(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-26
(54)【発明の名称】胃空腸チューブ装置及び使用方法
(51)【国際特許分類】
A61J 7/00 20060101AFI20240119BHJP
【FI】
A61J7/00 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023542867
(86)(22)【出願日】2022-01-21
(85)【翻訳文提出日】2023-07-12
(86)【国際出願番号】 US2022013325
(87)【国際公開番号】W WO2022159714
(87)【国際公開日】2022-07-28
(32)【優先日】2021-01-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523265995
【氏名又は名称】インメッド. インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】INMED, INC.
【住所又は居所原語表記】170 North Perry Road, P.O. Box 900,Plainfield, IN 46168,U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100169904
【氏名又は名称】村井 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100217412
【氏名又は名称】小林 亜子
(72)【発明者】
【氏名】トーマス パトリック,ラロッシュ
(72)【発明者】
【氏名】ジェフェリー ラジェシュ,ラムカランシン
【テーマコード(参考)】
4C047
【Fターム(参考)】
4C047NN16
(57)【要約】
胃空腸(GJ)チューブ装置及び胃空腸(GJ)チューブ装置を使用する方法であって、GJチューブ装置は、装置内にルーメンを形成する複数のチューブを有し、閉端部を有する誘導チューブを含み、それは、GJチューブ装置の一部を切断することによって露出され、たとえば、既存のチューブが詰まる又は遮断されたときに、新しいGJチューブの配置を支援するために、それを通してのガイドワイヤの挿入を可能にする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外壁、第1の近位端、及び第2の遠位端を有する装置本体であって、前記外壁が膨張可能バルーン部分を含む、装置本体と、
前記装置本体の前記近位端の開口及び前記外壁の前記膨張可能バルーン部分の開口を有する第1のチューブと、
前記近位端の開口及び前記近位端と前記遠位端との間の開口を有する第2のチューブと、
前記近位端の開口及び前記遠位端の開口を有する第3のチューブと、
前記装置本体の前記近位端と前記遠位端との間に配設された閉近位端及び反対側の遠位端を有する誘導チューブと
を備え、
前記装置本体を切断することが前記誘導チューブの開口を作る、
胃空腸(GJ)チューブ装置。
【請求項2】
前記外壁が、触覚的特徴及び/又は色の特徴を含む少なくとも1つの切断印を含む、
請求項1に記載のGJチューブ装置。
【請求項3】
前記GJチューブ装置が置かれるとき、前記誘導チューブの前記遠位端が患者の前記小腸内に配置される、
請求項1に記載のGJチューブ装置。
【請求項4】
前記誘導チューブの前記遠位端に一方向弁組立体をさらに備える、
請求項1に記載のGJチューブ装置。
【請求項5】
前記誘導チューブの長さが、前記GJチューブ組立体の長さの50%~80%である、
請求項1に記載のGJチューブ装置。
【請求項6】
前記誘導チューブの前記閉近位端が、前記GJチューブ装置の少なくとも1つの切断印と前記近位端との間に配設される、
請求項1に記載のGJチューブ装置。
【請求項7】
前記装置本体が第1の材料から形成され、
前記誘導チューブが前記第1の材料とは異なる第2の材料から形成される、
請求項1に記載のGJチューブ装置。
【請求項8】
前記第2のチューブが、胃栄養チューブを含み、
前記胃栄養チューブと前記誘導チューブが、バックフィル材料によって分離される、
請求項1に記載のGJチューブ装置。
【請求項9】
前記GJチューブ装置本体が、前記近位端と前記遠位端との間に、大径化された固定部分をさらに含む、
請求項1に記載のGJチューブ装置。
【請求項10】
前記固定部分が、色特徴、テクスチャ特徴、及び切断印特徴のうちの少なくとも1つを含む、
請求項8に記載のGJチューブ装置。
【請求項11】
請求項8に記載のGJチューブ装置の交換方法であって、
クリップを前記GJチューブ装置の前記固定部分に遠位の前記GJチューブ装置と係合することと、
前記誘導チューブに開口を作るように前記GJチューブ装置を切断することと、
ガイドワイヤを、前記ガイドワイヤが前記誘導チューブの前記遠位端を出るまで、前記誘導チューブの前記開口を通して挿入することと、
所定の位置に前記ガイドワイヤを残したまま、前記GJチューブ装置を引き抜くことと、
前記ガイドワイヤ上に新しいGJチューブ装置を通すことによって、前記新しいGJチューブ装置を置くことと
を含む、
方法。
【請求項12】
胃空腸(GJ)栄養チューブ装置の交換方法であって、
切断ゾーンを露出させるために患者から部分的にGJ栄養チューブ装置を引き抜くことと、
前記患者内で前記GJ栄養チューブ装置の遠位端まで延在する回収ルーメンへの開口を確立するために、少なくとも部分的にGJ栄養チューブ装置を切断することと、
前記回収ルーメンを通してガイドワイヤを進めることと、
前記患者内に前記ガイドワイヤを維持しながら前記患者から前記GJ栄養チューブ装置を引き抜くことと、
前記GJ栄養チューブ装置の胃供給口を前記患者の幽門の上に、且つ、前記GJチューブ装置の空腸供給口を前記幽門の下に配置するように、前記ガイドワイヤ上に交換GJ栄養チューブ装置を進めることと
を含む、
方法。
【請求項13】
外壁、第1の近位端、及び第2の遠位端を有する装置本体、並びに、膨張可能バルーン部分、
前記装置本体の前記近位端と前記膨張可能バルーン部分との間で延在する膨張流体ルーメンを形成する第1のチューブ、
前記装置本体の前記近位端で始まり、前記装置本体の前記近位端と前記遠位端との間に形成された胃供給口で終わる胃供給ルーメンを形成する第2のチューブ、
前記装置本体の前記近位端で始まり、前記装置本体の前記遠位端に形成された空腸供給口で終わる空腸供給ルーメンを形成する第3のチューブ、
閉盲端で始まり、前記胃供給口に対して遠位である位置に配設された遠位端まで延在する回収ルーメンを形成する誘導チューブ
を有するGJチューブ装置と、
少なくとも1つの固定クリップと
を備える、
胃空腸(GJ)チューブ交換キット。
【請求項14】
前記誘導チューブの長さが、GJチューブ装置本体の長さの50%~80%である、
請求項13に記載のキット。
【請求項15】
前記GJチューブが、拡径固定部分を含む、請求項13に記載のキット。
【請求項16】
前記GJチューブの前記拡径固定部分が、色特徴、テクスチャ特徴、及び切断印特徴のうちの少なくとも1つを含む、
請求項15に記載のキット。
【請求項17】
前記GJチューブ装置が、前記誘導チューブの前記遠位端に位置付けられた一方向弁組立体をさらに含む、
