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特表2024-503644ZSM-23分子篩およびその調製方法
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  • 特表-ZSM-23分子篩およびその調製方法 図1
  • 特表-ZSM-23分子篩およびその調製方法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-26
(54)【発明の名称】ZSM-23分子篩およびその調製方法
(51)【国際特許分類】
   C01B 39/48 20060101AFI20240119BHJP
【FI】
C01B39/48
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023541302
(86)(22)【出願日】2022-01-07
(85)【翻訳文提出日】2023-09-05
(86)【国際出願番号】 CN2022070678
(87)【国際公開番号】W WO2022148424
(87)【国際公開日】2022-07-14
(31)【優先権主張番号】202110018638.8
(32)【優先日】2021-01-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503191287
【氏名又は名称】中国石油化工股▲ふん▼有限公司
(71)【出願人】
【識別番号】522173712
【氏名又は名称】中石化(大連)石油化工研究院有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】陳玉晶
(72)【発明者】
【氏名】樊宏飛
(72)【発明者】
【氏名】于政敏
(72)【発明者】
【氏名】孫暁艶
【テーマコード(参考)】
4G073
【Fターム(参考)】
4G073BA02
4G073BA04
4G073BA57
4G073BA63
4G073BA69
4G073BA75
4G073BA76
4G073BA81
4G073BB03
4G073BB05
4G073BB07
4G073BB45
4G073BB48
4G073BB69
4G073BC02
4G073CZ27
4G073FA15
4G073FB01
4G073FB04
4G073FB11
4G073FB12
4G073FB19
4G073FC19
4G073FC22
4G073FC25
4G073FC27
4G073FC30
4G073GA03
4G073GA12
4G073GA14
4G073GA40
4G073UA04
(57)【要約】
ZSM-23分子篩およびその調製方法、ならびに当該ZSM-23分子篩の調製方法における、シリコン源としてのアルカリ処理された非晶質二酸化ケイ素の供給を提供する。分子篩における細孔サイズが3~8nmであるメソポーラスの細孔容積が分子篩の全細孔容積の45~90%を占める。相対結晶化度は95~120%であり、600℃で水蒸気により2時間水熱処理された後の、相対結晶化度の維持率は95~100%である。当該分子篩の調製方法は、(1)ZSM-23分子篩を調製するための、例えば非晶質二酸化ケイ素などのシリコン源を調製または選択する工程;(2)工程(1)に記載の、ZSM-23分子篩を調製するために使用されるシリコン源である二酸化ケイ素に対してアルカリ処理を行う工程;および(3)アルカリ処理後の非晶質二酸化ケイ素をシリコン源として使用して、ZSM-23分子篩を調製する工程、を含む。前記ZSM-23分子篩は、豊富なメソポーラス構造および良好な水熱安定性を有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
分子篩の細孔サイズが3~8nm、好ましくは3~6nmであるメソ細孔の細孔容積が、分子篩の全細孔容積の45~90%、好ましくは50~85%、さらに好ましくは55~81%であることを特徴とする、ZSM-23分子篩。
【請求項2】
前記分子篩の相対結晶化度が95~120%であり、600℃で水蒸気により2時間水熱処理された後の分子篩の相対結晶化度維持率が95~100%であることを特徴とする、請求項1に記載のZSM-23分子篩。
【請求項3】
前記分子篩の比表面積が300~430m/gであり、細孔容積が0.31~0.5cm/gであり、ミクロ細孔の比表面積が50~170m/gであり、メソ細孔の比表面積が150~310m/gであり、例えば、分子篩の比表面積が320~405m/gであり、細孔容積が0.34~0.45cm/gであり、ミクロ細孔の比表面積が80~140m/gであり、メソ細孔の比表面積が261~295m/gであることを特徴とする、請求項1または2に記載のZSM-23分子篩。
【請求項4】
以下の工程を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載のZSM-23分子篩の調製方法:
(1)非晶質シリカなどの、ZSM-23分子篩を調製するためのシリコン源を調製または選択する工程;
(2)工程(1)で述べたZSM-23分子篩を調製するためのシリコン源に対してアルカリ処理を行う工程;
(3)アルカリ処理された非晶質シリカをシリコン源として使用してZSM-23分子篩を調製する工程。
【請求項5】
請求項4に記載の方法の工程(2)で得られたアルカリ処理された非晶質シリカの、ZSM-23分子篩の調製におけるシリコン源としての使用。
【請求項6】
工程(1)において、前記非晶質シリカは、比表面積が600~1300m/g、好ましくは700~1200m/gであり;細孔容積が0.6~1.3cm/g、好ましくは0.7~1.2cm/gであり;細孔径が1~13nm、好ましくは2~10nmであることを特徴とする、請求項4または5に記載の方法または使用。
【請求項7】
工程(1)において、前記非晶質シリカの調製方法は、シリコン源を脱イオン水に添加し均一に分散させ、次いで界面活性剤を添加して撹拌する工程;得られた溶液のpHを1~5、好ましくは1.5~4に調整し、次いで水浴中で一定時間加熱する工程;濾過、洗浄、乾燥、および焼成して非晶質シリカを調製する工程であることを特徴とする、請求項4~6のいずれか1項に記載の方法または使用。
【請求項8】
