(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-26
(54)【発明の名称】薬剤製品の調合のための機械
(51)【国際特許分類】
B25J 5/02 20060101AFI20240119BHJP
A61J 3/00 20060101ALI20240119BHJP
【FI】
B25J5/02 B
A61J3/00 310K
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023543435
(86)(22)【出願日】2022-01-20
(85)【翻訳文提出日】2023-09-07
(86)【国際出願番号】 IB2022050473
(87)【国際公開番号】W WO2022157660
(87)【国際公開日】2022-07-28
(32)【優先日】2021-01-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515116009
【氏名又は名称】グリフォルス・ワールドワイド・オペレーションズ・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】GRIFOLS WORLDWIDE OPERATIONS LIMITED
【住所又は居所原語表記】Grange Castle Business Park,Grange Castle,Clondalkin,Dublin 22,IRELAND
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ホルディ・ボイラ・ボノラ
(72)【発明者】
【氏名】カルロス・ロウラ・サリエッティ
【テーマコード(参考)】
3C707
4C047
【Fターム(参考)】
3C707AS01
3C707BS12
3C707CS05
3C707KS10
3C707KT01
3C707KT04
3C707LS20
4C047FF09
4C047GG15
4C047JJ11
4C047JJ17
4C047JJ31
(57)【要約】
無菌環境での薬剤製品の調合のための機械(1)であって、薬剤製品を調合するためのライン(10)の少なくとも2つのステーション、および薬剤製品の容器(5)用の自動輸送手段を備えた機械(1)において、機械(1)は機械(1)の内側に位置決めされたロボット(2)および前記ロボットを制御するための手段を備え、前記ロボット(2)は機械(1)のステーションにアクセスするための移動手段を備えたロボットアームである、機械(1)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無菌環境での薬剤製品の調合のための機械であって、薬剤製品を調合するためのラインの少なくとも2つのステーション、および薬剤製品の容器用の自動輸送手段を備えた機械において、前記機械は前記機械の内側に位置決めされたロボットおよびロボット制御手段を備え、前記ロボットは前記機械の前記ステーションにアクセスするための移動手段を備えたロボットアームであることを特徴とする、機械。
【請求項2】
前記ロボットは、前記機械の内側に位置決めされた要素および機器の操作手段を備えていることを特徴とする、請求項1に記載の機械。
【請求項3】
前記ロボットは少なくとも6自由度を有することを特徴とする、請求項1から2のいずれか一項に記載の機械。
【請求項4】
前記機械はガイドを備え、前記ロボットの前記移動手段はまた前記ガイドへの接続手段を備え、前記ロボットは前記ガイド上に配置され、前記ガイドに沿って移動可能であることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の機械。
【請求項5】
前記ガイドは、前記機械の内部の上側部分に位置決めされていることを特徴とする、請求項4に記載の機械。
【請求項6】
前記ロボットの前記操作手段は、物体を把持および移動させるための手段を備えていることを特徴とする、請求項2から5のいずれか一項に記載の機械。
【請求項7】
前記ロボットは容器充填手段を備えていることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の機械。
【請求項8】
前記ロボットは機器修理手段を備えていることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の機械。
【請求項9】
前記ロボットは、予めプログラミングされたプログラムおよびアルゴリズムを備えていることを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の機械。
