(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-29
(54)【発明の名称】有機発光ダイオード表示パネル及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
H10K 50/824 20230101AFI20240122BHJP
H10K 59/126 20230101ALI20240122BHJP
H10K 50/844 20230101ALI20240122BHJP
H10K 59/124 20230101ALI20240122BHJP
H10K 59/123 20230101ALI20240122BHJP
H10K 71/16 20230101ALI20240122BHJP
H10K 59/131 20230101ALI20240122BHJP
【FI】
H10K50/824
H10K59/126
H10K50/844
H10K59/124
H10K59/123
H10K71/16
H10K59/131
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022502018
(86)(22)【出願日】2021-12-23
(85)【翻訳文提出日】2022-03-11
(86)【国際出願番号】 CN2021140729
(87)【国際公開番号】W WO2023108780
(87)【国際公開日】2023-06-22
(31)【優先権主張番号】202111552745.5
(32)【優先日】2021-12-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519182202
【氏名又は名称】深▲セン▼市▲華▼星光▲電▼半▲導▼体▲顕▼示技▲術▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】胡 靖源
(72)【発明者】
【氏名】林 高波
【テーマコード(参考)】
3K107
【Fターム(参考)】
3K107AA01
3K107BB01
3K107CC45
3K107DD11
3K107DD21
3K107DD26
3K107DD37
3K107DD38
3K107DD44Z
3K107DD46X
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3K107DD50
3K107DD90
3K107EE03
3K107EE46
3K107FF15
3K107GG04
3K107GG28
(57)【要約】
有機発光ダイオード表示パネル及びその製造方法であって、前記有機発光ダイオード表示パネルは、基板、薄膜トランジスタ素子、補助電極、パッシベーション層、平坦化層、及び発光素子層を含む。前記発光素子層が陽極層、発光機能層及び陰極層を含む。前記補助電極の上方に前記平坦化層と前記パッシベーション層とを貫通する第1ビアホールが定義されており、前記第1ビアホールの内側壁の底部には、前記補助電極と前記平坦化層との間に位置する切欠きが形成されており、前記陰極層が前記第1ビアホールを介して前記切欠き内に延在して前記補助電極に接する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板上に設けられ、活性層、ゲート層、ソース及びドレインを含む薄膜トランジスタ素子と、
前記ソース及び前記ドレインと同層に設けられる補助電極と、
前記ソース、前記ドレイン及び前記補助電極上に設けられるパッシベーション層と、
前記パッシベーション層上に設けられる平坦化層と、
前記平坦化層上に設けられ、陽極層、発光機能層及び陰極層を含む発光素子層と、を含み、
前記補助電極の上方に前記平坦化層と前記パッシベーション層とを貫通する第1ビアホールが定義されており、前記第1ビアホールの内側壁の底部には、前記補助電極と前記平坦化層との間に位置する切欠きが形成されており、
前記陰極層が前記第1ビアホールを介して前記切欠き内に延在して前記補助電極に接する有機発光ダイオード表示パネル。
【請求項2】
前記基板と前記薄膜トランジスタ素子との間に設けられるバッファ層と、
前記バッファ層上に設けられる層間誘電体層と、
前記層間誘電体層上に設けられる信号入力パッドと、をさらに含み、
前記信号入力パッドを露出させるように、前記パッシベーション層は前記信号入力パッドの上方に開口が定義される請求項1に記載の有機発光ダイオード表示パネル。
【請求項3】
前記ゲート層と前記活性層との間に設けられるゲート絶縁層と、
前記活性層に対応して前記基板上に設けられる遮光金属層と、をさらに含む請求項2に記載の有機発光ダイオード表示パネル。
【請求項4】
