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特表2024-503655高収率および高純度のフロモキセフを製造する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-26
(54)【発明の名称】高収率および高純度のフロモキセフを製造する方法
(51)【国際特許分類】
   C07D 505/02 20060101AFI20240119BHJP
   A61K 31/5365 20060101ALN20240119BHJP
   A61P 31/04 20060101ALN20240119BHJP
【FI】
C07D505/02
A61K31/5365
A61P31/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023541920
(86)(22)【出願日】2022-01-05
(85)【翻訳文提出日】2023-07-10
(86)【国際出願番号】 KR2022000152
(87)【国際公開番号】W WO2022149847
(87)【国際公開日】2022-07-14
(31)【優先権主張番号】10-2021-0002506
(32)【優先日】2021-01-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521109143
【氏名又は名称】ユーケイ ケミファーム カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】UK CHEMIPHARM CO., LTD
(74)【代理人】
【識別番号】110003339
【氏名又は名称】弁理士法人南青山国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】イ,ヨンクン
(72)【発明者】
【氏名】パク,テス
(72)【発明者】
【氏名】ピョン,ヨンソク
(72)【発明者】
【氏名】オ,ギボム
【テーマコード(参考)】
4C072
4C086
【Fターム(参考)】
4C072AA01
4C072BB02
4C072CC01
4C072CC11
4C072DD03
4C072EE06
4C072FF01
4C072GG07
4C072GG08
4C072GG09
4C072HH07
4C072JJ05
4C072UU01
4C086AA04
4C086CC18
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA20
4C086ZB35
(57)【要約】
本発明は、高収率および高純度のフロモキセフを製造する方法に関するものでより一層詳細にはグラム陽性および陰性菌に作用するオキサセフェム系抗生物質である(6R,7R)-7-[[2-(ジフルオロメチルスルファニル)アセチル]アミノ]-3-[[1-(2-ヒドロキシエチル)テトラゾール-5-イル]スルファニルメチル]-7-メトキシ-8-オキソ-5-オキサ-1-アザビシクロ[4.2.0]オクト-2-エン-2-カルボン酸(別名 フロモキセフ-FA(Flomoxef-FA))を高収率および高純度で製造する方法に関するものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(6R,7R)-ベンズヒドリル-7-(ジフルオロメチルチオ)アセトアミド)-3-(((1-(2-ヒドロキシエチル)-1H-テトラゾール-5-イル)スルフェニル)メチル)-7-メトキシ-8オキソ-5-オキサ-1-アザ-ビシクロ[4.2.0]オクト-2-エン-2-カルボキシレートと、クレゾール、トルエンおよびそれらの組み合わせからなる群から選択される溶媒を反応させる第1段階と、前記第1段階の生成物を結晶化してフロモキセフを合成する第2段階を含むフロモキセフの製造方法。
【請求項2】
第1項においで溶媒がo-クレゾール、m-クレゾール、p-クレゾール、トルエンおよびそれらの組み合わせからなる群から選択されるものである、フロモキセフの製造方法。
【請求項3】
第1項においで、前記第1段階でフロモキセフ-BH100重量部当たり、クレゾール、トルエンおよびそれらの組合せからなる群から選択される溶媒400ないし800重量部を反応させる、フロモキセフの製造方法。
【請求項4】
第1項においで、前記第1段階は50℃ないし70℃の反応温度で行われる、フロモキセフの製造方法。
【請求項5】
第1項においで、前記第1段階は2ないし8時間の間で行われる、フロモキセフ製造方法。
【請求項6】
第1項においで、不純物を除去するための前記第1段階の生成物に、酢酸、トリフルオロ酢酸、リン酸、クエン酸およびそれらの組み合わせからなる群から選択される酸を添加する工程をさらに含む、フロモキセフの製造方法。
【請求項7】
