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  • 特表-差動駆動装置及び無人搬送車 図1
  • 特表-差動駆動装置及び無人搬送車 図2
  • 特表-差動駆動装置及び無人搬送車 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-26
(54)【発明の名称】差動駆動装置及び無人搬送車
(51)【国際特許分類】
   B61B 13/00 20060101AFI20240119BHJP
【FI】
B61B13/00 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023545237
(86)(22)【出願日】2022-01-25
(85)【翻訳文提出日】2023-07-26
(86)【国際出願番号】 CN2022073690
(87)【国際公開番号】W WO2022161341
(87)【国際公開日】2022-08-04
(31)【優先権主張番号】202120234342.5
(32)【優先日】2021-01-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519059292
【氏名又は名称】杭州海康机器人股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Hangzhou Hikrobot Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】Room 304, Unit B, Building 2, 399 Dangfeng Road, Binjiang District, Hangzhou, Zhejiang 310051, China
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】趙 家軒
【テーマコード(参考)】
3D101
【Fターム(参考)】
3D101BB16
3D101BB24
(57)【要約】
本開示は、差動駆動装置と無人搬送車を提供する。差動駆動装置は、下側接続板を有し、下側接続板(3)に弾性接続部材が設置されており、下側接続板(3)と被積載モジュールとの弾性接続を形成するように、弾性接続部材は被積載モジュールに接続される弾性サスペンションアセンブリと、弾性サスペンションアセンブリの下方に設置され、下側接続板(3)にヒンジ接続される差動駆動アセンブリとを含む。それにより、無人搬送車の走行の安定性を向上させることに有利である。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
差動駆動装置であって、
下側接続板を有し、前記下側接続板に、弾性接続部材が設置されており、前記下側接続板と被積載モジュールとの弾性接続を形成するように、前記弾性接続部材は前記被積載モジュールに接続される弾性サスペンションアセンブリと、
前記弾性サスペンションアセンブリの下方に設置され、前記下側接続板にヒンジ接続される差動駆動アセンブリと、
を含む差動駆動装置。
【請求項2】
前記弾性接続部材は複数のばねを含む請求項1に記載の差動駆動装置。
【請求項3】
前記下側接続板に複数のリニア軸受が設置されており、
各前記リニア軸受はそれぞれ一つのガイド軸に軸方向に摺動嵌合され、前記ガイド軸は、前記被積載モジュールに接続されるためのものである請求項1に記載の差動駆動装置。
【請求項4】
前記ガイド軸の下部にストッパーが設置されている請求項3に記載の差動駆動装置。
【請求項5】
前記下側接続板に旋回ベアリングアセンブリが設置されており、前記差動駆動アセンブリは前記旋回ベアリングアセンブリにヒンジ接続される請求項1に記載の差動駆動装置。
【請求項6】
前記差動駆動アセンブリに旋回ベアリングアセンブリが設置されており、前記旋回ベアリングアセンブリは前記下側接続板にヒンジ接続される請求項1に記載の差動駆動装置。
【請求項7】
角度検出器をさらに含み、
前記角度検出器は固定部と、回転部とを含み、