工程(1)において、前記シリコン源が、無機シリコン源であり、好ましくは水ガラス、シリカゾル、またはホワイトカーボンブラックのうちの1つ以上であることを特徴とする、請求項7に記載の方法または使用。
【請求項9】
工程(1)において、前記界面活性剤が、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロリド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド、オクトデシルトリメチルアンモニウムクロリド、オクトデシルトリメチルアンモニウムブロミドのうちの1つ以上であることを特徴とする、請求項7または8に記載の方法または使用。
【請求項10】
工程(1)において、SiOとしての前記シリコン源と、前記界面活性剤とのモル比が、1:(0.02~0.3)、好ましくは1:(0.05~0.2)であることを特徴とする、請求項7~9のいずれか1項に記載の方法または使用。
【請求項11】
工程(1)において、SiOとしての前記シリコン源と、脱イオン水とのモル比が、1:(30~300)、好ましくは1:(50~220)であることを特徴とする、請求項7~10のいずれか1項に記載の方法または使用。
【請求項12】
工程(1)において、加熱温度が30~80℃、好ましくは40~70℃であり、加熱時間が0.5~8時間、好ましくは3~6時間であることを特徴とする、請求項7~11のいずれか1項に記載の方法または使用。
【請求項13】
工程(1)において、乾燥温度が80~120℃であり、乾燥時間が4~12時間であり、焼成温度が500~600℃であり、焼成時間が2~6時間であることを特徴とする、請求項7~12のいずれか1項に記載の方法または使用。
【請求項14】
工程(2)において、前記アルカリ処理は、工程(1)で調製された非晶質シリカのアルカリ溶液への添加、加熱および撹拌を含むことを特徴とする、請求項4~13のいずれか1項に記載の方法または用途。
【請求項15】
工程(2)において、前記アルカリ処理は、無機アルカリを使用して行われ、前記無機アルカリは、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、またはアンモニア水のうちの1つ以上であることを特徴とする、請求項14に記載の方法または使用。
【請求項16】
工程(2)において、前記アルカリ処理における加熱および撹拌の時間が0.5~12時間、好ましくは2~8時間であり;加熱温度が25~60℃、好ましくは30~50℃であることを特徴とする、請求項14または15に記載の方法または使用。
【請求項17】
工程(2)において、SiOとしての非晶質シリカに対する、OHとしての無機アルカリのモル比が、0.05~0.24、好ましくは0.06~0.22であることを特徴とする、請求項4~16のいずれか1項に記載の方法または使用。
【請求項18】
工程(3)において、アルカリ処理された非晶質シリカをシリコン源として使用し、前記シリコン源をアルミニウム源、アルカリ源(MOH)、テンプレート剤(R)および水と混合してゲルを形成し、これを結晶化、濾過、洗浄、乾燥および焼成してZSM-23分子篩を調製することを特徴とする、請求項4~17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記ゲルにおいて、シリコン源(SiOとして):アルミニウム源(Alとして):アルカリ源(水酸化物として):テンプレート剤:HOのモル比が、1:(0.003~0.03):(0.03~0.3):(0.05~2):(10~90)であり;さらに好ましくは、前記ゲルにおいて、シリコン源(SiOとして):アルミニウム源(Alとして):アルカリ源(水酸化物として):テンプレート剤:HOのモル比が、1:(0.005~0.02):(0.03~0.16):(0.08~1.6):(20~70)であることを特徴とする、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記ゲルを150~200℃、好ましくは170~180℃で24~96時間、好ましくは36~72時間結晶化させ、濾過、洗浄、乾燥および焼成してZSM-23分子篩を調製することを特徴とする、請求項18または19に記載の方法。
【請求項21】
工程(3)において、乾燥温度が80~120℃であり、乾燥時間が4~12時間であり、焼成温度が500~600℃であり、焼成時間が2~6時間であることを特徴とする、請求項18~20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
比表面積が600~1300m/g、好ましくは700~1200m/gであり;細孔容積が0.6~1.3cm/g、好ましくは0.7~1.2cm/gであり;細孔径が1~13nm、好ましくは2~10nmであることを特徴とする、アルカリ処理された非晶質シリカ。
【請求項23】
比表面積が600~1300m/g、好ましくは700~1200m/gであり;細孔容積が0.6~1.3cm/g、好ましくは0.7~1.2cm/gであり;細孔径が1~13nm、好ましくは2~10nmであり、
アルカリ処理を、請求項4および6~17のいずれか1項に記載の方法の工程(2)に従って行うことを特徴とする、アルカリ処理された非晶質シリカ。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔技術分野〕
本発明は、ZSM-23分子篩、ならびにその調製方法および使用に関し、特に、メソ細孔が豊富なZSM-23分子篩、ならびにその調製方法および使用に関する。
【0002】
〔背景技術〕
ZSM-23分子篩は、SiO/Al比が高く、MTTトポロジー構造を有する分子篩材であり、その一次元涙滴型ポーラスチャネルは10員環で構成されている。ZSM-23分子篩は、その独特のポーラスチャネル構造および調整可能な酸特性により、分離、吸着、および触媒の分野で広く使用されており、代替不可能な役割を果たしている。特に石油化学工業においては、それは、長鎖アルカンおよびオレフィンの水素化分解、アルカンおよび芳香族炭化水素の異性化等において優れた性能を示している。しかしながら、ZSM-23はミクロポーラス分子篩であり、ポーラスチャネルサイズが制限されるため、より大きな分子の変換を扱う能力が制限されている。したがって、その適用範囲をさらに拡大するためには、高性能のメソ細孔が豊富なZSM-23分子篩を調製することが非常に重要である。
【0003】