【請求項10】
前記ロボット制御手段は、前記機械の外側に位置決めされたインターフェースを備えていることを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載の機械。
【請求項11】
前記ロボット制御手段は周辺機器を備えていることを特徴とする、請求項1から10のいずれか一項に記載の機械。
【請求項12】
前記周辺機器は、ジョイスティックまたはバーチャルリアリティシミュレーションシステムであることを特徴とする、請求項11に記載の機械。
【請求項13】
前記少なくとも2つのステーションは、以下のステーション、容器堆積ステーション、容器充填ステーション、容器投薬ステーション、容器キャッピングステーション、容器封入ステーション、薬剤製品調合ステーション、医薬製品化合ステーション、容器殺菌ステーション、容器洗浄ステーション、容器輸送ステーションまたは容器冷凍ステーションから選択されたステーションであることを特徴とする、請求項1から12のいずれか一項に記載の機械。
【請求項14】
請求項1から13のいずれか一項に記載の無菌環境での薬剤製品の調合のための機械用のロボット。
【請求項15】
請求項1から13のいずれか一項に記載の無菌環境での薬剤製品の調合のための機械用のロボットを制御するためのインターフェース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬剤製品の調合のための機械に関する。
【背景技術】
【0002】
薬剤製品調合の分野では、異なるサイズの粒子(塵、花粉、皮膚など)、または細菌などのいずれかによって、その汚染を防ぐまたは最小限に抑えるために、前記薬剤製品および前記製品を入れたパッケージまたは容器の両方の正しい殺菌が必要である。
【0003】
したがって、最終殺菌に曝された製品の容器が中に存在する薬剤製品を調合するプロセスにおける様々なステップは、きれいな、無菌の(sterile)および/または無菌の(aseptic)環境で行われなければならない。これらのステップはしたがって、無菌室、すなわち、塵、懸濁液内の微生物または気化粒子などの極めて低レベルの粒子を維持するように設計された部屋内で行われる。
【0004】
時々、無菌室は、十分なレベルの清潔度を提供しない、または必要レベルの清潔度を達成および維持するのに極めて複雑および費用がかかることがある。内部に無菌環境を有し、容器を殺菌するために適当なレベルの清潔度を有する薬剤製品の調合のための機械の使用はしたがって、業界においてよりさらに幅広く広がってきている。これらのきれいな環境で、無菌室は普通、特に、懸濁液中の微粒子状物質、温度、湿度、気流、内部空気圧、照明などに関する厳しく制御された環境パラメータを有する。
【0005】
現在、薬剤調合デバイス(調剤化合デバイスとしても知られる)、アイソレータ、急速転移ポート、無菌容器充填システム、オートクレーブ、または同様の特徴を備えた他の機械などの多くのタイプの機械が、薬剤製品を調合または製造するプロセスで使用される。
【0006】
これらの機械は、物理的バリア(壁面など)によって、また一般的には空力バリア(その外部に対する内部の高いまたは低い圧力)によって閉じられるデバイスとして理解すべきであり、したがって、前記機械の内部は外部から完全に隔離され、したがって、可能性のある汚染物質が、「きれいな」または「汚い」環境がアイソレータの内側または外側にあるかどうかによって、内部に入るまたはそこから出るのを防ぐ。これらの機械は通常、前記機械が位置決めされ、前記機械と同じレベルのエンクロージャ清潔度分類を必要とするエンクロージャなしに、行われるプロセスに対する必要な殺菌および清潔度要件を内側に維持するために使用される。
【0007】
したがって、薬剤製品用のパッケージを製造するステップは、無菌デバイスまたは機械内で行われ、薬物を汚染しないように無菌環境で働く。
【0008】
通常、前記薬剤製品を入れた容器を充填する、瓶詰めする、準備する、化合する、キャッピングまたはストップする、封入する、輸送する、殺菌するなどを含む、薬剤製品を製造するプロセスの1つまたは複数のステップは、前記機械上で行われる。より詳細には、各ステップは無菌機械の内側のステーションで行われる。さらに、前記機械は、その内部に2つ以上のステーションを備え、それによって、パッケージ製造のための2つ以上のプロセスが同じ機械上で行われる。一般的に、薬剤製品の調合のための機械は、前記機械内側に製造ラインまたは調合ラインを備えていることを理解されたい。典型的な構成では、容器は最初、洗浄によって、きれいにするためのデバイスを通過する。容器はその後、前記容器が殺菌される殺菌デバイスに送られる。次に、容器は、前記容器が無菌で充填される充填機械に輸送される。
