(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-26
(54)【発明の名称】自らの視認窓から物質を取り除く手段を有する喉頭鏡検査装置
(51)【国際特許分類】
A61B 1/267 20060101AFI20240119BHJP
A61B 1/12 20060101ALI20240119BHJP
【FI】
A61B1/267
A61B1/12 531
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023541726
(86)(22)【出願日】2022-01-27
(85)【翻訳文提出日】2023-07-10
(86)【国際出願番号】 US2022070390
(87)【国際公開番号】W WO2022165502
(87)【国際公開日】2022-08-04
(32)【優先日】2021-01-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】306000186
【氏名又は名称】ザ リージェンツ オブ ザ ユニヴァーシティー オブ カリフォルニア
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ワン,ウェイラン
(72)【発明者】
【氏名】プンサラン,ガブリエル
【テーマコード(参考)】
4C161
【Fターム(参考)】
4C161AA13
4C161CC06
4C161FF35
4C161FF39
4C161HH04
4C161HH08
(57)【要約】
一実施形態では、喉頭鏡検査装置は、オペレータによる把持のために構成されたハンドルと、患者の気管内への挿入のために構成された、ハンドルから延在するブレードと、患者の気道が視認されることを可能にするブレード上に提供された取り除き視認窓と、気道の視界を遮る可能性のある物質を視認窓から取り除くための手段を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
喉頭鏡検査装置であって、
オペレータによる把持のために構成されたハンドルと、
患者の気管内への挿入のために構成された、前記ハンドルから延在するブレードと、
患者の気道が視認されることを可能にする、前記ブレード上に提供された取り除き視認窓と、
前記気道の視界を遮る可能性のある物質を前記視認窓から取り除くための手段と、を備える、喉頭鏡検査装置。
【請求項2】
前記ブレードが、湾曲している、請求項1に記載の喉頭鏡検査装置。
【請求項3】
前記ブレードが、前記ハンドルから延在する相対的に厚い近位部分と、前記相対的に厚い近位部分から延在して前記ブレードの遠位先端を形成する相対的に薄い遠位部分と、を有する、請求項1に記載の喉頭鏡検査装置。
【請求項4】
前記ハンドル及び前記ブレードを通って延在し、前記ブレードの遠位端の近くに位置付けられた第1の遠位開口部で終端する、第1のチャネルを更に備える、請求項1に記載の喉頭鏡検査装置。
【請求項5】
前記視認窓が、前記第1の遠位開口部を覆い、密封する、請求項4に記載の喉頭鏡検査装置。
【請求項6】
前記第1のチャネルが、ビデオデバイス又はビデオデバイスに画像を送信するように構成された光導波路を収容するように構成されている、請求項5に記載の喉頭鏡検査装置。
【請求項7】
前記装置が、別個のビデオデバイスを受容するように構成されるビデオ喉頭鏡検査スリーブとして構成されている、請求項6に記載の喉頭鏡検査装置。
【請求項8】
前記装置が、単回使用のために設計されている、請求項7に記載の喉頭鏡検査装置。
【請求項9】
前記ビデオ喉頭鏡検査スリーブが、別個のビデオバトンを受容するように特に構成されている、請求項7に記載の喉頭鏡検査装置。
【請求項10】
前記装置が、一体型カメラを有するビデオ喉頭鏡である、請求項6に記載の喉頭鏡検査装置。
【請求項11】
物質を取り除くための前記手段が、前記第1のチャネルに沿って延在して、前記第1の遠位開口部に隣接する第2の遠位開口部で終端する、第2のチャネルを含む、請求項6に記載の喉頭鏡検査装置。
【請求項12】
前記第2のチャネルが、前記第2の遠位開口部に流体を送達するように構成された流体送達チャネルである、請求項11に記載の喉頭鏡検査装置。
【請求項13】