前記固定部と前記回転部のうちの一方は、前記差動駆動アセンブリに固定接続され、前記固定部と前記回転部うちの他方は接続軸によって前記下側接続板に接続される請求項5又は6に記載の差動駆動装置。
【請求項8】
前記差動駆動アセンブリは、
前記下側接続板にヒンジ接続される取付板と、
前記取付板の対向する両側にそれぞれ設置される二つの伝動機構と、
前記二つの伝動機構の入力軸に接続される駆動機構と、
二つの伝動機構の出力軸にそれぞれ接続される二つの駆動輪と、
を含む請求項1に記載の差動駆動装置。
【請求項9】
前記下側接続板に、下方に突出するヒンジベースが設置されており、
前記取付板にヒンジベースを通すための貫通孔が設置されており、前記取付板の下面にヒンジラグが設置されており、前記ヒンジベースが前記貫通孔を通過して前記ヒンジラグにヒンジ接続される請求項8に記載の差動駆動装置。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項に記載の差動駆動装置と、
前記弾性接続部材に接続される前記被積載モジュールである車体フレームと、
を含む無人搬送車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2021年01月27日に中国国家知的財産権局へ提出された、出願番号が202120234342.5であり、発明の名称が「差動駆動装置及び無人搬送車」である中国特許出願に基づき優先権を主張し、その内容の全てが援用により本願に組み込まれる。
【0002】
本開示は、搬送車両技術の分野に関し、特に差動駆動装置及び無人搬送車に関する。
【背景技術】
【0003】
無人搬送車(AGV、Automated Guided Vehicle)とは、電磁や光学などの自動誘導機器を搭載しており、充電式バッテリー等を動力源として、所定の誘導ルートに沿って走行できる搬送車を指す。通常、無人搬送車の各駆動輪は、緩衝機構を有し、この緩衝機構は、無人搬送車が凸凹の路面を走行する時のノイズを低減することができると同時に、無人搬送車が凸凹の路面を走行する時の車輪圧を調整することもできる。
【0004】
本発明者は、関連技術において、無人搬送車の緩衝機構が該搬送車において構造的に不適切さがあるので、凹んだ地面を通る時に、無人搬送車が搬送ルートから外れてしまうことを見出した。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示は、両側の車輪圧を常に等しく保つことができ、無人搬送車がルートから外れることを避けることに有利である差動駆動装置及び無人搬送車を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第1の態様は、差動駆動装置を提供し、差動駆動装置は、
下側接続板を有し、前記下側接続板に弾性接続部材が設置されており、前記下側接続板と被積載モジュールとの弾性接続を形成するように、前記弾性接続部材は前記被積載モジュールに接続される弾性サスペンションアセンブリと、
前記弾性サスペンションアセンブリの下方に設置され、前記下側接続板にヒンジ接続される差動駆動アセンブリと、を含む。
【0007】
本開示にかかるいくつかの実施例では、前記弾性接続部材は複数のばねを含む。
【0008】
本開示にかかるいくつかの実施例では、前記下側接続板に複数のリニア軸受が設置されており、各前記リニア軸受はそれぞれ一つのガイド軸に軸方向に摺動嵌合され、前記ガイド軸は、前記被積載モジュールに接続されるためのものである。任意選択で、前記ガイド軸の下部にストッパーが設置されている。
【0009】
本開示にかかるいくつかの実施例では、前記下側接続板に旋回ベアリングアセンブリが設置されており、前記差動駆動アセンブリが前記旋回ベアリングアセンブリにヒンジ接続される。
【0010】
本開示にかかるいくつかの実施例では、前記差動駆動アセンブリに旋回ベアリングアセンブリが設置されており、前記旋回ベアリングアセンブリが前記下側接続板にヒンジ接続される。
【0011】
本開示にかかるいくつかの実施例では、角度検出器を更に含み、
前記角度検出器は固定部と回転部とを含み、前記固定部と前記回転部のうちの一方は、前記差動駆動アセンブリに固定接続され、前記固定部と前記回転部のうちの他方は接続軸によって前記下側接続板に接続される。