【0009】
同じ機械内に薬剤製品製造および/または調合ライン全体をおそらく有する、2つ以上のステーションを内側に備えた薬剤製品を調合または製造するプロセスのための無菌機械も、先行技術で知られている。同じ調合ライン内に2つ以上のステーションを備えたものに特に注意して、無菌環境での薬剤製品の調合のためのこのようなタイプの機械は、幅広い様々な物体および機器を内側に備え、その機構のうち、容器または薬瓶が薬剤または医薬製品を詰める、充填する、処理する、化合するまたは調合するために使用される。
【0010】
このタイプの機械を扱うオペレータは普通、高度に制限され、塵および微生物の両方による汚染に対して適切に保護されているが、人またはその肢(例えば、腕および手)が前記機械の内側に存在することが不可能である。
【0011】
無菌環境での知られている機械の欠点は、製造および/または調合ライン内の閉塞、容器が床に落ちること、容器が下手に位置決めされるなどの問題または故障が起こる場合に、オペレータは、問題を解決するために機械に入らなければならず、容器を汚染するリスクを伴うことである。扱われる製品の性質により、オペレータが機械に入る場合、前記機械を止めなければならず、事故を解決しなければならず、機械は動作に戻る前に再び殺菌されなければならない。さらに、調合ライン上の容器全ては廃棄しなければならず、多数の容器を捨てなければならないことを意味する。扱われる薬剤製品は極めて高価であるので、調合ライン全体の破棄は大きな経済的損失につながる。加えて、機器は、動作に戻る前に、停止、修理および殺菌しなければならない。
【0012】
機械内側の問題の場合、したがって、オペレータが前記領域に入ることなく前記問題を解決することが望ましい。無菌領域内で作動するための機械は普通、オペレータが、隔離バリアを「壊す」ことなく、機械内側で作動し、落ちたまたは下手に位置決めされた容器を持ち上げることを可能にする、その外部構造に接続された1つまたは複数のグローブを備えている。これらのグローブは、前記グローブを操作するユーザの存在を必要とし、遠隔で制御することができない。さらに、前記グローブは限られた範囲を有し、その操作は危険である可能性がある。
【0013】
無菌環境で薬剤製品を詰めるためのデバイスの実施形態で、例えば国際特許出願WO2007113660Aに開示されるような、スライドを使用するような他のタイプの手動制御が知られている。前記実施形態は、デバイスの部分を変更することを可能にする機械(ロボット)を含み、機械は調合ライン周りで移動することが可能である。
【0014】
薬剤製品を製造するためのシステムを通して自動的に巡回することができるロボットを開示し、これを通して機器の操作状態に関する情報を得ることができ、前記機器に調節を行うことができるカメラを組み込む、中国特許出願CN108994812Aに記載されるような、薬剤製品の調合のための機械の内側で操作を行うためのロボットが知られている。
【0015】
また、容器を同じ製造および/または調合ライン上で1つのステーションから別のものに輸送することを可能にするロボットアームが知られている。
【0016】
ロボットを制御するためのインターフェースの使用も知られている。したがって、国際特許出願WO2019029858Aは、一実施形態では、きれいな領域の外側に位置決めされたインターフェースを介して手動で制御されたきれいな領域内に飲料を詰めるためのロボットを開示している。しかし、このロボットは、製造ラインの内側で作動することが可能ではない欠点を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】国際特許出願WO2007113660A
【特許文献2】中国特許出願CN108994812A
【特許文献3】国際特許出願WO2019029858A
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明の目的は、オペレータが機械の内部に直接接触する必要なく、落ちたまたは下手に位置決めされた容器を持ち上げることを可能にする、可動ロボット、特にロボットアームをその内部に備えた、きれいな領域内で動作する機械を開示し、したがって、前記ロボットが非手動制御を有するときに、機械汚染およびダウンタイムを防ぐことである。本発明の別の目的は、機械のロボットが、製造ラインまたは調合ライン全体上で作動することが可能であり、また、ロボットアームでないステーションの間の輸送手段を有する製造ラインに平行に作動することが可能であることである。
【0019】
