(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-26
(54)【発明の名称】ろ過隔膜のメンテナンス、トラッキング、摩耗制御のための多機能ロボットを備えたフィルタプレス
(51)【国際特許分類】
B01D 25/12 20060101AFI20240119BHJP
【FI】
B01D25/12 D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023544645
(86)(22)【出願日】2022-01-14
(85)【翻訳文提出日】2023-07-24
(86)【国際出願番号】 IB2022050290
(87)【国際公開番号】W WO2022157608
(87)【国際公開日】2022-07-28
(31)【優先権主張番号】102021000001145
(32)【優先日】2021-01-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】523279501
【氏名又は名称】ディエンメ フィルトレーション エス. アール. エル.
(74)【代理人】
【識別番号】100118913
【氏名又は名称】上田 邦生
(74)【代理人】
【識別番号】100142789
【氏名又は名称】柳 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100201466
【氏名又は名称】竹内 邦彦
(72)【発明者】
【氏名】バッシ, アンドレア
(72)【発明者】
【氏名】コリーニ, ダビデ
(72)【発明者】
【氏名】ダルディ, ロベルト
【テーマコード(参考)】
4D116
【Fターム(参考)】
4D116AA01
4D116AA02
4D116AA09
4D116CC02
4D116CC07
4D116CC08
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4D116QA11B
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4D116RR01
4D116RR03
4D116RR14
4D116RR21
4D116RR26
4D116VV12
(57)【要約】
一対の封じ込め板105の間に挟まれた2つの互いに向かい合うろ過隔膜140,145によって画定されている複数のろ過室155と、一対の封じ込め板105を閉じた状態と開いた状態との間で動かすように適合されている移動装置と、ろ過される液体の入口液圧回路と、ろ過された液体の出口液圧回路と、各ろ過室155を画定するろ過隔膜140,145を洗浄するように適合された洗浄ロボット400とを備え、洗浄ロボット40が、封じ込め板105に対して長手方向Aに沿って移動するように適合されたトロリー405と、トロリー405上に設置され、長手方向Aに対して横方向に相対的に移動可能なバー445と、バー445上に設置され、洗浄液の噴流をろ過隔膜140,145に向けて吐出する複数のノズル450とを備え、少なくとも1つの各ろ過隔膜140,145に固定された複数の識別コードと、洗浄ロボット400のトロリー405に固定された識別コードを検出する検出装置と、洗浄ロボット400のバー445上に設置され、ろ過隔膜140,145の画像を取得する少なくとも一つの画像取得装置600と、検出装置および画像取得装置600に接続されている電子処理装置とを備えるフィルタプレス100が記載される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
- 所定の長手方向(A)に沿って整列された複数のろ過室(155)であって、各々が一対の封じ込め板(105)の間に挟まれた2つの互いに向かい合うろ過隔膜(140,145)によって画定されている複数のろ過室(155)と、
- 前記長手方向(A)に沿って、前記封じ込め板(105)の各対を、該封じ込め板(105)が各前記ろ過隔膜(140,145)上に束ねてクランプされ前記ろ過室(155)を閉じる閉じた状態と、前記封じ込め板(105)が各前記ろ過隔膜(140,145)を分離して前記ろ過室(155)を横方向に開くように間隔を開けられる開いた状態との間で移動するように適合されている移動装置と、
- 前記封じ込め板(105)の全ての対が閉じた状態にあるときに、各前記ろ過室(155)内に、ろ過される液体を供給するように適合された入口液圧回路と、
- 前記封じ込め板(105)の全ての対が閉じた状態にあるときに、各前記ろ過隔膜(140,145)を通して各前記ろ過室(155)を出るろ過された液体を排出するように適合された出口液圧回路と、
- 前記封じ込め板(105)の各対が開いた状態にあるときに、各前記ろ過室(155)を画定する前記ろ過隔膜(140,145)を洗浄するように適合された洗浄ロボット(400)とを備え、
該洗浄ロボット(400)が、
- 前記封じ込め板(105)に対して前記長手方向(A)に沿って移動するように適合されたトロリー(405)と、
- 該トロリー(405)上に設置され、前記長手方向(A)に対して横方向に相対的に移動可能であり、開いた状態において一対の前記封じ込め板(105)の間に挟まれる前記ろ過隔膜(140,145)の間をスライドするためのバー(445)と、
- 該バー(445)上に設置され、前記ろ過隔膜(140,145)に向けて洗浄液の噴射を行う複数のノズル(450)とを備え、
さらに、
- それぞれが少なくとも1つの各前記ろ過隔膜(140,145)に固定されている複数の識別コードと、
- 前記洗浄ロボット(400)の前記トロリー(405)上に設置された前記識別コードを検出するための検出装置と、
- 前記洗浄ロボット(400)の前記バー(445)上に設置され、前記ろ過隔膜(140,145)の画像を取得する少なくとも1つの画像取得装置(600)と、
- 前記検出装置と前記画像取得装置(600)とに接続された電子処理装置と、を備えるフィルタプレス(100)。
【請求項2】
前記電子処理装置が、
- 前記検出装置によって対応する前記識別コードを検出することによって、少なくとも1つの前記ろ過隔膜(140、145)を識別し、
- 前記画像取得装置(600)により、前記ろ過隔膜(140,145)の少なくとも1つの画像を取得し、
- 前記少なくとも1つの画像に基づいて、前記ろ過隔膜(140,145)に対する損傷の有無を判定する請求項1に記載のフィルタプレス(100)。
【請求項3】
前記電子処理装置が、
- 前記検出装置を用いて対応する前記識別コードを検出することによって、少なくとも1つの前記ろ過隔膜(140,145)を識別し、
- 前記画像取得装置(600)により、前記ろ過隔膜(140,145)の少なくとも1つの画像を取得し、
- 前記少なくとも1つの画像に基づいて、前記ろ過隔膜(140,145)の残存期間を決定する請求項1または請求項2に記載のフィルタプレス(100)。
【請求項4】
前記電子処理装置が、前記少なくとも1つの画像を入力として受け取り、前記残存期間を出力として供給する評価ロジックを実行することによって、前記ろ過隔膜(140,145)の前記残存期間を決定するように構成されている請求項3に記載のフィルタプレス(100)。
【請求項5】
前記電子処理装置が、
- 前記画像取得装置(600)を用いて、複数の前記ろ過隔膜(140,145)の複数の画像を連続した時間に取得し、
- これらの画像に基づいて、前記評価ロジックを修正する請求項4に記載のフィルタプレス(100)。
【請求項6】
複数の第2の識別コードを備え、
各該第2の識別コードが、各前記封じ込め板(105)に固定され、前記検出装置によって検出されるように適合されている請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のフィルタプレス(100)。
【請求項7】
各前記識別コードがRFIDタグ(500)に組み込まれており、
前記検出装置が、前記RFIDタグ(500)によって放射される無線信号を受信するように適合されたアンテナ(505)を備える請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のフィルタプレス(100)。
【請求項8】
前記RFIDタグ(500)が、書き込み可能である請求項6に記載のフィルタプレス(100)。
【請求項9】
前記検出装置が、前記アンテナ(505)に接続され、前記RFIDタグ(500)によって放射された無線信号をデコードするように適合されたリーダを備える請求項6に記載のフィルタプレス(100)。
【請求項10】
前記画像取得装置(600)が、ビデオカメラまたはカメラである請求項1から請求項9のいずれか1項に記載のフィルタプレス(100)。
【請求項11】
前記ろ過隔膜(140,145)のうちの一方の前記ろ過隔膜(140)の方に向けられた第1の画像取得装置(600)と、他方のろ過隔膜(145)の方に向けられた第2の画像取得装置(600)とを少なくとも備える前記請求項1から請求項10のいずれか1項に記載のフィルタプレス(100)。
【請求項12】
請求項1に記載のフィルタプレス(100)を動作させる方法であって、
- 前記洗浄ロボット(400)の前記トロリー(405)を、前記開いた状態の一対の前記封じ込め板(105)の位置において停止させるステップと、
- 一対の前記封じ込め板(105)の間に挟まれた前記ろ過隔膜(140,145)の少なくとも1つの識別コードを前記検出装置によって検出するステップと、
