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特表2024-503766電池充電残り時間の確定方法及びシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-29
(54)【発明の名称】電池充電残り時間の確定方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
   G01R 31/387 20190101AFI20240122BHJP
   H02J 7/04 20060101ALI20240122BHJP
【FI】
G01R31/387
H02J7/04 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022547892
(86)(22)【出願日】2022-04-25
(85)【翻訳文提出日】2022-08-05
(86)【国際出願番号】 CN2022089069
(87)【国際公開番号】W WO2023123767
(87)【国際公開日】2023-07-06
(31)【優先権主張番号】202111631835.3
(32)【優先日】2021-12-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513196256
【氏名又は名称】寧徳時代新能源科技股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Contemporary Amperex Technology Co., Limited
【住所又は居所原語表記】No.2,Xingang Road,Zhangwan Town,Jiaocheng District,Ningde City,Fujian Province,P.R.China 352100
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】弁理士法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】王海将
(72)【発明者】
【氏名】孫淑▲ティン▼
(72)【発明者】
【氏名】梁旭
【テーマコード(参考)】
2G216
5G503
【Fターム(参考)】
2G216AB01
2G216BA61
2G216CA01
2G216CB24
5G503AA01
5G503BA01
5G503BB02
5G503CA01
5G503CB06
(57)【要約】
本出願の実施例は、電池の現在の充電電流である第1の充電電流を取得することと、電池の満充電時の充電電流である第2の充電電流を確定することと、第1の充電電流と第2の充電電流に基づいて充電電流平均値を確定することと、充電電流平均値に基づいて充電残り時間を確定することとを含む電池充電残り時間の確定方法を提供する。これにより、計算過程における誤差を減少させることができ、充電の初期段階で電池充電残り時間を正確に得ることができる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池充電残り時間の確定方法であって、
電池の現在の充電電流である第1の充電電流を取得することと、
前記電池の満充電時の充電電流である第2の充電電流を確定することと、
前記第1の充電電流と前記第2の充電電流とに基づいて充電電流平均値を確定することと、
前記充電電流平均値に基づいて前記充電残り時間を確定することとを含む、電池充電残り時間の確定方法。
【請求項2】
前記の、第2の充電電流を確定することは、
電池充電カットオフ電圧の計算値である第1の満充電電圧と、今回の充電時の充電装置の充電電力とに基づいて、今回の充電の前記第2の充電電流を確定することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記の、第2の充電電流を確定することは、
前回の充電時の電池充電カットオフ電圧の実際値である第2の満充電電圧と、今回の充電時の充電装置の充電電力とに基づいて、今回の充電の前記第2の充電電流を確定することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
電池充電残り時間を確定するためのシステムであって、
電池の現在の充電電流である第1の充電電流を取得し、
前記電池の満充電時の充電電流である第2の充電電流を確定し、
前記第1の充電電流と前記第2の充電電流とに基づいて充電電流平均値を確定し、