現在、ミクロポーラスZSM-23分子篩にメソポーラス構造を導入する、公開されている特許はほとんどない。
【0004】
CN106513035は、ZSM-23分子篩をコアとし、MCM-41またはSBA-15をシェルとする複合分子篩の調製方法を開示している。この方法によれば、メソ細孔は、メソポーラス分子篩MCM-41またはSBA-15によって提供される。その固有の安定性および限られた範囲のシリカ-アルミナ比が要因となり、調製された複合分子篩はまた、不十分な安定性、および調整可能なシリカ-アルミナ比範囲が狭いなどの欠点を有する。
【0005】
CN105540607は、多段の細孔チャネル複合分子篩ZSM-22/ZSM-23の調製方法を開示するが、ZSM-22分子篩およびZSM-23分子篩の両方はミクロポーラス構造を有するため、関与するメソポーラス構造は主に積層細孔であり、規則性および安定性が低い。
【0006】
CN107235497によれば、デンプンは、ZSM-23分子篩の合成経路を調節するために添加され、後の段階で焼成されて除去され、メソポーラス-ミクロポーラス階層複合構造を有するZSM-23分子篩が得られる。この方法は簡単な方法であり低コストであるが、細孔膨張剤を除去することによってメソポーラス構造が得られるため、熱安定性および水熱安定性に影響を及ぼす。
【0007】
ミクロ細孔-メソ細孔複合分子篩を調製するための一般的な方法には、アルカリまたは酸での後処理、ハードテンプレート法、界面活性剤法などが含まれ、詳細な処理方法は論文または特許において複数回報告されている。しかしながら、これらの方法は分子篩のミクロポーラス構造の破壊をもたらし、生成される生成物の不十分な安定性をもたらし、またはプロセスがあまりに複雑でコストがかかり、適用の見込みが懸念される。
【0008】
したがって、簡単なプロセスであり、低コストであり、かつ、優れた生成物性能を有するメソポーラス構造が豊富なZSM-23分子篩を開発することは、当業者によって解決される必要がある技術的課題である。
【0009】
〔発明の概要〕
既存の技術の欠点を克服するために、本発明はZSM-23分子篩およびその調製方法を提供し、分子篩は、豊富なメソポーラス構造および良好な水熱安定性を有する。
【0010】
本発明は、分子篩の細孔サイズが3~8nm、好ましくは3~6nmであるメソ細孔の細孔容積が、分子篩の全細孔容積の45~90%、好ましくは50~85%、さらに好ましくは55~81%であり;分子篩の相対結晶化度が95~120%であり、600℃で水蒸気により2時間水熱処理された後の、分子篩の相対結晶化度維持率が95~100%である、ZSM-23分子篩を提供する。
【0011】
上述した分子篩によれば、分子篩は、比表面積が300~430m/gであり、細孔容積が0.31~0.5cm/gであり、ミクロ細孔の比表面積が50~170m/gであり、メソ細孔の比表面積が150~310m/gであり;好ましくは、比表面積が320~405m/gであり、細孔容積が0.34~0.45cm/gであり、ミクロ細孔の比表面積が80~140m/gであり、メソ細孔の比表面積が261~295m/gである。
【0012】
本発明はまた、ZSM-23分子篩を調製する方法であって、以下の工程を含む方法を提供する:
(1)非晶質シリカなどの、ZSM-23分子篩を調製するためのシリコン源を調製または選択する工程;
(2)工程(1)で述べたZSM-23分子篩を調製するためのシリコン源に対してアルカリ処理を行う工程;
(3)アルカリ処理された非晶質シリカをシリコン源として使用してZSM-23分子篩を調製する工程。
【0013】
上述した方法の工程(1)において、ZSM-23分子篩を調製するために使用されるシリコン源は、非晶質シリカ、ならびに当技術分野で公知の他のシリコン源、例えば、ヒュームドシリカ、シリカゾル、および水ガラスのうちの1つ以上などであり得る。
【0014】
上記方法の工程(1)において、前記非晶質シリカは、比表面積が600~1300m/g、好ましくは700~1200m/gであり;細孔容積が0.6~1.3cm/g、好ましくは0.7~1.2cm/gであり;細孔径が1~15nm、好ましくは2~10nmである。
【0015】
上述した方法の工程(1)において、非晶質シリカの調製方法は、シリコン源を脱イオン水に添加し均一に分散させ、次いで界面活性剤を添加して撹拌する工程;得られた溶液のpHを1~5、好ましくは1.5~4に調整し、次いで水浴中で一定時間加熱する工程;濾過、洗浄、乾燥、および焼成して非晶質シリカを調製する工程である。
【0016】
上述した方法によれば、前記非晶質シリカの調製において、シリコン源は無機シリコン源であり、好ましくは水ガラス、シリカゾル、またはホワイトカーボンブラックのうちの1つ以上である。
【0017】
上述した方法によれば、前記非晶質シリカの調製において、界面活性剤は、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロリド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド、オクトデシルトリメチルアンモニウムクロリド、オクトデシルトリメチルアンモニウムブロミドのうちの1つ以上である。
【0018】
上述した方法によれば、前記非晶質シリカの調製において、SiOとしての前記シリコン源と、界面活性剤とのモル比は、1:(0.02~0.3)、好ましくは1:(0.05~0.2)である。
【0019】
上述した方法によれば、前記非晶質シリカの調製において、SiOとしての前記シリコン源と、脱イオン水とのモル比は、1:(30~300)、好ましくは1:(50~220)である。
【0020】
上述した方法によれば、前記非晶質シリカの調製において、加熱温度は30~80℃、好ましくは40~70℃であり、加熱時間は0.5~8時間、好ましくは3~6時間である。
【0021】
上述した方法の工程(2)において、アルカリ処理は、工程(1)で調製された非晶質シリカのアルカリ溶液への添加、加熱および撹拌を含む。
【0022】
上述した方法によれば、アルカリ処理は無機アルカリを使用して行われ、当該無機アルカリは水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、またはアンモニア水のうちの1つ以上である。
【0023】
