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特表2024-503659血栓形成を促進するための塞栓システム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-26
(54)【発明の名称】血栓形成を促進するための塞栓システム
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/12 20060101AFI20240119BHJP
【FI】
A61B17/12
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023541938
(86)(22)【出願日】2021-01-12
(85)【翻訳文提出日】2023-09-07
(86)【国際出願番号】 EP2021050451
(87)【国際公開番号】W WO2022152363
(87)【国際公開日】2022-07-21
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514222743
【氏名又は名称】クリアストリーム・テクノロジーズ・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100137039
【弁理士】
【氏名又は名称】田上 靖子
(72)【発明者】
【氏名】ロナン,アラン
(72)【発明者】
【氏名】ジャイルズ,キアラン
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160DD54
4C160DD62
4C160MM32
4C160MM34
4C160NN04
4C160NN09
(57)【要約】
塞栓システムが、管腔内の血栓形成を促進するための塞栓デバイス(100)であって、軸部(110)および軸部(110)から外方に延びる複数の可撓性の毛(120)を備え、毛(120)が、折り畳まれた送達構成および展開構成を有し、展開構成で毛(120)が軸部(110)から少なくとも径方向外方に延びて管腔内で塞栓デバイス(100)を固定する、塞栓デバイス(100)と、切り離し要素(140)を介して塞栓デバイス(100)の軸部(110)に接続された送達要素(150)であって、切り離し要素(140)が、所定の量の力の印加時に破断するように構成される、送達要素(150)とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
管腔内の血栓形成を促進するための塞栓デバイスであって、軸部および前記軸部から外方に延びる複数の可撓性の毛を備え、前記毛が、折り畳まれた送達構成および展開構成を有し、前記展開構成で前記毛が前記軸部から少なくとも径方向外方に延びて管腔内で前記塞栓デバイスを固定する、塞栓デバイスと、
切り離し要素を介して前記塞栓デバイスの前記軸部に接続された送達要素であって、前記切り離し要素が、所定の量の力の印加時に破断するように構成される、送達要素と
を備える塞栓システム。
【請求項2】
前記切り離し要素が、前記軸部に対する前記送達要素の所定の剪断時に破断するように構成された剪断可能要素である、請求項1に記載の塞栓システム。
【請求項3】
前記剪断可能要素が、前記軸部に対する前記送達要素の所定の回転時に破断するように構成される、請求項2に記載の塞栓システム。
【請求項4】
前記切り離し要素が、くびれ部を備える、請求項1から3のいずれかに記載の塞栓システム。
【請求項5】
前記くびれ部の断面積が、前記送達要素の断面積の50%以下である、請求項4に記載の塞栓システム。
【請求項6】
前記切り離し要素が脆弱構造を備え、任意選択で前記脆弱構造が裂開部である、請求項1から5のいずれかに記載の塞栓システム。
【請求項7】
前記脆弱構造の断面積が、前記送達要素の断面積の50%以下である、請求項6に記載の塞栓システム。
【請求項8】
前記切り離し要素が第1の材料を含み、前記軸部および前記送達要素が各々前記第1の材料とは異なる第2の材料を含み、前記第1の材料が前記第2の材料より低い剛性を有する、請求項1から7のいずれかに記載の塞栓システム。
【請求項9】
前記第1の材料が、ナイロン、PTFE、またはコバルトクロムのうちの1つである、請求項8に記載の塞栓システム。
【請求項10】
前記第2の材料の各々が、ニチノールまたはコバルトクロムのうちの1つまたは複数である、請求項8または9に記載の塞栓システム。
【請求項11】
前記折り畳まれた送達構成で、前記毛が前記切り離し要素に重なる、請求項1から10のいずれかに記載の塞栓システム。
【請求項12】
流量制限器をさらに備え、前記流量制限器が、折り畳まれた送達構成および展開構成を有し、前記折り畳まれた送達構成で、前記膜が前記切り離し要素に重なる、請求項1から11のいずれかに記載の塞栓システム。
【請求項13】
前記流量制限器が、前記軸部上に配置された膜である、請求項12に記載の塞栓システム。
【請求項14】
管腔内の血栓形成を促進するための塞栓デバイスを含む塞栓システムを製造する方法であって、
軸部を提供するステップと、
送達要素を提供するステップと、
