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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-26
(54)【発明の名称】高トルクのガイドワイヤデバイス
(51)【国際特許分類】
   A61M 25/09 20060101AFI20240119BHJP
   A61M 25/098 20060101ALI20240119BHJP
【FI】
A61M25/09 514
A61M25/09 516
A61M25/09 500
A61M25/098
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023542906
(86)(22)【出願日】2021-07-22
(85)【翻訳文提出日】2023-08-25
(86)【国際出願番号】 US2021042753
(87)【国際公開番号】W WO2022159139
(87)【国際公開日】2022-07-28
(31)【優先権主張番号】17/154,777
(32)【優先日】2021-01-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/180,061
(32)【優先日】2021-04-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/382,271
(32)【優先日】2021-07-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515246317
【氏名又は名称】サイエンティア・バスキュラー・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100101373
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 茂雄
(72)【発明者】
【氏名】リッパート,ジョン・エイ
(72)【発明者】
【氏名】スナイダー,エドワード・ジェイ
【テーマコード(参考)】
4C267
【Fターム(参考)】
4C267AA29
4C267BB06
4C267BB10
4C267BB11
4C267BB12
4C267BB40
4C267CC08
4C267EE03
4C267FF03
4C267GG04
4C267GG22
4C267GG24
4C267GG34
4C267HH03
4C267HH16
(57)【要約】
曲げ剛性を有害的に増大させることなく高いねじれ剛性を提供するように構成されたガイドワイヤが開示される。このようなデバイスが、高い対曲げ剛性のねじれ剛性比を提供する。ガイドワイヤデバイスが、近位側セクションおよび遠位側セクションを備えるコアを有する。コアの遠位側セクションが、コアの遠位側セクションが外側チューブに入り外側チューブによって包囲されることになるように、微細加工された外側チューブに結合される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
曲げ剛性を有意に増大させずに高い回転剛性を提供するように構成されたガイドワイヤデバイスであって、ガイドワイヤが、
近位側セクションおよび遠位側セクションを有するコアと、
前記コアの前記遠位側セクションが外側チューブに入り外側チューブによって包囲されることになるように、前記コアに結合された微細加工された外側チューブと、
を備え、
前記ガイドワイヤデバイスが、
前記ガイドワイヤデバイスの遠位端から約0.5cmの位置で約160rаd-1以上である、対曲げ剛性の回転剛性比、
前記遠位端から約1.0cmの位置で約80rаd-1以上である、対曲げ剛性の回転剛性比、
前記遠位端から約1.5cmの位置で約130rаd-1以上である、対曲げ剛性の回転剛性比、
前記遠位端から約2.0cmの位置で約50rаd-1以上である、対曲げ剛性の回転剛性比、
前記遠位端から約5.0cmの位置で約15rаd-1以上である、対曲げ剛性の回転剛性比、または、
前記遠位端から約8.0cmの位置で約8rаd-1以上である、対曲げ剛性の回転剛性比、
のうちの1つまたは複数を提供する、ガイドワイヤデバイス。
【請求項2】
前記外側チューブおよび前記コアが、前記外側チューブの内側表面と前記コアの前記遠位側セクションの外側表面との間に環状空間を画定し、前記外側チューブの外径が前記コアの前記近位側セクションの外径より大きい、請求項1に記載のガイドワイヤ。
【請求項3】
前記コアの前記遠位側セクションの一部を包囲する遠位側コイルをさらに備える、請求項2に記載のガイドワイヤデバイス。
【請求項4】
前記遠位側コイルの近位側に配設されて前記コアの前記遠位側セクションの一部を包囲する近位側コイルをさらに備える、請求項3に記載のガイドワイヤデバイス。
【請求項5】
前記遠位側コイルおよび前記近位側コイルの一方または両方の少なくとも一部分の上に配設されるブッシングコイルをさらに備える、請求項4に記載のガイドワイヤデバイス。
【請求項6】
前記遠位側コイルが、ステンレス鋼より高いX線不透過性を有する、請求項3に記載のガイドワイヤデバイス。
【請求項7】
前記近位側コイルが、前記遠位側コイルより低いX線不透過性を有する、請求項4に記載のデバイス。
【請求項8】
前記ブッシングコイルが、前記近位側コイルよりさらに近位側に延在する、請求項5に記載のデバイス。
【請求項9】
前記ブッシングコイルが、前記外側チューブの長さの少なくとも約60%の長さを有する、請求項5に記載のデバイス。
【請求項10】
前記近位側コイル、前記遠位側コイル、および前記ブッシングコイルのうちの少なくとも1つが、他のコイルの反対方向に巻かれている、請求項5に記載のデバイス。
【請求項11】
前記近位側コイルおよび前記遠位側コイルが、各々、第1の方向に巻かれており、対して、前記ブッシングコイルが、反対の第2の方向に、逆に巻かれている、請求項10に記載のデバイス。
【請求項12】
前記ブッシングコイルが、前記近位側コイルおよび/または前記遠位側コイルのピッチより小さいピッチを有する、請求項5に記載のデバイス。
【請求項13】
前記近位側コイル、前記遠位側コイル、および前記ブッシングコイルが、前記環状空間の体積の15%以上を埋める、請求項5に記載のデバイス。
【請求項14】
前記外側チューブの前記外径が、前記コアの前記近位側セクションの前記外径より約10%以上大きい、請求項1に記載のデバイス。
【請求項15】
曲げ剛性を有意に増大させずに高い回転剛性を提供するように構成されたガイドワイヤデバイスであって、ガイドワイヤが、
近位側セクションおよび遠位側セクションを有するコアと、
前記コアの前記遠位側セクションが外側チューブに入り外側チューブによって包囲されることになるように、前記コアに結合された微細加工された外側チューブと、
前記コアの前記遠位側セクションの一部を包囲する遠位側コイルと、
前記遠位側コイルの近位側に配設されて前記コアの前記遠位側セクションの一部を包囲する近位側コイルと、