前記充電電流平均値に基づいて前記充電残り時間を確定するための処理モジュールを含む、システム。
【請求項5】
前記処理モジュールは、さらに、
電池充電カットオフ電圧の計算値である第1の満充電電圧と、今回の充電時の充電装置の充電電力とに基づいて、今回の充電の前記第2の充電電流を確定するためのものである、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記処理モジュールは、さらに、
前回の充電時の電池充電カットオフ電圧の実際値である第2の満充電電圧と、今回の充電時の充電装置の充電電力とに基づいて、今回の充電の前記第2の充電電流を確定するためのものである、請求項4に記載のシステム。
【請求項7】
前記システムは、前回の充電時の電池充電カットオフ電圧の実際値である第2の満充電電圧を記憶するための記憶モジュールをさらに含む、請求項4~6のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項8】
電池管理システムであって、コンピュータプログラムを記憶するためのメモリと、前記コンピュータプログラムを呼び出して請求項1~3のいずれか一項に記載の方法を実行するためのプロセッサとを含む、電池管理システム。
【請求項9】
読み取り可能な記憶媒体であって、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法を実行するためのコンピュータプログラムを記憶するためのものである、読み取り可能な記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、2021年12月29日に提出された名称が「電池充電残り時間の確定方法及びシステム」の中国特許出願202111631835.3の優先権を主張しており、同出願の内容の全ては、ここに参照として組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
本出願は、電池技術分野に関し、特に電池充電残り時間の確定方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
新エネルギー業界の急速な発展に伴い、新エネルギー自動車が次第に普及してきた。自動車の利用中において、充電速度及び充電時間の長さは、車の所有者が最も関心を持つ問題であり、特に充電時間の長さは、車の所有者の自動車利用時間に影響を与えるだけでなく、車の所有者の自動車利用手配にも影響を与える。充電時間の長さは、一般的には、充電時に充電残り時間を算出して事前に車の所有者に知らせることによって、車の所有者のその後の自動車利用時間と手配のために根拠を提供する。しかしながら、現在、電池充電残り時間の計算方法は誤差が比較的に大きいため、車の所有者の自動車利用は不便になり、自動車利用体験が比較的悪くなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本出願は、現在の電池充電残り時間をより正確に確定できる電池充電残り時間の確定方法及びシステムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の態様によれば、本出願は、電池の現在の充電電流である第1の充電電流を取得することと、電池の満充電時の充電電流である第2の充電電流を確定することと、第1の充電電流と第2の充電電流に基づいて充電電流平均値を確定することと、充電電流平均値に基づいて充電残り時間を確定することとを含む電池充電残り時間の確定方法を提供する。
【0006】
本出願の実施例により、電池充電残り時間の確定方法を実現することができる。電池の現在の充電電流と電池の満充電時の充電電流に基づいて充電電流の平均値を確定し、さらにこの充電電流平均値に基づいて充電残り時間を確定する。このように、リアルタイムに出力する電流値を使用することで計算過程にもたらされる誤差を大幅に減少することができ、充電の初期段階で電池充電残り時間を比較的正確に得ることができ、算出された電池充電残り時間の結果をさらに実際の充電時間に近づける。この計算結果を車の所有者や充電所などに提供することによって、車の所有者が自動車利用を合理的に手配することを容易にし、充電所による充電計画をさらに科学的に確実にすることも可能となる。
【0007】
一つの可能な実施例において、第2の充電電流を確定することは、電池充電カットオフ電圧の計算値である第1の満充電電圧と、今回の充電時の充電装置の充電電力とに基づいて、今回の充電の第2の充電電流を確定することを含む。