請求項13に記載のキット。
【請求項18】
前記一方向弁組立体が、前記GJチューブ装置の遠位先端から近位に引っ込んでいる、
請求項17に記載のキット。
【請求項19】
外壁、第1の近位端、及び第2の遠位端を有する装置本体と、
前記装置本体近位端の第1の開口及び前記装置本体遠位端の第2の開口を有するルーメンを形成する前記装置本体の第1のチューブと、
前記装置本体近位端の開いた第1の端部及び前記装置本体近位端と前記装置本体遠位端との間に配設された閉じた第2の端部を有するルーメンを形成する前記装置本体の第2のチューブと、
前記装置本体近位端と前記装置本体遠位端との間に配設された閉じた第1の端部及び前記装置本体遠位端の反対側の第2の端部を有するルーメンを形成する前記装置本体の第3のチューブと
を備える、
医療装置。
【請求項20】
前記第2のチューブの前記閉じた第2の端部が、膨張可能バルーン部分であり、
前記装置本体近位端で開いた第1の端部を有するルーメンを形成する前記装置本体の第4のチューブと、
前記装置本体近位端と前記第3のチューブの前記閉じた第1の端部との間に配設される複数の供給口と
をさらに備える、
請求項19に記載の医療装置。
【請求項21】
前記装置本体の切断を制限するために、前記装置本体近位端と前記装置本体遠位端との間に位置付けられる抗切断構造
をさらに含む、
請求項19に記載の医療装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年1月21日に出願された「GASTROJEJUNAL TUBE APPARATUS AND METHOD OF USE」と題された米国仮特許出願第63/140,060号明細書の利点を請求し、その開示全体は参照することにより明確に本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は一般に、胃瘻栄養チューブ装置に関し、より詳細には、消化管の幽門弁/幽門の上及び下への物質の同時送達を可能にするために構成される胃瘻栄養チューブ装置に関する。
【背景技術】
【0003】
胃空腸(GJ)栄養チューブ装置20は、腹部24の切開を通して、胃22及び小腸38の空腸部分に挿入されるチューブである。GJチューブは、さまざまな状況において、通常は、胃への直接の供給のみでは好ましくない又は危険である、胃運動性に障害のある患者、呼吸による食道逆流のリスクが高い患者、膵臓炎の患者、又は、いくつかの他の状態の患者において使用される。GJチューブ装置20により、栄養、水和物、他の流体、及び薬剤を、十二指腸48を過ぎた空腸38の幽門弁36の下の位置に直接送達することができる。
【0004】
典型的なGJチューブ装置20は、
図1に示されるように、第1の端部26と第2の端部40とを含む。第1の端部26は、装置20の本体を通して並列に向けられて延在する内部チューブへのアクセスを可能にする複数のアクセスポート28、30、32を含む。各チューブはルーメンを画定する。用語「チューブ」及び「ルーメン」は、流体通路(ルーメン)及び流体通路を形成する物理構造(チューブ)に関して、時には、本明細書で交換可能に使用される。構造に対する限定は意図されていない。「チューブ」が参照される場合、その要素は、少なくとも1つのルーメンを定義する定義によって理解されるであろう。本明細書で参照される任意のチューブは、個々のチューブ状要素、一緒に取り付けられたいくつかの個々のチューブ状要素のうちの1つ、又は、各内壁が流体通路を画定する単一の構造の複数の一体型内壁のうちの1つとすることができる。よって、3つのチューブを有するデバイスは、3つのルーメンを画定し、たとえば、1つの単一の押し出し成形された細長い部品、又は、3つの取り付けられた細長い部品である可能性がある。1つのアクセスポート28及び関連するチューブは、バルーン部分34に接続され、バルーン部分34は、装置の偶発的な引き戻し又は移動を防ぐために、GJ装置が位置付けられると、少なくとも一時的に膨張させることができる。第2のアクセスポート30及び関連するチューブ44は、胃の中に位置付けられる開口52へのアクセスを可能にし、開口52を通して、直接、胃に、栄養、水和物、他の流体、及び/又は薬剤を導入することを可能にする。第3のアクセスポート32及び関連するチューブ42は、空腸の中に位置付けられる開口50へのアクセスを可能にし、直接、空腸に、栄養、水和物、他の流体、及び/又は薬剤を導入することを可能にする。GJ装置20は、皮膚に支えられ、たとえば、装置の小孔47への極端な挿入を防ぐことができる、ディスク部分46又は他の外側位置決め/保持要素も含んでもよい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
GJチューブ装置を配置する手順は通常、装置の正確な配置の支援に超音波、X線、及び/又は他の撮像技術を使用することができるように、放射線室において臨床医によって実行される。通常、GJチューブ装置を清潔且つ正常に維持するために注意が払われるが、チューブの少なくとも1つが詰まることは珍しいことではない。Honigに対する米国特許出願第13/679,160号明細書に示されるものなどの、詰まりが発生すると詰まりを取り除こうとするためのさまざまな異なる技術が開発されてきた。そのような技術は、さまざまな成功率を有するが、一定割合のチューブは通常、完全に又は少なくとも実質的に詰まりを除くことができない。詰まったチューブは取り外さなければならず、新しい1つの配置されるものは、通常、新しいGJチューブ装置を正確に案内及び配置するために、最初の配置手順と同じ時間及びリソースを使用する。次のGJチューブ装置を患者に配置するために必要な時間及び労力を削減するデバイス及び手順が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
1つの態様において、患者を処置する方法は、患者の体外の位置から、胃空腸(GJ)チューブ装置内で供給ルーメンと並行に延在する常閉回収ルーメンへのアクセスを確立することと、回収ルーメンを通してガイドワイヤを進めることとを含む。その方法は、ガイドワイヤを所定の位置に残したまま、患者の体からGJチューブ装置を引き抜くことをさらに含む。その方法は、新しいGJチューブ装置の胃供給口及び空腸供給口がそれぞれ患者の消化管内の幽門の上及び下にある処置位置までガイドワイヤを越えて新しいGJチューブ装置を進め、次いで、ガイドワイヤを取り除くことをなおもさらに含む。
【0007】
別の態様において、胃空腸(GJ)チューブ装置は、外壁と、第1の近位端と、第2の遠位端と有する装置本体を含む。外壁はさらに、膨張可能バルーン部分と、任意に、少なくとも1つの切断印とを含む。複数のチューブは、装置本体内で互いに略並行に進み、装置本体の近位端の開口及び膨張可能バルーン部分の開口を有する第1のチューブと、近位端の開口及び胃供給口を形成する近位端と遠位端との間の開口を有する第2のチューブと、近位端の開口及び空腸供給口を形成する遠位端の開口を有する第3のチューブと、近位端に対して遠位にある閉盲端を有し、胃供給口に対して遠位である位置で終了する誘導チューブとを含む。装置本体を、たとえば、少なくとも1つの切断印において切断することは、誘導チューブの開口を作る。
【0008】