上述した方法によれば、前記アルカリ処理において、加熱および攪拌の時間は0.5~12時間、好ましくは2~8時間であり;加熱温度は25~60℃、好ましくは30~50℃である。
【0024】
上述した方法によれば、SiOとしての非晶質シリカに対する、OHとしての無機アルカリのモル比は、0.05~0.24、好ましくは0.06~0.22である。OHとしての無機アルカリのモル数は従来の分析化学の手法によって得ることができ、その詳細はここでは繰り返さない。
【0025】
上述した方法の工程(3)において、アルカリ処理された非晶質シリカをシリコン源として使用することによるZSM-23分子篩の調製においては、既存の技術におけるZSM-23分子篩を調製する任意の公知の方法を用いることができ、または既存の技術においてまだ公知ではないが、今後公知になるであろうZSM-23分子篩を調製する方法を用いることができる。例えば、公知の方法は、例えばRohrman Jr, A. C., et al. "The framework topology of ZSM-23: A high silica zeolite." Zeolites 5.6 (1985): 352-354、US4076842、US5405596、US5707601およびUS7157075に開示されている。
【0026】
上述した方法の工程(3)において、好ましくは、アルカリ処理された非晶質シリカをシリコン源として使用し、当該シリコン源をアルミニウム源、アルカリ源(MOH)、テンプレート剤(R)および水と混合してゲルを形成し、これを結晶化、濾過、洗浄、乾燥および焼成してZSM-23分子篩を調製し;
より好ましくは、ゲルにおいて、シリコン源(SiOとして):アルミニウム源(Alとして):アルカリ源(水酸化物として):テンプレート剤:HOのモル比は、1:(0.003~0.03):(0.03~0.3):(0.05~2):(10~90)であり;さらに好ましくは、ゲルにおいて、シリコン源(SiOとして):アルミニウム源(Alとして):アルカリ源(水酸化物として):テンプレート剤:HOのモル比は、1:(0.005~0.02):(0.03~0.16):(0.08~1.6):(20~70)であり;および/または、
より好ましくは、ゲルを150~200℃、好ましくは170~180℃で24~96時間、好ましくは36~72時間結晶化させ、濾過、洗浄、乾燥、および焼成してZSM-23分子篩を調製し;および/または
より好ましくは、乾燥温度は80~120℃であり、乾燥時間は4~12時間であり、焼成温度は500~600℃であり、焼成時間は2~6時間である。
【0027】
具体的には、本発明は以下の技術的解決策を開示する:
1.分子篩の細孔サイズが3~8nm、好ましくは3~6nmであるメソ細孔の細孔容積が、分子篩の全細孔容積の45~90%、好ましくは50~85%、さらに好ましくは55~81%であることを特徴とする、ZSM-23分子篩。
【0028】
2.前記分子篩の相対結晶化度が95~120%であり、600℃で水蒸気により2時間水熱処理された後の分子篩の相対結晶化度維持率が95~100%であることを特徴とする、解決策1に記載のZSM-23分子篩。
【0029】
3.前記分子篩の比表面積が300~430m/gであり、細孔容積が0.31~0.5cm/gであり、ミクロ細孔の比表面積が50~170m/gであり、メソ細孔の比表面積が150~310m/gであり、例えば、分子篩の比表面積が320~405m/gであり、細孔容積が0.34~0.45cm/gであり、ミクロ細孔の比表面積が80~140m/gであり、メソ細孔の比表面積が261~295m/gであることを特徴とする、解決策1または2に記載のZSM-23分子篩。
【0030】
4.前記ZSM-23分子篩のXRDパターンが、2θ度:約11.3°+/-0.3°(例えば、+/-0.2°または+/-0.1°)に示される特徴的なピークを含むことを特徴とする、解決策1~3のいずれか1つに記載のZSM-23分子篩。
【0031】
5.前記ZSM-23分子篩のXRDパターンが、2θ度:11.2~11.5°、19.5~19.9°、20.7~21.0°、および22.8~23.1°に示される特徴的なピークを含むことを特徴とする、解決策1~4のいずれかに記載のZSM-23分子篩。
【0032】
6.以下の工程を含む、解決策1~3のいずれか1つに記載のZSM-23分子篩の調製方法:
(1)非晶質シリカなどの、ZSM-23分子篩を調製するためのシリコン源を調製または選択する工程;
(2)工程(1)で述べたZSM-23分子篩を調製するためのシリコン源に対してアルカリ処理を行う工程;
(3)アルカリ処理された非晶質シリカをシリコン源として使用してZSM-23分子篩を調製する工程。
【0033】
7.解決策4に記載の方法の工程(2)で得られたアルカリ処理された非晶質シリカの、ZSM-23分子篩の調製におけるシリコン源としての使用。
【0034】
8.工程(1)において、前記非晶質シリカは、比表面積が600~1300m/g、好ましくは700~1200m/gであり;細孔容積が0.6~1.3cm/g、好ましくは0.7~1.2cm/gであり;細孔径が1~13nm、好ましくは2~10nmであることを特徴とする、解決策1~7のいずれかに記載の方法または使用。
【0035】
9.工程(1)において、前記非晶質シリカの調製方法は、シリコン源を脱イオン水に添加し均一に分散させ、次いで界面活性剤を添加して撹拌する工程;得られた溶液のpHを1~5、好ましくは1.5~4に調整し、次いで水浴中で一定時間加熱する工程;濾過、洗浄、乾燥、および焼成して非晶質シリカを調製する工程、であることを特徴とする、解決策1~8のいずれかに記載の方法または使用。
【0036】
10.工程(1)において、前記シリコン源が、無機シリコン源であり、好ましくは水ガラス、シリカゾル、またはホワイトカーボンブラックのうちの1つ以上であることを特徴とする、解決策1~9のいずれかに記載の方法または使用。
【0037】
11.工程(1)において、前記界面活性剤が、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロリド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド、オクトデシルトリメチルアンモニウムクロリド、オクトデシルトリメチルアンモニウムブロミドのうちの1つ以上であることを特徴とする、解決策1~10のいずれかに記載の方法または使用。
