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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-26
(54)【発明の名称】低侵襲乳房吊り上げシステム
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/12 20060101AFI20240119BHJP
【FI】
A61F2/12 ZBP
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023542699
(86)(22)【出願日】2022-01-25
(85)【翻訳文提出日】2023-09-11
(86)【国際出願番号】 US2022013634
(87)【国際公開番号】W WO2022164779
(87)【国際公開日】2022-08-04
(31)【優先権主張番号】63/141,743
(32)【優先日】2021-01-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512315555
【氏名又は名称】テファ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】リメム,スカンダー
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアムズ,サイモン,エフ.
【テーマコード(参考)】
4C097
【Fターム(参考)】
4C097AA19
4C097BB01
4C097BB09
4C097CC01
4C097CC05
4C097DD01
4C097EE02
4C097EE03
4C097EE06
4C097EE08
4C097EE09
(57)【要約】
患者の乳房を持ち上げるための乳房固定インプラントは、乳房内において、より耐久性のあるリフトを提供する新しい組織平面をもたらし、及び高脂肪組織量の乳房を持ち上げるのに特に有用である。インプラントは、鈍い剥離を使用して刺切を通して移植され、及び手術時間を短くすると共に、最小限の瘢痕形成で改善された美的外観を提供し得る。インプラントは、一時的なものであるように設計され、及び新しい組織平面が、この再生期間中に支持を大きく失うことなく、持ち上げられた乳房を形成及び支持することを可能にするために十分な強度保持率を有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の端部及び第2の端部を備える、皮膚の下で乳房を囲むようなサイズにされた一体的な長尺状部材を含む乳房インプラント。
【請求項2】
前記部材は、テープ、フィルム、多孔質フィルム、布、編組、編み、織り若しくは不織メッシュ若しくは織物又はもつれがないメッシュである、請求項1に記載の乳房インプラント。
【請求項3】
第1及び第2の端部を備える、皮膚の下で乳房を囲むようなサイズにされた移植可能な一体的な長尺状部材と、
前記長尺状部材に接続され、及び前記部材を少なくとも部分的に取り囲むシースと
を含む乳房固定システム。
【請求項4】
前記シースは、前記部材に融合される、請求項3に記載の乳房固定システム。
【請求項5】
導入器具をさらに含み、前記長尺状部材は、前記長尺状部材を前記導入器具に接続するための取り付け特徴部を含む、請求項3に記載の乳房固定システム。
【請求項6】
前記部材の前記第1及び第2の端部に又はそれに隣接して取り付け特徴部を含み、及び各取り付け特徴部は、前記導入器具に接続される、請求項5に記載の乳房固定システム。
【請求項7】
前記導入器具は、第1の端部及び第2の端部を備える管状セクションと、前記管状セクションの前記第1の端部に取り外し可能に接続されるバレルチップとを含み、及び前記管状セクションの前記第2の端部は、ハンドルに接続され、前記管状セクションは、その長さの少なくとも一部に延びるスリットを含む、請求項5又は6に記載の乳房固定システム。
【請求項8】
前記導入器具の前記管状セクションは、入口開口部をさらに含み、及び前記部材及びシースのアセンブリは、前記管状セクションの前記入口開口部を通して前記導入器具の前記管状セクションに少なくとも部分的に挿入される、請求項7に記載の乳房固定システム。
【請求項9】
前記取り外し可能なバレルチップは、前記部材の前記取り付け特徴部を前記取り外し可能なバレルチップに固定するためのラッチ受けと、先端が鈍い剥離チップ又は切断チップとを含む、請求項7に記載の乳房固定システム。
【請求項10】
ラッチをさらに含み、前記部材の前記取り付け特徴部は、前記部材の前記取り付け特徴部を通して及び前記ラッチ受け内に前記ラッチを挿入することにより、前記導入器具の前記取り外し可能なバレルチップに固定され得る、請求項9に記載の乳房固定システム。
【請求項11】
前記ラッチは、1つ以上のロックピンを含む、請求項10に記載の乳房固定システム。
【請求項12】
前記導入器具は、前記管状セクションの前記第1の端部に対する前記取り外し可能なバレルチップの取り付け及び取り外しのための締結機構を含む、請求項7に記載の乳房固定システム。
【請求項13】
前記締結機構は、前記取り外し可能なバレルチップを前記導入器具の前記管状セクションの前記第1の端部に取り付ける1つ以上の装着ピンと、前記導入器具の前記管状セクションの前記第1の端部から前記取り外し可能なバレルチップを解放するための係合解除ノッチとを含む、請求項12に記載の乳房固定システム。
【請求項14】
前記一体的な長尺状部材は、テープ、フィルム、多孔質フィルム、布、編組、編み、織り若しくは不織メッシュ若しくは織物又はもつれがないメッシュである、請求項3に記載の乳房固定システム。
【請求項15】
前記一体的な長尺状部材は、1種以上のポリマーを含み、前記ポリマーは、以下のモノマー:グリコール酸、乳酸、1,4-ジオキサノン、トリメチレンカーボネート、3-ヒドロキシ酪酸、4-ヒドロキシ酪酸、ε-カプロラクトン、1,4-ブタンジオール、アジピン酸及びコハク酸の1つ以上から合成されるか又はそれを含む、請求項3に記載の乳房固定システム。
【請求項16】
前記一体的な長尺状部材は、1つ以上の締結アンカーをさらに含み、前記締結アンカーは、前記長尺状部材を組織に固定するために使用される、請求項3に記載の乳房固定システム。
【請求項17】
前記一体的な長尺状部材は、(i)少なくとも1kgfの縫合糸引き抜き強度、(ii)0.1~100kgの破裂強度、(iii)少なくとも0.05mmの厚さ、(iv)5~800g/m2の面密度、及び(v)5μm~10mmの細孔径からなる群から選択される少なくとも1つの特性を含む、請求項3に記載の乳房固定システム。
【請求項18】
乳房を持ち上げるか又は締め上げる方法であって、
1つ以上の導入器具及び請求項1又は2に記載の乳房インプラントを提供することと、
前記乳房インプラントが前記皮膚の下で乳房の上極及び下極を囲むように、前記1つ以上の導入器具を使用して前記乳房インプラントを前記乳房に挿入することと、
前記乳房から前記1つ以上の導入器具を除去することと、
前記乳房インプラントを使用して前記乳房を持ち上げるか又は締め上げることと
を含む方法。
【請求項19】
乳房を持ち上げるか又は締め上げる方法であって、
1つ以上の導入器具と、乳房インプラントであって、
第1及び第2の端部を備える、皮膚の下で前記乳房の上極及び下極を囲むようなサイズにされた移植可能な一体的な長尺状部材のアセンブリと、
前記部材の1つ以上の端部の近くで前記部材に接続され、及び前記部材を少なくとも部分的に取り囲む1つ以上のシースと
を含む乳房インプラントとを提供することと、
前記部材が前記皮膚の下で前記乳房の前記上極及び下極を囲むように、前記1つ以上の器具を使用して前記乳房に前記アセンブリを挿入することと、
前記乳房から前記1つ以上の導入器具を除去することと、
前記乳房から前記1つ以上のシースを除去することと、
前記部材を使用して前記乳房を持ち上げるか又は締め上げることと
を含む方法。
【請求項20】
取り付け特徴部を備える前記部材を提供することと、前記取り付け特徴部を導入器具に接続することにより、前記導入器具を使用して前記乳房に前記部材を挿入することとをさらに含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記部材のいずれかの端部に取り付け特徴部を備える前記部材を提供することと、前記取り付け特徴部を1つ以上の導入器具に接続することにより、1つ以上の導入器具を使用して前記乳房に前記部材を挿入することとをさらに含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
第1の端部及び第2の端部を備える管状セクションを備える導入器具を提供することであって、前記管状セクションの前記第1の端部は、取り外し可能なバレルチップに接続され、及び前記管状セクションの前記第2の端部は、ハンドルに接続され、前記管状セクションは、入口開口部を備える、その長さの少なくとも一部に延びるスリットを含む、提供することと、前記乳房に前記部材を移植する前に、前記入口開口部を通して前記導入器具の前記管状セクション内に前記部材及びシースのアセンブリを少なくとも部分的に挿入することとをさらに含む、請求項20又は21に記載の方法。
【請求項23】
前記部材の前記取り付け特徴部を前記取り外し可能なバレルチップに固定するためのラッチ受けと、先端が鈍い剥離チップ又は切断チップとを備える前記取り外し可能なバレルチップを提供することと、前記部材の移植のために、前記先端が鈍い剥離チップ又は切断チップを使用して、前記乳房の前記皮膚の下で前記乳房の前記上極及び下極を囲むチャネルを形成することとをさらに含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記導入器具の前記管状セクションの前記第1の端部に対する前記取り外し可能なバレルチップの取り付け及び取り外しのための締結機構を備える前記取り外し可能なバレルチップを提供することと、前記乳房内への前記アセンブリの挿入後、前記締結機構を使用して前記導入器具から前記バレルチップを取り外すこととをさらに含む、請求項22又は23に記載の方法。
【請求項25】
ラッチを提供することと、前記取り付け特徴部を通して及び前記ラッチ受け内に前記ラッチを挿入して、前記部材を前記導入器具に固定することとをさらに含む、請求項23又は24に記載の方法。
【請求項26】
1つ以上のロックピンを備える前記ラッチを提供することと、前記取り付け特徴部を通して前記ラッチ受け内に前記ピンを挿入することとをさらに含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
テープ、フィルム、多孔質フィルム、布、編組、編み、織り若しくは不織メッシュ若しくは織物又はもつれがないメッシュの形態の前記一体的な長尺状部材を提供することをさらに含む、請求項18~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記一体的な長尺状部材は、1種以上のポリマーを含み、前記ポリマーは、以下のモノマー:グリコール酸、乳酸、1,4-ジオキサノン、トリメチレンカーボネート、3-ヒドロキシ酪酸、4-ヒドロキシ酪酸、ε-カプロラクトン、1,4-ブタンジオール、アジピン酸及びコハク酸の1つ以上から合成されるか又はそれを含む、請求項18又は19に記載の方法。
【請求項29】
前記乳房を持ち上げるか若しくは締め上げた後、前記長尺状部材を組織に貼り付けること又は前記乳房を持ち上げるか若しくは締め上げた後、前記長尺状部材の前記端部を一緒に結ぶことをさらに含む、請求項18又は19に記載の方法。
【請求項30】
請求項3に記載の乳房固定システムを形成する方法であって、編み、織り、編組、押出又はキャスティングによって前記長尺状部材を形成するステップと、前記シースに少なくとも部分的に前記長尺状部材を挿入するステップと、前記シースの端部を前記長尺状部材に接続するステップとを含む方法。
【請求項31】
前記長尺状部材及びシースは、一緒に融合される、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記部材は、前記部材の一方又は両方の端部に1つ又は2つの取り付け特徴部を備えて形成され、及び前記1つ又は2つの取り付け特徴部は、前記部材を1つ又は2つの導入器具に接続するために使用される、請求項30に記載の方法。
【請求項33】
前記1つ又は2つの取り付け特徴部は、前記部材に1つ以上の孔を開けることによって形成される、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記導入器具は、第1の端部及び第2の端部を備える管状セクションと、前記管状セクションの長さの少なくとも一部に延びるスリットとを備え、前記管状セクションの前記第1の端部に取り外し可能なバレルチップを接続し、及び前記管状セクションの前記第2の端部にハンドルを取り付けて形成される、請求項32に記載の方法。
【請求項35】
前記取り外し可能なバレルチップは、先端が鈍い剥離チップ又は切断チップと、前記部材の前記取り付け特徴部を前記取り外し可能なバレルチップに固定するためのラッチ受けとを備えて形成され、及び前記導入器具は、前記管状セクションの前記第1の端部に対する前記取り外し可能なバレルチップの取り付け及び取り外しを可能にするための締結機構を備えて形成される、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記締結機構は、前記導入器具の前記管状セクションの前記第1の端部に前記取り外し可能なバレルチップを取り付けるための1つ以上の装着ピンと、前記導入器具の前記管状セクションの前記第1の端部から前記取り外し可能なバレルチップを解放するための係合解除ノッチとを使用して形成される、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
ラッチを形成することと、前記取り付け特徴部を通して及び前記ラッチ受け内に前記ラッチを挿入することにより、前記部材の前記取り付け特徴部を前記導入器具に接続することとをさらに含む、請求項35に記載の方法。
【請求項38】
前記ラッチは、1つ以上のロックピンを備えて形成される、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記部材及びシースのアセンブリを、前記管状セクションの前記スリットを通して少なくとも部分的に前記導入器具の前記管状セクション内に挿入することをさらに含む、請求項34~38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
前記長尺状部材は、メッシュに編まれ、及び前記メッシュは、もつれがない、請求項30に記載の方法。
【請求項41】
前記長尺状部材は、1種以上のポリマーを含み、前記ポリマーは、以下のモノマー:グリコール酸、乳酸、1,4-ジオキサノン、トリメチレンカーボネート、3-ヒドロキシ酪酸、4-ヒドロキシ酪酸、ε-カプロラクトン、1,4-ブタンジオール及びコハク酸の1つ以上から合成されるか又はそれを含む、請求項30に記載の方法。
【請求項42】
前記一体的な長尺状部材は、(i)少なくとも1kgfの縫合糸引き抜き強度、(ii)0.1~100kgの破裂強度、(iii)少なくとも0.05mmの厚さ、(iv)5~800g/m2の面密度、及び(v)5μm~10mmの細孔径からなる群から選択される少なくとも1つの特性を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項43】
本明細書に記載されるステップのいずれかの組み合わせを含む、乳房を持ち上げるか又は締め上げる方法。
【請求項44】
本明細書に記載される長尺状部材、シース及び導入器具を含む、乳房を持ち上げるか又は締め上げるためのキット。
【請求項45】
本明細書に記載される構成要素のいずれかの組み合わせを含む、乳房を持ち上げるか又は締め上げるためのキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001] 本出願は、2021年1月26日出願の米国仮特許出願第63/141,743号の利益を主張し、その開示は、全体として参照により本明細書に援用される。
【0002】
発明の分野
[0002] 本発明は、概して、低侵襲的に組織及び器官を持ち上げるために使用され得るインプラント及びシステムに関し、特に、乳房固定術を含む美容外科処置で使用され得るインプラント及びシステムに関する。インプラント及びシステムは、リフティング処置中、特に乳房の上極における瘢痕の形成を最小限にするために使用され得る。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
[0003] 体型又は身体の機能を回復又は修正するために、多数の美容外科処置が毎年行われている。これらの処置の多くは、若々しい容姿を回復するか又はさらに現在の容姿を良くしようとするものである。自然要因、例えば加齢及び重力は、若々しい容姿が失われることに寄与する。例えば、皮膚の弛緩、筋緊張の消失及び靱帯が弱くなることは、乳房の下垂(垂れ下がり)につながり得る。形成外科医は、加齢と共に起こり得る、異なる解剖学的構造の下垂を修正するために多くの外科技術を開発してきた。これらの技術は、切開のタイプ、切開の方向、剥離平面、剥離量、組織の再配置の程度、異なるタイプの縫合糸の使用、異なる縫合技術及び異なる固定技術の点で異なる。
【0004】
[0004] 形成外科医は、乳房を持ち上げるためのいくつかの異なる乳房固定術処置を開発してきた。しかしながら、これらの処置は、非常に侵襲的であり得、広範囲に及ぶ剥離を必要とし、目に見える瘢痕を患者に残し得る。例えば、乳輪の周りで切開を行い、乳房の下極において乳輪から乳房下溝線(IMF)まで垂直切開を行うことにより、ロリポップ又は垂直乳房固定術処置が行われる。アンカー又はWise処置は、ロリポップ処置よりもさらに侵襲的な処置であり、ロリポップ処置で使用される垂直切開に加えて、乳房下溝線にわたって切開が行われる。ロリポップ処置及びアンカー処置の両方は、患者の乳房の下極に一生治らない瘢痕を残し得、その点に関して乏しい美容的成果を提供し得る。
【0005】
[0005] 瘢痕形成を最小限にすることを促進する、侵襲性の少ない縫合糸ベースの乳房固定術処置が開発されている。これらは、Benelli乳房固定術を含み、ドーナツ形の乳房皮膚片が、乳輪の外周を辿る内側切開線と、乳輪のさらに外側を円で囲む外側切開線とによって乳輪の周りから切除される。この手法は、瘢痕形成を最小限にするものの、乳房皮膚を乳輪の周囲に戻すように近づけるために使用される、乳輪を囲む縫合糸により、乳房の新しく持ち上げられる実質部の重量の全てが支持されるため、乳輪の相当な引き伸ばし又は組織壊死をもたらし得る。
【0006】
[0006] 一部の外科医は、開放式手術の乳房固定術及び乳房再建処置において、外科用メッシュを使用してリフト処置を補強する試みを行ってきた。これらの技術のいくつかは、ヘルニアの修復に使用されるものと同様の様々な補強材、例えば平らなポリマーメッシュ、同種移植片、異種移植片及び自家移植片の使用も組み込んでいる。しかしながら、下極の皮膚の荷重をシフトさせるアンカリング要素を使用せずに実質部の周りを包む材料は、乳房を、乳房外科手術前に存在したものと同じ下垂力にさらされたままにし得る。
【0007】
[0007] 1981年、Johnsonは、MARLEX(登録商標)(ポリプロピレン)メッシュを第2肋骨の部位に取り付けることにより、乳房固定術後の乳房組織の支持を、皮膚に由来するものから骨格に由来するものに変えるためのそのメッシュの使用について説明した(Johnson, Aesth. Plast. Surg. 5:77-84 (1981))。平らなMARLEXメッシュは、ポリプロピレン製の永久的なメッシュであり、乳房組織を支持する各乳房に2つの吊り器具を提供するために移植された。この処置は、Wise開放式手術の乳房リフトに基づいている。
【0008】
[0008] Auclair及びMitzは、平らな吸収性メッシュ及び乳輪周囲皮膚切除技術を使用するメッシュ支援乳房固定術について説明している(Auclair and Mitz, Ann. Chir. Plast. Esthet. 38:107-113 (1993))。急速に吸収するVICRYL(登録商標)メッシュが乳房腺の前面の周りに配置されて、内部ブラジャーを形成した。処置は、乳房の開放式手術を必要とし、広範囲に及ぶ剥離を伴う。
【0009】
[0009] Goesは、二重皮膚技術を使用する、乳輪周囲乳房形成術におけるポリグラクチン910(90%のグリコリド及び10%のL-ラクチドの吸収性コポリマー、VICRYLとしても公知)及び混合メッシュ(60%のポリグラクチン910及び40%の永久ポリエステルを含む)の使用を報告している(Goes, Plast. Reconstr. Surg. 97:959-968 (1996))。開放式手術技術は、実質部から軟組織エンベロープを剥離することと、乳房実質部をメッシュで包んで、丈夫な接続瘢痕の形成を引き起こすことを促進し、下垂に左右されないであろう乳房内側構造を生じさせることとを含む。
【0010】
[0010] Firmin et al.への米国特許第6,210,439号は、V字形状の開口部が中心から延在し、金属補強ワイヤが周辺に延びる、円形VICRYLメッシュを開示している。インプラントは、侵襲的な開放式手術処置で挿入するように設計され、補強ワイヤが締め付けられると、乳房形成術に好適な円錐形となる。
【0011】
[0011] Frankへの米国特許第7,476,249号は、患者内で乳房インプラントを支持し、位置決めするための移植可能な吊り器具形のプロテーゼ装置を開示しており、この装置は、乳房インプラントを支持するために、化学的に不活性の永久材料、例えばポリテトラフルオロエチレン又はシリコーンのシートから構成される。吊り器具形の装置は、開放式手術による侵襲的な処置で配置するように設計される。
【0012】
[0012] Chen et al.による米国特許出願公開第2009/0082864号も、メッシュ製の乳房インプラントを支持するためのプロテーゼ装置を開示している。この装置は、平らな後壁と、凹状の前壁と、これらの壁間における、滑らかに湾曲した底周辺部を形成する湾曲した移行領域とを有する。装置の挿入は、著しい剥離を伴う開放式手術処置を必要とする。
【0013】
[0013] Codori-Hurff et al.による米国特許出願公開第2008/0097601号は、腸又は真皮に由来する加工された組織材料の使用によって支援される乳房固定術及び乳房再建処置を開示している。組織材料は、三日月形に切られて、乳房固定術のためのインプラントを形成し、侵襲的な開放式手術処置を使用して移植される。
【0014】
[0014] Altmanへの米国特許出願公開第20160038269号は、下部乳房を支持するために、開放式手術を使用して移植され得る様々なシルク織物インプラントを開示している。
【0015】
[0015] Mortarino et al.への米国特許出願公開第20120185041号は、乳房の下極への支持をもたらすために使用され得る編みシルクメッシュを開示している。
【0016】
[0016] Mortarinoへの米国特許出願公開第20130304098号は、乳房再建で使用され得るポケットの形態のシルクインプラントを開示している。
【0017】