- 前記洗浄ロボット(400)の前記バー(445)を、一対の前記封じ込め板(105)の間に挟まれた前記ろ過隔膜(140,145)の間において移動させるステップと、
- 前記洗浄ロボット(400)の前記バー(445)に設置された前記画像取得装置(600)によって、前記ろ過隔膜(140,145)の少なくとも1つの画像を取得するステップとを含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に、懸濁物質を含む液体物質(固液懸濁液として知られている)をろ過するために使用されるフィルタプレスに関するもので、一般的な汚泥は、市民および産業廃水浄化プロセスから、または一般的に化学/医薬品あるいは鉱業など、他の多くの生産プロセスから生じることがあるが、これに限定されるものではない。
【背景技術】
【0002】
周知のように、フィルタプレスは、一般に、所定の水平方向に沿って順に配置された封じ込め板の配列からなる。
【0003】
各一対の封じ込め板の間には、2つの互いに向かい合うろ過隔膜、典型的にはろ布の2つの部分があり、その各々は、そこに隣接する封じ込め板の主面の1つを覆うように適合されている。
【0004】
各一対の封じ込め板は、閉じた状態と開いた状態の間で移動可能である。
【0005】
閉じた状態では、封じ込め板は、その間に介在するろ過隔膜に対して束ねてクランプされ、したがってろ過室を画定する。
【0006】
開いた状態では、封じ込め板は間隔をあけて配置され、対応するろ過隔膜を分離し、ろ過室を横方向に開放する。
【0007】
ろ過される汚泥は、適切な入口液圧回路を通じて、全ての封じ込め板が閉じた状態のときにろ過室に供給される。
【0008】
このようにして、汚泥の固形分はろ過室内に留まり、コンパクトな残渣を形成し、液体分はろ過隔膜を通過して液圧出口回路に至り、そこから排出または回収することができる。
【0009】
このろ過サイクルが終わると、一対の封じ込め板は、同時に、または一度に、固形物がろ過室の外に落ちることができるように、開いた状態にされる。
【0010】
固体材料の一部は、ろ過室を画定するろ過隔膜を汚すことがあるので、ろ過隔膜は、高圧水ジェットを用いた洗浄段階を周期的に受けることができる。
【0011】
この洗浄段階は、一般に、封じ込め板の配列方向に沿って移動するように適合されたトロリーと、トロリー上で横方向に移動し、開いた状態の封じ込め板の各対の間、したがって対応するろ過隔膜の間に挿入してスライドするように設計されたバーとを備えるロボットの助けを借りて、自動で実施することができる。
【0012】
このバーには吐出ノズルが設置されており、適切な水供給回路に接続されているため、高圧の水ジェットを両ろ過隔膜に噴射し、固形残留物を洗浄することができる。
【0013】
このような定期的な洗浄作業とは別に、ろ過隔膜は徐々に摩耗していくため、定期的に交換する必要がある。
【0014】
現在、この交換は2つの異なるアプローチによって行うことができる。
【0015】
第1のアプローチは、いわゆる「予防保全」の論理で、一定のろ過回数が経過した時点で、全てのろ過隔膜を予防的に交換する方法である。
【0016】
しかし、このアプローチが効果的であるためには、ろ過隔膜の交換に至るろ過サイクルの数が十分に少なく、交換前に破損するろ過隔膜がないことが必要であり、これは明らかに一部のろ過隔膜が早期に交換され、資源の浪費とコストの増加が生じることを意味する。
【0017】
さらに、このろ過サイクル数の決定は、ろ過隔膜における平均的な摩耗パターンに基づいてのみ行うことができ、予期せぬ損傷を引き起こす可能性のある偶発的な事象を考慮することはできない。
【0018】
実際、ろ過隔膜は、摩耗や損傷だけでなく、他の要因、例えば、汚泥が供給される高い流量/速度のためにろ過隔膜に対して激しく衝突する大きな粒子(数ミリメートル)の存在によって損傷を受け、早期に破損することがある。
【0019】
このような欠点を克服するために、第2のアプローチとして提案されているのが、いわゆる「偶発的または事象ベースのメンテナンス」の論理に従ったものである。
【0020】
これは、フィルタプレスの故障が検出された場合にのみ、1つまたは複数のろ過隔膜を交換するというものである。
【0021】
特に、一般的に濁度計を使用して、液圧出口回路を通じてフィルタプレスを出るろ過液の濁度を測定する。
【0022】
測定された濁度が予め定義された閾値を超える場合、これは、汚泥に含まれる固相の一部が、少なくとも1つのろ過隔膜に形成された破損を通過したことを意味する。
【0023】
このような事態が発生した場合、オペレータはフィルタプレスに設置された全てのろ過隔膜を手動で検査し、実質的に破損が発生しているものを特定し、その交換を行うことになる。
【0024】
しかし、この2番目の方法は、生産停止時間が長くなり、ろ過隔膜を点検するオペレータの労力も大きくなることは明らかである。
【0025】
フィルタプレスの種類によっては、開いた状態の2枚の封じ込め板の間に利用可能な空間がかなり狭く、ろ過隔膜を正確に検査することが非常に難しく、時には不可能でさえあるため、手間がかかるだけでなく、この作業を実施することも困難な場合がある。
【発明の概要】
【0026】
以上のことから、本発明の目的は、先行技術の上述の欠点を解決すること、または少なくとも大幅に軽減することである。
【0027】
本発明の他の目的は、簡単で合理的で比較的安価な解決策の関連内で前述の目的に到達することである。
【0028】
これらの目的および他の目的は、独立請求項に記載された本発明の特徴によって達成される。従属請求項は、本発明の好ましくかつ/または特に有利な態様を概説するが、しかし、その実施には厳密には必要ではない。
【0029】
特に、本発明の実施形態は、以下のものを含むフィルタプレスを利用可能にする:
- 所定の長手方向に沿って整列された複数のろ過室であって、各々が一対の封じ込め板の間に挟まれた2つの互いに向かい合うろ過隔膜によって画定されている複数のろ過室と、
- 前記長手方向に沿って、前記封じ込め板の各対を、該封じ込め板が各前記ろ過隔膜上に束ねてクランプされ前記ろ過室を閉じる閉じた状態と、前記封じ込め板が各前記ろ過隔膜を分離して前記ろ過室を横方向に開くように間隔を開けられる開いた状態との間で移動するように構成されている移動装置と、
- 前記封じ込め板の全ての対が閉じた状態にあるときに、各前記ろ過室内に、ろ過される液体を供給するように適合された入口液圧回路と、
- 前記封じ込め板の全ての対が閉じた状態にあるときに、各前記ろ過隔膜を通して各前記ろ過室を出るろ過された液体を排出するように適合された出口液圧回路と、
- 前記封じ込め板の各対が開いた状態にあるときに、各前記ろ過室を画定する前記ろ過隔膜を洗浄するように適合された洗浄ロボットとを備え、
該洗浄ロボットが、
- 前記封じ込め板に対して前記長手方向に沿って移動するように適合されたトロリーと、
- 該トロリー上に設置され、前記長手方向に対して横方向に相対的に移動可能であり、開いた状態において一対の前記封じ込め板の間に挟まれる前記ろ過隔膜の間をスライドするためのバーと、
- 該バ上ーに設置され、前記ろ過隔膜に向けて洗浄液を吐出する複数のノズルとを備え、
さらに、前記フィルタプレスは、以下のように構成される:
- それぞれが少なくとも1つの各前記ろ過隔膜に固定されている複数の(固有の)識別コードと、
- 前記洗浄ロボットの前記トロリー上に設置された前記識別コードを検出するための検出装置と、
- 前記洗浄ロボットの前記バー上に設置され、前記ろ過隔膜の画像を取得する少なくとも1つの画像取得装置と、
- 前記検出装置と前記画像取得装置とに接続された電子処理装置と、を備える。
【0030】
この解決策のおかげで、フィルタプレスに既に存在する機械的基盤、すなわち洗浄ロボットを利用することにより、フィルタプレスに設置されたろ過隔膜を識別し、必要に応じて、それぞれの位置、実行したろ過サイクル数、その他多くの特性データを保存することが有利に可能であり、後者のデータは、バーの移動によりろ過隔膜を効果的に走査できる取得装置によって撮影された画像によって効果的に表現および/または評価することが可能である。
【0031】
このように、バーの移動によって取得装置がろ過隔膜の各ゾーンの画像を撮影することができるため、オペレータがフィルタプレスの封じ込め板の間に物理的に入る必要がなく、既知の技術に関してより簡単かつ迅速な方法で、また一般的により効果的にろ過隔膜の使用状態を確認できることが有利である。
【0032】
まさに、この単純さと走査の速さのために、ろ過隔膜を、例えば、故障が検出されたときだけでなく、各洗浄操作中または後に、より頻繁にチェックすることもできる。
【0033】
特に、各ろ過隔膜の破損に至るまでの段階的な摩耗を追跡することが可能である。
【0034】
このため、膨大な量のデータと情報を収集することができ、これをろ過される液体(汚泥)の研磨度やろ過圧力などのろ過プロセスに関する情報と組み合わせることにより、使用時間やろ過サイクルの回数に関連したろ過隔膜の摩耗の傾向を効果的に表現する(例えば、数学的、統計的、または経験的な)モデルの構築が可能になる。
【0035】
このモデルから、次に、各ろ過隔膜について取得した画像に基づいてろ過隔膜の進行する劣化を認識し、ろ過隔膜が損傷したりまたは役に立たなくなったりする前にまだ使用できる期間またはろ過サイクル数を予測的に診断することができる評価論理を開発することができる。
【0036】