前記軸部と前記送達要素との間に、所定の量の力の印加時に破断するように構成された切り離し要素を提供するステップと、
前記軸部から外方に延びる複数の毛を前記軸部に取り付けるステップとを含み、前記毛が、折り畳まれた送達構成および展開構成を有し、前記展開構成で、前記毛が前記軸部から少なくとも径方向外方に延びて管腔内で前記塞栓デバイスを固定する、
方法。
【請求項15】
前記切り離し要素が、
くびれ部、
任意選択で裂開部である脆弱構造、および
第1の材料のうちの1つまたは複数を備え、前記軸部および前記送達要素が各々前記第1の材料とは異なる第2の材料を含み、前記第1の材料が前記第2の材料より低い剛性を有する、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、身体管腔内の血栓形成を促進するための塞栓システムに関し、塞栓システムは塞栓デバイスを備えており、塞栓デバイスは、折り畳まれた送達構成と、身体管腔内に塞栓デバイスを固定するための拡大展開構成とを有する。本開示はまた、塞栓システムを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
塞栓デバイスは、血栓形成を促進し、最終的に血管を閉塞するために、医療従事者が血管構造内の特定の場所に展開することができる。典型的には、塞栓デバイスが展開点に到達するまで、送達ワイヤを使用してガイドカテーテルに押し込まれる。デバイスが必要とされる展開点に到達すると、デバイスはガイドカテーテルから展開されて、送達ワイヤから切り離され、送達ワイヤが除去される。
【0003】
塞栓デバイスがガイドカテーテルを通って展開点まで進む経路は、典型的に蛇行しており、送達ワイヤおよび塞栓デバイスは、この経路に沿ってトルクおよびねじれを受けることがある。したがって、送達ワイヤと塞栓デバイスとの間で相対的な回転および歪みを受ける可能性がある。これにより場合により、展開点に到達する前に早すぎる段階で、デバイスが送達ワイヤから切り離されるおそれがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記を考慮して、塞栓デバイスを所望の場所に展開するとともに、デバイスが早すぎる段階で切り離される確率を最小にすることが可能な、改善された塞栓システムが必要とされている。
【0005】
別法または追加として、簡単に製造および/または展開することができ、早すぎる段階で展開される確率を最小に抑える、改善された塞栓システムを提供することが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第1の態様によれば、管腔内の血栓形成を促進するための塞栓デバイスであって、軸部および軸部から外方に延びる複数の可撓性の毛を備え、毛が、折り畳まれた送達構成および展開構成を有し、展開構成で毛が軸部から少なくとも径方向外方に延びて管腔内で塞栓デバイスを固定する、塞栓デバイスと、切り離し要素を介して塞栓デバイスの軸部に接続された送達要素であって、切り離し要素が、所定の量の力の印加時に破断するように構成される、送達要素とを備える塞栓システムが提供される。力は、直線方向の分離力(たとえば、長手方向)、または回転もしくは剪断力とすることができる。切り離し要素は、塞栓デバイスを送達要素から予測可能に切り離せることを可能にしながら、切り離しシステムに必要とされる構成要素の数を簡略化することができる。切り離し要素は、折り畳まれた送達構成にある塞栓デバイスのより低い送達プロファイル(換言すれば、輪郭)を可能にすることができる。
【0007】
送達要素は、送達ワイヤとすることができる。
切り離し要素は、軸部に対する送達要素の所定の回転時に破断するように構成された剪断可能要素とすることができる。たとえば、剪断可能要素は、軸部に対する送達要素の少なくとも6回、8回、10回、12回、またはそれ以上の全回転時に破断するように構成することができる。所定の回転は、展開部位への塞栓デバイスの送達中における送達要素と軸部との間の予期される回転量が所定の回転より小さくなるように選択することができる。したがって、早すぎる段階で切り離されるリスクを低減させることができる。
【0008】
切り離し要素は、くびれ部を備えることができる。くびれ部の断面幅は、送達要素の断面積の50%以下とすることができる。これにより、力が印加されたときの切り離し要素の優先的な破断が確実になる。切り離し要素は、裂開部などの脆弱構造を備えることができる。脆弱構造の断面積は、送達要素の断面積の50%以下とすることができる。切り離し要素は第1の材料を含み、軸部は第2の材料を含むことができ、第1の材料は第2の材料とは異なり、第2の材料より低い剛性を有する。第1の材料は、ナイロン、PTFE、またはコバルトクロムとすることができ、第2の材料は、ニチノールまたはコバルトクロムとすることができる。切り離し要素は、くびれ部、脆弱構造、および低剛性材料の任意の組合せを備えることができる。くびれ部、脆弱構造、および軸部の材料とは異なる材料を有する部分は、他の切り離し機構より簡単に製造および展開することができる。
【0009】
塞栓デバイスは、軸部上に配置された膜をさらに備えることができ、膜は、身体管腔を通る流れを制限するように構成され、折り畳まれた送達構成および展開構成を有する。この結果、より迅速な血栓形成および改善された塞栓をもたらすことができる。
