(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-26
(54)【発明の名称】音響フットプリント分析を使用してタイヤ摩耗を推定するためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
B60C 11/24 20060101AFI20240119BHJP
B60C 19/00 20060101ALI20240119BHJP
B60C 11/00 20060101ALI20240119BHJP
G01M 17/02 20060101ALI20240119BHJP
【FI】
B60C11/24 Z
B60C19/00 H
B60C19/00 Z
B60C11/00 Z
G01M17/02
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023539089
(86)(22)【出願日】2022-01-06
(85)【翻訳文提出日】2023-06-24
(86)【国際出願番号】 US2022070054
(87)【国際公開番号】W WO2022150824
(87)【国際公開日】2022-07-14
(32)【優先日】2021-01-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515168916
【氏名又は名称】ブリヂストン アメリカズ タイヤ オペレーションズ、 エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アジーズ,ユーソフ
(72)【発明者】
【氏名】サムス,トーマス,エー.
【テーマコード(参考)】
3D131
【Fターム(参考)】
3D131BC55
3D131EC22U
3D131LA02
3D131LA06
3D131LA22
3D131LA34
(57)【要約】
【解決手段】 音響フットプリント分析に基づいてタイヤ摩耗を推定するためのシステム及び方法が本明細書に開示される。タイヤ装着されたセンサは、タイヤの動的な機械的挙動に対応する信号を提供し、コンピューティングデバイスは、信号の時間及び周波数成分を含むスペクトルをグラフィカルに構築し、タイヤのフットプリント領域についてグラフィカルに構築されたスペクトルと比較するために、タイヤの未摩耗バージョンに関連付けられた既定されたスペクトルを含むモデルを実装する。タイヤのフットプリント領域に関連付けられたスペクトルのグラフィカル特徴は、比較に基づいて、剛性変化の事前定義されたインジケータとして抽出され、タイヤ摩耗状態は、抽出されたグラフィカル特徴に基づいて推定される。例示的なグラフィカル特徴は、フットプリント領域における高周波エネルギーシグネチャ、フットプリント領域の後縁における信号減衰シグネチャ、フットプリント領域におけるトレッド通過周波数帯域内の増加したエネルギーシグネチャなどを含み得る。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤ摩耗予測方法(200)であって、
自動車のタイヤにオンボード装着された少なくとも1つのデータ取得デバイスを介して、前記タイヤの動的な機械的挙動に対応する信号を収集すること(210)と、
前記信号の時間及び周波数成分を含むスペクトルをグラフィカルに構築すること(220)と、
前記タイヤのフットプリント領域について前記グラフィカルに構築されたスペクトルと比較するために、前記タイヤの未摩耗バージョンに関連付けられた既定されたスペクトルを含む少なくとも1つのモデルを実装すること(230)と、
前記比較に基づいて、剛性変化の事前定義されたインジケータとして、前記タイヤの前記フットプリント領域に関連付けられた前記スペクトルの1つ以上のグラフィカル特徴を抽出すること(250)と、
前記抽出された1つ以上のグラフィカル特徴に基づいてタイヤ摩耗状態を推定すること(260)と、
前記推定されたタイヤ摩耗状態に基づいて出力信号を選択的に生成すること(271、272)と、を含む、タイヤ摩耗予測方法。
【請求項2】
前記タイヤの未摩耗バージョンに関連付けられた前記既定されたスペクトルが、音響フットプリント分析を使用して、前記タイヤの前記フットプリント領域について前記グラフィカルに構築されたスペクトルと比較される(240)、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記抽出された1つ以上のグラフィカル特徴が、
前記フットプリント領域において識別された高周波エネルギーシグネチャ、
前記フットプリント領域の後縁における信号減衰シグネチャ、及び
前記フットプリント領域におけるトレッド通過周波数帯域内の増加したエネルギーシグネチャ、のうちの1つ以上を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記スペクトルをグラフィカルに構築することが、前記信号をそれぞれの時間、周波数、及び振幅成分にデコンボリューションすることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記信号が、短時間フーリエ変換分析を介してデコンボリューションされる、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記少なくとも1つのモデルが、前記タイヤの判定されたタイプに基づいて、実装のために選択され、かつ取り出される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
タイヤ摩耗予測のためのシステム(100)であって、
自動車のタイヤにオンボード装着され、前記タイヤの動的な機械的挙動に対応する信号を生成するように構成された、少なくとも1つのデータ取得デバイス(112、114、116、118)と、
前記少なくとも1つのデータ取得デバイスに通信可能にリンクされ、そこから生成された前記信号を受信するコンピューティングデバイス(102、130、140)であって、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法のステップの実行を命令するように更に構成されている、コンピューティングデバイス(102、130、140)と、を備える、タイヤ摩耗予測のためのシステム。