このモデルおよび/またはこの評価ロジックは、例えば、時間の経過とともに、すなわち実施されたろ過サイクルの数が徐々に増加した後に、取得装置によって撮影された各ろ過隔膜の画像の分析および/または処理を通じて、摩耗の進展を自己学習する人工知能システムによって得ることができる。
【0037】
このようにして、フィルタプレスに不具合が生じる前に、実際に必要となったときにのみ各ろ過隔膜を交換することを可能にする予測ロジックを実施することが有利に可能であり、したがって、機械のダウンタイムを減らし、ろ過隔膜の寿命を最大化し、メンテナンスコストを最小化することができる。
【0038】
この点で、本発明の一態様は、電子処理装置が以下のように構成され得ることを想定する:
- 検出装置によって対応する識別コードを検出することによって、少なくとも1つのろ過隔膜を識別する、
- 画像取得装置により、前記ろ過隔膜の少なくとも1つの画像を取得する、
- 前記少なくとも1つの画像に基づいて、前記ろ過隔膜の残存期間を決定する。
【0039】
この解決策により、電子処理装置は、例えば適切なインターフェースシステム(典型的にはモニタ)を介して、各ろ過隔膜の推定残存期間をオペレ-タに自動的に提供することができ、オペレ-タがその交換を適切にスケジュールできるようになる。
【0040】
特に、前記電子処理装置は、前記少なくとも1つの画像を入力として受け取り、残存期間を出力として提供する評価ロジック(上記に概説したものなど)を実行することによって、ろ過隔膜の残存期間を決定するように構成することができる。
【0041】
本発明の別の態様によれば、電子処理装置はまた、以下のように構成され得る:
- 画像取得装置により、複数の前記ろ過隔膜の複数の画像を連続的に取得する、
- 前記画像に基づいて、例えば人工知能システムにより、前記評価ロジックを修正する。
【0042】
このようにして、電子処理装置は、各フィルタプレスの使用条件も考慮した、より安全で信頼性の高い予測評価を提供することを可能にする自己学習機能性を実践することができる。
【0043】
本発明の別の態様(前記の代替または追加)は、電子処理装置が以下のように構成され得ることを提供する:
- 検出装置を用いて対応する識別コードを検出することによって、少なくとも1つのろ過隔膜を識別する、
- 画像取得装置により、前記ろ過隔膜の少なくとも1つの画像を取得する、
- 前記少なくとも1つの画像に基づいて、前記ろ過隔膜に対する損傷の有無を判定する;前記損傷が、初期段階で存在する場合(例えば、擦り傷または微小な傷)および/または進行段階で存在する場合(例えば、大きな傷)に判定することができる。
【0044】
この解決策により、電子処理装置は、ろ過隔膜の破損につながる、および/または破損につながる可能性のある損傷を短時間で自動的に検出することができ、例えば、そのような事態をオペレータに通知して、オペレータが迅速に介入できるようにすることができる。
【0045】
本発明の別の態様によれば、フィルタプレスは、第2の複数の(固有の)識別コードをさらに含むことができ、その各々は、それぞれの封じ込め板に固定され、識別コード検出装置、例えば、ろ過隔膜の識別コードも検出するものと同じものによって、または場合によっては別の専用の検出装置によって検出されるように適合されている。
【0046】
この解決策により、各封じ込め板を追跡することが有利であり、例えば、フィルタプレス内の位置を知る/監視する、または使用時間をカウントする(典型的には実施されたろ過サイクルの数で)ことができ、これは、同様に、封じ込め板のメンテナンスおよび/または交換を予定することを可能にするのに役に立つ。
【0047】
より詳細には、本発明の一態様は、各識別コードがRFIDタグに埋め込まれ、検出装置が、前記RFIDタグによって発せられる無線信号を拾うことができる少なくとも1つの受信アンテナを含むことを想定している。
【0048】
この態様は、自動システムによって読み取ることができる識別コードを各ろ過隔膜に装備するための、特に簡単で信頼できる解決策を提供する。
【0049】
しかしながら、他の実施形態において、識別コードは、例えばバーコードまたはQRコードのようなグラフィック形式で符号化されてもよく、検出装置は、前記グラフィック形式を読み取ることができる光学装置であってもよいことは除外されない。
【0050】
本発明の別の態様は、RFIDタグが書き込み可能なタイプであり得るということである。
【0051】
このようにして、RFIDタグは、それぞれのろ過隔膜のいくつかの関連情報(例えば、メーカーおよびモデル、封じ込め板のパック内の位置、実行されたろ過サイクルの数)を記憶することができ、これは、使用状況に応じて定期的に更新することもできる。
【0052】
本発明の一態様によれば、検出装置は、例えばPROFINETインタフェースを介して受信アンテナに接続され、RFIDタグが発する無線信号をデコードするように適合されたリーダを含むこともできる。
【0053】
このリーダは、洗浄ロボットのトロリーに搭載することもできるが、好ましくは、よりよく保護するために、受信アンテナに対して異なる位置、例えば、より高い位置に配置される。
【0054】
本発明の別の態様として、画像取得装置がカメラまたはビデオカメラであってもよい。
【0055】
このように、画像取得装置は、静止画像だけでなく、ろ過隔膜の実際のフィルムも撮影することができる。
【0056】
特に、フィルタプレスは、洗浄ロボットのバー上に設置された少なくとも2つの前記画像取得装置を含んでよく、第1の画像取得装置は前記ろ過隔膜の方に向けられ、第2の画像取得装置は他のろ過隔膜に向けられている。
【0057】
この解決策により、洗浄ロボットのバーの1回のストロークだけで、両方のろ過隔膜の画像を効果的に撮影することが可能である。
【0058】
もちろん、ろ過隔膜のサイズが特に大きい場合、および/または開いた状態ける封じ込め板間の距離が特に小さい場合、フィルタプレスは、洗浄ロボットのバー上に設置されたより多くの画像取得装置、例えば、一方のろ過隔膜の方に向いた2つ以上の画像取得装置および他方のろ過隔膜の方に向いたさらに多くの画像取得装置からなることもできる。
【0059】
本発明の別の実施形態はまた、上記のフィルタプレスを動作させる方法を提供し、この方法は、以下のステップを含む:
- 洗浄ロボットのトロリーを、開いた状態の一対の封じ込め板の位置において停止させるステップと、
- 前記一対の封じ込め板の間に挟まれた前記ろ過隔膜の少なくとも1つの識別コードを前記検出装置によって検出するステップと、
- 前記洗浄ロボットのバーを、一対の前記封じ込め板の間に挟まれた前記ろ過隔膜の間において移動させるステップと
- 前記洗浄ロボットのバーに設置された画像取得装置によって、前記少なくとも1つのろ過隔膜の少なくとも1つの画像を取得すること。
【0060】
この方法は、基本的に前述と同じ利点を達成し、特に、各ろ過隔膜の摩耗状態および/または一体性を簡単かつ正確に評価することが可能である。
【0061】
前述と同様に、本方法は、取得した画像に基づいて、前記少なくとも1つのろ過隔膜の損傷の有無および/または残存期間を決定するステップを更に含むことができる。
【0062】
残存期間の決定は、前記少なくとも1つの画像を入力として受け取り、残存期間を出力として提供する評価ロジックに従って実施することができる。
【0063】
本方法はまた、以下の追加ステップを含むことができる:
- 取得装置を用いて、複数の前記ろ過隔膜の複数の画像を連続する時間で取得するステップと、
- 前記画像に基づいて、前記評価ロジックを修正するステップ。
【図面の簡単な説明】
【0064】
本発明のさらなる特徴および利点は、非限定的な例として提供される以下の説明を、添付の図面の助けを借りて読んだ後に、より明らかになるであろう。
【0065】
【
図1】本発明の一実施形態によるフィルタプレスの軸方向図(アクソノメトリック図)である。
【
図1A】垂直断面の平面において実施され、長手方向軸Aを含む、
図1のフィルタプレスの封じ込め板のパックの一部を示す概略断面図である。
【
図2】
図1のフィルタプレスの封じ込め板と関連するろ過隔膜の分解軸方向である。
【
図3】
図1のフィルタプレスの洗浄ロボットの、連続する一対の封じ込め板の開いた状態における軸方向図である。
【
図4】本発明の詳細のいくつかをよりわかりやすく説明するために、
図3の封じ込め板のうちの1つを隠して示した図である。
【
図5】本発明のさらなる実施形態によるフィルタプレスの軸方向図である。
【
図6】
図5のフィルタプレスの封じ込め板と、関連するろ過隔膜の分解軸方向図である。
【
図7】
図5のフィルタプレスの洗浄ロボットの、連続する一対の封じ込め板の開いた状態における軸方向図である。
【
図8】本発明の詳細のいくつかをよりわかりやすく説明するために、
図7の封じ込め板のうちの1つを隠して示した図である。
【
図9】
図5における洗浄ロボットの拡大詳細図である。
【
図11】本発明の第3の実施形態によるフィルタプレスの軸方向図である。
【
図12】
図11のフィルタプレスの封じ込め板と、関連するろ過隔膜の分解軸方向図である。
【
図13】開いた状態の連続する一対の封じ込め板の軸方向図である。
【
図14】本発明の詳細のいくつかをよりわかりやすく説明するために、
図13の封じ込め板のうちの1つを隠して示した図である。
【
図15】
図11のフィルタプレスの洗浄ロボットの、連続する一対の封じ込め板の開いた状態における軸方向図である。
【発明を実施するための形態】
【0066】
添付の図はフィルタプレス100を示し、このフィルタプレスは、一般に、固液懸濁液と呼ばれる懸濁した固体が分散した液体物質をろ過するのに適している。