【0010】
塞栓デバイスは、折り畳まれた送達構成で、毛および/または膜が切り離し要素に重なるように構成することができる。重なっている毛および/または膜は、塞栓デバイスが送達要素から早すぎる段階で切り離されることを抑制することができることが有利である。塞栓デバイスはまた、折り畳まれた送達構成において毛および/または膜と切り離し要素とが重なる点で低いプロファイルを有することができる。
【0011】
本開示の第2の態様によれば、管腔内の血栓形成を促進するための塞栓デバイスを含む塞栓システムを製造する方法が提供され、この方法は、軸部を提供するステップと、送達要素を提供するステップと、軸部と送達要素との間に、所定の量の力の印加時に破断するように構成された切り離し要素を提供するステップと、軸部から外方に延びる複数の毛を軸部に取り付けるステップとを含み、毛は、折り畳まれた送達構成および展開構成を有し、展開構成で、毛は軸部から少なくとも径方向外方に延びて管腔内で塞栓デバイスを固定する。切り離し要素は、くびれ部、脆弱構造(任意選択で、裂開部)、または第1の材料を含むことができ、軸部および送達要素は各々、第1の材料とは異なる第2の材料を含み、第1の材料は第2の材料より低い剛性を有する。この製造方法は、切り離し機構に必要とされる部品の数を低減させることによって、他の方法より簡単なものにすることができることが有利である。
【0012】
本開示のより良好な理解を可能にし、本開示を実施する方法を示すために、例示のみを目的として、添付の概略的な図面を次に参照する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本明細書に図示および記載する1つまたは複数の実施形態による拡大展開構成にある本開示による塞栓デバイスを概略的に示す側面図である。
図2A】本明細書に図示および記載される1つまたは複数の実施形態による折り畳まれた送達構成にある本開示による塞栓デバイスを概略的に示す側面図である。
図2B】本明細書に図示および記載される1つまたは複数の実施形態による送達ワイヤからの切り離し前の拡大展開構成にある本開示による塞栓デバイスを概略的に示す側面図である。
図2C】本明細書に図示および記載される1つまたは複数の実施形態による送達ワイヤからの切り離し後の拡大展開構成にある本開示による塞栓デバイスを概略的に示す側面図である。
図3】本明細書に図示および記載される1つまたは複数の実施形態による折り畳まれた送達構成にある本開示による別の塞栓デバイスを概略的に示す側面図である。
図4A図4Aは、本明細書に図示および記載される1つまたは複数の実施形態による例示的な切り離し要素を概略的に示す側面図である。
図4B図4Bは、本明細書に図示および記載される1つまたは複数の実施形態による例示的な切り離し要素を概略的に示す側面図である。
図4C図4Cは、本明細書に図示および記載される1つまたは複数の実施形態による例示的な切り離し要素を概略的に示す側面図である。
図5A図5Aは、本明細書に図示および記載される実施形態による塞栓システムを製造する様々な方法を概略的に示す図である。
図5B図5Bは、本明細書に図示および記載される実施形態による塞栓システムを製造する様々な方法を概略的に示す図である。
図5C図5Cは、本明細書に図示および記載される実施形態による塞栓システムを製造する様々な方法を概略的に示す図である。
図5D図5Dは、本明細書に図示および記載される実施形態による塞栓システムを製造する様々な方法を概略的に示す図である。
図5E図5Eは、本明細書に図示および記載される実施形態による塞栓システムを製造する様々な方法を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本開示全体にわたって、「塞栓デバイス」という用語は、身体管腔内に恒久的または半恒久的に移植することができるデバイスを指すことができる。それに応じて、「塞栓デバイス」は、数日などのある期間にわたって身体管腔内に配置されるように、または管腔内に無期限に配置されるように、構成することができる。この目的で、「塞栓デバイス」は、身体管腔内に別個に移植することができるように、送達要素から選択的に切り離されるように構成することができる。
【0015】
本開示全体にわたって、「身体管腔」という用語は、人間または動物の身体の管状構造内の内側空間を指すことができる。「身体管腔」は、たとえば動脈または静脈とすることができる。
【0016】
本開示全体にわたって、要素の「折り畳まれた送達構成」という用語は、その要素の拡大展開構成より小さい径方向範囲を有する要素の構成を指すことができる。
本開示全体にわたって、「固定する」という用語は、ある位置で要素を部分的または完全に固定することを指すことができる。
【0017】
本開示全体にわたって、「切り離し要素」という用語は、所定の量の力の印加時に破断するように構成された任意の要素を指すことができる。より具体的には、「切り離し要素」は、切り離し要素によって接続された2つの要素が不可逆的に分離されるように、不可逆的に破断するように構成された任意の要素を指すことができる。
【0018】