さらに別の態様において、前述のGJチューブ装置の交換方法は、(切断印がまだ腹壁の外側にない場合)たとえば、少なくとも1つの切断印によって示されてもよい標的領域又は位置が腹壁の外側にあるまで、患者から既存のGJチューブ装置の一部を引き抜くことと、誘導チューブに開口を作るように既存のGJチューブ装置を切断することと、誘導チューブの開口を通してガイドワイヤを挿入することと、患者の所定の位置にガイドワイヤを残したまま既存のGJチューブ装置を引き抜くことと、新しいGJ装置の遠位端が幽門弁を通り越して、小腸の中にあるまで、新しいGJチューブ装置をガイドワイヤの上に通すことによって新しいGJチューブ装置を患者内に配置することと、装置からガイドワイヤを引き抜くことと、新しいGJチューブ装置を患者に固定することとによって実現される。
【0009】
さらに別の態様において、胃空腸(GJ)チューブ装置は、外壁、第1の近位端、及び第2の遠位端を有する装置本体と、膨張可能バルーン部分とを含む。装置本体の第1のチューブは、装置本体の近位端と膨張可能バルーン部分との間で延在する膨張流体ルーメンを形成する。装置本体の第2のチューブは、装置本体の近位端で始まり、装置本体の近位端と遠位端との間に形成された胃供給口で終わる胃供給ルーメンを形成する。装置本体の第3のチューブは、装置本体の近位端で始まり、装置本体の遠位端に形成された空腸供給口で終わる空腸供給ルーメンを形成する。装置本体の誘導チューブは、閉盲端で始まり、胃供給口に対して遠位である位置で終わる回収ルーメンを形成する。
【0010】
さらに別の態様において、医療装置は、外壁と、第1の近位端と、第2の遠位端とを有する装置本体を含む。装置本体の第1のチューブは、装置本体近位端の第1の開口と、装置本体遠位端の第2の開口とを有するルーメンを形成する。装置本体の第2のチューブは、装置本体近位端の開いた第1の端部と、装置本体近位端と装置本体遠位端との間に配設された閉じた第2の端部とを有するルーメンを形成する。装置本体の第3のチューブは、装置本体近位端と装置本体遠位端との間に配設された閉じた第1の端部と、装置本体遠位端の開いた第2の端部とを有するルーメンを形成する。医療装置は、切断印で装置を切断することが第3のチューブの第2の開端部を作るように位置付けられてもよい、装置本体上の少なくとも1つの切断印をさらに含んでもよい。
【0011】
さらなる態様において、GJチューブ交換キットは、上で開示された特徴の1つ又は複数を有する交換GJチューブ、並びに、既存のGJチューブ装置の除去及び交換のために必要とされる、ガイドワイヤ、固定クリップなどのような1つ又は複数の他のデバイスを含む。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】胃空腸(GJ)チューブ装置の配置を示す例示的な図である。
【
図2】1つの実施形態によるGJチューブ装置の平面図である。
【
図4】1つの実施形態によるGJチューブ装置の平面図である。
【
図5】1つの実施形態によるGJチューブ装置の平面図である。
【
図6】1つの実施形態によるGJチューブ装置本体の断面図である。
【
図7】1つの実施形態によるGJチューブ装置本体の断面図である。
【
図8】1つの実施形態によるGJチューブ装置本体の断面図である。
【
図9】1つの実施形態によるGJチューブ装置本体の断面図である。
【
図10】1つの実施形態によるGJチューブ装置の交換を示す例示的な図である。
【
図11】1つの実施形態によるGJチューブ装置の交換を示す例示的な図である。
【
図12】1つの実施形態によるGJチューブ装置の交換を示す例示的な図である。
【
図13】1つの実施形態による、GJチューブ装置の先端の断面図である。
【
図14】1つの実施形態によるGJチューブ装置の平面図である。
【
図16】1つの実施形態による固定クランプの側面図である。
【
図18】1つの実施形態によるGJチューブ装置の交換を示す例示的な図である。
【
図19】1つの実施形態によるGJチューブ装置の交換を示す例示的な図である。
【
図20】1つの実施形態によるGJチューブ装置の平面図である。
【
図21】1つの実施形態によるGJチューブ装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図面を参照すると、いくつかの実施形態による医療デバイスが示されている。本明細書は、別に示される又は文脈から明らかな場合を除き、概してすべての実施形態に言及するものと理解される。任意の1つの実施形態の特徴又は機能の本明細書における議論は、別に示される又は文脈から明らかな場合を除き、比喩的に言えば、任意の他の実施形態の特徴又は機能に言及するものと理解すべきである。「第1の」、「第2の」、「第3の」、及び同様の記述への参照は、単に便宜のためだけに使用され、記載される要素の任意の特定の識別情報、順序、又は配列が必要であるとはみなされない。
【0014】
図2~3は、本開示の1つの実施形態による胃空腸(GJ)チューブ装置100を示す。この例では、チューブ装置100は、第1の近位端部分110、すなわち「ハブ」と、第2の遠位端部分112とを含む。第1の端部部分110は、膨張流体ルーメンを形成する第1のチューブ124と関連する第1のアクセスポート104と、第1の供給ルーメンを形成する第2のチューブ126と関連する第2のアクセスポート106と、第2の供給ルーメンを形成する第3のチューブ128と関連する第3のアクセスポート108とを含む。アクセスポート104、106、108は、取り外し可能なキャップなどの、クロージャデバイス又はカバーを含んでもよい。チューブ124、126、128は、細長い装置本体102を通して互いに略並行して走る。第1のアクセスポート104及びチューブ124は、バルーン部分118に作動的に接続され、食塩溶液、造影剤、水、又は空気などの膨張流体の、バルーン部分118への要望通りの導入及び除去を可能にする。第2のアクセスポート106及びチューブ126は、開口116に作動的に接続され、開口116は、装置100が患者内に置かれると、胃へのアクセスを可能にする。第3のアクセスポート108及びチューブ128は、開口114に作動的に接続され、開口114は、装置100が患者内に置かれると、空腸へのアクセスを可能にする。装置100は、少なくとも1つの印120(切断インジケータ)をさらに含んでもよい。印120は、数例を挙げると、線若しくは隆起、又は、一連の線/隆起、或いは、1つ又は複数の出っ張りなどの、装置100の材料に形作られる1つ又は複数のマークであってもよい。印120は、色付きの若しくは他の消えないマーキング又は別の可視特徴、表面質感の特徴、或いは、視覚及び/又は触覚的特徴を提供するさらに他の印も含んでもよい。示されている実施形態では、印は、バルーン部分118の近位及び遠位の両方に示されている。場合によっては、バルーン部分118に対して遠位の印のみ又はバルーン部分118に対して近位の印のみ使用される。
【0015】
