選択される少なくとも一つの基を含む。
【0089】
「ポリジメチルシロキサン」(ポリオルガノシロキサンまたは略称PDMSとも称される)は、適切に官能化されたシランの重合および/または重縮合によって得られ、実質的にはケイ素原子が酸素原子で結合した主単位(=Si-O-Si=シロキサン結合)であって、炭素原子を介して前記ケイ素原子に直接結合するトリメチル基を含む主単位の反復からなる、可変分子量の直鎖状構造を有する任意の有機シリコンポリマーまたはオリゴマーを意味すると理解される。
【0090】
本発明の組成物に使用できるコポリマーは、通常の重合および接合方法に従って、例えば、(a)少なくとも一つの重合性ラジカル基(例えば、鎖の末端の一方または両方)と、(b)例えば、US-A-5,061,481およびUS-A-5,219,560に記載されているような、少なくとも一つのカルボキシのモノマーとのラジカル重合によって得ることができる。得られるコポリマーは、約3000g/mol~約200,000g/mol、特に約5000g/mol~約100,000g/molの範囲の分子量を有し得る。
【0091】
本発明の組成物に使用できるコポリマーは、そのまま、またはイソプロピルアルコールなどの2~8個の炭素原子を含む低級アルコール、または揮発性シリコーン油(例えばジメチコン)などの油などの溶媒中に分散した形態で提供することができる。
【0092】
本発明の組成物に使用できるコポリマーとして、例えば、ポリジメチルシロキサングラフトを含むアクリル酸とステアリルアクリレートとのコポリマー、ポリジメチルシロキサングラフトを含むステアリルメタクリレートコポリマー、ポリジメチルシロキサングラフトを含むアクリル酸とステアリルメタクリレートとのコポリマー、またはポリジメチルシロキサングラフトを含むメチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、2-エチルヘキシルアクリレートおよびステアリルメタクリレートのコポリマーが挙げられる。本発明の組成物に使用できるコポリマーとして、SHIN-ETSUよりKP-561という名称(CTFA名:アクリレート/ジメチコン)で販売されているコポリマー、KP-541(コポリマーはイソプロピルアルコール中に60重量%で分散されている)(CTFA名:アクリレート/ジメチコンおよびイソプロピルアルコール)、メチルトリメチコン中のアクリレート/ジメチコンコポリマー(例えば、Shin-EtsuのKP-549およびKP-579など)、およびイソドデカン中のアクリレート/ジメチコンコポリマー(例えば、Shin-EtsuのKP-550など)が挙げられる。
【0093】
本発明の特定の好ましい実施態様によれば、C18-C22アルキル鎖を含むアクリレート/ジメチコンコポリマー、例えばアクリレート/ステアリルアクリレート/ジメチコンメタクリレート(Shin EtsuのKP-561P)およびアクリレート/ベヘニルアクリレート/ジメチコンメタクリレート(Shin EtsuのKP562P)、好ましくはKP-561 P(融解点が約40℃であるワックス形態)を使用できる。
【0094】
本発明の組成物中のカルボキシレート基およびポリジメチルシロキサン基を含むコポリマー含有量は、特に、該組成物の総重量に対して0重量%~20重量%、特に2重量%~15重量%の範囲である。
【0095】
本発明の特定の実施態様によれば、本発明の組成物は、
-イソドデカンであって、好ましくは、該組成物の総重量に対して25重量%~45重量%の範囲の含有量のイソドデカン;
-トリメチルペンタフェニルトリシロキサンおよび、任意にまた、ジフェニルシロキシフェニルトリメチコンであって、好ましくは、それぞれ、該組成物の総重量に対して5重量%~15重量%および5重量%~15重量%の範囲の含有量のトリメチルペンタフェニルトリシロキサンおよび、任意にまた、ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン、および式Ib:
【化18】
[式中、nは、上記で定義されているとおりである]
で示される、ヒドロキシルで官能化されたポリオルガノシロキサンと、
メチレンジフェニルジイソシアネートであって、特に、活性材料(乾燥材料)組成物の総重量に対して16重量%~25重量%の含有量のメチレンジフェニルジイソシアネートとの反応産物であるシリコーン-ポリウレタンポリマー;
-および、有利には、またカルボキシレート基およびポリジメチルシロキサン基を含むコポリマー、
を含む。
【0096】
他の追加の油
本発明はまた、皮膚上に堆積した皮膜に軽さと持続性または快適さを与えるための、上記の油とは異なる他のシリコーン油または炭化水素油を含んでもよい。
【0097】