本開示全体にわたって、「剪断可能要素」という用語は、所定の量の剪断が印加されると不可逆的に破断するように構成された任意の要素を指すことができる。
本開示全体にわたって、「くびれ部」という用語は、別の部分の径方向範囲より小さい径方向範囲を有する細長い部分を指すことができる。
【0019】
本開示全体にわたって、「脆弱構造」という用語は、要素を破断するために必要とされる剪断量を低減させるように構成された要素の凹凸(たとえば、要素の断面積の幾何学的な凹凸)を指すことができる。
【0020】
本開示全体にわたって、「軸部」という用語は、塞栓デバイスの長さに沿って長手方向に延びてデバイスのための基幹として作用する細長い要素を指すことができ、塞栓デバイスのさらなる要素(たとえば、複数の可撓性の毛)より大幅に小さい径方向範囲を有する。軸部は、実質的に複数の可撓性の毛の長手方向範囲全体に沿って延びることができる(たとえば、塞栓デバイスが非抑制構成、折り畳まれた送達構成、および/または拡大展開構成にあるとき)。軸部は、実質的に塞栓デバイスの長さ全体に沿って延びることができる。
【0021】
本明細書に記載する実施形態のいずれにおいても、「毛」という用語は、実質的に一部片となるように形成された細長いストランド(換言すれば、より糸)の材料を指すことができる。「毛」は、弾性の毛とすることができる。弾性の毛は、特定の湾曲の方へ付勢することができる。
【0022】
本開示全体にわたって、「径方向外方に」という用語は、加えてデバイスの長手方向に延びる要素を除外しない。たとえば、複数の可撓性の毛は、軸部から径方向外方および長手方向に延びることができる。
【0023】
本開示にわたって、「プロファイル」という用語は、塞栓システムまたはデバイスの径方向範囲を指すことができる。
本開示全体にわたって、「毛セグメント」という用語は、隣接する毛と毛の間の間隔が所定の距離より小さい1群の毛を指すことができる。2つの毛セグメントが「隔置」されるとき、毛セグメント間の間隔(すなわち、第1のセグメントの最も遠位の毛と第2のセグメントの最も近位の毛との間の間隔)は、これらの毛セグメントのうちの少なくとも1つのセグメント内の隣接する毛と毛の間の間隔より大きい。
【0024】
複数の可撓性の毛は、折り畳まれた送達構成で折り畳まれた構成を有することができる。複数の可撓性の毛は、拡大展開構成で拡大構成を有することができる。複数の毛は、軸部の周りの複数の円周方向において、軸部から径方向外方に延びることができる。
【0025】
拡大構成で、複数の可撓性の毛は、身体管腔内でデバイスを固定(換言すれば、留置)するように構成することができる。複数の可撓性の毛は、身体管腔内で塞栓デバイスに対する固定力の実質的にすべてを提供するように構成することができる。
【0026】
拡大構成で、複数の可撓性の毛は、身体管腔に接触するように構成することができる。
デバイスが送達カテーテル内に配置されているとき、デバイスは折り畳まれた送達構成を採用する。より詳細には、折り畳まれた送達構成で、芯または軸部から外方に延びる複数の可撓性の毛は、要素の拡大展開構成における毛の径方向範囲より小さい径方向範囲を有する。
【0027】
毛は、ステンレス鋼、エルジロイ、またはニチノールなどの可撓性のまたは弾性変形可能な材料から作ることができる。任意の好適なポリマーまたは任意の他の形状記憶金属もしくは金属合金など、他の好適な材料を使用することもできる。流量制限器は、ポリマー、ステンレス鋼、またはニチノールなどの自己拡張性材料から作られた薄膜とすることができる。軸部は、ステンレス鋼または他の好適な材料から作ることができ、撚線を構成することができ、この撚線から毛が延び、撚線上に流量制限器が取り付けられる。軸部は、別法として、中空管を構成することができ、中空管の壁が、径方向に延びる毛を定位置で保持する。たとえば管は、熱収縮性材料から形成することができる。別法または追加として、接着剤などの他の手段を使用して、毛を軸部によって保持することもできる。
【0028】
個々の可撓性の毛の直径は、0.036mm(0.0014インチ)~0.053mm(0.0021インチ)の範囲とすることができる。たとえば、個々の可撓性の毛の直径は、0.0381mm(0.0015インチ)、0.0445mm(0.00175インチ)、または0.0508mm(0.002インチ)とすることができる。拡大状態の可撓性の毛によって形成される径方向プロファイルの平均直径は、5mm~30mmの範囲とすることができる。
【0029】
流量制限器は、薄膜ニチノール、薄膜PTFE、薄膜エラストマー、たとえばポリウレタン、または任意の他のタイプの好適な生体適合性材料から作られた膜とすることができる。膜は、4μm~35μmの厚さ、および5mm~20mmの直径を有することができる。たとえば膜の直径は、6.5mm、9mm、または16mmとすることができる。さらに膜は、非透過性または半透過性を有することができる。
【0030】