前記遠位側コイルおよび前記近位側コイルの一方または両方の少なくとも一部分の上に配設されるブッシングコイルと、
を備え、
前記外側チューブおよび前記コアが、前記外側チューブの内側表面と前記コアの前記遠位側セクションの外側表面との間に環状空間を画定し、前記外側チューブの外径が前記コアの前記近位側セクションの外径より大きく、
前記ガイドワイヤデバイスが、
前記ガイドワイヤデバイスの遠位端から約0.5cmの位置で約160rаd-1以上である、対曲げ剛性の回転剛性比、
前記遠位端から約1.0cmの位置で約80rаd-1以上である、対曲げ剛性の回転剛性比、
前記遠位端から約1.5cmの位置で約130rаd-1以上である、対曲げ剛性の回転剛性比、
前記遠位端から約2.0cmの位置で約50rаd-1以上である、対曲げ剛性の回転剛性比、
前記遠位端から約5.0cmの位置で約15rаd-1以上である、対曲げ剛性の回転剛性比、または、
前記遠位端から約8.0cmの位置で約8rаd-1以上である、対曲げ剛性の回転剛性比、
のうちの1つまたは複数を提供する、ガイドワイヤデバイス。
【請求項16】
前記近位側コイル、前記遠位側コイル、および前記ブッシングコイルが、前記環状空間の体積の15%以上を埋める、請求項15に記載のデバイス。
【請求項17】
前記外側チューブの前記外径が、前記コアの前記近位側セクションの前記外径より約10%以上大きい、請求項15に記載のデバイス。
【請求項18】
前記近位側コイルおよび前記遠位側コイルが、各々、第1の方向に巻かれており、対して、前記ブッシングコイルが、反対の第2の方向に、逆に巻かれている、請求項15に記載のデバイス。
【請求項19】
前記ブッシングコイルが、前記近位側コイルよりさらに近位側に延在する、請求項15に記載のデバイス。
【請求項20】
曲げ剛性を有意に増大させずに高い回転剛性を提供するように構成されたガイドワイヤデバイスであって、ガイドワイヤが、
近位側セクションおよび遠位側セクションを有するコアと、
前記コアの前記遠位側セクションが外側チューブに入り外側チューブによって包囲されることになるように、前記コアに結合された微細加工された外側チューブであって、前記外側チューブの前記外径が、前記コアの前記近位側セクションの前記外径より約10%以上大きい、微細加工された外側チューブと、
前記コアの前記遠位側セクションの一部を包囲する遠位側コイルと、
前記遠位側コイルの近位側に配設されて前記コアの前記遠位側セクションの一部を包囲する近位側コイルと、
前記遠位側コイルおよび前記近位側コイルの一方または両方の少なくとも一部分の上に配設されるブッシングコイルと、
を備え、
前記近位側コイル、前記遠位側コイル、および前記ブッシングコイルが、環状空間の体積の15%以上を埋め、
前記外側チューブおよび前記コアが、前記外側チューブの内側表面と前記コアの前記遠位側セクションの外側表面との間に環状空間を画定し、前記外側チューブの外径が前記コアの前記近位側セクションの外径より大きく、
前記ガイドワイヤデバイスが、
前記ガイドワイヤデバイスの遠位端から約0.5cmの位置で約160rаd-1以上である、対曲げ剛性の回転剛性比、
前記遠位端から約1.0cmの位置で約80rаd-1以上である、対曲げ剛性の回転剛性比、
前記遠位端から約1.5cmの位置で約130rаd-1以上である、対曲げ剛性の回転剛性比、
前記遠位端から約2.0cmの位置で約50rаd-1以上である、対曲げ剛性の回転剛性比、
前記遠位端から約5.0cmの位置で約15rаd-1以上である、対曲げ剛性の回転剛性比、または、
前記遠位端から約8.0cmの位置で約8rаd-1以上である、対曲げ剛性の回転剛性比、
のうちの1つまたは複数を提供する、ガイドワイヤデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001]本出願は、「Guidewire having Enlarged, Micro-Fabricated Distal Section」と題される、2021年1月21日に出願された米国特許出願第17/154,777号の一部継続出願である、「High Torque Guidewire Device」と題される、2021年7月21日に出願された米国特許出願第17/382,271号の優先権を主張するものである。本出願はさらに、「High Torque Guidewire Device」と題される、2021年4月26日に出願された米国仮特許出願第63/180,061号の優先権および利益を主張するものである。上記の出願の各々の全内容はその全体が参照により組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
[0002]ガイドワイヤデバイスは、しばしば、患者の身体内の標的の解剖学的位置までカテーテルまたは他の介入デバイスを誘導または案内するのに使用される。通常、ガイドワイヤは、例えば患者の心臓または脳またはその近くにある、標的位置に到達するために、患者の脈管構造の中まで通され、患者の脈管構造を通過させられる。ガイドワイヤを標的位置までナビゲートするのを補助するために、通常、X線撮像が利用される。多くの事例では、ガイドワイヤは介入手技中に身体内に配置され、ガイドワイヤが、標的の解剖学的位置まで複数のカテーテルまたは他の介入デバイスを案内するのに使用され得る。
【0003】
[0003]ガイドワイヤは多様な外径サイズで利用可能である。広く利用されているサイズには、例えば、0.254mm(0.010インチ)、0.356mm(0.014インチ)、0.406mm(0.016インチ)、0.457mm(0.018インチ)、0.610mm(0.024インチ)、0.889mm(0.035インチ)、および0.965mm(0.038インチ)が含まれるが、これらの広く利用されているサイズは直径がより小さくてもまたはより大きくてもよい。トルク伝達は直径の関数であることから、より大きい直径のガイドワイヤは、通常、より高いトルク伝達(ワイヤの近位側部分からワイヤのより遠位側の部分までトルクを効果的に伝えるための能力、または「トルク能力」)を有する。一方で、より小さい直径のガイドワイヤは、通常、より高い可撓性を有する。
【0004】
[0004]良好なトルク能力を有するガイドワイヤは、蛇行する解剖学的構造でナビゲートを行うときに重要となり得る、効果的なナビゲーション、および、近位端のところでの回転と遠位端のところでの対応する移動との間の良好な位置合わせを実現することから、有益である。単純に、ガイドワイヤのサイズを増大させるとそのトルク能力を向上させることができるが、ガイドワイヤの剛性も過度に増大する可能性がある。過度な剛性を有するガイドワイヤは、最初に標的治療部位のところにガイドワイヤを配置する際の困難さに繋がり得る。さらに、コアワイヤの直径を縮小するなどといったような、ガイドワイヤの可撓性を向上させるための既知の方法が存在するが、これらの方法はしばしば、デバイスのトルク能力(torquability)を犠牲にする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
