(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-26
(54)【発明の名称】抗DLL3抗体-薬物コンジュゲート
(51)【国際特許分類】
C07K 16/30 20060101AFI20240119BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20240119BHJP
A61K 31/4745 20060101ALI20240119BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20240119BHJP
A61K 47/68 20170101ALI20240119BHJP
C07K 16/46 20060101ALN20240119BHJP
【FI】
C07K16/30
A61K39/395 N
A61K39/395 L
A61K31/4745
A61P35/00
A61K47/68
C07K16/46 ZNA
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023541924
(86)(22)【出願日】2022-01-13
(85)【翻訳文提出日】2023-09-07
(86)【国際出願番号】 IB2022050220
(87)【国際公開番号】W WO2022153195
(87)【国際公開日】2022-07-21
(32)【優先日】2021-01-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】500213834
【氏名又は名称】メモリアル スローン-ケタリング キャンサー センター
(71)【出願人】
【識別番号】522009950
【氏名又は名称】ティーアールアイ-インスティテューショナル セラピューティクス ディスカバリー インスティテュート
(71)【出願人】
【識別番号】307010166
【氏名又は名称】第一三共株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100123766
【氏名又は名称】松田 七重
(74)【代理人】
【識別番号】100154988
【氏名又は名称】小林 真知
(72)【発明者】
【氏名】ポワリエ ジョン ティー
(72)【発明者】
【氏名】ルディン チャールズ
(72)【発明者】
【氏名】ルイス ジェイソン
(72)【発明者】
【氏名】カーン アブドゥル
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュー デヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】チェン シンレイ
(72)【発明者】
【氏名】ロレンツ イヴォ
(72)【発明者】
【氏名】松永 大典
【テーマコード(参考)】
4C076
4C085
4C086
4H045
【Fターム(参考)】
4C076AA95
4C076CC27
4C076EE41
4C076EE59
4C076FF67
4C085AA14
4C085AA16
4C085AA26
4C085BB11
4C085BB33
4C085BB34
4C085BB35
4C085BB36
4C085BB41
4C085BB43
4C085EE01
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086AA10
4C086CB22
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA05
4C086NA06
4C086NA07
4C086NA13
4C086ZB26
4H045AA11
4H045AA20
4H045AA30
4H045CA40
4H045DA76
4H045EA22
4H045EA28
4H045FA50
4H045FA72
4H045FA74
4H045GA24
4H045GA26
(57)【要約】
本発明の目的は、DLL3に結合する抗体と抗腫瘍活性を有する薬物との抗体-薬物コンジュゲート、抗体-薬物コンジュゲートを含み、腫瘍に対する治療作用を有する医薬組成物、抗体-薬物コンジュゲート又は医薬組成物を使用して腫瘍を処置するための方法などを提供することである。本発明は、DLL3に結合する抗体と抗腫瘍活性を有する薬物との抗体-薬物コンジュゲート、抗体又は抗体-薬物コンジュゲートを含む医薬組成物、及び腫瘍を処置するための方法を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リンカーを介して薬物にコンジュゲートされている、DLL-3に特異的に結合する抗体又はその抗原結合断片を含む抗体-薬物コンジュゲートであって、抗体又は当該抗体の機能的な断片は、DLL3に結合することが可能であり、重鎖免疫グロブリン可変ドメイン(V
H)及び軽鎖免疫グロブリン可変ドメイン(V
L)を含み、
(a)V
Hは、
(i)それぞれ、配列番号3、配列番号4、及び配列番号5;
(ii)それぞれ、配列番号13、配列番号14、及び配列番号15;
(iii)それぞれ、配列番号23、配列番号24、及び配列番号25;並びに
(iv)それぞれ、配列番号33、配列番号34、及び配列番号35
からなる群から選択されるV
H-CDR1配列、V
H-CDR2配列、及びV
H-CDR3配列を含み;及び/又は
(b)V
Lは、
(i)それぞれ、配列番号8、配列番号9、及び配列番号10;
(ii)それぞれ、配列番号18、配列番号19、及び配列番号20;
(iii)それぞれ、配列番号28、配列番号29、及び配列番号30;並びに
(iv)それぞれ、配列番号38、配列番号39、及び配列番号40
からなる群から選択されるV
L-CDR1配列、V
L-CDR2配列、及びV
L-CDR3配列を含む、抗体-薬物コンジュゲート。
【請求項2】
抗体が、重鎖免疫グロブリン可変ドメイン(V
H)及び軽鎖免疫グロブリン可変ドメイン(V
L)を含み、
(a)V
H-CDR1配列、V
H-CDR2配列、及びV
H-CDR3配列を含むV
H及び(b)V
L-CDR1配列、V
L-CDR2配列、及びV
L-CDR3配列を含むV
Lの組合せは、
(i)それぞれ、(a)配列番号3、配列番号4、及び配列番号5並びに(b)配列番号8、配列番号9、及び配列番号10;
(ii)それぞれ、(a)配列番号13、配列番号14、及び配列番号15並びに(b)配列番号18、配列番号19、及び配列番号20;
(iii)それぞれ、(a)配列番号23、配列番号24、及び配列番号25並びに(b)配列番号28、配列番号29、及び配列番号30;並びに
(iv)それぞれ、(a)配列番号33、配列番号34、及び配列番号35並びに(b)配列番号38、配列番号39、及び配列番号40
からなる群から選択される、請求項1に記載の抗体-薬物コンジュゲート。
【請求項3】
抗体が、重鎖免疫グロブリン可変ドメイン(V
H)及び軽鎖免疫グロブリン可変ドメイン(V
L)を含み、
(a)V
Hは、配列番号2、配列番号12、配列番号22、及び配列番号32からなる群から選択されるアミノ酸配列を含み;及び/又は
(b)V
Lは、配列番号7、配列番号17、配列番号27、及び配列番号37からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、請求項1又は2に記載の抗体-薬物コンジュゲート。
【請求項4】
抗DLL3抗体が、重鎖免疫グロブリン可変ドメイン(V
H)及び軽鎖免疫グロブリン可変ドメイン(V
L)を含み、(a)V
Hは、配列番号12、配列番号22又は配列番号32から選択されるアミノ酸配列を含み、(b)V
Lは、配列番号17、配列番号27又は配列番号37から選択されるアミノ酸配列を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の抗体-薬物コンジュゲート。
【請求項5】
V
Hアミノ酸配列及びV
Lアミノ酸配列が、
それぞれ配列番号2及び配列番号7(7-I1-B);
それぞれ配列番号12及び配列番号17(2-C8-A);
それぞれ配列番号22及び配列番号27(10-O18-A);及び
それぞれ配列番号32及び配列番号37(6-G23-F)
からなる群から選択されるか;又は
抗DLL3抗体が、
それぞれ配列番号59及び配列番号62(H2-C8-A);
それぞれ配列番号60及び配列番号62(H2-C8-A-2);
それぞれ配列番号61及び配列番号62(H2-C8-A-3);
それぞれ配列番号67及び配列番号70(H10-O18-A);
それぞれ配列番号68及び配列番号70(H10-O18-A-2);
それぞれ配列番号69及び配列番号70(H10-O18-A-3);
それぞれ配列番号63及び配列番号66(H6-G23-F);
それぞれ配列番号64及び配列番号66(H6-G23-F-2);並びに
それぞれ配列番号65及び配列番号66(H6-G23-F-3)
からなる群から選択される重鎖アミノ酸配列及び軽鎖アミノ酸配列を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の抗体-薬物コンジュゲート。
【請求項6】
抗体が、
(a)配列番号7、17、27、若しくは37のいずれか1つの軽鎖免疫グロブリン可変ドメイン配列に少なくとも95%同一な軽鎖免疫グロブリン可変ドメイン配列、又は配列番号62、66、若しくは70のいずれか1つの配列に少なくとも95%同一な軽鎖配列;及び/又は
(b)配列番号2、12、22、又は32のいずれか1つに存在する重鎖免疫グロブリン可変ドメイン配列に少なくとも95%同一な重鎖免疫グロブリン可変ドメイン配列、又は配列番号59、60、61、63、64、65、67、68、又は69のいずれか1つの配列に少なくとも95%同一な重鎖配列
を含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の抗体-薬物コンジュゲート。
【請求項7】
IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、IgA2、IgM、IgD、及びIgEからなる群から選択されるアイソタイプのFcドメインをさらに含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の抗体-薬物コンジュゲート。
【請求項8】
抗DLL3が、配列番号42、57又は58の重鎖定常領域を含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の抗体-薬物コンジュゲート。
【請求項9】
抗原結合断片が、Fab、F(ab’)
2、Fab’、scF
v、及びF
vからなる群から選択される、請求項1~8のいずれか1項に記載の抗体-薬物コンジュゲート。
【請求項10】
抗体が、モノクローナル抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、ヒト抗体又は二重特異性抗体である、請求項1~8のいずれか1項に記載の抗体-薬物コンジュゲート。
【請求項11】
抗体が、
(a)配列番号59~61のいずれか1つのアミノ酸配列を含む重鎖及び配列番号62のいずれか1つのアミノ酸配列を含む軽鎖;
(b)配列番号63~65のいずれか1つのアミノ酸配列を含む重鎖及び配列番号66のいずれか1つのアミノ酸配列を含む軽鎖;及び/又は
(c)配列番号67~69のいずれか1つのアミノ酸配列を含む重鎖及び配列番号70のいずれか1つのアミノ酸配列を含む軽鎖
を含む、請求項1~10のいずれか1項に記載の抗体-薬物コンジュゲート。
【請求項12】
抗体が、
(a)配列番号60のアミノ酸配列を含む重鎖及び配列番号62のアミノ酸配列を含む軽鎖;
(b)配列番号64のアミノ酸配列を含む重鎖及び配列番号66のアミノ酸配列を含む軽鎖;又は
(c)配列番号68のアミノ酸配列を含む重鎖及び配列番号70のアミノ酸配列を含む軽鎖
を含む、請求項1~11のいずれか1項に記載の抗体-薬物コンジュゲート。
【請求項13】
抗DLL-3抗体が、DLL-3への結合に関して請求項1~12のいずれか1項に記載の抗体と競合する、請求項1に記載の抗体-薬物コンジュゲート。
【請求項14】
抗体が、哺乳類DLL3ポリペプチドに存在するエピトープに結合する、請求項1~13のいずれか1項に記載の抗体-薬物コンジュゲート。
【請求項15】
エピトープが、コンフォメーショナルエピトープ又は非コンフォメーショナルエピトープである、請求項14に記載の抗体-薬物コンジュゲート。
【請求項16】
哺乳類DLL3ポリペプチドが、配列番号50又は配列番号51のアミノ酸残基27~492を含むアミノ酸配列を有する、請求項14又は15に記載の抗体-薬物コンジュゲート。
【請求項17】
重鎖又は軽鎖が、N結合型グリコシル化、O結合型グリコシル化、N末端プロセシング、C末端プロセシング、脱アミド、アスパラギン酸の異性化、メチオニンの酸化、N末端へのメチオニン残基の付加、プロリン残基のアミド化、重鎖の234位及び235位における2つのロイシン(L)残基のアラニン(A)への置換(EUの番号付け)(LALA)、重鎖のアミノ酸残基356位のGlu(E)及び358位のMet(M)のセット(EUの番号付け)、重鎖の356位のAsp(D)及び358位のロイシン(L)のセット(EUの番号付け)又はそれらのあらゆる組合せ、N末端グルタミン又はN末端グルタミン酸のピログルタミン酸への変換、並びにカルボキシル末端からの1又は2つのアミノ酸の欠失からなる群から選択されるアミノ酸残基の1若しくは2つ又はそれより多くの改変又はセットを有する、請求項1~16のいずれか1項に記載の抗体-薬物コンジュゲート。
【請求項18】
1又は2アミノ酸が、重鎖のカルボキシル末端から欠失している、請求項17に記載の抗体-薬物コンジュゲート。
【請求項19】
1つのアミノ酸が、重鎖の両方のカルボキシル末端のそれぞれから欠失している、請求項18に記載の抗体-薬物コンジュゲート。
【請求項20】
重鎖のカルボキシル末端におけるプロリン残基が、さらにアミド化されている、請求項17~19のいずれか1項に記載の抗体-薬物コンジュゲート。
【請求項21】
抗体が、抗体依存性細胞傷害活性を強化するために調節されている糖鎖改変を含む、請求項1~20のいずれか1項に記載の抗体-薬物コンジュゲート。
【請求項22】
薬物が、以下の式:
【化1】
によって表される抗腫瘍化合物である、請求項1~21のいずれか1項に記載の抗体-薬物コンジュゲート。
【請求項23】
抗体が、以下の式(a)~(f):
(a)-(スクシンイミド-3-イル-N)-CH
2CH
2-C(=O)-GGFG-NH-CH
2CH
2CH
2-C(=O)-(配列番号85として開示される「GGFG」)、
(b)-(スクシンイミド-3-イル-N)-CH
2CH
2CH
2CH
2CH
2-C(=O)-GGFG-NH-CH
2CH
2CH
2-C(=O)-(配列番号85として開示される「GGFG」)、
(c)-(スクシンイミド-3-イル-N)-CH
2CH
2CH
2CH
2CH
2-C(=O)-GGFG-NH-CH
2-O-CH
2-C(=O)-(配列番号85として開示される「GGFG」)、
(d)-(スクシンイミド-3-イル-N)-CH
2CH
2CH
2CH
2CH
2-C(=O)-GGFG-NH-CH
2CH
2-O-CH
2-C(=O)-(配列番号85として開示される「GGFG」)、
(e)-(スクシンイミド-3-イル-N)-CH
2CH
2-C(=O)-NH-CH
2CH
2O-CH
2CH
2O-CH
2CH
2-C(=O)-GGFG-NH-CH
2CH
2CH
2-C(=O)-(配列番号85として開示される「GGFG」)、及び
(f)-(スクシンイミド-3-イル-N)-CH
2CH
2-C(=O)-NH-CH
2CH
2O-CH
2CH
2O-CH
2CH
2O-CH
2CH
2O-CH
2CH
2-C(=O)-GGFG-NH-CH
2CH
2CH
2-C(=O)-(配列番号85として開示される「GGFG」)
からなる群から選択されるいずれかの構造を有するリンカーを介して薬物にコンジュゲートされており、
抗体は、-(スクシンイミド-3-イル-N)の末端に接続されており、抗腫瘍化合物は、1位におけるアミノ基の窒素原子を接続位置として(a)、(b)、(e)又は(f)の-CH
2CH
2CH
2-C(=O)-部分のカルボニル基、(c)のCH
2-O-CH
2-C(=O)-部分又は(d)のCH
2CH
2-O-CH
2-C(=O)-部分に接続されおり、GGFG(配列番号84)は、ペプチド結合を介して連結されたグリシン-グリシン-フェニルアラニン-グリシン(配列番号85)からなるアミノ酸配列を表し、
-(スクシンイミド-3-イル-N)-は、以下の式によって表される構造:
【化2】
を有し、この構造は、その3位で抗体に接続されており、1位における窒素原子で、この構造を含有するリンカー構造中のメチレン基に接続されている、請求項1~22のいずれか1項に記載の抗体-薬物コンジュゲート。
【請求項24】
リンカーが、以下の式(c)、(d)及び(e):
(c)-(スクシンイミド-3-イル-N)-CH
2CH
2CH
2CH
2CH
2-C(=O)-GGFG-NH-CH
2-O-CH
2-C(=O)-(配列番号85として開示される「GGFG」)、
(d)-(スクシンイミド-3-イル-N)-CH
2CH
2CH
2CH
2CH
2-C(=O)-GGFG-NH-CH
2CH
2-O-CH
2-C(=O)-(配列番号85として開示される「GGFG」)、及び
(e)-(スクシンイミド-3-イル-N)-CH
2CH
2-C(=O)-NH-CH
2CH
2O-CH
2CH
2O-CH
2CH
2-C(=O)-GGFG-NH-CH
2CH
2CH
2-C(=O)-(配列番号85として開示される「GGFG」)
からなる群から選択されるいずれかの式によって表される、請求項1~23のいずれか1項に記載の抗体-薬物コンジュゲート。
【請求項25】
リンカーが、以下の式(c)又は(e):
(c)-(スクシンイミド-3-イル-N)-CH
2CH
2CH
2CH
2CH
2-C(=O)-GGFG-NH-CH
2-O-CH
2-C(=O)-(配列番号85として開示される「GGFG」)、及び
(e)-(スクシンイミド-3-イル-N)-CH
2CH
2-C(=O)-NH-CH
2CH
2O-CH
2CH
2O-CH
2CH
2-C(=O)-GGFG-NH-CH
2CH
2CH
2-C(=O)-(配列番号85として開示される「GGFG」)
によって表される、請求項1~24のいずれか1項に記載の抗体-薬物コンジュゲート。
【請求項26】
以下の式によって表される構造:
【化3】
を有し、式中、ABは、抗体を表し、nは、抗体1個当たりの抗体にコンジュゲートした薬物-リンカー構造の単位の平均数を表し、抗体は、抗体由来のスルフヒドリル基を介してリンカーに接続されている、請求項1~25のいずれか1項に記載の抗体-薬物コンジュゲート。
【請求項27】
以下の式によって表される構造:
【化4】
を有し、式中、ABは、抗体を表し、nは、抗体1個当たりの抗体にコンジュゲートした薬物-リンカー構造の単位の平均数を表し、抗体は、抗体由来のスルフヒドリル基を介してリンカーに接続されている、請求項1~25のいずれか1項に記載の抗体-薬物コンジュゲート。
【請求項28】
抗体が、配列番号17の可変ドメイン配列を含む軽鎖及び配列番号12の可変ドメイン配列を含む重鎖を含む抗体である、請求項1~27のいずれか1項に記載の抗体-薬物コンジュゲート。
【請求項29】
抗体が、配列番号27の可変ドメイン配列を含む軽鎖及び配列番号22の可変ドメイン配列を含む重鎖を含む抗体である、請求項1~27のいずれか1項に記載の抗体-薬物コンジュゲート。
【請求項30】
抗体が、配列番号37の可変ドメイン配列を含む軽鎖及び配列番号32の可変ドメイン配列を含む重鎖を含む抗体である、請求項1~27のいずれか1項に記載の抗体-薬物コンジュゲート。
【請求項31】
抗体が、配列番号7の可変ドメイン配列を含む軽鎖及び配列番号2の可変ドメイン配列を含む重鎖を含む抗体である、請求項1~27のいずれか1項に記載の抗体-薬物コンジュゲート。
【請求項32】
抗体1個当たりのコンジュゲートした選択された薬物-リンカー構造の単位の平均数が、1~10の範囲内である、請求項1~31のいずれか1項に記載の抗体-薬物コンジュゲート。
【請求項33】
抗体1個当たりのコンジュゲートした選択された薬物-リンカー構造の単位の平均数が、2~8の範囲内である、請求項1~32のいずれか1項に記載の抗体-薬物コンジュゲート。
【請求項34】
抗体1個当たりのコンジュゲートした選択された薬物-リンカー構造の単位の平均数が、5~8の範囲内である、請求項1~33のいずれか1項に記載の抗体-薬物コンジュゲート。
【請求項35】
抗体1個当たりのコンジュゲートした選択された薬物-リンカー構造の単位の平均数が、7~8の範囲内である、請求項1~34のいずれか1項に記載の抗体-薬物コンジュゲート。
【請求項36】
請求項1~35のいずれか1項に記載の抗体-薬物コンジュゲート、その塩、又は当該コンジュゲート若しくは塩の水和物を含む医薬組成物。
【請求項37】
抗腫瘍薬である、請求項36に記載の医薬組成物。
【請求項38】
腫瘍を処置することにおける使用のためのものであり、腫瘍は、DLL3を発現する腫瘍である、請求項36又は37に記載の医薬組成物。
【請求項39】
腫瘍が、小細胞肺がん(SCLC);大細胞神経内分泌癌(LCNEC);腎臓、尿生殖路(膀胱、前立腺、卵巣、子宮頸、及び子宮内膜)、消化管(胃、結腸)、甲状腺(甲状腺髄様がん)、膵臓及び肺を含む様々な組織の神経内分泌腫瘍;神経膠腫;又は偽性神経内分泌腫瘍(pNET)である、請求項38に記載の医薬組成物。
【請求項40】
腫瘍を処置するための方法であって、請求項1~35のいずれか1項に記載の抗体-薬物コンジュゲート、その塩、及びコンジュゲート又は塩の水和物を、腫瘍を有する個体に投与することを含む方法。
【請求項41】
腫瘍を処置するための方法であって、請求項1~35のいずれか1項に記載の抗体-薬物コンジュゲート、その塩、及びコンジュゲート又は塩の水和物を含む医薬組成物、及び少なくとも1つの抗腫瘍薬を、同時に、別々に、又は連続的に、腫瘍を有する個体に投与することを含む方法。
【請求項42】
腫瘍が、DLL3を発現する腫瘍である、請求項40又は41に記載の処置するための方法。
【請求項43】
腫瘍が、小細胞肺がん(SCLC);大細胞神経内分泌癌(LCNEC);腎臓、尿生殖路(膀胱、前立腺、卵巣、子宮頸、及び子宮内膜)、消化管(胃、結腸)、甲状腺(甲状腺髄様がん)、膵臓及び肺を含む様々な組織の神経内分泌腫瘍;神経膠腫;又は偽性神経内分泌腫瘍(pNET)である、請求項40~42のいずれか1項に記載の処置するための方法。
【請求項44】
抗DLL3抗体-薬物コンジュゲートを作製するための方法であって、抗DLL3抗体又は当該抗体の機能的な断片を、薬物-リンカー中間体化合物と反応させる工程を含み、抗体又は当該抗体の機能的な断片は、DLL3に結合することが可能であり、重鎖免疫グロブリン可変ドメイン(V
H)及び軽鎖免疫グロブリン可変ドメイン(V
L)を含み、
(a)V
Hは、
(i)それぞれ、配列番号3、配列番号4、及び配列番号5;
(ii)それぞれ、配列番号13、配列番号14、及び配列番号15;
(iii)それぞれ、配列番号23、配列番号24、及び配列番号25;並びに
(iv)それぞれ、配列番号33、配列番号34、及び配列番号35
からなる群から選択されるV
H-CDR1配列、V
H-CDR2配列、及びV
H-CDR3配列を含み;及び/又は
(b)V
Lは、
(i)それぞれ、配列番号8、配列番号9、及び配列番号10;
(ii)それぞれ、配列番号18、配列番号19、及び配列番号20;
(iii)それぞれ、配列番号28、配列番号29、及び配列番号30;並びに
(iv)それぞれ、配列番号38、配列番号39、及び配列番号40
からなる群から選択されるV
L-CDR1配列、V
L-CDR2配列、及びV
L-CDR3配列を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年1月13日に出願された米国仮出願第63/136,938号の優先権を主張し、この開示は、参照によりその全体が本明細書に組み入れられる。
配列表
本出願は、ASCIIフォーマットで電子的に提出された配列表を含有し、参照によりその全体が本明細書に組み入れられる。前記ASCIIコピーは、2022年1月12日に作成され、098065-0301_SL.txtと名付けられ、150,762バイトのサイズである。
技術分野
本発明の技術は、一般的に、デルタ様タンパク質3(DLL3)に特異的に結合する免疫グロブリン関連組成物(例えば、抗体又はその抗原結合断片)の調製及びその使用に関し、加えて、抗DLL3抗体を作製するための方法、抗DLL3抗体を含む抗体-薬物コンジュゲート(ADC)、抗体-薬物コンジュゲートを含む抗癌剤などに関する。本発明の開示はさらに、開示された抗DLL3抗体、ADC、及び抗癌剤を、必要とする対象に投与することを含む、使用及び処置の方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
本技術の背景の以下の説明は、単に本発明の技術の理解の補助に役立つものとして提供され、本発明の技術に対する先行技術を記載又は構成するものとして認められない。
がんは、死因の上位にランク付けされている。がん患者の数は人口の老化に伴い増加すると予測されるが、処置の必要性はまだ十分に満たされていない。従来の化学療法剤の問題は、これらの化学療法剤は、その低い選択性のために、腫瘍細胞に対してだけでなく正常細胞にも毒性であり、それにより有害反応があること;及び化学療法剤は、十分な量で投与できないため、その効果を十分にもたらすことができないことである。したがって、近年、がん細胞において突然変異又は高い発現特徴を呈する分子、又は細胞の悪性転換に関与する特異的な分子を標的化する、より高度に選択的な分子標的薬物又は抗体薬物が開発されてきた。
抗体は、血液中で高度に安定であり、その標的抗原に特異的に結合する。これらの理由のために、有害反応の低減が期待され、がん細胞の表面上で高度に発現された分子に対する多数の抗体薬物が開発されてきた。抗体の抗原特異的な結合能力に頼る技術の1つは、抗体-薬物コンジュゲート(ADC)を使用することである。ADCは、がん細胞の表面上で発現された抗原に結合し、結合を介して細胞に抗原を内在化させることができる抗体が、細胞傷害性活性を有する薬物にコンジュゲートされているコンジュゲートである。ADCは、薬物をがん細胞に効率的に送達でき、それによりがん細胞に薬物を蓄積させてがん細胞を殺滅することが期待される(Polakis P., Pharmacological Reviews, 3-19, 68, 2016;WO2014/057687;US2016/0297890)。ADCに関して、例えば、モノメチルオーリスタチンEにコンジュゲートした抗CD30モノクローナル抗体を含むAdcetris(商標)(ブレンツキシマブベドチン)が、ホジキンリンパ腫及び未分化大細胞型リンパ腫のための治療薬物として承認されている。またエムタンシンにコンジュゲートした抗HER2モノクローナル抗体を含むKadcyla(商標)(トラスツズマブエムタンシン)も、HER2陽性進行性又は再発性乳がんの処置に使用される。
【0003】
抗腫瘍薬としてADCに好適な標的抗原の特徴は、抗原が、がん細胞の表面上で特異的に高度に発現されるが、正常細胞では低い発現であるか又は発現されないこと;抗原が、細胞に内在化されうること;抗原が、細胞表面から分泌されないことなどである。抗体の内在化能力は、標的抗原と抗体の両方の特性に依存する。標的の分子構造から内在化に好適な抗原結合部位を予測したり、又は抗体の結合強度、物理的特性などから高い内在化能力を有する抗体を予測したりすることは難しい。したがって、高い効能を有するADCを開発することにおける重要な課題は、標的抗原に対する高い内在化能力を有する抗体を得ることである(Peters C, et al., Bioscience Reports, 1-20, 35, 2015)。
【0004】
DLL3(すなわち、デルタ様リガンド3又はデルタ様タンパク質3)は、ADCの公知の標的抗原の1つである。DLL3は、シングルパスI型膜貫通タンパク質であり、Notchリガンドの1つである(Owen et al. J Hematol Oncol 12, 61 (2019)を参照)。DLL3は、SCLC及びLCNECを含む高悪性度肺神経内分泌腫瘍において選択的に発現される。SCLC及びLCNEC患者由来の異種移植片腫瘍においてDLL3の発現増加が観察され、原発性腫瘍も確認された。Saunders et al., Sci Translational Medicine 7(302):302ra136 (2015)を参照されたい。DLL3の発現増加はまた、前立腺の神経内分泌癌を含む肺外神経内分泌がんでも観察された(Puca et al., Sci Transl Med 11(484): pii: eaav0891 (2019))。DLL3はこのような腫瘍細胞の表面上で発現されるが、その成人における正常な組織での発現は限定される。
【0005】
ピロロベンゾジアゼピン(PBD)にコンジュゲートした抗DLL3モノクローナル抗体を含むADCが報告されている(WO2013/126746及びSaunders et al., Sci Translational Medicine 7(302): 302ra136 (2015)を参照)。加えて、活性成分として抗DLL3抗体を含有する様々な医薬組成物が公知である。Giffin et al., Clin Cancer Res 2021;27:1526-37、及びWO2011/093097を参照されたい。ただしこれまで、医薬物質としての使用について承認されたDLL3を標的化する薬物はない。
様々な種類のがんを処置するためのADCなどの効率的で有効な標的化治療剤が当業界で求められている。本出願はこの必要性を満たす。
【発明の概要】
【0006】
本発明の目的は、このような抗デルタ様リガンド3(すなわち、「デルタ様タンパク質3」又は「DLL3」)抗体を含み、高い抗腫瘍活性を有する抗体-薬物コンジュゲート(ADC)、抗体-薬物コンジュゲートを含み、腫瘍への治療作用を有する医薬化合物、抗体-薬物コンジュゲート又は医薬化合物を使用して腫瘍を処置するための方法などを提供することである。
本発明者らは、上述の目的を達成することに向けられた集中的な研究を実行し、驚くべきことに、開示された抗DLL3抗体を含むADCは、特に小細胞肺がんにおいて、意外にも高い抗腫瘍活性を有することを見出した。
本発明は、以下の本発明の態様及び実施形態を含む:
[1]一態様において、本発明の開示は、リンカーを介して薬物にコンジュゲートされている、DLL-3に特異的に結合する抗体又はその抗原結合断片を含む抗体-薬物コンジュゲートであって、抗体又は当該抗体の機能的な断片は、DLL3に結合することが可能であり、重鎖免疫グロブリン可変ドメイン(VH)及び軽鎖免疫グロブリン可変ドメイン(VL)を含み、(a)VHは、
(i)それぞれ、配列番号3、配列番号4、及び配列番号5;
(ii)それぞれ、配列番号13、配列番号14、及び配列番号15;
(iii)それぞれ、配列番号23、配列番号24、及び配列番号25;並びに
(iv)それぞれ、配列番号33、配列番号34、及び配列番号35
からなる群から選択されるVH-CDR1配列、VH-CDR2配列、及びVH-CDR3配列を含み;及び/又は(b)VLは、
(i)それぞれ、配列番号8、配列番号9、及び配列番号10;
(ii)それぞれ、配列番号18、配列番号19、及び配列番号20;
(iii)それぞれ、配列番号28、配列番号29、及び配列番号30;並びに
(iv)それぞれ、配列番号38、配列番号39、及び配列番号40
からなる群から選択されるVL-CDR1配列、VL-CDR2配列、及びVL-CDR3配列を含む、抗体-薬物コンジュゲートを提供する。
【0007】
[2][1]の一部の実施形態において、抗体は、重鎖免疫グロブリン可変ドメイン(VH)及び軽鎖免疫グロブリン可変ドメイン(VL)を含み、(a)VH-CDR1配列、VH-CDR2配列、及びVH-CDR3配列を含むVH及び(b)VL-CDR1配列、VL-CDR2配列、及びVL-CDR3配列を含むVLの組合せは、
(i)それぞれ、(a)配列番号3、配列番号4、及び配列番号5並びに(b)配列番号8、配列番号9、及び配列番号10;
(ii)それぞれ、(a)配列番号13、配列番号14、及び配列番号15並びに(b)配列番号18、配列番号19、及び配列番号20;
(iii)それぞれ、(a)配列番号23、配列番号24、及び配列番号25並びに(b)配列番号28、配列番号29、及び配列番号30;並びに
(iv)それぞれ、(a)配列番号33、配列番号34、及び配列番号35並びに(b)配列番号38、配列番号39、及び配列番号40
からなる群から選択される。
[3][1]又は[2]の一部の実施形態において、抗体は、重鎖免疫グロブリン可変ドメイン(VH)及び軽鎖免疫グロブリン可変ドメイン(VL)を含み、(a)VHは、配列番号2、配列番号12、配列番号22、及び配列番号32からなる群から選択されるアミノ酸配列を含み;及び/又は(b)VLは、配列番号7、配列番号17、配列番号27、及び配列番号37からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。
【0008】
[4][1]~[3]のいずれか1つの一部の実施形態において、抗DLL3抗体は、重鎖免疫グロブリン可変ドメイン(VH)及び軽鎖免疫グロブリン可変ドメイン(VL)を含み、(a)VHは、配列番号12、配列番号22又は配列番号32から選択されるアミノ酸配列を含み、(b)VLは、配列番号17、配列番号27又は配列番号37から選択されるアミノ酸配列を含む。
[5][1]~[4]のいずれか1つの一部の実施態様において、VHアミノ酸配列及びVLアミノ酸配列は、それぞれ配列番号2及び配列番号7(7-I1-B);それぞれ配列番号12及び配列番号17(2-C8-A);それぞれ配列番号22及び配列番号27(10-O18-A);及びそれぞれ配列番号32及び配列番号37(6-G23-F)からなる群から選択されるか、又は抗DLL3抗体は、それぞれ配列番号59及び配列番号62(H2-C8-A);それぞれ配列番号60及び配列番号62(H2-C8-A-2);それぞれ配列番号61及び配列番号62(H2-C8-A-3);それぞれ配列番号67及び配列番号70(H10-O18-A);それぞれ配列番号68及び配列番号70(H10-O18-A-2);それぞれ配列番号69及び配列番号70(H10-O18-A-3);それぞれ配列番号63及び配列番号66(H6-G23-F);それぞれ配列番号64及び配列番号66(H6-G23-F-2);並びにそれぞれ配列番号65及び配列番号66(H6-G23-F-3)からなる群から選択される重鎖アミノ酸配列及び軽鎖アミノ酸配列を含む。
【0009】
[6][1]~[5]のいずれか1つの一部の実施態様において、抗体は、(a)配列番号7、17、27、若しくは37のいずれか1つの軽鎖免疫グロブリン可変ドメイン配列に少なくとも95%同一な軽鎖免疫グロブリン可変ドメイン配列、又は配列番号62、66、若しくは70のいずれか1つの配列に少なくとも95%同一な軽鎖配列;及び/又は(b)配列番号2、12、22、又は32のいずれか1つに存在する重鎖免疫グロブリン可変ドメイン配列に少なくとも95%同一な重鎖免疫グロブリン可変ドメイン配列、又は配列番号59、60、61、63、64、65、67、68、又は69のいずれか1つの配列に少なくとも95%同一な重鎖配列を含む。
[7][1]~[8]のいずれか1つの一部の実施態様において、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、IgA2、IgM、IgD、及びIgEからなる群から選択されるアイソタイプのFcドメインをさらに含む。
[8][1]~[7]のいずれか1つの一部の実施形態において、抗DLL3は、配列番号42、57又は58の重鎖定常領域を含む。
【0010】
[9][1]~[8]のいずれか1つの一部の実施態様において、抗原結合断片は、Fab、F(ab’)2、Fab’、scFv、及びFvからなる群から選択される。
[10][1]~[9]のいずれか1つの一部の実施形態において、抗DLL3抗体は、モノクローナル抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、ヒト抗体又は二重特異性抗体である。
[11][1]~[10]のいずれか1つの一部の実施形態において、抗体は、
(a)配列番号59~61のいずれか1つのアミノ酸配列を含む重鎖及び配列番号62のいずれか1つのアミノ酸配列を含む軽鎖;
(b)配列番号63~65のいずれか1つのアミノ酸配列を含む重鎖及び配列番号66のいずれか1つのアミノ酸配列を含む軽鎖;及び/又は
(c)配列番号67~69のいずれか1つのアミノ酸配列を含む重鎖及び配列番号70のいずれか1つのアミノ酸配列を含む軽鎖
を含む。
[12][1]~[11]のいずれか1つの一部の実施形態において、抗体は、
(a)配列番号60のアミノ酸配列を含む重鎖及び配列番号62のアミノ酸配列を含む軽鎖;
(b)配列番号64のアミノ酸配列を含む重鎖及び配列番号66のアミノ酸配列を含む軽鎖;又は
(c)配列番号68のアミノ酸配列を含む重鎖及び配列番号70のアミノ酸配列を含む軽鎖
を含む。
【0011】
[13]別の態様において、本発明の開示は、リンカーを介して薬物にコンジュゲートされている、DLL-3に特異的に結合する抗体又はその抗原結合断片を含む抗体-薬物コンジュゲートであって、抗DLL-3抗体は、DLL-3への結合に関して、[1]~[12]のいずれか1つによる抗体と競合する、抗体-薬物コンジュゲートを提供する。
[14][1]~[13]のいずれか1つの一部の実施態様において、抗体は、哺乳類DLL3ポリペプチドに存在するエピトープに結合する。
[15][14]の一部の実施態様において、エピトープは、コンフォメーショナルエピトープ又は非コンフォメーショナルエピトープである。
[16][14]又は[15]の一部の実施形態において、哺乳類DLL3ポリペプチドは、配列番号50又は配列番号51のアミノ酸残基27~492を含むアミノ酸配列を有する。
【0012】
[17][1]~[16]のいずれか1つの一部の実施態様において、重鎖又は軽鎖は、N結合型グリコシル化、O結合型グリコシル化、N末端プロセシング、C末端プロセシング、脱アミド、アスパラギン酸の異性化、メチオニンの酸化、N末端へのメチオニン残基の付加、プロリン残基のアミド化、重鎖の234位及び235位(EUインデックスに従って)における2つのロイシン(L)残基のアラニン(A)への置換(LALA)、重鎖のアミノ酸残基356位におけるGlu(E)及び358位におけるMet(M)(EUインデックスに従って)のセット、重鎖の356位におけるAsp(D)及び358位におけるロイシン(L)(EUインデックスに従って)のセット又はそれらのあらゆる組合せ、N末端グルタミン又はN末端グルタミン酸のピログルタミン酸への変換、並びにカルボキシル末端からの1又は2つのアミノ酸の欠失からなる群から選択されるアミノ酸残基の1若しくは2つ又はそれより多くの改変又はセットを有する。
【0013】
[18][17]の一部の実施形態において、1又は2つのアミノ酸が、その重鎖のカルボキシル末端から欠失している。
[19][18]の一部の実施形態において、1つのアミノ酸が、その重鎖の両方のカルボキシル末端のそれぞれから欠失している。
[20][17]~[19]のいずれか1つの一部の実施形態において、その重鎖のカルボキシル末端におけるプロリン残基は、さらにアミド化されている。
[21][1]~[20]のいずれか1つの一部の実施形態において、抗体は、抗体依存性細胞傷害活性を強化するために調節されている糖鎖改変を含む。
【0014】
[22][1]~[21]のいずれか1つの一部の実施態様において、薬物は、以下の式によって表される抗腫瘍化合物である:
【化1】
【0015】
[23][1]~[22]のいずれか1つの一部の実施態様において、抗体は、以下の式(a)~(f):
(a)-(スクシンイミド-3-イル-N)-CH
2CH
2-C(=O)-GGFG-NH-CH
2CH
2CH
2-C(=O)-(配列番号85として開示される「GGFG」)、
(b)-(スクシンイミド-3-イル-N)-CH
2CH
2CH
2CH
2CH
2-C(=O)-GGFG-NH-CH
2CH
2CH
2-C(=O)-(配列番号85として開示される「GGFG」)、
(c)-(スクシンイミド-3-イル-N)-CH
2CH
2CH
2CH
2CH
2-C(=O)-GGFG-NH-CH
2-O-CH
2-C(=O)-(配列番号85として開示される「GGFG」)、
(d)-(スクシンイミド-3-イル-N)-CH
2CH
2CH
2CH
2CH
2-C(=O)-GGFG-NH-CH
2CH
2-O-CH
2-C(=O)-(配列番号85として開示される「GGFG」)、
(e)-(スクシンイミド-3-イル-N)-CH
2CH
2-C(=O)-NH-CH
2CH
2O-CH
2CH
2O-CH
2CH
2-C(=O)-GGFG-NH-CH
2CH
2CH
2-C(=O)-(配列番号85として開示される「GGFG」)、及び
(f)-(スクシンイミド-3-イル-N)-CH
2CH
2-C(=O)-NH-CH
2CH
2O-CH
2CH
2O-CH
2CH
2O-CH
2CH
2O-CH
2CH
2-C(=O)-GGFG-NH-CH
2CH
2CH
2-C(=O)-(配列番号85として開示される「GGFG」)
からなる群から選択されるいずれかの構造を有するリンカーを介して薬物にコンジュゲートされており、
式中、抗体は、-(スクシンイミド-3-イル-N)の末端に接続されており、抗腫瘍化合物は、1位におけるアミノ基の窒素原子を接続位置として(a)、(b)、(e)又は(f)の-CH
2CH
2CH
2-C(=O)-部分のカルボニル基、(c)のCH
2-O-CH
2-C(=O)-部分又は(d)のCH
2CH
2-O-CH
2-C(=O)-部分に接続されおり、GGFG(配列番号85)は、ペプチド結合を介して連結されたグリシン-グリシン-フェニルアラニン-グリシン(配列番号85)からなるアミノ酸配列を表し、
-(スクシンイミド-3-イル-N)-は、以下の式によって表される構造:
【化2】
を有し、この構造は、その3位で抗体に接続されており、1位における窒素原子で、この構造を含有するリンカー構造中のメチレン基に接続されている。
【0016】
[24][1]~[23]のいずれか1つの一部の実施態様において、リンカーは、以下の式(c)、(d)及び(e):
(c)-(スクシンイミド-3-イル-N)-CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2-O-CH2-C(=O)-(配列番号85として開示される「GGFG」)、
(d)-(スクシンイミド-3-イル-N)-CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-O-CH2-C(=O)-(配列番号85として開示される「GGFG」)、及び
(e)-(スクシンイミド-3-イル-N)-CH2CH2-C(=O)-NH-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-(配列番号85として開示される「GGFG」)
からなる群から選択されるいずれかの式によって表される。
【0017】
[25][1]~[24]のいずれか1つの一部の実施態様において、リンカーは、以下の式(c)又は(e):
(c)-(スクシンイミド-3-イル-N)-CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2-O-CH2-C(=O)-(配列番号85として開示される「GGFG」)、及び
(e)-(スクシンイミド-3-イル-N)-CH2CH2-C(=O)-NH-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-(配列番号85として開示される「GGFG」)
によって表される。
【0018】
[26][1]~[25]のいずれか1つの一部の実施態様において、ADCは、以下の式によって表される構造:
【化3】
を有し、式中、ABは、抗体を表し、nは、抗体1個当たりの抗体にコンジュゲートした薬物-リンカー構造の単位の平均数を表し、抗体は、抗体由来のスルフヒドリル基を介してリンカーに接続されている。
【0019】