第1項においで、前記第2段階で、前記第1段階の生成物にアセトンおよびジクロロメタンの組み合わせである溶媒を添加して結晶化を行う、フロモキセフの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高収率及び高純度のフロモキセフを製造する方法に関する。
より具体的には、グラム陽性および陰性菌に作用するオキサセフェム系抗生物質である、(6R,7R)-7-[[2-(ジフルオロメチルスルファニル)アセチル]アミノ]-3-[[1-(2-ヒドロキシエチル)テトラゾール-5-イル]スルファニルメチル]-7-メトキシ-8-オキソ-5-オキサ-1-アザビシクロ[4.2.0]オクト-2-エン-2-カルボン酸(別名フロモキセフ)を高収率および高純度で製造する方法に関するものだ。
【背景技術】
【0002】
セフェム系抗生物質はセファロスポリン、セファロスポリン、セファマイシン(cephamycin)、オラルセフェム(oralcephem)、ペネム(penem)、カバペネム(carbapenem)、モノバクタム(monobactam)、ベータラクタマーゼ阻害剤(β-lactamaseInhibitor)とオキサセフェムなどに分けることができる。また、投与経路によって注射剤と経口剤に二分される。
【0003】
フロモキセフナトリウム(Flomoxef sodium)は日本塩野義製薬研究所によって開発されたオキサセフェム系に属する注射用抗生物質である。化学構造上ラタモキセフ(Latamoxef)と同様に、1-オキサセフェム骨格を有する(下記の化学式1および2参照)。
【0004】
[化学式1]
【化1】
【0005】
[化学式2]
【化2】
【0006】
さらに、フロモキセフナトリウムは、従来のセフェム系抗生物質とは異なり、セファロスポリン骨格の1位置に硫黄原子の代わりに酸素で置換して抗菌力を増加させたオキサセフェム系を基本構造として、抗菌範囲、薬動力学特性、副作用面、そしてβ-ラクタマーゼの安全性などでより増強補完された製剤である。
【0007】
すなわち、フロモキセフナトリウムは、グラム陰性菌に対する抗菌力を維持しながら、第3世代セフェム系の共通の弱点を補い、グラム陽性菌、特にメチシリン耐性ブドウ球菌(MRSA)に対しても従来のセフェム系より強い抗菌力を示す最新の抗生物質である。
【0008】
フロモキセフは、既存の代表的な第3世代セフェム系注射用抗生剤であるラタモキセフの優れた性質をできるだけ活かしながら、不十分な性質を改良した新世代の広範囲抗生物質です。
【0009】
以上2つの目標を達成するために、1-オキサセフェム核の7位と3位の化学修飾を行い、いくつかの化合物を合成してフロモキセフを製造した。
【0010】
その中でも7位にアルキルチオアセチル(alkylthioacetyl)基を、3位にテトラゾール-チオメチル(tetrazol-thiomethyl)基を持つものが、グラム陽性菌およびグラム陰性菌のいずれに対しても優れた抗菌力を示すことがわかった。
【0011】
更に、7位の前のR1と3位のテトラゾルにあるR2に対して薬効面でその抗菌力と体内動態の比較を行う一方、安全性の面ではジスルフィラム(disulfiram)両作用と腎毒性がないことを指標として各種検討を行った。
【0012】
その結果、R1としてはジフルオロメチル(difluoromethyl)基を、R2としてはヒドロキシエチル(hydroxyethyl)基を選択した。
【0013】
さらに、対応する1-チアのセファロスポリン(cephalosporin)誘導体と比較して、フロモキセフのグラム陽性菌およびグラム陰性菌に対する抗菌活性は2~16倍も強いのが確認された。
【0014】
これらの抗生物質のうち、オキサセフェム系抗生物質であるフロモキセフ(Shionogi、1988)とラタモキセフ(Lilly、1981)などが現在市販されているが、これらを合成するためには中間体を発酵または全合成により製造しなければならず、世界的にShionogi社とLillyを除いては中間体および完成の原料供給先がない実情だ。日本の中でジェネリック(Generic)開発のための原料を手配中だが、自社生産を除いては供給先がない。
【0015】
オキサセフェム系抗生物質の場合、製品群の種類が少なく、発酵による中間体の開発では効率性のある菌株の開発が行われておらず、フロモキセフの場合、原発売社が開発した図式のように、抗生物質原剤および中間体は全合成で進むべきである。これは合計24段階の合成経路を経て製造されなければならないので簡単にアクセスするのは非常に難しいアイテムなので、新しい合成法について開発が必要です。
【0016】
一方、フルオロメチルチオオキサセファロスポリンの製造方法に関する公知された文献を見ると、下記反応式1(フロモキセフ合成)を実施する上でカルボキシル脱保護のためにジクロロメタン(Dichloromathane)に溶かした液にアニソール(Anisol)とチタンテトラクロライド(Titanium tetrachloride)またはアルミニウム塩化物(Aluminum chloride)を使用して脱保護またはアルミニウム塩化物の代わりにトリフルオロ酢酸を使用する。
