(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-26
(54)【発明の名称】免疫調節抗体およびその使用
(51)【国際特許分類】
C07K 16/28 20060101AFI20240119BHJP
C12N 15/13 20060101ALI20240119BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20240119BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240119BHJP
A61P 11/00 20060101ALI20240119BHJP
A61P 9/00 20060101ALI20240119BHJP
A61P 1/16 20060101ALI20240119BHJP
A61P 13/12 20060101ALI20240119BHJP
A61P 27/02 20060101ALI20240119BHJP
A61P 9/10 20060101ALI20240119BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20240119BHJP
A61P 17/02 20060101ALI20240119BHJP
A61P 31/00 20060101ALI20240119BHJP
A61P 37/06 20060101ALI20240119BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20240119BHJP
A61P 9/04 20060101ALI20240119BHJP
A61P 3/06 20060101ALI20240119BHJP
A61P 13/02 20060101ALI20240119BHJP
A61P 31/04 20060101ALI20240119BHJP
A61P 31/18 20060101ALI20240119BHJP
A61P 31/14 20060101ALI20240119BHJP
A61P 33/06 20060101ALI20240119BHJP
A61P 11/16 20060101ALI20240119BHJP
A61P 7/00 20060101ALI20240119BHJP
A61P 3/10 20060101ALI20240119BHJP
A61P 1/04 20060101ALI20240119BHJP
A61P 1/14 20060101ALI20240119BHJP
A61P 11/06 20060101ALI20240119BHJP
A61P 37/02 20060101ALI20240119BHJP
A61P 19/02 20060101ALI20240119BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20240119BHJP
A61P 15/08 20060101ALI20240119BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20240119BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20240119BHJP
【FI】
C07K16/28 ZNA
C12N15/13
A61P35/00
A61P43/00 105
A61P43/00 121
A61P11/00
A61P9/00
A61P1/16
A61P13/12
A61P27/02
A61P9/10
A61P25/00
A61P17/02
A61P31/00
A61P37/06
A61P29/00
A61P9/10 101
A61P9/04
A61P3/06
A61P13/02
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A61P31/14
A61P33/06
A61P11/16
A61P7/00
A61P3/10
A61P1/04
A61P1/14
A61P11/06
A61P37/02
A61P29/00 101
A61P19/02
A61P17/00
A61P15/08
A61K45/00
A61K39/395 D
A61K39/395 N
A61K39/395 E
A61K39/395 T
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023543278
(86)(22)【出願日】2022-01-14
(85)【翻訳文提出日】2023-09-19
(86)【国際出願番号】 US2022012598
(87)【国際公開番号】W WO2022159349
(87)【国際公開日】2022-07-28
(32)【優先日】2021-01-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-04-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522003475
【氏名又は名称】オンコレスポンス,インク.
(74)【代理人】
【識別番号】110003797
【氏名又は名称】弁理士法人清原国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジャン,ジンレイ
(72)【発明者】
【氏名】ワン,ピンピン
(72)【発明者】
【氏名】プリ,カマル ディー.
【テーマコード(参考)】
4C084
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4C084AA19
4C084MA02
4C084MA17
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4C084ZA011
4C084ZA331
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4C084ZA621
4C084ZA681
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4C084ZA751
4C084ZA811
4C084ZA891
4C084ZA961
4C084ZB071
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4C084ZC331
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4C085AA13
4C085AA14
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4C085EE01
4C085EE03
4C085GG01
4C085GG02
4C085GG03
4C085GG04
4C085GG05
4C085GG06
4H045AA11
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA10
4H045CA40
4H045DA76
4H045EA22
4H045EA28
4H045FA74
(57)【要約】
【解決手段】抗体およびその使用方法が本明細書で提供される。本明細書に開示される抗体は、マクロファージ上などの細胞上のCD163
+に結合する。これらの抗体は、癌および線維症を処置する方法などの処置方法で使用することができる。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)配列番号29、配列番号31、配列番号33、配列番号35、配列番号37、配列番号39、および配列番号41からなる群から選択されたアミノ酸配列に対して少なくとも80%同一の配列を有する重鎖可変領域(VH)と、
(b)配列番号28、配列番号30、配列番号32、配列番号34、配列番号36、配列番号38、および配列番号40からなる群から選択されたアミノ酸配列に対して少なくとも80%同一の配列を有する軽鎖可変領域(VL)と、
を含む、抗体であって、
ただし、前記抗体は、配列番号40に記載の配列を有する軽鎖可変領域(VL)、および配列番号41に記載の配列を有する重鎖可変領域(VH)を含まないものとする、抗体。
【請求項2】
前記軽鎖可変領域(VL)は、配列番号28、配列番号30、配列番号32、配列番号34、配列番号36、配列番号38、および配列番号40からなる群から選択されたアミノ酸配列に対して少なくとも85%同一の配列を有する、請求項1に記載の抗体。
【請求項3】
前記軽鎖可変領域(VL)は、配列番号28、配列番号30、配列番号32、配列番号34、配列番号36、配列番号38、および配列番号40からなる群から選択されたアミノ酸配列に対して少なくとも90%同一の配列を有する、請求項1に記載の抗体。
【請求項4】
前記軽鎖可変領域(VL)は、配列番号28、配列番号30、配列番号32、配列番号34、配列番号36、配列番号38、および配列番号40からなる群から選択されたアミノ酸配列に対して少なくとも95%同一の配列を有する、請求項1に記載の抗体。
【請求項5】
前記軽鎖可変領域(VL)は、配列番号28、配列番号30、配列番号32、配列番号34、配列番号36、配列番号38、および配列番号40からなる群から選択されたアミノ酸配列に対して少なくとも99%同一の配列を有する、請求項1に記載の抗体。
【請求項6】
前記軽鎖可変領域(VL)は、配列番号28、配列番号30、配列番号32、配列番号34、配列番号36、配列番号38、および配列番号40からなる群から選択されたアミノ酸配列に対して100%同一の配列を有する、請求項1に記載の抗体。
【請求項7】
前記重鎖可変領域(VH)は、配列番号29、配列番号31、配列番号33、配列番号35、配列番号37、配列番号39、および配列番号41からなる群から選択されたアミノ酸配列に対して少なくとも85%同一の配列を有する、請求項1に記載の抗体。
【請求項8】
前記重鎖可変領域(VH)は、配列番号29、配列番号31、配列番号33、配列番号35、配列番号37、配列番号39、および配列番号41からなる群から選択されたアミノ酸配列に対して少なくとも90%同一の配列を有する、請求項1に記載の抗体。
【請求項9】
前記重鎖可変領域(VH)は、配列番号29、配列番号31、配列番号33、配列番号35、配列番号37、配列番号39、および配列番号41からなる群から選択されたアミノ酸配列に対して少なくとも95%同一の配列を有する、請求項1に記載の抗体。
【請求項10】
前記重鎖可変領域(VH)は、配列番号29、配列番号31、配列番号33、配列番号35、配列番号37、配列番号39、および配列番号41からなる群から選択されたアミノ酸配列に対して少なくとも99%同一の配列を有する、請求項1に記載の抗体。
【請求項11】
前記重鎖可変領域(VH)は、配列番号29、配列番号31、配列番号33、配列番号35、配列番号37、配列番号39、および配列番号41からなる群から選択されたアミノ酸配列に対して100%同一の配列を有する、請求項1に記載の抗体。
【請求項12】
前記抗体はCDR H1、CDR H2、CDR H2、CDR L1、CDR L2、およびCDR L3において100%同一である、請求項1~11のいずれか1つに記載の抗体。
【請求項13】
CDR H1は、配列番号4、配列番号16、配列番号19、配列番号22、および配列番号25からなる群から選択されたアミノ酸配列に記載の配列を有する、請求項1~12のいずれか1つに記載の抗体。
【請求項14】
CDR H2は、配列番号5、配列番号17、配列番号20、配列番号23、および配列番号26からなる群から選択されたアミノ酸配列に記載の配列を有する、請求項1~13のいずれか1つに記載の抗体。
【請求項15】
CDR H3は、配列番号6、配列番号18、配列番号21、配列番号24、および配列番号27からなる群から選択されたアミノ酸配列に記載の配列を有する、請求項1~14のいずれか1つに記載の抗体。
【請求項16】
CDR L1は、配列番号1、配列番号7、および配列番号13からなる群から選択されたアミノ酸配列に記載の配列を有する、請求項1~15のいずれか1つに記載の抗体。
【請求項17】
CDR L2は、配列番号2、配列番号9、および配列番号14からなる群から選択されたアミノ酸配列に記載の配列を有する、請求項1~16のいずれか1つに記載の抗体。
【請求項18】
CDR L3は、配列番号3、配列番号8、配列番号10、配列番号11、配列番号12、および配列番号15からなる群から選択されたアミノ酸配列に記載の配列を有する、請求項1~17のいずれか1つに記載の抗体。
【請求項19】
(a)配列番号1、配列番号7、および配列番号13からなる群において記載されるアミノ酸配列と少なくとも約80%同一のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR1、
配列番号2、配列番号9、および配列番号14からなる群において記載されるアミノ酸配列と少なくとも約80%同一のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR2、および、
配列番号3、配列番号8、配列番号10、配列番号11、配列番号12、および配列番号15からなる群において記載されるアミノ酸配列と少なくとも約80%同一のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR3、ならびに、
(b)配列番号4、配列番号16、配列番号19、配列番号22、および配列番号25からなる群において記載されるアミノ酸配列と少なくとも約80%同一のアミノ酸配列を有する重鎖CDR1、
配列番号5、配列番号17、配列番号20、配列番号23、および配列番号26からなる群において記載されるアミノ酸配列と少なくとも約80%同一のアミノ酸配列を有する重鎖CDR2、および、
配列番号6、配列番号18、配列番号21、配列番号24、および配列番号27からなる群において記載されるアミノ酸配列と少なくとも約80%同一のアミノ酸配列を有する重鎖CDR3、
を含む抗体であって、
ただし、前記抗体は、少なくとも配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、および配列番号6に記載される配列を含まないものとする、抗体。
【請求項20】
CDR L1は、配列番号1、配列番号7、および配列番号13からなる群から選択されたアミノ酸配列に対して少なくとも85%同一の配列を有し、CDR L2は、配列番号2、配列番号9、および配列番号14からなる群から選択されたアミノ酸配列に対して少なくとも85%同一の配列を有し、CDR L3は、配列番号3、配列番号8、配列番号10、配列番号11、配列番号12、および配列番号15からなる群から選択されたアミノ酸配列に対して少なくとも85%同一の配列を有する、請求項19に記載の抗体。
【請求項21】
CDR L1は、配列番号1、配列番号7、および配列番号13からなる群から選択されたアミノ酸配列に対して少なくとも90%同一の配列を有し、CDR L2は、配列番号2、配列番号9、および配列番号14からなる群から選択されたアミノ酸配列に対して少なくとも90%同一の配列を有し、CDR L3は、配列番号3、配列番号8、配列番号10、配列番号11、配列番号12、および配列番号15からなる群から選択されたアミノ酸配列に対して少なくとも90%同一の配列を有する、請求項19に記載の抗体。
【請求項22】
CDR L1は、配列番号1、配列番号7、および配列番号13からなる群から選択されたアミノ酸配列に対して少なくとも95%同一の配列を有し、CDR L2は、配列番号2、配列番号9、および配列番号14からなる群から選択されたアミノ酸配列に対して少なくとも95%同一の配列を有し、CDR L3は、配列番号3、配列番号8、配列番号10、配列番号11、配列番号12、および配列番号15からなる群から選択されたアミノ酸配列に対して少なくとも95%同一の配列を有する、請求項19に記載の抗体。
【請求項23】
CDR L1は、配列番号1、配列番号7、および配列番号13からなる群から選択されたアミノ酸配列に対して少なくとも99%同一の配列を有し、CDR L2は、配列番号2、配列番号9、および配列番号14からなる群から選択されたアミノ酸配列に対して少なくとも99%同一の配列を有し、CDR L3は、配列番号3、配列番号8、配列番号10、配列番号11、配列番号12、および配列番号15からなる群から選択されたアミノ酸配列に対して少なくとも99%同一の配列を有する、請求項19に記載の抗体。
【請求項24】
CDR L1は、配列番号1、配列番号7、および配列番号13からなる群から選択されたアミノ酸配列に対して100%同一の配列を有し、CDR L2は、配列番号2、配列番号9、および配列番号14からなる群から選択されたアミノ酸配列に対して100%同一の配列を有し、CDR L3は、配列番号3、配列番号8、配列番号10、配列番号11、配列番号12、および配列番号15からなる群から選択されたアミノ酸配列に対して少なくとも100%同一の配列を有する、請求項19に記載の抗体。
【請求項25】
CDR H1は、配列番号4、配列番号16、配列番号19、配列番号22、および配列番号25からなる群から選択されたアミノ酸配列に対して少なくとも85%同一の配列を有し、CDR H2は、配列番号5、配列番号17、配列番号20、配列番号23、および配列番号26からなる群から選択されたアミノ酸配列に対して少なくとも85%同一の配列を有し、CDR H3は、配列番号6、配列番号18、配列番号21、配列番号24、および配列番号27からなる群から選択されたアミノ酸に対して少なくとも85%同一の配列を有する、請求項19に記載の抗体。
【請求項26】
CDR H1は、配列番号4、配列番号16、配列番号19、配列番号22、および配列番号25からなる群から選択されたアミノ酸配列に対して少なくとも90%同一の配列を有し、CDR H2は、配列番号5、配列番号17、配列番号20、配列番号23、および配列番号26からなる群から選択されたアミノ酸配列に対して少なくとも90%同一の配列を有し、CDR H3は、配列番号6、配列番号18、配列番号21、配列番号24、および配列番号27からなる群から選択されたアミノ酸に対して少なくとも90%同一の配列を有する、請求項19に記載の抗体。
【請求項27】
CDR H1は、配列番号4、配列番号16、配列番号19、配列番号22、および配列番号25からなる群から選択されたアミノ酸配列に対して少なくとも95%同一の配列を有し、CDR H2は、配列番号5、配列番号17、配列番号20、配列番号23、および配列番号26からなる群から選択されたアミノ酸配列に対して少なくとも95%同一の配列を有し、CDR H3は、配列番号6、配列番号18、配列番号21、配列番号24、および配列番号27からなる群から選択されたアミノ酸に対して少なくとも95%同一の配列を有する、請求項19に記載の抗体。
【請求項28】
CDR H1は、配列番号4、配列番号16、配列番号19、配列番号22、および配列番号25からなる群から選択されたアミノ酸配列に対して少なくとも99%同一の配列を有し、CDR H2は、配列番号5、配列番号17、配列番号20、配列番号23、および配列番号26からなる群から選択されたアミノ酸配列に対して少なくとも99%同一の配列を有し、CDR H3は、配列番号6、配列番号18、配列番号21、配列番号24、および配列番号27からなる群から選択されたアミノ酸に対して少なくとも99%同一の配列を有する、請求項19に記載の抗体。
【請求項29】
CDR H1は、配列番号4、配列番号16、配列番号19、配列番号22、および配列番号25からなる群から選択されたアミノ酸配列に対して少なくとも100%同一の配列を有し、CDR H2は、配列番号5、配列番号17、配列番号20、配列番号23、および配列番号26からなる群から選択されたアミノ酸配列に対して少なくとも100%同一の配列を有し、CDR H3は、配列番号6、配列番号18、配列番号21、配列番号24、および配列番号27からなる群から選択されたアミノ酸に対して少なくとも100%同一の配列を有する、請求項19に記載の抗体。
【請求項30】
(a)配列番号29、配列番号31、配列番号33、配列番号35、配列番号37、配列番号39、および配列番号41からなる群から選択されたアミノ酸配列に対して少なくとも80%同一の配列を有する重鎖可変領域(VH)と、
(b)配列番号28、配列番号30、配列番号32、配列番号34、配列番号36、配列番号38、および配列番号40からなる群から選択されたアミノ酸配列に対して少なくとも80%同一の配列を有する軽鎖可変領域(VL)と、
を含む、請求項19に記載の抗体。
【請求項31】
(a)配列番号29、配列番号31、配列番号33、配列番号35、配列番号37、配列番号39、および配列番号41からなる群から選択されたアミノ酸配列に対して少なくとも85%同一の配列を有する重鎖可変領域(VH)と、
(b)配列番号28、配列番号30、配列番号32、配列番号34、配列番号36、配列番号38、および配列番号40からなる群から選択されたアミノ酸配列に対して少なくとも85%同一の配列を有する軽鎖可変領域(VL)と、
を含む、請求項19に記載の抗体。
【請求項32】
(a)配列番号29、配列番号31、配列番号33、配列番号35、配列番号37、配列番号39、および配列番号41からなる群から選択されたアミノ酸配列に対して少なくとも90%同一の配列を有する重鎖可変領域(VH)と、
(b)配列番号28、配列番号30、配列番号32、配列番号34、配列番号36、配列番号38、および配列番号40からなる群から選択されたアミノ酸配列に対して少なくとも90%同一の配列を有する軽鎖可変領域(VL)と、
を含む、請求項19に記載の抗体。
【請求項33】
(a)配列番号29、配列番号31、配列番号33、配列番号35、配列番号37、配列番号39、および配列番号41からなる群から選択されたアミノ酸配列に対して少なくとも95%同一の配列を有する重鎖可変領域(VH)と、
(b)配列番号28、配列番号30、配列番号32、配列番号34、配列番号36、配列番号38、および配列番号40からなる群から選択されたアミノ酸配列に対して少なくとも95%同一の配列を有する軽鎖可変領域(VL)と、
を含む、請求項19に記載の抗体。
【請求項34】
(a)配列番号29、配列番号31、配列番号33、配列番号35、配列番号37、配列番号39、および配列番号41からなる群から選択されたアミノ酸配列に対して少なくとも99%同一の配列を有する重鎖可変領域(VH)と、
(b)配列番号28、配列番号30、配列番号32、配列番号34、配列番号36、配列番号38、および配列番号40からなる群から選択されたアミノ酸配列に対して少なくとも99%同一の配列を有する軽鎖可変領域(VL)と、
を含む、請求項19に記載の抗体。
【請求項35】
(a)配列番号29、配列番号31、配列番号33、配列番号35、配列番号37、配列番号39、および配列番号41からなる群から選択されたアミノ酸配列に100%同一の配列を有する重鎖可変領域(VH)と、
(b)配列番号28、配列番号30、配列番号32、配列番号34、配列番号36、配列番号38、および配列番号40からなる群から選択されたアミノ酸配列に100%同一の配列を有する軽鎖可変領域(VL)と、
を含む、請求項19に記載の抗体。
【請求項36】
前記抗体はさらに、ヒト重鎖定常領域またはヒト軽鎖定常領域を含む、請求項1~35のいずれか1つに記載の抗体。
【請求項37】
前記抗体は、IgG1もしくはIgG4、またはその断片である、請求項36に記載の抗体。
【請求項38】
前記抗体はFc受容体に結合する、請求項1~37のいずれか1つに記載の抗体。
【請求項39】
前記Fc受容体はマクロファージ上で発現される、請求項38に記載の抗体。
【請求項40】
前記抗体は、単一の重鎖、単一の軽鎖、Fab、F(ab’)、F(ab’)
2、Fd、scFv、可変重鎖ドメイン、可変軽鎖ドメイン、可変NARドメイン、二重特異性scFv、二重特異性Fab
2、三重特異性Fab
3、単鎖結合ポリペプチド、dAb断片、またはダイアボディ(diabody)を含む、抗体断片である、請求項1~39のいずれか1つに記載の抗体。
【請求項41】
前記抗体は樹状細胞に結合する、請求項1~40のいずれか1つに記載の抗体。
【請求項42】
前記抗体は古典的単球に結合する、請求項1~41のいずれか1つに記載の抗体。
【請求項43】
前記抗体は中間単球に結合する、請求項1~42のいずれか1つに記載の抗体。
【請求項44】
前記抗体は非古典的単球に結合する、請求項1~43のいずれか1つに記載の抗体。
【請求項45】
前記抗体は免疫抑制性の骨髄性細胞に結合する、請求項1~44のいずれか1つに記載の抗体。
【請求項46】
前記免疫抑制性の骨髄細胞は腫瘍微小環境にある、請求項45に記載の抗体。
【請求項47】
前記免疫抑制性の骨髄細胞はマクロファージまたは骨髄由来の抑制細胞である、請求項45または46に記載の抗体。
【請求項48】
前記ヒトマクロファージはM2マクロファージまたはM2様マクロファージである、請求項47に記載の抗体。
【請求項49】
前記ヒトマクロファージはM2a、M2b、M2c、またはM2dマクロファージである、請求項47または48に記載の抗体。
【請求項50】
前記マクロファージは腫瘍関連マクロファージである、請求項47~49のいずれか1つに記載の抗体。
【請求項51】
前記抗体はCD163タンパク質に結合する、請求項1~50のいずれか1つに記載の抗体。
【請求項52】
前記CD163タンパク質はCD163のグリコフォームである、請求項51に記載の抗体。
【請求項53】
前記CD163タンパク質はCD163の150kDaのグリコフォームである、請求項52に記載の抗体。
【請求項54】
前記抗体は、ヒトマクロファージによって発現されたCD163の130kDaのグリコフォームに特異的に結合しない、請求項51~53のいずれか1つに記載の抗体。
【請求項55】
前記CD163タンパク質は、マクロファージによって発現された少なくとも1つの他のタンパク質を含む細胞表面複合体の成分である、請求項51~54のいずれか1つに記載の抗体。
【請求項56】
前記少なくとも1つの他のタンパク質は、ガレクチン-1タンパク質、LILRB2タンパク質、カゼインキナーゼIIタンパク質、またはそれらの任意の組み合わせである、請求項55に記載の抗体。
【請求項57】
前記抗体は、配列番号42のアミノ酸配列を含むCD163エピトープに特異的に結合する、請求項1~56のいずれか1つに記載の抗体。
【請求項58】
前記抗体は、配列番号43のアミノ酸配列を含むCD163エピトープに特異的に結合する、請求項1~56のいずれか1つに記載の抗体。
【請求項59】
前記抗体は、配列番号44のアミノ酸配列を含むCD163エピトープに特異的に結合する、請求項1~56のいずれか1つに記載の抗体。
【請求項60】
前記抗体は、配列番号42、配列番号43、および配列番号44のアミノ酸配列のそれぞれを含むCD163エピトープに特異的に結合する、請求項1~56のいずれか1つに記載の抗体。
【請求項61】
前記抗体は、マクロファージ上の少なくとも1つのマーカーの発現を変える、請求項51~60のいずれか1つに記載の抗体。
【請求項62】
ヒトマクロファージ上の少なくとも1つのマーカーは、CD16、CD64、TLR2、またはSiglec-15である、請求項61に記載の抗体。
【請求項63】
前記抗体は、0.5nM~100nMのK
DでCD163に特異的に結合する、請求項1~62のいずれか1つに記載の抗体。
【請求項64】
前記抗体は、0.5nM~50nMのK
DでCD163に特異的に結合する、請求項63に記載の抗体。
【請求項65】
前記抗体は、0.5nM~10nMのK
DでCD163に特異的に結合する、請求項64に記載の抗体。
【請求項66】
前記抗体は、0.5nM~1.5nMのK
DでCD163に特異的に結合する、請求項65に記載の抗体。
【請求項67】
前記抗体は、0.5nM~1.0nMのK
DでCD163に特異的に結合する、請求項66に記載の抗体。
【請求項68】
前記抗体は、0.5nM~100nMのK
DでヒトM2cマクロファージに特異的に結合する、請求項1~67のいずれか1つに記載の抗体。
【請求項69】
前記抗体は、0.5nM~50nMのK
DでヒトM2cマクロファージに特異的に結合する、請求項68に記載の抗体。
【請求項70】
前記抗体は、0.5nM~10nMのK
DでヒトM2cマクロファージに特異的に結合する、請求項69に記載の抗体。
【請求項71】
前記抗体は、0.5nM~1.5nMのK
DでヒトM2cマクロファージに特異的に結合する、請求項70に記載の抗体。
【請求項72】
前記抗体は、0.5nM~1.0nMのK
DでヒトM2cマクロファージに特異的に結合する、請求項71に記載の抗体。
【請求項73】
処置を必要とする対象においてM2-マクロファージの存在に関連する癌、または線維性疾患もしくは障害を処置する方法であって、治療有効量の請求項1~72のいずれかに記載される抗体を前記対象に投与する工程を含む、方法。
【請求項74】
マクロファージへの前記抗体の結合は、以下のパラメータ、
(a)CD4+T細胞、CD8+T細胞、NK細胞、またはそれらの任意の組み合わせの活性化、および、
(b)CD4+T細胞、CD8+T細胞、NK細胞、またはそれらの任意の組み合わせの増殖、
の1つまたは両方によって測定されるような免疫細胞機能を促進する、請求項73に記載の方法。
【請求項75】
CD4+T細胞、CD8+T細胞、NK細胞、またはそれらの任意の組み合わせの活性化は、IFN-γ、TNF-α、もしくはパーフォリン、またはその任意の組み合わせのレベルの増強として測定される、請求項74に記載の方法。
【請求項76】
マクロファージへの前記抗体の結合は、前記マクロファージに対して細胞傷害性ではない、請求項73~75のいずれか1つに記載の方法。
【請求項77】
マクロファージへの前記抗体の結合は、以下の効果、
(a)前記マクロファージによる少なくとも1つのマーカーの発現の減少であって、少なくとも1つのマーカーがCD16、CD64、TLR2、またはSiglec-15である、発現の減少、
(b)前記マクロファージによる前記抗体の内在化、
(c)IFN-γ、TNF-α、およびパーフォリンの分泌、
(d)CD4+T細胞、CD8+T細胞、NK細胞、またはそれらの任意の組み合わせの活性化、
(e)CD4+T細胞、CD8+T細胞、NK細胞、またはそれらの任意の組み合わせの増殖、ならびに、
(f)腫瘍微小環境における腫瘍細胞死滅の促進、の少なくとも1つをもたらす、請求項73~76のいずれか1つに記載の方法。
【請求項78】
前記結合は、
(a)~(e)の2つ以上、
(a)~(e)の3つ以上、
(a)~(e)の4つ以上、または
(a)~(e)のすべてをもたらす、請求項77に記載の方法。
【請求項79】
マクロファージへの抗体の結合は、腫瘍微小環境における免疫刺激活性を増加させる、請求項73~78のいずれか1つに記載の方法。
【請求項80】
マクロファージへの前記抗体の結合は、前記マクロファージの免疫抑制活性を低下させる、請求項73~79のいずれか1つに記載の方法。
【請求項81】
マクロファージへの前記抗体の結合は、前記マクロファージの腫瘍促進活性を低下させる、請求項73~80のいずれか1つに記載の方法。
【請求項82】
前記抗体の結合は、CD4+T細胞活性化、CD4+T細胞増殖、またはCD4+T細胞の活性化および増殖の両方を促進する、請求項73~81のいずれか1つに記載の方法。
【請求項83】
結合は、CD4+T細胞によるCD69、ICOS、OX40、PD1、LAG3、CTLA4、またはそれらの任意の組み合わせの発現を促進する、請求項73~82のいずれか1つに記載の方法。
【請求項84】
前記抗体への結合は、CD8+T細胞活性化、CD8+T細胞増殖、またはCD8+T細胞の活性化および増殖の両方を促進する、請求項73~83のいずれか1つに記載の方法。
【請求項85】
前記抗体の結合は、CD8+T細胞によるICOS、OX40、PD1、LAG3、CTLA4、またはそれらの任意の組み合わせの発現を促進する、請求項73~84のいずれか1つに記載の方法。
【請求項86】
抗体タンパク質の結合は、癌細胞の細胞傷害性リンパ球媒介性の死滅を促進する、請求項73~85のいずれか1つに記載の方法。
【請求項87】
前記抗体の結合は、NK細胞媒介性の腫瘍細胞死滅を促進する、請求項73~86のいずれか1つに記載の方法。
【請求項88】
前記抗体の結合は、T細胞によるIL-2の発現を促進する、請求項73~87のいずれか1つに記載の方法。
【請求項89】
前記抗体の結合は、CD4+T細胞、CD196-T細胞、CXCR3+T細胞、CCR4
-T細胞、またはそれらの任意の組み合わせを増加させる、請求項73~88のいずれか1つに記載の方法。
【請求項90】
マクロファージへの前記抗体の結合は、前記腫瘍微小環境における腫瘍細胞の細胞傷害性のT細胞媒介性の死滅の抑制を低下させる、請求項73~89のいずれか1つに記載の方法。
【請求項91】
前記癌は肺癌である、請求項73~90のいずれか1つに記載の方法。
【請求項92】
前記癌は肺癌腫または肺肉腫である、請求項73~91のいずれか1つに記載の方法。
【請求項93】
前記癌は肺腺癌である、請求項73~92のいずれか1つに記載の方法。
【請求項94】
抗癌治療薬を前記対象に投与する工程をさらに含む、請求項73~93のいずれか1つに記載の方法。
【請求項95】
マクロファージへの前記抗体の結合は、前記マクロファージの線維化促進機能を低下させる、請求項73~78のいずれか1つに記載の方法。
【請求項96】
前記線維性疾患または障害は、肺線維症である、請求項73~78のいずれか1つに記載の方法。
【請求項97】
前記線維性疾患または障害は、心線維症である、請求項73~78のいずれか1つに記載の方法。
【請求項98】
前記線維性疾患または障害は、肝線維症である、請求項73~78のいずれか1つに記載の方法。
【請求項99】
前記線維性疾患または障害は、腎線維症である、請求項73~78のいずれか1つに記載の方法。
【請求項100】
前記線維性疾患または障害は、網膜線維症である、請求項73~78のいずれか1つに記載の方法。
【請求項101】
前記線維症は原発性線維性疾患または障害である、請求項73~78のいずれか1つに記載の方法。
【請求項102】
前記原発性線維性疾患または障害は特発性肺線維症(IPF)である、請求項101に記載の方法。
【請求項103】
前記原発性線維性疾患または障害は肝硬変である、請求項102に記載の方法。
【請求項104】
前記原発性線維性疾患または障害は全身性硬化症である、請求項103に記載の方法。
【請求項105】
前記原発性線維性疾患または障害は放射線維症である、請求項103に記載の方法。
【請求項106】
前記原発性線維性疾患または障害は機械的損傷に関連する瘢痕である、請求項103に記載の方法。
【請求項107】
前記線維症は二次線維性疾患である、請求項73~78のいずれか1つに記載の方法。
【請求項108】
前記二次線維性疾患は、感染症、自己免疫疾患または障害、癌、および炎症性疾患または障害からなる群から選択された疾患または障害に関連する、請求項107に記載の方法。
【請求項109】
前記二次線維性疾患は、アテローム性動脈硬化、心房細動、慢性心不全、末梢血管疾患、急性冠動脈症候群、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、慢性肝不全の急性増悪、急性肝不全、急性腎傷害、急性尿細管壊死、および慢性腎臓病からなる群から選択された疾患または障害に関連する、請求項107に記載の方法。
【請求項110】
前記感染症は、敗血症、HIV感染症、SARS-CoV-2感染症、急性ウイルス性肝炎、慢性ウイルス性肝炎、およびマラリアからなる群から選択される、請求項108に記載の方法。
【請求項111】
前記自己免疫性または炎症性の疾患または障害は、急性肺傷害(ALI)、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、過敏性肺炎、アルコール性肝炎、非アルコール性脂肪性肝炎、ウイルス性肝炎、鎌型赤血球症、1型真性糖尿病、2型真性糖尿病、クローン病、セリアック病、喘息、サルコイドーシス、糸球体腎炎、ループス腎炎、全身性エリテマトーデス、関節リウマチ、シェーグレン症候群、強皮症、嚢胞性線維症(CF)、移植片対宿主疾患、同種移植片拒絶反応、腎臓同種移植片拒絶反応、サルコイドーシス、肺サルコイドーシス、血球貪食性リンパ組織球症(HLH)、炎症性関節炎、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、喘息、変形性関節症、子宮筋腫、および多発性硬化症からなる群から選択される、請求項108に記載の方法。
【請求項112】
抗炎症治療薬を前記対象に投与する工程をさらに含む、請求項73および95~111のいずれか1つに記載の方法。
【請求項113】
(a)請求項1~72のいずれか1つに記載の抗体、および(b)薬学的に許容可能な賦形剤を含む、医薬組成物。
【請求項114】
前記薬学的に許容可能な賦形剤は、安定化剤、緩衝液、界面活性剤、充填剤、溶液、等張化剤またはモル浸透圧濃度調節剤、および抗酸化剤からなる群から選択される、請求項113に記載の医薬組成物。
【請求項115】
安定化剤、緩衝液、界面活性剤、充填剤、溶液、等張化剤、および抗酸化剤からなる群から独立して選択される2つ以上の薬学的に許容可能な賦形剤を含む、請求項114に記載の医薬組成物。
【請求項116】
薬剤として使用するための請求項1~72のいずれか1つに記載の抗体。
【請求項117】
処置を必要とする対象においてM2-マクロファージの存在に関連する癌または線維性疾患もしくは障害を処置する際に使用するための、請求項1~72のいずれか1つに記載の抗体。
【請求項118】
マクロファージへの前記抗体の結合は、以下のパラメータ、
(a)CD4+T細胞、CD8+T細胞、NK細胞、またはそれらの任意の組み合わせの活性化、および、
(b)CD4+T細胞、CD8+T細胞、NK細胞、またはそれらの任意の組み合わせの増殖、
の1つまたは両方によって測定されるような免疫細胞機能を促進する、請求項116または117に記載の抗体。
【請求項119】
CD4+T細胞、CD8+T細胞、NK細胞、またはそれらの任意の組み合わせの活性化は、IFN-γ、TNF-α、もしくはパーフォリン、またはその任意の組み合わせのレベルの増強として測定される、請求項118に記載の抗体。
【請求項120】
マクロファージへの前記抗体の結合は、前記マクロファージに対して細胞傷害性ではない、請求項116~119のいずれか1つに記載の抗体。
【請求項121】
前記マクロファージへの前記抗体の結合は、以下の効果、
(a)マクロファージによる少なくとも1つのマーカーの発現の減少であって、少なくとも1つのマーカーがCD16、CD64、TLR2、またはSiglec-15である、発現の減少、
(b)マクロファージによる抗体の内在化、
(c)IFN-γ、TNF-α、およびパーフォリンの分泌、
(d)CD4+T細胞、CD8+T細胞、NK細胞、またはそれらの任意の組み合わせの活性化、
(e)CD4+T細胞、CD8+T細胞、NK細胞、またはそれらの任意の組み合わせの増殖、ならびに、
(f)腫瘍微小環境における腫瘍細胞死滅の促進、
の少なくとも1つをもたらす、請求項116~120のいずれか1つに記載の抗体。
【請求項122】
前記結合は、
(a)~(e)の2つ以上、
(a)~(e)の3つ以上、
(a)~(e)の4つ以上、または
(a)~(e)のすべてをもたらす、請求項121に記載の抗体。
【請求項123】
マクロファージへの前記抗体の結合は、腫瘍微小環境における免疫刺激活性を増加させる、請求項116~122のいずれか1つに記載の抗体。
【請求項124】
マクロファージへの前記抗体の結合は、前記マクロファージの免疫抑制活性を低下させる、請求項116~123のいずれか1つに記載の抗体。
【請求項125】
マクロファージへの前記抗体の結合は、前記マクロファージの腫瘍促進活性を低下させる、請求項116~124のいずれか1つに記載の抗体。
【請求項126】
前記抗体の結合は、CD4+T細胞活性化、CD4+T細胞増殖、またはCD4+T細胞の活性化および増殖の両方を促進する、請求項116~125のいずれか1つに記載の抗体。
【請求項127】
結合は、CD4+T細胞によるCD69、ICOS、OX40、PD1、LAG3、CTLA4、またはそれらの任意の組み合わせの発現を促進する、請求項116~126のいずれか1つに記載の抗体。
【請求項128】
前記抗体への結合は、CD8+T細胞活性化、CD8+T細胞増殖、またはCD8+T細胞の活性化および増殖の両方を促進する、請求項116~127のいずれか1つに記載の抗体。
【請求項129】
前記抗体の結合は、CD8+T細胞によるICOS、OX40、PD1、LAG3、CTLA4、またはそれらの任意の組み合わせの発現を促進する、請求項116~128のいずれか1つに記載の抗体。
【請求項130】
前記抗体タンパク質の結合は、癌細胞の細胞傷害性リンパ球媒介性の死滅を促進する、請求項116~129のいずれか1つに記載の抗体。
【請求項131】
前記抗体の結合は、NK細胞媒介性の腫瘍細胞死滅を促進する、請求項116~130のいずれか1つに記載の抗体。
【請求項132】
前記抗体の結合は、T細胞によるIL-2の発現を促進する、請求項116~131のいずれか1つに記載の抗体。
【請求項133】
前記抗体の結合は、CD4+T細胞、CD196-T細胞、CXCR3+T細胞、CCR4
-T細胞、またはそれらの任意の組み合わせを増加させる、請求項116~132のいずれか1つに記載の抗体。
【請求項134】
マクロファージへの前記抗体の結合は、前記腫瘍微小環境における腫瘍細胞の細胞傷害性のT細胞媒介性の死滅の抑制を低下させる、請求項116~133のいずれか1つに記載の抗体。
【請求項135】
前記癌は肺癌である、請求項117~134のいずれか1つに記載の抗体。
【請求項136】
前記癌は肺癌腫または肺肉腫である、請求項117~135のいずれか1つに記載の抗体。
【請求項137】
前記癌は肺腺癌である、請求項117~136のいずれか1つに記載の抗体。
【請求項138】
前記抗体は抗癌治療薬と組み合わせて前記対象に投与するために製剤化される、請求項117~137のいずれか1つに記載の抗体。
【請求項139】
マクロファージへの前記抗体の結合は、前記マクロファージの線維化促進機能を低下させる、請求項117~119のいずれか1つに記載の抗体。
【請求項140】
前記線維性疾患または障害は、肺線維症である、請求項117~120のいずれか1つに記載の抗体。
【請求項141】
前記線維性疾患または障害は、心線維症である、請求項117~120のいずれか1つに記載の抗体。
【請求項142】
前記線維性疾患または障害は、肝線維症である、請求項117~120のいずれか1つに記載の抗体。
【請求項143】
前記線維性疾患または障害は、腎線維症である、請求項117~120のいずれか1つに記載の抗体。
【請求項144】
前記線維性疾患または障害は、網膜線維症である、請求項117~120のいずれか1つに記載の抗体。
【請求項145】
前記線維症は原発性線維性疾患または障害である、請求項117~120のいずれか1つに記載の抗体。
【請求項146】
前記原発性線維性疾患または障害は特発性肺線維症(IPF)である、請求項145に記載の抗体。
【請求項147】
前記原発性線維性疾患または障害は肝硬変である、請求項145に記載の抗体。
【請求項148】
前記原発性線維性疾患または障害は全身性硬化症である、請求項145に記載の抗体。
【請求項149】
前記原発性線維性疾患または障害は放射線維症である、請求項145に記載の抗体。
【請求項150】
前記原発性線維性疾患または障害は機械的損傷に関連する瘢痕である、請求項145に記載の抗体。
【請求項151】
前記線維症は二次線維性疾患である、請求項117~120のいずれか1つに記載の抗体。
【請求項152】
前記二次線維性疾患は、感染症、自己免疫疾患または障害、癌、および炎症性疾患または障害からなる群から選択された疾患または障害に関連する、請求項151に記載の抗体。
【請求項153】
前記二次線維性疾患は、アテローム性動脈硬化、心房細動、慢性心不全、末梢血管疾患、急性冠動脈症候群、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、慢性肝不全の急性増悪、急性肝不全、急性腎傷害、急性尿細管壊死、および慢性腎臓病からなる群から選択された疾患または障害に関連する、請求項151に記載の抗体。
【請求項154】
前記感染症は、敗血症、HIV感染症、SARS-CoV-2感染症、急性ウイルス性肝炎、慢性ウイルス性肝炎、およびマラリアからなる群から選択される、請求項152に記載の抗体。
【請求項155】
前記自己免疫性または炎症性の疾患または障害は、急性肺傷害(ALI)、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、過敏性肺炎、アルコール性肝炎、非アルコール性脂肪性肝炎、ウイルス性肝炎、鎌型赤血球症、1型真性糖尿病、2型真性糖尿病、クローン病、セリアック病、喘息、サルコイドーシス、糸球体腎炎、ループス腎炎、全身性エリテマトーデス、関節リウマチ、シェーグレン症候群、強皮症、嚢胞性線維症(CF)、移植片対宿主疾患、同種移植片拒絶反応、腎臓同種移植片拒絶反応、サルコイドーシス、肺サルコイドーシス、血球貪食性リンパ組織球症(HLH)、炎症性関節炎、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、喘息、変形性関節症、子宮筋腫、および多発性硬化症からなる群から選択される、請求項152に記載の抗体。
【請求項156】
前記抗体は抗炎症治療薬と組み合わせて前記対象に投与するために製剤化される、請求項116および139~155のいずれか1つに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
配列表
本出願は、ASCIIフォーマットで電子的に提出され、参照により全体的に本明細書に組み込まれる配列表を含んでいる。2022年1月14日に作成された上記ASCIIのコピーは、「ONR-006WO_SL.txt」というファイル名であり、37,676バイトのサイズである。
【0002】
関連出願への相互参照
本出願は、2021年1月20日に出願された米国仮特許出願第63/199,732号と、2021年4月1日に出願された米国仮特許出願第63/200,897号の利益を主張するものであり、当該文献はそれぞれ、参照により全体的に本明細書に組み込まれる。
【発明の概要】
【0003】
癌および線維症の処置に役立つ、抗原結合断片および他の抗原結合ポリペプチドを含む抗体が本明細書で提供される。
【0004】