本発明の別の目的は、外側から制御されたグローブなどの手動方法または手段によって通常行われる操作の全てまたは最大の可能な数を置換するインターフェースまたはバーチャルリアリティシステムを介して、ユーザの効果的および便利な方法でロボットを制御するための手段を備えた薬剤製品の調合のための機械を開示することである。
【課題を解決するための手段】
【0020】
より詳細には、本発明は、無菌環境での薬剤製品の調合のための機械を開示し、前記機械は、機械が機械の内側に位置決めされたロボットおよびロボット制御手段を備えている特定の機構で、薬剤製品を調合するためのラインの少なくとも2つのステーション、および薬剤製品の容器用の自動輸送手段を備え、前記ロボットは機械のステーションにアクセスするための移動手段を備えたロボットアームである。
【0021】
ロボットは機械の内側に位置決めされていることが好ましい。ロボットは、機械の無菌調合ライン、製造ラインまたは作動ラインと平行に位置決めされていることが好ましい。
【0022】
本発明によるロボットは、機械のステーションにアクセスするための移動手段を備え、機械の内側で異なるステーション上、好ましくは全てのステーション上で作動することが可能である。ロボットは、機械の内側のあらゆる点にアクセスするための移動手段を備えていることが好ましい。調合ラインと平行に位置決めされ、異なるステーション上で作動することが可能であり、ロボットは調節を行い、落ちたまたは下手に位置決めされた容器を持ち上げ、他のタイプの問題を克服するために使用されてもよい。さらに、前記ロボットは、機械を停止させる必要なく、上記動作を行うことが可能である。
【0023】
本特許の内容では、薬剤製品の調合のための機械は、薬剤または医薬製品を詰める、充填する、処理する、化合するまたは調合するプロセスが、前記薬剤または医薬製品に関連する他のタイプのプロセスと、発明を限定することなく、無菌および/またはきれいな環境で行われるあらゆる無菌装置、機械またはエンクロージャとして定義される。機械は、血液製剤の調合のための機械であることが好ましい。
【0024】
少なくとも2つのステーションは、以下のステーション、容器堆積ステーション、容器充填ステーション、容器投薬ステーン、容器キャッピングステーション、容器封入ステーション、薬剤製品調合ステーション、医薬製品化合ステーション、容器殺菌ステーション、容器洗浄ステーション、容器輸送ステーションまたは容器冷凍ステーションから選択されたステーションであることが好ましい。
【0025】
ロボットは、少なくとも6自由度を備えたロボットアームであることが好ましい。ロボットは、少なくとも7自由度を備えたロボットアームであることがより好ましい。ロボットは、8以上の自由度を備えたロボットアームであることがさらに好ましい。
【0026】
機械はガイドを備え、ロボットの移動手段はまた、ガイドへの接続手段を備え、ロボットは、前記ガイド上に配置され、前記ガイドに沿って移動可能であることが好ましい。ガイドは、機械の内部の上側部分に位置決めされていることがより好ましい。
【0027】
別の方法では、ロボット移動手段は自動ガイド車両(AGV)を備え、ロボットは前記車両上に位置決めされている。本代替実施形態では、ロボット移動手段は、装置の下側部分に位置決めされている。他の代替実施形態では、ロボットは、無線周波数によって、または局所位置決めシステムによって指示されてもよい。
【0028】
ロボットは、前記機械の内側に位置決めされた要素および機器のための操作手段を備えていることが好ましい。
【0029】
ロボットの操作手段は、物体を把持および移動させるための手段を備えていることが好ましい。ロボットの操作手段は、機械の内側で物体を把持および移動させるための手段を備えていることがさらに好ましい。ロボットの操作手段は、機械の内側で薬剤製品の容器を把持および移動させるための手段を備えていることがさらに好ましい。
【0030】
ロボットは、機械の出力で直接、少なくとも2つのステーションを備えた、調合ラインのあらゆる部分から容器を位置決めすることができるという利点を備えた、落ちた容器を移動させることが可能である。したがって、機械内の問題または故障を解決するためのあらゆる人間の相互作用が防がれる。
【0031】
ロボットは、機械の調合ラインから落ちた、またはその通常の操作を妨げている容器を検出する手段を有することがより好ましい。
【0032】
医薬製品を製造するための機械は、少なくとも2つのステーションを備えた調合ラインを備えている。前記調合ラインの長さ上に、前記医薬製品が投薬および充填された、容器、特に薬瓶を含む、幅広く様々な物体がある。加えて、医薬製品を製造するための機械はさらに、ハウジング、ドア、ストッパ、ねじなどの要素を備えている。本発明の内容では、機械の内側で物体を把持および移動させるための手段は、容器、ねじまたはストッパに限ることなく、あらゆるタイプの物体を把持するための手段として理解すべきである。