図1は、塞栓システムを示す。塞栓システムは、身体管腔内の血栓形成を促進するために身体管腔内に展開されるように構成された塞栓デバイス100を備えており、塞栓デバイス100は、切り離し要素140(たとえば、剪断可能要素)を介して送達ワイヤ150に接続される。図1の塞栓デバイス100は、非拘束(すなわち、拡大)構成で示されている。切り離し要素140は、送達ワイヤ150および軸部110より大きい径方向プロファイルを有するものとして図に示されているが、これは例示のみを目的とし、切り離し要素140の径方向プロファイルは、実際には、送達ワイヤ150および軸部110に類似の径方向プロファイル、またはそれより小さい径方向プロファイルとすることができることに留意されたい。
【0031】
塞栓デバイス100は、軸部110と、軸部の周りに径方向外方に延びる複数の可撓性の毛120a、120bと、流量制限膜130とを備える。本明細書に記載する実施形態のいずれにおいても、流量制限膜130は任意選択である。さらに、単一の群の毛、または長手方向に分離された複数の群もしくはセグメントの毛を設けることができる。流量制限膜130の位置はまた、異なる実施形態で変動することができる。たとえば、示されている実施形態では、膜130は、2つの毛セグメント120aおよび120b間に位置するが、他の実施形態では、膜130は、毛120aに対して近位に、毛120bに対して遠位に、または長手方向において毛120aもしくは120b内に配置することができる。
【0032】
軸部110は、塞栓デバイス100の長手方向の長さに沿って延びる。軸部110は、塞栓デバイス100が非拘束構成にあるとき、実質的に塞栓デバイス100の長手方向の長さ全体に沿って延びることができる。
【0033】
軸部110は、可撓性を有することができ、たとえば実質的にその長さ全体に沿って可撓性を有することができる。軸部110は、塞栓デバイス100が身体管腔内に展開されたとき、身体管腔の形状に沿うように、可撓性を有することができる。軸部110は、その長さに沿って配置された可撓性の区間、ヒンジ、および/またはコネクタ(図示せず)を有することができる。追加または別法として、軸部110は、事前に湾曲した形状を有することができる。
【0034】
軸部110の一部分、たとえば近位部分が、切り離し要素140を介して送達要素150(送達ワイヤなど)に取り付けられる。塞栓システムの中には、塞栓デバイスがねじ機構を介して送達要素に接続されるものもあるが、本開示は、これら2つが切り離し要素140によって接続されることに関する。切り離し要素140は、より簡単に製造することができ、ねじ機構または類似の構造を備える切り離し機構より低いプロファイルを有する切り離し機構を提供することができる(ねじ機構は雄ねじおよび雌ねじを必要とし、システムのプロファイルを増大させる)。さらに、本明細書に記載する切り離し要素は、単一の方向の回転のみに応答して切り離されるねじ機構とは対照的に、特定の量の回転後、時計回りまたは反時計回り方向のいずれでも破断する。したがって、切り離しプロセスが簡略化される。
【0035】
図1は、軸部110の長手方向の長さに沿って隔置された近位毛セグメント120aおよび遠位毛セグメント120bの形態の2つの隔置された毛セグメントとして、複数の可撓性の毛120a、120bを示す。しかし、当業者には理解されるはずであるように、たとえば単一のセグメントを含む任意の数のセグメントで、複数の可撓性の毛120a、120bの様々な配置が可能である。さらに、複数の可撓性の毛120a、120bが同一である必要はなく、たとえば異なる長さ、材料、可撓性、および/または厚さを有することができる。
【0036】
複数の可撓性の毛120a、120bの各々は軸部110に固定され、軸部110から径方向外方に延びる。
複数の可撓性の毛120a、120bの各々は、軸部110の長手方向の長さに沿って隔置することができる。特定の実施形態では、複数の可撓性の毛120a、120bの少なくともいくつかは、軸部110に沿って同じ軸方向位置に配置することができる。
【0037】
流量制限膜130を軸部110に取り付けることができる。流量制限膜130は、軸部110が通過する孔を有することができるが、他の配置も企図される。
流量制限膜130は、軸部110から径方向外方に延びることができる。流量制限膜130は、任意の形状、たとえば略円形とすることができる。流量制限膜130は、可撓性、弾性、および/または事前に湾曲した形状を有することができる。代替実施形態では、流量制限膜130は、任意の種類の流量制限器とすることができる。
【0038】
流量制限膜130は、複数の可撓性の毛120a、120bのうちのいくつかの間に配置することができる。特定の実施形態では、流量制限膜130は、図1に示すように、近位毛セグメント120aと遠位毛セグメント120bとの間に配置することができる。
【0039】
軸部110は、可撓性の撚線を構成することができ、撚線が、径方向に延びる毛を定位置で保持する。
ワイヤは、たとえば、ステンレス鋼などの可撓性の金属の撚線から作ることができる。いくつかの実施形態では、使用されるワイヤの直径は0.5mm以下とすることができるが、他の直径も企図され、可能である。軸部110は、別法として、中空管を構成することができ、中空管の壁が、径方向に延びる毛を定位置で保持する。たとえば管は、熱収縮性材料から形成することができる。別法または追加として、接着剤などの他の手段を使用して、毛を軸部によって保持することもできる。
【0040】