[27][1]~[25]のいずれか1つの一部の実施態様において、ADCは、以下の式によって表される構造:
【化4】
を有し、式中、ABは、抗体を表し、nは、抗体1個当たりの抗体にコンジュゲートした薬物-リンカー構造の単位の平均数を表し、抗体は、抗体由来のスルフヒドリル基を介してリンカーに接続されている。
【0020】
[28][1]~[27]のいずれか1つの一部の実施形態において、抗体は、配列番号17の可変ドメイン配列を含む軽鎖及び配列番号12の可変ドメイン配列を含む重鎖を含む抗体である。
[29][1]~[27]のいずれか1つの一部の実施形態において、抗体は、配列番号27の可変ドメイン配列を含む軽鎖及び配列番号22の可変ドメイン配列を含む重鎖を含む抗体である。
[30][1]~[27]のいずれか1つの一部の実施形態において、抗体は、配列番号37の可変ドメイン配列を含む軽鎖及び配列番号32の可変ドメイン配列を含む重鎖を含む抗体である。
[31][1]~[27]のいずれか1つの一部の実施形態において、抗体は、配列番号7の可変ドメイン配列を含む軽鎖及び配列番号2の可変ドメイン配列を含む重鎖を含む抗体である。
[32][1]~[31]のいずれか1つの一部の実施態様において、抗体1個当たりのコンジュゲートした選択された薬物-リンカー構造の単位の平均数は、1~10の範囲内である。
【0021】
[33][1]~[32]のいずれか1つの一部の実施態様において、抗体1個当たりのコンジュゲートした選択された薬物-リンカー構造の単位の平均数は、2~8の範囲内である。
[34][1]~[33]のいずれか1つの一部の実施態様において、抗体1個当たりのコンジュゲートした選択された薬物-リンカー構造の単位の平均数は、5~8の範囲内である。
[35][1]~[34]のいずれか1つの一部の実施態様において、抗体1個当たりのコンジュゲートした選択された薬物-リンカー構造の単位の平均数は、7~8の範囲内である。
[36]別の態様において、本発明の開示は、[1]~[35]のいずれか1つに記載の抗体-薬物コンジュゲートを含む医薬組成物、その塩、又は当該コンジュゲート若しくは塩の水和物を提供する。
[37]抗腫瘍薬である、[36]の一部の実施態様において。
[38]一部の実施形態において、[36]又は[37]の医薬組成物は、腫瘍を処置することにおける使用のためのものであり、腫瘍は、DLL3を発現する腫瘍である。
【0022】
[39][38]の一部の実施形態において、腫瘍は、小細胞肺がん(SCLC);大細胞神経内分泌癌(LCNEC);腎臓、尿生殖路(膀胱、前立腺、卵巣、子宮頸、及び子宮内膜)、消化管(胃、結腸)、甲状腺(甲状腺髄様がん)、膵臓及び肺を含む様々な組織の神経内分泌腫瘍;神経膠腫;又は偽性神経内分泌腫瘍(pseudo neuroendocrine tumor;pNET)である。
[40]別の態様において、本発明の開示は、腫瘍を処置するための方法であって、[1]~[35]のいずれか1つによる抗体-薬物コンジュゲート、その塩、及びコンジュゲート又は塩の水和物を、腫瘍を有する個体に投与することを含む方法を提供する。
[41]別の態様において、本発明の開示は、腫瘍を処置するための方法であって、[1]~[35]のいずれか1つに記載の抗体-薬物コンジュゲート、その塩、及びコンジュゲート又は塩の水和物、並びに少なくとも1つの抗腫瘍薬を含む医薬組成物を、同時に、別々に、又は連続的に腫瘍を有する個体に投与することを含む方法を提供する。
[42][40]又は[41]の一部の実施形態において、腫瘍は、DLL3を発現する腫瘍である。
[43][40]~[42]のいずれか1つの一部の実施形態において、腫瘍は、小細胞肺がん(SCLC);大細胞神経内分泌癌(LCNEC);腎臓、尿生殖路(膀胱、前立腺、卵巣、子宮頸、及び子宮内膜)、消化管(胃、結腸)、甲状腺(甲状腺髄様がん)、膵臓及び肺を含む様々な組織の神経内分泌腫瘍;神経膠腫;又は偽性神経内分泌腫瘍(pNET)である。
【0023】
[44]別の態様において、本発明の開示は、抗DLL3抗体-薬物コンジュゲートを作製するための方法であって、抗DLL3抗体又は当該抗体の機能的な断片を、薬物-リンカー中間体化合物と反応させる工程を含み、抗体又は当該抗体の機能的な断片は、DLL3に結合することが可能であり、重鎖免疫グロブリン可変ドメイン(VH)及び軽鎖免疫グロブリン可変ドメイン(VL)を含み、(a)VHは、
(i)それぞれ、配列番号3、配列番号4、及び配列番号5;
(ii)それぞれ、配列番号13、配列番号14、及び配列番号15;
(iii)それぞれ、配列番号23、配列番号24、及び配列番号25;並びに
(iv)それぞれ、配列番号33、配列番号34、及び配列番号35
からなる群から選択されるVH-CDR1配列、VH-CDR2配列、及びVH-CDR3配列を含み;及び/又は(b)VLは、
(i)それぞれ、配列番号8、配列番号9、及び配列番号10;
(ii)それぞれ、配列番号18、配列番号19、及び配列番号20;
(iii)それぞれ、配列番号28、配列番号29、及び配列番号30;並びに
(iv)それぞれ、配列番号38、配列番号39、及び配列番号40
からなる群から選択されるVL-CDR1配列、VL-CDR2配列、及びVL-CDR3配列を含む、方法を提供する。
【0024】
発明の有利な作用:特異的な構造を有するリンカーを介して、細胞において毒性を発揮する薬物にコンジュゲートした本発明の抗DLL3抗体を含む抗DLL3抗体-薬物コンジュゲートの特徴は、DLL3を発現するがん細胞を有する患者への投与によって優れた抗腫瘍作用及び安全性を達成することと予測することができる。具体的には、本発明の抗DLL3抗体-薬物コンジュゲートは、抗癌剤として有用である。
前述の一般的な説明及び以下の詳細な説明は、例示的及び説明的なものであり、特許請求されたものの開示のさらなる説明を提供することを意図している。他の目的、利点、及び新規の特徴は、以下の図面の簡単な説明及び開示の詳細な説明から当業者には容易に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】3種のヒト抗DLL3抗体-薬物-コンジュゲート(H2-C8-A-コンジュゲート、H6-G23-F-コンジュゲート、H10-O18-A-コンジュゲート)、又は抗LPS抗体-コンジュゲートのインビボの抗腫瘍作用を示す図である。評価は、DLL3陽性ヒト小細胞肺がん細胞株NCI-H209を免疫不全マウスに接種した動物モデルを使用して実行された。横座標は、接種後の日数を示し、縦座標は、推測された腫瘍体積を示す。誤差範囲は、標準誤差(SE)値を示す。矢印は、投与の日付を示す。
【
図2】3種のヒト抗DLL3抗体-薬物-コンジュゲート(H2-C8-A-コンジュゲート、H6-G23-F-コンジュゲート、H10-O18-A-コンジュゲート)、又は抗LPS抗体-コンジュゲートのインビボの抗腫瘍作用を示す図である。評価は、DLL3陽性ヒト小細胞肺がん細胞株NCI-H524を免疫不全マウスに接種した動物モデルを使用して実行された。横座標は、接種後の日数を示し、縦座標は、推測された腫瘍体積を示す。誤差範囲は、標準誤差(SE)値を示す。矢印は、投与の日付を示す。
【
図3】3種のヒト抗DLL3抗体-薬物-コンジュゲート(H2-C8-A-コンジュゲート、H6-G23-F-コンジュゲート、H10-O18-A-コンジュゲート)、又は抗LPS抗体-コンジュゲート若しくは抗DLL3抗体-薬物コンジュゲート(SC16LD6.5)のインビボの抗腫瘍作用を示す図である。評価は、DLL3陽性ヒト小細胞肺がん細胞株NCI-H510Aを免疫不全マウスに接種した動物モデルを使用して実行された。横座標は、接種後の日数を示し、縦座標は、推測された腫瘍体積を示す。誤差範囲は、標準誤差(SE)値を示す。矢印は、投与の日付を示す。
【
図4A】それぞれ配列番号55及び配列番号50として表されたヒト(Homo sapiens)デルタ様の正規のNotchリガンド3(DLL3)アイソフォーム1のヌクレオチド配列及びアミノ酸配列を示す図である。
【
図4B】それぞれ配列番号56及び配列番号51として表されたヒトデルタ様の正規のNotchリガンド3(DLL3)アイソフォーム2のヌクレオチド配列及びアミノ酸配列を示す図である。
【
図5A】それぞれ配列番号1及び配列番号2として表された抗体7-I1-BのV
Hドメインのヌクレオチド配列及びアミノ酸配列を示す図である。V
H CDR1(配列番号3)は、ボールド体のフォントで示され、V
H CDR2(配列番号4)は、下線で示され、V
H CDR3(配列番号5)は、イタリックの下線付きのフォントで示される。
【
図5B】それぞれ配列番号6及び配列番号7として表された抗体7-I1-BのV
Lドメインのヌクレオチド配列及びアミノ酸配列を示す図である。V
L CDR1(配列番号8)は、ボールド体のフォントで示され、V
L CDR2(配列番号9)は、下線で示され、V
L CDR3(配列番号10)は、イタリックの下線付きのフォントで示される。
【
図6A】それぞれ配列番号11及び配列番号12として表された抗体2-C8-AのV
Hドメインのヌクレオチド配列及びアミノ酸配列を示す図である。V
H CDR1(配列番号13)は、ボールド体のフォントで示され、V
H CDR2(配列番号14)は、下線で示され、V
H CDR3(配列番号15)は、イタリックの下線付きのフォントで示される。
【
図6B】それぞれ配列番号16及び配列番号17として表された抗体2-C8-AのV
Lドメインのヌクレオチド配列及びアミノ酸配列を示す図である。V
L CDR1(配列番号18)は、ボールド体のフォントで示され、V
L CDR2(配列番号19)は、下線で示され、V
L CDR3(配列番号20)は、イタリックの下線付きのフォントで示される。
【
図7A】それぞれ配列番号21及び配列番号22として表された抗体10-O18-AのV
Hドメインのヌクレオチド配列及びアミノ酸配列を示す図である。V
H CDR1(配列番号23)は、ボールド体のフォントで示され、V
H CDR2(配列番号24)は、下線で示され、V
H CDR3(配列番号25)は、イタリックの下線付きのフォントで示される。
【
図7B】それぞれ配列番号26及び配列番号27として表された抗体10-O18-AのV
Lドメインのヌクレオチド配列及びアミノ酸配列を示す図である。V
L CDR1(配列番号28)は、ボールド体のフォントで示され、V
L CDR2(配列番号29)は、下線で示され、V
L CDR3(配列番号30)は、イタリックの下線付きのフォントで示される。
【
図8A】それぞれ配列番号31及び配列番号32として表された抗体6-G23-FのV
Hドメインのヌクレオチド配列及びアミノ酸配列を示す図である。V
H CDR1(配列番号33)は、ボールド体のフォントで示され、V
H CDR2(配列番号34)は、下線で示され、V
H CDR3(配列番号35)は、イタリックの下線付きのフォントで示される。
【
図8B】それぞれ配列番号36及び配列番号37として表された抗体6-G23-FのV
Lドメインのヌクレオチド配列及びアミノ酸配列を示す図である。V
L CDR1(配列番号38)は、ボールド体のフォントで示され、V
L CDR2(配列番号39)は、下線で示され、V
L CDR3(配列番号40)は、イタリックの下線付きのフォントで示される。
【
図9】指定された抗体によるDLL3の内在化をアッセイするために実行された細胞傷害性ベースの内在化アッセイであるFab ZAPアッセイの結果を示す図である。参照DLL3モノクローナル抗体SC16を、陽性対照として使用した。WO2015127407を参照されたい。全ての試験した抗DLL3抗体は、参照モノクローナル抗体に匹敵する殺滅活性を呈した。遊離の抗DLL3がFab ZAPに関して細胞に結合した抗DLL3と競合したため、より高い濃度の抗DLL3抗体でフック効果が観察された。
【
図10】
図10A~10Dは、結合緩衝剤としてPBS 0.1%BSA 0.02%Tween20、及び再生緩衝剤として10mMグリシンpH1.7を使用して、25℃でOctet HTXを介して測定した場合の、抗体7-I1-B(
図10A)、6-G23-F(
図10B)、10-O18-A(
図10C)、及び2-C8-A(
図10D)の結合曲線を示す図である。モノクローナル抗体(各5μg/mL)を、抗マウスFcセンサー上にローディングし、ローディングされたセンサーを、7回の連続する1:3希釈での200nMの開始濃度の組換えヒトDLL3タンパク質(アミノ酸Ala27~Ala479、カタログ番号9749-DL、R&D Systems)の指定された希釈物に浸漬した。各DLL3希釈物につき、実際の測定及び曲線のフィットが示される。
図10Eは、本明細書に記載される4つのモノクローナル抗体(6-G23-F、2-C8-A、7-I1-B及び10-O18-A)の解離定数(K
D)の値を示し、これらは、
図10A~10Dに示される結合曲線を使用し、1価(1:1)結合モデルを適用して計算された。
【
図11】6-G23-F、10-O18-A、及び2-C8-Aモノクローナル抗体(mAb)が、DLL3と選択的に結合するが、DLL1又はDLL4と選択的に結合しないことを示す図である。7-I1-BmAbは、DLL3及びDLL4の両方と結合するが、DLL1と結合しない。
【
図12】2種のヒト抗DLL3抗体-薬物-コンジュゲート(H2-C8-A-2-コンジュゲート、H10-O18-A-2-コンジュゲート)、抗LPS抗体-コンジュゲート、又は抗DLL3抗体-薬物コンジュゲート(SC16LD6.5)のインビボの抗腫瘍作用を示す図である。評価は、DLL3陽性ヒト小細胞肺がん細胞株NCI-H510Aを免疫不全マウスに接種した動物モデルを使用して実行された。横座標は、投与後の日数を示し、縦座標は、推測された腫瘍体積を示す。誤差範囲は、標準誤差(SE)値を示す。
【
図13】2種のヒト抗DLL3抗体-薬物コンジュゲート(H2-C8-A-2-コンジュゲート、H10-O18-A-2-コンジュゲート)のインビボの抗腫瘍作用を示す図である。評価は、DLL3陽性ヒト小細胞肺がん細胞株NCI-H209を免疫不全マウスに接種した動物モデルを使用して実行された。横座標は、投与後の日数を示し、縦座標は、推測された腫瘍体積を示す。誤差範囲は、標準誤差(SE)値を示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の技術の実質的な理解を提供するために、本発明の技術の特定の態様、様式、実施形態、バリエーション及び特徴が様々な詳細のレベルで後述されることが理解されるものとする。
本発明の技術を実施することにおいて、分子生物学、タンパク質生化学、細胞生物学、免疫学、微生物学及び組換えDNAにおける多くの従来の技術が使用される。例えば、Sambrook and Russell eds. (2001) Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 3rd edition; the series Ausubel et al. eds. (2007) Current Protocols in Molecular Biology; the series Methods in Enzymology (Academic Press, Inc., N.Y.); MacPherson et al. (1991) PCR 1: A Practical Approach (IRL Press at Oxford University Press); MacPherson et al. (1995) PCR 2: A Practical Approach; Harlow and Lane eds. (1999) Antibodies, A Laboratory Manual; Freshney (2005) Culture of Animal Cells: A Manual of Basic Technique, 5th edition; Gait ed. (1984) Oligonucleotide Synthesis;米国特許第4,683,195号; Hames and Higgins eds. (1984) Nucleic Acid Hybridization; Anderson (1999) Nucleic Acid Hybridization; Hames and Higgins eds. (1984) Transcription and Translation; Immobilized Cells and Enzymes (IRL Press (1986)); Perbal (1984) A Practical Guide to Molecular Cloning; Miller and Calos eds. (1987) Gene Transfer Vectors for Mammalian Cells (Cold Spring Harbor Laboratory); Makrides ed. (2003) Gene Transfer and Expression in Mammalian Cells; Mayer and Walker eds. (1987) Immunochemical Methods in Cell and Molecular Biology (Academic Press, London);及びHerzenberg et al. eds (1996) Weir’s Handbook of Experimental Immunologyを参照されたい。ポリペプチド遺伝子発現生成物のレベル(すなわち、遺伝子翻訳レベル)を検出及び測定する方法は、当業界において周知であり、抗体検出及び定量化技術などのポリペプチド検出方法の使用を含む。(Strachan & Read, Human Molecular Genetics, Second Edition. (John Wiley and Sons, Inc., NY, 1999)も参照)。
以下、図面を参照しながら本発明を行うための好ましい実施形態を記載する。後述される実施形態は単に本発明の代表的な実施形態を例示したにすぎず、本発明の範囲は、これらの例によって狭義に解釈されないものとすることに留意されたい。
【0027】
I.定義
本発明の説明において、用語「がん」は、用語「腫瘍」の意味と同じ意味を有するものとして使用される。
本発明の説明において、用語「遺伝子」は、DNAだけでなくそのmRNA及びcDNA、並びにそれらのcRNAを含むものとして使用される。
本発明の説明において、用語「ポリヌクレオチド」又は「ヌクレオチド」は、核酸の意味と同じ意味を有するものとして使用され、DNA、RNA、プローブ、オリゴヌクレオチド、及びプライマーも含む。本発明の説明において、用語「ポリヌクレオチド」及び「ヌクレオチド」は、別段の規定がない限り、互いに同義的に使用することができる。
本発明の説明において、用語「ポリペプチド」及び「タンパク質」は、互いに同義的に使用することができる。
本発明の説明において、用語「細胞」は、個々の動物の細胞、及び培養細胞を含む。
本発明の説明において、用語「DLL3」は、DLL3タンパク質の意味と同じ意味を有するものとして使用することができる。本発明の説明において、ヒトDLL3はまた、「hDLL3」とも称される。
【0028】
本発明の説明において、用語「細胞傷害活性」は、何らかの所与の方法で細胞に病理学的な変化がもたらされることを意味するものとして使用される。この用語は、直接の外傷を意味するだけでなく、細胞にもたらされる全てのタイプの構造的又は機能的なダメージも意味し、例えばDNA切断、塩基二量体の形成、染色体の切断、細胞分裂装置へのダメージ、及び様々な種類の酵素の活性の低減が挙げられる。
本発明の説明において、語句「細胞において毒性を発揮すること」は、毒性が何らかの所与の方法で細胞において呈されることを意味するものとして使用される。この用語は、直接の外傷を意味するだけでなく、細胞にもたらされる全てのタイプの構造的、機能的、又は代謝的な影響も意味し、例えばDNA切断、塩基二量体の形成、染色体の切断、細胞分裂装置へのダメージ、様々な種類の酵素の活性の低減、及び細胞増殖因子の作用の抑制も意味する。
本発明の説明において、用語「抗体の機能的な断片」は、「抗体の抗原結合断片」とも呼ばれ、これは、抗原に対する結合活性を有する抗体の部分的な断片を意味するのに使用され、抗体断片から形成された、Fab、F(ab’)2、scFv、ダイアボディ、線状抗体及び多重特異性抗体などを含む。Fab’は、還元条件下でF(ab’)2を処理することにより得られた抗体可変領域の1価断片であり、これも抗体の抗原結合断片に含まれる。しかしながら、抗体の抗原結合断片は、抗原結合断片が抗原と結合する能力を有する限り、これらの分子に限定されない。これらの抗原結合断片としては、抗体タンパク質の全長分子を適切な酵素で処理することにより得られるものだけでなく、遺伝子操作された抗体遺伝子を使用して適切な宿主細胞で作製されたタンパク質も挙げられる。
【0029】
本発明の説明において、用語「エピトープ」は、特異的な抗DLL3抗体が結合するDLL3の部分的なペプチド又は部分的な3次元構造を意味するのに使用される。このようなエピトープは、上述したDLL3の部分的なペプチドであり、当業者に周知の方法、例えばイムノアッセイによって決定することができる。最初に、抗原の様々な部分的な構造が作製される。このような部分的な構造の作製に関して、公知のオリゴペプチド合成技術を適用することができる。例えば、DLL3がそのC末端又はN末端から適切な長さで連続的に短縮化された一連のポリペプチドは、当業者に周知の遺伝子組換え技術によって作製される。その後、このようなポリペプチドに対する抗体の反応性を研究して、認識部位がおおまかに決定される。その後、さらにより短いペプチドを合成し、次いでこれらのペプチドに対するそれらの反応性を、エピトープが決定されるように研究することができる。複数の細胞外ドメインを有する膜タンパク質に結合する抗体が、エピトープとして複数のドメインで構成される3次元構造に対するものである場合、抗体が結合するドメインは、特異的な細胞外ドメインのアミノ酸配列を改変し、それによって3次元構造を改変することによって決定することができる。エピトープは、特異的な抗体に結合する抗原の部分的な3次元構造であり、これもまた、X線構造分析によって抗体に隣接する抗原のアミノ酸残基を特定することによって決定することができる。
【0030】
本発明の説明において、「ヒト化抗体」は、ヒト抗体鎖からの可変領域フレームワーク残基を含む少なくとも1つの鎖及び非ヒト抗体(例えば、マウス)からの少なくとも1つの相補性決定領域(CDR)を含む抗体を指す。
用語「ヒト抗体」は、本明細書で使用される場合、ヒト免疫グロブリン配列由来の可変及び定常領域を有する抗体を含むことが意図される。しかしながら、用語「ヒト抗体」は、本明細書で使用される場合、マウスなどの別の哺乳類種由来のCDR配列がヒトフレームワーク配列上にグラフト化された抗体を含むことは意図されない。
本発明の説明において、語句「同じエピトープに結合する抗体」は、共通のエピトープに結合する抗体を意味するのに使用される。第2の抗体が、第1の抗体が結合する部分的なペプチド又は部分的な3次元構造に結合する場合、第1の抗体及び第2の抗体は同じエピトープに結合すると決定することができる。代替として、第2の抗体が、第1の抗体の抗原への結合に関して第1の抗体と競合すること(すなわち、第2の抗体が第1の抗体の抗原への結合に干渉する)を確認することによって、エピトープの特異的な配列又は構造が決定されていないとしても、第1の抗体及び第2の抗体は同じエピトープと結合すると決定することができる。本発明の説明において、語句「同じエピトープに結合する」は、これらの決定方法のどちらか一方又は両方によって第1の抗体及び第2の抗体が共通のエピトープに結合すると決定されるケースを指す。第1の抗体及び第2の抗体が同じエピトープに結合し、さらに第1の抗体が、抗腫瘍活性又は内在化活性などの特殊な作用を有する場合、第2の抗体は、第1の抗体の活性と同じ活性を有することを期待することができる。
【0031】
本発明の説明において、用語「CDR」は、相補性決定領域を意味するのに使用される。抗体分子の重鎖及び軽鎖はそれぞれ3つのCDRを有することが公知である。このようなCDRは高度可変領域とも称され、抗体の重鎖及び軽鎖の可変領域に配置される。これらの領域は、特に高度に可変性の一次構造を有し、重鎖及び軽鎖のそれぞれにおいて、ポリペプチド鎖の一次構造で3つの部位に分かれている。本発明の説明において、抗体のCDRに関して、重鎖のCDRは、重鎖のアミノ酸配列のアミノ末端側から、それぞれCDRH1、CDRH2及びCDRH3と称され、それに対して軽鎖のCDRは、軽鎖のアミノ酸配列のアミノ末端側から、それぞれCDRL1、CDRL2及びCDRL3と称される。これらの部位は、3次元構造において互いに近接して配置され、抗体が結合する抗原への抗体の特異性を決定する。
【0032】
用語「CDRグラフト化抗体」は、本明細書で使用される場合、「アクセプター」抗体の少なくとも1つのCDRが、所望の抗原特異性を有する「ドナー」抗体からのCDR「グラフト」で置き換えられた抗体を意味する。
本発明において、語句「ストリンジェントな条件下でハイブリダイズする」は、ハイブリダイゼーションが、68℃で、商業的に入手可能なハイブリダイゼーション溶液であるExpressHybハイブリダイゼーション溶液(Clontech Laboratories,Inc.によって製造された)中で行われること、又は68℃で、0.7~1.0MのNaClの存在下で、DNAが固定されたフィルターを使用してハイブリダイゼーションを行い、次いで結果物を、68℃で、同定のための0.1~2倍濃度のSSC溶液(この場合、1倍濃度のSSCは、150mMのNaCl及び15mMのクエン酸ナトリウムからなる)で洗浄する条件、又はそれに同等な条件下でハイブリダイゼーションが行われることを意味するのに使用される。
用語「個体」、「患者」、又は「対象」は、本明細書で使用される場合、個体生物、脊椎動物、哺乳動物、又はヒトであり得る。一部の実施形態において、個体、患者又は対象は、ヒトである。
【0033】
用語「医薬的に許容される担体」は、本明細書で使用される場合、医薬投与に適合性を有する、ありとあらゆる溶媒、分散媒、コーティング、抗菌及び抗真菌化合物、等張性の、及び吸収を遅延させる化合物などを含むことが意図される。医薬的に許容される担体及びそれらの配合物は当業者公知であり、例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences (20th edition, ed. A. Gennaro, 2000, Lippincott, Williams & Wilkins, Philadelphia, PA.)に記載される。
「処置すること」又は「処置」は、本明細書で使用される場合、対象、例えばヒトにおける本明細書に記載される疾患又は障害の処置を網羅し、その例としては、(i)疾患又は障害を阻害すること、すなわちその発生を停止させること;(ii)疾患又は障害を緩和すること、すなわち障害の退行をもたらすこと;(iii)障害の進行を減速させること;及び/又は(iv)疾患又は障害の1つ又は複数の症状を阻害すること、緩和すること、若しくはその進行を減速させることが挙げられる。一部の実施形態において、処置は、疾患に関連する症状が、例えば軽減される、低減される、治癒する、又は寛解の状態に置かれることを意味する。
【0034】
「と特異的に結合する」は、本明細書で使用される場合、一方の分子(例えば、抗原)を認識し、それと結合するが、他方の分子を実質的に認識し、それと結合しない分子(例えば、抗体又はその抗原結合断片)を指す。特定の分子(例えば、ポリペプチド、又はポリペプチド上のエピトープ)への「特異的な結合」、それに「特異的に結合する」、又はそれに「特異的な」という用語は、本明細書で使用される場合、例えば、分子が、それが結合する分子に対して、約10-4M、10-5M、10-6M、10-7M、10-8M、10-9M、10-10M、10-11M、又は10-12MのKDを有することによって呈される場合がある。用語「と特異的に結合する」はまた、分子(例えば、抗体又はその抗原結合断片)が、特定のポリペプチド(例えば、DLL3ポリペプチド)、又は特定のポリペプチド上のエピトープに結合するが、他のいずれのポリペプチド、又はポリペプチドエピトープとも実質的に結合しないような結合を指す場合もある。
本発明の説明において、用語「1~複数」は、1~10、1~9、1~8、1~7、1~6、1~5、1~4、1~3、又は1若しくは2を意味するのに使用される。
【0035】
II.デルタ様リガンド3(DLL3)
DLL3(すなわち、デルタ様リガンド3又はデルタ様タンパク質3)は、SCLC及びLCNECなどの高悪性度肺神経内分泌腫瘍で選択的に発現される。DLL3の発現の増加は、SCLC及びLCNEC患者由来の異種移植片腫瘍で観察され、原発性腫瘍でも確認された。Saunders et al., Sci Translational Medicine 7(302): 302ra136 (2015)を参照されたい。またDLL3の発現の増加は、前立腺神経内分泌癌などの肺外神経内分泌がんでも観察された(Puca et al., Sci Transl Med 11(484): pii: eaav0891 (2019)。DLL3は、このような腫瘍細胞の表面で発現されるが、正常な組織では発現されない。本発明の開示は、免疫グロブリン関連組成物(例えば、抗体又はその抗原結合断片)を提供し、これは、腫瘍細胞上のDLL3に結合すると内在化することから、これらの腫瘍細胞に毒性ペイロードを送達するのに有用である。本発明の技術の免疫グロブリン関連組成物は、それを必要とする対象において、DLL3関連がんを検出又は処置するための方法において有用である。したがって、本発明の方法の様々な態様は、抗DLL3抗体の調製、特徴付け、及び操作に関する。本発明の技術の免疫グロブリン関連組成物は、単独でも、又はがんを処置するための追加の治療剤と組み合わせても有用である。一部の実施形態において、免疫グロブリン関連組成物は、ヒト化抗体、キメラ抗体、又は二重特異性抗体である。
【0036】
キイロショウジョウバエ属において、Notchシグナル伝達は、主としてNotch受容体により媒介される。デルタは、隣接する細胞でシグナル伝達を活性化するNotchのキイロショウジョウバエ属のリガンドの1つである。ヒトは、4つの公知のNotch受容体(NOTCH1~NOTCH4)、並びにデルタ様リガンド:DLL1、DLL3及びDLL4と呼ばれるデルタの3つのホモログを有する。DLL3は、DLL1及びDLL4とは異なり、Notchシグナル伝達を活性化するのではなくむしろ阻害することが報告されている。
【0037】
DLL3(デルタ様3又はSCDO1としても公知)は、Notch DSLリガンドのデルタ様ファミリーのメンバーである。代表的なDLL3タンパク質オーソログとしては、これらに限定されないが、以下が挙げられる:
ヒト(受託番号NP_058637:
MVSPRMSGLLSQTVILALIFLPQTRPAGVFELQIHSFGPGPGPGAPRSPCSARLPCRLFFRVCLKPGLSEEAAESPCALGAALSARGPVYTEQPGAPAPDLPLPDGLLQVPFRDAWPGTFSFIIETWREELGDQIGGPAWSLLARVAGRRRLAAGGPWARDIQRAGAWELRFSYRARCEPPAVGTACTRLCRPRSAPSRCGPGLRPCAPLEDECEAPLVCRAGCSPEHGFCEQPGECRCLEGWTGPLCTVPVSTSSCLSPRGPSSATTGCLVPGPGPCDGNPCANGGSCSETPRSFECTCPRGFYGLRCEVSGVTCADGPCFNGGLCVGGADPDSAYICHCPPGFQGSNCEKRVDRCSLQPCRNGGLCLDLGHALRCRCRAGFAGPRCEHDLDDCAGRACANGGTCVEGGGAHRCSCALGFGGRDCRERADPCAARPCAHGGRCYAHFSGLVCACAPGYMGARCEFPVHPDGASALPAAPPGLRPGDPQRYLLPPALGLLVAAGVAGAALLLVHVRRRGHSQDAGSRLLAGTPEPSVHALPDALNNLRTQEGSGDGPSSSVDWNRPEDVDPQGIYVISAPSIYAREVATPLFPPLHTGRAGQRQHLLFPYPSSILSVK(配列番号50)
及びNP_982353:
MVSPRMSGLLSQTVILALIFLPQTRPAGVFELQIHSFGPGPGPGAPRSPCSARLPCRLFFRVCLKPGLSEEAAESPCALGAALSARGPVYTEQPGAPAPDLPLPDGLLQVPFRDAWPGTFSFIIETWREELGDQIGGPAWSLLARVAGRRRLAAGGPWARDIQRAGAWELRFSYRARCEPPAVGTACTRLCRPRSAPSRCGPGLRPCAPLEDECEAPLVCRAGCSPEHGFCEQPGECRCLEGWTGPLCTVPVSTSSCLSPRGPSSATTGCLVPGPGPCDGNPCANGGSCSETPRSFECTCPRGFYGLRCEVSGVTCADGPCFNGGLCVGGADPDSAYICHCPPGFQGSNCEKRVDRCSLQPCRNGGLCLDLGHALRCRCRAGFAGPRCEHDLDDCAGRACANGGTCVEGGGAHRCSCALGFGGRDCRERADPCAARPCAHGGRCYAHFSGLVCACAPGYMGARCEFPVHPDGASALPAAPPGLRPGDPQRYLLPPALGLLVAAGVAGAALLLVHVRRRGHSQDAGSRLLAGTPEPSVHALPDALNNLRTQEGSGDGPSSSVDWNRPEDVDPQGIYVISAPSIYAREA(配列番号51));
チンパンジー(受託番号XP_003316395:
MVSPRMSRLLSQTVILALIFLPQTRPAGVFELQIHSFGPGPGPGAPRSPCSARVPCRLFFRVCLKPGLSEEAAESPCALGAALSARGPVYTEQPGAPAPDLPLPDGLLQVPFRDAWPGTFSFIIETWREELGDQIGGPAWSLLARVAGRRRLAAGGTWARDIQRAGAWELRFSYRARCEPPAVGTACTRLCRPRSAPSRCGPGLRPCAPLEDECEAPPVCRAGCSPEHGFCEQPGECRCLEGWTGPLCTVPVSTSSCLSPRGPSSATTGCLVPGPGPCDGNPCANGGSCSETPGSFECACPRGFYGLRCEVSGVTCADGPCFNGGLCVGGADPDSAYICHCPPGFQGSNCEKRVDRCSLQPCRNGGLCLDLGHALRCRCRAGFAGPRCEHDLDDCAGRACANGGTCVEGGGAHRCSCALGFGGRDCRERADPCAARPCAHGGRCYAHFSGLVCACAPGYMGARCEFPVHPDGASALPAAPPGLRPGDPQRYLLPPALGLLVAAGVAGAALLLVHVRRRGHAQDAGARLLAGTPEPSVHALPDALNNLRTQEGAGDGPSSSVDWNRPEDVDPRGIYVISAPSIYAREA(配列番号52));
マウス(受託番号NP_031892:
MVSLQVSPLSQTLILAFLLPQALPAGVFELQIHSFGPGPGLGTPRSPCNARGPCRLFFRVCLKPGVSQEATESLCALGAALSTSVPVYTEHPGESAAALPLPDGLVRVPFRDAWPGTFSLVIETWREQLGEHAGGPAWNLLARVVGRRRLAAGGPWARDVQRTGTWELHFSYRARCEPPAVGAACARLCRSRSAPSRCGPGLRPCTPFPDECEAPSVCRPGCSPEHGYCEEPDECRCLEGWTGPLCTVPVSTSSCLNSRVPGPASTGCLLPGPGPCDGNPCANGGSCSETSGSFECACPRGFYGLRCEVSGVTCADGPCFNGGLCVGGEDPDSAYVCHCPPGFQGSNCEKRVDRCSLQPCQNGGLCLDLGHALRCRCRAGFAGPRCEHDLDDCAGRACANGGTCVEGGGSRRCSCALGFGGRDCRERADPCASRPCAHGGRCYAHFSGLVCACAPGYMGVRCEFAVRPDGADAVPAAPRGLRQADPQRFLLPPALGLLVAAGLAGAALLVIHVRRRGPGQDTGTRLLSGTREPSVHTLPDALNNLRLQDGAGDGPSSSADWNHPEDGDSRSIYVIPAPSIYAREA(配列番号53))、
及びラット(受託番号NP_446118:
MVSLQVSSLPQTLILAFLLPQALPAGVFELQIHSFGPGPGPGTPRSPCNARGPCRLFFRVCLKPGVSQEAAESLCALGAALSTSGPVYTEQPGVPAAALSLPDGLVRVPFLDAWPGTFSLIIETWREQLGERAAGPAWNLLARVAGRRRLAAGAPWARDVQRTGAWELHFSYRARCEPPAVGAACARLCRSRSAPSRCGPGLRPCTPFPDECEAPRESLTVCRAGCSPEHGYCEEPDECHCLEGWTGPLCTVPVSTSSCLNSRVSGPAGTGCLLPGPGPCDGNPCANGGSCSETPGSFECACPRGFYGPRCEVSGVTCADGPCFNGGLCVGGEDPDSAYVCHCPPAFQGSNCERRVDRCSLQPCQNGGLCLDLGHALRCRCRAGFAGPRCEHDLDDCAGRACANGGTCVEGGGARRCSCALGFGGRDCRERADPCASRPCAHGGRCYAHFSGLVCACAPGYMGVRCEFAVRPDGADAVPAAPRGLRQADSQRFLLPPALGLLAAAALAGAALLLIHVRRRGPGRDTGTRLLSGTREPSVHTLPDALNNLRLQDGAGDGPTSSADWNHPEDGDSRSIYVIPAPSIYAREA(配列番号54))
【0038】
ヒトにおいて、DLL3遺伝子は、染色体19q13に配置された9.5kBpにわたる8つのエクソンからなる。最後のエクソン内の選択的スプライシングは、2389bpの転写物(受託番号NM_016941(配列番号55))及び2052bpの転写物(受託番号NM_203486(配列番号56))を生じる。前者の転写物は、618アミノ酸の長さであるタンパク質(受託番号NP_058637(配列番号50))をコードし、それに対して後者の転写物は、587アミノ酸の長さであるタンパク質(受託番号NP_982353(配列番号51))をコードする。
図4A~4Bを参照されたい。DLL3のこれらの2つのタンパク質アイソフォームは、それらの細胞外ドメイン及びそれらの膜貫通ドメインにわたり全体的な100%の同一性を有し、より長いアイソフォームが、タンパク質のカルボキシ末端に32個の追加の残基を含有する伸長した細胞質内のテールを含有する点でのみ異なっている。
【0039】
両方のアイソフォームは、腫瘍細胞で検出することができる。実際には、異常なDLL3発現(遺伝子型及び/又は表現型の)は、様々な腫瘍形成性細胞部分集団、例えばがん幹細胞及び腫瘍始原細胞(tumor initiating cell)に関連する。したがって、本発明の開示は、このような細胞(例えば、がん幹細胞、腫瘍原始細胞、及びがん、例えば、小細胞肺がん、大細胞神経内分泌癌、肺神経内分泌がん、肺外神経内分泌がん、及び黒色腫)を標的化することに特に有用である可能性があり、それによって新生物形成性の障害の処置、管理又は防止を容易にするDLL3抗体を提供する。
【0040】
本発明で使用されるDLL3タンパク質は、ヒト又は非ヒト哺乳動物(例えば、ラット、マウス又はサル)のDLL3を発現する細胞から直接的に精製でき、次いで使用してもよいし、又は前述の細胞の細胞膜画分を調製して、DLL3タンパク質として使用してもよい。代替として、DLL3はまた、インビトロでそれを合成することによって、又は遺伝子操作によって宿主細胞にDLL3を作製させることによって得てもよい。このような遺伝子操作によって、DLL3タンパク質は、具体的には、DLL3 cDNAを発現することが可能なベクターにDLL3 cDNAを取り込むこと、次いで、転写及び翻訳に必要な酵素、基質及びエネルギー材料を含有する溶液中でDLL3を合成することによって、又は他の原核生物又は真核生物の宿主細胞を、それらがDLL3を発現できるように形質転換することによって得ることができる。また、上述した遺伝子操作に基づくDLL3を発現する細胞、又はDLL3を発現する細胞株も、DLL3タンパク質を提示させるために使用することができる。代替として、DLL3 cDNAが取り込まれた発現ベクターは、免疫化しようとする動物に直接投与してもよく、DLL3は、このようにして免疫化された動物の体内で発現させてもよい。
さらに、上述したDLL3のアミノ酸配列における1つ又は数個のアミノ酸の置換、欠失及び/又は付加を含み、DLL3タンパク質の生物学的活性と同等の生物学的活性を有するアミノ酸配列からなるタンパク質も、用語「DLL3」に含まれる。
【0041】
III.抗DLL3抗体
本発明の技術は、抗DLL3免疫グロブリン関連組成物(例えば、抗DLL3抗体又はその抗原結合断片)の生成及び使用のための方法及び組成物を記載する。本発明の開示の抗DLL3免疫グロブリン関連組成物は、DLL3関連がん(例えば、小細胞肺がん、大細胞神経内分泌癌、肺神経内分泌がん、肺外神経内分泌がん、及び黒色腫)の診断、又は処置において有用であり得る。本発明の技術の範囲内の抗DLL3免疫グロブリン関連組成物としては、例えば、これらに限定されないが、標的ポリペプチド、そのホモログ、誘導体又は断片と特異的に結合する、モノクローナル、キメラ、ヒト化、二重特異性、ヒト抗体、及びダイアボディが挙げられる。本発明の開示はまた、Fab、F(ab)’2、Fab’、scFv、及びFvからなる群から選択される、本明細書で開示される抗DLL3抗体のいずれかの抗原結合断片も提供する。
【0042】
本発明の技術は、DLL3-抗体複合体の内在化を促進することができ、したがって腫瘍細胞に毒性ペイロードを送達するのに有用な抗DLL3抗体を開示する。
図5~8は、VH及びVLのヌクレオチド及びアミノ酸配列を提供し、加えて抗体のCDR配列は、本明細書で開示される(配列番号1~40)。以下の表はまた、V
H及びV
Lのアミノ酸配列も提供し、加えて抗体のCDR配列は、本明細書で開示される。
【0043】
【0044】
一態様において、本発明の開示は、重鎖免疫グロブリン可変ドメイン(VH)及び軽鎖免疫グロブリン可変ドメイン(VL)を含む抗体又はその抗原結合断片であって、(a)VHは、(i)それぞれ、配列番号3、配列番号4、及び配列番号5;(ii)それぞれ、配列番号13、配列番号14、及び配列番号15;(iii)それぞれ、配列番号23、配列番号24、及び配列番号25;並びに(iv)それぞれ、配列番号33、配列番号34、及び配列番号35からなる群から選択されるVH-CDR1配列、VH-CDR2配列、及びVH-CDR3配列を含み;及び/又は(b)VLは、(i)それぞれ、配列番号8、配列番号9、及び配列番号10;(ii)それぞれ、配列番号18、配列番号19、及び配列番号20;(iii)それぞれ、配列番号28、配列番号29、及び配列番号30;並びに(iv)それぞれ、配列番号38、配列番号39、及び配列番号40からなる群から選択されるVL-CDR1配列、VL-CDR2配列、及びVL-CDR3配列を含む、抗体又はその抗原結合断片を提供する。一部の実施形態において、本発明の開示は、重鎖免疫グロブリン可変ドメイン(VH)及び軽鎖免疫グロブリン可変ドメイン(VL)を含む抗体又はその抗原結合断片であって、(a)VH-CDR1配列、VH-CDR2配列、及びVH-CDR3配列を含むVH及び(b)VL-CDR1配列、VL-CDR2配列、及びVL-CDR3配列を含むVLの組合せは、(i)(a)それぞれ、配列番号3、配列番号4、及び配列番号5並びに(b)配列番号8、配列番号9、及び配列番号10;(ii)(a)それぞれ、配列番号13、配列番号14、及び配列番号15並びに(b)配列番号18、配列番号19、及び配列番号20;(iii)(a)それぞれ、配列番号23、配列番号24、及び配列番号25並びに(b)配列番号28、配列番号29、及び配列番号30;並びに(iv)(a)それぞれ、配列番号33、配列番号34、及び配列番号35並びに(b)配列番号38、配列番号39、及び配列番号40からなる群から選択される、抗体又はその抗原結合断片を提供する。一部の実施形態において、抗体は、あらゆるアイソタイプ、例えば、これらに限定されないが、IgG(IgG1並びにバリアント(配列番号42、57、及び58)、IgG2、IgG3、及びIgG4を含む)、IgA(IgA1及びIgA2を含む)、IgD、IgE、又はIgM、及びIgYのFcドメインをさらに含む。一部の実施形態において、抗体は、配列番号42、57、又は58、好ましくは配列番号57、又は58、より好ましくは配列番号58の重鎖定常領域を含む。定常領域配列の非限定的な例としては、以下が挙げられる:
ヒトIgD定常領域、Uniprot:P01880(配列番号41)
APTKAPDVFPIISGCRHPKDNSPVVLACLITGYHPTSVTVTWYMGTQSQPQRTFPEIQRRDSYYMTSSQLSTPLQQWRQGEYKCVVQHTASKSKKEIFRWPESPKAQASSVPTAQPQAEGSLAKATTAPATTRNTGRGGEEKKKEKEKEEQEERETKTPECPSHTQPLGVYLLTPAVQDLWLRDKATFTCFVVGSDLKDAHLTWEVAGKVPTGGVEEGLLERHSNGSQSQHSRLTLPRSLWNAGTSVTCTLNHPSLPPQRLMALREPAAQAPVKLSLNLLASSDPPEAASWLLCEVSGFSPPNILLMWLEDQREVNTSGFAPARPPPQPGSTTFWAWSVLRVPAPPSPQPATYTCVVSHEDSRTLLNASRSLEVSYVTDHGPMK
ヒトIgG1定常領域、Uniprot:P01857(配列番号42)
ASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
ヒトIgG1バリアント定常領域(配列番号57)
ASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
ヒトIgG1バリアント定常領域(配列番号58)
ASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPEAAGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
ヒトIgG2定常領域、Uniprot:P01859(配列番号43)
ASTKGPSVFPLAPCSRSTSESTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSNFGTQTYTCNVDHKPSNTKVDKTVERKCCVECPPCPAPPVAGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTFRVVSVLTVVHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPAPIEKTISKTKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDISVEWESNGQPENNYKTTPPMLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
ヒトIgG3定常領域、Uniprot:P01860(配列番号44)
ASTKGPSVFPLAPCSRSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYTCNVNHKPSNTKVDKRVELKTPLGDTTHTCPRCPEPKSCDTPPPCPRCPEPKSCDTPPPCPRCPEPKSCDTPPPCPRCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVQFKWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTFRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKTKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESSGQPENNYNTTPPMLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNIFSCSVMHEALHNRFTQKSLSLSPGK
ヒトIgM定常領域、Uniprot:P01871(配列番号45)
GSASAPTLFPLVSCENSPSDTSSVAVGCLAQDFLPDSITLSWKYKNNSDISSTRGFPSVLRGGKYAATSQVLLPSKDVMQGTDEHVVCKVQHPNGNKEKNVPLPVIAELPPKVSVFVPPRDGFFGNPRKSKLICQATGFSPRQIQVSWLREGKQVGSGVTTDQVQAEAKESGPTTYKVTSTLTIKESDWLGQSMFTCRVDHRGLTFQQNASSMCVPDQDTAIRVFAIPPSFASIFLTKSTKLTCLVTDLTTYDSVTISWTRQNGEAVKTHTNISESHPNATFSAVGEASICEDDWNSGERFTCTVTHTDLPSPLKQTISRPKGVALHRPDVYLLPPAREQLNLRESATITCLVTGFSPADVFVQWMQRGQPLSPEKYVTSAPMPEPQAPGRYFAHSILTVSEEEWNTGETYTCVAHEALPNRVTERTVDKSTGKPTLYNVSLVMSDTAGTCY
ヒトIgG4定常領域、Uniprot:P01861(配列番号46)
ASTKGPSVFPLAPCSRSTSESTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTKTYTCNVDHKPSNTKVDKRVESKYGPPCPSCPAPEFLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLGK
ヒトIgA1定常領域、Uniprot:P01876(配列番号47)
ASPTSPKVFPLSLCSTQPDGNVVIACLVQGFFPQEPLSVTWSESGQGVTARNFPPSQDASGDLYTTSSQLTLPATQCLAGKSVTCHVKHYTNPSQDVTVPCPVPSTPPTPSPSTPPTPSPSCCHPRLSLHRPALEDLLLGSEANLTCTLTGLRDASGVTFTWTPSSGKSAVQGPPERDLCGCYSVSSVLPGCAEPWNHGKTFTCTAAYPESKTPLTATLSKSGNTFRPEVHLLPPPSEELALNELVTLTCLARGFSPKDVLVRWLQGSQELPREKYLTWASRQEPSQGTTTFAVTSILRVAAEDWKKGDTFSCMVGHEALPLAFTQKTIDRLAGKPTHVNVSVVMAEVDGTCY
ヒトIgA2定常領域、Uniprot:P01877(配列番号48)
ASPTSPKVFPLSLDSTPQDGNVVVACLVQGFFPQEPLSVTWSESGQNVTARNFPPSQDASGDLYTTSSQLTLPATQCPDGKSVTCHVKHYTNPSQDVTVPCPVPPPPPCCHPRLSLHRPALEDLLLGSEANLTCTLTGLRDASGATFTWTPSSGKSAVQGPPERDLCGCYSVSSVLPGCAQPWNHGETFTCTAAHPELKTPLTANITKSGNTFRPEVHLLPPPSEELALNELVTLTCLARGFSPKDVLVRWLQGSQELPREKYLTWASRQEPSQGTTTFAVTSILRVAAEDWKKGDTFSCMVGHEALPLAFTQKTIDRMAGKPTHVNVSVVMAEVDGTCY
ヒトIgカッパ定常領域、Uniprot:P01834(配列番号49)
TVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC
【0045】
一部の実施形態において、本発明の技術の免疫グロブリン関連組成物は、配列番号41-48、57、58に、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、又は100%同一な重鎖定常領域を含む。加えて、又は代替として、一部の実施形態において、本発明の技術の免疫グロブリン関連組成物は、配列番号49に、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、又は100%同一な軽鎖定常領域を含む。一部の実施形態において、本発明の技術の免疫グロブリン関連組成物は、DLL3の細胞外ドメインに結合する。一部の実施形態において、エピトープは、コンフォメーショナルエピトープである。
【0046】
別の態様において、本発明の開示は、配列番号2、配列番号12、配列番号22、配列番号32を含む重鎖免疫グロブリン可変ドメイン(VH)アミノ酸配列、若しくは1つ若しくは複数の保存的アミノ酸置換を有するそれらのバリアント、又は配列番号59、配列番号60、配列番号61、配列番号63、配列番号64、配列番号65、配列番号67、配列番号68、配列番号69を含む重鎖アミノ酸配列若しくは1つ若しくは複数の保存的アミノ酸置換を有するそれらのバリアントを含む、単離された免疫グロブリン関連組成物(例えば、抗体又はその抗原結合断片)を提供する。
加えて、又は代替として、一部の実施形態において、本発明の技術の免疫グロブリン関連組成物は、配列番号7、配列番号17、配列番号27、配列番号37を含む軽鎖免疫グロブリン可変ドメイン(VL)アミノ酸配列、若しくは1つ若しくは複数の保存的アミノ酸置換を有するそれらのバリアント又は配列番号62、配列番号66、配列番号70を含む軽鎖アミノ酸配列若しくは1つ若しくは複数の保存的アミノ酸置換を有するそれらのバリアントを含む。
【0047】
一部の実施態様において、本発明の技術の免疫グロブリン関連組成物は、それぞれ配列番号2及び配列番号7(7-I1-B);それぞれ配列番号12及び配列番号17(2-C8-A);それぞれ配列番号59及び配列番号62(H2-C8-A);それぞれ配列番号60及び配列番号62(H2-C8-A-2);それぞれ配列番号61及び配列番号62(H2-C8-A-3);それぞれ配列番号22及び配列番号27(10-O18-A);それぞれ配列番号67及び配列番号70(H10-O18-A);それぞれ配列番号68及び配列番号70(H10-O18-A-2);それぞれ配列番号69及び配列番号70(H10-O18-A-3);それぞれ配列番号32及び配列番号37(6-G23-F);それぞれ配列番号63及び配列番号66(H6-G23-F);それぞれ配列番号64及び配列番号66(H6-G23-F-2);並びにそれぞれ配列番号65及び配列番号66(H6-G23-F-3)からなる群から選択される、重鎖免疫グロブリン可変ドメイン(VH)又は重鎖アミノ酸配列及び軽鎖免疫グロブリン可変ドメイン(VL)又は軽鎖アミノ酸配列を含む。
免疫グロブリン関連組成物の上記実施形態のいずれかにおいて、HC及びLC免疫グロブリン可変ドメイン配列は、DLL3の細胞外ドメインに結合する抗原結合部位を構成する。免疫グロブリン関連組成物の上記実施形態のいずれかにおいて、HC及びLC免疫グロブリン可変ドメイン配列は、DLL3に結合し、免疫グロブリン関連組成物の内在化を促進する抗原結合部位を構成する。一部の実施形態において、エピトープは、コンフォメーショナルエピトープである。
一部の実施形態において、HC及びLC免疫グロブリン可変ドメイン配列は、同じポリペプチド鎖の構成要素である。他の実施形態において、HC及びLC免疫グロブリン可変ドメイン配列は、異なるポリペプチド鎖の構成要素である。特定の実施形態において、抗体は、全長抗体である。
【0048】
一部の実施形態において、本発明の技術の免疫グロブリン関連組成物は、少なくとも1つのDLL3ポリペプチドに特異的に結合する。一部の実施形態において、本発明の技術の免疫グロブリン関連組成物は、少なくとも1つのDLL3ポリペプチドと、約10-3M、10-4M、10-5M、10-6M、10-7M、10-8M、10-9M、10-10M、10-11M、又は10-12Mの解離定数(KD)で結合する。特定の実施形態において、免疫グロブリン関連組成物は、モノクローナル抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、ヒト抗体、又は二重特異性抗体である。一部の実施形態において、抗体は、ヒト抗体フレームワーク領域を含む。
特定の実施態様において、免疫グロブリン関連組成物は、以下の特徴のうちの1つ又は複数を含む:(a)配列番号7、17、27、37、62、66、又は70のいずれか1つに存在する軽鎖免疫グロブリン可変ドメイン配列又は軽鎖配列に、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は少なくとも99%同一な軽鎖免疫グロブリン可変ドメイン配列;及び/又は(b)配列番号2、12、22、32、59、60、61、63、64、65、67、68、又は69のいずれか1つに存在する重鎖免疫グロブリン可変ドメイン配列又は重鎖配列に、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は少なくとも99%同一な重鎖免疫グロブリン可変ドメイン配列。別の態様において、本明細書で提供される免疫グロブリン関連組成物における1つ又は複数のアミノ酸残基は、別のアミノ酸で置換される。置換は、本明細書において定義されるような「保存的置換」であってもよい。
【0049】
特定の実施形態において、免疫グロブリン関連組成物は、N297A及びK322Aからなる群から選択される1つ若しくは複数のアミノ酸置換若しくはアミノ酸残基のセット、重鎖の234位及び235位(EUインデックスに従って)における2つのロイシン(L)残基のアラニン(A)への2つのアミノ酸置換(LALA)、重鎖のアミノ酸残基356位のGlu(E)及び358位(EUインデックスに従って)のMet(M)のセット、又は重鎖の356位のAsp(D)及び358位(EUインデックスに従って)のロイシン(L)のセット若しくはそれらのあらゆる組合せを含むIgG1定常領域を含有する。加えて、又は代替として、一部の実施形態において、免疫グロブリン関連組成物は、S228P突然変異を含むIgG4定常領域を含有する。上記のLALA置換を含む操作された抗体は、Fc媒介エフェクター免疫機能によって引き起こされる毒性、PKプロファイル及び安定性の損失のいかなる望ましくない作用もなく、抗腫瘍作用を示す(Pharmacol Ther. 2019; 200: 110-125)。
【0050】
一部の態様において、本明細書に記載される抗DLL3免疫グロブリン関連組成物は、迅速な結合及び細胞の取り込み並びに/又は遅延放出を容易にするために構造改変を含有する。一部の態様において、本発明の技術の抗DLL3免疫グロブリン関連組成物(例えば、抗体)は、迅速な結合及び細胞の取り込み並びに/又は遅延放出を容易にするために、CH2定常重鎖領域に欠失を含有していてもよい。一部の態様において、Fab断片は、迅速な結合及び細胞の取り込み並びに/又は遅延放出を容易にするために使用される。一部の態様において、F(ab)’2断片は、迅速な結合及び細胞の取り込み並びに/又は遅延放出を容易にするために使用される。
【0051】
本明細書に記載される抗DLL3抗体のアミノ酸配列改変が予期される。例えば、抗体の結合親和性及び/又は他の生物学的な特性を改善することが望ましい場合がある。抗DLL3抗体のアミノ酸配列バリアントは、抗体核酸に適切なヌクレオチド変化を導入することによって、又はペプチド合成によって調製される。このような改変としては、例えば、抗体のアミノ酸配列内の残基の欠失、及び/又はそれへの挿入及び/又はその置換が挙げられる。得られた抗体が所望の特性を有する限りは、目的の抗体を得るために欠失、挿入、及び置換のあらゆる組合せがなされる。改変はまた、タンパク質のグリコシル化のパターンの変化も含む。変異誘発のための最も興味のある部位としては、高度可変領域が挙げられるが、FRの変更も予期される。「保存的置換」は、以下の表に示される。
【0052】
【0053】
置換バリアントの1つのタイプは、親抗体の1つ又は複数の高度可変領域の残基の置換を含む。このような置換バリアントを生成するための便利な方法は、ファージディスプレイを使用する親和性成熟を含む。具体的には、いくつかの高度可変領域部位(例えば、6~7つの部位)を突然変異させて、各部位でいずれかの可能なアミノ酸置換を生成する。このようにして生成した抗体バリアントは、繊維状ファージ粒子から、各粒子内にパッケージングされたM13の遺伝子III生成物への融合体として1価の様式で提示される。次いでファージディスプレイされたバリアントは、本明細書において開示されたように、その生物学的活性(例えば、結合親和性)に関してスクリーニングされる。改変のための候補高度可変領域部位を同定するために、アラニンスキャニング変異は、抗原結合に著しく関与する高度可変領域残基を同定するために実行してもよい。代替として、又は加えて、抗体と抗原との間の接触ポイントを同定するために、抗原-抗体複合体の結晶構造を分析することが有益であり得る。このような接触残基及び隣接する残基は、本明細書で詳述される技術による置換のための候補である。このようなバリアントが生成されたら、バリアントのパネルは、本明細書に記載されるようにスクリーニングに供され、類似の、又は優れた特性を有する抗体が、さらなる開発のために1つ又は複数の関連アッセイで選択することができる。
【0054】
一態様において、本発明の技術は、本明細書に記載される免疫グロブリン関連組成物のいずれかをコードする核酸配列を提供する。本明細書に記載される抗体のいずれかをコードする組換え核酸配列も本明細書で開示される。一部の実施形態において、核酸配列は、配列番号1、6、11、16、21、26、31、及び36からなる群から選択される。
別の態様において、本発明の技術は、本明細書に記載される免疫グロブリン関連組成物のいずれかをコードするいずれかの核酸配列を発現する宿主細胞又は発現ベクターを提供する。
【0055】
本発明の技術の免疫グロブリン関連組成物(例えば、抗DLL3抗体)は、単一特異性、二重特異性、三重特異性であってもよいし、又はそれより高次の多重特性であってもよい。多重特異性抗体は、1つ又は複数のDLL3ポリペプチドの異なるエピトープに対して特異的であってもよいし、又はDLL3ポリペプチドに加えて、異種組成物、例えば異種ポリペプチド又は固体支持体材料の両方に対して特異的であってもよい。例えば、WO93/17715;WO92/08802;WO91/00360;WO92/05793;Tutt et al., J. Immunol. 147: 60-69 (1991); 米国特許第5,573,920号、4,474,893号、5,601,819号、4,714,681号、4,925,648号;6,106,835号;Kostelny et al., J. Immunol. 148: 1547-1553 (1992)を参照されたい。一部の実施形態において、免疫グロブリン関連組成物は、キメラである。特定の実施形態において、免疫グロブリン関連組成物は、ヒト化されている。
【0056】
本発明の技術の免疫グロブリン関連組成物はさらに、N又はC末端で異種ポリペプチドに組換えによって融合していてもよいし、又はポリペプチド又は他の組成物に化学的にコンジュゲートされていてもよい(共有結合及び非共有結合によるコンジュゲーションを含む)。例えば、本発明の技術の免疫グロブリン関連組成物は、検出アッセイにおける標識として有用な分子、及び異種ポリペプチド、薬物、又は毒素などのエフェクター分子に、組換えによって融合又はコンジュゲートしていてもよい。例えば、WO92/08495;WO91/14438;WO89/12624;米国特許第5,314,995号;及びEP0396387を参照されたい。
本発明の技術の免疫グロブリン関連組成物の上記実施形態のいずれかにおいて、抗体又は抗原結合断片は、任意選択で、同位体、色素、クロマゲン(chromagen)、造影剤、薬物、毒素、サイトカイン、酵素、酵素阻害剤、ホルモン、ホルモンアンタゴニスト、増殖因子、放射性核種、金属、リポソーム、ナノ粒子、RNA、DNA又はそれらのあらゆる組合せからなる群から選択される薬剤にコンジュゲートされていてもよい。一部の実施形態において、本発明の技術の抗体又は抗原結合断片は、医薬的に許容される担体と組み合わせてもよい。化学結合又は物理的な結合の場合、免疫グロブリン関連組成物上の官能基は、典型的には、薬剤上の官能基と会合する。代替として、薬剤上の官能基は、免疫グロブリン関連組成物上の官能基と会合する。
【0057】
薬剤及び免疫グロブリン関連組成物上の官能基は、直接会合していてもよい。例えば、薬剤上の官能基(例えば、スルフヒドリル基)は、免疫グロブリン関連組成物上の官能基(例えば、スルフヒドリル基)と会合して、ジスルフィドを形成してもよい。代替として、官能基は、架橋剤(すなわち、リンカー)を介して会合していてもよい。架橋剤の一部の例は、後述される。架橋剤は、薬剤又は免疫グロブリン関連組成物のいずれかに付着していてもよい。コンジュゲート中の薬剤又は免疫グロブリン関連組成物の数はまた、他方に存在する官能基の数によっても限定される。例えば、コンジュゲートと会合した薬剤の最大数は、免疫グロブリン関連組成物上に存在する官能基の数によって決まる。代替として、薬剤と会合した免疫グロブリン関連組成物の最大数は、薬剤上に存在する官能基の数によって決まる。
さらに別の実施形態において、コンジュゲートは、1つの薬剤に会合した1つの免疫グロブリン関連組成物を含む。一実施形態において、コンジュゲートは、少なくとも1つの免疫グロブリン関連組成物に化学結合した(例えば、コンジュゲートした)少なくとも1つの薬剤を含む。薬剤は、当業者公知のあらゆる方法によって免疫グロブリン関連組成物に化学結合していてもよい。例えば、薬剤上の官能基は、免疫グロブリン関連組成物上の官能基に直接付着されていてもよい。好適な官能基の一部の例としては、例えば、アミノ、カルボキシル、スルフヒドリル、マレイミド、イソシアナト、イソチオシアネート及びヒドロキシルが挙げられる。
【0058】
薬剤はまた、架橋剤、例えばジアルデヒド、カルボジイミド、ジマレイミドなどによって免疫グロブリン関連組成物に化学結合していてもよい。架橋剤は、例えば、Pierce Biotechnology,Inc.、Rockford、Illから得ることができる。Pierce Biotechnology,Inc.のウェブサイトは、補助を提供することができる。追加の架橋剤としては、オランダ、アムステルダムのKreatech Biotechnology,B.V.の米国特許第5,580,990号;5,985,566号;及び6,133,038号に記載される白金架橋剤が挙げられる。
代替として、薬剤及び免疫グロブリン関連組成物上の官能基は、同じであってもよい。同一な官能基を架橋するために、典型的には、ホモ二官能性架橋剤が使用される。ホモ二官能性架橋剤の例としては、EGS(すなわち、エチレングリコールビス[スクシンイミジルスクシネート])、DSS(すなわち、スベリン酸ジスクシンイミジル)、DMA(すなわち、アジプイミド酸ジメチル.2HCl)、DTSSP(すなわち、3,3’-ジチオビス[スルホスクシンイミジルプロピオネート]))、DPDPB(すなわち、1,4-ジ-[3’-(2’-ピリジルジチオ)-プロピオンアミド]ブタン)、及びBMH(すなわち、ビスマレイミドヘキサン)が挙げられる。このようなホモ二官能性架橋剤も、Pierce Biotechnology,Incより入手可能である。
【0059】
他の例において、免疫グロブリン関連組成物から薬剤を切断することが有益な場合がある。上述したPierce Biotechnology,Inc.のウェブサイトはまた、細胞中で例えば酵素によって切断可能な好適な架橋剤を選ぶことにおける補助も当業者に提供することができる。したがって、薬剤は、免疫グロブリン関連組成物から分離されていてもよい。切断可能なリンカーの例としては、SMPT(すなわち、4-スクシンイミジルオキシカルボニル-メチル-a-[2-ピリジルジチオ]トルエン)、スルホ-LC-SPDP(すなわち、スルホスクシンイミジル6-(3-[2-ピリジルジチオ]-プロピオンアミド)ヘキサノエート)、LC-SPDP(すなわち、スクシンイミジル6-(3-[2-ピリジルジチオ]-プロピオンアミド)ヘキサノエート)、スルホ-LC-SPDP(すなわち、スルホスクシンイミジル6-(3-[2-ピリジルジチオ]-プロピオンアミド)ヘキサノエート)、SPDP(すなわち、N-スクシンイミジル3-[2-ピリジルジチオ]-プロピオンアミドヘキサノエート)、及びAEDP(すなわち、3-[(2-アミノエチル)ジチオ]プロピオン酸HCl)が挙げられる。
【0060】
別の実施形態において、コンジュゲートは、少なくとも1つの免疫グロブリン関連組成物と物理的に結合した少なくとも1つの薬剤を含む。薬剤を免疫グロブリン関連組成物と物理的に結合させるために、当業者公知のあらゆる方法が採用できる。例えば、免疫グロブリン関連組成物及び薬剤は、当業者公知のあらゆる方法によって一緒に混合することができる。混合の順番は重要ではない。例えば、薬剤は、当業者公知のあらゆる方法によって免疫グロブリン関連組成物と物理的に混合することができる。例えば、免疫グロブリン関連組成物及び薬剤を容器に入れ、例えば容器を振盪することによってかき混ぜて、免疫グロブリン関連組成物及び薬剤を混合することができる。
免疫グロブリン関連組成物は、当業者公知のあらゆる方法によって改変することができる。例えば、免疫グロブリン関連組成物は、上述したように架橋剤又は官能基によって改変することができる。
【0061】
本発明の抗体はまた、抗体の改変も含む。改変は、本発明の抗体を化学的又は生物学的に改変することを意味するのに使用される。このような化学的改変の例としては、アミノ酸骨格への化学部分の結合、及びN結合型又はO結合型炭水化物鎖の化学的改変が挙げられる。このような生物学的な改変の例としては、翻訳後修飾(例えば、N結合型又はO結合型グリコシル化、N末端又はC末端プロセシング、脱アミド、アスパラギン酸の異性化、メチオニンの酸化、及びN末端グルタミン又はN末端グルタミン酸のピログルタミン酸への変換)を受けた抗体、及び原核生物の宿主細胞を使用して発現させた結果として、そのN末端にメチオニン残基が付加された抗体が挙げられる。加えて、このような改変はまた、本発明の抗体又は抗原の検出又は単離を可能にするための標識された抗体、例えば、酵素標識された抗体、蛍光標識された抗体、及び親和性標識された抗体を含むことも意味する。このような本発明の抗体の改変は、抗体の血中での安定性及び保持の改善;抗原性の低減;抗体又は抗原の検出又は単離などのために有用である。
さらに、本発明の抗体に結合する糖鎖改変を調節すること(グリコシル化、脱フコシル化など)によって、抗体依存性細胞傷害活性を強化することができる。抗体の糖鎖改変を調節する技術として、国際公報WO1999/54342号、WO2000/61739号、及びWO2002/31140号、WO2007/133855号などに記載されるものが公知であるが、技術は、それらに限定されない。本発明の抗体はまた、抗体に関する前述の糖鎖改変が調節された抗体も含む。
【0062】
抗体遺伝子が単離されたら、遺伝子を適切な宿主に導入して、宿主及び発現ベクターの適切な組合せを使用して抗体を作製することができる。抗体遺伝子の具体的な例は、本発明の説明に記載される抗体の重鎖配列をコードする遺伝子及びそこに記載された抗体の軽鎖配列をコードする遺伝子の組合せであり得る。宿主細胞の形質転換のとき、このような重鎖配列遺伝子及び軽鎖配列遺伝子は、単一の発現ベクターに挿入されてもよいし、又はその代わりに、これらの遺伝子は、それぞれ異なる発現ベクターに挿入されてもよい。
真核細胞が宿主として使用される場合、動物細胞、植物細胞又は真核微生物が使用されてもよい。特に、動物細胞の例としては、哺乳類細胞、例えばサル細胞であるCOS細胞(Gluzman, Y., Cell (1981) 23, p. 175-182, ATCC CRL-1650)、マウス線維芽細胞NIH3T3(ATCC番号CRL-1658)、チャイニーズハムスター卵巣細胞のジヒドロ葉酸レダクターゼ欠損細胞株(CHO細胞、ATCC CCL-61)(Urlaub, G. and Chasin, L. A. Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. (1980) 77, p. 4126-4220)、及びFreeStyle 293F細胞(Invitrogen Corp.)を挙げることができる。
原核細胞が宿主として使用される場合、例えば大腸菌(Escherichia coli)又はバチルス・ズブチリス(Bacillus subtilis)を使用してもよい。
【0063】
目的の抗体遺伝子は、形質転換のためにこれらの細胞に導入され、次いで形質転換した細胞はインビトロで培養されて、抗体が得られる。前述の培養において、抗体の配列に応じて収量が異なる場合があることから、インジケーターとして収量を使用して、等価な結合活性を有する抗体から、医薬として容易に作製される抗体を選択することが可能である。したがって、本発明の抗体はまた、形質転換宿主細胞を培養する工程、及び前述の工程で得られた培養物から目的の抗体又は当該抗体の機能的な断片を収集する工程を含む、上述した抗体を作製するための方法により得られた抗体も含む。
【0064】
培養された哺乳類細胞で作製された抗体の重鎖のカルボキシル末端におけるリジン残基は欠失していることが公知であり(Journal of Chromatography A, 705: 129-134 (1995))、重鎖カルボキシル末端における2つのアミノ酸残基、グリシン及びリジンが欠失していること、及びカルボキシル末端に新たに配置されたプロリン残基はアミド化されていることも公知である(Analytical Biochemistry, 360: 75-83 (2007))。しかしながら、これらの重鎖配列のこのような欠失及び改変は、抗体の抗原結合活性及びエフェクター機能(補体の活性化、抗体依存性細胞傷害など)への影響を有さない。したがって、本発明による抗体はまた、前述の改変を受けた抗体、及びその抗体の機能的な断片も含み、このような抗体の具体的な例としては、重鎖カルボキシル末端に1又は2アミノ酸の欠失を含む欠失突然変異体、及び前述の欠失突然変異体をアミド化することによって形成された欠失突然変異体(例えば、カルボキシル末端部位のプロリン残基がアミド化された重鎖)が挙げられる。しかしながら、本発明による抗体の重鎖のカルボキシル末端に欠失を含む欠失突然変異体は、それらが抗原結合活性及びエフェクター機能を保持する限り、上述した欠失突然変異体に限定されない。本発明による抗体を構成する2つの重鎖は、全長抗体からなる群から選択される重鎖及び上述した欠失突然変異体のいずれか一方のタイプであってもよいし、又は前述の群から選択されるいずれか2つのタイプの組合せであってもよい。個々の欠失突然変異体の比率は、本発明による抗体を作製する培養された哺乳類細胞のタイプや培養条件によって影響を受ける可能性がある。本発明による抗体の主要な成分の例としては、2つの重鎖のカルボキシル末端のそれぞれにおいて1つのアミノ酸残基が欠失した抗体を挙げることができる。
抗体の生物学的活性の例としては、一般的に、抗原結合活性、抗原に結合することによって抗原を発現する細胞に内在化する活性、抗原の活性を中和する活性、抗原の活性を強化する活性、抗体依存性細胞傷害(ADCC)活性、補体依存性細胞傷害(CDC)活性、及び抗体依存性細胞貪食(ADCP)を挙げることができる。本発明による抗体の機能は、DLL3に対する結合活性であり、好ましくは、DLL3に結合することによってDLL3を発現する細胞に内在化する活性である。さらに、本発明の抗体は、ADCC活性、CDC活性及び/又はADCP活性、加えて、細胞内在化活性を有していてもよい。
【0065】
IV.抗DLL3抗体の作製
本発明の抗DLL3抗体は、あらゆる種由来であってもよい。種の好ましい例としては、ヒト、サル、ラット、マウス及びウサギを挙げることができる。本発明の抗DLL3抗体がヒト以外の種から誘導される場合、周知の技術によって抗DLL3抗体をキメラ化又はヒト化することが好ましい。本発明の抗体は、ポリクローナル抗体であってもよいし、又はモノクローナル抗体であってもよく、モノクローナル抗体が好ましい。
本発明の抗DLL3抗体は、腫瘍細胞を標的化することができる抗体である。具体的には、本発明の抗DLL3抗体は、腫瘍細胞の認識が可能な特性、腫瘍細胞への結合が可能な特性、及び/又は細胞内取り込みによって腫瘍細胞に内在化される特性などを有する。したがって、本発明の抗DLL3抗体は、抗体-薬物コンジュゲートを調製するために、リンカーを介して抗腫瘍活性を有する化合物にコンジュゲートしていてもよい。
腫瘍細胞に対する抗体の結合活性は、フローサイトメトリーによって確認することができる。腫瘍細胞への抗体の取り込みは、(1)抗体に結合する二次抗体(蛍光標識した)を使用して蛍光顕微鏡下で細胞に取り込まれた抗体を可視化するアッセイ(Cell Death and Differentiation, 2008, 15, 751-761)(2)抗体に結合する二次抗体(蛍光標識した)を使用して細胞に取り込まれた蛍光の量を測定するアッセイ(Molecular Biology of the Cell Vol. 15, 5268-5282, December 2004)又は(3)抗体に結合する免疫毒素を使用するMab-ZAPアッセイであって、毒素は、細胞成長を抑制するように細胞内取り込みのときに放出される、アッセイ(Bio Techniques 28: 162-165, January 2000)によって確認することができる。ジフテリア毒素の触媒領域及びプロテインGの組換えコンジュゲートタンパク質が、免疫毒素として使用される可能性がある。
【0066】
本発明の説明において、用語「高い内在化能力」は、前述の抗体及びサポリン標識された抗ラットIgG抗体が投与されたDLL3を発現する細胞の生存率(これは、100%と定義される抗体添加なしの場合の細胞生存率に対する比率によって示される)が、好ましくは70%又はそれ未満であり、より好ましくは60%又はそれ未満であることを意味するものとして使用される。
本発明の抗腫瘍抗体-薬物コンジュゲートは、抗腫瘍作用を発揮するコンジュゲート化合物を含む。それゆえに、必ずしもそうとは限らないが、抗体それ自体が抗腫瘍作用を有することが好ましい。腫瘍細胞において抗腫瘍化合物の細胞傷害性を特異的及び/又は選択的に発揮する目的のために、抗体が、腫瘍細胞に内在化され移行される特性を有することが重要であり好ましい。
抗DLL3抗体は、この分野で通常実行される方法によって、抗原として作用するポリペプチドで動物を免疫化すること、次いで、その生体内で作製された抗体を収集及び精製することによって得ることができる。抗原としての3次元構造を保持するDLL3を使用することが好ましい。このような方法の例としては、DNA免疫化方法を挙げることができる。
【0067】
抗原の起源は、ヒトに限定されず、したがって、動物はまた、マウス又はラットなどの非ヒト動物由来の抗原で免疫化することもできる。この場合、ヒトの疾患に適用可能な抗体は、異種抗原に結合する得られた抗体の、ヒト抗原との交差反応性を検査することによって選択することができる。
さらに、抗原に対する抗体を作製する抗体産生細胞は、モノクローナル抗体が得られるようにハイブリドーマを確立するために、公知の方法により骨髄腫細胞と融合させてもよい(例えば、Kohler and Milstein, Nature (1975) 256, 495-497;及びKennet, R. ed., Monoclonal Antibodies, 365-367, Plenum Press, N. Y. (1980))。
以下、DLL3に対する抗体を得るための方法を具体的に記載する。
【0068】
一般的な概要。最初に、本発明の技術の抗体を生じさせる可能性がある標的ポリペプチドを選択する。例えば、抗体は、全長DLL3タンパク質に対して、又はDLL3タンパク質の細胞外ドメインの一部に対して生じ得る。このような標的ポリペプチドに対する抗体を生成するための技術は、当業者周知である。このような技術の例としては、例えば、これらに限定されないが、ディスプレイライブラリー、ゼノマウス又はヒトマウス、ハイブリドーマを含むものなどが挙げられる。本発明の技術の範囲内の標的ポリペプチドとしては、免疫応答を惹起することが可能な、細胞外ドメインを含有するDLL3タンパク質由来のあらゆるポリペプチドが挙げられる。
DLL3タンパク質に対する、組換え操作された抗体及び抗体断片、例えば抗体関連のポリペプチド及びそれらの断片は、本発明の開示に従った使用に好適であることが理解されるものとする。
本明細書に記載の技術に供することができる抗DLL3抗体としては、モノクローナル及びポリクローナル抗体、並びに抗体断片、例えばFab、Fab’、F(ab’)2、Fd、scFv、ダイアボディ、抗体軽鎖、抗体重鎖及び/又は抗体断片が挙げられる。抗体Fv含有ポリペプチド、例えば、Fab’及びF(ab’)2抗体断片の高収量生成に有用な方法がすでに記載されている。米国特許第5,648,237号を参照されたい。
【0069】
一般的に、抗体は、起源となる種から得られる。さらにとりわけ、標的ポリペプチド抗原への特異性を有する起源となる種の抗体の、軽鎖、重鎖又はその両方の可変部分の核酸又はアミノ酸配列が得られる。起源となる種は、本発明の技術の抗体又は抗体のライブラリーを生成するのに有用であったあらゆる種であり、例えば、ラット、マウス、ウサギ、ニワトリ、サル、ヒトなどである。
ファージ又はファージミドディスプレイ技術は、本発明の技術の抗体を得るのに有用な技術である。モノクローナル抗体を生成及びクローニングするための技術は、当業者周知である。本発明の技術の抗体をコードする配列の発現は、大腸菌(E.coli)で行うことができる。
【0070】
核酸コード配列の縮重により、本発明の技術の実施において、天然に存在するタンパク質のアミノ酸配列と実質的に同じアミノ酸配列をコードする他の配列を使用してもよいその例としては、これに限定されないが、上記のポリペプチドをコードする核酸配列の全部又は一部を含む核酸配列が挙げられ、このような核酸配列は、配列内の機能的に同等なアミノ酸残基をコードする異なるコドンの置換によって変更されており、したがってサイレントな変化を引き起こす。本発明の技術による免疫グロブリンのヌクレオチド配列は、標準的な方法(Current Methods in Sequence Comparison and Analysis,” Macromolecule Sequencing and Synthesis, Selected Methods and Applications, pp. 127-149, 1998, Alan R. Liss, Inc.)によって計算した場合、このようなバリアントがDLL3タンパク質を認識する有効な抗体を形成する限り、25%までの配列相同性のバリエーションを許容することが理解される。例えば、ポリペプチド配列内の1つ又は複数のアミノ酸残基は、機能的な等価体として作用する類似の極性を有する別のアミノ酸によって置換されていてもよく、結果としてサイレントな変更が生じる。配列内のアミノ酸の置換は、そのアミノ酸が属するクラスの他のメンバーから選択することができる。例えば、非極性(疎水性)アミノ酸としては、アラニン、ロイシン、イソロイシン、バリン、プロリン、フェニルアラニン、トリプトファン及びメチオニンが挙げられる。極性中性アミノ酸としては、グリシン、セリン、スレオニン、システイン、チロシン、アスパラギン、及びグルタミンが挙げられる。正電荷を有する(塩基性)アミノ酸としては、アルギニン、リジン及びヒスチジンが挙げられる。負電荷を有する(酸性)アミノ酸としては、アスパラギン酸及びグルタミン酸が挙げられる。また、例えば、グリコシル化、タンパク質分解による切断、抗体分子又は他の細胞性リガンドへの連結などによって、翻訳中又はその後に差次的に改変されたタンパク質又はその断片若しくは誘導体も、本発明の技術の範囲内に含まれる。加えて、免疫グロブリンをコードする核酸配列は、翻訳、開始、及び/又は終結配列を作り出したり及び/若しくは破壊したりするために、又はコード領域中にバリエーションを作り出すために、及び/又は新しい制限エンドヌクレアーゼ部位を形成したり若しくは既存のそのような部位を破壊したりするために、さらにインビトロでの改変を容易にするために、インビトロ又はインビボで突然変異させてもよい。当業界において公知の変異誘発のためのあらゆる技術を使用でき、その例としては、これらに限定されないが、インビトロの部位特異的変異誘発、J. Biol. Chem. 253:6551、Tabリンカー(Pharmacia)の使用などが挙げられる。
【0071】
ポリクローナル抗血清及び免疫原の調製。本発明の技術の抗体又は当該抗体断片を生成する方法は、典型的には、精製したDLL3タンパク質若しくはその断片又はDLL3タンパク質又はその断片を発現する細胞で対象(一般的に非ヒト対象、例えばマウス又はウサギ)を免疫化することを含む。適切な免疫原性調製物は、例えば、組換え発現されたDLL3タンパク質又は化学的に合成されたDLL3ペプチドを含有していてもよい。DLL3タンパク質の細胞外ドメイン、又はその一部若しくは断片は、ポリクローナル及びモノクローナル抗体調製のための標準的な技術を使用して、DLL3タンパク質、又はその一部若しくは断片に結合する抗DLL3抗体を生成するための免疫原として使用することができる。
【0072】
全長DLL3タンパク質又はその断片は、免疫原としての断片として有用である。一部の実施形態において、ペプチドに対して生じた抗体がDLL3タンパク質との特異的な免疫複合体を形成するように、DLL3断片は、DLL3の細胞外ドメインを含む。
DLL3の細胞外ドメインは、全長DLL3タンパク質のアミノ酸27~492にわたる466アミノ酸の長さを有する。一部の実施形態において、抗原性DLL3ペプチドは、少なくとも5、8、10、15、20、30、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250、300、350、400、又は450アミノ酸残基を含む。使用に応じて、当業者周知の方法によっては、より長い抗原性ペプチドが、より短い抗原性ペプチドより時には望ましい。所与のエピトープの多量体は、時には単量体より有効である。
【0073】
必要な場合、DLL3タンパク質(又はその断片)の免疫原性は、キーホールリンペットヘモシニアン(KLH)又はオボアルブミン(卵子)などの担体タンパク質への融合又はコンジュゲーションによって増加させることができる。多くのこのような担体タンパク質は、当業界において公知である。またDLL3タンパク質を、従来のアジュバント、例えばフロイント完全又は不完全アジュバントと組み合わせて、ポリペプチドに対する対象の免疫反応を増加させることもできる。免疫応答を増加させるのに使用される様々なアジュバントとしては、これらに限定されないが、フロイント(完全及び不完全)、ミネラルゲル(例えば、水酸化アルミニウム)、表面活性物質(例えば、リゾレシチン、プルロニックポリオール、ポリアニオン、ペプチド、油乳濁液、ジニトロフェノールなど)、ヒトアジュバント、例えばカルメット・ゲラン桿菌(Bacille Calmette-Guerin)及びコリネバクテリウム・パルバム(Corynebacterium parvum)、又は類似の免疫刺激性化合物が挙げられる。これらの技術は、当業界において標準的である。
【0074】
本発明の技術を記載することにおいて、免疫応答は、「一次」又は「二次」免疫応答のいずれかとして記載することができる。一次免疫応答は、「防御的」免疫応答とも記載され、これは、特定の抗原、例えばDLL3タンパク質へのいくらかの最初の曝露(例えば、最初の「免疫化」)の結果として個体で生じた免疫応答を指す。一部の実施形態において、免疫化は、個体に抗原を含有するワクチンを接種した結果として起こり得る。例えば、ワクチンは、1種又は複数のDLL3タンパク質由来の抗原を含むDLL3ワクチンであり得る。一次免疫応答は、経時的に弱化又は減衰する可能性があり、さらには消失し、又は少なくとも検出できない程度に弱毒化することさえもあり得る。したがって、本発明の技術はまた、ここでは「メモリー免疫応答」とも記載される「二次」免疫応答にも関する。二次免疫応答という用語は、一次免疫応答がすでに生じた後に個体において惹起された免疫応答を指す。
【0075】
したがって、二次免疫応答を惹起することで、例えば、弱化又は減衰した状態になった既存の免疫応答を強化したり、又は消失したか又はもはや検出できなくなったかのいずれかの以前の免疫応答を再び生じさせたりすることができる。二次又はメモリー免疫応答は、体液性(抗体)応答又は細胞の応答のいずれかであり得る。二次又はメモリー体液性応答は、最初の抗原提示で生成したメモリーB細胞の刺激で起こる。遅延型過敏症(DTH)反応は、CD4+T細胞によって媒介される細胞性二次又はメモリー免疫応答の一種である。最初の抗原曝露は免疫系を刺激し、追加の曝露はDTHを引き起こす。