[0005]したがって、過度の剛性を有さずに向上したトルク能力を提供することができる種々の血管内手技(例えば、脳血管内手技および心臓血管内手技を含める)に適する寸法を有するガイドワイヤデバイスが求められる。言い換えると、高レベルのねじれ剛性を提供することができるガイドワイヤデバイスに対する需要が依然としてある。
【0006】
[0006]添付図面および添付の特許請求の範囲と併せて読まれる実施形態の以下の記述から、本発明の種々の対象、特徴、特性、および利点が、明らかとなり、より容易に認識され、すべて本明細書の一部を形成するものである。図面では、種々の図における対応する部分または同様の部分を指定するのに同様の参照符号が利用され得る。種々の要素は必ずしも正確な縮尺で描かれているわけではない。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】[0007]本明細書で説明される構成要素のうちの1つまたは複数の構成要素を利用することができる、コアおよび外側チューブを有するガイドワイヤデバイスの実施形態を示す図である。
図2】[0008]コアの近位側セクションの外径より大きい外径を有するチューブを備えるガイドワイヤデバイスの例示的実施形態を示す図である。
図3】[0009]デバイスの下にある特徴をより良好に示すためにチューブ構造が取り外された状態である、図2のガイドワイヤの遠位側セクションを示す詳細図である。
図4】[0010]図2のガイドワイヤのチューブを示す詳細図である。
図5】[0011]コアの平坦化された遠位側セクションに対してのチューブのワンビームセクションのビームの位置合わせを示す、図2のガイドワイヤの遠位側セクションを示す断面図である。
図6】[0012]チューブの外径がコアの近位側セクションの外径より大きいことを示す、図2のガイドワイヤを示す断面図である。
図7】チューブの外径がコアの近位側セクションの外径より大きいことを示す、図2のガイドワイヤを示す断面図である。
図8】[0013]本開示によるガイドワイヤデバイスがより高いねじれ剛性を有益に提供することを示している、他の従来技術のガイドワイヤデバイスに対して本開示によるガイドワイヤデバイス(「A24ソフト」という表記を付される)を比較する、ガイドワイヤデバイスのねじれ剛性対試料のねじれを示すグラフである。
図9】本開示によるガイドワイヤデバイスがより高いねじれ剛性を有益に提供することを示している、他の従来技術のガイドワイヤデバイスに対して本開示によるガイドワイヤデバイス(「A24ソフト」という表記を付される)を比較する、ガイドワイヤデバイスのねじれ剛性対試料のねじれを示すグラフである。
図10】[0014]同等のステンレス鋼(304V)のワイヤ径に関しての本開示による種々のガイドワイヤの実施形態(「A24ソフト」、「A24スタンダート」、および「A24サポート」という表記を付される)の曲げ剛性プロフィールを示すグラフである。
図11】[0015]本明細書で開示されるガイドワイヤデバイスによってより大きいトルクが提供されるが曲げ剛性が悪影響を受けないこと示している、他の従来技術のガイドワイヤデバイスに対してこれらのそれぞれの曲げ剛性プロフィールを比較するグラフである。
図12】本明細書で開示されるガイドワイヤデバイスによってより大きいトルクが提供されるが曲げ剛性が悪影響を受けないこと示している、他の従来技術のガイドワイヤデバイスに対してこれらのそれぞれの曲げ剛性プロフィールを比較するグラフである。
図13】本明細書で開示されるガイドワイヤデバイスによってより大きいトルクが提供されるが曲げ剛性が悪影響を受けないこと示している、他の従来技術のガイドワイヤデバイスに対してこれらのそれぞれの曲げ剛性プロフィールを比較するグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
序論
[0016]図1は、以下でより詳細に説明される1つまたは複数の特徴を利用することができる、ガイドワイヤ100の一般的な構成要素を概略的に示す。示されるガイドワイヤ100は、コア102および外側チューブ104を有する。コア102は、示されるように、外側チューブ104の中まで延在する遠位側セクション103(本明細書では、遠位側コア103とも称される)を有する。遠位側コア103は、連続的に、あるいは1つまたは複数の離散的なセクションにおいて、先細であってよく、その結果、より遠位側のセクションが、より近位側のセクションと比較して、より小さい直径およびより高い可撓性を有することになる。いくつかの実施形態では、コア102の最も遠位側のセクションが、扁平断面、長方形断面、または楕円形断面を有するリボンのような形状となるように平坦化され得る。例えば、遠位側コア103が、遠位端のところでより小さい半径となるように漸進的な先細となるように研削されていてよい。
【0009】
[0017]コア102およびチューブ104は、通常、異なる材料で形成される。例えば、チューブ104が、好適には、ニチノールなどの、比較的高い可撓性および弾性を有する材料から形成され、対して、コア102が、ステンレス鋼などの、比較的低い可撓性および弾性を有する材料から形成され得る。コア102をステンレス鋼(または、同等の弾性係数を有する他の材料)から形成することが有利である可能性がある。その理由は、手術者により選択的に曲げられる/成形されるときに遠位側先端が形状を維持することが可能となること、および、ステンレス鋼がより反応の良い並進運動を実現するのに十分な弾性係数を提供することである。現在、これらの材料が好適であるが、加えてまたは別法として、ポリマーまたは他の金属/合金などの他の適切な材料が利用されてもよい。
【0010】
[0018]コア102からチューブ104までねじり力を伝達してそれによりチューブ104によりねじり力を遠位側にさらに伝達するのを有益に可能にするかたちで、チューブ104がコア102に結合される(例えば、接着、はんだ付け、および/または溶接を利用する)。医療グレードの接着剤または他の適切な材料が、デバイスの遠位端110のところで非外傷性の被覆物を形成するために、チューブ104をコアワイヤ102に結合するのに使用され得る。
【0011】
[0019]外側チューブ104は、チューブ内に開窓部106を形成する切欠パターンを有することができる。開窓部106のパターンは、例えば、好適な曲げ方向を促進すること、好適な曲げ方向を低減または排除すること、あるいは、長手方向軸に沿う可撓性を段階的に向上させること、を含めて、チューブ104に所望の可撓性特性を提供するように配置構成され得る。本明細書で説明されるガイドワイヤデバイスで利用され得る切欠パターンおよび他のガイドワイヤデバイスの特徴の例が、米国特許出願公開第2018/0193607号、米国特許出願公開第2018/0071496号、および、米国特許出願公開第2020/0121308号で詳細に提示されており、これら各々の全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0012】