【0017】
[反応式1]
【化3】
【0018】
したがって、反応混合物を抽出するプロセスは容易ではないだけでなく、反応中に副反応の生成があり、したがって化合物の純度も低下する。
【0019】
したがって、高収率および高純度のフロモキセフの製造方法に対する需要が相変わらず存在します。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
本発明は、グラム陽性および陰性菌に作用するオキサセフェム系抗生剤である(6R,7R)-7-[[2-(ジフルオロメチルスルファニル)アセチル]アミノ]-3-[[1-(2‐ヒドロキシエチル)テトラゾール-5-イル]スルファニルメチル]-7-メトキシ-8-オキソ-5-オキサ-1-アザビシクロ[4.2.0]オクト-2-エン-2-カルボン酸(本明細書ではフロモキセフまたはフロモキセフナトリウム(Flomoxef-FA)と呼ばれる)を高収率および高純度で製造する方法お提供することを技術的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
上記の技術的課題を解決しようとする本発明は、(6R,7R)-ベンズヒドリル-7-(ジフルオロメチルチオ)アセトアミド)-3-(((1-(2-ヒドロキシエチル)-1H-テトラゾール-5-イル)スルフェニル)メチル)-7-メトキシ-8オキソ-5-オキサ-1-アザ-ビシクロ[4.2.0]オクト-2-エン-2-カルボキシレートと、クレゾール、トルエンおよびそれらの組み合わせからなる群から選択される溶媒を反応させる第1段階、そして第1段階の生成物を結晶化してフロモキセフを合成する第2段階を含むフロモキセフ製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、フロモキセフ-BHを出発物質として、クレゾール、トルエン及びそれらの組合せからなる群から選択される溶媒と反応させて高収率と高純度のフロモキセフを製造することができる。また、本発明によれば、フロモキセフを製造において、SUS反応器とG/L反応器の両方を使用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明をより詳細に説明する。
【0024】
本明細書では、
フロモキセフ-Clは、(6R,7R)-Benzhydryl3-(chloromethyl)-7-((1-(((Z)-2-chlorovinyl)oxy)-2-((difluoromethyl)thio)ethyl)amino)-7-methoxy-8-oxo-5-oxa-1-azabicyclo[4.2.0]oct-2-ene-2-carboxylateを意味する。
【0025】
フロモキセフ-BHは、(6S,7R)-ベンズヒドリル-7-(ジフルオロメチルチオ)アセトアミド)-3-(((1-(2-ヒドロキシエチル)-1H-テトラゾール-5-イル)スルフェニル)メチル)-7-メトキシ-8オキソ-5-オキサ-1-アザ-ビシクロ[4.2.0]オクト-2-エン-2-カルボキシレートを意味する。
【0026】
フロモキセフは、(6R,7R)-7-[[2-(difluoromethylsulfanyl)acetyl]amino]-3-[[1-(2-hydroxyethyl)tetrazol-5-yl]sulfanylmethyl]-7-methoxy-8-oxo-5-oxa-1-azabicyclo[4.2.0]oct-2-ene-2-carboxylic acidを意味する。
【0027】
本発明のフロモキセフの製造方法は、
(6R,7R)-ベンズヒドリル-7-(ジフルオロメチルチオ)アセトアミド)-3-(((1-(2-ヒドロキシエチル)-1H-テトラゾール-5-イル)スルフェニル)メチル)-7-メトキシ-8オキソ-5-オキサ-1-アザビシクロ[4.2.0]オクト-2-エン-2-カルボキシレート(Flomoxef-BH)と、クレゾールを反応させる第1段階及び第1段階の生成物を結晶化してフロモキセフを合成する第2段階を含む。
【0028】
例として、本発明のフロモキセフの製造方法は、フロモキセフ-Clと側鎖(side chain)を用いて合成されたフロモキセフ-BHと、クレゾール、例えばm-クレゾール反応させた後、反応生成物を結晶化してフロモキセフを合成することができる(以下反応式2を参照)。
【0029】
[反応式2]
【化4】
【0030】
フロモキセフ-Cl((6R,7R)-Benzhydryl3-(chloromethyl)-7-((1-(((Z)-2-chlorovinyl)oxy)-2-((difluoromethyl)thio)ethyl)amino)-7-methoxy-8-oxo-5-oxa-1-azabicyclo[4.2.0]oct-2-ene-2-carboxylate)と反応する側鎖としては、1-(2-ヒドロキシエチル)-1H-テトラゾール-5-イルチオールナトリウム塩(1-(2-ヒドロキシエチル)-1H-テトラゾール-5-イルチオールナトリウムナトリウム塩)などを用いることができる。