印120は、常閉回収ルーメンを形成する第4のチューブ130が開始して、装置本体102を通してチューブ124、126、128と略並行して走る、装置本体102の移行領域122に配置される。印120は、装置本体102を切断して、装置100から第1の端部110を除去又は部分的に除去し、それによって、第4のチューブ130及び関連する回収ルーメンへのアクセスを可能にする第4のアクセスポート又は点132を作成することによって、チューブ130への新しいアクセス開口が確立されてもよいところに印を付ける。第4のチューブ130は通常、胃供給口に対して遠位の、装置100が患者内に配置されたときに幽門弁/幽門を過ぎたいくつかの点で、小腸にアクセスを可能にする第4の開口で終わる。回収ルーメンを形成する第4のチューブ130の開口は、弁、ガイドワイヤを通して穴を開けることができる膜、又は、回収ルーメンが本明細書で論じられるように使用されるときに除去、拡大、若しくは開けることができる他のプラグ又はクロージャで形成された、通常は閉じられた開口を含むことができる。1つの実施形態において、回収ルーメンの遠位開口(第4のチューブ130の第4の開口)は、装置100の末端遠位先端に位置付けられる。他の例において、それは、末端先端に対して近位に配置されてもよく、空腸供給口に対して近位に配置されてもよく、サイドポートの性質を持って形成されてもよい。さらにその他の例において、末端の通常閉じられた開口は、以下で
図13に関連して論じられるように、装置100の遠位末端先端に配置される可能性があり、場合によっては、空腸供給口の遠位に位置付けられる可能性さえある。
【0016】
回収ルーメンを形成する誘導チューブが胃供給ルーメンを形成するチューブ126の遠位部分である実施形態も考えられる。当業者には明らかなように、GJチューブは、装置の長手方向長さ全体に延在するルーメンで形成することができるが、利用できない遠位部分に対して近位の胃供給口に栄養、流体などを供給するために、遠位部分でふさがれている又は閉じられている。本開示によると、回収ルーメンは、装置を交換するためのガイドワイヤを受けるためにアクセスされる又は開けられる胃栄養ルーメンの延長又は継続である可能性がある。当業者は、胃栄養チューブの従来の機能、及び、胃栄養チューブの遠位部分をふさぐ又は閉塞する従来の構造にも精通しているであろう。本開示によると、通常はふさがれた又は閉塞された部分は、本明細書に記載の切断印でGJチューブ装置を取り除いて切断することによって除去されてもよいが、GJチューブ装置の末端先端まで完全に、又は、その近くの位置まで延在する回収ルーメンを確立するために、ふさがれた、閉塞された、又は弁で調整される部分を通してガイドワイヤで穴を開けることによってアクセスされる可能性もある。そのような用途において、ユーザは、回収ルーメンを開けるために、比較的硬い先端のガイドワイヤを採用し、次いで、そのガイドワイヤをより柔らかい先端を有するガイドワイヤと交換する可能性があるが、他の例において、同じガイドワイヤが使用されてもよい。またさらに本明細書で論じられるように、回収ルーメン及び関連するチューブは、GJチューブ装置を補強する役目をしてもよい。胃供給口に対して遠位の胃栄養ルーメンの通常は閉じられた又は閉塞された部分が本明細書で論じられるようなねじれを阻止するために所望の剛性を有する実施形態が考えられる。胃瘻のために使用される近位部分、及び、回収ルーメンとして使用される通常は閉じられた遠位部分を含む、胃栄養ルーメンの全体は、GJチューブ装置の他の部品よりも大きい剛性を有してもよい。
【0017】
胃供給ルーメン及び空腸供給ルーメンの一方又は両方に固着した物質に基づいて装置100が詰まり、交換を必要とするとき、ガイドワイヤは、チューブ130の長さにわたって挿入され、詰まったGJチューブ装置は取り除かれ、新しいGJ装置は適切な配置経路を保持するガイドワイヤの長さに続くことによって配置されてもよい。次いで、ガイドワイヤは取り除かれてもよく、新しいGJチューブ装置が要望通り固定される。第4のチューブ130は、幽門弁/幽門及び空腸栄養ルーメンの任意の詰まりを過ぎる明確なアクセスを提供し、必要に応じてガイドワイヤ上を通る新しいGJチューブ装置の配置を支援する。チューブ130に対する開口132(チューブ130の閉盲端)を取り囲むことにより、チューブが、意図せずに使用されていない、詰まっていない、そして滅菌のままであり、患者の感染の経路を提供しない、又は、他の問題を示さないことが保証される。従来のGJチューブでは、チューブのうちの1つ(空腸にアクセスするチューブ)のみが通常、幽門弁/幽門を過ぎた点へのアクセスを提供し、そのチューブは多くの場合、おそらく詰まっており、そのため、空腸への栄養などの提供に使用されるとき、チューブの詰まりを過ぎるガイドワイヤの挿入に利用できない。
【0018】
図4は、別の実施形態による胃空腸(GJ)チューブ装置140を示す。この例では、GJチューブ装置は、第1の端部142と、第2の端部(図示せず)とを含む。第1の端部142は、第1のチューブと関連する第1のアクセスポート144と、第2のチューブと関連する第2のアクセスポート146と、第3のチューブと関連する第3のアクセスポート148とを有する。GJチューブ装置140は、回収ルーメンを形成し、第1の端部142と第2の端部との間でGJチューブ本体156に沿って配置される第4のチューブ150と関連する第4のアクセスポート152をさらに含む。第4のアクセスポート152は、チューブ150への物質の浸入を防ぐために、シール部分154を含む。シール部分154は、キャップ、蓋、若しくはプラグなどの取り外し可能な/交換可能なデバイスであってもよく、又は、開口152及びチューブ150へのアクセスを可能にするように切断されなければならない密封クロージャであってもよい。任意に、1つ又は複数の印158が、チューブ150へのアクセスを可能にするためにGJチューブ装置140が切断されてもよい場所を示すために、チューブ本体156上に含まれてもよい。
【0019】
図5は、別の実施形態による胃空腸(GJ)チューブ装置160を示す。この例では、GJチューブ装置160は、第1の端部162と、第2の端部(図示せず)とを含む。第1の端部162は、第1のチューブと関連する第1のアクセスポート164と、第2のチューブと関連する第2のアクセスポート166と、第3のチューブと関連する第3のアクセスポート168とを有する。GJチューブ装置160は、第1の端部162に配置され、回収ルーメンを形成する第4のチューブ172と関連する第4のアクセスポート170をさらに含む。第4のアクセスポート170は、チューブ172への物質の浸入を防ぐために、シール部分174を含んでもよい。シール部分174は、キャップ、蓋、若しくはプラグなどの取り外し可能な/交換可能なデバイスであってもよく、又は、アクセスポート170及びチューブ172へのアクセスを可能にするように切断されなければならない密封クロージャであってもよい。任意に、1つ又は複数の印176が、チューブ172へのアクセスを可能にするためにGJチューブ装置160が切断されてもよい場所を示すために、チューブ本体上に含まれてもよい。
【0020】
ここで