[0020]ガイドワイヤデバイス100の近位側セクション(チューブ104から近位側に延在する部分)が、標的の解剖学的領域まで送達するのに十分なガイドワイヤの長さを提供するのに必要な長さで近位側に延在する。ガイドワイヤデバイス100は、通常、約50cmから約350cmの範囲の長さを有し、より一般的には、特定の用途の要求に応じて、約200cmの長さを有する。チューブ104は、約5cmから約350cmの範囲の長さを有することができ、より一般的には約15cmから約50cmの範囲の長さを有することができる(約25cmから約40cmなど)。
【0013】
[0021]ガイドワイヤデバイス100は、約0.254mm(0.010インチ)から約0.965mm(0.038インチ)の直径を有することができる。しかし、特定の用途の要求に応じて、より大きいまたは小さいサイズが利用されてもよい。例えば、特定の実施形態が、0.356mm(0.014インチ)、0.406mm(0.016インチ)、0.457mm(0.018インチ)、0.610mm(0.024インチ)などの、標準的なガイドワイヤのサイズに対応する外径サイズ、または、ガイドワイヤデバイスにとって一般的である他のサイズを有することができる。コア102の遠位側セクション103は、約0.51mm(約0.002インチ)の直径、または約0.0254から1.27mm(約0.001から0.050インチ)の範囲内の直径となるように先細となってよい。いくつかの実施形態では、遠位側先端が、引張強度のために必要となる断面積の低減を最小にしながら曲げ可撓性をさらに向上させるために平坦化されていてよい(例えば、長方形断面となる)。このような実施形態では、断面が、例えば、約0.0254mm(0.001インチ)×0.0762mm(0.003インチ)の寸法を有することができる。いくつかの実施形態では、チューブ104が、約3cmから350cmの範囲内の長さを有する。
【0014】
[0022]上記の構成要素に関する追加の特徴および細部を以下でさらに詳細に説明する。下記の実施例は、対応するカテーテルが約0.0686mm(0.027インチ)以上の概略のサイズであり、したがって、カテーテルの内側表面とガイドワイヤの外側表面との間の環状空間の大きさを制限するがそれでもカテーテルの内側表面とガイドワイヤの外側表面との間での相対運動を可能にするためにガイドワイヤが有益には約0.610mm(0.024インチ)以上のサイズであるような用途において特に有益となり得る。このような実装形態では、本明細書で説明されるガイドワイヤが、有効なトルク能力および横方向可撓性を維持しながら環状空間を制限するのに十分な直径をデバイスの遠位側セクションにおいて提供することができる。これらのサイズは限定的なものではなく、以下で説明される同じ特徴および細部は、0.610mm(0.024インチ)より小さいかまたは大きいガイドワイヤでも利用され得る。
遠位側セクションの特徴
[0023]図2はガイドワイヤ200の実施例を示す。特に明記しない限り、ガイドワイヤ200は、ガイドワイヤ100に関連して上述した一般的な特徴のうちの任意の特徴を有することができる。ここでは同様の参照符号が同様の部分を示している。示されるように、ガイドワイヤ200はコア202および外側チューブ204を有し、コア202の遠位側セクション203がチューブ204の中に挿入されている。外側チューブ204は複数の開窓部206を有する。ポリマーベースの接着剤が非外傷性の遠位側先端210を形成することができる。
【0015】
[0024]コア202は、外側チューブ204の近位側に配設されて外側チューブ204の中に挿入されていない近側セクション201(本明細書では、近位側コア201とも称される)をさらに有する。近位側コア201は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)および/または他の適切なコーティング材料などの、摩擦低減コーティングを有することができる。チューブ204は、コーティング、好適である適切な親水性コーティング、および/または他の適切なコーティング材料をさらに有することができる。
【0016】
[0025]好適には、チューブ204の外径は、近位側コア201の外径よりわずかに大きい。例示的一実施形態では、近位側コア201が約0.457mm(0.018インチ)の外径を有し、対して、チューブ204が約0.610mm(0.024インチ)の外径を有する。しかし、他のコアサイズおよび/またはチューブサイズが利用されてもよい。好適には、チューブ204が、近位側コア201の外径の約10%以上であるか、好適には約15%から約80%以上であるか、あるいは、より好適には約20%から約70%以上である、外径を有する(約25%以上から約35%以上など)。
【0017】
[0026]このことは、図6および7の断面図でさらに示されている。示されるように、近位側コア201の外径(D1)がチューブ204の外径(D2)より小さい。D1に対するD2の比は、例えば、1.1から3、より好適には1.15から約2、または約1.2から約1.75であってよい。
【0018】
[0027]上で言及したように、チューブ204のより大きい外径は、カテーテルの遠位側先端部分において特定の所望のカテーテルサイズに良好に適合することができ、それにより、ガイドワイヤの上にカテーテルを配置しているときのガイドワイヤとカテーテルのとの間の環状空間の大きさを縮小することができる。これは、患者の脈管構造のより深くのより蛇行する部分を通過するようにナビゲートされる可能性がより高いガイドワイヤのより遠位側のセクションにおいて、特に有益である。
【0019】
[0028]しかし、チューブ204のより大きい直径に適合させるためにコア202の直径を増大させることにより、コア202に対して、特定の所望の用途において使用するには過度に高い剛性を与える可能性がある。したがって、コア202に対してチューブ204のサイズを増大させながら小さいコア202を維持することにより、ガイドワイヤ200の遠位側セクションでのより大きいチューブ204の利益を得るのを可能にしながらより高い可撓性を有するコア202を使用することが可能となる。
【0020】
[0029]しかし、後でより詳細に説明されるように、コア202より大きい外径を有するチューブ204を提供することにより他の課題が生じ得る。具体的には、外側チューブ204と遠位側コア203との間の直径の差により、遠位側コア203の外側表面とチューブ204の内側表面との間の環状空間が拡大する。チューブ204が遠位側コア203より高い可撓性を有することができることを理由として、ワイヤが湾曲部を進むとき、遠位側コア203がチューブ204の中心線からその中心をずらされて位置決めされ得る。ガイドワイヤが脈管構造を通って移動させられるとき、このように中心をずらされることにより、回転運動が円滑に遠位側に伝達されることが妨げられる可能性があり、それにより、力が蓄積されて突然に解放されることなり、それによりガイドワイヤが所望されない優先的な回転位置に対して「スナップ」および/または「ウィップ」するように移動することになる。このように触覚感覚およびガイドワイヤの回転制御が遮断されることにより、手術者が、ガイドワイヤを意図する通りに回転方向において位置決めすることがより困難となり得、それにより、介入手技の遅延、準最適な結果、標的位置へのアクセスの不可能性、またはさらには、組織の損傷のリスクが生じる。