【0012】
本開示にかかるいくつかの実施例では、前記差動駆動アセンブリは、
前記下側接続板にヒンジ接続される取付板と、
前記取付板の対向する両側にそれぞれ設置される二つの伝動機構と、
前記二つの伝動機構の入力軸に接続される駆動機構と、
二つの伝動機構の出力軸にそれぞれ接続される二つの駆動輪と、
を含む。
【0013】
本開示にかかるいくつかの実施例では、前記下側接続板に、下方に突出するヒンジベースが設置されており、
前記取付板に、ヒンジベースを通すための貫通孔が設置されており、前記取付板の下面にヒンジラグが設置されており、前記ヒンジベースが前記貫通孔を通過して前記ヒンジラグにヒンジ接続される。
【0014】
第2方面の本開示は無人搬送車を提供し、無人搬送車は
前記のいずれか一項に記載の前記差動駆動装置と、
前記弾性接続部材に接続される前記被積載モジュールである車体フレームと、
を含む。
【発明の効果】
【0015】
本開示により提供される差動駆動装置は、被積載モジュール (例えば、車枠) を弾性サスペンションアセンブリにより下側接続板と弾性接続し、そして弾性サスペンションアセンブリを差動駆動アセンブリにヒンジ接続し、差動駆動機構の全体に対して緩衝及び車輪圧調整を行い、無人搬送車の走行の安定性を向上させることに有利である。無人搬送車が凸凹の路面を走行する場合、例えば、無人搬送車の一方側の車輪が凹んだ路面にあり、他方側の車輪が平坦な路面にある時に、無人搬送車と下側接続板との間に弾性サスペンションアセンブリを有することによって、弾性接続部材に与えられる反力により下側接続板は差動駆動機構の両側に同時に圧力を加え、搬送車の両側の駆動輪が同時に路面に接触することができる。そして、下側接続板と差動駆動機構はヒンジ接続であるため、ヒンジ接続の接続点の作用により、無人搬送車の両側の駆動輪が地面に対する接触圧力を自動的に調整し、最終的に両側の駆動輪が同じ輪圧に保つことができ、無人搬送車がルートから外れることを避けることに有利である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
本開示の実施例及び関連技術の技術案をより明確に説明するために、以下では実施例及び関連技術に使用される図面について簡単に説明するが、以下で説明される図面が、単に本開示に係るいくつかの実施例に過ぎず、当業者にとって、これらの図面に基づいて他の図面が得られることは、明らかである。
【0017】
図1】本開示の一実施例に係る差動駆動装置の模式図である。
図2】本開示の別の一実施例に係る差動駆動装置を二つのガイド軸の軸線に沿って切断した断面図である。
図3】本開示の一実施例に係る差動駆動装置を角度検出器の接続軸に沿って切断した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本開示の実施例の目的、技術案、及び利点をより明確にするために、以下、本開示の実施例における図面を参照ながら、本開示の実施例の技術案を明確かつ完全に説明する。説明される実施例が全ての実施例ではなく、単に本開示の一部の実施例にすぎないことは、明らかである。本開示の実施例に基づいて、当業者が創造的な労力を必要とせずに得られる他の実施例は、いずれも本開示に係る特許請求の範囲に入る。
【0019】
本開示の第1の態様は差動駆動装置を提供する。図1及び図2に示すように、差動駆動装置は、弾性サスペンションアセンブリと差動駆動アセンブリとを含む。弾性サスペンションアセンブリは下側接続板を有し、下側接続板に弾性接続部材が設置されており、下側接続板と被積載モジュールとの弾性接続を形成するように、弾性接続部材は、被積載モジュールに接続される。差動駆動アセンブリは弾性サスペンションアセンブリの下方に設置される。差動駆動アセンブリが下側接続板にヒンジ接続されることにより、差動駆動アセンブリが凸凹の路面で左右に揺動して路面に適応することができる。
【0020】