適切な免疫化の後、抗DLL3抗体は、対象の血清から調製することができる。必要に応じて、DLL3タンパク質に対する抗体分子は、哺乳動物から(例えば、血液から)単離することができ、さらにポリペプチドAクロマトグラフィーなどの周知の技術によって精製して、IgG画分を得ることができる。
【0076】
モノクローナル抗体。本発明の技術の一実施形態において、抗体は、抗DLL3モノクローナル抗体である。例えば、一部の実施形態において、抗DLL3モノクローナル抗体は、ヒト又はマウス抗DLL3モノクローナル抗体であり得る。DLL3タンパク質、又はその誘導体、断片、アナログ又はホモログに対するモノクローナル抗体の調製のために、連続的な細胞株培養によって抗体分子の作製を提供するあらゆる技術を利用することができる。このような技術としては、これらに限定されないが、ハイブリドーマ技術(例えば、Kohler & Milstein, 1975. Nature 256: 495-497を参照);トリオーマ技術;ヒトB細胞ハイブリドーマ技術(例えば、Kozbor, et al., 1983. Immunol. Today 4: 72を参照)及びヒトモノクローナル抗体を作製するためのEBVハイブリドーマ技術(例えば、Cole, et al., 1985. In: MONOCLONAL ANTIBODIES AND CANCER THERAPY, Alan R. Liss, Inc., pp. 77-96を参照)が挙げられる。ヒトモノクローナル抗体は、本発明の技術の実施で利用することができ、ヒトハイブリドーマを使用することによって(例えば、Cote, et al., 1983. Proc. Natl. Acad. Sci. USA 80: 2026-2030を参照)、又はインビトロでヒトB細胞をエプスタイン-バーウイルスで形質転換することによって(例えば、Cole, et al., 1985. In: MONOCLONAL ANTIBODIES AND CANCER THERAPY, Alan R. Liss, Inc., pp. 77-96を参照)作製することができる。例えば、抗体の領域をコードする核酸の集団は、単離されてもよい。抗体の保存された領域をコードする配列由来のプライマーを利用するPCRを使用して、集団から抗体の一部をコードする配列を増幅し、次いで抗体又はその断片、例えば可変ドメインをコードするDNAが、増幅した配列から再構成される。このような増幅した配列はまた、ファージ又は細菌での融合ポリペプチドの発現及び提示のために、他のタンパク質をコードするDNA、例えば、バクテリオファージコート、又は細菌細胞表面タンパク質をコードするDNAに融合されていてもよい。次いで増幅した配列は、発現させることができ、さらに、例えば、DLL3タンパク質上に存在する抗原又はエピトープに関する発現した抗体又はその断片の親和性に基づいて選択又は単離することができる。代替として、抗DLL3モノクローナル抗体を発現するハイブリドーマは、対象を免疫化し、次いで慣例的な方法を使用して対象の脾臓からハイブリドーマを単離することによって調製することができる。例えば、Milstein et al., (Galfre and Milstein, Methods Enzymol (1981) 73: 3-46)を参照されたい。標準的な方法を使用してハイブリドーマをスクリーニングすることは、多様な特異性(すなわち、異なるエピトープに対する)及び親和性を有するモノクローナル抗体を作製すると予想される。所望の特性、例えばDLL3結合を示す選択されたモノクローナル抗体は、ハイブリドーマによって発現された状態で使用してもよいし、ポリエチレングリコール(PEG)などの分子に結合させてその特性を変更してもよいし、又はそれをコードするcDNAを単離し、シーケンシングし、様々な方法で操作してもよい。合成のデンドリマー状のツリー(dendromeric tree)を反応性アミノ酸側鎖、例えばリジンに付加して、DLL3タンパク質の免疫原性特性を強化することができる。またCPG-ジヌクレオチド技術を使用しても、DLL3タンパク質の免疫原性特性を強化することができる。他の操作としては、貯蔵中又は対象への投与後の抗体の不安定さに寄与する特定のアミノアシル残基を置換するか又は欠失させること、及びDLL3タンパク質の抗体の親和性を改善するための親和性成熟技術が挙げられる。
【0077】
ハイブリドーマ技術。一部の実施形態において、本発明の技術の抗体は、トランスジェニック非ヒト動物、例えば、不死化細胞に融合したヒト重鎖導入遺伝子及び軽鎖導入遺伝子を含むゲノムを有するトランスジェニックマウスから得られたB細胞を含むハイブリドーマによって作製された抗DLL3モノクローナル抗体である。ハイブリドーマ技術としては、当業界において公知のもの、及びHarlow et al., Antibodies: A Laboratory Manual Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, NY, 349 (1988); Hammerling et al., Monoclonal Antibodies And T-Cell Hybridomas, 563-681 (1981)で教示されたものが挙げられる。ハイブリドーマ及びモノクローナル抗体を作製するための他の方法は、当業者周知である。
【0078】
ファージディスプレイ技術。上述したように、本発明の技術の抗体は、組換えDNA及びファージディスプレイ技術の適用を介して作製することができる。例えば、抗DLL3抗体は、当業界において公知の様々なファージディスプレイ方法を使用して調製することができる。ファージディスプレイ方法において、機能的な抗体ドメインは、それをコードするポリヌクレオチド配列を有するファージ粒子の表面上に提示される。所望の結合特性を有するファージは、抗原、典型的には固体表面又はビーズに結合又は捕捉された抗原を用いて直接選択することによって、レパートリー又はコンビナトリアル抗体ライブラリー(例えば、ヒト又はマウスの)から選択される。これらの方法で使用されるファージは、典型的には、ファージ遺伝子III又は遺伝子VIIIタンパク質のいずれかに組換えによって融合されたFab、Fv又はジスルフィドで安定化されたFv抗体ドメインを有するfd及びM13などの繊維状ファージである。加えて、方法は、Fab発現ライブラリーの構築に適合させることができ(例えば、Huse, et al., Science 246: 1275-1281, 1989を参照)、それにより、DLL3ポリペプチド、例えば、そのポリペプチド又は誘導体、断片、アナログ又はホモログに対する所望の特異性を有するモノクローナルFab断片の迅速で有効な同定を可能にする。本発明の技術の抗体の作製に使用できるファージディスプレイ方法の他の例としては、Huston et al., Proc. Natl. Acad. Sci U.S.A., 85: 5879-5883, 1988; Chaudhary et al., Proc. Natl. Acad. Sci U.S.A., 87: 1066-1070, 1990; Brinkman et al., J. Immunol. Methods 182: 41-50, 1995; Ames et al., J. Immunol. Methods 184: 177-186, 1995; Kettleborough et al., Eur. J. Immunol. 24: 952-958, 1994; Persic et al., Gene 187: 9-18, 1997; Burton et al., Advances in Immunology 57: 191-280, 1994;PCT/GB91/01134;WO90/02809;WO91/10737;WO92/01047;WO92/18619;WO93/11236;WO95/15982;WO95/20401;WO96/06213;WO92/01047(Medical Research Council et al.);WO97/08320(Morphosys);WO92/01047(CAT/MRC);WO91/17271(Affymax);並びに米国特許第5,698,426号、5,223,409号、5,403,484号、5,580,717号、5,427,908号、5,750,753号、5,821,047号、5,571,698号、5,427,908号、5,516,637号、5,780,225号、5,658,727号及び5,733,743号で開示されたものが挙げられる。ジスルフィド結合を介してポリペプチドを付着させることによってバクテリオファージ粒子の表面上にポリペプチドを提示させるのに有用な方法は、Lohningによって、米国特許第6,753,136号に記載されている。上記の参考文献に記載されたように、ファージ選択の後、ファージから抗体コード領域を単離し、それを使用して、ヒト抗体を含む全抗体、又は他のあらゆる所望の抗原結合断片を生成し、哺乳類細胞、昆虫細胞、植物細胞、酵母、及び細菌などのいずれかの所望の宿主で発現させることができる。例えば、Fab、Fab’及びF(ab’)2断片を組換えによって作製する技術はまた、当業界において公知の方法例えば、WO92/22324;Mullinax et al., BioTechniques 12: 864-869, 1992;及びSawai et al., AJRI 34: 26-34, 1995;及びBetter et al., Science 240: 1041-1043, 1988で開示されたものを使用しても採用することができる。
【0079】
一般的に、抗体又は当該抗体断片は、ファージ又はファージミド粒子の表面上に存在すると予想されることから、提示ベクターにクローニングされるハイブリッド抗体又はハイブリッド抗体断片は、優れた結合活性を維持するバリアントを同定するために、適切な抗原に対して選択することができる。例えば、Barbas III et al., Phage Display, A Laboratory Manual (Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y., 2001)を参照されたい。しかしながら、他のベクター様式は、このプロセスに使用でき、例えば、選択及び/又はスクリーニングのための溶菌性ファージベクター(改変されたT7又はラムダZap系)に抗体断片ライブラリーをクローニングすることに使用できる。
【0080】
組換え抗DLL3抗体の発現。上述したように、本発明の技術の抗体は、組換えDNA技術の適用を介して作製することができる。本発明の技術の抗DLL3抗体をコードする組換えポリヌクレオチド構築物は、典型的には、天然に関連する又は異種プロモーター領域などの、抗DLL3抗体鎖のコード配列に作動可能に連結された発現制御配列を含む。したがって、本技術の別の態様は、本発明の技術の抗DLL3抗体をコードする1つ又は複数の核酸配列を含有するベクターを含む。本発明の技術のポリペプチドのうちの1つ又は複数の組換え発現のために、抗DLL3抗体をコードするヌクレオチド配列の全部又は一部を含有する核酸は、当業界において周知の組換えDNA技術によって、さらに以下で詳述されるように、適切なクローニングベクター、又は発現ベクター(すなわち、挿入されたポリペプチドコード配列の転写及び翻訳に必要なエレメントを含有するベクター)に挿入される。ベクターの多様な集団を作製するための方法は、Lerner et al.によって米国特許第6,291,160号及び6,680,192号に記載される。
【0081】
一般的に、組換えDNA技術において有用な発現ベクターは、プラスミドの形態であることが多い。本発明の開示において、プラスミドは最も一般的に使用されるベクターの形態であるので、「プラスミド」及び「ベクター」は、同義的に使用することができる。しかしながら、本発明の技術は、このような技術的にはプラスミドではない発現ベクターの他の形態、例えばウイルスベクター(例えば、複製欠損性レトロウイルス、アデノウイルス及びアデノ随伴ウイルス)を含むことが意図され、これらは、同等の機能を提供する。このようなウイルスベクターは、対象の感染及びその対象における構築物の発現を許容する。一部の実施形態において、発現制御配列は、真核宿主細胞を形質転換又はトランスフェクトすることが可能なベクターにおいて、真核生物プロモーター系である。ベクターが適切な宿主に取り込まれると、宿主は、抗DLL3抗体をコードするヌクレオチド配列の高レベル発現、並びに抗DLL3抗体、例えば交差反応性抗DLL3抗体の収集及び精製に好適な条件下で維持される。一般的に、U.S.2002/0199213を参照されたい。これらの発現ベクターは、典型的には、エピソームとして、又は宿主染色体のDNAの構成部分としてのいずれかで、宿主生物中で複製可能である。一般的に、発現ベクターは、所望のDNA配列で形質転換した細胞を検出できるように、選択マーカー、例えば、アンピシリン耐性又はハイグロマイシン耐性選択マーカーを含有する。ベクターはまた、シグナルペプチドをコードしていてもよく、例えば、細胞外抗体断片の分泌を指示するのに有用なペクチン酸リアーゼをコードしていてもよい。米国特許第5,576,195号を参照されたい。
【0082】
本発明の技術の組換え発現ベクターは、DLL3結合特性を有するタンパク質をコードする核酸を、宿主細胞における核酸の発現に好適な形態で含み、これは、組換え発現ベクターが、発現させる核酸配列に作動可能に連結された、発現に使用される宿主細胞に基づき選択された1つ又は複数の調節配列を含むことを意味する。組換え発現ベクター内において、「作動可能に連結された」は、目的のヌクレオチド配列が、ヌクレオチド配列の発現を可能にする方式で(例えば、インビトロの転写/翻訳系において、又はベクターが宿主細胞に導入される場合、宿主細胞において)調節配列に連結されていることを意味することが意図される。用語「調節配列」は、プロモーター、エンハンサー及び他の発現制御エレメント(例えば、ポリアデニル化シグナル)を含むことが意図される。このような調節配列は、例えば、Goeddel, GENE EXPRESSION TECHNOLOGY: METHODS IN ENZYMOLOGY 185, Academic Press, San Diego, Calif. (1990)に記載される。調節配列としては、多くのタイプの宿主細胞においてヌクレオチド配列の構成的発現を指示するもの、及び特定の宿主細胞においてのみヌクレオチド配列の発現を指示するもの(例えば、組織特異的調節配列)が挙げられる。当業者であれば、発現ベクターの設計は、形質転換される宿主細胞の選択、所望のポリペプチドの発現レベルなどのような要因に依存する可能性があると理解されると予想される。組換えポリペプチド発現(例えば、抗DLL3抗体)のプロモーターとして有用な典型的な調節配列としては、例えば、これらに限定されないが、3-ホスホグリセリン酸キナーゼ及び他の糖分解酵素のプロモーターが挙げられる。誘導性酵母プロモーターとしては、なかでも、アルコールデヒドロゲナーゼ、イソチトクロムC、並びにマルトース及びガラクトース利用に関与する酵素からのプロモーターが挙げられる。一実施形態において、本発明の技術の抗DLL3抗体をコードするポリヌクレオチドは、ara Bプロモーターに作動可能に連結され、宿主細胞において発現可能である。米国特許第5,028,530号を参照されたい。本発明の技術の発現ベクターを宿主細胞に導入することによって、本明細書に記載される核酸によってコードされた融合ポリペプチドを含むポリペプチド又はペプチド(例えば、抗DLL3抗体など)を作製することができる。
【0083】
本発明の技術の別の態様は、1つ又は複数の抗DLL3抗体をコードする核酸を含有する、抗DLL3抗体を発現する宿主細胞に関する。本発明の技術の組換え発現ベクターは、原核又は真核細胞における抗DLL3抗体の発現のために設計することができる。例えば、抗DLL3抗体は、細菌細胞、例えば大腸菌、昆虫細胞(バキュロウイルス発現ベクターを使用して)、真菌細胞、例えば酵母、酵母細胞又は哺乳類細胞で発現させることができる。好適な宿主細胞は、Goeddel, GENE EXPRESSION TECHNOLOGY: METHODS IN ENZYMOLOGY 185, Academic Press, San Diego, Calif. (1990)でさらに論じられる。代替として、組換え発現ベクターは、インビトロで、例えば、T7プロモーター調節配列及びT7ポリメラーゼを使用して、転写及び翻訳させることができる。これまでに、確率論的に生成したポリヌクレオチド配列の発現を介した、予め決定された特性を有するポリペプチド、例えば抗DLL3抗体の調製及びスクリーニングに有用な方法が記載されている。米国特許第5,763,192号;5,723,323号;5,814,476号;5,817,483号;5,824,514号;5,976,862号;6,492,107号;6,569,641号を参照されたい。
【0084】
原核生物におけるポリペプチドの発現は、ほとんどの場合、融合又は非融合ポリペプチドのいずれかの発現を指示する構成的又は誘導性プロモーターを含有するベクターを用いて、大腸菌で行われる。融合ベクターは、そこにコードされたポリペプチドに、通常、組換えポリペプチドのアミノ末端に、所定数のアミノ酸を追加する。このような融合ベクターは、典型的には、3つの目的:(i)組換えポリペプチドの発現を増加させること;(ii)組換えポリペプチドの溶解性を増加させること;及び(iii)組換えポリペプチドの精製において、親和性精製におけるリガンドとして作用することによって補助することに役立つ。多くの場合、融合発現ベクターにおいて、融合部分と組換えポリペプチドとのジャンクションにタンパク質分解による切断部位が導入されることで、融合ポリペプチドの精製の後、融合部分からの組換えポリペプチドの分離が可能になる。このような酵素、及びその同族認識配列としては、第Xa因子、トロンビン及びエンテロキナーゼが挙げられる。典型的な融合発現ベクターとしては、それぞれグルタチオンS-トランスフェラーゼ(GST)、マルトースE結合ポリペプチド、又はポリペプチドAを標的組換えポリペプチドに融合させる、pGEX(Pharmacia Biotech Inc;Smith and Johnson, 1988. Gene 67: 31-40)、pMAL(New England Biolabs、Beverly、Mass.)、及びpRIT5(Pharmacia、Piscataway、N.J.)が挙げられる。
【0085】
好適な誘導性非融合大腸菌発現ベクターの例としては、pTrc(Amrann et al., (1988) Gene 69: 301-315)及びpET 11d(Studier et al., GENE EXPRESSION TECHNOLOGY: METHODS IN ENZYMOLOGY 185, Academic Press, San Diego, Calif. (1990) 60-89)が挙げられる。ポリペプチド融合を介して多官能性ポリペプチドを得るための別個の活性なペプチド又はタンパク質ドメインの標的化されたアセンブリのための方法は、Pack et al.によって、米国特許第6,294,353号;6,692,935号に記載されている。大腸菌における組換えポリペプチド発現、例えば、抗DLL3抗体を最大化する1つの戦略は、タンパク質分解によって組換えポリペプチドを切断する機能が損なわれた宿主細菌中でポリペプチドを発現させることである。例えば、Gottesman, GENE EXPRESSION TECHNOLOGY: METHODS IN ENZYMOLOGY 185, Academic Press, San Diego, Calif. (1990) 119-128を参照されたい。別の戦略は、各アミノ酸の個々のコドンが、発現宿主、例えば大腸菌で優先的に利用されるものであるように、発現ベクターに挿入される核酸の核酸配列を変更することである(例えば、Wada, et al., 1992. Nucl. Acids Res. 20: 2111-2118を参照)。このような本発明の技術の核酸配列の変更は、標準的なDNA合成技術によって行うことができる。
【0086】
別の実施形態において、抗DLL3抗体発現ベクターは、酵母発現ベクターである。酵母サッカロマイセス・セレビジエ(Saccharomyces cerevisiae)における発現のためのベクターの例としては、pYepSec1(Baldari, et al., 1987. EMBO J. 6: 229-234)、pMFa(Kurjan and Herskowitz, Cell 30: 933-943, 1982)、pJRY88(Schultz et al., Gene 54: 113-123, 1987)、pYES2(Invitrogen社、San Diego、Calif.)、及びpicZ(Invitrogen社、San Diego、Calif.)が挙げられる。代替として、抗DLL3抗体は、バキュロウイルス発現ベクターを使用して、昆虫細胞で発現させることができる。培養された昆虫細胞(例えば、SF9細胞)において、ポリペプチド、例えば抗DLL3抗体の発現に利用可能なバキュロウイルスベクターとしては、pAcシリーズ(Smith, et al., Mol. Cell. Biol. 3: 2156-2165, 1983)及びpVLシリーズ(Lucklow and Summers, 1989. Virology 170: 31-39)が挙げられる。
さらに別の実施形態において、本発明の技術の抗DLL3抗体をコードする核酸は、哺乳類発現ベクターを使用して、哺乳類細胞において発現される。哺乳類発現ベクターの例としては、例えば、これらに限定されないが、pCDM8(Nature 329: 840, 1987を参照)及びpMT2PC(Kaufman, et al., EMBO J. 6: 187-195, 1987)が挙げられる。哺乳類細胞で使用される場合、発現ベクターの制御機能は、ウイルス調節エレメントによって提供されることが多い。例えば、一般的に使用されるプロモーターは、ポリオーマ、アデノウイルス2、サイトメガロウイルス、及びシミアンウイルス40から誘導される。本発明の技術の抗DLL3抗体の発現に有用な、原核及び真核細胞の両方のための他の好適な発現系に関して、例えば、Chapters 16 and 17 of Sambrook, et al., MOLECULAR CLONING: A LABORATORY MANUAL. 2nd ed., Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y., 1989を参照されたい。
【0087】
別の実施形態において、組換え哺乳類発現ベクターは、特定の細胞型において核酸の発現を指示することが可能である(例えば、組織特異的調節エレメント)。組織特異的調節エレメントは、当業界において公知である。好適な組織特異的プロモーターの非限定的な例としては、アルブミンプロモーター(肝臓特異的;Pinkert, et al., Genes Dev. 1: 268-277, 1987)、リンパ球特異的プロモーター(Calame and Eaton, Adv. Immunol. 43: 235-275, 1988)、T細胞受容体のプロモーター(Winoto and Baltimore, EMBO J. 8: 729-733, 1989)及び免疫グロブリン(Banerji, et al., 1983. Cell 33: 729-740; Queen and Baltimore, Cell 33: 741-748, 1983.)、ニューロン特異的プロモーター(例えば、ニューロフィラメントプロモーター;Byrne and Ruddle, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86: 5473-5477, 1989)、膵臓特異的プロモーター(Edlund, et al., 1985. Science 230: 912-916)、並びに乳腺特異的プロモーター(例えば、ミルクホエイプロモーター;米国特許第4,873,316号及び欧州特許出願公開第264,166号)が挙げられる。発生的に調節されるプロモーターも包含され、例えば、マウスhoxプロモーター(Kessel and Gruss, Science 249: 374-379, 1990)及びα-フェトプロテインプロモーター(Campes and Tilghman, Genes Dev. 3: 537-546, 1989)である。
【0088】
本発明の方法の別の態様は、本発明の技術の組換え発現ベクターが導入された宿主細胞に関する。用語「宿主細胞」及び「組換え宿主細胞」は、本明細書において同義的に使用される。このような用語は、特定の対象細胞を指すだけでなく、このような細胞の後代又は発生し得る後代も指すことが理解される。突然変異又は環境の影響のいずれかによって後の世代で特定の改変が起こる可能性があるため、このような後代は、実際には親細胞と同一ではない可能性があるが、それでもなお本明細書で使用される用語の範囲内に含まれる。
【0089】
宿主細胞は、いずれの原核又は真核細胞であってもよい。例えば、抗DLL3抗体は、細菌細胞、例えば大腸菌、昆虫細胞、酵母又は哺乳類細胞で発現させることができる。哺乳類細胞は、免疫グロブリン又はその断片をコードするヌクレオチドセグメントを発現させるための好適な宿主である。Winnacker、From Genes To Clones, (VCH Publishers, NY, 1987)を参照されたい。無傷の異種タンパク質を分泌することが可能な多数の好適な宿主細胞株が当業界で開発されており、その例としては、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞株、様々なCOS細胞株、HeLa細胞、L細胞及び骨髄腫細胞株が挙げられる。一部の実施形態において、細胞は、非ヒトである。これらの細胞のための発現ベクターは、発現制御配列、例えば複製起点、プロモーター、エンハンサー、及び必要なプロセシング情報部位、例えばリボソーム結合部位、RNAスプライス部位、ポリアデニル化部位、及び転写ターミネーター配列を含んでいてもよい。Queen et al., Immunol. Rev. 89: 49, 1986。例示的な発現制御配列は、内因性遺伝子、サイトメガロウイルス、SV40、アデノウイルス、ウシパピローマウイルス由来のプロモーターなどである。Co et al., J Immunol. 148: 1149, 1992。他の好適な宿主細胞は当業者公知である。
【0090】
ベクターDNAは、従来の形質転換又はトランスフェクション技術を介して原核又は真核細胞に導入することができる。用語「形質転換」及び「トランスフェクション」は、本明細書で使用される場合、宿主細胞に外来核酸(例えば、DNA)を導入するための様々な当業界で認識されている技術を指すことが意図され、その例としては、リン酸カルシウム又は塩化カルシウム共沈、DEAE-デキストラン媒介トランスフェクション、リポフェクション、エレクトロポレーション、遺伝子銃又はウイルスベースのトランスフェクションが挙げられる。哺乳類細胞を形質転換するのに使用される他の方法としては、ポリブレン、プロトプラスト融合、リポソーム、エレクトロポレーション、及びマイクロインジェクションの使用が挙げられる(一般的に、Sambrook et al., Molecular Cloningを参照)。宿主細胞を形質転換又はトランスフェクトするための好適な方法は、Sambrook, et al. (MOLECULAR CLONING: A LABORATORY MANUAL. 2nd ed., Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y., 1989)、及び他の実験室マニュアルに見出すことができる。目的のDNAセグメントを含有するベクターは、細胞宿主のタイプに応じて、周知の方法によって宿主細胞に移行させることができる。
【0091】
哺乳類細胞の安定なトランスフェクションのために、ことが公知である使用される発現ベクター及びトランスフェクション技術に応じて、ごくわずかな細胞だけが、外来DNAをそのゲノムに組み込むことができる。これらの組み込み体を同定及び選択するために、一般的に、選択可能マーカー(例えば、抗生物質耐性)をコードする遺伝子が目的の遺伝子と共に宿主細胞に導入される。様々な選択可能マーカーとしては、薬物、例えばG418、ハイグロマイシン及びメトトレキセートに対する耐性を付与するものが挙げられる。選択可能マーカーをコードする核酸は、抗DLL3抗体をコードするものと同じベクターで宿主細胞に導入してもよいし、又は別々のベクターで導入してもよい。導入された核酸が安定してトランスフェクトされた細胞は、薬物選択によって同定することができる(例えば、選択可能マーカー遺伝子を取り込んだ細胞は、生存すると予想され、一方で他の細胞は死滅する)。
【0092】
培養物中の本発明の技術の抗DLL3抗体を含む宿主細胞、例えば原核又は真核宿主細胞は、組換え抗DLL3抗体を作製する(すなわち、発現させる)のに使用することができる。一実施形態において、本方法は、抗DLL3抗体が作製されるように、好適な培地中で宿主細胞(抗DLL3抗体をコードする組換え発現ベクターが導入された)を培養することを含む。別の実施形態において、本方法は、培地又は宿主細胞から抗DLL3抗体を単離する工程をさらに含む。一旦発現されたら、抗DLL3抗体、例えば、抗DLL3抗体又は抗DLL3抗体関連のポリペプチドの収集は、培養培地及び宿主細胞から精製される。抗DLL3抗体は、HPLC精製、カラムクロマトグラフィー、ゲル電気泳動などを含む当分野の標準的手順に従って、精製することができる。一実施形態において、抗DLL3抗体は、Boss et al.、米国特許第4,816,397号の方法によって宿主生物で作製される。通常、抗DLL3抗体鎖は、シグナル配列と共に発現され、したがって、培養培地に放出される。しかしながら、抗DLL3抗体鎖が宿主細胞によって天然に分泌されない場合、抗DLL3抗体鎖は、穏やかな界面活性剤での処理によって放出させることができる。組換えポリペプチドの精製は当業界において周知であり、その例としては、硫酸アンモニウム沈殿、アフィニティークロマトグラフィー精製技術、カラムクロマトグラフィー、イオン交換精製技術、ゲル電気泳動などが挙げられる(一般に、Scopes, Protein Purification (Springer-Verlag, N.Y., 1982を参照)。
抗DLL3抗体をコードするポリヌクレオチド、例えば、抗DLL3抗体コード配列は、トランスジェニック動物のゲノムへの導入及びそれに続くトランスジェニック動物の乳での発現のために、導入遺伝子に取り込まれていてもよい。例えば、米国特許第5,741,957号、5,304,489号、及び5,849,992号を参照されたい。好適な導入遺伝子としては、カゼイン又はβ-ラクトグロブリンなどの乳腺特異的な遺伝子からのプロモーター及びエンハンサーと作動可能に連結された軽鎖及び/又は重鎖のコード配列が挙げられる。トランスジェニック動物の作製のために、導入遺伝子は、受精した卵母細胞にマイクロインジェクションされてもよいし、又は胚性幹細胞のゲノムに取り込ませてもよく、このような細胞の核が、除核した卵母細胞に移行される。
【0093】
単鎖抗体。一実施形態において、本発明の技術の抗DLL3抗体は、単鎖抗DLL3抗体である。本発明の技術に従って、DLL3タンパク質に特異的な単鎖抗体の作製に技術を適合させることができる(例えば、米国特許第4,946,778号を参照)。単鎖Fvs及び本発明の技術の抗体を作製するのに使用することができる技術の例としては、米国特許第4,946,778号及び5,258,498号;Huston et al., Methods in Enzymology, 203: 46-88, 1991; Shu, L. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 90: 7995-7999, 1993;並びにSkerra et al., Science 240: 1038-1040, 1988に記載されるものが挙げられる。
【0094】
キメラ及びヒト化抗体。一実施形態において、本発明の技術の抗DLL3抗体は、キメラ抗DLL3抗体である。一実施形態において、本発明の技術の抗DLL3抗体は、ヒト化抗DLL3抗体である。本発明の技術の一実施形態において、ドナー及びアクセプター抗体は、異なる種からのモノクローナル抗体である。例えば、アクセプター抗体は、ヒト抗体であり(ヒトにおいてその抗原性を最小化するために)、この場合、得られたCDRグラフト化抗体は、「ヒト化」抗体と呼ばれる。
【0095】
組換え抗DLL3抗体、例えばヒト及び非ヒト部分の両方を含むキメラ及びヒト化モノクローナル抗体は、標準的な組換えDNA技術を使用して作製でき、本発明の技術の範囲内である。インビボでのヒトにおける本発明の技術の抗DLL3抗体の使用、加えて、インビトロでの検出アッセイにおけるこれらの薬剤の使用などの一部の使用に関して、キメラ又はヒト化抗DLL3抗体を使用することが可能である。このようなキメラ及びヒト化モノクローナル抗体は、当業界において公知の組換えDNA技術によって作製することができる。このような有用な方法としては、例えば、これらに限定されないが、国際特許出願PCT/US86/02269号;米国特許第5,225,539号;欧州特許第184187号;欧州特許第171496号;欧州特許第173494号;PCT国際公報WO86/01533号;米国特許第4,816,567号;5,225,539号;欧州特許第125023号;Better, et al., 1988. Science 240: 1041-1043; Liu, et al., 1987. Proc. Natl. Acad. Sci. USA 84: 3439-3443; Liu, et al., 1987. J. Immunol. 139: 3521-3526; Sun, et al., 1987. Proc. Natl. Acad. Sci. USA 84: 214-218; Nishimura, et al., 1987. Cancer Res. 47: 999-1005; Wood, et al., 1985. Nature 314: 446-449; Shaw, et al., 1988. J. Natl. Cancer Inst. 80: 1553-1559; Morrison (1985) Science 229: 1202-1207; Oi, et al. (1986) BioTechniques 4: 214; Jones, et al., 1986. Nature 321: 552-525; Verhoeyan, et al., 1988. Science 239: 1534; Morrison, Science 229: 1202, 1985; Oi et al., BioTechniques 4: 214, 1986; Gillies et al., J. Immunol. Methods, 125: 191-202, 1989;米国特許第5,807,715号;及びBeidler, et al., 1988. J. Immunol. 141: 4053-4060に記載される方法が挙げられる。例えば、抗体は、CDRグラフティング(EP0239400;WO91/09967;米国特許第5,530,101号;5,585,089号;5,859,205号;6,248,516号;EP460167)、ベニアリング又はリサーフェイシング(EP0592106;EP0519596;Padlan E. A., Molecular Immunology, 28: 489-498, 1991;Studnicka et al., Protein Engineering 7: 805-814, 1994; Roguska et al., PNAS 91: 969-973, 1994)、及びチェーンシャッフリング(米国特許第5,565,332号)などの様々な技術を使用してヒト化することができる。一実施形態において、マウス抗DLL3モノクローナル抗体をコードするcDNAが、Fc定常領域をコードする配列を除去するように特異的に選択された制限酵素で消化され、ヒトFc定常領域をコードするcDNAの等価な部分が置換される(Robinson et al.、PCT/US86/02269;Akira et al.、欧州特許出願第184,187号;Taniguchi、欧州特許出願第171,496号;Morrison et al.、欧州特許出願第173,494号;Neuberger et al.、WO86/01533;Cabilly et al.、米国特許第4,816,567号;Cabilly et al.、欧州特許出願第125,023号; Better et al. (1988) Science 240: 1041-1043; Liu et al. (1987) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 84: 3439-3443; Liu et al. (1987) J Immunol 139: 3521-3526; Sun et al. (1987) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 84: 214-218; Nishimura et al. (1987) Cancer Res 47: 999-1005; Wood et al. (1985) Nature 314: 446-449;及びShaw et al. (1988) J. Natl. Cancer Inst. 80: 1553-1559;米国特許第6,180,370号;米国特許第6,300,064号;6,696,248号;6,706,484号;6,828,422号を参照。
【0096】
一実施形態において、本発明の技術は、ヒト抗マウス抗体(以下「HAMA」と称する)応答を誘導する可能性が低いが、それでもなお有効な抗体エフェクター機能を有するヒト化抗DLL3抗体の構築を提供する。用語「ヒト」及び「ヒト化」は、抗体に関して、本明細書で使用される場合、ヒト対象において治療上許容できる弱い免疫原性応答を惹起すると予測されるあらゆる抗体に関する。一実施形態において、本発明の技術は、ヒト化抗DLL3抗体、重鎖及び軽鎖免疫グロブリンを提供する。
【0097】
CDRグラフト化抗体。一部の実施形態において、本発明の技術の抗DLL3抗体は、抗DLL3 CDRグラフト化抗体である。一般的に、抗DLL3 CDR抗体を生成するのに使用されるドナー及びアクセプター抗体は、異なる種からのモノクローナル抗体である;典型的には、アクセプター抗体は、ヒト抗体であり(ヒトにおけるその抗原性を最小化するために)、この場合、得られたCDRグラフト化抗体は、「ヒト化」抗体と呼ばれる。詳細には、「ヒト化抗体」は、ヒト抗体鎖からの可変領域フレームワーク残基を含む少なくとも1つの鎖及び非ヒト抗体(例えば、マウス)からの少なくとも1つの相補性決定領域(CDR)を含む抗体を指す。用語「ヒト抗体」は、本明細書で使用される場合、ヒト免疫グロブリン配列由来の可変及び定常領域を有する抗体を含むことが意図される。しかしながら、用語「ヒト抗体」は、本明細書で使用される場合、マウスなどの別の哺乳類種由来のCDR配列がヒトフレームワーク配列上にグラフト化された抗体を含むことは意図されない。グラフトは、アクセプター抗体の単一のVH又はVL以内の単一のCDRのグラフトであってもよいし(又は単一のCDRの一部であってもよい)、又はVH及びVLの一方又は両方以内の複数のCDR(又はそれらの一部)のグラフトであってもよい。多くの場合、アクセプター抗体の全ての可変ドメイン中の全ての3つのCDRが、対応するドナーCDRで置き換えられることになるが、得られたCDRグラフト化抗体のDLL3タンパク質への十分な結合を許容するのに必要な程度分だけ置き換える必要がある。CDRグラフト化及びヒト化抗体を生成するための方法は、Queen et al.の米国特許第5,585,089号;米国特許第5,693,761号;米国特許第5,693,762号;並びにWinterのU.S.5,225,539;及びEP0682040によって教示される。VH及びVLポリペプチドを調製するのに有用な方法は、Winter et al.の米国特許第4,816,397号;6,291,158号;6,291,159号;6,291,161号;6,545,142号;EP0368684;EP0451216;及びEP0120694によって教示される。
【0098】
同じファミリー及び/又は同じファミリーメンバーから好適なフレームワーク領域候補を選択した後、重鎖及び軽鎖可変領域のいずれか又は両方は、起源となる種からのCDRをハイブリッドフレームワーク領域にグラフト化することによって作製される。上記の態様のいずれかに関するハイブリッド可変鎖領域を有するハイブリッド抗体又はハイブリッド抗体断片のアセンブリは、当業者公知の従来の方法を使用して達成することができる。例えば、本明細書に記載されるハイブリッド可変ドメイン(すなわち、標的種に基づくフレームワーク及び起源となる種からのCDR)をコードするDNA配列は、オリゴヌクレオチド合成及び/又はPCRによって作製することができる。CDR領域をコードする核酸はまた、好適な制限酵素を使用して起源となる種の抗体から単離し、好適なライゲーション酵素でライゲートすることによって、標的種のフレームワークにライゲートすることもできる。代替として、起源となる種の抗体の可変鎖のフレームワーク領域は、部位特異的変異誘発によって変更してもよい。
【0099】
ハイブリッドは、各フレームワーク領域に対応する複数の候補から選択されたもので構成されているため、本明細書に記載される原理に従って構築するのに適した配列の多くの組合せが存在する。したがって、個々のフレームワーク領域の異なる組合せを有するメンバーを有するハイブリッドのライブラリーをアセンブリすることができる。このようなライブラリーは、配列の電子データベースコレクション又はハイブリッドの物理的なコレクションであってもよい。
このプロセスは、典型的には、グラフト化されたCDRに隣接するアクセプター抗体のFRを変更しない。しかしながら、当業者は、時には、ドナー抗体の対応するFRにより類似したFRを作製するために所与のFRの特定の残基を置き換えることによって、得られた抗DLL3 CDRグラフト化抗体の抗原結合親和性を改善してもよい。置換の好適な位置としては、CDRに隣接するアミノ酸残基、又はCDRと相互作用することが可能なアミノ酸残基が挙げられる(例えば、US5,585,089、特に12~16列を参照)。又は当業者は、ドナーFRから開始して、アクセプターFR又はヒトコンセンサスFRにより類似したものにそれを改変してもよい。これらの改変を作製するための技術は、当業界において公知である。とりわけ、得られたFRが、その位置に関してヒトコンセンサスFRに適合するか、又はこのようなコンセンサスFRに少なくとも90%又はそれより高度に同一である場合、そのようにすることは、完全ヒトFRを有する同じ抗体と比較して、得られた改変された抗DLL3 CDRグラフト化抗体の抗原性を著しく増加させない可能性がある。
【0100】
二重特異性抗体(BsAb)。二重特異性抗体は、別個の構造を有する2つの標的、例えば2つの異なる標的抗原、同じ標的抗原上の2つの異なるエピトープと同時に結合できる抗体である。BsAbは、例えば、同一又は異なる抗原の異なるエピトープを認識する重鎖及び/又は軽鎖を組み合わせることによって作製することができる。一部の実施形態において、分子機能によって、二重特異性の結合剤は、その2つの結合アームの一方の上の1つの抗原(又はエピトープ)と結合し(1つのVH/VL対)、その第2のアーム上の異なる抗原(又はエピトープ)と結合する(異なるVH/VL対)。この定義によれば、二重特異性結合剤は、2つの別個の抗原結合アーム(特異性及びCDR配列の両方において)を有し、それが結合する各抗原に対して1価である。
本発明の技術の二重特異性抗体(BsAb)及び二重特異性抗体断片(BsFab)は、例えばDLL3に特異的に結合する少なくとも1つのアーム、及び第2の標的抗原に特異的に結合する少なくとも1つの他のアームを有する。特定の実施形態において、BsAbは、細胞表面上にDLL3抗原を発現する腫瘍細胞に結合することが可能である。
【0101】