図13を参照すると、遠位先端310を有するGJチューブ装置300が示されている。装置300は、本明細書で考えられる実施形態のいずれかである可能性がある、又は、本明細書で考えられる実施形態のいずれかと組み合わせられる可能性があり、誘導チューブ320によって形成される回収ルーメン322を含む。空腸栄養ルーメン328は、装置300を貫通している。放射線不透過性マーカ330は、示される実施形態では、先端310に取り付けられる。回収ルーメン322の遠位開口部において、ダイアフラム324、又は、弁などの別の好適なクロージャの直近位に見えるように、ガイドワイヤは326で示されている。本明細書に論じられるように、さまざまな異なるクロージャ技術は、通常、使用のために開かれる時間まで回収ルーメンが閉じられているように、回収ルーメンの遠位開口部のために使用することができる。回収ルーメン322が通常はその近位端及び遠位端の両方で閉じられていてもよいことが理解されるであろう。誘導チューブ320は、本明細書に記載されるような補強材料から形成されてもよい埋め込みコイルなどの補強要素と関連付けられる若しくは埋め込みコイルなどの補強要素に取り付けられてもよく、又は、他の方法で、誘導チューブ322が貫通する装置300の部分に所望の強化された剛性を与えるように構成されてもよい。誘導チューブ320は、装置300の全長にわたっている可能性があり、通常は閉じられており、近位端でクロージャを切断又は除去することによって開放可能であるが、本明細書の実施形態のいくつかに関連して論じられるように、装置300の部分的な長さのみである可能性もある。装置300は、先端310の物質に埋め込まれた1つ又は複数のおもり322も含み、おもり332は、患者の体を通して、たとえば、幽門を過ぎて、先端310及び装置300を進めることを支援する。おもり322は、たとえば、金属製であってもよい。
【0021】
図6~9は、いくつかの実施形態による胃空腸(GJ)チューブ装置本体の断面図を示す。これらの例は、例示的な目的のためにのみ提供され、異なる実施形態におけるチューブの正確なサイズ、形状、及び構成は変わってもよい。通常、胃及び空腸へのアクセスを提供するために使用されるチューブは、バルーン部分へのアクセスを提供するチューブ及びガイドワイヤ配置経路又は回収ルーメンより大きいであろう。個々のチューブの正確なサイズ、形状、及び構成は、特定のGJチューブ装置の要件及びデザインに従って変わってもよい。GJチューブ壁は、エラストマーポリウレタン、ポリアクリレート、ポリオレフィン、ナイロンを含むポリアミド、ポリエステル、フルオロポリマー、シリコーン、ポリホスファゼン、パーフルオロエラストマー、fluroelastomer、及びコポリマーなどのさまざまな材料から作られてもよく、そのようなポリマーの誘導体、混合物、及びアロイが使用されてもよい。さらに、金属及び/又は複合材料などの強化材料が、要望通り、GJチューブ壁のすべて又は一部に含まれてもよい。回収ルーメンを形成する第4のチューブは、たとえば、ポリイミドを含んでもよい。
【0022】
いくつかの実施形態において、回収ルーメンを形成する第4のチューブ以外のGJ装置の他の部品又は全体は、第1の材料から形成されてもよく、第4のチューブは、第1の材料とは異なる第2の材料から形成されてもよい。本開示によるGJチューブ装置のいくつかのチューブは、共押出成形されてもよい。いくつかの実施形態において、第4のチューブは、GJチューブ装置本体に形成されたルーメンに挿入し、たとえば、接着剤、融解、摩擦による保持、又は、任意の他の好適な方法による取り付けによって、その中に埋め込むことができる。さらに他の実施形態において、第4の(レスキュー)ルーメンは、両端を開いて形成されてもよく、次いで、近位端となる一端が、GJチューブ装置内にルーメンを配置する前に、閉じられる/密封される。
【0023】
図6に示される第1の例において、GJチューブ装置180は、複数のチューブの外周を取り囲んで、画定する外壁182を含む。チューブは、第1のチューブ188と、第2のチューブ190と、第3のチューブ186と、第4のチューブ192とを含む。第1のチューブ188及び第2のチューブ192は、隔壁184によって分離されている。この例の第3のチューブ186及び第4のチューブ192は、それぞれ、外壁182の肉厚部194、196によって、第1のチューブ188及び第2のチューブ190から分離されている。
【0024】
図7に示される例において、GJチューブ装置200は、複数のチューブの外周を取り囲んで、画定する外壁202を含む。チューブは、第1のチューブ210と、第2のチューブ212と、第3のチューブ206と、第4のチューブ208とを含む。第1のチューブ210及び第2のチューブ212は、隔壁204によって分離されている。この例の第3のチューブ206及び第4のチューブ208は、外壁202の肉厚部214によって、第1のチューブ210及び第2のチューブ212から分離されている。
【0025】
図8に示される第3の例において、GJチューブ装置220は、複数のチューブの外周を取り囲んで、画定する外壁222を含む。チューブは、第1のチューブ224と、第2のチューブ226と、第3のチューブ230と、第4のチューブ232とを含む。第1のチューブ224及び第2のチューブ226は、隔壁228によって分離されている。この例の第3のチューブ230及び第4のチューブ232は、外壁222の肉厚部234、236によって、第1のチューブ224及び第2のチューブ226から分離されている。この特定の例において、第3のチューブ230及び第4のチューブ232は、楕円状断面を有するように示されている。さらに、第3のチューブ230は、前で論じられたような1つ又は複数の強化材料を含む壁238によって画定される。この例の第3のチューブ230の壁238は、一般に、配置中及び配置後に、特に、配置中に幽門弁/幽門を過ぎて進むときに、装置のねじれに抵抗するように働き、並びに、装置の他のチューブのうちの1つ又は複数の挟み込み及び可能性がある崩壊を防ぐチューブ220の壁222より堅固である。ポリイミドなどの、壁238が作られる材料は、他のチューブの壁の剛性と比較して、抗ねじれ剛性を有してもよい。この例では、壁238及び第3のチューブ230は、
図8のページの平面の外側に、閉盲端を有する回収ルーメンを形成する。チューブ230は、本明細書に記載されるように、装置220を通してガイドワイヤを供給するチューブ230に新しい開口を形成するために切断される。
【0026】
図9に示される第4の例において、GJチューブ装置250は、複数のチューブの外周を取り囲んで、画定する外壁252を含む。チューブは、第1のチューブ256と、第2のチューブ254と、第3のチューブ260と、第4のチューブ262とを含む。第1のチューブ256及び第2のチューブ254は、隔壁258によって分離されている。この特定の例において、第1のチューブ256は、第2のチューブ254より大きい。この例の第3のチューブ260及び第4のチューブ262は、外壁252の肉厚部264によって、第1のチューブ256から分離されている。この特定の例において、第3のチューブ260及び第4のチューブ262は、楕円状断面を有するように示されている。さらに、外壁252の部分は、前で論じられたような1つ又は複数の強化材料266を含む。この例の壁252の部分は、配置中及び配置後に装置のねじれを防ぐように働き、並びに、装置のチューブのうちの1つ又は複数の挟み込み及び可能性がある崩壊を防ぐ一体型補強材を含んでもよい。他の例において、外壁のすべて又は選ばれた部分のみが、GJチューブ装置の全長に沿った又は装置の選ばれた部分のみでのねじれを阻止するように、強化材料を含んでもよい。
【0027】