いくつかの実施例では、一般的に、被積載モジュールとは、牽引される搬送車本体を指し、差動駆動装置と搬送車本体との接続を容易にするために、一般的に、差動駆動装置に上側接続板1が設置される。しかし、当業者であれば、上側接続板1は必須なものではなく、弾性接続部材を搬送車本体に直接接続することもできることを理解できる。以下の実施形態では、上側接続板1と下側接続板との接続形態、及び上側接続板1と弾性接続部材との接続形態は、それぞれ車体フレームと下側接続板との接続形態、及び車体フレームと弾性接続部材との接続形態に適用することができる。以下のように、上側接続板1を有する接続形態を例として説明する。上側接続板1は搬送車本体の車体フレームに接続されるためのものであり、下側接続板3は差動駆動アセンブリに接続されるためのものである。差動駆動アセンブリにヒンジベース12が設置されており、下側接続板3はヒンジベース12によって差動駆動アセンブリにヒンジ接続される。通常、差動駆動アセンブリは牽引力を提供し、牽引力を下側接続板3と上側接続板1を介して車体フレームに伝達する。当業者は、上側接続板1と下側接続板3との間に牽引力を伝達するための機構を更に備えることもできることを理解できる。しかし、この牽引力を伝達する機構は、上側接続板1と下側接続板3との弾性接続に影響を与えるべきではない。例えば、上側接続板1または下側接続板3と摺動接続される軸を設置してもよく、当該軸に対する上側接続板1及び下側接続板3の剪断力によって牽引力を伝達する。弾性接続部材は、ばね、ゴムまたは他の弾性を有する部材であってもよいが、本開示の実施例においても限定されない。
【0021】
本開示の実施例により提供される差動駆動装置は、上側接続板1と下側接続板3との間の弾性接続により、差動駆動機構10の全体に対して緩衝及び車輪圧調整を行い、無人搬送車の走行の安定性を向上させることに有利である。無人搬送車が凸凹の路面を走行する場合、例えば、無人搬送車の一方側の車輪が凹んだ路面にあり、他方側の車輪が平坦な路面にある時に、無人搬送車と下側接続板との間に弾性サスペンションアセンブリを有することによって、弾性接続部材に与えられる反力により下側接続板3は差動駆動機構10の両側に同時に圧力を加え、搬送車の両側の駆動輪8が同時に路面に接触することができる。そして、下側接続板3と差動駆動機構10はヒンジ接続であるため、ヒンジベース12の作用により、無人搬送車の両側の駆動輪8が地面に対する接触圧力を自動的に調整して、最終的に両側の駆動輪8が同じ車輪圧に保つことができ、無人搬送車がルートから外れることを避けることに有利である。
【0022】
本開示にかかるいくつかの実施例では、上側接続板1と下側接続板3との間に複数のばね2が設置されている。上側接続板1と下側接続板3との間に複数のばね2が設置されていることにより、ばね2による弾性力により上側接続板1と下側接続板3との弾性接続を実現する。本開示におけるいくつかの実施例では、複数のばね2が上側接続板1と下側接続板3との間に均一に分布されることにより、上側接続板1と下側接続板3との弾性力を均一に分布させ、差動駆動装置のバランスにより有利である。本開示にかかる別のいくつかの実施例では、上側接続板1と下側接続板3との間の複数のばね2が対称的に設置され、例えば、上側接続板1及び下側接続板3の四隅の箇所に4つのばね2をそれぞれ設置する。以上、ばねが上側接続板と下側接続板との間に設置される場合を例として説明したが、当業者であれば、上記の接続形態は、ばねが車体フレームと下側接続板との間に設置される形態にも適用できることを理解できる。
【0023】
本開示にかかるいくつかの実施例では、被積載モジュールに接続される上側接続板1に複数のガイド軸5が設置されており、下側接続板3に複数のリニア軸受4が設置されており、ガイド軸5とリニア軸受4とは、軸方向に摺動嵌合される。複数のガイド軸5は、上側接続板1と下側接続板3の方向を平行な方向に制限することにより、上側接続板1と下側接続板3とが一体として差動駆動機構10に力を加えることができ、さらに、下側接続板3と差動駆動機構10とのヒンジ接続によって、弾性サスペンションアセンブリによる力が差動駆動機構10全体に作用し、両側の駆動輪8の車輪圧を同じに保つことに有利である。同時に、ガイド軸5は、ガイド軸5に対する上側接続板1と下側接続板3の剪断作用により牽引力を差動駆動機構10から車体フレームに伝達する別の作用をさらに有する。上記の接続形態では、リニア軸受は下側接続板に設置され、ガイド軸5は上側接続板1に設置され、上側接続板1によって間接的に車体フレームに接続される。しかし、当業者であれば、上記のガイド軸5が車体フレームに直接接続されることもできることを理解できる。