本明細書において、特定の実施形態において抗体が開示され、上記抗体は、(a)配列番号29、配列番号31、配列番号33、配列番号35、配列番号37、配列番号39、および配列番号41からなる群から選択されたアミノ酸配列に対して少なくとも80%同一の配列を有する重鎖可変領域(VH)と、(b)配列番号28、配列番号30、配列番号32、配列番号34、配列番号36、配列番号38、および配列番号40からなる群から選択されたアミノ酸配列に対して少なくとも80%同一の配列を有する軽鎖可変領域(VL)と、を含み、ただし、抗体は、配列番号40に記載の配列を有する軽鎖可変領域(VL)、および配列番号41に記載の配列を有する重鎖可変領域(VH)を含まないものとする。いくつかの実施形態において、軽鎖可変領域(VL)は、配列番号28、配列番号30、配列番号32、配列番号34、配列番号36、配列番号38、および配列番号40からなる群から選択されたアミノ酸配列に対して少なくとも85%同一の配列を有する。いくつかの実施形態において、軽鎖可変領域(VL)は、配列番号28、配列番号30、配列番号32、配列番号34、配列番号36、配列番号38、および配列番号40からなる群から選択されたアミノ酸配列に対して少なくとも90%同一の配列を有する。いくつかの実施形態において、軽鎖可変領域(VL)は、配列番号28、配列番号30、配列番号32、配列番号34、配列番号36、配列番号38、および配列番号40からなる群から選択されたアミノ酸配列に対して少なくとも95%同一の配列を有する。いくつかの実施形態において、軽鎖可変領域(VL)は、配列番号28、配列番号30、配列番号32、配列番号34、配列番号36、配列番号38、および配列番号40からなる群から選択されたアミノ酸配列に対して少なくとも99%同一の配列を有する。いくつかの実施形態において、軽鎖可変領域(VL)は、配列番号28、配列番号30、配列番号32、配列番号34、配列番号36、配列番号38、および配列番号40からなる群から選択されたアミノ酸配列に対して100%同一の配列を有する。いくつかの実施形態において、重鎖可変領域(VH)は、配列番号29、配列番号31、配列番号33、配列番号35、配列番号37、配列番号39、および配列番号41からなる群から選択されたアミノ酸配列に対して少なくとも85%同一の配列を有する。いくつかの実施形態において、重鎖可変領域(VH)は、配列番号29、配列番号31、配列番号33、配列番号35、配列番号37、配列番号39、および配列番号41からなる群から選択されたアミノ酸配列に対して少なくとも90%同一の配列を有する。いくつかの実施形態において、重鎖可変領域(VH)は、配列番号29、配列番号31、配列番号33、配列番号35、配列番号37、配列番号39、および配列番号41からなる群から選択されたアミノ酸配列に対して少なくとも95%同一の配列を有する。いくつかの実施形態において、重鎖可変領域(VH)は、配列番号29、配列番号31、配列番号33、配列番号35、配列番号37、配列番号39、および配列番号41からなる群から選択されたアミノ酸配列に対して少なくとも99%同一の配列を有する。いくつかの実施形態において、重鎖可変領域(VH)は、配列番号29、配列番号31、配列番号33、配列番号35、配列番号37、配列番号39、および配列番号41からなる群から選択されたアミノ酸配列に対して100%同一の配列を有する。いくつかの実施形態において、可変重鎖のアミノ酸配列は、CDR H1、CDR H2、CDR H2において100%同一であり、可変軽鎖のアミノ酸配列は、CDR L1、CDR L2、およびCDR L3において100%同一である。いくつかの実施形態において、CDR H1は、配列番号4、配列番号16、配列番号19、配列番号22、および配列番号25からなる群から選択されたアミノ酸配列に記載の配列を有する。いくつかの実施形態において、CDR H2は、配列番号5、配列番号17、配列番号20、配列番号23、および配列番号26からなる群から選択されたアミノ酸配列に記載の配列を有する。いくつかの実施形態において、CDR H3は、配列番号6、配列番号18、配列番号21、配列番号24、および配列番号27からなる群から選択されたアミノ酸配列に記載の配列を有する。いくつかの実施形態において、CDR L1は、配列番号1、配列番号7、および配列番号13からなる群から選択されたアミノ酸配列に記載の配列を有する。いくつかの実施形態において、CDR L2は、配列番号2、配列番号9、および配列番号14からなる群から選択されたアミノ酸配列に記載の配列を有する。いくつかの実施形態において、CDR L3は、配列番号3、配列番号8、配列番号10、配列番号11、配列番号12、および配列番号15からなる群から選択されたアミノ酸配列に記載の配列を有する。
【0005】
本明細書において、特定の実施形態において抗体が開示され、上記抗体は、(a)配列番号1、配列番号7、および配列番号13からなる群において記載されるアミノ酸配列と少なくとも約80%同一のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR1、配列番号2、配列番号9、および配列番号14からなる群において記載されるアミノ酸配列と少なくとも約80%同一のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR2、および、配列番号3、配列番号8、配列番号10、配列番号11、配列番号12、および配列番号15からなる群において記載されるアミノ酸配列と少なくとも約80%同一のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR3、ならびに、(b)配列番号4、配列番号16、配列番号19、配列番号22、および配列番号25からなる群において記載されるアミノ酸配列と少なくとも約80%同一のアミノ酸配列を有する重鎖CDR1、配列番号5、配列番号17、配列番号20、配列番号23、および配列番号26からなる群において記載されるアミノ酸配列と少なくとも約80%同一のアミノ酸配列を有する重鎖CDR2、および、配列番号6、配列番号18、配列番号21、配列番号24、および配列番号27からなる群において記載されるアミノ酸配列と少なくとも約80%同一のアミノ酸配列を有する重鎖CDR3、を含み、ただし、抗体は、少なくとも配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、および配列番号6に記載される配列を含まないものとする。いくつかの実施形態において、CDR L1は、配列番号1、配列番号7、および配列番号13からなる群から選択されたアミノ酸配列に対して少なくとも85%同一の配列を有し、CDR L2は、配列番号2、配列番号9、および配列番号14からなる群から選択されたアミノ酸配列に対して少なくとも85%同一の配列を有し、CDR L3は、配列番号3、配列番号8、配列番号10、配列番号11、配列番号12、および配列番号15からなる群から選択されたアミノ酸配列に対して少なくとも85%同一の配列を有する。いくつかの実施形態において、CDR L1は、配列番号1、配列番号7、および配列番号13からなる群から選択されたアミノ酸配列に対して少なくとも90%同一の配列を有し、CDR L2は、配列番号2、配列番号9、および配列番号14からなる群から選択されたアミノ酸配列に対して少なくとも90%同一の配列を有し、CDR L3は、配列番号3、配列番号8、配列番号10、配列番号11、配列番号12、および配列番号15からなる群から選択されたアミノ酸配列に対して少なくとも90%同一の配列を有する。いくつかの実施形態において、CDR L1は、配列番号1、配列番号7、および配列番号13からなる群から選択されたアミノ酸配列に対して少なくとも95%同一の配列を有し、CDR L2は、配列番号2、配列番号9、および配列番号14からなる群から選択されたアミノ酸配列に対して少なくとも95%同一の配列を有し、CDR L3は、配列番号3、配列番号8、配列番号10、配列番号11、配列番号12、および配列番号15からなる群から選択されたアミノ酸配列に対して少なくとも95%同一の配列を有する。いくつかの実施形態において、CDR L1は、配列番号1、配列番号7、および配列番号13からなる群から選択されたアミノ酸配列に対して少なくとも99%同一の配列を有し、CDR L2は、配列番号2、配列番号9、および配列番号14からなる群から選択されたアミノ酸配列に対して少なくとも99%同一の配列を有し、CDR L3は、配列番号3、配列番号8、配列番号10、配列番号11、配列番号12、および配列番号15からなる群から選択されたアミノ酸配列に対して少なくとも99%同一の配列を有する。いくつかの実施形態において、CDR L1は、配列番号1、配列番号7、および配列番号13からなる群から選択されたアミノ酸配列に対して100%同一の配列を有し、CDR L2は、配列番号2、配列番号9、および配列番号14からなる群から選択されたアミノ酸配列に対して100%同一の配列を有し、CDR L3は、配列番号3、配列番号8、配列番号10、配列番号11、配列番号12、および配列番号15からなる群から選択されたアミノ酸配列に対して少なくとも100%同一の配列を有する。いくつかの実施形態において、CDR H1は、配列番号4、配列番号16、配列番号19、配列番号22、および配列番号25からなる群から選択されたアミノ酸配列に対して少なくとも85%同一の配列を有し、CDR H2は、配列番号5、配列番号17、配列番号20、配列番号23、および配列番号26からなる群から選択されたアミノ酸配列に対して少なくとも85%同一の配列を有し、CDR H3は、配列番号6、配列番号18、配列番号21、配列番号24、および配列番号27からなる群から選択されたアミノ酸に対して少なくとも85%同一の配列を有する。いくつかの実施形態において、CDR H1は、配列番号4、配列番号16、配列番号19、配列番号22、および配列番号25からなる群から選択されたアミノ酸配列に対して少なくとも90%同一の配列を有し、CDR H2は、配列番号5、配列番号17、配列番号20、配列番号23、および配列番号26からなる群から選択されたアミノ酸配列に対して少なくとも90%同一の配列を有し、CDR H3は、配列番号6、配列番号18、配列番号21、配列番号24、および配列番号27からなる群から選択されたアミノ酸に対して少なくとも90%同一の配列を有する。いくつかの実施形態において、CDR H1は、配列番号4、配列番号16、配列番号19、配列番号22、および配列番号25からなる群から選択されたアミノ酸配列に対して少なくとも95%同一の配列を有し、CDR H2は、配列番号5、配列番号17、配列番号20、配列番号23、および配列番号26からなる群から選択されたアミノ酸配列に対して少なくとも95%同一の配列を有し、CDR H3は、配列番号6、配列番号18、配列番号21、配列番号24、および配列番号27からなる群から選択されたアミノ酸に対して少なくとも95%同一の配列を有する。いくつかの実施形態において、CDR H1は、配列番号4、配列番号16、配列番号19、配列番号22、および配列番号25からなる群から選択されたアミノ酸配列に対して少なくとも99%同一の配列を有し、CDR H2は、配列番号5、配列番号17、配列番号20、配列番号23、および配列番号26からなる群から選択されたアミノ酸配列に対して少なくとも99%同一の配列を有し、CDR H3は、配列番号6、配列番号18、配列番号21、配列番号24、および配列番号27からなる群から選択されたアミノ酸に対して少なくとも99%同一の配列を有する。いくつかの実施形態において、CDR H1は、配列番号4、配列番号16、配列番号19、配列番号22、および配列番号25からなる群から選択されたアミノ酸配列に対して少なくとも100%同一の配列を有し、CDR H2は、配列番号5、配列番号17、配列番号20、配列番号23、および配列番号26からなる群から選択されたアミノ酸配列に対して少なくとも100%同一の配列を有し、CDR H3は、配列番号6、配列番号18、配列番号21、配列番号24、および配列番号27からなる群から選択されたアミノ酸に対して少なくとも100%同一の配列を有する。いくつかの実施形態において、抗体は、(a)配列番号29、配列番号31、配列番号33、配列番号35、配列番号37、配列番号39、および配列番号41からなる群から選択されたアミノ酸配列に対して少なくとも80%同一の配列を有する重鎖可変領域(VH)と、(b)配列番号28、配列番号30、配列番号32、配列番号34、配列番号36、配列番号38、および配列番号40からなる群から選択されたアミノ酸配列に対して少なくとも80%同一の配列を有する軽鎖可変領域(VL)と、を含む。いくつかの実施形態において、抗体は、(a)配列番号29、配列番号31、配列番号33、配列番号35、配列番号37、配列番号39、および配列番号41からなる群から選択されたアミノ酸配列に対して少なくとも85%同一の配列を有する重鎖可変領域(VH)と、(b)配列番号28、配列番号30、配列番号32、配列番号34、配列番号36、配列番号38、および配列番号40からなる群から選択されたアミノ酸配列に対して少なくとも85%同一の配列を有する軽鎖可変領域(VL)と、を含む。いくつかの実施形態において、抗体は、(a)配列番号29、配列番号31、配列番号33、配列番号35、配列番号37、配列番号39、および配列番号41からなる群から選択されたアミノ酸配列に対して少なくとも90%同一の配列を有する重鎖可変領域(VH)と、(b)配列番号28、配列番号30、配列番号32、配列番号34、配列番号36、配列番号38、および配列番号40からなる群から選択されたアミノ酸配列に対して少なくとも90%同一の配列を有する軽鎖可変領域(VL)と、を含む。いくつかの実施形態において、抗体は、(a)配列番号29、配列番号31、配列番号33、配列番号35、配列番号37、配列番号39、および配列番号41からなる群から選択されたアミノ酸配列に対して少なくとも95%同一の配列を有する重鎖可変領域(VH)と、(b)配列番号28、配列番号30、配列番号32、配列番号34、配列番号36、配列番号38、および配列番号40からなる群から選択されたアミノ酸配列に対して少なくとも95%同一の配列を有する軽鎖可変領域(VL)と、を含む。いくつかの実施形態において、抗体は、(a)配列番号29、配列番号31、配列番号33、配列番号35、配列番号37、配列番号39、および配列番号41からなる群から選択されたアミノ酸配列に対して少なくとも99%同一の配列を有する重鎖可変領域(VH)と、(b)配列番号28、配列番号30、配列番号32、配列番号34、配列番号36、配列番号38、および配列番号40からなる群から選択されたアミノ酸配列に対して少なくとも99%同一の配列を有する軽鎖可変領域(VL)と、を含む。いくつかの実施形態において、抗体は、(a)配列番号29、配列番号31、配列番号33、配列番号35、配列番号37、配列番号39、および配列番号41からなる群から選択されたアミノ酸配列に対して100%同一の配列を有する重鎖可変領域(VH)と、(b)配列番号28、配列番号30、配列番号32、配列番号34、配列番号36、配列番号38、および配列番号40からなる群から選択されたアミノ酸配列に100%同一の配列を有する軽鎖可変領域(VL)と、を含む。
【0006】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示される抗体は、ヒト重鎖定常領域またはヒト軽鎖定常領域を含む。いくつかの実施形態において、本明細書に開示される抗体は、IgG1もしくはIgG4またはその断片であるヒト重鎖定常領域を含む。いくつかの実施形態において、本明細書に開示された抗体は、Fc受容体に結合する。いくつかの実施形態において、Fc受容体はマクロファージ上で発現される。いくつかの実施形態において、本明細書に開示される抗体は、単一の重鎖、単一の軽鎖、Fab、F(ab’)、F(ab’)2、Fd、scFv、可変重鎖ドメイン、可変軽鎖ドメイン、可変NARドメイン、二重特異性scFv、二重特異性Fab2、三重特異性Fab3、単鎖結合ポリペプチド、dAb断片、またはダイアボディ(diabody)を含む、抗体断片である。いくつかの実施形態において、本明細書に開示される抗体は、樹状細胞(DC)、例えば、骨髄性のDC(mDCs)(例えば、CD14-HLA-DR+CD11c+mDC)に結合する。いくつかの実施形態において、本明細書に開示された抗体は、古典的単球(例えば、CD14+HLA-DR+CD16-単球)に結合する。いくつかの実施形態において、本明細書に開示された抗体は、中間の単球(例えば、CD14+HLA-DR+CD16+単球)に結合する。いくつかの実施形態において、本明細書に開示された抗体は、非古典的単球(例えば、CD14-HLA-DR+CD16+単球)に結合する。いくつかの実施形態において、本明細書に開示された抗体は、癌細胞に結合する。いくつかの実施形態において、癌細胞はリンパ腫細胞である。いくつかの実施形態において、リンパ腫細胞は構成的にCD163を発現する。いくつかの実施形態において、本明細書に開示された抗体は、免疫抑制性の骨髄細胞に結合する。いくつかの実施形態において、免疫抑制性の骨髄細胞は腫瘍微小環境にある。いくつかの実施形態において、免疫抑制性の骨髄細胞はマクロファージまたは骨髄由来の抑制細胞である。いくつかの実施形態において、ヒトマクロファージはM2マクロファージまたはM2様マクロファージである。いくつかの実施形態において、ヒトマクロファージはM2a、M2b、M2c、またはM2dマクロファージである。いくつかの実施形態において、マクロファージは腫瘍関連マクロファージである。いくつかの実施形態において、本明細書に開示された抗体は、CD163タンパク質に結合する。いくつかの実施形態において、CD163タンパク質はCD163のグリコフォームである。いくつかの実施形態において、CD163タンパク質はCD163の150kDaのグリコフォームである。いくつかの実施形態において、本明細書に開示された抗体は、ヒトマクロファージによって発現されたCD163の130kDaのグリコフォームに特異的に結合しない。いくつかの実施形態において、CD163タンパク質は、マクロファージによって発現された少なくとも1つの他のタンパク質を含む細胞表面複合体の成分である。いくつかの実施形態において、少なくとも1つの他のタンパク質は、ガレクチン-1タンパク質、LILRB2タンパク質、カゼインキナーゼIIタンパク質、またはそれらの任意の組み合わせである。いくつかの実施形態において、本明細書に開示される抗体は、配列番号42のアミノ酸配列を含むCD163エピトープに特異的に結合する。いくつかの実施形態において、本明細書に開示される抗体は、配列番号43のアミノ酸配列を含むCD163エピトープに特異的に結合する。いくつかの実施形態において、本明細書に開示される抗体は、配列番号44のアミノ酸配列を含むCD163エピトープに特異的に結合する。いくつかの実施形態において、本明細書に開示される抗体は、配列番号42、配列番号43、および配列番号44のアミノ酸配列を含むCD163エピトープに特異的に結合する。いくつかの実施形態において、本明細書に開示される抗体は、マクロファージ上の少なくとも1つのマーカーの発現を変える。いくつかの実施形態において、ヒトマクロファージ上の少なくとも1つのマーカーは、CD16、CD64、TLR2、またはSiglec-15である。
【0007】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示される抗体は、0.5nM~100nMのKDでCD163に特異的に結合する。いくつかの実施形態において、本明細書に開示される抗体は、0.5nM~50nMのKDでCD163に特異的に結合する。いくつかの実施形態において、本明細書に開示される抗体は、0.5nM~10nMのKDでCD163に特異的に結合する。いくつかの実施形態において、本明細書に開示される抗体は、0.5nM~1.5nMのKDでCD163に特異的に結合する。いくつかの実施形態において、本明細書に開示される抗体は、0.5nM~1.0nMのKDでCD163に特異的に結合する。いくつかの実施形態において、本明細書に開示される抗体は、0.5nM~100nMのKDでヒトM2cマクロファージに特異的に結合する。いくつかの実施形態において、本明細書に開示される抗体は、0.5nM~50nMのKDでヒトM2cマクロファージに特異的に結合する。いくつかの実施形態において、本明細書に開示される抗体は、0.5nM~10nMのKDでヒトM2cマクロファージに特異的に結合する。いくつかの実施形態において、本明細書に開示される抗体は、0.5nM~1.5nMのKDでヒトM2cマクロファージに特異的に結合する。いくつかの実施形態において、本明細書に開示される抗体は、0.5nM~1.0nMのKDでヒトM2cマクロファージに特異的に結合する。
【0008】
いくつかの実施形態において、(a)本明細書で開示される抗体と、(b)少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤と、を含む医薬組成物が本明細書で開示される。いくつかの実施形態において、薬学的に許容可能な賦形剤は、安定化剤、緩衝液、界面活性剤、充填剤、溶液、等張化剤、および抗酸化剤からなる群から選択される。いくつかの実施形態において、医薬組成物は、安定化剤、緩衝液、界面活性剤、充填剤、溶液、等張化剤、および抗酸化剤からなる群から独立して選択される2つ以上の薬学的に許容可能な賦形剤を含む。
【0009】
本明細書には、特定の実施形態において、処置を必要とする対象においてM2-マクロファージの存在に関連する癌、または線維性疾患もしくは障害を処置する方法が開示され、上記方法は、治療有効量の本明細書に開示される抗体を対象に投与する工程を含む。いくつかの実施形態において、マクロファージへの抗体の結合は、以下のパラメータ、CD4+T細胞、CD8+T細胞、NK細胞、またはそれらの任意の組み合わせの活性化、および、CD4+T細胞、CD8+T細胞、NK細胞、またはそれらの任意の組み合わせの増殖の1つまたは両方によって測定されるような免疫細胞機能を促進する。いくつかの実施形態において、CD4+T細胞、CD8+T細胞、NK細胞、またはそれらの任意の組み合わせの活性化は、IFN-γ、TNF-α、もしくはパーフォリン、またはその任意の組み合わせのレベルの増強として測定される。いくつかの実施形態において、マクロファージへの抗体の結合は、マクロファージに対して細胞傷害性ではない。いくつかの実施形態において、マクロファージへの抗体の結合は、以下の効果、マクロファージによる少なくとも1つのマーカーの発現の減少であって、少なくとも1つのマーカーがCD16、CD64、TLR2、またはSiglec-15である、発現の減少、マクロファージによる抗体の内在化、IFN-γ、TNF-α、およびパーフォリンの分泌、CD4+T細胞、CD8+T細胞、NK細胞、またはそれらの任意の組み合わせの活性化、CD4+T細胞、CD8+T細胞、NK細胞、またはそれらの任意の組み合わせの増殖、および腫瘍微小環境における腫瘍細胞死滅の促進の少なくとも1つをもたらす。いくつかの実施形態において、結合は、(a)~(e)の2つ以上、(a)~(e)の3つ以上、(a)~(e)の4つ以上、または(a)~(e)のすべてをもたらす。いくつかの実施形態において、マクロファージへの抗体の結合は、腫瘍微小環境における免疫刺激活性を増加させる。いくつかの実施形態において、マクロファージへの抗体の結合は、マクロファージの免疫抑制活性を低下させる。いくつかの実施形態において、マクロファージへの抗体の結合は、マクロファージの腫瘍促進活性を低下させる。いくつかの実施形態において、抗体の結合は、CD4+T細胞活性化、CD4+T細胞増殖、またはCD4+T細胞の活性化および増殖の両方を促進する。いくつかの実施形態において、結合は、CD4+T細胞によるCD69、ICOS、OX40、PD1、LAG3、CTLA4、またはそれらの任意の組み合わせの発現を促進する。いくつかの実施形態において、抗体への結合は、CD8+T細胞活性化、CD8+T細胞増殖、またはCD8+T細胞の活性化および増殖の両方を促進する。いくつかの実施形態において、抗体の結合は、CD8+T細胞によるICOS、OX40、PD1、LAG3、CTLA4、またはそれらの任意の組み合わせの発現を促進する。いくつかの実施形態において、抗体タンパク質の結合は、癌細胞の細胞傷害性リンパ球媒介性の死滅を促進する。いくつかの実施形態において、抗体の結合は、NK細胞媒介性の腫瘍細胞死滅を促進する。いくつかの実施形態において、抗体の結合は、T細胞によるIL-2の発現を促進する。いくつかの実施形態において、抗体の結合は、CD4+T細胞、CD196-T細胞、CXCR3+T細胞、CCR4-T細胞、またはそれらの任意の組み合わせを増加させる。いくつかの実施形態において、マクロファージへの抗体の結合は、腫瘍微小環境における腫瘍細胞の細胞傷害性のT細胞媒介性の死滅の抑制を低下させる。いくつかの実施形態において、癌は肺癌である。いくつかの実施形態において、癌は肺癌腫(lung carcinoma)または肺肉腫である。いくつかの実施形態において、癌は肺腺癌である。いくつかの実施形態において、上記の方法のうちのいずれも抗癌治療薬を対象に投与する工程を含む。いくつかの実施形態において、マクロファージへの抗体の結合は、マクロファージの線維化促進機能を低下させる。いくつかの実施形態において、線維性疾患または障害は、肺線維症である。いくつかの実施形態において、線維性疾患または障害は、心線維症である。いくつかの実施形態において、線維性疾患または障害は、肝線維症である。いくつかの実施形態において、線維性疾患または障害は、腎線維症である。いくつかの実施形態において、線維性疾患または障害は、網膜線維症である。いくつかの実施形態において、線維症は原発性線維性疾患または障害である。いくつかの実施形態において、原発性線維性疾患または障害は特発性肺線維症(IPF)である。いくつかの実施形態において、原発性線維性疾患または障害は肝硬変である。いくつかの実施形態において、原発性線維性疾患または障害は全身性硬化症(SSc)である。いくつかの実施形態において、原発性線維性疾患または障害は放射線維症である。いくつかの実施形態において、原発性線維性疾患または障害は機械的損傷に関連する瘢痕である。いくつかの実施形態において、線維症は二次線維性疾患である。いくつかの実施形態において、二次線維性疾患は、感染症、自己免疫疾患または障害、癌、および炎症性疾患または障害からなる群から選択された疾患または障害に関連する。いくつかの実施形態において、二次線維性疾患は、アテローム性動脈硬化、心房細動、慢性心不全、末梢血管疾患、急性冠動脈症候群、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、慢性肝不全の急性増悪、急性肝不全、急性腎傷害、急性尿細管壊死、および慢性腎臓病からなる群から選択された疾患または障害に関連する。いくつかの実施形態において、感染症は、敗血症、HIV感染症、SARS-CoV-2感染症、急性ウイルス性肝炎、慢性ウイルス性肝炎、およびマラリアからなる群から選択される。いくつかの実施形態において、自己免疫性または炎症性の疾患または障害は、急性肺傷害(ALI)、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、過敏性肺炎、アルコール性肝炎、非アルコール性脂肪性肝炎、ウイルス性肝炎、鎌型赤血球症、1型真性糖尿病、2型真性糖尿病、クローン病、セリアック病、喘息、サルコイドーシス、糸球体腎炎、ループス腎炎、全身性エリテマトーデス、関節リウマチ、シェーグレン症候群、強皮症、嚢胞性線維症(CF)、移植片対宿主疾患、同種移植片拒絶反応、腎臓同種移植片拒絶反応、サルコイドーシス、肺サルコイドーシス、血球貪食性リンパ組織球症(HLH)、炎症性関節炎、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、喘息、変形性関節症、子宮筋腫、および多発性硬化症からなる群から選択される。いくつかの実施形態において、上記方法のうちのいずれも対象に抗炎症治療薬を投与する工程をさらに含む。
【0010】
本明細書には、特定の実施形態において、医薬品を使用するための前述の態様および実施形態にかかる抗体が開示されている。
【0011】
本明細書には、特定の実施形態において、対象においてM2-マクロファージの存在に関連する癌または線維性疾患もしくは障害を処置する際に使用するための、前述の態様および実施形態による抗体が開示されている。いくつかの実施形態において、マクロファージへの抗体の結合は、以下のパラメータ:(a)CD4+T細胞、CD8+T細胞、NK細胞、またはそれらの任意の組み合わせの活性化、および、(b)CD4+T細胞、CD8+T細胞、NK細胞、またはそれらの任意の組み合わせの増殖の1つまたは両方によって測定されるような免疫細胞機能を促進する。いくつかの実施形態において、CD4+T細胞、CD8+T細胞、NK細胞、またはそれらの任意の組み合わせの活性化は、IFN-γ、TNF-α、もしくはパーフォリン、またはその任意の組み合わせのレベルの増強として測定される。いくつかの実施形態において、マクロファージへの抗体の結合は、マクロファージに対して細胞傷害性ではない。いくつかの実施形態において、マクロファージへの抗体の結合は、以下の効果、(a)マクロファージによる少なくとも1つのマーカーの発現の減少であって、少なくとも1つのマーカーがCD16、CD64、TLR2、またはSiglec-15である、発現の減少、(b)マクロファージによる抗体の内在化、(c)IFN-γ、TNF-α、およびパーフォリンの分泌、(d)CD4+T細胞、CD8+T細胞、NK細胞、またはそれらの任意の組み合わせの活性化、(e)CD4+T細胞、CD8+T細胞、NK細胞、またはそれらの任意の組み合わせの増殖、ならびに、(f)腫瘍微小環境における腫瘍細胞死滅の促進の少なくとも1つをもたらす。いくつかの実施形態において、結合は、(a)~(e)の2つ以上、(a)~(e)の3つ以上、(a)~(e)の4つ以上、または(a)~(e)のすべてをもたらす。いくつかの実施形態において、マクロファージへの抗体の結合は、腫瘍微小環境における免疫刺激活性を増加させる。いくつかの実施形態において、マクロファージへの抗体の結合は、マクロファージの免疫抑制活性を低下させる。いくつかの実施形態において、マクロファージへの抗体の結合は、マクロファージの腫瘍促進活性を低下させる。いくつかの実施形態において、抗体の結合は、CD4+T細胞活性化、CD4+T細胞増殖、またはCD4+T細胞の活性化および増殖の両方を促進する。いくつかの実施形態において、結合は、CD4+T細胞によるCD69、ICOS、OX40、PD1、LAG3、CTLA4、またはそれらの任意の組み合わせの発現を促進する。いくつかの実施形態において、抗体への結合は、CD8+T細胞活性化、CD8+T細胞増殖、またはCD8+T細胞の活性化および増殖の両方を促進する。いくつかの実施形態において、抗体の結合は、CD8+T細胞によるICOS、OX40、PD1、LAG3、CTLA4、またはそれらの任意の組み合わせの発現を促進する。いくつかの実施形態において、抗体タンパク質の結合は、癌細胞の細胞傷害性リンパ球媒介性の死滅を促進する。いくつかの実施形態において、抗体の結合は、NK細胞媒介性の腫瘍細胞死滅を促進する。いくつかの実施形態において、抗体の結合は、T細胞によるIL-2の発現を促進する。いくつかの実施形態において、抗体の結合は、CD4+T細胞、CD196-T細胞、CXCR3+T細胞、CCR4-T細胞、またはそれらの任意の組み合わせを増加させる。いくつかの実施形態において、マクロファージへの抗体の結合は、腫瘍微小環境における腫瘍細胞の細胞傷害性のT細胞媒介性の死滅の抑制を低下させる。いくつかの実施形態において、癌は肺癌である。いくつかの実施形態において、癌は肺癌腫(lung carcinoma)または肺肉腫である。いくつかの実施形態において、癌は肺腺癌である。いくつかの実施形態において、抗体は抗癌治療薬と組み合わせて対象に投与するために製剤化される。いくつかの実施形態において、マクロファージへの抗体の結合は、マクロファージの線維化促進機能を低下させる。いくつかの実施形態において、線維性疾患または障害は、肺線維症である。いくつかの実施形態において、線維性疾患または障害は、心線維症である。いくつかの実施形態において、線維性疾患または障害は、肝線維症である。いくつかの実施形態において、線維性疾患または障害は、腎線維症である。いくつかの実施形態において、線維性疾患または障害は、網膜線維症である。いくつかの実施形態において、線維症は原発性線維性疾患または障害である。いくつかの実施形態において、原発性線維性疾患または障害は特発性肺線維症(IPF)である。いくつかの実施形態において、原発性線維性疾患または障害は肝硬変である。いくつかの実施形態において、原発性線維性疾患または障害は全身性硬化症である。いくつかの実施形態において、原発性線維性疾患または障害は放射線維症である。いくつかの実施形態において、原発性線維性疾患または障害は機械的損傷に関連する瘢痕である。いくつかの実施形態において、線維症は二次線維性疾患である。いくつかの実施形態において、二次線維性疾患は、感染症、自己免疫疾患または障害、癌、および炎症性疾患または障害からなる群から選択された疾患または障害に関連する。いくつかの実施形態において、二次線維性疾患は、アテローム性動脈硬化、心房細動、慢性心不全、末梢血管疾患、急性冠動脈症候群、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、慢性肝不全の急性増悪、急性肝不全、急性腎傷害、急性尿細管壊死、および慢性腎臓病からなる群から選択された疾患または障害に関連する。いくつかの実施形態において、感染症は、敗血症、HIV感染症、SARS-CoV-2感染症、急性ウイルス性肝炎、慢性ウイルス性肝炎、およびマラリアからなる群から選択される。いくつかの実施形態において、自己免疫性または炎症性の疾患または障害は、急性肺傷害(ALI)、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、過敏性肺炎、アルコール性肝炎、非アルコール性脂肪性肝炎、ウイルス性肝炎、鎌型赤血球症、1型真性糖尿病、2型真性糖尿病、クローン病、セリアック病、喘息、サルコイドーシス、糸球体腎炎、ループス腎炎、全身性エリテマトーデス、関節リウマチ、シェーグレン症候群、強皮症、嚢胞性線維症(CF)、移植片対宿主疾患、同種移植片拒絶反応、腎臓同種移植片拒絶反応、サルコイドーシス、肺サルコイドーシス、血球貪食性リンパ組織球症(HLH)、炎症性関節炎、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、喘息、変形性関節症、子宮筋腫、および多発性硬化症からなる群から選択される。いくつかの実施形態において、抗体は抗炎症治療薬と組み合わせて対象に投与するために製剤化される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1A】SU-DHL-1リンパ腫細胞への抗CD163抗体の結合を示す一連のプロットである。野生型SU-DHL-1細胞(SU-DHL-1-WT)へのAB101、ヒトIgG1アイソタイプ対照(hIgG1)、およびAB101の代表的なバリアント(V3)の結合を抗体濃度に応じて示すプロット(
図1A)。
【
図1B】SU-DHL-1リンパ腫細胞への抗CD163抗体の結合を示す一連のプロットである。CD64を共発現するSU-DHL-1細胞(FcγRI、SU-DHL-1-CD64)へのAB101、ヒトIgG1アイソタイプ対照(hIgG1)、およびV3の結合を抗体濃度に応じて示すプロット(
図1B)。
【
図1C】SU-DHL-1リンパ腫細胞への抗CD163抗体の結合を示す一連のプロットである。CD16を共発現するSU-DHL-1細胞(FcγRIII、SU-DHL-1-CD16)へのAB101、ヒトIgG1アイソタイプ対照(hIgG1)、およびV3の結合を抗体濃度に応じて示すプロット(
図1C)。
【
図1D】SU-DHL-1リンパ腫細胞への抗CD163抗体の結合を示す一連のプロットである。CD32を共発現するSU-DHL-1細胞(FcγRII、SU-DHL-1-CD32)へのAB101、ヒトIgG1アイソタイプ対照(hIgG1)、およびV3の結合を抗体濃度に応じて示すプロット(
図1D)。
【
図2A】ELISAによって測定された、組換えCD163タンパク質への抗CD163抗体の結合を示す一連の吸光度プロットである。組換えCD163タンパク質へのAB101親抗体、V1、およびhIgG1アイソタイプ対照の結合を示す吸光度プロット(
図2A)。
【
図2B】ELISAによって測定された、組換えCD163タンパク質への抗CD163抗体の結合を示す一連の吸光度プロットである。組換えCD163タンパク質へのAB101親抗体、V2、およびhIgG1アイソタイプ対照の結合を示す吸光度プロット(
図2B)。
【
図2C】ELISAによって測定された、組換えCD163タンパク質への抗CD163抗体の結合を示す一連の吸光度プロットである。組換えCD163タンパク質へのAB101親抗体、V3、およびhIgG1アイソタイプ対照の結合を示す吸光度プロット(
図2C)。
【
図2D】ELISAによって測定された、組換えCD163タンパク質への抗CD163抗体の結合を示す一連の吸光度プロットである。組換えCD163タンパク質へのAB101親抗体、V4、およびhIgG1アイソタイプ対照の結合を示す吸光度プロット(
図2D)。
【
図2E】ELISAによって測定された、組換えCD163タンパク質への抗CD163抗体の結合を示す一連の吸光度プロットである。組換えCD163タンパク質へのAB101親抗体、V5、およびhIgG1アイソタイプ対照の結合を示す吸光度プロット(
図2E)。
【
図2F】ELISAによって測定された、組換えCD163タンパク質への抗CD163抗体の結合を示す一連の吸光度プロットである。組換えCD163タンパク質へのAB101親抗体、V6、およびhIgG1アイソタイプ対照の結合を示す吸光度プロット(
図2F)。
【
図3】蛍光活性化細胞選別(FACS)を用いて幾何中央蛍光強度(gMFI)として測定された、M2cマクロファージへの抗CD163抗体の結合を示す。プロットは、親AB101抗体と比較して、V1およびV4の改善された結合を示す。hIgG1アイソタイプ対照は、このアッセイにおいて結合を示さなかった。
【
図4A】全血から単離されたCD163陽性細胞(樹状細胞(DC)、古典的単球、中間単球、および非古典的単球)への抗CD163抗体の結合を示す一連の棒グラフである。試験した抗体としては、市販の抗CD163抗体(R20)、親AB101抗体、V3、hIgG1アイソタイプ対照(IgG1)、およびマウスIgG1アイソタイプ対照(mIgG1)が挙げられる。V3は、全血中のCD163陽性細胞への改善された結合を示した。抗CD163抗体を3つの異なる濃度、1μg/mL(
図4A)、3μg/mL(
図4B)、および10μg/mL(
図4C)で投与した。
【
図4B】全血から単離されたCD163陽性細胞(樹状細胞(DC)、古典的単球、中間単球、および非古典的単球)への抗CD163抗体の結合を示す一連の棒グラフである。試験した抗体としては、市販の抗CD163抗体(R20)、親AB101抗体、V3、hIgG1アイソタイプ対照(IgG1)、およびマウスIgG1アイソタイプ対照(mIgG1)が挙げられる。V3は、全血中のCD163陽性細胞への改善された結合を示した。抗CD163抗体を3つの異なる濃度、1μg/mL(
図4A)、3μg/mL(
図4B)、および10μg/mL(
図4C)で投与した。
【
図4C】全血から単離されたCD163陽性細胞(樹状細胞(DC)、古典的単球、中間単球、および非古典的単球)への抗CD163抗体の結合を示す一連の棒グラフである。試験した抗体としては、市販の抗CD163抗体(R20)、親AB101抗体、V3、hIgG1アイソタイプ対照(IgG1)、およびマウスIgG1アイソタイプ対照(mIgG1)が挙げられる。V3は、全血中のCD163陽性細胞への改善された結合を示した。抗CD163抗体を3つの異なる濃度、1μg/mL(
図4A)、3μg/mL(
図4B)、および10μg/mL(
図4C)で投与した。
【
図5A】M2c/CD8+T細胞共培養におけるM2cマクロファージ媒介性の免疫抑制の軽減を示す一連のプロットである。様々な濃度の抗CD163抗体による処理後のCD8+T細胞数(増殖)の回復を示すプロット(
図5A)。試験した抗体としては、親AB101抗体、V3、およびヒトIgG1アイソタイプ対照が挙げられる。V3は、CD8+T細胞増殖のM2cマクロファージ媒介性抑制の軽減において、AB101と比較して約40倍高い効力を示した。様々な濃度の抗CD163抗体による処理後のCD8+T細胞パーフォリン分泌の回復を示すプロット(
図5B)。V3は、CD8+T細胞パーフォリン分泌のM2cマクロファージ媒介性抑制の軽減において、AB101よりも実質的に高い効力を示した。様々な濃度の抗CD163抗体による処理後のCD8+T細胞サイトカイン(IFNγ)分泌の回復を示すプロット(
図5C)。V3は、CD8+T細胞IFNγ分泌のM2cマクロファージ媒介性抑制の軽減において、AB101よりも実質的に高い効力を示した。
【
図5B】M2c/CD8+T細胞共培養におけるM2cマクロファージ媒介性の免疫抑制の軽減を示す一連のプロットである。様々な濃度の抗CD163抗体による処理後のCD8+T細胞数(増殖)の回復を示すプロット(
図5A)。試験した抗体としては、親AB101抗体、V3、およびヒトIgG1アイソタイプ対照が挙げられる。V3は、CD8+T細胞増殖のM2cマクロファージ媒介性抑制の軽減において、AB101と比較して約40倍高い効力を示した。様々な濃度の抗CD163抗体による処理後のCD8+T細胞パーフォリン分泌の回復を示すプロット(
図5B)。V3は、CD8+T細胞パーフォリン分泌のM2cマクロファージ媒介性抑制の軽減において、AB101よりも実質的に高い効力を示した。様々な濃度の抗CD163抗体による処理後のCD8+T細胞サイトカイン(IFNγ)分泌の回復を示すプロット(
図5C)。V3は、CD8+T細胞IFNγ分泌のM2cマクロファージ媒介性抑制の軽減において、AB101よりも実質的に高い効力を示した。
【
図5C】M2c/CD8+T細胞共培養におけるM2cマクロファージ媒介性の免疫抑制の軽減を示す一連のプロットである。様々な濃度の抗CD163抗体による処理後のCD8+T細胞数(増殖)の回復を示すプロット(
図5A)。試験した抗体としては、親AB101抗体、V3、およびヒトIgG1アイソタイプ対照が挙げられる。V3は、CD8+T細胞増殖のM2cマクロファージ媒介性抑制の軽減において、AB101と比較して約40倍高い効力を示した。様々な濃度の抗CD163抗体による処理後のCD8+T細胞パーフォリン分泌の回復を示すプロット(
図5B)。V3は、CD8+T細胞パーフォリン分泌のM2cマクロファージ媒介性抑制の軽減において、AB101よりも実質的に高い効力を示した。様々な濃度の抗CD163抗体による処理後のCD8+T細胞サイトカイン(IFNγ)分泌の回復を示すプロット(
図5C)。V3は、CD8+T細胞IFNγ分泌のM2cマクロファージ媒介性抑制の軽減において、AB101よりも実質的に高い効力を示した。
【発明を実施するための形態】
【0013】
CD163+細胞に特異的に結合する抗体が本明細書に開示される。いくつかの実施形態において、CD163+細胞は免疫抑制性骨髄細胞である。いくつかの実施形態において、CD163+細胞はヒトCD163発現骨髄細胞である。いくつかの実施形態において、CD163+免疫抑制性骨髄細胞はヒトマクロファージである。いくつかの実施形態において、ヒトCD163+免疫抑制性マクロファージは、M2またはM2様マクロファージである。いくつかの実施形態において、免疫抑制性骨髄細胞は骨髄由来サプレッサー細胞(MDSC)である。いくつかの実施形態において、ヒトマクロファージは高レベルのCD163(CD163Hi)を発現する。対照的に、他のヒト造血細胞または初代非免疫ヒト細胞は、CD163を発現しない。例えば、M1およびM1様マクロファージはCD163を発現しない。
【0014】
いくつかの実施形態において、マクロファージは肺マクロファージである。いくつかの実施形態において、マクロファージは肺胞マクロファージ(AM)である。いくつかの実施形態において、マクロファージは間質性マクロファージである。
【0015】
特定の炎症性サイトカインまたは微生物関連分子パターンに曝露された単球およびマクロファージは、炎症誘発性(M1またはM1様)または抗炎症性M2またはM2様マクロファージに分化する。M1およびM2は、それぞれインビトロで炎症誘発性(IFN-γおよびリポ多糖で古典的に活性化される場合)または抗炎症性(IL-4またはIL-10で代替的に活性化される場合)として活性化されるマクロファージを定義するために使用される分類であるが、M1またはM2表現型を有するインビボまたはエクスビボのマクロファージは、M1様またはM2様マクロファージとして定義される。いくつかの実施形態において、M2マクロファージは、特定のサイトカインへの曝露によって生成される。いくつかの実施形態において、M2マクロファージは、IL-4、IL-10、IL-13、またはそれらの組み合わせによって分化される。
【0016】
M2様マクロファージは、M2マクロファージおよびそれらのサブタイプに対応する機能および表現型を有する。M2様マクロファージは、M2マクロファージの機能または表現型の特徴のサブセットを有する任意のインビボまたはエキソビボのマクロファージである。
【0017】
いくつかの実施形態において、本開示の抗体は、免疫抑制性骨髄細胞、特に、M2およびM2様マクロファージなどのマクロファージに対して高い結合活性および特異的結合を有する。いくつかの実施形態において、抗体は、線維性組織に常在する、浸潤する、または動員されるM2およびM2様マクロファージに特異的に結合する。いくつかの実施形態において、本明細書に開示される抗体は、M1またはM1様マクロファージに対して認識できるほどの結合を有していない。M1活性化マクロファージは、インターフェロン調節因子(IRF5)、κ軽鎖ポリペプチド遺伝子エンハンサーの核因子(NF-κB)、活性化因子タンパク質(AP-1)、およびSTAT1などの転写因子を発現する。M1マクロファージは、IFN-γ、IL-1、IL-6、IL-12、IL-23、およびTNFαなどの炎症誘発性サイトカインを分泌する。M1マクロファージは、M1マクロファージに対応する機能および表現型を有する。M1様マクロファージは、M1マクロファージの機能または表現型の特徴のサブセットを有する任意のインビボまたはエキソビボのマクロファージである。
【0018】
いくつかの実施形態において、本開示の抗体は、初代ヒト細胞に結合しない。いくつかの実施形態において、本開示の抗体は、造血幹細胞、白血球、T細胞、B細胞、NK細胞、および顆粒球に結合しない。
【0019】
マクロファージは一般に、Tヘルパー細胞(CD4+)タイプ、Th1およびTh2に対するそれらの関係を含むそれらの機能的特徴に基づいて、2つのカテゴリー、M1様の炎症誘発性マクロファージおよびM2様の免疫抑制性マクロファージに分類される。M1マクロファージは、「古典的」のモデルであり、病原体関連分子パターン(PAMP)(例えば、リポ多糖(LPS))または損傷関連分子パターン(DAMP)などのいずれかの自然免疫活性化因子を有するIFN-γ、および炎症性サイトカイン(例えば、腫瘍壊死因子-α(TNF-α))を用いて作製することができる。加えて、CD40-CD40リガンド経路を介するT細胞依存性マクロファージ活性化は、M1分化を誘導する。M1マクロファージは、炎症誘発性、殺菌性、および細胞傷害性の機能を有する。これらのマクロファージは、Th1細胞の抗原依存性誘導、ならびにTh1およびCD8+T細胞の活性化を促進する。いくつかの実施形態において、M1様マクロファージは、フローサイトメトリーによって測定される表面マーカー発現によって特徴付けられ、CD80+CD86+CD163Lo/-またはCD206Lo/-表現型のいずれかを有する。M1マクロファージは、IL-12、ならびに低レベルのIL-10および/またはTGF-αを分泌する。
【0020】
対照的に、M2様免疫抑制性マクロファージは、「代替的」または「非古典的」活性化のモデルであり、インビトロでIL-4またはIL-10を用いて生成することができ、抗炎症性であり、創傷治癒および組織修復を促進する。いくつかの実施形態において、M2様免疫抑制性マクロファージは、単球由来マクロファージから極性化され、創傷治癒および/または他の形態の組織修復を必要とする組織に分泌される因子によって動員される。M2様免疫抑制性マクロファージは、線維芽細胞の増殖の活性化および刺激などの組織再生に関与する主要なマクロファージ細胞型である。M2様マクロファージは、表面マーカーCD15、CD23、CD64、CD68、CD163Hi、CD204Hi、CD206Hi、および/またはフローサイトメトリーによって決定された他のM2マクロファージマーカーを発現する。M2マクロファージは、高レベルのIL-10およびTGF-ベータ1、ならびに低レベルのIL-12を分泌する。
【0021】
