(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-26
(54)【発明の名称】ZSM-23分子篩およびその調製方法
(51)【国際特許分類】
C01B 39/48 20060101AFI20240119BHJP
【FI】
C01B39/48
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023541303
(86)(22)【出願日】2022-01-07
(85)【翻訳文提出日】2023-09-05
(86)【国際出願番号】 CN2022070636
(87)【国際公開番号】W WO2022148416
(87)【国際公開日】2022-07-14
(31)【優先権主張番号】202110018642.4
(32)【優先日】2021-01-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503191287
【氏名又は名称】中国石油化工股▲ふん▼有限公司
(71)【出願人】
【識別番号】522173712
【氏名又は名称】中石化(大連)石油化工研究院有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】陳玉晶
(72)【発明者】
【氏名】樊宏飛
(72)【発明者】
【氏名】于政敏
(72)【発明者】
【氏名】孫暁艶
【テーマコード(参考)】
4G073
【Fターム(参考)】
4G073BA04
4G073BA57
4G073BA62
4G073BA63
4G073BB05
4G073BB45
4G073CZ27
4G073FA03
4G073FA30
4G073FB01
4G073FB02
4G073FB19
4G073FB26
4G073FC19
4G073FC22
4G073FC25
4G073FC27
4G073FC30
4G073GA01
4G073GA03
4G073GA11
4G073GA12
4G073GA14
4G073GA40
4G073UA04
(57)【要約】
ZSM-23分子篩およびその調製方法を提供する。ZSM-23分子篩の全酸量は0.05~0.25mmol/gであり、強酸含有量が全酸量の5~33%であり、強酸はNH3昇温脱離における対応する脱離温度が350℃超である酸を指す。前記調製方法は、(1)テンプレート剤、ならびに非晶質シリカ-アルミナおよび/または非晶質シリカ-アルミナ前駆体を含む混合溶液を調製する工程、(2)工程(1)の混合溶液にアルカリ源とシリコン源とを添加する工程、および、(3)工程(2)で得られた物質を結晶化し、任意で濾過、洗浄、乾燥し、任意で焼成し、ZSM-23分子篩を得る工程、を含む。前記方法は簡単であり、得られるZSM-23分子篩は強酸含有量が低く、かつ、良好な熱安定性および水熱安定性を同時に有し、優れた吸着剤または触媒材料として使用することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
全酸量が、0.05~0.25mmol/g、好ましくは0.06~0.22mmol/g、より好ましくは0.06~0.20mmol/gであり;強酸の含有量が、前記全酸量の5~33%、好ましくは7~33%、より好ましくは9~33%、またはさらに好ましくは7~31%、さらにより好ましくは10~28%であり;ここで、前記強酸はNH
3昇温脱離(NH
3-TPD)における脱離温度が350℃以上である酸を指すことを特徴とする、ZSM-23分子篩。
【請求項2】
前記ZSM-23分子篩の粒径が、100~700nm、好ましくは200~600nm、さらに好ましくは300~500nmであることを特徴とする、請求項1に記載の分子篩。
【請求項3】
前記ZSM-23分子篩は、SiO
2/Al
2O
3モル比が35~300であり、比表面積が200~400m
2/gであり、細孔容積が0.25~0.50cm
3/gであり;好ましくは、前記ZSM-23分子篩は、SiO
2/Al
2O
3モル比が38~200であり、比表面積が280~370m
2/gであり、細孔容積が0.28~0.40cm
3/gであることを特徴とする、請求項1または2に記載の分子篩。
【請求項4】
前記ZSM-23分子篩は、焼成後の相対結晶化度が95~130%であり、600℃で水蒸気により2時間水熱処理された後の相対結晶化度が93~120%であり;
好ましくは、焼成後の相対結晶化度が98~120%であり、600℃で水蒸気により2時間水熱処理された後の相対結晶化度が95~115%であることを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載の分子篩。
【請求項5】
以下の工程を含むことを特徴とする、請求項1~4のいずれか1項に記載のZSM-23分子篩の調製方法:
(1)テンプレート剤、ならびに非晶質シリカ-アルミナおよび/または非晶質シリカ-アルミナ前駆体を含む混合溶液を調製し、好ましくは、前記非晶質シリカ-アルミナおよび/または非晶質シリカ-アルミナ前駆体がアルカリ性アルミニウム源(例えば、アルミン酸ナトリウム、アルミン酸カリウム、メタアルミン酸ナトリウム、およびメタアルミン酸カリウムなどの、アルミン酸塩またはメタアルミン酸塩)に由来する、工程;
(2)工程(1)の混合溶液にアルカリ源とシリコン源とを添加する工程;
(3)工程(2)で得られた物質を結晶化し、任意に濾過、洗浄、乾燥させ、および任意に焼成して、ZSM-23分子篩を生成する工程。
【請求項6】
工程(1)において、前記テンプレート剤が、イソプロピルアミン、ピロリジン、N,N-ジメチルホルムアミド、およびジメチルアミンのうちの1つ以上であることを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
工程(1)において、前記混合溶液中の、ケイ素(シリカとして):アルミニウム(アルミナとして)のモル比が1:(0.10~0.85)、好ましくは1:(0.20~0.79)、さらに好ましくは1:(0.24~0.78)であり;アルミニウム(アルミナとして):前記テンプレート剤のモル比が1:(10~100)、好ましくは1:(15~85)、さらに好ましくは1:(20~65)であることを特徴とする、請求項5または6に記載の方法。
【請求項8】
工程(1)において、炭化法によって非晶質シリカ-アルミナ前駆体を調製し、次いで、テンプレート剤を非晶質シリカ-アルミナ前駆体に添加して、混合溶液を生成することを特徴とする、請求項5~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