【0021】
[0030]本明細書で説明される実施形態は、チューブ204が近位側コア201より大きい外径を有する場合でも、チューブ204内で径方向において遠位側コア203を中心に配置するのを補助する追加の特徴を有益に提供する。ガイドワイヤの望ましくないウィップおよび/またはスナップを有益に低減するために1つまたは複数のセンタリング機構が含まれ得(つまり、センタリング機構が回転制御を改善することができる)、それにより、使用者がより優れた回転制御を行うことができるようになり、ガイドワイヤの触覚による取り扱いを向上させることができる。
【0022】
[0031]図3は、遠位側コア203および他の下にある構成要素のうちの一部の構成要素をより良好に視覚化するためにチューブ204が取り外された状態の、ガイドワイヤ200の遠位側セクションの拡大図を示す。示されるように、コア202が1つまたは複数の移行ゾーン208を有し、ここでは、コア202がより小さい直径となるように先細になっている。コア202の遠位端セクション211は平坦化され得る。1つまたは複数の移行ゾーン208は離散的であってよく、実質的に連続する外径のコアの1つまたは複数のセクションが間に配設され得る。あるいは、遠位側コア203がその長さの全体または大部分に沿って実質的に連続するテーパを有してもよい。
【0023】
[0032]チューブ204の近位端が取り付けられる接合部を形成するポイントにおいて、ブッシング212が含まれ得る。ブッシング212は、近位側コア201の外径に実質的に適合する外径を有することができる。ブッシング212は、チューブ204と同じ材料から形成され得る(例えば、ニチノール)。ブッシング212がコア202とチューブ204との間でのより良好なセンタリングを実現し、および/または、別個の構成要素を接着するのに必要となる接着剤の量を低減する。ここではチューブとして示されるが、ブッシング212は、コイル、編組物、溝付き/切欠チューブなどの、代替の幾何形状を有してもよい。
【0024】
[0033]示されるように、ブッシング212が、異なる直径の間に滑らかな移行部を提供するためにその近位端上に面取りしたまたは斜角を付けた表面214をさらに有することができる。ブッシング212の遠位端も面取りされていてよいかまたは斜角を付けられていてもよい。ブッシング212の遠位端がチューブ204によって覆われる場合であっても、ブッシング212のその両端部に面取り/斜角を設けることにより、製造すること、ブッシングの適切な向きを保証する必要性を排除すること、および、誤った向きになる可能性を排除することを支援することができる。
【0025】
[0034]示されるガイドワイヤ200は、近位側コイル216、遠位側コイル218、ならびに、近位側コイル216および遠位側コイル218の上に位置決めされるブッシングコイル220を有する。遠位側コイル218は、好適には、白金族、金、銀、パラジウム、イリジウム、オスミウム、タンタル、タングステン、ビスマス、ジスプロシウム、およびガドリニウムなどの、X線不透過材料で形成される。したがって、遠位側コイル218は、好適には、手技中にガイドワイヤ200の遠位端のX線視覚化を可能にする。遠位側オイル218は、約0.5cmから約20cmの、またはより一般的には約3cmから約15cmの長さを有することができる(約10cmなど)。
【0026】
[0035]近位側コイル216は、ステンレス鋼、他の適切な金属、適切なポリマー、または他の適切な材料などの、非X線不透過材料から形成され得る。近位側コイル216は、遠位側コイル218の近位端に隣接するかまたはその近くのポイントにおいて、ならびに/あるいは、遠位側コア203一致する長さに沿う任意のポイントにおいて(最も一般的には、近位側コイル216の各端部のところにまたはその近くにおいて)、遠位側コア203に取り付けられ得る。近位側コイル216は、約1cmから25cm、またはより一般的には約3cmから20cmの長さを有することができる(約5cmから15cmなど)。技術的には、遠位側コイル218が、近位側コイル216に取って代わるためにさらに近位側に延在させられてもよい。しかし、X線不透過マーカーとして良好に機能する材料(例えば、白金)は比較的高価である。さらに、これらが環状空間の大部分を埋めるための充填材料として使用されることにより、X線蛍光透視下で撮像されるときにガイドワイヤ200の遠位側セクションを過度に明るくする可能性があり、したがって手術者が関心の他の領域を視覚化することが可能とならない。したがって、近位側コイル216が好適には遠位側コイル218から分離され、遠位側コイル218とは異なる材料から形成される。
【0027】
[0036]近位側コイル216および遠位側コイル218は、遠位側コア203とチューブ204との間の環状空間の一部を埋めるのを補助する。本明細書で示されるコイルの実施例は、円形断面を有するワイヤを有するものとして示されるが、他の種類のコイルが利用されてもよいことが理解されよう。例えば、センタリングコイルがエッジ巻きであってよく、ならびに/あるいは、リボン断面、長方形断面、楕円形断面、または、他の非円形断面の形状を有することができる。
【0028】
[0037]近位側コイル216および遠位側コイル218が環状空間の一部を埋めるのを支援するが、いくらかより大きいチューブ204が利用される場合は特に、追加の環状空間が残る。近位側コイル216および遠位側コイル218のワイヤサイズが、さらなる空間を埋めるために拡大され得る。しかし、ワイヤサイズを過度に拡大することにより、デバイスに対して過度の剛性が与えられる可能性がある。好適には、近位側コイル216および遠位側コイル218のワイヤサイズは、約0.203mm(0.008インチ)以下または約0.152mm(0.006インチ)以下であるか、あるいはより好適には約0.102mm(0.004インチ)以下である(約0.0508mm(0.002インチ)以下など)。
【0029】
[0038]環状空間の残りの部分を埋めるのを支援するために、ガイドワイヤ200がブッシングコイル220を有することができる。ブッシングコイル220が近位側コイル216および遠位側コイル218の上に配設され得る。ブッシングコイル220が、近位側コイル216および遠位側コイル218の両方の全体の上を延在することができる。近位側コイル216および遠位側コイル218と同様に、ブッシングコイル220のワイヤ径は、好適には制限される。例えば、金属材料を利用する場合のブッシングコイルのワイヤ径が、約0.203mm(0.008インチ)以下または約0.152mm(0.006インチ)以下であるか、あるいはより好適には約0.102mm(0.004インチ)以下である(約0.0508mm(0.002インチ)以下など)。ブッシングコイル220は、ステンレス鋼、ならびに/あるいは、別の金属またはポリマーなどの他の適切な材料で形成され得る。ポリマー材料を利用する実施例では、金属材料と比較して弾性係数が大幅に小さくなる可能性があり、したがってコイルのワイヤ径が曲げ剛性に過度に影響を与えることなくより大きくなり得る。少なくともいくつかの実施形態では、1つまたは複数のコイル(例えば、ブッシングコイル220)のワイヤ径が、最大約0.635mm(0.025インチ)、最大約0.508mm(0.020インチ)、または最大約0.381mm(0.015インチ)となり得る。