様々な二重特異性融合タンパク質は、分子工学を使用して作製することができる。例えば、完全免疫グロブリンフレームワーク(例えば、IgG)、単鎖可変断片(scFv)、又はそれらの組合せのいずれかを利用するBsAbが構築されている。一部の実施形態において、二重特異性融合タンパク質は、2価であり、例えば、1つの抗原につき単一の結合部位を有するscFv及び第2の抗原のための単一の結合部位を有するFab断片を含む。一部の実施形態において、二重特異性融合タンパク質は、2価であり、例えば、1つの抗原につき単一の結合部位を有するscFv及び第2の抗原のための単一の結合部位を有する別のscFv断片を含む。他の実施形態において、二重特異性融合タンパク質は、4価であり、例えば、1つの抗原につき2つの結合部位を有する免疫グロブリン(例えば、IgG)及び第2の抗原のための2つの同一なscFvを含む。タンデム状の2つのscFv単位で構成されるBsAbは、臨床的に成功した二重特異性抗体様式であることが示されている。一部の実施形態において、BsAbは、タンデム状の2つの単鎖可変断片(scFvs)を含み、腫瘍抗原(例えば、DLL3)と結合するscFvが、異なる標的抗原に結合するscFvと連結されるように設計されている。
【0102】
近年のBsAbを作製するための方法としては、より一般的な免疫グロブリンアイソタイプより強くそれらが架橋するように、追加のシステイン残基を有する操作された組換えモノクローナル抗体が挙げられる。例えば、FitzGerald et al., Protein Eng. 10(10):1221-1225 (1997)を参照されたい。別のアプローチは、必要な二重特異性を有する、2つ又はそれより多くの異なる単鎖抗体又は抗体断片セグメントを連結する組換え融合タンパク質を操作することである。例えば、Coloma et al., Nature Biotech. 15:159-163 (1997)を参照されたい。様々な二重特異性融合タンパク質が、分子工学を使用して作製することができる。
【0103】
2つ又はそれより多くの異なる単鎖抗体又は抗体断片を連結する二重特異性融合タンパク質は、類似の方式で作製される。組換え方法は、様々な融合タンパク質を作製するのに使用することができる。一部の特定の実施形態において、本発明の技術によるBsAbは、免疫グロブリンを含み、免疫グロブリンは、重鎖及び軽鎖、並びにscFvを含む。一部の特定の実施形態において、scFvは、本明細書で開示されるいずれかのDLL3免疫グロブリンの重鎖のC末端に連結されている。一部の特定の実施形態において、scFvは、本明細書で開示されたいずれかのDLL3免疫グロブリンの軽鎖のC末端に連結されている。様々な実施形態において、scFvは、リンカー配列を介して重鎖又は軽鎖に連結されている。重鎖FdのscFvへのフレーム内接続に必要な適切なリンカー配列は、PCR反応を介してVL及びVkappaドメインに導入される。次いでscFvをコードするDNA断片は、CH1ドメインをコードするDNA配列を含有するステージングベクター(staging vector)にライゲートされる。得られたscFv-CH1構築物は切り出され、DLL3抗体のVH領域をコードするDNA配列を含有するベクターにライゲートされる。得られたベクターは、二重特異性融合タンパク質の発現のために適切な宿主細胞、例えば哺乳類細胞をトランスフェクトするのに使用することができる。
【0104】
一部の実施形態において、リンカーは、長さが、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100又はそれより多くのアミノ酸である。一部の実施形態において、リンカーは、硬い3次元構造をとらずに、むしろポリペプチド(例えば、第1及び/又は第2の抗原結合部位)にフレキシビリティーを提供する傾向があることを特徴とする。一部の実施形態において、リンカーは、例えば安定性の増加などのBsAbに付与された具体的な特性に基づいて、本明細書に記載されるBsAbで採用される。一部の実施形態において、本発明の技術のBsAbは、G4Sリンカー(配列番号82)を含む。一部の特定の実施形態において、本発明の技術のBsAbは、(G4S)nリンカーを含み、式中、nは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15であるか、又はそれより大きい(配列番号83)。
Fc改変。一部の実施形態において、本発明の技術の抗DLL3抗体は、バリアントFc領域を含み、前記バリアントFc領域は、野生型Fc領域(又は親のFc領域)と比べて少なくとも1つのアミノ酸改変を含むことによって、前記分子は、Fc受容体(例えば、FcγR)に対して変更された親和性を有し、ただし、前記バリアントFc領域は、Sondermann et al., Nature, 406:267-273 (2000)によって開示されたものなどのFc-Fc受容体相互作用の結晶学的及び構造的な分析に基づいて、Fc受容体との直接の接触をもたらす位置に置換を有さない。FcγRなどのFc受容体との直接の接触をもたらすFc領域内の位置の例としては、アミノ酸234~239(ヒンジ領域)、アミノ酸265~269(B/Cループ)、アミノ酸297~299(C7Eループ)、及びアミノ酸327~332(F/G)ループが挙げられる。
【0105】
一部の実施形態において、本発明の技術の抗DLL3抗体は、活性化及び/又は阻害性受容体に対する変更された親和性を有し、1つ又は複数のアミノ酸改変を有するバリアントFc領域を有し、前記1つ又は複数のアミノ酸改変は、アラニンでのN297置換、又はアラニンでのK322置換である。
グリコシル化改変。一部の実施形態において、本発明の技術の抗DLL3抗体は、親Fc領域と比較して、バリアントグリコシル化を有するFc領域を有する。一部の実施形態において、バリアントグリコシル化は、フコースの非存在を含み;一部の実施形態において、バリアントグリコシル化は、GnT1欠乏CHO細胞における発現に起因する。
一部の実施形態において、本発明の技術の抗体は、抗体の機能性、例えば抗原への結合活性を変更することなく、目的の抗原(例えば、DLL3)に結合する適切な参照抗体と比べて改変されたグリコシル化部位を有していてもよい。「グリコシル化部位」は、本明細書で使用される場合、オリゴ糖(すなわち、互いに連結された2個又はそれより多くの単糖を含有する炭水化物)が特異的に共有結合で付着すると予想される抗体中のあらゆる特異的なアミノ酸配列を含む。
【0106】
オリゴ糖側鎖は、典型的には、N又はO結合のいずれかを介して抗体の主鎖に連結される。N結合型グリコシル化は、オリゴ糖部分のアスパラギン残基の側鎖への付着を指す。O結合型グリコシル化は、ヒドロキシアミノ酸、例えば、セリン、スレオニンへのオリゴ糖部分の付着を指す。例えば、フコース及び末端N-アセチルグルコサミンなどの特定のオリゴ糖が欠如したFc-グリコフォーム(hDLL3-IgGln)は、特殊なCHO細胞中で作製でき、強化されたADCCエフェクター機能を呈することができる。
一部の実施形態において、本明細書で開示される免疫グロブリン関連組成物の炭水化物含量は、グリコシル化部位を付加したり又は欠失させたりすることによって改変される。抗体の炭水化物含量を改変するための方法は当業界において周知であり、本発明の技術内に含まれ、例えば、米国特許第6,218,149号;EP0359096B1;米国特許公開US2002/0028486号;国際特許出願公開WO03/035835;米国特許公開第2003/0115614号;米国特許第6,218,149号;米国特許第6,472,511号を参照されたい;これらは全て、それらの全体が参照により本明細書に組み入れられる。一部の実施形態において、抗体(又はその関連する部分又は成分)の炭水化物含量は、抗体の1つ又は複数の内因性炭水化物部分を欠失させることによって改変される。一部の特定の実施形態において、本発明の技術は、297位をアスパラギンからアラニンに改変することによって、抗体のFc領域のグリコシル化部位を欠失させることを含む。
【0107】
操作されたグリコフォームは、これらに限定されないが、エフェクター機能を強化すること又は低減させることなどの様々な目的のために有用であり得る。操作されたグリコフォームは、当業者公知のあらゆる方法によって生成することができ、例えば、操作された又はバリアント発現株を使用することによって、1つ又は複数の酵素、例えばN-アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼIII(GnTIII)との共発現によって、様々な生物又は様々な生物からの細胞株においてFc領域を含む分子を発現することによって、又はFc領域を含む分子が発現された後に炭水化物を改変することによって生成することができる。操作されたグリコフォームを生成するための方法は当業界において公知であり、その例としては、これらに限定されないが、それらのそれぞれが参照によりその全体が本明細書に組み入れられる、Umana et al., 1999, Nat. Biotechnol. 17: 176-180; Davies et al., 2001, Biotechnol. Bioeng. 74:288-294; Shields et al., 2002, J. Biol. Chem. 277:26733-26740; Shinkawa et al., 2003, J. Biol. Chem. 278:3466-3473;米国特許第6,602,684号;米国特許出願第10/277,370号;米国特許出願第10/113,929号;国際特許出願公開WO00/61739A1;WO01/292246A1;WO02/311140A1;WO02/30954A1;POTILLEGENT(商標)技術(Biowa,Inc.、Princeton、N.J.);GLYCOMAB(商標)グリコシル化操作技術(GLYCART biotechnology AG、Zurich、Switzerland)に記載されるものが挙げられる。例えば、国際特許出願公開WO00/061739;米国特許公開公報第2003/0115614号;Okazaki et al., 2004, JMB, 336: 1239-49を参照されたい。
【0108】
融合タンパク質。一実施形態において、本発明の技術の抗DLL3抗体は、融合タンパク質である。本発明の技術の抗DLL3抗体は、第2のタンパク質に融合する場合、抗原性タグとして使用することができる。ポリペプチドに融合できるドメインの例としては、異種シグナル配列だけでなく、他の異種の機能的な領域も挙げられる。融合は、必ずしも直接的な融合でなくてもよいが、リンカー配列を介して生じるものでもよい。さらに、本発明の技術の融合タンパク質はまた、抗DLL3抗体の特徴を改善するように操作することもできる。例えば、追加のアミノ酸、とりわけ荷電アミノ酸の領域を抗DLL3抗体のN末端に付加して、宿主細胞からの精製又はそれに続く取り扱い及び貯蔵中の安定性及び持続性を改善することができる。またペプチド部分を抗DLL3抗体に付加して、精製を容易にすることもできる。このような領域は、抗DLL3抗体の最終的な調製の前に除去することができる。ポリペプチドの取り扱いを容易にするためのペプチド部分の付加は、当業界においてよく知られた慣例的な技術である。本発明の技術の抗DLL3抗体は、マーカー配列、例えば融合したポリペプチドの精製を容易にするペプチドに融合していてもよい。選択された実施形態において、マーカーのアミノ酸配列は、なかでもpQEベクター(QIAGEN,Inc.、Chatsworth、Calif)に提供されるタグなどのヘキサヒスチジンペプチド(配列番号84)であり、これらの多くは商業的に入手可能である。Gentz et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86: 821-824, 1989に記載されたように、例えば、ヘキサヒスチジン(配列番号84)は、融合タンパク質の便利な精製をもたらす。精製に有用な別のペプチドタグである「HA」タグは、インフルエンザヘマグルチニンタンパク質由来のエピトープに対応する。Wilson et al., Cell 37: 767, 1984。
【0109】
したがって、これらの上記の融合タンパク質はいずれも、本発明の技術のポリヌクレオチド又はポリペプチドを使用して操作することができる。また一部の実施形態において、本明細書に記載される融合タンパク質は、インビボにおける半減期の増加も示す。
ジスルフィド結合した二量体構造を有する融合タンパク質(IgGによる)は、単量体の分泌されたタンパク質又はタンパク質断片単独と比較して、他の分子と結合すること及びそれを中和することにおいてより効率的であり得る。Fountoulakis et al., J. Biochem. 270: 3958-3964, 1995。
【0110】
同様に、EP-A-O464533(カナダの対応出願2045869)は、免疫グロブリン分子の定常領域の様々な部分を別のヒトタンパク質又はその断片と共に含む融合タンパク質を開示する。多くの場合において、融合タンパク質におけるFc部分は、療法及び診断において有益であり、したがって、例えば改善した薬物動態学的特性をもたらすことができる。EP-A0232262を参照されたい。代替として、融合タンパク質が発現され、検出され、精製された後にFc部分を欠失させること又は改変することが望ましい場合がある。例えば、融合タンパク質が免疫化のための抗原として使用される場合、Fc部分は、療法及び診断を妨害する可能性がある。創薬において、例えば、ヒトタンパク質、例えばhIL-5は、hIL-5のアンタゴニストを同定するためのハイスループットスクリーニングアッセイの目的のためにFc部分と融合されている。Bennett et al., J. Molecular Recognition 8: 52-58, 1995; Johanson et al., J. Biol. Chem., 270: 9459-9471, 1995。
【0111】
抗原の調製:DLL3抗原は、宿主細胞が遺伝子操作に従って抗原タンパク質をコードする遺伝子を作製できるようにすることにより得ることができる。具体的には、抗原遺伝子を発現することが可能なベクターが作製され、次いでベクターは、遺伝子がそこで発現されるように宿主細胞に導入され、その後、発現された抗原を精製することができる。抗体はまた、上述した遺伝子操作に基づき抗原を発現する細胞で、又は抗原を発現する細胞株で動物を免疫化する方法によっても得ることができる。
代替として、抗体はまた、抗原タンパク質を使用せずに、抗原タンパク質のcDNAを発現ベクターに取り込み、次いで免疫化される動物に発現ベクターを投与し、抗原タンパク質に対する抗体がそこで作製されるように、そのようにして免疫化された動物の体内で抗原タンパク質を発現させることによって得ることもできる。
【0112】
本発明で使用される抗DLL3抗体は、特に限定されない。例えば、本出願の配列表に示されるアミノ酸配列によって特定された抗体が、好適に使用することができる。本発明で使用される抗DLL3抗体は、望ましくは、以下の特性を有する抗体である:
(1)以下の特性を有する抗体:
(a)DLL3に特異的に結合すること、及び
(b)DLL3に結合することによってDLL3を発現する細胞に内在化される活性を有すること;又は
(2)上記の(1)に記載の抗体であって、DLL3は、ヒトDLL3である、抗体。
本発明のDLL3に対する抗体を得るための方法は、抗DLL3抗体を得ることができる限りは、特に限定されない。抗原として、そのコンフォメーションを保持するDLL3を使用することが好ましい。
【0113】
抗体を得るための方法の一例としては、DNA免疫化方法を挙げることができる。DNA免疫化方法は、動物(例えば、マウス又はラット)個体を抗原発現プラスミドでトランスフェクトすること、次いで個体中で抗原を発現させて、抗原に対する免疫性を誘導することを含むアプローチである。トランスフェクションアプローチとしては、プラスミドを筋肉に直接注射する方法、トランスフェクション試薬、例えばリポソーム又はポリエチレンイミンを静脈に注射する方法、ウイルスベクターを使用するアプローチ、ジーンガンを使用してプラスミドを付着させた金粒子を注射するアプローチ、静脈にプラスミド溶液を大量に急速に注射する流体力学的方法などが挙げられる。発現プラスミドを筋肉注射するトランスフェクション方法に関して、インビボのエレクトロポレーションと呼ばれる技術は、プラスミドの筋肉内注射部位へのエレクトロポレーションを適用することを含み、これは、発現レベルを改善するためのアプローチとして公知である(Aihara H, Miyazaki J. Nat Biotechnol. 1998 Sep; 16 (9): 867-70又はMir LM, Bureau MF, Gehl J, Rangara R, Rouy D, Caillaud JM, Delaere P, Branellec D, Schwartz B, Scherman D. Proc Natl Acad Sci U S A. 1999 Apr 13; 96 (8): 4262-7。このアプローチは、プラスミドの筋肉内注射の前に筋肉をヒアルロニダーゼで処置することによって発現レベルをさらに改善する(McMahon JM1, Signori E, Wells KE, Fazio VM, Wells DJ., Gene Ther. 2001 Aug; 8 (16): 1264-70)。さらに、ハイブリドーマ作製は、公知の方法によって実行してもよいし、また例えばHybrimune Hybridoma Production System(Cyto Pulse Sciences,Inc.)を使用して実行してもよい。
【0114】
モノクローナル抗体を得る具体的な例は、以下の手順を含んでいてもよい:
(a)免疫応答は、発現ベクター(例えば、pcDNA3.1;Thermo Fisher Scientific Inc.)にDLL3 cDNAを取り込むこと、及び動物の体内でDLL3を発現するように、エレクトロポレーション又はジーンガンなどの方法によって、免疫化される動物(例えば、ラット又はマウス)にベクターを直接投与することにより誘導することができる。エレクトロポレーションなどによるベクターの投与は、抗体力価を強化するために必要に応じて、1回又はそれより多く、好ましくは複数回、実行してもよい;
(b)免疫応答が誘導された前述の動物からの抗体産生細胞を含有する組織(例えば、リンパ節)の収集;
(c)骨髄腫細胞(以下、「骨髄腫」と称する)(例えば、マウス骨髄腫SP2/0-ag14細胞)の調製;
(d)抗体産生細胞と骨髄腫との細胞融合;
(e)目的の抗体を作製するハイブリドーマ群の選択;
(f)単一細胞クローンへの分裂(クローニング);
(g)任意選択で、モノクローナル抗体の大量作製のためのハイブリドーマの培養、若しくはハイブリドーマを接種する動物の繁殖;並びに/又は
(h)このようにして作製されたモノクローナル抗体の生理学的活性(内在化活性)及び結合特異性の研究、若しくは標識試薬としての抗体の特性の検査。
【0115】
本明細書において使用される抗体力価を測定するための方法の例としては、これらに限定されないが、フローサイトメトリー及びCell-ELISAを挙げることができる。
本発明の抗体はまた、ヒトに対する異種遺伝子型の抗原性を低減させる目的のために人工的に改変された、遺伝学的に組換えられた抗体、例えばキメラ抗体、ヒト化抗体及びヒト抗体、加えてDLL3に対する上述したモノクローナル抗体も含む。これらの抗体は、公知の方法によって作製することができる。
キメラ抗体の例としては、可変領域及び定常領域が互いに異種である抗体、例えば、マウス又はラット由来の抗体の可変領域をヒト由来の定常領域にコンジュゲートすることによって形成されたキメラ抗体を挙げることができる(Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 81, 6851-6855, (1984)を参照)。
ヒト化抗体の例としては、ヒト由来の抗体に相補性決定領域(CDR)のみを取り込むことによって形成された抗体(Nature (1986) 321, p. 522-525を参照)、CDRグラフティング方法に従ってヒト抗体に一部のフレームワーク、加えてCDR配列からのアミノ酸残基を取り込むことによって形成された抗体(国際公開WO90/07861号)、及び抗原と結合する能力を維持しながら一部のCDRのアミノ酸配列を改変することによって形成された抗体を挙げることができる。
【0116】
本発明の抗体のさらなる例としては、DLL3に結合するヒト抗体を挙げることができる。抗DLL3ヒト抗体は、ヒト染色体由来の抗体の遺伝子配列のみを有するヒト抗体を意味する。抗DLL3ヒト抗体は、ヒト抗体の重鎖及び軽鎖遺伝子を含むヒト染色体断片を有するヒト抗体産生マウスを使用する方法により得ることができる(Tomizuka, K. et al., Nature Genetics (1997) 16, p. 133-143; Kuroiwa, Y. et al., Nucl. Acids Res. (1998) 26, p. 3447-3448; Yoshida, H. et al., Animal Cell Technology: Basic and Applied Aspects vol. 10, p. 69-73 (Kitagawa, Y., Matsuda, T. and Iijima, S. eds.), Kluwer Academic Publishers, 1999; Tomizuka, K. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA (2000) 97, p. 722-727などを参照)。
このようなヒト抗体産生マウスは、その内因性免疫グロブリン重鎖及び軽鎖の遺伝子座を破壊し、次いで、その代わりに酵母人工染色体(YAC)ベクターなどを使用して、ヒト免疫グロブリン重鎖及び軽鎖の遺伝子座が導入された遺伝子改変動物を使用し、次いでこのような遺伝子改変された動物からノックアウト動物及びトランスジェニック動物を作製し、次いでこのような動物を互いに繁殖させることによって、特異的に作製してもよい。
それ以外の方法で、抗DLL3ヒト抗体はまた、遺伝学的組換え技術に従って、このようなヒト抗体の重鎖及び軽鎖のそれぞれをコードするcDNAで、又は好ましくは、cDNAを含むベクターで真核細胞を形質転換すること、次いで、培養上清から抗体が得られるように、遺伝子改変されたヒトモノクローナル抗体を作製する形質転換した細胞を培養することによっても得ることもできる。
【0117】
この状況において、真核細胞、好ましくは、哺乳類細胞、例えばCHO細胞、リンパ球又は骨髄腫は、例えば、宿主として使用することができる。
さらに、ヒト抗体ライブラリーから選択されたファージディスプレイ由来のヒト抗体を得る方法(Wormstone, I. M. et al., Investigative Ophthalmology & Visual Science. (2002) 43 (7), p. 2301-2308; Carmen, S. et al., Briefings in Functional Genomics and Proteomics (2002), 1 (2), p. 189-203; Siriwardena, D. et al., Ophthalmology (2002) 109 (3), p. 427-431などを参照)もまた公知である。
例えば、ヒト抗体の可変領域を単鎖抗体(scFv)としてファージの表面上に発現させ、次いで抗原に結合するファージを選択することを含むファージディスプレイ方法を適用することができる(Nature Biotechnology (2005), 23, (9), p. 1105-1116)。
抗原へのその結合能力のために選択されたファージ遺伝子を分析することによって、抗原に結合するヒト抗体の可変領域をコードするDNA配列を決定することができる。
抗原に結合するscFvのDNA配列が決定されたら、前述の配列を有する発現ベクターが作製され、作製された発現ベクターは次いで適切な宿主に導入され、そこで発現させることができ、それによってヒト抗体が得られる(国際公報WO92/01047号、WO92/20791号、WO93/06213号、WO93/11236号、WO93/19172号、WO95/01438号、及びWO95/15388号、Annu. Rev. Immunol (1994) 12, p. 433-455, Nature Biotechnology (2005) 23 (9), p. 1105-1116)。
【0118】
本発明の説明におけるアミノ酸置換は、好ましくは、保存的アミノ酸置換である。保存的アミノ酸置換は、特定のアミノ酸側鎖に関連するアミノ酸グループ内で起こる置換である。好ましいアミノ酸グループは、以下の通りである:酸性グループ=アスパラギン酸及びグルタミン酸;塩基性グループ=リジン、アルギニン、及びヒスチジン;非極性グループ=アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、及びトリプトファン;及び非荷電極性ファミリー=グリシン、アスパラギン、グルタミン、システイン、セリン、スレオニン、及びチロシン。他の好ましいアミノ酸グループは、以下の通りである:脂肪族ヒドロキシ基=セリン及びスレオニン;アミドを含有するグループ=アスパラギン及びグルタミン;脂肪族グループ=アラニン、バリン、ロイシン及びイソロイシン;及び芳香族グループ=フェニルアラニン、トリプトファン及びチロシン。このようなアミノ酸置換は、好ましくは、元のアミノ酸配列を有する物質の特性を損なうことなく行われる。
【0119】
V.抗DLL3抗体の同定及び特徴付け
本発明の技術の抗DLL3抗体を同定及び/又はスクリーニングするための方法。DLL3タンパク質に対する所望の特異性を有するもの(例えば、DLL3の細胞外ドメインに結合するもの)に関してDLL3ポリペプチドに対する抗体を同定及びスクリーニングするのに有用な方法は、当業界公知のあらゆる免疫学的に媒介される技術を含む。免疫応答の成分は、当業者周知の様々な方法によって、インビトロで検出することができる。例えば、(1)細胞傷害性Tリンパ球を、放射標識された標的細胞と共にインキュベートし、これらの標的細胞の溶解物は、放射活性の放出によって検出することができる;(2)ヘルパーTリンパ球を、抗原及び抗原提示細胞と共にインキュベートし、サイトカインの合成及び分泌を標準的な方法によって測定することができる(Windhagen A et al., Immunity, 2: 373-80, 1995);(3)抗原提示細胞をタンパク質抗原全体と共にインキュベートし、MHC上におけるその抗原の提示を、Tリンパ球活性化アッセイ又は生物物理学的な方法のいずれかによって検出することができる(Harding et al., Proc. Natl. Acad. Sci., 86: 4230-4, 1989);(4)肥満細胞を、そのFc-イプシロン受容体を架橋する試薬と共にインキュベートし、ヒスタミン放出を酵素免疫検査法によって測定することができる(Siraganian et al., TIPS, 4: 432-437, 1983);及び(5)酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)。
【0120】
同様に、モデル生物(例えば、マウス)又はヒト対象のいずれかにおける免疫応答の生成物も、当業者周知の様々な方法によって検出することができる。例えば、(1)ワクチン接種に応答する抗体の作製は、臨床実験室で現在使用されている標準的な方法、例えばELISAによって容易に検出することができる;(2)免疫細胞の炎症部位への移動は、皮膚表面を引っ掻き、滅菌容器に入れて、引っ掻いた部位にわたり移動する細胞を捕獲することによって検出することができる(Peters et al., Blood, 72: 1310-5, 1988);(3)マイトジェン又は混合リンパ球反応に応答する末梢血単核細胞(PBMC)の増殖は、3H-チミジンを使用して測定することができる;(4)顆粒球、マクロファージ、及びPBMC中の他の食細胞の食細胞能力は、ウェル中にPBMCを標識された粒子と共に入れることによって測定することができる(Peters et al., Blood, 72: 1310-5, 1988);及び(5)免疫系細胞の分化は、CD分子、例えばCD4及びCD8に対する抗体でPBMCを標識付け、これらのマーカーを発現するPBMCの割合を測定することによって測定することができる。
【0121】
一実施形態において、本発明の技術の抗DLL3抗体は、複製可能な遺伝学的パッケージの表面上へのDLL3ペプチドの提示を使用して選択される。例えば、米国特許第5,514,548号;5,837,500号;5,871,907号;5,885,793号;5,969,108号;6,225,447号;6,291,650号;6,492,160号;EP585287;EP605522;EP616640;EP1024191;EP589877;EP774511;EP844306を参照されたい。所望の特異性を有する結合分子をコードするファージミドゲノムを含有する糸状バクテリオファージ粒子を作製/選択するのに有用な方法が記載されている。例えば、EP774511;US5871907;US5969108;US6225447;US6291650;US6492160を参照されたい。
一部の実施形態において、本発明の技術の抗DLL3抗体は、酵母宿主細胞の表面上へのDLL3ペプチドの提示を使用して選択される。酵母表面ディスプレイによるscFvポリペプチドの単離に有用な方法が、Kieke et al., Protein Eng. 1997 Nov; 10(11): 1303-10によって記載されている。
【0122】
一部の実施形態において、本発明の技術の抗DLL3抗体は、リボソームディスプレイを使用して選択される。リボソームディスプレイを使用してペプチドライブラリーにおいてリガンドを同定するのに有用な方法は、Mattheakis et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91: 9022-26, 1994;及びHanes et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 94: 4937-42, 1997によって記載されている。
特定の実施形態において、本発明の技術の抗DLL3抗体は、DLL3ペプチドのtRNAディスプレイを使用して選択される。インビトロにおけるtRNAディスプレイを使用するリガンドの選択に有用な方法は、Merryman et al., Chem. Biol., 9: 741-46, 2002によって記載されている。
一実施形態において、本発明の技術の抗DLL3抗体は、RNAディスプレイを使用して選択される。RNAディスプレイライブラリーを使用してペプチド及びタンパク質を選択するのに有用な方法は、Roberts et al. Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 94: 12297-302, 1997; and Nemoto et al., FEBS Lett., 414: 405-8, 1997によって記載されている。非天然RNAディスプレイライブラリーを使用してペプチド及びタンパク質を選択することに有用な方法は、Frankel et al., Curr. Opin. Struct. Biol., 13: 506-12, 2003によって記載されている。
【0123】
一部の実施形態において、本発明の技術の抗DLL3抗体は、グラム陰性細菌のペリプラズムで発現され、標識されたDLL3タンパク質と混合される。WO02/34886を参照されたい。DLL3タンパク質に親和性を有する組換えポリペプチドを発現するクローンにおいて、Harvey et al., Proc. Natl. Acad. Sci. 22: 9193-98 2004及び米国特許公開第2004/0058403号に記載されたように、抗DLL3抗体に結合した標識されたDLL3タンパク質の濃度は増加し、細胞をライブラリーの残りから単離することが可能になる。
所望の抗DLL3抗体の選択の後、前記抗体は、当業者公知のあらゆる技術によって、例えば原核又は真核細胞発現などによって大量に作製できることが予期される。抗DLL3抗体は、例えば、これらに限定されないが、抗DLL3ハイブリッド抗体又は断片であり、これは、抗体重鎖をコードする発現ベクターを構築するための従来の技術を使用することによって作製することができ、それにおいて、元の種抗体結合特異性を保持するのに必要なCDR、及び必要に応じて可変領域フレームワークの最小部分(本明細書に記載される技術によって操作されたものなど)が、起源となる種抗体から誘導され、抗体の残部が、本明細書に記載される通りに操作することができる標的種の免疫グロブリンから誘導され、それによって、ハイブリッド抗体重鎖の発現のためのベクターが作製される。
【0124】
DLL3結合の測定。一部の実施形態において、DLL3結合アッセイは、DLL3タンパク質及び抗DLL3抗体を、DLL3タンパク質と抗DLL3抗体との結合に好適な条件下で混合し、DLL3タンパク質と抗DLL3抗体との結合の量を評価するアッセイ様式を指す。結合の量は、好適な対照と比較され、対照は、DLL3タンパク質の非存在下における結合の量、非特異的な免疫グロブリン組成物の存在下における結合の量、又はその両方であり得る。結合の量は、あらゆる好適な方法によって評価することができる。結合アッセイ方法としては、例えば、ELISA、ラジオイムノアッセイ、シンチレーション近接アッセイ、蛍光エネルギー移動アッセイ、液体クロマトグラフィー、膜ろ過アッセイなどが挙げられる。抗DLL3抗体に結合するDLL3タンパク質の直接的な測定のための生物物理学的なアッセイは、例えば、核磁気共鳴、蛍光、蛍光偏光、表面プラズモン共鳴(BIACOREチップ)、バイオレイヤー干渉法などである。特異的な結合は、当業界において公知の標準的なアッセイによって、例えば、放射性リガンド結合アッセイ、ELISA、FRET、免疫沈降、SPR、NMR(2D-NMR)、質量分析法などによって決定される。候補抗DLL3抗体の特異的な結合が、候補抗DLL3抗体の非存在下で観察される結合より少なくとも1パーセント大きい場合、候補抗DLL3抗体は、本発明の技術の抗DLL3抗体として有用である。
【0125】
上述した重鎖アミノ酸配列及び軽鎖アミノ酸配列に高い同一性を示す配列を一緒に組み合わせることによって、上述した抗体のそれぞれの生物学的活性と同等の生物学的活性を有する抗体を選択することが可能になる。このような同一性は、一般的に80%又はそれより高い、好ましくは90%又はそれより高い、より好ましくは95%又はそれより高い、最も好ましくは99%又はそれより高い同一性である。さらに、重鎖又は軽鎖のアミノ酸配列と比べて、それらの1つの又はいくつかのアミノ酸残基の置換、欠失又は付加を含む重鎖及び軽鎖のアミノ酸配列を組み合わせることによっても、上述した抗体のそれぞれの生物学的活性と同等な生物学的活性を有する抗体を選択することが可能になる。
2つのタイプのアミノ酸配列間の同一性は、Clustal Wバージョン2のデフォルトパラメーターを使用して配列をアライメントすることによって決定することができる(Larkin MA, Blackshields G, Brown NP, Chenna R, McGettigan PA, McWilliam H, Valentin F, Wallace IM, Wilm A, Lopez R, Thompson JD, Gibson TJ and Higgins DG (2007),“Clustal W and Clustal X version 2.0”, Bioinformatics. 23 (21): 2947-2948)。
【0126】
新たに作製されたヒト抗体が、いずれか1つの本発明の説明に記載されるラット抗ヒトDLL3抗体、キメラ抗ヒトDLL3抗体又はヒト化抗ヒトDLL3抗体が結合する部分的なペプチド又は部分的な3次元構造に結合する場合、ヒト抗体が、ラット抗ヒトDLL3抗体、キメラ抗ヒトDLL3抗体又はヒト化抗ヒトDLL3抗体が結合するのと同じエピトープに結合することを決定できる。代替として、ヒト抗体が、抗体のDLL3への結合において本発明の説明に記載されるラット抗ヒトDLL3抗体、キメラ抗ヒトDLL3抗体又はヒト化抗ヒトDLL3抗体と競合することを確認することによって、エピトープの特異的な配列又は構造が決定されていない場合であっても、ヒト抗体が、本発明の説明に記載されるラット抗ヒトDLL3抗体、キメラ抗ヒトDLL3抗体又はヒト化抗ヒトDLL3抗体が結合するのと同じエピトープに結合することを決定できる。本発明の説明において、これらの決定方法のうちの少なくとも1つによって、ヒト抗体が「同じエピトープに結合する」ことが決定される場合、本発明の説明に記載されるラット抗ヒトDLL3抗体、キメラ抗ヒトDLL3抗体又はヒト化抗ヒトDLL3抗体に関するものと同様に、新たに調製されたヒト抗体は、「同じエピトープに結合する」と結論付けられる。ヒト抗体が同じエピトープに結合することが確認される場合、ヒト抗体は、ラット抗ヒトDLL3抗体、キメラ抗ヒトDLL3抗体又はヒト化抗ヒトDLL3抗体の生物学的活性と同等の生物学的活性を有することが予測される。
【0127】
上述した方法により得られたキメラ抗体、ヒト化抗体、又はヒト抗体は、好ましい抗体が選択できるように、公知の方法などにより、抗原に対するそれらの結合活性に関して評価される。
抗体の特性の比較のための別のインジケーターの一例としては、抗体の安定性を挙げることができる。示差走査熱量計(DSC)は、タンパク質の相対的な構造的安定性のための優れたインジケーターとして役立つ熱変性中点(Tm)を敏速及び正確に測定することが可能な装置である。DSCを使用してTm値を測定し、得られた値に関する比較を行うことによって、熱安定性の差を比較することができる。抗体の保存安定性は、抗体の熱安定性と特定の相関を有することが公知であり(Lori Burton, et al., Pharmaceutical Development and Technology (2007) 12, p. 265-273)、したがって、好ましい抗体は、インジケーターとして熱安定性を使用して選択することができる。抗体の選択のためのインジケーターの他の例としては、好適な宿主細胞における高い収量、及び水溶液中での低い凝集を挙げることができる。例えば、収量が最大の抗体が、必ずしも最大の熱安定性を呈するとは限らないため、前述のインジケーターに基づいてそれを包括的に決定することによって、ヒトへの投与に最も好適な抗体を選択することが必要である。
【0128】
得られた抗体は、同質の状態になるまで精製してもよい。抗体の分離及び精製のために、通常のタンパク質のために使用される分離及び精製方法を使用することができる。例えば、カラムクロマトグラフィー、ろ過、限外ろ過、塩析、透析、分取ポリアクリルアミドゲル電気泳動、及び等電点分画法が適切に選択され、抗体を分離及び精製できるように互いに組み合わされるが(Strategies for Protein Purification and Characterization: A Laboratory Course Manual, Daniel R. Marshak et al. eds., Cold Spring Harbor Laboratory Press (1996); and Antibodies: A Laboratory Manual. Ed Harlow and David Lane, Cold Spring Harbor Laboratory (1988))、分離及び精製方法の例は、それらに限定されない。
【0129】
クロマトグラフィーの例としては、アフィニティークロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、疎水性クロマトグラフィー、ゲルろ過クロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィー、及び吸収クロマトグラフィーを挙げることができる。
これらのクロマトグラフ技術は、液体クロマトグラフィー、例えばHPLC又はFPLCを使用して行うことができる。
アフィニティークロマトグラフィーに使用されるカラムの例としては、プロテインAカラム及びプロテインGカラムを挙げることができる。プロテインAの使用を含むカラムの例としては、ハイパーD(Hyper D)、POROS、及びセファロースF.F.(Sepharose F. F.)(Pharmacia)を挙げることができる。
また抗原が固定された担体を使用して、抗原への抗体の結合活性を利用することによって、抗体を精製することもできる。
【0130】
VI.抗DLL3抗体-薬物コンジュゲート(ADC)
A.薬物
本明細書に記載される抗DLL3抗体(例えば、2-C8-A、6-G23-F、及び10-O18-A又はヒト抗体:H2-C8-A、H2-C8-A-2、H2-C8-A-3、H6-G23-F、H6-G23-F-2、H6-G23-F-3、H10-O18-A、H10-O18-A-2、及びH10-O18-A-3)を、薬物にリンカー構造部分を介してコンジュゲートして、抗DLL3抗体-薬物コンジュゲート(ADC)を調製することができる。薬物は、それがリンカー構造に接続できる置換基又は部分構造を有する限り、特に限定されない。抗DLL3抗体-薬物コンジュゲート(ADC)は、コンジュゲートした薬物に応じて様々な目的のために使用することができる。このような薬物の例としては、抗腫瘍活性を有する物質、血液疾患に有効な物質、自己免疫疾患に有効な物質、抗炎症性物質、抗微生物物質、抗真菌物質、抗寄生虫物質、抗ウイルス物質、及び抗麻痺物質(anti-anesthetic substance)を挙げることができる。
【0131】
i.抗腫瘍化合物
本発明の抗DLL3抗体-薬物コンジュゲート中のコンジュゲートさせる化合物として抗腫瘍化合物を使用する実施例は、後述される。抗腫瘍化合物は、化合物が抗腫瘍作用を有し、リンカー構造に接続できる置換基又は部分構造を有する限り、特に限定されない。腫瘍細胞においてリンカーの一部又は全部が切断されると、抗腫瘍化合物が抗腫瘍作用を呈するように、抗腫瘍化合物部分が放出される。リンカーが薬物との接続位置で切断される場合、抗腫瘍化合物は、その元の構造で放出されて、その元の抗腫瘍作用を発揮する。
本明細書で開示される抗DLL3抗体(例えば、2-C8-A、6-G23-F、及び10-O18-A又はヒト抗体:H2-C8-A、H2-C8-A-2、H2-C8-A-3、H6-G23-F、H6-G23-F-2、H6-G23-F-3、H10-O18-A、H10-O18-A-2、及びH10-O18-A-3)、例えばセクションIV.「抗DLL3抗体の作製」に記載されたようにして得られたものを、リンカー構造部分を介して抗腫瘍化合物にコンジュゲートして、抗DLL3抗体-薬物コンジュゲートを調製することができる。
【0132】
本発明で使用される抗腫瘍化合物の一例として、エキサテカン、カンプトテシン誘導体(以下の式によって表される(1S,9S)-1-アミノ-9-エチル-5-フルオロ-2,3-ジヒドロ-9-ヒドロキシ-4-メチル-1H,12H-ベンゾ[de]ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2-b]キノリン-10,13(9H,15H)-ジオン)が、好ましく使用することができる。
【化5】
【0133】
化合物は、例えば、米国特許公開US2016/0297890号に記載される方法又は他の公知の方法によって得ることができ、1位におけるアミノ基は、好ましくはリンカー構造への接続位置として使用することができる。さらに、エキサテカンは、リンカーの一部がまだそれに付着したままで腫瘍細胞中で放出される場合がある。しかしながら、この化合物は、このような状況であっても優れた抗腫瘍作用を発揮する。
エキサテカンはカンプトテシン構造を有するため、酸性水性媒体(例えば、およそpH3)中では、形成されたラクトン環(閉環)を有する構造に平衡がシフトし、それに対して塩基性水性媒体(例えば、およそpH10)中では、開環したラクトン環(開環)を有する構造に平衡がシフトすることが公知である。このような閉環構造及び開環構造に対応するエキサテカン残基が導入された薬物コンジュゲートも、同等の抗腫瘍作用を有すると予測され、言うまでもないが、このような薬物コンジュゲートはいずれも本発明の範囲内に含まれる。
【0134】