【請求項8】
前記出力信号が、前記推定されたタイヤ摩耗状態に対応する1つ以上の指示を選択的に表示するための表示ユニットに提供される、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記出力信号が、前記推定されたタイヤ摩耗状態に基づいて、1つ以上の車両制御属性への自動介入のために車両制御ユニットに提供される、請求項7に記載のシステム。
【請求項10】
前記コンピューティングデバイスに通信可能にリンクされ、前記タイヤの判定されたタイプに基づいて選択的に取り出し、かつ実装するための前記少なくとも1つのモデルを記憶している1つ以上のデータ記憶媒体(106、132)を更に備える、請求項7に記載のシステム。
【請求項11】
自動車にオンボード装着するためのコンピューティングデバイス(102)であって、前記自動車にオンボード装着されたときに、少なくとも1つのタイヤ装着されたデータ取得デバイス(118)に通信可能にリンクされ、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法のステップの実行を命令するように更に構成されている、コンピューティングデバイス。
【請求項12】
それによって選択的に生成された前記出力信号が、前記推定されたタイヤ摩耗状態に対応する1つ以上の指示を選択的に表示するための表示ユニットに提供される、請求項11に記載のコンピューティングデバイス。
【請求項13】
それによって選択的に生成された前記出力信号が、前記推定されたタイヤ摩耗状態に基づいて、1つ以上の車両制御属性への自動介入のために車両制御ユニットに提供される、請求項11に記載のコンピューティングデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、車輪付き車両のタイヤの摩耗推定に関する。より具体的には、本明細書に開示されるようなシステム、方法、及び関連するアルゴリズムは、例えば、自動二輪車、家庭用車両(例えば、乗用車及び軽トラック)、商用車及びオフロード(off-road、OTR)車両を含むがこれらに限定されない車輪付き車両のタイヤのトレッド深さの改善された推定のために、例えば物理学に基づく振動メトリックなどの物理的パラメータを収集及び分析し得る。
【背景技術】
【0002】
タイヤ摩耗の予測は、特に車両のフリート管理の文脈において、車両を所有又は操作する者にとって重要なツールである。タイヤが使用されるとき、トレッドが徐々に浅くなり、タイヤ全体の性能が変化することが通常である。一般的に言えば、タイヤトレッドが浅ければ浅いほど、ドライバは、雨、雪などの中で運転するときにトラクションを失いやすくなり得る。
【0003】
加えて、不規則なトレッド摩耗は、そうでなければ必要となるよりも早く、ユーザがタイヤ交換することになる様々な理由に対して生じることがある。車両、ドライバ、及び個々のタイヤは、全て互いに異なるものであり、タイヤを非常に異なる速度で摩耗させる可能性がある。例えば、スポーツカー用の高性能タイヤは、ファミリーセダン用のツーリングタイヤよりも急速に摩耗する。しかしながら、多種多様な要因により、タイヤは予想されるよりも早く摩耗する、及び/又は不規則に摩耗し、ノイズ又は振動を生じさせる可能性がある。早期及び/又は不規則なタイヤ摩耗の2つの一般的な原因は、不適切なタイヤ圧及び面外位置合わせ条件である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、タイヤ摩耗は、モデル化するには複雑な現象である。有限要素分析(finite element analysis、FEA)を利用する、現在存在する正確なモデルが存在するが、これらのシミュレーションは、典型的には、完了するのに数週間を要する可能性がある。いくつかの異なるトレッド深さで摩耗率をシミュレートすることが所望される場合、これは更に、計算的に高価なシミュレーションの数か月を要するであろう。
【0005】
それらのタイヤの性能及び機能に関する実質的にリアルタイムな予測をユーザに提供することが望ましくあり得る。
【0006】
例えば、典型的にはフィールドエンジニア及び/又は専用機器によって提供されるような手動トレッド深さ測定値を必要とすることなく、分散及び相対的に自動化されたタイヤアズアサービスモデルの一部としてこれらのサービスを提供することが更に望ましくあり得る。
【0007】
タイヤのトレッド深さを推定し、例えばトラクション、燃料効率、耐久性などのような他の有用/実施可能な予測のためのモデルへの入力としてそのようなフィードバックを提供することが更に望ましくあり得る。正確なトレッド深さ予測が、多数の他のタイヤ性能領域を予測するための第1のステップである。
【0008】
概して、本明細書に開示されるようなシステム及び方法の種々の実施形態は、検出された機械的応答、すなわち、転動するタイヤの変位、速度、及び/又は加速度を実装し得る。応答は、好ましくは、例えば加速度計などのデータ取得システムを使用して直接測定され得、加速度計は、タイヤの中、上、又は別様にタイヤに関連して装着される。データ取得システムは、タイヤが異なる道路及び路面上を転動しているときにデータを連続的に収集し得る。
【0009】
本明細書に開示されるような種々の実施形態は、より具体的には、フットプリント(「コンタクトパッチ」とも称される)及び/又はその後縁におけるフットプリント付近で測定されるカーカス動的応答に関し得る。したがって、装着されたデバイスがフットプリント内にあるとき(例えば、デバイスの設置点の半径方向外側の位置にあるトレッド表面が路面と接触している)、又はデバイスが後縁領域にあるとき(すなわち、装着されたデバイスの位置が路面から離れる)の加速度計データが分析される。
【0010】