【0031】
本発明のフロモキセフの製造方法は、(6R,7R)-ベンズヒドリル-7-(ジフルオロメチルチオ)アセトアミド)-3-(((1-(2-ヒドロキシエチル)-1H-テトラゾール-5-イル)スルフェニル)メチル)-7-メトキシ-8オキソ-5-オキサ-1-アザ-ビシクロ[4.2.0]オクト-2-エン-2-カルボキシレート(フロモキセフ-BH)と、クレゾール、トルエンおよびそれらの組み合わせからなる群から選択される溶媒を反応させる第1段階の工程が含める。
【0032】
従来技術では、上述のように上記スキーム2(フロモキセフの合成)を実施において、カルボキシ脱保護をジクロロメタン(Dichloromathane)に溶かした液体にエニソール(Anisol)およびチタン四塩化物(Titanium tetrachloride)または塩化アルミニウム(Aluminum chloride)を使用して脱保護したり、アルミニウム塩化物の代わりにトリフルオロ酢酸を使用する。したがって、反応混合物を抽出するプロセスが容易ではないだけでなく、反応中にいくつかの副反応の生成があります。これにより化合物の純度も低下する問題があった。
【0033】
本発明のフロモキセフの製造方法では、カルボキシ脱保護のためにフロモキセフ-BHとクレゾールを反応させることにより、従来技術で発生する問題点を解決するだけでなく、原料価格の面でも大きな利点と収率向上が見られる。特に、フロモキセフを製造する際においで、SUS反応器(内部がステンレスでされている反応器)とG/L反応器(内部がガラスでコーティングされている反応器)の両方使用できる。従来のフロモキセフ製造方法の場合、SUS反応器では酸による腐食のため使用できなかったが、本発明のフロモキセフの製造方法ではSUS反応器にも使用できるので、様々な生産現場で適用できる。
【0034】
本発明のフロモキセフの製造方法の第1段階で使用される溶媒は、o-クレゾール、m-クレゾール、p-クレゾール、トルエンおよびそれらの組み合わせからなる群から選択されるかもしれないし組合せの例としては、m-クレゾール62%+p-クレゾール38%の混合物を用いることができる。
【0035】
本発明のフロモキセフの製造方法の第1段階において、フロモキセフ-BH100重量部当たり反応させるクレゾール、トルエンおよびそれらの組合せからなる群から選択される溶媒の重量は、400重量部以上、420重量部以上、450重量部以上または500重量部以上かもしれないし、800重量部以下、750重量部以下、700重量部以下又は600重量部以下である可能性があり、例えば400~800重量部、420~750重量部、450~700重量部、または500~600重量部であり得る。上記溶媒の重量が上記範囲より低いと副反応が生じ、収率が著しく低下する問題が発生する可能性があり、上記範囲を超えると追加の効果が発生しないが生産製造単価が上昇するという問題が発生する。
【0036】
本発明のフロモキセフ-FAの製造方法において、第1工程は周囲温度ないし選択される。溶媒の還流温度範囲の温度で適切な溶媒中で実施することができ、50℃ないし70℃、例えば55℃ないし65℃または60℃ないし70℃の反応温度で実施することができ、2ないし8時間、例えば2ないし6時間または3ないし5時間の間実行できる。反応温度および反応時間が上記範囲外の場合フロモキセフの収率が低下する事がある。
【0037】
本発明のフロモキセフの製造方法は、不純物の除去のために第1段階の生成物に酸を添加する段階を追加で含める事が出来る。上記酸は酢酸、トリフルオロ酢酸、リン酸、クエン酸およびそれらの組み合わせからなる群から選択されるかもしれない。
【0038】
本発明のフロモキセフの製造方法は、第1段階の生成物を結晶化し、フロモキセフを合成する第2のステップを含む。
【0039】
第2段階では、第1段階の生成物にアセトンとジクロロメタンの組み合わせである溶媒を添加して結晶化を行うことができる。
【0040】
本発明によれば、フロモキセフ-BHを出発物質として、クレゾール、トルエン及びそれらの組合せからなる群から選択される溶媒と反応させて高収率と高純度のフロモキセフを製造することができる。また、本発明によれば、フロモキセフを製造において、SUS反応器とG/L反応器の両方を使用することができる。
【0041】
以下、実施例および比較例を介して本発明をより詳細に説明する。しかし、本発明の範囲はこれらに限定されない。
【0042】
実施例
合成例:フロモキセフ-BHの合成