【0067】
例えば、フィルタプレス100は、市民および工業の両方の廃水処理プロセスからの汚泥、または典型的には化学/製薬または鉱業に限定されないが他の技術的プロセスからの汚泥をろ過するために使用することができる。
【0068】
各フィルタプレス100は、所定の長手方向A、好ましくは水平方向に沿って相互に整列された複数の封じ込め板105から構成されている。
【0069】
これらの封じ込め板105の各々は、一般に、2つの主面を有する薄い本体のような形状であり、これら2つの主面は、相互に対向し実質的に平行な大きなサイズであって、かつ、主面のサイズよりも(はるかに)小さな厚さを有する。
【0070】
封じ込め板105は、長手方向Aに対して直交する方向に配置され、したがって、その厚さに実質的に平行であり、前記長手方向Aに沿って、互いに隣接するように連続して配置される。
【0071】
特に、各封じ込め板105は、主面の周囲を画定する下側フランク、上側フランク、および2つの横側フランクからなる、実質的に長方形または正方形の形状を有することができる。
【0072】
それらの特定の形状にかかわらず、各フィルタプレス100の封じ込め板105は、互いに同一であってもよく、2つずつ鏡面されるように配置されてもよい。
【0073】
封じ込め板105は、長手方向Aに平行な方向にスライドできるように、支持構造体300にスライド可能に連結されている。
【0074】
図1および
図2の実施形態では、支持構造体300は、長手方向Aに平行で、好ましくは水平面に横たわる2つのガイドレール305からなる(
図1ではそのうちの1つだけが見えている)。
【0075】
ブラケット110は、各封じ込め板105の側方フランクから片持ちで突出しており、支持構造体300のそれぞれのガイドレール305にスライド可能に支持される。
【0076】
図5および
図6の実施形態では、支持構造体300は、封じ込め板105を覆って長手方向Aに平行に延びる長手方向部材310を含んで構成されている。
【0077】
各封じ込め板105の上側フランクには、フック(図示せず)が固定されていてもよく、このフックは、支持構造体300に固定されて長手方向部材310と平行に延びる同数のガイドバー(これも図示せず)からスライド可能に吊るされている。
【0078】
図11および
図12の実施形態では、支持構造体300は、スライド方向Aに平行な一対の長手方向部材315を有し、その間に封じ込め板105が介在している。
【0079】
各封じ込め板105の上側フランクには支持バー115が固定されており、その両端はそれぞれの長手方向部材315に取り付けられたガイドレール320にスライド可能に支持されている(
図15も参照)。
【0080】
任意の実施形態における封じ込め板105は、それぞれの支持構造体300に搭載され、好ましくは、長手方向Aの方向において、固定ヘッド325と可動ヘッド330との間に介在する。
【0081】
したがって、各封じ込め板105は、固定ヘッド325に面する前部主面120と、可動ヘッド330に面する後部主面125とからなる。
【0082】
前面120および後面125の両方が、凹部130と、当該凹部130を周囲に画定するサイドフレーム135とで構成されてもよい。
【0083】
可動ヘッド330は、固定ヘッド325に対して、長手方向Aにスライドしながら移動可能である。
【0084】
可動ヘッド330のこの移動は、例えば1つ以上の油圧ジャッキ335からなる適切な移動システムによって達成することができる。
【0085】
固定ヘッド325に向かって移動することにより、可動ヘッド330は、フィルタプレス100の全ての封じ込め板105を、互いにパックして、固定ヘッド325自体に対して閉じることができる。
【0086】
逆に、固定ヘッド325から離れることによって、可動ヘッド330は、連続する各封じ込め板105の組が、閉じた状態(パックとしてクランプされている)から、当該組の封じ込め板105が相互に間隔を開けて配置された開いた状態に移動するために十分なスペースを残すことができる。
【0087】
図11の実施形態では、閉じた状態から開いた状態への移行は、複数のチェーン(図示せず)によって達成することができ、そのうちの1つは可動ヘッド330をそれに最も近い第1の封じ込め板105に接続し、他のチェーンのそれぞれは相互に連続する封じ込め板105のそれぞれの対を接続する。
【0088】
このようにして、固定ヘッド325から離れると、可動ヘッド330は、最初は、第1のチェーンを伸ばすまで第1の封じ込め板105から離れ、その後、第1の封じ込め板105は、可動ヘッド330の動きに追従せざるを得ず、次のチェーンを伸ばすまで第2の封じ込め板から離れ、全ての組の封じ込め板105が開いた状態に達するまで続く。
【0089】
図1および
図5の実施形態では、閉じた状態から開いた状態への移動は、長手方向Aにスライドする分離装置(図示せず)によって達成することができ、この分離装置は、一度に1つの封じ込め板105を係合することができ、可動ヘッド330に最も近いものから開始して、次の封じ込め板105から所定の量だけ離れるように移動する。
【0090】
これら全ての考慮事項にかかわらず、2つのろ過隔膜が各封じ込め板105に関連付けられ、そのうち、その前面120に並ぶように適合された第1のろ過隔膜140と、その後面125に並ぶように適合された第2のろ過隔膜145とがある。
【0091】
特に、これらのろ過隔膜140および145の各々は、それぞれの主面の周囲フレーム135に接着するように、そして、例えばその形状を仮定してその底部に接着することによって、その凹部130を完全に覆うように適合することができる。
【0092】
図示された例では、ろ過隔膜140および145の各々は、ろ過クロスの一部から構成されている。
【0093】
しかしながら、他の実施形態において、ろ過隔膜140および145の各々が、例えば金属材料で作られたグリッド、メッシュまたは有孔シートで構成されてもよいことは除外されない。
【0094】
この第1および第2のろ過隔膜140および145は、それによって本論の範囲から逸脱することなく、多くの異なる方法でそれぞれの封じ込め板105に固定することができる。
【0095】
例えば、
図2および
図6の実施形態では、ろ過隔膜140および145は、部分的に巻き付けられ、封じ込め板105の側方フランクに固定される。
【0096】
図12の実施形態では、ろ過隔膜140および145は、カップリングバー150から実質的に吊り下げられており、このカップリングバーは、封じ込め板105の上部側方フランクに固定されており、後者と実質的に共平面に、例えば支持バー115に重畳した姿勢で位置している。
【0097】
図示された実施形態では、第1および第2の別個のろ過隔膜140および145が、各封じ込め板105に関連付けられる。
【0098】
しかしながら、他の実施形態において、第1および第2のろ過隔膜140および145は、一緒に接合されて単一の本体を形成してもよいことは排除されない。
【0099】
いずれにしても、この構造の最終的な結果は、連続する各対の封じ込め板105の間に、常に2つの互いに向かい合うろ過隔膜140および145が介在したままであり、そのうちの第1は可動ヘッド330に最も近い封じ込め板105と関連し、第2は固定ヘッド325に最も近い封じ込め板105と関連している。
【0100】
これらの封じ込め板105が閉じた状態にあるとき、その間に介在する第1および第2のろ過隔膜140および145は、周囲フレーム135において実質的に互いに接触している一方で、凹部130において少なくともわずかに離れていることがある。
【0101】
従って、
図16の簡略図に示されるように、これらの第1および第2のろ過隔膜140および145の間に、ろ過されるべき液体を受け入れるのに適した、狭くて実質的に閉じたろ過室155が画定されたままである。
【0102】
ろ過されるべき液体は、1つまたは複数の入口ダクトを通してろ過室155に供給することができ、その各々は、封じ込め板105に直接設けられた一連の貫通孔から作られている。
【0103】
例えば、
図1および
図2の実施形態並びに
図5および
図6の実施形態では、フィルタプレス100は、それぞれの封じ込め板105に個別に作られた一連の貫通孔160によって作られる単一の入口管路から構成されている。
【0104】
実際には、各封じ込め板105は、長手方向軸Aに平行な軸を有し、フィルタプレス100の他の全ての封じ込め板105の対応する貫通孔160と実質的に同軸の貫通孔160からなる。
【0105】
この貫通孔160は、封じ込め板105の中心、例えば凹部130の底面に設けることができる。
【0106】
この貫通孔160と同軸の位置に、同じ封じ込め板105に関連する第1および第2のろ過隔膜140および145も、それぞれの貫通孔165を有する。
【0107】
各封じ込め板105は、貫通孔160と同軸に配置された2つの分配リングをさらに備え、そのうち第1の分配リング170は、封じ込め板105の前面120に、例えばその凹部130の底面に固定され、第2の分配リング175は、同じ封じ込め板105の後面125に、例えば、その凹部130の底面に固定される。
【0108】
この場合において、第1および第2のろ過隔膜140および145の貫通孔165は、好ましくは分配リング170および175の外径よりも小さい直径を有するので、第1の分配リング170は、第1のろ過隔膜140を封じ込め板105の前面120に対してクランプするようにも適合され、第2の分配リング175は、第2のろ過隔膜145を封じ込め板105の背面125に対してクランプするのにも適合される。