工程(1)における非晶質シリカ-アルミナ前駆体の調製方法が、
アルミニウム源(アルミン酸塩など、好ましくはアルミン酸ナトリウム)の溶液、およびケイ素含有化合物の溶液をそれぞれ調製する工程;
前記アルミニウム源の溶液を前記ケイ素含有化合物の溶液の一部と混合して、CO
2気体を導入してゲル化させ、導入されたCO
2気体の体積が導入されたCO
2気体の総体積の50~100%、好ましくは70~90%になるとき、ケイ素含有化合物の溶液の残りの部分を添加し、任意に熟成して非晶質シリカ-アルミナ前駆体を生成する工程
である、請求項5~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
シリカとしての前記ケイ素含有化合物の溶液の残りの部分が、シリカとしての前記ケイ素含有化合物の溶液の総添加量の5~85重量%、好ましくは30~70重量%を含むことを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記ゲル化の反応温度が10~40℃、好ましくは15~35℃であり、ゲル化後のpHが9~12に制御されることを特徴とする、請求項9または10に記載の方法。
【請求項12】
前記ケイ素含有化合物の溶液が、水ガラスおよび/またはケイ酸ナトリウム溶液であることを特徴とする、請求項9~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
Al
2O
3の質量を基準とした、前記アルミニウム源の溶液の濃度が15~60g Al
2O
3/Lであり、SiO
2の質量を基準とした、前記ケイ素含有化合物の溶液の濃度が40~260g SiO
2/Lであり、前記CO
2気体の濃度が30~60体積%であることを特徴とする、請求項9~12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記熟成の時間が5~60分、好ましくは10~30分であり;前記熟成の温度が10~40℃、好ましくは15~35℃であることを特徴とする、請求項9~13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
工程(1)において、前記混合溶液を10~35℃で0.2~1.5時間撹拌し、好ましくは10~25℃で0.5~1時間撹拌することを特徴とする、請求項5~14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
工程(2)において、
工程(1)の混合溶液中のアルミニウム(アルミナとして)を基準として、SiO
2:Al
2O
3:R
2O(アルカリ源であり、Rはナトリウムおよびカリウムなどのアルカリ金属である):H
2O=1:(0.0025~0.025):(0.015~0.08):(30~80)、およびテンプレート剤(SDA)/SiO
2=0.10~1.8の総仕込みモル比、好ましくはSiO
2/Al
2O
3が50~200、H
2O/SiO
2が30~60、およびR
2O/SiO
2が0.025~0.06であることに基づいて、アルカリ源およびシリコン源を工程(1)に添加することを特徴とする、請求項5~15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
工程(2)において、前記シリコン源が、ヒュームドシリカ、シリカゾル、および水ガラスのうちの1つ以上であり、前記アルカリ源が、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、およびアンモニア水のうちの1つ以上であることを特徴とする、請求項5~16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
工程(3)において、結晶化が150~200℃で8~72時間、好ましくは160~180℃で10~48時間行われ;乾燥が60~130℃で2~12時間、好ましくは80~120℃で4~8時間行われ;焼成が500~600℃で2~8時間、好ましくは530~570℃で3~6時間または4~6時間行われることを特徴とする、請求項5~17のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔技術分野〕
本発明はZSM-23分子篩、ならびにその製造方法および使用に関し、特に、強酸含有量が低いZSM-23分子篩、ならびにその製造方法および使用に関する。
【0002】
〔背景技術〕
ZSM-23分子篩は、SiO2/Al2O3比が高く、MTTトポロジー構造を有する分子篩材であり、その一次元涙滴型ポーラスチャネルは10員環で構成されている。ZSM-23分子篩は、その独特のポーラスチャネル構造および調整可能な酸特性により、分離、吸着、および触媒の分野で広く使用されており、代替不可能な役割を果たしている。特に石油化学工業においては、それは、長鎖アルカンおよびオレフィンの水素化分解、アルカンおよび芳香族炭化水素の異性化等において優れた性能を示している。したがって、優れた性能を有するZSM-23分子篩を調製することは、非常に重要である。
【0003】
現在、ZSM-23分子篩の調製方法は数多くある。US4076842は最初に、テンプレート剤としてピロリジンを使用してZSM-23分子篩を合成する方法を開示した。その後、US4490342およびUS5707601は、ビス-第四級アンモニウム塩(diquat-7)または小分子アミンおよび中性アミンをテンプレート剤として使用するシステムにおいてZSM-23分子篩を合成するための条件を次々に開示した。CN101214971は、ナノZSM-23分子篩の合成方法を開示している。アルミニウム源、シリコン源、水酸化ナトリウム、およびイソプロピルアミンからなる反応混合物を水熱結晶化して、結晶粒部の平均直径が100nm以下のZSM-23分子篩を生成した。CN101613114は、ZSM-22またはZSM-23分子篩を結晶種として使用し、少数のテンプレート剤、例えばエチルアミンおよびn-ブチルアミンを使用することによる、ZSM-23分子篩の合成方法を開示している。CN102897785は、有機テンプレート剤またはその水溶液とアルミニウム源とを、密閉反応容器内で50~190℃で一定時間混合処理し;次いで、シリコン源、有機テンプレート剤、水、および結晶種を添加し;反応系を高温で水熱結晶化してHZSM-23分子篩を調製する段階的な処理を行った。また、CN102992346にはテンプレート剤を含まないZSM-23分子篩を合成する方法が開示されており、この方法では水とアルミニウム源とを混合し、ナトリウム源とシリコン源とを添加し;得られた混合物を均一に撹拌し、結晶種を添加し;反応系を水熱結晶化してZSM-23分子篩の原料粉末を生成した。