(6R,7R)-benzhydryl3-(chloromethyl)-7-((1-(((Z)-2-chlorovinyl)oxy)-2-((difluoromethyl)thio)ethyl)amino)-7-methoxy-8-oxo-5-oxa-1-azabicyclo[4.2.0]oct-2-ene-2-carboxylate100gをジメチルホルムアミド(Dimethylformamide)237gに溶かした後、0±3℃に冷却して反応を準備した。1-(2-ヒドロキシエチル)-1H-テトラゾール-5-イルチオールナトリウム塩(1-(2-Hydroxyethyl)-1H-tetrazol-5-ylthiol sodium salt)36.5gを0±3℃維持し、ゆっくり加えた後、1~2時間の間撹拌した。
【0043】
反応が終了したら、エタノール335g+精製水326gを反応器に投入した。20℃~30℃で3~4時間の間結晶化を進行した。精製水500gを追加で投入して1~2時間攪拌した。生成された固体を濾過し、エタノール103g+精製水100gで濾過した固体を洗浄した。ろ過して得られた目的化合物(6R,7R)-7-[[2-(difluoromethylsulfanyl)acetyl]amino]-3-[[1-(2-hydroxyethyl)tetrazol-5-yl]sulfanylmethyl]-7-methoxy-8-oxo-5-oxa-1-azabicyclo[4.2.0]oct-2-ene-2-carboxylate(フロモキセフ-BH)120g(収率99.9%、純度99.2%)を得た。
【0044】
実施例1:フロモキセフの合成(m-Cresol使用)
(6R,7R)-7-[[2-(difluoromethylsulfanyl)acetyl]amino]-3-[[1-(2-hydroxyethyl)tetrazol-5-yl]sulfanylmethyl]-7-methoxy-8-oxo-5-oxa-1-azabicyclo[4.2.0]oct-2-ene-2-carboxylate(フロモキセフ-BH)120gを60℃~70℃に加温されているm-クレゾール620gに投入した。溶融した後、65℃~70℃に維持し、3時間撹拌した。
【0045】
反応が終了した後、反応液にエチルアセテート(Ethyl acetate)1080gと飽和食塩水(brine)1200gを5~10℃で維持しながら添加した。ここで重炭酸ナトリウム(Sodium bicarbonate)16.7gを同じ温度に保持しながら加え、撹拌して中性に調整した後、静置後分離して水層を収去した。有機層に再び飽和食塩水600gを加えて抽出後、層分離した。水層を全て集めた後、エチルアセテート540gを入れ、水層を洗浄した後、層分離した。水層を収去した後、塩360gとエチルアセテート1080gを加えた後、ホスホリック酸31.3gを投入して酸性に調整した後、抽出して有機層を収去した。水層は再びエチルアセテート540gを用いて抽出して有機層を収去した。有機層を硫酸マグネシウム(Magnesium sulfate)24gを入れて脱水した後、活性炭12g用いて脱色し、濾過し、エチルアセテート108gで洗浄した。有機層を真空濃縮した後、濃縮残渣にアセトン235gを加えて溶解した後、ジクロロメタン3192gをゆっくりと加えた。0℃に温度を維持し、12時間撹拌した後、得られた固体を濾過し、ジクロロメタン160gで洗浄した。濾過した固体を30±3℃で12時間真空乾燥して目的化合物(6R,7R)-7-[[2-(difluoromethylsulfanyl)acetyl]amino]-3-[[1-(2-hydroxyethyl)tetrazol-5-yl]sulfanylmethyl]-7-methoxy-8-oxo-5-oxa-1-azabicyclo[4.2.0]oct-2-ene-2-carboxylic acid(フロモキセフ-FA)79g(収率87.8%、溶媒補正値、純度99.8%)を得た。
【0046】
実施例2:フロモキセフの合成(o-Cresol使用)
(6R,7R)-7-[[2-(difluoromethylsulfanyl)acetyl]amino]-3-[[1-(2-hydroxyethyl)tetrazol-5-yl]sulfanylmethyl]-7-methoxy-8-oxo-5-oxa-1-azabicyclo[4.2.0]oct-2-ene-2-carboxylate(フロモキセフ-BH)120gを60℃~70℃に加温されているo-クレゾール620gに投入したものを除いて実施例1と同様に行い、目的化合物(6R,7R)-7-[[2-(difluoromethylsulfanyl)acetyl]amino]-3-[[1-(2-hydroxyethyl)tetrazol-5-yl]sulfanylmethyl]-7-methoxy-8-oxo-5-oxa-1-azabicyclo[4.2.0]oct-2-ene-2-carboxylic acid(フロモキセフ-FA)69.6g(収率77.4%、溶媒補正値、純度99.8%)を得た。
【0047】
実施例3:フロモキセフの合成(p-Cresol使用)