特に、エステル油、例えば脂肪酸のエステル、特に4~22個の炭素原子のもの、合成エステル、例えば、式R1COOR2[式中、R1は、4~40個の炭素原子を含む直鎖状または分枝鎖状脂肪酸の残基を示し、R2は、特に分枝鎖状の、4~40個の炭素原子を含む炭化水素鎖を示し、但し、R1+R2≧16]で示される油、ヒドロキシル化エステル(好ましくは、35~70の範囲の炭素数を有するもの)、脂肪アルコールまたは分枝鎖状C24-C28脂肪酸のエステルおよびこれらの混合物、好ましくはヒドロキシル化エステル、例えばポリグリセリル-2トリイソステアレート、ジイソステアリルマレート、およびこれらの混合物が挙げられる。
【0098】
エステル油は、顔料、特に組成物の脂肪相に対する親和性を顔料に与えることを目的ととする疎水性炭化水素化合物による表面処理を含む顔料の分散剤として特に有用である。これらの処理された顔料を分散する油は、本発明による組成物の均質性および唇に適用される皮膜の均質性を改善する。したがって、視覚的な外観が大幅に改善される。
【0099】
本発明の組成物の脂肪相は一般に、ゲル化剤および/またはテクスチャリング剤、特に親油性ゲル化剤、ワックス、ペースト状脂肪物質、またはそれらの混合物を用いてテクスチャリングまたは構造化される。
【0100】
特定の実施態様によれば、本発明の組成物は、少なくとも一つの親油性ゲル化剤を含む。
【0101】
ゲル化剤
親油性ゲル化剤として、特に、鉱物ゲル化剤、例えば、油に分散されているベントン(bentone)が挙げられる。例えば、参照としてElementisのBENTONE GEL ISD V(INCI名:イソドデカン(および)ジステアルジモニウムヘクトライト(および)プロピレンカーボネート(Isododecane (and) Disteardimonium Hectorite (and) Propylene Carbonate)が挙げられる。
【0102】
したがって、特定の実施態様によれば、本発明の組成物はまた、親油性ゲル化剤、特に鉱物ゲル化剤、好ましくはベントン(bentone)を含む。
【0103】
他の親油性ゲル化剤も、以前に定義した溶液を得ることができる場合には、本発明の組成物に使用してもよい。
【0104】
親油性ゲル化剤の総含有量は、組成物の総重量に対して0.1重量%~5重量%、特に0.5重量%~3重量%の範囲であり得る。
【0105】
したがって、本発明の特定の実施態様によれば、本発明の組成物は、
-イソドデカンであって、好ましくは、組成物の総重量に対して25重量%~45重量%の範囲の含有量のイソドデカン;
-トリメチルペンタフェニルトリシロキサンおよび、任意にまた、ジフェニルシロキシフェニルトリメチコンであって、好ましくは、それぞれ該組成物の総重量に対して5重量%~15重量%および5重量%~15重量%の範囲の含有量のトリメチルペンタフェニルトリシロキサンおよび、任意にまた、ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン;および
-シリコーン-ポリウレタンポリマーであって、式Ib:
【化19】
[式中、nは、上記で定義されているとおりである]
で示される、ヒドロキシルで官能化されたポリオルガノシロキサンと、
メチレンジフェニルジイソシアネートであって、特に、活性材料(乾燥材料)組成物の総重量に対して16重量%~25重量%の含有量のメチレンジフェニルジイソシアネートとの、
反応産物であるシリコーン-ポリウレタンポリマー
-ベントン(bentone)型-親油性ゲル化剤(INCI名:ジステアルジモニウムヘクトライト)であって、好ましくは、該組成物の総重量に対して0.1重量%~5重量%の範囲の含有量のベントン(bentone)型-親油性ゲル化剤;
-および、有利にはまた、カルボキシレート基およびポリジメチルシロキサン基を含むコポリマー、
を含む。
【0106】
本発明による組成物はまた、ワックス、増量剤、着色剤およびこれらの混合物から選択される成分を含む。
【0107】
ワックス
本発明の意味の範囲内で、「ワックス」は、可逆性固体/液体状態変化を示し、30℃を超える、好ましくは45℃を超える融解温度を示す、25℃で固体の化合物を示すことを意図するものである。
【0108】
天然のワックス(ヒマワリワックス、ベリーワックス)、微結晶ワックス、パラフィンワックス、ポリエチレンワックス、オゾケライト(ozokerite)、カルナバワックス、蜜蝋、およびこれらの混合物が挙げられる。
【0109】
したがって、特定の好ましい実施態様によれば、本発明の組成物はまた、少なくとも一つのワックスも含み、これにより、持続性および光沢結果を妨げることなく系を安定化、または凍結することさえ可能になる。
【0110】