可撓性の毛120a、120bは、ニチノール、エルジロイ、もしくはステンレス鋼、または任意の他の形状記憶金属もしくはポリマーから作ることができる。個々の可撓性の毛32の直径は、0.036mm(0.0014インチ)~0.053mm(0.0021インチ)の範囲とすることができる。たとえば、個々の可撓性の毛32の直径は、0.381mm(0.015インチ)、0.445mm(0.0175インチ)、または0.508mm(0.02インチ)とすることができる。拡大状態の可撓性の毛120a、120bの全体的な直径は、5mm~30mmの範囲とすることができる。
【0041】
膜130は、薄膜ニチノール、薄膜PTFE、薄膜エラストマー、たとえばポリウレタン、または任意の他のタイプの好適な生体適合性材料から作ることができる。膜36は、4μm~35μmの厚さ、および5mm~20mmの直径を有することができる。たとえば膜36の直径は、6.5mm、9mm、または16mmとすることができる。さらに膜36は、非透過性または半透過性を有することができる。
【0042】
送達要素150は、切り離し要素の近位端で切り離し要素150に固定して取り付けられる。塞栓デバイス100の軸部110は、切り離し要素の遠位端で切り離し要素150に固定して取り付けられる。送達要素150および軸部110は、任意の好適な取り付け手段、たとえば接着剤、溶接、干渉嵌め、または圧着によって、切り離し要素に取り付けることができる。
【0043】
本開示による塞栓デバイス100を展開するプロセスについて、図2A図2Cを参照して次に説明する。
図2Aは、カテーテル160内に配置された折り畳まれた送達構成にある塞栓システムの側面図を示す。折り畳まれた送達構成において、塞栓デバイス100の径方向範囲は、図1に示す拡大展開(非制限)構成より小さい。
【0044】
可撓性の毛120a、120bおよび膜130も折り畳まれた送達構成にあり、これらの径方向範囲は、拡大展開構成にある場合より小さい。
折り畳まれた送達構成は、塞栓デバイス100を身体管腔内の展開場所へ送達するために、または塞栓デバイス100を身体管腔から回収するために好適である。塞栓デバイス100の径方向範囲は、塞栓デバイス100がカテーテル160の管腔内に収まってカテーテル160を身体管腔内の所望の部位へ送達することができるほど十分に小さい。
【0045】
図2Aの折り畳まれた送達構成において、第1の複数の可撓性の毛120aは近位方向を向き、第2の複数の可撓性の毛120bは遠位方向を向く。塞栓デバイス10が折り畳まれた送達構成から拡大展開構成へ遷移されるとき、可撓性の毛120a、120bの長手方向の向きは変化しない。これにより、塞栓デバイス100が身体管腔内の両方向の動きを抑制することが可能になる。他の実施形態では、塞栓デバイス100の可撓性の毛がすべて遠位もしくは近位方向を向き、または可撓性の毛が複数の群の毛を構成し、各群が近位もしくは遠位方向のいずれかを向くことが理解されよう。膜130は近位方向を向くことが示されているが、他の実施形態では、膜は遠位方向を向く。膜130が1群の毛の中に長手方向に配置される実施形態では、膜130は、収縮送達構成で隣接する毛と同じ長手方向を向く。
【0046】
図2Aは、毛120a、120bおよび/または膜130が折り畳まれた送達構成で切り離し要素140と長手方向に重ならない実施形態を示す。他の実施形態では、切り離し要素140は、折り畳まれた送達構成で、1群の毛120a、120bおよび/または膜130が切り離し要素に重なるように配置される(折り畳まれた送達構成における1つのそのような実施形態の概略図を図3に示す)。そのような配置では、カテーテル160を通って塞栓デバイス100を送達部位へ送達する間に、切り離し要素140に追加の保護を提供することができ、塞栓デバイス100が送達ワイヤ150から早すぎる段階で切り離されることを抑制することができる。さらに、切り離し要素と毛および/または膜とが重なる点における塞栓デバイスのプロファイルは、ねじ機構などの他の切り離し機構に対する重なりプロファイルと比較すると低いままである。たとえば、切り離し要素140は、図4A図4Cのいずれかに示す形態をとることができ、切り離し要素の径方向プロファイルは、軸部/送達要素に類似しており、または軸部/送達要素より低い。対照的に、ねじ機構は典型的に、送達要素および/または塞栓デバイスの軸部より大きい径方向プロファイルを有する構成要素を必要とする。
【0047】
通常動作において、塞栓デバイス100は、図2Aに示す折り畳まれた送達構成で送達カテーテル160を通るように押され、身体管腔内の意図される送達部位に到達する。塞栓デバイスの遠位先端が所望の場所に到達した後(すなわち、塞栓デバイス100の遠位先端が送達部位に配置されたカテーテル160の先端に到達した後)、送達ワイヤ150および塞栓デバイス100は動かさないで保持したまま、送達カテーテル160を後退させて塞栓デバイス100を身体管腔内に展開する。展開された後、毛120a、毛120b、および膜130の組合せが拡大展開構成になり、塞栓デバイス100が身体管腔の壁に係合して固定される。
【0048】