[0017] Lauryssenへの国際公開第2009/001293号は、乳房固定術処置で使用され得る、カップ形状に形成されたポリプロピレン及びポリエステルメッシュインプラントを開示している。メッシュは、開放式手術処置で移植されて乳房組織を完全に囲む。
【0018】
[0018] Hamiltonへの国際公開第2004/096098号は、軟組織の支持のために乳房形状に形成され、ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)から作製され、予め決められた乳房形状の形成に使用され得る永久インプラントを開示している。
【0019】
[0019] Lauryssen et al.への国際公開第2006/117622号は、全体的にL字形状又はU字形状であり、乳房の周りに巻かれて支持をもたらす、乳房の軟組織支持のための永久インプラントを開示している。
【0020】
[0020] Van Deventer et al.(Aesth. Plast. Surg. 36:578-89 (2012))は、円錐に形成された部分的に分解性のメッシュを使用する、乳房固定術のための内部乳房支持システムの使用を開示している(van Deventer et al. Aesth. Plast. Surg. 36:578-89 (2012))。メッシュは、開放式手術処置で移植されて、乳房の上極及び下極を完全に囲む。
【0021】
[0021] Felixへの米国特許第9,532,867号は、乳房実質部に適合する乳房手術のための吸収性インプラントを開示している。インプラントは、新しく持ち上げられた乳房実質部を支持し得る。
【0022】
[0022] Youngへの米国特許出願公開第20100023029号は、乳房再建で使用するためのVICRYL製のシートを開示しており、このシートは、シートを患者の解剖学的構造に取り付けるためのいくつかの取り付け領域を備える。装置は、組織拡張器又はインプラントを部分的に覆い、拘束するために使用され得る。
【0023】
[0023] Popovへの国際公開第2007004214号は、乳房の下極を支持するためのバスケット状の装置を開示している。装置は、開放式手術を使用して移植されるように設計される。
【0024】
[0024] 乳房自体の筋膜支持システム、乳房下縁にある靭帯を模倣することにより、開放式手術の乳房固定術処置を行うためのいくつかの装置が説明されている。
【0025】
[0025] Rehnkeへの米国特許出願公開第2017/0224471号は、乳房を持ち上げるために、乳房下縁にある靭帯が引き伸ばされたか又は弱くなったときに使用され得る巾着縫合糸を備える円形の管状部材を開示している。装置は、開放式手術処置で挿入されて、乳房下縁にある靭帯を締め付ける。装置は、胸筋の上において乳房腺の後ろ側に配置され、乳房下縁にある靭帯に留められ、巾着縫合糸を使用してより小さい直径に締め上げられる。締め上げることにより、乳房の基部のフットプリントを狭くし、乳房を集めて、患者の胸でより高い又はより隆起した位置にする。
【0026】
[0026] Leeへの米国特許出願公開第2017/0231753号は、乳房組織の円周を網羅するために、開放式手術を使用して乳房の下の胸筋に配置される材料であって、乳房の上方の材料を引き伸ばして固定し、乳房組織を高くするために、乳房の内側及び外側にある胸の筋肉組織に材料を取り付ける、材料を開示している。
【0027】
[0027] 吊り器具を使用して低侵襲的に乳房固定術処置を行うためのいくつかの装置が説明されている。
【0028】
[0028] Guttermanによる米国特許出願公開第2008/0027273号は、軟組織支持吊り器具を有する低侵襲乳房固定システムを開示している。装置は、吊り器具を使用して上極領域から乳房を吊り上げることにより、支持をもたらすように設計される。
【0029】
[0029] Moses et al.米国特許出願公開第2012/0283826号は、挿入装置、吊り上げストラット及び下極支持部を有する低侵襲乳房固定システムを開示している。下極支持部は、乳房を持ち上げるための吊り器具として乳房の下極の真下に挿入される。
【0030】
[0030] Cohenへの米国特許出願公開第20100217388号は、乳房の軟組織を形作るための下地枠部材を開示している。下地枠部材は、吊り器具の機能を果たし、乳房の下極を持ち上げるために移植される。
【0031】
[0031] Shfaram et al.への米国特許第7,670,372号は、低侵襲乳房リフティングシステムを開示している。このシステムは、1つ以上の吊り上げ部材と、乳房の下極の下側に配置される下地枠部材とを組み込む。下地枠部材は、吊り上げ部材に接続され、乳房を持ち上げるために吊り器具の機能を果たす。
【0032】
[0032] Lashinski et al.による米国特許出願公開第2010/0331612号、Bishop et al.への米国特許出願公開第2008/0082113号及びSaint et al.への米国特許出願公開第2009/0248071号は、乳房を支持するために上位に導入される吊り器具及び軟組織アンカーを含む、低侵襲乳房固定術を行うための装置を開示している。Martin et al.への米国特許出願公開第2012/0053689号は、これらの装置で使用するためのPHA繊維を開示している。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0033】
発明の概要
[0033] 本明細書で説明するインプラント及びシステムは、見た目が良い形状を提供するために外科医が乳房を再形成するか、再配置するか又は持ち上げることを支援する。
【0034】
[0034] いくつかの態様では、インプラントが提供される。いくつかの実施形態では、乳房インプラントは、第1の端部及び第2の端部を備える、皮膚の下で乳房を囲むようなサイズにされた一体的な長尺状部材を含み得る。
【0035】
[0035] いくつかの態様では、乳房固定システムが提供される。いくつかの実施形態では、乳房固定システムは、第1及び第2の端部を備える、皮膚の下で乳房を囲むようなサイズにされた移植可能な一体的な長尺状部材と、長尺状部材に接続され、及び部材を少なくとも部分的に取り囲むシースとを含む。
【0036】
[0036] いくつかの態様では、方法が提供される。いくつかの実施形態では、乳房を持ち上げるか又は締め上げる方法は、1つ以上の導入器具及び乳房インプラントを提供することと、乳房インプラントが皮膚の下で乳房の上極及び下極を囲むように、1つ以上の導入器具を使用して乳房インプラントを乳房に挿入することと、乳房から1つ以上の導入器具を除去することと、乳房インプラントを使用して乳房を持ち上げるか又は締め上げることとを含む。
【0037】
[0037] いくつかの態様では、方法が提供される。いくつかの実施形態では、乳房を持ち上げるか又は締め上げる方法は、1つ以上の導入器具と、乳房インプラントであって、第1及び第2の端部を備える、皮膚の下で乳房の上極及び下極を囲むようなサイズにされた移植可能な一体的な長尺状部材のアセンブリと、部材の1つ以上の端部の近くで部材に接続され、及び部材を少なくとも部分的に取り囲む1つ以上のシースとを含む乳房インプラントとを提供することを含む。方法はまた、部材が皮膚の下で乳房の上極及び下極を囲むように、1つ以上の器具を使用して乳房にアセンブリを挿入することと、乳房から1つ以上の導入器具を除去することと、乳房から1つ以上のシースを除去することと、部材を使用して乳房を持ち上げるか又は締め上げることとを含む。
【0038】
[0038] いくつかの態様では、方法が提供される。いくつかの実施形態では、乳房を持ち上げるか又は締め上げる方法は、本明細書に記載されるステップのいずれかの組み合わせを含む。
【0039】
[0039] いくつかの態様では、キットが提供される。いくつかの実施形態では、乳房を持ち上げるか又は締め上げるためのキットは、本明細書に記載される長尺状部材、シース及び導入器具を含む。
【0040】
[0040] いくつかの態様では、キットが提供される。いくつかの実施形態では、乳房を持ち上げるか又は締め上げるためのキットは、本明細書に記載される構成要素のいずれかの組み合わせを含む。
【0041】
[0041] これらの利点並びに本発明の他の目的及び利点は、添付図面と一緒に以下の詳細な説明から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
図面の簡単な説明
図1】[0042]シース3によって部分的に覆われた長尺状部材2のアセンブリ及び2つの導入器具4を備える、低侵襲乳房リフトのための乳房固定システム1を示し、導入器具は、シース被覆長尺状部材のアセンブリの対向端部が装填されている。
図2A】[0043]図1に示す乳房固定システムを使用して低侵襲乳房固定術リフトを行うためのステップを示す。患者の乳房10の輪郭及びNAC11、第1の切開部14を通した乳房固定システム13の第1の導入器具12の挿入を示す。矢印15は、第1の導入器具が、乳房の皮膚の下で乳房の片側を囲むために乳房内で前進される方向を示す。
図2B】[0043]図1に示す乳房固定システムを使用して低侵襲乳房固定術リフトを行うためのステップを示す。患者の乳房20の輪郭及びNAC21、乳房内に挿入した後の乳房固定システム23の第1の導入器具22の位置並びに矢印26で示す方向に導入器具を動かすことにより、第1の導入器具の取り外し可能なバレルチップ25が乳房を出る第2の切開部24の箇所を示す。
図2C】[0043]図1に示す乳房固定システムを使用して低侵襲乳房固定術リフトを行うためのステップを示す。患者の乳房30の輪郭及びNAC31、乳房の第2の切開部33を通して体外に出された第1の導入器具の取り外し可能なバレルチップ32の位置、第1の導入器具の除去後(図2Bに示す)の、シースによって覆われた長尺状部材のアセンブリが第1の切開部から第2の切開部まで乳房の皮膚の下で乳房を囲んでいる状態のアセンブリの位置34並びに患者の乳房の他方の側への挿入準備が整っている、長尺状部材の残りの部分が装填された第2の導入器具35を示す。
図2D】[0043]図1に示す乳房固定システムを使用して低侵襲乳房固定術リフトを行うためのステップを示す。患者の乳房40の輪郭及びNAC41、第1の切開部43を通して挿入した後の、乳房の皮膚の下で乳房を囲む第2の導入器具42の位置並びに導入器具を矢印46によって示す方向に動かすことにより、第2の切開部45を通して乳房を出ることを目的とする第2の導入器具の取り外し可能なバレルチップ44を示す。
図2E】[0043]図1に示す乳房固定システムを使用して低侵襲乳房固定術リフトを行うためのステップを示す。長尺状部材52が乳房の皮膚の下で乳房を囲み、長尺状部材の端部53が第2の切開部54を通して乳房から露出させている状態の患者の乳房50の輪郭及びNAC51を示す。上方向に向いている矢印55は、乳房を持ち上げるために長尺状部材の端部53を引っ張るための方向を示す。
図3】[0044]乳房固定術のための例示的なシステム60の分解図を示す。このシステムの組み立て図が図1に示されている。システムは、第1の端部61a及び第2の端部61bを備える長尺状部材61、2つのシース62、2つの導入器具63並びに長尺状部材61及びシース62のアセンブリを取り外し可能なバレルチップ65に接続するためのラッチ64を示す。図3の詳細Wは、シース62のC字形状の横断面67の図を示す。図3の詳細Vは、長尺状部材の多孔質構造68を示す、長尺状部材61の拡大図を示す。
図4】[0045]長尺状部材71及びシース72のアセンブリの分解等角図70を示す。長尺状部材71及びシース72のアセンブリの融合端部73の構造を示す。詳細Tは、シース72の横断面構造を示す。詳細Uは、長尺状部材の拡大した細孔74を示す。長尺状部材及びシースの融合端部73は、穿孔75が設けられて示されている。
図5】[0046]シースに取り囲まれた長尺状部材のアセンブリ81が装填される導入器具80を示す。詳細Iは、長尺状部材82及びシース83を示すアセンブリ81の横断面の拡大図を示す。導入器具80は、ハンドル84、取り外し可能なバレルチップ85並びに第1の端部87及び第2の端部88を備える管状セクション86を示す。管状セクション86の第1の端部87は、取り外し可能なバレルチップ85に接続して示され、管状セクション86の第2の端部88は、ハンドル84に接続して示される。詳細Kは、ユニバーサルグリップを備えるハンドルの拡大図89を示す。アセンブリ81の挿入及び除去を可能にする寸法にされたスリット90が導入器具80の管状セクションに示されている。詳細Jは、スリット91及び管状セクション92を示す、導入器具の管状セクションの拡大図である。導入器具80の入口開口部93が示されており、ここで、アセンブリ81が導入器具80の管状セクション86に挿入される。詳細Hは、長尺状部材及びシースのアセンブリが入口開口部を通して挿入される入口開口部93の拡大図である。詳細Cは、取り外し可能なバレルチップの切れ刃95の拡大図である。詳細Fは、長尺状部材及びシースのアセンブリの端部の融合によって形成された取り付け特徴部(図示せず)を受け入れるようなサイズにされた取り外し可能なバレルチップのラッチ受け96の拡大図である。
図6】[0047]長尺状部材及びシースのアセンブリ101が装填される導入器具100の分解等角図を示す。詳細Mは、導入器具の管状セクションの第1の端部103に取り付けられた取り外し可能なバレルチップ102及び取り外し可能なバレルチップの鋭い切れ刃104の拡大図を示す。詳細Mは、長尺状部材及びシースを融合することによって形成された取り付け特徴部106で終端する、長尺状部材及びシースのアセンブリ105並びに取り付け特徴部106の穿孔109を通過するようなサイズにされたロックピン108を備えるラッチ107も示す。取り外し可能なバレルチップ102は、ロックピン108を受け入れるようなサイズにされた2つの窪んだ穴111を含むラッチ受け110を備えて示されている。ラッチ107のクリップ112は、アセンブリ101を移植するために取り付け特徴部106を取り外し可能なバレルチップ102に固定し、アセンブリの移植後に除去することを可能にするように、ラッチ受け110の窪んだ特徴113に係合するようなサイズにされる。
図7A】[0048]乳房固定術処置に使用するのに好適な導入器具120の側面図を示す。
図7B】[0048]Q-Qによって示す軸に沿った、図7Aに示す導入器具の縦断面図を示す。管状セクション121、管状セクションのルーメン122及び導入器具の取り外し可能なバレルチップ123の縦断面図を示す。
図7C】[0048]図7Cに示す詳細Rは、締結機構によって導入器具126の管状セクションの第1の端部125に締結された取り外し可能なバレルチップ124の縦断面図を示す。締結機構は、導入器具126の管状セクションの第1の端部125に挿入するようなサイズにされる、取り外し可能なバレルチップに位置する装着ピン127と、装着ピン127を解放することにより、導入器具126の管状セクションの第1の端部125から取り外し可能なバレルチップ124を解放するための係合解除ノッチ128とを備えて示されている。取り外し可能なバレルチップ124は、長尺状部材及びシースのアセンブリ(図示せず)の取り付け特徴部(図示せず)を挿入するためのルーメン129も設けられて示されている。詳細Rは、2つのロックピン131が取り外し可能なバレルチップ124のラッチ受け132に挿入された状態のラッチ130も示す。取り外し可能なバレルチップ124は、鈍い剥離チップ133を備えて示されている。
図8A】[0049]長尺状部材及びシースのアセンブリ141が装填される導入器具140の前面図を示す。
図8B】[0049]図8Aに示す矢印の方向における、軸O-Oに沿って示す導入器具の断面を示す。導入器具の管状セクション142、管状セクション142の第1の端部144に接続された取り外し可能なバレルチップ143、導入器具の管状セクション142にあるスリット145及びC字形状に折り重ねられた、長尺状部材及びシースのアセンブリ147を取り囲む管状セクションの横断面146を示す。
図8C】[0049]図8Bに示す詳細Pの拡大図を示す。図8Cに示す詳細Pは、C字形状を備える導入器具の管状セクション148、導入器具の管状セクションのスリット149及び導入器具の管状セクション148内でC字形状に形成された、長尺状部材151を包むシース150の断面図を示す。長尺状部材151を包むシース150は、管状セクション148内でC字形状に形成される。
図9】[0050]導入器具160の湾曲した管状セクション163の第1の端部162に接続された取り外し可能なバレルチップ161、直線の管状セクション166の第1の端部165に接続された湾曲した管状セクション163の第2の端部164及びハンドル168に接続された直線の管状セクションの第2の端部167を備える導入器具160を示す。取り外し可能なバレルチップ161は、切断チップ又は鈍い剥離チップ169を取り付けられている。
図10】[0051]乳房に長尺状部材を固定するための締結アンカー(172)を備える長尺状部材(171)で作製された、乳房固定術のためのインプラント(170)を示す。締結アンカー(172)は、T字状キャップピン(173)と、T字状キャップピン(173)及び長尺状部材(171)に接続されたアーム(174)とを備えて形成されたT字形状で示されている。
【発明を実施するための形態】
【0043】
発明の詳細な説明
[0052] 本発明者らは、上述した進歩にも関わらず、ほとんどの乳房固定術処置が、特に処置の直後の時期において、目立つ一生治らない瘢痕を乳房に残す長い外科的切開部を設ける開放式外科的処置を必要とすることを認識した。これらの瘢痕により、患者は、処置の美的な結果に不満を感じ、処置が患者の期待を満たさなかったという失望した状態のままになり得る。さらに、説明した処置は、一般的に、乳房の下極における組織平面の広範囲に及ぶ剥離と、下極を持ち上げるか又は形作るための吊り器具又は他の構造の挿入とを含む。これらの既存の処置における広範囲に及ぶ剥離は、通常、全身麻酔の使用及び長い回復時間を必要とする。
【0044】
[0053] いくつかの実施形態では、乳房固定術のためのインプラント及びシステムは、開放式手術、大きい切開部並びに組織の広範囲に及ぶ剥離及び操作を用いることなく、規定された見た目が良い結果をもたらすために使用され得、これは、乳房、特に乳房の上極での一生治らない瘢痕の形成を最小限にする。特に、瘢痕を残す外科的切開の使用、組織平面の剥離、過剰な皮膚の除去及び切開部を閉じるための縫合糸の使用を回避するために使用され得る乳房固定術のためのインプラント及びシステムを提供することが望ましいであろう。特に、小さい刺切を通して移植され得る乳房固定インプラントを提供することが望ましいであろう。そのような処置は、手術時間を短くし、全身麻酔の必要性を減らし得る。後者は、開放式外科的処置に関連付けられる全身麻酔及び長い回復時間に関連付けられる潜在的なリスクを排除するだけでなく、特に上述したもののようなより侵襲的な処置を遅らせることを好み得る一部の若い患者に対して、より魅力的で単純な乳房固定術処置も提供する。脂肪性乳房、すなわち低濃度乳房組織の患者(そのような乳房に存在する脂肪組織量が多いために乳房組織を持ち上げることがより難しい)に使用され得る低侵襲乳房固定術のためのインプラント及びシステムを提供することも望ましい場合がある。
【0045】
[0054] 本発明を詳細に説明する前に、本発明は、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、説明する本発明に対する様々な変更形態又は修正形態がなされ得、均等物が代わりとなり得るため、本明細書で説明する特定の変形形態に限定されないことを理解されたい。本開示を読むことで当業者に明らかであるように、本明細書で説明され、示される個々の実施形態のそれぞれは、本発明の範囲又は趣旨から逸脱することなく、他のいくつかの実施形態のいずれかの特徴と簡単に分離されるか又は組み合わされ得る別々の構成要素及び特徴を有する。さらに、本発明の1つ又は複数の目的、趣旨又は範囲に対する特定の状況、材料、組成物、プロセス、プロセスの1つ若しくは複数の行為又は1つ若しくは複数のステップに適応させるために、多くの修正形態がなされ得る。そのような修正形態の全ては、本明細書の特許請求の範囲内にあるものとする。
【0046】
[0055] 本明細書で説明される方法は、論理的に可能である、説明した事象のいずれかの順序及び説明した事象の順序で実施され得る。さらに、ある範囲の値が提供される場合、その範囲内の上限と下限との間の全ての中間値及びその述べた範囲内の任意の他の述べた値又は中間値が本発明内に含まれることが理解される。説明される本発明の変形形態のいずれの任意選択的な特徴も、独立して又は本明細書で説明する特徴のいずれか1つ以上と組み合わせて説明及び特許請求され得ると考えられる。
【0047】
[0056] 本明細書で述べる全ての既存の主題(例えば、刊行物、特許、特許出願及びハードウェア)は、その主題が本発明の主題と矛盾し得ることがない限り(その場合、本明細書で提示されることが優先する)、全体として参照により本明細書に援用される。
【0048】
[0057] 単数形の項目への言及は、同じ項目が複数存在する可能性を含む。より具体的には、本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用されるような単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、「前記」及び「その」は、文脈上明白に他の意味を指示する場合を除いて、複数の指示対象を含む。特許請求の範囲は、いずれの任意選択的な要素も除外するように起草され得ることにさらに留意されたい。そのようなものとして、この記述は、特許請求される要素の列挙又は「否定的」な限定の使用に関連する、「単に」、「のみ」などの排他的な用語の使用に関する先行する記載の機能を果たすものとする。
【0049】
[0058] 実施形態では、乳房固定術のためのインプラント及びシステムは、瘢痕の形成を最小限にし、手術時間を短くし、患者の回復時間を短くするように設計される。インプラントは、鈍い剥離を使用して、1つ以上の小さい開口部を通して患者の乳房に移植され得る。乳房固定術のためのインプラント及びシステムは、三日月形乳房固定術、ドーナツ(又はBenelli)乳房固定術、ロリポップ(又は垂直)乳房固定術及びアンカー(又はWeiss若しくはWise)乳房固定術のような従来の外科的アプローチを使用することを回避し、これらの全ては、通常、乳房に乳房固定インプラントを挿入するための患者の組織の除去と併せて、広範囲に及ぶ外科的切開を必要とする。実施形態では、インプラントは、乳房の下極にある単一の開口部又は乳房の上極にある単一の開口部を通して移植される。実施形態では、乳房固定術のためのインプラントは、乳房の下極に1つの開口部及び乳房の上極に1つの開口部を形成することによって移植される。
【0050】
[0059] 実施形態では、乳房固定術のためのインプラント及びシステムは、第1の端部及び第2の端部を備える、乳房の皮膚の下で乳房を囲むようなサイズにされた一体的な長尺状部材を含む。実施形態では、長尺状部材は、乳房の皮膚の下で乳房の上極及び下極を囲むようなサイズにされる。乳房に移植後、長尺状部材に力が加えられて、乳房を持ち上げ得るか又は締め上げ得る。実施形態では、長尺状部材の端部は、乳房を持ち上げた後、長尺状部材の端部を組織に貼り付けることによって固定される。実施形態では、長尺状部材の端部は、乳房を持ち上げた後、長尺状部材の端部を一緒に結ぶか又は長尺状部材の端部を接続することによって固定される。