前記陽極層が前記平坦化層及び前記パッシベーション層を貫通する第2ビアホールを介して前記ソースに接し、前記ソースが前記層間誘電体層を貫通する第3ビアホールを介して前記活性層に接し、前記ソースが前記層間誘電体層及び前記バッファ層を貫通する第4ビアホールを介して前記遮光金属層に接する請求項3に記載の有機発光ダイオード表示パネル。
【請求項5】
前記遮光金属層と隣接して設けられて前記遮光金属層と導通する第1電極と、
前記活性層と隣接して設けられて前記第1電極と対応して蓄積容量を形成する第2電極と、をさらに含む請求項4に記載の有機発光ダイオード表示パネル。
【請求項6】
前記第1電極及び前記第2電極が酸化インジウムガリウム亜鉛からなる請求項5に記載の有機発光ダイオード表示パネル。
【請求項7】
前記平坦化層の厚さが1マイクロメートル~4マイクロメートルである請求項1に記載の有機発光ダイオード表示パネル。
【請求項8】
前記補助電極及び前記信号入力パッドがモリブデンチタン/銅/モリブデンチタン合金からなる請求項1に記載の有機発光ダイオード表示パネル。
【請求項9】
基板と、
前記基板上に設けられ、活性層、ゲート層、ソース及びドレインを含む薄膜トランジスタ素子と、
前記ソース及び前記ドレインと同層に設けられる補助電極と、
前記ソース、前記ドレイン及び前記補助電極上に設けられるパッシベーション層と、
前記パッシベーション層上に設けられ、厚さが1マイクロメートル~4マイクロメートルである平坦化層と、
前記平坦化層上に設けられ、陽極層、発光機能層及び陰極層を含む発光素子層と、を含み、
前記補助電極の上方に前記平坦化層と前記パッシベーション層とを貫通する第1ビアホールが定義されており、前記第1ビアホールの内側壁の底部には、前記補助電極と前記平坦化層との間に位置する切欠きが形成されており、
前記陰極層が前記第1ビアホールを介して前記切欠き内に延在して前記補助電極に接し、
前記発光機能層が前記補助電極の前記第1ビアホールに対応する部分の面積を覆い、前記陰極層が前記補助電極の前記切欠き内に位置する他の部分の面積を覆う有機発光ダイオード表示パネル。
【請求項10】
前記基板と前記薄膜トランジスタ素子との間に設けられるバッファ層と、
前記バッファ層上に設けられる層間誘電体層と、をさらに含む請求項9に記載の有機発光ダイオード表示パネル。
【請求項11】
前記層間誘電体層上に設けられる信号入力パッドと、をさらに含み、
前記信号入力パッドを露出させるように、前記パッシベーション層は前記信号入力パッドの上方に開口が定義される請求項10に記載の有機発光ダイオード表示パネル。
【請求項12】
前記ゲート層と前記活性層との間に設けられるゲート絶縁層と、
前記活性層に対応して前記基板上に設けられる遮光金属層と、をさらに含む請求項11に記載の有機発光ダイオード表示パネル。
【請求項13】
前記陽極層が前記平坦化層及び前記パッシベーション層を貫通する第2ビアホールを介して前記ソースに接し、前記ソースが前記層間誘電体層を貫通する第3ビアホールを介して前記活性層に接し、前記ソースが前記層間誘電体層及び前記バッファ層を貫通する第4ビアホールを介して前記遮光金属層に接する請求項12に記載の有機発光ダイオード表示パネル。
【請求項14】
前記遮光金属層と隣接して設けられて前記遮光金属層と導通する第1電極と、
前記活性層と隣接して設けられて前記第1電極と対応して蓄積容量を形成する第2電極と、をさらに含む請求項13に記載の有機発光ダイオード表示パネル。
【請求項15】
前記第1電極及び前記第2電極が酸化インジウムガリウム亜鉛からなる請求項14に記載の有機発光ダイオード表示パネル。
【請求項16】
前記補助電極及び前記信号入力パッドがモリブデンチタン/銅/モリブデンチタン合金からなる請求項9に記載の有機発光ダイオード表示パネル。
【請求項17】
基板を提供するステップと、
前記基板上に薄膜トランジスタ素子及び補助電極を製造するステップと、
前記薄膜トランジスタ素子及び前記補助電極上にパッシベーション層及び平坦化層を順次製造するステップと、
前記補助電極の上方に前記平坦化層を貫通する第1ビアホールを定義し、前記薄膜トランジスタ素子のソースの上方に前記平坦化層及び前記パッシベーション層を貫通する第2ビアホールを定義するステップと、
前記平坦化層上に陽極層を製造し、前記陽極層が前記第2ビアホールを介して前記ソースに接するステップと、
前記補助電極と前記平坦化層との間に切欠きを形成するように、前記第1ビアホールにおける前記パッシベーション層をウェットエッチングするステップと、
発光領域及び切欠き形成領域を定義するように、前記平坦化層上に画素定義層を製造するステップと、
前記基板上に発光機能層を製造するとともに、前記発光機能層に前記第1ビアホールにおいて前記補助電極の前記第1ビアホールに対応する部分の面積のみを覆わせるステップと、