抗腫瘍化合物の他の例としては、文献(Pharmacological Reviews, 68, p. 3-19, 2016)に記載される抗腫瘍化合物を挙げることができる。その具体的な例としては、ドキソルビシン、カリケアマイシン、ドラスタチン10、オーリスタチン、例えばモノメチルオーリスタチンE(MMAE)及びモノメチルオーリスタチンF(MMAF)、メイタンシノイド、例えばDM1及びDM4、ピロロベンゾジアゼピン二量体SG2000(SJG-136)、カンプトテシン誘導体SN-38、デュオカルマイシン、例えばCC-1065、アマニチン、ダウノルビシン、マイトマイシンC、ブレオマイシン、シクロシチジン、ビンクリスチン、ビンブラスチン、メトトレキセート、白金ベースの抗癌剤(シスプラチン及びその誘導体)、並びにタキソール及びその誘導体を挙げることができる。
【0135】
抗体-薬物コンジュゲートにおいて、抗体分子1個当たりのコンジュゲートした薬物分子の数は、その効能及び安全性に影響を有する主要な要素である。抗体-薬物コンジュゲートの作製は、一定数のコンジュゲートした薬物分子が達成されるように、反応に使用される出発材料や試薬の量などの反応条件を特定することによって行われる。低分子量化合物の化学反応とは異なり、通常、異なる数のコンジュゲートした薬物分子を含有する混合物が得られる。抗体分子1個当たりのコンジュゲートした薬物分子の数は、平均値として、すなわちコンジュゲートした薬物分子の平均数として定義され、示される。別段の規定がない限り、すなわち、異なる数のコンジュゲートした薬物分子を有する抗体-薬物コンジュゲート混合物中に含まれる、特定の数のコンジュゲートした薬物分子を有する抗体-薬物コンジュゲートを表す場合を除いて、本発明によるコンジュゲートした薬物分子の数も、原則的に平均値を意味する。抗体分子にコンジュゲートしたエキサテカン分子の数は制御可能であり、抗体1個当たりのコンジュゲートした薬物分子の平均数として、およそ1~10個のエキサテカン分子がコンジュゲートすることができる(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10個)。エキサテカン分子の数は、好ましくは2~8、3~8、4~8、5~8、6~8、又は7~8であり、より好ましくは5~8、さらに好ましくは7~8、依然としてさらに好ましくは8である。当業者であれば、本出願の実施例の記載に基づいて必要な数の薬物分子を抗体分子にコンジュゲートさせるための反応を設計でき、制御された数のコンジュゲートしたエキサテカン分子を有する抗体-薬物コンジュゲートを得ることができることに留意されたい。
【0136】
B.リンカー構造
本発明の抗DLL3抗体-薬物コンジュゲートにおける薬物を抗DLL3抗体にコンジュゲートするリンカー構造を説明する。
本出願の抗体-薬物コンジュゲートにおいて、抗DLL3抗体を薬物にコンジュゲートするリンカー構造は、得られた抗体-薬物コンジュゲートが使用可能な限り、特に限定されない。リンカー構造は、使用目的に従って適切に選択し、使用することができる。リンカー構造の一例としては、公知の文献(Pharmacol Rev 68: 3-19, January 2016, Protein Cell DOI 10.1007/s13238-016-0323-0など)に記載されるリンカーを挙げることができる。そのさらなる具体的な例としては、VC(バリン-シトルリン)、MC(マレイミドカプロイル)、SMCC(スクシンイミジル4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1-カルボキシレート)、SPP(N-スクシンイミジル4-(2-ピリジルジチオ)ペンタノエート、SS(ジスルフィド)、SPDB(N-スクシンイミジル4-(2-ピリジルジチオ)ブチレート、SS/ヒドラゾン、ヒドラゾン及びカーボネートを挙げることができる。
【0137】
別の例としては、米国特許公開US2016/0297890号に記載されるリンカー構造(一例として、その段落[0260]~[0289]に記載されるもの)を挙げることができる。以下に示すあらゆるリンカー構造が好ましく使用することができる。構造の左の末端が抗体への接続位置であり、その右の末端が薬物への接続位置であることに留意されたい。さらに、以下に示されるリンカー構造中のGGFG(配列番号85)は、ペプチド結合を介して連結されたグリシン-グリシン-フェニルアラニン-グリシンからなるアミノ酸配列(GGFG;配列番号85)を表す。
-(スクシンイミド-3-イル-N)-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-(配列番号85として開示される「GGFG」)、
-(スクシンイミド-3-イル-N)-CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-(配列番号85として開示される「GGFG」)、
-(スクシンイミド-3-イル-N)-CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2-O-CH2-C(=O)-(配列番号85として開示される「GGFG」)、
-(スクシンイミド-3-イル-N)-CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-O-CH2-C(=O)-(配列番号85として開示される「GGFG」)、
-(スクシンイミド-3-イル-N)-CH2CH2-C(=O)-NH-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-(配列番号85として開示される「GGFG」)、及び
-(スクシンイミド-3-イル-N)-CH2CH2-C(=O)-NH-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-(配列番号85として開示される「GGFG」)。
【0138】
より好ましくは、以下のものである:
-(スクシンイミド-3-イル-N)-CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2-O-CH2-C(=O)-(配列番号85として開示される「GGFG」)、
-(スクシンイミド-3-イル-N)-CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-O-CH2-C(=O)-(配列番号85として開示される「GGFG」)、及び
-(スクシンイミド-3-イル-N)-CH2CH2-C(=O)-NH-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-(配列番号85として開示される「GGFG」)。
【0139】
より一層好ましくは、以下のものである:
-(スクシンイミド-3-イル-N)-CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2-O-CH2-C(=O)-(配列番号85として開示される「GGFG」)、及び
-(スクシンイミド-3-イル-N)-CH2CH2-C(=O)-NH-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-(配列番号85として開示される「GGFG」)。
【0140】
抗体は、-(スクシンイミド-3-イル-N)の末端(例えば、「-(スクシンイミド-3-イル-N)-CH
2CH
2CH
2CH
2CH
2-C(=O)-GGFG-NH-CH
2-O-CH
2-C(=O)-」において-CH
2CH
2CH
2CH
2CH
2-が接続されている末端と逆の末端(左の末端))に接続されており、抗腫瘍化合物は、抗体が-(スクシンイミド-3-イル-N)に接続されている末端と逆の末端(上述した例における右の末端のCH
2-O-CH
2-C(=O)-のカルボニル基)に接続されている。「-(スクシンイミド-3-イル-N)-」は、以下の式によって表される構造を有する:
【化6】
この部分構造の3位は、抗DLL3抗体への接続位置である。この3位における抗体への接続は、チオエーテル結合を形成することを特徴とする。この構造部分の1位における窒素原子は、その構造を含むリンカー内に存在するメチレンの炭素原子に接続されている。
【0141】
薬物としてエキサテカンを有する本発明の抗体-薬物コンジュゲートにおいて、以下に示すいずれかの構造を有する薬物-リンカー構造部分が、抗体へのコンジュゲーションのために好ましい。これらの薬物-リンカー構造部分について、抗体1個当たりのコンジュゲートしたものの平均数は、1~10(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10)であってもよく、好ましくは2~8、より好ましくは5~8、さらに好ましくは7~8、依然としてさらに好ましくは8である。
-(スクシンイミド-3-イル-N)-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)(配列番号85として開示される「GGFG」)、
-(スクシンイミド-3-イル-N)-CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)(配列番号85として開示される「GGFG」)、
-(スクシンイミド-3-イル-N)-CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2-O-CH2-C(=O)-(NH-DX)(配列番号85として開示される「GGFG」)、
-(スクシンイミド-3-イル-N)-CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-O-CH2-C(=O)-(NH-DX)(配列番号85として開示される「GGFG」)、
-(スクシンイミド-3-イル-N)-CH2CH2-C(=O)-NH-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)(配列番号85として開示される「GGFG」)、及び
-(スクシンイミド-3-イル-N)-CH2CH2-C(=O)-NH-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)(配列番号85として開示される「GGFG」)。
【0142】
より好ましくは、以下のものである:
-(スクシンイミド-3-イル-N)-CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2-O-CH2-C(=O)-(NH-DX)(配列番号85として開示される「GGFG」)、
-(スクシンイミド-3-イル-N)-CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-O-CH2-C(=O)-(NH-DX)(配列番号85として開示される「GGFG」)、及び
-(スクシンイミド-3-イル-N)-CH2CH2-C(=O)-NH-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)(配列番号85として開示される「GGFG」)。
より一層好ましくは、以下のものである:
-(スクシンイミド-3-イル-N)-CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2-O-CH2-C(=O)-(NH-DX)(配列番号85として開示される「GGFG」)、及び
-(スクシンイミド-3-イル-N)-CH2CH2-C(=O)-NH-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)(配列番号85として開示される「GGFG」)。
【0143】
-(NH-DX)は、以下の式によって表される構造:
【化7】
を有し、これは、エキサテカンの1位におけるアミノ基から1個の水素原子を除去することによって得られた基を表す。
【0144】
C.抗体-薬物コンジュゲートを作製するための方法
本発明の抗体-薬物コンジュゲートで使用できる抗体は、それが、上記のセクションIV.「抗DLL3抗体の作製」及び実施例に記載されたような内在化活性を有する抗DLL3抗体又はその抗体の機能的な断片である限り、特に限定されない。一部の実施態様において、抗DLL3抗体は、2-C8-A、6-G23-F、10-O18-A、H2-C8-A、H2-C8-A-2、H2-C8-A-3、H6-G23-F、H6-G23-F-2、H6-G23-F-3、H10-O18-A、H10-O18-A-2、又はH10-O18-A-3である。
【0145】
次に、本発明の抗体-薬物コンジュゲートを作製するための典型的な方法を説明する。以下の説明において、各反応スキームに示される「化合物番号」は、化合物を表すのに使用されることに留意されたい。具体的には、各化合物は、「式(1)の化合物」、「化合物(1)」などと称される。同じことが、他の化合物番号にも当てはまる。
【0146】
D.作製方法1
抗DLL3抗体がチオエーテルを介してリンカー構造に接続されている以下で示される式(1)によって表される抗体-薬物コンジュゲートは、抗DLL3抗体の還元によってジスルフィド結合から変換されたスルフヒドリル基を有する抗体を、化合物(2)と反応させることによって作製することができ、化合物(2)は、公知の方法によって入手可能である(例えば、特許公報文献US2016/297890に記載される方法(例えば、段落[0336]~[0374]に記載される方法)によって入手可能である)。この抗体-薬物コンジュゲートは、例えば以下の方法によって作製することができる。
【数1】
式中、ABは、スルフヒドリル基を有する抗体を表し、
L
1は、-(スクシンイミド-3-イル-N)-によって表される構造を有し、
L
1’は、以下の式によって表されるマレイミジル基を表す。
【化8】
-L
1-L
Xは、以下の式のいずれかによって表される構造を有する:
-(スクシンイミド-3-イル-N)-CH
2CH
2-C(=O)-GGFG-NH-CH
2CH
2CH
2-C(=O)-(配列番号85として開示される「GGFG」)、
-(スクシンイミド-3-イル-N)-CH
2CH
2CH
2CH
2CH
2-C(=O)-GGFG-NH-CH
2CH
2CH
2-C(=O)-(配列番号85として開示される「GGFG」)、
-(スクシンイミド-3-イル-N)-CH
2CH
2CH
2CH
2CH
2-C(=O)-GGFG-NH-CH
2-O-CH
2-C(=O)-(配列番号85として開示される「GGFG」)、
-(スクシンイミド-3-イル-N)-CH
2CH
2CH
2CH
2CH
2-C(=O)-GGFG-NH-CH
2CH
2-O-CH
2-C(=O)-(配列番号85として開示される「GGFG」)、
-(スクシンイミド-3-イル-N)-CH
2CH
2-C(=O)-NH-CH
2CH
2O-CH
2CH
2O-CH
2CH
2-C(=O)-GGFG-NH-CH
2CH
2CH
2-C(=O)-(配列番号85として開示される「GGFG」)、及び
-(スクシンイミド-3-イル-N)-CH
2CH
2-C(=O)-NH-CH
2CH
2O-CH
2CH
2O-CH
2CH
2O-CH
2CH
2O-CH
2CH
2-C(=O)-GGFG-NH-CH
2CH
2CH
2-C(=O)-(配列番号85として開示される「GGFG」)。
【0147】
それらのなかでも、より好ましくは、以下のものである:
-(スクシンイミド-3-イル-N)-CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2-O-CH2-C(=O)-(配列番号85として開示される「GGFG」)、
-(スクシンイミド-3-イル-N)-CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-O-CH2-C(=O)-(配列番号85として開示される「GGFG」)、及び
-(スクシンイミド-3-イル-N)-CH2CH2-C(=O)-NH-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-(配列番号85として開示される「GGFG」)。
【0148】
さらに好ましくは、以下のものである:
-(スクシンイミド-3-イル-N)-CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2-O-CH2-C(=O)-(配列番号85として開示される「GGFG」)、及び
-(スクシンイミド-3-イル-N)-CH2CH2-C(=O)-NH-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-(配列番号85として開示される「GGFG」)。
上述した反応スキームにおいて、抗体-薬物コンジュゲート(1)は、薬物からリンカー末端までの1つの構造部分が1つの抗体に接続されている構造を有すると理解することができる。しかしながら、この説明は便宜的に示されたものであり、実際には、複数の前述の構造部分が1つの抗体分子に接続されている多くのケースがある。同じことが、後述される作製方法の説明にも当てはまる。
具体的には、抗体-薬物コンジュゲート(1)は、公知の方法によって入手可能な(例えば、特許公報文献US2016/297890に記載される方法によって入手可能な(例えば、段落[0336]~[0374]に記載される方法によって入手可能な))化合物(2)を、スルフヒドリル基を有する抗体(3a)と反応させることによって作製することができる。
【0149】
スルフヒドリル基を有する抗体(3a)は、当業者に周知の方法により得ることができる(Hermanson, G.T, Bioconjugate Techniques, pp. 56-136, pp. 456-493, Academic Press (1996))。方法の例としては、これらに限定されないが、トラウト(Traut’s)試薬を抗体のアミノ基と反応させること;N-スクシンイミジルS-アセチルチオアルカノエートを抗体のアミノ基と反応させ、続いてヒドロキシルアミンと反応させること;N-スクシンイミジル3-(ピリジルジチオ)プロピオネートを抗体と反応させ、続いて還元剤と反応させること;抗体を、ジチオスレイトール、2-メルカプトエタノール、又はトリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン塩酸塩(TCEP)などの還元剤と反応させて、スルフヒドリル基が形成されるように抗体中の鎖間のジスルフィド結合を還元することを挙げることができる。
具体的には、鎖間のジスルフィド結合が部分的又は完全に還元された抗体は、還元剤として、抗体中の鎖間のジスルフィド結合1つ当たり0.3~3モル当量のTCEPを使用すること、及びキレート剤を含有する緩衝溶液中で還元剤を抗体と反応させることによって得ることができる。キレート剤の例としては、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)及びジエチレントリアミンペンタ酢酸(DTPA)を挙げることができる。キレート剤は、1mM~20mMの濃度で使用することができる。リン酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、酢酸ナトリウムなどの溶液は、緩衝溶液として使用することができる。具体的な例として、部分的又は完全に還元されたスルフヒドリル基を有する抗体(3a)は、抗体をTCEPと4℃~37℃で1~4時間反応させることによって得ることができる。
【0150】
薬物-リンカー部分へのスルフヒドリル基の付加反応を行うことによって、薬物-リンカー部分は、チオエーテル結合によってコンジュゲートできることに留意されたい。
次いで、スルフヒドリル基を有する抗体(3a)1個当たり2~20モル当量の化合物(2)を使用して、抗体1個当たり2~8個の薬物分子がコンジュゲートされている抗体-薬物コンジュゲート(1)を作製することができる。具体的には、そこに溶解させた化合物(2)を含有する溶液は、反応のためのスルフヒドリル基を有する抗体(3a)を含有する緩衝溶液に添加されてもよい。この状況において、酢酸ナトリウム溶液、リン酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウムなどは、緩衝溶液として使用することができる。反応のpHは、5~9であり、より好ましくは、反応は、pH7付近で実行してもよい。ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMA)、又はN-メチル-2-ピロリドン(NMP)などの有機溶媒が、化合物(2)を溶解させるための溶媒として使用することができる。反応は、スルフヒドリル基を有する抗体(3a)を含有する緩衝溶液に、有機溶媒中に溶解させた化合物(2)を含有する溶液を1~20%v/vで添加することによって実行してもよい。反応温度は、0~37℃であり、より好ましくは10~25℃であり、反応時間は、0.5~2時間である。反応は、未反応の化合物(2)のチオールを含有する試薬との反応性を不活性化することによって終結させることができる。チオールを含有する試薬は、例えば、システイン又はN-アセチル-L-システイン(NAC)である。より具体的には、反応は、1~20モル当量のNACを使用される化合物(2)に添加し、得られた混合物を室温で10~30分インキュベートすることによって終結させることができる。
【0151】
抗体-薬物コンジュゲートの同定:作製された抗体-薬物コンジュゲート(1)を、後述される一般的な手順に従って、濃縮、緩衝剤交換、精製、並びに抗体濃度及び抗体分子1個当たりのコンジュゲートした薬物分子の平均数の測定に供して、抗体-薬物コンジュゲート(1)を同定してもよい。
i.一般的な手順A:抗体又は抗体-薬物コンジュゲートの水溶液の濃縮
Amicon Ultra(50,000MWCO、Millipore Corporation)容器に、抗体又は抗体-薬物コンジュゲートの溶液を添加し、抗体又は抗体-薬物コンジュゲートの溶液を、遠心分離機(Allegra X-15R、Beckman Coulter, Inc.)を使用した遠心分離(2000G~4000Gで5~20分間の遠心分離)によって濃縮した。
ii.一般的な手順B:抗体濃度の測定
UV検出器(Nanodrop 1000、Thermo Fisher Scientific Inc.)を使用して、製造元によって規定された方法に従って抗体濃度の測定を行った。この点において、抗体間で異なる280nmの吸収係数(1.3mLmg-1cm-1~1.8mLmg-1cm-1)を使用した。
【0152】
iii.一般的な手順C:抗体ごとの緩衝剤交換
PBS6.0/EDTAを抗体の水溶液に添加し、これを一般的な手順Aに従って濃縮した。このオペレーションを数回行い、次いで抗体濃度を一般的な手順Bを使用することによって測定し、PBS6.0/EDTAで5~20mg/mLに調整した。
iv.一般的な手順D:抗体-薬物コンジュゲートの精製
NAP-25カラム(GE Healthcare)を、いずれかの商業的に入手可能な緩衝溶液、例えばソルビトール(5%)を含有する酢酸緩衝剤(10mM、pH5.5;本発明の説明ではABSと称する)で平衡化した。抗体-薬物コンジュゲートの水性反応溶液(およそ2.5mL)をNAP-25カラムに適用し、その後、抗体画分が収集されるように、製造元によって規定された量で緩衝溶液を用いて溶出を行った。収集された画分を再びNAP-25カラムに適用し、緩衝溶液を用いて溶出を行うゲルろ過精製プロセスを合計2又は3回繰り返して、コンジュゲートしていない薬物リンカー及び低分子量化合物(トリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン塩酸塩(TCEP)、N-アセチル-L-システイン(NAC)、及びジメチルスルホキシド)を排除した抗体-薬物コンジュゲートを得た。
【0153】
v.一般的な手順E:抗体-薬物コンジュゲートにおける抗体濃度の測定及び抗体分子1個当たりのコンジュゲートした薬物分子の平均数
抗体-薬物コンジュゲート中のコンジュゲートした薬物濃度は、280nm及び370nmの2つの波長で抗体-薬物コンジュゲートの水溶液のUV吸光度を測定すること、及びその後以下に示す計算を実行することによって計算することができる。
いずれか所与の波長での総吸光度は、系中に存在する全ての光を吸収する化学種の吸光度の合計に等しい[吸光度の加算性]。それゆえに、抗体及び薬物のモル吸収係数は抗体と薬物との間のコンジュゲーションの前と後で変化しないという仮説に基づいて、抗体-薬物コンジュゲート中の抗体濃度及び薬物濃度は、以下の方程式によって表される。
A280=AD,280+AA,280=εD,280CD+εA,280CA 方程式(1)
A370=AD,370+AA,370=εD,370CD+εA,370CA 方程式(2)
【0154】
この状況において、A280は、280nmでの抗体-薬物コンジュゲートの水溶液の吸光度を表し、A370は、370nmでの抗体-薬物コンジュゲートの水溶液の吸光度を表し、AA,280は、280nmでの抗体の吸光度を表し、AA,370は、370nmでの抗体の吸光度を表し、AD,280は、280nmでのコンジュゲート前駆体の吸光度を表し、AD,370は、370nmでのコンジュゲート前駆体の吸光度を表し、εA,280は、280nmでの抗体のモル吸収係数を表し、εA,370は、370nmでの抗体のモル吸収係数を表し、εD,280は、280nmでのコンジュゲート前駆体のモル吸収係数を表し、εD,370は、370nmでのコンジュゲート前駆体のモル吸収係数を表し、CAは抗体-薬物コンジュゲート中の抗体濃度を表し、CDは、抗体-薬物コンジュゲート中の薬物濃度を表す。
この状況において、εA,280、εA,370、εD,280、及びεD,370に関し、事前に用意された値(計算に基づいて推測された値又は化合物のUV測定により得られた測定値)が使用される。例えば、εA,280は、公知の計算方法によって抗体のアミノ酸配列から推測することができる(Protein Science, 1995, vol. 4, 2411-2423)。εA,370は、一般的にゼロである。εD,280及びεD,370は、ランベルト・ベールの法則(吸光度=モル濃度×モル吸収係数×セルのパス長)に従って、使用されるコンジュゲート前駆体が特定のモル濃度で溶解している溶液の吸光度を測定することによって得ることができる。CA及びCDは、抗体-薬物コンジュゲートの水溶液のA280及びA370を測定し、次いでこれらの値の代入によって連立方程式(1)及び(2)を解くことによって決定することができる。さらに、CDをCAで割ることによって、抗体1個当たりのコンジュゲートした薬物分子の平均数を決定することができる。
【0155】
vi.一般的な手順F:抗体-薬物コンジュゲートにおける抗体分子1個当たりのコンジュゲートした薬物分子の平均数の測定-(2)
抗体-薬物コンジュゲート中の抗体分子1個当たりのコンジュゲートした薬物分子の平均数は、上記のサブセクションv「一般的な手順E」に加えて、以下の方法を使用する高速液体クロマトグラフィー(HPLC)分析によっても決定できる。以下、抗体がジスルフィド結合によって薬物リンカーにコンジュゲートされる場合の、HPLCによるコンジュゲートした薬物分子の平均数を測定するための方法を説明する。当業者は、この方法を参照して、抗体と薬物リンカーとの間の接続方式に応じて、HPLCによってコンジュゲートした薬物分子の平均数を適切に測定することが可能である。
HPLC分析のためのサンプルの調製(抗体-薬物コンジュゲートの還元)
抗体-薬物コンジュゲート溶液(およそ1mg/mL、60μL)は、ジチオスレイトール(DTT)の水溶液(100mM、15μL)と混合される。混合物を37℃で30分間インキュベートすることによって、抗体-薬物コンジュゲートの軽鎖と重鎖との間のジスルフィド結合が切断される。得られたサンプルはHPLC分析に使用される。
【0156】
HPLC分析
HPLC分析は、以下の測定条件下で行われる。
HPLCシステム:アジレント(Agilent)1290HPLCシステム(Agilent Technologies, Inc.)
検出器:紫外線吸収分光計(測定波長:280nm)
カラム:ACQUITY UPLC BEH Phenyl(2.1×50mm、1.7μm、130オングストローム;WatersCorp.、P/N186002884)
カラム温度:75℃
移動相A:0.10%トリフルオロ酢酸(TFA)及び15%2-プロパノールを含有する水溶液
移動相B:0.075%TFA及び15%2-プロパノールを含有するアセトニトリル溶液
勾配プログラム1:14%~36%(0分~15分)、36%~80%(15分~17分)、80%~14%(17分~17.01分)、及び14%(17.01分~25分)
勾配プログラム2:14%~80%(0分~15分)、80%(15分~17分)、80%~14%(17分~17.01分)、及び14%(17.01分~25分)
サンプル注入:10μL
【0157】
データ分析
コンジュゲートしていない抗体軽(L0)及び重(H0)鎖と比較して、薬物分子に結合した軽鎖(i薬物分子に結合した軽鎖:Li)及び薬物分子に結合した重鎖(i薬物分子に結合した重鎖:Hi)は、コンジュゲートした薬物分子の数に比例してより高い疎水性を呈することから、より大きい保持時間を有する。したがってこれらの鎖は、例えば、L0及びL1、又はH0、H1、H2、及びH3の順番で溶出される。検出ピークは、L0及びH0との保持時間の比較によってL0、L1、H0、H1、H2、及びH3のいずれかに割り当てることができる。コンジュゲートした薬物分子の数は当業者によって定義できるが、好ましくはL0、L1、H0、H1、H2、及びH3である。
【0158】
薬物リンカーはUV吸収を有するため、ピーク面積値は、軽鎖又は重鎖及び薬物リンカーのモル吸収係数を使用した以下の式に従って、コンジュゲートした薬物リンカー分子の数に応じて補正される。
【数2】
【0159】
この状況において、公知の計算方法(Protein Science, 1995, vol. 4, 2411-2423)による各抗体の軽鎖又は重鎖のアミノ酸配列から推測された値は、抗体の軽鎖又は重鎖のモル吸収係数(280nm)として使用することができる。-H2-C8-Aにおいて、軽鎖及び重鎖について、それぞれ、26123のモル吸収係数及び84150のモル吸収係数を、抗体のアミノ酸配列に従って、推測された値として使用した。H6-G23-Fのケースにおいて、軽鎖及び重鎖について、それぞれ、30105のモル吸収係数及び77423のモル吸収係数を、抗体のアミノ酸配列に従って、推測された値として使用した。H10-O18-Aのケースにおいて、軽鎖及び重鎖について、それぞれ、26166のモル吸収係数及び81340のモル吸収係数を、抗体のアミノ酸配列に従って、推測された値として使用した。各薬物リンカーのメルカプトエタノール又はN-アセチルシステインとの反応によってマレイミド基がスクシンイミドチオエーテルに変換された化合物の実際に測定されたモル吸収係数(280nm)を、薬物リンカーのモル吸収係数(280nm)として使用した。吸光度測定のための波長は、当業者により適切に設定することができるが、好ましくは抗体のピークを測定できる波長であり、より好ましくは280nmである。H2-C8-A-2のケースにおいて、軽鎖及び重鎖について、それぞれ、26212のモル吸収係数及び83998のモル吸収係数を、抗体のアミノ酸配列に従って、推測された値として使用した。H10-O18-A-2のケースにおいて、軽鎖及び重鎖について、それぞれ、26212のモル吸収係数及び81478のモル吸収係数を、抗体のアミノ酸配列に従って、推測された値として使用した。
【0160】
各鎖のピーク面積比(%)は、以下の式に従ってピーク面積の補正された値の合計に対して計算される。
【数3】
【0161】
抗体-薬物コンジュゲート中の抗体分子1個当たりのコンジュゲートした薬物分子の平均数は、以下の式に従って計算される。
コンジュゲートした薬物分子の平均数=(L0ピーク面積比×0+L1ピーク面積比×1+H0ピーク面積比×0+H1ピーク面積比×1+H2ピーク面積比×2+H3ピーク面積比×3)/100×2。
【0162】
抗体-薬物コンジュゲートの量を確保するために、類似の条件下で作製された、ほぼ同じコンジュゲートした薬物分子の平均数(例えば、±1程度で)を有する複数の抗体-薬物コンジュゲートを混合して、新しいロットを調製できることに留意されたい。このケースにおいて、新しいロットの薬物分子の平均数は、混合前の薬物分子の平均数の間に収まる。
【0163】
本発明の抗体-薬物コンジュゲートの1つの具体的な例としては、以下の式:
【化9】
又は以下の式:
【化10】
によって表される構造を有する抗体-薬物コンジュゲートを挙げることができる。
【0164】
この状況において、ABは、本発明の説明で開示された抗DLL3抗体を表し、抗体は、抗体由来のスルフヒドリル基を介して薬物リンカーにコンジュゲートされている。この状況において、nは、いわゆるDAR(drug-to-antibody Ratio;薬物対抗体比)の意味と同じ意味を有し、抗体1個当たりの薬物対抗体比を表す。具体的には、nは、抗体分子1個当たりのコンジュゲートした薬物分子の数を表し、これは、平均値として、すなわち、コンジュゲートした薬物分子の平均数として定義され示される数値である。本発明の[式9]又は[式10]によって表される抗体-薬物コンジュゲートのケースにおいて、nは、上記のサブセクションviの一般的な手順Fによる測定で、2~8であってもよく、好ましくは5~8、より好ましくは7~8、さらにより好ましくは8である。
【0165】
本発明の抗体-薬物コンジュゲートの一例としては、上述した式[式9]又は[式10]によって表される構造を有する抗体-薬物コンジュゲートを挙げることができ、式中、ABによって表される抗体は、以下の抗体(a)~(e):
(a)配列番号7の可変ドメイン配列を含む軽鎖及び配列番号2の可変ドメイン配列を含む重鎖;
(b)配列番号17の可変ドメイン配列を含む軽鎖及び配列番号12の可変ドメイン配列を含む重鎖;
(c)配列番号27の可変ドメイン配列を含む軽鎖及び配列番号22の可変ドメイン配列を含む重鎖;
(d)配列番号37の可変ドメイン配列を含む軽鎖及び配列番号32の可変ドメイン配列を含む重鎖;並びに
(e)抗体(a)~(f)からなる群から選択されるいずれか1つの抗体
からなる群から選択されるいずれか1つの抗体、又は当該抗体の機能的な断片、又は抗体-薬物コンジュゲートの薬理学的に許容できる塩を含み、ここで重鎖又は軽鎖は、N結合型グリコシル化、O結合型グリコシル化、N末端プロセシング、C末端プロセシング、脱アミド、アスパラギン酸の異性化、メチオニンの酸化、N末端へのメチオニン残基の付加、プロリン残基のアミド化、及びN末端グルタミン又はN末端グルタミン酸のピログルタミン酸への変換を特徴とする翻訳後修飾、並びにカルボキシル末端における1又は2つのアミノ酸の欠失からなる群から選択される1若しくは2つ又はそれより多くの改変を含む。
【0166】
VII.医薬
本明細書で開示される(例えば、2-C8-A、6-G23-F、10-O18-A、H2-C8-A、H2-C8-A-2、H2-C8-A-3、H6-G23-F、H6-G23-F-2、H6-G23-F-3、H10-O18-A、H10-O18-A-2、又はH10-O18-A-3)、並びに上記のセクションIV「抗DLL3抗体の作製」及び実施例に記載される本発明の抗DLL3抗体又は当該抗体の機能的な断片は、腫瘍細胞の表面上でDLL3に結合し、内在化活性を有するため、これは、医薬として、特に、小細胞肺がん(SCLC)、大細胞神経内分泌癌(LCNEC)、腎臓、尿生殖路(膀胱、前立腺、卵巣、子宮頸、及び子宮内膜)、消化管(胃、結腸)、甲状腺(甲状腺髄様がん)、膵臓及び肺を含む 様々な組織の神経内分泌腫瘍、神経膠腫又は偽性神経内分泌腫瘍(pseudo neuroendocrine tumor;pNET)などのがんのための治療剤として、単独で、又はと追加の薬物を組み合わせてのいずれかで使用することができる。
【0167】
さらに、本発明の抗DLL3抗体又は当該抗体の機能的な断片は、DLL3を発現する細胞の検出において使用することができる。
さらに、本発明の抗DLL3抗体又は当該抗体の機能的な断片は、内在化活性を有するため、抗体-薬物コンジュゲート中の抗体として適用することができる。
細胞傷害性活性などの抗腫瘍活性を有する薬物が薬物として使用される場合、上記のセクションVI「抗DLL3抗体-薬物コンジュゲート」及び実施例に記載される本発明の抗DLL3抗体-薬物コンジュゲートは、抗DLL3抗体及び/又は内在化活性を有する抗体の機能的な断片、並びに細胞傷害性活性などの抗腫瘍活性を有する薬物のコンジュゲートである。この抗DLL3抗体-薬物コンジュゲートは、DLL3を発現するがん細胞に対して抗腫瘍活性を呈するため、医薬として、特に、がんの治療剤及び/又は予防剤として使用することができる。
本発明の抗DLL3抗体-薬物コンジュゲートは、例えば、それが空気中に置かれたり又は再結晶又は精製手順に供されたりすると水和物に変わるように、水分を吸収することができるか、又は吸着水を含んでいてもよい。このような水を含有する化合物又は薬理学的に許容できる塩も本発明に含まれる。
【0168】
本発明の抗DLL3抗体-薬物コンジュゲートは、アミノ基などの塩基性基を有する場合、必要に応じて、薬理学的に許容できる酸付加塩を形成することができる。このような酸付加塩の例としては、ハロゲン化水素(hydrohalide)、例えばフッ化水素酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、及びヨウ化水素酸塩;無機酸塩、例えば硝酸塩、過塩素酸塩、硫酸塩、及びリン酸塩;低級アルカンスルホン酸塩、例えばメタンスルホン酸塩、トリフルオロメタンスルホン酸塩、及びエタンスルホン酸塩;アリールスルホン酸塩、例えばベンゼンスルホン酸塩及びp-トルエンスルホン酸塩;有機酸塩、例えばギ酸塩、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、リンゴ酸塩、フマル酸塩、コハク酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、シュウ酸塩、及びマレイン酸塩;並びにアミノ酸性塩、例えばオルニチン塩、グルタミン酸塩、及びアスパラギン酸塩を挙げることができる。
本発明の抗DLL3抗体-薬物コンジュゲートは、カルボキシ基などの酸性基を有する場合、必要に応じて、薬理学的に許容できる塩基付加塩を形成することができる。このような塩基付加塩の例としては、アルカリ金属塩、例えばナトリウム塩、カリウム塩、及びリチウム塩;アルカリ土類金属塩、例えばカルシウム塩及びマグネシウム塩;無機塩、例えばアンモニウム塩;並びに有機アミン塩、例えばジベンジルアミン塩、モルホリン塩、フェニルグリシンアルキルエステル塩、エチレンジアミン塩、N-メチルグルカミン塩、ジエチルアミン塩、トリエチルアミン塩、シクロヘキシルアミン塩、ジシクロヘキシルアミン塩、N,N’-ジベンジルエチレンジアミン塩、ジエタノールアミン塩、N-ベンジル-N-(2-フェニルエトキシ)アミン塩、ピペラジン塩、テトラメチルアンモニウム塩、及びトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン塩を挙げることができる。
【0169】
本発明は、抗体-薬物コンジュゲートを構成する1つ又は複数の原子が原子の同位体で置き換えられた抗DLL3抗体-薬物コンジュゲートを含み得る。2つのタイプの同位体:放射性同位体及び安定同位体がある。同位体の例としては、水素の同位体(2H及び3H)、炭素の同位体(11C、13C及び14C)、窒素の同位体(13N及び15N)、酸素の同位体(150、170及び180)、及びフッ素の同位体(18)を挙げることができる。このような同位体で標識された抗体-薬物コンジュゲートを含む組成物は、例えば、治療剤、予防剤、調査用の試薬、アッセイ用の試薬、診断剤、及びインビボでの画像診断剤として有用である。同位体で標識された様々な抗体-薬物コンジュゲート、及び同位体で標識された抗体-薬物コンジュゲートのあらゆる所与の比率での混合物が本発明に含まれる。同位体で標識された抗体-薬物コンジュゲートは、例えば、当業界において公知の方法に従って、後述される本発明の作製方法のための出発材料の代わりに同位体で標識された出発材料を使用することによって作製することができる。
【0170】
インビトロの細胞傷害性は、例えば細胞の増殖応答を抑制する活性に基づいて測定することができる。例えば、DLL3を過剰発現するがん細胞株を培養し、培養系に、抗DLL3抗体-薬物コンジュゲートを様々な濃度で添加する。その後、細胞増殖、病巣形成、コロニー形成及びスフェロイド増殖に対するその抑制活性を測定することができる。この状況において、例えば、小細胞肺がん又は大細胞神経内分泌癌由来のがん細胞株を使用することによって、小細胞肺がん又は大細胞神経内分泌癌に対する細胞増殖阻害活性を検査できる。
インビボの実験動物におけるがんに対する治療作用は、例えば、DLL3を高度に発現する腫瘍細胞株を接種したヌードマウスに、抗DLL3抗体-薬物コンジュゲートを投与すること、次いで、がん細胞における変化を測定することによって測定することができる。この状況において、例えば、小細胞肺がん(SCLC)、大細胞神経内分泌癌(LCNEC)、腎臓、尿生殖路(膀胱、前立腺、卵巣、子宮頸、及び子宮内膜)、消化管(胃、結腸)、甲状腺(甲状腺髄様がん)、膵臓及び肺を含む様々な組織の神経内分泌腫瘍、神経膠腫又は偽性神経内分泌腫瘍(pNET)の接種によって免疫不全マウスから得られた動物モデルを使用することによって、小細胞肺がん(SCLC)、大細胞神経内分泌癌(LCNEC)、腎臓、尿生殖路(膀胱、前立腺、卵巣、子宮頸、及び子宮内膜)、消化管(胃、結腸)、甲状腺(甲状腺髄様がん)、膵臓及び肺を含む様々な組織の神経内分泌腫瘍、神経膠腫又は偽性神経内分泌腫瘍(pNET)に対する治療作用を測定することができる。
【0171】
本発明の抗DLL3抗体-薬物コンジュゲートが適用されるがんのタイプは、処置しようとするがん細胞においてがんがDLL3を発現する限りは特に限定されない。その例としては、小細胞肺がん(SCLC)、大細胞神経内分泌癌(LCNEC)、腎臓、尿生殖路(膀胱、前立腺、卵巣、子宮頸、及び子宮内膜)、消化管(胃、結腸)、甲状腺(甲状腺髄様がん)、膵臓及び肺を含む様々な組織の神経内分泌腫瘍を挙げることができる。それらの他の実施例としては、神経膠腫及び偽性神経内分泌腫瘍(pNET)を挙げることができる。しかしながら、がんは、がんがDLL3を発現する限りは限定されない。がんのより好ましい例としては、小細胞肺がん(SCLC)、大細胞神経内分泌癌(LCNEC)、及び様々な組織の神経内分泌腫瘍を挙げることができる。
本発明の抗DLL3抗体-薬物コンジュゲートは、好ましくは哺乳動物に投与でき、より好ましくはヒトに投与できる。
【0172】
本発明の抗DLL3抗体-薬物コンジュゲートを含む医薬組成物で使用される物質は、適用される用量又は適用される濃度に関して、この分野で通常使用される医薬用添加剤などから適切に選択して、次いで使用することができる。
本発明の抗DLL3抗体-薬物コンジュゲートは、1つ又は複数の医薬的に適合性の成分を含む医薬組成物として投与することができる。例えば、医薬組成物は、典型的には、1種又は複数の製剤用担体(例えば、滅菌した液体(例えば、水及び油(石油及び動物性、植物性、又は合成の油(例えば、落花生油、ダイズ油、鉱油、及びゴマ油)を含む))を含む。水は、医薬組成物が静脈内投与される場合、より典型的な担体である。食塩水溶液、デキストロース水溶液、及びグリセロール水溶液も、液体担体として、特に注射溶液のために使用することができる。好適な医薬用ビヒクルは当業界において公知である。必要に応じて、組成物はまた、微量の保湿剤、乳化剤、又はpH緩衝剤を含んでいてもよい。好適な製剤用担体の例は、E.W. Martinによる「Remington’s Pharmaceutical Sciences」に開示されている。処方は、投与様式に対応する。
【0173】
様々な送達系が公知であり、それらは、本発明の抗DLL3抗体-薬物コンジュゲートを投与するために使用することができる。投与経路の例としては、これらに限定されないが、皮内、筋肉内、腹膜内、静脈内、及び皮下経路を挙げることができる。投与は、例えば注射又はボーラス注射によってなされることができる。具体的な好ましい実施態様によれば、上述した抗体-薬物コンジュゲートの投与は、注射によって実行される。好ましい投与経路は、非経口投与である。