M2マクロファージのサブタイプとしては、M2a、M2b、M2c、およびM2dのサブタイプが挙げられる。M2aマクロファージは、IL-4およびIL-13によって誘導され、これは、CD163、アルギナーゼ-1、マンノース受容体MRC1(CD206)のアップレギュレートされた発現、MHCII系による抗原提示、ならびにIL-10およびTGF-βの産生を誘発し、組織再生および炎症誘発性分子の阻害をもたらして炎症応答を予防する。M2bマクロファージは、免疫複合体に対する応答としてIL-1、IL-6、IL-10、およびTNF-αを産生する。M2cマクロファージは、IL-10、形質転換成長因子β(TGF-β)、およびグルココルチコイド曝露によって誘導され、IL-10およびTGF-βを産生して、炎症応答の抑制をもたらす。M2dサブタイプは、IL-6およびアデノシンに対する応答として活性化される。
【0022】
マクロファージ集団は可塑性であり得、上記のサイトカイン環境などの環境(例えば、組織環境)に応じてM1またはM2の表現型のいずれかに分化し得る。マクロファージ集団は応答中に表現型をシフトすることもあり得る。例えば、最初の組織損傷または傷害(例えば、病原体、自己免疫、または機械媒介性損傷)は、最初に、M1表現型を促進する炎症誘発性環境をもたらし、次いで、創傷治癒および/または組織再生を含み得る消散/リハビリテーション段階中にM2表現型に切り替わることができる。しかしながら、理論に束縛されることを望むものではないが、M2またはM2様マクロファージによって媒介される過剰な創傷治癒および/または組織再生は、線維性病態形成(すなわち、「線維症」)をもたらし得、潜在的に広範な組織瘢痕化および臓器機能不全をもたらし得る。そのような過剰な創傷治癒および/または組織再生は、慢性炎症などの慢性損傷または傷害の結果であり得る。
【0023】
したがって、線維症を処置する免疫療法的処置を改善するための化合物および方法を同定することが依然として必要とされている。
【0024】
CD163(スカベンジャー受容体システインリッチ1型タンパク質M130、ヘモグロビンスカベンジャー受容体)は、ヘモグロビン-ハプトグロビン複合体のスカベンジャー受容体として作用し、遊離ヘモグロビン媒介性酸化損傷から組織を保護する細胞表面タンパク質である。125,451Da、125,982Da、121,609Da、および124,958Daの分子量を有するCD163タンパク質の4つのアイソフォームが報告されている。アイソフォーム1は、125,451Daの分子量を有し、細胞外ドメイン、膜貫通セグメント、および細胞質尾部を含む1,115アミノ酸残基ポリペプチドからなるCD163の最も優勢なアイソフォームである。細胞外ドメインは、9個のシステインリッチリピートドメインを含む。CD163タンパク質のアイソフォーム1は、4つのN結合型グリコシル化部位を有し、M2マクロファージでは、CD163タンパク質は、還元条件下でSDS-PAGEにおいて、約150kDaおよび約130kDaで2つの異なるバンドを示す。
【0025】
CD163 mRNA発現は概して骨髄性細胞に限定されるが、特定のヒト癌によっても発現される。CD163はさらに、マクロファージスカベンジャー受容体であり、免疫抑制を促進することが報告されている。いくつかの実施形態において、ヘモグロビン-ハプトグロビン複合体とCD163との相互作用は、免疫抑制性サイトカインIL-10および発現ヘム-オキシゲナーゼ-1(HO-1)の分泌を誘導する。HO-1は抗炎症性代謝産物Fe2+、CO、およびビリルビンを産生する。
【0026】
可溶性CD163は、ヒトにおいて外部ドメイン分断を介して生じ、抗炎症特性、例えば、フィトヘマグルチニン(PHA)または12-O-テトラデカノイルホルボール-13-アセテート(TPA)によって刺激されるリンパ球増殖を含む、T細胞応答のダウンレギュレーションを有することが報告されている。
【0027】
CD163を標的とする抗体は、CD163発現マクロファージの自然免疫応答を調節することが示されている。例えば、CD163に対する抗体であるRM3/1抗体は、ヒト単球に対して産生されたマウスモノクローナルIgG1(κ軽鎖)である。RM3/1抗体は、ヒトCD163のシステインリッチドメイン9に結合し、LPS誘導性TNFαを減少させ、マクロファージによるIL-10分泌を増強する。<特定の用語>
【0028】
他に定義されていない限り、本明細書で使用されているすべての技術的および科学的な用語は、主張された主題が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されているものと同じ意味を有する。一般的に、本明細書に記載される、免疫学、腫瘍学、細胞および組織培養、分子生物学、ならびにタンパク質およびオリゴクレオチドまたはポリヌクレオチドの化学およびハイブリダイゼーションに関係して利用される命名法、およびそれらの技術は、当該技術分野に周知であり、一般に使用されるものである。前述の一般的な記載および以下の詳細な記載は、例示的かつ説明的なものに過ぎず、任意の主題に限定されるものではないことが理解されよう。本明細書に使用される段落の見出しは、組織化するためのものに過ぎず、記載される主題を制限するものと解釈されてはならない。
【0029】
本明細書で使用されるように、単数形「a」、「an」、およびthe」は、文脈が明確に指定していない限り、複数の指示対象を含む。したがって、例えば、「抗体」への言及は、複数の抗体を含み、いくつかの実施形態において、「抗体」への言及は多数の抗体などを含む。
【0030】
本明細書で使用されるように、すべての数値または数値範囲は、文脈が明確に別のことを指定していない限り、そのような範囲内またはそのような範囲を包含する全整数、および上記範囲内または上記範囲を包含する数値または整数の分数を含む。ゆえに、例えば90~100%の範囲への言及は、91%、92%、93%、94%、95%、95%、97%のほか、91.1%、91.2%、91.3%、91.4、91.5%など、92.1%、92.2%、92.3%、92.4%、92.5%などを含む。別の例では、1~5,000倍の範囲への言及は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20倍などのほか、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5倍など、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5倍なども含む。
【0031】
本明細書で使用されるように、「約」という数字は、その数字を含む範囲を指し、その数字の10%未満からその数字の10%以上までの範囲を指す。「約」という範囲とは、範囲の下限の10%未満から範囲の上限の10%以上までの範囲を指す。
【0032】
「パーセント同一性」および「%同一性」とは、2つの配列(ヌクレオチドまたはアミノ酸)がアラインメントにおいて同じ位置に同じ残基を有する程度を意味する。例えば、「アミノ酸配列は配列番号YにX%同一である」とは、配列番号Yに対するアミノ酸配列の%同一性を指し、アミノ酸配列における残基のX%が配列番号Yに開示されている配列の残基と同一であるように詳述される。このような計算には、一般にコンピュータプログラムが用いられる。配列のペアを比較してアラインメントする例示的なプログラムとしては、ALIGN (Myers and Miller, Comput Appl Biosci. 1988 Mar; 4(1):11-7)、FASTA (Pearson and Lipman, Proc Natl Acad Sci USA. 1988 Apr; 85(8):2444-8; Pearson, Methods Enzymol. 1990; 183:63-98)、およびギャップ(gapped)BLAST (Altschul et al., Nucleic Acids Res. 1997 Sep 1; 25(17): 3389-40), BLASTP, BLASTN, or GCG (Devereux et al., Nucleic Acids Res. 1984 Jan 11; 12(1 Pt 1):387-95)が挙げられる。
【0033】
本明細書で使用する場合、「抗体」は、抗原に結合するタンパク質を指す。抗体はしばしば、重鎖および軽鎖のそれぞれに可変ドメインおよび定常ドメインを含む。したがって、ほとんどの抗体は、重鎖可変ドメイン(VH)および軽鎖可変ドメイン(VL)を有し、これらは一体となって、「抗原受容体」と呼ばれることもある、抗原に結合する抗体の部分を形成する。各可変ドメイン内には3つの相補性決定領域(CDR)があり、これは重鎖可変ドメイン(VH)および軽鎖可変ドメイン(VL)においてループを形成し、抗原の表面に接触する。「抗体」としては、限定されないが、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、単一特異性抗体、多特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)、天然抗体、ヒト化抗体、ヒト抗体、キメラ抗体、合成抗体、組換え抗体、ハイブリッド抗体、変異抗体、移植抗体、抗体断片(例えば、完全長の抗体の一部、通常はその抗原結合領域または可変領域、例えば、Fab、F(ab’)、F(ab’)2、およびFv断片)、および抗原結合活性を有するインビトロで生成された抗体が挙げられる。この用語はさらに、単鎖抗体、例えば、可変重鎖と可変軽鎖が一体的に(直接またはペプチドリンカーを介して)結合することで連続的なポリペプチドを形成する、単鎖Fv(sFvまたはscFv)抗体を含む。
【0034】
本明細書で使用する場合、「相補性決定領域」、「CDR」、および「超可変領域」は、特異的抗原に対する抗体の結合特異性を決定する抗体中の可変ドメインの部分を指す。上述のように、抗体ポリペプチドの単一の可変領域は典型的には、通常CDR1、CDR2、およびCDR3と呼ばれる3つのCDRを含む。具体的には、重鎖可変領域は、H1、H2、およびH3と呼ばれるCDRを含み得る。同様に、軽鎖可変領域は、CDR L1、L2、およびL3を含み得る。CDRを定義するために複数の方法が使用され得る。現在の技術は、CDRの長さおよび位置の異なる定義を有する様々なナンバリングスキームを利用する。例えば、Kabatナンバリングスキームは配列アラインメントに基づき、CDRを予測するために所定のアミノ酸位置の「可変性パラメータ」を使用する(所与の位置における異なるアミノ酸の数を、その位置において最も発生するアミノ酸の頻度で割る)。一方で、Chothiaナンバリングスキームは、抗体結晶構造がループ構造をCDRとして定義するようにアラインメントされる構造ベースのナンバリングスキームである。Martinナンバリングスキームは、非従来長の異なるフレームワーク領域の構造アラインメントに焦点を当てている。IMGTナンバリングスキームは、免疫グロブリンスーパーファミリー全体を含む完全な参照遺伝子データベースからの配列のアラインメントに基づく標準化されたナンバリングシステムである。Honnegerのナンバリングスキーム(AHo’s)は、可変領域の3D構造の構造アラインメントに基づき、フレームワークおよびCDRの長さを推定するために構造的に保存されたCα位置を使用する。当業者は、CDRの定義が使用される方法に基づいて変動することに気付くであろう。CDRを定義する任意の方法は、本明細書に開示される配列を用いて企図される。
【0035】
「レシピエント」、「個体」、「対象」、「宿主」、および「患者」は、本明細書で互換的に使用され、診断、処置、または治療が望ましい任意の哺乳動物対象、特にヒトを指す。処置の目的のための「哺乳動物」とは、ヒト、家庭動物と家畜、および、研究室、動物園、スポーツ、またはペットの動物として分類される任意の動物、例えば、イヌ、ウマ、ネコ、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ブタ、マウス、ラット、ウサギ、モルモット、サルなどを指す。いくつかの実施形態において、哺乳動物はヒトである。
【0036】
本明細書で使用されるように、「処置」、「処置すること」などという用語は、場合によっては、効果を得るための薬剤の投与または手順の実行を指す。いくつかの実施形態において、この効果は、疾患またはその症状の完全なまたは部分的な予防の観点において予防的であり、ならびに/あるいは、疾患および/または疾患の症状の部分的または完全な治癒の達成の観点において治療的である。「処置」は、本明細書で使用されるように、哺乳動物、特にヒトの疾患または障害(例えば、線維症)の処置を含み、(a)(例えば、原発性疾患に関連するか、または原発性疾患により引き起こされる疾患を含む)疾患にかかりやすいが、まだその疾患にかかっていると診断されていない対象において、その疾患または疾患の症状の発生を防ぐこと、(b)疾患を阻害、すなわち疾患の進行を阻止すること、および(c)疾患を軽減、すなわち疾患の退行を引き起こすことを含む。いくつかの実施形態において、処置することは、任意の客観的または主観的パラメータ、例えば、低減、寛解、症状の軽減、もしくは疾患状態に対する患者の忍容性の向上、変性もしくは減退の速度の緩徐化、または、変性最終点の衰弱低下を含む、線維症の処置、改善、または予防の成功を示す任意の徴候を指す。症状の処置または改善は、医師による検査の結果を含む1つ以上の客観的または主観的パラメータに基づく。したがって、「処置する」という用語は、疾患(例えば、線維症)に関連する症状または状態の進行を予防もしくは遅延させ、緩和し、または阻止もしくは阻害するための本開示の化合物または薬剤の投与を含む。「治療効果」という用語は、対象における疾患、疾患の症状、または疾患の副作用の低減、排除、または予防を指す。本開示の抗体の治療量を受けた後、患者が疾患または障害のパラメータまたは症状の観察可能および/または測定可能な変化を示す場合、対象は疾患または障害について「処置される」。
【0037】
いくつかの実施形態において、「応答を誘導する」とは、対象における病気の徴候または症状の緩和または低減を指し、具体的には、限定されないが、生存期間の延長を含む。
【0038】
本明細書で使用されるように、「結合活性」という用語は、希釈後の解離に対する2つ以上の薬剤の複合体の抵抗性を指す。
【0039】
いくつかの実施形態において、抗体「エフェクター機能」は、抗体のFc領域(天然配列Fc領域またはアミノ酸配列バリアントFc領域)に起因するそれらの生物活性を指し、抗体のアイソタイプに応じて変わる。
【0040】
「Fc受容体」または「FcR」は、抗体のFc領域に結合する受容体を指す。
【0041】
本明細書で使用される「ヒトエフェクター細胞」は、1つ以上のFcRを発現し、エフェクター機能を行う白血球を指す。例えば、細胞は、少なくともFcγRIIIを発現し、ADCCエフェクター機能を実行する。ADCCを媒介するヒト白血球の例としては、末梢血単核細胞(PBMC)、NK細胞、単球、マクロファージ、細胞傷害性T細胞、および好中球が挙げられる。
【0042】
「補体依存性細胞傷害」または「CDC」は、補体の存在下での標的細胞の溶解を指す。古典的な補体経路の活性化は、補体系の第1の成分(C1q)が、それらの同族抗原に結合する(適切なサブクラスの)抗体に結合することによって開始される。補体活性化を評価するために、例えば、CDCアッセイを行う。
【0043】
「内在化する」抗体は、哺乳動物細胞(例えば、細胞表面ポリペプチドまたは受容体)上の抗原への結合時に細胞によって取り込まれる(すなわち、侵入する)ものである。内在化抗体は、抗体断片、ヒトまたはキメラ抗体、および抗体コンジュゲートを含む。場合によっては、抗体(例えば、本明細書に開示されるものなど)の内在化は、細胞の生物学を変化させ、細胞にその機能を変化させる。
【0044】
「抗原結合ドメイン」、「抗原結合領域」、または「抗原結合部位」は、抗原と相互作用し、抗原に対する抗体の特異性および親和性に寄与するアミノ酸残基(または他の部分)を含有する抗体の一部である。その抗原に特異的に結合する抗体については、これは、そのCDRドメインの少なくとも1つの少なくとも一部を含む。
【0045】
抗体の抗原結合領域は「パラトープ」と呼ばれ、抗原決定基である抗原の「エピトープ」、すなわち、抗体が結合することができる抗原分子の一部と結合する。いくつかの実施形態において、抗原物質は、抗体によって認識可能な1つ以上の部分、すなわち、1つを超えるエピトープを有し、したがって、単一の抗原物質は、それぞれが異なるエピトープに対する特異性を有する異なる抗体によって特異的に結合される。いくつかの実施形態において、エピトープは、抗原の非連続部分を含む。例えば、ポリペプチドにおいて、ポリペプチドの一次配列では連続していないが、ポリペプチドの三次構造および四次構造の文脈では抗原結合タンパク質によって結合されるほど互いに十分に近いアミノ酸残基は、エピトープを構成する。
【0046】
「抗体断片」は無傷の抗体の一部を含む。いくつかの実施形態において、抗体断片は、無傷の抗体の抗原結合領域または可変領域を含む。
【0047】
「抗体の抗原結合部分」、「抗原結合断片」、「抗原結合ドメイン」、「抗体断片」という用語は、抗原に特異的に結合する能力を保持する抗体の1つ以上の断片に言及するために、本明細書で互換的に使用される。そのような用語に含まれる抗体断片の非限定的な例としては、限定されないが、(i)Fab断片、つまり、VL、VH、CL、およびCH1のドメインからなる一価断片、(ii)F(ab’)2断片、つまり、ヒンジ領域でのジスルフィド架橋により結合した2つのFab断片を含有する二価断片、(iii)VHおよびCHのドメインからなるFd断片、(iv)抗体の単一のアームのVLおよびVHのドメインからなるFv断片、(v)VHドメインを含有するdAb断片(Ward et al., Nature 341(6242):544-6 (1989))、ならびに、(vi)単離されたCDRが挙げられる。さらに、単一の重鎖および単一の軽鎖を含む「半分の」抗体が含まれる。ダイアボディなどの単鎖抗体の他の形態も本明細書に包含される。
【0048】
本明細書で使用される「機能的抗体断片」は、文脈において、抗体の抗原に結合するだけでなく、無傷な抗体を特徴付ける機能的属性も有する抗体断片を指す。例えば、抗体が、ADCCなどのエフェクター機能を可能にするFcドメインの保有に機能を依存している場合、機能的断片はそのような機能を有することになる。本開示の抗体は、いくつかの実施形態において、マクロファージFc受容体、例えば、CD16(FcγRIIIa)またはCD64(FcγRI)に結合するFc部分を含む場合、マクロファージ、例えば、組織常在マクロファージもしくは浸潤マクロファージの機能状態を調節するか、またはM2状態のマクロファージを再配向するかもしくは弱めるのに有効であると仮定される。
【0049】
抗体の「機能的断片またはアナログ」という語句は、完全長抗体と共通する定性的生物活性を有する化合物である。例えば、抗IgE抗体の機能的断片またはアナログは、IgE免疫グロブリンに結合することで、そのような分子が高親和性受容体FcγRIに結合する能力を有することを妨げるかまたは実質的に低下させるものである。
【0050】
「抗原結合タンパク質」は、抗体の抗原結合部分を含む部分を含むタンパク質であり、任意選択で、抗原結合部分が抗原への抗原結合タンパク質の結合を促進する立体構造をとることを可能にする足場またはフレームワーク部分も含む。
【0051】
「無傷な」抗体は、抗原結合部位に加え、CL、ならびに少なくとも重鎖定常ドメインCH1、CH2、およびCH3を含むものである。いくつかの実施形態において、定常ドメインは、天然配列定常ドメイン(例えば、ヒト天然配列定常ドメイン)またはそのアミノ酸配列バリアントである。
【0052】
本明細書で使用される「組換え抗体」という用語は、例えば、CDR、VH領域、または無傷な軽鎖などの第1の抗体の抗原結合ドメインと、1つ以上の他の抗体またはタンパク質由来のドメインとを含む抗体を指す。キメラ抗体、ハイブリッド抗体、およびヒト化抗体は、組換え抗体の例である。
【0053】
「CDR移植抗体」は、ある種またはアイソタイプの抗体に由来する1つ以上のCDRと、同じまたは異なる種またはアイソタイプの別の抗体のフレームワークとを含む抗体である。
【0054】
「ヒト抗体」という用語は、ヒト免疫グロブリン配列に由来する1つ以上の可変領域および定常領域を有するすべての抗体を含む。1つの実施形態において、抗体の可変ドメインおよび定常ドメインのすべてが、ヒト免疫グロブリン配列に由来する(「完全ヒト抗体」と呼ばれる)。
【0055】
本明細書で使用されるように、「親和性」という用語は、2つの薬剤の可逆的結合に関する平衡定数を指し、平衡解離定数、Kdとして表される。1つの実施形態において、抗体またはその抗原結合断片は、10-6M以下の範囲、または10-16M以下の範囲(例えば、約10-7、10-8、10-9、10-10、10-11、10-12、10-13、10-14、10-15、10-16M以下)で、CD163に対するKDによって測定される結合親和性を示す。特定の実施形態において、本明細書に記載される抗体は、10-4M以下、約10-5M以下、約10-6M以下、10-7M以下、または10-8M以下のKDでヒトCD163(huCD163)ポリペプチドに特異的に結合する。
【0056】
「優先的に結合する」または「特異的に結合する」という用語は、抗体またはその断片が、無関係のアミノ酸配列に結合するよりも大きな親和性でエピトープに結合し、エピトープを含有する他のポリペプチドに交差反応する場合、ヒト用途での投与用に製剤化されるレベルでは毒性ではないことを意味する。いくつかの実施形態において、そのような親和性は、関連しないアミノ酸配列に対する抗体またはその断片の親和性よりも、少なくとも1倍大きい、少なくとも2倍大きい、少なくとも3倍大きい、少なくとも4倍大きい、少なくとも5倍大きい、少なくとも6倍大きい、少なくとも7倍大きい、少なくとも8倍大きい、少なくとも9倍大きい、少なくとも10倍大きい、少なくとも20倍大きい、少なくとも30倍大きい、少なくとも40倍大きい、少なくとも50倍大きい、少なくとも60倍大きい、少なくとも70倍大きい、少なくとも80倍大きい、少なくとも90倍大きい、少なくとも100倍大きい、または、少なくとも1000倍大きい。
【0057】
「特異的」という用語は、抗体が、抗体によって認識されるエピトープを含有する抗原以外の分子に優先的に結合する状況を指す。この用語はさらに、例えば、抗原結合ドメインが、多くの抗原によって保有される特定のエピトープに特異的である場合に適用可能であり、この場合、抗原結合ドメインを保有する抗体またはその抗原結合断片は、エピトープを保有する様々な抗原に結合することができる。
【0058】
本明細書で使用される場合、抗体が、検出可能なレベルで、抗原と、好ましくは約104M-1以上、または約105M-1以上、約106M-1以上、約107M-1以上、または109M-1以上の親和性定数(会合定数)KAで反応する場合、抗体は、抗原に「免疫特異的である」もしくは「特異的である」、または抗原に「特異的に結合する」と言われる。
【0059】
「単一特異性」は、本明細書で使用される場合、1つの特定のエピトープに対して優先的な親和性を示す抗体を含有する抗体組成物を指す。いくつかの実施形態において、単一特異性抗体調製物は、特定の抗原に対して特異的結合活性を有する約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、99%、または99.9%の抗体で構成される。
【0060】
「ポリペプチド」という用語は、その従来の意味で、すなわち、アミノ酸の配列として使用される。ポリペプチドは、生成物の特定の長さに限定されない。ペプチド、オリゴペプチド、およびタンパク質は、ポリペプチドの定義内に含まれ、そのような用語は、特に別段の指示がない限り、本明細書において互換的に使用される。この用語はさらに、ポリペプチドの発現後修飾、例えば、グリコシル化、アセチル化、リン酸化など、ならびに当技術分野で公知の他の修飾(天然に存在するものおよび天然に存在しないものの両方)を指すことも除外することもない。いくつかの実施形態において、ポリペプチドは、タンパク質全体、またはその部分配列である。本開示の抗体の文脈において関心対象の特定のポリペプチドは、CDRを含み、そのような細胞によって発現されるヒトM2マクロファージまたはCD163タンパク質に結合することができるアミノ酸部分配列である。
【0061】
本明細書で使用する場合、「実質的に純粋な」および「実質的に含まない」とは、例えば、約20%以下の外来物質、約10%以下の外来物質、約5%以下の外来物質、約4%以下の外来物質、約3%以下の外来物質、約2%以下の外来物質、または約1%以下の外来物質を含む溶液または懸濁液を指す。
【0062】
「単離された」という用語は、タンパク質(例えば、抗体)、核酸、または他の細胞物質および/もしくは化学物質を実質的に含まない他の物質を指す。いくつかの実施形態において、本開示の抗体またはその抗原結合断片および核酸は単離される。いくつかの実施形態において、本開示の抗体またはその抗原結合断片および核酸は、実質的に純粋である。
【0063】
ポリペプチドに適用される場合、「単離された」とは一般に、それが天然に存在する他のタンパク質および核酸から分離されたポリペプチドを意味する。好ましくは、ポリペプチドはさらに、それを精製するために使用される抗体またはゲルマトリックス(ポリアクリルアミド)などの物質から分離される。場合によっては、この用語は、その起源または操作により、(i)発現ベクターの一部の発現生成物として宿主細胞に存在するポリペプチドまたはその一部、または(ii)それが自然に結合するもの以外の、タンパク質または他の化学部分に結合するポリペプチドまたはその一部、または(iii)自然に生じないポリペプチドまたはその一部、例えば、タンパク質が天然には発見されない形態であるように、タンパク質に少なくとも1つの疎水性部分を添加または付加することによって化学的に操作されるタンパク質を意味する。「単離される」ことにより、それはさらに、(i)化学合成される、または(ii)宿主細胞中で発現され、関連タンパク質および夾雑タンパク質から遠ざけて精製される、タンパク質を意味する。
【0064】
本明細書で使用する「有効量」という用語は、対象に投与した場合に、応答を誘導する、例えば、本明細書に記載されるマクロファージ活性に関連する疾患の治療、予後、または診断をもたらすのに充分な、本明細書に記載される抗体またはその抗原結合部分の量を指す。本明細書で提供される抗体の治療有効量は、単独で、または組み合わせて使用される場合、抗体および組み合わせの相対的な活性(例えば、線維症の処置/低減/改善において)に応じて、ならびに処置される対象および疾患状態、対象の体重および年齢、疾患状態の重症度、投与様式などに応じて変化し、場合によっては、当業者はこれらを容易に決定することができる。
【0065】
「治療有効量」という用語は概して、対象または哺乳動物における疾患または障害を「処置する」のに有効な抗体または薬物の量を指す。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される組成物は、任意の医学的処置に適用可能な妥当な利益/リスク比で本明細書に記載される疾患または障害を阻害することによって、いくつかの所望の治療効果をもたらすのに有効な量で対象に投与される。治療有効量は、臓器または組織において所望の治療効果または予防効果を少なくとも部分的に達成する量である。疾患または障害の予防および/または治療的処置をもたらすために必要な抗体の量は、それ自体固定されていない。いくつかの実施形態において、投与される抗体の量は、疾患の種類、疾患の広範性、および疾患または障害に罹患している哺乳動物のサイズによって変化する。対象が疾患または障害の症状を呈した後の治療剤の投与を含む治療方法と併せて使用される場合、「治療的に有効な」という用語は、処置後に、疾患または障害の1つ以上の徴候または症状が改善または排除されることを意味する。
【0066】
本開示の有効な応答は、対象が病気の徴候または症状の部分的または完全な緩和または低減を経験する場合に達成され、線維症の処置の場合、具体的には、限定されないが、症状の改善、進行の延長、治癒、寛解、生存期間の延長、または他の客観的応答を含む。いくつかの実施形態において、予想される無増悪生存期間は、再発の数、疾患の段階、および他の因子を含む予後因子に応じて、数ヶ月から数年で測定される。生存期間の延長には、限定されないが、少なくとも1ヶ月(mo.)、少なくとも約2ヶ月、少なくとも約3ヶ月、少なくとも約4ヶ月、少なくとも約6ヶ月、少なくとも約1年、少なくとも約2年、少なくとも約3年などの時間が含まれる。全生存も例えば、数ヶ月から数年で測定される。あるいは、有効な応答とは、いくつかの実施形態において、対象の症状が静的なままであることである。適応症の処置のさらなる兆候は、以下により詳細に記載される。
【0067】
いくつかの実施形態において、予防的方法における治療剤の投与は、望ましくない疾患または障害の症状の顕在化の前に行われ、その結果、疾患もしくは障害が予防されるか、またはその進行が遅延する。したがって、予防的方法と併せて使用される場合、「治療的に有効な」という用語は、処置後に、より少数の対象が(平均して)望ましくない疾患もしくは障害を発症するか、または症状の重症度が進行することを意味する。
【0068】
「薬学的に許容可能な」という語句は、生理学的に耐容性であり、ヒトに投与された場合に、典型的には、アレルギー反応または同様の有害反応、例えば、胃の乱れ、めまいなどを生じない分子実体および組成物を指す。
【0069】
「接触する」という用語は、本明細書において提供される組成物を、本明細書に記載される細胞、器官、組織、または体液と物理的に近接させる手段として本明細書で定義される。
【0070】
本明細書で使用される場合、「原発性線維性疾患」という用語は、疾患の病態が線維症によって駆動される疾患を意味する。例示的な原発性線維性疾患としては、限定されないが、嚢胞性線維症、特発性肺線維症、肝硬変、全身性硬化症(SSc)、強皮症移植片対宿主病(GvHD)、腎性全身性線維症、および放射線線維症が挙げられる。
【0071】
本明細書で使用される場合、「二次線維性疾患」という用語は、非線維性疾患の続発症として線維化が起こる疾患を意味する。特定の例において、二次線維症は、癌に関連する線維症である。二次線維性疾患の別の例は、パラコクシジオイデス症に関連する肺線維症である。
【0072】
抗体
本明細書には、特定の実施形態において、ヒトCD163+細胞上に発現されるCD163タンパク質に特異的に結合する抗体が開示される。いくつかの実施形態において、CD163+細胞は免疫抑制性骨髄細胞である。いくつかの実施形態において、免疫抑制性骨髄細胞はヒトマクロファージである。いくつかの実施形態において、本明細書に開示される抗体の結合は、ヒトマクロファージ上の少なくとも1つのマーカーの発現を変化させる。
【0073】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示される抗体は、ヒトM2またはM2様免疫抑制マクロファージ上に発現されるhuCD163タンパク質に結合する。いくつかの実施形態において、抗体は、huCD163の約140kDaのグリコフォームであるCD163タンパク質に特異的に結合する。いくつかの実施形態において、抗体は、huCD163の細胞外ドメイン3に特異的に結合する。いくつかの実施形態において、抗体は、huCD163の細胞外ドメイン4に特異的に結合する。いくつかの実施形態において、抗体は、huCD163の細胞外ドメイン3および細胞外ドメイン4に特異的に結合する。いくつかの実施形態において、抗体はhuCD163に特異的に結合し、huCD163の立体構造変化をもたらす。いくつかの実施形態において、huCD163に対する立体構造変化は、huCD163の細胞外ドメイン2、5、および9を露出させる。いくつかの実施形態において、抗体は、huCD163の低分子量(約115kDa)グリコフォームに特異的に結合しない。
【0074】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示される抗体は、樹状細胞(DC)、例えば、骨髄性のDC(mDC)(例えば、CD14-HLA-DR+CD11c+mDC)に結合する。いくつかの実施形態において、本明細書に開示された抗体は、古典的単球(例えば、CD14+HLA-DR+CD16-単球)に結合する。いくつかの実施形態において、本明細書に開示された抗体は、中間の単球(例えば、CD14+HLA-DR+CD16+単球)に結合する。いくつかの実施形態において、本明細書に開示された抗体は、非古典的単球(例えば、CD14-HLA-DR+CD16+単球)に結合する。いくつかの実施形態において、本明細書に開示された抗体は、癌細胞に結合する。いくつかの実施形態において、癌細胞はリンパ腫細胞である。いくつかの実施形態において、リンパ腫細胞は構成的にCD163を発現する。
【0075】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示される抗体は、ヒトCD163+免疫抑制性骨髄細胞に結合し、M2またはM2様免疫抑制性マクロファージ(M2cマクロファージなど)を特徴付ける特定の細胞マーカーの発現の変化を引き起こし、マクロファージの非免疫抑制状態または免疫抑制性が低い状態への機能的分化、および線維化促進性が低い状態への機能的分化を示唆している。いくつかの実施形態において、本明細書に開示される抗体は、M2またはM2様免疫抑制性マクロファージに結合し、M2またはM2様マクロファージを特徴付ける特定の細胞マーカーの発現の減少を引き起こし、マクロファージの、変化した分化状態への機能的分化を示唆している。いくつかの実施形態において、本明細書に開示される抗体は、CD163+免疫抑制性骨髄細胞によるCD16、CD64、TLR2、およびSiglec-15の1つ以上の発現を低下させる。
【0076】
いくつかの実施形態において、CD163+免疫抑制性骨髄細胞への本明細書に開示される抗体の結合は、CD163+免疫抑制性骨髄細胞の機能的変化をもたらす。いくつかの実施形態において、CD163+免疫抑制性骨髄細胞への本明細書に開示される抗体の結合は、M2またはM2様免疫抑制性マクロファージにおけるマーカー発現の変化をもたらす。
【0077】
いくつかの実施形態において、本開示の抗体は、腫瘍微小環境における腫瘍関連マクロファージによって引き起こされる免疫抑制を低下させる。いくつかの実施形態において、腫瘍微小環境における腫瘍関連マクロファージによる免疫抑制の低下は、免疫刺激、例えば、T細胞活性化、T細胞増殖、NK細胞活性化、NK細胞増殖、またはそれらの任意の組み合わせの促進の産生の増加に対応する。いくつかの実施形態において、T細胞活性化および/またはNK細胞活性化は、T細胞および/またはNK細胞によるIFN-γ、TNF-α、パーフォリン、またはそれらの組み合わせの産生の増加をもたらす。いくつかの実施形態において、本開示の抗体は、免疫刺激、例えば、T細胞活性化、T細胞増殖、NK細胞活性化、NK細胞増殖、またはそれらの任意の組み合わせの促進の産生を増加させる。いくつかの実施形態において、T細胞活性化および/またはNK細胞活性化は、T細胞および/またはNK細胞によるIFN-γ、TNF-α、パーフォリン、またはそれらの組み合わせの産生の増加をもたらす。いくつかの実施形態において、本開示の抗体は、ヒトマクロファージ上で発現されるCD163タンパク質に特異的に結合し、ヒトマクロファージは、抗体に結合する前に第1の免疫抑制活性を有し、抗体に結合した後に第2の免疫抑制活性を有し、第2の免疫抑制活性は、第1の免疫抑制活性よりも低い。様々な実施形態において、第1および第2の免疫抑制活性は、それぞれ非ゼロである。
【0078】
いくつかの実施形態において、本開示の抗体はT細胞の活性化および増殖を促進する。いくつかの実施形態において、抗体は、T細胞集団を抗腫瘍T細胞表現型に向かって偏らせる(skew)。いくつかの実施形態において、抗体は、T細胞活性化の骨髄細胞抑制を低減または遮断する。いくつかの実施形態において、抗体は、T細胞活性化を抑制するTAMの能力を低下させ、より大きなT細胞刺激およびIL-2産生をもたらす。いくつかの実施形態において、抗体は、T細胞活性化を抑制するTAMの能力を遮断し、より大きなT細胞刺激およびIL-2産生をもたらす。
【0079】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示される抗体は、T細胞増殖の骨髄抑制を低減する。いくつかの実施形態において、抗体は、CD4+およびCD8+T細胞の活性化および増殖の両方を抑制するTAMの能力を低下させる。いくつかの実施形態において、抗体はTh1細胞増殖のTAM抑制を低下させる。増殖したT細胞は、CD4+T細胞上の活性化マーカーの増強された発現を示す。
【0080】
いくつかの実施形態において、本開示の抗体は、M2極性化マクロファージが、M2マクロファージの免疫抑制効果を軽減するM1様表現型を示すように、M2極性化マクロファージを変化させる。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される抗体は、単球由来マクロファージに影響を及ぼすことで、より免疫抑制性が低く、より抗腫瘍分化状態へと分化する。
【0081】
いくつかの実施形態において、本開示の抗体は、線維化組織における組織常在性または浸潤性マクロファージの線維化促進機能を低下させる。いくつかの実施形態において、線維化組織中の組織常在性または浸潤性マクロファージの線維化促進機能の低下は、線維芽細胞の活性化および/または増殖の低下に対応する。いくつかの実施形態において、本開示の抗体は、線維芽細胞の活性化および/または増殖を低減する。いくつかの実施形態において、本開示の抗体は、ヒトマクロファージ、例えば、M2マクロファージ上で発現されるCD163タンパク質に特異的に結合し、ヒトマクロファージは、抗体に結合する前に第1の線維化促進活性を有し、抗体に結合した後に第2の線維化促進活性を有し、第2の線維化促進活性は、第1の線維化促進活性よりも低い。様々な実施形態において、第1および第2の線維化促進活性は、それぞれ非ゼロである。いくつかの実施形態において、線維症は原発性線維性疾患である。いくつかの実施形態において、線維症は二次線維性疾患である。
【0082】
いくつかの実施形態において、本開示の抗体は、M2極性化マクロファージが、M2マクロファージの免疫抑制活性または線維化促進活性を軽減するM1様表現型を示すように、M2極性化マクロファージを変化させる。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される抗体は、単球由来マクロファージに影響を及ぼすことで、より線維化促進性が低く、および/または免疫抑制性が低い分化状態へと分化する。例えば、本明細書に記載される抗体は、M2表現型に向かうマクロファージのIL-10媒介性の極性化の破壊、および/またはM2マクロファージのIL-10産生の破壊を含む、IL-10シグナル伝達軸を破壊することができる。いくつかの実施形態において、本開示の抗体は、マクロファージが、限定されないが、TGF-β、PDGF、VEGF、IGF-1、IL-10、およびガレクチン-3を含む、免疫抑制性が低い、または線維化促進性のサイトカインを産生および/または分泌するように、M2極性化マクロファージを変化させる。いくつかの実施形態において、本開示の抗体は、マクロファージがより少ないTGF-β、PDGF、VEGF、IGF-1、ガレクチン-3、IL-10、またはそれらの組み合わせを産生および/または分泌するように、M2極性化マクロファージを変化させる。
【0083】
いくつかの実施形態において、ヒトマクロファージ上で発現されるhuCD163に特異的に結合し、マクロファージによるCD16、CD64、TLR2、またはSiglec-15の少なくとも1つの発現を低減する抗体が本明細書において提供される。いくつかの実施形態において、ヒトマクロファージは免疫抑制性マクロファージである。いくつかの実施形態において、ヒトマクロファージは、M2様免疫抑制性マクロファージである。いくつかの実施形態において、ヒトマクロファージは組織常在性マクロファージである。いくつかの実施形態において、組織常在性マクロファージは、肺、腎臓、心臓、または肝臓に存在する。いくつかの実施形態において、ヒトマクロファージは肺マクロファージである。いくつかの実施形態において、ヒトマクロファージは、肺胞マクロファージ(AM)である。いくつかの実施形態において、ヒトマクロファージは間質性マクロファージである。いくつかの実施形態において、ヒトマクロファージは浸潤マクロファージである。
【0084】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示される抗体は、マクロファージによって発現される少なくとも1つの他のタンパク質を含む複合体の成分としてマクロファージによって発現されるCD163タンパク質に結合する。いくつかの実施形態において、複合体は細胞表面複合体である。いくつかの実施形態において、複合体は、ガレクチン-1タンパク質、LILRB2タンパク質、およびカゼインキナーゼIIタンパク質から選択される少なくとも1つの他のタンパク質を含む。
【0085】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示される抗体は、CD4+T細胞の活性または増殖を促進する。いくつかの実施形態において、抗体は、CD4+T細胞によるCD69、ICOS、OX40、PD1、LAG3、またはCTLA4の発現を促進する。
【0086】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示される抗体は、CD8+T細胞の活性または増殖を促進する。いくつかの実施形態において、抗体は、CD8+T細胞によるICOS、OX40、PD1、LAG3、またはCTLA4の発現を促進する。
【0087】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示される抗体は、CD8+T細胞の活性または増殖を促進することにより腫瘍微小環境における腫瘍細胞死滅を促進する。いくつかの実施形態において、抗体は、癌細胞の細胞傷害性リンパ球媒介性の死滅を促進する。いくつかの実施形態において、抗体は、NK細胞媒介性の腫瘍細胞死滅を促進する。
【0088】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示される抗体は、T細胞によるIL-2の発現を促進する。いくつかの実施形態において、本開示の抗体のCD163タンパク質への結合は、CD4+T細胞、CD196-T細胞、CXCR3+T細胞、CCR4-T細胞、またはそれらの任意の組み合わせを増加させる。いくつかの実施形態において、抗体はCD4+CD196-CXCR3+CCR4-T細胞を増加させる。
【0089】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示される抗体は、マクロファージ上に発現されるFc受容体に結合する定常ドメインを有する。いくつかの実施形態において、抗体はhuCD163に特異的に結合し、Fc受容体に結合する定常ドメインを有する。いくつかの実施形態において、抗体はCD163+免疫抑制性骨髄細胞上で発現されるFc受容体、例えば、CD16(FcγRIIIa)またはCD64(FcγRI)に結合する定常ドメインを有する。いくつかの実施形態において、huCD163およびFc受容体は、同じ細胞上で発現される。いくつかの実施形態において、huCD163およびFc受容体は、異なる細胞上で発現される。いくつかの実施形態において、抗体可変ドメインはhuCD163に特異的に結合し、抗体定常ドメインはFc受容体に同時に結合する。
【0090】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示される抗体は、マクロファージ上のCD163タンパク質に結合し、マクロファージによって内在化される。
【0091】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示される抗体は、それが結合するマクロファージに対して細胞傷害性ではない。
【0092】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示される抗体は、マクロファージ上に発現されるFc受容体に結合する定常ドメインを有する。いくつかの実施形態において、抗体はhuCD163に特異的に結合し、Fc受容体に結合する定常ドメインを有する。いくつかの実施形態において、抗体はCD163+免疫抑制性骨髄細胞上で発現されるFc受容体、例えば、CD16(FcγRIIIa)またはCD64(FcγRI)に結合する定常ドメインを有する。いくつかの実施形態において、huCD163およびFc受容体は、同じ細胞上で発現される。いくつかの実施形態において、huCD163およびFc受容体は、異なる細胞上で発現される。いくつかの実施形態において、抗体可変ドメインはhuCD163に特異的に結合し、抗体定常ドメインはFc受容体に同時に結合する。
【0093】
本明細書には、特定の実施形態において、M2およびM2様マクロファージ上に発現されるCD163タンパク質に特異的に結合する抗体が開示される。前記結合は、以下の効果、
(a)ヒトマクロファージによる少なくとも1つのマーカーの発現の減少であって、少なくとも1つのマーカーがCD16、CD64、TLR2、またはSiglec-15である、発現の減少、
(b)ヒトマクロファージによる抗体の内在化、
(c)線維芽細胞の活性化および/または増殖の低下、ならびに、
(d)TGF-β、PDGF、VEGF、IGF-1、ガレクチン-3、IL-10、またはそれらの組み合わせのマクロファージによる分泌の減少、
の少なくとも1つをもたらす。
【0094】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示される抗体は、組織常在性マクロファージ集団中のヒトCD163+免疫抑制性骨髄細胞に選択的に結合し、抗体は、組織常在性集団のM2マクロファージ上に発現されるCD163タンパク質に特異的に結合する。いくつかの実施形態において、本明細書に開示される抗体は、浸潤マクロファージ集団中のヒトCD163+免疫抑制性骨髄細胞に選択的に結合し、抗体は、M2マクロファージ上に発現されるCD163タンパク質に特異的に結合し、浸潤集団の免疫抑制活性を低下させる。
【0095】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示される抗体は、腫瘍微小環境または線維性組織中のヒトCD163+免疫抑制性骨髄細胞に選択的に結合し、抗体は、M2マクロファージ上に発現されるCD163タンパク質に特異的に結合し、M2マクロファージ媒介性の線維化促進機能または免疫抑制を低下させる。いくつかの実施形態において、本明細書に開示される抗体は、ヒト、ヒト化、またはキメラである。いくつかの実施形態において、本明細書に開示される抗体は、記載されるように結合するその抗原結合断片である。
【0096】
いくつかの実施形態において、本開示の抗体は、無傷な免疫グロブリン分子、例えば、ヒト抗体、ならびに抗原結合部位(すなわち、パラトープ)または単一の重鎖および単一の軽鎖を含有するヒト化Ig分子の部分であって、Fab、F(ab’)、F(ab’)2、Fd、scFv、可変重鎖ドメイン、可変軽鎖ドメイン、可変NARドメイン、二重特異性scFv、二重特異性Fab2、三重特異性Fab3、単鎖結合ポリペプチド、dAb断片、ダイアボディ、および抗原結合断片とも呼ばれる他のものとして当技術分野で公知の部分を含むものである。免疫グロブリン分子またはその断片を構築する場合、可変領域またはその部分を、いくつかの実施形態において、1つ以上の定常領域またはその部分に融合するか、連結するか、または他の方法で結合して、本明細書に記載される抗体またはその断片のいずれかを産生する。したがって、いくつかの実施形態において、上記の抗体のいずれか1つの抗原結合断片は、Fab、F(ab’)、Fd、F(ab’)2、Fv、scFv、単鎖結合ポリペプチド(例えば、Fc部分を有するscFv)、または本明細書に記載される任意の他の機能的断片である。
【0097】
