(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-29
(54)【発明の名称】3D印刷品の自動洗浄装置
(51)【国際特許分類】
B08B 3/02 20060101AFI20240122BHJP
B08B 5/02 20060101ALI20240122BHJP
【FI】
B08B3/02 C
B08B5/02 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021541263
(86)(22)【出願日】2021-02-01
(85)【翻訳文提出日】2021-07-16
(86)【国際出願番号】 CN2021074598
(87)【国際公開番号】W WO2021104543
(87)【国際公開日】2021-06-03
(31)【優先権主張番号】202120217118.5
(32)【優先日】2021-01-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520451474
【氏名又は名称】昆山英福斯三維科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】KUNSHAN INVERSE 3D TECHNOLOGY CO., LTD
【住所又は居所原語表記】3rd Floor, No.2 Factory Building, No.399, Pengxi South Road, Kunshan Suzhou, Jiangsu 215000 China
(74)【代理人】
【識別番号】100205936
【氏名又は名称】崔 海龍
(74)【代理人】
【識別番号】100132805
【氏名又は名称】河合 貴之
(72)【発明者】
【氏名】顧 亮
【テーマコード(参考)】
3B116
3B201
【Fターム(参考)】
3B116AA46
3B116AB14
3B116BB22
3B116BB82
3B116CC03
3B116CD22
3B201AA46
3B201AB14
3B201BB22
3B201BB95
3B201BB98
3B201CB11
3B201CC12
3B201CD22
(57)【要約】
本発明に係る3D印刷品の自動洗浄装置においては、洗浄部と、観察部と、乾燥部とがこの順に設けられ、乾燥部は支持フレームおよび支持フレームに設けられた第三搬送機構を含み、第三搬送機構の上方には複数の乾燥オーブンが配列設置され、乾燥オーブンは保温筐体を有し、保温筐体の内部には内部カバーが設けられ、保温筐体の頂部には風循環ファンが設けられている。本発明に係る洗浄装置によれば、印刷品を自動搬送し、搬送過程においてアルコールを噴射することにより印刷品を洗浄し、下方にフィルター機構を設けて洗浄過程におけるアルコールの揮発による無駄を有効に減少でき、また、高効率の乾燥部を設けることにより循環風で印刷品の表面におけるアルコールを迅速に吹き乾かすことができるため、高い効率を実現できる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗浄部と、観察部と、乾燥部とがこの順に設けられ、
前記洗浄部は、洗浄室と、前記洗浄室を通り抜ける第一搬送機構と、前記第一搬送機構の下方に設けられた複数のフィルター機構と、を有し、前記フィルター機構には一端が前記第一搬送機構の上方に伸びる吸い込み管が連通され、
前記観察部は、第二搬送機構および第二搬送機構の外側に位置する観察窓を含み、
前記乾燥部は、支持フレームおよび前記支持フレームに設けられた第三搬送機構を含み、前記第三搬送機構の上方には複数の乾燥オーブンが配列設置され、前記乾燥オーブンは保温筐体を有し、前記保温筐体の内部には内部カバーが設けられ、前記保温筐体の頂部には風循環ファンが設けられた、
3D印刷品の自動洗浄装置。
【請求項2】
前記第一搬送機構および前記第二搬送機構は、いずれも支持枠を含み、前記支持枠には複数の搬送用ローラーが設けられ、前記搬送用ローラーの端部には同期ギアが設けられ、前記同期ギアには同期チェーンが噛み合っており、複数の前記同期ギアのうちの一つには中心部に駆動用モーターが接続されている、
請求項1に記載の3D印刷品の自動洗浄装置。
【請求項3】
前記フィルター機構は、内部に溶液タンクおよびフィルタータンクが設けられたケーシングを含み、前記フィルタータンク内にはフィルターエレメントが設けられ、前記溶液タンクの両端には接続口が設けられ、前記接続口の間にはパイプファンが設けられ、前記パイプファンは洗浄室内の揮発されたアルコールをフィルターエレメントへ送り出し、前記吸い込み管は前記溶液タンクに連通されている、
請求項1に記載の3D印刷品の自動洗浄装置。
【請求項4】
前記洗浄室の側壁にはスライドレールが設けられ、前記吸い込み管にはクランプブロックが接続され、前記クランプブロックは前記スライドレールに埋め込まれている、
請求項1に記載の3D印刷品の自動洗浄装置。
【請求項5】