図2Bは、カテーテル160が後退した後の拡大展開構成にある塞栓デバイス100を示す。この構成で、毛120a、120bおよび膜130は、身体管腔(図示せず)の壁に係合して、塞栓デバイス100を定位置で固定する。塞栓デバイス100が正しい位置にあることが判定された後、送達ワイヤ150は、送達ワイヤ150の長手方向軸の周りをいずれかの方向に所定の量だけ回転させられる。この回転は、使用者が任意の好適な機構を使用して送達ワイヤの近位端で行うことができる。塞栓デバイス100が身体管腔に固定されているので、送達ワイヤ150と塞栓デバイス100との間で相対的な回転が発生する。この回転の結果、切り離し要素140に印加されているトルクの量が増大する。切り離し要素140に十分なトルクが印加されると、切り離し要素が破断する。本明細書に開示する実施形態のいずれにおいても、切り離し要素140を破断するために必要とされる力は、切り離し要素140を破断するために力を印加したときに塞栓デバイス100が身体管腔内で固定された位置から外れたり動いたりしないように、十分に小さくなるように選択することができる。この破断力は、使用される特定の塞栓デバイス100の固定特性に基づいて選択することができ、これはたとえば塞栓デバイス100の毛の数および種類によって決まる。
【0049】
図2Cは、送達ワイヤ150の回転から切り離し要素140が破断した後の塞栓デバイス100を示す。塞栓デバイス100は、カテーテル160にも送達ワイヤ150にも接続されなくなり、毛120a、120bおよび/または膜130の固定力によって身体管腔(図示せず)内に定位置で保持される。したがって塞栓デバイス100は完全に展開され、送達ワイヤ150は身体管腔から後退させられる。
【0050】
異なる可能なタイプの切り離し要素について、図4A図4Cを参照して次に説明する。
図4Aは、本開示の一実施形態による切り離し要素140を示す。図4Aの切り離し要素140は、送達ワイヤ150および塞栓デバイス100の軸部110を接続するくびれ部140aを備える。くびれ部は、送達ワイヤ150および塞栓デバイス100の軸部110の径方向範囲のどちらよりも小さい径方向範囲を有する。くびれ部は、送達ワイヤ150にトルクが印加されるとき、大きいねじれを受けやすい。その結果、十分な量のトルクが送達ワイヤ150に印加された後、くびれ部140aは破断し、軸部110は送達ワイヤ150から分離される。くびれ部140aを破断するために必要とされるトルクの量(すなわち、送達ワイヤ150の回転量)は、くびれ部140aの寸法およびくびれ部140aの材料によって決まる。これらの寸法は、送達プロセス中に送達ワイヤ150の回転量が、予期されるデバイスの相対回転量を上回ると(デバイスが送達カテーテルを進む蛇行経路による)、くびれ部140aが剪断するように構成されるように選択することができる。たとえば、切り離し要素は、ナイロン、PTFE、またはコバルトクロムから作ることができ、くびれ部の断面積は、送達要素の断面積の50%以下になるように選択することができる。
【0051】
図4Bは、本開示の別の実施形態による切り離し要素140を示す。図4Bの切り離し要素140は、送達ワイヤ150の材料および軸部110の材料とは異なる材料の部分140bを備える。特に部分140bの材料は、送達ワイヤ150および軸部110の材料より低い剛性を有する材料になるように選択される。したがって、送達ワイヤ150に印加されるいかなるトルクも、部分140bにおいて、より大きなねじれを生じさせる。十分な量のトルクが送達ワイヤ150に印加された後、部分140bは破断し、軸部110は送達ワイヤ150から分離される。部分140bを破断するために必要とされるトルクの量(すなわち、送達ワイヤ150の回転量)は、部分140b、送達ワイヤ150、および軸部110の材料特性によって直接決まる。これらの材料は、送達プロセス中に送達ワイヤ150の回転量が、予期されるデバイスの相対回転量を上回ると(デバイスが送達カテーテルを進む蛇行経路による)、部分140bが剪断するように構成されるように選択することができる。たとえば、部分140bの材料は、ナイロン、PTFE、またはコバルトクロムから選択することができ、送達ワイヤ150および軸部110の材料は、(部分140bの材料が異なるように)ニチノールまたはコバルトクロムから選択することができる。
【0052】
図4Cは、本開示の別の実施形態による切り離し要素140を示す。図4Cの切り離し要素140は、送達ワイヤ150および塞栓デバイス100の軸部110を接続する脆弱構造140cを備える。脆弱構造140cは、脆弱構造140cを破断するために必要とされる剪断力が、送達ワイヤ150および軸部110を破断するために必要とされる剪断力より小さくなるような凹凸を含む。図4Cに示すように、脆弱構造140cは、裂開部(換言すれば、裂け目)とすることができる。裂開部は、送達ワイヤ150および塞栓デバイス100の軸部110の径方向範囲のどちらよりも小さい径方向範囲を有する。脆弱構造140cは、送達ワイヤ150にトルクが印加されるとき、大きいねじれを受けやすい。その結果、十分な量のトルクが送達ワイヤ150に印加された後、脆弱構造140cは破断し、軸部110は送達ワイヤ150から分離される。脆弱構造140cを破断するために必要とされるトルクの量(すなわち、送達ワイヤ150の回転量)は、裂開部、送達ワイヤ150、および軸部110の寸法によって直接決めることができる。これらの相対的な寸法は、送達プロセス中に送達ワイヤ150の回転量が、予期されるデバイスの相対回転量を上回ると(デバイスが送達カテーテルを進む蛇行経路による)、脆弱構造140cが剪断するように構成されるように選択することができる。切り離し要素は、ナイロン、PTFE、またはコバルトクロムから作ることができ、送達ワイヤ150および/または軸部100と同じ材料であっても異なる材料であってもよい。切り離し要素140の断面積は、送達要素の断面積の50%以下になるように選択することができる。