いくつかの実施形態において、本開示の抗体は、任意の免疫グロブリンクラスのものであり、したがって、いくつかの実施形態において、ガンマ、ミュー、アルファ、デルタ、またはイプシロンの重鎖を有する。いくつかの実施形態において、ガンマ鎖は、ガンマ1、ガンマ2、ガンマ3、またはガンマ4である。いくつかの実施形態において、アルファ鎖はアルファ1またはアルファ2である。
【0098】
いくつかの実施形態において、本開示の抗体はIgG免疫グロブリンである。いくつかの実施形態において、本開示の抗体は、任意のIgGサブクラスのものである。いくつかの実施形態において、抗体はIgG1である。
【0099】
いくつかの実施形態において、本開示の抗体は、カッパまたはラムダのいずれかである可変軽鎖を含む。いくつかの実施形態において、ラムダ鎖は、例えば、ラムダ1、ラムダ2、ラムダ3、およびラムダ4を含む、サブタイプのいずれかのものである。いくつかの実施形態において、軽鎖はカッパである。
【0100】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示される抗体は、ヒト可変フレームワーク領域およびヒト定常領域を含む。いくつかの実施形態において、抗体はヒト軽鎖可変フレームワーク領域およびヒト軽鎖定常領域を含む。いくつかの実施形態において、抗体はヒト重鎖可変フレームワーク領域およびヒト重鎖定常領域を含む。いくつかの実施形態において、抗体はヒト軽鎖可変フレームワーク領域、ヒト軽鎖定常領域、ヒト重鎖可変フレームワーク領域、およびヒト重鎖定常領域を含む。
【0101】
いくつかの実施形態において、本開示の抗体は、ヒト可変フレームワーク領域およびマウス定常領域を含む。いくつかの実施形態において、本開示の抗体は、ヒト重鎖可変フレームワーク領域およびマウス重鎖定常領域を含む。いくつかの実施形態において、本開示の抗体は、ヒト軽鎖可変フレームワーク領域、マウス軽鎖定常領域、ヒト重鎖可変フレームワーク領域、およびマウス重鎖定常領域を含む。
【0102】
M2マクロファージ上で発現されるCD163タンパク質への抗体または抗原結合断片の結合は、いくつかの実施形態において、そのようなM2マクロファージの生物学的機能を部分的に(例えば、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、98%、99%、またはその中の任意の数)または完全に調節する。抗体または抗原結合断片の活性は、例えば、インビトロアッセイを使用して、および/または当技術分野で認識されているアッセイ、例えば、本明細書に記載されるアッセイまたはそうでなければ当技術分野で公知のアッセイを使用して、インビボで決定される。
【0103】
いくつかの実施形態において、本開示の抗体は、必要に応じて、所望の機能性を保持しながら、抗体の特異的特性を変化させるようにさらに修飾される。例えば、1つの実施形態において、本開示の抗体は、限定されないが、インビボ安定性、溶解度、バイオアベイラビリティー、または半減期を含む抗体の薬物動態特性を変化させるように修飾される。
【0104】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載される抗体は、約1~約10pM、約10~約20pM、約1~約29pM、約30~約40pM、約10~約100pM、または約20~約500pMの解離定数(KD)を有する。
【0105】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載される抗体は、約500pM未満、約400pM未満、約300pM未満、約200pM未満、約100pM未満、約75pM未満、約50pM未満、約30pM未満、約25pM未満、約20pM未満、約18pM未満、約15pM未満、約10pM未満、約75.pM未満、約5pM未満、約2.5pM未満、または約1pM未満の解離定数(KD)を有する。
【0106】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載される抗体は、約10-9~約10-14、約10-10~約10-14、約10-11~約10-14、約10-12~約10-14、約10-13~約10-14、約10-10~約10-11、約10-11~約10-12、約10-12~約10-13、または10-13~約10-14MのhuCD163タンパク質またはペプチドに対する親和性を有する。
【0107】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載される抗体は、1を超える結合部位を有する。いくつかの実施形態において、結合部位は互いに同一である。いくつかの実施形態において、結合部位は互いに異なる。天然に存在するヒト免疫グロブリンは典型的には、2つの同一の結合部位を有するが、操作された抗体は、例えば、2つ以上の異なる結合部位を有する。
【0108】
いくつかの実施形態において、本開示の抗体は、二重特異性または多特異性である。二重特異性抗体は、少なくとも2つの異なるエピトープに対する結合特異性を有する抗体である。例示的な二重特異性抗体は、いくつかの実施形態において、単一の抗原の2つの異なるエピトープに結合する。他のそのような抗体は、いくつかの実施形態において、第1の抗原結合部位を第2の抗原に対する結合部位と組み合わせる。いくつかの実施形態において、二重特異性抗体は、少なくとも2つの異なるエピトープに結合し、Fc受容体に結合する定常ドメインを有する。いくつかの実施形態において、二重特異性抗体の1つ以上のエピトープの結合は、Fc受容体への二重特異性抗体の定常ドメインの結合と同時に起こる。
【0109】
いくつかの実施形態において、本開示の抗体は、多価とも呼ばれる2つ以上の原子価を有する。いくつかの実施形態において、本開示の抗体は三重特異性である。いくつかの実施形態において、多価抗体は、抗体が結合する抗原を発現する細胞によって、二価抗体よりも速く内在化(および/または異化)される。いくつかの実施形態において、本開示の抗体は、3つ以上の抗原結合部位を有する多価抗体(例えば、4価抗体)である。いくつかの実施形態において、本開示の多価抗体は、抗体のポリペプチド鎖をコードする核酸の組換え発現によって産生される。いくつかの実施形態において、多価抗体は、二量体化ドメインおよび3つ以上の抗原結合部位を含む。いくつかの実施形態において、二量体化ドメインは、Fc領域またはヒンジ領域を含む(またはそれらからなる)。このシナリオでは、抗体は、Fc領域と、Fc領域のアミノ末端側の3つ以上の抗原結合部位とを含む。いくつかの実施形態において、本明細書における多価抗体は、約3~約8個、好ましくは4個の抗原結合部位を含む。多価抗体は、少なくとも1つのポリペプチド鎖(および、好ましくは2つのポリペプチド鎖)を含み、ポリペプチド鎖は、2つ以上の可変領域を含む。例えば、ポリペプチド鎖はVD1-(X1)n-VD2-(X2)n-Fcを含み、VD1は第1の可変領域であり、VD2は第2の可変領域であり、FcはFc領域の1つのポリペプチド鎖であり、X1およびX2はアミノ酸またはポリペプチドを表し、nは0または1である。いくつかの実施形態において、ポリペプチド鎖はそれぞれ独立して、VH-CH1-可動性リンカー-VH-CH1-Fc領域鎖、または、VH-CH1-VH-CH1-Fc領域鎖を含む。いくつかの実施形態において、本明細書における多価抗体は、少なくとも2つ(好ましくは4つ)の軽鎖可変領域ポリペプチドをさらに含む。いくつかの実施形態において、本明細書における多価抗体は、約2~約8個の軽鎖可変領域ポリペプチドを含む。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される軽鎖可変領域ポリペプチドは、軽鎖可変領域を含む。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される軽鎖可変領域ポリペプチドは、CLドメインをさらに含む。
【0110】
いくつかの実施形態において、本開示の抗体は、多価形態に折り畳まれるように構築され、これは、いくつかの実施形態において、結合親和性、特異性、および/または増加した血中半減期を改善する。抗体の多価形態は、例えば、当技術分野で公知の技術によって調製される。
【0111】
いくつかの実施形態において、本開示の抗体は、標的タンパク質に特異的なSMIPまたは結合ドメイン免疫グロブリン融合タンパク質である。これらの構築物は、抗体エフェクター機能を実行するために必要な免疫グロブリンドメインに融合した抗原結合ドメインを含む単鎖ポリペプチドである。
【0112】
いくつかの実施形態において、本開示の抗体は、本明細書に開示されるエピトープに結合し、任意選択で免疫グロブリンFc領域を有する重鎖可変領域および/または軽鎖可変領域を有する単鎖結合ポリペプチドを含む。このような分子は、免疫グロブリンFc領域の存在を通して、エフェクター機能または増加した半減期を任意選択で有する単鎖可変断片(scFv)である。
【0113】
抗CD163抗体
特定の実施形態において、CD163タンパク質に特異的に結合する抗体が本明細書で提供される。いくつかの実施形態において、CD163に結合する抗体は、少なくとも1つの重鎖および少なくとも1つの軽鎖を含む。いくつかの実施形態において、CD163に結合する抗体は、重鎖可変ドメイン(VH)を含む少なくとも1つの重鎖、および軽鎖可変ドメイン(VL)を含む少なくとも1つの軽鎖を含む。VHとVLはそれぞれ、3つの相補性決定領域(CDR)を含む。VHとVLとCDRのアミノ酸配列は、抗体の抗原結合特異性と抗原結合強度を決定する。VHとVLのドメインは表1に要約される。CDRのアミノ酸配列は表2および表3に要約される。
【0114】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示される抗体は、モノクローナル抗体である。いくつかの実施形態において、本明細書に開示される抗体は、抗原結合断片である。いくつかの実施形態において、本明細書に開示される抗体は、全免疫グロブリン、scFv、Fab、F(ab’)2、またはジスルフィド結合Fvから選択される。いくつかの実施形態において、本明細書に開示される抗体は、IgGまたはIgMである。いくつかの実施形態において、本明細書に開示される抗体は、ヒト化されている。いくつかの実施形態において、本明細書に開示される抗体はキメラである。
【0115】
抗CD163抗体可変ドメイン
【0116】
【0117】
【0118】
本明細書には、特定の実施形態において、配列番号28として記載されるアミノ酸配列と少なくとも約70%同一であるアミノ酸配列を有する軽鎖可変ドメイン(VL)を含む抗体が開示される。いくつかの実施形態において、VLは、配列番号28として記載されるアミノ酸配列と少なくとも約75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一のアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態において、VLは、配列番号28として記載されるアミノ酸配列と100%同一であるアミノ酸配列を有する。
【0119】
本明細書には、特定の実施形態において、配列番号30として記載されるアミノ酸配列と少なくとも約70%同一であるアミノ酸配列を有する軽鎖可変ドメイン(VL)を含む抗体が開示される。いくつかの実施形態において、VLは、配列番号30として記載されるアミノ酸配列と少なくとも約75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一のアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態において、VLは、配列番号30として記載されるアミノ酸配列と100%同一であるアミノ酸配列を有する。
【0120】
本明細書には、特定の実施形態において、配列番号32として記載されるアミノ酸配列と少なくとも約70%同一であるアミノ酸配列を有する軽鎖可変ドメイン(VL)を含む抗体が開示される。いくつかの実施形態において、VLは、配列番号32として記載されるアミノ酸配列と少なくとも約75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一のアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態において、VLは、配列番号32として記載されるアミノ酸配列と100%同一であるアミノ酸配列を有する。
【0121】
本明細書には、特定の実施形態において、配列番号34として記載されるアミノ酸配列と少なくとも約70%同一であるアミノ酸配列を有する軽鎖可変ドメイン(VL)を含む抗体が開示される。いくつかの実施形態において、VLは、配列番号34として記載されるアミノ酸配列と少なくとも約75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一のアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態において、VLは、配列番号34として記載されるアミノ酸配列と100%同一であるアミノ酸配列を有する。
【0122】
本明細書には、特定の実施形態において、配列番号36として記載されるアミノ酸配列と少なくとも約70%同一であるアミノ酸配列を有する軽鎖可変ドメイン(VL)を含む抗体が開示される。いくつかの実施形態において、VLは、配列番号36として記載されるアミノ酸配列と少なくとも約75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一のアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態において、VLは、配列番号36として記載されるアミノ酸配列と100%同一であるアミノ酸配列を有する。
【0123】
本明細書には、特定の実施形態において、配列番号38として記載されるアミノ酸配列と少なくとも約70%同一であるアミノ酸配列を有する軽鎖可変ドメイン(VL)を含む抗体が開示される。いくつかの実施形態において、VLは、配列番号38として記載されるアミノ酸配列と少なくとも約75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一のアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態において、VLは、配列番号38として記載されるアミノ酸配列と100%同一であるアミノ酸配列を有する。
【0124】
本明細書には、特定の実施形態において、配列番号29として記載されるアミノ酸配列と少なくとも約70%同一であるアミノ酸配列を有する重鎖可変ドメイン(VH)を含む抗体が開示される。いくつかの実施形態において、VHは、配列番号29として記載されるアミノ酸配列と少なくとも約75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一のアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態において、VHは、配列番号29として記載されるアミノ酸配列と100%同一であるアミノ酸配列を有する。
【0125】
本明細書には、特定の実施形態において、配列番号31として記載されるアミノ酸配列と少なくとも約70%同一であるアミノ酸配列を有する重鎖可変ドメイン(VH)を含む抗体が開示される。いくつかの実施形態において、VHは、配列番号31として記載されるアミノ酸配列と少なくとも約75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一のアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態において、VHは、配列番号31として記載されるアミノ酸配列と100%同一であるアミノ酸配列を有する。
【0126】
本明細書には、特定の実施形態において、配列番号33として記載されるアミノ酸配列と少なくとも約70%同一であるアミノ酸配列を有する重鎖可変ドメイン(VH)を含む抗体が開示される。いくつかの実施形態において、VHは、配列番号33として記載されるアミノ酸配列と少なくとも約75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一のアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態において、VHは、配列番号33として記載されるアミノ酸配列と100%同一であるアミノ酸配列を有する。
【0127】
本明細書には、特定の実施形態において、配列番号35として記載されるアミノ酸配列と少なくとも約70%同一であるアミノ酸配列を有する重鎖可変ドメイン(VH)を含む抗体が開示される。いくつかの実施形態において、VHは、配列番号35として記載されるアミノ酸配列と少なくとも約75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一のアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態において、VHは、配列番号35として記載されるアミノ酸配列と100%同一であるアミノ酸配列を有する。
【0128】
本明細書には、特定の実施形態において、配列番号37として記載されるアミノ酸配列と少なくとも約70%同一であるアミノ酸配列を有する重鎖可変ドメイン(VH)を含む抗体が開示される。いくつかの実施形態において、VHは、配列番号37として記載されるアミノ酸配列と少なくとも約75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一のアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態において、VHは、配列番号37として記載されるアミノ酸配列と100%同一であるアミノ酸配列を有する。
【0129】
本明細書には、特定の実施形態において、配列番号39として記載されるアミノ酸配列と少なくとも約70%同一であるアミノ酸配列を有する重鎖可変ドメイン(VH)を含む抗体が開示される。いくつかの実施形態において、VHは、配列番号39として記載されるアミノ酸配列と少なくとも約75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一のアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態において、VHは、配列番号39として記載されるアミノ酸配列と100%同一であるアミノ酸配列を有する。
【0130】
本明細書には、特定の実施形態において、配列番号28、配列番号30、配列番号32、配列番号34、配列番号36、および配列番号38からなる群において記載されるアミノ酸配列と少なくとも約70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一のアミノ酸配列を有する軽鎖可変ドメイン(VL)、ならびに、配列番号29、配列番号31、配列番号33、配列番号35、配列番号37、および配列番号39からなる群において記載されるアミノ酸配列と少なくとも約70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一のアミノ酸配列を有する重鎖可変ドメイン(VH)を含む抗体が開示され、ただし、抗体は、配列番号40の軽鎖可変配列および配列番号41の重鎖可変配列を含まないものとする。いくつかの実施形態において、抗体の配列は、CDR H1、CDR H2、CDR H2、CDR L1、CDR L2、およびCDR L3において100%同一である。
【0131】
本明細書には、特定の実施形態において、配列番号28、配列番号30、配列番号32、配列番号34、配列番号36、および配列番号38からなる群において記載されるアミノ酸配列と少なくとも約80%同一であるアミノ酸配列を有する軽鎖可変ドメイン(VL)、ならびに、配列番号29、配列番号31、配列番号33、配列番号35、配列番号37、および配列番号39からなる群において記載されるアミノ酸配列と少なくとも約80%同一であるアミノ酸配列を有する重鎖可変ドメイン(VH)を含む抗体が開示され、ただし、抗体は、配列番号40の軽鎖可変配列および配列番号41の重鎖可変配列を含まないものとする。いくつかの実施形態において、抗体の配列は、CDR H1、CDR H2、CDR H2、CDR L1、CDR L2、およびCDR L3において100%同一である。
【0132】
例示的な抗CD163相補性決定領域
【0133】
【0134】
【0135】
本明細書には、特定の実施形態において、配列番号1、配列番号7、および配列番号13からなる群において記載されるアミノ酸配列と少なくとも約70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR1(CDR L1)、配列番号2、配列番号9、および配列番号14からなる群において記載されるアミノ酸配列と少なくとも約70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR2(CDR L2)、配列番号3、配列番号8、配列番号10、配列番号11、配列番号12、および配列番号15からなる群において記載されるアミノ酸配列と少なくとも約70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR3(CDR L3)を含むCD163に結合する抗体が開示され、ただし、抗体は、配列番号1、配列番号2、および配列番号3に記載の配列を含まないものとする。
【0136】
いくつかの実施形態において、CD163に結合する抗体は、配列番号1、配列番号7、および配列番号13からなる群において記載されるアミノ酸配列と100%同一のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR1と、配列番号2、配列番号9、および配列番号14からなる群において記載されるアミノ酸配列と100%同一のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR2と、配列番号3、配列番号8、配列番号10、配列番号11、配列番号12、および配列番号15からなる群において記載されるアミノ酸配列と100%同一のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR3と、を含み、ただし、抗体は、配列番号1、配列番号2、および配列番号3に記載の配列を含まないものとする。
【0137】
本明細書には、特定の実施形態において、配列番号4、配列番号16、配列番号19、配列番号22、および配列番号25からなる群において記載されるアミノ酸配列と少なくとも約70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一のアミノ酸配列を有する重鎖CDR1(CDR H1)、配列番号5、配列番号17、配列番号20、配列番号23、および配列番号26からなる群において記載されるアミノ酸配列と少なくとも約70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一のアミノ酸配列を有する重鎖CDR2(CDR H2)、配列番号6、配列番号18、配列番号21、配列番号24、および配列番号27からなる群において記載されるアミノ酸配列と少なくとも約70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一のアミノ酸配列を有する重鎖CDR3(CDR H3)を含むCD163に結合する抗体が開示され、ただし、抗体は、配列番号4、配列番号5、および配列番号6に記載の配列を含まないものとする。
【0138】
いくつかの実施形態において、CD163に結合する抗体は、配列番号4、配列番号16、配列番号19、配列番号22、および配列番号25からなる群において記載されるアミノ酸配列と100%同一のアミノ酸配列を有する重鎖CDR1と、配列番号5、配列番号17、配列番号20、配列番号23、および配列番号26からなる群において記載されるアミノ酸配列と100%同一のアミノ酸配列を有する重鎖CDR2と、配列番号6、配列番号18、配列番号21、配列番号24、および配列番号27からなる群において記載されるアミノ酸配列と100%同一のアミノ酸配列を有する重鎖CDR3と、を含み、ただし、抗体は、配列番号4、配列番号5、および配列番号6に記載の配列と少なくとも約100%同一である配列を含まないものとする。
【0139】
本明細書では、特定の実施形態において、(a)配列番号1、配列番号7、および配列番号13からなる群において記載されるアミノ酸配列と少なくとも約70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR1と、配列番号2、配列番号9、および配列番号14からなる群において記載されるアミノ酸配列と少なくとも約70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR2と、配列番号3、配列番号8、配列番号10、配列番号11、配列番号12、および配列番号15からなる群において記載されるアミノ酸配列と少なくとも約70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR3と、ならびに、(b)配列番号4、配列番号16、配列番号19、配列番号22、および配列番号25からなる群において記載されるアミノ酸配列と少なくとも約70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一のアミノ酸配列を有する重鎖CDR1と、配列番号5、配列番号17、配列番号20、配列番号23、および配列番号26からなる群において記載されるアミノ酸配列と少なくとも約70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一のアミノ酸配列を有する重鎖CDR2と、配列番号6、配列番号18、配列番号21、配列番号24、および配列番号27からなる群において記載されるアミノ酸配列と少なくとも約70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一のアミノ酸配列を有する重鎖CDR3と、を含む抗体が開示され、ただし、抗体は、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、および配列番号6に記載される配列を含まないものとする。
【0140】
いくつかの実施形態において、CD163に結合する抗体は、(a)配列番号1、配列番号7、および配列番号13からなる群において記載されるアミノ酸配列と少なくとも約70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR1と、配列番号2、配列番号9、および配列番号14からなる群において記載されるアミノ酸配列と少なくとも約70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR2と、配列番号3、配列番号8、配列番号10、配列番号11、配列番号12、および配列番号15からなる群において記載されるアミノ酸配列と少なくとも約70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR3と、ならびに、(b)配列番号4、配列番号16、配列番号19、配列番号22、および配列番号25からなる群において記載されるアミノ酸配列と少なくとも約70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一のアミノ酸配列を有する重鎖CDR1と、配列番号5、配列番号17、配列番号20、配列番号23、および配列番号26からなる群において記載されるアミノ酸配列と少なくとも約70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一のアミノ酸配列を有する重鎖CDR2と、配列番号6、配列番号18、配列番号21、配列番号24、および配列番号27からなる群において記載されるアミノ酸配列と少なくとも約70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一のアミノ酸配列を有する重鎖CDR3と、を含み、ただし、抗体は、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、および配列番号6に記載される配列を含まないものとする。
【0141】
例示的な抗体
いくつかの実施形態において、抗体はV1であり、配列番号28として記載されるアミノ酸配列を有する軽鎖可変ドメイン(VL)、および配列番号29として記載されるアミノ酸配列を有する重鎖可変ドメイン(VH)を含む。
【0142】
いくつかの実施形態において、抗体はV2であり、配列番号30として記載されるアミノ酸配列を有する軽鎖可変ドメイン(VL)、および配列番号31として記載されるアミノ酸配列を有する重鎖可変ドメイン(VH)を含む。
【0143】
いくつかの実施形態において、抗体はV3であり、配列番号32として記載されるアミノ酸配列を有する軽鎖可変ドメイン(VL)、および配列番号33として記載されるアミノ酸配列を有する重鎖可変ドメイン(VH)を含む。
【0144】
いくつかの実施形態において、抗体はV4であり、配列番号34として記載されるアミノ酸配列を有する軽鎖可変ドメイン(VL)、および配列番号35として記載されるアミノ酸配列を有する重鎖可変ドメイン(VH)を含む。
【0145】
いくつかの実施形態において、抗体はV5であり、配列番号36として記載されるアミノ酸配列を有する軽鎖可変ドメイン(VL)、および配列番号37として記載されるアミノ酸配列を有する重鎖可変ドメイン(VH)を含む。
【0146】
いくつかの実施形態において、抗体はV6であり、配列番号38として記載されるアミノ酸配列を有する軽鎖可変ドメイン(VL)、および配列番号39として記載されるアミノ酸配列を有する重鎖可変ドメイン(VH)を含む。
【0147】
いくつかの実施形態において、抗体はV1であり、配列番号7として記載されるアミノ酸配列を有するCDR L1、配列番号2として記載されるアミノ酸配列を有するCDR L2、および配列番号8として記載されるアミノ酸配列を有するCDR L3、ならびに、配列番号16として記載されるアミノ酸配列を有するCDR H1、配列番号17として記載されるアミノ酸配列を有するCDR H2、および配列番号18として記載されるアミノ酸配列を有するCDR H3を含む。
【0148】
いくつかの実施形態において、抗体はV2であり、配列番号7として記載されるアミノ酸配列を有するCDR L1、配列番号9として記載されるアミノ酸配列を有するCDR L2、および配列番号10として記載されるアミノ酸配列を有するCDR L3、ならびに、配列番号19として記載されるアミノ酸配列を有するCDR H1、配列番号20として記載されるアミノ酸配列を有するCDR H2、および配列番号21として記載されるアミノ酸配列を有するCDR H3を含む。
【0149】
いくつかの実施形態において、抗体はV3であり、配列番号7として記載されるアミノ酸配列を有するCDR L1、配列番号2として記載されるアミノ酸配列を有するCDR L2、および配列番号11として記載されるアミノ酸配列を有するCDR L3、ならびに、配列番号22として記載されるアミノ酸配列を有するCDR H1、配列番号23として記載されるアミノ酸配列を有するCDR H2、および配列番号24として記載されるアミノ酸配列を有するCDR H3を含む。
【0150】
いくつかの実施形態において、抗体はV4であり、配列番号7として記載されるアミノ酸配列を有するCDR L1、配列番号2として記載されるアミノ酸配列を有するCDR L2、および配列番号8として記載されるアミノ酸配列を有するCDR L3、ならびに、配列番号22として記載されるアミノ酸配列を有するCDR H1、配列番号17として記載されるアミノ酸配列を有するCDR H2、および配列番号18として記載されるアミノ酸配列を有するCDR H3を含む。
【0151】
いくつかの実施形態において、抗体はV5であり、配列番号7として記載されるアミノ酸配列を有するCDR L1、配列番号2として記載されるアミノ酸配列を有するCDR L2、および配列番号10として記載されるアミノ酸配列を有するCDR L3、ならびに、配列番号16として記載されるアミノ酸配列を有するCDR H1、配列番号17として記載されるアミノ酸配列を有するCDR H2、および配列番号24として記載されるアミノ酸配列を有するCDR H3を含む。
【0152】
いくつかの実施形態において、抗体はV6であり、配列番号7として記載されるアミノ酸配列を有するCDR L1、配列番号2として記載されるアミノ酸配列を有するCDR L2、および配列番号12として記載されるアミノ酸配列を有するCDR L3、ならびに、配列番号19として記載されるアミノ酸配列を有するCDR H1、配列番号17として記載されるアミノ酸配列を有するCDR H2、および配列番号18として記載されるアミノ酸配列を有するCDR H3を含む。
【0153】
いくつかの実施形態において、抗体は、配列番号13として記載されるアミノ酸配列を有するCDR L1、配列番号14として記載されるアミノ酸配列を有するCDR L2、および配列番号15として記載されるアミノ酸配列を有するCDR L3、ならびに、配列番号25として記載されるアミノ酸配列を有するCDR H1、配列番号26として記載されるアミノ酸配列を有するCDR H14、および配列番号27として記載されるアミノ酸配列を有するCDR H3を含み、ただし、抗体は、配列番号1として記載されるアミノ酸配列を有するCDR L1、配列番号2として記載されるアミノ酸配列を有するCDR L2、および配列番号3として記載されるアミノ酸配列を有するCDR L3、配列番号4として記載されるアミノ酸配列を有するCDR H1、配列番号5として記載されるアミノ酸配列を有するCDR H2、および配列番号6として記載されるアミノ酸配列を有するCDR H3を含まないものとする。
【0154】
結合親和性および免疫反応性
抗体またはその抗原結合断片の結合親和性および/または結合活性は、フレームワーク領域を修飾することによって改善される。フレームワーク領域の修飾のための任意の適切な方法は、当技術分野において公知であり、本明細書において企図される。変化させる1つ以上の関連フレームワークアミノ酸位置の選択は、様々な基準に依存する。変化させる関連フレームワークアミノ酸を選択するための1つの基準は、例えば、ドナー分子とアクセプター分子との間のアミノ酸フレームワーク残基の相対的な差異である。このアプローチを使用して変化させる関連フレームワーク位置を選択することは、残基決定におけるいかなる主観的なバイアス、または残基によるCDR結合親和性寄与におけるいかなるバイアスも回避するという利点を有する。
【0155】
結合相互作用は、いくつかの実施形態において、1つ以上のCDRの1つ以上のアミノ酸残基との分子間接触として顕在化される。抗原結合は、例えば、CDRもしくはCDR対、または、場合によっては、VHおよびVL鎖の最大6つのすべてのCDRの相互作用を含む。
【0156】
抗体または抗原結合断片の結合親和性および結合活性は、表面プラズモン共鳴(SPR)測定、AlphaLisaアッセイ、または平衡解離定数(KD)のフローサイトメトリーによって測定することができる。
【0157】
本明細書では、0.1nM~1000nMのKDでヒトCD163に特異的に結合する抗体が開示されている。いくつかの実施形態において、抗体は、約0.1~約500nM、約0.1~約100nM、約0.1~約50nM、約0.1~約20nM、約0.1~約10nM、約0.1~約5nM、約0.1~約2nM、約0.1~約1nM、約0.1~約0.5nM、約0.5~約1000nM、約0.5~約500nM、約0.5~約100nM、約0.5~約50nM、約0.5~約20nM、約0.5~約10nM、約0.5~約5nM、約0.5~約2nM、約0.5~約1nM、約1~約1000nM、約1~約500nM、約1~約100nM、約1~約50nM、約1~約20nM、約1~約10nM、約1~約5nM、約1~約2nM、約2~約1000nM、約2~約500nM、約2~約100nM、約2~約50nM、約2~約20nM、約2~約10nM、約2~約5nM、約5~約1000nM、約5~約500nM、約5~約100nM、約5~約50nM、約5~約20nM、約5~約10nM、約10~約1000nM、約10~約500nM、約10~約100nM、約10~約50nM、約10~約20nM、約20~約1000nM、約20~約500nM、約20~約100nM、約20~約50nM、約50~約1000nM、約50~約500nM、約50~約100nM、約100~約500nM、約100~約1000nM、約500~約1000nMのKDでヒトCD163に特異的に結合する。いくつかの実施形態において、抗体は、1.8nM、12nM、45nM、または89nMのKDでヒトCD163に特異的に結合する。
【0158】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示される抗体は、0.824nMのKDでヒトCD163に特異的に結合する。いくつかの実施形態において、本明細書に開示される抗体は、0.937nMのKDでヒトCD163に特異的に結合する。いくつかの実施形態において、本明細書に開示される抗体は、0.964nMのKDでヒトCD163に特異的に結合する。いくつかの実施形態において、本明細書に開示される抗体は、0.991nMのKDでヒトCD163に特異的に結合する。いくつかの実施形態において、本明細書に開示される抗体は、1.03nMのKDでヒトCD163に特異的に結合する。いくつかの実施形態において、本明細書に開示される抗体は、1.25nMのKDでヒトCD163に特異的に結合する。
【0159】
本明細書に開示される抗体は、M2マクロファージ上で高度に発現される骨髄スカベンジャー受容体CD163に結合する。本明細書に開示される抗体とIL-10極性化M2cマクロファージとの間の結合親和性は、フローサイトメトリーアッセイによって測定される。
【0160】
本明細書では、0.1nM~1000nMのKDでM2cマクロファージに特異的に結合する抗体が開示されている。いくつかの実施形態において、抗体は、約0.1~約500nM、約0.1~約100nM、約0.1~約50nM、約0.1~約20nM、約0.1~約10nM、約0.1~約5nM、約0.1~約2nM、約0.1~約1nM、約0.1~約0.5nM、約0.5~約1000nM、約0.5~約500nM、約0.5~約100nM、約0.5~約50nM、約0.5~約20nM、約0.5~約10nM、約0.5~約5nM、約0.5~約2nM、約0.5~約1nM、約1~約1000nM、約1~約500nM、約1~約100nM、約1~約50nM、約1~約20nM、約1~約10nM、約1~約5nM、約1~約2nM、約2~約1000nM、約2~約500nM、約2~約100nM、約2~約50nM、約2~約20nM、約2~約10nM、約2~約5nM、約5~約1000nM、約5~約500nM、約5~約100nM、約5~約50nM、約5~約20nM、約5~約10nM、約10~約1000nM、約10~約500nM、約10~約100nM、約10~約50nM、約10~約20nM、約20~約1000nM、約20~約500nM、約20~約100nM、約20~約50nM、約50~約1000nM、約50~約500nM、約50~約100nM、約100~約500nM、約100~約1000nM、約500~約1000nMのKDでM2cマクロファージに特異的に結合する。いくつかの実施形態において、抗体は、7.7nMのKDでM2cマクロファージに特異的に結合する。
【0161】
結合エピトープ
抗体エピトープは、直線ペプチド配列(すなわち、「連続的」)であり得るか、または、非隣接アミノ酸配列(すなわち、「立体構造的」または「不連続」)で構成され得る。いくつかの実施形態において、抗体は1つ以上のアミノ酸配列を認識する。したがって、エピトープは1を超える異なるアミノ酸配列を画定する。抗体により認識されたエピトープは、例えば、当業者に周知のペプチドマッピングと配列分析の技術によって判定される。結合相互作用は、CDRの1つ以上のアミノ酸残基との分子間接触として明示することができる。
【0162】
ヒトCD163タンパク質は、ヒトにおいてCD163遺伝子によってコードされるタンパク質である。ヒトCD163のアミノ酸配列は、MSKLRMVLLEDSGSADFRRHFVNLSPFTITVVLLLSACFVTSSLGGTDKELRLVDGENKCSGRVEVKVQEEWGTVCNNGWSMEAVSVICNQLGCPTAIKAPGWANSSAGSGRIWMDHVSCRGNESALWDCKHDGWGKHSNCTHQQDAGVTCSDGSNLEMRLTRGGNMCSGRIEIKFQGRWGTVCDDNFNIDHASVICRQLECGSAVSFSGSSNFGEGSGPIWFDDLICNGNESALWNCKHQGWGKHNCDHAEDAGVICSKGADLSLRLVDGVTECSGRLEVRFQGEWGTICDDGWDSYDAAVACKQLGCPTAVTAIGRVNASKGFGHIWLDSVSCQGHEPAIWQCKHHEWGKHYCNHNEDAGVTCSDGSDLELRLRGGGSRCAGTVEVEIQRLLGKVCDRGWGLKEADVVCRQLGCGSALKTSYQVYSKIQATNTWLFLSSCNGNETSLWDCKNWQWGGLTCDHYEEAKITCSAHREPRLVGGDIPCSGRVEVKHGDTWGSICDSDFSLEAASVLCRELQCGTVVSILGGAHFGEGNGQIWAEEFQCEGHESHLSLCPVAPRPEGTCSHSRDVGVVCSRYTEIRLVNGKTPCEGRVELKTLGAWGSLCNSHWDIEDAHVLCQQLKCGVALSTPGGARFGKGNGQIWRHMFHCTGTEQHMGDCPVTALGASLCPSEQVASVICSGNQSQTLSSCNSSSLGPTRPTIPEESAVACIESGQLRLVNGGGRCAGRVEIYHEGSWGTICDDSWDLSDAHVVCRQLGCGEAINATGSAHFGEGTGPIWLDEMKCNGKESRIWQCHSHGWGQQNCRHKEDAGVICSEFMSLRLTSEASREACAGRLEVFYNGAWGTVGKSSMSETTVGVVCRQLGCADKGKINPASLDKAMSIPMWVDNVQCPKGPDTLWQCPSSPWEKRLASPSEETWITCDNKIRLQEGPTSCSGRVEIWHGGSWGTVCDDSWDLDDAQVVCQQLGCGPALKAFKEAEFGQGTGPIWLNEVKCKGNESSLWDCPARRWGHSECGHKEDAAVNCTDISVQKTPQKATTGRSSRQSSFIAVGILGVVLLAIFVALFFLTKKRRQRQRLAVSSRGENLVHQIQYREMNSCLNADDLDLMNSSGGHSEPH(配列番号42)である。
【0163】
ヒトCD163中のエピトープに特異的に結合する抗体が本明細書に開示される。いくつかの実施形態において、本明細書に開示される抗体は、非連続アミノ酸配列を含むエピトープに結合する。いくつかの実施形態において、抗体は、アミノ酸配列IGRVNASKGFGHIWLDSVSCQGHEPAI(配列番号43)を含むヒトCD163のエピトープに結合する。いくつかの実施形態において、抗体は、アミノ酸配列VVCRQLGCGSA(配列番号44)を含むヒトCD163のエピトープに結合する。いくつかの実施形態において、抗体は、アミノ酸配列WDCKNWQWGGLTCD(配列番号45)を含むヒトCD163のエピトープに結合する。いくつかの実施形態において、抗体は、配列番号43~45のアミノ酸配列を含むヒトCD163のエピトープに結合する。
【0164】
本明細書に開示されるエピトープに特異的に結合するさらなる抗体も本明細書に開示される。本明細書において開示されるエピトープに特異的に結合するこれらのさらなる抗体またはその抗原結合断片は、当技術分野において公知の技術を使用して同定することができる。例えば、コンピュータによるアプローチを用いることでエピトープ特異的抗体を設計する。Nimrod et al.,Computational Design of Epitope-Specific Functional Antibodies, Cell Reports 25,2121-2131,Nov.20,2018(参照により本明細書に組み込まれる)。別のアプローチを用いて、抗原に結合する抗体のライブラリーから特異的エピトープに結合する抗体を同定することができる。例えば、まず、非標準アミノ酸(ncAA)p-ベンゾイル-L-フェニルアラニン(pBpa)およびp-アジド-L-フェニルアラニン(pAzF)を標的エピトープに組み込み、その後、UV照射後にncAA組み込みエピトープと架橋する抗体を選択する。架橋は、抗体とエピトープとの間の距離が充分に近い場合にのみ起こるため、この方法は、標的エピトープに特異的に結合する抗体を効率的に選択することができる。Chen et al. Epitope-directed antibody selection by site-specific photocrosslinking, Science Advances, 6(14), eaaz7825, 01 Apr 2020(参照により本明細書に組み込まれる)。
【0165】
抗体の修飾
抗体またはその抗原結合断片は、場合によっては、様々な目的のために、当技術分野で公知の技術を使用して、例えば、ポリエチレングリコール(PEG)の付加によって修飾される。いくつかの実施形態において、PEG修飾(PEG化)は、循環時間の改善、溶解度の改善、タンパク質分解に対する耐性の改善、抗原性および免疫原性の低下、バイオアベイラビリティーの改善、毒性の低下、安定性の改善、ならびにより容易な製剤化の1つ以上をもたらす。
【0166】
場合によっては、抗原結合断片がFc部分を含有していない場合、Fc部分は、例えば、対象に投与される際に血液内で循環中の抗原結合断片の半減期を増加させるために、断片に(例えば、組換えにより)付加される。適切なFc領域の選択およびそのような断片を組み込む方法は、当技術分野において公知である。IgGのFc領域を関心対象のポリペプチドに組み込むことでその循環半減期を増加させつつ、その生物学的活性を失わないようにすることは、例えば、当技術分野で公知の従来の技術を使用することによって達成される。いくつかの実施形態において、抗体のFc部分は、対象に投与される際に血液内で循環中の抗原結合断片の半減期を増加させるようにさらに修飾される。修飾は、例えば、当技術分野における従来の手段を用いて決定される。
【0167】
さらに、いくつかの実施形態において、抗体およびその抗原結合断片は、それらの複合N-グリコシド結合糖鎖上にフコースを含まないように産生または発現される。複合N-グリコシド結合糖鎖からのフコースの除去は、限定されないが、抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)および補体依存性細胞傷害(CDC)を含む、抗体および抗原結合断片のエフェクター機能を増加させることが知られている。同様に、エピトープに結合する抗体またはその抗原結合断片は、場合によっては、任意の抗体アイソタイプ、例えば、IgG、IgA、IgE、IgD、およびIgM、ならびにアイソタイプサブクラスのいずれか、特に、IgG1、IgG2、IgG3、およびIgG4に由来する免疫グロブリン重鎖のすべてまたは一部に対してそのC末端で結合される。
【0168】
さらに、本明細書に記載される抗体または抗原結合断片は、いくつかの実施形態において、血液脳関門を通過することができるようにも修飾される。本明細書に記載される抗体または抗原結合断片のそのような修飾は、多形神経膠芽腫(GBM)などの脳疾患の処置を可能にする。抗体または抗原結合断片などのタンパク質が血液脳関門を通過することを可能にする例示的な修飾は、米国特許出願公開第2007/0082380号に記載されている。