本明細書に開示されるようなタイヤ摩耗予測方法の例示的な実施形態は、自動車のタイヤにオンボード装着された少なくとも1つのデータ取得デバイスを介して、タイヤの動的な機械的挙動に対応する信号を収集することを含む。方法は更に、信号の時間及び周波数成分を含むスペクトルをグラフィカルに構築することと、タイヤのフットプリント領域についてグラフィカルに構築されたスペクトルと比較するために、タイヤの未摩耗バージョンに関連付けられた既定されたスペクトルを含む少なくとも1つのモデルを実装することと、を含む。比較に基づいて、タイヤのフットプリント領域に関連付けられたスペクトルの1つ以上のグラフィカル特徴が、剛性変化の事前定義されたインジケータとして抽出される。タイヤ摩耗状態が、抽出された1つ以上のグラフィカル特徴に基づいて推定され得、出力信号が、推定されたタイヤ摩耗状態に基づいて選択的に生成される。
【0011】
上で言及した実施形態による1つの例示的な態様では、タイヤの未摩耗バージョンに関連付けられた既定されたスペクトルは、音響フットプリント分析を使用して、タイヤのフットプリント領域についてグラフィカルに構築されたスペクトルと比較される。
【0012】
上で言及した実施形態による別の例示的な態様では、抽出された1つ以上のグラフィカル特徴は、フットプリント領域において識別された高周波エネルギーシグネチャ、フットプリント領域の後縁における信号減衰シグネチャ、及びフットプリント領域におけるトレッド通過周波数帯域内の増加したエネルギーシグネチャ、のうちの1つ以上を含み得る。
【0013】
上で言及した実施形態による別の例示的な態様では、スペクトルをグラフィカルに構築することは、信号をそれぞれの時間、周波数、及び振幅成分にデコンボリューションすることを含む。例えば、時間-周波数短時間フーリエ変換(Short Time Fourier Transform、STFT)分析が使用され得る。
【0014】
上で言及した実施形態による別の例示的な態様では、少なくとも1つのモデルは、タイヤの判定されたタイプに基づいて、実装のために選択され、かつ取り出され得る。
【0015】
本明細書に開示されるような別の実施形態では、上で言及した方法は、自動車のタイヤにオンボード装着され、タイヤの動的な機械的挙動に対応する信号を生成するように構成された、少なくとも1つのデータ取得デバイスと、少なくとも1つのデータ取得デバイスに通信可能にリンクされ、そこから生成された信号を受信し、かつ受信された信号をそれに従って処理するように構成された、コンピューティングデバイスと、を含む、タイヤ摩耗予測のためのシステムを介して実装され得る。
【0016】
上で言及したシステムによる例示的な態様では、出力信号は、推定されたタイヤ摩耗状態に対応する1つ以上の指示を選択的に表示するための表示ユニットに提供され得る。
【0017】
上で言及したシステムによる別の例示的な態様では、出力信号は、推定されたタイヤ摩耗状態に基づいて、1つ以上の車両制御属性への自動介入のために車両制御ユニットに提供され得る。
【0018】
上で言及した実施形態による別の例示的な態様では、1つ以上のデータ記憶媒体は、コンピューティングデバイスに通信可能にリンクされ、タイヤの判定されたタイプに基づいて選択的に取り出し、かつ実装するための少なくとも1つのモデルを記憶している場合がある。
【0019】
別途定義しない限り、本明細書において使用される全ての技術用語及び科学用語は、本発明の属する分野の当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書に開示されるような発明は、その趣旨又は本質的属性から逸脱することなく、他の具体的な形態で具現化され得、したがって、種々の実施形態は、全ての側面において、限定ではなく、例解として考慮されることが所望される。説明において利用される見出しはいずれも便宜上のものにすぎず、法的又は限定的な効果をもたらすものではない。本明細書に記載される実施形態の多数の目的、特徴、及び利点は、添付の図面と併せて以下の開示を一読すると、当業者には容易に明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】
図1は、本明細書に開示されるようなトレッド深さ推定のためのシステムの一実施形態を表すブロック図である。
【
図2】
図2は、本明細書に開示されるようなトレッド深さ推定のための方法の一実施形態を表すフロー図である。
【
図3A】
図3Aは、本明細書に開示されるような実施形態による、未摩耗タイヤの第1の物理学に基づく音響フットプリント特徴を含む例示的なスペクトルを表すグラフ図である。
【
図3B】
図3Bは、
図3Aのスペクトルに対応する例示的なスペクトルであるが、本明細書に開示されるような実施形態による摩耗したタイヤについての例示的なスペクトルを表すグラフ図である。
【
図4A】
図4Aは、本明細書に開示されるような実施形態による、未摩耗タイヤの第2の物理学に基づく音響フットプリント特徴を含む例示的なスペクトルを表すグラフ図である。
【
図4B】
図4Bは、
図4Aのスペクトルに対応する例示的なスペクトルであるが、本明細書に開示されるような実施形態による摩耗したタイヤについての例示的なスペクトルを表すグラフ図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
概して
図1~
図4Bを参照して、発明の種々の例示的な実施形態がここで詳細に説明され得る。様々な図が、様々な共通の要素及び特徴を他の実施形態と共有する実施形態を説明することがある場合、同様の要素及び特徴は同じ参照番号を与えられ、その重複する説明は以下で省略されることがある。
【0022】
本明細書に開示されるようなシステムの種々の実施形態は、本明細書に開示されるような少なくともタイヤ摩耗予測モデルを効果的に実装するために、複数の分散データコレクタ並びに(例えば、個々のユーザ及び/又は車両に関連付けられた)コンピューティングノードと機能的に通信する集中型コンピューティングノード(例えば、クラウドサーバ)を含み得る。
【0023】
最初に