【0033】
ロボットは、機械の中に容器を装填するためのデバイスを備えていることが好ましい。容器を装填するためのデバイスは、ロボットが同時に多数の容器を移動させることを可能にする。
【0034】
ロボットは容器充填手段を備えていることが好ましい。すなわち、ロボットは容器の充填および/または投薬に作用するための手段を備えている。
【0035】
ロボットは機器修理手段を備えていることが好ましい。機器修理手段は、これに限らないが、スクリュードライバ、ウェルダ、固定手段または他の修理手段を備えていることがより好ましい。
【0036】
ロボットは、機械の出力で容器を持ち上げ位置決めするようにプログラミングされていることが好ましい。ロボットが事故を解決することが可能ではない場合、前記ロボットは、オペレータが機械に直接介入する前に、投薬された薬瓶それぞれを持ち上げ、機械の出力で前記薬瓶を置いてもよい。したがって、オペレータが手動操作を行わなければならない場合に、ロボットを使用して、薬剤製品の容器の損失を防ぐことが可能である。
【0037】
ロボットは、予めプログラミングされたプログラムおよびアルゴリズムを備えていることが好ましい。前記プログラムは、自動保守システム、自動容器充填プログラム、落ちた薬瓶を自動的に検出して持ち上げるためのプログラム、機械の非アクセス可能領域への移動のプログラミングなどを備えていることがより好ましい。
【0038】
ロボットは、装置の壁面と衝突するのを防ぐためにセンサを備えていることが好ましい。
【0039】
制御手段はインターフェースを備えていることが好ましい。制御手段は、前記機械の外側に位置決めされたインターフェースを備えていることがより好ましい。ロボットは、機械の無菌領域の外側に位置決めされたインターフェースを介して制御され、したがって、ユーザは前記無菌領域にアクセスしなければならないことなくロボットを制御することができ、そこで見つかった薬剤製品の可能性のある汚染を防ぐ。
【0040】
ロボット制御手段は周辺機器を備えていることが好ましい。周辺機器は、ジョイスティックまたはバーチャルリアリティシミュレーションシステムであり、ロボットは前記シミュレーションシステムによって制御されることがより好ましい。
【0041】
シミュレーションシステムはグローブを備えていることが好ましい。グローブは、機械内側の現実をより良くシミュレーションすることを可能にし、きれいな領域と直接接触することなく、その中の作動の感じをオペレータに与える。前記グローブは、知られているタイプのセンサを備えていることが好ましい。前記グローブは、バーチャルリアリティを介した制御中にユーザに対する参照補完物として使用される。前記グローブは、きれいな領域の内側で直接操作するために使用されない。
【0042】
ロボットは、インターフェースを介したロボットの操作および移動を見るためのカメラを備えていることが好ましい。
【0043】
制御手段は無線制御手段であることが好ましい。
【0044】
本発明はまた、上に記載したような無菌環境での薬剤製品の調合のための機械用ロボットを開示している。
【0045】
さらに、本発明は、上に記載したような無菌環境での薬剤製品の調合のための機械用ロボットを制御するためのインターフェースを開示している。
【0046】
本発明で開示した機械では、ロボットは、機械の内側のあらゆる点にアクセスすることが可能であるように移動することができ、機械内の知られている閉塞などの事故を、前記機械の内側でオペレータによる動作を防ぎながら解決することが可能になり、したがって、投薬された許容薬瓶が拒絶されないことを保証する。上記により、全てのプロセスおよび修理はユーザの直接介入がなく、ロボットアームによって行われるので、問題解決、修理および機器制御プロセスにおける人間の介入をなくすことができる。
【0047】
より良い理解のため、添付の図面は例であり、本発明の実施形態の非限定的例である。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【
図1】ロボットが機械の入力に位置決めされている、本発明による薬剤製品の調合のための機械の一実施形態の斜視図である。
【
図4A】ロボットが異なる位置で関節接合されている、
図1から
図3のロボットの斜視図である。
【
図4B】ロボットが異なる位置で関節接合されている、
図1から
図3のロボットの斜視図である。
【
図5】ロボットが機械の出力に位置決めされている、