【0004】
ZSM-23分子篩のための公的に利用可能な技術の中で、主に、新しいテンプレート剤の合成を探求すること、それらのポーラスチャネルの構造を改善すること、または合成プロセスを改善することによって調製コストを低減することに焦点が当てられている。その酸性度を調節するために利用可能な方法はほとんどない。論文(Journal of Catalysis, 1990, 121, 89-98)は、Fe原子をAl原子で同形置換することよってZSM-23の弱酸含有量を増加させる方法を報告した。論文(Ind. Eng. Chem. Res. 2013, 52, 15359-15365)は、後の段階で補助MgOを添加することにより、ZSM-23の酸性度分布を調節し、それによってその反応性能を調節する方法を開示した。しかしながら、これらの技術は分子篩の酸性度を調節する能力が限られており、調製されたZSM-23分子篩は依然として比較的、強酸含有量が高く、形状選択的触媒作用の分野におけるZSM-23分子篩の使用を制限する。
【0005】
〔発明の概要〕
既存の技術の欠点を克服するために、本発明は、ZSM-23分子篩、ならびにその調製方法および使用を提供する。ZSM-23分子篩は、強酸含有量が低く、ZSM-23分子篩の調製方法は簡単である。
【0006】
本発明は、ZSM-23分子篩に関し、当該ZSM-23分子篩の全酸量は、0.05~0.25mmol/g、好ましくは0.06~0.22mmol/g、より好ましくは0.06~0.20mmol/gであり;当該ZSM-23分子の強酸の含有量は、全酸量の5~33%、好ましくは7~33%、より好ましくは9~33%、またはさらに好ましくは7~31%、さらにより好ましくは10~28%であり;ここで、前記強酸はNH3昇温脱離(NH3-TPD)における脱離温度が350℃以上である酸を指し、任意で前記ZSM-23分子篩は焼成されているか、または非焼成である。本発明において、ZSM-23分子篩は、分子篩調製において結晶化後に乾燥して得られる生成物(すなわち未焼成)、または分子篩調製において結晶化後に乾燥および焼成して得られる生成物(すなわち焼成された)を指す。
【0007】
上述したZSM-23分子篩によれば、当該ZSM-23分子篩の粒径は、100~700nm、好ましくは200~600nm、さらに好ましくは300~500nmである。
【0008】
上述したZSM-23分子篩によれば、前記ZSM-23分子篩は、SiO2/Al2O3モル比が40~300であり、比表面積が200~400m2/gであり、細孔容積が0.25~0.50cm3/gであり;好ましくは、前記ZSM-23分子篩は、SiO2/Al2O3モル比が40~200または50~200であり、比表面積が280~370m2/gであり、細孔容積が0.28~0.40cm3/gである。
【0009】
上述したZSM-23分子篩によれば、前記ZSM-23分子篩は、相対結晶化度が95~130%であり、600℃で水蒸気により2時間水熱処理された後の相対結晶化度が93~120%であり;好ましくは、相対結晶化度が98~120%であり、600℃で水蒸気により2時間水熱処理された後の相対結晶化度が95~115%である。
【0010】
本発明は、ZSM-23分子篩の調製方法を提供し、当該方法は以下の工程を含む:
(1)テンプレート剤、ならびに非晶質シリカ-アルミナおよび/または非晶質シリカ-アルミナ前駆体を含む混合溶液を調製する工程;
(2)工程(1)の混合溶液にアルカリ源とシリコン源とを添加する工程;
(3)工程(2)で得られた物質を結晶化し(例えば、静的に結晶化させ、すなわち、撹拌せずに結晶化させ)、任意に濾過、洗浄、乾燥させ、および任意に焼成して、ZSM-23分子篩を生成する工程。
【0011】
上述した方法によれば、工程(1)において、前記テンプレート剤は、イソプロピルアミン、ピロリジン、N,N-ジメチルホルムアミド、およびジメチルアミンのうちの1つ以上である。
【0012】
上述した方法によれば、工程(1)において、非晶質シリカ-アルミナおよび/または非晶質シリカ-アルミナ前駆体は、アルカリ性アルミニウム源(例えば、アルミン酸ナトリウム、アルミン酸カリウム、メタアルミン酸ナトリウム、およびメタアルミン酸カリウムなどの、アルミン酸塩またはメタアルミン酸塩)に由来し;言い換えれば、非晶質シリカ-アルミナおよび/または非晶質シリカ-アルミナ前駆体としては、強酸基、例えば、硫酸基、硝酸基などは除外される。
【0013】
上述した方法によれば、工程(1)において、前記混合溶液中の、ケイ素(シリカとして):アルミニウム(アルミナとして)のモル比は1:(0.10~0.85)、好ましくは1:(0.20~0.79)、さらに好ましくは1:(0.24~0.78)であり;前記アルミニウム(アルミナとして):前記テンプレート剤のモル比は1:(10~100)、好ましくは1:(15~85)、さらに好ましくは1:(20~65)である。
【0014】
上述した方法によれば、工程(1)において、炭化法によって非晶質シリカ-アルミナ前駆体を調製し、次いで、テンプレート剤を非晶質シリカ-アルミナ前駆体に添加して、混合溶液を生成する。
【0015】
本発明の非限定的な実施形態による非晶質シリカ-アルミナ前駆体の調製方法は、アルミニウム源(すなわち、アルカリ性アルミニウム源、例えば、アルミン酸ナトリウム、アルミン酸カリウム等のアルミン酸塩、好ましくはアルミン酸ナトリウム)の溶液、およびケイ素含有化合物の溶液をそれぞれ調製する工程;前記アルミニウム源の溶液を前記ケイ素含有化合物の溶液の一部と混合して、CO2気体を導入してゲル化させ、導入されたCO2気体の体積が導入されたCO2気体の総体積の50~100%、好ましくは70~90%になるとき、ケイ素含有化合物の溶液の残りの部分を添加し、次いで任意の残りのCO2気体を導入し、任意に熟成して非晶質シリカ-アルミナ前駆体を得る工程である。
【0016】
上述した非晶質シリカ-アルミナ前駆体の調製方法において、シリカとしてのケイ素含有化合物の溶液の残りの部分は、シリカとしてのケイ素含有化合物の溶液の総添加量の5~85重量%、好ましくは30~70重量%を含む。