図1を参照すると、システム100の例示的な実施形態は、車両にオンボードであり、少なくともデータを取得し、当該データをリモートサーバ130に送信し及び/又は本明細書に開示されるように関連する計算を実行するように構成されたコンピューティングデバイス102を含む。コンピューティングデバイスは、(図示されるように)分散車両データ収集及び制御システムの一部として携帯型若しくは別様にモジュール式であり得るか、又は別様に、中央車両データ収集制御システム(図示せず)に対して一体的に提供され得る。デバイスは、プロセッサ104と、プログラム論理108が常駐するメモリ106とを含み得る。種々の実施形態におけるコンピューティングデバイス102は、車両電子制御ユニット(electronic control unit、ECU)若しくはその構成要素であり得るか、又は別様に、例えば、車両マウントに対して恒久的に若しくは取り外し可能に提供された、本質的に別個のものであり得る。
【0024】
概して、本明細書に開示されるようなシステム100は、1つ以上の車両にわたって分散された多数の構成要素を実装し得るが、例えば必ずしもフリート管理エンティティに関連付けられておらず、更に、通信ネットワークを介して車両の各々と機能的に通信する中央サーバ130又はサーバネットワークを実装し得る。車両構成要素は、典型的には、例えば、コントローラエリアネットワーク(controller area network、CAN)バスネットワークにリンクされ、それによってローカル処理ユニットに信号を提供する、例えば、車体加速度計、ジャイロスコープ、慣性測定ユニット(inertial measurement unit、IMU)、全地球測位システム(global positioning system、GPS)トランスポンダ112などの位置センサ、タイヤ圧監視システム(tire pressure monitoring system、TPMS)センサ送信機118及び関連付けられたオンボード受信機などの1つ以上のセンサを含み得る。例解される実施形態は、それによって、例解目的のために、本発明の範囲を別様に限定することなく、周囲温度センサ116と、例えば車両に関連付けられる加速データを収集するように構成された車両速度センサ114と、DC電源110と、を含む。本明細書に開示されるようなセンサのうちの1つ以上は、構造において離散及び分散されることと対照的に、統合され得るか、又は別様に所与のモジュール構造内に集合的に位置し得る。例えば、本明細書で言及されるようなタイヤ装着されたTPMSセンサは、複数のタイヤ固有の条件(例えば、加速度、圧力、温度)の各々に対応する出力信号を生成するように構成され得る。
【0025】
それぞれのデータソースとローカルコンピューティングデバイスとの間の通信のための、種々のバスインターフェース、プロトコル、及び関連付けられたネットワークが、当該技術分野において周知であり、当業者は、それを実装するための広範囲のそのようなツール及び手段を認識するであろう。
【0026】
図1に表される実施形態は、本明細書に開示されるようなシステム又は方法の範囲を限定するものではなく、代替の実施形態では、モデル134のうちの1つ以上が、サーバレベルではなく、オンボードコンピューティングデバイス102(例えば、電子制御ユニット)においてローカルに実装され得ることに留意されたい。例えば、モデル134は、サーバレベルで経時的に生成及び訓練され、本明細書に開示されるような1つ以上のステップ又は動作のローカル実行のためにオンボードコンピューティングデバイス102にダウンロードされ得る。
【0027】
他の代替の実施形態では、種々のセンサ112、114、116、118のうちの1つ以上は、オンボードコンピューティングデバイス102を介してではなく、リモートサーバ130と直接通信するように、又は車両のユーザによって携行されるモバイルコンピューティングデバイス(図示せず)を介して通信するように構成され得る。
【0028】
システム100は、例えば、フリート管理サーバ若しくは他のユーザのコンピューティングデバイス140上に常駐する追加の分散されたプログラム論理、又は(例えば、視覚及び/若しくは音声インジケータを介した)リアルタイム通知のための、車両に常駐するか、若しくはそのドライバに関連付けられたデバイス(図示せず)のユーザインターフェースを含み得、フリート管理デバイスは、いくつかの実施形態では、通信ネットワークを介してオンボードデバイス102に機能的にリンクしている。システムプログラミング情報は、例えば、ドライバによって、又はフリートマネージャによってオンボードで提供され得る。
【0029】
本明細書で使用されるときの「ユーザインターフェース」という用語は、別途記載のない限り、ダウンロードされた又は別様に常駐するプログラムアプリケーションを含むがこれらに限定されない、本明細書に開示されるようなサーバ及び/又はデバイスに対するユーザ対話をユーザデバイスが容易にするのに用いる任意の入出力モジュールと、ウェブブラウザと、個々のウェブページ又はホスト型ウェブサイトを集合的に定義するウェブページなどのウェブポータルと、を含み得る。ユーザインターフェースは、独立して配置され得るか、又は別様に、例えば、タッチスクリーンに関して相互に関連付けられ得るボタン及び表示部分の文脈において、パーソナルモバイルコンピューティングデバイスに関して更に説明され得、明示的なユーザ対話性がなくても音声及び/又は視覚的な入力/出力機能を更に含み得る。
【0030】
車両及びタイヤセンサ112、114、116、118は、一実施形態では、一意の識別子が更に提供され得、オンボードデバイスプロセッサ104は、同じ車両上のそれぞれのセンサから提供される信号を区別することができ、更に、特定の実施形態では、中央サーバ130及び/又はフリート保守管理者クライアントデバイス140は、複数の車両にわたってタイヤ101並びに関連付けられた車両及び/又はタイヤセンサから提供される信号を区別し得る。換言すれば、センサ出力値は、種々の実施形態において、本明細書に開示されるような計算のために、オンボード又はリモート/下流のデータストレージ及び実装を目的として、特定のタイヤ101、特定の車両、及び/又は特定のタイヤ車両システムに関連付けられ得る。オンボードデバイスプロセッサ104は、