物質を取り除くための前記手段が、前記第1のチャネルに被さる前記視認窓の外面にわたって流体の噴流を排出するように構成される、前記第2のチャネルと流体連通する流体ノズルを更に含む、請求項12に記載の喉頭鏡検査装置。
【請求項14】
前記流体ノズルが、前記視認窓の前記外面を横切って流体の前記噴流を排出するように構成されている、請求項13に記載の喉頭鏡検査装置。
【請求項15】
前記流体ノズルが、前記視認窓に一体化され、前記視認窓が、前記第2の遠位開口部を覆い、密封する、請求項14に記載の喉頭鏡検査装置。
【請求項16】
前記第1のチャネルに沿って延在し、前記第1の遠位開口部に隣接して、前記流体ノズルよりも前記第1の遠位開口部の反対側に位置付けられた第3の遠位開口部で終端する、第3のチャネルを更に備える、請求項15に記載の喉頭鏡検査装置。
【請求項17】
前記第3のチャネルが、前記排出された流体、及び前記排出された流体が取り除く任意の物質を、前記視認窓の前記外面から除去する吸引を適用するように構成されている、請求項16に記載の喉頭鏡検査装置。
【請求項18】
前記第3のチャネルは、前記第3のチャネルが作業チャネルとして使用され得るように、別個のデバイスを受容するように構成されている、請求項16に記載の喉頭鏡検査装置。
【請求項19】
喉頭鏡検査装置の視認窓から物質を取り除くための方法であって、前記方法が、
前記視認窓の第1の側面に位置付けられた流体ノズルを用いて、前記視認窓の外面を横切って流体の噴流を排出することと、
前記排出された流体、及び前記流体が取り除く任意の物質を、前記視認窓の前記外面から前記視認窓の第2の反対側に位置付けられた開口部を介して除去することと、を含む、方法。
【請求項20】
流体の噴流を排出することが、液体の噴流を排出することを含む、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年1月27日に出願された同時係属中の米国仮出願第63/142,444号の優先権を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
ビデオ喉頭鏡検査は、救命のための緊急呼吸チューブの配置中にしばしば使用される。しかし、気道分泌物、胃液、血液などの液体、及び/又は逆流食物などの固体は、喉頭鏡カメラの視認窓を覆い、したがって、気道の視界を遮ることがある。これにより、気管ではなく食道内に呼吸チューブが誤って配置される可能性がある。患者はその時点で呼吸していない可能性があるため、担当の専門医は呼吸を回復させ、誤嚥を防ぐために、喉頭鏡及び呼吸チューブを患者の気道内に配置するという極端な時間的プレッシャーにさらされる。担当の専門医がこれを時間内に達成できなければ、結果として、血液の低酸素症、アシドーシス、更には死に至る可能性がある。
【0003】
これらの事実を考慮すると、気管内への装置の挿入中に患者の気道の視界を遮る可能性のある物質を取り除くための手段を含む、ビデオ喉頭鏡検査装置を有することが望ましいことが理解され得る。
【発明を実施するための形態】
【0004】
上述したように、気管内への装置の挿入中に患者の気道の視界を遮る可能性がある、患者の液体及び/又は固体などの物質を取り除くための手段を含む、喉頭鏡検査装置を有することが望ましいであろう。そのような装置の例は、本明細書に開示される。一実施形態では、喉頭鏡検査装置は、細長いブレードが延在するハンドルを有するスリーブとして構成される。喉頭鏡検査装置は、ビデオバトンなどのビデオデバイスを受容するように構成され、ブレードは、挿管(すなわち、気管内に気管チューブを配置する)の目的で、専門医によって患者の気管に挿入されるように構成される。装置は、ハンドル及びブレードを通って延在し、取り除き視認窓で終端する第1のチャネルを備える。ビデオデバイスのカメラが視認窓に対して又は隣接して位置付けられたとき、患者の内部解剖学的構造は、ブレードの挿入中にカメラによって捕捉された画像を介して視認され得る。装置は、流体の噴流を用いて喉頭鏡検査装置の視認窓からの取り除きを容易にする第2のチャネルと、排出された流体及び噴流によって取り除かれた任意の物質を除去するために使用され得る第3のチャネルと、を更に含む。
【0005】
以下の開示では、様々な具体的な実施形態が説明される。これらの実施形態は、開示された発明の例示的な実装形態であり、代替実施形態が可能であることを理解されたい。そのような代替実施形態は、異なる開示された実施形態からの特徴を含むハイブリッド実施形態を含む。全てのそのような実施形態は、本開示の範囲内であることが意図される。