【0038】
12.工程(1)において、SiOとしての前記シリコン源と、前記界面活性剤とのモル比が、1:(0.02~0.3)、好ましくは1:(0.05~0.2)であることを特徴とする、解決策1~11のいずれかに記載の方法または使用。
【0039】
13.工程(1)において、SiOとしての前記シリコン源と、脱イオン水とのモル比が、1:(30~300)、好ましくは1:(50~220)であることを特徴とする、解決策1~12のいずれかに記載の方法または使用。
【0040】
14.工程(1)において、加熱温度が30~80℃、好ましくは40~70℃であり、加熱時間が0.5~8時間、好ましくは3~6時間であることを特徴とする、解決策1~13のいずれかに記載の方法または使用。
【0041】
15.工程(1)において、乾燥温度が80~120℃であり、乾燥時間が4~12時間であり、焼成温度が500~600℃であり、焼成時間が2~6時間であることを特徴とする、解決策1~14のいずれかに記載の方法または使用。
【0042】
16.工程(2)において、前記アルカリ処理は、工程(1)で調製された非晶質シリカのアルカリ溶液への添加、加熱および撹拌を含むことを特徴とする、解決策1~15のいずれかに記載の方法または使用。
【0043】
17.工程(2)において、前記アルカリ処理は、無機アルカリを使用して行われ、前記無機アルカリは、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、またはアンモニア水のうちの1つ以上であることを特徴とする、解決策1~16のいずれかに記載の方法または使用。
【0044】
18.工程(2)において、前記アルカリ処理における加熱および撹拌の時間が0.5~12時間、好ましくは2~8時間であり;加熱温度が25~60℃、好ましくは30~50℃であることを特徴とする、解決策1~17のいずれかに記載の方法または使用。
【0045】
19.工程(2)において、SiOとしての非晶質シリカに対する、OHとしての無機塩基のモル比が、0.05~0.24、好ましくは0.06~0.22であることを特徴とする、解決策1~18のいずれかに記載の方法または使用。
【0046】
20.工程(3)において、アルカリ処理された非晶質シリカをシリコン源として使用し、前記シリコン源をアルミニウム源、アルカリ源(MOH)、テンプレート剤(R)および水と混合してゲルを形成し、これを結晶化、濾過、洗浄、乾燥および焼成してZSM-23分子篩を調製することを特徴とする、解決策1~19のいずれかに記載の方法または使用。
【0047】
21.前記ゲルにおいて、シリコン源(SiOとして):アルミニウム源(Alとして):アルカリ源(水酸化物として):テンプレート剤:HOのモル比が、1:(0.003~0.03):(0.03~0.3):(0.05~2):(10~90)であり;さらに好ましくは、前記ゲルにおいて、シリコン源(SiOとして):アルミニウム源(Alとして):アルカリ源(水酸化物として):テンプレート剤:HOのモル比が、1:(0.005~0.02):(0.03~0.16):(0.08~1.6):(20~70)であることを特徴とする、解決策1~20のいずれかに記載の方法または使用。
【0048】
22.前記ゲルを150~200℃、好ましくは170~180℃で24~96時間、好ましくは36~72時間結晶化させ、濾過、洗浄、乾燥および焼成してZSM-23分子篩を調製することを特徴とする、解決策1~21のいずれかに記載の方法または使用。
【0049】
23.工程(3)において、乾燥温度が80~120℃であり、乾燥時間が4~12時間であり、焼成温度が500~600℃であり、焼成時間が2~6時間であることを特徴とする、解決策1~22のいずれかに記載の方法または使用。
【0050】
24.比表面積が600~1300m/g、好ましくは700~1200m/gであり;細孔容積が0.6~1.3cm/g、好ましくは0.7~1.2cm/gであり;細孔径が1~13nm、好ましくは2~10nmであることを特徴とする、アルカリ処理された非晶質シリカ。
【0051】
25.比表面積が600~1300m/g、好ましくは700~1200m/gであり;細孔容積が0.6~1.3cm/g、好ましくは0.7~1.2cm/gであり;細孔径が1~13nm、好ましくは2~10nmであり;
アルカリ処理を、解決策6および8~19のいずれかに記載の方法の工程(2)に従って行うことを特徴とする、アルカリ処理された非晶質シリカ。
【0052】
従来技術と比較して、本発明はZSM-23分子篩、ならびにその調製方法および使用に関し、以下の利点を有する:
本発明の方法によれば、初めに界面活性剤の助けを借りてメソポーラス非晶質シリカを調製し、これを後のZSM-23分子篩を合成するためのシリコン源として使用する。このプロセス中に生成される非晶質シリカは、メソポーラス構造を有し、安定な結晶形態まで高度に結晶化されていない。低濃度のアルカリ溶液中で一定時間のさらなる処理の後、-Si-O-結合のいくつかが開かれ、これにより分子篩構造中の-Si-O-Al結合の形成が促進されるが;メソポーラス構造の大部分が保持され、後の段階でミクロポーラステンプレート剤の作用下で、適切なZSM-23分子篩合成系中にミクロポーラス構造を生成する。同時に、メソポーラス構造はさらに結晶化および安定化し、その結果、ミクロポーラス-メソポーラス複合ZSM-23分子篩が生成される。この方法は、その容易な操作方法、界面活性剤およびミクロ細孔テンプレート剤の比較的使用量、比較的低コスト、および得られる分子篩の優れた生成物性能のため、実行可能な工業的生成経路である。
【0053】
本発明の方法によって合成されたZSM-23分子篩は、ミクロポーラス構造に寄与する調整可能な酸特性を有するだけでなく、メソポーラス構造に寄与する大きな細孔特性、高い比表面積および細孔容積、ならびに高い結晶化度、高い熱安定性、および高い水熱安定性を有する。それは、優れた吸着剤または触媒材料として使用することができ、形状選択的触媒の分野においてより広い適用可能性を有し、長鎖アルカンおよびオレフィンの分解および異性化、ならびに芳香族の異性化などの石油化学反応におけるその適用性能をさらに改善する。
【0054】
〔図面の簡単な説明〕
図1は、本発明の実施例1の合成生成物のXRDスペクトルを示す。
【0055】