【0109】
全ての対の封じ込め板105が閉じた状態にあるとき、すなわち、全ての封じ込め板105が一緒にパックされているとき、各封じ込め板105の第1の分配リング170は、隣接する封じ込め板105の第2の分配リング175と正面から接触して、ろ過室155を通過する管の部分をそれと一緒に作ることができる。
【0110】
相互接触ゾーンにおいて、これらの第1および第2の分配リング170および175は、しかしながら、パイプの部分をろ過室155と流体的に連通させる横方向の開口を画定するような形状であってよい。
【0111】
封じ込め板105に設けられた貫通孔160によって、このパイプの部分は、他の全ての対の封じ込め板105の間に設けられた同様のパイプの部分と流体的に連通し、したがって全体として前述の入口ダクトを形成する。
【0112】
図11および
図12に示される実施形態では、フィルタプレス100は、2つのインレットダクトを備え、その各々は、それぞれの封じ込め板105に個別に設けられた一連の貫通孔180によって作られている。
【0113】
言い換えれば、各封じ込め板105は、2つの貫通孔180からなり、その各々は、長手方向Aに平行な軸を有し、他の全ての封じ込め板105の対応する貫通孔180と同軸である。
【0114】
貫通孔180は、封じ込め板105の周囲フレーム135において、凹部130の外側、例えば封じ込め板105自体の上部側方フランク近傍に形成することができる。
【0115】
これらの貫通孔180のそれぞれと同軸の位置に、封じ込め板105に関連する第1および第2のろ過隔膜140および145は、それぞれの貫通孔185を有する。
【0116】
それぞれの貫通孔180に対して、封じ込め板105は、それぞれの貫通孔180と同軸に配置された2つの分配リングをさらに備え、第1の分配リング190は、封じ込め板105の前面120に、例えばその周囲フレーム135に設けられた適当な座部に埋め込まれて固定され、第2の分配リング195は同じ封じ込め板105の後面125に、例えばその周囲フレーム135に設けられた適当な座部に埋められて固定される。
【0117】
またこの場合、第1および第2のろ過隔膜140および145の貫通孔185は、好ましくは分配リング190および195の外径よりも小さい直径を有するので、第1の分配リング190は、第1のろ過隔膜140を封じ込め板105の前面120に対してクランプするようにも適合され、第2の分配リング195は、第2のろ過隔膜145を封じ込め板105の背面125に対してクランプするのにも適合される。
【0118】
全ての対の封じ込め板105が閉じた状態にあるとき、すなわち、全ての封じ込め板105が一緒にパックされているとき、各封じ込め板105の第1の分配リング190は、すぐ隣の封じ込め板105のそれぞれの第2の分配リング195と正面から接触して、それによってパイプの部分を作ることができる。
【0119】
相互接触ゾーンにおいて、各第1の分配リング190および第2の分配リング195は、それによって脱気されたパイプの部分をろ過室155と流体的に連通させる横方向開口部を画定するような形状であってよい。
【0120】
第1の分配リング190および第2の分配リング195によって画定されるパイプの各部分は、次に、他の対の封じ込め板105によって画定されるパイプの全ての同様の部分と流体的に連通して、全体として前述の入口ダクトを形成する。
【0121】
採用された実施形態にかかわらず、各入口ダクトは、ろ過される流体を供給するように適合された入口液圧回路に接続される。
【0122】
図1に示される実施形態では、この入口液圧回路は、固定ヘッド325に近接する第1の封じ込め板105の貫通孔160と係合する第1の供給ダクト340と、可動ヘッド330に近接する最後の封じ込め板105の貫通孔160と(他方で)係合する第2の供給ダクト345と、第1の供給ダクト340および可能性のある第2の供給ダクト345にろ過される液体を送出するポンプ(図示せず)から構成されてもよい。
【0123】
図5の実施形態では、入口液圧回路は、固定ヘッド325の近位にある第1の封じ込め板105の貫通孔160と係合する単一の供給ダクト350と、ろ過される液体を当該供給ダクト350に送り込むポンプ(図示せず)とから構成されてもよい。
【0124】
図11の実施形態では、入口液圧回路は、分岐することによって、固定ヘッド325の近位にある封じ込め板105の第1の分配リング190と係合する供給ダクト355と、この供給ダクト355にろ過すべき液体を送り込むポンプ(図示せず)とから構成されてもよい。
【0125】
いずれの場合も、ろ過室155に到達したろ過されるべき液体は、それらの各々を画定する第1および第2のろ過隔膜140および145を通過する傾向があり、一方、固体部分は比較的コンパクトな堆積物を形成して内部に留まる。
【0126】
ろ過隔膜140および145を通過した後、ろ過された液体は、1つまたは複数の収集ダクトに流れ、その各々は、先に説明した入口ダクトと同様に、封じ込め板105に直接設けられる一連の貫通孔200から作られてもよい。
【0127】
実際には、各封じ込め板105は、1つ以上の貫通孔200を有し、その各々は、長手方向Aに平行な軸を有し、全ての他の封じ込め板105の対応する貫通孔200と同軸である。
【0128】
これらの貫通孔200の各々は、凹部130の外部にある、それぞれの封じ込め板105の周囲フレーム135に形成することができる。
【0129】
図2および
図6の実施形態では、各封じ込め板105は、例えば、封じ込め板105それ自体の縁に配置された4つの貫通孔200を備えている。
【0130】
各貫通孔200と同軸の位置に、封じ込め板105に関連する第1および第2のろ過隔膜140および145もまた、それぞれの貫通孔205を備えている。
【0131】
図12の実施形態では、各封じ込め板105は6つの貫通孔200を含み、そのうち、貫通孔200の第1の対は、封じ込め板105の上部フランクに配置され、貫通孔200の第2の対は、右側フランクから突出する封じ込め板105の付属品に設けられ、貫通孔200の第3の対は左側フランクから突き出る付属品に設けられている。
【0132】
第1の対の各貫通孔200と同軸の位置に、第1および第2のろ過隔膜140および145は、それぞれ貫通孔205を有するが、第2および第3の対の貫通孔200は、完全に覆われていないままである。
【0133】
特定の実施形態にかかわらず、封じ込め板105の全ての対が閉じた状態にあるとき、すなわち、全ての封じ込め板105が一緒にパックされているとき、封じ込め板105の各貫通孔200は、他の全ての封じ込め板105の一連の一致する貫通孔200と液密に連通し、前述の収集ダクトの全体の1つを形成する。
【0134】
各貫通孔200はまた、例えば、封じ込め板105の本体に設けられたチャネルの適切なシステムを介して、封じ込め板105の前面120と第1のろ過隔膜140との間、例えば第1のろ過隔膜140と前記前面120に形成された凹部130の底面との間、および/または、封じ込め板105の後面125と第2のろ過隔膜145との間、例えば第2のろ過隔膜145と前記後面125に作られた凹部130の底面との間、に画定されたままの狭いキャビティと連通している。
【0135】
このようにして、ろ過隔膜140および145を通過したろ過液は、まず、前記キャビティに流入し、次に、内部チャネルを介して、貫通孔200に到達し、次に、収集ダクトに達する。
【0136】
これらの収集ダクトは、順に、好ましくは固定ヘッド325において、ろ過された液体を排出し、例えば貯蔵タンク、廃棄システムまたは他の用途に搬送するように適合された液圧出口回路に接続される。
【0137】
液圧出口回路は、例えば、固定ヘッド325の近傍にある第1の封じ込め板105のそれぞれの貫通孔200と個別に係合し、その後、単一の排出管に収束する複数の搬送ダクト360から構成されてもよい。
【0138】
ろ過室155内のろ過される液体の供給およびその結果としてのろ過された液体の抽出は、連続的に行われるのではなく、ろ過室155が前述のコンパクトな堆積物を形成する固形残留物で実質的にいっぱいになると、ある期間後に中断されることが、本明細書に明記されている。
【0139】
この時点で、連続する各一対の封じ込め板105は、上記で概説したように、開いた状態にされる。
【0140】
このようにして、前記一対の封じ込め板105の間に介在する第1および第2のろ過隔膜140および145が長手方向Aに分離し、ろ過室155を横方向に開き、したがって、圧縮された堆積物をフィルタプレス100の外側に下方へ落下させる。
【0141】
この圧縮された堆積物は、その後、廃棄またはさらなる処理のために、例えば、封じ込め板105の下に設けられた特別な区画に集めることができる。
【0142】
しかしながら、長期間の使用において、ろ過された液体から分離された固体材料の一部は、ろ過隔膜140および145に付着したままであり、それらを汚し、その効率を低下させることがある。
【0143】
このため、フィルタプレス100は、一般に、全体的に400で示される洗浄ロボットを備えており、この洗浄ロボットは、例えば、各ろ過サイクルの後またはある数のろ過サイクルの後に、連続する各対の封じ込め板105の間に位置するろ過隔膜140および145を洗浄する役割を担っている。
【0144】