【0006】
図1は、装置の視認窓から物質を取り除く手段を含む、喉頭鏡検査装置10の例示的な実施形態を示す。
図1の例示的な装置10は、ビデオバトンなどのビデオデバイスを受容するように構成されたビデオ喉頭鏡スリーブとして構成される。装置10は、一般に、オペレータによって把持されるように構成されたハンドル12と、患者を挿管する目的で、口を通る気管内への挿入のために構成された細長い湾曲したブレード14と、を含む。いくつかの実施形態では、ハンドル12及びブレード14は、ポリマー材料などの安価な材料から一体的に形成されるため、喉頭鏡検査装置10は安価に製造され得、したがって、1回の使用及び使い捨てに適している。
図1から分かるように、ブレード14は、ハンドル12から延在する相対的に厚い近位部分16と、近位部分から延在する相対的に薄い遠位部分18と、を含む。遠位部分18は、ブレード14の遠位先端20を形成する。
【0007】
ハンドル12及びブレード14の近位部分16を通って延在するのは、ビデオデバイスを受容するように構成された第1の又は一次チャネル22である。いくつかの実施形態では、一次チャネル22は、ハンドル12によって形成されるチャネルの近位開口部24を通って、本体、カメラ、及び本体とカメラとの間に延在するシャフト、を備えるビデオバトン(図示せず)の特定のモデルを受容するように特に構成される。例として、バトンの本体は、ハンドル12によって形成された一次チャネル22の近位部分内に位置付けられ得、シャフトは、チャネルの遠位部分を通って延在し、カメラは、ブレード14によって形成されたチャネルの第1の遠位開口部26に隣接して位置付けられ得る。
図2~
図4に最も明確に示されるように、一次チャネル22は、いくつかの実施形態では、略矩形(例えば、正方形)の断面を有し得る。
【0008】
図1及び
図3~
図6を参照すると、一次チャネル22の第1の遠位開口部26に提供されるのは、喉頭鏡検査装置10とともに使用されるビデオデバイスのカメラによって画像及び/又はビデオ(一連の連続画像であるビデオ)が捕捉され得る取り除き視認窓28である。視認窓28は、少なくとも、患者内からの液体及び/又は固体などの物質が一次チャネルに入ることができないように、一次チャネル22の第1の遠位開口部26を覆い、密封する。しかしながら、以下に記載するように、いくつかの実施形態では、視認窓28は、第1の遠位開口部26を越えて延在して、窓から物質を取り除くために流体が排出され得るノズルを形成するなどの更なる目的を果たすことができる。例として、視認窓28はまた、ポリマー材料で作製され得る。
【0009】
ビデオバトンは、喉頭鏡検査装置10によって受容され、喉頭鏡検査装置10とともに使用され得る例示的なビデオデバイスとして識別されているが、他のビデオデバイスが装置とともに使用され得ることに留意されたい。実際には、視認窓28に対して又は隣接する一次チャネル22の遠位部分内に固定的に位置付けられ得るカメラを有する、実質的に任意のビデオデバイスが使用され得る。更に、ビデオデバイスは、ブレード14内、又は更には喉頭鏡検査装置10のハンドル12内に位置付けられたカメラを含む必要はないことに留意されたい。例えば、光ファイバなどの1つ以上の光導波路は、それらの遠位端が視認窓28と接触するか、又は隣接して位置付けられる様式で、一次チャネル22を通して挿入され得る。このような場合、1つ以上の光導波路は、喉頭鏡検査装置10の内側又は外側のいずれかに位置付けられたカメラに画像を送信することができる。
【0010】
図1を再び参照すると、喉頭鏡検査装置10はまた、第2の又は流体送達チャネル30を含む。図示の実施形態では、流体送達チャネル30は、ハンドル12及びブレード14の第1の側面の一部(具体的には、ブレードの近位部分16)を形成し、それに沿って延在する。流体送達チャネル30は、ハンドル12の近位端から延在する第1の近位チューブ32を起点とし、一次チャネル22の第1の遠位開口部26に横方向に隣接して位置付けられる第2の遠位開口部34で終端する。図示の実施形態では、一次チャネル22の第1の遠位開口部26を覆い、密封する視認窓28はまた、流体送達チャネル30の第2の遠位開口部34を覆い、密封する。