【0051】
[0060] 実施形態では、乳房固定術のためのインプラント及びシステムは、最小限の外科的な介入での使用のために設計される。実施形態では、インプラントは、刺切及び鈍い剥離を使用して乳房に移植される。実施形態では、インプラントは、全身麻酔を使用しない移植のために設計される。
【0052】
[0061] インプラントの長尺状部材の長さ及び表面積は、持ち上げられた組織の荷重を分散させて、局所的にしないようにすることを可能にする。長尺状部材による荷重の分散は、乳房リフトを維持し、その後の下垂を防止することを促進する。長尺状部材は、乳房が脂肪性乳房組織、すなわち低濃度乳房組織を含むとき及び脂肪性乳房組織内に縫合糸を確実に保持できないとき、患者の乳房を持ち上げるのに特に有用である。
【0053】
[0062] 特に、インプラントの長尺状部材は、乳房の内側及び外側で組織に留められる支持ラインを備える吊り器具ではない。代わりに、長尺状部材は、乳房の皮膚の下で乳房を囲み、乳房を持ち上げるように設計される。長尺状部材は、組織に長尺状部材の端部を留めるか、又は乳房を締め上げるために長尺状部材の端部を一緒に結ぶかのいずれかによって乳房に固定され得る。
【0054】
[0063] インプラントは、組織の内方成長を促すように設計される。実施形態では、インプラントの長尺状部材は、多孔質である。実施形態では、長尺状部材は、布又は織物を含む。実施形態では、インプラントの長尺状部材は、メッシュ、編みメッシュ、かぎ針編みメッシュ、織りメッシュ、不織メッシュ、テープ、編組及びフィルム又は多孔質フィルムを含む。実施形態では、インプラントの長尺状部材は、もつれがないメッシュを含む。実施形態では、インプラントの長尺状部材は、モノフィラメントを含む。実施形態では、インプラントの長尺状部材は、配向されたモノフィラメントを含む。実施形態では、長尺状部材の配向されたモノフィラメントは、再吸収性である。実施形態では、長尺状部材の繊維の平均直径は、0.02mm~0.7mm、0.05mm~0.25mm、0.07mm~0.175mm及び/又は任意の他の好適な範囲の直径である。
【0055】
[0064] 実施形態では、インプラントの長尺状部材は、再吸収性である。実施形態では、長尺状部材は、1種以上の再吸収性ポリマーを含む。実施形態では、長尺状部材は、持ち上げられた乳房組織に対する支持を失うことなく、長尺状部材から新しい組織に乳房の支持を移行することを可能にする十分な長さにおいてインビボで強度を保持する。実施形態では、長尺状部材は、乳房への移植12週間後、その初期強度の少なくとも15%、その初期強度の少なくとも30%及び/又はその初期強度の少なくとも50%を保持する。実施形態では、長尺状部材は、乳房を持ち上げるか又は締め上げる一時的な足場の機能を果たし、乳房に初期の支持をもたらすが、時間が経つにつれて分解して、宿主組織に取って代わられる。
【0056】
[0065] 実施形態では、インプラントの長尺状部材は、少なくとも5N、少なくとも10N又は少なくとも60Nの荷重に耐えることができる。実施形態では、インプラントの長尺状部材は、500N未満の荷重に耐えることができる。
【0057】
[0066] 実施形態では、インプラントの長尺状部材は、少なくとも1N又は少なくとも10Nの破裂力に耐えることができる。実施形態では、長尺状部材は、1,000N未満の破裂力に耐えることができる。
【0058】
[0067] 実施形態では、インプラントの長尺状部材は、以下の特性の少なくとも1つを有し得る:(i)少なくとも1kgfの縫合糸引き抜き強度、(ii)0.1~100kg、1~50kg、5~100kg、10~50kgの破裂強度及び/又は任意の他の好適な破裂強度、(iii)0.05mmの厚さ、(iv)5~800g/m、10~1000g/m、20~500g/m、5~1000g/m、10~100g/m、200~800g/mの面密度及び/又は任意の他の好適な面密度、並びに(v)5μm~10mm、10μm~1mm、100μm~10mm、10μm~100μmの細孔径及び/又は任意の他の好適な細孔径。いくつかの実施形態では、インプラントの長尺状部材は、以下の特性の少なくとも1つを有し得る:(i)1kgf~20kgfの縫合糸引き抜き強度、(ii)1~50kg又は10~50kgの破裂強度、(iii)0.1~1mm、0.5~2mm、0.1~0.5mmの厚さ及び/又は任意の他の好適な厚さ、(iv)100~300g/mの面密度、並びに(v)100μm~1mmの細孔径。
【0059】
[0068] いくつかの実施形態では、インプラントの長尺状部材の破裂強度は、0.6~90N/cm及び/又は1.2~30N/cmであり得る。実施形態では、インプラントの長尺状部材は、以下の特性の少なくとも1つを有し得る:(i)0.1~100kg、1~50kg、5~100kg、10~50kgの破裂強度及び/又は任意の他の好適な破裂強度、(ii)少なくとも1kgfの縫合糸引き抜き強度、(iii)0.1~100kgの破裂強度、(iv)0.05~5mm、0.1~1mm、0.1~0.5mmの厚さ及び/又は任意の他の好適な厚さ、(v)5~800g/m、10~1000g/m、20~500g/m、5~1000g/m、10~100g/m、200~800g/mの面密度及び/又は任意の他の好適な面密度、並びに(vi)5μm~10mm、10μm~1mm、100μm~10mm、10μm~100μmの細孔径及び/又は任意の他の好適な細孔径。
【0060】
[0069] 実施形態では、インプラントの長尺状部材は、織物、メッシュ又は布を含み、織物、メッシュ又は布は、以下の特性の少なくとも1つを有し得る:(i)少なくとも1kgfの縫合糸引き抜き強度、(ii)0.1~100kg、1~50kg、5~100kg、10~50kgの破裂強度及び/又は任意の他の好適な破裂強度、(iii)0.05mmの厚さ、(iv)5~800g/m、10~1000g/m、20~500g/m、5~1000g/m、10~100g/m、200~800g/mの面密度及び/又は任意の他の好適な面密度、並びに(v)5μm~10mm、10μm~1mm、100μm~10mm、10μm~100μmの細孔径及び/又は任意の他の好適な細孔径。いくつかの実施形態では、インプラントの長尺状部材は、織物、メッシュ又は布を含み、織物、メッシュ又は布は、以下の特性の少なくとも1つを有し得る:(i)1kgf~20kgfの縫合糸引き抜き強度、(ii)1~50kg又は10~50kgの破裂強度、(iii)0.1~1mm、0.5~2mm、0.1~0.5mmの厚さ及び/又は任意の他の好適な厚さ、(iv)100~300g/mの面密度、並びに(v)100μm~1mmの細孔径。
【0061】
[0070] 実施形態では、インプラントの長尺状部材は、ポリ-4-ヒドロキシブチレート(P4HB)又はそのコポリマーを含む。実施形態では、インプラントの長尺状部材は、ポリ(ブチレンサクシネート)(PBS)又はそのコポリマーを含む。実施形態では、インプラントの長尺状部材は、ポリジオキサノンを含む。実施形態では、インプラントの長尺状部材は、織物、布又はメッシュ、モノフィラメントで作製され、及び/又は配向されたモノフィラメントで作製されたモノフィラメント織物、メッシュ又は布の形態のP4HB若しくはそのコポリマー、PBS若しくはそのコポリマー又はポリジオキサノンを含む。実施形態では、長尺状部材は、1種以上のポリマーを含み、1種以上のポリマーは、以下のモノマー:グリコール酸、乳酸、1,4-ジオキサノン、トリメチレンカーボネート、3-ヒドロキシ酪酸、4-ヒドロキシ酪酸、ε-カプロラクトン、1,4-ブタンジオール、アジピン酸及びコハク酸の1つ以上から合成されるか又はそれを含み得る。
【0062】
[0071] 実施形態では、乳房固定術のためのシステムは、第1の端部及び第2の端部を備える、乳房の皮膚の下で乳房を囲むようなサイズにされたインプラントの一体的な長尺状部材と、部材に接続され、及び部材を少なくとも部分的に取り囲むシースとを含む。実施形態では、インプラントの長尺状部材は、乳房の皮膚の下で乳房の上極及び下極を囲むようなサイズにされる。実施形態では、シースの端部は、長尺状部材の一方の端部に接続されて、長尺状部材及びシースのアセンブリを形成する。実施形態では、シースの端部は、長尺状部材の一方の端部と融合されて、アセンブリを形成する。実施形態では、長尺状部材に融合されたシースのアセンブリは、長尺状部材を含むインプラント及びシースのアセンブリを導入器具に接続するための取り付け特徴部をさらに含む。実施形態では、取り付け特徴部は、長尺状部材がシースと融合する領域に穿孔された1つ以上の孔を含む。実施形態では、長尺状部材及びシースのアセンブリの取り付け特徴部は、導入器具に接続される。実施形態では、導入器具は、第1の端部及び第2の端部を備える管状セクションを含み、管状セクションの第1の端部は、取り外し可能なバレルチップに接続され、管状セクションの第2の端部は、ハンドルに接続され、管状セクションは、その長さの少なくとも一部に延びるスリットを含む。実施形態では、管状セクションのスリットは、長尺状部材及びシースのアセンブリの少なくとも一部を受け入れるようなサイズにされる。実施形態では、導入器具の管状セクションの少なくとも一部の横断面は、導入器の管状セクションの内部において、長尺状部材を含むインプラントを挿入可能にするようなサイズにされた空洞が設けられたC字形状を有する。実施形態では、長尺状部材を含むインプラント及びシースのアセンブリの横断面の少なくとも一部は、C字形状に形成されるか又は折り重ねられて、導入器の管状セクションの少なくとも一部に収まるようにする。実施形態では、導入器具は、ラッチ受けが設けられた取り外し可能なバレルチップをさらに含み、長尺状部材及びシースのアセンブリの取り付け特徴部を取り外し可能なバレルチップに固定する。実施形態では、乳房固定術のためのシステムは、ラッチをさらに含み、ラッチは、インプラントの長尺状部材及びシースの取り付け特徴部を取り外し可能なバレルチップのラッチ受けに固定するために使用され得る。実施形態では、ラッチは、1つ以上のロックピンを含み、ロックピンは、取り付け特徴部にある1つ以上の孔を通して挿入され得る。実施形態では、導入器具は、導入器具の管状セクションの第1の端部に対して取り外し可能なバレルチップを取り付けるか又は取り外すことを可能にする締結機構を含む。実施形態では、締結機構は、取り外し可能なバレルチップを導入器具の管状セクションの第1の端部に取り付ける1つ以上の装着ピンと、導入器具の管状セクションの第1の端部から取り外し可能なバレルチップを解放するための係合解除ノッチとを含む。実施形態では、取り外し可能なバレルチップは、先端が鈍い剥離チップ又は切断チップを含む。実施形態では、導入器具の管状セクションは、入口開口部をさらに含む。実施形態では、入口開口部は、導入器具の管状セクションの第2の端部の近くに位置する。実施形態では、乳房固定システムは、長尺状部材を含むインプラント及びシースのアセンブリを少なくとも部分的に導入器具の管状セクションに、任意選択的に導入器具の管状セクションに設けられた入口開口部を通して挿入することによって構築される。実施形態では、乳房固定システムは、(i)導入器具の管状セクションの第2の端部の近くに位置決めされた入口開口部を通してアセンブリの融合セクションを挿入し、(ii)導入器具の管状セクションの第1のセクションから出るまで、管状セクション内の融合セクションを導入器具の管状セクションの第1の端部に向かって前進させ、(iii)導入器具の管状セクションの第1の端部に取り付けられる取り外し可能なバレルチップのラッチ受けにアセンブリの融合セクションを挿入し、及び(iv)アセンブリの取り付け特徴部を通してラッチのロックピンを挿入し、ラッチ受けにラッチを固定して、取り外し可能なバレルチップに融合セクションを留めることによって構築される。
【0063】
[0072] 実施形態では、乳房固定システムは、1つ又は2つの締結アンカーを含む長尺状部材を含むインプラントを含む。締結アンカーは、乳房が持ち上げられた後、長尺状部材を適所に留めるように設計される。実施形態では、締結アンカーは、縫合糸を受け入れるようなサイズにされた孔を含み得る。縫合糸は、孔を通され、長尺状部材を適所に固定するために締結アンカーを組織に留めるために使用され得る。締結アンカーは、長尺状部材の一方又は両方の端部の近くで長尺状部材の両端部から約2~10cmに位置する。実施形態では、締結アンカーは、T字形状を有する。実施形態では、締結アンカーは、縫合糸を受け入れるようなサイズにされた孔を含むT字状キャップピン及びT字状キャップピンを長尺状部材に接続する2つのアームで形成される。
【0064】
[0073] 実施形態では、乳房固定システムは、2つの同一の導入器及びインプラントの1つの長尺状部材を含み、長尺状部材は、1つ以上のシースによって少なくとも部分的に取り囲まれ、長尺状部材は、各端部に長尺状部材及びシースの融合セクションを含み、これは、各導入器の第1の端部で取り外し可能なバレルチップに留められ得る。
【0065】
[0074] 実施形態では、インプラントの長尺状部材は、織物、テープ、リボン、フィルム、多孔質フィルム、布、編みメッシュ、織りメッシュ又はもつれがないメッシュを含む。実施形態では、長尺状部材は、1種以上のポリマーを含む。実施形態では、1種以上のポリマーは、グリコール酸、乳酸、1,4-ジオキサノン、トリメチレンカーボネート、3-ヒドロキシ酪酸、4-ヒドロキシ酪酸、ε-カプロラクトン、1,4-ブタンジオール、アジピン酸及びコハク酸の群から選択される1種以上のモノマーを含む。
【0066】
[0075] 実施形態では、(i)長尺状部材が乳房の皮膚の下で乳房の上極及び下極を囲むように、1つ以上の導入器具と、乳房において乳房の上極及び下極を囲むようなサイズにされた長尺状部材を含むインプラントとを挿入するステップと、(ii)乳房から1つ以上の導入器具を除去するステップと、(iii)長尺状部材を使用して乳房を持ち上げるか又は締め上げるステップとを含む、乳房を持ち上げる方法が提供される。実施形態では、乳房を持ち上げる方法は、乳房に長尺状部材を挿入する前に、アセンブリを形成するために1つ以上のシースで長尺状部材を少なくとも部分的に覆うことと、1つ以上の導入器具を使用して長尺状部材及び1つ以上のシースのアセンブリを乳房に挿入することと、乳房から1つ以上の導入器具を除去することと、長尺状部材によって乳房を持ち上げるか又は締め上げる前に、乳房から1つ以上のシースを除去することとをさらに含む。実施形態では、持ち上げる方法は、シースによって少なくとも部分的に覆われた長尺状部材の一方又は両方の端部に取り付け特徴部を形成することと、取り付け特徴部に導入器具を取り付けることと、導入器具を使用して乳房に長尺状部材を挿入することとをさらに含む。実施形態では、持ち上げる方法は、管状セクション及びその長さの少なくとも一部に延びるスリットを備える導入器具を提供することと、導入器具の端部に位置する取り外し可能なバレルチップにアセンブリの取り付け特徴部を接続することと、長尺状部材及びシースのアセンブリを導入器具の管状セクションに少なくとも部分的に挿入することとをさらに含む。実施形態では、持ち上げる方法は、剥離チップ又は切断チップを備える取り外し可能なバレルチップを提供することと、チップを使用して、乳房の皮膚の下で乳房の上極及び下極を囲むチャネルを形成することとをさらに含む。実施形態では、持ち上げる方法は、乳房の上極及び下極を囲むチャネルに長尺状部材を含むインプラントを移植することをさらに含む。実施形態では、持ち上げる方法は、導入器具に対する取り外し可能なバレルチップの取り付け及び取り外しのための締結機構を備える取り外し可能なバレルチップを提供することと、締結機構を使用して取り外し可能なバレルチップに長尺状部材の取り付け特徴部を接続することと、長尺状部材を備える導入器具を乳房に挿入することと、締結機構を使用して導入器具から取り外し可能なバレルチップを取り外し、乳房から取り外し可能なバレルチップを除去することとをさらに含む。実施形態では、持ち上げる方法は、取り付け特徴部に接続された取り外し可能なバレルチップを乳房から除去することと、その後、導入器具から取り外し可能なバレルチップを除いたものを乳房から引き出すこととをさらに含む。実施形態では、持ち上げる方法は、乳房の上極にある小さい開口部を通して取り外し可能なバレルチップを除去することと、乳房の下極にある小さい開口部を通して導入器具の残りの部分を除去することとを含む。実施形態では、持ち上げる方法は、乳房の下極にある小さい開口部を通して取り外し可能なバレルチップを除去することと、乳房の上極にある小さい開口部を通して導入器具の残りの部分を除去することとを含む。実施形態では、持ち上げる方法は、ラッチ受け及びラッチを備える取り外し可能なバレルチップを提供することと、取り付け特徴部を通して及びラッチ受け内にラッチを挿入し、長尺状部材を導入器具に固定することとをさらに含む。
【0067】
[0076] 実施形態では、乳房を持ち上げる方法は、(i)第1の端部及び第2の端部を備える長尺状部材を含むインプラントを提供するステップと、(ii)長尺状部材の第1の端部を乳房の下極内に又はIMFに導入し、乳房の外側において、長尺状部材によって乳房の皮膚の下で乳房の下極及び上極を囲むステップと、(iii)乳房の上極から長尺状部材の第1の端部を体外に出すステップと、(iv)長尺状部材の第1の端部が導入されたのと同じ箇所で乳房の下極内に又はIMFに長尺状部材の第2の端部を導入して、乳房の内側において、長尺状部材によって乳房の皮膚の下で乳房の下極及び上極を囲むステップと、(v)長尺状部材の第1の端部が乳房の上極から体外に出されたのと同じ箇所で長尺状部材の第2の端部を体外に出すステップと、(vi)乳房を持ち上げるために長尺状部材の第1及び第2の端部を引っ張るステップと、(vii)乳房のリフトを維持するために長尺状部材の端部を固定するステップとを含む。
【0068】
[0077] 実施形態では、乳房を持ち上げる方法は、(i)第1の端部及び第2の端部を備える長尺状部材を含むインプラントを提供するステップと、(ii)乳房の上極に長尺状部材の第1の端部を導入し、乳房の外側において、長尺状部材によって乳房の皮膚の下で乳房の上極及び下極を囲むステップと、(iii)乳房の下極又はIMFから長尺状部材の第1の端部を体外に出すステップと、(iv)長尺状部材の第1の端部が導入されたのと同じ箇所で乳房の上極に長尺状部材の第2の端部を導入して、乳房の内側において、長尺状部材によって乳房の皮膚の下で乳房の上極及び下極を囲むステップと、(v)長尺状部材の第1の端部が乳房の下極又はIMFから体外に出されたのと同じ箇所で長尺状部材の第2の端部を体外に出すステップと、(vi)乳房を持ち上げるために長尺状部材の第1及び第2の端部を引っ張るステップと、(vii)乳房のリフトを維持するために長尺状部材の端部を固定するステップとを含む。
【0069】
[0078] 実施形態では、乳房を持ち上げる方法は、(i)第1の端部及び第2の端部を備える長尺状部材を含むインプラントを提供するステップと、(ii)乳房において、乳房の下極内に又はIMFに長尺状部材の第1の端部を導入して、長尺状部材によって乳房の皮膚の下で乳房の下極及び上極を囲むステップと、(iii)長尺状部材の第1の端部が乳房中に又はIMFに導入された位置で乳房から長尺状部材の第1の端部を体外に出すステップと、(iv)乳房を持ち上げるために長尺状部材の第1及び第2の端部を引っ張るステップと、(v)乳房のリフトを維持するために長尺状部材の端部を固定するステップとを含む。実施形態では、持ち上げる方法は、(a)取り外し可能なチップを備える導入器具を使用して長尺状部材の第1の端部を導入することであって、取り外し可能なチップは、長尺状部材の一方の端部に接続される、導入することと、(b)導入器具の取り外し可能なチップを乳房の皮膚に向かわせることにより、乳房から長尺状部材の端部を体外に出すことと、(c)チップが乳房から体外に出されるまで導入器具を前進させることと、(d)長尺状部材に接続されたチップを導入器具から取り外すことと、(e)乳房から導入器具を除去することと、(f)長尺状部材の端部に張力を加えて乳房を持ち上げることと、(g)任意選択的に長尺状部材の端部をトリミングし、長尺状部材を固定して、持ち上げられた乳房の位置を維持することとをさらに含む。
【0070】
[0079] 実施形態では、乳房を持ち上げる方法は、長尺状部材を含むインプラントを乳房に移植することと、移植のために1か所のみ切開し、乳房を持ち上げることにより、長尺状部材を使用して乳房を持ち上げることとを含む。実施形態では、乳房を持ち上げる方法は、乳房に長尺状部材を移植することと、IMFに又は下部乳房内に単一の切開部を作ることにより、長尺状部材を使用して乳房を持ち上げることとを含む。
【0071】
[0080] 実施形態では、乳房を持ち上げる方法は、(i)1つ以上の導入器具と、アセンブリであって、第1及び第2の端部を備える、乳房の皮膚の下で乳房の上極及び下極を囲むようなサイズにされた一体的な長尺状部材を含む移植可能なインプラントと、長尺状部材の1つ以上の端部の近くで部材に接続され、及び部材を少なくとも部分的に取り囲む1つ以上のシースとを含むアセンブリとを提供することと、(ii)長尺状部材が乳房の皮膚の下で乳房の上極及び下極を囲むように、1つ以上の導入器具を使用して乳房にアセンブリを挿入してすることと、(iii)乳房から1つ以上の導入器具を除去することと、(iv)乳房から1つ以上のシースを除去することと、(v)長尺状部材によって乳房を持ち上げるか又は締め上げることとを含む。実施形態では、乳房を持ち上げる方法は、長尺状部材の一方又は両方の端部に取り付け特徴部を形成することと、長尺状部材の一方又は両方の端部において取り付け特徴部を1つ以上の導入器具に接続することと、1つ以上の導入器具を使用して長尺状部材を乳房に挿入することとをさらに含む。実施形態では、乳房を持ち上げる方法は、長尺状部材及びシースのアセンブリを少なくとも部分的に導入器具の管状セクションに挿入することをさらに含み、管状セクションは、アセンブリの挿入のための入口開口部を備える、その長さの少なくとも一部に延びるスリットと、取り外し可能なバレルチップに接続された第1の端部と、ハンドルに接続された第2の端部とを有する。実施形態では、乳房を持ち上げる方法は、長尺状部材の取り付け特徴部を取り外し可能なバレルチップに接続することをさらに含む。実施形態では、乳房を持ち上げる方法は、導入器具の取り外し可能なバレルチップを使用して、長尺状部材の移植のためのサイズにされた、乳房の皮膚の下で乳房の上極及び下極を囲むチャネルを形成することをさらに含む。実施形態では、乳房を持ち上げる方法は、長尺状部材及びシースのアセンブリを乳房に挿入した後、導入器具から取り外し可能なバレルチップを取り外すことと、乳房から導入器具を引き出すこととをさらに含む。
【0072】
[0081] 実施形態では、乳房を持ち上げる方法は、乳房を持ち上げるか若しくは締め上げた後、長尺状部材を組織に貼り付けること又は乳房を持ち上げるか若しくは締め上げた後、長尺状部材の端部を一緒に結ぶことを含む。
【0073】
[0082] 実施形態では、乳房を持ち上げる方法は、再吸収性の長尺状部材を移植することを含む。実施形態では、再吸収性の長尺状部材は、1種以上のポリマーから形成され、ポリマーは、以下のモノマー:グリコール酸、乳酸、1,4-ジオキサノン、トリメチレンカーボネート、3-ヒドロキシ酪酸、4-ヒドロキシ酪酸、ε-カプロラクトン、1,4-ブタンジオール、アジピン酸及びコハク酸の1つ以上から合成されるか又はそれを含み得る。