【0169】
免疫グロブリンのグリコシル化は、それらのエフェクター機能、構造的安定性、および抗体産生細胞からの分泌速度に対して有意な効果を有することが示されている。これらの特性に関与する炭水化物基は通常、抗体の定常(C)領域に結合している。例えば、CH2ドメインにおけるアスパラギン297でのIgGのグリコシル化は、補体依存性細胞溶解の古典経路を活性化するIgGの完全な能力に必要である(Tao and Morrison, J Immunol 143:2595 (1989))。CH3ドメインにおけるアスパラギン402でのIgMのグリコシル化は、抗体の適切なアセンブリおよび細胞溶解活性に必要である(Muraoka and Shulman, J Immunol 142:695 (1989))。IgA抗体のCH1およびCH3のドメインにおける162位および419位としてのグリコシル化部位の除去は、細胞内分解および分泌の少なくとも90%の阻害をもたらした(Taylor and Wall,Mol Cell Biol 8:4197(1988))。加えて、いくつかの実施形態において、抗体およびその抗原結合断片は、それらの複合N-グリコシド結合糖鎖上にフコースを含まないように産生または発現される。複合N-グリコシド結合糖鎖からのフコースの除去は、限定されないが、抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)および補体依存性細胞傷害(CDC)を含む、抗体および抗原結合断片のエフェクター機能を増加させることが知られている。これらの「脱フコシル化」抗体および抗原結合断片は、いくつかの実施形態において、限定されないが、トランスジェニック動物、トランスジェニック植物、または、複合N-グリコシド結合糖鎖(フコシルトランスフェラーゼノックアウト動物、植物、または細胞としても知られている)にフコースを含めるために必要な酵素および生化学的経路をもはや含まないように遺伝子操作された細胞株を含む、当技術分野で公知の分子クローニング技術を利用する様々な系によって産生される。フコシルトランスフェラーゼノックアウト細胞となるように操作された細胞の非限定的な例としては、CHO細胞、SP2/0細胞、NS0細胞、およびYB2/0細胞が挙げられる。
【0170】
可変(V)領域における免疫グロブリンのグリコシル化も観察されている。SoxおよびHoodは、ヒト抗体の約20%がV領域においてグリコシル化されることを報告した(Proc Natl Acad Sci USA 66:975 (1970))。Vドメインのグリコシル化は、V領域配列におけるN結合グリコシル化シグナルAsn-Xaa-Ser/Thrの偶発的な発生から生じると考えられており、当技術分野では免疫グロブリン機能において一定の役割を果たすものとしては認識されていない。
【0171】
可変ドメインフレームワーク残基でのグリコシル化は、場合によっては、抗体と抗原との結合相互作用を変化させる。本開示は、ヒト化免疫グロブリン鎖のフレームワークまたはCDR中の限られた数のアミノ酸が、抗体の親和性を増加させるために(例えば、残基の置換、欠失、または付加によって)変異されるように選択される基準を含む。
【0172】
いくつかの実施形態において、システイン残基は、抗体またはFc含有ポリペプチドのFc領域において除去または導入され、それによって、この領域における鎖間ジスルフィド結合形成を排除するか、または増加させる。このような方法を用いて生成されるホモ二量体特異的結合剤または抗体は、いくつかの実施形態において、改善された内在化能力および/または増加した補体媒介性細胞死滅および抗体依存性細胞傷害(ADCC)を呈する。
【0173】
CDR内の配列は、場合によっては、抗体をMHCクラスIIに結合させ、望ましくないヘルパーT細胞応答を誘発することが示されている。いくつかの実施形態において、保存的置換は、抗体が結合活性を保持することを可能にするが、望ましくないT細胞応答を誘発するその能力を低下させる。一実施形態において、重鎖または軽鎖のN末端20アミノ酸の1つ以上が除去される。
【0174】
いくつかの実施形態において、ADCC活性の改善を示すフコシル化がないかまたは低下した抗体分子を含む、エフェクター活性の変化をもたらす改変された炭水化物構造を有する抗体分子が産生される。これを達成するための様々な方法が当技術分野で知られている。例えば、ADCCエフェクター活性は、CH2ドメインのAsn-297におけるN結合グリコシル化の炭水化物構造に依存することが示されているFcγRIII受容体への抗体分子の結合によって媒介される。非フコシル化抗体は、増加した親和性でこの受容体に結合し、天然のフコシル化抗体よりも効率的にFcγRIII媒介性のエフェクター機能を誘発する。いくつかの宿主細胞株、例えば、Lec13またはラットハイブリドーマYB2/0細胞株は、より低いフコシル化レベルを有する抗体を天然に産生する。例えば、GnTIII酵素を過剰発現する細胞において抗体を組換え産生することによって二分された炭水化物のレベルの増加も、ADCC活性を増加させることが決定されている。いくつかの実施形態において、2つのフコース残基のうちの1つのみの不在は、ADCC活性を増加させるのに充分である。
【0175】
抗体の共有結合修飾も本明細書に含まれる。いくつかの実施形態において、それらは、適用可能な場合、化学合成によって、または抗体の酵素的切断もしくは化学的切断によって行われる。いくつかの実施形態において、他のタイプの共有結合修飾は、標的アミノ酸残基を、選択された側鎖またはN末端もしくはC末端の残基と反応することができる有機誘導体化剤と反応させることによって導入される。
【0176】
システイニル残基は、最も一般的には、α-ハロアセテート(および対応するアミン)、例えば、クロロ酢酸またはクロロアセトアミドと反応することで、カルボキシメチルまたはカルボキシアミドメチルの誘導体が得られる。システイニル残基はさらに、ブロモトリフルオロアセトン、α-ブロモ-β-(5-イミドゾイル)プロピオン酸、クロロアセチルホスフェート、N-アルキルマレイミド、3-ニトロ-2-ピリジルジスルフィド、メチル 2-ピリジルジスルフィド、p-クロロ第二水銀安息香酸、2-クロロ水銀-4-ニトロフェノール、またはクロロ-7-ニトロベンゾ-2-オキサ-1,3-ジアゾールとの反応によって誘導体化される。
【0177】
いくつかの実施形態において、ヒスチジル残基は、pH5.5~7.0でのジエチルピロカーボネートとの反応によって誘導体化されるが、これは、この薬剤が、ヒスチジル側鎖に対して比較的特異的であるからである。いくつかの実施形態において、パラ-ブロモフェナシルブロミドも有用である。反応は、いくつかの実施形態において、pH6.0の0.1Mカコジル酸ナトリウム中で行われる。
【0178】
いくつかの実施形態において、リジニルおよびアミノ末端残基をコハク酸または他のカルボン酸無水物と反応させる。これらの薬剤による誘導体化は、リジニル残基の電荷を逆転させる効果を有する。α-アミノ含有残基を誘導体化するための他の適切な試薬としては、イミドエステル、例えば、メチルピコリンイミデート、ピリドキサールホスフェート、ピリドキサール、クロロボロヒドリド(chloroborohydride)、トリニトロベンゼンスルホン酸、O-メチルイソ尿素、2,4-ペンタンジオン、およびグリオキシレートとのトランスアミナーゼ触媒反応が挙げられる。
【0179】
いくつかの実施形態において、アルギニル残基は、フェニルグリオキサール、2,3-ブタンジオン、1,2-シクロヘキサンジオン、およびニンヒドリンなどの1つ以上の従来の試薬との反応によって修飾される。アルギニン残基の誘導体化は、グアニジン官能基の高いpKaのために、反応がアルカリ性条件下で行われることを必要とする。さらに、これらの試薬は、いくつかの実施形態において、リジンの基ならびにアルギニンイプシロン-アミノ基と反応する。
【0180】
いくつかの実施形態において、チロシル残基の特異的修飾は、芳香族ジアゾニウム化合物またはテトラニトロメタンとの反応によってチロシル残基にスペクトル標識を導入することに特に関心を持って行われる。最も一般的には、N-アセチルイミダゾールおよびテトラニトロメタンは、いくつかの実施形態において、それぞれO-アセチルチロシル種および3-ニトロ誘導体を形成するために使用される。チロシル残基を125Iまたは131Iを用いてヨウ素化することで、ラジオイムノアッセイで使用するための標識タンパク質が調製される。
【0181】
カルボキシル側基(アスパルチルまたはグルタミル)は、カルボジイミド(R-N=C=N-R’)との反応によって特異的に修飾され、ここで、RおよびR’は、1-シクロヘキシル-3-(2-モルホリニル-4-エチル)カルボジイミドまたは1-エチル-3-(4-アゾニア-4,4-ジメチルペンチル)カルボジイミドなどの異なるアルキル基である。さらに、アスパルチル残基およびグルタミル残基は、アンモニウムイオンとの反応によってアスパラギニル残基およびグルタミニル残基に変換される。
【0182】
いくつかの実施形態において、グルタミニル残基およびアスパラギニル残基はそれぞれ、対応するグルタミル残基およびアスパルチル残基に脱アミド化される。これらの残基は、中性または塩基性の条件下で脱アミド化される。
【0183】
他の修飾としては、プロリンおよびリジンのヒドロキシル化、セリル残基またはトレオニル残基のヒドロキシル基のリン酸化、リジン、アルギニン、およびヒスチジン側鎖のα-アミノ基のメチル化、N末端アミンのアセチル化、ならびに任意のC末端カルボキシル基のアミド化が挙げられる。
【0184】
別のタイプの共有結合修飾は、グリコシドを特異的結合剤または抗体に化学的または酵素的にカップリングさせることを含む。これらの手順は、N結合またはO結合グリコシル化のためのグリコシル化能力を有する宿主細胞におけるポリペプチドまたは抗体の産生を必要としない。使用されたカップリング様式に応じて、いくつかの実施形態において、糖は、(a)アルギニンおよびヒスチジン、(b)遊離カルボキシル基、(c)遊離スルフヒドリル基、例えば、システインのもの、(d)遊離ヒドロキシル基、例えば、セリン、トレオニン、またはヒドロキシプロリンのもの、(e)芳香族残基、例えば、フェニルアラニン、チロシン、またはトリプトファンのもの、または(f)グルタミンのアミド基に結合する。
【0185】
ポリペプチドまたは抗体上に存在する任意の炭水化物部分の除去は、いくつかの実施形態において、化学的または酵素的に達成される。化学的脱グリコシル化は、化合物トリフルオロメタンスルホン酸または同等の化合物への抗体の曝露を含む。この処理は、抗体を無傷のままにしながら、結合糖(N-アセチルグルコサミンまたはN-アセチルガラクトサミン)を除くほとんどまたはすべての糖の切断をもたらす。抗体上の炭水化物部分の酵素的切断は、いくつかの実施形態において、様々なエンドグリコシダーゼおよびエキソグリコシダーゼの使用によって達成される。
【0186】
別のタイプの共有結合修飾は、抗体を様々な非タンパク質性ポリマー、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリオキシエチル化ポリオール、ポリオキシエチル化ソルビトール、ポリオキシエチル化グルコース、ポリオキシエチル化グリセロール、ポリオキシアルキレン、またはデキストランなどの多糖類ポリマーの1つに結合することを含む。このような方法は当技術分野において公知である。
【0187】
一般に、あらかじめ決められたポリペプチド抗原に結合するための親和性は、典型的には1つ以上のCDRに隣接する領域、および/または1つ以上のフレームワーク領域において、V領域フレームワークに1つ以上の突然変異を導入することによって調節される。典型的には、そのような突然変異は、グリコシル化部位配列を破壊または作製するが、ポリペプチドの疎水性親水性指標構造特性に実質的に影響を及ぼさない保存的アミノ酸置換の導入を含む。典型的には、プロリン残基を導入する変異は回避される。
【0188】
エフェクター機能
抗体エフェクター機能の例としては、C1q結合および補体依存性細胞障害、Fc受容体結合、抗体依存性細胞媒介性細胞障害(ADCC)、食作用、細胞表面受容体(例えば、B細胞受容体)のダウンレギュレーション、ならびに、B細胞活性化が挙げられる。典型的には、Fc媒介機能は、その機能が影響を受ける細胞によって発現される特殊な受容体分子「Fc受容体」または「FcR」による抗体のFc部分の結合を含む。
【0189】
IgGは、いくつかの実施形態において免疫グロブリン分子の機能のすべてを実行するため、最も多用途の免疫グロブリンと考えられる。IgGは血清中の主要なIgであり、胎盤を通過するIgの唯一のクラスである。IgGは補体も固定するが、IgG4サブクラスは固定しない。マクロファージ、単球、多形核白血球(PMN)、およびいくつかのリンパ球は、IgGのFc領域に対する受容体を有する。すべてのサブクラスが等しく良好に結合するわけではない。IgG2およびIgG4は、Fc受容体に結合しない。PMN、単球、およびマクロファージ上のFc受容体への結合の結果として、場合によっては、細胞が抗原をより良好に内在化する。IgGは、食作用を増強するオプソニンである。他のタイプの細胞上のFc受容体へのIgGの結合は、他の機能の活性化をもたらす。
【0190】
特定の実施形態において、FcRは、天然配列ヒトFcRである。さらに、好ましいFcRは、IgG抗体(ガンマ(「γ」)受容体)に結合するものであり、これらの受容体の対立遺伝子バリアントおよび選択的スプライシング型を含む、FcγRI、FcγRII、およびFcγRIIIのサブクラスの受容体を含み、FcγRII受容体は、FcγRIIA(「活性化受容体」)およびFcγRIIB(「阻害受容体」)を含み、これらは、主にその細胞質ドメインにおいて異なる類似のアミノ酸配列を有する。活性化受容体FcγRIIAは、その細胞質のドメインにおいて免疫受容体のチロシンベースの活性化モチーフ(ITAM)を含む。阻害受容体FcγRIIBは、その細胞質のドメインにおいて免疫受容体のチロシンベースの阻害モチーフ(ITIM)を含む。
【0191】
「抗体依存性細胞媒介性細胞障害」または「ADCC」は、細胞障害の形態を指し、そこでは、特定の細胞傷害性細胞(例えば、ナチュラルキラー(NK)細胞、好中球、およびマクロファージ)に存在するFc受容体(FcRs)に結合する分泌されたIgが、これらの細胞傷害性エフェクター細胞が抗原を有する標的細胞に特異的に結合し、その後、細胞毒性を有する標的細胞を死滅させることを可能にする。抗体は細胞傷害性細胞を「備え」、前述の死滅に必要とされる。ADCCを媒介するための一次細胞、NK細胞は、FcγRIIIのみを発現する一方で、単球はFcγRI、FcγRII、およびFcγRIIIを発現する。関心対象の分子のADCC活性を評価するために、いくつかの実施形態において、インビトロのADCCアッセイを行う。そのようなアッセイに有用なエフェクター細胞は、辺縁の血中単核細胞(PBMC)およびナチュラルキラー(NK)細胞を含む。
【0192】
あるいは、または、さらに、いくつかの実施形態において、関心対象の分子のADCC活性はインビボで、例えば、動物モデルにおいて評価される。
【0193】
いくつかの実施形態において、本開示の抗体は、M2様マクロファージの表面膜タンパク質に結合し、M2様マクロファージによって内在化される。この内在化プロセスは、これらの細胞の機能的免疫抑制特性の観察された変化、すなわち、それらを死滅させたりまたはそれらの増殖を阻害したりすることなく、M2状態から微妙に活性化された状態への細胞の分化に関与すると考えられる。いくつかの実施形態において、内在化に際して、抗体は、免疫抑制性の可溶性因子の発現を減少させるが、CD4+ヘルパーT細胞および細胞傷害性リンパ球を含むT細胞の活性または増殖を刺激または促進する可溶性因子の発現を増加させる。
【0194】
特定の治療用途では、内在化プロセスは、CD163タンパク質を発現する標的細胞を死滅させるか、または上記標的細胞の活性もしくは増殖を低下させる目的で用いられる。内在化される抗体分子の数は、細胞を死滅させるかまたはその増殖を阻害するのに充分または適切である。抗体または抗体コンジュゲートの効力に応じて、いくつかの例では、単一の抗体分子の細胞への取り込みは、抗体が結合する標的細胞を死滅させるのに充分である。例えば、特定の毒素は、抗体にコンジュゲートされた毒素の1つの分子の内在化が標的細胞を死滅させるのに充分であるように、死滅において非常に強力である。
【0195】
いくつかの実施形態において、本明細書で提供される抗体または抗原結合断片は、治療用部分、画像化もしくは検出可能部分、または親和性タグにコンジュゲートまたは結合される。ポリペプチドをコンジュゲートまたは結合するための方法は、当技術分野において周知である。化合物と標識との間の会合(結合)は、限定されないが、共有結合および非共有結合相互作用、化学的コンジュゲーション、ならびに組換え技術を含む当技術分野において公知の任意の手段を含む。抗体またはその抗原結合断片は、いくつかの実施形態において、親和性タグ(例えば、精製タグ)にコンジュゲートされるか、または上記親和性タグを用いて組換え操作される。例えば、ポリヒスチジン(例えば、His6、配列番号46)タグなどの親和性タグは、当技術分野において従来から知られている。
【0196】
いくつかの実施形態において、抗体または抗原結合断片は、検出可能部分をさらに含む。検出は、例えば、インビトロ、インビボ、またはエクスビボで達成される。抗体またはその抗原結合断片を使用して、例えば、マクロファージによって発現されるhuCD163タンパク質の検出および/または決定(定量化、定性化など)のためのインビトロアッセイは、限定されないが、例えば、ELISA、RIA、およびウェスタンブロットを含む。いくつかの実施形態において、抗体の抗原のインビトロ検出、診断、またはモニタリングは、対象から試料(例えば、血液試料)を得ることと、例えば、標準的なELISAアッセイにおいて試料を試験することによって行われる。
【0197】
癌を処置する方法
特定の実施形態において、本明細書で開示される抗体を個体に投与する工程を含む、個体において癌を処置する方法が本明細書で開示される。いくつかの実施形態において、本開示は、ヒト対象における癌を処置するための薬物の製造のための、本明細書に記載される抗体の使用を提供する。いくつかの実施形態において、抗体は、ヒト腫瘍関連マクロファージ上で発現されるCD163タンパク質に特異的に結合し、マクロファージによるCD16、CD64、TLR2、またはSiglec-15の少なくとも1つの発現を低下させる。
【0198】
本明細書には、特定の実施形態において、対象の免疫活性を調節する方法が開示され、上記方法は、本明細書に記載される抗体を前記対象に投与する工程を含む。いくつかの実施形態において、抗体は、ヒト腫瘍関連マクロファージ上で発現されるCD163タンパク質に特異的に結合し、マクロファージによるCD16、CD64、TLR2、またはSiglec-15の少なくとも1つの発現を低下させる。
【0199】
本明細書には、特定の実施形態において、M2マクロファージのレベルが病理学的または不適切に上昇した(例えば、対象における免疫媒介性の腫瘍細胞死滅を促進するのに有用なレベルと比較して不適切に上昇している)対象を処置する方法が開示され、上記方法は、本明細書に記載される抗体を前記対象に投与する工程を含む。いくつかの実施形態において、抗体は、ヒト腫瘍関連マクロファージ上で発現されるCD163タンパク質に特異的に結合し、マクロファージによるCD16、CD64、TLR2、またはSiglec-15の少なくとも1つの発現を低下させる。
【0200】
本明細書には、特定の実施形態において、腫瘍微小環境における腫瘍関連マクロファージの活性を調節する方法が開示され、上記方法は、腫瘍関連マクロファージを本明細書に開示される抗体と接触させる工程を含み、上記方法は、以下の効果、
(a)ヒトマクロファージによる少なくとも1つのマーカーの発現の減少であって、少なくとも1つのマーカーがCD16、CD64、TLR2、またはSiglec-15である、発現の減少、
(b)ヒトマクロファージによる抗体の内在化、
(c)CD4+T細胞、CD8+T細胞、NK細胞、またはそれらの任意の組み合わせの活性化、
(d)CD4+T細胞、CD8+T細胞、NK細胞、またはそれらの任意の組み合わせの増殖、および、
(e)腫瘍微小環境における腫瘍細胞死滅の促進、
の少なくとも1つをもたらす。
【0201】
本明細書には、特定の実施形態において、腫瘍微小環境における腫瘍関連マクロファージの活性を調節する方法が開示され、上記方法は、腫瘍関連マクロファージを本明細書に開示される抗体と接触させる工程を含み、上記方法は、以下の効果、
(a)ヒトマクロファージによる少なくとも1つのマーカーの発現の減少であって、少なくとも1つのマーカーがCD16、CD64、TLR2、またはSiglec-15である、発現の減少、
(b)ヒトマクロファージによる抗体の内在化、
(c)CD4+T細胞、CD8+T細胞、NK細胞、またはそれらの任意の組み合わせの活性化、
(d)CD4+T細胞、CD8+T細胞、NK細胞、またはそれらの任意の組み合わせの増殖、および、
(e)腫瘍微小環境における腫瘍細胞死滅の促進、
の少なくとも2つをもたらす。
【0202】
本明細書には、特定の実施形態において、腫瘍微小環境における腫瘍関連マクロファージの活性を調節する方法が開示され、上記方法は、腫瘍関連マクロファージを本明細書に開示される抗体と接触させる工程を含み、上記方法は、以下の効果、
(a)ヒトマクロファージによる少なくとも1つのマーカーの発現の減少であって、少なくとも1つのマーカーがCD16、CD64、TLR2、またはSiglec-15である、発現の減少、
(b)ヒトマクロファージによる抗体の内在化、
(c)CD4+T細胞、CD8+T細胞、NK細胞、またはそれらの任意の組み合わせの活性化、
(d)CD4+T細胞、CD8+T細胞、NK細胞、またはそれらの任意の組み合わせの増殖、および、
(e)腫瘍微小環境における腫瘍細胞死滅の促進、
の少なくとも3つをもたらす。
【0203】
本明細書には、特定の実施形態において、腫瘍微小環境における腫瘍関連マクロファージの活性を調節する方法が開示され、上記方法は、腫瘍関連マクロファージを本明細書に開示される抗体と接触させる工程を含み、上記方法は、以下の効果、
(a)ヒトマクロファージによる少なくとも1つのマーカーの発現の減少であって、少なくとも1つのマーカーがCD16、CD64、TLR2、またはSiglec-15である、発現の減少、
(b)ヒトマクロファージによる抗体の内在化、
(c)CD4+T細胞、CD8+T細胞、NK細胞、またはそれらの任意の組み合わせの活性化、
(d)CD4+T細胞、CD8+T細胞、NK細胞、またはそれらの任意の組み合わせの増殖、および、
(e)腫瘍微小環境における腫瘍細胞死滅の促進、
の少なくとも4つをもたらす。
【0204】
本明細書には、特定の実施形態において、腫瘍微小環境における腫瘍関連マクロファージの活性を調節する方法が開示され、上記方法は、腫瘍関連マクロファージを本明細書に開示される抗体と接触させる工程を含み、上記方法は、以下の効果、
(a)ヒトマクロファージによる少なくとも1つのマーカーの発現の減少であって、少なくとも1つのマーカーがCD16、CD64、TLR2、またはSiglec-15である、発現の減少、
(b)ヒトマクロファージによる抗体の内在化、
(c)CD4+T細胞、CD8+T細胞、NK細胞、またはそれらの任意の組み合わせの活性化、
(d)CD4+T細胞、CD8+T細胞、NK細胞、またはそれらの任意の組み合わせの増殖、および、
(e)腫瘍微小環境における腫瘍細胞死滅の促進、
の少なくとも5つをもたらす。
【0205】
本明細書には、特定の実施形態において、癌を有する患者における免疫抑制を低下させるために、腫瘍関連マクロファージを機能的に再配向させる方法が開示され、上記方法は、腫瘍微小環境におけるCD4+またはCD8+T細胞活性または増殖を改善するのに有効な量の本明細書に記載される抗体を含む医薬組成物を患者に投与する工程を含む。
【0206】
本明細書には、特定の実施形態において、ヒト対象のリンパ球媒介性腫瘍細胞死滅を促進する方法が開示され、上記方法は、本明細書に記載される抗体を含む有効量の医薬組成物を対象に投与する工程を含む。
【0207】
いくつかの実施形態において、抗体は、配列番号28として記載されるアミノ酸配列と少なくとも約70%同一のアミノ酸配列を有する軽鎖可変ドメイン(VL)を含む。いくつかの実施形態において、VLは、配列番号28として記載されるアミノ酸配列と少なくとも約75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一のアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態において、VLは、配列番号28として記載されるアミノ酸配列と100%同一のアミノ酸配列を有する。
【0208】
いくつかの実施形態において、抗体は、配列番号30として記載されるアミノ酸配列と少なくとも約70%同一のアミノ酸配列を有する軽鎖可変ドメイン(VL)を含む。いくつかの実施形態において、VLは、配列番号30として記載されるアミノ酸配列と少なくとも約75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一のアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態において、VLは、配列番号30として記載されるアミノ酸配列と100%同一のアミノ酸配列を有する。
【0209】
いくつかの実施形態において、抗体は、配列番号32として記載されるアミノ酸配列と少なくとも約70%同一のアミノ酸配列を有する軽鎖可変ドメイン(VL)を含む。いくつかの実施形態において、VLは、配列番号32として記載されるアミノ酸配列と少なくとも約75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一のアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態において、VLは、配列番号32として記載されるアミノ酸配列と100%同一のアミノ酸配列を有する。
【0210】
いくつかの実施形態において、抗体は、配列番号34として記載されるアミノ酸配列と少なくとも約70%同一のアミノ酸配列を有する軽鎖可変ドメイン(VL)を含む。いくつかの実施形態において、VLは、配列番号34として記載されるアミノ酸配列と少なくとも約75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一のアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態において、VLは、配列番号34として記載されるアミノ酸配列と100%同一のアミノ酸配列を有する。
【0211】
いくつかの実施形態において、抗体は、配列番号36として記載されるアミノ酸配列と少なくとも約70%同一のアミノ酸配列を有する軽鎖可変ドメイン(VL)を含む。いくつかの実施形態において、VLは、配列番号36として記載されるアミノ酸配列と少なくとも約75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一のアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態において、VLは、配列番号36として記載されるアミノ酸配列と100%同一のアミノ酸配列を有する。
【0212】
いくつかの実施形態において、抗体は、配列番号38として記載されるアミノ酸配列と少なくとも約70%同一のアミノ酸配列を有する軽鎖可変ドメイン(VL)を含む。いくつかの実施形態において、VLは、配列番号38として記載されるアミノ酸配列と少なくとも約75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一のアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態において、VLは、配列番号38として記載されるアミノ酸配列と100%同一のアミノ酸配列を有する。
【0213】
いくつかの実施形態において、抗体は、配列番号29として記載されるアミノ酸配列と少なくとも約70%同一のアミノ酸配列を有する重鎖可変ドメイン(VH)を含む。いくつかの実施形態において、VHは、配列番号29として記載されるアミノ酸配列と少なくとも約75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一のアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態において、VHは、配列番号29として記載されるアミノ酸配列と100%同一のアミノ酸配列を有する。
【0214】
いくつかの実施形態において、抗体は、配列番号31として記載されるアミノ酸配列と少なくとも約70%同一のアミノ酸配列を有する重鎖可変ドメイン(VH)を含む。いくつかの実施形態において、VHは、配列番号31として記載されるアミノ酸配列と少なくとも約75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一のアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態において、VHは、配列番号31として記載されるアミノ酸配列と100%同一のアミノ酸配列を有する。
【0215】
いくつかの実施形態において、抗体は、配列番号33として記載されるアミノ酸配列と少なくとも約70%同一のアミノ酸配列を有する重鎖可変ドメイン(VH)を含む。いくつかの実施形態において、VHは、配列番号33として記載されるアミノ酸配列と少なくとも約75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一のアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態において、VHは、配列番号33として記載されるアミノ酸配列と100%同一のアミノ酸配列を有する。
【0216】
いくつかの実施形態において、抗体は、配列番号35として記載されるアミノ酸配列と少なくとも約70%同一のアミノ酸配列を有する重鎖可変ドメイン(VH)を含む。いくつかの実施形態において、VHは、配列番号35として記載されるアミノ酸配列と少なくとも約75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一のアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態において、VHは、配列番号35として記載されるアミノ酸配列と100%同一のアミノ酸配列を有する。
【0217】
いくつかの実施形態において、抗体は、配列番号37として記載されるアミノ酸配列と少なくとも約70%同一のアミノ酸配列を有する重鎖可変ドメイン(VH)を含む。いくつかの実施形態において、VHは、配列番号37として記載されるアミノ酸配列と少なくとも約75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一のアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態において、VHは、配列番号37として記載されるアミノ酸配列と100%同一のアミノ酸配列を有する。
【0218】
いくつかの実施形態において、抗体は、配列番号39として記載されるアミノ酸配列と少なくとも約70%同一のアミノ酸配列を有する重鎖可変ドメイン(VH)を含む。いくつかの実施形態において、VHは、配列番号39として記載されるアミノ酸配列と少なくとも約75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一のアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態において、VHは、配列番号39として記載されるアミノ酸配列と100%同一のアミノ酸配列を有する。
【0219】
いくつかの実施形態において、抗体は、配列番号28、配列番号30、配列番号32、配列番号34、配列番号36、配列番号38、および配列番号40からなる群において記載されるアミノ酸配列と少なくとも約70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一のアミノ酸配列を有する軽鎖可変ドメイン(VL)と、配列番号29、配列番号31、配列番号33、配列番号35、配列番号37、配列番号39、および配列番号41からなる群において記載されるアミノ酸配列と少なくとも約70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一のアミノ酸配列を有する重鎖可変ドメイン(VH)と、を含み、ただし、抗体は、配列番号40の軽鎖可変配列および配列番号41の重鎖可変配列を含まないものとする。いくつかの実施形態において、抗体の配列は、CDR H1、CDR H2、CDR H2、CDR L1、CDR L2、およびCDR L3において100%同一である。
【0220】
いくつかの実施形態において、抗体は、配列番号28、配列番号30、配列番号32、配列番号34、配列番号36、配列番号38、および配列番号40からなる群において記載されるアミノ酸配列と少なくとも約80%同一のアミノ酸配列を有する軽鎖可変ドメイン(VL)と、配列番号29、配列番号31、配列番号33、配列番号35、配列番号37、配列番号39、および配列番号41からなる群において記載されるアミノ酸配列と少なくとも約80%同一のアミノ酸配列を有する軽鎖可変ドメイン(VL)と、を含み、ただし、抗体は、配列番号40の軽鎖可変配列および配列番号41の重鎖可変配列を含まないものとする。いくつかの実施形態において、抗体の配列は、CDR H1、CDR H2、CDR H2、CDR L1、CDR L2、およびCDR L3において100%同一である。
【0221】
いくつかの実施形態において、抗体は、配列番号1、配列番号7、および配列番号13からなる群において記載されるアミノ酸配列と少なくとも約70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR1と、配列番号2、配列番号9、および配列番号14からなる群において記載されるアミノ酸配列と少なくとも約70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR2と、配列番号3、配列番号8、配列番号10、配列番号11、配列番号12、および配列番号15からなる群において記載されるアミノ酸配列と少なくとも約70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR3と、を含み、ただし、抗体は、配列番号1、配列番号2、および配列番号3に記載の配列を含まないものとする。
【0222】
いくつかの実施形態において、抗体は、配列番号1、配列番号7、および配列番号13からなる群において記載されるアミノ酸配列と100%同一のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR1と、配列番号2、配列番号9、および配列番号14からなる群において記載されるアミノ酸配列と100%同一のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR2と、配列番号3、配列番号8、配列番号10、配列番号11、配列番号12、および配列番号15からなる群において記載されるアミノ酸配列と100%同一のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR3と、を含み、ただし、抗体は、配列番号1、配列番号2、および配列番号3に記載の配列を含まないものとする。
【0223】
いくつかの実施形態において、抗体は、配列番号4、配列番号16、配列番号19、配列番号22、および配列番号25からなる群において記載されるアミノ酸配列と少なくとも約70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一のアミノ酸配列を有する重鎖CDR1と、配列番号5、配列番号17、配列番号20、配列番号23、および配列番号26からなる群において記載されるアミノ酸配列と少なくとも約70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一のアミノ酸配列を有する重鎖CDR2と、配列番号6、配列番号18、配列番号21、配列番号24、および配列番号27からなる群において記載されるアミノ酸配列と少なくとも約70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一のアミノ酸配列を有する重鎖CDR3と、を含み、ただし、抗体は、配列番号4、配列番号5、および配列番号6に記載の配列を含まないものとする。
【0224】
いくつかの実施形態において、抗体は、配列番号4、配列番号16、配列番号19、配列番号22、および配列番号25からなる群において記載されるアミノ酸配列と100%同一のアミノ酸配列を有する重鎖CDR1と、配列番号5、配列番号17、配列番号20、配列番号23、および配列番号26からなる群において記載されるアミノ酸配列と100%同一のアミノ酸配列を有する重鎖CDR2と、配列番号6、配列番号18、配列番号21、配列番号24、および配列番号27からなる群において記載されるアミノ酸配列と100%同一のアミノ酸配列を有する重鎖CDR3と、を含み、ただし、抗体は、配列番号4、配列番号5、および配列番号6に記載の配列を含まないものとする。
【0225】
いくつかの実施形態において、抗体は、(a)配列番号1、配列番号7、および配列番号13からなる群において記載されるアミノ酸配列と少なくとも約70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR1と、配列番号2、配列番号9、および配列番号14からなる群において記載されるアミノ酸配列と少なくとも約70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR2と、配列番号3、配列番号8、配列番号10、配列番号11、配列番号12、および配列番号15からなる群において記載されるアミノ酸配列と少なくとも約70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR3と、ならびに、(b)配列番号4、配列番号16、配列番号19、配列番号22、および配列番号25からなる群において記載されるアミノ酸配列と少なくとも約70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一のアミノ酸配列を有する重鎖CDR1と、配列番号5、配列番号17、配列番号20、配列番号23、および配列番号26からなる群において記載されるアミノ酸配列と少なくとも約70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一のアミノ酸配列を有する重鎖CDR2と、配列番号6、配列番号18、配列番号21、配列番号24、および配列番号27からなる群において記載されるアミノ酸配列と少なくとも約70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一のアミノ酸配列を有する重鎖CDR3と、を含み、ただし、抗体は、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、および配列番号6に記載される配列を含まないものとする。
【0226】
いくつかの実施形態において、抗体は、(a)配列番号1、配列番号7、および配列番号13からなる群において記載されるアミノ酸配列と少なくとも約70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR1と、配列番号2、配列番号9、および配列番号14からなる群において記載されるアミノ酸配列と少なくとも約70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR2と、配列番号3、配列番号8、配列番号10、配列番号11、配列番号12、および配列番号15からなる群において記載されるアミノ酸配列と少なくとも約70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR3と、ならびに、(b)配列番号4、配列番号16、配列番号19、配列番号22、および配列番号25からなる群において記載されるアミノ酸配列と少なくとも約70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一のアミノ酸配列を有する重鎖CDR1と、配列番号5、配列番号17、配列番号20、配列番号23、および配列番号26からなる群において記載されるアミノ酸配列と少なくとも約70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一のアミノ酸配列を有する重鎖CDR2と、配列番号6、配列番号18、配列番号21、配列番号24、および配列番号27からなる群において記載されるアミノ酸配列と少なくとも約70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一のアミノ酸配列を有する重鎖CDR3と、を含み、ただし、抗体は、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、および配列番号6に記載される配列を含まないものとする。
【0227】
いくつかの実施形態において、本開示は、癌を有するヒト対象における腫瘍関連マクロファージによる免疫抑制を低減する薬物の製造のための、本明細書に記載される抗体の使用を提供する。
【0228】
いくつかの実施形態において、本開示は、癌を有するヒト対象においてT細胞媒介性腫瘍細胞死滅を促進する薬物の製造のための、本明細書に記載される抗体の使用を提供する。
【0229】
いくつかの実施形態において、本開示は、癌を有するヒト対象を処置する方法であって、対象に治療有効量の本明細書に記載される抗体を投与する工程を含み、それによって対象における腫瘍関連マクロファージによる免疫抑制が低減される、方法を提供する。
【0230】
いくつかの実施形態において、本開示は、癌を有するヒト対象を処置する方法であって、対象に治療有効量の本明細書に記載される抗体を投与する工程を含み、それによって対象におけるT細胞媒介性腫瘍細胞死滅が増加する、方法を提供する。
【0231】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示される方法は、CD8+T細胞活性化および増殖の骨髄細胞抑制を低減する。
【0232】
いくつかの実施形態において、抗体は、癌細胞のCAR T細胞媒介性死滅の骨髄細胞抑制を低減する。
【0233】
いくつかの実施形態において、抗体は、ADCCによる癌細胞のNK細胞媒介性死滅の骨髄系細胞抑制を低減する。
【0234】
いくつかの実施形態において、癌は肺癌または肉腫である。いくつかの実施形態において、肺癌は肺腺癌である。いくつかの実施形態において、肺癌は非小細胞肺癌である。
【0235】
本明細書に開示される方法のいずれかは、場合によっては、追加の抗癌療法を前記対象に投与する工程をさらに含む。抗癌療法としては、限定されないが、外科的療法、化学療法、放射線療法、寒冷療法、ホルモン療法、免疫療法、およびサイトカイン療法、ならびにそれらの組み合わせが挙げられる。1つの実施形態において、抗体またはその抗原結合断片および抗癌療法は、同時にまたは連続して投与される。
【0236】
いくつかの実施形態において、追加の抗癌療法は免疫療法である。いくつかの実施形態において、免疫療法は、チェックポイント阻害剤を含む組成物である。いくつかの実施形態において、追加の抗癌療法は免疫チェックポイント阻害剤である。
【0237】
線維症を処置する方法
本明細書には、特定の実施形態において、対象のM2マクロファージの存在に関連する線維症などの線維症を処置する方法であって、対象に本明細書に開示される抗体を投与する工程を含む、方法が開示される。いくつかの実施形態において、線維症は原発性線維性疾患である。いくつかの実施形態において、線維症は二次線維性疾患である。いくつかの実施形態において、本開示は、ヒト対象における線維症を処置するための薬物の製造のための、本明細書に記載される抗体の使用を提供する。いくつかの実施形態において、抗体は、組織常在性または浸潤性マクロファージなどのヒトマクロファージ上で発現されるCD163タンパク質に特異的に結合し、マクロファージによるCD16、CD64、TLR2、またはSiglec-15の少なくとも1つの発現を低下させる。
【0238】
本明細書には、特定の実施形態において、対象の免疫活性を調節する方法が開示され、上記方法は、本明細書に記載される抗体を前記対象に投与する工程を含む。いくつかの実施形態において、抗体は、組織常在性または浸潤性マクロファージなどのヒトマクロファージ上で発現されるCD163タンパク質に特異的に結合し、マクロファージによるCD16、CD64、TLR2、またはSiglec-15の少なくとも1つの発現を低下させる。
【0239】
本明細書には、特定の実施形態において、M2マクロファージのレベルが病理学的または不適切に上昇した(例えば、対象における適切な創傷治癒および/または組織再生を促進するのに有用なレベルと比較して不適切に上昇している)対象を処置する方法が開示され、上記方法は、本明細書に記載される抗体を前記対象に投与する工程を含む。いくつかの実施形態において、抗体は、組織常在性または浸潤性マクロファージなどのヒトマクロファージ上で発現されるCD163タンパク質に特異的に結合し、マクロファージによるCD16、CD64、TLR2、またはSiglec-15の少なくとも1つの発現を低下させる。
【0240】
本明細書には、特定の実施形態において、M2マクロファージの存在に関連する線維症などの線維症を有する患者におけるマクロファージの線維化促進機能を低減するために、組織常在性または浸潤性M2マクロファージなどのマクロファージを機能的に再配向する方法が開示され、上記方法は、線維性組織における線維芽細胞の活性化および/または増殖を減少させるのに有効な量の本明細書に記載される抗体を含む医薬組成物を患者に投与する工程を含む。いくつかの実施形態において、線維症は原発性線維性疾患である。いくつかの実施形態において、線維症は二次線維性疾患である。
【0241】
本明細書には、特定の実施形態において、ヒト対象において、組織常在性または浸潤性M2マクロファージなどのマクロファージによるTGF-β、PDGF、VEGF、IGF-1、ガレクチン-3、IL-10、またはそれらの組み合わせの分泌を減少させる方法が開示され、上記方法は、本明細書に記載される抗体を含む有効量の医薬組成物を対象に投与する工程を含む。
【0242】
本明細書には、特定の実施形態において、線維性組織におけるM2マクロファージなどのマクロファージの活性を調節する方法が開示され、上記方法は、マクロファージを本明細書に開示される抗体と接触させる工程を含み、上記方法は、以下の効果、
(a)ヒトマクロファージによる少なくとも1つのマーカーの発現の減少であって、少なくとも1つのマーカーがCD16、CD64、TLR2、またはSiglec-15である、発現の減少、または、
(b)ヒトマクロファージによる抗体の内在化、
の少なくとも1つをもたらす。
いくつかの実施形態において、線維症は原発性線維性疾患である。いくつかの実施形態において、線維症は二次線維性疾患である。
【0243】
いくつかの実施形態において、抗体は、配列番号28として記載されるアミノ酸配列と少なくとも約70%同一のアミノ酸配列を有する軽鎖可変ドメイン(VL)を含む。いくつかの実施形態において、VLは、配列番号28として記載されるアミノ酸配列と少なくとも約75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一のアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態において、VLは、配列番号28として記載されるアミノ酸配列と100%同一のアミノ酸配列を有する。