【0008】
上記実施例において、算出された電池充電カットオフ電圧に基づき、充電装置の一定の充電電力に合わせて、今回の充電の満充電時の充電電流を得る。この方法を採用して今回の充電の満充電時の充電電流を予測することは、計算の精度がより高く、その後に電池充電残り時間をより正確に確定することを容易にする。
【0009】
一つの可能な実施例において、第2の充電電流を確定することは、前回の充電時の電池充電カットオフ電圧の実際値である第2の満充電電圧と、今回の充電時の充電装置の充電電力とに基づいて、今回の充電の第2の充電電流を確定することを含む。
【0010】
上記実施例において、前回の充電時の電池充電カットオフ電圧の実際値を記録し、今回の充電時に、前回の充電時の電池充電カットオフ電圧に基づき、充電装置の一定の充電電力に合わせて、今回の充電の満充電時の充電電流を得る。電池充電カットオフ電圧が電池の健康状態(SOH)に関連し、充電回数につれて変化するため、前回の充電時の実際の電池充電カットオフ電圧を利用することで、今回の充電の満充電時の充電電流をより正確に算出することができ、それによって電池充電残り時間の計算結果がより確実になる。
【0011】
第2の態様によれば、本出願は、電池の現在の充電電流である第1の充電電流を取得し、電池の満充電時の充電電流である第2の充電電流を確定し、第1の充電電流と第2の充電電流に基づいて充電電流平均値を確定し、充電電流平均値に基づいて充電残り時間を確定するための処理モジュールを含むことを特徴とする電池充電残り時間を確定するためのシステムをさらに提供する。
【0012】
一つの可能な実施例において、処理モジュールは、さらに、電池充電カットオフ電圧の計算値である第1の満充電電圧と、今回の充電時の充電装置の充電電力とに基づいて、今回の充電の第2の充電電流を確定するためのものである。
【0013】
一つの可能な実施例において、処理モジュールは、さらに、前回の充電時の電池充電カットオフ電圧の実際値である第2の満充電電圧と、今回の充電時の充電装置の充電電力とに基づいて、今回の充電の第2の充電電流を確定するためのものである。
【0014】
一つの可能な実施例において、システムは、第2の満充電電圧を記憶するための記憶モジュールをさらに含む。
【0015】
第3の態様によれば、本出願は、コンピュータプログラムを記憶するためのメモリと、コンピュータプログラムを呼び出して上記第1の態様におけるいずれかの可能な実施例の方法を実行するためのプロセッサとを含む電池管理システムをさらに提供する。
【0016】
第4の態様によれば、本出願は、上記第1の態様におけるいずれかの可能な実施例の方法を実行するためのコンピュータプログラムを記憶するための読み取り可能な記憶媒体をさらに提供する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
本出願の実施例の技術案をより明瞭に説明するために、以下は、本出願の実施例に必要とされる添付図面を簡単に紹介する。自明なことに、以下の記述における添付図面は、本出願のいくつかの実施例に過ぎず、当業者にとって、創造的な労力を払わない前提で、添付図面に基づき、他の添付図面を取得することもできる。
【0018】
図1】本出願の一実施例による充電システムの構造概略図である。
図2】本出願の一実施例による電池の残り充電時間の確定方法のフローチャートである。
図3】本出願の一実施例による第2の充電電流の確定方法のフローチャートである。
図4】本出願の一実施例による別の第2の充電電流の確定方法のフローチャートである。
図5】本出願の一実施例による別の電池の残り充電時間の確定方法のフローチャートである。
図6】本出願の一実施例による電池管理システムの構造概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下では、図面と実施例によって本出願の実施形態をさらに詳細に記述する。以下の実施例についての詳細な記述及び添付図面は、本出願の原理を例示的に説明するためのものであるが、本出願の範囲を制限するものではなく、即ち本出願は、記述された実施例に限らない。
【0020】