【0017】
上述した非晶質シリカ-アルミナ前駆体の調製方法において、前記ゲル化の反応温度は10~40℃、好ましくは15~35℃であり、ゲル化後のpHは9~12に制御される。
【0018】
上述した非晶質シリカ-アルミナ前駆体の調製方法において、前記ケイ素含有化合物の溶液は、水ガラスおよび/またはケイ酸ナトリウム溶液である。
【0019】
上述した非晶質シリカ-アルミナ前駆体の調製方法において、Al2O3の質量を基準とした、アルミニウム源の溶液の濃度は15~60g Al2O3/Lであり、SiO2の質量を基準とした、前記ケイ素含有化合物の溶液の濃度は40~260g SiO2/Lであり、前記CO2気体の濃度は30~60体積%である。
【0020】
上述した非晶質シリカ-アルミナ前駆体の調製方法において、前記熟成時間は5~60分、好ましくは10~30分であり;前記熟成の温度は10~40℃、好ましくは15~35℃である。
【0021】
上述した方法の工程(1)においては、前記混合溶液を10~35℃で0.2~1.5時間撹拌し、好ましくは10~25℃で0.5~1時間撹拌する。
【0022】
上述した方法の工程(2)において、工程(1)の混合溶液中のアルミニウム(アルミナとして)を基準として、SiO2:Al2O3:R2O(アルカリ源であり、Rはナトリウムおよびカリウムなどのアルカリ金属である):H2O=1:(0.0025~0.025):(0.015~0.08):(30~80)、およびテンプレート剤(SDA)/SiO2=0.10~1.8の総仕込みモル比、好ましくはSiO2/Al2O3が50~200、H2O/SiO2が30~60、およびR2O/SiO2が0.025~0.06であることに基づいて、アルカリ源およびシリコン源を工程(1)に添加する。
【0023】
上述した方法の工程(2)において、前記シリコン源は、ヒュームドシリカ、シリカゾル、および水ガラスのうちの1つ以上であり、前記アルカリ源は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、およびアンモニア水のうちの1つ以上である。
【0024】
上述した方法の工程(3)において、結晶化は150~200℃で8~72時間、好ましくは160~180℃で10~48時間行われ;乾燥は60~130℃で2~12時間、好ましくは80~120℃で4~8時間行われ;焼成は500~600℃で2~8時間、好ましくは530~570℃で3~6時間または4~6時間行われる。
【0025】
具体的には、本発明は以下の技術的解決策を開示する。
【0026】
1.全酸量が0.05~0.25mmol/g、好ましくは0.06~0.22mmol/g、より好ましくは0.06~0.20mmol/gであり、;強酸の含有量が、前記全酸量の5~33%、好ましくは7~33%、より好ましくは9~33%、またはさらに好ましくは7~31%、さらにより好ましくは10~28%であり;ここで、前記強酸はNH3昇温脱離(NH3-TPD)における脱離温度が350℃以上である酸を指し、任意で乾燥焼成分子篩である、ZSM-23分子篩。
【0027】
2.前記ZSM-23分子篩のXRDパターンが、2θ度:約11.3°+/-0.3°(例えば、+/-0.2°または+/-0.1°)によって示される特徴的なピークを含むことを特徴とする、解決策1に記載の分子篩。
【0028】
3.前記ZSM-23分子篩のXRDパターンが、2θ度:11.2~11.5°、19.5~19.9°、20.7~21.0°、22.8~23.1°によって示される特徴的なピークを含むことを特徴とする、解決策1または2に記載の分子篩。
【0029】
4.前記ZSM-23分子篩の粒径が、100~700nm、好ましくは200~600nm、さらに好ましくは300~500nmであることを特徴とする、解決策1~3のいずれかに記載の分子篩。
【0030】
5.前記ZSM-23分子篩は、SiO2/Al2O3モル比が35~300であり、比表面積が200~400m2/gであり、細孔容積が0.25~0.50cm3/gであり;好ましくは、前記ZSM-23分子篩は、SiO2/Al2O3モル比が38~200であり、比表面積が280~370m2/gであり、細孔容積が0.28~0.40cm3/gであることを特徴とする、解決策1~4のいずれかに記載の分子篩。
【0031】
6.前記ZSM-23分子篩は、焼成後の相対結晶化度が95~130%であり、600℃で水蒸気により2時間水熱処理された後の、相対結晶化度が93~120%であり;好ましくは、焼成後の相対結晶化度が98~120%であり、600℃で水蒸気により2時間水熱処理された後の相対結晶化度が95~115%であることを特徴とする、解決策1~5のいずれかに記載の分子篩。
【0032】
7.以下の工程を含むことを特徴とする、解決策1~6のいずれかに記載のZSM-23分子篩の調製方法:
(1)テンプレート剤、ならびに非晶質シリカ-アルミナおよび/または非晶質シリカ-アルミナ前駆体を含む混合溶液を調製し、好ましくは、前記非晶質シリカ-アルミナおよび/または非晶質シリカ-アルミナ前駆体がアルカリ性アルミニウム源(例えば、アルミン酸ナトリウム、アルミン酸カリウム、メタアルミン酸ナトリウム、およびメタアルミン酸カリウムなどの、アルミン酸塩またはメタアルミン酸塩)に由来する、工程;
(2)工程(1)の混合溶液にアルカリ源とシリコン源とを添加する工程;
(3)工程(2)で得られた物質を結晶化し、任意に濾過、洗浄、乾燥させ、および任意に焼成して、ZSM-23分子篩を生成する工程。
【0033】
8.工程(1)において、前記テンプレート剤が、イソプロピルアミン、ピロリジン、N,N-ジメチルホルムアミド、およびジメチルアミンのうちの1つ以上であることを特徴とする、解決策1~7のいずれかに記載の方法。
【0034】
9.工程(1)において、前記混合溶液中の、ケイ素(シリカとして):アルミニウム(アルミナとして)のモル比が1:(0.10~0.85)、好ましくは1:(0.20~0.79)、さらに好ましくは1:(0.24~0.78)であり;前記アルミニウム(アルミナとして):前記テンプレート剤のモル比が1:(10~100)、好ましくは1:(15~85)、さらに好ましくは1:(20~65)であることを特徴とする、解決策1~8のいずれかに記載の方法。
【0035】