【0074】
[0083] 実施形態では、乳房固定システムを形成する方法は、編み、織り、編組、押出又はキャスティングにより、長尺状部材を含むインプラントを形成することと、長尺状部材を少なくとも部分的にシースに挿入することとを含む。実施形態では、長尺状部材は、メッシュに編まれ、及びメッシュは、もつれがない。実施形態では、乳房固定システムを形成する方法は、取り付け特徴部を形成するために、長尺状部材の一方の端部においてシースと長尺状部材とを接続するか又はシースと部材とを融合することにより、長尺状部材及びシースのアセンブリを形成することと、取り付け特徴部を使用してアセンブリを導入器具に接続することとをさらに含む。実施形態では、乳房固定システムを形成する方法は、2つの取り付け特徴部を形成するために、長尺状部材の両端部において長尺状部材及びシースを接続するか又はシースと部材とを融合することと、各取り付け特徴部を導入器具に接続することとをさらに含む。実施形態では、取り付け特徴部は、長尺状部材及びシースのアセンブリを形成するために、長尺状部材及びシースを融合させ、部材及びシースが融合された箇所に1つ以上の孔を開けることによって形成される。実施形態では、乳房固定システムを形成する方法は、第1の端部及び第2の端部並びに管状セクションの長さの少なくとも一部に延びるスリットを備える管状セクションを備える1つ以上の導入器具を形成することと、管状セクションの第1の端部に取り外し可能なバレルチップを接続することと、管状セクションの第2の端部にハンドルを取り付けることとをさらに含む。実施形態では、乳房固定システムを形成する方法は、先端が鈍い剥離チップ又は切断チップを備える取り外し可能なバレルチップを形成することをさらに含む。実施形態では、乳房固定システムを形成する方法は、取り付け特徴部を取り外し可能なバレルチップに固定するためにラッチ受けを形成することをさらに含む。実施形態では、乳房固定システムを形成する方法は、管状セクションの第1の端部に対する取り外し可能なバレルチップの取り付け及び取り外しを可能にするための締結機構を備える導入器具を形成することをさらに含む。実施形態では、締結機構は、導入器具の管状セクションに取り外し可能なバレルチップを取り付けるための1つ以上の装着ピンと、導入器具の管状セクションから取り外し可能なバレルチップを解放するための係合解除ノッチとを使用して形成される。実施形態では、乳房固定システムを形成する方法は、ラッチを使用して長尺状部材及びシースのアセンブリの取り付け特徴部を取り外し可能なバレルチップのラッチ受けに固定することをさらに含み、ラッチは、1つ以上のロックピンを有する。実施形態では、乳房固定システムを形成する方法は、長尺状部材及びシースのアセンブリを、管状セクションのスリットを通して少なくとも部分的に導入器具の管状セクション内に挿入することをさらに含む。
【0075】
[0084] 実施形態では、乳房固定術を行う方法は、一体的な長尺状部材により、皮膚の下で乳房の周りにループを形成することと、乳房を隆起させるためにループの直径を小さくすることと、小さくするステップ後、長尺状部材の端部を互いに固定することとを含む。実施形態では、方法は、2つ以下の刺切を通して行われる。実施形態では、方法は、骨又は靭帯に長尺状部材を貼り付けることなく行われる。
【0076】
[0085] 実施形態では、長尺状部材の横断面は、リボン又はテープの横断面と同様である。
【0077】
[0086] 実施形態では、乳房固定システムは、テンショナーを含む。テンショナーは、長尺状部材の張力を調整するために使用され得、それにより乳房リフト又は乳房を締め上げる度合いを調整する。
【0078】
[0087] 実施形態では、長尺状部材は、患者の組織を除去せずに移植され得る。長尺状部材は、患者の皮膚を除去せずに移植され得る。
【0079】
[0088] 実施形態では、長尺状部材を含むインプラントは、乳房に鈍い剥離器具を挿入し、組織に侵入するのに十分な侵入力で乳房組織を通して器具を押し込み、長尺状部材のためのチャネルを乳房に形成することにより、鈍い剥離を使用して移植される。
【0080】
[0089] 実施形態では、長尺状部材を含むインプラントは、細胞、幹細胞、ゲル、ヒドロゲル、生体活性作用物質、薬物、生物学的作用物質、脂肪組織、自家脂肪、脂肪吸引物、脂肪細胞、線維芽細胞及び他の物質を移植部位に送達する手段を外科医に提供する役割を果たす。
【0081】
[0090] 実施形態では、長尺状部材を含むインプラントの内毒素含量は、20エンドトキシン活性単位未満である。実施形態では、乳房固定システムの移植可能な構成要素は、無菌である。移植可能な構成要素は、エチレンオキシド、低温エチレンオキシド、電子線照射又はガンマ線照射によって滅菌され得る。
【0082】
[0091] 本明細書で説明するインプラント、乳房固定システム及び方法は、乳房固定術及び乳房再建に関して以前に開示した他のインプラント及び方法と実質的に異なる。
【0083】
[0092] 第1に、インプラントは、乳房の広範囲に及ぶ剥離及び乳房の著しい瘢痕化につながる開放式外科的処置によってではなく、低侵襲式に移植されるように設計される。インプラントは、1つ又は2つの小さい切開部(例えば、刺切)を使用して乳房に移植するように設計される。インプラントの長尺状部材は、高侵襲的な開放式外科的処置によって乳房に配置されるのではなく、またドローコードを引っ張ることによって乳房を持ち上げるのではない。第2に、インプラントは、乳房の下極の下にハンモックを形成するために、通常、乳房の外側及び内側の2箇所で留められる吊り器具と異なり、乳房内の単一の箇所に留められるように設計される。いくつかの実施形態では、インプラントは、IMFに又は下部乳房内でNACの前方に留められるように設計され得るか、又は代わりに、インプラントは、NACの上位に留められるように設計される(乳房の内側及び外側に留めるのとは反対に)。第3に、インプラントは、乳房を持ち上げるための一体的な長尺状部材を含む。インプラントは、乳房に複数の構成要素を移植することによって形成されるのではない。長尺状部材は、患者の上部及び下部乳房の両方に存在する。第4に、インプラントは、乳房の皮膚の下で乳房を囲むことにより、乳房を持ち上げるようなサイズにされる。インプラントは、乳房を囲むことができない吊り器具を形成するようなサイズにされない。第5に、インプラントの長尺状部材は、少なくとも部分的に少なくとも1つのシースからインビボで展開されるように設計される。第6に、乳房固定システムは、インプラントの長尺状部材に接続される取り外し可能なバレルチップを含む導入器を備えて設計される。乳房に長尺状部材を移植した後、取り外し可能なバレルチップは、乳房から体外に出され、導入器具から取り外され得る。第7に、乳房は、縫合糸を使用して吊り上げられず、長尺状部材を使用して、乳房の皮膚の下で乳房全体を囲んで乳房を締め上げて持ち上げる。第8に、インプラントの長尺状部材は、乳房を囲むチャネルを形成することによって移植される。第9に、長尺状部材は、第1及び第2の端部を有する。長尺状部材は、リング又は円形構造を有しない。
【0084】
[0093] ここで、図1及び図2A~Eを参照すると、低侵襲乳房リフトのためのシステム及び患者の乳房において乳房リフトのためのシステムを使用するための処置が本発明の理解を促すために示されている。特に、図1は、シース3によって部分的に覆われた長尺状部材2を含むインプラントのアセンブリ及びシース被覆長尺状部材のアセンブリの対向端部が装填される2つの導入器具4で構成された低侵襲乳房リフトのためのシステム1を示す。導入器具は、管状セクションを含み、管状セクション内へのシース被覆長尺状部材のアセンブリの挿入を可能にするスリット5が設けられている。導入器具4は、長尺状部材及びシースのアセンブリの端部に接続される取り外し可能なバレルチップ6を取り付けられている。システム1は、例えば、図2A~Eに示す通りに乳房を持ち上げるか又は締め上げるために、患者の乳房に移植される。図2Aは、患者の乳房10の輪郭及びNAC11、第1の切開部14を通した、患者の乳房への低侵襲乳房リフトのためのシステム13の第1の導入器具12の挿入を示す。導入器具12は、患者の乳房の下極内及び/又は患者のIMFのいずれかで挿入されて、矢印15で示す方向において、乳房の皮膚の下で乳房を囲むように前進される。
【0085】
[0094] 図2Bは、乳房固定システム23の第1の導入器具22が乳房内に挿入されている状態の患者の乳房20の輪郭及びNAC21並びに矢印26で示す方向に導入器具を動かすことにより、第1の導入器具の取り外し可能なバレルチップ25が乳房の上極において乳房から出る第2の切開部24の箇所を示す。
【0086】
[0095] 図2Cは、第1の導入器具の取り外し可能なバレルチップ32が、乳房の上極にある第2の切開部33を通して体外に出されている状態の患者の乳房30の輪郭及びNAC31、第1の導入器具を除去した後の、アセンブリが第1の切開部から第2の切開部まで乳房の皮膚の下で乳房を囲む状態の、シースによって覆われた長尺状部材のアセンブリの乳房内の位置34並びに患者の乳房の他方の側での挿入準備が整っている長尺状部材の残りの部分が装填される第2の導入器具35を示す。
【0087】
[0096] 図2Dは、第2の導入器具42が第1の切開部43を通して挿入され、矢印46で示す方向に導入器具を動かすことにより、第2の切開部45を通して乳房から出ることを目的とする第2の導入器具の取り外し可能なバレルチップ44により、乳房の皮膚の下で乳房の反対側を囲んでいる状態の患者の乳房40の輪郭及びNAC41を示す。
【0088】
[0097] 図2Eは、長尺状部材の端部53が第2の切開部54において体外に出された後並びに取り外し可能なバレルチップ及びシースが長尺状部材から除去された後の、長尺状部材52が乳房の皮膚の下で乳房を囲んでいる状態の患者の乳房50の輪郭及びNAC51を示す。乳房固定術処置は、長尺状部材の端部53を、矢印55に示すように上方向に引っ張り、長尺状部材を固定及びトリミングして、乳房リフトを維持することによって完了する。
【0089】
[0098] さらに理解を促進するために、以下の定義について下記で説明する。しかしながら、本明細書で説明するように別段の定義がない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されているものと同じ意味を有することも認識されたい。
【0090】
定義
[00100] 本明細書で一般的に使用されるような「生体活性作用物質」は、治療薬、予防薬又は診断用薬、好ましくは宿主組織の治癒及び再生を促す薬並びにまた感染を防ぐか、阻害するか又は除去する治療薬を指すために使用される。「生体活性作用物質」は、単一のそのような作用物質を含み、及び複数のそのようなものを含むことも意図する。
【0091】
[00101] 本明細書で一般的に使用されるような「ブレンド」は、2種以上の異なるモノマーで形成されたコポリマーとは対照的に、異なるポリマーの物理的な組み合わせを意味する。
【0092】
[00102] 本明細書で使用されるような「破裂強度」は、特に明記しない限り、MTS Q-Test Elite万能試験機又は同様の機器を使用して、ASTM D6797-02「Standard test method for bursting strength of fabrics constant rate of extension (CRE) ball burst test」に基づく試験方法によって決定される。しかしながら、試験用固定具は、直径3/8インチのボールを使用し、開口部の直径は、1/2インチである。
【0093】
[00103] 本明細書で一般的に使用されるような「ポリ-4-ヒドロキシブチレートのコポリマー」は、1種以上の異なるヒドロキシ酸単位を備える4-ヒドロキシブチレートを含む任意のポリマーを意味する。
【0094】
[00104] 本明細書で一般的に使用されるような「ポリ(ブチレンサクシネート)のコポリマー」は、1種以上の追加的なモノマーを組み込む、コハク酸と1,4-ブタンジオールモノマーとの任意のポリマーを意味する。ポリ(ブチレンサクシネート)のコポリマーの例は、ポリ(ブチレンサクシネート-コ-アジペート)、ポリ(ブチレンサクシネート-コ-テレフタレート)、ポリ(ブチレンサクシネート-コ-エチレンサクシネート)及びポリ(ブチレンサクシネート-コ-プロピレンサクシネート)を含む。ポリ(ブチレンサクシネート-コ-アジペート)は、例えば、コハク酸、アジピン酸及び1,4-ブタンジオールからの縮合重合によって作製され得る。ポリ(ブチレンサクシネート)のコポリマーは、(i)コハク酸及び1,4-ブタンジオール単位と、(ii)以下の追加的な単位、例えば鎖延長剤、架橋剤及び分岐剤の1つ以上とを含むポリマーを含む。これらの作用物質又は薬剤の例は、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸及びグリセロールを含む。ポリ(ブチレンサクシネート)のコポリマーの例は、コハク酸-1,4-ブタンジオール-リンゴ酸コポリエステル、コハク酸-1,4-ブタンジオール-クエン酸コポリエステル、コハク酸-1,4-ブタンジオール-酒石酸コポリエステル、クエン酸、酒石酸又はこれらの組み合わせをさらに含むコハク酸-1,4-ブタンジオール-リンゴ酸コポリエステル、コハク酸-アジピン酸-1,4-ブタンジオール-リンゴ酸コポリエステル、コハク酸-アジピン酸-1,4-ブタンジオール-クエン酸コポリエステル、コハク酸-アジピン酸-1,4-ブタンジオール-酒石酸コポリエステル若しくはクエン酸、酒石酸又はこれらの組み合わせをさらに含むコハク酸-アジピン酸-1,4-ブタンジオール-リンゴ酸コポリエステルを含む。ポリ(ブチレンサクシネート)のコポリマーは、コハク酸単位及び1,4-ブタンジオール単位を含むポリマー並びに1つ以上のヒドロキシカルボン酸単位又はトリオール単位も含む。コポリマーは、マレイン酸単位若しくはフマル酸単位又はこれらの組み合わせも含み得る。
【0095】
[00105] 本明細書で一般的に使用されるような「直径」は、外科用縫合糸の直径に関する米国薬局方(USP)規格(USP 861)に従って決定される。
【0096】
[00106] 本明細書で一般的に使用されるような「内毒素含量」は、インプラント又はサンプル中に存在する内毒素の量を指し、カブトガニ変形細胞溶解物(LAL)アッセイを使用して決定される。
【0097】
[00107] 本明細書で一般的に使用されるような「乳房下溝線」又は「IMF」は、乳房の下極が胸壁と接触する位置である。
【0098】
[00108] 本明細書で一般的に使用されるような「下極」は、乳房下溝線(IMF)と乳頭子午線基準との間に位置し、胸壁から隆起する乳房の部分を意味する。
【0099】
[00109] 本明細書で一般的に使用されるような「分子量」は、他に特に規定がなければ、数平均分子量(Mn)ではなく、重量平均分子量(Mw)を指し、ポリスチレンに関してGPCによって測定される。
【0100】
[00110] 本明細書で一般的に使用されるような「配向」は、材料又は構造内でのポリマー鎖の整列を指す。例えば、配向された繊維は、繊維中のポリマー鎖の一部又は全てが整列されていることを意味する。
【0101】
[00111] 本明細書で使用されるような「PBS」は、ポリ(ブチレンサクシネート)を意味する。
【0102】
[00112] 本明細書で一般的に使用されるような「ポリ-4-ヒドロキシブチレート」は、4-ヒドロキシブチレート単位を含むホモポリマーを意味する。本明細書では、それは、P4HB又はTephaFLEX(登録商標)生体材料(Tepha, Inc., Lexington, MA製)とも呼ばれ得る。
【0103】
[00113] 本明細書で一般的に使用されるような「細孔サイズ」は、https://imagej.nih.gov/ij/index.htmlで入手可能なオープンソース25 ImageJソフトウェアを使用して計算される。
【0104】
[00114] 本明細書で一般的に使用されるような「再吸収性」は、材料が体内で分解され、分解産物が体内から排除又は排出されることを意味する。接頭辞「生体」を有する又は有しない用語「吸収可能」、「再吸収可能」、「分解可能」及び「侵食可能」は、分解が主に加水分解によるものか又は代謝過程を介して行われたものかに関わらず、分解されて、体によって次第に吸収、排出又は排除される材料を説明するために本明細書で区別せずに使用され得る。
【0105】
[00115] 「強度保持率」は、材料がヒト又は動物への移植後に特定の機械的特性を維持する時間の量を指す。例えば、再吸収性繊維の引張強度が動物への移植時から3か月で半分だけ低下する場合、3か月での繊維の強度保持率は、50%となるであろう。
【0106】
[00116] 乳房インプラント配置に関連して、本明細書で使用されるような「腺下」は、インプラントが、乳房の腺の下側であるが、胸筋より表在側に配置されることを意味する。
【0107】
[00117] 乳房インプラント配置に関連して、本明細書で使用されるような「胸筋下」は、インプラントが胸の胸筋の下側に配置されることを意味する。
【0108】
[00118] 本明細書で使用されるような「縫合糸引き抜き強度」は、インプラントが縫合糸を持ち続けることができないピーク荷重(kg)を意味する。これは、インプラントを水平保持板に固定し、インプラントの縁から1cmの距離でインプラントにループ状に縫合糸を通し、インプラントの上方に位置決めされた繊維グリップに縫合糸アームを固定することにより、引張試験機を使用して決定される。試験は、クロスヘッド率100mm/分で実施されて、ピーク荷重(kg)が記録される。縫合糸は、縫合糸が破損する前にインプラントが破損するように選択される。
【0109】
[00119] 本明細書で一般的に使用されるような「一体的な」は、単一のユニット又は連続的なエンティティを意味する。
【0110】
[00120] 本明細書で一般的に使用されるような「上極」は、上極基準と乳頭子午線基準との間に位置し、胸壁から隆起する乳房の上部を意味する。
【0111】
[00121] 本明細書で使用されるような「ヤーン」は、布繊維又はフィラメントの連続ストランドを意味する。ヤーンは、撚糸、無撚糸又は実質的に平行なストランドであり得る。
【0112】
[00122] 乳房固定術のためのインプラント及びシステムを作成するための材料
[00123] 実施形態では、低侵襲乳房固定術処置を行うために多様な材料を使用するインプラント及び乳房固定システムが開発されている。インプラントは、乳房内で組織を持ち上げることにより、見た目が良い乳房を生じる。システム及びインプラントは、通常、皮膚の瘢痕化につながる、乳房の広範囲に及ぶ剥離の必要がない。インプラント及び乳房固定システムの使用は、乳房の下極を持ち上げるための乳房固定術処置で吊り器具機器を使用する必要性をなくす。乳房固定システムは、乳房を持ち上げるために必要な時間を短くし、患者の病的状態を低減させる。移植された伸長部材は、再吸収性材料で作製され得、これは、移植後に分解し、乳房に異物を残さない。再吸収性材料が再吸収されている間、伸長部材中への組織の内方成長により、乳房リフトを支持し、下垂を防止する新しい組織平面をもたらす。
【0113】
[00124] A.乳房固定術のためのインプラント及びシステムを作成するためのポリマー
[00125] 乳房固定インプラントは、永久材料、例えば非分解性熱可塑性ポリマー、例えばエチレン及びプロピレンのポリマー及びコポリマー、例えば超高分子量ポリエチレン、超高分子量ポリプロピレン、ナイロン、ポリエステル、例えばポリ(エチレンテレフタレート)、ポリ(テトラフルオロエチレン)、ポリウレタン、ポリ(エーテル-ウレタン)、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリエーテルエーテルケトン、ポリオレフィン及びポリ(エチレンオキシド)を含み得る。しかしながら、インプラントは、再吸収性材料、熱可塑性又はポリマー性再吸収性材料を含み得、いくつかの実施形態では、インプラントは、実質的に再吸収性の材料から作製され得る。実施形態では、乳房固定術のためのシステムは、インプラントの送達を容易にするために使用される永久材料及び再吸収性材料を含むインプラントを含み得る。例えば、乳房固定システムは、再吸収性材料を含む長尺状部材を含むインプラント、永久材料から作製されるインプラントを送達するために使用されるシース及び金属を含む1つ又は2つの導入器具を含み得る。
【0114】
[00126] いくつかの実施形態では、インプラントは、1種以上の再吸収性ポリマー及び/又は再吸収性熱可塑性ポリマー及びコポリマーから作製される。インプラントは、例えば、ポリマー、例えば、限定されないが、グリコール酸、乳酸、1,4-ジオキサノン、トリメチレンカーボネート、1,4-ブタンジオール、コハク酸、アジピン酸、3-ヒドロキシブチレート、4-ヒドロキシブチレート、ε-カプロラクトンのポリマー、例えばポリグリコール酸、ポリ乳酸、ポリジオキサノン、ポリカプロラクトン、グリコール酸と乳酸とのコポリマー、例えばVICRYL(登録商標)、MAXON(登録商標)及びMONOCRYL(登録商標)ポリマー並びに例えばポリ(ラクチド-コ-カプロラクトン);ポリ(オルトエステル);ポリ無水物;ポリ(ホスファゼン);ポリヒドロキシアルカノエート(PHA);合成の若しくは生物学的に調製されたポリエステル;ポリカーボネート;チロシンポリカーボネート;ポリアミド(合成及び天然のポリアミド、ポリペプチド及びポリ(アミノ酸)を含む);ポリエステルアミド;ポリ(アルキレンアルキレート);ポリエーテル(例えば、ポリエチレングリコール、PEG及びポリエチレンオキシド、PEO);ポリビニルピロリドン又はPVP;ポリウレタン;ポリエーテルエステル;ポリアセタール;ポリシアノアクリレート;ポリ(オキシエチレン)/ポリ(オキシプロピレン)コポリマー;ポリアセタール、ポリケタール;ポリリン酸;(亜リン酸含有)ポリマー;ポリリン酸エステル;ポリアルキレンオキサレート;ポリアルキレンサクシネート;ポリ(マレイン酸);シルク(組換えシルク及びシルク誘導体及び類似体を含む);キチン;キトサン;修飾キトサン;ケラチン、生体適合性多糖類;親水性若しくは水溶性ポリマー、例えば他の生体適合性若しくは生分解性ポリマーのブロックを備えるポリエチレングリコール(PEG)若しくはポリビニルピロリドン(PVP)、例えばポリ(ラクチド)、ポリ(ラクチド-コ-グリコリド)又はポリカプロラクトン及びそのコポリマー、例えばそれらのランダムコポリマー及びブロックコポリマーから作成され得る。いくつかの実施形態では、再吸収性ポリマー又はコポリマーは、移植後1~24か月の時間枠及び/又は3~18か月の時間枠内で実質的に再吸収される。再吸収性ポリマーは、少なくとも2週間~3か月、ある程度の残留強度を保持する。
【0115】
[00127] ポリマー、例えば再吸収性ポリマーのブレンドも乳房固定インプラントを作成するために使用され得る。再吸収性ポリマーのブレンドは、再吸収性ポリマー、例えば、限定されないが、グリコール酸、乳酸、1,4-ジオキサノン、トリメチレンカーボネート、1,4-ブタンジオール、コハク酸、アジピン酸、3-ヒドロキシブチレート、4-ヒドロキシブチレート、ε-カプロラクトンを含むポリマー又はそれらのコポリマーから調製される。
【0116】