本出願の記述において、特に説明されていない限り、「複数」は二つ以上を意味する。用語「上」、「下」、「左」、「右」、「内」、「外」などで指示される方位又は位置関係は、本出願を容易に記述し、かつその記述を簡略化するためのものであり、指示された装置又は素子が特定の方位を有し、特定の方位で構造と操作されなければならないことを指示又は示唆するものではないため、本出願を制限するものとして理解すべきではない。なお、用語「第1」、「第2」、「第3」などは、記述するためのものに過ぎず、相対的な重要性を指示又は示唆するものとして理解すべきではない。「垂直」は、厳密な意味での垂直ではなく、誤差の許容範囲内にあるものである。「平行」は、厳密な意味での平行ではなく、誤差の許容範囲内にあるものである。
【0021】
以下の記述における方位用語はいずれも図示されている方向であり、本出願の具体的な構造を限定するものではない。本出願の記述において、さらに説明すべきことは、明確な規定と限定がない限り、用語「取り付け」、「繋がり」、「接続」は、広義に理解されるべきであり、例えば、固定的に接続してもよく、取り外し可能に接続するか又は一体的に接続してもよく、直接に接続してもよく、中間媒体を介して間接に接続してもよい。当業者であれば、具体的な状況を踏まえて、上記用語の本出願での具体的な意味を理解してもよい。
【0022】
新エネルギー業界の急速な発展に伴い、新エネルギー自動車が次第に普及してきた。自動車の利用中において、充電速度及び充電時間の長さは、車の所有者が最も関心を持つ問題である。充電時間の長さは、車の所有者の自動車利用時間に影響を与えるだけでなく、車の所有者の自動車利用手配にも影響を与える。充電時間の長さは、一般的には、ソフトウェアアルゴリズムによって充電時に充電残り時間を算出し、事前に車の所有者に知らせることによって、車の所有者のその後の自動車利用時間と手配のために根拠を提供する。
【0023】
現在、市場に使用される低速充電の充電残り時間の計算方法は、主に、充電残り時間=残存容量/充電スタンドがリアルタイムに出力する充電電流である。しかしながら、電気自動車の低速充電時、充電スタンドの出力電力が定電力出力であり、且つ電気自動車電池の電圧が充電過程において徐々に上昇するため、充電スタンドがリアルタイムに出力する充電電流は、それに応じて以下のように変化する。電池の充電状態(SOC)が低い区間において、電池総電圧が比較的低く、充電スタンドがこの時実際に出力する電流は比較的大きいが、電池の充電状態(SOC)が高い区間において、電池総電圧が比較的高く、充電スタンドが実際に出力する電流は比較的小さい。そのため、上記方法を採用し、電気自動車の充電過程において、特に充電の初期段階で、充電スタンドがリアルタイムに出力する充電電流を使用して充電残り時間を計算すると、充電残り時間の予測計算値が実際の充電時間より小さくなり、それによって、充電残り時間が比較的長い間に変化しないか、又は充電残り時間がますます大きくなる可能性がある。予測した充電残り時間の誤差が比較的大きく、車の所有者の充電の待ち時間がますます長くなれば、車の所有者の自動車利用時間と自動車利用手配に影響を与え、車の所有者の自動車利用が不便になり、自動車利用体験が悪くなる。
【0024】
上記問題を解決し、充電過程において現在の電池充電残り時間をより正確に確定するために、本出願は、電池充電残り時間の確定方法及びシステムを提供する。
【0025】
図1には、本出願の実施例に適用できる充電システムの構成図が示されている。
【0026】
図1に示されるように、この充電システム100は、充電装置110と電池システム120とを含んでもよい。任意選択的に、この電池システム120は、電気自動車(純電気自動車とプラグイン可能なハイブリッド電気自動車を含む)における電池システム又は他の応用シーンでの電池システムであってもよい。
【0027】
任意選択的に、電池システム120には、少なくとも一つの電池パック(battery pack)が設けられてもよく、この少なくとも一つの電池パック全体は、電池121と総称されてもよい。電池の種類から言うと、この電池121は、任意のタイプの電池であってもよく、リチウムイオン電池、リチウム金属電池、リチウム硫黄電池などを含むが、それらに限らない。電池の規模から言うと、本出願の実施例における電池121は、電池セル/電池単体(cell)であってもよく、電池モジュール又は電池パックであってもよい。電池モジュール又は電池パックは複数の電池を直並列接続して形成されてもよく、本出願の実施例では、電池121の具体的なタイプと規模を具体的に限定しない。
【0028】
なお、この電池121に対してインテリジェントな管理及びメンテナンスを行い、電池の過充電と過放電の発生を防止し、電池の耐用年数を延ばすために、電池システム120において、一般的には、電池121の状態をモニタリングするための電池管理システム(battery management system、BMS)122がさらに設けられている。任意選択的に、このBMS122は、電池121と統合して同一の機器/装置に設けられてもよく、又は、このBMS122は、独立した機器/装置として電池121と別体に設けられてもよい。