前記内部カバーは、内壁に複数の通気孔が配列設置されたC型中空筐体を有し、前記C型中空筐体内には発熱抵抗体が設けられている、
請求項1に記載の3D印刷品の自動洗浄装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、3D印刷の後処理工程技術分野に関し、特に3D印刷品の自動洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
3D印刷は迅速な造形技術の一つとして、付加製造とも称され、デジタルモデルデータをもとにして、粉末状金属またはプラスチックなど接着可能な材料を用いて、層ごとに印刷する方法により物体を製作する技術である。原料のほとんどが樹脂材料であるため、印刷品を原料タンクから取り出す際、物体の表面には樹脂溶液が付着されていることが多く、アルコールで洗浄することが必要である。アルコールは、樹脂を溶解でき、揮発しやすいため、印刷品表面の清潔度を維持しやすい。しかしながら、既存の作業工程においては、手動方式によりアルコール洗浄を行うことが一般的であり、個々の物体に対して3回ほど洗浄してからエアーブローで乾燥させるため、手動洗浄工程で強烈な匂いが生じ、手袋が浪費され、アルコールなど消耗品が大量に必要で、人件費も高いだけでなく、安全面においてもリスクが存在する。
【発明の概要】
【0003】
本発明は、上述の既存技術における問題点に鑑みてなされたものであって、3D印刷品の自動洗浄装置を提供することを目的とする。
【0004】
本発明に係る3D印刷品の自動洗浄装置においては、洗浄部と、観察部と、乾燥部とがこの順に設けられ、
前記洗浄部は、洗浄室と、前記洗浄室を通り抜ける第一搬送機構と、前記第一搬送機構の下方に設けられた複数のフィルター機構と、を有し、前記フィルター機構には一端が前記第一搬送機構の上方に伸びる吸い込み管が連通され、
前記観察部は、第二搬送機構および第二搬送機構の外側に位置する観察窓を含み、
前記乾燥部は、支持フレームおよび前記支持フレームに設けられた第三搬送機構を含み、前記第三搬送機構の上方には複数の乾燥オーブンが配列設置され、前記乾燥オーブンは保温筐体を有し、前記保温筐体の内部には内部カバーが設けられ、前記保温筐体の頂部には風循環ファンが設けられている。
【0005】
好ましくは、前記第一搬送機構および前記第二搬送機構は、いずれも支持枠を含み、前記支持枠には複数の搬送用ローラーが設けられ、前記搬送用ローラーの端部には同期ギアが設けられ、前記同期ギアには同期チェーンが噛み合っており、複数の前記同期ギアのうちの一つには中心部に駆動用モーターが接続されている。
【0006】
好ましくは、前記フィルター機構は、内部に溶液タンクおよびフィルタータンクが設けられたケーシングを含み、前記フィルタータンク内にはフィルターエレメントが設けられ、前記溶液タンクの両端には接続口が設けられ、前記接続口の間にはパイプファンが設けられ、前記パイプファンは洗浄室内の揮発されたアルコールをフィルターエレメントへ送り出し、前記吸い込み管は前記溶液タンクに連通されている。
【0007】
好ましくは、前記洗浄室の側壁にはスライドレールが設けられ、前記吸い込み管にはクランプブロックが接続され、前記クランプブロックは前記スライドレールに埋め込まれている。
【0008】
好ましくは、前記内部カバーは、内壁に複数の通気孔が配列設置されたC型中空筐体を有し、前記C型中空筐体と前記内部カバーとの間には発熱抵抗体が設けられている。
【0009】
本発明に係る3D印刷品の自動洗浄装置によれば、印刷品を自動搬送し、搬送過程においてアルコールを噴射することにより印刷品を洗浄し、下方にフィルター機構を設けて洗浄過程におけるアルコールの揮発による無駄を有効に減少でき、また、高効率の乾燥部を設けることにより循環風で印刷品の表面におけるアルコールを迅速に吹き乾かすことができるため、高い効率を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本発明に係る実施例における課題を解決するための手段をさらに明確に説明するため、以下では、実施例において使用される図面について簡単に説明する。
【
図2】本発明に係る洗浄部内部の立体構造を示す図である。
【
図5】本発明に係るフィルター機構を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら本発明に係る実施例における課題を解決するための技術手段について明確かつ詳細に説明する。
図1に示すように、本発明に係る3D印刷品の自動洗浄装置においては、洗浄部1と、観察部2と、乾燥部3とがこの順に設けられている。洗浄部1は、洗浄室4と、洗浄室4を通り抜ける第一搬送機構5と、第一搬送機構5の下方に設けられた複数のフィルター機構6と、を有する。フィルター機構6には一端が第一搬送機構5の上方側に伸びる吸い込み管7が連通されている。
図2に示すように、洗浄室4の側壁には、洗浄室4内部の状況を便利に観察可能な観察口が設けられている。
【0012】
ここで、