図2は、本発明の実施例1の合成生成物の窒素ガス物理吸着図を示す。
【0056】
〔詳細な説明〕
本発明による分析方法:
分子篩の比表面積および細孔容積は、Micromeritics社(米国)製のASAP 2405物理吸着装置を用いて測定され、ここで、比表面積はミクロ細孔の比表面積とメソ細孔の比表面積との合計を指す。
【0057】
リガク社(日本)製のDmax2500 X線回折装置を用いて試料のXRDスペクトルを得、計算によって試料の相対結晶化度を得る。分子篩の相対結晶化度は、通常のZSM-23分子篩のXRDスペクトルにおける約11.3°および約19.5~23°の2θ度での回折ピークの高さの合計を100%結晶化度とし、他の試料と比較して相対結晶化度を得て、決定する。
【0058】
本発明によれば、ZSM-23分子篩は、2θ度:約11.3°+/-0.3°(例えば、+/-0.2°または+/-0.1°)に示される特徴的なピークを含むXRDパターンを有する。
【0059】
本発明によれば、ZSM-23分子篩は、2θ度:11.2~11.5°、19.5~19.9°、20.7~21.0°、および22.8~23.1°に示される特徴的なピークを含むXRDパターンを有する。
【0060】
本発明をより良く説明するために、本発明を実施例および比較例と併せて以下にさらに説明する。しかし、本発明の範囲はこれらの実施例の範囲に限定されるものではない。
【0061】
実施例1
(1)メソポーラスシリコン源の調製
250gの脱イオン水に50gの水ガラス(27%のSiO質量分率を有する)を添加した。混合物を撹拌し、均一に分散させた。次いで、オクトデシルトリメチルアンモニウムクロリド(C18TMACl)を添加し、得られた混合物を0.5時間撹拌し、C18TMAClに対するSiOのモル比は1:0.08であった。塩酸で溶液のpHを2に調整し、50℃の水浴中で4時間加熱した。次いで、反応系を濾過し、洗浄し、80℃で8時間乾燥させ、550℃で3時間焼成して、非晶質シリカを得た。
【0062】
(2)ミクロポーラス-メソポーラスZSM-23分子篩の調製
a)脱イオン水35mLにNaOH 0.35gを溶解し、工程(1)で調製したメソポーラスシリコン源(OH/SiOモル比=0.14)3.7gを加え、混合物を45℃の水浴中で3時間撹拌した。
【0063】
b)残存する水に硫酸アルミニウムおよびイソプロピルアミン(IPA)を順次溶解し、得られた混合物に工程a)で得られたシリコン源分散液を加えて、総モル比が、シリコン源中のSiO:アルミニウム源中のAl:OH:IPA:HO=1:0.01:0.08:1.0:50であるゲルを調製した。得られたゲルを180℃で48時間結晶化させ、濾過し、洗浄し、乾燥させ、焼成した。得られた生成物について、その相対結晶化度、その比表面積、その細孔容積、およびその細孔サイズ分布を測定し;600℃で水蒸気により2時間水熱処理した後、水熱安定性を測定した。XRDスペクトルを図1に示し(得られた生成物がZSM-23分子篩であることを確認した)、窒素ガス物理吸着曲線を図2に示した。具体的な特性を表1に示した。
【0064】
実施例2
(1)メソポーラスシリコン源の調製
250gの脱イオン水に50gの水ガラス(27%のSiO質量分率を有する)を添加した。混合物を撹拌し、均一に分散させた。次いで、オクトデシルトリメチルアンモニウムクロリド(C18TMACl)を添加し、得られた混合物を0.5時間撹拌し、C18TMAClに対するSiOのモル比は1:0.08であった。塩酸で溶液のpHを2に調整し、50℃の水浴中で4時間加熱した。次いで、反応系を濾過し、洗浄し、100℃で4時間乾燥させ、550℃で3時間焼成して、非晶質シリカを得た。
【0065】
(2)ミクロポーラス-メソポーラスZSM-23分子篩の調製
a)脱イオン水40mLにNaOH 0.42gを溶解し、工程(1)で調製したメソポーラスシリコン源(OH/SiOモル比=0.17)3.7gを加え、混合物を35℃の水浴中で6時間撹拌し;
b)残存する水に硫酸アルミニウムおよびイソプロピルアミン(IPA)を順次溶解し、得られた混合物に工程a)で得られたシリコン源分散液を加えて、総モル比が、シリコン源中のSiO:アルミニウム源中のAl:OH:IPA:HO=1:0.005:0.10:1.0:50であるゲルを調製した。得られたゲルを180℃で48時間結晶化させ、濾過し、洗浄し、乾燥させ、焼成した。得られた生成物について、その相対結晶化度、その比表面積、その細孔容積、およびその細孔サイズ分布を測定し;600℃で水蒸気により2時間水熱処理した後、水熱安定性を測定した。XRDスペクトルは図1と類似であり、窒素ガス物理吸着曲線は図2と類似していた。具体的な特性を表1に示した。
【0066】
実施例3
(1)メソポーラスシリコン源の調製
1200gの脱イオン水に50gの水ガラス(27%のSiO質量分率を有する)を添加した。混合物を撹拌し、均一に分散させた。次いで、オクトデシルトリメチルアンモニウムクロリド(C18TMACl)を添加し、得られた混合物を2時間撹拌し、C18TMAClに対するSiOのモル比は1:0.2であった。塩酸で溶液のpHを3に調整し、50℃の水浴中で4時間加熱した。次いで、反応系を濾過し、洗浄し、80℃で4時間乾燥させ、500℃で3時間焼成して、非晶質シリカを得た。
【0067】
(2)ミクロポーラス-メソポーラスZSM-23分子篩の調製
a)脱イオン水35mLにNaOH 0.15gを溶解し、工程(1)で調製したメソポーラスシリコン源(OH/SiOモル比=0.06)3.7gを加え、混合物を45℃の水浴中で3時間撹拌し;
b)残存する水に硫酸アルミニウム、イソプロピルアミン(IPA)、およびNaOHを順次溶解し、得られた混合物に工程a)で得られたシリコン源分散液を加えて、総モル比が、シリコン源中のSiO:アルミニウム源中のAl:OH:IPA:HO=1:0.01:0.08:1.0:50であるゲルを調製した。得られたゲルを180℃で48時間結晶化させ、濾過し、洗浄し、乾燥させ、焼成した。得られた生成物について、その相対結晶化度、その比表面積、その細孔容積、およびその細孔サイズ分布を測定し;600℃で水蒸気により2時間水熱処理した後、水熱安定性を測定した。XRDスペクトルは図1と類似であり、窒素ガス物理吸着曲線は図2と類似であった。具体的な特性を表1に示した。
【0068】
実施例4
(1)メソポーラスシリコン源の調製