【0244】
いくつかの実施形態において、抗体は、配列番号30として記載されるアミノ酸配列と少なくとも約70%同一のアミノ酸配列を有する軽鎖可変ドメイン(VL)を含む。いくつかの実施形態において、VLは、配列番号30として記載されるアミノ酸配列と少なくとも約75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一のアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態において、VLは、配列番号30として記載されるアミノ酸配列と100%同一のアミノ酸配列を有する。
【0245】
いくつかの実施形態において、抗体は、配列番号32として記載されるアミノ酸配列と少なくとも約70%同一のアミノ酸配列を有する軽鎖可変ドメイン(VL)を含む。いくつかの実施形態において、VLは、配列番号32として記載されるアミノ酸配列と少なくとも約75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一のアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態において、VLは、配列番号32として記載されるアミノ酸配列と100%同一のアミノ酸配列を有する。
【0246】
いくつかの実施形態において、抗体は、配列番号34として記載されるアミノ酸配列と少なくとも約70%同一のアミノ酸配列を有する軽鎖可変ドメイン(VL)を含む。いくつかの実施形態において、VLは、配列番号34として記載されるアミノ酸配列と少なくとも約75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一のアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態において、VLは、配列番号34として記載されるアミノ酸配列と100%同一のアミノ酸配列を有する。
【0247】
いくつかの実施形態において、抗体は、配列番号36として記載されるアミノ酸配列と少なくとも約70%同一のアミノ酸配列を有する軽鎖可変ドメイン(VL)を含む。いくつかの実施形態において、VLは、配列番号36として記載されるアミノ酸配列と少なくとも約75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一のアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態において、VLは、配列番号36として記載されるアミノ酸配列と100%同一のアミノ酸配列を有する。
【0248】
いくつかの実施形態において、抗体は、配列番号38として記載されるアミノ酸配列と少なくとも約70%同一のアミノ酸配列を有する軽鎖可変ドメイン(VL)を含む。いくつかの実施形態において、VLは、配列番号38として記載されるアミノ酸配列と少なくとも約75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一のアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態において、VLは、配列番号38として記載されるアミノ酸配列と100%同一のアミノ酸配列を有する。
【0249】
いくつかの実施形態において、抗体は、配列番号29として記載されるアミノ酸配列と少なくとも約70%同一のアミノ酸配列を有する重鎖可変ドメイン(VH)を含む。いくつかの実施形態において、VHは、配列番号29として記載されるアミノ酸配列と少なくとも約75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一のアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態において、VHは、配列番号29として記載されるアミノ酸配列と100%同一のアミノ酸配列を有する。
【0250】
いくつかの実施形態において、抗体は、配列番号31として記載されるアミノ酸配列と少なくとも約70%同一のアミノ酸配列を有する重鎖可変ドメイン(VH)を含む。いくつかの実施形態において、VHは、配列番号31として記載されるアミノ酸配列と少なくとも約75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一のアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態において、VHは、配列番号31として記載されるアミノ酸配列と100%同一のアミノ酸配列を有する。
【0251】
いくつかの実施形態において、抗体は、配列番号33として記載されるアミノ酸配列と少なくとも約70%同一のアミノ酸配列を有する重鎖可変ドメイン(VH)を含む。いくつかの実施形態において、VHは、配列番号33として記載されるアミノ酸配列と少なくとも約75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一のアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態において、VHは、配列番号33として記載されるアミノ酸配列と100%同一のアミノ酸配列を有する。
【0252】
いくつかの実施形態において、抗体は、配列番号35として記載されるアミノ酸配列と少なくとも約70%同一のアミノ酸配列を有する重鎖可変ドメイン(VH)を含む。いくつかの実施形態において、VHは、配列番号35として記載されるアミノ酸配列と少なくとも約75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一のアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態において、VHは、配列番号35として記載されるアミノ酸配列と100%同一のアミノ酸配列を有する。
【0253】
いくつかの実施形態において、抗体は、配列番号37として記載されるアミノ酸配列と少なくとも約70%同一のアミノ酸配列を有する重鎖可変ドメイン(VH)を含む。いくつかの実施形態において、VHは、配列番号37として記載されるアミノ酸配列と少なくとも約75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一のアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態において、VHは、配列番号37として記載されるアミノ酸配列と100%同一のアミノ酸配列を有する。
【0254】
いくつかの実施形態において、抗体は、配列番号39として記載されるアミノ酸配列と少なくとも約70%同一のアミノ酸配列を有する重鎖可変ドメイン(VH)を含む。いくつかの実施形態において、VHは、配列番号39として記載されるアミノ酸配列と少なくとも約75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一のアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態において、VHは、配列番号39として記載されるアミノ酸配列と100%同一のアミノ酸配列を有する。
【0255】
いくつかの実施形態において、抗体は、配列番号28、配列番号30、配列番号32、配列番号34、配列番号36、配列番号38、および配列番号40からなる群において記載されるアミノ酸配列と少なくとも約70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一のアミノ酸配列を有する軽鎖可変ドメイン(VL)と、配列番号29、配列番号31、配列番号33、配列番号35、配列番号37、配列番号39、および配列番号41からなる群において記載されるアミノ酸配列と少なくとも約70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一のアミノ酸配列を有する重鎖可変ドメイン(VH)と、を含み、ただし、抗体は、配列番号40の軽鎖可変配列および配列番号41の重鎖可変配列を含まないものとする。いくつかの実施形態において、抗体の配列は、CDR H1、CDR H2、CDR H2、CDR L1、CDR L2、およびCDR L3において100%同一である。
【0256】
いくつかの実施形態において、抗体は、配列番号28、配列番号30、配列番号32、配列番号34、配列番号36、配列番号38、および配列番号40からなる群において記載されるアミノ酸配列と少なくとも約80%同一のアミノ酸配列を有する軽鎖可変ドメイン(VL)と、配列番号29、配列番号31、配列番号33、配列番号35、配列番号37、配列番号39、および配列番号41からなる群において記載されるアミノ酸配列と少なくとも約80%同一のアミノ酸配列を有する軽鎖可変ドメイン(VL)と、を含み、ただし、抗体は、配列番号40の軽鎖可変配列および配列番号41の重鎖可変配列を含まないものとする。いくつかの実施形態において、抗体の配列は、CDR H1、CDR H2、CDR H2、CDR L1、CDR L2、およびCDR L3において100%同一である。
【0257】
いくつかの実施形態において、抗体は、配列番号1、配列番号7、および配列番号13からなる群において記載されるアミノ酸配列と少なくとも約70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR1と、配列番号2、配列番号9、および配列番号14からなる群において記載されるアミノ酸配列と少なくとも約70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR2と、配列番号3、配列番号8、配列番号10、配列番号11、配列番号12、および配列番号15からなる群において記載されるアミノ酸配列と少なくとも約70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR3と、を含み、ただし、抗体は、配列番号1、配列番号2、および配列番号3に記載の配列を含まないものとする。
【0258】
いくつかの実施形態において、抗体は、配列番号1、配列番号7、および配列番号13からなる群において記載されるアミノ酸配列と100%同一のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR1と、配列番号2、配列番号9、および配列番号14からなる群において記載されるアミノ酸配列と100%同一のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR2と、配列番号3、配列番号8、配列番号10、配列番号11、配列番号12、および配列番号15からなる群において記載されるアミノ酸配列と100%同一のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR3と、を含み、ただし、抗体は、配列番号1、配列番号2、および配列番号3に記載の配列を含まないものとする。
【0259】
いくつかの実施形態において、抗体は、配列番号4、配列番号16、配列番号19、配列番号22、および配列番号25からなる群において記載されるアミノ酸配列と少なくとも約70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一のアミノ酸配列を有する重鎖CDR1と、配列番号5、配列番号17、配列番号20、配列番号23、および配列番号26からなる群において記載されるアミノ酸配列と少なくとも約70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一のアミノ酸配列を有する重鎖CDR2と、配列番号6、配列番号18、配列番号21、配列番号24、および配列番号27からなる群において記載されるアミノ酸配列と少なくとも約70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一のアミノ酸配列を有する重鎖CDR3と、を含み、ただし、抗体は、配列番号4、配列番号5、および配列番号6に記載の配列を含まないものとする。
【0260】
いくつかの実施形態において、抗体は、配列番号4、配列番号16、配列番号19、配列番号22、および配列番号25からなる群において記載されるアミノ酸配列と100%同一のアミノ酸配列を有する重鎖CDR1と、配列番号5、配列番号17、配列番号20、配列番号23、および配列番号26からなる群において記載されるアミノ酸配列と100%同一のアミノ酸配列を有する重鎖CDR2と、配列番号6、配列番号18、配列番号21、配列番号24、および配列番号27からなる群において記載されるアミノ酸配列と100%同一のアミノ酸配列を有する重鎖CDR3と、を含み、ただし、抗体は、配列番号4、配列番号5、および配列番号6に記載の配列を含まないものとする。
【0261】
いくつかの実施形態において、抗体は、(a)配列番号1、配列番号7、および配列番号13からなる群において記載されるアミノ酸配列と少なくとも約70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR1と、配列番号2、配列番号9、および配列番号14からなる群において記載されるアミノ酸配列と少なくとも約70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR2と、配列番号3、配列番号8、配列番号10、配列番号11、配列番号12、および配列番号15からなる群において記載されるアミノ酸配列と少なくとも約70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR3と、ならびに、(b)配列番号4、配列番号16、配列番号19、配列番号22、および配列番号25からなる群において記載されるアミノ酸配列と少なくとも約70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一のアミノ酸配列を有する重鎖CDR1と、配列番号5、配列番号17、配列番号20、配列番号23、および配列番号26からなる群において記載されるアミノ酸配列と少なくとも約70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一のアミノ酸配列を有する重鎖CDR2と、配列番号6、配列番号18、配列番号21、配列番号24、および配列番号27からなる群において記載されるアミノ酸配列と少なくとも約70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一のアミノ酸配列を有する重鎖CDR3と、を含み、ただし、抗体は、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、および配列番号6に記載される配列を含まないものとする。
【0262】
いくつかの実施形態において、抗体は、(a)配列番号1、配列番号7、および配列番号13からなる群において記載されるアミノ酸配列と少なくとも約70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR1と、配列番号2、配列番号9、および配列番号14からなる群において記載されるアミノ酸配列と少なくとも約70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR2と、配列番号3、配列番号8、配列番号10、配列番号11、配列番号12、および配列番号15からなる群において記載されるアミノ酸配列と少なくとも約70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR3と、ならびに、(b)配列番号4、配列番号16、配列番号19、配列番号22、および配列番号25からなる群において記載されるアミノ酸配列と少なくとも約70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一のアミノ酸配列を有する重鎖CDR1と、配列番号5、配列番号17、配列番号20、配列番号23、および配列番号26からなる群において記載されるアミノ酸配列と少なくとも約70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一のアミノ酸配列を有する重鎖CDR2と、配列番号6、配列番号18、配列番号21、配列番号24、および配列番号27からなる群において記載されるアミノ酸配列と少なくとも約70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一のアミノ酸配列を有する重鎖CDR3と、を含み、ただし、抗体は、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、および配列番号6に記載される配列を含まないものとする。
【0263】
いくつかの実施形態において、本開示は、M2マクロファージの存在に関連する線維症などの線維症を有するヒト対象において、組織常在性または浸潤性M2マクロファージなどのマクロファージによる線維化促進機能を低下させる薬物の製造のための、本明細書に記載される抗体の使用を提供する。いくつかの実施形態において、線維症は原発性線維性疾患である。いくつかの実施形態において、線維症は二次線維性疾患である。
【0264】
いくつかの実施形態において、本開示は、M2マクロファージの存在に関連する線維症などの線維症を有するヒト対象において、線維芽細胞の活性化および/または増殖を低下させる薬物の製造のための、本明細書に記載される抗体の使用を提供する。いくつかの実施形態において、線維症は原発性線維性疾患である。いくつかの実施形態において、線維症は二次線維性疾患である。
【0265】
いくつかの実施形態において、本開示は、M2マクロファージの存在に関連する線維症などの線維症を有するヒト対象を処置する方法であって、対象に治療有効量の本明細書に記載される抗体を投与する工程を含み、それによって対象における組織常在性または浸潤性M2マクロファージなどのマクロファージの線維化促進機能が低減される、方法を提供する。いくつかの実施形態において、線維症は原発性線維性疾患である。いくつかの実施形態において、線維症は二次線維性疾患である。
【0266】
いくつかの実施形態において、本開示は、M2マクロファージの存在に関連する線維症などの線維症を有するヒト対象を処置する方法であって、対象に治療有効量の本明細書に記載される抗体を投与する工程を含み、それによって線維芽細胞の活性化および/または増殖が低減される、方法を提供する。いくつかの実施形態において、線維症は原発性線維性疾患である。いくつかの実施形態において、線維症は二次線維性疾患である。
【0267】
いくつかの実施形態において、本開示は、M2-マクロファージの存在に関連する線維症などの線維症を有するヒト患者を処置する方法であって、有効量の本明細書に記載される抗体を患者に投与する工程を含む、方法を提供する。
【0268】
いくつかの実施形態において、線維症は原発性線維性疾患である。いくつかの実施形態において、原発性線維性疾患は、嚢胞性線維症、特発性肺線維症、肝硬変、全身性硬化症(SSc)、強皮症移植片対宿主病(GVHD)、腎性全身性線維症、および放射線線維症である。例示的な放射線線維症としては、例えば、放射線療法によって引き起こされる肺の炎症(肺炎)に続く組織修復から生じる肺線維症が挙げられる。例えば、癌の処置のために放射線療法に供される他の軟組織、例えば、乳房組織、頭頸部組織、神経、心臓組織、血管、骨、ならびに筋肉、腱、および靭帯も、放射線線維症を示し得る。「放射線線維症症候群」は、放射線治療から生じる進行性線維性組織硬化症の臨床症状を指すために使用され得る。
【0269】
いくつかの実施形態において、線維症は二次線維性疾患である。いくつかの実施形態において、線維症は、急性疾患または慢性疾患の続発症である。いくつかの実施形態において、線維症が続発症である疾患または障害は、癌、ウイルス感染症、または自己免疫性もしくは炎症性疾患である。線維症に関連する例示的な感染症は、敗血症、HIV感染症、SARS-CoV-2感染症、およびマラリアである。線維症に関連する例示的な自己免疫性および炎症性の疾患および障害は、鎌状赤血球症、1型真性糖尿病、2型真性糖尿病、クローン病、セリアック病、喘息、サルコイドーシス、糸球体腎炎、ループス腎炎、全身性エリテマトーデス、関節リウマチ、シェーグレン症候群、強皮症、嚢胞性線維症(CF)、移植片対宿主病、同種移植片拒絶反応、サルコイドーシス、血球貪食性リンパ組織球症(HLH)、炎症性関節炎、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、喘息、変形性関節症、および多発性硬化症である。
【0270】
いくつかの実施形態において、線維症は肺線維症である。肺線維症は、肺疾患または肺障害と関連し得る。例示的な肺疾患は、特発性肺線維症(IPF)である。他の例示的な肺疾患および障害としては、限定されないが、間質性肺疾患(ILD)、びまん性間質性肺疾患、肺サルコイドーシス、急性肺損傷(ALI)、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、Covid-19、および過敏性肺炎が挙げられる。
【0271】
いくつかの実施形態において、線維症は心臓線維症である。心臓線維症は、心臓の疾患または障害と関連し得る。例示的な心臓の疾患および障害としては、限定されないが、アテローム性動脈硬化症、心房細動、慢性心不全、末梢動脈疾患、および急性冠動脈症候群が挙げられる。
【0272】
いくつかの実施形態において、線維症は肝線維症である。肝線維症は、肝疾患または肝障害と関連し得る。例示的な肝疾患および肝障害としては、限定されないが、肝線維症、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、慢性肝不全の急性増悪、急性肝不全、アルコール性肝炎、非アルコール性脂肪性肝炎、肝硬変、およびウイルス性肝炎が挙げられる。
【0273】
いくつかの実施形態において、線維症は腎線維症である。腎線維症は、腎臓の疾患または障害と関連し得る。例示的な腎臓の疾患および障害としては、限定されないが、急性腎障害、急性尿細管壊死、慢性腎臓病、および腎臓同種移植片拒絶反応が挙げられる。
【0274】
いくつかの実施形態において、線維症は網膜線維症である。
【0275】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示される方法のいずれかは、追加の抗線維症治療薬(anti-fibrosis therapy)を前記対象に投与する工程をさらに含む。抗線維症治療としては、限定されないが、ニンテダニブ、ピルフェニドン、コルチコステロイド(例えば、プレドニゾン)、ミコフェノール酸モフェチル/ミコフェノール酸、アザチオプリン、ACE阻害剤(例えば、ベナゼプリル、リシノプリル、およびラミプリル)、アンジオテンシンII受容体遮断薬(ARB)、抗ウイルス剤(例えば、C型肝炎治療剤)、およびTGF-β阻害剤が挙げられる。
【0276】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示される方法のいずれかは、前記対象に追加の抗炎症治療を投与する工程をさらに含む。抗炎症治療としては、限定されないが、コルチコステロイド(例えば、プレドニゾン)、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID、例えば、イブプロフェン)、ピルフェニドン、および他の免疫調節剤が挙げられる。
【0277】
いくつかの実施形態において、他の抗体、小分子治療薬、および/または他の薬剤は、同時または連続投与のために別々の組成物に組み合わされる。1つの実施形態において、同時投与は、互いに同時にまたは30分以内に投与される1つ以上の組成物を含む。いくつかの実施形態において、投与は、同じまたは異なる部位で行われる。
【0278】
このような成分の毒性および治療有効性は、いくつかの実施形態において、例えば、LD50(集団の50%に対して致死的な用量)およびED50(集団の50%において治療的に有効な用量)を決定するための、細胞培養物または実験動物における標準的な薬学的手順によって決定される。いくつかの実施形態において、毒性効果と治療効果との間の用量比は治療指数であり、LD50/ED50の比として表される。毒性副作用を示す化合物がいくつかの実施形態において使用されるが、健康な細胞に対する潜在的な損傷を最小限に抑え、それによって副作用を低減するために、そのような化合物を罹患組織の部位に標的化する送達系を設計することに注意を払わなければならない。
【0279】
細胞培養アッセイおよび動物研究から得られたデータは、いくつかの実施形態において、ヒトにおける使用のための投与量の範囲を処方する際に使用される。このような化合物の投与量は、好ましくは、毒性がほとんどまたはまったくED50を含む循環濃度の範囲内にある。いくつかの実施形態において、投与量は、採用される剤形と利用される投与経路に依存して、この範囲内で変化する。本開示の方法において使用される任意の化合物について、治療有効用量は、いくつかの実施形態において、最初に細胞培養アッセイから推定される。いくつかの実施形態において、用量は、細胞培養において決定されるようなIC50(すなわち、最大半量の阻害を達成する試験化合物の濃度)を含む循環血漿濃度配置を達成するように動物モデルにおいて処方される。血漿中のレベルは、例えば、高速液体クロマトグラフィーによって測定される。このような情報は、場合によっては、ヒトにおける有用な用量をより正確に決定するために使用される。
【0280】
いくつかの実施形態において、本開示は、M2-マクロファージの存在に関連する線維症などの線維症を有する患者を処置する方法を提供し、上記方法は、治療有効量の本明細書に記載される抗体を患者に投与する工程を含み、外科的療法またはサイトカイン療法から選択される線維症療法で対象を処置する工程をさらに含む。いくつかの実施形態において、線維症は原発性線維性疾患である。いくつかの実施形態において、線維症は二次線維性疾患である。いくつかの実施形態において、抗体またはその抗原結合断片、および別の線維症治療薬(例えば、抗炎症性)は、同時にまたは連続して投与される。
【0281】
診断用製品および診断方法
いくつかの実施形態において、患者の処置状態を評価するか、またはM2マクロファージもしくは組織常在性マクロファージ、または浸潤性マクロファージの活性と関連もしくは相関する疾患もしくは障害、例えば、本明細書に記載される線維性疾患および障害を診断するために、試料または対象におけるhuCD163タンパク質またはM2マクロファージの検出方法が本明細書に開示される。
【0282】
可溶性huCD163タンパク質のインビボ検出、診断、もしくはモニタリング、細胞もしくは組織によるhuCD163タンパク質の発現、またはM2マクロファージの存在もしくは活性において、対象に、本明細書に記載される抗体または抗原結合断片を投与し、この抗体または抗原結合断片は、検出可能な部分に結合している。検出可能な部分は、いくつかの実施形態において、限定されないが、磁気共鳴画像法(MRI)、蛍光、ラジオイメージング、内視鏡によって供給される光源、腹腔鏡または血管内カテーテル(すなわち、光活性剤の検出による)、光走査、陽電子放出断層撮影(PET)走査、全身核磁気共鳴(NMR)、ラジオシンチグラフィー(radioscintigraphy)、単一光子放射断層撮影(SPECT)、標的近赤外領域(NIR)走査、X線、超音波などの当該技術分野で認識されている方法を使用して可視化される。そのような方法を用いて化合物を検出するための標識も当技術分野で公知である。検出可能な部分の可視化は、いくつかの実施形態において、M2マクロファージ活性またはhuCD163タンパク質を発現する別の細胞の活性に関連する状態または疾患の検出、診断、および/またはモニタリングを可能にする。所望の標的タンパク質、すなわち、huCD163タンパク質に特異的な抗体を利用するさらなる診断アッセイは、当技術分野において公知であり、本明細書でも企図される。
【0283】
インビトロ検出方法の場合、対象から得られる試料には、限定されないが、血液、組織生検試料、およびそこからの流体が挙げられる。
【0284】
したがって、本開示は、線維性疾患または障害に関連するM2マクロファージ、組織常在性マクロファージ、または浸潤性マクロファージのレベルを検出または診断するのに有用な抗体およびその抗原結合断片を提供し、潜在的に治療的処置の必要性を示す。他の実施形態において、抗体は、第2の薬剤をさらに含む。そのような薬剤は、いくつかの実施形態において、例えば、レポーター分子または検出可能な標識などの分子または部分である。このような検出方法のための検出可能な標識/部分は、当該分野で公知であり、以下により詳細に記載される。レポーター分子は、例えば、アッセイを用いて検出される任意の部分である。ポリペプチドにコンジュゲートされているレポーター分子の非限定的な例としては、酵素、放射標識、ハプテン、蛍光標識、リン光分子、化学発光分子、発色団、発光分子、光親和性分子、着色粒子、またはリガンド、例えば、ビオチンが挙げられる。いくつかの実施形態において、検出可能な標識は、それらの特異的な機能的特性、および/または化学的特性に起因して検出される化合物および/または要素を含み、その使用は、それらが結合されるポリペプチドの検出、および/または必要に応じてさらに定量化を可能にする。多くの適切な検出可能(イメージング)剤が当技術分野において公知であり、ポリペプチドへの結合のための方法も同様である。
【0285】
ポリペプチドは、いくつかの実施形態において、多種多様な蛍光色素、消光剤、ならびにハプテン、例えば、フルオレセイン、R-フィコエリトリン、およびビオチンにコンジュゲートされる。いくつかの実施形態において、コンジュゲーションは、ポリペプチド合成中、またはポリペプチドが合成および精製された後のいずれかに起こる。
【0286】
あるいは、抗体、抗原結合断片、または結合タンパク質は、いくつかの実施形態において、蛍光部分とコンジュゲートされる。ポリペプチドと蛍光部分(例えば、R-フィコエリトリン、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)など)とのコンジュゲーションは、例えば、当該技術分野で認められている技術を用いて達成される。多数の市販の蛍光色素および色素コンジュゲーションキットが、蛍光顕微鏡法、フローサイトメトリー、蛍光活性化細胞選別(FACS)などの特定の用途のために市販されている。
【0287】
非限定的な一実施形態において、抗体抗原結合断片は、インビトロおよび/またはインビボでM2マクロファージまたは可溶性もしくは結合huCD163タンパク質への抗体の結合を可視化するために使用される、抗原への結合の免疫検出のための放射性核種、色素、造影剤、または蛍光剤などの検出可能な標識と会合(コンジュゲート)される。
【0288】
放射性標識の非限定的な例としては、例えば、32P、33P、43K、52Fe、57Co、64Cu、67Ga、67Cu、68Ga、71Ge、75Br、76Br、77Br、77As、77Br、81Rb/81mKr、87mSr、90Y、97Ru、99Tc、99mTc、100Pd、101Rh、103Pb、105Rh、109Pd、111Ag、111In、113In、119Sb、121Sn、123I、125I、127Cs、128Ba、129Cs、131I、131Cs、143Pr、153Sm、161Tb、166Ho、169Eu、177Lu、186Re、188Re、189Re、191Os、193Pt、194Ir、197Hg、199Au、203Pb、211At、212Pb、212Bi、および213Biが挙げられる。いくつかの実施形態において、放射性標識は、抗体イメージングの技術分野において公知の従来の化学を用いて化合物に結合される。放射性標識化合物は、インビトロ診断技術およびインビボ放射性イメージング技術および放射性免疫療法において有用である。
【0289】
本明細書に記載される抗体および抗原結合断片の組成物は、いくつかの実施形態において、非治療薬として(例えば、親和性精製剤として)使用される。
【0290】
医薬組成物と投与
特定の実施形態において、本明細書で開示される抗体、および薬学的に許容可能な賦形剤を含む医薬組成物が本明細書で開示される。
【0291】
いくつかの実施形態において、抗体は、配列番号28として記載されるアミノ酸配列と少なくとも約70%同一のアミノ酸配列を有する軽鎖可変ドメイン(VL)を含む。いくつかの実施形態において、VLは、配列番号28として記載されるアミノ酸配列と少なくとも約75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一のアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態において、VLは、配列番号28として記載されるアミノ酸配列と100%同一のアミノ酸配列を有する。
【0292】
いくつかの実施形態において、抗体は、配列番号30として記載されるアミノ酸配列と少なくとも約70%同一のアミノ酸配列を有する軽鎖可変ドメイン(VL)を含む。いくつかの実施形態において、VLは、配列番号30として記載されるアミノ酸配列と少なくとも約75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一のアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態において、VLは、配列番号30として記載されるアミノ酸配列と100%同一のアミノ酸配列を有する。
【0293】
いくつかの実施形態において、抗体は、配列番号32として記載されるアミノ酸配列と少なくとも約70%同一のアミノ酸配列を有する軽鎖可変ドメイン(VL)を含む。いくつかの実施形態において、VLは、配列番号32として記載されるアミノ酸配列と少なくとも約75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一のアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態において、VLは、配列番号32として記載されるアミノ酸配列と100%同一のアミノ酸配列を有する。
【0294】
いくつかの実施形態において、抗体は、配列番号34として記載されるアミノ酸配列と少なくとも約70%同一のアミノ酸配列を有する軽鎖可変ドメイン(VL)を含む。いくつかの実施形態において、VLは、配列番号34として記載されるアミノ酸配列と少なくとも約75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一のアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態において、VLは、配列番号34として記載されるアミノ酸配列と100%同一のアミノ酸配列を有する。
【0295】
いくつかの実施形態において、抗体は、配列番号36として記載されるアミノ酸配列と少なくとも約70%同一のアミノ酸配列を有する軽鎖可変ドメイン(VL)を含む。いくつかの実施形態において、VLは、配列番号36として記載されるアミノ酸配列と少なくとも約75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一のアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態において、VLは、配列番号36として記載されるアミノ酸配列と100%同一のアミノ酸配列を有する。
【0296】
いくつかの実施形態において、抗体は、配列番号38として記載されるアミノ酸配列と少なくとも約70%同一のアミノ酸配列を有する軽鎖可変ドメイン(VL)を含む。いくつかの実施形態において、VLは、配列番号38として記載されるアミノ酸配列と少なくとも約75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一のアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態において、VLは、配列番号38として記載されるアミノ酸配列と100%同一のアミノ酸配列を有する。
【0297】
いくつかの実施形態において、抗体は、配列番号29として記載されるアミノ酸配列と少なくとも約70%同一のアミノ酸配列を有する重鎖可変ドメイン(VH)を含む。いくつかの実施形態において、VHは、配列番号29として記載されるアミノ酸配列と少なくとも約75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一のアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態において、VHは、配列番号29として記載されるアミノ酸配列と100%同一のアミノ酸配列を有する。
【0298】
いくつかの実施形態において、抗体は、配列番号31として記載されるアミノ酸配列と少なくとも約70%同一のアミノ酸配列を有する重鎖可変ドメイン(VH)を含む。いくつかの実施形態において、VHは、配列番号31として記載されるアミノ酸配列と少なくとも約75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一のアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態において、VHは、配列番号31として記載されるアミノ酸配列と100%同一のアミノ酸配列を有する。
【0299】
いくつかの実施形態において、抗体は、配列番号33として記載されるアミノ酸配列と少なくとも約70%同一のアミノ酸配列を有する重鎖可変ドメイン(VH)を含む。いくつかの実施形態において、VHは、配列番号33として記載されるアミノ酸配列と少なくとも約75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一のアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態において、VHは、配列番号33として記載されるアミノ酸配列と100%同一のアミノ酸配列を有する。
【0300】
いくつかの実施形態において、抗体は、配列番号35として記載されるアミノ酸配列と少なくとも約70%同一のアミノ酸配列を有する重鎖可変ドメイン(VH)を含む。いくつかの実施形態において、VHは、配列番号35として記載されるアミノ酸配列と少なくとも約75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一のアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態において、VHは、配列番号35として記載されるアミノ酸配列と100%同一のアミノ酸配列を有する。
【0301】
いくつかの実施形態において、抗体は、配列番号37として記載されるアミノ酸配列と少なくとも約70%同一のアミノ酸配列を有する重鎖可変ドメイン(VH)を含む。いくつかの実施形態において、VHは、配列番号37として記載されるアミノ酸配列と少なくとも約75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一のアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態において、VHは、配列番号37として記載されるアミノ酸配列と100%同一のアミノ酸配列を有する。
【0302】
いくつかの実施形態において、抗体は、配列番号39として記載されるアミノ酸配列と少なくとも約70%同一のアミノ酸配列を有する重鎖可変ドメイン(VH)を含む。いくつかの実施形態において、VHは、配列番号39として記載されるアミノ酸配列と少なくとも約75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一のアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態において、VHは、配列番号39として記載されるアミノ酸配列と100%同一のアミノ酸配列を有する。
【0303】
いくつかの実施形態において、抗体は、配列番号28、配列番号30、配列番号32、配列番号34、配列番号36、配列番号38、および配列番号40からなる群において記載されるアミノ酸配列と少なくとも約70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一のアミノ酸配列を有する軽鎖可変ドメイン(VL)と、配列番号29、配列番号31、配列番号33、配列番号35、配列番号37、配列番号39、および配列番号41からなる群において記載されるアミノ酸配列と少なくとも約70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一のアミノ酸配列を有する重鎖可変ドメイン(VH)と、を含み、ただし、抗体は、配列番号40の軽鎖可変配列および配列番号41の重鎖可変配列を含まないものとする。いくつかの実施形態において、抗体の配列は、CDR H1、CDR H2、CDR H2、CDR L1、CDR L2、およびCDR L3において100%同一である。
【0304】
いくつかの実施形態において、抗体は、配列番号28、配列番号30、配列番号32、配列番号34、配列番号36、配列番号38、および配列番号40からなる群において記載されるアミノ酸配列と少なくとも約80%同一のアミノ酸配列を有する軽鎖可変ドメイン(VL)と、配列番号29、配列番号31、配列番号33、配列番号35、配列番号37、配列番号39、および配列番号41からなる群において記載されるアミノ酸配列と少なくとも約80%同一のアミノ酸配列を有する軽鎖可変ドメイン(VL)と、を含み、ただし、抗体は、配列番号40の軽鎖可変配列および配列番号41の重鎖可変配列を含まないものとする。いくつかの実施形態において、抗体の配列は、CDR H1、CDR H2、CDR H2、CDR L1、CDR L2、およびCDR L3において100%同一である。
【0305】
いくつかの実施形態において、抗体は、配列番号1、配列番号7、および配列番号13からなる群において記載されるアミノ酸配列と少なくとも約70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR1と、配列番号2、配列番号9、および配列番号14からなる群において記載されるアミノ酸配列と少なくとも約70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR2と、配列番号3、配列番号8、配列番号10、配列番号11、配列番号12、および配列番号15からなる群において記載されるアミノ酸配列と少なくとも約70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR3と、を含み、ただし、抗体は、配列番号1、配列番号2、および配列番号3に記載の配列を含まないものとする。
【0306】
いくつかの実施形態において、抗体は、配列番号1、配列番号7、および配列番号13からなる群において記載されるアミノ酸配列と100%同一のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR1と、配列番号2、配列番号9、および配列番号14からなる群において記載されるアミノ酸配列と100%同一のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR2と、配列番号3、配列番号8、配列番号10、配列番号11、配列番号12、および配列番号15からなる群において記載されるアミノ酸配列と100%同一のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR3と、を含み、ただし、抗体は、配列番号1、配列番号2、および配列番号3に記載の配列を含まないものとする。
【0307】
いくつかの実施形態において、抗体は、配列番号4、配列番号16、配列番号19、配列番号22、および配列番号25からなる群において記載されるアミノ酸配列と少なくとも約70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一のアミノ酸配列を有する重鎖CDR1と、配列番号5、配列番号17、配列番号20、配列番号23、および配列番号26からなる群において記載されるアミノ酸配列と少なくとも約70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一のアミノ酸配列を有する重鎖CDR2と、配列番号6、配列番号18、配列番号21、配列番号24、および配列番号27からなる群において記載されるアミノ酸配列と少なくとも約70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一のアミノ酸配列を有する重鎖CDR3と、を含み、ただし、抗体は、配列番号4、配列番号5、および配列番号6に記載の配列を含まないものとする。
【0308】
いくつかの実施形態において、抗体は、配列番号4、配列番号16、配列番号19、配列番号22、および配列番号25からなる群において記載されるアミノ酸配列と100%同一のアミノ酸配列を有する重鎖CDR1と、配列番号5、配列番号17、配列番号20、配列番号23、および配列番号26からなる群において記載されるアミノ酸配列と100%同一のアミノ酸配列を有する重鎖CDR2と、配列番号6、配列番号18、配列番号21、配列番号24、および配列番号27からなる群において記載されるアミノ酸配列と100%同一のアミノ酸配列を有する重鎖CDR3と、を含み、ただし、抗体は、配列番号4、配列番号5、および配列番号6に記載の配列を含まないものとする。
【0309】
いくつかの実施形態において、抗体は、(a)配列番号1、配列番号7、および配列番号13からなる群において記載されるアミノ酸配列と少なくとも約70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR1と、配列番号2、配列番号9、および配列番号14からなる群において記載されるアミノ酸配列と少なくとも約70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR2と、配列番号3、配列番号8、配列番号10、配列番号11、配列番号12、および配列番号15からなる群において記載されるアミノ酸配列と少なくとも約70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR3と、ならびに、(b)配列番号4、配列番号16、配列番号19、配列番号22、および配列番号25からなる群において記載されるアミノ酸配列と少なくとも約70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一のアミノ酸配列を有する重鎖CDR1と、配列番号5、配列番号17、配列番号20、配列番号23、および配列番号26からなる群において記載されるアミノ酸配列と少なくとも約70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一のアミノ酸配列を有する重鎖CDR2と、配列番号6、配列番号18、配列番号21、配列番号24、および配列番号27からなる群において記載されるアミノ酸配列と少なくとも約70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一のアミノ酸配列を有する重鎖CDR3と、を含み、ただし、抗体は、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、および配列番号6に記載される配列を含まないものとする。
【0310】