[00128] いくつかの実施形態では、ポリ-4-ヒドロキシブチレート(Tepha’s P4HB(商標)ポリマー、Lexington, MA)又はそのコポリマーは、インプラントを作製するために使用される。コポリマーは、別のヒドロキシ酸、例えば3-ヒドロキシブチレートを備えるP4HB及びグリコール酸又は乳酸モノマーを備えるP4HBを含む。ポリ-4-ヒドロキシブチレートは、生体適合性及び再吸収性である、強くてしなやかな熱可塑性ポリエステルである(Williams, et al.. Poly-4-hydroxybutyrate (P4HB): a new generation of resorbable medical devices for tissue repair and regeneration, Biomed. Tech. 58(5):439-452 (2013))。移植すると、P4HBは、そのモノマーに加水分解し、モノマーは、クレブス回路によって代謝されて、二酸化炭素及び水になる。いくつかの実施形態では、P4HBホモポリマー及びそれらのコポリマーの重量平均分子量Mwは、50kDa~1,200kDa(ポリスチレンに対するGPCによって)及び/又は100kDa~600kDaの範囲内である。50kDa以上のポリマーの重量平均分子量は、加工及び機械的特性を強化し得る。
【0117】
[00129] 別の実施形態では、乳房固定インプラントは、少なくともジオール及び二酸を含むポリマーを含む。いくつかの実施形態では、乳房固定インプラントを作成するために使用されるポリマーは、ポリ(ブチレンサクシネート)(PBS)であり、ジオールは、1,4-ブタンジオールであり、及び二酸は、コハク酸である。ポリ(ブチレンサクシネート)ポリマーは、他のジオール、他の二酸又はそれらの組み合わせを備えるコポリマーであり得る。例えば、ポリマーは、1,3-プロパンジオール、2,3-ブタンジオール、エチレングリコール、1,5-ペンタンジオール、グルタル酸、アジピン酸、テレフタル酸、マロン酸、メチルコハク酸、ジメチルコハク酸及びシュウ酸の1つ以上をさらに含むポリ(ブチレンサクシネート)コポリマーであり得る。ポリ(ブチレンサクシネート)コポリマーの例は、ポリ(ブチレンサクシネート-コ-アジペート)、ポリ(ブチレンサクシネート-コ-テレフタレート)、ポリ(ブチレンサクシネート-コ-ブチレンメチルサクシネート)、ポリ(ブチレンサクシネート-コ-ブチレンジメチルサクシネート)、ポリ(ブチレンサクシネート-コ-エチレンサクシネート)及びポリ(ブチレンサクシネート-コ-プロピレンサクシネート)である。ポリ(ブチレンサクシネート)ポリマー又はそのコポリマーは、鎖延長剤、カップリング剤、架橋剤及び分岐剤の1つ以上もさらに含み得る。例えば、ポリ(ブチレンサクシネート)ポリマー又はそのコポリマーは、以下の作用物質又は薬剤:リンゴ酸、トリメチロールプロパン、トリメシン酸、グリセロール、クエン酸、グリセロールプロポキシレート及び酒石酸の1つ以上を加えることによって分岐、鎖延長又は架橋され得る。ポリ(ブチレンサクシネート)ポリマー又はそのコポリマーを分岐、鎖延長又は架橋するための作用物質又は薬剤は、トリオール、トリカルボン酸及びヒドロキシカルボン酸単位である。ヒドロキシカルボン酸単位は、2つのカルボン酸基及び1つのヒドロキシル基、2つのヒドロキシル基及び1つのカルボキシル基、3つのカルボキシル基及び1つのヒドロキシル基又は2つのヒドロキシル基及び2つのカルボキシル基を有し得る。いくつかの実施形態では、乳房インプラントは、分岐剤、鎖延長剤又は架橋剤としてリンゴ酸を含むポリ(ブチレンサクシネート)を含み得る。このポリ(ブチレンサクシネート)コポリマーは、リンゴ酸で架橋若しくは鎖延長されたポリ(ブチレンサクシネート)、コハク酸-1,4-ブタンジオール-リンゴ酸コポリエステル又はリンゴ酸で架橋若しくは鎖延長されたポリ(1,4-ブチレングリコール-コ-コハク酸)と呼ばれ得る。リンゴ酸及び他の架橋剤、カップリング剤、分岐剤及び鎖延長剤への言及は、これらの作用物質又は薬剤で調製されたポリマーを含み、作用物質又は薬剤は、加工中にさらなる反応が起こされていることを理解すべきである。例えば、作用物質又は薬剤は、重合中に脱水され得る。そのため、ポリ(ブチレンサクシネート)-リンゴ酸コポリマーは、コハク酸、1,4-ブタンジオール及びリンゴ酸から調製されたコポリマーを指す。別の実施形態では、リンゴ酸は、ポリ(ブチレンサクシネート)とアジペートとのコポリマーを調製するために分岐剤、鎖延長剤又は架橋剤として使用され得、これは、リンゴ酸で架橋又は鎖延長されたポリ[(ブチレンサクシネート)-コ-アジペート]と呼ばれ得る。本明細書で使用されるような、「ポリ(ブチレンサクシネート)及びコポリマー」は、鎖延長剤、カップリング剤、架橋剤及び分岐剤の1つ以上で調製されたポリマー及びコポリマーを含む。いくつかの実施形態では、ポリ(ブチレンサクシネート)及びそのコポリマーは、少なくとも70重量%、80重量%、90重量%及び/又は任意の他の好適な重量百分率のコハク酸及び1,4-ブタンジオール単位を含む。別の実施形態では、乳房インプラントは、分岐剤、鎖延長剤又は架橋剤としてグリエルコールを含むポリ(ブチレンサクシネート)又はそのコポリマーを含む。二酸及びジオールを含むポリマー、例えばポリ(ブチレンサクシネート)及びそのコポリマー並びに本明細書で説明する他のものは、ポリスチレン標準に対するゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)に基づいて10,000Da~400,000Da、50,000Da~300,000Da及び/又は100,000Da~200,000Daの重量平均分子量(Mw)を有し得る。いくつかの実施形態では、ポリマー及びコポリマーの重量平均分子量は、50,000Da~300,000Da及び/又は75,000Da~300,000Daである。いくつかの実施形態では、インプラント又はインプラントの構成要素を作製するために使用されるポリ(ブチレンサクシネート)又はそのコポリマーは、以下の特性:1.23~1.26g/cmの密度、-31℃~-35℃のガラス転移温度、113℃~117℃の融点、190℃/2.16kgfにおいて2~10g/10分のメルトフローレート(MFR)及び30~60MPaの引張強度の1つ以上又は全てを有する。
【0118】
[00130] B.添加剤
[00131] いくつかの添加剤は、インプラント、例えばインプラントを作製するために使用される再吸収性ポリマー、そのコポリマー又はブレンド中に組み込まれ得る。これらの添加剤は、後に溶融加工され得るペレットを生産するために配合過程中に組み込まれ得る。例えば、ペレットは、インプラントの作製に好適な繊維に押し出され得る。別の実施形態では、添加剤は、溶液ベースの処理を使用して組み込まれ得、例えば、繊維は、ポリマーと1種以上の添加剤との溶液から紡糸され得る。
【0119】
[00132] いくつかの実施形態では、添加剤は、生体適合性であり得る。いくつかの実施形態では、添加剤は、生体適合性及び再吸収性の両方であり得る。
【0120】
[00133] 一実施形態では、添加剤は、核剤及び/又は可塑剤であり得る。これらの添加剤は、所望の結果を生じるために十分な量で添加され得る。概して、これらの添加剤は、1重量%~20重量%の量で添加され得る。核剤は、ポリマー、コポリマー又はブレンドの結晶化速度を増加させるために組み込まれ得る。そのような添加剤は、例えば、インプラントの製作を容易にし、インプラントの機械的特性を改善するために使用され得る。核剤の例は、限定されないが、クエン酸カルシウムなどの有機酸の塩、PHAポリマー及びコポリマーのポリマー又はオリゴマー、高融点ポリマー、例えばPGA、タルク、微粉化雲母、炭酸カルシウム、塩化アンモニウム並びに芳香族アミノ酸、例えばチロシン及びフェニルアラニンを含む。
【0121】
[00134] インプラントを作成するために組成物に組み込まれ得る可塑剤は、限定されないが、マレイン酸ジ-n-ブチル、ラウリン酸メチル、フマル酸ジブチル、ジ(2-エチルヘキシル)(ジオクチル)マレエート、パラフィン、ドデカノール、オリーブ油、大豆油、ポリテトラメチレングリコール、オレイン酸メチル、n-プロピルオレエート、オレイン酸テトラヒドロフルフリル、エポキシ化アマニ油、エポキシタル油酸2-エチルヘキシル、グリセロールトリアセテート、リノール酸メチル、フマル酸ジブチル、アセチルリシノール酸メチル、アセチルトリ(n-ブチル)シトレート、クエン酸アセチルトリエチル、クエン酸トリ(n-ブチル)、クエン酸トリエチル、ビス(2-ヒドロキシエチル)ダイメレート)、リシノール酸ブチル、グリセリルトリ-(アセチルリシノレエート)、リシノール酸メチル、n-ブチルアセチルリシノレエート、リシノレイン酸プロピレングリコール、コハク酸ジエチル、アジピン酸ジイソブチル、アゼライン酸ジメチル、ジ(n-ヘキシル)アゼレート、リン酸トリ-ブチル及びそれらの混合物を含む。可塑剤の例は、クエン酸エステルである。
【0122】
[00135] C.生体活性作用物質
[00136] インプラントは、生体活性作用物質を詰め込まれるか又はそれでコーティングされ得る。生体活性作用物質は、様々な理由でインプラントに含まれ得る。例えば、生体活性作用物質は、インプラント内への組織の内方成長を改善し、組織の成熟を改善し、インビボの活性作用物質の送達をもたらし、インプラントの湿潤性を改善し、感染を防ぎ、及び細胞付着性を改善するために含まれ得る。生体活性作用物質は、インプラントの構造にも組み込まれ得る。
【0123】
[00137] インプラントは、細胞接着因子、例えば細胞接着ポリペプチドを含み得る。本明細書で使用されるような用語「細胞接着ポリペプチド」は、1分子当たり少なくとも2つのアミノ酸を有し、細胞表面分子によって細胞を結合できる化合物を指す。細胞接着ポリペプチドは、細胞接着において役割を果たすことが知られている、細胞外マトリクスのタンパク質のいずれか、例えばフィブロネクチン、ビトロネクチン、ラミニン、エラスチン、フィブリノーゲン、I型、II型及びV型コラーゲン並びに同様の細胞接着特性を備える合成ペプチドを含む。細胞接着ポリペプチドは、結合ドメインを含む小片又は配列を含め、上述のタンパク質のいずれかに由来するペプチドも含む。
【0124】
[00138] インプラントは、流体が簡単にインプラント表面上に吸収され得るようにし、また細胞付着性を促し、及び又はインプラント表面の水接触角度を修正するために、インプラント構造の表面の湿潤性を改善するように設計された湿潤剤を組み込み得る。湿潤剤の例は、エチレンオキシド及びプロピレンオキシドのポリマー、例えばポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド又はこれらのコポリマー、例えばPLURONICS(登録商標)を含む。他の好適な湿潤剤は、界面活性剤又は乳化剤を含む。
【0125】
[00139] インプラントは、ゲル、ヒドロゲル又はリビングヒドロゲルハイブリッドを含み得る。これらの材料は、インプラントの湿潤性をさらに改善するか又はインプラントの厚さ全体にわたる細胞成長を促すために使用され得る。ヒドロゲルハイブリッドは、ゼラチン、メタクリル化ゼラチン(GelMa)、シルクゲル及びヒアルロン酸(HA)ゲルのような生体適合性ヒドロゲル内に封入された生細胞からなる。
【0126】
[00140] インプラントは、成長因子、細胞分化因子、細胞動員因子、細胞受容体、細胞結合因子、細胞シグナリング分子、例えばサイトカイン並びに細胞移動、細胞分裂、細胞増殖及び細胞外マトリクス沈着を促す分子を含む、細胞の内方成長を刺激するように設計された活性作用物質を含み得る。そのような活性作用物質は、線維芽細胞成長因子(FGF)、形質転換成長因子(TGF)、血小板由来成長因子(PDGF)、表皮成長因子(EGF)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GMCSF)、血管内皮細胞成長因子(VEGF)、インスリン様成長因子(IGF)、肝細胞成長因子(HGF)、インターロイキン-1-B(IL-1 B)、インターロイキン-8(IL-8)及び神経成長因子(NGF)並びにこれらの組み合わせを含む。
【0127】
[00141] インプラントに組み込まれ得る他の生体活性作用物質は、抗菌薬、特に抗生物質、殺菌薬、腫瘍学的作用物質、抗瘢痕化作用物質、抗炎症剤、麻酔薬、小分子薬物、抗血管新生因子及び血管新生促進因子、免疫調節薬及び血液凝固剤を含む。生体活性作用物質は、タンパク質、例えばコラーゲン及び抗体、ペプチド、多糖類、例えばキトサン、アルギン酸、ケラチン、ヒアルロン酸及びそれらの誘導体、核酸分子、小分子量化合物、例えばステロイド、無機物、例えばヒドロキシアパタイト又は複合混合物、例えば多血小板血漿であり得る。好適な抗菌薬は、バシトラシン、ビグアナイド、トリクロサン、ゲンタマイシン、ミノサイクリン、リファンピン、バンコマイシン、セファロスポリン、銅、亜鉛、銀及び金を含む。核酸分子は、DNA、RNA、siRNA、miRNA、アンチセンス又はアプタマーを含み得る。
【0128】
[00142] インプラントは、同種移植材料及び異種移植材料、例えば無細胞真皮マトリクス材料及び小腸粘膜下組織(SIS)も含み得る。
【0129】
[00143] さらに、ヒトの脂肪、例えば自家脂肪移植片は、インプラントにわたって又はその中に加えられるか又は注入され得る。患者からの脂肪吸引物の脂肪組織は、インプラントの内側面又は外側面に加えられ得る。インプラントが多孔質である領域では、脂肪組織及び小球は、インプラントの細孔内の適所に保持され得る。
【0130】
[00144] 別の実施形態では、集められた脂肪組織は、インプラントに加えられる天然又は合成の流体化骨格マトリクスと混合されて、インプラント内の適所での脂肪球の保持を支援する。天然及び合成の流体化骨格マトリクスの例は、限定されないが、ヒドロゲル、水溶性ポリマー、ポリエステル並びに親水性ポリマー、例えばポリエチレンオキシド、ポリビニルアルコール並びにフィブリン、トロンビン、アルギン酸、コラーゲン、キトサン及びシルクのポリマーを含む。
【0131】
[00145] いくつかの実施形態では、インプラントは、治療薬又は予防薬の放出制御のためのシステムを組み込み得る。
【0132】
[00146] 乳房固定インプラントを作成するための構成要素
[00147] 乳房固定術のためのインプラント及びシステムを製造するために様々な方法が使用され得る。インプラントは、本明細書で開示する繊維を含み得る。
【0133】
[00148] 長尺状部材
[00149] 実施形態では、乳房固定システムのインプラントは、長尺状部材を含む。長尺状部材は、患者の乳房を持ち上げるために使用され得る。長尺状部材は、乳房の下極の下側でハンモックを作るように設計される吊り器具ではなく、長尺状部材は、乳房を持ち上げるために乳房のいずれの側でも胸壁に留められない。代わりに、長尺状部材は、乳房の皮膚の下で乳房を囲むように移植され、乳房は、長尺状部材を締め付けることによって持ち上げられる。乳房は、乳房を囲む長尺状部材を締め付けることによって締め上げられ得る。乳房を囲む長尺状部材を締め付けることにより、乳房を囲む長尺状部材の直径を小さくする。長尺状部材が締め付けられると、乳房は、高い位置に集められる。長尺状部材が締め付けられると、乳房は、胸のより隆起した位置に位置決めされる。実施形態では、長尺状部材は、再吸収性であり、乳房を持ち上げ、安定化させる内部再吸収性ブラジャーを構成する。実施形態では、長尺状部材は、一時的な足場である。すなわち、長尺状部材は、乳房を持ち上げ、その後、長尺状部材が分解すると、新しい組織に取って代わられるように設計される。時間が経つにつれて、長尺状部材によってもたらされた乳房の支持が宿主組織からの支持に取って代わられる。このようにして、乳房は、長尺状部材によって持ち上げられるが、内方成長した乳房組織により、その持ち上げられた位置により長期にわたって維持される。実施形態では、長尺状部材は、その初期強度の少なくとも15%、その初期強度の少なくとも30%及び/又はその初期強度の少なくとも50%を移植後12週間保持する。
【0134】
[00150] 実施形態では、長尺状部材は、長尺状部材が分解して強度を失うとき、持ち上げられた乳房を支持するために使用され得る新しい組織平面を乳房にもたらすように設計される。実施形態では、長尺状部材は、新しい組織平面の領域にわたり、持ち上げられた乳房の荷重を分散させるように設計される。乳房の荷重を分散させるための長尺状部材の使用は、より耐久性の高い結果をもたらし、縫合糸のみが乳房リフト処置で使用されるときに起こり得る、荷重の集中、潜在的なチーズワイヤリング及び組織牽引の喪失を回避する。この点に関して、長尺状部材は、縫合糸が乳房組織を通して引っ張る傾向がある高脂肪組織量の乳房を持ち上げるのに特に望ましい場合がある。長尺状部材は、持ち上げられた乳房の荷重を延在領域にわたって広げる。
【0135】
[00151] 実施形態では、長尺状部材は、0.2~5cm、0.4~2cm、0.8~1.5cm及び/又は任意の好適な範囲の幅を有する。実施形態では、長尺状部材は、10~85cm、25~63cm、25~47cm及び/又は任意の他の好適な範囲の長さを有する。実施形態では、長尺状部材は、0.01~4mm及び/又は0.01~1mmの平均細孔サイズを有する。実施形態では、長尺状部材は、0.25~2mm及び/又は0.4~1mmの厚さを有する。
【0136】
[00152] 実施形態では、長尺状部材は、融合端部で終端する少なくとも1つの端部を含み、実施形態では、長尺状部材は、融合端部で終端する少なくとも1つの端部を含み、融合端部は、穿孔される。
【0137】
[00153] 実施形態では、長尺状部材は、他の乳房リフト機器のように胸壁に留められない。実施形態では、長尺状部材は、乳房下縁にある靭帯に留められない。
【0138】
[00154] 実施形態では、長尺状部材は、少なくとも5N、10N、60Nの荷重及び/又は500N未満の任意の他の好適な荷重を支持するように設計される。
【0139】
[00155] 実施形態では、長尺状部材は、多孔質構成要素を含む。多孔質構成要素は、組織の内方成長を許す。
【0140】
[00156] 実施形態では、長尺状部材は、患者の乳房に作られた刺切を通した移植のためのサイズにされる。実施形態では、長尺状部材は、患者の組織の広範囲に及ぶ剥離を伴わずに使用するように設計される。実施形態では、長尺状部材は、患者の組織の除去を伴わずに使用するように設計される。実施形態では、長尺状部材は、低侵襲送達のために設計される。実施形態では、長尺状部材は、患者内への移植前に例えばC字形状に折り重ねられる又は丸められるように設計される。移植後、折り重ねられた又は丸められた長尺状部材は、乳房内でその所望の形状に展開され得る。実施形態では、長尺状部材は、形状記憶を有する。移植後、形状記憶のある長尺状部材は、乳房内でその所望の形状に展開され得る。実施形態では、長尺状部材は、例えば、鈍い剥離により、乳房に形成されたチャネルに移植されるように設計される。実施形態では、長尺状部材は、導入器具により、乳房に形成されたチャネルに移植されるように設計される。実施形態では、長尺状部材は、IMF又は乳房の下極内にある1つ以上の入口点を通して移植されるように設計される。実施形態では、長尺状部材は、乳房の下極内にある入口点を通して移植されるように設計される。
【0141】
[00157] 実施形態では、インプラントは、伸長部材及び1つ以上の生体活性作用物質を含む。生体活性作用物質は、長尺状部材にコーティングされるか又は長尺状部材に組み込まれ得る。生体活性作用物質の例は、抗菌剤、抗生物質、タンパク質及び組織の内方成長を促す作用物質を含む。実施形態では、インプラントは、長尺状部材並びに細胞、幹細胞、ゲル、ヒドロゲル、脂肪組織、自家脂肪、脂肪吸引物、脂肪細胞及び線維芽細胞の1つ以上を含む。これらの細胞及び材料は、長尺状部材の表面にコーティングされるか又は長尺状部材の本体に組み込まれ得る。
【0142】
[00158] 実施形態では、長尺状部材の内毒素含量は、20エンドトキシン活性単位未満である。
【0143】
[00159] 実施形態では、長尺状部材は、無菌である。実施形態では、長尺状部材は、エチレンオキシド、低温エチレンオキシド、電子線照射又はガンマ線照射で滅菌される。
【0144】
[00160] 実施形態では、長尺状部材は、再吸収性ポリマーを含む。実施形態では、長尺状部材は、セクションAで列挙されたポリマーの1つ以上を含む。いくつかの実施形態では、長尺状部材は、ポリ-4-ヒドロキシブチレート若しくはそのコポリマー、ポリ(ブチレンサクシネート)若しくはそのコポリマー又はポリジオキサノンの1つ以上を含み得る。
【0145】
[00161] インプラントの長尺状部材を作製するための繊維
[00162] 実施形態では、インプラントは、繊維を含み得る。実施形態では、長尺状部材は、繊維を含み得る。繊維は、再吸収性熱可塑性ポリマー及び/又は再吸収性熱可塑性ポリエステルから作製され得る。繊維は、好ましくは、上記で列挙された再吸収性材料から作製され得る。繊維は、モノフィラメント繊維、マルチフィラメント繊維又はこれらの組み合わせであり得る。いくつかの実施形態では、インプラントは、モノフィラメント繊維を含み得る。繊維は、配向されていないか、部分的に配向されているか、配向されているか、高度に配向されているか又はこれらの組み合わせであり得る。配向されたとは、繊維が延伸されたことを意味する。繊維の延伸により、繊維中のポリマー鎖の分子整列を引き起こして繊維の引張強度を高める(これに関連して、「配向された」は、別の物体に関連する繊維の幾何学的形状には関係ない)。繊維の破断点伸度値は、3%~120%及び/又は3%~50%であり得る。実施形態では、繊維の直径は、1ミクロン~5mm、10ミクロン~1mm及び/又は50ミクロン~500ミクロンの範囲であり得る。繊維の重量平均分子量は、10kDa~1,200kDa及び/又は50kDa~600kDaの範囲であり得る。繊維は、インビボで1~6か月及び/又は2~4か月、その初期強度の少なくとも50%を保持し得る。繊維は、移植後5年以内及び/又は移植後2年以内に実質的に分解し得る。繊維の初期引張強度は、1~1,300MPa及び/又は50MPa~1,000MPaの範囲であり得る。
【0146】
[00163] ある実施形態では、インプラント又は長尺状部材は、以下の特性:10~100%の破断点伸度及び300~1,000MPaの引張強度の1つ以上を備える繊維を含む。
【0147】