図1に示すように、ホスト型サーバ130と直接通信し得るか、又は代替的には、ドライバのモバイルデバイス若しくはトラック装着されたコンピューティングデバイスが、オンボードデバイスの出力データを受信及び処理し/ホスト型サーバ130及び/又はフリート管理サーバ/デバイス140に送信するように構成され得る。
【0031】
特定の車両及び/又はタイヤセンサ112、114、116、118から受信された信号は、本明細書に開示される方法に従って計算するために必要に応じて選択的に取り出すために、オンボードデバイスメモリ106に記憶されるか、又はオンボードデバイスプロセッサ104に機能的にリンクされた等価なデータストレージネットワークに記憶され得る。本明細書で使用されるときの「データ記憶ネットワーク」は、一般に、データを記憶し、そこからのデータの選択的取り出しを可能にするように構成された個々の、集中化された、又は分散された論理的及び/又は物理的エンティティを指し得、例えば、限定はしないが、メモリ、ルックアップテーブル、ファイル、レジスタ、データベースなどを含み得る。いくつかの実施形態では、種々のセンサ112、114、116、118からの生データ信号は、車両からサーバ130に実質的にリアルタイムで通信され得る。代替的に、特に高周波データの連続データ伝送における固有の非効率を考慮して、データは、例えば、適切な通信ネットワークを介して、車両からリモートサーバ130へのより効率的な(例えば、周期的な時間ベース又は代替的に定義されたイベントベースの)送信のために、コンパイル、エンコード、及び/又は要約され得る。
【0032】
車両データ及び/又はタイヤデータは、通信ネットワークを介してホスト型サーバ130に送信されると、例えば、それと関連付けられたデータベース132に記憶され得る。サーバ130は、適切な入力として車両データ及び/又はタイヤデータを選択的に取り出し及び処理するために、本明細書に開示されるような1つ以上のアルゴリズムモデル134を含むか又は別様に関連付けられ得る。モデル134は、少なくとも部分的に、車両データ及び/又はタイヤデータの選択的な取り出しを可能にするプロセッサの実行を介して、更に、サーバ130に関連して記憶されているデータベース、ルックアップテーブルなどからの任意の追加のデータ又はアルゴリズムの入力のための電子通信において、実装され得る。
【0033】
システム100は、例えば、フリート管理サーバ若しくは他のユーザのコンピューティングデバイス140上に常駐するような追加の分散されたプログラム論理、又は(例えば、視覚及び/若しくは音声インジケータを介した)リアルタイム通知のための、車両に常駐するか、若しくはそのドライバに関連付けられたデバイス(図示せず)のユーザインターフェースを含み得、フリート管理デバイス140は、いくつかの実施形態では、通信ネットワークを介してオンボードデバイス102に機能的にリンクしている。システムプログラミング情報は、例えば、ドライバによって、又はフリートマネージャによってオンボードで提供され得る。
【0034】
ここで、所与のタイヤの関連する物理的パラメータに基づいてタイヤ摩耗を予測するための、
図2に表されるような例示的な方法200が説明され得る。以下のような特定の実施形態では、物理学に基づく振動メトリックが、音響フットプリント分析の文脈において開発され、実装される。
【0035】
方法200は、機械的応答、例えば、転動するタイヤの変位、速度、及び/又は加速度に対応する収集された信号から始まる(ステップ210)。前述したように、データ収集段階は、タイヤに装着されて動的な機械的応答に対応する信号を生成する、加速度計などの従来のデータ取得デバイスを実装し得る。データ取得デバイスは、タイヤが異なる道路及び路面上を転動しているときにデータを連続的に収集し得る。
【0036】
上述したように、データ取得デバイスから収集された信号は、例えば車両に常駐する電子制御ユニットにおいてローカルに、又は例えばクラウドサーバノードにおいてリモートに処理され得る。システムは更に、対象のタイヤと同様のタイプの、及び対象のタイヤさえも含む複数のタイヤの各々に対応する情報を予め記憶しているか、又は別様にアクセス可能にし得る。そのような情報は、例えば、対象のタイヤのタイプについての初期摩耗値及び/又は予想される摩耗率を含み得、それらのいずれかは、その後に実験的に生じる摩耗状態又は摩耗率に対する基準値又は比較点として有用であり得る。
【0037】
本実施形態では、特に関心のあるカーカス関連の動的応答が、フットプリントにおいて、及びフットプリントに近接して、例えばフットプリントの後縁において測定され得る。したがって、装着されたデバイスがフットプリント内にあるとき、又はデバイスが後縁領域にあるときの加速度計データが分析される。本明細書で使用されるとき、「フットプリント領域」という用語は、(別途具体的に記載のない限り)フットプリント自体を説明し、その前縁及び後縁を更に含み得る。したがって、本明細書に開示されるような技術に従って開発されるような、剛性の変化と相関する特定のシグネチャは、例えば、フットプリントの後縁の直後で測定される応答を包含し得るが、それにもかかわらず、フットプリント領域にあるものとして例解目的で説明される。
【0038】
その目的のために、例えば、時間-周波数短時間フーリエ変換(STFT)分析を使用して、信号を、その時間、周波数及び振幅成分を含むスペクトルにデコンボリューションし得る(ステップ220)。
【0039】
タイヤ摩耗がより剛性のトレッドラグにつながるという原理の下で進めると、種々の音響フットプリントモデル230が、摩耗による剛性変化を示す分析されるSTFTスペクトルにおける定義されたシグネチャの識別及び実装のために展開及び実装され得る。シグネチャは、事前定義され、システム実装のために取り出し可能に記憶され得る。加えて、又は代替として、本明細書に開示されるようなシステムは、例えば、測定されたエネルギーの具体的な時間ドメイン及び/又は周波数ドメイン特性を自動的に定義し、グループ又はクラスに分類するように構成され得、グループ又はクラスは、次いで、共通の条件(すなわち、剛性)に関して相関されるか、又は別様に識別されることができる。当業者であれば、当該技術分野で既知の多数の機械学習技法を必要に応じて修正して、本明細書に開示されるステップを実装し、例えば、剛性シグネチャに関連付けられた信号特性を分類し得ることを理解するであろう。音響フットプリントモデルを使用して、摩耗したタイヤと、同様のタイプ又は別様にそれに関連する新しい(未摩耗の)タイヤとのそれぞれのスペクトルを比較することによって(ステップ240)、これらのグラフィカル特徴を、タイヤ摩耗インジケータとして抽出することができる(ステップ250)。