800gの脱イオン水に50gの水ガラス(27%のSiO質量分率を有する)を添加した。混合物を撹拌し、均一に分散させた。次いで、オクトデシルトリメチルアンモニウムクロリド(C18TMACl)を添加し、得られた混合物を2時間撹拌し、C18TMAClに対するSiOのモル比は1:0.15であった。塩酸で溶液のpHを4に調整し、50℃の水浴中で4時間加熱した。次いで、反応系を濾過し、洗浄し、90℃で4時間乾燥させ、550℃で3時間焼成して、非晶質シリカを得た。
【0069】
(2)ミクロポーラス-メソポーラスZSM-23分子篩の調製
a)脱イオン水40mLにNaOH 0.42gを溶解し、工程(1)で調製したメソポーラスシリコン源(OH/SiOモル比=0.17)3.7gを加え、混合物を40℃の水浴中で3時間撹拌し;
b)残存する水に硫酸アルミニウムおよびイソプロピルアミン(IPA)を順次溶解し、得られた混合物に工程a)で得られたシリコン源分散液を加えて、総モル比が、シリコン源中のSiO:アルミニウム源中のAl:OH:IPA:HO=1:0.005:0.10:1.0:50であるゲルを調製した。得られたゲルを180℃で48時間結晶化させ、濾過し、洗浄し、乾燥させ、焼成した。得られた生成物について、その相対結晶化度、その比表面積、その細孔容積、およびその細孔サイズ分布を測定し;600℃で水蒸気により2時間水熱処理した後、水熱安定性を測定した。XRDスペクトルは図1と類似であり、窒素ガス物理吸着曲線は図2と類似であった。具体的な特性を表1に示した。
【0070】
実施例5
(1)メソポーラスシリコン源の調製
210gの脱イオン水に50gの水ガラス(27%のSiO質量分率を有する)を添加した。混合物を撹拌し、均一に分散させた。次いで、オクトデシルトリメチルアンモニウムクロリド(C18TMACl)を添加し、得られた混合物を1時間撹拌し、C18TMAClに対するSiOのモル比は1:0.05であった。塩酸で溶液のpHを2に調整し、60℃の水浴中で4時間加熱した。次いで、反応系を濾過し、洗浄し、80℃で8時間乾燥させ、550℃で3時間焼成して、非晶質シリカを得た。
【0071】
(2)ミクロポーラス-メソポーラスZSM-23分子篩の調製
a)脱イオン水35mLにNaOH 0.35gを溶解し、工程(1)で調製したメソポーラスシリコン源(OH/SiOモル比=0.14)3.7gを加え、混合物を50℃の水浴中で2時間撹拌し;
b)残存する水に硫酸アルミニウムおよびイソプロピルアミン(IPA)を順次溶解し、得られた混合物に工程a)で得られたシリコン源分散液を加えて、総モル比がシリコン源中のSiO:アルミニウム源中のAl:OH:IPA:HO=1:0.01:0.08:1.0:50であるゲルを調製した。得られたゲルを180℃で48時間結晶化させ、濾過し、洗浄し、乾燥させ、焼成した。得られた生成物について、その相対結晶化度、その比表面積、その細孔容積、およびその細孔サイズ分布を測定し;600℃で水蒸気により2時間水熱処理した後、水熱安定性を測定した。XRDスペクトルは図1と類似であり、窒素ガス物理吸着曲線は図2と類似であった。具体的な特性を表1に示した。
【0072】
実施例6
(1)メソポーラスシリコン源の調製
210gの脱イオン水に50gの水ガラス(27%のSiO質量分率を有する)を添加した。混合物を撹拌し、均一に分散させた。次いで、オクトデシルトリメチルアンモニウムクロリド(C18TMACl)を添加し、得られた混合物を1時間攪拌し、C18TMAClに対するSiOのモル比は1:0.06であった。塩酸で溶液のpHを2に調整し、60℃の水浴中で4時間加熱した。次いで、反応系を濾過し、洗浄し、80℃で8時間乾燥させ、550℃で3時間焼成して、非晶質シリカを得た。
【0073】
(2)ミクロポーラス-メソポーラスZSM-23分子篩の調製
a)脱イオン水35mLに、NaOH 0.10gおよび濃アンモニア水(約27%の質量分率を有する)1.36gを溶解し、工程(1)で調製したメソポーラスシリコン源(OH/SiOモル比=0.22)3.7gを加え、40℃の水浴中で6時間撹拌し;
b)残存する水に硫酸アルミニウムおよびイソプロピルアミン(IPA)を順次溶解し、得られた混合物に工程a)で得られたシリコン源分散液を加えて、総モル比が、シリコン源中のSiO:アルミニウム源中のAl:OH:IPA:HO=1:0.01:0.15:1.0:50であるゲルを調製した。得られたゲルを180℃で48時間結晶化させ、濾過し、洗浄し、乾燥させ、焼成した。得られた生成物について、その相対結晶化度、その比表面積、その細孔容積、およびその細孔サイズ分布を測定し;600℃で水蒸気により2時間水熱処理した後、水熱安定性を測定した。XRDスペクトルは図1と類似であり、窒素ガス物理吸着曲線は図2と類似であった。具体的な特性を表1に示した。
【0074】
比較例1(CN105540607Aを参照)
35℃で撹拌しながら、0.51gの擬ベーマイトおよび0.3gの水酸化ナトリウムを26mLの脱イオン水に加えた。得られた溶液を均質化し、次いでイソプロピルアミン0.3gを加え、次いでホワイトカーボンブラック21gを加え、さらに、得られた混合物を1時間均質化して混合した。24.5gの穀物デンプンを加え、得られた混合物を90℃に加熱し、撹拌し、6時間熟成させた。最後に、得られた混合物をPTFEで裏打ちされた水熱反応容器に移し、160℃で144時間静的に結晶化させ、取り出し、冷却し、濾過し、80℃で乾燥させて、分子篩の原料粉末を得た。原料粉末を大気雰囲気下で500℃で12時間焼成し、ミクロポーラス-メソポーラス複合ZSM-23分子篩を生成し、その相対結晶化度、その比表面積、その細孔容積およびその細孔サイズ分布について測定し、600℃で水蒸気により2時間水熱処理した後、水熱安定性を測定した。具体的な特性を表1に示した。
【0075】
比較例2
(1)メソポーラスシリコン源の調製
250gの脱イオン水に50gの水ガラス(27%のSiO質量分率を有する)を添加した。混合物を撹拌し、均一に分散させた。次いで、オクトデシルトリメチルアンモニウムクロリド(C18TMACl)を添加し、得られた混合物を0.5時間攪拌し、C18TMAClに対するSiOのモル比は1:0.08であった。塩酸で溶液のpHを2に調整し、50℃の水浴中で4時間加熱した。次いで、反応系を濾過し、洗浄し、乾燥させ、550℃で焼成して、非晶質シリカを生成した。
【0076】