一体型補強構成要素の抗ねじれ補強特性のさまざまな応用を現場で観察することができる。強化された補強は、GJチューブ装置が患者の正確な位置に置かれて固定され、ガイドワイヤが取り外された後に、チューブ形状の維持及びねじれ防止を支援することができる。胃腸蠕動の通常の生理的プロセスの間、患者の胃腸管の運動は、時には、閉塞及び機能不全の可能性を引き起こす又はもたらす可能性がある。空腸内の遠位部分を含む、本開示によるGJチューブの選ばれた位置における追加剛性は、所望の位置の維持を支援することができ、装置の使用可能時間を潜在的に延ばす。早期のGJチューブ故障の別の原因は、GJチューブは、空腸における位置決めが意図されたGJチューブの部分の患者の胃への引込み及び時には巻取りによる後方移行である可能性がある。たとえば、患者の体の変化は、GJチューブの異なる向きと関連付けることができ、入時点のGJチューブ入射角の変化は、数例を挙げると、手順を実行する医師の選択、避けられない手順間の変化、幽門の位置と関連する胃へのアクセス、及び、全体的な胃の形状に基づいて生じる可能性がある。(GI運動問題、むかつき、及び嘔吐に関連する)蠕動及び十二指腸胃逆流などの生理的力は、この現象の一因となる可能性がある。重要な解剖学的位置と関連付けられた重要な領域における比較的より多くの剛性材料の種類又は挿入された若しくは埋め込み成形された金属コイル構成要素を含む、本明細書に記載されるさらなる剛性は、GJチューブ装置の意図された使用寿命中に望ましくない移行を引き起こす可能性がある解剖学的変動、配置変動性、及び生理的プロセスの抑制を支援することができる。
【0028】
図14に示される別の例において、GJチューブ装置360は、第1の近位端部分364と、第2の遠位端部分382とを含む。近位端部分364は、複数のアクセスポート366、368、370を含み、そのそれぞれは、栄養、薬、水分補給若しくはバルーン膨張のための流体などの導入を可能にする個別のルーメン(図示せず)と関連付けられている。他の例では、より多くの又はより少ないアクセスポートが提供される。アクセスポート366、368、370は、取り外し可能なキャップなどの、クロージャデバイス又はカバーを含んでもよい。ルーメンは、細長い装置本体372を通して互いに略並行して走る。アクセスポートの1つ及び関連するルーメンは、バルーン部分376に作動的に接続され、食塩溶液、造影剤、水、又は空気などの膨張流体の、バルーン部分376への要望通りの導入及び除去を可能にする。ディスク部分374は、装置が患者内に置かれて、バルーンが膨張されたときに、デバイスがバルーンとディスク部分374との間の腹壁で所定の位置に固定されるように、近位端364とバルーン部分376との間の装置本体372上に配設される。この特定の例において、残りのアクセスポートの1つは、胃へのアクセスを可能にするルーメンと関連付けられ、別のアクセスポート及び関連するルーメンは、装置360が患者内に置かれると、空腸へのアクセスを可能にする開口に作動的に接続される。
【0029】
GJチューブ装置360は、遠位端382と近位端364との間の点に、装置本体372の周囲に配設される固定部分380をさらに含む。固定部分380は、装置本体372と同じ又は異なる材料から作られてもよい。固定部分380は、装置本体372の製造プロセスの一部として形成されてもよく、又は、別個に形成されて、次いで、(たとえば、接合剤、音波溶接、又は他の好適な溶融法を使用して)後で装置本体372に取り付け及び固定されてもよい。任意に、固定部分380は、一般に、装置本体372との区別をより簡単にするように着色されてもよい。固定部分380は、把持及び/又は接触による識別をより簡単にするようにざらざらでもよく、切断線又はゾーンを示す印を含んでもよい、又は、切断印は、本明細書でさらに論じられるように、回収ルーメンへの新しいアクセスを作るための適切な位置に臨床医を案内するために、固定部分380の近く、たとえば、直近位に置かれる可能性がある。
【0030】
回収又はレスキュールーメン384を備える第4のルーメンは、GJチューブ装置360の近位端364と遠位端382との間の点で始まり、GJチューブ装置360の遠位端382又は遠位端382の近くにある遠位端386で終わる前に、他のルーメンと略並行に走る。この特定の例において、レスキュールーメン384は、GJチューブ装置360の固定部分380と近位端364との間に配設される密封又は盲端部362を有する近位端378で始まる。他の例において、レスキュールーメンは、固定部分で取り囲まれるいくつかの点に配設される密封端部分で始まってもよい。開示される発明によるレスキュールーメンの近位端の正確な位置決め及びGJチューブ装置本体の全長に関するその長さは、特定の用途によって変わってもよい。1つの例では、レスキュールーメンは、GJチューブ装置本体の全長の少なくとも50%~66%である。別の例では、出生状況で使用されるものなどのいわゆる「ロープロファイル」GJチューブ装置において、レスキュールーメンは、GJチューブ装置本体の全長の最大80%を備えてもよい。
【0031】
レスキュールーメンは通常、胃供給口に対して遠位の、装置360が患者内に配置されたときに幽門弁/幽門を過ぎたいくつかの点で、小腸にアクセスを可能にする開口で終わる。レスキュールーメンの開口は、弁、ガイドワイヤを通して穴を開けることができる膜、又は、回収ルーメンが本明細書で論じられるように使用されるときに除去、拡大、若しくは開けることができる他のプラグ又はクロージャで形成された、通常は閉じられた開口を含むことができる。1つの実施形態において、回収ルーメンの遠位開口部は、GJチューブ装置の末端遠位先端に位置付けられる。他の例において、それは、末端先端に対して近位に配置されてもよく、空腸供給口に対して近位に配置されてもよく、サイドポートの性質を持って形成されてもよい。さらにその他の例において、末端の通常閉じられた開口は、
図13に関連して前で論じられたように、GJチューブ装置の遠位末端先端に配置される可能性があり、場合によっては、空腸供給口の遠位に位置付けられる可能性さえある。
【0032】
レスキュールーメンの遠位端の1つの例が、
図15により詳細に示されている。この特定の例では、GJチューブ装置360の遠位端382は、パーティション394によって分離された第1の開口390及び第2の開口392を有するルーメン先端部388を含む。パーティション394は、装置本体372のルーメンを通る材料がルーメン先端部388内に収集されて蓄積することを阻止するように位置付けられて、構成される。そのような蓄積は、レスキュールーメン384のGJチューブ装置360及び/又は弁組立体396が適切に機能するのを妨げる障害物を作ることがある。任意に、ルーメン先端部388は、GJチューブ装置360の配置中に視認性を増加させるためにX線不透性物質から作られる。レスキュールーメン384の遠位端386は、ルーメン先端部内に配設され、凹状弁組立体396が設けられている。弁組立体396は、GJチューブ装置360の他のルーメンを通る物質(食品、薬など)がレスキュールーメン384に入って、潜在的に詰まるのを防ぐような逆止め弁として働くが、近位端378から遠位端386の方へレスキュールーメン384を進むガイドワイヤは、弁組立体396を開き、GJチューブ組立体の交換手順の間、ワイヤの適切な配置を可能にする。
【0033】
図16~17は、