前記発光機能層上に陰極層を製造するとともに、前記陰極層を前記補助電極の前記切欠きに位置する他の部分の面積を覆うように延在させるステップと、を含む有機発光ダイオード表示パネルの製造方法。
【請求項18】
前記発光機能層上に前記陰極層を製造するとともに、前記陰極層を前記補助電極の前記切欠きに位置する部分の面積を覆うように延在させる前記ステップは、蒸着源の蒸着角度を変更することにより実施する請求項17に記載の有機発光ダイオード表示パネルの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示の技術分野に関し、特に有機発光ダイオード表示パネル及び前記有機発光ダイオード表示パネルの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
有機発光ダイオード(Organic light-emitting diode、OLED)表示パネル構造は、透明な陽極層、発光層、及び金属陰極層を含む。トップエミッション型素子の透過率を向上させるために、通常、金属陰極層を薄くすることにより、金属陰極層の配線抵抗が大きくなり、深刻な電流降下(IR-drop)の問題が発生し、OLED表示パネルの輝度ムラの現象が顕著になり、OLED表示パネルの表示効果に深刻な影響を与える。OLED表示パネルの表示の輝度ムラの問題を改善するために、薄い金属陰極層に接続される補助電極を設けることが一般的である。この補助電極を設けることにより、このIR-dropの問題を改善することができ、OLED表示パネルの輝度均一性をある程度改善することができる。このように、薄い金属陰極層に補助電極を接続する方式では、陰極層と補助電極との間にスペーサを設けるのが一般的である。しかしながら、スペーサの体積占有率が大きいため、OLED表示パネルの厚さ、開口率、及び封止に影響を与える。また、スペーサの材料の選択性が低く、通常、追加の製造工程が必要となり、OLED表示パネルの製造工程が複雑になり、製造効率が低下する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来のOLED表示パネルは、IR-dropの問題を改善するために、補助電極及びスペーサを設けなければならない。しかしながら、スペーサの体積占有率が大きいため、OLED表示パネルの厚さ、開口率、及び封止に影響を与える。上述した技術的課題を改善する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上述した技術的課題を解決するために、本発明は、有機発光ダイオード表示パネル及びその製造方法を提供する。本発明は、補助電極の上方の平坦化層とパッシベーション層との間に切欠きを形成し、即ち、前記平坦化層を切欠きの支持構造としてそのまま利用することにより、陰極層が補助電極と切欠きにおいて接合することができ、前記有機発光ダイオード表示パネルのIR Dropの問題を改善し、前記平坦化層が崩壊しないことを実験により検証した。また、本発明は、補助電極と、前記補助電極と同層の信号入力パッドとを3層のモリブデンチタン/銅/モリブデンチタン合金構造とすることで、前記信号入力パッドの上方に支持層を設けることなく直接制御ユニットに接続可能な信号入力パッドとすることができ、一つのマスクを省くことができる。
【0005】
本発明は、基板と、前記基板上に設けられ、活性層、ゲート層、ソース及びドレインを含む薄膜トランジスタ素子と、前記ソース及び前記ドレインと同層に設けられる補助電極と、前記ソース、前記ドレイン及び前記補助電極上に設けられるパッシベーション層と、前記パッシベーション層上に設けられる平坦化層と、前記平坦化層上に設けられ、陽極層、発光機能層及び陰極層を含む発光素子層と、を含み、前記補助電極の上方に前記平坦化層と前記パッシベーション層とを貫通する第1ビアホールが定義されており、前記第1ビアホールの内側壁の底部には、前記補助電極と前記平坦化層との間に位置する切欠きが形成されており、前記陰極層が前記第1ビアホールを介して前記切欠き内に延在して前記補助電極に接する有機発光ダイオード表示パネルを提供する。
【0006】
本発明の一実施例に係る有機発光ダイオード表示パネルは、前記基板と前記薄膜トランジスタ素子との間に設けられるバッファ層と、前記バッファ層上に設けられる層間誘電体層と、前記層間誘電体層上に設けられる信号入力パッドと、をさらに含み、前記信号入力パッドを露出させるように、前記パッシベーション層は前記信号入力パッドの上方に開口が定義される。
【0007】