この洗浄ロボット400は、長手方向Aに沿って封じ込め板105に対して移動可能なトロリー405を含んで構成されてもよい。
【0145】
特に、トロリー405は、支持構造体300にスライド可能に結合され、封じ込め板105(静止したままである)に干渉することなく、封じ込め板105で移動できるような形状にすることが可能である。
【0146】
例えば、
図1に示される実施形態では、トロリー405は、長手方向Aに横切る平面内に横たわるガントリー構造を有し、連続する封じ込め板105に面し、それと整列する通路を画定することができる。
【0147】
特に、トロリー405は、封じ込め板105に関して対サイト側に配置された2つの垂直直立部410と、2つの垂直直立部410を結合することによって、封じ込め板105に重なる上部クロスバー415とを備えることができる。
【0148】
各垂直直立部410の基部は、長手方向Aに平行に延びるそれぞれのガイドレール365にスライド可能に結合されてもよい。
【0149】
支持構造上のトロリー405のスライドは、例えば電気機械式または電気油圧式など、任意の公知の駆動装置に委ねることができる。
【0150】
図5に示す実施形態では、洗浄ロボット400のトロリー405は、形状およびデザインが異なるものの、上記で概説したのと同じガントリー構造を有している。
【0151】
しかし、この場合、トロリー405は、上部クロス部材415によって支持構造体300にスライド可能に結合され、この上部クロス部材は、封じ込め板105の上に長手方向Aに平行に延びる長手方向部材310に沿って支持されてスライドする。
【0152】
トロリー405のスライドは、長手方向部材310に固定された直線状ラック370と、電気モータによって駆動され、直線状ラック370と係合して回転する上部クロスバー415に設けられた少なくとも一つのピニオン(見えない)とを有する電気機械システムに委ねることができる。
【0153】
しかしながら、支持構造体300上でのトロリー405のスライドは、例えば電気機械式または電気油圧式のような他の公知の駆動装置に委ねることができる。
【0154】
図11に示される実施形態では、洗浄ロボット400のトロリー405は、もはや上記で概説したガントリー構造を構成しないが、長手方向Aに対して横方向に延び、封じ込め板105(
図15参照)を乗り越える上部クロスバー435から単に構成することができる。
【0155】
この上部クロスバー435の両端部は、長手方向Aに平行に延びそれぞれの長手方向部材315に個別に固定される2つのガイドレール365にスライド可能に結合されてもよい。
【0156】
支持構造体300上でのトロリー405のスライドは、任意の公知の駆動装置、例えば電気機械式または電気油圧式に委ねることができる。
【0157】
任意のタイプの洗浄ロボット400は、トロリー405に搭載され、長手方向Aに対して横方向(例えば直交方向)にトロリー405に対して移動可能であり、連続する任意の対の封じ込め板105が開いた状態にあるときに、それらの封じ込め板105の間に構成される空間内で移動できるように、バー445を更に含むことができる。
【0158】
特に、バー445は、直線状、好ましくは水平であり、長手方向Aに対して直交する向きであってよく、それが設置されるトロリー405に対して、上端位置と下端位置との間の垂直方向への並進移動可能に設けられていてもよい。
【0159】
上端位置では、バー445は、封じ込め板105よりも高い位置に配置されることがあり、一方、下端位置では、それらの下側フランクと実質的に同じ高さまたはそれ以下に配置されることがある。
【0160】
複数のノズル450がバー445に関連付けられることがあり、その各々は、一対のうちの一方の封じ込め板105の前面120および他方の封じ込め板105の後面125をそれぞれ覆う第1および/または第2のろ過隔膜140および145に向かって洗浄液、典型的には水のジェットを送達することが可能である。
【0161】
例えば、バー445は、固定ヘッド325に向けられる、例えばその長手方向の延長に沿って一列に配置されたノズル450の第1の配列、および/または可動ヘッド330に向けられる、例えばその長手方向の延長に沿って一列に配置されたノズル450の第2の配列を備えてもよい。
【0162】
洗浄液の噴流を吐出するために、ノズル450は、適切な液圧洗浄液供給システムに接続されてもよく、これは、一般に、タンクまたは供給ネットワークから洗浄液を取り込み、それが流れるノズル450に圧力下で送るように適合されたポンプ、好ましくは高圧ポンプから構成することができる。
【0163】
特に、この液圧供給システムは、バー445に取り付けられ、および/またはバー445の一体的な部分を形成する、少なくとも1つのマニホールド455から構成することができる。
【0164】
このマニホールド455は、中空体、例えばチューブのような形状をしており、このチューブは、好ましくは、直線状の延長部を有し、バー445と平行に配向されている。
【0165】
ノズル450は、前述のマニホールド455の側壁に設けられたそれぞれの貫通孔に直接挿入することができ、あるいはマニホールド455によって直接画定することができる。
【0166】
図4に示される実施形態では、バー445は、好ましくは同じ水平面に横たわる2つの平行なマニホールド455からなり、そのうちの1つは固定ヘッド325に面するノズル450を搬送し、他方は可動ヘッド330に面するノズル450を搬送する。
【0167】
バー445は、上記両マニホールド455を担持する一種のフレームのような形状である。
【0168】
トロリー405に搭載されたバー445の移動は、バー445をトロリー405のクロスバー415に接続し、電気モータ465によって動作可能な多関節アームキネマティック機構460(例えば、パンタグラフ)によって駆動される。
【0169】
図8に示される実施形態では、バー445は、単一のマニホールド455からなり、実質的にそれによって画定され、固定ヘッド325に面したノズル450と可動ヘッド330に面したノズル450との両方が関連付けられる。
【0170】
トロリー405に搭載されたバー445の移動は、任意の駆動システム、例えば電気機械式または電気油圧式で操作することができる。
【0171】
また、
図14の実施形態では、バー445は、単一のマニホールド455からなり、実質的にそれによって画定され、固定ヘッド325に面したノズル450と可動ヘッド330に面したノズル450との両方が関連付けられる。
【0172】
この場合、トロリー405に搭載されたバー445の移動は、一対の垂直方向に向いたチェーン(またはベルト)470によって駆動され、その各々は、バー445のそれぞれの端部に取り付けられた下端と、トロリー405、特に封じ込め板105を覆うクロスバー415に枢動可能に取り付けられた回収リール475(
図15参照)に取り付けられた上端を有する。
【0173】
回収リール475は水平な回転軸を有し、例えば単一の電気モータ480によって同時に同じ方向に駆動され、それぞれのベルト470の巻き戻しおよび巻き上げによってバー445がそれぞれ下降および上昇するようにする。
【0174】
洗浄ロボット400の動作は、トロリー405が長手方向Aに沿って支持構造体300上をスライドし、開いた状態になっている連続する封じ込め板105の全ての対で、次々に停止されるようにする。
【0175】
トロリー405のスライド中、バー445は、封じ込め板105と干渉しないように上端位置に維持される。
【0176】
トロリー405が停止すると、バー445は、連続する一対の封じ込め板105の間に構成される空間と垂直に位置合わせされ、開いた状態になる。
【0177】
その結果、バー445は、トロリー405(静止したまま)に対して、上端位置から下端位置まで垂直方向に移動し、再び戻るように操作することができる。
【0178】
これらのストロークの一方または両方の間、洗浄液供給油圧システムは、バー445に設置されたノズル450が洗浄液のジェット(好ましくは高圧)を封じ込め板105を裏打ちするろ過隔膜140および145に送り、それらを洗浄して、付着したまま残っているかもしれない固体堆積物を取り除くように操作することができる。
【0179】
しかし、ろ過サイクルの繰り返しの後、封じ込め板105に関連するろ過隔膜140および145は、いずれにしても、進行性の摩耗を受け、および/または偶発的な出来事によって損傷することがあり、したがって交換が必要となる。
【0180】
ろ過隔膜140および145の完全性および摩耗の状態を監視するために、フィルタプレス100が、ろ過隔膜140および145の認識のためのシステムおよびそれらを選別するためのシステムを管理する電子処理装置(図示せず)を備えることが想定される。
【0181】
認識システムは、フィルタプレス100に設置された各ろ過隔膜140、145に固有の識別コードが提供されることを必要とする。
【0182】
特に、この固有の識別コードは、RFID500タグに組み込むことができる。
【0183】
各RFIDタグは、一般に、その固有の識別コードで符号化された無線信号を発することができるアンテナを備えている。
【0184】
各RFIDタグ500は、好ましくは、読み取り可能で書き換え可能/再プログラム可能なタイプの(小型の)ローカルメモリユニットを備えることもでき、その中に対応するろ過隔膜140または145のさらなる情報を格納することができる。
【0185】
この情報は、例えば、ろ布のメーカーおよびモデル、封じ込め板105の配列内の位置(すなわち、固定ヘッド325および/または可動ヘッド330からのその「距離」)、ならびに実行されたろ過サイクルの回数を含むことができる。