【0040】
上述したように、信号の変換は、好ましくは、時間-周波数ドメイン分析を提供するために行われ得る。
図3A(「新しい」タイヤを表す)及び
図3B(「摩耗した」タイヤを表す)を参照すると、時間的影響が、それぞれのスペクトルの比較を介して識別され、動的な物理学に基づく音響フットプリント特徴を抽出し得る。
図4A(「新しい」タイヤを表す)及び
図4B(「摩耗した」タイヤを表す)を更に参照すると、共振後の影響は、それぞれのスペクトルの比較を介して、同様に識別され得る。シグネチャ又は「タイヤ摩耗インジケータ」の一例は、摩耗したタイヤのフットプリントにおける、例えば、それと比較される新しいタイヤのスペクトル内のフットプリント部分に対する、高周波エネルギー成分の増加量として、デコンボリューションされた応答内に現れ得る。別の例では、相対的に高い減衰効果は、後縁におけるフットプリントの直後のデコンボリューションされた応答から抽出され得る。別の例では、相対的に高いエネルギー効果は、摩耗したタイヤのフットプリントにおけるトレッド通過周波数帯域におけるデコンボリューションされた応答から抽出され得る。種々の追加及び/又は代替のシグネチャは、所与のタイヤ又はタイヤのタイプに関する剛性の変化と相関するものとして識別され得、したがって、本明細書に開示されるようなタイヤ摩耗モデルの一部として、又は別様にその範囲内で展開及び実装されることが可能であることが理解され得る。
【0041】
一実施形態では、識別及び抽出されるべき関連するモデル及び/又は関連付けられるインジケータの選択は、例えばタイヤのタイプに基づいて既定され得る。
【0042】
ステップ260において、本明細書に開示されるような1つ以上の抽出された効果は、その時点のタイヤ摩耗状態の推定のためのモデル/アルゴリズムにおいて実装され得る。摩耗モデル134は、オンボードシステムを介して処理するために車両において実装され得るか、又は、タイヤデータ及び/若しくは車両データは、リモート摩耗推定のために代表的なデータをホスト型サーバに提供するように処理され得る。
【0043】
推定されたタイヤ摩耗状態に対応する出力信号は、ユーザへの指示の表示のために表示ユニットに任意選択的に生成され得る(ステップ271)。指示は、例えば、残りのタイヤトレッドの推定量、持続時間又はパーセンテージとしての残りの推定寿命などに関連し得る。指示は、警告の形態であり得、例えば、ユーザインターフェース上の具体的な英数字インジケータを伴って、又は伴わずに、タイヤ摩耗状態を示すために、実際に色分けされ得る。
【0044】
推定されたタイヤ摩耗状態に対応する出力信号は、任意選択的に、例えば、車両に関連付けられた制御ユニットに対して生成され得(ステップ272)、それにより、特定の車両動作が補正され得るか、又は別様にタイヤ摩耗の変化を考慮し得る。
【0045】
一実施形態では、方法200は、1つ以上の将来の時点における摩耗値を予測するためのモデルへの入力としてタイヤ摩耗推定値を提供することを伴うことができ、そのような予測値は、それぞれの閾値と比較され得る。例えば、予測されたタイヤ摩耗状態(例えば、所与の距離、時間などにおける予測されたトレッド深さ)に対応するフィードバック信号が、インターフェースを介して、例えば、タイヤを交換すべきであるか、若しくは間もなく交換する必要があるという警告又は通知/推奨を提供するように構成されたユーザインターフェースを統合している、車両自体に関連付けられたオンボードデバイス102に、若しくはユーザに関連付けられたモバイルデバイスに提供され得る。他のタイヤ関連閾値事象は、本開示の範囲内で、例えば、タイヤ回転、位置合わせ、膨張などを含む予測されたタイヤ摩耗に基づいて、警報及び/又は介入のために予測及び実装され得る。システム100は、個々の閾値、閾値のグループ、及び/又は既定されたパラメータに対する非閾値アルゴリズム比較に基づいて、そのような警告及び/又は介入推奨を生成し得る。
【0046】
タイヤ摩耗状態(例えば、トレッド深さ)は、例えば、特定の車両データとともにトラクションモデルへの入力として提供され得、トラクションモデルは、それぞれのタイヤについての推定トラクション状態又は1つ以上のトラクション特性を提供するように構成され得る。トラクションモデルは、物理的部分、プロセス、又はシステムの「デジタルツイン」仮想表現を含み得、デジタルデータ及び物理データがペアリングされ、例えば人工ニューラルネットワークなどの学習システムと組み合わせられる。特定のタイヤ、車両、又はタイヤ-車両システムからの実車両データ及び/又はタイヤデータを、それぞれの資産のライフサイクル全体にわたって提供して、タイヤトラクションの推定のための車両タイヤの仮想表現を生成し得、推定タイヤトラクションと対応する測定又は判定された実際のタイヤトラクションとのその後の比較は、好ましくは、サーバレベルで実行される機械学習アルゴリズムのフィードバックとして実施し得る。
【0047】
トラクションモデルは、様々な実施形態において、多数のタイヤ-車両システム及び入力パラメータ(例えば、タイヤトレッド、膨張圧力、路面特性、車両速度及び加速度、スリップ率及び角度、垂直力、制動圧力及び負荷)の値の関連付けられた組み合わせに関して収集された、例えば、停止距離試験結果、タイヤトラクション試験結果などを含む事前試験からの結果を利用し得、タイヤトラクション出力は、現在の車両データ及びタイヤデータ入力の所与の設定について効果的に予測され得る。
【0048】