代表的な実施形態によれば、医薬組成物は、従来の手順に従って、ヒトへの静脈内投与に好適な医薬組成物として処方される。静脈内投与のための組成物は、典型的には、滅菌及び等張水性緩衝溶液中の溶液である。必要に応じて、医薬はまた、注射部位における痛みを軽減するための可溶化剤及び局所麻酔剤(例えば、リグノカイン)を含有していてもよい。一般的に、上述した成分は、例えば、活性薬剤の量を示すアンプル又は小容器中に密封することにより得られる、容器に入れられたフリーズドライさせた粉末又は無水濃縮物として、別々に、又は単位剤形での混合物中に一緒のいずれかで提供される。医薬は、注射によって投与される場合、例えば、滅菌医薬品グレードの水又は生理食塩水を含有する注射ボトルを使用して投与されてもよい。医薬は、注射によって投与される場合、注射用の滅菌水又は生理食塩水のアンプルは、上述した成分が投与の前に互いに混合されるように提供されてもよい。
【0174】
本発明の医薬組成物は、本出願の抗DLL3抗体-薬物コンジュゲートを含む医薬組成物であってもよいし、又は抗DLL3抗体-薬物コンジュゲート及び少なくとも1種の他のがんの治療剤を含む医薬組成物であってもよい。本発明の抗DLL3抗体-薬物コンジュゲートはまた、追加のがんの治療剤と共に投与されてもよく、それによって抗がん作用を強化することができる。このような目的に使用される追加の抗がん剤は、抗体-薬物コンジュゲートと、同時に、別々に、又は連続的に、個体に投与してもよい。それ以外にも、追加の抗がん剤及び抗DLL3抗体-薬物コンジュゲートはそれぞれ、異なる投与間隔で対象に投与してもよい。このようながんの治療剤の例としては、細胞傷害性の化学療法剤、例えば、カルボプラチン、シスプラチン、ロバプラチン、エトポシド、イリノテカン、トポテカン、及びアムルビシンなど、RNA転写阻害剤、例えば、ルルビネクテジンなど、免疫チェックポイント阻害剤、例えば、アテゾリズマブ、デュルバルマブ、ニボルマブ、ペンブロリズマブ、及びイピリムマブなど、並びにチロシンキナーゼ阻害剤、例えば、アンロチニブなどを挙げることができるが、がんの治療剤は、薬物が抗腫瘍活性を有する限りこれらに限定されない。
【0175】
このような医薬組成物は、フリーズドライ配合物又は液体配合物の形態で、選択された組成物及び必要な純度を有する配合物として調製することができる。フリーズドライ配合物として調製された医薬組成物は、この分野で使用される適切な医薬用添加剤を含有する配合物であってもよい。
同様に、液体配合物は、液体配合物がこの分野で使用される様々な医薬用添加剤を含有するように、調製することができる。
医薬組成物の組成及び濃度も、投与方法に応じて変更することができる。本発明の医薬組成物に含まれる抗DLL3抗体-薬物コンジュゲートの抗原に対する親和性、すなわち、抗DLL3抗体-薬物コンジュゲートの抗原に対する解離定数(Kd値)に関して、親和性が増加する場合(すなわち、Kd値は低い)、その適用される用量を減少させたとしても、医薬組成物は、医薬作用を発揮することができる。
したがって、抗体-薬物コンジュゲートの適用される用量は、抗原に対する抗体-薬物コンジュゲートの親和性の状態に基づいて適用される用量を設定することによって決定することもできる。本発明の抗体-薬物コンジュゲートは、ヒトに投与される場合、例えば、およそ0.001~100mg/kgの用量で、1回又は1~180日の間隔で複数回で投与してもよい。これは、好ましくは0.1~50mg/kg、より好ましくは1~50mg/kg、1~30mg/kg、1~20mg/kg、1~15mg/kg、2~50mg/kg、2~30mg/kg、2~20mg/kg又は2~15mg/kgの用量で、1~4週間、好ましくは2~3週間の間隔で複数回で投与してもよい。
【0176】
要するに、開示された免疫グロブリン関連組成物(例えば、抗体又はその抗原結合断片、例えば2-C8-A、6-G23-F、10-O18-A、及びそれらのヒト化バージョン)及びその抗体-薬物コンジュゲートは、DLL3関連がんの処置に有用である。このような処置は、病理学的に高いレベルのDLL3を有するとして同定された患者(例えば、本明細書に記載される方法によって診断された者)又はこのような病理学的レベルに関連することが公知の疾患と診断されている患者において使用することができる。一態様において、本発明の開示は、DLL3関連がんを、それを必要とする対象において処置するための方法であって、有効量の本発明の技術の抗体(又はその抗原結合断片)を対象に投与することを含む方法を提供する。本発明の技術の抗体によって処置することができるがんの例としては、これらに限定されないが、小細胞肺がん(SCLC)、大細胞神経内分泌癌(LCNEC)、腎臓、尿生殖路(膀胱、前立腺、卵巣、子宮頸、及び子宮内膜)、消化管(胃、結腸)、甲状腺(甲状腺髄様がん)、膵臓及び肺を含む様々な組織の神経内分泌腫瘍、神経膠腫又は偽性神経内分泌腫瘍(pNET)が挙げられる。本発明の技術の組成物は、任意選択で、単一のボーラス剤としてそれを必要とする対象に投与することができる。代替として、用量レジメンは、腫瘍の出現後に様々な回数で実行される複数回の投与を含んでいてもよい。投与は、経口、鼻腔内、非経口(静脈内、筋肉内、腹腔内、又は皮下)、直腸、頭蓋内、腫瘍内、クモ膜下、又は局所などのあらゆる好適な経路によって行うことができる。投与としては、自己投与及び他者による投与が挙げられる。また、記載される医学的状態の様々な処置様式は、「実質的」であることを意味することが意図されることも理解されるものとし、実質的とは、全ての処置を含むが、全てに満たない処置も含み、ある程度の生物学的又は医学的に関連する結果が達成されることを含む。
【実施例】
【0177】
本発明の技術は、以下の実施例によってさらに例示されるが、これらはいかなる意味においても限定として解釈されるべきではない。以下の実施例は、本発明の技術の例示的な抗DLL3抗体及び抗体-薬物コンジュゲート(ADC)の調製、特徴付け、及び使用を実証する。しかしながら、これらの実施例は、発明の範囲を限定することは意図されない。さらに、これらの実施例は、いずれの手段によっても限定された方式で解釈されるべきではない。以下の実施例において、別段の規定がない限り、遺伝子操作に関する個々のオペレーションは、“Molecular Cloning” (Sambrook, J., Fritsch, E. F. and Maniatis, T., published by Cold Spring Harbor Laboratory Press in 1989)に記載される方法、又は当業者によって使用される実験マニュアルに記載される他の方法に従って行われ、又は商業的に入手可能な試薬又はキットが使用されている場合、その実施例は、商業的に入手可能である製品に含まれる説明書に従って行われたことに留意されたい。本発明の説明において、試薬、溶媒及び出発材料は、商業的に入手可能な供給源、別段の規定がない限りから容易に入手可能である。
【0178】
(実施例1)
モノクローナル抗体の生成
全長DLL3を安定して発現するHEK293T細胞で作製されたC末端の6×Hisタグ(配列番号84)を有するアミノ酸Ala27-Ala479に対応するDLL3の細胞外ドメイン(ECD)(GenBank受託番号Q9NY J7-1)を、免疫原として使用した。ヒト免疫グロブリンレパートリーを内包するAblexis AlivaMAb Kappa Mice(Ablexis、San Diego、CA)を、標準的な免疫化技術に従って、3週間の期間にわたり、可溶性DLL3-ECD又は安定な細胞のいずれかで免疫化した。DLL3に特異的な高い血清力価を有するマウスからの脾細胞及び流入領域リンパ節細胞を回収し、マウス骨髄腫細胞と融合させて、電気融合を使用してハイブリドーマを生成した。次いでこれらのハイブリドーマをスクリーニングして、ELISAによって可溶性DLL3-ECDに特異的に結合した抗体の存在を同定し、親の293細胞に対するフローサイトメトリーによって安定して発現する293細胞における全長DLL3タンパク質の存在を同定した。さらなる調査のために、後述するように4℃/37℃の染色と共に293DLL3形質転換体における染色強度に関するフローサイトメトリーでのランク付けによってハイブリドーマを選択した。
【0179】
(実施例2)
モノクローナル抗体6-G23-F、2-C8-A、7-I1-B及び10-O18-Aを用いた4/37内在化アッセイ
4種のモノクローナル抗体(6-G23-F、2-C8-A、7-I1-B及び10-O18-A)を、4℃での染色を37℃での染色と比較することによって、DLL3を内在化するそれらの能力に関して比較した。参照モノクローナル抗体SC16は、DLL3を介して内在化し、ADC活性を有することが公知であり、文献でこれまでに報告されており、これを、内在化の陽性対照として使用した。指数増殖中のNCI-H82細胞をトリプシン/EDTAを用いて回収し、10%ウシ胎児血清(FCS)を含有するRPMI中で1回洗浄し、10%FCSが補充されたDMEMに細胞2×107個/mlで再懸濁した。100μl(細胞2×106個)を、U底96ウェルプレートに添加した。試験モノクローナル抗体(6-G23-F、2-C8-A、7-I1-B又は10-O18-A)又は参照モノクローナル抗体を別々のウェルに添加して、2連のプレートで10μg/mlの最終濃度を得た。両方のプレートを4℃で30分保持したその後、両方のプレートを、10%FCSが補充された冷RPMIで2回洗浄し、10%FCSが補充されたRPMIに再懸濁した。一方のプレートを4℃で保持し(対照プレート)、他方のプレートを、CO2インキュベーター中で、37℃でインキュベートした(実験プレート)。CO2インキュベーター中、実験プレートでは37℃、対照プレートでは4℃で、4時間インキュベーションの後、細胞を、冷洗浄緩衝剤(0.5%BSAを含有するPBS)で、4℃で3回洗浄した。次いでサンプルを、洗浄緩衝剤中7μg/mlの最終濃度での冷洗浄緩衝剤+R-フィコエリトリン-AffiniPure F(ab’)2断片ヤギ抗マウスIgG(Jackson 115-116-071)に再懸濁した。4℃で30分のインキュベーション後、細胞を冷洗浄緩衝剤で3回洗浄し、どちらもPBS0.5%パラホルムアルデヒド中で固定し、48時間以内にフローサイトメトリーによって分析した。対照プレート(4℃で抗体と共にインキュベートした)から得られたMFIを、実験プレート(37℃で抗体と共にインキュベートした)から得られた対応するMFIで割ることによって計算した平均蛍光強度(MFI)比を、内在化の相対的な尺度として採用した。高い値は、より大きい内在化を示した。以下の表で示されるように、モノクローナル抗体(6-G23-F、2-C8-A、7-I1-B及び10-O18-A)の全てが、結合するDLL3で内在化することができたが、参照モノクローナル抗体の程度までは内在化できなかった。
【0180】
【表3】
これらの結果は、本発明の技術の免疫グロブリン関連組成物が、DLL3に結合することを介して内在化を受けることを実証する。したがって、本明細書で開示された免疫グロブリン関連組成物は、DLL3陽性がん細胞に治療剤を送達することに有用である。
【0181】
(実施例3)
モノクローナル抗体6-G23-F、2-C8-A、7-I1-B及び10-O18-Aのためのクエンチング内在化アッセイ
内在化に関してモノクローナル抗体をランク付けするために、クエンチング内在化アッセイを使用した。この方法は、エンドソーム/リソソーム経路への内在化及び侵入を反映する。ヤギ抗マウスIgG1 F(ab)(Jackson Immunoresearch 115-007-185)を、Dy light Dy650 NHSエステル(Thermofisher02206)及びLICOR IRDye QC1 NHSエステル(LICOR929-7030)で二重標識した(二重に標識された抗体は、本明細書において「F(ab)Dy650-QC1」と称される)。このアッセイの原理は、以下の通りである:Dy light Dy650蛍光はIRDye QC1によって消光されるため、F(ab)Dy650-QC1は蛍光を発しない。しかしながら、内在化されると、F(ab)Dy650-QC1はエンドソーム/リソソーム経路を介して分解され、その結果起こるIRDye QC1の放出が、Dy light Dy650の蛍光を観察可能にする。したがって、Dy light Dy650蛍光シグナルを、リソソームを介した内在化の尺度として採用した。簡単に言えば、指数増殖中のNCI-H82細胞を、トリプシン/EDTAを用いて回収し、10%FCSが補充された増殖培地RPMI中で1回洗浄し、増殖培地に再懸濁し、ウェル当たり細胞1.25×106個(80μl)を添加した。200μg/ml濃度でのモノクローナルDLL3抗体を、ヤギ抗マウスIgG1 Dy650 QC1と、200μg/mlで、室温で20分混合し、混合物の20μlを細胞に添加した。4℃で30分のインキュベーションの後、細胞を増殖培地で2回洗浄し、増殖培地に再懸濁し、CO2インキュベーター中で4時間にわたり37℃に移行させ、内在化させた。次いで細胞を、0.5%BSAを含有する氷冷PBSで2回洗浄し、フローサイトメトリーによって分析し、平均蛍光強度を決定した。対照参照モノクローナルの平均蛍光強度を、100%内在化に設定した。以下の表で示されるように、4種の全てのモノクローナル抗体が、エンドソーム/リソソーム経路への内在化及び侵入を実証した。
【0182】
【0183】
これらの結果は、本発明の技術の免疫グロブリン関連組成物が、DLL3に結合することを介して内在化を受け、細胞のファゴソーム/リソソーム区画に侵入することを実証する。したがって、本明細書で開示された免疫グロブリン関連組成物は、DLL3陽性がん細胞に治療剤を送達することに有用である。
【0184】
(実施例4)
抗DLL3モノクローナル抗体のためのFab ZAPアッセイ
Fab ZAPアッセイを、内在化を測定する別の方法として使用した。Fab ZAPアッセイは、抗DLL3モノクローナル抗体の内在化を介した細胞への毒素の送達を測定する。Fab ZAPアッセイは、毒素でモノクローナル抗体をタグ付けするのにサポリン毒素コンジュゲートF(ab)抗マウス重鎖及び軽鎖を使用する。Advanced Targeting Systemsからのキットを使用し、Fab ZAPアッセイプロトコールに従って、抗DLL3モノクローナル抗体のパネルを特徴付けた。簡単に言えば、指数増殖中のNCI-H82細胞を、トリプシン/EDTAを用いて回収し、10%FCSが補充されたRMPI中で1回洗浄し、100μlの10%FCSが補充されたRPMI中の、96ウェル白色固体プレートに細胞5000個/ウェルでプレーティングする。次の日、25μlの精製されたモノクローナル抗体(G23-F、2-C8-A、7-I1-B又は10-O18-A)又は参照モノクローナル抗体を、10μg/mlの開始濃度で添加し、連続する3倍希釈を実行した。サポニンコンジュゲートF(ab)抗マウスIg HL(Fab ZAP)を25μlに添加して、4.4nMの最終濃度を得た。3~4日後、等しい体積のCell Titre Glow(Promega G7571)をプレートに添加し、これをオービタルシェーカーで2分振盪し、さらに室温で10分後、発光を、プレートリーダーを使用して読んだ。プロゾーン作用を打ち消すために、モノクローナル抗体の全てを完全な滴定として試験した。
図9及び以下の表で示されるように、モノクローナル抗体の全てが、参照モノクローナル抗体に匹敵する細胞傷害活性を呈した。これらのモノクローナル抗体を用いた他の実験において、マウスIgG1対照モノクローナル抗体は、細胞傷害活性を呈しなかった。したがって、これらの結果は、細胞傷害活性が、DLL3の認識を介して媒介され、FcRsを介して媒介されないことを実証する。
【0185】
【表5】
これらの結果は、本発明の技術の免疫グロブリン関連組成物が、その細胞表面上にDLL3を発現する腫瘍に治療剤を送達できることを実証する。したがって、本明細書で開示された免疫グロブリン関連組成物は、DLL3陽性がん細胞に治療剤を送達することに有用である。
【0186】
(実施例5)
抗DLL3抗体のエピトープ結合
精製された抗DLL3モノクローナル抗体及び参照モノクローナル抗体のパネルを、Carterra(登録商標)アレイ表面プラズモン共鳴(SPR)アッセイプラットフォーム(Carterra(登録商標)Inc.、Salt Lake City UT)でのペアになったエピトープビニングに供し、そこで、ヒスチジンタグを有するDLL3抗原(DLL3-His)の捕捉に関して、さらに、DLL3-Hisへの結合のためのパネル中の他の全ての抗体との競合に関しても、各モノクローナル抗体を試験した。抗体を、プリントアレイ方法による標準的なアミンカップリング技術を介してHC200Mチップ(リガンド)に固定した。次いで各サイクルにおいて、アレイ全体にわたり抗原を注入し、続いて単一抗体(分析物)を注入した。各サイクルの最後に、新しいサイクルが始まる前に、表面を再生して、抗原及び分析物を除去した。以下の表で示されるように、パネルを用いて3つの異なるビンを同定したところ、7-I1-B及び2-C8-Aはビン2にマッピングされ、一方で6-G23-Fはビン3に、10-O18-Aはビン1にマッピングされた。
【0187】
【表6】
これらの結果は、本発明の技術の免疫グロブリン関連組成物が、DLL3タンパク質に存在する3つの別個のエピトープに結合することを実証する。したがって、本明細書で開示された免疫グロブリン関連組成物は、DLL3を発現する腫瘍細胞に複数の治療剤を送達するために、互いに組み合わせて使用することができる。
【0188】
(実施例6)
親和性測定。
4種のモノクローナル抗体(6-G23-F、2-C8-A、7-I1-B及び10-O18-A)の結合親和性を、結合緩衝剤としてPBS 0.1%BSA、0.02%Tween20、及び再生緩衝剤として10mMグリシン、pH1.7を使用した、25℃でのOctet HTX装置を使用したバイオレイヤー干渉法(BLI)によって決定した。4種の精製されたモノクローナル抗体(各5μg/mL)を、抗マウスFcセンサー上にローディングした。ローディング済みのセンサーを、7回の連続する1:3希釈での200nMの開始濃度での組換えヒトDLL3タンパク質(アミノ酸Ala27~Ala479、カタログ番号9749-DL、R&D Systems)の連続希釈物に浸漬した。
図10A~10Dで示されるように、結合は濃度依存性であった。解離定数(KD)を、1価(1:1)結合モデルを使用して計算した。
図10Eで示されるように、全てのモノクローナル抗体が、ナノモル濃度未満の範囲で親和性を有していた。
図11は、6-G23-F、10-O18-A、及び2-C8-Aモノクローナル抗体(mAb)が、DLL3と選択的に結合するが、DLL1又はDLL4と結合しないことを示す。7-I1-BmAbは、DLL3及びDLL4の両方と結合するが、DLL1と結合しない。
これらの結果は、本発明の技術の免疫グロブリン関連組成物が、高親和性でDLL3と特異的に結合することを実証する。したがって、本発明の技術の免疫グロブリン関連組成物は、生物学的サンプルにおいてDLL3タンパク質を検出するための方法において有用である。
【0189】
(実施例7)
トランスフェクトされた及び初代細胞へのモノクローナル抗体の結合。
4種のモノクローナル抗体(6-G23-F、2-C8-A、7-I1-B及び10-O18-A)を、フローサイトメトリーによって、マウス及びカニクイザルDLL3に加えて内因性ヒトDLL3に結合するそれらの能力に関して試験した。この目的のために、HEK293細胞を、全長ヒト、マウス又はカニクイザルDLL3をコードするプラスミドDNAでトランスフェクトし、これを実験で使用した。簡単に言えば、106個のトランスフェクトされたHEK293細胞又はNCI-H82初代細胞を、FACS緩衝剤PBS 0.5%BSA中で、96ウェルU底プレートのウェルに添加し、精製されたモノクローナルを10μg/mlまで添加した。4℃で30分のインキュベーションの後、細胞をFACS緩衝剤で3回洗浄し、PE標識F(ab)2抗マウスIgG H及びL第2ステージと共にインキュベートした。さらに4℃で30分間のインキュベーションの後、細胞をFACS緩衝剤中で3回洗浄し、フローサイトメーターで分析した。データは、第2ステージを用いたバックグラウンド染色で割ったモノクローナル抗体の平均蛍光強度比で提示される。以下の表で示されるように、モノクローナル抗体の全てがカニクイザルDLL3と交差反応し、NCI H82細胞において内因性DLL3を検出したが、マウスDLL3に結合した6-G23-F及び7-I1-Bのみであった。
【0190】
【表7】
これらの結果は、本発明の技術の免疫グロブリン関連組成物が、生物学的サンプルにおいてDLL3タンパク質を検出するための方法において有用であることを実証する。
【0191】
(実施例8)
-シーケンシング
4種のモノクローナル抗体の可変重鎖及び可変軽鎖を、RACE(cDNA末端の迅速増幅)によって、7-I1-B、6-G23-F、2-C8-A及び10-O18-Aの対応するハイブリドーマから単離した。RNAを、RNAEasyキット(Qiagen)を用いて溶解したハイブリドーマから単離した。cDNA合成のためにmRNAを単離し、RACEキットを使用してPCR産物を生成した。次いでPCR産物をTOPOベクターにクローニングし、PCR増幅し、その後シーケンシングのためにゲルで分離した。重鎖可変ドメイン(VH)及び軽鎖可変ドメイン(VL)のヌクレオチド及びアミノ酸配列は、以下の表及び
図5A~5B(7-I1-B)、
図6A~6B(2-C8-A)、
図7A~7B(10-O18-A)、及び
図8A~8B(6-G23-F)に示される。
【0192】
【表8】
以下の「組換え抗DLL3抗体の作製」に関する実施例8-1~8-3において、アルギニン残基を、IMGT ID J00241による軽鎖定常領域の第1のアミノ酸位置に挿入した。
【0193】
(実施例8-1)
組換え抗DLL3抗体H2-C8-A、H2-C8-A-2、及びH2-C8-A-3の作製
重鎖の構築:抗DLL3抗体H2-C8-A(配列番号59)の重鎖を、実施例8で得られた可変領域(配列番号12)をIgG1のヒトガンマ鎖定常領域(配列番号42)と接続することによって構築した。抗DLL3抗体H2-C8-A-2の重鎖(配列番号60)及びH2-C8-A-3の重鎖(配列番号61)も、実施例8で得られた可変領域(配列番号12)をIgG1又はバリアントのヒトガンマ鎖定常領域(配列番号57及び58)と接続することによって構築された。
【0194】
EVQLVESGGGLVQPGGSQRLSCAASGFTFSSYWMNWVRQAPGKGLEWVANIKEDGSEKYYVDSVKGRFTISRDNAKNSLYLQMNSLRAEDTAVYYCARDPGWAPFDYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号59)
EVQLVESGGGLVQPGGSQRLSCAASGFTFSSYWMNWVRQAPGKGLEWVANIKEDGSEKYYVDSVKGRFTISRDNAKNSLYLQMNSLRAEDTAVYYCARDPGWAPFDYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号60)
EVQLVESGGGLVQPGGSQRLSCAASGFTFSSYWMNWVRQAPGKGLEWVANIKEDGSEKYYVDSVKGRFTISRDNAKNSLYLQMNSLRAEDTAVYYCARDPGWAPFDYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPEAAGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号61)
【0195】
軽鎖の構築:抗DLL3抗体H2-C8-Aの軽鎖を構築し、抗DLL3抗体H2-C8-A-2及びH2-C8-A-3の軽鎖は、実施例8で得られた可変領域を、IgG1のヒトカッパ鎖定常領域(配列番号17及び49)と接続することによって構築した(配列番号62)。
DIQMSQSPSSLSASVGDRVTITCRASQGISNYLAWFQQKPGKAPKSLIYAASSLQSGVPSKFSGSGSGTDFTLAISSLQPEDFATYYCQQYNSFPYTFGQGTTLEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC(配列番号62)
発現ベクターpCMA-G1の構築:ヒト重鎖シグナル配列及びヒトガンマ鎖定常領域をコードするDNA配列を含む発現ベクターpCMA-G1の構築物は、特許出願WO2017/051888号に記載されたものであった。
発現ベクターpCMA-LKの構築:ヒト軽鎖シグナル配列及びヒトカッパ鎖定常領域をコードするDNA配列を含む発現ベクターpCMA-LKの構築物は、特許出願WO2017/051888号に記載されたものであった。
【0196】
発現ベクターpCMA-G1-1の構築:DNA断片(配列番号75)を合成した(Eurofins Genomics、人工遺伝子合成サービス)。DNA断片を、XbaI及びPmeIの制限酵素で消化した。得られた1.1kbの断片をアガロースゲル電気泳動によって分離し、Wizard SV Gel and PCR Clean-Up System(Promega)を用いて精製した。pCMA-G1の発現ベクターものXbaI及びPmeI制限酵素で消化して、アガロースゲル電気泳動によってヒト重鎖シグナル配列及びヒトガンマ鎖定常領域をコードするDNA配列を除去した。得られたpCMA-G1の3.4kbのXbaI/PmeI断片も、Wizard SV Gel and PCR Clean-Up Systemを用いて精製した。精製した1.1kb及び3.4kbのXbaI/PmeI断片を、Ligation High(東洋紡株式会社)を用いてライゲートして、発現ベクターpCMA-G1-1を構築した。
【0197】
GGGTCTAGAGCCACCATGAAACACCTGTGGTTCTTCCTCCTGCTGGTGGCAGCTCCCAGATGGGTGCTGAGCCAGGTGCAATTGTGCAGGCGGTTAGCTCAGCCTCCACCAAGGGCCCAAGCGTCTTCCCCCTGGCACCCTCCTCCAAGAGCACCTCTGGCGGCACAGCCGCCCTGGGCTGCCTGGTCAAGGACTACTTCCCCGAACCCGTGACCGTGAGCTGGAACTCAGGCGCCCTGACCAGCGGCGTGCACACCTTCCCCGCTGTCCTGCAGTCCTCAGGACTCTACTCCCTCAGCAGCGTGGTGACCGTGCCCTCCAGCAGCTTGGGCACCCAGACCTACATCTGCAACGTGAATCACAAGCCCAGCAACACCAAGGTGGACAAGAAGGTTGAGCCCAAATCTTGTGACAAAACTCACACATGCCCACCCTGCCCAGCACCTGAACTCCTGGGGGGACCCTCAGTCTTCCTCTTCCCCCCAAAACCCAAGGACACCCTCATGATCTCCCGGACCCCTGAGGTCACATGCGTGGTGGTGGACGTGAGCCACGAAGACCCTGAGGTCAAGTTCAACTGGTACGTGGACGGCGTGGAGGTGCATAATGCCAAGACAAAGCCCCGGGAGGAGCAGTACAACAGCACGTACCGGGTGGTCAGCGTCCTCACCGTCCTGCACCAGGACTGGCTGAATGGCAAGGAGTACAAGTGCAAGGTCTCCAACAAAGCCCTCCCAGCCCCCATCGAGAAAACCATCTCCAAAGCCAAAGGCCAGCCCCGGGAACCACAGGTGTACACCCTGCCCCCATCCCGGGAGGAGATGACCAAGAACCAGGTCAGCCTGACCTGCCTGGTCAAAGGCTTCTATCCCAGCGACATCGCCGTGGAGTGGGAGAGCAATGGCCAGCCCGAGAACAACTACAAGACCACCCCTCCCGTGCTGGACTCCGACGGCTCCTTCTTCCTCTACAGCAAGCTCACCGTGGACAAGAGCAGGTGGCAGCAGGGCAACGTCTTCTCATGCTCCGTGATGCATGAGGCTCTGCACAACCACTACACCCAGAAGAGCCTCTCCCTGTCTCCCGGCAAATGAGATATCGGGCCCGTTTAAACGGG(配列番号75)
【0198】
抗DLL3抗体H2-C8-A-2重鎖の発現ベクターの構築:5’-部位(AGCTCCCAGATGGGTGCTGAGC;配列番号76のヌクレオチド36~57)及び3’-部位(AGCTCAGCCTCCACCAAGGGCCC;配列番号76のヌクレオチド406~428)の両方におけるIn-Fusion反応のための隣接する組換え部位を有するヌクレオチド位置58~405(配列番号76中)におけるヌクレオチドからなるDNA断片を合成した(GENEART、人工遺伝子合成サービス)。In-Fusion HD PCRクローニングキット(Takara Bio USA)を使用して、合成したDNA断片を、制限酵素BIpIで切断されたpCMA-G1-1の部位に挿入することで、抗DLL3抗体H2-C8-A-2重鎖の発現ベクターが構築された。
【0199】
ATGAAACACCTGTGGTTCTTCCTCCTGCTGGTGGCAGCTCCCAGATGGGTGCTGAGCGAGGTGCAGCTGGTTGAATCTGGCGGAGGACTGGTTCAGCCTGGCGGATCTCAGAGACTGTCTTGTGCCGCCAGCGGCTTCACCTTCAGCAGCTACTGGATGAACTGGGTCCGACAGGCCCCTGGCAAAGGCCTTGAATGGGTCGCCAACATCAAAGAGGACGGCAGCGAGAAGTACTACGTGGACAGCGTGAAGGGCAGATTCACCATCTCCAGAGACAACGCCAAGAACAGCCTGTACCTGCAGATGAACTCCCTGAGAGCCGAGGACACCGCCGTGTACTACTGTGCCAGAGATCCTGGCTGGGCCCCTTTCGATTATTGGGGCCAGGGCACACTGGTCACCGTTAGCTCAGCCTCCACCAAGGGCCCAAGCGTCTTCCCCCTGGCACCCTCCTCCAAGAGCACCTCTGGCGGCACAGCCGCCCTGGGCTGCCTGGTCAAGGACTACTTCCCCGAACCCGTGACCGTGAGCTGGAACTCAGGCGCCCTGACCAGCGGCGTGCACACCTTCCCCGCTGTCCTGCAGTCCTCAGGACTCTACTCCCTCAGCAGCGTGGTGACCGTGCCCTCCAGCAGCTTGGGCACCCAGACCTACATCTGCAACGTGAATCACAAGCCCAGCAACACCAAGGTGGACAAGAAGGTTGAGCCCAAATCTTGTGACAAAACTCACACATGCCCACCCTGCCCAGCACCTGAACTCCTGGGGGGACCCTCAGTCTTCCTCTTCCCCCCAAAACCCAAGGACACCCTCATGATCTCCCGGACCCCTGAGGTCACATGCGTGGTGGTGGACGTGAGCCACGAAGACCCTGAGGTCAAGTTCAACTGGTACGTGGACGGCGTGGAGGTGCATAATGCCAAGACAAAGCCCCGGGAGGAGCAGTACAACAGCACGTACCGGGTGGTCAGCGTCCTCACCGTCCTGCACCAGGACTGGCTGAATGGCAAGGAGTACAAGTGCAAGGTCTCCAACAAAGCCCTCCCAGCCCCCATCGAGAAAACCATCTCCAAAGCCAAAGGCCAGCCCCGGGAACCACAGGTGTACACCCTGCCCCCATCCCGGGAGGAGATGACCAAGAACCAGGTCAGCCTGACCTGCCTGGTCAAAGGCTTCTATCCCAGCGACATCGCCGTGGAGTGGGAGAGCAATGGCCAGCCCGAGAACAACTACAAGACCACCCCTCCCGTGCTGGACTCCGACGGCTCCTTCTTCCTCTACAGCAAGCTCACCGTGGACAAGAGCAGGTGGCAGCAGGGCAACGTCTTCTCATGCTCCGTGATGCATGAGGCTCTGCACAACCACTACACCCAGAAGAGCCTCTCCCTGTCTCCCGGCAAA(配列番号76)
【0200】
抗DLL3抗体H2-C8-A-3重鎖の発現ベクターの構築:配列番号77(CCAGCCTCCGGACTCTAGAGCCACC;配列番号86)の外側の5’-部位及び配列番号77(TGAGTTTAAACGGGGGAGGCTAACT;配列番号87)の外側の3’-部位の両方におけるIn-Fusion反応のための隣接する組換え部位を有するヌクレオチド位置1~1401(配列番号77中)におけるヌクレオチドからなるDNA断片を合成した(GENEART、人工遺伝子合成サービス)。In-Fusion HD PCRクローニングキットを使用して、増幅したDNA断片を、制限酵素XbaI/PmeIで切断されたpCMA-LKの部位に挿入することで、抗DLL3抗体H2-C8-A-3重鎖の発現ベクターが構築された。
【0201】
ATGAAGCACCTGTGGTTCTTTCTGCTGCTGGTGGCCGCTCCTAGATGGGTGCTGTCTGAAGTGCAGCTGGTGGAATCTGGCGGAGGACTGGTTCAACCTGGCGGCTCTCAGAGACTGTCTTGTGCCGCCAGCGGCTTCACCTTCAGCAGCTACTGGATGAACTGGGTCCGACAGGCCCCTGGCAAAGGCCTTGAATGGGTCGCCAACATCAAAGAGGACGGCAGCGAGAAGTACTACGTGGACAGCGTGAAGGGCAGATTCACCATCTCCAGAGACAACGCCAAGAACAGCCTGTACCTGCAGATGAACTCCCTGCGCGCCGAAGATACCGCCGTGTACTACTGTGCCAGAGATCCTGGCTGGGCCCCTTTCGATTATTGGGGCCAGGGAACCCTGGTCACCGTGTCATCTGCCTCCACCAAGGGCCCAAGCGTCTTCCCCCTGGCACCCTCCTCCAAGAGCACCTCTGGCGGCACAGCCGCCCTGGGCTGCCTGGTCAAGGACTACTTCCCCGAACCCGTGACCGTGAGCTGGAACTCAGGCGCCCTGACCAGCGGCGTGCACACCTTCCCCGCTGTCCTGCAGTCCTCAGGACTCTACTCCCTCAGCAGCGTGGTGACCGTGCCCTCCAGCAGCTTGGGCACCCAGACCTACATCTGCAACGTGAATCACAAGCCCAGCAACACCAAGGTGGACAAGAAGGTTGAGCCCAAATCTTGTGACAAAACTCACACATGCCCACCCTGCCCAGCACCTGAAGCCGCGGGGGGACCCTCAGTCTTCCTCTTCCCCCCAAAACCCAAGGACACCCTCATGATCTCCCGGACCCCTGAGGTCACATGCGTGGTGGTGGACGTGAGCCACGAAGACCCTGAGGTCAAGTTCAACTGGTACGTGGACGGCGTGGAGGTGCATAATGCCAAGACAAAGCCCCGGGAGGAGCAGTACAACAGCACGTACCGGGTGGTCAGCGTCCTCACCGTCCTGCACCAGGACTGGCTGAATGGCAAGGAGTACAAGTGCAAGGTCTCCAACAAAGCCCTCCCAGCCCCCATCGAGAAAACCATCTCCAAAGCCAAAGGCCAGCCCCGGGAACCACAGGTGTACACCCTGCCCCCATCCCGGGAGGAGATGACCAAGAACCAGGTCAGCCTGACCTGCCTGGTCAAAGGCTTCTATCCCAGCGACATCGCCGTGGAGTGGGAGAGCAATGGCCAGCCCGAGAACAACTACAAGACCACCCCTCCCGTGCTGGACTCCGACGGCTCCTTCTTCCTCTACAGCAAGCTCACCGTGGACAAGAGCAGGTGGCAGCAGGGCAACGTCTTCTCATGCTCCGTGATGCATGAGGCTCTGCACAACCACTACACCCAGAAGAGCCTCTCCCTGTCTCCCGGCAAA(配列番号77)
【0202】
抗DLL3抗体H2-C8-A-2及びH2-C8-A-3軽鎖の発現ベクターの構築:5’-部位(CTGTGGATCTCCGGCGCGTACGGC;配列番号80のヌクレオチド37~60)及び3’-部位(CGTACGGTGGCCGCCCCCTCC;配列番号80のヌクレオチド382~402)の両方におけるIn-Fusion反応のための隣接する組換え部位を有するヌクレオチド位置61~381(配列番号80中)におけるヌクレオチドからなるDNA断片を合成した(GENEART、人工遺伝子合成サービス)。In-Fusion HD PCRクローニングキット(Takara Bio USA)を使用して、合成したDNA断片を、制限酵素BsiWIで切断されたpCMA-LKの部位に挿入することで、抗DLL3抗体H2-C8-A-2及びH2-C8-A-3軽鎖の発現ベクターが構築された。
【0203】
ATGGTGCTGCAGACCCAGGTGTTCATCTCCCTGCTGCTGTGGATCTCCGGCGCGTACGGCGACATCCAGATGTCTCAGAGCCCTAGCAGCCTGTCTGCCAGCGTGGGAGACAGAGTGACCATCACCTGTAGAGCCAGCCAGGGCATCAGCAACTACCTGGCCTGGTTCCAGCAGAAGCCTGGCAAGGCCCCTAAGAGCCTGATCTATGCCGCTAGCTCTCTGCAGTCTGGCGTGCCCTCTAAGTTTAGCGGCTCTGGCAGCGGCACCGATTTCACACTGGCCATATCTAGCCTGCAGCCTGAGGACTTCGCCACCTACTACTGCCAGCAGTACAACAGCTTCCCCTACACCTTCGGCCAGGGCACCACACTGGAAATCAAGCGTACGGTGGCCGCCCCCTCCGTGTTCATCTTCCCCCCCTCCGACGAGCAGCTGAAGTCCGGCACCGCCTCCGTGGTGTGCCTGCTGAATAACTTCTACCCCAGAGAGGCCAAGGTGCAGTGGAAGGTGGACAACGCCCTGCAGTCCGGGAACTCCCAGGAGAGCGTGACCGAGCAGGACAGCAAGGACAGCACCTACAGCCTGAGCAGCACCCTGACCCTGAGCAAAGCCGACTACGAGAAGCACAAGGTGTACGCCTGCGAGGTGACCCACCAGGGCCTGAGCTCCCCCGTCACCAAGAGCTTCAACAGGGGGGAGTGT(配列番号80)
【0204】
発現及び精製:H2-C8-Aの重鎖及び軽鎖の対応するDNA配列をコードする発現ベクターを構築し(トランスフェクショングレードのプラスミド、Genscript)、HEK293細胞(HD293F、Genscript)にトランスフェクトした。それに続いて培養及び回収し、得られた上清から、プロテインAアフィニティークロマトグラフィーによって抗体を精製した。
代替として、H2-C8-A-3に関して、マニュアルに従って、FreeStyle 293F細胞(Thermo Fisher Scientific)を培養し、継代させた。対数増殖期のFreeStyle 293F細胞を、3Lのエルレンマイヤーフラスコ(CORNING)上に植え付け、FreeStyle293発現培地(Thermo Fisher Scientific)で、細胞2.0~2.4×106個/mLで総体積580mLまで希釈した。その間に、300μgのH2-C8-A-3の重鎖発現ベクター、300μgのH2-C8-A-3の軽鎖発現ベクター及び1.8mgのポリエチレンイミン(Polyscience)を、20mLのOpti-Pro SFM培地(Thermo Fisher Scientific)に添加し、得られた混合物を穏やかに撹拌した。5分間のインキュベーションの後、混合物を、FreeStyle 293F細胞に添加した。細胞を、インキュベーター(37℃、8%CO2)中で、95rpmで振盪しながら4時間インキュベートし、その後、480mLの、4mMのGlutaMAXサプリメントI(Thermo Fisher Scientific)を含むBalanCD(R)HEK293(FUJIFILM Irvine Scientific)及び120mLの、4mMのGlutaMAXサプリメントIを含むBalanCD(R)HEK293フィード(FUJIFILM Irvine Scientific)を、培養物に添加した。細胞を、インキュベーター(37℃、8%CO2)中で、95rpmで振盪しながら6日間さらにインキュベートした。培養上清を回収し、500mLフィルターシステム(Thermo Fisher Scientific)でろ過した。
【0205】
一方で、H2-C8-A-2に関して、マニュアルに従って、FreeStyle 293F細胞を培養し、ミドルスケールバイオリアクターBCP(Biott)を備えたスピナーフラスコで、37℃で、8%CO2で継代させた。FreeStyle 293F細胞のトランスフェクション及び培養を、WAVE BIOREACTOR(GE Healthcare)を用いて行った。2.5Lの、対数増殖期の細胞2.0~2.4×106個/mLでのFreeStyle 293F細胞を、WAVE CELLBAG10L(Cytiva)上に植え付けた。その間に、1.25mgのH2-C8-A-2の重鎖発現ベクター、1.25mgのH2-C8-A-2の軽鎖発現ベクター及び7.5mgのポリエチレンイミン(Polyscience)を、160mLのOpti-Pro SFM培地(Thermo Fisher Scientific)に添加し、得られた混合物を穏やかに撹拌した。5分間のインキュベーションの後、混合物を、WAVE CELLBAG10L中のFreeStyle 293F細胞に添加した。細胞を、WAVE CELLBAG10L(37℃、8%CO2)中で、4時間振盪しながら培養し、その後、1.92Lの、4mMのGlutaMAXサプリメントIを含むBalanCD(R)HEK293及び480mLの、4mMのGlutaMAXサプリメントIを含むBalanCD(R)HEK293フィードを、培養物に添加した。細胞をさらにWAVE CELLBAG10L(37℃、8%CO2)中で6日間振盪しながら培養した。培養上清を回収し、遠心分離し、カプセルカートリッジフィルター(細孔サイズ:0.45μm、ADVANTEC)でろ過した。
【0206】
抗DLL3抗体の精製:ろ過した培養上清を、rProtein Aアフィニティークロマトグラフィー及びセラミックヒドロキシアパタイトの2工程プロセスによって精製した。精製方法の詳細は、特許出願WO2020/013170号に記載されたものであった。
【0207】
(実施例8-2)
組換え抗DLL3抗体H6-G23-F、H6-G23-F-2、及びH6-G23-F-3の作製
重鎖の構築:抗DLL3抗体H6-G23-Fの重鎖(配列番号63)を、実施例8で得られた可変領域(配列番号32)をIgG1のヒトガンマ鎖定常領域(配列番号42)と接続することによって構築した。また抗DLL3抗体H6-G23-F-2及びH6-G23-F-3の重鎖(それぞれ配列番号64及び65)も、実施例8で得られた可変領域(配列番号32)をIgG1のヒトガンマ鎖定常領域バリアント(配列番号57及び58)と接続することによって構築した。
【0208】
QVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGYTFTSYYIHWVRQAPGQGLEWMGIIDPSDGSTNYAQKFQGRVTMTRDTSTSTVYMELSSLRSEDTAVYYCARDREYNYYGLDVWGQGTTVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号63)
QVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGYTFTSYYIHWVRQAPGQGLEWMGIIDPSDGSTNYAQKFQGRVTMTRDTSTSTVYMELSSLRSEDTAVYYCARDREYNYYGLDVWGQGTTVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号64)
QVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGYTFTSYYIHWVRQAPGQGLEWMGIIDPSDGSTNYAQKFQGRVTMTRDTSTSTVYMELSSLRSEDTAVYYCARDREYNYYGLDVWGQGTTVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPEAAGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号65)
【0209】
軽鎖の構築:抗DLL3抗体H6-G23-Fの軽鎖を構築した。抗DLL3抗体H6-G23-F-2及びH6-G23-F-3の軽鎖は、実施例8で得られた可変領域を、IgG1のヒトカッパ鎖定常領域(配列番号37及び49)と接続することによって構築することができる(配列番号66)。
DVVMTQSPLSLPVTLGQPASISCRSSQSLVYRDGNTYLNWFQQRPGQSPRRLIYKVSNRDSGVPDRFRGSGSGTDFTLKISRVEAEDVGVYYCMQGTHWPPTFGQGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC(配列番号66)
【0210】
発現及び精製:上述したH6-G23-Fの重鎖及び軽鎖の対応するDNA配列をコードする発現ベクターを調製し(トランスフェクショングレードのプラスミド、Genscript)、HEK293細胞(HD293F、Genscript)にトランスフェクトした。それに続いて培養及び回収し、得られた上清から、プロテインAアフィニティークロマトグラフィーによって抗体を精製した。
【0211】
(実施例8-3)
組換え抗DLL3抗体H10-O18-A、H10-O18-A-2、及びH10-O18-A-3の作製
重鎖の構築:抗DLL3抗体H10-O18-Aの重鎖(配列番号67)を、実施例8で得られた可変領域(配列番号22)をIgG1のヒトガンマ鎖定常領域(配列番号42)と接続することによって構築した。抗DLL3抗体H10-O18-A-2及びH10-O18-A-3の重鎖(それぞれ配列番号68及び69)は、実施例8で得られた可変領域(配列番号22)をIgG1のヒトガンマ鎖定常領域バリアント(配列番号57及び58)と接続することによって構築することができる。
【0212】
QVQLQESGPGLVKPSETLSLTCTVSGGSINSYYWSWIRQPPGKGLEWIGYIFYSGITNYNPSLKSRVTISLDTSKNQFSLKLSSVTAADTAVYYCARIGVAGFYFDYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号67)
QVQLQESGPGLVKPSETLSLTCTVSGGSINSYYWSWIRQPPGKGLEWIGYIFYSGITNYNPSLKSRVTISLDTSKNQFSLKLSSVTAADTAVYYCARIGVAGFYFDYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号68)
QVQLQESGPGLVKPSETLSLTCTVSGGSINSYYWSWIRQPPGKGLEWIGYIFYSGITNYNPSLKSRVTISLDTSKNQFSLKLSSVTAADTAVYYCARIGVAGFYFDYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPEAAGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号69)
【0213】
軽鎖の構築:抗DLL3抗体H10-O18-Aの軽鎖を構築した。抗DLL3抗体H10-O18-A-2及びH10-O18-A-3の軽鎖は、実施例8で得られた可変領域を、IgG1のヒトカッパ鎖定常領域(配列番号27及び49)と接続することによって構築することができる(配列番号70)。
EIVLTQSPGTLSLSPGERATLSCRASQSVSSSYLAWYQQKPGQAPRLLIYGASSRATGIPDRFSGSGSGTDFTLTISRLEPEDFAVYYCQQYGTSPLTFGGGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC(配列番号70)
【0214】
抗DLL3抗体H10-O18-A-2重鎖の発現ベクターの構築:5’-部位(AGCTCCCAGATGGGTGCTGAGC;配列番号78のヌクレオチド36~57)及び3’-部位(AGCTCAGCCTCCACCAAGGGCCC;配列番号78のヌクレオチド406~428)の両方におけるIn-Fusion反応のための隣接する組換え部位を有するヌクレオチド位置58~405(配列番号78中)におけるヌクレオチドからなるDNA断片を合成した(GENEART、人工遺伝子合成サービス)。In-Fusion HD PCRクローニングキット(Takara Bio USA)を使用して、合成したDNA断片を、制限酵素BIpIで切断されたpCMA-G1-1の部位に挿入することで、抗DLL3抗体H10-O18-A-2重鎖の発現ベクターが構築された。
【0215】
ATGAAACACCTGTGGTTCTTCCTCCTGCTGGTGGCAGCTCCCAGATGGGTGCTGAGCCAGGTTCAGCTGCAAGAGTCTGGCCCTGGCCTGGTCAAGCCTAGCGAAACACTGAGCCTGACCTGTACCGTGTCTGGCGGCAGCATCAACAGCTACTACTGGTCCTGGATCCGGCAGCCTCCTGGCAAAGGACTGGAATGGATCGGCTACATCTTCTACAGCGGCATCACCAACTACAACCCCAGCCTGAAGTCCAGAGTGACCATCAGCCTGGACACCAGCAAGAACCAGTTCTCCCTGAAGCTGAGCAGCGTGACAGCCGCCGATACAGCCGTGTACTACTGTGCCAGAATCGGCGTGGCCGGCTTCTACTTCGATTATTGGGGCCAGGGCACCCTGGTCACAGTTAGCTCAGCCTCCACCAAGGGCCCAAGCGTCTTCCCCCTGGCACCCTCCTCCAAGAGCACCTCTGGCGGCACAGCCGCCCTGGGCTGCCTGGTCAAGGACTACTTCCCCGAACCCGTGACCGTGAGCTGGAACTCAGGCGCCCTGACCAGCGGCGTGCACACCTTCCCCGCTGTCCTGCAGTCCTCAGGACTCTACTCCCTCAGCAGCGTGGTGACCGTGCCCTCCAGCAGCTTGGGCACCCAGACCTACATCTGCAACGTGAATCACAAGCCCAGCAACACCAAGGTGGACAAGAAGGTTGAGCCCAAATCTTGTGACAAAACTCACACATGCCCACCCTGCCCAGCACCTGAACTCCTGGGGGGACCCTCAGTCTTCCTCTTCCCCCCAAAACCCAAGGACACCCTCATGATCTCCCGGACCCCTGAGGTCACATGCGTGGTGGTGGACGTGAGCCACGAAGACCCTGAGGTCAAGTTCAACTGGTACGTGGACGGCGTGGAGGTGCATAATGCCAAGACAAAGCCCCGGGAGGAGCAGTACAACAGCACGTACCGGGTGGTCAGCGTCCTCACCGTCCTGCACCAGGACTGGCTGAATGGCAAGGAGTACAAGTGCAAGGTCTCCAACAAAGCCCTCCCAGCCCCCATCGAGAAAACCATCTCCAAAGCCAAAGGCCAGCCCCGGGAACCACAGGTGTACACCCTGCCCCCATCCCGGGAGGAGATGACCAAGAACCAGGTCAGCCTGACCTGCCTGGTCAAAGGCTTCTATCCCAGCGACATCGCCGTGGAGTGGGAGAGCAATGGCCAGCCCGAGAACAACTACAAGACCACCCCTCCCGTGCTGGACTCCGACGGCTCCTTCTTCCTCTACAGCAAGCTCACCGTGGACAAGAGCAGGTGGCAGCAGGGCAACGTCTTCTCATGCTCCGTGATGCATGAGGCTCTGCACAACCACTACACCCAGAAGAGCCTCTCCCTGTCTCCCGGCAAA(配列番号78)
【0216】
抗DLL3抗体H10-O18-A-3重鎖の発現ベクターの構築:配列番号79(CCAGCCTCCGGACTCTAGAGCCACC;配列番号86)の外側の5’-部位及び配列番号79(TGAGTTTAAACGGGGGAGGCTAACT;配列番号87)の外側の3’-部位の両方におけるIn-Fusion反応のための隣接する組換え部位を有するヌクレオチド位置1~1401(配列番号79中)におけるヌクレオチドからなるDNA断片を合成した(GENEART、人工遺伝子合成サービス)。In-Fusion HD PCRクローニングキットを使用して、増幅したDNA断片を、制限酵素PmeI/XbaIで切断されたpCMA-LKの部位に挿入することで、抗DLL3抗体H10-O18-A-3重鎖の発現ベクターが構築された。
【0217】
ATGAAGCACCTGTGGTTCTTTCTGCTGCTGGTGGCCGCTCCTAGATGGGTGCTGTCTCAGGTTCAGCTGCAAGAGTCTGGCCCTGGCCTGGTCAAGCCTAGCGAAACACTGAGCCTGACCTGTACCGTGTCTGGCGGCAGCATCAACAGCTACTACTGGTCCTGGATCCGGCAGCCTCCTGGCAAAGGACTGGAATGGATCGGCTACATCTTCTACAGCGGCATCACCAACTACAACCCCAGCCTGAAGTCCAGAGTGACCATCAGCCTGGACACCAGCAAGAACCAGTTCTCCCTGAAGCTGAGCAGCGTGACAGCCGCCGATACAGCCGTGTACTACTGTGCCAGAATCGGCGTGGCCGGCTTCTACTTCGATTATTGGGGCCAGGGCACCCTGGTCACCGTTTCTTCTGCCTCCACCAAGGGCCCAAGCGTCTTCCCCCTGGCACCCTCCTCCAAGAGCACCTCTGGCGGCACAGCCGCCCTGGGCTGCCTGGTCAAGGACTACTTCCCCGAACCCGTGACCGTGAGCTGGAACTCAGGCGCCCTGACCAGCGGCGTGCACACCTTCCCCGCTGTCCTGCAGTCCTCAGGACTCTACTCCCTCAGCAGCGTGGTGACCGTGCCCTCCAGCAGCTTGGGCACCCAGACCTACATCTGCAACGTGAATCACAAGCCCAGCAACACCAAGGTGGACAAGAAGGTTGAGCCCAAATCTTGTGACAAAACTCACACATGCCCACCCTGCCCAGCACCTGAAGCCGCGGGGGGACCCTCAGTCTTCCTCTTCCCCCCAAAACCCAAGGACACCCTCATGATCTCCCGGACCCCTGAGGTCACATGCGTGGTGGTGGACGTGAGCCACGAAGACCCTGAGGTCAAGTTCAACTGGTACGTGGACGGCGTGGAGGTGCATAATGCCAAGACAAAGCCCCGGGAGGAGCAGTACAACAGCACGTACCGGGTGGTCAGCGTCCTCACCGTCCTGCACCAGGACTGGCTGAATGGCAAGGAGTACAAGTGCAAGGTCTCCAACAAAGCCCTCCCAGCCCCCATCGAGAAAACCATCTCCAAAGCCAAAGGCCAGCCCCGGGAACCACAGGTGTACACCCTGCCCCCATCCCGGGAGGAGATGACCAAGAACCAGGTCAGCCTGACCTGCCTGGTCAAAGGCTTCTATCCCAGCGACATCGCCGTGGAGTGGGAGAGCAATGGCCAGCCCGAGAACAACTACAAGACCACCCCTCCCGTGCTGGACTCCGACGGCTCCTTCTTCCTCTACAGCAAGCTCACCGTGGACAAGAGCAGGTGGCAGCAGGGCAACGTCTTCTCATGCTCCGTGATGCATGAGGCTCTGCACAACCACTACACCCAGAAGAGCCTCTCCCTGTCTCCCGGCAAA(配列番号79)
【0218】
抗DLL3抗体H10-O18-A-2及びH10-O18-A-3軽鎖の発現ベクターの構築:5’-部位(CTGTGGATCTCCGGCGCGTACGGC;配列番号81のヌクレオチド37~60)及び3’-部位(CGTACGGTGGCCGCCCCCTCC;配列番号81のヌクレオチド385~405)の両方におけるIn-Fusion反応のための隣接する組換え部位を有するヌクレオチド位置61~384(配列番号81中)におけるヌクレオチドからなるDNA断片を合成した(GENEART、人工遺伝子合成サービス)。In-Fusion HD PCRクローニングキット(Takara Bio USA)を使用して、合成したDNA断片を、制限酵素BsiWIで切断されたpCMA-LKの部位に挿入することで、抗DLL3抗体H10-O18-A-2及びH10-O18-A-3軽鎖の発現ベクターが構築された。
【0219】
ATGGTGCTGCAGACCCAGGTGTTCATCTCCCTGCTGCTGTGGATCTCCGGCGCGTACGGCGAGATCGTGCTGACACAGAGCCCTGGCACACTGTCACTGTCTCCAGGCGAAAGAGCCACACTGAGCTGTAGAGCCAGCCAGAGCGTGTCCAGCTCTTACCTGGCTTGGTATCAGCAGAAGCCCGGACAGGCTCCCAGACTGCTGATCTATGGCGCCTCTTCTAGAGCCACAGGCATCCCCGATAGATTCAGCGGCTCTGGCAGCGGCACCGATTTCACCCTGACAATCAGCAGACTGGAACCCGAGGACTTCGCCGTGTACTACTGTCAGCAGTACGGCACAAGCCCTCTGACCTTTGGCGGCGGAACAAAGGTGGAAATCAAGCGTACGGTGGCCGCCCCCTCCGTGTTCATCTTCCCCCCCTCCGACGAGCAGCTGAAGTCCGGCACCGCCTCCGTGGTGTGCCTGCTGAATAACTTCTACCCCAGAGAGGCCAAGGTGCAGTGGAAGGTGGACAACGCCCTGCAGTCCGGGAACTCCCAGGAGAGCGTGACCGAGCAGGACAGCAAGGACAGCACCTACAGCCTGAGCAGCACCCTGACCCTGAGCAAAGCCGACTACGAGAAGCACAAGGTGTACGCCTGCGAGGTGACCCACCAGGGCCTGAGCTCCCCCGTCACCAAGAGCTTCAACAGGGGGGAGTGT(配列番号81)
【0220】
発現及び精製:H10-O18-Aの重鎖及び軽鎖の対応するDNA配列をコードする発現ベクターを構築し(トランスフェクショングレードのプラスミド、Genscript)、HEK293細胞(HD293F、Genscript)にトランスフェクトした。それに続いて培養及び回収し、得られた上清から、プロテインAアフィニティークロマトグラフィーによって抗体を精製した。
代替として、H10-O18-A-3に関して、マニュアルに従って、FreeStyle 293F細胞(Thermo Fisher Scientific)を培養し、継代させた。対数増殖期のFreeStyle 293F細胞を、3Lのエルレンマイヤーフラスコ(CORNING)上に植え付け、FreeStyle293発現培地(Thermo Fisher Scientific)で、細胞2.0~2.4×106個/mLで総体積580mLまで希釈した。その間に、300μgのH10-O18-A-3の重鎖発現ベクター、300μgのH10-O18-A-3の軽鎖発現ベクター及び1.8mgのポリエチレンイミン(Polyscience)を、20mLのOpti-Pro SFM培地(Thermo Fisher Scientific)に添加し、得られた混合物を穏やかに撹拌した。5分間のインキュベーションの後、混合物を、FreeStyle 293F細胞に添加した。細胞を、インキュベーター(37℃、8%CO2)中で、95rpmで振盪しながら4時間インキュベートし、その後、480mLの、4mMのGlutaMAXサプリメントI(Thermo Fisher Scientific)を含むBalanCD(R)HEK293(FUJIFILM Irvine Scientific)及び120mLの、4mMのGlutaMAXサプリメントIを含むBalanCD(R)HEK293フィード(FUJIFILM Irvine Scientific)を、培養物に添加した。細胞を、インキュベーター(37℃、8%CO2)中で、95rpmで振盪しながら6日間さらにインキュベートした。培養上清を回収し、500mLフィルターシステム(Thermo Fisher Scientific)でろ過した。一方で、H10-O18-A-2に関して、マニュアルに従って、FreeStyle 293F細胞を培養し、ミドルスケールバイオリアクターBCP(Biott)を備えたスピナーフラスコで、37℃で、8%CO2で継代させた。FreeStyle 293F細胞のトランスフェクション及び培養を、WAVE BIOREACTOR(GE Healthcare)を用いて行った。2.5Lの、対数増殖期の細胞2.0~2.4×106個/mLでのFreeStyle 293F細胞を、WAVE CELLBAG10L(Cytiva)上に植え付けた。その間に、1.25mgのH10-O18-A-2の重鎖発現ベクター、1.25mgのH10-O18-A-2の軽鎖発現ベクター及び7.5mgのポリエチレンイミン(Polyscience)を、160mLのOpti-Pro SFM培地(Thermo Fisher Scientific)に添加し、得られた混合物を穏やかに撹拌した。5分間のインキュベーションの後、混合物を、WAVE CELLBAG10L中のFreeStyle 293F細胞に添加した。細胞を、WAVE CELLBAG10L(37℃、8%CO2)中で、4時間振盪しながら培養し、その後、1.92Lの、4mMのGlutaMAXサプリメントIを含むBalanCD(R)HEK293及び480mLの、4mMのGlutaMAXサプリメントIを含むBalanCD(R)HEK293フィードを、培養物に添加した。細胞をさらにWAVE CELLBAG10L(37℃、8%CO2)中で6日間振盪しながら培養した。培養上清を回収し、遠心分離し、カプセルカートリッジフィルター(細孔サイズ:0.45μm、ADVANTEC)でろ過した。
抗DLL3抗体の精製:ろ過した培養上清を、rProtein Aアフィニティークロマトグラフィー及びセラミックヒドロキシアパタイトの2工程プロセスによって精製した。精製方法の詳細は、特許出願WO2020/013170号に記載されたものであった。
【0221】
(実施例9)
抗DLL3抗体hSC16.56の作製
抗DLL3抗体hSC16.56を、国際公報WO2017/031458号に記載されるhSC16.56の以下の配列番号71及び72(これは、国際公報WO2017/031458号の配列番号7及び8に対応する)の重鎖全長及び軽鎖全長アミノ酸配列を参照しながら作製した:QVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGYTFTNYGMNWVRQAPGQGLEWMGWINTYTGEPTYADDFKGRVTMTTDTSTSTAYMELRSLRSDDTAVYYCARIGDSSPSDYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK (配列番号71)、または
EIVMTQSPATLSVSPGERATLSCKASQSVSNDVVWYQQKPGQAPRLLIYYASNRYTGIPARFSGSGSGTEFTLTISSLQSEDFAVYYCQQDYTSPWTFGQGTKLEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACE VTHQGLSSPVTKSFNRGEC (配列番号72)
【0222】
(実施例10)
H2-C8-A-コンジュゲートの作製
工程1:抗体-薬物コンジュゲート(1)
【化11】
【0223】
抗体の還元:実施例8-1で作製されたH2-C8-Aを、作製方法1に記載される一般的な手順B(280nmの吸収係数として1.52mLmg-1cm-1を使用して)及びCを使用することによって、PBS6.0/EDTAで10.5mg/mLに調整した。この溶液(2.0mL)に、10mMのTCEP(東京化成工業株式会社)の水溶液(0.0868mL;抗体分子1個当たり6.0当量)及び1Mのリン酸水素二カリウム水溶液(ナカライテスク株式会社;0.0300mL)を添加した。溶液がpH7.0を有することを確認した後に、溶液を37℃で2時間インキュベートすることによって、抗体中の鎖間のジスルフィド結合を還元した。
【0224】
抗体と薬物リンカーとのコンジュゲーション:ジメチルスルホキシド中のN-[6-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-lH-ピロール-1-イル)ヘキサノイル]グリシルグリシル-L-フェニルアラニル-N-(2-{[(1S,9S)-9-エチル-5-フルオロ-9-ヒドロキシ-4-メチル-10,13-ジオキソ-2,3,9,10,13,15-ヘキサヒドロ-lH,12H-ベンゾ[de]ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2-b]キノリン-1-イル]アミノ}-2-オキソエトキシ)メチル]グリシンアミド(配列番号85として開示される「GGFG」)(US2016/0297890の実施例14、プロセス8)の10mM溶液(0.145mL;抗体分子1個当たり10当量)をそこに添加し、得られた混合物を15℃で1時間インキュベートして、薬物リンカーを抗体にコンジュゲートさせた。その後、100mMのNAC(Sigma-Aldrich Co.LLC)の水溶液(0.0145mL;抗体分子1個当たり10当量)をそこに添加し、得られた混合物を室温で20分間さらに撹拌して、薬物リンカーの反応を終わらせた。
【0225】
精製:上述した溶液を、作製方法1に記載される一般的な手順Dによって精製して、9.0mLの表題の抗体-薬物コンジュゲート「H2-C8-A-コンジュゲート」を含有する溶液を得た。
特徴付け:作製方法1に記載される一般的な手順Eを使用して(εA,280=220378及びεA,370=0、εD,280=5440及びεD,370=21800を使用して)、以下の特徴的な値を得た。抗体濃度:1.96mg/mL、抗体収量:17.6mg(84%)、一般的な手順Eによって測定された抗体分子1個当たりのコンジュゲートした薬物分子の平均数(n):5.0、及び一般的な手順F(勾配プログラム1)によって測定された抗体分子1個当たりのコンジュゲートした薬物分子の平均数(n):7.5。
【0226】
(実施例11)
H6-G23-F-コンジュゲートの作製
実施例10と同じオペレーションを、H6-G23-F溶液(PBS6.0/EDTA中の10.1mg/mL、4.0mL)(280nmの吸収係数として1.46mLmg-1cm-1を使用して)を使用して実行した。結果として、H6-G23-F-コンジュゲート溶液(18mL)を得た。
特徴付け:作製方法1に記載される一般的な手順Eを使用して(εA,280=215353及びεA,370=0、εD,280=5440及びεD,370=21800を使用して)、以下の特徴的な値を得た。抗体濃度:1.74mg/mL、抗体収量:31.4mg(78%)、一般的な手順Eによって測定された抗体分子1個当たりのコンジュゲートした薬物分子の平均数(n):5.3、及び一般的な手順F(勾配プログラム1)によって測定された抗体分子1個当たりのコンジュゲートした薬物分子の平均数(n):7.7。
【0227】
(実施例12)
H10-O18-A-コンジュゲートの作製
実施例10と同じオペレーションを、H10-O18A溶液(PBS6.0/EDTA中の10.5mg/mL、3.8mL)(280nmの吸収係数として1.49mLmg-1cm-1を使用して)を使用して実行した。結果として、H10-O18-Aコンジュゲート溶液(18mL)を得た。
特徴付け:作製方法1に記載される一般的な手順Eを使用して(εA,280=215424及びεA,370=0、εD,280=5440及びεD,370=21800を使用して)、以下の特徴的な値を得た。抗体濃度:1.80mg/mL、抗体収量:32.5mg(81%)、一般的な手順Eによって測定された抗体分子1個当たりのコンジュゲートした薬物分子の平均数(n):5.1、及び一般的な手順F(勾配プログラム2)によって測定された抗体分子1個当たりのコンジュゲートした薬物分子の平均数(n):7.8。
【0228】
(実施例13)
抗DLL3 ADC、SC16LD6.5の作製
抗DLL3 ADC、SC16LD6.5を、以下の工程によって調製した;抗DLL3抗体、hSC16.56を、WO2017/031458A2を参照して作製した。hSC16.56の軽鎖及び重鎖のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号71及び配列番号72によって表される。薬物リンカーであるSG3249を、以前の報告に従って合成した(Med. Chem. Lett. 2016, 7, 983-987)。hSC16.56を、WO2014/130879A2に記載される手順に従って、SG3249とコンジュゲートして、SC16LD6.5を得た。
【0229】
(実施例14)
抗LPS抗体-コンジュゲートの作製
抗LPS抗体-コンジュゲートは、DLL3と関係のない抗原を認識するヒトIgGから作製された抗体-薬物コンジュゲートであり、これを、陰性対照として使用した。
国際公開WO2015/046505号に記載されるh#1G5-H1L1の以下で配列番号73及び74で示される重鎖全長及び軽鎖全長アミノ酸配列(国際公開WO2015/046505号の配列番号57及び67に相当する)を参照しながら、抗LPS抗体を作製した。
実施例10の類似の方式で、抗LPS抗体-コンジュゲートを、抗LPS抗体及びN-[6-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-lH-ピロール-1-イル)ヘキサノイル]グリシルグリシル-L-フェニルアラニル-N-(2-{[(1S,9S)-9-エチル-5-フルオロ-9-ヒドロキシ-4-メチル-10,13-ジオキソ-2,3,9,10,13,15-ヘキサヒドロ-lH,12H-ベンゾ[de]ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2-b]キノリン-1-イル]アミノ}-2-オキソエトキシ)メチル]グリシンアミド(配列番号85として開示される「GGFG」)を使用して調製した。
【0230】
特徴付け:抗体濃度:10.74mg/mL一般的な手順Eによって測定された抗体分子1個当たりのコンジュゲートした薬物分子の平均数(n):5.8、及び一般的な手順F(勾配プログラム1)によって測定された抗体分子1個当たりのコンジュゲートした薬物分子の平均数(n):7.9
QVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGYTFTSYWINWVRQAPGQGLEWMGNIYPGSSSINYNEKFKSRVTITADTSTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCARTIYNYGSSGYNYAMDYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKRVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
(LPS_重鎖;配列番号73)
DIVMTQSPDSLAVSLGERATINCKASENVGNSVSWYQQKPGQPPKLLIYGASNRYTGVPDRFSGSGSGTDFTLTISSLQAEDVAVYYCGQSYSYPYTFGQGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC(LPS_軽鎖;配列番号74)
【0231】
(実施例15)
インビボにおける抗体-薬物コンジュゲートの抗腫瘍作用
抗体-薬物コンジュゲートの抗腫瘍作用を、免疫不全マウス由来の動物モデルを使用して、DLL3陽性ヒト腫瘍細胞株の細胞を接種させることによって評価した。4~5週齢のBALB/cヌードマウス(CAnN.Cg-Foxnl[nu]/CrlCrlj[Foxnlnu/Foxnlnu]、日本チャールス・リバー株式会社)を、実験で使用する前に、SPF条件下で、3日間又はそれより長く順化させた。マウスに、滅菌した固体食物(FR-2、株式会社フナバシファーム)及び所与の滅菌した水道水(これは、5~15ppmの次亜塩素酸ナトリウム溶液を水道水に添加することによって調製された)を給餌した。接種を受けた腫瘍の長径と短径を、電子デジタルノギス(CD-15CX、株式会社ミツトヨ)を使用して週2回測定し、次いで腫瘍の体積を、以下の式に従って計算した。
腫瘍体積(mm3=1/2×長径(mm)×[短径(mm)]2
各抗体-薬物コンジュゲートを、ABS緩衝剤(10mMの酢酸緩衝剤、5%のソルビトール、pH5.5)(ナカライテスク株式会社)で希釈し、各マウスの尾部に、希釈物を、各実施例に示される用量で静脈内投与した。対照グループ(ビヒクルグループ)に、上記と同じ方式でABS緩衝剤を投与した。グループ1つ当たり6匹のマウスを実験に使用した。
【0232】
15)-1抗腫瘍作用-(1)
DLL3陽性ヒト小細胞肺がん細胞株NCI-H209(ATCC)を、Matrigel(Corning Inc.)に懸濁し、細胞懸濁液を、各雌ヌードマウスの右脇腹の領域に細胞4×10
6個の用量で皮下接種させた(0日目)。11日目に、マウスをランダムにグループ分けした。グループ分けの日に、3種の抗体-薬物コンジュゲート(クローン名称:H2-C8-A-コンジュゲート、H6-G23-F-コンジュゲート、H10-O18-A-コンジュゲート)、又は抗LPS抗体-コンジュゲートのそれぞれを、3mg/kgの用量で各マウスの尾部に静脈内投与した。
図1に結果を示す。横座標は、接種後の日数を示し、縦座標は、推測された腫瘍体積を示す。誤差範囲は、SE値を示す。矢印は、投与の日付を示す。
この腫瘍モデルにおいて、抗LPS抗体-コンジュゲートは、有意義な抗腫瘍作用を呈しなかった。3種の抗体-薬物コンジュゲート(クローン名称:H2-C8-A-コンジュゲート、H6-G23-F-コンジュゲート、H10-O18-A-コンジュゲート)の全てが、投与後に腫瘍体積を減少させ、有意な腫瘍退縮を引き起こし、投与後の28日間にわたり腫瘍退縮作用を持続させた(
図1)。加えて、各抗体-薬物コンジュゲートで処置したマウスは、体重の減少の有意な兆候を示さなかったことから、3種の抗体-薬物コンジュゲート(クローン名称:H2-C8-A-コンジュゲート、H6-G23-F-コンジュゲート、H10-O18-A-コンジュゲート)は、低い毒性であり、安全であることが示唆される。各グループのマウスのうち少なくとも1匹の推測された腫瘍体積が3000mm
3を超えた場合、ビヒクル及び抗LPS抗体-コンジュゲートグループを安楽死させた。
【0233】
15)-2抗腫瘍作用-(2)
DLL3陽性ヒト小細胞肺がん細胞株NCI-H524(ATCC)をMatrigel(Corning Inc.)に懸濁し、細胞懸濁液を、各雌ヌードマウスの右わき腹の領域の皮下に、細胞2.5×10
6個の用量で接種した(0日目)。13日目に、マウスをランダムにグループ分けした。グループ分けの日に、3種抗体-薬物コンジュゲート(クローン名称:H2-C8-A-コンジュゲート、H6-G23-F-コンジュゲート、H10-O18-A-コンジュゲート)、又は抗LPS抗体-コンジュゲートのそれぞれを、3mg/kgの用量で各マウスの尾部に静脈内投与した。
図2に結果を示す。横座標は、接種後の日数を示し、縦座標は、推測された腫瘍体積を示す。誤差範囲は、SE値を示す。矢印は、投与の日付を示す。
【0234】
この腫瘍モデルにおいて、抗LPS抗体-コンジュゲートは、有意義な抗腫瘍作用を呈しなかった。全ての3種の抗体-薬物コンジュゲート(クローン名称:H2-C8-A-コンジュゲート、H6-G23-F-コンジュゲート、H10-O18-A-コンジュゲート)が、投与後に腫瘍体積を減少させ、有意な腫瘍退縮を引き起こし、投与後の29日間にわたり腫瘍退縮作用を持続させた(
図2)。加えて、各抗体-薬物コンジュゲートで処置したマウスは、体重の減少の有意な兆候を示さなかったことから、3種の抗体-薬物コンジュゲート(クローン名称:H2-C8-A-コンジュゲート、H6-G23-F-コンジュゲート、H10-O18-A-コンジュゲート)は、毒性が低く安全であることが示唆される。グループのマウスのうちの少なくとも1匹の推測された腫瘍体積が3000mm
3を超えた場合、ビヒクル及び抗LPS抗体-コンジュゲートグループを安楽死させた。
【0235】
15)-3抗腫瘍作用-(3)
DLL3陽性ヒト小細胞肺がん細胞株NCI-H10A(ATCC)を、Matrigel(Corning Inc.)に懸濁し、細胞懸濁液を、各雌ヌードマウスの右脇腹の領域に細胞2.5×10
6個の用量で皮下接種させた(0日目)。15日目に、マウスをランダムにグループ分けした。グループ分けの日に、3種の抗体-薬物コンジュゲート(クローン名称:H2-C8-A-コンジュゲート、H6-G23-F-コンジュゲート、H10-O18-A-コンジュゲート)のそれぞれ、抗LPS抗体-コンジュゲートを、各マウスの尾部に3mg/kgの用量で静脈内投与した。参照抗DLL3-抗体-薬物コンジュゲート(SC16LD6.5)を、0.2mg/kgの用量で各マウスの尾部に静脈内投与した。
図3に結果を示す。横座標は、接種後の日数を示し、縦座標は、推測された腫瘍体積を示す。誤差範囲は、SE値を示す。矢印は、投与の日付を示す。
【0236】
この腫瘍モデルにおいて、抗LPS抗体-コンジュゲート3mg/kgは、有意義な抗腫瘍作用を呈しなかった。この腫瘍モデルにおいて、参照抗DLL3-薬物コンジュゲート(SC16LD6.5)0.2mg/kgは、ある程度の腫瘍増殖阻害を呈し、腫瘍退縮作用は呈しなかった。一方で、全ての3種の抗体-薬物コンジュゲート(クローン名称:H2-C8-A-コンジュゲート、H6-G23-F-コンジュゲート、H10-O18-A-コンジュゲート)3mg/kgは、投与後に腫瘍体積を減少させ、有意な腫瘍退縮を引き起こし、投与後の27日間にわたり腫瘍退縮作用を持続させた。全ての3種の抗体-薬物コンジュゲート(クローン名称:H2-C8-A-コンジュゲート、H6-G23-F-コンジュゲート、H10-O18-A-コンジュゲート)は、SC16LD6.5より腫瘍体積をさらに減少させた。したがって、本発明の3種の抗体-薬物コンジュゲート(クローン名称:H2-C8-A-コンジュゲート、H6-G23-F-コンジュゲート、H10-O18-A-コンジュゲート)3mg/kgは、SC16LD6.5と比較して、抗癌剤として作用する抗体-薬物コンジュゲートとして優れている。(
図3)。加えて、各抗体-薬物コンジュゲートで処置したマウスは、体重の減少の有意な兆候を示さなかったことから、3種の抗体-薬物コンジュゲート(クローン名称:H2-C8-A-コンジュゲート、H6-G23-F-コンジュゲート、H10-O18-A-コンジュゲート)は、毒性が低く安全であることが示唆される。
【0237】
(実施例16)
H2-C8-A-2コンジュゲートの作製
実施例10と同じオペレーションを、H2-C8-A-2溶液(PBS6.0/EDTA中の10.1mg/mL、18.0mL)(280nmの吸収係数として1.53mLmg-1cm-1を使用して)を使用して実行した。結果として、H2-C8-A-2コンジュゲート溶液(59.5mL)を得た。
特徴付け:作製方法1に記載される一般的な手順Eを使用して(εA,280=220420及びεA,370=0、εD,280=5440及びεD,370=21800を使用して)、以下の特徴的な値を得た。抗体濃度:2.80mg/mL、抗体収量:166mg(92%)、一般的な手順Eによって測定された抗体分子1個当たりのコンジュゲートした薬物分子の平均数(n):6.1、及び一般的な手順F(勾配プログラム1)によって測定された抗体分子1個当たりのコンジュゲートした薬物分子の平均数(n):7.8。
【0238】
(実施例17)
H10-O18-A-2-コンジュゲートの作製
実施例10と同じオペレーションを、H10-O18-A-2溶液(PBS6.0/EDTA中の10.3mg/mL、18.3mL)(280nmの吸収係数として1.49mLmg-1cm-1を使用して)を使用して実行した。結果として、H10-O18-A-2コンジュゲート溶液(59.5mL)を得た。
特徴付け:作製方法1に記載される一般的な手順Eを使用して(εA,280=215380及びεA,370=0、εD,280=5440及びεD,370=21800を使用して)、以下の特徴的な値を得た。抗体濃度:2.85mg/mL、抗体収量:169.8mg(90%)、一般的な手順Eによって測定された抗体分子1個当たりのコンジュゲートした薬物分子の平均数(n):6.0、及び一般的な手順F(勾配プログラム2)によって測定された抗体分子1個当たりのコンジュゲートした薬物分子の平均数(n):7.9。
【0239】
(実施例18)
インビボにおける抗体-薬物コンジュゲートの抗腫瘍作用
18)-1抗腫瘍作用-(4)
DLL3陽性ヒト小細胞肺がん細胞株NCI-H510A(ATCC)を、Matrigel(Corning Inc.)に懸濁し、細胞懸濁液を、各雌ヌードマウスの右脇腹の領域に細胞2.3×10
6個の用量で皮下接種させた。腫瘍が定着した後、マウスをランダムにグループ分けした(グループ1つ当たり6匹のマウス)。グループ分けの日に、2種の抗体-薬物コンジュゲート(H2-C8-A-2-コンジュゲート、H10-O18-A-2-コンジュゲート)、又は抗LPS抗体-コンジュゲートのそれぞれを、3mg/kgの用量で各マウスの尾部に静脈内投与した。参照抗DLL3抗体-コンジュゲート(SC16LD6.5)を、0.2mg/kgの用量で各マウスの尾部に静脈内投与した。
図12に結果を示す。横座標は、投与後の日数を示し、縦座標は、推測された腫瘍体積を示す。誤差範囲は、SE値を示す。
【0240】
この腫瘍モデルにおいて、3mg/kgの抗LPS抗体-コンジュゲートは、有意義な抗腫瘍作用を呈しなかった。この腫瘍モデルにおいて、0.2mg/kgの参照抗DLL3-薬物コンジュゲート(SC16LD6.5)は、ある程度の腫瘍増殖阻害を呈し、腫瘍退縮作用を生じなかった。一方で、これらのグループにおいて、3mg/kgの2種の両方の抗体-薬物コンジュゲート(H2-C8-A-2-コンジュゲート、H10-O18-A-2-コンジュゲート)が、腫瘍体積を減少させ、腫瘍の全てが、投与後の28日に、それらの最初の体積より小さくなった。H2-C8-A-2-コンジュゲート及びH10-O18-A-2-コンジュゲートはさらに、SC16LD6.5より腫瘍体積を減少させた。したがって、本発明の2種の抗体-薬物コンジュゲート(H2-C8-A-2-コンジュゲート、H10-O18-A-2-コンジュゲート)は、SC16LD6.5抗体-薬物コンジュゲートと比較して、抗腫瘍剤として作用する抗体-薬物コンジュゲートとして優れている(
図12)。加えて、各抗体-薬物コンジュゲートで処置したマウスは、体重の減少を示さなかったか、又はわずかな体重の減少しか示さなかったことから、これらの抗体-薬物コンジュゲート(H2-C8-A-2-コンジュゲート、H10-O18-A-2-コンジュゲート)は、低い毒性であり、安全であることが示唆される。グループのマウスのうちの少なくとも1匹の腫瘍の長径が20mmを超えた場合、ビヒクルグループを安楽死させた。
【0241】
18)-2抗腫瘍作用-(5)
DLL3陽性ヒト小細胞肺がん細胞株NCI-H209(ATCC)を、Matrigel(Corning Inc.)に懸濁し、細胞懸濁液を、各雌ヌードマウスの右脇腹の領域に細胞4×10
6個の用量で皮下接種させた。腫瘍が定着した後、マウスをランダムにグループ分けした(グループ1つ当たり5匹のマウス)。グループ分けの日に、2種の抗体-薬物コンジュゲート(H2-C8-A-2-コンジュゲート、H10-O18-A-2-コンジュゲート)のそれぞれを、各マウスの尾部に3mg/kgの用量で静脈内投与した。
図13に結果を示す。横座標は、投与後の日数を示し、縦座標は、推測された腫瘍体積を示す。誤差範囲は、SE値を示す。
これらのグループにおいて、2種の両方の抗体-薬物コンジュゲート(H2-C8-A-2-コンジュゲート、H10-O18-A-2-コンジュゲート)が、腫瘍体積を減少させ、腫瘍の全てが、投与後の28日に、それらの最初の体積より小さくなった。加えて、各抗体-薬物コンジュゲートで処置したマウスは、体重の減少の有意義な兆候を示さなかったことから、2種の抗体-薬物コンジュゲート(H2-C8-A-2-コンジュゲート、H10-O18-A-2-コンジュゲート)は両方とも、低い毒性であり、安全であることが示唆される。
【0242】
(実施例19)
ICRマウスにおける抗体-薬物コンジュゲートの毒性又は許容できる用量
19)-1 ICRマウスにおける許容できる用量-(1)
対照:5週齢のCD1(ICR)雄マウス(日本チャールス・リバー株式会社)をランダムにグループ分けした(グループ1つ当たり5匹のマウス)。グループ分けの日に、2種の抗体-薬物コンジュゲート(H2-C8-A-2-コンジュゲート、又はH10-O18-A-2-コンジュゲート)のそれぞれを、45又は90mg/kgの用量で、各マウスの尾部に静脈内投与した。マウスを、死亡率に関して週数回観察し、投与後の41日間、体重を測定した。
この実験中、H2-C8-A-2-コンジュゲートで処置したマウスは全て生存した。この実験中、H2-C8-A-2-コンジュゲートで処置したマウスは、いずれの試験された用量(45、90mg/kg)でも、わずかな体重の減少しか示さないか、又は体重の減少を示さなかった。この実験中、H10-O18-A-2-コンジュゲートで処置したマウスは全て生存した。この実験中、H10-O18-A-2-コンジュゲートで処置したマウスは、いずれの試験された用量(45、90mg/kg)でも、わずかな体重の減少しか示さないか、又は体重の減少を示さなかった。
【0243】
19)-2 ICRマウスにおいて許容できる用量-(2)
対照:5週齢のCD1(ICR)雌マウス(日本チャールス・リバー株式会社)をランダムにグループ分けした(グループ1つ当たり5匹のマウス)。グループ分けの日に、2種の抗体-薬物コンジュゲート(H2-C8-A-2-コンジュゲート、又はH10-O18-A-2-コンジュゲート)のそれぞれを、各マウスの尾部に、45、又は90mg/kgの用量で静脈内投与した。マウスを、死亡率に関して週数回観察し、投与後の41日間、体重を測定した。
この実験の間、H2-C8-A-2-コンジュゲートで処置したマウスは全て生存した。H2-C8-A-2-コンジュゲートで処置したマウスは、この実験の間、試験されたどの用量でも(45、90mg/kg)、わずかな体重の減少を示すか又は体重の減少を示さなかった。この実験の間、H10-O18-A-2-コンジュゲートで処置したマウスは全て生存した。H10-O18-A-2-コンジュゲートで処置したマウスは、この実験の間、試験されたどの用量でも(45、90mg/kg)、わずかな体重の減少を示すか又は体重の減少を示さなかった。
【0244】
産業上の利用可能性:本発明は、内在化活性を有する抗DLL3抗体及びその抗体を含む抗体-薬物コンジュゲートを提供する。抗体-薬物コンジュゲートは、がんなどのための治療薬物として使用することができる。実際に、前述の実施例及び開示は、本発明の技術のADC組成物が、DLL3関連がん(例えば、小細胞肺がん(SCLC)、大細胞神経内分泌癌(LCNEC)、腎臓、尿生殖路(膀胱、前立腺、卵巣、子宮頸、及び子宮内膜)、消化管(胃、結腸)、甲状腺(甲状腺髄様がん)、膵臓及び肺を含む様々な組織の神経内分泌腫瘍、神経膠腫又は偽性神経内分泌腫瘍(pNET))に罹っている対象を処置するための方法において有用であることを実証する。
【配列表】
【国際調査報告】