(2)a)工程(1)で調製したメソポーラスシリコン源3.7gを脱イオン水35mLに分散させ、混合物を50℃の水浴中で2時間撹拌し;
b)残存する水に硫酸アルミニウム、イソプロピルアミン(IPA)およびNaOHを順次溶解し、得られた混合物に、工程a)で得られたシリコン源分散液を加えて、総モル比が、シリコン源中のSiO:アルミニウム源中のAl:NaOH:IPA:HO=1:0.01:0.08:1.0:50であるゲルを調製した。得られたゲルを180℃で48時間結晶化させ、濾過し、洗浄し、乾燥させ、焼成した。得られた生成物について、その相対結晶化度、その比表面積、その細孔容積、およびその細孔サイズ分布を測定し;600℃で水蒸気により2時間水熱処理した後、水熱安定性を測定した。具体的な特性を表1に示した。
【0077】
比較例3
(1)メソポーラスシリコン源の調製
1200gの脱イオン水に50gの水ガラス(27%のSiO質量分率を有する)を添加した。混合物を撹拌し、均一に分散させた。次いで、オクトデシルトリメチルアンモニウムクロリド(C18TMACl)を添加し、得られた化合物を2時間攪拌し、C18TMAClに対するSiOのモル比は1:0.2であった。塩酸で溶液のpHを3に調整し、50℃の水浴中で4時間加熱した。次いで、反応系を濾過し、洗浄し、乾燥させ、550℃で焼成して、非晶質シリカを生成した。
【0078】
(2)a)NaOH 0.70gを脱イオン水40mLに溶解し、工程(1)で調製したメソポーラスシリコン源(OH/SiOモル比=0.28)3.7gを加え、得られた混合物を45℃の水浴中で3時間撹拌し;
b)残存する水に硫酸アルミニウムおよびイソプロピルアミン(IPA)を順次溶解し、得られた混合物に、工程a)で得られたシリコン源分散液を加えて、総モル比が、シリコン源中のSiO:アルミニウム源中のAl:NaOH:IPA:HO=1:0.01:0.16:1.0:50であるゲルを調製した。得られたゲルを180℃で48時間結晶化させ、濾過し、洗浄し、乾燥させ、焼成した。得られた生成物について、その相対結晶化度、その比表面積、その細孔容積、およびその細孔サイズ分布を測定し;600℃で水蒸気により2時間水熱処理した後、水熱安定性を測定した。
【0079】
比較例4
(1)メソポーラスシリコン源の調製
1200gの脱イオン水に50gの水ガラス(27%のSiO質量分率を有する)を添加した。混合物を撹拌し、均一に分散させた。次いで、オクトデシルトリメチルアンモニウムクロリド(C18TMACl)を添加し、得られた混合物を2時間撹拌し、C18TMAClに対するSiOのモル比は1:0.2であった。塩酸で溶液のpHを3に調整し、50℃の水浴中で4時間加熱した。次いで、反応系を濾過し、洗浄し、乾燥させ、550℃で焼成して、非晶質シリカを生成した。
【0080】
(2)a)NaOH 0.10gを脱イオン水40mLに溶解し、工程(1)で調製したメソポーラスシリコン源(OH/SiOモル比=0.04)3.7gを加え、得られた混合物を45℃の水浴中で3時間撹拌し;
b)残存する水に硫酸アルミニウム、イソプロピルアミン(IPA)および水酸化ナトリウムを順次溶解し、得られた混合物に、工程a)で得られたシリコン源分散液を加えて、総モル比が、シリコン源中のSiO:アルミニウム源中のAl:NaOH:IPA:HO=1:0.01:0.08:1.0:50であるゲルを調製した。得られたゲルを180℃で48時間結晶化させ、濾過し、洗浄し、乾燥させ、焼成した。得られた生成物について、その相対結晶化度、その比表面積、その細孔容積、および細孔サイズ分布を測定し;600℃で水蒸気により2時間水熱処理した後、水熱安定性を測定した。
【0081】
比較例5(従来のZSM-23分子篩の調製)
水ガラス、硫酸アルミニウム、イソプロピルアミン(IPA)、水酸化ナトリウムおよび水を混合して、総モル比が、シリコン源中のSiO:アルミニウム源中のAl:NaOH:IPA:HO=1:0.01:0.08:1.0:50であるゲルを調製した。得られたゲルを180℃で72時間加熱し、濾過し、洗浄し、乾燥させ、焼成した。得られた生成物について、その相対結晶化度を測定し;600℃で水蒸気により2時間水熱処理した後、水熱安定性を測定した。具体的な特性を表1に示した。
【0082】
【表1】
【0083】
表1のデータから、本発明の実施例における調製方法は、比較的低コストで比較的少量の界面活性剤を用いて、簡単な合成プロセスによって、ミクロ細孔-メソ細孔複合構造を有するZSM-23分子篩を調製することができることが分かる。得られた生成物であるミクロ細孔-メソ細孔複合ZSM-23分子篩は、高い結晶化度、大きな比表面積および細孔容積、高いメソ細孔含有量、比較的集中しているサイズ分布、良好な熱安定性および水熱安定性、ならびに広い適用可能性を有する。
【0084】
ZSM-23分子篩試料の性能を固定床マイクロ反応装置で評価した。直鎖のC20~C30水素化異性化反応における比較例1、比較例5、実施例4および実施例6の反応条件および触媒の結果は、以下のとおりであった:
反応原料:90重量%デカヒドロナフタレン、10重量%C20~C30直鎖アルカン;
反応条件:反応温度280℃;液空間速度1.0h-1、油に対する水素の比600;反応水素圧4.0MPa;
比較例1:
液体収率(C ):93%;C20~C30異性化度:100%;C20~C30異性化生成物収率:46%;C20~C30異性化生成物における多分岐鎖成分の単分岐鎖成分に対する比率:0.6。
【0085】
比較例5:
液体収率(C ):94%;C20~C30異性化度:100%;C20~C30異性化生成物収率:44%;C20~C30異性化生成物における多分岐鎖成分の単分岐鎖成分に対する比率:0.5。
【0086】
実施例4:
液体収率(C ):95%;C20~C30異性化度:100%;C20~C30異性化生成物収率:53%;C20~C30異性化生成物における多分岐鎖成分の単分岐鎖成分に対する比率:2.1。
【0087】
実施例6:
液収率(C ):96%;C20~C30異性化度:100%;C20~C30異性化生成物収率:54%;C20~C30異性化生成物における多分岐鎖成分の単分岐鎖成分に対する比率:2.3。
【図面の簡単な説明】
【0088】
図1図1は、本発明の実施例1の合成生成物のXRDスペクトルを示す。
図2図2は、本発明の実施例1の合成生成物の窒素ガス物理吸着図を示す。
図1
図2
【国際調査報告】