本発明の一実施例に係る有機発光ダイオード表示パネルは、前記ゲート層と前記活性層との間に設けられるゲート絶縁層と、前記活性層に対応して前記基板上に設けられる遮光金属層と、をさらに含む。
【0008】
本発明の一実施例に係る有機発光ダイオード表示パネルは、前記陽極層が前記平坦化層及び前記パッシベーション層を貫通する第2ビアホールを介して前記ソースに接し、前記ソースが前記層間誘電体層を貫通する第3ビアホールを介して前記活性層に接し、前記ソースが前記層間誘電体層及び前記バッファ層を貫通する第4ビアホールを介して前記遮光金属層に接する。
【0009】
本発明の一実施例に係る有機発光ダイオード表示パネルは、前記遮光金属層と隣接して設けられて前記遮光金属層と導通する第1電極と、前記活性層と隣接して設けられて前記第1電極と対応して蓄積容量を形成する第2電極と、をさらに含む。
【0010】
本発明の一実施例に係る有機発光ダイオード表示パネルは、前記第1電極及び前記第2電極が酸化インジウムガリウム亜鉛からなる。
【0011】
本発明の一実施例に係る有機発光ダイオード表示パネルは、前記平坦化層の厚さが1マイクロメートル~4マイクロメートルである。
【0012】
本発明の一実施例に係る有機発光ダイオード表示パネルは、前記補助電極及び前記信号入力パッドがモリブデンチタン/銅/モリブデンチタン合金からなる。
【0013】
本発明は、基板と、前記基板上に設けられ、活性層、ゲート層、ソース及びドレインを含む薄膜トランジスタ素子と、前記ソース及び前記ドレインと同層に設けられる補助電極と、前記ソース、前記ドレイン及び前記補助電極上に設けられるパッシベーション層と、前記パッシベーション層上に設けられ、厚さが1マイクロメートル~4マイクロメートルである平坦化層と、前記平坦化層上に設けられ、陽極層、発光機能層及び陰極層を含む発光素子層と、を含み、前記補助電極の上方に前記平坦化層と前記パッシベーション層とを貫通する第1ビアホールが定義されており、前記第1ビアホールの内側壁の底部には、前記補助電極と前記平坦化層との間に位置する切欠きが形成されており、前記陰極層が前記第1ビアホールを介して前記切欠き内に延びて前記補助電極に接し、前記発光機能層が前記補助電極の前記第1ビアホールに対応する部分の面積を覆い、前記陰極層が前記補助電極の前記切欠き内に位置する他の部分の面積を覆う他の有機発光ダイオード表示パネルをさらに提供する。
【0014】
本発明の一実施例に係る有機発光ダイオード表示パネルは、前記基板と前記薄膜トランジスタ素子との間に設けられるバッファ層と、前記バッファ層上に設けられる層間誘電体層と、をさらに含む。
【0015】
本発明の一実施例に係る有機発光ダイオード表示パネルは、前記層間誘電体層上に設けられる信号入力パッドと、をさらに含み、前記信号入力パッドを露出させるように、前記パッシベーション層は前記信号入力パッドの上方に開口が定義される。
【0016】
本発明の一実施例に係る有機発光ダイオード表示パネルは、前記ゲート層と前記活性層との間に設けられるゲート絶縁層と、前記活性層に対応して前記基板上に設けられる遮光金属層と、をさらに含む。
【0017】
本発明の一実施例に係る有機発光ダイオード表示パネルは、前記陽極層が前記平坦化層及び前記パッシベーション層を貫通する第2ビアホールを介して前記ソースに接し、前記ソースが前記層間誘電体層を貫通する第3ビアホールを介して前記活性層に接し、前記ソースが前記層間誘電体層及び前記バッファ層を貫通する第4ビアホールを介して前記遮光金属層に接する。
【0018】
本発明の一実施例に係る有機発光ダイオード表示パネルは、前記遮光金属層と隣接して設けられて前記遮光金属層と導通する第1電極と、前記活性層と隣接して設けられて前記第1電極と対応して蓄積容量を形成する第2電極と、をさらに含む。
【0019】
本発明の一実施例に係る有機発光ダイオード表示パネルは、前記第1電極及び前記第2電極が酸化インジウムガリウム亜鉛からなる。
【0020】
本発明の一実施例に係る有機発光ダイオード表示パネルは、前記補助電極及び前記信号入力パッドがモリブデンチタン/銅/モリブデンチタン合金からなる。
【0021】
本発明は、基板を提供するステップと、前記基板上に薄膜トランジスタ素子及び補助電極を製造するステップと、前記薄膜トランジスタ素子及び前記補助電極上にパッシベーション層及び平坦化層を順次製造するステップと、前記補助電極の上方に前記平坦化層を貫通する第1ビアホールを定義し、前記薄膜トランジスタ素子のソースの上方に前記平坦化層及び前記パッシベーション層を貫通する第2ビアホールを定義するステップと、前記平坦化層上に陽極層を製造し、前記陽極層が前記第2ビアホールを介して前記ソースに接するステップと、前記補助電極と前記平坦化層との間に切欠きを形成するように、前記第1ビアホールにおける前記パッシベーション層をウェットエッチングするステップと、発光領域及び切欠き形成領域を定義するように、前記平坦化層上に画素定義層を製造するステップと、前記基板上に発光機能層を製造するとともに、前記発光機能層に前記第1ビアホールにおいて前記補助電極の前記第1ビアホールに対応する部分の面積のみを覆わせるステップと、前記発光機能層上に陰極層を製造するとともに、前記陰極層を前記補助電極の前記切欠きに位置する他の部分の面積を覆うように延在させるステップと、を含む有機発光ダイオード表示パネルの製造方法をさらに提供する。