10.工程(1)において、炭化法によって非晶質シリカ-アルミナ前駆体を調製し、次いで、テンプレート剤を非晶質シリカ-アルミナ前駆体に添加して、混合溶液を生成することを特徴とする、解決策1~9のいずれかに記載の方法。
【0036】
11.工程(1)における非晶質シリカ-アルミナ前駆体の調製方法が、
アルミニウム源(アルミン酸塩など、好ましくはアルミン酸ナトリウム)の溶液、およびケイ素含有化合物の溶液をそれぞれ調製する工程;前記アルミニウム源の溶液を前記ケイ素含有化合物の溶液の一部と混合して、CO2気体を導入してゲル化させ、導入されたCO2気体の体積が導入されたCO2気体の総体積の50~100%、好ましくは70~90%になるとき、ケイ素含有化合物の溶液の残りの部分を添加し、任意に熟成して非晶質シリカ-アルミナ前駆体を生成する工程である、解決策1~10のいずれかに記載の方法。
【0037】
12.シリカとしての前記ケイ素含有化合物の溶液の残りの部分が、シリカとしての前記ケイ素含有化合物の溶液の総添加量の5~85重量%、好ましくは30~70重量%であることを特徴とする、解決策1~11のいずれかに記載の方法。
【0038】
13.前記ゲル化の反応温度が10~40℃、好ましくは15~35℃であり、ゲル化後のpHが9~12に制御されることを特徴とする、解決策1~12のいずれかに記載の方法。
【0039】
14.前記ケイ素含有化合物の溶液が、水ガラスおよび/またはケイ酸ナトリウム溶液であることを特徴とする、解決策1~13のいずれかに記載の方法。
【0040】
15.Al2O3の質量を基準とした、前記アルミニウム源の溶液の濃度が15~60g Al2O3/Lであり、SiO2の質量を基準とした、前記ケイ素含有化合物の溶液の濃度が40~260g SiO2/Lであり、前記CO2気体の濃度が30~60体積%であることを特徴とする、解決策1~14のいずれかに記載の方法。
【0041】
16.前記熟成の時間が5~60分、好ましくは10~30分であり;前記熟成の温度が10~40℃、好ましくは15~35℃であることを特徴とする、解決策1~15のいずれかに記載の方法。
【0042】
17.工程(1)において、前記混合溶液を10~35℃で0.2~1.5時間撹拌し、好ましくは10~25℃で0.5~1時間撹拌することを特徴とする、解決策1~16のいずれかに記載の方法。
【0043】
18.工程(2)において、工程(1)の混合溶液中のアルミニウム(アルミナとして)を基準として、SiO2:Al2O3:R2O(アルカリ源であり、Rはナトリウムおよびカリウムなどのアルカリ金属である):H2O=1:(0.0025~0.025):(0.015~0.08):(30~80)、およびテンプレート剤(SDA)/SiO2=0.10~1.8の総仕込みモル比、好ましくはSiO2/Al2O3が50~200、H2O/SiO2が30~60、およびR2O/SiO2が0.025~0.06であることに基づいて、アルカリ源およびシリコン源を工程(1)に添加することを特徴とする、解決策1~17のいずれかに記載の方法。
【0044】
19.工程(2)において、前記シリコン源が、ヒュームドシリカ、シリカゾル、および水ガラスのうちの1つ以上であり、前記アルカリ源が、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、およびアンモニア水のうちの1つ以上であることを特徴とする、解決策1~18のいずれかに記載の方法。
【0045】
20.工程(3)において、結晶化が150~200℃で8~72時間、好ましくは160~180℃で10~48時間行われ;乾燥が60~130℃で2~12時間、好ましくは80~120℃で4~8時間行われ;焼成が500~600℃で2~8時間、好ましくは530~570℃で3~6時間または4~6時間行われることを特徴とする、解決策1~19のいずれかに記載の方法。
【0046】
従来技術と比較して、本発明は以下の利点を有する:
本発明により提供されるZSM-23分子篩の調製方法によれば、非晶質シリカ-アルミナ前駆体の調製方法において、合成に必要なアルミニウム源の全てが添加され、分子篩の一次構造単位の生成を促進し;テンプレート剤が非晶質シリカ-アルミナ前駆体に添加される場合、テンプレート剤はAl種と優先的にキレートした後、形成された一次構造単位の表面上に吸着し、分子篩構造の予備組立を達成し、多数の結晶核を生成し;同時に、Al原子の結合部位をより良好に制御することができ、これはより弱い酸部位および中程度の強さの酸部位を有するZSM-23を生成するための後の結晶化に役立つ。補助的シリコン源を加えて最終ゲルを形成した後、多数の結晶核が静的結晶化後に、高い結晶化度および小さい結晶サイズを有するZSM-23分子篩に急速に成長することができる。また、本発明の方法は、ZSM-23の合成シリカ-アルミナ比範囲を拡大し、分子篩の結晶化時間を短縮し、ZSM-23分子篩の合成方法において使用されるテンプレート剤の量を低減し、優れた性能を有する分子篩生成物を生成する。それは、グリーンで実行可能な工業生産ルートである。
【0047】
本発明の方法によって合成されたZSM-23分子篩は、結晶化度が高く、結晶粒径がより小さく、より弱い酸および中程度の強さの酸を有し、強酸含有量が低く、かつ、良好な熱安定性および水熱安定性を有し、優れた吸着剤または触媒材料とすることができる。
【0048】
〔図面の簡単な説明〕
図1は、本発明の合成生成物のXRDスペクトルを示す。
【0049】
図2は、本発明の合成生成物の走査型電子顕微鏡画像である。
【0050】
〔詳細な説明〕
本発明による分析方法:
分子篩の比表面積および細孔容積は、Micromeritics社(米国)製のASAP 2405物理吸着装置を用いて、低温液体窒素物理吸着法により測定される。
【0051】
シリカ-アルミナモル比は、化学分析によって決定される。
【0052】
試料のXRDスペクトは、リガク社(日本)製のDmax2500 X線回折装置を用いて得られる。分子篩の相対結晶化度は、X線粉末回折(XRD)によって決定され、具体的には、従来のZSM-23分子篩のXRDスペクトルにおける約11.3°および19.5~23°の2θ度によって示される回折ピークの高さの合計を100%結晶化度として取り、他のサンプルと比較して相対結晶化度を得ることによって決定される。
【0053】
本発明によれば、ZSM-23分子篩は、2θ度:約11.3°+/-0.3°(例えば、+/-0.2°または+/-0.1°)によって示される特徴的な回折ピークを含むXRDパターンを有する。
【0054】