[00164] いくつかの実施形態では、インプラントの長尺状部材は、P4HBから作製された繊維を含む。いくつかの実施形態では、インプラントの長尺状部材は、P4HBモノフィラメント繊維から作製された繊維を含む。P4HBモノフィラメント繊維は、部分的に配向されるか又は完全に配向され得る(すなわち押出後に部分的に延伸されるか又は完全に延伸され得る)。一実施形態では、P4HBモノフィラメント繊維は、以下の方法に従って生産され得る。ペレット形のバルクP4HB樹脂は、回転翼型真空ポンプシステムを使用して水分300ppm未満まで乾燥される。乾燥された樹脂は、ペレットを乾燥した状態に保つために窒素パージによって押出機送りホッパーに運ばれる。ペレットは、冷却されたフィーダセクション内に重力送りされ、直径1.5インチ(3.8cm)であり、30:1のL/D比の押出スクリューが装着された押出機バレル内に導入される。押出機バレルは、5個の加熱ゾーン(又は押出ゾーン)を含み得、American Kuhne製である。押出機からの加熱及び軟化された樹脂は、加熱された計量ポンプ(溶解ポンプ)に送られ、溶解ポンプから押出された樹脂は、加熱されたブロック及び8孔の紡糸口金アセンブリに送られる。好適な加工プロファイル範囲は、40℃~260℃の温度及び400psi~2000psi(2.76MPa~13.8MPa)の圧力である。溶融フィラメントは、水焼入れされ、スプール上にモノフィラメントを巻く前に、任意選択的に配向ライン(例えば、3段式配向ライン)内に及び任意選択的にインライン緩和されて運ばれ得る。この処置は、例えば、以下の特性:10~100%の破断点伸度、50~1,300MPaの引張強度及び70~1,000MPaの引張係数の1つ以上を備えるP4HBモノフィラメント繊維を生産するために使用され得る。P4HBモノフィラメント繊維の平均直径は、20ミクロン~1mm及び/又は50ミクロン~500ミクロンの範囲であり得る。ある実施形態では、P4HBモノフィラメント繊維のUSP(米国薬局方)吸収性縫合糸サイズは、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1、0、2-0、3-0、4-0、5-0、6-0、7-0、8-0、9-0、10-0、11-0及び12-0である。
【0148】
[00165] 別の実施形態では、インプラントの長尺状部材は、P4HBマルチフィラメント繊維から作製された繊維を含む。P4HB又はそのコポリマーのマルチフィラメント繊維は、例えば、ポリマー、そのコポリマー又はブレンドがペレット化及び乾燥されて、ポリマー、コポリマー又はブレンドの水分含量が300ppm未満となるように紡糸され得る。乾燥されたペレットは、押出機の送りホッパー内に配置され、例えば乾燥窒素パージを用いて水分から保護される。ペレットは、冷却されたフィーダセクション内に重力送りされ、押出スクリューを備える好適な押出機バレル内に導入される。1つの好適な押出機バレルは、直径0.75インチ(1.91cm)及び長さ25.69インチ(65.3cm)であり、30:1のL/D比の押出スクリューが装着される。American Kuhneが好適な押出機を製造している。いくつかの実施形態では、押出機バレルは、4個の加熱ゾーンを含み、加工プロファイルは、40℃~300℃の範囲の温度及び200psi~3,000psi(1.38MPa~20.7MPa)の圧力に設定される。加熱及び軟化されたポリマー、コポリマー又はブレンドは、計量ポンプに送られ、計量ポンプから、樹脂は、加熱されたブロックに送られる。スピンヘッドは、ろ材(スクリーン)と、マルチフィラメントヤーンの個々のフィラメントを形成するために所望の数の孔を含む紡糸口金とを含むスピンパックに装着される。例えば、紡糸口金は、15、30、60、120又はそれを上回る若しくはそれを下回る孔を有する。押出されたフィラメントは、紡糸口金から出て、冷やすことが可能にされる前に、加熱されたチムニーを通過する。紡糸仕上げがマルチフィラメントに用いられ、マルチフィラメントは、巻き取り機又は配向されたインラインのいずれかで収集され得る。好適な紡糸仕上げは、PEG400及びTween 20(商標)を含む。マルチフィラメント繊維の引っ張り強度は、1デニール当たり1~12グラムであり得る。実施形態では、マルチフィラメント繊維は、撚られてヤーンを形成し得る。実施形態では、長尺状部材は、ヤーンを含む。
【0149】
[00166] いくつかの実施形態では、インプラントの長尺状部材は、ポリ(ブチレンサクシネート)若しくはそのコポリマー及び/又はポリ(ブチレンサクシネート)若しくはそのコポリマーのモノフィラメント繊維から作製された繊維を含む。ポリ(ブチレンサクシネート)又はそのコポリマーのモノフィラメント繊維は、部分的に配向されるか又は完全に配向され得る(すなわち押出後に部分的に延伸されるか又は完全に延伸され得る)。一実施形態では、ポリ(ブチレンサクシネート)又はそのコポリマーのモノフィラメント繊維は、以下の方法に従って生産され得る。バルク樹脂は、真空下で一晩、0.01%(w/w)未満の水分まで乾燥される。ポリマーの乾燥されたペレットは、一面の窒素下において、Zenith型計量ポンプモデルHPB917、0.5mm-8孔の紡糸口金を備えるダイ及び8個の加熱ゾーンを装備する2.5インチのAmerican Kuhne1軸スクリュー押出機(30:1のL:D、3:1の圧縮)の押出機バレルに送られる。押出機の8個の加熱ゾーンは、40℃~200℃に設定される。押出機は、35~70℃の水で満たされた急冷浴が装着され、紡糸口金の底部と水面との間に10mmの空隙が設けられる。急冷浴後、2つの5ロールのゴデットが位置決めされ、それに、複数の段階で繊維を配向させるために、ゴデットによって送られる3組の高温伝導チャンバーが続く。高温チャンバーの温度は、50~90℃の温度に設定される。最後のチャンバーの後に別のゴデットが、その後、複数位置のSahm巻き取り機が位置決めされる。この処置は、例えば、以下の特性:10~100%及び/又は10~50%の破断点伸度、50~1,300MPa及び/又は400~1,200MPaの引張強度並びに50~3,000MPaの引張係数の1つ以上を備えるポリ(ブチレンサクシネート)又はそのコポリマーのモノフィラメント繊維を生産するために使用され得る。ポリ(ブチレンサクシネート)及びそのコポリマーのモノフィラメント繊維の平均直径は、20ミクロン~1mm及び/又は50ミクロン~500ミクロンの範囲である。ある実施形態では、ポリ(ブチレンサクシネート)又はそのコポリマーのモノフィラメント繊維のUSP(米国薬局方)吸収性縫合糸サイズは、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1、0、2-0、3-0、4-0、5-0、6-0、7-0、8-0、9-0、10-0、11-0及び12-0である。
【0150】
[00167] 別の実施形態では、インプラントの長尺状部材は、ポリ(ブチレンサクシネート)及びそのコポリマーから作製されたマルチフィラメント繊維を含む。ポリ(ブチレンサクシネート)又はそのコポリマーのマルチフィラメント繊維は、部分的に配向されるか又は完全に配向され得る(すなわち押出後に部分的に延伸されるか又は完全に延伸され得る)。一実施形態では、ポリ(ブチレンサクシネート)又はそのコポリマーのマルチフィラメント繊維は、以下の方法に従って生産され得る。バルク樹脂は、真空下で0.01%(w/w)未満の水分まで乾燥される。ポリマーの乾燥されたペレットは、AJA(Alex James Associates, Greer, S.C.)3/4インチの1軸スクリュー押出機(24:1のL:D)の押出機バレルに送られる。押出バレルは、4個の加熱ゾーン、計量ポンプ及びスピンパックアセンブリを含んだ。ペレットは、冷却されたフィーダセクションに重力送りされ、以下の通り設定される温度プロファイルで押出機に導入される:チムニー40℃~100℃、紡糸口金170℃±30℃、ポンプ170℃±30℃、ブロック170℃±30℃、ゾーン4 160℃±40℃、ゾーン3 150℃±40℃、ゾーン2 120℃±50℃、ゾーン1 30℃~40℃、送りゾーン:周囲温度。押出機からの加熱及び均質化された溶融した樹脂は、加熱された計量ポンプ(溶解ポンプ)に送られ、溶解ポンプから、押出された樹脂は、加熱されたブロック及び紡糸口金アセンブリに送られる。紡糸口金は、30個の孔を有し、毛細管直径0.200ミリメートル及びL/D比2:1である。(紡糸口金は、他の代替的な方法でも構成され得る。例えば、紡糸口金は、毛細管直径0.150~0.300ミリメートル(6ミル~12ミル)並びに15、120及び240個の孔と、より大きい及び小さい直径並びにより多い及び少ない数の孔とで構成され得る)。好適な加工温度プロファイル範囲は、35℃~250℃であり、圧力は、バレルでは200~5,000psi(1.38MPa~34.5MPa)及びスピンパックでは200~5,000psi(1.38MPa~34.5MPa)の範囲である。溶融フィラメントがスピンパックから出るとき、それらは、長さ6~12インチであり、温度が40℃~100℃の範囲の加熱されたチムニーカラーを、その後、風冷ボックスを通過する。スピンパックは、ヤーン巻き取りロールの上方に、溶融フィラメントの結晶化及び紡糸仕上げ潤滑剤の塗布を可能にするのに十分な距離で垂直方向に吊るされる。水中25%のポリエチレン25グリコール400(PEG400)の紡糸仕上げ溶液が、ヤーン束を形成するためにフィラメントをまとめるために使用される。ヤーン巻き取りロールの速度(一般に1分当たり3~18メートル)は、紡出糸束のデニールを制御するために、溶融フィラメントの流量に比例して設定される。その後、紡出糸束は、後のオフライン配向のためにLessona巻き取り機に運ばれるか、又は一連の冷却及び加熱ゴデット対並びにセパレータロールでのインライン配向のために巻き取りロールに運ばれる。必要に応じて、紡糸仕上げは、純水でヤーン束を再び湿潤させ、ヤーンを5~14Xの比及び50℃~90℃の範囲の温度で引くことによって再活性化され得る。この処置は、例えば、以下の特性:10~100%及び/又は10~50%の破断点伸度並びに1デニール当たり1グラム超及び/又は1デニール当たり4グラム超であるが、いくつかの実施形態では1デニール当たり14グラム未満の引っ張り強度の1つ以上を備えるポリ(ブチレンサクシネート)又はそのコポリマーのマルチフィラメント繊維を生産するために使用され得る。
【0151】
[00168] インプラントの長尺状部材を作成するための布又は織物
[00169] 実施形態では、長尺状部材は、布又は織物を含む。布又は織物は、メッシュ、編組、織りメッシュ及び編みメッシュを含む。布は、再吸収性繊維、例えば、限定されないが、再吸収性モノフィラメント繊維を含み得る。実施形態では、再吸収性モノフィラメント繊維は、ポリマーであり、配向されている。本実施形態では、配向されたとは、繊維が延伸されており、繊維中のポリマー鎖の分子整列を増していることを意味する。
【0152】
[00170] 上述の繊維は、例えば、編み、縫い合わせ、織り又はかぎ針編みによって布に加工され得、長尺状部材を形成するために使用され得る。インプラントの長尺状部材を作成するための例示的な布は、2ループピラー構成である。インプラントの長尺状部材の作成に使用するための別の例示的な布は、メッシュ、経編メッシュ及び/又は再吸収性経編メッシュである。
【0153】
[00171] 実施形態では、インプラントの長尺状部材を作成するために使用される布の破裂強度は、0.6~90N/cm及び/又は1.2~30N/cmである。実施形態では、インプラントの長尺状部材を作成するために使用される布は、以下の特性の少なくとも1つを有し得る:0.1~100kg、1~50kg、5~100kg、10~50kgの破裂強度及び/又は任意の他の好適な破裂強度、(i)少なくとも1kgfの縫合糸引き抜き強度、(ii)0.1~100kgの破裂強度、(iii)0.05~5mm、0.1~1mm、0.1~0.5mmの厚さ及び/又は任意の他の好適な厚さ、(iv)5~800g/m、10~1000g/m、20~500g/m、5~1000g/m、10~100g/m、200~800g/mの面密度及び/又は任意の他の好適な面密度、並びに(v)5μm~10mm、10μm~1mm、100μm~10mm、10μm~100μmの細孔径及び/又は任意の他の好適な細孔径。いくつかの実施形態では、インプラントの伸長部材は、布を含み、布は、以下の特性の少なくとも1つを有し得る:(i)1kgf~20kgfの縫合糸引き抜き強度、(ii)1~50kg又は10~50kgの破裂強度、(iii)0.1~1mmの厚さ、(iv)100~300g/mの面密度、及び(v)100μm~1mmの細孔径。
【0154】
[00172] 実施形態では、インプラントの長尺状部材を作成するために使用される布の破裂強度は、移植後3か月でその初期破裂強度値の少なくとも40%である。
【0155】
[00173] 実施形態では、インプラントの長尺状部材を作成するために使用される布は、多孔質であり、インビボで布中及びその周りに増殖する宿主組織によって取って代わられ得、これは、乳房リフトを支持するのに十分な強度がある。インプラントの細孔又は布中の細孔の直径は、組織の内方成長を促すために、25μm超、75μm及び/又は250μmであり得るが、20mm未満、10mm及び/又は5mmであり得る。
【0156】
[00174] 布、例えば編み及び織りメッシュ並びに2ループピラー構成布を含むインプラントの長尺状部材は、P4HB若しくはそのコポリマーの繊維及び又はポリ(ブチレンサクシネート)若しくはそのコポリマーの繊維を使用して生産され得る。繊維は、モノフィラメント繊維であり得る。これらのポリマー及びコポリマーの配向された又は部分的に配向されたモノフィラメント繊維を含むインプラントの長尺状部材は、長期の強度保持率プロファイルを有し、1年程度にわたってある程度の残留強度を維持し得る。これらの繊維の長期にわたる強度保持率は、これらの繊維から作製された布中への組織の内方成長のための延長された期間を提供する。これらの布中への組織の内方成長は、乳房内での新しい組織平面の形成につながり、これが乳房リフトを支持し得る。さらに、繊維及び布の長期にわたる強度保持率は、これらの繊維及び布を含む乳房固定インプラントが、持ち上げられた乳房に短期の支持をもたらし得る一方、乳房内に新しい組織平面が発生することを意味する。
【0157】
[00175] 他の実施形態では、2ループピラー構成又は編みメッシュを含む布を含むインプラントの長尺状部材は、ポリジオキサノンの繊維、例えばポリジオキサノンのモノフィラメント繊維及び/又はポリジオキサノンの配向されたモノフィラメント繊維を使用して生産され得る。
【0158】
[00176] インプラントの長尺状部材を作成するための好適な編みP4HBメッシュは、例えば、以下の方法によって作成され得る。49個のスプールからのP4HBのモノフィラメント繊維がワープビームの表面に均一張力下で引っ張られる。ワープは、大きい幅広のスプールであり、そこに個々の繊維が並行して巻き付けられて、Tween(登録商標)20潤滑剤の10%溶液でのコーティングの準備が整っている繊維のシートを提供する。Tween 20潤滑剤は、回転しており、Tween 20で満たされた浴に浸されている「接触」ローラによって繊維のシートの表面に加えられる。ローラの上面は、繊維のシートと接触され、ローラは、均一な速度で回転されて、Tween 20仕上げ剤を一貫して塗布する。Tween 20の塗布後、繊維のシートは、クリール位置に配置され、スプールに巻かれた各繊維が整列され、ワープビーム上の次のスプールに巻かれた繊維と並んで巻き付けられるようにする。次に、ワープビームは、ニットループを絡み合わせることにより、完成したメッシュ織物に変換される。8個のワープビームがトリコット編機送り出しに並行に装着され、「ランナー長」によって決定された定速で編み要素に送られる。各ビームからの個々のモノフィラメント繊維のそれぞれは、一連の動的張力要素を通して編み「ガイド」まで下方に送られる。各繊維は、単一のガイドを通過され、これは、ガイドバーに固定されている。ガイドバーは、繊維を、メッシュ構造を形成する針の周りに方向付ける。その後、メッシュ織物は、定速で巻下げローラによって針から取り除かれる。その後、メッシュ織物は、巻き取られ、ロールに巻き付けられる。この方法に従って生産されたP4HBモノフィラメントメッシュは、水を用いて超音波式にスコアリングされ、任意選択的に温水中でヒートセットされ、任意選択的に70%の水性エタノール溶液で洗浄される。
【0159】
[00177] 実施形態では、インプラントを作成するために使用され得る、P4HBモノフィラメント製の布(メッシュを含む)は、以下の特性の1つ以上を有する:(i)少なくとも1kgfの縫合糸引き抜き強度、(ii)0.1~100kgの破裂強度、(iii)0.05~5mmの厚さ、(iv)5~800g/mの面密度、及び(v)5μm~5mmの細孔径。実施形態では、P4HB布、例えばモノフィラメントP4HBメッシュは、以下の特性の1つ以上を有する:(i)1kgf~20kgfの縫合糸引き抜き強度、(ii)1~50kg及び/又は10~50kgの破裂強度、(iii)0.1~1mmの厚さ、(iv)100~300g/mの面密度、並びに(v)100μm~1mmの細孔径。実施形態では、P4HBモノフィラメントメッシュ又はP4HB布は、実質的に以下の特性の1つ以上を有する:500±100μmの細孔径、0.5±0.2mmの厚さ、およそ182±50g/mの面密度、5.6±2kgfの縫合糸引き抜き強度並びに少なくとも15kg及び/又は少なくとも24.5kgの破裂強度。
【0160】
[00178] インプラントに使用するためのポリ(ブチレンサクシネート)又はそのコポリマーの好適な編みメッシュは、例えば、以下の方法によって作成され得る。49個のスプールからのモノフィラメント繊維がクリールに装着され、並んで整列され、「接触」ローラの上面に均一張力下で引っ張られる。ポリエチレングリコールソルビタンモノラウレート、ポリエチレングリコール又は他の好適な潤滑剤の10%溶液で満たされた浴に半ば浸される間、「接触」ローラが回転している。潤滑剤は、繊維のシートの表面に堆積される。潤滑剤を塗布した後、繊維のシートは、コームガイドを通過され、その後、ワープビームに巻き付けられる。ワープは、大きい幅広のシリンダーであり、そこに個々の繊維が並行して巻き付けられて繊維のシートを提供する。次いで、ワープビームは、ニットループを絡み合わせることにより、完成したメッシュ織物に変換される。8個のワープビームがトリコット編機送り出しに並行に装着され、「ランナー長」によって決定された定速で編み要素に送られる。各ビームからの個々のモノフィラメント繊維のそれぞれは、一連の動的張力要素を通して編み「ガイド」まで下方に送られる。各繊維は、単一のガイドを通過され、これは、ガイドバーに固定されている。ガイドバーは、繊維を針の周りに方向付け、メッシュ織物構造を形成する。その後、メッシュ織物は、織物の「品質」によって決定された定速で巻下げローラによって針から外される。その後、メッシュ織物は、巻き取られ、ロールに巻き付けられ、スコアリングの準備が整う。その後、ポリ(ブチレンサクシネート)又はそのコポリマーのモノフィラメントメッシュは、水を用いて超音波式にスコアリングされ、及び(i)ヒートセットされ(例えば高温の伝導性液体浴又はオーブン中で)、その後、(ii)70%の水性エタノール溶液で洗浄され得る。
【0161】
[00179] 2ループピラー構成を含み、インプラントを作成するのに好適なポリ(ブチレンサクシネート)又はそのコポリマーのモノフィラメント又はマルチフィラメントから作製されたメッシュ及び他の布は、以下の特性の少なくとも1つを有し得る:(i)少なくとも10N又は少なくとも20Nの縫合糸引き抜き強度、(ii)0.1~100kgf及び/又は1~50kgf又は0.1kPa超の破裂強度、(iii)0.05~5mmの厚さ、(iv)5~800g/mの面密度、(v)5μm~5mm及び/又は100μm~1mmの細孔径、並びに(vi)少なくとも0.01テーバー剛性単位及び/又は0.1~19テーバー剛性単位のテーバー剛性。いくつかの実施形態では、これらのモノフィラメント又はマルチフィラメントメッシュ及び他の布は、以下の特性の1つ以上を有する:(i)1kgf~20kgfの縫合糸引き抜き強度、(ii)1~50kgf及び/又は5~30kgfの破裂強度、(iii)0.1~1mmの厚さ、(iv)100~300g/mの面密度、並びに(v)100μm~1mmの細孔径。他の実施形態では、インプラントの長尺状部材を作成するのに好適なポリ(ブチレンサクシネート)若しくはそのコポリマーのモノフィラメント若しくはマルチフィラメントメッシュ又は他の布は、実質的に以下の特性の1つ以上を有する:500±100μmの細孔径、0.4±0.3mmの厚さ、およそ182±50g/mの面密度、5.6±2kgfの縫合糸引き抜き強度並びに少なくとも3kgf及び/又は少なくとも6kgfの破裂強度。
【0162】
[00180] 長尺状部材を形成するためのフィルム
[00181] 長尺状部材は、フィルム又はラミネートを含み得る。いくつかの実施形態では、フィルム又はラミネートは、多孔質であり得、組織の内方成長を可能にする。長尺状部材は、例えば、再吸収性ポリマーを含む上述のポリマーから形成され得る。
【0163】
[00182] 実施形態では、フィルム又はラミネートは、P4HB又はそのコポリマーを含む。これらのポリマーは、任意の好適な方法、例えば押出、ソルベントキャスティング、射出成形及び圧縮成形によってフィルムに変換され得る。
【0164】
[00183] いくつかの実施形態では、P4HB又はそのコポリマーを含むフィルムは、粉体若しくは顆粒形状から直接又はペレットからのいずれかで押出される。ポリマーは、押出前に乾燥され得る。溶融押出は、バレル及びTダイ温度、例えば80~250℃及び/又は100~220℃を使用して、長尺状部材の作成に好適なP4HBのフィルムを作成するために使用され得る。ある実施形態では、Tダイから出る溶融P4HBフィルムは、表面温度5~100℃及び/又は5~20℃の1つ以上の回転するキャストローラの上側を覆うようにキャスティングすることによって冷却される。その後、固化したフィルムが巻き取りステップにおいて巻き上げられて、フィルムを収集する。厚さの異なる長尺状部材を形成するのに好適なP4HBのフィルムは、Tダイスリットのギャップを調整し、ポリマー流量及びキャストロール速度を変更することにより、このプロセスを使用して生産され得る。
【0165】
[00184] 長尺状部材を形成するのに好適なP4HB又はそのコポリマーのフィルムは、インフレーション方法を使用する押出によっても作成され得、シリンダー状フィルムを押出すために、Tダイの代わりにインフレーション成形用円形ダイが使用される。円形ダイを出た後、溶融シリンダー状フィルムは、円形ダイの中心部分から吹く冷気を当てることによって冷やされる。ポリマーが固化すると、フィルムは、巻き取り機を使用して収集され得る。異なる厚さのP4HBフィルムは、インフレーションダイスリットのギャップを変更し、ポリマー流量、冷却空気圧、空気の温度及び巻き取り速度を変更することによって生産され得る。
【0166】
[00185] 長尺状部材を形成するためのP4HB及びそれらのコポリマーの好適なフィルムは、圧縮成形によっても作製され得る。一実施形態では、P4HBを含む組成物は、Carver流体圧プレスを使用してフィルムにプレス加工され得る。いくつかの実施形態では、P4HB粉体、顆粒又はペレットを含む組成物は、プレスのプラテンを115℃に加熱し、P4HB組成物を、金属スペーサを使用してマイラーの2つのシート間でプレス加工することによってフィルムにプレス加工され得る。プレス加工後、フィルムは、プレスから除去され、冷やして固化できるようにされ、マイラー裏当て材から除去される。金属空間の厚さは、所望の厚さのフィルムを生産するために調整され得る。
【0167】