図5に示すように、フィルター機構6は、内部に溶液タンク16およびフィルタータンク17が設けられたケーシング15を含み、フィルタータンク17内にはフィルターエレメント18が設けられ、溶液タンク16の両端には接続口19が設けられている。両端の接続口19の間にはパイプファン20が設けられ、パイプファン20は洗浄室4内の揮発されたアルコールをフィルターエレメント19へ送り出す。吸い込み管7は溶液タンク16に連通され、さらに水ポンプが接続されているため、溶液タンク16内に充填されたアルコールを吸い込んで一端の上部から吹き出すことができる。また、パイプファン20が溶液タンク16内に設けられているため、パイプファン20の金属口端は、アルコールが浸入されないように、密封設置されている。なお、パイプファン20の他端は溶液タンク16の端部に接続されて外部と連通しているため、外部空間に揮発されたアルコールがフィルターエレメント18内に吸い込まれるように働き、溶液タンク16内から揮発されたアルコールの無駄を低減できる。アルコールを吸着するフィルターエレメント18は、活性炭を用いてよい。第一搬送機構5により印刷品が搬送される際、印刷品は、その一側に設けられた吸い込み管7を通る。印刷品が少なくとも3回噴射され、表面の清浄度が保証されるように、吸い込み管7は少なくも3本設けられている。さらに、洗浄室4の側壁にはスライドレール21が設けられ、吸い込み管7にはクランプブロック22が接続され、クランプブロック22がスライドレールに埋め込まれているため、吸い込み管7はスライドレール21上をスライドでき、異なる噴射位置を調整することにより、柔軟性が向上される。洗浄が終われば、印刷品は観察部2へ搬送される。
【0013】
図3に示すように、観察部2は、第二搬送機構9および第二搬送機構9の外側に位置する観察窓8を含む。観察窓8の材質は、ガラスであってよい。また、外部から印刷品の表面が綺麗か否かを観察するため、観察窓8の外側にCCDカメラを設けてもよい。CCDカメラにより印刷物の画像をとり、その表面洗浄度を自動識別させればよい。第一搬送機構5および第二搬送機構9は同じ構造を有し、いずれも支持枠を含み、支持枠には複数の搬送用ローラーが設けられ、搬送用ローラーの端部には同期ギアが設けられ、同期ギアには同期チェーンが噛み合っている。なお、複数の同期ギアのうちの一つには中心部に駆動用モーターが接続されている。駆動用モーターにより端部の同期ギアを駆動すれば、同期チェーンを介して全ての搬送用ローラーが回転され、搬送用ローラー上に置かれた印刷品も搬送される。搬送用ローラーの形式を採用しているため、搬送される印刷品を噴射した後に余ったアルコールは、下方の溶液タンク内に落ちることができ、アルコールの回収率が高くなる。
【0014】
観察部2を通った後の印刷品は、乾燥部3において乾燥され、印刷品表面のアルコールが吹き乾かされ揮発する。具体的には、
図4、5に示すように、乾燥部3は、支持フレーム10および支持フレーム10に設けられた第三搬送機構11を含み、第三搬送機構11は既存技術であるコンベアチェーン方式を採用でき、具体的な構造については説明を省略する。第三搬送機構11の上方には、複数の乾燥オーブン12が配列設置されている。乾燥オーブン12は保温筐体を有し、保温筐体の内部には内部カバー13が設けられ、保温筐体の頂部には風循環ファン14が設けられ、第三搬送機構11は内部カバー13を通り抜ける。保温筐体の役割は筐体内部の温度を保証することであり、上部の風循環ファン14と合わせて、アルコールの揮発を向上できる。内部カバー13は、C型中空筐体23を含み、C型中空筐体23の内壁には複数の通気孔24が配列設置され、C型中空筐体内には発熱抵抗体25が設けられている。発熱抵抗体25は、内部カバー13内部を一定の温度に保持でき、アルコールの揮発を保証する。なお、風循環ファン14は保温筐体内の空気を循環させ、熱量の分布を均一させる。また、通気孔24も、熱量の均一性を保証できる。さらに、揮発されたアルコールはC型中空筐体23内に入り込み、装置外部におけるアルコールの揮発を低減でき、周りの環境の臭いを軽減できる。
【0015】
最後に、乾燥された印刷品は乾燥部3の端部に設けられた出口における斜面から送り出される。全ラインにおいて人の関与を減少し、洗浄過程において少なくとも3回洗浄されるため、印刷品表面の余計な樹脂をきれいに溶解でき、効率が高い。また、アルコールの消費も通常の手作業により大幅に減少される。
【符号の説明】
【0016】
1 洗浄部、
2 観察部、
3 乾燥部、
4 洗浄室、
5 第一搬送機構、
6 フィルター機構、
7 吸い込み管、
8 観察窓、
9 第二搬送機構、
10 支持フレーム、
11 第三搬送機構、
12 乾燥オーブン、
13 内部カバー、
14 風循環ファン、
15 ケーシング、
16 溶液タンク、
17 フィルタータンク、
18 フィルターエレメント、
19 接続口、
20 パイプファン、
21 スライドレール、
22 クランプブロック、
23 C型中空筐体、
24 通気孔、
25 発熱抵抗体。
【国際調査報告】