本発明によれば、ZSM-23分子篩は、2θ度:11.2~11.5°、19.5~19.9°、20.7~21.0°、および22.8~23.1°によって示される特徴的な回折ピークを含むXRDパターンを有する。
【0055】
粒径は、JEOL社(日本)のJSM-7500F電界放出走査電子顕微鏡で得た。
【0056】
酸分布(全酸量および強酸含有量を含む)はNH3昇温脱離(NH3-TPD)を用いて測定し、ここで、脱離温度が350℃以上である酸の量を強酸量とした。
【0057】
本発明において、酸量はH+として算出する。
【0058】
本発明において、重量%は質量分率であり、体積%は体積分率である。
【0059】
本発明をより良く説明するために、本発明を実施例および比較例と併せて以下にさらに説明する。しかし、本発明の範囲はこれらの実施例の範囲に限定されるものではない。
【0060】
実施例1
アルミン酸ナトリウム作業溶液(40g Al2O3/L)を調製した。28重量%のSiO2濃度のケイ酸ナトリウム溶液を、ケイ酸ナトリウム作業溶液(100g SiO2/L)に希釈した。150mLのアルミン酸ナトリウム作業溶液をゲル形成タンクに入れた。次いで、50mLのケイ酸ナトリウム作業溶液を添加した。反応温度を20℃に制御し、50体積%の濃度のCO2気体を導入した。pHが10.0に達したとき、CO2の導入を終了した。次いで、90mLのケイ酸ナトリウム作業溶液を添加し、次いで、残りのCO2気体を導入して安定させた。その系を25℃で30分間熟成して、非晶質シリカ-アルミナ前駆体を生成した。SiO2:Al2O3:Na2O:H2O=1:0.02:0.04:45、およびIPA/SiO2=0.7(IPA:テンプレート剤としてのイソプロピルアミン)の総仕込みモル比に基づいて、上記の得られた非晶質シリカ-アルミナ前駆体にイソプロピルアミンを添加した。得られた混合物を15℃で0.8時間撹拌し、非晶質シリカ-アルミナ前駆体とテンプレート剤とを含む混合溶液を生成した。次いで、該混合溶液に、水酸化ナトリウム、シリカゾル、および水からなる混合物を添加した。得られた混合物を撹拌して均一にし、シリカ-アルミナゲルを生成した。
【0061】
上記の得られたゲルをステンレス製の反応容器に注ぎ、160℃で20時間、静的に結晶化させた。結晶化の完了後、結晶化系を濾過し、中性に洗浄し、120℃で乾燥させて、ZSM-23-1と称する分子篩生成物を得;得られたZSM-23-1を550℃の空気中で3時間焼成して、焼成後の相対結晶化度を測定し、600℃で水蒸気により2時間水熱処理して、水熱安定性を測定した。具体的な特性を表1に示した。
図1は分子篩のXRDスペクトルを示し、
図2は分子篩の走査型電子顕微鏡画像を示し、得られた分子篩がZSM-23分子篩であることを確認した。
【0062】
実施例2
アルミン酸ナトリウム作業溶液(40g Al2O3/L)を調製した。28重量%のSiO2濃度のケイ酸ナトリウム溶液を、ケイ酸ナトリウム作業溶液(150g SiO2/L)に希釈した。200mLのアルミン酸ナトリウム作業溶液をゲル形成タンクに入れた。次いで、40mLのケイ酸ナトリウム作業溶液を添加した。反応温度を25°Cに制御し、50体積%の濃度のCO2気体を導入した。pHが10.5に達したとき、CO2の導入を終了した。次いで、40mLのケイ酸ナトリウム作業溶液を添加し、次いで、残りのCO2を導入して安定させた。その系を20℃で20分間熟成して、非晶質シリカ-アルミナ前駆体を生成した。SiO2:Al2O3:Na2O:H2O=1:0.005:0.04:60、およびIPA/SiO2=0.15の総仕込みモル比に基づいて、上記の得られた非晶質シリカ-アルミナ前駆体にイソプロピルアミンを添加した。得られた混合物を20℃で1時間撹拌し、非晶質シリカ-アルミナ前駆体とテンプレート剤とを含む混合溶液を得た。次いで、該混合溶液に、水酸化ナトリウム、シリカゾル、および水からなる混合物を添加した。得られた混合物を撹拌して均一にし、シリカ-アルミナゲルを生成した。
【0063】
上記の得られたゲルをステンレス製の反応容器に注ぎ、180℃で18時間、静的に結晶化させた。結晶化の完了後、結晶化系を濾過し、中性に洗浄し、120℃で乾燥させて、ZSM-23-2と称する分子篩生成物を得;得られたZSM-23-2を550℃の空気中で3時間焼成して、焼成後の相対結晶化度を測定し、600℃で水蒸気により2時間水熱処理して、水熱安定性を測定した。具体的な特性を表1に示した。XRDスペクトルは
図1と類似であり、走査型電子顕微鏡画像は
図2と類似であった。
【0064】
実施例3
アルミン酸ナトリウム作業溶液(50g Al2O3/L)を調製した。28重量%のSiO2濃度のケイ酸ナトリウム溶液を、ケイ酸ナトリウム作業溶液(100g SiO2/L)に希釈した。200mLのアルミン酸ナトリウム作業溶液をゲル形成タンクに入れた。次いで、60mLのケイ酸ナトリウム作業溶液を添加した。反応温度を30℃に制御し、50体積%の濃度のCO2気体を導入した。pHが10.0に達したとき、CO2の導入を終了した。次いで、40mLのケイ酸ナトリウム作業溶液を添加し、次いで、残りのCO2気体を導入して安定させた。その系を35℃で15分間熟成して、非晶質シリカ-アルミナ前駆体を生成した。SiO2:Al2O3:Na2O:H2O=1:0.01:0.04:30、およびIPA/SiO2=0.4の総仕込みモル比に基づいて、上記の得られた非晶質シリカ-アルミナ前駆体にイソプロピルアミンを添加した。得られた混合物を25℃で0.5時間撹拌し、非晶質シリカ-アルミナ前駆体とテンプレート剤とを含む混合溶液を生成した。次いで、混合溶液に、水酸化ナトリウム、シリカゾル、および水からなる混合物を添加した。得られた混合物を撹拌して均一にし、シリカ-アルミナゲルを生成した。
【0065】
前記得られたゲルをステンレス製の反応容器に注ぎ、160℃で24時間、静的に結晶化させた。結晶化の完了後、この結晶化系を濾過し、中性に洗浄し、120℃で乾燥させて、ZSM-23-3と称する分子篩生成物を得;得られたZSM-23-3を550℃の空気中で6時間焼成して、焼成後の相対結晶化度を測定し、600℃で水蒸気により2時間水熱処理して、水熱安定性を測定した。具体的な特性を表1に示した。XRDスペクトルは
図1と類似であり、走査型電子顕微鏡画像は
図2と類似であった。
【0066】
実施例4