本発明による組成物は、該組成物の総重量に対して0.5重量%~10重量%、例えば1重量%~5重量%の範囲のワックス含有量を含む。
【0111】
特定の実施態様によれば、本発明の組成物はまた、増量剤、着色剤およびこれらの混合物から選択される、追加の成分を含む。
【0112】
増量剤
さらに、本発明の組成物は、有利には、快適さを与え、組成物中に保持される高レベルのポリマーに関連するベタつきの外観を防止するために、増量剤を含むことができる。
【0113】
本発明の意味の範囲内で、「増量剤」は、組成物の媒体に不溶性でそこに分散した形状(板状、球状または楕円形)である、鉱物または有機、天然または合成性質の任意の形状の無色または白色の粒子を意味すると理解されるべきである。増量剤は、特に、天然起源または合成起源のシリカ、雲母類、カオリン、酸化亜鉛および酸化チタン;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムおよび炭酸水素マグネシウム;ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムまたはステアリン酸リチウム、ラウリン酸亜鉛、ミリスチン酸マグネシウム;合成ポリマー、例えばポリエチレン、ポリエステル、ポリアミド(例えばナイロン)の粉末;ポリアクリルまたはポリメタクリル酸粉末、シリコーンまたはシリコーン樹脂粉末;セルロース粉末;鉱物粉末、例えば球状のシリカ;球状の二酸化チタン;ガラスセラミックスビーズ;天然起源の有機材料、例えばトウモロコシ、小麦、米および綿デンプン(架橋結合しているかまたは架橋結合していない)の粉末、およびこれらの混合物から選択される。
【0114】
好ましい増量剤は、特に、シリカ粉末、セルロース粉末、綿粉末およびこれらの混合物を含む。
【0115】
増量剤は、該組成物の総重量に対して2重量%~10重量%、特に3重量%~8重量%の範囲の含有量で存在してもよい。
【0116】
本発明の組成物は、特に、少なくとも一つの着色剤を含むメークアップ組成物である。
【0117】
着色剤
本発明の意味において、「着色剤」は、適切な化粧品媒体中に十分な量で配合された場合に、有色の光学効果をもたらすことができる化合物を意味すると理解される。
【0118】
着色剤は、本発明の連続相、この場合は本発明の油相に可溶性または不溶性の有機または無機着色剤、光学効果を有する材料、およびそれらの混合物から選択することができる。
【0119】
特定の実施態様によれば、着色剤は、特に、鉱物顔料、有機顔料およびこれらの混合物から選択される。
【0120】
「顔料」とは、得られた堆積物を有色および/または不透明にすることを目的とする、水溶液に不溶の白色または有色の鉱物または有機粒子を意味すると理解される。鉱物顔料、有機顔料および複合顔料(すなわち、鉱物および/または有機材料を基礎とした顔料)を挙げることができる。
【0121】
「鉱物顔料」としては、例えば、二酸化チタン(ルチルまたはアナターゼ)(任意に表面処理されている);黒色、黄色、赤色および褐色の酸化鉄;マンガンバイオレット; ブルーウルトラマリンの酸化クロム、クロム水和酸化物およびフェリックブルー(ferric blue)が挙げられる。
【0122】
唇のための組成物について、例えば、二酸化チタン;黒色、黄色、赤色および褐色の酸化鉄およびマンガンバイオレットが挙げられる。
【0123】
「有機顔料」として、例えば、顔料D&C Red No.19;D&C Red No.9;D&C Red No.22;D&C Red No.21;D&C Red No.28;D&C Yellow No.6;D&C Orange No.4;D&C Orange No.5;D&C Red No.27;D&C Red No.13;D&C Red No.7;D&C Red No.6;D&C Yellow No.5;D&C Red No.36;D&C Red No.33;D&C Orange No.10;D&C Yellow No.6;D&C Red No.30;D&C Red No.3;D&C Blue 1;カーボンブラック(carbon black)およびラッカー(lacquer)が挙げられる。
【0124】
特に、少なくとも一つの着色剤は組成物中に、該組成物の総重量に対して2重量%~20重量%、好ましくは3重量%~15重量%の範囲の含有量で存在する。
【0125】
製剤化
本発明の組成物は、ケラチン物質のためのメークアップおよび/またはケア組成物、特に、皮膚および/または唇、好ましくは唇のためのメークアップおよび/またはケア組成物である。
【0126】
第一の実施態様によれば、本発明の組成物は、持続性および輝きを与えるために唇用の任意のメークアップ組成物の上に使用することができる上塗り組成物である。