図1から
図4の実施形態の平面図である。
【
図6】
図5に示したのと異なる位置で、ロボットが機械の出力に位置決めされている、
図1から
図5の実施形態の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0049】
図1から
図6は、薬剤製品の調合のための機械1の一実施形態を示している。図示された機械1は無菌機械である、すなわち、機械1の内部は、薬剤製品、および薬剤製品の前に殺菌した容器の微生物汚染を防ぐために必要な、無菌環境またはきれいな領域である。前記容器は、オートクレーブ、放射線またはあらゆる他の応用可能技術を使用して殺菌されてもよい。
【0050】
図示した機械1は、薬剤製品を調合および/または製造するためのライン10を備え、前記ライン10は、少なくとも2つのステーションおよびステーションの間の薬剤製品容器用の自動輸送手段を備え、前記ステーションは、薬剤製品を調合するためのプロセスに含まれるステップが行われるところにある。より詳細には、機械1の調合ライン10は、機械1の入力101の上流側に位置決めされた容器堆積ステーションと、容器充填ステーションおよび/または容器投薬ステーションと、ストッパまたはキャップが容器上に置かれた容器キャッピングステーションと、また、異なるステーションの間およびステーションと機械の入力101および/または出力100の間の薬剤製品の容器用の自動輸送手段とを備えている。図示した実施形態では、自動輸送手段はコンベヤベルトである。さらに、機械は、例えば、薬剤製品調合ステーション、製品化合ステーション、容器殺菌ステーション、容器洗浄ステーション、容器輸送ステーション、容器封入ステーション、容器冷凍ステーション、または薬剤製品の調合におけるあらゆるステップが行われるあらゆる他のタイプのステーションとを備えていてもよい。
【0051】
別の方法では、薬剤製品の調合のための機械1は、薬剤または医薬製品を詰める、充填する、処理する、化合するまたは調合するプロセスが、発明をこれに限ることなく、前記薬剤または医療製品に関連する他のタイプのプロセスと、無菌および/またはきれいな環境で行われる、あらゆる無菌装置、機械またはエンクロージャであってもよい。
【0052】
機械1は、調合ライン10に加えて、ロボット2を備えている。図示した実施形態では、ロボット2は、様々な点で関節接合し、少なくとも6つの自由度を有するロボットアームである。ロボット2はまた、前記機械1の内側に位置決めされた要素および機器の操作手段を備えている。要素および機器の前記操作手段は、図では、ロボット2の遠位端21に位置決めされている。
【0053】
ロボット2は例ではまた、前記ロボットが機械1の内側で薬剤製品を調合するためのライン10のステーション全てにアクセスすることを可能にする移動手段を有する。移動手段は、要素および機器のその操作手段を備えたロボットが機械1の内側で全てのステーションにアクセスすることを可能にする。最後に、移動手段は、ロボット2が例の調合ライン10のステーション全てにアクセスすることを可能にし、ロボット2は調合ライン10と平行に配置されている。
【0054】
図1から
図6の例では、ロボット2は、機械全体にアクセスすることを可能にするために、前記ロボットがその位置を変更することを可能にする様々な関節を備えている。ロボット2の関節は、その間に回転セグメントおよびボールジョイントを備えている。前記関節は、調合ライン10の機器全て上で効果的に操作を行うことを可能にするために、その位置を調節することが可能なようにロボット2がその位置を調節することを可能にする。
【0055】
ロボットアームは、機器を修理し、問題を解決するプロセスにおける人間の介入をなくすまたはかなり少なくすることを可能にし、また、分配される液体が時々毒性がある、刺激性があるなどで、潜在的に健康に有害である可能性があることを特に考慮すると、ヒューマンエラーによる事故または汚染のリスクを減らし、作業者の労働安全を高める。
【0056】
ロボット2は、薬剤製品の調合のための機械1の内側に位置決めされた調合ライン10の異なるステーションで様々な操作を行うことを可能にする要素および機器の操作手段を備えている。
【0057】
要素の前記操作手段のうち、ロボット2は物体を把持および移動させるための手段を有する。より詳細には、ロボット2は、物体、より詳細には、薬剤製品の容器5を把持するためのフック、クランプまたはシステムを備えている。前記フック、クランプまたは把持システムは、ロボット2の遠位端21に位置決めされている。さらに、ロボットはまた、容器装填デバイスと、ロボット2の遠位端21に位置決めされた前記容器を充填するための手段とを備えていてもよい。