アルミン酸ナトリウム作業溶液(20g Al2O3/L)を調製した。28重量%のSiO2濃度のケイ酸ナトリウム溶液を、ケイ酸ナトリウム作業溶液(150g SiO2/L)に希釈した。300mLのアルミン酸ナトリウム作業溶液をゲル形成タンクに入れた。次いで、20mLのケイ酸ナトリウム作業溶液を添加した。反応温度を30℃に制御し、50体積%の濃度のCO2気体を導入した。pHが11.0に達したとき、CO2の導入を終了した。次いで、20mLのケイ酸ナトリウム作業溶液を添加し、次いで、残りのCO2気体を導入して安定させた。その系を20℃で30分間熟成して、非晶質シリカ-アルミナ前駆体を生成した。SiO2:Al2O3:Na2O:H2O=1:0.01:0.04:45、およびIPA/SiO2=0.3の総仕込みモル比に基づいて、上記の得られた非晶質シリカ-アルミナ前駆体にイソプロピルアミンを添加した。得られた混合物を15℃で1時間撹拌し、非晶質シリカ-アルミナ前駆体とテンプレート剤とを含む混合溶液を生成した。次いで、該混合溶液に、水酸化ナトリウム、シリカゾル、および水からなる混合物を添加した。得られた混合物を撹拌して均一にし、シリカ-アルミナゲルを生成した。
【0067】
上記の得られたゲルをステンレス製の反応容器に注ぎ、180℃で24時間、静的に結晶化させた。結晶化の完了後、この結晶化系を濾過し、中性に洗浄し、120℃で乾燥させて、ZSM-23-4と称する分子篩生成物を得;得られたZSM-23-4を550℃の空気中で4時間焼成して、焼成後の相対結晶化度を測定し、600℃で水蒸気により2時間水熱処理して、水熱安定性を測定した。具体的な特性を表1に示した。XRDスペクトルは
図1と類似であり、走査型電子顕微鏡画像は
図2と類似であった。
【0068】
実施例5
アルミン酸ナトリウム作業溶液(40g Al2O3/L)を調製した。28重量%のSiO2濃度のケイ酸ナトリウム溶液を、ケイ酸ナトリウム作業溶液(50g SiO2/L)に希釈した。150mLのアルミン酸ナトリウム作業溶液をゲル形成タンクに入れた。次いで、140mLのケイ酸ナトリウム作業溶液を添加した。反応温度を25°Cに制御し、50体積%の濃度のCO2気体を導入した。pHが10.0に達したとき、CO2の導入を終了した。次いで、140mLのケイ酸ナトリウム作業溶液を添加し、次いで、残りのCO2気体を導入して安定させた。その系を25℃で20分間熟成して、非晶質シリカ-アルミナ前駆体を生成した。SiO2:Al2O3:Na2O:H2O=1:0.01:0.04:45、およびIPA/SiO2=0.4の総仕込みモル比に基づいて、得られた非晶質シリカ-アルミナ前駆体にイソプロピルアミンを添加した。得られた混合物を15℃で1時間撹拌し、非晶質シリカ-アルミナ前駆体とテンプレート剤とを含む混合溶液を生成した。次いで、該混合溶液に、水酸化ナトリウム、ヒュームドシリカ、および水からなる混合物を添加した。得られた混合物を撹拌して均一にし、シリカ-アルミナゲルを得た。
【0069】
上記の得られたゲルをステンレス製の反応容器に注ぎ、180℃で12時間、静的に結晶化させた。結晶化の完了後、その結晶化系を濾過し、中性に洗浄し、120℃で乾燥させて、ZSM-23-5と称する分子篩生成物を得;得られたZSM-23-5を550℃の空気中で3時間焼成して、焼成後の相対結晶化度を測定し、600℃で水蒸気により2時間水熱処理して、水熱安定性を測定した。具体的な特性を表1に示した。XRDスペクトルは
図1と類似であり、走査型電子顕微鏡画像は
図2と類似であった。
【0070】
実施例6
アルミン酸ナトリウム作業溶液(40g Al2O3/L)を調製した。28重量%のSiO2濃度のケイ酸ナトリウム溶液を、ケイ酸ナトリウム作業溶液(50g SiO2/L)に希釈した。150mLのアルミン酸ナトリウム作業溶液をゲル形成タンクに入れた。次いで、140mLのケイ酸ナトリウム作業溶液を添加した。反応温度を25°Cに制御し、50体積%の濃度のCO2気体を導入した。pHが10.0に達したとき、CO2の導入を終了した。次いで、140mLのケイ酸ナトリウム作業溶液を添加し、次いで、残りのCO2気体を導入して安定させた。その系を25℃で20分間熟成して、非晶質シリカ-アルミナ前駆体を生成した。SiO2:Al2O3:Na2O:H2O=1:0.01:0.04:45、およびSDA(構造指向剤(structure-directing agent))/SiO2=0.1の総仕込みモル比に基づいて、得られた非晶質シリカ-アルミナ前駆体にピロリジン(SDA)を添加した。得られた混合物を15℃で1時間撹拌し、非晶質シリカ-アルミナ前駆体とテンプレート剤とを含む混合溶液を生成した。次いで、該混合溶液に、水酸化ナトリウム、ヒュームドシリカ、および水からなる混合物を添加した。得られた混合物を撹拌して均一にし、シリカ-アルミナゲルを生成した。
【0071】
上記の得られたゲルをステンレス製の反応容器に注ぎ、180℃で12時間、静的に結晶化させた。結晶化の完了後、その結晶化系を濾過し、中性に洗浄し、120℃で乾燥させて、ZSM-23-6と称する分子篩生成物を得;得られたZSM-23-6を550℃の空気中で4時間焼成して、焼成後の相対結晶化度を測定し、600℃で水蒸気により2時間水熱処理して、水熱安定性を測定した。具体的な特性を表1に示した。XRDスペクトルは
図1と類似であり、走査型電子顕微鏡画像は
図2と類似であった。
【0072】
比較例1(CN101214971Aを参照)
アルミニウム源、シリコン源、アルカリ源、イソプロピルアミンおよびH2Oを調製して、アルミニウム源中のAl2O3:シリコン源中のSiO2:アルカリ源中のNaOH:イソプロピルアミン:H2O=0.006:1:0.06:0.8:12のモル比に基づいて混合し(当該アルミニウム源はアルミン酸ナトリウムであり、シリコン源はシリカゾルであり、アルカリ源は水酸化ナトリウムであった)、反応混合物を生成した。まず、水酸化ナトリウム水溶液にアルミニウム源を加えて、得られた混合物を均一に撹拌し;シリコン源を加えて、得られた混合物を均一に撹拌し;次いで、イソプロピルアミンを加えて、得られた混合物を均一に撹拌して、反応混合物を生成した。得られた反応混合物を高圧反応容器に移し、170℃で3日間水熱結晶化した。次いで、得られた混合物を濾過し、中性に洗浄し、120℃で乾燥させて、CNZSM-23-1と称する分子篩生成物を得;得られたCNZSM-23-1を550℃の空気中で3時間焼成して、焼成後の相対結晶化度を測定し、600℃で水蒸気により2時間水熱処理して、その水熱安定性を測定した。具体的な特性を表1に示した。
【0073】
比較例2(CN102992346Aを参照)