【0029】
具体的には、充電装置110は、電池システム120における電池121のために電気エネルギーを補充するための装置、及び/又は電池121の放電を制御するための装置である。
【0030】
任意選択的に、本出願の実施例における充電装置110は、普通の充電スタンド、スーパー充電スタンド、ビークルツーグリッド(vehicle to grid、V2G)モードに対応できる充電スタンドであってもよく、又は電池に対して充電可能な充電機器などであってもよい。本出願の実施例では、充電装置110の具体的なタイプと具体的な応用シーンを限定しない。
【0031】
任意選択的に、図1に示されるように、充電装置110は、電線130を介して電池121に接続され、且つ通信ケーブル140を介してBMS122に接続されてもよく、ここでは、通信ケーブル140は、充電装置110とBMSとの間の情報のやり取りを実現するためのものである。
【0032】
例として、この通信ケーブル140は、コントロールエリアネットワーク(control area network、CAN)通信バス又はデイジーチェーン(daisy chain)通信バスを含むが、それらに限らない。
【0033】
任意選択的に、充電装置110は、通信ケーブル140を介してBMS122と通信できるだけでなく、無線ネットワークを介してBMS122と通信することもできる。本出願の実施例では、充電装置とBMS122の有線通信タイプ又は無線通信タイプを具体的に限定しない。
【0034】
図2では、本出願の実施例による電池充電残り時間の確定方法200が示されている。この方法は、電池121の充電過程における残りの充電時間を確定するためのものである。この方法200は、具体的には以下のステップのうちの一部又は全部を含んでもよい。
【0035】
ステップ210:第1の充電電流を取得する。
【0036】
ここでは、第1の充電電流は、電池の現在の充電電流である。電池の現在時刻の充電電流を取得するには、具体的に、充電スタンド現在の出力電流を取得することによって電池の現在の充電電流を取得してもよく、サンプリングによって電池の現在の充電電流を取得してもよい。本出願では、充電電流を取得する具体的な方法を特に限定しない。
【0037】
ステップ220:第2の充電電流を確定する。
【0038】
ここでは、第2の充電電流は、電池の満充電時の充電電流である。任意選択的に、第1の満充電電圧、即ち電池充電カットオフ電圧の計算値、及び今回の充電時の充電装置の充電電力に基づいて今回の充電の第2の充電電流を確定してもよく、第2の満充電電圧、即ち前回の充電時の電池充電カットオフ電圧の実際値、及び今回の充電時の充電装置の充電電力に基づいて今回の充電の第2の充電電流を確定してもよい。
【0039】
ステップ230:第1の充電電流と第2の充電電流に基づいて充電電流平均値を確定する。
【0040】
具体的には、この時の第1の充電電流と第2の充電電流を加算して平均することで、充電電流の平均値を得ることができる。
【0041】
ステップ240:充電電流平均値に基づいて充電残り時間を確定する。
【0042】
具体的には、充電残り時間の計算式、「電池充電残り時間=電池残存容量/充電電流の平均値」に基づいて現在の電池充電残り時間を得ることができる。
【0043】
上記実施例において、電池の現在の充電電流と電池の満充電時の充電電流に基づいて充電電流の平均値を確定することができ、さらにこの充電電流平均値に基づいて充電残り時間を確定する。このように、リアルタイムに出力される電流値を使用するために計算過程にもたらされる誤差を大幅に減少することができ、充電の初期段階で電池充電残り時間を正確に得ることができ、算出された電池充電残り時間の結果をさらに実際の充電時間に近づける。この計算結果を車の所有者や充電所などに提供することによって、車の所有者が自動車利用を合理的に手配することを容易にし、充電所による充電計画をさらに科学的に確実にすることも可能となる。
【0044】
任意選択的に、図3図4に示されるように、ステップ220における第2の充電電流を確定することは、方法221と方法222によって実現されてもよい。方法221は、具体的には以下を含む。
【0045】
ステップ2211:第1の満充電電圧を確定する。
【0046】