いくつかの実施形態において、抗体は、(a)配列番号1、配列番号7、および配列番号13からなる群において記載されるアミノ酸配列と少なくとも約70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR1と、配列番号2、配列番号9、および配列番号14からなる群において記載されるアミノ酸配列と少なくとも約70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR2と、配列番号3、配列番号8、配列番号10、配列番号11、配列番号12、および配列番号15からなる群において記載されるアミノ酸配列と少なくとも約70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR3と、ならびに、(b)配列番号4、配列番号16、配列番号19、配列番号22、および配列番号25からなる群において記載されるアミノ酸配列と少なくとも約70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一のアミノ酸配列を有する重鎖CDR1と、配列番号5、配列番号17、配列番号20、配列番号23、および配列番号26からなる群において記載されるアミノ酸配列と少なくとも約70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一のアミノ酸配列を有する重鎖CDR2と、配列番号6、配列番号18、配列番号21、配列番号24、および配列番号27からなる群において記載されるアミノ酸配列と少なくとも約70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一のアミノ酸配列を有する重鎖CDR3と、を含み、ただし、抗体は、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、および配列番号6に記載される配列を含まないものとする。
【0311】
このような組成物は、インビトロもしくはインビボ分析に、または医薬組成物の場合には、開示される抗体を用いて対象を処置するためにインビトロもしくはエクスビボで対象に投与するために、有用である。
【0312】
いくつかの実施形態において、賦形剤は、担体、緩衝剤、安定剤、または当業者に公知の他の適切な材料である。このような材料は非毒性でなければならず、有効成分の有効性を妨害するべきではない。担体または他の物質の正確な性質は、投与経路に依存する。
【0313】
本明細書に記載される方法によって同定される抗体または抗原結合断片を含む医薬製剤は、いくつかの実施形態において、凍結乾燥製剤または水溶液の形態で、所望の純度を有するタンパク質を、任意選択の生理学的に許容可能な担体、賦形剤、または安定剤(例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences, 16th edition, Osol, A. Ed. (1980)を参照)と混合することによって保存用に調製される。許容可能な担体または安定剤は、用いられる投与量および濃度でレシピエントに対して非毒性であるものであり、リン酸、クエン酸、および他の有機酸などの緩衝剤、アスコルビン酸およびメチオニンを含む抗酸化剤、保存剤(例えば、オクタデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、塩化ヘキサメトニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、フェノール、ブチルまたはベンジルアルコール、アルキルパラベン、例えば、メチルまたはプロピルパラベン、カテコール、レゾルシノール、シクロヘキサノール、3-ペンタノール、およびm-クレゾール)、低分子量(約10残基未満)ポリペプチド、タンパク質、例えば、血清アルブミン、ゼラチン、または免疫グロブリン、親水性ポリマー、例えば、ポリビニルピロリドン、グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、またはリジンなどのアミノ酸、単糖類、二糖類、およびグルコース、マンノース、またはデキストリンを含む他の炭水化物、キレート剤、例えば、EDTA、糖、例えば、スクロース、マンニトール、トレハロース、またはソルビトール、ナトリウムなどの塩形成対イオン、金属錯体(例えば、Zn-タンパク質錯体)、および/またはTWEEN(登録商標)、PLURONICS(登録商標)、またはポリエチレングリコール (PEG)などの非イオン性界面活性剤である。特定の実施形態において、医薬組成物は、5~200mg/mL、好ましくは、10~100mg/mLの濃度の抗体を含む。
【0314】
許容可能な担体は、投与される対象に生理学的に許容され、担体と一緒に投与される/担体がその中にあって投与される化合物の治療特性を保持する。許容可能な担体およびそれらの製剤は一般に、例えば、上記のRemington’s Pharmaceutical Sciencesに記載されている。1つの例示的な担体は生理食塩水である。本明細書で使用される「薬学的に許容可能な担体」という語句は、1つの器官もしくは身体の一部の投与部位から別の器官もしくは身体の一部へ、またはインビトロアッセイ系において、主題化合物を運搬または輸送することに関与する、液体または固体充填剤、希釈剤、賦形剤、溶媒、またはカプセル化材料などの薬学的に許容可能な材料、組成物、またはビヒクルを意味する。各担体は、製剤の他の成分と適合性であり、それが投与される対象に有害でないという意味で許容可能である。許容可能な担体は、主題化合物の比活性を変化させてはならない。
【0315】
別の実施形態において、本明細書に開示される医薬組成物は、組成物中の化合物の安定性を改善するために、および/または組成物の放出速度を制御するために、許容可能な添加剤をさらに含む。許容可能な添加剤は、主題の化合物の比活性を変化させない。例示的な許容可能な添加剤としては、限定されないが、糖、例えば、マンニトール、ソルビトール、グルコース、キシリトール、トレハロース、ソルボース、スクロース、ガラクトース、デキストラン、デキストロース、フルクトース、ラクトース、およびこれらの混合物が挙げられる。許容可能な添加剤は、いくつかの実施形態において、デキストロースなどの許容可能な担体および/または賦形剤と組み合わされる。あるいは、例示的な許容可能な添加剤としては、限定されないが、ペプチドの安定性を増加させ、溶液のゲル化を減少させるために、ポリソルベート20またはポリソルベート80などの界面活性剤が挙げられる。いくつかの実施形態において、界面活性剤は、溶液の0.01%~5%の量で組成物に添加される。そのような許容可能な添加剤の添加は、貯蔵中の組成物の安定性および半減期を増加させる。
【0316】
1つの実施形態において、本明細書に開示される医薬組成物は、等張緩衝液、例えば、リン酸緩衝液、酢酸緩衝液またはTRIS緩衝液を、等張化および安定化する等張化剤、例えば、ポリオール、ソルビトール、スクロース、または塩化ナトリウムと組み合わせて含有する。いくつかの実施形態において、等張化剤は約5%の量で組成物中に存在する。
【0317】
別の実施形態において、本明細書に開示される医薬組成物は、凝集を防ぐために、および0.01~0.02%wt/volでの安定化のために、界面活性剤を含む。
【0318】
別の実施形態において、本明細書に開示される医薬組成物のpHは、4.5~6.5または4.5~5.5の範囲である。
【0319】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示される医薬組成物はさらに、処置される適応症に必要な1つを超える活性化合物、例えば、互いに悪影響を及ぼさない相補的活性を有するものを含む。例えば、処置方法は、免疫抑制剤をさらに提供する。このような分子は、意図される目的に有効な量で組み合わせて適切に存在する。
【0320】
いくつかの実施形態において、有効成分は、例えば、コアセルベーション技術または界面重合によって調製されたマイクロカプセル、例えば、それぞれ、コロイド状薬物送達系(例えば、リポソーム、アルブミンミクロスフェア、マイクロエマルジョン、ナノ粒子、およびナノカプセル)、またはマクロエマルジョンにおける、ヒドロキシメチルセルロースまたはゼラチン-マイクロカプセルおよびポリ-(メチルメタクリレート)マイクロカプセル中に封入される。このような技術は、上記のRemington’s Pharmaceutical Sciencesに開示されている。
【0321】
抗体の懸濁液および結晶形態も本明細書において企図される。懸濁液および結晶形態を作製する方法は、当業者に公知である。
【0322】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示される医薬組成物は無菌である。いくつかの実施形態において、本明細書に開示される医薬組成物は、従来の周知の滅菌技術によって滅菌される。例えば、滅菌は、滅菌濾過膜を通した濾過によって容易に達成される。いくつかの実施形態において、得られた溶液は、使用のために包装されるか、または無菌条件下で濾過され、凍結乾燥され、凍結乾燥された調製物は、投与前に滅菌溶液と混合される。
【0323】
凍結乾燥は、いくつかの実施形態において、ポリペプチドが液体組成物中で比較的不安定である場合など、長期貯蔵のためにポリペプチドを安定化させるために用いられる。
【0324】
いくつかの実施形態において、いくつかの賦形剤、例えば、ポリオール(マンニトール、ソルビトール、およびグリセロールを含む)、糖(グルコースおよびスクロースを含む)、アミノ酸(アラニン、グリシン、およびグルタミン酸を含む)は、凍結乾燥製品のための安定剤として作用する。ポリオールおよび糖はさらに、いくつかの実施形態において、凍結および乾燥誘発損傷からポリペプチドを保護するため、ならびに乾燥状態での貯蔵中の安定性を増強するために使用される。糖は、いくつかの実施形態において、凍結乾燥プロセスおよび貯蔵中の両方において有効である。単糖および二糖ならびにPVPなどのポリマーを含む他のクラスの分子も、凍結乾燥生成物の安定剤として報告されている。
【0325】
注射のために、いくつかの実施形態において、本明細書に開示される医薬組成物は、上記の適切な溶液で再構成するのに適した粉末である。これらの例としては、限定されないが、凍結乾燥粉末、回転乾燥粉末、または噴霧乾燥粉末、非晶質粉末、顆粒、沈殿物、または微粒子が挙げられる。注射のために、組成物は、安定剤、pH調整剤、界面活性剤、バイオアベイラビリティー調整剤、およびこれらの組み合わせを任意選択で含有する。
【0326】
徐放性の調製物は、いくつかの実施形態において調製される。徐放性の調製物の適切な例としては、抗体を含有する固体疎水性ポリマーの半透過性マトリックスが挙げられ、このマトリックスは成形品、例えば、フィルムまたはマイクロカプセルの形態である。徐放性マトリックスの例としては、ポリエステル、ヒドロゲル(例えば、ポリ(2-ヒドロキシエチル-メタクリレート)またはポリ(ビニルアルコール))、ポリラクチド(例えば、米国特許第3,773,919号を参照)、L-グルタミン酸とy エチル-L-グルタミン酸塩とのコポリマー、非分解性エチレン-ビニルアセテート、分解性乳酸-グリコール酸コポリマー、例えば、Lupron Depot(商標)(乳酸-グリコール酸コポリマーおよび酢酸リュープロリドで構成される注射用ミクロスフェア)およびポリ-D-(-)-3-ヒドロキシ酪酸が挙げられる。エチレン-酢酸ビニルおよび乳酸-グリコール酸などのポリマーは、100日間を超える分子の放出を可能にするが、特定のヒドロゲルは、より短い期間タンパク質を放出する。いくつかの実施形態において、カプセル化された抗体は体内に長時間残存するが、それらは37℃の水分への曝露の結果として変性または凝集し、生物学的活性の喪失と、潜在的には免疫原性の変化とを引き起こす。安定化のために考案された合理的な戦略は、場合によっては、関与する機構に依存する。例えば、凝集メカニズムがチオ-ジスルフィド交換による分子間S--S結合形成であることが発見された場合、安定化は、場合によっては、スルフヒドリル残基を修飾すること、酸性溶液から凍結乾燥すること、水分含量を制御すること、適切な添加剤を使用すること、および特定のポリマーマトリックス組成物を開発することによって達成される。
【0327】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示される医薬組成物は、本明細書に記載されるように、短時間作用性、迅速放出性、長時間作用性、または徐放性であるように設計される。一実施形態において、本明細書に開示される医薬組成物は、制御放出用または持続放出用に製剤化される。
【0328】
医薬組成物は、例えば、限定されないが、皮下、硝子体内、皮内、静脈内、動脈内、腹腔内、脳脊髄内、または筋肉内の注射を含む注射によって投与される。各タイプの注射のための組成物の製剤に使用される賦形剤および担体は、本明細書において企図される。以下の説明は、単なる例であり、組成物の範囲を限定することを意味しない。注射用組成物としては、限定されないが、水溶液(水溶性の場合)または分散液、ならびに滅菌注射用溶液または分散液の即時調製のための滅菌粉末が挙げられる。静脈内投与のために、適切な担体としては、生理食塩水、静菌水、Cremophor EL(商標)(BASF、Parsippany,N.J.)、またはリン酸緩衝食塩水(PBS)が挙げられる。いくつかの実施形態において、担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、および液体ポリエチレングリコールなど)、ならびにそれらの適切な混合物を含有する溶媒または分散媒である。流動性は、例えば、レシチンなどのコーティングの使用、分散液の場合に必要とされた粒径の維持、および界面活性剤の使用によって、維持される。抗菌剤および抗真菌剤としては、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸、およびチメロサールが挙げられる。等張剤、例えば、糖、マンニトール、ソルビトールなどの多価アルコール、および塩化ナトリウムは、いくつかの実施形態において、組成物中に含まれる。いくつかの実施形態において、得られた溶液は、そのまま使用するために包装されるか、または凍結乾燥され、凍結乾燥された調製物は、いくつかの実施形態において、投与前に、滅菌溶液と後で混合される。静脈内注射、または苦痛部位での注射の場合、活性成分は、発熱物質を含まず、適切なpH、等張性、および安定性を有する、非経口的に許容可能な水溶液の形態である。当業者は、例えば、塩化ナトリウム注射液、リンゲル注射液、および乳酸加リンゲル注射液などの等張性ビヒクルを用いて適切な溶液をよく調製することができる。保存剤、安定剤、緩衝剤、抗酸化剤、および/または他の添加剤は、いくつかの実施形態において、必要に応じて含まれる。滅菌注射用溶液は、必要量の有効成分を、必要に応じて、上に列挙した成分の1つまたは組み合わせと共に適切な溶媒に組み込み、その後、いくつかの実施形態において、濾過滅菌することによって調製される。通常、分散液は、基本分散媒および上に列挙したものからの必要な他の成分を含有する滅菌ビヒクル中に有効成分を組み込むことによって調製される。滅菌注射用溶液の調製のための滅菌粉末の場合、好ましい調製方法は、真空乾燥および凍結乾燥であり、これは、有効成分および任意のさらなる所望の成分の粉末を、あらかじめ滅菌濾過したその溶液から産生する。
【0329】
組成物は、いくつかの実施形態において、例えば、単位用量の注射などによって、従来通り静脈内投与される。注射の場合、いくつかの実施形態において、有効成分は、実質的に発熱物質を含まず、適切なpH、等張性、および安定性を有する、非経口的に許容可能な水溶液の形態である。いくつかの実施形態において、例えば、塩化ナトリウム注射液、リンゲル注射液、乳酸加リンゲル注射液などの等張性ビヒクルを用いて適切な溶液を調製する。保存剤、安定剤、緩衝剤、抗酸化剤、および/または他の添加剤は、いくつかの実施形態において、必要に応じて含まれる。加えて、組成物は、いくつかの実施形態において、エアロゾル化を介して投与される。(Lahn et al., Int Arch Allergy Immunol 134:49-55 (2004))。
【0330】
非経口投与のために、抗体は、薬学的に許容可能な非経口ビヒクルと組み合わせて、単位投与量の注射可能な形態(溶液、懸濁液、エマルジョン)に製剤化される。このようなビヒクルの例は、水、生理食塩水、リンゲル液、デキストロース溶液、および5%ヒト血清アルブミンである。不揮発性油およびオレイン酸エチルなどの非水性ビヒクルも使用される。リポソームは担体として使用される。ビヒクルは、等張性および化学的安定性を増強する物質、例えば、緩衝剤および保存剤などの少量の添加剤を含有する。抗体は典型的には、約1mg/mL~10mg/mLの濃度でそのようなビヒクル中に製剤化される。
【0331】
一実施形態において、本明細書に開示される医薬組成物は、例えば、貯蔵における有効期間を増大させるために凍結乾燥される。組成物が本明細書に提供される薬物または方法のいずれかにおける使用について考慮される場合、いくつかの実施形態において、組成物がヒト対象に投与された場合に炎症反応または安全でないアレルギー反応を引き起こさないように、組成物が発熱物質を実質的に含まないことが企図される。発熱物質についての組成物の試験、および発熱物質を実質的に含まない組成物の調製は、当業者によく理解されており、いくつかの実施形態において市販のキットを使用して達成される。
【0332】
いくつかの実施形態において、許容可能な担体は、吸収またはクリアランスを安定化、増加、または遅延させる化合物を含有する。このような化合物としては、例えば、グルコース、スクロース、またはデキストランなどの炭水化物、低分子量タンパク質、ペプチドのクリアランスまたは加水分解を低減する組成物、あるいは、賦形剤または他の安定剤および/もしくは緩衝剤が挙げられる。吸収を遅延させる薬剤としては、例えば、アルミニウムモノステアレートおよびゼラチンが挙げられる。いくつかの実施形態において、界面活性剤はさらに、リポソーム担体を含む、医薬組成物の吸収を安定化するか、または増加もしくは減少させるために使用される。消化から保護するために、化合物は、いくつかの実施形態において、酸性および酵素加水分解に対して耐性にするために組成物と複合体化されるか、または化合物は、いくつかの実施形態において、リポソームなどの適切に耐性の担体中で複合体化される。消化から化合物を保護する手段は、当技術分野において公知である。
【0333】
組成物は、いくつかの実施形態において、投与製剤と適合する様式で、治療有効量で投与される。投与される量は、処置される対象、有効成分を利用する対象の免疫系の能力、および所望の結合能力の程度に依存する。投与される必要のある有効成分の正確な量は、医師の判断に依存し、各個体に特有である。初期投与およびブースター注射のための適切なレジメンも様々であるが、典型的には、初期投与と、その後の注射または他の投与による1時間を超える間隔での反復投与が続く。あるいは、血液中の濃度を維持するのに充分な連続静脈内注入が企図される。
【0334】
いくつかの実施形態において、本開示は、本明細書に記載される状態、疾患、または障害を処置するための薬物を作製するための、本明細書に記載される組成物の使用を提供する。いくつかの実施形態において、薬物は、処置を必要とする対象の身体的特徴に基づいて製剤化され、状態、疾患、または障害の段階に基づいて単一または複数の製剤に製剤化される。薬物は、病院および診療所への流通に適切なラベルとともに適切なパッケージに包装され、そのラベルは、いくつかの実施形態において、本明細書に記載される疾患を有する対象を処置する指標である。薬物は、いくつかの実施形態において、単一または複数の単位として包装される。組成物の投与量および投与のための説明書は、いくつかの実施形態において以下に記載されるようなパッケージに含まれる。本開示はさらに、本明細書に記載される抗体またはその抗原結合断片、および薬学的に許容可能な担体を含む薬物を対象とする。
【0335】
いくつかの実施形態において、組成物、組成物製剤、および投与様式における有効成分の量は、対象に対して過度に毒性であることなく、各対象に対して所望の治療応答を達成するのに有効な有効成分の量を提供するように変動される因子の中にある。選択される投与量レベルは、使用される特定の化合物の活性、投与経路、投与時間、使用される特定の化合物の排泄または代謝の速度、処置の持続時間、使用される特定の組成物と組み合わせて使用される他の薬物、化合物、および/または材料、処置される対象の年齢、性別、体重、状態、全身の健康状態、食事、および以前の病歴、ならびに医学分野で周知の同様の因子を含む様々な因子に依存する。
【0336】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載される抗体および抗原結合断片は、様々な投与量で様々な時間枠にわたって対象に投与される。非限定的な用量としては、約0.01mg/kg、約0.05mg/kg、約0.1mg/kg、約0.5mg/kg、約1mg/kg、約5mg/kg、約10mg/kg、約20mg/kg、約30mg/kg、約40mg/kg、約50mg/kg、約60mg/kg、約70mg/kg、約80mg/kg、約90mg/kg、約100mg/kg、約125mg/kg、約150mg/kg、約175mg/kg、約200mg/kg、またはその間の任意の整数が挙げられる。加えて、抗体または抗原結合断片の用量は、いくつかの実施形態において、週に2回、週に1回、2週毎に、3週毎に、4週毎に、6週毎に、8週毎に、12週毎に、またはその中の週の任意の組み合わせで投与される。例えば、抗体またはその抗原結合断片を週に1回または2回4週間投与し、その後、治療せずに2週間投与するなどの投与サイクルも企図される。例えば、本明細書に記載される用量および毎週のサイクルの異なる組み合わせを含む追加の投与サイクルも、本開示内で企図される。
【0337】
組成物の治療有効量は、いくつかの実施形態において、疾患の重症度、ならびに処置される対象の体重および全身状態に応じて変動するが、概して、1回の適用あたり、約1.0μg/kg~約100mg/kg体重、または約10μg/kg~約30mg/kg、または約0.1mg/kg~約10mg/kg、もしくは約1mg/kg~約10mg/kgの範囲である。投与は、障害または状態に対する応答、および対象の治療の耐性に応じて、必要に応じて、毎日、隔日、毎週、1ヶ月に2回、毎月、またはそれ以上もしくはそれ未満の頻度であり得る。いくつかの実施形態において、4、5、6、7、8、10、または12週間以上などのより長い期間にわたる維持投与量は、障害症状の所望の抑制が起こるまで必要であり、投与量は必要に応じて調整される。この治療の進行は、従来の技術およびアッセイによって容易にモニタリングされる。
【0338】
いくつかの実施形態において、本開示の抗体は、生理学的溶液中で、0.01mg/kg~100mg/kgの範囲の用量で、毎日~毎週~毎月(例えば、毎日、隔日、3日ごと、または週に2、3、4、5、もしくは6回)の範囲の頻度で、好ましくは0.1~45mg/kg、0.1~15mg/kg、または0.1~10mg/kgの範囲の用量で、週に2回もしくは3回の頻度で、または1ヶ月に1回最大で45mg/kgで静脈内投与される。
【0339】
応答は、対象が部分的もしくは完全な緩和、または病気の徴候もしくは症状の低減を経験する場合に達成され、具体的には、限定されないが、生存期間の延長を含む。予想される無増悪生存期間は、例えば、再発の数、疾患の段階、および他の因子を含む予後因子に応じて、数ヶ月から数年で測定される。生存期間の延長は、限定されないが、少なくとも1ヶ月(mo)、少なくとも約2ヶ月(mos.)、少なくとも約3か月、少なくとも約4か月、少なくとも約6か月、少なくとも約1年、少なくとも約2年、少なくとも約3年、またはそれ以上の時間を含む。全生存はまた、いくつかの実施形態において、数ヶ月から数年で測定される。対象の症状は、いくつかの実施形態において、静止したままであるか、または減少する。
【0340】
当技術分野における通常の技術を有する医師または獣医は、場合によっては、必要とされる組成物の有効量(ED50)を容易に決定し、処方する。例えば、医師または獣医は、所望の治療効果を達成するために、かつ所望の治療効果が達成されるまで徐々に投与量を増加させるために、必要とされるよりも低いレベルで組成物中で使用される化合物の用量を開始することができる。あるいは、用量は、いくつかの実施形態において、一定のままである。
【0341】
いくつかの実施形態において、組成物(本明細書に記載される抗体または抗原結合断片)は、処置される状態に応じて、単独で、または第2の組成物と組み合わせて、同時にまたは連続して投与される。一実施形態において、第2の治療的処置は、線維症治療または線維症治療剤である。一実施形態において、第2の治療的処置は、感染症、自己免疫疾患もしくは障害、炎症性疾患もしくは障害、または機械的損傷などの線維症に関連する疾患または障害の処置である。2つ以上の組成物が投与される場合、組成物は、例えば、組み合わせて(順次または同時に)投与される。組成物は、いくつかの実施形態において、単回用量または複数回用量で投与される。
【0342】
いくつかの実施形態において、ヒト対象への投与のために製剤化される場合、組成物は発熱物質を含まないように製剤化される。発熱物質に対する組成物の試験および発熱物質を含まない医薬組成物の調製は、当業者によく理解されている。
【0343】
抗体またはその抗原結合断片は、いくつかの実施形態において、限定されないが、注射を含む、対象への任意の適切な投与経路のために製剤化される。注射としては、例えば、脳脊髄液(CSF)への皮下、腹膜、静脈内注射、筋肉内注射、または脊髄注射が挙げられる。いくつかの実施形態において、投与は、1、2、3、4、5、6、7、またはそれ以上の注射部位におけるものである。一実施形態において、投与は6つの注射部位を介する。
【0344】
インビボ適用の場合、接触は、例えば、任意の適切な手段による対象への組成物(本明細書に記載されるものなど)の投与を介して起こる。本明細書に記載される抗体は、いくつかの実施形態において、非経口、皮下、腹腔内、脳脊髄内、肺内、および鼻腔内の投与、ならびに局所的な処置に必要な場合、病巣内投与を介することを含む、全身的または局所的のいずれかの任意の適切な手段によって投与される。非経口経路としては、例えば、静脈内、動脈内、腹腔内、硬膜外、筋肉内、および髄腔内の投与が挙げられる。そのような投与は、いくつかの実施形態において、ボーラス、連続注入、またはパルス注入としてである。いくつかの実施形態において、組成物は、投与が短期であるか長期であるかどうかに部分的に依存して、注射によって投与される。局所投与、特に経皮投与、経粘膜投与、直腸投与、経口投与または局所投与(例えば、所望の部位の近くに配置されたカテーテルを介する)を含む他の投与様式が企図される。
【0345】
抗体技術
当業者には理解されるであろうが、本明細書における抗体およびその調製方法および使用方法は、個々の抗体ポリペプチド成分および抗体断片にも適用される。
【0346】
本開示の抗体は、ポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体である。しかしながら、好ましい実施形態において、それらはモノクローナルである。特定の実施形態において、本開示の抗体はヒト抗体である。ポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体を産生する方法は、当技術分野において公知である。
【0347】
M2マクロファージによって発現されるhuCD163に結合する抗体、抗原結合断片、および他のタンパク質は、そのような方法を使用して生成され、いくつかの実施形態において、それらの結合親和性、結合活性、および調節能力のうちの1つ以上について試験される。
【0348】
従来の方法は、いくつかの実施形態において、huCD163タンパク質に結合する抗体またはその抗原結合断片を同定するために利用される。いくつかの実施形態において、抗体および抗原結合断片は、結合親和性、会合速度、解離速度、および結合活性のうちの1つ以上について評価される。このようなパラメータの測定は、例えば、限定されないが、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、ELISpotアッセイ、スキャッチャード分析、表面プラズモン共鳴(例えば、BIACORE)分析など、競合結合アッセイなどを含むアッセイを使用して達成される。非限定的な一実施形態において、ELISAアッセイを使用して、huCD163タンパク質に結合する特異的抗体または抗原結合断片の結合能力を測定する。表面プラズモン共鳴技術は、Liljeblad et al., Glyco J 17:323-9 (2000)に記載されている。
【0349】
いくつかの実施形態において、本開示による抗体は、以下にさらに記載されるように、当技術分野で利用可能なベクターおよび方法を使用して組換え産生される。いくつかの実施形態において、ヒト抗体はさらに、インビトロ活性化B細胞によって生成される(US特許第5,567,610号および第5,229,275号を参照)。
【0350】
いくつかの実施形態において、ヒト抗体は、内因性免疫グロブリン産生の非存在下でヒト抗体の全レパートリーを産生することができるトランスジェニック動物(例えば、マウス)において産生される。例えば、キメラおよび生殖系列突然変異体マウスにおける抗体重鎖結合領域(JH)遺伝子のホモ接合性欠失が内因性抗体産生の完全な阻害をもたらすことが記載されている。このような生殖系列突然変異体マウスへのヒト生殖系列免疫グロブリン遺伝子アレイの移入は、抗原投与時にヒト抗体の産生をもたらす。例えば、Jakobovits et al., Proc Natl Acad Sci USA, 90:2551 (1993); Jakobovits et al., Nature 362:255-58 (1993); Bruggemann et al., Year in Immunol., 7:33 (1993)、米国特許第5,545,806号、米国特許第5,569,825号、米国特許第5,591,669号、米国特許第5,545,807号、およびWO97/17852を参照。いくつかの実施形態において、このような動物は、本開示のポリペプチドを含むヒト抗体を産生するように遺伝子操作される。
【0351】
抗体は、例えば、飽和硫酸アンモニウム沈殿、ユーグロブリン沈殿法、カプロン酸法、カプリル酸法、イオン交換クロマトグラフィー(DEAEもしくはDE52)、または抗IgカラムもしくはプロテインA、G、もしくはLカラムを使用する親和性クロマトグラフィーなどの当技術分野において公知の方法を使用して、培養上清または腹水(動物において産生される場合)から単離および精製される。
【0352】
上述のように、本開示は、抗体断片をさらに提供する。特定の状況では、抗体全体ではなく抗体断片を使用する利点がある。例えば、断片のより小さいサイズは、迅速なクリアランスを可能にし、いくつかの実施形態において、器官(例えば、肺、腎臓、肝臓、または心臓)などの特定の組織への改善されたアクセスをもたらす。抗体断片の例としては、Fab、F(ab’)、F(ab’)2、およびFv断片、ダイアボディ、線状抗体、単鎖抗体、および、抗体断片から形成された多特異性抗体が含まれる。
【0353】
抗体断片を作製するために様々な技術が開発されている。従来、これらの断片は、無傷な抗体のタンパク質分解性消化を介して誘導された(例えば、Morimoto et al., J Biochem Biophys Methods 1992 24(1-2):107-17; and Brennan et al., Science 1985 229:81)。しかしながら、これらの断片は、いくつかの実施形態において、組換え宿主細胞によって直接産生される。いくつかの実施形態において、Fab、Fv、およびScFv抗体断片はすべて、大腸菌において発現され、大腸菌から分泌され、したがって、大量のこれらの断片の容易な産生を可能にする。いくつかの実施形態において、F(ab’)-SH断片を大腸菌から直接回収し、化学的に結合させることでF(ab’)2断片を形成する(Carter et al., Bio/Technology 10:163-167 (1992))。別のアプローチによれば、いくつかの実施形態において、F(ab’)2断片は、組換え宿主細胞培養物から直接単離される。IgGのFc領域のCH2ドメインの2つのループから取られたサルベージ受容体結合エピトープを含む、増加したインビボ半減期を有するFabおよびF(ab’)2断片は、米国特許第5,869,046第および第6,121,022号に記載されている。抗体断片を作製するための他の技術は、当業者には明らかであろう。
【0354】
他の実施形態において、選択される抗体は単鎖Fv断片(scFv)である。WO93/16185、米国特許第第5,571,894号、および米国特許第5,587,458号を参照。FvとsFvは、定常領域を欠く無傷の結合部位を有する唯一の種である。したがって、それらは、インビボ使用中の非特異的結合の低減に適している。いくつかの実施形態において、sFv融合タンパク質は、sFvのアミノ末端またはカルボキシ末端のいずれかにおけるエフェクタータンパク質の融合を生じるように構築される。上記のAntibody Engineering, ed. Borrebaeckを参照。いくつかの実施形態において、抗体断片は、例えば、米国特許第5,641,870号に記載されるような「線状抗体」である。いくつかの実施形態において、そのような線状抗体断片は、単一特異性または二重特異性である。
【0355】
二重特異性または他の多特異性抗体を作製するための方法は、当技術分野において公知であり、化学的架橋、ロイシンジッパー(Kostelny et al., J Immunol 148:1547-53 (1992))、ダイアボディ技術(Hollinger et al., Proc Natl Acad Sci USA 90:6444-8 (1993))、scFvダイマー(Gruber et al., J Immunol 152:5368 (1994))、線状抗体(Zapata et al., Protein Eng 8:1057-62 (1995))、および、キレート化組換え抗体(Neri et al., J Mol Biol 246:367-73 (1995))を含む。
【0356】
完全長の二重特異性抗体の従来の組み換産生は、2つの免疫グロブリン重鎖-軽鎖の対の共発現に基づき、ここで、2つの鎖は異なる特異性を有する(Millstein et al., Nature 305:537-9 (1983))。免疫グロブリン重鎖および軽鎖のランダムな分類のため、これらのハイブリドーマ(クアドローマ)は、10の異なる抗体分子(その1つのみが、正確な二重特異性構造を有する)の可能な混合物を生成する。適切な分子の精製は、例えば、親和性クロマトグラフィーによって行われる。類似の手順は、WO93/08829およびTraunecker et al.,EMBO J 10:3655-9(1991)において開示される。
【0357】
異なるアプローチに従って、所望の結合特異性(抗体抗原結合部位)を有する抗体可変領域は、免疫グロブリン定常領域配列に融合される。好ましくは、融合は、ヒンジ、CH2、およびCH3の領域の少なくとも一部を含む、Ig重鎖定常ドメインによる。軽鎖結合に必要な部位を含む、第1の重鎖定常領域(CH1)は融合の少なくとも1つに存在することが好ましい。免疫グロブリン重鎖融合、および、所望される場合に、免疫グロブリン軽鎖をコードするDNAは、個別の発現ベクターに挿入され、適切な宿主細胞に同時導入される。これは、構成に使用される4つのポリペプチド鎖の不等な比率が、所望の二重特異性抗体の最適な収量を提供する実施形態において、4つのポリペプチド断片の相互比率を調整する際に大きな融通性を提供する。しかしながら、等しい比率の少なくとも2つのポリペプチド鎖の発現が高収量をもたらす場合、または比率が所望の鎖の組み合わせの収量に有意な効果を持っていない場合、1つの発現ベクターに、2つまたは全部で4つのポリペプチド鎖のコード配列を挿入することが可能である。
【0358】
二重特異性抗体は、例えば、1つのアームにおいて第1の結合特異性を有するハイブリッドの免疫グロブリン重鎖、および、他のアームにおけるハイブリッドの免疫グロブリン重鎖-軽鎖の対(第2の結合特異性を提供する)で構成される。この非対称構造は、二重特異性分子の半分のみにおける免疫グロブリン軽鎖の存在が、手軽な分離方法を提供するため、望ましくない免疫グロブリン鎖の組み合わせからの所望の二重特異性化合物の分離を容易にする。この方法は、WO94/04690に開示される。二重特異性抗体を生成することに関する更なる詳細については、例えば、Suresh et al., Methods Enzymol 121:210 (1986)を参照。
【0359】
米国特許第5,731,168号に記載される別のアプローチによれば、抗体分子の対の間の界面は、いくつかの実施形態において、組換え細胞培養物から回収されるヘテロ二量体のパーセンテージを最大にするように操作される。好ましい界面は、CH3ドメインの少なくとも一部を含む。この方法において、第1の抗体分子の界面からの1つ以上の小さなアミノ酸側鎖が、より大きな側鎖(例えば、チロシンまたはトリプトファン)と置き換えられる。大きな側鎖に同一または類似する大きさの代償性の「空洞」は、大きなアミノ酸側鎖をより小さなもの(例えば、アラニンまたはトレオニン)と置き換えることにより、二次抗体分子の界面上で作られる。これは、ホモ二量体などの他の望ましくない最終生成物を上回るヘテロ二量体の収量を増加させるための機構を提供する。
【0360】
二重特異性抗体は、架橋したまたは「ヘテロコンジュゲート」抗体を含む。例えば、ヘテロコンジュゲートにおける抗体の1つは、アビジンに結合され、他方はビオチンに結合される。このような抗体は、例えば、免疫系細胞を望ましくない細胞(米国特許第4,676,980号)に標的化するため、およびHIV感染の処置(WO91/00360、WO92/20373、およびEP03089)のために提案されている。いくつかの実施形態において、ヘテロコンジュゲート抗体は、任意の好都合な架橋方法を使用して作製される。適切な架橋剤は当該技術分野において周知であり、多くの架橋技術と共に米国特許第4,676,980号に開示されている。別の方法は、ストレプトアビジンコード配列をscFvのC末端に付加することによって四量体を作製するように設計される。ストレプトアビジンは4つのサブユニットで構成され、したがって、scFv-ストレプトアビジンが折り畳まれる場合、4つのサブユニットが会合して四量体を形成する(Kipriyanov et al., Hum Antibodies H ybridomas 6(3):93-101(1995))。
【0361】
二重特異性抗体を作製するための別のアプローチによれば、抗体分子の対の間の界面は、いくつかの実施形態において、組換え細胞培養物から回収されるヘテロ二量体のパーセンテージを最大にするように操作される。1つの界面は、抗体定常領域のCH3ドメインの少なくとも一部を含む。この方法において、第1の抗体分子の界面からの1つ以上の小さなアミノ酸側鎖が、より大きな側鎖(例えば、チロシンまたはトリプトファン)と置き換えられる。大きな側鎖に同一または類似する大きさの代償性の「空洞」は、大きなアミノ酸側鎖をより小さなもの(例えば、アラニンまたはトレオニン)と置き換えることにより、二次抗体分子の界面上で作られる。これは、ホモ二量体などの他の望ましくない最終生成物を上回るヘテロ二量体の収量を増加させるための機構を提供する。WO96/27011を参照する。
【0362】
抗体断片から二重特異性抗体を生成する技術も文献に記載されている。例えば、二重特異性抗体は化学結合を使用して調製される。「Brennan et al., Science,229:81(1985)」は、無傷の抗体がF(ab’)2断片を生じさせるためタンパク分解性に切断される手順を記載している。隣接するジチオールを安定させ、かつ分子間のジスルフィド形成を防ぐため、ジチオール錯化剤、亜ヒ酸ナトリウムの存在下でこれらの断片を減少させる。生成されたF(ab’)断片はその後、チオニトロベンゾエート(TNB)誘導体に変換される。その後、F(ab’)-TNB誘導体の1つは、メルカプトエチルアミンによる還元によってF(ab’)-チオールに再変換され、等モル量の他のF(ab’)-TNB誘導体と混合されることで二重特異性抗体が形成される。いくつかの実装形態において、産生された二重特異性抗体は、酵素の選択的固定化用の薬剤として使用される。
【0363】
最近の進歩により、例えば、化学的に結合して二重特異性抗体を形成する大腸菌からのF(ab’)-SH断片の直接回収が容易になった。Shalaby et al., J Exp Med 175: 217-25 (1992)は、ヒト化二重特異性抗体F(ab’)2分子の産生について記載している。各F(ab’)断片を大腸菌から別々に分泌させ、インビトロで定方向化学カップリングに供して二重特異性抗体を形成した。このように形成された二重特異性抗体は、ErbB2受容体を過剰発現する細胞および正常ヒトT細胞に結合することができ、ならびにヒト乳房腫瘍標的に対するヒト細胞傷害性リンパ球の溶解活性を誘発することができた。
【0364】
組換え細胞培養物から直接二重特異性抗体断片を作製および単離するための様々な技術も記載されている。例えば、二重特異性抗体は、ロイシンジッパーを使用して産生されている。Kostelny et al., J Immunol 148(5):1547-53 (1992)。FosおよびJunタンパク質由来のロイシンジッパーペプチドを、遺伝子融合によって2つの異なる抗体のF(ab’)部分に連結した。抗体ホモ二量体をヒンジ領域で還元してモノマーを形成し、その後、再酸化して抗体ヘテロ二量体を形成した。この方法は、いくつかの実施形態において、抗体ホモ二量体を産生するために使用される。
【0365】
抗体の同定および調製
抗体、その可変領域、またはその抗原結合断片をコードするポリヌクレオチド配列は、いくつかの実施形態において、従来の配列決定技術を使用して決定され、抗体の組換え産生のために発現ベクターにサブクローニングされる。これは、対象の血液から単核細胞を得ること、単核細胞からB細胞クローンを産生すること、B細胞を誘導して抗体産生形質細胞にすること、および、形質細胞によって産生された上清をスクリーニングして、それが抗体を含有するかどうかを決定すること、によって達成された。本開示の抗体の特異性を有する他の抗体の同定は、いくつかの実施形態において、同様の方法を使用して達成される。例えば、抗体を産生するB細胞クローンが同定されると、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)を実施して、抗体の可変領域またはその部分をコードするDNAをクローニングする。その後、これらの配列を、ヒト抗体の組換え産生に適した発現ベクターにサブクローニングする。結合特異性は、いくつかの実施形態において、M2細胞、またはM2細胞によって発現されるヒトCD163ポリペプチドを発現する他の細胞に結合する抗体の能力を決定することによって確認される。
【0366】
本明細書に記載される方法の特定の実施形態において、末梢血またはリンパ節から単離されたB細胞は、例えば、CD19陽性であることに基づいて選別され、および、例えば、96ウェル、384ウェル、または1536ウェルの構成において、ウェルあたりの単一細胞特異性と同程度に低くプレーティングされる。細胞は、抗体産生細胞、例えば、形質細胞に分化するように誘導され、培養上清は回収され、例えば、FMATまたはFACS分析を使用して、その表面上に標的ポリペプチドを発現する細胞への結合について試験される。その後、陽性のウェルを全ウェルRT-PCRに供して、クローン娘形質細胞によって発現されるIgG分子の重鎖および軽鎖の可変領域を増幅する。重鎖および軽鎖の可変領域、またはその一部をコードする得られたPCR産物を、組換え発現のためのヒト抗体発現ベクターにサブクローニングする。次いで、得られた組換え抗体を試験することでそれらの元の結合特異性を確認し、いくつかの実施形態において、他の細胞またはタンパク質に対する交差反応性についてさらに試験する。
【0367】
したがって、一実施形態において、抗体を同定する方法は、以下のように実施される。第1に、完全長またはほぼ完全長のCD163 cDNAを、CD163ポリペプチドの発現のために細胞株にトランスフェクトする。第2に、個々のヒト血漿または血清試料を、細胞発現ポリペプチドに結合する抗体について試験する。そして最後に、血漿または血清陽性個体に由来するMAbは、同じ細胞発現CD163ポリペプチドへの結合について特徴付けられる。MAbの精密な特異性のさらなる定義は、いくつかの実施形態において、この時点で行われる。
【0368】
本開示の抗体またはその部分をコードするポリヌクレオチドは、いくつかの実施形態において、ヒト抗体ポリペプチドの保存領域に特異的なプライマーを使用するポリメラーゼ連鎖反応による増幅を含む、当技術分野で利用可能な方法および本明細書に記載の方法に従って、抗体を発現する細胞から単離される。例えば、軽鎖および重鎖可変領域は、WO92/02551、米国特許第5,627,052号、またはBabcook et al., Proc Natl Acad Sci USA 93:7843-48 (1996)に記載される分子生物学的技術に従ってB細胞からクローニングされる。特定の実施形態において、抗体を発現するクローン娘形質細胞によって発現されるIgG分子の重鎖および軽鎖の可変領域の両方のすべてまたは一部の領域をコードするポリヌクレオチドがサブクローニングされ、配列決定される。いくつかの実施形態において、コードされるポリペプチドの配列は、ポリヌクレオチド配列から容易に決定される。
【0369】
本開示のポリペプチドをコードする単離されたポリヌクレオチドを発現ベクターにサブクローニングして、当技術分野において公知であり、本明細書に記載される手順を使用して、本開示の抗体およびポリペプチドを組換え的に産生する。
【0370】
いくつかの実施形態において、CD163ポリペプチドまたはM2細胞に対する抗体(またはその断片)の結合特性は、概して、例えば、免疫組織化学(IHC)および/または蛍光活性化細胞選別(FACS)などの免疫蛍光ベースのアッセイを含む免疫検出方法を用いて決定および評価される。免疫アッセイ方法は、いくつかの実施形態において、抗体がCD163ポリペプチドまたはM2マクロファージに特異的に結合し、対照細胞、例えば、M1細胞、または対照タンパク質を発現するようにトランスフェクトされた宿主細胞を認識または交差反応しないかどうかを決定するための対照および手順を含む。
【0371】
CD163ポリペプチドまたはM2マクロファージに対する抗体を産生する患者を同定するための血清の予備スクリーニングに続いて、本開示の方法は典型的には、患者または対象から以前に得られた生体試料からのB細胞の単離または精製を含む。いくつかの実施形態において、患者または対象は現在またはこれまでに、線維症と診断されている/いたか、もしくは線維症と疑われている/いたか、もしくは線維症を患っていると診断されている/いたか、もしくは患者または対象は線維症がないとみなされる。典型的には、患者または対象は哺乳動物であり、特定の実施形態においてヒトである。いくつかの実施形態において、生体試料は、限定されないが、線維性組織、リンパ節もしくはリンパ節組織、胸水、末梢血、腹水、または脳脊髄液(CSF)を含むB細胞を含有する任意の試料である。いくつかの実施形態において、B細胞は、線維性組織の生検または線維症の影響を受ける他の生体試料などの異なるタイプの生体試料から単離される。しかしながら、いくつかの実施形態において、B細胞を含む任意の生体試料が本開示の実施形態のいずれかに使用されることが理解される。
【0372】