(6R,7R)-7-[[2-(difluoromethylsulfanyl)acetyl]amino]-3-[[1-(2-hydroxyethyl)tetrazol-5-yl]sulfanylmethyl]-7-methoxy-8-oxo-5-oxa-1-azabicyclo[4.2.0]oct-2-ene-2-carboxylate(Flomoxef-BH)120gを60℃~70℃に加温されているp-クレゾール620gに投入したものを除いて実施例1と同様に行い目的化合物(6R,7R)-7-[[2-(difluoromethylsulfanyl)acetyl]amino]-3-[[1-(2-hydroxyethyl)tetrazol-5-yl]sulfanylmethyl]-7-methoxy-8-oxo-5-oxa-1-azabicyclo[4.2.0]oct-2-ene-2-carboxylic acid(フロモキセフ-FA)58.3g(収率64.8%、溶媒補正値、純度99.4%)を得た。
【0048】
比較例1:フロモキセフの合成(m-Cresol使用)
(6R,7R)-7-[[2-(difluoromethylsulfanyl)acetyl]amino]-3-[[1-(2-hydroxyethyl)tetrazol-5-yl]sulfanylmethyl]-7-methoxy-8-oxo-5-oxa-1-azabicyclo[4.2.0]oct-2-ene-2-carboxylate(フロモキセフ-BH)120gを60℃~70℃に加温されているm-クレゾール370.8gに投入したことを除いて、実施例1と同様にして目的化合物(6R,7R)-7-[[2-(difluoromethylsulfanyl)acetyl]amino]-3-[[1-(2-hydroxyethyl)tetrazol-5-yl]sulfanylmethyl]-7-methoxy-8-oxo-5-oxa-1-azabicyclo[4.2.0]oct-2-ene-2-carboxylic acid(フロモキセフ-FA)69.6g(収率70.2%、溶媒補正値、純度99.3%)を得た。
【手続補正書】
【提出日】2023-07-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(6R,7R)-ベンズヒドリル-7-(ジフルオロメチルチオ)アセトアミド)-3-(((1-(2-ヒドロキシエチル)-1H-テトラゾール-5-イル)スルフェニル)メチル)-7-メトキシ-8オキソ-5-オキサ-1-アザ-ビシクロ[4.2.0]オクト-2-エン-2-カルボキシレートと、クレゾール、トルエンおよびそれらの組み合わせからなる群から選択される溶媒を反応させる第1段階と、前記第1段階の生成物を結晶化してフロモキセフを合成する第2段階を含むフロモキセフの製造方法。
【請求項2】
第1項においで溶媒がo-クレゾール、m-クレゾール、p-クレゾール、トルエンおよびそれらの組み合わせからなる群から選択されるものである、フロモキセフの製造方法。
【請求項3】
第1項においで、前記第1段階でフロモキセフ-BH100重量部当たり、クレゾール、トルエンおよびそれらの組合せからなる群から選択される溶媒400ないし800重量部を反応させる、フロモキセフの製造方法。
【請求項4】
第1項においで、前記第1段階は50℃ないし70℃の反応温度で行われる、フロモキセフの製造方法。
【請求項5】
第1項においで、前記第1段階は2ないし8時間の間で行われる、フロモキセフ製造方法。
【請求項6】
第1項においで、不純物を除去するための前記第1段階の生成物に、酢酸、トリフルオロ酢酸、リン酸、クエン酸およびそれらの組み合わせからなる群から選択される酸を添加する工程をさらに含む、フロモキセフの製造方法。
【請求項7】
第1項においで、前記第2段階で、前記第1段階の生成物にアセトンおよびジクロロメタンの組み合わせである溶媒を添加して結晶化を行う、フロモキセフの製造方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0021
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0021】
上記の技術的課題を解決しようとする本発明は、(6R,7R)-ベンズヒドリル-7-(ジフルオロメチルチオ)アセトアミド)-3-(((1-(2-ヒドロキシエチル)-1H-テトラゾール-5-イル)スルフェニル)メチル)-7-メトキシ-8オキソ-5-オキサ-1-アザ-ビシクロ[4.2.0]オクト-2-エン-2-カルボキシレートと、クレゾール、トルエンおよびそれらの組み合わせからなる群から選択される溶媒を反応させる第1段階、そして第1段階の生成物を結晶化してフロモキセフを合成する第2段階を含むフロモキセフ製造方法を提供する。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0024