【0030】
[0039]近位側コイル216および遠位側コイル218に加えてブッシングコイル220を使用することにより、過度に大きいサイズのコイルを使用することなく、遠位側コア203とチューブ204との間の環状空間を埋めるのを支援する。これによって、チューブ204内で遠位側コア203を中心に維持するのを支援し、それにより、デバイスの曲げ可撓性に与える影響も最小にしながら上述した位置のずれの望ましくない影響を防止する。
【0031】
[0040]いくつかの実施形態では、ブッシングコイル220が近位側コイル216および遠位側コイル218と実質的に一致してよい。別法として、示されるように、ブッシングコイル220が近位側コイル216よりさらに近位側に延在することができる。これにより、近位側コイル216では可能ではない部分においてもブッシングコイル220が環状空間をさらに埋めることが可能となる。つまり、遠位側コア203の先細輪郭により、環状空間の特定のより近位側の部分が近位側コイル216およびブッシングコイル220の両方に適合しなくても、ブッシングコイル220のさらに近位側の延在部分によって埋められ得る。ブッシングコイル220は、好適には、チューブ204の長さの有意な部分に沿って延在する。例えば、ブッシングコイル220は、チューブ204の長さの約少なくとも約60%、チューブ204の長さの少なくとも約75%、チューブ204の長さの少なくとも約80%、またはチューブ204の長さの少なくとも約85%の長さを有することができる。
【0032】
[0041]好適な実施形態では、近位側コイル216および遠位側コイル218が、各々、第1の方向に巻かれており、対して、ブッシングコイル220が、反対の第2の方向に、逆に巻かれている。これによって、有益には、近位側コイル216または遠位側コイル218に対してのブッシングコイル220のインターロックおよび固着を抑制する。さらに、ブッシングコイル220が、近位側コイル216または遠位側コイル218のピッチとは異なるピッチ(例えば、小さいピッチ)を有することができる。例えば、近位側コイル216および/または遠位側コイル218が、約0.0508mm(0.002インチ)から約0.203mm(0.008インチ)または約0.0762mm(0.003インチ)から約0.178mm(0.007インチ)のピッチを有することができ、対して、ブッシングコイル220が、約0.0254mm(0.001インチ)から約0.152mm(0.006インチ)または約0.0508mm(0.002インチ)から約0.127mm(0.005インチ)のピッチを有することができる。
【0033】
[0042]近位側コイル216、遠位側コイル218、およびブッシングコイル220は、好適には、遠位側コア203とチューブ204との間の環状空間の体積の有意な部分を埋めるように構成される。例えば、近位側コイル216、遠位側コイル218、およびブッシングコイル220が、環状空間の体積の、約20%以上、約35%以上、約50%以上、約60%以上、約70%以上、約80%以上、または最大で約90%以上を埋めるように構成され得る。もちろん、他の従来のガイドワイヤが、接合部またはブッシングを有してもよく、これらの接合部またはブッシングは、それらが位置するガイドワイヤの特定の部分において、環状空間の大部分を占有する。しかし、外側チューブの全長を考察すると、これらの接合部およびブッシングは、環状区間全体の体積の相対的にわずかな部分しか埋めない。
【0034】
[0043]本明細書で説明されるセンタリング機構の原理は、有益なセンタリング効果を提供するために他の構造的構成と共に利用され得る。例えば、上記の実施形態は、「内部部材」としてのコアおよび「外部部材」としての微細加工されたチューブを備える多様なセンタリング機構を説明するが、加えてまたは別法として、説明したセンタリング機構のうちの1つまたは複数のセンタリング機構と共に、外部部材および/または内部部材として他の構造が利用されてもよい。
【0035】
[0044]例えば、内部部材が、ワイヤ(上述した研削されたコアなど)、チューブ(例えば、金属またはポリマーのハイポチューブあるいは金属またはポリマーの微細加工されたチューブ)、編組物、または、コイルであってよい。さらなる例として、外部部材が、チューブ(例えば、金属またはポリマーのハイポチューブあるいは金属またはポリマーの微細加工されたチューブ)、編組物、コイル、あるいは、編組物またはコイルを組み付けられたポリマーチューブであってよい。センタリング機構が、上述したような、1組のコイルを有することができ、あるいは、加えてまたは別法として、外部部材の中で内部部材を中心に配置するのを実現するための他の構造を有することもできる。例えば、コイル216、218、220のうちの1つまたは複数のコイルが、1つまたは複数のチューブ(例えば、金属またはポリマーのハイポチューブあるいは金属またはポリマーの微細加工されたチューブ)、編組物のセクション、または、重ねられたリングのセットに置き換えられてもよい。
【0036】
[0045]図4は、コア202およびデバイスの他の構成要素の一部から分離されたチューブ204を示す。チューブ204は近位端222と遠位端224との間を延在する。チューブ204内の形成された開窓部206は、多様な切欠パターンに従って作られ得る。好適には、開窓部の全体の効果がチューブ204にわたる可撓性の勾配を提供し、ここでは、遠位端224に近づくにつれて可撓性が高くなる。通常、切欠の深さを増大させる、隣接する切欠の間のスペースの縮小する、および/または、各々の円周方向に延在するリング228を接続する軸方向に延在するビーム226の数を低減するなどにより、元の材料からより大きい部分を除去することにより、より高い可撓性を得ることができる。
【0037】
[0046]示される実施形態は、例えば、スリービームセクション230(3つのビームが隣接するペアのリングの各々を接続する)を有することができ、スリービームセクション230がツービームセクション232(2つのビームが隣接するペアのリングの各々を接続する)へと移行し、ツービームセクション232がワンビームセクション234(1つのビームが隣接するペアのリングの各々を接続する)へと移行する。これらのセクションの各々のセクション内で、さらに、切欠の深さおよび/または切欠の間隔が、セクション内でのおよびセクション間での滑らかな可撓性の勾配を提供するように調整され得る。例えば、ツービームセクション232が、遠位端224に向かうにつれて漸進的に小さくなる切欠の間の距離を有することができる。次いで、ツービームセクション232がワンビームセクション234へと移行することができ、ワンビームセクション234自体も、遠位端224に向かうにつれて漸進的に小さくなる切欠の間の距離を有する。