【0022】
本発明の一実施例に係る有機発光ダイオード表示パネルの製造方法は、前記発光機能層上に陰極層を製造するとともに、前記陰極層を前記補助電極の前記切欠きに位置する部分の面積を覆うように延在させる前記ステップは、蒸着源の蒸着角度を変更することにより実施する。
【発明の効果】
【0023】
本発明は、補助電極の上方の平坦化層とパッシベーション層との間に切欠きを形成し、即ち、前記平坦化層を切欠きの支持構造としてそのまま利用することにより、陰極層が補助電極と切欠きにおいて接することができ、前記有機発光ダイオード表示パネルのIR Dropの問題を改善し、前記平坦化層が崩壊しないことを実験により検証した。また、本発明は、補助電極と、前記補助電極と同層の信号入力パッドとを3層のモリブデンチタン/銅/モリブデンチタン合金構造とすることで、前記信号入力パッドの上方に前記信号入力パッドを保護するパッドを設けることなく直接制御ユニットに接続可能な信号入力パッドとすることができ、一つのマスクを省くことができる。また、本発明は、前記薄膜トランジスタ素子側に蓄積容量を設けて、層間誘電体層を貫通する第3ビアホールを介して活性層にソースを接続し、前記層間誘電体層及びバッファ層を貫通する第4ビアホールを介して遮光金属層にソースを接することにより、第1電極と薄膜トランジスタ素子のソース・ドレインとを導通させて、蓄積容量の作用を高めることができる。したがって、有機発光ダイオード表示パネルの電流安定化をさらに維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】
図1は本発明の第1実施例の有機発光ダイオード表示パネルの断面構造概略図である。
【
図2】
図2は本発明の第2実施例の有機発光ダイオード表示パネルの断面構造概略図である。
【
図3】
図3は本発明の実施例の有機発光ダイオード表示パネルの製造方法のフローを示す図である。
【
図4】
図4は本発明の
図3の有機発光ダイオード表示パネルの製造方法のステップ9のフローを示す図である。
【
図5】
図5は本発明の第1実施例の有機発光ダイオード表示パネルのSEM断面写真である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照しながら本発明の実施例に係る有機発光ダイオード表示パネル及び有機発光ダイオード表示パネルの製造方法を詳しく説明する。説明した実施例はすべての実施例ではなく、本発明の一部の実施例のみであることは明らかである。本発明における実施例に基づき、当業者が創造的な労働を行うことなく得られるすべての他の実施例は、いずれも本発明の保護範囲に属する。
【0026】
以下、本発明を実施するための特定の実施例を例示するために、添付されている図面を参照して各実施例を説明する。[上]、[下]、[前]、[後]、[左]、[右]、[内]、[外]、「側面]などの本発明で言及される方向の用語は、単に図面を参照する方向に過ぎない。したがって、方向の用語は、本発明を説明して理解するために使用され、本発明を限定するためのものではない。図面では、理解を明確にし、説明を容易にするために、一部の層の厚さ、一部の構成要素の数及び寸法を誇張して示している。即ち、図面に示される各構成要素の数、寸法及び厚さは任意に示されるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0027】
図1を参照されたい。
図1は本発明の第1実施例の有機発光ダイオード表示パネルの断面構造概略図である。