8.12gのH2Oと0.092gの硫酸アルミニウムとを均一に混合した。得られた混合物に0.38gのNaOHを添加した。次いで、得られた混合物に、シリカ含有量30.5%のシリカゾル3.32gを撹拌しながら添加した。溶液が均一になるまで撹拌を続けた。次いで、10%のZSM-23分子篩を結晶種として添加した(添加したSiO2の質量百分率に基づいて結晶種の量を計算した)。反応原料をPTFEステンレス製の反応容器に添加し、160℃で10時間、動的に結晶化させた。得られた生成物を吸引濾過し、乾燥させて生成物を得た。反応原料の比率はSiO2:0.008319Al2O3:0.27Na2O:35H2Oであった。生成物をCNZSM-23-2と称し、550℃の空気中で3時間焼成して、焼成後の相対結晶化度を測定し、600℃で水蒸気により2時間水熱処理し、その水熱安定性を測定した。具体的な特性を表1に示した。
【0074】
比較例3
アルミン酸ナトリウム作業溶液(50g Al2O3/L)を調製した。28重量%のSiO2濃度のケイ酸ナトリウム溶液を、ケイ酸ナトリウム作業溶液(100g SiO2/L)に希釈した。200mLのアルミン酸ナトリウム作業溶液をゲル形成タンクに入れた。次いで、60mLのケイ酸ナトリウム作業溶液を添加した。反応温度を30℃に制御し、50体積%の濃度のCO2気体を導入した。pHが10.0に達したとき、CO2の導入を終了した。次いで、40mLのケイ酸ナトリウム作業溶液を添加し、次いで、残りのCO2気体を導入して安定させた。その系を25℃で30分間熟成して、非晶質シリカ-アルミナ前駆体を得た。SiO2:Al2O3:Na2O:H2O=1:0.01:0.04:30、およびIPA/SiO2=0.4の総仕込みモル比に基づいて、上記の得られた非晶質シリカ-アルミナ前駆体に、水酸化ナトリウム、シリカゾル、イソプロピルアミン、および水からなる混合物を添加した。得られた混合物を撹拌して均一にし、シリカ-アルミナゲルを生成した。
【0075】
上記の得られたゲルをステンレス製の反応容器に注ぎ、160℃で24時間、静的に結晶化させた。結晶化の完了後、その結晶化系を濾過し、中性に洗浄し、120℃で乾燥させて、CZSM-23-3と称する分子篩原料粉末を得、その相対結晶化度を測定し;得られたCZSM-23-3を550℃の空気中で3時間焼成して、焼成後の相対結晶化度を測定し、600℃で水蒸気により2時間水熱処理して、その水熱安定性を測定した。具体的な特性を表1に示した。
【0076】
比較例4
固体の硫酸アルミニウムを60mLの硫酸アルミニウム作業液(a)(100g Al2O3/Lの濃度を有する)に希釈した。濃縮アンモニア水を適正量の蒸留水に加え、約10重量%の濃度の希釈アンモニア水(b)に希釈した。28重量%のSiO2を含むケイ酸ナトリウム溶液を、140mLのケイ酸ナトリウム作業溶液(c)(100g SiO2/Lの濃度を有する)に希釈した。5リットルのステンレス製反応タンクに0.5リットルの蒸留水を加え、撹拌し、70℃に加熱した。(a)、(b)および(c)を含む容器のバルブをそれぞれ開き、中和反応時間40分を維持するように(a)の流量を制御した後、(b)の流量を速やかに調整して系のpH値を7~8に維持し、系の温度を約60℃に制御した。硫酸アルミニウムの反応が完了した後、(b)の添加を終了し、形成されたシリカ-アルミナゾルを25℃で40分間熟成した。SiO2:Al2O3:Na2O:H2O=1:0.02:0.04:45、およびIPA/SiO2=0.7の総仕込みモル比に基づいて、上記の得られた非晶質シリカ-アルミナ前駆体にイソプロピルアミンを添加した。得られた混合物を15℃で0.8時間撹拌し、非晶質シリカ-アルミナ前駆体とテンプレート剤とを含む混合溶液を生成した。次いで、該混合溶液に、水酸化ナトリウム、シリカゾル、および水からなる混合物を添加した。得られた混合物を撹拌して均一にし、シリカ-アルミナゲルを生成した。
【0077】
上記の得られたゲルをステンレス製の反応容器に注ぎ、180℃で36時間、静的に結晶化させた。次いで、その結晶化系を濾過し、中性に洗浄し、120℃で乾燥させて、CZSM-23-4と称する分子篩を得て、その相対結晶化度を測定し;得られたCZSM-23-4を550℃の空気中で3時間焼成して、焼成後のその相対結晶化度を測定し、600℃で水蒸気により2時間水熱処理して、その水熱安定性を測定した。具体的な特性を表1に示した。
【0078】
比較例5(従来のZSM-23分子篩の調製)
水ガラス、硫酸アルミニウム、イソプロピルアミン(IPA)、水酸化ナトリウムおよび水を混合して、シリコン源中のSiO2:アルミニウム源中のAl2O3:NaOH:IPA:H2O=1:0.01:0.08:1.0:50の総モル比を有するゲルを生成した。得られたゲルを180℃で72時間加熱し、濾過し、洗浄し、乾燥し、焼成した。得られた生成物の相対結晶化度を測定し;600℃で水蒸気により2時間水熱処理した後の、その水熱安定性を測定した。
【0079】
【0080】
表1のデータから、本発明の実施例における調製方法は、高い結晶化度、より広いシリカ-アルミナ比範囲、比較的小さな結晶粒、比較的高い含有量の弱酸および中強酸、ならびに良好な熱安定性および水熱安定性を有するZSM-23分子篩を合成できることが分かる。
【0081】
ZSM-23分子篩試料の性能を固定床マイクロ反応装置で評価した。線形C20~C30水素化異性化反応における比較例1および実施例3の反応条件および触媒の結果は、以下のとおりであった:
反応原料:90重量%デカヒドロナフタレン、10重量%C20~C30直鎖アルカン;
反応条件:反応温度280℃、液空間速度1.0h-1、油に対する水素の比600;反応水素圧4.0MPa;
比較例3
液体収率(C5
+):93%;C20~C30異性化度:100%;C20~C30異性化生成物収率:42%;C20~C30異性化生成物における多分岐鎖成分の単分岐鎖成分に対する比率:0.4。
【0082】
実施例3
液体収率(C5
+):96%;C20~C30異性化度:100%;C20~C30異性化生成物収率:58%;C20~C30異性化生成物における多分岐鎖成分の単分岐鎖成分に対する比率:2.8。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【
図1】
図1は、本発明の合成生成物のXRDスペクトルを示す。
【
図2】
図2は、本発明の合成生成物の走査型電子顕微鏡画像である。
【国際調査報告】