[00186] 長尺状部材を形成するためのP4HB及びそれらのコポリマーの好適なフィルムは、ソルベントキャスティングによっても作成され得る。いくつかの実施形態では、P4HBの溶液は、10~15wt/vol%の濃度又はP4HB溶液の粘度が400~7,400cPとなるような濃度でP4HBポリマーを溶剤中で溶解することによって作成され得る。好適な溶剤は、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、アセトン、クロロホルム及び塩化メチレンを含む。ポリマー溶液は、ポンプでスロットダイを通して、例えばアルミ箔などの動いているウェブに送り出され得る。収集ローラに巻き取られる前に、動いているウェブが移動した距離は、溶剤の蒸発を確実にするように調整され得、1つ以上の風乾ゾーン(例えば、昇温されている)が溶剤の蒸発を速めるために使用され得る。一実施形態では、スロットダイは、幅150mm及びダイギャップ400μmを有し、ウェブ速度は、0.5m/分であり、ウェブは、フィルムが最終的なロールに収集される前に5m移動する。ポンプ速度、ダイギャップ及び幅、ポリマー濃度並びにウェブ速度の全ては、長尺状部材を形成するために所望の厚さ及び幅のP4HBフィルムを生産するために変更され得る。
【0168】
[00187] P4HB又はそのコポリマーのフィルムは、配向され得る。P4HB又はそのコポリマーのフィルムを配向するための好適な方法は、ロール延伸及び/又はテンターフレームによる延伸を含む。いくつかの実施形態では、フィルムは、室温~150℃及び/又は40~80℃の温度並びに0.25~15の延伸比で延伸され得る。フィルムは、一軸延伸されて、一軸に配向されたフィルムを形成するか、連続して二軸方向に延伸されて、二軸に配向されたフィルムを形成するか、又は同時二軸延伸されて、面配向されたフィルムを形成し得る。
【0169】
[00188] ある実施形態では、P4HB又はそのコポリマーの配向されたフィルムは、ヒートセットされ得る。P4HBのフィルムは、所望の延伸された寸法にフィルムを拘束し、60℃未満及び/又は35~45℃の温度まで加熱することによってヒートセットされ得る。
【0170】
[00189] いくつかの実施形態では、長尺状部材を形成するためのP4HB又はそのコポリマーのフィルムは、多孔質であるか又はフィブリル化されている。これらのフィルムは、フィルムに細孔を作るために、機械的な又はレーザードリリング、パンチング又は任意の同様の方法によって作製され得る。
【0171】
[00190] 実施形態では、長尺状部材を作成するためのフィルム又はラミネートは、本明細書で説明するような1,4-ブタンジオール単位及びコハク酸単位又はそれらのコポリマーを含むポリマー組成物を含む。これらのポリマーは、任意の好適な方法、例えば押出、ソルベントキャスティング、射出成形及び圧縮成形によってフィルムに変換され得る。
【0172】
[00191] 実施形態では、長尺状部材を形成するためのPBSポリマー又はそのコポリマーのフィルムは、以下のような溶液流延法によって作成され得る。好適な溶剤中のPBSポリマー又はコポリマーの均一溶液が作成される。ポリマー溶液は、ポンプで、好適なダイギャップを備えるスロットダイを通して、例えばアルミ箔の動いているウェブに送り出される。ウェブ速度は、例えば、およそ0.5m/分であり得、収集ローラに収集される前に5m移動し得る。速度は、溶剤の蒸発を確実にするように調整される。好適な温度に設定された1つ以上の別個の風乾ゾーンが用いられて、最終的なロールでの収集前にポリマーフィルムから溶剤を除去する。フィルム厚さを制御するために、いくつかのパラメータ、例えば、限定されないが、ポンプ速度、ダイギャップ及びダイ幅、ポリマー濃度並びにウェブ速度が変更され得る。
【0173】
[00192] 実施形態では、長尺状部材を形成するためのPBSポリマー又はそのコポリマーのフィルムは、溶融押出方法によって作成され得る。例示的な方法は、Tダイ押出方法又はインフレーション方法を含む。溶融押出によるフィルムの形成では、PBSポリマー又はそのコポリマーの溶融を保証するが、容認できない熱分解を引き起こすほど高くない、形成を実施するための好適なバレル及びTダイ温度が選択される。しかしながら、ホッパーの直下のバレルの部位の温度は、PBSポリマー又はそのコポリマーの溶融温度未満であり得る。溶融フィルムは、Tダイを出て、表面温度がPBSポリマー又はそのコポリマーの溶融温度未満の温度に維持された状態の冷却された動いている面、1つ以上の回転するシリンダー状キャストローラにキャスティングされ得る。このステップ後、押出フィルムを巻き上げるための巻き取りステップが続く。Tダイスリットのギャップ、ポリマー流量及びキャストロール速度を変更することにより、フィルム厚さが変更され得る。
【0174】
[00193] 実施形態では、長尺状部材を形成するためのPBS又はそのコポリマーのフィルムは、(i)水分含量が水分0.01wt%未満となるまでPBSポリマー又はそのコポリマーを乾燥するステップと;(ii)乾燥されたポリマー又はコポリマーを、フィルム押出ダイを備える押出機バレルに送るステップであって、押出機及びダイの加熱ゾーンは、60℃~240℃及び/又は70℃~220℃の温度に設定される、ステップと、(iii)PBSポリマー又はコポリマーの溶融温度未満の温度、例えば、限定されないが、5℃~50℃の温度に設定された冷却ロールスタックに押出物をキャスティングするステップとを含むプロセスによって押出される。
【0175】
[00194] インフレーション方法によるPBS又はそのコポリマーのフィルムの形成では、シリンダー状フィルムを押出すために、Tダイの代わりにインフレーション成形用円形ダイを使用する。溶融シリンダー状フィルムは、円形ダイの中心部分から吹く冷気を当てることによって冷やされ、固化され、及び冷気を当てられたシリンダー状フィルムは、巻き取り機によって収集される。インフレーションダイスリットのギャップ、ポリマー流量、冷却空気圧及び温度並びに巻き取り速度を変更することにより、フィルム厚さが変更され得る。
【0176】
[00195] PBSポリマー又はそのコポリマーから形成されたフィルム、例えば溶融押出フィルム及び溶剤キャストフィルムは、ロール延伸及び/又はテンターフレームを使用する延伸方法を含む任意の好適な方法を使用して延伸することによって配向され得る。溶融押出PBSフィルムは、例えば、延伸比0.25~15で延伸され得る。延伸は、一軸に配向されたフィルムを形成するための一軸延伸、二軸に配向されたフィルムを形成するための連続二軸延伸及び面配向されたフィルムを形成するための同時二軸延伸であり得る。
【0177】
[00196] 長尺状部材を少なくとも部分的に覆うためのシース
[00197] 実施形態では、インプラントの長尺状部材は、長尺状部材を移植部位に送達するために、1つ以上の除去可能なシース内に部分的に又は全体的に挿入される。長尺状部材の全て又は一部は、1つ以上のシース内に挿入されて、移植部位への長尺状部材の送達を容易にする。特に、1つ以上の除去可能なシースは、長尺状部材が、移植中、乳房組織と早期に、特に長尺状部材が乳房内の所望の位置に置かれる前に係合することを防止するために使用され得る。実施形態では、長尺状部材は、除去可能なシース内に部分的に又は完全に挿入され、長尺状部材を含むシースは、乳房内に移植され、除去可能なシースは、乳房から除去されて、乳房内で長尺状部材を展開する。実施形態では、長尺状部材は、単一のシースによって少なくとも部分的に覆われ得る。実施形態では、長尺状部材は、2つ以上のシースによって少なくとも部分的に覆われ得る。実施形態では、シースは、連続チューブであり得るか、又は長尺状部材が露出したままとなる複数のセクションを含み得る。実施形態では、シースは、引き裂き領域を含み得る。引き裂き領域は、特定の箇所でシースを引き裂くことを可能にする。
【0178】
[00198] 実施形態では、除去可能なシースは、ポリマーを含む。実施形態では、シースは、ナイロン、高密度ポリエチレン、ポリテトラフルオロエチレン及び低密度ポリエチレンから形成される。
【0179】
[00199] テンショナー
[00200] 実施形態では、乳房固定システムは、テンショナーをさらに含む。テンショナーは、乳房組織に加わる長尺状部材の張力を増減させ、乳房リフトを調整可能にするように設計される。
【0180】
[00201] テンショナーの例は、プーリーシステム又はスプールテンショナーを含む。実施形態では、テンショナーは、例えば、乳房を持ち上げるためにより多くの張力を長尺状部材に加えるために移植中に調整され得るか、又はテンショナーは、移植後に調整され得る。実施形態では、テンショナーは、小さい切開部を通して挿入される小型のツールを使用して調整され得る。
【0181】
[00202] 実施形態では、テンショナーは、インプラントの長尺状部材に組み込まれ、及び/又は長尺状部材の第1若しくは第2の端部に組み込まれ得る。
【0182】
[00203] 実施形態では、テンショナーは、吸収性ポリマーを含む。実施形態では、テンショナーは、セクションAで列挙された1種以上のポリマーを含む。いくつかの実施形態では、テンショナーは、ポリ-4-ヒドロキシブチレート若しくはそのコポリマー、ポリ(ブチレンサクシネート)若しくはそのコポリマー又はポリジオキサノンの1つ以上を含み得る。
【0183】
[00204] 締結アンカー
[00205] 実施形態では、乳房固定システムのインプラントは、1つ以上又は任意選択的に2つの締結アンカーを含んで、乳房が持ち上げられた後、長尺状部材を適所に固定する。実施形態では、締結アンカーは、締結アンカーを組織に縫合することを可能にする特徴部を含む。実施形態では、締結アンカーは、T字形状を有する。実施形態では、締結アンカーは、T字状キャップピンを有する。実施形態では、T字状キャップピンは、縫合糸が通過するサイズにされた縫合糸孔を有する。
【0184】
[00206] 実施形態では、締結アンカーは、2つのアームを有する。アームは、アームの一方の端部で長尺状部材に、及び他方の端部でT字状キャップピンの対向端部に接続される。実施形態では、T字状キャップピンは、射出成形によって形成される。実施形態では、アームは、モノフィラメント繊維、例えば、限定されないが、P4HBモノフィラメント繊維から形成される。
【0185】
[00207] 導入器具
[00208] 長尺状部材を含むインプラントは、1つ以上の導入器具を使用して移植されるように設計される。長尺状部材は、1つ以上のシースによって少なくとも部分的に覆われ、1つ以上の導入器具を使用して乳房内の所望の箇所に送達され得る。
【0186】
[00209] 実施形態では、導入器具は、ハンドルを有する。実施形態では、ハンドルは、医療用ポリプロピレンから作製される。実施形態では、ハンドルは、長さ10~15cm及び/又は12cmであり得、直径2~3cm及び/又は2.5cmを有し得る。実施形態では、導入器具は、左手及び右手の両方で使用できるようにするために、ユニバーサルハンドル設計を有する。
【0187】
[00210] 実施形態では、導入器具は、導入針を含む。実施形態では、導入針は、316Lステンレス鋼から作製される。いくつかの実施形態では、導入針は、長尺状部材又は少なくとも部分的にシースによって覆われた長尺状部材のアセンブリの挿入のための入口開口部が設けられた管状セクションを含む。
【0188】
[00211] 実施形態では、導入器具は、取り外し可能なバレルチップをさらに含む。実施形態では、取り外し可能なバレルチップは、316Lステンレス鋼から作製される。
【0189】
[00212] 乳房固定インプラント及び乳房固定術のためのシステムを作成する方法
[00213] 乳房固定インプラント及び乳房固定術のためのシステムを製造するために様々な方法が使用され得る。いくつかの実施形態では、乳房固定インプラントは、再吸収性であり、移植時の日常の活動中に乳房に作用する機械的な力を支持し、機械的な力を、再生した宿主組織に安定的に移すことができるようにする(再生した宿主組織は、インプラントが分解されると、同じ機械的な力を支持し得る)ように設計される。
【0190】
[00214] 乳房固定システム
[00215] 実施形態では、乳房固定システムは、(i)長尺状部材を含むインプラントと、(ii)インプラントを移植部位に送達するために使用され、その後、乳房から除去される、インプラントを少なくとも部分的に覆う1つ以上のシースと、(iii)1つ以上のシースによって覆われたインプラントを移植するための1つ以上の導入器具とを含む。実施形態では、乳房固定システムは、1つ以上のシースによって少なくとも部分的に覆われた長尺状部材のアセンブリ及び1つ又は2つの導入器具を含み、導入器具は、1つ以上のシースによって少なくとも部分的に覆われた長尺状部材のアセンブリが装填される。
【0191】
[00216] 図3~9は、乳房固定システムの構成要素、構成要素の設計及びどのように低侵襲乳房固定術のためのシステムが構成要素から組み立てられ得るかの実施形態を示す。
【0192】
[00217] 図3は、本発明の一実施形態による乳房固定術のための説明に役立つシステムを示す。図3は、図1に示す組み立て済みの乳房固定システムの分解図60を示す。乳房固定システムは、インプラントの長尺状部材61、少なくとも部分的に長尺状部材61を覆うシース62、導入器具63並びに長尺状部材61及びシース62のアセンブリを取り外し可能なバレルチップ65に接続するために使用されるラッチ64を含む。長尺状部材61は、第1の端部61a及び第2の端部61bを有する。長尺状部材61及びシース62のアセンブリは、アセンブリを導入器具63の管状セクション66に挿入するためにC字形状に丸められて示されている。図3の詳細Wは、シース62のC字形状の横断面67を示す。長尺状部材は、多孔質であり得る。多孔質長尺状部材は、長尺状部材の構造中への組織の内方成長を促し得る。図3の詳細Vは、長尺状部材61の多孔質構造68を示す。
【0193】
[00218] 図3に示す乳房固定システムの実施形態のさらなる詳細が図4に提供される。図4は、インプラントの長尺状部材71及びシース72のアセンブリの分解等角図70を示す。図4では、長尺状部材71及びシース72は、融合端部73を含む。実施形態では、乳房固定システムは、インプラントの長尺状部材71を少なくとも部分的にシース72内に配置し、長尺状部材及びシースの両方の端部を融合して、アセンブリを形成することによって形成される。その後、アセンブリは、導入器具の管状セクションに挿入され、低侵襲乳房固定術のためのシステムを形成する。図4の詳細Tは、長尺状部材71を受け入れるように設計されるシース72の横断面構造を示す。図4の詳細Uは、例示的な実施形態を示し、ここで、長尺状部材は、多孔質74である。実施形態では、長尺状部材及びシースのアセンブリの融合端部73は、穿孔75を含む。穿孔75は、長尺状部材及びシースのアセンブリを導入器具の取り外し可能なバレルチップに接続するための取り付け特徴部を形成するために作られる。穿孔75は、穿孔を通過するピンを備えるラッチを使用して、長尺状部材及びシースのアセンブリを導入器具の取り外し可能なバレルチップにラッチ可能にするようなサイズにされる。
【0194】
[00219] 実施形態では、乳房固定システムの導入器具80は、少なくとも部分的に導入器具に装填された、図5に示すような長尺状部材及びシースのアセンブリ81を含む。長尺状部材82及びシース83のアセンブリの拡大図が詳細Iに示されている。図5に示す実施形態では、導入器具80は、ハンドル84と、取り外し可能なバレルチップ85と、取り外し可能なバレルチップ85に接続する第1の端部87及びハンドル84に接続する第2の端部88を備える管状セクション86とを含む。
【0195】
[00220] ハンドル89拡大図が詳細Kに示されている。導入器のハンドル89は、右手又は左手で使用するように設計されたユニバーサルグリップを有し得る。実施形態では、管状セクションの少なくとも一部は、図5に示すようなスリット90を含む。
【0196】
[00221] 詳細Jは、導入器具の管状セクションを拡大して示し、管状セクション92におけるスリット91を示す。スリット90は、管状セクション内への長尺状部材及びシースのアセンブリ81の挿入及び除去を可能にするような寸法にされる。実施形態では、導入器具は、管状セクション86内への長尺状部材及びシースのアセンブリ81の挿入を可能にするように位置決めされた、導入器具の管状セクション内の入口開口部93を含む。
【0197】
[00222] 入口開口部93の拡大図が詳細Hに示されている。実施形態では、取り外し可能なバレルチップ85は、拡大詳細Cに示すような鈍い剥離チップ95を含む。実施形態では、取り外し可能なバレルチップ95は、鈍い剥離チップの代わりに鋭いチップを取り付けられている。実施形態では、取り外し可能なバレルチップ85は、図5の詳細Fに拡大図で示すラッチ受け96を含む。ラッチ受け96は、長尺状部材及びシースの融合、それに続く融合領域の穿孔によって形成された取り付け特徴部を受け入れるように設計される。
【0198】
[00223] 実施形態では、乳房固定システムは、取り外し可能なバレルチップを備える導入器具及び導入器具に装填された長尺状部材及びシースのアセンブリを含む。図6は、導入器具100に部分的に装填された、長尺状部材及びシースのアセンブリ101を備える導入器具100の分解図を示す。図6の詳細Mは、導入器具の管状セクションの第1の端部103、長尺状部材及びシースのアセンブリの端部に取り付けられた取り外し可能なバレルチップ102及び取り外し可能なバレルチップにアセンブリを固定するためのラッチを含む乳房固定システムの実施形態を示す。取り外し可能なバレルチップ102は、鈍い剥離のための丸みを帯びたチップ104を備えて示されている。他の実施形態では、取り外し可能なバレルチップは、剥離のための鋭いチップを取り付けられている。
【0199】
[00224] 図6の詳細Mに示すように、乳房固定システムは、取り付け特徴部106で終端する、長尺状部材及びシースのアセンブリ105並びにロックピン108を備えるラッチ107をさらに含み得る。実施形態では、長尺状部材及びシースのアセンブリの取り付け特徴部106は、取り付け特徴部106にある穿孔109を通して、取り外し可能なバレルチップ102のラッチ受け110内にラッチ107を挿入することにより、取り外し可能なバレルチップ102に接続される。実施形態では、取り付け特徴部106は、長尺状部材の端部とシースの端部との融合及びラッチ107のロックピン108を受け入れるようなサイズにされた孔109を作るための融合セクションの穿孔によって形成される。実施形態では、取り付け特徴部106は、ロックピン108を、取り付け特徴部106の穿孔109を通して、ラッチ受け110の窪んだ穴111内に挿入することにより、取り外し可能なバレルチップ102のラッチ受け110に固定され得る。実施形態では、ラッチ107は、ラッチ受け110の窪んだ特徴113に係合するラッチの側面に位置するクリップ112により、ラッチ受け110に固定され得る。実施形態では、移植後、取り付け特徴部106は、ラッチ受け110の窪んだ特徴113からクリップ112を解放することにより、ラッチ受け110から除去され得る。
【0200】
[00225] 乳房固定システムのある実施形態で使用するのに好適な導入器具120の側面図が図7Aに示されている。図7Bは、Q-Qで示す軸に沿った、図7Aに示す導入器具の縦断面図を示す。図7Bは、管状セクション121、管状セクションのルーメン122及び導入器具の取り外し可能なバレルチップ123を示す。実施形態では、図7Bに示す詳細Rに対応する、図7Cに示す拡大縦断面図に示すように、取り外し可能なバレルチップは、導入器具の管状セクションの第1の端部に締結される。図7Cは、締結機構により、導入器具126の管状セクションの第1の端部125に接続される取り外し可能なバレルチップ124を示す。実施形態では、締結機構は、取り外し可能なバレルチップ124を導入器具126の管状セクションの第1の端部125から解放することを可能にする。実施形態では、導入器具の締結機構は、取り外し可能なバレルチップの装着ピン127であって、導入器具126の管状セクションの第1の端部125内に挿入され得る(図示の装着ピン127は、挿入されている)装着ピン127と、装着ピン127を解放することにより、取り外し可能なバレルチップ124を導入器具126の管状セクションの第1の端部125から解放するように設計された係合解除ノッチ128とを含む。実施形態では、取り外し可能なバレルチップ124は、長尺状部材及びシースのアセンブリ(図示せず)の取り付け特徴部(図示せず)の挿入のための、図7Cに示すようなルーメン129を含む。実施形態では、乳房固定システムは、2つのロックピン131を備えるラッチ130を含み、ラッチは、ロックピン131が取り外し可能なバレルチップ124内に位置する状態でラッチ受け132に挿入され得る。取り外し可能なバレルチップ124は、図7A~Cでは、鋭い切断チップ133を備えて示されている。実施形態では、取り外し可能なバレルチップ133は、鈍い剥離チップを取り付けられ得る。
【0201】
[00226] 実施形態では、乳房固定システムは、図8Aのシステムの前面図に示すように、長尺状部材及びシースのアセンブリ141が装填される導入器具140を含む。図8Bは、図8AにおいてO-Oで示す軸に沿った、矢印の方向の導入器具の図を示す。図8Bは、管状セクション142を含む導入器、管状セクション142の第1の端部144に接続された取り外し可能なバレルチップ143、導入器具の管状セクション142にあるスリット145及び詳細Pにより詳細に示す管状セクションの横断面146を示す。実施形態では、長尺状部材及びシースのアセンブリ147は、詳細Pに示すようにC字形状に折り重ねられる。図8Cは、図8Bに示す詳細Pの拡大であり、横断面図において、導入器具の管状セクション148がC字形状の横断面を含むことと、長尺状部材及びシースのアセンブリを装填し、抜き取るためのスリット149と、管状セクション148内でC字形状に形成された長尺状部材151を包むシース150とを示す。
【0202】
[00227] 導入器具の寸法及び設計の例が図9に示されている。本実施形態では、導入器具160は、湾曲した管状セクション163の第1の端部162に接続された取り外し可能なバレルチップ161を含み、湾曲した管状セクション163の第2の端部164は、直線の管状セクション166の第1の端部165に接続され、直線の管状セクション166の第2の端部167は、ハンドル168に接続される。実施形態では、取り外し可能なバレルチップ161、湾曲した管状セクション163及び直線の管状セクション166の外径は、0.7cmである。実施形態では、取り外し可能なバレルチップは、切断チップ又は鈍い剥離チップ169を取り付けられ、取り外し可能なバレルチップと切断又は鈍い剥離チップとの全長は、3cmである。実施形態では、ハンドル168は、外径2.5cm及び長さ9cmを有する。
【0203】
[00228] 実施形態では、乳房固定システムは、長尺状部材を組織に固定するために1つ又は2つの締結アンカーを備える長尺状部材を含む。図10は、締結アンカー172を備える長尺状部材171を示す。実施形態では、締結アンカーは、T字形状を有する。実施形態では、T字形状締結アンカーは、T字状キャップピンを射出成形し、T字状キャップピン173の端部にアームを取り付けることによって形成される。実施形態では、T字状キャップピンは、締結部材を組織に縫合可能にするように、縫合糸が通過するようなサイズにされた孔を有する。実施形態では、T字状キャップピンは、ピンの中心がピンの端部よりも大きい直径を有するようにテーパがつけられている。実施形態では、アーム174は、モノフィラメント繊維、例えば、限定されないが、再吸収性モノフィラメント繊維から作成される。実施形態では、再吸収性モノフィラメント繊維は、P4HBから作成される。実施形態では、モノフィラメント繊維の平均直径は、0.05~0.4mm及び/又は0.07~0.3mmである。実施形態では、締結アンカーのアームは、例えば、結ぶこと、接着すること、ステープルでとじること又は融合することによって長尺状部材に取り付けられる。実施形態では、アームの長さは、2~10cm及び/又は4~6cmである。実施形態では、締結部材は、長尺状部材の端部から2~10cmで長尺状部材に取り付けられる。