一実施形態では、このトラクションモデルからの出力は、アクティブセーフティシステムに組み込まれ得る。本明細書で使用するとき、「アクティブセーフティシステム」という用語は、好ましくは、衝突回避システム、高度運転補助システム(advanced driver-assistance system、ADAS)、アンチロック制動システム(anti-lock braking system、ABS)などの例を含むがこれらに限定されない、当業者に一般的に既知であるようなシステムを包含し得、これらは、最適な性能を達成するために、トラクションモデル出力情報を利用するように構成され得る。例えば、衝突回避システムは、典型的には、標的車両との潜在的な衝突を回避又は軽減するために、自車のブレーキを自動的に係合することなどの、及びタイヤのトラクション能力に関する情報の強化、ひいてはタイヤ車両システムの制動能力などの回避作用をとるように構成されており、タイヤのトラクション能力、すなわちタイヤ車両システムの制動能力に関する拡張情報が極めて望ましい。
【0049】
別の実施形態では、ライドシェア自律フリートは、トラクションモデルからの出力データを使用して、悪天候の間にトレッド深さが低い車両を使用不能にするか、又は別様に選択的に除去するか、又は潜在的にそれらの最大速度を制限し得る。
【0050】
種々の実施形態では、方法は、その時点の摩耗値を閾値に対して比較して、タイヤが例えば交換などの介入を必要とするかどうか(又はいつ必要とするか)を判定することを更に伴い得る。方法は、代替的に又は更に、1つ以上の将来の時点における摩耗値を予測することを含み得、そのような予測値は、それぞれの閾値と比較され得る。例えば
図1に表されるように、予測されたタイヤ摩耗状態(例えば、所与の距離、時間などにおける予測されたトレッド深さ)に対応するフィードバック信号は、インターフェース120を介して、車両自体に関連付けられたオンボードデバイス102に、又はユーザに関連付けられたモバイルデバイス140に提供され得、例えば、タイヤが交換されるべきであるか又は間もなく交換される必要があるという警報又は通知/推奨を提供するように構成されたユーザインターフェースと統合され得る。
【0051】
別の例として、自律型車両フリートは、様々な最小タイヤ摩耗状態(例えば、トレッド深さ)値を有する多数の車両を含み得、フリート管理システムは、最小閾値を下回る車両の配備を無効にするように構成され得る。フリート管理システムは、車輪位置に対応する様々な最小トレッド状態値を更に実装し得る。このシステムは、したがって、車両と関連付けられた複数のタイヤの各々の最小タイヤトレッド値に作用するように構成され得るか、又は一実施形態では、最小閾値と比較するために、複数のタイヤの集約されたトレッド状態を計算し得る。
【0052】
種々の実施形態では、方法は、閾値違反が検出されない場合であってもデータストリーミングを更に含み得、推定及び/又は予測された摩耗値は、ローカルユーザインターフェース及び/又はリモートディスプレイ(例えば、フリート管理サーバに関連付けられる)上にリアルタイムで表示することができる。
【0053】
本明細書及び特許請求の範囲を通して、別途文脈が指示しない限り、以下の用語は、少なくとも、本明細書に明示的に関連付けられた意味をとる。以下で識別される意味は、必ずしも用語を限定するものではなく、単に用語の例解的な例を提供するものである。「a」、「an」、及び「the」の意味は、複数の参照を含み得、「in」の意味は、「in」及び「on」を含み得る。本明細書で使用されるとき、「一実施形態では」という句は、必ずしも同じ実施形態を指すものではないが、指すこともあり得る。
【0054】
本明細書に開示される実施形態に関連して説明される様々な例解的な論理ブロック、モジュール、及びアルゴリズムステップは、電子ハードウェア、コンピュータソフトウェア、又はそれらの両方の組み合わせとして実装することができる。ハードウェア及びソフトウェアのこの互換性を明確に例解するために、様々な例解的な構成要素、ブロック、モジュール、及びステップは、概して、それらの機能性に関して上で説明されている。そのような機能性がハードウェアとして実装されるかソフトウェアとして実装されるかは、特定の適用例、及びシステム全体に課される設計上の制約に依存する。説明された機能性は、それぞれの特定の適用例ごとに様々な方式で実装することができるが、そのような実装決定は、本開示の範囲からの逸脱を引き起こすものとして解釈されるべきではない。
【0055】
本明細書に開示される実施形態に関連して説明される様々な例解的な論理ブロック及びモジュールは、汎用プロセッサ、デジタル信号プロセッサ(digital signal processor、DSP)、特定用途向け集積回路(application specific integrated circuit、ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(field programmable gate array、FPGA)若しくは他のプログラマブル論理デバイス、個別ゲート若しくはトランジスタ論理、個別ハードウェア構成要素、又は本明細書に説明される機能を実行するように設計されたそれらの任意の組み合わせなど、機械によって実装又は実行することができる。汎用プロセッサは、マイクロプロセッサであり得るが、代替として、プロセッサは、コントローラ、マイクロコントローラ、又はステートマシン、それらの組み合わせなどであり得る。プロセッサはまた、コンピューティングデバイスの組み合わせ、例えば、DSPとマイクロプロセッサとの組み合わせ、複数のマイクロプロセッサ、DSPコアと連携する1つ以上のマイクロプロセッサ、又は任意の他のそのような構成の組み合わせとして実装することもできる。
【0056】
本明細書に開示される実施形態に関連して説明される方法、プロセス、又はアルゴリズムのステップは、ハードウェアで直接具現化するか、プロセッサによって実行されるソフトウェアモジュールで具現化するか、又はこれら2つの組み合わせで具現化することができる。ソフトウェアモジュールは、RAMメモリ、フラッシュメモリ、ROMメモリ、EPROMメモリ、EEPROMメモリ、レジスタ、ハードディスク、取り外し可能ディスク、CD-ROM、又は当該技術分野において既知の任意の他の形態のコンピュータ可読媒体内に常駐することができる。例示的なコンピュータ可読媒体は、プロセッサがメモリ/記憶媒体から情報を読み取り、メモリ/記憶媒体に情報を書き込むことができるように、プロセッサに結合され得る。代替として、媒体は、プロセッサと一体であり得る。プロセッサ及び媒体は、ASIC内に常駐することができる。ASICは、ユーザ端末内に常駐することができる。代替として、プロセッサ及び媒体は、ユーザ端末内の別個の構成要素として常駐することができる。