【0058】
さらに、ロボット2は、これに限らないが、スクリュードライバ、ウェルダ、固定手段または他の修理手段を含む機器修理手段を備えている。
【0059】
したがって、ロボット2は、薬剤製品の調合のための機械1の内側で様々な機能を行ってもよく、機械の内側の調合および/または製造ラインのステーションの機器全て、また、前記機械の内側の容器輸送手段に作用することが可能である。
【0060】
ロボット2の機能は、これに限らないが、機械の内側で輸送手段による輸送中に落ちた容器を検出することと、落ちた容器を持ち上げ、その後特別に指定された空間または領域内に前記容器を置くことであって、ロボット2は、持ち上げられた容器が置かれる領域に移動するために、可動ガイドに沿って、またはロボットの移動手段によって移動されることと、薬剤製品の容器を充填および/または投薬することと、そのねじ込み、溶接、持ち上げなどの要素によって機器を修理することと、投薬ステーションに急速転移ポートを備えたアイソレータから無菌容器またはノズルを位置決めすることと、容器上にストッパを置くことと、正しい位置で調合ライン上に傾斜した容器、薬瓶および/またはストッパを再配置することと、機械の出力で容器を持ち上げて置くことと、機械、または機械の機器の部分を洗浄することとを含んでもよい。
【0061】
機械が急速転移ポートを備えたアイソレータである場合、ロボットアームはまた、そのレセプタクルの1つから複数のノズルを取り除く前に、急速転移ポートを開き、急速転移ポート内で液体分配位置から複数の分配ノズルを取り除き、レセプタクル内に前記ノズルを挿入し、急速転移ポートを閉じるように構成されていてもよく、したがって、分配を行うためのシステムを準備し、前記分配を行い、分配が完了したおよび/またはその耐用寿命が終わった場合に分配システムを取り除くプロセスにおける人間の介入を完全になくす。
【0062】
これらの操作は、インターフェース4からオペレータによって制御されてもよく、所要の領域にアクセスするためにロボット2の移動を制御し、前記インターフェース4を介してロボット2の動作を制御する。別の方法では、ロボット2の操作は前記ロボット内で予めプログラミングされていてもよい。
【0063】
したがって、ロボットが解決することができない故障の場合、ロボットは、投薬または充填された容器5それぞれを持ち上げ、オペレータが機械1に直接介入する前に、機械の出力で前記容器を置くことが可能であり、無菌状態の欠如により正しく準備された容器5を捨てる必要がなくなり、準備されていないこれらの容器5だけを捨てる。
【0064】
図1から
図6の例では、機械1は、機械1の内部の上側部分に位置決めされたガイド3を備えている。機械1のロボット2は、ガイドへの接続手段31により、ガイド3に沿って移動可能である。別の方法では、ガイド3は、機械1の内部の下側部分に配置されていてもよい。
【0065】
ガイド3へのロボット2の接続手段31は、知られているタイプの接続であり、これに限らないが、レール、タングおよび溝アセンブリ、磁気接続などの接続手段であってもよい。
【0066】
さらに、ロボット2は、ガイド3へのロボット2の接続手段31内に位置決めされた追加の回転要素32を備えている。
【0067】
ガイド3を備えた機械1、およびガイド3への接続手段31を備えたロボット2の移動手段の利点は、ロボット2が固定ロボットではなく、機械1の内側に位置決めされた無菌調合ラインおよび/または製造ラインのステーション全ての上で作動することが可能なガイド3に沿って移動可能であることである。したがって、2つ以上のロボットが存在する必要がない。すなわち、ロボット2は、機械1のステーション全ての上で動作を行うことが可能であるように移動することが可能である。さらに、調合ライン全体に沿ったその移動性により、ロボット2は、機械の薬剤製品の容器用の自動輸送手段上に位置決めされた容器5の移動と並列して作動することが可能であり、機械1の内側の問題または故障を製造プロセスを停止する必要なく解決することを可能にする。
【0068】
図に示した実施形態の機械1のロボット2制御手段は、きれいなまたは無菌領域の外側で、機械1の外側部分に位置決めされたインターフェース4を備えている。ロボット2は、前記インターフェース4を介して外部ユーザまたはオペレータによって制御および指示される。
【0069】
インターフェース4は、接続手段42によって機械1に接続された支持体41上に位置決めされている。
【0070】
インターフェースを介したロボット2の制御は、アイソレータからグローブを使用して知られている機械上で行われる手動操作の全ておよび多くを、インターフェースを介して指示された制御と交換することを可能にする。さらに、インターフェースは、ロボットアームの操作を監視することを可能にする。