図1に示すように、本発明の第1実施例の有機発光ダイオード表示パネル10は、基板100、薄膜トランジスタ素子301、補助電極401、パッシベーション層400、平坦化層500、画素定義層600、発光素子層(701、702、703)を含む。薄膜トランジスタ素子301が基板100上に設けられ、薄膜トランジスタ素子301は、活性層3011、ゲート層3013、ソース3014、及びドレイン3015を含む。補助電極401がソース3014及びドレイン3015と同層に設けられる。パッシベーション層400がソース3014、ドレイン3015及び補助電極401上に設けられる。平坦化層500がパッシベーション層400上に設けられる。画素定義層600が平坦化層500上に設けられる。発光素子層(701、702、703)が平坦化層500及び画素定義層600上に設けられる。発光素子層(701、702、703)が陽極層701、発光機能層702及び陰極層703を含む。補助電極401の上方に平坦化層500及びパッシベーション層400を貫通する第1ビアホールH1が定義され、第1ビアホールH1の内側壁の底部には、補助電極401と平坦化層500との間に位置する切欠きUが形成される。陰極層703が第1ビアホールH1を介して切欠きU内に延在して補助電極401に接する。具体的には、基板100は、ガラス材質の透光性基板である。具体的には、パッシベーション層400の構成材料が窒化シリコン又は酸化シリコンであってもよく、厚さが2000オングストローム~2500オングストロームであってもよい。具体的には、平坦化層500の構成材料は、高分子接着剤であってもよく、平坦化層500の厚さが1マイクロメートル~4マイクロメートルであってもよい。具体的には、活性層3011の構成材料は、酸化インジウムガリウム亜鉛(IGZO)であってもよい。
【0028】
好ましくは、有機発光ダイオード表示パネル10は、バッファ層200、層間誘電体層300、及び信号入力パッド402をさらに含む。層間誘電体層300がバッファ層200上に設けられ、信号入力パッド402が層間誘電体層300上に設けられる。信号入力パッド402を露出させるために、パッシベーション層400が信号入力パッド402の上方には開口403が定義される。具体的には、信号入力パッド402がモジュール接合時に、フレキシブル回路基板(chip on film、COF)などの制御ユニットに接合して、外付けられるCOFにより有機発光ダイオード表示パネル10内に信号を送信する。即ち、信号入力パッド402がCOF及び有機発光ダイオード表示パネル10を接続して有機発光ダイオード表示パネル10に信号を入力する役割を果たす。
【0029】
バッファ層200が基板100と薄膜トランジスタ素子301との間に設けられる。層間誘電体層300がバッファ層200上に設けられる。好ましくは、平坦化層500の厚さが1マイクロメートル~4マイクロメートルである。
【0030】
好ましくは、有機発光ダイオード表示パネル10は、ゲート層3013と活性層3011との間に設けられるゲート絶縁層3012と、活性層3011に対応して基板100上に設けられる遮光金属層201と、をさらに含む。
【0031】
具体的には、バッファ層200は、ゴム、ホワイトゴム、シリコーンゴム又は熱伝導性ゴムなどの緩衝機能を具備する材料から選ばれてもよい。具体的には、比較的平坦な表面を得るために、層間誘電体層300が化学気相成長法(CVD)又はスピンコート法(spin coating)により形成され、その材質が有機材料(例えば、ポリイミド)又は無機材料(例えば、酸化シリコン、リンケイ酸塩ガラス及びホウケイ酸塩ガラス)を含む。好ましくは、信号入力パッド402の構成材料はモリブデンチタン/銅/モリブデンチタン合金であってもよい。本実施例において、信号入力パッドが3層のモリブデンチタン/銅/モリブデンチタン合金構造を用いることで、信号入力パッドの上方に支持層を設けることなく直接制御ユニットに接続可能な信号入力パッドとすることができ、一つのマスクを省き、製造コストを削減することができる。
【0032】
本実施例において、補助電極401の上方の平坦化層500とパッシベーション層400との間に切欠きUを形成し、即ち、平坦化層500を切欠きUの支持構造としてそのまま利用することにより、陰極層703が補助電極401と切欠きUにおいて接合することができ、有機発光ダイオード表示パネルのIR Dropの問題を改善し、平坦化層500が崩壊しないことを実験により検証した。
【0033】
図2を参照されたい。
図2は本発明の第2実施例の有機発光ダイオード表示パネルの断面構造概略図である。
図2に示すように、本発明の第2実施例の有機発光ダイオード表示パネル10’は、基板100、薄膜トランジスタ素子301、補助電極401、パッシベーション層400、平坦化層500、発光素子層(701、702、703)を含む。薄膜トランジスタ素子301が基板100上に設けられ、薄膜トランジスタ素子301は、活性層3011、ゲート層3013、ソース3014、及びドレイン3015を含む。補助電極401がソース3014及びドレイン3015と同層に設けられる。パッシベーション層400がソース3014、ドレイン3015及び補助電極401上に設けられる。平坦化層500がパッシベーション層400上に設けられる。発光素子層(701、702、703)が平坦化層500上に設けられ、発光素子層(701、702、703)が陽極層701、発光機能層702及び陰極層703を含む。補助電極401の上方に平坦化層500及びパッシベーション層400を貫通する第1ビアホールH1が定義され、第1ビアホールH1の内側壁の底部には、補助電極401と平坦化層500との間に位置する切欠きUが形成される。陰極層703は、第1ビアホールH1を介して切欠きU内に延在して補助電極401に接し、発光機能層702が第1ビアホールH1において補助電極401の第1ビアホールH1に対応する部分の面積を覆い、陰極層703が補助電極401の切欠きU内に位置する他の部分の面積を覆う。