ここでは、第1の満充電電圧は、電池充電カットオフ電圧の計算値である。具体的には、電池充電カットオフ電圧の計算式、「電池充電カットオフ電圧=電池セル満充電のカットオフ電圧×電池セルの直列個数」に基づいて第1の満充電電圧を確定してもよい。
【0047】
ステップ2212:今回の充電時の充電装置の充電電力を取得する。
【0048】
ステップ2213:第1の満充電電圧と、今回の充電時の充電装置の充電電力とに基づいて、今回の充電の第2の充電電流を確定する。
【0049】
ここでは、第2の充電電流は、電池の満充電時の充電電流である。具体的には、「電池の満充電時の充電電流=充電装置の充電電力/第1の満充電電圧」という式に基づいて今回の充電の第2の充電電流を確定してもよい。
【0050】
充電装置が定電力の充電を行い、充電過程において出力する充電電力が一定であるため、上記方法221は、電池充電カットオフ電圧を計算し、このカットオフ電圧と今回の充電時の充電装置の充電電力に基づいて電池の満充電時の充電電流、即ち第2の充電電流を確定することができ、さらにステップ230とステップ240を実行することによって、電池充電残り時間を確定する。
【0051】
方法222は、具体的には以下のステップを含む。
【0052】
ステップ2221:第2の満充電電圧を取得する。
【0053】
ここでは、第2の満充電電圧は、前回の充電時の電池充電カットオフ電圧の実際値である。具体的には、前回の充電時に、前回の充電中の電池充電カットオフ電圧の実際値を記録し、且つこの電池充電カットオフ電圧を記憶モジュールに記憶し、今回の充電時に、メモリから第2の満充電電圧を取得すればよい。ここでは、記憶モジュールは、非揮発性メモリ(Nonvolatile memory、NVM)であってもよく、前回の充電過程における電池充電カットオフ電圧の実際値は、NVM変数として記憶されてもよい。
【0054】
ステップ2222:今回の充電時の充電装置の充電電力を取得する。
【0055】
ステップ2223:第2の満充電電圧と、今回の充電時の充電装置の充電電力とに基づいて、今回の充電の第2の充電電流を確定する。
【0056】
ここでは、第2の充電電流は、電池の満充電時の充電電流である。具体的には、「電池の満充電時の充電電流=充電装置の充電電力/第2の満充電電圧」という式に基づいて今回の充電の第2の充電電流を確定してもよい。
【0057】
電池充電カットオフ電圧が電池の健康状態(SOH)や単体セルの電圧値に関連するため、充電回数の増加につれて、SOHが次第に低下し、単体セルの電圧値が変化し、電池充電カットオフ電圧の実際値と計算値との間の誤差は、ますます大きくなる。上記方法222は、前回の充電における電池充電カットオフ電圧の実際値を記録して呼び出し、且つこのカットオフ電圧と充電装置の充電電力に基づいて電池の満充電時の充電電流を確定し、さらにステップ230とステップ240を実行することによって、電池充電残り時間を確定する。前回の充電時の電池充電カットオフ電圧の実際値を利用することで、電池充電カットオフ電圧による計算の誤差を低減させ、今回の充電の満充電時の充電電流をより正確に算出し、それによって、電池充電残り時間の計算結果がより確実になる。
【0058】
なお、電池の使用周期において、方法200の実行は、方法221か方法222を単独で実行してもよく、電池状態の変化、電池の劣化度合いに基づいて方法221又は方法222を選択してもよい。
【0059】
図5は、上記方法による一実現可能な形態のフローチャートであり、充電電流平均値を採用して電池充電残り時間を計算することによって、電流の変化に起因する電池充電残り時間による計算誤差を減少し、電池充電残り時間の計算正確性をより高くする。方法500は、具体的には以下を含んでもよい。
【0060】
ステップ510:充電を開始する。
【0061】
ステップ520:予め設定された条件に基づき、計算案を選択する。
【0062】
ここでは、充電回数又は電池劣化度合いなどに基づいて判断条件を予め設定し、この予め設定した条件に基づいて計算案を選択してもよい。電池の具体的な状況に基づいて適切な計算方法を選択することで、計算結果をより正確にすることができる。
【0063】
例えば、今回の充電の充電回数が設定された閾値より小さいか、又は充電電池の劣化度合いが比較的低い場合、方法221を選択し、この時、ステップ531に進む。今回の充電の充電回数が設定された閾値以上であるか、又は充電電池の劣化度合いが比較的高い場合、方法222を選択し、この時、ステップ532に進む。
【0064】