【0204】
[00229] 実施形態では、乳房固定システムは、乳房に長尺状部材の第1の端部を移植するために使用され、その後、乳房から除去され、長尺状部材の第2の端部が装填され、乳房に再挿入されて長尺状部材の第2の端部を送達する導入器具を1つのみ含み得る。しかしながら、いくつかの実施形態では、乳房固定システムは、図1に示すような2つの導入器具を含むため、長尺状部材の各端部は、異なる導入器具を使用して移植される。
【0205】
[00230] 実施形態では、乳房固定術のためのシステムは、低侵襲送達のために設計される。インプラントは、小さい切開部を通してそれらが送達されることを可能にするような設計及び特性を有する。実施形態では、インプラントは、小さい切開部を通した送達を可能にするようにインプラントが丸められ得るか又は折り重ねられ得るように設計される。この低侵襲アプローチは、患者の病的状態、瘢痕化及び感染の機会を低減させ得る。実施形態では、インプラントは、移植部位に送達された後、補助を受けずにその元の形状を取ることを可能にする形状記憶特性を有する。例えば、インプラントは、移植部位への送達のための小径のシリンダー形状又はC字形状に丸めることによって一時的に変形され得、その後、インビボで補助を受けずにその元の形状を取ることを可能にする。
【0206】
[00231] 乳房固定インプラントを移植する方法
[00232] 本明細書で説明するインプラント及びシステムは、乳房外科手術、より詳細には乳房固定術処置に使用するのに最も好適である。
【0207】
[00233] 図2A~Eは、例示的な乳房固定インプラントシステムを用いて乳房リフトを行う方法を示す。図2Aは、患者の乳房10の輪郭、乳房のNAC11及び例示的な乳房固定システム13の第1の導入器具12を示す。移植方法は、乳房に刺切14を(例えば、乳房の下極のIMFに)作ることと、第1の導入器具12を刺切中に挿入することとを含む。乳房に挿入された導入器具の遠位端部は、乳房組織の鈍い剥離のために設計された取り外し可能なバレルチップを有し得る。実施形態では、導入器具は、乳房内を前進されて、例えば鈍い剥離により、図2Aに示す矢印15の方向に導入器具に力を加えることによって規定のチャネルを形成する。第1の導入器具は、乳房固定システム23の第1の導入器具22の遠位端部が乳房の上極内の、例えばNAC21の上方に位置決めされるまで、図2Bに示すように乳房の皮膚の下で患者の乳房20を囲む円形の動きで前進される。実施形態では、その後、導入器具の取り外し可能なバレルチップ25は、矢印26で示す方向に動かされて、取り外し可能なバレルチップ25が乳房を出るようにする。実施形態では、小さい切開部が乳房に作られて、取り外し可能なバレルチップ25を体外に出すことを容易にし得る。実施形態では、移植方法は、取り外し可能なバレルチップ25を第1の導入器具から取り外すことと、器具を挿入方向とは反対方向に動かすことにより、乳房から第1の導入器具を引き出すこととを含む。方法は、導入器具が引き出されている間、取り外し可能なバレルチップ又は取り外し可能なバレルチップに取り付けられた長尺状部材インプラントを覆うシースのアセンブリを保持することを含み得る。このような方法で取り外し可能なバレルチップを保持することにより、第1の導入器具の除去中に取り外し可能なバレルチップが乳房中に引き戻されることを防止する。
【0208】
[00234] 図2Cは、NAC31と一緒に患者の乳房30、乳房の上極にある小さい切開部33を通して患者の乳房から体外に出された後の取り外し可能なバレルチップ32の位置及び乳房から第1の導入器具を除去した後の、乳房30内での、シースによって覆われた長尺状部材インプラントのアセンブリ34の位置を示す。そのため、シース被覆長尺状部材インプラントのアセンブリ34は、乳房内に移植されて、導入器具が導入される部位から、取り外し可能なバレルチップが体外に出される部位まで、乳房の皮膚の下で乳房の第1の側を囲むようにする。乳房から第1の導入器具を除去した後、移植されたアセンブリは、乳房の反対側への移植のために、長尺状部材インプラント及びシースのアセンブリの残りの部分が装填される第2の導入器具35に接続されたままになる。実施形態では、方法は、乳房40内に、図2Dに示すように乳房中への第1の導入器具の挿入に使用されたもののと同じ、IMF、すなわち乳房の下極内の切開部位43で第2の導入器具42を挿入することをさらに含む。切開部位43中への第2の導入器具42の挿入後、第2の導入器具42は、第2の導入器具の取り外し可能なバレルチップ44が乳房の上極から体外に出されるように位置決めされるまで、図2Dに示すように、乳房の皮膚の下で乳房の反対側を囲むチャネルを形成するために使用される。取り外し可能なバレルチップ44は、第1の導入器具の取り外し可能なバレルチップと同じ部位45で乳房40から体外に出され得る。取り外し可能なバレルチップ44は、矢印46で示す方向に第2の導入器具42を動かすことによって体外に出される。
【0209】
[00235] 取り外し可能なバレルチップ44を体外に出した後、第2の導入器具が引き出されている間、取り外し可能なバレルチップ44又は取り外し可能なバレルチップに取り付けられた、長尺状部材インプラントを覆うシースのアセンブリが保持される。実施形態では、方法は、シース被覆長尺状部材インプラントから取り外し可能なバレルチップを取り外すことと、例えば切断によって長尺状部材インプラントの端部をシースから分離することとをさらに含む。その後、シースは、シースを上方向に引っ張り、長尺状部材インプラントの端部が乳房からわずかに露出させている状態で、乳房を囲む長尺状部材インプラントを残すことによって乳房から除去され得る。
【0210】
[00236] 図2Eは、患者の乳房50、NAC51、シースが乳房から除去された後の、乳房の皮膚の下で乳房を囲む移植された長尺状部材インプラント52及び第2の切開部54を通して乳房50から露出された長尺状部材インプラントの端部53を示す。方法は、長尺状部材インプラントの端部53を、矢印55で示す上方向に引っ張ることによって乳房を持ち上げることをさらに含む。乳房50が満足のいく位置まで持ち上げられると、長尺状部材インプラントの端部53は、皮膚の下で固定される。端部53は、結ぶこと又は端部53を例えば胸壁などの組織に固定することによって固定され得る。必要に応じて、長尺状部材インプラントの端部は、トリミングされ得る。
【0211】
[00237] 実施形態では、長尺状部材インプラントの移植方法は、導入器具を1つのみ含み得る。1つの導入器具を使用して、シース被覆長尺状部材インプラントのアセンブリの第1の端部を乳房に移植する。その後、取り外し可能なバレルチップが1つの導入器具から取り外され、1つの導入器具が乳房から除去される。その後、1つの導入器具は、シース被覆長尺状部材インプラントのアセンブリの第2の端部が装填されて、乳房の他方の側に移植される。取り外し可能なバレルチップは、1つの導入器具から取り外され、1つの導入器具は、乳房から除去される。
【0212】
[00238] 実施形態では、インプラントの移植方法は、長尺状部材インプラントを覆う単一のシースのアセンブリの使用を含み得る。アセンブリは、本明細書で説明するように乳房に移植され得、シースは、シースの端部のみを引っ張るか、又は長尺状部材インプラントを(例えば、第1の切開部位で)露出させるようにシースを切断するか若しくは引き裂き、シースの切断片を引っ張ってそれらを乳房から除去することにより、乳房から除去される。
【0213】
[00239] 実施形態では、インプラントの移植方法は、剥離、例えば鈍い剥離により、乳房内にインプラントのためのチャネルを形成することを含む。
【0214】
[00240] 実施形態では、インプラントの移植方法は、シース被覆長尺状部材インプラントを含むアセンブリを乳房の上極に導入することを含む。
【0215】
[00241] 実施形態では、インプラントの移植方法は、乳房にある1つのみの切開部を使用して、シース被覆長尺状部材インプラントを含むアセンブリを移植することを含む。本実施形態では、例えば、IMFに又は乳房の下極内に単一の切開部が作られ、長尺状部材インプラントとシースとを含むアセンブリが装填される導入器具が切開部位で導入され、導入器具は、シース被覆長尺状部材インプラントを含むアセンブリを移植するため、乳房の皮膚の下で乳房を完全に囲むために使用される。その後、導入器具の取り外し可能なバレルチップは、切開部位で体外に出され、導入器具から取り外され、導入器具は、乳房から除去される。乳房からそのシース又は複数のシースを除去した後、乳房を持ち上げるために長尺状部材インプラントの端部に張力が加えられ、長尺状部材インプラントの端部は、固定され、必要に応じてトリミングされる。
【0216】
[00242] 実施形態では、乳房を持ち上げる方法は、第1の端部及び第2の端部を備える、乳房を囲むようなサイズにされた一体的な長尺状部材インプラントを含むインプラントを提供することと、1つ以上の導入器具を提供することと、インプラントが乳房の皮膚の下で乳房の上極及び下極を囲むように、1つ以上の導入器具を使用して乳房にインプラントを挿入することと、乳房から1つ以上の導入器を除去することと、乳房を持ち上げるか又は締め上げるためにインプラントを使用することとを含む。
【0217】
[00243] 実施形態では、乳房を持ち上げる方法は、長尺状部材を含むインプラントを提供することをさらに含み、長尺状部材は、テープ、フィルム、多孔質フィルム、布、織物、編みメッシュ、織りメッシュ、不織メッシュ又はもつれがないメッシュである。
【0218】
[00244] 実施形態では、乳房を持ち上げる方法は、1つ以上の導入器具と、アセンブリであって、第1の端部及び第2の端部を備える、乳房の上極及び下極を囲むようなサイズにされた移植可能な一体的な長尺状部材インプラントと、長尺状部材の一方又は両方の端部の近くで長尺状部材に接続され、及び長尺状部材の少なくとも部分的に取り囲む1つ以上のシースとを含むアセンブリとを提供することと、長尺状部材が乳房の皮膚の下で乳房の上極及び下極を囲むように、1つ以上の導入器具を使用して乳房にアセンブリを挿入することと、乳房から1つ以上の導入器具を除去することと、乳房から1つ以上のシースを除去することと、長尺状部材インプラントを使用して乳房を持ち上げるか又は締め上げることとを含む。実施形態では、方法は、取り付け特徴部を備える長尺状部材インプラントを提供することと、取り付け特徴部を導入器具に接続することにより、導入器具を使用して乳房に長尺状部材インプラントを挿入することとをさらに含む。実施形態では、方法は、長尺状部材の両端部に取り付け特徴部を備える長尺状部材インプラントを提供することと、取り付け特徴部を1つ以上の導入器具に接続することにより、1つ以上の導入器具を使用して乳房に長尺状部材を挿入することとをさらに含む。
【0219】
[00245] 実施形態では、方法は、第1の端部及び第2の端部を備える管状セクションを備える導入器具を提供することであって、管状セクションは、入口開口部を備える、その長さの少なくとも一部に延びるスリットを含み、管状セクションの第1の端部は、取り外し可能なバレルチップに接続され、及び管状セクションの第2の端部は、ハンドルに接続される、提供すること、乳房内への長尺状部材インプラントの移植前に、入口開口部を通して長尺状部材インプラント及びシースのアセンブリを少なくとも部分的に導入器具の管状セクションに挿入することをさらに含む。実施形態では、方法は、取り付け特徴部を備える長尺状部材と、第1の端部及び第2の端部を備える管状セクションを備える導入器具とを提供することであって、管状セクションは、入口開口部を備える、その長さの少なくとも一部に延びるスリットを含み、管状セクションの第1の端部は、取り外し可能なバレルチップに接続され、及び管状セクションの第2の端部は、ハンドルに接続され、取り外し可能なバレルチップは、長尺状部材の取り付け特徴部を取り外し可能なバレルチップ及び先端が鈍い剥離チップ又は切断チップに固定するためのラッチ受けを備える、提供することと、長尺状部材の移植のために、先端が鈍い剥離チップ又は切断チップを使用して、乳房の上極及び下極を囲むチャネルを形成することとをさらに含む。実施形態では、方法は、取り外し可能なバレルチップを備える導入器具を提供することであって、取り外し可能なバレルチップは、導入器具に対する取り外し可能なバレルチップの取り付け及び取り外しのための締結機構を含む、提供することと、取り外し可能なバレルチップにアセンブリを取り付けることと、乳房内に導入器具を挿入することと、乳房内へのアセンブリの挿入後、締結機構を使用して導入器具からバレルチップを取り外すこととをさらに含む。実施形態では、方法は、ラッチ受けが設けられた取り外し可能なバレルチップ、ラッチ及び取り付け特徴部を備える長尺状部材を備える導入器具を提供することと、取り付け特徴部を通して及びラッチ受け内にラッチを挿入して、長尺状部材を取り外し可能なバレルチップに固定することとをさらに含む。実施形態では、方法は、ラッチ受けが設けられた取り外し可能なバレルチップ、1つ以上のロックピンを備えるラッチ及び取り付け特徴部を備える長尺状部材を備える導入器具を提供することと、取り付け特徴部を通して及びラッチ受け内にラッチのロックピンを挿入して、長尺状部材を取り外し可能なバレルチップに固定することとをさらに含む。
【0220】
[00246] 実施形態では、方法は、テープ、フィルム、多孔質フィルム、布、編みメッシュ、織りメッシュ又はもつれがないメッシュの形態の長尺状部材を提供することをさらに含む。実施形態では、方法は、1つ又は2つの取り付けアンカーを備える長尺状部材を提供することと、乳房が持ち上げられた後、例えば1つ又は2つの取り付けアンカーを組織に縫合することにより、1つ又は2つの取り付けアンカーを乳房内に固定することとをさらに含む。実施形態では、方法は、1種以上のポリマーから作製された長尺状部材を提供することをさらに含み、ポリマーは、以下のモノマー:グリコール酸、乳酸、1,4-ジオキサノン、トリメチレンカーボネート、3-ヒドロキシ酪酸、4-ヒドロキシ酪酸、ε-カプロラクトン、1,4-ブタンジオール、アジピン酸及びコハク酸の1つ以上から合成されるか又はそれを含み得る。実施形態では、方法は、乳房を持ち上げるか若しくは締め上げた後、長尺状部材インプラントを組織に貼り付けること又は乳房を持ち上げるか若しくは締め上げた後、長尺状部材の端部を一緒に結ぶことをさらに含む。
【0221】
[00247] 方法及び組成物の修正形態及び変形形態は、上記の詳細な説明から明らかになり、添付の特許請求の範囲内に入るものとする。
【0222】
[00248] 本発明は、以下の非限定的な例を参照することによってさらに理解される。
【実施例
【0223】
[00249] 実施例
[00250] 実施例1:低侵襲乳房固定システムの作成
[00251] 低侵襲乳房固定システムは、(i)ポリ-4-ヒドロキシブチレート(P4HB)の構造を編むことによって作製された長尺状部材、(ii)低密度ポリエチレン(LDPE)製の2つのシース、及び(iii)2つのステンレス鋼製の湾曲導入器具から作成され得る。
【0224】
[00252] 編みのP4HB長尺状部材は、サイズ6-0のP4HBモノフィラメント(P4HB Mw 340kDa)を経編みし、54℃で5分間ニットをヒートセットし、第1の端部及び第2の端部を備え、幅10mm×長さ55cmの寸法の長尺状部材インプラントを形成するために、ニットをレーザー切断することによって作成され得る。長尺状部材は、平均引張強度78N、平均細孔サイズ0.36mm及び厚さ0.65mmを有する。
【0225】
[00253] それぞれ第1の端部及び第2の端部を備えるLDPEの2つのシースが作成される。各シースは、直径8mm(又はシースが平らにされたときには14mm)、長さ20cm及び壁厚0.07mmを有する。長尺状部材インプラントの第1の端部は、第1のシースの第2の端部内に配置され、長尺状部材は、その第1の端部が第1のシースの第1の端部と位置合わせされるまで第1のシース内を摺動する。長尺状部材インプラントの第2の端部は、第2のシースの第2の端部内に配置され、長尺状部材は、その第2の端部が第2のシースの第1の端部と位置合わせされるまで第2のシース内を摺動する。このようにして、長尺状部材及びシースのアセンブリは、シースに取り囲まれたその第1及び第2の端部から測定されて20cmの長尺状部材のセクション及びシースに取り囲まれていない15cmの長尺状部材の中間部分を備えて形成され得る。シースを適所に固定するために、各シースは、長尺状部材の第1及び第2の端部で長尺状部材に熱融合される。シースを長尺状部材に融合した後、各融合セクションを通して、8mm離間した2つの2mm直径の孔が切り込まれて、長尺状部材及びシースのアセンブリの融合セクションの各端部に取り付け特徴部を形成する。
【0226】
[00254] 管状セクションを機械加工するための316Lステンレス鋼と、ハンドルを作成するための医療用ポリプロピレンとを使用して、2つの鈍いチップ付きの湾曲導入器具が作成される。器具の管状セクションは、長さ38cmであり、3つのセクションからなる:長さ2.5cmである、直線の取り外し可能なバレルチップを備える第1のセクション、第1の端部、第2の端部及び冷間曲げ加工された、曲率半径20cmの主要本体を備える第2のセクション並びに第1の端部、第2の端部及び7cmの長い直線のセクションを備え、第1の端部に入口開口部が設けられた第3のセクション。導入器具の管状セクションは、取り外し可能なバレルチップが管状セクションの第2のセクションの第1の端部に対して取り付けられるか又は除去され得るように形成される。シース付き長尺状部材アセンブリの送達のために、針の主要本体は、機械加工されるため、7mm×9mmのC字形状の横断面を備える内部空洞の設けられた(長尺状部材のための)10mm×14mmのC字形状の横断面を有する。管状セクションの第3のセクションは、第1の端部に0.5cm×1.0cmの入口開口部が設けられて機械加工される。管状セクションの第2のセクションは、第3のセクションの第1の端部に接続されるため、管状セクションにあるチャネルは、第2のセクションの内部空洞と第3のセクションの入口開口部との間に形成される。ハンドルは、管状セクションの第3のセクションの第2の端部に接続される。取り外し可能なバレルチップは、(a)乳房組織の鈍い剥離のための鈍いチップ、(b)長尺状部材及びシースのアセンブリの融合端部を受け入れるためのラッチ受け、(c)管状セクションの第2のセクションの第1の端部に挿入するための装着ピン、及び(d)管状セクションの第2のセクションの第1の端部から取り外し可能なバレルチップを解放するための係合解除ノッチが設けられて機械加工される。ラッチ受けは、ラッチに位置する固定ノブを受け入れるための窪んだ特徴も設けられて機械加工される。ラッチは、4mm×15mmの寸法で316Lステンレス鋼から機械加工され、長尺状部材及びシースの融合アセンブリを通る、挿入のためのピンにより、取り外し可能なバレルチップのラッチ受けに収まり、ラッチのノブは、ラッチ受けに係合してラッチを適所に固定するように設計される。
【0227】
[00255] 乳房固定システムは、長尺状部材及び2つのシースのアセンブリを丸めることによって組み立てられる。その後、丸められたアセンブリの第1の融合端部が管状セクションの第2のセクションの第1の端部を出て、取り外し可能なバレルチップのラッチ受け内に配置され得るまで、第1の融合端部を、管状セクションの第3のセクションの入口開口部を通して管状セクションの第2のセクションの内部空洞に通過させることにより、長尺状部材及び第1のシースのアセンブリの少なくとも一部が第1の導入器具の管状セクションの第2のセクションの空洞内に保持された状態で、第1の融合端部が第1の導入器具に挿入される。アセンブリの第1の融合セクションは、2つのピンが第1の融合セクションにある2つの2mm直径の孔を通り、取り外し可能なバレルチップのラッチ受け内に入る状態でラッチを挿入することにより、ラッチのノブがラッチ受けの窪んだ特徴に係合された状態で取り外し可能なバレルチップに固定される。その後、丸められたアセンブリの第2の融合端部は、第1の融合端部の挿入に関して説明したのと同じ方法で第2の導入器具に挿入されるため、第2の融合端部は、第2の導入器具の取り外し可能なバレルチップにある第2のラッチ並びに第2のシース及び長尺状部材のアセンブリの少なくとも一部が第2の導入器具の管状セクションの第2のセクションの空洞内に保持された状態で配置及び固定され得る。
【0228】
[00256] 実施例2:締結アンカーを備える低侵襲乳房吊り上げシステムの作成
[00257] この実施例では、乳房を持ち上げた後に長尺状部材を適所に固定可能にする2つの締結アンカーを取り付けられている乳房固定システムが作成され得る。図10は、一方の端部に締結アンカー(172)を備える長尺状部材(171)を含むインプラント(170)を示す。締結アンカーは、長尺状部材及びシースが融合される箇所に隣接する領域で長尺状部材に組み込まれる。締結アンカーは、T字形状を有し、射出成形されるT字状キャップピン(173)と、T字状キャップピン及び長尺状部材に接続されるアーム(174)とを備えて形成される。T字状キャップピンは、乳房の組織に締結アンカーを固定するために縫合糸を通すようなサイズにされた中心孔を特徴とする。T字状キャップピンの寸法は、長さ1cmであり、直径は、ピンの中心において2mmであり、ピンの各端部において1mmまでテーパがつけられる。T字状キャップピンは、P4HB(Mw 340kDa)から作製される。締結アンカーのアームは、サイズ3-0のP4HBモノフィラメントから形成され、それぞれ5cmの長さを有する。長尺状部材(171)の全長は、30cmである。各締結アンカー(172)のアーム(174)は、各締結アンカーのサイズ3-0のP4HBモノフィラメントアームを長尺状部材に結ぶことにより、長尺状部材の各端部から5cmの距離で長尺状部材に取り付けられる。
【0229】
[00258] 長尺状部材の他方の端部(詳細Yとして図10に示す)の近くにT字状キャップピン(173)を固定する手段を提供するために、長尺状部材(175)の他方の端部に細孔が形成され得る。細孔は、T字状キャップピンのピンを長尺状部材に挿入可能にするために十分な寸法を備えて形成される。例えば、細孔は、寸法1.5×3mmで形成され、アレイに配置され得る。好適なアレイは、2×20個の細孔を有し得る。長尺状部材がP4HB布、例えば縫合糸サイズ6-0のP4HBモノフィラメントで作製された、目が詰まった経編かぎ針編み設計から形成されるとき、細孔のアレイは、それぞれ寸法1.5×3mmの2×20個の針の長方形アレイを使用して形成され得、それが57℃まで加熱され、詳細Yとして示す領域において長尺状部材を押し通される。挿入されると、穿孔された長尺状部材は、例えば、54℃で5分間ヒートセットされ、その後、冷やされ得る。長尺状部材からの針のアレイの除去により、ヒートセットされた細孔のアレイの設けられた、詳細Yに示す構造を残す。
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図8A
図8B
図8C
図9
図10
【国際調査報告】