【0127】
別の実施態様によれば、本発明の組成物は、色、輝きおよび持続性を与えるためのシングルステップのメークアップ組成物である。
【0128】
本発明の組成物は、特に、好ましくは唇のための液状組成物である。
【0129】
本発明の一実施態様おいて、液体形態であり得、流体のリップスティック、リップラッカー(lip lacquer)、リップグロス、日焼け止めまたは皮膚色彩製品、アイシャドーまたはアイライナーであり得る。
【0130】
好ましくは、組成物は唇のためのメークアップ組成物、特にグロスの形態である。
【0131】
化粧方法
本発明はまた、ケラチン物質をケアおよび/またはメークアップするための化粧方法であって、ケラチン物質、特に、皮膚および/または唇、好ましくは唇に、本発明による組成物を適用することを含む方法である。
【0132】
唇に適用される組成物は、好ましくは、唇にメークアップを適用するための液状組成物、特に流体のリップスティック、リップラッカーまたはグロスである。
【0133】
本発明による方法は、特に、シングルステップで、長期持続する光沢および色を有する光沢のある皮膜を前記唇に堆積させることを目的とする、唇をメークアップする方法である。
【0134】
次に、本発明を以下の非限定的な実施例で説明する。%は、特に断らない限り、組成物の総重量に対する重量%として表される。
【実施例】
【0135】
実施例1:溶解度試験
【0136】
溶解度試験は、揮発性炭化水素油であるシリコーンポリウレタンポリマー、および少なくとも一つのフェニルシリコーン油を含むさまざまな混合物に対して実行する。清澄で透明な溶液が得られる比率は、本発明に適した比率である。この場合、混合物の化合物は単一相のみを形成する。混合物の化合物の比率が透明な油相を得ることができない場合、混合物は不透明であることが観察され、これは化合物が試験した比率で混和しないことを意味する。
【0137】
-これらの試験には、イソドデカンに分散されたシリコーンポリウレタンポリマー(INCI=ビス-ヒドロキシプロピルジメチコン/SMDIコポリマー)を含む、乾燥重量で45%のポリマーを含むSILMER UR1550を使用する。
-試験した比率に応じて、追加量の成分を追加する。
【0138】
1.混合物(25℃で粘性>150mPa.sの1フェニルシリコーン油を有する):
ビス-ヒドロキシプロピルジメチコン/SMDIコポリマー/イソドデカン/トリメチルペンタフェニルトリシロキサン(DOW CORNING PH-1555)
【0139】
以下の混合物は、40重量%のSILMER UR-1550、すなわち、18乾燥重量%のシリコーンポリウレタンポリマーおよび22重量%のイソドデカンを含む。18%のシリコーンポリウレタンポリマーは、イソドデカンおよび、25℃での粘性が160 mPa.sであるフェニルシリコーン油を含む、82%の油の混合物に分散されている。
【0140】
【0141】
混合物の外観の観察:
不透明=非混合性
透明=混和性=本発明ではOK
【0142】
結果では、18重量%のシリコーンポリウレタンポリマーを含むきれいな混合物を得るには、25℃で粘度>100mPa.Sのフェニルシリコーン油の場合、混合物の総重量に基づいて、>150 mPa.sの粘度を有する5~35%のフェニルシリコーン油および、45~75%のC8-C19アルカンを含む油の混合物である必要があると示されている。この場合、C8-C19アルカンの含有量は、25℃で粘度>150mPa.Sのフェニルシリコーン油の前記含有量より少なくとも1.5倍大きくなる。
【0143】
より具体的には(18%~20%のシリコーンポリウレタンポリマーを四捨五入して)、80(油)/20シリコーンポリマーポリウレタンの混合物であって、混合物中の油の総重量に対して、粘度>100mPa.sの5~35%のフェニルシリコーンオイル/45~75%のC8-C19アルカン/20%シリコーンポリマーポリウレタンの重量比、または粘度>100mPa.sの1/3のフェニルシリコーンオイルと2/3のC8-C19アルカンの重量比を有する混合物が挙げられる。
【0144】
混合物(フェニルシリコーン油を有する):
ビス-ヒドロキシプロピルジメチコン/SMDIコポリマー/イソドデカン/トリメチルペンタフェニルトリシロキサン(DOW CORNING PH-1555)/ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン(KF-56A)
【0145】
【0146】
混合物の外観の観察:
不透明=非混和性
透明=混和性=本発明ではOK
【0147】