ステップ531:第1の充電電流を取得する。ここでは、第1の充電電流は、電池の現在の充電電流である。
【0065】
ステップ541:第1の満充電電圧を確定する。ここでは、第1の満充電電圧は、電池充電カットオフ電圧の計算値である。
【0066】
ステップ551:今回の充電時の充電装置の充電電力を取得する。
【0067】
ステップ561:今回の充電の第2の充電電流を確定する。ここでは、第2の充電電流は、電池の満充電時の充電電流である。
【0068】
上記ステップの具体的な実行方式は前述の実施例と同じであるため、ここでは説明を省略する。
【0069】
ステップ532:第1の充電電流を取得する。ここでは、第1の充電電流は、電池の現在の充電電流である。
【0070】
ステップ542:第2の満充電電圧を取得する。ここでは、第2の満充電電圧は、前回の充電時の電池充電カットオフ電圧の実際値である。
【0071】
ステップ552:今回の充電時の充電装置の充電電力を取得する。
【0072】
ステップ562:今回の充電の第2の充電電流を確定する。ここでは、第2の充電電流は、電池の満充電時の充電電流である。
【0073】
上記ステップの具体的な実行方式は前述の実施例と同じであるため、ここでは説明を省略する。
【0074】
ステップ570:充電電流の平均値を確定する。
【0075】
具体的には、この時の第1の充電電流と第2の充電電流を加算して平均し、充電電流の平均値を得る。
【0076】
ステップ580:充電残り時間を確定する。
【0077】
具体的には、充電残り時間の計算式、「電池充電残り時間=電池残存容量/充電電流の平均値」に基づいて現在の電池充電残り時間を得ることができる。
【0078】
ステップ590:充電が完了したか否かを判断する。
【0079】
今回の充電が完了していない場合、引き続いてステップ520で選択した方案に基づいて充電残り時間を確定し、充電が完了した場合、計算プロセスを終了する。
【0080】
上記実現可能な方法から分かるように、充電電流平均値を採用して電池充電残り時間を計算することで、リアルタイムに出力される電流値の変化に起因する電池充電残り時間による計算誤差を減少し、充電の初期段階で電池充電残り時間を正確に得ることができ、算出された電池充電残り時間の結果をさらに実際の充電時間に近づける。
【0081】
記憶モジュールは、第2の満充電電圧を記憶するためのものである。
【0082】
処理モジュールは、電池の現在の充電電流である第1の充電電流を取得し、電池の満充電時の充電電流である第2の充電電流を確定し、第1の充電電流と第2の充電電流に基づいて充電電流平均値を確定し、充電電流平均値に基づいて充電残り時間を確定するためのものである。
【0083】
処理モジュールは、さらに、電池充電カットオフ電圧の計算値である第1の満充電電圧と、今回の充電時の充電装置の充電電力とに基づいて、今回の充電の第2の充電電流を確定するためのものである。
【0084】
処理モジュールは、さらに、前回の充電時の電池充電カットオフ電圧の実際値である第2の満充電電圧と、今回の充電時の充電装置の充電電力とに基づいて、今回の充電の第2の充電電流を確定するためのものである。
【0085】
具体的には、処理モジュールは、前述の方法200、方法221、方法222及び/又は方法500を実行するために用いられてもよい。
【0086】
図6に示されるように、本出願の実施例は、プロセッサ1221とメモリ1222を含む電池管理システム122をさらに提供する。メモリ1222は、コンピュータプログラムを呼び出し、前述の本出願の各実施例における電池充電残り時間の確定方法を実行するためのものである。
【0087】
本出願の実施例は、コンピュータプログラムを記憶するための読み取り可能な記憶媒体をさらに提供する。このコンピュータプログラムは、前述の本出願の各実施例における電池充電残り時間の確定方法を実行するためのものである。
【0088】
好ましい実施例を参照しながら本出願を記述したが、本出願の範囲から逸脱することなく、それに対して様々な改良を行ってもよく、その中の部品を同等物で置き換えてもよい。特に、構造的矛盾が存在しない限り、各実施例で言及した各技術的特徴を、任意の方式で組み合わせてもよい。本出願は、本明細書に開示された特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲内の全ての技術案を含むものである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】