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0024】
本明細書では、
フロモキセフ-Clは、(6R,7R)-benzhydryl(7-(2-difluoromethylthio)acetamido)-3-(chloromethyl)-7-methoxy-8-oxo-5-oxa-1-aza-bicyclo[4,2,0]oct-2-ene-2-carboxylateを意味する。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0025
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0025】
フロモキセフ-BHは、:(6,7R)-ベンズヒドリル-7-(ジフルオロメチルチオ)アセトアミド)-3-(((1-(2-ヒドロキシエチル)-1H-テトラゾール-5-イル)スルフェニル)メチル)-7-メトキシ-8オキソ-5-オキサ-1-アザ-ビシクロ[4.2.0]オクト-2-エン-2-カルボキシレートを意味する。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0027
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0027】
本発明のフロモキセフの製造方法は、
(6R,7R)-ベンズヒドリル-7-(ジフルオロメチルチオ)アセトアミド)-3-(((1-(2-ヒドロキシエチル)-1H-テトラゾール-5-イル)スルフェニル)メチル)-7-メトキシ-8オキソ-5-オキサ-1-アザビシクロ[4.2.0]オクト-2-エン-2-カルボキシレート(Flomoxef-BH)と、クレゾールを反応させる第1段階及び第1段階の生成物を結晶化してフロモキセフを合成する第2段階を含む。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0031
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0031】
本発明のフロモキセフの製造方法は、(6R,7R)-ベンズヒドリル-7-(ジフルオロメチルチオ)アセトアミド)-3-(((1-(2-ヒドロキシエチル)-1H-テトラゾール-5-イル)スルフェニル)メチル)-7-メトキシ-8オキソ-5-オキサ-1-アザ-ビシクロ[4.2.0]オクト-2-エン-2-カルボキシレート(フロモキセフ-BH)と、クレゾール、トルエンおよびそれらの組み合わせからなる群から選択される溶媒を反応させる第1段階の工程が含める。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0042
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0042】
実施例
合成例:フロモキセフ-BHの合成
(6R,7R)-benzhydryl(7-(2-difluoromethylthio)acetamido)-3-(chloromethyl)-7-methoxy-8-oxo-5-oxa-1-aza-bicyclo[4,2,0]oct-2-ene-2-carboxylate100gをジメチルホルムアミド(Dimethylformamide)237gに溶かした後、0±3℃に冷却して反応を準備した。1-(2-ヒドロキシエチル)-1H-テトラゾール-5-イルチオールナトリウム塩(1-(2-Hydroxyethyl)-1H-tetrazol-5-ylthiol sodium salt)36.5gを0±3℃維持し、ゆっくり加えた後、1~2時間の間撹拌した。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0043
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0043】
反応が終了したら、エタノール335g+精製水326gを反応器に投入した。20℃~30℃で3~4時間の間結晶化を進行した。精製水500gを追加で投入して1~2時間攪拌した。生成された固体を濾過し、エタノール103g+精製水100gで濾過した固体を洗浄した。ろ過して得られた目的化合物(6R,7R)-benzhydryl-7-[[2-(difluoromethylsulfanyl)acetyl]amino]-3-[[1-(2-hydroxyethyl)tetrazol-5-yl]sulfanylmethyl]-7-methoxy-8-oxo-5-oxa-1-azabicyclo[4.2.0]oct-2-ene-2-carboxylate(フロモキセフ-BH)120g(収率99.9%、純度99.2%)を得た。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0044