図14に示されているものなどのGJチューブ組立体とともに使用する固定クリップ400の例を示す。この特定の例において、固定クリップ400は、第1の固定特徴部402及び挟持部分408を有する第1の部分414又はジョーと、第2の固定特徴部404及び挟持部分410を有する第2の部分414又はジョーとを含む。第1の部分416及び第2の部分414は、可撓性ヒンジ406で作動的に接続される。ブロック411は、ヒンジ406の近くでのチューブの不注意による配置を阻止するために、ヒンジ406内にあってもよい。第1の部分416及び第2の部分414は、より簡単な把持及び使用を可能にするために、関連する把持部412をさらに含んでもよい。ヒンジ406は、第1の部分416及び第2の部分414が互いの方へ付勢されたとき、第1の固定特徴部402及び第2の固定特徴部404が相互作用し、クリップ400を閉位置に引っ掛ける、はめる、係止する、又は他の方法で固定するように構成される。第1の固定特徴部402及び第2の固定特徴部404は任意に、閉/ラッチ位置に一度固定されると、解除できないように構成される。第1の挟持部分408及び第2の挟持部分410は、固定クリップ400が閉/固定位置にあるとき、挟持部分408、410が、
図14に示されるようなGJチューブ装置360の装置本体372よりも直径がわずかに小さいが、場合によっては、直径が等しい開口を形成するように寸法決めされて、構成される。すなわち、装置本体372が閉/固定クリップ400の挟持部分408、410内に配設されると、挟持部分408、410は、クリップ400が装置本体372に対して移動するのを防ぐには十分な圧力であるが、装置本体372内のルーメンをつぶす又は閉じるには不十分な圧力を装置本体372上に加える。他の例では、第1の挟持部分408及び第2の挟持部分410は、固定クリップ400が閉/固定位置にあるとき、挟持部分408、410が、
図14に示されるようなGJチューブ装置360の固定部分380よりも直径がわずかに小さい開口を形成するように、寸法決めされて、構成される。すなわち、装置本体372が閉/固定クリップ400の挟持部分408、410内に配設されると、挟持部分408、410は、固定クリップが固定部分380上を又は固定部分380を過ぎて摺動できないような固定部分380の直径より小さい直径を有する通路を形成し、それによって、GJチューブが腹壁の開口に戻るのを防ぐ。
【0034】
任意に、挟持部分408、410は、挟持部分408、410と固定部分380との間の把持を高めるように、面の肌又は物質(接着剤、研磨材など)を含んでもよい。
図14に示されるようなGJチューブ装置360の交換手順における、この例で記載されたような固定クリップ400の使用は、
図18~19に関して以下でさらに詳細に記載される。本明細書に記載されるようなGJチューブ組立体は、交換手順の間使用される関連する固定クリップ(単数又は複数)、ガイドワイヤ(単数又は複数)、及び他の物品とともに好適な滅菌パッケージに包装されてもよいことが意図されている。そのようなパッケージは、すべての必要な又は望ましい材料が存在し、そのような材料が一緒に使用するために正確に寸法決めされて構成されていることを保証する。
【0035】
ここで
図20を参照すると、本明細書に論じられる他の実施形態との類似点を有するが、特定の差を有するGJチューブ装置660が示されている。GJチューブ装置660は、近位端664のハブと、遠位先端687を含む遠位端686とを含むマルチルーメンカテーテルとして構成される。特に示されていないが、空腸栄養ルーメンは、GJチューブ装置660を通して完全に延在する。バルーン膨張ルーメンは、バルーン(示されない)まで延在する。そのようなバルーンは、本明細書の他の場所で論じられた類似した構造に略等しいディスク674に対して遠位の位置に位置付けられてもよいことが理解されるであろう。胃栄養ルーメン670は、GJチューブ装置660のサイドポートとして構成される、任意の好適な数の複数の胃供給口661まで延在する。プラグ又はバックフィル材料678は、供給口661に対して遠位の胃栄養ルーメン670内にある。しかしながら、さらに遠位はバックフィルが使用されず、したがって、開いた使用可能な誘導チューブ又は回収ルーメン685を作る。
【0036】
したがって、構築中、GJチューブ装置660の全長を通して延在するが、胃供給の位置に対して遠位に選択的に差し込まれるルーメンを、たとえば、押し出しによって形成することができることは理解されよう。一方向弁、膜、又は本明細書に論じられる同様のものは、回収ルーメン685の最も遠位側部分内とすることができる。本明細書でも論じられたように、一方向弁又は他の閉塞物は、
図15の場合のように、遠位先端687内でへこませることができる。
【0037】
拡大固定部分680、たとえば、スリーブ又は単にGJチューブ装置680の拡大部品が、胃供給口661に対して遠位に、そして、バックフィル材料678の少なくとも一部に対して遠位に位置付けられる。この構成の場合、ユーザは、回収ルーメン685の元が盲端である近位端に新しい開口を作るために、固定部分680を切断することができる。GJチューブ装置660の使用は、ユーザが、使用される場合、固定部分680を露出するために、患者からGJチューブ装置を部分的に引き抜き、次いで、GJチューブ装置660を切断し、クリップを適用し、次いで、交換のためにGJチューブ装置660を換えることができるという点で、本明細書で論じられる他の実施形態と類似している。
【0038】
ここで
図21を参照すると、ショーがある、さらに別の実施形態によるGJチューブ装置760。GJチューブ装置760は、本明細書に論じられる他の実施形態との類似点を有するが、特定の差も有する。GJチューブ装置760は、
図20のGJチューブ装置660と同様に実装することができ、1つ又は複数の胃供給口761を含む胃栄養ルーメン770、及び、バックフィル778によって形成された盲端を有する回収ルーメン785を形成する単一のチューブ状通路内にバックフィル778を含む。抗切断構造795が、GJチューブ760の中に埋め込まれ、本明細書に論じられる他の実施形態に類似して、回収ルーメン785に開口を形成するために切断されるときのGJチューブ装置の切断を阻止するように働く。ある実施態様において、抗切断構造795は、金属製ワイヤ又はコイルを含む。他の例において、抗切断構造795は、適切なGJチューブ装置760を形成する相対的に柔らかい非金属材料内に相対的に固い非金属材料を含む。よって、ユーザは、相対的に柔らかい非金属材料を切断することができるが、切断は、抗切断構造795との接触によって止められる傾向がある。GJチューブ装置760が2つの部分に切断されないので、遠位部分が患者に戻る危険性は減少又は排除され、そのため、クリップ若しくは同様の構造又は他の技術の使用は不必要であってもよい。
【0039】
いくつかの前述の実施形態が回収ルーメンから胃栄養ルーメンを分割するために部分的に埋め戻される単一の連続通路を採用しているが、本開示はこの点について限定されないことが理解されるべきである。専用胃栄養ルーメンは、胃供給口に到達するのに必要な範囲でのみ延在してもよく、たとえば、その近位端でブロックされる回収ルーメンまで並列に又は連続的に走る。当業者は、ユーザが通常は閉じられた回収ルーメンにアクセスすることができるさらに他の代替戦略を想到するであろう。