いったん単離されると、例えば、B細胞の増殖、またはプラズマ細胞(plasmacyte)、形質芽細胞、もしくは形質細胞への発達を支持する条件下でB細胞を培養することにより、B細胞を誘導して抗体を産生させる。次いで、典型的にはハイスループット技術を用いて抗体をスクリーニングすることで、標的抗原、例えば、特定の組織、細胞、またはポリペプチドに特異的に結合する抗体を同定する。特定の実施形態において、特異的抗原、例えば、抗体が結合する細胞表面ポリペプチドは既知ではないが、他の実施形態において、抗体が特異的に結合する抗原は既知である。
【0373】
本開示によれば、B細胞は、いくつかの実施形態において、当技術分野において公知でかつ利用可能な任意の手段によって、生体試料、例えば、組織、末梢血もしくはリンパ節試料、または線維性組織から単離される。B細胞は典型的には、B細胞特異的マーカー、例えば、CD19、CD138、および/または表面IgGのそれらの表面上の存在に基づいて、FACSによって選別される。しかしながら、いくつかの実施形態において、例えば、CD19磁気ビーズまたはIgG特異的磁気ビーズを用いたカラム精製、その後のカラムからの溶出など、当技術分野で公知の他の方法が用いられる。しかしながら、任意のマーカーを利用するB細胞の磁気単離は、いくつかの実施形態において、特定のB細胞の損失をもたらす。したがって、特定の実施形態において、単離された細胞は選別されず、その代わりに、線維性組織から単離されたフィコール精製単核細胞が、ウェル当たり適切なまたは所望の数で特異的に直接プレーティングされる。
【0374】
抗体を産生するB細胞を同定するために、B細胞は典型的には、マルチウェルまたはマイクロタイタープレート中に、例えば、96、384、または1536のウェル構成で、低密度(例えば、ウェルあたり単一細胞特異性、ウェルあたり1~10細胞、ウェルあたり10~100細胞、ウェルあたり1~100細胞、ウェルあたり10細胞未満、またはウェルあたり100細胞未満)でプレーティングされる。B細胞が当初ウェルあたり1つの細胞を超える密度でプレーティングされる場合、本開示の方法は、ウェルあたりの単一細胞特異性が達成されるまで、抗原特異的抗体を産生すると同定されたウェル中の細胞をその後希釈する工程を含み、それによって、いくつかの実施形態において、抗原特異的抗体を産生するB細胞の同定を容易にする。いくつかの実施形態において、細胞上清またはその一部および/または細胞を凍結し、抗体ポリヌクレオチドの将来の試験および後の回収のために保存する。
【0375】
特定の実施形態において、B細胞は、B細胞による抗体の産生に有利な条件下で培養される。例えば、B細胞をB細胞の増殖および分化に好ましい条件下で培養することで、抗体を産生する形質芽細胞、プラズマ細胞、または形質細胞を得る。特定の実施形態において、B細胞は、リポ多糖(LPS)またはCD40リガンドなどのB細胞マイトジェンの存在下で培養される。1つの具体的な実施形態において、B細胞は、フィード細胞(feed cells)および/または他のB細胞活性化因子、例えば、CD40リガンドと共にそれらを培養することによって、抗体産生細胞に分化される。
【0376】
細胞培養上清またはそれから得られた抗体は、いくつかの実施形態において、本明細書に記載されるものを含む、当技術分野において利用可能な日常的な方法を使用して、標的抗原に結合する能力について試験される。特定の実施形態において、培養上清は、ハイスループット法を使用して、標的抗原に結合する抗体の存在について試験される。例えば、B細胞をマルチウェルマイクロタイター皿で培養し、ロボットプレートハンドラーを用いて複数の細胞上清を同時に試料採取し、標的抗原に結合する抗体の存在について試験する。特定の実施形態において、抗原は、抗体/抗原複合体の捕捉を容易にするために、ビーズ(例えば、常磁性またはラテックスビーズ)に結合される。他の実施形態において、抗原および抗体を(異なる標識で)蛍光標識し、FACS分析を行って、標的抗原に結合する抗体の存在を同定する。一実施形態において、抗体結合は、FMAT(商標)分析および機器(Applied Biosystems, Foster City, Calif.)を用いて決定される。FMATは、ハイスループットスクリーニングのための蛍光マクロ共焦点プラットフォームであり、生細胞またはビーズを使用するミックスアンドリード非放射性アッセイを可能にする。
【0377】
特定の標的抗原(例えば、疾患組織もしくは細胞、線維性組織もしくは細胞、または感染因子などの生体試料)に対する抗体の結合を、対照試料(例えば、正常細胞、別の種由来の比較細胞(comparator cells)、異なる線維性組織もしくは細胞、異なる組織もしくは細胞、または異なる感染因子などの生体試料)に対する抗体の結合と比較する際に、いくつかの実施形態において、対照試料に結合する量と比較して、少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも5倍、または、少なくとも10倍以上の抗体が特定の標的抗原に結合する場合、抗体は特定の標的抗原に優先的に結合すると考えられる。
【0378】
抗体鎖、その可変領域、またはその断片をコードするポリヌクレオチドは、いくつかの実施形態において、当技術分野で利用可能な任意の手段を利用して細胞から単離される。一実施形態において、ポリヌクレオチドは、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、例えば、当該技術分野で利用可能な日常的な手順を使用して、ポリヌクレオチド配列またはその相補体をコードする重鎖または軽鎖に特異的に結合するオリゴヌクレオチドプライマーを使用する逆転写PCR(RT-PCR)を使用して単離される。一実施形態において、陽性ウェルを全ウェルRT-PCRに供して、クローン娘形質細胞によって発現されるIgG分子の重鎖および軽鎖の可変領域を増幅する。いくつかの実施形態において、これらのPCR産物を配列決定し、次いで、重鎖および軽鎖の可変領域またはその部分をコードする産物をヒト抗体発現ベクターにサブクローニングし、当技術分野における日常的な手順に従って組換え発現させる(例えば、米国特許第7,112,439号を参照)。本明細書に記載されるM2マクロファージ特異的抗体またはその断片をコードする核酸分子は、いくつかの実施形態において、核酸切除、ライゲーション、形質転換、およびトランスフェクションのための様々な周知の手順のいずれかに従って増殖および発現される。したがって、特定の実施形態において、抗体断片の発現は、大腸菌などの原核生物宿主細胞において好ましい(例えば、Pluckthun et al.,Methods Enzymol 178:497-515(1989)を参照)。特定の他の実施形態において、抗体またはその抗原結合断片の発現は、真核生物宿主細胞、例えば、酵母(例えば、ビール酵母菌(Saccharomyces cerevisiae)、分裂酵母(S.pombe)、ピキア・パストリス(Pichia pastoris))、動物細胞(哺乳動物細胞を含む)、または植物細胞において好ましい。適切な動物細胞の例としては、限定されないが、骨髄腫、COS、CHO、またはハイブリドーマ細胞が挙げられる。植物細胞の例としては、タバコ、トウモロコシ、ダイズ、およびイネ細胞が挙げられる。当業者に公知の方法によって、本開示に基づいて、特定の宿主系において外来配列を発現させるために核酸ベクターを設計し、次いで、いくつかの実施形態において、M2マクロファージ特異的抗体(またはその断片)をコードするポリヌクレオチド配列を挿入する。調節エレメントは、特定の宿主に応じて変化する。
【0379】
可変および/または定常領域をコードするポリヌクレオチドを含む1つ以上の複製可能な発現ベクターは、いくつかの実施形態において、抗体の産生が起こる適切な細胞株、例えば、非産生骨髄腫細胞株、例えば、マウスNSO株、または大腸菌などの細菌を形質転換するために調製および使用される。効率的な転写および翻訳を得るために、各ベクター中のポリヌクレオチド配列は、適切な調節配列、特に可変領域配列に作動可能に連結されたプロモーターおよびリーダー配列を含んでいなければならない。
【0380】
このように抗体を産生するための特定の方法は一般に周知であり、日常的に使用される。例えば、分子生物学的手順は、Sambrook et al., Molecular Cloning, A Laboratory Manual, 2nd ed., Cold Spring Harbor Laboratory, New York, 1989。同様にSambrook et al., 3rd ed., Cold Spring Harbor Laboratory, New York, (2001)も参照)に記載されている。必須ではないが、特定の実施形態において、組換え抗体をコードするポリヌクレオチドの領域が配列決定される。DNA配列決定は例えば、任意の様式で、または当技術分野で公知の任意の系を使用して行われる。基本的な配列決定技術は、例えば、Sanger et al.,Proc Natl Acad Sci USA 74:5463(1977))およびAmersham International plc配列決定ハンドブックに記載されており、それらに対する改良を含む。
【0381】
特定の実施形態において、得られた組換え抗体またはその断片を試験することでそれらの元の特異性を確認し、いくつかの実施形態において、例えば、関連するポリペプチドとの交差反応性についてさらに試験する。特定の実施形態において、本明細書に記載される方法に従って同定または産生された抗体は、従来の方法を使用して、内在化する能力または他のエフェクター機能について試験される。
【0382】
包装、キット、およびあらかじめ充填された容器
また、本明細書では、上記の1つ以上の化合物を含むキットも提供される。キットは、いくつかの実施形態において、適切な容器手段中に本明細書に記載される抗体またはその抗原結合断片を含む。
【0383】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載される組成物を含む容器手段が提供される。いくつかの実施形態において、容器手段は、例えば、限定されないが、バイアル、シリンジ、ボトル、静脈内(IV)バッグまたはアンプルを含む液体または凍結乾燥組成物を収容する任意の適切な容器である。シリンジは、いくつかの実施形態において、限定されないが、0.5cc、1cc、2cc、5cc、10cc、またはそれ以上を含む、対象への注入に適した任意の体積の液体を保持する。
【0384】
本明細書に記載される組成物を含むキットが本明細書で提供される。いくつかの実施形態において、本明細書には、本明細書に記載されるような抗体と、線維症治療薬(fibrosis therapy)とを含む、線維症を有する対象を処置するためのキットが提供される。
【0385】
いくつかの実施形態において、本明細書には、線維症を処置するためのキットが提供され、上記キットは、本明細書に記載されるような抗体と、容器に付着または包装されるラベルとを含み、ラベルは、線維症治療薬と組み合わせた抗体の使用を説明する。
【0386】
いくつかの実施形態において、本明細書では、線維症を治療するためのキットが提供され、上記キットは、線維症治療薬と、容器に付着または包装されたラベルとを含み、上記ラベルは、本明細書に記載される抗体とともに線維症治療薬(例えば、抗炎症性)の使用を記載する。
【0387】
いくつかの実施形態において、キットの容器手段は概して、少なくとも1つのバイアル、試験管、フラスコ、ボトル、アンプル、シリンジ、静脈内(IV)バッグ、および/または他の容器手段を含み、その中に、少なくとも1つのポリペプチドが配置され、および/または好ましくは、適切に分注される。本明細書には、本明細書に記載される組成物を含む容器手段が提供される。
【0388】
キットは、いくつかの実施形態において、少なくとも1つの融合タンパク質、検出可能な部分、レポーター分子、および/または任意の他の試薬容器を商業的販売のために厳重に閉じ込めて含有するための手段を含む。いくつかの実施形態において、このような容器は、所望のバイアルを保持する射出成形および/またはブロー成形プラスチック容器を含む。いくつかの実施形態において、キットはさらに、キット中の材料の使用のための印刷された材料を含む。
【0389】
パッケージおよびキットは、いくつかの実施形態において、医薬製剤中に緩衝剤、保存剤、および/または安定化剤をさらに含む。いくつかの実施形態において、キットの各構成要素は、個々の容器内に封入され、様々な容器のすべては、単一のパッケージ内にあり得る。いくつかの実施形態において、本開示のキットは、低温保存または室温保存用に設計される。
【0390】
加えて、いくつかの実施形態において、調製物は、キットの貯蔵寿命を増加させるための安定剤を含有し、例えば、ウシ血清アルブミン(BSA)を含む。組成物が凍結乾燥される場合、キットは、いくつかの実施形態において、凍結乾燥調製物を再構成するための溶液のさらなる調製物を含有する。許容可能な再構成溶液は、当技術分野において周知であり、例えば、薬学的に許容可能なリン酸緩衝生理食塩水(PBS)を含む。
【0391】
いくつかの実施形態において、パッケージおよびキットは、例えば、ELISAアッセイなどのアッセイのための1つ以上の構成要素をさらに含む。本出願において試験される試料としては、例えば、血液、血漿、組織切片および分泌物、尿、リンパ液、ならびにそれらの産物が挙げられる。いくつかの実施形態において、パッケージおよびキットは、試料(例えば、シリンジ、カップ、綿棒など)の収集のための1つ以上の構成要素をさらに含む。
【0392】
いくつかの実施形態において、パッケージおよびキットは、アメリカ食品医薬品局または同様の規制当局によって必要とされる情報、例えば、製品説明、投与の量および様式、ならびに/または処置の指標を指定するラベルをさらに含む。本明細書に提供されるパッケージは、本明細書に記載される組成物のいずれかを含むことができる。
【0393】
「包装材料」という用語は、キットの構成要素を収容する物理的構造を指す。いくつかの実施形態において、包装材料は、構成要素を無菌に維持し、そのような目的のために通常使用される材料(例えば、紙、波形繊維、ガラス、プラスチック、箔、アンプルなど)で作製される。いくつかの実施形態において、ラベルまたは添付文書は、適切な書面による説明書を含む。したがって、キットは、いくつかの実施形態において、本開示の任意の方法においてキット構成要素を使用するためのラベルまたは説明書をさらに含む。いくつかの実施形態において、キットは、本明細書に記載される方法において化合物を投与するための説明書と共にパックまたはディスペンサー中の化合物を含む。
【0394】
またさらなる実施形態において、キットは、線維症療法のための容器手段をさらに含む。
【0395】
説明書は、いくつかの実施形態において、処置方法を含む本明細書に記載される方法のいずれかを実施するための説明書を含む。説明書は、満足のいく臨床エンドポイントもしくは生じる任意の有害な症状の指標、またはいくつかの実施形態においてヒト対象に使用するための食品医薬品局などの規制当局によって必要とされる追加の情報をさらに含む。
【0396】
説明書は、いくつかの実施形態において、「印刷物」上、例えば、キット内もしくはキットに添付された紙もしくはボール紙上、またはキットもしくは包装材料に添付されたラベル上、またはキットの構成要素を含むバイアルもしくはチューブに添付される。説明書はさらに、いくつかの実施形態において、例えば、CD-ROM、DVD、フラッシュメモリデバイス、ソリッドステートメモリ、磁気ディスクおよびディスクデバイス、磁気テープ、クラウドコンピューティングシステムおよびサービス等のコンピュータ可読媒体上に含まれる。場合によっては、プログラムと命令は媒体上で永久に、実質的に永久に、半永久に、または非一時的に符号化される。
【0397】
本明細書には、本明細書に記載される組成物を含む容器手段が提供される。いくつかの実施形態において、容器手段は、限定されないが、バイアル、シリンジ、ボトル、静脈内(IV)バッグまたはアンプルを含む液体または凍結乾燥組成物を収容する任意の適切な容器である。シリンジは、いくつかの実施形態において、限定されないが、0.5cc、1cc、2cc、5cc、10cc、またはそれ以上を含む、対象への注入に適した任意の体積の液体を保持する。
【0398】
本明細書に記載される組成物を含むキットが本明細書で提供される。いくつかの実施形態において、本明細書には、線維症治療剤と組み合わせて本明細書に記載されるような抗体を含む、線維症を処置するためのキットが提供される。
【0399】
いくつかの実施形態において、M2-マクロファージの存在に関連する線維症などの線維症を処置するためのキットが本明細書に提供され、上記キットは、本明細書に記載の抗体と、容器に付着または包装されたラベルであって、抗体またはその抗原結合断片の使用について記載したラベルを、追加の抗線維症治療薬または抗炎症治療薬とともに含む。いくつかの実施形態において、線維症は原発性線維性疾患である。いくつかの実施形態において、線維症は二次線維性疾患である。
【0400】
いくつかの実施形態において、M2-マクロファージの存在に関連する線維症などの線維症を処置するためのキットが本明細書に提供され、上記キットは、追加の抗線維症治療薬または抗炎症治療薬と、容器に付着または包装されたラベルであって、本明細書に記載される抗体を用いつ追加の抗線維症治療薬または抗炎症治療薬の使用について記載するラベルとを含む。いくつかの実施形態において、線維症は原発性線維性疾患である。いくつかの実施形態において、線維症は二次線維性疾患である。
【実施例】
【0401】
本開示は、以下の実施例においてさらに説明されるが、これらの実施例は、例示目的のためだけに与えられ、決して本開示を限定することを意図するものではない。
【0402】
実施例1-親和性成熟
ファージELISAの結果は、AB101-scFv-HLが大腸菌TG1/pCantab 5Eファージミドディスプレイシステムを介してファージの尾部のpIIIタンパク質のN末端に提示され得ることを示した。huCD163へのAB101-EおよびAB101-C結合のEC50値はそれぞれ、4.34nMおよび5.44nMであった。
【0403】
VHおよびVL変異ファージディスプレイscFvライブラリーを設計し、エラープローンPCRを介して構築した(scFv-AB101 VHmu-VLwtライブラリーおよびVHwt-VLmuライブラリーとしてマークされる)。
【0404】
【0405】
【0406】
抗体データベースに基づく配列アラインメント解析およびDiscovery Studioの構造モデリング解析に従って、ホットスポット突然変異ファージディスプレイscFvライブラリーをNNKプライマーを介して、設計および構築した(scFv-AB101 ホットスポット突然変異ライブラリーとしてマークされる)。
【0407】
【0408】
3つの変異体ライブラリーの容量はそれぞれ1.13×1010(VHmu-VLwtライブラリー)、1.03×1010(VHwt-VLmuライブラリー)、および1.0×109(ホットスポット変異ライブラリー)であった。各ライブラリーの品質を、S1プライマーを用いた配列決定によって試験した。各変異体ライブラリーの補正率は、77.8%(VHmu-VLwtライブラリー)、70%(VHwt-VLmuライブラリー)、および75%(ホットスポット変異ライブラリー)である。これらの結果は、3つのライブラリーが高品質で構築されたことを示した。
【0409】
ライブラリースクリーニングを、scFv-AB101 VHmu-VLwtライブラリー、VHwt-VLmuライブラリー、およびホットスポット突然変異ライブラリーとしてマークされた3つの突然変異体ライブラリーに対して行った。
【0410】
標的抗原であるヒトCD163のSDS-PAGE分析を行った。ヒトCD163の分子量は約140KDであり、純度はいかなる分解も伴わずに90%超であった。ビオチン標識ヒトCD163(b-huCD163としてマークされる)を生成し、QC試験を行った。具体的には、ストレプトアビジンと結合したSDS-PAGEを用いてビオチン標識効率を評価し、その結果は効率が95%を超えることを示した。すべての結果は、ヒトCD163およびb-huCD163の品質が高いレベルであることを示した。
【0411】
4ラウンドのライブラリースクリーニングを、b-huCD163に対する3つの変異体ライブラリーに基づいて行った。濃縮効果は、3つのライブラリー、すなわち、scFv-AB101 VHmu-VLwtライブラリー、VHwt-VLmuライブラリー、およびホットスポット突然変異ライブラリーすべてについて見られた。
【0412】
VHmu-VLwtライブラリー
【0413】
VHmu-VLwtライブラリースクリーニングの第4ラウンドのアウトプットから138個のクローンをランダムに選択し、対照としてAB101親ファージを使用するQCモノクローナルファージELISAのために96ウェルプレート(1~46、137~182、および273~318としてマークされる)に入れた。ファージELISAの結果に従って、40の高度に陽性のクローンを、DNA配列決定のためにバッチ1~3から選択した(クローン178および181は配列決定されなかった)。
【0414】
VHwt-VLmuライブラリー
【0415】
VHwt-VLmuライブラリースクリーニングの第4ラウンドのアウトプットから138個のクローンをランダムに選択し、対照としてAB101親ファージを使用するQCモノクローナルファージELISAのために96ウェルプレート(47~92、183~228、および319~364としてマークされる)に入れた。ファージELISAの結果に従って、42の高度に陽性のクローンをDNA配列決定のためにバッチ1~3から選択した。
【0416】
ホットスポット突然変異ライブラリー
【0417】
ホットスポット突然変異ライブラリースクリーニングの第4ラウンドのアウトプットから138個のクローンをランダムに選択し、対照としてAB101親ファージを使用するQCモノクローナルファージELISAのために96ウェルプレート(93~136、229~272、365~408としてマークされる)に入れた。ファージELISAの結果に従って、17の高度に陽性のクローンをDNA配列決定のためにバッチ1~3から選択した。合計で、97個の高度に陽性のクローンをDNA配列決定のために選択した。
【0418】
サブライブラリー構築およびスクリーニング
【0419】
VHm-VLwtライブラリーの第4ラウンドのアウトプットプールからのVHm(VHに変異を含む)配列、およびVHwt-VLmライブラリーの第4ラウンドのアウトプットプールからのVLm(VLに変異を含む)配列をそれぞれ増幅し、重複PCRを介してscFvにランダムにアセンブルすることでサブライブラリーを構築した。エンドサブライブラリー(end sub-library)を構築し、ライブラリーの容量は3.8×109である。抗原に対するサブライブラリーに基づいて、2回のラウンドのライブラリースクリーニングを実施した。その後、サブライブラリーの第2ラウンドのアウトプットから180個のクローン(クローン409-588としてマークされる)をランダムに選択し、モノクローナルファージELISAを実施した。モノクローナルファージELISA結果に基づいて、最も高い陽性シグナルを有する60個のクローンを配列決定のために選択した。DNA配列決定の結果によれば、56個のクローンが首尾よく配列決定され、4個のクローン(クローン411、462、520、および556)は正しい配列を得ることができなかった。配列の特徴に基づいて、さらなるIgG抗体真核生物の発現および親和性評価のために、5つの配列を選択した。
【0420】
実施例2-抗体結合親和性の決定
対照としてAb101親Abを使用することによって、6つのクローンについて1つのAb濃度でBLI親和性検出を行った。すべてのクローンはより低いKD値を有し、AB101親ABと比較した場合に、親和性が増強されたことを示している。
【0421】
材料
【0422】
抗原:ヒトCD163タンパク質(ビオチン化)
【0423】
以下の抗体:バリアント1(V1)~バリアント6(V6)を試験した。分子量(MW)および濃度は表4に記載される通りである。
【0424】
【0425】
緩衝液:PBS、PBST
【0426】
機器:ForteBio Octet RED96 (Pall), SA Biosensor
【0427】
プロトコル
【0428】
試料を以下のように調製した。PBS緩衝液で抗原b-huCD163を2μg/mLに希釈する。PBST緩衝液でAB101親ABを一連の濃度(100/150/200/250nM)に希釈する。結果を表5に示す。
【0429】
【0430】
4つのAb濃度でのBLI親和性測定のためにV4を選択した。PBST緩衝液でV4抗体を一連の濃度(6.25/12.5/25/50nM)に希釈する。結果を表6に示す。
【0431】
【0432】
親和性は以下のように決定された。
【0433】
【0434】
SAセンサをPBS緩衝液に15分間入れた。異なる溶液を、以下の順序に従って96ウェルプレートに200μL/ウェルで添加した。
【0435】
【0436】
クローン4が1.76×10-10のKDを有し、これは、6.61×10-7のKD値を有するAB101親ABと比較した場合、約3755倍の親和性増強であったことは注目に値する。
【0437】
実施例3-肺癌の処置
肺癌を有すると診断されたまたは疑われる対象に、1つ以上の治療有効用量の本明細書に開示される抗体を投与する。肺癌は処置後に改善または排除される。
【0438】
実施例4-肺肉腫の処置
肺肉腫を有すると診断されたまたは疑われる対象に、1つ以上の治療有効用量の本明細書に開示される抗体を投与する。肺肉腫は処置後に改善または排除される。
【0439】
実施例5-原発性線維性疾患を有する対象における線維性病態の減少
原発性線維性疾患(例えば、間質性肺疾患(ILD)、特発性肺線維症(IPF)、びまん性間質性肺疾患、肝線維症、および肝硬変)を有すると診断されたまたは疑われる対象に、1つ以上の治療有効用量の本明細書に開示される抗体を投与する。線維性病態は、処置後に改善または排除される。
【0440】
実施例6-二次疾患としての線維症を有する対象における線維性病態の減少
非線維性疾患(例えば、感染症、自己免疫疾患もしくは障害、癌、または炎症性疾患もしくは障害)の合併症として線維症を有すると診断されたかまたは疑われ、線維性組織に存在するM2マクロファージを有すると決定されたかまたは疑われる対象に、1つ以上の治療有効用量の本明細書に開示される抗体を投与する。線維性病態は、処置後に改善または排除される。
【0441】
実施例7-組織傷害に起因する線維症を有する対象における線維性病態の減少
組織損傷(例えば、放射線誘発損傷または機械的損傷)の合併症として線維症を有すると診断されたかまたは疑われ、損傷組織に存在するM2マクロファージを有すると決定されたかまたは疑われる対象に、1つ以上の治療有効用量の本明細書に開示される抗体を投与する。線維性病態は、処置後に改善または排除される。
【0442】
実施例8-AB101の高親和性バリアントは、SU-DHL-1 WT細胞上のCD163に対するより強い結合を実証する
DHL-1(ATCC、No.CRL-2955)は、CD163を構成的に発現するが、細胞表面上のFc受容体(FcR)の発現を欠く食作用性のヒト未分化大細胞リンパ腫細胞株である。これらの細胞を、10%ウシ胎仔血清(HyClone、No.SH30396.03)を補充したRPMI-1640培地(HyClone、No.SH30027.02)中で懸濁培養した。
【0443】
AB101およびその高親和性バリアントの結合におけるFcRの役割を評価するために、CD163発現SU-DHL-1細胞に、ヒトCD64またはFcγRI(Origene、No.RC207487L3V)、CD32aまたはFcγRIIa(G&P Biosciences、No.LTV2124P)、およびCD16またはFcγRIII(Origene、No.RC206429L3V)をコードするレンチウイルスを形質導入した。SU-DHL-1(5×104)細胞を、8μg/mLのポリブレン(Millipore、No.TR-1003-G)の存在下で、細胞当たり20~50個の粒子でそれぞれのFcR(CD16、CD32A、およびCD64)をコードするレンチウイルス粒子で処理することで、安定なFcR発現を有するSU-DHL-1細胞株を作製した。細胞を800×gで1時間の遠心分離によって室温(RT)で感染させ、その後、インキュベーター(37℃、5%CO2)に4時間移した。次いで、ウイルス含有培地を除去し、細胞を新鮮な培地中で3日間回収した後、0.3μg/mLのピューロマイシン(ThermoFisher、No.A1113803)を含有する培地中で選択した。レンチウイルス粒子は、感染時にそれぞれのFcR遺伝子を標的細胞に送達し、次いで内容物を宿主ゲノムに高効率で組み込んだ。ピューロマイシンを選択マーカーとして利用して安定なFcR発現を選択することによって、CD16、CD32、およびCD64発現細胞の集団を単離して培養した。ピューロマイシン耐性細胞集団におけるFcRの発現を、BD FACSymphonyサイトメーターおよびFcR特異的抗体を使用するフローサイトメトリーによって確認した。
【0444】
代表的なバリアントであるAB101、V3、およびhIgG1アイソタイプ対照の、SU-DHL-1野生型(WT)またはFcγR発現細胞への結合をフローサイトメトリーによって評価した。アイソタイプ対照は、AB101およびV3に対して既知の特異性および同一のIgG1 Fc領域を有する独自の(proprietary )ヒトIgG1 mAbであった。SU-DHL-1細胞をPBSで1回洗浄し、Zombie UVライブ/デッド染色(BioLegend、No.423107)(1:500)に室温で20分間再懸濁した。次いで、細胞をFACS緩衝液(PBS+1%FBS+1mM EDTA(Fisher Scientific、No.15575-038))で洗浄し、FACSブロック(10%FBSおよび0.5mg/mLのhIgG1を含有するFACS緩衝液)に室温で20分間再懸濁した。ブロッキング緩衝液中の細胞を、2.5×104細胞/ウェルで384ウェルプレートに移し、滴定された抗体(AB101、V3、およびhIgG1アイソタイプ対照)を、2×最終アッセイ濃度で各ウェルに直接添加した。細胞を抗体と共に室温で20分間インキュベートした。細胞をFACS緩衝液で3回洗浄し、次いで、FACSymphony(商標)サイトメーター(BD Biosciences)での取得のためにFACS緩衝液に再懸濁した。
【0445】
SU-DHL-1野生型細胞はCD163を構成的に発現するが、感知できるほどのAB101結合は観察されなかった(
図1A)。このアッセイにおけるSU-DHL-1細胞へのAB101の最適な結合は、Fc受容体、例えば、FcγRIII(
図1B)、FcγRI(
図1C)、またはFcγRII(
図1D)の共発現を必要とする。対照的に、V3は、発現されたFc受容体の非存在下でさえ野生型細胞上に発現されたCD163によく結合し(
図1A)、この結合はFcγRの共発現によって有意に変化しない(
図1B~1D)。hIgG1対照抗体は、これらのアッセイにおいてごくわずかな結合を示したか、またはいかなる結合も示さず、Fc受容体結合単独では、このアッセイにおいてIgG1抗体の測定可能な結合を実証するのに充分ではないことを示唆した。
【0446】
実施例9-AB101の高親和性バリアントは、ELISAによって組換えCD163タンパク質へのより強い結合を示す
Hisタグ付き組換えヒトCD163(R&D Systems、No.1607-CD-050)タンパク質に結合するCD163バリアント抗体を、ELISAを用いて決定した。組換えタンパク質をPBS中で5μg/mLに希釈し、384ウェルの高結合ELISAプレート(Greiner Bio-One、No.781061)に25μL/ウェルで添加し、4℃で一晩インキュベートした。プレートを、BioTek ELx405Selectマイクロプレート洗浄機(洗浄プログラムELISA_384_PBS_3x_wash)を使用してPBSで3回洗浄し、次いで、90μL/ウェルのブロッキング緩衝液(2%脱脂粉乳/PBS+0.05%Tween20)で室温にて1時間ブロックした。
【0447】
ブロッキング後、1ウェルあたり25μLの一次抗体をプレートに添加し、室温で1時間インキュベートした。アイソタイプ対照は、既知の特異性を有する、ヒトIgG1フレームワークにおける独自のmAb(proprietary)であった。一次抗体結合後、プレートをEL405x(洗浄プログラムELISA_384_PBS_3x_wash)を用いてPBSで3回洗浄した。二次抗体は、ヤギ抗ヒトIgG F(ab’)2 HRP(Jackson Immunoresearch、No.109-035-097)であった。二次抗体を2%脱脂粉乳/PBSで1:2500に希釈し、ウェルあたり25μLをウェルに加え、室温で1時間インキュベートした。EL405x(洗浄プログラムELISA_384_PBS_4x_wash)を使用して、プレートをPBSで4回洗浄した。最終洗浄物を除去した後、25μL/ウェルのニートの1-Step(商標)Ultra TMB-ELISA Substrate Solution(ThermoFisher、No.34028)を添加し、プレートを、光から保護した状態で室温で10~15分間インキュベートした。発色後、0.3MのHClをウェルあたり25μL添加することによって反応を停止させ、SpectraMax M5e装置を用いて450nmでプレートを読み取った。
【0448】
図2A~2Fに示すように、AB101のバリアント、すなわち、V1(
図2A)、V2(
図2B)、V3(
図2C)、V4(
図2D)、V5(
図2E)、およびV6(
図2F)、ならびにAB101親抗体は、このアッセイにおいてhuCD163に結合したが、アイソタイプ対照は、感知できるほどの結合を示さなかった。huCD163に結合するAB101親抗体のEC
50値は84.39pMであったが、AB101のバリアントのEC
50値は1.87pM~3.05pMの範囲であり、AB101親抗体よりも27~45倍強い結合を示した(表7)。
【0449】
【0450】
実施例10:ドナー試料からの単離された単球の調製
アフェレーシス産物は、ドナーから収集され得、自己単球およびT細胞は、当該分野で通常使用される技術を使用して単離される。ここで、ヒト単球およびT細胞は、標準的な技術に従って白血球(WBC)から単離される。WBCは、収集プロセスまたはLeukoPaks(No.4510-01、Full LeukoPak、BloodWorks Northwest、Seattle, WA)中に統合白血球低減システム(LRS)チャンバー(Trima、No.2490-08)内に捕捉される。末梢血単核細胞(PBMC)を、標準密度勾配遠心分離(FicollPaque(登録商標)Premium 1.073,GE Healthcare,No.17-5449-52)によってLRSチャンバーまたはLeukoPaksから精製する。上清を廃棄し、ペレットを20mLのEasySep(商標)緩衝液(STEMCELL Technologies、No.20144)に再懸濁して、PBMCを計数し、単球およびT細胞をさらに単離する。
【0451】
単球を、EasySep(商標)ヒト単球単離キット(STEMCELL Technologies、No.19359)を製造業者の指示に従って使用して単離する。
【0452】
CD3+、CD4+、およびCD8+T細胞はすべて、製造業者の指示に従って、EasySep(商標)ヒトCD3+、CD4+、およびCD8+T細胞単離キット(STEMCELL Technologies、番号19051、17952、および17953)を使用して単離することができる。これらの陰性選択キットは、除去する望ましくない細胞型を標識するために抗体を使用し、所望の標的細胞を接触していない試料からそのまま単離することを可能にする。
【0453】
マクロファージは、以下に例示されるものなどの当技術分野で通常使用される技術を使用して、PBMC由来単球から生成することができる。
【0454】
M0マクロファージの生成:0日目に、個々のドナー由来の単球を、M0培養培地(90%X-VIVO(商標)15(Lonza No.O4-418Q)+10%熱不活性化FBS(Hyclone,No.SH30396.03)+100ng/mLヒトM-CSF(PeproTech,No.300-25))中25,000~50,000細胞/100μL/ウェルで96ウェル培養プレート(ThermoFisher(Costar)、No.09-761-145)にプレーティングする。細胞を37℃および5%CO2で5~6日間インキュベートして、M0マクロファージを産生する。
【0455】
M2cマクロファージの生成:培養の5~6日目に、培地を各プレートから穏やかに吸引し、それを100μL/ウェルのM2c培養培地(20ng/mLのヒトIL-10を含むM0培養培地(PeproTech、No.200-10))と交換することによって、M0マクロファージをM2cマクロファージに極性化させる。細胞を37℃、5%のCO2で2日間インキュベートした。培養の7~8日目に、M2cマクロファージはアッセイ設定の準備ができている。
【0456】
実施例11-AB101の高親和性バリアントは、FACSによってM2cマクロファージへのより強い結合を実証する
細胞上に発現したCD163に対するバリアント抗体の結合動態を評価するために、免疫抑制性M2cマクロファージを用いて結合試験を行った。マクロファージを単離し、例えば、上記の実施例10に記載のものなどの標準的な方法に従って調製した。
【0457】
M2c細胞を、マクロファージ剥離溶液(Macrophage Detachment Solution)DXF(PromoCell、No.C-41330)中で室温で15分間インキュベートし、フラスコからX-VIVO(商標)15無血清培地(Lonza、No.O4-418Q)中に取り出した。
【0458】
遠心分離後、細胞をPBSで1回洗浄し、Zombie UVライブ/デッド染色(BioLegend、No.423107)(1:500)に室温で20分間再懸濁した。次いで、細胞をFACS緩衝液(PBS+1%FBS+1mM EDTA(Fisher Scientific No.15575-038))で洗浄し、FACSブロック(10%FBSおよび0.5mg/mLのヒトIgG1を含有するFACS緩衝液)に室温で20分間再懸濁した。ブロッキング緩衝液中の細胞を、2.5×104細胞/ウェルで384ウェルプレートに移し、滴定した抗体を2×最終アッセイ濃度で各ウェルに直接添加した。細胞を抗体と共に室温で20分間インキュベートした。細胞をFACS緩衝液で3回洗浄し、次いで、FACSymphony(商標)サイトメーター(BD Biosciences)で得られるようにFACS緩衝液に再懸濁した。
【0459】
図3に示すように、これらの代表的なバリアントは、親AB101抗体と比較して、M2cマクロファージへの改善された結合を示した。ヒトIgG1(hIgG1)アイソタイプ対照は、M2cマクロファージへの結合を示さなかった。
【0460】
実施例12-AB101の高親和性バリアントは、特異性を保持し、全血中のCD163+細胞への改善された結合を示す
ヒト免疫細胞系列サブセットに結合する抗体をフローサイトメトリーによって評価した。簡潔に言えば、抗凝固剤としてヘパリンを含む全血を得た(Bloodworks Northwest)。Fc受容体ブロッキング試薬を、最終サンプル量400μL中、最終濃度10%FBS、0.5mg/mLのヒトIgG1、および0.05%のNaN3となるように、全血に直接添加した。室温での20分のブロッキング後、APC標識抗CD163抗体AB101、V3、ヒトIgG1アイソタイプ対照、抗CD163クローンR20、およびマウスIgG1アイソタイプ対照を添加した。30分後、赤血球(RBC)をRBC溶解緩衝液で溶解し、その後、Zombie UV生存率染色を行った。次いで、細胞をFACS緩衝液(1%FBS、2mM EDTA、および0.05%NaN3を含有するPBS)で洗浄し、10%FBSおよび10%FcXブロックを含有するFACS緩衝液に再懸濁した。次いで、抗体表現型決定カクテル(表8a)を添加し、室温で30分間暗所でインキュベートした。細胞をFACS緩衝液で洗浄し、FACSymphony(商標)サイトメーター(BD BioSciences)を用いてデータ取得のためにFACS緩衝液に再懸濁した。分析はFlowJoソフトウェアを用いて行った。集団を、表8bに記載されるゲーティングパラメータに従って同定した。
【0461】
【0462】
【0463】
図4A~4Cに示すように、市販の抗CD163クローンR20(R&D Systems,No.FAB16072R10)を用いて、古典的単球、中間単球、および骨髄樹状細胞(mDC)の一部上でCD163発現を検出した。単球およびDCにわたる抗CD163クローンR20を用いた染色の比較は、CD163発現が細胞型にわたり変化したことを示した(古典的単球>中間単球>mDC)。CD4+およびCD8+T細胞、B細胞、NK細胞、好中球、非古典的単球、および好中球への感知できるほどの結合は観察されなかった(データは示さず)。
【0464】
CD163発現と一致して、AB101およびV3は、ヒト好中球、B細胞、NK細胞、CD4+T細胞、またはCD8+T細胞に感知できるほど結合することなく、単球に特異的に結合した。ヒトIgG1アイソタイプ対照(IgG1)は、評価した免疫細胞系統のいずれにも検出可能な結合を示さなかった。V3は、全血中のCD163
+細胞への改善された結合を実証した。DC、古典的単球、中間単球、および非古典的単球へのV3結合の幾何学的MFIは、AB101のgMFIと比較して、4.3倍、9.8倍、9.2倍、および3倍増加した(
図4A~4C)。
【0465】
実施例13A-CD163抗体は、T細胞増殖によって測定されるように、M2c/CD8+T細胞培養におけるM2c媒介性免疫抑制を軽減する
腫瘍関連マクロファージによる腫瘍微小環境におけるT細胞の抑制は、免疫抑制性腫瘍微小環境に寄与する。この活性は、自己単球由来M2マクロファージと活性化CD8+またはCD4+T細胞との共培養によってモデル化することができ、T細胞増殖およびサイトカイン発現レベルをT細胞活性化の代理として使用することができる。
【0466】
M0マクロファージをM2cマクロファージに極性化させた後、上清をM2cマクロファージ96ウェル培養プレートから取り出し、0.625μg/mLのOKT3(ThermoFisher、No.14-0037-82)+/-CD163抗体を含有する100μLのアッセイ培地(X-VIVO(商標)15培地+10%FBS)と交換し、37℃、5%CO2で1~2時間インキュベートした。M2cマクロファージを抗体と接触させながら、上記のように単離した自己CD8+T細胞を、5μMのCellTrace(商標)バイオレット増殖色素(ThermoFisher、No.C34571)で、37℃、5%CO2で20分間標識した。過剰なCellTrace(商標)を氷冷アッセイ培地で洗い流し、標識されたCD8+T細胞をアッセイ培地に再懸濁し、次いで、1:1のM2c:CD8+T細胞の比で、M2c/抗体調製物に添加した。その後、細胞を37℃、5%CO2で72時間インキュベートした。
【0467】
T細胞を含む上清をV底96ウェルプレートに移し、遠心分離してT細胞をペレット化し、培養上清を回収し、ELISA(R&D Systems、 Duoset ELISA, No. DY285B)によるヒトIFNγサイトカイン分析のために-20℃で凍結した。T細胞ペレットをTrue Stain Fcブロック(BioLegend)でブロックし、抗ヒトCD8-BUV395(BD Biosciences)で4℃で20分間染色した。細胞を洗浄し、暗所で室温で15分間e780生存率色素で染色し、FACS緩衝液で洗浄し、BD Symphonyフローサイトメーター(BD Biosciences)上で得られるように200μLのFACS緩衝液に再懸濁した。CD8+T細胞を増殖させるパーセンテージを、FlowJOソフトウェアを用いて分析し、CD8+CellTrace陰性分裂細胞のパーセンテージとして報告した。CD163抗体は、CD8+T細胞増殖を回復させることによって、M2c/T細胞共培養アッセイにおいてM2cマクロファージ媒介性の免疫抑制を軽減した(
図5A)。V3は、CD8+T細胞増殖のM2c媒介性抑制の軽減において親AB101抗体よりも約40倍強力であった(表9)。
【0468】
【0469】
実施例13B-CD163抗体は、パーフォリン分泌によって測定されるように、M2c/CD8+T細胞培養におけるM2c媒介性免疫抑制を軽減する
M2c/T細胞共培養中の抗体処理は、M2c媒介免疫抑制を軽減し、抗CD3活性化CD8+T細胞による強力な細胞傷害性応答を誘導した。2~3名の試験対象から単離したCD8+T細胞を、M2cマクロファージの存在下で抗CD3(OKT3、0.25μg/mL)で活性化した。M2c/T細胞共培養物を、20μg/mLの抗CD163抗体、ヒトIgG1アイソタイプ対照、または培地単独(M2c)で処理した。上清を抗CD3刺激の72時間後に採取し、パーフォリン分泌を磁気ビーズベースのイムノアッセイによって定量化した。このアッセイにおいて、CD163抗体は、M2cマクロファージ媒介性の免疫抑制から消耗したT細胞のパーフォリン応答をレスキューしたが(
図5B)、対照IgG1抗体は活性を示さなかった。V3抗体は、CD8+T細胞によるパーフォリン分泌のM2c媒介性抑制の軽減において親AB101抗体よりも約100倍強力であった(表10)。
【0470】
【0471】
実施例13C-CD163抗体は、IFNγ分泌によって測定されるように、M2c/CD8T細胞芽球共培養におけるM2c媒介性免疫抑制を軽減する
腫瘍微小環境中のほとんどのT細胞は消耗しており、癌免疫回避に寄与するサイトカイン発現およびエフェクター機能の低下を示す。T細胞消耗を逆転させ(reverse)、抗腫瘍能を回復させることは、癌を処置するための有望な戦略である。本発明者らは、消耗したT細胞の機能活性を免疫抑制からレスキューするCD163抗体の能力を、マクロファージによって媒介される免疫抑制をモデル化する系である、消耗したT細胞とM2cとの共培養を用いて、評価した。芽球様形態を有する消耗したT細胞は、反復(3X)フィトヘマグルチニン(PHA)刺激によってヒトPBMCから生成することができる。
【0472】
凍結PBMCまたは新たに単離したPBMCを、培養培地(IMDM(Thermo Fisher、No.12440053)+10%ヒトAB血清(Sigma Aldrich、No.H4522)+2μg/mLのPHA-L(Sigma Aldrich、No.11249738001)+4ng/mLの組換えヒトIL-2(R&D Systems、No.202-1L))中、37℃、5%CO2で10日間、1×106細胞/mLでインキュベートし、4日目および7日目に細胞継代および培地交換を行った。10日目に、標準的な方法を用いてT細胞芽球を収集した。
【0473】
M2c媒介性の免疫抑制からT細胞芽球の機能活性をレスキューするCD163抗体の能力を測定するために、培養したM2cマクロファージ由来の古い培地を除去し、4×最終濃度のCD163またはアイソタイプ対照抗体を含有する50μLのX-VIVO(商標)15培地+10%FBSと交換し、37℃、5%CO2で2時間インキュベートした。OKT3抗体を0.25μg/mLに希釈し、M2c/抗体試料に添加し、37℃、5%CO2で30分間インキュベートした。最後にT細胞芽球を、1:1のT細胞芽球対M2cの比で試料に添加し、37℃、5%CO2で24時間インキュベートした。ELISAによるヒトインターフェロンγ(IFNγ)サイトカイン分析のために上清を回収した。各処理条件を3回設定した。
【0474】
このアッセイにおいて、CD163抗体は、M2cマクロファージ媒介性の免疫抑制から消耗したT細胞のIFNγ応答をレスキューしたが(
図5C)、対照IgG1抗体は活性を示さなかった。V3は、CD8+T細胞によるIFNγ放出のM2c媒介性抑制の軽減において、AB101抗体よりも10倍超強力であると思われた(表11)。
【0475】
【配列表】
【国際調査報告】