結果では、18重量%のシリコーンポリウレタンポリマーを含むきれいな混合物を得るには、粘度>100mPa.sのフェニルシリコーン油と粘性<50mPa.sのフェニルシリコーン油との組み合わせの場合、混合物の総重量に対して60%のフェニルシリコーン油および20%のC8-C19アルカンを含む油の混合物である必要があると示されている。このような混合物では、低粘度フェニルシリコーン油の含有量は高粘度フェニルシリコーン油の含有量より多く、C8-C19アルカンの含有量は高粘度フェニルシリコーン油の含有量以上のままである。
【0148】
より具体的に(18%~20%のシリコーンポリウレタンポリマーを四捨五入して)、60%フェニルシリコーンオイル/20%C8-C19アルカン/20%シリコーンポリウレタンポリマーの重量比を有する、80(油)/20シリコーンポリウレタンポリマー混合物が挙げられる。低粘度のフェニルシリコーン油と高粘度のフェニルシリコーン油との組み合わせにより、先の例よりもフェニルシリコーン油の総含有量を多くして油性混合物に組み込むことが可能になり、結果的に光沢がさらに改善する。
【0149】
これらの結果では、フェニルシリコーン油の存在下でポリウレタンシリコーンポリマーの溶解度が低いため、きれいな溶液を得るためには、過剰の炭化水素油(本実施例ではイソドデカン)を添加する必要があることが示されている。
【0150】
試験したフェニルシリコーン油の中で、KF-56Aが混合物中に存在することにより、フェニルシリコーン油の総含有量を増加させることが可能となり、したがって、皮膜の光沢の結果を増加させることができる。
【0151】
実施例2:液状リップスティック
【0152】
下記の組成物は、本発明による液状リップスティックである。
【0153】
パーセンテージは、最終組成物に対する重量で示す。
【表4】
【0154】
組成物は以下の手順に従って調製する:
【0155】
SILMER、KP 561Pおよび相Aの油を、きれいな混合物が得られるまで、Rayneri下、70℃で混合する。次にBENTO GELを添加し、混合物を1500 RPMで必要な時間均質化させる。
【0156】
相Cの顔料を相Bのエステル油中に分散させ、粉砕する。これらをワックスと一緒に前の相に添加する。40℃未満に冷却した後、シリカ増量剤を前の相に添加し、混合物を5分間放置して均質化させる。
【0157】
組成物は、液状の均質な唇用製品である。
【0158】
唇に適用する場合、シングルステップで長時間持続する光沢なメークアップを得ることができる。
【0159】
実施例3:リップスティック
【0160】
以下の組成物は、本発明による液状リップスティックである。
【0161】
パーセンテージは、最終組成物に対する重量で示す。
【表5】
【0162】
組成物は以下の手順に従って調製する:
【0163】
SILMER、KP 561Pおよび相Aの油を、きれいな混合物が得られるまで、Rayneri下、70℃で混合する。次にBENTO GELを添加し、混合物を1500RPMで必要な時間均質化させる。
【0164】
相Cの顔料を相Bのエステル油中に分散させ、粉砕する。これらを相Aに添加する。次に、組成物を室温まで冷却する。
【0165】
この組成物は、液状の均質な唇用製品である。
【0166】
唇に適用する場合、シングルステップで長時間持続する光沢なメークアップを得ることができる。
【0167】
実施例4:リップスティック
【0168】
以下の組成物は、本発明による液状リップスティックである。
【0169】
パーセンテージは、最終組成物に対する重量で示す。
【表6】
【0170】
組成物は以下の手順に従って調製する:
【0171】
SILMER、KP 561Pおよび相Aの油を、きれいな混合物が得られるまで、Rayneri下、70℃で混合する。次にBENTO GELを添加し、混合物を1500 RPMで必要な時間均質化させる。
【0172】
C相の顔料をB相のエステル油に分散させ、粉砕する。次に組成物を室温まで冷却する。
【0173】
この組成物は、液状の均質な唇用製品である。
【0174】
唇に適用する場合、シングルステップで長時間持続する光沢なメークアップを得ることができる。
【0175】
実施例5:上塗り
【0176】
本発明による無色組成物を調製する。配合は以下の表に示す。
【表7】
【0177】
SILMER(登録商法)UR-1550は、イソドデカン中に45重量%の乾燥材料を含有するビス-ヒドロキシプロピルジメチコン/SMDIコポリマーを含む。
AMILON:シリカ(および)ラウロイルリシン(95/5)
【0178】
該組成物は、以下のプロトコルにより調製する:
【0179】
該組成物を唇に適用することで皮膜を形成する。これは、唇に第一層の有色皮膜を適用した後、輝きと持続する輝きを与える上塗りとして有利に使用することができる。
【国際調査報告】