【0053】
さらなる実施形態では、図4A図4Cに示す特徴の組合せを示す。たとえば、送達ワイヤ150および軸部110の材料とは異なる材料を有するくびれ部または脆弱構造を使用することができ、以下同様である。剪断可能要素を破断するために必要とされるトルクの量は、当業者であれば試験によって容易に判定できるはずである。
【0054】
図5Aおよび図5Bに示すように、切り離し要素140は、細長い要素200にくびれ部または裂開部を機械加工または成形することによって製造することができる。切り離し要素140に対する細長い要素200の第1の側を送達要素150と見なすことができ、細長い要素200の反対側を軸部110と見なすことができ、軸部110上に毛120が取り付けられている(毛および塞栓デバイスの任意の他の要素は、切り離し要素の製造前または製造後に、溶接、接着剤、または他の方法によって取り付けることができる)。
【0055】
別法として、図5Cおよび図5Dに示すように、切り離し要素は、別個の要素として製造することができ、細長い要素140のそれぞれの端部は、たとえば接着剤、溶接、または熱収縮性の管によって、塞栓デバイスの軸部110の近位端および送達要素150の遠位端に取り付けられる。
【0056】
さらなる実施形態では、図5Eに示すように、切り離し要素140は、送達要素140の遠位部分を機械加工または成形によって製造することができ、送達要素150および塞栓デバイスの軸部110は、たとえば接着剤、溶接、または熱収縮性の管によって取り付けることができる。別法として、切り離し要素は、塞栓デバイスの軸部の近位部分に作ることもできる。
【0057】
上述した塞栓システムは、
- 軸部110を提供するステップ、
- 送達要素150を提供するステップ、
- 軸部と送達要素150との間に切り離し要素140を提供するステップ、
- 軸部から外方に延びる複数の毛を軸部に取り付けるステップによって製造することができ、毛は、折り畳まれた送達構成および展開構成を有し、展開構成で、毛は軸部から少なくとも径方向外方に延びて管腔内で塞栓デバイスを固定する。
【0058】
切り離し要素140は、図5A図5Eに関して上述した任意の方法で形成することができることに留意されたい。
上述したステップの順序は、必ずしも時間的な順序を示唆するものではないことに留意されたい。たとえば、複数の毛が軸部110に取り付けられる前もしくは後に、または第1の群の毛が軸部100に取り付けられた後であるが第2の群の毛が軸部100に取り付けられる前に、剪断可能要素140を提供し、軸部110および/または送達要素150に接続することもできる。
【0059】
平行な可撓性のワイヤの2つのアーム(たとえば、2つの別個のワイヤ、または2つの平行なアームを形成するように曲げられた1つの連続するワイヤ)を提供し、ワイヤのアーム間に毛を配置し、ワイヤのアームを一端に固定し、ワイヤのアームをねじってワイヤのねじれ間に毛を保持することによって、毛を軸部に取り付けることができる。次いで、ワイヤのアームをともに末端で固定することができる。剪断可能要素140は、ねじり方法によって毛が取り付けられる前に可撓性のワイヤに取り付けられても、毛が取り付けられた後に取り付けられてもよい。
【0060】
別法として、軸部は、管壁を有する管を構成することができ、毛は、管壁を貫通して管から径方向外方に延びるように配置することができる。
以下の表1は、インプラントに対する例示的な寸法を含むが、他の寸法も企図され、可能である。
【0061】
【表1】
【0062】
上記はすべて、完全に本開示の範囲内であり、上述した特徴の1つまたは複数の組合せが適用される代替実施形態のための基本を形成すると見なされ、上記に開示した特有の組合せに限定されるものではない。
【0063】
所定の量の力の印加時に破断するように構成された任意の好適な切り離し要素を使用することができることが、当業者には理解されよう。
これに照らして、本開示の教示を実装する多くの代替手段が存在する。当業者であれば、本技術における一般知識に照らして、上記に開示されたまたは上記から導出できる本開示のいくつかまたはすべての技術的効果を保持しながら、本開示の範囲内でその独自の状況および要件に合うように上記の開示を修正および適合することが可能であることが予期される。すべてのそのような均等物、修正例、または適合例は、本開示の範囲内に入る。
図1
図2A
図2B
図2C
図3
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
【国際調査報告】