【0038】
[0047]ワンビームセクション234は、例えば、約0.5cmから約3cmまたは約0.75cmから約2cmの長さを有することができる。ツービームセクション232は、例えば、約4cmから約16cmまたは約6cmから約12cmの長さを有することができる。スリービームセクション230は、例えば、約12cmから約36cmまたは約18cmから約30cmの長さを有することができる。言い換えると、スリービームセクション230はツービームセクション232に対して約2倍から5倍大きくてよく、ツービームセクション232はワンビームセクション234に対して約2倍から5倍大きくてよい。このような比率の切欠/ビームセクションを有するチューブ204を設計することにより、多くの用途において、軸方向の剛性、横方向の剛性、およびねじり剛性の有効なバランスが得られることが分かっている。
【0039】
[0048]チューブ204は、ツービームパターンを有する最も遠位側のセクション235をさらに有することができる。このセクションは比較的に短く、約0.5cm以下、約0.25cm以下、または約0.15cm以下などである。セクション235のところに比較的短いツービームセクションを設けることにより、接着するチューブ204の遠位端224またはその近くに接着物質を適用するための追加の表面積が得られ、それにより、遠位端224とそこに接着される任意の内部構成要素との間の結合をより強固にすることが可能となる。
【0040】
[0049]チューブ204の特定のセクションが、任意の好適な曲げ面を形成するのを回避するために回転方向においてオフセットされる切欠を有することができる。例えば、各切欠または一連の切欠の後に角度オフセットが適用され得、その結果、チューブ204内のビーム226の得られる全体のパターンが、好適な曲げ面を形成するようには位置合わせされなくなる。
【0041】
[0050]チューブ204の他のセクションが好適な曲げ面を有することができる。例えば、ワンビームセクション234が図4に示されるように位置合わせされ得、各ビームが1つ前のビームから約180°オフセットされている。これらのビームがさらに、コアの平坦化された遠位端セクション211の曲げ面に位置合わせされ得る。図5は、ワンビームセクション234のビーム226が好適にはコアの遠位端セクション211の平坦化された幅広のセクションと同じ平面内で如何にして位置合わせされるかを断面で示す。
効果的なトルクおよび対曲げトルク比
[0051]図8および9が、種々の従来技術のデバイスと比較して、本開示のガイドワイヤデバイスがより大きいトルク(つまり、ねじれ剛性)を提供することができることを示す。図8および9ならびに本明細書の他の箇所で、「A24ソフト」という表記を付されるデバイスは本明細書で説明されるガイドワイヤデバイスの例を表し、対して他の表記は他の従来技術のデバイスを意味する。具体的には、「A14ソフト」は、ソフトプロフィールを有するAristotle(登録商標)14のガイドワイヤ(Scientia Vascularによって販売される0.356mm(0.014インチ)の外径)を意味し、「A18ソフト」は、ソフトプロフィールを有するAristotle(登録商標)18のガイドワイヤ(Scientia Vascularによって販売される0.457mm(0.018インチ)の外径)を意味し、「Synchro2ソフト」は、ソフトプロフィールを有するSynchro(Stryker Neurovascularによって販売される0.356mm(0.014インチ)の外径)を意味し、Chikai14は、Asahi Chikaiのガイドワイヤ(Asahi Intecc Medicalによって販売される0.356mm(0.014インチ)の外径)を意味し、「A14ソフトコアワイヤ」および「A18ソフトコアワイヤ」は「A14ソフト」および「A18ソフト」と同じであるが、外側チューブまたは他の構成要素を有さないコアワイヤのみである。他の図では、「Fathom16」という表記は、Boston Scientificによって販売されるFathomの0.406mm(0.016インチ)の外径のワイドワイヤを意味する。「A14」という表記が「AR14」と同義であり、「A18」が「AR18」と同義である、などとなる。
【0042】
[0052]示されるように、「A24ソフト」は、比較可能である従来技術のデバイスより、ねじれ剛性を提供するのに効果的である。表1が、「A24ソフト」および他の従来技術のガイドワイヤデバイスのうちのいくつかのガイドワイヤデバイスの回転剛性(35cmの遠位側セクションの全体にわたるすべての測定点で平均化される)を示すことにより、図8および9のデータをまとめる。
【0043】
【表1】
【0044】
[0053]有利には、開示されるガイドワイヤデバイスによって提供される大きいトルクは、曲げ可撓性を有意に低下させるという犠牲を払わない。図10が、同等のステンレス鋼(304V)のワイヤ径に関しての本開示による種々のガイドワイヤの実施形態(「A24ソフト」、「A24スタンダード」、および「A24サポート」という表記を付される)の曲げ剛性(bending stiffness)(すなわち、曲げ剛性(flexural rigidity))のプロフィールを示す。ビームの曲げ剛性はビームの断面寸法に直接に関係する定数であることから、測定されるガイドワイヤ剛性は、等しい曲げ剛性測定値を提供することになるようなステンレス鋼ワイヤに関する定数に関連付けられ得る。
【0045】
[0054]この測定手順を実行するために、測定されることになるガイドワイヤの遠位側先端がコレットピン万力(collet pin vise)内で挟扼され、ガイドワイヤ先端が万力から外に突き出る。コアの平坦化された先端(適用される場合)を水平の向きに位置合わせするようにガイドワイヤ先端が設置され、成形を行うことを意図される方向で測定を行った。ロードセルローラーの中点を通過するようにガイドワイヤを延在させるように、コレット内でワイヤを前進させて必要に応じてワイヤの位置を調整することにより、追加の測定点を試験した。
【0046】
[0055]図11~13が、他の従来のガイドワイヤデバイスに対して、これらのそれぞれの曲げ剛性プロフィールを比較しており、A24のガイドワイヤデバイスによってより大きいトルクが提供されるが曲げ剛性が悪影響を受けないことを示している。これは、比較デバイスのうちのいくつかがより小さいサイズを有ししたがってより大きい曲げの可撓性(つまり、より小さい曲げ剛性)を有することが見込まれるような場合にも、当てはまる。
【0047】