【0186】
この情報は、それぞれのRFIDタグ500のアンテナによって発せられる無線信号にも符号化することができる。
【0187】
したがって、認識システムは、各ろ過隔膜140および145に取り付けられている固有の識別コードを読み取り/検出するように適合された検出装置から構成することができる。
【0188】
この検出装置は、有線または無線のいずれかの既知の接続システムを介して電子処理装置に接続することができる。
【0189】
好ましくは、検出装置は、洗浄ロボット400のトロリー405に搭載され、ろ過隔膜140および145が上記のような洗浄操作に付されたときに、ろ過隔膜の識別コードを読み取るように適合されるようにされる。
【0190】
検出装置は、例えば、各RFIDタグ500によって発せられ、固有の識別コードおよび場合によってはそのローカルメモリユニットに格納された情報が符号化された無線信号をピックアップするように適合されたアンテナ505を備えることができる。
【0191】
可能性として、アンテナ505は、例えば、それぞれのろ過隔膜140または145によって実行されたろ過サイクルの数を定期的に更新するために、RFIDタグ500がそのローカルメモリユニットを書き込み/書き換えることを可能にする無線信号を各RFIDタグ500に送信するようにも適用することができる。
【0192】
いずれにせよ、アンテナ505は、RFIDタグ500から比較的小さな距離、例えば、開いた状態における連続する封じ込め板105の対を隔てる距離よりも小さい距離にあるときにのみ、それぞれのRFIDタグ500と無線信号を受信および/または交換するように構成されることが好ましい。
【0193】
この効果は、例えば、アンテナ505の電力を適切に減少させることによって達成することができる。
【0194】
このようにして、トロリー405の移動中、アンテナ505は、有利なことに、一度に少数のRFIDタグ500の信号、好ましくは一度に1つのRFIDタグ500のみの信号をピックアップすることができ、したがって、識別システムは、ピックアップした信号を「分離」し、したがって対応するろ過隔膜140または145にそれらの正しい位置を割り当てることができる。
【0195】
識別システムをヨーロッパとアメリカの両方の規格に適合させるために、RFIDタグ500は、860MHzから960MHzの周波数で無線信号を発し、場合によっては受信するように構成することができる。
【0196】
これに対応して、検出装置のアンテナ505は、ヨーロッパ地域では865MHzから868MHzの間で構成される周波数で動作するように、またはアメリカ地域では902MHzから928MHzの間で構成される周波数で動作するように構成することができる。
【0197】
検出装置は、アンテナ505に接続され、RFIDタグ500からの無線信号を解読し、その固有の識別コードおよび任意の追加情報を取得するように適合されたリーダ(図示せず)をさらに備えていてもよい。
【0198】
このリーダはまた、送信される情報を準備し、RFID500タグのローカルメモリユニットに書き込むことができてもよい。
【0199】
このリーダは、任意のケーブル接続システムを介してアンテナ505と接続することができ、次に、有線または無線のいずれかで処理装置と接続されることになる。
【0200】
あるいは、アンテナ505とリーダとが一体化された統合システムを採用することも可能である。
【0201】
好ましくは、アンテナ505とリーダの両方が、洗浄ロボット400のトロリー405に搭載される。
【0202】
しかしながら、他の実施形態において、アンテナ505のみが洗浄ロボット400のトロリー405上に設置され、リーダはフィルタプレス100の支持構造体300上の他の任意の固定位置に設置可能であることを除外するものではない。
【0203】
図3および
図4に示される実施形態では、各封じ込め板105に関連する第1および第2のろ過隔膜140および145は、封じ込め板105自体の側方フランク、好ましくは下側フランクよりも上側フランクに近い位置、例えばブラケット110の上方にそれぞれのRFIDタグ500を備えていてもよい。
【0204】
検出装置のアンテナ505は、実質的に同じ高さレベルで、RFIDタグ500に近接して(触れることなく)通過するように、例えば接続ブラケットによって運ばれる、封じ込め板105の前記側方フランクに近接するトロリー405の直立部410に固定することができる。
【0205】
リーダは、アンテナ505よりも高い位置でトロリー405上に配置することができ、例えば、クロスバー415に配置することもできるが、必ずしもそうでなくてもよい。
【0206】
図7および
図8に示される実施形態では、各封じ込め板105に関連付けられる第1および第2のろ過隔膜140および145は、封じ込め板105自体の側方フランクで、好ましくは上側フランクよりも側方フランクに近い位置で、例えば当該側方フランクを下側フランクから分離する縁部で、それぞれのRFIDタグ500を備えていてもよい。
【0207】
検出装置のアンテナ505は、トロリー405の下部において、封じ込め板105の前記側方フランクに面するトロリー405の直立部410に近接して、例えば、封じ込め板105の下に立った状態で2つの直立部410を接続するように適合したバー490から提供されるブラケットの上部に固定することができる。
【0208】
特に、前記支持ブラケットは、アンテナ505をRFIDタグ500と実質的に同じ高さレベルにし、アンテナ505がRFIDタグ500に触れることなくRFIDタグ500の近くを通過するようにする。
【0209】
ここでも、リーダは、トロリー405上で、アンテナ505よりも高い位置、例えば、クロスバー415に配置することができるが、必ずしもそうでなくてもよい。
【0210】
図15に示される実施形態では、各封じ込め板105に関連する第1および第2のろ過隔膜140および145は、封じ込め板105自体の上側フランクよりも突出するその上縁に、例えば当該上縁に沿った中央位置に、それぞれのRFIDタグ500を備えることができる。
【0211】
検出装置のアンテナ505は、トロリー405のクロスバー435に、当該アンテナ505とろ過隔膜140および145に関連するRFIDタグ500とが長手方向Aに平行な同一垂直平面上に実質的に並ぶ位置で固定されてもよい。
【0212】
例えば、アンテナ505は、トロリー405のクロスバー435に固定され、下方に延びる支持ブラケットの下端部に担持され、アンテナ505がRFIDタグ500に触れることなくその近くを通過できるようにしてもよい。
【0213】
この場合も、リーダは、アンテナ505よりも高い位置でトロリー405上に、例えばクロスバー435上に配置することができる。
【0214】
いくつかの実施形態では、フィルタプレス100は、封じ込め板105の検出システムも含むことができることが想定される。
【0215】
このシステムは、先のシステムと同様であり、各封じ込め板105がそれぞれの固有の識別コードを有することを提供し、この識別コードは、例えば、ろ過隔膜140および145に関連するRFIDタグ500に関連して概説したのと同じ特性を有することができるRFIDタグ(図示せず)に組み込むことができる。
【0216】
RFIDタグは、封じ込め板105のメーカーおよびモデル、封じ込め板105の一連の配列内の位置(すなわち、固定ヘッド325および/または可動ヘッド330からのその「距離」)、および実行されたろ過サイクルの数などの情報を格納することができる。
【0217】
封じ込め板105に取り付けられた固有の識別コードは、対応する検出装置によって検出されてもよく、この装置は、好ましくはトロリー405に搭載され、ろ過隔膜140および145の識別コードを検出するための装置について図示したのと同じ特性を有することができる。
【0218】
特に、封じ込め板105に固定された固有の識別コードは、専用の検出装置を用いて、または場合によっては、ろ過隔膜140および145に関連するコードに用いられるのと同じ検出装置を用いて検出することができる。次にスクリーニングシステムに目を向けると、それは、少なくとも1つの画像取得装置600からなり、それは、洗浄ロボット400のバー445上に、例えば、洗浄液の噴流を吐出するノズル450よりも高い位置に取り付けられている。
【0219】
この取得装置600は、有線または無線のいずれかの接続システムを介して中央処理装置に接続することができる。
【0220】
取得装置600は、例えば、カメラ、ビデオカメラ、またはろ過隔膜140および145の静止画像および/または動画を取得するように適合された他の任意の装置であってもよい。
【0221】
このようにして、一対の連続する封じ込め板105の間で、開いた状態でのバー445の移動によって、取得装置600は、前記封じ込め板105の間に介在する第1および/または第2のろ過隔膜140および145の1つまたは複数の画像を取得することができる。
【0222】
これらの画像は、おそらく、各ろ過隔膜140および145の完全な画像を得るように、電子処理装置によって処理および結合することができ、実際には、それらのトゥルースキャンを得ることができる。
【0223】
ろ過隔膜140および145の両方についてこのスキャンを実行するために、取得装置600は、固定ヘッド325に向かって、および代替的に可動ヘッド330に向かってその方向を変更できるように、バー445に移動可能に取り付けることができる。