【0024】
本開示にかかるいくつかの実施例では、ガイド軸5の下部にストッパー7が設置されている。路面の起伏が大きすぎる場合、走行し続けると、その後の走行中に無人搬送車が転覆するなどの事故が発生しやすい。または、路面の起伏が大きすぎる場合、上側接続板1と下側接続板3との間隔が大きくなりすぎて、下側接続板3が上側接続板1から外れる恐れがある。このような状況の発生を避けるために、ガイド軸5の下部にストッパー7を設置して、ガイド軸5の変位量を制限し、即ち上側接続板1と下側接続板3との相対変位量を制限する。上記の異なる状況に対して、異なる制限方式を選択できる。例えば、無人搬送車の転覆を避けるために、上側接続板1と下側接続板3との最大間隔を安全な間隔内に保つように、ストッパー7をより上部に設置する。また、例えば、下側接続板3が上側接続板1から外れることを避けるために、ストッパー7をガイド軸5の下端の端部に設置することにより、上側接続板1及び下側接続板3に十分なストロークを提供できるだけでなく、下側接続板3が外れることを避けることもできる。勿論、リニア軸受4とストッパー7との衝突によるノイズを避けるために、または衝突によるリニア軸受4またはストッパー7の破損を避けるために、リニア軸受4とストッパー7との間に緩衝パッド6を設置することができる。緩衝パッド6は、例えば樹脂やゴムのような弾性材料を用いることができる。
【0025】
本開示にかかるいくつかの実施例では、下側接続板3に旋回ベアリングアセンブリが設置されており、差動駆動アセンブリが旋回ベアリングアセンブリにヒンジ接続される。差動駆動機構10に方向を変える能力を持たせるために、差動駆動機構10と弾性サスペンションアセンブリとを回転可能に接続する必要がある。そのため、下側接続板3に旋回ベアリングアセンブリを設置することで実現することができる。旋回ベアリングアセンブリは旋回ベアリング14と旋回ベアリング取付板13を含み、旋回ベアリング14が旋回ベアリング取付板13と下側接続板3とに接続され、差動駆動アセンブリも旋回ベアリング取付板13に接続される。旋回ベアリング14は、例えば平面軸受または玉軸受であってもよい。旋回ベアリング14が平面軸受である場合、下側接続板3と旋回ベアリング取付板13とがそれぞれ平面軸受の二つの面に接続される。旋回ベアリング14が玉軸受である場合、下側接続板3と旋回ベアリング取付板13とがそれぞれ玉軸受の内輪と外輪に接続される。
【0026】
本開示にかかる別のいくつかの実施例では、差動駆動アセンブリに旋回ベアリングアセンブリが設置されており、旋回ベアリングアセンブリが下側接続板3にヒンジ接続される。本開示の本実施例は、前の実施例と類似しているが、ヒンジ接続の位置と回転接続の位置とを上下方向で入れ替える点が異なる。
【0027】
本開示にかかるいくつかの実施例では、差動駆動アセンブリは角度検出器17を更に含む。角度検出器17は固定部と回転部とを含み、固定部と回転部のうちの一方は、差動駆動アセンブリに固定接続され、固定部と回転部のうちの他方は接続軸15によって下側接続板3に接続される。差動駆動アセンブリの運行状況を監視するために、差動駆動アセンブリの回転角度をリアルタイムに検出する必要があり、無人搬送車が既定の走行ルートから外れることを避ける。従って、本実施形態では、角度検出器17が設置されており、角度検出器17は、一般的に固定部と回転部を含み、固定部と回転部をそれぞれ相対的に回転運動する二つの部材に接続すると、二つの部材の回転によって固定部と回転部とを相対的回転させ、角度検出器17によって回転角度を電気信号に変換して出力する。本実施形態では、固定部と回転部のうちの一方を差動駆動アセンブリに接続し、他方を接続軸15を介して下側接続板3に接続することにより、差動駆動アセンブリと下側接続板3との相対的な回転角度を取得することができる。本開示にかかる別のいくつかの実施例では、差動駆動アセンブリに角度検出器ホルダー16が設置されることで、角度検出器17の固定部、回転部を取り付けることができる。