[0056]ここで提供されるデータは、本開示に従って作られたガイドワイヤデバイスが、曲げ剛性を有意におよび有害的に増大させることなく比較的大きいトルクを提供することができる、ことを示している。したがって、「対曲げトルク」比が、本明細書で開示されるガイドワイヤデバイスの有益な特性を強調する有用な測定基準として利用され得る。「対曲げトルク」比は、ねじれ剛性(分子)と曲げ剛性(分母)との間の関係を示す値である。正確な値は各々の入力測定単位で利用される単位に応じて変化する可能性があるが、単位が一貫性をもって選定される限り、異なるデバイスの間で比較が行われ得る。表2では、対曲げトルク比がラジアン-1の単位で示されており、これは、(N・m/rad)の単位である回転剛性の分子を、N・mの単位である曲げ剛性の分母によって割ることによって得られる。
【0048】
【表2-1】
【0049】
【表2-2】
【0050】
【表2-3】
【0051】
【表2-4】
【0052】
[0057]図8~13および表1および2で提供されるデータは、本明細書で開示されるガイドワイヤのためにおよび比較可能なデバイスの選定のために、このような対曲げトルク比を計算するのに利用され得る。本明細書で開示されるガイドワイヤデバイスは、有益に、従来技術のデバイスより高い、対曲げトルク比を提供する。いくつかの実装形態では、この種類の比較が類似のサイズのデバイスの間で行われ得る。つまり、所与のガイドワイヤサイズにおいて、サイズの違いを理由として異なるサイズのガイドワイヤがより高い対曲げトルク比を有する可能性があるにしても、本明細書で開示されるガイドワイヤデバイスが向上した対曲げトルク比を提供する。例えば、いくつかの実施形態が約0.610mm(0.024インチ)以下の外径サイズを有することができる。
【0053】
[0058]図8~13および表1および2のデータによってさらに示されるように、本開示によるガイドワイヤデバイスは、ガイドワイヤデバイスの0.5cmの遠位側セクションにおいて(例えば、遠位端から約0.5cm)、160rad-1超、約200rad-1以上、約250rad-1以上、約300rad-1以上、約350rad-1以上、約400rad-1以上、または約450rad-1以上の対曲げトルク比を提供することができる。試験した他のガイドワイヤはこれらの値の対曲げトルク比を提供することができなかった。
【0054】
[0059]いくつかの実施形態では、本開示によるガイドワイヤデバイスが、ガイドワイヤデバイスの1.5cmの遠位側セクションにおいて(例えば、遠位端から約1.5cm)、80rad-1以上、約100rad-1以上、または約120rad-1以上の対曲げトルク比を提供することができる。試験した他のガイドワイヤデバイスはこれらの値の対曲げトルク比を提供することができなかった。
【0055】
[0060]いくつかの実施形態では、本開示によるガイドワイヤデバイスが、ガイドワイヤデバイスの1.0cmの遠位側セクションにおいて(例えば、遠位端から約1.0cm)、130rad-1以上、約150rad-1以上、または約170rad-1以上の対曲げトルク比を提供することができる。試験した他のガイドワイヤデバイスはこれらの値の対曲げトルク比を提供することができなかった。
【0056】
[0061]いくつかの実施形態では、本開示によるガイドワイヤデバイスが、ガイドワイヤデバイスの2.0cmの遠位側セクションにおいて(例えば、遠位端から約2.0cm)、50rad-1以上、約60rad-1以上、または約65rad-1以上の対曲げトルク比を提供することができる。試験した他のガイドワイヤデバイスはこれらの値の対曲げトルク比を提供することができなかった。
【0057】
[0062]いくつかの実施形態では、本開示によるガイドワイヤデバイスが、ガイドワイヤデバイスの5.0cmの遠位側セクションにおいて(例えば、遠位端から約5.0cm)、15rad-1以上、約20rad-1以上、または約25rad-1以上の対曲げトルク比を提供することができる。試験した他のガイドワイヤデバイスはこれらの値の対曲げトルク比を提供することができなかった。
【0058】
[0063]いくつかの実施形態では、本開示によるガイドワイヤデバイスが、ガイドワイヤデバイスの8.0cmの遠位側セクションにおいて(例えば、遠位端から約8.0cm)、8rad-1以上、約9.5rad-1以上、または約11rad-1以上の対曲げトルク比を提供することができる。試験した他のガイドワイヤデバイスはこれらの値の対曲げトルク比を提供することができなかった。
【0059】
[0064]試験したデバイスの他の対曲げトルク比は、図8~13によって提供されて表1および2でまとめられたデータを使用して容易に決定され得る。
定義される用語の簡略リスト
[0065]具体的な構成、パラメータ、構成要素、要素などを参照して、本開示の特定の実施形態を説明してきたが、本記述は例示であり、特許請求される発明の範囲を限定するものとして解釈されない。
【0060】
[0066]さらに、説明される実施形態の構成要素の任意の所与の要素において、この要素または構成要素のために列記される、可能性のある代替形態のうちの任意の代替形態は、特に明記しない限り、概して、個別にまたは互いに組み合わされて、使用され得る。
【0061】
[0067]加えて、特に明記しない限り、本明細書および特許請求の範囲で使用される量、成分、距離、または他の測定値を表す数値は、「約」またはその同義語により任意選択で修飾されるものとして理解される。言及する量、値、または条件と共に、「約」、「およそ」、または「実質的に」などの用語が使用される場合、言及した量、値、または条件から、20%未満、10%未満、5%未満、1%未満、0.1%未満、または0.01%未満で逸脱する量、値、または条件を意味すると解釈され得る。特許請求の範囲の均等論の適用を制限することを試みるわけではないが、少なくとも、各数値パラメータは、通常の四捨五入手法を適用することにより、記載される有効数字に照らして、解釈されるべきである。
【0062】
[0068]本明細書で使用される任意の見出しおよび小見出しは体系化することのみを目的とし、本記述の範囲または特許請求の範囲を限定するのに使用されることを意図されない。
【0063】
[0069]本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合の単数形「a」、「an」、および「the」は、特に明記しない限り、複数の指示対象物を排除しないことに留意されたい。したがって、例えば、単数の指示対象物(例えば、小型装置)を参照する実施形態は2つ以上のこの指示対象物も含むことができる。
【0064】
[0070]本明細書で説明される実施形態が、本明細書で説明される他の実施形態で説明される、特性、特徴(例えば、原料、構成要素、部材、要素、部品、および/または部分)を含むことができることがさらに認識されよう。したがって、所与の実施形態の種々の特徴が、本開示の他の実施形態と組み合わされ得、および/または、本開示の他の実施形態に組み込まれ得る。したがって、本開示の具体的な実施形態に対しての特定の特徴の開示は、上記特徴の適用および包含がこの具体的な実施形態のみに限定されるものと解釈すべきではない。むしろ、他の実施形態もこれらの特徴を含むことができることが認識されよう。
図1
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【国際調査報告】