【0040】
産業上の利用可能性
上述のように、医療従事者は、詰まりを一掃できないときに全体的に交換しなければならなくなる、詰まったGJチューブに長年にわたって苦労してきた。
図10~12は、開示された発明の1つの実施形態によるGJチューブ装置の除去及び交換に適した手順を示す。この特定の例において、1つ又は複数の詰まったチューブ/栄養ルーメンを有する、前に記載された実施形態の1つ又は複数によるGJチューブ装置270は、交換される。この例のGJチューブ装置270は最初に、チューブの上の切断印280が患者内に配設されるように、腹壁272及び胃274を通る小孔278を作ることによって患者内に置かれた。他の例では、GJチューブ装置が正確に置かれるとき、切断印は腹壁の外にある。必要であれば、チューブ270が意図せずに引き抜かれるのを防ぐために膨張された装置のバルーン部分276は収縮し、切断印280が見えるまでGJチューブ装置270は引き抜かれる(
図11)。
【0041】
図10に示されるように、バルーン部分276は、放射線不透過性縞模様290を含んでもよい。縞模様又は「ストライプ」290は、バルーン部分290の膨張に応じて、伸張及び潜在的に湾曲することができ、バルーン部分276の膨張状態対非膨張状態に関して、X線撮影の助けを借りて、ユーザに可視指示を与える。バルーン部分276が膨張してないとき、たとえば、ストライプ290は互いに平行であってもよい。そのような特徴は、バルーン状態を決定するために造影剤を使用する必要を排除することができる。
【0042】
切断印を露出させるためにGJチューブ装置を患者の体から引き抜く正確な距離は変えてもよいが、場合によっては、5cm~20cmとすることができる。GJチューブ装置が腹壁から患者の外に引き抜かれる距離は、通常、GJチューブ装置の遠位端を幽門弁/幽門を過ぎて引き抜く距離より小さいであろう。本明細書で考えられるGJチューブ装置の全長は約60cm~約75cmであってもよく、その一方で、バルーン部分118と末端遠位先端との間の長さは約45cmであってもよい。
【0043】
切断印が露出されると、GJチューブ装置は、レスキュールーメンを形成する誘導チューブ286の開口284を含む装置282の内部をさらすように、たとえば、ハサミ又は外科用ナイフ若しくはメスで、印に沿って切断されてもよい(
図12)。次いで、ガイドワイヤ288が、開口284を通して、誘導チューブ286の長さに沿って挿入され、それによって、ガイドワイヤ288を幽門弁/幽門を通して、小腸に配置する。次いで、詰まったGJチューブ装置は、ガイドワイヤ288上を、小孔278を通して患者から引き抜かれてもよい。次いで、新しいGJチューブ装置は、ガイドワイヤ上を通すことによって患者に挿入されて、治療位置まで進められ、新しいGJチューブの胃腸供給口及び空腸供給口はそれぞれ、患者の消化管の幽門の上及び下に位置する。次いで、ガイドワイヤは引き抜かれ、交換GJチューブは典型的な手順を使用して固定される。
【0044】
図18~19は、開示された発明の別の実施形態によるGJチューブ装置の除去及び交換に適した手順を示す。この特定の例において、1つ又は複数の詰まったチューブ/栄養ルーメンを有する、前に記載された実施形態の1つ又は複数によるGJチューブ装置420は、交換される。GJチューブ装置420は、その中に配設されて、密封近位端部分を有するレスキューチューブ428を含む。
図14に示される実施形態に関して前に記載されたような固定部分426は、レスキューチューブ428の密封近位端部分の近くで、GJチューブ装置420の一部を取り囲む。固定部分426は、交換手順の間に切断されなければならない場所を示すマーク若しくは印を含んでもよい、又は、任意に、デバイスは、固定部分のどこで切断されてもよいように構成されてもよい。
【0045】
この例では、GJチューブ装置420は最初、腹壁422及び胃壁424に形成された小孔を通して配置された。通常、そのような配置は、X線不透性物質からGJチューブ装置420のすべて又は一部を製作することによって支援されてもよいX線撮影を使用して行われる。GJチューブ装置420は最初、レスキューチューブ428の密封端部分が腹部の中に、任意に、胃の中に配設されるように配置される。いくつかの例において、レスキューチューブは一般に、GJチューブ装置本体より可撓性の小さい材料から作られてもよい。よって、レスキューチューブを含むGJチューブ装置の部分はより堅固であってもよく、腹部の中に及び/又は胃の中にそれらを置くことが、より可撓性のGJチューブよりも固定が難しいであろう体の外に配設されるより堅固なGJチューブを有することによって引き起こされる可能性がある刺激を減少させることがある。
【0046】
交換プロセスは、任意の固定特徴部(テープ、膨張したバルーン部分など)を解放して、固定部分426の少なくとも一部が露出されてアクセスできるまでGJチューブ装置420を引き抜くことによって始まる(
図19に示される)。GJチューブを引き抜かれなければならない正確な距離は、適用例ごとに変えてもよいが、約5cm~約20cmのどこであってもよい。GJチューブ装置420が腹壁から引き抜かれる距離は、通常、あまりに遠くまでチューブを偶発的に引き抜き、新しいチューブの適切な配置を保証するためにX線撮影の支援を必要とするリスクを減少させるように、GJチューブ装置の遠位端を幽門弁/幽門を過ぎて引き抜く距離より小さいであろう。アクセスできると、チューブが腹壁に戻るのを防ぐために、固定クリップ432が、固定部分426に対して遠位のGJチューブ装置420上に置かれる。固定されると、GJチューブ装置は、たとえば、ハサミ又は外科用ナイフ若しくはメスで切断されてもよい。切断線430は、固定部分426を含む、GJチューブ420の本体に沿った任意の点に作られてもよく、それにより、レスキューチューブ428の密封末端一服は、切断及び除去され、それによって、ガイドワイヤが挿入されてもよい、レスキューチューブ428への露出開口436を作り、GJチューブ装置が交換される。任意に、GJチューブ装置420は、好ましい切断ゾーン又は線を示すために、色付マーク、チューブ本体に形成された隆起若しくは溝、又はそれらの組合せを含んでもよい切断線430の印を含む。
【0047】
本明細書は、例示目的のためのものであり、いかなる意味においても本開示の範囲を狭くするように解釈されてはならない。したがって、さまざまな変更形態が、本開示の完全且つ公正な範囲及び精神から逸脱することなく本開示の実施形態に対してなされてもよいことが当業者には明らかであろう。他の態様、特徴、及び利点は、添付の図面及び添付の特許請求の範囲を審査する際に明らかとなるであろう。本明細書で使用される場合、冠詞「a」及び「an」は、1つ又は複数の項目を含むことが意図され、「1つ又は複数の」と交換可能に使用されてもよい。1つだけの項目が意図される場合、「1つの」という用語又は類似した言葉が使用される。また、本明細書で使用される場合、「有する(has)」、「有する(have)」、「有する(having)」などの用語は、非制限的な用語であることが意図される。さらに、「に基づく」という文言は、明確な別段の断りがないかぎり「に少なくとも部分的に基づく」を意味することが意図される。
【国際調査報告】