【0057】
本明細書で使用される、とりわけ、「できる(can)」、「かもしれない(might)」、「場合がある(may)」、「など(e.g.)」など、条件付き文言は、具体的に別途記載のない限り、又は別様に使用される文脈内で理解されない限り、特定の実施形態が、特定の特徴、要素、及び/又は状態を含むが、他の実施形態は、それらの特定の特徴、要素、及び/又は状態を含まないことを伝えることを概して意図する。したがって、そのような条件付き文言は、特徴、要素、及び/若しくは状態が、1つ以上の実施形態のために何らかの方式で必要とされることを示唆すること、又は、1つ以上の実施形態が、オーサ入力又はプロンプティングを用いて若しくは用いずに、これらの特徴、要素、及び/若しくは状態が、何らかの特定の実施形態に含まれるか若しくはそれにおいて実行されるべきかどうかを決定するための論理を、必ず含むことを示唆することを概して意図しない。
【0058】
本発明の特定の好ましい実施形態は、典型的には、フリート管理システム、より具体的には自律型車両フリート又は商業用トラック用途のためのタイヤ摩耗推定に対して明細書に説明されることがあるが、本発明は、それに全くもって明示的に限定されるものではなく、本明細書で使用されるとき「車両」という用語は、別途記載のない限り、自己推進式であるかどうかにかかわらず、1つ以上のタイヤを含み得る、自動車、トラック、又はそれらの任意の等価物を指し、したがってタイヤ摩耗及び/又はタイヤトラクションの正確な推定又は予測、並びに、例えば直接車両制御調節の形態での潜在的な無効化、交換、又は介入を必要とし得る。
【0059】
本明細書で使用するとき、別途記載のない限り、「ユーザ」という用語は、例えば、本明細書に開示される特徴及びステップを提供するためのユーザインターフェースを有するデバイスと関連付けられ得る、ドライバ、搭乗者、メカニック、技術者、フリート管理職員、又は任意の他の人物若しくはエンティティを指し得る。
【0060】
前述の詳細な説明は、例解及び説明の目的のために提供されている。したがって、新規で有用な発明の特定の実施形態を説明してきたが、このような参照が、以下の特許請求の範囲における記載を除いて、本発明の範囲への限定として解釈されることを意図しない。
【手続補正書】
【提出日】2023-06-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤ摩耗予測方法(200)であって、
自動車のタイヤにオンボード装着された少なくとも1つのデータ取得デバイスを介して、前記タイヤの動的な機械的挙動に対応する信号を収集すること(210)と、
前記信号の時間及び周波数成分を含むスペクトルをグラフィカルに構築すること(220)と、
前記タイヤの判定されたタイプに基づいて、前記タイヤの未摩耗バージョンに関連付けられた既定されたスペクトルを含む少なくとも1つのモデルを選択し、かつ前記タイヤのフットプリント領域について前記グラフィカルに構築されたスペクトルと比較するために、前記選択されたモデルを実装すること(230)と、
前記比較に基づいて、剛性変化の事前定義されたインジケータとして、前記タイヤの前記フットプリント領域に関連付けられた前記スペクトルの1つ以上のグラフィカル特徴を抽出すること(250)であって、前記抽出された1つ以上のグラフィカル特徴が、
前記フットプリント領域において識別された高周波エネルギーシグネチャ、
前記フットプリント領域の後縁における信号減衰シグネチャ、及び
前記フットプリント領域におけるトレッド通過周波数帯域内の増加したエネルギーシグネチャ、のうちの1つ以上を含む、抽出すること(250)と、
前記抽出された1つ以上のグラフィカル特徴に基づいてタイヤ摩耗状態を推定すること(260)と、
前記推定されたタイヤ摩耗状態に基づいて出力信号を選択的に生成すること(271、272)と、を含む、タイヤ摩耗予測方法。
【請求項2】
前記タイヤの未摩耗バージョンに関連付けられた前記既定されたスペクトルが、音響フットプリント分析を使用して、前記タイヤの前記フットプリント領域について前記グラフィカルに構築されたスペクトルと比較される(240)、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記スペクトルをグラフィカルに構築することが、前記信号を、短時間フーリエ変換分析を介して、それぞれの時間、周波数、及び振幅成分にデコンボリューションすることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
タイヤ摩耗予測のためのシステム(100)であって、
自動車のタイヤにオンボード装着され、前記タイヤの動的な機械的挙動に対応する信号を生成するように構成された、少なくとも1つのデータ取得デバイス(112、114、116、118)と、
前記少なくとも1つのデータ取得デバイスに通信可能にリンクされ、そこから生成された前記信号を受信するコンピューティングデバイス(102、130、140)であって、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法のステップの実行を命令するように更に構成されている、コンピューティングデバイス(102、130、140)と、を備える、タイヤ摩耗予測のためのシステム。
【請求項5】
自動車にオンボード装着するためのコンピューティングデバイス(102)であって、前記自動車にオンボード装着されたときに、少なくとも1つのタイヤ装着されたデータ取得デバイス(118)に通信可能にリンクされ、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法のステップの実行を命令するように更に構成されている、コンピューティングデバイス。
【国際調査報告】