【0034】
具体的には、基板100は、ガラス材質の透光性基板である。具体的には、パッシベーション層400の構成材料が窒化シリコン又は酸化シリコンであってもよく、厚さが2000オングストローム~2500オングストロームであってもよい。具体的には、平坦化層500の構成材料は、高分子接着剤であってもよく、平坦化層500の厚さが1マイクロメートル~4マイクロメートルであってもよい。具体的には、活性層3011の構成材料は、酸化インジウムガリウム亜鉛(IGZO)であってもよい。
【0035】
好ましくは、有機発光ダイオード表示パネル10’は、ゲート層3013と活性層3011との間に設けられるゲート絶縁層3012と、活性層3011に対応して基板100上に設けられる遮光金属層201と、をさらに含む。好ましくは、有機発光ダイオード表示パネル10’は、バッファ層200、層間誘電体層300、及び信号入力パッド402をさらに含む。層間誘電体層300がバッファ層200上に設けられ、信号入力パッド402が層間誘電体層300上に設けられる。信号入力パッド402を露出させるために、パッシベーション層400が信号入力パッド402の上方には開口403が定義される。具体的には、信号入力パッド402がモジュール接合時に、フレキシブル回路基板(chip on film、COF)などの制御ユニットに接合して、外付けられるCOFにより有機発光ダイオード表示パネル10’内に信号を送信する。即ち、信号入力パッド402がCOF及び有機発光ダイオード表示パネル10’を接続して有機発光ダイオード表示パネル10’に信号を入力する役割を果たす。バッファ層200が基板100と薄膜トランジスタ素子301との間に設けられる。層間誘電体層300がバッファ層200上に設けられる。好ましくは、平坦化層500の厚さが1マイクロメートル~4マイクロメートルである。
【0036】
本発明の第1実施例に係る有機発光ダイオード表示パネル10に比べて、本発明の第2実施例に係る有機発光ダイオード表示パネル10’は、遮光金属層201と隣接して設けられて遮光金属層201と導通する第1電極202と、活性層3011と隣接して設けられて第1電極202と対応して蓄積容量Cを形成する第2電極302と、をさらに含む。
【0037】
好ましくは、第1電極202及び第2電極302が酸化インジウムガリウム亜鉛からなる。
【0038】
好ましくは、陽極層701が平坦化層500及びパッシベーション層400を貫通する第2ビアホールH2を介してソース3014に接し、ソース3014が層間誘電体層300を貫通する第3ビアホールH3を介して活性層3011に接し、ソース3014が層間誘電体層300及びバッファ層200を貫通する第4ビアホールH4を介して遮光金属層201に接する。
【0039】
本実施例において、補助電極401の上方の平坦化層500とパッシベーション層400との間に切欠きUを形成し、即ち、平坦化層500を切欠きUの支持構造としてそのまま利用することにより、陰極層703が補助電極401と切欠きUにおいて接合することができ、有機発光ダイオード表示パネルのIR Dropの問題を改善する。また、本実施例において、薄膜トランジスタ素子301側に蓄積容量Cを設けて、層間誘電体層を貫通する第3ビアホールを介して活性層にソースを接し、層間誘電体層及びバッファ層を貫通する第4ビアホールを介して遮光金属層にソースを接することにより、第1電極(遮光金属層と同層に設けられて導通する)と薄膜トランジスタ素子301のソース・ドレインとを導通させて、蓄積容量の作用を高めることができる。本実施例において、隣り合う薄膜トランジスタ素子側に蓄積容量を設けて、層間誘電体層を貫通する第3ビアホールを介して活性層にソースを接し、層間誘電体層及びバッファ層を貫通する第4ビアホールを介して遮光金属層にソースを接することにより、第1電極と薄膜トランジスタ素子のソース・ドレインとを導通させて、蓄積容量の作用を高めることができる。有機発光ダイオード表示パネルの電流安定化をさらに維持することができる。
【0040】
図3を参照されたい。
図3は本発明の実施例の有機発光ダイオード表示パネルの製造方法のフローを示す図である。