【0071】
加えて、ロボット2制御手段はまた、周辺デバイスを備えている。前記周辺機器(図示せず)は、例えば、ジョイスティック、バーチャルリアリティシステム、またはキーボードなどのあらゆる他のタイプの周辺機器であってもよい。別の方法では、インターフェース4は、タッチスクリーンを備えていてもよい。
【0072】
周辺機器としてのジョイスティックの使用は、インターフェース4を制御するユーザが、ロボットの移動をより現実的にシミュレーションすることを可能にし、前記ユーザが実際に機械1の内側にいるのと同じように、前記ロボットの制御を可能にする。
【0073】
ロボット2制御手段はまた、バーチャルリアリティシステムを備えていてもよい。前記バーチャルリアリティシステムは、ユーザが仮想環境においてロボットの位置を見るのを可能にし、ユーザが前記ロボット2をより上手に制御することを可能にする。バーチャルリアリティで作業することにより、ユーザによるロボットのより正確な制御が可能になり、現実では、前記機械の外側に位置決めされながら、機械の内側でユーザが作業することを効果的にシミュレーションする。このバーチャルリアリティシステムは、他の周辺機器への追加であってもよく、ジョイスティック、キーボードまたはグローブと組み合わせて使用されてもよい。バーチャルリアリティシステムと組み合わせてグローブを使用する利点は、前記グローブが、インターフェースを介した制御と比較して、特に機械の一方側に位置決めされたグローブを使用して薬剤製品の調合のための機械上で操作を行うことに慣れているユーザに対して、動作が行われなければならない機械の内側での機器、領域およびステーションとのロボットの相互作用のより良いシミュレーションを可能にすることである。
【0074】
別の方法では、ロボット2制御手段は無線制御手段であってもよい。
【0075】
ロボット2の制御はジョイスティックによる制御であることが好ましく、それによって、機械の内側のロボット2の移動は正確に制御される。別の方法では、ロボット2制御手段は、アクセス不可能なように機械1の領域を区切るようにプログラミングされてもよい。したがって、(ガイド3へのロボット2の接続手段31、およびその自由度を備えた)ロボット2の移動手段は、その遠位端21が全体的に機械1の内部にアクセスすることが可能であるようにロボット2が移動することを可能にするが、機器のアイテムの内部部分などの機械のいくつかの領域は、ロボット2との可能性のある相互作用から保護されてもよい。したがって、機械1の内部の最も敏感な部分の制御は維持され、ロボット2は、インターフェースまたはロボット2を制御するための他の手段を介してロボット2を制御する場合にヒューマンエラーによる予期しない事故または損傷を引き起こすことが可能であることが防止される。前記領域は、座標系、一式のセンサ、好ましくはロボット内に設置された位置センサ、または他の知られているシステムのいずれかによって、ロボット2内で予めプログラミングされてもよい。
【0076】
図2から
図6は、機械1の内側で全体的に調合ライン10上の作動を示す、前記ロボット2の移動手段による、機械1の内側の様々な異なる位置における本発明の実施形態のロボット2を示している。
【0077】
図2、
図3、
図4Aおよび
図4Bは、ロボットアームであるロボット2を示し、前記ロボット2の要素および機器の操作手段を使用して、より詳細には、その遠位端21に位置決めされた把持手段を使用して容器5を装填する。これらの図では、ロボット2の関節およびその自由度は、遠位端21が機械の全ての部分にアクセスすることができるように、前記ロボットを位置決めすることを可能にする。
【0078】
図5および
図6は、ガイド3により移動された、
図2、
図3、
図4Aおよび
図4Bに示したものと異なる位置のロボット2を示し、この位置は機械1の出力100により近い。前の図と同様、ロボット2は図では、その自由度により、
図6および
図5と異なるように関節接合されている。
【0079】
本発明は代表的な例に基づいて記載および図示したが、前記例示的実施形態は本発明を限定するものではなく、したがって、添付の特許請求の範囲の内容に直接または等価物によって含まれるあらゆる変更形態は、本発明の範囲内に含まれると考えられるべきであることを理解すべきである。
【符号の説明】
【0080】
1 機械
2 ロボット
3 ガイド
4 インターフェース
5 容器
10 調合ライン
21 遠位端
31 接続手段
32 回転要素
41 支持体
42 接続手段
100 出力
101 入力
【国際調査報告】