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0044】
実施例1:フロモキセフの合成(m-Cresol使用)
(6R,7R)-benzhydryl-7-[[2-(difluoromethylsulfanyl)acetyl]amino]-3-[[1-(2-hydroxyethyl)tetrazol-5-yl]sulfanylmethyl]-7-methoxy-8-oxo-5-oxa-1-azabicyclo[4.2.0]oct-2-ene-2-carboxylate(フロモキセフ-BH)120gを60℃~70℃に加温されているm-クレゾール620gに投入した。溶融した後、65℃~70℃に維持し、3時間撹拌した。
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0046
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0046】
実施例2:フロモキセフの合成(o-Cresol使用)
(6R,7R)-benzhydryl-7-[[2-(difluoromethylsulfanyl)acetyl]amino]-3-[[1-(2-hydroxyethyl)tetrazol-5-yl]sulfanylmethyl]-7-methoxy-8-oxo-5-oxa-1-azabicyclo[4.2.0]oct-2-ene-2-carboxylate(フロモキセフ-BH)120gを60℃~70℃に加温されているo-クレゾール620gに投入したものを除いて実施例1と同様に行い、目的化合物(6R,7R)-7-[[2-(difluoromethylsulfanyl)acetyl]amino]-3-[[1-(2-hydroxyethyl)tetrazol-5-yl]sulfanylmethyl]-7-methoxy-8-oxo-5-oxa-1-azabicyclo[4.2.0]oct-2-ene-2-carboxylic acid(フロモキセフ-FA)69.6g(収率77.4%、溶媒補正値、純度99.8%)を得た。
【手続補正11】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0047
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0047】
実施例3:フロモキセフの合成(p-Cresol使用)
(6R,7R)-benzhydryl-7-[[2-(difluoromethylsulfanyl)acetyl]amino]-3-[[1-(2-hydroxyethyl)tetrazol-5-yl]sulfanylmethyl]-7-methoxy-8-oxo-5-oxa-1-azabicyclo[4.2.0]oct-2-ene-2-carboxylate(Flomoxef-BH)120gを60℃~70℃に加温されているp-クレゾール620gに投入したものを除いて実施例1と同様に行い目的化合物(6R,7R)-7-[[2-(difluoromethylsulfanyl)acetyl]amino]-3-[[1-(2-hydroxyethyl)tetrazol-5-yl]sulfanylmethyl]-7-methoxy-8-oxo-5-oxa-1-azabicyclo[4.2.0]oct-2-ene-2-carboxylic acid(フロモキセフ-FA)58.3g(収率64.8%、溶媒補正値、純度99.4%)を得た。
【手続補正12】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0048
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0048】
比較例1:フロモキセフの合成(m-Cresol使用)
(6R,7R)-benzhydryl-7-[[2-(difluoromethylsulfanyl)acetyl]amino]-3-[[1-(2-hydroxyethyl)tetrazol-5-yl]sulfanylmethyl]-7-methoxy-8-oxo-5-oxa-1-azabicyclo[4.2.0]oct-2-ene-2-carboxylate(フロモキセフ-BH)120gを60℃~70℃に加温されているm-クレゾール370.8gに投入したことを除いて、実施例1と同様にして目的化合物(6R,7R)-7-[[2-(difluoromethylsulfanyl)acetyl]amino]-3-[[1-(2-hydroxyethyl)tetrazol-5-yl]sulfanylmethyl]-7-methoxy-8-oxo-5-oxa-1-azabicyclo[4.2.0]oct-2-ene-2-carboxylic acid(フロモキセフ-FA)69.6g(収率70.2%、溶媒補正値、純度99.3%)を得た。
【国際調査報告】