【0028】
本開示にかかるいくつかの実施例では、差動駆動アセンブリは、下側接続板にヒンジ接続される取付板と、取付板の対向する両側にそれぞれ設置される二つの伝動機構と、二つの伝動機構の入力軸に接続される駆動機構と、二つの伝動機構の出力軸にそれぞれ接続される二つの駆動輪とを含む。いくつかの実施例では、取付板が差動駆動アセンブリ全体のフレームとされ、二つの伝動機構がその左右両側にそれぞれ設置されて固定接続され、駆動機構のハウジングと伝動機構のハウジングとが固定接続され、駆動機構の出力軸が二つの伝動機構の入力軸に接続され、二つの駆動輪が二つの伝動機構の出力軸にそれぞれ接続される。いくつかの実施例では、例えば、駆動機構の数は二つであってもよく、二つの駆動機構の出力軸が二つの伝動機構の入力軸にそれぞれ接続されることにより、二つの駆動機構が二つの駆動輪を異なる回転数で駆動して差動走行することができる。別のいくつかの実施例では、例えば、駆動機構の数は一つであってもよく、二つの伝動機構の入力軸がいずれも駆動機構の出力軸に接続され、二つの伝動機構の減速比を調整することで二つの駆動輪の差動走行を実現できる。更に、いくつかの実施例では、駆動機構は例えば駆動モーターであってもよく、伝動機構は例えば減速機であってもよい。
【0029】
本開示にかかるいくつかの実施例では、下側接続板に、下方に突出するヒンジベースが設置されており、取付板にヒンジベースを通すための貫通孔が設置されており、取付板の下面にヒンジラグが設置されており、ヒンジベースが貫通孔を通過してヒンジラグとヒンジ接続される。本実施例では、取付板に貫通孔を設置し、ヒンジベースが貫通孔を通過して取付板の下面のヒンジラグに接続されることで、ヒンジ接続の接続点を下方に移動させ、差動駆動装置全体の高さを下げることができ、これにより、無人搬送車全体の高さを下げることに有利であり、さらに無人搬送車の体積を減らすことに有利である。
【0030】
本開示の実施例の第2の態様は無人搬送車を更に提供し、該無人搬送車は、
前記のいずれか一例に記載の差動駆動装置と、
弾性接続部材に接続される被積載モジュールである車体フレームと、
を含む。
【0031】
本開示の実施例にかかる無人搬送車は、車両の一部として第1の態様に記載の差動駆動装置を用いる。その中、無人搬送車と下側接続板3とは、弾性接続部材によって接続され、差動駆動機構10の全体に対して緩衝及び車輪圧調整を行い、無人搬送車の走行の安定性を向上させることに有利である。無人搬送車が凸凹の路面を走行する場合、例えば、無人搬送車の一方側の車輪が凹んだ路面にあり、他方側の車輪が平坦な路面にある時に、無人搬送車と下側接続板との間に弾性サスペンションアセンブリを有することによって、弾性接続部材に与えられる反力により下側接続板3は、差動駆動機構10の両側に同時に圧力を加え、搬送車の両側の駆動輪8が同時に路面に接触することができる。そして、下側接続板3と差動駆動機構10はヒンジ接続であるため、ヒンジベース12の作用により、無人搬送車の両側の駆動輪8が地面に対する接触圧力を自動的に調整し、最終的に両側の駆動輪8が同じ輪圧に保つことができ、無人搬送車がルートから外れることを避けることに有利である。
【0032】
以上は、本開示の具体的な実施形態だけであり、本開示の保護範囲はこれに限定されるものではない。本開示に開示された技術的範囲内で、当業者が容易に想到できる変更または置換は、本開示の保護範囲に含まれるものとする。したがって、本開示の保護範囲は、特許請求の範囲によって決定されるべきである。
【符号の説明】
【0033】
1:上側接続板、2:ばね、3:下側接続板、4:リニア軸受、5:ガイド軸、6:緩衝パッド、7:ストッパー、8:駆動輪、10:差動駆動機構、12:ヒンジベース、13:旋回ベアリング取付板、14:旋回ベアリング、15:接続軸、16:角度検出器ホルダー、17:角度検出器。

図1
図2
図3
【国際調査報告】