【0224】
しかし、より好ましくは、スクリーニングシステムは、少なくとも2つの取得装置600を備え、第1の取得装置600は固定ヘッド325に向かい、第2の取得装置600は可動ヘッド330に向いている。
【0225】
このようにして、バー445の1回の移動で、両方のろ過隔膜140および145を同時に走査することが有利に可能である。
【0226】
この解決策は、例えば、
図3および
図4に示す実施形態において採用される。
【0227】
しかし、1つの取得装置600のみを使用すること、または片側につき1つの取得装置600のみを使用することは、その視野が、ろ過隔膜140および145の完全なストリップ、すなわち、封じ込め板105の一方の側方フランクから反対側方フランクまで連続して延びるストリップをフレームに収めるために十分に広くなければならない可能性がある。
【0228】
これが可能となるためには、取得装置600とスキャンされるろ過隔膜140または145との間の距離が十分に大きくなければならない。
【0229】
しかしながら、開放状態における連続する封じ込め板105の各対の間に利用可能な空間は、時として非常に狭い場合があり、そのため、それらを通過するバー445上に設置された取得装置600の視野は、想定される状態を保証するのに十分な大きさでない場合がある。
【0230】
この欠点を克服するために、スクリーニングシステムは、したがって、列状に配置され、洗浄ロボット400のバー445の長手方向の延長に沿って相互に間隔を置かれた取得デバイス600のグループからなり得、その全てが、固定ヘッド325の方に、または可動ヘッド330の方に向けことができる。
【0231】
より好ましくは、スクリーニングシステムは、取得装置600の前記グループの2つを含むことができ、前記グループのうちの1つの取得装置600は、全て固定ヘッド325の方に向けられ、他方のグループの取得装置600は、全て可動ヘッド330の方に向けられる。
【0232】
このようにして、各グループの取得デバイス600によって撮影された画像を結合して、ろ過隔膜140および145の完全なストリップの画像を得ることができる。
【0233】
この解決策は、例えば、
図8に例示された実施形態、および
図13および
図14に例示された実施形態において採用されており、固定ヘッド325に面する2つの取得装置600と、可動ヘッド330に面する2つの更なる取得装置600とが、洗浄ロボット400のバー445に設置される。
【0234】
各取得装置600の視野を拡大する別の可能性は、バー445が2つの封じ込め板105から完全に等距離にないように、洗浄ロボット400のトロリー405を配置することである。
【0235】
例えば、第1のろ過隔膜140を走査するとき、バー445、ひいては取得装置600が第2のろ過隔膜145に近づくような方法でトロリー405を配置することが可能である。
【0236】
逆に、第2のろ過隔膜145を走査する場合、バー445、ひいては取得デバイス600が第1のろ過隔膜140に近づくようにトロリー405を配置することが可能である。
【0237】
各取得装置600の視野を拡大するための別の可能性は、バー445に搭載された、水平方向かつ長手方向Aに直交する並進移動を備えることが考えられる。
【0238】
画像取得を改善するために、任意の実施形態のスクリーニングシステムは、さらに、ろ過隔膜140および145を照明するように適合された1つまたは複数のランプを備えることができ、これらは、洗浄ロボット400のトロリー405および/またはバー445上に設置されてもよい。
【0239】
例えば、
図10に示される実施形態は、トロリー405の各直立部410に並列に設置されたランプ605を含み、場合によっては、バー445上、例えばノズル450を運ぶマニホールド455の下に並列に設置されたさらなるランプ(図示しない)を含む。
【0240】
以上のことから、認識およびスクリーニングシステムの動作は、トロリー405が長手方向Aに沿って支持構造体300上をスライドし、開放状態である封じ込め板Aの全ての連続する対で順次停止されることを画定する。
【0241】
トロリー405のスライド中、バー445は、封じ込め板105と干渉しないように上端位置に保たれる。
【0242】
トロリー405の停止時または通過時には、認識装置のアンテナ505が、前記一対の封じ込め板105の間に介在する第1および第2のろ過隔膜140、145に関連付けられたRFIDタグ500が発する電波を拾い、その固有の識別コードを取得する。
【0243】
また、必要に応じて、認識装置のアンテナ505は、ろ過隔膜140および145が介在する封じ込め板105に取り付けられたRFIDタグが発する無線信号を検出することもでき、この場合にもそれらの固有の識別コードを取得することができる。
【0244】
これらの固有の識別コードは、電子処理装置に送信することができ、電子処理装置は、2つのろ過隔膜140および145、ならびに場合によっては封じ込め板105を識別することができる。
【0245】
このようにして、電子処理装置は、まず、各ろ過隔膜140および145ならびに/または各封じ込め板105を追跡し、例えば、フィルタプレス100内のその位置を知る/監視する、および/または実行されたろ過サイクルの回数を知る/監視することができる。
【0246】
同時にまたはその後、バー445は、トロリー405(静止したまま)に対して、垂直方向に上端位置から下端位置まで移動し、必要に応じて、この移動を1回または複数回繰り返すように操作することができる。
【0247】
これらのストロークの少なくとも1つの間、取得装置(複数可)600は、第1および第2のろ過隔膜140および145を走査し、その画像を取得することができる。
【0248】
これらの画像は、電子処理装置に送信することができ、電子処理装置は、それぞれの固有の識別コードまたはそれぞれのろ過隔膜140または145と関連付けることができる。
【0249】
容易に理解できるように、これらの操作は、好ましくは、洗浄操作と同時に実施することができる。
【0250】
例えば、洗浄ロボット400のトロリー405を一対の連続する封じ込め板105で停止させ、開いた状態にした後、バー445は、ノズル450が動作する1つまたは複数のストロークを行い、その後、取得デバイス600が動作する1つまたは複数のストロークを行ってもよい。
【0251】
しかしながら、他の実施形態において、スクリーニングと洗浄とが互いに独立して実施されてもよいことは排除されない。
【0252】
いずれにせよ、スクリーニング操作は、好ましくは、フィルタプレスの封じ込め板105の全ての連続する対について、次々と実施される。
【0253】
各ろ過隔膜140および145の画像は、電子処理装置によって、当該ろ過隔膜が損傷しているかどうか、例えば、初期段階(擦り傷または微小な傷)および/または進行段階(大きな傷)で損傷を有しているかどうかを確認し、および/またはその残存期間の予測評価を実行するために使用することができる。
【0254】
例えば、電子処理装置は、ろ過隔膜140および145の各々の画像に基づいて、ろ過隔膜の摩耗の状態を決定し、および/またはろ過隔膜が損傷またはその他の非効率的な状態になる前に、何回のろ過サイクルをまだ行うことができるか予測するように構成することができる。
【0255】
実際には、電子処理装置は、欠陥が背後の封じ込め板105の永久的な損傷に発展する前でさえ、ろ過隔膜140および145のあらゆる欠陥を事前に検出することができる。
【0256】
残存期間の決定は、電子処理装置によって、例えば適切に訓練された人工知能アルゴリズムに基づく適切な評価ロジックを実行することによって行うことができ、この評価ロジックは、入力としてろ過隔膜140または145の画像を受け取り、出力として自動的にその残存期間を提供する。
【0257】
この評価ロジックは、ろ過される液体の研磨性の程度および/またはろ過圧力などの他の側面も考慮することができる。
【0258】
そして、残存期間は、例えばインターフェースシステムによってオペレータに伝えられ、オペレータが異なるろ過隔膜140および145の交換を計画できるようにすることができる。
【0259】
一例として、電子処理装置によって使用される評価ロジックは、使用時間または実行されたろ過サイクルの数に関してろ過隔膜140および145の摩耗パターンを記述するモデル(例えば、数学、統計または経験)に基づくことができる。
【0260】
このモデルは、自己学習プロセスによって電子処理装置によって修正/更新することができ、このプロセスは、連続する時間、すなわち漸増するろ過サイクルが実施された後にスクリーニングシステムによって撮影された各ろ過隔膜140および145の(履歴)画像を分析および/または処理することによって、ろ過隔膜140および145の時間的摩耗の進化を理解することができるようになっている。
【0261】
言い換えれば、連続する時間における複数の前記ろ過隔膜140および145の複数の画像を取得した後、電子処理装置は、有利には、例えば前述の人工知能に基づく自己学習プロセスによって、これら全ての画像を使用して、残存期間評価ロジックが基づいているモデルを修正することができるようになる。
【0262】
このようにして、モデルは常に更新され、フィルタプレス100の実際の動作により忠実なものとすることができる。
【0263】
もちろん、当業者であれば、以下に主張する本発明の範囲から逸脱することなく、上記の全てに対していくつかの技術的に適用可能な修正を加えることができる。
【国際調査報告】