図6で最も明確に分かるように、このような場合、視認窓28は、第2の遠位開口部34と流体連通している視認窓と一体的に形成された一体型流体ノズル36を含む。流体ノズル36は、一次チャネル22の第1の遠位開口部26に被さる視認窓の部分の外面37(
図6を参照)を横切って流体の高速噴流を排出するように構成される。
図6の破線は、流体送達チャネル30を通り、視認窓36の表面37にわたる流体の経路を明らかにしている。排出される流体は、気体、液体、又は2つの組み合わせを含むことができる。例示的なガスとしては、空気及び酸素が挙げられる。例示的な液体としては、水、生理食塩水、並びに1種類以上の薬などの1つ以上の有益な成分を含有する溶液が含まれる。流体の噴流が視認窓28にわたって排出されるとき、患者内からの流体及び/又は固体などの物質は、それらが視認窓の後ろに位置付けられたカメラ(又は光導波路)の視界を遮らないように、その外面から追いやられる。
【0011】
図4を参照すると、流体送達チャネル30の反対側に提供されるのは、第3のチャネル38であり、これは、どのように使用されるかに応じて、吸引チャネル又は作業チャネルとして機能することができる。本開示の残りの部分では、第3のチャネル38は、「補助」チャネルと称される。図示の実施形態の補助チャネル38は、ハンドル12及びブレード14の第2の側面の一部(具体的には、ブレードの近位部分16)を形成し、それに沿って延在する。補助チャネル38は、ハンドル12の近位端から延在し、一次チャネル22の第1の遠位開口部26に横方向に隣接して位置付けられた第3の遠位開口部42で終端する第2の近位チューブ40を起点とする。
図4において分かるように、第3の遠位開口部42は、流体送達チャネル30の第2の遠位開口部34よりも一次チャネル22の反対側に位置付けられる。
【0012】
第1の使用事例では、補助チャネル38は、吸引チャネルとして使用される。このような場合、吸引源(図示せず)は、
図6の破線によって示されるように、物質が視認窓28に隣接する領域から除去され得るように、第2の近位チューブ40に接続され得る。この物質は、ノズル36から排出される任意の流体、並びにノズルから排出された流体の噴流が視認窓28から除去した患者の液体及び/又は固体を含むことができる。したがって、ノズル36及び補助チャネル38を一緒に使用して、そうでなければ患者の気道の視界を遮る可能性のある物質を取り除いて除去することができる。
図4~
図6において最も明確に分かるように、ブレード14は、ブレードの近位部分16の遠位端と、第3の遠位開口部42の隣のブレードの遠位部分18との間に延在する側方フランジ44を含むことができる。提供された場合、排出された流体及び除去された物質のためのバックストップとして機能するフランジ44は、流体及び物質の除去を支援するために、視認窓28を横切って移動する。いくつかの実施形態では、補助チャネル38及び/又はその開口部42は、エアロゾル化ウイルスを患者から除去するように構成されるように最適化され、位置付けられ得ることに更に留意されたい。
【0013】
第2の使用事例では、補助チャネル38は、他の医療機器を通過させることができる作業チャネルとして使用される。例えば、吸引カテーテル(図示せず)は、補助チャネル38を通過し、補助チャネルが吸引チャネルとして使用されるときと同様の様式で、排出された流体及び/又は患者物質を取り除くために使用され得る。加えて、しかしながら、そのような吸引カテーテルは、第3の遠位開口部42を超えて存在する任意の物質を除去するために、ブレード14の遠位端を越えて延在させられ得る。別の例として、ガイドワイヤ(図示せず)は、別の医療器具の患者内への挿入を容易にするために、補助チャネル38を通過させられ得る。このような場合、喉頭鏡検査装置10もイントロデューサとして機能する。
【0014】
上に開示された例示的な喉頭鏡検査装置は、ビデオバトンなどの別個のビデオデバイスを受容するように適合されたスリーブとして構成されていると説明してきたが、他の実施形態では、喉頭鏡検査装置は、それ自身の一体型カメラデバイスを含むことができ、この場合、装置は実際にビデオ喉頭鏡であることに留意されたい。「喉頭鏡検査装置」という用語は、本明細書で広く使用され、別個のビデオデバイスとともに使用するための両方のスリーブ、並びに独自の完全に一体化されたカメラを有するビデオ喉頭鏡を含む。
【国際調査報告】