図3に示すように、本発明の実施例の有機発光ダイオード表示パネルの製造方法のフローは、基板を提供するステップS1と、基板上に薄膜トランジスタ素子及び補助電極を製造するステップS2と、薄膜トランジスタ素子及び補助電極上にパッシベーション層及び平坦化層を順次製造するステップS3と、補助電極の上方に平坦化層を貫通する第1ビアホールを定義し、薄膜トランジスタ素子のソースの上方に平坦化層及びパッシベーション層を貫通する第2ビアホールを定義するステップS4と、平坦化層上に陽極層を製造し、陽極層が第2ビアホールを介してソースに接するステップS5と、補助電極と平坦化層との間に切欠きを形成するように、第1ビアホールにおけるパッシベーション層をウェットエッチングするステップS6と、発光領域LA及び切欠き領域UA(
図1に示すように)を定義するように、平坦化層上に画素定義層を製造するステップS7と、基板上に発光機能層を製造するとともに、発光機能層に第1ビアホールにおいて補助電極の第1ビアホールに対応する部分の面積のみを覆わせるステップS8と、発光機能層上に陰極層を製造するとともに、陰極層を補助電極の切欠きに位置する他の部分の面積を覆うように延在させるステップS9と、を含む。
【0041】
具体的には、ステップS6において、補助電極と平坦化層との間に切欠きを形成するように、第1ビアホールにおけるパッシベーション層をフッ化水素酸(HF)でウェットエッチングする。エッチングの際に、切欠き形成領域を除いて、他の領域にレジストで保護されるため、エッチング液の影響を受けない。
【0042】
具体的には、ステップS7において、発光領域及び切欠き形成領域を定義するように、平坦化層上に画素定義層を製造し、平坦化層の下方の切欠き形成領域の画素定義層のレジストが露光及び現像工程により除去することができる。
【0043】
具体的には、ステップS8において、発光機能層が蒸着方法で形成されるとともに、蒸着源の蒸着角度を制御することにより、発光機能層が第1ビアホールにおいて補助電極の第1ビアホールに対応する部分の面積のみを覆う。
【0044】
図4を参照されたい。
図4は本発明の
図3の有機発光ダイオード表示パネルの製造方法のステップ9のフローを示す図である。
図4に示すように(
図2も参照)、ステップS9において、有機発光ダイオード表示パネル10’の陰極層が蒸着方法で形成されるとともに、蒸着源Sの蒸着角度を制御することにより、陰極層を補助電極401の切欠きU内に位置する部分の面積PAを覆うように延在させる。
【0045】
最後に、
図5を参照されたい。
図5は本発明の第1実施例の有機発光ダイオード表示パネルの走査型電子顕微鏡(scanning electron microscope、SEM)断面写真である。
図5に示すように、本発明の第1実施例及び第2実施例において、補助電極401の上方の平坦化層500とパッシベーション層400との間に切欠きUを形成し、即ち、平坦化層500を切欠きUの支持構造としてそのまま利用することにより、陰極層(写真に示されておらず)が補助電極と切欠きUにおいて接合することができ、有機発光ダイオード表示パネルのIR Dropの問題を改善し、平坦化層500が崩壊しないことを実験により検証した。
【0046】
上述したように、本発明の上記実施例は、補助電極の上方の平坦化層とパッシベーション層との間に切欠きを形成し、即ち、平坦化層を切欠きの支持構造としてそのまま利用することにより、陰極層が補助電極と切欠きにおいて接することができ、有機発光ダイオード表示パネルのIR Dropの問題を改善し、平坦化層が崩壊しないことを実験により検証した。また、本発明は、補助電極と、補助電極と同層の信号入力パッドとを3層のモリブデンチタン/銅/モリブデンチタン合金構造とすることで、信号入力パッドの上方に信号入力パッドを保護するパッドを設けることなく直接制御ユニットに接続可能な信号入力パッドとすることができ、一つのマスクを省くことができる。また、本発明は、薄膜トランジスタ素子側に蓄積容量を設けて、層間誘電体層を貫通する第3ビアホールを介して活性層にソースを接続し、層間誘電体層及びバッファ層を貫通する第4ビアホールを介して遮光金属層にソースを接することにより、第1電極と薄膜トランジスタ素子のソース・ドレインとを導通させて、蓄積容量の作用を高めることができる。したがって、有機発光ダイオード表示パネルの電流安定化をさらに維持することができる。
【0047】
上記は、単に本発明の好ましい実施形態であり、当業者にとっては、本発明の趣旨から逸脱することがない限り、更なる改良及び修飾を行うことができ、これらの改良及び修飾も本発明の保護範囲と見なされるべきであることを留意されたい。
【国際調査報告】